JP2022524370A - 肺炎症治療用イスミン1 - Google Patents

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Abstract

イスミン1(Isthmin 1:ISM1)又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸が提供される。これらの薬剤の使用、及び、肺胞マクロファージにおけるアポトーシスの誘導方法、及び/又は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、喘息、急性肺損傷(ALI)、肺繊維症及び/又は急性呼吸窮迫症候群などの炎症又は肺疾患を治療、改善又は予防する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、全体として、炎症の治療に関する。特に、本発明は、イスミン1(Isthmin 1:ISM1)に基づく肺炎症の治療に関する。
肺の炎症は、急性であれ慢性であれ、健康上の深刻な影響をもたらすことがある。世界保健機関(WHO)によれば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2016年において三番目に多い死因であった。これは、2004年に米国だけで、総計200億米ドルに上る直接的な医療費を伴う、主要な社会経済的及び健康上の負担と考えられる。シンガポールでは、COPDは年間165,000,000シンガポールドルもの費用が患者及び医療機関にかかり、2010年には10,000を超える入院が発生し、公的医療制度にとってかなりの負担となっていると推定される。COPDは、進行性肺気腫(肺胞の不可逆的な拡張又は肺胞壁の破壊)及び慢性呼吸器炎症を特徴とし、肺機能の深刻な衰えを引き起こす可能性がある。現在、肺気腫を遅らせる/逆転させる有効な治療法はない。喫煙はCOPDの主要危険因子である可能性があり、COPDの進行及び悪化と密接に関係している。その他の危険因子は、空気汚染を含む場合がある。
現在、COPDは世界で三番目に多い死因であり、25%の推定累積生涯リスクと、高い社会経済的負担を伴う(Gershon, Warner et al., 2011, Mortality & Causes of Death, 2016)。COPDの病態形成は、肺の恒常性の混乱と、環境からの外因性物質に対する調節不全の免疫応答を伴うと考えられており、主な危険因子として、たばこ煙(CS)、バイオマス燃料への曝露及び空気汚染を含む(Singh, Agusti et al., 2019)。COPDは、肺気腫と慢性閉塞性気管支炎(気道の炎症)を特徴として含む。COPD患者は、進行性の長期的な肺機能障害を伴う持続的な呼吸器症状を呈する。しかしながら、従来の薬理学的介入は、患者の症候を軽減するのみで、根底にある組織の損傷や炎症を対象としないため、COPDの進行を効果的に阻害したり、死亡率を減少させることができない。したがって、新しいCOPD治療法に対する、緊急で未だ満たされていない(アンメット)ニーズがある。
気道は、ほこりや微生物を含む外的環境に常にさらされている。周囲の環境刺激に対する炎症反応を防ぐため、健康な気道と肺は、免疫応答と炎症を阻害するメカニズムを有する。さらに、外傷や病原体に対して、急性肺炎症反応は、宿主を全身感染から保護し、組織の恒常性を修復する。しかしながら、急性炎症の広さや持続期間が抑制されていない場合、喘息及び/又はCOPDを含む重度又は慢性の炎症を特徴とする肺疾患につながる可能性がある。喘息は主に大気道に影響を及ぼすが、COPDは小気道と肺実質に影響を及ぼす。COPDの分子メカニズムは、ほとんど解明されていない。
一方、感染症や外傷による急性肺損傷(ALI)及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの重度の急性肺炎症は、有効な薬物治療法のない、最大50%の死亡率を伴う重篤な臨床症候群である。急性及び慢性肺炎症の治療法の開発には、未だ満たされていないニーズがある。
炎症に関連する疾患や障害、特に肺を冒すものに対する代替、追加及び/又は改善された治療及び/又は治療方法が望ましい。
健康な成人は、周囲の環境条件下、肺の恒常性を調節及び維持する能力を有し、無菌性の炎症を防いでいる。免疫応答は、外傷及び/又は感染症によって引き起こされ、急性炎症を引き起こし、最終的に消退し、傷の治癒と回復を可能にする。急性炎症の消退に失敗すると、慢性炎症及び/又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性閉塞性気管支炎及び/又は肺線維症などの炎症関連疾患につながる可能性がある。急性肺損傷(ALI)や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの急性肺疾患も、肺の炎症に関連している。
本明細書に詳細に記載されているように、本発明者らは、肺炎症などの炎症を治療するための、イスミン1由来のポリペプチド、核酸、組成物及び方法を開発した。イスミン1は、炎症、特に肺炎症を阻害、抑制及び/又は消退させる役割を果たす分泌タンパク質であることが本明細書に記載の研究によって示されている。本明細書に記載の研究において、外因性組換えISM1タンパク質(rISM1)を肺に補給することで、ISM1欠乏性の肺における肺炎症の表現型が阻害され、その結果は、ISM1が肺胞マクロファージのアポトーシスを誘導することによって、炎症を消退させることに役立つ可能性があると示す。結果は、無菌性肺炎症及び/又は感染症及び/又は外傷によって引き起こされる炎症の抑制及び/又は消退に、ISM1が重要な役割を果たすこと示す。
実施形態において、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸、及び
薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤、
を含む組成物であって、
対象の肺に投与するために処方されることを特徴とする組成物が提供される。
上記組成物の別の実施形態において、前記組成物は、気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与のために処方されてもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するために処方されてもよい。また、いずれかの上記組成物の別の実施形態において、前記組成物は、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されてもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における細胞表面GRP78(csGRP78)を標的化するために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため、又は、AMレベルを低下させるために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎、喘息又は肺気腫を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるために使用してもよい。
上記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は、それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため、又は、AMレベルを低下させるための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎、喘息又は肺気腫を治療、改善又は予防するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
上記使用のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、対象の肺に投与するためであってもよい。
上記使用のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、対象に気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与するためであってもよい。
上記使用のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するためであってもよい。
上記使用のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されてもよい。
別の実施形態において、それを必要とする対象において、GRP78活性を調節するため、GRP78を標的化し結合するため、又はその両方のための方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導する方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため、又は、AMレベルを低下させるための方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防する方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防する方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎、喘息又は肺気腫を治療、改善又は予防する方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防する方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させる方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防する方法であって、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
上記方法のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、それを必要とする対象の肺に投与するためであってもよい。
上記方法のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、対象に気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与するためであってもよい。
上記方法のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するためであってもよい。
上記方法のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されてもよい。
上記方法のいずれかの別の実施形態において、さらに
対象におけるISM1レベルを判定する、対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定する、又はその両方を行う工程と、
健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定される場合、健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定される場合、又はその両方の場合に、投与工程を行う又は繰り返す工程を含んでもよい。
別の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を含む、経肺ドラッグデリバリー(pulmonary drug delivery)装置が提供される。
前記経肺ドラッグデリバリー装置の別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、本明細書に規定される組成物を含んでもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、気管内ドラッグデリバリー装置、鼻腔内ドラッグデリバリー装置又は吸入ドラッグデリバリー装置であってもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、エアゾール、吸入器又はネブライザーであってもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置はエアゾールであってもよく、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は乾燥粉末として処方されてもよい、又は、前記経肺ドラッグデリバリー装置はネブライザーであってもよく、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は液体として処方されてもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため、又は、AMレベルを低下させるために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎、喘息又は肺気腫を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するために使用してもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、ネブライザー、定量噴霧吸入器(MDI)又はドライパウダー吸入器(DPI)であってもよい。
前記組成物のいずれかの別の実施形態において、前記組成物は肺炎症を予防又は軽減するための薬剤を含んでもよい。
前記使用のいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸は、肺炎症を予防又は軽減するための薬剤と組み合わせて使用してもよい。
前記方法のいずれかの別の実施形態において、前記方法はさらに、肺炎症を予防又は軽減するための薬剤を、前記ポリペプチド又はペプチド又は核酸と組み合わせて、同時に、又は、連続して対象に投与する工程を含んでもよい。
前記経肺ドラッグデリバリー装置のいずれかの別の実施形態において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、肺炎症を予防又は軽減するための薬剤をさらに含んでもよい。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するために使用される、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、対象に投与することを含む。
別の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の、薬剤の製造における使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
GRP78活性剤を対象の肺に投与することを含む。
別の実施形態において、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有する、又は、発症するリスクがある対象を特定する方法が提供され、前記方法は、
対象におけるISM1レベルを判定する、対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定する、又はその両方を行うことと、
健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定される場合、健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定される場合、又はその両方の場合に、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有する、又は、発症するリスクがあると対象を特定すること、を含む。
別の実施形態において、本明細書に規定される方法で治療する候補対象を特定する方法が提供され、前記方法は
対象におけるISM1レベルを判定する、対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定する、又はその両方を行うことと、
健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定される場合、健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定される場合、又はその両方の場合に、対象を治療の候補対象として特定することを含む。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺の恒常性を維持するため、及び/又は、肺の炎症を消退させるため、及び/又は、肺の修復を促進してリモデリングを軽減するための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺の恒常性を維持する、及び/又は、肺の炎症を消退させる、及び/又は、肺の修復を促進してリモデリングを軽減するための方法が提供され、前記方法は
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、対象の肺に投与することを含む。
上記組成物、使用、方法、経肺ドラッグデリバリー装置又はポリペプチドのいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチドは、ISM1タンパク質(前駆体又は成熟したもの)であってもよいし、それを含んでもよい。別の実施形態において、前記ポリペプチドは、ヒトISM1タンパク質又はマウスISM1タンパク質(前駆体又は成熟したもの)であってもよいし、それを含んでもよい。
上記組成物、使用、方法、経肺ドラッグデリバリー装置、ポリペプチド又はペプチドのいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、アミノ酸配列:
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE (配列番号26);又は
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE (配列番号27)、
又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は、100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又はそれからなるものでもよい。
上記組成物、使用、方法、経肺ドラッグデリバリー装置、ポリペプチド又はペプチドのいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、アミノ酸配列:
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY (配列番号24:マウスISM1 287-461);又は
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY (配列番号25:ヒトISM1 290-464);
又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は、100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又はそれからなるものでもよい。
上記組成物、使用、方法、経肺ドラッグデリバリー装置、ポリペプチド又はペプチドのいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性成熟ISM1の配列を含む、又は、それからなるものでもよい。
上記組成物、使用、方法、経肺ドラッグデリバリー装置、ポリペプチド又はペプチドのいずれかの別の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性前駆体又は成熟ISM1でなくてもよい。特定の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性前駆体又は成熟ISM1より長くても、短くてもよい。特定の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性前駆体又は成熟ISM1において存在しない少なくとも一つの置換又は変異を含んでもよい。特定の実施形態において、前記ポリペプチド又はペプチドは、配列番号24又は配列番号25又は配列番号26又は配列番号27において、RKDからRAA変異、又は、RKDからAAA変異を含んでもよい。
これら及びその他の特徴は、添付の図面を参照する以下の記載から、より明確になるであろう。
図1a~nは、ISM1の減少が肺気腫を引き起こしたことを示す。図1aと図1bは、月齢1カ月、2カ月、6カ月及び9カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスのヘマトキシリン・エオジン染色された末梢左肺葉(1a)の代表的な顕微鏡写真と、平均肺胞径(MLI)(1b)を示す。1グループあたり、マウスn=3~4。スケールバー:200μm。図1cと図1dは、月齢6カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの左肺葉(1c)と、エラスチン/コラーゲン標識した左肺葉(1d)の代表的なホールマウント立体画像である。1グループあたり、マウスn=3。スケールバー:500μm(1c)、200μm(1d)。図1eは、月齢9カ月のFVB/NTac Ism1+/Δマウスのヘマトキシリン・エオジン染色された末梢左肺葉の代表的な顕微鏡写真である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:200μm。図1fは、月齢9カ月のFVB/NTac WT、Ism1+/Δ及びIsm1Δ/ΔマウスのMLIを示す。1グループあたり、マウスn=4。図1g~1nは、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスのスパイロメトリーを示す。1グループあたり、マウスn=4。全肺気量(TLC)(1g)、機能的残気量(FRC)(1h)、残気量(RV)(1i)、静的コンプライアンス(Cchord)(1j)、動的コンプライアンス(Cdyn)(1k)、100msでの努力吸気量(FEV100)(1l)、Tiffeneau-Pinelli指標(FEV100/FVC)(1m)及び気道抵抗(RI)(1n)を示す。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定(unpaired two-tailed Student‘s t-test)(1b、1g~1n)と、one-way ANOVAとチューキーの事後検定(Turkey’s post hoc test)(1f)で解析した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図2は、Ism1Δ/Δのマウスの肺が、アップレギュレートしたCOPDメディエーターを表すことを示す。(A)は、月齢2カ月のFVB/NTac Ism1Δ/Δマウスにおける肺胞マクロファージ(AM)の集積を示す、ヘマトキシリン・エオジン染色された肺の代表的な顕微鏡写真である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(B)及び(C)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺から採取した気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞の、Liu染色されたサイトスピンの標本(B)と、定量化(C)を示す。1グループあたり、マウスn=4。(B)~(D)は、気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞のサイトスピン及びフローサイトメトリー解析の両方によって、WTマウスと比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺におけるAMの増加が確認されたことを示す。(E)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、MMP-12、MMP-9、NF-κB p65及びローディングコントロールとしてのβアクチンのウエスタンブロット(上)と倍率変化(下;A.U.、任意単位)を示す。1グループあたり、マウスn=4。(F)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺のAMにおけるMMP-12とMMP-9の代表的な免疫組織化学染色である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(G)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスから分離された一次(primary)AMにおける、NF-κB p65(緑)と核(DAPI;青)の代表的な蛍光免疫染色(左)と、定量化(右)を示す。1グループあたり、3匹のマウスから得られた平均測定値(n=3)。スケールバー:20μm。マウス1匹あたり、250~350の肺胞マクロファージを定量化。(H)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSFとローディングコントロールとしてのβアクチンのウエスタンブロット(上)と倍率変化(下;A.U.、任意単位)を示す。1グループあたり、マウスn=4。(I)と(J)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/ΔマウスのAMにおける、ISM1(I)とGRP78(J)の代表的な免疫組織化学染色である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(K)と(L)は、1μMの組換えISM1(rISM1)で処理されたWT一次AM(K)、及び、未処理のWTとIsm1Δ/Δ一次AM(L)における、アポトーシスのIncuCyte定量化を示す。解析は三重又は四重のウェルで行い、定量化のため1つのウェルあたり4枚の画像を撮影した。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定(C,E,G,H,K,L及びM)で解析した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図3は、外因性rISM1が、Ism1Δ/Δ及びたばこ煙に曝露したマウスにおける肺気腫を軽減することを示す。(A)は、溶媒(PBS)、1μgのrISM1、5μgのrISM1及びクロドロン酸リポソーム(CLO)で処理された後の、月齢2カ月のFVB/NTac Ism1Δ/ΔマウスのAM数を示す。1グループあたり、マウスn=4。(B)は、溶媒(PBS)、5μgのrISM1又はクロドロン酸リポソーム(CLO)で処理された後の、月齢2カ月のFVB/NTac Ism1Δ/Δマウスのヘマトキシリン・エオジン染色された肺の代表的な顕微鏡写真である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:50μm。(C)と(D)は、(B)の処理されたマウスグループと、未処理の月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスとを比較した、MLI(C)及びFEV100/FVC(D)の定量化を示す。1グループあたり、マウスn=3~4。(E)と(F)は、WT BALB/cAnNTac(WT BALB/c)マウスにおける、二週(E)及び八週(F)のたばこ煙誘発性COPDモデルの実験的設計を示す。室内空気に曝露したWT BALB/cマウス(Sham)、及び、たばこ煙に曝露したWT BALB/cマウス(CS)と、示した頻度と間隔で溶媒(CS+PBS)又はrISM1(CS+10μgのrISM1)で処理したマウス。1グループあたり、マウスn=5。(G)は、(E)の実験グループから採取した気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞の定量化を示す。1グループあたり、マウスn=4~5。(H)は、(F)の実験グループのヘマトキシリン・エオジン染色された肺の代表的な顕微鏡写真であり、免疫細胞湿潤物を示す。1グループあたり、マウスn=5。スケールバー:50μm。(I)~(L)は、(F)の実験グループのAM(I)、MMP-12発現(J)、MLI(K)及びFEV100/FVC(L)の定量化を示す。1グループあたり、マウスn=5。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定(C、D、未処理の月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウス)と、one-way ANOVAとチューキーの事後検定(C、D、G、I~L)で解析した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、#:Shamグループと比べて有意差なし。 図4は、ヒトISM1発現がAMアポトーシスと相関することを示す。(A)と(B)は、ヒトISM1(hISM1)(A)の代表的な免疫組織化学染色と、切除したヒトの肺組織切片のAMにおけるCD68(赤)、hISM1(緑)及び核(DAPI、青)の蛍光免疫染色である。スケールバー:20μm。(C)は、IHC染色強度(A)及びヒトAMにおける発現頻度(B)に由来する、hISM1発現のマトリックステーブルを示す。hISM1発現は、マトリックススコア1~3:+、4~6:++、9:+++によって注釈を付けた。(D)は、喫煙及びCOPDステータスで層別化した患者におけるhISM1発現の百分率分布を示す。(E)と(F)は、hISM1発現と、喫煙(E)及びAMアポトーシス(F)との相関を示す。(G)は、非COPD患者とCOPD患者におけるGRP78の代表的な免疫組織化学染色である。スケールバー:20μm。(H)は、COPDステータスとhISM1発現で層別化したCOPD患者におけるアポトーシス性AMの百分率を示す。データは平均値の標準誤差であり、点双列相関(E)、ピアソン相関(F)及びone-way ANOVAとチューキーの事後検定(H)で解析した。*P<0.05。患者サンプルサイズはグラフに示す。 図5は、Ism1Δ/Δマウスの特徴を示す。(A)と(B)は、月齢2カ月のFVB/NTac(A)及びC57BL/6J(B)WT及びIsm1Δ/Δマウスにおける、肺気腫の病理学グレーディングを示す。1グループあたり、マウスn=4。(C)と(D)は、月齢2カ月、6カ月及び9カ月のC57BL/6J WT及びIsm1Δ/Δマウスの、ヘマトキシリン・エオジン染色された末梢左肺葉の代表的な顕微鏡写真(C)及び平均肺胞径(MLI)(D)を示す。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:200μm。(E)と(F)は、月齢2カ月のFVB/NTac Ism1Δ/Δマウスにおける、エラスチン(黒)とコラーゲン(赤)の減少を示すヴァーヘフ-ワンギーソン(Verhoeff-Van Gieson:VVG)染色された肺(E)と、粘液分泌過多(赤)を示す過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色された気道(F)の代表的な顕微鏡写真である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(G)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスにおける、気管支上皮細胞の高さ(左)と細胞数(右)の測定値を示す。マウス1匹あたり8~10の小気道から得られた平均測定値(n=34~38)、1グループあたりマウス4匹。(H)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、TGF-β1、VEGF-A、好中球エラスターゼ(NE)、α-1-アンチトリプシン(A1AT)及びローディングコントロールとしてのβアクチンのウエスタンブロット(上)と倍率変化(下;A.U.、任意単位)を示す。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(I)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺のAMにおける、TGF-β1及びVEGF-Aの代表的な免疫組織化学染色である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(J)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、相対的血中活性酸素種(ROS)の定量化を示す。ISM1欠乏性肺の特異性を示すため、脳組織(ISM1発現に対して陽性)をコントロールとして用いた。1グループあたり、マウスn=3。(K)は、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、相対的サイトカイン発現のヒートマップである。WTマウスn=3、Ism1Δ/Δマウスn=6。(L)は、P1 FVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSF(赤)と核(DAPI;青)の代表的な蛍光免疫染色(左)である。1グループあたり、マウスn=4。(M)は、P1 FVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSF及びローディングコントロールとしてのβアクチンのウエスタンブロット(上)と倍率変化(下;A.U.、任意単位)を示す。1グループあたり、マウスn=8~9。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定(D、G、H、J及びM)で解析した。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001。(N)は、月齢1カ月のIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSFのアップレギュレーションを先行した、MMP-12の増加を示す。 図6は、ISM1が、細胞表面GRP78を通じて肺胞マクロファージアポトーシスを誘導することを示す。(A)は、月齢2カ月のFVB/NTac WTマウスの肺における、ISM1(緑)と核(DAPI;青)を発現するAM(CD68、赤)の代表的な蛍光免疫染色である。スケールバー:10μm。(B)は、月齢2カ月のWT BALB/cAnNTacマウスの肺における、アンチセンスism1を用いた代表的なin-situのハイブリダイゼーションを示し、挿入図として、気管支上皮と肺胞マクロファージにおけるISM1発現を示す。(C)~(E)は、1μMのrISM1処理後の、rISM1(赤)とGRP78(緑)の共局在(C及びD)及び切断型カスパーゼ3(CCP3)(E)の1次AMの代表的な共焦点画像である。核はDAPI(青)で染色。スケールバー:5μm。(F)と(G)は、タプシガルギン(TG)前処理及び1μMのrISM1処理(F)と、GRP78抗体中和(G)後の、MH-S細胞におけるアポトーシスのIncuCyte定量化である。処理条件は示した通り。解析は三重のウェルで行い、定量化のため1つのウェルあたり4枚の画像を撮影した。データは平均値の標準誤差であり、one-way ANOVAとチューキーの事後検定(F及びG)で解析した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。 図7は、外因性rISM1が、Ism1Δ/Δ及びたばこ煙曝露マウスにおける肺気腫を軽減することを示す。