JP2005138440A - 微細構造作製方法、微細構造作製装置 - Google Patents

微細構造作製方法、微細構造作製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】充分微細な3次元構造物などを制御性良く作製できる微細構造作製方法、装置を提供することである。
【解決手段】エバネッセント波206により固化する流体204に対して、エバネッセント波を所望の態様で発生させて流体206を所望のパターンで固化して微細構造を作製する。エバネッセント波206により流体204を固化する領域が、既に流体206が固化した領域208あるいは固体状態の部分209と繋がる様に、エバネッセント波206を発生させる領域と既に固化した領域208あるいは固体状態の部分209との距離を設定して、エバネッセント波206を発生させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、3次元の微細構造等の、微小な寸法を有する部分を含む微細構造の作製方法、微細構造の作製装置等に関するものである。
近年、半導体をはじめとして様々な分野で微細加工方法が進展してきている。半導体の分野では、レジストを用いた2次元加工が主流であり、100nm程度あるいはそれより高い精度での加工の研究開発が進んでいる。ところで、光の波長程度の大きさで屈折率が周期構造を持つフォトニック結晶が最近注目を浴びている。フォトニック結晶内部では光の振動数(エネルギー)と波長の関係が特異な関係となり、フォトニックバンド構造と呼ばれるバンド構造が形成され、その中には特定のエネルギーの光を通さないフォトニックバンドギャップが存在したりして、将来の新しい光デバイスへの応用が期待されている。この様なフォトニック結晶を作製するためには、おおよそ、対象となる電磁波の波長程度の大きさで制御された構造を作製する必要がある。正確には屈折率や形状などに依存するが、例えば可視光であればおよそ100nmから数100nm程度の周期構造を作製する必要がある。波長が長い場合や短い場合は、その波長に応じた構造を作ればよい。また、作製する周期構造は1次元、2次元あるいは3次元のいずれでもよいが、3次元構造がより様々なバンド構造を作れて自由度が高く、産業上の利用性の観点からもこれが強く求められている。すなわち、3次元構造を微細な領域で作る技術が強く求められている。このためには従来のレジスト等を用いた2次元加工では対応できない。
また、フォトニック結晶に限らず、マイクロメカニクス等、様々な分野でも3次元の微細な構造を作製する技術が求められている。
3次元の構造を作製する方法としては、流体を層状に順次固化してゆくという方法がある(特許文献1参照)。ここでは、レンズで絞った光を照射して出発材料から徐々に一層ずつパターンを形成してゆくことにより3次元構造を作製している。
特開平2-36930号公報
ところが、この様に光を照射して物体を固化させながら3次元構造を作製する方法では、作製構造物の大きさが充分小さくできないという問題点があった。なぜなら、焦点付近では光の強度の分布があるために周辺の場所も固化してしまい、微細な構造が作製できない。
上記課題に鑑み、本発明の微細構造作製方法は、エバネッセント波により固化する流体に対して、前記エバネッセント波を所望の態様で発生させて流体を所望のパターンで固化して微細構造を作製する微細構造作製方法であって、前記エバネッセント波により流体を固化する領域が、既に流体が固化した領域あるいは固体状態の部分(後記実施例における基板、容器など)と繋がる様に、前記エバネッセント波を発生させる領域と前記既に固化した領域あるいは固体状態の部分との距離を設定して、前記エバネッセント波を発生させることを特徴とする。これにより、充分微細な3次元構造物などを制御性良く作製できるようになる。
この基本的な作製方法に基づいて、以下の様なより具体的な態様が可能である。
前記エバネッセント波を発生させる領域は、その連続的あるいは断続的な移動軌跡が1次元的直線(この例としては、図2の例で固化した軌跡208がZ方向に真っ直ぐ伸びるような例がある)、2次元的平面(この例としては、図2の例で固化した軌跡208がZY面内で曲線的に伸びるような例がある)、あるいは3次元的空間(後記各実施例参照)内で所望の態様で他部と繋がって伸びる様に設定される。連続的な移動軌跡の例としては、図9で説明する例があり、断続的な移動軌跡の例としては図13や図18で説明する例がある。
前記エバネッセント波は、それを発生させる領域の移動につれて、その強度が変調されてもよいし(図11の例参照)、その強度は常に一定であってもよい(図9の例参照)。
また、前記エバネッセント波を発生させる領域は、移動する所定面内の少なくとも1つの所定の領域に設定されてもよいし(図7の例参照)、移動する所定面内の少なくとも1つの移動制御可能な領域に設定されてもよい(図21の例参照)。前記流体としては、光硬化樹脂、光反応性気体などがある。
更に、上記課題に鑑み、本発明の微細構造作製装置は、加工対象である流体を固化するためのエバネッセント波を発生するエバネッセント波発生手段と、前記エバネッセント波を励起するエバネッセント波励起手段と、前記エバネッセント波発生手段によるエバネッセント波発生領域と前記バネッセント波により固化した物質あるいは固体状態の部分との位置関係を制御する制御手段(後記位置制御機構や後記レーザの照射位置を制御する手段など)とを有することを特徴とする。この装置により、上記微細構造作製方法を容易に実施できる。
更に、上記課題に鑑み、本発明のフォトニック構造体は、エバネッセント波の作用により固化して形成された微細部分が、少なくとも一方向に周期的に変調ないし離散して存在することを特徴とする。こうした構造は、充分微細な3次元構造などとして、上記微細構造作製方法で容易に作製できる。
本発明によれば、エバネッセント波により固化が発生するため、より微小な寸法を有する部分を含む微細な3次元構造物等を制御性良く作製できるようになった。特に電磁波の照射方向に対しては、伝播光ではなく、電磁波の到達する領域が限られており、浅い領域のみ固化できるというメリットがある。
