JP2022538791A - トバモウイルスであるトマト褐色しわ果実ウイルスに対するトマトの植物体の抵抗力 - Google Patents

トバモウイルスであるトマト褐色しわ果実ウイルスに対するトマトの植物体の抵抗力 Download PDF

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Abstract

本発明は、トマト褐色しわ果実ウイルス(Tomato Brown Rugose Fruit virus)に抵抗力を有するトマト(Solanum lycopersicum)植物体であって、そのゲノム中に以下の組合せ:2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子と、前記植物体に葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される少なくとも1つの量的形質遺伝子座(QTL)との組合せを含むトマト植物体に関し、前記QTLは、種子HAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の植物体のゲノムに存在する。これらのQTLのうちの少なくとも1つとTm-1遺伝子との組合せは、本発明の植物体でのウイルスの複製または増殖を遅延、低減、または阻害する。本発明は、TBRFV抵抗力の表現型を有するこれらの植物体の部分および後代、別の遺伝的背景への抵抗力の遺伝子移入のためのこれらの植物体の使用、さらにはトマト褐色しわ果実ウイルスへの抵抗力を高めたトマト植物体または種子を得るための様々な方法も対象とする。【選択図】なし

Description

本発明は、トバモウイルスであるトマト褐色しわ果実ウイルス(Tomato Brown Rugose Fruit virus)(TBRFV;別名ToBRFV)に対するトマト(Solanum lycopersicum;別名Lycopersicon esculentum)の植物体の抵抗力に関する。より具体的には、本発明はトマト褐色しわ果実ウイルスに対する抵抗力につながるTm-1抵抗性遺伝子と組み合わせて1つ以上の遺伝的決定因子を含むトマト植物体および果実に関する。本発明はさらに、これらの1つ以上の遺伝的決定因子およびTm-1遺伝子と連鎖するマーカー、ならびに当該マーカーをそのような抵抗力を有する植物体の特定または選抜に使用することに関する。本発明はまた、そのような植物体の種子および後代、ならびにそのような植物体を得るための繁殖材料、ならびにこれらの植物体の様々な用途に関する。
トマトのすべての栽培形態および商業的形態は、リコペルシコン・エスクレントゥム・ミラー(Lycopersicon esculentum Miller)と最もよく呼ばれる種に属する。リコペルシコン(Lycopersicon)は、コショウ、タバコ、ナスなど約90の属からなると考えられている非常に大きく多様なナス科(Solanaceae)のうちの相対的に小さな属である。リコペルシコン属は2つの亜属、すなわち商業用トマトと交配しやすい種を含むエスクレントゥム(esculentum)群と、非常に交配しにくい種を含むペルウィアヌム(peruvianum)群に分類されてきた(Stevens, M.およびRick, C. M. 1986)。L.エスクレントゥム・ミラーは作物として価値があるため、世界中に広く普及している。栽培トマトの正確な起源は未だに不明な部分があるが、アメリカ大陸に由来すると思われ、エクアドル、ペルー、ガラパゴス島に原生し、早くも紀元700年にアステカ族やインカ族によって最初に栽培された。メキシコが栽培化の場所であり最初の導入起源であったと見られる。チェリートマト、すなわちL.エスクレントゥム変種ケラシフォルメ(L. esculentum var. cerasiforme)が現代の栽培形態の直接の祖先だと考えられている。
トマトは果実を目的として栽培され、生鮮または加工品として広く使用されている。作物として、トマトは環境条件が経済的に持続可能な収穫量の生産を許す場所であればどこでも商業的に栽培されている。生鮮トマトの大部分は、つる上で熟した緑熟の成熟段階に手で収穫される。生鮮トマトは一年中入手可能である。加工用トマトはほとんどが機械で収穫され、缶詰トマト、トマトジュース、トマトソース、ピューレ、ペースト、さらにはケチャップなど、多くの形で使用される。
トマトは通常、12対の分化染色体をもつ単純な二倍体種であるが、多倍性トマトも本発明の一部である。栽培トマトは自家稔性であり、ほとんどが自家受粉性である。トマトの花は両全性である。商業用栽培品種は、最初は放任受粉されていた。トマトでは雑種強勢が確認されているため、雑種はより良好な収穫量および植物体の特徴の均一性で農家の間でますます人気を獲得し、放任受粉品種に取って代わりつつある。トマトは広く普及しており価値が高いため、集中的に育種されてきた。これが現在これほど多様なトマトが入手可能である理由である。形は小さいものから大きいものまであり、チェリー型、プラム型、洋ナシ型、ブロッキー型、丸型、ビーフステーキ型がある。
植物体が収穫できるほど果実を成熟させるのにかかる時間の量でトマトを分類してもよく、一般には栽培品種は早生、中生、または晩生と考えられる。植物の生育習性、すなわち有限伸育型、半有限伸育型、または無限伸育型でトマトを分類することもできる。
有限伸育型植物は、まず葉を成長させた後に花を着ける傾向にあり、花は受粉に成功すると成熟して果実になる。果実はすべて一本の植物体でほぼ同時に成熟する傾向にある。無限伸育型トマトは、まずいくつか葉を成長させた後、生育期を通して葉および花を作り続ける。これらの植物は、任意の所与の時間に様々な成熟段階のトマトの果実をつけている傾向にある。半有限伸育型トマトは有限伸育型と無限伸育型の間の表現型を有し、有限伸育型品種よりも大きく成長することを除けば典型的な有限伸育型種である。最近のトマト育種の発展によって、より多様な果色が得られている。標準的な赤い熟した色に加え、トマトは乳白色、ライムグリーン、ピンク、黄色、黄金色、橙色、または紫色になり得る。
人工授粉により雑種の商業用トマト種子を生産することができる。雄性親の花粉を収穫し、雌性の近交交配体の柱頭表面に手作業でつける。人工授粉の前後に、昆虫が外来花粉を運んできたり混合物や不純物を作ったりしないように花を覆う。花に標識を付け、種子を収穫する受粉果実を識別する。
トマト植物体の生産性には様々な病原体、たとえばウイルス、真菌、細菌、線虫、および昆虫が影響を及ぼす。トマトは特に多くのウイルスに対して罹病性であり、したがってウイルス抵抗力は農業上非常に重要である。
トバモウイルスは、農業、特に世界中の野菜および観賞用作物に深刻な被害を引き起こす最も重要な植物ウイルスの1つである。トバモウイルスは、自然の媒介物の証拠はないが機械的手段、さらには種子伝染によって伝染しやすい。トバモウイルスは一般に約300 nmの棒状粒子を特徴とし、その構造は17 kDaの外殻タンパク質(CP)分子によりキャプシド形成された4種のタンパク質をコードする一本鎖プラスRNAゲノムで構成されている。
トマトでは、タバコモザイクウイルス(TMV)、トマトモザイクウイルス(ToMV)が世界中の栽培者に恐れられている。というのも、それらはたとえば不規則な成熟(表面に黄色がかった斑点、表面の下に茶色がかった斑点をもつ果実)によって作物の生産量を深刻に損なう可能性があるからである。ただし、何年にもわたって植物育種者によりいくつかの遺伝子が同定されている。
同定された最初の抵抗性遺伝子はTm-1遺伝子であり、TMVへの抵抗力を付与する。S.ハブロカイテス(S. habrochaites)から遺伝子移入されたこの遺伝子は完全に優性ではなく、TMV抵抗力には一般にホモ接合が必要であった。しかし、Tm-1遺伝子は商業園芸に導入されてから約1年以内に克服され、他の商業用系統への導入の追求は全く役に立たなくなった(Pelham et al, 1970. “The establishment of a new strain of tobacco mosaic virus resulting from the use of resistant varieties of tomato”; Ann. Appl. Biol., 65:293-297)。
この遺伝子はToMVへの抵抗力を付与するとも確認されたが、現在、広まっているTMVおよびToMV株の大多数はTm-1遺伝子を有する商業用植物に感染することができるため、この遺伝子はもはや商業用植物のTMV/ToMV感染に対する抵抗性遺伝子とは考えられていない。このTm-1遺伝子の使用は現在ほぼ完全に廃止されており、代替の抵抗性遺伝子が支持されている。
この数十年間、すべての現代の無限伸育型トマト品種および多くの有限伸育型トマト品種は実際にTm-2遺伝子または好ましくはこの遺伝子のTm-22対立遺伝子を含んでいる。この遺伝子は、2014年以前に商業用トマトに影響を及ぼした既知のトバモウイルス(ToMVおよびTMV)のほぼすべての種族に対する免疫を付与する。
2014年~2015年の間、ウイルスの深刻な大流行がヨルダンやイスラエルなど中東のトマト生産地域に影響を及ぼした。影響を受けたトマト品種のほとんどはTMVおよび/またはToMVに抵抗力を有すると考えられたが、それでも深刻な影響を受け、典型的なTMV/ToMV様の症状を示した。葉の症状はTMV/ToMVの症状と非常に似ていたが、果実の症状は果実の病変や変形を伴うこれらのウイルスによる通常の症状よりもはるかに頻繁かつ深刻であった。果実の品質は非常に悪く、むしろ販売不可能であった。Salemら(Arch.Virol. 161 (2), 503-506. 2015)はヨルダンで感染した症候性植物体の果実と葉からRNAを抽出し、様々な試験を行って新たなトバモウイルス種の同定に至った(配列はGenBank受託番号KT383474(配列番号25)に対応)。Salemらは、このヨルダンのウイルスをトマト褐色しわ果実ウイルス(TBRFVまたはToBRFV)と命名することを提案した。他のトバモウイルス配列との比較により、それが実際にトバモウイルスではあるがTMVでもToMVでもないことが示された。TMVおよび/またはToMVへの抵抗力はこの新たなウイルスTBRFVに対しては抵抗力を付与しない。
Luriaら(PLoS One. 2017; 12(1): e0170429)はイスラエルでトマトに感染したイスラエルのトバモウイルスの完全なゲノムを同時に単離・配列決定しており、これはGenBank受託番号KX619418(配列番号26)に対応する。したがって、彼らはイスラエルとヨルダンのウイルス間の非常に高い配列同一性(99%を超える配列同一性)を示し、トマト褐色しわ果実ウイルスの2つの異なる分離株であると結論付けた。
近年、このウイルスは欧州、特にシチリア、ドイツ、およびオランダ、またメキシコで確認されたため、現在ではトマト作物に対する重要な世界的脅威と見なされている。確認された株はヨルダン株ではなくイスラエル株だと見られる。
イスラエルで本発明者らは分離株を収集し、全作物生産地域(北、中央、および南)由来の7種の代表的な分離株を配列決定した。ヨルダンToBRFVの配列との配列比較は、すべてのイスラエル分離株がヨルダン分離株と本質的には同一だが完全に同一ではないことを示していると思われ、それによりそれらをおそらく同じウイルスの両国での異なる2つの株と見なすべきであることが確認された。
先の出願で、本発明者らはトマト褐色しわ果実ウイルスに対し耐性を示すトマト植物体を最初に同定し、トマト褐色しわ果実ウイルスへの耐性につながる遺伝的決定因子(以下、QTL(量的形質遺伝子座)ともいう)を位置特定し同定することができている。2つのQTL、すなわちQTL1およびQTL2は6番染色体および9番染色体にそれぞれ存在するべきであり、トマトの背景にホモ接合で存在する場合、TBRFVに感染しているか感染する可能性のあるトマト植物体の果実に改善した耐性を単独または共同で付与する。第3のQTLすなわちQTL3は11番染色体に存在するべきであり、ホモ接合で存在する場合、TBRFVに感染しているか感染する可能性のあるトマト植物体の葉に改善した耐性を付与する。これらのQTLは、PCT出願WO2018/219941で言及・説明されているものである。以下の説明ではこれらのQTLを耐性QTLと呼ぶ。
これらのQTLは単独または共同でTBRFVへの耐性を付与するが、発明者らは今回、ほとんどの場合それらはトマト植物体に抵抗力を付与することができず、特にウイルスの複製または増殖の遅延、低減、または阻害に十分なレベルの抵抗力を付与することができないことを証明した。実際、上記の耐性QTLのうちの1つ以上を有する感染植物体はそれでもウイルスを増殖させており、このウイルスはこれらのQTLを有していない周囲のすべてのトマト植物体にとって依然として脅威である。
トバモウイルスは容易には制御されず、抵抗性遺伝子の同定および育種への使用による遺伝的改善により制御されること、さらにはTMVおよび/またはToMVの制御に現在利用可能な抵抗性遺伝子は新たなトマト褐色しわ果実ウイルスによる損傷および増殖には役に立たず、耐性QTLはウイルスの増殖を停止または十分に低減することができないことから、この新たなトバモウイルスに対する抵抗力を緊急に特定する必要がある。それができなければ、トマト作物をそれ以上生産できない地域全体が発生する。
本発明者らは、トマト褐色しわ果実ウイルスに対し抵抗力を示すトマト植物体を特定し、トマト褐色しわ果実ウイルスへの抵抗力につながる遺伝的決定因子の組合せ(すなわちQTL(量的形質遺伝子座)の組合せ)、およびこの抵抗力(resistance)または増強した耐性(tolerance)を提供する遺伝子を特定することができた。
本発明による抵抗力は、遺伝的決定因子すなわちQTLと組み合わせた場合のTm-1抵抗性遺伝子によって付与され、これらのQTLは、Tm-1抵抗性遺伝子と組み合わせない場合、トマト植物体の葉および/または果実のレベルでトマト褐色しわ果実ウイルス(TBRFV)に対する耐性のみを付与する。WO2018/219941によれば、これらのQTLすなわち遺伝的決定因子は劣性であると記載されている。ホモ接合状態でTm-1抵抗性遺伝子が存在することは、TMV/ToMVに対する過去の抵抗力(ただし、この抵抗力は現在、広まっているTMV/ToMVの株により克服されている)に関するTm-1遺伝子の主な作用機序とは違って必要ではない。
果実の耐性はQTL1またはQTL2、葉の耐性はQTL3により独立に付与され、異なる遺伝的背景(すなわち様々なトマト)にそれらを移入することは、特にWO2018/219941で提供されるQTLに関連する適切なマーカーに関する情報があれば、植物育種の当業者により容易に実行可能である。Tm-1遺伝子についても同様である。
したがって、本発明は、以下の組合せ:
-ホモ接合状態で存在する場合、TBRFVに感染したトマト植物体のトマトの葉および/または果実のレベルでTBRFV耐性の表現型を付与する遺伝的決定因子(ここではQTLまたは耐性QTLともいう)と
-Tm-1遺伝子
との組合せを提供する。ここで、この組合せはTBRFVに対する抵抗力、特にウイルスの複製を遅延、低減、かつ/または阻害する能力を付与するが、単独または組合せのQTLも単独のTm-1遺伝子もそのようなレベルの抵抗力または増強した耐性を付与しない。
本発明は、TBRFVへの抵抗力を示す商業用トマト植物体、さらにはTBRFVへの抵抗力を示すトマト植物体または集団(生殖質)を生産または特定する方法にも関する。本発明は、耐性QTLおよびTm-1遺伝子と連鎖する分子遺伝マーカー(特に一塩基多型(SNP))も開示し、これらは、本発明の植物体を得るための任意の選抜方法で使用可能である。上記方法およびそのような分子マーカーの使用により得られる植物体も提供される。
