JP2022516703A - 免疫療法のための微生物由来のペプチドおよびタンパク質 - Google Patents

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Abstract

本開示は、様々なヒトの疾患を治療する際の有用性を有する、治療用ペプチドおよび当該ペプチドを含む薬学的組成物を提供する。特定の態様では、開示された治療用ペプチドは、哺乳動物の免疫系の調節分子およびエフェクター分子を調節して疾患を軽減するための免疫療法薬として有用である。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
この出願は、2019年1月6日に出願された米国仮特許出願第62/788,950号の優先権を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
電子的に提出されたテキストファイルの説明
本明細書と共に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:配列リストのコンピュータ可読フォーマットコピー(ファイル名:47192_0015WO1_ST25.txt、データ記録日、2020年1月6日、ファイルサイズ:約4キロバイト)。
分野
本開示は、とりわけ、哺乳動物の適応性および先天性免疫系に関連する疾患ならびに免疫学関連障害の治療に適用される、新規ペプチド、および当該ペプチドを含む薬学的組成物に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドおよび薬学的組成物は、原発性および転移性腫瘍性疾患などの免疫腫瘍学疾患状態の治療または予防において特定の用途を有する。
背景
炎症性および免疫関連疾患は、複雑な、しばしば複数の相互接続した生物学的経路の徴候または結果であり、この経路は、正常な生理学において、損傷または傷害への応答、損傷または傷害からの修復の開始、ならびに異物に対する先天的および後天的な防御の開始に不可欠である。疾患または病状は、これらの正常な生理学的経路が、応答の強度と直接関連して、異常な調節もしくは過度の刺激の結果として、自身に対する反応として、またはこれらの組み合わせとして、さらなる損傷または傷害を引き起こす場合に起こる。
これらの疾患の発生は、しばしば、多段階経路、およびしばしば、複数の生物学的系または経路を含むが、これらの経路のうちの1つ以上における決定的な時点での介入は、寛解または治療の効果を有し得る。治療的介入は、有害なプロセス/経路の拮抗作用、または有益なプロセス/経路の刺激のいずれかによって行われ得る。多くの免疫関連疾患は、公知であり、かつ広範に研究されてきた。このような疾患には、炎症性疾患、感染性疾患、免疫不全疾患、腫瘍性疾患などが含まれる。
がんは、2番目に多い死因であり、米国では4人に1人の死亡をもたらす。米国では、毎年100万人超ががんに罹患しており、2016年には595,690人のがんによる死亡が発生したと推定された。米国では、高齢化が進み続けているため、がんの発生率が上昇し続けるであろうと予想することは理にかなっている。米国がん協会(American Cancer Society)を参照のこと。
がんは、細胞の制御されない成長(すなわち、分裂)を伴う疾患である。がん細胞の制御されない増殖の一因となる既知の機構のうちのいくつかには、成長因子非依存性、ゲノム変異の検出不全、および不適切な細胞シグナル伝達が含まれる。正常な成長制御を無視するがん細胞の能力により、増殖速度が加速し得る。がんの原因は堅固に確立されていないが、がんの一因となるか、または少なくとも対象にがんの素因を与えることが知られている因子がいくつかある。このような要因には、特定の遺伝子の変異(例えば、乳がんのBRCA遺伝子変異、大腸がんのAPC)、がんを誘発する疑いのある物質または発がん性物質への暴露(例えば、アスベスト、UV放射線)および乳がんなどの特定のがんに関する家族制体質が含まれる。
現在、がんは、外科手術、放射線療法、および化学療法を含む、様々な様式を使用して治療されている。治療様式の選択は、がんの種類、部位、および播種によって異なる。例えば、外科手術および放射線療法は、白血病およびリンパ腫などの非固形腫瘍がんを治療するために使用され得る。外科手術および放射線療法の利点の1つは、治療の効果をある程度制御し、したがって、体内の正常組織への毒性を制限する能力である。しかしながら、外科手術および放射線療法は、あらゆる残存するがん細胞または放射線抵抗性がん細胞に対処するために、化学療法を続けて行うことが多い。化学療法はまた、白血病およびリンパ腫などの播種性がんならびに転移に最も適切な治療法である。
多くの化学療法剤は、それらの増殖プロファイルに基づいてがん細胞を標的とするため、通常は増殖している胃腸管および骨髄などの組織も化学療法の影響を受けやすい。
多くの化学療法剤が、がんの治療のために開発されてきた。しかしながら、すべての腫瘍が化学療法剤などに反応するとは限らないが、最初は化学療法剤に反応しても、耐性を発現し得る。結果として、非特異的毒性の少ないさらに効果的な薬剤を見出すために、効果的な抗がん剤の探索が強化されている。
したがって、哺乳動物の免疫系の態様を活用してがんの治療と予防を支援する、追加のより安全ながん治療法を開発する大きな必要性がある。毎年新しいがん治療薬が市場に出回っているが、これらの治療法は、問題のある副作用をさらに伴っている。
本開示の概要
本開示は、対象の免疫応答を調節することができ、かつ対象において疾患を治療するために有益な方法で当該免疫応答を利用することができる新規ペプチド治療薬を提供することによって、医学界におけるこの重要な必要性に対処する。
本開示は、がん治療ならびに他の免疫関連障害および疾患を支援するために、T細胞、エフェクターT細胞、および樹状細胞を含むがこれらに限定されない、免疫調節細胞を調節する微生物ペプチドおよびそのバリアントを提供する。
したがって、上記で概説した問題に対処するために、本開示は、疾患を治療するために哺乳動物の免疫系の調節細胞およびエフェクター細胞および分子を調節するための、免疫療法薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、その疾患は、がんである。
本明細書で提供されるペプチド治療薬は、炎症性免疫応答および免疫腫瘍学に関連する多くの疾患を治療するのに有用である。
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患を治療するために哺乳動物の免疫系の調節分子およびエフェクター分子を調節するための免疫療法組成物に向けられ、本明細書で配列番号1またはSG-3-0020と称されるアミノ酸配列を含む、精製された治療用タンパク質を含む。本開示は、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質を包含する。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、配列番号1と100%未満同一である。他の実施形態では、治療用タンパク質は、配列番号1で同定されたアミノ酸配列に対して1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換を含む。さらに他の実施形態では、配列番号1と100%未満同一である治療用タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる全長ペプチドの1つ以上の活性を保持している。
いくつかの実施形態では、免疫療法組成物(または治療用タンパク質)は、免疫細胞との治療用タンパク質のインキュベーションを含むインビトロアッセイにおいて免疫細胞を活性化する。他の実施形態では、免疫細胞は、ヒトまたはげっ歯類免疫細胞である。さらに他の実施形態では、げっ歯類免疫細胞は、マウス免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)である。他の実施形態では、免疫細胞は、リンパ球および/または単球である。さらに他の実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞である。
いくつかの実施形態では、インビトロでの免疫細胞との治療用タンパク質(または治療用タンパク質を含む組成物)のインキュベーションは、免疫細胞によるTNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、IL-23、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、および/またはTGF-βの産生または分泌の変化をもたらす。
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞およびNK細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD3活性化T細胞(抗CD3免疫グロブリンとの接触によって活性化されるT細胞)である。いくつかの実施形態では、T細胞の活性化は、1つ以上のサイトカインの分泌の増加を含む。他の実施形態では、1つ以上のサイトカインは、IFN-γおよびIL-2からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、免疫療法組成物(または治療用タンパク質)は、インビトロアッセイにおいて、CD3活性化T細胞によるサイトカイン分泌を増加させる。他の実施形態では、増加したサイトカイン分泌は、治療用ペプチドの非存在下で、CD3活性化T細胞によるサイトカイン分泌と比較される。さらに他の実施形態では、増加したサイトカイン分泌は、治療用ペプチドの非存在下で、CD3活性化T細胞によるサイトカイン分泌よりも少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、40%、または50%の増加である。いくつかの実施形態では、増加したサイトカイン分泌は、IFN-γ、IL-2、IL-10、およびTNF-αからなる群から選択されるサイトカインの分泌の増加を含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物を投与した対象において免疫細胞を活性化する。他の実施形態では、免疫細胞の活性化は、腫瘍微小環境における免疫細胞の数の増加を含む。さらに他の実施形態では、腫瘍微小環境における免疫細胞の数の増加は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の免疫細胞頻度の増加を含む。さらに他の実施形態では、TILは、NK細胞および/または活性化CD8+T細胞を含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
一態様では、ポリヌクレオチドが提供され、ポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%未満同一である。例えば、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%同一であり、配列番号2と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%未満同一であるヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1と100%未満同一であるタンパク質をコードする。例えば、ポリヌクレオチドは、配列番号1と100%未満同一であり、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。さらに他の実施形態では、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号2のコドンが、発現系における配列番号1の最適な発現のために修飾されるようにコドン最適化されるが、コドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号2と100%同一ではない。さらに他の実施形態では、発現系は、原核生物または真核生物の発現系である。いくつかの実施形態では、原核生物系は、大腸菌(Escherichia coli)を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。いくつかの実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、配列番号1と100%の配列同一性を共有する。
いくつかの実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、配列番号1と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる全長ペプチドの1つ以上の活性を保持しているアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、配列番号1と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、投与を必要とする対象に投与された場合、IL-2および/またはIFN-γの分泌を増加させる機能的能力を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物の治療用ペプチドは、ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導する。いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物のペプチドは、ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導し、少なくとも1つのサイトカインは、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、およびIL-23からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物の治療用ペプチドは、ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの産生を抑制する。いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物のペプチドは、ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの産生を抑制し、少なくとも1つのサイトカインは、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、投与を必要とする対象に投与された場合、CD4+CD25+、CD4+PD-1+、CD4+ICOS+、CD4+OX40+、CD8+CD25+、CD8+PD-1+、CD8+ICOS+、およびCD8+OX40+からなる群から選択される1つ以上のT細胞を増加させる。他の実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、投与を必要とする対象に投与された場合、IFN-γ、IL-2、IL-10、およびTNF-αからなる群から選択される1つ以上のサイトカインの分泌を増加させる。
いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内、皮下、局所、または経口投与のために製剤化された薬学的組成物である。他の実施形態では、組成物は、腫瘍微小環境への投与のために製剤化された薬学的組成物である。
いくつかの実施形態では、組成物は、液体、固体、半固体、ゲル、またはローションとして製剤化される。
一態様では、対象におけるインビボ免疫応答を調節する方法が提供され、この方法は、記載されるように、対象に、SG-3-0020タンパク質またはそのバリアントを含む組成物を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、インビボ免疫応答の調節は、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、IL-23、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される1つ以上のサイトカインの血中または血漿レベルの変化を含む。
一態様では、投与を必要とする対象に、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質を含む組成物を投与することを含む、治療方法が、提供される。いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象は、結腸直腸がん(CRC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、黒色腫、基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸直腸がん、結合組織がん、消化器のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部のがん、胃がん、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、腎がん、呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、泌尿器系のがん、およびこれらの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される、疾患または障害があると診断されているか、またはそれを発症するリスクがある。
いくつかの実施形態では、SG-3-0020タンパク質またはそのバリアントは、免疫療法の前におよび/または免疫療法と組み合わせて、対象に投与される。他の実施形態では、免疫療法は、抗がんワクチン、養子免疫細胞療法、免疫チェックポイント調節剤を標的とする薬剤、腫瘍溶解性ウイルス、またはBiTEのうちの1つ以上である。さらに他の実施形態では、免疫療法標的は、CTLA-4(細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4)、PD-1(プログラムされた細胞死タンパク質1)、PD-L1(プログラムされた死リガンド1)、BTLA(BおよびTリンパ球減衰剤)、LAG-3(リンパ球活性化遺伝子3)、A2AR(アデノシンA2a受容体)、TIM-3(T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン-3)、B7-H3(B7ホモログ3;CD276としても知られる)、VISTA(T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー)、およびIDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)、または免疫チェックポイント調節因子のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、免疫療法は、二重PD-1/CTLA-4遮断療法である。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PDL1+腫瘍または二重PD-1/PD-L1遮断を有する対象に対するPDL-1治療である。非限定的な例には、抗体(例えば、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、およびデュルバルマブ(IMFINZI(登録商標)))などのPD-1およびPDL-1アンタゴニストが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体(例えば、イピルムマブ(YERVOY(登録商標)))などのCTLA4アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体などのBTLAアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、LAG-3アンタゴニスト(例えば、IMP701(LAG525))である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、A2ARアンタゴニスト(例えば、CPI-444)である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM-3アンタゴニスト(例えば、MBG453)である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体(例えば、エノブリツズマブ)などのB7-H3アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、VISTAアンタゴニスト(例えば、JNJ-61610588)である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、IDOアンタゴニスト(例えば、インドキシモド)である。例えば、Marin-Acevedo,et al.,J Hematol Oncol.11:39(2018)を参照のこと。いくつかの実施形態では、免疫療法は、キメラ抗原受容体T細胞(例えば、CAR-T細胞)または操作されたTCR-T細胞を含むが、これらに限定されない養子T細胞療法である。いくつかの実施形態では、免疫療法は、二重特異性T細胞誘導(BiTE)である。いくつかの実施形態では、免疫療法は、それぞれ単独で、または互いに組み合わせて、および/またはPD-1、PDL-1、CTLA-4、もしくは他の治療法のうちの1つ以上と組み合わせて、抗リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)療法、抗T細胞免疫グロブリンムチン-3(TIM-3)療法、抗キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)療法、抗4-1BB(CD137)刺激(agonizing)/刺激(stimulatory)療法、またはグルココルチコイド誘発性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR))刺激(agonizing)/刺激(stimulatory)療法のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物の治療用タンパク質は、ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つのサイトカインの産生を調節する。他の実施形態では、免疫療法薬学的組成物のペプチドは、ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つのサイトカインの産生を調節し、少なくとも1つのサイトカインは、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、IL-23、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのサイトカインの産生の調節は、対象の血液中の1つ以上のサイトカインの血中および/または血漿レベルを測定することによって測定される。
いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物の治療用タンパク質は、ペプチドを投与された対象において、Th1活性化を増加させる。いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物のペプチドは、ペプチドを投与された対象において、樹状細胞の成熟を増加させる。いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物のペプチドは、ペプチドを投与された対象において、CD70の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、免疫療法薬学的組成物のペプチドは、ペプチドを投与された対象において、Teffのクローン性増殖を増加させる。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、経口投与のために製剤化される。他の実施形態では、薬学的組成物は、非経口投与のために製剤化される。さらに他の実施形態では、非経口投与は、静脈内投与、皮下投与、または経皮投与である。
調節性T細胞とエフェクターT細胞のバランスを示す。 CD4(図2A)細胞の頻度に対するビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)由来ペプチドの効果を示す。 CD8(図2B)細胞の頻度に対するBifidobacterium breve由来ペプチドの効果を示す。 IL-2(図2C)細胞の分泌に対するBifidobacterium breve由来ペプチドの効果を示す。 IL-17(図2D)細胞の分泌に対するBifidobacterium breve由来ペプチドの効果を示す。 CD8細胞でのグランザイムBの発現に対するBifidobacterium breve由来ペプチドの効果を示す。 actCD8細胞の頻度(図3A)、CD8細胞によるグランザイムB発現(図3B)、およびIL-2の分泌(図3C)に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドの効果を示す。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 ヒトT細胞活性化アッセイの概略図である。 ヒトT細胞のインビトロ活性化のプロトコルを示す。 フローサイトメトリー分析に使用されるプロトコルを示す。 ヒトT細胞の活性化に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドの効果を示す。 図6-1の説明を参照のこと。 図6-1の説明を参照のこと。 図7Aおよび7Bは、マウス腫瘍モデルに対するヒトの活性化に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドのインビボ研究および例示的な投与の結果を示す。 AH-1四量体染色の例示的なプロトコルを示す。 マウス腫瘍モデルに対するヒトの活性化に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドのインビボ研究および例示的な投与の結果を示す。 マウス腫瘍モデルに対するヒトの活性化に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドのインビボ研究および例示的な投与の結果を示す。 マウスT細胞の活性化に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドの効果を示す。 図11Aの説明を参照のこと。 ヒトT細胞の活性化に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドの効果を示す。 図12Aの説明を参照のこと。 活性化マーカーに対するSG-3-0020などの治療用ペプチドの効果を示す。 図13Aの説明を参照のこと。 図13Aの説明を参照のこと。 図13Aの説明を参照のこと。 ヒトT細胞におけるCD-3依存性エフェクターサイトカイン分泌に対するSG-3-0020などの治療用ペプチドの効果を示す。 SG-3-0020が抗CD28活性化と組み合わせて活性を増加させることを示す。 SG-3-0020は、インビトロで活性化されたヒトT細胞による重要な免疫遺伝子の発現を調節する。図16Aは、ビヒクル処置群と比較して、SG-3-0020処置群(10μM)においてアップレギュレートした(右)およびダウンレギュレートした(左)差次的発現遺伝子(DEG)を示すボルケーノプロットである。2倍を超える変化(対数2FC=1)で有意(p<0.05)の遺伝子にラベルを付ける。図16Bは、免疫腫瘍学に関連するDEGの選択された例を示す。 図16Aの説明を参照のこと。 図16Aの説明を参照のこと。 SG-3-0020がヒトT細胞に結合することを示す。SEBは、ブドウ球菌エンテロトキシンBに由来するペプチドであり、T細胞に結合すると予想される。B7-1は、T細胞に結合する可能性を有し得るB7-1タンパク質に由来するペプチドである。20-scは、SG-3-0020(陰性対照)のスクランブルバージョンである。
詳細な説明
定義
本明細書で別段の定義がない限り、本出願で使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。一般に、本明細書に記載の、化学、分子生物学、細胞およびがん生物学、免疫学、微生物学、薬理学、ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法、およびそれらの技術は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。したがって、以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられているが、以下の定義は、現在開示されている主題の説明を容易にするために明記される。
本明細書全体で、「含む(comprise)」という単語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、いかなる他の構成要素または構成要素の群も除外することなく、記載された構成要素または構成要素の群の包含を意味すると理解すべきである。
「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、その実体のうちの1つ以上を指し、すなわち、複数の指示対象を指し得る。したがって、「1つの(a)」または「1つの(an)」、「1つ以上」、および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。加えて、「1つの(a)」または「1つの(an)」という不定冠詞による「要素」に対する言及は、文脈が1つまたはただ1つの要素が存在することを明確に要求しない限り、1つを超える要素が存在する可能性を排除しない。
「含む(including)」という用語は、「含むが、これに限定されない」ことを意味するために使用される。「含む(including)」および「含むが、これに限定されない」は、交換可能に使用される。
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、それぞれは、通常の当業者によってよく理解されるように、ペプチド結合によって一緒に結合されたアミノ酸の配列を広く指す。この用語は、アミノ酸のポリマーの特定の長さを暗示するものではないことを理解されたい。
「シグナル配列」(「プレ配列」、「シグナルペプチド」、「リーダー配列」、または「リーダーペプチド」とも称される)は、タンパク質のN末端部分に結合し、細胞からのタンパク質の成熟型の分泌を促進する、アミノ酸の配列を指す。細胞外タンパク質の成熟型は、シグナル配列を欠失しているが、これは、分泌プロセス中に切断される。
「アミノ酸」または「任意のアミノ酸」という用語は、自然に存在するアミノ酸(例えば、α-アミノ酸)、非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、および非自然的アミノ酸を含む、ありとあらゆるアミノ酸を指す。それには、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の両方が含まれる。
本明細書で使用される「配列同一性」、「パーセント同一性」、「パーセント相同性」、または例えば「と50%同一の配列」を含む記述は、アミノ酸ごと、ヌクレオチドごと、または比較ウィンドウにわたって配列が同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較し、両方の配列に同一核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U)または同一アミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、およびMet)が生じた位置の数を決定して、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算することができる。
配列間の配列相同性または配列同一性(これらの用語は本明細書では互換的に使用される)の計算は、以下のように実行することができる。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列を最適な比較の目的でアラインメントすることができる(例えば、最適のアラインメントのために、第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、非相同配列は、比較目的のために無視することができる。配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunsch(1970,J.Mol.Biol.48:444-453)アルゴリズムを使用し、BLOSUM 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップ重み付け16、14、12、10、8、6、または4および長さ重み付け1、2、3、4、5、または6.0)を使用し、PAM120重み付け残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用する。
少なくとも2つの核酸またはポリペプチドの文脈における「実質的に類似する」および「実質的に同一」という句は、典型的には、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはさらに99.5%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。
関連(および誘導体)タンパク質/ペプチドは、「バリアント」タンパク質/ペプチドを包含する。バリアントタンパク質/ペプチドは、別の(すなわち、親の)タンパク質/ペプチドおよび/または少数のアミノ酸残基によって互いに異なる。バリアントは、それが由来する親タンパク質/ペプチドと比較して、1つ以上のアミノ酸変異(例えば、アミノ酸の欠失、挿入、または置換)を含み得る。いくつかの実施形態では、異なるアミノ酸残基の数は、約1、2、3、4、5、10、20、25、30、35、40、45、または50のいずれかである。いくつかの実施形態では、バリアントは、約1~約10個のアミノ酸が異なる。代替的にまたは加えて、バリアントは、例えば、前述のBLAST、ALIGN、およびCLUSTALなどの配列アラインメントツールを使用して決定されるように、参照タンパク質/ペプチドまたは核酸と特定の程度の配列同一性を有し得る。例えば、バリアントタンパク質/ペプチドまたは核酸は、参照配列に対して少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはさらには99.5%のアミノ酸配列同一性を有し得る。いくつかの実施形態では、バリアントタンパク質/ペプチドまたは核酸は、参照配列と100%同一ではない。
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、水溶性もしくは油溶性あるいは分散性であり、過度の毒性、刺激、およびアレルギー応答なく疾病の治療に好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に見合っており、かつそれらの意図される使用にとって有効である、本開示のペプチド、タンパク質、または化合物の塩または両性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終単離および精製中に、またはアミノ基を好適な酸と反応させることによって別個に調製され得る。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩(3-phenylproprionate)、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、本開示の化合物中のアミノ基は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、ならびにヨウ化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミル;デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステリルの塩化物、臭化物、ならびにヨウ化物;ならびに臭化ベンジルおよび臭化フェネチルで四級化することができる。治療的に許容される付加塩を形成するために用いることができる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。薬学的に許容される塩は、好適に、例えば、酸付加塩および塩基性塩の中から選択される塩であり得る。酸付加塩の例としては、塩化物塩、クエン酸塩、および酢酸塩が挙げられる。塩基性塩の例には、カチオンが、ナトリウムまたはカリウムイオンなどのアルカリ金属カチオン、カルシウムまたはマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属カチオン、および置換アンモニウムイオン、例えば、N(R1)(R2)(R3)(R4)+型(式中、R1、R2、R3、およびR4は独立して、典型的には、水素、任意に置換されたC1-6-アルキルまたは任意に置換されたC2-6-アルケニルを指定する)のイオンなどの置換されたアンモニウムイオンのうちから選択される塩が挙げられる。関連するC1-6-アルキル基の例には、メチル、エチル、1-プロピル、および2-プロピル基が含まれる。可能な関連性のあるC2-6-アルケニル基の例には、エテニル、1-プロペニル、および2-プロペニルが含まれる。薬学的に許容される塩の他の例は、“Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology”,3rd edition,James Swarbrick(Ed.)中の“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,17th edition,Alfonso R.Gennaro(Ed.),Mark Publishing Company,Easton,PA,USA,1985(およびそのより最近の版)、Informa Healthcare USA(Inc.),NY,USA,2007、ならびにJ.Pharm.Sci.66:2(1977)に記載されている。また、好適な塩の概説については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,2002)を参照されたい。他の好適な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。代表的な例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛塩が挙げられる。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた形成され得る。
本明細書で使用される場合、「個々の単離株」は、1つ以上の他の微生物からの分離後の、微生物の単一の属、種、または株の優勢を含む組成物または培養物を意味すると解釈されるべきである。この語句は、微生物が単離または精製された程度を示すものと解釈されるべきではない。しかしながら、「個々の単離株」は、実質的にただ1つの微生物の属、種、または株を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「キメラ」または「組換え体」という用語は、核酸配列またはタンパク質/ペプチド配列を記述するとき、少なくとも2つの異種ポリヌクレオチドもしくは2つの異種ポリペプチドを連結して単一の巨大分子にする、または少なくとも1つの自然の核酸もしくはタンパク質/ペプチド配列の1つ以上の要素を再編成することができる核酸またはタンパク質/ペプチド配列を指す。例えば、「組換え体」という用語は、例えば、化学合成による、または遺伝子操作技術による核酸の単離されたセグメントの操作による、配列の2つの別の方法で分離されたセグメントの人工の組み合わせを指すことができる。
本明細書で使用される場合、「タンパク質修飾」という用語は、当技術分野でよく理解されているように、例えば、アミノ酸置換、アミノ酸修飾、欠失、および/または挿入を指す。
「培養すること」という用語は、液体または固体培地中で、増殖に適した条件下で、細胞の集団、例えば微生物細胞を増殖させることを指す。
本明細書で使用される「単離された」、「精製された」、「分離された」、および「回収された」という用語は、例えば、それが含まれるサンプルの少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の濃度で、それが天然に関連する少なくとも1つの成分から除去される材料(例えば、タンパク質、核酸、または細胞)を指す。例えば、これらの用語は、例えば、無傷の生物学的システムなど、その天然状態で見られるように、通常はそれに付随する成分を実質的または本質的に含まない材料を指し得る。
