JP2022512988A - 尿素サイクルタンパク質および核酸を補充するための細胞外小胞 - Google Patents
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Abstract
本発明は、尿素サイクル障害の治療に対する新規な治療アプローチとして操作された細胞外小胞(EV)に関する。より具体的には、本発明は、尿素サイクルタンパク質または尿素サイクルタンパク質をコードする核酸のEVへの装填を改善し、得られたEVを目的の組織および器官に標的化するための種々のタンパク質操作および核酸操作の戦略の使用に関する。
Description
本発明は、尿素サイクル障害の治療に対する新規な治療アプローチとして操作された細胞外小胞(EV)に関する。より具体的には、本発明は、尿素サイクル関連タンパク質および/または核酸の装填を改善し、得られたEVを目的の組織および器官に標的化するための様々なタンパク質および核酸の操作戦略の使用に関する。
尿素サイクルに関与する酵素の遺伝子異常は、窒素含有化合物である尿素の代謝異常をもたらす。変異は、尿素サイクルに関与する様々な酵素および輸送体の欠損をもたらし、尿素サイクル障害を引き起こす。尿素サイクルの酵素または輸送体のいずれかに異常がある個体は、一日最低必要量のために必要な量を超えてアミノ酸を摂取すると、生成されるアンモニアを尿素に変換できなくなる。これらの個体は、高アンモニア血症または毒性のサイクル中間体の蓄積を経験する可能性がある。
尿素サイクル障害(UCD)は、尿素の産生に関与する酵素またはミトコンドリア輸送タンパク質の欠損によって引き起こされる代謝の遺伝的誤りであり、毒性レベルのアンモニアの血中への蓄積(高アンモニア血症)をもたらす。最も一般的な尿素サイクル障害は、
●N-アセチルグルタメートシンターゼ欠損症
●カルバモイルホスフェートシンセターゼ欠損症
●オルニチントランスカルバモイラーゼ欠損症
●シトルリン血症(アルギニノコハク酸シンターゼの欠損症)
●アルギニノコハク酸尿症(アルギニノコハク酸リアーゼの欠損症)
●アルギニン血症(アルギナーゼの欠損症)
●高オルニチン血症、高アンモニア血症、ホモシトルリン尿症(HHH)症候群(ミトコンドリアオルニチン輸送体の欠損症)
●II型シトルリン血症(アスパルテートグルタメート輸送体であるシトリンの欠損症)
●リジン尿性タンパク質不耐症(y+Lアミノ酸輸送体1の変異)
●オロト酸尿症(酵素ウリジンモノホスフェートシンターゼUMPSの欠損症)である。
●N-アセチルグルタメートシンターゼ欠損症
●カルバモイルホスフェートシンセターゼ欠損症
●オルニチントランスカルバモイラーゼ欠損症
●シトルリン血症(アルギニノコハク酸シンターゼの欠損症)
●アルギニノコハク酸尿症(アルギニノコハク酸リアーゼの欠損症)
●アルギニン血症(アルギナーゼの欠損症)
●高オルニチン血症、高アンモニア血症、ホモシトルリン尿症(HHH)症候群(ミトコンドリアオルニチン輸送体の欠損症)
●II型シトルリン血症(アスパルテートグルタメート輸送体であるシトリンの欠損症)
●リジン尿性タンパク質不耐症(y+Lアミノ酸輸送体1の変異)
●オロト酸尿症(酵素ウリジンモノホスフェートシンターゼUMPSの欠損症)である。
UCDサブタイプとしては、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)のX連鎖変異および対応する欠損によって引き起こされるもの、ならびにアルギニノサクシネートシンセターゼ(ASS)、カルバミルホスフェートシンセターゼ(CPS)、アルギニノサクシネートリアーゼ(ASL)、アルギナーゼ(ARG)、N-アセチルグルタメートシンセターゼ(NAGS)、オルニチントランスロカーゼ(HHH)、およびアスパルテートグルタメート輸送体(シトリン)に対応する欠損を有する常染色体劣性変異によって引き起こされるものが挙げられる。これらは稀な疾患であり、米国内の全体的な推定発症率は約35,000出生数に1人である。対象が、他の明らかな原因がない中で、高アンモニア血症に適合する兆候および症状を伴うアンモニア濃度>100μmol/Lの高アンモニア事象を経験する場合にUCDが疑われ、一般に遺伝子検査によって確認される。
ASAだけでなく、その他のUCDも、稀な遺伝障害と考えられる。ASAは、酵素であるアルギニノサクシネートリアーゼ(ASL)の欠損または欠乏によって特徴付けられる。ASLは、2つの代謝経路、すなわち、i)アンモニアを解毒する肝臓系の尿素サイクル、およびii)L-アルギニンから一酸化窒素を合成するシトルリン-一酸化窒素サイクルに重要である。ASL欠損症患者は、出生直後または後年のいずれかに存在し、高アンモニア血症および重度の神経学的表現型を有する多臓器疾患を特徴とする。ASAは、2番目に多い尿素サイクル障害であり、目下、対症療法のみが利用可能であるため、現在、これらの患者の医学的ニーズは満たされていない。
UCD症状の重症度およびタイミングは、欠損症の重症度に従って変化し、特異的な酵素または輸送体の欠損、および関連遺伝子の特異的変異に応じて、軽度から極度にまで及ぶ場合がある。UCD患者は、難治性疾患を伴う早期新生児期に、または小児期のいずれかの時点で、または感染症、外傷、手術、妊娠/分娩、または食事の変化などの増悪事象の後の成人期でさえ、存在する場合がある。急性高アンモニア血症のエピソードは、いずれの年齢でも脳症のリスクを伴い、神経学的損傷をもたらし、時には致死的であるが、慢性の重篤とまではいかない高アンモニア血症でさえ、認知症をもたらす場合がある。したがって、UCDは、あらゆる年齢にわたって神経学的異常ならびに知的障害および発達障害の有意な発症と関連している。新生児発症疾患のUCD患者は、後年の患者と比較して、特に認知症および死亡の可能性が高い。
尿素サイクル障害の治療法は現在存在しないため、これは著しく満たされていない医学的ニーズを示す。尿素サイクルに関する障害の治療は、症状を管理することを目的とした生涯にわたるプロセスである。肝臓移植を検討する患者もいるが、主な疾患管理戦略は、食事によるタンパク質摂取を減らすための食事制限によるものである。アンモニア捕捉化合物による薬物治療は、UCDを治療するために広く用いられるが、治癒ではなく、単に症状を管理するに過ぎない。フェニル酪酸ナトリウムもしくはブフェニル、安息香酸ナトリウム、経口ラクツロース、およびネオスポリンは、アンモニアを捕捉するか、または結腸内の細菌によるアンモニア産生を妨げるのに役立つ可能性があるが、これらの治療は、重度の副作用を伴い、かつ比較的小さい治療域を有することが多い。多くの場合、マルチビタミン、カルシウム、および抗酸化サプリメントも処方される。
医薬品グレードのL-シトルリンサプリメントは、カルバモイルホスフェートシンセターゼ(CPS)およびオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症に使用され、またL-アルギニンは、アルギニノサクシネートシンターゼ欠損症およびシトルリン血症の場合に使用されて、尿素サイクルの酵素を触媒し、そして最適なアンモニア除去を支持する。制酸剤は、酸逆流および胃痛など、これらの薬物の胃腸副作用を緩和するために使用されることが多い。
タンパク質生物製剤(その内、1つの重要であるが、しばしば不十分なクラスのUCD用薬物は、酵素補充治療(ERT)である)およびRNA治療薬などのバイオ医薬品は、尿素サイクル障害を治療するためのより有効な代替手段を提供する場合がある。しかしながら、ERTは、リソソーム区画に関する酵素欠損症の治療に活性であるが、ERTが細胞内環境にアクセスすることができないため、UCDの実行可能な選択肢ではない。mRNAは、同じ問題のうちのいくつかを抱えており、すなわち、細胞内空間へのアクセスが原形質膜によって厳しく制限されている。
エクソソームは、様々なタイプの生体分子カーゴの優れた担体であることが示されており、血液脳関門を通過すると考えられているが、治療用タンパク質および/またはmRNAをインビボ送達するためのそれらの実際の有用性はささいな問題ではなく、思慮深い小胞操作を必要とする。
核酸に基づく治療薬は、急速に臨床的有用性に近づいている。遺伝子治療、mRNAに基づく治療薬、短いオリゴヌクレオチドおよびsiRNAに基づく治療薬は、RNA治療薬ランドスケープ内の過剰なモダリティ内のいくつかの例にすぎない。裸核酸、典型的にはRNAは、急速なクリアランス、ヌクレアーゼ活性、器官特異的分布の欠如、および細胞取り込みの低い有効性によりインビボで送達することが困難であるため、通常、特殊な送達ビヒクルが、生体活性送達を達成する手段として必須である。これは、肝臓標的および非肝臓標的、ならびにmRNAおよび遺伝子治療などの高分子量RNA治療薬の両方の場合である。
従来技術のEV装填技術は、典型的には、タンパク質または核酸(NA)のいずれかをEVに装填する際に非常に非効率的である。第1に、従来技術の装填システムは、タンパク質および/またはNAカーゴのいずれかとEVの可変的装填をもたらし、第2に、装填されるEVは、小胞当たり少数のタンパク質および/またはNAコピーを装填される(これらの問題に伴う欠点は、より詳細に以下で論じられる)。
従来技術の装填技術は、通常、タンパク質治療薬カーゴまたはNA剤のEVへの外因性装填に依存する。従来、このタンパク質はEVとは別個に産生され、通常はエレクトロポレーションまたはトランスフェクションによって、別個に産生され精製されたEVに装填される。この方法は、いくつかの欠点を有し、すなわち、(i)EVおよび治療薬カーゴを別個に産生するための商品のコストが、商品化に対しては高額になる可能性があり、(ii)外因性装填技法は、EV自体の完全性および機能に悪影響を及ぼす可能性があり、(iii)精製および下流処理は、多ステップの困難で労働集約型である可能性があり、また(iv)外因的に装填される複雑なタンパク質は、立体構造変化および不安定かつ/または不正確な翻訳後修飾の問題を呈し、潜在的に活性の低下につながる可能性がある。
同様に、おそらく、(i)mRNAおよび他のコードRNA分子の装填が非効率かつ可変であること、(ii)核酸がEVから放出されないため、従来技術によって送達されるmRNAは細胞に到達すると翻訳されないこと、および(iii)場合によっては、次善のEV産生細胞源が使用されることがあるため、従来技術のNA装填システムは、典型的には、核酸カーゴの機能的で生体活性な送達を達成しない。かかる従来技術の1つは、米国特許出願第14/502,494号に記載される、いわゆるTAMELシステムである。TAMELシステムは、上述の欠点の全てを抱え、さらに、このシステムが、望ましくない免疫反応を引き起こす可能性があるバクテリオファージ由来のRNA結合タンパク質に依存するという事実を抱えている。
したがって、主に、効率的な装填および送達の欠如のため、および部分的には、EVの部分的な肝脾生体内分布パターンにより、肝疾患の文脈において特に問題となる免疫毒性のため、TAMELシステムは、EVへの装填およびその後の臨床的に関連する量の生体活性核酸の送達には適していない。
これらの可変的で低レベルの装填は、装填されるわずかな核酸がその後放出される可能性が低く、したがって生体活性ではないという事実、または実際に装填されるわずかなタンパク質が適切に翻訳後修飾されないか、もしくは活性に最適な立体構造へと適切に折り畳まれないという事実と組み合わされて、従来技術のシステムが多くの欠点を有し、かつ臨床的に関連する量の生体活性核酸または生体活性タンパク質の装填および送達に好適ではないことを意味している。本発明は、これらの重大な欠点を克服し、UCDの影響を受ける肝臓ならびに他の組織および器官への非毒性様式での生体活性治療薬の送達を可能にする。
本発明は、尿素サイクル障害の治療に対する新規な治療アプローチとして操作された細胞外小胞(EV)に関する。より具体的には、本発明は、尿素サイクルタンパク質または尿素サイクルタンパク質をコードする核酸のEVへの装填を改善し、得られたEVを、非毒性様式で、目的の組織および器官に、特にUCDの影響を受ける肝臓ならびに他の組織および器官系に対して標的化するための様々なタンパク質操作および核酸操作の戦略の使用に関する。
したがって、本発明の目的は、EVの操作に伴う上記で特定した問題を克服し、これらのEVを全く新しい分野、すなわちUCDの治療に適用することである。本発明は、UCD用のEVに基づく治療薬のいくつかの重要な態様、すなわち、複合体、タンパク質薬物カーゴおよび/または核酸薬物カーゴのEVへの充填および装填、EV自体の薬物動態の最適化、EVの再生効果の利用、ならびにインビボでの薬物カーゴ(この場合、尿素サイクルタンパク質および/または尿素サイクルタンパク質をコードする核酸)の標的細胞への生体活性送達に対処する。
本発明は、新規のEV操作技術を利用して、UCDを治療するのに必要な複合体、およびしばしば非常に大きな尿素サイクルタンパク質または尿素サイクルタンパク質をコードするNA(mRNAなど)を、生体活性な状態および構成で、パッケージングおよび装填することによって、これを達成する。
さらに、本発明は、NAカーゴを適切な組織または器官内に装填および放出するために新規のEV操作技術を利用することによって、NAカーゴの装填および放出に伴う問題を克服する。これは、EVへの非常に効率的な装填だけでなく、当該NAの効果的な放出を確実にするために、ポリペプチドおよびポリヌクレオチド構築物の先進的操作によって達成される。これは、少なくとも1つの核酸(NA)結合ドメインおよび少なくとも1つのEV濃縮ポリペプチドを含む少なくとも1つの融合ポリペプチドを含む細胞外小胞(EV)を提供することによって達成される。NA結合ドメインは、有利なことに、いくつかのコピーで存在する場合があり、各NAカーゴ分子も、複数のコピーで存在する場合があり、どのコピーも、NA結合ドメイン用の複数の結合部位を有する。重要なことに、融合ポリペプチドの一部を形成し、かつNAカーゴ分子との相互作用に関与するNA結合ドメインは、放出可能なNA結合ドメインであり、これは、NAカーゴ分子のそれらの結合が可逆的で放出可能な相互作用であることを意味する。本発明者らが認識しているように、NA結合ドメインとNAカーゴ分子との結合の放出可能な性質は特に有利であり、EV産生細胞におけるNAカーゴ分子の過剰発現は、NA結合ドメインとNAカーゴ分子との相互作用を可能にするのに十分に高い局所濃度を可能にする一方で、標的位置(標的細胞内など)のNA結合分子のより低い濃度が、NA分子の効率的な放出を可能にし、その生体活性送達を可能にする。
さらに、本発明は、好適な薬物動態と再生特性との最適なバランスを提供する細胞源からの特定の分子特性を有するEVの予期せぬ選択およびプロファイリングだけでなく、種々のUCDで治療活性を有する追加のタンパク質および核酸成分を含むEVを提供することも含む。本発明の発明者らは、部分的にはそれらの生体内分布パターンに起因して、また部分的にはカーゴタンパク質を最適な生体活性立体構造に維持するのに役立つ熱ショックタンパク質などのそれらの天然成分、ならびに他の再生成分のいくつかの結果として、EVがUCD酵素および/または輸送体のための最適な送達ビヒクルに相当することを認識している。様々な細胞源はまた、UCDタンパク質/核酸を装填したEVを産生するために好ましいことが証明されており、したがって、本発明は、これらの通常治療不可能な疾患への新規アプローチを提供する。重要なことに、本発明は、完全に新規の角度からUCDに取り組む問題にアプローチする。UCDは、典型的には、基質の毒性蓄積を捕捉または低減するための低分子アプローチでのみ対処される。近年、遺伝子療法を用いてこの疾患群に対処しようとする暫定的な試みがなされている。EVおよびエクソソームが効率的な送達モダリティを構成することができるという予期しなかった認識は、タンパク質またはNA補充治療薬カーゴのための革新的な装填および送達技術によって可能になる、本発明の重要な態様である。EVはまた、ウイルス媒介遺伝子治療と併せてまたはその後に非常に好適な補完治療介入を構成する場合がある。EVの良好な安全性および忍容性プロファイルは、慢性反復治療を可能にし、これは、標的器官の代謝回転が経時的にウイルス送達導入遺伝子の喪失をもたらす遺伝子治療の設定においてかなり重要であり、EV媒介性UCD治療を使用して達成することができる当該NAまたはタンパク質の補給を必要とする。
