JP2022529186A - 止血剤としての自己組織化ナノ繊維 - Google Patents
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Abstract
本開示は、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分及びキトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を提供する。本開示はまた、組成物を調製する方法、及び本開示の組成物を含む止血用物品を開示する。更に、出血部位からの失血を抑制する方法も、組成物及び止血用物品の使用と共に本明細書に開示する。
Description
本明細書に記載の主題は、一般に、高分子電解質の分野に関し、特に、出血部位からの過剰な失血を抑制するための組成物に関する。
過度の失血は、軍人にとっても並びに民間人にとっても主な死因の1つである。主要な臓器の損傷を除いて、多くの人々が過度の失血だけを理由に死亡している。医師によると、軍関係者の約80%が大量失血のために負傷から30分以内に死亡している。民間人も同様である。事故の犠牲者の約50%は、大量失血のために適切な治療を受ける前に死に至る(Heiskellら、Blood clotters、Police Magazine、2004)。したがって、過度の失血をより短時間で抑制する研究は、これに関連する問題に対処するための利益となる。
血液は、特殊な外因性及び内因性経路から構成される、独自の複雑な凝固過程を有する。したがって、小さな切り傷がある場合は常に、血液はそれ自体で凝固し、さらなる出血を防ぐが、深い切り傷の場合、血液は独自では凝固しない。この問題のために、血液の自己凝固機序を助け、失血の予防につながる急速な止血を促進することができる外部構成要素が存在すべきである。
出血を効果的に制御するために、様々な形態のいくつかの材料が調査されている。実際、様々な材料がすでに市場で入手可能であるが、これらのほとんどは、効率及び価格の面で独自の欠点を有する。例えば、QuickClot(商標)は、適用時に温度上昇を引き起こし、Hemcon(商標)は、非常に高価であり、XStatは、身体内に残っていると異物反応を引き起こす可能性がある。更に、これらの凝固剤の多くが高価であることも、それらの広範な使用を妨げる別の欠点となっている。
吸収性生体材料は、単純に血液及び滲出物を吸収することによって部分的に止血する。セルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロース、及びデンプンベースの絆創膏がこのカテゴリーに属する。HaemoCer(商標) Plus(商標)、Arista(商標)、PerClot(商標)、及びStarsil Hemostatic Powders(商標)等、吸収機序に基づいた様々な製品が開発されている。デンプンベースの急速膨潤性多孔質超吸収性ヒドロゲル(FSPSH)も報告された(J Biomater Sci Polym Ed. 2015;26:1439~1451頁)。RevMedx(商標)によるX-Stat(商標)は、吸収機序に基づいている(J Spec Oper Med. 2016;16:19~28頁)。これは、銃創等の深い傷のために開発された。しかし、木材パルプを基材としているため、身体内に残っていると重篤な異物反応を引き起こす恐れがある。
フィブリンは安定な凝血塊の形成に重要な役割を果たすことから、フィブリン、フィブリノゲン、及びトロンビンは止血効果用に使用されてきた。フィブリンベースの包帯は、吸収性包帯と比較して優れた止血性能を示した(J Trauma Inj Infect Crit Care. 2008;64:75~80頁)。TachoComb(商標)及びTachoSil(商標)のような製品は、フィブリンベース止血剤のいくつかの例である。
近年、そのような凝固タンパク質の組換え型を開発する試みもなされてきた(Clin Ther. 2009;31:32~41頁)。その一例が、臨床的に承認されたRecothrom(商標)であり、これは完全な組換えヒトトロンビンである(Nat Biotechnol. 2008;26:250~250頁)。フィブリン包帯は、死亡率を低下させる大きな可能性を有している。
現在の状況を考慮すると、容易に入手できる費用効果の高い凝固剤に関連する課題が存在している。更に、動物(ウシ、ブタ)又はヒトのプールされた血液から供給されたフィブリンは、免疫原性及びウイルス汚染という別のリスクをもたらす。更に、これらの絆創膏は、適用前に再構成が必要なため、緊急時に使用することはできない。
Heiskellら、Blood clotters、Police Magazine、2004
J Biomater Sci Polym Ed. 2015;26:1439~1451頁
J Spec Oper Med. 2016;16:19~28頁
J Trauma Inj Infect Crit Care. 2008;64:75~80頁
Clin Ther. 2009;31:32~41頁
Nat Biotechnol. 2008;26:250~250頁
したがって、費用効果が高く、容易に入手可能であり、免疫原性のリスクが低く、ウイルス汚染がなく、緊急時にも使用できる出血制御剤が至急必要とされている。
本開示の一態様では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を提供する。
本開示の第2の態様では、(i)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(ii)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を調製する方法であって、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分の第1の水溶液を、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分の第2の水溶液と接触させて、水性混合物を得る工程と、(b)水性混合物を処理して、懸濁粒子を得る工程と、(c)懸濁粒子を脱溶媒剤と接触させて、懸濁液を得る工程と、(d)懸濁液を乾燥させて、組成物を得る工程とを含む、方法を提供する。
本開示の第3の態様では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を含む止血用物品を提供する。
本開示の第4の態様では、出血部位からの失血を抑制する方法であって、(a)本明細書に記載の組成物又は本明細書に記載の止血用物品を得る工程と、(b)出血部位からの失血を抑制するために出血部位に組成物を適用する工程とを含む、方法を提供する。
本開示の第5の態様では、出血部位からの失血を抑制するための、(i)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(ii)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物の使用を提供する。
本開示の第6の態様では、出血部位からの失血を抑制するための、(i)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(ii)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を含む止血用物品の使用を提供する。
本主題の上記その他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。この概要を、概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供する。この概要は、特許請求する主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求する主題の範囲を制限するために使用することも意図していない。
詳細な説明を、添付の図を参照して説明する。異なる図面の特徴及び構成要素のような図面を参照する場合、明細書全体にわたって同じ番号を使用する。
