JP2022189285A - 流路デバイス製造方法および流路デバイス製造方法および流路パターン作成方法 - Google Patents

流路デバイス製造方法および流路デバイス製造方法および流路パターン作成方法 Download PDF

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Akio Emoto
滉 鈴木
Ko Suzuki
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Abstract

【課題】エッチングプロセスを使わずに、マイクロ流路デバイスまたはそのプロトタイプを正確に形成する。【解決手段】基板上に形成された光重合性高分子材料層に所定のパターンを露光して流路を形成する流路デバイス製造方法であって、所望の流路の領域を遮光して前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する工程S3と、前記光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせる工程S4と、前記基板と前記天板を加圧する工程S5と、前記光重合性高分子材料層の全面を露光する工程S6と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は光学的手法により流路を形成する、流路デバイスの製造方法およびその製造装置および流路パターン作成方法に関する。
近年、癌治療や再生医療等の研究にマイクロ流路デバイス(マイクロリアクターと呼ばれる)が用いられている。マイクロ流路デバイスは、微細な流路に試料及び液体等を流通させて、流路内で化学的又は生化学的反応を生じさせることができる。そのため、マイクロ流路デバイスを用いることにより、極微量の試料であっても所望の物質を分析することができる。
マイクロ流路デバイスは、例えば、ガラスや合成樹脂等からなる基板上に10~1000μm 程度の幅の流路が形成された構造を有している。このマイクロ流路デバイスの製造にはフォトエッチング等を利用した微細加工技術が用いられる。例えば、基板上に放射線硬化性樹脂を所定の厚さに塗布し、フォトマスクを通った放射線で縮小露光し、前記放射線硬化性樹脂を部分的に硬化させることにより、所望の微小パターンを有するマイクロ流路デバイスを作成することができる(特許文献1)。
ただ、このようなマイクロ流路デバイスは、製造時に未重合の放射線硬化性樹脂を除去するエッチングプロセスを要し、少量多品種の用途には向いていないという課題があった。また、量産品であっても、マイクロ流路デバイスの構造を決定するためのプロトタイプを作成するプロセスに時間を要し、感染症への対応など、迅速性を有するニーズに応えられない、といった課題もあった。そこで、ラジカル重合反応におけるUV塗膜での物質移動を利用した、マイクロ流路形成技術が提案されている(特許文献2、非特許文献1)。
特開2014-210865号公報 特開2020- 8320号公報
Takumi Kimoto, Kou Suzuki, Takashi Fukuda, and Akira Emoto," An on-demand bench-top fabrication process for fluidic chips based on cross-diffusion through photopolymerization", Biomicrofluidics 14, 044104 (2020)
しかし、特許文献2の技術を用いた場合、エッチングプロセスが不要であるといったメリットがある一方で、流路の深さを均一に形成することが困難であるといった課題があった。特に幅の狭い流路と広い流路が混在する流路を形成する場合において、均一性を保つことは極めて困難であった。また、流路断面の端部ほど深さが減少する傾向にあり、血液の分析を行う場合、血栓が詰まり易いといった課題があった。
本発明に係る流路デバイス製造方法は、基板上に形成された光重合性高分子材料層に所定のパターンを露光して流路を形成する流路デバイス製造方法であって、所望の流路の領域を遮光して前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する工程と、前記光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせる工程と、前記基板と前記天板を加圧する工程と、前記光重合性高分子材料層の全面を露光する工程と、を含む。
前記流路デバイス製造方法において、前記光重合性高分子材料層はメルカプト基を有する化合物を含む紫外線硬化樹脂より成るものであってもよい。
前記流路デバイス製造方法において、前記光重合性高分子材料層の厚みは1μm以上50μm以下であってもよい。
前記流路デバイス製造方法において、前記光線の波長は200nm以上400nm以下であってもよい。
前記流路デバイス製造方法において、前記光重合性高分子材料層における前記光線のパワー密度は3mW/cm以上30mW/cm以下であり、露光時間は10sec以上600sec以下であってもよい。
前記流路デバイス製造方法において、加圧時の封止圧力は1N/cm以上20N/cm以下であってもよい。
本発明に係る流路デバイス製造装置は、基板上に形成された光重合性高分子材料層に所定のパターンを露光して流路を形成する流路デバイス製造装置であって、コントローラと、前記コントローラからの指令に応じて、前記光重合性高分子材料層を露光する光線を発する光源と、所望の流路の領域を遮光する流路パターンを生成する流路パターン生成部と、前記コントローラからの指令に応じて、前記流路パターンに基づき前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する変調部と、前記基板を固定する固定部と、前記コントローラからの指令に応じて、前記基板上の光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせて加圧する機構と、を具備したものである。
