JP2022188967A - Dc/dcコンバータおよび電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化、高効率化、低コスト化の妨げとなることなく、起動時に過大な電流が流れるのを防止することが可能なDC/DCコンバータを提供する。【解決手段】絶縁トランスTrと、1次側回路11と、2次側回路12と、制御回路13とを備える電流共振型のDC/DCコンバータ10Aであって、制御回路13は、起動期間において、1次側回路11のフルブリッジ回路の駆動周波数を共振コイルおよび共振コンデンサで決まる共振周波数よりも大きい第1駆動周波数に設定して周波数制御を開始し、かつ第1レグと第2レグとの間の位相シフト量を所定の第1位相シフト量に設定して位相シフト制御を開始して、起動期間の終了時までに位相シフト量を第1位相シフト量よりも小さい第2位相シフト量まで低減させることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、DC/DCコンバータおよび電源装置に関する。
近年、電気自動車用の急速充電器は、電気自動車のバッテリー容量の増加に伴い、100[kW]を超える大容量のものが増加しつつある。そのため、急速充電器で使用される電源装置の小型化、高効率化、低コスト化がより重要になっている。
急速充電器の電源装置は、AC/DC電源部とDC/DC電源部とを備える。DC/DC電源部として、従来は電圧電流型のDC/DCコンバータが使用されていたが、近年は上記の背景を踏まえて、電流共振技術を利用したLLC方式、CLLC方式等の電流共振型のDC/DCコンバータが使用されつつある。
充電規格であるCHAdeMO規格は、急速充電器の電源装置の出力にダイオードを設けることを規定している。そのため、電源装置の出力を電気自動車のバッテリーに接続した時点では、DC/DCコンバータの出力端子に電気自動車のバッテリー電圧は印加されないので、DC/DCコンバータの出力電圧は0[V]である。
したがって、DC/DCコンバータでは、出力電圧が0[V]の状態から起動する必要があり、起動時に出力側のコンデンサに過大な突入電流が流れないよう電流制御を行いながら、出力電圧を徐々に立ち上げる起動制御が必要になる。
特許文献1には、電流共振型コンバータ(電流共振型のDC/DCコンバータ)および昇圧用のDC/DCコンバータを備える電源装置が記載されている。特許文献1に記載の電源装置は、電流共振型コンバータのスイッチング動作を開始する前に昇圧用のDC/DCコンバータを動作させて、電流共振型コンバータの平滑コンデンサの電圧を、昇圧用のDC/DCコンバータの出力先の蓄電池の電圧よりも高い所定電圧に制御する。この制御により、起動時に過大な電流が流れるのを防止できる。しかしながら、特許文献1に記載の電源装置では、昇圧用のDC/DCコンバータを備えることが、電源装置の小型化および低コスト化の妨げとなる。
特許文献2にも、絶縁型共振コンバータ(電流共振型のDC/DCコンバータ)および直流コンバータを備える電源装置が記載されている。特許文献2に記載の電源装置は、起動時に絶縁型共振コンバータの第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子をスイッチングさせてスタートアップ処理を実施し、スタートアップ処理が開始された後に出力電圧の目標値への追従制御を開始する。これにより、起動時の突入電流や電圧サージの発生を抑えるソフトスタートが可能となる。しかしながら、特許文献2に記載の電源装置では、直流コンバータを備えること、および直流コンバータのスイッチング素子を制御して第1の直流電圧(絶縁型共振コンバータの入力電圧)を広い範囲で調整していることが、電源装置の小型化、高効率化、低コスト化の妨げとなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、小型化、高効率化、低コスト化の妨げとなることなく、起動時に過大な電流が流れるのを防止することが可能なDC/DCコンバータおよび電源装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るDC/DCコンバータは、
1次側コイルおよび2次側コイルを含む絶縁トランスと、
前記1次側コイルに接続された1次側回路と、
前記2次側コイルに接続された2次側回路と、
前記1次側回路を制御する制御回路と、
を備える電流共振型のDC/DCコンバータであって、
前記1次側回路は、