当業者は、本開示が、具体的に記載されたもの以外の変形及び修正を受けることを承知しているであろう。本開示がそのようなすべての変形及び修正を含むことを理解されたい。本開示はまた、本明細書で言及又は示唆するそのようなすべての工程、特徴、組成物、及び化合物を個別に又はまとめて、並びにそのような工程又は特徴のいずれか又は複数の任意及びすべての組合せを含む。
便宜上、本開示のさらなる説明の前に、本明細書で使用するいくつかの用語、及び例をここで説明する。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして読み、当業者が理解すべきものである。本明細書で使用する用語は、当業者に認識され且つ知られている意味を有するが、便宜上及び完全を期すために、特定の用語及びその意味を以下に記載する。
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、冠詞の文法的対象の1つ又は複数(即ち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
用語「含む」及び「含んでいる」は、包括的でオープンな意味で使用され、追加の要素が含まれ得ることを意味する。それは、「のみからなる」と解釈すべきものではない。
本明細書全体を通して、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、用語「含む」及び「含んでいる」等の変形は、記載の要素若しくは工程又は要素若しくは工程のグループを含むことを意味するが、他の任意の要素若しくは工程又は要素若しくは工程のグループを除外することを意味しないと理解されたい。
用語「含む」は、「含むがそれらだけに限らない」という意味で使用される。「含む」及び「含むがそれらだけに限らない」は、互換的に使用される。
比、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書では範囲形式で示すことがある。このような範囲形式は、単に便宜上及び簡潔にするために使用され、範囲の限界として明確に記載した数値だけでなく、各数値及び部分範囲が明確に記載されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値又は部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、20~200の直径範囲は、30及び76を含み、また、35~93、21~64、35~90等の部分範囲も含むと解釈すべきである。
用語「少なくとも1つ」は、1つ又は複数を意味するために使用され、したがって、個々の成分並びに混合物/組合せを含む。
用語「ナノ繊維」は、ナノメートル範囲の直径を有する繊維を表す。
用語「高分子電解質複合体」又は「PEC」は、少なくとも1種のポリマーがポリカチオン性であり、他のポリマーがポリアニオン性である、2種のポリマーの間に形成された複合体を表す。
用語「創傷部位」又は「創傷」は、傷を負った、又は失血につながる物理的外傷を受けた任意の動物又はヒトの身体上の任意の部位を表す。本開示は、本明細書に記載の組成物(ナノ繊維)を、失血を止めるために任意の何らかの介入を必要とする任意の動物若しくはヒト又は任意の生物の創傷部位に適用することを包含するものである。
用語「血液適合性」は、赤血球又は血液と任意の基質との適合性、又は本開示の場合はPECとの適合性を表す。
用語「抗菌剤、成長因子、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、銅又は銀イオンを含有する化合物」は、当業者に既知の大きなカテゴリーの周知の成分を表すのに使用される。
用語「出血」は、過度の失血を指す。ある部位で過度の失血が起こっている場合、その部位は出血部位と呼ばれる。
別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載しているものと類似又は同等な任意の方法及び材料を、本開示の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本明細書で言及される刊行物はすべて、本明細書に参照して援用される。
本開示は、本明細書に記載の特定の諸実施形態によって範囲が限定されるべきではなく、例示のみを目的とする。機能的に同等の生成物、組成物、及び方法は、本明細書に記載するように、明らかに本開示の範囲内にある。
既存の止血剤に関連する問題に対処するために、本開示は、カゼイン及びキトサンを含むナノ繊維高分子電解質複合体である組成物を提供する。組成物は、効率的な止血を促進する自己組織化再構成ナノ繊維高分子電解質複合体である。本開示によれば、組成物(ナノ繊維PEC)は、適切な止血剤であると判断された自己組織化プロセスによって製造されている。ナノ繊維は、一般に、相分離、自己組織化、及びエレクトロスピニングを使用して製造される。これらの技術の中で、エレクトロスピニングは、ポリマーの多様な配列を使用してナノ繊維を作製できるため、最も好ましい方法とされている。しかし、エレクトロスピニングで作製したマットの絡み合った繊維構造は、止血用途用の粉末形態での使用には限界がある。エレクトロスピニング法のもう1つの課題は、高い処理量を実現することである。本開示では、様々な表面電荷を有する短いナノ繊維を、自己組織化法を使用して製造している。この方法により、商業目的で容易にスケールアップすることが容易にできるナノ繊維粉末の製造が可能になる。
本開示は、200ナノメートル未満の平均繊維直径を有するナノ繊維の形成をもたらすポリカチオン性ポリマー及びタンパク質(ポリアニオン形態)から構成される出血制御剤の開発を提供するものであり、これらのナノ繊維は、非常に高い処理量を提供し、工業生産への転換が容易な自己組織化法によって開発されている。本開示で開示する組成物は、特に、あらゆる種類の事故、外科手術、又は身体自体の生理に起因する出血の原因を制御する際のいくつかの用途を有する。組成物はまた、発射弾、ナイフによる刺傷、臨床上の創傷、術後の切開、創傷被覆等の場合に、粉末、パッチ、ゲル、又は絆創膏として直接施すと非常に効果的である。それ以外に、組成物は、創傷包帯材料として、医療用インプラント及びデバイスの被覆用に、絆創膏と組み合わせて使用することができる。
本開示に開示する組成物は、20~200nmの範囲の繊維直径を有するナノ繊維粉末を提供する。それは、致命傷では20秒以内に血液を凝固させる能力を有し、表面の裂傷、異常、切開等ではほぼ瞬時に出血を止める能力を有する。本開示はまた、自己組織化法によって行われた前述の生体材料の製造方法を提供する。
開示の組成物(ナノ繊維高分子電解質複合体)は、ゼラチン、デキストラン、キチン又はシクロデキストリンの脱アセチル化形態等のポリカチオン性生体材料、及びヒアルロン酸、アルギン酸塩、カゼイン、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、或いはそれらのナトリウム若しくはカリウム若しくはカルシウム塩又は誘導体等のポリアニオン性生体材料のストック溶液を室温(例えば、20~25℃)で調製することによって製造することができる。主成分のストック溶液を、所望の質量比で一緒に混合する。主成分の混合物を、メタノール、エタノール、tert-ブテノール、アセトン、又はヘキサン等の表面張力の低い有機溶媒で洗浄して、水を置換する。次いで、有機溶媒を高温面で急速乾燥させることにより蒸発させて、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維ポリカチオン性複合体を生成する。ポリカチオン性及びポリアニオン性生体材料は、8:2~2:8の範囲の質量比で混合することができる。ゼラチン、デキストラン、キチン若しくはシクロデキストリンの脱アセチル化形態、又はそれらの誘導体等のポリカチオン性生体材料は、Sigma-Aldrich社(ミズーリ州、米国)、Hi-Media社(ムンバイ、インド国)、及びLoba Chemie社(ムンバイ、インド国)等の供給元を含むがそれらだけに限らない様々な商業供給元から入手することができる。ゼラチン、デキストラン、キチン若しくはシクロデキストリンの脱アセチル化形態、又はそれらの誘導体は、ポリカチオンとして、例えば、溶解度又は他の物理化学的性質を変える目的で、アセチル化率を変えた誘導体又はポリマー長を短くした誘導体を使用することができる。カゼイン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、又はそれらのナトリウム若しくはカリウム若しくはカルシウム塩等の天然ポリアニオンを使用することができる。止血特性を有する包帯材料を開発するために、調製したナノ繊維高分子電解質複合体と共に、抗菌剤、成長因子、創傷清拭剤等も添加することができる。したがって、本明細書で言及するいくつかの特徴が、従来技術の他の任意の特徴と組み合わせて使用することができることを