(A)と(B)は、PBSとrISM1で処理したFVB/NTac Ism1Δ/ΔマウスのAMにおけるrISM1(A)と切断型カスパーゼ3(CCP3、緑)(B)の代表的な免疫染色である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:10μm(A)、20μm(B)。(C)と(D)は、PBS、5μgのrISM1又はクロドロン酸リポソーム(CLO)処理後のFVB/NTac Ism1Δ/Δマウスの肺における、サーファクタントタンパク質C(SP-C、赤)、PCNA(緑)、核(DAPI、青)の代表的な蛍光免疫染色(C)及び定量化(D)である。1グループあたり、フィールドn=34~40。1つのマウスの肺あたり、9~10枚のランダム画像が撮影された。スケールバー:20μm。(E)は、溶媒(CS+PBS)又はrISM1(CS+10μgのrISM1)で処理された、室内空気曝露(Sham)及びたばこ煙曝露のWT BALB/cAnNTac(WT BALB/c)マウス(cs)のヘマトキシリン・エオジン染色された肺の代表的な顕微鏡写真である。1グループあたり、マウスn=5。スケールバー:100μm。(F)は、(E)のPBSとrISM1で処理されたCSマウスの肺におけるCCP3(緑)の代表的な蛍光免疫染色である。1グループあたり、マウスn=5。スケールバー:20μm。(G)~(J)は、(E)のCOPDマウスの肺好中球数(G)とスパイロメトリー(H~J)の定量化を示す。全肺気量(TLC)(H)、静的コンプライアンス(Cchord)(I)及び呼吸仕事量(WOB)(J)。データは平均値の標準誤差であり、one-way ANOVAとチューキーの事後検定(D、G~J)で解析した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。Shamグループと比べて有意差なし。 図8は、COPD患者とたばこ煙曝露マウスにおけるISM1発現を示す。(A)は、空ベクター(EV)又はhISM1過剰発現(hISM1-OE)HEK293FT細胞における、anti-hISM1又はマウスIgGアイソタイプコントロールの代表的な免疫組織化学染色(上パネル)と蛍光免疫染色(下パネル)である。スケールバー:20μm。(B)と(C)は、室内空気曝露(Sham)とたばこ煙曝露のWT BALB/cAnNTac(WT BALB/c)マウス(CS)の気管支上皮におけるISM1の代表的な免疫組織化学染色である。1グループあたり、マウスn=5(B);非COPD及びCOPD患者(C)。スケールバー:20μm。(D)は、現在の喫煙状況で層別化した患者のISM1発現の百分率分布を示す。患者のサンプルサイズはグラフに示す。(E)と(F)は、室内空気曝露(Sham)とたばこ煙曝露のWT BALB/cマウス(CS)のAM(E)と、多形核でない白血球又はリンパ球(F)におけるISM1の代表的な免疫組織化学染色である。1グループあたり、マウスn=5。スケールバー:20μm。 図9A~Fは、非病理的状況の下、ISM1欠乏が、肺において白血球浸潤の増加を引き起こすことを示す。図9Aは、HE染色に示すように、月齢2カ月のIsm1Δ/Δマウスの肺における免疫細胞浸潤の増加を示す。図9Bは、Ism1Δ/Δと野生型の肺における総白血球の定量化を示す。図9Cは、CD68とNIMP-R14のIHC染色で検出された、月齢2カ月のIsm1Δ/Δマウスの肺におけるマクロファージと好中球の増加を示す。図9Dと9Eは、免疫細胞分画(differential immune cell count)が、Ism1Δ/Δの肺におけるマクロファージと好中球の増加を示したことを示す。図9Fは、Ism1Δ/Δマウスの抹消血液の解析が、2カ月で総白血球(WBS)、好中球(NE)及びリンパ球(LY)の増加を示したことを示す。*はp<0.05;1グループあたり、動物n=5(9A~9E)。1グループあたり、動物n=7(9F)。 図10A~Gは、ISM1欠乏が、肺において、気管内LPSに対する免疫応答の高まりを引き起こすことを示す。図10A~10Eは、気管内LPS負荷に対する免疫応答の経時変化を示す:総白血球、好中球、マクロファージ、T細胞及びB細胞の定量化によって、Ism1Δ/Δの肺はLPSに対する免疫応答の高まりを示した。LPS(2mg/kg)を一回、気管内投与し、LPS投与後1日、3日、5日及び7日目の肺から単細胞懸濁液を分離する。図10Fは、LPS負荷後1日目の野生型マウスと比較して、Ism1Δ/Δマウスにおいて、LPSが肺野透過性の亢進(より高いBALタンパク質)を引き起こしたことを示す。図10Gは、LPS負荷後1日目の、肺気腔への免疫細胞浸潤(急性炎症)の程度を表す代表的なHE染色された肺の切片(左)と、好中球マーカーであるNIMP-R14で蛍光免疫染色された好中球(右)を示す。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001;1グループあたり、動物n=3。 図11A~Gは、気管内デリバリーされたrISM1が、LPS誘発性肺炎症を抑制することを示す。図11Aは、LPS誘発性急性炎症のマウスの肺に対する、rISM1処理を示す概略図である。マウスに、50μgのrISM1を気管内デリバリーして前処理し、翌日LPS(2mg/kg)を単回投与した。50μgのrISM1で1日一回、LPS後3日目までマウスを連続的に処理した。そして、気管支肺胞洗浄液を分離し、気管支肺胞洗浄液タンパク質と細胞成分に分けた。図11Bは、LPS負荷後1日目のrISM1処理されたマウスにおいて、気管支肺胞洗浄液タンパク質が減少したことを示す。図11C~Gは、LPS負荷後1日目のPBS又はrISM1処理されたマウスから採取した気管支肺胞洗浄液の細胞を用いて、総白血球及び免疫細胞分画を行ったことを示す。rISM1は、総白血球、好中球及びマクロファージの数を著しく減少させた。T細胞とB細胞もrISM1の下で減少したが、PBS処理されたマウスにおいてこれら2つの細胞型には幅広いバリエーションがあるため、統計的な重要性はない。*はp<0.05;1グループあたり、動物n=5。 図12A~Eは、LPS誘発性急性肺損傷からの回復後、ISM1欠乏が、肺組織のリモデリングと線維症を引き起こしたことを示す。図12Aは、LPS負荷後9日目の野生型及びIsm1Δ/Δマウスにおける組織線維症の程度を示す、HE染色された肺の切片の代表図である。図12B~Cは、ピクロシリウス染色によって検出されたように、Ism1Δ/Δマウスの肺の方がコラーゲン沈着が高かったことを示す。図12D~Eは、α平滑筋アクチン(α-SMA)の蛍光免疫染色によって、野生型マウスと比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺における線維化病巣内の筋線維芽細胞の増加が明らかになることを示す。**はp<0.01。定量化は、1グループあたり肺n=3、1つの肺あたり2つの切片、1つの切片あたり5つの顕微鏡フィールドで行った。 図13A~Bは、ISM1欠乏が、肺におけるII型肺胞上皮細胞(AEC2)の増殖を増加させることを示す。図13Aは、LPS負荷後9日目のIsm1Δ/Δと野生型マウスの、SP-CとPCNAの二重蛍光免疫染色された肺の切片の代表図である。図13Bは、LPS負荷後9日目の肺組織切片におけるSP-CとPCNAの二重陽性細胞の定量化を示す。Ism1Δ/Δマウスの肺において、AEC2の増殖数が著しく増加。***はp<0.001。定量化は、1グループあたり肺n=3、1つの肺あたり2つの切片、1つの切片あたり5つの顕微鏡フィールドで行った。 図14A~Cは、ISM1欠乏が、肺においてより高い線維化促進性サイトカインTGF-βを引き起こしたことを示す。図14Aは、LPS負荷後9日目のIsm1Δ/Δと野生型マウスの、TGF-β蛍光免疫染色された肺の切片の代表図である。図14Bは、LPS負荷後9日目のIsm1Δ/Δと野生型マウスの肺におけるTGF-βの発現レベルを、ウエスタンブロットと全肺ライセート(whole lung lysate)を用いて解析したものを示す。図14Cは、LPS負荷後9日目のIsm1Δ/Δマウスにおける肺TGF-βタンパク質レベルの定量化を示す。**はp<0.01。1グループあたり、肺n=3。 図15A~Cは、ISM1欠乏が、LPS負荷後1日目の肺の炎症性サイトカイン/ケモカインプロフィールを変化させることを示す。サイトカインとケモカインは、LPS負荷後1日目のIsm1Δ/Δと野生型マウスの肺ホモジネートと、炎症性サイトカイン抗体アレイを用いて解析した。図15Aは、抗体アレイによって解析したサイトカイン/ケモカインの相対的変化を示す。*はp<0.05。1グループあたり、肺n=4。図15B~Cは、ウエスタンブロットで解析したLPS負荷後1日目のIsm1Δ/Δマウスの肺における、TNF-αの発現の増加を示す。**はp<0.01。1グループあたり、肺n=3。 図16A~Cは、ISM1欠乏が、p65 NF-κBの発現レベルと核移行の両方を増加させることを示す。図16Aは、LPS負荷後1日目のIsm1Δ/Δと野生型マウスの肺切片における、蛍光免疫染色されたNF-κB p65サブユニットの代表図である。DAPI(核、青)と共存して、増加したp65 NF-κB(赤)信号が、Ism1Δ/Δマウスの肺切片に存在した。図16Bは、LPS負荷後1日目のIsm1Δ/Δマウスの肺ホモジネートにおけるp65 NF-κBレベルの上昇を、ウエスタンブロットによって示す。図16Cは、β-アクチンに対するp65 NF-κBの定量値を示す。1グループあたり、肺n=3。 図17A~Cは、Ism1Δ/ΔC57BL/6Jマウスの作製を示す。図17aは、ガイドRNAペアであるgRNA1とgRNA3を介して、Ism1を標的化するCRISPR/Cas9の概略図である。P1とP2は、T7E1アッセイと遺伝子型判定に使用したプライマーを示す。図17bは、Ism1Δ/Δノックアウト線(knockout line)のDNA配列を示し、未成熟終止コドン(premature stop codon)とISM1タンパク質が生成されないことにつながる23bpの欠失を示す。赤い矢印はCas9切断部位を示し、黄色い領域は二つの重複するgRNAの標的領域を表す。図17cは、C56BL/6J WT、Ism1+/Δ及びIsm1Δ/ΔからのIsm1 mRNAのRT-PCRを示す。図17dは、C57BL/6J WTとIsm1Δ/Δマウスの肺切片における、ISM1(茶色)と核(ヘマトキシリン、青)の代表的な免疫組織化学染色である。Brは気管支、Alは肺胞。スケールバー:20μm。 図18は、正常細胞(右)とストレス下の細胞(左)を比較するモデルを示す。ストレス下の細胞(腫瘍細胞、EC、活性炎症性細胞など)において、ISM1及び/又はその断片と相互作用することができる細胞表面GRP78(csGRP78)が増加し、結果として細胞死をもたらす(例えば、治療効果への提供)。また、csGRP78レベル及び/又はそれとのISM1相互作用における変化は、診断及び/又は予兆情報を提供し得る。図に示すように、csGRP78は、炎症性疾患などの疾患における治療標的及び/又は診断バイオマーカーとなり得ると考えられる。 図19A~Bは、ISM1ではなくISM1(287~461)がEC接着をサポートすることを示す。図19Aは、ISM1におけるAMOPドメインが、EC接着を媒介する上で重要であることを示す。二つのタンパク質間の経時的コンフルエンスの見込みに有意差がなかったため、ISM1はISM1と同等に細胞接着をサポートすることができる。経時的コンフルエンスの見込みが著しく遅く低いため、ISM1は細胞接着をサポートする能力が低い。**p<0.01、n=3。図19Bは、ISM1Cよりも細胞接着率が著しく低かったため、変異体ISM1RKD341RAA(C)とISM1RKD340AAA(C)の細胞接着をサポートする能力が低いことを示す。**p<0.01、n=3。 図20A~Bは、内部移行したISM1(287~461)が、ECアポトーシスを引き起こすことを示す。図20A~Bは、ISM1よりISM1が、ECアポトーシスを著しく引き起こしたことを示す。エラーバーはSDとしてプロットした。*P<0.05、**P<0.01、N=3。 図21は、BSAではなくゼラチンがEC接着をサポートできることを示す。細胞コンフルエンスにおける動的変化をモニターした。時間とともにコンフルエンスの変化が増加する場合、ゼラチンはEC接着をサポートすることができる。コンフルエンスが低いまま、又は時間とともに減少したため、BSAは細胞接着をサポートしない。**P<0.01、N=3。 図22は、CRISPR/Cas9標的化及びFVB/N Ism1Δ/Δマウスの作製を示す。(A)は、ガイドRNAペアであるgRNA1とgRNA2を介してIsm1を標的化するCRISPR/Cas9の概略図を示す。(B)と(C)は、FVB/NTac(B)とC57BL6/J(C)のWT、Ism1+/ΔとIsm1Δ/Δマウスの遺伝子型判定PCRを示す。(D)は、FVB/NTac WTとIsm1Δ/Δマウスの呼吸上皮におけるISM1(赤)と核(DAPI、青)の代表的な蛍光免疫染色である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。(E)は、C57BL/6J WTとIsm1Δ/Δマウスの肺におけるISM1の代表的な免疫組織化学染色である。1グループあたり、マウスn=4。スケールバー:20μm。 図23は、COPDにおける肺胞マクロファージアポトーシスが、細胞表面GRP78発現と相関することを示す。(A)は、患者コホートにおける切断型カスパーゼ3(CCP3)の代表的な免疫組織化学染色である。スケールバー:50μm。(B)は、hISM1発現とAMアポトーシスとの相関を示し、喫煙状況によって層別化した。患者のサンプルサイズはグラフに示す。データは、ピアソン相関で解析した。(C)と(D)は、室内空気曝露(Sham)とたばこ煙曝露(CS)のWT BALB/cAnNTacマウスの肺における、GRP78(赤)、切断型カスパーゼ3(CCP3)と核(DAPI、青)の代表的な蛍光免疫染色である。1グループあたり、マウスn=5。スケールバー:20μm(C);非COPD及びCOPD患者。スケールバー:10μm(D)。 図24は、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、AMアポトーシス、肺の恒常性及び炎症の制御におけるISM1のメカニズムの提案を示す。(A)左は、オートクリン/パラクリンISM1が、高いcsGRP78を有するAMを特に標的とし、アポトーシスを誘導することを示す。AM数は制御下に保たれ、炎症は制御され、肺の恒常性は維持される。右は、ISM1が無い/低いと、肺胞腔におけるAM集積と、肺機能の進行的な低下とともに肺気腫の発症を結果としてもたらすことを示す。(B)は、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、AMアポトーシスと肺の恒常性の制御におけるISM1のメカニズムの提案の概略図を示す。左は、オートクリン/パラクリンISM1が、高いcsGRP78を有するAMを特に標的化し、アポトーシスを誘導することを示す。AM数は制御下に保たれ、炎症は制御され、肺の恒常性は維持される。右は、ISM1の減少が、肺胞腔におけるAM集積と、肺機能の進行的な低下とともに肺気腫の発症を結果としてもたらすことを示す。ROS、NF-κBシグナル伝達、MMP-12及びMMP-9を含む肺気腫メディエーターがアップレギュレートした。 図25は、気管支肺胞洗浄液(BALF)から採取した細胞のフローサイトメトリー解析のゲーティング戦略を示す。肺胞マクロファージのフローサイトメトリー解析と定量化の代表的なゲーティング戦略と合わせて、肺胞マクロファージのゲーティング戦略を示す。 図26は、HDM誘発性アレルギー喘息マウスモデルにおけるアレルゲン曝露のタイムラインを示す。疾患モデルは、Hammad et al.(2009)及びPeh et al.(2015)に記載のプロトコルに従って作製した。簡単に言えば、メスのC57BL/6Jマウス(6~8週)をイソフルランで麻酔し、0日、7日及び14日目に気管内ルートを介して、40μLのHDM抽出物(ヤケヒョウダニ;Dermatophagoides pteronyssinus)で感作した。負荷から2時間後、15日目及び16日目に連続して、細菌生成組換えISM1(2mg/kg、40μg/マウス)又は同量の溶媒(生理食塩水)を1日単回投与した(赤い矢印)。全ての動物を17日目に安楽死させ、免疫細胞浸潤解析のため、気管支肺胞洗浄液(BALF)を収集した。5匹の健康なマウスからなる未処理グループが、コントロールとしての役割を果たした。 図27は、最後の処理から24時間後の気管支肺胞洗浄液(BALF)における炎症性細胞数を示す[未処理:n=5;HDM:n=5;食塩水:n=7;ISM1:n=7]。(A)好酸球(Eos)、肺胞マクロファージ(AM)、好中球(Neu)及びリンパ球(Lym)を特定するため、10の異なる観察フィールドで細胞分画を行った。未処理グループと比べて、チリダニ(House dust mite:HDM)抽出物負荷によって、総細胞数、好酸球及び肺胞マクロファージは著しく増加し、好中球及びリンパ球はわずかに増加した。一方で、イスミン1(ISM1)処理グループにおいて、総細胞数は70%減少(P=0.0053)し、好酸球(P=0.0062)とリンパ球(P=0.0381)は著しく減少した。肺胞マクロファージと好中球の総数に変化は見られなかった。値は平均値の標準誤差で示す。HDMとの有意差あり。(B)は、免疫細胞浸潤を示すLiu染色の代表的な顕微鏡写真である。スケールバー:40μm。 図28は、HDM処理グループと比べて、総IgEレベルがrISM1処理によって著しく低下したことを示す。総IgEレベルは、BD OptEIATMマウス IgE ELISAキット(N=5)を用いて解析した。値は平均値の標準誤差で示す。グループ間の平均差をone-way ANOVAで比較した。*P=0.05;**P<0.005。 図29は、C末端AMOPドメインが単独で、ISM1の完全なアポトーシス促進活性を保持することを示す。左に組換えタンパク質構築物を示し、右にアポトーシス促進活性を示す。mam:哺乳類生成、bac:大腸菌生成。マウスISM1タンパク質を使用。哺乳類細胞生成及び大腸菌生成rISM1 287-461断片は、ともに、全長ISM1の完全なアポトーシス促進活性を保持する。 図30は、AMOPドメイン287~461領域を介した直接結合を示す、精製されたGRP78とISM1タンパク質を用いた共免疫沈降アッセイを示す。 図31は、組換えマウスISM1タンパク質の発現と精製を示す。(A)ISM1の哺乳類発現構築物の概略図。分泌効率を上げるため、N末端にマウスIgκ1リーダー配列を含めた。タンパク質の検出と精製のため、C末端にc-Mycタグとヘキサヒスチジンタグを含めた。(B)哺乳類rISM1の発現と精製を示すワークフローの概略プレゼンテーション。(C)変性SDS-PAGEで70kDaあたりに移動した精製哺乳類組換えISM1タンパク質。(D)ISM1の細菌発現構築物の概略図。タンパク質の検出及び精製のため、N末端にヘキサヒスチジンタグを含めた。N末端のSUMOタグは、タンパク質の可溶化をアシストする。(E)細菌rISM1の発現と精製を示すワークフローの概略プレゼンテーション。(F)SUMOタグが切断された最終的な精製細菌組換えISM1タンパク質は、変性SDS-PAGEで55kDaあたりに移動した。 図32は、不均一なグリカンとともに、哺乳類組換えISM1が高密度に沈着することを示す。(A)ISM1に存在する二つのNグルコシル化部位の概略プレゼンテーション。(B)PNGaseFとともに哺乳類組換えISM1タンパク質をインキュベートし、N結合型グリカンを取り除いた。(C)ISM1の野生型及びNグリカン変異体が、HEK293T、HEK293FT及びHela細胞に発現し、解析された。タンパク質の発現と分泌をウエスタンブロットで解析した。(D)ISM1での、O結合型及びC結合型グリカン沈着の総括図。赤く色づけた残基は、グリカン沈着部位を表す。一番目に下線が引かれた配列はTSRドメインを指し、次に下線が引かれた配列はAMOPドメインに相当する。(E)ISM1のO結合型及びC結合型グリカン変異体がHEK293FT細胞において発現し、解析された。 図33は、ISM1のAMOPドメインが、その受容体相互作用を媒介することを示す。(A)共免疫沈降実験用のISM1とGRP78の組換えタンパク質構築物の概略プレゼンテーション。mamISM1は哺乳類組換えISM1タンパク質を表し、bacGRP78は細菌組換えGRP78タンパク質を表す。(B)精製した組換えタンパク質の質を示す、クマシーブルー染色されたSDS-PAGE。(C)共免疫沈降解析によって、AMOPドメインがISM1-GRP78相互作用を媒介したことが確認された。(D)共免疫沈降解析によって、AMOPドメインがISM1-インテグリンαvβ5相互作用を媒介したことが確認された。(E)共免疫沈降解析によって、AMOPドメインを有さないISM1が、インテグリンαvβ5との相互作用を消失させたことが確認された。 図34は、AMOPドメインの境界が、そのアポトーシス促進活性に影響を及ぼすことを示す。(A)哺乳類組換えタンパク質の生成と精製に用いたISM1 AMOP構築物の概略プレゼンテーション。(B)精製した組換えタンパク質の質を示す、クマシーブルー染色されたSDS-PAGE。(C)二つの哺乳類AMOPトランケートのアポトーシスアッセイの結果。(D)細菌組換えタンパク質の生成と精製に用いたISM1 AMOP構築物の概略プレゼンテーション。(E)精製した組換えタンパク質の質を示す、クマシーブルー染色されたSDS-PAGE。(F)異なる細菌組換えAMOPトランケートのアポトーシス促進活性の比較。(G)哺乳類及び細菌組換えAMOPトランケートのアポトーシス促進活性の比較。
炎症、特に肺炎症に関連する疾患や障害を治療するためのペプチド、ポリペプチド、核酸、組成物及び方法を本明細書に記載する。実施形態及び実施例は当業者を対象とした例示の目的で提供しており、いかようにも限定する目的でないことが理解されよう。
健康な成人は、周囲環境状況の下、肺の恒常性を制御及び維持して、無菌性炎症を予防する。免疫応答は、外傷、環境的ストレッサー及び/又は感染によって引き起こされ、急性炎症へとつながる。このような炎症は、傷を治癒し回復させ、炎症誘発性障害及び/又は損傷を予防するため、最終的に消退させることが望ましい。十分に炎症の消退をさせることができない場合、慢性炎症、及び/又は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性閉塞性気管支炎及び/又は肺線維症などの炎症関連疾患につながる可能性がある。急性肺損傷(ALI)などの急性肺疾患及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)も、肺の炎症に関連している。
本明細書に詳細に記載する通り、本発明者らは、イスミン1(ISM1)に由来する、及び/又は、基づく肺炎症なとの炎症を治療するためのポリペプチド、核酸、組成物、経肺ドラッグデリバリー装置及び方法を開発した。イスミン1は分泌タンパク質であって、炎症、特に肺の炎症を阻害、抑制及び/又は消退する役割を果たすものとして、本明細書に記載の研究によって示される。以下の詳細に記載された研究において、外因性組換えISM1タンパク質(rISM1)の肺への補給は、ISM1欠乏性肺における肺炎症の表現型を阻害し、その結果は、ISM1が、肺胞マクロファージアポトーシスを誘導することによって、炎症の消退を助け得ることを示す。本明細書に記載の通り、組換えISM1(rISM1)は、例えばたばこ煙誘発性COPDを防ぎ、LPS誘発性急性肺炎症や損傷を抑制し得る。結果は、無菌性肺炎症、及び/又は、感染及び/又は外傷によって引き起こされる炎症の抑制及び/又は消退において、ISM1が重要な役割を果たし得ることを示す。
炎症に関連する疾患又は障害を治療するための治療組成物、製剤及び装置
本明細書において、例えば、炎症、特に肺炎症に関連する疾患や障害の治療、改善及び予防するための治療組成物、ペプチド、ポリペプチド、核酸、製剤及び装置が提供される。
イスミン1(ISM1、時にISMとも呼ぶ)は、様々な異なる脊髄動物種に見られる分泌タンパク質である。ISM1タンパク質は、トロンボスポンジン1型リピート(TSR)ドメインと、MUC4における接着関連ドメインと、その他のタンパク質(AMOP)ドメインを含む。ISM1の受容体として、グルコース制御タンパク質78kDa(GRP78)とαvβ5インテグリンが知られている。イスミン1(ISM1)は、以前から、マウスにおける血管新生抑制と関連付けられていた(Xiang, W. et al., 2011, Isthmin is a novel secreted angiogenesis inhibitor that inhibits tumour growth in mice, Journal of Cellular and Molecular Medicine, 15(2): 359-374参照、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)。
ホモサピエンスにおける全長イスミン1の発現した配列(すなわち、N末端シグナルペプチドを含む)は以下のように示される。
イスミン1 前駆体[ホモサピエンス]
NCBI参照配列:NP_543016.1
Figure 2022524370000001
(配列番号1)
マウスにおけるイスミン1の発現した全長配列(すなわち、N末端シグナルペプチドを含む)は以下ように示される。
イスミン1 前駆体[ハツカネズミ]
NCBI参照配列:NP_001263418.1
Figure 2022524370000002
(配列番号2)
ISM1は分泌タンパク質であるため、これらのヒト(配列番号1)及びマウス(配列番号2)のISM1配列は、N末端シグナルペプチド配列を含む。このシグナルペプチド配列は、下線部分で示した部分であり、通常、ISM1の成熟分泌形態において切断されている。上記配列において、TSRドメインは太字で、AMOPドメインは斜体で示している。
シグナルペプチド配列が切断されたヒト及びマウスにおける、成熟ISM1は以下のように示される。
イスミン1(成熟)[ホモサピエンス]
GSGAADGPDAAAGNASQAQLQNNLNVGSDTTSETSFSLSKEAPREHLDHQAAHQPFPRPRFRQETGHPSLQRDFPRSFLLDLPNFPDLSKADINGQNPNIQVTIEVVDGPDSEADKDQHPENKPSWSVPSPDWRAWWQRSLSLARANSGDQDYKYDSTSDDSNFLNPPRGWDHTAPGHRTFETKDQPEYDSTDGEGDWSLWSVCSVTCGNGNQKRTRSCGYACTATESRTCDRPNCPGIEDTFRTAATEVSLLAGSEEFNATKLFEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY
(配列番号3)
イスミン1(成熟)[ハツカネズミ]
GSGASDRQDAAAGNVSGSQLQNNLNLESDSTSETSFPLSKEAPEEHQVVHQPFPRQRFPPETGHPSLQRDGPRSFLLDLPNFPDLSKADINGQNPNIQVTIEVVDGPDSEAEKDQHPENKPSWSLPAPDWRAWWQRSLSLARTNSGDQDDKYDSTSDDSNFLSVPRGWDRPAPGHRTFETKEQPEYDSTDGEGDWSLWSVCSVTCGNGNQKRTRSCGYACIATESRTCDRPNCPGIEDTFRTAATEVSLLAGSEEFNATKLFEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY
(配列番号4)
当然のことながら、本明細書におけるイスミン1(ISM1)タンパク質に関する言及は、特定の実施形態においては全長ISM1(すなわち、シグナルペプチドが存在するもの)又は成熟ISM1(すなわち、シグナルペプチドが取り除かれたもの)のいずれかに言及しているものとして理解されてもよい。分泌ISM1は、成熟形態(すなわち、シグナルペプチドがない状態)で通常発見されるため、特定の実施形態において、シグナルペプチド配列は省略されてもよい。特定の実施形態において、通常、成熟ISM1が好適である。
当然のことながら、本明細書におけるイスミン1(ISM1)タンパク質に関する言及は、特定の実施形態において、ISM1又はホモログ、オルソログ、パラログ又はその機能的等価物を発現する、任意の適切な種に見られるようなISM1を含む。ISM1は、多くの異なる種で発現されている。ISM1配列は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる国際公開WO2009/113965に更に詳しく記載されている。Xiang, W. et al., 2011, Journal of Cellular and Molecular Medicine, 15(2): 359-374(参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)において、ヒト、マウス、ゼノパス(Xenopus)及びゼブラフィッシュに見られるような、ISM1のアミノ酸アラインメントを示す配列比較が提供されている。HomoloGeneを用いたNCBIで算出した、ヒトISM1(前駆体)と、対応する様々な異なる種のISM1配列のペアワイズアラインメントスコアを以下に示す。
ペアワイズアラインメントスコア
Figure 2022524370000003
以上のように、異なる種においてISM1が幾分か類似している一方で、配列のバリエーションが認められる。タンパク質配列の観点から、上記スコアには、30%の配列同一性と同程度のヒト配列からのバリエーションが示されている(すなわち、D. rerio配列は、ヒトISM1と70%の配列同一性を有する)。
特定の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチド、又はそのGRP78活性化断片が提供される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、任意の特定の種からの任意の適切なISM1タンパク質であってもよい、N末端シグナルペプチドを有する又は有さないイスミン1(ISM1)タンパク質と、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。特定の実施形態において、ポリペプチドは、任意の適切なポリペプチド、ペプチド、ペプチド系又はポリペプチド系分子または分子の群を含んでもよく、精製タグ、リンカー、フルオロフォア、シグナルペプチド、標的化又はデリバリー配列、細胞透過性ペプチド、追加の活性剤(肺炎症を標的化する他の薬物など)又は特定の用途に適するその他の成分などの、追加のタンパク成分又は非タンパク成分を一つ以上含むようにさらに修飾されてもよいし、修飾されなくてもよい。特定の実施形態において、ポリペプチドは一つ以上のアミノ酸側鎖、N末端、C末端又はそれらの任意の組み合わせで修飾されてもよい。特定の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列又はそのGRP78活性化断片に加えて、ポリペプチドは、ISM1と同一性を有する配列に、一つ以上の追加のアミノ酸配列をN末端又はC末端のいずれかの位置に含んでもよい。
特定の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質のGRP78活性化断片は、少なくとも一つのイスミン1の断片、部分、ドメイン又は10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430又は440連続アミノ酸と、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有する任意の適切なペプチド又はポリペプチドを含んでもよく、ISM1と実質的に同じ有効性、又はISM1と比べて少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の有効性で、GRP78活性化断片はGRP78に結合し、活性化することができる。
本明細書に記載の研究において、ISM1は、GRP78のアポトーシス促進性リガンドであって、GRP78に結合してアポトーシスを引き起こすことが示される。したがって、ISM1は、GRP78のアゴニストとして考えられてもよい。シグナル受容体として、GRP78は多数の異なるリガンドに結合してもよく、タンパク質の異なる領域を介して結合してもよい(GRP78のレビューは、Ni, et al., Biochem J., 2011, 434(2): 181-188に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)。いくつかのリガンドは増殖促進性、その他はアポトーシス促進性であってもよく、それぞれ異なる細胞内シグナル経路を有してもよい。特定の実施形態において、GRP78とのISM1相互作用には、ISM1内部移行及び/又はカスパーゼ活性化と関与し得る細胞内シグナル経路が関与してもよい。したがって、特定の実施形態において、GRP78活性化断片は、GRP78のアポトーシス促進性リガンドとして機能することができる、及び/又は、GRP78に結合してアポトーシスを引き起こすことができる、任意の適切なペプチド又はポリペプチドを含んでもよい。特定の実施形態において、ISM1タンパク質のGRP78活性化断片は、GRP78を介してアポトーシスを引き起こすことができる任意の適切なペプチド又はポリペプチドを含んでもよく、断片の内部移行及び/又はカスパーゼ活性化は含んでも含まなくてもよい。
特定の実施形態において、GRP78又はGRP78受容体に関する言及は、細胞表面GRP78(csGRP78)を含むと理解されてもよい。細胞外ISM1が相互作用するのは細胞表面GRP78(csGRP78)であって、本明細書の教えに関する当業者は、GRP78に関する言及をcsGRP78に関する言及であると必要に応じて理解するだろう(すなわち、特定の実施形態において、本明細書におけるGRP78に関する言及は、csGRP78に関する言及であると理解される)。
特定の実施形態において、AMOPドメインは、ISM1のGRP78への結合を媒介し得る、及び/又は、ISM1のアポトーシス促進活性を媒介し得ると考えられる。特定の実施形態において、ISM1のTSRドメインは、ISM1のGRP78への結合、及び/又は、ISM1のアポトーシス促進効果における関与が小さい又はないとさらに考えられる。確かに、AMOPドメインがGRP78結合及びアポトーシスを引き起こす原因であり得ることを、結果が示唆している(詳細は以下の実施例3を参照)。したがって、特定の実施形態において、ペプチド又はポリペプチドは、一般に、少なくともISM1のAMOPドメインを有する任意の適切なペプチド、ポリペプチド、ペプチド系分子又はポリペプチド系分子、又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含んでもよい。ポリペプチドがISM1からのドメイン又は領域を一つ以上含む実施形態において、一般に、ドメイン又は領域はISM1に見られるような同じN-C末端の順序で構築されてもよいし、ISM1と比較して再配列されてもよい。ISM1ドメインと断片は、国際公開WO2009/113965(発明の名称:Isthmin Derivatives for use in Treating Angiogenesis)にさらに詳細に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、配列番号10又は11のいずれか一つと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチドが提供される。

配列番号10:ヒトISM1 AMOPドメイン
