[0007] 本発明の第1の態様に従って、概ね平面状の物体を取り扱うための物体ハンドリング装置が提供される。物体ハンドリング装置は、2つの支持アームであって、2つの支持アームが面内に配置された物体を把持すると共に保持するよう動作可能であるように、2つの支持アームのうち少なくとも一方は他方の支持アームに対して概ね面内で移動可能である、2つの支持アームを備え、支持アームの各々は少なくとも1つの支持パッド及び少なくとも1つの位置合わせ部を含み、支持パッドは、物体の表面に局所的に接触し、物体を支持するように面に対して概ね垂直な力を表面に加えるよう構成され、位置合わせ部は、物体の表面に局所的に接触し、物体を位置合わせするように概ね面内の力を表面に加えるよう構成されている。
[0008] この物体ハンドリング装置は、アームと物体との間の摩擦量を低減させるので有利である。これは次いで、そのような摩擦によって生じる可能性のある粒子デブリ量を低減できる。物体は、ペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスとすることができる。ペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスがクリーンな状態を維持し、汚染物質が存在しないことは特に重要であるので、これらの物体を取り扱う際に使用するのに物体ハンドリング装置は特に有利である。
[0009] 支持パッド及び位置合わせ部の各々は局所的にのみ物体に接触するので、物体の比較的小さい部分にだけ接触することは認められよう。有利な点として、これは、(ペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスの外周全体と接触する支持機構に比べて)粒子汚染物質が発生するリスクを低減させることができる。
[00010] 位置合わせ部は、支持アームで物体が把持された場合に、物体が確実に物体ハンドリング装置に対して既知の固定位置になるように配置されている。
[00011] 本発明の第2の態様に従って、概ね平面状の物体を取り扱うための物体ハンドリング装置が提供される。物体ハンドリング装置は、2つの支持アームであって、2つの支持アームが面内に配置された物体を把持すると共に保持するよう動作可能であるように、2つの支持アームのうち少なくとも一方は他方の支持アームに対して概ね面内で移動可能である、2つの支持アームと、支持構造と、ダンパアセンブリと、を備え、2つの支持アームはダンパアセンブリを介して支持構造に接続され、ダンパアセンブリは、支持アームで物体が把持された場合、物体の面に対して垂直な方向の物体の移動を減衰させるように構成されている。
[00012] 物体はペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスのいずれかとすることができる。ダンパアセンブリは、物体(例えばペリクルアセンブリ又はパターニングデバイス)が全体的に物体ハンドリング装置に提供される方向の移動を減衰させるように構成できる。
[00013] 支持構造はレールとすることができる。有利な点として、このような機構は、(例えばペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスの落下によって生じる)ペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスの損傷を防ぎながら、レールのトラックに沿ってペリクルアセンブリ又はパターニングデバイスの位置を移動させることができる。
[00014] 本発明の第3の態様に従って、ペリクルフレーム取付装置が提供される。ペリクルフレーム取付装置は、ペリクルアセンブリを取り扱うように構成されたペリクルアセンブリハンドリング装置と、パターニングデバイスを取り扱うように構成されたパターニングデバイスハンドリング装置と、レールと、を備え、ペリクルアセンブリハンドリング装置は、ペリクルアセンブリを把持すると共に保持するよう構成された支持アームを備え、パターニングデバイスハンドリング装置は、パターニングデバイスを把持すると共に保持するよう構成された支持アームを備え、ペリクルアセンブリハンドリング装置はレールの1つによって支持されると共にそれに対して移動可能であり、パターニングデバイスハンドリング装置はレールの1つによって支持されると共にそれに対して移動可能である。
[00015] リソグラフィ装置では、マスクアセンブリが使用され得る。マスクアセンブリは、パターニングデバイス(使用中に放射ビームに所望のパターンを付与する)と、ペリクルアセンブリ(パターニングデバイスに汚染物質粒子が到達するのを防ぐ)と、を備えることができる。ペリクルアセンブリは、ペリクルアセンブリのフレームに貼り付けられた係合機構を含み得る。ペリクルアセンブリは、スタッドを用いて、係合機構を介してパターニングデバイスに取り付けることができる。ペリクルフレーム取付装置を用いて、ペリクルアセンブリをパターニングデバイスに取り付けることができる。
[00016] ペリクルアセンブリをパターニングデバイスに固定する(これによりマスクアセンブリを形成する)場合、ペリクルアセンブリの係合機構及びパターニングデバイスのスタッドを慎重に取り扱い、充分に位置合わせすることが重要である。ペリクルフレーム取付装置は、ペリクルアセンブリ及びパターニングデバイスを正確かつ慎重に把持し、移動させ、配置するため、ペリクルアセンブリ用のハンドリング装置及びパターニングデバイス用のハンドリング装置を含み得る。
[00017] ペリクルアセンブリハンドリング装置は、ペリクルアセンブリ把持部として記述できる部分を含み得る。パターニングデバイスハンドリング装置は、パターニングデバイス把持部として記述できる部分を含み得る。把持部は、レールに移動可能に取り付けることができる。把持部は、レール内に配置されたトラックに沿って手動で移動させるように動作可能であり得る。有利な点として、ペリクルアセンブリ把持部及びパターニングデバイス把持部を共通のレールに移動可能に取り付けると、ペリクルアセンブリ及びパターニングデバイスの正確かつ安全な取り扱いが可能となる。
[00018] ペリクルアセンブリハンドリング装置は、本発明の第1の態様に従った物体ハンドリング装置を含み得る。
[00019] パターニングデバイスハンドリング装置は、本発明の第1の態様に従った物体ハンドリング装置を含み得る。
[00020] ペリクルアセンブリハンドリング装置は、本発明の第2の態様に従った物体ハンドリング装置を含み得る。
[00021] パターニングデバイスアセンブリハンドリング装置は、本発明の第2の態様に従った物体ハンドリング装置を含み得る。
[00022] 本発明の第4の態様に従って、物体を測定するための測定システムが提供される。測定システムは、非偏光放射ビームを生成するための放射源と、ビームスプリッタと、4分の1波長板と、結像センサと、を備え、放射源は、非偏光放射の一部がビームスプリッタ及び4分の1波長板を通って伝搬するように配置され、結像センサは、非偏光放射の一部の反射された部分が4分の1波長板及びビームスプリッタを通った後に結像センサに入射するよう配置されている。
[00023] 光学測定システムは、ペリクルフレームの位置を測定するように動作可能であり得る。光学測定システムは、放射源、ビームスプリッタ、4分の1波長板、及び結像センサを含み得る。
[00024] 放射源は非偏光光を放出し得る。非偏光光はビームスプリッタによって分割され得る。これによって直線偏光光が生じ得る。次いで、直線偏光光の少なくとも一部は4分の1波長板を通って伝搬し、円偏光になり得る。円偏光光がペリクル及び/又はペリクルフレームを通って伝搬した後にパターニングデバイスから反射されるように、ペリクルアセンブリ(ペリクルとペリクルフレームを含む)及びパターニングデバイス(レチクル等)を配置することができる。次いで、反射した円偏光光は4分の1波長板及びビームスプリッタを通って伝搬し、結像センサに入射し得る。結像センサが行う測定によって、ペリクルフレーム(従ってペリクルアセンブリ)の位置を決定することが可能となる。
[00025] 4分の1波長板によって発生した円偏光ビームの少なくとも一部は、パターニングデバイスに入射し、パターニングデバイスによって反射され得る。ペリクルフレームのエッジは、パターニングデバイスから反射された光を遮断し得る。パターニングデバイスで反射された放射の少なくとも一部は結像センサに入射し、結像センサにおいて、ペリクルフレームのエッジの位置に応じて変動する測定空間強度(測定画像等)を有し得る。特に、ペリクルとペリクルフレームとの光透過レベルの差は、強度測定において空間コントラストを与え得る。この空間コントラストは、ペリクルアセンブリの位置の測定において、更にその後のペリクルアセンブリの位置合わせにおいて、特に有用であり得る。
[00026] 4分の1波長板は、パターニングデバイスから反射した光が4分の1波長板を通って伝搬する際に、この光の(電界強度の2つの直交成分間の)位相シフトを実行する。この位相シフトは、パターニングデバイスMAから反射した光がビームスプリッタを最大限に透過するように行われる。ビームスプリッタを通る光が最大限に透過する結果、結像センサで実行される強度測定において高信号が得られる。例えば、結像センサにより実行される測定は背景光を受けるが、これは、ペリクル及びペリクルフレームのエッジを表す画像のコントラストを低下させる可能性がある。しかしながら、このような背景放射は非偏光であるので、結像センサに到達するのはそのような背景放射の一部のみ(例えば半分)であり得る。これに対して、信号放射(すなわち、パターニングデバイスから反射した放射の部分)は、ビームスプリッタを最大限に透過する。有利な点として、この信号光はビームスプリッタを最大限に透過するので、結像センサで実行される測定において高い空間コントラストが得られる。この結果、ペリクルアセンブリの位置を高精度で測定することが可能となる。
[00027] 本発明の第5の態様に従って、基準物体に対する物体の位置を測定するための測定システムが提供される。物体には物体マーカが設けられ、基準物体には基準マーカを備えたウィンドウが設けられている。測定システムは、放射ビームを生成するための放射源と、結像センサと、を備え、放射源は、放射の反射回折次数が結像センサに垂直に入射するような角度で放射ビームが基準マーカ及び物体マーカに入射するように配置されている。
[00028] 光学測定システムは、基準物体に対する物体の位置を測定するよう動作可能とすることができる。物体はパターニングデバイス(レチクル等)であり得る。物体に物体マーカを設けることができる。物体マーカは回折格子を含み得る。物体マーカはアライメントマークを含み得る。基準物体はウィンドウであり得る。基準物体に基準マーカを設けることができる。基準マーカは回折格子を含み得る。基準マーカはアライメントマークを含み得る。光学測定システムは放射源及び結像センサを含み得る。
[00029] 放射源は光ビームを放出し得る。ビームは物体及び基準物体の方へ伝搬し得る。ビームの一部は基準マーカから後方散乱(例えば反射)され得る。ビームの別の部分は基準物体を透過し得る。このビームの部分は次いで物体マーカから後方散乱(例えば反射)され得る。物体マーカ及び基準マーカの各々は、反射回折格子を形成するように配置することができる。物体マーカ及び基準マーカの各々から後方散乱されたビームの部分は、複数の回折次数を形成し得る。一次反射ビームは結像センサに入射し得る。従って結像センサは、基準物体に対する物体の位置に対応する信号を測定するように動作可能とすることができる。ゼロ次反射ビーム(標準反射に対応する)は結像センサに入射しない可能性がある。光学測定システムは、物体マーカ(物体に対して固定されている)及び基準マーカ(基準物体に対して固定されている)の位置を測定するように動作可能とすることができる。従って光学測定システムは、基準物体に対する物体の位置を測定するように動作可能であり得る。これを用いて物体を基準物体と位置合わせできる。例えば、光学測定システムを用いてパターニングデバイスを別の装置と位置合わせすることができる。
[00030] 有利な点として、(上述したように)光の回折次数を測定すること及び同一の測定装置(光学測定システム)を用いることによる物体マーカ及び基準マーカの位置の測定により、基準物体に対する物体の位置の正確な測定を行うことができる。この結果、物体(パターニングデバイス等)の位置が物体のエッジ(パターニングデバイスのエッジ等)の位置の測定に基づく場合よりも正確な物体位置の測定が可能となり得る。
[00031] 本発明の第4の態様の測定システム又は本発明の第5の態様の測定システムを含むペリクルフレーム取付装置。
[00032] 本発明の第6の態様に従って、ペリクルフレーム取付装置が提供される。ペリクルフレーム取付装置は、ペリクルアセンブリを支持するように構成された支持構造と、支持構造で支持された場合にペリクルアセンブリのフレームに貼り付けられた係合機構の係合アームの遠位端と接触して係合アームを弾性的に屈曲させるように支持構造に対して移動するよう構成された線形移動可能操作ピンと、を備え、操作ピンは、係合アームに対して概ね垂直な方向に延出すると共にこの方向に移動可能であり、操作ピンの表面は、この表面と係合アームとの接触表面積が最小限に抑えられるような凸状の湾曲面である。
[00033] 操作ピンが移動し、概ね垂直な係合アーム(例えば弾性のカンチレバー係合アーム)に接触すると、係合アームの遠位端を移動させ、これにより係合アームを回転させることができる。操作ピンが線形の方向に移動すると、操作ピンと係合アームとの接触点は係合アームの表面に沿って移動する。操作ピンに凸状の湾曲面を設けることにより、操作ピンと係合アームとの接触表面積は最小限に抑えられる。このような構成によって、操作ピンと係合アームとの間の滑りが最小限であることを保証できる。有利な点として、これは、(操作ピンと係合アームとの界面でコンポーネントが相互に摺動するのに比べて)粒子汚染物質が生じるリスクを軽減することができる。
[00034] 装置は更に、支持構造の位置を移動させるように動作可能であるアクチュエータと、支持テーブル上に配置されてこの支持テーブルから突出している複数のかぎ状ピンと、を備え、複数のかぎ状ピンは、ペリクルアセンブリとパターニングデバイスの係合又は離脱の間に支持構造に対して所定位置に係合機構を解放可能にクランプするよう構成され、アクチュエータ、又はかぎ状ピンが提供されている複数の取り外し可能挿入部のうち一方又は双方は、支持テーブルの移動が妨害された場合に支持テーブルから取り外すことができる。
[00035] かぎ状ピンは、ペリクルアセンブリとパターニングデバイスの係合又は離脱の間にペリクルアセンブリを支持構造に固定した状態に保つため有用であり得る。これによって、支持構造を移動させるとペリクルアセンブリの対応する移動を発生させることができる。しかしながら、かぎ状ピンがペリクルフレームから離脱できない場合がある。上述の取り外し機構は、移動が妨害された場合に作動機構からかぎ状ピンを取り外してペリクルアセンブリの損傷を防ぐように安全機構を提供する。いくつかの実施形態において、取り外し機構は、支持テーブルがアクチュエータから取り外されるようにすることができる。いくつかの実施形態において、取り外し機構は、取り外し可能挿入部(支持構造に取り外し可能に接続される)にかぎ状ピンを設けることによって達成され得る。
[00036] 本発明の第7の態様に従って、スタッド取付装置が提供される。スタッド取付装置は、パターニングデバイスを保持するよう構成された支持構造と、パターニングデバイスにスタッドを接触させるよう構成されたスタッド操作部と、を備え、スタッド操作部は複数の板ばねを用いて外側フレームに取り付けられている。
[00037] パターニングデバイスに対するペリクルアセンブリの取り付けを可能とするため、パターニングデバイスにスタッドを取り付けることができる。スタッドは、スタッド取付装置を用いてパターニングデバイスに取り付ければよい。スタッド取付装置は、スタッドを取り扱うスタッド操作部を含み得る。スタッド操作部は外側フレームに取り付けることができる。この取り付けは複数の板ばねを含み得る。複数の板ばねは、(例えばスタッドのベースがパターニングデバイスに接触した場合)スタッド操作部と外側フレームとの間の多少の相対移動を可能とする。
[00038] 各板ばねは、スタッドをパターニングデバイスに取り付けることができる方向(例えばz方向)におけるスタッド操作部の(外側フレームに対する)移動は可能であるが、他の方向の移動は無視できる程度であるような寸法である。更に、単一の板ばねでなく複数の板ばねを用いることにより、スタッド操作部(及び、結果としてスタッド)のxz面又はyz面内の回転は無視できる程度である。有利な点として、これにより、スタッドの位置はいっそう制御されたものとなり、スタッドをパターニングデバイス上にいっそう正確に配置することができる。
[00039] スタッド操作部は、重力のもとに又は真空機構を用いてスタッドを保持するように配置されたスタッドホルダを含み得る。
[00040] スタッド操作部は、のりディスペンサを含み得る。のりディスペンサは、ポリ(メチルメタクリレート)ベースののりを分配するように構成できる。本明細書で用いる場合、ポリ(メチルメタクリレート)ベースののりをPMMAのりと呼ぶことがある。のりディスペンサは、PMMAのりを1つ以上の成分として提供するように構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりの少なくとも1つの成分をスタッドの表面に提供するように構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりの少なくとも1つの成分をパターニングデバイスの表面に提供するように構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりの少なくとも1つの成分をスタッドの表面に、PMMAのりの少なくとも1つの成分をパターニングデバイスの表面に提供するように構成できる。スタッド操作部によってスタッドをパターニングデバイスに接触させた場合、スタッドをPMMAのりでパターニングデバイスに貼り付けることができる。
[00041] PMMAのりは、メチルメタクリレート(MMA)モノマーの重合によって形成された熱可塑性樹脂を含む。PMMAのりは一般に、MMAモノマーと、開始剤、促進剤、架橋剤、及びその他の添加物のような1つ以上の他の成分と、を含む樹脂製剤である。本明細書で用いる場合、PMMAのりを表面に提供するというのは、PMMAのりの1つ以上の成分(例えばPMMAのりの促進剤又は開始剤を含有する樹脂成分)をその表面に与えることを指すことは認められよう。更に、本明細書で用いる場合、表面を別の表面に接触させるというのは、2つの表面を相互に間接的に接触させること(例えば双方の表面に接着するのりを介して)を指すことは認められよう。
[00042] 例えば、PMMAのりの処理は、MMAモノマーと促進剤との混合物を含む第1ののり成分と、MMAモノマーと開始剤との混合物を含む第2ののり成分と、を提供することを含む。好ましくは、開始剤は、第1及び第2ののり成分を組み合わせた場合のそれらの成分の合計量に対して適切な量で提供される。のり成分の塗布は、例えば、第1ののり成分を第1の基板に、第2ののり成分を第2の基板に塗布することによって実行される。例えば、MMAモノマーを含む第1ののり成分をペリクルフレーム表面に塗布し、開始剤を含む第2ののり成分を、第1ののり成分でコーティングされたペリクルフレームに接合されるパターニングデバイス表面に塗布する。あるいは、2つののり成分を逆に塗布してもよい。2つの基板を接合すると、硬化が行われる。
[00043] PMMAのりを用いて、第1のリソグラフィコンポーネントの表面を第2のリソグラフィコンポーネントの表面に接着することができる。第1及び第2のリソグラフィコンポーネントのうち少なくとも一方は、EUVリソグラフィ装置のコンポーネントとすることができる。例えば、第1のリソグラフィコンポーネントはペリクルであり、第2のリソグラフィコンポーネントはペリクルフレームである。別の例では、第1のリソグラフィコンポーネントはペリクルフレームであり、第2のリソグラフィコンポーネントはパターニングデバイスである。更に別の例では、第1のリソグラフィコンポーネントはペリクルフレーム係合機構の第1のコンポーネントのような第1のペリクルフレームコンポーネントであり、第2のリソグラフィコンポーネントはペリクルフレーム係合機構の第2のコンポーネントである。
[00044] 代替的な方法では、単一の基板上に第1及び第2のコンポーネントを並べて提供し、次いでその上に第2の基板を提供することで、これら2つの基板の間にPMMAのり成分を挟むことができる。この代替的な方法では、第1及び第2のコンポーネントが2つの表面の間に閉じ込められることによって相互に適切に接触した場合、硬化が行われる。他の代替的な処理方法を適用してもよい。
[00045] PMMAのり成分は、層のような単一の連続的な形状として塗布するか、又は離散的ビードとして塗布することができる。接着剤をビードとして塗布する利点は、例えばペリクルとフレームとの間、又はフレームとレチクル表面との間のような、のり付けされる表面における張力が低減することである。このような場合、ビードは2つの表面間の弾性ばねとして作用する。
[00046] 好ましくは、層又はビードの厚さは0.6mm未満であり、更に好ましくは0.5mm未満である。これは最適な重合を可能とするためである。重合は層又はビードの一方側で開始し、他方側へ進行するからである。
[00047] 本明細書におけるビードは、のり成分の連続的な層でなく離散的な部分を表し、PMMA樹脂の濡れ性及び粘度に応じて、球形、半球形、又は準矩形(quasi-rectangular)のような任意の形状を有し得る。
[00048] PMMA樹脂の粘度は、好ましくは少なくとも8000mPasであり、より好ましくは少なくとも10,000mPasである。PMMAのりの硬化は、化学的に又は熱を加えることによって促進することができる。
[00049] ペリクル膜をペリクルフレームに、又はペリクルフレームをレチクルに取り付けるため用いられるのり又は接着剤は、規格ISO4587(OI3)に従って試験した場合、好ましくは>5MPa、好ましくは>10MPaのラップ剪断強度(lap shear strength)を有する。ペリクル膜をペリクルフレームに、又はペリクルフレームをレチクルに取り付けるため用いられるのり又は接着剤のヤング率は、ISO527に従って測定した場合、好ましくは0.5~10GPa、より好ましくは1~5GPaの範囲内である。
[00050] 好ましくは、ペリクル膜をペリクルフレームに、又はペリクルフレームをレチクルに取り付けるため用いられるのり又は接着剤のガス放出(outgassing)は、<6E-06[mbar.l/s.cm2]、より好ましくは<8E-09[mbar.l/s.cm2]、より好ましくは<8E-10[mbar.l/s.cm2]である。
[00051] 本発明の第8の態様に従って、ペリクル取付装置が提供される。ペリクル取付装置は、ペリクル操作部及びのりディスペンサを備える。ペリクル取付装置は、第1の物品(item)及び第2の物品からペリクルアセンブリの少なくとも一部を作製するためのものであり得る。ペリクル操作部は、第1の物品を第2の物品に接触させるよう構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりを1つ以上の成分として提供するよう構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりの少なくとも1つの成分を第1の物品の表面に提供するよう構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりの少なくとも1つの成分を第2の物品の表面に提供するよう構成できる。のりディスペンサは、PMMAのりの少なくとも1つの成分を第1の物品の表面に、PMMAのりの少なくとも1つの成分を第2の物品の表面に提供するよう構成できる。第1の物品を第2の物品に接触させた場合、第1の物品をPMMAのりによって第2の物品に貼り付けることができる。
[00052] 第1の物品はフレームであり、フレームはペリクルフレームであり得る。第2の物品はペリクル(すなわち薄膜又は膜)であり得る。ペリクルフレームは、ペリクルフレームがパターニングデバイスに接合された場合に密閉空間を提供するよう構築されたフレームであり得る。
[00053] 第2の物品は係合機構であり得る。