よく理解されたい。しかし、本明細書に開示する特定の諸実施形態は、実際には、本発明の好ましい諸実施形態である。これらの特徴は、不可欠又は必須である。
よく理解されたい。しかし、本明細書に開示する特定の諸実施形態は、実際には、本発明の好ましい諸実施形態である。これらの特徴は、不可欠又は必須である。
本開示は、100nm未満の直径を有し、表面的な創傷から深い創傷及び軽傷から重傷のあらゆる種類の致命的な損傷の場合には20秒未満で、医学的理由に起因する場合にはほぼ瞬時に血液を迅速に凝固させることができる組成物(ナノ繊維高分子電解質複合体粉末)の調製を包含する。発射弾、ナイフによる刺傷、偶発性外傷、自動車事故等によって引き起こされた外傷の場合、本開示は、犠牲者が致命的な量の血液を失うことなく治療の実施場所に到達する機会を与える助けになる。本明細書に記載のような出血制御剤(止血剤)の使用は、重度の出血を引き起こす損傷の場合に非常に有益であろう。
開示の組成物(ナノ繊維高分子電解質複合体)は、生体適合性、生分解性であり、出血表面(例えば、創傷)に適用した場合、創傷部位に過度の乾燥を引き起こすことなく、かなりの量の体液を吸収し、血液を凝固させる。高分子電解質は、特定のpHで水のような極性溶媒に溶解したときに正味の正又は負の電荷を示す高分子である。反対に帯電した高分子電解質が互いに接触すると、それらは高分子電解質複合体、即ち、ポリソルト(polysalt)としても知られているものを形成する。高分子電解質複合体の形成の推進力は、反対に帯電したポリマー間のエントロピー及び強い静電引力である。負に帯電した基が正に帯電した基に近づくと、それらは互いに引きつけ始め、イオン架橋した材料が形成される。架橋とは、あるポリマー鎖を別のポリマーに繋ぐ結合を指す。いくつかの架橋剤の存在下で、同じ又は異なる鎖の負の官能基は、正に帯電した官能基に引き付けられる。この架橋現象はまた、pHに依存する。例えば、本実施形態では、複合体のpHがナノ繊維形成に適する範囲に維持されている場合にのみ、ナノ繊維を形成することができる。あるpH値を超えると、繊維の形成が少なくなり、粒子の形成が多くなる。この架橋化合物が血液と接触すると、血液細胞が強制的に基質の表面に結合又は捕捉されて、メッシュが作製され、それによって、強力なパッチが形成される。
実施形態の1つによれば、生体材料の2種のストック溶液を一緒に混合する。キチンの脱アセチル化形態等のポリカチオン、及びカゼイン等のポリアニオンを、ナノ繊維高分子電解質複合体を形成するための主成分として使用する。複合体の形成は、自発的であり、対イオンの放出を伴う。処理は完全に水性ベースであり、いずれの有毒な溶媒も必要としない。
高分子電解質複合体が形成された後、製造プロセスのちょうど次の工程で水置換剤(脱溶媒剤)を導入する。この水置換剤は、乾燥したナノ繊維高分子電解質複合体粉末を開発する上で重要な役割を果たす。好ましい一実施形態では、それにより、ナノ繊維が凝集して凝塊を形成しないようにすることが可能になる。水分子を前記薬剤に完全に置換し、加熱すると、前述の薬剤が蒸発して、ナノ細孔及び繊維構造が残り、それによって、ナノ繊維の表面積対体積比が増加する。この表面積対体積比の増加は、ナノ繊維試料の吸収特性をより高める。本明細書では、調製した高分子電解質複合体(本開示の組成物)を、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、又はヘキサン等の表面張力の低い有機溶媒(脱溶媒剤)で洗浄して、水分子を置換するが、これは後に乾燥プロセス中に細孔及び繊維構造を作製するのに役立つ。本開示によれば、第三級ブタノールが最良の結果をもたらし、得られた最終繊維複合体は、200nm未満の繊維直径を有するナノ構造を示す。
ゼラチン、デキストラン、キチンの脱アセチル化形態、シクロデキストリン、又はポリ-L-リジンを含むがそれらだけに限らないポリカチオン性生体材料を使用することができる。本開示では、キチンの脱アセチル化形態(キトサン)は最良の結果をもたらす。
カゼイン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、又はそれらのナトリウム若しくはカリウム若しくはカルシウム塩を含むがそれらだけに限らないポリアニオン性生体材料を使用することができる。本開示では、カゼインを使用しており、それは最良の結果をもたらす。
開示の組成物(ナノ繊維高分子電解質複合体)は、粉末形態、ゲル形態、又は液体形態で作製することができる。更に、本開示は、多糖及びタンパク質で構成された高分子電解質複合体のみに限定されるものではなく、更に、生物学的止血剤、生体活性ガラス、分子ふるい材料、トロンビン、フィブリン、他の類似材料、又は前述のものと本実施形態との組合せ等、他の止血剤が、本開示の範囲内にある。
いくつかの実施形態の任意の他のクレイ又は他の凝固剤若しくは材料を、本実施形態と共に添加することができ、又は共役状態で使用することができ、これにより、本開示の組成物の有効性を改善する可能性がある。実施形態のいくつかは、損傷領域での防腐環境を維持又は改善するために、いくつかの材料を本開示に添加又は統合することを含み得る。例えば、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗微生物剤、銀イオン、又は銅含有化合物、前述及び類似の他の材料の組合せを使用することができる。また、いくつかの異なる材料を本実施形態と併合して、それに疼痛緩和特性を組み込むことができる。損傷の性質に応じて、追加の止血機能を提供するために、ヒト血清アルブミン、ウシトロンビン、カルシウム、ヒトトロンビン(hトロンビン)、rhトロンビン、第XIII因子、第VIIa因子、組換え第XIII因子(r第XIII因子)、プロスタグランジン-2a、トロンボキサンA2、上皮成長因子、腫瘍壊死因子(TNF)、血小板由来成長因子、TNF-α、トランスフォーミング成長因子(TGF)、フォンウィルブランド因子、TGF-α、TGF-β、線維芽細胞成長因子、神経成長因子、インスリン様成長因子、ケラチノサイト成長因子、ペニシリン、メチシリン、アンピシリン、アモキシシリン、クラブラン酸、クラバモックス、アズトレナム、ストレプトマイシン、イミペネム、カナマイシン、バシトラシン、トブラマイシン、バンコマイシン、ポリミキシン、ゲンタマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、アンホテリシン、リファンピシン、ナイスタチン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、フィブリン、トロンビン、アスコルビン酸、ルチン、トラネキサム酸、前述又は類似の材料の組合せ等の生物学的止血材料を、本実施形態と共に使用することができる。また、外傷部位で望ましい効果を有する植物由来薬剤は、本実施形態と共に使用することができ、例えば、ナンキンカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、コウリョウキョウ(Alpinia officinarum)、ブドウ(Vitis vinifera)及びセイヨウイラクサ(Urtica dioica)、ネウボウルディア・レビス(Newbouldia laevis)(葉)、アンノナ・セネガレンシス(Annona senegalensis)(葉)、シサムペロス・ムクロナタ(Cissampelos mucronata)(地上部)、スナヅル(Cassytha filiformis)(地上部)等を使用することができる。
