JP2022526656A - 治療血漿濃度に達するために増強された非晶質固体および溶解製剤の性能 - Google Patents

治療血漿濃度に達するために増強された非晶質固体および溶解製剤の性能 Download PDF

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Abstract

本発明は、式:TIFF2022526656000019.tif54153を有する化合物(I)および1以上のポリマーを含む固体非晶質分散体、または化合物(I)および1以上の共溶媒および界面活性剤を含む溶液製剤に関する。当該製剤は、高い安定性およびバイオアベイラビリティを示す。

Description

本発明は、第XIa因子(FXIa)の阻害剤と、適宜、固体分散剤として1つ以上のポリマーまたは1つ以上の共溶媒、錯化剤および液体分散剤として界面活性剤とを含む医薬製剤に関する。より具体的には、本発明は、長期間にわたり、固体または液体状態で安定であるFXIaの阻害剤の生物学的に利用可能な非晶質固体分散体または溶解溶液剤形(例えば、液体充填カプセル)に関する。
(発明の背景)
血栓塞栓性疾患は、ワルファリン(COUMADIN(登録商標))、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)および合成五糖類などの抗凝血剤、ならびにアスピリンおよびクロピドグレル(PLAVIX(登録商標))などの抗血小板剤が利用可能であるにもかかわらず、依然として先進国における主要な死亡原因となっている。経口抗凝血剤のワルファリンは、血液凝固第VII、IX、X因子およびプロトロンビンの翻訳後の成熟を阻害し、静脈および動脈の両方の血栓症に効果的であることが証明されている。しかし、それは治療指数が狭く、治療の効き目が遅く、多くの食物および薬剤と相互作用し、モニタリングおよび用量調整が必要であるため、その用法は限られている。従って、広範囲に及ぶ血栓塞栓性障害を予防および治療するために、安全で効果的な経口用抗凝血剤を見出し、開発することが、ますます重要となっている。
解決方法の1つは、血液凝固第XIa(FXIa)因子の阻害を標的とすることでトロンビンの生成を阻害することである。第XIa因子は、インビボにて、組織因子(TF)が第VII因子(FVII)に結合し、第VIIa因子(FVIIa)を産生することで始まる血液凝固の制御に関与する血漿セリンプロテアーゼである。得られたTF:FVIIa複合体は、第IX因子(FIX)および第X因子(FX)を活性化して、第Xa因子(FXa)の産生がおこる。生成したFXaは、プロトロンビンを少量のトロンビンに変換することを触媒した後、この経路は組織因子経路阻害剤(TFPI)により停止される。血液凝固のプロセスは、次に、触媒量のトロンビンによる第V、VIIIおよびXI因子のフィードバック活性化を介してさらに伝播される(Gailani,D. et al, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 27:2507-2513(2007))。その結果、トロンビンのバーストにより、フィブリノーゲンは、重合して血餅の構造的枠組みを形成して、血液凝固の重要な細胞成分である血小板を活性化するフィブリンへと変換される(Hoffman, M., Blood Reviews, 17:S1-S5(2003))。従って、第XIa因子は、この増幅ループの伝播において重要な役割を果たすため、抗血栓療法の魅力的な標的である。
近年、血栓塞栓症の治療に有用と考えられるFXIaの阻害剤が発見された。その阻害剤、即ち(9R,13S)-13-{4-[5-クロロ-2-(4-クロロ-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-1-イル}-3-(ジフルオロメチル)-9-メチル-3,4,7,15-テトラアザトリシクロ[12.3.1.02,6]オクタデカ-1(18),2(6),4,14,16-ペンテン-8-オンは、式(I):
Figure 2022526656000002
の構造を示しており、本明細書では「化合物(I)」とよぶ。化合物(I)、化合物(I)を製造する方法および化合物(I)を用いる治療方法は、米国特許出願公開第2016/0096839号に開示されている(本出願人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)。この化合物は、生理学的関連領域では非イオン性であり、室温では低い水溶解性を示す。化合物(I)に関するこれらの特性は、治療上有効な血中濃度を達成するための経口投与用の製剤化を困難にしている。
非晶質原薬の固体分散系は、結晶成長を抑制し、難水溶性原薬の溶解性を高めることを目的として研究されてきた(例えば、European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 63:103-114 (2006)を参照されたい)。一般的に、有効な固体非晶質分散体は、少なくとも20%w/w以上のポリマーを組み込む必要があることが判っている(例えば、WO 10/102245およびUS 2003/0219489を参照)。ある例では、5%w/wのプロビドン(PVP)により、分子分散体中のインドメタシンの結晶成長が抑制されることが報告されており、これは活性成分とPVPポリマーとの水素結合が理由であると報告されている(Pharmaceutical Research, 16:1722-1728 (1999)を参照されたい)。また、溶解性および駆虫剤の活性の向上を示す駆虫剤のポリマー製剤も開示されている(EP 0 224 249を参照)。
したがって、当技術分野において、現在必要とされているものは、安定で、望ましい医薬プロファイルを有しており、かつ製造条件に適応可能である、1つ以上の化合物(I)の生物学的に利用可能な製剤である。
驚くべきことに、本発明によれば、化合物(I)は、噴霧乾燥することにより、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)などの医薬的に適切なポリマー中では非晶質固体分散体として製剤化できることが判った。得られる噴霧乾燥された固体分散体(SDD)は、非常に優れた物理的かつ化学的安定性を持っており、高い薬効成分(API)(例えば100%非晶質APIなど)を含有している。また、このSDDは、水分の多い環境下でも予想外の優れた安定性を示した。本製剤の試料を、高いRH(例えば、75%)に直接暴露しても、3~6ヵ月の間、結晶化は認められなかった。また、当該製剤の溶出挙動は、全てのSDD組成物に対して安定しており、ストレスにさらされても変化しなかった。したがって、この原薬製剤は、あらゆる通常の保存条件下において、性能特性を維持しており、乾燥剤および防湿剤などの包装管理を必要としない。また驚くべきことに、本発明に従うと、化合物(I)は、溶液中に溶解することができ、これはSDD製剤と同等の治療効果を示し得ることが判明した。
(発明の要約)
一態様において、本発明は、非晶質形態/非晶質体である以下の式(I):
Figure 2022526656000003
の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、実質的に図1に示す通りの粉末X線回折パターン(PXRD)を示す非晶質化合物(I)を提供する。
別の態様では、本発明は、実質的に図3に示す通りの粉末X線回折パターン(PXRD)を示す非晶質化合物(I)を提供する。
