JP2022532294A - リグニン超微粒子の生成方法 - Google Patents

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ハインリッヒ、ステファン
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リグノピュア ゲーエムべーハー
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Abstract

第1のノズル開口部(31)と第2のノズル開口部(41)とを備えるデュアル流体ノズル(2)における噴霧乾燥によるリグニン超微粒子の生成方法であって、リグニン含有溶液または懸濁液をデュアル流体ノズル(2)の第1のノズル開口部(31)に供給し、かつ噴霧ガスをデュアル流体ノズル(2)の第2のノズル開口部(41)に供給し、a)リグニン含有溶液または懸濁液をデュアル流体ノズル(2)の第1のノズル開口部(31)に供給する流量が60~65mL/分であり、b)乾燥温度が150~175℃であり、c)デュアル流体ノズル(2)の第2のノズル開口部(41)における噴霧ガスの圧力が3~6barである。【選択図】図1

Description

本発明は、噴霧乾燥によるリグニン超微粒子の生成方法に関する。
バイオマスは、例えば燃料生産の原料として、あるいは基礎化学や精密化学の源泉として、ますます重要性を増している。この関連で、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンを主要な構成成分とするリグノセルロースの総合的な改良が大きな役割を果たしている。
原理的に、リグニンは、素材産業ではフェノール製造の出発原料として、また接着剤用添加剤、射出成形基質、燃料、吸着剤や絶縁材の出発原料として、消費者向け用途の可能性がある。従来の方法(例えば、ソーダ工程やパルプ化工程)では、リグニンは通常、副産物として、リグノセルロースがアルカリ、酸、または有機溶媒で、さらにそう多くはないが、蒸気または水溶液で分解されることにより生じる。
さまざまな用途において、特に素材産業では、リグニンが粒子形態で、かつできるだけ均一な粒度分布を有していると有利である。このために従来の方法では、通常、リグニンを複数のステップで粉砕し、粉末状にする必要がある。こうした工程は複雑で費用がかかる。
噴霧乾燥によるリグニン粒子、および例えばリグニン中空粒子の生成は、原理的には既知である(特許文献1、非特許文献1、2参照)。
リグニン中空ナノ粒子を生成できるそれ以外の方法も知られている(非特許文献3、4)。
Gil-Chavezは、単一のステップでリグニン粒子を生成する噴霧乾燥工程を説明している(非特許文献5)。この工程では、リグニン懸濁液をノズルに供給し、乾燥温度180~200℃、ノズル圧力1~1.5bar、およびリグニン懸濁液の流入量75~100mL/分で噴霧乾燥を行う。
リグニン超微粒子の生成方法は、改良がなおも必要とされている。
米国特許第3808192号明細書 独国特許発明第102014108841号明細書
Z.-Z.Pan,L.Dong,W.Lv,D.Zheng,Z.Li,C.Luo,C.Zheng,Q.-H.Yang,F.Kang,2017,A Hollow Spherical Carbon Derived from the Spray Drying of Corncob Lignin for High‐Rate-Performance Supercapacitors,Chem.Asian J.12,503 K.Kamegawa,K.Nishikubo,2014,Hollow carbon microparticles prepared from spray dried particles of lignin in aqueous solution,Carbon 66,742,doi:10.1016/j.carbon.2013.09.032 F.Xiong,Y.Han,S.Wang,G.Li,T.Qin,Y.Chen,F.Chu,2017,Preparation and Formation Mechanism of Renewable Lignin Hollow Nanospheres with a Single Hole by Self-Assembly,ACS Sustainable Chemistry & Engineering 5(3),2273-2281,doi:10.1021/acssuschemeng.6b02585 Beisl,S.,Miltner,A.,Friedl,A.,2017,Lignin from Micro- to Nanosize:Production Methods,Int.J.Mol.Sci.18,1244,doi:10.3390/ijms18061244 Gil-Chavez G.J.,2016,Development of a Lignin Recovery Process Targeting its Formulation and Application into Consumer Goods,In:Book of Abstract,ESS-HPT 2016,The European Summer School in High Pressure Technology,3.-17.7.2016,39-41 Kirsch et al.2011,Enzymatische Hydrolyse von Lignocellulose im Festbettreaktor,Chemie Ingenieur Technik 2011,83(6),867-873)