[00054] ペリクル操作部は、ペリクルに張力を加えるための手段を含み得る。例えばペリクル操作部は、ペリクルをフレームに接触させる前にペリクルに張力を加えることができる。
[00055] 本発明の第9の態様に従って、ペリクルアセンブリが提供される。ペリクルアセンブリはペリクルを含み得る。ペリクルアセンブリはフレームを含み得る。ペリクルをフレームに接着するように、PMMAのりをペリクルとフレームとの間に配置し、これらに接触させることができる。
[00056] 本発明の第10の態様に従って、パターニングデバイスが提供される。パターニングデバイスは複数のスタッドを含み得る。複数のスタッドの各スタッドにパターニングデバイスを貼り付けるように、PMMAのりをパターニングデバイスと複数のスタッドの各スタッドとの間に配置し、これらに接触させることができる。
[00057] 本発明の第11の態様に従って、マスクアセンブリが提供される。マスクアセンブリは、本発明の第9の態様に従ったペリクルアセンブリと、本発明の第10の態様に従ったパターニングデバイスと、を備える。
[00058] PMMAのりの使用はいくつかの利点を提供する。
[00059] PMMAのりの硬化プロセスは完了までに数分間を要する。これは、既知のエポキシのりの硬化プロセス(一般に数時間を要する)に比べて著しく短い硬化プロセスである。そのため、有利な点として、本発明のいくつかの態様に従ってPMMAのりを用いてペリクルフレームをペリクルに貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)ペリクルアセンブリを生成するために必要な時間が著しく短縮する。更に、有利な点として、PMMAのりを用いてスタッドをパターニングデバイスに貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)必要な時間が著しく短縮する。これに関連して、大量生産のための利点が得られる。
[00060] 一般に、PMMAのりはエポキシのりよりも弾性が大きい。PMMAのりはエポキシのりよりも、表面から(例えばパターニングデバイスの表面から)容易に除去され得る。そのため、有利な点として、PMMAのりを用いてスタッドをパターニングデバイスに貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)スタッド除去手順、及びスタッドが除去された後のパターニングデバイス洗浄手順が容易になる。
[00061] 既知のエポキシのりの硬化を促進するため、ヒータ及び/又はオーブンを用いて既知のエポキシのりを加熱する必要がある場合がある。有利な点として、PMMAのりの硬化を促進するためには加熱は必要ない。その結果、製造手順はいっそう簡素化され、製造される製品(ペリクルアセンブリ又はスタッドが提供されたパターニングデバイス)の欠陥及び損傷リスクを低減することも可能となる。
[00062] 本発明の第12の態様に従って、マスクアセンブリが提供される。マスクアセンブリは、ペリクルアセンブリ及びパターニングデバイスを含み得る。ペリクルアセンブリは、ペリクル及びフレームを含み得る。フレームをパターニングデバイスに貼り付けるように、接着剤をフレームとパターニングデバイスとの間に配置し、これらに接触させることができる。
[00063] 接着剤は単一の連続的な形状で提供され得る。この形状はフレームの形状と概ね一致し得る。
[00064] ペリクルアセンブリとパターニングデバイスとの間に密閉空間が形成され得る。このような実施形態において、ペリクルアセンブリは「閉鎖フレーム」システムと呼ばれる。
[00065] 接着剤はPMMAのりとすればよい。
[00066] 本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリは、いくつかの理由で有利である。
[00067] 本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリは、ペリクルアセンブリとパターニングデバイスとの間に密閉空間を提供できる。有利な点として、これは、汚染物質粒子がその空間内に入ることと、リソグラフィ装置によって基板に適用されるパターンにエラーを発生させることを防止できる。
[00068] 本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリは、これより検討されるように、パターニングデバイスに貼り付けられてペリクルアセンブリと係合する中間固定部材(スタッドとして既知である)を通常用いる既知の機構に比べ、特に有利である。
[00069] 本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリは、スタッド(パターニングデバイスに貼り付けられている)等の中間固定部材と、この中間固定部材(スタッド)に係合する係合機構(ペリクルアセンブリに設けられている)とを用いるマスクアセンブリよりも、少数のコンポーネントを含む。そのため、有利な点として、本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリは、製造が比較的簡素となり得る。コンポーネント数が少ないこと及び製造手順の簡素化によって、製造コストを削減できる。
[00070] パターニングデバイスに接着させたスタッドを用いる既知の機構では、スタッドとパターニングデバイスとの合計接触面積は比較的小さい。従って、通例、各スタッドに接触するパターニングデバイス表面のエリアは、スタッド設置パッドを形成するようにエッチングされる。これに対して、本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリにおいてペリクルフレームに貼り付けられているパターニングデバイスの表面のエリアは一般に、スタッドを用いるマスクアセンブリの代替的な設計においてスタッドに貼り付けられるパターニングデバイスの合計面積よりもはるかに大きい。そのため、有利な点として、本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリでは、パターニングデバイスの表面の選択的エッチングは必要ない(マスクアセンブリの上述の代替的な設計では、パターニングデバイスとこれに設けられた1つ以上のスタッドとの接着を向上させるために必要となり得る)。有利な点として、これは、本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリの製造時間と製造コストを低減することができる。
[00071] PMMAのりの材料特性、特にPMMAのりの弾性、及びPMMAのりが塗布され得る寸法のため、PMMAのりの硬化に起因したパターニングデバイスの変形は(他ののりに比べて)比較的小さい。これに対して、もしも既知のエポキシのりを用いてペリクルフレームをパターニングデバイスに直接貼り付けた場合、エポキシのりの硬化に起因したパターニングデバイスの変形は著しく大きく、その結果、リソグラフィ装置によって基板に投影されるパターンにエラーが生じる。従って、PMMAのりを用いて、既知のエポキシのりの使用に伴う問題点を克服することにより、本発明の第12の態様に従って改良されたマスクアセンブリを生成することが可能となる。
[00072] PMMAのりは既知のエポキシのりよりも容易に除去可能であり、比較的弾性が大きい。有利な点として、これにより、本発明の第12の態様に従ったマスクアセンブリの一部を形成するペリクルアセンブリをいっそう容易に交換することが可能となる。
[00073] 上述されているか又は以下の説明で言及される1つ以上の態様又は特徴を、1つ以上の他の態様又は特徴と組み合わせてもよいことは認められよう。
[00075] 図1はリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えている。放射源SOは、極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)放射ビームBを発生させるように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を含むマスクアセンブリ15を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTと、を備えている。照明システムILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にこれを調節するよう構成されている。投影システムは、放射ビームB(この時点でマスクMAによってパターン付与されている)を基板Wに投影するよう構成されている。基板Wは、以前に形成されたパターンを含むことがある。これが当てはまる場合、リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームBを、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
[00076] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは全て、外部環境から隔離できるように構築及び配置することができる。放射源SO内に、大気圧よりも低い圧力のガス(例えば水素)を提供してもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPS内に真空を提供してもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPS内に、大気圧よりも充分に低い圧力の少量のガス(例えば水素)を提供してもよい。
[00077] 図1に示されている放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP:laser produced plasma)源と呼ぶことができるタイプである。例えばCO2レーザであるレーザ1は、レーザビーム2を介して、燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)等の燃料にエネルギを堆積するよう配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用すればよい。燃料は、例えば液体の形態とすることや、例えば金属又は合金とすることが可能である。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えることができる。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズに入射する。レーザエネルギのスズへの堆積は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を生成する。プラズマイオンの脱励起及び再結合の間に、プラズマ7からEUV放射を含む放射が放出される。
[00078] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(時として、より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれる)によって収集され集束される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nm等の所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造を有し得る。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有し得る。第1の焦点はプラズマ形成領域4にあり、第2の焦点は中間焦点6にあり得る。これについては以下で検討する。
[00079] レーザ生成プラズマ(LPP)源の他の実施形態では、コレクタ5は、EUV放射を斜入射角で受け取ってこのEUV放射を中間焦点に集束するように構成された、いわゆる斜入射型コレクタとしてもよい。斜入射型コレクタは例えば、複数の斜入射リフレクタを含む入れ子状コレクタであり得る。斜入射リフレクタは、光軸を中心として軸対称に配置され得る。
[00080] 放射源SOは、1つ以上の汚染トラップ(図示せず)を含み得る。例えば汚染トラップは、プラズマ形成領域4と放射コレクタ5との間に位置付けることができる。汚染トラップは、例えば回転フォイルトラップとするか、又は他のいずれかの適切な形態の汚染トラップとすればよい。
[00081] レーザ1は放射源SOから分離することができる。これが当てはまる場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)によって、レーザ1から放射源SOへ渡すことができる。レーザ1及び放射源SOをまとめて放射システムと見なすことができる。
[00082] コレクタ5によって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは、ポイント6で集束されてプラズマ形成領域4の像を形成し、これは照明システムILの仮想放射源として作用する。放射ビームBが集束されるポイント6を中間焦点と呼ぶことができる。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの閉鎖構造9の開口8に又は開口の近くに位置付けられるように配置されている。
[00083] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調節するよう構成されている照明システムIL内に進む。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、放射ビームBに所望の断面形状と所望の角度分布を与える。放射ビームBは、照明システムILから出射し、支持構造MTによって保持されたマスクアセンブリ15に入射する。マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAと、ペリクルフレーム17によって所定位置に保持されたペリクル19と、を含む。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射すると共にパターンを付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことも可能である。
[00084] パターニングデバイスMAから反射した後、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに入射する。投影システムは、基板テーブルWTによって保持された基板Wに放射ビームBを投影するよう構成された複数のミラーを備えている。投影システムPSは、放射ビームに縮小率を適用することで、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成できる。例えば、縮小率4を適用することができる。図1において投影システムPSは2つのミラーを有するが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6個のミラー)を含むことができる。
[00085] リソグラフィ装置は、例えばスキャンモードで用いられる。スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンしながら、放射ビームに付与されたパターンを基板Wに投影する(すなわち動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及び像反転特性によって決定できる。基板Wに入射するパターン付与された放射ビームは、ある放射帯を含み得る。この放射帯を露光スリットと呼ぶことができる。スキャン露光中、露光スリットが基板Wの露光フィールド上を進んでいくように基板テーブルWT及び支持構造MTを移動させることができる。
[00086] 図1に示されている放射源SO及び/又はリソグラフィ装置は、図示されていないコンポーネントを含み得る。例えば、放射源SO内にスペクトルフィルタを提供することができる。スペクトルフィルタは、EUV放射に対して実質的に透過性であるが、赤外線放射のような他の波長の放射を実質的に阻止することができる。
[00087] リソグラフィシステムの他の実施形態では、放射源SOが他の形態をとることも可能である。例えば代替的な実施形態において、放射源SOは1つ以上の自由電子レーザを含み得る。1つ以上の自由電子レーザは、1つ以上のリソグラフィ装置に提供され得るEUV放射を放出するように構成できる。
[00088] 上記で簡単に述べたように、マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAに隣接して設けられたペリクル19を含む。ペリクル19は放射ビームBの経路内に設けられているので、放射ビームBは、照明システムILからパターニングデバイスMAに近付く時、及びパターニングデバイスMAにより反射されて投影システムPSの方へ向かう時の双方で、ペリクル19を通過する。ペリクル19は、EUV放射に対して実質的に透明である(が、少量のEUV放射を吸収する)薄膜を含む。本明細書において、EUV透明ペリクル又はEUV放射に対して実質的に透明な膜とは、ペリクル19がEUV放射の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくはEUV放射の少なくとも90%に対して透過性であることを意味する。ペリクル19は、パターニングデバイスMAを粒子汚染から保護するように機能する。
[00089] リソグラフィ装置LA内部で清潔な環境を維持するよう努力しても、リソグラフィ装置LA内部には粒子が存在する可能性がある。ペリクル19がなければ、粒子はパターニングデバイスMA上に堆積し得る。パターニングデバイスMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターン、更には基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼす恐れがある。ペリクル19は、パターニングデバイスMA上に粒子が堆積するのを防止するため、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間のバリアを与える。
[00090] ペリクル19は、ペリクル19の表面に入射する粒子がリソグラフィ装置LAのフィールド面(field plane)内に存在しないように充分な距離だけパターニングデバイスMAから離して位置決めされている。ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間のこの分離は、ペリクル19の表面上の粒子が基板W上に結像される放射ビームBにパターンを付与するのを抑えるように機能する。粒子が放射ビームB内に存在するとしても、その位置が放射ビームBのフィールド面内でない(すなわちパターニングデバイスMAの表面でない)ならば、この粒子の像は基板Wの表面で焦点外になることは認められよう。他に考慮すべき事項が存在しないならば、ペリクル19をパターニングデバイスMAからかなり離れた距離に位置決めすることが望ましい場合がある。しかしながら実際は、リソグラフィ装置LA内に他のコンポーネントが存在するので、ペリクルを収容するため利用可能な空間は限られている。いくつかの実施形態では、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の分離は、例えば約1mm~10mmの間、例えば1mm~5mmの間、より好ましくは2mm~2.5mmとすることができる。
[00091] ペリクルをペリクルフレームに取り付け、このペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けることによって、マスクアセンブリをリソグラフィ装置で使用するために準備することができる。パターニングデバイスMAと、パターニングデバイスに隣接してペリクルフレームにより支持されたペリクルと、を備えるマスクアセンブリを、リソグラフィ装置LAから遠隔で準備し、このマスクアセンブリをリソグラフィ装置LAで使用するためリソグラフィ装置LAへ移送することができる。例えば、パターニングデバイスにパターンを付与する場所で、マスクアセンブリを形成するように、ペリクルを支持しているペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けることができる。次いでこのマスクアセンブリを、リソグラフィ装置LAが配置されている別の場所へ移送し、リソグラフィ装置LAで使用するためリソグラフィ装置LAへ提供することができる。
[00092] ペリクルフレームによってペリクルが所定位置に保持されているマスクアセンブリは壊れやすく、マスクアセンブリの移送にはペリクルが損傷するリスクが存在し得る。また、リソグラフィ装置LAとは別の環境でマスクアセンブリを組み立てることは、マスクアセンブリを多様な圧力条件に暴露する結果になり得る。例えばマスクアセンブリは、周囲圧力条件下でリソグラフィ装置へ移送されることがある。次いでマスクアセンブリは、真空圧力条件にポンピングされているロードロックを介してリソグラフィ装置LAにロードすることができる。マスクアセンブリが暴露される圧力条件の変化はペリクルに圧力差を発生させ、これによってペリクルが屈曲し、ペリクルが損傷するリスクが生じ得る。一実施形態において、リソグラフィシステムは、ペリクルフレーム取付装置に接続されたリソグラフィ装置LAを含むことができる。これが当てはまる場合、制御された環境(例えば真空環境)を維持しながら、マスク及びペリクルを含むマスクアセンブリをペリクルフレーム取付装置からリソグラフィ装置へ直接移送することができる。
[00093] 図2は、マスクアセンブリ15を組み立てると共にこのマスクアセンブリをリソグラフィ装置LAへ移送するのに適した装置の概略図である。図2は、ペリクルフレーム17にペリクル19を取り付けるために使用できるペリクル取付装置855と、ペリクルアセンブリを移送するために使用できるペリクルアセンブリ移送デバイス881と、を示す。更に、パターニングデバイスMAにスタッド51を取り付けるために使用できるスタッド取付装置840が示されている。スタッド51によって、パターニングデバイスMAにペリクルフレーム17(及びペリクル19)を解放可能に取り付けることができる。スタッドが取り付けられたマスクを移送するために使用できるマスク移送デバイス880も図示されている。パターニングデバイスMAにペリクルフレーム17(及びペリクル19)を取り付けることによってマスクアセンブリ15を形成するため使用できるペリクルフレーム取付装置857も図示されている。また、ペリクルフレーム取付装置857からリソグラフィ装置LAへマスクアセンブリ15を移送するために使用できるマスクアセンブリ移送デバイス853も示されている。
[00094] ペリクル取付装置855は、リソグラフィ装置が配置されている場所とは異なる場所に配置され得る。スタッド取付装置840は、リソグラフィ装置LAが配置されている場所とは異なる場所に配置され得る。あるいは、ペリクル取付装置855及びスタッド取付装置840の一方又は双方を、リソグラフィ装置LAが配置されている場所と同一の場所(例えばリソグラフィ製造工場内)に位置付けてもよい。
[00095] ペリクル取付装置855は、ペリクル19、ペリクルフレーム17、及び係合機構(図示せず)を受容する。ペリクル19及びペリクルフレーム17は、手作業でペリクル取付装置855内に置くことができる。ペリクルフレーム17の係合機構受容開口(例えば、以下で更に記載される位置)に、のりを塗布する。のりの塗布は手作業とするか、又は自動化する(又は部分的に自動化する)ことができる。
[00096] 係合機構及びペリクルフレーム17を相互に位置合わせし(例えば光学アライメント装置を用いる)、次いでペリクルフレーム17の開口に係合機構を挿入する。
[00097] ペリクルフレーム17上(例えばペリクルフレーム17の周囲の間隔をあけた位置)にも、のりを塗布する。のりの塗布は手作業とするか、又は自動化する(又は部分的に自動化する)ことができる。光学アライメントシステムを用いてペリクルフレーム17に対してペリクル19を位置合わせし、次いでペリクルをペリクルフレームに対して押圧する。