別の態様では、本発明は、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発凍結乾燥、溶融急冷または押出成形、あるいはそれらの任意の組み合わせによって、化合物(I)の非晶質形態を製造する方法を提供する。例えば、非晶質形態は、凍結乾燥によって製造することができる。別の例では、非晶質形態は、噴霧乾燥によって製造することができる。
別の態様では、本発明は、式(I):
Figure 2022526656000004
の化合物および医薬的に適切なポリマー(ここで、該ポリマーは、PVP、HPMCASおよびHPMCからなる群から選択されるが、これらに限定するものではない)を含む非晶質固体分散体を提供する。
別の態様では、本発明は、化合物(I)の非晶質固体分散体を製造する方法を提供し、当該方法は、以下の工程:
(a)化合物(I)、少なくとも1つのポリマーおよび溶媒を含む溶液を調製する工程;および
(b)前記溶液を噴霧乾燥することにより、非晶質固体分散体を製造する工程、
を含む。
溶液は、酢酸、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、酢酸エチル、メチルエーテルケトン、ジクロロメタンおよび水からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含むことができる。いくつかの実施態様では、溶液は、アセトン、テトラヒドロフラン、アルコール、酢酸エチル、メチルエーテルケトン、ジクロロメタンおよび水からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含むことができる。いくつかの実施態様では、溶媒は、ジクロロメタンおよびメタノールである。いくつかの実施態様では、溶媒は、アセトン、ジクロロメタンおよびメタノールである。例えば、溶媒は、アセトンであってよい。ポリマーは、PVP、PVP-酢酸ビニルコポリマー、HPMCASおよびHPMCからなる群から選択することができる。例えば、ポリマーは、HPMCASであってもよい。
別の態様では、本発明は、医薬的に許容される担体および治療上有効な量の本発明の非晶質固体分散体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、経口投与用の医薬組成物を提供する。
別の態様では、経口投与用に製剤化された医薬組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、顆粒または懸濁液の形態である。
別の態様では、本発明は、化合物(I)および共溶媒(例えば、有機溶媒)、ならびに所望により錯化剤、ポリマー、界面活性剤または水を含む溶液製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、最大約85%(v/v)までの共溶媒と共に、所望により最大約20%(v/v)のポリマー、所望により最大約20%(v/v)の錯化剤、所望により最大約60%(v/v)の界面活性剤および所望により最大約10%(v/v)の水を含む溶液製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、共溶媒として最大約85%(v/v)のポリエチレングリコール(PEG)と共に、所望によりポリマーとして最大約20%(v/v)のPVP K30および界面活性剤として最大約50%(v/v)のTween80またはビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む溶液製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、約35~80%(v/v)のPEG、約0~20%のPVP K30および約2~50%(v/v)のTween80と共に含む溶液製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物を、約50~85%(v/v)のPEG、約5~40%(v/v)のTween80と共に含む溶液製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物を、約80%(v/v)のPEGおよび約20%(v/v)のTween80と共に含む溶液製剤を提供する。
別の態様では、本発明は、溶液を含む医薬用カプセルまたは半固体製剤を提供する。この医薬用カプセルは、好ましくはゲルカプセルである。
別の態様では、本発明は、化合物(I)を、PEG、TPGS、PVP K30、Tween80、エタノールまたは水、あるいはそれらの任意に組み合わせた溶液に溶解させることを特徴とする、医薬組成物の製造方法を提供する。いくつかの実施態様では、本願方法は、組成物を医薬用カプセルに加える工程をさらに含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の実施態様に関する治療有効量の医薬用カプセル組成物を患者に投与することを特徴とする、血栓塞栓症(例えば、動脈性心血管血栓塞栓症、静脈性心血管血栓塞栓症、動脈性脳血管血栓塞栓症および静脈性脳血管血栓塞栓症を含むが、これらに限定するものではない)を治療および予防するための方法を提供する。
本発明は、上記目的だけではなく、以下に述べる別の重要な目的にも関する。
図1は、凍結乾燥された非晶質形態の化合物(I)の粉末X線回折パターンである。 図2は、非晶質形態の化合物(I)の変調示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。 図3は、噴霧乾燥された非晶質形態の化合物(I)の粉末X線回折パターンである。 図4は、噴霧乾燥された非晶質形態の化合物(I)の変調示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。 図5は、噴霧乾燥された非晶質形態の化合物(I)の固体核磁気共鳴スペクトル(ssNMR)である。 図6は、化合物(I)およびHPMCASの非晶質固体分散体組成物の粉末X線回折パターンを示す。
(定義)
本明細書で使用される冠詞「a」または「an」は、特段の指定が無い限り、1つ以上を意味する。
本明細書で使用される「非晶質」とは、結晶ではない分子および/またはイオンの固体形態を示す。非晶質固体は、明確な最大値を示す決定的なX線回折パターンを示さない。
本明細書で使用される「薬物血中濃度時間曲線下面積」(「AUC」)とは、医薬有効成分の用量を投与した後の、医薬有効成分または医薬有効成分の代謝物の経時的な血中濃度の変化によって定義される曲線下面積を意味する。「AUC0-inf」は、投与後に無限大に外挿した濃度-時間曲線下の面積である。「AUC0-t」は、投与後のゼロ時点からt時点までの濃度-時間曲線下の面積であり、ここでtは測定可能な濃度の最終時点である。
本明細書で使用される「Cmax」とは、医薬有効成分または医薬有効成分の代謝物の血中濃度の経時的変化を表す曲線に示される血中濃度の最大値をいう。
本明細書で使用する「tmax」とは、医薬有効成分または医薬有効成分の代謝物の血中濃度が最大値となる最も早い時間をいう。
本明細書で使用する「バイオアベイラビリティ」とは、有効成分または活性部分が医薬品から吸収され、作用部位で利用可能となる速度および程度をいう。血流中で吸収されることを意図しない医薬品の場合、バイオアベイラビリティは、有効成分または活性部分が作用部位で利用可能となる速度および程度を表すことを目的とする測定値により評価され得る。例えば、バイオアベイラビリティは、血液(血清または血漿)中の有効成分の量を時間関数として測定することができる。バイオアベイラビリティの測定および評価には、AUC、Cmax、tmaxなどの薬物動態(PK)パラメーターを用いることができる。