「対象」という用語は、ヒト、非ヒト霊長類、家畜動物(例えば、ウシ、ブタ)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、ヒト対象を指す。例示的な実施形態では、この用語は、胃腸の炎症状態を患っているヒト対象を指す。
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、ペプチドを産生するための組換え発現ベクターがペプチドの発現のために導入され得る細胞または細胞株を指す。組換えベクターを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と称され得る。
本明細書で使用される場合、「改善された」は、病状の特定された特徴の改善を包含すると広く解釈されるべきであり、当該特徴は、対照と比較して、または問題の特徴に関連する既知の平均量と比較して、一般に問題の疾患と相関する、またはそれを示すと当業者によって見なされる。例えば、本開示のタンパク質の適用に関連する「改善された」機能は、治療されていないヒトのデータと比較して、本開示のタンパク質で治療されたヒトからのデータを比較することによって実証され得る。本開示において、「改善された」は、データが統計的に有意であることを必ずしも要求せず(すなわち、p<0.05)、むしろ、ある値(例えば、平均治療値)が別の値(例えば、平均対照値)と異なることを示す任意の定量化可能な差異は、「改善された」レベルまで上昇し得る。
本明細書で使用される場合、「阻害および抑制」などの用語は、完全な阻害または抑制を必要とすると解釈されるべきではないが、これはいくつかの実施形態では望ましいことであり得る。したがって、「阻害された免疫応答」または「炎症性サイトカインの阻害」は、絶対的な阻害を必要としていない。
したがって、本明細書で使用される場合、「増加する」または「減少する」という用語、または文法的同等物は、比較可能な条件下で行われた測定(例えば、本明細書に記載の治療の開始前の同じ対象において、または本明細書に記載の治療がない場合の対照対象(または複数の対照対象)における測定)などの、参照(例えば、ベースライン)測定に関連する値を示す。いくつかの実施形態では、適切な対照は、本明細書に記載の治療の開始前の同じ対象における測定、または本明細書に記載の治療がない場合の対照対象(または複数の対照対象)における測定などのベースライン測定である。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、任意の医学的治療に適用される妥当な利益/リスク比において、治療された対象に治療効果を与える治療剤(例えば、本開示のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質)の量を指す。そのような治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果の指標を与える、もしくは効果を感じる)であり得る。いくつかの実施形態では、「治療有効量」は、関連する疾患もしくは状態を治療もしくは改善する、ならびに/または疾患に関連する症状を改善すること、および/または疾患の症状の重症度もしくは頻度を軽減することなどによる検出可能な治療もしくは予防効果を示すのに有効な治療剤または組成物の量を指す。治療有効量は、一般的に、複数の単位用量を含み得る投薬レジメンで投与される。任意の特定の治療剤について、治療有効量(および/または有効投与レジメン内の適切な単位用量)は、例えば、投与経路に応じて、または他の治療剤との組み合わせに応じて変動し得る。代替的にまたは加えて、任意の特定の対象に対する特定の治療有効量(および/または単位用量)は、治療される特定の形態の疾患;状態もしくは前提条件の重大度;用いられる特定の治療剤の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、および/または用いられる特定の治療剤の排泄もしくは代謝速度;治療期間;医療の分野において周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存し得る。本開示は、治療有効量の新規のペプチド、およびそれを含む組成物を利用して、様々ながんなどの様々な疾患を治療する。治療有効量の、投与されたペプチドまたはそれを含む組成物は、いくつかの実施形態では、当該がんの発生率を減少させるであろう。
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」(また、「治療する(treat)」または「治療すること(treating)」)という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態(例えば、慢性または再発性の免疫応答および胃腸(GI)管の炎症)の1つ以上の症状もしくは特徴を部分的もしくは完全に軽減する、改善する、緩和する、阻害する、その発症を遅延させる、その重症度を減少させる、および/もしくはその発生率を低下させるという点で、所望の効果を達成する治療レジメンに従った治療剤(例えば、本開示のペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質)の任意の投与を指し、いくつかの実施形態では、治療レジメンに従った治療剤の投与は、所望の効果の達成と相関している。そのような治療は、関連する疾患、障害、および/もしくは状態の兆候を示さない対象、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは状態の初期の兆候のみを示す対象のものであり得る。代替的にまたは加えて、そのような治療は、関連する疾患、障害、および/または状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、および/または状態に罹患していると診断された対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、および/または状態の発症の増加したリスクと統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象のものであり得る。
「薬学的」とは、組成物、試薬、方法などが薬学的効果を可能にするか、また、組成物を対象に安全に投与することができることを意味する。「薬学的効果」は、限定されないが、組成物、試薬、または方法が、哺乳動物対象、例えば、対象の集団の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%の対象などにおけるヒトなどの少なくとも1人の対象において、所望の生化学的、遺伝的、細胞的、生理学的、または臨床的効果を刺激することができることを意味し得る。
「薬学的に許容される」とは、動物における安全な使用、より具体的にはヒトにおける安全な使用のために、連邦政府もしくは州政府の規制省庁によって認可されている、または米局薬局方もしくは他の一般に承認されている薬局方において列挙されることを意味する。「薬学的に許容されるビヒクル」または「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書に記載のペプチドが投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または担体を指す。
「予防」とは、疾患もしくは状態、またはその少なくとも1つの症状を予防するために講じられる手段を意味する。
「予防すること(Preventing)」または「予防(prevention)」とは、疾患または障害を獲得するリスクの減少を指す(すなわち、疾患の臨床症状の少なくとも1つを、疾患にさらされているか、または罹患しやすい可能性があるが、まだ疾患の症状を経験していないまたは疾患の症状が表われていない対象において疾患を発症しないようにする、または治療しない場合よりも重症度が低い症状を発症させない)。「予防(Prevention)」または「予防(prophylaxis)」は、疾患または障害の発症を遅延させることを指し得る。
「予防的有効量」とは、疾患または状態の予防のために対象に投与された場合に、疾患または状態のそのような予防に影響を与える、または化合物の投与がない場合よりも低いレベルの重症度で、疾患または状態の少なくとも1つの症状の発症を防ぐのに十分である、本明細書に記載の、化合物、すなわち、ペプチドの量を意味する。「予防的有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療される対象の年齢、体重などに応じて変化し得る。
本明細書で提供される治療用薬学的組成物は、1つ以上の天然産物に由来するか、またはそれを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、治療用薬学的組成物自体は、自然界には存在しない。さらに、いくつかの実施形態では、治療用薬学的組成物は、自然界に存在し得る任意の個々の自然に存在する対応物または組成物成分と比較して、著しく異なる特徴を有する。すなわち、いくつかの実施形態では、治療有効量の精製タンパク質またはペプチドを含む、本明細書で提供される薬学的組成物は、自然に存在し得るため、組成物の任意の単一の個々の成分と比較して、全体として組成物に著しく異なる特性を与える少なくとも1つの構造的および/または機能的特性を有する。裁判所は、自然に存在し得る任意の個々の成分と比較して著しく異なる特徴を有する天然物を含む組成物は、法定の主題であると判断した。したがって、開示された治療用薬学的組成物は、全体として、著しく異なる特徴を有する。これらの特徴は、本明細書で提供されるデータおよび実施例に示されている。
「T細胞媒介性疾患」という用語は、T細胞が直接的または間接的に哺乳動物の罹患を媒介するか、さもなければ一因となる疾患を意味する。T細胞媒介性疾患は、細胞媒介性効果、リンホカイン媒介性効果、およびB細胞が、例えば、T細胞によって分泌されるリンホカインによって刺激される場合、B細胞に関連する効果にさえ関連し得るが、これらに限定されない。
本開示の詳細は、本明細書に記載されている。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および材料がここに記載されている。本開示の他の特性、目的、および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
治療用ポリペプチドおよび対応するポリヌクレオチド
共生細菌であるBifidobacteriumは、抗腫瘍免疫を促進し、抗プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)の有効性を促進することが示されている。実際、この細菌は、抗PD-L1との相加効果を引き出し、樹状細胞のMHC-IIを増加させる。Sivan et al.(2015.Science.350(6264):1084-1089)を参照のこと。
Bifidobacteriumに由来する組成物、例えば、腫瘍細胞の破壊を促進することができる活性化免疫細胞を促進することができる、Bifidobacteriumによって発現されるタンパク質またはその断片を、同定および特徴付けるための研究が行われた。例えば、図1に示されるように、本開示の治療用組成物は、エフェクターT細胞(Teff)とレギュレーターT細胞(Treg)との比率を変えることができる。Teff:Treg細胞の比率を増加させると、腫瘍細胞が免疫学的監視から逃れるのを防ぎ、対象の免疫系による腫瘍細胞の破壊につながり得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物はまた、ナイーブ骨髄細胞からの樹状細胞成熟を活性化することができ、対象の免疫系の抗腫瘍活性をさらに促進する。
したがって、Bifidobacteriumゲノムまたはその断片によってコードされるポリペプチドは、例えば、ナイーブCD4+およびCD8+T細胞(Th0)からCD4+およびCD8+活性化T細胞(Tact)への分化を刺激するそれらの能力についてインビトロで試験される。例えば、CD25+/FoxP3-表現型を有するCD4+および/またはCD8+T細胞の数の増加をもたらす目的のBifidobacteriumポリペプチドと、ナイーブT細胞のインキュベーションは、BifidobacteriumポリペプチドがTeff:Tregの比率が増加していることを示唆している。この増加したTeff:Tregの比のさらなる証拠は、サイトカインIL-2およびIL-17の処理されたナイーブマウス脾細胞による分泌の増加、ならびにグランザイムBの発現によって示唆されている。加えて、樹状細胞(DC)を活性化する開示されたペプチドの能力を示すための研究を行うことができる。DCの活性化は、例えば、TNF、IL-1β、および/またはMHC Iの増加した発現を通じて実証することができる。
そのようなインビトロの特徴付けは、本明細書でSG-3-0020と称されるタンパク質の同定をもたらした。SG-3-0020は、ナイーブマウスから単離された脾細胞とインキュベートした場合、活性化されたCD4およびCD8細胞の頻度を増加させることが示された(実施例1および図2A~2Bを参照のこと)。SG-3-0020のアミノ酸配列およびそのコードヌクレオチド配列を、以下の表1に提供する。「SG-3-0020」および「配列番号1」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
(表1)SG-3-0020およびそのコードされた核酸配列
Figure 2022516703000001
以下の実施例2および3に記載されるその後の実験は、SG-3-0020がインビトロでヒトT細胞の活性化を増強し、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)区画内のNK細胞および活性化CD8+T細胞頻度を増加させることを示す(図6Aおよび6Bを参照のこと)。具体的には、SG-3-0020は、T細胞の調節を通じて適応免疫に影響を与えることが示された。実施例2において、5人の個々のヒトドナーから得られた精製されたT細胞は、抗CD3抗体で刺激され、SG-3-0020の有無にかかわらずインキュベートされた。SG-3-0020の存在は、CD4+細胞とCD8+細胞の両方で、表面PD-1の発現の増加をもたらした。さらに、SG-3-0020を用いた活性化されたT細胞のインキュベーションは、IFN-γ、IL-2、IL-10、TNF-αの分泌を増加させた。CD4+CD25+、CD4+ICOS+、CD4+OX40+、CD8CD25+、CD8+ICOS+、およびCD8+OX40+(データは示さず)であるT細胞における増加は、SG-3-0020の存在下でも観察された(SG-3-0020の非存在下での活性化されたT細胞と比較して)。
インビボ研究も実施され、SG-3-0020の腫瘍周囲投与が、腫瘍微小環境(TME)における免疫活性化を増加させることが示された。1日2回(b.i.d.)の腫瘍周囲注射は、NK細胞を増加させ、TIL区画でCD8+T細胞の頻度が活性化された(図7B)。
上記の研究は、同等の生物学的活性を有するSG-3-0020およびそのバリアントが、対象の免疫系を調節するのに有効であり、したがって、がんの治療および/または腫瘍体積および/または腫瘍成長の減少のための治療剤として実行可能であり得る。
ペプチドバリアント
前述のように、修飾および/または変更は、本明細書に開示される治療用タンパク質、例えば、SG-3-0020の構造においてなされ得る。したがって、本開示は、これらのタンパク質の配列の変化、したがってそれらをコードする核酸を企図し、それにもかかわらず、それらは、本開示の予防的および治癒的態様において評価される機能的活性に関して実質的な活性を保持することができる。
A.修飾ペプチド
SG-3-0020のある特定のアミノ酸は、例えば、基質分子上の結合部位、受容体などの構造との相互作用結合能力を相当量失うことなく、タンパク質/ペプチド構造の他のアミノ酸で置換され得る。したがって、これらのタンパク質/ペプチドは、SG-3-0020(例えば、配列番号1)の生物学的に機能的な等価物であり得る。アミノ置換は、保存された置換であっても、保存された置換でなくてもよい。したがって、構造変化はタンパク質の設計された機能、例えば、別の部分との相互作用から生じる機能を実行する能力に影響を与えるものではないため、「保存的」変化は、ペプチドの生物学的活性を破壊しない。
本開示によるSG-3-0020のバリアントは、配列番号1に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を有するタンパク質であり得る。換言すれば、バリアントは、配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、または97%同一であり得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号1の1、2、3、4、または5個のN末端またはC末端残基の欠失を有する。代替的にまたは加えて、配列番号1と比較して、1、2、3、4、または5個のアミノ酸の内部欠失がある。
SG-3-0020の保守的に修飾されたバリアントが、本明細書で企図されている。「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸配列と核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾されたバリアントは、同一のアミノ酸配列、または1つ以上の保存的置換を有するアミノ酸配列をコードする核酸を指す。保存的置換の例は、以下の群のうちの1つのアミノ酸を同じ群の別のアミノ酸に交換することである(米国特許第5,767,063号、Kyte and Doolittle(1982)J.Mol.Biol.157:105-132を参照のこと)。(1)疎水性:ノルロイシン、Ile、Val、Leu、Phe、Cys、Met;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;(3)酸性:Asp、Glu;[0093](4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe;および(7)小アミノ酸:Gly、Ala、Ser。したがって、アミノ酸に関する「保存的置換」という用語は、1つ以上のアミノ酸が別の生物学的に同様の残基によって置換されることを意味し、当該置換は、一般に、タンパク質の機能特性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号1で同定されたアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つの自然に存在しない保存的アミノ酸置換を有するタンパク質を提供する。