本発明はTBRFVが蔓延した環境でトマト生産の収穫量を改善するいくつかの方法およびTBRFVの蔓延からトマト畑を保護する方法も提供する。
定義
「抵抗力(性)」という用語は、野菜種子産業のために有害生物または病原体および非生物的ストレスに対する植物の反応について説明するべくISF(国際種子連盟)の野菜および観賞用作物部門で定義されているとおりである。具体的には、抵抗力は、ある植物品種が特定の有害生物もしくは病原体の成長や発達および/またはそれらが引き起こす損傷を同様の環境条件と有害生物または病原体の影響力の下で罹病性植物品種に比べて制限することができることを意味する。抵抗力を有する品種は、有害生物または病原体の大きな影響力下では何らかの病徴または損傷を示すことがある。
「耐性」という用語は、本明細書では植物体の表現型を示すために用いられ、この表現型では、少なくとも何らかの栽培条件では前記植物体が感染量(全身感染または局所感染の存在、ウイルス増殖、少なくとも前記植物体の細胞でのウイルスゲノム配列の存在、および/またはそのゲノム組込みを確立することができる量)のウイルスにさらされても病徴のうち少なくともいくつかは依然として存在しない。したがって、耐性植物は発症には抵抗力を有するが、無症状のウイルス保有体である。ウイルス配列が病徴を引き起こさずに植物体に存在するか、増殖さえする場合もある。なお、耐性植物体はウイルスに感染するが、一般にはウイルスの成長および発達を少なくとも中程度に制限することができる。
TBRFVの場合、葉の耐性(leave tolerance)または葉の耐性(foliar tolerance)は、植物体が感染量のTBRFVにさらされても葉の病徴は依然として存在しない前記植物体の表現型を意味する。ただし、果実の病徴は感染植物体に存在する場合がある。
果実の耐性は、TBRFVの場合、植物体が感染量のTBRFVにさらされても果実の病徴は依然として存在しない前記植物体の表現型を意味する。ただし、葉の病徴は感染植物体に存在する場合がある。
TBRFV感染の葉の症状としては、モザイク、小葉の奇形、また多くの場合に靴ひものような症状が一般に挙げられる。TBRFV感染の果実の症状としては、典型的な黄色の病変および果実の変形が一般に挙げられる。多くの場合、果実には「チョコレート斑点」もある。
「罹病性」は、植物品種が特定の有害生物または病原体の成長および発達を制限することができないことを示す。すなわち、罹病性植物体は、ウイルス感染に関連する有害な症状、すなわちTBRFV感染の場合には葉の損傷および果実の損傷を示す。
トマト褐色しわ果実ウイルス罹病性のトマト植物体は、たとえば2015年のSalemらの刊行物に記載の市販品種カンデラ(Candela)である。また、PCT出願第WO2018/219941号に記載のハゼラ(Hazera)第2およびハゼラ第4系統であってもよい。TBRFV感染地域で栽培された市販のトマト品種はすべて、今日まで、すなわち本発明以前は、TBRFV罹病性であるか、最善の場合でも、HAZTBRFVRES1の寄託種子など耐性QTL保有植物では耐性があるくらいである。このトマト種子の試料は、Hazera Seeds Ltd.(イスラエル、M.P.シクミム79837、ベルリム)により、特許手続を目的とする微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(「ブダペスト条約」)に準拠しその要件を満たして、National collection of Industrial, Food and Marine bacteria (NCIMB)(NCIMB, Ltd.、英国、アバディーンAB21 9YA、バックスバーン、クレイブストーン・エステート、ファーガソン・ビルディング)に2017年5月16日に受託番号42758で寄託されている。
したがって、本発明による植物体は、カンデラ品種に対して、より一般的にはトマト褐色しわ果実ウイルス感染地域で栽培された任意のトマト商業品種(耐性植物を含む)に対して、またHAZTBRFVRES1に対して、少なくともトマト褐色しわ果実ウイルスへの抵抗力が改善しているか耐性が向上している。
本明細書で用いる場合、「子孫」または「後代」という用語は、1つ以上の親植物体またはその派生物からの栄養繁殖または有性生殖により後代として得られる任意の植物体を指す。たとえば、子孫植物は、親植物体のクローン化もしくは自殖によって、または2つの親植物体を交配することによって得られてもよく、自殖およびF1もしくはF2またはさらなる世代を含む。F1は親(そのうちの少なくとも1つは形質の供与体として最初に使用される)から作成された第1世代の子孫であるのに対し、第2世代(F2)またはそれ以降(F3、F4など)の子孫はF1、F2などの自殖により作成された標本である。したがって、F1は2つの純系(純系は形質についてホモ接合である)の親の交配により得られる雑種であってもよく(通常はそうである)、F2は前記F1雑種の自家受粉により得られる子孫であってもよい(通常はそうである)。本明細書で用いる場合、「交配する」、「交配」、「他家受粉」、または「交雑育種」という用語は、1つの植物体の1つの花の花粉が別の植物体の花の胚珠(柱頭)に(人工的または自然に)付けられる過程を指す。
本明細書で用いる場合、「遺伝的決定因子」および/または「QTL」という用語は、生物学的機能に関連する任意のDNA区画を指す。したがって、QTLおよび/または遺伝的決定因子としては、遺伝子、コード配列、および/またはそれらの発現に必要な調節配列が挙げられるがこれらに限定されない。QTLおよび/または遺伝的決定因子としては、たとえば他のタンパク質の認識配列を形成する非発現のDNA区画も挙げることができる。
本明細書で用いる場合、「遺伝子型」という用語は、個々の細胞、細胞培養物、組織、生物(たとえば植物)、または生物群の遺伝子構成を指す。
本明細書で用いる場合、「接ぎ木」という用語は、台木を穂木と接合する操作である。接ぎ木の主な動機は、遺伝的または化学的な病気管理手法を利用することができない場合に土壌由来の有害生物および病原体による被害を回避することである。罹病性の穂木を抵抗力のある台木に接ぎ木することで、品種に抵抗力を形成する必要なく、抵抗力のある品種を得ることができる。また、接ぎ木により非生物的ストレスへの耐性が強化され、収穫量が増え、より効率的に水や栄養素が使われるようになる可能性がある。
本明細書で用いる場合、「ヘテロ接合体」という用語は、少なくとも1つの遺伝子座に存在する異なる対立遺伝子(所与の遺伝子、遺伝的決定因子または配列の形態)を有する二倍体または多倍体の個々の細胞または植物体を指す。
本明細書で用いる場合、「ヘテロ接合(性)」という用語は、特定の遺伝子座に異なる対立遺伝子(所与の遺伝子、遺伝的決定因子または配列の形態)が存在することを指す。
本明細書で用いる場合、「相同染色体」または「相同体(homologs)」(またはホモログ(homologues)は、減数分裂中に互いに対になる1つの母方染色体と1つの父方染色体の組を指す。これらのコピーは、同じ遺伝子座および同じセントロメア位置に同じ遺伝子を持つ。
本明細書で用いる場合、「ホモ接合体」という用語は、すべての相同染色体の1つ以上の遺伝子座に同じ対立遺伝子を有する個々の細胞または植物体を指す。
本明細書で用いる場合、「ホモ接合(性)」という用語は、相同染色体区画の1つ以上の遺伝子座に同一の対立遺伝子が存在することを指す。
本明細書で用いる場合、「雑種」という用語は、1つ以上の遺伝子が異なる親間の交配により得られる任意の個々の細胞、組織、または植物体を指す。
本明細書で用いる場合、「遺伝子座(locus、複数形は「loci」)」という用語は遺伝的に定義された任意の部位を指し、これは単一の位置(ヌクレオチド)または染色体領域であってもよい。遺伝子座は、遺伝子、遺伝的決定因子、もしくは遺伝子の一部、またはDNA配列であってもよく、異なる配列によって占められていてもよい。遺伝子座は、SNP(一塩基多型)、複数のSNP、または2つの隣接するSNPで定義される場合もある。
本明細書で用いる場合、「台木」という用語は接ぎ木の方法で穂木を受け入れることができる植物体の下部である。
本明細書で用いる場合、「穂木」という用語は接ぎ木の方法で台木に接合可能な植物体の上部である。
発明の詳細な説明
本発明者らは、単独または組合せでトマト植物体にホモ接合で存在する場合にトマト褐色しわ果実ウイルス(以下、TBRFVまたはToBRFV)に感染しているか感染する可能性のあるトマト植物体の果実および/または葉の耐性を改善するWO2018/219941に開示の3つのQTLが、依然としてウイルスの増殖を完全に制限することはできないことを実証した。実際、発明者らは、これらの植物体の細胞内でのウイルスゲノム配列の検出により証明されるように、ウイルスの増殖は一般に前記植物体内で起こることを発見した。したがって、そのような植物体はウイルスを保有しており、植物体から植物体へウイルスが広まるのを制限することはできない。
WO2018/219941に開示の3つのQTL、すなわち6番、9番、および11番染色体にそれぞれ存在するQTL1、QTL2、およびQTL3を、以下では「耐性QTL」と呼ぶ。より具体的には、QTL1およびQTL2は「果実耐性QTL」、11番染色体上のQTL3を「葉耐性QTL」と呼ぶ。
予想外にも、本発明者らは、前記耐性QTLのうちの少なくとも1つ(すなわちQTL1、QTL2、および/またはQTL3)とTm-1抵抗性遺伝子とを組み合わせることによってトマトのTBRFV、特にイスラエル分離株への耐性または抵抗力が改善し、トマト植物体のウイルス力価を低下させ、かつ/またはウイルスの増殖を阻害し、かつ/またはウイルス、ひいては任意の関連症状の進行を遅らせ、かつ/または抵抗力のレベルを高めることを見出した。特に、ウイルス力価、ウイルス進行、感染による葉の症状または感染による果実の症状を含む基準のうち少なくとも1つに関して、Tm-1抵抗性遺伝子のない対応植物体に対して抵抗力が改善または増強される。
好ましい実施態様によれば、耐性QTLのうち少なくとも1つ(たとえばQTL3、特にQTLが1つしかない場合)はホモ接合で存在する。
さらに、少なくとも2つの耐性QTLをTm-1遺伝子と組み合わせることも好ましい。このような場合、有利には、少なくとも1つのQTL(たとえばQTL2)はヘテロ接合で存在する。一実施態様によれば、Tm-1遺伝子と組み合わせて耐性QTLのうち2つまたは3つが存在し、少なくとも1つのQTLはホモ接合で存在し、少なくとも1つの別のQTLはヘテロ接合で存在する。
なお、Tm-1抵抗性遺伝子は、以前にTMVおよびToMVに対する抵抗性遺伝子と確認されたが、広まっているToMVおよびTMV株がこの抵抗力を回避するよう変異したため、広まっているToMV/TMV株に対してはもはや抵抗力を付与しない。したがって、本発明の植物体におけるTm-1抵抗性遺伝子の存在は、これらの植物体、特に、広まっているToMV/TMV株に特に脅かされている商業用植物に対してToMVおよび/またはTMV抵抗力を提供しない。
実施例で実証するとおり、本発明による植物体の表現型はTBRFVへの抵抗力、すなわち葉および/または果実の抵抗力であり、本発明の植物体は少なくとも感染後の何らかの段階のウイルス増殖の制限を改善することができる。
ウイルス増殖の制限の改善は、接種後約70~90日(DPI)にELISA技術で測定したときの植物体で検出された(たとえば定量逆転写PCR(q-RT-PCR)で検出された)ウイルス配列またはタンパク質のレベルが、罹病性植物体または耐性であるが抵抗力を持たない植物体で同時に同技術で検出されるウイルス配列のレベルよりも少なくとも50%低く、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%低いことを意味する。ウイルス配列またはタンパク質のレベルを約30DPIに測定してもよい。罹病性植物体で測定したレベルより少なくとも20%低い場合、レベルは低下している。
したがって、第1の側面によれば、本発明はトマト褐色しわ果実ウイルス(TBRFV)に抵抗力を有するトマト植物体を対象とし、この植物体は、そのゲノム中に以下の組合せ:
-ホモ接合性またはヘテロ接合性のTm-1抵抗性遺伝子と
-ホモ接合またはヘテロ接合で存在する少なくとも1つの耐性量的形質遺伝子座(QTL)
との組合せを含む。
好ましくは、少なくとも2つのQTLが存在し、好ましくは、1つはホモ接合で存在し、別の1つはヘテロ接合で存在する。
本発明は、前記QTLをTm-1遺伝子と組み合わせて含むそのような植物体の細胞および種子も対象とする。
耐性QTLは、11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2からなる群より選択される。これらの耐性QTLのそれぞれは、植物体に葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与し、Tm-1遺伝子と組み合わせるとTBRFVに対する抵抗力または増強した耐性を付与する。前記耐性QTLは、種子HAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の植物体のゲノムに存在する。
Tm-1遺伝子は、特にIshibashiらの2007年の刊行物(An inhibitor of viral RNA replication is encoded by a plant resistance gene. PNAS August 21, 2007 104 (34) 13833-13838)で定義されているとおりである。好ましくは、「Tm-1遺伝子」は、同文献で報告されているTm-1活性、すなわちTm-1に感受性のある野生型ToMV株(たとえば同文献に開示のToMV-L株)のウイルス複製を阻害する能力を有するタンパク質をコードする遺伝子配列を指す。好ましい実施態様によれば、本発明によるTm-1遺伝子は、配列番号19(NCBI BAF75724)に対応する、Ishibashiらの文献で報告された754アミノ酸の配列を有するタンパク質、または配列番号19と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、90%、もしくは95%の配列同一性を有し、かつIshibashiらの2007年の文献で報告されたTm-1活性(すなわちTm-1に感受性のある野生型ToMV株のウイルスRNA複製を阻害する能力)を示すタンパク質をコードする遺伝子である。好ましい実施態様によれば、この遺伝子は、Ishibashiらの2007年の文献に記載のmRNA配列に対応する配列、すなわち配列NCIB AB287296(配列番号20)、または配列番号20と少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を有する。配列番号20との配列同一性の程度に関係なく、本発明によるTm-1遺伝子は、好ましくはIshibashiらの2007年の文献で報告されたTm-1活性、すなわち野生型ToMVのウイルスRNA複製を阻害する能力を示すタンパク質をコードする。
本発明の植物体、種子、または細胞のゲノムで、Tm-1遺伝子が2番染色体に存在することが好ましい。ただし、本発明はIshibashiらの2007年の文献に記載の遺伝子座に対応しない遺伝子座にTm-1遺伝子を含む植物体、種子、または細胞も包含する。
