JP2022504403A - 心血管疾患の処置に有用な新規化合物 - Google Patents

心血管疾患の処置に有用な新規化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規化合物およびその医薬組成物、ならびにそれらを使用して心血管疾患を処置する方法を提供する。

Description

本発明は、新規化合物およびその医薬組成物、ならびにそれらを使用して心血管疾患を処置する方法を提供する。
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月12日に出願された米国非仮特許出願第16/600,476号の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2019年6月2日に出願された米国非仮特許出願第16/429,015号の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2018年11月4日に出願された米国非仮特許出願第62/755,516号の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
2019 American Heart Association Heart Disease and Stroke statistics(Benjamin et al.,2019)によれば、心血管疾患は米国での死亡の殆どの原因である。これらの疾患は、20歳超の1億2100万人の米国民、すなわち、成人人口の48%に見られる。これらの心血管疾患はすべて、細胞低酸素症に関連している。細胞低酸素症は、正常な生理学的状態と比較して、生細胞での酸素の利用可能性または利用の相対的欠乏として定義される。
米国での心血管疾患の年間費用は、2035年に1.1兆ドルに達するであろう。心血管疾患の管理における大きな進歩にもかかわらず、これらの同疾患は依然として米国で最も頻繁に起こる死因であり、世界的な問題としても考慮される必要がある。2016年には、世界で約1,760万人の死亡が心血管疾患に起因しており、2006年から14.5%増加した。
医療専門家は、ある程度の誇りを持って、近年の米国における心血管疾患による死亡率の大幅な減少を指摘している。しかしながら、以前はこれらの疾患で急死した患者は、今では長期的な管理を必要とする慢性患者となっている。社会としての我々の課題は、この増大する流行に対処する低費用の管理戦略を考案することである。
酸素供給が不足した場合、細胞代謝、したがって、生命自体が危険に曝される。生細胞は、遺伝子発現経路を再プログラムする非常に感受性の高い作用機序を用いて、利用可能な周囲酸素量の変化に応答する。この応答特性は、各細胞の状況および環境に特有である。酸素の運搬が生物の生活において重要な変数である場合は常に、低酸素誘導因子(HIF)が原虫からヒトに至る生物に見出され、HIF生理学の変化に注力している多くの現在の医薬品開発プログラムがある(Semenza,2019)。HIFは、低酸素症媒介性遺伝子発現のキーとなる要素の重要例を示しているが、酸素に対するヒト細胞応答の範囲はHIF発現の調節には限定されない。
低酸素症は、血流低下と相関関係にあり、低酸素症は、心血管疾患および灌流される臓器への血流の減少に関連する他の状態において認められる。再灌流は、血流の回復に関連している。再灌流は通常望ましいが、長期の虚血およびその後の血流の回復は、酸化的代謝の有毒な副産物に起因して局所的炎症および細胞損傷を引き起こし得る。このプロセスを軽減する方法がある。短時間の血流低下および再灌流を繰り返すことによって、将来の虚血の結果に対する抵抗性が高めることができる。この現象は、プレコンディショニングとして既知である。酸素の運搬および灌流の非致死的かつ大幅な低下による有害事象に対する効果的な処置が非常に求められており、治療選択肢は現時点では限られている。
低酸素関連遺伝子発現の管理のために現在臨床開発中である化合物の殆どは、プロリルヒドロキシラーゼを阻害する。プロリルヒドロキシラーゼは、低酸素誘導因子を分解させる。プロリルヒドロキシラーゼを阻害した場合、HIFの分解を引き起こす因子が阻害され、事実上、二重の否定によってHIFが増強される。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤は、低酸素症に対する細胞の適応応答をHIFを介して全身的に増強する化合物である。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤によって増強されたHIFは、赤血球の発達を刺激して貧血状態における治療効果をもたらす内因性分子である追加のエリスロポエチンを腎臓に合成させることできる。HIFの増強はまた、血管新生を生じさせて、低酸素領域へのより大きな血管成長を引き起こし、これは、例えば冠状動脈疾患が心筋虚血および関連する心機能障害をもたらす場合には有益である。残念ながら、上記包括的アプローチは、同時に、休眠状態の悪性腫瘍の動脈供給を増加させ、および/または酸素がすでに利用可能である場合に酸素を節約するように細胞代謝を変化させ得る。低酸素関連病状の病態生理学の複雑性を過小評価するのは容易である。低酸素媒介事象を調節するための非常に選択的なアプローチが、安全で効果的な医薬品を開発するには必要になるであろう。これには、限られた臓器特異的空間内での送達または適切な病理学的状況での活性の誘発が含まれる。
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現は、転写活性化因子NF-κBのp65、HMG I(Y)、およびSP1を介して、培養中のヒト臍帯静脈内皮細胞での低酸素症によって調節され、PGEの生成の増加をもたらす(Schmedtje,Jr.,Ji,Liu,DuBois,&Runge,1997;Xu,Ji,&Schmedtje,Jr.,2000;Ji,Xu,&Schmedtje,Jr.,1998)。これらの発見は、HIFが、低酸素症に対するヒト適応のすべてを駆動するのに不十分であり、NF-κBが、血管内皮での遺伝子の低酸素駆動性転写活性化の別の重要なメディエーターであるという事実を反映している。
虚血性心血管疾患は、血流不足に関連し、低酸素症にも関連している。虚血性プレコンディショニングは、本化合物に起因する治療効果の一部である。COX-2の血管内皮発現は、低酸素症によって増加する。COX-2は、一酸化窒素(NO)の合成の随伴物として虚血性プレコンディショニングに不可欠である(Li et al.,2007)。虚血性プレコンディショニングの後期段階によって与えられる心臓の保護を達成するためには、両方が必要である(Guo et al.,2012)。
尿素輸送体遺伝子のSLC14(溶質キャリア14)ファミリーは、細胞膜を通過する尿素輸送を調節する。UT-B(遺伝子SLC14A1の産物である尿素輸送タンパク質B)は、細胞膜を通過する尿素、水、および尿素類似体の輸送を促進する(Shayakul,Clemencon,&Hediger,2013)。UT-Bは、心臓、血管内皮、および赤血球を含んで広く発現している。UT-Bヌル(null)マウスは、心臓伝導異常、脳尿素濃度の増加、およびNO産生の減少を有する(Li,Chen,&Yang,2012)。尿素は、自由に透過可能であり、受動的に細胞に入るが、平衡は遅く、UT-Bは赤血球からの尿素の急速な排出を促進する(Sands,1999)。尿素は、一般に廃棄物とみなされ、アミノ酸の分解から再生利用の機会まで窒素を保持する。腎不全は、一酸化窒素合成酵素(NOS)活性の低下と関連している。しかしながら、正常な腎機能を有するラットは、BUNが尿毒症レベルへと上昇した場合には、低下したNOS活性を有さない(Xiao,Erdely,Wagner,&Baylis,2001)。尿素は、いくつかの状況では心臓保護特性を有し得る(Wang et al.,1999)。
膜UT-Bは、様々な場所に由来する培養におけるヒト血管内皮に豊富に存在し、一酸化窒素(NO)合成の調節に関与しているようである。(Wagner,Klein,Sands,&Baylis,2002)。血管内皮におけるUT-Bは、一般に細胞膜を通過して尿素を排出するように作用する。血管内皮におけるUT-Bの阻害は、尿素の細胞内蓄積を引き起こす。これは、アルギナーゼ(l-アルギニンを尿素に変換する酵素)のフィードバック阻害をもたらし、該フィードバック阻害が、l-アルギニンの代替経路の活性および発現を増加させ、この場合、内皮型NOS(eNOS)がNOの生成を増加させることができる(Sun et al.,2016)。これは、尿素の存在がNOの生成をどのように増強するかを示す点で興味深い。
低酸素症は、低酸素血管内皮におけるUT-Bの発現を増加させる。本発明者は、UT-Bの遺伝子(SLC14A1)のメッセンジャーRNAが、低酸素(1%酸素)細胞培養におけるヒト血管内皮細胞で有意にアップレギュレートされることを発見した。この状況でのUT-Bの発現のアップレギュレーションは、尿素を内皮細胞から排出させ、eNOS活性の増加を引き起こすアルギナーゼのフィードバック阻害を排除し、ニトレート投与の正味の血管拡張効果を低下させる。尿素または尿素類似体の供給源は、効果的な細胞内尿素基質レベルを維持して、これによりUT-Bのアップレギュレーションを克服し、かつ、l-アルギニンをNOのeNOS生成への経路に向かわせ、低酸素に応答して血管拡張を増強し、これにより隣接する血管平滑筋を拡張する。
虚血性プレコンディショニングのプロセスを標的化(例えば局所)様式で可能にしつつ、低酸素症でのNOの血管拡張放出を増強することで、心血管疾患における主な心臓有害事象の処置および予防をもたらす化合物を発見することが有益であろう。
したがって、一態様では、本発明は、細胞低酸素症の領域に応答する新規化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体、および治療有効量の本発明の化合物の少なくとも1つまたはその薬学的に許容される塩を含む、新規な医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患を処置するための新規な方法であって、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の本発明の化合物の少なくとも1つまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物の少なくとも1つを調製するためのプロセスを提供する。
別の態様では、本発明は、治療に使用するための新規化合物または薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患の処置のための薬剤の製造のための新規化合物の使用を提供する。
これらおよび他の目的は、以下の詳細な説明中で明らかになり、特許請求の範囲の化合物またはその薬学的に許容される塩が、細胞低酸素症の領域に焦点を絞った治療応答を提供すると予想されるという発明者の発見によって達成された。
本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本化合物は、内皮表面で尿素または尿素類似体(例えば、アミドまたはグリコールアミド)に加えて硝酸塩を放出するように設計されている。それらは、尿素部分(式IおよびIV)、アミド部分(式IIおよびVI)、またはグリコールアミド部分(式IIIおよびV)に結合された中央のイソソルビド部分、および硝酸基(-NO)を有する小分子である。グリコールアミドは、UT-Bを介した比較的高い透過性および低い毒性の利点を有する。(Zhao,Sonawane,Levin,&Yang,2007)。本化合物は、細胞膜を横切って血管内皮細胞への尿素および尿素類似体の受動的移動を利用することが期待される。血管内皮低酸素症の状態ではUT-B遺伝子の発現が増加している。尿素および尿素類似体のUT-B媒介性輸送(除去)は低酸素症で発生し、これにより、eNOS活性およびNO合成が制限されるようである。したがって、細胞内尿素の置換は、血管内皮に提供される硝酸塩の効果を増強する。低酸素状態での尿素および/または尿素類似体ならびに硝酸塩の組み合わせは、血管拡張および虚血性プレコンディショニングを含む事象のカスケードを促進すると予想される。
本化合物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ-2によってNOに代謝されるか、または亜硝酸塩に変換され、続いて、キサンチンオキシダーゼを含む一連の酵素によって還元されてNOを形成することができる、硝酸基を特徴とする。あるいは、細胞内L-アルギニンが一酸化窒素合成酵素によって酸化されて、NOを生成する。歴史上、内皮由来弛緩因子として既知であるNOは、NO受容体である可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化により、サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)の形成を誘導する。cGMPは、プロテインキナーゼG活性に結合して増強し、平滑筋細胞からのカルシウムの移動を促進し、これにより、細胞内カルシウムが減少するとことによって平滑筋の収縮性が損なわれるために、血管緊張が低下する。
この効果の正確な細胞内作用機序は血管拡張の作用機序ほどよく理解されていないが、NOは、虚血性プレコンディショニングにも不可欠である。COX-2の発現は、虚血性プレコンディショニングの必要な部分であり、COX-2の発現は、NF-κB転写活性化システムに依存する作用機序を介して低酸素症によって誘導される。さらに、以前に発表されたように、低酸素症がCOX-2のアップレギュレーションを引き起こす場合、内皮型一酸化窒素合成酵素はわずかにダウンレギュレートされるようである。(Schmedtje,Jr.et al.,1997)。したがって、低酸素症の状況においてCOX-2の誘導を伴うNO産生を増強する作用機序は、血管内皮において治療価値があるはずである。
したがって、一態様では、本発明の化合物は、標的化された様式で虚血性プレコンディショニングのプロセスを可能にしながら、血管拡張物であるNOの形成および放出を増強する。
別の態様では、本発明の化合物は、低酸素誘導性のUT-Bの発現ならびに細胞外へのおよび細胞膜を通過する関連する尿素ならびに/または類似体輸送の結果を克服するためのより多くの基質を提供する。
別の態様では、本化合物は、HIF-(低酸素誘導因子)および下流の効果の包括的なモジュレーターではないので、その治療応答は、細胞低酸素の領域に焦点が絞られるものであろう。本化合物は、細胞低酸素症の結果を局所的に軽減することにより、低酸素症の下流の効果を非選択的に模擬する治療剤の焦点が絞られていない投与で見られる副作用を殆どまたは全く伴わずに、心血管疾患を処置することができる。
別の態様では、本発明は、式I、II、III、IV、Vおよび/またはVIの新規化合物であって、
Figure 2022504403000001
式中、
は、存在せず、
あるいは、Rは、(イソソルビド部分に結合しているRの右側部分):(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHC(=O)O、およびCHC(=O)NHから選択され、
は、(イソソルビド部分に結合しているRの右側部分):(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHC(=O)O、CHC(=O)NH、CHOC(=O)O、CHOC(=O)NH、CHNHC(=O)O、およびCHNHC(=O)NHから選択される、化合物、
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、化合物は、式IもしくはIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが存在しない、式IもしくはIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが、(CHO、(CHNH、(CHO、および(CHNHから選択される、式IもしくはIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、式IIもしくはVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが、(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHOC(=O)O、CHOC(=O)NH、CHNHC(=O)O、およびCHNHC(=O)NHから選択される、式IIもしくはVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、式IIIもしくはVIの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが存在しない、式IIIもしくはVIの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが、(CHO、(CHNH、(CHO、および(CHNHから選択される、式IIIもしくはVIの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体および治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、新規な医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患を処置する新規の方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の本発明の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、心血管疾患を処置するための新規な方法を提供し、それを必要とする患者に、治療有効量の本発明の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
