JP2022515622A - チエノピリジノン化合物 - Google Patents

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ワン,ジャオ-クイ
グオ,ハイビン
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Abstract

新規のチエノピリジノン化合物、前記化合物を含む医薬組成物、前記化合物の調製方法、及びFGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)阻害剤としての前記化合物の使用、及び癌等の疾患の処置での前記化合物の使用が提供される。

Description

本発明は、新規のチエノピリジノン化合物、前記化合物を含む医薬組成物、前記化合物の調製方法、及びFGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)阻害剤としての前記化合物の使用、及び癌等の疾患の処置での前記化合物の使用に関する。
線維芽細胞増殖因子(FGF)シグナル伝達経路は、胚形成から創傷治癒までのプロセスで重要な役割を果たすことが実証されており、癌のいくつかの特徴との強いつながりも示している。FGFRファミリメンバーにおける遺伝子的変化は、腫瘍増殖、転移、血管新生、及び生存と関係している。様々なFGFR阻害剤が臨床試験中であり、FGFR異常を有する患者において臨床応答を示している。しかし、FGFRのアミノ酸に影響を与える変異、例えば、FGFR1、2、又は3は、FGFR阻害剤に対する耐性を引き起こしたり、FGFR阻害剤に対する感受性を低下させたりする場合があると報告されている。FGFR阻害剤による処置時の二次的なFGFRキナーゼドメイン変異の発生は、FGFR阻害に対する獲得耐性の重要なメカニズムである。癌では、同等のFGFR点変異も新たに存在する。ゲートキーパー変異は、チロシンキナーゼ阻害剤への耐性につながる主要なメカニズムの1つとして報告されている。ゲートキーパー変異として、FGFR3 V555L/V555M、FGFR1 V561M、FGFR2 V564F/V564I/V564M、及びFGFR4 V550Lが挙げられる。FGFR耐性変異は、臨床試験及びin vitro細胞系で報告されている。従って、第一世代のFGFR阻害剤療法に対する臨床的に獲得された耐性を克服するための、FGFRシグナル伝達経路中の変化を有する癌における、より持続的な活性化には、新しい(第二世代)FGFR阻害剤が必要である。上記のゲートキーパー変異を有するFGFRに対する第一世代のFGFR阻害剤で観察される活性の低下を克服することによってFGFR阻害活性を維持するために、第二世代のFGFR阻害剤が必要である。
本発明の化合物は、変異FGFRに対して、特にゲートキーパー変異を有するFGFRに対して、又は変異FGFR1若しくは変異FGFR2若しくは変異FGFR3に対して、特にFGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564Iに対して、とりわけFGFR3 V555L及びFGFR3 V555Mに対して活性を示すことが見出された。
国際公開第2002/022598号パンフレット、同第2003/087095号パンフレット、同第2004/018419号パンフレット、同第2004/043389号パンフレット、同第2005/046589号パンフレットは各々、一連のキノリノン誘導体を開示する。
本発明は、式(I):
Figure 2022515622000001

[式中、
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
Yは、直接的結合、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルであり;
は、水素又はC1~4アルキルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
別の態様では、提供されるのは、FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置の方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を投与することを含む方法である。
さらなる態様では、提供されるのは、FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置での使用のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。
さらなる態様では、提供されるのは、FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物の使用である。
別の態様では、提供されるのは、癌の予防又は処置(特に処置)の方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を投与することを含む方法である。特に、この癌は、FGFRキナーゼにより媒介される癌である。
さらなる態様では、提供されるのは、癌の予防又は処置(特に処置)での使用のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。特に、この癌は、FGFRキナーゼにより媒介される癌である。
さらなる態様では、提供されるのは、癌の予防又は処置(特に処置)のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物の使用である。特に、この癌は、FGFRキナーゼにより媒介される癌である。
別途文脈が示さない限り、本文書の全項(本発明の用途、方法、及び他の態様を含む)における式(I)への言及は、本明細書で定義されている他の全ての下位式(sub-formula)(例えば、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a))、下位群(sub-group)、選択物(preference)、実施形態、及び実施例への言及を含む。
接頭辞「Cx~y」(式中、x及びyは整数である)は、本明細書で使用される場合、所与の基中の炭素原子の数を指す。そのため、C1~6アルキル基は、1~6個の炭素原子を含み、C3~6シクロアルキル基は、3~6個の炭素原子を含み、C1~4アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含み、以下同様である。
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を指す。
用語「C1~4アルキル」又は「C1~6アルキル」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、1~4個又は1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素基を指す。そのような基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、又はヘキシル、及び同類のものが挙げられる。
用語「C2~4アルケニル」又は「C2~6アルケニル」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、2~4個又は2~6個の炭素原子を含み且つ炭素炭素二重結合を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。
用語「C2~4アルキニル」又は「C2~6アルキニル」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、2~4個又は2~6個の炭素原子を有し且つ炭素炭素三重結合を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。
用語「C1~4アルコキシ」又は「C1~6アルコキシ」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、-O-C1~4アルキル基又は-O-C1~6アルキル基を指し、ここで、C1~4アルキル及びC1~6アルキルは、本明細書で定義されている通りである。そのような基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及び同類のものが挙げられる。
用語「C3~6シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、3~6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を指す。そのような基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルが挙げられる。
用語「ヒドロキシC1~4アルキル」又は「ヒドロキシC1~6アルキル」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、1個又は複数個の水素原子がヒドロキシル基に置き換えられている、本明細書で定義されているC1~4アルキル又はC1~6アルキル基を指す。従って、用語「ヒドロキシC1~4アルキル」又は「ヒドロキシC1~6アルキル」は、モノヒドロキシC1~4アルキル、モノヒドロキシC1~6アルキルを含み、ポリヒドロキシC1~4アルキル、及びポリヒドロキシC1~6アルキルも含む。1個、2個、3個、又はより多くの水素原子がヒドロキシル基に置き換えられ得、そのため、ヒドロキシC1~4アルキル又はヒドロキシC1~6アルキルは、1個、2個、3個、又はより多くのヒドロキシル基を有し得る。そのような基の例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、及び同類のものが挙げられる。
用語「ハロC1~4アルキル」又は「ハロC1~6アルキル」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、1個又は複数個の水素原子がハロゲンに置き換えられている、本明細書で定義されているC1~4アルキル又はC1~6アルキル基を指す。従って、用語「ハロC1~4アルキル」又は「ハロC1~6アルキル」は、モノハロC1~4アルキル、モノハロC1~6アルキルを含み、ポリハロC1~4アルキル及びポリハロC1~6アルキルも含む。1個、2個、3個、又はより多くの水素原子がハロゲンに置き換えられ得、そのため、ハロC1~4アルキル又はハロC1~6アルキルは、1個、2個、3個、又はより多くのハロゲンを有し得る。そのような基の例として、フルオロエチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、又はトリフルオロエチル、及び同類のものが挙げられる。
用語「ハロC1~4アルコキシ」又は「ハロC1~6アルコキシ」は、基又は基の一部として本明細書で使用される場合、1個又は複数個の水素原子がハロゲンに置き換えられている、本明細書で定義されている-O-C1~4アルキル基又は-O-C1~6アルキル基を指す。従って、用語「ハロC1~4アルコキシ」又は「ハロC1~6アルコキシ」は、モノハロC1~4アルコキシ、モノハロC1~6アルコキシを含み、ポリハロC1~4アルコキシ及びポリハロC1~6アルコキシも含む。1個、2個、3個、又はより多くの水素原子がハロゲンに置き換えられ得、そのため、ハロC1~4アルコキシ又はハロC1~6アルコキシは、1個、2個、3個、又はより多くのハロゲンを有し得る。そのような基の例として、フルオロエチルオキシ、ジフルオロメトキシ、又はトリフルオロメトキシ、及び同類のものが挙げられる。
用語シアノC1~4アルキル又はシアノC1~6アルキルは、本明細書で使用される場合、本明細書で定義されているC1~4アルキル又はC1~6アルキル基を指し、これは、1個又は2個のシアノ基(特に1個のシアノ基)で置換されている。
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用する場合、別途文脈が示さない限り、芳香族環系及び非芳香族環系の両方を含むべきである。そのため、例えば、用語「ヘテロシクリル」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分的飽和、及び完全飽和のヘテロシクリル環系を含む。一般に、別途文脈が示さない限り、そのような環系は、単環式又は二環式又は橋架けであってもよく、例えば、3~12個の環員、又は4~10個の環員、又はより一般的には5~10個の環員を含んでもよい。4~7個の環員への言及は、環内に4、5、6、又は7個の原子を含み、3~6個の環員への言及は、環内に3、4、5、又は6個の原子を含み、4~6個の環員への言及は、環内に4、5、又は6個の原子を含む。単環式ヘテロシクリル環系の例は、3、4、5、6、7、又は8個の環員、より一般的には3~7個、好ましくは4、5、6、又は7個の環員、より好ましくは5又は6個の環員を含む環系である。二環式ヘテロシクリル環系の例は、8、9、10、11、又は12個の環員、より一般的には9又は10個の環員を含むものである。ヘテロシクリル環系は、典型的には、窒素、酸素、又は硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、特に、最大5個、最大4個、最大3個、最大2個、又は単独のヘテロ原子を含む。本明細書でヘテロシクリル環系への言及がなされる場合、ヘテロシクリル環は、別途文脈が示さない限り、本明細書で議論されているような1個又は複数個の置換基で任意選択的に置換され得る(即ち、非置換であり得るか又は置換され得る)。
ヘテロシクリル環系は、5~12個の環員、より一般的には5~10個の環員を有するヘテロアリール環系であり得る。用語「ヘテロアリール」は、本明細書では、芳香族の特徴を有するヘテロシクリル環系を表すのに使用される。用語「ヘテロアリール」は、多環式(例えば二環式)環系を包含し、ここで、少なくとも1つの環が芳香族であれば、1つ又は複数の環は非芳香族である。このような多環式系において、環系は、芳香族環又は非芳香族環によって化合物の残部に結合していてもよい。
ヘテロアリール基の例は、5~12個の環員、より一般的には5~10個の環員を含む単環式及び二環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、縮合5員及び6員環、又は2つの縮合6員環、又は2つの縮合5員環から形成される5員又は6員の単環式環又は二環式構造であり得る。ヘテロアリール環系は、典型的には、窒素、酸素、及び硫黄から選択される最大約5個のヘテロ原子を含み得る。典型的には、ヘテロアリール環は、最大4個のヘテロ原子、より典型的には最大3個のヘテロ原子、より一般的には最大2個、例えば、単一のヘテロ原子を含む。一実施形態では、ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環中の窒素原子は、イミダゾール若しくはピリジンの場合は塩基性であり得るか、又は本質的には、インドール若しくはピロール窒素の場合は、非塩基性であり得る。一般に、任意の環のアミノ基置換基を含む、ヘテロアリール基中に存在する塩基性窒素原子の数は、5未満である。
5員のヘテロアリール基の例として、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾール、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、及びテトラゾリル基が挙げられるが、これらに限定されない。特に、5員のヘテロアリール基の例として、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、及びトリアゾリル基が挙げられるが、これらに限定されない。
6員のヘテロアリール基の例として、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、及びトリアジニルが挙げられるがこれらに限定されない。
二環式ヘテロアリール基は、例えば、下記から選択される基であり得る:
a)1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したベンゼン環;
b)0、1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピリジン環;
c)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピリミジン環;
d)0、1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピロール環;
e)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピラゾール環;
f)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したイミダゾール環;
g)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したオキサゾール環;
h)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したイソオキサゾール環;
i)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したチアゾール環;
j)0、1、又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したイソチアゾール環;
k)0、1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したチオフェン環;
l)0、1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したフラン環;
m)1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員の芳香環に縮合したシクロヘキシル環;及び
n)1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員の芳香環に縮合したシクロペンチル環。
別の5員環に縮合した5員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、イミダゾチアゾリル(例えば、イミダゾ[2,1-b]チアゾール)及びイミダゾイミダゾリル(例えば、イミダゾ[1,2-a]イミダゾール)が挙げられるが、これらに限定されない。
5員環に縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル、インダゾリル、ピラゾロピリミジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジニル(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン)、ベンゾジオキソリル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリダジニル、イミダゾピリジニル、及びピラゾロピリジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン)基が挙げられるが、これらに限定されない。
5員環に縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、ピラゾロピリミジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジニル(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン)、イミダゾピラジニル、イミダゾピリダジニル、イミダゾピリジニル、及びピラゾロピリジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン)基が挙げられるが、これらに限定されない。
5員環に縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、チオクロマニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、及びプテリジニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、及びプテリジニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例として、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、及びプテリジニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
芳香族環及び非芳香族環を含む多環式ヘテロアリール基の例として、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル)、及びインドリニルが挙げられる。
窒素含有ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含まなければならない。加えて、各環は、典型的には、窒素、硫黄、及び酸素から選択される最大約4個の他のヘテロ原子を含み得る。典型的には、ヘテロアリール環は、最大3個のヘテロ原子、例えば、1個、2個、又は3個、より一般的には、最大2個の窒素、例えば、単一の窒素を含む。ヘテロアリール環中の窒素原子は、イミダゾール若しくはピリジンの場合は塩基性であり得るか、又は本質的には、インドール若しくはピロール窒素の場合は非塩基性であり得る。一般に、任意の環のアミノ基置換基を含む、ヘテロアリール基中に存在する塩基性窒素原子の数は、5未満である。
窒素含有ヘテロアリール基の例として、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル(例えば、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル)、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル及びベンゾイソチアゾール、インドリル、3H-インドリル、イソインドリル、インドリジニル、イソインドリニル、プリニル、インダゾリル、キノリジニル、ベンゾオキサジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、並びにプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
芳香族環及び非芳香族環を含む窒素含有多環式ヘテロアリール基の例として、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、及びインドリニルが挙げられる。
用語「非芳香族基」は、別途文脈が示さない限り、芳香族の特徴を含まない不飽和環系、部分的飽和、及び完全飽和のヘテロシクリル環系を包含する。用語「不飽和」及び「部分的飽和」は、環構造が複数の原子価結合を共有する原子を含む環を指し、即ち、少なくとも1つの多重結合(例えば、C=C、C≡C、又はN=C結合を含む)環を指す。用語「完全飽和」は、環原子間に多重結合が存在しない環を指す。飽和ヘテロシクリル基として、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンが挙げられる。部分的飽和ヘテロシクリル基として、ピラゾリン(例えば、2-ピラゾリン及び3-ピラゾリン)が挙げられる。
非芳香族ヘテロシクリル基の例は、3~12個の環員、より一般的には5~10個の環員を有する基である。そのような基は、単環式又は二環式であり得、例えば、典型的には、通常は窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子環員(より一般的には、1、2、3、又は4個のヘテロ原子環員)を有し得る。ヘテロシクリル基は、例えば、(例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサンでの)環状エーテル部分、(例えば、テトラヒドロチオフェン及びジチアンでの)環状チオエーテル部分、(例えば、ピロリジンでの)環状アミン部分、並びにこれらの組合せ(例えば、チオモルホリン)を含み得る。
特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、アゼチジニル、ピラニル(2H-ピラニル又は4H-ピラニル)、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキセタニル、チアゾリニル、2-ピラゾリニル、ピラゾリジニル、及びピペラジニルが挙げられる。一般に、好ましい非芳香族ヘテロシクリル基として、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、及びピペラジニル等の飽和基が挙げられる。
特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、ピラニル(2H-ピラニル又は4H-ピラニル)、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、2-ピラゾリニル、ピラゾリジニル、及びピペラジニルが挙げられる。一般に、好ましい非芳香族ヘテロシクリル基として、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、及びピペラジニル等の飽和基が挙げられる。
窒素含有非芳香族ヘテロシクリル環において、この環は、少なくとも1個の環窒素原子を含有しなければならない。
窒素含有非芳香族ヘテロシクリル基の特定の例として、アジリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、ジヒドロチアゾリル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、ピラゾリジニル、及びピペラジニルが挙げられる。
3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルの特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピペラジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、ジチアニル、トリオキサニル、トリチアニル、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、ジアジリジニル、ジオキサリニル(dioxarinyl)、オキセタニル、アゼチジニル、チエタニル、ジオキセタニル環系が挙げられる。
3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルの特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピペラジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、オキシラニル、アゼチジニル環系が挙げられる。
3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルの特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピペラジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)環系が挙げられる。
3~6員の単環式ヘテロシクリルの特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、ジチアニル、トリオキサニル、トリチアニル、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、ジアジリジニル、ジオキサリニル、オキセタニル、アゼチジニル、チエタニル、ジオキセタニル、アジリニル、アゼチル、1,2-ジチエチル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジチアゾリル、ピリジニル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル環系が挙げられる。
3~6員の単環式ヘテロシクリルの特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、オキシラニル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジチアゾリル、ピリジニル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル環系が挙げられる。
3~12員の複素環の特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、ジチアニル、トリオキサニル、トリチアニル、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、ジアジリジニル、ジオキサリニル、オキセタニル、アゼチジニル、チエタニル、ジオキセタニル、アジリニル、アゼチル、1,2-ジチエチル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジチアゾリル、ピリジニル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、1,2-ジアゼパニル、1,4-ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、アゾカニル、アゾシニル、イミダゾチアゾリル(例えば、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル)、イミダゾイミダゾリル(例えば、イミダゾ[1,2-a]イミダゾリル)、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル、インダゾリル、ピラゾロピリミジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル)、トリアゾロピリミジニル(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジニル)、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジニル及びピラゾロピリジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル)、キノリニル、イソキノリニル、クロマニル、チオクロマニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾオキサジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル)、8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル環系が挙げられる。
3~12員の複素環の特定の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、及び3-ピロリジニル)、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、オキシラニル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジチアゾリル、ピリジニル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル、イミダゾチアゾリル(例えば、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル)、イミダゾイミダゾリル(例えば、イミダゾ[1,2-a]イミダゾリル)、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、ピラゾロピリミジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル)、トリアゾロピリミジニル(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジニル)、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジニル及びピラゾロピリジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル)、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾオキサジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル)環系が挙げられる。
5~6員の芳香族複素環の特定の例として、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、及びトリアジニル環系が挙げられるが、これらに限定されない。
B又はD置換基を表すヘテロシクリル及びカルボシクリル環として、橋架け環系、例えば、ノルボルナン(1,4-エンド-メチレン-シクロヘキサン)、アダマンタン、オキサ-アダマンタン等の橋架けシクロアルカン;例えば、8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン等の橋架けモルホリン環;例えば、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン等の橋架けピペラジン環;例えば、1,4-エチレンピペリジン等の橋架けピペリジン環が挙げられる。縮合と橋架け環系との間の違いの説明については、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4thEdition,Wiley Interscience,pages 131-133,1992を参照されたい。
用語「カルボシクリル」は、本明細書で使用される場合、別途文脈が示さない限り、芳香族及び非芳香族炭素環系の両方を含むべきである。そのため、例えば、用語「カルボシクリル」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分的飽和、及び完全飽和カルボシクリル環系を含む。一般に、別途文脈が示さない限り、そのような環系は、単環式又は二環式又は橋架けであってもよく、例えば、3~12個の環員、又は4~10個の環員、又はより一般的には5~10個の環員を含んでもよい。4~7個の環員への言及は、環内に4、5、6、又は7個の原子を含み、4~6個の環員への言及は、環内に4、5、又は6個の原子を含む。単環式カルボシクリル環系の例は、3、4、5、6、7、及び8個の環員、より一般的には3~7個、好ましくは4、5、6、又は7個の環員、より好ましくは5又は6個の環員を含む環系である。二環式カルボシクリル環系の例は、8、9、10、11、及び12個の環員、より一般的には9又は10個の環員を含むものである。本明細書でカルボシクリル環系への言及がなされる場合、カルボシクリル環は、別途文脈が示さない限り、本明細書で議論されているような1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換され得る(即ち、非置換であり得るか又は置換され得る)。
カルボシクリル環系は、アリール環系であり得る。用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、カルボシクリル芳香族基を指し、多環式(例えば、二環式)環系を包含し、ここで、少なくとも1つの環が芳香族であれば、1つ又は複数の環は非芳香族である。そのような多環式系において、環系は、芳香族環又は非芳香族環によって化合物の残部に結合していてもよい。用語「アリール」には、フェニル、ナフチル、インデニル、及びテトラヒドロナフチル基が含まれる。
3~12員の炭素環の特定の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクリヘキシル(cyclyhexyl)、シクロヘプチル、シクロオクチル、フェニル ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチル、アズレニル、ノルボルナン(1,4-エンド-メチレン-シクロヘキサン)、アダマンタン環系が挙げられる。
環系内に描かれる線は、結合が好適な且つ利用可能な環原子のいずれかに結合し得ることを示す。
2個以上のヘテロ原子が含まれる実施例において、これらのヘテロ原子は同じであっても、2つ以上のヘテロ原子の一部又は全部が異なっていてもよい。
用語「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、それに続いて記載される事象が起こってもよいし起こらなくてもよいことを意味する。この用語は、この事象が起こってもよいし起こらなくてもよい場合を包含する。
本明細書で使用される場合、表現「1つ又は複数」は、可能な場合、及び文脈に応じて、少なくとも1、例えば、1、2、3、4、5、又はより多くを指す。
式(I)の化合物において、下記の式で「」と共に示される炭素原子は、キラル中心である。本発明は、前記キラル中心が特定の立体化学(S又はR)を表す式(I)の化合物、特に前記キラル中心がS-立体化学を有する式(I)の化合物を提供する。キラル中心*でS-立体化学を有する式(I)の化合物又はその任意の下位群は、高いGFGR阻害活性を示す。
Figure 2022515622000002
そのため、本発明は、式(I-a)
Figure 2022515622000003