第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとが並列接続されたフルブリッジ回路と、共振コイルと、共振コンデンサと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームの第1接続点と前記第3アームおよび前記第4アームの第2接続点との間において、前記共振コイル、前記共振コンデンサおよび前記1次側コイルが直列接続されており、
前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームの各アームは、
前記制御回路の制御下でオン/オフするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードと、
前記スイッチング素子に並列接続されたコンデンサと、を備え、
前記制御回路は、
起動してから前記2次側回路の出力電圧が第1目標値に達するまでの起動期間において、前記フルブリッジ回路の駆動周波数を前記共振コイルおよび前記共振コンデンサで決まる共振周波数よりも大きい第1駆動周波数に設定して周波数制御を開始するとともに、
前記第1レグと前記第2レグとの間の位相シフト量を所定の第1位相シフト量に設定して位相シフト制御を開始し、前記起動期間の終了時までに前記位相シフト量を前記第1位相シフト量よりも小さい第2位相シフト量まで低減させることを特徴とする。
1次側コイルおよび2次側コイルを含む絶縁トランスと、
前記1次側コイルに接続された1次側回路と、
前記2次側コイルに接続された2次側回路と、
前記1次側回路を制御する制御回路と、
を備える電流共振型のDC/DCコンバータであって、
前記1次側回路は、
第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとが並列接続されたフルブリッジ回路と、共振コイルと、共振コンデンサと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームの第1接続点と前記第3アームおよび前記第4アームの第2接続点との間において、前記共振コイル、前記共振コンデンサおよび前記1次側コイルが直列接続されており、
前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームの各アームは、
前記制御回路の制御下でオン/オフするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードと、
前記スイッチング素子に並列接続されたコンデンサと、を備え、
前記制御回路は、
起動してから前記2次側回路の出力電圧が第1目標値に達するまでの起動期間において、前記フルブリッジ回路の駆動周波数を前記共振コイルおよび前記共振コンデンサで決まる共振周波数よりも大きい第1駆動周波数に設定して周波数制御を開始するとともに、
前記第1レグと前記第2レグとの間の位相シフト量を所定の第1位相シフト量に設定して位相シフト制御を開始し、前記起動期間の終了時までに前記位相シフト量を前記第1位相シフト量よりも小さい第2位相シフト量まで低減させることを特徴とする。
この構成によれば、起動期間において周波数制御および位相シフト制御を行うことで、昇圧用のDC/DCコンバータや入力電圧を低下させるためのDC/DCコンバータ等の追加部品を用いることなく、起動時に過大な電流が流れるのを防止することができる。しかも、第1駆動周波数を共振周波数よりも大きく設定しているので、位相シフト制御によりスイッチング素子に貫通電流が発生するのを回避することができる。
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、
前記起動期間の終了時までに前記駆動周波数を前記共振周波数以下の第2駆動周波数まで低減させるよう構成できる。
前記制御回路は、
前記起動期間の終了時までに前記駆動周波数を前記共振周波数以下の第2駆動周波数まで低減させるよう構成できる。
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、
前記起動期間のうち、前記位相シフト量を前記第1位相シフト量から前記第1位相シフト量と前記第2位相シフト量との間の第3位相シフト量まで低減させる第1期間に、前記駆動周波数が前記共振周波数よりも常に大きくなるように前記駆動周波数を制御してもよい。
前記制御回路は、
前記起動期間のうち、前記位相シフト量を前記第1位相シフト量から前記第1位相シフト量と前記第2位相シフト量との間の第3位相シフト量まで低減させる第1期間に、前記駆動周波数が前記共振周波数よりも常に大きくなるように前記駆動周波数を制御してもよい。
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、