別の態様では、心血管疾患は、冠状動脈疾患、心筋梗塞、心不全、心不整脈、電気生理学的心臓障害、先天性心血管異常、発達性心血管異常、炎症性心筋症、川崎病、感染性心筋症、突然死/心臓停止、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、心臓弁疾患、静脈不全、心臓血栓症、血管血栓症、血栓塞栓症、末梢動脈疾患、大動脈瘤、大動脈解離、血管動脈瘤、血管解離、脳卒中、全身性高血圧症、および肺高血圧症から選択される。
別の態様では、本発明は、治療に使用するための本発明の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患の処置のための薬剤の製造のための本発明の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、心血管疾患の処置のための薬剤の製造のための本発明の使用を提供する。
本発明は、その真意または本質的な属性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されてもよい。本発明は、本明細書に記載の本発明の態様のすべての組み合わせを包含する。本発明の任意およびすべての実施形態は、追加の実施形態を説明するために、他の任意の実施形態と合わせて解釈され得ると理解される。実施形態の個々の要素はそれぞれ、それ自体の独立した実施形態として個別に解釈されることを意図していることも理解されたい。さらに、実施形態の任意の要素は、追加の実施形態を説明するために、任意の実施形態からの任意およびすべての他の要素と組み合わされることを意味する。
定義
本出願に提示される定義で提供される例は、特に明記されていない限り、非包括的である。それらには、記載された例が含まれるが、これらに限定されない。
細胞低酸素症は、個々の細胞レベルでの酸素不足であり、生物全体のレベルまたは環境での酸素不足に必ずしも関連しているわけではない。
本明細書に記載の化合物は、非対称中心、幾何学的中心(例えば、二重結合)、またはその両方を有し得る。特定の立体化学または異性体形態が具体的に示されていない限り、構造のすべてのキラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体、およびすべての幾何異性体が意図されている。非対称に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離し得る。ラセミ体の分解、光学活性出発物質からの合成、またはキラル補助剤の使用などによる光学活性体を調製する方法は、当技術分野で周知である。オレフィンの幾何異性体、C=N二重結合、または他の種類の二重結合が、本明細書に記載の化合物に存在してもよく、そのようなすべての安定な異性体が本発明に含まれる。具体的には、本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が存在してもよく、異性体の混合物もしくは分離された異性体として単離してもよい。本発明の化合物およびプロセスで作られる中間体を調製するために使用されるすべてのプロセスは、本発明の一部であるとみなされる。示されているまたは記載されている化合物のすべての互変異性体はまた、本発明の一部であるとみなされる。
「哺乳動物」および「患者」は、典型的には医療を受けている温血哺乳動物(例えば、ヒトおよび家畜)を包含する。例には、ネコ、イヌ、ウマ、およびヒト、ならびにヒトのみが含まれる。
「処置する(treating)」または「処置(treatment)」には、哺乳動物の病状の処置が含まれ、(a)哺乳動物における病状の発生を予防すること、特に、そのような哺乳動物が、病状にかかりやすいが、まだそれを有すると診断されていない場合、(b)病状を阻害すること、例えば、進行を阻止すること、および/または(c)病状を軽減すること、例えば、所望の評価項目に到達するまで病状の退行を引き起こすことが含まれる。処置にはまた、疾患の症状の改善(例えば、疼痛または不快感の軽減)が含まれ、そのような改善は、疾患に直接影響を与える場合もあるし、またはそうでない場合(例えば、原因、伝達、発現など)もある。
「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸または塩基塩を生成することによって改変された、本開示の化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩、およびカルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された、親化合物の慣用的な非毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような慣用的な非毒性塩には、1,2-エタンジスルホン酸、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシリン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、亜酢酸、コハク酸、スバセチン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸.、酒石酸、およびトルエンスルホン酸から選択される無機酸および有機酸に由来する塩が含まれる。
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中または2つの混合物中で反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が有用である。好適な塩の列挙は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,p 1445(Gennaro&Remington,1990)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
「治療有効量」は、本明細書に記載の適応症を処置するために単独でまたは組み合わせて投与された場合に有効である本発明の化合物の量を含む。「治療有効量」はまた、所望の適応症を処置するのに有効であると主張される化合物の組み合わせの量を含む。化合物の組み合わせは、相乗的な組み合わせであり得る。記載される相乗効果(Chou&Talalay,1984)は、組み合わせて投与された場合の化合物の効果が、単剤として単独で投与された場合の化合物の相加効果よりも大きい場合に生ずる。一般に、相乗効果は、化合物の最適値以下(sub-optimal)の濃度において最も明確に示される。相乗効果は、細胞毒性の低下、効果の増加、または個々の成分と比較した組み合わせの他の有益な効果に関するものであり得る。
本発明の化合物は、本明細書に記載されるように活性であることが期待される。
製剤化および投与量
本発明では、本発明の化合物は、任意の好都合な方法で(例えば、経腸的または非経口的に)投与することができる。投与方法の例には、経口および経皮が含まれる。当業者は、本発明の化合物の投与経路が大きく変動し得ることを認識している。他の経口投与に加えて、持続放出組成物が好まれ得る。他の許容される経路には、注射(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内)、皮下インプラント、ならびに口腔、舌下、局所、直腸、膣、および鼻腔内投与が含まれ得る。経口製剤の例には、錠剤、コーティング錠剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、溶剤、乳剤、ならびに懸濁剤が含まれる。本発明の化合物を血管壁に直接送達し得るカテーテルによって配置されたステントなどの薬剤溶出構造を含む、生体侵食性(bioerodible)、非生体侵食性、生分解性、および非生分解性投与システムも使用し得る。
錠剤の形態の固体組成物が調製される場合、主な活性成分は、例えば、シリカ、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを含む医薬ビヒクルと混合することができる。錠剤は、スクロースまたは他の適切な物質でコーティングすることができ、あるいは、持続的または遅延した活性を有し、所定量の活性成分を連続的に放出するように処理することができる。ゼラチンカプセルは、活性成分を希釈剤と混合し、得られた混合物を軟質または硬質ゼラチンカプセルに組み込むことによって得ることができる。シロップまたはエリキシルは、典型的にはカロリーゼロの甘味料、防腐剤(例えば、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)、香味料、および適切な着色剤と組み合わせて、活性成分を含むことができる。水分散性粉末または顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、またはポリビニルピロリドンなどの懸濁剤、および甘味料または味覚矯正剤(taste correctors)と混合された活性成分を含むことができる。直腸投与は、直腸温度で融解する結合剤(例えば、カカオバターおよび/またはポリエチレングリコール)で調製される坐剤を使用して行うことができる。非経口投与は、薬理学的に適合性のある分散剤および/または湿潤剤(例えば、プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール)を含む、水性懸濁液、等張食塩水、または注射可能な滅菌溶液を使用して行うことができる。活性成分はまた、任意選択で1つ以上の担体または添加剤とともに、マイクロカプセルまたはミクロスフェアとして製剤化することができる。活性成分はまた、シクロデキストリン、例えば、α-、β-、またはγ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、および/またはメチル-β-シクロデキストリンとの複合体の形態で提供することができる。
毎日投与される本発明の化合物の用量は、個々ごとに変動し、処置される疾患の重症度によってある程度決定され得る。本発明の化合物の用量はまた、投与される化合物に応じて変動するであろう。本発明の化合物の投与量の例には、哺乳動物の体重1kgあたり、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95から100mgまで含まれる。化合物は、単回投与で、または多くのより少ない投与量で一定期間にわたって投与することができる。化合物が投与される時間の長さは、個人ごとに変動し、所望の結果(すなわち、体脂肪の減少、または体脂肪の増加の防止)が達成されるまで継続することができる。したがって、治療は、処置される対象、所望の結果、および対象が本発明による処置にどれだけ迅速に応答するかに応じて、1日~数週間、数ヶ月、または数年まで継続する可能性がある。
本発明の錠剤の可能な例は、以下の通りである。
成分 mg/錠
活性成分 100
粉末乳糖 95
ホワイトコーンスターチ 35
ポリビニルピロリドン 8
Naカルボキシメチルデンプン 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
本発明のカプセルの可能な例は、以下の通りである。
成分 mg/カプセル
活性成分 50
結晶ラクトース 60
微結晶性セルロース 39
ステアリン酸マグネシウム 1
カプセル充填重量 150
上記のカプセルにおいて、活性成分は好適な粒子サイズを有する。結晶ラクトースおよび微結晶性セルロースを互いに均一に混合し、ふるいにかけた後、ステアリン酸マグネシウムを混合する。最終混合物は、好適なサイズの硬質ゼラチンカプセルに充填される。
本発明の注射溶液の可能な例は以下の通りである。
成分 mg/溶液
活性成分 1.0mg
1NHCl 20.0μl
酢酸 0.5mg
NaCl 8.0mg
フェノール 10.0mg
1N NaOH pH5まで適量
O 1mLまで適量
本発明の他の特徴は、本発明の例示するために提供され、かつ、それを限定することを意図しない、例示的な実施形態の以下の説明過程で明らかになるであろう。
合成例
本発明の化合物は、有機合成化学分野で既知である合成方法と一緒に、または当業者によって理解されるその変形によって、以下に記載される方法を使用して合成することができる。好ましい方法には、以下に記載されるものが含まれるが、これらに限定されない。反応は、使用される試薬および材料に適切であり、影響を受ける変換に好適な溶媒中で行われる。分子上に存在する官能基が提案された変換物と合致している必要があることが有機合成分野の当業者によって理解されるであろう。これは、所望の本発明の化合物を得るために、合成ステップの順序を変更するか、またはある特定のプロセススキームを別のものに対して選択するための判断を必要とする場合がある。この分野における任意の合成経路の計画における別の主要な考慮事項は、本発明に記載の化合物に存在する反応性官能基の保護に使用される保護基の賢明な選択であることも認識される。熟練した実施者に対して多くの選択肢を説明する信頼ある記述は、Protective Groups In Organic Synthesis.(Greene&Wuts,1991)に見出される。本明細書で引用されたすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
合成例1~34は、本発明の化合物を調製するために使用することができる手順の代表である。合成例1~17は、既知の化合物であるイソソルビド-2-モノニトレート(5-ヒドロキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール2-ニトレート)および5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(5-アミノ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール2-ニトレート)を使用し、合成例18~34は、イソソルビド-5-モノニトレート(2-ヒドロキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール5-ニトレート)および2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(2-アミノ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール5-ニトレート)を出発物質として使用する。本発明の詳細な説明において、合成例1~17は、式I、II、およびIIIに関し、合成例18~34は、式IV、V、およびVIに関する。
合成例1
Figure 2022504403000002
5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)1N HCl溶液を、室温で10~12時間撹拌しながらイソシアン酸カリウムで処理し、抽出による従来のワークアップを行って2-ウレイド誘導体(2)を得ることができる。
合成例2
Figure 2022504403000003
N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびジメチル-アミノピリジン(DMAP)の存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をジクロロメタン中のN-t-BOC-グリシン(t-BOC=第三級ブチル-オキシカルボニル)で処理することができる。周囲温度で一晩撹拌した後、t-BOCアミド(3)を従来の方法で単離することができる。続いて、(3)をトリフルオロ酢酸で処理して、脱保護されたアミノ酸付加物(4)を得ることができ、これを前述のようにイソシアン酸カリウムおよび希HCl溶液で処理して、ウレイドグリシン付加物(5)を得ることができる。