本発明は、第1のノズル開口部と第2のノズル開口部とを備えるデュアル流体ノズルにおける噴霧乾燥によるリグニン超微粒子の生成方法であって、リグニン含有溶液または懸濁液をデュアル流体ノズルの第1のノズル開口部に供給し、かつ噴霧ガスをデュアル流体ノズルの第2のノズル開口部に供給し、さらに、
a)リグニン含有溶液または懸濁液をデュアル流体ノズルの第1のノズル開口部(31)に供給する流量が60~65mL/分であり、
b)乾燥温度が150~175℃であり、ならびに、
c)デュアル流体ノズルの第2のノズル開口部における噴霧ガスの圧力が3~6barである方法を提供する。
本発明に従った方法を用いると、単一のステップで所望の大きさのリグニン粒子を形成することが可能となる。本発明に従って生成したリグニン粉末は、粒度分布に関して比較的均一な構成を有する。本発明に従った方法を用いて、例えばリグニン粒子を、D90:<25μm、D50:<10μm、およびD10:<5μmの粒度分布で生成できる。また、驚くことに、本発明に従った方法を用いることで、低密度のリグニン中空粒子体を、例えば3~15μmの大きさで生成できることが判明している。本発明に従った方法を用いることで、保管や輸送に関して、また所望の用途、例えば接着剤の他、医薬品や化粧品分野に使用するのに望ましい用途にとって有利な特性を備えたリグニン粒子が得られる。一例として、本発明に従って生成したリグニン粒子は、比較的わずかしか凝集せず、これは多くの用途にとって有利である。さらに、不水溶性リグニンであっても、有利には、本発明に従った方法を用いて噴霧乾燥させることができる。このために、不水溶性リグニンは、例えば水性懸濁液中で使用できる。
本明細書に使用する「リグニン超微粒子」という用語は、平均粒径が≦100μm、好ましくは≦90μm、≦80μm、≦70μm、≦60μm、または≦50μm、特に好ましくは、平均粒径が≦40μm、≦35μm、≦30μm、≦25μm、≦20μm、または≦15μmのリグニン粒子を意味すると理解すべきである。
例えば、D90:<25μm、D50:<10μm、およびD10:<5μmの粒度分布という記述は、粒子の90%の平均径が<25μm、粒子の50%の平均径が<10μm、および粒子の10%の平均径が<5μmであることを意味する。
本明細書に使用する「リグニン含有基質」という用語は、リグニンを含む材料または材料の混合物を意味すると理解すべきである。リグニン含有基質の例に、木材、ワラ、バガス、糠、草などがある。リグニン含有基質は、すでに前処理されている基質、例えば、製紙でよく用いられる硫酸法もしくはクラフト法による廃棄物、または水性有機溶媒(オルガノソルブ法)で処理されたリグニン含有基質の廃棄物でもあり得る。この種の廃棄物に関して、「アルカリリグニン」、「オルガノソルブ」リグニン、つまり加水分解リグニンという用語を用いる。「リグニン含有基質」という用語には、リグノセルロース含有バイオマスも含む。これは、リグニンが、ヘミセルロースおよび特にセルロースから形成されるマトリックスに埋め込まれている材料である。「アルカリリグニン」という用語は、高温(通常170℃)で、アルカリ、例えばNaOH、および/またはNaOHと硫酸ナトリウム(Na2SO4)の混合物を用いて木材を処理した後に得られるリグニンを指す。
「リグニン」という用語は、芳香族アルコールからモノマーとして生成される複合ポリマーを表し、このモノマーはモノリグノールと呼ばれ、基本的にエーテル基を介して共有結合している。モノリグノールの例に、フェニルプロパノイド、例えばp-クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、およびシナピルアルコールがあり、これは、例えばさまざまな程度にメトキシ化してよい。リグニンは、植物や一部藻類の二次細胞壁の構成成分であり、分子量が5000uより多い架橋高分子を形成している。木材や植物の種類ごとに、そのリグニンにおけるモノリグノールの割合が異なる。例えば、針葉樹のリグニンは、グアイアシル(guajacyl)残基(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル残基)を含有するコニフェリル単位を主に含むのに対し、広葉樹のリグニンは、異なる割合のグアイアシル残基、およびシリンギル残基(3,5-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル残基)を含有するシナピル単位を含む。草のリグニンは3つの単位すべてを含有する。