したがって、本発明は、ゲノム中にQTL1、QTL2、およびQTL3の様々な組合せ(好ましくは少なくとも1つのQTLがホモ接合状態にあり、かつ/または少なくとも1つがヘテロ接合状態にある組合せ)をTm-1遺伝子と共に含むトマト植物体、細胞、または種子を包含する。好ましくは、少なくとも2つのQTLが存在し、少なくとも1つはホモ接合状態、少なくとも1つはヘテロ接合状態にある。したがって、本発明は、QTL3とTm-1の組合せ、QTL1とTm-1の組合せ、QTL2とTm-1の組合せ、QTL3とQTL1とTm-1との組合せ、QTL3とQTL2とTm-1との組合せ、QTL1とQTL2とTm-1との組合せ、およびQTL1とQTL2とQTL3とTm-1との組合せを含む植物体を包含する。特に好ましい組合せは、QTL3とTm-1、およびQTL2とQTL3とTm-1である。様々な代替的な組合せを下表1に開示する。QTL3がホモ接合状態、QTL2がヘテロ接合状態で存在することが特に好ましい。Tm-1抵抗性遺伝子はヘテロ接合で存在してもホモ接合で存在してもよい。好ましい組合せは、たとえばQTL3がホモ接合またはヘテロ接合状態、QTL2がヘテロ接合状態、Tm-1がホモ接合である。
なお、本発明に関して、好ましくは耐性QTLのうち少なくとも1つは植物体のゲノム中にホモ接合で存在するが、Tm-1抵抗性遺伝子はヘテロ接合で存在してもホモ接合で存在してもよい。
一実施態様によれば、本発明による植物体では9番染色体上のQTL2はヘテロ接合で存在する。
別の好ましい実施態様では、植物体は、ホモ接合またはヘテロ接合のTm-1と組み合わせて、ホモ接合でQTL3を含む。このような植物体は、有利にはQTL2(好ましくはヘテロ接合である)を含んでいてもよい。
好ましい実施態様によれば、Tm-1抵抗性遺伝子はホモ接合状態で存在するべきでもある。たとえば、好ましい実施態様では、植物体はQTL3およびTm-1をホモ接合、QTL2をヘテロ接合で含む。
Tm-1遺伝子と組み合わせた場合にはTBRFVへの抵抗力を付与し、そのような組合せがない場合にはTBRFVへの耐性を付与する、本発明による耐性QTL、すなわちQTL1、QTL2およびQTL3は、HAZTBRFVRES1の種子のゲノムに存在するものから選択される。このトマト種子の試料は、Hazera Seeds Ltd.(イスラエル、M.P.シクミム79837、ベルリム)により、特許手続を目的とする微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(「ブダペスト条約」)に準拠しその要件を満たして、National collection of Industrial, Food and Marine bacteria (NCIMB)(NCIMB, Ltd.、英国、アバディーンAB21 9YA、バックスバーン、クレイブストーン・エステート、ファーガソン・ビルディング)に2017年5月16日に受託番号42758で寄託されている。このトマト種子の寄託はHazera Seeds Ltd.(イスラエル、M.P.シクミム79837、ベルリム)により維持されている。
TBRFVへの耐性を付与し、Tm-1遺伝子と組み合わせた場合には抵抗力を付与する耐性QTLは、QTL1は6番染色体、QTL2は9番染色体、QTL3は11番染色体に位置する。それらは、より好ましくは、QTL1は6番染色体上のSNP TO-0005197(配列番号1)およびSNP TO-0145581(配列番号2)を含む染色体区間内に位置し、QTL2は9番染色体上のSNP TO-0180955(配列番号3)およびSNP TO-0196109(配列番号6)を含む染色体区間内に位置し、QTL3は11番染色体上のSNP TO-0122252(配列番号7)およびSNP TO-0162427(配列番号18)を含む染色体区間内に位置する。
トマトゲノムに存在する本明細書でいうSNP(一塩基多型)に対応する特定の多型およびこれらのSNPの隣接配列を、実験の項(表3、4を参照のこと)および添付の配列表に示す。トマトゲノムの2.40版に関する、6番、9番、および11番染色体上のそれらの位置を表3に示し、それらの隣接配列も表4および配列表に示す。
なお、この点に関して、定義上、SNPはゲノム中の存在する対立遺伝子に応じて変化し得る単一のヌクレオチドを指すが、隣接するヌクレオチドは同一である。異なるSNPの位置を明確に識別しやすいように、2.40版のトマトゲノム配列を記載し、配列番号で識別した隣接配列を記載してそれらの位置を表3および4に示す。本願の特定のSNPに関連する配列(たとえばSNP TO-0005197の場合は配列番号1)では、配列内の1個のヌクレオチドのみが実際に多型に対応し、すなわち、配列番号1の61番目のヌクレオチドがSNP TO-0005197の多型位置に対応し、これは表4に示すようにTまたはCであり得る。ゲノム内のSNPの位置特定のために隣接配列を示すが、それ自体は多型の一部ではない。
本発明者らは、Tm-1遺伝子と組み合わせた場合に抵抗力または増強した耐性に関与する耐性QTLが上記の染色体領域に存在すべきであることを、前記領域上の異なる遺伝子座(すなわち以下の18個のSNP:6番染色体上のQTL1についてはTO-0005197(配列番号1)およびTO-0145581(配列番号2)、9番染色体上のQTL2についてはTO-0180955(配列番号3)、TO-0196724(配列番号4)、TO-0145125(配列番号5)、およびTO-0196109(配列番号6)、11番染色体上のQTL3についてはTO-0122252(配列番号7)、TO-0144317(配列番号8)、TO-0142270(配列番号9)、TO-0142294(配列番号10)、TO-0142303(配列番号11)、TO-0142306(配列番号12)、TO-0182276(配列番号13)、TO-0181040(配列番号14)、TO-0123057(配列番号15)、TO-0125528(配列番号16)、TO-0162432(配列番号17)、およびTO-0162427(配列番号18)で定義される18個の異なる遺伝子座)での配列の存在を確認することによって確認した。
これらの18個のSNPは、耐性QTLのうち少なくとも1つと関連すなわち遺伝的に連鎖する。関連または遺伝的関連、より具体的には遺伝的連鎖は、同じ染色体でそれらが近接している結果としてマーカーの遺伝的多型(すなわち、SNPマーカーの特定の対立遺伝子)と目的の表現型が同時に発生する、すなわち、偶然の発生により予想されるよりも頻繁に共に遺伝する、すなわち、表現型に関与する対立遺伝子および遺伝子配列による無作為ではない関連だと理解される。
本発明の分子マーカー、すなわち上記に開示された18個のマーカーまたは代替マーカーのいずれか1つは、好ましくは減数分裂の90%を超えて、好ましくは減数分裂の95%、96%、98%、または99%を超えて、目的の表現型と共に遺伝する。
本発明の別の実施態様によれば、本発明の植物体、種子、または細胞のゲノムに存在する耐性QTLは、好ましくは、上述した前記18個のSNPを含む18個の遺伝子座(すなわち6番染色体上のQTL1についてはTO-0005197(配列番号1)を含む遺伝子座およびTO-0145581(配列番号2)を含む遺伝子座、9番染色体上のQTL2についてはTO-0180955(配列番号3)を含む遺伝子座、TO-0196724(配列番号4)を含む遺伝子座、TO-0145125(配列番号5)を含む遺伝子座、およびTO-0196109(配列番号6)を含む遺伝子座、11番染色体上のQTL3についてはTO-0122252(配列番号7)を含む遺伝子座、TO-0144317(配列番号8)を含む遺伝子座、TO-0142270(配列番号9)を含む遺伝子座、TO-0142294(配列番号10)を含む遺伝子座、TO-0142303(配列番号11)を含む遺伝子座、TO-0142306(配列番号12)を含む遺伝子座、TO-0182276(配列番号13)を含む遺伝子座、TO-0181040(配列番号14)を含む遺伝子座、TO-0123057(配列番号15)を含む遺伝子座、TO-0125528(配列番号16)を含む遺伝子座、TO-0162432(配列番号17)を含む遺伝子座、およびTO-0162427(配列番号18)を含む遺伝子座)のうちの少なくとも1つ以上に存在する。
一実施態様では、本発明によるトマト植物体では、植物体、このようなトマト植物体の種子または細胞のゲノムに存在しTm-1遺伝子と組み合わせられるQTLは、好ましくは以下の遺伝子座:6番染色体上のQTL1についてTO-0005197を含む遺伝子座およびTO-0145581を含む遺伝子座、ならびに/または9番染色体上のQTL2についてTO-0180955を含む遺伝子座、TO-0196724を含む遺伝子座、TO-0145125を含む遺伝子座、およびTO-0196109を含む遺伝子座のうちの少なくとも1つ以上に存在する。
本発明の別の実施態様では、植物体、トマト植物体の種子または細胞のゲノムに存在しTm-1遺伝子と組み合わせられるべきQTLは、好ましくは以下の遺伝子座:11番染色体上のQTL3についてTO-0122252を含む遺伝子座、TO-0144317を含む遺伝子座、TO-0142270を含む遺伝子座、TO-0142294を含む遺伝子座、TO-0142303を含む遺伝子座、TO-0142306を含む遺伝子座、TO-0182276を含む遺伝子座、TO-0181040を含む遺伝子座、TO-0123057を含む遺伝子座、TO-0125528を含む遺伝子座、TO-0162432を含む遺伝子座、およびTO-0162427を含む遺伝子座のうちの少なくとも1つ以上に存在する。
TBRFV耐性を付与する耐性QTLと連鎖する18個のSNPの対立遺伝子は、TO-0005197の対立遺伝子T、TO-0145581の対立遺伝子C、TO-0180955の対立遺伝子G、TO-0196724の対立遺伝子C、TO-0145125の対立遺伝子G、TO-0196109の対立遺伝子G、TO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、およびTO-0162427の対立遺伝子Tである。前記特定の対立遺伝子の存在によって耐性QTLの存在を明らかにすることができる。したがって、これらのSNPの対立遺伝子はTm-1遺伝子と組み合わせるべき本発明による耐性QTLの存在を反映することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、Tm-1遺伝子と組み合わせるべきTBRFVへの耐性を付与するQTLは、開示のとおりSNPで区切られた1つ以上の染色体区間上にある。この実施態様によれば、QTL1は、6番染色体のうち一端がSNP TO-0005197、他端がSNP TO-0145581で区切られた染色体区間上に存在する。
別の実施態様によれば、QTL2は、9番染色体のうち一端がSNP TO-0180955、他端がSNP TO-0196109で区切られた染色体区間上に存在する。
別の実施態様によれば、QTL3は、11番染色体のうち一端がSNP TO-0122252、他端がTO-0162427で区切られた染色体区間上に存在する。QTL3が存在すべきより好ましい染色体11の染色体区間は、TO-0144317およびTO-0125528で区切られる区間、TO-0142270およびTO-0162432で区切られる区間、TO-0144317およびTO-0162432で区切られる区間、ならびにTO-0142270およびTO-0125528で区切られる区間である。さらに好ましい区間は、TO-0142270およびTO-0125528で区切られる区間である。別の好ましい区間はTO-0142294およびTO-0125528で区切られこれらを含む区間である。
なお、この点に関して、染色体内の特定の位置は、それらをゲノム上で明確に位置特定するために前記SNPの隣接配列が定義される場合に限り、実際には一塩基多型に関して定義されている場合がある。本発明者らは、異なる対立遺伝子を有するそれらの隣接配列で識別されたSNPを用いて、本発明のQTLを特定・追跡した。
2つのSNP XおよびYで区切られた染色体領域は、これらの2個のSNPの位置の間に位置し前記SNPを含む染色体区画を指し、したがって、この染色体領域のヌクレオチド配列はSNP Xに対応するヌクレオチドで始まり、SNP Yに対応するヌクレオチドで終わる。すなわち、本発明の意味では、SNPはそれらが区切る領域内に含まれる。
本発明の植物体、種子、または細胞では、Tm-1抵抗性遺伝子と組み合わせるべき耐性QTLの存在は、好ましくは、6番染色体上のQTL1についてはTO-0005197および/もしくはTO-0145581、かつ/または9番染色体上のQTL2についてはTO-0180955、TO-0196724、TO-0145125、および/もしくはTO-0196109、かつ/または11番染色体上のQTL3についてはTO-0122252、TO-0144317、TO-0142270、TO-0142294、TO-0142303、TO-0142306、TO-0182276、TO-0181040、TO-0123057、TO-0125528、TO-0162432、およびTO-0162427、最も好ましくはTO-0142294、TO-0142303、TO-0142306、TO-0182276、TO-0181040、TO-0123057、TO-0125528、さらに好ましくはTO-0182276により特徴づけられる。
トマト植物体のゲノムにホモ接合で存在する場合、本発明に従いTBRFVへの抵抗力または増強した耐性を付与するためにTm-1抵抗性遺伝子と組み合わせない限り、QTL1および/またはQTL2は独立または集合的に果実のTBRFV耐性を付与し、QTL3は葉のTBRFV耐性を付与する。
上で定義した耐性QTLは、本発明の植物体、種子、または細胞のゲノムにTm-1遺伝子との組合せで存在する。
Tm-1遺伝子は、本発明の植物体、種子、または細胞のゲノムにヘテロ接合で存在してもよいし、ホモ接合で存在してもよい。ただし、前記遺伝子がホモ接合で存在することが好ましい。
本発明者らは、本発明の植物体、種子、または細胞のゲノム中のTm-1遺伝子の存在を検出するための適切なマーカーも見出した。1つ以上の耐性QTLと組み合わせるべきTm-1抵抗性遺伝子の存在は、好ましくはSNP TO-0200838(配列番号21)により特徴づけられる。
Tm-1遺伝子に対応するSNP TO-0200838の対立遺伝子はTO-0200838の対立遺伝子Aである。前記特定の対立遺伝子の存在により、少なくとも1つの耐性QTLと組み合わせるとTBRFVへの抵抗力を付与するTm-1遺伝子の存在を明らかにすることができる。
一実施態様によれば、本発明によるトマト植物体、細胞、または種子は、そのゲノム中にTm-2抵抗性遺伝子、特にTm-2またはTm-22(Tm-2aとしても知られる)対立遺伝子も含む。Tm-2およびTm-22対立遺伝子は当業者に周知であり、文献に詳細に記載されている。このようなTm-2またはTm-22対立遺伝子は本発明による植物体、細胞、または種子のゲノム中にホモ接合でもヘテロ接合でも存在するが、好ましくはヘテロ接合である。
好ましい実施態様では、本発明の植物体はTm-2遺伝子、好ましくはTm-22対立遺伝子を9番染色体の一方の相同体、QTL2を他方の相同体に含む。このような植物体は、QTL1およびQTL3のうちの少なくとも一方、より好ましくはQTL3をホモ接合でさらに含む。この植物体は、ホモ接合またはヘテロ接合でTm-1遺伝子も含む。
あるいは、あまり好ましくないが、本発明による植物体、種子、または細胞は、Tm-1抵抗性遺伝子が広まっているTMVおよびToMV株の大部分に対するTMVまたはToMV抵抗力を付与しない限り、特にTm-2抵抗性遺伝子を含まない限り、TMVまたはToMV抵抗力を示さない。
本発明は、たとえば表1の遺伝子型の組合せを含むトマト植物を包含する。表中、「Hom」は耐性QTLまたは抵抗性遺伝子がホモ接合であること、「Het」は耐性QTLまたは抵抗性遺伝子がヘテロ接合であること、「φ」は耐性QTLまたは抵抗性遺伝子が存在しないことを意味する。
