JP2022529370A - Jakキナーゼ阻害剤としてのエステルおよびカルボナートピリミジン化合物 - Google Patents

Jakキナーゼ阻害剤としてのエステルおよびカルボナートピリミジン化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヤヌスキナーゼの阻害剤であり、インビボで活性代謝産物を放出する、式(I)の化合物:TIFF2022529370000050.tif3928またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。本発明は、そのような化合物を含む薬学的組成物ならびに炎症性皮膚疾患および他の疾患を処置するためにそのような化合物を使用する方法も提供する。本発明は、JAK阻害剤が適応となる哺乳動物の疾患の処置において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩も提供する。

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、インビボで活性代謝産物も放出するJAK阻害剤として有用なエステルおよびカルボナートピリミジン化合物に関する。本発明は、このような化合物を含む薬学的組成物ならびに炎症性および自己免疫性疾患を処置するためにこのような化合物を使用する方法にも関する。
技術水準
JAK酵素のファミリーの阻害は、多くの重要な炎症促進性サイトカインのシグナル伝達を阻害する。したがって、JAK阻害剤は、アトピー性皮膚炎および他の炎症性皮膚疾患の処置において有用であると予想される。アトピー性皮膚炎(AD)は、米国だけで推定1400万人が罹患している一般的な慢性炎症性皮膚疾患である。先進国では、小児の10~20%および成人の1~3%がADに罹患していると推定されており(Baoら、JAK-STAT,2013,2,e24137)、有病率は増加している。JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカイン、特に、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、IL-13、IFNγおよびTSLPの上昇がADと関連付けられてきた(Baoら、Leungら、The Journal of Clinical Investigation,2004,113,651-657)。さらに、JAK対形成を介してシグナル伝達する別のサイトカインであるIL-31の上方制御は、ADの慢性状態と関連するそう痒において役割を有することが示されている(Sonkolyら、Journal of Allergy and Clinical Immunology,2006,117,411-417)。
免疫系に対するJAK/STAT経路の調節効果に起因して、JAK阻害剤への全身曝露は、有害な全身的免疫抑制効果を有し得る。したがって、有意な全身作用なしに作用部位において効果を有する新しいJAK阻害剤を提供することが望ましいであろう。特に、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の処置のために、局所投与することができ、皮膚において治療上適切な曝露を達成することができる新しいJAK阻害剤を提供することが望ましいであろう。水性および/または有機賦形剤中で十分な溶解度を有し、局所適用のための製剤の開発を可能にするJAK阻害剤化合物が依然として必要とされている。
Baoら、JAK-STAT,2013,2,e24137 Baoら、Leungら、The Journal of Clinical Investigation,2004,113,651-657 Sonkolyら、Journal of Allergy and Clinical Immunology,2006,117,411-417
一態様において、本発明は、インビボで活性代謝産物も放出するJAK阻害剤としての活性を有する化合物を提供する。
したがって、本発明は、式(I)の化合物:
Figure 2022529370000002
またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、
式中、Xは、-O-または結合であり;
Rは、C1~8アルキル、4~7員の複素環式基および3~8員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~8アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されており;
各Rは、独立して、C1~4アルキル、CN、F、OH、C1~4アルキル-OHおよびC1~4アルコキシからなる群から選択される。
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的に許容され得るキャリアとを含む薬学的組成物も提供する。
本発明は、薬として使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩も提供する。
本発明は、炎症性および自己免疫性疾患または障害の処置において使用するための本明細書中に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩も提供する。
本発明は、JAK阻害剤が適応となる哺乳動物の疾患の処置において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩も提供する。
本発明は、JAK阻害剤が適応となる哺乳動物の疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記哺乳動物に投与することを含む方法も提供する。
本発明は、哺乳動物の皮膚の炎症性および自己免疫性疾患、特にアトピー性皮膚炎および円形脱毛症を処置する方法であって、化合物(I)またはその薬学的に許容され得る塩を前記哺乳動物に投与することを含む方法も提供する。
いくつかの態様の中でも特に、本発明は、活性代謝産物も放出するJAK阻害剤としての活性を有する式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
本発明は、式(I)の化合物:
Figure 2022529370000003
またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、
式中、Xは、-O-または結合であり;
Rは、C1~8アルキル、4~7員の複素環式基および3~8員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~8アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されており;
各Rは、独立して、C1~4アルキル、CN、F、OH、C1~4アルキル-OHおよびC1~4アルコキシからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Rは、C1~6アルキル、5~7員の複素環式基および5~7員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~6アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されている。
いくつかの実施形態において、Rは、C1~6アルキル、5~6員の複素環式基および5~6員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~6アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されている。
いくつかの実施形態において、Rは、C1~6アルキル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択され、前記C1~6アルキル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランは1~2個のRで必要に応じて置換されている。
いくつかの実施形態において、Rは、置換されていないC1~6アルキル、置換されていないシクロヘキシルおよび置換されていないテトラヒドロピランからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Rは、1~3個のRで必要に応じて置換されているC1~8アルキルである。
いくつかの実施形態において、Rは、1~3個のRで必要に応じて置換されている5~7員の複素環式基である。
いくつかの実施形態において、Rは、1~3個のRで必要に応じて置換されている5~7員のシクロアルキル基である。
いくつかの実施形態において、Xは、結合である。いくつかの実施形態において、Xは、-O-である。
いくつかの実施形態において、Xは結合であり、Rは、C1~8アルキルおよび4~7員の複素環式基からなる群から選択され、前記C1~8アルキルおよび複素環式基は1~3個のRで必要に応じて置換されており、各Rは、独立して、C1~4アルキル、CN、F、OH、C1~4アルキル-OHおよびC1~4アルコキシからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Xは結合であり、Rは、C1~6アルキルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択され、前記C1~6アルキルおよびテトラヒドロピランは1~2個のRで必要に応じて置換されている。
いくつかの実施形態において、Xは結合であり、Rは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ヘキシルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Xは-O-であり、Rは、C1~6アルキル、4~7員の複素環式基および3~8員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~6アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は、1~3個のRで必要に応じて置換されており、各Rは、独立して、C1~4アルキル、CN、F、OH、C1~4アルキル-OHおよびC1~4アルコキシからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Xは-O-であり、Rは、4~7員の複素環式基および3~8員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記複素環式基およびシクロアルキル基は、1~3個のRで必要に応じて置換されており、各Rは、独立して、C1~4アルキル、CN、F、OH、C1~4アルキル-OHおよびC1~4アルコキシからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、Xは-O-であり、Rは、5~6員の複素環式基および5~6員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されている。
いくつかの実施形態において、Xは-O-であり、Rは、イソプロピル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される。
本発明は、以下からなる群:
Figure 2022529370000004
から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩も提供する。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
Figure 2022529370000005
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は、式:
Figure 2022529370000006
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩である。
いくつかの実施形態において、本発明は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的に許容され得るキャリアとを含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、1またはそれを超えるさらなる治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は軟膏またはクリームである。
本明細書では、化学構造は、ChemDrawソフトウェア(PerkinElmer,Inc.,Cambridge、MA)に実装されているIUPAC規則に従って命名されている。例えば、化合物1:
Figure 2022529370000007
は、(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルアセタートと命名される。(1R,3s,5S)表記は、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン基に対するピリミジニルアミノ基のエキソ配向を記述する。
さらに、化合物(I)および本明細書に開示される他の化合物のピラゾリル部分は、互変異性形態で存在する。具体的な構造は特定の形態で示されまたは命名されているが、本発明はその互変異性体も含むことが理解されよう。
本開示の化合物は、1またはそれを超えるキラル中心を含有し、したがって、このような化合物(およびその中間体)は、ラセミ混合物;純粋な立体異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー);立体異性体濃縮混合物などとして存在することができる。キラル中心において定義された立体化学なしに本明細書中に示されたまたは命名されたキラル化合物は、特に明記しない限り、定義されていない立体中心における任意のまたはすべての可能な立体異性体変化を含むことが意図される。特定の立体異性体の描写または命名は、描写または命名された化合物の有用性が別の立体異性体の存在によって失われないという前提で、別段の指示がなければ少量の他の立体異性体も存在し得るという理解の下に、示された立体中心が指定された立体化学を有することを意味する。
式(I)の化合物は、遊離形態として、またはモノ-プロトン化された塩形態、ジ-プロトン化された塩形態、トリ-プロトン化された塩形態もしくはこれらの混合物などの様々な塩形態で存在し得る。別段の指示がない限り、このような形態はすべて、本発明の範囲内に含まれる。
本開示は、ある原子が、同じ原子番号を有するが、自然界において優勢である原子量とは異なる原子量を有する原子で置き換えられているまたは濃縮されている、式(I)の化合物を含む本開示の化合物の同位体標識されたバージョンも含む。式(I)の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、35Sおよび18Fが挙げられるが、これらに限定されない。特に興味深いのは、トリチウムまたは炭素-14が濃縮された式(I)の化合物であり、これらの化合物は、例えば、組織分布研究において使用することができる。特に代謝の部位における重水素が濃縮された式(I)の化合物も特に興味深く、これらの化合物はより高い代謝安定性を有すると予想される。さらに、11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体が濃縮された式(I)の化合物は特に興味深く、これらの化合物は、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)研究において使用することができる。
定義
様々な態様および実施形態を含む本発明を説明する際、以下の用語は、別段示されない限り、以下の意味を有する。
用語「アルキル」は、直鎖もしくは分枝鎖またはそれらの組み合わせであり得る一価の飽和炭化水素基を意味する。別段定義されない限り、そのようなアルキル基は、代表的には、1~10個の炭素原子を含む。代表的なアルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(n-Pr)または(nPr)、イソプロピル(i-Pr)または(iPr)、n-ブチル(n-Bu)または(nBu)、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル(t-Bu)または(tBu)、n-ペンチル、n-ヘキシル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルペンチル、2-プロピルペンチルなどが挙げられる。
具体的な数の炭素原子が、特定の用語に対して意図されているとき、炭素原子の数は、その用語の前に示される。例えば、用語「C1~3アルキル」は、1~3個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、ここで、それらの炭素原子は、直鎖または分枝鎖の配置を含む化学的に許容され得る任意の配置で存在する。
用語「アルコキシ」は、一価の基-O-アルキルを意味し、ここで、アルキルは、上記のように定義される。代表的なアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。
用語「シクロアルキル」は、単環式または多環式であり得る一価の飽和炭素環式基を意味する。別段定義されない限り、そのようなシクロアルキル基は、代表的には、3~10個の炭素原子を含む。代表的なシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル(cPr)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどが挙げられる。
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」、「複素環式」または「複素環式環」は、3~10個の総環原子を有し、環が2~9個の炭素環原子と、窒素、酸素および硫黄から選択される1~4個の環ヘテロ原子とを含有する、一価の飽和または部分不飽和環状非芳香族基を意味する。複素環式基は、単環式または多環式(すなわち、縮合または架橋されている)であり得る。代表的な複素環式基としては、例として、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリル、インドリン-3-イル、2-イミダゾリニル、テトラヒドロピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-イル、キヌクリジニル、7-アザノルボルナニル、ノルトロパニルなどが挙げられ、結合点は任意の利用可能な炭素または窒素環原子である。文脈が複素環式基の結合点を明らかにする場合には、そのような基は、代替的に、無価の種、すなわちピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール、テトラヒドロピランなどと呼ばれ得る。
用語「治療有効量」は、処置を必要とする患者に投与されたとき、処置をもたらすのに十分な量を意味する。
用語「処置」は、本明細書中で使用されるとき、哺乳動物(特にヒト)などの患者における疾患、障害または病状(例えば、胃腸炎症性疾患)の処置を意味し、それには、以下のうちの1つまたはそれを超えるものが含まれる:
(a)疾患、障害または病状の発生を予防すること、すなわち、疾患もしくは病状の再発を予防すること、またはその疾患もしくは病状になりやすい患者の予防的処置;
(b)疾患、障害または病状を回復させること、すなわち、患者の疾患、障害もしくは病状を排除するかまたはそれらを後退させること(他の治療剤の効果を相殺することを含む);
(c)疾患、障害または病状を抑制すること、すなわち、患者の疾患、障害または病状の発症を遅延させるかまたは停止させること;または
(d)患者の疾患、障害または病状の症候を軽減すること。
用語「薬学的に許容され得る塩」は、患者または哺乳動物(例えば、ヒト)への投与が許容され得る塩(例えば、所与の投与レジメンについて許容され得る哺乳動物の安全性を有する塩)を意味する。代表的な薬学的に許容され得る塩としては、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エジシル酸(edisylic)、フマル酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルクロン酸(glucoronic)、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2,6-ジスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸およびキシナホ酸(xinafoic acid)などの塩が挙げられる。
用語「その塩」は、酸の水素がカチオン(例えば、金属カチオンまたは有機カチオンなど)によって置き換えられたときに形成される化合物を意味する。例えば、カチオンは、プロトン化型の式(I)の化合物、すなわち、1つまたはそれを超えるアミノ基が酸によってプロトン化されている形態であり得る。代表的には、塩は、薬学的に許容され得る塩であるが、これは、患者への投与が意図されていない中間体化合物の塩には求められない。
一般的な合成手順
式(I)の化合物およびその中間体は、市販のまたは慣用のように調製される出発物質および試薬を使用して、以下の一般的な方法および手順に従って調製することができる。以下のスキームで使用される置換基および変数(例えば、R、X、Rなど)は、特に明記しない限り、本明細書の他の箇所で定義されるものと同じ意味を有する。さらに、酸性または塩基性の原子または官能基を有する化合物は、特に明記しない限り、塩として使用され得る、または製造され得る(いくつかの事例においては、特定の反応における塩の使用は、反応を行う前に慣用的な手順を使用して、塩を非塩形態、例えば遊離塩基に変換することを必要とする)。
以下の手順では、本発明の特定の実施形態が示され、または記載され得るが、当業者は、そのような手順を使用して、または当業者に公知の他の方法、試薬および出発物質を使用することによって、本発明の他の実施形態または態様も調製することができることを認識するであろう。特に、式(I)の化合物は、最終生成物を生成する途中で異なる中間体を与えるために反応物が異なる順序で組み合わされる様々なプロセス経路によって調製され得ることが理解されよう。
式(I)の化合物を調製する一般的な方法をスキーム1に示す。
スキーム1
Figure 2022529370000008
化合物Mは、塩基の存在下でのS-1との反応によって式(I)の化合物に変換され得、式中、LGは脱離基である。いくつかの実施形態において、脱離基はクロロであり、S-1は塩化アシルまたはクロロホルマートのいずれかである。いくつかの実施形態において、Xは結合であり、反応はDIPEAおよびDMAPの存在下で行われる。いくつかの実施形態において、XはOであり、反応はピリジンおよびDMFまたはTHFのいずれかの存在下で行われる。
あるいは、Xが結合である場合、化合物Mは、HATUなどのカップリング剤の存在下でカルボン酸S-2とカップリングすることによって式(I)の化合物に変換され得る。いくつかの実施形態において、反応は、DIPEAおよびDMAPの存在下で行われる。