[式中、
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
Yは、直接的結合、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルであり;
は、水素又はC1~4アルキルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル、又はフェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、式(I-A)
Figure 2022515622000004

[式中、
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
Yは、直接的結合、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルであり;
は、水素又はC1~4アルキルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
は、ピペラジン-1-イルであり、前記ピペラジン-1-イルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、下記式(I-A-a):
Figure 2022515622000005

[式中、置換基は、式(I-A)の化合物について上記で定義された通りである]
のようなS立体中心を有する、本明細書において上記で定義された式(I-A)の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、式(I-B)
Figure 2022515622000006

[式中、
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
Yは、直接的結合、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルであり;
は、水素又はC1~4アルキルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
は、モルホリン-1-イルであり、前記モルホリン-1-イルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、下記式(I-B-a):
Figure 2022515622000007

[式中、置換基は、式(I-B)の化合物について上記で定義された通りである]
のようなS立体中心を有する、本明細書において上記で定義された式(I-B)の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、式(I-C)
Figure 2022515622000008

[式中、
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
Yは、直接的結合、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルであり;
は、水素又はC1~4アルキルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
は、4、5、6、又は7員の単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、下記式(I-C-a):
Figure 2022515622000009

[式中、置換基は、式(I-C)の化合物について上記で定義された通りである]
のようなS立体中心を有する、本明細書において上記で定義された式(I-C)の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、式(I-D):
Figure 2022515622000010

[式中、
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
本発明は、下記式(I-D-a):
Figure 2022515622000011

[式中、置換基は、式(I-D)の化合物について上記で定義された通りである]
のようなS立体中心を有する、本明細書において上記で定義された式(I-D)の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を提供する。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAは、CH又はCRを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAは、CHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAのうちの1つは、CRを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAのうちの少なくとも1つは、CRを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Aは、CRを表し、A及びAは、CHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Aは、CRを表し、A、及びAは、CHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAは、N又はCHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAのうちの1は、CRを表し、Rは、C1~6アルキル、特にC1~4アルキル、例えばメチル;ハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル;又はハロ、例えばフルオロを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びAのうちの1は、CRを表し、Rは、C1~6アルキル、特にC1~4アルキル、例えばメチル;ハロC1~6アルキル(例えばトリフルオロメチル);ハロ、例えばフルオロ;又はC1~6アルコキシ、特にC1~4アルコキシ、例えばメトキシを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A1、A2、及びA3のうちの1つは、Nを表し、残りのA置換基は、CH又はCRaを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Aは、Nを表し、A及びAは、CH又はCRを表し、特に、Aは、Nを表し、A及びAは、CHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Aは、Nを表し、A及びAは、CH又はCRを表し、特に、Aは、Nを表し、A及びAは、CHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、A、A、及びA置換基のうちの2つは、Nを表し、残りのAは、CH又はCRを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Yは、直接的結合である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Yは、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Yは、直接的結合、C(=O)、又はNR、例えばNCHである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Yは、直接的結合、-O-、又はC(=O)である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Yは、-O-又はC(=O)である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Cは、水素である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Cは、水素である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Cは、水素であり、Cは、C1~4アルキルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、C及びCは両方とも、水素である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Cは、水素であり、Cは、ヒドロキシルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Cは、水素であり、Cは、C1~4アルコキシである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、C及びCは両方とも、C1~4アルキルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、C及びCは一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキル、特にシクロプロピルを形成する。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、
Figure 2022515622000012

は、-CHを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、
Figure 2022515622000013

は、-CH(C1~4アルキル)(特に-CHCH又は-CHCHCH)を表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、
Figure 2022515622000014

は、-CH(C1~4アルキル)(特に-CH(CH)を表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、
Figure 2022515622000015

は、-CH-(C1~4アルコキシ)(特に-CH-OCH)を表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、
Figure 2022515622000016

は、-シクロプロピルを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Rは、水素である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、又は(I-C-a)の化合物において、Rは、C1~4アルキル(特にメチル)である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、水素である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、又はC(=O)-N(C1~4アルキル)である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、C1~4アルキル(特にメチル又はエチル)である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、1個、2個、3個、又は4個のR置換基で置換されている。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、2個のR置換基で置換されている。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、1個又は2個のR置換基で置換されている。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、1個又は2個のR置換基で置換されており、各Rは、独立して、オキソ;ハロ、例えばフルオロ;C1~6アルキル、特にC1~4アルキル、例えばメチル;C1~6アルキルオキシ、特にC1~4アルキルオキシ、例えばメトキシ;ハロC1~6アルキル、例えば、トリフルオロメチル又はトリフルオロエチル;ハロC1~6アルキルオキシ、例えばトリフルオロメトキシ;HOOC-C1~6アルキル-、例えば-CH-COOH;カルボキシル-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、例えば、
-CH-C(=O)-O-CH-CH;C1~6アルキル-O-C(=O)-、例えば-C(=O)-O-CHから選択される。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、1個又は2個のR置換基で置換されており、各Rは、独立して、オキソ;ハロ、例えばフルオロ;C1~6アルキル、特にC1~4アルキル、例えばメチル;C1~6アルキルオキシ、特にC1~4アルキルオキシ、例えばメトキシ;又はハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル又はトリフルオロエチルから選択される。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、2個のR置換基で置換されており、各R置換基は、独立して、C1~6アルキル、特にC1~4アルキル、例えばメチルを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D、D、D、又はDは、4個のR置換基で置換されており、各R置換基は、独立して、C1~6アルキル、特にC1~4アルキル、例えばメチルを表す。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D又はDは、橋架けヘテロシクリル、例えば、8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタンである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、D又はD3は、橋架けヘテロシクリルであり、ここで、この橋架けは、例えば、8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタンな等における、-CH-、-CH-CH-、又は-CH-CH-CH-、特に-CH-CH-である。
一実施形態では、式(I-C)又は(I-C-a)の化合物において、Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4、5、6、又は7員の飽和単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基又は1~4個のR置換基、1~3個のR置換基又は1個若しくは2個のR置換基又は1個のR置換基で置換されている。
一実施形態では、式(I-C)又は(I-C-a)の化合物において、Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4、5、6、又は7員の飽和単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、置換されていない。
一実施形態では、式(I-C)又は(I-C-a)の化合物において、Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員の単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており、特にN、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む6員の飽和単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で、1~4個のR置換基で、1~3個のR置換基で、1若しくは2個のR置換基で、又は1個のR置換基で置換されている。
一実施形態では、式(I-C)又は(I-C-a)の化合物において、Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員の飽和単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で、1~4個のR置換基で、1~3個のR置換基で、1若しくは2個のR置換基で、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、このヘテロシクリルは、置換されていない。一実施形態では、Dは、任意選択的に置換されているピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、又はテトラヒドロピラニルである。一実施形態では、Dは、非置換のピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、又はテトラヒドロピラニルである。一実施形態では、Dは、非置換のピペラジニル;1個のC1~4アルキル、例えばメチルで置換されているピペラジニル;非置換のモルホリニル;又は1若しくは2個のC1~4アルキル、特に2個のC1~4アルキル、例えばメチルで置換されているモルホリニルである。
一実施形態では、式(I-C)又は(I-C-a)の化合物において、Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4員の飽和単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で、1~4個のR置換基で、1~3個のR置換基で、1若しくは2個のR置換基で、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、このヘテロシクリルは、置換されていない。一実施形態では、Dは、非置換のアゼチジニルである。
一実施形態では、式(I-C)又は(I-C-a)の化合物において、Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており、特に、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で、1~4個のR置換基で、1~3個のR置換基で、1若しくは2個のR置換基で、又は1個のR置換基で置換されており、例えば、任意選択的に置換されておりピラゾールである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、オキソ、C1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、又はハロC1~6アルキル、特にC1~6アルキル、例えばメチルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員のカルボシクリル又はヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個、特に、1~4個、又は1~3個、又は1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、Bは置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の芳香族ヘテロシクリルであり、前記フェニル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個、特に、1~4個、又は1~3個、又は1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、Bは置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式カルボシクリル又はヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個、特に、1~4個、又は1~3個、又は1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、Bは置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式非芳香族カルボシクリル又はヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個、特に、1~4個、又は1~3個、又は1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、Bは置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む6員の芳香族単環式ヘテロシクリルでり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~4個、特に、1~3個、又は1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。例えば、Bは、任意選択的に置換されているピリジル、ピリミジニル、又はピラジニルであり、特に、Bは、任意選択的に置換されているピリジル又はピリミジニルである。一実施形態では、Bは置換されていない。一実施形態では、Bは、1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、R置換基は、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、及びC3~6シクロアルキルから選択される。一実施形態では、R置換基は、ハロC1~6アルキルである。一実施形態では、Bは、任意選択的に置換されているピリミジニルである。一実施形態では、Bは、非置換のピリミジニルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~3個、特に、1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。例えば、Bは、任意選択的に置換されているピラゾリル、オキサゾリル、又はチアゾリルであり、特に、Bは、任意選択的に置換されているオキサゾリル又はチアゾリルである。一実施形態では、Bは置換されていない。一実施形態では、Bは、1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、R置換基は、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、及びC3~6シクロアルキルから選択される。一実施形態では、R置換基は、ハロC1~6アルキルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む9~12員の二環式カルボシクリル又はヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個、特に、1~4個、又は1~3個、又は1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されている。一実施形態では、Bは置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、任意選択的に、1~3個のR置換基、特に、1若しくは2個、又は1個のR置換基で置換されているピリミジニルであり;特に、Bは、非置換のピリミジニルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、又はC1~6アルキル-O-C(=O)-である。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、1個のR置換基が存在し、前記Rは、ハロC1~6アルキルである。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、置換されていない。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、Bは、1~5個のR置換基、特に、1~4個のR置換基、又は1~3個のR置換基、又は1若しくは2個のR置換基、又は1個のR置換基で置換されている。
一実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物において、以下の条件のうちの1つ又は複数、特に可能な場合は全てが適用される:
、A、及びAはそれぞれ、CHを表すか;又はA及びAは、CHを表し、Aは、Nを表すか;又はA、A、及びAのうちの少なくとも1つは、CRを表すか;又はAは、CRを表し、A及びAは、CHを表すか;又はAは、CRを表し、A及びAは、CHを表すか;又はAは、Nを表し、A及びAは、CHを表し;特に、A及びAは、CHを表し、Aは、Nを表すか、又はAは、Nを表し、A及びAは、CHを表し;
C1は、水素又はC1~4アルキル、特に、水素又はメチルであり;
C2は、水素、又はC1~4アルキル、又はC1~4アルコキシ、特に、水素、メチル、又はメトキシであり;
Yは、直接的結合、-O-、又はC(=O)であり;特に、Yは、直接的結合であり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、例えばメチル、ハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル、ハロ、例えばフルオロ、又はC1~6アルコキシ、例えばメトキシであり;
各Rは、独立して、水素又はC1~6アルキル、特に、C1~4アルキル、例えばメチル又はエチルであり;特に、各Rは、水素であり;
Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4、5、又は6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特に、Dは、ピペラジニル、モルホリニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、又はアゼチジニルであり、ここで、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特に、Dは、ピペラジニル又はモルホリニルであり、ここで、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており、特に、Rは、C1~4アルキル、例えばメチルであり;
各Rは、独立して、オキソ;C1~6アルキル、例えばメチル;ハロ、例えばフルオロ;C1~6アルコキシ、例えばメトキシ;又はハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル又はトリフルオロエチルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1個のR置換基で置換されており;特に、Bは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリルであり;特に、Bは、ピリミジニルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、例えば、メチル若しくはイソプロピル、C1~6アルコキシ、例えばメトキシ、又はC3~6シクロアルキル、例えばシクロプロピルである。
一実施形態では、本化合物は、式(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a)の化合物であり、ここで、以下の条件のうちの1つ又は複数、特に可能な場合は全てが適用される:
、A、及びAはそれぞれ、独立して、CHを表すか;又はA及びAは、CHを表し、Aは、Nを表すか;又はA、A、及びAのうちの少なくとも1つは、CRを表すか;又はAは、CRを表し、A及びAは、CHを表すか;又はAは、CRを表し、A及びAは、CHを表すか;又はAは、Nを表し、A及びAは、CHを表し;特に、A及びAは、CHを表し、Aは、Nを表すか、又はAは、Nを表し、A及びAは、CHを表し;
C1は、水素又はC1~4アルキル、特に、水素又はメチルであり;
C2は、水素、又はC1~4アルキル、又はC1~4アルコキシ、例えば、水素、メチル、又はメトキシ;特に、水素又はC1~4アルキル、例えば、水素又はメチルであり;
Yは、直接的結合、-O-、又はC(=O)であり;特に、直接的結合又はC(=O);より特定すると直接的結合であり、
各Rは、独立して、C1~6アルキル、例えばメチル、ハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル、ハロ、例えばフルオロ、又はC1~6アルコキシ、例えばメトキシ;特に、水素、ハロゲン、ハロ、又はC1~6アルキルであり;
各Rは、水素であり;
D又はDは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4、5、又は6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特に、Dは、ピペラジニル、モルホリニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、又はアゼチジニルであり、ここで、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特に、Dは、任意選択的に置換されているピペラジニル、モルホリニル、又はピロリジニルであり、特に、Dは、任意選択的に置換されているピペラジニル又はモルホリニルであり;
各Rは、独立して、オキソ;C1~6アルキル、例えばメチル、ハロ、例えばフルオロ、C1~6アルコキシ、例えばメトキシ;又はハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル又はトリフルオロエチル;特に、C1~6アルキル、例えばメチルであり;
Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1個のR置換基で置換されており;特に、Bは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリルであり;特に、Bは、置換ピリミジニルであり;
各Rは、独立して、C1~6アルキル、例えば、メチル又はイソプロピル、C1~6アルコキシ、例えばメトキシ、又はC3~6シクロアルキル、例えばシクロプロピルである。
一実施形態では、本化合物は、式(I-D)又は(I-D-a)の化合物であり、ここで、下記の条件のうちの1つ又は複数、特に可能な場合は全てが適用される:
及びAは、CHを表し、Aは、Nを表すか、又はAは、Nを表し、A及びAは、CHを表し;
C1は、水素又はC1~4アルキルであり、特に、水素又はメチルであり;
C2は、水素、又はC1~4アルキル、又はC1~4アルコキシであり、特に、水素、メチル、又はメトキシであり;
Yは、直接的結合であり;
各Rは、水素であり;
Dは、N又はOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特にDは、ピペラジニル又はモルホリニルであり、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特にDは、任意選択的に置換されているピペラジニル、又は任意選択的に置換されているモルホリニルであり、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基、例えば1個又は2個のC1~4アルキル、例えば1個又は2個のメチルで置換されており;
Bは、1個又は2個のNヘテロ原子を含む6員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり;特にBは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリルであり;特にBは、非置換ピリミジニルである。
一実施形態では、本発明の化合物は、
Figure 2022515622000017

から選択されるか、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくはこれらの溶媒和物から選択される。
一実施形態では、本発明の化合物は、
Figure 2022515622000018

であるか、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。
一実施形態では、本発明の化合物は、
Figure 2022515622000019

であるか、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。
一実施形態では、本発明の化合物は、
Figure 2022515622000020

であるか、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。
一実施形態では、本発明の化合物は、
Figure 2022515622000021

であるか、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。
一実施形態では、本発明の化合物は、
Figure 2022515622000022

であるか、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物である。
誤解を避けるため、一置換基の各全般的及び具体的な選択物、実施形態、並びに実施例が、化学的に可能であれば、本明細書に定義される1つ又は複数の、好ましくは他の全置換基の各全般的及び具体的な選択物、実施形態、並びに実施例と組み合わされ得ること、並びにそのような実施形態が全て本願に包含されることを理解されたい。
式(I)の化合物の調製方法
本項においては、本願の他の全項と同様に、別途文脈が示さない限り、式(I)への言及はまた、本明細書において定義されている全ての他の下位群及びその例(例えば、(I-a)、(I-A)、(I-A-a)、(I-B)、(I-B-a)、(I-C)、(I-C-a)、(I-D)、又は(I-D-a))も含む。
一般に、式(I)の化合物を、下記の反応スキーム1に従って調製し得る。スキーム1では、W及びWは、好適な脱離基(例えば、クロロ等のハロ)を表し、Pは、好適な保護基(例えば4-メトキシベンジル)を表す。スキーム1の他の可変要素は全て、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000023
スキーム1では、下記の反応条件が適用される:
1:好適な温度(例えば室温)での、好適な保護試薬H-P(例えば4-メトキシベンアルデヒド)、及び好適な還元剤(例えばNaBH)、好適な酸(例えばトリフルオロ酢酸)、及び好適な溶媒(例えば酢酸エチル)の存在下;
2:a)好適な温度(例えば室温)での、メチルマロニルクロリド、好適な還元剤(例えば水素化ナトリウム)、及び好適な溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド)の存在下;並びにb)好適な温度(例えば110℃)での、ナトリウムメトキシドの存在下;
3:好適な温度(例えば室温又は15℃)での、好適な溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びジクロロメタン)の存在下での好適な脱離基導入剤(例えば塩化オキサリル又は塩化ホスホリル)の存在下;
4:好適な温度(例えば-78℃)での、好適な還元剤(例えば水素化ジイソブチルアルミニウム)、及び好適な溶媒(例えばテトラヒドロフラン又はジクロロメタン)の存在下;
5:好適な温度(例えば70℃)での、フェニルメタンアミン、好適な塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)、及び好適な溶媒(例えばアセトニトリル)の存在下;
6:好適な温度(例えば50℃)での、好適な溶媒(例えばアルコール、例えばメタノール)中での好適な還元剤(例えばH)及び好適な触媒(例えば炭上パラジウム)の存在下;
7:好適な温度(例えば20℃又は25℃)での、好適な酸化剤(例えばFeCl)、及び好適な溶媒(例えば1,4-ジオキサン)の存在下;
8:好適な温度(例えば、20℃、60℃、80℃、又は85℃)での、好適な脱保護剤(例えばトリフルオロメタンスルホン酸)、及び好適な溶媒(例えばトリフルオロ酢酸)の存在下;
9:好適な温度(例えば、35℃、40℃、60℃、85℃、又は110℃)での、好適な塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、重炭酸カリウム、又は重炭酸ナトリウム)、好適な相間移動触媒(例えば、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、又は18-クラウン-6)、及び好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、又はエタノール等のアルコール)の存在下。
スキーム1において、式(XII)の中間体は、特定の立体異性体、例えば、特定の立体異性体をもたらすSエナンチオマー、例えば式(I-a)の化合物の調製について下記のスキーム1aで示すような式(I)のSエナンチオマーであり得る。
Figure 2022515622000024
式(IX)の中間体(式中、Yは、NRを表し、前記中間体は、式(IX-a)で表される)も、下記の反応スキーム2に従って調製し得る。スキーム2において、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ等のハロ)を表す。スキーム2の他の可変要素は全て、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000025
スキーム2では、下記の反応条件が適用される:
1:好適な温度(例えば60℃)での、好適な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中での好適な触媒(例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(0))、好適なリガンド(例えば(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン)、好適な塩基(例えばナトリウム-tert-ブトキシド)の存在下;
2:好適な温度(例えば室温)での、好適な溶媒(例えばジオキサン)中での好適な還元剤(例えばH)、好適な触媒(例えばラネーニッケル)の存在下。
式(IX)の中間体(式中、Yは、結合を表し、前記中間体は、式(IX-b)で表される)も、下記の反応スキーム2aに従って調製し得る。スキーム2aにおいて、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ又はクロロ等のハロ)を表す。スキーム2aの他の可変要素は全て、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000026
スキーム2aでは、下記の反応条件が適用される:
1:好適な温度(例えば110℃)での、好適な塩基(例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン)、及び好適な溶媒(例えば、n-ブタノール等のアルコール)の存在下;
2:好適な溶媒(例えば、メタノール等のアルコール)中での好適な還元剤(例えばH)、好適な触媒(例えば炭上パラジウム)、及び好適な温度(例えば30℃)の存在下。
式(XIV)の中間体(式中、Yは、-C(=O)-を表し、前記中間体は、式(XIV-a)で表される)も、下記の反応スキーム3に従って調製し得る。スキーム3において、可変要素は、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000027
式(I)の化合物(式中、Yは、NRを表し、前記化合物は、式(I-1)で表される)も、下記の反応スキーム4に従って調製し得る。スキーム4において、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ等のハロ)を表す。スキーム4の他の可変要素は全て、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000028
スキーム4の反応を、好適な触媒(例えば、Pd(dba)等のパラジウム触媒)、好適なリガンド(例えばdavephos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル))、好適な塩基(例えばLiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド))、及び好適な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)の存在下で実施する。
スキーム4において、式(XVI)の中間体は、特定の立体異性体、例えば、特定の立体異性体をもたらすSエナンチオマー、例えば式(I-1-a)の化合物の調製について以下のスキーム4aで示すような式(I)のSエナンチオマーであり得る。
Figure 2022515622000029
式(I)の化合物(式中、Yは、直接的結合を表し、前記化合物は、式(I-D)で表される)も、下記の反応スキーム5に従って調製し得る。スキーム5において、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ等のハロ)を表す。スキーム5の他の可変要素は全て、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000030