合成例3
Figure 2022504403000004
ピロリジノピリミジンの存在下、ジクロロメタン(DCM)中のイソソルビド-2-モノニトレート(6)を1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル)カルボジイミド(CMC)で処理して、保護されたアミノ酸付加物(7)を得ることができる。TFA(トリフルオロ酢酸)で保護基を除去して、アミノ化合物(8)を得ることができる。続いて、0℃から周囲温度でイソシアン酸カリウムおよび希塩酸溶液で処理して、尿素化合物(9)を得ることができる。
合成例4
Figure 2022504403000005
[Cp*Ir(Pro)Cl](Pro=プロリナト)(Cp=シクロペンタジエニル)の存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をトルエンまたは水中のt-BOC-アミノエタノールまたはt-BOC-3-アミノプロパノールで処理して、保護されたジアミノ付加物(10)を得ることができる。保護基をTFAで除去して、第一級アミン(11)を得ることができ、これを前述のように希塩酸溶液中のシアン酸カリウムを使用して尿素(12a、12b)に変換することができる。
合成例5
Figure 2022504403000006
イソソルビド-2-モノニトレート(6)をテトラヒドロフラン(THF)中の水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドで脱プロトン化し、次いで、t-BOC-アミノエチルブロミドまたはt-BOC-3-アミノプロピルブロミドで処理して、エーテル(12)を得ることができる。TFAを使用してt-BOC基を脱保護して、第一級アミン(13)を得て、続いて、前述のようにイソシアン酸カリウムで処理して、尿素(14)を得ることができる。
合成例6
Figure 2022504403000007
5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をTHFまたはDCM中のエチルシアナノアセテートで処理して、尿素(15)を得ることができる。メタノール中の無水アンモニアとさらに反応させて、ウレイドカルボキサミド(16)を生成することができる。
合成例7
Figure 2022504403000008
N-メチルイミダゾールの存在下、イソソルビド-2-モノニトレート(6)をアセトニトリル中のt-ブチルシアノアセテートで処理して、カルバメート(17)を得ることができる。t-ブチル基の除去をエーテル中のHClまたはTFAを使用して達成し、カルボン酸(18)を得ることができる。DCCの存在下、酸をアンモニアでアミド化して、カルボキサミド(19)を得ることができる。
合成例8
Figure 2022504403000009
DCC/DMAPまたはCMC/ピロリジノピリミジンの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)またはイソソルビド-2-モノニトレート(6)をDCM中のマロン酸モノアミドで処理して、マロンアミド(20)またはマロノ-エステル-アミド(21)をそれぞれ生成することができる。
合成例9
Figure 2022504403000010
5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をホスゲンおよびピリジンで約0℃で処理して、塩化カルバモイル(22a、X=NH)を生成することができる。DCM中のDMAPの存在下、この塩化カルバモイルをグリシンアミドと低温で反応させて、ウレイドカルボキサミド(23)を得ることができる。あるいは、DCM中のDMAPの存在下、塩化カルバモイル(22)(X=NH)をグリコールアミドで処理して、末端カルボキサミド基を有するカーボネート(24)を得ることができる。この一連の出発物質としてイソソルビド-2-モノニトレート(6)を使用する場合、ホスゲン反応により、低温(22、X=O)で塩化カルボニルを生成することができ、この中間体を前述の条件下でグリシンアミドまたはグリコールアミドで処理する場合、カルバメート(25)または炭酸塩(26)をそれぞれ調製することができる。
合成例10
Figure 2022504403000011
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)を3-ヒドロキシプロピオンアミドまたは4-ヒドロキシブタンアミドで高温で処理して、カルボキサミドアミン(27)および(28)をそれぞれ生成することができる。
合成例11
Figure 2022504403000012
イソソルビド-2-モノニトレート(6)をTHF中の水素化ナトリウムまたはTHF中のリチウムジイソプロピルアミドで処理し、続いて、アルコキシドを3-ブロモプリオンアミドまたは4-ブロモブタンアミドでアルキル化して、カルボキサミドエーテル(29)および(30)をそれぞれ得ることができる。
合成例12
Figure 2022504403000013
THF中のトリエチルアミンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(1)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、アミド付加物(31)を生成することができる。アセテートを水酸化ナトリウム溶液で加水分解して、ヒドロキシルアミド(32)を生成することができる。
合成例13
Figure 2022504403000014
THF中のトリエチルアミンの存在下、イソソルビド-2-モノニトレート(6)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、エステル付加物(33)を生成することができる。アセテートをジブチルスズオキシドで加水分解して、グリコール酸付加物(34)を生成する。
合成例14
Figure 2022504403000015
N-アセトキシアセチルグリシンは、トリエチルアミンの存在下、ベンジルグリシンをアセトキシアセチルクロリドで処理し、続いてパラジウム触媒の存在下、ベンジルエステルを水素化分解することによって調製することができる。DCCの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化アミド付加物(35)を生成することができる。酢酸塩(36)の除去は、メタノール溶液中のKOHまたはトリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例15
Figure 2022504403000016
DCC/DMPの存在下、イソソルビド-2-モノニトレート(6)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化エステル付加物(37)を生成することができる。アセテート(38)の除去は、トリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例16
Figure 2022504403000017
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をN-t-BOC-アミノエタノールまたはN-t-BOC-3-アミノプロパノールで高温で処理して、保護されたアミノ化合物(39)を得ることができる。保護基の除去は、TFAを使用して達成することができ、これにより、保護されていない第一級アミン(40)を得ることができる。トリメチルアミンの存在下、アミン(40)をアセトキシアセチルクロリドと反応させてアミド(41)を得ることができ、続いてメタノール中のKOHで処理して、ヒドロキシアセトアミド(42および43)を得ることができる。
合成例17
Figure 2022504403000018
イソソルビド-2-モノニトレート(6)をTHF中の水素化ナトリウムまたはLDAで脱プロトン化し、続いて、N-t-BOC-アミノエチルブロミドまたはN-t-BOC-3-アミノプロピルブロミドを添加して、保護されたエーテル(44)を得ることができる。TFAを使用してアミノ基を脱保護して、第一級アミン(45)が得られ、これを塩化アクテオキシアセチルで処理して、アミド(46)を得ることができる。MeOH中のKOHを使用して酢酸塩を加水分解して、ヒドロキシアセトアミド(47および48)を得ることができる。
合成例18
Figure 2022504403000019
2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)1N HCl溶液を、室温で10~12時間撹拌しながらイソシアン酸カリウムで処理して、抽出による従来のワークアップを行って2-ウレイド誘導体(50)を得ることができる。
合成例19
Figure 2022504403000020
N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびジメチル-アミノピリジンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をジクロロメタン中のN-t-BOC-グリシン(t-BOC=第三級ブチル-オキシカルボニル)(DMAP)で処理することができる。周囲温度で一晩撹拌した後、t-BOCアミド(51)を従来の方法で単離することができる。続いて、(51)をトリフルオロ酢酸で処理して、脱保護されたアミノ酸付加物(52)を得ることができ、前述のようにイソシアン酸カリウムおよび希塩酸溶液で処理して、ウレイドグリシン付加物(53)を得ることができる。
合成例20
Figure 2022504403000021
ジクロロメタン(DCM)中のイソソルビド-5-モノニトレート(54)をピロリジノピリミジンの存在下で1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル)カルボジイミド(CMC)で処理して、保護されたアミノ酸付加物(55)を得ることができる。TFA(トリフルオロ酢酸)で保護基を除去して、アミノ化合物(56)を得ることができる。続いて、0℃から周囲温度でイソシアン酸カリウムおよび希塩酸溶液で処理して、尿素化合物(57)を得ることができる。
合成例21
Figure 2022504403000022
[Cp*Ir(Pro)Cl](Pro=プロリナト)(Cp=シクロペンタジエニル)の存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をトルエンまたは水中のt-BOC-アミノエタノールまたはt-BOC-3-アミノプロパノールで処理して、保護されたジアミノ付加物(58)を得ることができる。保護基をTFAで除去して、第一級アミン(59)を得ることができ、これを前述のように希塩酸溶液中のシアン酸カリウムを使用して尿素(60a、60b)に変換することができる。
合成例22
Figure 2022504403000023
イソソルビド-5-モノニトレート(54)をテトラヒドロフラン(THF)中の水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドで脱プロトン化し、次いで、t-BOC-アミノエチルブロミドまたはt-BOC-3-アミノプロピルブロミドで処理して、エーテル(60)を得ることができる。TFAを使用してt-BOC基を脱保護して、第一級アミン(61)を得て、続いて、前述のようにイソシアン酸カリウムで処理して、尿素(62)を得ることができる。
合成例23
Figure 2022504403000024
2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をTHFまたはDCM中のエチルシアナノアセテートで処理して、尿素(63)を得ることができる。メタノール中の無水アンモニアとさらに反応させて、ウレイドカルボキサミド(64)を生成することができる。
合成例24
Figure 2022504403000025
N-メチルイミダゾールの存在下、イソソルビド-5-モノニトレート(54)をアセトニトリル中のt-ブチルシアノアセテートで処理して、カルバメート(65)を得ることができる。t-ブチル基の除去をエーテル中のHClまたはTFAを使用して達成し、カルボン酸(66)を得ることができる。DCCの存在下、酸をアンモニアでアミド化して、カルボキサミド(67)を得ることができる。
合成例25
Figure 2022504403000026
DCC/DMAPまたはCMC/ピロリジノピリミジンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)またはイソソルビド-5-モノニトレート(54)をDCM中のマロン酸モノアミドで処理して、マロンアミド(68)またはマロノ-エステル-アミド(69)をそれぞれ生成することができる。
合成例26
Figure 2022504403000027
2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をホスゲンおよびピリジンで約0℃で処理して、塩化カルバモイル(70a、X=NH)を生成することができる。DCM中のDMAPの存在下、この塩化カルバモイルをグリシンアミドと低温で反応させて、ウレイドカルボキサミド(71)を得ることができる。あるいは、DCM中のDMAPの存在下、塩化カルバモイル(70a、X=NH)をグリコールアミドで処理し、末端カルボキサミド基を有するカーボネート(72)を得ることができる。イソソルビド-5-モノニトレート(54)をこの一連の出発物質として使用する場合、ホスゲン反応により、塩化カルボニルを低温(70b、X=O)で生成することができ、この中間体を前述の条件下でグリシンアミドまたはグリコールアミドで処理する場合、カルバメート(73)またはカーボネート(74)をそれぞれ調製することができる。
合成例27
Figure 2022504403000028
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)を3-ヒドロキシプロピオンアミドまたは4-ヒドロキシブタンアミドで高温で処理して、カルボキサミドアミン(75)および(76)をそれぞれ生成することができる。
合成例28
Figure 2022504403000029
イソソルビド-5-モノニトレート(6)をTHF中の水素化ナトリウムまたはTHF中のリチウムジイソプロピルアミドで処理し、続いて、アルコキシドを3-ブロモプリオンアミドまたは4-ブロモブタンアミドでアルキル化して、カルボキサミドエーテル(77)および(78)をそれぞれ得ることができる。
合成例29
Figure 2022504403000030
THF中のトリエチルアミンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、アミド付加物(79)を生成することができる。アセテートを水酸化ナトリウム溶液で加水分解して、ヒドロキシルアミド(80)を生成することができる。
合成例30
Figure 2022504403000031
THF中のトリエチルアミンの存在下、イソソルビド-5-モノニトレート(54)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、エステル付加物(81)を生成することができる。アセテートをジブチルスズオキシドで加水分解して、グリコール酸付加物(82)を生成する。
合成例31
Figure 2022504403000032
N-アセトキシアセチルグリシンは、トリエチルアミンの存在下、ベンジルグリシンをアセトキシアセチルクロリドで処理し、続いてパラジウム触媒の存在下、ベンジルエステルを水素化分解することによって調製することができる。DCCの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化アミド付加物(83)を生成することができる。酢酸塩(84)の除去は、メタノール溶液中のKOHまたはトリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例32
Figure 2022504403000033
DCC/DMPの存在下、イソソルビド-5-モノニトレート(6)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化エステル付加物(85)を生成することができる。アセテート(86)の除去は、トリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例33
Figure 2022504403000034