薬学的組成物
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、典型的には、薬学的組成物または製剤の形態で使用される。そのような薬学的組成物は、経口、局所(経皮を含む)、直腸、鼻、吸入および非経口投与様式を含むがこれらに限定されない任意の許容され得る投与経路によって患者に投与され得る。
したがって、その組成物の態様の1つにおいて、本発明は、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤と、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物に関する。必要に応じて、そのような薬学的組成物は、所望であれば他の治療剤および/または製剤化剤を含有し得る。組成物およびその使用を論じる場合、「本発明の化合物」は、本明細書では「活性な作用物質」とも呼ばれ得る。
本開示の薬学的組成物は、典型的には、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含有する。しかしながら、当業者は、薬学的組成物が、治療有効量を超える量、すなわちバルク組成物、または治療有効量未満の量、すなわち治療有効量を達成するために複数回投与用に設計された個別の単位用量を含有し得ることを認識するであろう。
代表的には、そのような薬学的組成物は、約0.1~約95重量%の活性な作用物質(約5~約70重量%の活性な作用物質を含む)を含む。
任意の従来のキャリアまたは賦形剤を、本発明の薬学的組成物において使用してもよい。特定のキャリアもしくは賦形剤、またはキャリアもしくは賦形剤の組み合わせの選択は、特定の患者を処置するために用いられる投与様式、または病状もしくは疾患状態のタイプに依存する。この点において、特定の投与様式に対して好適な薬学的組成物の調製法は、十分に薬学分野の当業者の技術の範囲内である。さらに、本発明の薬学的組成物において使用されるキャリアまたは賦形剤は、商業的に入手可能である。さらなる例証として、従来の製剤化の手法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000);およびH.C.Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(1999)に記載されている。
薬学的に許容され得るキャリアとして機能し得る材料の代表例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン);セルロース(例えば、微結晶性セルロース)およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオバターおよび坐剤ろう);油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油);グリコール(例えば、プロピレングリコール);ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質非含有水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;および薬学的組成物において使用される他の無毒性の適合性物質。
薬学的組成物は、代表的には、活性な作用物質を薬学的に許容され得るキャリアおよび1つまたはそれを超える必要に応じた成分と十分かつ完全に混合または混和することによって調製される。次いで、得られた均一に混和された混合物は、従来の手順および器具を用いて、錠剤、カプセル剤、丸剤などに成形または充填され得る。
本開示の薬学的組成物は、単位剤形で包装され得る。用語「単位剤形」は、患者に投薬するのに適した物理的に分離した単位、すなわち、単独でまたは1もしくはそれを超える追加の単位と組み合わせて所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性な作用物質を含有する各単位を指す。例えば、そのような単位剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤など、または非経口投与に適した単位パッケージであり得る。
一実施形態において、本発明の薬学的組成物は経口投与に適している。経口投与に好適な薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、舐剤、カシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤の形態であり得るか;または水性もしくは非水性液体における溶液もしくは懸濁液として存在し得るか;または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして存在し得るか;またはエリキシル剤もしくはシロップ剤などとして存在し得;各々は、所定の量の本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を活性成分として含んでいる。
固体剤形で(すなわち、カプセル剤、錠剤、丸剤などとして)の経口投与が意図されているとき、本開示の薬学的組成物は、通常、活性な作用物質またはその薬学的に許容され得る塩および1またはそれを超える薬学的に許容され得るキャリアを含む。必要に応じて、そのような固体剤形は、充填剤または増量剤(例えば、デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸二カルシウム、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸);結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア);保湿剤(例えば、グリセロール);崩壊剤(例えば、クロスカルメロース(crosscarmellose)ナトリウム、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリカートおよび/または炭酸ナトリウム);溶解遅延剤(例えば、パラフィン);吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよび/またはモノステアリン酸グリセロール);吸収剤(例えば、カオリンおよび/またはベントナイト粘土);滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはそれらの混合物);着色剤;ならびに緩衝剤を含み得る。
離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、保存剤ならびに酸化防止剤も、本開示の薬学的組成物に存在し得る。薬学的に許容され得る酸化防止剤の例としては、水溶性の酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);油溶性の酸化防止剤(例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど);および金属キレート剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)が挙げられる。錠剤、カプセル剤、丸剤などのためのコーティング剤としては、腸溶コーティングのために使用されるもの(例えば、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸、メタクリル酸エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートなど)が挙げられる。
本開示の薬学的組成物はまた、例えば、様々な比率でヒドロキシプロピルメチルセルロース;または他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/もしくはミクロスフェアを用いて、活性な作用物質の持続放出または制御放出を提供するように製剤化され得る。さらに、本開示の薬学的組成物は、必要に応じて不透明化剤を含んでもよく、消化管のある特定の部分において、必要に応じて遅延様式で、活性成分だけを放出するようにまたは活性成分を優先的に放出するように製剤化され得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびろうが挙げられる。活性な作用物質は、適切な場合、上に記載された賦形剤の1つまたはそれ超とともに、マイクロカプセル化された形態でも存在し得る。
経口投与に好適な液体剤形としては、例証として、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。液体剤形は、代表的には、活性な作用物質および不活性な希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、オレイン酸、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含む。あるいは、ある特定の液体製剤は、例えば噴霧乾燥によって、粉末に変換され得、その粉末は、従来の手順によって固形剤形を調製するために使用される。
懸濁液は、活性成分またはその薬学的に許容され得る塩に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガント、ならびにそれらの混合物を含み得る。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、非経口的に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内または腹腔内注射によって)も投与され得る。非経口投与の場合、活性な作用物質またはその薬学的に許容され得る塩は、代表的には、非経口投与に好適なビヒクルと混合され、そのビヒクルの例としては、滅菌水溶液、食塩水、低分子量アルコール、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルなどが挙げられる。非経口製剤は、1またはそれを超える酸化防止剤、可溶化剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤または分散剤も含み得る。これらの製剤は、滅菌された注射可能な媒質、滅菌剤の使用、濾過、照射または加熱によって、滅菌され得る。
あるいは、本開示の薬学的組成物は、吸入による投与のために製剤化される。吸入による投与に好適な薬学的組成物は、代表的には、エアロゾルまたは粉末の形態であり得る。そのような組成物は、一般に、周知の送達デバイス(例えば、定量吸入器、乾燥粉末吸入器、噴霧器または同様の送達デバイス)を用いて投与される。
加圧容器を用いて吸入によって投与されるとき、本開示の薬学的組成物は、代表的には、活性成分またはその薬学的に許容され得る塩および好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガス)を含み得る。さらに、薬学的組成物は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および粉末吸入器での使用に適した粉末を含むカプセルまたはカートリッジ(例えばゼラチンでできたもの)の形態であり得る。好適な粉末基剤の例としては、ラクトースまたはデンプンが挙げられる。
局所製剤
皮膚症状を処置するために、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、好ましくは、皮膚への局所投与のために製剤化される。局所組成物は、ポリマー、増粘剤(thickener)、緩衝剤、中和剤、キレート剤、防腐剤、界面活性剤または乳化剤、酸化防止剤、ワックスまたは油、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、および溶媒または混合溶媒系を含み得るがこれらに限定されない流体または半固体ビヒクルを含む。本発明において有用な局所組成物は、多種多様な製品類型にすることができる。これらには、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、フォーム(foam)、ムースおよびクレンザーが含まれるが、これらに限定されない。これらの製品類型は、粒子、ナノ粒子およびリポソームを含むがこれらに限定されないいくつかの種類のキャリア系を含むことができる。所望であれば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加することができる。製剤化および投与のための技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.(Easton,Pa.:Mack Publishing Co.,1995)の中に見出すことができる。製剤は、体内の所望の標的部位への送達を最大化するように選択することができる。
摩擦なしに皮膚または毛髪表面に塗布される調製物であるローションは、典型的には、細かく分割された固体、ろう状物(waxy)または液体がその中に分散されている液体または半液体調製物である。ローションは、典型的には、より良好な分散液をもたらすための懸濁化剤、ならびに活性な作用物質を皮膚または毛髪と接触させて局在化および保持するのに有用な化合物、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含有する。
本開示による送達のための活性な作用物質またはその薬学的に許容され得る塩を含有するクリームは、水中油型または油中水型のいずれかの粘性液体または半固体エマルジョンである。クリーム基剤は、水洗浄可能であり、油相、乳化剤および水相を含有する。油相は、一般に、ペトロラタムまたは脂肪アルコール、例えばセチル-またはステアリルアルコールから構成され、水相は、必ずとは限らないが、通常、体積で油相を上回り、一般に湿潤剤を含有する。Remington:The Science and Practice of Pharmacyで説明されているように、クリーム製剤中の乳化剤は、一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤である。クリーム製剤の構成要素としては、油性基剤(例えば、ペトロラタム(petrolatrum)、鉱油、植物油および動物油ならびにトリグリセリド);クリーム基剤(例えば、ラノリンアルコール、ステアリン酸およびセトステアリルアルコール);ゲル基剤(例えば、ポリビニルアルコール);溶媒(例えば、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール);乳化剤(例えば、ポリソルベート、ステアレート(例えば、ステアリン酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル(octylhydroxystearate)、ステアリン酸ポリオキシル、PEGステアリルエーテル、パルミチン酸イソプロピルおよびモノステアリン酸ソルビタン));安定剤(例えば、多糖および亜硫酸ナトリウム);軟化薬(すなわち、保湿剤(例えば、中鎖トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピルおよびジメチコーン));硬化剤(例えば、セチルアルコールおよびステアリルアルコール);抗菌剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、ソルビン酸、ジアゾリジニル尿素およびブチル化ヒドロキシアニソール);浸透促進剤(例えば、N-メチルピロリドン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレートなど);およびキレート剤(例えば、エデト酸二ナトリウム)が挙げられ得る。
ゲル製剤も本発明に関連して使用することができる。局所薬物製剤化の分野の従事者によって理解されるように、ゲルは半固体である。単相ゲルは、典型的には水性であるが、溶媒または溶媒混和物でもあり得るキャリア液体全体にわたって実質的に均一に分布した有機高分子を含有する。
半固体調製物である軟膏は、典型的にはペトロラタムまたはその他の石油誘導体を基礎とする。当業者に理解されるように、使用されるべき具体的な軟膏基剤は、所定の製剤のために選択された活性な作用物質に最適な送達を与え、好ましくは、他の所望の特性、例えば皮膚軟化性なども与えるものである。他のキャリアまたはビヒクルと同様に、軟膏基剤は、不活性、安定、非刺激性および非感作性であるべきである。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.(Easton,Pa.:Mack Publishing Co.,1995)、1399~1404頁において説明されているとおり、軟膏基剤は、油性基剤;乳化可能な基剤;エマルジョン基剤;および水溶性基剤という4つのクラスに分類され得る。油性軟膏基剤としては、例えば、植物油、動物から得られる脂肪、および石油から得られる半固体炭化水素が挙げられる。吸収性軟膏基剤としても知られる乳化可能な軟膏基剤は、水をほとんどまたは全く含有せず、例えば、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリンおよび親水性ワセリンを含む。エマルジョン軟膏基剤は、油中水型(W/O)エマルジョンまたは水中油型(O/W)エマルジョンのいずれかであり、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラノリンおよびステアリン酸が挙げられる。水溶性軟膏基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコールから調製され得る。さらなる情報については、同じく、上記のRemington:The Science and Practice of Pharmacyが参照され得る。軟膏製剤に使用するのに適した油性材料には、ペトロラタム(ワセリン)、蜜蝋、ココアバター、シアバターおよびセチルアルコールが含まれる。軟膏は、必要に応じて、所望であれば、浸透促進剤をさらに含み得る。
本開示の有用な製剤は、スプレーも包含する。スプレーは、一般に、送達のために皮膚または毛髪上にミストとしてかけることができる水性および/またはアルコール性溶液中に活性な作用物質を提供する。そのようなスプレーには、送達後に投与の部位において活性な作用物質溶液の濃度を提供するように製剤化されたものが含まれ、例えば、スプレー溶液は、薬物または活性な作用物質をその中に溶解することができるアルコールまたは他の同様の揮発性液体から主に構成され得る。皮膚または毛髪に送達されると、キャリアは蒸発し、濃縮された活性な作用物質が投与の部位に残る。
局所薬学的組成物は、適切な固体またはゲル相キャリアも含み得る。そのようなキャリアの例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
局所薬学的組成物は、水中油型または油中水型の混合および懸濁を強化または促進する作用物質を指す適切な乳化剤も含み得る。本明細書で使用される乳化剤は、単一の乳化剤からなり得るか、あるいは非イオン性、アニオン性、カチオン性もしくは両性界面活性剤または2もしくはそれを超えるこのような界面活性剤の混和物であり得る。本明細書での使用に好ましいのは、非イオン性またはアニオン性乳化剤である。このような界面活性剤は、”McCutcheon’s Detergent and Emulsifiers,”North American Edition,1980 Annual published by the McCutcheon Division,MC Publishing Company,175 Rock Road,Glen Rock,NJ.07452,USAに記載されている。
セテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、乳化ワックス、モノステアリン酸グリセリルなどの高分子量アルコールが使用され得る。他の例は、エチレングリコールジステアラート、ソルビタントリステアラート、プロピレングリコールモノステアラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノステアラート(SPAN60)、ジエチレングリコールモノラウラート、ソルビタンモノパルミタート、スクロースジオレアート、スクロースステアラート(CRODESTA F-160)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(BRIJ 30)、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル(BRIJ 72)、ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル(BRIJ 721)、ポリオキシエチレンモノステアラート(Myrj 45)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(TWEEN60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(TWEEN80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(TWEEN20)およびオレイン酸ナトリウムである。外用エマルジョンでは、コレステロールおよびコレステロール誘導体も使用され得る。
適切な非イオン性乳化剤の例は、Kenneth Lissantによって編集され、Dekker,New York,N.Y.によって1974年に出版された”Emulsions and Emulsion”の中で、Paul L.Lindnerによって記載されている。使用され得る非イオン性乳化剤の例としては、BRIJ製品、例えばBRIJ 2(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)、BRIJ S20(ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル)、BRIJ 72(4.9のHLBを有するポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)、BRIJ 721(15.5のHLBを有するポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル)、Brij 30(9.7のHLBを有するポリオキシエチレンラウリルエーテル)、Polawax(8.0のHLBを有する乳化ワックス)、Span 60(4.7のHLBを有するソルビタンモノステアラート)、Crodesta F-160(14.5のHLBを有するステアリン酸スクロース)が挙げられるが、これらに限定されない。
局所薬学的組成物は、適切な皮膚軟化剤も含み得る。皮膚軟化剤は、乾燥の防止または軽減および皮膚または毛髪の保護のために使用される材料である。有用な皮膚軟化剤には、セチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリルアルコールなどが含まれるが、これらに限定されない。多種多様な適切な皮膚軟化剤が公知であり、本明細書で使用することができる。例えば、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Sagarin,Cosmetics,Science and Technology,2nd Edition,Vol.1,pp.32-43(1972)および1990年4月24日発行のDecknerらに付与された米国特許第4,919,934号を参照されたい。