スキーム5の反応を、好適な触媒(例えば、Pd(dba)等のパラジウム触媒)、好適なリガンド(例えばPCy(トリシクロヘキシルホスフィン))、好適な塩基(例えばKPO(リン酸三カリウム))、及び好適な溶媒(例えばジオキサン及び水)の存在下で実施する。
スキーム5において、式(XVI)の中間体は、特定の立体異性体、例えば、特定の立体異性体をもたらすSエナンチオマー、例えば、式(I-D-a)の化合物の調製について下記のスキーム5aで示すような式(I-D)のSエナンチオマーであり得る。
Figure 2022515622000031
式(XVI)の中間体を、下記の反応スキーム6に従って調製し得る。スキーム6において、Wは、好適な脱離基(例えば、クロロ等のハロ)を表し、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ等のハロ)を表す。スキーム6の他の可変要素は全て、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000032
スキーム6では、下記の反応条件が適用される:
1:好適な温度(例えば70℃)での、好適な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)の存在下;
2:好適な温度(例えば80℃)での、好適な塩基(例えばNaHCO)、好適な溶媒(例えばジメチルホルムアミド)の存在下。
式(XVIII)の中間体(式中、Wは、クロロを表し、前記中間体は、式(XVIII-a)で表される)、及び式(XI)の中間体(式中、Wは、クロロを表し、前記中間体は、式(XI-a)で表される)を、下記の反応スキーム7に従って調製し得る。スキーム7において、可変要素は、本発明に従って定義されている。
Figure 2022515622000033
スキーム7では、下記の反応条件が適用される:
1:好適な温度(例えば135℃)での、アニリン、好適な保護基導入剤(例えばトリメトキシメタン)、好適な溶媒(例えばエチレングリコール)の存在下;
2:好適な温度(例えば60℃)での、好適なクロロ導入剤(例えばホスホリルトリクロライド)、及び好適な溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド)の存在下;
3:好適な温度(例えば110℃)での、好適な酸化剤(例えばFeCl)、及び好適な溶媒(例えば1,4-ジオキサン)の存在下。
式(I)の化合物をまた、当該技術分野で既知の反応又は官能基形質転換を介して相互に変換し得る。
例えば、式(I)[式中、Rは、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、又はC1~6アルキル-O-C(=O)-を表す]の化合物を、水酸化リチウムの存在下、及びテトラヒドロフラン又はアルコール(例えばメタノール)等の好適な溶媒の存在下で、式(I)[式中、Rは、HOOC-C1~6アルキル又はカルボキシルを表す]の化合物に変換し得る。
本明細書で説明されている方法で調製される本発明の化合物を、エナンチオマーの混合物、特にエナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成し得、この混合物を、当該技術分野で既知の分割手順に従って相互に分離し得る。塩基性窒素原子を含む式(I)のラセミ化合物を、好適なキラル酸との反応により、対応するジアステレオマー塩形態に変換し得る。その後、前記ジアステレオマー塩形態を、例えば、選択的結晶化又は分別結晶化により分離し、これから、エナンチオマーをアルカリで脱離させる。式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容されるその付加塩及び溶媒和物のエナンチオマー形態の代替的な分離方法は、例えば超臨界流体クロマトグラフィーより、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーを含む。前記純粋な立体化学的異性体形態はまた、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形態からも誘導され得るが、但し、この反応は立体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、前記化合物は、立体特異的な調製方法で合成されるだろう。この方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を有利に用いる。
本発明の化合物の調製において、中間体の離れた官能基(例えば、第一級又は第二級アミン)を保護することが必要な場合がある。そのような保護の必要性は、離れた官能基の性質と、調製法の条件とに応じて変わる。好適なアミノ保護基(NH-Pg)として、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。そのような保護の必要性は、当業者により容易に決定される。保護基とその使用の概要に関して、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,4th ed.,Wiley,Hoboken,New Jersey,2007を参照されたい。
これらの調製の全てにおいて、反応生成物を、反応媒体から単離し得、必要であれば、当該技術分野において一般に知られている方法、例えば、抽出、結晶化、トリチュレーション、及びクロマトグラフィー等によってさらに精製し得る。反応生成物の純度を、例えば、LC-MS、TLC、HPLC等の当該技術分野で一般に知られている方法論に従って決定し得る。
本発明のさらなる態様は、本明細書で定義されている式(I)の化合物の調製方法であって:
(i)好適な塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、重炭酸カリウム、若しくは重炭酸ナトリウム)、好適な相間移動触媒(例えば、ヨウ化テトラブチルアンモニウム若しくは18-クラウン-6)、及び好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、若しくはエタノール等のアルコール)の存在下で、式(XI)
Figure 2022515622000034

[式中、Wは、好適な脱離基(例えば、クロロ等のハロ)を表す]の中間体と、式(XII)
Figure 2022515622000035

の中間体とを反応させること;又は
(ii)好適な触媒(例えば、Pd(dba)等のパラジウム触媒)、好適なリガンド(例えばdavephos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル))、好適な塩基(例えばLiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド))、及び好適な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)の存在下で、式(XVI)
Figure 2022515622000036

[式中、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ等のハロ)を表す]の中間体と、式
Figure 2022515622000037

の中間体とを反応させること;又は
(iii)好適な触媒(例えば、Pd(dba)等のパラジウム触媒)、好適なリガンド(例えばPCy(トリシクロヘキシルホスフィン))、好適な塩基(例えばKPOリン酸三カリウム))、及び好適な溶媒(例えばジオキサン及び水)の存在下で、式(XVI)
Figure 2022515622000038

[式中、Wは、好適な脱離基(例えば、ブロモ等のハロ)を表す]の中間体と、式
Figure 2022515622000039

の中間体とを反応させることであり、可変要素は、本明細書で定義されている通りである、反応させること、並びに、任意選択的に、その後に、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物に変換することを含む方法である。
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は誘導体
本項においては、本願の他の全項と同様に、別途文脈が示さない限り、式(I)への言及は、本明細書において定義されている全ての他の下位群、選択物、実施形態、及び実施例への言及を含む。
別途指示がない限り、特定の化合物への言及は、そのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、及び同位体、例えば、好ましくは、その塩又は異性体又は溶媒和物も含む。式(I)の化合物は、塩、例えば酸付加塩又は、特定の場合、カルボン酸塩、スルホン酸塩、及びリン酸塩等の有機及び無機塩基の塩の形態で存在し得る。そのような塩は全て、本発明の範囲内にあり、式(I)の化合物への言及は、この化合物の塩形態を含む。
本発明の化合物の塩形態は、典型的には、薬学的に許容される塩であり、薬学的に許容される塩の例は、Berge et al.(1977)“Pharmaceutically Acceptable Salts,”J.Pharm.Sci.,Vol.66,pp.1-19で論じられている。しかし、薬学的に許容されない塩も、中間体形態として調製し得、次いで、これを薬学的に許容される塩に変換し得る。そのような薬学的に許容されない塩形態は、例えば、本発明の化合物の精製又は分離において有用になることがあり、また本発明の一部を形成する。
本発明の塩を、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor),ISBN:3-90639-026-8,Hardcover,388 pages,August 2002で説明されている方法等の従来の化学的方法により、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成し得る。一般に、そのような塩を、この化合物の遊離酸形態又は遊離塩基形態を水中若しくは有機溶媒中又はその2つの混合物中(一般には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリル等の非水性媒体が使用される)で適切な塩基又は酸と反応させることにより調製し得る。本発明の化合物は、塩が形成される酸のpKaによって、一塩又は二塩として存在し得る。
酸付加塩を、無機及び有機の両方の多様な酸で形成し得る。酸付加塩の例として、下記が挙げられる:酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、カンファー-スルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えばL-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えばナフタレン-2-スルホン酸)、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えばp-トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸、及び吉草酸からなる群から選択される酸、並びにアシル化アミノ酸及び陽イオン交換樹脂で形成される塩。
特定の一群の塩が、酢酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシラート)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸、及びラクトビオン酸から形成される塩からなる。別の群の酸付加塩として、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL-乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩化水素酸、グルタミン酸、DL-リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、及び酒石酸から形成される塩が挙げられる。
化合物が陰イオン性であるか、又は陰イオン性であり得る官能基(例えば、-COOHは-COOであり得る)を有する場合、塩は、適切な陽イオンで形成され得る。適切な無機陽イオンの例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:Na及びK等のアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+等のアルカリ土類金属陽イオン、並びにAl3+等の他の陽イオン。適切な有機陽イオンの例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:アンモニウムイオン(即ちNH )及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )。
一部の適切な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにアミノ酸、例えばリシン及びアルギニンに由来するである。一般的な四級アンモニウムイオンの一例は、N(CH である。
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合には、これは、当業者に周知の方法により、例えば、アルキル化剤との反応により、四級アンモニウム塩を形成し得る。そのような四級アンモニウム化合物は、式(I)の範囲内である。
本発明の化合物は、例えば水(即ち水和物)又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物が1つ又は複数の溶媒分子、並びにそれらの薬学的に許容される付加塩と物理的に会合していることを意味する。この物理的会合は、水素結合が挙げられる様々な程度のイオン結合及び共有結合を含む。特定の場合において、溶媒和物は、例えば1つ又は複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に取り込まれている場合に、単離が可能となるであろう。用語「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含することが意図されている。好適な溶媒和物の非限定的な例として、水(水和物)、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、又はエタノールアミン、及び同類のものと組み合わせた本発明の化合物が挙げられる。本発明の化合物は、溶液状態でその生物学的作用を発揮し得る。
溶媒和物は、物質調製のプロセス(例えば、この物質の精製に関連するプロセス)、物質の保存(例えば、この物質の安定性)、及び物質の取り扱いの容易さにとって重要であり得、多くの場合、化学合成の単離段階又は精製段階の一部として形成される。当業者は、標準的で長く使用された手法により、水和物又は他の溶媒和物が、所与の化合物を調製するのに使用された単離条件又は精製条件により形成されたかどうかを決定し得る。そのような手法の例として、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線結晶学(例えば、単結晶X線結晶学又はX線粉末回折)、及び固体NMR(SS-NMR、別名マジックアングルスピニングNMR又はMAS-NMR)が挙げられる。そのような手法は、NMR、IR、HPLC、及びMSと同様に、熟練した化学者の標準的な分析道具一式の一部である。或いは、当業者であれば、特定の溶媒和物に必要とされる溶媒の量が挙げられる結晶化条件を使用して、溶媒和物を意図的に形成し得る。その後、上述の標準的な方法を使用して、溶媒和物が形成されたかを確認し得る。
さらに、本発明の化合物は、1つ又は複数の多形体(結晶性)又は非晶質形態を有してもよく、これらの形態は、それ自体が本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
式(I)の化合物は、いくつかの異なる幾何異性体形態及び互変異性体形態で存在してもよく、式(I)の化合物への言及は、そのような形態全てを含む。誤解を避けるために記すと、化合物がいくつかの幾何異性体形態又は互変異性体形態のうちの1つとして存在してもよく、1つのみが具体的に説明されているか又は示されている場合、それにもかかわらず他の全てが式(I)により包含される。互変異性体形態の例として、例えば、下記の互変異性体対のような、ケト形態、エノール形態、及びエノラート形態が挙げられる:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/エネジアミン(enediamine)、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、及びニトロ/aci-ニトロ。
Figure 2022515622000040
そのような形態は、存在し得る限り、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。従って、1つの化合物は、立体異性体形態と互変異性体形態の両方で存在し得るということになる。
式(I)の化合物が1つ又は複数のキラル中心を含み、2つ以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物への言及は、文脈から反対の意味が要求されない限り、その全ての光学異性体形態(例えば、エナンチオマー、エピマー、及びジアステレオ異性体)を、個別の光学異性体か又は2つ以上の光学異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物)のいずれかとして含む。式(I)の化合物が、複数のキラル中心を有し、1つのキラル中心が、式(I-a)、(I-A-a)、(I-B-a)、(I-C-a)、又は(I-D-a)の化合物等において絶対立体配置を有するものとして示される場合、他のキラル中心は、文脈から反対の意味が要求されない限り、全ての光学異性体を、個別の光学異性体、又はその2つ以上の光学異性体の混合物(ラセミ混合物など)のいずれかとして含む。光学異性体は、その光学活性(即ち、これらが平面偏光を回転させる方向に応じた+及び-異性体、又はd及びl異性体としての光学活性)により特性化及び同定され得るか、又はそれらは、Cahn,Ingold and Prelogにより開発された「R及びS」命名法を使用してその絶対立体化学の点で特性化される得、Jerry MarchによるAdvanced Organic Chemistry,4th Edition,John Wiley & Sons,New York,1992,pages 109-114を参照されたく、また、Cahn,Ingold & Prelog(1966)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,5,385-415も参照されたい。例えば、絶対配置が不明の分割エナンチオマーは、これらが平面偏光を回転させる方向に応じて、(+)又は(-)により示され得る。
光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラルな担体上のクロマトグラフィー)を含むいくつかの技法により分離され得、そのような技法は当業者に周知である。キラルクロマトグラフィーに代わるものとして、(+)-酒石酸、(-)-ピログルタミン酸、(-)-ジ-トルオイル-L-酒石酸、(+)-マンデル酸、(-)-リンゴ酸、及び(-)-カンファースルホン酸等のキラルな酸とジアステレオ異性体塩を形成し、ジアステレオ異性体を優先晶出により分離し、次いで、塩を解離させて、遊離塩基の個別のエナンチオマーを与えることにより、光学異性体を分離し得る。
式(I)の化合物が2つ以上の異性体形態として存在する場合、1つの異性体形態、例えば1対のエナンチオマーのうちの1つのエナンチオマーは、例えば生物学的活性の点で、他の異性体形態に優る、例えば他のエナンチオマーに優る利点を示し得る。そのため、特定の状況で、1対のエナンチオマーのうちの一方のみ、又は複数のジアステレオ異性体のうちの1つのみを治療剤として使用するのが望ましくなり得る。下記の構造
Figure 2022515622000041

