JP2022520410A - 4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4h-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリルの結晶形態及びその製剤 - Google Patents

4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4h-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリルの結晶形態及びその製剤 Download PDF

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Abstract

本開示は、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の多形体及び製剤を提供する。本開示は、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)を投与することにより、眼表面疼痛を治療するための方法をさらに提供する。本発明は、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリルを投与することにより、ドライアイ疾患及び眼充血を治療するための方法も提供する。

Description

関連出願の参照
本願は、米国仮特許出願第62/806,697号明細書に対する優先権を主張し、その全体が本明細書に援用される。
本開示は、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)の結晶形態、それらを製造するためのプロセス及び方法に関する。本発明は、化合物Iの製剤及びそれを使用して眼表面障害を治療するための方法にも関する。
眼表面疼痛、特に慢性眼表面疼痛に罹患している患者は、生活の質において著しい低下を有し、多くは、抑うつ、中等度~重度の狭心症、透析、障害をもたらす股関節骨折を発現し、場合により自死に至る。多くの患者において、眼表面疼痛は、根底になる病理(例えば、最近の外傷又は外科手術、感染又は炎症)の治療にもかかわらず未解決のままであり、他の公知の治療は、長期的な療法のために使用できない。
一過性受容体電位バニロイド1(TRPV1)受容体は、疼痛シグナル伝達に関与し、この受容体の拮抗作用は、疼痛症状において有益であることがある。疼痛、特に慢性疼痛を軽減するため、TRPV1アンタゴニストの製剤を眼の表面に局所投与することが望ましいであろう。
疎水性の眼薬を処方することは、それらが特に水性局所眼科組成物内部で凝集する傾向があることから、特に困難であり得る。凝集は、組成物における安定性及び潜在的に他の品質上の課題を引き起こすことがあり、薬剤と賦形剤との他の相互作用に起因することがある。したがって、眼表面への送達において眼製剤中に配合されることがある様々な多形形態を同定することが求められる。
いくつかの実施形態では、本発明は、7.2、12.7及び21.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
Figure 2022520410000001

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態Aに関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態Aは、7.2、12.7、13.9、18.1、21.4、25.1及び26.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの結晶形態Aを調製する方法であって、メタノール中の化合物Iの遊離塩基の熱溶液を冷却することと、約0℃まで冷却して、化合物Iを結晶形態Aとして結晶化することとを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、本発明は、7.4、14.9、19.1±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
Figure 2022520410000002

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態Cに関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態Cは、7.4、14.1、14.9、16.4、19.1、26.1、31.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶形態Cを調製する方法であって、結晶形態Aにおける化合物Iを少なくとも約250℃、又は少なくとも約270℃、又は約280℃の温度まで加熱することを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、本発明は、12.7、16.7、22.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
Figure 2022520410000003

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態Eに関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態Eは、12.7、15.1、16.7、22.6、27.1、27.7、28.5±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶形態Eを調製する方法であって、化合物Iの水和物形態を約250℃又は約260℃より高い温度まで加熱して、化合物Iを結晶形態Eとして提供することを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、本発明は、構造
Figure 2022520410000004

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶水和物に関する。
いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶水和物は、6.6、14.4、18.3±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶水和物は、6.6、11.9、14.4、18.3、23.9、26.5、29.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶水和物を調製する方法であって、水と水混和性溶媒との混合物中で化合物Iのスラリーを平衡化して、化合物Iを結晶水和物として結晶化することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、水混和性溶媒は、アセトンである。いくつかの実施形態では、平衡化は、約12時間、約18時間、又は約24時間、又は約48時間にわたって実施される。
いくつかの実施形態では、本発明は、構造
Figure 2022520410000005

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶性メタノール溶媒和物に関する。
いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物は、6.1、14.5、22.7±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物は、6.1、12.2、14.5、18.0、22.7、24.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物を調製する方法であって、メタノール中で化合物Iのスラリーを平衡化して化合物Iを多形形態Gとして得て、化合物Iを結晶性メタノール溶媒和物として提供することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、平衡化は、室温で少なくとも約24時間にわたって実施される。
いくつかの実施形態では、本発明は、構造
Figure 2022520410000006

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶性アセトニトリル溶媒和物(形態J)に関する。
いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物は、8.2、17.0、23.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物は、8.2、11.8、17.0、22.8、23.8、27.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物を調製する方法であって、アセトニトリル中で化合物Iのスラリーを平衡化して、化合物Iを結晶性アセトニトリル溶媒和物として提供することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、平衡化は、室温で少なくとも約24時間にわたって実施される。
いくつかの実施形態では、本発明は、5.3、12.3、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
Figure 2022520410000007

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態Kに関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態Kは、5.3、6.5、10.5、12.3、17.2、19.3、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶形態Kを調製する方法であって、アセトン中の化合物Iの溶液の蒸発によって結晶化して、化合物Iを結晶形態Kとして提供することを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、本発明は、7.1、8.7、10.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
Figure 2022520410000008

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態Lに関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態Lは、3.5、7.1、8.7、10.6、12.2、19.1、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶形態Lを調製する方法であって、炭化水素溶媒をアセトン中の化合物Iの溶液に加えて、化合物Iを結晶形態Lとして提供することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、炭化水素溶媒は、ヘキサンである。
いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の、結晶形態A、結晶形態C、結晶形態D、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態L、結晶形態K及びその組合せからなる群から選択される、いずれかの結晶形態に従う化合物Iの結晶形態と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の、結晶形態Bと、結晶形態A、結晶形態C、結晶形態D、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態L、結晶形態K及びその組合せからなる群から選択される結晶形態での化合物I並びに薬学的に許容できる賦形剤とを含む、眼使用(例えば、眼表面への局所適用)のための医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Aを実質的に純粋な形態で含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Cを実質的に純粋な形態で含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Eを実質的に純粋な形態で含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Fを実質的に純粋な形態で含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Kを実質的に純粋な形態で含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Lを実質的に純粋な形態で含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの2つ以上の結晶形態の混合物を含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態B及びE、結晶形態B及びF、結晶形態B及びC、結晶形態A及びC、結晶形態A及びFの、約1:99~約99:1の比での混合物を含む医薬製剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される結晶形態のいずれかを含む医薬製剤は、眼使用(例えば、眼表面への局所適用)のために配合される。
いくつかの実施形態において、本明細書では、水性製剤であって、
4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、及び
界面活性剤、懸濁剤、浸透圧剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む水性製剤が記載される。
いくつかの実施形態では、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体は、製剤中において懸濁液として存在する。代替又は追加の実施形態では、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において製剤中に存在する。
いくつかの実施形態において、本明細書では、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において、製剤中に懸濁液として存在する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
界面活性剤、
懸濁剤、及び
浸透圧剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む水性製剤が記載される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明は、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
非イオン性界面活性剤;
懸濁剤;
浸透圧剤;
緩衝液;
塩;及び
任意選択により保存剤を含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本開示は、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
非イオン性、アニオン性、カチオン性界面活性剤及びその組合せからなる群から選択される界面活性剤;
懸濁剤;
浸透圧剤;
緩衝液;
任意選択により塩;
任意選択により保存剤;及び
100%までの十分量(qs)の水を含む製剤に関する。
いくつかの実施形態では、製剤は、非イオン性界面活性剤を含む。本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤、エチレンオキシドのブロック共重合体、プロピレンオキシド界面活性剤、ポロクサマー、チロキサポール及びその組合せからなる群から選択される。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、少なくとも約0.001%w/v、少なくとも約0.01%w/v、少なくとも約0.02%w/v、少なくとも約0.03%w/v又は少なくとも約0.04%w/vであり、且つ約1%w/v以下、約0.5%w/v以下、約0.3%w/v以下又は約0.2%w/v以下、約0.1%w/v以下又は約0.08%w/v以下の量において存在するチロキサポールである。いくつかの実施形態では、チロキサポールは、約0.03%w/v~0.08%w/v又は約0.05%w/vの量において存在する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、製剤の約15%w/v~約20%w/vの量におけるポロクサマーである。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、懸濁剤は、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリエチレングリコール及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、懸濁剤は、少なくとも約0.05%w/v、少なくとも約0.1%w/v又は少なくとも約0.2%w/vであり、且つ約1.0%w/v以下、約0.6%w/v以下又は約0.5%w/v以下の量において製剤中に存在するカルボマーである。いくつかの実施形態では、カルボマーは、0.1%w/v~約0.3%w/v又は約0.2%w/vの量において製剤中に存在する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、懸濁剤は、少なくとも約0.05%w/v、少なくとも約0.1%w/v又は少なくとも約0.25%w/vであり、且つ約1.8%w/v未満、約1.0%w/v未満、約0.8%w/v未満又は約0.6%w/v未満の量において製剤中に存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、懸濁剤は、約200Da~約20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。いくつかの実施形態では、懸濁剤は、約4%w/v~約9%w/v、約5%w/v~約8%w/v若しくは約7%w/vの濃度のPEG400又は約1%w/v~約4%w/v、約1%w/v~約3%w/v若しくは約2%w/vの濃度のPEG6000である。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、懸濁剤は、実質的に全てのカルボマーホモポリマーB型である。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、浸透圧剤は、ポリオールからなる群から選択される。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、ポリオールは、マンニトール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール及びプロピレングリコール並びにその組合せから選択される群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリオールは、約0.05%w/v~約10%w/v、約0.1%w/v~約8%w/v、約0.1%w/v~約7%w/v、約0.1%w/v~約5%w/vの量において存在する。特定の実施形態では、ポリオールは、0.1%w/v~約5%w/v又は約0.2%w/v、約0.3%w/v、約0.4%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約2%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v、約3.5%w/v、約4.0%w/v、約4.5%w/v又は約5%w/vの量において製剤中に存在するマンニトール又はグリセリンである。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩(EDTA)グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩及びTRIS(トロメタミン)からなる群から選択される。特定の実施形態では、緩衝液は、リン酸塩又はTRISである。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、塩は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムである。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、懸濁剤は、カーボポール(カルボマーホモポリマーB型)であり、且つ塩化ナトリウムの量は、約25℃において60rpmでスピンドルCP-42を使用するときに約20cP~約200cPの製剤の粘度をもたらす量に調整される。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約0.01%w/v~約0.5%w/v、約0.02%w/v~約0.4%w/v、約0.03%w/v~約0.3%w/v、約0.04%w/v~約0.2%w/v、約0.05%w/v~約0.1%w/v又は約0.05%w/vの量において存在する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、製剤のpHは、約5.5~約8.0である。いくつかの実施形態では、製剤のpHは、約6.0~約8.0、約6.0又は約7.4である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも約1.5w/v%、少なくとも約3.0w/v%、少なくとも約3.5w/v%又は少なくとも約4.5w/v%であるが、約10.0w/v%以下、約8.0w/v%以下、約6.5w/v%以下又は約5.5w/v%以下の量におけるシクロデキストリンからなる群から選択される追加の薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、製剤の約5%w/vの量におけるヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン又はスルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリンである。
いくつかの実施形態では、本開示は、
約0.5%w/v~約2.5%w/vの量である化合物I又はその塩、共結晶若しくは多形体、
約0.01%w/v~0.2%w/vの量におけるチロキサポール、ポロクサマー又はその組合せである非イオン性界面活性剤;
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール又はカルボマーホモポリマーB型である懸濁剤;
約0.05%w/v~約10%w/vの量における少なくとも1つのポリオールである浸透圧剤;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩又はその組合せである緩衝液
塩;及び
100%までのqsの水を含み;且つ
pHは、約5.5~約8.0の範囲である、製剤に関する。
いくつかの実施形態では、本開示は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量において存在する化合物I又はその塩、共結晶若しくは多形体、
約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール、約0.005%w/v~0.12%w/vの量におけるポロクサマー又はその組合せである非イオン性界面活性剤;
約0.1%w/v~約0.8w/v%の量におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース、約2%w/v~約8%w/vの量におけるポリエチレングリコール、約0.05%w/v~約0.5%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型又はその組合せである懸濁剤;
約0.1%w/v~約5%w/vの量におけるマンニトール又はグリセリンである浸透圧剤;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せである緩衝液;
0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;及び
100%までのqsの水を含み;且つ
約5.5~約8.0の範囲であるpHを有する、製剤に関する。
いくつかの実施形態では、本開示は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール;
約0.05%w/v~約0.4%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型;
約0.5%w/v~約5%w/vの量におけるグリセリン;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン及びその組合せからなる群から選択される緩衝液;
0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;及び
100%までのqsの水を含む製剤であって、
製剤が約5.5~約8.0の範囲のpHを有する、製剤に関する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、化合物Iは、多形形態Bである。
いくつかの実施形態では、本開示は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の多形形態Bの懸濁液、
約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール;
約0.05%w/v~約0.4%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型;
約0.5%w/v~約5%w/vの量におけるグリセリン;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せから選択される緩衝液;
0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;及び
100%までのqsの水を含む製剤であって、
約5.5~約8.0の範囲のpHを有する、製剤に関する。
いくつかの実施形態では、製剤は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における化合物I、
約0.05%w/vのチロキサポール;
約0.2%w/vのカルボマーホモポリマーB型;
約2.0%w/vのグリセリン;
トロメタミン緩衝液;及び
pHを約6.4~約8.4に調整するための塩酸;
約0.05%w/vの塩化ナトリウム;及び
100%までのqsの水を含み、
保存剤を含まない。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、化合物Iの多形形態Bは、9.3、10.6及び14.4±0.2°2θから選択される2θ値での3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、約20cP~約200cPの粘度を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、約200~約450の1キログラム当たりミリオスモル(mOsm/kg)の重量オスモル濃度を有する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、化合物IのD90(化合物Iの90%がより小さい粒子で構成される直径)は、約10μm未満、約8μm未満、約6μm未満、約4μm未満、約3μm未満又は約2μmである。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD50(化合物Iの50%がより小さい粒子で構成される直径)は、約10μm未満、約8μm未満、約6μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満又は約1μmである。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD10(化合物Iの10%がより小さい粒子で構成される直径)は、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満、約1μm未満又は約0.3μmである。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、室温での6ヶ月間の保管後に約10%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満又は約2%未満の沈殿を呈する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの量は、冷蔵下での保管の約6ヶ月後、約8ヶ月後、約10ヶ月後、約12ヶ月後、約15ヶ月後又は約18ヶ月後において最初の量の少なくとも90%である。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの量は、冷蔵下での保管の約18ヶ月後において最初の量の少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも約97%又は少なくとも約98%である。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、冷蔵下で6ヶ月後において約10%以下の分解産物を含み、分解産物は、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)水/アセトニトリル移動相の勾配を使用するHPMCによって分析されるとき、化合物Iと比較して1.23の相対保持時間を有する。
本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの約10%以下は、40℃での12週間の保管時に分解する。
本明細書に記載の製剤のいくつかの実施形態では、化合物Iは、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態G、結晶形態J、結晶形態K、結晶形態L及びその組合せからなる群から選択される結晶形態である。
本明細書に記載の製剤のいくつかの実施形態では、化合物Iは、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態K、結晶形態L及びその組合せからなる群から選択される結晶形態である。
いくつかの実施形態では、本開示は、
ある量の4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
非イオン性界面活性剤;
懸濁剤;
浸透圧剤;
緩衝液;
塩;
任意選択により保存剤;及び
100%までのqsの水を混合すること;及び
pHを約5.5~約8.0の範囲に調整することを含む、製剤を作製する方法に関する。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される製剤を作製する方法は、保存懸濁液としての化合物Iの添加を含む。いくつかの実施形態では、保存懸濁液は、所望の粒径の化合物Iを得るために粉砕される。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD90(化合物Iの90%がより小さい粒子で構成される直径)は、約10μm未満、約8μm未満、約6μm未満、約4μm未満、約3μm未満又は約2μmである。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD50(化合物Iの50%がより小さい粒子で構成される直径)は、約10μm未満、約8μm未満、約6μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満又は約1μmである。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD10(化合物Iの10%がより小さい粒子で構成される直径)は、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満、約1μm未満又は約0.3μmである。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の、構造:
Figure 2022520410000009

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式Iの化合物)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に点眼することを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、急性又は偶発性の眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって続く慢性眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、対象の角膜に投与される。
いくつかの実施形態では、COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである。いくつかの実施形態では、投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、ドライアイ疾患に伴う疼痛の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす。
いくつかの実施形態では、対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛の1つ以上に罹患している。
いくつかの実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、投与は、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、視力スケール(VAS)上の疼痛スコアの低減をもたらす。いくつかの実施形態では、VASスコアの低減は、化合物Iの対象への投与前及び後のVASスコアにおける差から生じる。請求項101~102に記載の方法では、VASスコアの低減は、化合物Iの対象への投与後の約半時間以内、約1時間、約2時間以内、約4時間以内又は約2~4時間に生じる。
いくつかの実施形態では、化合物Iの投与は、McMonniesスケールにおいて、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、対象における充血の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、眼内圧、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、角膜着色の1つ以上における変化をもたらさない。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に記載される製剤の形態において投与される。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約1、約2又は約3ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、製剤は、1日1回~4回投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療における使用のための、本明細書に記載のような製剤を提供する。上記使用のいくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間持続する発作性(例えば急性)眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛である。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
Figure 2022520410000010

