JP2022526842A - 脂質ベースのナノ粒子および最適化されたインスリン投薬レジメンにおけるその使用方法 - Google Patents

脂質ベースのナノ粒子および最適化されたインスリン投薬レジメンにおけるその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、真性糖尿病および/または代謝異常を有する対象を処置する方法を提供する。TIFF2022526842000005.tif106166

Description

関連出願の相互参照
本願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2019年4月12日に出願された米国仮特許出願番号62/833,228および2020年3月12日に出願された米国仮特許出願番号62/988,748の優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に組み入れる。
発明の背景
直径が約100 nmより小さいリン脂質ナノ粒子は、しばしば、活性医薬成分(API)、例えばペプチドおよび生体アミンのインビボ送達を改善するための担体として使用される。ナノ粒子の小さな粒子サイズは、それらが膜障壁を容易に通過することを可能にする。さらに、ナノ粒子は、所望の細胞表面受容体へのAPIの迅速かつ特異的な送達を提供し得、それによって薬理学的作用を改善し、より少ないAPI用量の要望を達成する。標的指向API送達はまた、体内の望ましくない組織にAPIが送達されることを減らすことにより、毒性をより低くする。
そのようなナノ粒子の例は、肝細胞標的指向成分を含み、APIを肝細胞受容体に送達する肝送達ベシクル(HDV)である。これに対して、肝細胞標的指向成分を含まないナノ粒子は、一般に、体内の他のマクロファージ細胞と共に、クッパー細胞と呼ばれる肝マクロファージに蓄積する。
1型および2型形態を含む、真性糖尿病は、世界中で多く人々に影響を及ぼしている障害である。真性糖尿病の管理は、対象において血中グルコースレベルを正常化することを含み、それは、インスリンベースの製品の毎日の注射を何日も行うことを必要とし得る。様々なインスリンベースの製品が市場に存在するものの、長期間にわたって対象において血中グルコースレベルを制御する新規のインスリン含有製剤がなおも求められている。
インスリンを必要とする真性糖尿病の処置に関して承認されている特定の医薬品は、しばしば持続放出製剤として皮下投与されるインスリンアナログを含む。末梢の脂肪および筋肉組織におけるインスリン受容体の豊富さのため、そのような投与は、インスリンアナログを末梢組織に放出するが、通常肝臓には放出しない。1つの局面において、インスリンを必要とする真性糖尿病の適切な処置は、投与されるインスリンの一部が一日を通じて末梢組織に放出され、投与されるインスリンの別の一部が肝送達されるよう標的指向化されているインスリンベースの製剤を必要とする。そのような要望は、標的指向肝送達が有益な治療的および/または薬理学的特性を示す他の治療薬でも見られる。
したがって、インスリンが対象の抹消組織と共に肝臓にも送達されるように対象にインスリンを投与するための組成物および方法に対する満たされていない要望が、当技術分野に存在する。そのような組成物および方法は、1型および2型糖尿病患者、ならびに、限定されないが、上昇したインスリンレベルを伴う代謝症候群、脂肪症、および/または脂肪性肝炎などの、代謝異常を有する患者において、血中グルコースレベルを管理するために使用することができる。本発明は、この要望に取り組むものである。
発明の簡単な概要
本発明は、1つの局面において、真性糖尿病を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、対象には、脂質ベースのナノ粒子を含むボーラスインスリンHDV組成物のある量が投与され、ボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されており、対象には、基礎インスリンのある量がさらに投与される、方法を提供する。
特定の態様において、この方法は、重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、ボーラスインスリンHDV組成物の投与される量および基礎インスリンの投与される量を変更する工程を含む。特定の態様において、ナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれている。特定の態様において、両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。特定の態様において、少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びている。特定の態様において、ナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である。
本発明は、1つの局面において、糖尿病を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、対象には当初、対象において糖尿病が十分に制御されるようにボーラスインスリンのある量および基礎インスリンのある量が投与されている、方法を提供する。
特定の態様において、この方法は、対象において糖尿病が十分に制御されるように対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、対象に投与される基礎インスリンの量を減らしかつボーラスインスリンHDV組成物の投与される量を変更する工程を含む。特定の態様において、ボーラスインスリンHDV組成物は、脂質ベースのナノ粒子を含み、ボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されている。特定の態様において、ナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれている。特定の態様において、両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。特定の態様において、少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びている。特定の態様において、ナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である。
本発明を説明する目的で、本発明の特定の態様が図面に示されている。しかし、本発明は、図面に示されている態様の正確な配置および手段に限定されるものではない。
図1A~1Fは、ベースラインA1cごとに低血糖症、A1cおよびインスリンの変化を示している。p値は、エンドポイントにおけるグループ間の差の有意性を示している。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 患者が54 mg/dL以下の血中グルコースレベルを有する時間の割合(%)の観点で、患者のA1Cレベルに対する実施例1における持続グルコースモニタリング(CGM)研究の選択された結果を示している。 低A1C患者(6.5~8.5% A1C)における第II相用量最適化研究のスキーム例である。 実施例3におけるインスリン用量の結果の中央値を示している。 実施例3における週ごとの(>15分間のCGM<54 mg/dLと定義される)低血糖イベントを示している。 実施例3における週ごとの(昼間および夜間の)低血糖イベントを示している。 実施例3における訪問日11の体重(kg)のベースライン(訪問日5)からの変化を示している。 実施例3における最適化されたベースライン(ベースライン=訪問日4および5の平均)からの平均グルコースの変化を示している。 実施例3におけるボーラス:基礎インスリン比を示している。 低血糖イベント結果に関する実施例3の結果を示している。この研究において、90日間の非盲検CGMとその後の最適化された標準ケアは、より少ない低血糖症イベントおよび0.4%のA1Cの減少をもたらした。非盲検CGMにHDVを加えた場合、両処置グループの対象は、全体としてはより多くのインスリンを用いたにもかかわらず、低血糖症イベントの持続的減少を達成した。第91日に基礎インスリンを10%または40%減少させたが、両処置グループの基礎用量は、この研究の終了までにベースラインレベルに戻った。HDV処置の間の低血糖症の減少は、全体的な血糖の増加をもたらさなかった。 低血糖イベント結果に関する実施例3の結果を示している。 低血糖イベントのベースラインに対する減少に関する実施例3の結果を示している。非盲検CGMおよび最適化された標準ケアを用いた研究に基づき、90日後に、24時間および昼間の低血糖イベントの約11%の減少ならびに夜間の低血糖イベントの約20%の減少と共に0.4%のA1Cの改善が観察された。非盲検CGMへのHDVの追加は、24時間の低血糖イベントのさらなる17%の減少、昼間の低血糖イベントのさらなる6%の減少および夜間の低血糖イベントのさらなる25%の減少を実現した。HDV療法の追加は、対象がやや多い全体インスリン用量を使用し、本質的にA1Cの変化を示さなかったという事実にもかかわらず、低血糖症に対する利益を提供した。
発明の詳細な説明
本発明は、一部、HDV-インスリンが、摂取された炭水化物(グルコース)の肝臓代謝を可能にし、末梢組織へのグルコース負荷を減少させるため、空腹時低血糖症を減らすまたはなくすようインスリンの基礎用量の調節が必要になるという予想外の発見に関連する。本発明は、1つの局面において、24時間基礎インスリン、例えば、非限定的に、デグルデク、に対する食事時ボーラスHDV-インスリン用量の、新規の、生理学的に調節された比を提供する。
特定の態様において、HDV-インスリンの使用は、対象においてインスリンに対する効果を強化し、より少量のインスリンの使用を可能にし、それによって対象における医原性高インスリン血症および/または低血糖症を回避する。
特定の態様において、HDV-インスリンの使用は、より少量のインスリンの使用を可能にし、それによって(多量のインスリンの使用により引き起こされ得る)高インスリン血症に関連する副作用、例えば、非限定的に、低血糖症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の危険の上昇、VLDLの合成増加(高トリグリセリド血症)、高血圧(インスリンは尿細管によるナトリウム保持を増加させる)、冠動脈疾患(増加したインスリンは内皮細胞にダメージを与える)、心血管疾患の危険の上昇、ならびに/または体重増加および無気力を減らすまたはなくす。
特定の態様において、HDV-インスリンの使用は、肝臓代謝機能の改善に対する、肝臓インスリン受容体の、効果的であるが断続的で一時的な関与を可能にする。非限定的に、HDV-インスリンは、食事付近で患者に投与され、消化の間にインスリンが肝臓インスリン受容体に送達されるようにする。HDV-インスリンは、最終的に、自然代謝プロセスを通じて循環から除去され、したがって、肝臓インスリン受容体、例えば、食事時インスリンに対する要求がなくなってからずっと後まで長期間循環中にとどまるPEG-リスプロの構成的関与を促進しない。
何らかの学説によって制限されることは望まないが、糖尿病対象の標準的処置は、50:50(または1:1)比のボーラスインスリンおよび基礎インスリンの投与を行うものである。少なくともボーラスインスリンにおいてHDVを使用することにより、生理学的レベルに近いインスリン比(例えば、より少ない基礎インスリン量の使用)を可能にする。
特定の態様において、本発明は、真性糖尿病を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法を提供する。他の態様において、対象には、(最初に)脂質ベースのナノ粒子を含むボーラスインスリンHDV組成物のある量が投与され、ボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されている。さらに他の態様において、対象には、(最初に)基礎インスリンのある量がさらに投与される。さらに他の態様において、本発明の方法は、重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の量および基礎インスリンの量を特定するように、ボーラスインスリンHDV組成物の投与される量および基礎インスリンの投与される量を変更する工程を含む。
特定の態様において、本発明は、糖尿病を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、対象には当初、対象において糖尿病が十分に制御されるようにボーラスインスリンのある量および基礎インスリンのある量が投与されている、方法を提供する。他の態様において、この方法は、対象において糖尿病が十分に制御されるように対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、対象に投与される基礎インスリンの量を減らしかつボーラスインスリンHDV組成物の投与される量を変更する工程を含む。さらに他の態様において、ボーラスインスリンHDV組成物は、脂質ベースのナノ粒子を含み、ボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されている。さらに他の態様において、ナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれている。さらに他の態様において、両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。さらに他の態様において、少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びている。さらに他の態様において、ナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である。
特定の態様において、糖尿病は真性糖尿病である。
特定の態様において、対象は、約6.5~8.5%のA1Cを有する。特定の態様において、対象は、70~120 mg/dLの空腹時血糖を有する。特定の態様において、対象は、80~110 mg/dLの空腹時血糖を有する。特定の態様において、対象は、80~100 mg/dLの空腹時血糖を有する。特定の態様において、対象は、HDVなしの処置と比較してより少ない低血糖症を経験する。特定の態様において、ボーラスインスリンの量の減少は、約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%または80%である。特定の態様において、ボーラスインスリンの量の減少は、約10%~約40%の範囲である。特定の態様において、対象は、HDVなしの処置と比較して体重減少を経験する。
特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物(すなわち、HDV組成物中のボーラスインスリンの量)と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、真性糖尿病の重篤度に依存し、これは、非限定的な態様において、ヘモグロビンA1c(HbA1c)により測定され得る。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、対象が>8.5% HbA1cを有する場合、約1:1に等しいまたは約1:1より高い。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、対象が<8.5% HbA1cを有する場合、約1:1に等しいまたは約1:1より低い。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、対象が<8.5% HbA1cを有する場合、約1:1に等しいまたは約1:1より高い。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、対象が>8.5% HbA1cを有する場合、約1:1に等しいまたは約1:1より低い。
特定の態様において、対象は、約10%に等しいまたは約10%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.9%に等しいまたは約9.9%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.8%に等しいまたは約9.8%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.7%に等しいまたは約9.7%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.6%に等しいまたは約9.6%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.5%に等しいまたは約9.5%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.4%に等しいまたは約9.4%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.3%に等しいまたは約9.3%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.2%に等しいまたは約9.2%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.1%に等しいまたは約9.1%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.0%に等しいまたは約9.0%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.9%に等しいまたは約8.9%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.8%に等しいまたは約8.8%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.7%に等しいまたは約8.7%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.6%に等しいまたは約8.6%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.5%に等しいまたは約8.5%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.4%に等しいまたは約8.4%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.3%に等しいまたは約8.3%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.2%に等しいまたは約8.2%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.1%に等しいまたは約8.1%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.0%に等しいまたは約8.0%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.9%に等しいまたは約7.9%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.8%に等しいまたは約7.8%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.7%に等しいまたは約7.7%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.6%に等しいまたは約7.6%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.5%に等しいまたは約7.5%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.4%に等しいまたは約7.4%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.3%に等しいまたは約7.3%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.2%に等しいまたは約7.2%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.1%に等しいまたは約7.1%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.0%に等しいまたは約7.0%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.9%に等しいまたは約6.9%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.8%に等しいまたは約6.8%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.7%に等しいまたは約6.7%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.6%に等しいまたは約6.6%よりも高いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.5%に等しいまたは約6.5%よりも高いHbA1cレベルを有する。
特定の態様において、対象は、約10%に等しいまたは約10%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.9%に等しいまたは約9.9%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.8%に等しいまたは約9.8%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.7%に等しいまたは約9.7%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.6%に等しいまたは約9.6%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.5%に等しいまたは約9.5%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.4%に等しいまたは約9.4%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.3%に等しいまたは約9.3%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.2%に等しいまたは約9.2%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.1%に等しいまたは約9.1%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約9.0%に等しいまたは約9.0%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.9%に等しいまたは約8.9%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.8%に等しいまたは約8.8%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.7%に等しいまたは約8.7%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.6%に等しいまたは約8.6%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.5%に等しいまたは約8.5%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.4%に等しいまたは約8.4%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.3%に等しいまたは約8.3%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.2%に等しいまたは約8.2%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.1%に等しいまたは約8.1%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約8.0%に等しいまたは約8.0%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.9%に等しいまたは約7.9%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.8%に等しいまたは約7.8%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.7%に等しいまたは約7.7%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.6%に等しいまたは約7.6%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.5%に等しいまたは約7.5%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.4%に等しいまたは約7.4%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.3%に等しいまたは約7.3%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.2%に等しいまたは約7.2%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.1%に等しいまたは約7.1%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約7.0%に等しいまたは約7.0%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.9%に等しいまたは約6.9%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.8%に等しいまたは約6.8%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.7%に等しいまたは約6.7%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.6%に等しいまたは約6.6%よりも低いHbA1cレベルを有する。特定の態様において、対象は、約6.5%に等しいまたは約6.5%よりも高いHbA1cレベルを有する。