前記流路デバイス製造装置において、前記光源の波長は200nm以上400nm以下であってもよい。
前記流路デバイス製造装置において、前記光重合性高分子材料層の全面を露光する光源をさらに具備してもよい。
本発明に係る流路パターン作成方法は、基板上に形成された光重合性高分子材料層を露光して流路を形成する際に用いる流路パターンの作成方法であって、複数の暫定パターンを作成する工程と、暫定パターンごとに流路の領域を遮光して前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する工程と、前記光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせる工程と、前記基板と前記天板を加圧する工程と、前記光重合性高分子材料層の全面を露光して流路を確定する工程と、前記流路に試料を供給して流量を計測する工程と、前記流量の計測値に基づいて前記複数の暫定パターンから流路パターンを選別する工程と、を含む。
前記流路パターン作成方法において、前記光重合性高分子材料層はメルカプト基を有する化合物を含む紫外線硬化樹脂より成るものであってもよい。
本発明によれば、未重合の硬化性樹脂を除去するエッチングプロセスを要せず、しかも、物質移動を利用して形成される流路の幅と深さを均一に制御することができ、少量多品種の用途に適した流路デバイスの製造方法および装置を実現することができる。また、本発明により、流路デバイス製造時の露光に用いる流路パターンを短時間かつ低コストで作成することができる。
本発明の第1の実施の形態の流路デバイス製造方法のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態の流路デバイス製造装置のブロック図である。 前記フローチャートの工程S2で使用する流路パターンの概念図である。 前記フローチャートの工程S3によって基板上に形成された溝を模式的に示した上面図と断面図である。 前記フローチャートの工程S4において基板と天板を貼り合わせた状態の流路デバイスの上面図と断面図である。 前記フローチャートの工程S4の作用を示す模式図である。 前記フローチャートの工程S5の作用を示す説明図である。 前記フローチャートの工程S6を実施する具体的手段を示す概念図である。 本発明の第2の実施の形態の流路パターン作成方法のフローチャートである。 本発明の実施例における流路デバイス製造装置の構成図である。 本発明の実施例1における実験結果を示すグラフである。 本発明の実施例2における試作品のSEM画像である。 比較例における試作品のSEM画像である。 本発明の他の実施の形態の説明のための概念図である。
以下、本発明の一態様における実施の形態(以下、第1の実施の形態)の流路デバイスの製造方法および製造装置について図面を参照しながら説明する。図1は第1の実施の形態のフローチャートを、図2は本実施の形態のブロック図を、それぞれ示す。
図2において、101は光源であり、後述の光重合性高分子材料層1aを露光する光線を発する。本実施の形態において製造される流路デバイスは、当初、基材の表面に光重合性高分子材料層が設けられた基板の形態で供給される。102は流路パターン生成部であり、所望の流路の領域を遮光する流路パターンを生成する。103は変調部であり、流路パターンに基づき光源101が発する光線を透過または遮光することで、固定部110に据えられた基板上の光重合性高分子材料層1aを部分的に露光する。アーム111は前記基板1上の光重合性高分子材料層1bと天板10とを水平方向に適当に位置決めした後に上から貼り合わせる機構である。アーム111はその後天板10を抑え込み、前記基板1に対して加圧処理を実行する機能を兼ねてもよい。
光源101、流路パターン生成部102、変調部103、アーム111は独自に動作するものではなく、コントローラ104からの指令に応じて動作する。コントローラ104はパーソナルコンピュータ(PC)やマイクロプロセッサであってもよい。このコントローラ104によって実行される指令の手順は図1のフローチャートで示される。以下、このフローチャートを適宜参照しながら、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、露光する際に用いる流路パターンの一例を図3に、各製造工程における流路デバイスの形成過程を図4から図7に、それぞれ示す。図1のフローチャートにおいて、最初の工程S1では基材1a上に光重合性高分子材料層1bが形成される。基材1aを構成する材料は、後の工程において照射される紫外線により組成や特性が顕著に変わらないものであれば特に限定されない。例えばガラス、金属、樹脂を用いてもよい。樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートおよびポリスチレンを用いてもよい。金属としては、アルミやステンレスおよび真鍮を用いてもよい。
本実施の形態においては、光重合性高分子材料層1bは、チオール・エン光重合反応による硬化を生じる高分子材料で構成される。この高分子材料はチオール(メルカプト)基含有化合物とエン化合物より構成される。一般的に、チオール・エン光重合反応においては、まず光照射によってチイルラジカル (R-S )が発生する。次に、エン化合物へのラジカル的な付加反応が起こり、光硬化材料が組み立てられる(化1)。