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に点眼することを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、発作性(例えば、急性)眼表面疼痛であり、眼表面疼痛は、慢性眼表面疼痛(COSP)である。いくつかの実施形態では、COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである。
いくつかの実施形態では、投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、投与は、ドライアイ疾患に伴う疼痛の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす。
いくつかの実施形態では、対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、方法は、追加の治療薬を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、投与は、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、視力スケール(VAS)上の疼痛スコアの低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10のVAS疼痛スコアの低減をもたらす。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。他の実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与の約7日後に生じる。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与の約14日後に生じる。
いくつかの実施形態では、投与は、McMonniesスケールにおいて、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の対象における充血の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、投与は、化合物の投与前のVASスコアと比較して、少なくとも約3の視力スケール(VAS)上の疼痛スコアの低減をもたらす。
列挙される方法のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に記載の通り、製剤の形態で投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療又は低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
Figure 2022520410000011

を有する化合物4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)を含む製剤を対象に投与することを含む方法に関し、
製剤は、結膜のCmaxの約1.5~約3倍のウサギ角膜のCmax化合物Iをもたらし、Cmaxは、単回用量の投与後の特定の組織における化合物Iの最大濃度である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載される製剤として投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療又は低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
Figure 2022520410000012

を有する化合物4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)を含む製剤を対象に投与することを含む方法に関し、製剤は、血漿における化合物IのCmaxの約500倍のウサギ角膜における化合物IのCmaxをもたらし、Cmaxは、単回用量の投与後の特定の組織における化合物Iの最大濃度である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載される製剤として投与される。
本発明の特定の好ましい実施形態は、ある種の好ましい実施形態及び特許請求の範囲の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
化合物Iの結晶形態Aの実験及び計算XRPDパターンの重ね合わせを提供する。 化合物Iの結晶形態AのX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態Cの実験及び計算XRPDパターンの重ね合わせを提供する。 化合物Iの結晶形態CのX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態Eの実験及び計算XRPDパターンの重ね合わせを提供する。 化合物Iの結晶形態EのX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態F(水和物H)のX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態G(メタノール溶媒和物S)の実験及び計算XRPDパターンの重ね合わせを提供する。 化合物Iの結晶形態G(メタノール溶媒和物S)のX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態J(アセトニトリル溶媒和物S)のX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態KのX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの結晶形態LのX線粉末回折パターンを提供する。 化合物Iの遊離塩基の多形及び溶媒和/水和形態の関係並びにそれらの変換のための例示的方法を示す。 図14Aは、室温で12週にわたる表13において記載される探索的製剤における化合物Iのパーセントを示す。図14Aにおいて、12週で当初の約75%の化合物Iのパーセントを有する製剤は、溶液としての化合物Iの製剤である。 図14Bは、40℃で12週後の探索的製剤における化合物Iのパーセントを示す。図1Bにおいて、12週で当初の約20%の化合物Iのパーセントを有する製剤は、溶液としての化合物Iの製剤である。 対照に対する12週の安定性試料から回収された化合物Iの粉末X線回折パターンを示す。
「TRPV1受容体」は、分子クローニング及び薬理によって特徴付けられてきた一過性受容体電位バニロイド1を指す。例えば、Caterina MJ,et al.,.Nature 1997;389:816-824を参照されたい。TRPV1受容体活性は、全体が参照により本明細書によって援用される国際公開第2005/120510号パンフレットにおいて記載されるとおりに測定される。
語「有効量」の本明細書に記載される化合物は、哺乳動物内でその所期の機能を果たすのに必要又は十分な治療用化合物の量を指す。治療用化合物の有効量は、哺乳動物において既に存在する原因物質の量、年齢、性別及び哺乳動物の体重並びに哺乳動物における眼表面障害及び/又はその症状を治療するための本開示の治療用化合物の能力などの要因に従って変動し得る。
語句「眼科的に適合する」は、合理的なベネフィット/リスク比に対応して、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の眼組織との接触における使用に好適である製剤、ポリマー並びに他の物質及び/又は剤形を指す。
本明細書で使用する場合、ある疾患又は障害に関係する用語「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、いくつかの実施形態において、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発達を遅らせるか又は阻止するか又は低減すること)を指す。別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、患者により識別可能でない可能性のあるものを含む少なくとも1つの身体的パラメータを軽減又は改善することを指す。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)のいずれか又は両方で疾患又は障害を調節することを指す。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、疾患若しくは障害又はその症状の発症又は発達又は進行を予防するか又は遅らせることを指す。
本明細書で使用する場合、用語「対象」又は「患者」は、ヒト並びに霊長類、ウサギ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ及び雌ウシを含むがこれらに限定されない非ヒト哺乳動物を指す。特定の実施形態では、対象又は患者はヒトである。いくつかの実施形態では、用語「患者」又は「対象」は、本明細書に記載される病態(すなわち、疾患又は障害)にかかっており且つ治療から恩恵を被るであろうヒトを指す。本明細書で使用する場合、対象は、そのような対象(患者)が、そのような治療から生物学的に、医学的に又は生活の質において恩恵を被る場合、治療「を必要とする」。特定の実施形態では、対象は、少なくとも約18歳の成体のヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳~約75歳の成体のヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳以下の子供である。
本明細書で使用する場合、「眼表面」は、解剖学的に角膜(上皮、ボーマン層、角膜実質、デスメ膜、内皮を有する)、結膜、結膜嚢及び角膜縁、すなわち、縁を含む眼の外表面を指す。
本明細書で使用する場合、「疼痛」は、限定はされないが、刺すような、鈍い、鋭い又はうずきとして説明される常時又は断続的な実際の痛みの感覚を指す。疼痛は、限定はされないが、灼熱感、刺痛、ざらつき、異物感、乾き、砂っぽい、疲労した、痒い、ちくちくする、光に対する過敏性などの同様の関連する記述語も指す。
本明細書で用いられるとき、眼投与は、角膜、結膜、結膜嚢及び角強膜接合部、即ち角膜輪部などの眼表面の全ての部分を含む、眼の全ての部分への投与を含む。
本明細書で使用する場合、「眼表面疼痛」は、眼の表面、例えば、角膜の疼痛を指す。眼性疼痛は、一般に、角膜手術、炎症又は角膜表面に対する他の損傷などの外部の物理的又は化学的損傷刺激によって引き起こされる侵害受容性の疼痛であり得る。眼性疼痛は、侵害性刺激の存在にもかかわらず中枢神経系及び脳に送られている疼痛のメッセージをもたらす、身体のニューロンに対する直接的な損傷に起因して生じ得る神経因性疼痛から引き起こされる場合もある。本明細書で使用する場合、「眼表面疼痛」は、侵害受容性疼痛及び神経因性疼痛の両方を含む。
本明細書で使用する場合、用語「視覚的アナログスケール」(VAS)は、対象が通常、疼痛のレベルとともに整列させるスケールに対して位置をマークする疼痛強度の尺度である。疼痛は、「疼痛なし」(0のスコア)及び「最悪の疼痛」又は「想像できる最悪の疼痛」(100のスコア)の範囲においてマークされる。例えば、Hawker,et al.,Arthritis Care & Research 63(11),pp.S240-S252(November 2011)を参照されたい。疼痛の程度を評価するのを助けるために使用され得るいくつかの他のよく設計された疼痛スケールがある。対象が疼痛を等級付けするために数を使用する数値評価スケール(NRS)が使用されることが多い。数値スケールは、1~10又は1~100であり得る。Wong-Baker FACES疼痛スケールは、疼痛の等級付けのために絵及び数字を組み合わせる。それは、3歳を超える子供及び成人において使用され得る。6つの顔は、良好から非常に不調の範囲の異なる表情を表す。各々が、0(ほほえんでいる)~10(泣いている)の間の数値的な等級付けに割り当てられる。言葉による疼痛強度スケールは、疼痛強度を等級付けするためのスケールにおいて言葉による表現を使用する:疼痛なし/軽度の疼痛/中等度の疼痛/重度の疼痛 非常に重度の疼痛/これ以上ない疼痛。
眼の感覚スケールは、眼部の疼痛の重症度を測定するために開発された特殊な疼痛スケールである。Caudle L.E.et al.,Optom Vis Sci.2007 Aug;84(8):752-62を参照されたい。このスケールでは、疼痛、不快又は光過敏性は通常、「極度」、「重度」、「中等度」、「軽度」又は「なし」の5つのカテゴリーラベルによって測定される。
眼性疼痛評価調査(OPAS)は、角膜及び眼表面疼痛並びに生活の質(QoL)の変化の評価のために特別に設計された定量的であり多次元の質問票である。OPASは、疼痛強度、眼痛及び非眼痛の頻度、QoL変化、重大化する要因、関連要因及び徴候の緩和を定量的に評価して、治療応答のモニタリングを可能にする。Qazi et al.,Ophthalmology July 123(7):1458-1468(2016)を参照されたい。
本明細書で使用する場合、用語「視覚的仕事の質問票」は、眼性疼痛を悪化させ得る固定的又は長時間の凝視を必要とするある種の作業を実行するのにどの程度の困難を有するかを主観的に等級付けするために対象に尋ねる質問票を指す。この質問票は、視覚的仕事の作業中に経験する困難と関連したコーピング機構についても尋ねる。
本明細書で使用する場合、眼充血は、眼表面の発赤を指す。眼充血は、炎症及び/又は眼刺激に関する臨床マーカーであり得る。眼充血は、典型的には、標準的な写真に基づいて0~5の値で、McMonniesスケールを用いて測定される。
本明細書で使用する場合、「プラセボ」は、投与される薬物を含まない薬物組成物の全ての構成要素を含む点眼用製剤を指す。
本明細書で使用する場合、用語「約」は、指定の値の値+10%の範囲を指す。
本明細書で用いられるとき、「多形体」は、同じ化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子及び/又はイオンの異なる空間的配置を有する結晶形態を指す。
本明細書で用いられるとき、「溶媒和物」は、結晶格子構造に組み込まれる1つ又は複数の溶媒の分子をさらに含む、分子、原子及び/又はイオンの結晶形態を指す。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置及び/又は不規則な配置で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量いずれかの溶媒分子を含み得る。例えば、非化学量論量の溶媒分子を有する溶媒和物は、溶媒和物からの溶媒の部分的損失から得ることができる。溶媒和物は、結晶格子構造内部の化合物Iの2つ以上の分子を含む二量体又はオリゴマーとして存在し得る。
本明細書で用いられるとき、「非結晶性」は、結晶でない、分子、原子及び/又はイオンの固体形態を指す。非結晶性固体は、確定的なX線回折パターンを呈さない。
本明細書で用いられるとき、「実質的に純粋な」は、形態に関連して使用されると、化合物Iの、その重量に基づく、90重量%を超える純度、例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98及び99重量%を超える純度、さらに例えば、約100重量%に等しい純度を有する化合物を意味する。残存する材料は、化合物の他の形態及び/又はその調製から生じる反応不純物及び/若しくは加工不純物を含む。例えば、化合物Iの結晶形態は、この時点で公知であり、当技術分野で一般に認められている手段により測定される際、90重量%超の純度を有することで実質的に純粋とみなし得、ここで、残存する10重量%未満の材料は、化合物Iの他の形態及び/又は反応不純物及び/若しくは加工不純物を含む。
本明細書で使用する場合、「式Iの化合物」、「化合物I(Compound I)」、「式I」及び「化合物I(compound I)」は、互換的に使用され、下記に示される構造の名称4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリルを有する化合物を意味し、且つ当業者に知られ且つ両方の全体が参照により本明細書によって援用されるChenらの国際公開第2005/120510号パンフレット及び米国特許第8,349,852号明細書(「Quinazolinone derivatives useful as vanilloid antagonists」)において記載される手順を用いて合成され得る。
Figure 2022520410000013
本明細書で用いられるとき、大文字又は小文字における「結晶形態(crystal form)」、「結晶形態(crystalline form)」、「修飾」又は「多形体」又は「多形形態」は、互換可能に用いられ、化合物Iの結晶形態又は多形形態を指す。化合物Iは、非結晶又は結晶形態において使用され得る。加えて又はこれに代えて、化合物(I)の様々な結晶及び多形形態が使用され得る。本明細書で使用する場合、化合物(I)の「多形形態」又は「多形体」は、化合物(I)の結晶性の水和物又は他の結晶性の溶媒和物を包含することが意図される。
本明細書で与えられる任意の化学式は、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられることを除いて本明細書に与えられる式によって示される構造を有する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体としては、例えば、H、11C、13C、14C及び15Nなどの水素、炭素、窒素及び酸素の同位体が挙げられる。したがって、本発明の方法は、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体又はH及び13Cなどの非放射性同位体が存在するものを含む前述の同位体のいずれかの1つ以上を組み込む化合物を含むことができるか又は含み得ることを理解すべきである。このような同位体標識化合物は、代謝試験(14Cによる)、反応速度試験(例えば、H又はHによる)、薬物若しくは基質の組織分布アッセイを含むポジトロン放出断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)などの検出若しくはイメージング技術又は患者の放射性治療において有用である。同位体標識化合物は通常、例えば、以前に利用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、当業者に知られる従来の手法によって調製され得る。
本発明は、本明細書で提供される本発明に従って有用な化合物の全ての薬学的に許容される塩を含む実施形態を包含する。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、開示された化合物の誘導体を指し、親化合物は、存在している酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、形成された親化合物の、例えば、非毒性無機酸又は有機酸に由来する通常の非毒性塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。通常、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態と、水若しくは有機溶媒又はその2つの混合物(通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)中の化学量論的な量の適切な塩基又は酸とを反応させることによって調製され得る。好適な塩のリストは、各々が全体として参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)において見出される。例えば、好ましい薬学的に許容される塩としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、塩は、塩酸塩であり得る。好適な塩の他の例は、内容が全体として本明細書により援用される米国特許第8,349,852号明細書において見出すことができる。
本明細書において使用される場合の語句「薬学的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に対応して、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織との接触における使用に好適であるそれらの化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指す。
別段の指示がない限り、全ての成分濃度は、%重量/体積(%w/v)の単位において提示される。一般に理解されるとおり、%w/v値は、製剤中の特定の構成要素又は成分の量を指す。当量濃度が異なる単位において表され得ることが一般に理解される。例えば、0.1%w/vの濃度は、1mg/ml溶液としても表され得る。
別段の指定がない限り、式Iの化合物に関して本明細書に言及される重量又は投与量は、目的の治療効果を達成するために異なる場合があるその塩又はプロドラッグのものではなく化合物自体の重量又は投与量である。例えば、本明細書で開示される方法、組成物又は組合せに好適な化合物の対応する塩の重量又は投与量は、塩及び化合物自体の分子量の比率に基づいて計算され得る。
化合物Iの結晶形態Bは、参照により本明細書中に援用される米国特許第8,349,852号明細書に記載されている。多形体Bは、9.3、10.6及び14.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、多形体Bは、9.3、10.6、14.4、15.5、17.9、19.9、23.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
化合物Iの結晶形態
一態様では、本発明は、7.2、12.7及び21.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、化合物Iの結晶形態Aに関する。いくつかの実施形態では、結晶形態Aは、7.2、12.7、13.9、18.1、21.4、25.1及び26.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態Aは、7.2、12.7、13.3、13.9、14.5、15.6、18.1、19.9、21.4、22.8、25.1、26.8、27.8、29.0±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶形態Aは、メタノール中で化合物Iの遊離塩基の熱溶液を冷却し、約0℃まで冷却し、化合物Iを結晶形態Aとして結晶化することにより調製され得る。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Aは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Aは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Aでの化合物Iを含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、結晶形態Aとして存在する。
一態様では、本発明は、7.4、14.9、19.1±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、化合物Iの結晶形態Cに関する。いくつかの実施形態では、結晶形態Cは、7.4、14.1、14.9、16.4、19.1、26.1、31.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態Cは、7.4、14.1、14.9、16.4、19.1、24.8、26.1、28.4、31.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶形態Cは、結晶形態Aを加熱することにより調製され得る。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Cは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Cは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Cでの化合物Iを含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、結晶形態Cとして存在する。
一態様では、本発明は、12.7、16.7、22.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、化合物Iの結晶形態Eに関する。いくつかの実施形態では、結晶形態Eは、12.7、15.1、16.7、22.6、27.1、27.7、28.5±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの多形体Eは、約281℃の融解開始温度を有する。いくつかの実施形態では、結晶形態Eは、9.1、11.9、12.7、13.8、15.1、16.7、18.3、21.3、22.6、24.4、27.1、27.7、28.5、37.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶形態Eは、化合物Iの水和物形態を約250℃又は約260℃より高い温度まで加熱し、化合物Iを結晶形態Eとして得ることにより調製され得る。いくつかの実施形態では、加熱は、乾燥器内で実施される。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Eは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Eは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、結晶形態Eでの化合物Iを含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、結晶形態Eとして存在する。
一態様では、本発明は、化合物Iの結晶水和物(多形体F)に関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶水和物は、6.6、14.4、18.3±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶水和物は、6.6、11.9、14.4、18.3、23.9、26.5、29.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
いくつかの実施形態では、結晶水和物は、6.7、11.9、12.8、14.4、15.6、16.3、18.3、19.5、22.7、23.9、24.7、25.6、26.5、29.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶形態Fは、水と水混和性溶媒の混合物中での化合物Iのスラリーの平衡化により、化合物Iを結晶形態Fとして結晶化することにより調製され得る。特定の実施形態では、水混和性溶媒は、アセトンである。いくつかの実施形態では、平衡化は、約12時間、約18時間、又は約24時間、又は約48時間実施される。いくつかの実施形態では、平衡化は、室温、即ち約25℃で実施される。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Fは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Fは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iを結晶水和物形態(多形体F)として含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、結晶水和物(多形体F)として存在する。