本発明は、電磁波の照射により固化する流体に対して、エバネッセント波を照射して流体を固化させながら、エバネッセント波の発生源を該固化した物質から離す方向へずらして所望の態様に応じて固化させることにより3次元固体などを作製するものである。本明細書で言うエバネッセント波は、波源や物質の表面、あるいは境界に局在し、遠方には伝搬しない電磁波のことをいう。具体的には、例えば、波長より短い径の微小開口に光等の電磁波を照射したときに発生する近接場や、光が全反射するときに反射面に存在する近接場光や、金属に光を照射したときに表面近傍に発生する表面プラズモン等が挙げられる。エバネッセント波は、光等の電磁波が物質や構造に照射されることにより形成されるが、本明細書においては、エバネッセント波を励起するための電磁波を発生する波源をエバネッセント波励起手段という。また、これらの電磁波の照射を受けて、エバネッセント波を発生させる構造や物質をエバネッセント波発生手段という。
本発明で用いるエバネッセント波は流体を固化するものであれば、マイクロ波、光(赤外光、可視光、紫外光)等、電磁波であれば何でもよいが、用いる電磁波と流体の組み合わせは決まっている。流体は液体、気体のいずれでもよい。これらの組み合わせの例としては、光の照射により固まる光硬化樹脂に対して光を用いる場合や、半導体の光CVDで用いるガスと光の組み合わせを用いる場合などが挙げられる。前者は、光の照射により光重合反応等により樹脂が硬化する場合である。後者は、光の照射により化学反応が発生し、光反応性のガスから半導体が析出する場合である。本明細書では、この様に電磁波の照射により固体が析出するような反応を全て含め、光の照射により流体から固体ができることを固化と呼ぶ。また、複数のガスや液体から、光等の電磁波の照射により反応が発生し固体が発生するような場合でもよい。
図1は、微小窓に光を照射したときには発生する近接場を説明する図である。用いる電磁波103を透過しない薄板101に微小窓102が形成されている。微小窓102の部分の材質は、用いる光を透過する材質を用いる。例えば、薄板101の材質に金属を用い、微小窓102にその酸化物やガラス等を用いる構造等が挙げられる。また、微小窓102は何も詰まっていない空洞でもよい。本明細書で微小窓とは、この様に、用いる電磁波を透過しない領域に、用いる電磁波を透過する領域を微小な窓のように設けた構造を言う。図1において、微小窓102の径は、入射する電磁波103の波長より短い。この微小窓102に電磁波103を入射すると、微小窓102の入射光側と反対側に近接場104が発生する。この近接場104は微小窓102近傍に局在する光で、遠方には到達しない電磁波であり、エバネッセント波である。この構造においては、微小窓102がエバネッセント波発生手段となる。微小窓102の近くに、エバネッセント波により固化する対象を配置すると、微小窓102の極く近傍のみが固化される。その領域の目安は、およそ、用いる電磁波の波長程度の大きさである。電磁波はマイクロ波等の電波でもよいし、また光でもよいが、固化される領域は波長が短い方が狭い領域となるので、光の方がより微細な加工を行える。光の場合には特に近接場光と呼ばれる。また、同じ光でも、波長の短い光の方がより微細な加工を行うことが可能である。
図2に、図1に示したのと同様な微小窓による近接場を用いた微細構造の作製装置、作製方法を示す。図2は、図示XYZ方向に可動な加工ユニット200を示している。加工ユニット200は、図1に示す微小窓203とそれを支持する支持枠201とから構成されている。支持枠201は薄板202を支持するものであり、薄板202には微小窓203が埋め込まれている。薄板202と微小窓203は、上記薄板101と微小窓102と同様な構造をしており、微小窓203の幅は、用いる電磁波205の波長より短い。これらを支持枠201が保持している構造となっている。これらを図2に示すように電磁波の照射により硬化する流体204の中に浸す。
図2において、流体204は液体でもよいし、電磁波の照射により反応する気体でもよい。この気体または液体を格納する容器を図2中に209で示してある。流体204が気体の場合は、必要に応じて容器209をチャンバーのように閉ざされた空間にする。この構成において、微小窓203に向かって、流体204を固化させるエバネッセント波を励起するための電磁波205が照射される。微小窓203の直下には照射した電磁波205に対応する近接場206が形成される。照射した電磁波205が光の場合は、形成された近接場206はいわゆる近接場光となる。この近接場は微小窓203近傍に局在するエバネッセント波である。図1及び図2に示した構造により発生する近接場104及び206は入射電磁波と同じエネルギーを有する。したがって、この系においては、用いる流体204が電磁波205の照射により固化するものであればよい。この様な例としては、電磁波205として紫外光を用い、流体204として光硬化樹脂を用いる例が挙げられる。また、流体としてシラン系のガス、例えばSi2H6を用い、光反応によりシリコンを析出させたり、ヘキサメチルジシラン((CH3)3SiNHSi(CH3)3)ガスを用い、紫外光を用いてSiO2を析出させたりする方法が挙げられる。
微細構造作製では、まず、加工ユニット200を図示Z方向の−Zの向きに移動させ、微小窓203を容器209に接触するように位置させる。次に、電磁波205を照射しながら加工ユニット200を図中、矢印207で示す方向に移動させる。このとき、微小窓203直下にエバネッセント波206が発生しながら、微小窓203が移動することになる。このエバネッセント波の強度が或る閾値以上の場所では流体209がエバネッセント波により固体となる。加工ユニット200は矢印207方向に移動しているので、図2中208で示すような軌跡の部分が固化する。より詳細には、エバネッセント波が連続的に発生しているので、加工ユニット200が図示Z方向にわずかに移動しても微小窓203直下の固化が発生する。このとき固化に寄与するのはエバネッセント波であり、これは遠方には伝達せず、また強度も距離が離れると急激に減少するため、微小窓203の近傍のみが固化し、図2中208のように固化する領域を狭くすることができる。したがって、図2に示す動きのように加工ユニット200の動きにZ方向以外の動きを含んでいても、微小窓203より-Z方向に離れた場所で固化が発生しないというメリット、すなわち図示Z方向に構造が大きくならないというメリットがある。図示207の動きは図示Y方向にも動きが含まれるが、Z方向のみの動きに限ってもよい。この場合は直線状の柱状構造が形成される。