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をN-t-BOC-アミノエタノールまたはN-t-BOC-3-アミノプロパノールで高温で処理して、保護されたアミノ化合物(87)を得ることができる。保護基の除去は、TFAを使用して達成することができ、これにより、保護されていない第一級アミン(88)を得ることができる。トリメチルアミンの存在下、アミン(88)をアセトキシアセチルクロリドと反応させてアミド(89)を得ることができ、続いてメタノール中のKOHで処理して、ヒドロキシアセトアミド(90および91)を得ることができる。
合成例34
Figure 2022504403000035
イソソルビド-5-モノニトレート(54)をTHF中の水素化ナトリウムまたはLDAで脱プロトン化し、続いて、N-t-BOC-アミノエチルブロミドまたはN-t-BOC-3-アミノプロピルブロミドを添加して、保護されたエーテル(92)を得ることができる。TFAを使用してアミノ基を脱保護して、第一級アミン(93)が得られ、これを塩化アクテオキシアセチルで処理して、アミド(94)を得ることができる。MeOH中のKOHを使用して酢酸塩を加水分解して、ヒドロキシアセトアミド(95および96)を得ることができる。
生物学
本化合物については2つの主な適応症がある。第1の適応症は狭心症治療剤としてである。化合物は、冠状血管拡張剤として作用する薬剤とともに、冠状動脈疾患の状況における運動能力を改善することが期待される。第2の適応症は、心血管疾患の二次予防であり、この用途では、血管拡張は虚血性プレコンディショニングと同様に考えられる。
本明細書に記載の実験は、本化合物が少なくとも2つの主な適応症に有用であるかどうかを試験するために使用される。実験は、ROS(活性酸素種)の生成、ならびに炎症および虚血性プレコンディショニングのマーカー、ならびにエクスビボでヒト大動脈内皮細胞(HAEC)および末梢血単核細胞細胞(PBMC)を使用した、血管平滑筋弛緩のメディエーターに対する、本化合物の効果および低酸素症の影響を決定することである。正常かつ健康な成人から単離された初代HAECは、Thermo Fisher Scientific(ニューヨーク州グランドアイランド)から購入し、Medium200中で培養することができる。末梢血単核細胞は、以下に参照されるように、エクスビボで本化合物の効果の決定の一部として使用することができる。
細胞培養物は、細胞操作のすべての態様を包含する、密閉環境で酸素および二酸化炭素がダイナミック制御されるBiospherix(ニューヨーク州ラコナ)加湿細胞培養インキュベーター中で維持することができる。培地は、pH7.3で調製することができる。インキュベーター条件は、37℃の内部温度を有する加湿インキュベーター(CO/OモニタリングおよびCO/Nガス供給源を有する、制御インキュベーターを使用する)中で、常酸素(21%O、5%CO)または低酸素(1% O、5% CO、残りがN)のいずれかであり得る。培地は、細胞曝露前に一晩、環境ガス条件に平衡化される。できるだけ早く、かつ、いくつかの場合では初代培養において、細胞を実験用ガス混合物とともに様々な期間インキュベートする。再酸素化(reoxygenation)は、グローブド細胞アクセスを有する密閉された環境チャンバーを使用して防止することができる。pH、pCO、およびpO電極を使用した細胞培地の定期的な分析により、制御された環境を保証することができる。
HAECは、本発明の化合物の存在の有無に関わらず、正常酸素状態(20%酸素)または低酸素状態(1%酸素)のいずれかに、1時間(ROS測定の場合)、2時間(転写因子活性の測定の場合)、4時間(炎症メディエーター遺伝子の測定の場合)、また16時間(炎症メディエータータンパク質の測定の場合)、曝露することができる。ジヒドロエチジウム(DHE)および2’,7’-ジクロロ-フルオレセイン(DCF)蛍光アッセイを行って、スーパーオキシドアニオンおよび過酸化水素などのROSの細胞内レベルを測定することができる。HAECにおける炎症誘発性転写因子(NF-κBおよびAP-1)のDNA結合活性は、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)によって分析することができる。炎症性メディエーターであるIL-1βのmRNAおよびタンパク質発現レベルは、以前に示したように、リポ多糖(LPS)刺激の状況において正常酸素対低酸素で培養されたHAECで測定することができる。(Folco,Sukhova,Quillard,&Libby,2014)。他のマーカー(TNF-α、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFN-γ、UT-B、eNOS、COX-2、およびMCP-1)は、刺激されたHAECで調べることができる。mRNAおよびタンパク質の発現レベルは、定量的リアルタイム逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)および酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定することができる。ELISAは、初代培養中でHAECを刺激した後、PGEなどの関連する内皮応答のメディエーターを選択するための分析に使用することができる。代謝は、高解像度呼吸測定法およびシーホース細胞外フラックス分析の組み合わせによる確立されたプロトコルを使用して包括的に評価し、患者細胞におけるミトコンドリア対解糖の寄与を示すことができる。
関連する転写因子の活性化レベルは、HAECから分離された核抽出物のDNA結合活性をEMSAで測定することによって決定することができる。HAECを上記のように処理することができ、細胞を溶解バッファー(10mM Tris-HCl、pH 8.0、60mM KCl、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1mMジチオスレイトール、100μMフッ化フェニルーメチルスルホニル、0.1%NP-40)とともにインキュベートし、氷上で5分間溶解し、600×gで4℃で4分間遠心分離して、核を回収することができる。次いで、核ペレットを、NP-40なしで溶解バッファーで洗浄し、核抽出緩衝液(20mM Tris-HCl,pH8.0、420mM NaCl、1.5mM MgCl、0.2mM EDTA、25%グリセロール)に氷上で10分間溶解し、18,300×gで4℃で15分間遠心分離することができる。核抽出物を含む上清をドライアイス上で直ぐ凍結し、分析まで-80℃に移行することができる。結合反応は、4μgの核タンパク質抽出物、10mM Tris-Cl,pH7.5、50mM NaCl、1mM EDTA、0.1mMジチオスレイトール、10%グリセロール、および2μgのポリ[dI-dC]を使用して行うことができる。試薬を添加した後、混合物を室温で25分間インキュベートすることができる。次いで、ビオチン標識した特異的オリゴヌクレオチドプローブを添加することができ、および/または非標識対照を添加することができ、結合混合物を室温で25分間インキュベートすることができる。モル過剰の非標識オリゴヌクレオチドを結合反応に添加することにより、競合研究を行うことができる。得られたタンパク質-DNA複合体は、0.25×TBEバッファー(50mM Tris-Cl、45mMホウ酸、0.5mM EDTA、pH8.4)を使用して、非変性5%ポリアクリルアミドゲル上で150Vで3時間電気泳動できる。これは、LightShift化学発光EMSAキット(ThermoScientific、イリノイ州ロックフォード)の変型である。
定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(QRT-PCR)アッセイを使用することができる。プローブおよびプライマーを使用した蛍光発生5’-ヌクレアーゼアッセイ技術(Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスターシティー)を遺伝子発現分析に使用することができる。HAECを上記のように処理することができ、RNeasy Mini Kit(Qiagen,カリフォルニア州バレンシア)を使用して全RNAをHAECから単離することができる。1μgの全RNAを、25℃で15分間、42℃で45分間、および99℃で5分間、20μLの5mM MgCl、10mM Tris-HCl,pH9.0、50mM KCl、0.1% Triton X-100、1mM dNTP、1ユニット/μLの組換えRNasin、15ユニット/μgのトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、および0.5μgのランダムヘキサマー中で逆転写することができる。個々の遺伝子の増幅は、Universal PCR Master Mixおよび標準的なサーマルサイクラープロトコル(最初のサイクルの前に50℃で2分間、95℃で15秒間、および60℃で1分間、45回繰り返する)を使用して、Applied Biosystems7300リアルタイムPCRシステムで行うことができる。ヒトTNF-α、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFN-γ、UT-B、COX-2、eNOS、MCP-1、およびグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の遺伝子発現アッセイ試薬は、PCR増幅の特定のプローブおよびプライマーに使用することができる。増幅された標的遺伝子の量が一定の閾値に達する分数サイクル数を示す閾値サイクル(CT)は、Applied Biosystems Sequence DetectionSoftwareを使用して各ウェルから決定することができる。
ROSの細胞内レベルは、蛍光顕微鏡を使用してDHEおよびDCF蛍光染色によって測定することができる。HAECを上記に示したように処理することができ、細胞に、PBS中5μMの濃度のDHEまたはカルボキシHDCF-DA(Invitrogen Corp.,カリフォルニア州カールスバッド)のいずれかを5%CO/95%空気の加湿細胞培養インキュベーター中で37℃で30分間充填することができる。HAECをPBSで洗浄し、蛍光顕微鏡で調べることができる。取得したデジタル画像のDHEまたはDCF蛍光強度を適宜定量化することができる。
内皮細胞からの低酸素媒介性NO放出に対する本化合物の効果は、膜不透過性の細胞内DAF-2の蓄積をもたらす、膜透過性の4,5-ジアミノフルオレセインジアセテート(DAF-2ジアセテート)を使用して細胞を単離することによって測定することができる。DAF-2はNOと反応して高蛍光性トリアゾロフルオレセイン(DAF-2T)を形成し、上清を蛍光分光測定するによって、これを検出することができる(Leikert,Rathel,Muller,Vollmar,&Dirsch,2001)。
細胞ROSホメオスタシスおよび代謝に対する本化合物の効果を細胞代謝アッセイで試験するために、並行研究を使用することができる。異なる実験群からのプレーティング細胞は、シーホース細胞外フラックス分析装置で研究することができる。酸素消費率(ミトコンドリア機能)および細胞外酸性化率(解糖)は、基礎条件下、最大呼吸条件下、および確立された方法を使用してミトコンドリア生体エネルギー発生(bioenergetics)を阻害した後に測定することができる(Dai et al.,2016)。確立されたプロトコルを使用して、細胞のROSおよび代謝を同時に測定するために、細胞の並列サブセットをOroboros高解像度呼吸計チャンバーに配置することができる(Alleman et al.,2016)。
末梢血単核細胞および血清は、ヒトボランティアから入手することができる。虚血性心筋症(心筋梗塞の病歴を含む)および二次予防の適応症の患者に対する本化合物の効果を試験するように設計された臨床試験において、患者を自身の対照として使用することができる。研究は、1吸引あたり5x8mLの血液チューブに限定することができ、当該血液チューブから、ヘパリンナトリウムを含むBD Vacutainer CPT(ニュージャージー州フランクリンレイクス)を使用して、1チューブあたり2mLの血漿由来血清および8x10個のPBMCを抽出することが期待できる。これには、FICOLL Hypaque密度液体および2つの液体を分離するポリエステルゲルバリアとともにヘパリンナトリウム抗凝固剤が含まれている。チューブを1500gで室温で15分間遠心分離することができる。血漿は、密度溶液上の単核細胞および血小板の層上の上清として得ることができる。血清は、CaClを20mMの最終濃度まで添加し、室温で4時間凝固させ、続いて、凝固した血漿を-20℃で凍結し、融解し、少なくとも5分間5000gを維持して血清を遠心分離することにより、血漿上清から得ることができる。血清をろ過し、あるコートとし、-20℃で凍結することができる。PBMCは、18~20℃、400gで10~15分間遠心分離することにより分離した後にリン酸緩衝生理食塩水中で2回洗浄し、次いで、8x106個の細胞/2mLのAIMV培地(Life Technologies)に再懸濁し、次いで、1x106個の細胞のアリコートに分けることができる。培養物は、細胞操作のすべての態様を包含する、密閉環境で酸素および二酸化炭素がダイナミック制御されるBiospherix(ニューヨーク州ラコナ)加湿細胞培養インキュベーター中で維持することができる。
DHE/DCF蛍光アッセイ、リアルタイムRT-PCR、ELISA、EMSA、およびレポーター遺伝子アッセイは、内皮型一酸化窒素合成酵素およびシクロオキシゲナーゼ発現の下流産物を含む、ROS生成、mRNA、および虚血性プレコンディショニングのメディエーターのタンパク質発現を決定するために行うことができる。eNOSおよびCOX-2の生成物は、対照と比較した本化合物の治療価値を確認することができる。毒性は、シーホース技術を使用して、本化合物の代謝効果によって評価することができる。
表1~3は、上記のようにして合成することができる本発明の化合物の構造を示す。


Figure 2022504403000036
Figure 2022504403000037
Figure 2022504403000038
Figure 2022504403000039
Figure 2022504403000040
Figure 2022504403000041
上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。
参考文献
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本発明は、新規化合物およびその医薬組成物、ならびにそれらを使用して心血管疾患を処置する方法を提供する。
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月12日に出願された米国非仮特許出願第16/600,476号の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2019年6月2日に出願された米国非仮特許出願第16/429,015号の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2018年11月4日に出願された米国非仮特許出願第62/755,516号の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
2019 American Heart Association Heart Disease and Stroke statistics(Benjamin et al.,2019)によれば、心血管疾患は米国での死亡の殆どの原因である。これらの疾患は、20歳超の1億2100万人の米国民、すなわち、成人人口の48%に見られる。これらの心血管疾患はすべて、細胞低酸素症に関連している。細胞低酸素症は、正常な生理学的状態と比較して、生細胞での酸素の利用可能性または利用の相対的欠乏として定義される。
米国での心血管疾患の年間費用は、2035年に1.1兆ドルに達するであろう。心血管疾患の管理における大きな進歩にもかかわらず、これらの同疾患は依然として米国で最も頻繁に起こる死因であり、世界的な問題としても考慮される必要がある。2016年には、世界で約1,760万人の死亡が心血管疾患に起因しており、2006年から14.5%増加した。
医療専門家は、ある程度の誇りを持って、近年の米国における心血管疾患による死亡率の大幅な減少を指摘している。しかしながら、以前はこれらの疾患で急死した患者は、今では長期的な管理を必要とする慢性患者となっている。社会としての我々の課題は、この増大する流行に対処する低費用の管理戦略を考案することである。