前記起動期間において、前記出力電圧の目標値をゼロまたは前記第1目標値よりも小さい第2目標値に設定して前記周波数制御および前記位相シフト制御を開始し、前記目標値を時間の経過に応じて前記第1目標値まで上昇させてもよい。
前記制御回路は、
前記起動期間において、前記出力電圧の目標値をゼロまたは前記第1目標値よりも小さい第2目標値に設定して前記周波数制御および前記位相シフト制御を開始し、前記目標値を時間の経過に応じて前記第1目標値まで上昇させてもよい。
上記課題を解決するために、本発明に係る電源装置は、
交流入力電圧を直流出力電圧に変換するAC/DC電源部と、
前記いずれかのDC/DCコンバータを含み、前記直流出力電圧が入力されるDC/DC電源部と、
前記AC/DC電源部および前記DC/DC電源部を制御する制御部と、
を備える電源装置であって、
前記制御部は、
前記AC/DC電源部を起動させた後に前記DC/DC電源部を起動させ、
前記DC/DC電源部の起動期間において、前記AC/DC電源部の前記直流出力電圧が、前記AC/DC電源部が出力可能で、かつ前記DC/DC電源部が電力変換動作を実行可能な最低電圧となるように、前記AC/DC電源部を制御することを特徴とする。
交流入力電圧を直流出力電圧に変換するAC/DC電源部と、
前記いずれかのDC/DCコンバータを含み、前記直流出力電圧が入力されるDC/DC電源部と、
前記AC/DC電源部および前記DC/DC電源部を制御する制御部と、
を備える電源装置であって、
前記制御部は、
前記AC/DC電源部を起動させた後に前記DC/DC電源部を起動させ、
前記DC/DC電源部の起動期間において、前記AC/DC電源部の前記直流出力電圧が、前記AC/DC電源部が出力可能で、かつ前記DC/DC電源部が電力変換動作を実行可能な最低電圧となるように、前記AC/DC電源部を制御することを特徴とする。
本発明によれば、小型化、高効率化、低コスト化の妨げとなることなく、起動時に過大な電流が流れるのを防止することが可能なDC/DCコンバータおよび電源装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るDC/DCコンバータおよび電源装置の実施形態について説明する。
[DC/DCコンバータ]
図1に、本発明の一実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aを示す。DC/DCコンバータ10Aは、絶縁トランスTrと、1次側回路11と、2次側回路12と、制御回路13と、各種検出回路(図示せず)を備える電流共振型のコンバータである。
図1に、本発明の一実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aを示す。DC/DCコンバータ10Aは、絶縁トランスTrと、1次側回路11と、2次側回路12と、制御回路13と、各種検出回路(図示せず)を備える電流共振型のコンバータである。
絶縁トランスTrは、n1巻線からなる1次側コイルと、センタータップを介して直列接続されたn2巻線およびn3巻線からなる2次側コイルと、を含む高周波絶縁トランスである。絶縁トランスTrは容量に応じて1個または複数個で構成してもよい。
1次側回路11は、入力端T1,T2と、フルブリッジ回路と、共振コンデンサCrと、共振コイルLrと、励磁コイルLmとを備える。共振コイルLrは、その一部またはすべてを絶縁トランスTrの漏れインダクタンスで構成することができ、励磁コイルLmは、絶縁トランスTrの励磁インダクタンスで構成することができる。
フルブリッジ回路は、直列接続された第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと、直列接続された第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとを備える。第1レグと第2レグとは、並列接続される。第1アームは、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、コンデンサC1を備える。第2アームは、スイッチング素子Q2、ダイオードD2、コンデンサC2を備える。第3アームは、スイッチング素子Q3、ダイオードD3、コンデンサC3を備える。第4アームは、スイッチング素子Q4、ダイオードD4、コンデンサC4を備える。
スイッチング素子Q1には、高周波でスイッチングが可能なスイッチング素子が用いられる。例えば、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、SiC(シリコンカーバイド)-MOSFET、GaN(窒化ガリウム)-MOSFET等の電力半導体スイッチング素子である。スイッチング素子Q2~Q4についても同様である。