水置換のために本開示で使用する材料はまた、他のいくつかの異なるアルコールでよい。水置換材料は、他の任意の単一アルコール、2種以上のアルコールの混合物、水とアルコールとの混合物、又は前述の組合せでもよい。アルコールで繰り返し洗浄した後、高分子電解質複合体及びアルコールの懸濁液を70℃~110℃の範囲内の温度で乾燥させて、ナノ繊維材料を形成させる。本開示はこれに限定されるものではなく、更に、100nm以内の平均繊維直径を有する他のナノ繊維調製法も本実施形態の範囲内である。
本開示の組成物に到達するために、いくつかのタイプの材料とそれらの様々な組合せを使用することができる。材料は、糸又は紐のような単一又は複数の繊維で構成される繊維状物、メッシュ、ガーゼ、織布又は不織布、吸収物又は非吸収物、密に織られた織布、多孔状物又は固形物、スポンジ等でよい。いくつかの実施形態では、前述の併合を使用することができ、それらは様々な方法で互いにつなぐことができる。いくつかの実施形態では、繊維はまた、改善のために1種又は複数種の添加剤で被覆することができる。
いくつかの実施形態では、いくつかの塩、例えば、塩化カルシウム、トリポリリン酸ナトリウム、同じタイプの塩、又は前述の組合せ等を、高分子電解質複合体に組み込むことができる。
最後に、製品を得るために、様々な方法を取ることができる。いくつかの実施形態では、専用乾燥機を乾燥に使用して、最終製品を得ることができる。専用乾燥機とは、噴霧乾燥機、真空乾燥機、ドラム乾燥機、若しくは乾燥目的を解決するための類似タイプの機械、又は前述の組合せ等、市場で入手可能な乾燥機を指す。いくつかの実施形態では、最終製品は、基材を乾燥する工程と、乾燥後に乾燥済み基材を所望の形態に変換する工程との2つの工程で得ることができる。乾燥は、いくつかの方法で実現することができ、これには、水置換剤が完全に蒸発するように基材周囲の空気の温度を上昇させることが含まれる。いくつかの実施形態では、任意の手段によって基材に直接熱を加えることができる。いくつかの実施形態では、乾燥目的のために凍結乾燥法を利用することができる。製品を製造するために、温度、真空レベル、持続時間、及び/又は圧力等の乾燥パラメータを変更又は調整することができる。乾燥済み基材を所望の形態にすることは、様々な方法で実現することができる。いくつかの実施形態では、乾燥済み基材の破砕若しくは粉砕を行うことができ、又は基材の有効性を顕著に低下させない類似の種類の他の方法を取ることができる。いくつかの実施形態では、加熱と粉砕の両方を同時に行うことができる。
本開示において明らかにした止血剤は、水、血液等の1種又は複数種の液体に対して非常に高い吸収能力を有する。いくつかの実施形態では、基材は、その初期乾燥質量の少なくとも4~10倍又はそれ以上の吸収能力を有する可能性がある。
本開示に記載の組成物の能力を正当化するために、組成物をFESEMを使用して特性決定した。本実施形態に記載の基材の血液凝固能の評価は、全血凝固アッセイを使用して行った。本実施形態における基材の細胞接着能力を確実にするために、基材を含む血液を、FESEMを使用することによって調べた。本開示はまた、基材が損傷部位の血圧に耐える能力を含む。これは、基材が適用後に傷を負った部分に残り、血流で洗い流されないことを意味する。これは、その上に硬いパッチを作り、それ以上の出血を引き起こさないであろう。
開示のナノ繊維高分子電解質複合体は、典型的には、適切な密封包装(例えば、適切な材料で作製された小袋若しくはバイアル、又はそのような包装及び任意選択で印刷された指示書を含むキット)に入れられ、出血の治療における材料又はキットの適切な使用を説明する印刷された指示書を一緒に入れる必要がある場合、更に包装する前に滅菌処理を施すことができる。適切な滅菌方法には、電離放射線(例えば、ガンマ線)又はエタノール処理が含まれる。
開示のナノ繊維高分子電解質複合体は、(例えば、清潔創に)直接適用してもよいし、又は多段階治療計画の一部として(例えば、細菌感染した創傷に)適用してもよい。多段階治療計画は、清浄及び消毒工程、次いで、開示のナノ繊維高分子電解質複合体を適用する工程を含んでもよいし、又は多段階治療計画の後に、清浄及び消毒工程、次いで、開示したナノ繊維高分子電解質複合体を適用する工程を続けてもよい。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を提供する。別の一実施形態では、組成物は、30~175nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である。更に別の一実施形態では、組成物は、20~150nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である。代替の一実施形態では、組成物は、20~100nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である。更に別の一実施形態では、組成物は、20~80nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物であって、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、組成物に対して20~80%の範囲の質量百分率のカゼインを有する、組成物を提供する。別の一実施形態では、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分は、組成物に対して30~70%の範囲の質量百分率のカゼインを有する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物であって、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、組成物に対して20~80%の範囲の質量百分率のキトサンを有する、組成物を提供する。別の一実施形態では、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分は、組成物に対して30~70%の範囲の質量百分率のキトサンを有する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物であって、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分及びキトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、2:8~8:2の範囲の質量比を有する、組成物を提供する。別の一実施形態では、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分及びキトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分は、3:7~7:3の範囲の質量比を有する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物であって、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、組成物を提供する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物であって、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、ゼラチン、デキストラン、シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、組成物を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物であって、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、組成物に対して20~80%の範囲の質量百分率のカゼインを有し、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、組成物に対して20~80