また、エバネッセント波206は時間的に連続に発生していなくても、断続的に発生させてもよい。この場合、エバネッセント波の発生を停止した状態で加工ユニット200の移動を行い再びエバネッセント波を発生して固化を行うが、この固化の領域が以前に固化した領域と接続され、連続構造となる必要がある。そのためには、エバネッセント波発生手段である微小窓203と既に固化した領域との距離が、エバネッセント波により新たに固化される領域の大きさより小さくなければならない。より厳密には、新たにエバネッセント波により固化する領域と既に固化した領域とが重なるように微小窓203の位置を制御した後にエバネッセント波を発生させる。この状態で、エバネッセント波の照射を行って固化を発生させれば連続構造が得られる。
次に、全反射を用いてエバネッセント波である近接場光を発生させて微細構造を作製する装置および方法を説明する。図3において、301は光学ガラスであり、入射する光を透過しかつ固化させる流体より大きい屈折率を有するものである。流体が気体の場合、屈折率はほぼ1なので、入射する光に対して透過する材質のものであればよい。光学ガラス301の外から光を入れて反対側の面で全反射を起こさせるには、例えば、光学ガラス301上に同じ屈折率のプリズム、球面レンズなどの光学部品を密着・設置する必要がある。ここではプリズム309を用いた。このプリズム309と光学ガラス301の片側、図示302の側から光が照射され、反対側303は光の照射により硬化する流体303がある。302の側は使用する光がプリズム309及び光学ガラス301に到達して入射するものでよく、例えば空気等でよい。ただし、この302側の物質の屈折率が大きいとプリズム309との界面での反射が多くなり、発生させる近接場光が弱くなってしまう。
図示302の側から光が照射される。入射光の方向は、この光がプリズム309と光学ガラス301内で矢印305のように進み、入射側と反対側の界面で全反射するような配置にする。全反射した光はさらに図示306で示す方向に進む。全反射した場所では、光学ガラス301の303で示した側には近接場光308が発生している。近接場光308は光学ガラス301と流体303の界面付近にのみ存在し遠方には伝達しない。また、その強度も界面から離れると急激に減少する。この場合に発生する近接場光は、図示XY方向には入射光の広がりに応じて広がっているが、Z方向には遠方には伝播せず、広がりも少ない。この場合、光学ガラス301の全反射が発生する界面が本明細書で言うエバネッセント波発生手段となる。また入射光およびその光源が本明細書でいうエバネッセント波励起手段である。
図4に、図3に示したのと同様な全反射による近接場光を用いた3次元構造等の微細構造の作製手段、作製方法を示す。図4は図示Z方向に可動な加工ユニット400を示している。加工ユニット400は図2に示した加工ユニット200と比較して、薄板202と微小窓203の代わりに図3おける光学ガラス301及びプリズム309と同様な光学ガラス402及びプリズム409を用いている点が異なるが、他は加工ユニット200と同様なものである。この場合、図示XY方向の移動は必ずしも必要ない。支持枠401は光学ガラス402を支持するものである。これらを図2と同様、図4に示すように電磁波(この全反射の場合は光)の照射により硬化する流体403の中に浸す。図4においては液体を用いているが、図2の場合と同様に電磁波の照射により反応する気体でもかまわない。この気体または液体を格納する容器を図4中に407として示してある。光学ガラス402及びプリズム409には図3に示した方法と同様な方法で光が照射され、流体403の側に近接場光405を発生させる。
ガラス402に入射光404が入射し、図3に示したのと同様に光学ガラス402の流体403の側に近接場光405が発生する。この近接場光405により流体403が固化する。加工ユニット400を図示Z方向に移動させながら固化するが、このとき同時に入射光404の照射位置を図示Y方向に移動させると図示406の軌跡のように固化してゆく。この様にして3次元構造が作製できる。図2に示した微小窓を用いて近接場光を発生する場合と同様に、図4の場合でもエバネッセント波である近接場光405を時間的に連続に発生していなくても断続的に発生させてもよい。この場合、近接場光の発生を停止した状態で加工ユニット400の移動を行い再び近接場光を発生して固化を行うが、この固化の領域が以前に固化した領域と接続され、連続構造となる必要がある。そのためにはエバネッセント波発生手段である光学ガラス402の全反射を発生させる面と既に固化した領域との距離が、近接場光により新たに固化される領域の大きさより小さくなければならない。より厳密にいえば、新たに近接場光の発生により固化する領域と既に固化した領域とが重なるように加工ユニット400の位置と入射光のXY方向の照射位置を制御した後に近接場光を発生させる。この状態で固化を発生させれば連続構造を得ることができる。
この場合、XY方向には入射光404の広がりや入射角に応じて広がりが発生してしまうが、Z方向にはおよそ波長以下の領域のみに存在する近接場光により固化が発生するため、Z方向に広がらないで固化できる。この様な発生方法によるエバネッセント波の場合、加工ユニット400をZ方向に移動させる際、同時にXY方向に移動させなくても入射光をXY方向に移動させるだけでXY方向にも構造分布を有する3次元構造が作製できるというメリットがある。
また、エバネッセント波として表面プラズモンを発生させる方法もある。その方法を図5に示す。金属薄膜501はおよそ100nm程度の薄さの薄膜の金属薄膜であり、これに対して入射光504を入射させる。金属薄膜501の入射光と反対側503には、この系で発生する表面プラズモンにより固化する物質が配置してある。入射光側502は入射光が透過するものであればよく、空気、ガラスなどでよい。入射光としてはレーザ光等が挙げられる。