ダイオードD1は、スイッチング素子Q1の電流路に逆方向に並列接続される。ダイオードD1は、スイッチング素子Q1の寄生ダイオードでもよいし、スイッチング素子Q1とは独立した個別ダイオードでもよい。ダイオードD2~D4についても同様である。
コンデンサC1は、スイッチング素子Q1の電流路およびダイオードD1に並列接続される。コンデンサC1は、スイッチング素子Q1の寄生キャパシタでもよいし、スイッチング素子Q1とは独立した個別コンデンサでもよい。コンデンサC2~C4についても同様である。
スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の第1接続点X1と、スイッチング素子Q3およびスイッチング素子Q4の第2接続点X2は、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrを介してn1巻線に直列接続される。励磁コイルLmは、n1巻線に並列接続される。
図1では、共振コイルLrおよび励磁コイルLmを絶縁トランスTrのn1巻線と別に記載しているが、共振コイルLrおよび励磁コイルLmは、n1巻線に含めてもよい。さらに、図1では、第1接続点X1とn1巻線との間に共振コンデンサCrおよび共振コイルLrを設けているが、n1巻線と第2接続点X2との間に共振コンデンサCrおよび共振コイルLrを設けてもよい。または、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrの一方を、第1接続点X1とn1巻線との間に設け、他方を、n1巻線と第2接続点X2との間に設けてもよい。または、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrの定数を分割して、n1巻線の両側に設けてもよい。
2次側回路12は、ダイオードD5,D6からなる整流回路と、コンデンサCoと、出力端T3,T4とを備える。2次側回路12は、n2巻線およびn3巻線の誘起電圧をダイオードD5,D6からなる整流回路で整流し、コンデンサCoで平滑することで、直流の電圧(出力電圧Vo)に変換して出力する。
制御回路13は、スイッチング素子Q1~Q4をオン/オフさせるためのスイッチング素子Q1~Q4の各駆動回路と、各駆動回路に制御信号を送るための制御信号生成回路とを含む。制御回路13は、アナログ制御回路で構成されていてもよいし、マイクロコントローラ等を使用したデジタル制御回路で構成されていてもよいし、アナログ制御回路とデジタル制御回路とを組み合わせた回路で構成されていてもよい。
制御回路13は、電源電圧が供給されると起動し、所定の起動期間に起動制御を実行して、起動期間の終了後の通常期間に通常制御を実行する。起動期間は、例えば、起動してから出力電圧Voが第1目標値(例えば、400[V])に達するまでの期間である。
制御回路13は、起動期間において、出力電圧Voの目標値をゼロまたは第1目標値よりも小さい第2目標値に設定して出力制御(後述する位相シフト制御および周波数制御)を開始し、時間の経過に応じて目標値を第1目標値まで所定の電圧ステップまたは電圧変化率で上昇させる。電圧ステップまたは電圧変化率の値は、適宜設定できる。なお、起動期間には、出力端T3,T4に接続された負荷への給電は行われず、通常期間の開始時に、負荷への給電が開始される。
電流共振型のDC/DCコンバータ10Aでは、スイッチング素子Q1~Q4を、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrで決まる第1共振周波数(本発明の「共振周波数」に相当)よりも大きい駆動周波数でオン/オフさせた場合、出力ゲインが1より低下する。しかしながら、駆動周波数の変化に対して出力ゲインの低下の割合は少なく、制御性がよくない。このため、通常制御時の制御回路13は、スイッチング素子Q1~Q4の駆動周波数を、出力ゲインが1となる第1共振周波数以下で、かつ励磁コイルLmを含めて決定される第2共振周波数以上の周波数範囲内の値に設定して、出力電圧Voまたは出力電流の制御を行う。
なお、コンデンサCoに電荷が蓄積されていない起動期間に、制御回路13が通常制御を実行すると、コンデンサCoに過電流が流れるため、スイッチング素子Q1~Q4に過電流が流れ、共振コンデンサCrに過電圧が発生してしまう。この対策として起動期間にスイッチング素子Q1~Q4の駆動周波数を第1共振周波数よりも大きくすることが考えられるが、その場合、駆動周波数の制御とは別に過電流を制限する必要がある。さらに、駆動周波数を第1共振周波数よりも大きくし過ぎると、スイッチング素子Q1~Q4のスイッチング損失が増大し、かつスイッチング素子Q1~Q4の各駆動回路の電力消費も大きくなるため、むやみに駆動周波数を大きくすることはできない。
