JP2022532317A - ハロゲン化抗菌ペプトイド - Google Patents

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Abstract

式TIFF2022532317000036.tif6169のポリ-N-置換グリシン化合物であって、式中、Aは末端N-アルキル置換グリシン残基であり;nは整数であり;BはNH2、1および2個のN-置換グリシン残基からなる群から選択され、前記1および2個のN-置換グリシン残基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログから独立して選択されるN-置換基を有し;X、YおよびZはN-置換グリシン残基からなる群から独立して選択され、前記N-置換基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログからなる群から独立して選択され、A、B、X、YおよびZの少なくとも1個はハロゲン含有部分を含む化合物を提供する。【選択図】図2

Description

関連出願の相互参照
本出願は同一の名称を有し、同一の発明者を有する、2019年4月30日に出願された米国仮出願第62/841,227号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は一般に、抗菌(antimicrobial)組成物に関し、より詳細には、抗菌ペプトイドに関する。
多剤耐性細菌の治療における天然の抗菌ペプチド(AMP)の使用は、かなりの量の研究の焦点とされた。AMPは細菌性病原体に対して広範な生物を防御することが知られている。これらのペプチドは、ほとんどの細菌がそれらに対する耐性を進化させていないので、従来の抗生物質のための補充物(またはその代替物)としての可能性を示している。
AMPはさまざまな方法で細菌を破壊する。AMPの中には、細胞質膜を透過し、脱分極や内部細胞物質の漏出を引き起こすことによって細菌を殺すものがある。他のAMPは、DNA、RNA、または細胞壁成分などのアニオン性細菌成分を標的とすることによって機能する。AMPに対する細菌の耐性はまれであるが、これはおそらく、このようなAMPが、AMPを回避するように設計された耐性機構とともに進化してきたためであろう。細菌がある種のAMPに対していわゆる”毒性因子”の産生を介して耐性を示す場合、これらの毒性因子はある種のヒトAMPに結合し、それらを不活性化する分子である。しかしながら、一般に、多くのAMPの標的(例えば、細菌原形質膜およびアニオン性細胞内巨大分子)は十分に一般的であり、AMPの配列に対する変化が、AMPの全体的な機能性に有意な悪影響を及ぼすことなく、耐性を破壊するようになされ得る。
AMPは数十年にわたって積極的に研究されてきたが、広範な臨床使用(例:コリスチン、ポリミキシンE)を達成した特定の(pareticular)AMPはわずかである。AMPのこの遅い臨床的適応は部分的には迅速なインビボ分解(特に、酵素分解およびタンパク質分解)に対する多くのペプチド治療剤の脆弱性に起因し、これは、それらの生物学的利用能を劇的に減少させる。これは多量の用量を必要とし、費用を大幅に増加させる。
1つの態様では、式
Figure 2022532317000002
のポリ-N-置換グリシン化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供され、式中
Aは末端N-アルキル置換グリシン残基;
nは整数;
BはNH2、1個および2個のN置換グリシン残基からなる群より選択され、前記1個および2個のN置換グリシン残基は、天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログから独立して選択されるN-置換基を有し、および
X、YおよびZはN-置換グリシン残基からなる群から独立して選択され、前記N-置換基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基からなる群から独立して選択され、A、B、X、YおよびZのうちの少なくとも1つはハロゲン含有部分(又は、担持部分)を含む。
別の態様では、式:
Figure 2022532317000003
のポリ-N-アルキル置換グリシン化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供され、式中
BはNH2 とX’から選択され;
NR、X、Y、ZおよびX’はN-置換基を含むN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換グリシン残基の前記N-置換基は、天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基から独立して選択され、少なくとも1つの前記N-置換基はハロゲン原子を含み;
nは整数であり;および
Rは前記NR グリシン残基のN-アルキル置換基であり、前記置換基は、約C4 ~約C20 の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される。
さらなる態様において、ポリ-N-置換グリシンまたはその薬学的に許容される塩が、N-末端N-アルキル置換グリシン残基を備えて提供され、ここで、前記アルキル置換基は約C4~約C20の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択され;C-末端はNH2、1つおよび2つのN-置換グリシン残基から選択され、前記N-置換基はα-アミノ酸側鎖部分およびその炭素ホモログ;ならびに前記N-およびC-末端間の2~約15個のモノマー残基から独立して選択され;前記残基はそれぞれ、プロリン残基およびN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換基は天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログから独立して選択され、少なくとも1つの前記モノマー残基はNLys であり、少なくとも1つの前記N-置換基はキラルであり、前記モノマー残基は前記化合物に周期的または非周期的なモノマー残基の配列を与えるように選択され;および前記残基の少なくとも1つは少なくとも1つのハロゲン置換基を含有する。
さらに別の態様では、その少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つの水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって、図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料に由来する化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
さらに別の態様では、疾患を処置または阻害するための方法が提供され、該方法は該疾患を有するか、または該疾患を発症するリスクがある個体に、少なくとも1つのポリ-N-アルキル置換グリシンまたはその薬学的に許容される塩のある量を投与することを包含し、ここで、前記ポリ-N-アルキル置換グリシンの量は該疾患を処置または阻害するのに有効であり、前記ポリ-N-アルキル置換グリシン化合物は、式
Figure 2022532317000004
を有し、式中
BはNH2 とX’から選択され;
NR、X、Y、ZおよびX’はN-置換基を含むN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換グリシン残基の前記N-置換基は天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基から独立して選択され、少なくとも1つの前記N-置換基はハロゲン原子を含み;
nは整数であり;および
Rは前記NR グリシン残基のN-アルキル置換基であり、前記置換基は、約C4 ~約C20 の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される。
さらなる態様では、前記疾患を有するか、または発症するリスクがある個体に、少なくとも1つのポリ-N-アルキル置換グリシンまたはその薬学的に許容される塩のある量を投与することを包含する、疾患を処置または阻害するための方法が提供され、ここで、ポリ-N-アルキル置換グリシンの前記量は前記疾患を処置または阻害するために有効であり、前記ポリ-N-アルキル置換グリシン化合物は、少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つの水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって、図1の化合物および図13の化合物からなる群より選択される材料に由来する化合物またはその薬学的に許容される塩である。
さらに別の態様では、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つのハロゲンを含有するポリ-N-置換グリシン化合物が提供される。前記ポリ-N-置換グリシン化合物は、カルボキサミド末端基を含むことが好ましく、リンクアミドレジンを介して製造されることが好ましい。
図1は、ハロゲン原子を含有する第1世代ペプトイドの分子構造を示す。異なるペプトイドオリゴマー構造には、1~37および38~51の番号が付されている。
図2は、ESRF実験室において、BM29ビームラインで得られた5mg/mlおよび37℃での10量体ペプトイドについての散乱ベクトルQのモジュラスに対してプロットされた散乱強度を示す、小角X線散乱(SAXS)データの一組のグラフである。図2Aは完全ハロゲン化ペプトイドについての結果を示し、一方、図2Bは、半ハロゲン化ペプトイドについての結果を示す。非ハロゲン化ペプトイド(化合物19)は、リファレンスとして両方のグラフに含まれる。結果は、化合物19-21および24-27についてはシート状フィラメントの小部分を有する主に自由な(free)非構造化ペプトイド鎖、ならびに化合物22および23について画定されたバンドル(bundle、束)(散乱強度の増加および曲線の形状の変化として見られる)を示す。
図3は、Bruker NANOSTAR計装で測定された(ESRFで測定された10量体化合物23を除く)完全ヨウ素化ペプトイドについての完全SAXS結果を、モデルフィット(本明細書に記載されるようなバンドルモデルを使用してフィット)と共に示した濃度で示す。図3A、3B、3Cおよび3Dは、それぞれ、6量体(化合物5)、8量体(化合物14)、10量体(化合物23)および12量体(化合物32)を示す。
図4は、ペプトイド1[H-(NLys-Nspe-Nspe)4-NH2]の塩素化および臭素化変異体、ならびに短縮臭素化ペプトイド1類似体を示す。
図5は、HaCaT細胞株に対する選択されたペプトイドのIC50曲線のグラフである。
図6はペプトイド1[H-(NLys-Nspe-Nspe)4-NH2]の構造を示し、ここで、NLysはN-(4-アミノブチル)グリシンであり、NspeはN-(S)-(1-フェニルエチル)グリシンである。
図7~12は、ペプトイド1のハロゲン化類似体のいくつかの特定の非限定的な例の構造を示す。
図13はペプトイド1のより短い変性バージョンの構造を示し、これは、12個のモノマーから構成されるのではなく、6個のモノマーを含む。
図14~16は、その構造が図17に示されているペプトイドのハロゲン化類似体のいくつかの特定の非限定的な例の構造を示す。
図17は、本明細書中に開示されるペプトイドのいくつかの細胞毒性(HaCaT細胞株)を描写するグラフである。
図18は示された濃度においてESRFで測定された全ての10量体についてのSAXS結果を、モデルフィットと一緒に示す(化合物19-21および24-27についてのデータは繊維様クラスターモデルを有するランダムポリマー様鎖についてのモデル(式1)を使用してフィットさせたが、化合物22および23についてのデータはバンドルモデル(式6)を使用してフィットさせた)。
I. 背景