本明細書で使用される「投与量」または「用量」とは、1回の投与で治療効果をもたらすのに十分な量の有効成分を含有する製剤のあらゆる形態をいう。
本明細書で使用される「食事の影響」とは、患者において原薬を絶食状態で投与した場合に、摂食状態と比較して原薬のバイオアベイラビリティに有意な差があることを意味する。また、「食事の影響無し」とは、原薬を絶食状態で投与した場合に、患者における原薬のバイオアベイラビリティに、摂食状態と比較して有意な差がないことを意味する。
本明細書で使用される「製剤」および「組成物」は、互換的に使用され、所定の目的のために同時に存在する要素の組み合わせを意味する。このような用語は、当業者にはよく知られている。
本明細書で使用される「固体分散体」とは、少なくとも2つの成分を含む固体状態の系をいい、1つの成分がもう一方の成分(または複数成分)全体に分散しているものをいう。本明細書で使用される「非晶質固体分散体」という用語は、非晶質原薬およびキャリアマトリックスを含む安定した固体分散体を意味する。本明細書で使用される「非晶質原薬」とは、実質的に非晶質の固体形態で原薬を含む非晶質固体分散体である。実質的な非晶質状態とは、分散体中の原薬の少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも95%が非晶質の形態のものを含み得る。
本明細書で使用される「医薬的に許容される」とは、健全な医学的判断の範疇で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題または合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合って、ヒトまたは動物の組織と接触して使用するのに適切な化合物、材料、組成物および/または剤形を意味する。
本明細書で使用される「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度にまで単離し、かつ有効な治療剤への製剤化に耐える程に十分に強固である化合物をいう。本発明は、安定な化合物を実現させることを意図している。
本明細書で使用される「治療する」または「治療」とは、哺乳類、特にヒトにおける疾患状態の治療を対象としており、(a)哺乳類において疾患状態が発症するのを防止すること、特に、その哺乳類が疾患状態の素因を持っているが、まだ疾患を有すると診断されていない場合に、疾患状態が発症するのを防止すること;(b)疾患状態を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること;および/または(c)疾患状態を緩和すること、すなわち、疾患状態の退行を引き起こすことを含む。
本明細書で使用される「包含する」、「包含している」、「含有する」、「有する」または「有している」などは、「含む」を意味する。
「約」という用語が前に付いた成分、重量%、温度などを表す全ての数値は、単に近似値としてのみ理解されるべきであり、上下の僅かな変動を含んで記載された数値は、その記載された数字と実質的に同じ結果を得ることができる。従って、反対の結果が示されない限り、「約」という語が先行する数値パラメーターは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用をクレームの範囲に限定する意図ではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、また通常の四捨五入を適用して解釈されるべきである。
全ての測定値は、実験誤差の影響を受けており、また本発明の範囲内にある。
本明細書で使用される略語は、以下のように定義される:1x」は1回、「2x」は2回、「3x」は3回、「℃」は摂氏温度、「eq」は当量、「g」はグラム、「mg」はミリグラム、「kg」はキログラム、「L」はリットル、「mL」はミリリットル、「μL」はマイクロリットル、「N」は規定度、「M」はモル、「mmol」はミリモル、「min」は分、「h」は時間、「rt」は室温、「RT」は保持時間、「RBF」は丸底フラスコ、「atm」は大気圧、「psi」はポンド毎平方インチ、「conc.」は濃縮物、「sat」または「sat'd」は飽和、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィー、「MW」は分子量、「mp」は融点、「ee」はエナンチオマー過剰、「MS」または「Mass Spec」は質量分析、「ESI」はエレクトロスプレーイオン化質量分析、「HR」は高分解能、「HRMS」は高分解能質量分析、「LCMS」は液体クロマトグラフィー質量分析、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィー、「RPHPLC」は逆相HPLC、「NMR」は核磁気共鳴分光法、「Hz」はヘルツと定義され、「α」、「β」、「R」、「S」、「E」および「Z」は、当業者に周知の立体化学の記号である。
非晶質固体分散体
一態様では、本発明は、化合物(I)の非晶質形態を提供する。この新規な非晶質形態は、例えば、粉末X線回折によって特徴付けられ得る。
例えば、図1に示される通り、非晶質形態は、結晶のピークを示さない粉末X線回折パターンを有しており、非晶質固体であることを示している。上記で定義された非晶質化合物は、さらに以下の特性の少なくとも1つにより特徴付けられる:図2に示される通り、約163℃でのガラス転移点により特徴付けられる変調DSCプロファイル。
一実施態様では、本発明は、新規の非晶質化合物(I)を製造するための方法を提供する。一実施態様では、非晶質化合物(I)は、化合物(I)をアセトニトリル-水の混合溶液に溶解することにより製造した。得られた溶液を、ドライアイスで凍結させて、真空下で凍結乾燥した。非晶質化合物(I)を製造するために使用した出発物質は、結晶形態/結晶体が好ましい。
上記で定義した非晶質化合物(I)は、化学的かつ物理的にも安定している。これらの特性により、本発明の化合物を含有する固体形態を製造することができる。
別の態様では、本発明は、式:
Figure 2022526656000005
の化合物(I)および医薬的に適切なポリマーを含む非晶質固体分散体組成物を含むもので、該ポリマーは、PVP、HPMCASおよびHPMCからなる群から選択され、特にHPMCASが選択される。本発明の化合物(I)の非晶質固体分散体は、予想外の有利な医薬プロファイルを示す。この分散体は、優れた経口バイオアベイラビリティを示し、固体状態にて化学的かつ物理的にも驚くほど安定している。
一実施態様では、化合物(I)とポリマーの比率が、約99~約75%(w/w)の化合物(I)と約1~約25%(w/w)のポリマーの範囲で存在する非晶質固体分散体が提供される。別段の記載がない限り、成分の割合(%)は、重量/重量または「w/w」を基準として示される。
別の実施態様では、化合物(I)とポリマーの比率が、約74~約50%(w/w)の化合物(I)と約26~約50%(w/w)のポリマーの範囲で存在する非晶質固体分散体が提供される。
別の実施態様では、化合物(I)とポリマーの比率が、約49~約25%(w/w)の化合物(I)と約51~約75%(w/w)のポリマーの範囲で存在する非晶質固体分散体が提供される。
別の実施態様では、凍結乾燥法または噴霧乾燥法、特に噴霧乾燥によって製造された非晶質固体分散体が提供される。
別の実施態様では、少なくとも約12ヶ月間、固体状態で安定である、非晶質固体分散体が提供される。
別の実施態様では、少なくとも約24ヶ月間、固体状態で安定である、非晶質固体分散体が提供される。
別の実施態様では、医薬的に許容される担体および治療上有効な量の分散体を含む医薬組成物が提供される。