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDED

配列番号11:マウスISM1 AMOPドメイン
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDED
特定の実施形態において、配列番号1~4のいずれか一つと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は、その10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430又は440連続アミノ酸を含むペプチド又はポリペプチドが提供される。
特定の実施形態において、配列番号1~4のいずれか一つを含む、又は、からなるポリペプチドが提供される。特定の実施形態において、イスミン1タンパク質である、又は、イスミン1タンパク質を含むポリペプチドが提供される。特定の実施形態において、ヒトISM1タンパク質である、又は、ヒトISM1タンパク質を含むポリペプチドが提供される。
特定の実施形態において、アミノ酸配列:
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号26);
又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチドが提供される。
実施例3に記載の結果は、配列番号26のポリペプチド配列が、GRP78に結合するために十分であり得ることを示す。実施例3は、ISM1における配列番号26を先行するEVSLLAGSEEFNATKL配列(すなわち、位置271~286)を有さない場合の、有効な結果を示す。したがって、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、アミノ酸配列:FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号26);又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチド又はそれらのGRP78活性化断片を含んでもよい。
特定の実施形態において、アミノ酸配列:
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24);
又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチドが提供される。
実施例3に記載の結果は、配列番号24のポリペプチドが、GRP78に結合するのに十分であり得て、EC接着をサポートでき、内部移行でき、ミトコンドリア内に局在することができ、アポトーシスを誘導し得ること示す。実施例3は、ISM1における配列番号26を先行するEVSLLAGSEEFNATKL配列(すなわち、位置271~286)を有さない場合の、有効な結果を示す。したがって、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、アミノ酸配列:FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24);又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。
配列番号26のアミノ酸配列は、AMOPドメインが位置するマウスISM1のC末端領域のN末端部分であって、AMOPドメインのN末端部分からの配列を含む(ISM1C-N、残基2287~373)。配列番号24のアミノ酸配列は、TSRドメインではなくAMOPドメインを含むマウスISM1のC末端領域である(ISM1、残基287~461)。配列番号26と24はそれぞれマウスISM1配列に由来するが、特定の実施形態において、その他の種のISM1からの対応する配列/領域も使用され得ると理解されるだろう。例として、特定の実施形態において、マウスISM1の領域287~373(配列番号26)又は領域287~461(配列番号25)に対応するヒトISM1に見られるアミノ酸配列、又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含む、又は、からなるペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片が提供される。
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号27;ヒトISM1C-N

FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24:マウスISM1 287~461);又は

FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号25:ヒトISM1 290~464)
特定の実施形態において、上記ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、ISM1のN末端シグナルペプチド配列をさらに含んでも、含まなくてもよい。
特定の実施形態において、上記ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、全長又は成熟ISM1でない(すなわち、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、細胞又は対象において自然に発現しない外因性ペプチド又はポリペプチドであってもよい)。特定の実施形態において、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、全長又は成熟ISM1より長くても、短くてもよい。特定の実施形態において、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、少なくとも一つの残基に対して、自然発現したISM1とは異なる一次アミノ酸配列を有してもよい(すなわち、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、例えば、ヒト又はその他の種から自然発現したISM1と比較して、一つ以上のアミノ酸付加、欠失又は置換を含んでもよい)。特定の実施形態において、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、例えば、自然発現したISM1と比較して、一つ以上の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
特定の実施形態において、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号26);
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24);
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号27);又は
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号25:ヒトISM1 290~464)、
又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含む、又は、からなるものであってもよい。
上記ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片の別の実施形態において、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、配列番号24~27のいずれにもアミノ酸配列:EVSLLAGSEEFNATKL N末端を含まない、又は、配列:EVSLLAGSEEFNATKLを全く含まない。別の実施形態において、ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は:
EVSLLAGSEEFNATKLFEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号12);
EVSLLAGSEEFNATKLFEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号20);
EVSLLAGSEEFNATKLFEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号13);又は
EVSLLAGSEEFNATKLFEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号21)
を含まない、又は、ではない。
特定の実施形態において、上記ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片は、分離ペプチド又はポリペプチド又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。
特定の実施形態において、ISM1タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するものを含む本明細書に記載のポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、特定の種において自然発現した全長又は成熟ISM1に対して少なくとも一つの変異(すなわち、アミノ酸付加、欠失又は置換)を有するポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。特定の実施形態において、少なくとも一つの変異は、アミノ酸置換を含んでも、含まなくてもよい。特定の実施形態において、少なくとも一つの変異は、アミノ酸残基が、大きさ、電荷、親水性/疎水性、水素結合、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも一つに関して、元の残基と少なくともいくらか類似する別のアミノ酸残基と置換される保存的アミノ酸置換を含んでも、含まなくてもよい。特定の実施形態において、少なくとも一つの変異は、アミノ酸残基が、例えばグリシンやアラニンなどの置換位置で、望ましい機能に対して目立たない又は非破壊的であると一般的に考えられる別のアミノ酸残基と置換される保存的アミノ酸置換を含んでも、含まなくてもよい。
実施例3の研究は、KD341AA及びRKD340AAA変異を有するポリペプチド(ISM1C-N変異)に関する議論を含む。これらの変異により、ISM1のαvβ5インテグリン受容体との結合親和性を失う可能性があるが、実施例3において議論されるように、GRP78との結合はこれらの変異で破壊されず、このような変異配列は、標的GRP78受容体のより特異的な標的化を提供し得ることを示唆している。したがって、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、KD341AA変異又はRKD340AAA変異を含んでもよい。当然のことながら、「341」と「340」の番号付けは、マウス配列に対して提供されており、種によって異なることもある。例として、KD-AAとRKD-AAAの番号付けは、ヒトISM1配列における番号付けに言及する際、異なることがある(例えば、対応するヒト変異はKD343AAとRKD342AAAとなる)。
したがって、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、アミノ酸配列:FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRAAFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号14、マウスAMOPドメインを含むC末端領域のN末端部分、残基 287~373、KD341AA変異あり)、又は、別の種から対応して変異した領域、又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。
特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、アミノ酸配列:FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKAAAFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号15、マウスAMOPドメインを含むC末端領域のN末端部分、残基 287~373、RKD340AAA変異あり)、又は、別の種から対応して変異した領域、又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はそのGRP78活性化断片を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。
実施例3において議論されるように、結果は、C末端AMOPドメイン単独で、ISM1のアポトーシス促進活性を媒介するのに十分であったことを示す。確かに、以下の実施例3で議論されるように、ISM1タンパク質のトランケーションを用いた構造-機能の関係に関する研究は、287~461からのC末端AMOPドメインが、全長ISM1タンパク質の完全なアポトーシス促進活性を保持し、ISM1タンパク質のアポトーシス促進活性を媒介するために、AMOPドメインの翻訳後修飾が必要ないことを示した。したがって、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、アミノ酸配列:
FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24;マウス);又は
FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号25;ヒト);
又はそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は、からなるポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片を含んでもよい。
配列番号24及び25は、それぞれマウス及びヒトISM1配列に由来するが、特定の実施形態において、別の種のISM1からの対応する配列/領域も使用され得ることが理解されるだろう。
特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、化学的に修飾されたポリペプチド又はペプチド、又は、ポリペプチド又はペプチドに由来する、又は、基づくペプチド模倣物を含んでもよい。例として、特定の実施形態において、ポリペプチド又はペプチド又はそのGRP78活性化断片は、化学的に修飾されたポリペプチド又はペプチド、又は、ポリペプチド又はペプチドに由来する、又は、基づくペプチド模倣物を含んでもよく、一つ以上の環状誘導体、一つ以上の非天然アミノ酸残基を含む誘導体(Dアミノ酸など)、及び/又は、ペプトイドやβペプチドなどのその他の中で、ペプチド模倣物、又は、ペプチド結合以外の一つ以上の異なる化学結合又は連鎖を含むその他の構築物を含んでもよい。特定の実施形態において、ISM1に由来するペプチド由来の薬剤の例として、BC71などのKao et al., EBioMedicine 33 (2018) 22-32(参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)に記載のものが挙げられる。
特定の実施形態において、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドは、それを必要とする対象の肺に投与するために処方されてもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺に投与(すなわち、経肺デリバリー)するための薬剤の処方に関する様々な適切なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。薬剤、特にタンパク質を肺にデリバリーすることは、重要な研究対象であり、例えば、Bodier-Montagutelli, E., et al., 2018, Designing inhaled protein therapeutics for topical lung delivery: what are the next steps?, Expert Opinion on Drug Delivery, 15(8): 729-736及びLabiris, N. R., et al., 2003, Pulmonary Drug Delivery. Part II: The role of inhalant delivery devices and drug formulations in therapeutic effectiveness of aerosolized medications, Br J Clin Pharmacol, 56:600-612に記載されており、それぞれ参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド又はペプチド又は核酸は、肺に局所投与するためであってもよい。例として、特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、ペプチド又は核酸は、気管内、鼻腔内又は吸入投与によって、肺に直接又は局所投与してもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドは、それを必要とする対象に気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与するために処方されてもよい。特定の実施形態において、ポリペプチドは、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するために処方されてもよい。特定の実施形態において、ポリペプチドは、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されてもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するため;肺胞マクロファージ(AM)又はその他の免疫細胞においてアポトーシスを誘導するため;それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における喘息を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するため;又はそのいずれかの組み合わせのために使用してもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドは、それを必要とする対象における肺炎症を予防又は軽減するための一つ以上の追加の薬剤と、任意で共有結合的又は非共有結合的に結合又は複合させる(例えば、任意で、生物学的に切断可能(biocleavable)なリンカーを介して)、又は、任意で組み合わせて、同時に、又は、連続して使用してもよいと考えられる。肺炎症を予防又は軽減するための従来の薬剤は、本明細書の教えに関する当業者にとって公知であって、例えば、ステロイドなどが含まれてもよい。
COPDを治療又はコントロールするための従来の薬剤は、例えば、吸入LABA+吸入LAMAの併用を含んでもよく、COPD患者の肺機能を改善し、重症化を軽減し得る。LABA(長時間作用性β2刺激薬)とLAMA(長時間作用性抗コリン薬)は、症状コントロールを提供する気管支拡張剤である。LABAの例として、サルメテロールやホルモテロールが挙げられる。LAMAの例として、チオトロピウム臭化物やグリコピロニウム臭化物が挙げられる。ほとんどのCOPDにおいて、コルチコステロイドに対して患者は応答不良を示し、またその副作用プロフィールのため、非炎症性吸入コルチコステロイド(ICS)は通常、単独で与えられることはない。通常、ホルモテロール+ベクロメタソン又はサルメテロール+フルチカゾンなど、LABAと組み合わせられる。特に重度のCOPDや、COPD重症化を軽減するため、LABA+LAMA+ICSを組み合わせる三重吸入治療も行われる。ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤である、より新しい非炎症剤ロフルミラストは、肺機能を改善し、中等又は重度の重症化を軽減し得る。しかしながら、この薬剤は主要な容量規定副作用をもたらす(オンラインで閲覧可能なGOLDガイドライン又はNICEガイドライン参照)。
特定の実施形態において、それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症と関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するために使用される、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸が提供される。
別の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列又はそのGRP78活性化断片を含む、ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸が提供される。与えられたアミノ酸に対応するヌクレオチドコドンがよく知られており、本明細書の教えに関する当業者は、与えられたポリペプチドをコードする適切な核酸を容易に選択することが可能であろう。特定の実施形態において、核酸配列は、コーディング領域が、目的の特定の生物における発現のために最適化されたコドンを使用するように選択されてもよい(例えば、大腸菌においてポリペプチドを生成するために核酸を使用する場合、大腸菌における発現のためにコドンを最適化してもよい。又は、ポリペプチドのin vivo発現を引き起こすために核酸をヒトに投与する場合、ヒトにおける発現のためコドンを最適化してもよい)。特定の実施形態において、核酸は発現可能な核酸であってもよい(すなわち、核酸は、与えられた細胞に導入又は存在する場合、ポリペプチドの発現という結果をもたらすよう設計されてもよい)。特定の実施形態において、核酸は、DNA又はRNAであってもよい。特定の実施形態において、核酸は、ポリペプチドを提供するために核酸が細胞に導入されると、核酸の翻訳又は転写と翻訳が起こるような適切な上流及び/又は下流配列を有するプラスミド、発現ベクター又はmRNAであってもよい(特定の実施形態において、開始コドン、ポリA尾部(poly-A tail)、RBS配列などの、目的の細胞における翻訳のために適切な配列を含んでもよい)。そこにポリペプチドが発現するように対象の肺細胞に核酸を導入する実施形態において、核酸によってコードされたポリペプチドは、特定の実施形態において、ポリペプチドが分泌されるようにシグナルペプチド配列を含むと考えられる。
特定のポリペプチドを細胞に過剰発現又は導入する適切な発現ベクターテクニックは、当該技術分野で周知である(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (4th Ed.), 2012, Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)。当業者にとって周知の通り、特定のポリペプチドを発現させるヌクレオチド配列は、"Genes VII", Lewin, B. Oxford University Press (2000)又は"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd edition (2001)に記載の特徴をコード又は含んでもよい。特定のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例えば市販のベクターなどの、適切なベクターに組み込まれてもよい。ベクターは、例えばSambrook et al. (Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd edition (2001))に概説されているような、標準的な分子生物学のテクニックを用いて個々に構築又は修飾されてもよい。当業者は、ベクターが、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る、望ましい要素をコードするヌクレオチド配列を含み得ることを認識するだろう。このような望ましい要素をコードするヌクレオチド配列は、転写プロモーター(例えば、構成的又は誘導性プロモーター)、転写エンハンサー、転写ターミネーター及び/又は複製起点を含んでもよい。適切なベクターの選択は様々な要因に依存し、例えばベクターに組み込まれる核酸の大きさ、望ましい転写及び翻訳コントロール要素の種類、望ましい発現レベル、望ましいコピー数、染色体組込が望ましいか、望ましい選択工程の種類、又は、形質転換するよう意図した宿主細胞又は宿主範囲などが含まれるが、これらに限定されない。
そこにポリペプチドを生成する目的で対象又は細胞に核酸を導入する実施形態において(例えば、ポリペプチドの製造、又は、in vitro又はin vivo治療用途のため)、核酸は、細胞内に核酸を導入することに適する適切な核酸デリバリー溶媒又はトランスフェクション試薬と複合されてもよいと、特定の実施形態において考えられる。特定の実施形態において、核酸は、細胞内にデリバリーするためウイルスに導入されてもよく、核酸は細胞のゲノムと統合してもしなくてもよい。本明細書の教えに関する当業者は、与えられた細胞又はそれを必要とする対象に本明細書に記載の核酸をデリバリーするために選択される、様々なデリバリー溶媒、トランスフェクション試薬及び/又はウイルス性デリバリー構築物を認識しているだろう。
別の実施形態において、本明細書に記載の核酸配列のいずれかと完全又は部分的に相補的な核酸配列が提供される。
本明細書に言及した通り、特定の配列またはその特定の部分に対するパーセント(%)同一性又は%配列同一性は、最大のパーセント配列同一性を達成するために必要に応じて配列を整列してギャップを挿入した後、検索パラメータをデフォルト値に設定したプログラムWU-BLAST-2.0で作成された、対象配列(又はその特定の部分)におけるヌクレオチド又はアミノ酸と同一の候補配列におけるヌクレオチド又はアミノ酸のパーセンテージと定義されてもよい(Altschul et al., J. Mol. Biol. (1990) 215:403-410; website at blast.wustl.edu/blast/README.html)。例として、%同一性値は、マッチする同一のヌクレオチド又はアミノ酸の数を、パーセント同一性が報告された配列の長さで割ったものによって判定してもよい。パーセント(%)アミノ酸配列類似性は、%アミノ酸配列同一性を判定するために使用した同じ計算によって判定してもよいが、例えば、算出において同一のアミノ酸に加えて保存的アミノ酸置換を含んでもよい。例えばBLAST(GenBank;デフォルトパラメータ使用)などの、オリゴヌクレオチド又はアミノ酸の整列アルゴリズムを用いて、配列同一性%を算出してもよい。
別の実施形態において、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸;及び
薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤;
を含む組成物が提供され、
前記組成物は対象の肺に投与するために処方される。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は発現可能な核酸は、上記の、又は、本明細書のどこかに記載のポリペプチド又は発現可能な核酸を含んでもよい。
特定の実施形態において、薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤は、本明細書の教えに関する当業者が知っているあらゆる担体、希釈剤又は賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容可能な賦形剤の例として、セルロース誘導体、ショ糖及びデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、薬学的に許容可能な賦形剤が、当該技術分野において周知である適切な充填剤、結合剤、潤滑剤、緩衝剤、滑剤、分散剤及び/又は崩壊剤を含み得ることを認識しているだろう(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2006)参照)。薬学的に許容可能な担体、希釈剤及び賦形剤の例は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(2000 - 20th edition)及び米国薬局方:1999年発行の国民医薬品集(USP 24 NF19)にて発見され得る。本明細書の教えに関する当業者は、それを必要とする対象の肺への、本明細書に記載のポリペプチド又は核酸を処方するために適切な薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を認識しているだろう。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド及び/又は核酸及び/又は組成物は、薬学的に許容可能な担体として、加圧又は無加圧のプロペラント又はキャリアガスとともに処方されてもよい。
特定の実施形態において、タンパク質及びペプチドなどの巨大分子のエアゾールデリバリーは、ドライパウダー吸入器(DPI)又はネブライザーなどの装置を介して行ってもよい。このような巨大分子によく使用される賦形剤は、界面活性剤、糖(例えば、ショ糖、トレハロース)及び/又はポリオール(例えば、PEG)のいずれか一つ以上を含んでもよい。アミノ酸(例えば、グリシン、リジン)は、安定剤としてよく使用される。例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、Expert Opin Drug Deliv (2018) 15:729-736及びAdv Drug Deliv Rev (2015), 93:79-94を参照。
特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸及び/又は組成物は、それを必要とする対象の肺に投与するために処方されてもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺に投与するための薬剤を処方するための様々な適切なアプローチやテクニックを認識しているだろう(例えば、経肺デリバリー)。薬剤、特にタンパク質を肺にデリバリーすることは、重要な研究対象であり、例えば、Bodier-Montagutelli, E., et al., 2018, Designing inhaled protein therapeutics for topical lung delivery: what are the next steps?, Expert Opinion on Drug Delivery, 15(8): 729-736;Labiris, N. R., et al., 2003, Pulmonary Drug Delivery. Part II: The role of inhalant delivery devices and drug formulations in therapeutic effectiveness of aerosolized medications, Br J Clin Pharmacol, 56:600-612;及びIbrahim, M., et al., 2015, Inhalation drug delivery devices: technology update, Med Devices (Auckl), 8:131-9に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸及び/又は組成物は、適切なドラッグデリバリー装置を用いて肺にデリバリーされるためであってもよい。特定の実施形態において、ドラッグデリバリー装置は、吸入器、ネブライザー、エアゾール、パッファー(puffer)、鼻スプレー又はその他の肺への投与に適切なデリバリー装置などの肺用の装置の形態であってもよい。肺へのデリバリー装置の例は、米国特許番号/特許出願公開番号:US5983893号、US6732732号、US20070295332号、US5007419号、US4832015号、US20040244794号、US20100065048号、US20030235555号、US20050201951号及びUS20090000615号に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、それを必要とする対象に気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与するために処方されてもよい。特定の実施形態において、組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するために処方されてもよい。特定の実施形態において、組成物は、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されてもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するため;それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスの誘導するため;肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;それを必要とする対象におけるAMレベルを低下させるため;それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における喘息を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるため;それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するため;又はそれらの組み合わせのために使用してもよい。
特定の実施形態において、炎症誘発性細胞は、マクロファージ、好中球、T及びBリンパ球、NK細胞又はその他の自然及び/又は適応免疫細胞のいずれか一つ以上を含んでもよい。肺において、マクロファージは肺胞マクロファージ、間質性マクロファージ又はその両方を含んでもよい。
特定の実施形態において、肺炎症に関連する肺疾患又は障害は、COPD、突発性肺線維症(IPF)、ALI、ARDS、喘息、急性気管支炎、肺気腫、肺炎又はその他のいずれか一つ以上を含んでもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、それを必要とする対象における肺炎症を予防又は軽減するための追加の薬剤の一つ以上を、さらに任意で含む、又は、それらを任意で組み合わせて、同時に、又は、連続して使用してもよいと考えられる。本明細書の教えに関する当業者にとって、肺炎症を予防又は軽減するための従来の薬剤は周知であろう。例えば、ステロイドなどが含まれてよい。従来の薬剤の例は、すでに上記に記載した。