前述の問題は、ペプチドを模倣するように設計された小さなタンパク質様鎖であるペプチド模倣物(ペプチドミメティクス/peptidomimetics)の開発につながった。ペプチド化は、既存のペプチドを変性することによって行うことができる。ペプチド模倣物はまた、ペプチドを模倣する類似の系(例えば、ペプトイドおよびβペプチド)をベースにすることができる。
ペプトイド(N-置換グリシンのオリゴマー)は、側鎖がα-炭素ではなく主鎖アミド窒素に結合しているペプチドの異性体である。抗菌性ペプトイドは例えば、「Selective Poly-N-Substituted Glycine Antibiotics」と題する米国特許第8,445,632号(Barronら)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ペプトイドはタンパク質分解安定性および対応するペプチドよりも良好な生物学的利用能(bioavailability)を示すが、多くの場合、抗菌活性を保持する。
ペプトイドは、AMP模倣に特によく適している。ペプトイドは、従来のペプチド合成装置を用いて容易に合成され、比較的低コストで多様な配列へのアクセスを提供する。ペプトイドに多種多様な化学的機能性を付与するために利用することのできるサブモノマー合成方法が知られている。その結果、ペプトイドは高度且つ精密に調整可能である。さらに、それらはプロテアーゼ耐性であり、熱およびカオトロピック変性に抵抗する両親媒性ヘリックスを形成するように設計することができる。
それらの有望性にもかかわらず、これらの物質が抗菌治療剤としてのそれらの完全な可能性を達成するためには、ペプトイドのさらなる改善が必要とされる。特に、細胞毒性を付随的に増加させることなく、ペプトイドの抗菌効力をさらに改善することが当技術分野で必要とされている。同様に、これらの物質の抗菌効力を付随的に低下させることなく、現存するペプトイドの細胞毒性を低下させるための手段が、当該技術分野において必要とされている。また、特定の病原体に対する既存のペプトイド物質の効力を増大させることができる新規な置換基を有するペプチド模倣物が当該技術分野において必要とされている。さらに、ペプトイドの凝集体形成能を操作する手段が当該技術分野において必要とされており、これは、これらの物質の薬学的有効性に関与し得る。
これらの改善の必要性は、現在の治療に対する多くの病原体の耐性の増大が十分に立証されていることによって強調されている。例えば、近年、メチシリン耐性(methicillin-resistant)のS. pseudintermedius(MRSP)株が世界的に出現している。メチシリン耐性 S. pseudintermediusはすべてのβ‐lactam系抗菌薬に耐性である。この病原体や他の病原体のMultidrug‐resistant(多剤耐性)株も出現しており、現在利用可能なほとんどすべての抗菌薬に耐性を示す。最新の例は、現在のCOVID-19パンデミックをもたらしたコロナウイルスの新規株である。
最近、特定のペプチド模倣物へのフッ素原子の組み込みはこれらの組成物の抗菌活性を改善し得るが、その溶血活性は影響されないことが示された。Molchanova N、Hansen PR、Damborg P、Franzyk H、"Fluorinated antimicrobial lysine‐based peptidomimetics with activity against methicillin resistant Staphylococcus pseudintermedius"、J Pep Sci 2018;e3098 (Molchanova et al.).を参照されたい。特に、特定のペプチド模倣物のフッ素化は、グラム陽性細菌に対するこれらの物質の活性に対して顕著な効果を有することが見出された。しかしながら、他のハロゲンを抗菌性ペプトイドに導入する効果はあまり探求されていない。
本研究者らは、ハロゲン化ペプトイドのライブラリーを合成することによってこの問題に取り組んできた。これらのペプトイドは1個以上のフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素原子を含み、フェニル環の4位におけるハロゲン置換の長さおよびレベルによって変化する。これらの物質において、不活性モデルペプトイドのハロゲン化とその抗菌活性の増加との間に明確な相関が観察された。
その結果、いくつかの既知のペプトイドおよびそれらのより短い対応物の塩素化および臭素化類似体が生成された。より短い臭素化類似体は黄色ブドウ球菌に対する活性において顕著な改善(最大32倍)を示し、同様に大腸菌および緑膿菌に対する活性において有意な改善(16~64倍)を示した。多くの場合、これらの有効性の改善は、細胞毒性の減少も達成しながら達成された。
理論に束縛されることを望まないが、ハロゲン置換の生物学的効果は得られる化合物の相対的疎水性および自己集合特性に関連すると考えられる。小角X線散乱(SAXS)は、自己集合構造が(a)ハロゲンのサイズ、(b)ハロゲン化ペプトイドにおける置換度、および(c)ペプトイドの長さに依存することを示唆する。以下により詳細に記載されるように、これらの特徴は、これらのペプトイドの活性と相関している。
II.概要
抗菌薬耐性(antibacterial resistance)の急速な出現と広範な分布は、ヒトの健康に対する最も深刻な世界的脅威の一つとして認識されている。[1-4] 臨床使用されているほとんどの抗生物質は、グラム陽性またはグラム陰性スーパーバグによる感染症の例の治療にあまり効果がないようになってきている。[5-6]結果として、これらの病原体を治療するために利用され得る新規な抗生物質または代替的な治療薬が、当該技術分野においてますます必要とされている。
抗菌ペプチド(AMP)はほぼ全ての生体の自然免疫系の必須部分であり、細菌感染と闘う上で未だ有望な治療戦略と考えられている。[7]AMPは最近、多くの病原体における抗菌薬耐性の増加とそれに伴う新しい抗生物質の必要性にともなってより注目されている。その結果、36種類の異なるAMPが現在、様々な感染症に対して臨床試験を行っている。[8]しかしながら、AMPの実際の適用は、これらの物質の迅速なインビボ分解および全身毒性に関する問題によって制限される。現在、これらの材料の製造コストも法外である。[9]
ポリ-N-置換グリシン(ペプトイド)は、側鎖がα-炭素ではなく主鎖アミド窒素に結合しているペプチド模倣物の部類である[10]。抗菌性ペプトイドは、2003年に最初に開発された(Patch JA、Barron AE、"Helical peptoid mimics of magainin-2 amide”、Journal of American Chemical Society 2003, 125: 12092-12093を参照のこと)。過去20年間にわたり、種々の抗菌性ペプトイドが産生されてきた。これらの物質の多くは、インビボでそれらの安定性および抗菌活性を維持することが見出されている。[11]
4000を超えるハロゲン化化合物が天然源から単離されている。この多様なグループの天然産物は、抗癌および抗菌特性を含む広範囲の生物学的活性を示す。[12-13]しかしながら、最近まで、ハロゲン原子を含有するペプチドおよびペプチド模倣物の抗菌特性を確認することに払われた注意は限られてきた。現在まで、フッ素化は最も興味深いものであるが、フッ素化と抗菌活性との間の関連を調べる研究は決定的な結果をもたらさなかった。
例えば、マガイニンおよびブフォリンへのヘキサフルオロイシンの導入は、それらの低い溶血特性を保持しながら、これらの物質に増強された抗菌活性を付与することが見出された。同様に、フッ素原子およびトリフルオロメチル基の存在は、短いカチオン性ペプチドの効力を改善することが見出された。[14-16]対照的に、ヘキサフルオロロイシンのプロテグリン類似体への組み込みはこれらの類似体の効力の減少をもたらし、一方、フッ素化された尾部を有するリポペプチド変異体は中程度の抗菌活性および顕著な溶血特性のみを実証した。[17-18]
最近、Molchanovaらは、ペプチド模倣物配列へのフッ素原子の導入とグラム陽性菌に対するこれらの物質の抗菌活性の増加との間の関連を報告した。この抗菌活性の増加は、溶血特性に悪影響を及ぼすことなく達成された。[19-20]同様に、バンコマイシンおよびサリノスポラミドAの両方は、それらの抗菌活性を達成するために1~2個の塩素置換基の存在を必要とすることが見出されている。[21-22]
Jiaらは、ハチミツペプチドJelleine‐1へのフッ素、塩素、臭素およびヨウ素の導入(ハロゲン置換フェニルアラニンを介して)がプロテアーゼ安定性の改善につながることを見出した。フッ素化類似体の1つは親ペプチドと同様の抗菌活性を示したが、塩素化、臭素化およびヨウ素化類似体はインビトロで2~8倍の活性増加を示した。[23]興味深いことに、インビボでは塩素化バージョンおよび臭素化バージョンがより強力な効力を示したが、ヨウ素類似体のインビトロ抗菌活性は最も高かった。
抗生物質NAI-107の塩素化変異体および臭素化変異体の両方がより高い抗菌活性を示したが、臭素化変異体がわずかに高い効力を示した。[24]
12量体ペプトイド1[H-(NLys-Nspe-Nspe)4-NH2]は広範囲の抗菌活性を有する十分に研究された有望な抗菌性ペプトイドの例であるが、インビトロでは比較的高度の細胞毒性を示す(しかし、ペプトイド1は試験され、インビボで黄色ブドウ球菌に対して腹腔内で合理的に十分に耐性であることが見出されていることに留意されたい)。Czyzewskiら(2016) In Vivo, In Vitro, and In Silico Characterization of Peptoids as Antimicrobial Agents, PLoS ONE, 11(2): e0135961doi:10. 1371/journal.pone.0135961. PMCID: 26849681を参照のこと。ペプトイド1の構造を変えて抗菌力を高める最近の試みも報告されている。しかしながら、ペプトイド1のNspe単位へのフッ素または塩素原子の組み込みは、この化合物の抗菌プロフィールの有意な改善をもたらさないことが見出された。[25]
ペプチドまたはペプトイドの化学構造へのハロゲンの導入は一般に、これらの分子の疎水性を増加させることが知られている。[26]これは、増大した疎水性相互作用によって駆動される、超分子ナノ構造への立体配座変化および自己集合をもたらし得る。抗菌活性と自己集合との間の相関は文献において広範に議論されており、ここで、抗菌特性および全体的な毒性への影響は両方向に傾く。[27-28]例えば、Xuと共同研究者らは、抗菌活性の増加と、定義された超分子ナノファイバーの自己集合との間の関連を見出した。一方、Chu-Kungと共同研究者らは、脂肪酸結合ペプチドが抗菌活性の低下を示す傾向が明らかであることを見出した。[29-30]抗菌性ペプトイドは、折り畳まれて二次構造を形成する傾向が有意に少なく、ペプトイドの抗菌効力に対する自己集合の効果に向けられた研究はないようである。
ハロゲン化ペプトイドの構造活性調査を以下に記載する。本研究の目的は、(a)ハロゲン化ペプトイドがナノ構造に自己集合する能力、および(b)ハロゲン化ペプトイドの抗菌活性に及ぼすハロゲンの性質およびハロゲン置換の量の効果を確認することであった。ペプトイド1の足場およびその反復配列要素へのハロゲン原子の組み込みもまた、このペプトイドの抗菌活性を増加させるか、または細胞毒性を調節する試みにおいて調査された。
III.結果と考察
36個のペプトイドのセットを、長さ(6-、8-、10-、12-mer)およびハロゲン置換(完全または交互)のレベルで変化する交互のNLysおよびNpm単位を含む足場を用いて合成した。ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)を4位のフェニル環を介して導入し、サブモノマー法を用いて合成した(図2参照)。