図2に、比較例として、制御回路13が単に駆動周波数の制御のみを実行した時の、駆動周波数、出力電圧Voおよびスイッチング素子Q1の電流の変化を示す。同図の0~95[ms]が起動期間であり、95[ms]以降が通常期間である。また、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrで決まる共振周波数は、128[kHz]である。
図2(A)に示すように、制御回路13は、起動期間の開始時にスイッチング素子Q1~Q4の駆動周波数を共振周波数よりも大きい第1駆動周波数f1(f1=150[kHz])に設定して周波数制御を開始し、起動期間の終了時(95[ms])に共振周波数よりも小さい第2駆動周波数f2(f2=103[kHz])になるように駆動周波数を低減させる。なお、通常期間の100[ms]の時点において、駆動周波数は100[kHz]になる。
制御回路13が単に駆動周波数の制御のみを実行した場合、図2(B)に示すように、出力電圧Voは、0[V]から400[V]まで上昇するが、起動期間の開始時には、スイッチング素子Q1に約200[A]の過電流が流れてしまう。
そこで、本実施形態では起動制御として、周波数制御とともに位相シフト制御が実行される。具体的には、制御回路13は、起動期間において、第1レグ(スイッチング素子Q1,Q2)と第2レグ(スイッチング素子Q3,Q4)との間の位相シフト量を所定の第1位相シフト量に設定して位相シフト制御を開始し、起動期間の終了時までに第1位相シフト量よりも小さい第2位相シフト量になるまで位相シフト量を低減させる。
図3(A)に、第1位相シフト量θ1で位相シフト制御を実行したときのスイッチング素子Q1~Q4のオン/オフのタイミングを示す。第1位相シフト量θ1は、180度または180度に近い角度(例えば、150度以上の角度)である。図3(B)に、第2位相シフト量θ2で位相シフト制御を実行したときのスイッチング素子Q1~Q4のオン/オフのタイミングを示す。第2位相シフト量θ2は、0度または0度に近い角度(例えば、30度以下の角度)である。制御回路13は、起動期間において、位相シフト量が第1位相シフト量θ1から第2位相シフト量θ2になるように、一定時間毎に一定量または連続的に位相シフト量を低減させる。
図4に、制御回路13が起動制御(位相シフト制御および周波数制御)を実行した時の、位相シフト量、駆動周波数、出力電圧Voおよびスイッチング素子Q1の電流の変化を示す。同図の0~95[ms]が起動期間であり、95[ms]以降が通常期間である。また、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrで決まる共振周波数は、128[kHz]である。
図4(A)に示すように、制御回路13は、起動期間の開始時に位相シフト量を第1位相シフト量θ1(θ1=160度)に設定して位相シフト制御を開始し、起動期間の終了時(95[ms])に第2位相シフト量θ2(θ2=6度)になるまで位相シフト量を徐々に低減させる。
また、図4(B)に示すように、制御回路13は、起動期間の開始時にスイッチング素子Q1~Q4の駆動周波数を共振周波数よりも大きい第1駆動周波数f1(f1=150[kHz])に設定して周波数制御を開始し、起動期間の終了時(95[ms])に共振周波数よりも小さい第2駆動周波数f2(f2=103[kHz])になるように駆動周波数を低減させる。なお、通常期間の100[ms]の時点においては、位相シフト量は0度になり、駆動周波数は100[kHz]になる。
制御回路13が位相シフト制御および周波数制御を実行した場合、図4(C)に示すように、出力電圧Voは、0[V]から400[V]まで上昇する。図2(B)と比較すると、図4(C)では、起動期間の開始時の過電流が大幅に抑制されていることが分かる。このように、第1駆動周波数f1を共振周波数よりも高い周波数に設定し(スイッチング素子Q1~Q4のスイッチング損失を許容できる範囲で)、かつ第1位相シフト量θ1を180度に近い角度に設定することによって、起動時の過電流を大幅に抑制することができる。
なお、図4では、第1駆動周波数f1を150[kHz]とし、第1位相シフト量θ1を160度としているが、第1駆動周波数f1については、LLC共振回路の定数に合わせて選定すればよく、第1位相シフト量θ1についても、駆動周波数との組み合わせでスイッチング素子Q1~Q4に流れる電流および共振コンデンサCrに発生する電圧が許容範囲内であれば、任意に選定すればよい。