第1の態様において、したがって、本発明は、尿素サイクルタンパク質を補充するための細胞外小胞(EV)に関する。これは、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質、および/または尿素サイクルタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸、典型的にはmRNAもしくはpDNA、もしくはウイルスゲノムもしくは同様のものを装填した操作されたEVを使用することによって達成される。
第2の態様において、本発明はまた、尿素サイクルタンパク質に融合したEVタンパク質を含むポリペプチド構築物、および/または核酸(NA)結合ドメインに融合したEVタンパク質(互換的に、EV濃縮ポリペプチドもしくはエクソソームポリペプチドもしくはEVポリペプチドもしくはEVタンパク質もしくは同様のものと呼ばれる)を含むポリペプチド構築物に関し、このドメインは、UCDタンパク質をコードするポリヌクレオチドのEVへの輸送を補助するために使用される。
第3の態様において、本発明はまた、本発明のポリペプチド構築物のうちのいずれか1つをコードするポリヌクレオチド構築物に関し、これは本発明のポリペプチド構築物のうちの1つ以上を発現するEV産生細胞を産生するために細胞へと導入されてもよい。
本発明はまた、(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物をEV産生細胞に導入することと、(ii)少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物によってコードされる少なくとも1つのポリペプチド構築物をEV産生細胞内で発現することであって、それによって、UCDタンパク質としての直接発現または該ポリペプチド構築物の補助で装填されるポリヌクレオチド(mRNAまたは任意の他のコードRNAもしくはDNA分子など)からの発現のいずれかを通して、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質を含む該EVを生成することと、を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のEVの産生方法にも関する。
本発明はまた、(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物、および/または(ii)本発明の少なくとも1つのポリペプチド構築物、および/または(iii)本発明の少なくとも1つのEVを含む細胞にも関する。
第4の態様において、本発明はまた、
(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物、および/または
(ii)本発明による少なくとも1つのポリペプチド構築物、および/または
(iii)本発明による少なくとも1つのEVと、
薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む医薬組成物であって、任意選択で、尿素サイクル障害の治療に使用される1つ以上の追加化合物をさらに含む医薬組成物に関する。
(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物、および/または
(ii)本発明による少なくとも1つのポリペプチド構築物、および/または
(iii)本発明による少なくとも1つのEVと、
薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む医薬組成物であって、任意選択で、尿素サイクル障害の治療に使用される1つ以上の追加化合物をさらに含む医薬組成物に関する。
本発明は、1つ以上の尿素サイクル障害の治療に使用するための、本発明のEVおよび/または本発明の医薬組成物に関する。本発明はまた、医療で使用するため、好ましくは、1つ以上の尿素サイクル障害の治療で使用するための、(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物、(ii)本発明による少なくとも1つのポリペプチド構築物、(iii)本発明による少なくとも1つのEV、(iv)本発明による少なくとも1つの細胞、および/または(v)本発明による医薬組成物にも関する。
本発明はまた、疾患または障害の治療方法であって、それを必要とする患者に有効量の本発明によるEVを投与することを含む、方法にも関する。
配列表の説明
配列番号1:Puf531タンパク質配列
配列番号2:PUF mRNA loc/PUFengタンパク質配列
配列番号3:PUFx2タンパク質配列
配列番号4:Cas6タンパク質配列
配列番号5:Hisアプタマータンパク質配列
配列番号6:TATアプタマータンパク質配列
配列番号7:ヒトASLタンパク質配列
配列番号1:Puf531タンパク質配列
配列番号2:PUF mRNA loc/PUFengタンパク質配列
配列番号3:PUFx2タンパク質配列
配列番号4:Cas6タンパク質配列
配列番号5:Hisアプタマータンパク質配列
配列番号6:TATアプタマータンパク質配列
配列番号7:ヒトASLタンパク質配列
タンパク質およびポリヌクレオチドカーゴ分子の選択的設計だけでなく、生体活性EV集団のプロファイリングとも結び付いた本発明のEV操作技術を使用することによって、本発明は、UCD用のEVに基づく治療薬のいくつかの重要な態様に対処する。重要なことに、UCD治療のためのEV媒介送達技術の適用は、治療レベルのUCDタンパク質または対応するNAを含むように操作され修正される場合、EVがこれらの複雑な疾患、しばしば肝脳疾患に好適な送達モダリティを構成するという本発明の発明者による認識に基づくものである。選択されたEV産生細胞源からのEVおよび特定の分子プロファイルを有するEVは、この疾患群における治療活性を駆動するのに特に良好に適している。本発明のEVの非毒性および非免疫原性は、インビボでのUCDの治療活性に重要な因子である。明らかに、肝疾患に罹患している対象は、免疫毒性バクテリオファージタンパク質を含む送達ビヒクルの投与に耐えることは不可能であることになり、同様に、他の非EVに基づく送達ビヒクルは、同じ問題、すなわち、すでに肝機能が損なわれている患者では肝毒性と関連付けられることになる。
便宜上および明確にするために、本明細書で使用されるある特定の用語を収集し、かつ以下に説明する。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
本発明の特徴、態様、実施形態、または代替物がマーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、本発明がそれによってマーカッシュ群メンバーの任意の個々のメンバーまたは下位群に関しても説明されることを認識するであろう。当業者は、本発明がそれによってもまた、マーカッシュ群メンバーの個々のメンバーまたは下位群の任意の組み合わせに関しても記載されることをさらに認識するであろう。加えて、本発明の態様および/または実施形態の1つに関連して説明される実施形態および特徴は、本発明の全ての他の態様および/または実施形態にも準用されることに留意されたい。
例えば、本明細書に記載の尿素サイクルタンパク質は、例えば、かかる尿素サイクルタンパク質を含むEVと関連して、本明細書の他の全ての態様、教示、および実施形態、例えば、かかる尿素サイクルタンパク質を含むEVの産生方法に関する態様および/もしくは実施形態、または本明細書のポリペプチドおよび/もしくはポリヌクレオチド構築物に関する態様と開示され、関連し、かつ適合性があると理解されるべきである。さらに、本明細書で特定される全てのポリペプチドおよびタンパク質は、ポリペプチドを融合するための従来の戦略を使用して、ポリペプチド構築物中で自由に組み合わせることができる。非限定的な例として、本明細書に記載の全ての尿素サイクルタンパク質は、任意の組み合わせで1つ以上のEV濃縮ポリペプチドと自由に組み合わせてもよい。また、本明細書のあらゆる尿素サイクルタンパク質は、ポリペプチド、および/または2つ以上の尿素サイクルタンパク質を含む対応するポリヌクレオチド、構築物を生成するために、任意の他の尿素サイクルタンパク質と組み合わせてもよい。さらに、あらゆる特徴(例えば、マーカッシュ群のあらゆるメンバー)は、あらゆる他の特徴(例えば、任意の他のマーカッシュ群のあらゆるメンバー)と自由に組み合わせることができる。加えて、本明細書の教示が単数形のEVおよび/または別個の天然ナノ粒子様小胞としてのEVを指す場合、当然のことながら、全てのかかる教示は、複数のEVおよびEVの集団に同様に関連し、かつ適用可能である。一般的所見として、本発明による尿素サイクルタンパク質、EV濃縮ポリペプチド、組織標的化部分、ペプチドおよび/またはポリペプチド、EV産生細胞源、ならびに全ての他の態様、実施形態、および代替物は、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく、あらゆる可能な組み合わせで自由に組み合わせられてもよい。
さらに、本発明の任意のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、または任意のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列(それぞれアミノ酸配列もしくはヌクレオチド配列)は、任意の所与の分子がそれに関連する所望の技術的効果を実行する能力を保持する限り、元のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび配列から大幅に逸脱してもよい。それらの生物学的特性が維持される限り、本出願によるポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド配列は、可能な限り高い配列同一性が好ましいが(例えば、60%、70%、80%、または例えば90%以上)、天然配列と比較して最大50%(任意の配列アラインメントまたは配列相同性ツール、例えば、BLASTを使用して計算される)逸脱してもよい。例えば、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質と少なくとも1つのEV濃縮ポリペプチドとの組み合わせ(融合)は、それぞれのポリペプチドのある特定のセグメントが置き換えられてもよく、かつ/または修飾されてもよく、かつ/または配列が他のアミノ酸伸長の挿入によって中断されてもよいことを暗示し、重要な特性(例えば、尿素サイクルタンパク質の天然の効果、EV搬送および濃縮、標的化特性など)が保存されている限り、天然配列からの逸脱が考慮に入れられてもよいことを意味する。したがって、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に同様の論法が当然適用される。ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質に関連して本明細書で言及される全ての配列番号は、単なる例として、単なる情報と見なされ、全てのペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、当業者がそれらを理解することになるように、通常の意味を付与されるものとする。したがって、上述のように、当業者はまた、本発明が、本明細書で言及される特定の配列番号だけでなく、その変異体および誘導体も包含することも理解するであろう。本明細書で言及される全てのタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ヌクレオチド、およびポリヌクレオチドは、当業者によって理解されるように、それらの従来の意味に従って解釈されるべきである。
「細胞外小胞」または「EV」または「エクソソーム」という用語は、本明細書において互換的に使用され、任意の形態の細胞から入手可能な任意のタイプの小胞、例えば、微小小胞(例えば、細胞の原形質膜から脱落する任意の小胞)、エクソソーム(例えば、エンド-リソソーム経路またはエクソソームを産生する任意の他の細胞経路に由来する任意の小胞)、アポトーシス体(例えば、アポトーシス細胞から入手可能)、マイクロ粒子(例えば、血小板に由来し得る)、エクトソーム(例えば、血清中の好中球および単球から誘導可能)、プロスタトソーム(例えば、前立腺癌細胞から入手可能)、またはカルディオソーム(例えば、心臓細胞から誘導可能)などに関すると理解されたい。エクソソームおよび/または微小小胞、特にARRDC1媒介性微小小胞(ARMM)は、特に好ましいEVを表すが、他のEVは、様々な環境でも有利である場合がある。
EVは、送達または輸送ビヒクルとして作用することができる任意のタイプの脂質系構造(小胞形態を有するか、または任意の他のタイプの好適な形態を有する)であってもよい。有利なことに、EVは、人工リポソームまたは人工脂質ナノ粒子ではない。
EVのサイズは、大幅に変化し得るが、EVは、典型的には、ナノサイズの流体力学半径、すなわち、1000nm未満の半径を有する。エクソソームは、多くの場合、30~300nm、典型的には30~200nmのサイズを有し、非常に好適なサイズ範囲である、50~250nmの範囲などのサイズを有する。明らかに、EVは、インビボ、エクスビボ、およびインビトロの両方の任意の細胞型に由来し得る。本発明の好ましいEVはエクソソームおよび/または微小小胞であるが、他のEVも様々な環境では有利である場合がある。別の好ましい実施形態において、EVは、好ましくは、羊膜由来細胞、ワルトンゼリー由来細胞、羊膜上皮(AE)細胞、間葉系間質細胞(MSC)、および胎盤由来細胞から入手可能である。さらに、「EV」および/または「エクソソーム」および/または「微小小胞」という用語は、細胞外小胞模倣物、例えば、膜押出、超音波処理、または他の技法などを通じて得られる細胞膜に基づく小胞またはEVに基づく小胞に関するとも理解されるべきである。
EVの医学的および科学的な使用および用途を説明する場合、当業者には、本発明は通常、複数のEV、すなわち、数千、数百万、数十億、またはさらには数兆のEVを含み得るEVの集団に関することが明らかであろう。以下の実験セクションから分かるように、EVは、単位体積当たり(例えば、ml当たり)105、108、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1018、1025、1030個のEV(しばしば「粒子」と称される)、またはより大きい、より小さい、もしくは中間である、任意の他の数の濃度で存在し得る。同じように、例えば、ある特定の尿素サイクルタンパク質を含むEVに関する「集団」という用語は、かかる集団を一緒に構成する複数の実体を包含すると理解されるべきである。言い換えれば、個々のEVは、複数で存在する場合、EV集団を構成する。したがって、当然、本発明は、当業者に明らかであるように、個々のEVおよびEVを含む集団の両方に関する。インビボで適用される場合のEVの投薬量は、当然、治療される疾患、投与経路、目的の尿素サイクルタンパク質の活性および効果、EVに存在する任意の標的化部分、医薬製剤などに応じて、大幅に変化し得る。