別の実施態様では、分散体を含む経口投与による生物学的に利用可能な組成物が提供される。
本明細書に記載の組成物を製造するために、当業者が利用できる様々な製造手段を利用することができる。本発明の非晶質分散体は、凍結乾燥または噴霧乾燥により製造されてもよい。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の方法により製造された分散体は、結晶化の兆候を示さない。本明細書に記載の組成物を製造するためには、噴霧乾燥の手法を用いることが好ましい。噴霧乾燥の反応条件は、酢酸、アセトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールまたはその他の有機溶媒の溶液を使用することができ、これは所望により0~40%(v/v)の水を含んでいてもよい。好ましい噴霧乾燥の反応条件は、アセトン、メタノールまたはエタノールの溶液(所望により0~40%(v/v)の水を含んでいてもよい)を使用すること、および噴霧乾燥装置の入口温度を、通常、約70~175℃にすることを含む。エタノールなどの含水率の高い溶媒を使用すれば、175℃以上の温度でも可能である。噴霧乾燥された物質は、粒子の90%が、100μm以下である粒子径を有することが可能である。通常、噴霧乾燥された物質は、粒子の90%が、50μm以下である粒径を有する。図6から、本発明の非結晶性の非晶質特性が確認されている。驚くべきことに、本発明の分散体は、実施例3に示される通り、化学的かつ物理的に安定している。例えば、実施例3に示されたデータに基づくと、分散体に含まれる化合物(I)は、25℃/60%RHで少なくとも12ヶ月間保存した場合、分解は10%未満であると考えられる。
様々な実施態様に関する本明細書に記載された本発明の組成物を、次いで当技術分野で利用可能な装置および手法を用いて錠剤に成形することができる。所望により、または必要に応じて、適切な追加の結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を打錠用混合物に組み込んでもよい。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチンまたは天然糖類(例えば、グルコースまたはβ-ラクトースなど)、トウモロコシ甘味料、天然および合成ガム(例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの投与形態において使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
錠剤は、例えば、粉末混合物の調製、顆粒化またはスラッグ化、滑沢剤および崩壊剤の添加ならびに錠剤へと加圧することにより製剤化される。粉末混合物は、適切に粉砕された化合物を、上述のように、希釈剤または基剤と共に、所望により、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゲル化剤またはプロビドン)、パラフィンなどの溶液遅延剤、第四級塩などの再吸収促進剤および/または吸収剤(例えば、ベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウム)と混合することにより製造される。錠剤は、コーティングがされていても、またコーティングされてなくてもよい。いくつかの実施態様では、錠剤は、溶解性などの品質特性を大きく変化させることなく、連続生産のために最適化される。
粉末混合物は、結合剤(例えば、シロップ、デンプンペースト、アカシア粘液、セルロース系またはポリマー系材料の溶液)を用いて湿らせて、強制的にスクリーンに通して造粒できる。別の造粒化として、粉末混合物を打錠機に通して行い、得られた不完全な成形不良品を粉砕して顆粒にすることもできる。顆粒には、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより、錠剤成形用の金型への付着を防止する目的で滑沢剤を塗布することができる。滑沢剤を塗布された混合物は、その後錠剤へと圧縮される。
本発明の化合物はまた、流動性がある不活性担体と組み合わせて、造粒工程またはスラッグ工程を経ることなく、直接錠剤に圧縮することができる。シェラックのシーリングコート、糖またはポリマー材料のコーティングおよびワックスのポリッシュコーティングにより構成される透明または不透明な保護コーティングを提供することができる。これらのコーティングに染料を加えて、異なる単位用量を区別することができる。
非限定的な例として、約1~約1000mg、好ましくは約10~約500mg、好ましくは約25~約200mgの化合物(I)を含む錠剤を、本明細書に記載の組成物を用いて製造することができる。その他の投与量単位は、本願発明の範囲内である。特に、噴霧乾燥された化合物(I)およびポリマー(例えば、HPMCASなど)を含む組成物を含む錠剤は、改善されたイン・ビトロ溶出速度、イヌおよびヒト対象において良好なインビボでの経口によるバイオアベイラビリティおよび良好な化学的/物理的安定性を示す。
様々な実施態様に従って本明細書に記載された本発明の組成物は、当技術分野で利用可能な装置および手順を用いてカプセル中に充填され得る。カプセルは、その後成形されたゼラチンシースまたはシェルに入れることにより製造される。ゼラチンに加えて、カプセルのシースまたはシェルのための他の材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、セルロース、メチルセルロース、デンプン、その他の材料および前記いずれかの組み合わせが挙げられる。
当業者が利用可能なカプセル(ハードおよびソフトの両方)を製造するためのその他の方法も、上述のように利用されてもよい。所望により、香料、防腐剤、分散剤および着色剤が存在していてもよい。コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールなどの潤滑剤および滑沢剤を、充填操作の前に混合物に加えることもできる。また、寒天、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を添加して、カプセル摂取時の医薬品の有効性を改善させることもできる。さらに、必要に応じて、適切な追加の結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を、混合物に配合することもできる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖類(例えば、グルコースまたはβ-ラクトース)、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム(例えば、ガムアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの投与剤形に使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベトナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ツーピースカプセルは、例えば、ハードゼラチンカプセルの場合はゼラチン系の溶液を用いて、またはHPMCカプセルの場合はHPMC系の溶液を用いて嵌合されてもよい。
非限定的な例として、約1~約1000mg、好ましくは約50~約600mg、好ましくは約100~約500mgの化合物(I)を含むカプセルを、本明細書に記載の組成物を用いて製造することができる。その他の投与量単位は、本願発明の範囲内である。