Figure 2022538791000001
耐性QTLおよびTm-1遺伝子のホモ接合またはヘテロ接合状態での存在は、本明細書に開示する様々なSNPマーカーを用いて検出可能である。
好ましくは、本発明によるトマト植物体は商業用の植物体または系統である。そのような商業用の植物体または系統は、好ましくはさらなる抵抗力、たとえば線虫抵抗力形質(Mi-1またはMi-j)およびフサリウム属やベルチシリウム属への抵抗力も示す。
本発明によれば、他の抵抗力または耐性も想定される。
好ましい実施態様によれば、本発明の植物体は、ペピノモザイクウイルス(PepMV)に対して抵抗力を有さない。別の実施態様によれば、本発明のトマト植物体はPepMVに対しても抵抗力を有する。
さらに別の実施態様によれば、本発明の植物体は、有限伸育型、無限伸育型、または半無限伸育型の植物体、またはその種子もしくは細胞であり、すなわち、有限伸育型、無限伸育型、または半無限伸育型の生育習性に対応する。
有限伸育型は、まず葉を成長させた後に花を着ける傾向にあり、花は受粉に成功すると成熟して果実になるトマト植物体を意味する。果実はすべて一本の植物体でほぼ同時に成熟する傾向にある。無限伸育型トマトは、まずいくつか葉を成長させた後、生育期を通して葉および花を作り続ける。これらの植物体は、任意の所与の時間に様々な成熟段階のトマトの果実をつけている傾向にある。半有限伸育型トマトは有限伸育型と無限伸育型の間の表現型を有し、有限伸育型品種よりも大きく成長することを除けば典型的な有限伸育型種である。
さらに別の実施態様によれば、本発明の植物体は接ぎ木の方法で穂木または台木として用いられる。接ぎ木はウリ科などの作物で長年用いられてきた方法であるが、近年に限ってはトマトに用いられている。大地から生じた病原体または特定の線虫への特定のレベルの抵抗力を提供するために接ぎ木を用いてもよい。したがって、接ぎ木は、栽培する植物体または品種と感染土壌との接触を防ぐのを目的とする。接ぎ木すなわち穂木として用いられる目的の品種(任意にはF1雑種)を、台木として用いられる抵抗力を有する植物体に接合する。抵抗力を有する台木は健常を保ち、その台木が病気から隔離した接ぎ木に土壌からの正常な供給を行う。
さらに、本発明の商業用植物体は、適切な条件では、完熟時に少なくとも25グラム、好ましくは完熟時に少なくとも100 g、および/またはさらに好ましくは完熟時に少なくとも200 gである果実を実らせる。
上で詳述したように、本発明は、TBRFV抵抗力表現型を示すトマト植物体およびそれらの植物体を生じさせる種子を対象とする。
本発明による植物体または種子は、受託番号NCIMB 42758でNCIMBに寄託された寄託種子HAZTBRFVRES1から栽培された植物体とTm-1遺伝子を有するトマト植物体との間の雑種の後代または子孫であってもよい。寄託種子から栽培された植物体は実際に耐性QTLについてホモ接合性であり、したがってそれらはゲノム中の6番、9番、および11番染色体の各相同体に目的のQTLを保有している。本願の実施例に示すように、これらを用いて交配、自殖、および/または戻し交配の工程によってこれらのQTLをTm-1遺伝子と組み合わせることができる。
なお、HAZTBRFVRES1(NCIMB 42758)の寄託種子に関して、これらの種子は植物品種に対応せず、耐性QTL以外のほとんどの遺伝子についてホモ接合性ではない。したがって、本発明の葉および果実の耐性以外のそれらの表現型は繁殖の際に固定されない。したがって、TBRFVの葉と果実の耐性を除いて、それらの表現型形質は繁殖の際に分離する。
本発明の一実施態様によれば、植物体、種子、または細胞は、TBRFVのイスラエル株に対してより特異的に抵抗力を有する。TBRFVのイスラエル株は、Luriaらが最初に確認し配列決定したTBRFVの株を意味し、すなわち、トマトに感染し、KX619418(配列番号26)と非常に高い配列同一性の程度(すなわち、配列番号25との配列同一性の程度よりも高い配列番号26との配列同一性の程度)、たとえば99%を超える、好ましくは99.5%を超える、またはさらにそれを超える配列同一性をもつ配列を有する株を意味する。したがって、本発明の植物体、種子、または細胞は、一実施態様によれば、ヨルダン株よりもイスラエル株に対してより高い抵抗力を有し、たとえば、イスラエル株に対してのみ抵抗力を有する。
本発明は、耐性QTLを含むトマト植物体(その代表的な種子はNCIMB受託番号NCIMB-42758で寄託された)から耐性QTLをTm-1遺伝子を含む別のトマトの遺伝的背景に移入して(たとえば前記植物体を、Tm-1遺伝子を含む親トマト植物体と交配し、耐性QTLまたはそれらのうちの少なくとも1つおよびTm-1遺伝子を有する植物体を選抜して)得られる植物体または種子も対象とする。そのような交配では、QTL1、QTL2および/もしくはQTL3またはそれらの任意の組合せを移入することができる。一実施態様によれば、QTL1のみ、またはQTL2のみ、またはQTL1と2の両方を移入する。別の実施態様によれば、QTL3を移入する。あるいは、QTL1とQTL3、QTL2とQTL3、またはQTL1とQTL2とQTL3、好ましくはQTL2とQTL3をHAZTBRFVRES1(NCIMB 42758)の寄託種子からTm-1遺伝子を含むトマトの遺伝的背景に移入する。好ましくは、得られた後代を自殖させ、したがって、得られるゲノムに少なくとも1つの耐性QTLがホモ接合で存在する。
好ましい実施態様によれば、植物体は、QTL1、QTL2、およびQTL3から選択される少なくとも2つのQTLを含み、少なくとも1つはヘテロ接合性である。好ましくは、少なくとも1つはホモ接合性である。
なお、本発明の種子または植物体を別の方法で得てもよく、本質的に生物学的な方法によってのみ得られるわけではない。
このような側面によれば、本発明は、2つ以上の変異をゲノムに含んでいてもよくそのことにより植物体にトマト褐色しわ果実ウイルスへの抵抗力が付与される、トマト植物体または種子、好ましくは非天然のトマト植物体または種子に関する。ここで、少なくとも1つの変異は、たとえば代表的な試料が寄託番号NCIMB 42758でNCIMBに寄託された植物体のゲノムに存在するものであり、少なくとも1つの別の変異は2番染色体にありTm-1遺伝子の配列に対応する。
別の実施態様では、本発明は、ゲノム中に2つ以上の変異を有し、そのことによりトマト褐色しわ果実ウイルスへの抵抗力が付与される、トマト植物体または種子を得る方法に関する。このような方法は実施例4に例示されており、
a)改良対象トマト植物体のM0種子を変異誘発物質で処理してM1種子を得ること、
b)このようにして得たM1種子から植物体を栽培してM1植物体を得ること、
c)M1植物体の自殖によりM2種子を作成すること、ならびに
d)任意で工程b)およびc)をn回繰り返してM1+n種子を得ること
を含んでいてもよい。
M1+n種子を栽培して植物体にし、トマト褐色しわ果実ウイルス感染に供する。トマト褐色しわ果実ウイルスへの抵抗力について、生き残った植物体またはより軽度のTBRFV感染症状を有する植物体を選抜し続けながらさらに1世代以上繁殖させる。M0種子は、たとえばTm-1遺伝子を有するトマト植物体に由来する。
本方法では、工程a)のM1種子を化学的変異誘発、たとえばメタンスルホン酸エチル(EMS)変異誘発により得ることができる。他の化学的変異誘発物質としては、硫酸ジエチル(des)、エチレンイミン(ei)、プロパンスルトン、N-メチル-N-ニトロソウレタン(nitrosourethane)(mnu)、N-ニトロソ-N-メチル尿素(NMU)、N-エチル-N-ニトロソ尿素(enu)、およびアジ化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
あるいは、たとえばX線、高速中性子、UV照射から選択される照射により変異を誘発する。
本発明の別の実施態様では、遺伝子操作により変異を誘発する。このような変異は、存在する配列に対してTBRFV抵抗力を付与する代替配列で置換することだけでなく、耐性QTLおよびTm-1遺伝子に対応する配列を組み込むことも含む。好ましくは、変異はトマト植物体の相同配列の代わりに上記のQTL1、QTL2、およびQTL3のうちの1つ以上を組み込むこと、ならびにTm-1遺伝子を(好ましくは2番染色体に)組み込むことである。さらに好ましくは、変異は、トマトゲノムの11番染色体上のSNP TO-0122252(配列番号7)およびSNP TO-0162427(配列番号18)に含まれる配列またはその断片を、代表的な試料が寄託番号NCIMB 42758でNCIMBに寄託された植物体のゲノムに存在する11番染色体上の相同配列で置換することを含み、Tm-1抵抗性遺伝子の組込みも含む。ここで、組み込まれた配列の組合せはTBRFVへの抵抗力を付与する。QTL3に対応する11番染色体上の置換はホモ接合性であることが好ましく、Tm-1遺伝子の組込みはホモ接合性であってもヘテロ接合性であってもよい。
用いることができる遺伝子操作手段としては、新しい育種技術(New Breeding Techniques)と呼ばれるそのようなすべての技術の使用が包含される。新しい育種技術は、遺伝的多様性により植物体に新たな特性を生み出すために開発かつ/または使用されている様々な新しい技術であり、目的は標的変異誘発、標的化された新たな遺伝子の導入または遺伝子発現抑制(RNA指令型DNAメチル化(RdDM))である。そのような新しい育種技術の例は、ジンク・フィンガー・ヌクレアーゼ(ZFN)技術(ZFN-1、ZFN-2、およびZFN-3、米国特許第9,145,565号を参照のこと)、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発(ODM)、シスジェネシス(Cisgenesis)およびイントラジェネシス(intragenesis)、(遺伝子改変(GM)台木への)接ぎ木、逆育種、アグロインフィルトレーション(Agro-infiltration)(「狭義の」アグロインフィルトレーション、アグロイノキュレーション(agro-inoculation)、フローラル・ディップ(floral dip))、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN、米国特許第8,586,363号および第9,181,535号を参照のこと)、CRISPR/Casシステム(米国特許第8,697,359号、第8,771,945号、第8,795,965号、第8,865,406号、第8,871,445号、第8,889,356号、第8,895,308号、第8,906,616号、第8,932,814号、第8,945,839号、第8,993,233号、および第8,999,641号を参照のこと)、改変メガヌクレアーゼ、再改変ホーミングエンドヌクレアーゼ、DNA誘導ゲノム編集(Gao et al., Nature Biotechnology (2016))、および合成ゲノム科学の使用によって促進される標的配列変更である。新しい育種技術の別名である標的ゲノム編集の主要な部分は、改変が意図されるゲノム内の選択位置でDNA二本鎖切断(DSB)を誘発するための用途である。DSBの指向修復により標的ゲノム編集を行うことができる。このような用途を利用して変異(たとえば、標的変異または正確な天然遺伝子編集)および遺伝子(たとえばシスジーン、イントラジーン、または導入遺伝子)の正確な挿入を生じさせることができる。変異を引き起こす用途は、SDN1、SDN2、SDN3などの部位特異的ヌクレアーゼ(SDN)技術として識別されることが多い。SDN1の場合、結果は標的化された非特異的な遺伝子欠失変異である。すなわち、DNAのDSBの位置は正確に選択されるが、宿主細胞によるDNA修復は無作為であり、小さなヌクレオチド欠失、付加、または置換を生じる。SDN2の場合、SDNを用いて標的DSBを生じさせ、DNA修復鋳型(1つまたはいくつかのヌクレオチド変更を除いて標的DSBのDNA配列と同一の短いDNA配列)を用いてDSBを修復する。その結果、標的とされた所定の点変異が所望の目的遺伝子で起こる。SDN3に関しては、新しいDNA配列(たとえば遺伝子)を含むDNA修復鋳型と共にSDNを用いる。この技術の結果は、そのDNA配列の植物体ゲノムへの組込みである。SDN3の使用を説明する最も可能性の高い用途は、選択されたゲノム位置へのシスジェネシス、イントラジェネシス、または遺伝子導入の発現カセットの挿入である。これらの技術のそれぞれの完全な説明は、欧州委員会の将来技術調査研究所(Institute for Prospective Technological Studies)の共同研究センター(Joint Research Center (JRC))が2011年に作成した「New plant breeding techniques - State-of-the-art and prospects for commercial development」と題する報告書に記載されている。
別の側面の本発明は、上記の本発明の種子または植物体から得られる可能性のある任意の植物体、ならびにそのような植物体の植物部分、最も好ましくは、外植片、穂木、切穂、種子、果実、根、台木、花粉、胚珠、胚、原形質、葉、葯、茎、葉柄、および他の任意の植物部分にも関する。ここで、前記植物体、外植片、穂木、切穂、種子、果実、根、台木、花粉、胚珠、胚、原形質、葉、葯、茎、葉柄、および/または植物部分は、本発明の第1の側面による(すなわち、Tm-1遺伝子と組み合わせて目的の耐性QTLのうち1つ、2つ、または3つを有する)種子または植物体から得られる。これらの植物部分、特に外植片、穂木、切穂、種子、果実、根、台木、花粉、胚珠、胚、原形質、葉、葯、茎、または葉柄は、Tm-1遺伝子なしでホモ接合で存在する場合には果実および/または葉のTBRFV耐性という表現型を付与し、Tm-1遺伝子と組み合わせて存在する場合にはTBRFV抵抗力を付与する、耐性QTLをそのゲノム中に含む。
本発明のこの側面でいう耐性QTLは、本発明の植物体に関して上で定義したものである。本発明の第1の側面に関連して定義した耐性QTLの様々な特徴を、必要に応じて修正を加えて本発明のこの側面に当てはめる。したがって、耐性QTLは、好ましくは寄託された材料HAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)に対応する植物体のゲノムに存在するものから選択される。それらは、有利には、目的のQTLに応じてTO-0005197の対立遺伝子T、TO-0145581の対立遺伝子C、TO-0180955の対立遺伝子G、TO-0196724の対立遺伝子C、TO-0145125の対立遺伝子G、TO-0196109の対立遺伝子G、TO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、および/またはTO-0162427の対立遺伝子Tの存在により特徴づけられ、好ましくは、ホモ接合でこのまたはこれらの対立遺伝子の存在により特徴づけられる。
1つ以上の耐性QTLと組み合わせるべきTm-1抵抗性遺伝子の存在は、好ましくは、SNP TO-0200838(配列番号21)、より具体的にはTO-0200838の対立遺伝子Aにより特徴づけられる。
TBRFV抵抗力は、有利には、TBRFVのイスラエル株への抵抗力である。