%の範囲の質量百分率のキトサンを有し、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含み、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、ゼラチン、デキストラン、シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、組成物を提供する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態であり、抗菌剤、成長因子、創傷清拭剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、銅塩、銀塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、組成物を提供する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態であり、ヒト血清アルブミン、ウシトロンビン、カルシウム、ヒトトロンビン(hトロンビン)、rhトロンビン、第XIII因子、第VIIa因子、組換え第XIII因子(r第XIII因子)、プロスタグランジン-2a、トロンボキサンA2、上皮成長因子、腫瘍壊死因子(TNF)、血小板由来成長因子、TNF-α、トランスフォーミング成長因子(TGF)、フォンウィルブランド因子、TGF-α、TGF-β、線維芽細胞成長因子、神経成長因子、インスリン様成長因子、ケラチノサイト成長因子、ペニシリン、メチシリン、アンピシリン、アモキシシリン、クラブラン酸、クラバモックス、アズトレナム、ストレプトマイシン、イミペネム、カナマイシン、バシトラシン、トブラマイシン、バンコマイシン、ポリミキシン、ゲンタマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、アンホテリシン、リファンピシン、ナイスタチン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、フィブリン、トロンビン、アスコルビン酸、ルチン、トラネキサム酸、ナンキンカンゾウ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、コウリョウキョウ抽出物、ブドウ抽出物及びセイヨウイラクサ抽出物、ネウボウルディア・レビス(葉)抽出物、アンノナ・セネガレンシス(葉)抽出物、シサムペロス・ムクロナタ(地上部)抽出物、スナヅル(地上部)抽出物、並びにそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、組成物を提供する。
本開示の一実施形態では、(i)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(ii)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を調製する方法であって、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分の第1の水溶液を、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分の第2の水溶液と接触させて、水性混合物を得る工程と、(b)水性混合物を処理して、懸濁粒子を得る工程と、(c)懸濁粒子を脱溶媒剤と接触させて、懸濁液を得る工程と、(d)懸濁液を乾燥させて、組成物を得る工程とを含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、第1の水溶液が、第1の水溶液に対して0.5~4質量/体積%の範囲のカゼインを含み、第2の水溶液が、第2の水溶液に対して0.5~3.5質量/体積%の範囲のキトサンを含む、方法を提供する。別の一実施形態では、第1の水溶液は、第1の水溶液に対して1~3.5質量/体積%の範囲のカゼインを含み、第2の水溶液は、第2の水溶液に対して1~3質量/体積%の範囲のキトサンを含む。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、脱溶媒剤が、第三級ブタノール、エタノール、アセトン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、第1の水溶液及び第2の水溶液が、水中で調製される、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、懸濁粒子が、4~10の範囲のpHを有する、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、水性混合物を処理する工程が、均質化の工程を含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分の第1の水溶液を、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分の第2の水溶液と接触させる工程が、滴下法で行われる、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含み、キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、ゼラチン、デキストラン、シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、抗菌剤、成長因子、創傷清拭剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、銅塩、銀塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を添加する工程を更に含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の組成物を調製する方法であって、ヒト血清アルブミン、ウシトロンビン、カルシウム、ヒトトロンビン(hトロンビン)、rhトロンビン、第XIII因子、第VIIa因子、組換え第XIII因子(r第XIII因子)、プロスタグランジン-2a、トロンボキサンA2、上皮成長因子、腫瘍壊死因子(TNF)、血小板由来成長因子、TNF-α、トランスフォーミング成長因子(TGF)、フォンウィルブランド因子、TGF-α、TGF-β、線維芽細胞成長因子、神経成長因子、インスリン様成長因子、ケラチノサイト成長因子、ペニシリン、メチシリン、アンピシリン、アモキシシリン、クラブラン酸、クラバモックス、アズトレナム、ストレプトマイシン、イミペネム、カナマイシン、バシトラシン、トブラマイシン、バンコマイシン、ポリミキシン、ゲンタマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、アンホテリシン、リファンピシン、ナイスタチン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、フィブリン、トロンビン、アスコルビン酸、ルチン、トラネキサム酸、ナンキンカンゾウ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、コウリョウキョウ抽出物、ブドウ抽出物及びセイヨウイラクサ抽出物、ネウボウルディア・レビス(葉)抽出物、アンノナ・セネガレンシス(葉)抽出物、シサムペロス・ムクロナタ(地上部)抽出物、スナヅル(地上部)抽出物、並びにそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を添加する工程を更に含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、(a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を含む止血用物品を提供する。別の一実施形態では、止血用物品は、絆創膏、スプレー剤、粉末、ペースト、及び発泡体(foam)からなる群から選択される形態である。