局所薬学的組成物は、酸化を阻害することが知られている物質である適切な酸化防止剤も含み得る。本発明に従って使用するのに適した酸化防止剤としては、以下の化合物の薬学的に許容され得る塩およびエステルを含む、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸パルミタート、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、エリソルビン酸、グアヤクガム、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert-ブチルヒドロキノンおよびビタミンEなどのトコフェロールが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、これらの薬学的に許容され得る塩もしくはエステル、またはこれらの混合物である。最も好ましくは、酸化防止剤はブチル化ヒドロキシトルエンである。
局所薬学的組成物は、適切な防腐剤も含み得る。防腐剤は、抗微生物剤として作用するために薬学的製剤に添加される化合物である。非経口製剤において有効であり、許容され得るとして当技術分野で公知の防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o-クレゾール、p-クレゾール、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸およびこれらの様々な混合物がある。例えば、Wallhausser,K.-H.,Develop.Biol.Standard,24:9-28(1974)(S.Krager,Basel)を参照されたい。
局所薬学的組成物は、脂質二重層を横切らない金属カチオンと錯体を形成するのに適したキレート剤も含み得る。適切なキレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)および8-アミノ-2-[(2-アミノ-5-メチルフェノキシ)メチル]-6-メトキシキノリン-N,N,N’,N’-四酢酸,四カリウム塩(QUIN-2)が挙げられる。好ましくは、キレート剤はEDTAおよびクエン酸である。
局所薬学的組成物は、製剤のpHを薬学的に許容され得る範囲内に調整するために使用される適切な中和剤も含み得る。中和剤の例としては、トロラミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸および酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
局所薬学的組成物は、適切な増粘剤(viscosity increasing agent)も含み得る。これらの成分は、作用物質とポリマーとの相互作用を通じてポリマー含有溶液の粘度を増加させることができる拡散性化合物である。Carbopol Ultrez 10を増粘剤として使用し得る。
局所投与に適したローションなどの液体形態は、緩衝剤、懸濁剤および分配(dispensing)剤、増粘剤、浸透促進剤などとともに適切な水性または非水性ビヒクルを含み得る。クリームまたはペーストなどの固体形態は、界面活性剤、ポリエチレングリコールなどのポリマー、増粘剤、固体などとともに、例えば、以下の成分のいずれか、水、油、アルコールまたはグリースを基材として含み得る。液体または固体製剤は、リポソーム、ミクロソーム、マイクロスポンジなどの増強された送達技術を含み得る。さらに、化合物は、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの持続放出系を使用して送達することができる。様々な持続放出性材料が確立されており、当業者に周知である。
局所適用のために製剤化される場合、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.1~50%で存在し得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.1~25%で存在する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.1~10%で存在する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.25~5%で存在する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.25~2%で存在する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.25~1%で存在する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.05~0.5%で存在する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.25、3.5、3.75、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10%で存在する。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物は、1またはそれを超える追加の治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、1またはそれを超えるさらなる治療剤は、自己免疫性皮膚疾患を処置するために有用である。いくつかの実施形態において、1またはそれを超えるさらなる治療剤は、炎症性皮膚疾患を処置するために有用である。いくつかの実施形態において、1またはそれを超えるさらなる治療剤は、アトピー性皮膚炎を処置するために有用である。いくつかの実施形態において、1またはそれを超えるさらなる治療剤は、円形脱毛症を処置するために有用である。薬学的組成物中で式(I)の化合物と組み合わされ得る特定の化合物のクラスまたは特定の化合物が後の段落に例示されている。
以下の非限定的な例は、本発明の代表的な薬学的組成物を例証する。
錠剤経口固体剤形
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、錠剤1つあたり5mg、20mgまたは40mgの活性な作用物質という単位投与量が提供されるように、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンおよびクロスカルメロースナトリウムと4:5:1:1の比で乾式混合され、錠剤に圧縮される。
カプセル経口固体剤形
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、カプセル1つあたり5mg、20mgまたは40mgの活性な作用物質という単位投与量が提供されるように、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンおよびクロスカルメロースナトリウムと4:5:1:1の比で湿式造粒によって混和され、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのカプセルに充填される。
液体製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩(0.1%)、水(98.9%)およびアスコルビン酸(1.0%)を含む液体製剤は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を水とアスコルビン酸の混合物に添加することによって形成される。
腸溶コーティングされた経口剤形
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、ポリビニルピロリドンを含有する水溶液に溶解し、1:5w/wという活性な作用物質:ビーズの比で微結晶性+セルロースまたは糖のビーズ上にスプレーコーティングし、次いで、アクリル共重合体、例えば、商品名Eudragit-L(登録商標)およびEudragit-S(登録商標)として入手可能なアクリル共重合体の組み合わせまたは酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む腸溶コーティングのおよそ5%重量増加を適用する。腸溶コーティングされたビーズを、例えば、カプセル1つあたり30mgの活性な作用物質という単位投与量が提供されるように、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのカプセルの中に充填する。
腸溶コーティングされた経口剤形
Eudragit-L(登録商標)とEudragit-S(登録商標)との組み合わせまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートを含む腸溶コーティングを、上に記載された錠剤経口剤形またはカプセル経口剤形に適用する。
局所投与用の軟膏製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む組成物が提供されるように、ペトロラタム、C~C10トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸オクチルおよびN-メチルピロリドンと、ある比で混和される。
局所投与用の軟膏製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む組成物が提供されるように、ペトロラタム、C~C10トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ベンジルアルコールおよびN-メチルピロリドンと、ある比で混和される。
局所投与用の軟膏製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む組成物が提供されるように、白色ワセリン、プロピレングリコール、モノ-およびジ-グリセリド、パラフィン、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびエデト酸カルシウム二ナトリウムと、ある比で混和される。
局所投与用の軟膏製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む組成物が提供されるように、鉱油、パラフィン、炭酸プロピレン、白色ワセリンおよび白ろうと混和される。
局所投与用のクリーム製剤
鉱油が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、プロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、ポリソルベート60、セチルアルコール、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ポリオキシル40、ソルビン酸、メチルパラベンおよびプロピルパラベンと混和されて、油相が形成され、それが、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む組成物が提供されるように、剪断混合(shear blending)によって精製水と混和される。
局所投与用のクリーム製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、ベンジルアルコール、セチルアルコール、無水クエン酸、モノおよびジグリセリド、オレイルアルコール、プロピレングリコール、硫酸セトステアリルナトリウム、水酸化ナトリウム、ステアリルアルコール、トリグリセリドならびに水を含むクリーム製剤は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む。
局所投与用のクリーム製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、セトステアリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコール、セトマクロゴール1000、ジメチコーン360、クエン酸、クエン酸ナトリウムおよび精製水を、防腐剤としてのイミド尿素、メチルパラベンおよびプロピルパラベンとともに含むクリーム製剤は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む。
局所投与用のクリーム製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、ステアリン酸、セトステアリルアルコール、パルミチン酸イソプロピル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、BRIJ S2(PEG2ステアリルエーテル)、BRIJ S20(PEG20ステアリルエーテル)、N-メチルピロリジン、PEGおよび水を含むクリーム製剤は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む。
局所投与用のクリーム製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、ステアリン酸、セトステアリルアルコール、パルミチン酸イソプロピル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、BRIJ S2(PEG 2ステアリルエーテル)、BRIJ S20(PEG 20ステアリルエーテル)、N-メチルピロリジン、PEG400および水を含むクリーム製剤は、重量基準で0.05%~5%の活性な作用物質を含む。
有用性
式(I)の化合物は、酵素のJAKファミリー:JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2の強力な阻害剤であることが示されている。さらに、式(I)の化合物は活性代謝産物を放出する能力を有する。JAK酵素のファミリーの阻害は、多くの重要な炎症促進性サイトカインのシグナル伝達を阻害する。したがって、式(I)の化合物は、炎症性および掻痒性皮膚疾患、胃腸炎症性疾患、炎症性眼疾患および炎症性呼吸器疾患などの炎症性疾患の処置に有用であると予想される。
炎症性皮膚疾患
アトピー性皮膚炎は、JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカイン、特にIL-4、IL-5、IL-10、IL-13およびIFNγの上昇と関連付けられてきた。式(I)の化合物およびそれらの活性代謝産物は、4つのJAK酵素すべてで強力な阻害を示すので、アトピー性皮膚炎および他の炎症性皮膚疾患に特徴的な炎症促進性サイトカインを強力に阻害すると予想される。式(I)の化合物およびそれらの活性代謝産物は、細胞アッセイにおいてIL-2誘導性STAT5リン酸化の阻害に対して高いpIC50値を示すことも本明細書で示された。
著しい全身レベルの非存在下におけるJAK阻害剤の持続的な皮膚レベルは、全身的に引き起こされる有害作用なしに皮膚において強力な局所的抗炎症および抗そう痒活性をもたらすことが予想される。このような化合物は、アトピー性皮膚炎、白斑、非分節型白斑、皮膚T細胞リンパ腫およびサブタイプ(セザリー症候群、菌状息肉症、パジェット様細網症、肉芽腫様弛緩皮膚、リンパ腫様丘疹症、慢性苔癬状粃糠疹、急性苔癬状痘瘡状粃糠疹、CD30+皮膚T細胞リンパ腫、続発性皮膚CD30+大細胞リンパ腫、非菌状息肉症CD30-皮膚大T細胞リンパ腫、多形性T細胞リンパ腫、レナートリンパ腫、皮下T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、芽球型NK細胞リンパ腫)、結節性痒疹、扁平苔癬、接触性皮膚炎、異汗性湿疹、湿疹、貨幣状湿疹、脂漏性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、原発性限局性皮膚アミロイドーシス、水疱性類天疱瘡、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、環状肉芽腫、慢性単純性苔癬、そう痒、外陰部/陰嚢/肛門周囲のそう痒、硬化性苔癬、帯状疱疹後神経痛かゆみ、毛孔性扁平苔癬、乾癬、慢性手湿疹、化膿性汗腺炎、好酸球増加症候群、全身性紅斑性狼瘡および脱毛性毛包炎(foliculitis decalvans)が挙げられるが、これらに限定されない多数の皮膚炎症性症状または皮膚そう痒性症状において有益であると予想される。特に、アトピー性皮膚炎(Baoら、JAK-STAT,2013,2,e24137)、単発型円形脱毛症、多発型円形脱毛症、蛇行型、全身性円形脱毛症、全頭型円形脱毛症および須毛部円形脱毛症などのサブタイプを含む円形脱毛症(Xingら、Nat Med.2014,20,1043-1049)、白斑(Craiglowら、JAMA Dermatol.2015,151,1110-1112)、皮膚T細胞リンパ腫(Netchiporoukら、Cell Cycle.2014;13,3331-3335)、結節性痒疹(Sonkolyら、J Allergy Clin Immunol.2006,117,411-417)、扁平苔癬(Welz-Kubiakら、J Immunol Res.2015,ID:854747)、原発性限局性皮膚アミロイドーシス(Tanakaら、Br J Dermatol.2009,161,1217-1224)、水疱性類天疱瘡(Felicianiら、Int J Immunopathol Pharmacol.1999,12,55-61)および移植片対宿主病の皮膚発現(Okiyamaら、J Invest Dermatol.2014,134,992-1000)は、JAKの活性化を介してシグナル伝達するある特定のサイトカインの増加を特徴とする。したがって、式(I)の化合物は、これらのサイトカインによって引き起こされる関連する皮膚炎症またはそう痒を緩和することが可能であり得る。特に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、アトピー性皮膚炎およびその他の炎症性皮膚疾患の処置に有用であると予想される。
式(I)の化合物は、局所組成物への製剤化を容易にする、水性および/または有機賦形剤中での有利な溶解特性も有する。
式(I)の化合物は、活性代謝産物である化合物Mも放出し、それによってJAK阻害剤への全体的な曝露を増加させる。化合物Mは、迅速な全身クリアランスおよび良好な皮膚透過性を可能にする高いクリアランスおよび透過性を含む好ましい特性を有する。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)における炎症性または自己免疫性皮膚疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的キャリアとを含む薬学的組成物を前記哺乳動物の皮膚に適用することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)における炎症性または自己免疫性皮膚疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態において、アトピー性皮膚炎は、軽度から中等度である。いくつかの実施形態において、アトピー性皮膚炎は、中等度から重度である。いくつかの実施形態において、自己免疫性皮膚疾患は円形脱毛症である。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、炎症性皮膚疾患を処置するのに有用な1またはそれを超える化合物と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、1またはそれを超える化合物は、ステロイド、コルチコステロイド、抗生物質、ヒスタミンH1レセプターアンタゴニスト、カルシニューリン阻害剤、IL-13アンタゴニスト、PDE4阻害剤、Gタンパク質共役レセプター-44アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、5-HT 1aレセプターアンタゴニスト、5-HT 2bレセプターアンタゴニスト、α2アドレノセプターアゴニスト、カンナビノイドCB1レセプターアンタゴニスト、CCR3ケモカイン、アンタゴニスト、コラゲナーゼ阻害剤、細胞質型ホスホリパーゼA2阻害剤、エオタキシンリガンド阻害剤、GATA 3転写因子阻害剤、ヒスタミンH4レセプターアンタゴニスト、IL-10アンタゴニスト、IL-12アンタゴニスト、IL-17アンタゴニスト、IL-2アンタゴニスト、IL-23アンタゴニスト、IL-4レセプター調節因子、IL-15アンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-8アンタゴニスト、IL-9アンタゴニスト、IL-5アンタゴニスト、免疫グロブリンEアンタゴニスト、免疫グロブリンE調節因子、インターフェロンγレセプターアンタゴニスト、インターフェロンγリガンド、インターロイキン33リガンド阻害剤、インターロイキン-31レセプターアンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、肝臓Xレセプターアゴニスト、肝臓Xレセプターβアゴニスト、核内因子κB阻害剤、OX-40レセプターアンタゴニスト、PGD2アンタゴニスト、ホスホリパーゼA2阻害剤、SH2ドメインイノシトールホスファターゼ1刺激物質、胸腺間質リンホプロテインリガンド阻害剤、TLR調節因子、TNFαリガンド調節因子、TLR9遺伝子刺激物質、細胞傷害性T-リンパ球タンパク質-4刺激物質、オピオイドレセプターκアゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ-1阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ-2阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ-3阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ-6阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、グルココルチコイドアゴニスト、Sykチロシンキナーゼ阻害剤、TrkAレセプターアンタゴニスト、インテグリンα-4/β-1アンタゴニスト、インターロイキン1様レセプターアンタゴニスト、インターロイキン-1変換酵素阻害剤、インターロイキン-31レセプターアンタゴニスト、KCNA電位開口型カリウムチャネル-3阻害剤、PDE4B遺伝子阻害剤、カリクレイン2阻害剤、スフィンゴシン-1-リン酸レセプター-1アゴニスト、網膜色素上皮タンパク質刺激物質、T細胞表面糖タンパク質CD28阻害剤、TGFβアンタゴニスト、バニロイドVR1アンタゴニスト、NK1レセプターアンタゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、サイトカインレセプターアンタゴニスト、アンドロゲンレセプターアンタゴニスト、スフィンゴシン1リン酸ホスファターゼ1刺激物質、スフィンゴシン-1-リン酸レセプター-1調節因子、スフィンゴシン-1-リン酸レセプター-4調節因子、スフィンゴシン-1-リン酸レセプター-5調節因子、インターロイキン-1αリガンド阻害剤、OX40リガンド阻害剤、インターロイキン1様レセプター2阻害剤、メラニン細胞刺激ホルモンリガンド、CD40リガンドレセプターアンタゴニスト、オステオポンチンリガンド調節因子、インターロイキン-1βリガンド調節因子、I-κBキナーゼβ阻害剤、5-α-還元酵素阻害剤、5-α-還元酵素-1阻害剤;5-α還元酵素-2阻害剤、ナトリウムチャネル阻害剤、NACHT LRR PYDドメインタンパク質3阻害剤、Wntリガンド調節因子、Wnt 7Aリガンド、メラノコルチンMC1レセプターアゴニスト、mTOR阻害剤、アクチン重合調節因子、ラミニン-5アゴニスト、メタロプロテアーゼ-2調節因子、メタロプロテアーゼ-9調節因子、核内因子κB阻害剤、サイモシンβ4リガンド、サイモシンレセプターアゴニスト、FGF-7リガンド、フォリスタチンアゴニスト、VEGFリガンド、MEK-1プロテインキナーゼ阻害剤、Ras遺伝子阻害剤、5-α還元酵素阻害剤、α1Aアドレノセプターアンタゴニスト、カリクレイン7阻害剤、サイトゾルホスホリパーゼA2阻害剤、伸長因子2阻害剤、NAD ADPリボシル転移酵素刺激物質、インターロイキン-2リガンド、核内因子κB阻害剤、IL-22アンタゴニスト、表皮成長因子レセプターアゴニスト、網膜色素上皮タンパク質刺激物質、AMP活性化プロテインキナーゼ刺激物質、ICE阻害剤、KCNA電位開口型カリウムチャネル3阻害剤、Gタンパク質共役胆汁酸レセプター1アゴニストまたはカリウムチャネル調節因子である。