治療用タンパク質の修飾も、企図されている。例えば、タンパク質のC末端および/またはN末端にアセチル(Ac)および/またはアミド基が存在し得る。いくつかの実施形態では、タンパク質は、「環化」され得、例えば、ジスルフィド架橋または他の同様の結合を形成することによって、ポリペプチド分子の一部がポリペプチド分子の別の一部に連結して、閉環を形成する反応を指す。SG-3-0020タンパク質またはそのバリアントは、リンカーによって、別の分子、例えば、タンパク質(例えば、BSAまたはFcドメイン)またはPEG分子などの安定化基に連結され得る。本明細書で使用される「リンカー部分」は、広く、2つのペプチドモノマーサブユニットを連結または結合して、二量体を形成することができる化学構造を指す。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、未修飾ペプチドと比較して、水溶液中のペプチドの溶解度を増加させるように修飾されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、未修飾ペプチドと比較して、水溶液中のペプチドの溶解度を減少させるように修飾されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、未修飾ペプチドと比較して、極性溶媒中のペプチドの溶解度を増加させるように修飾されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、未修飾ペプチドと比較して、極性溶媒中のペプチドの溶解度を減少させるように修飾されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、未修飾ペプチドと比較して、無極性溶媒中のペプチドの溶解度を増加させるように修飾されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、未修飾ペプチドと比較して、無極性溶媒中のペプチドの溶解度を減少させるように修飾されている。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、ヒト生理学的pHでの未修飾ペプチドと比較して、ヒト生理学的pHでのペプチドの正味荷電を増加させるように修飾されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、ヒト生理学的pHでの未修飾ペプチドと比較して、ヒト生理学的pHでのペプチドの正味荷電を減少させるように修飾されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、翻訳後修飾(PTM)を有し得る。タンパク質PTMは、インビボで発生し、官能基またはタンパク質の共有結合による付加、調節サブユニットのタンパク質分解的切断、またはタンパク質全体の分解によって、プロテオームの機能的多様性を増加させ得る。本開示に従って調製された単離されたタンパク質は、インビボまたはインビトロで1つ以上のPTMを受け得る。修飾(複数可)のタイプは、タンパク質が発現される宿主細胞に依存し、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、ニトロシル化(例えば、S-ニトロシル化)、メチル化、アセチル化(例えば、N-アセチル化)、脂質化(ミリストイル化、N-ミリストイル化、S-パルミトイル化、ファルネシル化、S-プレニル化、S-パルミトイル化)を含むが、これらに限定されず、タンパク質分解は、正常な細胞生物学および病因のほぼすべての態様に影響を与え得る。本明細書に開示される単離および/または精製されたSG-3-0020タンパク質またはそのバリアントもしくは断片は、1つ以上の上記の翻訳後修飾を含み得る。
上記のSG-3-0020のバリアントの各々について、当業者は、本明細書に開示されるアッセイ(例えば、腫瘍体積に対する効果を評価するT細胞活性化アッセイまたはインビボアッセイ)に従って生物学的活性を評価および比較することができる。
SG-3-0020またはそのバリアントを含む組成物を使用する免疫療法
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドまたはペプチド(例えば、SG-3-0020および/またはそのバリアント)を含む組成物は、それを必要とする対象における免疫療法に有用である。「免疫療法」は、対象において免疫応答を誘導、増強、または抑制することによって疾患または障害を治療することを指す。免疫応答を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法として知られている。免疫応答を減少または抑制するように設計された免疫療法は、抑制免疫療法として知られている。例えば、悪性腫瘍、自己免疫反応、および慢性感染症の免疫療法の成功は、免疫応答を誘導または制御するための効率的な手段の新しいアプローチの開発に依存している。
T細胞
哺乳動物における免疫応答を開始するための重要なステップは、疾患または障害に関連する抗原を認識することができる適切なT細胞のセットの活性化である。T細胞は、ヘルパーT細胞、調節性T細胞、細胞傷害性T細胞、またはメモリーT細胞に分化することができる。CD4+およびCD8+T細胞は、T細胞の大部分を構成する。CD4+ヘルパーT細胞は、樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞の細胞エンドソーム経路で捕捉および処理されたMHC-II制限外因性抗原を認識し、ゴルジ画分のMHC-IIと複合体を形成して、抗原-MHC-II複合体を形成する。細胞表面に発現するこの複合体は、CD4+エフェクターT細胞の活性化を誘導することができる。
CD4+T細胞は、活性化され、Tヘルパー1(Th1)、Tヘルパー2(Th2)、Tヘルパー17(Th17)、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)、誘導T制御性細胞(iTreg)、および制御性1型細胞(Tr1)を含む異なるエフェクターサブタイプに分化することができる。CD4+T細胞(Th細胞)は、インターロイキンを産生し、インターロイキンは、免疫系の他のアームを活性化するのに役立つ。例えば、Th細胞は、B細胞が抗体を産生する助けをするインターロイキン-4(IL-4)およびIL-5、ならびにCD4+およびCD8+T細胞を活性化するIL-2を産生する。インターロイキン-12(IL12)およびインターフェロンγ(IFNγ)は、Th1細胞を発達させるために下流のシグナル伝達カスケードを開始する重要なサイトカインである。同様に、IL12は、ナチュラルキラー細胞(NK)を誘導して、IFNγを産生する。MHC-II制限抗原を認識するTh細胞が、細胞傷害性T細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびB細胞の活性化とクローン性増殖において中心的な役割を果たしているため、抗原に応答してヘルパーT細胞を活性化する初期事象は、その抗原に向けられた効果的な免疫応答を誘導するために重要である。
CD8+T細胞(細胞傷害性Tリンパ球)は、細胞内病原体に対する免疫防御および腫瘍監視に重要である。CD8+細胞は、MHC-I抗原と複合体を形成したプロセシングされたタンパク質/ペプチドとして細胞表面に提示されるような様式において、所望のタンパク質/ペプチドが細胞内を通過するときに活性化される。CD8+細胞傷害性T細胞は、パーフォリン、グランザイム、および顆粒化(granulysis)の放出を介して、感染した標的細胞を破壊する。
制御性T細胞(Treg)は、主にTh細胞の潜在的に有害な活動を抑制するように機能する。Tregは、FOXタンパク質ファミリーのメンバーであるフォークヘッドボックスP3(FOXP3)を発現し得、これは、制御性T細胞の発達および機能における制御性経路のマスターレギュレーターとして機能する。Tregは、しばしば、免疫応答のダイヤルダウンに関与する。がんの場合、過剰なTreg活性は、免疫系ががん細胞を破壊するのを防ぐことができる。
樹状細胞
T細胞が免疫応答において果たす重要な役割に加えて、樹状細胞(DC)も同様に重要である。DCは、抗原物質を処理し、細胞表面でT細胞に提示するプロの抗原提示細胞である。自己抗原に対する耐性の維持ならびに先天性免疫および適応免疫の活性化において重要な調節的役割を有するDC(Banchereau et al.,1998,Nature 392:245-52、Steinman et al.,2003,Annu.Rev.Immunol.21:685-711)。
DCは、造血骨髄前駆細胞に由来し、最初は未成熟な樹状細胞に変化する。未成熟な樹状細胞は、トール様受容体(TLR)などのパターン認識受容体を介してダウンしている病原体の周囲の環境を絶えずサンプリングする。DCおよびマクロファージなどの抗原提示細胞(APC)は、先天性免疫および適応免疫の活性化、ならびに免疫学的耐性の維持に重要な役割を果たす。
DCが微生物産物などの炎症誘発性刺激に遭遇すると、細胞の成熟プロセスは、細胞表面に発現する抗原ペプチドをロードしたMHC分子および共刺激分子をアップレギュレートすることによって開始される。成熟および局所リンパ節へのホーミングに続いて、DCは、免疫学的シナプスを形成することによってT細胞との接触を確立し、T細胞受容体(TCR)および共刺激分子が接着分子で囲まれる中央領域に集まる(Dustin et al.,2000,Nat.Immunol.1:23-9)。DCの存在下で活性化されると、例えば、CD8+T細胞は、数世代にわたって自律的に増殖し、さらなる抗原刺激なしに細胞傷害性機能を獲得することができる(Kaech et al.,2001,Nat.Immunol.2:415-22、van Stipdonk et al.,2001,Nat.Immunol.2:423-9)。したがって、DCによって提供されるペプチド-MHC複合体(シグナル1)および共刺激分子(シグナル2)のレベルおよび持続時間が、抗原特異的T細胞応答の大きさおよび運命を決定するために不可欠であることが提案されている(Lanzavecchia et al.,2001,Nat.Immunol.2:487-92、Gett et al.,2003,Nat.Immunol.4:355-60)。
DCは、リポ多糖(LPS)などの保存された微生物構造を認識するTLRを使用して、核因子-κB(NF-κB)シグナル伝達経路を活性化することによってDCの成熟を促進する(Akira et al.,2004,Nat.Rev.Immunol.4:499-51 1)。腫瘍に対する免疫を誘導するための努力は、抗腫瘍免疫を増強する手段として、DCの成熟および共刺激を促進することを試みてきた。
炎症誘発性シグナル伝達にも多くの注意が向けられてきたが、炎症を抑制および解決する機序についてはあまり知られていない。TLRによって開始される免疫応答の大きさおよび持続時間は、炎症誘発性シグナル伝達の強度および持続時間、ならびにシグナル伝達経路の調節によって決定される。転写因子NF-κBのTLR誘導性活性化は、多数の炎症誘発性遺伝子の転写に不可欠であるため、複数の機構を利用して、敗血症性ショックなどの過剰な免疫応答から対象を保護するために、および腸の微小環境などの慢性的な微生物曝露の状況で免疫ホメオスタシスを維持するために、TLRシグナル伝達を複数のレベルで負に調節する。
サイトカイン
サイトカインは、細胞間の相互作用および伝達に特異的効果を有する細胞から放出される小さな分泌タンパク質である。サイトカインは、一般的な名称であり、他の名称には、リンホカイン(リンパ球によって作製されるサイトカイン)、モノカイン(単球によって作製されるサイトカイン)、ケモカイン(走化性活性を伴うサイトカイン)、およびインターロイキン(1つの白血球によって作製され、他の白血球に作用するサイトカイン)が含まれる。サイトカインは、それらを分泌する細胞(オートクリン作用)、近くの細胞(パラクリン作用)、または場合によっては遠隔の細胞(内分泌作用)に作用し得る。炎症誘発性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの両方がある。Zhang et al.,“Cytokines,Inflammation and Pain,” Int.Anesthesiol.Clin.,Vol.45(2):27-37(Spring 2007).サイトカインは一般に、造血系細胞の増殖もしくは分化を刺激するか、または体内の免疫および炎症反応機構に関与する。
サイトカインは、複数の免疫細胞機能の調節に決定的に関与する(Curtsinger et al.,2003,J.Exp.Med.197:1141-51、Valenzuela et al.,2002,J.Immunol.169:6842-9)。上記のように、様々な免疫細胞の表現型は、それらが分泌するサイトカインの観点から特徴付けられる。サイトカインは、しばしば、炎症誘発性または抗炎症性のいずれかに分類される。
インターロイキンは、免疫学的応答を仲介するサイトカインのファミリーである。免疫応答の中心は、T細胞であり、この細胞は多くのサイトカインを産生して抗原に対して適応免疫を生じる。T細胞によって産生されるサイトカインは、1型および2型として分類されている(Kelso et al.,1998.Immun.Cell Biol.76:.00-317)。1型サイトカインには、IL-2、IFN-γ、LT-αが含まれ、炎症反応、ウイルス免疫、細胞内の寄生生物免疫、および同種移植片拒絶反応に関与する。2型サイトカインには、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、およびIL-13が含まれ、体液性の反応、蠕虫免疫、およびアレルギー応答に関与する。
炎症誘発性サイトカイン
炎症誘発性サイトカインは、細胞シグナル伝達に重要であり、全身性炎症を促進するサイトカインである。それらは、主に活性化されたマクロファージによって産生され、炎症反応のアップレギュレーションに関与している。炎症誘発性サイトカインは、アップレギュレーション後に応答を誘導する小さなメディエーター分子の翻訳をコードする遺伝子から生じる。インターロイキン-1(IL-1)、ΙL-2、IL-6、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、CD40L、TNF-αなどの腫瘍壊死因子(TNF)、ガンマ-インターフェロン(IFN-ガンマ)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、MCP-1、TNF関連アポトーシス誘導リガンド、RANK-リガンド、およびTALL-1/BAFFは、炎症誘発性サイトカインとしてよく特徴付けられている。炎症は、炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインとの間の相互作用によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドの投与は、炎症誘発性サイトカインの増加を伴う。
抗炎症性サイトカイン
抗炎症性サイトカインは、炎症誘発性サイトカイン応答を制御する一連の免疫調節分子である。したがって、これらの分子は、炎症誘発性サイトカインによって生成される炎症誘発性応答を調節し、それを減少させるのを助ける。IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α(IFN)、およびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)は、抗炎症性サイトカインとして認識されている。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドの投与は、抗炎症性サイトカインの減少を伴う。
サイトカインの効果に関して強い相互作用があることが理解される。例えば、あるサイトカインの炎症誘発性活性は、別のサイトカインの抗炎症活性によって弱められるか、または排除され得る。
本開示は、ポリペプチドおよび/または他の化合物もしくはその組成物を使用して、炎症性細胞の組織への浸潤、T細胞増殖の刺激、T細胞増殖の阻害、血管透過性の増加もしくは減少、またはそれらの阻害によって特徴付けられるものを含む、がんならびに様々な免疫関連疾患および状態、例えば、T細胞媒介性疾患を治療することができる。
がん
網羅的に抑制されたT細胞機能は、がんを患う多くの対象において、臨床的に効率的ながん免疫療法の開発の大きな障害であると説明されている。抗腫瘍免疫応答の阻害は、主に、がんを呈する対象に存在する阻害因子に関係している。「腫瘍性障害」は、細胞増殖、特に新生物に関連する任意の障害である。「新生物(neoplasm)」または「新生物(neoplasia)」は、良性または悪性であり得る、組織の異常な塊である。ほぼすべての良性腫瘍は、カプセル化されており、非侵襲的である。対照的に、悪性腫瘍は、ほとんどカプセル化されず、浸潤性の破壊的増殖によって隣接する組織に侵入する。この浸潤性増殖の後に、元の腫瘍と不連続な部位に腫瘍細胞を移植することができる。
新生物または腫瘍性障害は、がんであり得る。本明細書で使用される「がん」は、身体の器官およびシステムの正常な機能を妨害する、細胞の制御されていない増殖を指す。白血病などの造血器がんは、対象の正常な造血区画を打ち負かすことができ、それにより、貧血、血小板減少症、および好中球減少症の形態で造血不全を引き起こし、最終的に死をもたらす。
元の場所から移動して生体器官に蔓延するがんは、罹患した臓器(複数可)の機能的悪化を介して対象の死を最終的にもたらし得る。転移は、原発腫瘍から身体の他の部分にまでがん細胞が蔓延することで生ずる、原発腫瘍の位置とは異なるがん細胞の領域である。原発腫瘍塊の診断時に、対象は、転移の存在についてモニタリングされ得る。転移は、特定の症状のモニタリングに加え、磁気共鳴画像(MRI)走査、コンピュータ断層撮影(CT)走査、血球数および血小板数、肝機能検査、胸部X線、および骨走査を単独または組み合わせて使用することで、最もよく検出される。
本開示の方法は、肉腫、がん腫、線維腫、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、および神経膠腫などのがんを含むが、これらに限定されない、ヒトにおける腫瘍性障害を治療または予防するために利用され得る。がんとしては、基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系(CNS)がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸直腸がん、結合組織がん、消化器のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部のがん、胃がん、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝がん、小細胞肺がん(小細胞および非小細胞)、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん(例えば、唇、舌、口、および喉)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、腎がん、呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、または泌尿器系のがん、ならびに他のがん腫および肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
「がんを有する対象」は、がんと診断された対象である。いくつかの実施形態では、対象は、固形腫瘤腫瘍を特徴とするがん型を有する。固形腫瘍塊は、存在する場合、原発腫瘍塊であり得る。原発腫瘍塊とは、その組織の正常細胞の形質転換に起因する、組織内のがん細胞の増殖を指す。ほとんどの場合、原発腫瘍の塊は、視覚的または触診法によって見つけることができる嚢胞の存在によって、または組織の形状、質感、もしくは重量の不規則性によって識別される。
いくつかの原発腫瘍は、触診できず、X線などの医学的画像技術または針穿刺吸引によってのみ検出することができる。これらの後者の技術の使用は、早期発見において、より一般的である。組織内のがん細胞の分子的および表現型分析により、通常、がんが組織に内因性であるかどうか、または病変が別の部位からの転移によるものであるかどうかを確認することになる。
現在診断されているすべてのがんのほぼ半数が、何らかの形のがん治療薬(cancer medicament)で治療されると推定されている。しかしながら、黒色腫、結腸直腸がん、前立腺がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、および膀胱がんを含む多くの型のがんは、がん治療薬による治療にうまく反応しない。実際、がん治療薬のみを使用して治癒することができるのは、がんの約5~10パーセントだけである。これらには、白血病およびリンパ腫、精巣がん、絨毛がん、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、小細胞肺がん、および卵巣がんのいくつかの形態が含まれる。乳がんを含むさらに他のがんの治療は、がん治療薬と組み合わせた外科手術または放射線療法の組み合わせが必要である。BratzlerおよびPetersonを参照のこと。
腫瘍環境は、しばしば、免疫学的攻撃に不応性である。腫瘍環境をより応答性にして腫瘍内のCTLまたは他のエフェクターT細胞の活性を増加させ、全体的な治療の有効性を改善することががん免疫療法では望ましい。本明細書で使用される場合、「有効性」は、化学療法および/または免疫学的組成物またはそれらの併用治療が所望の作用または結果を達成する能力を指す。
ヒトがん患者によっては、腫瘍性細胞上の抗原に対する抗体および/またはTリンパ球応答を発現することが実証されている。また、新生組織形成の動物モデルでは、免疫応答の増強がその特定の新生物の拒絶または退縮をもたらし得ることも示されている。混合リンパ球反応(MLR)でTリンパ球応答を増強する分子は、新生物に対する免疫応答を増強するのにインビボで有用性を有する。MLRのTリンパ球増殖反応を増強する分子(または小分子アゴニストもしくはアゴニスト様式で同じ受容体に影響を与えた抗体)は、がんを治療するために治療的に使用することができる。MLRのリンパ球応答を阻害する分子は、新生組織形成中にインビボでも機能し、新生物に対する免疫応答を抑制し、そのような分子は、腫瘍性細胞自体によって発現され得るか、またはそれらの発現は、他の細胞の新生物によって誘導され得る。そのような阻害分子の拮抗作用(抗体、小分子アゴニスト、または他の手段のいずれかによる)は、免疫介在性の腫瘍拒絶反応を増強する。