特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.1である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.15である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.2である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.25である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.3である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.35である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.4である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.45である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.5である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.55である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.6である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.65である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.7である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.75である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.8である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.85である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.9である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.95である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.05である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.1である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.15である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.2である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.25である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.3である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.35である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.4である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.45である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.5である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.55である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.6である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.65である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.7である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.75である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.8である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.85である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.9である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:1.95である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.05である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.1である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.2である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.3である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.4である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.5である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.6である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.7である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.8である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:2.9である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.1である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.2である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.3である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.4である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.5である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.6である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.7である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.8である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:3.9である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.0である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.1である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.2である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.3である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.4である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.5である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.6である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.7である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.8である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:4.9である。特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:5である。
特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.1、約1:0.15、約1:0.2、約1:0.25、約1:0.3、約1:0.35、約1:0.4、約1:0.45、約1:0.5、約1:0.55、約1:0.6、約1:0.65、約1:0.7、約1:0.75、約1:0.8、約1:0.85、約1:0.9、約1:0.95、約1:1、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、約1:1.2、約1:1.25、約1:1.3、約1:1.35、約1:1.4、約1:1.45、約1:1.5、約1:1.55、約1:1.6、約1:1.65、約1:1.7、約1:1.75、約1:1.8、約1:1.85、約1:1.9、約1:1.95、約1:2、約1:2.05、約1:2.1、約1:2.2、約1:2.3、約1:2.4、約1:2.5、約1:2.6、約1:2.7、約1:2.8、約1:2.9、約1:3、約1:3.1、約1:3.2、約1:3.3、約1:3.4、約1:3.5、約1:3.6、約1:3.7、約1:3.8、約1:3.9、約1:4.0、約1:4.1、約1:4.2、約1:4.3、約1:4.4、約1:4.5、約1:4.6、約1:4.7、約1:4.8、約1:4.9および/もしくは約1:5に等しい、または約1:0.1、約1:0.15、約1:0.2、約1:0.25、約1:0.3、約1:0.35、約1:0.4、約1:0.45、約1:0.5、約1:0.55、約1:0.6、約1:0.65、約1:0.7、約1:0.75、約1:0.8、約1:0.85、約1:0.9、約1:0.95、約1:1、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、約1:1.2、約1:1.25、約1:1.3、約1:1.35、約1:1.4、約1:1.45、約1:1.5、約1:1.55、約1:1.6、約1:1.65、約1:1.7、約1:1.75、約1:1.8、約1:1.85、約1:1.9、約1:1.95、約1:2、約1:2.05、約1:2.1、約1:2.2、約1:2.3、約1:2.4、約1:2.5、約1:2.6、約1:2.7、約1:2.8、約1:2.9、約1:3、約1:3.1、約1:3.2、約1:3.3、約1:3.4、約1:3.5、約1:3.6、約1:3.7、約1:3.8、約1:3.9、約1:4.0、約1:4.1、約1:4.2、約1:4.3、約1:4.4、約1:4.5、約1:4.6、約1:4.7、約1:4.8、約1:4.9および/もしくは約1:5より大きい。
特定の態様において、投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、投与される基礎インスリンの、最適化されたインスリン比は、約1:0.1、約1:0.15、約1:0.2、約1:0.25、約1:0.3、約1:0.35、約1:0.4、約1:0.45、約1:0.5、約1:0.55、約1:0.6、約1:0.65、約1:0.7、約1:0.75、約1:0.8、約1:0.85、約1:0.9、約1:0.95、約1:1、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、約1:1.2、約1:1.25、約1:1.3、約1:1.35、約1:1.4、約1:1.45、約1:1.5、約1:1.55、約1:1.6、約1:1.65、約1:1.7、約1:1.75、約1:1.8、約1:1.85、約1:1.9、約1:1.95、約1:2、約1:2.05、約1:2.1、約1:2.2、約1:2.3、約1:2.4、約1:2.5、約1:2.6、約1:2.7、約1:2.8、約1:2.9、約1:3、約1:3.1、約1:3.2、約1:3.3、約1:3.4、約1:3.5、約1:3.6、約1:3.7、約1:3.8、約1:3.9、約1:4.0、約1:4.1、約1:4.2、約1:4.3、約1:4.4、約1:4.5、約1:4.6、約1:4.7、約1:4.8、約1:4.9および/もしくは約1:5に等しい、または約1:0.1、約1:0.15、約1:0.2、約1:0.25、約1:0.3、約1:0.35、約1:0.4、約1:0.45、約1:0.5、約1:0.55、約1:0.6、約1:0.65、約1:0.7、約1:0.75、約1:0.8、約1:0.85、約1:0.9、約1:0.95、約1:1、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、約1:1.2、約1:1.25、約1:1.3、約1:1.35、約1:1.4、約1:1.45、約1:1.5、約1:1.55、約1:1.6、約1:1.65、約1:1.7、約1:1.75、約1:1.8、約1:1.85、約1:1.9、約1:1.95、約1:2、約1:2.05、約1:2.1、約1:2.2、約1:2.3、約1:2.4、約1:2.5、約1:2.6、約1:2.7、約1:2.8、約1:2.9、約1:3、約1:3.1、約1:3.2、約1:3.3、約1:3.4、約1:3.5、約1:3.6、約1:3.7、約1:3.8、約1:3.9、約1:4.0、約1:4.1、約1:4.2、約1:4.3、約1:4.4、約1:4.5、約1:4.6、約1:4.7、約1:4.8、約1:4.9および/もしくは約1:5より低い。
特定の態様において、インスリンの用量は、1日あたり(1日分)である。
特定の態様において、インスリンの用量は、約0.01単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.02単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.03単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.04単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.05単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.06単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.07単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.08単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.09単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.1単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.15単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.2単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.25単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.3単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.35単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.4単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.45単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.55単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.6単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.65単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.7単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.75単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.8単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.85単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.9単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約0.95単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.1単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.2単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.3単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.4単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.6単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.7単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.8単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約1.9単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.1単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.2単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.3単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.4単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.6単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.7単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.8単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約2.9単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約3.0単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約3.2単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約3.4単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約3.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約3.6単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約3.8単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約4単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約4.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約5.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約6単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約6.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約7単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約7.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約8単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約8.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約9単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約9.5単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約10単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約11単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約12単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約13単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約14単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約15単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約16単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約17単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約18単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約19単位/kgである。特定の態様において、インスリンの用量は、約20単位/kgである。