「EV濃縮ポリペプチド」、「EVタンパク質」、「EVポリペプチド」、「エクソソームポリペプチド」および「エクソソームタンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され、かつポリペプチド構築物(典型的には、EV濃縮タンパク質に加えて、尿素サイクルタンパク質、またはUCDタンパク質をコードするNAカーゴ分子に結合するNA結合ドメインを含む)を好適な小胞構造、すなわち好適なEVに輸送するために利用することができる任意のポリペプチドに関すると理解されたい。より具体的には、これらの用語は、融合タンパク質構築物をEVなどの小胞構造に輸送、搬送、または往復することを可能にする任意のポリペプチドを含むと理解されたい。かかるエクソソームポリペプチドの例は、例えば、CD9、CD53、CD63、CD81、CD54、CD50、FLOT1、FLOT2、CD49d、CD71(トランスフェリン受容体としても知られる)およびそのエンドソーム選別ドメイン、すなわち、トランスフェリン受容体エンドソーム選別ドメイン、CD133、CD138(シンデカン-1)、CD235a、ALIX、AARDC1、パルミトイル化シグナル(Palm)、シンテニン(シンテニン-1としても知られる)、シンテニンのN末端部分、Lamp2b、シンデカン-2、シンデカン-3、シンデカン-4、TSPAN8、TSPAN14、CD37、CD82、CD151、CD231、CD102、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、DLL1、DLL4、JAG1、JAG2、CD49d/ITGA4、ITGB5、ITGB6、ITGB7、CD11a、CD11b、CD11c、CD18/ITGB2、CD41、CD49b、CD49c、CD49e、CD51、CD61、CD104、Fc受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン、MHC-IまたはMHC-II成分、CD2、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD13、CD18、CD19、CD30、TSG101、CD34、CD36、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD45RA、CD47(CD47は、アルファ、ベータまたはデルタ位置のいずれかで融合されてもよい)、CD86、CD110、CD111、CD115、CD117、CD125、CD135、CD184、CD200、CD279、CD273、CD274、CD362、COL6A1、AGRN、EGFR、GAPDH、GLUR2、GLUR3、ARRDC1、HLA-DM、HSPG2、L1CAM、LAMB1、LAMC1、LFA-1、LGALS3BP、Mac-1アルファ、Mac-1ベータ、MFGE8、SLIT2、STX3、TCRA、TCRB、TCRD、TCRG、VTI1A、VTI1B、他のエクソソームポリペプチド、ならびにこれらの任意の断片、誘導体、ドメイン、または組み合わせであるが、ポリペプチド構築物をEVに輸送することができる多数の他のポリペプチドが、本発明の範囲内に含まれる。典型的には、本発明の多くの実施形態において、少なくとも1つのEV濃縮ポリペプチドは、尿素サイクルタンパク質またはUCDタンパク質をコードするNAに結合するNA結合ドメインを含むポリペプチド構築物に含まれ、この融合ポリペプチド構築物は、有利なことに、リンカー、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、多量体化ドメイン、放出ドメインなどを含む様々な他の成分も含んでもよい。有利なことに、UCDタンパク質またはNA結合ドメインがその適切な立体構造に適合することを可能にするために、リンカーおよび多量体化ドメインを用いてもよく、したがって改善された生体活性を有するUCDタンパク質を送達するか、または装填が困難な核酸に対して、核酸結合の改善、したがって核酸装填の改善を可能にする。
「核酸」もしくは「ポリヌクレオチド」もしくは「NA」もしくは「NAカーゴ分子」または同様の用語は、本明細書において互換的に使用され、一本鎖RNAもしくはDNA、二本鎖RNAもしくはDNA、およびmRNA、プラスミドなどの他のポリヌクレオチド、または例えばウイルスゲノムなどの任意の他のRNAもしくはDNAベクターを含む群から選択される任意の核酸を説明するために使用されてもよい。NAは、典型的には、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質をコードするが、他のペプチドまたはポリペプチドもコードしてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、NAカーゴ分子の装填を補助するためにEVに存在する融合タンパク質を形成するため、少なくとも1つのエクソソームポリペプチドがNA結合ドメインに融合する。かかる融合タンパク質はまた、それらの機能(複数可)を最適化するための様々な他の成分を含んでもよく、リンカー、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、多量体化ドメインなどを含み、これらの利点は上述の通りである。
「NA結合ドメイン」または「NA結合ポリペプチド」または「NA結合タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され、ヌクレオチドの伸長に結合することができる任意のドメインに関する。NA結合ドメインは、RNA、DNA、RNAおよびDNAのミックスマー(mixmer)、特定のタイプのNA(mRNAなど)、環状RNAもしくはDNA、リボザイム、ミニ環状DNA、プラスミドDNAなどに結合してもよい。さらに、NA結合ドメイン(複数可)は、2’-O-Me、2’-O-アリル、2’-O-MOE、2’-F、2’-CE、2’-EA 2’-FANA、LNA、CLNA、ENA、PNA、ホスホロチオエート、トリシクロ-DNAなどの化学修飾ヌクレオチドに結合してもよい。
有利なことに、本発明は、全て真核生物の間で高度に保存され、したがって、患者に送達された場合に有害な免疫応答を引き起こす可能性が低いNA結合タンパク質を使用する。さらに、本発明のNA結合ドメインは、NAの特定の配列、反復などのドメイン、またはステムループもしくはヘアピンなどのNAモチーフのいずれかにも結合してもよい。NA結合ドメインのかかる結合部位は、目的のNAカーゴ分子内に天然に存在する場合があり、かつ/または、EV装填および生体活性送達をさらに増強するためにNAカーゴ分子内へと操作されてもよい。核酸に対するNA結合ドメインの結合親和性は、核酸がEVへ往復するのに十分な高い親和性で結合されるが、結合の親和性は、核酸が標的細胞に一旦送達されると生体活性であるように、その後の標的細胞内への核酸の放出を防止するほど高くないようなものである。したがって、重要なことに、かつ従来技術とは完全に対照的に、本発明は、放出可能なNA結合ドメインの補助によりNAカーゴ分子を装填したEVに関し、該NA結合ドメインは、エクソソームポリペプチドとの融合ポリペプチドの一部を形成する。本発明のNA結合ドメインは、NA結合ドメインとNAカーゴ分子との間のプログラム可能で修正可能な親和性を可能にするように選択されており、NA結合ドメインと少なくとも1つのNAカーゴ分子とを含む融合ポリペプチドを含むEVの産生を可能にし、融合ポリペプチド構築物のNA結合ドメインは、プログラム可能で可逆的で修正可能な様式でNAカーゴ分子と相互作用し、EVおよび/または標的細胞で、または該細胞と関連して、EVへの装填およびNAカーゴ分子の放出の両方を可能にする。これは、単に、MS2タンパク質を使用してmRNA分子をエクソソームに装填することを可能にするが、MS2タンパク質がmRNAに依然として結合しており、その放出およびその後の翻訳を阻害する従来技術とは完全に対照的である。
NA結合ドメインを利用する本発明の実施形態において、NA結合ドメインは、PUFタンパク質、CRISPR関連ポリペプチド(Cas)、特にCas6およびCas13、ならびに様々なタイプのNA結合アプタマーから選択されてもよい。本発明は、PUFタンパク質という用語を使用して、任意の種、例えば、PUM1の重複であるヒトPumilioホモログ1(PUM1)、PUMx2もしくはPUFx2など、または任意のPUF(PUM)タンパク質から入手可能な任意のNA結合ドメインに由来する全ての関連タンパク質およびかかるタンパク質のドメイン(PUMタンパク質とも称される場合がある)を包含する。PUFタンパク質は、典型的には、8つの連続したPUF反復の存在を特徴とし、該反復は各々約40個のアミノ酸からなり、2つの関連配列であるCsp1およびCsp2に隣接することが多い。各反復は、芳香族および塩基性の残基を含有する「コアコンセンサス」を有する。PUF反復のクラスター全体がRNA結合に必要である。注目すべきことに、この同じ領域は、タンパク質共調節因子とも相互作用し、かつPUFタンパク質変異体の欠損をかなりの程度まで救済するのに十分であり、これにより、PUFタンパク質は、本発明で使用される変異に非常に適する。さらに、PUFタンパク質は、NAカーゴ分子に好適な親和性で結合する放出可能なNA結合ドメインの非常に好ましい例であり、それによって、PUFタンパク質のNAカーゴへの放出可能な可逆的結合を可能にする。PUFタンパク質は、ほとんどの真核生物で見出され、胚発生および発達に関与する。PUFは、RNAに結合する1つのドメインを有し、該ドメインは一般に36個のアミノ酸を含有する8つの反復からなり、これは、本特許出願においてRNA結合に典型的に利用されるドメインである。各反復は、特定のヌクレオチドに結合し、通常、アミノ酸13からのスタッキング相互作用との特異性を付与するのは12位および16位のアミノ酸である。天然に存在するPUFは、ヌクレオチドのアデノシン、ウラシルおよびグアノシンに結合することができ、操作されたPUFは、ヌクレオチドのシトシンにも結合することができる。したがって、該システムはモジュール式であり、PUFドメインが結合する8ヌクレオチド配列は、反復ドメインの結合特異性を切り替えることによって変更することができる。したがって、本発明によるPUFタンパク質は、天然であってもよく、またはRNA分子内の任意の場所に結合するように操作されてもよく、あるいは、異なる配列に対して異なる結合親和性を有するPUFタンパク質を選択し、該RNA分子を操作して該配列を含有することもできる。配列特異的な様式で16ヌクレオチドに結合する、さらに操作されたPUFドメインが存在し、これを利用してNAカーゴ分子に対する特異性をさらに増加させることもできる。したがって、PUFドメインは、異なる親和性および配列長で任意の配列に結合するように修正することができ、これにより、本発明による任意のRNAカーゴ分子に対して該システムを高度にモジュール式にし、かつ適応可能にする。本発明に従ってNA結合ドメインとして使用され得るPUFタンパク質ならびにその領域および誘導体には、PUFタンパク質の以下の非限定的リストが含まれる。全てC.elegans由来のFBF、FBF/PUF-8/PUF-6、-7、-10、D.melanogaster由来のPumilio、全てS.cerevisiae由来のPuf5p/Mpt5p/Uth4p、Puf4p/Ygl014wp/Ygl023p、Puf5p/Mpt5p/Uth4p、Puf5p/Mpt5p/Uth4p、Puf3p、Dictyostelium由来のPufA、ヒトPUM1(Pumillo1、時としてPUF-8Rとしても知られる)およびその任意のドメイン、少なくとも2つのPUM1由来のNA結合ドメインを含むポリペプチド、例えばPUF-6R、PUF-9R、PUF-10R、PUF-12R、PUF-16Rなどの任意の切断または修飾PUFタンパク質、またはそれらの誘導体、ならびにXenopus由来のX-Puf1。本発明による特に好適なNA結合PUFは、以下を含む。PUF531、PUF mRNA loc(時として操作されたPUFまたはPUFengと称される)、および/またはPUFx2、ならびにそれらの任意の誘導体、ドメイン、および/または領域。PUF/PUMタンパク質は、ヒト起源であるものが選択されてもよいため、非常に有利であり、これは本発明の有利な実施形態である。
MS2タンパク質などのバクテリオファージ起源のタンパク質ではなく、ヒト起源のタンパク質は、有害な免疫応答を誘発する可能性が低いため、有益である。さらに、MS2は、バクテリオファージ起源のステムループと相互作用し、これは、PUFタンパク質とは異なって、選択したNA分子に原核NA配列およびモチーフを導入する必要があることを暗示する。明らかに、バクテリオファージ起源および構造のステムループ構造のこの挿入は、mRNA翻訳を妨げ、非機能的mRNAカーゴ分子をもたらすか、またはさらに免疫毒性を引き起こす場合がある。
したがって、有利な実施形態において、本発明は、エクソソームタンパク質に融合した真核生物NA結合タンパク質に関する。好ましい実施形態において、NA結合ドメイン(複数可)は、タンパク質のPUFファミリー、例えば、PUF531、操作されたPUF、および/またはPUFx2由来であり、これらの全ては有利にヒト起源である。重要なことに、PUFタンパク質は、好ましくは、PUFタンパク質の配列特異性に起因して、NA薬物カーゴの高度に制御された特異的装填を可能にするmRNAまたはshRNAのEV媒介性送達に使用される。好ましい実施形態において、PUFタンパク質(複数可)は、有利なことに、膜貫通型または可溶性エクソソームタンパク質のいずれかと組み合わされる。有利な融合タンパク質構築物には、以下の非限定的な例が含まれる。CD63-PUF531、CD63-PUFx2、CD63-操作されたPUF(あるいは、PUFengまたはPUF mRNA locとして知られる)、CD81-PUF531、CD81-PUFx2、CD81-操作されたPUF、CD9-PUF531、CD9-PUx2、CD9-操作されたPUF、および好ましくは、1つ、2つ以上のPUFタンパク質に融合したテトラスパニンエクソソームタンパク質に基づく他の膜貫通に基づく融合タンパク質。PUFタンパク質および少なくとも1つの可溶性エクソソームタンパク質を含む有利な融合タンパク質としては、以下の非限定的な例が挙げられる。CD63-PUF、シンテニン-PUF531、シンテニン-PUx2、シンテニン-操作されたPUF、シンデカン-PUF531、シンデカン-PUx2、シンデカン-操作されたPUF、Alix-PUF531、Alix-PUx2、Alix-操作されたPUFだけでなく、PUFタンパク質に融合した任意の他の可溶性エクソソームタンパク質。