本発明はトマト植物体の細胞も対象とし、したがってこれらの細胞は、それらのゲノム中に、ホモ接合またはヘテロ接合のTm-1遺伝子と、Tm-1遺伝子なしでホモ接合で存在する場合には果実および/または葉のTBRFV耐性という表現型を付与し、Tm-1遺伝子と組み合わせて存在する場合にはTBRFV抵抗力を付与する、耐性QTLのうちの少なくとも1つとの組合せを含む。耐性QTLは本明細書で既に定義されたものであり、本発明の前述の側面による植物体および種子に関して既に開示されているのと同じ特徴および好ましい実施態様により特徴づけられる。
上で開示した当業者に周知の技術によりこれらの耐性QTLの存在を明らかにすることができる。特に、QTLが本発明のそのような細胞のゲノム中にホモ接合で存在するかヘテロ接合で存在するかを決定することができる。それらは、有利には、目的の耐性QTLに応じてTO-0005197の対立遺伝子T、TO-0145581の対立遺伝子C、TO-0180955の対立遺伝子G、TO-0196724の対立遺伝子C、TO-0145125の対立遺伝子G、TO-0196109の対立遺伝子G、TO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、および/またはTO-0162427の対立遺伝子Tの存在により特徴づけられ、好ましくは、このまたはこれらの対立遺伝子が各染色体に同時に(すなわちホモ接合で)存在することにより特徴づけられる。好ましくは、少なくとも1つのQTLはホモ接合で存在し、少なくとも1つのQTLはヘテロ接合で存在する。
一実施態様では、9番染色体上のQTL2は本発明による細胞内にヘテロ接合で存在する。特定の実施態様による9番染色体上の他方の相同体はTm-2遺伝子またはTm-22対立遺伝子を含む。したがってこのような細胞はTMV/ToMVへの抵抗力を示す。
本発明の細胞に好ましい遺伝子型を表1に開示する。
1つ以上の耐性QTLと組み合わせるべきTm-1抵抗性遺伝子の存在は、好ましくはSNP TO-0200838、より具体的にはTO-0200838の対立遺伝子Aにより特徴づけられる。
本発明による細胞は、目的の耐性QTLのうち1つ以上(好ましくは2つの耐性QTL)とTm-1遺伝子を有する任意の種類のトマト細胞、特に単離細胞および/またはトマト植物体全体を再生することができる細胞であり得る。
本発明は、上で定義した本発明による植物体の再生不能または再生可能細胞の組織培養物も対象とする。好ましくは、再生可能細胞は、本発明の胚、原形質、成長点の細胞、カルス、花粉、葉、葯、茎、葉柄、根、根端、果実、種子、花、子葉、および/または胚軸に由来し、細胞はTm-1遺伝子と目的の耐性QTLの1つ、2つ、または3つとの組合せを含み、この組合せでは常に、それらのゲノム内でホモ接合であってもヘテロ接合であっても、前記QTLは、ホモ接合で存在する場合、QTL1および/またはQTL2については果実のTBRFV耐性、QTL3については葉のTBRFV耐性を付与し、Tm-1と組み合わせて存在する場合、TBRFVへの抵抗力または増強した耐性を付与する。
組織培養物は、好ましくは、前述のトマト植物体の生理学的および形態学的特徴を有する植物体を再生することができ、また前述のトマト植物体と実質的に同じ遺伝子型を有する植物体を再生することができる。本発明はまた、本発明の組織培養物から再生されたトマト植物体も提供する。
本発明はまた、上で定義した(または上で定義した組織培養物から得た)植物体の原形質も提供し、前記原形質は、TBRFV抵抗力を付与するTm-1遺伝子と耐性QTLとの組合せを含む。
別の側面によれば、本発明は、本発明のQTLのうち少なくとも1つを好ましくはホモ接合で含み好ましくは同じくホモ接合でTm-1遺伝子も含む本発明のトマト植物体を、TBRFV抵抗力を有するトマト植物体を得るための育種計画で育種パートナーとして使用することも対象とする。実際、このような育種パートナーは、そのゲノム内に耐性QTLのうち少なくとも1つをホモ接合で有する。したがって、この植物体をトマト植物体、特に系統と交配することにより、1つ、2つ、または3つの耐性QTLおよびTm-1遺伝子を後代に移入することができる。したがって、耐性QTLおよびTm-1遺伝子をトマト植物体または生殖質に遺伝子移入するための育種パートナーとして本発明による植物体を用いることができる。耐性QTLまたはTm-1遺伝子をヘテロ接合で有する植物体または種子を上で詳述したように育種パートナーとして用いることもできるが、表現型の分離によって育種計画がより複雑になる可能性がある。
遺伝子移入された耐性QTLおよびTm-1遺伝子は、有利には他の望ましい遺伝的形質、たとえば病気への抵抗力(特にTMV/ToMVへの抵抗力)、果実の早熟、耐乾性、果形などを含む品種に導入される。
本発明はまた、耐性QTLのうち少なくとも1つを好ましくはホモ接合で含む植物体もしくは種子(たとえば、NCIMBに受託番号NCIMB 42758で寄託された、TBRFV感染への耐性を付与するQTLをホモ接合で有するトマトの植物体もしくは種子)またはその後代をTm-1遺伝子を含むトマト植物体を用いた育種計画で育種パートナーとして使用することも対象とする。このような育種計画により、TBRFVに抵抗力を有するトマト植物体または種子を得ることができる。
そのような育種計画では、TBRFV抵抗力という所望の表現型を示す、すなわち耐性QTLのうち少なくとも1つおよびTm-1遺伝子を有する後代の選抜をSNPマーカー(特に上で開示したSNPマーカー)の対立遺伝子を基準として有利に実施することができる。
好ましくは、6番染色体上のQTL1の存在についてはTO-0005197の対立遺伝子Tおよび/またはTO-0145581の対立遺伝子Cの存在、9番染色体上のQTL2の存在についてはTO-0180955の対立遺伝子G、TO-0196724の対立遺伝子C、TO-0145125の対立遺伝子G、および/またはTO-0196109の対立遺伝子Gの存在、11番染色体上のQTL3の存在についてはTO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、および/またはTO-0162427の対立遺伝子Tの存在に基づいて植物体の後代を選抜する。好ましくは、各染色体の両方の相同体での同じ対立遺伝子の存在に基づいて植物体の後代を選抜する。
Tm-1遺伝子の存在に関して、好ましくは、後代をTO-0200838の対立遺伝子Aについて選抜する。
あるいは、Tm-1遺伝子の存在に関する選抜に加え、耐性QTLに連鎖する18個のSNPの対立遺伝子のうちのいずれか1つ、またはこれらの対立遺伝子の組合せの存在を基準として選抜を行うことができる。選抜される植物体の遺伝物質試料中の目的の対立遺伝子の存在に基づいてそのような選抜を行う。これらの対立遺伝子の存在により、実際、前記SNPで定義された遺伝子座での耐性QTLの存在が確認される。さらに、点変異または組換え事象に加え、これらの対立遺伝子のうち少なくとも1つまたは2つが欠失し、残りの染色体断片は耐性QTLを有していることが考えられる。
したがって、本発明による植物体は、本発明の改善された表現型を有する商業用のトマト系統および品種を得るためのマーカー支援選抜に特に価値がある。
本発明は、植物体においてウイルスの複製を阻害、低減、もしくは遅延、かつ/またはウイルス力価を低下させることができるTBRFVに抵抗力を有するトマト植物体を特定、検出、かつ/または選抜する方法も対象とする。このような方法は、試験または選抜される植物体でTm-1遺伝子と耐性QTLのうちの少なくとも1つとの組合せを検出する工程を含み、ここで、前記QTLは好ましくはホモ接合で存在する。したがって、この方法は、特定かつ/または選抜される植物体の遺伝物質試料において、Tm-1遺伝子の検出に加えて以下のマーカーのうち少なくとも1つを検出することを含み得る:TO-0005197の対立遺伝子T、TO-0145581の対立遺伝子C、TO-0180955の対立遺伝子G、TO-0196724の対立遺伝子C、TO-0145125の対立遺伝子G、TO-0196109の対立遺伝子G、TO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、またはTO-0162427の対立遺伝子T(好ましくはホモ接合状態である)。好ましくは、耐性QTLはQTL3であり、それはTO-0122252のT、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、およびTO-0162427の対立遺伝子T(好ましくはホモ接合状態である)の存在により検出される。
有利には、この方法は、少なくとも1つはヘテロ接合であり、好ましくは少なくとも1つはホモ接合である2つの耐性QTLの検出を含む。好ましくは、QTL2はヘテロ接合、QTL3はホモ接合で存在する。
本発明は、Tm-1遺伝子と組み合わせて耐性QTLのうち少なくとも1つを有する、すなわち本明細書に開示するマーカー対立遺伝子を有するトマト植物体を検出または選抜する方法も対象とする。ここで、検出または選抜は、試験対象の植物体へのTBRFVの接種ならびにその植物体におけるウイルス複製の阻害、低減、もしくは遅延、および/またはウイルス力価の低下の検出を含むTBRFV感染の条件で行われる。
本発明はさらに、Tm-1遺伝子と耐性QTLのうち少なくとも1つを有するトマト植物体を検出かつ/または選択する方法であって、耐性QTLの検出は前記QTLの存在を明らかにする任意の分子マーカーの検出に基づく、方法も対象とする。実際、上で開示した18個のSNPとは異なる分子マーカーの特定およびその後の使用は当業者によって容易に実行可能である。したがって、様々な代替マーカーを用いて耐性QTLを特定することができる。
したがって、本発明は、TBRFVに抵抗力を有し、ウイルスの複製を阻害、低減、または遅延するトマト植物体を検出かつ/または選抜する方法も対象とし、この方法は、
a)トマト植物体をゲノム中の
・2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子の存在と
・11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される耐性QTLと遺伝的に連鎖する少なくとも1つの遺伝マーカーの存在
との組合せについて検定する工程、ならびに
b)ゲノム中にTm-1遺伝子および遺伝マーカーと前記遺伝マーカーと連鎖する耐性QTLとを含む植物体を選抜する工程を含む。ここで、選択されたQTLおよび遺伝マーカーは、6番染色体上のQTL1についてはTO-0005197(配列番号1)およびTO-015581(配列番号2)で区切られる染色体領域内に、9番染色体上のQTL2についてはTO-0180955(配列番号3)およびTO-0196109(配列番号6)で区切られる染色体領域内に、11番染色体上のQTL3についてはTO-0122252(配列番号7)およびTO-0162427(配列番号18)で区切られる染色体領域内に存在する。
考慮されている遺伝マーカーは、好ましくはSNPマーカーである。耐性QTLは本明細書で定義するとおりであり、種子HAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の植物体のゲノムに存在するものである。
さらに別の側面によれば、本発明は、TBRFVに抵抗力を有するトマト植物体、特に商業用植物体および近交系の親系統を生産する方法にも関する。本発明は実際、耐性QTLのうちの1つ以上および/またはTm-1遺伝子を、他のトマト品種、または他の種もしくは近交系の親系統にTBRFV抵抗力、特にTBRFVのイスラエル株への抵抗力を付与するために移入することも対象とし、新しいトマトの種類や品種の生産に役立つ。これらの方法は、少なくとも1つのQTLをTm-1を有する別の植物体に移入することに加え、少なくとも1つの耐性QTLおよびTm-1遺伝子を別の植物体に移入することも包含する。
これらの特徴を有する植物体を生産する方法またはプロセスは、たとえば以下の工程、すなわち、
a)寄託種子NCIMB 42758またはその後代から栽培され、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体と、好ましくは前記QTLを持たずTm-1遺伝子を有するトマト植物体とを交配する工程、
b)このようにして得た後代で、Tm-1遺伝子と組み合わせて耐性QTL1、QTL2、および/またはQTL3のうちの1つ、2つ、または3つを有する植物体を選抜する工程、ならびに
c)任意で、工程b)で得た植物体を1回以上自家受粉させ、このようにして得た後代でTBRFVに対する抵抗力を有する植物体を選抜する工程を含んでいてもよい。
TBRFV抵抗力は、植物体においてTBRFウイルスの複製すなわち増殖を遅延、低減、または阻害し、かつ/またはウイルス力価を低下させる。
あるいは、この方法は工程a)の代わりに以下の工程、すなわち、
a1)寄託種子NCIMB 42758またはその後代から栽培され、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体と、好ましくは前記QTLを持たずTm-1遺伝子を有するトマト植物体とを交配してF1雑種を作成する工程、ならびに
a2)F1雑種を自殖により増やしてF2集団を作成する工程を含んでいてもよい。
上記の方法では、好ましくは、工程b)および/またはc)で、耐性QTLおよび/またはTm-1遺伝子を有する植物体の選抜にSNPマーカーを用いる。
耐性QTLに関するSNPマーカーは、好ましくは本明細書で既に開示した18個のSNPマーカーのうちの1つ以上である(本明細書中の他の箇所に記載したように、それらのすべての組合せを含む)。
好ましい実施態様によれば、耐性QTLを有する植物体の選抜はTO-0182276を基準として、またはTO-0142294、TO-0142303、TO-0142306、TO-0182276、TO-0181040、TO-0123057、TO-0125528のうちの少なくとも1つを基準として行われる。
1つ以上のSNPの対立遺伝子を基準に植物体を選抜することは、その(それらの)SNPの対立遺伝子がこのSNPに関するHAZTBRFVRES1親の対立遺伝子に対応する対立遺伝子であり、前記QTLを持たない最初のトマト植物体の対立遺伝子ではない場合に、その植物体を耐性QTLを有するものとして選抜するという意味である。たとえば、TO-0005197の対立遺伝子T、TO-0145581の対立遺伝子C、TO-0180955の対立遺伝子G、TO-0196724の対立遺伝子C、TO-0145125の対立遺伝子G、TO-0196109の対立遺伝子G、TO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子Cおよび/またはTO-0162427の対立遺伝子Tが検出された場合、植物体を本発明の耐性QTLを有するものとして選抜することができる。
好ましくは、工程a)またはa1)のトマト植物体は、商業的に所望の形質または所望の園芸形質を有する植物体を得るのに用いられる選良系統である。この植物体は、好ましくはTm-1遺伝子を組み込むために事前に改良されている。一実施態様によれば、この植物体はTBRFV罹病性である。この植物体は、好ましくはTm-1遺伝子を含み、好ましくはTm-2遺伝子またはそのTm-22対立遺伝子も含む。
Tm-1遺伝子を有する植物体の選抜は、好ましくはSNP TO-0200838の対立遺伝子Aの検出により行われる。
上で定義した方法は、有利には、トマト植物体を特徴づけるあらゆる特徴を有する植物を得るために、好ましくは工程c)の後に戻し交配の工程を含んでいてもよい。したがって、これらの特徴を有する植物体を生産する方法は、以下のさらなる工程、すなわち、
d)工程b)またはc)で選抜した抵抗力を有する植物体をトマト植物体と戻し交配する工程、
e)Tm-1遺伝子と組み合わせて耐性QTL1、QTL2、および/またはQTL3のうちの1つ、2つ、または3つを有する植物体を選抜する工程も含んでいてもよい。