特定の態様において、インスリンの用量は、約0.01単位/kg、約0.02単位/kg、約0.03単位/kg、約0.04単位/kg、約0.05単位/kg、約0.06単位/kg、約0.07単位/kg、約0.08単位/kg、約0.09単位/kg、約0.1単位/kg、約0.15単位/kg、約0.2単位/kg、約0.25単位/kg、約0.3単位/kg、約0.35単位/kg、約0.4単位/kg、約0.45単位/kg、約0.5単位/kg、約0.55単位/kg、約0.6単位/kg、約0.65単位/kg、約0.7単位/kg、約0.75単位/kg、約0.8単位/kg、約0.85単位/kg、約0.9単位/kg、約0.95単位/kg、約1単位/kg、約1.1単位/kg、約1.2単位/kg、約1.3単位/kg、約1.4単位/kg、約1.5単位/kg、約1.6単位/kg、約1.7単位/kg、約1.8単位/kg、約1.9単位/kg、約2単位/kg、約2.1単位/kg、約2.2単位/kg、約2.3単位/kg、約2.4単位/kg、約2.5単位/kg、約2.6単位/kg、約2.7単位/kg、約2.8単位/kg、約2.9単位/kg、約3.0単位/kg、約3.2単位/kg、約3.4単位/kg、約3.5単位/kg、約3.6単位/kg、約3.8単位/kg、約4単位/kg、約4.5単位/kg、約5単位/kg、約5.5単位/kg、約6単位/kg、約6.5単位/kg、約7単位/kg、約7.5単位/kg、約8単位/kg、約8.5単位/kg、約9単位/kg、約9.5単位/kg、約10単位/kg、約11単位/kg、約12単位/kg、約13単位/kg、約14単位/kg、約15単位/kg、約16単位/kg、約17単位/kg、約18単位/kg、約19単位/kgまたは約20単位/kgより多い。
特定の態様において、インスリンの用量は、約0.01単位/kg、約0.02単位/kg、約0.03単位/kg、約0.04単位/kg、約0.05単位/kg、約0.06単位/kg、約0.07単位/kg、約0.08単位/kg、約0.09単位/kg、約0.1単位/kg、約0.15単位/kg、約0.2単位/kg、約0.25単位/kg、約0.3単位/kg、約0.35単位/kg、約0.4単位/kg、約0.45単位/kg、約0.5単位/kg、約0.55単位/kg、約0.6単位/kg、約0.65単位/kg、約0.7単位/kg、約0.75単位/kg、約0.8単位/kg、約0.85単位/kg、約0.9単位/kg、約0.95単位/kg、約1単位/kg、約1.1単位/kg、約1.2単位/kg、約1.3単位/kg、約1.4単位/kg、約1.5単位/kg、約1.6単位/kg、約1.7単位/kg、約1.8単位/kg、約1.9単位/kg、約2単位/kg、約2.1単位/kg、約2.2単位/kg、約2.3単位/kg、約2.4単位/kg、約2.5単位/kg、約2.6単位/kg、約2.7単位/kg、約2.8単位/kg、約2.9単位/kg、約3.0単位/kg、約3.2単位/kg、約3.4単位/kg、約3.5単位/kg、約3.6単位/kg、約3.8単位/kg、約4単位/kg、約4.5単位/kg、約5単位/kg、約5.5単位/kg、約6単位/kg、約6.5単位/kg、約7単位/kg、約7.5単位/kg、約8単位/kg、約8.5単位/kg、約9単位/kg、約9.5単位/kg、約10単位/kg、約11単位/kg、約12単位/kg、約13単位/kg、約14単位/kg、約15単位/kg、約16単位/kg、約17単位/kg、約18単位/kg、約19単位/kgまたは約20単位/kgより少ない。
特定の態様において、本発明において有用なナノ粒子は、例えばそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願番号US20110135725およびUS20090087479ならびにPCT特許出願公開番号WO 2018/169954に記載されている。特定の態様において、本発明のナノ粒子の減少したまたは最小限の凝集性は、先行技術のナノ粒子と比較してその安定性および医薬開発性を改善する。
特定の態様において、本発明の脂質ベースのナノ粒子は、二極性脂質膜によって規定されるおよび/または包まれる。他の態様において、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子に結合したおよび/またはナノ粒子内に分散された治療薬(例えば、限定されないが、インスリン)を肝細胞に送達するのを助ける肝細胞指向化合物を含む。さらに他の態様において、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子に結合していないおよび/またはナノ粒子内に分散されていない「遊離」の治療薬をさらに含む組成物の一部である。ナノ粒子およびそれを含む任意の組成物は、ナノ粒子に結合されたおよび/もしくはナノ粒子内に分散された治療薬ならびに/またはナノ粒子に結合されていないおよび/もしくはナノ粒子内に分散されていない「遊離」の治療薬の投与からの利益を享受する対象を処置するよう、例えば注射(例えば、皮下および/もしくは経皮など)、吸入、口腔ならびに/または経口を含むがこれらに限定されない、任意の適合するおよび/または実施可能な経路によって投与され得る。
特定の態様において、治療剤は、モノアミン神経伝達物質であるセロトニンまたは5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)を含む。
特定の態様において、治療剤は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニストを含む。GLP-1は、遠位回腸および結腸のL細胞において産生される強力なインクレチンホルモンである。L細胞において、GLP-1は、プログルカゴン遺伝子の組織特異的な翻訳後プロセシングにより生成される。グルコース、脂肪酸および食物繊維を含む栄養素はすべて、GLP-1をコードする遺伝子の転写をアップレギュレートすることが公知であり、それらはこのホルモンの放出を刺激し得る。GLP-1のレベルは、食物の摂取により急激に上昇する。栄養素、主として糖および脂肪は、GLP-1ならびに、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)、ガストリン放出ペプチドおよびGLP-1分泌も刺激する選択的神経調節因子を含むGLP-1放出因子を遊離させる。関心対象のGLP-1アゴニストの非限定的な例は、リラグルチド、セマグルチド、およびレパグリニドである。
リポソームは、通常、そのリポソームを規定するおよび/または包む二層の膜を形成する両親媒性リン脂質物質を含む。それらは、単一の膜(単層)、または微視的なタマネギ様の外観を有する複数の二層を有し得る。リポソームは、直径が数ミクロンと比較的大きいものであり得る。リポソームは、一般に、球形(またはほぼ球形)の形状を有し、そのインタクトな表面は、利用可能な「開放」エッジを有さず、したがって他の利用可能な「開放」エッジを有するリポソームと相互作用して粒子凝集を起こし得ない。
これに対して、約200 nmまたはそれ未満の直径を有するリン脂質ナノ粒子は、原理的にそれらの熱力学的に安定な構造であるはずの球形構成に折れ曲がる能力が限定的である。結果として、これらの直径が小さいナノ粒子は、完全に球形の粒子を形成せず、ほぼ平坦なシート状である。何らかの学説によって制限されることは望まないが、これらのほぼ平坦なシートは、「ナノディスク(nanodisc)」または「ナノディスク(nanodisk)」または「ナノフリスビー」または「バイセル(bicelle)」と表現され得る。そのようなナノ粒子は、それらの膜内に「開放」エッジを有し、これらの「エッジ」は、ナノ粒子凝集を促進する。結果として、多くの例において、ナノ粒子は、個別の粒子として生成され、その後により大きな、容易に視認可能な(薄いまたは羽様の)浮遊粒子に凝集する。この現象は、薬物送達物質としての小直径ナノ粒子の開発性を妨げ得る。特定の態様において、リポソームの場合と異なり、APIは、バイセルの(またはバイセル内の)コア部分で保持されない。他の態様において、APIは、純粋に物理的な相互作用または共有結合のいずれかを通じて、バイセルの膜表面に付加および/または結合される。1つの局面において、本発明は、この課題に取り組み、ほぼ平坦なシート(ナノディスクおよび/またはナノフリスビー)の「開放」エッジを封鎖し、それらの自己凝集傾向を最小化または抑制することができる組成物および方法を提供する。
本明細書に記載されるように、特定の態様において、本発明の脂質ベースのナノ粒子は、薬学的担体として有用であり、本明細書の他所に記載される薄い羽様の構造を形成しない。特定の態様において、本発明のナノ粒子は、ナノ粒子の凝集を防ぐように平坦なナノ粒子膜の「開放」エッジを変更できるようにする特定の両親媒性脂質および/または特定の有機分子を含む。
特定の態様において、脂質ベースのナノ粒子の「開放」エッジの適切な封鎖は、ジステアロイルホスファチジルコリン[(S)-2,3-ビス(ステアロイルオキシ)プロピル(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェートまたはDSPCとしても公知であり、グリセロール骨格に共有結合により連結された2つのC18アシル基を含む]の一部を、C12~C24アシルリゾホスファチジルコリン[C12~C24アシルリゾレシチンまたは1-(C12~C24アシル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたは(S)-2-ヒドロキシ-3-(C12~C24アシルオキシ)プロピル(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェートとしても公知であり、グリセロール骨格に共有結合により連結された1つのC12~C24アシル基を含む]に置き換えることによって行われる。
Figure 2022526842000002
特定の態様において、脂質ベースのナノ粒子の「開放」エッジの適切な封鎖は、ジステアロイルホスファチジルコリン[(S)-2,3-ビス(ステアロイルオキシ)プロピル(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェートまたはDSPCとしても公知であり、グリセロール骨格に共有結合により連結された2つのC18アシル基を含む]の一部を、ステアロイルリゾホスファチジルコリン[1-ステロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたは(S)-2-ヒドロキシ-3-(ステアロイルオキシ)プロピル(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェートとしても公知であり、グリセロール骨格に共有結合により連結された1つのC18アシル基を含む]に置き換えることによって行われる。
Figure 2022526842000003
特定の態様において、膜に組み込まれたとき、C12~C24アシルリゾホスファチジルコリン(例えばステアロイルリゾホスファチジルコリンを含むがこれに限定されない)は、その化合物が膜から除かれているときに起こる凝集を防ぐおよび/または最小化する。他の態様において、C12~C24アシルリゾホスファチジルコリン(例えばステアロイルリゾホスファチジルコリンを含むがこれに限定されない)は、その単一の脂肪鎖により、ナノ粒子内の任意の存在する膜の「エッジ」の封鎖を実現する。
特定の態様において、膜に組み込まれたとき、例えばm-クレゾール、ベンジルアルコール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、チオメルサール、およびブチル化ヒドロキシトルエン(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールとしても公知)を含むがこれらに限定されない任意の特定の低分子安定剤またはその任意の塩および/もしくは溶媒和物は、その化合物が膜から除かれたときに起こる凝集を防ぐおよび/または最小化する。他の態様において、低分子安定剤またはその任意の塩および/もしくは溶媒和物は、ナノ粒子内の任意の存在する膜の「エッジ」の封鎖を実現する。
特定の態様において、膜に組み込まれたとき、任意の特定の低分子安定剤またはその任意の塩および/もしくは溶媒和物ならびにC12~C24アシルリゾホスファチジルコリンの任意の組み合わせは、その化合物が膜から除かれたときに起こる凝集を防ぐおよび/または最小化する。
組成物
本発明は、脂質ベースのナノ粒子およびそれを含む組成物を提供する。特定の態様において、ナノ粒子は、二極性脂質膜を含むおよび/または二極性脂質膜によって規定される。
特定の態様において、膜は、コレステロールを含む。他の態様において、膜は、リン酸ジセチルを含む。さらに他の態様において、膜は、両親媒性脂質を含む。さらに他の態様において、膜は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)を含む。さらに他の態様において、膜は、コレステロール、リン酸ジセチルおよびDSPCを含む。さらに他の態様において、膜は、肝細胞受容体結合分子を含む。
特定の態様において、両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。他の態様において、両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
特定の態様において、肝細胞受容体結合分子は、ビオチンを含む。他の態様において、ビオチン含有肝細胞受容体結合分子は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)ビオチン、スルホ-NHS-ビオチン、N-ヒドロキシスクシンイミド長鎖ビオチン、スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド長鎖ビオチン、D-ビオチン、ビオシチン、スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド-S-S-ビオチン、ビオチン-BMCC、ビオチン-HPDP、ヨードアセチル-LC-ビオチン、ビオチン-ヒドラジド、ビオチン-LC-ヒドラジド、ビオシチンヒドラジド、ビオチンカダベリン、カルボキシビオチン、フォトビオチン、p-アミノベンゾイルビオシチントリフルオロアセテート、p-ジアゾベンゾイルビオシチン、ビオチンDHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)エチルホスフェート)、ビオチン-X-DHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(6-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)ヘキサンアミド)エチルホスフェート)、12-((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸、12-((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシンイミジルエステル、S-ビオチニルホモシステイン、ビオシチン-X、ビオシチン x-ヒドラジド、ビオチンエチレンジアミン、ビオチン-XL、ビオチン-X-エチレンジアミン、ビオチン-XXヒドラジド、ビオチン-XX-SE、ビオチン-XX, SSE、ビオチン-X-カダベリン、α-(t-BOC)ビオシチン、N-(ビオチニル)-N'-(ヨードアセチル)エチレンジアミン、DNP-X-ビオシチン-X-SE、ビオチン-X-ヒドラジド、ノルビオチンアミンヒドロクロリド、3-(N-マレイミジルプロピオニル)ビオシチン、ARP、ビオチン-l-スルホキシド、ビオチンメチルエステル、ビオチン-マレイミド、ビオチン-ポリ(エチレングリコール)アミン、(+)ビオチン 4-アミド安息香酸ナトリウム塩、ビオチン 2-N-アセチルアミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド、ビオチン-α-D-N-アセチルノイラミニド、ビオチン-α-L-フコシド、ビオチン ラクト-N-ビオシド、ビオチン-ルイスA三糖、ビオチン-ルイスY四糖、ビオチン-α-D-マンノピラノシド、およびビオチン 6-O-ホスホ-α-D-マンノピラノシドからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
特定の態様において、肝細胞受容体結合分子は、2,3-ジアセトキシプロピル 2-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)エチルホスフェート(ビオチンDHPE)およびビオチン-X-DHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(6-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)ヘキサンアミド)エチルホスフェート)からなる群より選択される。
特定の態様において、コレステロールは、膜中、約5%~約25%(w/w)の範囲である。他の態様において、コレステロールは、約5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、リン酸ジセチルは、膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である。他の態様において、リン酸ジセチルは、約10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、DSPCは、膜中、約40%~約75%(w/w)の範囲である。他の態様において、DSPCは、約40%、約41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、または75%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、肝細胞受容体結合分子は、膜中、約0.5%~約10%(w/w)の範囲である。他の態様において、肝細胞受容体結合分子は、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、膜は、安定剤およびC12~C24アシルリゾホスファチジルコリンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。
特定の態様において、膜はさらに、C12~C24アシルリゾホスファチジルコリンを含む。他の態様において、膜はさらに、ステアロイルリゾホスファチジルコリンを含む。
特定の態様において、膜はさらに、m-クレゾールを含む。
特定の態様において、安定剤は、m-クレゾール、ベンジルアルコール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、チオメルサール、およびブチル化ヒドロキシトルエン(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)からなる群より選択される。
特定の態様において、安定剤は、膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である。他の態様において、安定剤は、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、m-クレゾールは、膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である。他の態様において、m-クレゾールは、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、C12~C24リゾホスファチジルコリンは、膜中、約5%~約30%(w/w)の範囲である。他の態様において、C12~C24リゾホスファチジルコリンは、膜中、約1%~約30%(w/w)の範囲である。さらに他の態様において、C12~C24リゾホスファチジルコリンは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、ステアロイルリゾホスファチジルコリンは、膜中、約5%~約30%(w/w)の範囲である。他の態様において、ステアロイルリゾホスファチジルコリンは、膜中、約1%~約30%(w/w)の範囲である。さらに他の態様において、ステアロイルリゾホスファチジルコリンは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1%~約30%(w/w)である。さらに他の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%(w/w)、または30%(w/w)である。
特定の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1モル%~約50モル%である。さらに他の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50モル%である。
特定の態様において、膜中のステアロイルリゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1%~約30%(w/w)である。さらに他の態様において、膜中のステアロイルリゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%(w/w)である。
特定の態様において、膜中のステアロイルリゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1モル%~約50モル%である。さらに他の態様において、膜中のステアロイルリゾホスファチジルコリンの量は、膜中のDSPCの量の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50モル%である。
特定の態様において、膜は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、DSPCと、ステアロイルリゾホスファチジルコリンと、m-クレゾールと、ビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つとを含む。他の態様において、膜は、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、DSPCと、m-クレゾールと、ビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つとを含む。他の態様において、膜は、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、DSPCと、ステアロイルリゾホスファチジルコリンと、ビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つとを含む。他の態様において、膜は、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、安定剤は、約1:1~約1:30の範囲の膜 対 安定剤の(w/w)比で、膜、ならびに/または膜を形成するよう集合する脂質成分(例えば、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、存在する場合C12~C24リゾホスファチジルコリン、およびビオチンDHPEを含むがこれらに限定されない)と接触する。他の態様において、安定剤は、約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、または1:30の膜 対 安定剤の(w/w)比で、膜、および/または膜を形成するよう集合する脂質成分と接触する。
特定の態様において、m-クレゾールは、約1:1~約1:30の範囲の膜 対 安定剤の(w/w)比で、膜、ならびに/または膜を形成するよう集合する脂質成分(例えば、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、存在する場合C12~C24リゾホスファチジルコリン、およびビオチンDHPEを含むがこれらに限定されない)と接触する。他の態様において、m-クレゾールは、約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、または1:30の膜 対 安定剤の(w/w)比で、膜、および/または膜を形成するよう集合する脂質成分と接触する。