また別の実施形態において、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を含む経肺ドラッグデリバリー装置が提供される。特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物が含まれる、又は、充填されていてもよい。特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物が充填された、交換可能又は交換可能でないカートリッジと構成されてもよい。当然のことながら、経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象の肺に、本明細書に記載のペプチド、核酸又は組成物を投与するための任意の一般的に適切な医療装置を含んでもよい。本明細書の教えに関する当業者は、本明細書に記載のペプチド、核酸又は組成物をデリバリーするために構成され得る様々な装置を認識しているだろう。特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、例えば、気管内ドラッグデリバリー装置、鼻腔内ドラッグデリバリー装置又は吸入ドラッグデリバリー装置を含んでもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺に薬剤を投与するために適切な様々な医療装置の設計を認識しているだろう(すなわち、活性剤の経肺デリバリー)。薬剤、特にタンパク質を肺にデリバリーすることは、重要な研究対象であり、例えば、Bodier-Montagutelli, E., et al., 2018, Designing inhaled protein therapeutics for topical lung delivery: what are the next steps?, Expert Opinion on Drug Delivery, 15(8): 729-736;Labiris, N. R., et al., 2003, Pulmonary Drug Delivery. Part II: The role of inhalant delivery devices and drug formulations in therapeutic effectiveness of aerosolized medications, Br J Clin Pharmacol, 56:600-612;及びIbrahim, M., et al., 2015, Inhalation drug delivery devices: technology update, Med Devices (Aukl), 8:131-9に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、肺へのデリバリーのための任意の適切なドラッグデリバリー装置を含んでもよい。特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、エアゾール、鼻スプレー、吸入器、パッファー、ネブライザー又はその他の肺投与のための適切なデリバリー装置を非限定的な例として含んでもよい。経肺ドラッグデリバリー装置の例は、米国特許番号/特許出願公開番号:US5983893号、US6732732号、US20070295332号、US5007419号、US4832015号、US20040244794号、US20100065048号、US20030235555号、US20050201951号及びUS20090000615号に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、例えば、経肺ドラッグデリバリー装置はエアゾールを含んでもよく、ポリペプチド又は核酸は乾燥粉末として処方されてもよいと考えられる。あるいは、経肺ドラッグデリバリー装置はネブライザーを含んでもよく、ポリペプチド又は核酸は液体として処方されてもよいと考えられる。特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、対応して処方された本明細書に記載のペプチド、核酸又は組成物で充填されたネブライザー、定量噴霧吸入器(MDI)又はドライパウダー吸入器(DPI)を含んでもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺炎症を予防又は軽減するための追加の薬剤を一つ以上任意でさらに含む、又は、それらと組み合わせて、同時に、又は、連続して使用するためのものであってもよいと考えられる。本明細書の教えに関する当業者にとって、肺炎症を予防又は軽減するための従来の薬剤は周知であり、例えば、ステロイドなどが含まれてもよい。従来の薬剤の例は、すでに上記に記載した。
特定の実施形態において、経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象におけるGRP活性を調節するため;それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するため;肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;それを必要とする対象におけるAMレベルを低下させるため;それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における喘息を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるため;それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するため;又はそれらの組み合わせのために使用してもよい。
炎症に関連する疾患又は障害を治療するための方法及び使用
本明細書において、例えば、炎症、特に肺炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するための使用及び方法が提供される。特定の実施形態において、このような使用及び方法は、上記に記載したような、本明細書に記載のポリペプチド、核酸、組成物及び/又は経肺ドラッグデリバリー装置の一つ以上を使用してもよい。
特定の実施形態において、例えば、本明細書に記載のペプチド、ポリペプチド、核酸及び/又は組成物は、対象の肺に投与又はデリバリーされるものであって、ペプチド又はポリペプチド又は核酸又は組成物は、気管内投与、鼻腔内投与又は吸入(例えば、経口吸入)投与又はデリバリーによってデリバリーされてもよい。特定の実施形態において、ペプチド、ポリペプチド、核酸又は組成物は、例えばエアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、ペプチド又はポリペプチドは、乾燥粉末として処方しエアゾール化によって肺に投与してもよく、又は、液体として処方し噴霧化によって肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺に投与(すなわち、経肺デリバリー)するための様々な適切なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。薬剤、特にタンパク質を肺にデリバリーすることは、重要な研究対象であり、例えば、Bodier-Montagutelli, E., et al., 2018, Designing inhaled protein therapeutics for topical lung delivery: what are the next steps?, Expert Opinion on Drug Delivery, 15(8): 729-736; Labiris, N. R., et al., 2003, Pulmonary Drug Delivery. Part II: The role of inhalant delivery devices and drug formulations in therapeutic effectiveness of aerosolized medications, Br J Clin Pharmacol, 56:600-612;及びIbrahim M., et al., 2015, Inhalation drug delivery devices: technology update, Med Devices (Auckl), 8:131-9に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法の一部として記載された本明細書に記載のポリペプチド、核酸及び/又は組成物の投与は、肺への投与に適する任意のドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。特定の実施形態において、ドラッグデリバリー装置は、吸入器、ネブライザー、エアゾール、パッファー、鼻スプレー又はその他の肺への投与に適切なドラッグデリバリー装置などの肺用の装置の形態であってもよい。経肺デリバリー装置の例は、米国特許番号/特許出願公開番号:US5983893号、US6732732号、US20070295332号、US5007419号、US4832015号、US20040244794号、US20100065048号、US20030235555号、US20050201951号及びUS20090000615号に記載されており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
簡潔にするため、ポリペプチドという用語は、本明細書において、一般的に任意のタンパク質、ポリペプチド、ペプチド又は一般的な任意の長さのアミノ酸を説明するために使用される。ポリペプチドという用語は、特定の実施形態及び/又は用途に使用されるアミノ酸の長さに応じて、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドに言及しているものとして理解されてもよい。例えば、ポリペプチドが30アミノ酸より短い場合の実施形態において、ポリペプチドはペプチドとして考えられてもよい。別段の表示がない限り、本明細書におけるポリペプチドという用語の使用は、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質を含むことを意図している。
ポリペプチドをコードする核酸を対象の肺に投与する場合の特定の実施形態において、核酸は、例えば気管内投与、鼻腔内投与又は経口投与によってデリバリーされてもよい。特定の実施形態において、核酸は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、核酸は、乾燥粉末として処方しエアゾール化によって肺に投与してもよいし、液体として処方し噴霧化によって肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺への投与(すなわち、経肺デリバリー)に適する様々なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。対象に核酸を投与する特定の実施形態において、それがコードするポリペプチドを生成することを目的として、核酸は、対象又は細胞に導入されてもよい。特定の実施形態において、核酸は、発現ベクター又は発現カセットを含んでもよい。特定の実施形態において、核酸は、DNAベクターを含んでもよい。特定の実施形態において、核酸は、細胞内に核酸を導入するために適する、適切な核酸デリバリー溶媒又はトランスフェクション試薬と複合されてもよいと考えられる。特定の実施形態において、核酸は、細胞内にデリバリーするためウイルスに組み込まれてもよく、核酸は、細胞のゲノムに統合されてもされなくてもよい。本明細書の教えに関する当業者は、与えられた細胞又はそれを必要とする対象に本明細書に記載の核酸をデリバリーするために選択され得る、様々なデリバリー溶媒、トランスフェクション試薬及び/又はウイルスデリバリー構築物を認識しているだろう。例えば、Gomes et al., 2017, Expert Opin Drug Deliv., 2017, 14(3):319-330を参照。また、これは参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の通り、イスミン1(ISM1)に由来する、及び/又は、基づく、肺炎症などの炎症を治療するための方法を本発明らは開発した。イスミン1(ISM1)は、炎症、特に肺の炎症を阻害、抑制及び/又は消退させる役割を果たすものとして、本明細書に記載の研究によって示される分泌タンパク質である。以下に詳細に記載する研究において、補足的な外因性組換えISM1タンパク質(rISM1)を肺に提供することで、ISM1欠乏性の肺における肺炎症表現型が阻害され、結果は、ISM1の投与が肺胞マクロファージアポトーシスを誘導することによって、炎症の消退を助け得ることを示す。結果はさらに、ISM1が無菌性肺炎症、及び/又は、感染及び/又は外傷によって引き起こされる炎症の抑制及び/又は消退において重要な役割を果たし得ることを示す。
したがって、一つの実施形態において、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節する方法が提供され、その方法は:
イスミン1(ISM1)タンパク質またはそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
特定の実施形態において、GRP78活性の調節は、GRP78活性を引き起こし(アポトーシス促進効果を提供し)、対象における炎症を緩和するように、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物を投与することを含んでもよい。通常、対象におけるGRP78アポトーシス促進活性レベルが、炎症、特に対象の肺の炎症を適度に阻害、抑制及び/又は消退させるのに低すぎる場合、GRP78活性の調節は、対象におけるGRP78活性レベルを上げる(すなわち、GRP78結合から生じるアポトーシス促進効果を増加させる)ことを含んでもよい。特定の実施形態において、対象におけるGRP78活性レベルが、炎症状態を緩和するために十分な肺胞マクロファージアポトーシスを誘導するのに低すぎる場合、GRP78活性の調節は、対象におけるGRP78活性レベルを上げることを含んでもよい。肺疾患又は障害を治療する特定の実施形態において、GRP78活性レベルに関する言及は、例えば、対象の肺胞マクロファージ(AM)などの対象の肺組織又は肺細胞におけるGRP78の活性レベルを含んでもよい。当然のことながら、特定の実施形態において、GRP78活性レベル又はGRP78活性に関する本明細書の言及は、アポトーシス促進効果を提供し得る、リガンド結合の際に細胞内にシグナルを伝達する時のGRP78のレベル又は活性に言及していると理解されてもよい。
GRP78のレビューは、Ni, et al., Biochem J., 2011, 434(2): 181-188に見られ、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、ISM1は、高いcsGRP78レベルの細胞を死滅させる、又は、標的化することを支持する、又は、より選択的になると考えられる。通常環境下の健康な細胞は、csGRP78が比較的低いレベル、又は、存在しないはずである。GRP78発現レベルはストレス下の細胞において上昇し、高いレベルのcsGRP78を抱える細胞はISM1に反応し、アポトーシスを引き起こし得ると考えられる。したがって、ストレスを受けた細胞は、細胞外ISM1の好ましい標的となり得る(Chen et al., Cell Death & Differentiation, 21(5): 797-810, 2014を参照。参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、上昇したcsGRP78レベルを有する細胞は、健康な細胞よりも、ISM1誘導性アポトーシス性シグナル伝達に対してより強く反応し、特定の実施形態においては副作用を減少させ得ると考えられる。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、対象の肺に気管内投与、鼻腔内投与又は経口投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、乾燥粉末として処方しエアゾール化によって肺に投与してもよいし、液体として処方し噴霧化によって肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺への投与(すなわち、経肺デリバリー)に適する様々なアプローチ及びテクニック認識しているだろう。薬剤、特にタンパク質を肺にデリバリーすることは、重要な研究対象であり、例えば、Bodier-Montagutelli, E., et al., 2018, Designing inhaled protein therapeutics for topical lung delivery: what are the next steps?, Expert Opinion on Drug Delivery, 15(8): 729-736;及びLabiris, N. R., et al., 2003, Pulmonary Drug Delivery. Part II: The role of inhalant delivery devices and drug formulations in therapeutic effectiveness of aerosolized medications, Br J Clin Pharmacol, 56:600-612に記載されており、これらは参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
別の実施形態において、それを必要とする対象における炎症誘発性細胞又は肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導する、又は、それを必要とする対象におけるAMレベルを低下させる方法が提供され、前記方法は:
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
特定の実施形態において、肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導することは、対象の肺における少なくともいくつかの肺胞マクロファージがアポトーシスを引き起こすように、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物を対象に投与することを含んでもよい。特定の実施形態において、肺機能低下は、例えば、肺活量計を用いて非侵襲的に測定してもよい。重度の炎症は、高いAMの間接的な指標であり得て、気腔免疫細胞の約95%を占めることもある。重度の炎症は、肺を損傷し、その機能を低下させ得る。臨床現場において、肺の状況が低酸素血症と呼吸困難などを伴って低下する場合、臨床医は抗炎症薬を与えることがある。したがって、特定の実施形態において、肺機能低下が認められる場合、重度の炎症が認められる場合、及び/又は、AMアポトーシスレベルが低いと判定される場合、ポリペプチド又は核酸の投与を行ってもよい。
特定の実施形態において、炎症誘発性細胞におけるアポトーシスの誘導は、対象の肺における少なくともいくつかの炎症誘発性細胞がアポトーシスを引き起こすように、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物を対象に投与することを含んでもよい。炎症誘発性細胞は、AM、好中球、間質性マクロファージ、T及びB細胞、NK細胞などを含んでもよい。特定の実施形態において、ISM1は、AMなどの炎症誘発性細胞を標的化することを支持し、高いcsGRP78選択性を抱えてもよい。例えばたばこ煙の下で、ほとんどのAMはストレス活性化され、高いcsGRP78レベルを抱え、ISM1の標的となり得る。
特定の実施形態において、対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルを低下させることは、対象の肺における肺胞マクロファージ(AM)レベルの低下を引き起こすように、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物を対象に投与することを含んでもよい。特定の実施形態において、健康対照者、又は、症状の軽い疾患対照者と比べて、対象におけるAMレベルが上昇したと判定される場合、投与を行ってもいいと考えられる。特定の実施形態において、対象から採取される気管支肺胞洗浄液(BALF)の試料からAMレベルを判定し、BALFにおいてAMを測定してもよいと考えられる。代わりに、又は、加えて、AMレベルの間接的な尺度として、肺機能をモニターしてもよい。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、対象の肺に気管内投与、鼻腔内投与又は経口投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド、核酸又は組成物は、乾燥粉末として処方しエアゾール化によって肺に投与してもよいし、液体として処方し噴霧化によって肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺への投与(すなわち、経肺デリバリー)に適する様々なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
特定の実施形態において、肺炎症は、無菌性肺炎症、及び/又は、感染及び/又は外傷によって引き起こされる炎症などを含む、肺のあらゆる炎症状態又は状況を含んでもよい。特定の実施形態において、肺炎症は、COPD、肺気腫、気管支炎、ALI、ARDS、IPF、肺炎などに関連する肺炎症であってもよい。特定の実施形態において、肺炎症は、肺機能低下及び/又は低酸素血症を測定することによって測定してもよく、炎症又は炎症の重症化が確認された場合に投与を行ってもよい。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、対象の肺に気管内投与、鼻腔内投与又は経口投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、乾燥粉末として処方しエアゾール化によって肺に投与してもよく、液体として処方し噴霧化によって肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺への投与(すなわち、経肺デリバリー)に適する様々なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
特定の実施形態において、肺炎症に関連する肺疾患又は障害は、一般的に、炎症によって引き起こされる、又は、炎症を伴う肺の疾患、障害、状態又は状況のいずれかを含んでもよい。例として、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎、喘息、肺気腫、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺線維症(例えば、突発性肺線維症など)又はそのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、対象の肺に気管内投与、鼻腔内投与又は経口投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、乾燥粉末として処方しエアゾール化して投与してもよく、液体として処方し噴霧化して肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺への投与(すなわち、経肺デリバリー)に適する様々なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。
別の実施形態において、それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎、喘息又は肺気腫を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
別の実施形態において、それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含む。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は、前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象の肺に投与することを含む。
上記方法のいずれかの更なる実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、例えば上記に記載されたものなどの、本明細書に記載のポリペプチド又は核酸のいずれかを含んでもよい。前節は、適切なポリペプチド及び核酸の広範囲にわたる説明や例を提示している。特定の実施形態において、ポリペプチド及び/又は核酸は、すでに上記に詳述した組成物に提供又は処方されてもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド、核酸及び/又は組成物は、すでに上記に詳述した経肺ドラッグデリバリー装置で提供されてもよい。
上記方法のいずれかの更なる実施形態において、方法は、肺炎症を予防又は軽減するための薬剤を、ポリペプチド又は核酸と組み合わせて、同時に、又は、連続して対象に投与する工程を更に含んでもよい。
上記方法のいずれかの更なる実施形態において、方法は、肺炎症を予防又は軽減するための追加の薬剤を一つ以上、対象に投与する工程を更に含んでもよい。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸、組成物及び/又は経肺ドラッグデリバリー装置は、それを必要とする対象における肺炎症を予防又は軽減するため追加の薬剤を、任意で更に含む、又は、任意で組み合わせて、同時に、又は、連続して使用してもよいと考えられる。本明細書の教えに関する当業者にとって、肺炎症を予防又は軽減するための従来の薬剤は周知であり、例えば、ステロイドなどを含んでもよい。従来の薬剤は、すでに上記に記載した。
上記方法のいずれかの特定の実施形態において、方法は更に、
対象におけるISM1レベルを判定する;対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定する;対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルを判定する;対象における炎症レベルを判定する;対象における肺機能低下レベルを判定する;又はそのいずれかの組み合わせを行う工程と、
健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における炎症レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における肺機能低下のレベルの上昇が判定された場合;又はそのいずれかの組み合わせの場合に、投与工程を実行する又は繰り返す工程、を含む。
特定の実施形態において、対象のISM1レベルは、本明細書の教えに関する当業者にとって周知であるいずれかの適切なテクニックを用いて判定してもよい。例えば、特定の実施形態において、ISM1レベルは、対象の血液、血清、喀痰又はBALF試料のELISA試験によって判定してもよい。特定の実施形態において、ISM1レベルは、例えば、血液又は喀痰の試料における質量分析定量化によって判定してもよい。特定の実施形態において、ISM1レベルは、(例えば、BALFから)分離されたAM試料の免疫細胞化学及び/又は蛍光免疫染色によって判定してもよい。特定の実施形態において、ISM1レベルは、対象の肺組織におけるISM1レベル、対象の切除された肺組織におけるISM1レベル、又は、対象の肺胞マクロファージ(AM)におけるISM1レベルを含んでもよい。特定の実施形態において、対象の判定されたISM1レベルは、健康対照レベル(すなわち、健康な対照対象のグループにおいて観察されたISM1レベル又は範囲)又は低重症度の疾患対照レベル(すなわち、疾患又は障害を持つが、重症度が低い疾患対照グループにおいて観察されたISM1レベル又は範囲)と比較してもよい。もし対象のISM1レベルが、健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルのISM1レベルより低いと判定された場合、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物による治療又は追加治療を対象に施してもよい。特定の実施形態において、対照レベルに対して減少したISM1レベルは、対照レベルから少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約100%減少したレベルとして特定してもよい。
特定の実施形態において、ISM1レベルが低い対象は、ISM又はその断片又はその誘導体による治療に対し、潜在的に特に感受性が高い対象として特定してもよい。しかしながら、特定の実施形態において、内在性ISM1のレベルが比較的高い対象であっても、炎症が持続する場合、ISM1レベルが重度の炎症を克服するのに依然として十分に高くない可能性もあり、追加で本明細書に記載の外因性ISM1又はその断片又は誘導体を投与することが望ましくなることが認識されるだろう。
特定の実施形態において、対象のGRP78タンパク質レベルは、本明細書の教えに関する当業者にとって周知である任意の適切なテクニックを用いて判定してもよい。特定の実施形態において、GRP78タンパク質レベルは、総細胞GRP78レベル、csGRP78タンパク質レベル、又はその両方であってもよい。特定の実施形態において、GRP78レベルは、例えば、蛍光イメージングにおける蛍光プローブ(ペプチドリガンドなど)、又は、PETイメージングなどにおける放射性同位体標識プローブを用いて判定してもよい。特定の実施形態において、このようなプローブは、哺乳類又はヒト対象などの生物に使用してもよい。特定の実施形態において、GRP78タンパク質レベルは、対象の肺組織におけるGRP78タンパク質レベル、対象の切除された肺組織におけるGRP78タンパク質レベル、又は、対象の肺胞マクロファージ(AM)におけるGRP78タンパク質レベルを含んでもよい。特定の実施形態において、GRP78タンパク質レベルは、ELISA、免疫染色、ウエスタンブロット、又は、その他の適切なテクニックによって判定してもよい。特定の実施形態において、GRP78タンパク質レベルは、生体組織診断から得られる肺組織の試料から判定してもよい。特定の実施形態において、対象の判定されたGRP78タンパク質レベルは、健康対照レベル(すなわち、健康な対照対象のグループにおいて観察されたISM1レベル又は範囲)、及び/又は、低重症度の疾患対照レベル(すなわち、疾患又は障害を持つが重症度の低い疾患対照グループにおいて観察されたISM1レベル又は範囲)と比較してもよい。対象のGRP78タンパク質レベルが、健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルのGRP78タンパク質レベルより高いと判定された場合、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物による治療又は追加治療を対象に施してもよい。特定の実施形態において、対照レベルに対して上昇したISM1レベルは、対照レベルから少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約100%上昇したレベルとして特定してもよい。特定の実施形態において、GRP78タンパク質レベルは、対象の肺胞マクロファージのGRP78タンパク質レベルであってもよい。しかしながら、対象において炎症が存在する場合、特定の実施形態において、GRP78レベルが上昇したと判定されるか否かにかかわらず、本明細書に記載のISM1又はその断片又は誘導体による治療が望ましいと考えられることが理解されるだろう。高いcsGRP78を有する細胞はISM1誘導性アポトーシスによって標的化されるため、対象のAMの一部のみが高いcsGRP78を抱えたとしても、細胞死を引き起こすことでこれらの細胞を除去することは、それでも意味のあることと考えられる。
特定の実施形態において、対象の肺胞マクロファージ(AM)レベルは、本明細書の教えに関する当業者にとって周知である任意の適切なテクニックを用いて判定してもよい。例として、特定の実施形態において、AMレベルを判定するために誘発喀痰を使用してもよい。特定の実施形態において、本明細書の教えに関する当業者にとって周知であろう誘発喀痰の手順は、例えば、肺胞マクロファージ及び/又は喀痰サイトカインレベルを含む喀痰の内容を研究するために使用してもよい。特定の実施形態において、肺胞マクロファージ(AM)レベルは、例えば、対象の肺組織における肺胞マクロファージ(AM)レベル、又は、対象の切除された肺組織における肺胞マクロファージ(AM)レベルを含んでもよい。特定の実施形態において、AMレベルは、BALFを採取し、細胞数を数えることで判定してもよい。特定の実施形態において、対象の判定された肺胞マクロファージ(AM)レベルは、健康対照レベル(すなわち、健康な対照対象のグループにおいて観察された肺胞マクロファージ(AM)レベル又は範囲)、及び/又は、低重症度の疾患対照レベル(すなわち、疾患又は障害を持つが重症度の低い疾患対照グループにおいて観察された肺胞マクロファージ(AM)レベル又は範囲)と比較してもよい。対象の肺胞マクロファージ(AM)レベルが、健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルの肺胞マクロファージ(AM)レベルより高いと判定された場合、対象は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物による治療又は追加治療を施されてもよい。特定の実施形態において、対照レベルに対して上昇した肺胞マクロファージ(AM)レベルは、対照レベルから少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約100%上昇したレベルとして特定してもよい。
特定の実施形態において、肺機能低下、呼吸困難、低酸素血症、又は、COPDなどの炎症に関連するその他の肺疾患又は障害を対象が呈する場合、投与を行う又は繰り返してもよい。
特定の実施形態において、対象の炎症レベルは、本明細書の教えに関する当業者にとって周知である任意の適切なテクニックを用いて判定してもよい。特定の実施形態において、炎症レベルは、例えば、対象の肺組織における炎症レベル、又は、対象の切除された肺組織における炎症レベルを含んでもよい。特定の実施形態において、炎症は、発熱(及びその高さ)や、低酸素血症、呼吸困難、息切れ、咳、痰、血液白血球数又はその他の炎症の尺度などの症状の重症度などによって判定又は示されてもよい。特定の実施形態において、炎症は、免疫細胞数、TNF-αなどの炎症誘発性サイトカインのレベル、NF-κBシグナル伝達のレベル、MMPなどのプロテアーゼのレベル、又は、その他のそのような尺度によって判定又は示されてもよい。特定の実施形態において、対象の判定された炎症レベルは、健康対照レベル(すなわち、健康な対照対象のグループにおいて観察された炎症レベル又は範囲)、及び/又は、低重症度の疾患対照レベル(すなわち、疾患又は障害を持つが重症度の低い疾患対照グループにおいて観察された炎症レベル又は範囲)と比較してもよい。対象の炎症レベルが、健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルの炎症レベルより高いと判定された場合、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物による治療又は追加治療を対象に施してもよい。特定の実施形態において、対照レベルに対して上昇した炎症レベルは、対照レベルから少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約100%上昇したレベルとして特定してもよい。