入射光504が金属薄膜501に入射すると、その直下に表面プラズモン505が形成される。表面プラズモンは表面プラズモンポラリトンと呼ばれていることもある。表面プラズモンは金属薄膜501中およびその界面付近に存在しているが、図5中には入射光側と反対側503のみの領域を505で示してある。この表面プラズモンはエバネッセント波であり、距離と共に強度が減少する。表面プラズモン505は金属薄膜501と流体のある側503の界面付近にのみ存在し遠方には伝達しない。また、その強度も界面から離れると急激に減少する。金属薄膜501は表面プラズモンを発生しやすいものがよく、例えば銀などが望ましい。
この場合、金属薄膜501が本明細書で言うエバネッセント波発生手段となる。また、入射光504およびその光源が本明細書でいうエバネッセント波励起手段である。この様に発生したエバネッセント波でも、図4に示した方法と同様な方法により微細構造を作製できる。図6はその様子を示したものであり、加工ユニット600において支持枠601にガラス603が支持されている。ガラス603は、用いる入射光602に対して透明であり、入射光の入射方向と反対側に金属薄膜602が着いている。これらのユニットは図6に示されるように流体606の中に支持されている。流体606は、発生する表面プラズモン605により固化するもので、気体又は液体であり、図5において用いた流体と同様なものである。流体容器608は流体606を収納する容器である。金属薄膜602の厚さとしては1μm程度以下であり、入射光604により前述のように表面プラズモン605が励起される。
ガラス603の片側から入射光604が入射すると、この入射光604は金属薄膜602を照射し、金属薄膜602の表面には図5に示したのと同様にエバネッセント波である表面プラズモンが励起される。このエバネッセント波は流体606の側に延びている。この表面プラズモン605により流体603が固化する。加工ユニット600を図示Z方向に移動させながら固化するが、このとき同時に入射光604の照射位置を図示Y方向に移動させると図示607の軌跡のように固化してゆく。この様にして3次元構造が作製できる。この場合、XY方向には入射光604の広がりや入射角に応じて広がりが発生してしまうが、Z方向にはおよそ波長以下の領域のみに存在するエバネッセント波により固化が発生するため、Z方向に広がらないで固化できる。この様な発生方法によるエバネッセント波の場合、加工ユニットをZ方向に移動させる際、同時にXY方向に移動させなくても入射光をXY方向に移動させるだけで3次元構造が作製できるというメリットがある。
以下に、より具体的な本発明の実施例を説明する。
図7に本発明の実施例1を示す。実施例1は、微小窓によりエバネッセント波である近接場光を発生させ、その近接場光により光硬化樹脂を硬化させることにより3次元構造等の微細構造を作製する微細構造作製装置700である。
図7において701が近接場光発生マスク、702が近接場光発生マスク701を保持する筐体、703が光源、704は光硬化樹脂である。705は光硬化樹脂704を収容する容器705である。
近接場発生マスク701の構造を図8に示す。なお、図7と図8では上下方向が逆である。近接場光発生マスク800はガラスプレート801の片側に金属薄膜802がコートされたものであり、金属コート802には複数の微小開口803が開いている。金属薄膜802の材料としては、Au、Al等、光の透過率が低いものであれば何でもよい。膜厚は光を遮断する程度の膜厚があればよい。ただし、厚くすると微小開口803により形成される近接場光の強度が弱くなってしまう。具体的には10nmから1μm程度である。微小開口803の径は、使用する光、すなわち、光源703の光の波長より小さい。本実施例では、この様な微小開口が複数個開いており、同じ形状の微細構造を一度に複数個作製することができる。微小開口803の間隔は、作ろうとしている構造の間隔であり、いくらでも構わないが、ここでは等間隔のaとする。光源703は平行光を発する光源で、近接場光発生マスク701に光を照射することで近接場を発生させる。本実施例では、紫外線レーザからの光を光学系により広げて平行光にした光を光源703として使用している。光源703にはシャッター及び強度可変のNDフィルタが内蔵されており、外からの制御により光をオン、オフしたり、強度を変化させたりすることができる。
光硬化樹脂704は、光源703からの光照射により硬化する樹脂であり、アクリル系の樹脂を使用している。
筐体702は位置制御機構706により3次元方向に自由自在に移動できる。位置制御機構706は、ステッピングモータによる粗動とピエゾ素子による微動の組み合わせで駆動される。基板707は、作製する3次元構造の基台となる基板であり、光硬化樹脂704を予め硬化させたものを使用している。マイクロコンピュータ708は、光源703のオン、オフあるいは強度を制御したり、位置制御機構706に指令を出すことにより、図示Z方向の位置を制御し、近接場光発生マスク701と基板707あるいは作製中の固化した3次元構造との距離を制御したり、図示XY方向の位置を制御する。
本実施例による3次元構造の作製は次のようにして行う。まず、光の照射をしない状態で位置制御機構706により近接場光発生マスク701を基板707に接近させるか接触させる。このとき近接場光発生マスク701と基板707との距離は光源703の波長程度以下とする。より厳密には、光源703からの光照射により後述のように固化が発生するが、この固化の領域が基板707に到達する程度に接近させる。この状態で光源703から光を照射すると、近接場光発生マスク701の微小開口直下に近接場光が発生する。この近接場光により微小開口直下の光硬化樹脂が硬化する。この光硬化樹脂が硬化する範囲は、光源703からの光の強度に依存するが、XYZ方向ともにおよそ波長程度の範囲である。次に、近接場光を発生させながら筐体702をZ方向に移動させることにより3次元構造を作製することが可能となる。このとき、必要に応じてXY方向に動かしたり、光源703をオン、オフしたり、あるいは光源703の強度を変化させると、様々な3次元構造を作製できる。