PUFタンパク質が標的NAカーゴ分子に対する修正可能な配列特異性を有するという事実から、それらは、エクソソームポリペプチドパートナー(複数可)に融合するための理想的なNA結合ドメインになる。したがって、本発明の好ましい実施形態において、EVには、放出可能なNA結合ドメイン(エクソソームタンパク質との融合タンパク質の一部として)を使用してNAカーゴ分子が装填され、NA結合ドメインとNAカーゴ分子との間の相互作用は、有利なことに標的ヌクレオチド配列に対する特異性に基づくものであり、標的ヌクレオチド二次構造に基づくものではない(二次構造が配列特異性を可能にしないため)。好ましい実施形態において、NAカーゴ分子は、NA結合ドメインとして選択されるPUFタンパク質の標的ヌクレオチド配列を含むように操作され、かつ/または該配列を天然に含む。かかる標的ヌクレオチド配列は、上述のように、例えば、mRNAの3’UTRの一部であってもよく、またはmRNA、shRNA、miRNA、lncRNA、DNAなどの任意のNAカーゴ分子に導入されてもよく、PUFタンパク質がNAカーゴ分子に結合することを可能にする。NAカーゴ分子のPUF結合部位は、典型的には、単に4つのヌクレオチドおよびステムループを組み合わせて認識するMS2などの多くの他のRNA結合タンパク質によって結合する配列よりも長いため、標的結合部位のヌクレオチドの好ましい伸長は、NA結合ドメインの修正可能な配列特異性の必要性に応じて、例えば5つのヌクレオチド(nt)、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、または20nt以上の長さであってさえもよい。好ましい実施形態において、PUFタンパク質は、長さが6nt、8nt、9nt、10nt、12nt、または16ntである、天然および/または人工的に存在するNAカーゴ分子結合部位に特異的である。
CRISPR関連ポリペプチド(Cas)は、NA結合ドメインの別の群を表し、特にCas6およびCas13、ならびに任意の他のRNA結合Cas分子を含んでもよい。Cas6は、前駆体CRISPR RNA(crRNA)と高い親和性で結合し、後に例えばCas9へと組み込むためにそれを処理する。RNA分子の切断速度を調節し、高度に規定することができるため、RNA分子とCas6との会合時間も非常に正確な様式で規定することができ、これは本発明の目的に重要である。RNA切断の効率を増減させるよう変異したCas6またはCas13の変異型を使用してもよい。RNA結合の親和性を増減少させるように変異したCas6またはCas13の変異型を使用してもよい。これは、例えば、RNAカーゴ分子がレシピエント細胞で放出される場合の利点となるであろう。次いで、規定された会合時間を調節して小胞内でRNA分子を放出することができるが、産生細胞では放出しない。Cas6が認識することができるRNA配列を、目的のNA分子に挿入するように操作することができる。Cas13は、その規定されたRNA標的にのみ結合し、それを分解しないように操作することができる。SgRNA分子の配列を変更することによって、Cas13-sgRNA複合体を、20~30ヌクレオチド間の任意のRNA配列に結合するように調節することができる。さらに、PUFタンパク質の場合と同様に、Casタンパク質は、NAカーゴ分子に好適な親和性で結合する放出可能なNA結合ドメインの非常に好ましい例であり、それによって、NAカーゴへのCasタンパク質の放出可能な可逆的な結合を可能にする。PUFに基づくNA結合ドメインと同様に、Casタンパク質は、標的NAカーゴ分子に対するプログラム可能で修正可能な配列特異性を有する、放出可能で不可逆的なNA結合ドメインを表し、より低い総親和性でより高い特異性を可能にし、それによって、NAカーゴのEVへの装填、および標的位置でのNAカーゴの放出の両方を可能にする。
NAアプタマー結合ドメインは、本発明によるNA結合ドメインの別の群である。かかるNAアプタマー結合ドメインとは、NAに基づくアプタマーが特異的に結合することができるドメイン、領域、アミノ酸の伸長、またはポリペプチドもしくはタンパク質全体である。アプタマーは、抗体のその標的抗原に対する親和性と同様に、二次および/または三次構造を形成し、分子を認識するRNA配列である。したがって、これらのRNA分子は、高い親和性で特定のアミノ酸配列を認識することができる。RNAアプタマーは、特定のアミノ酸配列を認識するために特定のヌクレオチド配列をNA分子に挿入することによって本発明に適用される。かかるアミノ酸配列は、エクソソーム担体ポリペプチド内に、および/またはエクソソーム担体ポリペプチドの隣に操作され、アプタマー(NAカーゴ分子に、および/またはNAカーゴ分子の隣に操作されている)がそれに結合することを可能にし、それによって、エクソソームポリペプチドの補助を受けて、NAカーゴ分子をEVに往復することができる。好適な特徴を有する2つのアプタマーは、ヒスチジン(His)アミノ酸の伸長に対して高い親和性を有するHis-アプタマー、およびHIV Tatドメインに対するアプタマーである。アプタマー配列(複数可)は、好ましくは、mRNAの3’および/もしくは5’非翻訳領域、または非コードRNAの非特異的領域に挿入される。2つ以上のアプタマーを1つのNAカーゴ分子に組み合わせて、エクソソーム担体タンパク質に対する特異性および結合活性を増加させることもできる。重要なことに、本発明の全てのNA結合ドメインは、NAカーゴ分子、例えばmRNAへのプログラム可能、配列特異的、可逆的、放出可能な結合を提供し、これは、従来技術で見出されたRNAへの高親和性、不可逆的結合とは完全に対照的である。本発明の好ましい実施形態において、NA結合ドメインは、それらの容易にプログラム可能な性質および配列特異性と、NAカーゴ分子へのそれらの可逆的で放出可能な結合とを組み合わせたため、PUFタンパク質またはCasタンパク質のいずれかである。重要なことに、NA結合ドメインとしてのCasタンパク質およびPUFタンパク質の配列特異性は、好ましくは標的NA分子の少なくとも6nt、好ましくは少なくとも8ntとの相互作用に基づくものであり、低親和性相互作用と組み合わせると、NAカーゴ分子の高生産的EV媒介性送達を可能にする。NAカーゴ分子の少なくとも6ntの結合部位は、好ましくは、ヌクレオチドの連続配列中に存在する。したがって、NAカーゴ分子の結合部位は、長さが2つのコドンに対応することが好ましい。
「UCDタンパク質」または「尿素サイクルタンパク質」または同様の用語は、本明細書において互換的に使用され、尿素サイクルタンパク質の群に属する任意のポリペプチド、すなわち、尿素サイクルに参加する一部を形成する酵素および他のタンパク質に関すると理解されるべきである。UCDタンパク質の非限定的な例としては、N-アセチルグルタメートシンターゼ、カルバモイルホスフェートシンセターゼ、オルニチントランスカルバモイラーゼ、カルバミルホスフェートシンセターゼ、アルギニノコハク酸シンターゼ、アルギニノサクシネートシンセターゼ、アルギニノコハク酸リアーゼ(アルギニノサクシネートリアーゼとしても知られる)、アルギナーゼ、ミトコンドリアオルニチン輸送体、オルニチントランスロカーゼ、シトリンなどが挙げられる。
本発明は、少なくとも1つの核酸(NA)結合ドメインおよび少なくとも1つのエクソソームポリペプチドを含む少なくとも1つの融合ポリペプチドを含む細胞外小胞(EV)に関し、少なくとも1つのNA結合ドメインは、PUF、CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、および/またはNAアプタマー結合ドメインのうちの1つ以上であってもよい。NA結合ドメインの存在の結果、EVは、典型的にUCDタンパク質をコードする少なくとも1つのNAカーゴ分子を典型的にさらに含む。通常、あらゆるEVに含まれるNAカーゴ分子の数は、相当な数であり、これは、通常、所与のEV集団にわたって非常に低い装填効果および極めて可変的な装填を達成する従来技術よりも明らかな改善である。本発明の場合、融合ポリペプチド構築物の本発明の設計は、少なくとも1つのNAカーゴ分子が(融合ポリペプチドの補助を受けて)非常に効率的にEV内に輸送され、有意に改善された放出プロセスが続くことを意味する。NA結合ドメイン(融合ポリペプチドに含まれる)とNAカーゴ分子との結合の放出可能な性質は、標的細胞内および/または標的細胞付近での生体活性NA分子の送達を可能にしながら、EV産生細胞(NAカーゴ分子が通常過剰発現する)におけるNAカーゴ分子の結合を可能にするため、本発明の重要な態様である。
したがって、従来技術と違って、NA結合ドメインとNAカーゴ分子とのプログラム可能な、より低い親和性の相互作用により、本発明は、EV産生細胞でEVを効率的に装填することが可能になり、一方でNAカーゴ分子とNA結合ドメインとの相互作用のより低い親和性および放出可能な性質が非常に有利である好適な場所(典型的には標的細胞内)で、NAカーゴの放出も可能になる。さらに、MS2を単に4ntおよびステムループに結合する高親和性RNA結合タンパク質として開示する従来技術と違って、本発明は、より長く、かつそれによってより特異的な、例えば、6nt長、または8nt長のヌクレオチドの伸長への配列特異的、低親和性または中親和性の結合を可能にする。
結合部位のより長い長さは、様々な修正された結合親和性を有する結合部位を生成する様々な異なる変異を導入することを可能にし、したがって、上述のプログラム可能なより低い親和性の相互作用を生じる。例えば、6または8ヌクレオチドの領域に単一点変異を導入すると、結合親和性がわずかに修正される一方で、MS2のより短い4ヌクレオチド結合領域内の単一変異でさえ、RNAに対するMS2の結合親和性に有意に影響を及ぼすことが知られている。核酸に対するタンパク質の結合親和性に影響を及ぼす1つ以上の変異を導入するために、核酸のより長い長さは、より多くの範囲を提供する。同様に、結合されるヌクレオチドのより長い伸長を必要とすることは、より長いヌクレオチド配列と相互作用することができ、したがって、それらの相互作用するアミノ酸を変異させ、かつこの場合も様々な結合親和性を有するより広い範囲の可能なタンパク質変異体を産生するためのより多くの可能性を提供することができる、より多くのアミノ酸をもたらす。PUF、Cas6、およびCas13のより長いヌクレオチド結合部位、ならびにより大きなタンパク質結合部位の両方は、MS2タンパク質またはMS2 RNA配列の変異によって達成することができるよりも大きな範囲の親和性を変異によって達成できる利点を提供する。したがって、このより長い配列は、核酸および/または結合タンパク質を操作して、そのカーゴ核酸の放出を改善するために必要な場合に、特異的に目的の個々のカーゴに結合親和性を調整するより大きな可能性を提供する。上で論じたように、ヌクレオチドカーゴへの結合の親和性を制御し、したがってヌクレオチドカーゴの放出性を修正および制御する能力は、生体活性核酸の送達および放出をもたらす従来技術に優る本発明の著しい利点である。重要なことに、上述したように、EV生体分布パターンは、バクテリオファージタンパク質の相当な量の蓄積を肝臓にもたらし、それによって、機能障害を有する肝臓系を既に患っている患者の肝機能に及ぼす悪影響の増大を促進するため、バクテリオファージタンパク質によって刺激される免疫毒性は、肝臓に関与する疾患の場合に特に問題となる。
さらなる実施形態において、EVは、器官、組織、または細胞標的化ペプチドおよび/もしくはポリペプチドをさらに含んでもよい。CNS症状を有する特定のUCDにおいて重要であり得る、EVを脳およびCNSに輸送するのに有効であることが証明されている標的化ペプチドの一例は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチドであるが、他のペプチドおよびポリペプチドもまた、本発明の範囲内である。重要なことに、組織標的化ペプチドおよび/またはポリペプチドは、尿素サイクルポリペプチド(ならびに任意選択でUCDタンパク質および/または対応するコードNAカーゴ分子の増強装填用のEV濃縮ポリペプチド)も含むポリペプチド構築物中に含まれてもよく、かつ/またはEV中に別個のポリペプチド構築物として存在してもよい。標的化ペプチドおよび/またはポリペプチドが別個のポリペプチド構築物の一部である場合、EVへの効率的な装填を確実にするために、好ましくは、エクソソームタンパク質に融合される。
本発明によるEVが少なくとも1つの標的化部分を含む場合、該標的化部分は、目的の細胞、組織、器官、および/または区画への標的送達のために、EVプラス関連ポリペプチドまたはポリヌクレオチドカーゴを標的とすることができる。標的化部分は、融合ポリペプチド自体に含まれてもよく、これは、膜貫通ドメインを有するエクソソームポリペプチドを使用する場合に特に有利であり、EVの表面上の標的化部分の表示を可能にする。標的化部分は、タンパク質、ペプチド、抗体、ナノボディ、アルファボディ、一本鎖断片、または抗体もしくは結合剤の任意の他の誘導体などであってもよい。標的化部分はまた、EVに含まれる別個のポリペプチド構築物の一部も形成してもよい。さらに、本発明のEVに含まれる融合ポリペプチドは、生体活性送達を増強するための様々な追加の部分も含んでもよい。かかる部分および/またはドメインは、機能ドメインの以下の非限定的な例を含んでもよい。(i)融合ポリペプチドを二量体化、三量体化、または多量体化してEV形成を増強し、かつ/または装填を向上させる多量体化ドメイン、(ii)例えばUCDタンパク質とエクソソームタンパク質との間で、またはエクソソームタンパク質とNA結合ドメインとの間で、立体障害を回避し、柔軟性を提供するための上述のリンカー、(iii)融合ポリペプチドの特定の部分の放出(例えばUCDタンパク質および/またはUCDタンパク質をコードするNAカーゴを放出する)に有用な自己切断活性を有する、インテインのようなシス切断エレメントなどの放出ドメイン、(iv)レシピエント細胞におけるRNAの放出を向上させるためのRNA切断ドメイン、例えばCas6、Cas13などのヌクレアーゼをコードするドメイン、(v)HA2、VSVG、GALA、B18などのエンドソーム脱出ドメイン、および/または(vi)核局在化シグナル(NLS)。組織標的化部分は、治療ペプチドと同じポリペプチド構築物中に含まれ得る、および/または別個のポリペプチド構築物として存在する、組織標的化ペプチドおよび/またはポリペプチドであってもよい。
一実施形態において、NAカーゴ分子は、mRNA、環状RNA、ミニ環状DNA、プラスミドDNA、またはウイルスゲノムを含む群から選択されてもよいが、UCDで補充する必要があるUCDタンパク質をコードすることができる限り、本発明によるEVには本質的に任意のタイプのNA分子を含むことができる。一本鎖および二本鎖の両NA分子が本発明の範囲内であり、NA分子は、天然に存在する場合がある(RNAまたはDNAなど)、または2’-O-Me、2’-O-アリル、2’-O-MOE、2’-F、2’-CE、2’-EA2’-FANA、LNA、CLNA、ENA、PNA、ホスホロチオエート、トリシクロ-DNAなどの化学修飾ヌクレオチドを含んでもよい化学合成されたRNAおよび/またはDNA分子とすることができる。重要なことに、本発明は、NAカーゴ分子(例えば、mRNA、環状RNA、ウイルスゲノムなど)の内因性装填に非常に好適であるが、EV産生細胞を当該NA分子に曝露することによって、および/またはNAカーゴ分子をEV自体と共インキュベーションもしくは製剤化することによって装填されてもよい外因性NA分子の装填にも適用可能である。
NAカーゴ分子は、直鎖状、環状であってもよく、かつ/または任意の二次構造および/もしくは三次構造および/もしくは他の構造を有してもよい。NAカーゴ分子は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。(i)miRNA結合部位であって、かかる部位は任意選択で組織および/もしくは細胞型特異的である部位、(ii)ポリAテールもしくはステムループなどの少なくとも1つの安定化ドメイン、または(iii)5’および/もしくは3’末端の少なくとも1つのハイブリッドUTR。