「脱臭リグニン」という用語は、臭気形成化合物の割合を減少させたリグニンを意味すると理解すべきである。臭気形成化合物は、通常、嗅覚で、または気相の測定によって検出できる揮発性有機化合物(VOC)である。特に、「VOC」という用語は、本明細書においては、すでに環境温度で高い蒸気圧を有し、そのため基質から大気に優先的に拡散する揮発性有機化合物を意味すると理解すべきである。特に、「VOC」という用語は、沸点が50~260℃である有機成分を意味すると理解すべきである。VOCの例に、グアイアコールおよび還元有機硫黄化合物、例えばジメチルジスルフィドやジメチルトリスルフィドがある。リグニン含有基質の脱臭方法については、例えば特許文献2に記載されている。
本明細書で用いる「超臨界流体」という用語(SCFとも略される)は、近臨界または超臨界状態の、すなわち物質の臨界点(TcおよびPc)に近い、または臨界点を超える温度と圧力にある流動性物質を意味する。この状態では液相と気相の区別がなくなる。つまりこれに関連して、この用語は、単一成分流体、すなわち、不可避の不純物は別として、実質的にただ1つの物質、例えばCO2で構成されている流体を指す。「超臨界流体混合物」という用語は、多物質流体、すなわち、2つ以上の物質、例えばCO2とプロパン、またはCO2と少量のエタノールもしくは水の混合物を意味すると理解すべきである。「超臨界CO2」という用語(「scCO2」とも略される)は、超臨界二酸化炭素を意味すると理解すべきである。二酸化炭素の臨界点は、温度が304.13K(30.98℃)、圧力が7.375MPa(73.75bar)である。超臨界二酸化炭素は、この臨界点より高い温度と圧力で生じる。
「Aquasolv固形リグニン」または「ASリグニン」という用語は、本明細書において、熱水抽出を行ったリグニンを意味すると理解すべきである。
「熱水抽出」という用語(「熱水加水分解」または「熱加水分解」と呼ばれることもある)は、≧100℃の温度と、各温度で水の蒸気圧を超える圧力で水を用いた熱処理を意味すると理解すべきである。例として、温度が100~250℃で圧力が1~50bar、例えば、温度が200℃で圧力が30barなどである。本明細書において「熱水加水分解」または「熱水前処理」という用語を用いる場合、前述の用語「熱水抽出」と同義で用いられる。
リグニン含有溶液または懸濁液に関連する「流量」、「供給量」、「流速」、または「供給速度」という用語は、本明細書において、リグニン含有溶液または懸濁液の、ノズル方向への体積流量を意味すると理解すべきである。
「乾燥温度」という用語は、噴霧乾燥に使用する高温ガスの温度を指し、このガスは、ノズルから出るリグニン含有液滴を乾燥させるのに用いられる。特にこの用語は、ノズルにおける、すなわちリグニン含有溶液または懸濁液の出口点における乾燥ガスの温度を指すことから、リグニン含有溶液または懸濁液はノズルから出る際に、乾燥温度を有する高温ガスと接する。高温ガスは、単一成分ガスまたは混合ガス、例えば空気、CO2、またN2であってよい。
「噴霧乾燥」という用語は、液状材料(溶液、懸濁液、または乳濁液)が粉末状に変化する既知の工程を表す。噴霧乾燥では、乾燥させる材料を、噴霧器を用いて霧化し、高温ガスまたは高温ガスの蒸気に送り込むことで、短時間で乾燥させて粉末にする。
「酵素加水分解」という用語は、セルラーゼまたはセルラーゼの混合物を用いた加水分解を意味すると理解すべきである。一例として、酵素加水分解は、30~70℃、特に45~60℃、または45~55℃、例えば50℃の温度と、4.5~5.5、好ましくは4.8のpHで実施し得る。セルラーゼは当業者に既知である(非特許文献6参照)。
「噴霧圧」という用語は、デュアル流体ノズルの第2のノズル開口部における噴霧ガスの圧力を指す。
「デュアル流体ノズル」(「デュアル物質ノズル」と呼ばれることもある)という用語は、少なくとも2つの別々のノズル開口部を有するノズルを指し、第1のノズル開口部から第1の流体を放出し、また第2のノズル開口部から第2の流体を放出することができる。この点で、ノズル開口部は、例えば、第1の流体、例えば液体が第1のノズル開口部から出たときに、第2の流体の流れ、例えば予圧ガスと接触できるように、互いに対して配置されている。一例として、デュアル流体ノズルの第1のノズル開口部を中央に配置し、環状の第2のノズル開口部で同心円状に囲んでよい。「デュアル流体ノズル」という用語は、性質を限定するものと解釈すべきではなく、ノズルは、2個より多くのノズル開口部、例えば3個のノズル開口部を備えていてもよい。
「リグニン含有マイクロビーズ」という用語(「リグニン含有微小球」と呼ばれることもある)は、本明細書において、平均粒径が300μm~5mm、特に平均粒径が300μm~1.5mmの球状粒子を一般に含有するリグニンを意味すると理解すべきである。
「300μm~5mm」などの範囲は、本明細書において、あらゆる中間値もこれとともに開示されていることを意味すると理解すべきである。また、この範囲内の任意の小さな範囲もこれとともに開示されており、「小さな範囲」という用語は、範囲の境界値のいずれも含まない範囲も含むと理解すべきである。したがって、「300μm~5mm」といった範囲は、「300μm~4mm」または「400μm~5mm」の範囲だけでなく、例えば「800μm~1.5mm」または「2~4mm」の範囲も含み、範囲内の個々の値は単なる境界値ではなく、明示的に包含される。