SG-3-0020およびそのバリアントの産生または合成
SG-3-0020タンパク質およびその任意の置換バリアントは、当業者に容易に知られている組換え技術を使用して生成することができる。例えば、治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列、例えば、配列番号2は、適切な宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)BL21細胞を形質転換するために使用される発現ベクターにサブクローニングすることができ、細胞は、細胞の成長およびタンパク質の発現を可能にするために培養することができる。次いで、発現されたタンパク質は、当業者に容易に知られている様々な方法を再び使用して精製することができる。一般に、「精製された」とは、非タンパク質性成分および様々な他のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを除去するように分画を施した特定のタンパク質/ペプチド組成物を指し、その組成物は、例えば、以下の本明細書に記載されるように、または所望のタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドについて当業者に公知であろうタンパク質アッセイによって評価され得るように、その活性を実質的に保持する。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、少なくとも1つの生物であり得る。いくつかの実施形態では、生物は、原核生物(例えば、真核生物、古細菌)または真核生物(酵母)であり得るが、これらに限定されない。
多数の細胞株および培養物が、宿主細胞として使用可能であり、それらは、例えば、生きている培養物および遺伝物質のアーカイブとして機能する組織であるthe American Type Culture Collection(ATCC)を通じて入手することができる。適切な宿主は、ベクターバックボーンおよび所望の結果に基づいて当業者によって決定され得る。例えば、プラスミドまたはコスミドは、多くのベクターの複製のために原核生物の宿主細胞に導入することができる。ベクターの複製および/または発現に利用可能な細胞型には、E.coliなどの細菌(例えば、E.coli株RR1、E.coli LE392、E.coli B、E.coli X 1776(ATCC番号31537)、ならびにE.coli W3110(F-、ラムダ-、原栄養性、ATCC番号273325)、DH5α、JM109、およびKC8、枯草菌(Bacillus subtilis)などの細菌、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)などの他の腸内細菌、様々なシュードモナス(Pseudomonas)種、ならびにSURE(登録商標)Competent CellsおよびSOLOPACK(商標)Gold Cells(STRATAGENE(登録商標)、La Jolla)などの多くの市販の細菌宿主が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、E.coliなどの細菌細胞は、宿主細胞として特に企図されている。
ベクターの複製および/または発現のための真核生物宿主細胞の例には、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、Cos、CHO、Saos、およびPC12が含まれるが、これらに限定されない。様々な細胞型および生物からの多くの宿主細胞が利用可能であり、当業者に周知であり得る。同様に、ウイルスベクターは、真核生物または原核生物の宿主細胞のいずれか、特に、ベクターの複製または発現のために許容されるものと共に使用され得る。
所与のアミノ酸配列(例えば、配列番号1)から、配列を取得し、ヌクレオチド配列を生成するためにコドン最適化アルゴリズムを利用する方法が、当業者には公知であろう。コドン最適化アルゴリズムは、発現宿主のコドン使用バイアスに基づいて所与のアミノ酸に適切なコドンを選択する。多くのコドン最適化アルゴリズムは、mRNA構造、宿主GC含量、リボソーム侵入部位などの他の要因も考慮に入れる。コドン最適化アルゴリズムおよび遺伝子合成サービスプロバイダーのいくつかの例は、GenScript:www.genscript.com/codon-opt.html、ThermoFisher:www.thermofisher.com/us/en/home/life-science/cloning/gene-synthesis/geneart-gene-synthesis/geneoptimizer.html、およびIntegrated DNA Technologies:www.idtdna.com/CodonOptである。次いで、ヌクレオチド配列が合成され、適切な発現ベクターにクローン化される。
「実質的に精製された」という用語が使用される場合、これは、特定のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドが、組成物中のペプチドの約50%以上を構成するような、組成物の主成分を形成する組成物を指す。好ましい実施形態では、実質的に精製されたペプチドは、組成物中のペプチドの60%超、70%、80%、90%、95%、99%、またはそれ以上を構成するであろう。
本開示に適用される「均一に精製された」ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質が、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質が他のタンパク質/ペプチドおよび生物学的成分から実質的に精製されているかまたはそれらを含まないレベルの純度を有することを意味する。例えば、精製されたペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、分解配列決定を首尾よく実行することができるように十分に、他のタンパク質/ペプチド成分を含まないことが多い。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの精製の程度を定量化するための様々な方法が、本開示を考慮して当業者には公知であろう。これらには、例えば、画分の特定のタンパク質活性を決定すること、またはゲル電気泳動によって画分内のポリペプチドの数を評価することが含まれる。
いくつかの実施形態での使用に好ましいが、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドが常に最も精製された状態で提供されるという一般的な要件はない。実際、それにもかかわらず、自然状態と比較して、所望のペプチド組成物が豊富である、実質的に精製されていないタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、いくつかの実施形態では有用性を有することが企図されている。
より低い程度の相対的精製を示す方法は、ペプチド産物の総回収率において、または、発現されたペプチドの活性を維持することにおいて利点を有し得る。不活性生成物はまた、例えば、抗体生成を介して抗原性を決定することなど、いくつかの実施形態では有用性を有する。
他の実施形態では、ペプチドで強化された調製物は、精製された調製物の代わりに使用され得る。この文書では、精製されたものが使用されるときはいつでも、強化されたものも使用され得る。調製物は、精製方法だけでなく、野生型と比較した場合の細菌によるペプチドの過剰発現または過剰産生によっても強化され得る。これは、組換え法を使用するか、または野生型細胞からペプチドの発現を誘導する条件を選択することによって達成することができる。
代替の実施形態では、SG-3-0020タンパク質またはそのバリアントは、当業者に容易に知られている方法によって化学的に合成することができる。
発現系
本開示のタンパク質を産生するための組成物および方法、ならびにタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター、および発現ベクターを含む宿主細胞が、本明細書に提供される。本開示のタンパク質は、通常の組換え法、例えば、本明細書に記載の治療用タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を培養することによって調製することができる。上記のように、ペプチドを生成するために多くの発現系を使用することができる。原核生物および/または真核生物に基づくシステムを、本開示と共に使用して、核酸配列、またはそれらの同族のポリペプチド、タンパク質、およびペプチドを生成するために使用することができる。多くのそのような系は、市販されており、広く入手可能である。発現系には、昆虫細胞/バキュロウイルス系および誘導性哺乳動物発現系が含まれるが、これらに限定されないが、本開示の方法によって産生されるタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは「過剰発現」され得ると企画されている。例えば、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、細胞におけるその自然な発現と比較して増加したレベルで発現され得る。
したがって、本明細書に記載のタンパク質のうちのいずれかを産生するための方法であって、所望のタンパク質の発現に適した条件下で宿主細胞を培養することと、細胞培養物から所望のタンパク質を回収することと、を含む、方法が、さらに提供される。次いで、回収されたタンパク質は、インビトロおよびインビボの方法で使用するために、ならびに薬学的に許容される組成物に製剤化するために、単離および/または精製することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、E.coli、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトマイセスの種(Streptomyces species)(例えば、S.セリカラー(S.coelicolor)、S.リビダンス(S.lividans)、S.アルバス(S.albus)、もしくはS.ベネズエラエ(S.venezuelae))、またはバチルスの種(Bacillus species)(例えば、枯草菌(B.subtilis))などの原核細胞で発現される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ハンゼニュラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))または昆虫細胞(例えば、sf9、sf21、Tni、およびS2)などの真核細胞で発現される。いくつかの実施形態では、タンパク質の単離および精製は、エンドトキシンをヒトまたは他の動物における治療的使用に許容できるレベルに減少させる1つ以上のステップを含む。
本開示のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも、本明細書で提供される。本開示のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技術を使用して得ることができる。所望のコードされたポリヌクレオチド配列は、発生源細菌、すなわち、Bifidobacterium breveのゲノムDNAから増幅され得る。代替的に、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドシンセサイザーを使用して合成することができる。得られると、ポリペプチドをコードする配列を、宿主細胞内で異種(外因性)ポリペプチドを複製および発現することができる組換えベクターに挿入することができる。当該技術分野で利用可能であり、既知である多くのベクターを、本開示の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、ベクター中に挿入する核酸のサイズ、およびベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主として依存するであろう。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはこれらの両方)およびそれが存在する特定の宿主細胞との適合性に応じて、様々な成分を含有する。ベクター成分には、一般に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物、および転写終結配列が含まれるが、これらに限定されない。
一般に、宿主細胞と適合性のある種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主に関連して使用される。このベクターは、通常、複製部位、および形質転換細胞において表現型選択を提供することができるマーキング配列を持つ。例えば、E.coliは、典型的には、pBR322、pUC、pET、またはpGEXベクター、E.coli種に由来するプラスミドを使用して形質転換される。このようなベクターは、アンピシリン(Amp)およびテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含有し、それ故に、形質転換細胞を特定するための容易な手段を提供する。これらのベクター、ならびにそれらの誘導体または他の微生物プラスミドもしくはバクテリオファージはまた、内因性タンパク質の発現のための微生物によって使用され得るプロモーターも含有し得るか、またはそれを含有するように修飾され得る。
本開示の発現ベクターは、プロモーター、上流(5’)に位置する非翻訳調節配列、およびプロモーターがそのコード配列の転写を調節するように作動可能に連結されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み得る。原核生物プロモーターは、典型的には、誘導性および構成性の2つのクラスに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件の変化、例えば、栄養素の存在もしくは不在、または温度の変化に応答して、その制御下で増加したレベルの、コードされたポリヌクレオチドの転写を開始するプロモーターである。様々な潜在的な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが、公知であり、当業者は、所望の発現レベルに従ってプロモーターを選択することができる。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターには、lac、trp、tac、trc、およびaraなどのE.coliプロモーター、ラムダおよびT5プロモーターなどのE.coliによって認識されるウイルスプロモーター、ならびにT7バクテリオファージに由来するT7およびT7lacプロモーターが含まれる。例えば、T7プロモーターを含むベクターを保有する宿主細胞は、T7ポリメラーゼを発現するように操作されている。このような宿主細胞には、E.coli BL21(DE3)、Lemo21(DE3)、およびNiCo21(DE3)細胞が含まれる。酵母宿主での使用に好適なプロモーターには、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)プロモーター、酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)プロモーター、および翻訳伸長因子EF-1アルファプロモーターなどのプロモーターが含まれる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、H.ポリモルファ(H.polymorpha)細胞であり、プロモーターは、MOXプロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、化学的または環境的要因の制御下にある誘導性プロモーターである。
さらに有用なプラスミドベクターには、pINベクター(Inouye et al.,1985)、ならびに後の精製および分離または切断のためのグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)可溶性融合タンパク質の生成に使用するためのpGEXベクターが含まれる。他の好適な融合タンパク質は、β-ガラクトシダーゼ、ユビキチンなどを有するものである。
原核生物および真核生物の両方の宿主細胞での発現に好適なベクターは、当該技術分野で周知である。
本開示のベクターは、宿主細胞によって翻訳された組換えタンパク質が認識および処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ことを可能にするシグナル配列をさらに含み得る。異種ポリペプチドを原産とするシグナル配列を認識も処理もされない原核生物宿主細胞については、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PeIB、OmpA、およびMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。真核生物発現系で使用するために公知のシグナル配列には、インターロイキン-2、CD5、免疫グロブリンカッパ軽鎖、トリプシノーゲン、血清アルブミン、およびプロラクチンが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載のタンパク質(例えば、SG-3-0020)は、融合タンパク質またはポリペプチドとして発現させることができる。一般的に使用される融合パートナーには、ヒト血清アルブミンおよび結晶化可能な断片、またはIgGの定常ドメイン、Fcが含まれるが、これらに限定されない。ヒスチジンタグまたはFLAGタグを使用して、発現培地または組換え細胞溶解物からの組換えタンパク質の精製を簡素化することもできる。融合パートナーは、目的のタンパク質のN末端および/またはC末端に融合させることができる。
DNAが染色体外要素または染色体成分のいずれかとして複製可能であり、それによって目的の発現ベクターを収容する宿主細胞を生成することができるように、組換えDNA、すなわち、発現ベクターを宿主細胞に導入するための方法は、公知である。トランスフェクションの方法は、例えば、CaPOおよびエレクトロポレーションによるものが、当業者に周知である。使用される宿主細胞に応じて、そのような細胞に適した標準的な技術を使用して形質転換が、行われる。上記のSambrookらに記載されるように、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理、またはエレクトロポレーションは、一般に、実質的な細胞壁バリアを含む原核生物または他の細胞に使用される。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的な態様は、米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母への形質転換は、Van Solingen et al.,J.Bact,130:946(1977)およびHsiao et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),76:3829(1979)の方法に従って実施され得る。DNAを細胞に導入するための他の方法には、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞との細菌プロトプラスト融合、またはポリカチオン、例えば、ポリブレン、ポリオルニチンを使用した導入が含まれる。哺乳動物細胞を形質転換するための様々な技術については、Keown et al.,Methods in Enzymology.185:527-537(1990)およびMansour et al.,Nature,336:348-352(1988)を参照のこと。
したがって、上記の、および目的の治療用タンパク質配列(例えば配列番号1)をコードするポリヌクレオチドを含む、組換えベクターまたは発現ベクターが、本明細書で提供される。ポリヌクレオチドは、配列番号2であり得る。さらに、本開示は、ベクターを収容する宿主細胞を提供する。宿主細胞は、上で詳述したように、真核細胞または原核細胞であり得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、E.coli、L.ラクティス(L.lactis)、S.coelicolor、S.lividans、S.albus、S.venezuelae、またはB.subtilisである。