本発明の実施形態において、本発明によるNAカーゴ分子は、(i)融合ポリペプチドのNA結合ドメインの少なくとも1つの結合部位、および(ii)治療用UCDタンパク質(複数可)をコードするポリヌクレオチドドメインを含む。好ましい実施形態において、NAカーゴ分子は、少なくとも2つの結合部位、さらにより好ましくは、より多い数、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、15、またはさらに多い数の結合部位を含む。本発明者らは、1~8個の結合部位を含むことにより、カーゴの放出および生体活性送達に悪影響を及ぼすことなく、EV内へのNAカーゴ分子の最適な装填をもたらすことを認識している。NA結合ドメインの結合部位は、3’および/もしくは5’UTR内に、および/もしくは隣接して遺伝子操作され、かつ/または配列最適化によって、NAカーゴ分子のコード領域内に配置することができる。
NAカーゴ分子(すなわち、当該UCDタンパク質をコードするポリヌクレオチド)およびNA結合ドメインを含む融合ポリペプチド構築物の両方の設計は、例えば標的細胞および/または特定の器官、組織、および体内区画への装填、放出、および生体活性送達の鍵である。上述のように、本発明で利用されるNA結合ドメインは、免疫刺激および毒性を引き起こすことを回避するため、非常に有利であり、これは、EVがUCDタンパク質および/または対応するNAカーゴを肝臓に送達することを意図しているため、特に重要であり、これはすでに尿素サイクル障害自体の影響によって含まれる。本発明者らは、特に有利な実施形態が、少なくとも1つのNA結合ドメイン(すなわち、各側に少なくとも1つのNA結合ドメイン)によって両側に隣接する少なくとも1つのエクソソームポリペプチドを含む融合ポリペプチドを含むEVであることを発見した。あるいは、様々な事例において、NA結合ドメインは、例えば、外因性装填を増強するためにEVの外側にNA結合ドメインを表示することが望ましい場合に、少なくとも1つの位置(例えば、CD63の小胞外ループ上)にあるエクソソームポリペプチドへと挿入されることによる場合がある。エクソソームポリペプチドは、Cおよび/またはN末端に直接隣接してもよいが、最も有利な設計の1つは、エクソソームポリペプチド(複数可)およびNA結合ドメイン(複数可)の両方の活性維持のために間隔および柔軟性を提供するために、エクソソームポリペプチドとNA結合ドメインとの間にリンカーペプチドおよび/または切断ポリペプチドドメイン(インテインなど)を含むことである(またはUCDタンパク質自体のタンパク質送達放出の場合)。かかるリンカーは、有利なことに、特定の数の反復を含有するグリシン-セリン(GS)リンカーであってもよい。本発明者らは、1~4回の反復のいずれかが最も有利であり、融合ポリペプチドをあまりにも非構造化にすることなく十分な柔軟性を提供することを認識している。上述したように、NAカーゴ分子の外因性装填を伴う適用では、EVは、好ましくは、エクソソーム表面上のNA結合ドメインを曝露するために、そのN末端、および/またはそのC末端、および/またはエクソソームポリペプチドの任意の小胞外(すなわち、EVの外側に存在する)領域にある少なくとも1つのNA結合ドメインに融合された少なくとも1つのエクソソームポリペプチドを含む融合ポリペプチドを含む。
本発明はまた、装填、放出、および生体活性送達の高効率を確保するための鍵である、NAカーゴ分子の様々な本発明の修正にも関する。例えば、直鎖状または環状のいずれかであるようにNAカーゴ分子を設計することによって、装填効率および安定性などの態様を増減させることができる。さらに、配列の設計を最適化することによって、NAカーゴの二次構造および三次構造に影響を及ぼすことも可能であり、標的NAへのNA結合ドメインの容易なアクセスを促進することにより、装填をさらに促進することができる。
さらに別の有利な実施形態において、NAカーゴ分子は、装填の増強、放出の改善、組織特異的活性の増大、および/またはNAカーゴ分子の安定性の増大のいずれかによって、効力を増大させる追加の部分を含んでもよい。例えば、NAカーゴ分子は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。(i)miRNA結合に対する部位であって、かかる部位は任意選択で、優先細胞および/または組織特異的活性を駆動するための組織および/または細胞型特異的である、miRNA結合部位、(ii)長いPolyAテールまたは2つ以上のPolyAテール(例えば、2または3またはさらには4つのPolyAテール)などの少なくとも1つの安定化ドメイン、(iii)ヌクレアーゼ分解を阻害するための5’および/または3’UTR内の少なくとも1つのステムループ構造、(iv)NAカーゴ分子の転写を駆動するためのRNAポリメラーゼ、(v)mRNA安定性を増加させるためのコドン最適化配列、(vi)mRNA翻訳効率を増加させるための5’および/または3’末端の少なくとも1つのハイブリッドUTR、および/または(vii)リボザイム(複数可)。
上述のように、NAカーゴ分子(すなわち、UCDタンパク質をコードするポリヌクレオチド)は、有利なことに、(i)EVへの共局在化用のNA結合ドメインに対する少なくとも1つの結合部位、および(ii)治療用UCDタンパク質をコードするポリヌクレオチドドメインを含んでもよい。NAカーゴ分子は、有利なことに、少なくとも1つの結合部位とコードNA成分との間の切断部位をさらに含んでもよい。NA結合ドメインを含む融合ポリペプチドは、NA結合ドメインとN-および/もしくはC末端で隣接する少なくとも1つのエクソソームポリペプチドを含んでもよく、かつ/または少なくとも1つのNA結合ドメインがEVポリペプチド配列に挿入される。
本発明によるEVは、融合ポリペプチドの補助を受けて、NAカーゴ分子を装填し、融合ポリペプチドは通常、NAカーゴ分子に結合し、EVに輸送する少なくとも1つのNA結合ドメインに融合したエクソソームポリペプチドを含む。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、装填は、EV産生細胞内でのEVの形成に伴って生じる、またはNAカーゴ分子(複数可)を操作されたEVとインキュベーションすることによって外因的に生じると推測される。融合ポリペプチドは、通常、NAカーゴ分子(EV産生細胞で共発現したmRNA分子など)に結合し、次いでこれをEVとして産生細胞から分泌される小胞内に輸送してもよい。すでに述べたように、NAカーゴ分子は、融合ポリペプチド(内因性装填)と同じEV産生細胞で発現してもよく、かつ/またはEVが形成され、そして任意選択で精製されると、EVに外因的に装填されてもよい。NAカーゴのEV産生細胞における共発現は、EV産生が単一ステップで単一細胞において行われるため、非常に有利な実施形態であり、これにより該プロセスのスケーリングを可能にし、かつ上流および下流の両処理を簡素化する。NAカーゴ分子(例えば、mRNAまたは任意の他のUCDタンパク質をコードするNA分子など)は、融合ポリペプチドと同じポリヌクレオチド構築物から発現してもよく、または別のポリヌクレオチド構築物から発現してもよい。両方法は、利点を有する。1つの構築物の使用は、融合ポリペプチドおよびNAカーゴ分子の両方が一緒に翻訳/転写されることを確実にする一方で、2つ以上の構築物の使用は、2つの成分の差次的発現、例えば、融合ポリペプチドまたはNAカーゴ分子のいずれかのより高レベルの発現を可能にする。好ましい実施形態において、融合ポリペプチドおよび/またはNAカーゴ分子が発現するポリヌクレオチド構築物(複数可)は、有利なことにEV産生細胞に安定して導入され、NAを装填したEVの一貫した、再現可能かつ高収率の産生を可能にする。安定な細胞の作成、好ましくは、続いて単一細胞をクローニングし、EV産生用の単一細胞クローンを得ることは、UCDタンパク質を含む融合ポリペプチドをEVに装填するためと同様に、コードNA分子の装填に重要である。好ましい実施形態において、EV産生細胞は、融合ポリペプチドおよびNAカーゴ分子を含む2シストロン性ベクターまたはマルチシストロン性ベクター(構築物またはポリヌクレオチドなどとしても知られる)を用いて安定的にトランスフェクションおよび/または形質導入される。かかる2シストロン性またはマルチシストロン性の構築物は、例えば、(i)NA結合ドメインおよびエクソソームタンパク質を含む融合ポリペプチド、ならびに(ii)目的のNAカーゴ分子、例えば、mRNAまたは任意の他のタイプのコードNAカーゴ分子の両方の発現を可能にする、誘導可能なプロモーター、IRESエレメント(複数可)または2Aペプチド結合を含んでもよい。2シストロン性またはマルチシストロン性のベクターを使用することに加えて、複数または双方向プロモーターは、本発明によるEVに装填される目的の2つの成分をコードする単一の構築物を安定的に挿入するための別の扱いやすい方法を表す。明らかに、代替の実施形態において、2つ以上の構築物(例えば、プラスミド)もまた、EV産生細胞にトランスフェクションおよび/または形質導入されてもよいが、単一の構築物の使用は、融合ポリペプチド(したがって、NA結合ドメイン)およびNAカーゴ分子自体の等モル濃度を可能にする場合があるため、有利である場合がある。重要なことに、本発明のEV産生細胞は、通常、少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物を過剰発現するように設計され、これは、EV産生細胞内で好適な濃度でのNAカーゴ分子の適切な産生を可能にし、それによって、NA結合ドメインのNA分子への可逆的で放出可能な結合を可能にする。ポリヌクレオチド(複数可)の過剰発現は、EV産生細胞において比較的高いUCDタンパク質融合ポリペプチドまたはUCDタンパク質をコードするNAカーゴ分子の濃度を生じることを可能にすると同時に、NAカーゴ分子の濃度がより低い標的細胞におけるNAカーゴ分子の放出を可能にする重要なツールである。これは、PUFおよびCasタンパク質に特に関連する。
上述したように、EVは典型的には単一の小胞としてではなく、実質的に複数の小胞に存在し、したがって、本発明はEVの集団にも関する。有利な実施形態において、かかる集団全体にわたるEV当たりのNAカーゴ分子の平均数は、EV当たり平均1個超のNAカーゴ分子、好ましくはEV当たり10個超のNAカーゴ分子、さらにより好ましくはEV当たり100個超のNAカーゴ分子である。しかしながら、集団全体を通して、任意のNAカーゴ分子を含まないEVも存在し、したがって、本発明は、EV当たり平均1(1)個未満のNAカーゴ分子を含むEV集団にも関する場合がある。
重要なことに、従来技術は典型的には、非常に非効率的な様式で、RNAカーゴのEVのごく一部への装填をもたらすにすぎない。例えば、TAMELシステムは、実質的にゼロから1未満のパーセンテージの単一EVの装填をもたらす。TAMELシステムの発明者らは、TAMELシステムを使用する場合、RNA分子のエクソソームへの装填が最大で7倍増強されることを報告する一方で、本発明は、(i)融合タンパク質内に存在するNA結合ドメインを有しない、かつ/またはNAカーゴ分子内にNA結合ドメインの結合部位を有しないEV、(ii)融合タンパク質自体を有しないEV(例えば、図2に示すように)、(iii)NAカーゴ分子でのみ受動的に装填される未操作EV、ならびに/または(iv)任意の所与の内部NA対照分子と比較して、典型的には少なくとも10倍、好ましくは少なくとも25倍、しかし、しばしば少なくとも50倍、および好ましくは少なくとも70倍、例えば、mRNAおよび他のNAカーゴ分子の生産的装填を向上する。したがって、本発明は、EVの所与の集団にかなりより多くのNAカーゴ分子を装填する方法を提供し、かつ重要なことに、本発明は、従来技術と比較して有意により高い割合のEVを装填することも可能にする。一実施形態において、本発明は、EV集団に関し、全EVの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、および/または少なくとも95%が、当該NAカーゴ分子を含む。上述のように、本発明と、例えば米国特許出願第14/502,494号および他の従来技術文書との重要な違いは、EVの全集団にわたる融合ポリペプチドの非効果的で、かつ重要なことに、不均一な分布に関する。例えば、米国特許出願第14/502,494号で使用されるMS2タンパク質は、EVのごく一部にのみ存在し、これは、EV集団にわたってmRNAカーゴの不均一に分布した装填をもたらす。逆に、本発明の融合タンパク質は、EV集団全体にわたって均一に分布し、これは、本質的に、あらゆるEVが、本発明による少なくとも1つの融合ポリペプチド、および通常は少なくとも1つのNAカーゴ分子を含むことを意味する。したがって、一実施形態において、本発明は、本質的に2つのEV下位集団を含むEV組成物に関し、(i)第1のEV下位集団は、EV当たり平均2個以上の融合ポリペプチド(NA結合ドメインおよびエクソソームポリペプチドを含む)を含み、(ii)第2のEV下位集団は、EV当たり平均2個以上の融合ポリペプチドと組み合わされる当該NAカーゴ分子を含む。対照的に、従来技術、例えば米国特許出願第14/502,494号は、EV当たり非常に少ない融合ポリペプチド、典型的には10個のEV当たり1個未満の融合ポリペプチドを含むEVを教示し、これは、該融合タンパク質に依存するNAカーゴ分子の生産的な装填および送達が、本出願の場合よりも有意に低いことを明らかに示す。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、従来技術がEVへの融合タンパク質のより高い装填を達成できなかった理由は、MS2および類似の非真核生物タンパク質がエクソソームへと効率的に往復しないという事実、および/またはそれらが毒性を引き起こすという事実に起因すると推測され、2つの問題は本発明によって対処される。
UCDタンパク質を装填した場合の本発明のEVは、EV当たりポリペプチド構築物(すなわち、エクソソームタンパク質に任意選択で融合したUCDタンパク質)の少なくとも1つのコピーを含んでよい。より好ましくは、本発明の単一のEVは、(i)ポリペプチド構築物の少なくとも10コピー、(ii)ポリペプチド構築物の少なくとも50コピー、および/または(iii)ポリペプチド構築物の少なくとも100コピーを含んでもよい。
本発明のポリペプチド構築物は、少なくとも1つのEV濃縮ポリペプチド、例えば、CD63、CD81、CD9、シンテニン、Lamp2B、Lamp2A、シンデカン、Alix、CD47、パルミトイル化ドメイン(複数可)、ミリストイル化ドメイン(複数可)、またはポリヌクレオチドおよびポリペプチドの両方のレベルで治療用尿素サイクルタンパク質に作用可能に連結することができる任意の他のEV濃縮ポリペプチドを1つのポリペプチド構築物内に組み合わせた少なくとも1つの治療用尿素サイクルタンパク質を含む。