中ので示されるキラル中心がS配置を有する化合物は、対応するR配置よりも高い生物活性を示すことが見出された。特定の立体異性体が同定される場合、これは、前記立体異性体が他の立体異性体を実質的に含まないこと、即ち、他の立体異性体を、50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、より一層好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満しか伴わないことを意味する。そのため、式(I)の化合物が例えば(S)と特定される場合、これは、この化合物が(R)異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が例えばEと特定される場合、これは、この化合物がZ異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が例えばシスと特定される場合、これは、この化合物がトランス異性体を実質的に含まないことを意味する。
本明細書で使用される場合、実線のくさび形結合又は破線のくさび形結合としてではなく、結合が実線としてのみ示される任意の化学式、又はそうでなくとも1つ又は複数の原子の周りに特定の配置(例えばR、S)を有するものとして示されない任意の化学式は、各々可能な立体異性体、又は2つ以上の立体異性体の混合物を企図するものである。
用語「立体異性体」、「立体異性体形態」、又は「立体化学的異性体形態」は、上記及び下記において互換的に使用される。
エナンチオマーは、重ね合わせることができない互いの鏡像となっている立体異性体である。エナンチオマーの対の1:1混合物は、ラセミ体又はラセミ混合物である。
アトロプ異性体(又はアトロポ異性体)は、大きな立体障害が原因で単結合の周りの回転が制限されることによって生じる特定の空間配置を有する立体異性体である。式(I)の化合物のアトロプ異性体形態は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
ジアステレオマー(又はジアステレオ異性体)は、エナンチオマーではない立体異性体であり、即ち鏡像の関係にない。化合物が二重結合を含む場合、置換基は、E配置又はZ配置となり得る。二価の環状(部分的)飽和基上の置換基は、シス配置又はトランス配置を有し得、例えば、化合物が二置換のシクロアルキル基を含む場合、この置換基は、シス配置又はトランス配置であり得る。従って、本発明は、化学的に可能な場合には常に、エナンチオマー、アトロプ異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体、及びそれらの混合物を含む。
これらの全ての用語、即ちエナンチオマー、アトロプ異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体、及びそれらの混合物の意味は、当業者に既知である。
本発明の化合物は、1つ又は複数の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素への言及は、その元素の全同位元素、天然に存在するものか又は合成的に生成されたものかのいずれか、天然に豊富であるものか又は同位体的に豊富な形態のものかのいずれかを、この化合物の範囲内に含む。例えば、水素への言及は、その範囲内にH、H(D)、及びH(T)を含む。同様に、炭素及び酸素への言及は、それらの範囲内に、それぞれ12C、13C、及び14C、並びに16O及び18Oを含む。同位体は、放射性であってもよいし、非放射性であってもよい。本発明の一実施形態では、化合物は、放射性同位体を含まない。そのような化合物は、治療用途に好ましい。しかしながら、別の実施形態において、この化合物は、1つ又は複数の放射性同位体を含んでもよい。そのような放射性同位体を含む化合物は、診断の観点で有用であり得る。放射標識された式(I)の化合物は、H、H、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Br、及び82Brの群から選択される放射性同位体を含み得る。好ましくは、放射性同位体は、H、H、11C、及び18Fの群から選択される。より好ましくは、放射性同位体は、Hである。
特に、重水素化化合物は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
薬効薬理
プロテインチロシンキナーゼ(PTK)
本明細書で説明されている本発明の化合物は、特定のチロシンキナーゼの活性を阻害するか又は調節し、そのため、この化合物は、これらのチロシンキナーゼ、特にFGFRにより媒介される病状又は病態の処置又は予防、特に処置に有用であろう。
FGFR
プロテインチロシンキナーゼ(PTK)受容体の線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリは、有糸分裂誘発、創傷治癒、細胞分化及び血管新生、並びに発生を含む多種多様な生理機能を制御する。正常と悪性の両方の細胞成長並びに増殖は、自己分泌及び傍分泌因子として作用する細胞外シグナル伝達分子であるFGFの局所濃度の変化の影響を受ける。自己分泌FGFシグナル伝達は、ステロイドホルモン依存性癌のホルモン非依存性状態への進行において特に重要になり得る。FGF及びその受容体は、いくつかの組織及び細胞株で増加したレベルで発現され、過剰発現は悪性表現型の一因であると考えられている。さらに、いくつかの発癌遺伝子は、成長因子受容体をコードする遺伝子のホモログであり、ヒト膵臓癌においてFGF依存性シグナル伝達の異常な活性化の可能性がある(Knights et al.,Pharmacology and Therapeutics 2010 125:1(105-117);Korc M.et al Current Cancer Drug Targets 2009 9:5(639-651))。
2つのプロトタイプメンバーは、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF又はFGF1)及び塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF又はFGF2)であり、現在までに少なくとも20種の異なるFGFファミリメンバーが特定されてきた。FGFに対する細胞応答は、1~4の番号のついた(FGFR1~FGFR4)4種の高親和性膜貫通型プロテインチロシンキナーゼ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)により伝えられる。
このキナーゼは、内皮細胞を増殖させる他に、多くの腫瘍タイプで活性化されるため、FGFR1経路の混乱は、腫瘍細胞増殖に影響を及ぼすはずである。腫瘍関連脈管構造におけるFGFR1の過剰発現及び活性化は、腫瘍血管新生におけるこの分子の役割を示唆した。
最近の研究は、FGFR1発現と古典的小葉癌(Classic Lobular Carcinomas)(CLC)における発癌性との間の関連を示した。CLCは全乳癌の10~15%を占め、一般に、p53及びHer2発現を欠く一方で、エストロゲン受容体の発現を保つ。8p12-p11.2の遺伝子増幅がCLC症例の約50%に示され、これはFGFR1の発現増大と関連していることが示された。FGFR1に対して向けられたsiRNA、又は受容体の小分子阻害剤による予備的試験は、この増幅を有する細胞株が、このシグナル伝達経路の阻害に特に感受性を有することを示した。横紋筋肉腫(RMS)は、骨格の筋形成の間の異常な増殖及び分化から恐らく生じる最もよく見られる小児科の軟部肉腫である。FGFR1は、原発横紋筋肉腫腫瘍において過剰発現され、5’CpGアイランドの低メチル化並びにAKT1、NOG、及びBMP4遺伝子の異常な発現と関連している。
線維芽細胞増殖因子受容体2は、酸性及び/又は塩基性線維芽細胞増殖因子、並びにケラチン生成細胞成長因子リガンドに対する高い親和性を有する。線維芽細胞増殖因子受容体2はまた、骨芽細胞の成長及び分化の間にFGFの強力な骨形成効果も伝達する。線維芽細胞増殖因子受容体2の変異は、複雑な機能改変につながるが、頭蓋縫合の異常な骨化(頭蓋骨縫合早期癒合症)を誘発することが示され、膜内骨形成におけるFGFRシグナル伝達の主要な役割を意味する。例えば、早期の頭蓋縫合骨化を特徴とするアペール(AP)症候群において、ほとんどの症例は、線維芽細胞増殖因子受容体2における機能獲得を発生させる点変異と関連している。加えて、症候性頭蓋骨縫合早期癒合症を有する患者における変異スクリーニングは、いくつかのFGFR2反復変異が、重症な形態のファイファー症候群の原因となることを示す。FGFR2の特定の変異として、FGFR2中のW290C、D321A、Y340C、C342R、C342S、C342W、N549H、K641Rが挙げられる。
アペール、クルーゾン、ジャクソン・ワイス、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、及びファイファー症候群を含むヒトの骨格発達におけるいくつかの重度の異常は、線維芽細胞増殖因子受容体2における変異の発生と関連している。ファイファー症候群(PS)の症例の全部でないとしてもほとんども、線維芽細胞増殖因子受容体2遺伝子の新規変異により起こり、線維芽細胞増殖因子受容体2における変異が、リガンド特異性を管理する基本ルールの1つを破ることが最近示された。即ち、線維芽細胞増殖因子受容体の2つの変異体スプライス形態であるFGFR2c及びFGFR2bは、非定型なFGFリガンドに結合し、それにより活性化される能力を獲得した。このリガンド特異性の喪失は、異常なシグナル伝達につながり、これらの疾患症候群の重度な表現型が、線維芽細胞増殖因子受容体2の異所性のリガンド依存性活性化から生じることを示唆している。
染色体転座又は点変異等のFGFR3受容体型チロシンキナーゼの遺伝子異常は、異所的に発現したか又は脱制御された構成的活性型のFGFR3受容体をもたらす。そのような異常は、多発性骨髄腫のサブセットに、並びに、膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌、及び子宮頸癌において関連付けられている。従って、FGFR3阻害剤があれば、多発性骨髄腫、膀胱癌、及び子宮頸癌の処置に有用であるだろう。FGFR3はまた、膀胱癌、特に浸潤性膀胱癌においても過剰発現している。FGFR3は、尿路上皮癌(UC)において変異により頻繁に活性化されている。発現増加は、変異と関連していたが(変異腫瘍の85%は高レベルの発現を示した)、多くの筋浸潤性腫瘍を含む、検出可能な変異がない腫瘍の42%も過剰発現を示した。
FGFR4の過剰発現は、前立腺癌と甲状腺癌の両方の予後不良と関連付けられてきた。加えて、生殖細胞系多型(Gly388Arg)が、肺癌、乳癌、結腸癌、肝臓癌(HCC)及び前立腺癌の発生率増加と関連している。加えて、FGFR4の欠失型(キナーゼドメインを含む)が、下垂体腫瘍の40%に存在しているが正常組織には存在していないことも見出された。FGFR4過剰発現は、肝臓腫瘍、結腸腫瘍、及び肺腫瘍において観察されている。FGFR4は、そのリガンドFGF19の発現が高い頻度で増大している大腸癌及び肝臓癌の原因とされてきた。
線維化の病態は、線維組織の異常な又は過度の沈着から生じる主要な医学的問題である。これは、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチを含む多くの疾患、並びに創傷治癒の自然なプロセスで起こる。病的な線維症の機構は完全には理解されていないが、線維芽細胞の増殖及び細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲン及びフィブロネクチンを含む)の沈着に関与する種々のサイトカイン(腫瘍壊死因子(TNF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、及びトランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ))の作用から生じると考えられている。これが、組織の構造及び機能の変化並びにその後の病状を引き起こす。
いくつかの前臨床試験により、肺線維症の前臨床モデルにおける線維芽細胞増殖因子の上方制御が実証されている。TGFβ1及びPDGFは、線維形成プロセスに関与していることが報告されており、さらに発表された研究は、FGFの上昇とその結果として生じる線維芽細胞増殖の増加が、上昇したTGFβ1に対する反応であり得ることを示唆する。特発性肺線維症(IPF)等の病態において線維形成機構を標的とする潜在的な治療効果は、抗線維化剤ピルフェニドンの報告されている臨床効果により示唆される。特発性肺線維症(原因不明の線維化肺胞炎とも称される)は、肺の瘢痕化を伴う進行性病態である。肺の肺胞が徐々に線維組織に置き換えられ、この線維組織は厚くなり、酸素を血流に運ぶ組織の能力の不可逆な喪失を起こす。この病態の症状として、息切れ、慢性の乾性咳、疲労、胸痛、及び急速な体重減少を起こす食欲不振が挙げられる。病態は非常に重篤であり、5年後の死亡率は訳50%である。
従って、FGFRを阻害する化合物は、特に血管新生を阻害することにより、腫瘍の成長を防ぐか又は腫瘍のアポトーシスを誘導する手段を与えることに有用であるだろう。従って、化合物が癌等の増殖性疾患の処置又は予防で有用であると判明することが予期される。特に、受容体型チロシンキナーゼの活性化変異体(activating mutant)又は受容体型チロシンキナーゼの上方制御を有する腫瘍は、阻害剤に特に感受性があり得る。本明細書で議論される具体的なRTKのアイソフォームのいずれかの活性化変異体を有する患者も、RTK阻害剤による処置が特に有益であることに気づくだろう。
本明細書において上記で示される通り、様々なFGFR阻害剤が臨床試験中であり、FGFR異常を有する患者において臨床応答を示している。しかし、FGFRのアミノ酸に影響を与える変異、例えば、FGFR1、2、又は3は、FGFR阻害剤に対する耐性を引き起こすか又はFGFR阻害剤に対する感受性を低下させる場合があると報告されている。FGFR阻害剤による処置時の二次的なFGFRキナーゼドメイン変異の発生は、FGFR阻害に対する獲得耐性の重要なメカニズムである。同等のFGFR点変異も、癌に新たに存在する。ゲートキーパー変異は、チロシンキナーゼ阻害剤への耐性につながる主要なメカニズムの1つとして報告されている。ゲートキーパー変異として、FGFR3 V555L/V555M、FGFR1 V561M、FGFR2 V564F/V564I/V564M、及びFGFR4 V550Lが挙げられる。FGFR耐性変異は、臨床試験及びin vitro細胞系で報告されている。従って、第一世代のFGFR阻害剤療法に対する臨床的に獲得された耐性を克服し、同時に一次活性化FGFR変異に対するFGFR阻害活性を維持するには、新しい(第二世代)FGFR阻害剤が必要である。
本発明の化合物は、野生型FGFR、特にFGFR1、2、3、又は4、より特定するとFGFR3に対して活性を示すが、変異FGFRに対して、特にゲートキーパー変異を有するFGFRに対して、又は変異FGFR1若しくは変異FGFR2若しくは変異FGFR3に対して、特にFGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564Iに対して、とりわけ、FGFR3 V555L及びFGFR3 V555Mに対しても活性を示すことが見出された。
生物学的活性及び治療用途
本発明の化合物及びその下位群は、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)阻害又は調節活性を有し、本明細書で説明されている病状又は病態の予防又は処置、特に処置に有用であろう。加えて、本発明の化合物及びその下位群は、キナーゼにより媒介される疾患又は病態の予防又は処置、特に処置に有用であろう。癌等の病状又は病態の予防(preventing)又は予防(prophylaxis)又は処置への言及は、その範囲内に、癌の発生率を緩和させるか又は減少させることを含む。
一実施形態では、式(I)の化合物は、FGFRキナーゼのATP競合阻害剤である。
本明細書で使用される場合、キナーゼの活性に適用される場合の用語「調節」は、プロテインキナーゼの生物学的活性のレベルの変化を定義することが意図されている。そのため、調節は、関連するプロテインキナーゼ活性の増加又は減少をもたらす生理学的変化を包含する。後者の場合、調節は「阻害」と説明され得る。調節は直接にも間接にも生じることがあり、あらゆる機構により、例えば、遺伝子発現のレベル(例えば、転写、翻訳、及び/又は翻訳後修飾を含む)、キナーゼ活性のレベルに直接又は間接に作用する調節エレメントをコードする遺伝子の発現のレベルを含むあらゆる生理学的レベルで媒介され得る。そのため、調節は、転写効果による遺伝子増幅(即ち複数の遺伝子コピー)及び/又は増加若しくは減少した発現、並びに変異によるプロテインキナーゼの過剰(又は低)活性及び(不)活性化((不)活性化を含む)を含む、キナーゼの上昇した/抑制された発現又は過剰若しくは過小の発現を意味し得る。用語「調節された」、「調節すること」、及び「調節する」は、適宜解釈されるものとする。
本明細書で使用される場合、例えば、本明細書に説明されているキナーゼと共に使用される(且つ、例えば、種々の生理学的プロセス、疾患、状態、病態、療法、処置、又は介入に適用される)用語「媒介された」は、この用語が適用される種々のプロセス、疾患、状態、病態、処置、及び介入が、キナーゼが生物学的役割を果たすものであるように限定的に作用することが意図されている。この用語が病状又は病態に適用される場合、キナーゼにより果たされる生物学的役割は、直接であってもよいし間接であってもよく、病状又は病態の症状(又はその病因若しくは進行)の発現に必要及び/又は充分であり得る。そのため、キナーゼ活性(特に、キナーゼ活性の異常なレベル、例えばキナーゼ過剰発現)は、必ずしもこの病状又は病態の近因である必要はなく、むしろ、キナーゼにより媒介される疾患、病状、又は病態は、多因子の病因、及び問題のキナーゼが部分的にのみ関与している複雑な進行を有するものを含むと予期される。この用語が、処置、予防、又は介入に適用される場合、キナーゼにより果たされる役割は、直接であってもよいし間接であってもよく、処置、予防の操作、又は介入の結果に必要及び/又は充分であり得る。そのため、キナーゼにより媒介される病状又は病態は、任意の特定の癌の薬又は処置に対する耐性の発生を含む。
そのため、例えば、本発明の化合物は、癌の発生率の緩和又は減少に有用であり得る。
より詳細には、式(I)の化合物及びその下位群は、FGFRの阻害剤である。例えば、本発明の化合物は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、及び/又はFGFR4に対して、特にFGFR1、2、及び3に対して活性を有する。より特定すると、本発明の化合物は、野生型FGFRに対して、及び/又は変異FGFR、特に点変異を有するFGFRに対して、より特定するとゲートキーパー変異に対して活性を示す。ゲートキーパー変異として、FGFR3 V555L/V555M、FGFR1 V561M、FGFR2 V564F/V564I/V564M、及びFGFR4 V550Lが挙げられる。特に、本発明の化合物は、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、及びFGFR3に対して、より特定するとFGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564Iに対して、特にFGFR3 V555L及びFGFR3 V555Mに対して活性を示す。
変異を有する腫瘍の診断を、RT-PCR及びFISH等の当業者に既知であり本明細書で説明されている技法を使用して実施し得る。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:癌、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌及び結腸腺腫等の大腸癌)、腎臓癌、尿路上皮癌、子宮癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌(例えば、腺癌及び扁平上皮癌))、食道癌、頭頸部癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、外分泌性膵臓癌)、胃癌、消化管(胃腸としても知られている)癌(例えば、消化管間質腫瘍)、頸癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、前立腺癌、又は皮膚癌(例えば扁平上皮細胞癌又は隆起性皮膚線維肉腫);下垂体癌、リンパ系の造血器腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、又はバーキットリンパ腫;骨髄細胞系の造血器腫瘍、例えば、白血病、急性及び慢性の骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄増殖性疾患、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、又は前骨髄球性白血病;多発性骨髄腫;濾胞性甲状腺癌;肝細胞癌、間葉に由来する腫瘍(例えば、ユーイング肉腫)、例えば線維肉腫又は横紋筋肉腫;中枢又は末梢神経系の腫瘍、例えば、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫(多形性膠芽腫等)、又は神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;奇形腫;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫;濾胞性甲状腺癌;又はカポジ肉腫。特に、扁平上皮肺癌、乳癌、大腸癌、グリア芽細胞腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、メラノーマ、頭頸部癌、甲状腺癌、子宮癌、胃癌、肝細胞癌、頚部癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮内膜癌、尿路上皮性癌、結腸癌、横紋筋肉腫、脳下垂体癌、胆管癌。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:膀胱癌、尿路上皮癌、転移性尿路上皮癌、外科的切除不能な尿路上皮癌、乳癌、膠芽腫、肺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌、肺の腺癌(adenocarcinoma of the lung)、肺腺癌(pulmonary adenocarcinoma)、小細胞肺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、軟部肉腫、頭頚部扁平上皮癌、胃癌、食道癌、食道扁平上皮癌、食道腺癌、胆管癌、肝細胞癌。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:進行性又は難治性のNSCLC(非小細胞肺癌)、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、局所的進行性又は転移性の尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、及び胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合、及び/又は変異)を有する進行性又は難治性のNSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、局所的に進行したか又は転移した尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、及び胆管癌。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:転移性の、局所的進行性の、又は外科的切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合、及び/又は変異)を有する転移性の、局所的進行性の、又は外科的切除不能な尿路上皮癌。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:尿路上皮癌、局所的進行性又は転移性の尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合、及び/又は変異)を有する尿路上皮癌、局所的進行性又は転移性の尿路上皮癌。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:筋層非浸潤性膀胱癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合、及び/又は変異)を有する筋層非浸潤性膀胱癌。
処置(又は阻害)され得る癌の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌、及び非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合、及び/又は変異)を有する非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌、及び非扁平上皮肺癌。
ある種の癌は、特定の薬物による処置に耐性を示す。これは、腫瘍の種類に起因し得るか、又は化合物による処置に起因して生じ得る。この点で、多発性骨髄腫への言及は、ボルテゾミブ感受性多発性骨髄腫又は難治性多発性骨髄腫を含む。同様に、慢性骨髄性白血病への言及は、イミタニブ(imitanib)感受性慢性骨髄性白血病及び難治性慢性骨髄性白血病を含む。慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia)は、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia)、慢性顆粒球性白血病、又はCMLとしても知られている。同様に、急性骨髄性白血病は、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性非リンパ球性白血病、又はAMLとも呼ばれている。
本発明の化合物はまた、前癌状態か又は安定状態かにかかわらず、骨髄増殖性疾患等の異常な細胞増殖の造血疾患の処置でも使用され得る。骨髄増殖性疾患(「MPD」)は、過剰量の細胞が生産される骨髄の疾患の一群である。これは、骨髄異形成症候群に関連し、且つ骨髄異形成症候群へと進化し得る。骨髄増殖性疾患は、真性多血症、本能性血小板血症、及び原発性骨髄線維症を含む。さらなる血液学的障害は、好酸球増多症候群である。T細胞リンパ増殖性疾患は、ナチュラルキラー細胞に由来するものを含む。
加えて、本発明の化合物を使用して、消化器(別名、胃)癌、例えば消化管間質腫瘍を処置し得る。消化器癌は、食道、胃、肝臓、胆管系、膵臓、腸、及び肛門を含む消化管の悪性病態を指す。
そのため、異常細胞増殖を含む疾患又は病態を処置するための本発明の医薬組成物、使用、又は方法において、一実施形態における異常細胞増殖を含む疾患又は状態は、癌である。
癌の特定のサブセットとして、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、及び結腸癌が挙げられる。
癌のさらなるサブセットとして、多発性骨髄腫、膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌、及び子宮頸癌が挙げられる。
FGFR1等のFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、乳癌、特に古典的小葉癌(CLC)、及びFGFR1増幅又はFGFR1変異を有する肺癌の処置又は予防に特に有用であり得る。
本発明の化合物はFGFR4活性を有するので、この化合物は、前立腺癌若しくは下垂体癌の処置にも有用であるか、又は、この化合物は、乳癌、肺癌、前立腺癌、肝臓癌(例えばHCC(肝細胞癌))、若しくは肺癌の処置に有用であるだろう。
特に、FGFR阻害剤としての本発明の化合物は、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、大腸癌、及び口腔扁平上皮癌の処置に有用である。
癌のさらなるサブセットは、多発性骨髄腫、子宮内膜癌、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、大腸癌、及び甲状腺癌である。
特に、本発明の化合物は、多発性骨髄腫(特に、t(4;14)転座又は過剰発現しているFGFR3を有する多発性骨髄腫)、前立腺癌(ホルモン不応性匍匐性(prostrate)癌腫)、子宮内膜癌(特に、FGFR2中に活性化変異を有する子宮内膜の腫瘍)、及び乳癌(特に乳房小葉癌)の処置に有用である。
特に、本発明の化合物は、胆管癌、特に、FGFR転座及び変異、又はFGF19増幅を有する胆管癌の処置に有用である。
特に、本化合物は、CLC(古典的小葉癌)等の小葉癌の処置に有用である。
本化合物がFGFR3に対する活性を有するので、この化合物は、多発性骨髄腫及び膀胱癌の処置に有用であるだろう。
特に、本化合物は、FGFR3-TACC3転座を有する腫瘍、特に、FGFR3-TACC3転座を有する膀胱又は脳の腫瘍に対して活性を有する。
特に、本化合物は、t(4;14)転座陽性の多発性骨髄腫の処置に有用である。
一実施形態では、本化合物は、肉腫の処置に有用であり得る。一実施形態では、本化合物は、肺癌、例えば扁平上皮癌の処置に有用であり得る。
本化合物はFGFR2に対する活性を有するので、この化合物は、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、子宮癌、子宮頸癌、及び大腸癌の処置に有用であるだろう。FGFR2は上皮卵巣癌においても過剰発現しているので、本発明の化合物は、上皮卵巣癌等の卵巣癌の処置にとりわけ有用であり得る。
一実施形態では、本化合物は、肺癌、特にNSCLC(非小細胞肺癌)、扁平上皮癌、肝臓癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、大腸癌、前立腺癌の処置に有用であり得る。
癌は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4から選択されるいずれか1つ又は複数のFGFR、例えば、FGFR1、FGFR2、又はFGFR3から選択される1つ又は複数のFGFRの阻害に感受性がある癌であり得る。
特定の癌が、FGFRシグナル伝達の阻害に感受性のあるものであるかどうかを、下記に述べられている細胞成長アッセイにより、又は「診断の方法」という見出しの項に述べられている方法により決定し得る。
本発明の化合物は、特に、高レベルのFGFRの存在に関連するか又は特徴づけられるタイプの癌の処置又は予防に有用であり得る。
本発明の化合物は、2型糖尿病、即ちインスリン非依存型糖尿病、自己免疫疾患、頭部外傷、脳卒中、てんかん、アルツハイマー病等の神経変性疾患、運動ニューロン疾患、進行性核上まひ、大脳皮質基底核変性症、及びピック病、例えば、自己免疫疾患及び神経変性疾患等の、増殖の異常に起因する他の病態の処置に有用であり得る。
本発明の化合物が有用であり得る病状及び病態の一下位群は、炎症性疾患、心血管疾患、及び創傷治癒からなる。