また、第2位相シフト量θ2については、第2駆動周波数f2と位相シフト期間によって決まる起動期間の終了時の出力電圧Voの値によって選定することができる。例えば、起動期間の終了後に、出力端T3,T4に電気自動車のリチウムイオンバッテリーが接続される場合、出力端T3,T4の電圧(出力電圧Vo)はリチウムイオンバッテリーのバッテリー電圧よりも低い方が好ましいので、起動期間の終了時の出力電圧Voがバッテリー電圧よりも低くなるように第2位相シフト量θ2を選定する。
結局、本実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aによれば、昇圧用のDC/DCコンバータや入力電圧を低下させるためのDC/DCコンバータ等の追加部品を用いることなく、起動時に過大な電流が流れるのを防止することができる。
また、本実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aでは、位相シフト制御における位相シフト量が大きな角度(180度または180度に近い角度)であっても、駆動周波数を共振周波数よりも大きくしているので励磁電流が減少し、大きな位相シフト量の場合でも励磁電流の方向逆転が発生しにくくなり、スイッチング素子Q1~Q4に貫通電流が発生するのを回避でき、安全に起動制御を実行することができる。
[電源装置]
図5に、本発明の一実施形態に係る電源装置1Aを示す。電源装置1Aは、交流端T5,T6と、AC/DC電源部20と、DC/DC電源部10と、制御部30とを備える。
図5に、本発明の一実施形態に係る電源装置1Aを示す。電源装置1Aは、交流端T5,T6と、AC/DC電源部20と、DC/DC電源部10と、制御部30とを備える。
AC/DC電源部20は、交流端T5,T6に入力された交流入力電圧Vacを、直流電圧Viに変換してDC/DC電源部10に出力するAC/DC変換動作を行う。AC/DC電源部20は、複数のスイッチング素子で構成されたAC/DCインバータを含む。
DC/DC電源部10は、DC/DCコンバータ10Aを含む。具体的には、DC/DC電源部10は、DC/DCコンバータ10Aを構成する絶縁トランスTrと、1次側回路11と、2次側回路12とを含む。
制御部30は、AC/DC電源部20およびDC/DC電源部10を制御する。制御部30は、例えば、AC/DC電源部20を制御する制御回路と、DC/DC電源部10を制御する制御回路(DC/DCコンバータ10Aの制御回路13)とを含む。
制御部30は、電源電圧が供給されると起動し、最初にAC/DC電源部20を起動させ、その後にDC/DC電源部10を起動させる。DC/DC電源部10を起動させる際、制御部30は、AC/DC電源部20の直流電圧Viが、AC/DC電源部20が出力可能で、かつDC/DC電源部10が電力変換動作を実行可能な最低電圧となるように、AC/DC電源部20を制御する。そして、制御部30は、直流電圧Viが最低電圧の状態で、DC/DC電源部10(DC/DCコンバータ10A)の起動制御を実行する。
DC/DC電源部10の1次側回路11に含まれるフルブリッジ回路(スイッチング素子Q1~Q4)の駆動周波数が一定であっても、直流電圧Viが小さいと、DC/DC電源部10の出力電圧Voも小さくなり、コンデンサCoに流れる過電流も相対的に抑制される。そのため、直流電圧Viを最低電圧に設定してDC/DC電源部10の起動制御を開始することで、第1駆動周波数f1および第1位相シフト量θ1をより小さい値の組み合わせで選定することが可能となり、起動時の過電流抑制効果は上昇する。
また、DC/DC電源部10では、直流電圧Viの低下に伴い励磁電流も減少するので、大きな位相シフト量の場合でも励磁電流の方向逆転が発生しにくくなり、スイッチング素子Q1~Q4に貫通電流が発生するのを回避でき、安全に起動制御を実行することができる。
以上、本発明に係るDC/DCコンバータおよび電源装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
[第1変形例]
図6(A)に、第1変形例に係るDC/DCコンバータ10Bを示す。DC/DCコンバータ10Bは、絶縁トランスTr’の2次側コイルおよび2次側回路12’の構成を除いて、上記実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aと共通する。
図6(A)に、第1変形例に係るDC/DCコンバータ10Bを示す。DC/DCコンバータ10Bは、絶縁トランスTr’の2次側コイルおよび2次側回路12’の構成を除いて、上記実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aと共通する。
絶縁トランスTr’は、1次側コイルと、センタータップを有しない2次側コイルと、を含む高周波絶縁トランスである。絶縁トランスTr’は容量に応じて1個または複数個で構成してもよい。