本発明に従った方法では、リグニン含有溶液または懸濁液は、デュアル流体ノズルの第1のノズル開口部を通って搬送され、第1のノズル開口部から出ると、第2のノズル開口部からの加圧噴霧ガスに当たり、その結果、溶液または懸濁液が霧化して個々の液滴になる。液滴は、高温ガスを用いて好適な温度で数秒以内に、例えば3~10秒以内に乾燥させることで、所望の大きさのリグニン粒子が形成される。このとき、乾燥温度は150~175℃、好ましくは150~170℃であり、噴霧圧、すなわちデュアル流体ノズルの第2のノズル酸素における噴霧ガスの圧力は3~6bar、リグニン含有溶液または懸濁液の流量は60~65mL/分である。
本発明に従った方法の好ましい実施形態では、デュアル流体ノズルの第1のノズル開口部の直径は1~2mm、好ましくは1.5~2mmである。
デュアル流体ノズルの第2のノズル開口部における噴霧ガスの圧力は、好ましくは3~5.5bar、好ましくは3~5bar、または3~4.5bar、特に好ましくは3~4barである。
本発明に従った方法の特に好ましい実施形態では、リグニン含有溶液または懸濁液は、熱水抽出を行ったリグニン含有基質から生成されるリグニンの溶液または懸濁液である。このように前処理されたリグニンは、本明細書においてASリグニンとも呼ばれる。熱水抽出は、例えば100~250℃の温度範囲、例えば200℃の純水を用いて、1~50bar、例えば30barの圧力で実施してよい。熱水抽出は、1つの段階で、または複数の段階で、例えば段階的に温度と圧力を上げて実施してよい。好ましくは、水とリグニン含有基質の比率は5~10:1である。この場合に好ましい固定床法では、熱水は、好ましくは重力方向とは逆に、リグニン基質を通って流れる。
さらに好ましくは、リグニン含有溶液または懸濁液は、熱水抽出に続いて、1つまたは複数のセルラーゼを用いた酵素加水分解を行ったリグニン含有基質から生成されるリグニンの溶液または懸濁液である。特に好適な前処理法は、例えば特許文献2に記載されている。
本発明に従った方法では、脱臭リグニンを用いることも可能である。ただし、これは必須ではない。この場合、特許文献2に記載されているように、熱水抽出と酵素加水分解によって前処理したリグニンは、超臨界流体、例えば超臨界二酸化炭素を用いて抽出を行う。
リグニン溶液またはリグニン懸濁液の固形分は、好ましくは5~20重量%である。
リグニンは溶解させてよく、特に任意の好適な溶媒に溶解または懸濁させてよい。しかしながら、好ましくは、リグニンは水に溶解または懸濁、好ましくは懸濁させる。
本発明に従った方法の好ましい実施形態では、リグニン含有溶液または懸濁液を、高温乾燥ガスが入った乾燥チャンバーにノズルを通して注入する。本実施形態では、噴霧ガスを用いて形成されるリグニン含有溶液または懸濁液の液滴は、ノズルから出ると、高温ガス、例えば空気または窒素ガスが入ったチャンバーに到達する。チャンバー内で溶媒、例えば水が蒸発し、乾燥リグニン粒子が形成される。チャンバーは、異なる粒分、例えば粒径画分をチャンバーから別々に除去できるよう構成してよい。一例として、チャンバーの底面に粗粒子の抽出点を設けてよく、微粒子は、チャンバーの側壁を介して1つまたは複数の特定の高さで抽出できよう。
好ましくは、リグニン含有溶液または懸濁液との並流として、高温乾燥ガスを乾燥チャンバーに供給する。本実施形態では、高温乾燥ガスを、例えば150~175℃の入口温度で乾燥チャンバーに供給し、ノズルで形成した微細液滴と接触させる。本明細書に使用する「並流として」という表現は、乾燥ガスをリグニン含有溶液または懸濁液と実質的に同じ方向で乾燥チャンバーに供給することを意味し、これにより、乾燥チャンバー内で粒子流と乾燥ガス流の方向が同じになる。
本発明に従った方法では、リグニン含有溶液または懸濁液を、デュアル流体ノズルの1つのノズル開口部から供給し、同時に、噴霧ガス、例えば窒素、CO2、または空気を第2のノズル開口部から供給する。両流体の体積流量は別々に制御し、互いに一致させてよい。
好ましくは、デュアル流体ノズルは、中央の第1のノズル開口部と、中央のノズル開口部を同心円状に囲む環状の第2のノズル開口部とを備える。この構成では、より好ましくは、リグニン含有溶液または懸濁液をデュアル流体ノズルの中央の第1のノズル開口部に供給し、第2のノズル開口部には加圧噴霧ガス、好ましくは空気、CO2、または窒素を供給する。本実施形態では、好ましくはASリグニンの水溶液または懸濁液であるリグニン含有溶液または懸濁液をデュアル流体ノズルの中央のノズル開口部に供給し、同時に、噴霧ガス、例えば窒素ガス、CO2、もしくは空気などの好適な単一成分ガスまたは多成分ガスの気流を、第1のノズル開口部を同心円状に囲む第2のノズル開口部から流出させる。ノズルの第1のノズル開口部から出る際に形成されるリグニン含有溶液または懸濁液の液滴を、好ましくは、リグニン含有溶液または懸濁液との並流として流れる高温ガス流によって、短時間で、例えば3~10秒以内で乾燥させる。すなわち、高温ガスを用いて溶媒、好ましくは水を蒸発させる。
形成されるリグニン粒子は、有利な中空構造を有する、すなわち、外壁がリグニンで内部が空洞であることが多い。特定の理論に縛られることなく、最初に、形成された液滴の表面領域で溶媒が蒸発し、そこでまず比較的強固なリグニン壁が形成されると想定される。次に、このリグニン壁を介して液滴の内部からさらに溶媒が蒸発し、その結果、多くのリグニンがリグニン壁に運ばれ、そこに堆積する。この種のリグニン中空粒子は、例えば、接着剤や、医薬品または化粧品の添加剤としての使用に特に有利である。