酸素供給が不足した場合、細胞代謝、したがって、生命自体が危険に曝される。生細胞は、遺伝子発現経路を再プログラムする非常に感受性の高い作用機序を用いて、利用可能な周囲酸素量の変化に応答する。この応答特性は、各細胞の状況および環境に特有である。酸素の運搬が生物の生活において重要な変数である場合は常に、低酸素誘導因子(HIF)が原虫からヒトに至る生物に見出され、HIF生理学の変化に注力している多くの現在の医薬品開発プログラムがある(Semenza,2019)。HIFは、低酸素症媒介性遺伝子発現のキーとなる要素の重要例を示しているが、酸素に対するヒト細胞応答の範囲はHIF発現の調節には限定されない。
低酸素症は、血流低下と相関関係にあり、低酸素症は、心血管疾患および灌流される臓器への血流の減少に関連する他の状態において認められる。再灌流は、血流の回復に関連している。再灌流は通常望ましいが、長期の虚血およびその後の血流の回復は、酸化的代謝の有毒な副産物に起因して局所的炎症および細胞損傷を引き起こし得る。このプロセスを軽減する方法がある。短時間の血流低下および再灌流を繰り返すことによって、将来の虚血の結果に対する抵抗性が高めることができる。この現象は、プレコンディショニングとして既知である。酸素の運搬および灌流の非致死的かつ大幅な低下による有害事象に対する効果的な処置が非常に求められており、治療選択肢は現時点では限られている。
低酸素関連遺伝子発現の管理のために現在臨床開発中である化合物の殆どは、プロリルヒドロキシラーゼを阻害する。プロリルヒドロキシラーゼによって低酸素誘導因子が分解の標的となり、したがって、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤はHIFの分解を妨げ、事実上、低酸素媒介性事象が増強される。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤は、低酸素症に対する細胞の適応応答をHIFを介して全身的に増強する化合物である。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤によって増強されたHIFは、赤血球の発達を刺激して貧血状態における治療効果をもたらす内因性分子である追加のエリスロポエチンを腎臓に合成させることできる。HIFの増強はまた、血管新生を生じさせて、低酸素領域へのより大きな血管成長を引き起こし、これは、例えば冠状動脈疾患が心筋虚血および関連する心機能障害をもたらす場合には有益である。残念ながら、上記包括的アプローチは、同時に、休眠状態の悪性腫瘍の動脈供給を増加させ、および/または酸素がすでに利用可能である場合に酸素を節約するように細胞代謝を変化させ得る。低酸素関連病状の病態生理学の複雑性を過小評価するのは容易である。低酸素媒介事象を調節するための非常に選択的なアプローチが、安全で効果的な医薬品を開発するには必要になるであろう。これには、限られた臓器特異的空間内での送達または適切な病理学的状況での活性の誘発が含まれる。
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現は、転写活性化因子NF-κBのp65、HMG I(Y)、およびSP1を介して、培養中のヒト臍帯静脈内皮細胞での低酸素症によって調節され、PGEの生成の増加をもたらす(Schmedtje,Jr.,Ji,Liu,DuBois,&Runge,1997;Xu,Ji,&Schmedtje,Jr.,2000;Ji,Xu,&Schmedtje,Jr.,1998)。これらの発見は、HIFが、低酸素症に対するヒト適応のすべてを駆動するのに不十分であり、NF-κBが、血管内皮での遺伝子の低酸素駆動性転写活性化の別の重要なメディエーターであるという事実を反映している。
虚血性心血管疾患は、血流不足に関連し、低酸素症にも関連している。虚血性プレコンディショニングは、本化合物に起因する治療効果の一部である。COX-2の血管内皮発現は、低酸素症によって増加する。COX-2は、一酸化窒素(NO)の合成の随伴物として虚血性プレコンディショニングに不可欠である(Li et al.,2007)。虚血性プレコンディショニングの後期段階によって与えられる心臓の保護を達成するためには、両方が必要である(Guo et al.,2012)。
尿素輸送体遺伝子のSLC14(溶質キャリア14)ファミリーは、細胞膜を通過する尿素輸送を調節する。UT-B(遺伝子SLC14A1の産物である尿素輸送タンパク質B)は、細胞膜を通過する尿素、水、および尿素類似体の輸送を促進する(Shayakul,Clemencon,&Hediger,2013)。UT-Bは、心臓、血管内皮、および赤血球を含んで広く発現している。UT-Bヌル(null)マウスは、心臓伝導異常、脳尿素濃度の増加、およびNO産生の減少を有する(Li,Chen,&Yang,2012)。尿素は、自由に透過可能であり、受動的に細胞に入るが、平衡は遅く、UT-Bは赤血球からの尿素の急速な排出を促進する(Sands,1999)。尿素は、一般に廃棄物とみなされ、アミノ酸の分解から再生利用の機会まで窒素を保持する。腎不全は、一酸化窒素合成酵素(NOS)活性の低下と関連している。しかしながら、正常な腎機能を有するラットは、BUNが尿毒症レベルへと上昇した場合には、低下したNOS活性を有さない(Xiao,Erdely,Wagner,&Baylis,2001)。尿素は、いくつかの状況では心臓保護特性を有し得る(Wang et al.,1999)。
膜UT-Bは、様々な場所に由来する培養におけるヒト血管内皮に豊富に存在し、一酸化窒素(NO)合成の調節に関与しているようである。(Wagner,Klein,Sands,&Baylis,2002)。血管内皮におけるUT-Bは、一般に細胞膜を通過して尿素を排出するように作用する。血管内皮におけるUT-Bの阻害は、尿素の細胞内蓄積を引き起こす。これは、アルギナーゼ(l-アルギニンを尿素に変換する酵素)のフィードバック阻害をもたらし、該フィードバック阻害が、l-アルギニンの代替経路の活性および発現を増加させ、この場合、内皮型NOS(eNOS)がNOの生成を増加させることができる(Sun et al.,2016)。これは、尿素の存在がNOの生成をどのように増強するかを示す点で興味深い。
低酸素症は、低酸素血管内皮におけるUT-Bの発現を増加させる。本発明者は、UT-Bの遺伝子(SLC14A1)のメッセンジャーRNAが、低酸素(1%酸素)細胞培養におけるヒト血管内皮細胞で有意にアップレギュレートされることを発見した。この状況でのUT-Bの発現のアップレギュレーションは、尿素を内皮細胞から排出させ、eNOS活性の増加を引き起こすアルギナーゼのフィードバック阻害を排除し、ニトレート投与の正味の血管拡張効果を低下させる。尿素または尿素類似体の供給源は、効果的な細胞内尿素基質レベルを維持して、これによりUT-Bのアップレギュレーションを克服し、かつ、l-アルギニンをNOのeNOS生成への経路に向かわせ、低酸素に応答して血管拡張を増強し、これにより隣接する血管平滑筋を拡張する。
虚血性プレコンディショニングのプロセスを標的化(例えば局所)様式で可能にしつつ、低酸素症でのNOの血管拡張放出を増強することで、心血管疾患における主な心臓有害事象の処置および予防をもたらす化合物を発見することが有益であろう。
したがって、一態様では、本発明は、細胞低酸素症の領域に応答する新規化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体、および治療有効量の本発明の化合物の少なくとも1つまたはその薬学的に許容される塩を含む、新規な医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患を処置するための新規な方法であって、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の本発明の化合物の少なくとも1つまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物の少なくとも1つを調製するためのプロセスを提供する。
別の態様では、本発明は、治療に使用するための新規化合物または薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患の処置のための薬剤の製造のための新規化合物の使用を提供する。
これらおよび他の目的は、以下の詳細な説明中で明らかになり、特許請求の範囲の化合物またはその薬学的に許容される塩が、細胞低酸素症の領域に焦点を絞った治療応答を提供すると予想されるという発明者の発見によって達成された。
本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本化合物は、内皮表面で尿素または尿素類似体(例えば、アミドまたはグリコールアミド)に加えて硝酸塩を放出するように設計されている。それらは、尿素部分(式IおよびIV)、アミド部分(式IIおよびV)、またはグリコールアミド部分(式IIIおよびV)に結合された中央のイソソルビド部分、および対向する硝酸基(-NO)を有する小分子である。グリコールアミドは、UT-Bを介した比較的高い透過性および低い毒性の利点を有する。(Zhao,Sonawane,Levin,&Yang,2007)。本化合物は、細胞膜を横切って血管内皮細胞への尿素および尿素類似体の受動的移動を利用することが期待される。血管内皮低酸素症の状態ではUT-B遺伝子の発現が増加している。尿素および尿素類似体のUT-B媒介性輸送(除去)は低酸素症で発生し、これにより、eNOS活性およびNO合成が制限されるようである。したがって、細胞内尿素の置換は、血管内皮に提供される硝酸塩の効果を増強する。低酸素状態での尿素および/または尿素類似体ならびに硝酸塩の組み合わせは、血管拡張および虚血性プレコンディショニングを含む事象のカスケードを促進すると予想される。
本化合物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ-2によってNOに代謝されるか、または亜硝酸塩に変換され、続いて、キサンチンオキシダーゼを含む一連の酵素によって還元されてNOを形成することができる、硝酸基を特徴とする。あるいは、細胞内L-アルギニンが一酸化窒素合成酵素によって酸化されて、NOを生成する。歴史上、内皮由来弛緩因子として既知であるNOは、NO受容体である可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化により、サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)の形成を誘導する。cGMPは、プロテインキナーゼG活性に結合して増強し、平滑筋細胞からのカルシウムの移動を促進し、これにより、細胞内カルシウムが減少するとことによって平滑筋の収縮性が損なわれるために、血管緊張が低下する。
この効果の正確な細胞内作用機序は血管拡張の作用機序ほどよく理解されていないが、NOは、虚血性プレコンディショニングにも不可欠である。COX-2の発現は、虚血性プレコンディショニングの必要な部分であり、COX-2の発現は、NF-κB転写活性化システムに依存する作用機序を介して低酸素症によって誘導される。さらに、以前に発表されたように、低酸素症がCOX-2のアップレギュレーションを引き起こす場合、内皮型一酸化窒素合成酵素はわずかにダウンレギュレートされるようである。(Schmedtje,Jr.et al.,1997)。したがって、低酸素症の状況においてCOX-2の誘導を伴うNO産生を増強する作用機序は、血管内皮において治療価値があるはずである。
したがって、一態様では、本発明の化合物は、標的化された様式で虚血性プレコンディショニングのプロセスを可能にしながら、血管拡張物であるNOの形成および放出を増強する。
別の態様では、本発明の化合物は、低酸素誘導性のUT-Bの発現ならびに細胞外へのおよび細胞膜を通過する関連する尿素ならびに/または類似体輸送の結果を克服するためのより多くの基質を提供する。
別の態様では、本化合物は、HIF-(低酸素誘導因子)および下流の効果の包括的なモジュレーターではないので、その治療応答は、細胞低酸素の領域に焦点が絞られるものであろう。本化合物は、細胞低酸素症の結果を局所的に軽減することにより、低酸素症の下流の効果を非選択的に模擬する治療剤の焦点が絞られていない投与で見られる副作用を殆どまたは全く伴わずに、心血管疾患を処置することができる。
別の態様では、本発明は、式I、II、III、IV、Vおよび/またはVIの新規化合物であって、
Figure 2022504403000046
式中、
は、存在せず、
あるいは、Rは、(イソソルビド部分に結合しているRの右側部分):(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHC(=O)O、およびCHC(=O)NHから選択され、
は、(イソソルビド部分に結合しているRの右側部分):(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHC(=O)O、CHC(=O)NH、CHOC(=O)O、CHOC(=O)NH、CHNHC(=O)O、およびCHNHC(=O)NHから選択される、化合物、
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様では、化合物は、式IもしくはIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが存在しない、式IもしくはIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが、(CHO、(CHNH、(CHO、および(CHNHから選択される、式IもしくはIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、式IIもしくはVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが、(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHOC(=O)O、CHOC(=O)NH、CHNHC(=O)O、およびCHNHC(=O)NHから選択される、式IIもしくはVの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、式IIIもしくはVIの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが存在しない、式IIIもしくはVIの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、化合物は、Rが、(CHO、(CHNH、(CHO、および(CHNHから選択される、式IIIもしくはVIの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体および治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、新規な医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患を処置する新規の方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の本発明の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、心血管疾患を処置するための新規な方法を提供し、それを必要とする患者に、治療有効量の本発明の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
別の態様では、心血管疾患は、冠状動脈疾患、心筋梗塞、心不全、心不整脈、電気生理学的心臓障害、先天性心血管異常、発達性心血管異常、炎症性心筋症、川崎病、感染性心筋症、突然死/心臓停止、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、心臓弁疾患、静脈不全、心臓血栓症、血管血栓症、血栓塞栓症、末梢動脈疾患、大動脈瘤、大動脈解離、血管動脈瘤、血管解離、脳卒中、全身性高血圧症、および肺高血圧症から選択される。
別の態様では、本発明は、治療に使用するための本発明の化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞低酸素症によって媒介される疾患の処置のための薬剤の製造のための本発明の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、心血管疾患の処置のための薬剤の製造のための本発明の使用を提供する。
本発明は、その真意または本質的な属性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されてもよい。本発明は、本明細書に記載の本発明の態様のすべての組み合わせを包含する。本発明の任意およびすべての実施形態は、追加の実施形態を説明するために、他の任意の実施形態と合わせて解釈され得ると理解される。実施形態の個々の要素はそれぞれ、それ自体の独立した実施形態として個別に解釈されることを意図していることも理解されたい。さらに、実施形態の任意の要素は、追加の実施形態を説明するために、任意の実施形態からの任意およびすべての他の要素と組み合わされることを意味する。