2次側回路12’は、フルブリッジ接続されたダイオードD5~D8と、コンデンサCoと、出力端T3,T4とを備える。2次側回路12’は、絶縁トランスTr’の2次側コイルの誘起電圧をダイオードD5~D8からなる整流回路で整流し、コンデンサCoで平滑することで、直流の電圧(出力電圧Vo)に変換して出力する。
DC/DCコンバータ10Bは、DC/DCコンバータ10Aと共通の効果を有する。さらに、DC/DCコンバータ10Bは、DC/DCコンバータ10Aと比較すると、大電力向けの回路構成となっている。
[第2変形例]
図6(B)に、第2変形例に係るDC/DCコンバータ10Cを示す。DC/DCコンバータ10Cは、2次側回路12’’の構成および制御回路13’が2次側回路12’’に対して同期整流制御を行うことを除いて、第1変形例と共通する。
図6(B)に、第2変形例に係るDC/DCコンバータ10Cを示す。DC/DCコンバータ10Cは、2次側回路12’’の構成および制御回路13’が2次側回路12’’に対して同期整流制御を行うことを除いて、第1変形例と共通する。
2次側回路12’’は、フルブリッジ回路と、コンデンサCoと、出力端T3,T4とを備える。フルブリッジ回路は、フルブリッジ接続された第5アーム~第8アームで構成される。第5アーム~第8アームは、上記実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aの第1アーム~第4アームと共通の構成である。
制御回路13’は、2次側回路12’’に対して同期整流制御を行う。同期整流制御時の制御回路13’は、第5アーム~第8アームのスイッチング動作を、2次側共振電流の向きに同期させてオンオフする。例えば、制御回路13’は、絶縁トランスTr’の2次側コイルの電流の向き(極性)を検出し、電流の向きが正になるタイミングで第5アームのスイッチング素子Q5と第8アームのスイッチング素子Q8をオンさせ、電流が0になるタイミングで第5アームのスイッチング素子Q5と第8アームのスイッチング素子Q8をオフさせる。同様に、制御回路13’は、絶縁トランスTr’の2次側コイルの電流の向きを検出し、電流の向きが負になるタイミングで第6アームのスイッチング素子Q6と第7アームのスイッチング素子Q7をオンさせ、電流が0になるタイミングで第6アームのスイッチング素子Q6と第7アームのスイッチング素子Q7をオフさせる。
DC/DCコンバータ10Cは、DC/DCコンバータ10Bと共通の効果を有する。さらに、DC/DCコンバータ10Cは、DC/DCコンバータ10Bと比較すると、2次側回路12’’のオン抵抗が減少するので、電力変換効率を向上させることができる。
[その他の変形例]
本発明の制御回路は、起動期間において、フルブリッジ回路の駆動周波数を共振コイルおよび共振コンデンサで決まる共振周波数よりも大きい第1駆動周波数に設定して周波数制御を開始し、駆動周波数を第1駆動周波数に維持したまま、位相シフト制御を行うよう構成できる。例えば、制御回路は、第1駆動周波数f1を150[kHz]とし、第1位相シフト量θ1を160度とし、第2位相シフト量θ2を0度または0度に近い値として、位相シフト制御を実行してもよい。
本発明の制御回路は、起動期間において、フルブリッジ回路の駆動周波数を共振コイルおよび共振コンデンサで決まる共振周波数よりも大きい第1駆動周波数に設定して周波数制御を開始し、駆動周波数を第1駆動周波数に維持したまま、位相シフト制御を行うよう構成できる。例えば、制御回路は、第1駆動周波数f1を150[kHz]とし、第1位相シフト量θ1を160度とし、第2位相シフト量θ2を0度または0度に近い値として、位相シフト制御を実行してもよい。
上記実施形態では、フルブリッジ回路の駆動周波数と位相シフト量を同時に線形に変化させたが、第1位相シフト量θ1>第3位相シフト量θ3>第2位相シフト量θ2となる第3位相シフト量θ3を設けてもよい。この場合、位相シフト量を第1位相シフト量θ1から第3位相シフト量θ3まで減少させる第1期間は、駆動周波数が共振周波数よりも大きい周波数になるように起動制御を実行し、位相シフト量を第3位相シフト量θ3から第2位相シフト量θ2まで減少させる第2期間は、駆動周波数が共振周波数以下になるように起動制御を実行してもよい。
上記のように、第1期間では、駆動周波数が共振周波数よりも大きいので、励磁電流が減少し、大きな位相シフト量の場合でも励磁電流の方向が逆転してフルブリッジ回路に貫通電流が発生するのを回避できる。
起動制御時に駆動周波数と位相シフト量を同時に変化させる方法は、駆動周波数一定で位相シフト量を変化させる方法に比べて、駆動周波数が徐々に小さくなるので、起動制御開始時の過電流抑制効果は共通するが、その後の電流の増加が大きくなるので、短時間で起動期間の終了時の目標電圧に到達することができる。