一態様では、本発明は、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物型(多形体G)に関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物は、6.1、14.5、22.7±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶性メタノール溶媒和物は、6.1、12.2、14.5、18.0、22.7、24.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
多形形態Gは、メタノール中で化合物Iのスラリーを平衡化し、化合物Iを結晶形態Gとして得ることにより調製され得る。いくつかの実施形態では、平衡化は、約12時間、約18時間、又は約24時間、又は約48時間実施される。いくつかの実施形態では、平衡化は、室温、即ち約25℃で実施される。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Gは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Gは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iを結晶メタノール形(多形体G)として含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、結晶性メタノール溶媒和物(多形体G)として存在する。
一態様では、本発明は、結晶性アセトニトリル溶媒和物(結晶形態J)に関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物は、8.2、17.0、23.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶性アセトニトリル溶媒和物は、8.2、11.8、17.0、22.8、23.8、27.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶性アセトニトリル溶媒和物は、8.2、11.8、17.0、22.8、23.8、27.6、31.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶性アセトニトリル溶媒和物は、アセトニトリルで化合物Iのスラリーを平衡化することにより調製され得る。いくつかの実施形態では、スラリーでの化合物は、結晶形態Aである。いくつかの実施形態では、平衡化は、約12時間、約18時間、又は約24時間、又は約48時間実施される。いくつかの実施形態では、平衡化は、室温、即ち約25℃で実施される。
一実施形態では、化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物は、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶性アセトニトリル溶媒和物は、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iを結晶性アセトニトリル溶媒和物(多形体J)として含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、結晶性アセトニトリル溶媒和物(多形体J)として存在する。
一態様では、本発明は、5.3、12.3、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、化合物Iの結晶形態Kに関する。いくつかの実施形態では、結晶形態Kは、5.3、6.5、10.5、12.3、17.2、19.3、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上又は6つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶形態Kは、アセトン中の化合物Iの蒸発結晶化により、化合物Iを結晶形態Kとして結晶化することにより調製され得る。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Kは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Kは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iを多形体Kとして含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、多形体Kとして存在する。
一態様では、本発明は、7.1、8.7、10.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、化合物Iの結晶形態Lに関する。いくつかの実施形態では、結晶形態Lは、3.5、7.1、8.7、10.6、12.2、19.1、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態Lは、3.5、7.1、8.7、10.6、11.1、12.2、19.1、21.1、22.4、23.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
結晶形態Lは、炭化水素溶媒を加えることによるアセトンでの化合物Iの溶液の沈殿により、化合物Iを結晶形態Lとして結晶化することにより調製され得る。いくつかの実施形態では、炭化水素溶媒は、ペンタン、ヘキサン又はヘプタンである。特定の実施形態では、炭化水素溶媒は、ヘキサンである。
一実施形態では、化合物Iの結晶形態Lは、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態での化合物Iのこの結晶形態Lは、医薬組成物、例えば本明細書に記載のような眼製剤中で使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iを多形体Lとして含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物Iの点眼用懸濁液を提供し、ここで化合物Iの少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも90%が、多形体Lとして存在する。
いくつかの実施形態では、本発明は、式Iの化合物の製剤を提供する。いくつかの実施形態では、製剤は、式Iの化合物の水性懸濁液である。いくつかの実施形態では、懸濁液は、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの濃度で式Iの化合物を含む。いくつかの実施形態では、局所的な眼性の使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、少なくとも約0.5%w/v、少なくとも約1.0%w/v、少なくとも約1.5%w/v、少なくとも約2.0%w/v又は少なくとも約2.5%w/vである。いくつかの実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約5.0%w/v以下、約4.5%w/v以下、約4.0%w/v以下、約3.5%w/v以下又は約3.0%w/v以下である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。mg/mlの単位において表す場合、いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml~約35mg/ml、約5mg/ml~約25mg/ml又は約5mg/ml~約15mg/ml、約5mg/ml~約30mg/ml、約10mg/ml~約25mg/ml、約15mg/ml~約30mg/ml又は約5mg/ml~約25mg/mlの濃度で対象に投与される。いくつかの実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、少なくとも約5mg/ml、少なくとも約10mg/ml、少なくとも約15mg/ml、少なくとも約20mg/ml又は少なくとも約25mg/mlである。いくつかの実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約50mg/ml以下、約45mg/ml以下、約40mg/ml以下、約35mg/ml以下又は約30mg/ml以下である。特定の実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml又は約35mg/mlの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、多形体A、多形体B、多形体C、多形体E、多形体F(水和物H)、多形体J(アセトニトリル溶媒和物S)、多形体G(メタノール溶媒和物S)、多形体K、多形体L又はその組合せの形態で存在する。特定の実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に実質的に純粋な形態での多形体Bとして存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に実質的に純粋な形態での多形体Aとして存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に多形体Cとして実質的に純粋な形態で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に実質的に純粋な形態での多形体Eとして存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に実質的に純粋な形態での多形体Fとして存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に実質的に純粋な形態での多形体Kとして存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、本明細書に記載の眼製剤中に実質的に純粋な形態での多形体Lとして存在する。特定の実施形態では、化合物Iは、2つ以上の多形形態の異なる比での混合物として製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、多形体B及びE、多形体B及びF、多形体B及びC、多形体A及びC、多形体A及びFの約1:99~約99:1の比での混合物として存在する。
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの眼科的に許容される賦形剤をさらに含む。
いくつかの実施形態では、製剤は、眼科的に許容される界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。特定の実施形態では、アニオン性界面活性剤は、C10~C22アルキル硫酸塩、C10~C22アルキル(オリゴオキシアルキレン)硫酸塩、C~C22アルキルスルホサクシネートエステル、C10~C22アシルサルコシン酸塩及びC10~C22アルキルカルボン酸塩から選択され;オリゴオキシアルキレン部分は、1~5個のオキシ-C~Cアルキレン部分、例えば、オキシエチレン部分を有する。アニオン性界面活性剤は、アルカリ金属、例えば、ナトリウム、C~Cアルキルアンモニウム、トリ(C~Cアルカノール)アンモニウム、例えば、トリエタノールアンモニウム、ジ(C~Cアルカノール)アンモニウム及びアンモニウムカチオンから選択される対カチオンを有し得る。製剤中のアニオン性界面活性剤の濃度は、約0.005~0.1g/L又は0.005~0.05g/Lである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1-アシルアミノエチル-2-アルキルイミダゾリン、1-ヒドロキシエチル-2-アルキルイミダゾリンが挙げられ、そのクロルヘキシジンなどの塩、クロルヘキシジン又はその塩、例えば、クロルヘキシジングルコン酸塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、約0.001%w/v~約5%w/v、又は約0.001%w/v~約1%w/v、又は約0.001%w/v~約0.1%w/v、又は約0.001%w/v~約0.01%w/v、又は約0.001%w/v~約0.005%w/vの量において製剤中に存在する。
特定の実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロック共重合体界面活性剤(例えば、プルロニック型又はテトロニック型界面活性剤)、ポロクサマー、チロキサポール又はその組合せである。チロキサポールは、アルキルアリールポリエーテルアルコール型の非イオン性液体ポリマーである。ポロクサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖に隣接したポリオオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中心の疎水性鎖で構成される非イオン性トリブロック共重合体である。特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、チロキサポールである。いくつかの実施形態では、チロキサポールは、少なくとも約0.001%w/v、少なくとも約0.01%w/v、少なくとも約0.02%w/v、少なくとも約0.03%w/v、少なくとも約0.04%w/vであり、且つ約1%w/v以下、約0.5%w/v以下、約0.3%w/v以下又は約0.2%w/v以下、約0.1%w/v以下又は約0.08%w/v以下の量において存在する。特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約0.03%w/v~0.08%w/v又は約0.05%w/vの量において存在するチロキサポールである。
いくつかの実施形態では、製剤は、約15%w/v~20%w/vのポロクサマー界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約15%、約15.5%、約16%、約16.5%、約17%、約17.5%、約18%、約18.5%、約19%、約19.5%又は約20%w/vのポロクサマーを含む。特定の実施形態では、製剤は、約17.5%w/vのポロクサマーを含む。さらなる特定の実施形態では、ポロクサマーは、ポロクサマー407である。特定の実施形態では、界面活性剤は、実質的に全てのチロキサポールである。
いくつかの実施形態では、製剤は、懸濁剤を含む。いくつかの実施形態では、懸濁剤は、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリエチレングリコール又はその組合せである。カルボマーは、架橋ポリマー鎖のネットワークを有するカルボキシビニルポリマーである。ポリマーは、カルボン酸官能基を有すると特徴付けられる場合が多く、且つ官能基当たり2~7個の炭素原子を含有し得る。カルボマー、すなわち、例えば、ペンタエリスリトールのアリルスクロース又はアリルエーテルと架橋されるアクリル酸の合成高分子量ポリマー、特に水溶性及び水膨潤性カルボマーである。カルボマーは、様々な供給業者から商品名CARBOPOL(登録商標)の下で入手可能である。特定の実施形態では、カルボマーは、カルボマーホモポリマーB型である。特定の実施形態では、カルボマーは、CARBOPOL(登録商標)934P(カルボマー934P)、940又は974Pである。いくつかの実施形態では、懸濁剤はカルボマーであり、且つ少なくとも約0.05%w/v、少なくとも約0.1%w/v又は少なくとも約0.2%w/vであり、且つ約1.0%w/v以下、約0.6%w/v以下又は約0.5%w/v以下の量において製剤中に存在する。特定の実施形態では、懸濁剤はカルボマーであり、且つ0.1%w/v~約0.3%w/v又は約0.2%w/vの量において製剤中に存在する。
いくつかの実施形態では、懸濁剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。特定の実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、少なくとも約0.05%w/v、少なくとも約0.1%w/v又は少なくとも約0.25%w/vであり、且つ約1.8%w/v未満、約1.0%w/v未満、約0.8%w/v未満又は約0.6%w/v未満の量において製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約0.1%w/v~約0.8w/v%;約0.1%w/v~約0.6%w/v;約0.25%w/v~約0.8%w/v;約0.4%w/v~約0.6%w/vの量において製剤中に存在する。
いくつかの実施形態では、懸濁剤は、少なくとも約200Daの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。いくつかの実施形態では、PEGは、少なくとも約400、1,000、2,000、3,000、4,000、6,000又は約10,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、懸濁剤は、約200Da~約20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。いくつかの実施形態では、PEGは、約400、1,000、2,000、3,000、4,000、6,000又は約10,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、PEGは、少なくとも約1%w/v、少なくとも約2%w/v、少なくとも約3%w/vであり、且つ約10%w/v未満、約9%w/v未満又は約8%w/v未満の量において製剤中に存在する。特定の実施形態では、懸濁剤は、約4%w/v~約9%w/v、約5%w/v~約8%w/v又は約7%w/vの濃度のPEG400である。特定の実施形態では、懸濁剤は、約1%w/v~約4%w/v、約1%w/v~約3%w/v又は約2%w/vの濃度のPEG6000である。
特定の実施形態では、懸濁剤は、2つ以上の懸濁剤の組合せである。他の実施形態では、懸濁剤は実質的に全てのカルボマーである。
いくつかの実施形態では、懸濁剤は、所望の粘度の製剤を提供し得る。理論に束縛されることなく、適切な粘度は、沈殿及び固化を伴わずに製剤中の懸濁状態において化合物Iを維持する際に有益であると考えられる。いくつかの実施形態では、製剤粘度は、約10cP~約200cP(センチポアズ)、約20cP~約200cP又は約20cP~約150cPである。いくつかの実施形態では、製剤粘度は、少なくとも約10cP、20cP、50cP、100cP又は少なくとも約150cPである。製剤に関する粘度測定値は、3rpm又は60rpmのいずれかでスピンドルCP-42を使用してBrookfield粘度計を用いて測定される。粘度は通常、室温、すなわち、25℃で測定される。
いくつかの実施形態では、製剤は、浸透圧剤を含む。いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、ポリオールである。本明細書で使用する場合、用語「ポリオール」は、互いに対してトランス配置ではない2個の隣接炭素原子の各々において少なくとも1個のヒドロキシル基を有する任意の化合物を含む。ポリオールは、得られる複合体が、水溶性であり且つ薬学的に許容される限り、直鎖状若しくは環状、置換若しくは非置換又はその混合物であり得る。このような化合物の例としては:糖、糖アルコール、糖酸及びウロン酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、マンニトール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール及びプロピレングリコール又はその組合せを含むがこれらに限定されない、糖、糖アルコール及び糖酸などのポリオールである。特定の実施形態では、組成物は、マンニトール、グリセリン又はその組合せを含む。いくつかの実施形態では、製剤中のポリオールの量は、約0.05%w/v~約10%w/v、約0.1%w/v~約8%w/v、約0.1%w/v~約7%w/v、約0.1%w/v~約5%w/vである。特定の実施形態では、浸透圧剤はマンニトール又はグリセリンであり、これは、0.1%w/v~約5%w/v又は約0.2%w/v、約0.3%w/v、約0.4%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約2%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v、約3.5%w/v、約4.0%w/v、約4.5%w/v又は約5%w/vの量において製剤中に存在する。特定の実施形態では、浸透圧剤は、マンニトールである。特定の実施形態では、浸透圧剤は、グリセリンである。
いくつかの実施形態では、製剤は、緩衝液を含む。緩衝液物質の例としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩(EDTA)グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩及びTRIS(トロメタミン)緩衝液が挙げられる。特定の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝系である。特定の実施形態では、緩衝液は、トロメタミン緩衝液である。加えられる緩衝液物質の量は通常、生理的に許容されるpH範囲を保証し、且つ維持するのに必要な量である。いくつかの実施形態では、pH範囲は、約4~約9、約4.5~約8.5、約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.4~約8.4の範囲である。いくつかの実施形態では、pHは、約6.0である。特定の実施形態では、pHは、約7.4である。
いくつかの実施形態では、製剤は塩を含む。いくつかの実施形態では、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムである。特定の実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。特定の実施形態では、塩は、少なくとも約0.01%w/v、少なくとも約0.02%w/v、少なくとも約0.03%w/v、少なくとも約0.04%w/vであり、且つ約0.5%w/v以下、約0.4%w/v以下、約0.3%w/v以下、約0.2%w/v以下又は約0.1%w/v以下の量において存在する。特定の実施形態では、塩は、約0.01%w/v~約0.5%w/v、約0.02%w/v~約0.4%w/v、約0.03%w/v~約0.3%w/v、約0.04%w/v~約0.2%w/v、約0.05%w/v~約0.1%w/vの量において存在する。特定の実施形態では、塩は塩化ナトリウムであり、且つ約0.02%w/v~約0.07%w/v又は約0.05%w/vの量において製剤中に存在する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、約200~約450キログラム当たりミリオスモル(mOsm/kg)、約200~約400mOsm/kg、約200~約300mOsm/kg又は約240~約360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する。
いくつかの実施形態では、製剤は、自己保存型でもあり得、保存剤を含まない。他の実施形態では、製剤は保存剤を含む。いくつかの実施形態では、保存剤としては、ポリヘキシルメチレンビグアニジン(PHMB)、ポリマー性四級アンモニウム化合物(例えば、ポリクオタニウム-1)、塩化ベンザルコニウム(BAK)、亜塩素酸塩保存剤又は他のものなどの塩素含有保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、保存剤は、眼科的に許容されるポリマー性四級アンモニウム化合物である。この種類の化合物は、米国特許第3,931,319号明細書;米国特許第4,027,020号明細書;米国特許第4,407,791号明細書;米国特許第4,525,346号明細書;米国特許第4,836,986号明細書;米国特許第5,037,647号明細書;及び米国特許第5,300,287号明細書;並びに国際公開第91/09523号パンフレット(Dziaboら)において記載される。特定の実施形態では、ポリマー性アンモニウム化合物は、2,000~30,000の間の数平均分子量を有するPOLYQUAD(登録商標)又はONAMERM(登録商標)としても知られるポリクオタニウム1である。さらなる特定の実施形態では、数平均分子量は、3,000~14,000の間である。
使用されるとき、ポリマー性四級アンモニウム化合物は一般に、製剤の0.00001w/v%超、0.0003w/v%超又は0.0007w/v%超である量において使用される。さらに、ポリマー性四級アンモニウム化合物は、製剤中で使用されるとき、一般に、製剤の約0.03w/v%未満、約0.003w/v%未満又は約0.0015w/v%未満である濃度で使用される。いくつかの実施形態では、製剤中のポリマー性四級アンモニウム化合物の濃度は以下のとおりである:約0.0003w/v%を超えるが約0.003w/v%未満;約0.0003w/v%を超えるが約0.0015w/v%未満;約0.0007w/v%を超えるが約0.003w/v%未満;及び約0.0007w/v%を超えるが約0.0015w/v%未満。特定の実施形態では、製剤は、約0.001%w/vの濃度でポリクオタニウム1を含む。
いくつかの実施形態では、製剤は、製剤の少なくとも約0.0005w/v%、約0.001w/v%又は0.007w/v%超である濃度及び点眼用組成物の約0.1w/v%未満、約0.02w/v%未満又は約0.0035w/v%未満である濃度でBAKを含む。BAKの濃度に対する下限のいずれかが、BAKの濃度に対する上限のいずれかと組み合わせて使用され得ることが特に意図される。特定の実施形態では、組成物中のBAKの濃度は以下のとおりである:約0.001w/v%を超えるが約0.02w/v%未満;約0.001w/v%を超えるが約0.0035w/v%未満;約0.007w/v%を超えるが約0.02w/v%未満;及び約0.007w/v%を超えるが約0.0035w/v%未満。
いくつかの実施形態では、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、及び
界面活性剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤
を含む水性製剤が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において製剤中の懸濁液として存在する、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、及び
界面活性剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤
を含む水性製剤が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、
製剤中の懸濁液として存在する、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、及び