特に、化合物(I)を含むカプセルは、良好なイン・ビトロ溶出速度を示し、イヌにおいて良好な経口バイオアベイラビリティを示した。さらに重要な点は、本発明の様々な実施態様に関する組成物は、カプセル構造を用いて経口投与した場合に、ヒトにおいて一貫して良好なバイオアベイラビリティが実証された。イン・ビトロ試験で観察された有意な原薬沈殿物の存在ならびにイン・ビトロ/イン・ビボでの相関が無いという事実から、このようなバイオアベイラビリティの向上は予想外の結果であった。
化合物(I)を含む本発明のカプセル組成物は、保存安定性が高く、良好な長期間の化学的および物理的安定性を実証する。すなわち、約25℃/60%相対湿度または約30℃/65%相対湿度のいずれかの条件下で密閉容器に保存した場合、少なくとも約12ヶ月間、好ましくは少なくとも約24ヶ月間、殆ど分解しないこと(約5%未満の分解)が示された。
したがって、本発明は、本明細書に記載された1つ以上の実施態様に関する治療上有効な量の医薬錠剤またはカプセルを患者に投与することを特徴とする患者のFXIa活性を阻害する方法を提供する。
錠剤またはカプセルの形態の化合物(I)の医薬組成物は、長期間にわたって保存安定性であることが期待される。いくつかの実施態様では、錠剤およびカプセルは、少なくとも約3ヶ月間保存安定性である。いくつかの実施態様では、錠剤およびカプセルは、少なくとも約6カ月間保存安定性である。いくつかの実施態様では、錠剤およびカプセルは、少なくとも約12ヶ月間保存安定性である。いくつかの実施態様では、錠剤およびカプセルは、少なくとも約24ヶ月間保存安定性である。
化合物(I)の医薬組成物は、懸濁液(suspension)の形態で存在することが可能である。いくつかの実施態様では、該懸濁液は、インビボで、同量の非分散原薬を含む対照組成物と比較して、少なくとも70倍高い最高血中薬物濃度(Cmax)をもたらす。いくつかの実施態様では、該懸濁液は、インビボで、同量の非分散原薬を含む対照組成物と比較して、少なくとも80倍高い最高血中薬物濃度(Cmax)をもたらす。いくつかの実施態様では、該懸濁液は、インビボで、同量の非分散原薬を含む対照組成物と比較して、少なくとも110倍高い最高血中薬物濃度(Cmax)をもたらす。いくつかの実施態様では、該懸濁液は、インビボで、同量の非分散原薬を含む対照組成物と比較して、少なくとも85倍高いAUCをもたらす。いくつかの実施態様では、該懸濁液は、インビボで、同量の非分散原薬を含む対照組成物と比較して、少なくとも140倍高いAUCを示す。非分散原薬とは、結晶体の化合物(I)であり得る。
溶液製剤
別の態様では、本発明は、化合物(I)および共溶媒(例えば、有機溶媒)と、所望により錯化剤、ポリマー、界面活性剤または水を含む溶液製剤を提供するものである。
共溶媒としては、1つ以上の水酸基または別の極性基を含む極性化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。例えば、その溶媒には、アルコール、例えば、エタノール、好ましくは無水エタノール、イソプロパノールなど;グリコール、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG400)、ポリプロピレングリコールまたはグリセロールなど;グリコールエーテル;およびポリオキシエチレンアルコール;トコフェロール化合物、特にトコフェロール-ポリエチレングリコール、より具体的にはトコフェロールポリエチレングリコール二酸(例えば、スクシネート、マレエートなど)エステル、特にトコフェロールポリエチレングリコールスクシネート、最も好ましくはトコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS1000)が挙げられる。
錯化剤には、水溶性の未置換または置換α-シクロデキストリン(αCD)、β-シクロデキストリン(βCD)およびγ-シクロデキストリン(γCD)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に用いられ得る置換β-シクロデキストリンの例としては、メチルβ-シクロデキストリン(MβCD)、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(HPβCD)およびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBEβCD)が挙げられる。置換γ-シクロデキストリンの例としては、ヒドロキシプロピルγ-シクロデキストリン(HPGCD)が挙げられる。シクロデキストリンの混合物を用いてもよい。好ましい一実施態様では、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)である。
製剤のポリマー成分は、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP K30およびコポビドン(PVP-ポリビニルアセテート)、Pluronic F108、Pluronic F127、Pluronic F68およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つの成分である。
好ましくは、有効な化合物にとってTween80は、好ましい界面活性剤である。本発明で使用することができる別の界面活性剤としては、Cremophor EL、Cremophor RH40、Etocas 40、Croduret 60およびSolutol HS 15が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
別の実施態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、最大約85%(v/v)の共溶媒と共に、所望により最大約20%(v/v)のポリマー、所望により最大約20%(v/v)の錯化剤、最大約60%(v/v)の界面活性剤および所望により最大約10%(v/v)の水と共に含む、溶液製剤を提供する。例えば、共溶媒は、アルコール、PEG、PGおよびTPGSから選択することができる。特定の場合には、共溶媒は、PEG 400である。錯化剤は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリンであり得る。例えば、錯化剤は、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(HPβCD)およびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBEβCD)であり得る。界面活性剤は、Tween20、Tween80、Solutol HS 15、Cremophor EL、Cremophor RH40、Etocas 40およびCroduret 60から選択することができる。例えば、界面活性剤は、Tween80であり得る。ポリマーは、PVP K30、Pluronic F108、Pluronic F127およびPluronic F68から選択することができる。
別の実施態様では、溶液製剤は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)、約85%(v/v)までのPEG、所望により約20%(v/v)までのPVP K30および約50%(v/v)までのTween80またはTPGSを含む。例えば、溶液製剤は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)、約35~85%(v/v)のPEG、約0~20%のPVP K30および約2~50%(v/v)のTween80を含むことができる。別の態様では、溶液製剤は、約1mg/ml~10mg/mlの化合物(I)、約50~85%(v/v)のPEG、約5~40%(v/v)のTween80を含んでいる。例えば、溶液製剤は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)、約80%(v/v)のPEG400および20%(v/v)のTween80を含むことができる。このような場合、有効な化合物(I)は、前記PEG400および前記Tween80に溶解され得る。