Figure 2022189285000002
チオール基含有化合物として、エステル結合を有した化合物、例えば以下の構造式(化2)で示される化合物を用いてもよい。

Figure 2022189285000003

また、チオール基と付加反応により結合するエン化合物として、以下の構造式(化3)で示される化合物(イソシアヌル酸トリアリル)を用いてもよい。

Figure 2022189285000004
光重合性高分子材料層1bの厚みは1μm以上50μm以下であることが好ましい。薄すぎると後述の物質移動が十分に行われず、溝2が形成されない。また厚すぎる場合、溝2が基材1aまで到達せず、深さの制御が困難になる。
なお、基材1aに光重合性高分子材料層1bを形成する具体的手段としては、塗布、スプレー、蒸着、スピンコート、等を用いてもよく、特に限定はされない。本実施の形態においては、以降、光重合性高分子材料層1bが形成された基材1aを基板1と称する。
次に流路を描画するためのパターンを作成する工程(S2)について説明する。後述のように、基板1における光重合性高分子材料層(1b)の表面の流路以外の部分に光線を照射することにより(工程S3)、最終的に図4に示されるような流路の原型を形成する。つまり、露光しなかった部分には溝2が形成され、露光部との境界およびその近傍には後述する物質移動によって隆起が生じ、土手3が形成される。本工程(S2)では、光線を照射する部分を予め決定する。例えば、図3に示されるような、流路を形成したい部分を遮光するマスクパターンを作成してもよい。
流路パターン生成部102の具体的な形態は次の工程S3において用いられる変調部103の形態に依存する。変調部103は流路パターンに応じて光重合性高分子材料層1bに照射される光線の強弱を制御するものである。例えば、光源101が発した光線をあらかじめ図3のような遮光パターンが描かれたフィルムに透過させるものであってもよい。この場合、流路パターン生成部102は、この遮光パターンが描かれたフィルムを作成するものであればよい。一方、変調部103が液晶シャッターやDMD(Digital Mirror Device)のように流路パターンがオンラインで設定できるデバイスである場合、図3で示される流路パターンはフィルムのような実体的なものではなく、変調部103を電気的にオンオフ制御するためのデジタルデータ群として存在する。
ここで、DMDとは、一種のMEMSデバイスであり、マイクロミラーアレイのそれぞれのミラーの角度を変化させて入射する光の反射を制御し、光を空間変調する、振幅型の空間光変調器である。CMOSプロセスで製造することができ、マイクロミラーの下にあるCMOSメモリの静電力によってミラーの傾きを任意に変えることができる。空間的に変調されて生成した像はアフォーカルレンズ系で拡大された後、基板1上の光重合性高分子材料層(1b)に照射される。
以下、工程S3について説明する。工程S3では、変調部103を通して基板1の光重合性高分子材料層1bの所定の部分に光線を照射する。その結果、図4に示されるように、露光していない部分に溝2が形成される。一方、露光部分との境界およびその近傍における光重合性高分子材料は物質移動によって隆起し、同図に示されるように土手3を形成する。このメカニズムを以下、詳細に説明する。
一般にチオール・エン化合物により構成される光重合性高分子材料に光を照射すると、光重合反応により硬化が始まる。しかし、光重合性高分子材料層が有限の厚さを持つ場合、これに強度分布のある光を照射すると、光重合反応が進むにつれ、モノマーおよび重合化したポリマーならびに反応に寄与しない材料などとの間に濃度勾配が生じる。この濃度勾配により、硬化が完了するまで拡散作用による物質移動が生じる。この物質移動は照射される光の強度分布に応じて発生する。このようなポリマー重合と同時に現れる拡散による物質移動はさらに以下のように説明される。
今、重合レートをVとし、ポリマーおよびモノマーならびに反応に寄与しない物質のそれぞれの拡散による流れを、j、j、jとしたとき、 これらのパラメータは以下(1)式のように関係づけられる。