[00098] ペリクル取付装置855の一部を形成するペリクル操作部によって、ペリクル19を操作することができる。ペリクル操作部は、ペリクル19に張力を加えるための手段を含み得る。ペリクル操作部は、のりが硬化するために充分な時間期間、室温でペリクル19に張力を加え、ペリクル19をペリクルフレーム17に押し付けることにより、ペリクル19をペリクルフレーム17に固定できる。その後、ペリクル19に対する圧力を除去する。次いで、硬化オーブン(ペリクル取付装置855の一部を形成し得る)を用いて、のりの追加の硬化を高温で実行する。これによって、ペリクルフレーム17に係合機構を取り付けるのりも硬化する。代替的な手法では、ペリクル19をペリクルフレームに押し付けている時に、(室温で硬化させずに)多少の熱を加えてのりを硬化させることができる。
[00099] のりは、のりディスペンサによって提供することができる。のりディスペンサはペリクル取付装置855の一部を形成し得る。のりディスペンサはシリンジを含み得る。シリンジは、のりの1つ以上の成分の規定量を与えることができる。のりディスペンサはノズルを含み得る。例えば、ノズルをシリンジに接続し、ノズルに接続されたシリンジを用いて、のりの1つ以上の成分を提供すればよい。円筒ノズルを用いてのりを塗布してもよい。テーパノズルを用いてのりを塗布してもよい。のりディスペンサがブラシを含み、このブラシを用いてのりの1つ以上の成分を塗布してもよい。のりディスペンサがスポンジを含み、このスポンジを用いてのりの1つ以上の成分を塗布してもよい。のりディスペンサは、のりの1つ以上の成分を提供するための印刷装置(例えばスクリーン印刷装置)を含み得る。のりディスペンサは、のりの1つ以上の成分をスプレーとして提供するための分配装置を含み得る(例えば、エアゾールスプレー分配システムを使用できる)。のりは任意の既知のやり方で提供され得ることは認められよう。
[000100] のりディスペンサは、複数の成分(例えば、のりの促進剤及び開始剤)ののりを提供することができる。のりの1つの成分は、のりの別の成分よりも高い粘度を有し得る。すなわち、比較的高い粘度を有するのりの成分(「濃い」成分)と、比較的低い粘度を有するのりの成分(「薄い」成分)とが存在し得る。例示的な実施形態において、のりディスペンサは、シリンジ及びノズルを用いてのりの濃い成分を塗布できる。例示的な実施形態において、のりディスペンサは、ブラシ、スポンジ、スクリーン印刷装置、又はエアゾールスプレー分配システムを用いて、のりの薄い成分を塗布できる。
[000101] のりを用いてペリクル19をペリクルフレーム17に取り付けることを上述したが、ペリクルのペリクルフレームに対する取り付けには、任意の適切なタイプの接合(のりを使用しないことを含む)を用いればよい。
[000102] こうして得られるペリクルアセンブリ16は、粒子検査ツールを用いて検査される。粒子検査ツールは、ペリクル取付装置855の一部を形成し得る(又は別個のツールとしてもよい)。粒子検査ツールは、ペリクル19及び/又はペリクルフレーム17上の粒子を検査するように構成できる。粒子検査ツールは例えば、所与の粒子閾値よりも多くの粒子を有するペリクルアセンブリ16を不合格と判定することができる。また、粒子検査ツールを用いて、ペリクル及びペリクルフレームをのり付けする前にペリクル19及び/又はペリクルフレーム17を検査してもよい。
[000103] ペリクル取付装置855は、検査の後、ペリクルアセンブリ16をペリクルアセンブリ移送デバイス881(密閉ボックス)内に密閉するよう構成できる。図示のように、ペリクルアセンブリ移送デバイス881は、ペリクル19がペリクルフレーム17の下方にあるような向きでペリクルアセンブリを保持するように配置できる。移送デバイス881は密閉されているので、ペリクルアセンブリ16を汚染することなくペリクルアセンブリを移送できる。ペリクルアセンブリ16は移送デバイス881内でペリクルフレーム取付装置857へ移送することができる。
[000104] ペリクル取付装置855は、密閉環境内部の粒子の数を減らすようにクリーンな環境を含み、これによってペリクル19上に堆積する可能性のある粒子の数を減らすことができる。ペリクル取付装置855は例えば、ペリクルが製造される場所に配置され得る。いくつかの実施形態において、ペリクル19は、ペリクル19が製造されるペリクル製造ツール(図示せず)から直接ペリクル取付装置855に提供することができる。ペリクル19は例えば、クリーンな環境内部に保持した状態で、ペリクル製造ツールからペリクル取付装置855に提供できる。これにより、ペリクル取付装置855へ提供する前にペリクル19を汚染又は損傷する可能性を低減することができる。クリーンな環境は、例えば密閉環境とすればよい(すなわち、外部環境から完全に隔離されている)。密閉環境は、密閉環境内に真空を維持するようにポンピングすることができる。
[000105] ペリクルフレーム17に対するペリクル19の取り付けは、ペリクル19において所望の張力を達成するよう制御することができる。例えば、ペリクルフレーム17に対するペリクル19の取り付け中に又は取り付け後にペリクル19の張力を測定し、ペリクル19の所望の張力を達成するため、この測定に応じて張力を調整すればよい。ペリクル19の張力は、例えば、ペリクル19を伸ばすようにペリクルフレーム17のコンポーネントに外側への力を加えることによって維持できる。ペリクル19の張力は、例えば、ペリクルフレームとペリクルとの間の熱膨張係数の差を用いることによって維持できる。
[000106] 一実施形態では、パターニングデバイス(マスクと呼ぶことができる)MAに、(例えば以下で更に記載するように)係合機構によって受容される突出体を提供することができる。パターニングデバイスは、例えば4つの突出体(本明細書ではスタッドと呼ぶ)を受容できる。図2に示されているように、スタッド取付装置840を用いて、パターニングデバイスMAにスタッド51を取り付けることができる。
[000107] スタッド51及びパターニングデバイスMAを、手作業でスタッド取付装置840内に配置することができる。パターニングデバイスMAは制御された環境841内に保持することができ、環境841はスタッド取付装置840の残り部分から分離されている。この分離は、開口を備えたパーティション842によって行うことができ、スタッド51は、パターニングデバイスMAに接触するためこれらの開口を通って突出し得る。制御された環境841は、(例えば、制御された環境の出口を介してガスを送出することによって)スタッド取付装置840の他の部分よりも高い圧力に保持され得る。これにより、スタッド取付装置の他の部分から制御された環境841内への汚染粒子の侵入を抑制又は防止する。
[000108] スタッド取付装置840は、スタッドを正確に配置するためのロボット又はアクチュエータのようなスタッド操作部(図示せず)を含み得る。パターニングデバイス上にスタッドを配置するのに適したアクチュエータの例は、ローレンツアクチュエータ(Lorentz actuator)(図示せず)である。また、スタッド取付装置840は、パターニングデバイスMAに取り付けられるスタッド表面に所与の量ののり又は接着剤を自動的に提供するためのデバイスも含み得る。のり又は接着剤の塗布は手作業で実行してもよい。パーティション842の上方の制御された環境841からパーティションの下方への空気流によって、のり又は接着剤からの汚染物質によるパターニングデバイスMAの汚染が防止又は低減される(この空気流は、パーティションの上方の圧力の方がパーティションの下方の圧力よりも高いことによって生じる)。
[000109] スタッド取付装置840は更に、スタッドを正確に位置決めするため、レチクル上に存在するアライメントマーカに対してスタッドを位置合わせする光学アライメントシステムを含むことができる。例えば、従来のようにパターニングデバイスMA上に設けられてパターンアライメントのために使用されるアライメントマーカを、スタッドの位置合わせのためにも使用することができる。
[000110] スタッド取付装置は、パターニングデバイスMAの位置を調整するためX-Y-Z及びRz方向に移動できる支持構造を含むことができる。パターニングデバイスMAを保持している支持構造の位置は、手作業で粗動及び微動機械調整デバイスによって、又は自動化(又は半自動化)アクチュエータを用いて調整可能であるか、又はパターニングデバイステーブルに結合されているアライメント及び位置決めに適した他のいずれかのタイプのデバイスを用いて調整可能である。
[000111] 一度スタッド51とパターニングデバイスMAが位置合わせされたら、スタッド51をパターニングデバイスMAに対して押圧する。のりが硬化するために充分な時間期間、室温でスタッド51をパターニングデバイスMAに押し付けることにより、スタッド51をマスクMAに固定できる。あるいは、のりの硬化を加速するためスタッド51を加熱してもよい。次いで、硬化オーブン(スタッド取付装置840の一部を形成し得る)を用いて、のりの追加の硬化を高温で実行する。
[000112] のりは、のりディスペンサによって提供することができる。のりディスペンサはスタッド取付装置840の一部を形成し得る。のりディスペンサはシリンジを含み得る。シリンジは、のりの1つ以上の成分の規定量を与えることができる。のりディスペンサはノズルを含み得る。例えば、ノズルをシリンジに接続し、ノズルに接続されたシリンジを用いて、のりの1つ以上の成分を提供すればよい。円筒ノズルを用いてのりを塗布してもよい。テーパノズルを用いてのりを塗布してもよい。のりディスペンサがブラシを含み、このブラシを用いてのりの1つ以上の成分を塗布してもよい。のりディスペンサがスポンジを含み、このスポンジを用いてのりの1つ以上の成分を塗布してもよい。のりディスペンサは、のりの1つ以上の成分を提供するため印刷装置(例えばスクリーン印刷装置)を含み得る。のりディスペンサは、のりの1つ以上の成分をスプレーとして提供するための分配装置を含み得る(例えば、エアゾールスプレー分配システムを使用できる)。のりは任意の既知のやり方で提供され得ることは認められよう。
[000113] のりディスペンサは、複数の成分(例えば、のりの促進剤及び開始剤)ののりを提供することができる。のりの1つの成分は、のりの別の成分よりも高い粘度を有し得る。すなわち、比較的高い粘度を有するのりの成分(「濃い」成分)と、比較的低い粘度を有するのりの成分(「薄い」成分)とが存在し得る。例示的な実施形態において、のりディスペンサは、シリンジ及びノズルを用いてのりの濃い成分を塗布できる。例示的な実施形態において、のりディスペンサは、ブラシ、スポンジ、スクリーン印刷装置、又はエアゾールスプレー塗布システムを用いて、のりの薄い成分を塗布できる。
[000114] パターニングデバイスMA及びスタッド51は、粒子検査ツール(スタッド取付装置840の一部を形成し得る)を用いて検査することができる。
[000115] スタッド取付装置840は、パターニングデバイスMA及びスタッド51をマスク移送デバイス880(密閉ボックス)内に密閉する。マスク移送デバイス880は密閉されているので、マスクMAを汚染することなくパターニングデバイスMA及びスタッド51を移送できる。パターニングデバイスMA及びスタッドはマスク移送デバイス880内でペリクルフレーム取付装置857へ移送することができる。
[000116] 一実施形態では、(汚染のリスクを低減するため)密閉ボックス内でスタッド取付装置840にマスクMAを提供する。このボックスは、パターニングデバイスMAにスタッド51を取り付ける直前まで密閉されたままであり、これによって、汚染がマスクMAへ移動する可能性のある時間を最短に抑えることができる。
[000117] スタッド取付装置840の制御された環境841の一部は、後にパターニングデバイスMA移送デバイス880(密閉ボックス)の一部を形成する筐体によって提供できる。この筐体はマスク移送デバイス880の壁と屋根を形成することができる。マスク移送デバイス880の床は、スタッド51を取り付けた後(例えば直後)に嵌められるプレートによって形成される。筐体をこのように用いることは、パターニングデバイスMAへの汚染侵入の防止に役立つ。筐体は、ポッドのカバーを含み得る。スタッド取付装置840のマスクテーブルは、筐体を受容するように構成できる。
[000118] 同様に、ペリクル取付装置855の一部は、後にペリクルアセンブリ移送デバイス881の一部を形成する筐体によって形成することができる。
[000119] ペリクルアセンブリ移送デバイス881内のペリクルアセンブリ16、及びマスク移送デバイス880内のパターニングデバイスMA(及びスタッド51)は双方とも、ペリクルフレーム取付装置857へ移送される。ペリクルフレーム取付装置857は、1つ以上のリソグラフィ装置も提供される製造工場内に提供することができる。
[000120] ペリクルフレーム取付装置857は、マスクアセンブリ15を形成するように、パターニングデバイスMA上のスタッド51にペリクルアセンブリ16のペリクルフレーム17を取り付けるよう構成されている。ペリクルフレーム取付装置857は、ペリクルフレーム取付装置857の残り部分から分離されている制御された環境860を含み得る。この分離は、開口を備えたパーティション862によって行うことができ、操作部はこの開口を通って延出する(図2には示されていない)。操作部は制御システム870によって動作させることができる(以下で更に記載する)。制御された環境860は、制御された環境内部の粒子数を減らすようにクリーンな環境として維持され、これによってマスクアセンブリ15上に堆積する可能性のある粒子数を減らすことができる。制御された環境860は、(例えば、制御された環境860の出口を介してガスを送出することによって)ペリクルフレーム取付装置857の他の部分よりも高い圧力に保持され得る。これにより、ペリクルフレーム取付装置857の他の部分から制御された環境860内への汚染粒子の侵入を抑制又は防止する。
[000121] ペリクルフレーム取付装置857によって組み立てられたマスクアセンブリ15は、マスクアセンブリ移送デバイス853内で、ペリクルフレーム取付装置857からリソグラフィ装置LAへ移送される。マスクアセンブリ移送デバイス853は密閉されたクリーンな環境を含むことができ、この環境内でマスクアセンブリ15が移送される。これにより、マスクアセンブリ15の移送中にマスクアセンブリ15が汚染又は損傷する可能性は低減する。密閉されたクリーンな環境は、例えば真空にポンピングすることができる。
[000122] ペリクルフレーム取付装置857を用いて、パターニングデバイスMAに対するペリクルアセンブリ16の搭載、取り外し、又は再搭載を行うことができる。ペリクルフレーム取付装置857は、ペリクルフレーム17の係合機構を操作するように配置された操作部を含み得る(以下で更に記載する)。
[000123] パターニングデバイスMAに、例えばアライメントマークを設けることができる。パターニングデバイスMA上のアライメントマークに対してペリクルフレーム17を位置決めすることができる。パターニングデバイスMA上のアライメントマークに対してペリクルフレーム17を位置合わせすることは、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム17の取り付け中にパターニングデバイスMA上にペリクルフレーム17を位置決めする精度を向上させる利点がある。
[000124] いくつかの実施形態では、例えばパターニングデバイスMAから粒子を除去するため、ペリクルフレーム取付装置857内でパターニングデバイスMAを洗浄することができる。他の実施形態では、専用の洗浄ツール内でパターニングデバイスMAの洗浄を実行してもよい。
[000125] 図示されている実施形態はマスクMAの前面にペリクルフレーム17が取り付けられていることを示すが、他の実施形態では、マスクMAの他の部分にペリクルフレーム17を取り付けてもよい。例えば、マスクMAの側面にペリクルフレーム17を取り付けることができる。これは例えば、ペリクルフレーム17とマスクMAの側面との間で解放可能に係合できる取り付けを行うサブマウント(sub-mount)を用いて達成され得る。代替的な実施形態では、マスクMAの側面のいくつかの取り付け位置とマスクMAの前面のいくつかの取り付け位置との組み合わせを用いて、マスクMAにペリクルフレーム17を取り付けることができる。取り付けは例えば、ペリクルフレーム17とマスクMAとを解放可能に係合するサブマウントによって提供され得る。
[000126] いくつかの実施形態において、ペリクルフレーム取付装置857は粒子検査ツール(図示せず)を含み得る。粒子検査ツールは、マスクアセンブリ15上に存在する粒子についてマスクアセンブリ15を検査するように構成できる。粒子検査ツールは例えば、所与の粒子閾値よりも多くの粒子が堆積しているマスクアセンブリ15を不合格と判定することができる。
[000127] いくつかの実施形態において、ペリクルフレーム取付装置857は、パターニングデバイスMA上のパターンを欠陥について検査するパターン検査システムを含み得る。パターン検査システムは、パターニングデバイスMAにペリクルフレーム17を取り付ける前及び/又は後にパターニングデバイスMA上のパターンを検査することができる。
[000128] パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム17の取り付けは、ペリクル19において所望の張力を達成するよう制御することができる。例えば、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム17の取り付け中にペリクル19の張力を測定し、ペリクル19の所望の張力を達成するため、この測定に応じて張力を調整すればよい。
[000129] リソグラフィ装置LAは、例えば図1に示すリソグラフィ装置LAに相当するものであり得る。リソグラフィ装置LAは、マスクアセンブリ移送デバイス853からマスクアセンブリ15を受け取り、マスクアセンブリ15をリソグラフィ装置LAの支持構造MTにロードするように構成されたコンポーネントを含み得る。照明システムILによって与えられる調節済み放射ビームBでマスクアセンブリ15を照明することができる。マスクアセンブリ15のパターニングデバイスMAは、調節済み放射ビームBの断面にパターンを付与して、パターン付与された放射ビームを形成することができる。パターン付与された放射ビームは、投影システムPSによって、基板テーブルWTで保持された基板W上に投影することができる。調節済み放射ビームは、例えばEUV放射を含み得る。調節済み放射ビームがEUV放射を含む実施形態では、マスクアセンブリ15のペリクル19はEUV放射に対して実質的に透明とすることができる。
[000130] いくつかの実施形態では、ペリクルフレーム取付装置857内の真空環境下でマスクアセンブリ15を形成するように、パターニングデバイスMAにペリクルアセンブリ16を取り付けることができる。この後、マスクアセンブリ15は、マスクアセンブリ移送デバイス853によって真空環境下でリソグラフィ装置LAへ移送し、リソグラフィ装置LA内で真空条件下に保持することができる。従ってマスクアセンブリ15は、ペリクルフレーム取付装置857内での組み立てとリソグラフィ装置LA内での使用の期間中ずっと、ほぼ同一の圧力条件に暴露され得る。これは、マスクアセンブリ15が暴露される圧力変化を軽減し、従ってペリクル19において生じ得る圧力差を軽減するという利点がある。
[000131] いくつかの実施形態では、ペリクルフレーム取付装置857において、コンポーネントを真空内に保持しながら、パターニングデバイスMA及び/又はペリクル19を粒子及び/又は欠陥について検査することができる。従って、パターニングデバイスMA及び/又はペリクル19は、リソグラフィ装置LAにおける使用中に暴露されるのと同様の圧力条件下で検査されるという利点がある。真空条件にポンピングしている間にパターニングデバイスMA及び/又はペリクル上に堆積する可能性のある粒子をペリクルフレーム取付装置857で検出できるので、これは有利である。
[000132] いくつかの実施形態において、リソグラフィシステムは更に、マスクアセンブリ15の1つ以上のコンポーネントを粒子及び/又は欠陥について検査するように構成された別個の検査装置(図示せず)を含み得る。マスクアセンブリ15は例えば、ペリクルフレーム取付装置857内で組み立てた後、かつリソグラフィ装置LAへ移送する前に、(例えばマスクアセンブリ移送デバイス853によって)検査装置へ移送することができる。
[000133] 上述した本発明の実施形態は、自動化された(又は半自動化された)プロセスでマスクアセンブリ15を組み立ててリソグラフィ装置LAへ送出することができる利点がある。マスクアセンブリ15の組み立て及び移送は全て、例えば真空圧力条件にポンピングされ得る密閉されたクリーンな環境内で実行できる。これにより、リソグラフィ装置LAでマスクアセンブリ15を使用する前にマスクアセンブリ15のコンポーネントが汚染又は損傷する可能性を低減することができる。
[000134] 概して、ペリクル19の耐用年数はパターニングデバイスMAの耐用年数よりも短い可能性がある。従って、パターニングデバイスMAを連続的に使用できるように、パターニングデバイスMAからペリクルアセンブリ16を取り外し、このペリクルアセンブリを新しいペリクルアセンブリに交換することが望ましい場合がある。ペリクルアセンブリ16の交換は、例えばペリクルフレーム取付装置857内で実行できる。例えばリソグラフィ装置LAでの使用後、ペリクルフレーム取付装置857内でペリクルアセンブリを交換するため、マスクアセンブリ移送デバイス853を用いてマスクアセンブリ15をペリクルフレーム取付装置857へ戻すことができる。ペリクルアセンブリ16を取り外した後、パターニングデバイスMAから汚染を除去するように、パターニングデバイスMAに洗浄プロセスを実施できる。パターニングデバイスに洗浄プロセスを実施する前、パターニングデバイスMAからスタッド51を取り外すことができる。
[000135] 図2に示されている様々な動作中、パターニングデバイスMAのパターン付与された側は下方を向いていることに留意するべきである。パターニングデバイスMAのパターン付与された側を下向きに保つことは、パターンに汚染粒子が入射する可能性を低減するので有利である。大きい汚染物質粒子は重力によって下方へ落下する傾向があるので、マスクの反対側に入射する。小さい汚染粒子は、重力の影響は小さいが、代わりに他の輸送物理(transport physics)の影響を受けることがある。本発明の実施形態の装置は、これに対処することを目的としたデバイスを含み得る。例えば装置は、静電荷を除去するイオン化装置を含み、これによって静電気が粒子をペリクルに付着させるリスクを低減することができる。
[000136] 図3から図5にマスクアセンブリが図示されている。ペリクルフレーム17及びペリクル19は、パターニングデバイスMAに対して浮かせた状態である。ペリクルフレーム17は、パターニングデバイスMAに対して解放可能に係合できる。解放可能な係合は、複数のサブマウント10(例えば2つ、3つ、4つ、又はより多くのサブマウント)を含むマウントによって与えられる。このマウントによって、容易かつ便利なやり方でパターニングデバイスMAからペリクルフレーム17(及びペリクル19)を取り外すことができる。パターニングデバイスMAからのペリクルフレーム17及びペリクル19の取り外しはクリーンである、すなわち、実質的に汚染物質粒子を発生させないことが可能である。一度パターニングデバイスMAからペリクルフレーム17を取り外したら、検査ツールを用いてパターニングデバイスMAを検査することができる(更に、必要に応じて洗浄することができる)。この後、ペリクルフレーム17及びペリクル19をパターニングデバイスMAに対して容易に再取り付けするか、又は新しいペリクルフレーム17及びペリクル19に交換することができる。マウントの各サブマウント10は、係合機構及び突出体によって形成されている(図4を参照して以下で詳述する)。
[000137] 最初に図3を参照すると、ペリクル19はペリクルフレーム17に取り付けられている。ペリクル19は、例えばペリクルフレーム17にのり付けすることができる。ペリクルフレーム17に4つの係合機構50A~50Dが設けられている。各係合機構50A~50Dは傾斜部49A~49D上に提供されている。傾斜部49A~49Dは概ね台形状である。傾斜部49A~49Dは、ペリクルフレーム17に取り付けられ、ペリクルフレーム17の主面内でペリクルフレーム17から突出している。各係合機構50A~50Dは、パターニングデバイスMAから延出している突出体51(例えばスタッド51と呼ぶことができる)を受容するように構成されている(以下で図4に関連付けて記載する)。ペリクルフレーム17の一方側に2つの係合機構50A、50Bが設けられ、ペリクルフレーム17の反対側に2つの係合機構50C、50Dが設けられている。例えば、4つのフレーム側面の各側に1つずつ係合機構50を設けるといった他の組み合わせも可能である。係合機構50A~50Dは、リソグラフィ装置LAにおける使用中にスキャン方向(図3では従来の表記に従ってy方向と示されている)に向いているペリクルフレーム17の側面に提供される。しかしながら、係合機構50A~50Dは、リソグラフィ装置LAにおける使用中にスキャン方向に対して垂直(図3では従来の表記に従ってx方向と示されている)に向いているペリクルフレーム17の側面に提供してもよい。