別の実施態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、共溶媒として最大約80%(v/v)までのポリエチレングリコール(PEG)と共に、所望によりポリマーとして最大約20%(v/v)までのPVPK30および界面活性剤として最大約20%(v/v)までのTween80またはビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む溶液製剤を提供する。
別の実施態様では、本発明は、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、約35~80%(v/v)のPEG、約0~20%のPVP K30および約2~50%(v/v)のTween80と共に含む溶液製剤を提供する。
好ましくは、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物(I)を、約35~80%(v/v)のPEG、約0~20%のPVPK30および約2~60%(v/v)のTween80と共に含む製剤が提供される。より好ましくは、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物を、約50~85%(v/v)のPEG、約5~40%のTween80と共に含む製剤が提供される。さらに好ましくは、約1mg/ml~10mg/mlの有効な化合物を、約80%のPEG、約20%のTween80と共に含む製剤が提供される。
また当技術分野で入手可能な製薬グレードの増量剤および結合剤などのその他の賦形剤を組成物に配合してもよいが、これは任意である。投与剤形の安定化のために、製剤は、医薬的に許容される酸化防止剤を所望により含んでいてもよい。例としては、アスコルビン酸、BHA、BHT、没食子酸プロピル、ビタミンEなどが挙げられる。
本明細書に記載した組成物を製造するために、当業者が利用可能な様々な製造手段を利用することができる。当業者が利用可能な装置および手順を用いて、ポリエチレングリコール(PEG)およびTween80の混和溶液中に化合物(I)を高温で溶解させることが好ましい。
様々な実施態様に記載された本発明の液体製剤を、その後、カプセルのような個別単位での経口投与用としてさらに適切に変更することができる。これらのカプセルは、ハードカプセルまたはソフトカプセルであってもよい。例えば、カプセル形態で経口投与するために、有効な原薬成分を含む本明細書に記載の組成物を、そのまま利用してもよいし、または経口用で非毒性の医薬的に許容され得る不活性担体(例えば、エタノール、グリセロール、グリセリン、水など)をさらに組み合わせて利用してもよい。本発明の組成物は、液体または半固体としてカプセル化されてもよい。
本発明は、本明細書で説明した1つ以上の実施態様による固体製剤および液体製剤の治療上有効な量を患者に投与することを特徴とする、患者のFXIa活性を阻害する方法を提供する。用語「治療上有効な量」とは、患者の利益、すなわち症状または疾患を改善する治療を提供するのに十分な有効成分の合計量を意味する。単独で投与される個々の有効成分に用いる場合、この用語は、その成分単独を意味する。組み合わせて用いられる場合、この用語は、組み合わせて投与されるか、連続して投与されるか、または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の合計量をいう。
別の態様では、本発明は、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物(I)の非晶質固体分散体を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、血栓塞栓症を治療および/または予防するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物(I)の溶液製剤を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、血栓塞栓症を治療および/または予防するための方法に関する。
いくつかの実施態様では、血栓塞栓症は、不安定狭心症、急性冠症候群、心房細動、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、動脈硬化症、末梢閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症および人工的な表面に血液がさらされて血栓症が促進される医療インプラント、装置または処置に起因する血栓症などが挙げられる。
別の実施態様では、本発明は、i)治療上有効な量の化合物(I)を含む非晶質固体分散体の製剤を、治療を必要とする患者に投与することを特徴とする、障害を治療するための方法;ii)障害の治療に使用するための化合物(I)の非晶質固体分散体の使用;iii)障害を治療するための医薬品製造における化合物(I)の非晶質固体分散体の使用;またはiv)障害を治療するための医薬品製造における化合物(I)の溶解された溶液剤形の使用に関し、前記障害が、不安定狭心症、急性冠症候群、心房細動、初回心筋梗塞、再発心筋梗塞、虚血性突然死、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、末梢閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症および人工的な表面に血液がさらされて血栓症が促進される医療インプラント、装置または処置に起因する血栓症から選択される。
本発明は、本明細書で言及した本発明の別の態様の全ての組み合わせも包含する。本発明の任意および全ての実施態様は、本発明の追加の実施態様を説明するために、その他の任意の実施態様と組み合わせてもよいことが理解される。さらに、ある実施態様のあらゆる要素は、追加の実施態様を説明するために、いずれかの実施態様からの任意および全ての他の要素と組み合わされてもよい。
上述の説明は、単なる例示であって、いずれの方法においても本発明の範囲または根本的な原理を限定するものと解釈すべきではない。実際、本明細書に示され、説明されたものに加えて、本発明の様々な変更が、以下の実施例および前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような変更も、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
一般的な方法
粉末X線回折(PXRD)
PXRDデータを、θ/θ配置でLynxEyeTM検出器を備えたBruker D8 Advance粉末X線回折計を用いて、検出器の開度が3°のPSDモードで収集した。放射光は、CuKα(40kV,40mA)であった。X線光学系には、0.3°の電動モーター制御の発散スリットが装備されている。試料を、トップローディング式のゼロバックグラウンドのホルダーに入れ、データ収集中は15rpmで回転させた。回折データは、ステップサイズ0.03°、カウントタイム1秒/ステップのロックドカップルドスキャンモードで、2θの2~32°範囲で収集した。