本開示の一実施形態では、出血部位からの失血を抑制する方法であって、(a)本明細書に記載の組成物又は本明細書に記載の止血用物品を得る工程と、(b)出血部位からの失血を抑制するために出血部位に組成物又は止血用物品を適用する工程とを含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、出血部位からの失血を抑制する方法であって、(a)本明細書に記載の組成物又は本明細書に記載の止血用物品を得る工程と、(b)出血部位からの失血を抑制するために出血部位に組成物又は止血用物品を適用する工程とを含み、組成物が、適用の50秒未満で失血を抑制する、方法を提供する。別の一実施形態では、組成物は、適用の12~30秒で失血を抑制する。
本開示の一実施形態では、出血部位からの失血を抑制する方法であって、(a)本明細書に記載の組成物を得る工程と、(b)出血部位からの失血を抑制するために出血部位に組成物を適用する工程とを含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、出血部位からの失血を抑制する方法であって、(a)本明細書に記載の止血用物品を得る工程と、(b)出血部位からの失血を抑制するために出血部位に止血用物品を適用する工程とを含む、方法を提供する。
本開示の一実施形態では、(i)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(ii)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、出血部位からの失血を抑制するための20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物の使用を提供する。
本開示の一実施形態では、(i)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び(ii)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、出血部位からの失血を抑制するための20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を含む止血用物品の使用を提供する。
特定の諸実施形態を参照して主題を説明してきたが、この説明は限定的な意味で解釈することを意味するものではない。開示した諸実施形態の様々な修正、並びに主題の代替の諸実施形態は、主題の説明を参照することにより当業者に明らかになるであろう。したがって、そのような修正は、定義した本主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく実施し得ることが企図されている。
次に、本開示を実施例を用いて説明するが、これは、本開示の作業を説明することを意図しており、本開示の範囲になんらかの制限を示すように限定的に捉えることを意図していない。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似又は同等の方法及び材料を、開示した方法及び組成物の実施に使用することができるが、例示的な方法、装置、及び材料が、本明細書に記載されている。本開示は、特定の方法、及び記載した実験条件に限定されるものではなく、そのような方法及び条件が適用され得ることを理解されたい。
本節は、本開示の様々な実施形態を例示する。それは、諸実施形態の利点を明確に提供する。
(実施例1)
本開示に開示する組成物の調製
キトサン(ポリカチオン性成分)及びカゼイン(ポリアニオン性成分)を使用して、本開示に開示する組成物を調製した。キトサン(>75%脱アセチル化、分子量3800~20000gmol-1)及びカゼイン(分子量4,23,644gmol-1)は、Himedia研究所から入手した。0.5%~3.5%(質量/体積)のキトサン溶液を水中で調製し(第2の水溶液)、0.5%~4%(質量/体積)のカゼイン溶液を水中で調製した(第1の水溶液)。次いで、第2の水溶液を第1の水溶液に添加して、水性混合物を得た。実験のために、3種の異なる比の混合物を調製した。調製した試料を、CA30CH70(カゼイン:キトサンの質量比30:70)、CA50CH50(カゼイン:キトサンの質量比50:50)、及びCA70CH30(カゼイン:キトサンの質量比70:30)と呼ぶ。前述の試料の3種の組成物の詳細を下記のTable 1(表1)に記載する。
本開示に開示する組成物の調製
キトサン(ポリカチオン性成分)及びカゼイン(ポリアニオン性成分)を使用して、本開示に開示する組成物を調製した。キトサン(>75%脱アセチル化、分子量3800~20000gmol-1)及びカゼイン(分子量4,23,644gmol-1)は、Himedia研究所から入手した。0.5%~3.5%(質量/体積)のキトサン溶液を水中で調製し(第2の水溶液)、0.5%~4%(質量/体積)のカゼイン溶液を水中で調製した(第1の水溶液)。次いで、第2の水溶液を第1の水溶液に添加して、水性混合物を得た。実験のために、3種の異なる比の混合物を調製した。調製した試料を、CA30CH70(カゼイン:キトサンの質量比30:70)、CA50CH50(カゼイン:キトサンの質量比50:50)、及びCA70CH30(カゼイン:キトサンの質量比70:30)と呼ぶ。前述の試料の3種の組成物の詳細を下記のTable 1(表1)に記載する。
3種の異なる比で得た水性混合物を独立に処理した。処理では均質化プロセスを行い、pHを6~10の範囲に調整して、懸濁粒子を得た。懸濁粒子をアルコールで繰り返し洗浄して、粒子内にいずれの水分子もないことを確認した。更に、粒子を脱溶媒剤(又は水よりも低い沸点を有する任意の液体)に溶解して、懸濁液を得た。懸濁液を乾燥させるために、手動による乾燥手順を採用した。懸濁液を風通しの良い場所でホットプレート又は加熱したアルミホイル(50℃~80℃)に噴霧して、懸濁液を乾燥させた。乾燥工程の後、本開示に開示する組成物を、さらなる研究及び/又は用途のためにチューブに収集することができる粉末形態で得る。組成物のフレークを、バイブレーターを使用して更に細かくした。開示の方法により、Table 1(表1)に示すように試料1(CA30CH70)、試料2(CA50CH50)、及び試料3(CA70CH30)の3種の異なる試料の形で組成物を得ることができた。本開示による組成物を得るための方法は、図1に概説している。
本開示の一部として、試料4~6はまた、上記の段落で述べたようにいくつかの工程を微調整することによって調製した。Table 1(表1)に記載するようにキトサンとカゼインの比が異なる様々な試料の懸濁粒子を得る工程まで、同じ方法工程で実施した。懸濁粒子は、アルコールで洗浄せず、その後、いずれの脱溶媒剤にも溶解させなかった。懸濁粒子をホットプレート上で独立に乾燥させて、試料4(CA30CH70_フィルム)、試料5(CA50CH50_フィルム)、及び試料6(CA70CH30_フィルム)を得た。微粉末の形態であった試料1~3に対して、試料4~6はフィルムの形態であった。試料4~6は、約10μmの厚さを有するフィルムで構成されていた。
(実施例2)
電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像化研究
実施例1から得た試料1~3の組成物のナノレベル構造を分析するために、種々の試料のFESEM画像化を行った。FESEM画像化では、すべての試料が、20~200nmの範囲の繊維直径を有するナノ繊維構造を有することが観察された。図2は、本明細書で得られた組成物のナノ繊維構造を示す。図2A及び図2Bは、試料1(CA30CH70)で表す組成物のナノ繊維を示す。図2C及び図2Dは、試料2(CA50CH50)で表す組成物のナノ繊維を示す。図2E及び図2Fは、試料3(CA70CH30)で表す組成物のナノ繊維を示す。これにより、試料1~3のすべてが、本開示による20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維を示していると結論づけることができる。
電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像化研究