[000138] 係合機構50A~50Dによって受容される突出体51は、パターニングデバイスMAの前面に位置付けることができる。追加的に又は代替的に、突出体51をパターニングデバイスMAの側面に位置付けてもよい。突出体51はパターニングデバイスMAの側面から上方に延出し得る。このような配置では、突出体51の各々は、パターニングデバイスMAの側面に対する確実な接合を容易にするため平坦な横面を有し得る。
[000139] 図3は、ペリクルフレーム17に固定された4つの係合機構50A~50Dを示す。2つの係合機構50A、50Dはy方向に移動できるように構成されている(すなわち、y方向の柔軟性又はコンプライアンスを提供する)。2つの係合機構50B、50Cはx方向に移動できるように構成されている(すなわち、x方向の柔軟性又はコンプライアンスを提供する)。しかしながら、4つの係合機構50A~50Dは全て、y方向の移動によって係合機構50A~50Dと突出体51(図示せず)との間の係合を達成できるように構成されているので、図に見られるように、4つの係合機構50A~50Dの全てはy方向に延出する係合アーム80を含む。この構成に生じ得る欠点は、y方向スキャン移動中の突然の減速により、(ペリクルフレーム17の慣性に起因して)係合機構50A~50Dが摺動して突出体との取り付けが外れることである。これは例えば、マスク支持構造(図1を参照のこと)の「衝突(crash)」が起こった場合に発生し得る。代替的な配置では、4つの係合機構50A~50Dは全て、x方向(すなわち非スキャン方向)に延出する係合アーム80を含み得る。係合アーム80が全て非スキャン方向に延出していると、突然のy方向の減速によって係合機構50A~50Dの離脱が生じる可能性が回避されるので有利である。一般に、各係合機構50A~50Dの係合アーム80は全て、実質的に同じ方向に延出し得る。
[000140] x方向の移動/柔軟性を可能とするため、2つの係合機構50B、50Cのロック部材を支持するアーム62がy方向に延出している。これらのアーム62はx方向において弾性的に柔軟であるので、x方向の移動/柔軟性を与える。従って、2つの係合機構50B、50Cの係合アーム80は、これらの係合機構のアーム62に対して概ね平行に延出している。y方向の移動/柔軟性を可能とするため、他の2つの係合機構50A、50Dのロック部材を支持するアーム62がx方向に延出している。これらのアーム62はy方向において弾性的に柔軟であるので、y方向の移動/柔軟性を与える。従って、2つの係合機構50A、50Dの係合アーム80は、これらの係合機構のアーム62に対して概ね垂直に延出している。係合機構50A~50Dによって与えられる移動/柔軟性は、温度変化が発生した場合に必要に応じてパターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム17の曲げを可能とする。これは、ペリクルフレーム17において損傷を与える可能性のある熱応力の発生が回避されるので有利である。
[000141] 図3の係合機構50A~50Dは、図5に示されているタブ56とは異なる構成を有するタブ56と共に図示されている。しかしながら、タブ56は、係合機構50A~50Dとペリクルフレーム17との間の係合を容易にするという同じ機能を提供する。タブ56の任意の適切な構成を用いることができる。
[000142] 図4は、1つの係合機構50Aを、パターニングデバイスMAから突出している突出体51と共に断面で示す。係合機構50A及び突出体51は共にサブマウント10を構成する。スタッドと呼ぶことができる突出体51は、例えばパターニングデバイスMAにのり付するか、又は他の接合手段(光学接触、磁気、もしくはファンデルワールス力等)によって取り付けることができる。突出体51は、ベース57から延出しているシャフト55上に位置付けられた遠位ヘッド53を備えている。ベース57は、例えばのりを用いてパターニングデバイスMAに固定されている。シャフト55及び遠位ヘッド53は円筒形であるか、又は他の任意の適切な断面形状を有し得る。
[000143] サブマウント10は、ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAとの間にギャップG(スリットと見なすことができる)が存在するように、パターニングデバイスMAに対してペリクルフレーム17を浮かせる。ギャップGは、係合機構50Aのキャップ66と突出体51の遠位ヘッド53との係合によって(又は、他の何らかの移動制限コンポーネントによって)維持され得る。ギャップGは、外部環境と、ペリクル19及びパターニングデバイスMAの間の空間との間の圧力を等しくするため、充分に広くすることができる。また、ギャップGは、外部環境からペリクル19及びパターニングデバイスMAの間の空間へ汚染粒子が侵入するルートに所望の制約を与えるのに充分な狭さとすることができる。ギャップGは、外部環境と、ペリクル19及びパターニングデバイスMAの間の空間との間の圧力を等しくするため、例えば少なくとも100ミクロンとすればよい。ギャップGは、例えば500ミクロン未満、より好ましくは300ミクロン未満とすればよい。ギャップGは、例えば200ミクロンから300ミクロンの間とすればよい。
[000144] 図5は、図4のサブマウント10(係合機構50A及び突出体51を含む)を更に詳しく示す。係合機構50Aに取り付けられているペリクルフレーム17は、図5には示されていない。同様に、突出体51が突出しているパターニングデバイスMAは、図5には示されていない。図5Aは下方から見たサブマウント10を示し、図5Bは下方から見たサブマウント10の斜視図を示す。
[000145] 係合機構50Aは、ペリクルフレーム17(図3を参照のこと)の開口に受容されている矩形外壁60を含む。外壁60によって画定された空間内で、y方向に1対のアーム62が延出している。アーム62の遠位端の間に接続部材63が延出している。アーム62は弾性部材の例である。他の弾性部材を使用することも可能である。アーム62及び接続部材63は共に、概ねU字形のサポートを形成する。概ねU字形のサポートの遠位端にロック部材70が接続されている。ロック部材70は突出体51(スタッドと呼ぶことができる)と係合し、これによってペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに固定する。
[000146] ロック部材70は、係合タブ81が設けられている1対の係合アーム80を含み、更にキャップ66も含む。図5Bで最良に見られるように、ロック部材70が突出体51と係合した場合、係合タブ81は突出体51の遠位ヘッド53の下面を押圧し、キャップ66は遠位ヘッド53の外面を押圧する。係合タブ81及びキャップ66が突出体51の遠位ヘッド53をこのように押圧することで、係合機構50Aを突出体に固定し、堅固なサブマウント10を提供する。これにより、ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAとの間に確実な接続を提供する。
[000147] キャップ66及び係合アーム80は中間アーム82a、82bから延出している。中間アーム82a、82bは接続部材63から延出し、概ね外壁60で画定された空間内でy方向に延出している。中間アーム82a、82b間に接続部材83が延出している。中間アーム82a、82b及び接続部材83は共に、概ねU字形のサポートを形成する。
[000148] 従って、アーム62及び接続部材63によって形成された第1の概ねU字形のサポートは、概ね外壁60で画定された空間内でy方向に延出し、支持アーム82a、82b及び接続部材83によって形成された第2の概ねU字形のサポートは、その空間内で逆方向に延出している。
[000149] 第1の概ねU字形のサポートを形成するアーム62はx方向に多少の柔軟性を有し、これはロック部材70のx方向の多少の移動を可能とする。このため、サブマウント10によって、そのサブマウントの位置でパターニングデバイスに対するペリクルフレームのx方向の多少の移動が可能となる。アーム62は弾性材料から形成されているので、最初の向きへ戻る傾向がある。サブマウント10は運動学的サブマウント(kinematic sub-mount)と見なすことができる。アーム62はx方向よりもz方向の方が著しく厚く(図5Bで最良に見ることができる)、その結果、x方向のアームの屈曲に比べて、z方向で可能なアームの屈曲は著しく小さい。アームはy方向に延出しているので、y方向の著しい移動は生じない。従ってアーム62は、ペリクルフレーム17のx方向の多少の移動を可能としながら、ペリクルフレーム17のy方向及びz方向の局所移動を防止するか又は実質的に防止することができる。
[000150] キャップ66は第1の支持アーム82aから延出している。係合アーム80は第2の支持アーム82bから延出している。第1の支持アーム82aはx方向でアーム62よりも著しく厚いので、アーム62に対してx方向の著しい移動を可能としない。第2の支持アーム82bはx方向でアーム62と同様の厚さを有するが、第2の支持アーム82bのx方向の移動は第1の支持アーム82aも移動する場合にのみ発生し得るので、そのような第2の支持アーム82bの移動は中間アーム82a、82b間に延出している接続部材83によって抑制される。
[000151] 係合アーム80は、第2の支持アーム82bから概ねキャップ66の方向に延出している。係合アーム80の近位端は、第2の支持アーム82bの大部分に沿って延出している(これにより、パターニングデバイスMAのパターン付与された表面に対して概ね平行な方向に係合アーム80が曲がるのを実質的に防止する)。係合アーム80は、概ねキャップ66の方向に延出するにつれてテーパ状になっている。係合タブ81は、係合アーム80の遠位端から内側へ延出して、突出体51の遠位ヘッド53の上面と係合する。係合タブ81の上方にブロック54が設けられ、以下で更に説明するようにアクチュエータ受容面を提供する。係合アーム80はz方向において弾性的に変形可能である。係合アーム80は、z方向に屈曲するよう充分に薄くすることができる。追加的に又は代替的に、係合アーム80が支持アーム82bに接続するポイントでy方向に延出している溝59によって、係合アーム80のz方向の多少の屈曲を容易にすることができる。
[000152] タブ56は外壁60から外側へ延出している。タブ56を用いて係合機構50Aをペリクルフレーム17に固定することができる。これは図3に示されているが、タブ56の構成は異なっている。
[000153] 図6に、ペリクルフレーム取付装置857の一実施形態が示されている。ペリクルフレーム取付装置857は、図2に示すペリクル取付装置857に相当するものであり得る。図6はペリクルフレーム取付装置857を断面で概略的に示す。マスクアセンブリ15は、ペリクルフレーム17及びペリクル19(図示せず)が提供されたパターニングデバイスMAを含む。フレーム17には、図3から図5に関連付けて上述した係合機構50A~50Dに相当する係合機構50が提供されている。ペリクルフレーム取付装置857のピン1090は、パーティション862の孔895を通って突出している。パーティション862は、支持構造101に相当するか、又は支持構造101の上に位置付けることができる。支持構造101にウィンドウ893、894が位置付けられ、ウィンドウ893、894の下方に結像センサ105、106が位置付けられている。ウィンドウ893、894にアライメントマーク109が設けられている。パターニングデバイスMAにもアライメントマーク704が設けられている。
[000154] ペリクルフレーム取付装置857の外周に追加の支持構造97が提供されている。追加の支持構造は、(図示されているような)固定位置を有することができ、本明細書では固定支持構造97と呼ばれる。固定支持構造97の上に中間支持構造98が提供されている。中間支持構造98は、図示のように固定支持構造97から内側に延出している。中間支持構造98は、ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに取り付ける前に、ペリクルフレーム17及びパターニングデバイスMAの双方を支持する。中間支持構造98と他の要素との間の接点99は、例えば運動学的接続とすればよい。接点99に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のコーティングを設けてもよい。
[000155] 使用中、ペリクルアセンブリ16はペリクルフレーム取付装置857にロードされる。ペリクルアセンブリ16は、汚染に暴露されることなくペリクルフレーム取付装置857へ移送できる。例えば、ペリクルアセンブリ移送デバイス881を、ペリクルフレーム取付装置857内のロードロック又は流量制御環境で受け取り、ロードロック又は流量制御環境内で移送デバイスからペリクルアセンブリ16を取り外せばよい。次いで、パーティション862の上方の制御された環境857にペリクルアセンブリ16を移送すればよい。
[000156] 例えばペリクルアセンブリハンドリングシステムを用いて、ペリクルフレーム取付装置857に対してペリクルアセンブリ16を位置決めすることができる。ペリクルアセンブリハンドリングシステムは、ペリクルアセンブリ把持部を含み得る。図7は、ペリクルアセンブリ把持部400の一例を示す。図7Aは、ペリクルアセンブリ把持部400の上面図を示す。また、図7Aはペリクルアセンブリ16も示す。図7Aに示されているペリクルアセンブリ16は、図3に示されているペリクルアセンブリ16に対応し得る。図7Bは、ペリクルアセンブリ把持部400の斜視図を示す。ペリクルアセンブリ把持部400は、第1のアーム402a、第2のアーム402b、複数のペリクルアセンブリ位置合わせ部406、及び複数のペリクルアセンブリ支持パッド408を備えている。
[000157] 第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々は、ベース部410及びグリップ部412を備えている。第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々のベース部410は、ペリクルアセンブリ把持部制御装置422に移動可能に取り付けられている。具体的には、第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々のベース部410は、ペリクルアセンブリ把持部制御装置422に回転可能に又は枢動可能に取り付けられている。第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々は、少なくとも開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるものとして記載できる。第1のアーム402aのグリップ部412と第2のアーム402bのグリップ部412との間のギャップ414は、変動させることができる。ギャップ414は、第1のアーム402a及び第2のアーム402bの一方又は双方を移動させることによって変動可能である。ギャップ414は、ペリクルアセンブリ把持部制御装置422の一部を形成するペリクルアセンブリ把持部制御ノブ424を用いて変動可能である。ペリクルアセンブリ把持部制御ノブ424は、これを回転させるとアーム402a、402bの位置及び/又は回転が変化し、これによってギャップ414を変化させるように構成されている。ペリクルアセンブリ把持部400は、開放構成又は閉鎖構成であるものとして記載できる。ペリクルアセンブリ把持部400の開放構成は、ペリクルアセンブリ把持部400の第1のアーム402a及び第2のアーム402bによって画定されるギャップ414が、ペリクルアセンブリ把持部400が閉鎖構成である場合に存在するギャップ414よりも広いことに対応し得る。図7では、ペリクルアセンブリ把持部400は閉鎖構成で図示されている。ペリクルアセンブリ把持部400の閉鎖構成において、ギャップ414はペリクルフレーム17の外側寸法とほぼ同じサイズである。ペリクルアセンブリ把持部400の開放構成では、ギャップ414はペリクルフレーム17の前述の外側寸法よりも大きい。
[000158] 複数のペリクルアセンブリ位置合わせ部406及び複数のペリクルアセンブリ支持パッド408は、各アーム402a、402bのグリップ部412上に少なくとも1つのペリクルアセンブリ位置合わせ部406及び少なくとも1つのペリクルアセンブリ支持パッド408が置かれるように配置されている。図7に示されているペリクルアセンブリ把持部400は、各アーム402a、402b上に2つのペリクルアセンブリ位置合わせ部406及び2つのペリクルアセンブリ支持パッド408を備えている。各ペリクルアセンブリ位置合わせ部406は、ギャップ414内に配置されている。各ペリクルアセンブリ支持パッド408は、ギャップ414内に配置されている。ペリクルアセンブリ位置合わせ部406及びペリクルアセンブリ支持パッド408の概ね立方体状の本体416の表面は、概ね平坦とすることができる。特に、ギャップ414と向かい合うペリクルアセンブリ位置合わせ部406及びペリクルアセンブリ支持パッド408の概ね立方体状の本体416の面は、概ね平坦とすることができる。各ペリクルアセンブリ支持パッド408は、棚(shelf)420が設けられた概ね立方体状の本体416を備えている。各棚420は、対応する概ね立方体状の本体416から突出している。各棚420はギャップ414内へ突出している。各支持パッド408は、概ねL字形のものとして記載できる。支持パッド408の突出部(すなわち棚420)は、突起部(ledge)を与えるものとして記載できる。支持パッド408の棚420は、ペリクルフレーム17の部分を支持するような形状及び配置となっている。各棚420は、ペリクルアセンブリ16の傾斜部49(図3を参照のこと)を支持できるように構成されている。特に、支持パッド408の棚420は、ペリクルアセンブリ16がペリクルアセンブリ把持部400のグリップ部412内に配置された場合、かつペリクルアセンブリ把持部400が閉鎖構成である場合に、ペリクルフレーム17の傾斜部49を支持するような形状及び配置となっている。支持パッド408の棚420は、ペリクルアセンブリ16の傾斜部49の表面に局所的に接触し、ペリクルアセンブリ16を支持するようにペリクルアセンブリ16の面に対して概ね垂直な力をこの表面に加えるよう構成されている。
[000159] 各ペリクルアセンブリ位置合わせ部406は、アライメントヘッド418に取り付けられた概ね立方体状の本体416を備えている。各アライメントヘッド418は、対応する概ね立方体状の本体416の一部から突出している。各アライメントヘッド418はギャップ414内へ突出している。各アライメントヘッド418は丸みを帯びた形状とすることができる。位置合わせ部406のアライメントヘッド418は、ペリクルフレーム17の部分と接触するような形状及び配置になっている。各アライメントヘッド418は、ペリクルアセンブリ16の傾斜部49(図3を参照のこと)のエッジと接触できるように構成されている。具体的には、支持パッド408のアライメントヘッド418は、ペリクルアセンブリ16がペリクルアセンブリ把持部400のグリップ部412内に配置された場合、かつ、ペリクルアセンブリ把持部400が閉鎖構成である場合に、ペリクルフレーム17が所定の位置にあることを保証するような形状及び配置になっている。位置合わせ部406のアライメントヘッド418は、ペリクルアセンブリ16の傾斜部49の表面に局所的に接触し、ペリクルアセンブリ16を位置合わせするように概ねペリクルアセンブリ16の面内の力をこの表面に加えるよう構成されている。
[000160] 複数のペリクルアセンブリ位置合わせ部406及び複数のペリクルアセンブリ支持パッド408は、PEEKから形成することができる。あるいは、複数のペリクルアセンブリ位置合わせ部406及び/又は複数のペリクルアセンブリ支持パッド408は、異なる材料から形成してもよい。
[000161] ペリクルアセンブリ把持部400のコンポーネントは、ユーザ要求に従って形成することができる。第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々は、材料の連続的なセクションから形成され得る。第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々は、材料の複数のサブセクションから形成され得る。第1のアーム402a及び第2のアーム402bの各々は、1つ以上の切り欠き(例えば空隙、開口、又はくぼみ)を含み得る。切り欠きは、アーム402a、402bの重量を軽減するために有益であり得る。切り欠きは、アーム402a、402bの製造コストを削減するために有益であり得る。切り欠きは、鋭いかどを含まないように形成され得る。切り欠きのかどは丸めることができる。切り欠きの丸めたかどは、(丸めたかどが設けられていない場合と比べて)切り欠きが設けられている構造内の機械的応力を軽減するために有益であり得る。図7では、第1のアーム402aは丸めたかどを有する単一の切り欠きを含み、第2のアームは丸めたかどを有する2つの切り欠きを含む。
[000162] 切り欠きは、内部ヒンジポイント419を提供することができる(例えば一体型ヒンジ(living hinge)として形成される)。切り欠きは、ヒンジポイントによって可能となる移動に対して端部停止を与えるような形状とすることができる。切り欠きは、ペリクルアセンブリ把持部400の構造のアクティブ部分を構成するものとして記載できる。有利な点として、切り欠きは、(標準的なヒンジの使用に比べて)コンポーネント間の摩擦を軽減できる。摩擦の軽減によって、微粒子の発生とその後の汚染を抑えることができる。更に、切り欠きは、(標準的なヒンジに比べて)公差の蓄積(tolerance build-up)を低減することができる。
[000163] パターニングデバイスMA(スタッド51を備えている)は、汚染物質に暴露されることなくペリクルフレーム取付装置857へ移送することができる。例えば、ペリクルフレーム取付装置857内のロードロック又は流量制御環境内にマスク移送デバイス881を受容し、このロードロック又は流量制御環境内で移送デバイスからパターニングデバイスMAを取り外すことができる。次いで、パターニングデバイスMAをパーティション862の上方の制御された環境857へ移送することができる。
[000164] パターニングデバイスMAは、例えばパターニングデバイスハンドリングシステムを用いてペリクルフレーム取付装置857に対して位置決めすることができる。パターニングデバイスハンドリングシステムはパターニングデバイス把持部を備えることができる。図8はパターニングデバイス把持部500の一例を示す。図8Aはパターニングデバイス把持部500の上面図を示す。図8Bはパターニングデバイス把持部500の斜視図を示す。パターニングデバイス把持部500は、第1のアーム502a、第2のアーム502b、第3のアーム502c、複数のパターニングデバイス位置合わせ部506、及び複数のパターニングデバイス支持フィンガ508を備えている。
[000165] 第1のアーム502a及び第2のアーム502bの各々は概ねL字形である。第1のアーム502a及び第2のアーム502bの各々は、ベース部501及び遠位部503を備えている。ベース部501及び対応する遠位部503は概ね相互に垂直である。第1のアーム502a及び第2のアーム502bの各々のベース部501は、パターニングデバイス把持部制御システム522から延出している。第1のアーム502aのベース部501及び第2のアーム502bのベース部501は、概ね相互に垂直である。第3のアーム502cは、第2のアーム502bのベース部501と概ね同じ形状である。第3のアーム502cは遠位部を含まない。図8Aに示されているパターニングデバイス把持部500の上面図では、第3のアーム502cは第2のアーム502bによって図から概ね隠れている。第3のアーム502cは、第2のアーム502bのベース部501の真下に配置されているものとして記載できる。図8A及び図8Bの図では第3のアーム502cが概ね隠れているので、これらの図には、(第2のアーム502bの下の)第3のアームの空間的範囲を示す領域516が示されている。