FGFRはまた、アポトーシス、血管新生、増殖、分化、及び転写に役割を果たすことも知られており、従って、本発明の化合物はまた、癌以外の下記の疾患;慢性炎症性疾患、例えば全身性エリテマトーデス、自己免疫介在性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、自己免疫性糖尿病、湿疹過敏性反応、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、鼻炎、及び上気道疾患;心血管疾患、例えば、心臓肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、AIDS(後天性免疫不全症候群)関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症、及び小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害に伴う心筋梗塞、脳卒中及び再かん流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素による又はアルコールに関連する肝疾患、血液疾患、例えば、慢性貧血及び再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症及び関節炎、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓病、及び癌疼痛の処置に有用であり得る。
加えて、FGFR2の変異は、ヒトの骨格発達におけるいくつかの重度の異常と関連しており、そのため、本発明の化合物は、頭蓋縫合の異常な骨化(頭蓋骨縫合早期癒合症)、アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮(cutis gyrate)症候群、及びファイファー症候群を含む、ヒトの骨格発達における異常の処置に有用であり得る。
FGFR2又はFGFR3等のFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、骨格疾患の処置又は予防に特に有用であり得る。特定の骨格疾患は、軟骨発育不全症又は致死性小人症(別名、致死性骨異形成症)である。
FGFR1、FGFR2、又はFGFR3等のFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、進行性の線維症が症状である病変の処置又は予防に特に有用であり得る。本発明の化合物が処置において有用であり得る線維形成状態として、線維組織の異常な又は過度の沈着を示す疾患、例えば、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチ、並びに創傷治癒の自然なプロセスが挙げられる。特に、本発明の化合物は、肺線維症、特に特発性肺線維症の処置にも有用であり得る。
腫瘍関連脈管構造におけるFGFR及びVEGFRの過剰発現及び活性化は、腫瘍血管新生の予防及びその開始の中断における本発明の化合物の役割も示唆した。特に、本発明の化合物は、癌、転移、CLL等の白血病、加齢黄斑変性、特に滲出型の加齢黄斑変性、未熟児網膜症(ROP)等の虚血性増殖性網膜症、及び糖尿病性網膜症等の眼疾患、関節リウマチ、並びに血管腫の処置に有用であり得る。
FGFR1~4、特に、例えば、FGFR3 V555L及びFGFR3 V555M等の点変異FGFR3の阻害剤としての本発明の化合物の活性を、下記の実施例に述べられているアッセイを使用して測定し得、所与の化合物により示される活性のレベルを、IC50値の点で定義し得る。好ましい本発明の化合物は、1μM未満、より好ましくは0.1μM未満、0.01μM未満、又は0.001μM未満のIC50値を有する化合物である。
本発明は、FGFR阻害若しくは調節活性を有し、FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置、特に処置に有用であり得る化合物を提供する。
一実施形態では、療法に使用するための、医薬として使用するための、本明細書で定義されている化合物が提供される。さらなる実施形態では、FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置、特に処置での使用のための、本明細書で定義されている化合物が提供される。
そのため、例えば、本発明の化合物は、癌の発生率の緩和又は減少に有用であり得る。従って、さらなる実施形態では、癌の予防又は処置、特に処置での使用のための、本明細書で定義されている化合物が提供される。一実施形態では、本明細書で定義されている化合物は、FGFR依存性癌の予防又は処置、特に処置に使用するためのものである。一実施形態では、本明細書で定義されている化合物は、FGFRキナーゼにより媒介される癌の予防又は処置、特に処置に使用するためのものである。
従って、本発明は、特に下記を提供する:
- FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置、特に処置の方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
- 本明細書で説明されている病状又は病態の予防又は処置、特に処置の方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
- 癌(特に、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3を有する癌、より特定すると、FGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、又はFGFR2 V564Iを有する癌、特に、FGFR3 V555L又はFGFR3 V555Mを有する癌)の予防又は処置、特に処置の方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。一実施形態では、この癌は、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3に加えて、1種又は複数種の他のFGFR異常、例えば、1つ若しくは複数のFGFR変異、又は1つ若しくは複数のFGFR転座、例えば本明細書で定義されているものを有する。
- FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の発生率を緩和させるか又は減少させる方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
- FGFRキナーゼを阻害する方法であって、キナーゼと、本明細書で定義されている式(I)のキナーゼを阻害する化合物とを接触させることを含む方法。
- 本明細書で定義されている式(I)の化合物を使用してFGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば細胞分裂)を調節する方法。
- FGFRキナーゼの活性を阻害することによる細胞プロセス(例えば細胞分裂)の調節物質としての使用のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物。
- 癌(特に、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3を有する癌、より特定すると、FGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、又はFGFR2 V564Iを有する癌、特に、FGFR3 V555L又はFGFR3 V555Mを有する癌)の予防又は処置、特に処置での使用のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物。一実施形態では、この癌は、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3に加えて、1種又は複数種の他のFGFR異常、例えば、1つ若しくは複数のFGFR変異、又は1つ若しくは複数のFGFR転座、例えば本明細書で定義されているものを有する。
- FGFRの調節物質(例えば、阻害剤)としての使用のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物。
- FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は治療、特に処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用であって、この化合物は、本明細書で定義されている式(I)を有する、使用。
- 本明細書で説明されている病状又は病態の予防又は処置、特に処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- 癌(特に、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3を有する癌、より特定すると、FGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、又はFGFR2 V564Iを有する癌、特に、FGFR3 V555L又はFGFR3 V555Mを有する癌)の予防又は処置、特に処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。一実施形態では、この癌は、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3に加えて、1種又は複数種の他のFGFR異常、例えば、1つ若しくは複数のFGFR変異、又は1つ若しくは複数のFGFR転座、例えば本明細書で定義されているものを有する。
- FGFRの活性を調節する(例えば阻害する)ための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- FGFRキナーゼの活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば細胞分裂)を調節するための医薬品の製造における、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1、又はFGFR2、又はFGFR3、又はFGFR4)の上方制御を特徴とする疾患又は病態の予防又は処置、特に処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1、又はFGFR2、又はFGFR3、又はFGFR4)の上方制御を特徴とするものである癌の予防又は処置、特に癌の処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- FGFRキナーゼ、特にFGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する下位集団から選択される患者における癌の予防又は処置、特に処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- FGFRキナーゼ、特にFGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する下位集団の一部を形成すると診断されている患者における癌の予防又は処置、特に処置のための医薬品の製造のための、本明細書で定義されている式(I)の化合物の使用。
- FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1、又はFGFR2、又はFGFR3、又はFGFR4)の上方制御を特徴とする疾患又は病態の予防又は処置、特に処置の方法であって、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
- FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1、又はFGFR2、又はFGFR3、又はFGFR4)の上方制御を特徴とする疾患又は病態の発生率を緩和させるか又は減少させる方法であって、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
- 癌に罹患しているか又は罹患していると疑われる患者における癌の予防又は処置、特に処置の(又は癌の発生率を緩和させるか若しくは減少させる)方法であって;(i)患者に診断テストを受けさせて、この患者がFGFR3遺伝子の遺伝子異常を有するかどうかを決定すること;及び(ii)この患者が前記バリアントを有する場合、その後に、この患者に、FGFR3キナーゼ阻害活性を有する、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
- FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1、又はFGFR2、又はFGFR3、又はFGFR4)の上方制御を特徴とする病状又は病態の予防又は処置、特に処置の(又は病状若しくは病態の発生率を緩和させるか若しくは減少させる)方法であって;(i)患者に診断テストを受けさせて、FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1、又はFGFR2、又はFGFR3、又はFGFR4)の上方制御に特徴的なマーカーを検出すること、及び(ii)この診断テストがFGFRキナーゼの上方制御を示す場合、その後に、この患者に、FGFRキナーゼ阻害活性を有する、本明細書で定義されている式(I)の化合物を投与することを含む方法。
一実施形態では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、腫瘍学関連疾患(例えば、癌)である。一実施形態では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、非腫瘍学関連疾患(例えば、癌以外の本明細書で開示されているあらゆる疾患)である。一実施形態では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書で説明されている病態である。一実施形態では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書で説明されている骨格の病態である。ヒトの骨格発達における特定の異常として、頭蓋縫合の異常な骨化(頭蓋骨縫合早期癒合症)、アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、ファイファー症候群、軟骨発育不全症、及び致死性小人症(別名、致死性骨異形成症)が挙げられる。
変異したキナーゼ
本明細書において上記で示されているように、薬剤耐性キナーゼ変異は、キナーゼ阻害剤により処置される患者集団に起こり得る。これは、一部が、療法に使用される特定の阻害剤に結合するか又はこの阻害剤と相互作用するタンパク質の領域で起こる。そのような変異は、阻害剤が、問題とするキナーゼに結合して阻害する能力を減少させるか、又は増加させる。これは、阻害剤と相互作用するか又は前記阻害剤の標的への結合を支持するのに重要なアミノ酸残基のいずれでも起こり得る。変異したアミノ酸残基との相互作用を必要とすることなく標的キナーゼに結合する阻害剤は、恐らく変異による影響を受けず、酵素の効果的な阻害剤のままであるだろう。
胃癌患者サンプルの研究は、FGFR2中の2つの変異、即ちエクソンIIIa中のSer167Pro及びエクソンIIIc中のスプライス部位変異940-2A-Gの存在を示した。これらの変異は、頭蓋骨縫合早期癒合症候群を起こす生殖細胞系活性化変異と同一であり、試験された原発性胃癌組織の13%で観察された。加えて、FGFR3中の活性化変異は、試験された患者サンプルの5%で観察され、FGFRの過剰発現は、この患者群の予後不良と相関していた。
加えて、機能獲得、過剰発現、又は構成的活性型生物学的状態を起こすFGFR中で観察された染色体転座又は点変異が存在する。
従って、本発明の化合物ならば、FGFR等の変異した分子標的を発現する癌に関連して特定の用途を見出すだろう。そのような変異を有する腫瘍の診断を、RT-PCR及びFISH等の当業者に既知であり本明細書で説明されている技法を使用して実施し得る。
FGFRのATP結合部位での保存されたスレオニン残基の変異が阻害剤耐性を引き起こすであろうことが示唆されている。アミノ酸バリン561は、FGFR1においてメチオニンに変異したが、それは、選択的阻害剤に対する耐性を付与することが示されたAbl(T315)及びEGFR(T766)で見られる、既に報告された変異に相当する。FGFR1 V561Mのアッセイデータは、この変異が、野生型のものと比較してチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を付与することを示した。判明している他の変異は、ゲートキーパー変異FGFR3 V555L/V555M、FGFR1 V561M、FGFR2 V564F/V564I/V564M、及びFGFR4 V550Lである。本発明の化合物は、とりわけ、ゲートキーパー変異に対して、特に、FGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564Iに対して、とりわけ、FGFR3 V555L及びFGFR3 V555Mに対して活性がある。
本発明の化合物は、成人集団の処置に有用であり得る。本発明の化合物は、小児集団の処置に有用であり得る。
診断方法
式(I)の化合物の投与の前に、患者をスクリーニングして、この患者が罹患しているか又は罹患し得る疾患又は病態が、FGFR、特に点変異を有するFGFR、特に、例えばFGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564I、特に、FGFR3 V555L及びFGFR3 V555M等のFGFRゲートキーパー変異に対する活性を有する化合物による処置に感受性があるであろうものであるかどうかを決定し得る。一実施形態では、癌は、FGFRゲートキーパー変異、特に、ゲートキーパー変異FGFR1、FGFR2、又はFGFR3、例えば、FGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564I、特に、FGFR3 V555L及びFGFR3 V555Mに加えて、1種又は複数種の他のFGFR異常、例えば、1種若しくは複数種のFGFR変異、又は1種若しくは複数種のFGFR転座、例えば、本明細書で定義されているものを有する。
例えば、患者から採取された生体サンプルを分析して、患者が罹患しているか又は罹患し得る癌等の病態又は疾患が、FGFRのレベル若しくは活性の上方制御、又は正常なFGFR活性への経路の感作、又は成長因子リガンドレベル若しくは成長因子リガンド活性等のこれらの成長因子シグナル伝達経路の上方制御、又はFGFR活性化の下流の生化学的経路の上方制御をもたらす遺伝的異常又は異常なタンパク質発現を特徴とするものであるかどうかを決定し得る。
FGFRシグナルの活性化又は感作を生じるそのような異常の例として、アポトーシス経路の喪失若しくは阻害、受容体若しくはリガンドの上方制御、又は受容体若しくはリガンドの変異体バリアント、例えばPTKバリアントの存在が挙げられる。FGFR1、FGFR2、若しくはFGFR3、若しくはFGFR4の変異体、又はFGFR1の上方制御、特に過剰発現、又はFGFR2若しくはFGFR3の機能獲得変異体を有する腫瘍は、FGFR阻害剤に対して感受性を特に有し得る。
例えば、FGFR2中に機能獲得を発生させる点変異が、多数の病態で確認されている。特に、FGFR2中の活性化変異が、子宮内膜腫瘍の10%で確認されている。
加えて、異所的に発現したか又は脱制御された構成的活性型のFGFR3受容体をもたらす染色体転座又は点変異等のFGFR3受容体型チロシンキナーゼの遺伝子異常が確認されてきており、多発性骨髄腫、膀胱癌、及び子宮頸癌のサブセットに関連付けられている。PDGF受容体の特定の変異T674Iは、イマチニブにより処置された患者で確認されている。加えて、8p12-p11.2の遺伝子増幅は、乳房小葉癌(CLC)症例の約50%で示され、これは、FGFR1の発現増加と関連していることが示された。FGFR1に対するsiRNA、又は受容体の小分子阻害剤による予備的試験は、この増幅を有する細胞株が、このシグナル伝達経路の阻害に特に感受性を有することを示した。
或いは、患者から採取された生体サンプルを、FGFRの負の調節因子又は抑制因子の喪失に関して分析し得る。本文脈において、用語「喪失」は、調節因子若しくは抑制因子をコードする遺伝子の欠失、遺伝子の短縮化(例えば変異によるもの)、遺伝子の転写産物の短縮化、又は転写産物の不活性化(例えば点変異によるもの)、又は別の遺伝子産物による隔離を包含する。
用語上方制御は、遺伝子増幅(すなわち多数の遺伝子コピー)及び転写効果による増加した発現を含む上昇した発現又は過剰発現、並びに変異による活性化を含む過剰活性及び活性化を含む。そのため、患者に診断テストを受けさせて、FGFRの上方制御に特徴的なマーカーを検出し得る。用語診断は、スクリーニングを含む。マーカーは、例えば、FGFRの変異を特定するDNA組成物の測定を含む遺伝子マーカーを含む。用語マーカーはまた、上述のタンパク質の酵素活性、酵素レベル、酵素状態(例えば、リン酸化されたか否か)、及びmRNAレベルを含む、FGFRの上方制御に特徴的なマーカーも含む。
診断テスト及びスクリーニングを、典型的には、腫瘍生検材料サンプル、血液サンプル(脱落した腫瘍細胞の単離及び濃縮)、便生検、痰、染色体分析、胸膜液、腹水、頬側スピア(spear)、生検材料、又は尿から選択される生体サンプルに対して実施する。
タンパク質の変異及び上方制御の特定及び分析の方法は、当業者に既知である。スクリーニング方法として下記が挙げられるが、これらに限定されない:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)又は蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)等のin-situハイブリダイゼーション等の標準的な方法。
FGFRにおける変異を有する個体の特定は、患者がFGFR阻害剤による処置に特に好適であろうことを意味し得る。腫瘍は、優先的には、処置前に、FGFRバリアントの存在に関してスクリーニングされ得る。スクリーニングプロセスは、典型的には、直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、又は変異体特異的抗体を含むであろう。加えて、そのような変異を有する腫瘍の診断を、RT-PCR及びFISH等の当業者に既知であり本明細書で説明されている技法を使用して実施し得る。
加えて、例えばFGFRの変異体形態を、例えば、PCR及び本明細書において先に説明されているPCR産物を直接配列決定する方法を使用する腫瘍生検の直接配列決定により特定し得る。当業者は、上述のタンパク質の過剰発現、活性化、又は変異の検出のためのそのような周知の全技法が、本件に適用可能であることを認識するだろう。
RT-PCRによるスクリーニングにおいて、腫瘍中のmRNAのレベルは、mRNAのcDNAコピーの作成と、それに続くPCRによるcDNAの増幅により評価される。PCR増幅の方法、プライマーの選択、及び増幅の条件は、当業者に知られている。核酸操作及びPCRは、例えば、Ausubel,F.M.et al.,eds.(2004)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons Inc.又はInnis,M.A.et al.,eds.(1990) PCR Protocols:a guide to methods and applications,Academic Press,San Diegoで説明されている標準的な方法により実行される。同様に、核酸技術に関わる反応及び操作は、Sambrook et al.,(2001),3rdEd,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressで説明されている。或いは、RT-PCRの市販キット(例えば、Roche Molecular Biochemicals)、又は米国特許第4,666,828号明細書;同第4,683,202号明細書;同第4,801,531号明細書;同第5,192,659号明細書、同第5,272,057号明細書、同第5,882,864号明細書、及び同第6,218,529号明細書(参照によって本明細書に組み込まれる)で記載されている方法論を使用し得る。mRNA発現を評価するin-situハイブリダイゼーション技術の例は、蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)であろう(Angerer(1987)Meth.Enzymol.,152:649を参照されたい)。
一般に、インサイチュハイブリダイゼーションは、下記の主な工程:(1)分析されることとなる組織の固定;(2)標的核酸のアクセシビリティを増大させ、且つ非特異的結合を減らすための、サンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)生物学的構造又は組織内の核酸に対する、核酸の混合物のハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸フラグメントを除去するためのハイブリダイゼーション後の洗浄、及び(5)ハイブリダイズした核酸フラグメントの検出を含む。そのような用途に使用されるプローブは、典型的には、例えば放射性同位体又は蛍光レポーターで標識されている。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下での標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能にするほど充分に長く、例えば、約50、100、又は200ヌクレオチド~約1000ヌクレオチド以上である。FISHを実施する標準的な方法が、Ausubel,F.M.et al.,eds.(2004)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons Inc及びFluorescence In Situ Hybridization:Technical Overview by John M.S.Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer,Methods and Protocols,2nd ed.;ISBN:1-59259-760-2;March 2004,pps.077-088;Series:Methods in Molecular Medicineで説明されている。
遺伝子発現プロファイリングの方法が、(DePrimo et al.(2003),BMC Cancer,3:3)により説明されている。簡潔に説明すると、このプロトコルは下記の通りである:二本鎖cDNAを、全RNAから、第1の鎖cDNA合成を準備するための(dT)24オリゴマーを使用して合成し、それに続いてランダムヘキサマープライマーによる第2の鎖cDNA合成を行う。二本鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを使用するcRNAのインビトロ転写の鋳型として使用する。cRNAを、Affymetrix(Santa Clara、CA、USA)により説明されているプロトコルに従って化学的に断片化し、次いでHuman Genome Array上で一晩ハイブリダイズする。
或いは、mRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートによる固相免疫アッセイ、ウェスタンブロッティング、2次元SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリー、及び当該技術分野に既知の特定のタンパク質を検出する他の方法によりアッセイし得る。検出方法は、部位特異的抗体の使用を含むであろう。当業者は、FGFRの上方制御の検出のための又はFGFRバリアント若しくは変異体の検出のためのそのような周知の全技法が、本件に適用可能であることを認識するであろう。
FGFR等のタンパク質の異常なレベルを、標準的な酵素アッセイ、例えば、本明細書で説明されているアッセイを使用して測定し得る。活性化又は過剰発現も、組織サンプル、例えば、腫瘍組織中で検出し得る。Chemicon Internationalから得られるもの等のアッセイによりチロシンキナーゼ活性を測定することによる。目的のチロシンキナーゼは、サンプル溶解物から免疫沈降され、その活性が測定されるであろう。
アイソフォームを含むFGFRの過剰発現又は活性化の測定の代替方法は、微小血管密度の測定を含む。これを、例えば、Orre and Rogers(Int J Cancer(1999),84(2)101-8)により説明されている方法を使用して測定し得る。
従って、これらの技法の全てを使用して、本発明の化合物による処置に特に好適な腫瘍も特定し得る。
本発明の化合物は、変異したFGFRを有する患者の処置に特に有用である。FGFR3中のG697C変異は、口腔扁平上皮細胞癌の62%で観察され、キナーゼ活性の構成的活性化を引き起こす。FGFR3の活性化変異は、膀胱癌の症例においても特定されている。これらの変異は、様々な優勢(prevelence)度を有する下記の6種であった:R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Q。加えて、FGFR4中のGly388Arg多型は、前立腺癌、結腸癌、肺癌、肝臓癌(HCC)、及び乳癌の発生率及び侵攻性の増加と関連することが見出されている。本発明の化合物は、FGFR3-TACC3転座を有する患者の処置に特に有用である。
従って、さらなる態様において、本発明は、スクリーニングされて、FGFRに対する活性を有する化合物による処置に感受性があるだろう疾患又は病態に罹患しているか又は罹患する危険性があると決定されている患者における病状又は病態の処置又は予防のための医薬品の製造のための、本発明に係る化合物の使用を含む。
患者がスクリーニングされる特定の変異として、FGFR3中のG697C、R248C、S249C、G372C、S373C、Y373C、K652Q変異、及びFGFR4中のGly388Arg多型、特にFGFR3 R248C、FGFR3 S249C、FGFR3 G370C、又はFGFR3 Y373Cが挙げられる。
患者がスクリーニングされる特定の変異として、特にFGFRゲートキーパー変異が挙げられる。ゲートキーパー変異として、FGFR3 V555L/V555M、FGFR1 V561M、FGFR2 V564F/V564I/V564M、及びFGFR4 V550Lが挙げられる。患者がスクリーニングされる特定の変異として、FGFR3 V555L、FGFR3 V555M、FGFR1 V561M、及びFGFR2 V564I、特にFGFR3 V555L及びFGFR3 V555Mが挙げられる。
別の態様において、本発明は、FGFR遺伝子のバリアント(例えば、FGFR3中のG697C変異及びFGFR4中のGly388Arg多型)を有する下位集団から選択された患者における癌の予防又は治療での使用のための本発明の化合物を含む。