定義
本出願に提示される定義で提供される例は、特に明記されていない限り、非包括的である。それらには、記載された例が含まれるが、これらに限定されない。
細胞低酸素症は、個々の細胞レベルでの酸素不足であり、生物全体のレベルまたは環境での酸素不足に必ずしも関連しているわけではない。
本明細書に記載の化合物は、非対称中心、幾何学的中心(例えば、二重結合)、またはその両方を有し得る。特定の立体化学または異性体形態が具体的に示されていない限り、構造のすべてのキラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体、およびすべての幾何異性体が意図されている。非対称に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離し得る。ラセミ体の分解、光学活性出発物質からの合成、またはキラル補助剤の使用などによる光学活性体を調製する方法は、当技術分野で周知である。オレフィンの幾何異性体、C=N二重結合、または他の種類の二重結合が、本明細書に記載の化合物に存在してもよく、そのようなすべての安定な異性体が本発明に含まれる。具体的には、本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が存在してもよく、異性体の混合物もしくは分離された異性体として単離してもよい。本発明の化合物およびプロセスで作られる中間体を調製するために使用されるすべてのプロセスは、本発明の一部であるとみなされる。示されているまたは記載されている化合物のすべての互変異性体はまた、本発明の一部であるとみなされる。
「哺乳動物」および「患者」は、典型的には医療を受けている温血哺乳動物(例えば、ヒトおよび家畜)を包含する。例には、ネコ、イヌ、ウマ、およびヒト、ならびにヒトのみが含まれる。
「処置する(treating)」または「処置(treatment)」には、哺乳動物の病状の処置が含まれ、(a)哺乳動物における病状の発生を予防すること、特に、そのような哺乳動物が、病状にかかりやすいが、まだそれを有すると診断されていない場合、(b)病状を阻害すること、例えば、進行を阻止すること、および/または(c)病状を軽減すること、例えば、所望の評価項目に到達するまで病状の退行を引き起こすことが含まれる。処置にはまた、疾患の症状の改善(例えば、疼痛または不快感の軽減)が含まれ、そのような改善は、疾患に直接影響を与える場合もあるし、またはそうでない場合(例えば、原因、伝達、発現など)もある。
「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸または塩基塩を生成することによって改変された、本開示の化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩、およびカルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された、親化合物の慣用的な非毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような慣用的な非毒性塩には、1,2-エタンジスルホン酸、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシリン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、亜酢酸、コハク酸、スバセチン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸.、酒石酸、およびトルエンスルホン酸から選択される無機酸および有機酸に由来する塩が含まれる。
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中または2つの混合物中で反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が有用である。好適な塩の列挙は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,p 1445(Gennaro&Remington,1990)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
「治療有効量」は、本明細書に記載の適応症を処置するために単独でまたは組み合わせて投与された場合に有効である本発明の化合物の量を含む。「治療有効量」はまた、所望の適応症を処置するのに有効であると主張される化合物の組み合わせの量を含む。化合物の組み合わせは、相乗的な組み合わせであり得る。記載される相乗効果(Chou&Talalay,1984)は、組み合わせて投与された場合の化合物の効果が、単剤として単独で投与された場合の化合物の相加効果よりも大きい場合に生ずる。一般に、相乗効果は、化合物の最適値以下(sub-optimal)の濃度において最も明確に示される。相乗効果は、細胞毒性の低下、効果の増加、または個々の成分と比較した組み合わせの他の有益な効果に関するものであり得る。
本発明の化合物は、本明細書に記載されるように活性であることが期待される。
製剤化および投与量
本発明では、本発明の化合物は、任意の好都合な方法で(例えば、経腸的または非経口的に)投与することができる。投与方法の例には、経口および経皮が含まれる。当業者は、本発明の化合物の投与経路が大きく変動し得ることを認識している。他の経口投与に加えて、持続放出組成物が好まれ得る。他の許容される経路には、注射(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内)、皮下インプラント、ならびに口腔、舌下、局所、直腸、膣、および鼻腔内投与が含まれ得る。経口製剤の例には、錠剤、コーティング錠剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、溶剤、乳剤、ならびに懸濁剤が含まれる。本発明の化合物を血管壁に直接送達し得るカテーテルによって配置されたステントなどの薬剤溶出構造を含む、生体侵食性(bioerodible)、非生体侵食性、生分解性、および非生分解性投与システムも使用し得る。
錠剤の形態の固体組成物が調製される場合、主な活性成分は、例えば、シリカ、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを含む医薬ビヒクルと混合することができる。錠剤は、スクロースまたは他の適切な物質でコーティングすることができ、あるいは、持続的または遅延した活性を有し、所定量の活性成分を連続的に放出するように処理することができる。ゼラチンカプセルは、活性成分を希釈剤と混合し、得られた混合物を軟質または硬質ゼラチンカプセルに組み込むことによって得ることができる。シロップまたはエリキシルは、典型的にはカロリーゼロの甘味料、防腐剤(例えば、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)、香味料、および適切な着色剤と組み合わせて、活性成分を含むことができる。水分散性粉末または顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、またはポリビニルピロリドンなどの懸濁剤、および甘味料または味覚矯正剤(taste correctors)と混合された活性成分を含むことができる。直腸投与は、直腸温度で融解する結合剤(例えば、カカオバターおよび/またはポリエチレングリコール)で調製される坐剤を使用して行うことができる。非経口投与は、薬理学的に適合性のある分散剤および/または湿潤剤(例えば、プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール)を含む、水性懸濁液、等張食塩水、または注射可能な滅菌溶液を使用して行うことができる。活性成分はまた、任意選択で1つ以上の担体または添加剤とともに、マイクロカプセルまたはミクロスフェアとして製剤化することができる。活性成分はまた、シクロデキストリン、例えば、α-、β-、またはγ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、および/またはメチル-β-シクロデキストリンとの複合体の形態で提供することができる。
毎日投与される本発明の化合物の用量は、個々ごとに変動し、処置される疾患の重症度によってある程度決定され得る。本発明の化合物の用量はまた、投与される化合物に応じて変動するであろう。本発明の化合物の投与量の例には、哺乳動物の体重1kgあたり、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95から100mgまで含まれる。化合物は、単回投与で、または多くのより少ない投与量で一定期間にわたって投与することができる。化合物が投与される時間の長さは、個人ごとに変動し、所望の結果(すなわち、体脂肪の減少、または体脂肪の増加の防止)が達成されるまで継続することができる。したがって、治療は、処置される対象、所望の結果、および対象が本発明による処置にどれだけ迅速に応答するかに応じて、1日~数週間、数ヶ月、または数年まで継続する可能性がある。
本発明の錠剤の可能な例は、以下の通りである。
成分 mg/錠
活性成分 100
粉末乳糖 95
ホワイトコーンスターチ 35
ポリビニルピロリドン 8
Naカルボキシメチルデンプン 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
本発明のカプセルの可能な例は、以下の通りである。
成分 mg/カプセル
活性成分 50
結晶ラクトース 60
微結晶性セルロース 39
ステアリン酸マグネシウム 1
カプセル充填重量 150
上記のカプセルにおいて、活性成分は好適な粒子サイズを有する。結晶ラクトースおよび微結晶性セルロースを互いに均一に混合し、ふるいにかけた後、ステアリン酸マグネシウムを混合する。最終混合物は、好適なサイズの硬質ゼラチンカプセルに充填される。
本発明の注射溶液の可能な例は以下の通りである。
成分 mg/溶液
活性成分 1.0mg
1NHCl 20.0μl
酢酸 0.5mg
NaCl 8.0mg
フェノール 10.0mg
1N NaOH pH5まで適量
O 1mLまで適量
本発明の他の特徴は、本発明の例示するために提供され、かつ、それを限定することを意図しない、例示的な実施形態の以下の説明過程で明らかになるであろう。
合成例
本発明の化合物は、有機合成化学分野で既知である合成方法と一緒に、または当業者によって理解されるその変形によって、以下に記載される方法を使用して合成することができる。好ましい方法には、以下に記載されるものが含まれるが、これらに限定されない。反応は、使用される試薬および材料に適切であり、影響を受ける変換に好適な溶媒中で行われる。分子上に存在する官能基が提案された変換物と合致している必要があることが有機合成分野の当業者によって理解されるであろう。これは、所望の本発明の化合物を得るために、合成ステップの順序を変更するか、またはある特定のプロセススキームを別のものに対して選択するための判断を必要とする場合がある。この分野における任意の合成経路の計画における別の主要な考慮事項は、本発明に記載の化合物に存在する反応性官能基の保護に使用される保護基の賢明な選択であることも認識される。熟練した実施者に対して多くの選択肢を説明する信頼ある記述は、Protective Groups In Organic Synthesis.(Greene&Wuts,1991)に見出される。本明細書で引用されたすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
合成例1~34は、本発明の化合物を調製するために使用することができる手順の代表である。合成例1~17は、既知の化合物であるイソソルビド-2-モノニトレート(5-ヒドロキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール2-ニトレート)および5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(5-アミノ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール2-ニトレート)を使用し、合成例18~34は、イソソルビド-5-モノニトレート(2-ヒドロキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール5-ニトレート)および2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(2-アミノ-1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール5-ニトレート)を出発物質として使用する。本発明の詳細な説明において、合成例1~17は、式I、II、およびIIIに関し、合成例18~34は、式IV、V、およびVIに関する。
合成例1
Figure 2022504403000047
5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)1N HCl溶液を、室温で10~12時間撹拌しながらイソシアン酸カリウムで処理し、抽出による従来のワークアップを行って2-ウレイド誘導体(2)を得ることができる。
合成例2
Figure 2022504403000048
N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびジメチル-アミノピリジン(DMAP)の存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をジクロロメタン中のN-t-BOC-グリシン(t-BOC=第三級ブチル-オキシカルボニル)で処理することができる。周囲温度で一晩撹拌した後、t-BOCアミド(3)を従来の方法で単離することができる。続いて、(3)をトリフルオロ酢酸で処理して、脱保護されたアミノ酸付加物(4)を得ることができ、これを前述のようにイソシアン酸カリウムおよび希HCl溶液で処理して、ウレイドグリシン付加物(5)を得ることができる。
合成例3
Figure 2022504403000049
ピロリジノピリミジンの存在下、ジクロロメタン(DCM)中のイソソルビド-2-モノニトレート(6)を1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル)カルボジイミド(CMC)で処理して、保護されたアミノ酸付加物(7)を得ることができる。TFA(トリフルオロ酢酸)で保護基を除去して、アミノ化合物(8)を得ることができる。続いて、0℃から周囲温度でイソシアン酸カリウムおよび希塩酸溶液で処理して、尿素化合物(9)を得ることができる。
合成例4
Figure 2022504403000050
[Cp*Ir(Pro)Cl](Pro=プロリナト)(Cp=シクロペンタジエニル)の存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をトルエンまたは水中のt-BOC-アミノエタノールまたはt-BOC-3-アミノプロパノールで処理して、保護されたジアミノ付加物(10)を得ることができる。保護基をTFAで除去して、第一級アミン(11)を得ることができ、これを前述のように希塩酸溶液中のシアン酸カリウムを使用して尿素(12a、12b)に変換することができる。
合成例5
Figure 2022504403000051
イソソルビド-2-モノニトレート(6)をテトラヒドロフラン(THF)中の水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドで脱プロトン化し、次いで、t-BOC-アミノエチルブロミドまたはt-BOC-3-アミノプロピルブロミドで処理して、エーテル(12)を得ることができる。TFAを使用してt-BOC基を脱保護して、第一級アミン(13)を得て、続いて、前述のようにイソシアン酸カリウムで処理して、尿素(14)を得ることができる。
合成例6
Figure 2022504403000052
5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をTHFまたはDCM中のエチルシアナノアセテートで処理して、尿素(15)を得ることができる。メタノール中の無水アンモニアとさらに反応させて、ウレイドカルボキサミド(16)を生成することができる。
合成例7
Figure 2022504403000053