特定の態様において、膜は、約9.4:18.1:56.8:14.1:0.0:1.5の%(w/w)比で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、約9.4:18.1:56.8:14.1:1.5の%(w/w)比で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、約7.7:15.0:58.6:0.0:17.4:1.3の%(w/w)比で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、約9.3:18.2:71.0:1.5の%(w/w)比で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、約8.4:16.2:47.5:7.6:19.0:1.3の%(w/w)比で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、膜は、約10.4:20:58.6:9.4:1.6の%(w/w)比で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、およびビオチンDHPEを含む。
特定の態様において、少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びている。
本発明は、本明細書に記載および/または例示される構築物に限定されるとみなされるべきではない。そうではなく、本発明は、膜を安定剤およびC12~C24アシルリゾホスファチジルコリンからなる群より選択される少なくとも1つと接触させる、リポソームおよび他の脂質ベースのナノ粒子を安定させるおよび/またはそれらの凝集を防ぐ方法を提供する。特定の態様において、接触は、リポソームおよび他の脂質ベースのナノ粒子の凝集を引き起こす膜中の任意の「自由」エッジを取り除くまたは最小化する。
特定の態様において、安定剤は、m-クレゾール、ベンジルアルコール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、チオメルサール、およびブチル化ヒドロキシトルエンからなる群より選択される。他の態様において、例えばm-クレゾールであるがこれに限定されない安定剤は、膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である。さらに他の態様において、例えばm-クレゾールを含むがこれらに限定されない安定剤は、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、例えばステアロイルリゾホスファチジルコリンを含むがこれらに限定されないC12~C24リゾホスファチジルコリンは、膜中、約5%~約30%(w/w)の範囲である。他の態様において、例えばステアロイルリゾホスファチジルコリンを含むがこれらに限定されないC12~C24リゾホスファチジルコリンは、膜中、約1%~約30%(w/w)の範囲である。さらに他の態様において、例えばステアロイルリゾホスファチジルコリンを含むがこれらに限定されないC12~C24リゾホスファチジルコリンは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%(w/w)の濃度で膜中に存在する。
特定の態様において、膜は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つの両親媒性脂質を含む。他の態様において、両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)からなる群より選択される少なくとも1つである。
特定の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中の少なくとも1つの両親媒性脂質の量の約1%~30%(w/w)である。さらに他の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中の少なくとも1つの両親媒性脂質の量の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%(w/w)である。
特定の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中の少なくとも1つの両親媒性脂質の量の約1モル%~約50モル%である。さらに他の態様において、膜中のC12~C24リゾホスファチジルコリンの量は、膜中の少なくとも1つの両親媒性脂質の量の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50モル%である。
特定の態様において、例えばm-クレゾールを含むがこれに限定されない安定剤は、約1:1~約1:30の範囲の(w/w)比で、膜、および/または膜を形成するよう集合する脂質成分と接触する。他の態様において、例えばm-クレゾールを含むがこれに限定されない安定剤は、約1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、または1:30の(w/w)比で、膜、および/または膜を形成するよう集合する脂質成分と接触する。
特定の態様において、ナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である。他の態様において、ナノ粒子のサイズは、約10 nm、20 nm、30 nm、40 nm、50 nm、60 nm、70 nm、80 nm、90 nm、100 nm、110 nm、120 nm、130 nm、140 nm、または150 nmである。
特定の態様において、治療薬(例えば、限定されないが、インスリン)は、ナノ粒子内に分散されるおよび/またはナノ粒子に吸着される。他の態様において、治療薬は、ナノ粒子に共有結合される。さらに他の態様において、治療薬は、ナノ粒子に共有結合されない。
特定の態様において、治療薬は、インスリン、インスリンアナログ、GLP-1アゴニスト、アミリン、インターフェロン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、セロトニン、セロトニンアゴニスト、セロトニン再取込み阻害剤、ヒト成長ホルモン、GIP、抗GIPモノクローナル抗体、メトホルミン、ブロモクリプチン、ドパミン、グルカゴン、およびGLP-1からなる群より選択される少なくとも1つを含む。他の態様において、治療薬は、インスリンである。
特定の態様において、ナノ粒子は、ナノ粒子内に分散されていない遊離の溶解された治療薬を含む水溶液中に懸濁される。
特定の態様において、ナノ粒子内に分散されたインスリンおよび遊離の溶解されたインスリンは、独立して、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト(FIASP(登録商標)、Novo Nordiskを含む)、レギュラーインスリン、インスリングラルギン、インスリン亜鉛、持続型ヒトインスリン亜鉛懸濁物、イソフェンインスリン、ヒト緩衝レギュラーインスリン、インスリングルリジン、組換えヒトレギュラーインスリン、組換えヒトインスリンイソフェン、インスリンデテミル、二相性ヒトインスリン、およびインスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標)、Novo Nordiskを含む)からなる群より選択される。
特定の態様において、脂質はさらに、酢酸フタル酸セルロースを含む。他の態様において、酢酸フタル酸セルロースは、ナノ粒子内に分散された治療薬に少なくとも部分的に結合される。
特定の態様において、少なくとも1つの荷電有機分子が、ナノ粒子内に分散された治療薬に結合される。他の態様において、荷電有機分子は、プロタミン、ポリリジン、1:1:1のモル比のポリ(arg-pro-thr)n、6:1のモル比のポリ(DL-Ala-ポリ-L-lys)n、ヒストン、一級アミノ基を含む糖ポリマー、一級アミノ基を有するポリヌクレオチド、カルボキシル(COO-)またはスルフヒドラル(S-)官能基を有するアミノ酸残基を含むタンパク質、および酸性ポリマー(例えば、カルボキシル基を有する糖ポリマー)からなる群より選択される少なくとも1つである。
特定の態様において、本発明のナノ粒子およびそれを含む組成物は、その中に分散された治療薬を肝臓内の肝細胞に送達するのを助ける。
特定の態様において、本発明の組成物は、遊離治療薬物(例えばインスリンであるがこれに限定されない)および本発明の脂質ベースのナノ粒子に結合された治療薬物を組み合わせた有効用量の肝細胞標的指向薬学的組成物を含む。遊離治療薬物および脂質ベースのナノ粒子に結合された治療薬物の組み合わせは、ホルモン作用の受容体部位への遊離治療薬物の移動の制御を助けるインビボで起こる2つの形態の治療薬物の間の動的な平衡プロセスを発生させる。治療薬物がインスリンの場合、これらの受容体部位は、糖尿病患者の筋肉および脂肪組織である。肝細胞標的指向治療薬物はまた、遊離治療薬物とは異なる指定期間にわたって患者の肝臓に送達され、それによって治療薬物がナノ粒子に結合した状態を維持しているときおよび/または遊離治療薬物がナノ粒子から放出されたときに治療薬物の新しい薬力学的プロフィールを導入する。加えて、ナノ粒子に結合された治療薬物の一部は、肝臓に標的指向化される。治療薬物がインスリンの場合、その製品の新しい薬力学的プロフィールは、末梢組織のための基礎インスリンだけでなく、食事の際の肝グルコース貯蔵の管理のための食事時肝臓治療薬物刺激も提供する。遊離インスリンは、投与部位から放出され、体全体に分配される。脂質ベースのナノ粒子に結合したインスリンは、肝臓に送達される。ナノ粒子に結合したインスリンの放出速度は、投与部位からの遊離インスリンの放出速度と異なる。これらの異なるインスリン送達の放出速度は、ナノ粒子に結合したインスリンの肝臓への標的指向送達とともに、1型および2型真性糖尿病患者、ならびに、限定されないが、上昇したインスリンレベルを伴う代謝症候群、脂肪症、および/または脂肪性肝炎などの、代謝異常を有する患者における、グルコース濃度の正常化を提供する。特定の態様において、肝細胞標的指向組成物は、任意の治療上有効なインスリンまたはインスリン誘導体もしくはアナログ、または2つまたはそれ以上のタイプのインスリンまたはインスリン誘導体もしくはアナログの任意の組み合わせを含む。
本明細書に記載される化合物はまた、1つまたは複数の原子が同じ原子番号を有するが自然界で通常見いだされるその原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子によって置換された同位体標識された化合物を含む。本明細書に記載される化合物に導入するのに適した同位体の例は、2H、3H、11C、13C、14C、36Cl、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32Pおよび35Sを含むがこれらに限定されない。特定の態様において、同位体標識された化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。他の態様において、より重い同位体、例えば重水素による置換は、より高い代謝安定性(例えば、インビボ半減期の増加または必要投薬量の減少)をもたらす。さらに他の態様において、陽電子放射同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nによる置換は、基質の受容体専有を試験するための陽電子放射断層撮影(PET)研究において有用である。同位体標識された化合物は、任意の適切な方法によってまたはそれ以外の場合に用いられる非標識試薬に代えて適当な同位体標識された試薬を用いるプロセスによって調製される。
特定の態様において、本明細書に記載される化合物は、クロモフォアもしくは蛍光部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含むがこれらに限定されない他の手段によって標識される。
本発明の化合物は、特定の態様において、酸または塩基を形成し得る。特定の態様において、本発明は、酸付加塩を想定している。他の態様において、本発明は、塩基付加塩を想定している。さらに他の態様において、本発明は、薬学的に許容される酸付加塩を想定している。さらに他の態様において、本発明は、薬学的に許容される塩基付加塩を想定している。薬学的に許容される塩は、毒性ではないまたはそれ以外の生物学的に望ましくないものではないそれらの塩基または酸の塩を表す。
適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸(硫酸塩および硫酸水素塩を含む)ならびにリン酸(リン酸水素塩およびリン酸二水素塩を含む)を含む。適当な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸から選択され得、それらの例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、マロン酸、サッカリン、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル乳酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、粘液酸およびガラクツロン酸を含む。
本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属塩、例えばカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウムおよび銅、鉄ならびに亜鉛塩を含む金属塩を含む。薬学的に許容される塩基付加塩はまた、塩基性アミンから生成する有機塩、例えばN,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインを含む。これらの塩はすべて、対応する化合物から、例えば適当な塩または塩基をその化合物と反応させることによって、調製され得る。
本発明の任意の組成物および対象、例えば哺乳動物の組織への組成物の投与を解説する説明資料を含むキットが開示される。キットは、その組成物を対象、例えば哺乳動物に投与する前に本発明の化合物を溶解または懸濁するのに適した(好ましくは滅菌性の)溶媒を含み得る。
方法
本発明は、本発明の脂質ベースのナノ粒子を調製する方法を提供する。特定の態様において、この方法は、水性系中で、コレステロール、リン酸ジセチル、両親媒性脂質、および肝細胞受容体結合分子を接触させる工程を含む。他の態様において、この方法は、水性系中で、コレステロール、リン酸ジセチル、両親媒性脂質、肝細胞受容体結合分子、ならびに安定剤およびステアロイルリゾホスファチジルコリンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を接触させる工程を含む。さらに他の態様において、この方法は、水性系中で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、およびビオチン-DHPEを接触させる工程を含む。さらに他の態様において、この方法は、水性系中で、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチン-DHPEを接触させる工程を含む。
特定の態様において、 ナノ粒子は治療薬の非存在下で形成され、任意でナノ粒子は少なくとも部分的に濃縮、精製、または単離され、かつ治療薬がナノ粒子と接触し、それによって治療薬の少なくとも一部がナノ粒子内に分散される。
特定の態様において、組成物は、ナノ粒子内に分散された治療薬の少なくとも一部に非共有結合により結合し、治療薬を代謝的分解から保護し得る、酢酸フタル酸セルロースで処理される。他の態様において、酢酸フタル酸セルロースは、治療薬および/またはナノ粒子を構成する脂質のいずれかに共有結合により結合される。
ナノ粒子を調製および/または処理および/または精製する具体的方法に関するさらなる態様は、例えば、米国特許出願番号US20110135725およびUS20090087479ならびにPCT特許出願公開番号WO 2018/169954において見いだされ得、これらはすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明はさらに、哺乳動物における疾患を処置する方法を提供する。特定の態様において、この方法は、その必要がある哺乳動物に、治療有効量の本発明のナノ粒子および/または組成物を投与する工程を含む。
特定の態様において、疾患は真性糖尿病であり、治療薬はインスリンを含む。他の態様において、治療薬は、GLP-1アゴニストおよび/またはセロトニンをさらに含む。
投与/投薬量/製剤化
本発明はまた、薬学的組成物およびそれらの使用方法も包含する。これらの薬学的組成物は、任意で1つまたは複数の薬学的に許容される薬剤と組み合わせて、活性成分(本発明の1つもしくは複数の組成物、またはそれらの薬学的に許容される塩であり得る)を含み得る。本明細書に示される組成物は、単独でまたは付加的、補完的もしくは相乗作用的効果を生じるさらなる化合物と組み合わせて使用され得る。
投与のレジメンは、何が有効量を構成するかに影響し得る。治療製剤は、本発明において想定される疾患または障害の発症前または発症後のいずれかで対象に投与され得る。さらに、複数の分割された投薬量もしくは時間を空けた投薬量が、毎日もしくは連続して投与され得、または用量は、継続的に注入され得るもしくはボーラス注射であり得るもしくは吸入、口腔内および/もしくは経口投与され得る。さらに、治療製剤の投薬量は、治療または予防状況の急迫度に比例して増加または減少され得る。
患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトへの本発明の組成物の投与は、公知の手法を用いて、本発明において想定される疾患または障害を処置するのに効果的な投薬量および期間で、実施され得る。治療効果を達成するために必要とされる治療化合物の有効量は、患者におけるその疾患または障害の状態;患者の年齢、性別および体重;ならびに本発明において想定される疾患または障害を処置する治療化合物の能力等の要因によって変化し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答を提供するよう調節され得る。例えば、複数の分割された用量が毎日投与され得るまたは用量は治療状況の急迫度に比例して減少され得る。本発明の治療化合物についての有効用量範囲の非限定的な例は、約1~5,000 mg/kg体重/日である。当業者は、過度の試験を行うことなく、関連要因を研究し、治療化合物の有効量に関する決定を行うことができるであろう。
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に対して毒性とならずに、特定の患者、組成物および投与様式において所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量を得るよう変更され得る。
特に、選択される投薬量レベルは、用いられる具体的化合物の活性、投与時間、化合物の排せつ速度、処置期間、この化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康および過去の病歴ならびに医学分野で周知の同様の要因を含む様々な要因に依存する。
当技術分野の通常の知識を有する医学博士、例えば医師または獣医は、必要とされる有効量の薬学的組成物を容易に決定および処方し得る。例えば、医師または獣医は、薬学的組成物において用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルから開始し、そしてその所望の効果が達成されるまでその投薬量を徐々に増加させることができる。
特定の態様において、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位剤形で化合物を製剤化するのが特に有利である。単位剤形は、本明細書で使用される場合、各単位が必要とされる薬学的ビヒクルとともに所望の治療効果を生じるよう計算された既定量の治療化合物を含む、処置される患者への単回の投薬に適した物理的に独立した単位を表す。本発明の単位剤形は、(a)治療化合物の固有の特徴および達成したい具体的治療効果、ならびに(b)本明細書で想定される疾患または障害の処置のためのそのような治療化合物の混合/製剤化の分野に特有の制約によって決定され、かつそれらに依存する。
特定の態様において、本発明の組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて製剤化される。特定の態様において、本発明の薬学的組成物は、治療有効量の本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む。
担体は、ナノ粒子を顕著に妨害しない限り、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。微生物の活動の阻止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チオメルサール等によって達成され得る。多くの例において、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム、多価アルコール、例えばマンニトールおよびソルビトールを組成物に含めることが好ましい。注射可能な組成物の長期的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。
特定の態様において、本発明の組成物は、1日1~5回またはそれ以上の範囲の投薬量で患者に投与される。他の態様において、本発明の組成物は、1日1回、2日に1回、3日に1回~週1回、および2週に1回を含むがこれらに限定されない投薬量の範囲で患者に投与される。本発明の様々な併用組成物の投与頻度は、年齢、処置される疾患または障害、性別、全般的健康およびその他の要因を含むがこれらに限定されない多くの要因に依存して個体ごとに相違することが当業者に容易に明らかとなる。したがって、本発明は、任意の特定の投薬レジメンに限定されると解釈されるべきではなく、任意の患者に投与される正確な投薬量および組成は、その患者についてのすべての他の要因を考慮して担当医によって決定される。
投与のための本発明の化合物は、約1μg~約10,000 mg、約20μg~約9,500 mg、約40μg~約9,000 mg、約75μg~約8,500 mg、約150μg~約7,500 mg、約200μg~約7,000 mg、約350μg~約6,000 mg、約500μg~約5,000 mg、約750μg~約4,000 mg、約1 mg~約3,000 mg、約10 mg~約2,500 mg、約20 mg~約2,000 mg、約25 mg~約1,500 mg、約30 mg~約1,000 mg、約40 mg~約900 mg、約50 mg~約800 mg、約60 mg~約750 mg、約70 mg~約600 mg、約80 mg~約500 mg、およびそれらの間の任意かつすべての整数または部分刻みの値の範囲であり得る。
特定の態様において、本発明の化合物および/または組成物の用量は、約1 mg~約2,500 mgである。他の態様において、本明細書に記載される組成物において使用される本発明の化合物の用量は、約10,000 mg未満、または約8,000 mg未満、または約6,000 mg未満、または約5,000 mg未満、または約3,000 mg未満、または約2,000 mg未満、または約1,000 mg未満、または約500 mg未満、または約200 mg未満、または約50 mg未満である。同様に、他の態様において、本明細書に記載される第2の化合物の用量は、約1,000 mg未満、または約800 mg未満、または約600 mg未満、または約500 mg未満、または約400 mg未満、または約300 mg未満、または約200 mg未満、または約100 mg未満、または約50 mg未満、または約40 mg未満、または約30 mg未満、または約25 mg未満、または約20 mg未満、または約15 mg未満、または約10 mg未満、または約5 mg未満、または約2 mg未満、または約1 mg未満、または約0.5 mg未満、およびその任意かつすべての整数または部分刻みの値である。
特定の態様において、本発明は、単独でまたは第2の薬剤と組み合わせて、治療有効量の本発明の化合物および/または組成物を収容する容器;ならびに本発明において想定される疾患または障害の1つまたは複数の症状を処置する、予防するまたは減少させるために化合物を使用するための説明書を含む、包装された薬学的組成物に関する。
特定の態様において、容器は、例えばインスリンまたはその誘導体もしくはアナログを含むがこれらに限定されない関心対象の治療薬を含まない脂質ベースのナノ粒子を収容する。他の態様において、容器は、例えばインスリンまたはその誘導体もしくはアナログを含むがこれらに限定されない関心対象の治療薬を含む脂質ベースのナノ粒子を収容する。さらに他の態様において、容器はさらに、例えばインスリンまたはその誘導体もしくはアナログを含むがこれらに限定されない関心対象の治療薬を収容する。