本実施例において微小開口803の間隔は任意でかまわないが、この間隔を等間隔にしておよそ光の波長程度にすることにより屈折率周期構造であるフォトニック結晶の構造を得ることができる。ここでいう光の波長程度というのは、光源703の波長のことではなく光一般のことであり、作製された構造が光の波長程度の構造を有することにより、フォトニック結晶構造を得ることができる。
3次元構造の作製例を示す。
図9は円柱を作製する場合の近接場光発生マスク701のXYZ方向の位置と光源703の光の発生強度を示す。横軸は時間tを示している。(a)がX方向の位置、(b)がY方向の位置、(c)がZ方向の位置、(d)が光の強度を示す。
まず、光源703をオフにして近接場光発生マスク701と基板707を前述のように接近させるか接触させる(t=0)。この位置をXYZ座標の原点とする。この状態で光源703をオンにする。XY方向には移動させずに光の強度をI0に一定に保ったまま、Z方向に移動させZ0まで移動させる。光の強度I0は光硬化樹脂が硬化する強度であればよく、I0の強弱により発生する近接場光の強度が強弱し、作製される円柱構造の半径が変化する。I0が強ければ半径は大きくなる。
この動作により図10に示すような円柱構造1001が形成される。長さはZ0になる。厳密には、t=0のときに近接場光発生マスク701が基板707と接していない場合もあり、この場合はこの距離の分だけ作製された構造の長さが長くなる。円柱の半径はおおよそ作製時に発生する近接場光の範囲であるが、光源703の強度に依存する。この場合、XY面内の方向にも移動させれば、円柱構造は基板707に対して傾いたものとできる。
図11は別の3次元構造を作製するときの近接場光発生マスク701のXYZ方向の位置と光源703の光の発生強度を示す。図11は図9と同様の図で、横軸は時間tを示し、縦軸は(a)がX方向の位置、(b)がY方向の位置、(c)がZ方向の位置、(d)が光の強度を示す。
図11の作製動作の場合、XYZ方向の動きは図9の場合と同様にZ方向のみに動かしているが、この移動の最中に(d)に示すように光の強度を周期的に変調している。その結果、図12に示すような太さがZ方向で変化する柱1201を形成することができる。図10の円柱構造1001ではXY方向のみに変化する周期構造であったが、図12の柱1201ではZ方向にも屈折率の周期構造が形成されている。この様な構造をフォトニック結晶として用いる場合を考えると、Z方向に変調構造を導入することにより、よりバンド構造を設計するのに自由度が増加する。
この様な構造の作製の場合、エバネッセント波を用いないとZ方向への光の強度の広がりが大きくなり、Z方向に微細な構造を作製することができなくなる。しかし、本発明ではエバネッセント波を用いているので、Z方向への光の強度の分散が小さく、より狭い範囲で固化が発生することにより、Z方向に微細な構造を作製できる。この場合も、XY面内の方向にも移動させれば、柱は基板707に対して傾いたものとできる。
図13には、また別の3次元構造を作製するときの制御方法を、図9及び図11に相当する図で示している。この例は柱が格子状になる構造を作製する方法である。まず、先程と同様に近接場光発生マスク701と基板707を接近させ、このときのXYZ方向の位置を原点とする。次に、光源703をONにして(強度I0)、時刻t1までかけてZ方向に距離bだけ移動し座標(0,0,b)まで移動する。距離bは適当でよいが、例えば正方格子構造を作製するのであればa=bとすればよい。この段階では、図14(a)に示すような柱状構造が光硬化樹脂の固化により形成されている。次に、光源703をONにしたまま、時刻t2までかけて近接場発生マスク701を図示X方向に距離aだけ、すなわち(a,0,b)まで移動させる。時刻t1〜t2の途中の固化の状態を図14(b)に、また時刻t2における固化の状態を図14(c)に示す。時刻t2においては、X方向に距離aだけ固化が進んでいるので、固化した領域は図14(c)に示されるように隣の柱と接続されている。このとき(0,0,b)から(a,0,b)に至る領域の固化は近接場光により形成されている。この近接場光はエバネッセント波であり、遠くに伝播しないため、固化される領域が図示Z方向に広がらないという特徴がある。次に、光源703をOFFにして、時刻t3までかけて近接場光発生マスク703を(0,0,a)の位置まで戻す。次に、光源703をオンにして、t4までかけてY方向にaだけ、すなわち(0,a,b)まで移動する。この間にも固化が進む。時刻t3からt4の間の固化の様子を図14(d)に、また図14(e)にt4における固化の様子を示す。時刻t4においては、固化の領域は隣の固化した領域と接続される。時刻t4からは光源703をoffにして時刻t5までかけて近接場光発生マスク701を(0,0,b)まで戻す。
次に、再び光源703をonにして、時刻t5からt6にかけて近接場光発生マスク701を距離bだけZ方向に(0,0,2b)まで移動させる。この間にも固化が進み時刻t6には図15(f)のような構造が固化により形成されている。以降、以上のような動作を繰り返し、t20までの間に図13に示すような動作を行い、図15(g)に示すような三次元構造を作製することができる。こうした三次元構造の作製にあたり、少なくともZ方向に接続されていればよいので、XY方向の一方あるいは両方については接続されていない様にしてもよい。また、Z方向に固化を行なったあと、XY面内の任意の方向に固化を行なってもよい。さらには、この場合も、接続するZ方向の移動の際にXY面内の方向にも移動させれば、三次元構造は基板707に対して傾いたものとできる。
次に、実施例2の微細構造作製装置1500を図16を用いて説明する。実施例2は光気相化学反応(光CVD)法と近接場光を用いた3次元構造の作製方法である。より具体的には、実施例1と同様な手法によりエバネッセント波である近接場光を発生させ、この光により原料ガスを反応させて固体を析出させながら、近接場光の発生位置を変化させて3次元構造を作製するものである。