36個のペプトイド全てを7つの細菌株に対して試験した。その内訳は、グラム陽性菌5株(Staphylococcus aureus ATCC 25923及びATCC 29213、メチシリン耐性Staphylococcus aureus USA 300、メチシリン耐性Staphylococcus epidermidis ET-024及びATCC 51625)及びグラム陰性菌2株(Escherichia coli ATCC 25922及びPseudomonas aeruginosa PA01)であった(表1参照)。非ハロゲン化ペプトイドは、選択された細菌株に対して効力を示さなかった。したがって、化合物1、10、19および28(それぞれ、6mer、8mer、10merおよび12mer)は、不活性コントロールを表す。
表1:ハロゲン原子を含む第一世代ペプトイドの最小阻害濃度(μg/mL)
Figure 2022532317000005
36の化合物は、それらの長さに従って4つのセットに分割される。各セットは置換されていないコントロール、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素で完全に置換されたペプトイド4個、および4個の「半置換」ペプトイド(1つおきのフェニル環が、ハロゲン原子で置換されている)を含む。
ハロゲン化は、大腸菌または緑膿菌のいずれに対しても、これらのペプトイドの活性に影響を及ぼさないことがわかった(表1参照)。しかしながら、全てのセットにわたって、グラム陽性株に対する抗菌活性、置換のレベル、およびハロゲンの性質の間に明確な相関が観察された。完全ハロゲン化ペプトイドは、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の野生株および耐性株に対する活性が大幅に高まったことが示された。興味深いことに、6量体(化合物2~5)および8量体(化合物11~14)における活性はフッ素からヨウ素へと上昇し、後者が最も強力であった。6‐mersでは、わずか3個のヨウ素原子を加えると黄色ブドウ球菌に対して64倍を超える活性増加(MIC:1では>512μg/ml、5では8μg/ml)、MRSEに対して256倍の活性増加(MIC:1では512μg/ml、5では2μg/ml)を示し、8‐mer化合物14は黄色ブドウ球菌に対して同様の活動を示し、MRSEに対して128倍の活性増加(MIC:10では256μg/ml、14では2μg/ml)を示した。しかしながら、完全に置換された10量体(化合物20~23)および12量体(化合物29~32)セットへと進むにつれて、抗菌傾向は失われ;特に、ヨウ素原子を有する化合物は、それらの塩素化および臭素化類似体と比較して、黄色ブドウ球菌および多剤耐性表皮ブドウ球菌の両方に対してより低い効力を示した。非置換のコントロールペプトイドと比較して、10量体の臭素化は黄色ブドウ球菌に対する活性を256倍を超えて上昇させ、黄色ブドウ球菌に対する活性を128倍上昇させた(黄色ブドウ球菌: MIC 19では > 512μg/mL;22では2μg/mL; MRSE: MIC 19では128μg/mL;22では1μg/mL)。対照的に、臭素化12量体類似体は、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の両方に対して類似またはより低い活性を示した。
「半置換」セットは類似の傾向下で低下したが、概して類似またはより低い効力を示した。興味深いことに、臭素を有する半置換ペプトイドは、それらの完全に置換された類似体に匹敵する活性を示した。例えば、化合物26は、完全に置換された類似体(化合物22)について1~4μg/mLであるのに対して、1~8μg/mLの間のMICを示した。
予想されたように、ペプトイドの疎水性はハロゲン原子の添加と共に増加し、フッ素はそれほど顕著でない効果を示したが、ヨウ素の取り込みは顕著に高い疎水性プロフィールをもたらした。並行して、ペプトイドの抗菌活性は十分に確立された相関となり、ここで、増加した疎水性は、増加した抗菌活性を導いた。しかしながら、ある疎水性閾値が満たされた場合(例えば、化合物23および32について)、活性は失われた。この現象は、他のペプチド/ペプトイド研究において以前に観察されている。[31-32]全体として、ハロゲン原子の導入は、疎水性の増加およびグラム陽性細菌に対する抗菌活性の増加をもたらすことが見出された。しかし、疎水性のある閾値を超えると、ペプトイドの活性は減少し始める。
VI.材料・方法
以下の材料および方法論を、本明細書に記載の実施例において利用した。
1.一般情報
出発物質および溶媒は商業的供給業者(アイリスバイオテック、シグマアルドリッチ、およびメルク)から購入し、さらに精製することなく使用した。分析用および分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に使用した水を、0.22μmミリポアメンブレンフィルターを通して濾過した。
化合物1~48について、純度はWaters 717 plus Autosampler、In-line Degasser AF、600 Controller、および2996 Photodiode Array Detectorを使用して分析用HPLCによって決定した;使用したカラムはWaters Symmetry C18、5μm、4.6mm×250mmであった。0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を添加したアセトニトリル(MeCN)水溶液グラジエント(溶離液A:5:95 MeCN‐H2 O + 0.1% TFA、溶離液B:95:5 MeCN‐H2 O + 0.1% TFA)を採用した。試験した化合物はすべて、少なくとも95%の純度を有していた。分取HPLCはWaters XSelect Peptide CSH C18 OBDTM、5μm、19mm ×250mmカラム、および分析用HPLCと同じ溶離液を用いて行った。高分解能質量分析装置(HRMS)スペクトルはエレクトロスプレーイオン化源および四重極および飛行時間型MS検出器を備えたWaters QTOFプレミア質量分析計を使用することによって得た。
化合物49-51、pepl-6merおよびPeptoid 1については生成物純度を、Acquity Diode Array UV検出器およびWaters SQD2質量分析計を備えたWater Acquity UPLCシステムを用いた分析用UPLC/MSによって決定した。固定相として、Acquity UPLC BEH C18 VanGuard pre-column(1.7μm、2.1mm×5mm)を有するWaters Acquity UPLC Peptide BEH C18カラム(孔径300Å(オングストローム)、粒径1.7μm、2.1mm×100mm)を使用した。分取HPLCによる精製はWaters 2489 UV/Visable検出器およびWaters Fraction Collector IIIコレクターを備えた、Waters Prepl50LCシステムを用いて行った。固定相として、Waters XBridge Peptide BEH300 C18 VanGuardカラム(5μm粒径、19mm ×100mm)を有するWaters XBridge BEH300 Prep C18カラム(粒径5μm、19mm×10mm)を用いた。
2.ペプトイドの一般的合成
全てのペプトイドはサブモノマー法に従って、リンクアミドレジン(Novabiochem、0.65mmol/g)上にて手動で合成した。[10]合成後、オリゴマーを切断し、トリフルオロ酢酸(TFA)/トリイソプロピルシラン/水(95:2.5:2.5(体積比))中で30分間脱保護した。
3.最小発育阻止濃度の測定
細菌増殖阻害は臨床検査標準研究所によるブロス微量希釈を用いて決定した。[37]黄色ブドウ球菌 ATCC 25923、ATCC29213及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌USA 300、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌 ATCC 51625、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌ET-02438、緑膿菌 Pa01(H103)及び大腸菌ATCC 25922を産生するバイオフィルムに対するペプトイドの抗菌活性が検討された。寒天プレート上で37℃で18時間増殖させた細菌を、Mueller‐Hinton培地II(MHB II)中で~1×108 CFU/mLに希釈した。ポリプロピレン96 U‐wellマイクロタイタープレート(CorningTM 3897; ThermoFisher Scientific、Roskilde)中で5×105 CFU/mLの最終濃度を達成するために、MHB II中のペプトイドの2倍連続希釈液にバクテリアを接種し、その後、外気中で37℃で18時間インキュベートした。MIC値は、目に見える細菌増殖を示さない最低濃度として決定した。実験は異なる日に2回(技術的に3回)行った。
4.X線小角散乱
10量体ペプトイドのSAXS実験を、フランス、グレノブルのEuropean Synchrotron Radiation Facility(ESRF)の自動BM29 bioSAXSビームラインで行った。[39]12.5 keVのエネルギおよび2.87mの検出器間隔を用いて、約0.0047Å-1~0.5Å-1のqレンジ(q=4π sin(θ/2)/λ、ここでθは散乱角であり、λはX線波長である)をカバーして得られた。データセットは水を一次標準として、絶対強度スケールに較正した。サンプル(40μL)を、自動化サンプルチェンジャーのフローモードを使用してキャピラリーに通した。[40]SAXSデータは放射線損傷をモニターするために、それぞれ0.5秒の連続する10フレームで収集され、データ減少はBM29の標準ツールを使用して行われた[41]
化合物のCACを決定するための完全ヨウ素化6-、8-、および12-merに関するSAXS実験はマイクロフォーカスX線源(Iμs Cu、Incoatec、Germany)およびVÅNTEC-2000検出器を備えたBruker NANOSTARを用いて行った。1.54Åの波長をもつ散乱ベクトルの関数としての1D散乱強度プロファイルを得るために、水を一次標準として用いて生の散乱データを絶対強度スケールに較正し、半径方向に平均した。化合物23および化合物19の2つの濃度もまた、結果がESRFでのシンクロトロンSAXSからの結果と同等であることを検証するために、NANOSTAR上で試験した。
5.細胞培養
不死化ヒトケラチノサイト(HaCaT)細胞株(ビスペブジェルグ病院のデイビッドグラムナイムからのギフト)を、標準条件下(37℃で5% CO2/95% O2)で21~25時間増殖させた後、~90%コンフルエンスまで培養した。細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地中で培養した。全ての培養培地にペニシリン(100IU/mL)とストレプトマイシン(100μg/mL)を添加した。全ての細胞培地およびサプリメントはSigma-Aldrich(StLouis、MO、United States)から入手した。96ウェルプレートはCorning Costar(Sigma-Aldrich、Brondby、Denmark)から入手した。
6.細胞生存率測定試験
細胞生存率評価は以前に記載されたようなMTS/PMSアッセイを使用して、96ウェルプレート中で~90%コンフルエンスまで増殖させた細胞単層について実施した。[42]簡単に述べると、接着した細胞を37℃のPBS溶液(ThermoFisher Scientific、Roskilde)で洗浄し、細胞株の培養にも使用した培地に溶解した100μLのペプトイド(0~1000μg/mLの範囲の濃度)に37℃で1時間曝露した。次いで、細胞を37℃のPBSで2回洗浄した。培地(240μg/mL MTS(Promega、Madison、WI、United States)および2.4mg/mL PMS(Promega、Madison、WI、United States)からなる)中のMTS/PMS溶液の100μLアリコートを細胞に添加し、次いで、光から保護しながら37℃で1時間インキュベートした。プレートリーダー(SpectraMax i3X; Molecular devices、San Jose、CA)を用いて492nmでの吸光度を測定した。相対生存率は陽性コントロールとして0.2%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を使用することによって計算し、一方、試験化合物を含まない培地に暴露した細胞を陰性コントロールとして使用した。データは3つの独立した生物学的複製において得られ、これらは、細胞の別々の継代および別々の日に、合計6つの複製について実施された。