界面活性剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤
を含む水性製剤が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、
懸濁液として、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、及び
界面活性剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤
を含む水性製剤が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態において、本明細書では、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において、製剤中に懸濁液として存在する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
界面活性剤、
懸濁剤、及び
浸透圧剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む水性製剤が記載される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において、製剤中に懸濁液として存在する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
非イオン性界面活性剤;
懸濁剤;
浸透圧剤;
緩衝液;
塩;及び
任意選択により保存剤を含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v~約3.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
非イオン性界面活性剤;
懸濁剤;
浸透圧剤;
緩衝液;
塩;
任意選択により保存剤;及び
100%までのqsの水を含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v~約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
約0.01%w/v~0.2%w/vの量におけるチロキサポール、ポロクサマー又はその組合せから選択される非イオン性界面活性剤;
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール又はカルボマーホモポリマーB型から選択される懸濁剤;
約0.05%w/v~約10%w/vの量におけるポリオールから選択される浸透圧剤;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩又はその組合せから選択される緩衝液;
塩;及び
100%までのqsの水を含み;且つ
約5.5~約8.0の範囲のpHを含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール、約0.005%w/v~0.12%w/vの量におけるポロクサマー又はその組合せから選択される非イオン性界面活性剤;
約0.1%w/v~約0.8w/v%の量におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース、約2%w/v~約8%w/vの量におけるポリエチレングリコール、約0.05%w/v~約0.5%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型又はその組合せから選択される懸濁剤;
約0.1%w/v~約5%w/vの量におけるマンニトール又はグリセリンから選択される浸透圧剤;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せから選択される緩衝液;
0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;
100%までのqsの水、及び
約5.5~約8.0の範囲のpHを含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール;
約0.05%w/v~約0.4%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型;
約0.5%w/v~約5%w/vの量におけるグリセリン;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せから選択される緩衝液;
0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;
100%までのqsの水、及び
約5.5~約8.0の範囲のpHを含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の多形形態Bの懸濁液、
約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール;
約0.05%w/v~約0.4%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型;
約0.5%w/v~約5%w/vの量におけるグリセリン;
エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せから選択される緩衝液;
0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;
100%までのqsの水、及び
約5.5~約8.0の範囲のpHを含む製剤である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される発明は、
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の多形形態Bの懸濁液、
約0.05%w/vのチロキサポール;
約0.2%w/vのカルボマーホモポリマーB型;
約2.0%w/vのグリセリン;
トロメタミン緩衝液;
約0.05%w/vの塩化ナトリウム;及び
100%までのqsの水、及び
約6.4~約8.4の範囲のpHを含む製剤であり;
製剤は、保存剤を含まない。
いくつかの実施形態では、塩酸、水酸化ナトリウム又はその組合せなどの酸又は塩基を使用して、製剤のpHを調整する。特定の実施形態では、塩酸を使用して、pHを約6.0又は約7.4に調整する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は水性であり、すなわち、それらは、少なくとも約90%、少なくとも約92%又は少なくとも約95%の水を含む。
理論に束縛されることなく、カルボマーホモポリマーB型を有する製剤の粘度は、pHが酸性から中性に調整されるにつれて増大するが、粘度はイオン強度の増大とともに低下すると考えられる。本発明者らは、緩衝液としてトロメタミンを使用することにより、イオン強度の実質的な増大を伴わずにpHが上昇することを見出した。さらに理論に束縛されることなく、本発明者らは、グリセリンが、製剤の浸透圧をそのイオン強度を増大させることなく調整できることも見出した。グリセリンは、十分に耐容性を示し且つ非刺激性であり、且つ保水剤及び追加の粘性剤としての役割も果たす。
いずれかの特定の理論に束縛されることなく、本発明者らは、製剤中における界面活性剤の含有が、式Iの化合物のための湿潤剤としても作用し、それにより、化合物Iの粒子の水による湿潤をもたらす一方で刺激及び起泡の可能性を低減し且つ懸濁液の再分散性を促進することを見出した。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、追加の構成要素をさらに含む。特定の実施形態では、製剤は、シクロデキストリン誘導体、例えば、β-シクロデキストリン誘導体、γ-シクロデキストリン誘導体又はその組合せを含む。特定の実施形態では、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン又はスルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリンである。存在する場合、シクロデキストリン誘導体は、少なくとも約1.5w/v%、少なくとも約3.0w/v%、少なくとも約3.5w/v%又は少なくとも約4.5w/v%であるが、約10.0w/v%以下、約8.0%w/v以下、約6.5w/v%以下又は約5.5w/v%以下の量において存在し得る。特定の実施形態では、製剤は、約5%w/vのヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン又はスルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリンのいずれかを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、化合物Iに加えて追加の治療剤を含み得る。さらなる治療剤は、例えば、眼表面障害を治療するのに有用な他の化合物及び抗体を含み得る。このような薬剤の非限定的なリストとしては、ケトロラク、ネパフェナク、ブロムフェナク、コルチコステロイドなどの非ステロイド系抗炎症薬;シクロスポリン、リフィテグラスト又は他のTRPV1阻害剤などのドライアイ疾患のための薬物が挙げられる。特定の実施形態では、追加の治療剤は、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン又はその薬学的に許容される塩などの点眼用ステロイドである。医薬組成物中に含まれ得るこのような追加の治療剤のさらなる非限定的な例としては、Xiidra(登録商標)(リフィテグラスト)、Restasis(登録商標)(シクロスポリン)、ミノサイクリン、ドキシサイクリン又は他のテトラサイクリン系抗生物質が挙げられる。他の例としては、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸など、又はその薬学的に許容される塩などの角質溶解薬が挙げられる。
いくつかの実施形態では、製剤は、冷蔵された温度(例えば、4℃)で保管される。いくつかの実施形態では、製剤は、投与前に室温まで温められる。
いくつかの実施形態では、懸濁液は、単回用量の容器に包装される。いくつかの実施形態では、製剤は、複数回用量の容器に包装される。
本明細書に記載される製剤は、熟練した臨床医の通例の裁量に応じて、1日1~6回、眼の表面に送達される。いくつかの実施形態では、製剤は、1日1、2、3又は4回投与される。
いくつかの実施形態では、製剤は、室温で6ヶ月間の保管後に約10%未満の沈殿を呈する。いくつかの実施形態では、製剤は、室温での6ヶ月間の保管後に約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満又は約2%未満の沈殿を呈する。沈殿挙動は、例えば、本明細書に記載されるとおり、当業者に一般に知られる方法によって測定される。
いくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの量は、冷蔵(例えば、約4℃)下での保管の約6ヶ月後、最初の量の少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの量は、冷蔵下での保管の約8ヶ月後、約10ヶ月後、約12ヶ月後、約15ヶ月後又は約18ヶ月後において最初の量の少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの量は、冷蔵(例えば、約4℃)下での保管の約6ヶ月後において最初の量の少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも約97%又は少なくとも約98%である。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの量は、冷蔵下での保管の約18ヶ月後において最初の量の少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも約97%又は少なくとも約98%である。製剤中の化合物Iの量は、例えば、HPLC、LC/MSなどの当業者に一般に知られる方法を用いて測定される。
いくつかの実施形態では、製剤は、冷蔵下で6ヶ月後において約10%以下の分解産物を含み、分解産物は、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)水/アセトニトリル移動相の勾配を使用するHPMCによって分析されるとき、化合物Iと比較して1.23の相対保持時間を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、冷蔵下で6ヶ月後、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下又は約2%以下の分解産物を含む。
いくつかの実施形態では、製剤中の化合物Iの約10%以下が、40℃での12週間の保管時に分解する。特定の実施形態では、製剤中の化合物Iの約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下が、40℃での12週間の保管時に分解する。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬製剤は、化合物(I)に加えて追加の治療剤を含み得る。さらなる治療剤は、例えば、眼表面障害を治療するのに有用な他の化合物及び抗体を含み得る。このような薬剤の非限定的なリストとしては、ケトロラク、ネパフェナク、ブロムフェナク、コルチコステロイドなどの非ステロイド系抗炎症薬;シクロスポリン、リフィテグラスト又は他のTRPV1阻害剤などのドライアイ疾患のための薬物が挙げられる。特定の実施形態では、追加の治療剤は、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン又はその薬学的に許容される塩などの点眼用ステロイドである。医薬組成物中に含まれ得るこのような追加の治療剤のさらなる非限定的な例としては、Xiidra(登録商標)(リフィテグラスト)、Restasis(登録商標)(シクロスポリン)、ミノサイクリン、ドキシサイクリン又は他のテトラサイクリン系抗生物質が挙げられる。他の例としては、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸など、又はその薬学的に許容される塩などの角質溶解薬が挙げられる。
作製方法
いくつかの実施形態では、製剤は、ある量の4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体と、界面活性剤、懸濁剤、浸透圧剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を混合することによって作製される。
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物Iの医薬製剤を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、製剤は、ある量の4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
非イオン性界面活性剤;
懸濁剤;
浸透圧剤;
緩衝液;
塩;
任意選択により保存剤;及び
100%までのqsの水を混合すること;及び
pHを約5.5~約8.0の範囲に調整することによって作製される。
いくつかの実施形態では、化合物Iは、任意選択により界面活性剤とともに、水中の保存懸濁液として加えられる。いくつかの実施形態では、化合物Iは、保存懸濁液中において10%の量で存在する。代替又は追加の実施形態では、化合物Iの保存懸濁液は、0.2%のチロキサポールをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iの保存懸濁液は、所望の粒径の化合物Iを得るために粉砕される。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD90(化合物Iの90%がより小さい粒子で構成される直径)は、約10μm未満、約8μm未満、約6μm未満、約4μm未満、約3μm未満又は約2μmである。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD50(化合物Iの50%がより小さい粒子で構成される直径)は、約10μm未満、約8μm未満、約6μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満又は約1μmである。いくつかの実施形態では、製剤中の化合物IのD10(化合物Iの10%がより小さい粒子で構成される直径)は、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満、約1μm未満又は約0.3μmである。
特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤、懸濁剤、浸透圧剤、緩衝液及び塩は、上に記述されるとおりである。いくつかの実施形態では、製剤は、保存剤を含まない。
1.5%w/v化合物I懸濁液の製造の例示的な方法が、以下に記載される。
1.ポリブチレンテレフタレート、PTFEライニングキャップ及び磁性撹拌子とともに清浄な乾燥したガラスSchottボトルの風袋を計る。
2.ボトルにバッチ量の化合物I溶媒(懸濁剤、浸透圧剤、界面活性剤及び塩を含み、pHが最終pHに調整されている)を加える。密閉し、配合容器を蒸気で滅菌する(F≧30)。
3.容器を水平層流ワークベンチに移し、冷却させる。
4.無菌的に秤量し、バッチ量の滅菌10%化合物I/0.2%界面活性剤を配合容器に加える。必要であれば、滅菌(蒸気滅菌又は無菌フィルターのいずれか)精製水qsとともに最終のバッチ重量に調整し、均一になるまで撹拌する。
5.1.5%懸濁液を滅菌調剤瓶に無菌的に充填する。懸濁チップを挿入し、回して固く締めてチップを設置し、密閉する。
6.層流ワークベンチから充填したユニットを取り出し、ラベルを付ける。最終pH及び重量オスモル濃度値を測定する。
使用方法
理論に束縛されることなく、一過性受容体電位バニロイド1(TRPV1)の遮断薬は、疼痛、例えば、慢性疼痛の治療に有用であり得ると仮定される。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、対象における眼表面疼痛を治療する方法を提供し、前記方法は、有効量の化合物(I)又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象における眼表面疼痛を低減する方法を提供し、前記方法は、有効量の化合物(I)又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、眼表面疼痛の治療又は低減における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、多形形態Bである。特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、上記の化合物Iの製剤を投与することによって行われる。したがって、本発明は、本明細書に記載されるとおりの化合物Iの製剤を投与することによって眼表面疼痛を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法により、眼表面疼痛の低減がもたらされる。
いくつかの実施形態では、対象は、偶発性又は急性の眼性疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも3ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも4ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも5ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することによって対象における慢性眼表面疼痛を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することによって対象における慢性眼表面疼痛を低減する方法を提供する。本発明は、慢性眼表面疼痛の治療における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に記載されるとおりの製剤中にある。
いくつかの実施形態では、製剤は、対象の眼表面、例えば、眼の角膜、結膜又は結膜嚢のいずれかの部分に投与される。
いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で眼科的に適合する製剤における必要とする対象に対する式Iの化合物の投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの範囲である。いくつかの実施形態では、眼科的に適合する製剤中の化合物Iの濃度は、少なくとも約0.5%w/v、少なくとも約1.0%w/v、少なくとも約1.5%w/v、少なくとも約2.0%w/v又は少なくとも約2.5%w/vである。いくつかの実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約5.0%w/v以下、約4.5%w/v以下、約4.0%w/v以下、約3.5%w/v以下又は約3.0%w/v以下である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.15~約1.15mg又は約0.15mg、0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.05mg、約1.1mg又は約1.15mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.18mg、約0.37mg、約0.55mg、約0.74mg又は約0.92mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの1日の総用量は、約0.5~約3.5mg又は約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg又は約3.5mgである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~6回、例えば、1日1、2、3又は4回対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月の期間対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約12週間対象に投与される。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上を伴う。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術後又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後の少なくとも3ヶ月間持続している眼性疼痛に罹患している。
特定の実施形態では、眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛は、ドライアイ疾患又はシェーグレン症候群に伴うものである。いくつかの実施形態では、対象は、結膜炎、結膜下出血、結膜下瘢痕、結膜の膜、結膜潰瘍、点状表層上皮びらん、上皮欠損、眼瞼縁潰瘍、眼瞼縁角化、瞼球癒着、眼瞼癒着、睫毛乱生症、前部眼瞼炎、涙点自己閉塞、マイボーム腺疾患、角膜不透明化、ドライアイ、睫毛重生、角膜縁幹細胞不全症又は角膜血管新生に罹患している。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して、対象の眼性疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、対象の眼性疼痛の低減は、VASスコア上で測定されるとき、プラセボと比較して少なくとも約3である。いくつかの実施形態では、投与は、VASスコア上で測定されるとき、プラセボと比較して、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の対象の眼性疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の対象の疼痛の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、投与から約半時間後、投与から約1時間後、約2時間後又は約2~4時間後、VASスコアにより測定される際、プラセボと比較して、少なくとも約2の対象の疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、式Iの化合物の投与の7日後に測定される際、対象の疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、式Iの化合物の投与の14日後に測定される際、対象の疼痛の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。いくつかの実施形態では、VASによって測定される際の疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与後約30分以内に生じる。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間以内に生じる。いくつかの実施形態では、投与は、式Iの化合物の投与の7日後に測定されるとき、対象の疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、式Iの化合物の投与の14日後に測定されるとき、対象の疼痛の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、OPASの少なくとも1つの質問に対して少なくとも約10%、少なくとも約20%又は少なくとも約30%のスコアの改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、視覚的仕事の質問票の少なくとも1つの質問に対して少なくとも約10%、少なくとも約20%又は少なくとも約30%のスコアの改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して、眼充血(眼の発赤)の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して、グレード1、グレード2、グレード3又はグレード4の眼充血の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、投与は、McMonniesスケールにおいて、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の眼充血スコアの低減をもたらす。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象における眼充血を治療又は低減する方法であって、式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を有効量で対象に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、眼充血の治療における、式Iの化合物又はその薬学的に許容できる塩、溶媒和物若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、投与は、McMonniesスケールにおいて、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の眼充血スコアの低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で眼科的に適合する製剤における必要とする対象に対する式Iの化合物の投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの範囲である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.15~約1.15mg又は約0.15mg、0.2mg、約0.25mg、0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.05mg、約1.1mg又は約1.15mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.18mg、約0.37mg、約0.55mg、約0.74mg又は約0.92mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの1日の総用量は、約0.5~約3.5mg又は約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg又は約3.5mgである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~6回、例えば、1日1、2、3又は4回対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月の期間対象に投与される。特定の実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に記載される製剤において投与される。