PXRDデータは、LynxEyeTM検出器を備えたBruker D4 Endeavor粉末X線回折計を用いて、検出器の開度が3°のPSDモードで収集した。放射光は、CuKα(40kV,40mA)であった。X線光学系には、0.6°の発散スリットおよびNi-Kβフィルターが備えられている。データは、試料を回転させながら、反射率測定にて2θの4~32°の範囲で、ステップサイズ0.03°、カウントタイム1秒/ステップの連続モードで収集した。
変調示差走査熱量測定(mDSC)
TA INSTRUMENT(登録商標) model Q2000,Q1000または2920を用いてmDSCデータを作成した。約2~10mgの試料サイズを圧着アルミパンに入れて測定した。測定は、室温~300℃までの窒素環境下で、2または2.5℃/分の昇温速度で、0.32または1.5℃の変調振幅を60秒毎に適用して行った。DSCプロットは、吸熱ピークが下方を向くように作成した。
固体核磁気共鳴(SSNMR)
プロトン周波数400.13MHzで作動するBruker AV III装置を用いて、炭素交差分極マジック角回転(CPMAS)固体NMR実験を行った。固体試料を、4mmのZrOローターで、13KHzにて回転させた。接触時間は1.5~3ミリ秒で、プロトンチャネルで50~100%に傾斜させた(A.E. Bennett et al, J. Chem. Phys., 1995, 103, 6951)(G. Metz, X. Wu and S.O. Smith, J. Magn. Reson. A., 1994, 110, 219-227)。緩和遅延は、APIの5倍のH Tに維持された(通常は30秒)。プロトンデカップリングは、2.8マイクロ秒のパルス(公称帯域幅90KHz)を用いたTPPMシーケンスで行った。スペクトルの掃引幅は、100ppmを中心に300ppmであった。2972点のデータを取得し(デジタル分解能は20Hz)、8192点までゼロフィルした後アポダイゼーションし、20Hzのラインブロードニングを行った。通常1024~4096の自由誘導減衰を加味した。スペクトルは、3-メチルグルタル酸を用いるTMSと間接比較する(D. Barich, E. Gorman, M. Zell, and E. Munson, Solid State Nuc. Mag. Mag. Res., 2006, 30, 125-129)。各実験には、約70mgの試料を使用した。温度は、280Kに設定した。
実施例1
凍結乾燥による非晶質化合物(I)の製造
化合物(I)(30mg)のフリー体を、アセトニトリル-水(9:1 v/v)混合液(2ml)に溶解した。得られた溶液を、ドライアイスを用いて凍結させ、Thermo Scientific社のModulyoD 5L凍結乾燥機を用いて-40℃で2~6 mBarの真空下で16時間凍結乾燥した。粉末X線回折パターン(図1)は、観察可能な結晶ピークを示さないことから、これが非晶質固体であることが示された。凍結乾燥された非晶質化合物(I)は、変調示差走査熱量計(mDSC)によっても特徴づけられ、図2に示される。
実施例2
噴霧乾燥による非晶質化合物(I)の製造
1.6%(w/w)の固体を含む化合物(I)フリー体のアセトン-水(9:1w/w)溶液を、Bend Lab Spray Dryer(Bend Research Inc.)を用いて噴霧乾燥した。以下の操作パラメーターおよび条件を適用した。
Figure 2022526656000006
粉末X線回折パターン(図3)は、観察可能な結晶ピークを示さないことから、これが非晶質固体であることがわかった。噴霧乾燥された非晶質化合物(I)は、変調型示差走査熱量計(mDSC)によっても特徴付けられ、図4に示される。さらに、図5に示す通りに、噴霧乾燥された非晶形質態の13C固体スペクトルを、「一般的な方法」に記載された手順に従って収集した。この形態のCPMAS化学シフト値を、以下に示す:
Figure 2022526656000007
実施例3
HPMCAS(75:25%(w/w)比)を用いた非晶質化合物(I)の噴霧乾燥分散体(SDD)の製造
約6%(w/w)の化合物(I)および2%(w/w)のHPMCASを、約92%(w/w)の9:1のアセトン:水(w/w)混合液に溶解した。この溶液を50℃に温め、次いで150Kg/hrの乾燥ガス流量の容量を持つ実験室規模の噴霧乾燥機を用いて、以下のパラメーター;ガス流量:1850g/min;供給量:170g/min;供給圧力:400psi;入口温度:115℃に設定して噴霧乾燥した。生成物は、HPLCで97%の純度を示す白色粉末であった。PXRD回折パターンは、結晶性のピークがないハローパターンを示しており(図6)、本生成物が非晶質であることを示した。
この製剤は、高湿度条件下で良好な安定性を示した。噴霧乾燥された分散体の試料を高い相対湿度に暴露した場合でも、結晶化は観察されなかった;例えば、異なる安定条件下で12ヶ月までストレスを与えた75%原薬を含むSDDは、PXRDによる結晶性の兆候を示さなかった(表1)。
Figure 2022526656000008

実施例3の固体非晶質分散体が、化合物(I)の溶解性が改善された形態であることを実証するために、イン・ビトロ溶出試験を行った。微量遠心機による溶出試験を、37℃に温度制御されたボックス内で行った。試料1mgを、2本の2.0mL Sorenson微量遠心分離管に各々秤量した。0.5%SIF/リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH6.5)を、1.8mLずつ各管に加えて、タイマーをスタートさせた。Fisher Vortex Genie2の設定8で試料を1分間ボルテックスした。IEC Micromax微量遠心機を用いて、13,000rpmで1分間遠心した。タイマーが4分を示したときに、各微量遠心機管から、50μLの上清を250μLの希釈液(HPLCグレード,95:5 THF:水)を含むHPLCバイアルに分注した。混合物を25秒間ボルテックスした。以下の測定時点:10分、20分、40分および90分で、このステップを繰り返し、さらに20時間後にも同様の操作を行った。
Figure 2022526656000009

対照として、結晶性の化合物(I)のみを、同じ手順を用いて評価した。その化合物すべてが溶解した場合に、化合物(I)の濃度が1000g/mLとなるように、十分量の化合物を加えた。
これらの試料中において得られる化合物(I)の濃度を用いて、試験開始90分間における溶液中の化合物(I)の最大溶出濃度(MDC90)、開始90分間における濃度-対-時間曲線下面積(AUC90)を決定した。その結果を表2に示す。
表2:微量遠心機による溶出試験
Figure 2022526656000010
SDDの溶出挙動は、すべての製剤で安定しており、ストレス条件下にさらされても変化は見られなかった。例えば、75%の原薬を含むSDDを異なる安定性条件下で3ヵ月間ストレスを与えても、溶出測定値に有意な変化は見られなかった。
実施例4
SDD製剤のバイオアベイラビリティ
製剤比較試験では、3種類の製剤を調製した:1)75%SDD懸濁液、すなわち、化合物(I):HPMCAS 75:25(w/w%);2)50%SDD懸濁液、すなわち、化合物(I):HPMCAS 50:50(w/w%);および3)化合物(I)の結晶懸濁液。4匹の絶食または摂食したオスのイヌ(~10kg)に、100mg/イヌを投与した。イヌには、50mLの水(絶食)または50mLの高脂肪食サプリメント(ブースト+Coffeemate)を与え、投与後に8回血液試料を採血した。
薬物動態データを表3に示す。Cmaxは、各製剤を投与したイヌの匹数で平均した、観察された最高血中化合物(I)濃度である。AUC0-24は、血中の化合物(I)濃度対時間曲線下の平均面積である。