さらなる態様では、本発明は、本発明に従って生成されるリグニン含有超微粒子と、少なくとも1つの結合剤とを含有するリグニン含有マイクロビーズにも関する。
好ましくは、リグニン含有マイクロビーズは、Aquasolvリグニン(ASリグニン)から生成されるリグニン含有超微粒子を含む。ASリグニン粒子は、本発明に従った方法を用いてASリグニンから、すなわち、高温(例えば200℃)の加圧液水を用いた熱処理と、好ましくはその後に1つまたは複数のセルラーゼを用いた酵素加水分解とによってリグニン含有基質、例えばワラから生成されたリグニンから生成する。
好適な結合剤は当業者に既知である。好ましくは、結合剤はゲル形成生体高分子である。一例として、ASリグニンは、1つまたは複数のゲル形成生体高分子、例えばアルギン酸塩、セルロース、ペクチン、キトサン、デンプン、ポリ乳酸(PLA)、またはケイ酸塩、ならびにタンパク質、例えばゼイン、乳清タンパクなどと組み合わせて用いてよい。他の生体高分子と組み合わせたリグニンのゲル化は、好ましくは架橋分子の存在下で実施する。ASリグニンと結合剤の配合に応じて、ゲル形成は低温(例えば-6℃、0℃)、高温(80~140℃)、酸性(pH<6)または塩基性(pH>7)環境で生じてよい。
配合物におけるリグニンの質量分率は、10~90重量%、好ましくは30~90重量%、例えば30重量%、50重量%、70重量%、または90重量%であってよい。架橋分子を用いた架橋によりゲルを形成する場合、質量分率は、架橋前のASリグニンと結合剤の配合物に対するものとなる。リグニン-アルギン酸塩、リグニン-ペクチン、リグニン-キトサン、リグニン-セルロース、リグニン-デンプン、およびリグニン-タンパク質などのリグニン配合物のマイクロビーズは、食品の他、医薬品や化粧品に使用できる。例えば、リグニン-デンプン、リグニン-セルロース、リグニン-ケイ酸塩などのリグニン配合物のマイクロビーズは建設材料に使用してよい。リグニン-ケイ酸塩のリグニン配合物のマイクロビーズも化粧品用途に使用してよい。リグニン-ポリ乳酸、リグニン-ポリ乳酸-ケイ酸塩などの配合物のマイクロビーズは、建設材料、包装材料、または生物複合材料に使用してよい。化粧品用途の例に、ボディケア用ピーリング製品、フェイスマスク、石けん、顔用ピーリング製品、歯磨き粉がある。食品における本発明によるマイクロビーズの使用例に、機能性食品の活性成分として、また抗酸化剤、香料、ビタミン剤などの担体としての使用がある。
マイクロビーズの平均粒径は、例えば300μm~5mmであってよい。好ましくは、平均粒径は300μm~1.5mmである。化粧品分野における使用では、好ましくは、マイクロビーズの平均粒径は300~800μmである。他の用途では、マイクロビーズの平均粒径は、例えば400μm~1.5mmであると有利であり得る。
以下に、説明のみを目的として、添付の図面および例示的な実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
本発明に従った方法の好ましい一実施形態を実施できる装置の部分概略図。 本発明に従った方法の一実施形態を実施する装置の簡略化した流れ図。 2種類のノズル(開口部の直径が1.5mmと2mm)を用いて得られるASリグニン粒子の粒度分布のグラフ。 オルガノソルブおよびアルカリリグニンと比較した噴霧乾燥リグニン(微粒分=SDL微、粗粒分=SDL粗)の細胞毒性のグラフ。 α-グルコシダーゼおよびα-アミラーゼ阻害に関するさまざまなリグニンのIC50値。微粒分=SDL微、粗粒分=SDL粗のグラフ。 さまざまな濃度(10、20、30重量%)で、F1(アルギン酸塩)、F2(デンプン)、F3(直接打錠-賦形剤、DCE)、F4(結晶セルロース、MCC)、F5(乳糖)などのさまざまな賦形剤を用いたASリグニンの直接打錠によって得られる錠剤の硬度のグラフ。 本発明による噴霧乾燥リグニン、および他のバイオ精製工程によって得られたリグニンのラジカル捕捉剤性能(阻害率(%))。EtOH=エタノール、オルガノソルブ-リグニン=エタノールで抽出したリグニン(Fraunhofer CBP社製(ドイツ、ロイナ))、EtOH CO2=溶媒交換(水からエタノールへの交換)を実施し、次いでエタノールを超臨界CO2で抽出したリグニン粒子のグラフ。 2種類の抗酸化剤(噴霧乾燥リグニン粒子、接着フィルムのブランドメーカー製Tesa抗酸化化合物)のDPPHラジカル捕捉剤活性のグラフ。 賦形剤濃度を変化させた9種類のリグニンフィラーの組成の表。
適切な特性を有するASリグニン粒子を噴霧乾燥によって生成した。粒度分布に関して、所望の特性を有する均一なリグニン粉末を、本発明に従った方法を用いて単一のステップで生成した。これまで必要とされた、粉砕して粉末状にする複数のステップは省くことができる。
図1および2は、ASリグニン懸濁液からリグニン粒子6を生成するのに使用した装置の概略図である。図1は、試験に用いた設備100の一部であるデュアル流体ノズル2を用いた噴霧乾燥工程を概略的に示す。図2は、ASリグニン粒子を生成するための設備100の簡略化した流れ図を示す。