Figure 2022189285000005

ここでρ、ρ、ρは、それぞれ単位体積当たりの光重合物質中における反応に寄与しない物質とモノマーおよびポリマーの成分濃度を示したものである。また、変数n、m、pは反応に寄与しない物質とモノマーおよびポリマーのx’方向の体積分率である。さらに、反応に寄与しない物質とモノマーおよびポリマーの質量分率のx’方向の空間分布をそれぞれ変数N(x’)、M(x’)、P(x’)とすると、これらの変数は、変数n、m、pおよびρ、ρ、ρ用いて以下の式(2)のように表せる。

Figure 2022189285000006
さらに、露光部分(流路の外側)のモノマーが重合を開始し、体積分率(m)が減少傾向にある場合を考える。このとき、まず非露光部分(流路の内側)のモノマーが露光部分へ移動しようとする。その一方で、拡散平衡状態を保つため、露光部分で生じたポリマーと反応に寄与しない物質が未露光部分へ移動しようとする(式(1))。すなわち、未露光部から露光部への移動と露光部から未露光部への移動が同時に生じることになり、流れが衝突する。その結果、非露光部からは未硬化のモノマーが排出され、その跡に溝2が形成される。さらに露光部との境界およびその近傍には両側から押し出されたモノマーとポリマーにより土手3が形成される。最終的に、露光パターンに対応した溝構造が形成される。この様子を模式的に図6に示す。
ここで、露光のエネルギーが弱ければモノマーの重合が遅くなり、溝2およびその周囲の土手3が十分に形成されずに硬化が進む。また、強すぎた場合は重合が早く進み、物質移動が十分に生じる間もなく硬化が完了する。適量として、露光に用いる光線の波長は200nm以上400nm以下であることが好ましい。また光重合性高分子材料層における光線のパワー密度は3mW/cm以上30mW/cm以下であることが好ましい。さらに、光線の露光時間は10sec以上600sec以下であることが好ましい。
以下、工程S4について説明する。工程S4では、アーム111を用いて基板1と天板10とを適当に位置決めをした状態で貼り合わせる。接着後の上面図と断面図を図5に示す。天板10を構成する材料は特に限定されず、ガラスであっても樹脂であってもよい。また樹脂として、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニール、ABSを用いてもよい。図5に示されるように基板1の上に天板10を被せると、両者は土手3の先端(稜線)で接する。光重合性高分子材料が未だ硬化しきっていない状態であれば、接触後にさらに硬化を進ませることにより、両者を接着することができる。このままの状態でも、土手3で囲まれた溝部分2は封止されて流路4となる。この流路に対し、天板10に穴11を設けることにより、試料の出し入れを行うことができる。
流路4をさらにリジッドに封止するため、基板1と天板10とを加圧する(工程S5、S6)。図1においては、工程5(加圧)の後に工程6(全体露光)が実施されるが、全体露光は加圧の際に行ってもよい。例えば、図8に示されるように、全体的な露光による硬化の促進と圧力のコントロールを同時並行で進めてもよい。また、アーム111に加圧機能を持たせてもよい。露光の波長は工程S3の際に用いた光線の波長と同じであってもよい。また、露光の際の光源は光源101をそのまま使ってもよいし、別途光源を設けてもよい。なお、光源101を用いる場合は、変調部103から流路パターンを除去しておく。
加圧前後の基板1、天板10、および流路の様子を図7に示す。加圧前、基板1、天板10は土手3の稜線でのみ接している。その後、適当な圧力で加圧することにより、天板10は基板1の光重合性高分子材料層1bの表面とも接触する。しかも、このとき、溝2(流路4)は底を維持したまま押し下げられる。なお、加圧時の封止圧力は1N/cm以上20N/cm以下であることが好ましい。圧力が低いと天板10は光重合性高分子材料層1bと十分に接触しない。逆に圧力が高すぎると溝2が塞がれてしまう。封止圧力はさらに1N/cm以上20N/cm以下であることが好ましい。後の実施例2で示されるように、この範囲であれば流路4の断面形状をオーバル状に整えることが可能である。
本実施の形態における流路4は、幅、長さ、深さともに、任意にしかも正確に形成することができる。すなわち流路4の元となる溝2は露光されてないモノマーが物質移動により排出されて形成されるものであり、その深さは光重合性高分子材料層1bの厚みを上限とする。また、流路4のエッジは土手3の稜線の位置で決まるため、流路4の幅を正確に設計することができる。
以上、本実施の形態によれば、未重合の放射線硬化性樹脂を除去するエッチングプロセスを要せず、しかも、流路4の形状を正確に制御することができ、少量多品種の用途に適した流路デバイスの製造方法を実現することができる。
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、量産品のプロトタイプ等における流路パターンを作成する方法に関する。図8に本実施の形態のフローチャートを示す。図8において、S11からS16は、それぞれ図1のS1からS6に相当する工程である。図1と異なるのは、まず複数の基材上に複数パターン(暫定パターン)の流路を形成することである。
一般に、流路の設計においては、多少の施行錯誤を要する。特に複数の流路を有する流路デバイスにおいては、各流路に所定の流量で試料や液体を流す必要がある。流量は流路の寸法すなわち長さと幅と深さが関係しているが、試料等の濃度や粘性にも依存するため、プロトタイプに実際に試料を流してみて、流量が適正になるように流路の寸法を合わせこむ必要がある。そこで図8のフローチャートにあるように、予め流路の寸法を変えた流路パターン(暫定パターン)を用いて、複数の基材上の光重合性高分子材料層に露光し(工程S11、S12、S13)、流路を形成することで(工程S14、S15、S16)、それぞれ異なる寸法の流路を有する複数のプロトタイプを作成する。