[000166] アーム502a、502b、502cの各々のベース部501は、パターニングデバイス把持部制御装置522に固定されている。アーム502a、502b、502cの各々のベース部501は、パターニングデバイス把持部制御装置522に移動可能に取り付けられている。具体的には、アーム502a、502b、502cの各々のベース部501は、パターニングデバイス把持部制御装置522に回転可能に又は枢動可能に取り付けられている。アーム502a、502b、502cの各々がパターニングデバイス把持部制御装置522に取り付けられているポイントは、ばねで留められている。アーム502a、502b、502cの各々は、アーム502a、502b、502cの各々がパターニングデバイス把持部制御装置522に移動可能に取り付けられたポイントによって画定された軸を中心として、(パターニングデバイス把持部制御システム522に対して)それぞれ回転可能である。アーム502a、502b、502cの各々は、少なくとも開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるものとして記載できる。アーム502aのベース部501とアーム502b、502cのベース部501との間の角度は、アーム502a、502b、502cの移動によって変動させることができる。しかしながら、アーム502a、502b、502cの各々が閉鎖位置に配置されている場合、アーム502aのベース部501はアーム502b、502cのベース部501に対して概ね垂直である。アーム502a、502b、502cは、アーム502a、502b、502cがそれらの間に概ね矩形の空間514を画定するような形状及び配置になっている。
[000167] 概ね矩形の空間514はサイズ及び形状を変動させることができる。概ね矩形の空間514のサイズ及び形状は、パターニングデバイス把持部制御システム522に対してアーム502a、502b、502cを移動させることによって変動可能である。概ね矩形の空間514のサイズ及び形状は、パターニングデバイス把持部制御装置522の一部を形成するパターニングデバイス把持部制御ノブ524を用いて変動可能である。パターニングデバイス把持部制御ノブ524は、これを回転させると(パターニングデバイス把持部制御システム522に対する)アーム502a、502b、502cの位置及び/又は回転が変化し、これによって概ね矩形の空間514のサイズ及び形状を変化させるように構成されている。パターニングデバイス把持部500は、開放構成又は閉鎖構成であるものとして記載できる。パターニングデバイス把持部500の開放構成は、パターニングデバイス把持部500のアーム502a、502b、502cによって画定される概ね矩形の空間514が、パターニングデバイス把持部500が閉鎖構成である場合に存在する概ね矩形の空間514よりも大きいことに対応し得る。図8では、パターニングデバイス把持部500は閉鎖構成で図示されている。パターニングデバイス把持部500の閉鎖構成では、概ね矩形の空間514の寸法はパターニングデバイスMAの2つの外側寸法と同様であるが、それらよりもわずかに小さい。パターニングデバイス把持部500が閉鎖構成にある場合、アーム502a、502b、502cの各々とパターニングデバイス把持部制御システム522との間のばね留め接続によって、概ね矩形の空間514をパターニングデバイスMAの2つの外側寸法のサイズまで拡大できる。パターニングデバイス把持部500の開放構成では、概ね矩形の空間514は、パターニングデバイスMAの2つの外側寸法で画定される空間よりも大きい。
[000168] 各パターニングデバイス支持フィンガ508は突出体510を備えている。各突出体510は、アーム502a、502b、502cのうち1つから概ね矩形の空間514内へ突出している。図8に示されているパターニングデバイス把持部500では、第1のアーム502aのベース部501に1つのパターニングデバイス支持フィンガ508が取り付けられ、第1のアーム502aの遠位部503に1つのパターニングデバイス支持フィンガ508が取り付けられ、第2のアーム502bのベース部501に1つのパターニングデバイス支持フィンガ508が取り付けられている。
[000169] パターニングデバイス支持フィンガ508の突出体510は、突起部を与えるものとして記載できる。パターニングデバイス支持フィンガ508の突出体510は、パターニングデバイスMAの部分を支持するような形状及び配置となっている。特に、支持フィンガ508の突出体510は、パターニングデバイスMA16が概ね矩形の空間514内に配置された場合、かつパターニングデバイス把持部500が閉鎖構成である場合に、パターニングデバイスMAの部分を支持するような形状及び配置となっている。パターニングデバイス支持フィンガ508の突出体510は、パターニングデバイスの表面に局所的に接触し、パターニングデバイスを支持するようにパターニングデバイスの面に対して概ね垂直な力をこの表面に加えるよう構成されている。
[000170] 各パターニングデバイス位置合わせ部506は概ね円筒形の部材を含む。概ね円筒形の部材はホイール(wheel)として記載できる。各パターニングデバイス位置合わせ部506は、長手方向軸を中心として回転可能であるように、軸及び1つ以上の補足部材を用いてアーム502a、502b、502cのうち1つに取り付けられている。各パターニングデバイス位置合わせ部506は、アーム502a、502b、502cのうち1つから概ね矩形の空間514内へ突出している。図8に示されているパターニングデバイス把持部500では、第1のアーム502aのベース部501に1つのパターニングデバイス位置合わせ部506が取り付けられ、第1のアーム502aの遠位部503に1つのパターニングデバイス位置合わせ部506が取り付けられ、第3のアーム502cに1つのパターニングデバイス位置合わせ部506が取り付けられ、第2のアーム502bの遠位部503に2つのパターニングデバイス位置合わせ部506が取り付けられている。パターニングデバイス位置合わせ部506は、パターニングデバイスMAの部分と接触するような形状及び配置になっている。具体的には、パターニングデバイス位置合わせ部506は、パターニングデバイスMAが概ね矩形の空間514内に配置された場合、かつパターニングデバイス把持部500が閉鎖構成である場合に、パターニングデバイスMAが所定の位置にあることを保証するような形状及び配置になっている。パターニングデバイス位置合わせ部506は、パターニングデバイスMAの表面に局所的に接触し、パターニングデバイスMAを位置合わせするように概ねパターニングデバイスMAの面内の力をこの表面に加えるよう構成されている。
[000171] 複数のパターニングデバイス位置合わせ部506及び複数のパターニングデバイス支持フィンガ508は、PEEKから形成することができる。あるいは、複数のパターニングデバイス位置合わせ部506及び/又は複数のパターニングデバイス支持フィンガ508は、異なる材料から形成してもよい。
[000172] パターニングデバイス把持部500のコンポーネントは、ユーザ要求に従って形成することができる。アーム502a、502b、502cの各々は、材料の連続的なセクションから形成され得る。アーム502a、502b、502cの各々は、材料の複数のサブセクションから形成され得る。アーム502a、502b、502cの各々は、1つ以上の切り欠き(例えば空隙、開口、又はくぼみ)を含み得る。上記の切り欠きは、アーム502a、502b、502cの重量を軽減するために有益であり得る。上記の切り欠きは、アーム502a、502b、502cの製造コストを削減するために有益であり得る。上記の切り欠きは、鋭いかどを含まないように形成され得る。上記の切り欠きのかどは丸めることができる。切り欠きの丸めたかどは、(丸めたかどが設けられていない場合と比べて)切り欠きが設けられている構造内の機械的応力を軽減するために有益であり得る。図8では、パターニングデバイス把持部500のアーム502a、502b、502cの各々は、丸めたかどを有する複数の切り欠きを含む。
[000173] 切り欠きは、内部ヒンジポイントを提供することができる(例えば一体型ヒンジとして形成される)。切り欠きは、ヒンジポイントによって可能となる移動に対して端部停止を与えるような形状とすることができる。切り欠きは、パターニングデバイス把持部500の構造のアクティブ部分を構成するものとして記載できる。有利な点として、切り欠きは、(標準的なヒンジの使用に比べて)コンポーネント間の摩擦を軽減できる。摩擦の軽減によって、微粒子の発生とその後の汚染を抑えることができる。更に、切り欠きは、(標準的なヒンジに比べて)公差の蓄積を低減することができる。
[000174] 図9Aは、図7A及び図7Bに示されているペリクルアセンブリ把持部400と、図8A及び図8Bに示されているパターニングデバイス把持部500と、を備える例示的な機構200を示す。
[000175] 図9Aに示されているように、第1のアーム402a、第2のアーム402b、及びペリクルアセンブリ把持部制御システム422は、第1の中間部材426に取り付けられている。第1の中間部材426は、ハンドル428、垂直制御ノブ430、及びロックブロック432を備えている。同様に、パターニングデバイス把持部制御システム522は第2の中間部材526に取り付けられている。第2の中間部材526は、ハンドル528、垂直制御ノブ530、及びロックブロック532を備えている。第1の中間部材426はダンパアセンブリ201に取り付けられている。第2の中間部材526はダンパアセンブリ202に取り付けられている。
[000176] 図9Bにダンパアセンブリ202が更に詳しく図示されている。ダンパアセンブリ202は、キャビティ212を有する本体210、及びキャビティ212内に配置されたダンパ機構214を備えている。ダンパ機構214は、ピストン筐体204、ピストン206、及び締結手段208を備えている。ピストン206は、ピストン筐体204に対して移動することができる。ピストン206は、概ね1つの次元のみでピストン筐体204に対して移動できる。この次元はz次元とすることができる(図9A及び図9Bの軸を参照のこと)。ピストン206はピストン筐体204の端部に移動可能に取り付けられて、ピストン筐体204内に収容される範囲を変動できるようになっている。ピストン206は、外力が作用しない限り概ね静止状態を維持する。ピストン206の機能は、移動を減衰させることである。減衰は、ピストン筐体204内の油圧減衰機構を用いて達成できる。ダンパ機構214は、ピストン206が移動できる1つの次元で、(ピストン筐体204に対する)ピストン206の移動を減衰することができる。締結手段208は、ピストン筐体204に近接したピストン206の端部とは反対側のピストン206の端部に固定されている。
[000177] 図9Aに示されている機構200において、第2の中間部材526はパターニングデバイス把持部500を支持し、第2の中間部材526は締結手段208に固定されている。垂直制御ノブ530は、パターニングデバイス把持部500の一部を上昇又は下降させるように動作可能である。これは、パターニングデバイス把持部500を用いたパターニングデバイスMAの位置決めのために有用であり得る。垂直制御ノブ530は手動で動作させることができる。パターニングデバイス把持部500の垂直方向(図9のz方向)の移動は、ダンパアセンブリ202によって減衰させることができる。具体的には、垂直制御ノブ530を用いることで生じるパターニングデバイス把持部500の垂直方向の移動を、ダンパアセンブリ202によって減衰させることができる。第2の中間部材526を締結手段208に締結することに加えて、ダンパ機構214によるパターニングデバイス把持部500の移動の減衰を可能としながら第2中間部材526を他の手段によってダンパアセンブリ202に取り付けてもよい。
[000178] 第1の中間部材426及びダンパアセンブリ201が、それぞれ第2の中間部材526及びダンパアセンブリ202とほぼ同じコンポーネントを含み得ることは認められよう。更に、第1の中間部材426及びダンパアセンブリ201が、それぞれ第2の中間部材526及びダンパアセンブリ202とほぼ同じ機能性を与え得ることも認められよう。具体的には、ペリクルアセンブリ把持部400の垂直方向の移動は垂直制御ノブ430によって実施することができ、ペリクルアセンブリ把持部400の垂直方向の移動はダンパアセンブリ201によって減衰させることができる。
[000179] ダンパアセンブリ201及びダンパアセンブリ202の各々は、レール218に移動可能に取り付けられている。第2の中間部材526はパターニングデバイス把持部500を支持し、ダンパアセンブリ202の締結手段208に取り付けられている。第1の中間部材426はペリクルアセンブリ把持部400を支持し、ダンパアセンブリ202の締結手段208と同等のダンパアセンブリ201の締結手段に取り付けられている。
[000180] 図9Cにロックブロック432が更に詳しく図示されている。ロックブロック432は、筐体222、ピン224、ピンハンドル226、ホイール228、及び複数の締結ボルト230を備えている。ロックブロック432の筐体222は、複数の締結ボルトを用いて第1の中間部材426及びダンパアセンブリ201に固定されている。ピン224は筐体222内に配置され、筐体222の両側から突出している。ピンハンドル226は、ピン224の一端に取り付けられている。ホイール228は、ピンハンドル226とは反対側のピン224の端部に配置され、ホイール228の中央開口からピン224が突出するようになっている。ホイール228及びピン224は共通の長手方向軸を有する。ホイール228は、ホイール228とピン224の共通の長手方向軸を中心として回転するよう動作可能であるように筐体222に取り付けられている。ホイール228は、玉軸受けを含む機構を用いて筐体222に取り付けることができる。ピン224とホイール228との間に別の玉軸受け機構を提供してもよい。ピン224は、ホイール228とピン224の共通の長手方向軸に対して平行な方向に移動するよう動作可能である。筐体222内に収容されている機構(ばね機構等)によって、ピン224が筐体222の表面から所定量だけ突出している平衡位置にピン224を偏奇させる。ピンハンドル226は、ピン224がホイール228とピン224の共通の長手方向軸に対して平行な方向に移動するよう動作させることができる。具体的には、ピンハンドル226を手で引っ張ることで、ピン224をピンハンドル226へ向かう方向に移動させることができる。ピンハンドル226が動作されていない場合は、筐体222内に収容されている機構(ばね機構等)が、ピン224の平衡位置へピン224を戻す。
[000181] 図9Dは、トラック232、234を強調表示した状態でレール218を示す。ロックブロック432のホイール228は、レール218内に配置された第1のトラック232内に収まるような寸法である。第1のトラック232は、概ねx方向に対して平行な直線である経路を画定する(図9Dの軸を参照のこと)。ハンドル428(図9Aを参照のこと)を用いて、レール218の第1のトラック232に沿ってペリクルアセンブリ把持部400を手動で移動させることができる。ロックブロック432を用いて、レール218の第1のトラック232に対してペリクルアセンブリ把持部400の位置をロックすること及びロック解除することができる。ロックブロック432が動作されていない場合、ピン224は筐体222から突出し、レール218と係合することで、第1のトラック232によって画定される経路に沿ってペリクルアセンブリ把持部400の位置が固定される。ピンハンドル226を引っ張ると、ピン224は少なくとも部分的に筐体222内へ引っ込み、レール218と係合しなくなるので、ハンドル428を用いて、第1のトラック232で画定される経路に沿ってペリクルアセンブリ把持部400を移動させることができる。
[000182] ロックブロック532はロックブロック432と同等である。上述したロックブロック432、第1の中間部材426、及びダンパアセンブリ201と同等の設定で、ロックブロック532の筐体は、複数の締結ボルトを用いて第2の中間部材526及びダンパアセンブリ202に固定されている。ロックブロック532のホイールは、図9Dに示されているレール218内に配置された第2のトラック234内に収まるような寸法である。第2のトラック234が画定する経路は、一部が概ねx方向に対して平行な直線であり、一部がz方向の成分を有し(図9Dを参照のこと)、第2のトラック234が部分的に第1のトラック232の下方に配置されるようになっている。ハンドル528(図9Aを参照のこと)を用いて、レール218の第2のトラック234に沿ってパターニングデバイス把持部500を手動で移動させることができる。ロックブロック532は、上述したロックブロック432と同様に、レール218の第2のトラック234に対してパターニングデバイス把持部500の位置をロックするため及びロック解除するための機構を提供する。
[000183] ロックブロック432、532は、把持部400、500の位置をロックするように動作可能である。これは、把持部400、500を用いてペリクルアセンブリ16及びパターニングデバイスMAをペリクルフレーム取付装置857(図6を参照のこと)の中間支持構造98へ提供する場合に有用であり得る。これについては以下で詳述する。更に、第1のトラック232に沿ってペリクルアセンブリ把持部400を移動させること、又は第2のトラック234に沿ってパターニングデバイス把持部500を移動させることは通常、両手の使用を必要とする(一方の手はハンドル428、528を持ち、もう一方の手はピンハンドル226を動作させる)。これによって、トラック232、234に対する把持部400、500の移動中に垂直制御ノブ430、530を偶発的に動作させることを防止できる。これは安全機構として記載することができる。
[000184] ペリクルアセンブリ把持部400は、ペリクルアセンブリ16を把持するように動作可能である。ペリクルアセンブリ把持部400及び/又はペリクルアセンブリ16は、ペリクルアセンブリ把持部400が開放構成である場合に第1のアーム402a及び第2のアーム402bがペリクルアセンブリ16を取り囲むように操作することができる。次いで、ペリクルアセンブリ把持部400が閉鎖構成になるように、ペリクルアセンブリ把持部制御ノブ424を用いてペリクルアセンブリ把持部400のアーム402a、402bを移動させることができる。この動作によってペリクルアセンブリ16を把持できる。複数のペリクルアセンブリ位置合わせ部406は、ペリクルアセンブリ16が所望の位置にあることを保証する。複数のペリクルアセンブリ支持パッド408は、ペリクルアセンブリ16を支持する。具体的には、ペリクルアセンブリ16はペリクルアセンブリ把持部400に提供され、支持パッド408の突出体420は、パターニングデバイスMAに向かい合わないペリクルフレーム17の側面と接触するように配置される。ペリクルアセンブリ位置合わせ部406及びペリクルアセンブリ支持パッド408は、ペリクルアセンブリ16のペリクルフレーム17に直接接触する(他のコンポーネントはこれと接触しない)。従って、ペリクルアセンブリ把持部400を用いてペリクルフレーム17の周囲のごく小さい部分だけに接触する。有利な点として、これにより、ペリクルフレーム17の周囲のより大きい部分に接触する把持部に比べ、ペリクルフレーム16が粒子で汚染されるリスクを軽減できる。
[000185] ペリクルアセンブリ把持部400及び制御システム870(図6を参照のこと)は、ペリクルフレーム取付装置857の一部を形成し得る。ペリクルアセンブリ把持部400(ペリクルアセンブリ16を把持する)及び/又は制御システム870を操作して、ペリクルアセンブリ16をペリクルフレーム取付装置857のパーティション862の上方の位置に置くことができる。次いで、ペリクルアセンブリ把持部制御ノブ424を用いてペリクルアセンブリ把持部400を開放構成に切り換えることによって、ペリクルアセンブリ把持部400はペリクルアセンブリ16を中間支持構造98(図6を参照のこと)上に解放できる。
[000186] パターニングデバイス把持部500は、パターニングデバイスMAを把持するように動作可能である。パターニングデバイス把持部500及び/又はパターニングデバイスMAは、パターニングデバイス把持部500が開放構成である場合にアーム502a、502b、502cがパターニングデバイスMAを取り囲むように操作することができる。次いで、パターニングデバイス把持部500が閉鎖構成になるように、パターニングデバイス把持部制御ノブ524を用いてアーム502a、502b、502cを移動させることができる。この動作によってパターニングデバイスMAを把持できる。複数のパターニングデバイス位置合わせ部506は、パターニングデバイスMAが所望の位置にあることを保証する。複数のパターニングデバイス支持フィンガ508は、パターニングデバイスMAを支持する。パターニングデバイス位置合わせ部506及びパターニングデバイス支持フィンガ508は、パターニングデバイスMAに直接接触する(他のコンポーネントはこれと接触しない)。従って、パターニングデバイス把持部500を用いてパターニングデバイスMAのごく小さい部分だけに接触する。有利な点として、これにより、パターニングデバイスMAのより大きい部分に接触する把持部に比べ、パターニングデバイスMAが粒子で汚染されるリスクを軽減できる。
[000187] パターニングデバイス把持部500及び制御システム870(図6を参照のこと)は、ペリクルフレーム取付装置857の一部を形成し得る。パターニングデバイス把持部500(パターニングデバイスMAを把持する)及び/又は制御システム870を操作して、パターニングデバイスMAをペリクルフレーム取付装置857のパーティション862の上方の位置に置くことができる。次いでパターニングデバイス把持部500は、上述したように、すでに中間支持構造98上に置かれているペリクルアセンブリ16の上方にパターニングデバイスMAが配置されるように、パターニングデバイスMAをペリクルフレーム取付装置857の中間支持構造98上に解放することができる。パターニングデバイス把持部制御ノブ524を用いてパターニングデバイス把持部500を開放構成に切り換えることによって、パターニングデバイス把持部500はパターニングデバイスMAを解放できる。
[000188] 例えばパターニングデバイスMAが落下することにより、パターニングデバイスMAは損傷する可能性がある。例えば、パターニングデバイスMAがパターニングデバイス把持部500の概ね矩形の空間514内に落下することにより、パターニングデバイスMAは損傷し得る。第2の中間部材526はダンパアセンブリ202を介してレール218に取り付けられているので、z軸に対して平行なパターニングデバイス把持部500の移動は減衰される。従ってダンパアセンブリ202は、パターニングデバイスMAがパターニングデバイス把持部500の概ね矩形の空間514内に落下する衝撃力を軽減することができる。有利な点として、これはパターニングデバイスMAに対する損傷を軽減できる。
[000189] 上述のようにペリクルアセンブリ把持部400を操作することは、レール218の第1のトラック232に対してペリクルアセンブリ把持部400を移動させることを含み得る。これは手動で実行できる。ペリクルアセンブリ把持部400を手動で移動させるため、ハンドル428を使用できる。上述のようにパターニングデバイス把持部500を操作することは、レール218の第2のトラック234に対してパターニングデバイス把持部500を移動させることを含み得る。これは手動で実行できる。パターニングデバイス把持部500を手動で移動させるため、ハンドル528を使用できる。レール218は、ペリクルアフレーム取付装置857の一部を形成し得る。
[000190] 図9Aに示されている機構200の代替的な機構では、第1の中間部材426及び第2の中間部材526の一方又は双方を直接レール218に移動可能に取り付けてもよい(すなわち、ダンパアセンブリ201、202を設けない)ことは認められよう。別の代替案として、ペリクルアセンブリ把持部400及びパターニングデバイス把持部500を別個のレールに移動可能に取り付けてもよい(ダンパアセンブリ201、202を設けて又は設けずに)。(図9Aの機構200に示されているように)ペリクルアセンブリ把持部400及びパターニングデバイス把持部500を共通のレール218に移動可能に取り付けると、ペリクルアセンブリ16及びパターニングデバイスMAのいっそう正確な相対位置決めが可能となり得る。