本発明による噴霧乾燥法は、高温乾燥ガスで溶液または懸濁液を乾燥させることによるリグニン粉末の生成を含む。本明細書に記載する試験では窒素(N2)を使用した。水に懸濁させたASリグニンをリグニン材料として用い、熱水抽出に続いてセルラーゼ処理を行った。噴霧乾燥工程では、リグニン含有液状材料(溶液または懸濁液)を霧化し、高温ガス流と接触させた。そのために、縦断面図で示しているデュアル流体ノズル2を用いた。デュアル流体ノズル2は、乾燥チャンバー1に通じる中央の第1のノズル開口部31を備えた中央孔3と、第1のノズル開口部31を同心円状に囲む、乾燥チャンバー1に通じる第2のノズル開口部41を備えた、中央孔3を同心円状に囲む孔4とを含む。ASリグニン含有液状材料は、第1の流入口32から中央孔3を通じて中央の第1のノズル開口部31に供給し(実線の矢印)、噴霧ガス(ここではN2)は、第2の流入口42から同心孔4を通じて第2のノズル開口部41(点線の矢印)に供給した。したがって、高温ガス(ここでは同じくN2)は、高温ガス流7が、形成された粒子流の並流として流れるように乾燥チャンバー1に供給した。このようにして高温ガスを、デュアル流体ノズル2のすぐ近くで乾燥チャンバー1に導入した。高温ガス流7と粒子流は、基本的に重力方向に流れた。乾燥チャンバー1内における、乾燥させる材料と高温ガスとの接触は短時間であるが、霧化液滴5中の水分を蒸発させるのに十分である。霧化は、図1の簡略図からわかるように、高速の圧縮噴霧ガスとリグニン液状材料を接触させること(液滴形成)によって空気圧で実現した。
最終生成物の形態と粒径は、ノズル開口部31と41それぞれにおける出発原料(リグニン懸濁液または溶液)と加圧噴霧ガスの流量比、ならびに乾燥チャンバー1の入口温度および出口温度を変化させることによって制御できる。乾燥リグニン粒子6を得る方式は、噴霧乾燥設備100の構成の一機能として変化させてよい。本明細書に記載する試験では、2つの抽出点11、12を備える乾燥チャンバー1を含む噴霧乾燥設備を使用した(図2参照)。粗い(大きくて重い)粒子6(粗粒分)は第1の抽出点12の底部で収集でき、微粒子6(微粒分)は側方に配置された第2の抽出点11から収集できた。微細なリグニン粒子6を含む画分は、側方の抽出点11からサイクロン101に運ばれ、さらに分離できた。ASリグニン懸濁液は貯蔵容器104に入れ、ポンプ105を用いてデュアル流体ノズル2の第1の(中央)孔3に供給した。噴霧ガス(ここではN2)は、タンク102に入れ、圧縮機103を用いてノズル2に供給した。高温ガス(ここでは同じくN2)は、加熱器106を用いて所望の温度に加熱し、ノズル2の近くで乾燥チャンバー1に供給した。
本明細書に示す、デュアル流体ノズルを備える構成においてASリグニンを噴霧乾燥するために、次の3つのパラメーターを変化させた。
1.高温ガスの入口温度。デュアル流体ノズル2のすぐ近くから高温ガスを導入したため、この温度はデュアル流体ノズル2における高温ガス(N2)の温度と一致していた。
2.デュアル流体ノズル2の第2のノズル開口部31における噴霧ガスの圧力(「噴霧圧」とも呼ぶ)。
3.デュアル流体ノズル2の第1のノズル開口部31にリグニン含有溶液または懸濁液を供給した流量。
固形分が5~20重量%のASリグニン懸濁液を使用した。ASリグニンは、熱加水分解とその後の酵素加水分解によって、すなわち、約200℃で圧力をかけて液水をワラに押し通し、生成された懸濁液にセルラーゼを補うことによって生成した。ノズル開口部31の直径は1~2mmであった。この構成では、高温ガスの入口温度で、乾燥チャンバー1の温度を制御した。
リグニン超微粒子およびリグニン中空超微粒子は、高温ガスの入口温度150~175℃、噴霧圧3~6bar、ASリグニン懸濁液の流量60~65mL/分で形成した。本発明に従った方法を用いて、粒径が3~15μmの超微粒子を形成できた。
驚いたことに、試験から、本発明に従って生成した噴霧乾燥リグニン粒子6は、粉砕した粒子と比べて凝集が大幅に少ないことが示された。これは、粒子外層に疎水性のリグニン部位が配置され、それにより粒子表面相互の結合または相互作用が妨げられるためと考えられる。接着テープ用の接着剤化合物に応用する際、凝集によって接着テープに望ましくないダークスポットが発生する可能性があることから、これらの結果には大きな意義がある。
一例として、中空粒子は、中空粒子の内部から表面を介して薬剤、化学試薬、化粧品を制御放出するために使用できる。多くの医薬用途では、低密度のリグニン中空粒子が有利である。
本発明に従った方法で得られる粒径は、ノズル開口部が1.5~2mmのとき、D50値が<10μm、およびD10値が<5μmであった(図3参照)。さらに、D90値が<25μm(図3参照)であれば、接着剤化合物に添加されるすべての粒子の大きさが30μm未満となることから、特に注目に値する。得られたリグニン粉末の含水量は1.5~5重量%であった。
細胞毒性
さまざまな起源のリグニン(本発明による粒子(SDL)の粗粒分(SDL粗)および微粒分(SDL微)、オルガノソルブリグニン、ならびにアルカリリグニン)を用いて、さまざまな濃度で培養したCaCo-2細胞培養の細胞の生存能力を測定した(図4参照)。オルガノソルブおよびアルカリリグニンでは、細胞の50%を死滅させるのに約2.5mg/mLの濃度で十分であったのに対し、噴霧乾燥リグニンでは、同じ効果を得るのにほぼ10倍の濃度が必要であったことがわかる。