治療用ペプチドを含む薬学的組成物
本明細書に記載のペプチドを含む組成物が、提供される。実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ヒトへの投与に適しており、それを必要とするヒトに投与されたときに治療効果を示す薬学的組成物である。本開示の薬学的組成物は、治療有効量の、薬学的に許容される担体中の治療用ペプチドを含み得る。
「薬学的または薬理学的に許容される」という句は、必要に応じて、例えば、ヒトなどの動物への投与に適している分子実体および組成物を指す。薬学的組成物または追加の活性成分の調製は本開示を考慮して、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990によって例示されるように、当業者に公知であろう。さらに、動物(例えば、ヒト)投与のためには、調製物は、FDA生物基準局(Office of Biological Standards)によって要求されるような滅菌度、発熱性、一般的安全性および純度基準を満たすべきであることが理解されるであろう。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」には、当業者に周知であり得るように、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、染料、このような同様の材料およびこれらの組み合わせが含まれる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる)。任意の従来の担体が有効成分と適合しない場合を除いて、治療用または薬学的組成物におけるその使用が企図されている。
本開示の薬学的組成物は、それが、固体、液体、またはエアロゾルの形態で投与されるか、および注射などの投与経路のために滅菌を必要とするかに応じて、異なる種類の担体を含み得る。本開示のペプチドは、経口または直腸に投与することができるが、髄腔内に、鼻腔内に、皮下に、粘膜によって、吸入(例えば、エアロゾル吸入)によって、注射によって、注入または持続注入によって、標的細胞を直接浸す局所的灌流で、カテーテルを介して、洗浄を介して、または当業者に公知であろう他の方法もしくは前述の任意の組み合わせによって局所的に投与され得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990を参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる)。
本開示のペプチドは、遊離塩基、中性、または塩の形態で組成物に製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、酸付加塩、例えば、タンパク質性組成物の遊離アミノ基で形成されるもの、または例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、もしくはマンデル酸などの有機酸で形成されるものが含まれる。遊離カルボキシル基で形成された塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、もしくはプロカインなどの有機塩基にも由来し得る。
組成物が液体形態である実施形態では、担体は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、例えば液体ポリオールまたは脂質などの担体での分散による、必要とされる粒子サイズの維持によって、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用によって、またはそのような方法の組み合わせによって維持することができる。多くの場合において、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはそれらの組み合わせなどの等張剤を含むことが好ましいであろう。
特定の実施形態では、本開示のペプチド組成物は、経口摂取のような経路による投与のために調製される。これらの実施形態では、固体組成物は、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル剤(例えば、ハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセル)、遅延放出カプセル、徐放性製剤、頬側組成物、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、ウエハース、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。経口組成物は、食事の食物と共に直接取り入れてもよい。経口投与のための好ましい担体は、不活性希釈剤、吸収可能な食用担体、またはそれらの組み合わせを含む。本開示の他の態様では、経口組成物は、シロップ剤またはエリキシル剤として調製されてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤であり、例えば、少なくとも1つの活性剤、甘味剤、保存剤、着香剤、色素、保存剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、経口組成物は、1つ以上の結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、着香剤、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、トラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプン、ゼラチン、もしくはそれらの組み合わせなどの結合剤、例えば、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、もしくはそれらの組み合わせなどの賦形剤、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸、もしくはそれらの組み合わせなどの崩壊剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、例えば、スクロース、ラクトース、サッカリン、もしくはそれらの組み合わせなどの甘味料、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバーなどの着香剤、または前述のそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。投与単位形態がカプセル剤である場合、上記のタイプの材料に加えて、液体担体などの担体を含有してもよい。様々な他の材料が、コーティング剤として、または投与単位の物理的形態を他の方法で修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、シェラック、糖、またはその両方でコーティングされてもよい。
他の投与様式に適しているさらなる製剤には、坐剤が含まれる。坐剤は、様々な重量および形状の固形剤形であり、直腸に挿入するために、通常投薬される。挿入後、坐剤は、腔液中で軟化、融解、または溶解される。概して、坐剤では、従来の担体には、例えば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリド、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、坐剤は、例えば、約0.5%~約10%、好ましくは約1%~約2%の範囲で活性成分を含有する混合物から形成され得る。
いくつかの実施形態では、非経口投与に適している組成物が、提供される。注射可能な製剤は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌の等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射可能な溶液もしくは分散剤に再構成され得る滅菌散剤と組み合わせて1つ以上の記載の化合物を含み、これらは、糖、アルコール、アミノ酸、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、意図されたレシピエントの血液と等張である製剤にする溶質、または懸濁剤もしくは濃化剤を含み得る。本発明の薬学的組成物において使用され得る好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブオイルなどの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。
これらの薬学的組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有し得る。記載された化合物に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にされ得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張性を制御するための薬剤を組成物に含めることも望ましくあり得る。加えて、注射可能な剤形の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらされ得る。
滅菌注射液は、上に列挙した他の成分の様々な組み合わせと共に適切な溶媒において必要量の活性化合物を組み入れて、必要に応じてその後濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、基本分散媒および/または他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分に加えて、予め濾過滅菌したその液体媒体からの任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥または凍結乾燥技術である。液体媒体は、必要であれば適切には緩衝化されるべきであり、液体希釈剤は、注射の前に十分な食塩水またはグルコースによってまず等張にされるべきである。溶媒としてDMSOを用いることによって極めて迅速な浸透が起こると想定され、小さい領域に高濃度の活性剤を送達する、直接注射のための高濃度組成物の調製も企図されている。
組成物は、製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の混入作用に対して保護されなければならない。エンドトキシンの混入は、安全なレベル、例えば、0.5ng/mgタンパク質/ペプチド未満で、最小限維持されるべきであることが理解されよう。
いくつかの実施形態では、組成物は、上記の配列番号1に示されるアミノ酸配列またはそのバリアントを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる精製ペプチドを含む。
治療用ペプチドを含む併用療法
治療用タンパク質を含む本明細書で提供される薬学的組成物は、他の治療療法および/または薬学的組成物と組み合わせることができる。例えば、免疫学的関連疾患または障害、またはがんを患っている患者は、その状態を治療するために医師によって処方された医薬品をすでに服用している可能性がある。実施形態では、本明細書で提供される薬学的組成物は、患者の既存の薬物と併せて投与することができる。
例えば、本明細書で提供される治療用ペプチドは、5-アミノサリチル酸化合物、抗炎症剤、抗生物質、抗体(例えば、炎症性サイトカインを標的とする抗体、例えば、アダリムマブ、ペゴール、ゴリムマブ、インフリキシマブ、およびセルトリズマブなどのTNF-αを標的とする抗体)、抗サイトカイン剤、抗炎症性サイトカイン剤、ステロイド、コルチコステロイド、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリンおよびメルカプトプリン)、ビタミン、および/または特殊な食事、のうちの1つ以上と組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、本開示の治療用ペプチドは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、BTLA、LAG-3、A2AR、TIM-3、B7-H3、VISTA、またはIDOを標的とする薬剤などのチェックポイント阻害剤と共に投与される。このような薬物には、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、およびイピリムマブが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で提供される治療用ペプチドは、自己細胞免疫療法(例えば、sipuleucel-T)と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、他の治療療法および/または薬学的組成物は、NK細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害を増強するモノクローナル抗体、がん抗原特異的な体液性免疫応答を刺激するアジュバントを含むまたは含まないがんワクチン、カルボプラチンおよび/またはミトタンなどの化学療法剤、アドレナリンコルチコステロイドまたはフルオキシメステロンなどのホルモン、または、エリスロポエチンもしくはGM-CSFなどのがん細胞の直接的な細胞毒性によってではなく、がんに対する対象の応答を変化させる生物学的反応修飾因子、などのがん免疫療法から選択され得る。治療療法、薬学的組成物/医薬品の広範であるが、非限定的なリストは、BratzlerおよびPetersonに開示されている。
いくつかの実施形態では、相乗効果は、開示された治療用ペプチドを1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせることで達成される。
いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍または腫瘍性組織は、免疫療法の前または免疫療法中に減量される。いくつかの実施形態では、免疫療法の前または免疫療法中の、1つ以上の腫瘍の減量は、疾患の進行の遅延または停止のいずれかをもたらす。いくつかの実施形態では、免疫療法の前または免疫療法中の、1つ以上の腫瘍の減量は、腫瘍の退縮または排除をもたらす。
いくつかの実施形態では、疾患の進行の遅延は、腫瘍の成長または増殖の速度において、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の減少を含む。
いくつかの実施形態では、腫瘍の退縮は、腫瘍数、腫瘍サイズ、または腫瘍体積において、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の減少を含む。
腫瘍または損傷範囲の評価を可能にする任意の手順を使用することができる。非限定的な例には、直腸指診、内視鏡検査(例えば、結腸内視鏡検査)、および画像診断(例えば、PET、MRI、ERUS、DRE、CT)が含まれる。例えば、McKeown et al.J Cancer.2014;5(1):31-43を参照のこと。いくつかの実施形態では、腫瘍負荷は、RECIST(例えば、RECISTバージョン1またはバージョン1.1)を使用して評価することができる。例えば、Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer.45(2):228-47(2009)を参照のこと。
免疫療法を評価するための基準も開発されている。非限定的な例には、免疫関連応答基準(irRC)(Wolchok et al.Clin Cancer Res.2009 Dec 1;15(23):7412-20を参照のこと)および固形腫瘍における免疫応答基準(iRECIST)基準(Seymour et al.Lancet Oncol.2017 Mar;18(3):e143-e152を参照のこと)が含まれる。Thallinger et al.Wien Klin Wochenschr.2018;130(3):85-91も参照のこと。
NK細胞および内因性樹状細胞を活性化し、IFNレベルを上昇させることに加えて、抗原特異的な体液性および細胞媒介性免疫応答を有することは、がんを治療するのに役立ち得る。いくつかのがん細胞は、抗原性であるため、免疫系の標的となり得る。一態様では、本開示のペプチド、または本開示のペプチドに加えて1つ以上のがん治療薬は、がんに対する免疫応答を刺激するために特に有用である。本明細書で使用される「がん抗原」は、腫瘍またはがん細胞表面に関連し、樹状細胞などの抗原提示細胞の表面に発現される場合に、免疫応答を誘発することができるペプチドなどの化合物である。いくつかの態様では、抗原は、MHC分子を介してAPC上に提示される。がんワクチンに存在するものまたはがん免疫療法を調製するために使用されるものなどのがん抗原は、がん細胞粗抽出物から、または組換え技術もしくは既知の抗原の新規合成を使用して抗原を部分的に精製することによって、調製することができる。いくつかの態様では、他の生物から単離されたタンパク質または当該タンパク質とある程度の相同性を共有する合成タンパク質は、がん免疫療法を調製するために使用される。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、細胞溶解性Tリンパ球(CTL)、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)、および活性化マクロファージなど、インビトロおよびインビボで腫瘍標的を死滅させることができる異なる細胞型が、同定されている。NK細胞は、特定の抗原に対して事前に感作されることなく腫瘍細胞を死滅させることができ、その活性は、標的細胞上の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされるクラスI抗原の存在を必要としない。NK細胞は、発生期の腫瘍の制御および転移性増殖の制御に関係していると考えられている。NK細胞とは対照的に、CTLは腫瘍抗原に対する感作後およびMHCクラスIも発現する腫瘍細胞上で標的抗原が発現される場合にのみ、腫瘍細胞を死滅させることができる。CTLは、移植された腫瘍およびDNAウイルスによって引き起こされた腫瘍の拒絶におけるエフェクター細胞であると考えられている。LAK細胞は、NKおよびCTL集団とは異なったヌルリンパ球のサブセットである。活性化されたマクロファージは、抗原非依存的でもなく、一旦制限されたMHCが活性化することもない様式において、腫瘍細胞を死滅させることができる。活性化されたマクロファージは、これらのマクロファージが浸潤した腫瘍の成長速度を減少させると考えられている。インビトロアッセイによって、別の免疫機構、例えば、抗体依存性反応、細胞媒介性細胞傷害性反応、および抗体+補体による溶解が確認されている。しかしながら、これらの免疫エフェクター機構は、NK、CTL、LAK、およびマクロファージの機能よりもインビボでの重要性が劣るものと考えられている。
がんワクチンと組み合わせた本開示のペプチドの使用は、NK細胞および内因性樹状細胞を活性化し、IFNレベルを増加させることに加えて、改善された抗原特異的体液性および細胞媒介性免疫応答を提供する。そのような増強は、同じ有益な効果を達成するために、減少した抗原用量を有するワクチンの使用を可能にすることができる。
治療用ペプチドを利用した治療方法
疾患または状態の少なくとも1つの症状を治療、予防、または改善するための方法であって、本明細書に記載の治療的または予防的に有効な量のペプチドを、それを必要とする対象、すなわち、疾患もしくは状態、または疾患もしくは状態の少なくとも1つの症状を患っている、またはそれらを発症するリスクがある対象に投与することを含む、方法が提供される。
ペプチドの投与は、対象において疾患または状態の少なくとも1つの症状を予防する、その重症度を軽減させる、またはその少なくとも1つの症状を排除することができる。対象は、動物であり得る。対象は、哺乳動物であり得る。対象は、ヒト対象であり得る。