上述のように、本発明によるEVに含まれるポリペプチド構築物(複数可)は、尿素サイクルタンパク質のEVへの内部移行を促進するために、有利な実施形態において、少なくとも1つのEV濃縮ポリペプチドを含むように操作されてもよい。かかるEV濃縮ポリペプチドは、本質的に任意のEVポリペプチド、例えば、以下のEV濃縮ポリペプチド群から選択され得る。CD9、CD53、CD63、CD81、CD54、CD50、FLOT1、FLOT2、CD49d、CD71、CD133、CD138、CD235a、ALIX、シンテニン-1、シンテニン-2、Lamp2b、TSPAN8、TSPAN14、CD37、CD82、CD151、CD231、CD102、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、DLL1、DLL4、JAG1、JAG2、CD49d/ITGA4、ITGB5、ITGB6、ITGB7、CD11a、CD11b、CD11c、CD18/ITGB2、CD41、CD49b、CD49c、CD49e、CD51、CD61、CD104、Fc受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン、CD2、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD13、CD18、CD19、CD30、CD34、CD36、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD86、CD110、CD111、CD115、CD117、CD125、CD135、CD184、CD200、CD279、CD273、CD274、CD362、COL6A1、ARRDC1、AGRN、EGFR、GAPDH、GLUR2、GLUR3、パルミトイル化ドメイン、ミリストイル化ドメイン、HLA-DM、HSPG2、Hsp70、L1CAM、LAMB1、LAMC1、LFA-1、LGALS3BP、Mac-1アルファ、Mac-1ベータ、MFGE8、SLIT2、STX3、TCRA、TCRB、TCRD、TCRG、VTI1A、VTI1B、それらの任意の誘導体および/またはドメイン、ならびにそれらの任意の断片、誘導体、ドメイン、または組み合わせ。任意のUCDタンパク質は、融合タンパク質において、本発明の任意のEV濃縮ポリペプチドと組み合わされてもよい。さらに有利なことに、本発明のポリペプチド構築物は、UCDタンパク質カーゴが切断され、したがって、インテインの自己切断活性によってEV濃縮ポリペプチドから放出されることを可能にするインテインをさらに含んでもよい。
本発明のさらなる実施形態において、尿素サイクルタンパク質またはかかるUCDタンパク質をコードするNA分子は、N-アセチルグルタメートシンターゼ、カルバモイルホスフェートシンセターゼ、オルニチントランスカルバモイラーゼ、アルギニノコハク酸シンターゼ、アルギニノサクシネートシンセターゼ、アルギニノコハク酸リアーゼ、アルギナーゼ、ミトコンドリアオルニチン輸送体、オルニチントランスロカーゼ、シトリン、y+Lアミノ酸輸送体1、ウリジンモノホスフェートシンターゼ、またはこれらの任意の断片、誘導体、ドメイン、または組み合わせを含む群から選択される。
上述のように、別の態様において、本発明は、少なくとも1つのNA結合ドメインおよび少なくとも1つのエクソソームポリペプチドを含む本発明の融合ポリペプチドに関し、少なくとも1つのNA結合ドメインは、PUF、Cas、および/またはNAアプタマー結合ドメインのうちの1つ以上である。有利な実施形態において、融合ポリペプチドは、任意選択で、特定の機能を有するポリペプチドを付与する追加の領域、ドメイン、配列、および/または部分をさらに含んでもよい。融合ポリペプチドに含まれる追加のドメインの非限定的な例としては、(i)多量体化ドメイン、(ii)リンカー、(iii)放出ドメイン、(iv)RNA切断ドメイン、(v)エンドソーム脱出部分、(vi)プロテアーゼ特異的切断部位、(vii)インテイン、(viii)標的化部分、および/または(ix)インテインなどの自己切断ドメインが挙げられる。
多量体化ドメインは、融合ポリペプチドの二量体化、三量体化、または任意のより高次の多量体化を可能にし、これは、融合ポリペプチドのEVへの選別および搬送を増加させ、かつEV産生細胞によって産生される小胞の収率の増加にも寄与する場合がある。リンカーは、融合ポリペプチド構築物、および対応するポリヌクレオチド構築物にも増加した柔軟性を提供するのに有用であり、立体障害の回避および融合ポリペプチドの機能維持を確実にするためにも使用されてもよい。元の融合ポリペプチドからの特定の部分またはドメインの放出を可能にするために、放出ドメインが融合ポリペプチド構築物に含まれてもよい。これは、融合ポリペプチドの部分の放出がNAカーゴの生体活性送達を増加させることになる場合、および/またはより小さな構築物の一部の場合に融合ポリペプチドの特定の機能がより良好に働く場合、特に有利である。好適な放出ドメインは、インテインなどのシス切断配列、Kaede、KikGR、EosFP、tdEosFP、mEos2、PSmOrange、GFP様Dendraタンパク質のDendraおよびDendra2、CRY2-CIBNなどの光誘導性の単量体または二量体の放出ドメインであってもよい。NAカーゴの切断を引き起こすために、NA切断ドメインも有利に融合ポリペプチドに含まれてもよい。NA切断ドメインの非限定的な例としては、Cas6、Cas13、操作されたPUFヌクレアーゼ、部位特異的RNAヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼが挙げられる。さらに、本発明の融合ポリペプチドは、エンドソーム脱出を駆動し、それによってEV自体およびEV NAカーゴ分子の生体活性送達を増強するエンドソーム脱出ドメインも含んでもよい。送達を増強するための別の戦略は、EVを細胞、組織、および/または器官、または他の体内区画に標的化することである。標的化は、例えば、標的化ペプチドの使用などの様々な手段によって達成することができる。かかる標的化ペプチドは、数アミノ酸長~数百アミノ酸長のいずれか、例えば3~100アミノ酸、3~30アミノ酸、5~25アミノ酸の間隔のいずれか、例えば7アミノ酸、12アミノ酸、20アミノ酸などであってもよい。本発明の標的化ペプチドはまた、受容体、受容体リガンドなどの全長タンパク質を含んでもよい。さらに、本発明による標的化ペプチドは、抗体および抗体誘導体、例えば、モノクローナル抗体、一本鎖可変断片(scFv)、他の抗体ドメインなども含んでもよい。
本発明の特に好ましい実施形態において、ポリペプチド構築物は、LAMP2b-ASL、CD47アルファ-ASL、CD47ベータ-ASL、CD47デルタ-ASLおよび/またはCD47ガンマ-ASL(CD47アルファ/ベータ/ガンマ/デルタは、CD47タンパク質のより切断された型を順番に表す)を含む融合タンパク質を使用して管腔外に呈するASLタンパク質を含む。あるいは、本発明の他の同等に好ましい実施形態において、ポリペプチド構築物は、CD63-インテイン-ASLおよび/またはPalm-インテイン-ASL(Palmはパルミトイル化配列である)を含む融合タンパク質を使用して管腔内に呈するASLタンパク質を含む。本発明のEVはまた、これらの管腔外および管腔内に呈するタンパク質構築物のあらゆる組み合わせを含んでもよい。さらに、好ましい実施形態におけるASLタンパク質は、任意の他の尿素サイクルタンパク質によって補充されてもよい。尿素サイクルタンパク質/尿素サイクルタンパク質をコードするポリヌクレオチドの管腔内装填の利点は、タンパク質/ポリヌクレオチドがEV内に封入されることによって分解から保護され、それによってカーゴ分子の半減期を延長することである。
パルミトイル化は、タンパク質が細胞基質と細胞内/原形質膜との間で動的に再局在することを可能にする可逆的プロセスであるため、パルミトイル化配列の使用は特に有利である。これの効果は2倍である、すなわち、第1に、EV産生細胞において、ポリペプチドが最初にEVを産生しない膜に位置する場合、その後、EVを産生することができる異なる細胞下膜に再局在し、したがって、最終的にEVに組み込まれる産生ポリペプチド構築物の濃度を増加させることができるように、本発明のポリペプチド構築物を産生細胞内でリサイクルすることを可能にし、第2に、EVが標的細胞に送達されると、脂肪酸を脱パルミトイル化酵素によって除去することができ、したがって、カーゴを遊離の非付着形態で送達することができ(必ずしもインテインまたはそれに組み込まれる他の切断メカニズムを必要とせずに)、送達されたカーゴタンパク質がその最適な生体活性確認を得るため、増強された治療効果を示すことを可能にする。したがって、パルミトイル化を利用することは、EV産生細胞の上流処理中に、カーゴをEVに位置決めするように作用するだけでなく、関連する標的位置でカーゴの放出を可能にするという驚くべきかつ予期しない二重の役割を有する。
さらに別の態様において、本発明は、本発明によるポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド構築物に関する。かかるポリヌクレオチド構築物は、様々なベクターを使用して、インビボ、エクスビボ、および/またはインビトロで必然的に発現される場合がある。本発明によるポリヌクレオチド構築物を含む好適なベクターとしては、さらに別の態様において、プラスミド、ミニ環、任意のタイプの実質的に環化されたポリヌクレオチド、ウイルス(アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、および/またはカプシドフリーウイルスおよび/またはウイルスゲノムなど)、直鎖DNAおよび/もしくはRNAポリヌクレオチド、天然メッセンジャーRNA(mRNA)、ならびに/または典型的には、免疫原性を低減し、mRNA安定性を増強させるための5-メチルシチジンおよびシュードウリジンなどの修飾ヌクレオシドを含む修飾mRNAが挙げられる。
本発明によるポリヌクレオチド構築物は、ポリヌクレオチドに特定の官能性を付与するための1つ以上の部位またはドメインをさらに含んでもよい。例えば、ポリヌクレオチド構築物の安定性は、安定化ドメイン、例えば、ポリAテールまたはステムループの使用を通じて増強され、ポリヌクレオチド構築物はまた、任意選択で細胞型特異的誘導性プロモーター、リンカーなどであってもよい特定のプロモーターによっても制御される場合がある。安定化ポリAテールを保持するmRNAの切断をもたらすために、ポリAテールは、mRNAカーゴ分子のCas6またはCas13切断部位の上流に挿入されてもよい。これは、カーゴmRNAがインビボでの安定性を増加させ、その結果より多くのタンパク質が単一のカーゴmRNAから翻訳され、したがってEV当たりより高い治療生体活性が送達されることを可能にするという利点を有する。
本発明はまた、(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物、および/または(ii)本発明の少なくとも1つのポリペプチド構築物、および/または(iii)本発明の少なくとも1つのEVを含む細胞にも関する。
用語「供給源細胞」もしくは「EV供給源細胞」もしくは「親細胞」もしくは「細胞供給源」もしくは「EV産生細胞」、または任意の他の同様の用語は、好適な条件下、典型的には細胞培養においてEVを産生することができる任意のタイプの細胞に関するものと理解されるべきである。細胞培養は、インビボ、エクスビボ、および/またはインビトロでの懸濁培養、接着培養、または任意の他のタイプの培養系を含んでもよい。本発明による供給源細胞はまた、例えば、後続の翻訳、および、例えば、肝臓でのEVのインビボ産生のために、対象へのポリヌクレオチド構築物の送達を介して、インビボでエクソソームを産生する細胞も含んでもよい。
一般に、EVは、本質的に任意の細胞源に由来してもよく、初代細胞源であっても、または不死化細胞株であってもよい。EV供給源細胞は、誘導された多能性幹細胞(iPSC)ならびに任意の方法によって得られる他の幹細胞、ならびに任意の成人細胞供給源を含む、任意の胚性、胎児性、および成人体細胞性幹細胞の型であってもよい。本発明による供給源細胞は、幅広い範囲の細胞および細胞株、例えば、間葉系幹細胞または間質細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、ワルトンゼリー、周産期組織、絨毛膜、胎盤、歯芽、臍帯血、皮膚組織などから入手可能)、線維芽細胞、羊膜細胞、より具体的には、様々な初期マーカー、骨髄抑制細胞、M2偏光マクロファージ、脂肪細胞、内皮細胞、線維芽細胞などを任意選択で発現する羊膜上皮細胞から選択することができる。特定の目的の細胞株としては、ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)、ヒト胚腎臓(HEK)細胞、微小血管またはリンパ内皮細胞などの内皮細胞株、赤血球、赤血球前駆細胞、軟骨細胞、異なる起源のMSC、羊膜細胞、羊膜上皮(AE)細胞、羊水穿刺を通じて、または胎盤、気道または肺胞上皮細胞、線維芽細胞、内皮細胞などから得られる任意の細胞が挙げられる。また、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞(DC)などの免疫細胞も本発明の範囲内であり、また本質的にEVを産生することができる任意のタイプの細胞も本明細書に包含される。
神経学的疾患を治療する場合、例えば一次ニューロン、星状細胞、オリゴデンドロサイト、ミクログリア、および神経前駆細胞を供給源細胞として利用することを意図してもよい。供給源細胞は、治療される患者にとって、本来は同種、自己のいずれでも、または異種であってさえもよく、すなわち、細胞は、患者自身に由来してもよく、または無関係、適合もしくは不適合のドナーに由来してもよい。ある特定の状況において、同種細胞は、ある特定の適応症に罹患している患者の自己細胞からは入手可能ではない可能性がある免疫調節効果を提供することができるため、医学的観点から好ましい場合がある。例えば、全身性、末梢性、および/または神経学的炎症を治療する状況において、同種MSCまたはAEは、かかる細胞から入手可能であるEVが、例えば、マクロファージおよび/または好中球表現型切り替え(それぞれ、炎症促進性M1またはN1表現型から抗炎症性M2またはN2表現型へ)を介して免疫調節を可能にする場合があるため、好ましい場合がある。本発明による最も有利な供給源細胞は、MSC、羊膜由来細胞、羊膜上皮(AE)細胞、任意の周産期細胞、および/または胎盤由来細胞であり、これらは全て、哺乳動物起源であり、最も好ましくはヒト起源である。EVが由来する細胞株は、接着細胞または懸濁細胞であってもよく、安定細胞株または単一クローンとして生成してもよい。
一実施形態において、本発明は、MSC、AE細胞または胎盤由来細胞、いわゆるMSC-EV、AE-EV、およびP-EVから得られるEVに関する。かかる細胞は、様々な異なるUCDにおけるそれらの治療活性を増強するために、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質を含む有意な数のコピー、すなわちかなりの複数のポリペプチド構築物を含む、本発明によるEVの産生を可能にするように見えるため、特に好ましい。「内因的に操作された」という用語は、EV産生細胞が、細胞機構の補助を受けてEV内に組み込まれる治療用尿素サイクルタンパク質をコードするポリヌクレオチド構築物を含有するように遺伝子操作されることを意味する。上述の細胞源は好ましい実施形態であるが、本発明は、任意のEV産生細胞源、すなわち、EVを産生することができる任意の細胞に関する。上述の細胞源はまた、生体活性UCDタンパク質をコードするNAカーゴ分子を含むEVの産生においても非常に効率的である。