さらに工程S17において、流路パターンの選別が行われる。すなわち、工程S11~S16により得られた複数の暫定パターンを有するプロトタイプに、対象となる試料あるいは粘性などの流体特性を等しくした模擬試料を実際に流してみて、所望の流量が得られるプロトタイプを選別する。この選別されたプロトタイプにおける暫定パターンを流路パターンとして決定すれば、以降、図1の製造工程により所望の特性の流路デバイスを作成することができる。
あるいは、こうして得られた流路パターンを用い、従来方法であるエッチング処理によって、流路デバイスを作成してもよい。図1の製造工程で作成される流路には、チオール・エン光重合反応によって生じたラジカルが残存していることもある。ラジカルは菌や血液などの生体試料に結合して変性を生じさせるおそれがある。そこで、本発明により製造される流路デバイスはプロトタイプに留め、実際の分析に用いる流路デバイスは図8の工程で作成された流路パターンを用いたエッチング工法により製造するのが好ましい。
なお、本実施の形態においては、複数の流路パターンを有するプロトタイプは同時にまたは並行して作成されることを想定しているが、これに限られずとも、流路寸法を順次変えながら、1パターンずつ繰り返し作成してもよい。この場合、同時にまたは並行して作成するよりも時間を要するが、所望流量との誤差をフィードバックしながら流路の寸法を合わせこむことができるため、プロトタイプの試作数を減らすことができる。
以下、本発明の実施例1、2について説明する。これらの実施例においては図10で示した構成の装置を用いて部分露光を行い、その後、図8に示した方法で加圧処理を行った。光重合反応下における物質移動によるチャンネル構造形成過程の観察を行う。露光用光源はThorlabs 社製紫外光LED(M365)を用いた。波長は365nmである。変調部にはDMD(Texas Instruments社製DLP6500)を用いた。レーザー顕微鏡はKeyence社製VX-X210を用いた。
さらに、以下の実施例において、光重合性高分子材料層1bにはチオール・エン化合物であるNorland社製NOA81(登録商標)を用いた。
(実施例1)
本実施例では、パターン幅(非露光部分)を100μm、270μm、500μm、1000μmと変えて露光したときに形成される溝およびその周囲に形成される土手の断面形状を、レーザー顕微鏡で観察した。図11(a)~(d)にそれぞれ結果を示す。露光時間はいずれも300sec、パワー密度はいずれも11.1mW/cmであった。
図11より明らかなように、非露光部分の幅が太くなるほど、溝幅が広くなる。溝幅が広くなると、そこから物質移動するモノマーの量も増えるため、土手の高さも増す。基材上に設けられた光重合性高分子材料層の厚みは有限であるため、溝幅が広くなっても溝深さがこの厚みを超えることはない。
(実施例2)
本実施例では封止圧力と流路の断面形状との関係について示す。図12(a)~(d)は図7の装置において天板10にそれぞれ5N/cm、10N/cm、15N/cm、30N/cmの圧力を加えながら光重合を進めて作成した流路デバイスの断面のSEM画像である。なお、撮影の都合上、基材1a、光重合性高分子材料層1b、天板10の上下関係は図7とは逆になっている。非露光部であるパターン幅は一律500μmとした。他の作成条件は実施例1と同等である。封止圧力が10N/cm~15N/cmの範囲においてオーバル状の流路4が形成されることが確認できた。圧力が高すぎる場合、同図(d)に示されるように流路の両側から一部ポリマー化したモノマーが入りこむため、流路は狭く形成される。
(比較例)
比較例として、露光部と非露光部を反転させたパターンを用いて、実施例2と同等の条件で流路デバイス作成した。断面のSEM画像を図13に示す。比較例の方法では、封止圧力を高めても流路4はオーバル状にはならず、三日月状にとどまっている。この理由としては、溝となる部分に紫外光を照射した場合、光重合性高分子材料の体積は減少するものの、硬化が早く進むため、溝領域からの物質移動が十分に行われなかったことが考えられる。
以上、本実施の形態について説明した。なお、本実施の形態において、溝を形成する部分を遮光する、との表現を用いているが、ここでいう遮光とは光線を100%遮断する場合に限らない。ポリマー化が顕著に進行しない程度であれば、若干の光量が残存していてもよい。また、他の実施形態として、図14に示されるように、溝の中心部で遮光の割合を高く、周辺部で遮光の割合を低くするなどして、光線の強度を段階的に変化させるものであってもよい。
以上、本発明によれば、溝部を遮光する流路パターンを用い、光重合性高分子材料層の物質移動を制御しながら流路を形成することにより、未重合の硬化性樹脂を除去するエッチングプロセスを要せず、しかも、流路の形状が均一に制御された流路デバイスを実現することができる。また、エッチングプロセスを用いる場合であっても、所望の特性を有する流路のパターンを効率的に作成することができる。
本発明は、オンデマンドでのマイクロ流路デバイスまたはプロトタイプの作成に用いることができ、癌治療、再生医療、PCR検査等にも応用することができる。
1 基板
1a 基材
1b 光重合性高分子材料層
2 溝
3 土手
4 流路
100 流路デバイス製造装置
101 光源
102 流路パターン生成部
103 変調部
104 コントローラ
111 アーム