特定の実施形態において、対象における肺機能低下のレベルは、本明細書の教えに関する当業者にとって周知である任意の適切なテクニックを用いて判定してもよい。例えば、スパイロメトリーを用いてもよいし、上述したような呼吸困難、低酸素血症などで示される症状によって判定してもよい。特定の実施形態において、対象の判定された肺機能低下のレベルは、健康対照レベル(すなわち、健康な対照対象のグループにおいて観察された肺機能低下のレベル又は範囲)、及び/又は、低重症度の疾患対照レベル(すなわち、疾患又は障害を持つが重症度の低い疾患対照グループにおいて観察された肺機能低下のレベル又は範囲)と比較してもよい。対象の肺機能低下のレベルが、健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルの肺機能低下のレベルより高いと判定された場合、本明細書に記載のポリペプチド、核酸又は組成物による治療又は追加治療を対象に施してもよい。特定の実施形態において、対照レベルに対して上昇した肺機能低下のレベルは、対照レベルから少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約100%損なわれたレベルとして特定してもよい。例えば、COPD臨床基準では、FEV1/FVCが<0.7(Tiffeneau-Pinelli指標)とされているため、通常、肺機能低下はスパイロメトリーで少なくとも30%の低下で、このような基準の下、COPDとしてみなされる。しかしながら、例えば、COPDの進行を予防するためには、早期治療が好ましいと考えられる。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、対象に投与することを含む。
別の実施形態において、それを必要とする対象における肺炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するための方法が提供され、前記方法は、
GRP78活性剤を対象の肺に投与することを含む。
別の実施形態において、それを必要とする対象において、肺の恒常性を維持するため、肺の炎症を消退させるため、及び/又は、肺の修復を促進してリモデリングを軽減するための方法が提供され、前記方法は、
イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を、対象の肺に投与することを含む。
特定の実施形態において、本明細書で言及する対象は、治療を必要とする任意の適切な対象を含んでもよい。特定の実施形態において、対象は、哺乳類を含んでもよい。特定の実施形態において、対象は、ヒトを含んでもよい。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するため;それを必要とする対象における炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するため;それを必要とする対象における肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;それを必要とする対象におけるAMレベルを低下させるため;それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象において肺炎症と関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における喘息を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるため;それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺の恒常性を維持する、及び/又は、肺の炎症を消退させる、及び/又は、肺の修復を促進してリモデリングを軽減するため;又はそのいずれかの組み合わせための、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、対象の肺に投与するためであってもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、対象の肺に気管内投与、鼻腔内投与又は経口吸入投与によって投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与してもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸又は組成物は、乾燥粉末として処方しエアゾール化によって肺に投与してもよく、液体として処方し噴霧化によって肺に投与してもよい。特定の実施形態において、投与は、本明細書に記載の経肺ドラッグデリバリー装置を用いて行ってもよい。本明細書の教えに関する当業者は、肺への投与(すなわち、経肺デリバリー)に適する様々なアプローチ及びテクニックを認識しているだろう。
特定の実施形態において、ポリペプチド又は核酸は、肺炎症を予防又は軽減するための追加の薬剤と組み合わせて使用してもよい。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸、組成物及び/又は経肺ドラッグデリバリー装置は、任意で更に、それを必要とする対象における肺炎症を予防又は軽減するための追加の薬剤を一つ以上含む、又は、それらを任意で組み合わせて、同時に、又は、連続して使用してもよいと考えられる。本明細書の教えに関する当業者にとって、肺炎症を予防又は軽減するための従来の薬剤は周知であり、例えば、ステロイドなどを含んでもよい。従来の薬剤は、すでに上記に記載した。
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するため;それを必要とする対象における肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;それを必要とする対象における肺炎症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象において肺炎症と関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における喘息を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺線維症を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象におけるマクロファージ媒介性炎症に関連する疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;それを必要とする対象における肺の恒常性を維持する、及び/又は、肺の炎症を消退させる、及び/又は、肺の修復を促進してリモデリングを軽減するため;又はそのいずれかの組み合わせための薬剤の製造における、イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする発現可能な核酸の使用が提供される。
特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸及び/又は組成物は、それを必要とする対象に、例えば、1日1回、2回又はそれ以上;1日、2日、3日又はそれ以上毎に1回;又は症状に応じて必要な回数、投与するためであってもよい。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸及び/又は組成物は、例えば、ネブライザーによって投与するためであってもよい。マウスモデルを用いた以下に記載の研究において、2日に1回、5ug/用量の気管内デリバリーによる投与が有効であった。
治療に対する感受性が高い対象の診断及び/又は特定の方法
別の実施形態において、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有する、又は、発症するリスクがある対象を特定する方法が提供され、前記方法は、
対象におけるISM1レベルを判定すること;対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定すること;対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルを判定すること;対象における炎症レベルを判定すること;又はそのいずれかの組み合わせと、
健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における炎症レベルの上昇が判定された場合;又はそのいずれかの組み合わせの場合に、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有する、又は、発症するリスクがあると、対象を特定することを含む。
上記方法の特定の実施形態において、方法は、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有する、又は、発症するリスクがあると対象の特定を更に確認又は支持するため、従来のアッセイ又はテクニックを一つ以上行うことを更に含んでもよい。特定の実施形態において、例えば、血液総白血球数及び/又は白血球百分率を用いてもよい。特定の実施形態において、従来のアッセイ又はテクニックは、例えば、肺機能の主要評価項目(FEV1/FVC、FRC、PEFRなど)及び/又は生活の質のためのCOPD患者用St. George‘s Respiratory Questionnaire(SGRQ-C)(咳、痰、息切れ、喘鳴など)及び/又は増悪の数を含んでもよい。
別の実施形態において、本明細書に詳細に記載の治療方法による治療の候補対象を特定する方法が提供され、前記方法は、
対象におけるISM1レベルを判定すること;対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定すること;対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルを判定すること;対象における炎症レベルを判定すること;又はそのいずれかの組み合わせと、
健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における肺胞マクロファージ(AM)レベルの上昇が判定された場合;健康対照レベル又は低重症度の疾患対照レベルに対して、対象における炎症レベルの上昇が判定された場合;又はそのいずれかの組み合わせの場合に、対象を治療の候補対象として特定すること、を含む。
特定の実施形態において、本明細書に記載の、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有する、又は、発症するリスクがあると対象を特定する方法は、肺炎症に関連する肺疾患又は障害を有すると特定された対象を治療する工程を更に含んでもよい。特定の実施形態において、特定された対象を治療する工程は、本明細書に記載のいずれかの治療方法によって対象を治療することを含んでもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載の治療方法によって治療する候補対象を特定する方法は、特定された対象を治療する工程を更に含んでもよい。特定の実施形態において、特定された対象を治療する工程は、本明細書に記載の治療方法のいずれかの方法によって対象を治療することを含んでもよい。
実施例。
以下に記載の実施例において、遺伝子標的化アプローチによってマウスから分泌タンパク質ISM1の除去したところ、ヒトCOPDに似た特徴を持つ突発性肺炎症及び進行性肺気腫を引き起こした。さらに、ISM1を除去したところ、リポ多糖(LPS)誘発性急性肺損傷(ALI)に対する炎症反応の高まりを引き起こした。さらに、外因性組換えISM1タンパク質(rISM1)を気管内補給(すなわち、肺への局所的投与したところ、マウスにおけるISM1欠乏性の肺とたばこ煙誘発性COPDにおける肺炎症表現型を阻害した。これらの研究は、おそらく肺胞マクロファージアポトーシスを誘導することで、ISM1が炎症の消退を助けたことを示す。これらの結果は、ISM1が肺炎症の阻害剤及び/又は炎症消退メディエーターであり得ること、及び、ISM1がたばこ煙、感染症及び/又は外傷などの環境的損傷によって引き起こされる無菌性肺炎症及び/又は炎症の抑制及び/又は消退において役割を果たし得ることを示唆する。したがって、ISM1は、ALIやCOPDなどの肺の炎症性疾患のための治療薬及び/又は標的を表してもよい。
実施例1:イスミン1 - 肺の恒常性の保護とCOPDに対する治療効果
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、現在3番目に多い死因である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺気腫による進行性でほとんど不可逆的な気道閉塞(肺胞壁の破壊と肺胞の拡大)と、小気道の慢性気管支炎を特徴とする。肺胞マクロファージ(AM)の顕著な増加は、COPDの病態形成において、広く関係があるとされている。しかしながら、COPDの分子構造と病態生理は、この分野でほとんど解明されておらず、COPDの進行を阻止又は低減させる薬剤が不足していた。
肺の炎症はCOPDの病態形成にとって不可欠であり、肺に最も多く常在する免疫細胞である肺胞マクロファージ(AM)は、この疾患に対する主要なエフェクター細胞である。COPD患者の疾患の重症度は、特に、炎症を起こした末梢気道と肺胞腔におけるAM集積に直接関連している(Finkelstein, Fraser et al., 1995)。これらの観察は、標的化したAM枯渇の際の実験的COPDに対する完全な保護(Ueno, Maeno et al., 2015)又は強力なマクロファージエラスターゼであるMMP-12のノックアウト(Hautamaki, Kobayashi et al., 1997)を示したマウスの研究と一致する。多くのCOPD患者は、副腎皮質ステロイド治療に対して耐性があるが、いくつかの抗炎症薬がCOPD療法開発のために調査されている(Vogelmeier, Criner et al., 2017)。
本研究において、細胞外アポトーシス促進性タンパク質イスミン1(ISM1)は、抗炎症薬として、及び、肺の恒常性維持において開発及び研究されている。rISM1は、COPDの治療薬として示されている。これらの研究において、Ism1ノックアウト(Ism1Δ/Δ)マウスは、AMの増加を示し、突発性慢性肺炎症と進行性肺気腫を発症した。ISM1に対する高親和性受容体である細胞表面GRP78(csGRP78)は、AMに主に存在する。そのレベルは、ヒトCOPDの肺だけでなく、Ism1Δ/Δ及びたばこ煙(CS)誘発性COPDマウスにおいても高くアップレギュレートされる。組換えISM1(rISM1)の気管内デリバリーは、Ism1Δ/Δ及びたばこ煙(CS)誘発性COPDの両方のマウスの肺において、AMを枯渇させ、肺気腫の進行を阻止し、肺機能を修復した。一貫して、COPD患者における高いISM1発現は、AMアポトーシスレベルの高さ及びAM数の低さと相関する。これらの結果は、ISM1が、例えば、肺の恒常性のプロテクターであり得ること、及び、COPDの進行を止めることにおいて治療効果を提供し得ることを支持する。本明細書のデータは、イスミン1がCOPDから保護することを示す。
以下の研究は、分泌タンパク質イスミン1(ISM1)が、抗炎症性タンパク質であって、細胞表面GRP78(csGRP78)受容体を通じてAMアポトーシスを誘導することで機能し得ることを示す。結果は、Ism1Δ/Δマウスにおいて、ISM1の減少が、AM集積と突発性肺気腫を引き起こすことを示す。本明細書の結果は、Ism1Δ/Δマウス、たばこ煙誘発性COPDマウス及びヒトCOPDの肺のAMにおいて、csGRP78が高くアップレギュレートされることを示す。組換えISM1の気管内デリバリーは、Ism1Δ/ΔマウスとCOPDマウスの両方においてAMを枯渇させ、肺気腫と肺機能低下を阻止した。一貫して、ヒトCOPDの肺におけるISM1の発現は、AMアポトーシスの増加と相関した。したがって、本明細書の結果は、肺の恒常性のプロテクターとしてISM1を示し、AMのcsGRP78を標的化することによるCOPD用の治療的使用を支持する。
肺は常に外的環境に曝されており、免疫応答及び炎症を制限するために恒常性が重要である。CSはCOPDの主な危険因子であり、COPDは現在25%の推定累積生涯リスクを伴う、3番目に多い死因である。気管支拡張剤は患者の症状を軽減するが、COPDの進行又は死亡率を減少させない。
ISM1は、いくつかの癌細胞及び活性内皮細胞などのいくつかの細胞で、csGRP78とαvβ5インテグリンを通じて機能する分泌タンパク質であることがすでに特定されており、マウスにおける血管形成及び実験的癌を抑制する4-7
組換えISM1(rISM1)は、αvβ5インテグリンに結合してカスパーゼ8を活性化、又は、ミトコンドリアに取り込まれて輸送されるcsGRP78に結合して、ATP生成を阻害しアポトーシスを引き起こす。Ism1遺伝子は、魚からヒトまでの脊椎動物に存在するが(Osorio, Wu et al., 2014, Xiang et al., 2011)、Ism1の生理学的機能はまだ解明されていない。
本明細書に記載の研究は、csGRP78媒介性アポトーシスを介してAM数を制御することによってマウスの肺の恒常性を維持する上で、ISM1が重要な役割を果たし得ることを示す。結果は、rISM1の経肺デリバリーが、アポトーシス誘導を介してAMを枯渇させることによって肺炎症を効果的に和らげることができ、研究されたCS誘発性COPDマウスにおける肺気腫の阻止及び肺機能の回復につながることを示す。同様に、ヒトCOPD患者の肺におけるISM1発現は、AMアポトーシスの増加と相関する。これらの結果は、rISM1が、COPD用の治療アプローチを提供し得ることを示し、例えば、AMのcsGRP78を標的化して、AMアポトーシスを誘導し、肺気腫における肺組織損傷を阻止することによって炎症を抑制してもよい。
周囲空気下でIsm1Δ/Δマウスが突発性肺気腫を発症
マウスにおいて、Ism1は、胎児及び成体の肺で最も高いレベルで発現し、発現が二番目に高い器官である脳の約30倍高く、その他の器官よりもはるかに高く発現する(Osorio et al., 2014)。Ism1の生理学的機能及び効果を更に研究するため、二つの異なる系統のマウスにおいて、CRISPR/Cas9アプローチを用いて、Ism1ノックアウト(Ism1Δ/Δ)マウスを作製した:FVB/NTac及びC57BL/6J(図22A~E)。両方の遺伝的背景のIsm1Δ/Δマウスは生存可能であり、肉眼的形態異常又は行動表現型を示さないが、Ism1+/Δ及び野生型(WT)FVB/Nマウスと比べると産仔数が少ない(データは表示せず)。すべての主要器官の病理組織診断の検査は、Ism1Δ/Δマウスの肺において、両方の遺伝的背景において突発性肺気腫(図1A及び図5A~C)と、平均肺胞径(MLI)によって定量化した年齢に伴う肺胞腔の進行性拡張の発生を明らかにした(図1B及び図5D)。月齢9カ月までのIsm1Δ/Δマウスのその他主要な器官において、明らかな病態は認められなかった。これらの結果は、ISM1が、マウスの肺の恒常性のために重要であることを示し、肺において最も高く発現することと一致する。本明細書の次の研究のため、FVB/NTac Ism1Δ/Δマウスを主に使用した。コラーゲン及びエラスチンのホールマウント立体顕微鏡及び蛍光色素ラベリング(dye-labeling)は、Ism1Δ/Δマウスの肺において、注目すべき空気とらえ込み現象(図1C)と、全体的な肺胞ネットワークの悪化(図1D)を示した。改変されたヴァーヘフ-ワンギーソン(VVG)染色を用いて、破裂性中隔の検出とともに、Ism1Δ/Δマウスの肺における肺胞エラスチン繊維の損失も視覚化した(図5E)。さらに、Ism1+/Δマウスは、野生型(WT)とIsm1Δ/Δマウスの中間のMLIとともに、軽度の肺気腫を発症し(図1E及びF)、Ism1がマウスにおいてハプロ不全遺伝子であることを示唆した。
ISM1の欠如が肺の生理機能を損なうかどうかを判定するため、強制肺操縦システム(Buxco)を用いて、月齢2カ月のIsm1Δ/Δマウスに一連の肺機能試験を行った。Ism1Δ/Δマウスは、COPD患者に見られる過膨張の肺と同じ意味を持つ、全肺気量(TLC)の増加を示した(図1G)(Gagnon, Guenette et al., 2014)。Ism1Δ/Δマウスの肺の過膨張は、肺気腫に関連する弾性収縮力の減少及び空気とらえ込み現象による、機能的残気量(FRC)(図1H)及び残気量(RV)(図1I)などの室の容積の増加にも表れた。これらの変化は、圧力-容量測定にも反映され、それによってIsm1Δ/Δマウスの静的及び動的コンプライアンス(Cchord及びCdyn)がともに増加した(図1J及びK)。重要なことに、Ism1Δ/Δマウスは、低い努力吸気量(FEV100)を示し(図1L)、0.7より低いFEV100/FVC平均値(ヒトCOPDにおけるFEV/FVC指標と同等)を有し(図1M、Ism1Δ/Δ:0.63±0.05)、これは患者のCOPD診断で規定通り使用される基準である(Singh et al., 2019)。Ism1Δ/Δマウスにおける気道抵抗(RI)の増加は、粘液分泌過多、及び気道上皮過形成及び肥厚を含む、気道壁における炎症性変化に原因があり得る(図1N、図5F及びG)(Barnes, 2016)。まとめて、これらのデータは、Ism1Δ/Δマウスが、マウスモデル及びヒトCOPD患者における実験的肺気腫/COPDと同様の肺の病態を呈したことを示した。
図5L及び5Mは、Ism1Δ/Δマウスの肺におけるAMの増加が、異常な胎児肺発育の結果ではないことを示す。AMは胎児肝臓単球から胚発育中に形成され、胎児肝臓単球は肺に移動し、周産期及び出生後の期間にAMに分化する。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、AM形成及び分化にとって必須のサイトカインである。結果は、肺の発育においてGM-CSFが最も高いレベルである場合、出生後P1及びP7でのGM-CSFレベルに有意差がないことを示す。つまり、成体(週齢8週)の肺においてAM数が高いことは、肺の発育期間中に変化したAM形成の結果ではない。図5L及び5Mは、P1 FVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSF(赤)と核(DAPI、青)の代表的な免疫蛍光染色(左)である(1グループあたり、マウスn=4。P1 FVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSF及びローディングコントロールとしてのβアクチンのウエスタンブロット(5M)と倍率変化(A.U.、任意単位)。1グループあたり、マウスn=8~9。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定で解析した。)。
成体マウスの肺(週齢8週)において、Ism1Δ/Δマウスは変化したサイトカイン微小環境を抱える。マルチプレックスELISAアッセイを使用したところ、週齢8週の成体マウスにおいて、Ism1Δ/Δ肺は、WT肺と比べて変化したサイトカイン微小環境を抱えることが分かった。GM-CSF、G-CSF、IL-1α、ランテス、MIP-1α、IL-2、IP-10及びMCP-2を含む複数のサイトカインが、1.5倍より大きくアップレギュレートされた(図5K参照)。図5Kは、月齢2カ月のFVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺の間の相対的サイトカイン発現のヒートマップである(WTマウスn=3、Ism1Δ/Δマウス:6)。
確かに、ウエスタンブロットによって、WTマウスと比べて、より高いGM-CSFのレベルを確認した。このより高いレベルのGM-CSFは、Ism1Δ/Δマウスの無菌性肺炎症の結果であり得る。より高いレベルGM-CSFは、AM増殖を刺激し、Ism1Δ/Δ肺におけるより高いAM数に寄与し得る。図2Hは、月齢2カ月のFVB/N WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺における、GM-CSF及びローディングコントロールとしてのβアクチンのウエスタンブロット(左)と倍率変化(A.U.、任意単位)。(1グループあたり、マウスn=4。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定で解析した。***P<0.001)。
肺気腫は、マウスの年齢とともに進行的に悪化する(図1)。これらの症状は、ヒトCOPD患者と同様である。際立ったことに、肺気腫の重症度もISM1の投与量依存性であり、Ism1Δ/+マウスよりもIsm1Δ/Δマウスの方がより重度の肺気腫表現型を示す。肺の微小環境におけるISM1の存在は、肺の恒常性と、無菌性肺炎症(感染症又は外傷のない炎症)を予防するために重要であると思われる。一貫して、ISM1は、検査したすべての器官のうち、成体マウスの肺で最も高いレベルで発現し、肺機能におけるこのタンパク質の重要な役割を支持する。
Ism1Δ/Δ肺において、肺胞マクロファージ集積が肺気腫を駆り立てる。
Ism1Δ/Δマウスにおける肺気腫は、肺胞腔におけるAMの多発性凝集体を伴い(図2A)、気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞のサイトスピン及びフローサイトメトリー解析の両方によって、WTマウスと比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺におけるAMの増加が確認された(図2B~D)。特に、Ism1Δ/ΔマウスからのAMは、COPD患者に記載のマクロファージサブポピュレーションと同様の変化する形態を示す(Dewhurst, Lea et al., 2017)。全肺ライセートのウエスタンブロット解析による周知のCOPD関連プロテアーゼ及びメディエーターの検査によって、WT肺と比べて、Ism1Δ/Δ肺におけるMMP-12、MMP-9及びNF-κB p65のレベルの上昇が明らかとなった(図2E)。肺組織切片の免疫組織化学(IHC)染色によって、Ism1Δ/ΔマウスのAMにおけるMMP-12とMMP-9発現の増加が示され(図2F)、その他の肺気腫マウスモデルとヒトCOPD病態と一致する(Woodruff, Koth et al., 2005)。さらに、Ism1Δ/Δマウスから分離された一次AMは、NF-κBの核移行の増加を示し、これらの細胞におけるNF-κB活性を示す(図2G)。さらに、Ism1Δ/Δマウスの肺及びAMにおいてTGF-β1及びVEGF-Aが適度にアップレギュレートされ(図5H及びI)、COPD患者におけるAM集積及び遺伝子発現パターンに即する(de Boer, van Schadewijk et al., 1998, Kranenburg, de Boer et al., 2005)。Ism1Δ/Δ肺は、高いレベルの活性酸素種(ROS)も生成した(図5J)。その一方で、WTマウスの肺と比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺において、好中球エラスターゼ及びα-1-アンチトリプシンレベルの変化はともに見られなかった(図5H)。マイクロアレイ解析は、IL-1a、G-CSF、GM-CSF、MIP-1a、ランテス、IP-10及びMCP-2を含むIsm1Δ/Δマウスにおける炎症性サイトカインのアップレギュレーションを示す(図5K)。GM-CSFはAM発育を駆り立て(Guilliams, De Kleer et al., 2013)、GM-CSF過剰発現マウスはAM集積とともに肺気腫を発症する((Suzuki, McCarthy et al., 2020)ため、GM-CSFがIsm1Δ/Δマウスにおいて恒常的にアップレギュレートされているかどうかを明確にしようとした。P1マウスの肺の免疫染色及びウエスタンブロットでは、Ism1Δ/ΔとWTマウスとの間で、GM-CSF発現の違いは示されなかった(図5L及びM)。さらに、月齢1カ月のIsm1Δ/Δマウスの肺におけるMMP-12の増加は、GM-CSFのアップレギュレーションを先行した(図5N)。したがって、月齢2カ月のIsm1Δ/Δマウスの肺におけるGM-CSFの増加(図2H)は、代わりに、過剰なAM集積と活性が主に寄与した肺気腫の発症及び炎症と関連していたと仮定する。
図2B及び2Cは、Ism1ノックアウトマウス(Ism1Δ/Δ)に基づく作用メカニズムの研究結果を示す。気管支肺胞洗浄液(BALF)解析に基づいて、マウスの肺におけるISMの欠如は、気道炎症と肺胞マクロファージ(AM)の増加につながった。気管支肺胞洗浄液(BALF)から採取した細胞の解析によって、WTマウスの肺と比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺における肺胞マクロファージ(AM)が増加したことを確認した(図2)。それと比べて、気道における好中球の浸潤は見られなかった。特に、Ism1Δ/ΔマウスからのAMは、COPD患者に記載のマクロファージサブポピュレーションと同様の変化する形態を示す(Dewhurst, Lea et al., 2017)。全肺解析と同様に、BALFにおいて、リンパ球の顕著な増加も観察された。図2Bと2Cに示されるように、BALF解析によって、Ism1Δ/Δマウスにおける気道免疫細胞アップレギュレーションが示された。月齢2カ月のWT及びIsm1Δ/Δマウスの肺から採取した気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞の、Liu染色されたサイトスピンの標本(2B)及び定量化(2C)を示す(1グループあたり、マウスn=4。データは平均値の標準誤差であり、対応がない両側のスチューデントのt検定で解析した。*P<0.05、***P<0.001)。
以前、ISM1発現は、マウスの気管支及び肺胞上皮において報告された(Osorio et al., 2014, Venugopal, Chen et al., 2015)。ここで、AMは、ISM1の新規の供給源であると示されるが(図2I、図6A及びB)、すべてのAMが、健康な肺と同様のレベルでISM1を恒常的に発現するかは明らかでない。特に、AMはGRP78を強く染色し、WTマウスと比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺は、明瞭な周辺質GRP78と多くのAMを示す(図2J)。細胞表面GRP78(csGRP78)は、以前、マウスの腹膜マクロファージ(Misra, Gonzalez-Gronow et al., 2005)及びヒト単球((Lu, Lai et al., 2010)で検出された。一次AMを組換えISM1(rISM1)で処理して、AMにcsGRP78が存在し、ISM1受容体として機能するかを判定した。rISM1が、非透過性AMでcsGRP78と結合し(図6C)、細胞内でGRP78と共存し(図6D)、AMアポトーシスを引き起こす(図2K及び図6E)ことが観察された。同様に、GRP78の細胞表面への移行を促進することで知られるERストレス誘導因子であるタプシガルジン(TG)前処理(図6F)の際に、rISM1は、不死化したマウスのAM細胞(MH-S)においてアポトーシスを誘導した(Li, Ni et al., 2008)。さらに、抗GRP78抗体中和は、rISM1誘導性アポトーシスを効果的に阻止した(図6G)。これらの結果は、rISM1誘導性アポトーシスが、AMのcsGRP78を通じて媒介したことを示した。付随して、Ism1Δ/Δマウスから分離された一次AMは、WT AMと比べて、増殖に変化はなく、アポトーシスの減少を示し(図2L及びM)、内因性ISM1媒介性オートクリン/パラクリンアポトーシスの欠如が、Ism1Δ/Δ肺におけるAM集積の根底にあることを示唆した。Ism1Δ/Δ肺におけるAMの増加が、プロテアーゼ-アンチプロテアーゼの不均衡に寄与したため、周囲空気下で、Ism1Δ/Δマウスにおいて突発性COPDが引き起こされる。
図6Bの結果は、Ism1 mRNAが気管支上皮細胞及び肺胞マクロファージにおいて発現することを示す。確かに、マウスの肺組織切片を用いたin situハイブリダイゼーションは、気管支上皮細胞及びいくつかのAMにおいてIsm1遺伝子が発現したことを示し、IHCデータと一致した。これは、AMにおけるISM1発現を示すIHCデータに信頼性があることを示す。
図6C、6F及び6Gは、csGRP78を標的化することによって、rISM1がAMアポトーシスを誘導することを示す。共焦点顕微鏡によって示されるように、rISM1は、新たに分離された一次AMの細胞表面で、csGRP78と相互作用する(図6C)。このデータは、rISM1がAMの表面上のcsGRP78を標的化し、そのアポトーシスを引き起こすことを支持する。図6Cにおいて、1μMのrISM1処理から1時間後の、rISM1(赤)とGRP78(緑)共局在化の一次AMの代表的な共焦点画像を示す(核はDAPI(青)で染色)。さらに、マウスAM細胞株MH-S細胞は、ERストレスを誘導しcsGRP78をアップレギュレートするタプシガルジン(TG)で前処理された場合、ISM1誘導性アポトーシスを起こす。変性ISM1(煮沸した)は、このアポトーシス促進機能を失い、このアポトーシス促進活性がISM1タンパク質の機能であることを示した。抗GRP78抗体はrISM1誘導性アポトーシスを妨害し、ISM1がMH-S AM細胞表面でcsGRP78を標的化してアポトーシスを引き起こすことを支持する。なお、より高い濃度の抗GRP78抗体は自身で細胞死を起こすことができるので、その細胞自体に影響がなかった濃度のものだけがcsGRP78とISM1誘導性アポトーシスを阻止するために使用された。図6F及び6Gは、マウスAM細胞株MH-S細胞におけるアポトーシスの定量化を示し、50nMのタプシガルジン(TG)前処理及び1μMのrISM1処理から24時間後(左)と、16時間のGRP78抗体中和(右)である。処理条件は示す通り。解析は三重のウェルで行った。1ウェルあたり4つの画像を撮影し、IncuCyte生細胞解析システムを用いて定量化した。
rISM1は、Ism1Δ/Δ及びたばこ煙誘発性COPDマウスにおける肺気腫を救助する。AMは、マウスにおける肺気腫/COPDの病態形成において重量な役割を果たすため11、18、19、AMアポトーシスを誘導/促進、及び/又は、炎症を抑制することによって、外から補給されたrISM1が、Ism1Δ/Δマウスの肺気腫の発達/進行を阻止することができるか評価した。月齢1カ月のIsm1Δ/Δマウスに週2回、4週にわたって気管内rISM1をデリバリーし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又はAM枯渇のために確立された薬剤であるクロドロン酸リポソームで処理されたマウスと比較した。免疫染色は、rISM1がAMによって内部移行し、アポトーシスを誘導したことを示し(図7A及びB)、クロドロン酸と同様に(図3A)、投与量依存的にAM数が著しく減少した。rISM1及びクロドロン酸処理されたIsm1Δ/Δマウスの肺はともに、肺気腫の著しい減少を示した(図3B及びC)。両方の処理グループにおける増殖するII型肺胞上皮細胞の増加によって示されるように、rISM1又はクロドロン酸によるAMの枯渇は、炎症の回復に続いて肺胞の再生をおそらく促進した(図7C及びD)。より重要なことに、rISM1及びクロドロン酸処理されたIsm1Δ/Δマウスの両方において、気道の同等な回復が肺機能検査によって示された(図3D)。また、これらの結果は、過剰なAMは、Ism1Δ/Δマウスにおいて突発性肺気腫及び肺機能低下の中核を担うことを示す。rISM1の経肺デリバリーは、示されるように、AM枯渇を通じてIsm1Δ/Δ肺気腫表現型を救助することができる。