工程a)で用いる植物体、すなわち寄託種子に対応する植物体は、寄託種子から栽培された植物体であってもよい。あるいは、それは、表現型を付与するQTLを有し、好ましくはこれらの配列の少なくとも1つをホモ接合で有する、本発明の第一の側面による任意の植物体であってもよい。そのような場合、工程a)で、植物体を好ましくは前記QTLを持たないが必ずしもTm-1遺伝子を有するとは限らないトマト植物体と交配する。
工程e)では、耐性QTLおよびTm-1遺伝子を有する植物体を選抜するのにSNPマーカーを用いることができる。使用可能なSNPマーカーは、たとえば本明細書の前項に記載のものである。
なお、ホモ接合で少なくとも1つの耐性QTLを有する植物体を選抜する場合、選抜は、耐性QTLと連鎖するSNPのうちの1つ以上を基準として、再発生した罹病性トマト親を表す対立遺伝子が存在しないのと同時に、QTLを表す対立遺伝子、すなわちHAZTBRFVRES1親の対立遺伝子が存在することに基づき行われるべきである。ヘテロ接合で少なくとも1つの耐性QTLを有する植物体を選抜する場合、選抜は、耐性QTLと連鎖するSNPのうちの1つ以上を基準として、SNPの両方の対立遺伝子、すなわちHAZTBRFVRES1親の対立遺伝子および再発生した罹病性トマト親の対立遺伝子が存在することに基づき行われるべきである。
工程b)、c)、またはe)で選抜される植物体は、好ましくは、商業用植物体、特に通常の栽培条件で完熟時に少なくとも25グラム、少なくとも100 g、または少なくとも200 gの重さである果実を有する植物体である。
好ましくは、工程d)およびe)を少なくとも2回、好ましくは3回、(同じであるとは限らない)トマト植物体で繰り返す。前記トマト植物体は、好ましくは育種系統である。
上に開示した方法の各選抜工程で、線虫抵抗力形質またはToMV抵抗力をさらに選抜してもよい。
自家受粉および戻し交配の工程を任意の順序で実行してもよく、挿入してもよい。たとえば、戻し交配を1回以上の自家受粉の前後に実行することができ、自家受粉を1回以上の戻し交配の前後に想定することができる。
植物体においてウイルスの複製を遅延、低減、かつ/もしくは阻害し、かつ/またはウイルス力価を低下させる所望のTBRFV抵抗力を有する後代の選抜を、特に実施例に開示する実験計画によるトマト親からのトマト褐色しわ果実ウイルス抵抗力の比較を基準として行うこともできる。
対立遺伝子の検出に用いられる方法は、特定の染色体上のSNPの2つの異なる対立遺伝子を区別することができる任意の技術に基づいていてもよい。
本発明は、そのような方法で取得されたか取得可能である植物体にも関する。そのような植物体は、実際には、本発明の第一の側面によるTBRFV抵抗力を有するトマト植物体である。
本発明によるすべての方法で、最初のTBRFV罹病性トマト植物体は有限伸育型であっても、無限伸育型であっても、半有限伸育型であってもよい。
既に開示したように、本発明によるトマト植物体は好ましくはトマトモザイクウイルス、線虫、ならびにフサリウム属およびベルチシリウム属にも抵抗力を有する。本発明の方法でそのような植物体を得るには、育種計画に用いるトマト親は、好ましくはトマトモザイクウイルス、線虫、ならびにフサリウム属およびベルチシリウム属への抵抗力を付与する配列を有し、耐性QTLおよびTm-1遺伝子に加えてこれらの抵抗性配列を有する植物体を選抜する選抜工程を行う。
本発明は、寄託種子NCIMB 42758またはその後代から栽培され、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体をTm-1遺伝子を有するトマト植物体と交配する工程を含む、TBRFVへの抵抗力を有するトマト植物体を育種する方法も対象とする。
本発明は、上で開示した方法のいずれかで入手可能なトマト植物体および種子も対象とする。
好ましくは、本発明の任意のトマト種子に単独または組合せの活性種、たとえば植物栄養素、強化微生物、または種子や植物体の環境を消毒する生成物を被覆するか埋め込む。そのような種や化学物質は、植物体の成長を促進する生成物(たとえばホルモン)、耐環境ストレス性を高める生成物(たとえば防御刺激剤)、または基質とそのすぐ周辺のpHを安定させる生成物、あるいは栄養素であってもよい。
それらは、若い植物体の成長に不都合な物質(本明細書ではウイルスおよび病原性微生物など)から保護するための生成物、たとえば、接触、取込、または気体の拡散により作用する殺真菌性、殺菌性、殺線虫性、殺虫性、または除草性の生成物であってもよい。それは、たとえば任意の好適な精油、たとえばタイムの抽出物である。これらの生成物はいずれも植物体の抵抗力の反応を強化し、かつ/または前記植物体の環境を消毒または調節する。それらはさらに、生きた生物学的物質、たとえば非病原性微生物、たとえば少なくとも1種の真菌、細菌、またはウイルス(必要であれば、それが生きていることを保証する培地を伴う)であってもよい。また、この微生物、たとえばシュードモナス属(pseudomonas)、バチルス属(bacillus)、トリコデルマ属(trichoderma)、クロノスタキス属(clonostachys)、フサリウム属(fusarium)、リゾクトニア属(rhizoctonia)の種類などは、植物体の成長を刺激するか、病原体から植物体を保護する。
上の方法のすべてにおいて、各QTLと連鎖する対立遺伝子のうちの少なくとも一方を(ただし本発明のSNPの他方の対立遺伝子形態が存在しないことと組み合わせて)検出することによって耐性QTLをホモ接合で有する植物体の特定を行うことができる。したがって、本発明のQTL3をホモ接合で有する植物体の特定は、TO-0122252の対立遺伝子T、および/またはTO-0144317の対立遺伝子C、および/またはTO-0142270の対立遺伝子T、および/またはTO-0142294の対立遺伝子G、および/またはTO-0142303の対立遺伝子A、および/またはTO-0142306の対立遺伝子A、および/またはTO-0182276の対立遺伝子G、および/またはTO-0181040の対立遺伝子G、および/またはTO-0123057の対立遺伝子G、および/またはTO-0125528の対立遺伝子A、および/またはTO-0162432の対立遺伝子Cおよび/またはTO-0162427の対立遺伝子Tが確認されること、ならびにTO-0122252の対立遺伝子A、TO-0144317の対立遺伝子T、TO-0142270の対立遺伝子C、TO-0142294の対立遺伝子A、TO-0142303の対立遺伝子C、TO-0142306の対立遺伝子G、TO-0182276の対立遺伝子A、TO-0181040の対立遺伝子A、TO-0123057の対立遺伝子T、TO-0125528の対立遺伝子G、TO-0162432の対立遺伝子T、およびTO-0162427の対立遺伝子Cが存在しないことに基づく。
耐性QTLのうちの1つをヘテロ接合で有する植物体、好ましくは耐性QTL2をヘテロ接合で有する植物体を選抜する場合、その特定は、TO-0180955の対立遺伝子Gおよび/またはTO-0196724の対立遺伝子C、および/またはTO-0145125の対立遺伝子G、および/またはTO-0196109の対立遺伝子Gが検出されること、ならびに同時にTO-0180955の対立遺伝子A、TO-0196724の対立遺伝子T、TO-0145125の対立遺伝子A、およびTO-0196109の対立遺伝子Tが検出されることを意味する。
上の方法のすべてにおいて、関連づけられるまたは検出されるQTLとTm-1遺伝子の好ましい組合せは、本発明の第一の側面に関連して開示したとおりであり、すなわち、ホモ接合のTm-1とヘテロ接合のQTL2とホモ接合またはヘテロ接合のQTL3、およびヘテロ接合のTm-1とヘテロ接合のQTL2とホモ接合またはヘテロ接合のQTL3である。
TBRFV感染により引き起こされる損傷を制限し、ウイルス力価を低下させ、ウイルス複製ひいてはその増殖を遅延、低減、かつ/または阻害する本発明の抵抗力を有する植物の能力を考慮すれば、それらは、有利にはTBRFV(特にイスラエル株または分離株)が蔓延しているか蔓延する可能性のある、または感染している環境で栽培される。これらの条件では、本発明の抵抗力を有する植物体は罹病性植物体よりも多くの販売可能なトマトを作る。さらに、それらは他の畑へのウイルスの拡散を制限することで抵抗力のより低い植物体を保護し、したがって間接的にそれらの収穫量も改善する。
したがって、本発明は、TBRFV、特にイスラエル株または分離株が蔓延しているか感染する可能性のある環境でトマト植物体の収穫量を改善する方法も対象とし、この方法は、本発明によるTBRFVに抵抗力を有する(したがってゲノム中にTm-1遺伝子と組み合わせて少なくとも1つの耐性QTL、すなわちWO2018/219941で定義するQTL1、QTL2、および/またはQTL3をホモ接合またはヘテロ接合で6番、9番、および11番染色体にそれぞれ含む)トマト植物体を栽培することを含む。好ましくは、耐性QTLのうちの少なくとも1つはホモ接合で存在する。別の実施態様によれば、少なくとも1つはヘテロ接合で存在し、好ましくは別の1つはホモ接合で存在する。好ましくは、この方法は耐性QTLのうちの少なくとも1つおよびTm-1遺伝子を有するトマト植物体を選択または選抜する第1の工程を含む。この方法をトマトの畑、トンネル(tunnel)、温室(greenhouse)またはガラス温室(glasshouse)の生産性を高める方法として定義することもできる。
先の側面で開示したように、栽培するトマト植物体は、好ましくはTm-2またはTm-22対立遺伝子も、好ましくはヘテロ接合で含む。栽培するトマト植物体または種子の好ましい遺伝子型を表1に示す。
好ましい実施態様によれば、この方法は、上で定義した11番染色体上の好ましくはホモ接合のQTL3とTm-1遺伝子とを含むトマト植物体を栽培することを含む。本発明は、上で定義したTBRFVに抵抗力を有するトマト植物体を栽培することを含む、TBRFVの蔓延または感染の状況でトマト生産量の損失を低減する方法も対象とする。
これらの方法は、畑、トンネル、温室またはガラス温室のいずれでも、トマト植物体の集団にとって特に価値がある。
あるいは、収穫量を改善するかトマト生産量の損失を低減する前記方法は、TBRFVに抵抗力を有しおよびゲノム中にTm-1遺伝子と組み合わせて6番、9番、および/または11番染色体上の耐性QTLをホモ接合またはヘテロ接合で含むトマト植物体を特定し、次いで前記抵抗力を有する植物体をウイルスが蔓延したか蔓延する可能性のある環境で栽培する第1の工程を含んでいてもよい。好ましくは、植物体はTm-1遺伝子、9番染色体上のヘテロ接合のQTL、およびヘテロ接合のTm-2またはTm-22対立遺伝子と組み合わせて、11番染色体上の耐性QTLをホモ接合で含む。
好ましい実施態様によれば、第1の工程で特定される植物体は、TO-0182276の対立遺伝子Gを含む。
本発明の抵抗力を有する植物体は、TBRFV、特にTBRFVのイスラエル分離株または株の増殖を制限、さらには阻害して、さらなる植物体の感染およびウイルスの増殖を制限することができる。したがって、本発明は、畑、トンネル、温室もしくはガラス温室、または他の任意の種類の栽培地をTBRFVの蔓延から保護する、または少なくとも前記畑、トンネル、温室もしくはガラス温室のTBRFVによる蔓延のレベルを制限する、または畑、トンネル、温室もしくはガラス温室、特にトマト畑でのTBRFVの拡散を制限する、方法も対象とする。そのような方法は、好ましくは、本発明の抵抗力を有する植物体、すなわち、ゲノム中に6番、9番、および/または11番染色体上の好ましくはホモ接合性の耐性QTLとTm-1遺伝子とを含む植物体を栽培する工程を含む。用いられる本発明の植物体は、好ましくは11番染色体上のQTL3を含み、より好ましくは、植物体はTO-0182276の対立遺伝子Gを示す。他の好ましい抵抗力を有する植物は、表1に開示されているゲノムの組合せのうちの1つを有する。
好ましくは、方法は、耐性QTL、特に11番染色体上のQTL3とTm-1抵抗性遺伝子とを有するトマト植物体を選択または選抜する第1の工程を含む。
これらの方法は、トマトを収穫する後続の工程も含んでいてもよい。
本発明は、畑、トンネル、温室、もしくはガラス温室、または他の栽培地でTBRFV感染または蔓延を制御するためのTBRFV抵抗性の植物体の使用にも関する。そのような植物体は、ゲノム中に上で定義した好ましくはホモ接合の6番、9番、および/または11番染色体上の耐性QTLのうちの少なくとも1つとTm-1遺伝子とを含む、本発明の植物体である。好ましい実施態様では、この植物体は、ゲノム中に2つの耐性QTLを含み、少なくとも一方はヘテロ接合であり、たとえば1つはヘテロ接合性で1つはホモ接合性である。
したがって、この使用によれば、畑、トンネル、温室またはガラス温室をTBRFVの蔓延から保護するために本発明の植物体を用いる。用いられる本発明の植物は、好ましくは11番染色体上のQTL3を含み、より好ましくは、それらはTO-0182276の対立遺伝子Gを示す。他の好ましい抵抗力を有する植物体は、表1に開示されているゲノムの組合せのうちの1つを有する。TBRFVは、好ましい実施態様によれば、TBRFVのイスラエル株または分離株である。
耐性QTLは、好ましくは、種子HAZTBRFVRES1(NCIMB 42758)の植物体のゲノムに存在するものである。
これらの使用のすべてにおいて、関連づけられるまたは検出されるQTLとTm-1遺伝子との好ましい組合せは、本発明の第1の側面に関連して開示したとおりであり、すなわち、ホモ接合のTm-1とヘテロ接合のQTL2とホモ接合またはヘテロ接合のQTL3、およびヘテロ接合のTm-1とヘテロ接合のQTL2とホモ接合またはヘテロ接合のQTL3を含む。
試験植物体の葉でのTBRFV外殻タンパク質の有無を示す、45DPIに実施した1回目のELISA試験の結果(45DPIの1回目の“Microlab”採点)である。 この図は、4種の異なる植物体についてELISA試験で405 nmで測定した光学密度を報告している。 試験植物体の葉でのTBRFV外殻タンパク質の有無を示す、75DPIに実施したELISA試験の結果(75DPIの2回目の“Microlab”採点)である。 この図は、4種の異なる植物体についてELISA試験で405 nmで測定した光学密度を報告している。 試験植物体の葉でのTBRFV外殻タンパク質の有無を示す、約110DPIに実施したELISA試験の結果である。 この図は、4種の異なる植物体についてELISA試験で405 nmで測定した光学密度を報告している。 試験植物体の葉でのTBRFV外殻タンパク質の有無を示す、QTLの様々な組合せについて70DPIに実施したELISA試験の結果である。 試験植物体の葉でのTBRFV外殻タンパク質の有無を示す、QTLの様々な組合せについて91DPIに実施したELISA試験の結果である。 ToBRFV接種31日後の葉の症状の評価結果である。 Ch11-S、Ch11-H、Ch11-Rは、11番染色体上のQTL3が存在しないこと(S)、前記QTL3がヘテロ接合で存在すること(H)、または前記QTL3がホモ接合で存在すること(R)をそれぞれ意味する。 Ch9-S、Ch9-H、Ch9-Rは、9番染色体上のQTL2が存在しないこと(S)、前記QTL2がヘテロ接合で存在すること(H)、または前記QTL2がホモ接合で存在すること(R)をそれぞれ意味する。 Tm1-S、Tm1-H、Tm1-Rは、2番染色体にTm-1遺伝子が存在しないこと(S)、Tm-1遺伝子がヘテロ接合で存在すること(H)、または前記Tm-1遺伝子がホモ接合で存在すること(R)をそれぞれ意味する。 試験植物体の葉でのTBRFV外殻タンパク質の有無を示す、QTLの様々な組合せについて35DPIに実施したELISA試験の結果である。 この図は、ELISA試験で405 nmで測定した光学密度を報告している。QTLとTm1遺伝子との組合せは図6で説明したとおりである。 ToBRFV接種の112日後の果実の症状の評価結果である。 試験した遺伝子型は図6に詳述したとおりである。