7.SAXSからのデータの理論モデル化
a.繊維様クラスターを有するランダムポリマー様鎖
正確かつ詳細な構造情報を抽出するために、純粋なペプトイド鎖についてのSAXSデータを、以下の式1を使用して、a<b<c(cは繊維の長さであり、aおよびbは断面のXおよびY方向である)の寸法によって特徴付けられる自由鎖(free chain)および長方形繊維の組み合わせを使用して分析した:
Figure 2022532317000006
(式1)
[43]。ここで、φはポリマーの体積分率、Vpはポリマーの体積であり、Δρは過剰散乱長密度であり、fchainは自由鎖の分率である。Np(各シート中のペプチドの平均個数)は、Np=abc/Vpで定義される。Pchain(q)は、ガウス鎖についてのデバイ式によって与えられる自由ペプトイド鎖の形状ファクタである:
Figure 2022532317000007
(式2)
ここで、Rgはペプトイド鎖の半径回転である。
ペプトイドシートの長さがそれらの横方向寸法よりもはるかに大きい(すなわち、c >> a、b)と仮定すると、形状ファクタPsheet(q)は次式で与えられる:
Figure 2022532317000008
(式3)
ここで、振幅は次式で与えられる
Figure 2022532317000009
(式4)

Figure 2022532317000010
(式5)
ここで、
Figure 2022532317000011
b.溶液中の自己集合ペプチド:ペプチド円筒バンドルモデル
バンドルに含まれる各ペプトイドは、次式で与えられる単純な中実円筒として近似される:
Figure 2022532317000012
(式6)
ここで、Lは円柱の全長、Rは半径、αは運動量伝達ベクトルqとLに平行な円柱軸との間の角度である。J1は、1次ベッセル関数である。平行円筒からなるバンドルに対する散乱を記述する形状ファクタは、OsterとRileyによって与えられる式を用いて計算できる:
Figure 2022532317000013

(式7)
ここで、J0はゼロ次ベッセル関数であり、dijは異なるシリンダの中心間の距離である。上記の式は、原則として、シリンダの任意の集合および数について評価することができる一般的な式を与える。ここでは、四辺形の円柱バンドルが利用されており、このとき各角に各円柱の中心が位置する正方形にバンドルが配置されていると仮定する。よって、すべてのシリンダ間距離は、d=√8fRである対角距離を除いて、d=2fRであり、式中、fはシリンダ間の距離を調整する膨張係数である。式7は形状ファクタ、P(q)cylに関して書き換えることができ、構造ファクタ
Figure 2022532317000014
は次のようになる:
Figure 2022532317000015
(式8)
最高濃度のいくつかで見られるペプトイドバンドル間の相互作用は、構造ファクタによって与えられるポリマー参照相互作用部位モデル(PRISM)からの表現を用いてモデル化することができる[44]:
Figure 2022532317000016
(式9)
ここで、νは除外された体積の尺度であり、c(q)は無限に細いロッドの形状ファクタである[45]:
Figure 2022532317000017
(式10)
強度の総表現は、次式で与えられる:
Figure 2022532317000018
(式11)
ここで、faggはバンドルに集合したペプトイド鎖の割合であり、φCAC=φ-(fagg *φ)からCACの計算を可能にする。
C.溶液SAXSの結果におけるペプトイドのナノ構造
図18は示された濃度においてESRFで測定された全ての10量体についての完全なSAXS結果を、モデルフィットと共に示す(化合物19-21および24-27は繊維様クラスターモデル(式1)を有するランダムポリマー様鎖を使用してフィットされたが、化合物22および23はバンドルモデル(式6)を使用してフィットされた)。フルフィットパラメータを以下の表2~3に示す。
表2:10量体についてのフルフィットパラメータ
Figure 2022532317000019
表3:長さの増加に伴う完全ヨウ素化ペプトイドに対するフルフィットパラメータ
Figure 2022532317000020
例1
この実施例は、溶液中のペプトイド自己集合に対するハロゲン置換の効果を示す。
長さ、ハロゲン基の大きさおよび置換度の変動の影響をさらに理解するために、これらの化合物のナノ構造を、小角X線散乱(SAXS)を用いて詳細に研究した。結果を図3に描写する。
SAXSは、これらのペプトイドがナノ構造に自己集合するか、または代わりに水溶液中に単一分子として存在するかどうかの決定を可能にする。[33-36]さらに、詳細な理論的モデリングによって、この技術は、分子量および形状の正確な推定、ならびにペプトイド集合体の全体的な物理的構造の推定を可能にする。結果は観察された構造が種々のペプトイドの長さおよび疎水性に依存することを明らかにし、それらのいくつかについて、定義されたナノ構造への自己集合が観察された。散乱強度は散乱ベクトルの係数、q=4πsin(θ/2)/λの関数としてプロットされる。ここで、λはX線の波長であり、θは散乱角である(図3参照)。1/qは長さのディメンジョンを有し、量は一種の「測定スティック」を表し、低qでは大きな構造がプローブされ、高qではSAXSはより局所的な構造に敏感であることに留意されたい。
10量体(化合物19~27)については、完全に臭素化されたペプトイドおよび完全にヨウ素化されたペプトイド(それぞれ化合物22および23)についての散乱曲線が残りの10量体と比較して有意に高い強度および異なる形状を示した(図3Aおよび3Bを参照のこと)。後者はランダム(ガウス)鎖について典型的なポリマー様散乱パターンを示したが、低qでの上昇はより大きな構造または凝集体の小部分を明らかにした。上昇部分はプレート状のファイバーを示す~q-2のべき乗法則に従い、通常は~q-4 のべき乗法則に従う大きな凝集体はない。自由鎖および長方形繊維の組み合わせを有するモデルを用いたこれらのデータのフィット解析結果は、7~9Åの自由鎖の回転半径(Rg)およびわずか0.001~0.0005%の繊維様シートの小さいモル分率をもたらした(フィットパラメータの完全なリストについてのサポート情報表2を参照のこと)。
完全に臭素化されたペプトイドおよび完全にヨウ素化されたペプトイド(それぞれ化合物22および23)の散乱は低qでは同じ上昇を示さず、したがって、中間および高qでの全体的な形状は上記のフィットモデルでは説明できなかった。その代わり、散乱強度は低qで平坦なq依存性を示し、離散的でより小さいナノ構造を示した。両方の化合物からのデータは、折り畳まれた/らせん単位を表す円筒が三量体/四量体バンドルに組み立てられるバンドルモデルを用いて分析することができる。[34]両方の系の5~0.6mg/mLの濃度範囲の散乱を同時に分析し、得られたフィットパラメータを表2に列挙する。フィット分析はまた、自己集合構造についての臨界凝集濃度(CAC)を明らかにし、完全臭素化および完全ヨウ素化ペプトイド(それぞれ化合物22および23)について2.3mg/mLおよび0.5mg/mLのCAC値を示した。(図17参照)。化合物23の低いCAC値は、より多くのペプトイドがバンドルに「結合」され、モノマーとしての(おそらく)活性な形態での利用可能性がより少ないので、完全ヨウ素化10量体および12量体について観察された抗菌活性の喪失の説明を提供し得る(表1を参照のこと)。
完全に臭素化された化合物22の場合、CACはMIC値よりも高いことが見出され、従って、細菌と相互作用し得る自由ペプトイド鎖の有意な画分が依然として存在するので、活動に影響を及ぼさない。
完全ヨウ素化化合物23についてはCACはるかに低く、自由単量体ペプトイドの利用可能性を劇的に低下させる可能性が最も高いことが見出され、これはこの化合物の抗菌活性の低下を説明するものである。冒頭で論じたように、同様の傾向がChu-Kung A.および共同研究者らによって見られた。彼らは、彼らのペプチド系における自由鎖のMICに近いCACが、我々が化合物23について観察したのと同じ方法で抗菌活性の欠如をもたらすと結論した。[29]
例2
この実施例は、疎水性がペプトイドの自己集合特性に及ぼす効果を示す。
10量体(化合物23)から生じる低いCAC値が観察されたMICデータの説明を提供するかどうかをさらに判定するために、完全ヨウ素化ペプトイドの6量体、8量体および12量体(それぞれ化合物5、14、23、32)について調べた。結果を図3に示す(フィットパラメータについては表3を参照のこと)。フィット分析から、完全ヨウ素化6量体化合物5について2.8mg/mlのCACが観察されたが、8量体化合物14について1.4mg/mlのCACが観察され、12量体化合物32について0.4mg/mlのCACが観察された。
これらの結果は、非常に短い長さであっても、これらのペプトイドはそれらの高い疎水性のために自己集合することを示し、これは表1の保持時間から明らかである。しかしながら、検出されたCACは、ペプトイドの長さと依然として高度に相関している。特に、6量体および8量体のCACは、これらの化合物についてのMIC値よりも低く、したがって、CACとMICとの間の明確な関連は確立され得なかった。これは、このような相関を見出したChu-Kung A.および共同研究者らによって研究された脂肪酸結合ペプチドとは対照的である。[29]したがって、10-量体および12-量体について見られる活性の減少はそれらの疎水性の増加に関連しているようであり、自己集合特性自体よりも内部に留まる閾値があることを示す。しかし、観察された傾向を十分に説明するためには、ペプトイドの活性および毒性を伴う疎水性および自己集合の結果についてのさらなる研究が必要である。
例3
この実施例は、ハロゲン化がペプトイドの抗菌効力に及ぼす効果を示す。
既知のペプトイドの抗菌効力を改善するためのツールとしてハロゲン置換を使用できるかどうかを調べるために、よく研究されているペプトイド(ペプトイド1)の塩素化および臭素化類似体の2つの小さなライブラリーを合成した(これらのハロゲン化類似体はフッ素化類似体と比較して全体的により高い効力を示し、ヨウ素類似体は、凝集および活性の喪失に関する懸念を提起した)。両方のハロゲン原子は、フェニル環上の4位のNspe単位を介して導入された。置換のレベルは、完全置換(すべてのフェニル環はハロゲン原子を有する)と「半」置換(1つおきのフェニル環はハロゲン原子を有する)との間で変化した。このストラテジーは、図4に描かれているペプトイド1の6つのクロロ-および6つのブロモ修飾バージョンをもたらした。
12の化合物(化合物37~48)のライブラリーを、ペプトイドの第1世代と同じ細菌株のパネルに対して試験した。しかしながら、修飾のいずれも効力の増加をもたらさなかったが、大部分は活性の損失を引き起こした(下記の表4を参照されたい)。長いHPLCの高い保持時間から判断すると、これは、臨界疎水性レベルに達し、これが、化合物23および32で観察されたものと同様の凝集および活性の喪失を引き起こしたという事実によって説明され得る(特に、最も高い活性はより低い保持時間を有する化合物について観察された)。興味深いことに、化合物38および40~42は同じ数の塩素原子を有するが、それらの疎水性はわずかに異なる。臭素化誘導体(化合物44および46~48)については、この効果はさらに顕著であった。これは、ペプトイド鎖を横切るハロゲン原子の均一な分布が、ペプトイド配列の末端または中央に位置する塩素原子または臭素原子を割り当てることと比較して、より高い疎水性をもたらすことを示す。
表4:ペプトイド1の塩素化および臭素化類似体のMIC(μg/mL)