本実施例では、原料ガスとしてSi2H6を用いて、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を堆積させる。図16において、1501は近接場光発生マスク、1502は近接場光発生マスクを支える筐体、1503は光源である。近接場光発生マスク1501の構成は図16に示すが、実施例1で用いた近接場光発生マスク701と同様なものである。
光源1503は紫外光を発生する水銀ランプであり、近接場光発生マスク1501に光を照射することで近接場を発生させる。光源1503から近接場光発生マスク1501には、光導入路1505により光が導入される。光導入路1505は光学ミラーを用いて光を導くようにしている。ただし、光導入路1505には原料ガスが入らないように遮蔽されている。光源1503にはシャッター及び強度可変のNDフィルタが内蔵されており、外からの制御により光をオン、オフしたり、強度を変化させたりすることができる。
筐体1502は位置制御機構1506により3次元方向に自由自在に移動できる。位置制御機構1506は、ステッピングモータによる粗動とピエゾ素子による微動の組み合わせで駆動する。1509は作製する3次元構造の基台となる基板であり、本実施例ではSi基板を使用している。1507は原料となるSi2H6を導入する原料ガス導入ラインであり、1508はチャンバー1510内部を減圧または真空にするための真空引きラインである。マイクロコンピュータ1504は光源1503のオン、オフあるいは強度を制御したり、位置制御機構1506に指令を出すことにより、図示Z方向の位置を制御し、近接場光発生マスク1501と基板1509あるいは作製中の固化した3次元構造との距離を制御したり、図示XY方向の位置を制御する。
本実施例ではチャンバー1510内にSi2H6を充填させ、近接場光により光反応を発生させ、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を成長させてゆく。
本実施例による3次元構造の作製は、実施例1に示す3次元構造とほぼ同様の作製法により作製する。実施例1では近接場光により光硬化樹脂が硬化して固体となることを利用して3次元構造を作製したが、本実施例では近接場光により原料ガスが分解して固体である水素化アモルファスSiになる点が異なる。光の照射時間や照射強度は異なるが、実施例1と本実施例では3次元構造を作製するための基本的な動作は同じである。
まず、光の照射をしない状態で位置制御機構1506により近接場光発生マスク1501を基板1509に接近させる。このとき近接場光発生マスク1501と基板1509との距離は光源1503の波長程度以下とする。より厳密には、光源1503からの光照射により後述のように固化が発生するが、この固化の領域が基板1509に到達する程度に接近させる。この状態で光源1503から光を照射すると近接場光発生マスク1501の微小開口直下に近接場光が発生する。この近接場光により微小開口直下の原料ガスが分解し、水素化アモルファスSiが析出する。水素化アモルファスSiが析出する範囲は、光源1503からの光の強度に依存するが、XYZ方向ともにおよそ波長程度の範囲である。次に、近接場光を発生させながらZ方向に移動させることにより3次元構造を作製することが可能となる。このとき、必要に応じてXY方向に動かしたり、光源をオン、オフしたり、あるいは光源の強度を変化させると様々な3次元構造を作製することができる。以下の点については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
上記実施例2ではSi2H6によるアモルファスシリコンの堆積の場合を示したが、ヘキサメチルジシラン((CH3)3SiNHSi(CH3)3)ガスを用い紫外光を用いることにより、SiO2を堆積させる方法もある。SiO2は可視光に対して透明なので、可視光に対するフォトニック結晶を作製するときに有効である。
次に本発明の実施例3を図17を用いて説明する。実施例3は、全反射により発生する近接場光を用いて、光硬化樹脂を硬化させる方法を用いている。本実施例による3次元構造作製装置1700は、実施例1で用いた3次元構造作製装置と同様な構成であるが、以下の点が異なる。
近接場光発生マスク701の代わりに光学ガラス1701及びプリズムなど(図17では後者は不図示)を使用している。光源703の代わりにレーザ1702を使用している。レーザ1702は光学ガラス1701にレーザ光を照射する。このとき、光学ガラス1701のレーザ1702と反対側の面で全反射が発生するような角度でレーザ光を入射させる。また、レーザ1702はマイクロコンピュータ708からの指令により図示XY方向に任意に移動できる。この移動にはステッピングモータによる粗動とピエゾ素子による微動が組み合わされており、100nmより良い精度で位置決めをすることができる。レーザ1702は図示Z方向に関しては筐体702と同時に動く。位置制御機構706は、3次元構造を作製しているときは光学ガラス1701の主にZ方向の位置を制御する。
本実施例においては、図3で示した場合と同様に光学ガラス1701の光硬化樹脂704側に近接場光が発生し、これにともない光硬化樹脂704が硬化する。実施例1の場合と異なり、本実施例では、図示XY方向の作製する構造の位置は、レーザ1702のXY方向の照射位置を調整し、筐体702をZ方向に移動させて3次元構造の作製を行う。
次に、本実施例による3次元構造の作製例を示す。図18にレーザ1702のXY方向の照射位置と光学ガラス1701のZ方向の位置およびレーザ光の強度を示す。横軸は時間である。(a)がX方向の位置、(b)がY方向の位置、(c)が光学ガラス1701のZ方向の位置、(d)がレーザ1702の出力強度である。なお図18において、XおよびYはレーザの照射位置を示すが、これは、もしレーザがONの状態になったら照射されるべき位置で、実際に照射されるかどうかは図18(d)に示されるレーザ光の強度に依存する。