次に、慢性AM炎症は肺組織損傷に関係しているため、rISM1がマウスにおけるたばこ煙(CS)誘発性COPDを軽減できるか評価した。WT BALB/cAnNTacマウスを、2週及び8週、室内空気(sham)又はCSに曝露し、PBS又はrISM1のいずれかで気管内処理した(図3E及びF)。2週間CSに曝露したマウスから採取したBALF細胞のサイトスピン解析は、rISM1が、炎症を効果的に抑制し、AM及び好中球数を減少させたことを明らかにした(図3G)。8週間CSに曝露したマウスの組織学的解析は、喫煙COPD患者と同様に、主にAMを含む免疫細胞の大量集積とともに、終末細気管支の近位に肺気腫を呈した(図3H及び図7E)。rISM1で処理されたマウスは、よりアポトーシス促進性のAM(図7F)を生成し、AM(図3I)及び全肺ライセートからのMMP-12レベルの両方において顕著な減少を示した(図3J)。好中球もrISM1処理によって顕著に減少し(図7G)、これはAM枯渇の際の走化性の低下の結果である可能性がある(Murugan & Peck, 2009)。したがって、rISM1の経肺デリバリーは、AM枯渇を通じて、CS誘発性COPDマウスにおいて肺気腫を効果的に阻止し(図3K)、肺機能を保った(図3L及び図7H~J)。
図3に示すように、rISM1はたばこ煙(CS)誘発性急性肺炎症を抑制する。CSは、好中球とAMの両方を誘導することによって肺の急性炎症を誘導すると知られる。2週のCSモデルマウスを使用したところ、気管内デリバリーされたrISM1は、総BALF細胞の減少に示されるように、CS誘発性肺炎症反応を効果的に抑制した。リンパ球に影響を及ぼすことなく、AMと好中球は共に抑制された(図3E及び3G)。この結果は、アポトーシスを引き起こすことによって気管内デリバリーされたrISM1が、肺炎症を効果的に和らげAM数を減少させた、8週の慢性CS誘発性肺気腫(COPD)モデルのマウスから得られたデータと一致する。図3Eは、WT BALB/cマウスにおける、2週のたばこ煙誘発性COPDモデルの実験的設計を示す。室内空気曝露(Sham)、たばこ煙曝露(CS)と溶媒(CS+PBS)又はrISM1(CS+10μg rISM1)処理を、示した頻度と間隔で行った(1グループあたり、マウスn=5)。図3Gは、2週のたばこ煙誘発性COPDマウスの実験グループから採取した気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞の定量化を示す(1グループあたり、マウスn=4~5)。
ヒトISM1発現は、肺胞マクロファージアポトーシスと相関する。Ism1Δ/Δマウスが突発性肺気腫を発生し、外から補給されたrISM1がCS誘発性COPD病態形成からマウスを守ったため、ヒトの肺における外因性ISM1レベルの変動は、COPDの発生にも影響を与えると仮定した。我々はまず、hISM1過剰発現細胞を用いてヒトISM1(hISM1)の抗体特異性を検証し(図8A)、続いて、60のCOPD及び18の非COPD患者から採取した肺組織切片におけるhISM1発現を検査した(表1)。
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マウスと同様に、hISM1もAMに主に発現した(図4A及びB)。しかしながら、特にCS曝露後のマウスの気管支上皮においてISM1が発現した一方(図8B)、COPD又は非COPDのヒトの肺の両方の気管支上皮においてhISM1は検出されなかった(図8C)。その後、AMにおけるhISM1発現のIHC染色強度と頻度をスコア化することによって、hISM1発現を段階分けした(図4A~C)。hISM1発現と喫煙者との間に、正の相関が見られた(図4D及びE)一方で、元喫煙者よりも、喫煙者の方が、hISM1発現が高かった(図8D)。これらの知見は、CS曝露の際、ISM1が特にマウスAMでかなりアップレギュレートされ(図8E)、その一方、多形核白血球やリンパ球などのその他の免疫細胞がISM1染色で検出できないままであった(図8F)ことと一致する。重要なことに、hISM1発現は、喫煙ステータスに依存しないAMアポトーシスと著しく正に相関した(図4F、図23A及びB)。特に、csGRP78は、非COPD患者と比べて、COPD患者のAMでアップレギュレートされ(図4G)、AMがISM1-csGRP78媒介性アポトーシスの準備を整えることを可能にする。確かに、同様のhISM1発現を示す非COPD患者と比べて、COPD患者において、よりアポトーシス性のAMが観察され(図4H)、COPD患者及びCS曝露マウスにおいては、csGRP78陽性AMのみがアポトーシス性であった(図23C及びD)。
これらの結果に基づき、生理的ISM1は、csGRP78を通じてAMアポトーシスを制御することによって、成人の肺の恒常性を維持することにおいて重要であると仮定する。ISM1の減少は、減少したアポトーシスからAM集積を引き起こし、その結果、周囲空気の下であってもIsm1Δ/Δマウスにおいて肺炎及び肺気腫を生じる(図24)。
図4E、4F及び4Hは、ヒトCOPD肺と非COPD肺におけるISM1発現が、たばこ煙とAMアポトーシスと相関することを示す。60のCOPD及び18の非COPDヒト肺組織サンプルからの免疫組織化学染色(IHC)によるISM1発現解析は、ヒトISM1(hISM1)タンパク質の発現レベルがたばこ煙と相関し、喫煙者がより高いISM1発現を示したことを明らかした(図4E)。さらに、AMアポトーシスレベルは、肺組織のhISM1レベルと相関し、より高いhISM1レベルは、肺においてより高いAMアポトーシスを示す(図4F)。COPD及び非COPD肺の両方において、より高いhISM1レベルは、より高いAMアポトーシスを示す(図4H)。確かに、COPD及び非COPD肺におけるhISM1発現は、図4E、4F及び4Hに示される。喫煙ステータスとhISM1の相関(4E)及びhISM1発現とAMアポトーシスの相関(4F)が示される。患者サンプルサイズは、グラフに示す。データは、点双列相関(4E)及びピアソン相関(4F)によって解析した。非COPD及びCOPD患者のアポトーシス性AMのパーセンテージは、COPDステータスとhISM1発現で層別化した。患者サンプルサイズはグラフに示す(データは平均値の標準誤差であり、one-way ANOVAとチューキーの事後検定で解析した。*P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001)。
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、図24は、AMアポトーシスと肺の恒常性の制御における、ISM1のメカニズムの提案を提供する。図24(左)において、オートクリン/パラクリンISM1が、高いcsGRP78を有するAMを特に標的化して、アポトーシスを誘導する。AM数はコントロール下に保たれ、炎症は制御され、肺の恒常性は維持されている。図24(右)において、ISM1がない/低いことは、肺胞腔におけるAM集積と、進行性の肺機能低下を伴う肺気腫の発病という結果をもたらす。
議論したように、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的死因の第3位であり、喫煙、環境汚染への長期曝露、および加齢が主要な危険因子である。肺気腫(肺胞壁の破壊)、小気道の慢性及び閉塞性気管支炎(気道炎症)による、不可逆的な気流の遮断を特徴とする。患者は、咳や呼吸困難などの再発する呼吸器症状を呈する。さらに、運動不耐性は、COPD患者の筋力低下とサルコペニアを引き起こす。現在の治療法は、主に気管支拡張薬であり、症状の軽減のみを提供し、疾患の進行を阻止する薬はない。遺伝的及び病理的マウスモデルを使用した本明細書に記載の研究において、結果は、アポトーシス促進性イスミン1(ISM1)タンパク質が、肺組織の恒常性のプロテクターであることを明らかにした。ISM1の減少は、肺胞マクロファージ(AM)集積の結果としての突発性COPDを引き起こす。マウス及びヒトの肺において、AMはISM1及び高親和性受容体csGRP78の両方を発現し、その結果、自己制御性アポトーシスを可能にする。組換えISM1(rISM1)の局所的経肺デリバリーは、たばこ煙誘発性COPDマウスにおいて、AM数を減少させ、炎症を抑制し、肺機能を保持した。さらに、肺におけるヒトISM1発現は、著しく且つ正にAMアポトーシスと相関した。
本明細書に記載の結果は、正常な肺機能を守り、CS誘発性COPD発達を阻止する抗炎症性タンパク質として、ISM1を特定する。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、この研究は、csGRP78を標的化することによって肺炎症を和らげるタンパク質治療としての、rISM1の使用を支持する。結果は、ISM1-csGRP78媒介性AM標的化が、例えばAMが病理的役割を果たす炎症性肺疾患の広い範囲において、治療戦略を提供し得ることを示す。
マクロファージクリアランスは、炎症の消退中に、局所的アポトーシスを通じて主に媒介すると示され26、AMアポトーシスは、感染症関連の急性肺炎症の回復において重要である27-29。AMは、COPD病態形成と肺の悪化の根底にあり2、20、25、アポトーシス23及びコルチコステロイド治療30に耐性を示すことで悪名高い。本明細書の知見は、アポトーシス促進性タンパク質ISM1を通じてAM数をコントロールし肺の恒常性を維持する、オートクリン/パラクリンメカニズムを明らかにする。ISM1は、AMのcsGRP78を標的化して、アポトーシスを誘導し肺炎症を制限する。その一方で、ISM1の減少は、Ism1Δ/ΔマウスにおいてAM集積と突発性肺気腫を結果としてもたらした(図24B)。ちなみに、AM集積は、喫煙者における肺気腫の発症と関係がある。rISM1の気管内注入は、CS曝露マウスにおいてAM集積を防ぎ、COPDの進行を効果的に阻止した。これは、AM枯渇の有効性を示すマウスの先の研究と一致する18、19。一貫して、hISM1発現が高い患者において、AMアポトーシスはより多く、AM数はより低く、重症のCOPDの頻度はより低かった。COPD患者におけるhISM1発現の不均一性は、COPD患者への早期介入のためのより良い見識を提供し得る。本明細書の知見は、肺の恒常性維持における制御されたAMアポトーシスの重要な役割を強調し、炎症抑制剤としての肺の恒常性におけるISM1の保護的役割を特定する。rISM1は、例えば、AM駆動型(AM-driven)肺炎症を和らげることを通じて、COPDの進行停止において治療効果を提供し得る。
COPDは、疾患の進行を阻止、及び/又は、肺機能を回復するための効果的な薬剤がなく、大きな社会経済的負担を伴って世界的に蔓延している。本明細書に記載の研究は、分泌50kDaタンパク質ISM1が、マウスにおける肺炎症を効果的に和らげ、CS誘発性COPDの進行を阻止することができる抗炎症性タンパク質であることを示す。rISM1の局所的経肺デリバリーは、アポトーシスのため、その高親和性受容体csGRP78を介して特にAMを標的化した。
AMは、肺免疫細胞の95%より多くを構成し、アポトーシスに耐性を示しながらも主要な炎症オーケストレーター(orchestrator)であるため、禁煙後であっても慢性肺炎症に寄与する(Barnes, 2016, Domagala-Kulawik, Maskey-Warzechowska et al., 2003, Kojima, Araya et al., 2013)。気管内デリバリーされたrISM1は、CS誘発性COPDマウスにおいて、AM集積を効果的に阻止し、肺機能低下を予防した。これは、肺気腫予防におけるAM枯渇の有効性を示した先の研究と一致する。したがって、本明細書に記載の結果は、例えば疾患の進行を阻止、及び/又は、肺機能を維持するためのCOPD治療薬としてのrISM1を支持する。AMアポトーシスを誘導することで、rISM1はMMP-12などのAM分泌プロテアーゼによって直接的なタンパク質損傷を妨害するだけでなく、MMP-12駆動型腫瘍怪死因子アルファ(TNF-α)関連内皮細胞活性、好中球走化性、及び、CS誘発性肺損傷の70%を占めると推定される工程である更なるマクロファージ活性を予防し得ると考えられる(Churg, Wang et al., 2004)。したがって、AMは、新規な抗炎症性COPD治療の重要な標的であり、そうあり続けるべきである。しかしながら、AMはステロイドに対し無応答性であることが知られており(Barnes, 2013a)、別々の炎症誘発性分子の標的化におけるマウスモデルとヒト臨床試験の間の翻訳可能性の低さは、COPD薬剤の開発において主要な課題として残る(Barnes, 2013b)。この場合、rISM1は、AMのcsGRP78を特に標的化する能力を通じ、明確なアドバンテージを有する。ちなみに、COPDにおける病理的AMは、高いレベルのcsGRP78を抱え(図4G)、rISM1媒介性アポトーシスの理想的な候補となる。その結果、rISM1はAM炎症を効果的に抑制し、同時に複数の炎症誘発性因子を消滅させることができる。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、rISM1は、csGRP78を発現しない免疫抑制的間質性マクロファージを損傷することなく、炎症誘発性AMにおいてアポトーシスを誘導し得ると考えられ((Quesada Calvo, Fillet et al., 2011)、肺において恒常的機能を行うことを可能にする。
この研究の結果は、肺の恒常性維持におけるISM1の新規な生理的機能を明らかにし、その発現レベルがその他の器官よりもマウスの肺で最も高いことと一致する。結果は、マウスにおけるISM1の減少が、肺胞腔における過剰なAM発現とともに、周囲空気下で突発性肺気腫の発症につながることを示した。結果は、すでに報告された上皮細胞及び内皮細胞に加えて、AMがマウスの肺におけるISM1の新規の供給源であることを特定した。さらに、AMは、正常なマウスの肺において、ISM1と、その高親和性細胞表面受容体GRP78を不均一なレベルで発現する(図2I及びJ)。アポトーシスのため、ISM1は、高いレベルのcsGRP78を抱える細胞を特に標的化し得る(Chen et al., 2014)。本明細書に記載の結果は、アポトーシスのため、ISM1が高いcsGRP78を抱えるAMを選択的に標的化する一方で、csGRP78がない/低いAMは未変化のまま残されることで、肺の恒常性のためにAM数をコントロールするモデルを支持する(図24)。Ism1Δ/Δマウスから新たに分離されたAMは、WTマウスからのAMと比べて、低いアポトーシスレベルを示し、マウスの肺における外因性ISM1によるAMアポトーシスのオートクリン/パラクリン制御を示唆する。クロドロン酸処理と同様に、気管内デリバリーされたrISM1は、Ism1Δ/ΔマウスにおいてAMを枯渇させ、肺気腫を救助した。Ism1Δ/Δマウスから得られたこれらの結果は、調節不全アポトーシスの結果として起こるAM集積が、環境的攻撃がなくとも、肺気腫の発達において重要且つ十分であることを示し、COPDの病態形成の主要なオーケストレーターとしてのAMと一致する。
下等脊髄動物におけるIsm1機能喪失に関する先の研究が、ゼノパスにおける頭蓋顔面異常などの対照的な表現型(Lansdon, Darbro et al., 2018)、及び、ゼブラフィッシュにおける変性造血を伴う血管形成異常(Berrun, Harris et al., 2018, Xiang et al., 2011)という結果になったように、肺の恒常性におけるISM1の重要な役割は、哺乳類特有である可能性がある。ISM1の高度で多岐にわたる天然変性N末端領域は、異なる種において、異なる生物学的機能に寄与する可能性がある(Babu, 2016)。その一方、マウスとヒトのISM1の間の高い配列同一性(同一性93.5%)は、ISM1がこれらの種の間に保存的機能を有することを示唆する(Joshi & Xu, 2007)。
この研究の結果は、AMアポトーシスの誘導及び肺の恒常性維持において、外因性ISM1及びcsGRP78の間の、オートクリン/パラクリンシグナル伝達軸(signaling axis)を明らかにする。局所的マクロファージアポトーシスとクリアランスは、炎症の消退に寄与し(Hamidzadeh, Christensen et al., 2017)、これは先のアテローム性動脈硬化症(Arai, Shelton et al., 2005)、実験的腹膜炎(Gautier, Ivanov et al., 2013)及び感染症関連の急性肺炎(Aberdein, Cole et al., 2013)に記載されている。マウスとヒトのCOPD肺におけるISM1のアップレギュレーションは、生物学的反応であり、これは、複数の肺疾患でアップレギュレートされ、オートクリンシグナル伝達を介してAMアポトーシスを誘導できる多面的TNF-α及びI型インターフェロンと同様である(Wei, Sun et al., 2006, Xaus, Comalada et al., 2000)。確かに、hISM1発現は、AMアポトーシスと強く相関し、これはCOPD患者においてより高められたことが観察された(図4)。
先のゲノムワイド関連解析(GWAS)はIsm1座位をCOPDと関連付けなかったが、Ism1とその調節遺伝子に対する潜在的な後成的又は遺伝的影響を明らかにするためには、hISM1の不均一性をより大きい数のCOPD患者で理解することに意味があるだろう。また、COPDにおける高い死亡率に寄与する多様な依存疾患と、hISM1発現が相互関連性を有するかどうかは興味深い。
ISM1の低親和性受容体であるαvβ5インテグリンは、肺の内皮細胞及び気道の内皮細胞に存在するとも報告されている(Teoh, Tan et al., 2015)。しかしながら、rISM1が気管内にデリバリーされた時(図7)、マウスにおけるこれらの細胞の明らかな標的化は観測されず、さもなければこれらの肺構造細胞の望まれないアポトーシスによって肺気腫が悪化したであろう。したがって、rISM1治療は、Ism1Δ/Δマウスにおける肺気腫を回復させ、肺機能を改善した。
比較的大きいサイズのrISM1(~50kDa)は、ISM1が肺から急激に除去されず、血流に吸収されることを示唆する(Labiris & Dolovich, 2003, Patton, Fishburn et al., 2004)。局所的経肺デリバリー用のタンパク質治療薬の中和における著しい進歩は、様々な臨床試験に現れた。例えば、吸入治療薬としてのアルファ-1アンチトリプシン(52kDa)のいくつかの第II/III相臨床試験が、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症及び嚢胞性線維症のために行われた(Bodier-Montagutelli, Mayor et al., 2018)。特定の実施形態において、ISM1は、例えば、アルファ-1アンチトリプシンと同程度の大きさであるため、ネブライザーを介する経肺デリバリーで使用してもよい。
要するに、本明細書に記載の結果は、肺の恒常性維持におけるAMアポトーシス制御の重要な役割と、生理的及び病理的状況の両方でこの機能においてISM1が果たした重要な役割を強調する。結果は、肺気腫/COPDの病態形成及びAMアポトーシスと関連する新規な遺伝子としてのIsm1を支持し、rISM1が、慢性CS誘発性COPDマウスにおいて、肺気腫を減弱させ、炎症を抑制し、肺機能を守ったことを示す。結果は、COPDにおける主要な病理的免疫細胞であるAMのcsGRP78を特に標的化することによって、rISM1をCOPDの治療法として使用することができることを示す。本明細書に記載の知見は、肺の虚血再灌流傷害(Naidu, Krishnadasan et al., 2003)、急性肺損傷(Dagvadorj, Shimada et al., 2015)、肺線維症(Misharin, Morales-Nebreda et al., 2017)及び喘息(Nabe, Matsuda et al., 2018)などの、AMが駆動又は寄与する呼吸器系障害の広い範囲わたって、意義を持ってもよい。特定の実施形態において、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデス(Lu et al., 2010, Weber, Haslbeck et al., 2010)などのその他の非癌性疾患におけるcsGRP78の病理的発現は、rISM1が炎症を調節するための治療の機会を提供し得る。
一つ以上の説明的実施形態を、例として記載した。請求項に規定される発明の範囲から逸脱することなく、多数の変更及び修正を行うことができると当業者は理解するだろう。
方法
研究設計。この研究の第一の目標は、二つの遺伝的背景(FVB/NTac及びC57BL/6Jマウス)におけるIsm1の室内(in-house)生成されたCRISPR/Cas9媒介性ノックアウトを用いた、哺乳類Ism1の生理学的機能を判定することであった。表現型特徴及びレスキュー実験のサンプルサイズは、統計解析のため1グループあたり動物3匹の最小に保たれ、n数は各実験の各図及び図説明文に示す。年齢と性を一致させたマウスを実験グループにランダムに割り当てた。動物研究から異常値は排除しなかった。Ism1Δ/Δマウスのレスキュー実験は2回繰り返し行い、肺機能パラメータと組織学で別々に解析した。慢性CS誘発性COPDマウスのレスキュー実験は、肺機能パラメータで1回行い、左の肺葉は組織学解析のため固定し、右の肺葉は生化学解析のため均質化した。すべてのマウス実験の免疫細胞定量化は、盲検様式(blind-fashion)で行った。匿名化されたヒトの肺サンプルは、免疫細胞定量化、hISM1発現の染色及びグレーディングに使用した。ヒトのコホート研究において、除外されたデータはなかった。
マウス。シンガポール国立大学 動物実験委員会(IACUCプロトコル BR15-1100及びR18-0588)によって承認されたプロトコルに従って、すべての動物実験を行った。野生型マウス(FVB/NTac、C57BL/6J及びBALB/cAnNTac;週齢6~8週)は、InVivos社(シンガポール)から購入した。Ism1Δ/Δマウス(FVB/NTac及びC57BL/6J)は、組換えCas9、及びIsm1エクソン1の5’-CTGCACATCACGGTTCTGCGCGG-3’(gRNA1、PAM配列に下線した配列番号5)及び5’-GCGGATCCGGAGCCTCCGACCGG-3’(gRNA2、PAM配列に下線した配列番号6)を標的化するガイドRNAの前核(pronuclear)微量注入法を用いて、室内で作製した。Ism1Δ/Δマウスの雑種世代は、プライマーペア P1(5’-CAGCTCCTGGGATTGCTCCG-3’)(配列番号7)及びP2(5’-CCTTCTGCAATGTACCAAGCTCT-3’)(配列番号8)(FVB/NTac用)及び5’-cgcgcgactcaagaggatgg-3’(配列番号22)及び5’-actgggacccgctgacgttg-3’(配列番号23)(C57BL/6J用)の遺伝子型を判定して配列決定し、その後、次の繁殖及びコロニーメンテナンスのために選択した(IACUCプロトコル BR15-1100)。すべてのマウスを標準的な12時間の明暗周期で収容し、食物と水は自由に与えた。すべての気管内注入に先立って、マウスをイソフルランで麻酔した。
細胞。MH-S(CRL-2019TM)はATCCから購入し、10%熱失活したFBS、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を追加したRPMI-140培地で培養した。一次肺胞マクロファージを、月齢2カ月の野生型及びIsm1Δ/ΔFVB/NTacマウスから収集し(Chavez-Santoscoy, Huntimer et al., 2012に記載の通り)、10%熱失活したFBS、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を追加したRPMI-140培地で培養した。5%COインキュベーターで、細胞を37°Cに保った。一次肺胞マクロファージを、記載された通りに月齢2カ月の野生型及びIsm1Δ/ΔFVB/NTacマウスから収集し32、10%熱失活したFBS、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を追加したDMEM培地で培養した。5%COインキュベーターで、一次肺胞マクロファージを37°Cに保った。
試薬。ウエスタンブロットに使用した一次抗体:anti-MMP-12(ab52897、アブカム)、anti-MMP-9(ab38898、アブカム)、anti-p65(10745-1-AP、プロテインテック)、anti-βアクチン抗体(C4、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-TGF-β1(V、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-VEGF-A(A-20、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-好中球エラスターゼ(ab68672、アブカム)、anti-アルファ-1アンチトリプシン(16382-1-AP、プロテインテック)。免疫組織化学に使用した一次抗体:anti-MMP-12(ab66157、アブカム)、anti-MMP-9(ab38898、アブカム)、anti-TGF-β1(V、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-VEGF-A(A-20、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-ISM1(マウスの肺用:E-20、サンタクルーズバイオテクノロジー;ヒトの肺用:カスタム抗体3M8、AbMart)、anti-GRP78(A-10、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-His-probe(H-15、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-Cleaved-Caspase-3(Asp175、Cell Signaling Technology)。免疫蛍光に使用した一次抗体:anti-ISM1(E-20サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-p65(10754-1-AP、プロテインテック)、anti-CD68(M-20、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-His-probe(H-15、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-GRP78(A-10、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-Cleaved-Caspase-3(Asp175、Cell Signaling Technology)、anti-SP-C(FL-197、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-PCNA(PC10、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-GRP78(A-10、サンタクルーズバイオテクノロジー)、好中球マーカー(NIMP-R14、サンタクルーズバイオテクノロジー)。製造業者のプロトコルに従って、OxiSelectTMIn Vitro ROS/RNSアッセイ(STA-347、セルバイオラボ)を用いて、活性酸素種を測定した。製造業者のプロトコルに従って、マイクロプレート用のClick-iTTMEdU細胞増殖測定アッセイ(Invitrogen、C10499)を用いて、細胞増殖を測定した。先に記載された通り(Xiang et al., 2011)、組換えISM1(rISM1)を作製した。リポソーム被包性クロドロン酸(liposome-encapsulated clodronate)は、Liposomaから購入した。
マウスrISM1(成熟型、シグナルペプチドなし)を発現させ、ベクターpET-Mを用いて大腸菌において6xHisタグ付けしたタンパク質として精製した(Xiang et al., 2011に記載、JCMM、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)。マウスrISM1を、これらの実験に使用した。成熟ISM1(シグナルペプチドなし)は、試験された条件で生物学的に活性である。使用したISM1配列は、NP_001263418.1を含み、以下の通りである:
Figure 2022524370000005
(配列番号9;下線部は天然ISM1配列を示し、太字はVector配列とHisタグを示し、斜体はN末端M残基を示す。)
リポソーム被包性クロドロン酸は、Liposomaから購入した。
肺の組織学及びイメージング。各実験のマウスの肺を、10%中性緩衝ホルマリンで膨張させ固定し、パラフィンに包理して、厚さ5μmの薄片を作成した。染色する前に、マウス及びヒトの肺切片を、エタノールとPBSの段階希釈であるHistoChoice(登録商標)Clearing Agent(シグマアルドリッチ)で脱パラフィン処理した。FVB/NTac WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺気腫の組織学的及び病理学的スコア化は、獣医病理学者が行った。病理学的スコア:0=存在しない、1=最小(>1%)、2=わずか(1~25%)、3=中等(26~50%)、4=ほどほどに重症/高い(61~75%)及び5=重症/高い(76~100%)。平均肺胞径(MLI)は、記載の通りに定量化した34(Knudsen, Weibel et al., 2010)。気管支上皮細胞数及び測定は、ImageJソフトウェア(NIH)を用いて定量化した。免疫蛍光及び免疫組織化学染色のため、肺切片は、脱パラフィン処理後、クエン酸ナトリウムバッファー(10mM クエン酸ナトリウム、0.05% Tween20、pH6.0)において、圧力調理(pressure-cooking)による抗原賦活化を施された。スライドを、室温まで冷めるよう放置し、PBSで洗浄して、一時間、PBSにおいて3%BSAで遮断した。免疫組織化学染色用の肺切片は、さらに30分間、3%過酸化水素で冷却した。その後、肺切片は、各一次抗体とともに、加湿したチャンバーにおいて一晩室温でインキュベートし、0.1%PBSTで3回洗浄し、非結合抗体を除去した。そして、各二次抗体とともに一時間室温でインキュベートし、0.1%PBSTで3回洗浄した。免疫蛍光染色されたスライドは、カバーガラスを取り付ける前にDAPIで対比染色した。一方、免疫組織化学染色されたスライドは、ヘマトキシリン対比染色及びカバーガラスを取り付ける前に5~15分間、液体DAB+発色気質(Dako)でインキュベートした。肺切片を、過ヨウ素酸シッフ(87007、サーモフィッシャー)で染色し、製造業者のプロトコルに従って、エラスチン染色キット(ab150667、アブカム)を行った。Zeiss Axiovert 200及びZeiss LSM-510Meta共焦点顕微鏡で画像を撮影して解析し、ImageJソフトウェア(NIH)を用いて明るさ及びコントラストを調整した。
BALF免疫細胞定量化。気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取し、標準的な手順を用いたフローサイトメトリーによって細胞を解析した。AMを選択するゲーティング戦略は、図25に示す。
アポトーシス判定。アポトーシスは、Incucyte ZOOM 生細胞イメージングシステム(エッセンバイオサイエンス)を用いて測定した。MH-S細胞又は一次肺胞マクロファージを96ウェルあたり50,000細胞の密度で播種し、製造業者の説明書に従ってIncucyte Caspase-3/7 Green Apoptosis Assay Reagent(Cat.No.4440、エッセンバイオサイエンス)を用いてアポトーシスを毎時測定した。MH-S細胞を、1%熱失活したFBSを追加したRPMI-140培地で50nMタプシガルジン(シグマアルドリッチ)で24時間、前処理し、その後、同様の培養条件の下、16時間、anti-GRP78(A-10、サンタクルーズバイオテクノロジー)抗体有り・無しの両方で、1μM rISM1で処理した。三重のウェルで処理を行い、定量化のため1ウェルあたり4枚の画像を撮影した。一次肺胞マクロファージは、同様の培養条件の下、16時間、1μM rISM1で処理した。実験グループは四重のウェルで行い、定量化のため1ウェルあたり4つの別々のフィールドをとった。
肺機能検査。先に記載された35(Peh, Tan et al., 2017)通り、実験的COPD WT Balb/cAnNTacマウスだけでなく、FVB/NTac野生型及びIsm1Δ/Δマウスにスパイロメトリーを行った。簡単に言えば、マウスをケタミン(75mg/kg)とメデトミジン(1mg/kg)カクテルで麻酔し、気管切開した。マウスをカニューレ処理し、コンピュータ制御されたベンチレーターに接続した全身プレスチモグラフィー(whole-body plethysmograph)に置いた(強制肺操縦システム、Buxco Research System)。FinePointeTMデータ取得及び解析ソフトウェア(Buxco)を用いて、全肺気量(TLC)、機能的残気量(FRC)、残気量(RV)、静的コンプライアンス(Cchord)、動的コンプライアンス(Cdyn)、100msでの努力吸気量(FEV100)、Tiffeneau-Pinelli指標(FEV100/FVC)及び気道抵抗(RI)を記録した。呼吸仕事量は、圧力-体積グラフの下のエリアを使用して算出した。
肺のホールマウントイメージング。月齢6カ月のFVB/NTac野生型及びIsm1Δ/Δマウスの肺を開胸して回収し、イメージング又は処理するまで冷たいPBSに保存した。左の末梢肺葉の画像は、オリンパスMXV10Macro Zoomを用いて、拡大率1.26倍で撮影した。肺エラスチン及びコラーゲンの免疫蛍光染色のため、回収したそれぞれの肺を、1%熱失活したFBS、ペニシリン(100U/mL)ストレプトマイシン(100μg/mL)及び1μM Col-F蛍光プローブ(Immunochemistry Technologies)を追加したDMEM培地で、軽く揺すりながら一晩、4°Cでインキュベーションした。その後、PBSを3回交換して肺を洗浄し、末梢肺葉の画像を、オリンパスMXV10Macro Zoomを用いて蛍光励起し拡大率5倍で撮影した。画像は、ImageJソフトウェア(NIH)を用いて明るさ及びコントラストを調整した。
FVB/NTac Ism1Δ/Δマウスにおける肺気腫レスキュー。週齢4週FVB/NTac Ism1Δ/Δマウス(メス)に、50μlのPBS、50μlのPBSにおける1μg又は5μgのrISM1、又は、50μlのPBSにおける350μgのリポソーム被包性クロドロン酸を週2回、4週にわたって気管内投与した。処理最終日から24時間後の肺機能検査を記録し、肺を組織学解析のため固定した。
たばこ煙誘発性COPDマウスモデル。週齢8週のBalb/cAnNTacマウス(メス)を、先に記載された通り35(Peh et al., 2017)、8週間、慢性的にたばこ煙曝露した。簡単に言えば、3本の3R4F標準たばこ(ケンタッキー大学、レキシントン)を2時間毎の頻度、一日あたり合計9本のたばこで、4%たばこ煙にマウスを全身曝露した。この喫煙レジメンを、5日間連続で、合計8週にわたって行った。Shamマウスは、別の換気されたチャンバーに入れ、同じ室内空気に曝露した。最初の4週のたばこ煙曝露の後、各処理グループに、追加で4週間、50μlのPBS、又は、50μlのPBSにおける10μgのrISM1を投与した。PBS及びrISM1処理は、毎日のたばこ煙曝露の最終ラウンドの後、各週の1、3及び5日目に気管内注入によって行った。たばこ煙曝露最終日から24時間後の肺機能検査を記録し、肺を組織学解析のため固定した。
急性たばこ煙誘発性肺炎症マウスモデル。週齢8週のBalb/cAnNTacマウス(メス)を、上記に記載された通りに、2週間、慢性的にたばこ煙曝露した。上記と同様の様式で、たばこ煙曝露の第2週の間、5日間連続で毎日、毎日のたばこ煙曝露の最終ラウンドの後、PBS及びrISM1処置を気管内注入で行った。