実施例1:材料および方法
系統の説明:
Haz-Tm1系統:
この系統は、約120 gの通常の丸く赤い果実を持つ個採り(loose)タイプの商業用の無限伸育型トマトである。植物体は薄緑色の葉を持ち、TMVの種族0に抵抗力を有する。
抵抗力試験:Haz-Tm1系統を、TBRFV抵抗力について10ずつの植物体で2回繰り返して(合計20の植物体)試験した。用いた罹病性対照は以下(表2)のとおりであった。
Figure 2022538791000002
NB2系統:集団の形成に使用
この系統は、丸く濃い赤色の約160 gの果実を持つ個採りタイプの無限伸育型トマトである。植物体は濃い緑色の葉を持ち、ステムフィリウム属(Stemphylium)、ベルチシリウム属(Verticillium)、線虫、トマト萎凋病菌(Fol)の種族1、種族2、TMVの種族2に抵抗力を有する。
症状:
TBRFV感染の症状は以下のとおりである。
軽度の葉の症状:通常、重度ではないモザイクで、小葉の形状に大きな奇形はない。
重度の葉の症状:小葉が変形し、多くの場合「靴ひも(shoestrings)」の症状もあり、ほとんどの場合モザイクは重度である。
軽度の果実の症状:いくつかの黄色い病変(「シミ(blotchy)」症状のように見える場合もある)があるが、奇形の変形した果実はない。
重度の果実の症状:典型的な奇形の果実、「チョコレート斑点」があることもある。
TBRFV症状の採点:WO2018/219941に記載の4つの採点値であり、4は症状なしに対応し、1は重症に対応する。
ELISA実験計画:
1~2枚のトマトの葉を含む各試料を破砕機で粉砕する。
3 mlの緩衝液SEB(試料抽出緩衝液)を加え、試料をバッグミキサーで30秒間かけて破砕する。
次いで、PrimeDiagnosticsのToMV予備刺激ELISA実験計画を行った。この診断試験はToMV感染用に設計されているが、ToBRFV感染の検出を可能にすることから選択された。
スチューデントのt検定
t検定を用いて、2つのデータの組の平均値が互いに有意に異なるかどうかを決定する。
比較円グラフ(図を参照のこと)において、円の位置は様々な群の平均値に対応する。円の中心間の距離は実際の差を表す。
比較円の交点の外角は、群の平均値が有意に異なるかどうかの参考になる。
平均値が有意に異なる場合の円は、交差しないかわずかに交差するため、交点の外角度は90度未満である。
マーカー:
耐性QTLの検出に適したSNPマーカーを下に開示する。
表3はSNP一覧であり、罹病性植物体におけるそれらの位置および見られる対立遺伝子(記載の第1のヌクレオチド:S対立遺伝子)と耐性に連鎖するマーカーの対立遺伝子(記載の第2のヌクレオチド:T対立遺伝子)である。表4はSNPの配列である。
Figure 2022538791000003
Figure 2022538791000004
Figure 2022538791000005
Tm-1について、Ishibashiらの2007年の文献の情報に基づきマーカーを開発した。
4つの遺伝子内SNPを定義した。KASPar検定を開発し、1つのみが好適であると判明した。
マーカー番号:TO-0200838
SNPの配列:ウイルス抵抗力に関連する対立遺伝子を括弧内で1番目に記載する(すなわちA):
Figure 2022538791000006
Figure 2022538791000007
Figure 2022538791000008
Figure 2022538791000009
実施例2:抵抗力の起源
抵抗力の第1の起源
発明者らは、栽培トマト(ソラヌム・リコペルシクム;Solanum lycopersicum)系統すなわちHaz-Tm1系統を高いレベルの葉のTBRFV抵抗力を持つものとして最初に特定した。この系統は、遺伝子Tm-1を含むことも知られていた。
文献によれば、また熟練した育種家に公知であるように、Tm-1は当初、ToMV/TMV抵抗力を付与するという目的で野生のトマト種ソラヌム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)PI126445から栽培トマト種ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)に遺伝子移入された。しかし、この遺伝子によるToMV抵抗力は、1960年代に商業用トマト品種に導入されてから1年以内に破られた。したがって、この遺伝子が現在の商業用品種に見られることはあったとしても稀であり、もはやToMVまたはTMVに対する抵抗性遺伝子と考えることはできない。
公開されている遺伝子配列に基づき、Tm-1遺伝子(2番染色体)に関するマーカーを開発した。4つのSNPを定義し、KASPar検定を開発し、1つのみが好適であると判明した。
発明者らは、人工的な実験室試験での2つの試験で、Haz-Tm1系統がTBRFVに対して高い抵抗力を有することを最初に見出した。
続いてその後、発明者らは温室試験(自然感染)で、現場条件での果実の抵抗力についてもHaz-Tm1系統を選別した。試験を4ドゥナム(4,000 m2に相当)の温室に移植した。結果は、Haz-Tm1系統が主に植物体の成長の最終段階で果実にTBRFVの軽度の症状を呈したことを示した。Haz-Tm1系統はおそらく葉の症状に対して高い抵抗力、果実の症状に対しては軽度で不十分な抵抗力を持つと結論付けられた。
続いて、以下を含むELISA試験などの試験でHaz-Tm1系統を再試験した:
(1)「54」のトレイに蒔く、
(2)若い実生に機械で接種を行う、
(3)採点-トバモウイルス症状を観察する、
(4)Immunostripキット(AGDIA)およびELISA試験を用いて、3つの時点でウイルスの有無を確認する、
(5)温室に植えた苗木から完全な生育周期まで。
苗床トレイへの種蒔き:10月9日
機械による接種:10月31日
試験の一部のベルリム(Brurim)(温室GH3および4)への移植:11月5日
試験の一部のミブタヒム(Mivtahim)温室への移植:11月13日
1回目の採点およびELISA試験の試料採取:12月16日および17日
2回目の採点およびELISA試験の試料採取:1月14日
3回目の採点およびELISA試験の試料採取:2月19日。
接種後約45日(DPI)の1回目の採点結果を表5に詳細に示す。この段階では、果実はないため、葉の抵抗力のみを検定する。
Figure 2022538791000010
ELISA試験の結果については図1に示す。
2回目の採点
2回目の採点の表現型採点は、1回目の採点で得られたのと同様の結果を示した。ELISA試験の結果については図2に示す。
3回目の採点
約110 DPIの3回目の採点結果を表6に詳細に示す。この段階では、果実があるため、葉および果実の抵抗力を採点する。
Figure 2022538791000011
ELISA試験の結果については図3に示す。
ELISAの結果は、Haz. Tm-1系統が植物体でのウイルス複製を遅延する防御機構を有することを示唆している。
抵抗力の第2の起源
WO2018219941はTBRFVに対する耐性QTL、本質的には葉耐性QTLである11番染色体上のQTL3と2つの果実耐性QTLであるそれぞれ6番および9番染色体上のQTL1および2を開示している。
実施例3:2つの起源の交配による組合せ
集団の形成
Haz-Tm1系統とNB2系統との間の交配を行ってF1種子を生産し、後にF1を自家受粉させてF2種子を生産した。F2種子をトレイに蒔き、TO-0142306などの1つの代表的なマーカーを用いて、耐性QTL3(すなわち11番染色体上のQTL)のホモ接合性について選抜を行った。これらの植物体を成長させてF3種子を生産した。これを実施例では集団1と呼ぶ(表7を参照のこと)。
植物体の遺伝子型解析および選抜:
F3種子(集団1)をトレイに蒔き、約500の苗木を得た。各F3苗木から、DNA抽出のために葉片を採取し、DNAを分子マーカー分析に用いた。
選抜には2つの分子マーカーを用いた。1つは2番染色体上のTm-1遺伝子に関するもの、2つ目は9番染色体上のQTL(QTL2)を表すものである。11番染色体上のQTL(耐性QTL3)は抵抗性ホモ接合体としてF2で既に固定された(集団の形成を参照のこと)。
結果:
Haz. Tm-1系統と11番染色体上のQTLおよび9番染色体上のQTLを含む1つの育種系統NB2との間で交配を行った。上で開示したようにF3種子を得た。
耐性QTLおよびTm-1遺伝子と連鎖する分子マーカーを用いて、トレイ内でF3植物体を予備選抜し、選抜した植物体に若い実生レベルで、機械で接種を行い、苗木をベソル(Bsor)の温室に植え、温室で栽培した。
分子マーカー分析は、QTLごとに1つのマーカーを含んでいた。
表7および9は、3つの遺伝子座(QTL2、QTL3、およびTm-1)に異なる遺伝子型を含む集団1の異なるF3植物と、各植物体の表現型採点およびELISA結果に基づく抵抗力を示す。対照も示す。健常対照は感染させなかった対照である。
表7は70 DPI、表9は91 DPIでの結果を示す。
表で報告する葉の症状のいくつかは、温室内のペピノウイルスの存在や厳しい温度条件が原因で増えた可能性がある。実際、温度が上がるとトバモウイルス感染の症状が増えることは周知である。すなわち、この検定で観察された中等度~重度の症状は、より穏やかな条件では軽度の症状と見なされるに過ぎない可能性がある。実際、この検定は一方の抵抗力を有する植物体ともう一方の耐性または罹病性植物体とを区別し、抵抗/耐性植物体と罹病性植物体とは区別しないように設計されていた。
Figure 2022538791000012
Figure 2022538791000013
Figure 2022538791000014
図4はQTLの様々な組合せおよび対照に関する70DPIのELISA試験の結果を示す。
Tm-1遺伝子と耐性QTLのうちの少なくとも1つを組み合わせると植物体でのToBRFVウイルスの外殻タンパク質の検出レベルが大幅に低下し、また、Tm-1遺伝子と2つの耐性QTLを組み合わせると非感染の健常植物体(Chr11-R、Tm-1-R、Chr9-R)に見られるレベルと同程度に低いToBRFV検出レベルが得られると推定することができる。
Figure 2022538791000015
Figure 2022538791000016
Figure 2022538791000017
Figure 2022538791000018
Figure 2022538791000019
図5は、91 DPIにおけるQTLの様々な組合せおよび対照に関するELISA試験の結果を示す。
表9および表10に示す結果により、Tm-1および少なくとも1つの耐性QTLを含む植物体の抵抗力が確認され、この抵抗力が感染の3か月後も依然として存在して葉および果実の損傷から植物体を保護することが実証される。
実施例4:メタンスルホン酸エチル(EMS)によるトマト種子の遺伝子改変
トマト品種の種子を、室温で24時間、0.5% (w/v)または0.7%のEMSの通気溶液に品種毎に約2000の種子を浸してEMS処理する。
EMS用量毎、品種毎に約1500の処理済み種子を発芽させ、得られた植物体を好ましくは温室で、たとえば5月から9月まで栽培して種子を生産する。
成熟後、M2種子を収穫し、品種毎、処理毎に1つのプールにまとめる。得られたM2種子のプールを出発物質として用いて、果実および/または葉のトマト褐色しわ果実ウイルス耐性を有する個々のM2種子および植物体を特定する。
実施例5:ToBRFV隔離追跡-QTLとTm-1の様々な組合せの試験
この試験で発明者らは、11番染色体上のQTL(QTL3、または実施例3のようにCh11)、9番染色体上のQTL(QTL2、または実施例3のようにCh9)と2番染色体上のTm-1との様々な組合せ、およびTm2遺伝子を有する罹病性対照(Haz Tm-R)を試験した。健常対照は、ウイルスにさらされていない植物体に対応する。材料および方法は、特に葉および果実の表記とELISA試験に関しては、実施例3について開示したとおりである。
予定表
・種蒔き:T0
・DNA抽出のための試料採取:T0+14日
・機械による接種:T0+28日
・隔離所への移植:T0+29日=1 DPI
・1回目の採点(葉の症状):31 DPI
・ELISAのための試料採取:35 DPI
・2回目の採点(果実の症状):112 DPI
結果:
1回目の採点(葉の症状)およびELISA(31 DPI)
全般的な所見:まだ着果しておらず、罹病性遺伝子型の植物体すべてに著しい葉の症状が見られた。
葉の症状の指標:1は重度の葉の症状、9は目に見える症状なしである。葉の平均症状を図6に示す。
Tm-1遺伝子を加えることで点数が改善され、Tm-1遺伝子がホモ接合で存在する場合にはこの改善がさらに大きくなることが認められる。
さらに、3つの遺伝子型、すなわち[Ch11-R Tm1-R Ch9-H]、[Ch11-R Tm1-R Ch9-R]、および[Ch11-R Tm1-R Ch9-S]は症状を示さないことも認められる。この早期(31 DPI)では、9番染色体上のQTL2(果実耐性QTL)は葉の抵抗力には寄与しない。
他の3つの遺伝子型、すなわち[Ch11-R Tm1-H Ch9-H]、[Ch11-R Tm1-H Ch9-R]、および[Ch11-R Tm1-H Ch9-S]も、上記の3つの遺伝子型よりも重要さはわずかに劣るが、重要な葉の抵抗力を示す。
ELISA試験を4日後、35DPIに実施した。
結果を表11で報告し、図7に示す。
Figure 2022538791000020
QTL3およびTm1の両方をホモ接合で有する(Ch11-R Tm1-R)植物体は他のすべての遺伝子型よりも低いレベルのウイルスを示すことが認められる。
31、35 DPIのこれらの葉の症状の採点およびELISA試験から、以下のように結論付けることができる:
1. Ch11-RとTm-1-Rとの組合せ(3つの状態すべてのCh9(QTL2)との3つの組合せ)を有するすべての植物体は無症状である。これらの組合せはELISAで陽性であるが、他のすべての組合せよりもはるかに低いウイルス含有量を示す。
2. Chr-11-RとTm-1-Hとの3つの組合せにより、ほぼ完全に無症状の植物体が得られるが、それらのELISAは、30DPIのこの特定の段階では罹病性遺伝子型と統計的に異なるようには見えない。
2回目の採点-果実の症状(112 DPI)
全般的な所見:植物体のほとんどで、赤い果実のついた房がいくつか見られる。
果実の症状の指標:1は重度の葉の症状、9は目に見える症状なしである。
葉の症状は1回目の所見と一致している。
果実の症状を図8で報告し、表12に詳しく示す。
Figure 2022538791000021
ホモ接合またはヘテロ接合で9番染色体(Ch9)のQTL2が存在すると、果実の抵抗力が大幅に改善すると推定することができる(たとえば、図8の最初の3つの遺伝子型を参照のこと)。図8では、果実の症状は、QTL2がホモ接合状態で存在する(Ch9-R)場合にはなく、QTL2がヘテロ接合で存在する(Ch9-H)場合には軽度であるが、QTL2が存在しない(Ch9-S)場合にはこれらの症状はより大きい。