[000191] ペリクルアセンブリ把持部400及びパターニングデバイス把持部500について、ペリクルフレーム取付装置857の文脈で上述した。ペリクルアセンブリ把持部400及びパターニングデバイス把持部500は、他の用途のためにペリクルアセンブリ16及びパターニングデバイスMAをそれぞれ操作するよう動作可能であることは認められよう。例えば、ペリクルアセンブリ把持部400を用いてペリクル取付装置855(図2を参照のこと)内でペリクルアセンブリ16を取り扱うことができる。別の例として、パターニングデバイス把持部500を用いてスタッド取付装置840(図2を参照のこと)内でパターニングデバイスMAを取り扱うことができる。上述したペリクルアセンブリ把持部400及びパターニングデバイス把持部500の利点は概ね、ペリクルアセンブリ把持部400及びパターニングデバイス把持部500を他の用途で用いる場合にも適用される。
[000192] 図6に戻ると、ペリクルフレーム取付装置857はアクチュエータ111を含む。アクチュエータ111を用いて、ペリクルアセンブリ16の位置をx、y、及びz方向に調整すると共に、ペリクルアセンブリをz方向を中心として回転させることができる。
[000193] パーティション862には4つのウィンドウ893、894が設けられている。ウィンドウ893、894は、例えばクォーツから形成することができる。2つのウィンドウ893は、結像センサ106がパターニングデバイスMA上に提供されたアライメントマークを見ることができるように位置決めされている。なお、図6で見えるのは、2つのウィンドウ893のうち1つのみと、2つの結像センサ106のうち1つのみである。他の2つのウィンドウ894は、結像センサ105がペリクルフレーム17を見る(例えばペリクルフレームのかどを見る)ことができるように位置決めされている。
[000194] 図10は、結像センサ105を用いてペリクルアセンブリ16の位置を測定するための機構600を更に詳しく示す。図10に示されている装置の機構600は、図6に示されているペリクルフレーム取付装置857の一部を形成し得る。図10に示されている装置の機構600は、図6に示されていないコンポーネントを示している。これらのコンポーネントは、ペリクルフレーム取付装置857の一部を形成し得るが、明確さのため図6には示されていない。なお、図10の装置は、図6の装置に対して垂直な向きを有する。
[000195] 機構600は、結像センサ105、放射源602、ビームスプリッタ604、4分の1波長板606、アライメントマーク109を備えるウィンドウ894、保護ウィンドウ607、ペリクルフレーム17を有するペリクル19、及びパターニングデバイスMAを備えている。結像センサ105はセンサ素子のアレイを含み、例えばカメラとすればよい。放射源602は発光ダイオード(LED)とすればよい。ウィンドウ894、607は概ね透明とすることができる。保護ウィンドウ607は、粒子汚染又は他のデブリからアライメントマーク109を保護することができる。
[000196] 図10では、結像センサ105、ウィンドウ894、保護ウィンドウ607、ペリクル19、及びパターニングデバイスMAは、図6に示されているのと同様に配置されている。ビームスプリッタ604は、結像センサ105とウィンドウ894との間に配置されている。4分の1波長板606は、ビームスプリッタ604とウィンドウ894との間に配置されている。結像センサ105、ビームスプリッタ604、4分の1波長板606、ウィンドウ894、及び保護ウィンドウ607は、それらが全て軸618上にあり、軸618の方向で離隔されるように位置合わせされたものとして記載できる。この軸618はz軸である。放射源602は、ビームスプリッタ604に近接して配置されている。放射源602は、放射源602及びビームスプリッタ604が軸に対して垂直な方向608(y軸等)で分離されるように配置されている。
[000197] 機構600を光学測定システムと呼ぶことができる。図10に例示されている光学測定システムは、アライメントマーク109に対してペリクルフレーム17の位置を測定するように動作可能である。光学測定システムは、5μm以上の精度でペリクルフレーム17の位置の測定値を提供できる。光学測定システムは、テレセントリック光学システムに基づき得る。
[000198] 使用中、放射源602は、軸618に対して垂直な方向に非偏光ビーム608を放出する。非偏光ビーム608はビームスプリッタ604に入射する。ビームスプリッタ604は、非偏光ビーム608を、相互に垂直な方向に伝搬する2つの直線偏光ビーム610、612に分割する。第1のビーム610はp偏光である。すなわち、第1のビーム610は直線偏光であり、偏光方向は入射面に対して垂直である(すなわち図10の面外)。第1のビーム610は、放射源602により放出された非偏光ビーム608と同じ方向に伝搬する。第2のビーム612はs偏光である。すなわち、第2のビーム612は直線偏光であり、偏光方向は入射面に対して平行である(すなわち図10の面内)。第2のビーム612は軸618に対して平行に、4分の1波長板606の方へ伝搬する。
[000199] 4分の1波長板606は、この4分の1波長板606の軸が第2のビーム612の直線偏光の方向に対して45度に位置合わせされるよう配置されている。4分の1波長板606を通って伝搬した第2のビーム612は、円偏光ビーム614になる。円偏光ビーム614は少なくとも部分的に、ウィンドウ894、保護ウィンドウ607、ペリクル19、及び/又はペリクルフレーム17を透過することができる。円偏光ビーム614は少なくとも部分的に、アライメントマーク109、ペリクル19、ペリクルフレーム17、及び/又はパターニングデバイスMAから反射することができる。反射した円偏光ビーム614は、円偏光ビーム614の円偏光の方向とは反対方向の円偏光を有する反射円偏光ビーム616になる。反射円偏光ビーム616は4分の1波長板606の方へ伝搬する。
[000200] 4分の1波長板606を通って伝搬した反射円偏光ビーム616は、直線偏光ビーム618になる。直線偏光ビーム618の直線偏光の方向は、第2のビーム612の直線偏光の方向に対して90度回転している。具体的には、第2のビーム612はs偏光であり(図10の面内の偏光方向を有する)、直線偏光ビーム618はp偏光である(図10の面外の偏向方向を有する)。直線偏光ビーム618はビームスプリッタ604を通って伝搬する。直線偏光ビーム618のp偏光の結果として、直線偏光ビーム618はビームスプリッタ604によって分割されない。直線偏光ビーム618は、透過ビーム620としてビームスプリッタ604を透過する。次いで透過ビーム620は結像センサ105に入射する。
[000201] 円偏光ビーム614からの放射に対して、ペリクル19は、ペリクルフレーム17(この放射の実質的に全てを阻止し得る)よりも透過性を高くすることができる。円偏光ビーム614の少なくとも一部は、パターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMAによって反射される。ペリクルフレーム17のエッジは、パターニングデバイスMAから反射された光を遮断することができる。パターニングデバイスMAで反射された放射の少なくとも一部は、(透過ビーム620として)結像センサ105に入射し、結像センサ105において、ペリクルフレーム17のエッジの位置に応じて変動する測定空間強度(測定画像等)を有し得る。特に、ペリクル19とペリクルフレーム17との光透過レベルの差は、強度測定において空間コントラストを与えることができる。この空間コントラストは、ペリクルアセンブリ16の位置の測定において、更にその後のペリクルアセンブリ16の位置合わせにおいて、特に有用であり得る。例えば、結像センサ105によって結像されるアライメントマーク109に対してペリクルアセンブリ16の位置を測定できる。
[000202] 4分の1波長板606は、パターニングデバイスMAから反射した光(反射円偏光ビーム616等)が4分の1波長板606を通って伝搬する際に、この光の(電界強度の2つの直交成分間の)位相シフトを実行する。この位相シフトは、パターニングデバイスMAから反射した光がビームスプリッタ604を最大限に透過するように行われる。ビームスプリッタ604を通る光が最大限に透過する結果、結像センサ105で実行される強度測定において高信号が得られる。例えば、結像センサ105により実行される測定は背景光を受けるが、これは、ペリクル19及びペリクルフレーム17のエッジを表す画像のコントラストを低下させる可能性がある。しかしながら、このような背景放射は非偏光であるので、結像センサに到達するのはそのような背景放射の一部のみ(例えば半分)であり得る。これに対して、信号放射(すなわち、パターニングデバイスMAから反射した透過ビーム620の部分)は、ビームスプリッタ604を最大限に透過する。有利な点として、図10に示されている機構600により、この信号光はビームスプリッタ604を最大限に透過できるので、結像センサで実行される測定において高い空間コントラストが得られる。この結果、ペリクルアセンブリ16の位置を高精度で測定することが可能となる。
[000203] 図11は、結像センサ106を用いてパターニングデバイスMAの位置を測定するための機構700を更に詳しく示す。図11に示されている装置の機構700は、図6に示されているペリクルフレーム取付装置857の一部を形成し得る。図11に示されている装置の機構700は、図6に示されていないコンポーネントを示している。これらのコンポーネントは、ペリクルフレーム取付装置857の一部を形成し得るが、明確さのため図6には示されていない。なお、図11の装置は、図6の装置に対して垂直な向きを有する。
[000204] 機構700は、結像センサ106、放射源702、アライメントマーク109を含むウィンドウ893、及びアライメントマーク704を含むパターニングデバイスMAを備えている。結像センサ106はセンサ素子のアレイを含み、例えばカメラとすればよい。放射源702はLEDとすればよい。アライメントマーク109は、回折格子を構成するようにウィンドウ893上に配置されている。アライメントマーク704は、回折格子を構成するようにパターニングデバイスMA上に配置されている。
[000205] 図11において、結像センサ106、ウィンドウ893、及びパターニングデバイスMAは、図6に示されているのと同様に配置されている。放射源702は、結像センサ106とウィンドウ893との間の光路を遮断しないように配置されている。放射源702は結像センサ106に近接して配置することができる。
[000206] 機構700を光学測定システムと呼ぶことができる。図11に例示されている光学測定システムは、アライメントマーク109に対するパターニングデバイスMAの位置を測定するように動作可能である。
[000207] 使用中、放射源702は光ビーム706を放出する。ビーム706はウィンドウ893の方へ伝搬する。ビーム706の一部はアライメントマーク109から後方散乱(例えば反射)され得る。ビーム706の別の部分はウィンドウ893を透過し、その後アライメントマーク704から後方散乱(例えば反射)され得る。アライメントマーク109、704は反射回折格子を形成するように配置されているので、アライメントマーク109、704から後方散乱されるビーム704の部分は複数の回折次数を形成する。図11は、ウィンドウ893上に配置されたアライメントマーク109から、及びパターニングデバイスMA上に配置されたアライメントマーク704からのビーム706のゼロ次反射に対応するビーム708を示す。また、図11は、ウィンドウ893上に配置されたアライメントマーク109から、及びパターニングデバイスMA上に配置されたアライメントマーク704からのビーム706の1次(反射)回折に対応するビーム710を示す。1次ビーム710は結像センサ106に入射する。従って結像センサ106は、パターニングデバイスMAの位置に対応する信号を測定するよう動作可能である。ゼロ次ビーム708(標準反射に対応する)は結像センサ106に入射しない。
[000208] ビーム706がアライメントマーク109、704から後方散乱される角度は、ビーム706とアライメントマーク109、704との間の入射角に依存する。また、上記の角度はビーム706の波長にも依存する。また、上記の角度はアライメントマーク109、704のピッチと共に変動する。図11に示されている機構700では、入射角、光の波長、及びアライメントマーク109、704のピッチは、1次ビーム710がパターニングデバイスMAの面に垂直であるように選択され得る。同様に、1次ビームはペリクル19の面に垂直であるように構成され得る。
[000209] スタッド取付装置840及び/又はペリクルフレーム取付装置857(例えば図2を参照のこと)において、パターニングデバイスMAの位置を測定することが望ましい場合がある。また、パターニングデバイスMAを他の状況で(例えばリソグラフィ装置LAにおいて)用いる場合に、パターニングデバイスMAの位置を測定することが望ましい場合がある。パターニングデバイスMAを他の状況で(例えばリソグラフィ装置LAにおいて)用いる場合にパターニングデバイスMAの位置の測定を可能とするように、パターニングデバイスMA上にアライメントマーク704を提供することができる。
[000210] 図11に示されている機構700は、アライメントマーク109(ペリクルフレーム取付装置857に対して固定されている)及びアライメントマーク704(パターニングデバイスMAに対して固定されている)の位置を測定するように動作可能である。従って、図11に示されている機構700は、ペリクルフレーム取付装置857に対してパターニングデバイスMAの位置を測定するように動作可能である。これを用いて、ペリクルフレーム取付装置857に対してパターニングデバイスMAを位置合わせすることができる。有利な点として、アライメントマーク109及びアライメントマーク704の位置の測定は、(上述したような)光の回折次数の測定に基づいており、同一の測定装置(機構700)を用いて実行される。この結果、パターニングデバイスMAの位置の正確な測定を行うことができる。これにより、パターニングデバイスMAの位置がパターニングデバイスMAのエッジ位置の測定に基づく場合よりも正確なパターニングデバイスMAの位置の測定が可能となる。
[000211] 機構600、700について、ペリクルフレーム取付装置857の文脈で記載した。機構600、700を他の適用例で使用できることは認められよう。例えば、機構600を用いて、ペリクル取付装置855(図2を参照のこと)においてペリクルアセンブリ16の位置を測定できる。別の例として、機構700を用いて、スタッド取付装置840(図2を参照のこと)においてパターニングデバイスMAの位置を測定できる。上述した機構600、700の利点は概ね、機構600、700を他の用途で用いる場合にも適用される。
[000212] アライメントマーク109、704にスティッカを設けることができる。スティッカは陽極酸化アルミニウムから形成され得る。スティッカは黒色にすることができる。スティッカは概ね円形の形状を有し得る。スティッカは開口を含み得る。スティッカは、アライメントマーク109、704の有効サイズを増大させ得る。スティッカは、アライメントマーク109、704から反射される光と他の光との干渉を低減させ得る。スティッカを設けると、結像センサ105、106を用いて取得される画像のコントラストが増大し得る。特に、スティッカを設けると、背景光に対するアライメントマーク109、704の可視性が増大し得る。スティッカを設けると、アライメントマーク109、704から反射される光の分散が制限され得る。従って、結像センサ105、106で測定されるアライメントマーク109、704が、よりシャープに見える可能性がある。これにより、アライメントマーク109、704の位置の測定に基づく位置測定の精度が増大し得る。
[000213] 図12に示されている機構600を用いてペリクルアセンブリ16の位置を測定する場合、及び/又は図13に示されている機構700を用いてパターニングデバイスMAの位置を測定する場合、スティッカを設ける利点は有益であり得る。あるいは、スティッカと同一の利点を達成するコーティングをアライメントマーク109、704に提供してもよい。
[000214] 図10及び図11に示されている結像センサ105、106は、図6に示されている結像センサ105、106に対応し得る。
[000215] アライメントマークを用いた2つの要素の位置合わせは当技術分野では周知であるので、ここではこれ以上は説明しない。アクチュエータ111及び機構600、700をまとめて制御システム870と呼ぶことができる。
[000216] 図12はパーティション862を更に詳しく示す。ガスアウトレット(図示せず)は、図12に見えるパーティション862の側にガスを供給するように構成できる。ガスは、パーティション862の反対側のガス圧力よりも高い圧力で送出され得る。パーティション862には更に、ペリクルアセンブリ16の係合機構50の位置と一致するように位置決めされた孔895が設けられている。孔895のうち1つが図13で更に詳しく示されている。孔895は、ピン1090及び操作ピン1092がこの孔を通って突出できるような寸法である。孔の両側からかぎ状部材1091が突出している。言い換えると、かぎ状部材1091はパーティション862に固定され、パーティションから突出している。ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092は、図6、図12、及び図14にも示されている。
[000217] 上記で言及したように、パーティション862の上方の制御された環境859は、パーティションの下方の圧力よりも高い圧力に保持され得る(例えば、パーティションの上方にガスを送出することによって)。図12で見られるように、パーティション862の開口895は比較的小さいので、汚染がこの開口を介して制御された環境内へ侵入する可能性は制限される。この可能性は、供給(feed)パーティション862の環境に比べて制御された環境859の圧力の方が高いことによって更に低下する。この高い圧力は、空気が孔895を通って下方へ流れ、ペリクル19から離れる方へ汚染を運ぶことを保証する。
[000218] パターニングデバイスMAにペリクルアセンブリ16を固定する場合、結像センサ105、106を用いてパターニングデバイスMAに対するペリクルアセンブリ16の位置を監視する。これは、ペリクルアセンブリ16をピン1090によって中間支持構造98から持ち上げた後に行われる。ペリクルアセンブリ16の位置は、アクチュエータ111を用いて調整される。これにより支持構造101を移動させ、従ってペリクルアセンブリ16をパターニングデバイスMAに対して移動させる。アクチュエータ111の動作は手動とするか、又は自動化コントローラによって制御することができる。ペリクルアセンブリ16がパターニングデバイスMAに対して位置合わせされるまで、支持構造101の移動は継続し得る。
[000219] 一度ペリクルアセンブリ16がパターニングデバイスMAに対して正確に位置決めされたら、ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092を用いて、パターニングデバイスMAから突出しているスタッド51に係合機構50を係合する。
[000220] 図14に、ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作部1092が相互に対して移動できる様子が概略的に示されている。上記のように、かぎ状部材1091は支持構造101から延出しているので、支持構造に対して移動することはできない。支持構造101自体は、上記で説明したように、概ね垂直な方向(z方向)の移動を含めて移動が可能である。操作ピン1092は、アクチュエータ320によって概ね垂直な方向(z方向)に移動可能である。操作ピン1092は双方ともアクチュエータ320に固定されているので、双方が一緒に移動する。ペリクルフレーム17を支持しているピン1090は、操作ピン1092に対してアクティブに移動可能ではない。ピン1090は、ばね322を介してアクチュエータ320に接続されている。このため、アクチュエータ320が上方及び下方へ移動すると、ピンがペリクルフレーム17に接触している場合を除いて、対応したピン1090の移動が発生する。ピン1090がペリクルフレーム17に接触している場合は、アクチュエータ320が更に上方へ移動しても、それ以上ピンは上方へ移動せず、ばね322の圧縮が生じる。一度ばね322が圧縮されたら、ばね322が伸びて弛緩構成になるまで、アクチュエータ320が下方へ移動してもピン1090は下方へ移動しない。
[000221] 各操作ピン1092は、概ね円筒形の本体部の端部に湾曲面(例えば概ね凸状の湾曲面)を含む。上記の湾曲面を有する操作ピン1092の端部は、ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092を用いてパターニングデバイスMAから突出しているスタッド51に係合機構50を係合する場合に係合機構50の一部と接触する。以下で図17Dを参照してこのプロセスを更に説明する。湾曲面は、操作ピン1092と係合機構50の上記の部分との間の滑りが最小限に抑えられるような形状である。
[000222] 図15及び図16は、係合機構50を突出体51(スタッドとも呼ぶことができる)に係合させるやり方を概略的に示す。図15及び図16は、係合機構50及び突出体51を一方側から見た断面図及び下方から見た図を示す。最初に図15を参照すると、係合アーム80は、この係合アーム80の遠位端を押す操作ピン1092(図示せず)を用いて、キャップ66から離れる方へ押される。図15で見られるように、この時点では係合機構50と突出体51は接触していない。
[000223] 係合アーム80から突出している係合タブ81の上方に突出体51の遠位ヘッド53が位置付けられるまで、係合機構をx方向に移動させる。この移動は、係合機構50が固定されているペリクルフレーム17を移動させることによって達成され、従って全ての係合機構50を一斉に移動させる。
[000224] 一度、係合機構50が所定位置になったら、突出体51の遠位ヘッド53から離れる方へ係合アーム80を押していた操作ピンが外れる。係合アーム80は弾性であるので、下方へ移動し、遠位ヘッド53の内面を押す。従って、係合タブ81は遠位ヘッド53をキャップ66に押圧し、これにより係合機構50を突出体51に固定する。これは図16に示されている。
[000225] パターニングデバイスMAからペリクルアセンブリ16を取り外すことが望ましい場合がある(例えば、ペリクル上で汚染が検出された場合)。この取り外しはペリクルフレーム取付装置857によって実行できる。突出体51から係合機構50を切り離すため、上記のシーケンスを逆に行う。
[000226] ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092の動作は、手動、自動、又は半自動とすることができる。
[000227] ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092は、例えばスチールから形成され得る。係合機構50に接触するピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092の表面には、PEEK又は他の何らかのロバストな材料のような材料のコーティングを設けることができる。あるいは、接触表面は単に、ピン1090、かぎ状部材1091、及び操作ピン1092の研摩表面としてもよい。
[000228] 一度ペリクルアセンブリ16及びパターニングデバイスMAを接続してマスクアセンブリ15を形成したら、リソグラフィ装置LA(図2を参照のこと)へ移送するため、マスクアセンブリをマスクアセンブリ移送デバイス853内に配置することができる。