Figure 2022532317000021
例3
この実施例は、ペプトイド1の非活性短鎖類似体(Pep1-6量体)の抗菌活性に対するハロゲン化の効果を示す。
保持時間の増加した値から分かるように、疎水性は、ペプトイド、ペプトイド1の配列へのハロゲンの導入の間に頭打ちとなった(表4を参照のこと)。従って、ペプトイド1の長さを12から6残基に短くする(その長さを半分に切断する)効果を調べた。この目的のために、4つの類似体の小さなライブラリーを、異なるハロゲン化レベルで合成した(図4を参照のこと)。表3および4から分かるように、フッ素の導入は所望する活性の増加をもたらさなかったが、臭素化は塩素化よりも疎水性に対してより顕著な効果を有し、ヨウ素含有ペプトイドによって示されるものと同様であった。従って、ヘプトイド1の3つの臭素化短ペプトイド類似体(化合物49-51)および1つの非ハロゲン化ペプトイドPep1-6量体を合成し、以前のペプトイドと同じ細菌株に対して試験した。得られたデータを以下の表5に示し、ここで、新しいデータセットを元のペプトイド(ペプトイド1)データと比較する。
表5:短い臭素化ペプトイドペプトイド1類似体のHaCaT細胞株に対するMIC(μg/mL)およびIC50(μg/mL)
Figure 2022532317000022
化合物49は1個の末端臭素のみを有し、化合物50は2個の臭素原子を有する。化合物51では、4つのフェニル環全てが臭素原子で置換されている。2つの臭素原子のみの添加は、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の両方に対して、非活性な短い類似体、Pep1-6量体の活性を16~32倍改善するのに十分であった。2つの追加の臭素置換基の取り込み(合計4つとなる)は、活性に有意な影響を及ぼさなかった。一方、抗菌活性の数倍の増加を与えるには、一つの末端ハロゲン原子の添加で既に十分であった。以前のデータ(ハロゲンの導入がグラム陰性菌に対する活性を改善しなかった)とは対照的に、この場合、2つの臭素の添加は、元のペプトイド(Peptoid 1)の活性に近い緑膿菌に対するMICを得るために十分な疎水性を与え、Pep1-6量体と比較して大腸菌に対する活性の増加が32倍に達した。
ハロゲンの取り込みは不活性ペプトイドの活性を改善することが見出されたので、得られた化合物の細胞毒性プロフィールを調べた。ペプトイド1、Pep1-6量体および3つの臭素化類似体を、HaCaT細胞株に対して1時間試験した。結果は、MTS/PMSアッセイを用いて得られた(図5、表3参照)。
ハロゲン原子の数と、それに対応する細胞毒性の増加との間に明確な傾向が観察された。しかしながら、化合物50はペプトイド1と同じ抗菌活性プロフィールを示したが、それは細胞毒性が低く、IC50は146.9μg/mLであったのに対し、後者では35.0μg/mLに過ぎなかった。化合物50および51が類似の活性および疎水性プロフィールを示したが、最初の結果はペプトイド1と比較した場合、臭素化類似体の減少した細胞毒性を示す。
V.結論
前述の実施例は、ペプトイドの抗菌活性に対するフッ素、塩素、臭素およびヨウ素置換の効果を実証する。第一に、不活性型(NLys‐Npm)nペプトイド足場を用いて、フッ素化はいかなる顕著な影響も示さなかったが、塩素または臭素の取り込みはグラム陽性菌に対する抗菌活性の向上を提供し得ることが示された。6‐および8‐量体類似体へのヨウ素の導入は活性を劇的に増加させたが、10‐および12‐量体での凝集による活性の喪失をもたらした。Nspe単位を介して塩素原子または臭素原子を組み込むことによってペプトイド1の抗菌効力を改善する試みは、活性の全体的な損失をもたらした。理論に束縛されることを望むものではないが、これは疎水性限界に達したことを示唆している。しかし、ペプトイド1のより短い不活性6量体類似体の臭素化はいくつかの細菌に対して12量体ペプトイド1と同じ活性をもたらし、同時に、その細胞毒性プロフィールを顕著に改善した。
前述のことはハロゲン化(および特に臭素化)がペプトイドの物理化学的および抗細菌特性を容易に改変および変更するために使用され得るが、その効果はハロゲンの選択に強く依存することを実証する。さらに、この効果は配列特異的および長さ特異的であり、ハロゲンの含有はまた、抗菌活性を低下させ得る。
VI.その他
本明細書に記載の組成物は、様々な方法でハロゲン化することができる。例えば、これらの化合物は、同じまたは異なるハロゲンでの任意の数のハロゲン置換を含み得る。特に、これらの化合物は1つ以上のフルオロ-、クロロ-、ブロモ-またはヨード置換を含むことができ、2つ以上の別個のハロゲンによる置換を含むことができる。しかしながら、多くの用途において、1つまたは2つのブロモ-またはクロロ-置換の使用が好ましい。さらに、本明細書中に記載されるペプトイドは種々の位置でハロゲン化され得るが、ペプトイド含有アリール環上のパラハロゲン化が多くの用途において特に好ましいが、オルト置換およびメタ置換、または過ハロゲン化さえも、いくつかのアプリケーションにおいては有用であり得る。
本明細書中に記載されるハロゲン化組成物はまた、アルキル化され得、好ましくは末端アルキル化を有する。ここで、C10またはC13テールによるアルキル化(および特に末端アルキル化)が特に好ましい。このような末端アルキル化はペプトイドの抗菌活性を劇的に増強することができ、場合によっては、そうでなければ低い抗菌活性を有するペプトイドに有意な抗菌活性をもたせ得ることが見出された。
本明細書に記載の組成物および方法論におけるポリ-N-置換グリシン化合物の使用が好ましい。好ましくは、これらのポリ-N-置換グリシン化合物は次式を有するポリ-N-置換グリシンである
Figure 2022532317000023
式中、
Aは末端N-アルキル置換グリシン残基、
nは整数、
BはNH2、1個および2個のN置換グリシン残基からなる群より選択され、前記1個および2個のN置換グリシン残基は、天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログから独立して選択されるN-置換基を有し、
X, YおよびZはN-置換グリシン残基からなる群から独立して選択され、前記N-置換基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基からなる群から独立して選択され、A、B、X、YおよびZのうちの少なくとも1つはハロゲン含有部分を含む。アルキル置換基は好ましくは約C4~約C20の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択され、nは好ましくは1~3の範囲内の数値を有する。好ましくは、前記X、YおよびZ残基の少なくとも1つはNLys であり、少なくとも1つの前記N-置換基はキラルである。好ましくは、YおよびZの少なくとも一方がプロリン残基である。さらに好ましくは、Aが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、ここで、アルキル置換基はC6~約C18の直鎖状アルキル部分からなる群より選択され、ここで、BはNH2であり、そしてnは1または2である。いくつかの実施形態において、Aは末端N-アルキル置換グリシン残基であり、ここで、アルキル置換基は約C6~約C18の直鎖状アルキル部分から選択され、ここで、BはNLys 残基であり、そしてここで、nは1である。いくつかの実施形態では、化合物が6量体または12量体であってもよい。
前述のポリ-N-置換グリシンにおいて、ハロゲン含有部分は例えば、クロロ置換アリール部分、ブロモ置換アリール部分、またはヨード置換アリール部分などのハロゲン置換アリール部分であってもよい。ある実施形態において、各量体はハロゲン置換アリール部分を含有してもよく、一方、他の実施形態において、量体の一部がハロゲン置換アリール部分を含有してもよく、六量体中の量体の一部がハロゲン非含有アリール部分を含有する可能性がある。さらに他の実施形態において、量体の正確に1つは、ハロゲン置換アリール部分を含む。前述のポリ-N-置換グリシンのいくつかの実施形態では、A、B、X、YおよびZのうちの少なくとも2つがハロゲン含有部分を含有し、一方、他の実施形態ではA、B、X、YおよびZのすべてがハロゲン含有部分を含有する。前述のポリ-N-置換グリシンは任意のハロゲンを含むハロゲン置換を含み得るが、塩素、臭素および/またはヨウ素による置換が好ましく、これらのポリ-N-置換グリシン上のアリール部分上のパラハロゲン化が特に好ましい。
いくつかの実施形態において、ポリ-N-置換グリシンは、その少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つの水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって、およびより好ましくはその少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つのパラ-水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって、図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から誘導される化合物であり得る。いくつかの実施形態において、化合物は、その各アリール部分中の1つの水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって、図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から誘導される。前述の実施形態において、少なくとも1つのハロゲン原子は、好ましくは塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのハロゲン原子は、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも第1および第2の別個のハロゲンを含み得る。これらのポリ-N-置換グリシンの特に好ましい実施形態には、以下の化合物(またはその薬学的に許容される塩)が含まれる:
Figure 2022532317000024

本明細書に開示される組成物および方法のいくつかの実施形態は、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つのハロゲンを含有するポリ-N-置換グリシン化合物を利用し得る。ポリ-N-置換グリシン化合物は、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つのハロゲン、好ましくは少なくとも2つのハロゲン、および場合によっては少なくとも4つのハロゲンを含有する。例えば、ポリ-N-置換グリシン化合物は、少なくとも2個の臭素原子または少なくとも2個の塩素原子を含んでいてもよく、または少なくとも4個の臭素原子または少なくとも4個の塩素原子を含んでいてもよい。好ましくは、ポリ-N-置換グリシン化合物は、少なくとも1個のパラハロゲン化アリール基、より好ましくは少なくとも2個のパラハロゲン化アリール基を含有し、場合によっては少なくとも4個のパラハロゲン化アリール基を含有する。特に好ましい態様において、ポリ-N-置換グリシン化合物は、カルボキサミド末端基を含有する。このような化合物は、リンクアミドレジンを介して製造することができる。