実施例1から得た試料1~3の組成物のナノレベル構造を分析するために、種々の試料のFESEM画像化を行った。FESEM画像化では、すべての試料が、20~200nmの範囲の繊維直径を有するナノ繊維構造を有することが観察された。図2は、本明細書で得られた組成物のナノ繊維構造を示す。図2A及び図2Bは、試料1(CA30CH70)で表す組成物のナノ繊維を示す。図2C及び図2Dは、試料2(CA50CH50)で表す組成物のナノ繊維を示す。図2E及び図2Fは、試料3(CA70CH30)で表す組成物のナノ繊維を示す。これにより、試料1~3のすべてが、本開示による20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維を示していると結論づけることができる。
(実施例3)
ゼータ電位分析
ゼータ電位値の測定は、組成物のナノ繊維の表面に存在する電荷に関する測定可能な情報を提供する。図3は、実施例1に記載の様々な組成比の組成物のナノ繊維のゼータ電位を表している。試料1(カゼイン30%とキトサン70%で構成されるナノ繊維)は、11.39±7.19mVのゼータ電位を示す。この電荷は、PECにおけるキトサン量の減少に伴って減少し続ける。70%のカゼインで構成されるPECナノ繊維は、-14.83±11.95mVのゼータ電位を示す。ゼータ電位測定は、ナノ繊維の表面電荷がそれらの組成と関連していることを示唆している。表面電荷は、キトサンの濃度が高くなるにつれて増加する。図3は、試料1(CA30CH70)、試料2(CA50CH50)、及び試料3(CA70CH30)の表面電荷を示している。
ゼータ電位分析
ゼータ電位値の測定は、組成物のナノ繊維の表面に存在する電荷に関する測定可能な情報を提供する。図3は、実施例1に記載の様々な組成比の組成物のナノ繊維のゼータ電位を表している。試料1(カゼイン30%とキトサン70%で構成されるナノ繊維)は、11.39±7.19mVのゼータ電位を示す。この電荷は、PECにおけるキトサン量の減少に伴って減少し続ける。70%のカゼインで構成されるPECナノ繊維は、-14.83±11.95mVのゼータ電位を示す。ゼータ電位測定は、ナノ繊維の表面電荷がそれらの組成と関連していることを示唆している。表面電荷は、キトサンの濃度が高くなるにつれて増加する。図3は、試料1(CA30CH70)、試料2(CA50CH50)、及び試料3(CA70CH30)の表面電荷を示している。
(実施例4)
全血凝固アッセイ
実施例1に記載の組成物(試料1~6)の血液凝固能を、全血凝固アッセイにより測定した。血液200μLをマイクロ遠心分離管(エッペンドルフ管)に入れ、0.2Mの塩化カルシウム溶液20μL及び各試料を同時に添加した。この手順を各試料ごとに繰り返した。血液の凝固は、管を振って血液が動いているかどうかを見ることで確認し、その時間を記録した。試料との比較のために、Celox(商標)を参照として用いた。様々な試料のそれぞれの凝固時間をTable 2(表2)に示す。
全血凝固アッセイ
実施例1に記載の組成物(試料1~6)の血液凝固能を、全血凝固アッセイにより測定した。血液200μLをマイクロ遠心分離管(エッペンドルフ管)に入れ、0.2Mの塩化カルシウム溶液20μL及び各試料を同時に添加した。この手順を各試料ごとに繰り返した。血液の凝固は、管を振って血液が動いているかどうかを見ることで確認し、その時間を記録した。試料との比較のために、Celox(商標)を参照として用いた。様々な試料のそれぞれの凝固時間をTable 2(表2)に示す。
Table 2(表2)から、試料1~3が、市販の製品(Celox(商標))と比較して、より短い凝固時間を示したことが確認できる。更に、試料1~3はまた、実施例1で説明したようにフィルムの形態であり、且つ処理工程が異なる試料4~6(189秒、212秒、233秒)と比較して、それぞれ15秒、14秒、及び13秒というより短い凝固時間を示した。したがって、試料1~3のナノ繊維の形態(実施例2に示すように、20~200nmの範囲のナノ繊維の直径)が、ナノ繊維を欠き、且つフィルムの形態で存在する試料4~6と比較して、より短い凝固時間を達成するのに重要であることが認識できよう。
(実施例5)
細胞接着試験
細胞接着特性を研究するために、実施例4に説明するように、試料1~3を使用して、血液試料を凝固させた。全血試料が凝血塊を形成した後、凝血塊試料をホルマリンに12時間浸すことによって固定した。その後、固定した凝血塊を取り出し、第三級ブチルアルコールに12時間浸した。次いで、試料を真空乾燥機で乾燥させた。次いで、凝血塊試料をFESEM画像化で調べた。図4は、FESEM画像化試験の結果を示す。
細胞接着試験
細胞接着特性を研究するために、実施例4に説明するように、試料1~3を使用して、血液試料を凝固させた。全血試料が凝血塊を形成した後、凝血塊試料をホルマリンに12時間浸すことによって固定した。その後、固定した凝血塊を取り出し、第三級ブチルアルコールに12時間浸した。次いで、試料を真空乾燥機で乾燥させた。次いで、凝血塊試料をFESEM画像化で調べた。図4は、FESEM画像化試験の結果を示す。
図4は、試料1-CA30CH70(A、B)、試料2-CA50CH50(C、D)、及び試料3-CA70CH30(E、F)、及びCelox(商標)(G、H)を使用して得られた凝血塊の、それぞれ低倍率及び高倍率でのFE-SEM画像を示す。これらの図は、すべての試料が、それらの組成及び表面電荷に関係なく、細胞接着を促進したことを示した。
(実施例6)
乳酸脱水素酵素(LDH)試験
試料1~3で表した組成物のナノ繊維の表面への血小板の接着を、細胞溶解時に放出されたLDHの量によって定量化した。細胞を1%トリトンX100溶液で溶解した。この試験の概念は、すべての細胞にLDHが含まれているため、溶液中のLDH活性が高いほど、繊維の表面により多くの血小板が接着していることを意味する。
乳酸脱水素酵素(LDH)試験
試料1~3で表した組成物のナノ繊維の表面への血小板の接着を、細胞溶解時に放出されたLDHの量によって定量化した。細胞を1%トリトンX100溶液で溶解した。この試験の概念は、すべての細胞にLDHが含まれているため、溶液中のLDH活性が高いほど、繊維の表面により多くの血小板が接着していることを意味する。
図5は、LDH試験を行った後のLDH量を表すグラフを示す。グラフ(図5)から、試料1~3は著しく高い細胞接着能力を有することが明らかであり、表面に付着した血小板の数が市販製品と比較して多かった。これは、試料の表面電荷に起因して生じた可能性がある。表面電荷は、血小板及び血漿タンパク質に影響を及ぼすため、細胞接着に重要な役割を果たす。帯電した表面はまた、プロトロンビナーゼ複合体(活性化F-V及びF-X)並びに内因性テナーゼ複合体(活性化F-VIII及びF-IX)の形成を助け、それによって、血液凝固が引き起こされる。したがって、この実施例は、試料1~3の形で表した本開示の組成物が止血剤として好ましいことを更に証明している。
(実施例7)
溶血アッセイ
試料1~3の溶血特性試験は、試料が血液細胞と適合するかどうかを評価するために行った。この試験を行うために、0.9%NaCl溶液を調製した。抗凝固処理済み血液を、NaCl溶液を4:5の比で添加することによって希釈した。等量の試料をNaCl溶液6mlと共に15ml容のポリプロピレン管に入れ、37℃で30分間維持した。インキュベーション後、ポリプロピレン管の各々に希釈血液0.5mlを添加し、37℃で2時間維持した。陽性及び陰性対照も調製した。陽性対照は、NaCl溶液6ml、希釈血液0.5ml、及び0.01MのHCl溶液を添加することによって作製した。陰性対照は、NaCl溶液6ml及び希釈血液0.5mlを添加することによって作製した。2時間のインキュベーション後、すべての試料を2000gで20分間遠心分離機にかけた。最後に、上澄液のOD値を540nmで得た。試験は、三通りで行った。試料1、2、及び3の測定した溶血率データは、下記のTable 3(表3)に示す。試料はすべて、Celox(商標)と比較して、有意に低い溶血を示した。したがって、本開示による組成物は、より安全に使用でき、赤血球に有害ではなく、血液適合性があることが認識されよう。
溶血アッセイ