ヒト肺組織。ヒトサンプルの使用は、シンガポール国立大学 治験審査委員会(NUS-IRB Ref No. N-18-057E)によって承認された。匿名化されたホルマリン固定及びパラフィン包理されたヒト肺組織は、Lung Tissue Research Consortium (LTRC)、National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)及びNational Institutes of Health (NIH)(米国)によって提供された。COPD患者は、肺気腫の臨床診断と合わせて、FEV/FVC<0.7、FEV%予想:80以下の事後/事前(post/pre)気管支拡張剤スパイロメトリー基準に基づいて選択した。非COPD患者は、FEV/FVC:0.7以上、FEV%予想:80以上の事後/事前気管支拡張剤スパイロメトリー基準に基づいて特定した。患者の喫煙歴及びステータスが提供された。非COPD患者とCOPD患者におけるhISM1発現は、2人の研究者が盲目的に段階分けした。1つのヒト肺組織あたり、6から10のフィールドがランダムに選ばれた。
統計解析。統計解析は、Prism(Graphpad)ソフトウェアを用いて行った。2つのグループの比較は、対応のない両側のスチューデントt検定で行い、複数のグループの比較は、one-way ANOVAとチューキーの事後検定で行った。hISM1発現と、喫煙又はAMアポトーシスとの相関関係は、それぞれ点双列相関及びピアソン相関を用いて判定した。結果は平均値の標準誤差で示し、各実験のサンプルサイズは図及び図の説明文において示した通りである。<0.05というP値は、有意であると考えられた。追加の注釈は、図の説明文において示される通りである。
実施例2:イスミン1がリポ多糖誘発急性肺損傷及び肺炎症を抑制した。
イスミン1(ISM1)は、マウスの肺の気管支及び肺胞上皮細胞、内皮細胞、肺胞マクロファージ及びNKT細胞において高く発現する。ISM1は、リポ多糖(LPS)の気管内注入に反応して肺でアップレギュレートされる(Venugopal et al 2015, Cardiovas. Res.)。FVB/N及びC57BL/6J背景の両方のIsm1ノックアウトマウス(Ism1Δ/Δ)を使用した本研究において、我々の結果は、ISM1欠乏は、マウスの肺において軽度の無菌性炎症を引き起こすことを示す。呼吸器LPS負荷の際、Ism1Δ/Δマウスは、野生型と比べて悪化した肺炎反応を呈し、好中球、マクロファージ、T及びB細胞を含む白血球動員の増加を特徴とする。自然免疫細胞はLPS侵襲後7日目でベースラインに沈静したが、Ism1Δ/Δマウスは9日目に、筋線維芽細胞の増加、コラーゲンの過剰蓄積及びTGF-βアップレギュレーションとともに、肺線維症の高まりを示した。組換えISM1(rISM1)の気管内注入は、肺におけるLPS誘発性炎症を抑制することができた。これらの結果は、過剰炎症反応からの肺の保護、及び、LPSによって引き起こされたALI後の恒常性を損傷した肺に取り戻すことにおける、ISM1の治療効果を明らかにする。
感染性又は非感染性呼吸器侵襲の際、宿主は、自己防御のため肺において急性炎症反応を開始する。健康な宿主は、この肺炎を制限する手段も有しており、最終的に炎症を消退させ、周囲組織の付帯的損傷を予防する。広範な急性肺炎が、急性肺損傷(ALI)とそのより重度の症状である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む複数の肺疾患に見られる。これらは、有効な薬物治療法のない、死亡率が50%に及ぶ深刻な臨床症候群である36。ALIは、血管透過性の増加、炎症性細胞浸潤(主に好中球)、肺実質細胞だけでなく白血球浸潤による炎症誘発性メディエーターの解放を特徴とする37
LPSは、マウスとヒトにおいて、重度の炎症効果を誘発することができるグラム陰性菌細胞壁の糖脂質成分である。マウスにおける短期間鼻腔内LPS負荷は、気道と肺の両方において混合炎症反応をしばしば刺激する。これは、肺の内皮性及び上皮性関門の破壊、炎症性細胞浸潤の増加、炎症誘発静及び細胞障害性メディエーターの解放を含む38-40。これらの表現型は、ALI及びARDSの両方と臨床的に関連がある。複数の細胞内シグナル伝達現象が、LPS負荷に際して開始される。多くの場合、LPSはトル様受容体4(TLR-4)複合体を通じて結合及びシグナルを伝達し、核内因子カッパB(NF-κB)を活性化する41-43。活性化されたNF-κBは、核に移行し、それぞれのエンハンサー/プロモーター領域で共通標的配列に直接結合することによって、インターロイキン1(IL-1)及び腫瘍壊死因子α(TNF-α)44、45を含む多数の炎症誘発性サイトカインの転写を刺激する。重要なことに、NF-κBは、ARDS患者の肺胞マクロファージにおいて活性であり46、ALI及びARDSの発達及び進行におけるNF-κBシグナル伝達の関与を関連付ける。
ISM1は、初め、血管新生抑制及びアポトーシス促進性の分泌タンパク質として特定され、血管透過性誘導においても研究された47、48、49。ISM1の高親和性受容体であるグルコース調節タンパク質78kDa(GRP78)に対する抗体の全身注入は、LPSによって誘発された肺の透過性亢進を弱めた49
本研究において、LPS誘発性急性肺炎症におけるISM1の役割を、Ism1ノックアウトマウス(Ism1Δ/Δ)を使用して研究した。データは、ISM1が炎症抑制剤であって、無菌の肺及びLPS誘発性ALIの間において、肺を過剰な炎症反応から守ることを支持する。ISM1の存在は、急性損傷後の肺に恒常性を取り戻すことをも促進した。
ISM1欠乏が、無菌状態の肺において白血球浸潤の増加を引き起こした。
Ism1ノックアウト(Ism1Δ/Δ)C57BL/6Jマウスを、CRISPR/Cas9ゲノム編集法で作製した(図17)。Ism1Δ/Δマウスは、周囲空気の下、肺において突発性炎症を呈した。週齢8週のノックアウトマウスの肺の冠状切片の組織学的検査によって、肺胞マクロファージ、多形核細胞及びリンパ球を含む炎症性細胞の多発性で境界が画定されていない(non-demarcated)クラスターが明らかとなった(図9A)。全肺単細胞ホモジネートの免疫細胞分画と、免疫組織化学(IHC)染色は、総白血球、マクロファージ及び好中球の著しい増加を示した(図9、9B~9E)。肺胞壁過形成及び肺気腫の限局的エリアも、ノックアウトマウスに観察された(図9、9A及び9C)。一方、Ism1Δ/Δマウスの末梢血液鑑定も、野生型のものと比べて、総白血球数の著しい増加を示した。白血球細胞のサブポピュレーションの中で、リンパ球及び好中球数はIsm1Δ/Δマウスにおいて特に高く、その他の細胞種はノックアウト及び野生型マウスにおいて低いままであった(図9F)。
図17は、Ism1-/-(Ism1Δ/Δ)マウスの作製の詳細を示す。図17Aは、ガイドRNAペアであるgRNA1及び3による、Ism1標的化CRISPR/Cas9の概略図を示す。P1及びP2は、T7E1アッセイ及び遺伝子型判定に使用するプライマーを示す。図17Bは、Ism1Δ/ΔノックアウトラインのDNA配列を示し、未成熟終止コドン及びISM1タンパク質が生成されないことにつながる23bpの欠失を示す。図17Cは、C56BL/6J WT、Ism1+/Δ及びIsm1Δ/ΔのRT-PCRのゲルイメージを示す。図17Dを参照すると、C57BL/6J WT及びIsm1Δ/Δマウスの肺切片における、ISM1(茶色)及び核(ヘマトキシリン、青)の代表的な免疫組織化学染色が示されている。Br:気管支;Al:肺胞。スケールバー:20μm。
ISM1欠乏は、肺において、LPSに対する急性免疫応答の高まりを引き起こした。
急性肺炎症におけるISM1の役割を調べるため、2mg/kgのLPSをIsm1Δ/Δ及び野生型マウスの肺に気管内注入した。両グループのマウスが生存し、LPSに対して急性炎症反応を起こした。野生型マウスに比べると、Ism1Δ/Δマウスは、7日間の急性反応期間中、総肺白血球の顕著な増加を示した(図10A)。Ism1Δ/Δマウスにおいて、1日目以降、より高い数の好中球(図10B)、T細胞(図10D)及びB細胞(図10E)が観察された一方、3日目からマクロファージ動員の増加が観察された(図10C)。野生型及びIsm1Δ/Δマウスの両方において、7日目までに好中球は基礎レベルに鎮静したが、Ism1Δ/Δ肺においては、肺胞マクロファージ、T及びB細胞の数は著しく高いままであった。同様に、Ism1Δ/Δマウスにおいて、より高い数の総気管支肺胞洗浄(BAL)タンパク質が観察され、これは過剰な肺炎症と関連する透過性亢進を反映している(図10F)。一貫して、LPS負荷後1日目に収集された肺の組織学解析は、野生型の肺よりもIsm1Δ/Δの肺の肺胞腔において免疫細胞の大幅な増加と、この時点での好中球の顕著な増加を示した(図10G)。
したがって、ISM1の欠如は、マウスにおいて、呼吸器LPS負荷に対するより重度の炎症反応を引き起こし、肺炎症の調節におけるISM1の役割を支持する。
外因性rISM1が肺におけるLPS誘発性炎症反応を抑制した。
上記結果に基づき、我々は、ISM1がLPSによって誘発された炎症を抑制するかもしれないと仮定した。この仮定を検証するため、我々は、LPS注入の1日前に、野生型マウスの気管内に50μgのrISM1を注入して前処理した。rISM1処理は、LPS注入した日と以後3日間続けた(図11A)。そして、BAL液を採取したところ、rISM1処理されたマウスは、総BALタンパク質の著しい減少を確かに示した(図11B)。白血球の肺胞腔への浸潤は、ほぼ基礎レベルまで減少した(LPS負荷なし)(図11C)。好中球(図11D)及び肺胞マクロファージ(図11E)はともに、rISM1処理下で大幅に減少した。rISM1処理下、T及びB細胞において減少の傾向が見られるが(図11F~11G)、PBS処理されたマウスのグループにおける高い変動のため、これらの変化は統計的に有意でない。これらの知見は、ISM1が、肺の炎抑制剤として機能し得ることを支持し、局所的にデリバリーしたrISM1が、マウスにおいてLPS誘発性肺炎症を和らげたことを支持する。
ISM1欠乏が、LPS誘発性急性肺損傷後の肺の不完全な回復及びリモデリングを引き起こした。
炎症は、外的攻撃に対する適切な反応にとって重要であるが、組織の損傷を誘発することもある。影響を受けた組織は、このような炎症によって引き起こされた損傷を回復し、組織の恒常性を修復しようと試みる。過剰な炎症反応は、回復メカニズムを圧倒することができ、組織のリモデリングを引き起こす。Ism1Δ/ΔマウスがLPS負荷に対し免疫反応の高まりを示したため、この悪化した炎症反応が肺の修復及び恒常性の回復に影響を及ぼすかどうかを判定しようとした。肺組織の組織学を、LPS負荷後9日目に検査した。図12Aに示す通り、Ism1Δ/Δ肺は、肺組織の重度の歪みと肺胞壁の広範な肥厚を示した。ピクロシリウスレッド染色によって、コラーゲン沈着の著しい増加も観察された(図12、12B~C)。また、特に小さな線維性クラスターにおける筋線維芽細胞(α平滑筋アクチン陽性)の存在量の増加も注目に値する(図12、12D~12E)。細胞外基質(ECM)と筋線維芽細胞の過剰な集積は、肺線維症の特徴である50
LPS負荷に際し、炎症反応は通常、上皮の外傷/損傷を誘発する。肺胞上皮細胞には二つの型がある。I型(AE1)細胞は、高分化型で、平坦で扁平な細胞であり、肺胞壁表面の90%を覆っている。II型(AE2)細胞は、数は少ないが、幹細胞のような性質を持つ51。AE2細胞は、外傷後の肺の回復と再生にとって重要である。肺胞上皮の恒常性と完全性を維持するため、AE2細胞は増殖してAE1細胞に分化し、肺胞壁を再上皮化(re-epithelialize)する52、53。過形成性AE2細胞によるAE1細胞の異常な置換は、線維症の要因の一つである54。PCNA(細胞増殖マーカー)及びSP-C(AE2マーカー)の免疫蛍光二重染色(図13)に示す通り、LPS負荷後9日目に、Ism1Δ/Δ肺は、野生型の肺よりもAE2細胞のより著しい増殖を示した。この結果は、AE2過剰増殖が、Ism1Δ/Δ肺における線維症の増加に寄与した可能性を示唆する。
TGF-βは、現在までに特徴づけられた最も強力な線維化促進メディエーターである55。LPS負荷後9日目に、野生型の肺と比べて、Ism1Δ/Δ肺におけるTGF-βレベルが著しく増加した(図14)。
まとめると、これらの結果は、ISM1欠乏がLPS負荷に対する免疫反応の高まりをマウスにおいて誘発し、異常な肺の回復と線維症を引き起こしたことを示す。
ISM1欠乏が、LPS負荷後の肺において急性炎症性サイトカイン/ケモカインのプロフィールを変化させた。
ISM1欠乏がLPSに反応して炎症性サイトカイン/ケモカインを変化させたかを解読するため、サイトカイン抗体アレイを用いて、サイトカインとケモカインのプロフィールを検証した。LPS負荷後1日目に、対照マウスと比べて、Ism1Δ/Δ肺において7つのケモカインとサイトカインが実質的に上昇した(1.5倍以上)(図15A)。アップレギュレートされたサイトカイン/ケモカインの全ては、IL-1α、IL-1βなどの既知の炎症促進性メディエーター;ガンマインターフェロンによって誘導されたモノカイン(MIG)などの白血球走化性因子(chemoattractant)、CXCL10/IP-10、MIP-1a及びMIP-2などのC-X-Cケモカイン;及び可溶性ICAM-1である。さらに、Ism1Δ/Δ肺においてTNF-αの著しい増加が見られた(図15、15B~15C)。これらの結果は、肺におけるISM1の欠如が、複数の炎症性サイトカインの増加を引き起こし、LPS負荷に対する肺の炎症反応の高まりの原因である可能性を示す。
ISM1欠乏が、肺におけるNF-κBシグナル伝達を活性化した。
先の研究は、NF-κBの核移行を誘導することによって、LPSがマウスの肺におけるNF-κBシグナル伝達を活性化することを示した。in vivoで、LPS誘発性NF-κB移行を制御する役割をISM1が果たすかどうかを判定するため、LPS侵襲後のIsm1Δ/Δ及び野生型マウスの肺組織を固定し、NF-κBを染色した(p65サブユニット)。野生型マウスのものと比べて、Ism1Δ/Δマウスの肺組織において、核p65 NF-κB(赤)の著しい増加が見られた(図16A)。また、p65 NF-κBレベルも、Ism1Δ/Δ肺の方が高かった(図16B~C)。これらのデータは、Ism1Δ/Δ肺においてNF-κBシグナル伝達がLPSに反応して増加することを示し、これは複数の炎症促進性サイトカイン/ケモカインの活性化、及び、炎症の高まりのメカニズムである可能性がある。
LPS誘発性ALIモデルを用いて、本研究は、ISM1欠乏がマウスの肺において過剰な炎症を引き起こしたことを示す。さらに、rISM1は、マウスに気管内投与した場合、LPS誘発性肺炎症を和らげることができた。これらの知見は、抗炎症性タンパク質としてのISM1を支持する。
いくつかの血管新生阻害剤に関して、その血管新生抑制力に加えて、肺の炎症を抑制することがすでに報告されている。例えば、トロンボスポンジン1(TSP-1)は、肺における生理的炎症と恒常性にとって重要であると報告されている57。早ければ月齢1カ月で、Tsp1-/-マウスは、その肺実質においてまだらな炎症部位を示すようになった。好中球浸潤が、肺胞及び血管周囲の結合組織において現れた。また、TSP-1欠乏性マウスは、LPS誘発性肺損傷になりやすかった58。TSP-1は、肺損傷の回復段階に重要な抗炎症性サイトカインであるIL-10の生成を制御することによって、炎症反応を抑える。アンジオスタチンも、マウスにおけるLPS誘発性急性肺損傷を抑制できる血管新生阻害剤である59。アンジオスタチン処理は、BAL液におけるタンパク質集積と、肺への白血球浸潤を強力に減少させた。本研究において、ISM1は、TSP-1機能といくらか関連する様式で機能すると示される。なぜならば、両方のノックアウトマウスが非病理性状況の下、肺における炎症反応の高まり、及びLPS誘発性急性肺損傷における過敏反応性を示すからである。一方、外因性アンジオスタチンとISM1はともに、LPS負荷に際し、急性肺炎症を抑制し得る。
Ism1Δ/Δ肺はLPSに対しより重度の炎症反応を示したが、野生型マウスと同様に、炎症は3日目にピークを迎えた後鎮静し始め、7日目にはほぼ基礎レベルに達した。しかしながら、Ism1Δ/Δ肺は、コラーゲン沈着の増加、繊維芽細胞の集積、及び、より高いTGF-β発現レベルとともに、広範に線維症のような表現型を示した。さらに、増殖する肺胞上皮II型(AE2)細胞数の増加も観察された。これらのデータは、過剰炎症とともに、LPSに反応する“過敏反応性”の肺を指し、これは通常、組織のリモデリングを誘導する状況である60。ISM1は、肺においてLPSによって誘発される過剰な炎症を阻害する役割を果たし、過剰な損傷及び外傷から肺を守る。Ism1Δ/Δ肺における過剰な炎症は、回復メカニズムを圧倒することもあり、構造変化及び線維症を引き起こす。
NF-κB経路は、LPS誘発性炎症において重要な役割を果たす45、56、61。NF-κBの活性化は、その活性型p65の核への移行を結果としてもたらす。LPSは、細胞質から核へのNF-κB p65の移行を高めることができた61、62。LPS誘発性NF-κB活性化は、IL-1、MIP-2及びTNF-αなどの炎症性サイトカインの発現を増加させることで知られ、過剰な炎症反応を引き起こす56、63、64。ISM1欠乏状況下において、NF-κB活性型の存在量の増加及び核移行の増加は、複数の炎症促進性サイトカインのアップレギュレーションにおけるNF-κBシグナル伝達経路の関与を示唆する。
ALI/ARDSは、活性化した好中球の重大な存在と、肺における液体の貯留を特徴とし、肺機能低下と高死亡率をもたらす65。ALIとARDSは、人間社会に蔓延している肺疾患の一つである66。残念ながら、この分野において、両方の疾患に対する新しい治療法の大きな進歩や発見は、まだ報告されていない60。本明細書に記載の知見は、LPS負荷マウスにおいて、気管内デリバリーされたrISM1が白血球浸潤を減少させるのに十分強力であったことを示す。重要なことに、LPS誘発性の肺の透過性亢進も、ISM1処理によって抑制されたことが示された(図11)。
結果は、ISM1が、肺の炎症の抑制剤/炎症消退メディエーターを提供し得ることを支持する。そのアポトーシスを誘導することによって、肺胞マクロファージの過剰な集積を抑制した。局所的にデリバリーされたrISM1は、マウスにおける肺気腫表現型を救助し、肺の恒常性を保持することを助けた。したがって、これらの結果は、ALIやCOPDなどの炎症性肺疾患を治療、改善及び/又は予防するためのISM1に基づく治療アプローチを支持する。
材料及び方法
動物。成体(週齢7~8週)のメスのISM1欠乏性(Ism1Δ/Δ)マウスをこの研究に使用した。週齢及び性別が一致する野生型C57BL/6Jマウスは、ジャクソン研究所(The Jackson Laboratory)から入手した。動物の飼育及び実験の手順は、NUS動物実験委員会(IACUC;プロトコル066/12及びR16/0632;飼育プロトコルBR15/1100)によって承認された以下の制度的ガイドラインに従った。T7E1アッセイ及び遺伝子型判定に使用したプライマーは以下の通りである:
変異マウスをスクリーンするためのT7E1アッセイのPCRプライマー:
Forward 5’ cagctcctgggattgctccg 3’(配列番号16)及びReverse 5’ taagacttcttcctggtgccaaa 3’(配列番号17);
マウス遺伝子型判定用PCRプライマー:
Forward 5’ gacagctcctgggattgctcc 3’(配列番号18)及びReverse 5’ ttctgcaatgtaccaagctctct 3’(配列番号19)
(図17参照)
組換えタンパク質。組換えISMを大腸菌に発現させ、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、逆相HPLCを行った。組換えタンパク質は、エンドトキシンフリーであることが確認された。レスキュー実験において、rISM1をろ過したPBSに溶解し、マウス1匹あたり50μgのrISM1を肺に気管内投与した。マウスrISM1(成体、シグナルペプチドなし)が発現し、ベクターpET-Mを用いて、大腸菌においてHisタグ付けしたタンパク質として精製した(Xiang et al., 2011に記載、JCMM、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)。マウスrISM1をこれらの実験で使用した。成熟ISM1(シグナルペプチドなし)は、検査された状況において、生物学的に有意であってもよい。ISM1配列はNP_001263418.1を含み、以下の通りである:
Figure 2022524370000006
(配列番号9;下線部は天然ISM1配列を示し、太字はベクター配列及びHisタグを示し、斜体はN末端M残基を示す)
気管内注入。マウスを5%イソフルラン(バクスター)で麻酔し、その後、Liao et al67に記載の通りに、大腸菌O111:B4(L2630;シグマアルドリッチ)からのLPS(2mg/kg LPS)又は生理食塩水を気管内デリバリーした。対照動物には、生理食塩水のみを注入した。マウスは、次の解析のため、LPS注入後1、3、5及び7日目の気管支肺胞洗浄(BAL)を採取する時まで回復させた。
気管支肺胞洗浄(BAL)採取。新たに安楽死させたマウスを解剖し、肺と心臓を露出させた。気管にカニューレを挿入し、肺を1mlの冷たいPBSで2回洗浄した。BALサンプルを4°Cで5分間、500xgで遠心分離した。上澄みは採取し、使用するまで-80°Cで保存した。ブラッドフォード試薬を用いてBALタンパク質を定量化した。1mLの赤血球溶解バッファーを細胞ペレットに添加してすべての赤血球を溶解し、その後遠心分離した。生細胞はFACSバッファーで回復させ、Nucleocounter NC-100(ケモメテック、デンマーク)を用いて計数し、その後免疫細胞分画を行った。
免疫細胞分画(Differential immune cell count)。免疫細胞分画は、NovoCyteフローサイトメーターを用いて判定し、NovoExpressソフトウェア(AceaBiosciences、米国)で解析した。免疫細胞分画は、先に記載された通りに行った68。免疫細胞はCD45として特定し、肺胞マクロファージはCD11cSiglec-Fとして、好酸球はCD11cSiglec-Fとして、好中球はGR-1CD11bとして、B細胞はCD3/CD19として、T細胞はCD3/CD19細胞として特定した。
末梢血白血球数。麻酔したマウスの顎下血管から、血液を採取した。新鮮な血液サンプルを、Hemayet H950FS血液解析装置(Drew Scientific Group、米国)を用いて解析した。
組織学。完全に膨張した肺を、10%中性緩衝ホルマリンに固定した後、パラフィン包理し、薄片にし、ヘマトキシリン及びエオシン染色又はピクロシリウスレッド染色(ab150681、アブカム、米国)した。切片(5μm)はhistoclearで脱パラフィン処理した後、100%エタノールから始まる一連のアルコールグレードにて、ゆっくりと再水和を行った。水に再水和した後、次の染色のため、切片はPBSに入れた。
免疫組織化学(IHC)及び免疫蛍光(IF)。組織切片を、anti-CD68(sc-7084、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-NIMP-R14(sc-59338、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-α-SMA(サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-TGF-β(sc-146、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-SP-C(sc-13979、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-p65NFκB(107450-1-AP、プロテインテック)及びanti-PCNA(sc-56、サンタクルーズバイオテクノロジー)で一晩、4°Cで染色した。組織切片は、ヘマトキシリン及びエオシン(DAKO)で染色した。すべての画像は、Zeiss Axiovertで撮影した。
免疫ブロット法及びタンパク質アレイ。新しい組織はホモジナイズして遠心分離し、可溶性の上澄みは全組織ライセートとして採取した。βアクチンをローディングコントロールとして使用して、標準的なウエスタンブロットを行った。抗体として、anti-TGF-β(sc-146、サンタクルーズバイオテクノロジー)、anti-TNF-α(107590-1-AP、プロテインテック)、anti-p65NF-κB(10745-1-AP、プロテインテック)を使用した。マウスサイトカインプロテオームプロファイラーアレイ(ARY028、R&D Systems、米国)を使用して、40の様々なサイトカインの相対的存在量を検査した。1グループあたり4匹のマウスの全組織ライセートを使用した。1サンプルあたり200μgの総タンパク質と同量をアレイにハイブリダイズし、相対的発現のため比較した。相対的発現は、Image Jソフトウェアを使用して、ドットブロット強度を測定することによって定量化した。
統計解析。データは、平均値の標準誤差として表した(±SEM)。統計的有意性は、スチューデントのt検定を用いて判定した。*P<0.05、**P<0.01、n:3以上。
実施例3:ISM1のアポトーシス促進活性の媒介には、C末端AMOPドメインのみで十分である。
この実施例において、ISM1の構造-機能関係を調査した。最初に、細菌及び哺乳類組換え(rISM1)タンパク質の両方を発現し精製する方法を開発した。二つのrISM1の間の15kDaの質量差が、哺乳類rISM1のグリコシル化プロフィールの調査を促し、高密度で不均一なグリカンの沈着を明らかにした。次に、個別ドメインを含む様々なrISM1短縮タンパク質を用いた共免疫沈降アッセイ及びアポトーシスアッセイによって、MUC4における接着関連ドメイン及びISM1のその他タンパク質(AMOP)ドメインが、両方の受容体相互作用(すなわち、インテグリンαvβ5及び細胞表面GRP78(csGRP78))を媒介したことがさらに示された。同様に、ISM1のAMOPドメインは、全長タンパク質の完全なアポトーシス促進活性を示した。
組換えISM1タンパク質の発現及び精製。
ISM1の構造-機能関係を明確にするため、我々はまず組換えISM1(rISM1)を作製し、精製した。ISM1は分泌タンパク質であるため、我々はまず哺乳類発現宿主を利用した。哺乳類発現構築物を構築するため、マウスISM1の天然シグナルペプチドをマウスIgκ1リーダー配列と置換して、分泌効率を高めた(図31a)。次に、発現構築物をExpi293F細胞に遺伝子導入し、条件培地中の組換えタンパク質をワンステップIMAC(固定化金属アフィニティークロマトグラフィー)によって精製した(図31b)。精製された哺乳類rISM1は、変性SDS-PAGE上で70kDaあたりに移動した(図31c)。
可溶性rISM1を細菌宿主から発現させるため、シグナルペプチド配列のないマウスISM1のN末端に、SUMO(ユビキチン様タンパク質)タグを融合させた(図31d)。細菌発現構築物はシャッフルT7細胞に形質転換させ、可溶性タンパク質はIMAC及びSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)によって更に精製した(図31e)。SUMOタグを切断後、細菌rISM1は、変性SDS-PAGE上で55kDaあたりに移動した(図31f)。
哺乳類rISM1は、不均一なグリカンとともに高密度に沈着する。
驚くことに、哺乳類と細菌rISM1の間には約15kDaのサイズ差があり、哺乳類rISM1には翻訳後修飾(PTM)が存在することを示唆する。そして我々は、タンパク質のグリコシル化がタンパク質質量に大いに寄与するため、タンパク質のグリコシル化に着目した。配列解析によって、マウスISM1の二つの潜在的N結合型グリコシル化部位、すなわち、Asn39及びAsn282が明らかになった(図32a)。哺乳類rISM1をPNGaseF(Peptide-N-Glycosidase F)とともにインキュベートしたことで、タンパク質質量が約10kDa減少し、Nグリカンの存在を確認した(図32b)。Nグリコシル化変異構築物(N39Q、N282Q、N39/282Q)を更に作製して、Nグリカン部位のどちらか又は両方を破壊し、3つの細胞株(HEK293T、HEK293FT、HeLa)でその効果を評価した(図32c)。各単一変異体は、全細胞ライセート(WCL)画分においてタンパク質サイズが減少(~5kDa)した一方、二重変異体は、全体として~10kDaまでサイズが減少し、両部位がNグリカンで変性したことが確認された。興味深いことに、WT/N282QはともにWCL画分において二重バンドを示したが、N39Q及びN39/282Qは一重バンドのみを示した(図32c)。先の報告からの同様の観察は、これがAsn39(8)における非効率的なコアグリコシル化によるものであると示唆する。HEK293T細胞において、どちらのNグリカン部位の破壊も、条件培地においてタンパク質の分泌を消失させた(図32c)が、HEK293FT細胞及びHela細胞のAsn282変異体においてのみタンパク質の分泌が消失した。この結果は、Asn282でのNグリコシル化が、ISM1の分泌の制御において重要であった一方、Asn39でのNグリコシル化が、特定の細胞株において重要であったことを示した。
次に、我々は、哺乳類rISM1に存在するO及びC結合型グリカンをさらに特定するため、プロテオミクスのアプローチを利用した。際立ったことに、30のアミノ酸が追加でグリコシル化したことが明らかになった(図32d)。いくつかの残基はシンプルな構造で一つのグリカンで変性された一方、Ser184及びSer188などのいくつかの残基は独特な構造で複数のグリカンで変性され、これらの位置でのグリカンの沈着の微小不均一性を示唆する。グリコシル化部位の分布に着目すると、21のグリカン部位がN末端不定形領域に位置し、2の部位がTSRドメインに位置し、7の部位がAMOPドメインに位置する(図32d)。グリカンの沈着の大部分及びグリカンの複雑性は、不定形領域に存在するため、不定形領域のフォールディングにおけるグリコシル化の安定化を担う役割を示唆し得る。また、TSRドメインには二種類の特殊なグリコシル化、すなわち、O-フコシル化(O-フコース-グルコース)認識Cxx(S/T)CGモチーフ、及び、WxxWの認識モチーフを有するC-マンノシル化(C-マンノース)が存在し保存されていることが報告されている。ISM1-TSRドメインにおいて、二つの特定されたグリカン修飾は、Thr299のO結合型二糖(デオキシ糖-ヘキソース)及びTrp220(220-WSLW-223)のC結合型単糖(ヘキソース)であり(表S1)、推定上のO-フコシル化及びC-マンノシル化とそれぞれ対応し得る。
これら30のグリコシル化部位のうち、変異解析のため4つの候補部位をさらに選択し、その効果を評価した:Trp220及びThr229は、TSRドメインにおける推定上のC-マンノシル化及びO-フコシル化部位であるため;Ser184及びSer188は、グリカン沈着したとても不均一なスポットであるため。ウエスタンブロットによる予備解析は、これらのグリコシル化部位の破壊は、ISM1発現又は分泌に影響を及ぼさなかったことを示した(図32e)。まとめると、我々の解析は、哺乳類rISM1が不均一なグリカンとともに高密度に沈着することを明らかにする。
ISM1のAMOPドメインはその受容体相互作用を媒介する。
以前、我々は、インテグリンαvβ5及び細胞表面GRP78を、ISM1の細胞表面受容体として特定した。ISM1のどのドメインが受容体相互作用を媒介するのかを明確にするため、次の哺乳類rISM1タンパク質を作製した:両方のドメインを含むmamISM126-461、TSRドメインを含むmamISM126-286及びAMOPドメインを含むmamISM126-286(図33a、b)。ATPaseドメインのみを含む組換えGRP78トランケートが発現し、細菌から精製した(図33a、b)。細胞外ドメインのみを有する哺乳類組換えインテグリンαvβ5ヘテロ二量体は、商業的に入手した。これらの精製された組換えタンパク質を用いた共免疫沈降アッセイは、AMOPドメイン単独で、ISM1-GRP78及びISM1-αvβ5相互作用の両方を媒介することが可能であることを示した(図33c、d)。対照的に、AMOPドメインのないISM1トランケートは両方の受容体への結合を消失した(図33e)。まとめると、ISM1-AMOPドメインは、両方の受容体に対する相互作用を媒介する。
AMOPドメインの境界がそのアポトーシス促進活性に影響を及ぼす。
AMOPドメインのアポトーシス促進活性を調査するため、我々は、まず二つのAMOPトランケート、すなわち、異なる長さのmamISM1271-461及びmamISM1287-461を作製した。なぜならば、AMOPの正確な境界は明らかでなく、推測に過ぎないためである(図34a、b)。驚くことに、mamISM1287-461が飢餓状況と同様のレベルでECアポトーシスを誘導した一方で、mamISM1271-461はECアポトーシスをまったく誘導しなかった(図34c)。N末端の16の余分なアミノ酸が、AMOPドメインからアポトーシス促進活性を完全に消失させたようである。
これらの16の余分なアミノ酸の効果をさらに調査するため、我々は、この領域において長さの異なる次のAMOPトランケートを作製した:bacISM1271-461、bacISM1282-461、bacISM1283-461、bacISM1287-461。SUMOタグへの融合を介して、細菌発現系からこれらを作製した(図34d、e)。興味深いことに、余分な配列が短くなるほどに、AMOPトランケートはより活動的になった(図34f)。したがって、この結果は、AMOPドメインの境界がそのアポトーシス促進活性に影響し得ることを示す。
細菌と哺乳類組換えAMOPトランケートのアポトーシス促進活性を詳細に比較したところ、bacAMOPがmamAMOPと同様の活性を示したことに気が付いた。bacISM1271-461とmamISM1271-461の両方が活性を示さなかった一方で、bacISM1287-461とmamISM1287-461の両方が同様のレベルでアポトーシス促進活性を示した(図34g)。したがって、この結果は、AMOP活性が翻訳後修飾(PTM)の影響を受けないことを示す。
確かに、マウスISM1タンパク質のトランケーションを使用した構造-機能関係の研究は、287-461からのC末端AMOPドメインが、全長ISM1タンパク質の完全なアポトーシス促進活性を保持することを示した(図29)。さらに、結果は、大腸菌作製bacISM1287-461断片(AMOPドメイン単独)が、哺乳類細胞作製mamISM1287-461断片と比較して同レベルのアポトーシス促進活性を有し、ISM1のアポトーシス促進活性を媒介するために、AMOPドメインが翻訳後修飾を必要としないことを示す。これは、免疫沈降結合アッセイの結果と一致し、GRP78受容体への直接的な結合のためにはISM1287-461が十分であることを示す(図30)。したがって、GRP78受容体結合及びアポトーシス促進活性の両方は、アミノ酸残基287-461からのC末端AMOPドメインを通じて媒介する(ヒトISM1等価物は290-464のアミノ酸残基)。
ISM126-277(N)ではなくISM1287-461(C)がEC接着を支持する。
表面被覆rISM1がEC接着及び付着を支持できることは、すでに示されている。ISM1のEC接着を支持する効果を調査するため、細胞付着における動的変化をモニターできるIncuCyte(登録商標)生細胞解析システムを用いて細胞接着アッセイを行った。