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、ベタメタゾン、フシジン酸、GR-MD-02、デュピルマブ、酢酸ロシプトール、AS-101、シクロスポリン、IMD-0354、セクキヌマブ、アクティミューン、レブリキズマブ、CMP-001、メポリズマブ、ペグカントラチニブ、テゼペルマブ、MM-36、クリサボロール、ALX-101、ベルチリムマブ、FB-825、AX-1602、BNZ-1、アバタセプト、タクロリムス、ANB-020、JTE-052、ZPL-389、ウステキヌマブ、GBR-830、GSK-3772847、ASN-002、レメチノスタット、アプレミラスト、チマピプラント、MOR-106、アシバトレプ(asivatrep)、ノモリズマブ、フェビピプラント、ドキシサイクリン、MDPK-67b、デスロラタジン、トラロキヌマブ、フェキソフェナジン、ピメクロリムス、ベポタスチン、ナルフラフィン、VTP-38543、Q-301、リゲリズマブ(ligelizumab)、RVT-201、DMT-210、KPI-150、AKP-11、E-6005、AMG-0101、AVX-001、PG-102、ZPL-521、MEDI-9314、AM-1030、WOL-071007、MT-0814、吉草酸ベタメタゾン、SB-011、エピナスチン、タクロリムス、トラニラスト、トラディピタント、ジファミラスト、LY-3375880、タピナロフ、エトキマブ、クラスコテロン、エトラシモド、ベルメキマブ、KHK-4083、SAR-440340、BI-655130、EDP-1815、EDP-1066、DUR-928、アファメラノチド、アドリホラント、ジロリュートン(diroleuton)、FOL-005、KY-1005、PUR-0110、BTX-1204、ADSTEM、フィナステリド、BMX-010、BBI-5000、MSB-01、ATI-501、B-244、ASN-008、次亜塩素酸、ジフェニルシクロプロペノン、RG-6149、LY-3454738、SB-414、S1P1アゴニスト、SM-04554、PL-8177、ラパマイシン、ローズベンガルナトリウム、トナバカーゼ(tonabacase)、オミガナン五塩酸塩、デソニド、同種間葉系幹細胞療法、チンベタシン(timbetasin)、ASLAN-004、HSC-660、フルオシノニド、ニクロサミド、アントロキノノール、デュタステリド、タムスロシン、UCA-001、ダプソン、ブリラシジン、BPR-277、アナプソス、デュタステリド、デニロイキンジフチトクス、シャンレルゲン(chanllergen)、ARGX-112、PF-06817024、塩酸エピナスチン、IDP-124、ネピデルミン、roseomonas mucosaベースの生物療法、ENERGI-F701、HAT-1、ロタミラスト、HY-209、モメタゾン、メルゲイン、ドキシサイクリン、TS-133、イコムクレト、CRTH2アンタゴニスト、ACH-24、プロピオン酸フルチカゾン、CD-4802、ミノキシジル、フィナステリド、ハロメタゾン、トリコミンもしくはビロメド(viromed)、またはこれらの任意の組み合わせと組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、ステロイド、抗生物質および保湿剤(Lakhaniら、Pediatric Dermatology,2017,34,3,322-325)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、1またはそれを超える化合物は、ムピロシンまたはフシジン酸などのグラム陽性抗生物質である。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、炎症性皮膚疾患を処置するために、ムピロシンおよびフシジン酸などのグラム陽性抗生物質と組み合わせても使用され得る。したがって、一態様において、本発明は、哺乳動物における炎症性皮膚疾患を処置する方法であって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびグラム陽性抗生物質を哺乳動物の皮膚に適用することを含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、グラム陽性抗生物質と、薬学的に許容され得るキャリアとを含む薬学的組成物を提供する。
したがって、別の態様において、本発明は、皮膚炎症性障害の処置において使用するための治療的組み合わせ物であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、皮膚炎症性障害の処置に有用な1またはそれを超える他の治療剤とを含む、治療的組み合わせ物を提供する。二次剤(単数または複数)は、含まれる場合、治療有効量で、すなわち式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と同時投与した場合に治療上有益な効果を生じる任意の量で存在する。
したがって、式(I)の化合物またはその薬学的塩と、皮膚炎症性障害を処置するのに有用な1またはそれを超える他の治療剤とを含む薬学的組成物も提供される。
さらに、方法の態様において、本発明は、皮膚炎症性障害を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と皮膚炎症性障害を処置するのに有用な1またはそれを超える他の治療剤とを哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
胃腸炎症性疾患
酵素のJAKファミリーを阻害するので、式(I)の化合物は、潰瘍性大腸炎(直腸S状結腸炎、汎大腸炎、潰瘍性直腸炎および左側大腸炎)、クローン病、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、ベーチェット病、セリアック病、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎、回腸炎、好酸球性食道炎、移植片対宿主病関連大腸炎および感染性大腸炎を含むがこれらに限定されない様々な胃腸炎症性適応症に対して有用であると予想される。潰瘍性大腸炎(Reimundら、J Clin Immunology,1996,16,144-150)、クローン病(Woywodtら、Eur J Gastroenterology Hepatology,1999,11,267-276)、コラーゲン蓄積大腸炎(Kumawatら、Mol Immunology,2013,55,355-364)、リンパ球性大腸炎(Kumawatら、2013)、好酸球性食道炎(Weinbrand-Goichbergら、Immunol Res,2013,56,249-260)、移植片対宿主病関連大腸炎(Coghillら、Blood,2001,117,3268-3276)、感染性大腸炎(Stallmachら、Int J Colorectal Dis,2004,19,308-315)、ベーチェット病(Zhouら、Autoimmun Rev,2012,11,699-704)、セリアック病(de Nittoら、World J Gastroenterol,2009,15,4609-4614)、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎(例えば、CTLA-4阻害剤によって誘発される大腸炎;(Yanoら、J Translation Med,2014,12,191)、PD-1またはPD-L1阻害剤によって誘発される大腸炎)および回腸炎(Yamamotoら、Dig Liver Dis,2008,40,253-259)は、ある特定の炎症促進性サイトカインのレベルの上昇を特徴とする。多くの炎症促進性サイトカインがJAK活性化を介してシグナルを伝達するので、本出願に記載される化合物は、炎症を軽減し、症候緩和を提供することが可能であり得る。
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)における胃腸炎症性疾患を処置する方法であって、薬学的に許容され得るキャリアと式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)における胃腸炎症性疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はさらに、哺乳動物における潰瘍性大腸炎を処置する方法であって、本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または薬学的に許容され得るキャリアと本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
潰瘍性大腸炎を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、典型的には、1日に1回の用量でまたは1日に複数回の用量で経口投与されるが、他の形態の投与が使用され得る。用量当たり投与される活性な作用物質の量または1日当たり投与される総量は、処置されるべき症状、選択された投与の経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症候の重度などを含む、関連する状況に照らして、代表的に、医師によって決定されるであろう。
潰瘍性大腸炎および他の胃腸炎症性障害の処置に好適な用量は、平均的な70kgのヒトの場合、約5~約300mg/日および約20~約70mg/日の活性な作用物質を含む、約1~約400mg/日の活性な作用物質の範囲であると予想される。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、胃腸炎症性障害の処置をもたらすために同じ機構によってまたは異なる機構によって作用する1またはそれを超える作用物質と組み合わせて使用され得る。併用療法に有用な作用物質のクラスには、アミノサリチラート、ステロイド、全身性免疫抑制剤、抗TNFα抗体、抗VLA-4抗体、抗インテグリンαβ抗体、抗菌剤および下痢止め薬が含まれるが、これらに限定されない。
式(I)の化合物と組み合わせて使用され得るアミノサリチラートとしては、メサラミン、オサラジンおよびスルファサラジンが挙げられるが、これらに限定されない。ステロイドの例としては、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、ベクロメタゾンおよびフルチカゾンが挙げられるが、これらに限定されない。炎症性障害の処置に有用な全身免疫抑制剤には、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、6-メルカプトプリンおよびタクロリムスが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよびセルトリズマブが含まれるがこれらに限定されない抗TNFα抗体が、併用療法で使用され得る。他の機構によって作用する有用な化合物としては、抗VLA-4抗体、例えばナタリズマブ、抗インテグリンαβ抗体、例えばベドリズマブ、抗菌剤、例えばリファキシミン、および下痢止め薬、例えばロペラミドが挙げられる。(Mozaffariら、Expert Opin.Biol.Ther.2014,14,583-600;Danese,Gut,2012,61,918-932;Lamら、Immunotherapy,2014,6,963-971)。
したがって、別の態様において、本開示は、胃腸炎症性障害の処置において使用するための治療的組み合わせ物であって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、胃腸炎症性障害の処置に有用な1またはそれを超える他の治療剤とを含む、治療的組み合わせ物を提供する。例えば、本開示は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、アミノサリチラート、ステロイド、全身性免疫抑制剤、抗TNFα抗体、抗VLA-4抗体、抗インテグリンαβ抗体、抗菌剤および下痢止め薬から選択される1またはそれを超える作用物質とを含む組み合わせ物を提供する。二次剤(単数または複数)は、含まれる場合、治療有効量で、すなわち本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と同時投与した場合に治療上有益な効果を生じる任意の量で存在する。
したがって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、胃腸炎症性障害を処置するのに有用な1またはそれを超える他の治療剤とを含む薬学的組成物も提供される。
さらに、方法の態様において、本開示は、胃腸炎症性障害を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と胃腸炎症性障害を処置するのに有用な1またはそれを超える他の治療剤とを哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
呼吸器疾患
JAK-STAT経路を通じてシグナル伝達するサイトカイン、特に、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-13、IL-23、IL-31、IL-27、胸腺間質リンホポエチン(TSLP)、インターフェロン-γ(IFNγ)、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、喘息性炎症および他の炎症性呼吸器疾患にも関与している。上記のように、式(I)の化合物は、ヤヌスキナーゼの強力な阻害剤であることが示されており、細胞アッセイにおいてIL-13炎症促進性サイトカインの強力な阻害を実証した。
喘息の前臨床モデルにおいて、JAK阻害剤の抗炎症活性が確実に実証されている(Malaviyaら、Int Immunopharmacol,2010,10,829,-836;Matsunagaら、Biochem and Biophys Res Commun,2011,404,261-267;Kudlaczら、Eur J Pharmacol,2008,582,154-161)。したがって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、喘息などの炎症性呼吸器障害の処置に有用であると予想される。肺の炎症および線維症は、喘息に加えて他の呼吸器疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症が含まれる)、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、および閉塞性細気管支炎に特徴的である。したがって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症が含まれる)、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、慢性移植肺機能不全(CLAD)、肺移植片拒絶およびサルコイドーシスの処置に有用であり得る。
したがって、一態様において、本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)における呼吸器疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
一態様において、呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、アレルギー性鼻炎またはサルコイドーシスである。別の態様において、呼吸器疾患は、喘息または慢性閉塞性肺疾患である。
1つのさらなる態様において、呼吸器疾患は、肺感染症、蠕虫感染症、肺動脈高血圧症、サルコイドーシス、リンパ管平滑筋腫、気管支拡張、または浸潤性肺疾患である。さらに別の態様において、呼吸器疾患は、薬剤誘起性肺臓炎、真菌誘起性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフラー症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、または免疫チェックポイント阻害剤誘起性肺臓炎である。
本開示は、呼吸器疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む、方法をさらに提供する。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、呼吸器疾患に有用な1またはそれを超える化合物と組み合わせて使用され得る。
眼疾患
多数の眼疾患が、JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカインの上昇に関連することが示されている。
したがって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼乾燥症、加齢性黄斑変性およびアトピー性角結膜炎を含むがこれらに限定されないいくつかの眼疾患の処置に有用であり得る。
特に、ブドウ膜炎(Horai and Caspi,J Interferon Cytokine Res,2011,31,733-744)、糖尿病性網膜症(Abcouwer,J Clin Cell Immunol,2013,Suppl 1,1-12)、糖尿病性黄斑浮腫(Sohnら、American Journal of Opthamology,2011,152,686-694)、眼乾燥症(Stevensonら、Arch Ophthalmol,2012,130,90-100)、網膜静脈閉塞(Shchukoら、Indian Journal of Ophthalmology,2015,63(12),905-911)および加齢性黄斑変性(Knickelbeinら、Int Ophthalmol Clin,2015,55(3),63-78)は、JAK-STAT経路を介してシグナル伝達する一定の炎症促進性サイトカインの上昇を特徴とする。したがって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、関連する眼炎症を軽減し、疾患進行を逆転させ、または症候緩和を提供することが可能であり得る。
したがって、一態様において、本開示は、哺乳動物における眼疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩と薬学的キャリアとを含む薬学的組成物を前記哺乳動物の眼に投与することを含む、方法を提供する。一態様において、眼疾患は、ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼乾燥症、加齢性黄斑変性、またはアトピー性角結膜炎である。一態様において、本方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を硝子体内注射によって投与することを含む。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、眼疾患に有用な1またはそれを超える化合物と組み合わせて使用され得る。
その他の疾患
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、他の炎症性疾患、自己免疫疾患またはがんなどの他の疾患を処置するのに有用であり得る。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、口腔、口腔粘膜炎および再発性アフタ性口内炎を処置するのに有用であり得る。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、移植片拒絶、眼球乾燥、乾癬性関節炎、糖尿病、インスリン依存性糖尿病、運動ニューロン疾患、骨髄異形成症候群、疼痛、筋肉減少、悪液質、敗血症性ショック、全身性エリテマトーデス、白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、強直性脊椎炎、骨髄線維症、B細胞リンパ腫、肝細胞癌腫瘍、ホジキン病、乳がん、多発性骨髄腫、黒色腫、扁平上皮癌腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、卵巣明細胞癌腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、真性赤血球増加症、シェーグレン症候群、軟部組織肉腫、肉腫、脾腫、T細胞リンパ腫および重症型サラセミアのうちの1またはそれより多くを処置するのに有用であり得る。
本開示は、哺乳動物においてこれらの疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩と薬学的キャリアとを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
前の段落では、併用療法で使用される場合には、作用物質は、上に開示されるように単一の薬学的組成物中に製剤化されてもよく、または作用物質は、同時にもしくは別々の時間に、同一のもしくは異なる投与経路によって投与される別個の組成物で提供されてもよい。別々に投与される場合、作用物質は、所望の治療効果を提供するように時間的に十分に近接して投与される。このような組成物は、別々に包装することができ、またはキットとして一緒に包装され得る。キット中の2またはそれを超える治療剤は、同一の投与経路または異なる投与経路によって投与され得る。