いくつかの実施形態では、眼充血は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上を伴う。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、眼充血は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛は、ドライアイ疾患に伴うものである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす。ドライアイ疾患は一般に、眼表面及び涙腺の炎症並びに涙の質及び/又は量の低減によって特徴付けられる複雑であり多因子性の病態であると理解される。ドライアイ疾患患者の最大で30%が、慢性であり得る眼表面疼痛に罹患していると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上を含むドライアイ疾患の症状の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約30%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象におけるドライアイ疾患を治療する方法であって、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象におけるドライアイ疾患を治療する方法であって、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することを含む方法に関し、式Iの化合物は、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月又は少なくとも5ヶ月間にわたる投与について安全である。特定の実施形態では、本発明は、ドライアイ疾患の治療における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上を含むドライアイ疾患の症状の少なくとも約10%の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で眼科的に適合する製剤における必要とする対象に対する式Iの化合物の投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの範囲である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.15~約1.15mg又は約0.15mg、0.2mg、約0.25mg、0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.05mg、約1.1mg又は約1.15mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.18mg、約0.37mg、約0.55mg、約0.74mg又は約0.92mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの1日の総用量は、約0.5~約3.5mg又は約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg又は約3.5mgである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~6回、例えば、1日1、2、3又は4回対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月の期間対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に記載される製剤として投与される。
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、眼内圧又は角膜着色の1つ以上において変化をもたらさない(例えば、5%未満の差、4%未満の差又は3%未満の差)。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、必要とする患者において、プラセボと比較して、創傷治癒における遅延を引き起こさない。
患者集団
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法によって治療されることになる対象は、眼表面障害に罹患している。眼表面障害の非限定的な例としては、慢性眼表面疼痛(COSP)、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛に罹患している。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、急性眼表面疼痛などの眼表面疼痛を治療するか又は低減するためのものである。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、慢性眼表面疼痛(COSP)などの眼表面疼痛を治療するか又は低減するためのものである。特定の態様では、COSPは、通常の日常動作から気を散らす場合があるか又はそれに支障をきたす場合がある持続的な眼表面疼痛(例えば、持続的な重度の眼表面疼痛)として特徴付けられる。特定の実施形態では、COSPは不十分な生活の質をもたらす場合があり、且つ少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月間持続し得る。いくつかの態様では、COSPは、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月間持続し得る。他の態様では、COSPは、少なくとも3ヶ月又は少なくとも4ヶ月間持続し得る。特定の態様では、COSPを有する対象は、それらの根底にある疾患(例えば、ドライアイ疾患又はシェーグレン症候群などの眼表面障害)について必要が示された他の療法に対して適合しているにもかかわらず症状が残っている。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼性神経因性疼痛(ONP)に罹患している。ONPは、神経、例えば、角膜神経を冒す障害又は疾患に起因し得る眼性疼痛の一連の障害である。ONPの症状は、眼痛、光に対する過敏性、痛覚過敏又は乾燥、刺痛又は異物の感覚などの異常感覚(知覚異常)、通常では痛みを起こさない刺激によって生じる痛み(アロディニア)の1つ異常を含み得る。ガバペンチン及び他の神経因性疼痛薬物は、感覚神経刺激又は神経刺激の知覚を鈍らせるために使用され得る。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、兎眼性角膜症に罹患している。EKは、主に外部環境への眼表面の長時間の暴露から生じる角膜に対する損傷である。EKは、潰瘍、微生物性角膜炎、瘢痕からの永久的な視力喪失をもたらす場合がある。EKのリスクがある患者としては、不完全な眼瞼の閉鎖(例えば、兎眼症、眼球突出、目蓋の位置異常)、不十分な瞬目反射、不十分なまばたき速度(例えば、神経疾患、例えば、パーキンソン病、神経筋疾患によって引き起こされる)及び/又は角膜の保護的な潤滑の減少のいずれかによる、角膜を保護する能力に支障をきたす病態に罹患している患者が挙げられる。EKの症状としては、異物感、灼熱感、流涙の増加及び間欠的な霧視(不安定な涙膜に起因する)、疼痛及び羞明が挙げられる。標準治療は、夜間の潤滑軟膏剤による頻繁な人工涙液、涙点プラグの使用が挙げられる。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、角結膜炎に罹患している。角結膜炎は、結膜及び角膜の両方を含む炎症プロセスである。角膜の表層の炎症(角膜炎)は一般に、例えば、成人において、ウイルス性及び細菌性結膜炎と関連して発生する。角結膜炎の以下の種類は、炎症の潜在的原因に基づいて区別される。
・乾性角結膜炎は、乾燥に起因する炎症による原因である;
・春季角結膜炎(VKC)は、季節によって生じ、アレルゲンによるものと考えられる;
・アトピー性角結膜炎は、アトピーの1つの症状である;
・流行性角結膜炎又はアデノウイルス性角結膜炎は、アデノウイルス感染によって引き起こされる;
・ウシ伝染性角結膜炎(IBK)は、細菌のモラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)によって引き起こされるウシを冒す疾患である;
・ヒツジ及びヤギにおけるピンクアイは主に、クラミドフィラ・ペコルム(Chlamydophila pecorum)によって引き起こされる;
・上輪部角結膜炎は、器質的外傷により引き起こされると考えられる;
・角結膜炎電気性眼炎(アークアイ)は、光電性UV光によって引き起こされる炎症を意味する。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、ドライアイに罹患している。本明細書で使用する場合、用語「ドライアイ」は、不十分な涙液産生及び/又は異常な涙液組成を指す。ドライアイ症候群、乾性角結膜炎若しくは乾性角膜炎、又は涙液機能不全症候群、又は眼灼熱症候群としても知られるドライアイ症候群疾患(DEDS)は、涙膜層のいずれかの欠損に起因する。ドライアイは、涙膜の恒常性の消失によって特徴付けられ、且つ眼の症状を伴う眼表面に対する潜在的な損傷による不快感、視覚障害、涙膜不安定性の症状をもたらす涙及び眼表面の多因子性疾患であり、ここで、涙膜不安定性及び高浸透圧性、眼表面の炎症及び損傷並びに神経感覚異常は、病因となる役割を果たしている(Craig JP,et al.,The Ocular Surface 2017;15:276-83)。それは、涙膜のモル浸透圧濃度の上昇及び眼表面の炎症を伴う場合がある。ドライアイ障害は、軽度から中等度、重度までの形態に及ぶこともある。ドライアイ症候群疾患の症状としては、ざらつき、異物感、灼熱感、羞明及び視力の低下、流涙、刺痛、かゆみ、砂っぽさ又はざらつき感、眼脂、頻繁なまばたき、睫毛の膿又は固化(通常、起床時により悪化する)、発赤、霧視又は振動視(読書、コンピューター、テレビを見る、運転又はテレビゲームをするときにより悪化する)、光過敏性、眼痛及び/又は頭痛、眼瞼の重み、眼精疲労が挙げられる。ドライアイ疾患の原因としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:原因不明、先天性無涙液症、眼球乾燥症、涙腺切除及び感覚神経支配除去;関節リウマチ、ウェゲナー肉芽腫症及び全身性エリテマトーデスを含む膠原病性脈管疾患;シェーグレン症候群及びシェーグレン症候群に伴う自己免疫疾患;眼瞼炎又は酒さによって引き起こされる脂質涙液層の異常;ビタミンA欠乏によって引き起こされるムチン涙液層の異常;トラコーマ、ジフテリア性角結膜炎;皮膚粘膜障害;加齢;閉経;及び糖尿病。本明細書で定義されるとおりのドライアイの徴候及び/又は症状は、次のものを含むが、これらに限定されない他の状況によって誘発される場合もある:長時間の視覚的仕事;コンピューターによる仕事;乾燥環境にいること;温風若しくは冷風又は空気流;季節変化;眼への刺激;コンタクトレンズ、LASIK及び他の屈折矯正手術;疲労;及びイソトレチノイン、鎮静薬、利尿剤、三環系抗うつ薬、降圧薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、鼻腔うっ血除去薬、β遮断薬、フェノチアジン、アトロピン及びモルヒネなどの鎮痛オピエートなどの薬物。
ドライアイのための診断検査としては、例えば、綿棒又はより厳密にはCochet-Bonnet知覚計を用いる角膜感覚機能の評価(角膜感覚過敏及び/又は感覚の低下は、重度及び慢性ドライアイ疾患において存在する場合がある);例えば、保存剤を含まない生理食塩水溶液により湿らせたフルオレセイン浸透性細片又はフルオレセイン滴下の必要性がないより客観的なコンピューターによる方法を用いる涙液層破壊時間の測定;例えば、フルオレセインナトリウム、ローズベンガル、リサミングリーンによる眼表面の染色の実施;シルマー試験の実施(軽度のドライアイを有する患者については相対的に非感受性);涙液クリアランスの遅延の検査;涙液メニスカスの高さ;MMP-9のレベルの測定(MMP-9は、ドライアイ疾患を有する患者の涙液において上昇することが示されており、レベルは中等度から重度のドライアイを有する患者における試験結果と相関する);涙液のモル浸透圧濃度及び涙膜のインターフェロメトリーの測定;Sjo試験の実施(血清中のSS-A(抗Ro)及びSS-B(抗La)抗体、唾液腺タンパク質1(SP-1)、炭酸脱水酵素6(CA6)及び耳下腺分泌タンパク質(PSP)、SP-1、CA6及びPSPの検出)を含む。
人工涙液、潤滑軟膏剤、コルチコステロイド(例えば、1日4回のロテプレドノール0.5%点眼薬)は、最初の治療として使用される。処方薬としては、シクロスポリン、リフィテグラスト、ジクアホソル、レバメピド、コルチコステロイド(例えば、1日4回のロテプレドノール0.5%点眼薬)が挙げられる。
用語「涙膜機能障害」は、涙膜が角膜及び結膜上の異なる場所において破れているときの状態を指し、刺激の症状だけでなく、視覚の不安定且つ間欠的な変動を引き起こす。例えば、ドライアイ症候群疾患は、涙膜機能障害によって特徴付けられる。涙膜機能障害の症状としては、流涙、灼熱感、刺痛、かゆみ、砂っぽさ又はざらつき感、ちくちくする又は異物感、眼脂、頻繁なまばたき、睫毛の膿又は固化(通常、起床時により悪化する)、発赤、霧視又は振動視(読書、コンピューター、テレビを見る、運転又はテレビゲームをするときにより悪化する)、光過敏性、眼痛及び/又は頭痛、眼瞼の重み、眼精疲労が挙げられる。
流行性角結膜炎としても知られるアデノウイルス性角結膜炎は、一般的な高度に伝染性の眼のウイルス感染症である。アデノウイルス性角結膜炎の臨床経過は、角膜の関与を伴うか又は伴わない様々な強度の結膜炎症を有する急性期及び角膜の混濁を伴う慢性期に分けられる。
春季角結膜炎(VKC)は、重度のかゆみ、羞明、異物感、粘液性の眼脂(「粘着性」と記載される場合が多い)、眼瞼痙攣及び霧視からなる症状によって特徴付けられる眼の外表面のアトピー性病態である(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8;Kumar,S.,Acta Ophthalmologica,2009.87(2):p.133-147)。これは通常両側性であるが、実際に非対称である場合がある。これは、季節的な様式で高温乾燥気候において若年の男性を特徴的に冒し;患者の23%が、四季を通じて続く形態を有し得る(Kumar,S.,Acta Ophthalmologica,2009.87(2):p.133-147;Bonini,S.,et al.,Ophthalmology,2000.107(6):p.1157-63)。
VKCの徴候は、結膜、角膜縁及び角膜の徴候に分けることができる:
・結膜の徴候としては、びまん性結膜充血及び直径が1mmを超えて離散している上瞼板巨大乳頭が挙げられる;
・角膜縁の徴候としては、角膜縁結膜の肥厚及び不透明化並びにゼラチン質の出現及び時々起こる集密的な角膜縁乳頭が挙げられる。周囲の角膜縁のホルネル-トランタス点は、変質した上皮細胞及び好酸球からなる局所的な角膜縁の白点である(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8);
・角膜の徴候は、疾患プロセスの重症度に応じて変動し、巨大なびらん、角膜潰瘍及び瘢痕を含む(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8)。
進行中のVKC患者(羞明、上瞼板結膜上の乳頭又は試験時に明瞭に認識できる角膜縁のホルネル-トランタス点を含む中等度から重度の眼の不快感として定義される)は、眼表面疾患の症状及び徴候の著しい増加を示した。不活性なVKC患者(症状がないか又は軽度の不快感及び試験時に角膜の異常がないものとして定義される)は、羞明、結膜のリサミングリーン染色及びシルマー試験値の増大並びにフルオレセインによる破壊時間(BUT)及び角膜感受性の減少を示した。この症候群は、涙膜安定性、上皮細胞の統合性及び角膜神経の機能における異常を判定すると、全ての時期(進行中及び静止状態)において眼表面を冒しているように見える(Villani E.et al.,Medicine(Baltimore).2015 Oct;94(42):e1648)。
次の要因がVKCに役割を果たすと考えられる:IgEがマスト細胞放出;活性化好酸球、単核細胞及び好中球並びにIL-4、IL-5及びbFGFなどの免疫調節物質によるCD4 T-ヘルパー-2駆動型IVの過感受性を介して反応を媒介する(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8;Kumar,S.,Acta Ophthalmologica,2009.87(2):p.133-147;La Rosa,M.,et al.,Ital J Pediatr,2013.39:p.18)。
治療は冷湿布及び目蓋の洗浄からなり、生理食塩水の点眼薬は、局所抗ヒスタミン薬、非ステロイド系抗炎症薬又はコルチコステロイド、例えば、低吸収コルチコステロイド(フルオロメトロン、ロテプレドノール、リメキソロンなど)、局所マスト細胞安定剤(クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム及びロドキサミド)、局所シクロスポリン-A又はタクロリムスを伴って、症状を軽減するのを助け得る。例えば、Oray,M.and E.Toker,Cornea,2013.32(8):p.1149-54;Vichyanond,P.and P.Kosrirukvongs,Curr Allergy Asthma Rep,2013.13(3):p.308-14;Barot,RK et al.,J Clin Diagn Res.2016 Jun;10(6):NC05-9;Wan Q et al.,Ophthalmic Res.2018;59(3):126-134を参照されたい。
アトピー性角結膜炎(AKC)は通常、VKCによる10歳前の発症に対して、20~50歳高い発症年齢を有する。結膜での併発は、古典的にはVKCにおいて上瞼板及びAKCにおいて下瞼板で起こる。AKCは通常、事実上より慢性であり、より一般的には角膜の瘢痕及び結膜の瘢痕形成を引き起こす。
シェーグレン症候群(ドライアイを伴うシェーグレン症候群)は、多くの場合重度のドライアイを引き起こす唾液腺及び涙腺を含む外分泌腺の機能障害によって特徴付けられる慢性の炎症性障害である。主要な症状はドライアイ(乾性角膜炎又は乾性角結膜炎)及び口渇症(口内乾燥)である。重度のドライアイは、角膜疼痛、角膜瘢痕、潰瘍、感染、さらには穿孔を引き起こし得る。鑑別診断は、成人性の眼瞼炎、ドライアイ疾患及び若年性の原因不明の関節炎、ぶどう膜炎、加えて角膜症、例えば、点状表層角膜症、繊維状角膜症、神経障害性角膜症、兎眼性角膜症などの病態を含む。シェーグレン症候群の治療は、不十分な涙液分泌の保存、増強及び/又は補充により涙膜の統合性を維持することに向けられる。したがって、シェーグレン症候群の治療としては、人工涙液及び潤滑軟膏剤;自己血清点眼薬;経口オメガ-6必須脂肪酸;流体が通過し、気体透過性の強膜レンズ;局所コルチコステロイド;涙液排出を減少させるための涙点閉鎖;小規模な側方の瞼板縫合術;環境の加湿;親水性バンデージレンズ;ブロムヘキシン及び3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)(涙液産生/分泌の増強);ムスカリン受容体を刺激する薬剤(ピロカルピン及びセビメリン);免疫抑制剤、例えば、メトトレキセート、抗マラリア薬、シクロホスファミド、レフルノミド又は腫瘍壊死因子(TNF)、例えば、インフリキシマブ、TNF-アルファに対するモノクローナル抗体;シクロスポリンA;バンデージコンタクトレンズが挙げられる。
スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)は、皮膚の緊急事態又は全体表面積の10%未満を含む上皮及び粘膜の水疱性病変の存在によって特徴付けられる1つのタイプの重度の皮膚反応である。SJSの初期症状は、熱及びインフルエンザ様症状を含み、これは、体躯及び顔を含む斑状皮疹の発症に先行するか又は同時に発生し得る。疾患が進行するにつれて、斑状皮疹が集まり、巻き込まれた領域が水疱に発達し、最終的に上皮層が脱落する。SJS-TENの急性期の間、患者の80%が、眼の合併症を有することになる。
高熱(>102.2)、倦怠感、関節痛、体躯、首及び顔を含む斑状皮疹並びに新規薬物への暴露の最近の履歴又は現在の薬物療法の最近の投与量増加のコンステレーションが、SJSの診断のために使用される指標である。生じた領域の皮膚生検が、診断の確認のために実施され得る。グラニュライシンは、SJSの診断のためのマーカーとして使用され得る。水疱液内のグラニュライシンの濃度は、急性期のSJSの重症度と相関する(Chung WH,et al.Nat Med.2008;14(12):1343-50)。
SJSにおける眼の症状としては、結膜炎、結膜下出血、結膜下瘢痕、結膜の膜、結膜潰瘍、点状表層上皮びらん、上皮欠損、眼瞼縁潰瘍、眼瞼縁角化、瞼球癒着、眼瞼癒着、睫毛乱生症、前部眼瞼炎、涙点自己閉塞、マイボーム腺疾患、角膜不透明化、ドライアイ、睫毛重生、角膜縁幹細胞不全症、角膜血管新生が挙げられる。SJSにおける眼の治療は、生理食塩水点眼薬、保存剤を含まない人工涙液並びに十分な潤滑をもたらし且つ上皮損傷を低減する軟膏剤からなる。任意の角膜又は結膜上皮欠損を有する患者は、予防的な局所抗生物質、例えば第四世代フルオロキノロンにより治療される。軽度又は中等度の眼の合併症(3分の1未満の眼瞼縁合併症、最大直径が1cm未満の結膜欠損及び角膜上皮欠損なし)を有する患者は通常、1日4回の局所モキシフロキサシン0.5%、1日2回のシクロスポリン0.05%及び局所ステロイド(1日4~8回のプレドニゾロン酢酸塩1%又は1日2回のデキサメタゾン0.1%)により治療される。重度又は極めて重度の眼の合併症(3分の1を超える眼瞼縁合併症、1cmを超える結膜欠損及び角膜上皮欠損)を有する患者は、上記の治療に加えて羊膜(AM)移植を受ける。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、角膜上皮症に罹患している。角膜上皮症は、例えば、角膜上皮バリア機能の変化において顕在化する角膜上皮が関与する疾患である。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、角膜神経障害又は角膜神経痛に罹患している。角膜神経障害又は角膜神経痛は、角膜における神経線維、感覚線維の損傷によって引き起こされる角膜疼痛を伴う障害である。角膜神経障害の例の1つは、LASIK誘導性角膜神経障害である。角膜神経障害は一般に、ドライアイの検査によって同定及び診断され得る。原因及びリスク因子はまだ明らかではないが、ドライアイ様症状、角膜感受性の増大及び角膜神経形態の変化を有するが、乾燥の徴候のない患者は、角膜神経障害に罹患し得る。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼表面疾患又は障害に罹患している。用語「眼表面疾患」又は「眼表面障害」は、異常な目蓋の解剖学的形態又は機能、異常な又は変化した涙液産生又は組成及び関連する無症候性徴候を含む様々な異常に起因する疾病並びに関連症状を包含する。多くの疾患が、眼表面障害を引き起こし得る。眼表面障害を有する患者は、いくつかの疾患に共通な臨床徴候を呈する場合があり、且つ慢性点状角膜症、糸状角膜症、再発性角膜びらん、細菌性結膜炎、培養陰性結膜炎、瘢痕形成(瘢痕)結膜炎、遷延性上皮欠損、伝染性角膜炎、角膜融解及び眼表面不全を含み得る。最も一般的な眼表面障害は、涙膜異常及び/又は目蓋にある腺の機能障害(「眼瞼炎」)に由来する。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、神経栄養性角膜炎又は神経栄養性角膜症に罹患している。神経栄養性角膜炎又は神経栄養性角膜症(NK)は、角膜感受性の低下又は欠如によって特徴付けられる角膜変性疾患である。NKにおいて、三叉神経による角膜神経支配が損なわれる。角膜感覚神経支配がNKにおいて損なわれるため、患者は通例、眼表面の症状を訴えない。しかしながら、霧視は、不規則な上皮又は上皮欠損(PED)、瘢痕又は浮腫に起因して報告され得る。NKは通常、「Mackie分類」によって3種の異なるステージに段階分けされる。ステージIIのNKは、最も一般的には角膜の上半分における再発性又は遷延性上皮欠損によって定義される。ステージIIのNKにおいて使用され得る治療の1つは、局所神経成長因子を含む。患者は通常、神経の再形成のために、NGFによる治療の間疼痛を経験する。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼瞼炎に罹患している。眼瞼炎は、眼瞼周縁部の炎症性病態であり、眼瞼周縁部における持続性の変質又は表層角膜症による視力喪失、角膜血管新生及び潰瘍を引き起こす場合がある。解剖学上の位置に従って、眼瞼炎は、前部及び後部に分けられ得る。前部眼瞼炎は、眼瞼皮膚、睫毛の基部及び睫毛濾胞を冒し、且つブドウ球菌性及び脂漏性眼瞼炎の従来の分類を含む。後部眼瞼炎は、マイボーム腺及び腺開口部を冒し、主要な原因はマイボーム腺機能不全である。慢性眼瞼炎の症状は、発赤、灼熱感、刺激、流涙、眼瞼痂皮及び固着及び羞明及び霧視などの視覚的な問題を含み得る。長期間の症状管理は、毎日の眼瞼洗浄ルーチン及び感染及び炎症を低減する治療剤の使用を含み得る。治療としては、局所性又は全身性の抗生物質、例えば、バシトラシン又はエリスロマイシン;経口抗生物質、例えば、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)又はマクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、アジスロマイシン);局所ステロイド、例えば、コルチコステロイド、例えば、エタボン酸ロテプレドノール、フルオロメトロン;トブラマイシン/デキサメタゾン又はトブラマイシン/ロテプレドノールなどの抗生物質とコルチコステロイドの局所的組合せ;局所シクロスポリン0.05%が挙げられる。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、マイボーム腺機能不全に罹患している。マイボーム腺は、眼の涙膜の蒸発を防ぐ油状物質であるマイバムの供給に関与する、瞼板内部の眼瞼の周辺部にある全分泌型の外分泌腺である。マイボーム腺炎、後部眼瞼炎又はマイボーム腺の炎症としても知られるマイボーム腺機能不全(MGD)は、一般に末端の管閉塞及び/又は腺分泌における質的/量的変化によって特徴付けられるマイボーム腺の慢性のびまん性の異常である(Nelson JD,et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci 2011;52:1930-7)。それは、涙膜の変質、眼刺激、臨床的に明らかな炎症及び眼表面疾患を引き起こし得る。MGDはドライアイを引き起こす場合が多く、且つ眼瞼炎の一因となり得る。いくつかの場合、局所ステロイド及び局所/経口抗生物質も炎症を低減するために処方される。インテンス・パルス・ライト(IPL)治療又は腺を発現させるために熱及び圧力をかける他の機械的治療(例えば、LipiFlow)は、炎症を低減し、且つ患者における腺機能を改善することも示されてきた。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、移植片対宿主病に罹患している。移植片対宿主病(GVHD)は、同種移植に独特である炎症性疾患である。これは、たとえドナーとレシピエントが同一のHLAであっても発生し得るレシピエントの組織に対する移植された白血球による攻撃である。急性移植片対宿主病は通常、移植後最初の3ヶ月に発生し、皮膚、腸管又は肝臓を巻き込む場合がある。プレドニゾンなどのコルチコステロイドが標準治療である。慢性移植片対宿主病も同種移植後に発生する場合があり、遅発型合併症の主要な原因である。炎症に加えて、慢性移植片対宿主病は、強皮症又は他の自己免疫疾患と同様に線維症又は瘢痕組織の発生を引き起こす場合があり、且つ機能的能力障害及び長期の免疫抑制療法の必要性をもたらす場合がある。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼性移植片対宿主病に罹患している。GVHDは、同種間の血液幹細胞移植を経た患者において発生する。これは、急性又は慢性GVHDを有する患者において発生する可能性があるが、慢性形態を有する患者においてより一般的である。慢性GVHDを有する患者のおよそ40~90%が、眼の症状を発症することになる。眼の症状は、中等度から重度の乾性角結膜炎、両側周辺部角膜炎、前部ぶどう膜炎、角膜潰瘍又は血管新生を含み得る。治療としては、保存剤を含まない人工涙液を含む局所潤滑剤、自己血清涙液及び他の局所及び全身免疫抑制治療;全身性ステロイド;局所シクロスポリン0.5%が挙げられる。