MSC-EV、AE-EV、およびP-EV、ならびに様々な他のEV産生細胞源は、予想外なことに、保持された治療活性、すなわち、酵素活性、または該治療尿素サイクルタンパク質が行う任意の他の活性を有する、正しく折り畳まれたUCDタンパク質および/またはかかるUCDタンパク質をコードするNA分子の多数のコピーを担持する能力を有する。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの特性は、EV、特にエクソソーム内で見出される高含有量の熱ショックタンパク質、特に熱ショック70kdaタンパク質8(遺伝子HSPA8によってコードされるHsp70-8としても知られる)の結果であると推測される。有利なことに、EV内へと存在および/または操作されてもよい他の熱ショックタンパク質としては、Hsp90、Hsp70、および/またはHsp60が挙げられる。
さらなる実施形態において、本発明によるEVは、意外にも、再生効果および免疫調節効果だけでなく、UCDの治療に好適な薬物動態プロファイルとも関連していると思われる様々なタンパク質マーカーに対して陽性であるように選択される。最も生体活性の高いEVは、以下のポリペプチドのうちの1つ(多くの場合、少なくとも3つ)に対して陽性である。CD63、CD81、CD44、SSEA4、CD133、CD24、および例えばHsp70ファミリー由来のタンパク質などの熱ショックタンパク質ファミリー由来の種々のタンパク質。
重要なことに、本発明のEVへのNAカーゴ分子の装填を補助する治療用尿素サイクルタンパク質および/または融合タンパク質は、該タンパク質のEVへの内因性装填の結果として、正しく折り畳まれる。正しい折り畳みは、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、EVに含まれる熱ショックタンパク質の結果であると推測され、これは、当該タンパク質の正しい折り畳みを維持するのに役立つ場合がある。
さらにさらなる態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド構築物、ポリヌクレオチド構築物、またはベクターのうちの1つ以上を含む細胞に関する。任意のタイプのEV産生細胞は、本発明の目的に有用である場合があり、そしてかかるEV産生細胞は、インビトロ、例えば細胞培養、または任意のエクスビボもしくはインビボ系のいずれかに存在する場合がある。本発明による細胞は、EVの持続的で、堅固で、かつ一貫した産生を可能にするために、任意選択で、不死化されてもよく、かつ/または任意選択で、少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物(またはかかる少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物を含む任意のベクター)で安定してトランスフェクションもしくは形質導入されてもよい。
上述のように、好ましい実施形態において、本発明のEV産生細胞は、(i)NA結合ドメインを含む融合ポリペプチドおよび(ii)NAカーゴ分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物(複数可)、または治療用UCDタンパク質を含む少なくとも1つのポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチドを用いて、安定的にトランスフェクションおよび/または形質導入される。非常に好ましい実施形態において、EV産生細胞は、単一細胞クローンのクローン選択を可能にするクローン選択プロトコルに曝露される。したがって、非常に好ましい実施形態において、本発明は、融合ポリペプチドおよびNAカーゴ分子の両方を含むEVを産生するために安定してトランスフェクションおよび/または形質導入されるEV産生細胞の単一細胞クローン集団に関する。単一クローンは、限定希釈法、単一細胞選別、単一細胞プリンティング、および/またはクローニングシリンダーを使用する個々の細胞の単離を使用して得られてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、EV産生細胞は、少なくとも1つの治療用尿素サイクルタンパク質を含む少なくとも1つのポリペプチド構築物、該ポリペプチド構築物をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物および/または少なくとも1つのベクターを含む。本発明の細胞は、典型的には、ポリヌクレオチド構築物(プラスミド、mRNA、直鎖DNA分子、ウイルスまたはウイルスゲノムなどのベクターの形態で存在し得る)を含むように操作され、これは、細胞機構によって対応するポリペプチド構築物へと発現し、それによって細胞により産生されるEV、通常はエクソソームおよび/または微小小胞へと組み込まれる。したがって、細胞は通常、最初にポリヌクレオチド構築物(または該構築物を含むベクター)を含み、一旦ポリペプチド構築物の発現および翻訳が完了すると、細胞は、ポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチド構築物の両方を含むことになり、これは通常、EV媒介性エクソサイトーシスを介して細胞から分泌され、あらゆるEVは、ポリペプチド構築物の複数のコピーを含む。
本発明のEV産生細胞は、好ましくは、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質およびEV産生細胞に安定して挿入される少なくとも1つのEV濃縮ポリペプチドを含むポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド構築物を含む。安定して(遺伝的に)操作されたEV産生細胞源の作成は、再現可能な治療効果を有し、そして化学、製造および品質管理(CMC)の観点から再現可能な同一性を有するEVの一貫した高収率産生の鍵である。安定した細胞は、通常、例えば、hTERT不死化、ウイルス不死化、および/または条件付き不死化の戦略を用いて不死化される。大規模でのEV産生を可能にするために、EV産生細胞は、ある特定の数の集団倍加(PDL)、好ましくは少なくとも20PDL、より好ましくは少なくとも50PDL、さらにより好ましくは少なくとも70PDL、さらにより好ましくは少なくとも100、またはさらに少なくとも200PDLを通して安定して(好ましくは好適なベクターに)ポリヌクレオチド構築物を含むことが好ましい。
本発明の好ましい態様において、EV産生細胞によって産生されるEVの少なくとも50%または60%、好ましくは少なくとも70%または80%、さらにより好ましくは90%または95%以上は、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質を含むポリペプチド構築物および/または少なくとも1つのUCDタンパク質をコードするポリヌクレオチド構築物(mRNAなど)を含む。
本発明の別の好ましい態様において、EV産生細胞によって産生されるEVは、少なくとも10、20、30、または40コピー、好ましくは少なくとも50コピーの尿素サイクルタンパク質および/または少なくともUCDタンパク質をコードするポリヌクレオチド構築物(mRNAなど)を、より好ましくは少なくとも70、80、または100コピー含む。
したがって、1つの有利な実施形態において、本発明は、EVの集団を含む組成物に関し、EVの少なくとも50%、60%、または70%が、治療用尿素サイクルタンパク質および/または少なくとも1つのUCDタンパク質をコードするポリヌクレオチド構築物(mRNAなど)に対して陽性であり、より好ましくは、EVの少なくとも75%が、治療用尿素サイクルタンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドに対して陽性であり、さらにより好ましくは、EVの少なくとも90%が、治療用尿素サイクルタンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドに対して陽性であり、かつ/またはさらにより好ましくは、EVの少なくとも95%が、治療用尿素サイクルタンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドに対して陽性である。
重要なことに、EV産生細胞を最適化するための本発明の操作戦略は、EVへの尿素サイクルタンパク質(複数可)の非常に効率的な装填をもたらす。典型的には、本発明によるあらゆるEVは、ポリペプチド構築物(したがって、尿素サイクルタンパク質)の少なくとも5~10コピーを含むが、より多くの場合、当該尿素サイクルタンパク質の10コピーをはるかに上回り、例えば、約20~30コピー、または30~50コピー、または50コピーも上回り、例えば、約75コピーまたは約100コピーを含む。明らかに、これは、治療効果にとって非常に重要であり、最適な操作戦略およびEVプロファイルだけでなく、かかるEVを産生および採取するための本発明方法も意図的に選択しなければ達成できない。同様に、EVは、少なくとも1つのUCDタンパク質をコードするポリヌクレオチド構築物(mRNAなど)を含んでもよく、好ましくは、EV当たり2以上のコピーだが、当然、さらにより好ましくは、EV当たり11コピー以上、または好ましくはさらに多くのコピー(EV当たり20、50、または100を上回るようなコピー)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、全てのEVがmRNAまたは対応するタンパク質などの薬物分子を含むわけではなく、例えば、2個のEVのうち1個が薬物分子を含んでもよく、または10個のEVのうち1個が薬物分子を含んでもよい。安全性および忍容性、ならびにそれによるEVの広範な治療指標のおかげで、EVのいくつかは薬物カーゴを含まない場合があるが、薬理効果を媒介するために必要なEVの用量は、単に粒子(EV)数を増加させることによって容易に達成することができる。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の複数のEV、少なくとも1つのポリペプチド構築物、少なくとも1つのポリヌクレオチド、および/または少なくとも1つのベクター、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にさらに関する。重要なことに、本明細書の全ての生物学的成分(EV、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞など)は、有利なことに単独で、あるいは任意の組み合わせで一緒に医薬組成物に含まれてもよい。通常、本発明の医薬組成物は、EVの集団ならびに好適な医薬担体、添加剤および/または賦形剤を含む。
別の実施形態において、医薬組成物は、有利なことに、フェニル酪酸ナトリウムすなわちブフェニル、安息香酸ナトリウム、ラクツロース、L-シトルリンおよびL-アルギニンなどの薬剤ならびに/またはこれらの任意の誘導体をさらに含んでもよい。これらのタイプの組み合わせは、EVが機能性尿素サイクルタンパク質を送達した後、その効果がかかる薬剤によって増強されるため、高度な相乗治療効果をもたらす場合がある。当然ながら、本発明の医薬組成物は、尿素サイクル蓄積障害の治療に特に好適であるが、尿素サイクルに関与する他の疾患も、本明細書の発明を使用して治療される場合がある。
本発明はまた、(i)本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物をEV産生細胞に導入することと、(ii)少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物によってコードされる少なくとも1つのポリペプチド構築物をEV産生細胞内で発現することと、それによって、UCDタンパク質としての直接発現を通して、または該ポリペプチド構築物の補助で装填されるポリヌクレオチドからの発現を介してのいずれかで、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質を含む該EVを生成することと、を含む、本発明のEVの産生方法にも関する。この方法は、外因性装填と比較して、内因性装填と称される。EVの外因性装填と比較した内因性装填の利点は、薬物産生プロセスの収率低下および不必要な複雑さをもたらす複数の製造ステップを回避することである。この装填効率の改善は、タンパク質およびポリヌクレオチドカーゴの両装填に同様に適用される。例えば、天然mRNAの内因性装填は、外因性装填法による修飾ヌクレオシドを典型的に含む人工mRNAの装填よりもはるかに単純である。さらに、内因性装填により、タンパク質カーゴがエクソソームに装填される前に適切に翻訳後修飾されることが可能になる。翻訳後修飾は、タンパク質が最適な三次構造または四次構造を採択するために必要であるため、内因性装填されたタンパク質は、送達されると最適な確認になり、したがって、送達されるとより大きな治療効果を有する。
ある特定の実施形態において、単一のポリヌクレオチド構築物が使用される一方で、他の実施形態において、2つ以上のポリヌクレオチド構築物が使用される。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ポリヌクレオチド構築物が導入されたEV産生細胞(EVの目的および使用に応じて、一時的または安定的に)は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド構築物を含むEV(エクソソームなど)を産生すると推測される。次いで、EVは、任意選択で、典型的には細胞培養培地から収集され、任意選択で、特定の使用前にさらに精製され得る。有利な実施形態において、該方法によって産生されるEVは、NAカーゴ分子をさらに含み、これは、融合ポリペプチド構築物の補助を受けてEVに装填される。典型的には、単一EVはNAカーゴ分子のいくつかのコピーを含むが、単一EVはまた、2つ以上のタイプのNA薬物カーゴ分子を含んでもよい。
本発明のEVおよび/または本発明の医薬組成物は、1つ以上の尿素サイクル障害を治療するために使用することができる。加えて、本発明による医薬組成物は、医療に使用するために、好ましくは1つ以上の尿素サイクル障害の治療に使用するためにも適用することができる。