Claims (11)

  1. 基板上に形成された光重合性高分子材料層に所定のパターンを露光して流路を形成する流路デバイス製造方法であって、
    所望の流路の領域を遮光して前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する工程と、
    前記光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせる工程と、
    前記基板と前記天板を加圧する工程と、
    前記光重合性高分子材料層の全面を露光する工程と、を含む流路デバイス製造方法。
  2. 前記光重合性高分子材料層はメルカプト基を有する化合物を含む紫外線硬化樹脂より成ることを特徴とする、請求項1に記載の流路デバイス製造方法。
  3. 前記光重合性高分子材料層の厚みは1μm以上50μm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の流路デバイス製造方法。
  4. 前記光線の波長は200nm以上400nm以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流路デバイス製造方法。
  5. 前記光重合性高分子材料層における前記光線のパワー密度は3mW/cm以上30mW/cm以下であり、露光時間は10sec以上600sec以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の流路デバイス製造方法。
  6. 加圧時の封止圧力は1N/cm以上20N/cm以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の流路デバイス製造方法。
  7. 基板上に形成された光重合性高分子材料層に所定のパターンを露光して流路を形成する流路デバイス製造装置であって、
    コントローラと、
    前記コントローラからの指令に応じて、前記光重合性高分子材料層を露光する光線を発する光源と、
    所望の流路の領域を遮光する流路パターンを生成する流路パターン生成部と、
    前記コントローラからの指令に応じて、前記流路パターンに基づき前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する変調部と、
    前記基板を固定する固定部と、
    前記コントローラからの指令に応じて、前記基板上の光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせて加圧する機構と、を具備した流路デバイス製造装置。
  8. 前記光源の波長は200nm以上400nm以下であることを特徴とする、請求項7に記載の流路デバイス製造装置。
  9. 前記光重合性高分子材料層の全面を露光する光源をさらに具備したことを特徴とする、請求項7または請求項8のいずれか一項に記載の流路デバイス製造装置。
  10. 基板上に形成された光重合性高分子材料層を露光して流路を形成する際に用いる流路パターンの作成方法であって、
    複数の暫定パターンを作成する工程と、
    暫定パターンごとに流路の領域を遮光して前記光重合性高分子材料層を部分的に露光する工程と、
    前記光重合性高分子材料層と天板とを貼り合わせる工程と、
    前記基板と前記天板を加圧する工程と、
    前記光重合性高分子材料層の全面を露光して流路を確定する工程と、
    前記流路に試料を供給して流量を計測する工程と、
    前記流量の計測値に基づいて前記複数の暫定パターンから流路パターンを選別する工程と、を含む流路パターン作成方法。
  11. 前記光重合性高分子材料層はメルカプト基を有する化合物を含む紫外線硬化樹脂より成ることを特徴とする、請求項10に記載の流路パターン作成方法。


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