以下の実施例は、本発明の非限定的な実施形態を示すために含まれる。
一般的試験条件
以下の手順を各試験条件下で利用した。
25℃の溶媒による平衡化
25℃での平衡化の場合、約50mgの化合物Iを、25℃±0.1の水槽内、1mlの溶媒で24時間かけて平衡化した。溶液を濾過し、空気で10分間乾燥させた。固体部分をXRPD(X線粉末回折)により精査した。差が認められた場合、さらなる精査を適宜実施した(例えば、DSC、TG、IR、SEM)。
50℃の溶媒による平衡化
50℃での溶媒による平衡化の場合、約50mgの化合物Iを、50℃±0.1の水槽内、1mlの溶媒で24時間かけて平衡化した。濾液は、具体例に記載のように使用した。
熱飽和溶液からの結晶化
熱飽和溶液から化合物Iを結晶化するため、約300mgの原体を60℃で最少量の溶媒中に溶解し、熱濾過した。残存する結晶は視認できなかった。溶液を氷槽内に入れ、撹拌した。沈殿物をフィルター上に収集し、乾燥させ、上記のように精査した。温度は、具体例に記載のように変更され得る。
溶媒の添加による沈殿
溶媒の添加による化合物Iの沈殿の場合、化合物Iを可溶性が高い場合の溶媒中に溶解し、化合物Iが高度に不溶性である溶媒を加えた。沈殿物は、具体例に記載のように処理した。
X線回折
本明細書に記載のX線粉末回折(XRPD)パターンを、CuKα放射線を用いてBruker D8 Advance回折計に記録した。XRPDパターンは、2°~40°の間(2θ)で記録された。
当業者は、X線回折パターンが使用される測定条件に応じた測定誤差を伴って得られることがあることを理解するであろう。特に、X線回折パターンにおける強度が使用される測定条件に応じて増減することがあることは一般に公知である。相対的強度も使用される実験条件及びX線放射線の波長に応じて変動することがあることがさらに理解されるべきである。検体と参照との間での2θ回折角における一致は、同じ結晶形態について0.2°以内であり、かかる測定誤差度は、上記の回折角に関係するものと考えるべきである。結果的に、本発明の結晶形態が、本明細書で開示される貼付の図面中に表されるX線回折パターンに完全に同一のX線回折パターンを提供する結晶形態に限定されないことは理解されるべきである。貼付の図面中に開示される場合に実質的に同一のX線回折パターンを提供する任意の結晶形態は、本発明の範囲内に該当する。X線回折パターンの実質的同一性を確かめる能力は、当業者の範囲内である。
熱重量的方法
結晶形態を試験するために使用するTGA機器は、Metter TGA851e TGA850であった。10~20ミリグラムのサンプルを、30℃~約300℃の間の温度範囲内、20℃/分の加熱速度で分析した。
示差走査熱量測定(DSC)
結晶形態を試験するために使用するDSC機器は、Mettler DSC822e又はPerkin Elmer DSC7であった。DSC細胞/サンプルチャンバーを、20~50ml/分の超高純度窒素ガスでパージした。機器を高純度インジウムで較正した。サンプルを開放したアルミニウムDSCパン内に配置し、空の参照パンに対して測定した。約1~3mgのサンプル粉末を、パンの底部に配置し、軽く叩き落として、パンと接触させた。サンプルの重量を正確に測定し、1/100ミリグラムまで記録した。機器は、30℃~300℃の間の温度範囲において10℃/分で加熱するようにプログラムした。
実施例1.結晶形態Aの調製
結晶形態Aは、化合物Iの塩酸塩を遊離塩基に変換することにより得られた。最終の結晶化は、熱メタノールを0℃に冷却することにより実施し、ここで化合物は結晶形態Aとして結晶化した。
結晶形態Aの示差走査熱量測定曲線は、約264℃での小さい吸熱事象と、それに続く約269℃での融解を示した。図1は、結晶形態AのX線回折パターンの模擬値と実測値との重ね合わせを示す。結晶形態AのX線粉末回折パターンを図2に示し、ピークリストは表1に示す通りである。化合物Iの結晶形態Aについての単一の結晶データは以下の通りである:
分子式:C1815
分子量(遊離酸):305.34
格子パラメータ:
空間対称 単斜晶
空間群 P21/n
細胞体積(Å) 3157.2
結晶密度(g/cm) 1.285
a(Å) 16.285
b(Å) 7.977
c(Å) 24.640
β(°) 99.046
z 8
Figure 2022520410000014
実施例2.結晶形態Cの調製
結晶形態Cは、結晶形態Aを熱重量分析計において約250℃まで加熱するか、又は結晶形態Bを250℃で80分間加熱することにより得られた。結晶形態Bとの1:1混合物において、結晶形態Cをイソプロパノールで結晶形態Bに変換した。結晶形態Aとの1:1混合物において、結晶形態Cをメタノール中で溶媒和物S(結晶形態G)に変換した。
図3は、結晶形態CのX線回折パターンの模擬値と実測値との重ね合わせを示す。結晶形態CのX線粉末回折パターンを図4に示し、ピークリストは表2に示す通りである。結晶形態Cにおける格子パラメータは以下の通りである:
空間対称 斜方晶
空間群 Pna21
細胞体積(Å) 3078.3
結晶密度(g/cm) 1.318
a(Å) 15.685
b(Å) 8.281
c(Å) 23.697
z 8
Figure 2022520410000015
実施例3.結晶形態Eの調製
約1000mgの多形形態Bでの化合物Iを、25℃で1週間、20mlのアセトン/水(1:1)の混合物で平衡化し、次いで濾過した。回収した固体のXRPD分析によると、修飾H(水和物形態)のパターンが示された。約1000mgの水和物Hを、260℃で約16分間、乾燥器内で加熱し、結晶形態Eを得た。
Figure 2022520410000016
Figure 2022520410000017
結晶形態Eは、非吸湿性であることが見出された。最大水取り込みは、最大92%の相対湿度、25℃で0.1%未満である。
結晶形態Eは、DSCにより測定した際、約281℃の融解開始温度を示した。表4で認められる通り、結晶形態Eは、エタノールで平衡化されるとき、結晶形態Bに変換する。結晶形態Eの可溶性を25℃で測定した。分析をHPLCにより実施した結果を表5に示す。
Figure 2022520410000018
図5は、結晶形態EのX線回折パターンの模擬値と実測値との重ね合わせを示す。結晶形態EのX線粉末回折パターンを図6に示し、ピークリストは表6に示す通りである。結晶形態Eについての格子パラメータは以下の通りである:
空間対称 三斜晶
空間群 P-1
細胞体積(Å) 1637.8
結晶密度(g/cm) 1.238
a(Å) 8.592
b(Å) 13.046
c(Å) 14.935
α(Å) 90.34
β(Å) 90.23
γ(Å) 78.03
z 4
Figure 2022520410000019
実施例4.結晶形態F(水和物H)の調製
水和物H(結晶形態F)は、25℃のアセトン/水(1:1)での結晶形態A又は結晶形態Bのスラリーの平衡化により得られた。DSC曲線は、水の蒸発に起因する約89℃で広範な吸熱性、それに続く264℃を超えるいくつかの吸熱転移を示す。単結晶分析により、結晶構造における1モルの水の存在(算出された水含量は5.6%である)が確認された。
結晶形態FのX線粉末回折パターンを図7に示し、ピークリストは表7に示す通りである。
Figure 2022520410000020
実施例5.化合物Iの結晶形態G(メタノール溶媒和物S)の調製
化合物Iのメタノール溶媒和物S(結晶形態G)は、25℃のメタノール中での結晶形態Aのスラリーの平衡化により得られた。100Kで実施した単結晶構造分析によると、1モルのメタノールの存在が示された。サンプルのTGA分析が最大0.2%のごく少量の残留溶媒(算出されたメタノール含量は一溶媒和物に対して9.5%である)を示したことから、溶媒は容易に蒸発する。
図8は、結晶形態GのX線回折パターンの模擬値と実測値との重ね合わせを示す。結晶形態GのX線粉末回折パターンを図9に示し、ピークリストは表8に示す通りである。結晶形態Gにおける格子パラメータは以下の通りである:
空間対称 三斜晶
空間群 P-1
細胞体積(Å) 1849.3
結晶密度(g/cm) 1.212
a(Å) 8.242
b(Å) 14.478
c(Å) 16.064
α(Å) 80.49
β(Å) 78.33
γ(Å) 85.18
z 4
Figure 2022520410000021
実施例6.化合物Iの結晶形態J(アセトニトリル溶媒和物S)の調製
化合物Iのアセトニトリル溶媒和物S(結晶形態J)は、25℃のアセトニトリルでの結晶形態Aのスラリーの平衡化により得られた。単結晶分析により、結晶構造における1モルのアセトニトリルの存在(算出されたアセトニトリル含量は11.9%である)が示された。
結晶形態JのX線粉末回折パターンを図10に示し、ピークリストは表9に示す通りである。結晶形態Jにおける格子パラメータは以下の通りである:
空間対称 単斜晶
空間群 P21/n
細胞体積(Å) 1833.5
結晶密度(g/cm) 1.255
a(Å) 15.545
b(Å) 5.770
c(Å) 21.348
β(°) 106.75
z 4
Figure 2022520410000022
実施例7.結晶形態Kの調製
結晶形態Kは、25℃のアセトンでの化合物Iの蒸発結晶化により得られた。具体的には、結晶形態Aを室温で十分なアセトンに溶解させ、溶媒を周囲条件で蒸発させておき、結晶形態Kを得た。結晶形態KのX線粉末回折パターンを図11に示し、ピークリストは表9に示す通りである。
Figure 2022520410000023
実施例8.結晶形態Lの調製
約60mgの結晶形態Bとしての化合物Iを4mlのアセトンに溶解した。続いて、化合物Iの結晶化が結晶形態Lの形態で生じるまで、約20mlのヘキサンを溶液に加えた。懸濁液を濾過し、単離された粉末をX線粉末回折によって特徴付けた。DSC曲線は、約65℃で広範な吸熱性、それに続くさらなる小規模な吸熱及び発熱事象を示す。これは、結晶形態Lが実際には溶媒和形態であることを示唆する。
結晶形態LのX線粉末回折パターンを図12に示し、ピークリストは表11に示す通りである。
Figure 2022520410000024
実施例9.化合物Iの可溶性
上記のとおり、化合物Iは、様々な媒体中においてかろうじて可溶性である。様々な溶媒中における化合物Iの可溶性は、表12において示される。
Figure 2022520410000025
実施例10.安定性試験のための探索的製剤
様々な溶媒及び水中における化合物Iの限定的な可溶性に基づいて、開発のために懸濁液製剤を調査した。以下の5つの製剤を調製し、安定性について試験した。製剤を圧着密封ガラスバイアル中において室温及び40℃で保管した。6、8及び12週目に、化合物Iの安定性に関して試料を評価した。
Figure 2022520410000026
表13において調製される製剤を、表14において示されるとおりに化合物Iのアッセイのために開発された探索的UPLCを用いてアッセイした。
Figure 2022520410000027
室温及び40℃での化合物Iの安定性についての試験からの結果は、それぞれ図14A及び図14Bにおいて示される。図14Aにおいて、12週で当初の約70%の化合物Iのパーセントを有する製剤は、溶液としての化合物Iの製剤である。図14Bにおいて、12週で当初の約20%の化合物Iのパーセントを有する製剤は、溶液としての化合物Iの製剤である。図1A及び図1Bにおいて見られるとおり、化合物Iは、40℃での12週目においてさえ著しい分解を伴わずに懸濁液中において安定した形態のままである。対照的に、上清の溶液中の化合物Iの部分は、40℃で12週後において初期量の約20%まで分解する。
試験の終わりに、化合物Iが4つの懸濁液から回収され、粉末X線回折によって結晶形態における変化について評価された。12週の安定性試料から回収された化合物I及び室温で保管された化合物I(対照)のX線回折パターンは、図15において提示される。図15において示されるとおり、4つの探索的製剤の各々における化合物Iは、室温又は40℃での12週間の保管後でさえ、その多形形態を維持している。
懸濁液FID 121744(表17において示される)及び1%チロキサポール中の10%化合物Iスラリーを、1時間171℃の乾熱滅菌にさらした。滅菌後の化合物IのX線回折パターンは、未処理の試料と同一であった。
実施例11.化合物I懸濁液の粘度範囲発見試験
化合物Iの様々な懸濁液製剤を、粘度及び化合物Iの沈殿について評価した。様々な量のカーボポール(カルボマーホモポリマーB型)及び様々な量の塩化ナトリウムを含有する一連の保存剤を含まない化合物I懸濁液を調製した。製剤の組成は表15において示される。
Figure 2022520410000028
懸濁液は、均一性について視覚的に評価された。0.1%カルボマーのみを含有した懸濁液、FID 121845は均一ではなく、したがって、さらに評価されなかった。塩化ナトリウムは、カルボマー含有懸濁液の粘度を減少させることが知られており、そのため、塩化ナトリウムを、一定分量の残存している4つの懸濁液に加えて、0.2、0.3、0.4及び0.5%カルボマー及び0、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25及び0.3%塩化ナトリウムの濃度を有する合計28種の懸濁液を得た。
28種の懸濁液の粘度試験の結果は、表16において示される。
Figure 2022520410000029
表16において見られるとおり、カルボマーと塩化ナトリウムの量の間の関係性は、懸濁液の粘度に影響を及ぼす。
懸濁剤としてカーボポールを含有する化合物Iの保存剤を含まない懸濁液のさらなるセットを、粘度範囲の発見及び沈殿試験のために調製した。6ヶ月後の10mlの懸濁液の組成、それらの粘度及び沈殿時間は、表17において示される。
Figure 2022520410000030
懸濁剤としてヒプロメロースを含有する保存剤を含む一連のさらなる懸濁液を調製し、それらの粘度を測定した。沈殿特性を次のとおりに測定した:十分に混合された一定分量の懸濁液を10mlのガラス製メスシリンダーに充填した。メスシリンダーを研磨ガラスストッパー及びパラフィルムで密封し、室温で6ヶ月間静置させた。沈殿した懸濁液を視覚的な検査により評価した。6ヶ月後の10mlの懸濁液の組成、それらの粘度及び沈殿時間は、表18において示される。
Figure 2022520410000031
表9~12において示される結果に基づいて、保存剤を含むか又は含まず、且つ懸濁剤としてカルボマー又はヒプロメロースのいずれかを有する化合物I懸濁液は、許容される粘度及び沈殿特性に達することができた。
実施例12.化合物I懸濁液のpH依存的安定性スクリーニング
化合物I懸濁液のpH安定性を試験するために、下の表19に列挙される製剤を調製した。全ての試料は、薬物濃度の一貫性を保つために0.1%化合物Iを含有する。この量の薬物は試料のいずれにおいても可溶性ではないため、0.1%チロキサポールを界面活性剤として使用して、試料中の物質の再懸濁を促進した。全ての試料(TRIS試料を除く)は、当量のリン酸緩衝液を含有する。全ての試料を20mLのガラスバイアル中に入れ、60℃の条件に置いた。各アッセイ時点において、試料を室温に平衡化し、ボルテックスして薬物を再懸濁し、試料を検量線の線形範囲内に入る濃度まで希釈した。
Figure 2022520410000032
安定性試料における化合物Iの量は、Waters XBridge Shield RP18カラム(3.5μm、3.0×150mm、30℃)、移動相A 水中0.1%TFA及び移動相B アセトニトリル中0.1%TFAの勾配を用いて、10μlの注入量及び0.8ml/分の流速により、高速液体クロマトグラフィー(HPMC)によって0、4、7及び11日目に試験した。加えて、1.23の相対保持時間(RRT)で現れる主要な分解物を追跡した。安定性試験の結果は、表20において示される。
Figure 2022520410000033
表20において示される主要な分解物は、その濃度が増大するにつれて結晶化して大きい結晶を形成することが観察された。したがって、以下の表21において示される製剤を調製し、分解物形成について分析した。
Figure 2022520410000034
表21に示す組成物中の化合物Iの安定性についてのデータを下の表22に示す。
Figure 2022520410000035
分解物増加についてのデータを表23に示す。
Figure 2022520410000036
上記表における安定性データに基づいて、化合物Iの安定性は、5~8のpH範囲にわたって大幅に変動すると結論された。さらに、SBE-シクロデキストリン中の化合物Iの可溶性の増大は、安定性の低下をもたらした。
実施例13.化合物Iの2.5%、1.5%、0.5%及び1.5%点眼用懸濁液の安定性
下の表29に記載されるとおりの化合物Iの点眼用懸濁液0.15%、0.5%、1.5%及び2.5%(7.34~7.7の初期pH)のいくつかのロットの安定性は、経時的に製品の化学的、物理的及び微生物学的安定性の特徴をモニターすることによって評価された。化学的安定性は、化合物I及びその不純物をモニターすることによって評価された。物理的安定性は、pH、重量オスモル濃度、粘度、外観、粉末X線回折(XRPD)による同一性及び粒径をモニターすることによって評価された。微生物学的安定性は、無菌試験を行うことによってモニターされた。化合物Iの点眼用懸濁液についての試験及び安定性観測限界からの(試験期間にわたる異なるロット及び様々なサンプリング時間の範囲における)結果の概要は、表24において提示される。
Figure 2022520410000037
上記パラメータに加えて、粘度をモニターし、粘度が各保管条件下において試験された各時点での初期粘度の10%以内であることが判明した。粒径測定値及び無菌性も安定性観測限界以内であった。
実施形態14.探索的製剤の急性毒性試験
表13における探索的安定性試験に由来する4種の製剤FID 121522、FID 121511、FID 121512、FID 121513は、対照として滅菌潅注溶液を使用して、雄NZWウサギにおいて1日5回投与された。4種の探索的製剤又は対照に関して毒性は観察されなかった。
実施形態15.探索的製剤の薬物動態試験
薬物動態試験を行って、表13において提供される同じ4種の探索的製剤:FID 121522、FID 121511、FID 121512、FID 121513による雄NZWウサギにおける局所的な単回両眼投与後の化合物Iの眼での取り込みを決定した。結果は表25において示される。
Figure 2022520410000038
表25において見られるとおり、化合物Iの最高の暴露量は角膜においてであり、これは、結膜において観察されたレベルのおよそ1.5~3倍並びに眼房水及び虹彩-毛様体において観察されたレベルのおよそ10倍並びに血漿において観察されたレベルのおよそ500倍であった。角膜において、ポロクサマー407を含む懸濁液に関するCmaxは、ヒプロメロースを含む2種の懸濁液に関するCmaxのおよそ2倍及び溶液製剤に関するCmaxのおよそ38倍であった。3種の懸濁液に関して、角膜におけるCmaxは、30nMのIC50のおよそ500~1200倍の範囲であったが、Cminは、IC50のおよそ50~130倍の範囲であった。
実施形態16.さらなる製剤の薬物動態試験
探索的製剤からの結果に基づいて、雄有色ウサギにおける局所的な単回両眼投与後の化合物Iの角膜及び眼房水濃度を追加的に決定するために、さらなる製剤を調製した。これらの製剤は表26において示される。
Figure 2022520410000039
薬物動態試験からの結果を表27に示す。
Figure 2022520410000040
表27において示されるとおり、化合物Iに関するCmax及びCminは、化合物Iの最高の暴露量が角膜においてであり、眼房水において観察されるレベルのおよそ3~6倍のレベルを有することを示す。角膜において、0.5%懸濁液に関するCmaxは、0.05%懸濁液のおよそ3倍及び0.01%懸濁液のおよそ16倍であった。眼房水において、0.5%懸濁液に関するCmaxは、0.05%懸濁液のおよそ3倍及び0.01%懸濁液のおよそ9倍であった。3種の懸濁液に関して、角膜におけるCmaxは、30nMのIC50のおよそ38~600倍の範囲であったが、Cminは、IC50のおよそ0.5~7倍の範囲であった。
薬物動態試験を行って、表26に記載される製剤FID121746、FID121745及びFID121744を用いて、雄有色ウサギにおいて、無処置の眼における局所的な単回両眼投与後並びにバンデージコンタクトレンズを用いる場合及び用いない場合の前部角膜切除術後の化合物Iの角膜及び眼房水濃度を決定した。
薬物動態試験からの結果を表28に示す。
Figure 2022520410000041
実施例17.化合物I懸濁液製剤による毒性創傷治癒試験
毒性創傷治癒試験を行って、バンデージコンタクトレンズを用いる場合及び用いない場合のウサギにおける片側のレーザー屈折矯正角膜切除術後における化合物IのQID局所的両眼投与後の角膜創傷治癒を評価した。この試験において使用される化合物I製剤は、表29に記載される。比較のために、ケトロラクトロメタミン(ACULAR LS(登録商標))及びデキサメタゾン(MAXIDEX(登録商標))製剤を使用した。
Figure 2022520410000042
試験結果は、3日後において、バンデージコンタクトレンズを用いて0.5、1.5及び2.5%の化合物I懸濁液で治療された角膜に関する平均創傷面積が、バンデージコンタクトレンズを用いてACULAR LS及びMAXIDEXで治療された角膜、バンデージコンタクトレンズを用いずに溶媒で治療された角膜並びに未治療の角膜に関するものよりも小さいことを実証した。バンデージコンタクトレンズを用いて0.5、1.5及び2.5%の化合物I懸濁液で治療された角膜に関する平均創傷面積は、バンデージコンタクトレンズを用いて溶媒で治療された角膜及びバンデージコンタクトレンズを用いずに2.5%化合物Iで治療された角膜に関するものと同等であった。
実施例18.例示的な化合物I懸濁液の静菌/安定性試験
0.5%化合物Iを含有する一連の5種の試作滅菌懸濁液製剤を調製し、公定書収載の5種の生物:S.アウレウス(S.aureus)、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)、E.コリ(E.coli)、C.アルビカンス(C.albicans)及びA.ブラジリエンシス(A.brasiliensis)を用いて静菌/静真菌作用についてスクリーニングした。静菌に関する判断基準は、微生物数(CFU/mL)において0.5以下の対数増加であった。試験された全ての製剤が、許容されるレベルの静菌/静真菌作用を示した。加えて、2.5%化合物I懸濁液(別の方法ではFID 121744と同一)及び懸濁液溶媒も調製し、静菌/静真菌作用スクリーニングに関してスクリーニングした。静菌/静真菌作用は、約10の接種菌液及び/又は約10の接種菌液を用いて3日間にわたって観察された。
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許文献は、このような刊行物又は文献のそれぞれが具体的且つ個別に参照により本明細書に組み込まれるように指示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明及びその実施形態は、詳細に記載された。しかしながら、本発明の範囲は、本明細書に記載されるいずれかのプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法及び/又は工程の特定の実施形態に限定されることが意図されない。本発明の趣旨及び/又は本質的な特徴から逸脱することなく、様々な変更形態、置換及び変形形態が本開示の材料に施され得る。したがって、当業者は、本明細書に記載される実施形態と同じ機能を実質的に実施するか又は同じ結果を実質的に達成する、後の変更形態、置換及び/又は変形形態が、本発明のそのような関連する実施形態に従って利用され得ることを本発明から容易に理解するであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書に開示されるプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法及び/又は工程に対する変更形態、置換及び変形形態をそれらの範囲内に包含することが意図される。特許請求の範囲は、その趣旨が述べられていない限り、記載された順又は要素に限定して解釈すべきではない。形態及び詳細の様々の変更が添付の特許請求の範囲から逸脱することなく施され得ることを理解すべきである。