抗糖尿病作用
酵素α-グルコシダーゼとα-アミラーゼの活性をさまざまなリグニン濃度で調べた。これらの酵素は、複合高分子炭水化物の分解に関与し、人体での吸収において利用されやすい糖モノマーを生成する。これらの酵素の活性を阻害できる化合物は、消費されると、抗糖尿病作用を有すると想定された。図5は、本発明に従って生成したリグニン粒子(微粒分および粗粒分)とオルガノソルブおよびアルカリリグニン粒子のIC50値(酵素活性を50%阻害する有効濃度)の比較を示す。この場合、値が低いほど抗糖尿病作用が大きいと見込まれる。本発明に従って生成したリグニン粒子は、抗糖尿病作用が比較的高い。
リグニン粒子の錠剤化
リグニンは活性炭素の代替品として既知である。しかしながら、医薬品形態の挙動は、粒子特性および圧縮挙動に大きく依存する。したがって、本発明に従った方法で得られたリグニン粒子の直接打錠を、既知の医薬用賦形剤と比較した。
図9に示す配合物(アルギン酸塩、デンプン、結晶セルロース(MCC)、乳糖)で試験を行い、直接打錠賦形剤(DCE)をさまざまな濃度で使用した。本発明による噴霧乾燥ASリグニンを、リグニンをベースとする医療用錠剤の生成に使用した医療用リグニン(「針葉樹リグニン」)と比較した。
図6は、図9に示したASリグニンをベースとするさまざまな組成物の硬度を示す。一般に、錠剤の硬度は賦形剤の添加に伴って増加した。これにもかかわらず、所望の硬度は錠剤の放出挙動に依存する。米国薬局方に従って、錠剤の剤形は破砕性(破砕挙動)が5%未満でなければならない。本発明による噴霧乾燥ASリグニンは、すべてこの仕様を満たした。
DPPH測定
噴霧乾燥リグニンの抗酸化能を、DPPHラジカル法を用いて測定した。DPPH(2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル)は活性ラジカル形態では紫色で、ラジカル捕捉剤/抗酸化剤で安定させると黄色に変色する。本発明による噴霧乾燥リグニンのラジカル捕捉性能を比較するために、さまざまなリグニンを用いた(図7参照)。一般に、高分子量のリグニンは、他のバイオ精製法と比べて抗酸化能が低い。しかしながら、本発明による噴霧乾燥リグニンは低分子量のリグニンと同様の結果を示し、これはこの方法によって大きな接触面が形成されたためと考えられる。
接着剤化合物への組み込み
本発明に従って生成した噴霧乾燥微細リグニンを接着剤化合物に組み込んだ。混練した試料の外観を評価した。試料は、さまざまな方法によって得たリグニンと、さまざまなバイオマス由来のリグニンとを含んでいた。本発明に従って生成した噴霧乾燥リグニン超微粒子を含有する接着フィルムは、標準的なフィラーとして頻繁に使用される炭酸カルシウムに最も近い挙動を示した。
本発明による噴霧乾燥リグニンの接着フィルムへの応用
2つの濃度の抗酸化剤(接着フィルムのブランドメーカー製の標準的な薬剤、および本発明に従って生成したリグニン微粒子)を2つの反応時間で、すなわち5mg/mLと10mg/mLで30分間と60分間試験した。結果を図8に示す。本発明に従って生成したリグニン粒子は、両方の濃度で、少なくともこれらの反応時間において、Tesaが使用する抗酸化剤と比べて明らかに優れていることがわかる。
ASリグニンをベースとするマイクロビーズ(「マイクロビーズ」)の生成
本発明によるリグニンをベースとするマイクロビーズ(「マイクロビーズ」)を、本発明に従った方法で生成したリグニン含有粒子を用いて生成した。このために、ASリグニン粒子をゲル形成生体高分子(アルギン酸塩、セルロース、ペクチン、キトサン、デンプン、ポリ乳酸)と組み合わせて含有する原料溶液または原料懸濁液を生成した。ゲル形成生体高分子を水(必要に応じて加熱した脱イオン水または蒸留水)、酸性またはアルカリ性媒質と混合して、質量比を1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、および5重量%にした。生体高分子溶液とASリグニン粒子の混合物は10~90重量%のリグニンを含有できた。混合物は、均一な溶液/懸濁液が得られるまで、慎重に、かつ完全に混合した。
S型ジェット切断機(geniaLab GmbH、ドイツ、ブラウンシュヴァイク)を用いて原料溶液/懸濁液から微小粒子を生成した。このために、粒子は圧力下のノズルから出る流体流から生成した。ここでは、ノズルから出る流体流全体を、放射状に配置された切断ワイヤーからなる回転カッターツールによって、同一形状の円筒部分に切断する。流体部分は、表面張力のため、重力下で落下しながら均一な大きさの球状の液滴を形成する。液滴の大きさは、例えば、カッターツールの回転速度、液体流の直径と体積流量によって調節してよい。このようにして生成した液滴は、架橋/硬化液の中に落ちる。ノズルは圧縮空気(1~3bar)で駆動させ、圧力調整バルブまたはポンプで調節した。
微小粒子(「マイクロビーズ」)の生成は、例えば、次のパラメーターを用いて行った:原料溶液/懸濁液の流量0.5~10g/秒、ノズル径200μm~5mm。分離盤は、例えば、太さ100~500μmのワイヤー16~180本を有することができた。