本明細書中に記載されるペプトイドは、抗菌性、抗真菌性、ならびにおそらく抗ウイルス性および抗寄生虫性組成物を含む、種々の目的のために利用され得る種々の医薬組成物に組み込まれ得る。本明細書に開示されるシステムおよび方法で利用される医薬組成物は、様々な媒体に溶解、懸濁、または処分され得る1つ以上の活性成分を利用し得る。このような媒体は、例えば、様々な液体、固体、または、エマルジョン、ゲルまたはクリームなどの多状態媒体を含むことができる。このような媒体は、疎水性であってもよいか、または1つ以上のトリグリセリドまたは油を含んでもよい液体媒体を含むことができる。このような媒体としては、植物油、魚油、動物性脂肪、水素化植物油、部分水素化植物油、合成トリグリセリド、変性トリグリセリド、分画トリグリセリド、およびそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらの医薬組成物に使用されるトリグリセリドは、アーモンド油;ババス油;ボラージオイル;ブラッククラントシード油;ブラックシード油;カノーラ油;ひまし油;ヤシ油;コーンオイル;綿実油;マツヨイグサ油;グレープシード油;落花生油;マスタード油;オリーブ油;パーム油;パーム核油;ピーナッツ油;菜種油;ベニバナ油;ゴマ油;サメ肝油;大豆油;ヒマワリ油;水素化ひまし油;水素化ヤシ油;水素化パーム油;水素化大豆油;水素化植物油;水素化綿実油およびヒマシ油;部分水素化大豆油;グリセリルトリカプリレート;グリセリルトリカプレート;トリカプリン酸グリセリル glyceryl tricaprate;グリセリルトリアンデカノエート;トリラウリン酸グリセリル glyceryl trilaurate; glyceryl trioleate;トリリノール酸グリセリル;グリセリルトリリノレートglyceryl trilinolenate;カプリル酸/カプリン酸グリセリル glyceryl tricaprylate/caprate; トリカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸グリセリルglyceryl tricaprylate/caprate/laurate;トリカプリン酸/カプリン酸/リノリン酸グリセリル glyceryl tricaprylate/caprate/linoleate; トリグリセリルトリカプリレート/カプレート/ステアレートglyceryl tricaprylate/caprate/stearate; 飽和ポリグリコール化グリセリド類saturated polyglycolized glycerides; リノール酸グリセリド類linoleic glycerides;カプリル/カプリン酸グリセリド類 caprylic/capric glycerides;h変性トリグリセリド類 modified triglycerides;分画トリグリセリド類 fractionated triglycerides;及びこれらの混合物
からなる群から選択されるものを含むことができる。
ヤシ油の使用が特に好ましい。
種々の脂肪酸が、本明細書中に開示される医薬組成物において利用され得る。これらには長鎖脂肪酸および短鎖脂肪酸の両方が含まれるが、これらに限定されない。このような脂肪酸の例としてはドコサヘキサエン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、酪酸、およびその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中に開示される医薬組成物は、種々の様式で適用され得る。従って、例えば、これらの組成物は、経口、経皮、経粘膜、静脈内または注射処置として、または細胞ベースの薬物送達システムを介して適用され得る。さらに、これらの組成物は、単回用量、複数回用量または制御放出様式で適用され得る。
本明細書に開示される医薬組成物は、錠剤、液体、ゲル、発泡体、軟膏または粉末として製造することができる。いくつかの実施形態では、これらの組成物がマイクロ粒子またはナノ粒子として、エアロゾルまたはスプレーを介して、またはミセルの内部に自己組織化ペプトイドを含有する分散ミセル(全体的に水溶性である)として適用されてもよい。
種々の対イオンが、本明細書中に開示される材料の薬学的に許容される塩を形成する際に利用され得る。当業者であれば、対イオンの特定の選択は、様々な考慮事項によって決定され得ることを理解するのであろう。しかしながら、いくつかの用途では、ナトリウム塩および塩酸塩の使用が好ましい場合がある。一般に、自己集合ペプトイドは最初に、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどの二価対イオンの非存在下で溶解される。
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物は、異なるペプトイド化合物の混合物として製剤化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるタイプの2つ以上のハロゲン化ペプトイドの混合物が形成されてもよい。他の実施形態において、本明細書に記載されるハロゲン化ペプトイドの1つ以上の混合物は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Selective Poly-N-Substituted Glycine Antibioticsと題する米国特許第8,445,632号(Barronら)に記載されるペプトイドを含む1つ以上の非ハロゲン化ペプトイドと共に形成され得る。また、’632特許に開示されているペプトイドのいずれかに対するハロゲン化類似体は、本明細書の教示に従って製造することができることに留意されたい。
種々の環状ペプトイドが、本明細書の教示に従って産生され得る。これらには、すべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,938,321号(Kirshenbaumら)、米国特許第9,315,548号(Kirshenbaumら)、および米国特許第8,828,413号(Kirshenbaumら)に開示されている環状ペプトイドのハロゲン化類似体が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらのハロゲン類似体は1つ以上の環構造上の1つ以上のハロゲンによるハロゲン置換を特徴とし得るが、好ましくはブロモ置換またはクロロ置換類似体を含む。
本明細書中に開示される組成物および方法論は、種々の病原体によって引き起こされる種々の疾患の処置において利用され得る。これらの処置は例えば、肺サーファクタント、コレクチン、ペプチド、ペプトイド、ペプチド模倣物、アミノグリコシド抗生物質、またはワクチンのような、種々の他の薬学的に活性または有効な物質を利用し得る。これらの治療で処置可能な病原体にはウイルス(SARS-CoV-2を含むが、これに限定されない)、細菌(グラム陽性およびグラム陰性細菌を含む)、真菌、および寄生虫が含まれ得る。
様々な用語の病気は、本明細書に開示されている組成及び方法論で処理することができる。真菌分類学のこのような疾患の例としては、アスペルギルス症;カンジダ症;ムコール症;ヒストプラスマ症;ブラストミセス症;コクシジオイデス症;およびパラコクシジオイデス症が挙げられるが、これらに限定されない。細菌学のかかる疾患の例としてはブルセラ症;カンピロバクター感染症;キャットスクラッチ病;クラジミア感染症;コレラ;大腸菌感染症;淋病;クレブシエラ、エンテロバクターおよびセラチア感染症;レジオネラ感染症;髄膜炎菌感染症;百日咳;ペスト;結核菌感染症;シュードモナス感染症;サルモネラ感染症;細菌性赤痢;腸チフス;および野兎病菌;脾脱疽;ジフテリア;腸球菌感染症;エリジペロトリコーシス;リステリア症;ノカルジア症;肺炎球菌感染症;ブドウ球菌感染症;連鎖球菌感染症;ボレリア・ブルグドルフェリ、ベジェル、フランベジア、およびピンタなどのスピロヘータ感染症;レプトスピラ症;ライム病;鼠咬熱;回帰熱;梅毒;放線菌症;バクテロイデス;ボツリヌス中毒;クロストリジウム感染症;および破傷風が挙げられるが、これらに限定されない。ウイルス語源のこのような疾患の例としては例えば、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)およびコロナウィルス感染症(COVID-19);エンテロウイルス感染症、ボルナウイルス感染症;ヘルペスウイルス感染症;サイトメガロウイルス、例えば、HHV6AおよびHHV7、A型肝炎;B型肝炎;C型肝炎、エプスタイン-バーウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV);インフルエンザ;日本脳炎;麻疹、ムンプス、および風疹;ポリオ;狂犬病;ロタウイルス;水痘;帯状疱疹;および黄熱、およびHIV-1型を含む、エンベロープ型RNAウイルスによって引き起こされる感染(例えば、αコロナウイルスおよびβコロナウイルスによって引き起こされるものを含み、具体的には、SARS-CoV-2によって引き起こされるものが挙げられるが、これらに限定されない。寄生虫感染症には、トキソプラズマ原虫およびクルーズトリパノソーマが関与するものがある。

本発明の上記の説明は例示的なものであり、限定することを意図するものではない。従って、本発明の範囲から逸脱しない限り、各種の追加、置換、及び修正を上記の実施形態に行えることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきである。便宜上、特許請求される本発明のいくつかの特徴は、特定の従属請求項または独立請求項に別々に記載されてもよい。しかし、これらの特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせおよびサブコンビネーションで組み合わせることができることを理解されたい。限定ではなく例として、2つ以上の従属請求項の限定を、本開示の範囲から逸脱することなく互いに組み合わせることができる。
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Claims (155)


  1. Figure 2022532317000025
    を有するポリ-N-置換グリシン化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
    Aは末端N-アルキル置換グリシン残基であり、
    nは整数であり、
    BはNH2、1個および2個のN置換グリシン残基からなる群より選択され、前記1個および2個のN置換グリシン残基は天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログから独立して選択されるN-置換基を有し、
    X、YおよびZはN-置換グリシン残基からなる群から独立して選択され、前記N-置換基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基からなる群から独立して選択され、A、B、X、YおよびZのうちの少なくとも1つはハロゲン含有部分を含む、ポリ-N-置換グリシン化合物またはその薬学的に許容される塩。
  2. 前記アルキル置換基が、約C4 ~約C20 の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、請求項1に記載の化合物。
  3. nが1~3の範囲内の値を有する、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記X、YおよびZ残基の少なくとも1つがNLys であり、少なくとも1つの前記N-置換基がキラルである、請求項1に記載の化合物。
  5. YおよびZの少なくとも一方がプロリン残基である、請求項1に記載の化合物。
  6. YおよびZがプロリン残基である、請求項1に記載の化合物。
  7. Aが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基がC6~約C18の線状アルキル部分からなる群から選択され、BがNH2であり、nが1または2である、請求項1に記載の化合物。
  8. Aが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基が約C6~約C18の直鎖状アルキル部分から選択され、BがNLys残基であり、nが1である、請求項1に記載の化合物。
  9. 前記化合物が6量体である、請求項1に記載の化合物。
  10. 前記化合物が12量体である、請求項1に記載の化合物。
  11. 前記ハロゲン含有部分がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項1~10に記載の化合物。
  12. 前記ハロゲン含有部分がクロロ置換アリール部分を含有する、請求項1~10に記載の化合物。