本発明の化合物は、FGFR融合又は転座、特にFGFR3:TACC3 v1;FGFR3:TACC3 v3;FGFR3:TACC3 Intron;FGFR3:BAIAP2L1;FGFR2:AFF3;FGFR2:BICC1;FGFR2:CASP7;FGFR2:CCDC6;及びFGFR2:OFD1を有する患者の処置で特に有用である。以下の略語が使用される:FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体);FGFR3:TACC3(FGFR3をコードする遺伝子と、形質転換性酸性コイルドコイル含有タンパク質3をコードする遺伝子との融合);FGFR3:BAIAP2L1(FGFR3をコードする遺伝子と、脳特異的血管新生阻害剤1関連タンパク質2様タンパク質1をコードする遺伝子との融合);FGFR2:AFF3(FGFR2をコードする遺伝子と、AF4/FMR2ファミリ、メンバー3をコードする遺伝子との融合);FGFR2:BICC1(FGFR2をコードする遺伝子と、双尾Cホモログ1をコードする遺伝子との融合);FGFR2:CASP7(FGFR2をコードする遺伝子と、カスパーゼ7をコードする遺伝子との融合);FGFR2:CCDC6(FGFR2をコードする遺伝子と、コイルドコイルドメイン含有6をコードする遺伝子との融合);FGFR2:OFD1(FGFR2をコードする遺伝子と、口腔顔面指趾症候群1をコードする遺伝子との融合)。
医薬組成物及び組み合わせ
有用な薬理的性質を考慮すると、本主題の化合物を、投与目的のために種々の医薬形態に製剤化し得る。
一実施形態では、本医薬組成物(例えば製剤)は、少なくとも1種の本発明の活性化合物を、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、又は当業者に周知である他の物質、及び任意選択的な他の治療剤又は予防剤を含み得る薬学的に許容できる担体と共に含む。
本発明の医薬組成物を調製するために、有効成分としての有効量の本発明の化合物は、薬学的に許容される担体と完全に混合されて組み込まれるが、この担体は、投与に望ましい剤形に応じて、多種多様な形態を取り得る。この医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、眼、耳、直腸、膣内、又は経皮投与に好適なあらゆる形態であり得る。この医薬組成物は、好ましくは経口投与、経直腸投与、経皮投与、又は非経口注射による投与に好適な単位剤形であることが望ましい。例えば、この組成物を経口剤形に調製する際には、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び溶液剤等の経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール類、油、アルコール、及び同類のもの;又は、散剤、丸剤、カプセル剤、及び錠剤の場合には、固体担体、例えば、デンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、及び同類のもの等の通常の医薬媒体のいずれかを使用し得る。
錠剤及びカプセル剤は、その投与が容易であるため、最も有利な経口単位剤形であり、その場合、固体医薬担体が当然ながら使用される。非経口組成物の場合、担体は、通常、滅菌水を少なくとも大部分含むが、例えば溶解性を助ける他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水、ブドウ糖溶液、又は生理食塩水とブドウ糖溶液との混合物を含む注射用溶液剤を調製し得る。注射用懸濁剤も調製し得、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤、及び同類のものが使用され得る。経皮投与に好適な組成物において、担体は、任意の性質を有する好適な添加剤を低比率で任意選択的に組み合わせた、浸透促進剤及び/又は好適な湿潤剤を任意選択的に含むが、これらの添加剤は、重大な有害作用を皮膚にもたらさない。前記添加剤は、皮膚への投与を容易にし得、及び/又は所望の組成物の調製に有用となり得る。
この組成物を、様々な方法で、例えば経皮貼布として、スポットオン製剤として、軟膏剤として投与し得る。投与を容易にし且つ用量を均一にするために、前述した医薬組成物を単位剤形に製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は、単位用量として好適である物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された定義量の有効成分を含む。そのような単位剤形の例は、錠剤(割線入り錠剤又はコーティング錠を含む)、カプセル剤、丸剤、分包散剤、カシェ剤、注射用溶液又は懸濁剤、小さじ量、大さじ量、及び同類のもの、並びにそれらを分割して複合したものである。
本発明の化合物は、その抗腫瘍活性を発揮するか又はそのFGFR阻害効果を発揮するのに充分な量で投与される。
一実施形態では、本発明の化合物又は本発明の医薬組成物は、経口投与用である。
当業者であれば、下記に表される試験結果から有効量を決定できるであろう。一般に、治療有効量は、0.005mg/kg~100mg/kg体重、特に0.005mg/kg~10mg/kg体重であろうことが企図される。必要な用量を、1、2、3、4、又はより多いサブ用量として、1日の間に適切な間隔を置いて投与することが適切であり得る。前記サブ用量を、単位剤形として製剤化し得、例えば、単位剤形当たり0.5~500mg、特に1mg~500mg、より特定すると10mg~500mgの有効成分を含む単位剤形として製剤化し得る。
投与様式に応じて、本医薬組成物は、好ましくは0.05~99重量%、より好ましくは0.1~70重量%、さらにより好ましくは0.1~50重量%の本発明の化合物と、1~99.95重量%、より好ましくは30~99.9重量%、さらにより好ましくは50~99.9重量%の薬学的に許容される担体とを含み、パーセンテージは全て、この組成物の全重量を基準とする。
一部のFGFR阻害剤を他の抗癌剤と組み合わせて使用し得ることが発見された。例えば、アポトーシスを誘導する阻害剤を、細胞成長を制御する異なる機構により作用する別の薬剤と組み合わせて、癌発生の独特の特徴のうちの2つを処置することが有益であり得る。そのような組み合わせの例を、下記に記載する。
本発明の別の態様として、特に医薬品としての使用のための、より具体的には癌又は関連疾患、特にFGFRキナーゼにより媒介される病態又は疾患の処置での使用のための、本発明の化合物と別の抗癌剤との組み合わせが想定される。
上記病態の処置のために、本発明の化合物は、1種又は複数種の他の薬剤、より特定すると、癌治療における他の抗癌剤又はアジュバントと組み合わせて用いることが有利であり得る。抗癌剤又はアジュバント(治療における補助剤)の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:
- アミホスチン、カルボプラチン、又はオキサリプラチンと任意選択的に組み合わせた、白金配位化合物、例えばシスプラチン;
- タキサン化合物、例えば、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(商標))、又はドセタキセル;
- カンプトテシン化合物等のトポイソメラーゼI阻害剤、例えばイリノテカン、SN-38、トポテカン、トポテカンhcl;
- 抗腫瘍性エピポドフィロトキシン又はポドフィロトキシン誘導体等のトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、又はテニポシド;
- 抗腫瘍性ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、又はビノレルビン;
- 抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体、例えば、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシタビン、ゲムシタビンhcl、カペシタビン、クラドリビン、フルダラビン、ネララビン;
- ナイトロジェンマスタード又はニトロソウレア等のアルキル化剤、例えば、メスナ、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テロゾロミド、ウラシルと任意選択的に組み合わせたシクロホスファミド、クロランブシル、カルムスチン、チオテパ、メファラン(メルファラン)、ロムスチン、アルトレタミン、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、イホスファミド;
- 抗腫瘍性アントラサイクリン誘導体、例えば、ダウノルビシン、任意選択的にデクスラゾキサンと組み合わせたドキソルビシン、ドキシル、イダルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、エピルビシンhcl、バルルビシン;
- IGF-1受容体を標的とする分子、例えばピクロポドフィリン;
- テトラカルシン誘導体、例えばテトロカルシンA;
- 糖質コルチコイド、例えばプレドニゾン;
- 抗体、例えば、トラスツズマブ(HER2抗体)、リツキシマブ(CD20抗体)、ゲムツズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、セツキシマブ、ペルツズマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ、エクリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ノフェツモマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、CNTO328;
- エストロゲン受容体アンタゴニスト、又は選択的エストロゲン受容体調節剤、又はエストロゲン合成の阻害剤、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ドロロキシフェン、フェソロデックス、ラロキシフェン、又はレトロゾール;
- エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール、テストラクトン、及びボロゾール等のアロマターゼ阻害剤;
- レチノイド、ビタミンD、又はレチノイン酸等の分化剤、及びレチノイン酸代謝遮断剤(RAMBA)、例えばアキュテイン;
- DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アザシチジン又はデシタビン;
- 抗葉酸剤、例えばペメトレキセド二ナトリウム;
- 抗生物質、例えば、アンチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、レバミソール、プリカマイシン、ミトラマイシン;
- 代謝拮抗薬、例えば、クロファラビン、アミノプテリン、シトシンアラビノシド又はメトトレキサート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン;
- Bcl-2阻害剤等のアポトーシス誘導剤及び抗血管新生薬、例えば、YC137、BH312、ABT737、ゴシポール、HA14-1、TW37、又はデカン酸;
- チューブリン結合剤、例えば、コンブレスタチン、コルヒチン、又はノコダゾール;
- キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR(上皮成長因子受容体)阻害剤、MTKI(マルチターゲットキナーゼ阻害剤)、mTOR阻害剤、cmet阻害剤)、例えば、フラボペリドール(flavoperidol)、イマチニブメシル酸塩、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ラパチニブトシル酸塩、ソラフェニブ、スニチニブ、スニチニブマレイン酸塩、テンシロリムス、6-{ジフルオロ[6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル]メチル}キノリン又はその薬学的に許容される塩、6-[ジフルオロ(6-ピリジン-4-イル[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル)メチル]キノリン又はその薬学的に許容される塩;
- ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばチピファルニブ;
- ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば、酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサミド酸(SAHA)、デプシペプチド(FR 901228)、NVP-LAQ824、R306465、JNJ26481585、トリコスタチンA、ボリノスタット;
- ユビキチン-プロテアソーム経路の阻害剤、例えば、PS-341、MLN.41、又はボルテゾミブ;
- ヨンデリス;
- テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン;
- マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、バチマスタット、マリマスタット、プリノスタット、又はメタスタット。
- 組換えインターロイキン、例えば、アルデスロイキン、デニロイキンディフチトクス、インターフェロンアルファ2a、インターフェロンアルファ2b、ペグインターフェロンアルファ2b
- MAPK阻害剤
- レチノイド、例えば、アリトレチノイン、ベキサロテン、トレチノイン;
- 三酸化ヒ素
- アスパラギナーゼ
- ステロイド類、例えば、プロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナンドロロン(ドカノエート、フェンプロピオネート)、デキサメタゾン
- ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬又は拮抗薬、例えば、アバレリックス、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸リュープロリド
- サリドマイド、レナリドマイド
- メルカプトプリン、ミトタン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ラスブリカーゼ
- BH3模倣体、例えばABT-737
- MEK阻害剤、例えば、PD98059、AZD6244、CI-1040
- コロニー刺激因子類似体、例えば、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム;エリスロポエチン又はその類似体(例えばダルベポエチンアルファ);インターロイキン11;オプレルベキン;ゾレドロネート、ゾレドロン酸;フェンタニル;ビスホスホネート;パリフェルミン。
- ステロイド性シトクロムP450 17アルファ-ヒドロキシラーゼ-17,20-リアーゼ阻害剤(CYP17)、例えば、アビラテロン、酢酸アビラテロン
- PD-1とPD-L1との間の相互作用をブロックする抗体。
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物、又はその任意の下位群及び例と、6-{ジフルオロ[6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル]メチル}キノリン又はその薬学的に許容される塩との組み合わせに関する。
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物、又はその任意の下位群及び例と、6-[ジフルオロ(6-ピリジン-4-イル[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル)メチル]キノリン又はその薬学的に許容される塩との組み合わせに関する。
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物、又はその任意の下位群及び例と、6-{ジフルオロ[6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル]メチル}キノリン又はその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物に関する。
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物、又はその任意の下位群及び例と、6-[ジフルオロ(6-ピリジン-4-イル[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル)メチル]キノリン又はその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物に関する。
本発明の化合物はまた、放射線療法及び化学療法に対する腫瘍細胞の感作における治療的用途も有する。
従って、本発明の化合物は「放射線増感剤」及び/若しくは「化学療法増感剤」として使用され得るか、又は別の「放射線増感剤」及び/若しくは「化学療法増感剤」との組み合わせで投与され得る。
用語「放射線増感剤」は、本明細書で使用される場合、動物に治療有効量で投与されて、電離放射線に対する細胞の感受性を高め、及び/又は電離放射線で処置可能な疾患の処置を促進させる分子、好ましくは低分子量分子と定義される。
用語「化学療法増感剤」は、本明細書で使用される場合、動物に治療有効量で投与されて、化学療法に対する細胞の感受性を高め、及び/又は、化学療法で処置可能な疾患の処置を促進させる分子、好ましくは低分子量分子と定義される。
例えば、酸素を擬態するか又は低酸素下で生体内還元剤のようにふるまう低酸素細胞放射線増感剤(例えば、2-ニトロイミダゾール化合物及びベンゾトリアジンジオキシド化合物);非低酸素細胞放射線増感剤(例えば、ハロゲン化ピリミジン)は、DNA塩基の類似物であり得、癌細胞のDNAに優先的に組み込まれ得、それにより、放射線により誘発されるDNA分子の切断が促進され、並びに/又は正常なDNA修復メカニズムを阻止される等の放射線増感剤の作用様式のいくつかの機序が、文献で示唆されており、且つ疾患の処置における放射線増感剤に関して様々な他の潜在的な作用機序の仮説が立てられている。
多くの癌処置プロトコルは、現在、放射線増感剤をX線の照射と併用している。X線により活性化される放射線増感剤の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:メトロニダゾール、ミソニダゾール、脱メチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU 1069、SR 4233、EO9,RB 6145、ニコチンアミド、5-ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5-ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、及び治療上有効な類似体及びその誘導体。
癌の光線力学的治療(PDT)は、増感剤の放射線活性化因子として可視光を利用する。光線力学的放射線増感剤の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、スズエチオポルフィリン、フェオホルビド-a、バクテリオクロロフィル-a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、並びに治療上有効な類似体及びその誘導体。
放射線増感剤を、治療有効量の1種又は複数種の他の化合物と共に投与し得、この化合物として下記が挙げられるが、これらに限定されない:標的細胞への放射線増感剤の取り込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素、及び/若しくは酸素の流れを制御する化合物;さらなる放射線によるか若しくはよることなく腫瘍に作用する化学療法剤;又は癌若しくは他の疾患を処置するための他の治療上有効な化合物。
化学療法増感剤を、治療有効量の1種又は複数種の他の化合物と共に投与し得、この化合物として下記が挙げられるが、これらに限定されない:標的細胞への化学療法増感剤の取り込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素、及び/若しくは酸素の流れを制御する化合物;腫瘍に作用する化学療法剤、又は癌若しくは他の疾患を処置するための他の治療上有効な化合物。カルシウムアンタゴニスト、例えばベラパミルは、一般に認められている化学療法剤に耐性である腫瘍細胞において化学療法感受性を確立させ、薬物感受性悪性腫瘍におけるそのような化合物の効力を増強させるために、抗新生物剤との組み合わせにおいて有用性が見出されている。
それらの有用な薬理学的性質を鑑みて、本発明に係る組み合わせの成分、即ち1種又は複数種の他の医薬剤(medicinal agent)と、本発明に係る化合物とは、投与目的で種々の医薬形態に製剤化され得る。これらの成分は、個別の医薬組成物に別々に製剤化されてもよいし、全成分を含む単位医薬組成物に製剤化されてもよい。
従って、本発明は、1種又は複数種の他の医薬剤と本発明に係る化合物とを、薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物にも関する。
本発明はさらに、腫瘍細胞の成長を阻害するための医薬組成物の製造における、本発明に係る組み合わせの使用に関する。
本発明はさらに、癌に罹患している患者の処置において同時に、別々に、又は逐次的に使用するための組み合わせ製剤として、第1の有効成分としての本発明に係る化合物と、さらなる有効成分としての1種又は複数種の抗癌剤とを含む製品に関する。
1種又は複数種の他の医薬剤と本発明に係る化合物とを、同時に(例えば、別個の組成物又は単位組成物で)投与してもよいし、いずれかの順序で逐次的に投与してもよい。後者の場合、2種以上の化合物を、有利な効果又は相乗効果が確実に得られるのに十分な期間内、量及び方法で投与する。好ましい投与方法及び投与順序、並びに組み合わせた各成分のそれぞれの投与量及び投与計画は、投与される特定の他の医薬剤及び本発明の化合物、それらの投与経路、処置される特定の腫瘍、並びに処置される特定の宿主に応じて異なることが理解されるであろう。当業者は、最適な投与方法及び投与順序、並びに投与量及び投与計画を、従来の方法を使用し且つ本明細書に記載されている情報を考慮して容易に決定し得る。
組み合わせて投与する場合、当業者は、本発明に係る化合物と1種又は複数種の他の抗癌剤との重量比を決定し得る。前記比、並びに正確な投与量及び投与頻度は、当業者に周知の通り、使用される本発明に係る特定の化合物、及び他の抗癌剤、処置される特定の病態、処置される病態の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間、及び全身の健康状態、投与様式、並びにその個体が服用している可能性がある他の医薬剤に依存する。さらに、有効1日量を、処置される対象の応答に応じて及び/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて減少させ得るか又は増加させ得ることが明らかである。式(I)の本化合物と別の抗癌剤との具体的な重量比は、1/10~10/1、より特定すると1/5~5/1、さらにより特定すると1/3~3/1の範囲であり得る。
白金配位化合物は、一連の処置毎に、体表面積1平方メートル当たり1~500mg(mg/m)、例えば50~400mg/mの投与量で、特にシスプラチンでは約75mg/mの投与量で、カルボプラチンでは約300mg/mの投与量で投与することが有利である。
タキサン化合物は、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり50~400mg(mg/m)、例えば75~250mg/mの投与量で、特にパクリタキセルでは約175~250mg/mの投与量で、ドセタキセルでは約75~150mg/mの投与量で投与することが有利である。
カンプトテシン化合物は、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり0.1~400mg(mg/m)、例えば1~300g/mの投与量で、特にイリノテカンでは約100~350mg/mの投与量で、トポテカンでは約1~2mg/mの投与量で投与することが有利である。
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり30~300mg(mg/m)、例えば50~250mg/mの投与量で、特にエトポシドでは約35~100mg/mの投与量で、テニポシドでは約50~250mg/mの投与量で投与することが有利である。
抗腫瘍ビンカアルカロイドは、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり2~30mg(mg/m)の投与量で、特にビンブラスチンでは約3~12mg/mの投与量で;ビンクリスチンでは約1~2mg/mの投与量で、ビノレルビンでは約10~30mg/mの投与量で投与することが有利である。
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり200~2500mg(mg/m)の投与量、例えば700~1500mg/mの投与量で、特に5-FUでは200~500mg/mの投与量で、ゲムシタビンでは約800~1200mg/mの投与量で、及びカペシタビンでは約1000~2500mg/mで投与することが有利である。
ナイトロジェンマスタード又はニトロソウレア等のアルキル化剤は、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり100~500mg(mg/m)、例えば120~200mg/mの投与量で、特にシクロホスファミドでは約100~500mg/mの投与量で、クロランブシルでは約0.1~0.2mg/kgの投与量で、カルムスチンでは約150~200mg/mの投与量で、ロムスチンでは約100~150mg/mの投与量で投与することが有利である。
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり10~75mg(mg/m)、例えば15~60mg/mの投与量で、特にドキソルビシンでは約40~75mg/mの投与量で、ダウノルビシンでは約25~45mg/mの投与量で、及びイダルビシンでは約10~15mg/mの投与量で投与することが有利である。
抗エストロゲン剤は、特定の薬剤及び処置される病態に応じて、1日当たり約1~100mgの投与量で投与することが有利である。タモキシフェンは、5~50mg、好ましくは1日2回10~20mgの用量で経口投与し、治療効果を達成し且つ維持するのに十分な期間にわたり治療を継続することが有利である。トレミフェンは、1日1回、約60mgの投与量で経口投与し、治療効果を達成し且つ維持するのに十分な期間にわたり治療を継続することが有利である。アナストロゾールは、1日1回、約1mgの投与量で経口投与することが有利である。ドロロキシフェンは、1日1回、約20~100mgの投与量で経口投与することが有利である。ラロキシフェンは、1日1回、約60mgの投与量で経口投与することが有利である。エキセメスタンは、1日1回、約25mgの投与量で経口投与することが有利である。
抗体は、体表面積1平方メートル当たり約1~5mg(mg/m)の投与量で投与するか、又は異なる場合には当技術分野で知られている通りに投与することが有利である。トラスツズマブは、一連の治療毎に、体表面積1平方メートル当たり1~5mg(mg/m)、特に、2~4mg/mの投与量で投与することが有利である。これらの投与量は、一連の治療毎に、例えば1回又は2回以上投与されてもよく、それが、例えば7日毎、14日毎、21日毎、又は28日毎に繰り返されてもよい。
式(I)の化合物、その薬学的に許容される付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩、及び立体異性体形態は、それらが、標識された化合物と、他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素、又は受容体との間の複合体の形成の検出又は特定に使用され得る点で有用な診断用の性質を有し得る。
検出又は特定の方法は、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質等の標識剤により標識されている化合物を使用し得る。放射性同位体の例として、125I、131I、H、及び14Cが挙げられる。酵素は、通常、検出可能な反応を触媒する適切な基質の共役によって検出可能になる。その例として、例えば、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、及びリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられる。発光物質として、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリン、及びルシフェラーゼが挙げられる。
生体サンプルは、体組織又は体液と定義され得る。体液の例は、脳脊髄液、血液、血漿、血清、尿、痰、唾液、及び同類のものである。
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を、下記の実施例で説明する。別途断りがない限り、出発物質は全て、市販業者から入手し、さらに精製することなく使用した。
立体中心が「RS」で示される場合、別途示さない限り、これは、この示された中心で立体異性体の混合物が得られたことを意味する。いくつかの化合物中の立体中心に関する立体化学的配置は、「R」若しくは「S」で、及び/又は絶対立体配置を示す実線のくさび形結合若しくは破線のくさび形結合で示されることが知られている。いくつかの化合物について、示された立体中心での立体化学的配置は、実線の結合と共に「R」若しくは「S」として示されるか、又は立体中心での絶対立体化学的を示す実線のくさび形結合若しくは破線のくさび形結合は、絶対的ではあるが未確定である。そのため、Sとして示される立体中心は、絶対立体中心であることを意味するが、それがSかRかは判別されない。
これ以降で使用される場合、用語:「RT」又は「rt」は、室温を意味し;「TFA」は、トリフルオロ酢酸を意味し、「FA」は、ギ酸を意味し、「TfOH」は、トリフルオロメタンスルホン酸を意味し、「DIPEA」又は「DIEA」は、エチルジイソプロピルアミン、又はN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン、又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「R」又は「R」は、保持時間を意味し、「SFC」は、超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「ACN」は、アセトニトリルを意味し、「DEA」は、ジエチルアミンを意味し、「IPA」は、イソプロピルアルコールを意味し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを意味し、「DCM」は、ジクロロメタンを意味し、「TBAI」は、ヨウ化テトラブチルアンモニウムを意味し、「M.P.」又は「m.p.」は、融点を意味し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを意味し、「TLC」は、薄層クロマトグラフィーを意味し、「LC-MS」は、液体クロマトグラフィー-質量分析を意味し、「ee」は、エナンチオマー過剰を意味する。
実施例1
Figure 2022515622000042