以下の合成および生物学の実施例は、本発明を例証するために提供されるのであって、決して本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。下記の実施例では、以下の省略形は、別段示されない限り、以下の意味を有する。下記に定義されない省略形は、それらの一般に認められている意味を有する。
ACN=アセトニトリル
Bn=ベンジル
Boc=tert-ブチルオキシカルボニル
d=日
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エチルアルコール
h=時間
HATU=N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート
IPA=イソプロピルアルコール
MeOH=メタノール
min=分
NMP=N-メチルピロリドン
RT=室温
TEA=トリエチルアミン
THF=テトラヒドロフラン
TFA=トリフルオロ酢酸
試薬および溶媒は、商業的供給業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、さらに精製せずに使用した。反応混合物の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(anal.HPLC)および/または質量分析法によってモニターした。反応混合物は、各反応において具体的に記載されるようにワークアップした。通常、反応混合物は、抽出ならびに温度および溶媒依存性の結晶化および沈殿などの他の精製方法によって精製した。さらに、反応混合物は、代表的にはC18またはBDSカラムパッキングおよび従来の溶離剤を用いる、カラムクロマトグラフィーまたは分取HPLCによって慣用のように精製した。代表的な分取HPLC条件は、下記に記載される。
反応生成物の特徴付けは、質量分析法およびH-NMR分光法によって通例のように行った。NMR解析の場合、サンプルを重水素化溶媒(例えば、CDOD、CDClまたはd-DMSO)に溶解し、標準的な観測条件下でVarian Gemini 2000装置(400MHz)を用いてH-NMRスペクトルを取得した。化合物の質量分析同定は、自動精製システムに連結された、Applied Biosystems(Foster City,CA)のモデルAPI 150 EX装置またはWaters(Milford,MA)の3100装置を用いるエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)によって行った。
別段示されない限り、以下の条件を分取HPLC精製のために使用した。
カラム:C18、5μm 21.2×150mmまたはC18、5μm 21×250mmまたはC14 5μm 21×150mm
カラム温度:室温
流速:20.0mL/分
移動相:A=水+0.05%TFA
B=ACN+0.05%TFA、
注入体積:(100~1500μL)
検出器の波長:214nm
粗化合物を約50mg/mLで1:1水:酢酸に溶解した。4分間の分析スケールの試験ランを、2.1×50mm C18カラムを用いて行った後、15または20分間の分取スケールのランを、分析スケールの試験ランの%B保持に基づくグラジエントを伴う100μLの注入を用いて行った。正確なグラジエントは、サンプル依存的であった。近くを流れる(close running)不純物を含むサンプルは、最善の分離のために21×250mm C18カラムおよび/または21×150mm C14カラムを用いて調べた。所望の生成物を含む画分を質量分析によって特定した。
分析用HPLC条件
方法A
カラム:LUNA C18(2)、150×4.60mm、3μm
カラム温度:37℃
流速:1.0mL/分
注入体積:5μL
サンプル調製:1:1 ACN:水に溶解
移動相:A=水:ACN:TFA(98:2:0.05)
B=水:ACN:TFA(2:98:0.05)
検出器の波長:250nm
グラジエント:全32分(時間(分)/%B):0/2、10/20、24/90、29/90、30/2、32/2
方法B
カラム:LUNA C18(2)、150×4.60mm、3μm
カラム温度:37℃
流速:1.0mL/分
注入体積:10μL
サンプル調製:1:1 ACN:水に溶解
移動相:A=水:ACN:TFA(98:2:0.05)
B=水:ACN:TFA(10:90:0.05)
検出器の波長:254nm
グラジエント:全35分(時間(分)/%B):0/2、20/25、23/90、26/90、27/2、35/2
方法C
カラム:Poroshell 120 SB-Aq、150mm×4.6mm、2.7ミクロンパーツ#683975-914
カラム温度:35℃
流速:1.0mL/分
注入体積:5μL
サンプル調製:50:MPB:50MPA中に溶解
移動相:A=アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸(1:99:0.20)
B=アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸(90:10:0.20)
グラジエント:
Figure 2022529370000009
調製1:tert-ブチル((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)カルバマート
Figure 2022529370000010
工程1:5つの反応を並行して行った。ジオキサン(5.00L)および水(20.0L)中の化合物1-1(2.00kg、13.7mol、1.00当量)の溶液に、グルタルアルデヒド(2.06kg、20.5mol、1.5当量)およびフェニルメタンアミン(1.54kg、14.4mol、1.05当量)を10℃で滴下により添加した。添加後、反応混合物を20℃で16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1、生成物R=0.40)およびLCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物のpH値を、濃HCl(12N)を用いて20℃で2に調整した。添加後、反応混合物を60℃に加熱し、1時間撹拌した。10℃に冷却した後、酢酸エチル(10.0L)を混合物に添加した。次いで、10℃で水酸化ナトリウムの水溶液(12N)を添加することによって、混合物のpH値を10に調整した。混合物を10分間撹拌した。有機層を分離した。酢酸エチル(3.00L)で水層を抽出した。合わせた有機層をブライン(4.00L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。5つの並行反応の有機層を合わせ、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル=30:1~2:1)によって残渣を精製して化合物1-2(10.0kg、収率51.5%、純度97%)を得た。(m/z):[M+H]1519NOの計算値230.15、実測値230.0。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 7.24-7.41 (m, 5H), 3.88 (s, 2H), 3.20-3.21 (m, 2H), 2.73-2.79 (m, 2H), 2.07 (d, J= 16.4 Hz,2H), 1.75-1.84 (m, 2H), 1.45-1.50 (m, 3H), 1.24-1.36 (m, 1H).
工程2:3つの反応を並行して行った。酢酸エチル(24.0L)および水(9.00L)中の化合物1-2(3.00kg、13.1mol、1.0当量)の溶液に、CHCOOK(2.05kg、20.9mol、1.6当量)およびNHOH-HCl(1.82kg、26.2mol、2.0当量)を20℃で添加した。懸濁液を45℃に加熱し、16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1、生成物R=0.30)およびLCMSは、反応が完了したことを示した。懸濁液のpH値を飽和重炭酸ナトリウム溶液で8に調整し、次いで、水(15.0L)および酢酸エチル(10.0L)で希釈した。有機層を分離した。酢酸エチル(10.0L×3)で水層を抽出した。3つの反応の有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をn-ヘプタン(12.0L)で希釈し、12時間撹拌した。固体を濾過により収集して、化合物1-3(8.00kg、収率83.4%)を得た。(m/z):[M+H]1520Oの計算値245.16、実測値245.1。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 10.16 (s, 1H),7.22-7.38 (m, 5H), 3.83 (s, 2H), 2.97(br s, 2H), 2.87(d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.60-2.62 (m, 1H), 2.20-2.25 (m,1H), 2.09-2.13 (m, 1H), 1.72-1.85 (m, 3H), 1.39-1.49 (m, 3H).
工程4:45の反応を並行して行った。110℃のn-PrOH(3.20L)中の化合物1-3(160g、655mmol、1.0当量)の溶液に、Na(181g、7.86mol、12当量)を3時間にわたって少しずつ添加した。混合物を110℃で2時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1、SM R=0.40)は、反応が完了したことを示した。混合物を70℃に冷却し、氷水(4.00L)中に注いだ。酢酸エチル(1.00L×2)で水層を抽出した。45の反応の合わせた有機層をブライン(20.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をn-ヘキサン(12.0L)で希釈し、12時間撹拌した。懸濁液を濾過して濾液を得た。濾液を濃縮して、化合物1-4(6.00kg、収率88.4%)を黄色油状物として得た。1H NMR 400 MHz DMSO-d6:δ 7.18-7.35 (m, 5H), 3.76 (s, 2H), 3.26-3.35 (m, 1H), 2.76 (s, 2H),1.86-1.90 (m, 2H), 1.67-1.73 (m, 2H), 1.54-1.59 (m, 5H), 1.41-1.45 (m, 3H).
工程5:2つの反応を並行して行った。ジオキサン(12.6L)および水(1.26L)中の化合物1-4(2.10kg、9.12mol、1.1当量)の溶液に、EtN(1.01kg、10.0mol、1.1当量)および(Boc)O(2.19kg、10.0mol、1.1当量)を0℃で滴下により添加し、温度は20℃未満に保った。混合物を40℃に加熱し、10時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1、生成物R=0.40)は、反応が完了したことを示した。混合物を10℃に冷却し、濾過して濾過ケーキを得た。濾液を濃縮した。濾過ケーキをn-ヘキサン(3.00L)で洗浄して、化合物1-5(4.00kg、収率66.4%)を白色固体として得た。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6:δ 7.28-7.33 (m, 4H), 7.19-7.22 (m, 1H), 6.64(d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.10-4.17 (m, 1H), 3.77 (s, 2H),2.77 (s, 2H), 1.88-1.90 (m, 2H), 1.72-1.75 (m, 3H), 1.57-1.61 (m, 3H),1.43-1.48 (m, 2H), 1.38 (s, 9H).
工程6:4つの反応を並行して行った。DMF(13.5L)中の化合物1-5(1.50kg、4.54mol、1.0当量)の懸濁液に、NaH(272g、6.81mol、純度60%、1.5当量)をN下、0℃で分割して添加した。懸濁液を25℃まで自然に加温し、30分間撹拌した。これを0℃に冷却した後、MeI(773g、5.45mol、1.2当量)を懸濁液に滴下により添加した。反応混合物を25℃まで自然に加温し、12時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1、生成物R=0.50)およびLCMSは、反応が完了したことを示した。混合物を氷水(30.0L)中に注ぎ、酢酸エチル(9.00L、3.00L)で抽出した。4つの反応の合わせた有機層を氷水(20.0L)、ブライン(10.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物1-6(6.00kg、粗製)を黄色油状物として得た。粗生成物を次の工程に使用した。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 7.21-7.37 (m, 5H), 4.87 (br s, 1H), 3.80 (s, 2H), 2.86 (s, 2H),2.68 (s, 3H), 1.64-1.99 (m, 6H), 1.40-1.49 (m, 13H).(m/z):[M+H]2132の計算値344.25、実測値345.2。
工程7:39の反応を並行して行った。IPA(500mL)およびTHF(500mL)中の化合物1-6(150g、435mmol、1.0当量)の溶液に、Pd(OH)/C(70g、純度40%)を添加した。懸濁液を高減圧下で脱気し、Hで数回パージした。混合物をH(50psi)下、25℃で16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1、SM R=0.50)およびLCMSは、反応が完了したことを示した。39個の反応物を合わせた。混合物を濾過して濾液を得た。濾過ケーキをIPA/THF(1:1、25.0L)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮して、化合物1-7(3.85kg、粗製)を淡黄色油状物として得た。粗生成物を次の工程に直接使用した。(m/z):[M+H]1426の計算値255.20、実測値255.1。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 4.88 (br s, 1H), 3.08 (s, 2H), 2.60 (s, 3H), 1.73-1.76 (m, 5H),1.51-1.61 (m, 5H), 1.39 (s, 9H).
工程8:4つの反応を並行して行った。2-メチルテトラヒドロフラン(3.00L)中の化合物1-7(750g、2.95mol、1.0当量)の溶液に、ピリジン(466g、5.90mol、2.0当量)およびエタンスルホニルクロリド(398g、3.10mol、1.05当量)をN下、0℃で滴下により添加した。混合物を25℃に加温し、3時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1、生成物R=0.50)は、反応が完了したことを示した。4つの反応物を合わせた。混合物を氷水(10.0L)でクエンチした。有機層を分離し、0.5NのHCl(3.00L×2)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(3.00L)で抽出し、有機層を再び0.5NのHCl(500mL)で洗浄した。合わせた有機層をブライン(5.00L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物1-8(2.20kg、粗製)を黄色油状物として得た。粗生成物を次の工程で使用した。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 4.94 (br s, 1H), 3.98 (s, 2H), 3.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.58 (s, 3H),1.83-1.91 (m, 5H), 1.56-1.71 (m, 5H), 1.40 (s, 9H), 1.19 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
工程9:4つの反応を並行して行った。EtOAc(2.75L)中の化合物1-8(550g、1.59mol、1.0当量)の溶液に、HCl/EtOAc(4M、3.0当量)を25℃で滴下により添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1、SM R=0.50)は、反応が完了したことを示した。4つの反応物を合わせた。混合物を濾過して濾過ケーキを得て、化合物1-9(1.25kg、粗製、HCl)を黄色固体として得た。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 9.04 (s, 1H), 4.02 (s, 2H), 3.88-3.94 (m, 1H), 3.09 (q, J = 7.2 Hz,2H),2.09-2.14 (m, 2H), 1.61-1.84 (m, 8H), 1.19 (t, J = 7.2 Hz,3H).
調製2:(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノールM
Figure 2022529370000011
工程1:飽和HCl(1.40kg、38.4mol)を含むエタノール(15.0L)中の化合物2-1(1.00kg、5.74mol、1.0当量)の溶液を90℃で60時間撹拌した。HPLCは、1つの主ピークが検出されたことを示した。反応混合物を濾過した。濾過ケーキを収集して、化合物2-2(1.00kg、収率81.8%、純度98.8%)を白色固体として得た。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ11.82 (br s, 1H), 10.82 (br s, 1H), 4.31 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.27 (t, J= 6.8 Hz, 3H).
工程2:5つの反応を並行して行った。POCl(1.68L)中の化合物2-2(560g、2.77mol、1.0当量)の溶液に、N,N-ジエチルアニリン(289g、1.94mol、0.7当量)を添加した。混合物を140℃で12時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=10:1、生成物R=0.50)は、化合物2-2が完全に消費されたことを示した。5つの反応物を合わせた。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を酢酸エチル(25.0L)で希釈した。溶液を砕いた氷(25.0L)中に注いだ。水相を酢酸エチル(25.0L)で抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸ナトリウム溶液(10.0L×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル=1:0~50:1)によって残渣を精製して、化合物2-3(2.00kg)を褐色液体として得た。1H NMR: 400 MHz CDCl3 δ4.51 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.44 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
工程3:4つの反応を並行して行った。エタノール(2.60L)中の、化合物2-3(480g、2.01mol、1.0当量)、化合物2-4(224g、2.31mol、1.15当量)、DIPEA(519g、4.02mol、2.0当量)の混合物を脱気してNでパージすることを3回行い、次いで混合物をN雰囲気下にて25℃で4時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)は、化合物2-3が完全に消費されたことを示した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、生成物R=0.40)は、1つの新たなスポットが形成されたことを示した。4つの反応物を合わせた。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを収集した。濾液を減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣を水(38.0L)でトリチュレートし、濾過した。濾過ケーキ(300g)をエタノール(600mL)でトリチュレートし、濾過した。2つの濾過ケーキを合わせて、化合物2-5(1.50kg、収率62.2%)を黄色固体として得た。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.31 (s, 1H),10.76 (s, 1H), 6.38 (s, 1H), 4.35 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.27 (s, 3H), 1.30(t, J = 7.2 Hz, 3H).
工程4:4つの反応を並行して行った。DMSO(600mL)中の、化合物2-5(254g、848mmol、1.0当量)、化合物1-9(300g、1.06mol、HCl、1.25当量)およびDIPEA(548g、4.24mol、5.0当量)の溶液を130℃で16時間撹拌した。TLC(酢酸エチル:石油エーテル=2:1、R=0.30)およびLCMSは、出発物質の約9%が残存していることを示した。混合物を25℃に冷却した。4つの反応物を合わせ、氷水(12.0L)中に注いだ。黄色沈殿が形成された。固体を濾過により収集して、化合物2-6(1.50kg、純度約76%)を黄色固体として得た。(m/z):[M+H]2232FNSの計算値510.22、実測値510.2。
エタノール(1.10L)中の化合物2-6(440g、656mmol、純度約76%)の懸濁液を、固体が溶解するまで95℃に加熱した。溶液を25℃に冷却し、12時間撹拌した。HPLCは約96.9%の純度を示した。3つの反応物を合わせた。懸濁液を濾過して濾過ケーキを得て、化合物2-6(約570g、純度96.9%)を淡黄色固体として得た。生成物を次の工程に直接使用した。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 12.12 (s, 1H), 9.73 (s, 1H), 6.35 (s, 1H), 5.59 (br s, 1H), 4.32 (m, 2H), 4.02 (s , 2H), 3.13 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.83 (s, 3H),2.20 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.64-1.73 (m, 5H), 1.76-1.87 (m, 5H), 1.29 (t, J = 7.2 Hz,3H), 1.21(t, J = 7.2 Hz, 3H).