[000229] 図17Aから図17Hは、係合機構50を突出体51に係合させることができる1つのやり方を更に詳しく示す。最初に図17Aを参照すると、ピン1090は、係合機構50のキャップ66に接触するまでz方向に移動させる。ピン1090を更にz方向に移動させて、係合機構50を持ち上げる。係合機構はフレーム17(図3を参照のこと)に固定されているので、これによってペリクルアセンブリ16全体が持ち上げられる。ピン1090は4つのピン1090(図12を参照のこと)のうち1つであり、これらのピン1090は一斉に移動する。従って、ペリクルアセンブリ16は4つのピン1090によって持ち上げられ、これらのピン1090によって支持される。次いで、ペリクルアセンブリがパターニングデバイスMAに対して位置合わせされるまで、アクチュエータ111(図6を参照のこと)を用いてペリクルアセンブリ16の位置を調整する。
[000230] 図17Bを参照すると、次いで、2つのかぎ状部材を、それらの遠位端が第1の支持アーム82aの最上面を超えるまでz方向に移動させる。次いで、かぎ状部材1091を、それらの遠位端が支持アーム82aのかど板1089よりも上方にくるまでx方向に移動させる。
[000231] 図17Cに示されているように、次いで、かぎ状部材1091を、支持アーム82aのかど板1089に接触するまで下方向へ移動させる。ピン1090及びかぎ状部材1091は共に係合機構50を把持して、この後の係合機構の動作を可能とする。
[000232] 図17Dを参照すると、操作ピン1092を概ね垂直な方向に移動させて、係合アーム80の遠位端に設けられたブロック54を押す。操作ピン1092は係合アーム80を上方へ押し、これによって係合タブ81とキャップ66との間の空間を拡大する。上述したように、係合アーム80の遠位端(特に、係合アーム80の遠位端に設けられたブロック54)に接触する各操作ピン1092の表面は湾曲面である。上記の湾曲面は概ね凸状の湾曲面とすることができる。操作ピン1092の湾曲面は、操作ピン1092が係合アーム80を上方へ押す際に、操作ピン1092と係合アーム80の遠位端との間の接触エッジが湾曲面に沿って円滑にシフトするような形状である。これによって、操作ピン1092と係合アーム80の遠位端に設けられたブロック54との間の接触表面積を最小限に抑える。有利な点として、操作ピン1092のこのような設計は、操作ピン1092と係合アーム80の遠位端に設けられたブロック54との間の最小限の滑りを保証できる。図17Dでは、図面の生成に用いられるソフトウェアの制限のため、係合アーム80は上方に屈曲していない。
[000233] 図17E及び図17Fを参照すると、次いで、突出体51の遠位端53がキャップ66の上方に位置付けられると共に係合タブ81の下方に位置付けられるまで、係合機構50をx方向に移動させる。
[000234] 上記で注記したように、全ての係合機構50A~50Dはピン1090の移動によって一斉に移動する。代替的な機構では、ペリクルフレーム17を移動させずに、パターニングデバイスMA及び突出体51を全て移動させることができる。一般に、必要なのは、突出体と係合機構との間の横方向の相対移動だけである。横方向の移動の方向は、係合アーム80の向きに依存する(例えば、x方向でなくy方向である場合がある)。
[000235] 図17Fを参照すると、一度キャップ66が遠位ヘッド53の下に位置決めされると共に係合タブ81が遠位ヘッド53の上方にきたら、操作ピン1092を引っ込める。係合アーム80の弾性によって、係合アーム80は最初の位置の方へ戻り、従って係合タブ81を遠位ヘッド53に押圧するようになっている。係合タブ81は遠位ヘッド53をキャップ66に押す。これにより、突出体51に対して係合機構50を固定する。
[000236] 図17Gを参照すると、かぎ状部材1091が支持アーム82aのかど板1089から離れた位置になるまで、かぎ状部材1091を上方(z方向)へ移動させ、次いで横(x方向)へ移動させる。次いで、かぎ状部材1091を引っ込める(負のz方向に移動させる)。
[000237] 図17Hを参照すると、最終ステップでピン1090は引っ込められる。図6を参照すると、ピン1090が引っ込められた場合、ペリクルフレーム17はピン1090で支持されなくなり、パターニングデバイスMAから突出している突出体51との接続によって支持される。言い換えると、ペリクルフレーム17はパターニングデバイスMAに取り付けられ、これによって支持される。
[000238] 係合機構50は突出体51に固定され、これによってペリクルフレーム(図3を参照のこと)のための堅固なサブマウント10を提供する。従って、ペリクルフレーム17はパターニングデバイスMAに確実に取り付けられる。次いで、ペリクル、ペリクルフレーム、及びパターニングデバイス(これらをまとめてマスクアセンブリを呼ぶことができる)は、リソグラフィ装置LA(図2を参照のこと)へ移送するため移送デバイス853内に配置することができる。
[000239] 係合機構50を突出体51から取り外し、これによってペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAから取り外すには、図17Aから図17Hに示されているステップを逆に行う。
[000240] 係合機構50を突出体51に固定するステップは、コンポーネント間の摺動移動を必要としない。言い換えると、摺動動作で表面を相互にこすり合わせることを必要としない。そのようにこすり合わせることは望ましくない粒子汚染を引き起こす傾向があり得るので、これは有利である。図17Dに示されているステップは、別個のコンポーネントの機械的接触を必要とする。従って、このステップは特に粒子汚染を引き起こす傾向があり得る。操作ピン1092に提供されている概ね凸状の湾曲面は、このような湾曲面を持たない操作ピンに比べて、操作ピン1092とブロック54との間の接触表面積を小さくする。また、操作ピン1092に提供されている概ね凸状の湾曲面は、操作ピン1092の表面とブロック54の表面との間の滑り(すなわちこすり合い)のリスクを最小限に抑える。従って、粒子汚染を招く可能性のある粒子物質の生成を回避することができる。
[000241] ステップの代替的なシーケンス(図示せず)を用いて係合機構50を突出体51に取り付けることも可能である。この代替的なシーケンスでは、ピンを用いてペリクルフレーム17を上昇させる前に、かぎ状部材1091を係合タブ1089の上方の所定位置へ移動させる。一度かぎ状部材1091が所定位置にきたら、ピン1090を上方へ移動させて係合機構50を押圧する。このように、係合機構50はかぎ状部材1091及びピン1090によって把持される。次いで、かぎ状部材1091及びピン1090を上方へ移動させることによって係合機構50を持ち上げる。同じ動作を他の係合機構50にも実行し、これによってペリクルフレーム16を持ち上げる。次いで、アクチュエータ111及び結像センサ105、106(図6を参照のこと)を用いて、パターニングデバイスMAに対してペリクルアセンブリ16を位置合わせする。残りのステップは、図17Aから図17Hを参照して上述した通りとすればよい。
[000242] 図17Gを参照して上述した、係合機構50を突出体51に係合するステップに関連する安全システムが提供される。かぎ状部材1091は、これを引っ込める前に係合機構50から充分に離脱できないことがある。例えば、上述したようにかぎ状部材1091をx方向に移動させる距離が充分でない場合、かぎ状部材1091のかぎ状部分と支持アーム82aのかど板1089とが重複していることがある。かぎ状部材1091が係合機構50から充分に離脱されていない場合にかぎ状部材を引っ込めると、ペリクルアセンブリ16及び/又は他のコンポーネントの損傷及び/又は故障を引き起こす恐れがある。支持構造101のz位置を制御する(次いで、かぎ状部材1091のz位置を制御する)アクチュエータ111は、支持構造101から取り外されるように動作可能である。(アクチュエータ111によって支持構造101に加えられた作動力に応答して)支持構造101が閾値抵抗力よりも大きい抵抗力をアクチュエータ111に加えた場合、アクチュエータ111は支持構造101から取り外されるように動作可能である。これは、支持構造101の移動が妨害された場合に支持構造101をアクチュエータ111から取り外せるものとして記載できる。有利な点として、アクチュエータ111の取り外し可能な特性は、係合機構50に過大な力が加わるのを防止する。かぎ状部材1091を引っ込める前にかぎ状部材1091が係合機構50から充分に離脱されていない場合のペリクルアセンブリ16及び/又は他のコンポーネントの損傷及び/又は故障が防止されるので、これは有益である。
[000243] 上述した安全システムの変更例(modification)として、支持構造101の上面に配置された挿入部に、かぎ状部材1091を提供することができる。挿入部は取り外し可能挿入部とすればよい。支持構造101の移動が妨害された場合に支持構造101をアクチュエータ111から取り外せるのではなく、支持構造101の移動が妨害された場合に支持構造101から挿入部を取り外すことができる。上述した安全システムの利点は、安全システムのこの変更例にも適用され得る。
[000244] 安全システムの2つの上述した変形の特徴部は、別個に使用できる。安全システムの2つの上述した変形の特徴部は、相互に組み合わせて使用できる。更に、実質的に同じ安全特徴部を達成する上述した安全システムの変形を提供することができる。
[000245] これより、図18から図20に関連付けて、スタッド取付装置の実施形態を説明する。
[000246] 図18は、本発明の一実施形態に従ったスタッド取付装置840を断面で概略的に示す。スタッド取付装置840は、図6に示されているペリクルフレーム取付装置857との類似点を有する。スタッド取付装置840の部分は、これら他の装置の部分と一致し得る。
[000247] スタッド取付装置840は、支持構造101と、パターニングデバイスMAと接触させるように突出体51(スタッドとも呼ぶことができる)を垂直方向に移動させるよう構成されたスタッド操作部1100と、を備えている。支持構造101にウィンドウ107、108が設けられており、ウィンドウ107、108を通してパターニングデバイスMAの方を見るように結像センサ105、106(例えばカメラ)が位置決めされている。図18に示されている結像センサ105、106は、図10及び図11に示されている結像センサ105、106に対応し得る。ウィンドウ107、108にアライメントマーク109が提供されており、パターニングデバイスMAに対して支持構造101を位置合わせするため使用され得る。支持構造101を移動させるため、従って支持構造101で保持されたスタッド51を移動させるため、アクチュエータ111が設けられている。アクチュエータ111は、支持構造をx、y、及びz方向に移動させることができ、支持構造をz方向を中心として回転させることができる。アクチュエータ111は、自動、手動、又は半自動(すなわち部分的に自動であり部分的に手動である)とすることができる。スタッド取付装置840は更に、パターニングデバイスMAを支持するように構成された追加の支持構造97を備えている。この追加の支持構造は固定することができ、本明細書では固定支持構造97と呼ばれる。
[000248] 各スタッド51のベースは調製液によって調製することができる。調製液は、イソプロパノール(又は別のアルコール)、アセトン、又は超純水とすればよい。調製液は、これらの物質のうち1つと脱塩水との混合物とすればよい。調製液は、スワブ(マイクロスワブ等)を用いて各スタッド51のベースに塗布することができる。スタッドの生成及び洗浄の後、各スタッド51のベースにフォイル(プラスチックフォイル等)を適用することができる。調製液による各スタッド51のベースの調整の代わりに又はそれに加えて、フォイルの適用を実行できる。調製液を用いたスタッド51の調製によって、スタッド51のベースから汚染物質を除去できる。スタッド51に対するフォイルの適用によって、スタッド51のベースに新たな汚染物質が付くのを防止できる。スタッド51がパターニングデバイスMAに取り付けられる場合、フォイルは除去してもよい(例えば、スタッド15をパターニングデバイスMAに取り付ける直前に)。
[000249] 次いで、支持構造101の一部を形成するスタッド操作部1100によってスタッドを保持している間に、各スタッド51のベースにのりを提供することができる。のりは、のりディスペンサによって提供できる。のりディスペンサはスタッド取付装置840の一部を形成し得る。任意の既知のやり方でのりを提供できることは認められよう。分配されるのりの量は、のり分配の圧力及びパルス時間を選択することによって制御され得る。分配されるのりの量は、体積分配(volumetric dispensing)を用いて制御され得る。体積分配は、分配中にのりの粘度が変動する可能性がある場合にのりを正確に制御するため有益であり得る。
[000250] 次いで、パターニングデバイスMAが支持構造101の数ミリメートル上に位置決めされるように、パターニングデバイスMAを固定支持構造97上に配置する。ウィンドウ107、108に設けられたアライメントマーク109がパターニングデバイスMAに設けられたアライメントマークと位置合わせされるまで、アクチュエータ111を用いて支持構造101を移動させる。スタッド51はスタッド操作部1100によって保持され、支持構造101に対してx及びy方向の固定位置を有する。スタッド51(実際は4つ存在し得る)間の分離距離は、固定された所定の分離距離である。スタッド51間の分離距離は、後にパターニングデバイスMAに取り付けられるペリクルフレーム17(図3を参照のこと)上に設けられた係合部材50A~50D間の分離距離と一致する。
[000251] 一度パターニングデバイスMAに対して支持構造101が正確に位置決めされたら、支持構造101を上方へ、パターニングデバイスMAに近付くよう移動させる。次いでスタッド操作部1100を用いて、スタッド51のベースがパターニングデバイスMAに接触しない位置からパターニングデバイスMAに押圧される位置まで、スタッド51を上方へ移動させる。次いで、スタッド51のベースとパターニングデバイスMAとの界面でのりの硬化を促進するため、ヒータを用いてスタッド51を加熱することができる。
[000252] パターニングデバイスMAがスタッド取付装置840に接触するポイントに、PEEK又は他の何らかのロバストな材料のコーティングを設けてもよい。同様に、パターニングデバイスMAが筐体879に接触するポイントに、PEEK又は他の何らかのロバストな材料のコーティングを設けてもよい。
[000253] 図19にスタッド取付装置840の一部が更に詳しく示されている。スタッド51及びパターニングデバイスMA(例えばマスク)と共に、スタッド操作部1100が示されている。また、スタッド操作部1100が提供されている環境からパターニングデバイスが提供されている環境を分離するパーティション842も示されている。スタッド操作部1100は、スタッド51(突出部とも呼ぶことができる)を受容するような寸法のカップ1102を備え、スタッド51の下面(すなわちベース)はカップ1102から外側を向くようになっている。スタッド51は、重力によってカップ1102内の所定位置に保持され得る。あるいは、真空機構(図21には示されていない)を用いてカップ1102内の所定位置にスタッド51を保持してもよい。上記の真空機構は、カップ1102内で確実にスタッド51を一時的に保持できる。カップ1102は、例えばPEEK又は他の何らかのロバストな材料から形成され得る。カップ1102は操作部ヘッド1104内に保持され、操作部ヘッド1104は操作部本体1106上に支持されている。操作部本体に設けられたフランジ1109に接触してばね1108が受容されており、ばね1108は操作部ヘッド1104及びスタッド51を上方に偏奇させる。マスクに対するスタッド51の位置合わせは、図18に示されている結像センサ105、106及びアクチュエータ111を用いて達成される。アクチュエータがパターニングデバイスMAに対してスタッド51を位置合わせしたら、スタッド操作部1100を上方へ移動させてスタッド51をパターニングデバイスMAに押圧する。4つ全てのスタッド操作部1100を同時に移動させるアクチュエータ(図示せず)によって、スタッド操作部1100を上方へ移動させる。スタッド操作部1100がスタッド51をパターニングデバイスMAに押圧すると、ばね1108は圧縮する。ばね1108は、スタッド51をパターニングデバイスMAに押圧する力を部分的に決定する。ばねが弱いと、スタッドをパターニングデバイスに押圧する力は低減するが、ばねが強いと、スタッドをパターニングデバイスに押圧する力は増大する。従って、スタッド51をパターニングデバイスMAに押圧する力は、所望の強度を有するばね1108を選択することによって(少なくとも部分的に)選択可能である。ばね1108は例えば、スタッド操作部1100及びスタッド51を上方へ押す力を与圧することができる。与圧力は、例えば5N未満とすればよい。
[000254] スタッド操作部1100はスタッド51をパターニングデバイスMAに押圧し、これによってスタッド51をマスクに固定できる。上記のように、スタッド51はベースにのり又は接着剤を提供することができ、スタッド操作部1100は、のり又は接着剤が硬化するまでスタッド51をパターニングデバイスMAに押圧することができる。一度これが達成されたら、スタッド操作部1100をパターニングデバイスMAから離れる方へ移動させればよい(及び/又は、パターニングデバイスMAをスタッド操作部1100から離れる方へ移動させればよい)。
[000255] 一実施形態において、スタッド操作部1100は、スタッド51を加熱するように構成されたヒータ1111を含み得る。ヒータ1111は、電気ヒータ(例えば抵抗電気ヒータ)の形態とすればよい。スタッド51がパターニングデバイスMAに押し付けられている時に、ヒータ1111を用いてスタッド51を加熱する。ヒータ1111によって行われるスタッド51の局所的な加熱は、のり又は接着剤の硬化を加速させるので有利である。これによってスタッド取付装置840のスループットが増大する。スタッド51を加熱することで行われる硬化は、予備硬化(pre-curing)又は完全硬化(full curing)であり得る。予備硬化を用いる場合、パターニングデバイスMA及びスタッド51は硬化のためオーブンへ移送され得る。スタッド51の加熱が完全硬化を行う場合、パターニングデバイスMA及びスタッド51をオーブンへ移送する必要はない。オーブンは汚染粒子源になり得るので、これは有利である。
[000256] 一実施形態において、スタッド操作部1100は、(ばね1108に加えて又はその代わりに)スタッド51をパターニングデバイスMAに押圧するよう動作可能なアクチュエータ(図示せず)を含み得る。このアクチュエータは更に、スタッドがパターニングデバイスMAに固定された後、スタッド51から離れる方へカップ1102を移動させることができる。
[000257] 操作部ヘッド1104の外周にシール1112が延出している。シール1112は環状である。しかしながら、シールは任意の適切な形状を有し得る。シール1112は弾性材料(例えばPEEK)から形成され、パーティション842よりも上方及びスタッド51よりも上方に突出している。このため、スタッド51がパターニングデバイスMAに押圧されると、シール1112は下方へ押される。シール1112の弾性の性質は、シールがパターニングデバイスMAを押圧することによってパターニングデバイスMAに対する封止部を形成することを意味する。これにより、シール1112の外周内のパターニングデバイスMAの部分を密閉し、この部分を、シール1112の外周外のパターニングデバイスMAの部分から隔離する。
[000258] 操作部ヘッド1104にガス抽出チャネル1114が提供され、操作部ヘッド1104の外面から離れる方へ延出している。操作部ヘッド1104の周囲の環状空間1115によって追加のガス抽出ルートが提供されている。シール1112の一方側にガス送出チャネル1118が提供され、シール1112内に位置付けられたパターニングデバイスMAのエリアへのガス送出を可能とする。これは図19の矢印によって概略的に示されている。ガスは、操作部ヘッド1104内のガス抽出チャネル1114及び操作部ヘッド1104の周囲の環状空間1115を介して抽出される。ガス抽出チャネル1114は操作部ヘッド1104の周囲に分布している。ガス抽出チャネル1114及び環状空間1115の外へ汚染物質を移送し、これによって汚染物質がパターニングデバイスMAの表面に付着するのを防止するガスの流れが提供される。汚染物質は、例えばスタッド51上に塗布されたのりに由来する粒子、又はのりからの化学薬品蒸気であり得る。化学薬品蒸気は特に、のりを硬化させため加熱した場合に発生する可能性がある。他の箇所で説明したように、パターニングデバイスMA上の粒子又は他の汚染は、リソグラフィ装置によって基板に投影されるパターンにエラーを発生させ得るので、ガスグローを用いて汚染物質を除去することは有利である。ガスは例えば空気とすればよい。
[000259] 図20はスタッド取付装置843の代替的な実施形態を示す。図20に示されているスタッド取付装置843は、図19に示されているスタッド取付装置840と多くの特徴部を共有する。共有される特徴部は共通の参照番号を有する。図20には、明確さのため、スタッド取付装置843のコンポーネントのサブセットのみが示されている。スタッド取付装置843は、適宜、図19に示されているスタッド取付装置840の上述した特徴部の任意のものを含み得ることは認められよう。スタッド取付装置843は、図19のばね1108に対する代替的なばね機構を備えている。スタッド取付装置843は、2つの板ばね1110を備えている。2つの板ばね1110は、操作部本体1106を支持構造101に接続する。
[000260] 使用中、2つの板ばね1110は、xy面内でスタッド操作部ヘッド1100の(続いてスタッド51の)概ね固定された規定位置を提供する。2つの板ばね1110によって、スタッド操作部本体1100と支持構造101との間の多少の相対移動(z方向)が可能となる(例えば、スタッド51のベースがパターニングデバイスMAに接触した場合)。従って、スタッド取付装置843がzに押し下げられた場合、(運動学的マウント1130を介した)操作部ヘッド1104と部分1116(図19を参照のこと)との間の接続は失われる。
[000261] 有利な点として、各板ばね1110は、(支持構造101に対する)スタッド操作部1100のz方向の移動は可能であるが他の方向の移動は無視できる程度であるような寸法である。更に、単一の板ばねでなく複数の板ばね1110(例えば2つ)を用いることにより、スタッド操作部1100(及び、結果としてスタッド51)のxz面、Rxzの回転は無視できる程度である。図20に示されているスタッド取付装置843内の板ばね1110の配置によって、スタッド操作部1100(及び、結果としてスタッド51)の3つ全ての軸の回転、並びにxy面内の並進が無視できる程度であることが保証される。従って、スタッド取付装置843の複数の板ばね1110は、パターニングデバイスMAに対するスタッド51の正確な位置決めにおいて、スタッド取付装置840のばね1108に勝る利点を提供する。
[000262] 本文書において、マスクに対する言及はパターニングデバイスに対する言及として解釈することができ(マスクはパターニングデバイスの一例である)、これらの用語は交換可能に使用され得る。
[000263] 本文書において、のりに対する言及は接着剤に対する言及として解釈することができ、これらの用語は交換可能に使用され得る。
[000264] ペリクル取付装置(ペリクル取付装置855等)の文脈で、のりに対する言及を行った。特に、のりを用いてフレーム17をペリクル19に貼り付けることができ、追加的に又は代替的に、のりを用いて係合機構50A~50D(具体的には傾斜部49A~49D)をフレーム17に貼り付けることができる。また、スタッド取付装置(スタッド取付装置840、843等)の文脈で、のりに対する言及を行った。特に、のりを用いてスタッド51をパターニングデバイスMAに貼り付けることができる。
[000265] EUVリソグラフィ装置(真空条件下に置かれる場合があり、内部にEUV放射及び/又は水素プラズマが存在し得る)内の環境では、多くの既知のタイプののりが、ガス放出の傾向を有し得る。従って、ペリクルアセンブリ及び/又はマスクアセンブリの構成において、ガス放出しない(又は、そのような条件下で顕著にガス放出しない)のりを選択することが望ましい場合がある。実際は、これによって、フレーム17をペリクル19に貼り付けるか又はスタッド51をパターニングデバイスMAに貼り付けるのに適したのりの選択肢が制限される可能性がある。ペリクル取付装置において(ペリクル19にフレーム17を貼り付けるため)、及びスタッド取付装置において(パターニングデバイスMAにスタッド51を貼り付けるため)、エポキシのりを用いることは既知である。しかしながら、上述した目的のためエポキシのりを用いることには欠点がある。