a)中間体1の調製
7-ヒドロキシチエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000043

中間体1を、Journal of Chemical Research,Miniprint,1980,#1p.113-126で説明されているように合成した。
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)7.94(d,J=5.3Hz,1H),7.12(d,J=5.5Hz,1H),6.00(s,1H).
b)中間体2の調製
6-((フェニルアミノ)メチレン)チエノ[3,2-b]ピリジン-5,7(4H,6H)-ジオン
Figure 2022515622000044

撹拌子、中間体1(7-ヒドロキシチエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン)(65.0g,389mmol)、及びエチレングリコール(600mL)を、1L丸底フラスコに入れた。得られた混合物を135℃で撹拌し、トリメトキシメタン(61.9g,583mmol)及びアニリン(36.2g,389mmol)で一度に処理した。得られた混合物を、16時間にわたり135℃で撹拌した。この混合物を25℃まで冷却し、ろ別した。ろ過ケーキを、エタノール(100mL)で洗浄した。この固体を50℃で乾燥させて、黄色固体として中間体2(52.0g,純度97.9%,収率48.4%)を得た。
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)13.48(d,J=13.2Hz,0.6H),12.80(d,J=13.7Hz,0.4H),11.46(s,0.4H),11.32(s,0.6H),8.84-8.75(m,1H),7.96-7.90(m,1H),7.53-7.47(m,2H),7.46-7.38(m,2H),7.27-7.20(m,1H),6.95-6.88(m,1H)
c)中間体3の調製
7-クロロ-5-オキソ-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルバルデヒド
Figure 2022515622000045

撹拌子、中間体2(6-((フェニルアミノ)メチレン)チエノ[3,2-b]ピリジン-5,7(4H,6H)-ジオン)(52.0g,192mmol)、三塩化ホスホリル(52.7g,344mmol)、及び乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(800mL)を、2L丸底フラスコに入れた。得られた混合物を、18時間にわたり60℃で撹拌した。この混合物を氷水に注ぎ、黄色固体が析出し、この混合物を1時間にわたり25℃で撹拌した。この黄色固体をろ別により集めて、黄色固体として中間体3(33.0g,純度95.6%,収率76.8%)を得た。
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)13.13-12.58(m,1H),10.23-10.14(m,1H),8.25(d,J=5.3Hz,1H),7.07(d,J=5.3Hz,1H)
d)中間体4の調製
6-モルホリノピリジン-3,4-ジアミン
Figure 2022515622000046

中間体4を、国際公開第2014/08197A1号パンフレットで説明されているように合成した。
e)中間体5の調製
7-クロロ-6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000047

撹拌子、中間体3(7-クロロ-5-オキソ-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルバルデヒド)(1.00g,4.68mmol)、中間体4(6-モルホリノピリジン-3,4-ジアミン)(1.09g,5.61mmol)、塩化第二鉄(3.04g,18.7mmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン(10mL)を、40mLガラス瓶に入れ、1時間にわたり110℃で撹拌した。次いで、この混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)でpH=約9.0に調整し、ろ過し、次いで、ろ液をジクロロメタン(20mL×3回)で抽出した。まとめた有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗物質を得、この粗物質を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン:ジクロロメタン=0%~50%)で精製して、黒色粉末として中間体5(900mg,純度86.0%,収率42.6%)を得た。
LCMS(ESI)(基本手順A;方法1):R=0.79分、C17H14ClNSの質量計算値387.06、m/z実測値388.1[M+H]
f)化合物1、2、及び3の調製
6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン;(S)-6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン;及び(R)-6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000048

撹拌子、中間体5(7-クロロ-6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン)(400mg,0.887mmol)、中間体6((S)-1-(ピリミジン-2-イル)エタンアミンヒドロクロリド)(213mg,1.33mmol)、重炭酸ナトリウム(224mg,2.67mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(34.5mg,0.093mmol)、水(1mL)、及びクロロホルム(6mL)を、8mLガラス瓶に入れ、12時間にわたり60℃で撹拌した。この混合物を室温まで緩やかに冷却し、ジクロロメタン(20mL)で希釈し、水(10mL×5回)で抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、化合物1(立体異性体の混合物)を得た。この粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製した。次いで、この生成物を、分取HPLC(カラム:Agela DuraShell 150mm_25mm_5um、移動相A:水(10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、勾配条件38%B~68%B)でさらに精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この溶液を凍結乾燥させて、生成物を得た。この生成物を、SFC分離(分離条件:OJ(250mm*30mm、10um);移動相:A:超臨界CO、B:0.1%NHO EtOH、A:B=55:45(80mL/分);カラム温度:38℃;ノズル圧:100Bar;ノズル温度:60℃;エバポレーター温度:20℃;トリマー温度:25℃;波長:220nm)で精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この混合物を凍結乾燥させて、黄色粉末として化合物2(36.4mg,純度100%,収率8.7%)を得、黄色粉末として化合物3(106mg,純度100%,収率25.1%)を得た。
化合物2 (S)-6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000049

LC-MS(ESI)(基本手順B;方法1):R=3.58分、C2322Sの質量計算値474.16、m/z実測値475.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)δ 13.16(s,0.3H),13.12(s,0.7H),12.69(d,J=7.9Hz,0.3H),12.51(d,J=7.9Hz,0.7H),11.99(s,0.3H),11.96(s,0.7H),8.87-8.82(m,2H),8.59(s,0.3H),8.52(s,0.7H),7.98-7.94(m,1H),7.45-7.39(m,1H),7.03(s,0.7H),7.00-6.97(m,1H),6.90(s,0.3H),5.73-5.63(m,1H),3.80-3.70(m,4H),3.41-3.37(m,4H),1.87-1.78(m,3H).
化合物3
(R)-6-(6-モルホリノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000050

LC-MS(ESI)(基本手順B、方法1):R=3.58分、C2322Sの質量計算値474.16、m/z実測値475.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)δ 13.26(br.s.,0.2H),13.18(br.s.,0.8H),12.68(d,J=7.7Hz,0.3H),12.51(d,J=7.9Hz,0.7H),11.91(br.s.,1H),8.87-8.82(m,2H),8.59(s,0.3H),8.51(s,0.7H),7.97-7.93(m,1H),7.44-7.40(m,1H),7.02(s,0.7H),7.00-6.96(m,1H),6.89(s,0.3H),5.73-5.64(m,1H),3.79-3.72(m,4H),3.40-3.36(m,4H),1.86-1.79(m,3H).
実施例2
Figure 2022515622000051

a)中間体9の調製
2-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-5-ニトロピリジン-4-アミン
Figure 2022515622000052

撹拌子、中間体7(2-クロロ-5-ニトロピリジン-4-アミン)(1.00g,5.76mmol)、中間体8(cis-2,6-ジメチルモルホリン)(800mg,6.95mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.24g,17.3mmol)、及びn-ブタノール(10mL)を、40mLガラス瓶に入れ、16時間にわたり110℃で撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、黄色固体が生じた。この沈殿物をろ別し、エタノール(5mL×3回)で洗浄して、黄色粉末として中間体9(1.50g,純度90.0%,収率92.9%)を得た。
b)中間体10の調製
6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)ピリジン-3,4-ジアミン
Figure 2022515622000053

撹拌子、中間体9(2-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-5-ニトロピリジン-4-アミン)(1.50g,5.95mmol)、及びメタノール(50mL)を水素化ガラス75mLに添加した後、この混合物に、湿ったパラジウム炭素(400mg,水中に50%)を添加し、窒素で3回脱気した後に水素で3回脱気し、次いで、この混合物を、水素(40psi)雰囲気下で2時間にわたり30℃にて撹拌した。この混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して粗生成物を得、この粗生成物を、分取HPLC(カラム:Gemini 150×25 5μ、移動相:水(0.05%NH.HO)、移動相B:アセトニトリル、勾配:5%B~35%B)で精製した。純粋な画分を集め、溶媒を真空下で蒸発させた。水層を凍結乾燥させて、褐色粉末として中間体10(800mg、純度95.0%、収率57.5%)を得た。
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Bruker)δ=7.32(s,1H),5.95(s,1H),5.29(s,2H),3.76-3.67(m,2H),3.64-3.51(m,4H),2.18-2.07(m,2H),1.12(d,J=6.3Hz,6H)
c)中間体12の調製
7-クロロ-6-(6-cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000054

撹拌子、中間体3(7-クロロ-5-オキソ-4,5-ジヒドロチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルバルデヒド)(579mg,2.71mmol)、中間体10(6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)ピリジン-3,4-ジアミン)(620mg,2.79mmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン(10mL)を、40mLガラス瓶に入れ、次いで、この反応混合物にFeCl(888mg,5.48mmol)を添加し、1時間にわたり110℃で撹拌した。この混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)でpH=約9.0に調整し、ろ過した。次いで、ろ液を、ジクロロメタン(20mL×3回)で抽出した。まとめた有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、この粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン=0%~5%メタノール)で精製して、黒色粉末として中間体12(220mg,純度80.0%,収率15.6%)を得た。
d)化合物6、化合物7、及び化合物8の調製
(rac)-6-(6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン;(S*)-6-(6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン;及び(R*)-6-(6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000055

撹拌子、中間体12(7-クロロ-6-(6-cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン)(200mg,0.385mmol)、中間体13((rac)-2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エタンアミンヒドロクロリド)(72.5mg,0.382mmol)、N,Nジイソプロピルエチルアミン(494mg,3.82mmol)、及びn-ブタノール(5mL)を、40mLガラス瓶に入れ、16時間にわたり110℃で撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(10mL×5回)で抽出した。まとめた有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、この粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製し、分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 250×50 10u、移動相A:水(0.225%TFA)、移動相B:アセトニトリル、流速:22mL/分、勾配条件:18%B~48%B)でさらに精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この混合物を凍結乾燥させて、黄色粉末として化合物6(50.0mg,純度100%,収率24.4%)を得た。
LC-MS(基本手順C、方法1):R=1.98分;ピーク面積:100%。
化合物7及び8を、化合物6のSFC分離(分離条件:OJ(250mm×30mm、10um);移動相:A:超臨界CO、B:0.1%NHO MeOH:A:B=55:45(80mL/分);カラム温度:38℃;ノズル圧:100Bar;ノズル温度:60℃;エバポレーター温度:20℃;トリマー温度:25℃;波長:220nm)により得た。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この溶液を凍結乾燥させて、黄色粉末として化合物7(11.6mg,純度99.0%,収率23.0%)を得、黄色粉末として化合物8(16.6mg,純度100%,収率33.2%)を得た。
化合物7
(S*)-6-(6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000056

LC-MS(ESI)(基本手順B;方法1):R=3.75分、C2628Sの質量計算値532.20、m/z実測値533.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Bruker)δ 13.35-13.07(m,1H),12.77(d,J=8.3Hz,0.3H),12.63(d,J=8.3Hz,0.7H),12.17-11.71(m,1H),8.83(d,J=4.8Hz,2H),8.57(s,0.3H),8.46(s,0.7H),7.94-7.86(m,1H),7.45-7.40(m,1H),7.02(s,0.7H),6.98(d,J=5.5Hz,1H),6.81(s,0.3H),5.78-5.68(m,1H),4.26-4.15(m,1H),4.10-4.00(m,3H),3.75-3.65(m,2H),3.43-3.41(m,3H),2.37-2.30(m,2H),1.22-1.15(m,6H).
化合物8
(R*)-6-(6-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000057

LC-MS(ESI)(基本手順B;方法1):R=3.75分、C2628Sの質量計算値532.20、m/z実測値533.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Bruker)δ 13.45-13.12(m,1H),12.76(d,J=7.5Hz,0.3H),12.62(d,J=7.8Hz,0.7H),11.94(br.s.,1H),8.82(d,J=4.8Hz,2H),8.57(s,0.3H),8.45(s,0.7H),7.89(d,J=5.3Hz,1H),7.42(t,J=4.8Hz,1H),7.01(s,0.7H),6.98(d,J=5.3Hz,1H),6.80(s,0.3H),5.79-5.65(m,1H),4.26-4.15(m,1H),4.11-3.99(m,3H),3.75-3.63(m,2H),3.43-3.40(m,3H),2.40-2.30(m,2H),1.21-1.15(m,6H).
下記の化合物を、必要に応じて代替の出発物質を使用して、上記の実施例のうちの1つの反応プロトコルに従って調製した。(表1において、Ex.Xは、この化合物の調製が実施例Xで説明されているか又は実施例Xに従って調製されることを示す)。
当業者に理解されているように、示されたプロトコルを使用して合成される化合物は、溶媒和物、例えば水和物として存在し得、及び/又は残留溶媒若しくは少量の不純物を含み得る。塩形態として単離される化合物は、化学量論的な整数、即ち、一塩若しくは二塩であってもよいし、中間の化学量論であってもよい。
Figure 2022515622000058
Figure 2022515622000059
化合物についての精製法、LCMS、SFC、及びNMRは、表1に示される手順に従って調製した。
化合物4
6-(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000060

及び化合物5
(S)-6-(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-7-((1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000061

反応を完了させた後、この混合物を室温まで緩やかに冷却し、ジクロロメタン(20mL)で希釈し、水(10mL×5回)で抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗化合物4(立体異性体の混合物)を得、この粗化合物4を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン:ジクロロメタン=0%~100%テトラヒドロフラン)で精製した。次いで、化合物4を、分取HPLC(カラム:Agela DuraShell 150mm_25mm_5um、移動相A:水(10mM NHHCO)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、勾配条件:20% B~50% B)でさらに精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この溶液を凍結乾燥させて粗生成物を得、この粗生成物を、超臨界流体クロマトグラフィー(分離条件:OJ(250mm×30mm、10um);移動相:A:超臨界CO、B:0.1%NHO EtOH、A:B=65:35(80mL/分);カラム温度:38;ノズル圧:100Bar;ノズル温度:60;エバポレーター温度:20;トリマー温度:25;波長:220nm)で精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥させて、黄色粉末として化合物5(55.2mg、純度98.8%、収率8.6%)を得た。
LC-MS(ESI)(基本手順B;方法1):R=3.05分、C2425OSの質量計算値487.19、m/z実測値488.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)δ13.12(s,0.3H),13.08(s,0.7H),12.70(d,J=7.9Hz,0.3H),12.52(d,J=7.9Hz,0.7H),11.95(br.s.,1H),8.87-8.81(m,2H),8.57(s,0.3H),8.49(s,0.7H),7.98-7.92(m,1H),7.44-7.39(m,1H),7.02-6.96(m,1.7H),6.89-6.85(m,0.3H),5.73-5.63(m,1H),3.45-3.42(m,4H),2.48-2.42(m,4H),2.23(s,3H),1.86-1.79(m,3H).
化合物9、化合物10、及び化合物11
6-(5-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-7-(((S*)-2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン;(S*)-6-(5-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-7-(((S*)-2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン;及び(R*)-6-(5-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-7-(((S*)-2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000062

反応を完了させた後、混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(30mL)で希釈し、水(8mL×5回)で抽出した。まとめた有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物9を得、この粗生成物9を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール10:1)で精製して、黄色粉末として化合物9(50.0mg,純度99.0%,収率64.4%)を得た。このラセミ生成物を、SFC(分離条件:AD(250mm×30mm、10um);移動相:A:超臨界CO、B:0.1%NHO MeOH、A:B=55:45(80mL/分);カラム温度:38;ノズル圧:100Bar;ノズル温度:60℃;エバポレーター温度:20℃;トリマー温度:25℃;波長:220nm)で精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この溶液を凍結乾燥させて、黄色粉末として化合物10(9.8mg,純度99.1%,収率19.4%)を得、黄色粉末として化合物11(2.7mg,純度98.8%,収率5.3%)を得た。
化合物10
(S*)-6-(5-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-7-(((S*)-2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000063