工程5:5つの反応を並行して行った。テトラヒドロフラン(tetrohydrofuran)(3.25L)およびエタノール(3.25L)中の化合物2-6(130g、255mmol、1.0当量)の溶液に、NaBH(77.2g、2.04mol、8.0当量)およびCaCl(113g、1.02mol、4.0当量)を0℃で分割して添加した。混合物を10℃に加温し、2時間撹拌した。TLC(酢酸エチル:石油エーテル=3:1、生成物R=0.20)は、反応が完了したことを示した。5つの反応物を合わせた。混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液(6.00L)によってクエンチし、酢酸エチル(15.0L)で希釈し、0.5時間撹拌した。懸濁液を濾過して濾液を得た。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(5.00L×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5.00L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物M(500g、粗製)を淡黄色固体として得た。
精製:5つの反応を並行して行った。エタノール(3.00L)中のM(100g、210mmol)の懸濁液を、固体が溶解するまで95℃に加熱した。溶液を25℃に冷却し、12時間撹拌すると、多くの沈殿物が形成された。HPLCは100%の純度を示した。5つの反応物を合わせた。固体を濾過によって収集して、合計330gの化合物M(純度99.3%)を淡黄色固体(結晶形態I)として得た。(m/z):[M+H]2030FNSの計算値468.21、実測値468.3。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6δ 12.02 (s, 1H), 9.29 (s, 1H), 6.34 (s, 1H), 5.61(br s, 1H), 5.02 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 4.33 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 4.02 (s, 2H), 3.12 (q, J = 7.2 Hz, 2H),2.84 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.82-2.01 (m, 3H), 1.63-1.74 (m, 5H), 1.21 (t, J = 7.2 Hz,3H).
調製3:エチル5-フルオロ-2,6-ジヒドロキシピリミジン-4-カルボキシラート
Figure 2022529370000012
DMF(200mL)中の5-フルオロ-2,6-ジヒドロキシピリミジン-4-カルボン酸(20.4g、120mmol)の溶液をDBU(18.7g、123mmol)で処理し、25℃で0.5時間撹拌した。次いで、EtI(19.2g、123mmol)を添加し、得られた溶液を3時間60℃に加熱した。混合物にHO(1000mL)を添加し、得られた沈殿物を濾過により回収し、HO(200mL)で洗浄し、乾燥させて、エチル5-フルオロ-2,6-ジヒドロキシピリミジン-4-カルボキシラート(19g、収率80%)を得た。
調製4:エチル2,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン-4-カルボキシラート
Figure 2022529370000013
エチル5-フルオロ-2,6-ジヒドロキシピリミジン-4-カルボキシラート(5g、24.8mmol)、PhNEt(2.58g、17.3mmol)、POCl(130g、855.9mmol)の混合物を100℃に4時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、氷水(500mL)中に注いだ。水層をEtOAc(1000mL)で抽出し、有機層を飽和NaHCO(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、高減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(80gカラム;ヘキサン中0~50%のEtOAc)によって残渣を精製すると、エチル2,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン-4-カルボキシラートが黄色油状物(3.8g、65%)として得られた。
調製5:エチル2-クロロ-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキシラート
Figure 2022529370000014
EtOH(100mL)中の、エチル2,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン-4-カルボキシラート(3.8g、16mmol)、5-メチル-1H-ピラゾール-3-アミン(1.86g、19mmol)およびDIPEA(4g、32mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を高減圧下で濃縮した。次いで、水(500mL)を添加し、反応混合物を濾過し、濾過ケーキを100mLのHOで洗浄し、高減圧中で乾燥させると、エチル2-クロロ-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキシラート(3.8g、収率80%)が得られた。
調製6:tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(エトキシカルボニル)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
Figure 2022529370000015
DMSO(50mL)中の、エチル2-クロロ-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキシラート(1.7g、5.684mmol)、tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-(メチルアミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(2.17g、8.527mmol)およびDIPEA(1.47g、11.368mmol)の混合物を110℃に18時間加熱した。反応混合物を水(200mL)の中に注ぎ、反応混合物を濾過し、濾過ケーキを200mLのHOで洗浄し、高減圧中で乾燥させると、粗tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(エトキシカルボニル)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(3.5g、粗製)が得られた。(m/z):[M+H]2537FNの計算値518.29、実測値518.2。
調製7:tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
Figure 2022529370000016
EtOH(50mL)およびTHF(50mL)の混合物中の、tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(エトキシカルボニル)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(3.5g、7mmol)、NaBH(2.1g、56mmol)およびCaCl(3.1g、28mmol)の混合物を25℃で一晩撹拌した。反応混合物をNaCO(水溶液)(80mL)およびHO(80mL)でクエンチし、水層をEtOAc(100mL×3)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、高減圧下で濃縮した。分取HPLCによって残渣を精製して、tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(1.4g、44%)を得た。(m/z):[M+H]2335FNの計算値476.28、実測値476.3。
調製8:(2-(((1R,3s,5S)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール
Figure 2022529370000017
HCl/ジオキサン(50mL)中のtert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(1.4g、2.95mmol)の溶液を25℃で4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを100mLのEtOAcで洗浄し、高減圧中で乾燥させると、(2-(((1R,3s,5S)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(1.4g、100%)が得られた。(m/z):[M+H]1827FNOの計算値376.23、実測値376.2。
調製9:(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール
Figure 2022529370000018
(2-((1R,3s,5S)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(95mg、0.253mmol)をピリジン(4.0ml)中に溶解し、エタンスルホニルクロリド(0.024ml、0.253mmol)で処理した。反応混合物を2時間撹拌し、続いて高減圧中で濃縮した。3mLの、酢酸/水の1:1混合物中に粗残渣を溶解し、濾過して微粒子を除去し、0.05%のTFAを含む水中のACNの2~50%のグラジエントを使用する分取HPLC(Agilent Dynamax 250×21.4mm 10μm、15mL/分、2~50%のACN+0.05%のTFA/ACN)によって精製した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥させて、表題化合物のTFA塩(12.92mg、収率8.8%、純度99.9%)を得た。(m/z):[M+H]2031FNSの計算値468.22、実測値468。
一般的手順1:第一級アルコールのアシル化
DMF(3.0mL)中の、(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(1.0当量、0.12g、0.26mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(3当量、0.134mL、0.77mmol)およびN,N-ジメチルアミノピリジン(0.1当量、3.1mg、0.026mmol)の混合物に、塩化アシル(3.0当量、0.77mmol)を添加した。混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。ヒドラジン(4.5当量、0.036mL、1.2mmol)を添加し、混合物を周囲温度で30分間撹拌した。酢酸(10当量、0.147mL、2.6mmol)を添加し、混合物を濃縮した。
一般的手順2:遊離塩基非晶質固体の形成
所望の化合物のトリフルオロ酢酸塩をMeOH(2.5mL)中に溶解し、固定化されたバイカーボナート樹脂(PL-HCO MP樹脂(100Å、2.08mmol/g、150~300μm))を添加した。混合物を機械的シェーカーで、周囲温度で2時間撹拌した。樹脂を濾過により除去し、濾液を濃縮して、遊離塩基非晶質固体を得た。
[実施例1](2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルアセタートの調製
Figure 2022529370000019
塩化アセチル(0.055mL、0.77mmol)を用いて、一般的手順1に従って化合物1を調製した。順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~10%のMeOH/DCM)、その後に逆相カラムクロマトグラフィー(RediSep Prep C18カラム、20~60%のHO/CHCN)によって、残った残渣を精製した。固定化されたバイカーボナート樹脂(0.38g、0.78mmol)を使用して、一般的手順2に従って所望の化合物の遊離塩基形態を生成させて、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.062g、0.12mmol、収率47%)。LC-MS:m/z[M+H]=510.2(計算値:510.22);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.04 (s, 1H),9.44 (s, 1H), 6.32 (s, 1H), 5.58 (s, 1H), 4.97 (s, 2H), 4.02 (app. s, 2H), 3.12(q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.81 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 2.08 (s, 3H), 1.96 (m, 3H), 1.86(m, 2H), 1.67 (m, 5H), 1.21 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
[実施例2](2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルプロピオナートの調製
Figure 2022529370000020
塩化プロピオニル(0.067mL、0.77mmol)を用いて、一般的手順1に従って化合物2を調製した。逆相カラムクロマトグラフィー(RediSep Prep C18カラム、25~60%のHO/CHCN)によって残った残渣を精製した。固定化されたバイカーボナート樹脂(0.45g、0.94mmol)を使用して、一般的手順2に従って所望の化合物の遊離塩基形態を生成させて、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.087g、0.16mmol、収率62%)。LC-MS:m/z[M+H]=524.1(計算値:524.24);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.04 (s, 1H),9.42 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.58 (s, 1H), 4.99 (s, 2H), 4.02 (app. s, 2H), 3.12(q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H), 2.38 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.96(m, 3H), 1.85 (m, 2H), 1.67 (m, 5H), 1.21 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.06 (t, J= 7.5 Hz, 3H).
[実施例3](2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルブチラート
Figure 2022529370000021
塩化ブチリル(0.081mL、0.77mmol)を用いて、一般的手順1に従って化合物3を調製した。順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~10%のMeOH/DCM)、その後に逆相カラムクロマトグラフィー(RediSep Prep C18カラム、30~70%のHO/CHCN)によって、残った残渣を精製した。固定化されたバイカーボナート樹脂(0.317g、0.66mmol)を使用して、一般的手順2に従って所望の化合物の遊離塩基形態を生成させて、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.058g、0.11mmol、収率42%)。LC-MS:m/z[M+H]=538.2(計算値:538.25);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.05 (s, 1H),9.46 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.58 (s, 1H), 4.99 (s, 2H), 4.01 (app. s, 2H), 3.12(q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H), 2.34 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.96(m, 3H), 1.85 (m, 2H), 1.66 (m, 5H), 1.56 (dt, J = 14.6 Hz, 7.3 Hz,2H), 1.21 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.89 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
[実施例4](2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルペンタノアート
Figure 2022529370000022
塩化バレロイル(0.093mL、0.77mmol)を使用して、一般的手順1に従って化合物4を調製した。順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~10%のMeOH/DCM)、その後に逆相カラムクロマトグラフィー(RediSep Prep C18カラム、40~75%のHO/CHCN)によって、残った残渣を精製した。固定化されたバイカーボナート樹脂(0.225g、0.47mmol)を使用して、一般的手順2に従って所望の化合物の遊離塩基形態を生成させて、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.045g、0.082mmol、収率32%)。LC-MS:m/z[M+H]=552.3(計算値:552.27);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.04 (s, 1H),9.42 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.59 (s, 1H), 4.98 (s, 2H), 4.02 (app. s, 2H), 3.12(q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H), 2.36 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.96(m, 3H), 1.86 (m, 2H), 1.66 (m, 5H), 1.53 (m, 2H), 1.31 (dt, J = 14.9 Hz, 7.3Hz, 2H), 1.20 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.86 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
[実施例5](2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルヘプタノアート
Figure 2022529370000023
塩化ヘプタノイル(0.12mL、0.77mmol)を使用して、一般的手順1に従って化合物5を調製した。順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~10%のMeOH/DCM)、その後に逆相カラムクロマトグラフィー(RediSep Prep C18カラム、40~75%のHO/CHCN)によって、残った残渣を精製した。固定化されたバイカーボナート樹脂(0.337g、0.701mmol)を使用して、一般的手順2に従って所望の化合物の遊離塩基形態を生成させて、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.068g、0.12mmol、収率45%)。LC-MS:m/z[M+H]=580.3(計算値:580.30);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.04 (s, 1H),9.44 (s, 1H), 6.31 (s, 1H), 5.59 (s, 1H), 4.98 (s, 2H), 4.02 (app. s, 2H), 3.11(q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H), 2.35 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.96(m, 3H), 1.85 (m, 2H), 1.69 (m, 5H), 1.53 (m, 2H), 1.22 (m, 9H), 0.84 (app. m,3H).
[実施例6] シクロヘキシル((2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチル)カーボナート
Figure 2022529370000024
2:1のDMF/ピリジン(3.0mL)中の(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(1.0当量、0.12g、0.26mmol)の溶液を氷上で冷却し、クロロギ酸シクロヘキシル(3.0当量、0.12mL、0.81mmol)を40μLの3つに分割して15分間にわたって滴下により添加した。混合物を氷上で4時間撹拌した。さらなるクロロギ酸シクロヘキシル(3.0当量、0.12mL、0.81mmol)を60μLの2つに分割して10分間にわたって滴下により添加した。混合物を氷上で1時間撹拌した。ヒドラジン(15当量、0.121mL、3.85mmol)を添加し、混合物を周囲温度で35分間撹拌し、濃縮した。逆相カラムクロマトグラフィー(RediSep Prep C18カラム、40~75%のHO/CHCN)によって残存した残渣を精製した。固定化されたバイカーボナート樹脂(0.46g、0.96mmol)を使用して、一般的手順2に従って所望の化合物の遊離塩基形態を生成させて、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.085g、0.124mmol、収率54%)。LC-MS:m/z[M+H]=594.3(計算値:594.28);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.04 (s, 1H),9.46 (s, 1H), 6.32 (s, 1H), 5.58 (s, 1H), 5.03 (s, 2H), 4.55 (tt, J =12.6 Hz, 4.2 Hz, 1H), 4.02 (app. s, 2H), 3.12 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.80(s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.96 (m, 3H), 1.85 (m, 4H), 1.66 (m, 7H), 1.36 (m, 6H),1.21 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
[実施例7]((2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート
Figure 2022529370000025
DMF(3.0mL)中の、(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(1.0当量、0.14g、0.30mmol)、テトラヒドロピラン-4-カルボン酸(2.5当量、0.097g、0.75mmol)およびN,N-ジメチルアミノピリジン(0.2当量、7.3mg、0.060mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(4.0当量、0.209mL、1.20mmol)を添加し、混合物を周囲温度で15分間撹拌した。HATU(2.2当量、0.25g、0.66mmol)を添加し、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。ヒドラジン(3当量、0.028mL、0.90mmol)を添加し、混合物を周囲温度で30分間撹拌した。酢酸(10当量、0.17mL、3.0mmol)を添加し、混合物を濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~10%のMeOH/DCM)によって残存した残渣を精製して、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.158g、0.27mmol、収率89%)。LC-MS:m/z[M+H]=580.3(計算値:580.26);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.04 (s, 1H),9.43 (s, 1H), 6.32 (s, 1H), 5.57 (s, 1H), 5.02 (d, J = 1.9 Hz, 2H), 4.02 (app.s, 2H), 3.82 (dt, J = 11.4 Hz, 3.8 Hz, 2H), 3.36 (td, J = 11.4 Hz, 2.4 Hz, 2H),3.12 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H), 2.66 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 1.97 (m,3H), 1.85 (m, 2H), 1.64 (m, 5H), 1.26 (app. q, J = 5.9 Hz, 4H), 1.21 (t, J =7.3 Hz, 3H).