まず、時刻t=0にレーザを照射せずに、位置制御機構706により光学ガラス1701を基板707に接近させる。このとき光学ガラス1701と基板707との距離をレーザ光の波長程度以下とする。より正確には、引き続き行う光硬化樹脂の固化が発生したときに、固化の領域が基板707に到達する位置より近い位置に接近させる。この位置を光学ガラス1701のZ方向の位置の原点とする。この状態でレーザ1702から光を照射するとレーザ光を照射した位置の光学ガラス1701の直下に近接場光が発生する。この近接場光によりレーザ照射位置直下の光硬化樹脂が硬化する。この光硬化樹脂が硬化する範囲は、レーザ1702からの光の強度に依存する。Z方向はおよそ波長程度の範囲である。
時刻t=0に上記のように光学ガラス1701と基板707を接近させ、レーザ光を照射する。このときの照射位置をレーザ照射位置のXY方向の原点とする。レーザ光の照射はパルス状に行うため図18(d)においてはt=0で線状になっている。このパルス照射によって、レーザ照射位置直下の樹脂が硬化する。
次に、レーザ1702のX方向の位置を徐々に変え、X=X1(t=t1)となったところで再びレーザをパルス照射し固化を発生させ、さらにX=X2(t=t2)となったところでもレーザを照射して固化させる。次に、X方向の位置をX=0に戻し、今度はレーザ1702のY方向の位置をY=Y1まで変化させる。Y=Y1となったところでY方向への移動を停止し、再びレーザパルスを照射し、固化を発生させる。次に、再びX方向の移動を開始し、X=X1、X=X2において固化のためのレーザパルス照射を行う。同様にして、Y=Y2においても3ヶ所のレーザ照射を行う。この様にして、X=0、X1、X2およびY=0、Y1、Y2の3×3の合わせて9箇所で光硬化樹脂が硬化される。なおこの硬化の際、レーザ光が斜めから照射されているため、硬化される領域が楕円となるが、レーザパルスが照射される位置で少しずつずらしてパルスを照射することにより固化する領域の形を整形してもよい。
次に、レーザ光の照射位置をX=Y=0の位置に戻し、光学ガラス1701のZ方向の位置をZ0だけ移動する。なお、このZ0の大きさはレーザの照射により固化する領域のZ方向の厚みであり、これ以上大きくすると、次の固化を行ったときに下の領域と連続しなくなる。
光学ガラス1701をZ方向に移動した後も図18に示すように、上記方法と同様な動作を繰り返すことにより、X=0、X1、X2およびY=0、Y1、Y2の3×3の合わせて9箇所で光硬化樹脂が硬化する。各点で硬化した樹脂は、光学ガラス1701がZ=0のときに形成した樹脂と連続する。次に、Z方向にZ0だけ移動しZ=2Z0として、X=0、X1、X2およびY=0、Y1、Y2の3×3の合わせて9箇所で光硬化樹脂が硬化する。この動作を光学ガラス1701のZ方向の位置を変化させながら繰り返し行うことにより、図19に示されるようにX=0、X1、X2およびY=0、Y1、Y2の位置に柱状構造1901〜1909が作製される。1901は(X,Y)=(0,0)の位置に形成された柱状構造で、以下、1902は
(X1,0)、1903は(X2,0)、1904は (0,Y1)、…というように各位置で形成された柱状構造を示す。
さらに、図19に示すような柱状構造が形成された直後に、光学ガラス1701を柱状構造1901先端に接近させ、柱状構造1901にレーザの照準を合わせ、レーザ照射を行い、この照射を行ったまま、レーザの照射位置を柱状構造1902までずらしてゆくと、柱状構造1901と柱状構造1902の間が固化した構造で架橋される。このとき固化に寄与するのはレーザ照射により発生した近接場光であるから、固化する領域の図示Z方向の厚さは近接場光の発生した領域に限られ、固化した領域がZ方向に広がらないというメリットがある。
レーザ光の照射を続けて柱状構造1901と各柱状構造をX方向、Y方向に結んでいけば、正方格子状に架橋構造ができる。再び、Z方向への柱状構造の形成を行い、架橋構造の作製を行ってゆけば図20に示すような正方の格子構造が形成できる。
次に、本発明による実施例4を説明する。実施例4を図21に示す。本実施例は実施例3に示した3次元構造作製装置と類似であるが、本実施例では、光学ガラス1701の光硬化樹脂704側にAg薄膜2101が50nmコートしてある点が異なる。
本実施例では、図5および図6に示したように光の照射によりAg薄膜2101表面に表面プラズモンが形成される。この表面プラズモンはエバネッセント波であり、図示-Zの方向には伝播せずに、Ag表面付近に局在する。すなわちレーザ1702の照射により、Ag薄膜近傍のみが硬化する。このときのエバネッセント波の範囲の目安はおおよそ発生する表面プラズモンの波長オーダーである。すなわち、光の照射により、およそエバネッセント波の波長程度の厚さの領域が固化される。なお、本実施例では、レーザ照射により表面プラズモンが形成されればよく、実施例3に示されるようにレーザ光の入射角が必ずしも全反射するような浅い角度でなくてもよい。
本実施例による3次元構造の形成は実施例3と同様な方法で行う。すなわち、図18に示された場合と同様に、レーザ1702のXY方向の位置制御、光学ガラス1701のZ方向の位置制御、およびレーザ1702の強度制御を行う。本実施例においても実施例3の場合と同様に、XおよびYはレーザの照射位置を示すが、これは、もしレーザがONの状態になったら照射されるべき位置で、実際に照射されるかどうかは図18(d)に示されるレーザ光の強度に依存する。
まず、時刻t=0にレーザを照射せずに、位置制御機構706により光学ガラス1701表面のAg薄膜2101を基板707に接近させる。このときAg薄膜2101と基板707との距離を、発生する表面プラズモンの波長以下にする。この位置を光学ガラス1701のZ方向の位置の原点とする。この状態でレーザ1702から光を照射すると、レーザを照射した位置の光学ガラス1701のAg薄膜2101直下に表面プラズモンが発生する。この表面プラズモンによりレーザ照射位置直下の光硬化樹脂が硬化する。この光硬化樹脂が硬化する範囲は、レーザ1702からの光の強度に依存する。そのZ方向の距離はおよそ表面プラズモンの波長程度の範囲である。
時刻t=0に上記のようにAg薄膜2101と基板707を接近させ、レーザ光を照射する。このときの照射位置をレーザ照射位置のXY方向の原点とする。レーザ光の照射はパルス状に行うため図18(d)においてはt=0で線状になっている。このパルス照射によって、レーザ照射位置直下の樹脂が硬化する。以下の点については、実施例3と同様であるので説明を省略する。