Claims (128)

  1. 7.2、12.7及び21.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
    Figure 2022520410000043

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態A。
  2. 7.2、12.7、13.9、18.1、21.4、25.1及び26.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の化合物Iの結晶形態A。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物Iの結晶形態Aを調製する方法であって、メタノール中の化合物Iの遊離塩基の熱溶液を冷却することと、約0℃まで冷却して、化合物Iを結晶形態Aとして結晶化することとを含む方法。
  4. 7.4、14.9、19.1±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
    Figure 2022520410000044

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態C。
  5. 7.4、14.1、14.9、16.4、19.1、26.1、31.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項4に記載の化合物Iの結晶形態C。
  6. 請求項4又は5に記載の化合物Iの結晶形態Cを調製する方法であって、結晶形態Aにおける化合物Iを少なくとも約250℃、又は少なくとも約270℃、又は約280℃の温度まで加熱することを含む方法。
  7. 12.7、16.7、22.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
    Figure 2022520410000045

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態E。
  8. 12.7、15.1、16.7、22.6、27.1、27.7、28.5±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項7に記載の化合物Iの結晶形態E。
  9. 請求項7又は8に記載の化合物Iの結晶形態Eを調製する方法であって、化合物Iの水和物形態を約250℃又は約260℃より高い温度まで加熱して、化合物Iを結晶形態Eとして提供することを含む方法。
  10. 構造
    Figure 2022520410000046

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶水和物。
  11. 6.6、14.4、18.3±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項10に記載の化合物Iの結晶水和物。
  12. 6.6、11.9、14.4、18.3、23.9、26.5、29.2±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項10に記載の化合物Iの結晶水和物。
  13. 請求項10~12のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶水和物を調製する方法であって、水と水混和性溶媒との混合物中で化合物Iのスラリーを平衡化して、化合物Iを前記結晶水和物として結晶化することを含む方法。
  14. 前記水混和性溶媒は、アセトンである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記平衡化は、約12時間、約18時間、又は約24時間、又は約48時間にわたって実施される、請求項13に記載の方法。
  16. 構造
    Figure 2022520410000047

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶性メタノール溶媒和物。
  17. 6.1、14.5、22.7±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項16に記載の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物。
  18. 6.1、12.2、14.5、18.0、22.7、24.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項16に記載の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物。
  19. 請求項16~18のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物を調製する方法であって、メタノール中で化合物Iのスラリーを平衡化して化合物Iを多形形態Gとして得て、化合物Iを前記結晶性メタノール溶媒和物として提供することを含む方法。
  20. 前記平衡化は、室温で少なくとも約24時間にわたって実施される、請求項19に記載の方法。
  21. 構造
    Figure 2022520410000048

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶性アセトニトリル溶媒和物(形態J)。
  22. 8.2、17.0、23.8±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項21に記載の化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物。
  23. 8.2、11.8、17.0、22.8、23.8、27.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項21に記載の化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物。
  24. 請求項21~23のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性アセトニトリル溶媒和物を調製する方法であって、アセトニトリル中で化合物Iのスラリーを平衡化して、化合物Iを前記結晶性アセトニトリル溶媒和物として提供することを含む方法。
  25. 前記平衡化は、室温で少なくとも約24時間にわたって実施される、請求項24に記載の方法。
  26. 5.3、12.3、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
    Figure 2022520410000049

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態K。
  27. 5.3、6.5、10.5、12.3、17.2、19.3、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項26に記載の化合物Iの結晶形態K。
  28. 請求項26又は27に記載の化合物Iの結晶形態Kを調製する方法であって、アセトン中の化合物Iの溶液の蒸発によって結晶化して、化合物Iを結晶形態Kとして提供することを含む方法。
  29. 7.1、8.7、10.6±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、構造
    Figure 2022520410000050