これらのデータは、噴霧乾燥した化合物(I)/HPMCAS分散体をビーグル犬に経口投与した場合、結晶性化合物(I)の水性懸濁液の投与後よりも高い化合物(I)の全身への曝露量を提供することを実証している。
Figure 2022526656000011
実施例5
錠剤の製造
表4に記載の成分を圧縮して錠剤を製造した。噴霧乾燥された75%化合物(I):HPMCAS成分およびすべての顆粒内賦形剤をスクリーンに通し、次にミキサーで混合した。この事前混合物を、スラグ中で圧縮して、粉砕し、スクリーンに通した。すべての顆粒外賦形剤をスクリーンに通して、粉砕後の顆粒に加えて、その後ミキサーで混合した。最終混合物を、25mgおよび100mg含量の錠剤に加圧成形した。
Figure 2022526656000012
実施例6
化合物(I)SDD錠剤-100mg用量の安定性結果
さらに、この錠剤製剤は、異なる保存条件下で物理的および化学的に安定していた。試料を高湿度(40℃/75%RH)にさらすと、有意な水分増加(約3~4%w/w)が見られた。これは、乾燥時の損失実験で確認された(表5)。この水分増加は、殆どが製剤中の賦形剤によるものであった。
開始時の試料では、開始ラベルクレームに関して、溶出データ(表6)は、約30分で90%の原薬放出を示した。さらに、時間関数として、錠剤製剤の溶出に対する保存条件の影響はなかった。
錠剤の物理的安定性を、様々な保存条件下で評価した。100mg用量の錠剤は、4週間までその保存条件下において、99.6%~100.9%の範囲の効力を示しており、時間関数として、全ての試験した安定性条件下において安定であった(表5)。
Figure 2022526656000013
実施例7
カプセルの調製
表4に記載の成分をハードシェルカプセルに充填してカプセルを製造した。噴霧乾燥され75%化合物(I):HPMCAS成分および全ての粒内および粒外の賦形剤をスクリーンに通した後、ミキサーで混合した。最終混合物を、カプセル充填機を用いてハードシェルカプセルに充填した。
実施例8
化合物(I)SDDカプセル-100mg用量の開始時の特性評価結果
開始時の試料では、100mg用量のカプセルは、98.9%の効力を示し、開始ラベルクレームに関しては、溶出データは約30分で90%以上の原薬放出を示した(表6)。開始時水分含有量は、乾燥時の損失実験の測定値から2.6%w/wであった。
Figure 2022526656000014
実施例9
イヌにおける溶解製剤のバイオアベイラビリティ
直接投与するための、またはカプセルに充填される溶液として投与するための、適切な溶液製剤は、上述のSDD製剤(例えば、懸濁液/錠剤/カプセルのSDD剤形として)と密接に関連する所望の曝露量を提供することが示されている。溶解性のデータに基づくと、完全な水系製剤では、臨床用量をサポートするために必要な目的濃度を達成することができない。有機性ビヒクル(例えば、ポリエチレングリコール400またはエタノール)中の共溶媒系API製剤は、錯化剤(例えば、シクロデキストリン)またはポリマー(例えば、PVP、PVP-酢酸ビニル共重合体、Poloxamer 188)あるいは界面活性剤(例えば、TPGS、Tween80)と組み合わせたものである。溶解溶液製剤の特定の実施態様は、PEG400/TPGS/水のビヒクル中の5mg/ml濃度の化合物(I)として調製された。イヌ(n=4)を用いた前臨床クロスオーバー試験では、SDD製剤に匹敵する高い曝露量が実証され、また結晶製剤の曝露量を大きく上回った(実施例4、表3)。25mg(ヒト換算で約75mg)を投薬したこれらの溶液製剤およびSDD製剤(以下に記載)の良好な薬物動態結果を、表7および8に示す。
治療用製剤は、以下の通りである:
SDD懸濁液(25mg用量)-ペンタガストリンで事前処理された絶食のイヌ(n=4)
SDD錠剤(25mg用量)-ペンタガストリンで事前処理された絶食のイヌ(n=4)
溶液として、またはカプセル中の溶液として投与するための溶解溶液(25mg用量)-ペンタガストリンで事前処理された絶食のイヌ(n=4)
SDDカプセル(25mg用量)-ペンタガストリンで事前処理された絶食のイヌ(n=4)
表7:治療用製剤
Figure 2022526656000015

表8:イヌにおいて観察された前臨床薬物動態の要約
Figure 2022526656000016
本発明は、詳細かつその特定の実施態様を参照して説明されるが、様々な変更および修飾は、その精神および範囲から逸脱せずに為され得ることは、当業者には理解できるであろう。

Claims (20)

  1. 式:
    Figure 2022526656000017
    の化合物(I)の非晶質体。
  2. 凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾燥、凍結乾燥またはその組み合わせにより製造される、請求項1記載の非晶質体。
  3. 図1に示される通りのPXRDを特徴とする、請求項2記載の非晶質体。
  4. 図2に示される通りの変調DSCを特徴とする、請求項2記載の非晶質体。
  5. 図3に示される通りのPXRDを特徴とする、請求項2記載の非晶質体。
  6. 図4に示される通りの変調DSCを特徴とする、請求項2記載の非晶質体。
  7. 図5に示される通りの固相NMRを特徴とする、請求項2記載の非晶質体。
  8. 下記工程:
    (a)化合物(I)、少なくとも1つのポリマーおよび溶媒を含む溶液を調製する工程;および
    (b)前記溶液を噴霧乾燥することにより、非晶質固体分散体を製造する工程、
    を特徴とする、化合物(I)の非晶質固体分散体の製造方法。
  9. 該溶液が、アセトン、テトラヒドロフラン、アルコール、酢酸エチル、メチルエーテルケトン、ジクロロメタンおよび水からなる群から選択される、少なくとも1つの溶媒を含む、請求項8記載の方法。
  10. 該ポリマーが、PVP、PVP-酢酸ビニル共重合体、HPMCASおよびHPMCからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
  11. 式:
    Figure 2022526656000018
    の化合物(I)およびポリマーを含む、非晶質固体分散体であって、該ポリマーが、PVP、HPMCASおよびHPMCからなる群から選択される、非晶質固体分散体。
  12. 該ポリマーが、HPMCASである、請求項11記載の分散体。
  13. 化合物(I)およびポリマーの割合が、約99~約75%(w/w)の化合物(I)および約1~約25%(w/w)のポリマーである、請求項11記載の分散体。
  14. 化合物(I)およびポリマーの割合が、約74~約50%(w/w)の化合物(I)および約26~約50%(w/w)のポリマーである、請求項11記載の分散体。
  15. 化合物(I)およびポリマーの割合が、約49~約25%(w/w)の化合物(I)および約51~約75%(w/w)のポリマーである、請求項11記載の分散体。
  16. 医薬的に許容し得る担体および治療上有効な量の請求項11記載の分散体を含む、医薬組成物。
  17. 該組成物が、錠剤の形態である、請求項16記載の医薬組成物。
  18. 該組成物が、カプセルの形態である、請求項16記載の医薬組成物。
  19. 該組成物が、懸濁液の形態である、請求項16記載の医薬組成物。
  20. 該錠剤およびカプセルが、少なくとも約3か月間保存安定性である、請求項17または18記載の医薬組成物。
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