試料1~3の溶血特性試験は、試料が血液細胞と適合するかどうかを評価するために行った。この試験を行うために、0.9%NaCl溶液を調製した。抗凝固処理済み血液を、NaCl溶液を4:5の比で添加することによって希釈した。等量の試料をNaCl溶液6mlと共に15ml容のポリプロピレン管に入れ、37℃で30分間維持した。インキュベーション後、ポリプロピレン管の各々に希釈血液0.5mlを添加し、37℃で2時間維持した。陽性及び陰性対照も調製した。陽性対照は、NaCl溶液6ml、希釈血液0.5ml、及び0.01MのHCl溶液を添加することによって作製した。陰性対照は、NaCl溶液6ml及び希釈血液0.5mlを添加することによって作製した。2時間のインキュベーション後、すべての試料を2000gで20分間遠心分離機にかけた。最後に、上澄液のOD値を540nmで得た。試験は、三通りで行った。試料1、2、及び3の測定した溶血率データは、下記のTable 3(表3)に示す。試料はすべて、Celox(商標)と比較して、有意に低い溶血を示した。したがって、本開示による組成物は、より安全に使用でき、赤血球に有害ではなく、血液適合性があることが認識されよう。
(実施例8)
プロトロンビン時間試験
プロトロンビン試験(PT)は、試料が凝固カスケードの外因性経路を有するかどうかを示す指標である。これは、外因性経路が開始される期間を示す。PTが短くなると、凝固効率が向上したことを示す。このPT試験をINR(国際標準化比)試験と呼ぶこともある。このINR試験は、実際には、試験方法を考慮せずに、プロトロンビン時間試験から得られた結果を標準化するものである。
プロトロンビン時間試験
プロトロンビン試験(PT)は、試料が凝固カスケードの外因性経路を有するかどうかを示す指標である。これは、外因性経路が開始される期間を示す。PTが短くなると、凝固効率が向上したことを示す。このPT試験をINR(国際標準化比)試験と呼ぶこともある。このINR試験は、実際には、試験方法を考慮せずに、プロトロンビン時間試験から得られた結果を標準化するものである。
プロトロンビン、又はF-IIは、即時型凝固因子の1種である。PT試験は、5種の異なる凝固因子(F-I、F-II、F-V、F-VII、及びF-X)が血液中に存在するかどうか、並びにそれらが適切に機能しているかどうかを確認するために非常に重要である。
通常、PT値は2~3の間にある。2未満の場合、血液が高い凝固傾向を有することを意味し、3を超える場合、血液が遅発性の凝固傾向を有することを意味する。図6は、試料1(CA30CH70)、試料2(CA50CH50)、試料3(CA70CH30)、及びCeloxのプロトロンビン試験を示す。試料1~3のいずれの場合も、INRの値が2~3の間にあることが観察できる。したがって、本開示の組成物が、自然な方法で血液の凝固を開始することが認識されよう。
本開示の利点
本開示は、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分及びキトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を開示する。本明細書に記載の組成物は、速効性であり、失血を抑制する際にほぼ即効作用を示す。組成物は、アッセイによって示されるように、高レベルの血液凝固を示す。組成物は、生分解性であり、環境に優しい。更に、カゼイン及びキトサンのような生体高分子を使用しているため、明白な副作用はない。本開示の組成物を調製するために使用した方法は、容易で、拡張性があり、高処理量の結果を提供する。
本開示は、カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分及びキトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物を開示する。本明細書に記載の組成物は、速効性であり、失血を抑制する際にほぼ即効作用を示す。組成物は、アッセイによって示されるように、高レベルの血液凝固を示す。組成物は、生分解性であり、環境に優しい。更に、カゼイン及びキトサンのような生体高分子を使用しているため、明白な副作用はない。本開示の組成物を調製するために使用した方法は、容易で、拡張性があり、高処理量の結果を提供する。
Claims (16)
- a)カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分、及び
b)キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分を含み、
20~200nmの範囲の直径を有するナノ繊維の形態である、組成物。 - 前記カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、前記組成物に対して20~80%の範囲の質量百分率のカゼインを有する、請求項1に記載の組成物。
- 前記キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、前記組成物に対して20~80%の範囲の質量百分率のキトサンを有する、請求項1に記載の組成物。
- 前記カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分及び前記キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、2:8~8:2の範囲の質量比を有する、請求項1に記載の組成物。
- 前記カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分が、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、硫酸デキストラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ペクチン、ポリガラクツロン酸、キサンタンガム、ヘパリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、請求項1に記載の組成物。
- 前記キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分が、ゼラチン、デキストラン、シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の組成物を調製する方法であって、
a)前記カゼイン又はその誘導体を含むポリアニオン性成分の第1の水溶液を、前記キトサン又はその誘導体を含むポリカチオン性成分の第2の水溶液と接触させて、水性混合物を得る工程と、
b)前記水性混合物を処理して、懸濁粒子を得る工程と、
c)前記懸濁粒子を脱溶媒剤と接触させて、懸濁液を得る工程と、
d)前記懸濁液を乾燥させて、前記組成物を得る工程と
を含む、方法。 - 前記第1の水溶液が、前記第1の水溶液に対して0.5~4質量/体積%の範囲のカゼインを含み、前記第2の水溶液が、前記第2の水溶液に対して0.5~3.5質量/体積%の範囲のキトサンを含む、請求項7に記載の方法。
- 前記脱溶媒剤が、第三級ブタノール、エタノール、アセトン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
- 前記懸濁粒子が、4~10の範囲のpHを有する、請求項7に記載の方法。
- 出血部位からの失血を抑制するためのものである、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の組成物を含む止血用物品。
- 絆創膏、スプレー剤、粉末、ペースト、及び発泡体(foam)からなる群から選択される形態である、請求項12に記載の止血用物品。
- 出血部位からの失血を抑制する方法であって、
a)請求項1に記載の組成物又は請求項13に記載の止血用物品を得る工程と、
b)前記出血部位からの失血を抑制するために前記出血部位に前記組成物又は前記止血用物品を適用する工程と
を含む、方法。 - 出血部位からの失血を抑制するための請求項1に記載の組成物の使用。
- 出血部位からの失血を抑制するための請求項12に記載の止血用物品の使用。
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