N-メチルイミダゾールの存在下、イソソルビド-2-モノニトレート(6)をアセトニトリル中のt-ブチルシアノアセテートで処理して、カルバメート(17)を得ることができる。t-ブチル基の除去をエーテル中のHClまたはTFAを使用して達成し、カルボン酸(18)を得ることができる。DCCの存在下、酸をアンモニアでアミド化して、カルボキサミド(19)を得ることができる。
合成例8
Figure 2022504403000054
DCC/DMAPまたはCMC/ピロリジノピリミジンの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)またはイソソルビド-2-モノニトレート(6)をDCM中のマロン酸モノアミドで処理して、マロンアミド(20)またはマロノ-エステル-アミド(21)をそれぞれ生成することができる。
合成例9
Figure 2022504403000055
5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をホスゲンおよびピリジンで約0℃で処理して、塩化カルバモイル(22a、X=NH)を生成することができる。DCM中のDMAPの存在下、この塩化カルバモイルをグリシンアミドと低温で反応させて、ウレイドカルボキサミド(23)を得ることができる。あるいは、DCM中のDMAPの存在下、塩化カルバモイル(22)(X=NH)をグリコールアミドで処理して、末端カルボキサミド基を有するカーボネート(24)を得ることができる。この一連の出発物質としてイソソルビド-2-モノニトレート(6)を使用する場合、ホスゲン反応により、低温(22、X=O)で塩化カルボニルを生成することができ、この中間体を前述の条件下でグリシンアミドまたはグリコールアミドで処理する場合、カルバメート(25)または炭酸塩(26)をそれぞれ調製することができる。
合成例10
Figure 2022504403000056
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)を3-ヒドロキシプロピオンアミドまたは4-ヒドロキシブタンアミドで高温で処理して、カルボキサミドアミン(27)および(28)をそれぞれ生成することができる。
合成例11
Figure 2022504403000057
イソソルビド-2-モノニトレート(6)をTHF中の水素化ナトリウムまたはTHF中のリチウムジイソプロピルアミドで処理し、続いて、アルコキシドを3-ブロモプリオンアミドまたは4-ブロモブタンアミドでアルキル化して、カルボキサミドエーテル(29)および(30)をそれぞれ得ることができる。
合成例12
Figure 2022504403000058
THF中のトリエチルアミンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(1)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、アミド付加物(31)を生成することができる。アセテートを水酸化ナトリウム溶液で加水分解して、ヒドロキシルアミド(32)を生成することができる。
合成例13
Figure 2022504403000059
THF中のトリエチルアミンの存在下、イソソルビド-2-モノニトレート(6)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、エステル付加物(33)を生成することができる。アセテートをジブチルスズオキシドで加水分解して、グリコール酸付加物(34)を生成する。
合成例14
Figure 2022504403000060
N-アセトキシアセチルグリシンは、トリエチルアミンの存在下、ベンジルグリシンをアセトキシアセチルクロリドで処理し、続いてパラジウム触媒の存在下、ベンジルエステルを水素化分解することによって調製することができる。DCCの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化アミド付加物(35)を生成することができる。酢酸塩(36)の除去は、メタノール溶液中のKOHまたはトリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例15
Figure 2022504403000061
DCC/DMPの存在下、イソソルビド-2-モノニトレート(6)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化エステル付加物(37)を生成することができる。アセテート(38)の除去は、トリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例16
Figure 2022504403000062
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、5-アミノ-イソソルビド-2-モノニトレート(1)をN-t-BOC-アミノエタノールまたはN-t-BOC-3-アミノプロパノールで高温で処理して、保護されたアミノ化合物(39)を得ることができる。保護基の除去は、TFAを使用して達成することができ、これにより、保護されていない第一級アミン(40)を得ることができる。トリメチルアミンの存在下、アミン(40)をアセトキシアセチルクロリドと反応させてアミド(41)を得ることができ、続いてメタノール中のKOHで処理して、ヒドロキシアセトアミド(42および43)を得ることができる。
合成例17
Figure 2022504403000063
イソソルビド-2-モノニトレート(6)をTHF中の水素化ナトリウムまたはLDAで脱プロトン化し、続いて、N-t-BOC-アミノエチルブロミドまたはN-t-BOC-3-アミノプロピルブロミドを添加して、保護されたエーテル(44)を得ることができる。TFAを使用してアミノ基を脱保護して、第一級アミン(45)が得られ、これを塩化アクテオキシアセチルで処理して、アミド(46)を得ることができる。MeOH中のKOHを使用して酢酸塩を加水分解して、ヒドロキシアセトアミド(47および48)を得ることができる。
合成例18
Figure 2022504403000064
2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)1N HCl溶液を、室温で10~12時間撹拌しながらイソシアン酸カリウムで処理して、抽出による従来のワークアップを行って2-ウレイド誘導体(50)を得ることができる。
合成例19
Figure 2022504403000065
N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびジメチル-アミノピリジンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をジクロロメタン中のN-t-BOC-グリシン(t-BOC=第三級ブチル-オキシカルボニル)(DMAP)で処理することができる。周囲温度で一晩撹拌した後、t-BOCアミド(51)を従来の方法で単離することができる。続いて、(51)をトリフルオロ酢酸で処理して、脱保護されたアミノ酸付加物(52)を得ることができ、前述のようにイソシアン酸カリウムおよび希塩酸溶液で処理して、ウレイドグリシン付加物(53)を得ることができる。
合成例20
Figure 2022504403000066
ジクロロメタン(DCM)中のイソソルビド-5-モノニトレート(54)をピロリジノピリミジンの存在下で1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル)カルボジイミド(CMC)で処理して、保護されたアミノ酸付加物(55)を得ることができる。TFA(トリフルオロ酢酸)で保護基を除去して、アミノ化合物(56)を得ることができる。続いて、0℃から周囲温度でイソシアン酸カリウムおよび希塩酸溶液で処理して、尿素化合物(57)を得ることができる。
合成例21
Figure 2022504403000067
[Cp*Ir(Pro)Cl](Pro=プロリナト)(Cp=シクロペンタジエニル)の存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をトルエンまたは水中のt-BOC-アミノエタノールまたはt-BOC-3-アミノプロパノールで処理して、保護されたジアミノ付加物(58)を得ることができる。保護基をTFAで除去して、第一級アミン(59)を得ることができ、これを前述のように希塩酸溶液中のシアン酸カリウムを使用して尿素(60a、60b)に変換することができる。
合成例22
Figure 2022504403000068
イソソルビド-5-モノニトレート(54)をテトラヒドロフラン(THF)中の水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドで脱プロトン化し、次いで、t-BOC-アミノエチルブロミドまたはt-BOC-3-アミノプロピルブロミドで処理して、エーテル(60)を得ることができる。TFAを使用してt-BOC基を脱保護して、第一級アミン(61)を得て、続いて、前述のようにイソシアン酸カリウムで処理して、尿素(62)を得ることができる。
合成例23
Figure 2022504403000069
2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をTHFまたはDCM中のエチルシアナノアセテートで処理して、尿素(63)を得ることができる。メタノール中の無水アンモニアとさらに反応させて、ウレイドカルボキサミド(64)を生成することができる。
合成例24
Figure 2022504403000070
N-メチルイミダゾールの存在下、イソソルビド-5-モノニトレート(54)をアセトニトリル中のt-ブチルシアノアセテートで処理して、カルバメート(65)を得ることができる。t-ブチル基の除去をエーテル中のHClまたはTFAを使用して達成し、カルボン酸(66)を得ることができる。DCCの存在下、酸をアンモニアでアミド化して、カルボキサミド(67)を得ることができる。
合成例25
Figure 2022504403000071
DCC/DMAPまたはCMC/ピロリジノピリミジンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)またはイソソルビド-5-モノニトレート(54)をDCM中のマロン酸モノアミドで処理して、マロンアミド(68)またはマロノ-エステル-アミド(69)をそれぞれ生成することができる。
合成例26
Figure 2022504403000072
2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をホスゲンおよびピリジンで約0℃で処理して、塩化カルバモイル(70a、X=NH)を生成することができる。DCM中のDMAPの存在下、この塩化カルバモイルをグリシンアミドと低温で反応させて、ウレイドカルボキサミド(71)を得ることができる。あるいは、DCM中のDMAPの存在下、塩化カルバモイル(70a、X=NH)をグリコールアミドで処理し、末端カルボキサミド基を有するカーボネート(72)を得ることができる。イソソルビド-5-モノニトレート(54)をこの一連の出発物質として使用する場合、ホスゲン反応により、塩化カルボニルを低温(70b、X=O)で生成することができ、この中間体を前述の条件下でグリシンアミドまたはグリコールアミドで処理する場合、カルバメート(73)またはカーボネート(74)をそれぞれ調製することができる。
合成例27
Figure 2022504403000073
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)を3-ヒドロキシプロピオンアミドまたは4-ヒドロキシブタンアミドで高温で処理して、カルボキサミドアミン(75)および(76)をそれぞれ生成することができる。
合成例28
Figure 2022504403000074
イソソルビド-5-モノニトレート(6)をTHF中の水素化ナトリウムまたはTHF中のリチウムジイソプロピルアミドで処理し、続いて、アルコキシドを3-ブロモプリオンアミドまたは4-ブロモブタンアミドでアルキル化して、カルボキサミドエーテル(77)および(78)をそれぞれ得ることができる。
合成例29
Figure 2022504403000075
THF中のトリエチルアミンの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、アミド付加物(79)を生成することができる。アセテートを水酸化ナトリウム溶液で加水分解して、ヒドロキシルアミド(80)を生成することができる。
合成例30
Figure 2022504403000076
THF中のトリエチルアミンの存在下、イソソルビド-5-モノニトレート(54)をアセトキシアセチルクロリドで処理して、エステル付加物(81)を生成することができる。アセテートをジブチルスズオキシドで加水分解して、グリコール酸付加物(82)を生成する。
合成例31
Figure 2022504403000077
N-アセトキシアセチルグリシンは、トリエチルアミンの存在下、ベンジルグリシンをアセトキシアセチルクロリドで処理し、続いてパラジウム触媒の存在下、ベンジルエステルを水素化分解することによって調製することができる。DCCの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化アミド付加物(83)を生成することができる。酢酸塩(84)の除去は、メタノール溶液中のKOHまたはトリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例32
Figure 2022504403000078
DCC/DMPの存在下、イソソルビド-5-モノニトレート(6)をDCM中のアセトキシアセチルグリシンで処理して、アセチル化エステル付加物(85)を生成することができる。アセテート(86)の除去は、トリメチルスズヒドロキシドとの反応によって達成することができる。
合成例33
Figure 2022504403000079
トルエン中のコバルト触媒およびモレキュラーシーブの存在下、2-アミノ-イソソルビド-5-モノニトレート(49)をN-t-BOC-アミノエタノールまたはN-t-BOC-3-アミノプロパノールで高温で処理して、保護されたアミノ化合物(87)を得ることができる。保護基の除去は、TFAを使用して達成することができ、これにより、保護されていない第一級アミン(88)を得ることができる。トリメチルアミンの存在下、アミン(88)をアセトキシアセチルクロリドと反応させてアミド(89)を得ることができ、続いてメタノール中のKOHで処理して、ヒドロキシアセトアミド(90および91)を得ることができる。
合成例34
Figure 2022504403000080
イソソルビド-5-モノニトレート(54)をTHF中の水素化ナトリウムまたはLDAで脱プロトン化し、続いて、N-t-BOC-アミノエチルブロミドまたはN-t-BOC-3-アミノプロピルブロミドを添加して、保護されたエーテル(92)を得ることができる。TFAを使用してアミノ基を脱保護して、第一級アミン(93)が得られ、これを塩化アクテオキシアセチルで処理して、アミド(94)を得ることができる。MeOH中のKOHを使用して酢酸塩を加水分解して、ヒドロキシアセトアミド(95および96)を得ることができる。
生物学
本化合物については2つの主な適応症がある。第1の適応症は狭心症治療剤としてである。化合物は、冠状血管拡張剤として作用する薬剤とともに、冠状動脈疾患の状況における運動能力を改善することが期待される。第2の適応症は、心血管疾患の二次予防であり、この用途では、血管拡張は虚血性プレコンディショニングと同様に考えられる。
本明細書に記載の実験は、本化合物が少なくとも2つの主な適応症に有用であるかどうかを試験するために使用される。実験は、ROS(活性酸素種)の生成、ならびに炎症および虚血性プレコンディショニングのマーカー、ならびにエクスビボでヒト大動脈内皮細胞(HAEC)および末梢血単核細胞細胞(PBMC)を使用した、血管平滑筋弛緩のメディエーターに対する、本化合物の効果および低酸素症の影響を決定することである。正常かつ健康な成人から単離された初代HAECは、Thermo Fisher Scientific(ニューヨーク州グランドアイランド)から購入し、Medium200中で培養することができる。末梢血単核細胞は、以下に参照されるように、エクスビボで本化合物の効果の決定の一部として使用することができる。