ゼラチンは細胞外マトリックスタンパク質であり、EC接着を支持するため、ポジティブコントロールとして使用した。ゼラチンに支持されたEC接着は、コンフルエンスの経時変化の増加によって見ることができる(図21)。対照的に、血清タンパク質BSAをネガティブコントロールとして使用した。BSA被覆ウェルにおけるECのコンフルエンスは、時間がたっても低いままで保たれた、又は、減少し、BSAが細胞接着を支持しないことを示した(図21)。
ISM1とそのトランケーションとの比較において、細胞付着の支持に両者の間で有意差がなかったため、AMOPドメイン(287-461)を含むISM1は、ISM1FLと同等に細胞接着を支持することができると観察された(図19A)。対照的に、AMOPドメインが欠失したISM1は、細胞接着の支持能力の低さを示した(図19A)。この結果は、ISM1におけるAMOPドメインが、EC接着を媒介する上で重要であることを示した。また、ISM1のRKDモチーフ(RKD341RAA、RKD340AAA)が、細胞付着において著しい減少を引き起こしたことがわかった(図19B)。
内部移行したISM1287-461(C)がECアポトーシスを誘導する。
内部移行したISM1が、ECでISM1FLと同じアポトーシス促進効果を有するかどうかをさらに調査するため、IncuCyte(登録商標)生細胞解析システムを使用してECアポトーシスアッセイを行った。簡単に言えば、HUVECを96ウェルプレート(6,000細胞/ウェル)に播種し、rISM1、rISM1及びrISM1FLを含む1μMのrISM1タンパク質で24時間まで処理した。対応するアポトーシス曲線(図20A)より、ISM1及びISM1FLはともにECアポトーシスを誘導したことがわかった。対照的に、ISM1はアポトーシス促進効果を有さなかった。この結果は、ISM1でなくISM1がECに内部移行したことを示した内部移行アッセイの結果と一致する。したがって、これらの結果に基づくと、AMOPドメインはISM1のアポトーシス促進機能の原因となり得る。
これらの研究に関連する配列(哺乳類及び細菌)は以下の通り:
配列番号28:bacISM126-461
Figure 2022524370000007
下線:天然マウスISM1配列;太字:Hisタグ及びベクター配列;斜体:SUMOタグ)
配列番号29:bacISM1287-461
Figure 2022524370000008
下線:天然マウスISM1配列;太字:Hisタグ及びベクター配列;斜体:SUMOタグ)
配列番号30:mamISM126-461
Figure 2022524370000009
下線:天然マウスISM1配列;太字:ベクター配列及びHisタグ;斜体:Mycタグ)
配列番号31:mamISM1287-461
Figure 2022524370000010
下線:天然マウスISM1配列;太字:ベクター配列及びHisタグ;斜体:Mycタグ)
配列番号32:mamISM126-464
Figure 2022524370000011
下線:天然ヒトISM1配列;太字:ベクター配列及びHisタグ;斜体:Mycタグ)
配列番号33:bacISM126-464
Figure 2022524370000012
下線:天然ヒトISM1配列;太字:ベクター配列及びHisタグ;斜体:FLAGタグ)
配列番号34:bacISM1290-464
Figure 2022524370000013
下線:天然ヒトISM1配列;太字:ベクター配列及びHisタグ;斜体:FLAGタグ)
配列番号35:mamISM1290-464
Figure 2022524370000014
下線:天然ヒトISM1配列;太字:ベクター配列及びHisタグ;斜体:Mycタグ)
これらの結果は、ISM1287-461(22kDa)(ヒトISM1等価物は290-464のアミノ酸残基)が、マウスにおけるCS誘発性肺炎症の抑制において、全長rISM1タンパク質と同様の様式で機能し得ることを支持する。例えば、rISM1及びrISM1287-461(ヒトISM1等価物は290-464のアミノ酸残基)はともに、COPDの治療法を提供し得る。
この実施例において、哺乳類及び細菌発現系はともに、可溶性及び機能的に活性な組換えISM1タンパク質を作製するために使用した。方法論は、構造-機能関係の調査を助けただけでなく、様々な用途のためのISM1の作製に使用され得る。
我々は、哺乳類と細菌rISM1との見かけ上のサイズ差に促され、ISM1でのタンパク質グリコシル化プロフィールを調査した。我々は、哺乳類rISM1がとても不均一な糖タンパク質であり、グリカンの大量沈着がタンパク質質量に著しく貢献することを、予期せず発見した。それにもかかわらず、タンパク質のグリコシル化が、細胞の種類によって影響されることに注意しなければならない。異なる細胞は、異なる種類及びレベルのグリコシル化酵素を発現するため、様々なグリカンプロフィールとなる。例えば、CHO細胞対HEK293細胞で作製されたタンパク質の間には、グリカンプロフィールに有意差がある。HEK293で作製されたタンパク質は、一般的により複雑なグリカン構造を含む一方で、CHO由来のタンパク質は高いレベルのシアリル化を有した。別の実施例において、異なる組織起源の12のヒト細胞株のO-グリコシル化プロフィールを解析し、各細胞株中に独特のO-グリコプロテオーム(glycoproteome)が明らかになった(Steentoft, C., Vakhrushev, S. Y., Joshi, H. J., Kong, Y., Vester-Christensen, M. B., Schjoldager, K. T., Lavrsen, K., Dabelsteen, S., Pedersen, N. B., Marcos-Silva, L., Gupta, R., Bennett, E. P., Mandel, U., Brunak, S., Wandall, H. H., Levery, S. B., and Clausen, H. (2013) Precision mapping of the human O-GalNAc glycoproteome through SimpleCell technology. EMBO J 32, 1478-1488)。特定されたグリコシル化部位(glycosite)の半分以上が、一つの細胞株においてのみ見られたが、各細胞株は多量の独特な糖タンパク質にも寄与した。したがって、Expi293F細胞から作製された哺乳類rISM1に行われたタンパク質のグリコシル化解析は、基準としての役割を果たすが、その他の内容においては異なる場合もある。
この実施例は、TSRよりISM1-AMOPの方が、アポトーシス促進活性だけでなく受容体結合を媒介することを予期せず示す。異なるISM1-AMOP構築物が異なる活性を示したため、境界配列によって活性の少なくとも一部が制御され得ることが明らかになった。
材料及び方法。
構築物の構築。
ISM1用の哺乳類発現構築物を作製するため、マウスISM1のcDNAをPCR増幅し、BamHI及びXhoI制限酵素部位を介してpSECtag-2Bベクター(インビトロジェン)にクローン化した。ベクターは、効率的なタンパク質分泌を可能にするため、マウスIgκ1リーダー配列からのN末端シグナルペプチドを含み、タンパク質の検出及び精製をアシストするため、C末端ヘキサヒスチジンタグ及びMycタグも含む。
ISM1用の細菌発現構築物を作製するため、まず、SUMOタグのcDNAを、オーバーラップPCRによってマウスISM1 cDNAのN末端に連結し、BamHI及びXhoI制限酵素部位によってpRSFDuet-1ベクター(Novagen)にクローン化した。タンパク質の検出及び精製を可能にするため、ベクターはN末端ヘキサヒスチジンタグを含む。
細胞株及び細胞培養。
メルク(SCCE001)のHUVECを、HyClone抗真菌溶液(GEヘルスケア)を追加した、最終濃度がペニシリン:100ユニット/mL、ストレプトマイシン:100μg/mL及びアムホテリシンB:0.25μg/mLの、EndoGROLS完全培養培地(メルク、SCME001)で培養した。継代数4と8の間のHUVECを実験に使用した。
ヒト胎児腎細胞293T(HEK293T)はアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手し、ヒト胎児腎細胞293FT(HEK293FT)はDr.Adam Yuan研究室(生物科学学科、シンガポール国立大学)から贈与され、ヒト子宮頸がん細胞株(HeLa CCL-2)はATCCから入手した。上記の細胞株は全て、10%ウシ胎児血清(GEヘルスケア)及びHyClone抗真菌溶液(GEヘルスケア)を追加した、最終濃度がペニシリン:100ユニット/mL、ストレプトマイシン:100μg/mL及びアムホテリシンB:0.25μg/mLの、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(GEヘルスケア)で培養した。
抗体及び試薬:
免疫沈降及び免疫ブロッティングに用いた抗体は以下の通りである:anti-His(A00186、GenScript);anti-Myc(ab9106、アブカム);anti-GRP78(LS-C165064、LSBio);anti-integrin αvβ(P1F76、サンタクルーズ);anti-integrin αv(ab179475、アブカム);anti-integrin β5(ab184312、アブカム)。
次の試薬を使用した:カスパーゼ3/7緑検出試薬(C10423、インビトロジェン);PNGaseF(P0704S、ニュー・イングランド・バイオラボ);SUMOプロテアーゼ(SAE0067、シグマ)。
一過性トランスフェクション。
HEK293T/HEK293FT/HeLa細胞の一過性トランスフェクションを行うため、リポフェクタミン(lipofectamine)3000(インビトロジェン)を、製造業者の説明書に従って使用した。トランスフェクションの24時間後、培養培地を新しい血清フリー培地に変更した。さらに24時間のインキュベーションの後、条件培地及び全細胞溶解液を採取し、ウエスタンブロットで解析した。
哺乳類組換えISM1発現及び精製。
哺乳類組換えISM1タンパク質を発現させるため、ExPi293培地(Gibco)における50ミリリットルのExpi293F浮遊細胞培養液を、Expifectamine293(Gibco)トランスフェクション試薬で複合化した1μg/mLの発現プラスミドで、製造業者のプロトコルに従って一過性トランスフェクションを行った。培地は、37°C、8.0% CO2、軌道径25mmの振盪速度120rpmでインキュベートした。16時間後、発現エンハンサーを添加した。細胞生存率は、Countess II(インビトロジェン)を用いてモニタリングした。細胞生存率が70%よりも低い場合、3000xgの遠心分離によってスペント培地を細胞から分離し、条件バッファー(5x条件バッファー:100mM HEPES、150mM NaCl、25mM イミダゾール、2.5%(v/v)グリセロール、pH7.5、1xプロテアーゼ阻害剤カクテル)で調整した。条件バッファーで平衡した2ミリリットルのSmart Ni-NTA樹脂(BioBasic)50%スラリーを条件培地に添加し、少なくとも1時間穏やかに撹拌しながらインキュベートした。その後、樹脂を採取し、徐々に増加するイミダゾール濃度のIMACバッファー(50mM HEPES、300mM NaCl、10%(v/v)グリセロール、pH7.5)で洗浄した。最後に、タンパク質を500mM イミダゾールを含むバッファーで溶出させた。PD10脱塩カラム(GEヘルスケア)を保存バッファー(20mM HEPES、300mM NaCl、10%(v/v)グリセロール、pH7.5)で平衡化し、IMAC溶出画分をバッファー交換するために使用した。その後、タンパク質を、Vivaspin遠心濃縮機(ザルトリウス)を用いて、30KDa分画分子量で濃縮した。タンパク質の最終濃度を、Nanodrop(サーモフィッシャー)を用いて測定した。タンパク質は、分割し、液体窒素で急速冷凍し、-80°Cで保存した。
細菌組換えISM1発現及び精製。
細菌組換えISM1タンパク質を発現させ精製するため、まず、製造業者の説明書に従って、SUMO-ISM1細菌発現構築物をシャッフルT7細胞(ニューイングランドバイオラボ)に形質転換した。一つのコロニーをスターターカルチャー(10ml)に植菌し、220RPMで一晩、30°Cのシェイカーインキュベーターで育てた。翌日、すべてのスターターカルチャーを1Lのカルチャー培地に注ぎ、細菌を、220RPM、30°CのシェイカーインキュベーターでOD 600nmが0.4~0.6付近に達するまで育てた。タンパク質発現を誘導するため、その後、最終濃度が0.25mMとなるようIPTGを添加した。16°Cのシェイカーインキュベーターを180RPMで使用して、16~20時間誘導を行った。最後に、5,000xg、4°Cで10分間の遠心分離を行って、細菌ペレットを採取した。
細菌溶解を開始する前に、大腸菌(19)からペリプラズムタンパク質を取り除くため、浸透圧衝撃を行った。まず、細菌ペレットをスクロースバッファー(50mM HEPES、20%スクロース、1mM EDTA、pH7.4、10mL/リットル培養液)で再懸濁させ、7000xg、4°Cで30分間、遠心分離を行った。ペレットを5mMのMgSO4(10mL/リットル培養液)でさらに再懸濁させ、氷の上で10分インキュベートし、4500xg、4°Cで20分、遠心分離を行った。上澄みは処分し、細菌ペレットは溶解するまで氷の上に置いた。
細菌溶解を開始するため、リゾチーム(最終濃度1mg/mL)及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(ロシュ)を、細菌溶解バッファー(50mM Tris、250mM NaCl、40mM イミダゾール、10%グリセロール、pH7.5)に新たに添加した。そして、細菌ペレットを溶解バッファー(10mL/L培養液)で再懸濁させ、少なくとも10分、氷の上でインキュベートした。そして、溶解をアシストするため、20%振幅、1秒オン/オフ間隔で10分間、超音波処理を行った。溶解液は、13,000xg、4°Cで20分間、遠心分離して透明化した。可溶性組換えタンパク質を含む上澄みを、0.45μmシリンジフィルターユニット(ザルトリウス)でろ過し、新しいチューブに移した。
固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)精製を行うため、まず、HisTrapカラム(GEヘルスケア)を5カラム体積のIMAC溶出バッファー(50mM Tris、250mM NaCl、250mM イミダゾール、10%グリセロール、pH7.5)で洗浄し、10カラム体積のIMAC結合バッファー(50mM Tris、250mM NaCl、40mM イミダゾール、10%グリセロール、pH7.5)で洗浄した。そして、透明化した細菌溶解液を、AKTA Pure 25M クロマトグラフィーシステム(GEヘルスケア)によってカラムに充填した。少なくとも10カラム体積のIMAC結合バッファーを用いて、非結合タンパク質を洗い流した。最後に、結合したタンパク質を、20カラム体積の直線勾配のIMAC溶出バッファーで溶出させた。
最終研磨のため、第二工程としてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行った。IMACからの比較的良い純度の先の溶出画分を貯蔵し、SECバッファー(50mM Tris、250mM NaCl、10%グリセロール、pH7.5)で予備的に平衡化したSuperdex200 10/300カラム(GEヘルスケア)に充填した。SECからのピーク画分を採取し、アミコンウルトラ遠心式フィルター(ミリポア)で濃縮し、ブラッドフォードアッセイでタンパク質濃度を測定した。最後に、精製したタンパク質を分割し、液体窒素で急速冷凍し、-80°Cで保存した。
共免疫沈降。
精製組換えISM1とGRP78の間の共免疫沈降アッセイを行うため、まず、2μgのGRP78抗体(LS-C165064、LSBio)を、2時間、4°CのPBSで20μLビーズを用いてインキュベートすることによって、タンパク質A/Gアガロースビーズ(サンタクルーズバイオテクノロジー)に結合させた。そして、抗体に結合したビーズを、5000xg、4°Cで3分間、スピンダウンし、非結合の抗体を取り除いた。次に、1mLの共免疫沈降結合バッファー(PBS、pH7.4)のビーズに、4μgのrGRP78と2μgのrISM1を添加し、ローテーターの上で一晩、4°Cでインキュベートした。翌日、共免疫沈降洗浄バッファー(PBS含有0.1%Tween20)を用いて、ビーズを1回あたり10分間隔でさらに3回洗浄した。最後に、ビーズから抗体-タンパク質複合体を、20μL 2xSDSローディングダイで溶出させ、ウエスタンブロットで解析した。
アポトーシスアッセイ。
組換えISM1で誘導した内皮細胞アポトーシスを測定するため、IncuCyte ZOOM 生細胞解析システム(エッセンバイオサイエンス)を用いてアッセイを行った。HUVECを、一晩、5500細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。翌日、HUVECを3時間、2%FBS培地で飢餓させ、VEGF(293-VE-010、R&Dシステムズ)の存在下又は非存在下で組換えタンパク質処理を行った。アポトーシス現象を測定するため、カスパーゼ3/7緑アポトーシス検出試薬(C10423、インビトロジェン)も1:1000希釈で含めた。アポトーシス測定は、計24時間、毎時行われた。最終要約統計量は、少なくとも3の個別生物学的反復(biological repeats)から収集された。
統計。
統計解析及び結果プロッティングは、GraphPat Prismソフトウェアを用いて行った。二つの実験グループの比較は、対応がない両側のスチューデントのt検定で行った。結果は、平均値の標準誤差としてプロットした。0.05より低いP値が、有意であると認められた。
実施例4:組換えISM1は、マウスにおけるチリダニ(HDM)誘発性喘息の炎症を抑制する。
喘息は大気道の疾患であり、AMや好中球ではなく好酸球によって主に媒介される喘息性免疫反応である。HDM誘発性喘息モデルは、アレルギー性喘息の研究に広く用いられる喘息モデルである。
図26に示す通り、Hammad et al. (2009)及びPeh et al. (2015)に記載のプロトコルに従って、マウス喘息モデル作製した。簡単に言えば、メスのC57BL/6Jマウス(週齢6~8週)をイソフルランで麻酔し、0日目、7日目及び14日目に気管内ルートを介して40μLの100μg HDM抽出物(ヤケヒョウダニ)で感作した。HDM負荷後2時間、15日目、及び16日目に、細菌作製組換えISM1(2mg/kg、40μg/マウス)又は同量の溶媒(生理食塩水)を恒常的に一日単回投与した。すべてのマウスを17日目に安楽死させ、気管支肺胞洗浄液(BALF)を免疫細胞浸潤解析のため採取した。5匹の健康なマウスを含む薬剤未投与のグループは、対照として使用した。
図27に示す通り、rISM1処理マウスにおける総白血球、好酸球及びリンパ球の著しい減少が示すように、気管内デリバリーされたrISM1は、HDM誘発性喘息性気道炎症を強力に抑制した。先の報告と一致して、気管内HDMは、好酸球媒介性気道炎症を主に引き起こし、少しの好中球が関与した。好酸球は、rISM1処理の下、70%より大きく抑制された。肺胞マクロファージ(AM)もHDM負荷で増加した。rISM1処理は、この処理計画の下AMの減少を示したが、統計的に有意でない。結果は、ISM1の気道デリバリーが、マウスの喘息におけるHDM誘発性気道炎症を抑制できることを示す。これらの結果は、喘息の治療及び抗喘息薬を調製するためのrISM1を支持する。
血清免疫グロブリンE(IgE)レベルの上昇は、Th2免疫反応の特徴である。最後のrISM1処理から24時間後に、マウス血清を採取した。rISM1処理は、HDM処理グループと比べて、血液全IgEレベルを著しく低下させ、ISM1がTh2免疫反応を抑制したことを示した(図28)。
一つ以上の実施形態を例として記載した。請求項に規定する発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができると、当業者は理解するだろう。
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本明細書および本明細書の他の箇所に引用されている全ての参考文献は、それら全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。

Claims (29)

  1. イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸、及び
    薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤、
    を含む組成物であって、
    対象の肺に投与するために処方されることを特徴とする組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物において、前記組成物は、気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与のために処方されることを特徴とする組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の組成物において、前記組成物は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するために処方されることを特徴とする組成物。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の組成物において、前記組成物は、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されることを特徴とする組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の組成物において、前記組成物は、それを必要とする対象におけるcsGRP78を標的化するため;炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するため;肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;AMレベルを低下させるため;肺炎症を治療、改善又は予防するため;肺の恒常性を維持するため;肺の炎症を消退させるため;肺の修復を促進してリモデリングを軽減させるため;肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;喘息を治療、改善又は予防するため;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるため;肺線維症を治療、改善又は予防するため;又はこれらのいずれかの組み合わせのために使用されることを特徴とする組成物。
  6. それを必要とする対象において、GRP78活性を調節するため;GRP78を標的化し結合するため;炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するため;肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;AMレベルを低下させるため;肺炎症を治療、改善又は予防するため;肺の恒常性を維持するため;肺の炎症を消退させるため;肺の修復を促進してリモデリングを軽減させるため;肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;喘息を治療、改善又は予防するため;急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるため;肺線維症を治療、改善又は予防するため;又はこれらのいずれかの組み合わせのための方法であって、
    前記方法は、
    イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を、それを必要とする対象に投与することを含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項6に記載の方法において、前記ポリペプチド、ペプチド又は核酸は、それを必要とする対象の肺に投与するためであることを特徴とする方法。
  8. 請求項6又は7に記載の方法において、前記ポリペプチド、ペプチド又は核酸は、対象に気管内投与、鼻腔内投与又は吸入投与するためであることを特徴とする方法。
  9. 請求項6~8のいずれかに記載の方法において、前記ポリペプチド、ペプチド又は核酸は、エアゾール、吸入器又はネブライザーで投与するためであることを特徴とする方法。
  10. 請求項6~9のいずれかに記載の方法において、前記ポリペプチド、ペプチド又は核酸は、エアゾール化によって肺に投与するための乾燥粉末として、又は、噴霧化によって肺に投与するための液体として処方されることを特徴とする方法。
  11. 請求項6~10のいずれかに記載の方法において、前記方法はさらに、
    対象におけるISM1レベルを判定する、対象におけるGRP78タンパク質レベルを判定する、又はその両方を行う工程、及び
    健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるISM1レベルの低下が判定される場合、健康対照レベル又は重症度の低い疾患対照レベルに対して、対象におけるGRP78タンパク質レベルの上昇が判定される場合、又はその両方の場合に、投与工程を行う又は繰り返す工程を含むことを特徴とする方法。
  12. イスミン1(ISM1)タンパク質又はそのGRP78活性化断片と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド、又は、前記ポリペプチド又はペプチドをコードする発現可能な核酸を含むことを特徴とする、経肺ドラッグデリバリー装置。
  13. 請求項12に記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、請求項1~5のいずれかに記載の組成物を含むことを特徴とする経肺ドラッグデリバリー装置。
  14. 請求項12又は13に記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、気管内ドラッグデリバリー装置、鼻腔内ドラッグデリバリー装置又は吸入ドラッグデリバリー装置であることを特徴とする経肺ドラッグデリバリー装置。
  15. 請求項12~14のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、エアゾール、吸入器又はネブライザーであることを特徴とする経肺ドラッグデリバリー装置。
  16. 請求項12~15のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、
    前記経肺ドラッグデリバリー装置はエアゾールであって、前記ポリペプチド、ペプチド又は核酸は乾燥粉末として処方される、又は、
    前記経肺ドラッグデリバリー装置はネブライザーであって、前記ポリペプチド、ペプチド又は核酸は液体として処方されることを特徴とする経肺ドラッグデリバリー装置。
  17. 請求項12~16のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、それを必要とする対象におけるGRP78活性を調節するため;炎症誘発性細胞においてアポトーシスを誘導するため;肺胞マクロファージ(AM)においてアポトーシスを誘導するため;AMレベルを低下させるため;肺炎症を治療、改善又は予防するため;肺の恒常性を維持するため;肺の炎症を消退させるため;肺の修復を促進してリモデリングを軽減させるため;肺炎症に関連する肺疾患又は障害を治療、改善又は予防するため;喘息を治療、改善又は予防するため;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気管支炎又は肺気腫を治療、改善又は予防するため;急性肺損傷(ALI)又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療、改善又は予防するため;肺胞壁表面のII型(AE2)細胞の過剰増殖を予防又は低減させるため;肺線維症を治療、改善又は予防するため;又はこれらのいずれかの組み合わせのために使用されることを特徴とする経肺ドラッグデリバリー装置。
  18. 請求項12~17のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、、前記経肺ドラッグデリバリー装置は、ネブライザー、定量噴霧吸入器(MDI)又はドライパウダー吸入器(DPI)であることを特徴とする経肺ドラッグデリバリー装置。
  19. 請求項1~5のいずれかに記載の組成物、請求項6~11のいずれかに記載の方法、又は、請求項12~18のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチドは、ISM1タンパク質である、又は、を含むことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  20. 請求項19に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチドは、ヒトISM1タンパク質又はマウスISM1タンパク質である、又は、を含むことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  21. 請求項1~5のいずれかに記載の組成物、請求項6~11のいずれかに記載の方法、又は、請求項12~18のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、アミノ酸配列:
    FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号26);又は
    FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号27);
    又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は、100%の配列同一性を有するアミノ酸配列
    を含む、又は、からなることを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  22. 請求項21に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、アミノ酸配列:
    FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24);又は
    FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号25);
    又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は、100%の配列同一性を有するアミノ酸配列
    を含む、又は、からなることを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  23. 請求項21又は22に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性成熟ISM1の配列を含むことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  24. 請求項21又は22に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性前駆体又は成熟ISM1でないことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  25. 請求項21又は22に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性前駆体又は成熟ISM1より長い、又は、短いことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  26. 請求項21又は22に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、内在性前駆体又は成熟ISM1において存在しない少なくとも一つの置換又は変異を含むことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  27. 請求項26に記載の組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、配列番号24、配列番号25、配列番号26又は配列番号27において、RKDからRAA変異、又は、RKDからAAA変異を含むことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  28. 請求項1~5のいずれかに記載の組成物、請求項6~11のいずれかに記載の方法、又は、請求項12~18のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、アミノ酸配列:
    FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24);又は
    FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号25);
    又は、それとそれと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は、100%の配列同一性を有するアミノ酸配列
    を含む、又は、からなることを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。
  29. 請求項1~5のいずれかに記載の組成物、請求項6~11のいずれかに記載の方法、又は、請求項12~18のいずれかに記載の経肺ドラッグデリバリー装置において、前記ポリペプチド又はペプチドは、アミノ酸配列:
    FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号26);
    FEVDMDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVINDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号24);
    FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLE(配列番号27);又は
    FEVDTDSCERWMSCKSEFLKKYMHKVMNDLPSCPCSYPTEVAYSTADIFDRIKRKDFRWKDASGPKEKLEIYKPTARYCIRSMLSLESTTLAAQHCCYGDNMQLITRGKGAGTPNLISTEFSAELHYKVDVLPWIICKGDWSRYNEARPPNNGQKCTESPSDEDYIKQFQEAREY(配列番号25);
    又は、それと少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列
    を含む、又は、からなり、
    前記ポリペプチド又はペプチドは、配列番号24~27のいずれかにアミノ酸配列:EVSLLAGSEEFNATKL N末端を含まない、又は、配列:EVSLLAGSEEFNATKLを全く含まないことを特徴とする組成物、方法又は経肺ドラッグデリバリー装置。

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