例示的、非限定的な処置方法
1型または2型真性糖尿病患者、ならびに、限定されないが、上昇したインスリンレベルを伴う代謝症候群、脂肪症、および/または脂肪性肝炎などの、代謝異常を有する患者には、インスリンを含む有効量の本発明のナノ粒子が投与され得る。この組成物が皮下投与される場合、組成物の一部は循環系に入り、そこからこの組成物は肝臓および他の領域に輸送される。延び出た両親媒性脂質は、この脂質構築物を肝細胞の受容体に結合させる。投与された組成物の一部は、インビボで外部勾配にさらされ、インスリンが溶解し脂質構築物から移動し得、それによってインスリンが筋肉および脂肪組織に供給される。脂質構築物にとどまるインスリンは、肝臓内の肝細胞上の肝細胞結合受容体に向けられ得る能力を維持する。したがって、2つの形態のインスリンが、この特定の脂質構築物から生じる。インビボ状況下で、遊離および脂質結合インスリンは、時間依存的な様式で生成される。
ナノ粒子およびそれを含む組成物の投与は、投与されることが望まれるインスリンに関して許容される投与様式のいずれかを通じて行われ得る。これらの方法は、経口、非経口、経鼻および他の全身またはエアゾール形式を含む。これらの方法はさらに、ポンプ送達システムを含む。
本発明のナノ粒子の経口投与の後、本発明のナノ粒子に結合したインスリンが身体の循環系に腸吸収され、そこでそれはまた血液の生理学的pHにさらされる。ナノ粒子は、肝臓に送達されるよう標的指向化され、本発明のナノ粒子内の酢酸フタル酸セルロースの存在により防護され得る。経口投与の場合、防護されたナノ粒子は、口腔を横断し、胃を通じて移動し、小腸に移動し、そこで小腸のアルカリ性pHが酢酸フタル酸セルロース防護を分解する。防護解除されたナノ粒子は、循環系に吸収される。これにより、ナノ粒子が、肝臓の類洞に送達されるようになる。受容体結合分子、例えば、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(キャップビオチニル)または任意の他の肝細胞特異的分子は、脂質構築物が受容体に結合し、ついで肝細胞により飲み込まれるまたは内在化される手段を提供する。その後インスリンがナノ粒子から放出され、細胞環境に到達すると、それは、真性糖尿病を制御する薬剤としての作用に関してその指定された機能を発揮する。
1型または2型真性糖尿病患者、ならびに、限定されないが、上昇したインスリンレベルを伴う代謝症候群、脂肪症、および/または脂肪性肝炎などの、代謝異常を有する患者には、遊離グラルギンインスリンおよびナノ粒子に結合されたグラルギンインスリンの混合物を含む有効量のナノ粒子が投与され得る。グラルギンインスリンは、他の形態のインスリン、例えばインスリンリスプロ、インスリンアスパルト(FIASP(登録商標)、Novo Nordiskを含む)、レギュラーインスリン、インスリングラルギン、インスリン亜鉛、持続型ヒトインスリン亜鉛懸濁物、イソフェンインスリン、ヒト緩衝レギュラーインスリン、インスリングルリジン、組換えヒトレギュラーインスリン、組換えヒトインスリンイソフェン、インスリンデテミル、二相性ヒトインスリン、およびインスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標)、Novo Nordiskを含む)、または上記インスリンのいずれかの事前混合された組み合わせ、それらの誘導体、および上記インスリンのいずれかの組み合わせと混合され得る。組成物は、皮下または経口経路によって投与され得る。
組成物が皮下注射によって患者に投与された後、遊離インスリンおよびナノ粒子に結合したインスリンの、注射領域におけるインサイチュー生理学的環境、形態および化学構造が、変化し始める。例えば、遊離グラルギンインスリンおよびナノ粒子に結合したグラルギンインスリンの周囲の環境のpHが生理学的媒体により希釈された後に上昇するとき、pHはグラルギンインスリンの等電点に達し、遊離グラルギンインスリンおよびナノ粒子に結合されたグラルギンインスリンの両方において凝集(flocculation)、凝集(aggregation)および沈殿反応が起こる。特定の態様において、遊離グラルギンインスリンは、注射時の可溶性形態からそのpH 5.8~6.2の等電点付近のpH下での不溶性形態に、ついで生理学的pH下での可溶性形態に変化する。これらのプロセスが起こる速度は、遊離グラルギンインスリンとナノ粒子に結合したグラルギンインスリンの間で相違する。遊離グラルギンインスリンは、pHおよび希釈の変化に直接さらされる。生理学的pH下でのpHおよび希釈の小さな変化へのナノ粒子に結合したグラルギンインスリンの曝露は、ナノ粒子内の脂質二重層を通じた生理学的流体または媒体の拡散に要する時間のために、遅延する。脂質構築物からのインスリンの放出の遅延およびナノ粒子に結合されたインスリンの放出の遅延は、それがインビボでの生物学的および薬理学的応答に影響しそれらを増大させるという点で、本発明の特徴である。
遊離グラルギンインスリンおよびナノ粒子に結合されたグラルギンインスリンを組み合わせた薬学的組成物の経口投与の後、ナノ粒子に結合されたグラルギンインスリンが身体の循環系に腸吸収され、そこでそれはまた血液の生理学的pHにさらされる。特定の態様において、組成物は、24時間投薬レジメンを達成するよう長期間にわたってHDVグラルギンを放出する遅延放出マトリクスを含む。ナノ粒子のすべてまたは一部は、肝臓に送達される。
1型または2型真性糖尿病患者、ならびに、限定されないが、上昇したインスリンレベルを伴う代謝症候群、脂肪症、および/または脂肪性肝炎などの、代謝異常を有する患者には、遊離組換えヒトインスリンイソフェン(NPH)および遊離組換えヒトレギュラーインスリンと、両方ともナノ粒子に結合された、組換えヒトインスリンイソフェンおよび組換えヒトレギュラーインスリンの混合物を含む有効量の肝細胞標的指向組成物が投与され得る。組換えヒトインスリンイソフェンは、他の形態のインスリン、例えばインスリンリスプロ、インスリンアスパルト(FIASP(登録商標)、Novo Nordiskを含む)、レギュラーインスリン、インスリングラルギン、インスリン亜鉛、持続型ヒトインスリン亜鉛懸濁物、イソフェンインスリン、ヒト緩衝レギュラーインスリン、インスリングルリジン、組換えヒトレギュラーインスリン、組換えヒトインスリンイソフェン、インスリンデテミル、二相性ヒトインスリン、およびインスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標)、Novo Nordisk、超長時間作用型基礎インスリンアナログ(ヒトインスリンと比較して1つの単一アミノ酸欠失を有し、B29位のアミノ酸リジンにおいてγ-L-グルタミルスペーサーを介してヘキサデカン二酸に結合している)を含む)、または上記インスリンのいずれかの(事前混合された)組み合わせと混合され得る。
特定の態様において、組成物は、24時間投薬レジメンを達成するよう長期間にわたってHDV NPHを放出する遅延放出マトリクスを含む。
遊離組換えヒトインスリンイソフェンおよびナノ粒子に結合された組換えヒトインスリンイソフェンを組み合わせた薬学的組成物の経口投与の後、ナノ粒子に結合された組換えヒトインスリンイソフェンが身体の循環系に腸吸収され、そこでそれはまた血液の生理学的pHにさらされる。ナノ粒子のすべてまたは一部は肝臓に送達され、非HDVイソフェンは、全身循環への放出のために、徐放マトリクスからゆっくりと吸収される。
皮下空間においてまたは循環系に入ったときにインサイチューで生理学的希釈が進むにつれ、遊離組換えヒトインスリンイソフェンおよびナノ粒子に結合された組換えヒトインスリンイソフェンは、pH 7.4の正常な生理学的pH環境に遭遇する。希釈の結果として、遊離組換えヒトインスリンイソフェンは、注射時の不溶性形態から生理学的pH下での可溶性形態に変化する。可溶性形態において、組換えヒトインスリンイソフェンは、身体を通じて薬理学的応答を誘発することができる部位に移動する。ナノ粒子に結合された組換えヒトインスリンイソフェンは、遊離組換えヒトインスリンイソフェンのそれよりもおそい異なる速度で溶解し、ナノ粒子から放出される。これは、ナノ粒子に結合された組換えインスリンイソフェンが、そのバルク相媒体に接触する前にナノ粒子のコア部分および脂質ドメインを横断する必要があるためである。
投与されるインスリンの量は、処置される対象、苦痛のタイプおよび重篤度、投与様式ならびに処方医の判断に依存するであろう。関心対象の個々の生物学的活性物質の有効投薬量範囲は様々な要因に依存し、それらは一般に当業者に知られているが、一般にいくつかの投薬ガイドラインを定義することができる。大部分の投与形態において、ナノ粒子は、水溶液中に懸濁され、一般に製剤全体の4.0%(w/v)を超過しない。製剤の薬物成分は、特定の態様において、製剤の20%(w/v)未満であり、一般に0.01%(w/v)より多い。
特定の態様において、薬学的組成物は、HDVインスリンおよび非遊離インスリンを含む。そのような例において、組成物内のインスリンはすべて、肝臓に標的指向化される。他の態様において、薬学的組成物は、HDVインスリンおよび遊離インスリン(非HDVインスリン)を含む。HDVインスリンと遊離インスリンの比は、非限定的な例において、約0.1:99.9、0.2:99.8、0.3:99.7、0.4:99.6、0.5:99.5、0.6:99.4、0.7:99.3、0.8:99.2、0.9:99.1、1:99、2:98、3:97、4:96、5:95、6:94、7:93、8:92、9:91、10:90、12:88、14:86、16:84、18:82、20:80、22:78、24:76、25:75、26:74、28:72、30:70、32:68、34:66、36:64:38:62、40:60、42:58、44:56、46:54、48:52および50:50であり得る。
0.005%~5%の範囲の活性成分を含み、残りが非毒性担体から構成される剤形または組成物が、調製され得る。
これらの製剤の正確な組成は、関心対象の薬物の個別の特性に依存して大きく変化し得る。特定の態様において、それらは、高い効力の薬物については0.01%~5%、好ましくは0.05%~1%の活性成分、中程度の活性の薬物については2%~4%を含む。
そのような非経口組成物に含まれる活性成分のパーセンテージは、その個別の性質、ならびに活性成分の活性および対象の要求に大きく依存する。しかし、溶液中0.01%~5%の活性成分のパーセンテージが利用可能であり、組成物が後に上記パーセンテージに希釈される固形物である場合はそれより高くなるであろう。特定の態様において、組成物は、溶液中0.2%~2.0%の活性成分を含む。
投与
製剤は、当技術分野で公知の従来的な賦形剤、すなわち、経口、非経口、経鼻、静脈内、皮下、腸内または任意のその他の適切な投与様式に適した薬学的に許容される有機または無機担体物質と組み合わせて用いられ得る。薬学的調製物は、滅菌され得、望まれる場合、補助的薬剤、例えば滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、香味剤および/または芳香物質等と混合され得る。それらはまた、望まれる場合、他の活性剤、例えば他の鎮痛剤と組み合わされ得る。
本発明の任意の組成物の投与経路は、経口、経鼻、直腸、膣内、非経口、口腔、舌下または局所を含む。本発明において使用する化合物および/または組成物は、任意の適切な経路による投与、例えば経口または非経口、例えば経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)口腔、(経)尿道、膣(例えば、経膣および膣周囲)、鼻腔(内)および(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、くも膜下、皮下、筋内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入および局所投与用に製剤化され得る。
適切な組成物および剤形は、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ピル、ジェルキャップ、トローチ、分散物、懸濁物、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ジェル、粉末、ペレット、マグマ剤、ロゼンジ、クリーム、ペースト、硬膏、ローション、ディスク、坐剤、経鼻もしくは経口投与用の液体スプレー、乾燥粉末または吸入用エアゾール製剤、膀胱内投与用組成物および製剤等を含む。本発明において有用な製剤および組成物は、本明細書に記載される特定の製剤および組成物に限定されないことが理解されるべきである。
経口投与
経口適用の場合、錠剤、糖衣錠、液体、小滴、坐剤またはカプセル、カプレットおよびジェルキャップが特に適する。経口利用が意図される組成物は、当技術分野で公知の任意の方法にしたがい調製され得、そのような組成物は、タブレットの製造に適した不活性、非毒性の薬学的賦形剤からなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含み得る。そのような賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えばラクトース;造粒および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン;結合剤、例えばデンプン;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含む。錠剤は、非コーティング性であり得るまたは上品さのためにもしくは活性成分の放出を遅らせるために公知の技術によってコーティングされ得る。経口利用される製剤はまた、活性成分が不活性希釈剤と混合された硬質ゼラチンカプセルとして提供され得る。
経口投与の場合、本発明の化合物および/または組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、微結晶性セルロースもしくはリン酸カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて従来的手段によって調製された錠剤またはカプセルの形態であり得る。望ましい場合、錠剤は、適切な方法およびコーティング物質、例えばColorcon, West Point, Pa.から入手可能なOPADRY(商標)フィルムコーティングシステム(例えば、OPADRY(商標)OY Type、OYC Type、Organic Enteric OY-P Type、Aqueous Enteric OY-A Type、OY-PM TypeおよびOPADRY(商標)White、32K18400)を用いてコーティングされ得る。経口投与用の液体調製物は、溶液、シロップまたは懸濁物の形態であり得る。液体調製物は、薬学的に許容される添加物、例えば懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール);および防腐剤(例えば、 p-ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸メチルまたはプロピル)を用いて従来的手段によって調製され得る。
非経口投与
非経口投与の場合、本発明の化合物および/または組成物は、注射もしくは注入、例えば、静脈内、筋内もしくは皮下注射もしくは注入用、またはボーラス量での投与および/もしくは連続注入用に製剤化され得る。任意で他の配合剤、例えば懸濁化剤、安定剤および/または分散剤を含む、油性または水性ビヒクル中の懸濁物、溶液または乳化物が使用され得る。
肺投与
本発明の薬学的組成物は、口腔を通じた肺投与に適した製剤として調製、包装または販売され得る。そのような製剤は、活性成分を含み、約0.5~約7ミクロン、好ましくは約1~約6ミクロンの範囲の直径を有する乾燥粒子を含み得る。そのような組成物は、推進剤の流れが粉末を分散するよう向けられ得る乾燥粉末リザーバを含む装置を用いたまたは自己推進性溶媒/粉末投薬容器、例えば密封された容器内に低沸点推進剤中に溶解もしくは懸濁された活性成分を含む装置を用いた投与のために乾燥粉末の形態であることが好都合である。好ましくは、そのような粉末は、その少なくとも98重量%が0.5ミクロン超の直径を有し、その少なくとも95数量%超が7ミクロン未満の直径を有する粒子を含む。より好ましくは、粒子の少なくとも95重量%が、1ナノメートル超の直径を有し、粒子の少なくとも90数量%が、6ミクロン未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、好ましくは、固形微粉希釈剤、例えば糖を含み、単位剤形で提供されるのが好都合である。
低沸点推進剤は、一般に、大気圧下で65°F以下の沸点を有する液体推進剤を含む。一般に、推進剤は、組成物の50~99.9%(w/w)を構成し得、活性成分は、組成物の0.1~20%(w/w)を構成し得る。推進剤はさらに、追加の成分、例えば液体非イオン性もしくは固形アニオン性界面活性剤または固形希釈剤(好ましくは、活性成分を含む粒子と同じオーダーの粒子サイズを有するもの)を含み得る。
肺送達用に製剤化された本発明の薬学的組成物はまた、溶液または懸濁物の小滴の形態で活性成分を提供し得る。そのような製剤は、活性成分を含む、任意で注射による投与のために滅菌された、水性または希アルコール性の溶液または懸濁物として調製、包装または販売され得、任意の噴霧または微粒化装置を用いて容易に投与され得る。特定の態様において、本発明の化合物および/または組成物は、対象への投与前に滅菌濾過され得る。そのような製剤はさらに、香味剤、例えばサッカリンナトリウム、揮発油、緩衝剤、界面活性剤または防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチルを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の追加の成分を含み得る。この投与経路により提供される小滴は、好ましくは、約0.1~約200ミクロンの範囲の平均径を有する。
経鼻送達
肺送達に有用であるものとして本明細書に記載されている製剤はまた、本発明の薬学的組成物の経鼻送達にも有用である。
経鼻投与に適した別の製剤は、活性成分を含み、約0.2~500ミクロンの平均粒子を有する粗粉末である。そのような製剤は、鼻吸い込みが行われる様式で、すなわち、鼻孔近くで保持された粉末の容器からの鼻腔を通じた急速吸入により投与される。
経鼻投与に適した製剤は、例えば、少ないもので約0.1%(w/w)から多いもので約75%(w/w)の活性成分を含み得、さらに1つまたは複数の本明細書に記載される追加の成分を含み得る。
さらなる投与形態
本発明のさらなる剤形は、米国特許第6,340,475号;同第6,488,962号;同第6,451,808号;同第5,972,389号;同第5,582,837号;および同第5,007,790号に記載される剤形を含む。本発明のさらなる剤形はまた、米国特許出願番号20030147952;20030104062;20030104053;20030044466;20030039688;および20020051820に記載される剤形を含む。本発明のさらなる剤形はまた、PCT出願番号WO 03/35041;WO 03/35040;WO 03/35029;WO 03/35177;WO 03/35039;WO 02/96404;WO 02/32416;WO 01/97783;WO 01/56544;WO 01/32217;WO 98/55107;WO 98/11879;WO 97/47285;WO 93/18755;およびWO 90/11757に記載される剤形を含む。
制御放出製剤および薬物送達システム
特定の態様において、本発明の製剤は、短期、急速オフセット、ならびに制御、例えば持続放出、遅延放出およびパルス放出製剤であり得るがこれらに限定されない。
持続放出という用語は、その従来的な意味で使用され、長期間にわたる薬物の段階的放出を提供し、そして必ずそうとは限らないが、長期間にわたる実質的に一定の薬物の血中レベルをもたらし得る薬物製剤を表す。その期間は、長いもので1ヶ月またはそれ以上であり得、ボーラス形態で投与された同量の薬剤よりも長い放出であるはずである。
持続放出の場合、組成物は、化合物および/または組成物に持続放出特性を提供する適切なポリマーまたは疎水性物質を用いて製剤化され得る。その場合、本発明の方法において使用される組成物および/または組成物は、微粒子の形態で、例えば注射によりまたは移植によるウエハーもしくはディスクの形態で投与され得る。
特定の態様において、本発明の化合物および/または組成物は、持続放出製剤を用いて、単独でまたは別の薬剤と組み合わせて患者に投与される。
遅延放出という用語は、本明細書においてその従来的な意味で使用され、薬物投与から一定の遅延後に薬物の初期放出を提供し、そして必ずそうとは限らないが、約10分から最大約12時間の遅延を含み得る、薬物製剤を表す。
パルス放出という用語は、本明細書においてその従来的な意味で使用され、薬物投与後の薬物のパルス状の血漿プロフィールを生じる薬物の放出を提供する薬物製剤を表す。
即時放出という用語は、その従来的な意味で使用され、薬物投与直後に薬物の放出を提供する製剤を表す。
本明細書で使用される場合、短期は、薬物投与後約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分間、約20分間、または約10分間、およびその任意またはすべての整数または部分刻みの時間までのおよびそれらを含む、任意の期間を表す。
本明細書で使用される場合、急速オフセットは、薬物投与後約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分間、約20分間、または約10分間、およびその任意かつすべての整数または部分刻みの時間までのおよびそれらを含む、任意の期間を表す。
投薬
本発明の化合物および/または組成物の治療有効量または用量は、患者の年齢、性別および体重、患者の現在の医学的状態ならびに処置される患者における本発明において想定されている疾患または障害の進行度に依存する。当業者は、これらおよびその他の要因に基づき適切な投薬量を決定することができる。
本発明の化合物および/または組成物の適切な用量は、1日あたり約0.01 mg~約5,000 mg、例えば、1日あたり約0.1 mg~約1,000 mg、例えば約1 mg~約500 mg、例えば約5 mg~約250 mgの範囲であり得る。用量は、1回の投薬または複数回、例えば1日あたり1~4回またはそれ以上の投薬により投与され得る。複数回の投薬が使用される場合、各投薬の量は同じまたは相違し得る。例えば、1日1 mgの用量が、2回の0.5 mg用量として、それらの投薬の間で約12時間の間隔をあけて投与され得る。
1日あたりに投薬される化合物および/または組成物の量は、非限定的な例において、毎日、1日おきに、2日おきに、3日おきに、4日おきにまたは5日おきに投与され得ることが理解される。例えば、1日おきの投与の場合、1日5 mgの投薬が月曜日に開始され得、そして第1の後続の1日5 mgの投薬が水曜日に、第2の後続の1日5 mgの投薬が金曜日に行われ得る等である。
患者の状態が改善する例において、医師の裁量により、本発明の阻害剤の投与は、任意で、継続的に行われ;あるいは、投与される薬物の用量は、一定期間(すなわち、「薬物休息日」)の間、一時的に減少または一時的に中断される。薬物休息日の長さは、任意で、一例として2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日間、20日間、28日間、35日間、50日間、70日間、100日間、120日間、150日間、180日間、200日間、250日間、280日間、300日間、320日間、350日間または365日間を含む、2日~1年の間で様々である。薬物休息日の間の用量の減少は、一例として10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を含む、10%~100%を含む。
患者の状態の改善が見られる場合、必要に応じて維持用量が投与される。その後、投薬量もしくは投与頻度またはその両方が、ウイルス負荷の関数として、疾患の改善が維持されるレベルまで減少させられる。特定の態様において、患者は、症状および/または感染の再発に応じて、長期ベースの断続的処置を必要とする。
本発明の方法において使用される化合物および/または組成物は、単位剤形で製剤化され得る。「単位剤形」という用語は、各単位が、任意で適切な薬学的担体と共に、所望の治療効果を生じるよう計算された既定量の治療物質を含む、処置を受ける患者への単回の投薬に適した物理的に独立した単位を表す。単位剤形は、単一の1日分または複数からなる1日分(例えば、1日約1~4回またはそれ以上)のうちの1つのためのものであり得る。複数からなる1日分が使用される場合、単位剤形は、各々の用量が同一であり得るまたは相違し得る。
LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定を含むがこれらに限定されない、そのような治療レジメンの毒性および治療有効性は、任意で、細胞培養物または実験動物において決定される。毒性と治療効果の用量比は、治療指数であり、これはLD50とED50の比で表される。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、任意で、ヒトに使用するための投薬量の範囲を決定するのに使用される。そのような化合物および/または組成物の投薬量は、好ましくは、ED50を含み毒性が最小限である循環濃度の範囲内である。投薬量は、任意で、使用される投薬形態および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変更される。
定義
それ以外のことが定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、概ね、本発明の属する分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法ならびに有機化学およびタンパク質化学における研究手法は、当技術分野において周知であり一般的に用いられているものである。
「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、本明細書において、1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法上の目的語を表すために使用される。例として、「1つの要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
「A1c」または「A1C」または「HbA1c」または「ヘモグロビンA1c」または「HBA1C」または「HgbA1c」または「ヘモグロビンA1c」または「HbA1c」または「Hb1c」という用語は、グルコースに共有結合されたヘモグロビンの一形態を表す。A1cは、非酵素的糖化経路において血漿グルコースへのヘモグロビンの曝露により形成される。A1cは、主に、3ヶ月平均血漿グルコース濃度を決定するために測定され、したがって糖尿病の診断試験としておよび糖尿病患者の血糖制御の評価試験として使用され得る。総ヘモグロビンに対するA1cの比(%A1c)(通常、質量/質量で測定される)は、(1993 Diabetes Control and Complications TrialまたはDCCTにしたがい)糖尿病を診断するために使用され:正常な個体は5.7%未満のA1を有し、糖尿病前個体は5.7~6.4%のA1cを有し、糖尿病個体は6.5%超のA1cを有する。DCCT %A1c値は、次式を用いてInternational Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine(IFCC)単位に変換され得る:
IFCC HbA1c (mmol/mol) = [DCCT HbA1c (%) - 2.14] x 10.929
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者に理解されており、それが使用される状況によってある程度変化する。本明細書において測定可能な値、例えば量、時間的長さ等を参照して使用される場合、「約」という用語は、そのようなばらつきが開示される方法を実施する上で適当である限り、指定された値からの±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%のばらつきを包含することが意味される。
本明細書で使用される場合、「活性成分」という用語は、対象において治療効果を生ずるよう対象に送達される治療薬を表す。本発明において想定される活性成分の非限定的な例は、インスリン、インターフェロン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、セロトニン、セロトニンアゴニスト、セロトニン再取込み阻害剤、ヒト成長ホルモン、GIP、抗GIPモノクローナル抗体、メトホルミン、ブロモクリプチン、ドパミン、グルカゴンおよび/またはGLP-1である。
「両親媒性脂質」という用語は、極性末端および非極性末端を有する脂質分子を意味する。
「水性媒体」は、水または緩衝液もしくは塩を含有する水を意味する。
本明細書で使用される場合、「基礎インスリン」または「バックグラウンドインスリン」という用語は、絶食期間の間、血中グルコースレベルを一定レベルで維持するために摂取されるインスリンである。基礎インスリンは、したがって、血中グルコースレベルを制御下で維持するためおよび細胞がエネルギーのためにグルコースを取り込むことを許容するために必要とされる。基礎インスリンは、通常、そのインスリンに依存して、1日1回または2回摂取される。基礎インスリンは、比較的長い期間にわたって作用する必要があり、したがって長期作用性インスリンまたはインスリン中間体のいずれかである。
本明細書で使用される場合、「基礎グルコース制御」という用語は、基礎インスリンまたはその等価物の使用によってもたらされるグルコース制御を表す。
「バイオアベイラビリティ」という用語は、インスリンが全身循環に達し、作用部位で利用可能となる速度および規模の尺度を表す。
本明細書で使用される場合、「ボーラスインスリン」という用語は、食前または食事時または食後に、食後の血中グルコースレベルを制御下で維持するために個別に摂取されるインスリンを表す。ボーラスインスリンは、迅速に作用する必要があり、したがって通常、短期作用性インスリンまたは急速作用性インスリンである。
本明細書で使用される場合、「ボーラスグルコース制御」という用語は、ボーラスインスリンまたはその等価物の使用によってもたらされるグルコース制御を表す。
本明細書で使用される場合、「CGM」という用語は、持続グルコースモニタリングを表す。
1つの局面において、対象に関する「同時投与される」および「同時投与」という用語は、これもまた本発明において想定される任意の疾患もしくは障害を処置し得る化合物および/または他の医学的状態を処置する上で有用であるがそれ自体が本発明において想定される任意の疾患または障害を引き起こし得るもしくは促進し得る化合物と共に本発明の化合物またはその塩を対象に投与することを表す。特定の態様において、同時投与される化合物は、別々に、または単一の治療アプローチの一部としての任意の種類の組み合わせで投与される。同時投与される化合物は、様々な固形、ジェルおよび液体製剤の下で、固体および液体の混合物として任意の種類の組み合わせで、および溶液として製剤化され得る。
本明細書で使用される場合、「疾患」は、対象がホメオスタシスを維持することができず、その疾患が改善されない場合、対象の健康が悪化し続ける対象の健康状態である。
本明細書で使用される場合、対象における「障害」は、対象がホメオスタシスを維持することができるが、対象の健康状態がその障害の非存在下よりも好ましくない健康状態である。未処置のままでも、障害は必ずしも対象の健康状態のさらなる低下を引き起こすとは限らない。
本明細書で使用される場合、「ED50」という用語は、その製剤を投与される対象においてその最大効果の50%を生じる製剤の有効用量を表す。
本明細書で使用される場合、化合物の「有効量」、「治療有効量」または「薬学的有効量」は、その化合物を投与される対象に有益な効果を提供するのに十分な化合物の量である。
「遊離活性成分」または「遊離治療薬」という用語は、脂質粒子内に分散されていない(すなわち、脂質粒子膜内に位置しない、吸着していないおよび/または結合していない)活性成分または治療薬を表す。
「グラルギン」および「グラルギンインスリン」という用語は、両方とも、A21位のアミノ酸アスパラギンがグリシンで置換され、2つのアルギニンがそのB鎖のC末端に付加されている点でヒトインスリンと相違する組換えヒトインスリンアナログを表す。化学的に、それは、21A-Gly-30Ba-L-Arg-30Bb-Arg-ヒトインスリンであり、実験式C267H404N72O78S6および分子量6063を有する。
本明細書で使用される場合、「高インスリン血症」という用語は、グルコースのレベルに対して過剰なレベルのインスリンが血中を循環している状態を表す。高インスリン血症は、糖尿病患者への外因性インスリンの投与の望まれない副作用(したがって、医原性高インスリン血症の一形態)であり得る。すべて、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Cryer, 2008, Diabetes 57(12):3169-76, McCrinson & Sherwin, 2010, Diabetes 59(10):2333-9; Wang, et al., 2013, J. Diab. & Its Compl. 27(1):70-74を参照のこと。この状態は、合併症、例えば代謝疾患、低血糖症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の危険の上昇、VLDLの合成亢進(高トリグリセリド血症)、高血圧(インスリンは尿細管によるナトリウム保持を増加させる)、冠動脈疾患(CAD;インスリンの増加は内皮細胞にダメージを与える)、心血管疾患の危険の上昇、ならびに/または体重増加および無気力を引き起こし得る。
本明細書で使用される場合、「低血糖イベント」または「低血糖症イベント」という用語は、対象の血糖が相当な期間、例えば、非限定的に、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60分間、70 mg/dLより低いイベントを表す。特定の態様において、低血糖イベントは、54 mg/dLまたはそれ以上の値が介在しない、20分間またはそれ以上隔てられた、一連の約54 mg/dL未満のCGM値と定義される。特定の態様において、低血糖イベントは、15分間を超える約54 mg/dL未満のCGM値と定義される。
「使用説明資料」は、この用語が本明細書で使用される場合、発行物、記録、ダイアグラムまたはキット内の本発明の組成物および/もしくは化合物の有用性を伝達するために使用され得る任意のその他の表現媒体を含む。キットの使用説明資料は、例えば、本発明の化合物および/もしくは組成物を含む容器に添付され得、または化合物および/もしくは組成物を含む容器と共に出荷され得る。あるいは、使用説明資料は、受取人がその使用説明資料と化合物を組み合わせて使用するように、容器とは別に出荷され得る。使用説明資料の送付は、例えば、発行物またはキットの有用性を伝達するその他の表現媒体の物理的送達によるものであり得、あるいは、電子的伝達により、例えば、コンピュータにより、例えば電子メールまたはウェブサイトからのダウンロードにより達成され得る。
「インスリン」という用語は、天然または組換え形態のインスリン、および上記インスリンの誘導体を表す。インスリンの例は、インスリンリスプロ(例えば、ADMELOG(登録商標)、Sanofiなど)、インスリンアスパルト(例えば、FIASP(登録商標)、Novo Nordiskなど)、レギュラーインスリン、インスリングラルギン(例えば、BASAGLAR(登録商標)、Lillyなど)、インスリン亜鉛、持続型ヒトインスリン亜鉛、イソフェンインスリン、ヒト緩衝レギュラーインスリン、インスリングルリジン、組換えヒトレギュラーインスリン、組換えヒトインスリンイソフェン、インスリンデテミル、二相性ヒトインスリン、およびインスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標)、Novo Nordisk、超長時間作用型基礎インスリンアナログ(ヒトインスリンと比較して1つの単一アミノ酸欠失を有し、B29位のアミノ酸リジンにおいてγ-L-グルタミルスペーサーを介してヘキサデカン二酸に結合している)を含む)を含むがこれらに限定されない。動物インスリン、例えばウシまたはブタインスリンもまた、含まれる。
本明細書で使用される場合、「医原性」という用語は、医学的検査または処置によって引き起こされる任意の疾病を表す。
「等電点」という用語は、そのタンパク質上の正電荷および負電荷の濃度が等しく、その結果、そのタンパク質が正味ゼロの電荷を示すpHを表す。等電点において、タンパク質は、ほぼ全体が、双性イオンの形態で存在する、またはそのタンパク質の形態間のハイブリッドである。タンパク質は、それらの等電点において最も安定性が低く、このpHにおいてより容易に凝集または沈殿する。しかし、このプロセスは本質的に可逆的であるため、タンパク質は等電点沈殿により変性しない。
「脂質構築物」という用語は、個々の脂質分子がその脂質構築物の境界を規定する二極性脂質膜を形成するよう相互作用する脂質および/またはリン脂質粒子を表す。
この用語が本明細書で使用される場合、生物学的または化学的プロセスまたは状態を「調整する」またはそれらの「調整」は、その生物学的もしくは化学的プロセスの正常な過程の変更、または現在の状態とは異なる新しい状態へのその生物学的もしくは化学的プロセスの状態の変化を表す。例えば、あるポリペプチドの等電点の調整は、そのポリペプチドの等電点を上昇させる変化に関するものであり得る。あるいは、あるポリペプチドの等電点の調整は、そのポリペプチドの等電点を低下させる変化に関するものであり得る。
本明細書で使用される場合、「代謝異常」は、制御されない、上昇した、または変動するインスリンレベルに関連する代謝障害または疾患、例えば、限定されないが、上昇したインスリンレベルを伴う代謝症候群、脂肪症、および/または脂肪性肝炎を表す。
「非グラルギンインスリン」という用語は、グラルギンインスリンではない天然または組換えのいずれかのすべてのインスリンを表す。この用語は、インスリンの生物学的活性を有するインスリン分子のフラグメントを含むインスリン様部分を含む。
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」または「組成物」という用語は、本発明において有用な少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体の混合物を表す。薬学的組成物は、対象への化合物の投与を容易にする。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、本発明において有用な化合物の生物学的活性または特性を打ち消さず、比較的非毒性である物質、例えば担体または希釈剤を表す、すなわち、その物質は、望ましくない生物学的効果をもたらさずまたはそれを含む組成物の任意の成分と有害な様式で相互作用することなく対象に投与され得る。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、その意図されている機能を発揮し得るように本発明において有用な化合物を対象内でまたは対象へと運搬または輸送することに関係する薬学的に許容される物質、組成物または担体、例えば、液体もしくは固体増量剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒またはカプセル化物質を意味する。典型的に、そのような構築物は、1つの器官または身体の一部分から別の器官または身体の一部分へと運搬または輸送される。各々の担体は、本発明において有用な化合物を含む製剤の他の成分と適合し、対象に対して有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る物質のいくつかの例は、糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤ワックス;油、例えばピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラルリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;界面活性剤;アルギン酸;発熱物質非含有水;等張生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液溶液;ならびに薬学的製剤において使用されるその他の非毒性適合性物質を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」はまた、本発明において有用な化合物の活性と適合し、対象にとって生理学的に許容できる任意かつすべてのコーティング、抗菌および抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤等を含む。補助的な活性化合物もまた、組成物に組み込まれ得る。「薬学的に許容される担体」はさらに、本発明において有用な化合物の薬学的に許容される塩を含み得る。本発明を実施する上で使用される薬学的組成物に含められ得る他の追加の成分は、当技術分野で公知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences (Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)に記載されている。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語は、無機酸、無機塩基、有機酸、有機塩基、それらの溶媒和物、水和物およびクラスレートを含む、薬学的に許容される非毒性の酸および塩基から調製される投与される化合物の塩を表す。
「予防する」、「予防すること」または「予防」という用語は、本明細書で使用される場合、薬剤または化合物の投与を開始した時点でそのような症状を発症していない対象において疾患または状態に関連する症状の発症を回避するまたは遅らせることを意味する。疾患、状態および障害は、本明細書で言い換え可能に使用される。
「特異的に結合する(specifically bind)」または「特異的に結合する(specifically binds)」は、本明細書で使用される場合、第1の物質が、第2の物質(例えば、特定の受容体または酵素)に優先的に結合するが、必ずしもその第2の化合物のみに結合するとは限らないことを意味する。
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物もしくは鳥類であり得る。非ヒト哺乳動物は、例えば、家畜およびペット、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよびマウス哺乳動物を含む。特定の態様において、対象は、ヒトである。
「処置する」、「処置すること」または「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、薬剤または化合物を対象に投与することによって、対象が疾患または状態の症状を経験する頻度または重篤度を減少させることを意味する。
「十分に制御された糖尿病」という用語は、空腹時血糖を140 mg/dL以下で維持することを可能にする処置を受けている糖尿病または前糖尿病の対象を表す。特定の態様において、空腹時血糖のしきい値は、140 mg/dL以下、130 mg/dL以下、120 mg/dL以下、110 mg/dL以下または100 mg/dL以下である。特定の態様において、空腹時血糖の範囲は、70~120 mg/dLである。特定の態様において、空腹時血糖の範囲は、80~100 mg/dLである。特定の態様において、空腹時血糖の範囲は、70~120 mg/dLである。特定の態様において、空腹時血糖の範囲は、70~100 mg/dLである。
本開示を通じて、本発明の様々な局面が、範囲形式で示され得る。範囲形式の記載は、便利さおよび簡潔さの目的で行われているにすぎないことが理解されるべきであり、本発明の範囲に対する硬直的限定であるとみなされるべきではない。したがって、範囲の記載は、具体的に開示されたすべての可能性のある部分範囲ならびにその範囲内の個別の数値および適切な場合、その範囲内の数値の部分整数(partial integer)を含むものとみなされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等のような具体的に開示された部分範囲、およびその範囲内の個別の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6を含むものとみなされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
当業者は、慣用的な実験以上のものを用いることなく、本明細書に記載されている具体的手法、態様、特許請求の範囲および実施例の多くの等価物を認識し、確認することができるであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内であり、本願に添付された特許請求の範囲に包含されるとみなされる。例えば、当技術分野で認識されている代替物による、および慣用的な実験以上のものを用いない、反応時間、反応サイズ/量および実験試薬、例えば溶媒、触媒、圧、周囲条件、例えば窒素雰囲気、および還元/酸化剤を含むがこれらに限定されない反応条件の変更は、本願の範囲内であると理解されるべきである。
値および範囲が本明細書に提供されるときは常に、これらの値および範囲に包含されるすべての値および範囲が本発明の範囲に包含されることが意味されていることが理解されるべきである。さらに、これらの範囲に含まれるすべての値および範囲値の上限または下限もまた、本願によって想定されている。
以下の実施例は、本発明の局面をさらに例示するものである。しかし、それらは本明細書に示される本発明の教示または開示の限定となるものではない。
実験的実施例
ここから、本発明を、以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は、例示の目的で提供されるものであり、本発明は、これらの実施例に限定されるとみなされるべきではなく、本明細書に提供される教示の結果として明らかとなる任意かつすべての派生物を包含するとみなされるべきである。
さらなる説明なしに、当業者は、上記の説明および以下の例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を製造および使用し、特許請求の範囲に記載の方法を実施することができると考えられる。以下の実施例は、したがって、本発明の具体的態様を提示するものであり、どのようなものであれ本開示のそれ以外の部分を限定するものとみなされるべきではない。
ここから、この実験的実施例に示される実験で使用された材料および方法について説明する。
実施例1: 肝指向性食前(prandial)インスリンの、相違する低血糖効果 - 1型真性糖尿病(T1DM)における6ヶ月研究
1つの局面において、HDV-Iは、インスリンを肝臓に標的指向させる、リン脂質マトリクス中のビオチン含有脂質(例えば、非限定的に、ビオチン-ホスファチジルエタノールアミン)を利用する、インスリンに依存しない(insulin-agnostic)送達システムである。門脈送達を模倣する、HDV-Iの皮下(SC)注射は、より生理学的な処置パラダイムを提供する。SC HDV-ヒトレギュラーインスリン(RHI)処置は、SC RHIと比較して食後グルコース変動を減少させる。何らかの学説によって制限されることは望まないが、前臨床研究における肝臓グルコースバランスに対するHDV-Iの一様な用量応答効果は、固定された処置組み合わせを支援する。
本研究では、1型真性糖尿病(T1DM)の処置におけるHDV-インスリンリスプロ(HDV-L)対インスリンリスプロ(LIS)の使用を評価した。この研究におけるHDV-Lは、1%のHDV結合LISおよび99%の非結合LISを含むものであった。
ISLE-1は、26週、第2b相、多施設、無作為化、二重盲検、非劣性試験であった。176名の無作為化された患者(HDV-L、n=118;LIS、n=58)の間で、第26週におけるベースラインA1cからの変化の差異は、+0.09%(95%CI -0.18%~0.35%)であり、これにより非劣性が確認された(事前設定マージン0.4%)。ベースラインA1cは、低血糖症リスクに対する処置グループ効果(交互作用p値<0.001)を変化させ、高A1cではHDV-Lを用いた場合にLISと比較して低血糖症リスクが低かった(およびより少ないインスリン用量で同様のA1cアウトカムが得られた)が、低A1cでは反対の低血糖症効果(同様のA1cおよびインスリン用量にもかかわらず)を示した。安全性シグナルは確認されなかった。この結果は、HDV-Lの肝臓生体分布がT1DMにおけるインスリンの作用を強化するようであることを示している。
a. 設計および方法
設計および参加者