いくつかの実施形態では、疾患または状態は、がん、例えば、本明細書に記載のがんのうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、自己免疫性甲状腺炎である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、ホジキンリンパ腫である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、治療用ペプチドを含む薬学的組成物は、胃腸管内部への投与のための、または腸、回腸末端、もしくは結腸内での遅延放出のために製剤化される。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、治療用ペプチドを含む薬学的組成物は、腸溶コーティングで製剤化される。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、治療用ペプチドを含む薬学的組成物は、組成物を投与した対象においてがんを治療することができる。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、治療用ペプチドを含む薬学的組成物は、組成物を投与した対象において、免疫細胞によって少なくとも1つの炎症誘発性サイトカイン(例えば、TNF-αおよび/またはIL-23)の産生の誘導または増加をもたらし得る。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、治療用ペプチドを含む薬学的組成物は、組成物を投与した対象において、免疫細胞によって少なくとも1つの抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10)を抑制し得る。
本明細書の方法のいくつかの実施形態では、第2の治療剤または予防剤は、本明細書に記載のペプチドと組み合わせて、同時にまたは順次のいずれかで投与される。いくつかの実施形態では、ペプチドおよび第2の薬剤は、疾患、または状態、または症状の治療または予防のために相乗的に作用する。他の実施形態では、ペプチドおよび第2の薬剤は、疾患、または状態、または症状の治療または予防のために相加的に作用する。
新生物を治療するための臨床的パラメーター
本開示のペプチドを含む組成物の投与は、対象/対象の細胞において生物学的応答をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上のペプチドの投与により、対象またはそこから単離された細胞において、IL-10の発現の減少、炎症性(炎症誘発性)サイトカインの増加、TNF-αの増加、抗炎症性サイトカインの減少、寛容原性樹状細胞増殖の制限、IL-10:TNFの比の減少、IL-12の発現の増加、Th1活性化の増加または促進、TNFの増加、樹状細胞成熟の増加または増強、CD70の発現の増加、T細胞活性化の増加、CD27を介した共刺激を伴うT細胞活性化の増加、CD80および/またはCD86の発現の増加、T細胞活性化の増加または増強、CD28を介した共刺激を伴うT細胞活性化の増加、MHC Iおよび/またはMHC IIの発現の増加、MHCに関与する抗原提示の増加によるT細胞活性化の増加または増強、Treg細胞の数の減少、Treg細胞のクローン性増殖の予防および/またはTeff細胞のクローン性増殖の促進、Tact細胞の数の増加、CTL細胞の数の増加、腫瘍性組織のサイズおよび/または体積の減少、腫瘍性組織または細胞の転移の防止、腫瘍性細胞におけるアポトーシスの誘導、腫瘍性細胞のアポトーシスの速度の増加、1つ以上の組織における腫瘍性腫瘤の数の減少、腫瘍性病変のサイズの減少、ならびにTact、Teff/mem、および/またはCTL細胞のクローン性増殖の増加、のうちの1つ以上を示す。いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上のペプチドの対象への投与は、対象(例えば、対象のT細胞などの細胞)において、シグナル伝達および転写活性化因子1(STAT1)、インターフェロン調節因子1(IRF1)、分化クラスター96(CD96)、mothers against decapentaplegic homolog 3(SMAD3)、C-X-Cモチーフケモカイン受容体6(CXCR6)、転写因子7(TCF7)、リンパ球抗原9(LY9)、C-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)、グランザイムK(GZMK)、インターフェロン刺激エキソヌクレアーゼ遺伝子20(ISG20)、およびシグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上のペプチドの対象への投与は、対象(例えば、対象のT細胞などの細胞)において、二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)、カテプシンL(CTSL)、IL-9、IL-2、IL-10、IL-24、IL-21、およびIL-3からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現の増加をもたらす。
いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上のペプチドの対象への投与は、対象の血漿中のDUSP6、CTSL、IL-9、IL-2、IL-10、IL-24、IL-21、およびIL-3からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現の増加をもたらす。
いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、対象において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、または52週間の増加した平均余命をもたらす。いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、対象において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、または48カ月間の増加した平均余命をもたらす。いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、対象において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50年間の増加した平均余命をもたらす。
いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、1つ以上の新生物の体積の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または98%の1つ以上の新生組織形成の体積の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、1つ以上の腫瘍性病変の体積の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または98%の1つ以上の腫瘍性病変のサイズの減少を含む。
いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、新生組織形成の1つ以上のマイナスの副作用の少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の減少をもたらし、このマイナスの副作用には、吐き気、疼痛、不快感、嘔吐、下痢、めまい、食欲不振、神経痛、発作、定期的な意識喪失、歩行運動の喪失または欠如、身体的協調の喪失または欠如、および視力の喪失または欠如が含まれる。
いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物の対象への投与は、1つ以上の新生組織形成と接触してTregおよびTeff細胞のクローン集団における変化をもたらし、Teffの集団は、Tregの集団と比較して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30倍増加する。
微生物培養
本明細書に記載のペプチドを産生するための方法が、提供される。この方法は、ペプチドがそれをコードする外因性ポリヌクレオチドから発現される条件下で、上記のように宿主細胞を培養することを含む。
Bifidobacterium breve(ATCC 15700)は、配列番号1をコードする配列番号2の起源である。配列番号1の配列を有するSG-3-0020タンパク質は、以下の実施例で使用するための通常の装置およびペプチド合成の方法に従って化学的に合成された。
以下の実施例は、本開示を説明することを意図しているが、これに限定されない。
実施例1.マウスナイーブ脾細胞の刺激に対するSG-3-0020の効果
この実施例は、エフェクターT細胞、具体的には、CD4 CD25 FoxP3表現型によって部分的に特徴付けられるCD4エフェクターT細胞、およびCD8 CD25 FoxP3表現型によって部分的に特徴付けられるCD8エフェクター細胞を活性化することができる、Bifidobacterium由来のペプチドを同定するための、初期スクリーニングアッセイを説明する。ナイーブ雄C57BL/6マウス(Taconic、8~14週齢)から単離した脾細胞を、平底96ウェルプレート中で最終的な数の8×10個の細胞/ウェルに、完全RPMI(10% FBS+1% ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI)中に再懸濁した。次いで、細胞を、各ペプチド(水中10μM)またはオバルブミンペプチドアミノ酸323-339(水中10μM)、水(Th0 min HO)、抗CD3抗体単独(Th0 min)、または1μg/mlの抗CD3、IL-12(10ng/ml)、および5μg/mlの抗IL-4抗体(Th1細胞を生成するための陽性対照)の存在下で、0.05μg/mlの抗CD3抗体で刺激した。細胞を、37℃、5%COで48時間インキュベートした。図2A、図2B、および図2Cを参照のこと。
FoxP3の不在および高いCD25の発現によって定義される、活性化された(Tact)CD4(図2A)およびCD8(図2B)T細胞のレベルは、多色フローサイトメトリーによって決定した。次いで、T細胞のレベルを、脾細胞をOV323-339陰性対照ペプチドで処理した場合のT細胞のレベルに対して正規化した。Luminex分析によって定量化した、培養上清中のIL-2(図2C)およびIL-17(図2D)のレベルを参照のこと。ゲートしたCD8 FoxP3T細胞でのグランザイムBの発現のレベルを、フローサイトメトリーによって分析した。図2Eを参照のこと。バーは、平均±標準偏差を表す。(vs.Th0+HO)Kruskall-Wallisによる、未補正のDunn検定。
CD4+およびCD8+T細胞活性化(図2Aおよび図2B)に関連する細胞表面マーカープロファイル(CD25+/FoxP3-)のインビトロ発現を増強するBifidobacterium由来SG-3-0020の能力は、Tエフェクター細胞サイトカイン分泌(IL-2およびIL-17)(図2Cおよび図2D)を促進し、CD8 T細胞(図2E)における重要なエフェクター分子(グランザイムB)の誘導を促進し、SG-3-0020またはそのバリアントが、T細胞の増殖または増加した活性を促進することができ、それが次に腫瘍細胞の死滅を促進することができることを示唆している。
ナイーブマウス脾細胞を、SG-3-0020の用量を増加させて(1μM、5μM、または10μM)処理する上記の方法を使用して、用量反応研究も実施した。フローサイトメトリー分析は、エフェクターCD8 T細胞(CD8、CD25、FoxP3)の頻度、エフェクターCD8 T細胞での、グランザイムBの発現、およびIL-2の発現を測定するために行われた。図3A、図3B、および図3Cに示されるように、SG-3-0020の用量反応が観察され、腫瘍細胞の死滅を促進することができるT細胞の増殖または増加した活性を促進することができる活性免疫調節剤としてのSG-3-0020の使用を支持している。
実施例2.ヒトT細胞の活性化におけるSG-3-0020の効果
SG-3-0020がヒトT細胞を活性化し、T細胞の調節を通じて適応免疫に影響を与える能力を実証するための研究が、行われた。PBMCは、5人の個々のヒトドナーから得られた。T細胞を、凍結PBMC(EasySep(商標)Human T Cell Isolation Kit(カタログ番号17951、StemCell Technologies)から精製した。プロトコルの要約を図4に提供する。ヒトT細胞のインビトロ活性化を、図5Aに提供されたプロトコルに従って実行した。フローサイトメトリー分析に使用されるプロトコルを、図5Bに提供する。要約すると、精製されたT細胞を、SG-3-0020を含む抗CD3抗体または対照としての抗CD28抗体と共にインキュベートした。図6A、6B、6C、および6Dに提供される結果は、SG-3-0020を用いたT細胞のインキュベーションにより、CD4+およびCD8+細胞の両方で、PD-1の発現が増加したことを示す(図6A)。さらに、SG-3-0020を用いたT細胞のインキュベーションにより、IL-2およびIFN-γの分泌が増加した(図6B)。SG-3-0020は、抗CD3抗体の存在下で精製したT細胞系の5/5のドナーにおいて、サイトカイン刺激活性を示した(図6Cおよび6D、図12Aおよび1ovalbumin2B)。これらのデータは、SG-3-0020がヒトT細胞の活性化を増強することを示す。そのような活性化は、併用療法の有無にかかわらず、インビボで腫瘍に対する免疫作用を増強し得る。
実施例3.インビボでの免疫細胞調節に対するSG-3-0020の効果
例えば、免疫細胞活性化および腫瘍サイズに対するSG-3-0020投与の効果を研究し、CT26担がんBalb/cマウスにおいてSG-3-0020の異なる投与経路および免疫調節におけるその効果を試験するために、インビボ研究を実施した。このマウスモデルは、新しい免疫療法薬の前臨床試験に最も広く使用されているマウスモデルの1つである(Grosso and Jure-Kunkel,2013,Cancer Immun,13:5)。
マウスに、SG-3-0020またはPBSを、静脈注射で、腹腔内に、腫瘍周辺に(p.t.)投与した。比較のために、マウスに、CD80-FcまたはIgG1-Fcを静脈注射で投与した。7日目に、腫瘍サンプルを、フローサイトメトリーによって腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の組成/活性化について分析した。この実験で使用されたプロトコルを、図7Aに示す。
図7Bは、SG-3-0020 TIL免疫活性化を示す。例えば、NK細胞、CD8+CD25+細胞、CD8+Ki67+細胞、およびCD8+OX40+細胞の増加があり、これらはすべて、腫瘍の成長および/または生存能と戦い得る、免疫細胞の増加した活性化を示す。
四量体染色(AH1エピトープ)も実施され(プロトコルを図8に提供した)、SG-3-0020投与もがんの免疫療法に対するこのタンパク質の治療可能性を支持する明白な効果を有することが示された(図10を参照のこと)。
CT26マウスモデルを使用して実施された同様の実験が実施され、予備的結果が、単剤療法としてのSG-3-0020の投与が腫瘍体積の減少をもたらしたことを示唆した(データは示さず)。
実施例4.マウスT細胞に対するSG-3-0020の効果
96ウェル培養プレートを、200mcLの抗CD3(0.1mcg/mL)を用いてプレコーティングした。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄した後、細胞をプレーティングした(EasySep(商標)#19851によるT細胞分離のためのBalb/c脾細胞)。細胞を、100~200K/ウェルで、200mcLの最終容量のAIM-Vにプレーティングした。ペプチド(10mcM)または2mcg/mLの抗CD28を、細胞に加えた。細胞を、37℃で48時間インキュベートした。
インキュベートした細胞を、フローサイトメトリー分析に使用した。SG-3-0020は、T細胞活性化マーカーの発現およびマウス脾臓から単離されたCD4およびCD8T細胞の増殖を増加させた(図11A)。
上清を、MSD分析のために使用した。SG-3-0020は、マウス脾臓から単離されたT細胞によるエフェクターサイトカインの分泌を増加させた。(図11B)
実施例5.抗CD3抗体を用いてインキュベートした細胞に対するSG-3-0020の効果
ペプチド(10mcM)または抗CD28(10mcg/mL)の存在下での、T細胞およびPBMCでの活性化されたマーカーの発現を、0.1mcg/mLの抗CD3の有無にかかわらず、48時間のインキュベーション後に判定した。データを、フローサイトメトリーによって分析した(図13A~D)。
0.1mcg/mLの抗CD3の有無にかかわらず、48時間のインキュベーション後の、ペプチド(10mcM)または抗CD28(10mcg/mL)の存在下でのT細胞上のサイトカイン分泌を判定した。データを、MSDによって分析した(図14)。
ヒトT細胞を、ペプチド(10mcM)の存在下で、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28 T Cell Activatorを用いて活性化し、サイトカイン分泌を、MSDによる48時間のインキュベーション後に分析した。SG-3-0020は、抗CD28活性化と組み合わせて増加した活性を示した(図15)。SG-3-0020を媒介した効果には、単離されたT細胞およびPBMCの両方での抗CD3による活性化が必要であった。
実施例6.SG-3-0020は、重要な免疫遺伝子の発現を調節する
T細胞は、5人の個々の血液提供者から単離され、前述のように活性化された。RNA発現レベルは、NanoString nCounter Human PanCancer Immuneプロファイリングによって決定された。生データは、組み込みの陽性対照およびハウスキーピング遺伝子(nCounter Expression Data Analysis Guide、NanoString)を使用して正規化された。SG-3-0020は、インビトロで活性化されたヒトT細胞による重要な免疫遺伝子の発現を調節した(図16Aおよび16B)。発現の減少は、シグナル伝達および転写活性化因子1(STAT1)、インターフェロン調節因子1(IRF1)、分化クラスター96(CD96)、mothers against decapentaplegic homolog 3(SMAD3)、C-X-Cモチーフケモカイン受容体6(CXCR6)、転写因子7(TCF7)、リンパ球抗原9(LY9)、C-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)、グランザイムK(GZMK)、インターフェロン刺激エキソヌクレアーゼ遺伝子20(ISG20)、およびシグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)において観察された。発現の増加は、二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)、カテプシンL(CTSL)、IL-9、IL-2、IL-10、IL-24、IL-21、およびIL-3において観察された。
実施例7.SG-3-0020は、ヒトT細胞に結合する
SG-3-0020ファージの標的細胞(ナイーブT細胞、活性化T細胞)への結合を、試験した。
ファージ結合およびビオチン化ペプチド結合
ビオチン化ペプチドストック(1mM)を、1×PBS+2%BSAを用いて1uM(X1,000倍)に希釈した。150mcLのファージ(多価ディスプレイ)を、70mcLの1×PBS+2%BSAと混合した。溶液を、室温で1時間回転させた。
細胞は、ナイーブT細胞(約13x10細胞)または活性化T細胞(約16x10細胞)のいずれかを解凍した。次いで、細胞を1,500で、4℃で5分間遠心分離し、上清を吸引除去した。ピペッティングによって、5mLの1×PBS+2%BSAを用いて、細胞ペレットを洗浄した。ペレットを遠心分離し、合計3回洗浄するように、これを繰り返した。
細胞ペレットを、1050mcLの1×PBS+2%BSAで再懸濁し、100mcLのファージ(antibodies-online Inc(カタログ番号ABIN 125966)からのM13バクテリオファージG8Pキャプシド抗体FITC)を、96ウェルプレート(ファージ結合)のウェルに添加した。150mcLの希釈ビオチン化ペプチドを、96ウェルプレートのウェルに添加した(ビオチン化ペプチド結合)。ファージ結合のために100mcLの再懸濁細胞をウェルに添加し、ビオチン化ペプチド結合のために50mcLの再懸濁細胞をウェルに添加した。
細胞を振とう器に置き、結合のために4℃で2時間インキュベートした後、1,500で、4℃で5分間遠心分離した。上清は、廃棄した。細胞ペレットを、ピペッティングによって250mcLの1×PBS+2%BSAを用いて洗浄した。細胞を、ファージ結合のために200mcLの1×PBS+2%BSAで再懸濁し、次いで溶出およびフローサイトメトリーのために分割した。細胞を、ビオチン化ペプチド結合のために100mcLの1×PBS+2%BSAで再懸濁し、1,500で、4℃で5分間遠心分離した。