細胞培養物は、細胞操作のすべての態様を包含する、密閉環境で酸素および二酸化炭素がダイナミック制御されるBiospherix(ニューヨーク州ラコナ)加湿細胞培養インキュベーター中で維持することができる。培地は、pH7.3で調製することができる。インキュベーター条件は、37℃の内部温度を有する加湿インキュベーター(CO/OモニタリングおよびCO/Nガス供給源を有する、制御インキュベーターを使用する)中で、常酸素(21%O、5%CO)または低酸素(1% O、5% CO、残りがN)のいずれかであり得る。培地は、細胞曝露前に一晩、環境ガス条件に平衡化される。できるだけ早く、かつ、いくつかの場合では初代培養において、細胞を実験用ガス混合物とともに様々な期間インキュベートする。再酸素化(reoxygenation)は、グローブド細胞アクセスを有する密閉された環境チャンバーを使用して防止することができる。pH、pCO、およびpO電極を使用した細胞培地の定期的な分析により、制御された環境を保証することができる。
HAECは、本発明の化合物の存在の有無に関わらず、正常酸素状態(20%酸素)または低酸素状態(1%酸素)のいずれかに、1時間(ROS測定の場合)、2時間(転写因子活性の測定の場合)、4時間(炎症メディエーター遺伝子の測定の場合)、また16時間(炎症メディエータータンパク質の測定の場合)、曝露することができる。ジヒドロエチジウム(DHE)および2’,7’-ジクロロ-フルオレセイン(DCF)蛍光アッセイを行って、スーパーオキシドアニオンおよび過酸化水素などのROSの細胞内レベルを測定することができる。HAECにおける炎症誘発性転写因子(NF-κBおよびAP-1)のDNA結合活性は、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)によって分析することができる。炎症性メディエーターであるIL-1βのmRNAおよびタンパク質発現レベルは、以前に示したように、リポ多糖(LPS)刺激の状況において正常酸素対低酸素で培養されたHAECで測定することができる。(Folco,Sukhova,Quillard,&Libby,2014)。他のマーカー(TNF-α、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFN-γ、UT-B、eNOS、COX-2、およびMCP-1)は、刺激されたHAECで調べることができる。mRNAおよびタンパク質の発現レベルは、定量的リアルタイム逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)および酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定することができる。ELISAは、初代培養中でHAECを刺激した後、PGEなどの関連する内皮応答のメディエーターを選択するための分析に使用することができる。代謝は、高解像度呼吸測定法およびシーホース細胞外フラックス分析の組み合わせによる確立されたプロトコルを使用して包括的に評価し、患者細胞におけるミトコンドリア対解糖の寄与を示すことができる。
関連する転写因子の活性化レベルは、HAECから分離された核抽出物のDNA結合活性をEMSAで測定することによって決定することができる。HAECを上記のように処理することができ、細胞を溶解バッファー(10mM Tris-HCl、pH 8.0、60mM KCl、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1mMジチオスレイトール、100μMフッ化フェニルーメチルスルホニル、0.1%NP-40)とともにインキュベートし、氷上で5分間溶解し、600×gで4℃で4分間遠心分離して、核を回収することができる。次いで、核ペレットを、NP-40なしで溶解バッファーで洗浄し、核抽出緩衝液(20mM Tris-HCl,pH8.0、420mM NaCl、1.5mM MgCl、0.2mM EDTA、25%グリセロール)に氷上で10分間溶解し、18,300×gで4℃で15分間遠心分離することができる。核抽出物を含む上清をドライアイス上で直ぐ凍結し、分析まで-80℃に移行することができる。結合反応は、4μgの核タンパク質抽出物、10mM Tris-Cl,pH7.5、50mM NaCl、1mM EDTA、0.1mMジチオスレイトール、10%グリセロール、および2μgのポリ[dI-dC]を使用して行うことができる。試薬を添加した後、混合物を室温で25分間インキュベートすることができる。次いで、ビオチン標識した特異的オリゴヌクレオチドプローブを添加することができ、および/または非標識対照を添加することができ、結合混合物を室温で25分間インキュベートすることができる。モル過剰の非標識オリゴヌクレオチドを結合反応に添加することにより、競合研究を行うことができる。得られたタンパク質-DNA複合体は、0.25×TBEバッファー(50mM Tris-Cl、45mMホウ酸、0.5mM EDTA、pH8.4)を使用して、非変性5%ポリアクリルアミドゲル上で150Vで3時間電気泳動できる。これは、LightShift化学発光EMSAキット(ThermoScientific、イリノイ州ロックフォード)の変型である。
定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(QRT-PCR)アッセイを使用することができる。プローブおよびプライマーを使用した蛍光発生5’-ヌクレアーゼアッセイ技術(Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスターシティー)を遺伝子発現分析に使用することができる。HAECを上記のように処理することができ、RNeasy Mini Kit(Qiagen,カリフォルニア州バレンシア)を使用して全RNAをHAECから単離することができる。1μgの全RNAを、25℃で15分間、42℃で45分間、および99℃で5分間、20μLの5mM MgCl、10mM Tris-HCl,pH9.0、50mM KCl、0.1% Triton X-100、1mM dNTP、1ユニット/μLの組換えRNasin、15ユニット/μgのトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、および0.5μgのランダムヘキサマー中で逆転写することができる。個々の遺伝子の増幅は、Universal PCR Master Mixおよび標準的なサーマルサイクラープロトコル(最初のサイクルの前に50℃で2分間、95℃で15秒間、および60℃で1分間、45回繰り返する)を使用して、Applied Biosystems7300リアルタイムPCRシステムで行うことができる。ヒトTNF-α、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFN-γ、UT-B、COX-2、eNOS、MCP-1、およびグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の遺伝子発現アッセイ試薬は、PCR増幅の特定のプローブおよびプライマーに使用することができる。増幅された標的遺伝子の量が一定の閾値に達する分数サイクル数を示す閾値サイクル(CT)は、Applied Biosystems Sequence DetectionSoftwareを使用して各ウェルから決定することができる。
ROSの細胞内レベルは、蛍光顕微鏡を使用してDHEおよびDCF蛍光染色によって測定することができる。HAECを上記に示したように処理することができ、細胞に、PBS中5μMの濃度のDHEまたはカルボキシHDCF-DA(Invitrogen Corp.,カリフォルニア州カールスバッド)のいずれかを5%CO/95%空気の加湿細胞培養インキュベーター中で37℃で30分間充填することができる。HAECをPBSで洗浄し、蛍光顕微鏡で調べることができる。取得したデジタル画像のDHEまたはDCF蛍光強度を適宜定量化することができる。
内皮細胞からの低酸素媒介性NO放出に対する本化合物の効果は、膜不透過性の細胞内DAF-2の蓄積をもたらす、膜透過性の4,5-ジアミノフルオレセインジアセテート(DAF-2ジアセテート)を使用して細胞を単離することによって測定することができる。DAF-2はNOと反応して高蛍光性トリアゾロフルオレセイン(DAF-2T)を形成し、上清を蛍光分光測定するによって、これを検出することができる(Leikert,Rathel,Muller,Vollmar,&Dirsch,2001)。
細胞ROSホメオスタシスおよび代謝に対する本化合物の効果を細胞代謝アッセイで試験するために、並行研究を使用することができる。異なる実験群からのプレーティング細胞は、シーホース細胞外フラックス分析装置で研究することができる。酸素消費率(ミトコンドリア機能)および細胞外酸性化率(解糖)は、基礎条件下、最大呼吸条件下、および確立された方法を使用してミトコンドリア生体エネルギー発生(bioenergetics)を阻害した後に測定することができる(Dai et al.,2016)。確立されたプロトコルを使用して、細胞のROSおよび代謝を同時に測定するために、細胞の並列サブセットをOroboros高解像度呼吸計チャンバーに配置することができる(Alleman et al.,2016)。
末梢血単核細胞および血清は、ヒトボランティアから入手することができる。虚血性心筋症(心筋梗塞の病歴を含む)および二次予防の適応症の患者に対する本化合物の効果を試験するように設計された臨床試験において、患者を自身の対照として使用することができる。研究は、1吸引あたり5x8mLの血液チューブに限定することができ、当該血液チューブから、ヘパリンナトリウムを含むBD Vacutainer CPT(ニュージャージー州フランクリンレイクス)を使用して、1チューブあたり2mLの血漿由来血清および8x10個のPBMCを抽出することが期待できる。これには、FICOLL Hypaque密度液体および2つの液体を分離するポリエステルゲルバリアとともにヘパリンナトリウム抗凝固剤が含まれている。チューブを1500gで室温で15分間遠心分離することができる。血漿は、密度溶液上の単核細胞および血小板の層上の上清として得ることができる。血清は、CaClを20mMの最終濃度まで添加し、室温で4時間凝固させ、続いて、凝固した血漿を-20℃で凍結し、融解し、少なくとも5分間5000gを維持して血清を遠心分離することにより、血漿上清から得ることができる。血清をろ過し、あるコートとし、-20℃で凍結することができる。PBMCは、18~20℃、400gで10~15分間遠心分離することにより分離した後にリン酸緩衝生理食塩水中で2回洗浄し、次いで、8x106個の細胞/2mLのAIMV培地(Life Technologies)に再懸濁し、次いで、1x106個の細胞のアリコートに分けることができる。培養物は、細胞操作のすべての態様を包含する、密閉環境で酸素および二酸化炭素がダイナミック制御されるBiospherix(ニューヨーク州ラコナ)加湿細胞培養インキュベーター中で維持することができる。
DHE/DCF蛍光アッセイ、リアルタイムRT-PCR、ELISA、EMSA、およびレポーター遺伝子アッセイは、内皮型一酸化窒素合成酵素およびシクロオキシゲナーゼ発現の下流産物を含む、ROS生成、mRNA、および虚血性プレコンディショニングのメディエーターのタンパク質発現を決定するために行うことができる。eNOSおよびCOX-2の生成物は、対照と比較した本化合物の治療価値を確認することができる。毒性は、シーホース技術を使用して、本化合物の代謝効果によって評価することができる。
表1~6は、上記のようにして合成することができる本発明の化合物の構造を示す。


Figure 2022504403000081
Figure 2022504403000082
Figure 2022504403000083
Figure 2022504403000084
Figure 2022504403000085
Figure 2022504403000086
上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。
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Claims (20)

  1. 式I、II、III、IV、V、もしくはVIの化合物であって、
    Figure 2022504403000042
    式中、
    は、存在せず、
    あるいは、Rは、(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHC(=O)O、およびCHC(=O)NHから選択され、
    は、(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHC(=O)O、CHC(=O)NH、CHOC(=O)O、CHOC(=O)NH、CHNHC(=O)O、およびCHNHC(=O)NHから選択される、化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  2. 前記化合物が、式IまたはIVの化合物である、請求項1に記載の化合物、
    Figure 2022504403000043
    またはその薬学的に許容される塩。
  3. が、存在しない、請求項2に記載の化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  4. が、(CHO、(CHNH、(CHO、および(CHNHから選択される、請求項2に記載の化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  5. が、(CHOである、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  6. が、(CHNHである、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  7. が、CHC(=O)Oである、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  8. が、CHC(=O)NHである、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  9. 前記化合物が、式IIまたはVの化合物である、請求項1に記載の化合物、
    Figure 2022504403000044
    またはその薬学的に許容される塩。
  10. が、(CHO、(CHNH、(CHO、(CHNH、CHOC(=O)O、CHOC(=O)NH、CHNHC(=O)O、およびCHNHC(=O)NHから選択される、請求項9に記載の化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  11. が、CHC(=O)Oである、請求項9に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  12. が、CHC(=O)NHである、請求項9に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  13. 前記化合物が、式IIIまたはVIの化合物である、請求項1に記載の化合物、
    Figure 2022504403000045
    またはその薬学的に許容される塩。
  14. が、存在しない、請求項13に記載の化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  15. が、(CHO、(CHNH、(CHO、および(CHNHから選択される、請求項13に記載の化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  16. が、CH C(=O)Oである、請求項13に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  17. が、CHC(=O)NHである、請求項13に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  18. 治療有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  19. 疾患を処置する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含み、前記疾患が心血管疾患である、方法。
  20. 前記心血管疾患が、冠状動脈疾患、心筋梗塞、心不全、心不整脈、電気生理学的心臓障害、先天性心血管異常、発達性心血管異常、炎症性心筋症、川崎病、感染性心筋症、突然死/心臓停止、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、心臓弁疾患、静脈不全、心臓血栓症、血管血栓症、血栓塞栓症、末梢動脈疾患、大動脈瘤、大動脈解離、血管動脈瘤、血管解離、脳卒中、全身性高血圧症、および肺高血圧症から選択される、請求項19に記載の疾患を処置する方法。

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