LC-MS(ESI)(基本手順B;方法1):R=3.94分、C2628Sの質量計算値532.20、m/z実測値533.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)δ 13.09(s,0.5H),12.94(s,0.5H),12.69(d,J=8.2Hz,0.5H),12.40(d,J=8.2Hz,0.5H),11.97(br.s.,0.5H),11.85(br.s.,0.5H),8.74(t,J=5.1Hz,2H),7.83(d,J=2.9Hz,0.5H),7.81(d,J=2.9Hz,0.5H),7.78(d,J=8.8Hz,0.5H),7.69(d,J=9.0Hz,0.5H),7.35(t,J=4.9Hz,1H),6.92-6.88(m,1H),6.73-6.66(m,1H),5.70-5.61(m,1H),4.19-4.02(m,3H),4.00-3.93(m,1H),3.65-3.54(m,2H),3.40-3.32(m,3H),2.40-2.28(m,2H),1.14-1.06(m,6H).
化合物11
(R*)-6-(5-(cis-2,6-ジメチルモルホリノ)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-7-(((R*)-2-メトキシ-1-(ピリミジン-2-イル)エチル)アミノ)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン
Figure 2022515622000064

LC-MS(ESI)(基本手順B;方法1):R=3.94分、C2628Sの質量計算値532.20、m/z実測値533.0[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Bruker)δ 12.68(d,J=7.3Hz,0.4H),12.40(d,J=7.3Hz,0.6H),8.87-8.75(m,2H),7.91-7.79(m,1.4H),7.77-7.69(m,0.6H),7.42(t,J=4.9Hz,1H),7.02-6.93(m,1H),6.81-6.69(m,1H),5.76-5.69(m,1H),4.25-4.09(m,3H),4.08-4.00(m,1H),3.74-3.59(m,2H),3.42-3.40(m,3H),2.46-2.35(m,2H),1.22-1.14(m,6H).
化合物12
(S*)-7-((2-メチル-1-(ピリミジン-2-イル)プロピル)アミノ)-6-(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)チエノ[3,2-b]ピリジン-5(4H)-オン 0.6ギ酸塩
Figure 2022515622000065

反応が完了した後、この混合物を室温まで緩やかに冷却し、ジクロロメタン(20mL)で希釈し、水(10mL×5回)で抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、この粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製し、分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 250×50 10u、移動相A:水(10Mm NHHCO)、移動相B:アセトニトリル、流速:22mL/分、勾配条件:12% B~42% B)でさらに精製した。純粋な画分を集め、揮発性物質を真空下で除去した。残留物を、アセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。この混合物を凍結乾燥させて、黄色粉体として化合物12(6.0mg、純度98.5%、収率14.5%)。
LC-MS(ESI)(基本手順B、方法1):R=3.27分、C2629OSの質量計算値515.22、m/z実測値516.1[M+H]
基本手順A:H NMR(400MHz,DMSO-d)(Varian)δ 12.83(br.s.,1H),12.75(d,J=8.4Hz,1H),11.36(br.s.,1H),8.79-8.69(m,2H),8.62(br.s.,0.7H),8.54(br.s.,0.3H),8.46(br.s.,0.6H),7.55-7.48(m,1H),7.22-7.11(m,1H),7.03-6.93(m,1H),6.90(br.s.,0.3H),6.71(br.s.,0.7H),5.61-5.53(m,1H),3.77-3.39(m,4H),2.89-2.79(m,4H),2.79-2.71(m,1H),2.63-2.48(m,3H),1.24-1.17(m,6H).
分析パート
LCMS HPLC
基本手順A
LCMS測定を、脱気装置を備えたクォータナリポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(別途示されていない限り50℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)、及び下記の各方法において指定されるカラムを含むShimadzu LCMS-2010 EVシリーズシステムを使用して実施した。カラムからの流れを分割して、MSスペクトロメーターに送った。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源を備えるものであった。0.25秒のサイクル時間を使用して100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。検出器電圧は1.6kVであり、イオン源温度を250℃で維持した。窒素を、ネブライザーガスとして使用した。データ取得を、LCMSソルーションデータシステムで実施した。
方法1
基本手順Aに加えて:0.8mL/分の流速で、Xtimate C18カラム(2.1*30mm、3um)で逆相HPLCを実行した。2種の移動相(移動相A:水(4L)+TFA(1.5mL);移動相B:アセトニトリル(4L)+TFA(0.75mL)を用いて、勾配条件(6分で90%A、10%Bから20%A、80%Bへ、次いで0.5分にわたりこの条件を保持、0.01分で90%A及び10%Bへ、次いで0.49分にわたり90%A、10Bで再平衡)を実行した。0.1~20μLの注入容積を使用した。コーン電圧は、正イオン化モードの場合には70Vであった。
基本手順B
LC測定を、脱気装置、バイナリポンプ、オートサンプラー、カラムヒーター、ダイオードアレイ検出器(DAD)、及び下記の各方法において指定されるカラムを含むAgilent 1200 HPLCシステムを使用して実施した。DADからの流れを分割して、MSスペクトロメーター(Agilent 6110又は6140)及びELSDに送った。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源を備えるものであった。ネブライザーガスとして、窒素を使用した。乾燥ガス温度を、350℃で維持した。キャピラリ電圧は、正イオン化モードでは2.5Vであり、負イオン化モードでは3.0Vであった。質量スペクトルを、ステップサイズ0.1で100から1000まで走査することにより取得した。サイクルタイムは、0.89秒/サイクルである。データ取得を、Chemstation B.04.03で実施した。
方法1
基本手順Bに加えて:逆相HPLCを、0.8ml/分の流速で、Agilent TC-C18カラム(5μm、2.1×50mm)で実行した。2種の移動相(移動相A:水+0.1% TFA;移動相B:アセトニトリル+0.05% TFA)を使用した。100%Aを1分間保持し、100%Aから40%Aへの勾配を4分間適用し、2.5分間で40%Aから15%Aへ低下させた。次いで、2分間で100%Aに戻し、0.5分間保持した。ポスト時間は0.5分である。オーブン温度は、50℃であった。注入容積は2μLである。(MS極性:正)
基本手順C
HPLC測定を、脱気装置を備えたクォータナリポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(別途示されていない限り50℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)、及び下記の各方法において指定されるカラムを含むAgilent1200シリーズシステムを使用して実施した。カラムからの流れを分割して、MSスペクトロメーターに送った。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源を備えるものであった。0.52秒のサイクル時間を使用して100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。キャピラリーニードル電圧は2.5kVであり、イオン源温度を350℃で維持した。窒素を、ネブライザーガスとして使用した。データ取得を、LC/MSD ChemStationデータシステムで実施した。
方法1
基本手順Cに加えて:0.8mL/分の流速で、Xbridge Shield RP-18カラム(5um、2.1*50mm)で逆相HPLCを実行した。2種の移動相(移動相A:水(1L)+NHO(0.5mL);移動相B:アセトニトリル)を用いて、勾配条件(6分で90%A、10%Bから20%A、80%Bへ、次いで0.5分にわたりこの条件を保持、0.01分で90%A及び10%Bへ、次いで0.49分にわたり90%A、10Bで再平衡)を実行した。0.1~20μLの注入容積を使用した。コーン電圧は、正イオン化モードの場合には70Vであった。
NMR
NMRに関する基本手順A
NMR実験を、周囲温度で、内部重水素ロックを使用し、Bruker Avance III 400の場合はBBO 400 MHzプローブヘッドを装備して、Varian 400の場合はVarian 400 ASW PFG 4nuc(H、13C、19F、31P)プローブヘッドを装備した、Bruker Avance III 400及びVarian 400分光計を使用して実施した。化学シフト(δ)は、百万分率(ppm)で報告される。
薬理学パート
生物学的アッセイ
FGFR3野生型移動度シフトアッセイ(酵素アッセイ)
25μLの最終反応体積で、0.04ng/μLのヒトFGFR3野生型酵素(Carna Biosciencesからの細胞質ドメイン)を、75μM ATP、1μM FL-ペプチド30基質、及び250nLの試験用化合物(1%DMSO最終)と共にアッセイバッファー(100mM HEPES pH7.4、10mM MgCl、0.003% Brij35、1mM DTT)中でインキュベートした。30℃で50分間のインキュベーションの後に、10μLの0.5M EDTA pH8.0で反応を停止させ、次いで25μLの反応混合物を、リーディングプレートに移し、キャリパーEZリーダーIIで測定した。基質-生成物変換率は、正規化の生データとして使用され、濃度反応曲線(10μMから始まる4倍連続希釈での10用量点)を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
FGFR3 V555M移動度シフトアッセイ(酵素アッセイ)
25μLの最終反応体積で、0.04ng/μLのヒトFGFR3 V555M酵素(Carna Biosciencesからの、V555M変異を保有する細胞質ドメイン)を、30μM ATP、1μM FL-ペプチド30基質、及び250nLの試験用化合物(1%DMSO最終)と共にアッセイバッファー(100mM HEPES pH7.4、10mM MgCl、0.003% Brij35、1mM DTT)中でインキュベートした。30℃で45分間のインキュベーションの後に、10μLの0.5M EDTA pH8.0で反応を停止させ、次いで25μLの反応混合物を、リーディングプレートに移し、キャリパーEZリーダーIIで測定した。基質-生成物変換率は、正規化の生データとして使用され、濃度反応曲線(10μMから始まる4倍連続希釈での10用量点)を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
FGFR3 V555L移動度シフトアッセイ(酵素アッセイ)
25μLの最終反応体積で、0.04ng/μLのヒトFGFR3 V555L酵素(Carna Biosciencesからの、V555L変異を保有する細胞質ドメイン)を、40μM ATP、1μM FL-ペプチド30基質、及び250nLの試験用化合物(1%DMSO最終)と共にアッセイバッファー(100mM HEPES pH7.4、10mM MgCl、0.003% Brij35、1mM DTT)中でインキュベートした。30℃で50分間のインキュベーションの後に、10μLの0.5M EDTA pH8.0で反応を停止させ、次いで25μLの反応混合物を、リーディングプレートに移し、キャリパーEZリーダーIIで測定した。基質-生成物変換率は、正規化の生データとして使用され、濃度反応曲線(10μMから始まる4倍連続希釈での10用量点)を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
NIH/3T3 FGFR3 WT-TACC3細胞増殖アッセイ
1日目に、90μLの細胞懸濁液(FGFR3 WT-TACC3融合タンパク質を過剰発現するNIH/3T3細胞)(増殖培地(1%Glutamax、10%FBS、及び1%Pen/Strepを含むDMEM)中の1ウェル当たり合計30,000個の細胞)を、96ウェルプレートに播き、次いで37℃及び5%COで一晩インキュベートした。2日目に、試験用化合物の10倍原液を含む10μLの増殖培地を、細胞培養(10μMから始まる4倍連続希釈での9用量点、0.1%DMSO最終)中に添加した。37℃及び5%COで72時間インキュベーションした後、5日目に、体積50μLのCellTiter Glo(CTG)試薬を、細胞を入れた96-ウェルプレート中に添加し、このプレートを室温で10分間インキュベートした後、発光検出モジュールを有するマイクロプレートリーダーで、RLU(相対発光量)を測定した。RLU値を生存%まで正規化し、濃度反応曲線を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
NIH/3T3 FGFR3 V555M-TACC3細胞増殖アッセイ
1日目に、90μLの細胞懸濁液(FGFR3 V555M-TACC3融合タンパク質を過剰発現するNIH/3T3細胞)(増殖培地(1%Glutamax、10%FBS、及び1%Pen/Strepを含むDMEM)中の1ウェル当たり合計30,000個の細胞)を、96ウェルプレートに播き、次いで37℃及び5%COで一晩インキュベートした。2日目に、試験用化合物の10倍原液を含む10μLの増殖培地を、細胞培養(10μMから始まる4倍連続希釈での9用量点、0.1%DMSO最終)中に添加した。37℃及び5%COで72時間インキュベーションした後、5日目に、体積50μLのCellTiter Glo(CTG)試薬を、細胞を入れた96-ウェルプレート中に添加し、このプレートを室温で10分間インキュベートした後、発光検出モジュールを有するマイクロプレートリーダーで、RLU(相対発光量)を測定した。RLU値を生存%まで正規化し、濃度反応曲線を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
NIH/3T3モック細胞増殖アッセイ
1日目に、90μLの細胞懸濁液(上記の2つの増殖アッセイと同じコントロールベクターをトランスフェクトしたNIH/3T3細胞)(増殖培地(1%Glutamax、10%FBS、及び1%Pen/Strepを含むDMEM)中の1ウェル当たり合計30,000個の細胞)を、96ウェルプレートに播き、次いで37℃及び5%COで一晩インキュベートした。2日目に、試験用化合物の10倍原液を含む10μLの増殖培地を、細胞培養(30μMから始まる3倍連続希釈での9用量点、0.3%DMSO最終)中に添加した。37℃及び5%COで72時間インキュベーションした後、5日目に、体積50μLのCellTiter Glo(CTG)試薬を、細胞を入れた96-ウェルプレート中に添加し、プレートを室温で10分間インキュベートした後、発光検出モジュールを有するマイクロプレートリーダーで、RLU(相対発光量)を測定した。RLU値を生存%まで正規化し、濃度反応曲線を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。このアッセイは、NIH/3T3 FGFR WT/V555M-TACC3細胞増殖アッセイに関するカウンターアッセイとして機能し、オフターゲット効果によって引き起こされる試験用化合物の一般的な毒性を示す。
NIH/3T3 FGFR3 WT-TACC3細胞性phospho-ERKアッセイ(in vitroでのPDアッセイ)
50μLの細胞懸濁液(FGFR3 WT-TACC3融合タンパク質を過剰発現するNIH/3T3細胞)(増殖培地(1%Glutamax、10%FBS、及び1%Pen/Strepを含むDMEM)中の1ウェル当たり合計10,000個の細胞)を、384ウェルプレートに播いた。37℃及び5%COで一晩インキュベーションした後、10倍の試験用化合物を含む5.5μLの増殖培地を、細胞培養(10μMから始まる4倍連続希釈での10用量点、0.1%DMSO最終)中に添加した。37℃及び5%COで1時間インキュベーションした後、培地は使い果たされ、AlphaLISA SureFire Ultra p-ERK1/2(Thr202/Tyr204)アッセイキット(PerkinElmerから)を、キット説明書に従って、phospho-ERKレベル検出について適用した。RFU(相対蛍光単位)をEnVisionマイクロプレートリーダー(ex.680nm,em.615nm)で測定し、濃度反応曲線を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
NIH/3T3 FGFR3 V555M-TACC3細胞性phospho-ERKアッセイ(in vitroでのPDアッセイ)
50μLの細胞懸濁液(FGFR3 V555M-TACC3融合タンパク質を過剰発現するNIH/3T3細胞)(増殖培地(1%Glutamax、10%FBS、及び1%Pen/Strepを含むDMEM)中の1ウェル当たり合計10,000個の細胞)を、384ウェルプレートに播いた。37℃及び5%COで一晩インキュベーションした後、10倍の試験用化合物を含む5.5μLの増殖培地を、細胞培養(10μMから始まる4倍連続希釈での10用量点、0.1%DMSO最終)中に添加した。37℃及び5%COで1時間インキュベーションした後、培地は使い果たされ、AlphaLISA SureFire Ultra p-ERK1/2(Thr202/Tyr204)アッセイキット(PerkinElmerから)を、キット説明書に従って、phospho-ERKレベル検出について適用した。RFU(相対蛍光単位)をEnVisionマイクロプレートリーダー(ex.680nm,em.615nm)で測定し、濃度反応曲線を、Prismを使用してプロットし、IC50(M)、pIC50(-logIC50)、及びHillSlope値を計算した。
Figure 2022515622000066

Claims (30)

  1. 式(I):
    Figure 2022515622000067

    [式中、
    、A、及びAはそれぞれ、独立して、CH、CR、又はNを表し、但し、A、A、及びAのうちの最大2つは、CRを表し得;
    C1は、水素若しくはC1~4アルキルであり;
    C2は、水素、C1~4アルキル、ヒドロキシル、若しくはC1~4アルコキシであるか;
    又はC1及びC2は一緒に、それらが結合している炭素原子と共にC3~6シクロアルキルを形成し;
    Yは、直接的結合、-O-、C(=O)、NR、S(=O)、又はC1~4アルキルであり;
    は、水素又はC1~4アルキルであり;
    各Rは、独立して、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロ、C1~6アルコキシ、カルボキシル、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノ、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり;
    各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、シアノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH(C1~4アルキル)、-C(=O)-N(C1~4アルキル)、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリル、又はC3~6シクロアルキル又はフェニル又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルで置換されているC1~6アルキルであり;
    Dは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
    各Rは、独立して、オキソ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルキルオキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルキルオキシ、カルボキシル、HOOC-C1~6アルキル-、-C(=O)-O-C1~6アルキルで置換されているC1~6アルキル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、シアノ、シアノC1~6アルキル、C1~6アルキル-C(=O)-、-SO-C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、N、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式飽和ヘテロシクリル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の単環式芳香族ヘテロシクリルであり;
    Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~12員のカルボシクリル又は3~12員のヘテロシクリルであり、前記カルボシクリル及びヘテロシクリルはそれぞれ、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されており;
    各Rは、独立して、C1~6アルキル、シアノ、ハロ、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシC1~6アルキル、ハロC1~6アルキル、オキソ、-SO-NH、-SO-NH(C1~4アルキル)、-SO-N(C1~4アルキル)、-NH-C(=O)-C2~6アルケニル、-C(=O)-C1~6アルキル、-C(=O)-C2~6アルケニル、C1~6アルキル-O-C(=O)-、C3~6シクロアルキル、フェニル、又はN、O、若しくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~6員の単環式ヘテロシクリルである]
    の化合物であって、その任意の互変異性体形態及び立体化学的異性体形態を含む化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物。
  2. 下記式(I-a)
    Figure 2022515622000068

    を有する、請求項1に記載の化合物。
  3. Dは、ピペラジン-1-イルであり、前記ピペラジン-1-イルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. Dは、モルホリン-1-イルであり、前記モルホリン-1-イルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
  5. Dは、4、5、6、又は7員の単環式ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
  6. A2は、Nを表し、且つA及びAはそれぞれ、CHを表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. は、Nを表し、且つA及びAはそれぞれ、CHを表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
  8. Yは、直接的結合である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. は、水素であり、Cは、C1~4アルコキシである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 及びCは、C1~4アルキルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
  11. 及びCは、水素である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 各Rは、水素である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. Dは、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており、各Rは、独立して、オキソ;C1~6アルキル、例えばメチル;ハロ、例えばフルオロ;C1~6アルコキシ、例えばメトキシ;及びハロC1~6アルキル、例えばトリフルオロメチル又はトリフルオロエチルから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. 各Rは、C1~6アルキルであり、例えばメチルである、請求項13に記載の化合物。
  15. Dは置換されていない、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
  16. Bは、N、O、又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員のヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1~5個のR置換基で置換されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
  17. Bは、芳香族ヘテロシクリルである、請求項16に記載の化合物。
  18. 及びAは、CHを表し、且つAは、Nを表すか、又はAは、Nを表し、且つA及びAは、CHを表し;
    C1は、水素又はC1~4アルキルであり、特に水素又はメチルであり;
    C2は、水素、又はC1~4アルキル、又はC1~4アルコキシであり、特に水素、メチル、又はメトキシであり;
    Yは、直接結合であり;
    各Rは、水素であり;
    Dは、N又はOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む6員の単環式飽和ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特にDは、ピペラジニル又はモルホリニルであり、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基で置換されており;特にDは、任意選択的に置換されているピペラジニル又は任意選択的に置換されているモルホリニルであり、前記環系は、任意選択的に、1個又は2個のR置換基、例えば1個又は2個のC1~4アルキル、例えば1個又は2個のメチルで置換されており;
    Bは、1個又は2個のNヘテロ原子を含む6員の芳香族単環式ヘテロシクリルであり;特にBは、非置換のピリミジニルである、
    請求項1又は2に記載の化合物。
  19. 前記化合物は、
    Figure 2022515622000069

    から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  21. 治療での使用のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
  22. FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置での使用のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
  23. 癌の予防又は処置での使用のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
  24. 癌の処置での使用のための、請求項23に記載の使用のための化合物。
  25. 前記癌は、FGFR3 V555Mを有する癌である、請求項24に記載の使用のための化合物。
  26. FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置のための医薬品の製造のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  27. 癌の予防又は処置のための医薬品の製造のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  28. 癌の処置のための、請求項27に記載の化合物の使用。
  29. 前記癌は、FGFR3 V555Mを有する癌である、請求項28に記載の化合物の使用。
  30. FGFRキナーゼにより媒介される病状又は病態の予防又は処置の方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む方法。
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