ファージの溶出
細胞を、溶出のために250mcLの1×PBSを用いて洗浄した。140mcLの7.18Mトリエチルアミン(TEA)を、10mLのHOに添加して、0.1M TEAを作製した。溶出は、100mcLの新たに調製した0.1M TEAを使用して実施した。これは、100mcLの1M TRIS pH8.0を添加することによって直ちに中和した。
ファージの力価(入力(input)および溶出)
ファージを10倍に希釈した(入力をブロックし、溶出)(10mcLのファージ溶液+90mcLの2xYT)。溶液を、10-1~10-10に連続的に10倍希釈した。100mcLの氷冷TG1細胞を添加し、室温で5分間インキュベートした。10mcLを、入力ファージについては10-5~10-10を取り出し、溶出ファージについては10-1~10-6を取り出した。ファージを、15cm 2×YT+Carb+2%グルコース寒天プレート上にストリーキングし、30℃で一晩インキュベートした。
図17は、WT SG-3-0020をコードする多価ディスプレイファージの、刺激されていない細胞および抗CD3刺激された細胞への結合の力価の結果を示す。力価の結果はまた、スクランブリングした、SG-3-0020、SEB、およびSG-3-0020が空のファージと比較して活性化T細胞により多く結合していることを示した。
実施例9.腫瘍内T細胞に対するSG-3-0020の効果
BALB/c雄マウス(n=5~6/群、8週齢)に、CT26結腸がん細胞を皮下接種した。SG-Bを、PBSで腫瘍周囲に2.5mg/kgで毎日投与した。対照マウスには、対応する量のPBSを注射した。13日目(AH1染色)または7日目(Ki67、CD25、OX40染色)に切除した腫瘍を、PBSを用いて洗浄し、外科用メスを使用して小さな断片に切り、Miltenyi Tumor Dissociation KitおよびGentleMACS Octo解離剤を使用して単一細胞懸濁液にさらに解離させた。消化された腫瘍は、前分離フィルターを通して濾過し、PBSを用いて洗浄し、フローサイトメトリーベースの分析のために使用した。Tリンパ球を、CD4+またはCD8+としてゲートし、次いでFlowJo 10.5.3によって表面マーカーの発現を分析した。p値は、マンホイットニー検定によって計算した。
参照による組み込み
本明細書に引用したすべての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が組み込まれる。
しかしながら、本明細書に引用した任意の参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願の言及は、これらが有効な先行技術を構成するか、または世界のいずれかの国における共通の一般的知識の一部を形成するという承認または何らかの形式の示唆として解釈されず、かつそのように解釈されるべきでない。
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Claims (68)

  1. 哺乳動物の免疫系の調節分子およびエフェクター分子を調節して疾患を治療するための免疫療法薬学的組成物であって、
    (a)配列番号1に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、精製された治療用ペプチドと、
    (b)薬学的に許容される担体と
    を含む、免疫療法薬学的組成物。
  2. (a)配列番号1に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、治療用ペプチドと、
    (b)薬学的に許容される担体と
    を含む、薬学的組成物。
  3. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  4. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  5. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  6. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  7. 前記ペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  8. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つのサイトカインの産生を調節する、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  9. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つのサイトカインの産生を調節し、前記少なくとも1つのサイトカインが、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、IL-23、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  10. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導する、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  11. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導し、前記少なくとも1つのサイトカインが、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、およびIL-23からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  12. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの産生を抑制する、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  13. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの産生を抑制し、前記少なくとも1つのサイトカインが、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  14. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、Th1活性化を増加させる、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  15. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、樹状細胞の成熟を増加させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  16. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、CD70の発現を増加させる、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  17. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、Teffのクローン性増殖を増加させる、請求項1~16のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  18. 経口投与のために製剤化されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  19. 前記ペプチドによって治療可能な疾患が、新生物である、請求項1および3~18のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  20. 前記疾患が、基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸直腸がん、結合組織がん、消化器のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部のがん、胃がん、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、腎がん、呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、泌尿器系のがん、およびこれらの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1および3~19のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  21. 治療を必要とする対象において、疾患を治療するための方法であって、
    (a)前記対象に、
    i.配列番号1に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、精製された治療用ペプチドと、
    ii.薬学的に許容される担体と
    を含む、免疫療法薬学的組成物
    を投与することを含む、方法。
  22. 治療を必要とする対象において、疾患を治療するための方法であって、
    (a)前記対象に、
    i.配列番号1に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、治療用ペプチドと、
    ii.薬学的に許容される担体と
    を含む、薬学的組成物
    を投与することを含む、方法。
  23. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記ペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記ペプチドが、前記対象において、少なくとも1つのサイトカインの産生を調節する、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記ペプチドが、前記対象において、少なくとも1つのサイトカインの産生を調節し、前記サイトカインが、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、IL-23、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記ペプチドが、前記対象において、少なくとも1つの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導する、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導し、前記少なくとも1つのサイトカインが、TNF-α、IL-17、IL-1β、IL-2、IFN-γ、IL-6、IL-12、IL-25、IL-33、IL-8、MCP-1、MIP-3α、CXCL1、およびIL-23からなる群から選択される、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記ペプチドが、前記対象において、少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの産生を抑制する、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記ペプチドが、前記ペプチドを投与された対象において、少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの産生を抑制し、前記少なくとも1つのサイトカインが、IL-4、IL-10、IL-13、IFN-α、およびTGF-βからなる群から選択される、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記ペプチドが、前記対象において、Th1活性化を増加させる、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記ペプチドが、前記対象において、樹状細胞の成熟を増加させる、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記ペプチドが、前記対象において、CD70の発現を増加させる、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記ペプチドが、前記対象において、Teffのクローン性増殖を増加させる、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記免疫療法薬学的組成物が、経口投与のために製剤化されている、請求項21~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記疾患が、新生物である、請求項21~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記疾患が、がんである、請求項21~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記疾患が、基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸直腸がん、結合組織がん、消化器のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部のがん、胃がん、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、腎がん、呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、または泌尿器系のがんからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項21~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 配列番号1のアミノ酸配列を含む、単離されたペプチド。
  43. 配列番号1のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドを含む、組成物。
  44. 外因性ポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1に対して少なくとも約85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする、宿主細胞。
  45. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項44に記載の宿主細胞。
  46. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項44または45に記載の宿主細胞。
  47. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  48. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  49. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項44~48のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  50. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項44~49のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  51. 前記外因性ポリヌクレオチドが、宿主細胞特異的シグナル配列をさらにコードする、請求項44~50のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  52. 前記外因性ポリヌクレオチドが、異種プロモーターをさらにコードする、請求項44~51のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  53. 前記異種プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項52に記載の宿主細胞。
  54. 前記異種プロモーターが、誘導性プロモーターである、請求項52に記載の宿主細胞。
  55. 前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号2からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する核酸配列を含む、請求項44~54のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  56. 原核細胞である、請求項44~56のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  57. 大腸菌(Escherichia coli)細胞、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)細胞、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)細胞、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞、ストレプトマイセス・アルバス(Streptomyces albus)細胞、ストレプトマイセス・ベネズエラエ(Streptomyces venezuelae)細胞、または枯草菌(Bacillus subtilis)細胞からなる群から選択される、請求項44~56のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  58. 真核細胞である、請求項44~57のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  59. チャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項44~58のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  60. サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)細胞、またはハンゼニュラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)細胞である、請求項44~58のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  61. タンパク質を産生する方法であって、前記コードされたタンパク質の発現に十分な条件下で、請求項44~60のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養することを含む、方法。
  62. 配列番号1に対して少なくとも約85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  63. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項62に記載の発現ベクター。
  64. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項62または62に記載の発現ベクター。
  65. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の発現ベクター。
  66. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項62~65のいずれか一項に記載の発現ベクター。
  67. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1に対して少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項62~66のいずれか一項に記載の発現ベクター。
  68. 前記コードされたタンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項62~67のいずれか一項に記載の発現ベクター。
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