ISLE-1は、インスリンの頻回注射(multiple daily injections; MDI)により処置されるT1DMに関する26週、第2b相、多施設、無作為化、二重盲検試験であった。その主目的は、26週のHDV-L対LISにおけるA1c非劣性であった。
主要組み入れ基準は、年齢≧18歳;≧12ヶ月のT1D;A1c≧7.0(≧58 mmol/mol)~≦10.5%(≦91 mmol/mol);基礎範囲のインスリングラルギンまたはデテミル処置であった。主要除外基準は、総インスリン用量≧1.5 IU/kg/日または基礎としてのNPHインスリンであった。
手順
参加者を、A1cのスクリーニングにより層化して(<8.5%[69 mmol/L]対≧8.5%)、2:1(HDV-L:LIS)に無作為化した。試験医薬は、HDV-L(10 mlの市販LIS中に0.8 mlのHDV溶液)および比較対象のLIS(同等に水で希釈)であった。
HDV-リスプロまたは対照リスプロの食前投薬は、食事の15分前であり、基礎インスリンは、1回の1日用量または12時間ごとの分割1日2回投薬のいずれかとして投与した。
約10%希釈の情報を与えられた参加者は、彼らの現在のインスリンパラメータを継続した。低血糖症は、調査者が主観的に「軽度」、「中等度」、「重度」または「生命危機的」と判断した上で、被験者日記およびSMBG記録に基づきCase Report Form(CRF)に記録した。ベースライン、第13週、および26週のグルコースを評価するため、盲検化した持続グルコースモニタリング(CGM)(Dexcom G4)を5~7日間使用した。A1c、脂質、および肝酵素をおおよそ毎月測定した。1つのサブセットで肝脂肪量MRIを実施した。
統計分析
処置企図(ITT)集団には、少なくとも1回の試験処置を受けたすべての無作為化された対象を含めた。安全性分析には、すべての無作為化された対象を含めた。A1c SDを0.8%と想定し、A1c処置差を0.4%と想定した150のサンプルサイズは、非劣性事前指定0.4%マージンで99.9%の検定力を有した。各通院時に、処置企図(ITT)コホート内で、ANCOVAを用いて平均A1c変化を分析した。事前に指定した無作為化層に対応するカットポイントで、事後サブグループ分析(ベースラインA1c<8.5%対≧8.5%)を行った。2つのA1cサブグループ内での処置アームA1c比較、<54 mg/dLの時間(%)、ボーラスインスリンおよび基礎インスリンのために、直接尤度モデルを使用した。ランダム効果としてサイト(site)を調節するポアソン回帰モデルで、A1cグループ内の「重度」の低血糖症の発生率を比較し、ベースラインA1cと処置グループの交互作用を試験した。イベント数/対象は、極端値を考慮して、15で切り捨てた。
b. 考察
対象をHDV-L(n=118)またはLIS(n=58)に無作為に割り当てた。HDV-L患者の62%が男性であり、LISの72%が男性であった。平均(±SD)ベースライン年齢は、46.7±14.4歳(HDV-L)および44.1±15.7歳(LIS)であった。平均(±SD)ベースラインHbA1cは、8.12±0.79(HDV-L)および8.22±0.90(LIS)であった。
ベースラインから第26週までの平均A1c変化は、-0.09%(HDV-L)および-0.16%(LIS)であり(推定処置差[ETD]、HDV-L - LIS:+0.09%[95%CI -0.18~0.35])、HDV-Lの非劣性が確認された。低血糖症アウトカムの分析は、ベースラインのA1cの状況が、「重度」の低血糖症の発症に関する処置グループ効果を変化させることを示し(交互作用p値<0.001)、不十分な制御下ではHDV-Lにおける低血糖症はLISと比較して少ないが、より良好な制御下ではHDV-Lにおいてより高いリスクがあった。
さらなる分析は、サブグループ(A1c≧8.5%対<8.5%)に基づくものであった。ベースラインA1c≧8.5%のHDV-L処置対象は、LISよりも有意に低い、CRF報告「重度」低血糖症発生率を示し(69対97イベント/100名・年、p=0.03)、それらの26週の間の、<54 mg/dLの時間(%)(図1A)は、減少傾向を示した(HDV-LおよびLISについて、それぞれ、中央値0.7%対2.6%、p=0.09)。逆に、ベースラインA1c<8.5%の場合、CRFは、LISよりもHDV-Lにおいてより高い「重度」低血糖症発生率(191対21、p=0.001)を報告し、26週の間の、<54 mg/dLの時間(図1B)は、より高い傾向を示した(中央値2.0%対0.6%、p=0.16)。「生命危機的」イベントは記録されなかった。
これらの相違する低血糖症の知見を調査するため、インスリン用量を分析した。A1c≧8.5%の対象は、第26週において両方の処置で同様のA1c減少を示した(p=0.35)(図1C)。しかし、HDL-V処置対象は、研究終了時において、LIS対象よりも約25%少ないボーラスインスリン(それぞれ、平均0.29 U・kg-1・日-1対0.38、p=0.02)、同等の基礎用量(それぞれ、平均0.38 U・kg-1・日-1対0.45、p=0.37)で、A1c減少を達成した(図1E)。ベースラインA1c<8.5%のHDV-LおよびLIS対象はどちらも、経時的なA1c変化をほとんど示さず(図1D)、エンドポイントでのボーラス/基礎インスリン投薬量の違いは見られなかった(基礎およびボーラスについて、それぞれ、p=0.86および0.90)(図1F)。
脂質は、研究を通してほぼ安定的に維持されたが、HDV-L(-6.5 mg/dL)対LIS(7.3 mg/dL)で総コレステロールの有意な減少が観察された(ETD:HDV-L - LIS:-12.0 mg/dL[95%CI -21.1~-2.9、p=0.01])。第5および19週における肝機能試験は、両方の処置で、安定したALT/ASTおよびビリルビンレベルを示した。MRI検査した21名の対象の中で、4名が測定可能なベースライン肝臓脂肪を示し、(HDV-Lで処置した)1名の対象が、他の肝機能障害の証拠なく、測定可能な肝臓脂肪の増加(ベースライン、3.1%;エンドポイント、11.4%)を示した。処置に関連する深刻な有害イベントは報告されなかった。
これは、T1DMにおける肝臓標的指向急速作用性インスリン製剤の有効性および安全性を実証する最初の6ヶ月研究である。HDV-Lは、A1c変化の点で、LISに対して非劣性であり、有意な総コレステロール減少を示し、処置に関連する重度の有害イベントを示さなかった。ペグリスプロ(peglispro)の安全性の結果(Jacober, et al., 2016, Diabetes Obes Metab. 18(Suppl 2):3-16)と異なり、本研究は、ALTに関してグループ間差異を示さなかった。
特定の態様において、HDV-Lの投与は、遊離インスリンの投与よりも生理学的なインスリン分布を提供する。他の態様において、SC用量の一部を肝臓に直接送達することにより、経口摂取炭水化物の約30~60%が肝グリコーゲンとして隔離され、それは末梢グルコース曝露を減少させ、末梢インスリン曝露の減少を要求する。
何らかの学説によって制限されることは望まないが、制御が十分でないHDV-L対象は、経時的なHDV-L用量の意味のある変更は行われなかった(一方、LISは、約25%増加された)が、それでもLISと比較してCRF報告重度低血糖症および<54 mg/dLの時間を経験した者が少なく、処置間または処置内でA1cの差異が見られなかった。何らかの学説によって制限されることは望まないが、より良好な制御のHDV-L対象は、インスリンの効力の機能的向上を認識できず、それらのインスリン用量またはA1cアウトカムに差異がなかったものの、<54 mg/dLの時間経過の増加およびCRF報告低血糖症の有意な増加の傾向を示した。不十分な制御 対 より良好な制御のサグブループで観察された大きく相違する低血糖症リスクの知見および異なるインスリン用量調節は、肝臓内でのSCインスリンの生体分布をより良く変更することにより、HDVが高および低A1cサブグループの両方においてインスリンの機能的効力を向上させるという仮説によってひとつにまとめることができる。
グリコーゲン貯蔵増加の下流での結果は、低血糖症に抗するための肝グルコースの利用可能性の改善であり、これは、ベースラインA1c≧8.5%でHDV-Lを用いた場合に起こり得、54 mg/dL以下の時間の相対的(LISと比較して)および絶対的の両方の減少を示す(図1A)。これに対して、低A1cのサブグループは、HDV-Lの機能的効力の向上と、絶対的低血糖リスクを制限する高血糖「バッファー」の欠如とにより、見かけ上、過剰インスリン処置されていた。
この結果は、HDV-LがLISに対して非劣性であり、その肝臓標的指向成分がインスリン効果を強化することを示している。HDVは、リスプロインスリンに添加されたとき、食事グルコースを肝臓に分布させ、結果として末梢血中グルコースを低下させる。HbA1c>8.5%の、不十分な制御のT1D対象において、本研究にわたって少ないHDV-リスプロインスリン用量を用いた場合でさえも、より良好な血糖制御と低血糖症の減少とが観察された。しかし、HbA1c<8.5%の対象である、より良好な制御の対象において、末梢グルコース負荷の減少は、低血糖症の発症率および重症度を上昇させ、これは患者が彼らの基礎(非HDV)インスリン用量を減少させなかったことが理由だと考えられた。特定の態様において、インスリンへのHDVの添加は、そのインスリンをより強力にし、食事時(HDV-リスプロ)インスリン用量と、絶食時間、特に夜間をカバーする基礎インスリン用量の関係の再評価を余儀なくさせるようである。
表1は、良好~優れた低血糖症試験における持続グルコースモニタリングの結果を、HDV関連低血糖症イベントの増加の観点からまとめている。
Figure 2022526842000004
*ベースライン値およびランダムサイト効果を調節する直接尤度モデルに基づく。
実施例2: 最適な基礎インスリン投薬レジメンを決定するための、肝指向性ベシクル(hepatic directed vesicle)(HDV)-インスリンリスプロおよびインスリンデグルデクを用いた、異なるインスリン投薬アルゴリズムの予備的な無作為化オープンラベル2アーム比較
糖尿病処置のための現在の標準ケアは、1:1用量のボーラスインスリンおよび基礎インスリンを含む。本研究は、低血糖症を引き起こすことなく良好な血中グルコースレベル制御を実現する投薬アルゴリズムを特定するためにHDV含有ボーラスインスリンと基礎インスリンの比を変更する可能性を調査することを目的とする。
本研究は、オープンラベルでの複数回の投与の安全性、認容性、および有効性の研究である。本研究の対象は、I型真性糖尿病に罹患している者である。全対象にインスリンリスプロ(HUMALOG(登録商標))を8週間与える導入フェーズがあり、その後にHDV配合インスリンリスプロ+インスリンデグルデク投与を受ける2つのグループに無作為化される。
特定の態様において、1つのグループの対象は、糖尿病処置において使用されるインスリンデグルデクの従来用量(これは、1:1パラダイム下で与えられるボーラスインスリンと同じ用量であろう)よりも約10%少ない用量のインスリンデグルデクを与えられる。
特定の態様において、別のグループの対象は、糖尿病処置において使用されるインスリンデグルデクの従来用量(これは、1:1パラダイム下で与えられるボーラスインスリンと同じ用量であろう)よりも約40%少ない用量のインスリンデグルデクを与えられる。
特定の態様において、HDV-インスリンは、摂取された炭水化物(グルコース)の肝臓代謝を可能にし、末梢組織へのグルコース負荷を減らし、したがって空腹時低血糖症が減るまたはなくなるようインスリンの基礎用量の調節が必要となる。本発明は、1つの局面において、24時間基礎インスリン、例えば、非限定的に、デグルデク、に対する食事時ボーラスHDV-インスリン用量の、新しい生理学的に調節された比を提供する。
組み入れ基準:
1. 18~65歳(両端の値を含む)の男性または女性
2. T1DM≧12ヶ月
3. C-ペプチド<0.6 ng/mL(1回の再試験を許可)
4. 過去6ヶ月間の速効型アナログインスリン処置
5. 過去2ヶ月間のインスリンポンプ送達システムの未使用
6. 研究開始前の3ヶ月間の個人的な持続グルコースモニタリング(CGM)技術の使用および研究を通じてその使用を継続する意思
7. BMI≧18.0 kg/m2かつ≦33.0 kg/m2 10. 6.5%≦A1C≦8.5%
本研究は、全対象がHDVなしのインスリンリスプロを用いた標準ケアを受ける3ヶ月の導入期間の後の、HbA1cならびに低血糖症の発生数および重篤度を含む彼ら/彼女らの代謝状態の完全な特徴づけを行う2つのアームを含む。第1アームは、(a)HDV-インスリンリスプロ+40%減少させたインスリンデグルデク用量を含む。第2アームは、(b)HDV-インスリンリスプロ+10%減少させたインスリンデグルデク用量を含む。主要評価項目は、処置期間の最後の2週間の、基礎、ボーラスおよび総インスリン用量、ならびに基礎/ボーラス比を含む。本研究は、およそ22週間にわたり、食事時リスプロへのHDVの追加の安全性および有効性、ならびに低血糖症の発生数および重篤度を最小化するための基礎デグルデクインスリンの改善された用量、ならびにHbA1cレベルの改善を証明する。
本研究の間、対象は、低血糖症の兆候を含めて、血中グルコースレベルについてモニタリングされる。その後、重大な低血糖症を発生させない良好な血糖制御を確実にするよう、対象に提供されるボーラスおよび基礎インスリンの量が用量設定される。これは、測定された生物学的マーカーに依存する、対象に投与される基礎インスリンの用量の減少または増加を伴い得る。
実施例3: 1型糖尿病を有する人において低血糖イベントを最小限に抑えるための肝臓インスリン送達
皮下(SC)インスリンは、膵臓インスリンが最初に肝臓に向かうため、非生理学的である。本研究は、非盲検Dexcom G6持続グルコースモニタリング(CGM)を用いて、リスプロ/HUMALOG(登録商標)と組み合わせた肝指向性ビヒクル(HDV)(HDV-L)の送達が、頻回注射(MDI)によって十分に制御されている1型糖尿病(T1D)の患者において低血糖症を減少させるかどうかを決定するよう設計した。
本研究は、ベースラインA1Cが6.5~8.5%のT1Dにおける基礎インスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標))および非盲検持続グルコースモニタリング(CGM)を用いた6ヶ月間(mo)の、食前インスリン(リスプロ、3 mo、その後にHDV-L、3 mo)のオープンラベル研究であった。インスリン用量、低血糖症、および毎日のグルコース制御を、モニタリングパラメータに含めた。
本研究において、目標空腹時血中グルコースは、80~100 mg/dLとした。HDV-Lの用量設定を行うため、3 moで、対象を-10%または-40%基礎用量に無作為化した。毎週、医師が基礎インスリンを用量設定した。低血糖イベントは、≧15分間のCGM≦54 mg/dLと定義した。
インスリン用量:
研究終了時点で、デグルデクの投薬量は同様であったが、HDV-L用量は、最適なリスプロと比較して0.03 U/kg/日(+13%、p=0.023)増えていた。
最適な標準ケアと最適なHDV処置の間で基礎インスリンに変化はなかったが、最適な標準ケアと最適なHDV処置の間でボーラスインスリン用量は、-10%グループにおいては+0.02 U/kg/日;-40%グループにおいては+0.06 U/kg/日と、有意に増えた。基礎インスリン比は、-40%処置グループにおいて逆転し、基礎インスリンよりボーラスインスリンが多くなった。
A1C:
61名の登録者において、平均ベースラインA1C(%)は7.3であった。A1Cは、3 moリスプロ最適化後に6.9、3 mo HDV-L最適化後に7.0であった。したがって、最適な標準ケアとHDV処置の間でA1Cの有意な変化は観察されなかった。
平均1日グルコース:
24時間昼夜にわたる、夜間の、または昼間の平均1日グルコース(<5 mg/dL)に変化はみられなかった。
低血糖イベント:
ベースラインにおいて、週あたりの低血糖イベント数(EPW)は1.11回(1.04回の昼間「DT」および1.39回の夜間「NT」EPW)であり、これは3 moで11%減少し0.99 EPW(0.93 DTおよび1.10 NT EPW)となった。研究終了時点で、HDV-Lへの切り換えは、イベント数をさらに20%減少させ、0.80 EPW(p=0.18;0.86 DT、および0.75 NT EPW p=0.08)となった。
-10%および-40%の両方の処置グループとも、週あたりの低血糖イベント数の減少を示した。-40%グループは、一貫してより大きな利益を示した - 24時間:-26%対-13%;夜間:-42%対-21%;昼間:-17%対+1%。
体重:
体重(-40%グループは研究終了時点で0.5 kg喪失した)
リスプロからHDV-Lへの切り換えは、A1Cの有意なさらなる変化なしに、特に夜間に、低血糖症を数的に減少させた。このさらなる低血糖症の減少は、特に夜間に低血糖症を減少させ得る、食後にグリコーゲン貯蔵を誘導することによりインスリンを肝臓に標的指向させることの、予想される利益と合致する。特定の態様において、ボーラス 対 基礎インスリン比を変化させることにより(例えば、基礎用量を減少させ、ボーラス用量を増加させることにより)、患者は、低血糖症イベントの全体的な減少を達成することができる。他の態様において、ボーラス 対 基礎インスリン比を変化させることにより(例えば、基礎用量を減少させ、ボーラス用量を増加させることにより)、患者は、HbA1c、総コレステロール、体重、および深刻な低血糖症イベントの発生数を同時に減少させることができる。したがって、T1Dを有する人における肝指向性インスリン送達は、肝臓生理学を回復するのを助けると結論付けられる。
態様の列挙:
以下の例示的な態様が提供されるが、その番号は重要度を示すものと解釈されるべきではない。
態様1は、真性糖尿病および/または代謝異常を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、ここで該対象には、脂質ベースのナノ粒子を含むボーラスインスリンHDV組成物のある量が投与され、ここでボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されており、ここで該対象には、基礎インスリンのある量がさらに投与され、
該方法は、重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために該対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、ボーラスインスリンHDV組成物の投与される量および基礎インスリンの投与される量を変更する工程を含み、
ここでナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれており、
ここで両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
ここで少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びており、かつ
ここでナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である、
方法を提供する。
態様2は、重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために前記対象に投与される、基礎インスリンの最適化された量が、前記対象にボーラスインスリンHDV組成物が投与される場合に、前記対象にHDV組成物の一部でないボーラスインスリンが投与される場合と比較して、少ない、態様1の方法を提供する。
態様3は、重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために前記対象に投与される、ボーラスインスリンの最適化された量が、前記対象にボーラスインスリンHDV組成物が投与される場合に、前記対象にHDV組成物の一部でないボーラスインスリンが投与される場合と比較して、少ない、態様1~2のいずれかの方法を提供する。
態様4は、最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象のHbA1cレベルの関数である、態様1~3のいずれかの方法を提供する。
態様5は、最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象が>8.5% HbA1cを有する場合、1:1に等しいまたは1:1より低い、態様1~4のいずれかの方法を提供する。
態様6は、最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象が<8.5% HbA1cを有する場合、1:1に等しいまたは1:1より高い、態様1~4のいずれかの方法を提供する。
態様7は、最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象が<8.5% HbA1cを有する場合、約1:0.6~約1:0.9の範囲である、態様1~4のいずれかの方法を提供する。
態様8は、真性糖尿病および/または代謝異常を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、ここで該対象には当初、該対象において糖尿病が十分に制御されるようにボーラスインスリンのある量および基礎インスリンのある量が投与されており、
該方法は、該対象において糖尿病が十分に制御されるように該対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、該対象に投与される基礎インスリンの量を減らしかつボーラスインスリンHDV組成物の投与される量を変更する工程を含み、
ここでボーラスインスリンHDV組成物は、脂質ベースのナノ粒子を含み、ここでボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されており、
ここでナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれており、
ここで両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
ここで少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びており、かつ
ここでナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である、
方法を提供する。
態様9は、前記対象が約6.5~8.5%のA1Cを有する、態様8の方法を提供する。
態様10は、前記対象が80~100 mg/dLの空腹時血糖を有する、態様8~9のいずれかの方法を提供する。
態様11は、前記対象が、HDVなしの処置と比較してより少ない低血糖症を経験する、態様8~10のいずれかの方法を提供する。
態様12は、ボーラスインスリンの量の減少が約1%~約80%の範囲である、態様8~11のいずれかの方法を提供する。
態様13は、ボーラスインスリンの量の減少が約10%~約40%の範囲である、態様8~12のいずれかの方法を提供する。
態様14は、前記対象が、HDVなしの処置と比較して体重減少を経験する、態様8~13のいずれかの方法を提供する。
態様15は、前記対象が、重大な医原性高インスリン血症を経験しない、態様8~14のいずれかの方法を提供する。
態様16は、基礎インスリンHDV組成物が、GLP-1アゴニストおよび/またはセロトニンをさらに含む、態様8~15のいずれかの方法を提供する。
態様17は、GLP-1アゴニストが、リラグルチド、セマグルチド、またはレパグリニドを含む、態様8~16のいずれかの方法を提供する。
態様18は、基礎インスリンが、脂質ベースのナノ粒子を含む組成物中に配合されており、ここで基礎インスリンはナノ粒子内に分散されており、
ここでナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれており、
ここで両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
ここで少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びており、かつ
ここでナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である、
態様8~17のいずれかの方法を提供する。
態様19は、基礎インスリンが、少なくとも24時間の期間にわたって前記対象に連続的に投与される、態様1~18のいずれかの方法を提供する。
態様20は、前記組成物が、ポンプを用いて前記対象に連続的に投与される、態様1~19のいずれかの方法を提供する。