  13. 前記ハロゲン含有部分がブロモ置換アリール部分を含有する、請求項1~10に記載の化合物。
  14. 前記ハロゲン含有部分がヨード置換アリール部分を含有する、請求項1~10に記載の化合物。
  15. 前記6量体中の各量体がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項9に記載の化合物。
  16. 前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン置換アリール部分を含有し、前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン非含有アリール部分を含有する、請求項9に記載の化合物。
  17. 前記6量体中の量体の正確に1つがハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項9に記載の化合物。
  18. 前記6量体中の各量体がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項10に記載の化合物。
  19. 前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン置換アリール部分を含み、前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン非含有アリール部分を含む、請求項10に記載の化合物。
  20. 前記6量体中の最初および最後の量体のみがハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項10に記載の化合物。
  21. A、B、X、YおよびZの少なくとも2つがハロゲン含有部分を含有する、請求項1に記載の化合物。
  22. A、B、X、YおよびZのすべてがハロゲン含有部分を含有する、請求項1に記載の化合物。
  23. 前記化合物が抗菌化合物である、請求項1に記載の化合物。
  24. 請求項1~23に記載の化合物の薬学的に許容される塩。

  25. Figure 2022532317000026
    のポリ-N-アルキル置換グリシン化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
    BはNH2およびX’から選択され;
    NR、X、Y、ZおよびX’はN-置換基を含むN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換グリシン残基の前記N-置換基は天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基から独立して選択され、少なくとも1つの前記N-置換基はハロゲン原子を含み;
    nは整数であり;および
    Rは前記NRグリシン残基のN-アルキル置換基であり、前記置換基は、約C4~約C20の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、ポリ-N-アルキル置換グリシン化合物またはその薬学的に許容される塩。
  26. nが2であり、BがNH2である、請求項25に記載の化合物。
  27. nが1であり、BがX’である、請求項25に記載の化合物。
  28. XおよびX’の少なくとも1つがNLys残基である、請求項27に記載の化合物。
  29. 前記N-アルキル置換基が、約C6~約C18の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、請求項28に記載の化合物。
  30. XおよびX’がNLys残基である、請求項29に記載の化合物。

  31. Figure 2022532317000027
    の請求項30に記載の化合物。
  32. 前記アルキル置換基が、約C4~約C20の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、請求項25に記載の化合物。
  33. nが1~2の範囲内の値を有する、請求項25に記載の化合物。
  34. 前記X、YおよびZ残基の少なくとも1つがNLysであり、少なくとも1つの前記N-置換基がキラルである、請求項25に記載の化合物。
  35. YおよびZの少なくとも1つがプロリン残基である、請求項25に記載の化合物。
  36. YおよびZがプロリン残基である、請求項25に記載の化合物。
  37. Aが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基がC6から約C18の直鎖状アルキル部分からなる群から選択され、BがNH2であり、nが1または2である、請求項25に記載の化合物。
  38. NRが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基が約C6~約C18の直鎖状アルキル部分から選択され、BがNLys残基であり、nが1である、請求項25に記載の化合物。
  39. 前記化合物が6量体である、請求項25に記載の化合物。
  40. 前記化合物が12量体である、請求項25に記載の化合物。
  41. 前記ハロゲン含有部分がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項25~40に記載の化合物。
  42. 前記ハロゲン含有部分がクロロ置換アリール部分を含有する、請求項25~40に記載の化合物。
  43. 前記ハロゲン含有部分がブロモ置換アリール部分を含有する、請求項25~40に記載の化合物。
  44. 前記ハロゲン含有部分がヨード置換アリール部分を含有する、請求項25~40に記載の化合物。
  45. 前記6量体中の各量体がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項39に記載の化合物。
  46. 前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン置換アリール部分を含有し、前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン非含有アリール部分を含有する、請求項39に記載の化合物。
  47. 前記6量体中の量体の正確に1つがハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項39に記載の化合物。
  48. 前記6量体中の各量体がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項40に記載の化合物。
  49. 前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン置換アリール部分を含有し、前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン非含有アリール部分を含有する、請求項40に記載の化合物。
  50. 前記6量体中の最初および最後の量体のみがハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項40に記載の化合物。
  51. NR、X、Y、ZおよびX’の少なくとも2つがハロゲン含有部分を含有する、請求項25に記載の化合物。
  52. NR、X、Y、ZおよびX’のすべてがハロゲン含有部分を含有する、請求項25に記載の化合物。
  53. 前記化合物が抗菌化合物である、請求項25に記載の化合物。
  54. 請求項25~53に記載の化合物の薬学的に許容される塩。
  55. ポリ-N-置換グリシン化合物またはその薬学的に許容される塩であって、前記化合物はN末端N-アルキル置換グリシン残基を含み、前記アルキル置換基が約C4~約C20の直鎖状、分岐状および環状アルキル部分から選択され;C末端はNH2、1および2個のN-置換グリシン残基から選択され、前記N-置換基はα-アミノ酸側鎖部分およびその炭素ホモログから独立して選択され;ならびに、前記N末端とC末端との間の2~約15個のモノマー残基のそれぞれは、プロリン残基およびN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体およびその炭素ホモログから独立して選択され、少なくとも1個の前記モノマー残基はNLysであり、少なくとも1個の前記N-置換基はキラルであり、前記モノマー残基は前記化合物にモノマー残基の非周期配列を提供するように選択され;および前記残基の少なくとも1個は少なくとも1個のハロゲンを含有する、ポリ-N-置換グリシン化合物またはその薬学的に許容される塩。
  56. 前記N末端がN-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基が約C6 ~約C18の直鎖状アルキル部分から選択される、請求項55に記載の化合物。
  57. 前記モノマー残基が、2~5個(X-Y-Z)の非周期的三量体を含む、請求項56に記載の化合物。
  58. 前記三量体の各々における少なくとも1つのX、YおよびZが、3倍の周期性を中断するように選択される、請求項57に記載の化合物。
  59. 前記モノマー残基が少なくとも2つの非連続反復三量体を含み、それらの間に少なくとも1つの残基を有する、請求項57に記載の化合物。
  60. 少なくとも1つの前記三量体中の少なくとも1つのXがNLys残基であり、少なくとも1つの前記三量体中のYおよびZの少なくとも1つがプロリン残基である、請求項59に記載の化合物。
  61. 前記少なくとも1つのハロゲンが、臭素、塩素およびヨウ素からなる群から選択される、請求項55に記載の化合物。
  62. 前記残基の少なくとも1つが、少なくとも1つのハロゲン置換アリール部分を含む、請求項55に記載の化合物。
  63. 前記残基の各々が少なくとも1つのハロゲン置換アリール部分を含む、請求項55に記載の化合物。
  64. 前記残基のいくつかが少なくとも1つのハロゲン置換アリール部分を含み、前記残基のいくつかが少なくとも1つの非ハロゲン化置換アリール部分を含む、請求項55に記載の化合物。
  65. 前記ハロゲン置換アリール部分がパラ置換されている、請求項62~64に記載の化合物。
  66. 前記ハロゲン置換アリール部分が過ハロゲン化されている、請求項62~64に記載の化合物。
  67. 請求項55~66に記載の化合物の薬学的に許容される塩。
  68. 図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から、その少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つの水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって誘導される化合物。
  69. 図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から、その少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つのパラ水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって誘導される、請求項68に記載の化合物。
  70. 図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から、その各アリール部分中の1個の水素原子を少なくとも1個のハロゲン原子で置換することによって誘導される、請求項68に記載の化合物。
  71. 前記少なくとも1つのハロゲン原子が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される、請求項68~70に記載の化合物。
  72. 前記少なくとも1つのハロゲン原子が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも第1および第2の別個のハロゲンを含む、請求項68~70に記載の化合物。
  73. 前記化合物は
    Figure 2022532317000028
    .