[000266] 本発明の一実施形態によれば、PMMAのりとしても既知であるポリ(メチルメタクリレート)ベースののりを用いることが提案される。具体的には、ペリクル取付装置において(ペリクル19にフレーム17を貼り付けるため及び/又はフレーム17に係合機構50A~50Dを貼り付けるため)、及びスタッド取付装置において(パターニングデバイスMAにスタッド51を貼り付けるため及び/又はパターニングデバイスMAに直接ペリクルアセンブリ16のフレーム17を貼り付けるため)、PMMAのりを用いることが提案される。
[000267] このようなPMMAのりは一般に、相互に接触するとPMMAのりの硬化プロセスを開始する2つの成分を含む。これら2つの成分は促進剤及び開始剤として記載することができる。促進剤及び開始剤の各々は樹脂で提供され得る。あるいは、促進剤及び/又は開始剤は樹脂でない物質で提供され得る。促進剤を含む物質の粘度は、開始剤を含む物質よりも高いか又は低い可能性がある。本明細書で用いる場合、「樹脂」は、PMMAのりの成分が提供される任意の物質を指すことは認められよう。図21A及び図21Bは、PMMAのりを用いて2つの表面を相互に貼り付けるための2つのプロセスの例を概略的に示す。
[000268] 図21Aにおいて、第1の物体B1の表面には促進剤RAを含有する樹脂が提供され、第2の物体B2の表面には開始剤RIを含有する樹脂が提供されている。これは図21Aの上半分に示されている。次いで、第1の物体B1の表面に対して第2の物体B2の表面を移動させて(矢印で示すように)、開始剤RIを含有する樹脂を、促進剤RAを含有する樹脂に接触させる。こうして得られる機構が図21Aの下半分に示されている。開始剤と促進剤との接触はPMMAのりの硬化プロセスを開始させるので、これにより、硬化したPMMAのりG’によって第1の物体B1の表面を第2の物体B2の表面に貼り付ける。
[000269] 図21Bにおいて、第1の物体B1の表面には、促進剤RIを含有する樹脂の複数の行、及び開始剤RIを含有する樹脂の複数の行が提供されている。これらの行は、促進剤の行RA及び開始剤の行RIが交互に並ぶよう配置されている。これは図21Aの上半分に示されている。次いで、第1の物体B1の表面に対して第2の物体B2の表面を移動させて(矢印で示すように)、第1の物体B1の表面上の樹脂の行を第2の物体B2の表面によって圧縮する。こうして得られる機構が図21Bの下半分に示されている。樹脂RA、RIの行のこの圧縮は開始剤と促進剤を接触させ、これにより開始剤と促進剤を混合し、結果としてPMMAのりの硬化プロセスを開始させて、硬化したPMMAのりG’によって第1の物体B1の表面を第2の物体B2の表面に貼り付ける。
[000270] 上述のように第1の物体B1の表面と第2の物体B2の表面を相互に接触させる場合、第1の物体B1の表面を移動させると共に第2の物体B2の表面を静止状態に保つか、第1の物体B1の表面を静止状態を保つと共に第2の物体B2の表面を移動させるか、又は、双方の表面を移動させ得ることは認められよう。
[000271] 第1の物体B1の表面はペリクルフレーム17の表面に対応し、第2の物体B2の表面はペリクル19の表面に対応し得る。あるいは、第1の物体B1の表面はペリクルフレーム17の表面に対応し、第2の物体B2の表面は係合機構50A~50Dの表面に対応し得る。あるいは、第1の物体B1の表面はスタッド51の表面(例えばスタッド51のベース表面)に対応し、第2の物体B2の表面はパターニングデバイスMAの表面に対応し得る。第1の表面の第2の表面への貼り付けは、PMMAのりを用いて、図21A、図21B、又はそのいずれかの変形に示されているように実行され得る。
[000272] PMMAのりの硬化プロセスは完了までに数分間を要する。これは、既知のペリクル取付装置及び既知のスタッド取付装置で用いられる既知のエポキシ接着剤の硬化プロセスが一般に数時間を要するのに比べて、著しく短い硬化プロセスである。そのため、有利な点として、本発明の一態様に従ってPMMAのりを用いてペリクル19にペリクルフレーム17を貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)ペリクルアセンブリ16を生成するために必要な時間が著しく短縮する。同様に、PMMAのりを用いてフレーム17に係合機構50A~50Dを貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)ペリクルアセンブリ16を生成するために必要な時間が著しく短縮する。更に、有利な点として、PMMAのりを用いてパターニングデバイスMAにスタッド51を貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)必要な時間が著しく短縮する。これに関連して、大量生産のための利点が得られる。
[000273] PMMAのりは一般に、開始剤(RI)を含有する樹脂及び促進剤(RA)を含有する樹脂として提供されるので、PMMAのりは2つ以上の成分として提供されるものとして記載できる。
[000274] 本文書において、のりに対する全ての言及、特に、ペリクル取付装置(ペリクル取付装置855等)及びスタッド取付装置(スタッド取付装置840、843等)で用いられるのりに対する言及は、PMMAのりを指すものと解釈できることは認められよう。更に、本文書において、のりを用いて相互に貼り付けられるか又は接着される等の表面に対する全ての言及は、図21A及び図21Bに示されている方法(これは限定でなく、他の方法も使用され得るが)を用いて相互に貼り付けられるか又は接着される表面を指すものと解釈できることは認められよう。
[000275] 表面からのりを除去することが望ましい場合がある。例えば、パターニングデバイスMAからスタッド51及びのりを除去することが望ましい場合がある。一般に、PMMAのりはエポキシのりよりも弾性が大きい。PMMAのりはエポキシのりよりも、表面から(例えばパターニングデバイスMAの表面から)容易に除去され得る。そのため、有利な点として、PMMAのりを用いてパターニングデバイスMAにスタッド51を貼り付けると、(既知のエポキシのりを用いる場合に比べて)スタッド除去手順、及びスタッド51が除去された後のパターニングデバイス洗浄手順が容易になる。
[000275] ペリクル取付装置(ペリクル取付装置855等)及び/又はスタッド取付装置(スタッド取付装置840、843等)は、ヒータを含み得る。ヒータを用いて、既知のエポキシのりの硬化を促進するため既知のエポキシのりを加熱してもよい。既知のエポキシのりが提供されたコンポーネントをオーブン内に配置し、既知のエポキシのりの硬化を促進するため既知のエポキシのりを加熱してもよい。有利な点として、PMMAのりの硬化を促進するためには加熱は必要ない。その結果、製造手順はいっそう簡素化され、製造される製品(ペリクルアセンブリ16又はスタッド51が提供されたパターニングデバイスMA)の欠陥及び損傷リスクを低減することも可能となる。
[000277] PMMAのりを用いて、マスクアセンブリ15’の代替的な設計を形成することができる。マスクアセンブリ15’のこの代替的な設計は、マスクアセンブリ15に勝るいくつかの利点を提供する。以下で図22Bを参照してマスクアセンブリのこの代替的な設計を説明し、図22Aに示されているマスクアセンブリ15と比較する。
[000278] 図22Aは、図2を参照して上述した装置及び方法を用いて組み立てたマスクアセンブリ15の一部を示す。既知のエポキシのりGを用いて、パターニングデバイスMAにスタッド51が貼り付けられている(図22Aにはスタッド51が1つだけ図示されている)。約50μmの高さ(z方向)を有する層で既知のエポキシのりGを塗布することが必要であり得る。ペリクルアセンブリ16は、ペリクルフレーム17に貼り付けられたペリクル19を含む。係合機構50はペリクルフレーム17から突出している(図22Aには係合機構50が1つだけ図示されている)。各係合機構50は対応するスタッド51と係合し、これによってマスクアセンブリ15を形成する。
[000279] 図22Bは、マスクアセンブリ15’の代替的な設計の一部を示す。ペリクルアセンブリ16’は、ペリクルフレーム17に貼り付けられたペリクル19を含む。ペリクルフレーム17は、PMMAのりG’を用いて直接パターニングデバイスMAに貼り付けられている。PMMAのりG’は、ペリクルフレーム17の全周にわたって提供され得る。ペリクルアセンブリ16’はこれによってパターニングデバイスMAに貼り付けられ、その結果としてマスクアセンブリ15’を形成する。
[000280] どのようなのりも、硬化時に空間的に変形する可能性がある。PMMAのりG’は、(エポキシのりGに比べて)比較的弾性である。更に、PMMAのりG’が塗布される層は、エポキシのりGが塗布される層よりも薄く(x方向に小さい)、かつ高い(z方向に大きい)可能性がある。PMMAのりG’の弾性と、PMMAのりG’が塗布され得る寸法のため、PMMAのりG’の硬化に起因したパターニングデバイスMAの変形は小さい。これに対して、もしも既知のエポキシのりGを用いてペリクルフレーム17を直接パターニングデバイスMAに貼り付けると(図22Bに示されているように)、エポキシのりの硬化に起因したパターニングデバイスMAの変形はより大きく、そのため、リソグラフィ装置によって基板に投影されるパターンにエラーが生じる。従って、PMMAのりG’を用いると、既知のエポキシのりGの使用に伴う問題を克服するマスクアセンブリ15’を生成することができる。
[000281] PMMAのりG’の使用によって可能となるマスクアセンブリ15’は、以下に記載するようないくつかの理由で有利である。
[000282] マスクアセンブリ15’は、ペリクルアセンブリ16’とパターニングデバイスMAとの間に密閉空間(図22Bを参照のこと)を提供することができる。従って、このマスクアセンブリ15’は「閉鎖フレーム」システムとして記載できる。有利な点としてこれは、汚染物質粒子が、ペリクル19に向かい合うパターニングデバイスMAの側に付着すること、パターニングデバイスMAに向かい合うペリクル19の側に付着すること、及び/又はペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の空間内に入ることを防止できる。これにより、そのような粒子がリソグラフィ装置によって基板に適用されるパターンにエラーを発生させるのを防止できる。
[000283] マスクアセンブリ15’(図22B)は、マスクアセンブリ15(図22A)よりも少数のコンポーネントを含む。具体的には、マスクアセンブリ15は、ペリクルフレーム17から突出している係合機構50及びスタッド51を備えている。このような係合機構50及びスタッド51は、マスクアセンブリ15’では必要ない。有利な点として、これにより、(マスクアセンブリ15に比べて)マスクアセンブリ15’の製造プロセスを簡素化することができる。更に、必要なコンポーネント数が少ないこと及び製造プロセスの簡素化によって、(マスクアセンブリ15に比べて)マスクアセンブリ15’の製造コストを削減できる。
[000284] 図22Aを参照すると、エポキシのりGは、各スタッド51の真下のパターニングデバイスMA上に提供されている。図22Bを参照すると、PMMAのりG’はパターニングデバイスMA上で、ペリクルフレーム17の全周にわたってこれと接触するようにペリクルフレーム17との間に提供されている。従って、マスクアセンブリ15(図22A)においてスタッド51の全てに貼り付けられているパターニングデバイスMAの合計面積よりも、マスクアセンブリ15’(図22B)においてペリクルフレーム17に貼り付けられているパターニングデバイスMAの面積の方が概してはるかに大きい。すなわち、マスクアセンブリ15’(図22B)におけるパターニングデバイスMAの接合エリアは、マスクアセンブリ15(図22A)におけるパターニングデバイスMAの接合エリアよりも大きい。パターニングデバイスMAの表面は、エポキシのりGとパターニングデバイスMAとの接着を向上させるように、エポキシのりGが提供される上記の表面部分(図22A)を選択的にエッチングすることができる。しかしながら、マスクアセンブリ15’(図22B)におけるパターニングデバイスMAの接合エリアはマスクアセンブリ15(図22A)よりもはるかに大きいので、マスクアセンブリ15’ではこのようなエッチング表面は必要ない。有利な点として、これにより、(マスクアセンブリ15に比べて)マスクアセンブリ15’の製造時間と製造コストを低減することができる。
[000285] ペリクルはパターニングデバイスよりも短い寿命を有し得る。マスクアセンブリの一部を形成するペリクルアセンブリを交換することが望ましい場合がある。上述したように、PMMAのりは既知のエポキシのりよりも容易に除去可能であり、比較的弾性が大きい。有利な点として、これにより、マスクアセンブリ15’の一部を形成するペリクルアセンブリ(ペリクルアセンブリ16’等)を、いっそう容易に交換することが可能となる。
[000286] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
[000287] 「EUV放射」という用語は、波長が4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内である電磁放射を包含すると考えられる。EUV放射は、例えば6.7nm又は6.8nm等、4~10nmの範囲内のような、10nm未満の波長を有し得る。
[000288] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
[000289] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、以下の請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
[000289] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、以下の請求の範囲及び条項から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
1.概ね平面状の物体を取り扱うための物体ハンドリング装置であって、
2つの支持アームであって、2つの支持アームが面内に配置された物体を把持すると共に保持するよう動作可能であるように、2つの支持アームのうち少なくとも一方は他方の支持アームに対して概ね前記面内で移動可能である、2つの支持アームを備え、
支持アームの各々は少なくとも1つの支持パッド及び少なくとも1つの位置合わせ部を含み、
支持パッドは、物体の表面に局所的に接触し、物体を支持するように面に対して概ね垂直な力を表面に加えるよう構成され、
位置合わせ部は、物体の表面に局所的に接触し、物体を位置合わせするように概ね面内の力を表面に加えるよう構成されている、物体ハンドリング装置。
2.概ね平面状の物体を取り扱うための物体ハンドリング装置であって、
2つの支持アームであって、2つの支持アームが面内に配置された物体を把持すると共に保持するよう動作可能であるように、2つの支持アームのうち少なくとも一方は他方の支持アームに対して概ね面内で移動可能である、2つの支持アームと、
支持構造と、
ダンパアセンブリと、を備え、
2つの支持アームは、ダンパアセンブリを介して支持構造に接続され、
ダンパアセンブリは、物体が支持アームで把持された場合、物体の面に対して垂直な方向の物体の移動を減衰させるように構成されている、物体ハンドリング装置。
3.ペリクルアセンブリを取り扱うように構成されたペリクルアセンブリハンドリング装置と、
パターニングデバイスを取り扱うように構成されたパターニングデバイスハンドリング装置と、
レールと、を備え、
ペリクルアセンブリハンドリング装置は、ペリクルアセンブリを把持すると共に保持するよう構成された支持アームを有し、
パターニングデバイスハンドリング装置は、パターニングデバイスを把持すると共に保持するよう構成された支持アームを有し、
ペリクルアセンブリハンドリング装置は、レールの1つによって支持されると共にそれに対して移動可能であり、
パターニングデバイスハンドリング装置は、レールの1つによって支持されると共にそれに対して移動可能である、
ペリクルフレーム取付装置。
4.ペリクルアセンブリハンドリング装置は、条項1に記載の物体ハンドリング装置を備える、条項3に記載のペリクルフレーム取付装置。
5.パターニングデバイスハンドリング装置は、条項1に記載の物体ハンドリング装置を備える、条項3又は4に記載のペリクルフレーム取付装置。
6.ペリクルアセンブリハンドリング装置は、条項2に記載の物体ハンドリング装置を備える、条項3から5のいずれか一項に記載のペリクルフレーム取付装置。
7.パターニングデバイスアセンブリハンドリング装置は、条項2に記載の物体ハンドリング装置を備える、条項3から6のいずれか一項に記載のペリクルフレーム取付装置。
8.物体を測定するための測定システムであって、
非偏光放射ビームを生成するための放射源と、
ビームスプリッタと、
4分の1波長板と、
結像センサと、を備え、
放射源は、非偏光放射の一部がビームスプリッタ及び4分の1波長板を通って伝搬するように配置され、
結像センサは、非偏光放射の一部の反射された部分が4分の1波長板及びビームスプリッタを通った後に結像センサに入射するよう配置されている、測定システム。
9.基準物体に対する物体の位置を測定するための測定システムであって、物体には物体マーカが設けられ、基準物体には基準マーカを備えたウィンドウが設けられ、測定システムは、
放射ビームを生成するための放射源と、
結像センサと、を備え、
放射源は、放射の反射回折次数が結像センサに垂直に入射するような角度で放射ビームが基準マーカ及び物体マーカに入射するように配置されている、測定システム。
10.条項8又は9の測定システムを備える、ペリクルフレーム取付装置。
11.ペリクルアセンブリを支持するように構成された支持構造と、
支持構造で支持された場合にペリクルアセンブリのフレームに貼り付けられた係合機構の係合アームの遠位端と接触して係合アームを弾性的に屈曲させるように支持構造に対して移動するよう構成された線形移動可能操作ピンと、を備え、
操作ピンは、係合アームに対して概ね垂直な方向に延出すると共にこの方向に移動可能であり、
操作ピンの表面は、表面と係合アームとの接触表面積が最小限に抑えられるような凸状の湾曲面である、
ペリクルフレーム取付装置。
12.支持構造の位置を移動させるように動作可能であるアクチュエータと、
支持テーブル上に配置されてこの支持テーブルから突出している複数のかぎ状ピンと、を備え、
複数のかぎ状ピンは、ペリクルアセンブリとパターニングデバイスの係合又は離脱の間に支持構造に対して所定位置に係合機構を解放可能にクランプするよう構成され、
アクチュエータ、又はかぎ状ピンが提供されている複数の取り外し可能挿入部のうち一方又は双方は、支持テーブルの移動が妨害された場合に支持テーブルから取り外すことができる、条項11に記載のペリクルフレーム取付装置。
13.パターニングデバイスを保持するよう構成された支持構造と、
パターニングデバイスにスタッドを接触させるよう構成されたスタッド操作部と、を備え、
スタッド操作部は、複数の板ばねを用いて外側フレームに取り付けられている、
スタッド取付装置。
14.スタッド操作部は、重力のもとに又は真空機構を用いてスタッドを保持するように配置されたスタッドホルダを備える、条項13に記載のスタッド取付装置。
15.のりディスペンサを更に備え、
のりディスペンサは、ポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤の1つ以上の成分を、スタッドの表面、パターニングデバイスの表面、又は、スタッドの表面及びパターニングデバイスの表面、に提供するよう構成されており、
スタッド操作部によってスタッドをパターニングデバイスに接触させた場合に、スタッドがポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤によってパターニングデバイスに貼り付けられるようになっている、条項13又は14に記載のスタッド取付装置。
16.第1の物品及び第2の物品からペリクルアセンブリの少なくとも一部を作製するためのペリクル取付装置であって、
第1の物品を第2の物品に接触させるよう構成されたペリクル操作部と、
ポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤の1つ以上の成分を、第1の物品の表面、第2の物品の表面、又は、第1の物品の表面及び第2の物品の表面、に提供するよう構成されたのりディスペンサであって、第1の物品を第2の物品に接触させた場合に第1の物品がポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤によって第2の物品に貼り付けられるようになっている、のりディスペンサと、
を備える、ペリクル取付装置。
17.第1の物品はフレームであり、第2の物品はペリクルである、条項16に記載のペリクル取付装置。
18.第1の物品はフレームであり、第2の物品は係合機構である、条項16又は17に記載のペリクル取付装置。
19.第1の物品は、ペリクルアセンブリがパターニングデバイスに接合された場合に密閉空間を提供するように構築されたフレームである、条項16又は17に記載のペリクル取付装置。
20.ペリクルと、
フレームと、を備え、
フレームにペリクルを貼り付けるように、ポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤がペリクルとフレームとの間に配置されると共にペリクル及びフレームに接触している、
ペリクルアセンブリ。
21.複数のスタッドを備えるパターニングデバイスであって、
複数のスタッドの各スタッドにパターニングデバイスを貼り付けるように、ポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤がパターニングデバイスと複数のスタッドの各スタッドとの間に配置されると共にパターニングデバイス及び複数のスタッドの各スタッドに接触している、パターニングデバイス。
22.条項19に記載のペリクルアセンブリと、
条項20に記載のパターニングデバイスと、
を備える、マスクアセンブリ。
23.ペリクルアセンブリと、
パターニングデバイスと、を備え、
ペリクルアセンブリは、ペリクルと、フレームと、を有し、
フレームをパターニングデバイスに貼り付けるように、接着剤がフレームとパターニングデバイスとの間に配置されると共にフレーム及びパターニングデバイスに接触している、
マスクアセンブリ。
24.接着剤は、フレームの形状と概ね一致する形状で提供されている、条項23に記載のマスクアセンブリ。
25.接着剤は、単一の連続的な形状で又は複数の離散的ビードの形状で提供されている、条項23又は24に記載のマスクアセンブリ。
26.ペリクルアセンブリとパターニングデバイスとの間に密閉空間が形成されている、条項23から25のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
27.接着剤は、ポリ(メチルメタクリレート)ベースの接着剤である、条項23から26のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
28.第1のリソグラフィコンポーネントの表面を、第2のリソグラフィコンポーネントの表面に接着するための、ポリ(メチルメタクリレート)のりの使用。
29.第1及び第2のリソグラフィコンポーネントのうち少なくとも1つは、EUVリソグラフィ装置のコンポーネントである、条項28に記載のPMMAのりの使用。
30.a)第1のリソグラフィコンポーネントはペリクルであると共に、第2のリソグラフィコンポーネントはペリクルフレームである、
b)第1のリソグラフィコンポーネントはペリクルフレームであると共に、第2のリソグラフィコンポーネントはパターニングデバイスである、又は、
c)第1のリソグラフィコンポーネントは第1のペリクルフレームコンポーネントであると共に、第2のリソグラフィコンポーネントは第2のペリクルフレームコンポーネントである、条項28又は29に記載のPMMAのりの使用。