態様21は、前記対象が、8.5%に等しいまたは8.5%よりも低いヘモグロビンA1cレベルを有する、態様1~20のいずれかの方法を提供する。
態様22は、前記対象が、約8.5%以下かつ6.5%以上のヘモグロビンA1cレベルを有する、態様1~21のいずれかの方法を提供する。
態様23は、前記膜が、安定剤およびステアロイルリゾホスファチジルコリンからなる群より選択される少なくとも1つの薬剤をさらに含む、態様1~22のいずれかの方法を提供する。
態様24は、前記安定剤が、m-クレゾール、ベンジルアルコール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、チオメルサール、およびブチル化ヒドロキシトルエン(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)からなる群より選択される、態様1~23のいずれかの方法を提供する。
態様25は、前記安定剤が、前記膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である、態様23~24のいずれかの方法を提供する。
態様26は、ステアロイルリゾホスファチジルコリンが、前記膜中、約5%~約30%(w/w)の範囲である、態様23の方法を提供する。
態様27は、インスリンが、ナノ粒子に共有結合されている、態様1~26のいずれかの方法を提供する。
態様28は、インスリンが、ナノ粒子に共有結合されていない、態様1~26のいずれかの方法を提供する。
態様29は、インスリンが、ナノ粒子内に分散されていない遊離の溶解されたインスリンを含む水溶液中に懸濁されている、態様1~28のいずれかの方法を提供する。
態様30は、ナノ粒子内に分散されたインスリンおよび遊離の溶解されたインスリンが、独立して、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、レギュラーインスリン、インスリングラルギン、インスリン亜鉛、持続型ヒトインスリン亜鉛懸濁物、イソフェンインスリン、ヒト緩衝レギュラーインスリン、インスリングルリジン、組換えヒトレギュラーインスリン、組換えヒトインスリンイソフェン、インスリンデテミル、二相性ヒトインスリン、およびインスリンデグルデク、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、態様29の方法を提供する。
態様31は、両親媒性脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、態様1~30のいずれかの方法を提供する。
態様32は、肝細胞受容体結合分子が、ビオチンを含む、態様1~31のいずれかの方法を提供する。
態様33は、ビオチン含有肝細胞受容体結合分子が、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)ビオチン、スルホ-NHS-ビオチン、N-ヒドロキシスクシンイミド長鎖ビオチン、スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド長鎖ビオチン、D-ビオチン、ビオシチン、スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド-S-S-ビオチン、ビオチン-BMCC、ビオチン-HPDP、ヨードアセチル-LC-ビオチン、ビオチン-ヒドラジド、ビオチン-LC-ヒドラジド、ビオシチンヒドラジド、ビオチンカダベリン、カルボキシビオチン、フォトビオチン、p-アミノベンゾイルビオシチントリフルオロアセテート、p-ジアゾベンゾイルビオシチン、ビオチンDHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)エチルホスフェート)、ビオチン-X-DHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(6-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)ヘキサンアミド)エチルホスフェート)、12-((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸、12-((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシンイミジルエステル、S-ビオチニルホモシステイン、ビオシチン-X、ビオシチン x-ヒドラジド、ビオチンエチレンジアミン、ビオチン-XL、ビオチン-X-エチレンジアミン、ビオチン-XXヒドラジド、ビオチン-XX-SE、ビオチン-XX, SSE、ビオチン-X-カダベリン、α-(t-BOC)ビオシチン、N-(ビオチニル)-N'-(ヨードアセチル)エチレンジアミン、DNP-X-ビオシチン-X-SE、ビオチン-X-ヒドラジド、ノルビオチンアミンヒドロクロリド、3-(N-マレイミジルプロピオニル)ビオシチン、ARP、ビオチン-l-スルホキシド、ビオチンメチルエステル、ビオチン-マレイミド、ビオチン-ポリ(エチレングリコール)アミン、(+)ビオチン 4-アミド安息香酸ナトリウム塩、ビオチン 2-N-アセチルアミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド、ビオチン-α-D-N-アセチルノイラミニド、ビオチン-α-L-フコシド、ビオチン ラクト-N-ビオシド、ビオチン-ルイスA三糖、ビオチン-ルイスY四糖、ビオチン-α-D-マンノピラノシド、およびビオチン 6-O-ホスホ-α-D-マンノピラノシドからなる群より選択される少なくとも1つを含む、態様32の方法を提供する。
態様34は、ビオチン含有肝細胞受容体結合分子が、ビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つを含む、態様33の方法を提供する。
態様35は、前記組成物が、ナノ粒子内に分散された治療薬に少なくとも部分的に結合した酢酸フタル酸セルロースをさらに含む、態様1~34のいずれかの方法を提供する。
態様36は、前記組成物が、ナノ粒子内に分散された治療薬に結合した少なくとも1つの荷電有機分子をさらに含み、該荷電有機分子が、プロタミン、ポリリジン、1:1:1のモル比のポリ(arg-pro-thr)n、6:1のモル比のポリ(DL-Ala-ポリ-L-lys)n、ヒストン、一級アミノ基を含む糖ポリマー、一級アミノ基を有するポリヌクレオチド、カルボキシル(COO-)またはスルフヒドラル(sulfhydral)(S-)官能基を有するアミノ酸残基を含むタンパク質、および酸性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1つである、態様1~35のいずれかの方法を提供する。
態様37は、コレステロールが、前記膜中、約5%~約25%(w/w)の範囲である、態様1~36のいずれかの方法を提供する。
態様38は、リン酸ジセチルが、前記膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である、態様1~37のいずれかの方法を提供する。
態様39は、DSPCが、前記膜中、約40%~約75%(w/w)の範囲である、態様1~38のいずれかの方法を提供する。
態様40は、肝細胞受容体結合分子が、前記膜中、約0.5%~約10%(w/w)の範囲である、態様1~39のいずれかの方法を提供する。
態様41は、前記膜中のステアロイルリゾホスファチジルコリンの量が、前記膜中のDSPCの量の約5%~30%(w/w)である、態様23の方法を提供する。
態様42は、前記膜が、
(a)コレステロール;リン酸ジセチル;DSPC;ステアロイルリゾホスファチジルコリン;m-クレゾール;ならびにビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つ、
(b)コレステロール;リン酸ジセチル;DSPC;m-クレゾール;ならびにビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つ、ならびに
(c)コレステロール;リン酸ジセチル;DSPC;ステアロイルリゾホスファチジルコリン;ならびにビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つ
のうちの1つを含む、態様23の方法を提供する。
態様43は、前記膜が、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを、
(a)約9.4:18.1:56.8:14.1:0.0:1.5、
(b)約7.7:15.0:58.6:0.0:17.4:1.3、および
(c)約8.4:16.2:47.5:7.6:19.0:1.3
からなる群より選択される%(w/w)比で含む、態様23の方法を提供する。
態様44は、前記対象が、1型糖尿病、2型糖尿病、および/または代謝異常を有する、態様1~43のいずれかの方法を提供する。
本明細書で引用されている各々およびすべての特許、特許出願および刊行物の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明は、具体的実施例を参照して開示されているが、本発明の真の意図および範囲から逸脱することなく本発明の他の態様および派生物が当業者により導かれ得ることが明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような態様および等価な派生物を包含するよう構成されることが意図されている。

Claims (44)

  1. 真性糖尿病および/または代謝異常を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、ここで該対象には、脂質ベースのナノ粒子を含むボーラスインスリンHDV組成物のある量が投与され、ここでボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されており、ここで該対象には、基礎インスリンのある量がさらに投与され、
    該方法は、重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために該対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、ボーラスインスリンHDV組成物の投与される量および基礎インスリンの投与される量を変更する工程を含み、
    ここでナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれており、
    ここで両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
    ここで少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びており、かつ
    ここでナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である、
    方法。
  2. 重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために前記対象に投与される、基礎インスリンの最適化された量が、前記対象にボーラスインスリンHDV組成物が投与される場合に、前記対象にHDV組成物の一部でないボーラスインスリンが投与される場合と比較して、少ない、請求項1記載の方法。
  3. 重大な低血糖症なしで治療的に有効な血中グルコース制御を提供するために前記対象に投与される、ボーラスインスリンの最適化された量が、前記対象にボーラスインスリンHDV組成物が投与される場合に、前記対象にHDV組成物の一部でないボーラスインスリンが投与される場合と比較して、少ない、請求項1記載の方法。
  4. 最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象のHbA1cレベルの関数である、請求項1記載の方法。
  5. 最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象が>8.5% HbA1cを有する場合、1:1に等しいまたは1:1より低い、請求項1記載の方法。
  6. 最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象が<8.5% HbA1cを有する場合、1:1に等しいまたは1:1より高い、請求項1記載の方法。
  7. 最適化された投与されるボーラスインスリンHDV組成物と、最適化された投与される基礎インスリンの、インスリン比が、前記対象が<8.5% HbA1cを有する場合、約1:0.6~約1:0.9の範囲である、請求項1記載の方法。
  8. 糖尿病を有する対象に投与されるボーラスインスリンおよび基礎インスリンの量を最適化する方法であって、ここで該対象には当初、該対象において糖尿病が十分に制御されるようにボーラスインスリンのある量および基礎インスリンのある量が投与されており、
    該方法は、該対象において糖尿病が十分に制御されるように該対象に投与される、ボーラスインスリンHDV組成物の最適化された量および基礎インスリンの最適化された量を特定するように、該対象に投与される基礎インスリンの量を減らしかつボーラスインスリンHDV組成物の投与される量を変更する工程を含み、
    ここでボーラスインスリンHDV組成物は、脂質ベースのナノ粒子を含み、ここでボーラスインスリンはナノ粒子内に分散されており、
    ここでナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれており、
    ここで両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
    ここで少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びており、かつ
    ここでナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である、
    方法。
  9. 前記対象が約6.5~8.5%のA1Cを有する、請求項8記載の方法。
  10. 前記対象が80~100 mg/dLの空腹時血糖を有する、請求項8記載の方法。
  11. 前記対象が、HDVなしの処置と比較してより少ない低血糖症を経験する、請求項8記載の方法。
  12. ボーラスインスリンの量の減少が約1%~約80%の範囲である、請求項8記載の方法。
  13. ボーラスインスリンの量の減少が約10%~約40%の範囲である、請求項8記載の方法。
  14. 前記対象が、HDVなしの処置と比較して体重減少を経験する、請求項8記載の方法。
  15. 前記対象が、重大な医原性高インスリン血症を経験しない、請求項1または請求項8記載の方法。
  16. 基礎インスリンHDV組成物が、GLP-1アゴニストおよび/またはセロトニンをさらに含む、請求項1または請求項8記載の方法。
  17. GLP-1アゴニストが、リラグルチド、セマグルチド、またはレパグリニドを含む、請求項16記載の方法。
  18. 基礎インスリンが、脂質ベースのナノ粒子を含む組成物中に配合されており、ここで基礎インスリンはナノ粒子内に分散されており、
    ここでナノ粒子は、コレステロールと、リン酸ジセチルと、両親媒性脂質と、肝細胞受容体結合分子とを含む二極性脂質膜によって包まれており、
    ここで両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール-[3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
    ここで少なくとも1つの肝細胞受容体結合分子は、ナノ粒子から外側に延びており、かつ
    ここでナノ粒子のサイズは、約10 nm~約150 nmの範囲である、
    請求項1または請求項8記載の方法。
  19. 基礎インスリンが、少なくとも24時間の期間にわたって前記対象に連続的に投与される、請求項1または請求項8記載の方法。
  20. 前記組成物が、ポンプを用いて前記対象に連続的に投与される、請求項1または請求項8記載の方法。
  21. 前記対象が、8.5%に等しいまたは8.5%よりも低いヘモグロビンA1cレベルを有する、請求項1または請求項8記載の方法。
  22. 前記対象が、約8.5%以下かつ6.5%以上のヘモグロビンA1cレベルを有する、請求項1または請求項8記載の方法。
  23. 前記膜が、安定剤およびステアロイルリゾホスファチジルコリンからなる群より選択される少なくとも1つの薬剤をさらに含む、請求項1または請求項8記載の方法。
  24. 前記安定剤が、m-クレゾール、ベンジルアルコール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、チオメルサール、およびブチル化ヒドロキシトルエン(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
  25. 前記安定剤が、前記膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である、請求項23記載の方法。
  26. ステアロイルリゾホスファチジルコリンが、前記膜中、約5%~約30%(w/w)の範囲である、請求項23記載の方法。
  27. インスリンが、ナノ粒子に共有結合されている、請求項1または請求項8記載の方法。
  28. インスリンが、ナノ粒子に共有結合されていない、請求項1または請求項8記載の方法。
  29. インスリンが、ナノ粒子内に分散されていない遊離の溶解されたインスリンを含む水溶液中に懸濁されている、請求項1または請求項8記載の方法。
  30. ナノ粒子内に分散されたインスリンおよび遊離の溶解されたインスリンが、独立して、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、レギュラーインスリン、インスリングラルギン、インスリン亜鉛、持続型ヒトインスリン亜鉛懸濁物、イソフェンインスリン、ヒト緩衝レギュラーインスリン、インスリングルリジン、組換えヒトレギュラーインスリン、組換えヒトインスリンイソフェン、インスリンデテミル、二相性ヒトインスリン、およびインスリンデグルデク、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項29記載の方法。
  31. 両親媒性脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1または請求項8記載の方法。
  32. 肝細胞受容体結合分子が、ビオチンを含む、請求項1または請求項8記載の方法。
  33. ビオチン含有肝細胞受容体結合分子が、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)ビオチン、スルホ-NHS-ビオチン、N-ヒドロキシスクシンイミド長鎖ビオチン、スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド長鎖ビオチン、D-ビオチン、ビオシチン、スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド-S-S-ビオチン、ビオチン-BMCC、ビオチン-HPDP、ヨードアセチル-LC-ビオチン、ビオチン-ヒドラジド、ビオチン-LC-ヒドラジド、ビオシチンヒドラジド、ビオチンカダベリン、カルボキシビオチン、フォトビオチン、p-アミノベンゾイルビオシチントリフルオロアセテート、p-ジアゾベンゾイルビオシチン、ビオチンDHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)エチルホスフェート)、ビオチン-X-DHPE(2,3-ジアセトキシプロピル 2-(6-(5-((3aS,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)ヘキサンアミド)エチルホスフェート)、12-((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸、12-((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシンイミジルエステル、S-ビオチニルホモシステイン、ビオシチン-X、ビオシチン x-ヒドラジド、ビオチンエチレンジアミン、ビオチン-XL、ビオチン-X-エチレンジアミン、ビオチン-XXヒドラジド、ビオチン-XX-SE、ビオチン-XX, SSE、ビオチン-X-カダベリン、α-(t-BOC)ビオシチン、N-(ビオチニル)-N'-(ヨードアセチル)エチレンジアミン、DNP-X-ビオシチン-X-SE、ビオチン-X-ヒドラジド、ノルビオチンアミンヒドロクロリド、3-(N-マレイミジルプロピオニル)ビオシチン、ARP、ビオチン-l-スルホキシド、ビオチンメチルエステル、ビオチン-マレイミド、ビオチン-ポリ(エチレングリコール)アミン、(+)ビオチン 4-アミド安息香酸ナトリウム塩、ビオチン 2-N-アセチルアミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド、ビオチン-α-D-N-アセチルノイラミニド、ビオチン-α-L-フコシド、ビオチン ラクト-N-ビオシド、ビオチン-ルイスA三糖、ビオチン-ルイスY四糖、ビオチン-α-D-マンノピラノシド、およびビオチン 6-O-ホスホ-α-D-マンノピラノシドからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項32記載の方法。
  34. ビオチン含有肝細胞受容体結合分子が、ビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項33記載の方法。
  35. 前記組成物が、ナノ粒子内に分散された治療薬に少なくとも部分的に結合した酢酸フタル酸セルロースをさらに含む、請求項1または請求項8記載の方法。
  36. 前記組成物が、ナノ粒子内に分散された治療薬に結合した少なくとも1つの荷電有機分子をさらに含み、該荷電有機分子が、プロタミン、ポリリジン、1:1:1のモル比のポリ(arg-pro-thr)n、6:1のモル比のポリ(DL-Ala-ポリ-L-lys)n、ヒストン、一級アミノ基を含む糖ポリマー、一級アミノ基を有するポリヌクレオチド、カルボキシル(COO-)またはスルフヒドラル(sulfhydral)(S-)官能基を有するアミノ酸残基を含むタンパク質、および酸性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1または請求項8記載の方法。
  37. コレステロールが、前記膜中、約5%~約25%(w/w)の範囲である、請求項1または請求項8記載の方法。
  38. リン酸ジセチルが、前記膜中、約10%~約25%(w/w)の範囲である、請求項1または請求項8記載の方法。
  39. DSPCが、前記膜中、約40%~約75%(w/w)の範囲である、請求項1または請求項8記載の方法。
  40. 肝細胞受容体結合分子が、前記膜中、約0.5%~約10%(w/w)の範囲である、請求項1または請求項8記載の方法。
  41. 前記膜中のステアロイルリゾホスファチジルコリンの量が、前記膜中のDSPCの量の約5%~30%(w/w)である、請求項23記載の方法。
  42. 前記膜が、
    (a)コレステロール;リン酸ジセチル;DSPC;ステアロイルリゾホスファチジルコリン;m-クレゾール;ならびにビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つ、
    (b)コレステロール;リン酸ジセチル;DSPC;m-クレゾール;ならびにビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つ、ならびに
    (c)コレステロール;リン酸ジセチル;DSPC;ステアロイルリゾホスファチジルコリン;ならびにビオチンDHPEおよびビオチン-X-DHPEからなる群より選択される少なくとも1つ
    のうちの1つを含む、請求項23記載の方法。
  43. 前記膜が、コレステロール、リン酸ジセチル、DSPC、ステアロイルリゾホスファチジルコリン、m-クレゾール、およびビオチンDHPEを、
    (a)約9.4:18.1:56.8:14.1:0.0:1.5、
    (b)約7.7:15.0:58.6:0.0:17.4:1.3、および
    (c)約8.4:16.2:47.5:7.6:19.0:1.3
    からなる群より選択される%(w/w)比で含む、請求項23記載の方法。
  44. 前記対象が、1型糖尿病、2型糖尿病、および/または代謝異常を有する、請求項1または請求項8記載の方法。
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