なお、物質が固化した後にエバネッセント波発生手段を移動させる際に、この移動を滑らかに行なえるように、そこに離型剤を注いで移動を行なうようにしてもよい。また、微細構造の作製が完了した後に、構造の上端を別の基板に着けて構造を安定的に固定したり、構造の間に別の流体を入れてこれを固化して構造を安定的に固定したりしてもよい。別の基板に着けたのち、構造の間は、そのままでもよいし、用いた流体を抜いて空間にしてもよいし、抜いた後に別の流体を入れてこれを固化してもよい。これらは、必要に応じて適宜選択すればよい。更には、エバネッセント波による固化が一定レベルのところまで済んだら液体などを入れてそのレベルのところまで全体的に固化し、層状に順次固化してゆくという方法も可能である。この場合は、エバネッセント波による固化部分が上下方向に繋がっていなくてもよい。ただし、エバネッセント波により固化する領域は、常に、固体状態にあるいずれかの部分と繋がる必要はある。
微小窓による近接場の発生を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 微小窓による近接場を用いた微細構造の作製装置の断面図である。 全反射による近接場の発生を説明する図である。 全反射による近接場を用いた微細構造の作製装置の断面図である。 表面プラズモンの発生を説明する図である。 表面プラズモンを用いた微細構造の作製装置の断面図である。 本発明による実施例1を説明する断面図である。 図7の装置で用いられる近接場光発生マスクを示す斜視図である。 図10に示す円柱構造を作製する場合の近接場光発生マスクの位置と光源の強度の時間変化を示す図である。 実施例1で作製された円柱構造を示す斜視図である。 図12に示す柱構造を作製する場合の近接場光発生マスクの位置と光源の強度の時間変化を示す図である。 実施例1で作製された他の円柱構造を示す斜視図である。 図14に示す正方格子構造を作製する場合の近接場光発生マスクの位置と光源の強度の時間変化を示す図である。 実施例1で作製された格子状構造、およびその製造過程を示す斜視図である。 図14の続きの製造過程を示す斜視図である。 本発明による実施例2を説明する断面図である。 本発明による実施例3を説明する断面図である。 図19に示す円柱構造を作製する場合の光学ガラスの位置と光源の強度の時間変化を示す図である。 実施例3で作製された円柱構造を示す斜視図である。 実施例3で作製された格子状構造を示す斜視図である。 本発明による実施例4を説明する断面図である。
符号の説明
101、202 薄板
102、203、803 微小窓(微小開口)
103、205 電磁波
104、206 近接場
200、400、600、700、1500、1700 加工ユニット(3次元ないし微細構造作製装置)
201、401、601、702、1502 支持枠(筐体)
204、403、606 流体
207 加工ユニットの動きの例
208、406、607 加工により固化した領域
209、407、608、705 容器
301、402、1701 光学ガラス
302 光学ガラスの光の入射する側
303 光学ガラスのもう一方の側
305、306 光の進み方
308、405 近接場光
404、504、604 入射光
501、602、802、 金属薄膜
502 金属薄膜の入射光側
503 金属薄膜の入射光側と反対側
505、605 表面プラズモンによるエバネッセント波
603 ガラス
701、1501 近接場光発生マスク
703、1503 光源
704 光硬化樹脂
706、1506 位置制御機構
707、1509 基板
708、1504 マイクロコンピュータ
801、1601 ガラスプレート
1001 円柱構造
1201 柱構造
1505 光導入路
1507 原料ガス導入ライン
1508 真空引きライン
1510 チャンバー
1702 レーザ
1901〜1909 柱状構造
2101 Ag薄膜

Claims (9)

  1. エバネッセント波により固化する流体に対して、前記エバネッセント波を所望の態様で発生させて流体を所望のパターンで固化して微細構造を作製する微細構造作製方法であって、前記エバネッセント波により流体を固化する領域が、既に流体が固化した領域あるいは固体状態の部分と繋がる様に、前記エバネッセント波を発生させる領域と前記既に固化した領域あるいは固体状態の部分との距離を設定して、前記エバネッセント波を発生させることを特徴とする微細構造作製方法。
  2. 前記エバネッセント波を発生させる領域は、その連続的あるいは断続的な移動軌跡が1次元的直線、2次元的平面、あるいは3次元的空間内で所望の態様で他部と繋がって伸びる様に設定される請求項1記載の微細構造作製方法。
  3. 前記エバネッセント波は、それを発生させる領域の移動につれて、その強度が変調される請求項1または2記載の微細構造作製方法。
  4. 前記エバネッセント波の強度は常に一定である請求項1または2記載の微細構造作製方法。
  5. 前記エバネッセント波を発生させる領域は、移動する所定面内の少なくとも1つの所定の領域に設定されている請求項1乃至4のいずれかに記載の微細構造作製方法。
  6. 前記エバネッセント波を発生させる領域は、移動する所定面内の少なくとも1つの移動制御可能な領域に設定されている請求項1乃至4のいずれかに記載の微細構造作製方法。
  7. 前記流体は、光硬化樹脂あるいは光反応性気体である請求項1乃至6のいずれかに記載の微細構造作製方法。
  8. 加工対象である流体を固化するためのエバネッセント波を発生するエバネッセント波発生手段と、前記エバネッセント波を励起するエバネッセント波励起手段と、前記エバネッセント波発生手段によるエバネッセント波発生領域と前記バネッセント波により固化した物質あるいは固体状態の部分との位置関係を制御する制御手段とを有することを特徴とする微細構造作製装置。
  9. エバネッセント波の作用により固化して形成された微細部分が、少なくとも一方向に周期的に変調ないし離散して存在することを特徴とするフォトニック構造体。
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