本発明のDC/DCコンバータは、電流共振型であれば、LLC方式に限らず、CLLC方式、CLLLC方式等を採用することができる。
上記実施形態では、片方向動作を行うDC/DCコンバータ10Aおよび電源装置1Aについて説明したが、本発明は、双方向動作を行うDC/DCコンバータおよび電源装置にも適用可能であり、追加部品を用いることなく、起動時に過大な電流が流れるのを防止することができる。
1A 電源装置
10 DC/DC電源部
10A~10C DC/DCコンバータ
11 1次側回路
12,12’,12’’ 2次側回路
13,13’ 制御回路
20 AC/DC電源部
30 制御部
10 DC/DC電源部
10A~10C DC/DCコンバータ
11 1次側回路
12,12’,12’’ 2次側回路
13,13’ 制御回路
20 AC/DC電源部
30 制御部
Claims (5)
- 1次側コイルおよび2次側コイルを含む絶縁トランスと、
前記1次側コイルに接続された1次側回路と、
前記2次側コイルに接続された2次側回路と、
前記1次側回路を制御する制御回路と、
を備える電流共振型のDC/DCコンバータであって、
前記1次側回路は、
第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとが並列接続されたフルブリッジ回路と、共振コイルと、共振コンデンサと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームの第1接続点と前記第3アームおよび前記第4アームの第2接続点との間において、前記共振コイル、前記共振コンデンサおよび前記1次側コイルが直列接続されており、
前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームの各アームは、
前記制御回路の制御下でオン/オフするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードと、
前記スイッチング素子に並列接続されたコンデンサと、を備え、
前記制御回路は、
起動してから前記2次側回路の出力電圧が第1目標値に達するまでの起動期間において、前記フルブリッジ回路の駆動周波数を前記共振コイルおよび前記共振コンデンサで決まる共振周波数よりも大きい第1駆動周波数に設定して周波数制御を開始するとともに、
前記第1レグと前記第2レグとの間の位相シフト量を所定の第1位相シフト量に設定して位相シフト制御を開始し、前記起動期間の終了時までに前記位相シフト量を前記第1位相シフト量よりも小さい第2位相シフト量まで低減させる
ことを特徴とするDC/DCコンバータ。 - 前記制御回路は、
前記起動期間の終了時までに前記駆動周波数を前記共振周波数以下の第2駆動周波数まで低減させる
ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。 - 前記制御回路は、
前記起動期間のうち、前記位相シフト量を前記第1位相シフト量から前記第1位相シフト量と前記第2位相シフト量との間の第3位相シフト量まで低減させる第1期間に、前記駆動周波数が前記共振周波数よりも常に大きくなるように前記駆動周波数を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のDC/DCコンバータ。 - 前記制御回路は、
前記起動期間において、前記出力電圧の目標値をゼロまたは前記第1目標値よりも小さい第2目標値に設定して前記周波数制御および前記位相シフト制御を開始し、前記目標値を時間の経過に応じて前記第1目標値まで上昇させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のDC/DCコンバータ。 - 交流入力電圧を直流出力電圧に変換するAC/DC電源部と、
請求項1~4のいずれかのDC/DCコンバータを含み、前記直流出力電圧が入力されるDC/DC電源部と、
前記AC/DC電源部および前記DC/DC電源部を制御する制御部と、
を備える電源装置であって、
前記制御部は、
前記AC/DC電源部を起動させた後に前記DC/DC電源部を起動させ、
前記DC/DC電源部の起動期間において、前記AC/DC電源部の前記直流出力電圧が、前記AC/DC電源部が出力可能で、かつ前記DC/DC電源部が電力変換動作を実行可能な最低電圧となるように、前記AC/DC電源部を制御する
ことを特徴とする電源装置。
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