追加の態様において、本発明は、(i)EV、(ii)少なくとも1つのポリペプチド構築物、(iii)少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物、(iv)少なくとも1つのベクター、および/または(iv)少なくとも1つのEV産生細胞のうちのいずれか1つ以上を含む組成物を哺乳動物に投与することを含む方法によって、肝臓、脳、および/もしくは末梢細胞、ならびに/または哺乳動物の任意の他の細胞区画における尿素サイクルタンパク質の量を増加させるために使用することができる。さらに、本発明は、UCDの治療を必要とする対象においてUCDを治療する方法であって、(i)本発明によるEVの集団を含む医薬組成物を提供するステップと、(ii)EVを患者に投与するステップと、を含む方法にも関する。重要なことに、上述のように、治療的介入は、代替的に、EV、ポリペプチド構築物、ポリヌクレオチド構築物、細胞、および/またはかかるポリヌクレオチド構築物を含むベクターのいずれかを患者に投与することを含んでもよい。これは、様々な送達ベクター、例えば、脂質ナノ粒子、またはポリマーもしくはペプチドに基づく送達ベクターを用いて実行することができる。組成物、EV、ポリヌクレオチド、および/またはポリペプチド構築物は、様々な投与経路を介して対象に投与されてよく、例えば、本発明によるEVは、様々な異なる投与経路、例えば、耳介(耳)、口腔、結膜、皮膚、歯、電気浸透、子宮頸管内、洞内(endosinusial)、気管内、腸内、硬膜外、羊膜外、体外、血液透析、浸潤、間質、腹腔内(intra-abdominal)、羊膜内、動脈内、関節内、胆管内、気管支内、嚢内、心臓内、軟骨内、尾内(intracaudal)、海綿体内(intracavernous)、腔内、脳内、脳室内、大槽内、角膜内、歯冠内(歯)、冠動脈内、海綿体内(intracorporus cavernosum)、皮内、椎間板内、管内(intraductal)、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内、病巣内、管腔内、リンパ内、髄内、髄膜内、筋肉内、眼内、卵巣内、心膜内、腹腔内(intraperitoneal)、胸膜内、前立腺内、肺内、洞内(intrasinal)、脊髄内、滑膜内、腱内、精巣内、髄腔内、胸腔内、管内(intratubular)、腫瘍内、鼓室内、子宮内、血管内、静脈内、急速静注、静脈内点滴、脳室内、膀胱内、硝子体内、イオン導入、灌注、喉頭、鼻、経鼻胃、密封包袋技法、眼科用、経口、口腔咽頭、他の、非経口、経皮、関節周囲、硬膜周囲、神経周囲、歯周、直腸、呼吸(吸入)、球後、軟組織、くも膜下、結膜下、皮下、舌下、粘膜下、局所、経皮、経粘膜、経胎盤、経気管、経鼓膜、尿管、尿道、および/もしくは膣内投与、ならびに/または上記投与経路の任意の組み合わせを介して、ヒトまたは動物の対象に投与されてもよく、典型的には、治療される疾患および/またはEV、ポリペプチドUCDタンパク質および/もしくは当該NAカーゴ分子の特徴、またはEV集団自体に依存する。
本発明は、標的細胞を、本発明による少なくとも1つのEVおよび/または本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物と接触させることを含む、少なくとも1つのカーゴタンパク質またはNA分子を細胞内送達するためのインビトロ方法においても利用されてもよい。かかる方法は、有利なことに、インビトロおよび/またはエクスビボで行われてもよい。該方法は、標的細胞を、本発明による少なくとも1つのEV、またはより一般的には、本発明によるEVの集団と接触させるステップを含んでもよい。さらに、本発明によるNAカーゴ分子の送達方法は、本明細書の融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、任意の生物系(ヒトなど)に存在する細胞に導入することも含み得る。
実施例1-EVへのmRNAの装填
図3は、TAMEL装填構築物(CD63-MS2)と比較した、本発明の例示的構築物(CD63-PUF)によるレポーター核酸(NanoLuc mRNA)をEVに装填する比較有効性を示す。
図3は、TAMEL装填構築物(CD63-MS2)と比較した、本発明の例示的構築物(CD63-PUF)によるレポーター核酸(NanoLuc mRNA)をEVに装填する比較有効性を示す。
レポーターmRNA(mRNAに組み込まれたPUF結合部位またはMS2結合部位のいずれかを備えたNanoLucレポーターmRNA)を安定的に産生する細胞を、さらに、CD63-PUFまたはCD63-MS2構築物のいずれかでそれぞれトランスフェクションした。EVを産生し、これらの細胞から精製し、EVに装填されたレポーターmRNAの濃度を、NanoLucレポーターを使用して測定した。エクソソームタンパク質CD63は、エクソソーム/EVに搬送され、該エクソソームタンパク質がRNA結合タンパク質(この場合、PUFまたはMS2のいずれか)に融合するため、対応する結合部位がRNA結合タンパク質によって結合され、したがって融合タンパク質と共にEVに同時に装填されるmRNAをもたらす。
CD63-MS2構築物により、EVへの生体活性mRNAの装填は6倍増加する。対照的に、CD63-PUF構築物では、EVへの生体活性mRNAの装填が169倍増加する。ハウスキーピングmRNAであるGAPDHの装填と比較して倍率増加を計算する。これは、CD63-PUF構築物が、TAMEL CD63-MS2装填システムと比較して、EVへの生体活性mRNAの装填の著しい改善を達成することを示す。上で論じたように、mRNAがMS2の強力な結合から放出されないため、C63-MS2装填構築物は、生体活性mRNAを装填することができないと考えられ、これは、翻訳されるとしても、適切に翻訳されないことを意味する。図3のデータは、本発明のCD63-PUF構築物がこの問題を克服し、従来技術と比較して有意により高いレベルの生体活性mRNAをEVに送達することを示す。
実施例2-EVへの尿素サイクルタンパク質の装填
尿素サイクルタンパク質ALS(アルギニノサクシネートリアーゼ)を装填したHEK細胞から得られたEVの尿素サイクル障害のモデルに及ぼす効果を、尿素生成アッセイを使用して測定し、その結果を図4に示す。
尿素サイクルタンパク質ALS(アルギニノサクシネートリアーゼ)を装填したHEK細胞から得られたEVの尿素サイクル障害のモデルに及ぼす効果を、尿素生成アッセイを使用して測定し、その結果を図4に示す。
尿素生成アッセイ方法
野生型-Huh7細胞を、ウェル当たり10kの細胞で、無血清系で培養した。1000、10000、および100000EV/細胞の濃度でCD63-インテイン-ASLでトランスフェクションしたHEK293細胞由来のEVを、野生型-Huh7細胞と共に48時間インキュベーションした。試料を洗浄し、0.5mM、1mM、または5mMの塩化アンモニウムと共に24時間インキュベーションした。尿素を上清および溶解物から測定した(上清からのデータが示される)。
野生型-Huh7細胞を、ウェル当たり10kの細胞で、無血清系で培養した。1000、10000、および100000EV/細胞の濃度でCD63-インテイン-ASLでトランスフェクションしたHEK293細胞由来のEVを、野生型-Huh7細胞と共に48時間インキュベーションした。試料を洗浄し、0.5mM、1mM、または5mMの塩化アンモニウムと共に24時間インキュベーションした。尿素を上清および溶解物から測定した(上清からのデータが示される)。
塩化アンモニウム中で細胞をインキュベーションすることは、尿素サイクル障害の患者からのものなどの尿素サイクル酵素が欠損している細胞中に蓄積された過剰なアンモニアを模倣するため、本発明で開示されるタンパク質補充療法を試験するための単純なモデルである。
図4は、ASLを装填したEVで処理した細胞が、未処理の細胞よりも有意に多くの尿素を産生することを示す。このことから、EV処理が、生物学的に有意なレベルで生体活性ASLを細胞に供給し、次いで、EVによって送達される追加のASLを用いて有意な量のアンモニアを尿素に変換できることを実証することができる。このことから、尿素サイクルタンパク質を装填したEVは、機能性尿素サイクルタンパク質を、それを必要とする細胞に送達することによって、尿素サイクル障害の患者の治療を可能にする非常に良好な可能性を有することがわかる。
実施例3-インビトロでの無細胞ASL酵素活性アッセイ
ASLは、アルギノコハク酸(ASA)からアルギニンへの反応を触媒し、副生成物としてフマル酸を生じる。図5は、インビトロ、無細胞ASL酵素活性アッセイの結果を示す。ASL操作されたエクソソーム対野生型エクソソームおよびASA対照処理によるフマル酸の産生を比較した。
ASLは、アルギノコハク酸(ASA)からアルギニンへの反応を触媒し、副生成物としてフマル酸を生じる。図5は、インビトロ、無細胞ASL酵素活性アッセイの結果を示す。ASL操作されたエクソソーム対野生型エクソソームおよびASA対照処理によるフマル酸の産生を比較した。
透過剤(Tween20)で処理した調製物に、基質ASA塩(Sigma)を添加し、18または21分間インキュベーションした。フマル酸濃度を、Abcamから入手可能な比色分析キットを使用して検出した。図5から分かるように、18分および21分の両インキュベーション後、ASA単独または野生型エクソソームと比較した場合、ASL-Palm-インテインを含有するように操作されたエクソソームによって産生されるフマレートの量が有意に増加した。これは、ASLタンパク質が活性であり、インテインの切断によって放出されたことを示す。
実施例4-インビボASL活性アッセイ
ASLノックアウトマウスに、ASL(Palm-インテイン-ASLまたはCD63-インテイン-ASL構築物の一部として)、野生型エクソソーム、またはビヒクル処置を装填したエクソソームを15日目+/-1日目に投与した。次いで、血中アンモニア濃度を、アンモニアアッセイキット(Sigma)を使用して試験した。ASLノックアウトマウスモデルは、多くの尿素サイクル障害によって共有される症状である血中アンモニア濃度の増加を示す。
ASLノックアウトマウスに、ASL(Palm-インテイン-ASLまたはCD63-インテイン-ASL構築物の一部として)、野生型エクソソーム、またはビヒクル処置を装填したエクソソームを15日目+/-1日目に投与した。次いで、血中アンモニア濃度を、アンモニアアッセイキット(Sigma)を使用して試験した。ASLノックアウトマウスモデルは、多くの尿素サイクル障害によって共有される症状である血中アンモニア濃度の増加を示す。
図6は、Palm-インテイン-ASL構築物またはCD63-インテイン-ASL構築物を含有するように操作されたエクソソームが、血中アンモニア濃度を低下させる能力を有したことを明確に示す。特に、Palm-インテイン構築物は、血中アンモニア濃度を野生型マウスの濃度と同様の濃度まで低下させることができた。これは、インビボのエクソソームによって送達される場合のASLタンパク質が生物学的に活性であり、かつASLを装填したエクソソームのインビボ送達が、単回治療のみの後に、ノックアウトマウスの血中アンモニア濃度を健常な濃度まで戻す能力を有したことを示す。
Claims (15)
- 尿素サイクルタンパク質を補充するための細胞外小胞(EV)であって、前記EVが、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質および/または尿素サイクルタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むように操作されることを特徴とする、細胞外小胞(EV)。
- 前記尿素サイクルタンパク質または尿素サイクルタンパク質をコードする前記ポリヌクレオチドが、アルギニノサクシネートリアーゼ(ASL)、アルギナーゼ、ミトコンドリアオルニチン輸送体、アルギニノコハク酸シンターゼ、N-アセチルグルタメートシンターゼ、カルバモイルホスフェートシンセターゼ、オルニチントランスカルバモイラーゼ、シトリン、y+Lアミノ酸輸送体1、ウリジンモノホスフェートシンターゼ、もしくはこれらの任意の断片、誘導体、ドメイン、またはこれらの組み合わせを含む群から選択されるタンパク質をコードする、請求項1に記載のEV。
- 前記尿素サイクルタンパク質が、EV濃縮ポリペプチドを含む融合ポリペプチドに含まれる、請求項1または2に記載のEV。
- EV濃縮ポリペプチドおよび核酸(NA)結合ドメインを含む融合ポリペプチドを含む、請求項1または2に記載のEV。
- 尿素サイクルタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、前記融合ポリペプチドの前記NA結合ドメインの補助を受けて前記EVに輸送される、請求項4に記載のEV。
- 前記ポリヌクレオチドが、少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質をコードするmRNA、ウイルスゲノム、またはプラスミドであってもよい、請求項5に記載のEV。
- 前記NA結合ドメインが、PUFファミリー由来のタンパク質、Cas6ファミリー由来のタンパク質、Cas13ファミリー由来のタンパク質、および/もしくは核酸アプタマー結合ドメイン、またはこれらの任意の断片、誘導体、ドメイン、またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上である、請求項4~6のいずれか一項に記載のEV。
- 前記EV濃縮ポリペプチドが、CD9、CD53、CD63、CD81、CD54、CD50、FLOT1、FLOT2、CD49d、CD71、CD133、CD138、CD235a、ALIX、AARDC1、パルミトイル化シグナル(Palm)、シンテニン-1、シンテニン-2、Lamp2b、TSPAN8、シンデカン-1、シンデカン-2、シンデカン-3、シンデカン-4、TSPAN14、CD37、CD82、CD151、CD231、CD102、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、DLL1、DLL4、JAG1、JAG2、CD49d/ITGA4、ITGB5、ITGB6、ITGB7、CD11a、CD11b、CD11c、CD18/ITGB2、CD41、CD49b、CD49c、CD49e、CD51、CD61、CD104、Fc受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン、MHC-IまたはMHC-II成分、CD2、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD13、CD18、CD19、CD30、CD34、CD36、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD86、CD110、CD111、CD115、CD117、CD125、CD135、CD184、CD200、CD279、CD273、CD274、CD362、COL6A1、AGRN、EGFR、GAPDH、GLUR2、GLUR3、HLA-DM、HSPG2、L1CAM、LAMB1、LAMC1、LFA-1、LGALS3BP、Mac-1アルファ、Mac-1ベータ、MFGE8、SLIT2、STX3、TCRA、TCRB、TCRD、TCRG、VTI1A、VTI1B、他のエクソソームポリペプチド、およびこれらの任意の断片、誘導体、ドメイン、または組み合わせを含む群から選択される、請求項3~7のいずれか一項に記載のEV。
- 前記融合ポリペプチドが、インテインをさらに含む、請求項3~8のいずれか一項に記載のEV。
- 前記EVが、少なくとも1つの熱ショックタンパク質をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のEV。
- 前記EVが、実質的に正しく折り畳まれた少なくとも1つの尿素サイクルタンパク質を含む、請求項1~3または8~10のいずれか一項に記載のEV。
- 前記EVが、目的の組織または器官に前記EVを標的化することができる少なくとも1つの組織標的化部分をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のEV。
- 尿素サイクルタンパク質に融合したEV濃縮タンパク質を含むポリペプチド構築物。
- 前記融合タンパク質が、インテインをさらに含む、請求項13に記載のポリペプチド構築物。
- 医薬組成物であって、
(i)請求項13もしくは14に記載の少なくとも1つのポリペプチド構築物、および/または
(ii)請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのEVと、
薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む、医薬組成物。
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