    である、請求項68に記載の化合物。
  74. 前記化合物は
    Figure 2022532317000029
    である、請求項68に記載の化合物
  75. 前記化合物は
    Figure 2022532317000030
    である、請求項68に記載の化合物。
  76. 請求項68~75の化合物の薬学的に許容される塩。
  77. 疾患を治療または阻害するための方法であって、前記疾患を有する、または発症する危険性がある個体に、少なくとも1つのポリ-N-アルキル置換グリシンまたはその薬学的に許容される塩のある量を投与することを含み、前記ポリ-N-アルキル置換グリシンの前記量は前記疾患を治療または阻害するのに有効であり、前記ポリ-N-アルキル置換グリシン化合物は、以下の式を有し
    Figure 2022532317000031
    式中、
    BはNH2およびX’から選択され;
    NR、X、Y、ZおよびX’はN-置換基を含むN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換グリシン残基の前記N-置換基は天然のα-アミノ酸側鎖部分、その異性体および炭素ホモログ、ならびにプロリン残基から独立して選択され、少なくとも1つの前記N-置換基はハロゲン原子を含み;
    nは整数であり;および
    Rは前記NRグリシン残基のN-アルキル置換基であり、前記置換基は、約C4 ~約C20 の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、疾患を治療または阻害するための方法。
  78. nが2であり、BがNH2である、請求項77に記載の方法。
  79. nが1であり、BがX’である、請求項77に記載の方法。
  80. XおよびX’の少なくとも1つがNLys残基である、請求項79に記載の方法。
  81. 前記N-アルキル置換基が、約C6~約C18の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、請求項80に記載の方法。
  82. XおよびX’がNLys残基である、請求項81に記載の方法。

  83. Figure 2022532317000032
    の請求項82に記載の方法。
  84. 前記アルキル置換基が、約C4 ~約C20 の直鎖状、分枝状および環状アルキル部分から選択される、請求項77に記載の方法。
  85. nが1~2の範囲内の値を有する、請求項77に記載の方法。
  86. 前記X、YおよびZ残基の少なくとも1つがNLysであり、少なくとも1つの前記N-置換基がキラルである、請求項77に記載の方法。
  87. YおよびZの少なくとも1つがプロリン残基である、請求項77に記載の方法。
  88. YおよびZがプロリン残基である、請求項77に記載の方法。
  89. Aが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基がC6から約C18の直鎖状アルキル部分からなる群から選択され、BがNH2であり、nが1または2である、請求項77に記載の方法。
  90. NRが末端N-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基が約C6 ~約C18 の直鎖状アルキル部分から選択され、BがNLys残基であり、nが1である、請求項77に記載の方法。
  91. 前記化合物が6量体である、請求項77に記載の方法。
  92. 前記化合物が12量体である、請求項77に記載の方法。
  93. 前記ハロゲン含有部分がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項77~92に記載の方法。
  94. 前記ハロゲン含有部分がクロロ置換アリール部分を含有する、請求項77~92に記載の方法。
  95. 前記ハロゲン含有部分がブロモ置換アリール部分を含有する、請求項77~92に記載の方法。
  96. 前記ハロゲン含有部分がヨード置換アリール部分を含有する、請求項77~92に記載の方法。
  97. 前記6量体中の各量体がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項91に記載の方法。
  98. 前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン置換アリール部分を含有し、前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン非含有アリール部分を含有する、請求項91に記載の方法。
  99. 前記6量体中の量体の正確に1つがハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項91に記載の方法。
  100. 前記6量体中の各量体がハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項92に記載の方法。
  101. 前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン置換アリール部分を含有し、前記6量体中の量体のいくつかがハロゲン非含有アリール部分を含有する、請求項92に記載の方法。
  102. 前記6量体中の最初および最後の量体のみがハロゲン置換アリール部分を含有する、請求項92に記載の方法。
  103. NR、X、Y、ZおよびX’の少なくとも2つがハロゲン含有部分を含有する、請求項77に記載の方法。
  104. NR、X、Y、ZおよびX’のすべてがハロゲン含有部分を含有する、請求項77に記載の方法。
  105. 前記化合物が抗菌化合物である、請求項77に記載の方法。
  106. 前記疾患がエンベロープRNAウイルスによって引き起こされる、請求項77に記載の方法。
  107. 前記疾患がコロナウイルスによって引き起こされる、請求項77に記載の方法。
  108. 前記疾患が、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)およびコロナウイルス疾患19(COVID-19)からなる群より選択される、請求項107に記載の方法。
  109. 前記疾患がCOVID-19である、請求項107に記載の方法。
  110. 疾患を治療または阻害するための方法であって、前記疾患を有する、または発症するリスクがある個体に、少なくとも1つのポリ-N-アルキル置換グリシンまたはその薬学的に許容される塩のある量を投与することを含み、前記ポリ-N-アルキル置換グリシンの前記量は、前記疾患を治療または阻害するのに有効であり、前記ポリ-N-アルキル置換グリシン化合物は、図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から、その少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つの水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって誘導される化合物またはその薬学的に許容される塩である、疾患を治療または阻害するための方法。
  111. 前記化合物が、図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から、その少なくとも1つのアリール部分中の少なくとも1つのパラ水素原子を少なくとも1つのハロゲン原子で置換することによって誘導される、請求項110に記載の方法。
  112. 前記化合物が、図1の化合物および図13の化合物からなる群から選択される材料から、その各アリール部分中の1個の水素原子を少なくとも1個のハロゲン原子で置換することによって誘導される、請求項110に記載の方法。
  113. 前記少なくとも1つのハロゲン原子が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される、請求項110~112に記載の方法。
  114. 前記少なくとも1つのハロゲン原子が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも第1および第2の別個のハロゲンを含む、請求項110~112に記載の方法。
  115. 前記化合物が、
    Figure 2022532317000033
    である、請求項110に記載の方法。
  116. 前記化合物が、
    Figure 2022532317000034
    である、請求項110に記載の方法。
  117. 前記化合物が、
    Figure 2022532317000035
    である、請求項110に記載の方法。
  118. 前記疾患がエンベロープRNAウイルスによって引き起こされる、請求項110に記載の方法。
  119. 前記疾患がコロナウイルスによって引き起こされる、請求項110に記載の方法。
  120. 前記疾患が、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)およびコロナウイルス疾患19(COVID-19)からなる群より選択される、請求項119に記載の方法。
  121. 前記疾患がCOVID-19である、請求項119に記載の方法。
  122. 疾患を治療または阻害するための方法であって、前記疾患を有する、または発症する危険性がある個体に、ポリ-N-アルキル置換グリシンまたはその薬学的に許容される塩のある量を投与することを含み、前記ポリ-N-アルキル置換グリシンの前記量は、前記疾患を治療または阻害するのに有効であり、前記ポリ-N-アルキル置換グリシン化合物はN-末端N-アルキル置換グリシン残基を含み、前記アルキル置換基は約C4 ~約C20の直鎖状、分岐状および環状アルキル部分から選択され、C末端はNH2、1および2個のN-置換グリシン残基から選択され、前記N-置換基はα-アミノ酸側鎖部分およびその炭素ホモログから独立して選択され、ならびに、前記N末端とC末端との間の2~約15個のモノマー残基のそれぞれは、プロリン残基およびN-置換グリシン残基から独立して選択され、前記N-置換基は天然α-アミノ酸側鎖部分、その異性体およびその炭素ホモログから独立して選択され、少なくとも1個の前記モノマー残基はNLysであり、少なくとも1個の前記N-置換基はキラルであり、前記モノマー残基は前記化合物にモノマー残基の非周期配列を提供するように選択され;および前記残基の少なくとも1個は少なくとも1個のハロゲンを含有する、疾患を治療または阻害するための方法。
  123. 前記N末端がN-アルキル置換グリシン残基であり、前記アルキル置換基が約C6 ~約C18の直鎖状アルキル部分から選択される、請求項122に記載の方法。
  124. 前記モノマー残基が、2~5個(X-Y-Z)の非周期的三量体を含む、請求項123に記載の方法。
  125. 前記三量体の各々における少なくとも1つのX、YおよびZが、3倍の周期性を中断するように選択される、請求項124に記載の方法。
  126. 前記モノマー残基が少なくとも2つの非連続反復三量体を含み、それらの間に少なくとも1つの残基を有する、請求項124に記載の方法。
  127. 少なくとも1つの前記三量体中の少なくとも1つのXがNLys残基であり、少なくとも1つの前記三量体中のYおよびZの少なくとも1つがプロリン残基である、請求項126に記載の方法。
  128. 前記少なくとも1つのハロゲンが、臭素、塩素およびヨウ素からなる群から選択される、請求項122に記載の方法。
  129. 前記残基の少なくとも1つが、少なくとも1つのハロゲン置換アリール部分を含む、請求項122に記載の方法。
  130. 前記残基の各々が、少なくとも1つのハロゲン置換アリール部分を含む、請求項122に記載の方法。
  131. 前記残基のいくつかが少なくとも1つのハロゲン置換アリール部分を含み、前記残基のいくつかが少なくとも1つの非ハロゲン化置換アリール部分を含む、請求項122に記載の方法。
  132. 前記ハロゲン置換アリール部分がパラ置換されている、請求項129~131に記載の方法。
  133. 前記ハロゲン置換アリール部分が過ハロゲン化されている、請求項129~131に記載の方法。
  134. 前記ポリ-N-アルキル置換グリシンが、請求項55~66に記載の化合物の薬学的に許容される塩である、請求項122~133に記載の方法。
  135. 前記疾患がエンベロープRNAウイルスによって引き起こされる、請求項122に記載の方法。
  136. 前記疾患がコロナウイルスによって引き起こされる、請求項122に記載の方法。
  137. 前記疾患が、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)およびコロナウイルス疾患19(COVID-19)からなる群より選択される、請求項136に記載の方法。
  138. 前記疾患がCOVID-19である、請求項136に記載の方法。
  139. 塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも1種のハロゲンを含有するポリ-N-置換グリシン化合物。
  140. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される少なくとも2個のハロゲンを含有する、請求項139に記載のポリ-N-置換グリシン化合物。
  141. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも2個の臭素原子を含有する、請求項140に記載の方法。
  142. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも2個の塩素原子を含有する、請求項140に記載の方法。
  143. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも4個の臭素原子を含有する、請求項140に記載の方法。
  144. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも4個の塩素原子を含有する、請求項140に記載の方法。
  145. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも1個のパラハロゲン化アリール基を含有する、請求項140に記載の方法。
  146. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも2個のパラハロゲン化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  147. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも4個のパラハロゲン化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  148. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも1個のパラ塩素化アリール基を含有する、請求項140に記載の方法。
  149. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも2個のパラ塩素化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  150. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも4個のパラ塩素化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  151. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも1個のパラ臭素化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  152. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が、少なくとも2つのパラ臭素化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  153. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が少なくとも4個のパラ臭素化アリール基を含有する、請求項139に記載の方法。
  154. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物がカルボキサミド末端基を含有する、請求項139に記載の方法。
  155. 前記ポリ-N-置換グリシン化合物が、リンクアミドレジンを介して製造される、請求項139に記載の方法。
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