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の結晶形態L。
  30. 3.5、7.1、8.7、10.6、12.2、19.1、22.4±0.2°2θから選択される2θ値で3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項29に記載の化合物Iの結晶形態L。
  31. 請求項29又は30に記載の化合物Iの結晶形態Lを調製する方法であって、炭化水素溶媒をアセトン中の化合物Iの溶液に加えて、化合物Iを結晶形態Lとして提供することを含む方法。
  32. 前記炭化水素溶媒は、ヘキサンである、請求項31に記載の方法。
  33. 有効量の、請求項1~32のいずれか一項に記載の結晶形態A、結晶形態C、結晶形態D、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態L、結晶形態K及びその組合せからなる群から選択される、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶形態と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬製剤。
  34. 前記結晶形態Aを実質的に純粋な形態で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  35. 前記結晶形態Cを実質的に純粋な形態で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  36. 前記結晶形態Eを実質的に純粋な形態で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  37. 前記結晶形態Fを実質的に純粋な形態で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  38. 前記結晶形態Kを実質的に純粋な形態で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  39. 前記結晶形態Lを実質的に純粋な形態で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  40. 化合物Iの2つ以上の結晶形態の混合物を含む、請求項33に記載の医薬製剤。
  41. 結晶形態B及びE、結晶形態B及びF、結晶形態B及びC、結晶形態A及びC、結晶形態A及びFの、約1:99~約99:1の比での混合物を含む、請求項40に記載の医薬製剤。
  42. 眼使用のために製剤化される、請求項33~41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  43. 水性製剤であって、
    4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、及び
    界面活性剤、懸濁剤、浸透圧剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む、水性製剤。
  44. 前記4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体は、前記製剤中において懸濁液として存在する、請求項43に記載の水性製剤。
  45. 前記4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において前記製剤中に存在する、請求項43又は44に記載の水性製剤。
  46. 約0.5%w/v~約3.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
    界面活性剤、
    懸濁剤、及び
    浸透圧剤、緩衝液、保存剤、塩及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む、請求項43~45のいずれか一項に記載の水性製剤。
  47. 約0.5%w/v~約3.5%w/vの量において、前記製剤中に懸濁液として存在する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
    非イオン性界面活性剤;
    懸濁剤;
    浸透圧剤;
    緩衝液;
    塩;及び
    任意選択により保存剤を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載の水性製剤。
  48. 約0.5%w/v~約3.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
    非イオン性界面活性剤;
    懸濁剤;
    浸透圧剤;
    緩衝液;
    任意選択により塩;
    任意選択により保存剤;及び
    100%までの十分量(qs)の水を含む製剤。
  49. 前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤、エチレンオキシドのブロック共重合体/プロピレンオキシド界面活性剤、ポロクサマー、チロキサポール及びその組合せからなる群から選択される、請求項43~48のいずれか一項に記載の製剤。
  50. 前記非イオン性界面活性剤は、少なくとも約0.001%w/v、少なくとも約0.01%w/v、少なくとも約0.02%w/v、少なくとも約0.03%w/v又は少なくとも約0.04%w/vであり、且つ約1%w/v以下、約0.5%w/v以下、約0.3%w/v以下又は約0.2%w/v以下、約0.1%w/v以下又は約0.08%w/v以下の量において存在するチロキサポールである、請求項49に記載の製剤。
  51. 約0.05%w/vの量におけるチロキサポールを含む、請求項50に記載の製剤。
  52. 前記非イオン性界面活性剤は、前記製剤の約15%w/v~約20%w/vの量におけるポロクサマーである、請求項43~49のいずれか一項に記載の製剤。
  53. 前記懸濁剤は、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリエチレングリコール及びその組合せからなる群から選択される、請求項43~52のいずれか一項に記載の製剤。
  54. 前記懸濁剤は、少なくとも約0.05%w/v、少なくとも約0.1%w/v又は少なくとも約0.2%w/vであり、且つ約1.0%w/v以下、約0.6%w/v以下又は約0.5%w/v以下の量において前記製剤中に存在するカルボマーである、請求項53に記載の製剤。
  55. 前記カルボマーは、0.1%w/v~約0.3%w/v又は約0.2%w/vの量において前記製剤中に存在する、請求項54に記載の製剤。
  56. 前記懸濁剤は、少なくとも約0.05%w/v、少なくとも約0.1%w/v又は少なくとも約0.25%w/vであり、且つ約1.8%w/v未満、約1.0%w/v未満、約0.8%w/v未満又は約0.6%w/v未満の量において前記製剤中に存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項53に記載の製剤。
  57. 前記懸濁剤は、約200Da~約20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である、請求項53に記載の製剤。
  58. 前記懸濁剤は、約4%w/v~約9%w/v、約5%w/v~約8%w/v若しくは約7%w/vの濃度のPEG400又は約1%w/v~約4%w/v、約1%w/v~約3%w/v若しくは約2%w/vの濃度のPEG6000である、請求項57に記載の製剤。
  59. 前記懸濁剤は、実質的に全てのカルボマーホモポリマーB型である、請求項43~55のいずれか一項に記載の製剤。
  60. 前記浸透圧剤は、ポリオールからなる群から選択される、請求項43~59のいずれか一項に記載の製剤。
  61. 前記ポリオールは、マンニトール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール及びプロピレングリコール並びにその組合せから選択される群から選択される、請求項60に記載の製剤。
  62. 前記ポリオールは、約0.05%w/v~約10%w/v、約0.1%w/v~約8%w/v、約0.1%w/v~約7%w/v、約0.1%w/v~約5%w/vの量において存在する、請求項61に記載の製剤。
  63. 前記ポリオールは、0.1%w/v~約5%w/v又は約0.2%w/v、約0.3%w/v、約0.4%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約2%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v、約3.5%w/v、約4.0%w/v、約4.5%w/v又は約5%w/vの量において前記製剤中に存在するマンニトール又はグリセリンである、請求項62に記載の製剤。
  64. 前記緩衝液は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩(EDTA)グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩及びTRIS(トロメタミン)からなる群から選択される、請求項48~63のいずれか一項に記載の製剤。
  65. 前記緩衝液は、リン酸塩又はTRISである、請求項64に記載の製剤。
  66. 前記塩は、塩化ナトリウムである、請求項43~65のいずれか一項に記載の製剤。
  67. 前記懸濁剤は、カーボポール(カルボマーホモポリマーB型)であり、且つ塩化ナトリウムの量は、約25℃において60rpmでスピンドルCP-42を使用するときに約20cP~約200cPの前記製剤の粘度をもたらす量に調整される、請求項66に記載の製剤。
  68. 前記塩化ナトリウムは、約0.01%w/v~約0.5%w/v、約0.02%w/v~約0.4%w/v、約0.03%w/v~約0.3%w/v、約0.04%w/v~約0.2%w/v、約0.05%w/v~約0.1%w/v又は約0.05%w/vの量において存在する、請求項66に記載の製剤。
  69. 前記製剤のpHは、約5.5~約8.0である、請求項48~68のいずれか一項に記載の製剤。
  70. 前記製剤のpHは、約6.0~約8.0、約6.0又は約7.4である、請求項69に記載の製剤。
  71. 少なくとも約1.5w/v%、少なくとも約3.0w/v%、少なくとも約3.5w/v%又は少なくとも約4.5w/v%であるが、約10.0w/v%以下、約8.0w/v%以下、約6.5w/v%以下又は約5.5w/v%以下の量におけるシクロデキストリンからなる群から選択される追加の薬剤をさらに含む、請求項48~70のいずれか一項に記載の製剤。
  72. 前記シクロデキストリンは、前記製剤の約5%w/vの量におけるヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン又はスルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリンである、請求項71に記載の製剤。
  73. 前記化合物I又はその塩、共結晶若しくは多形体は、約0.5%w/v~約2.5%w/vの量であり、
    前記非イオン性界面活性剤は、約0.01%w/v~0.2%w/vの量におけるチロキサポール、ポロクサマー又はその組合せであり;
    前記懸濁剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール又はカルボマーホモポリマーB型であり;
    前記浸透圧剤は、約0.05%w/v~約10%w/vの量における少なくとも1つのポリオールであり;
    前記緩衝液は、エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩又はその組合せであり、
    塩;及び
    100%までのqsの水を含み;且つ
    pHは、約5.5~約8.0の範囲である、請求項48に記載の製剤。
  74. 前記化合物I又はその塩、共結晶若しくは多形体は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量において存在し、
    前記非イオン性界面活性剤は、約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール、約0.005%w/v~0.12%w/vの量におけるポロクサマー又はその組合せであり;
    前記懸濁剤は、約0.1%w/v~約0.8w/v%の量におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース、約2%w/v~約8%w/vの量におけるポリエチレングリコール、約0.05%w/v~約0.5%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型又はその組合せであり;
    前記浸透圧剤は、約0.1%w/v~約5%w/vの量におけるマンニトール又はグリセリンであり;
    前記緩衝液は、エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せであり;
    0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;及び
    100%までのqsの水を含み;且つ
    pHは、約5.5~約8.0の範囲である、請求項48~73のいずれか一項に記載の製剤。
  75. 約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体の懸濁液、
    約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール;
    約0.05%w/v~約0.4%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型;
    約0.5%w/v~約5%w/vの量におけるグリセリン;
    エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン及びその組合せからなる群から選択される緩衝液;
    0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;及び
    100%までのqsの水を含み、
    約5.5~約8.0の範囲のpHを有する、製剤。
  76. 化合物Iは、多形形態Bである、請求項43~75のいずれか一項に記載の製剤。
  77. 約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)の多形形態Bの懸濁液、
    約0.04%w/v~約0.06%w/vの量におけるチロキサポール;
    約0.05%w/v~約0.4%w/vの量におけるカルボマーホモポリマーB型;
    約0.5%w/v~約5%w/vの量におけるグリセリン;
    エデト酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、トロメタミン又はその組合せから選択される緩衝液;
    0.01%w/v~約1%w/vの量における塩化ナトリウム;及び
    100%までのqsの水を含む製剤であって、
    約5.5~約8.0の範囲のpHを有する、製剤。
  78. 約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v又は約2.5%w/vの量における化合物I、
    約0.05%w/vのチロキサポール;
    約0.2%w/vのカルボマーホモポリマーB型;
    約2.0%のグリセリン;
    トロメタミン緩衝液;及び
    pHを約6.4~約8.4に調整するための塩酸;
    約0.05%w/vの塩化ナトリウム;及び
    100%までのqsの水を含み、
    保存剤を含まない、請求項77に記載の製剤。
  79. 前記多形形態Bは、9.3、10.6及び14.4±0.2°2θから選択される2θ値での3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項76~79のいずれか一項に記載の製剤。
  80. 約25℃において3rpm又は60rpmのいずれかでスピンドルCP-42を使用して測定されるとき、約20cP~約200cPの粘度を有する、請求項43~79のいずれか一項に記載の製剤。
  81. 約200~約450の1キログラム当たりミリオスモル(mOsm/kg)の重量オスモル濃度を有する、請求項43~80のいずれか一項に記載の製剤。
  82. 室温での6ヶ月間の保管後に約10%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満又は約2%未満の沈殿を呈する、請求項43~81のいずれか一項に記載の製剤。
  83. 前記製剤中の化合物Iの量は、冷蔵下での保管の約6ヶ月後、約8ヶ月後、約10ヶ月後、約12ヶ月後、約15ヶ月後又は約18ヶ月後において最初の量の少なくとも90%である、請求項43~82のいずれか一項に記載の製剤。
  84. 前記製剤中の化合物Iの量は、冷蔵下での保管の約18ヶ月後において最初の量の少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも約97%又は少なくとも約98%である、請求項43~83のいずれか一項に記載の製剤。
  85. 冷蔵下で6ヶ月後において約10%以下の分解産物を含み、前記分解産物は、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)水/アセトニトリル移動相の勾配を使用するHPMCによって分析されるとき、化合物Iと比較して1.23の相対保持時間を有する、請求項43~84のいずれか一項に記載の製剤。
  86. 前記製剤中の化合物Iの約10%以下は、40℃での12週間の保管時に分解する、請求項43~85のいずれか一項に記載の製剤。
  87. 前記化合物Iは、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態G、結晶形態J、結晶形態K、結晶形態L及びその組合せからなる群から選択される結晶形態である、請求項43~86のいずれか一項に記載の製剤。
  88. 前記化合物Iは、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態E、結晶形態F、結晶形態K、結晶形態L及びその組合せからなる群から選択される結晶形態である、請求項43~86のいずれか一項に記載の製剤。
  89. ある量の4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)又はその塩、共結晶若しくは多形体、
    非イオン性界面活性剤;
    懸濁剤;
    浸透圧剤;
    緩衝液;
    塩;
    任意選択により保存剤;及び
    100%までのqsの水を混合すること;及び
    pHを約5.5~約8.0の範囲に調整することを含む、製剤を作製する方法。
  90. 前記化合物Iは、保存懸濁液として加えられる、請求項89に記載の方法。
  91. 前記保存懸濁液は、所望の粒径の化合物Iを得るために粉砕される、請求項89又は90に記載の方法。
  92. 眼表面疼痛の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の、構造:
    Figure 2022520410000051

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式Iの化合物)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を前記対象に点眼することを含む方法。
  93. 前記眼表面疼痛は、慢性眼表面疼痛である、請求項92に記載の方法。
  94. 前記式Iの化合物は、前記対象の角膜に投与される、請求項92に記載の方法。
  95. 前記COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである、請求項92~94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす、請求項95に記載の方法。
  97. 前記投与は、ドライアイ疾患に伴う前記疼痛の減少をもたらす、請求項95に記載の方法。
  98. 前記投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす、請求項96に記載の方法。
  99. 前記対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続する眼性疼痛の1つ以上に罹患している、請求項92~98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 追加の治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 前記投与は、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、視力スケール(VAS)上の疼痛スコアの低減をもたらす、請求項92~100のいずれか一項に記載の方法。
  102. VASスコアの前記低減は、化合物Iの前記対象への投与前及び後のVASスコアにおける差から生じる、請求項101に記載の方法。
  103. VASスコアにおける前記低減は、化合物Iの前記対象への投与後の約半時間以内に生じる、請求項101又は102に記載の方法。
  104. 前記投与は、McMonniesスケールにおいて、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、前記対象における充血の低減をもたらす、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
  105. 前記投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、眼内圧、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、角膜着色の1つ以上における変化をもたらさない、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記式Iの化合物は、請求項43~86のいずれか一項に記載の製剤の形態で投与される、請求項92~106のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記製剤は、少なくとも約1ヶ月間、約2ヶ月間又は約3ヶ月間にわたって投与される、請求項106に記載の方法。
  108. 前記製剤は、毎日1~4回投与される、請求項106に記載の方法。
  109. 眼表面疼痛の治療における使用のための、請求項1~86のいずれか一項に記載の製剤。
  110. 前記眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である、請求項109に記載の使用のための製剤。
  111. 眼表面疼痛の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
    Figure 2022520410000052

    を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を前記対象に点眼することを含む方法。
  112. 前記眼表面疼痛は、慢性眼表面疼痛(COSP)である、請求項111に記載の方法。
  113. 前記COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである、請求項111又は112に記載の方法。
  114. 前記投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす、請求項111に記載の方法。
  115. 前記投与は、ドライアイ疾患に伴う前記疼痛の減少をもたらす、請求項113に記載の方法。
  116. 前記投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす、請求項115に記載の方法。
  117. 前記対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛の1つ以上に罹患している、請求項111~116のいずれか一項に記載の方法。
  118. 前記対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項111~117のいずれか一項に記載の方法。
  119. 前記投与は、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、視力スケール(VAS)上の疼痛スコアの低減をもたらす、請求項111~118のいずれか一項に記載の方法。
  120. 前記投与は、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10のVAS疼痛スコアの低減をもたらす、請求項111~119のいずれか一項に記載の方法。
  121. VASスコアにおける前記低減は、化合物Iの前記対象への投与前及び後のVASスコアの差から生じる、請求項119又は120に記載の方法。
  122. 前記投与は、McMonniesスケールにおいて、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、前記対象における充血の低減をもたらす、請求項111~121のいずれか一項に記載の方法。
  123. 前記投与は、前記化合物の投与前のVASスコアと比較して、少なくとも約3の視力スケール(VAS)上の疼痛スコアの低減をもたらす、請求項119に記載の方法。
  124. 前記式Iの化合物は、請求項1~86のいずれか一項に記載の製剤の形態で投与される、請求項111~123のいずれか一項に記載の方法。
  125. 眼表面疼痛の治療又は低減を、必要とする対象において行う方法であって、構造:
    Figure 2022520410000053

    を有する化合物4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)を含む製剤を前記対象に投与することを含み、
    前記製剤は、結膜のCmaxの約1.5~約3倍のウサギ角膜のCmax化合物Iをもたらし、Cmaxは、単回用量の投与後の特定の組織における化合物Iの最大濃度である、方法。
  126. 前記化合物Iは、請求項48~86のいずれか一項に記載の製剤として投与される、請求項125に記載の方法。
  127. 眼表面疼痛の治療又は低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
    Figure 2022520410000054

    を有する化合物4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)を含む製剤を前記対象に投与することを含み、
    前記製剤は、血漿における化合物IのCmaxの約500倍のウサギ角膜における化合物IのCmaxをもたらし、Cmaxは、単回用量の投与後の特定の組織における化合物Iの最大濃度である、方法。
  128. 前記化合物Iは、請求項48~86のいずれか一項に記載の製剤として投与される、請求項127に記載の方法。
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