[実施例8]((2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチルイソプロピルカーボナート
Figure 2022529370000026
2:1のDMF/ピリジン(3.0mL)中の(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(1.0当量、0.14g、0.30mmol)の溶液を氷上で冷却し、クロロギ酸イソプロピル(トルエン中1.0M溶液、2.5当量、0.75mL、0.75mmol)を滴下により添加した。混合物を氷上で1時間撹拌した。さらなるクロロギ酸イソプロピル(トルエン中1.0M溶液、3.0当量、0.90mL、0.90mmol)を滴下により添加し、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。ヒドラジン(10当量、0.094mL、3.0mmol)を添加し、混合物を周囲温度で2.5時間撹拌し、濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~10%のMeOH/DCM)によって残存した残渣を精製して、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.094g、0.17mmol、収率56%)。LC-MS:m/z[M+H]=554.3(計算値:554.25);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.05 (s, 1H),9.46 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.57 (s, 1H), 5.02 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 4.77 (sep,1H), 4.02 (app. s, 2H), 3.12 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H), 2.19 (s, 3H),1.96 (m, 3H), 1.85 (m, 2H), 1.67 (m, 5H), 1.22 (d, J = 6.4 Hz, 6H), 1.21 (t, J= 7.2 Hz, 3H).
[実施例9]((2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)カルボナート
Figure 2022529370000027
THF(4.0mL)中のピリジン(0.63mL、7.8mmol)の溶液を、THF(9.0mL)中のトリホスゲン(0.77g、2.6mmol)の氷冷溶液に滴下により添加した。混合物を氷上で10分間撹拌した。THF(7.0mL)中のテトラヒドロ-4-ピラノール(0.47mL、4.9mmol)の溶液を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、水(35mL)で洗浄した後、0.2M HCl水溶液(25mL)およびブライン(25mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して淡橙色の液体を得て、これをさらに精製することなくその後の工程で使用した(0.80g、4.9mmol、収率99%)。
2:1のTHF/ピリジン(3.0mL)中の(2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-5-フルオロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(1.0当量、0.14g、0.30mmol)の溶液を氷上で冷却し、THF(0.5mL)中のテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルカルボノクロリダート(4.0当量、0.20g、1.2mmol)の溶液を滴下により添加した。混合物を周囲温度で1.5時間、続いて60℃で1.5時間撹拌した。さらなるTHF(0.5mL)中のテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルカルボノクロリダート(4.0当量、0.20g、1.2mmol)を添加し、混合物を60℃で16時間撹拌した。ヒドラジン(24当量、0.23mL、7.2mmol)を添加し、混合物を周囲温度で35分間撹拌した。混合物を濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(シリカゲルフラッシュカラム、0~5%のMeOH/DCM)によって残った残渣を精製して、所望の生成物を非晶質白色固体として得た(0.132g、0.22mmol、収率73%)。LC-MS:m/z[M+H]=596.2(計算値:596.26);1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ 12.05 (s, 1H),9.46 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.58 (s, 1H), 5.05 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 4.77 (sep,J = 6.4 Hz, 1H), 4.02 (app. s, 2H), 3.77 (dt, J = 11.6 Hz, 4.5 Hz, 2H), 3.44(ddd, J = 11.9 Hz, 9.3 Hz, 2.9 Hz, 2H), 3.12 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.80 (s, 3H),2.19 (s, 3H), 1.93 (m, 7H), 1.63 (m, 7H), 1.21 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
調製10:メチル2-クロロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキシラート
Figure 2022529370000028
DMSO(120ml)中の5-メチル-1H-ピラゾール-3-アミン(5.6g、58mmol)、メチル2,6-ジクロロピリミジン-4-カルボキシラート(12.0g、58mmol)およびDIPEA(15.0g、116mmol)の混合物を25℃で12時間撹拌した。HO(500mL)を添加し、沈殿した固体を濾過によって収集すると、表題の中間体(15g、97%)が黄色固体として得られた。(m/z):[M+H]1011ClNの計算値268.05、実測値268.1。
調製11:tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(メトキシカルボニル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
Figure 2022529370000029
NMP(120ml)中の、メチル2-クロロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキシラート(12.0g、45mmol)、tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-(メチルアミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(13.7g、54mmol)およびDIPEA(12.0g、90mmol)の混合物を120℃で16時間撹拌した。反応物をHO(2000mL)中に注ぎ、沈殿した固体を濾過によって収集すると、表題の中間体(15g、68%)が白色固体として得られた。(m/z):[M+H]2436の計算値486.28、実測値486.3。
調製12:tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-カルバモイル-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
Figure 2022529370000030
100mlの密閉された管中のtert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(メトキシカルボニル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(2g、4.12mmolの3バッチ)にNH/MeOH(60mlの3つの一定分量)を添加し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を高減圧中で濃縮すると、表題の中間体(3.7g、64%)が得られた。(m/z):[M+H]2335の計算値471.28、実測値471.3。
調製13:2-(((1R,3s,5S)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド
Figure 2022529370000031
ジオキサン(185mL)中のtert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-カルバモイル-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(3.7g、7.9mmol)の混合物に、HCl/ジオキサン(37mL)を添加した。反応物を25℃で3時間撹拌した。TLCは、出発物質が残存していないことを示した。溶媒を除去し、粗生成物を酢酸エチル/MeOH(100:1)で洗浄して、表題の中間体をHCl塩(4.0g、95%)として得た。(m/z):[M+H]1827Oの計算値371.23、実測値371.1。
調製14:2-(((1R,3s,5S)-9-(エチルスルホニル)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)(メチル)アミノ)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(C-1)
Figure 2022529370000032
2-((1R,3s,5S)-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル(メチル)アミノ)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(40mg、0.108mmol)およびDIPEA(0.057ml、0.324mmol)をDMF(1.50ml)中に溶解し、0℃に冷却した。エタンスルホニルクロリドを添加し、反応混合物を室温まで加温し、72時間撹拌した。反応混合物を高減圧中で濃縮し、粗生成物を分取逆相HPLC(Agilent Dynamax 250×21.4mm 10μm、15mL/分、2~70%のACN+0.1%のTFA/ACN)によって精製して、表題化合物のTFA塩(4.5mg、9.01%)を得た。(m/z):[M+H]2031Sの計算値463.22、実測値463.2。
調製15:tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(メトキシカルボニル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート
Figure 2022529370000033
DMSO(85ml)中の、メチル2-クロロ-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキシラート(8.3g、31.0mmol)、tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-(メチルアミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(8.2g、34.1mmol)およびDIPEA(10.8mL、62.0mmol)の混合物を120℃で16時間撹拌した。混合物を2Lの水に注ぎ、激しく撹拌し、次いで、濾過すると、表題化合物(11.1g、76%)が得られた。(m/z):[M+H]2334の計算値472.27、実測値472.3。
調製16:tert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(ヒドロキシメチル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート
Figure 2022529370000034
MeOH(100mL)中のNaBH(8g、212mmol)の混合物に、THF(100mL)中のtert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(メトキシカルボニル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(10g、21.2mmol)を0℃で添加した。次いで、反応混合物を1時間加熱還流した。反応物を水(500mL)でクエンチし、混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、高減圧中で濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)によって粗残渣を精製して、表題化合物(7g、68%)を得た。(m/z):[M+H]2234の計算値444.27、実測値444.3。
調製17:(2-(((1R,3s,5S)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール
Figure 2022529370000035
HCl/ジオキサン(100mL)中のtert-ブチル(1R,3s,5S)-3-((4-(ヒドロキシメチル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(6.5g、14.7mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を高減圧中で濃縮すると、表題の中間体のHCl塩(4.8g、100%)が得られた。(m/z):[M+H]1726Oの計算値344.22、実測値344.1。
調製18:3-(1R,3s,5S)-3-((4-(ヒドロキシメチル)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)プロパンニトリル(C-2)
Figure 2022529370000036
(2-(((1R,3s,5S)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-6-((5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)メタノール(50mg、0.146mmol)およびDIPEA(0.076ml、0.437mmol)をMeOH(1.50ml)中に溶解した。アクリロニトリル(0.014ml、0.218mmol)を添加し、反応混合物を室温で90分間撹拌した。次いで、反応混合物を高減圧中で濃縮し、粗残渣を分取逆相HPLC(Agilent Dynamax 250×21.4mm 10μm、15mL/分、2~60%のACN+0.1%のTFA/ACN)によって精製して、表題化合物のTFA塩(14mg、19%)を得た。(m/z):[M+H]2029Oの計算値397.25、実測値397.1。
生物学的アッセイ
アッセイ1:生化学的JAKおよびTyk2キナーゼアッセイ
4つのLanthaScreen JAK生化学的アッセイのパネル(JAK1、2、3およびTyk2)を、通常のキナーゼ反応緩衝液(50mM HEPES,pH7.5、0.01%Brij-35、10mM MgClおよび1mM EGTA)に含めた。組換えGSTタグ化JAK酵素およびGFPタグ化STAT1ペプチド基質をLife Technologiesから入手した。
段階希釈したまたは離散的に希釈した化合物を、それらの4つのJAK酵素の各々および基質とともに、白色384ウェルマイクロプレート(Corning)において周囲温度で1時間プレインキュベートした。続いて、ATPを加えて、1%DMSOを含む10μLの総体積でキナーゼ反応を開始した。JAK1、2、3およびTyk2に対する最終的な酵素濃度は、それぞれ4.2nM、0.1nM、1nMおよび0.25nMであり;使用された対応するKm ATP濃度は、25μM、3μM、1.6μMおよび10μMであり;基質濃度は、4つすべてのアッセイについて200nMである。キナーゼ反応を周囲温度で1時間進めた後、TR-FRET希釈緩衝液(Life Technologies)中のEDTA(最終濃度10mM)およびTb-抗pSTAT1(pTyr701)抗体(Life Technologies,最終濃度2nM)の10μL調製物を加えた。そのプレートを周囲温度で1時間インキュベートした後、EnVisionリーダー(Perkin Elmer)において読み出した。発光シグナル比(Emission ratio signals)(520nm/495nm)を記録し、それを用いて、DMSOに基づくパーセント阻害値およびバックグラウンドコントロールを算出した。
用量反応解析の場合、パーセント阻害のデータを化合物の濃度に対してプロットし、Prismソフトウェア(GraphPad Software)を用いて、4パラメータのロバストな適合モデルからIC50値を決定した。結果は、pIC50(IC50の対数に負号をつけたもの)として表され、続いてCheng-Prusoff式を用いてpKi(解離定数Kiの対数に負号をつけたもの)に変換した。
アッセイ2:Tall-1 T細胞におけるIL-2刺激されたpSTAT5の阻害
インターロイキン-2(IL-2)で刺激されたSTAT5リン酸化の阻害についての試験化合物の効力を、AlphaLisaを使用してTall-1ヒトT細胞株(DSMZ)において測定した。IL-2はJAK1/3を介してシグナル伝達するので、このアッセイはJAK1/3細胞効力の尺度を提供する。
リン酸化STAT5は、AlphaLISA SureFire Ultra pSTAT5(Tyr694/699)キット(PerkinElmer)によって測定した。37℃、5%COの加湿恒温器において、15%の熱失活ウシ胎仔血清(FBS、Life Technologies)、2mM Glutamax(Life Technologies)、25mM HEPES(Life Technologies)および1×Pen/Strep(Life Technologies)を補充したRPMI(Life Technologies)中で、Tall-1細胞株由来のヒトT細胞を培養した。化合物をDMSOで段階希釈し、空のウェルに音響学的に分注した。アッセイ培地(10%FBS(ATCC)が補充された無フェノールレッドDMEM(Life Technologies))を分注し(4μL/ウェル)、プレートを900rpmで10分間振盪した。細胞を、アッセイ培地(4μL/ウェル)中に45,000細胞/ウェルで播種し、37℃、5%COで1時間インキュベートした後、予め加温したアッセイ培地(4μL)中のIL-2(R&D Systems;最終濃度300ng/mL)を30分間加えた。サイトカイン刺激の後、細胞を、1×PhosStopおよびComplete tablet(Roche)を含む6ulの3×AlphaLisa溶解緩衝液(PerkinElmer)で溶解した。ライセートを、室温(RT)にて900rpmで10分間振盪した。リン酸化STAT5を、pSTAT5 AlphaLisaキット(PerkinElmer)によって計測した。新たに調製したアクセプタービーズ混合物を、緑色フィルタリングした100lux未満の光の下でライセート(5μL)上に分注した。プレートを900rpmで2分間振盪し、短時間遠沈し、室温の暗所で2時間インキュベートした。ドナービーズを、緑色フィルタリングした100lux未満の光の下で分注した(5μL)。プレートを900rpmで2分間振盪し、短時間遠沈し、室温の暗所で一晩インキュベートした。ルミネセンスを、EnVisionプレートリーダー(PerkinElmer)を用いて緑色フィルタリングした100lux未満の光の下で689nmでの励起および570nmでの発光を使用して測定した。
試験化合物のIL-2に応答する阻害性効力を測定するために、ヒトT細胞株におけるpSTAT5に結合したビーズの平均発光強度を計測した。化合物濃度に対するシグナル強度の阻害曲線の解析から、IC50値を決定した。データは、pIC50(負の常用対数IC50)値(平均値±標準偏差)として表される。
インビトロアッセイの結果
本開示の化合物を、上記アッセイのうちの1またはそれより多くで試験した。
以下の表1において、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2酵素アッセイについて、Aは10以上のpK値(K≦0.1nM)を表し、Bは9~10のpK値(1nM~0.1nMのK)を表し、Cは8~9のpK値(10nM~1nMのK)を表し、Dは7~8のpK値(100nM~10nMのK)を表し、Eは7またはそれを下回るpK値(100nMまたはそれを上回るK)を表す。Tall-1効力アッセイについて、Aは8.0以上のpIC50値を表し、Bは7.5(7.5を含む)~8.0のpIC50値を表す。
Figure 2022529370000037
Figure 2022529370000038
アッセイ3:ヒト肝臓ミクロソームアッセイ
このアッセイの目的は、インビトロヒト肝臓細画分中の試験化合物の代謝安定性を評価することであった。Bioreclamation-IVT(Baltimore、MD)から得られたヒト肝臓ミクロソームを氷上で解凍し、0.1Mリン酸カリウム緩衝液pH 7.4中に希釈して、0.1mg/mLの最終インキュベーションタンパク質濃度を得た。試験化合物(10mM)をNADPH補因子中に希釈して、0.1μM試験化合物および1mM NADPHの最終インキュベーション濃度を得た。37℃の温度でインキュベーションを行い、試験アリコートを0、5、8、15、30および45分の時点で採取した。3%ギ酸および1μM内部標準を含む水の中に各アリコートを入れた。得られた試料を分析のためにLC-MS/MSシステムに注入した。
各インキュベーションについて、各t0アリコート中の分析物のピーク面積を100%に設定し、その後の時点のアリコートからのピーク面積をt0に対する残存親化合物のパーセンテージに変換した。残存親化合物のパーセンテージを自然対数スケールに変換し、分単位での時間に対してプロットした。親の消失プロファイルの初期の低下について線形回帰分析を行い、最良適合線に対する式を決定した。mg/mLタンパク質でのタンパク質濃度または細胞数/mLに対して、得られた線の傾きを正規化し、肝臓ミクロソームについてCLintを以下のように計算した:
CLint(μL・min-1・mg-1)=(傾き×1000)/[タンパク質、mg/mL]
0~8μl/分/mgのCLint値は、低いクリアランス(すなわち、ヒトにおける肝血流の30%未満)を表す。9~49μl/分/mgのCLint値は中程度のクリアランス(すなわち、ヒトにおける肝血流の30~70%)を表し、50μl/分/mgを超える値は高い肝臓クリアランス(すなわち、ヒトにおける肝血流の70%超)を表す。
化合物Mは、132μL/分/mgのHLM Clintを示した。化合物7および9は、2500μL/分/mgを超えるHLM Clintを示した。
アッセイ4:水性溶解度アッセイ
このアッセイの目的は、pH4およびpH7.4のPBS緩衝液中の試験化合物の溶解度を定量することであった。アッセイには、試験標準を作製するために必要な20μLに加えて、所望の緩衝液あたり40μLの10mM DMSO試験化合物溶液が必要であった。例えば、両方の緩衝液中で化合物を試験するためには、100μL(2×40μL+20μL)の10mM DMSO化合物原溶液が必要であった。
20μLの10mM DMSO化合物原溶液を180μLのメタノール中に希釈することによって標準を作製し、溶液の均一性を確保するために5分間振盪した。得られた溶液は、1mM、すなわち1,000μMの濃度の試験化合物を有していた。ピーク面積を得るために、2μLを注入することによってこの1,000μM溶液をAgilent 1260 LC-MSシステムに流した。試験溶液については、PBS緩衝液条件当たり40μLの10mM DMSO化合物原溶液を一晩乾燥させて粉末とした。粉末形態になったら、400μLの所望のPBS緩衝液を粉末に添加し、4時間激しく振盪させた。この試料溶液の最大理論濃度は1,000μMであった。4時間の振盪後、試料を3,000RPMで10分間遠心分離した後、ピーク面積を得るために、同じAgilent 1260 LC-MSシステムに2μLを注入した。標準および試験溶液のピーク面積が決定されると、標準面積に対する試料面積の比×1,000によって、試験化合物溶液のμM溶解度が、最大上限1,000μMで与えられた。得られた結果を表2に要約する。
下記表2において、Aは100を上回る値を表し、Bは100~50(両端を含む)の値を表し、Cは50~10の値を表し、Dは10またはそれを下回る値を表す。
Figure 2022529370000039
Figure 2022529370000040
アッセイ5:有機賦形剤中での溶解度アッセイ
このアッセイの目的は、アジピン酸ジイソプロピル、中鎖トリグリセリド(MCT)、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの異なる有機賦形剤中での試験化合物の溶解度を定量することであった。アッセイには、試験標準を作製するために必要な40μLに加えて、所望の賦形剤あたり80μLの100mM DMSO試験化合物溶液が必要であった。例えば、5つ全ての賦形剤中で化合物を試験するためには、440μL(5×80μL+40μL)の100mM DMSO化合物原溶液が必要であった。
40μLの100mM DMSO化合物原溶液を160μLのメタノール中に希釈することによって標準を作製し、溶液の均一性を確保するために5分間振盪した。得られた溶液は、20mM、すなわち20,000μMの濃度の試験化合物を有していた。ピーク面積を得るために、0.2μLを注入することによってこの20,000μM溶液をAgilent 1260 LC-MSシステムに流した。試験溶液については、賦形剤当たり80μLの100mM DMSO化合物原溶液を一晩乾燥させて粉末とした。粉末形態になったら、400μLの所望の賦形剤を粉末に添加し、4時間激しく振盪させた。この試料溶液の最大理論濃度は20,000μMであった。4時間の振盪後、試料を3,000RPMで10分間遠心分離した後、ピーク面積を得るために、同じAgilent 1260 LC-MSシステムに0.2μLを注入した。標準および試験溶液のピーク面積が決定されると、標準面積に対する試料面積の比×20,000によって、試験化合物溶液のμM溶解度が、最大上限20,000μMで与えられた。得られた結果を表3に要約する。
下記表3において、Aは10を上回る値を表し、Bは5~10の値を表し、Cは5を下回る値を表す。
Figure 2022529370000041
アッセイ6:インビトロ皮膚S9代謝安定性アッセイ
このアッセイの目的は、ヒトおよびマウスの皮膚S9細画分中の化合物の代謝安定性を評価することであった。Bioreclamation-IVT(Baltimore、MD)から得られたヒトおよびマウス皮膚S9細画分を氷上で解凍し、0.1Mリン酸カリウム緩衝液pH7.4中に希釈して、1.0mg/mLの最終インキュベーションタンパク質濃度を得た。試験化合物(10mM)をリン酸緩衝液中に希釈して、0.2μMおよび2.0μMの最終インキュベーション濃度を得た。1mM NADPHの添加後に37℃の温度でインキュベーションを行い、試験アリコートを0、5、10、20、30および45分の時点で採取した。3%ギ酸および1μM内部標準を含む水の中に各アリコートを入れた。得られた試料を分析のためにLC-MS/MSシステムに注入した。
各インキュベーションについて、各t0アリコート中の分析物のピーク面積を100%に設定し、その後の時点のアリコートからのピーク面積をt0に対する残存親化合物のパーセンテージに変換した。各時点での残存する親化合物のパーセンテージを自然対数スケールに変換し、分で表した時間に対してプロットして消失半減期を決定した。親化合物の消失に対する化合物Mの対応する出現を実証するために、各インキュベーションにおいてLC-MSによって活性代謝産物Mもモニターした。全ての試験化合物は、活性代謝産物Mの放出を示した。表4では、化合物の安定性を以下のように割り当てた:+++は半減期<15分に対応し、++は15~30分の半減期に対応し、+は半減期>30分に対応する。
Figure 2022529370000042
アッセイ7:局所薬物動態アッセイ
この研究の目的は、無傷の雄ラット皮膚への24時間の局所曝露後の試験化合物の表皮、皮膚および血漿の薬物動態を決定することであった。表5に記載されているように、試験化合物を、軟膏中0.25%(w/w)に製剤化した。
Figure 2022529370000043
投与の24時間前に、250gの雄のSprague Dawleyラットの背部から剃毛し、少なくとも20cm(体表面の約10%)の領域4×5cmを露出した。時間0において、試験化合物を25μL/cmの用量でラットの背部に適用した。ケージまたは寝床への化合物の喪失を防ぐために、皮膚を接着性のカバーで覆った。0.5、2、6および24時間の曝露後、石鹸および水で背部を穏やかに洗浄して吸収されなかった薬物を除去し、軽く押さえて乾燥させた。この洗浄の直後に、ラットから心臓穿刺によって血液を採取した。次いで、接着性テープを剥ぎ取ることによって外皮(角質層)を除去した。表皮は露出されたら、0.5cmのパンチ生検を行った。表皮と真皮を迅速に分離し、秤量し、急速凍結した。Covaris超音波ホモジナイザーを使用して、1:10(w/v)水中で表皮および真皮試料をホモジナイズした。3体積のアセトニトリル中に試料を抽出し、試験化合物または活性代謝産物MについてのLC-MS分析を介して標準曲線に対して定量した。試験化合物の活性代謝産物Mへの変換の程度を決定するために、表皮、真皮および血漿中の試験化合物および活性代謝産物MのAUCの合計を決定し、「%変換」(すなわち、活性代謝産物M/試験化合物の比×100)として表した。化合物7および9は、このアッセイにおいて30%を超える変換を示した。
アッセイ8:Caco-2透過アッセイ
Caco-2透過アッセイを皮膚透過性の指標として使用した。このアッセイは、溶液中の試験化合物が細胞単層(ヒト小腸単層のタイトジャンクションを模倣するように設計されている)を透過する速度を測定する。
CacoReady 24ウェルトランズウェルプレートを、ADMEcell(Alameda,CA)から入手した。化合物を、10mM DMSO保存溶液から5μMの濃度で2連(n=2)にて評価した。試験した化合物の受動的透過性を、頂端-基底外側(A-B)方向のP-gp輸送タンパク質を阻害するためにベラパミル(25μM)と共にCaco-2細胞単層を使用して評価した。37℃、5%CO恒温器内で実験を行った。Caco-2培養培地は、標準的な濾過DMEM、FCS10%、L-グルタミン1%、およびPenStrep 1%からなった。基底膜アッセイプレートを、750μLの輸送緩衝液をA-Bウェルに加えることによって調製した。CacoReady(商標)プレートを、頂端ウェルからCaco-2培地を除去して新鮮な輸送培地と置換する(200μLにて全部で3回洗浄)ことによって調製した。次いで、ブランク培地(200μL)を、A-Bウェルのために希釈化合物と置換した。インキュベーションを開始するために、基底プレートを恒温器から取り出し、その上に頂端部を加えた。時間ゼロ(t0)のために、頂端区分および基底区分からサンプル(40μL)を回収した。120分後(t120)に頂端区分および基底区分からサンプルを再度回収した。全サンプルを希釈し、LC-MS/MSによる生物分析のために調製した。cm/秒で示す透過係数(K、A-B方向の平均+ベラパミルの見かけ上の透過)を、dQ(flux)/(dt×領域×濃度)として計算した。
このアッセイでは、約5×10-6cm/秒未満のK値を有する化合物は、低い透過性を有すると考えられる。約20×10-6cm/秒を超えるK値を有する化合物は、高い透過性を有すると考えられる。
化合物Mおよび比較化合物の特徴付け
Figure 2022529370000044
Figure 2022529370000045
比較化合物C-1およびC-2は、会議において2017年4月、6月および8月に行われたいくつかの発表で本出願人によって開示された。
化合物Mは、C-1およびC-2よりはるかに高い透過性(Cacoverap値)およびヒト肝臓ミクロソームクリアランス(HLM Clint値)を特徴とする。より高いクリアランスは、迅速な全身クリアランスを促進し、副作用を伴い得る全身曝露を防止するために有益である。より高い透過性は、皮膚でのより良好な浸透をもたらすと思われるので、皮膚適応症に有益である。
本発明は、その特定の態様または実施形態を参照して説明してきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得、等価物で置換され得ることが当業者によって理解される。さらに、適用される特許法および規則によって認められる限りにおいて、本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、各文書が個別に参照により本明細書中に援用されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。

Claims (53)

  1. 式(I)の化合物:
    Figure 2022529370000046
    またはその薬学的に許容され得る塩であって、
    式中、Xは、-O-または結合であり;
    Rは、C1~8アルキル、4~7員の複素環式基および3~8員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~8アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は、1~3個のRで必要に応じて置換されており;
    各Rは、独立して、C1~4アルキル、CN、F、OH、C1~4アルキル-OHおよびC1~4アルコキシからなる群から選択される、
    化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  2. Rが、C1~6アルキル、5~7員の複素環式基および5~7員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~6アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されている、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  3. Rが、C1~6アルキル、5~6員の複素環式基および5~6員のシクロアルキル基からなる群から選択され、前記C1~6アルキル、複素環式基およびシクロアルキル基は1~3個のRで必要に応じて置換されている、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  4. Rが、C1~6アルキル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択され、前記C1~6アルキル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランは1~2個のRで必要に応じて置換されている、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  5. Rが、置換されていないC1~6アルキル、置換されていないシクロヘキシルおよび置換されていないテトラヒドロピランからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  6. Rが、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシルおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  7. Rが、1~3個のRで必要に応じて置換されているC1~8アルキルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  8. Rが、1~3個のRで必要に応じて置換されている5~7員の複素環式基である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  9. Rが、1~3個のRで必要に応じて置換されている5~7員のシクロアルキル基である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  10. Xが結合である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  11. Xが-O-である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  12. Figure 2022529370000047
    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  13. 式:
    Figure 2022529370000048
    の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  14. 式:
    Figure 2022529370000049
    の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得るキャリアとを含む薬学的組成物。
  16. 1またはそれを超えるさらなる治療剤をさらに含む、請求項15に記載の薬学的組成物。
  17. 前記薬学的組成物が軟膏またはクリームである、請求項15に記載の薬学的組成物。
  18. 哺乳動物の炎症性または自己免疫性皮膚疾患の処置において使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  19. 哺乳動物の炎症性皮膚疾患の処置において使用するための、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  20. アトピー性皮膚炎の処置において使用するための、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  21. 前記アトピー性皮膚炎が中等度から重度のアトピー性皮膚炎である、請求項20に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  22. 前記アトピー性皮膚炎が軽度から中等度のアトピー性皮膚炎である、請求項20に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  23. 円形脱毛症の処置において使用するための、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  24. 白斑、結節性痒疹、扁平苔癬、接触性皮膚炎、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、硬化性苔癬、毛孔性扁平苔癬、乾癬および脱毛性毛包炎からなる群から選択される炎症性または自己免疫性皮膚疾患の処置において使用するための、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  25. 哺乳動物の炎症性または自己免疫性皮膚疾患の処置のための薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
  26. 哺乳動物の炎症性皮膚疾患の処置のための薬の製造における請求項25に記載の使用。
  27. 前記炎症性皮膚疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項26に記載の使用。
  28. 前記アトピー性皮膚炎が中等度から重度のアトピー性皮膚炎である、請求項27に記載の使用。
  29. 前記アトピー性皮膚炎が軽度から中等度のアトピー性皮膚炎である、請求項27に記載の使用。
  30. 哺乳動物の自己免疫性皮膚疾患の処置のための薬の製造における請求項25に記載の使用。
  31. 前記自己免疫性皮膚疾患が円形脱毛症である、請求項30に記載の使用。
  32. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が、白斑、結節性痒疹、扁平苔癬、接触性皮膚炎、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、硬化性苔癬、毛孔性扁平苔癬、乾癬および脱毛性毛包炎からなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
  33. 哺乳動物の炎症性または自己免疫性皮膚疾患を処置する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
  34. 前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的に許容され得るキャリアとを含む薬学的組成物中で前記哺乳動物の皮膚に投与される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が炎症性皮膚疾患である、請求項33に記載の方法。
  36. 前記炎症性皮膚疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記アトピー性皮膚炎が中等度から重度のアトピー性皮膚炎である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記アトピー性皮膚炎が軽度から中等度のアトピー性皮膚炎である、請求項36に記載の方法。
  39. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が自己免疫性皮膚疾患である、請求項33に記載の方法。
  40. 前記自己免疫性皮膚疾患が円形脱毛症である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が、白斑、結節性痒疹、扁平苔癬、接触性皮膚炎、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、硬化性苔癬、毛孔性扁平苔癬、乾癬および脱毛性毛包炎からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
  42. 薬として使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  43. JAK阻害剤が適応となる哺乳動物の疾患の処置において使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  44. JAK阻害剤が適応となる哺乳動物の疾患を処置するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
  45. 哺乳動物の炎症性または自己免疫性皮膚疾患を処置するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
  46. 前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的に許容され得るキャリアとを含む薬学的組成物中で前記哺乳動物の皮膚に投与される、請求項45に記載の使用。
  47. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が炎症性皮膚疾患である、請求項45に記載の使用。
  48. 前記炎症性皮膚疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項47に記載の使用。
  49. 前記アトピー性皮膚炎が中等度から重度のアトピー性皮膚炎である、請求項48に記載の使用。
  50. 前記アトピー性皮膚炎が軽度から中等度のアトピー性皮膚炎である、請求項48に記載の使用。
  51. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が自己免疫性皮膚疾患である、請求項45に記載の使用。
  52. 前記自己免疫性皮膚疾患が円形脱毛症である、請求項51に記載の使用。
  53. 前記炎症性または自己免疫性皮膚疾患が、白斑、結節性痒疹、扁平苔癬、接触性皮膚炎、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、硬化性苔癬、毛孔性扁平苔癬、乾癬および脱毛性毛包炎からなる群から選択される、請求項45に記載の使用。
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