架橋溶液は、例えば、塩化カルシウム、エタノール、酢酸、酸性水溶液、または塩基性水溶液を含むことができた。ノズルとゲル化槽の間の距離は約50~100cmの範囲で維持した。架橋槽の容量は、マイクロビーズの凝集を防ぐために、処理した生体高分子溶液/懸濁液の全量の少なくとも4倍とした。ジェット切断終了後、粒子が除去されるまで集水槽の内容物を撹拌した。ゲル化した粒子は、スクリーニングおよび/またはろ過によってゲル化槽/架橋槽から分離した。分離した微小粒子は環境温度で乾燥、オーブン乾燥、または超臨界的に乾燥させることができた。

Claims (15)

  1. 第1のノズル開口部(31)と第2のノズル開口部(41)とを備えるデュアル流体ノズル(2)における噴霧乾燥によるリグニン超微粒子(6)の生成方法であって、リグニン含有溶液または懸濁液を前記デュアル流体ノズル(2)の前記第1のノズル開口部(31)に供給し、かつ噴霧ガスを前記デュアル流体ノズル(2)の前記第2のノズル開口部(41)に供給し、さらに、
    a)前記リグニン含有溶液または懸濁液を前記デュアル流体ノズル(2)の前記第1のノズル開口部(31)に供給する流量が60~65mL/分であり、
    b)乾燥温度が150~175℃であり、
    c)前記デュアル流体ノズル(2)の前記第2のノズル開口部(41)における前記噴霧ガスの圧力が3~6barである
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記デュアル流体ノズル(2)の前記第1のノズル開口部(31)の直径が1~2mm、好ましくは1.5~2mmである
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記リグニン含有溶液または懸濁液が、熱水抽出を行ったリグニンの溶液または懸濁液である
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記リグニン含有溶液または懸濁液が、熱水抽出に続いて、セルラーゼを用いた酵素加水分解を行ったリグニンの溶液または懸濁液である
    請求項3に記載の方法。
  5. 前記リグニン溶液または懸濁液の固形分が5~20重量%である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記リグニン含有溶液または懸濁液が水溶液または懸濁液、好ましくは水性懸濁液である
    請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記リグニン含有溶液または懸濁液を、前記デュアル流体ノズル(2)の前記第1のノズル開口部(31)を通して、高温ガス、好ましくは空気、CO2、または窒素ガスが入った乾燥チャンバー(1)に注入する
    請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記高温乾燥ガスを、前記リグニン含有溶液または懸濁液との並流として前記乾燥チャンバー(1)に供給する
    請求項7に記載の方法。
  9. 前記デュアル流体ノズル(2)の前記第1のノズル開口部(31)が中央に配置され、前記第2のノズル開口部(41)が環状で、かつ前記中央の第1のノズル開口部(31)を同心円状に囲み、さらに、前記リグニン含有溶液または懸濁液を、前記デュアル流体ノズル(2)の前記中央の第1のノズル開口部(31)に供給し、前記第2のノズル開口部(41)には加圧噴霧ガス、好ましくは空気、CO2、または窒素を供給する
    請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記デュアル流体ノズル(2)の前記第2のノズル開口部(41)における前記噴霧ガスの圧力が、3~5.5bar、好ましくは3~5bar、または3~4.5bar、特に好ましくは3~4barである
    請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
  11. a)請求項1ないし10のいずれかに記載の方法によって生成される複数のリグニン含有超微粒子と、
    b)少なくとも1つの結合剤とを含む
    ことを特徴とするリグニン含有マイクロビーズ。
  12. 前記リグニン含有超微粒子がASリグニンから生成される
    請求項11に記載のリグニン含有マイクロビーズ。
  13. 前記結合剤が、ゲル形成生体高分子、好ましくはアルギン酸塩、セルロース、ペクチン、キトサン、ポリ乳酸もしくはデンプン、またはケイ酸塩もしくはタンパク質である
    請求項11または12に記載のリグニン含有マイクロビーズ。
  14. 前記マイクロビーズにおけるリグニンの割合が、10~90重量%、好ましくは30~90重量%である
    請求項11ないし13のいずれかに記載のリグニン含有マイクロビーズ。
  15. 平均粒径が300μm~5mm、好ましくは300μm~1.5mmである
    請求項11ないし14のいずれかに記載のリグニン含有マイクロビーズ。
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