この検定では、遺伝子型[Ch11-R, Tm1-R/H, Ch9-H]と[Ch11-R, Tm1-S, Ch9-H]とを区別することができない。というのも、この実験計画ではいずれの遺伝子型も9点と採点されるからである。しかし、実施例3の結果は、ToBRFV感染の様々な条件で、または感染の後期では、ホモ接合またはヘテロ接合のTm1遺伝子の存在により、遺伝子型[Ch11-R, Ch9-H]に対応する植物体に対して増強された抵抗力レベルが得られることを示唆している。
結論
Tm1遺伝子と組み合わせて11番染色体上のQTL3が好ましくはホモ接合で存在することにより、両方がホモ接合で存在する(Ch11-R; Tm1-R)場合のウイルス力価は低下すると共に最良の葉の抵抗力が得られる。
したがって、この組合せは、ToBRFV感染の最初の段階で最良の抵抗力を付与する。さらに、葉の抵抗力は植物体の適切な発達を保証し、ひいては、より良好な光合成および期待どおりのより良好な果実収穫量を有する健常な植物体を保証する。さらに、ウイルス力価の低下は、植物体が周囲の他の植物体を汚染してウイルスを増殖させる可能性がより低いことを意味し、ウイルスの進行がより遅いことにより、特に遅発性感染の場合、より深刻な感染段階を回避することができる可能性がある。
良好な果実の抵抗力を保証するために、好ましくは、この組合せを9番染色体上のQTL2(Ch9-HまたはCh9-R)と組み合わせなければならない。
結論として、Ch11-R, Tm1-R, Ch9-HまたはRに対応する遺伝子型は、葉の抵抗力(光合成および収穫量に有利)、ウイルス力価(汚染がより少なく、進行がより遅い)、および果実の抵抗力(販売可能な果実の収穫量の増加)という組合せ基準について全体的に最良の結果を提供する。

Claims (26)

  1. トマト褐色しわ果実ウイルス(TBRFV)に抵抗力を有するトマト植物体であって、そのゲノム中に以下の組合せ:
    a.2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子と、
    b.前記植物体に葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される少なくとも1つの量的形質遺伝子座(QTL)
    との組合せを含み、前記QTLは、種子HAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の植物体のゲノムに存在する、トマト植物体。
  2. そのゲノム中に以下の組合せ:
    a.2番染色体上の好ましくはホモ接合の前記Tm-1抵抗性遺伝子と、
    b.11番染色体上のホモ接合の前記QTL3と、
    c.9番染色体上のヘテロ接合の前記QTL2
    との組合せを含む、請求項1に記載のトマト植物体。
  3. そのゲノム中に前記Tm-1抵抗性遺伝子と、QTL1、QTL2、およびQTL3から選択される少なくとも2つのQTLとの組合せを含み、前記QTLのうちの少なくとも1つはヘテロ接合性である、請求項1に記載のトマト植物体。
  4. そのゲノム中に以下の組合せ:
    a.2番染色体上の前記Tm-1抵抗性遺伝子と、
    b.11番染色体上の前記QTL3
    との組合せをホモ接合で含む、請求項1に記載のトマト植物体。
  5. 前記植物体は、前記植物体での前記ウイルスの複製または増殖を遅延、低減、または阻害するか、ウイルス力価を低下させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のトマト植物体。
  6. 前記TBRFVウイルスはTBRFVのイスラエル株である、請求項1~5のいずれか一項に記載のトマト植物体。
  7. Tm-2抵抗性遺伝子を好ましくはヘテロ接合でさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のトマト植物体。
  8. 前記QTLは、6番染色体上のQTL1についてはTO-0005197(配列番号1)およびTO-015581(配列番号2)で区切られる染色体領域内に、9番染色体上のQTL2についてはTO-0180955(配列番号3)およびTO-0196109(配列番号6)で区切られる染色体領域内に、11番染色体上のQTL3についてはTO-0122252(配列番号7)およびTO-0162427(配列番号18)で区切られる染色体領域内に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載のトマト植物体。
  9. 前記トマト植物体のゲノム中に以下の対立遺伝子:
    QTL1の存在についての
    ・TO-0005197の対立遺伝子Tおよび/または
    ・TO-0145581の対立遺伝子C、
    QTL2の存在についての
    ・TO-0180955の対立遺伝子Gおよび/または
    ・TO-0196724の対立遺伝子Cおよび/または
    ・TO-0145125の対立遺伝子Gおよび/または
    ・TO-0196109の対立遺伝子G、
    QTL3の存在についての
    ・TO-0122252の対立遺伝子Tおよび/または
    ・TO-0144317の対立遺伝子Cおよび/または
    ・TO-0142270の対立遺伝子Tおよび/または
    ・TO-0142294の対立遺伝子Gおよび/または
    ・TO-0142303の対立遺伝子Aおよび/または
    ・TO-0142306の対立遺伝子Aおよび/または
    ・TO-0182276の対立遺伝子Gおよび/または
    ・TO-0181040の対立遺伝子Gおよび/または
    ・TO-0123057の対立遺伝子Gおよび/または
    ・TO-0125528の対立遺伝子Aおよび/または
    ・TO-0162432の対立遺伝子Cおよび/または
    ・TO-0162427の対立遺伝子T
    のうちの少なくとも1つがSNPマーカーTO-0200838(配列番号21)の対立遺伝子Aと組み合わせて存在することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のトマト植物体。
  10. 前記植物体は、HAZTBRFVRES1(NCIMB 受託番号42758)の種子から栽培された植物体と前記Tm-1遺伝子を有するトマト植物体との間の雑種の後代である、請求項1~9のいずれか一項に記載の植物体。
  11. そのゲノム中に前記Tm-1遺伝子と6番染色体上の前記QTL1、9番染色体上の前記QTL2、および/または11番染色体上の前記QTL3のうちの少なくとも1つとの組合せを含み、前記組合せはTBRFウイルスに対する抵抗力を付与する、請求項1~10のいずれか一項に記載のトマト植物体の細胞。
  12. 請求項1~10のいずれか一項に記載のトマト植物体の植物部分、特に種子、外植片、生殖物質、穂木、切穂、種子、果実、根、台木、花粉、胚珠、胚、原形質、葉、葯、茎、葉柄、または花であって、請求項11に記載の細胞を含む、植物部分。
  13. 請求項1~10のいずれか一項に記載のTBRFVに抵抗力を有する植物体に発達するトマト植物体の種子。
  14. 請求項1~10のいずれか一項に記載の植物体の細胞の組織培養物であって、前記細胞は、胚、原形質、成長点の細胞、カルス、花粉、葉、葯、茎、葉柄、根、根端、種子、花、子葉、および/または胚軸に由来し、かつ前記Tm-1遺伝子と組み合わせて、果実または葉のTBRFウイルス耐性を独立に付与する6番染色体上の前記QTL1、9番染色体上の前記QTL2、および/または11番染色体上の前記QTL3をそのゲノム中に含む、組織培養物。
  15. TBRFVに抵抗力を有し、前記ウイルスの複製を阻害、低減、または遅延するトマト植物体を検出かつ/または選抜する方法であって、前記方法は、
    a.以下のマーカー:TO-0122252の対立遺伝子T、TO-0144317の対立遺伝子C、TO-0142270の対立遺伝子T、TO-0142294の対立遺伝子G、TO-0142303の対立遺伝子A、TO-0142306の対立遺伝子A、TO-0182276の対立遺伝子G、TO-0181040の対立遺伝子G、TO-0123057の対立遺伝子G、TO-0125528の対立遺伝子A、TO-0162432の対立遺伝子C、およびTO-0162427の対立遺伝子Tのうちの少なくとも1つを検出する工程、ならびに
    b.前記Tm-1遺伝子のホモ接合での存在を検出、好ましくはSNPマーカーTO-0200838の対立遺伝子Aを検出する工程
    を含む、方法。
  16. TBRFVに抵抗力を有し、前記ウイルスの複製を阻害、低減、または遅延するトマト植物体を検出かつ/または選抜する方法であって、前記方法は、
    a)トマト植物体をそのゲノム中の
    ・2番染色体上の前記Tm-1抵抗性遺伝子と
    ・前記植物体に葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択されるQTLと遺伝的に連鎖する少なくとも1つの遺伝マーカー
    との組合せについて検定する工程、ならびに
    b)前記Tm-1遺伝子と前記遺伝マーカーならびに前記葉および/または果実のTBRFV耐性を付与する選択された耐性QTLとを含む植物体を選抜する工程
    を含み、前記選択されたQTLおよび前記遺伝マーカーは、6番染色体上のQTL1についてはTO-0005197(配列番号1)およびTO-015581(配列番号2)で区切られる染色体領域内に、9番染色体上のQTL2についてはTO-0180955(配列番号3)およびTO-0196109(配列番号6)で区切られる染色体領域内に、11番染色体上のQTL3についてはTO-0122252(配列番号7)およびTO-0162427(配列番号18)で区切られる染色体領域内に存在する、方法。
  17. トマト植物体にTBRFVに対する抵抗力を付与する方法であって、前記方法は、
    a)寄託種子NCIMB 42758またはその後代から栽培され、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体と、好ましくは前記QTLを持たずTm-1遺伝子を有するトマト植物体とを交配する工程、
    b)このようにして得た後代で、前記Tm-1遺伝子と組み合わせて前記QTL1、QTL2、および/またはQTL3のうちの1つ、2つ、または3つを有する植物体を選抜する工程、ならびに
    c)任意で、工程b)で得た前記植物体を1回以上自家受粉させ、このようにして得た後代でTBRFVに対する抵抗力を有する植物体を選抜する工程
    を含み、前記抵抗力は、前記ウイルスの複製または増殖を遅延、低減、または阻害する、方法。
  18. トマト植物体にTBRFVに対する抵抗力を付与する方法であって、前記方法は、
    a1)寄託種子NCIMB 42758またはその後代から栽培され、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体と、好ましくは前記QTLを持たずTm-1遺伝子を有するトマト植物体とを交配してF1雑種を作成する工程、
    a2)前記F1雑種を自殖させてF2集団を作成する工程、ならびに
    b)このようにして得た後代でTBRFVに対する抵抗力を有する個体を選抜する工程
    を含み、前記抵抗力は、前記ウイルスの増殖を遅延、低減、または阻害する、方法。
  19. 工程b)および/またはc)で、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体の選抜ならびに/あるいは前記Tm-1遺伝子を有する植物体の選抜にSNPマーカーを用いる、請求項17または18の方法。
  20. 寄託種子NCIMB 42758またはその後代から栽培され、TBRFV耐性を付与するQTL1、QTL2、および/またはQTL3を有する植物体を、前記Tm-1遺伝子を有するトマト植物体と交配する工程を含む、TBRFVに対する抵抗力を有するトマト植物体を育種する方法。
  21. 請求項17~20のいずれか一項に記載の方法で得られるトマト植物体。
  22. TBRFVが蔓延している環境でトマト植物体の収穫量を改善する方法であって、前記方法は、ゲノム中に
    a.2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子と
    b.11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される少なくとも1つのQTL、好ましくは2つのQTL
    との組合せを含む抵抗力を有するトマト植物体を栽培することを含み、前記QTLはHAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の種子の植物体のゲノム中に存在し、トマトに葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、方法。
  23. 前記植物体は、2番染色体上の前記Tm-1遺伝子と11番染色体上のQTLとの組合せを含み、前記QTLはHAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の種子の植物体のゲノム中に存在し、葉のTBRFV耐性を付与する、請求項22に記載の方法。
  24. TBRFV蔓延の状況でトマト生産量の損失を低減する方法であって、前記方法は、ゲノム中に
    -2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子と
    -11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される少なくとも1つのQTL、好ましくは2つのQTL
    との組合せを含む抵抗力を有するトマト植物体を栽培することを含み、前記QTLはHAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の種子の植物体のゲノム中に存在し、トマトに葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、方法。
  25. トマト植物体の畑、トンネル、温室、またはガラス温室をTBRFV蔓延から保護する方法であって、前記方法は、ゲノム中に
    -2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子と
    -11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される少なくとも1つのQTL、好ましくは2つのQTL
    との組合せを含む抵抗力を有するトマト植物体を栽培することを含み、前記QTLはHAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の種子の植物体のゲノム中に存在し、トマトに葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、方法。
  26. 畑、トンネル、温室、またはガラス温室のTBRFV蔓延を制御するための、TBRFVに抵抗力を有するトマト植物体の使用であって、前記トマト植物体は、そのゲノム中に2番染色体上のTm-1抵抗性遺伝子と、11番染色体上のQTL3、6番染色体上のQTL1、および9番染色体上のQTL2から選択される少なくとも1つのQTL、好ましくは2つのQTLとの組合せを含み、前記QTLはHAZTBRFVRES1(NCIMB受託番号42758)の種子の植物体のゲノム中に存在し、トマトに葉および/または果実のTBRFV耐性を独立に付与する、使用。
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