JP2022188811A - 成膜装置及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸着状態の検知精度を高めることを可能とする成膜装置を提供する。【解決手段】蒸着材料を収容する坩堝を有する蒸発源100と、前記坩堝の傍らに設けられ、飛散する蒸着材料を検知するパーティクルセンサ200と、を備えることで、クラスター化した蒸着材料やスプラッシュにより飛び出た蒸着材料を的確に検知することが可能となり、蒸着状態の検知精度を高めることができる。【選択図】図1

Description

基板上に薄膜を形成する成膜装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
真空蒸着を行う成膜装置においては、蒸着材料を収容する坩堝を有する蒸発源を備えている。蒸発源においては、坩堝を加熱して蒸着材料を蒸発又は昇華させることによって、基板上に当該材料を蒸着し薄膜を形成するように構成されている。特許文献1は、このような成膜装置において、蒸着源の直上で蒸着粒子のクラスターを検出するパーティクルセンサを設けることを開示している。
特開2008-303430号公報
上述のような成膜装置においては、蒸発源の状態すなわち蒸着状態が成膜工程の管理に影響すると考えられる。本願発明者が、より一層の均一で安定した成膜工程管理の向上を目指して引用文献1の技術を検討したところ、蒸着状態をより正確に判断するための改良の余地があることを見出した。特に、突沸により液体状又は固体状の状態で坩堝から飛び出た蒸着材料が基板に直接付着してしまうことを抑制するための遮蔽部材が設けられる構成においては、蒸着状態の悪化を検知する精度が低下し易い。そのため、このような構成において、検知精度を高めるという課題はより顕著である。
このように、従来技術においては、蒸着状態の検知精度が低いという課題があった。
本発明の一側面に係る成膜装置は、
蒸着材料を収容する坩堝を有する蒸発源と、
前記坩堝の傍らに設けられ、飛散する蒸着材料を検知する検知手段と、を備えることを特徴とする。
いくつかの実施形態によれば、蒸着状態を高い精度で検知することができる。
実施形態に係る成膜装置の概略構成図である。 実施形態に係る蒸発源とパーティクルセンサの模式的断面図である。 実施例1に係る成膜装置の概略構成図である。 実施例1に係る成膜装置の制御フロー図である。 実施例2に係る成膜装置の概略構成図である。 実施例2に係る成膜装置の制御フロー図である。 実施例3に係る成膜装置の概略構成図である。 実施例3に係る成膜装置の制御フロー図である。 実施例4に係る成膜装置の概略構成図である。 実施例4に係る成膜装置の制御フロー図である。 実施例5に係る有機EL表示装置の説明図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施形態)
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る成膜装置について説明する。本実施形態に係る成膜装置は、蒸着材料を用いて基板上に薄膜を形成する真空蒸着装置である。図1は本実施形態に係る成膜装置の概略構成図であり、各種構成について簡略的に示している。図2は本実施形態に係る成膜装置に備えられる蒸発源とパーティクルセンサの模式的断面図である。
成膜装置1は、真空ポンプ20によって、内部が真空に近い状態(減圧雰囲気)となるように構成されるチャンバ(成膜室)10と、チャンバ10の内部に配置される蒸発源100とを備えている。蒸発源100は、基板Sに蒸着させる物質の材料(蒸着材料)を加熱させることで、当該材料を蒸発又は昇華させる役割を担っている。この蒸発源100によって蒸発又は昇華された物質が、チャンバ10の内部に設置された基板Sの成膜面(蒸発源100側の表面)に付着されることで、基板Sに薄膜が形成される。基板Sの成膜面側には、形成する薄膜の形状に合わせた開口部が形成されたマスクMが配されており、基板SとマスクMが位置決めされた状態で蒸着処理がなされる。
基板Sと蒸発源100の間には、開閉可能なシャッタを配して、これの開閉により基板Sへの蒸着材料の付着有無を制御することができる。より具体的には、メインシャッタ50の他、複数の蒸発源100が設けられる場合には、必要に応じて、個々の蒸発源100にそれぞれ配されるソースシャッタ60を設けることができる。メインシャッタ50は、複数の遮蔽板51と、これら複数の遮蔽板51を駆動する駆動源52と、複数の遮蔽板51を開閉させるための機構などにより構成される。一般的には、メインシャッタ50は複数の箇所に配されて、これらを同時に制御することで、基板Sの全面を覆うように閉じたり、全面を開放するように開いたりすることによって、基板Sへの蒸着材料の付着の有無を制御することができる。また、ソースシャッタ60は、モータなどの駆動源61と、駆動源61により正逆回転する回転軸62と、回転軸62によって移動する遮蔽板63とを備えている。このように構成されるソースシャッタ60を複数の蒸発源100に対してそれぞれ設ける構成を採用すれば、所望の蒸発源100によってのみ蒸着処理を行うように制御することができる。
ここで、基板Sに形成する薄膜の膜厚を均一化するためには、分子レベルの蒸着材料を基板Sに蒸着させることが好ましい。そのためには、蒸発源100の状態、ないしは、蒸発源100の動作の状態、(以下、蒸着状態と呼ぶ)を安定的に維持するとよい。これを妨げる要因としては、クラスター化した蒸着材料が飛散することと、スプラッシュが発生することが主な原因として考えられる。なお、スプラッシュ現象とは、突沸などによって、蒸着材料が蒸発又は昇華することなく、液体状又は固体状の状態で蒸発源100の外に飛び出す現象である。クラスター化した蒸着材料は、主として上方に向かって飛散するため、基板Sに付着する可能性がある。また、スプラッシュにより飛び出した蒸着材料は、主として重力によって放物線軌道を描くように落下する。スプラッシュの発生頻度が高くなる、つまり、蒸着状態が不安定になると、均一で安定した成膜工程管理が困難になる。上記のように、クラスター化した蒸着材料と、スプラッシュにより飛び出た蒸着材料では、飛散の仕方が異なっている。特に、後者については、従来方式の検知方法で検知するのは難しいと考えられる。そこで、本実施形態では、2種類の検知手段を設ける構成を採用
している。以下、この点について説明する。
チャンバ10の内部には、基板Sに形成される薄膜の膜厚を形成するための第1の検知手段としての膜厚センサ30と、飛散する蒸着材料を検知するための第2の検知手段としてのパーティクルセンサ200とが設けられている。膜厚センサ30は、水晶振動子を用いた膜厚計を好適に用いることができる。この場合、水晶振動子に付着した材料の膜厚が検知されることで、基板Sに形成された薄膜の膜厚や成膜レート(膜厚の時間変化率)を認識することができる。また、膜厚センサ30により検知される膜厚や成膜レートの変化が正常か否かによって、蒸着状態が適正か否かを判断することもできる。例えば、成膜レートを継続的に検知し、所定の値から5%以上の乖離を示した際に、蒸着状態が異常であると判断することが挙げられる。ここで、5%という値は、一例であり、この値に限らずに任意の値を設定することができる。他にも、成膜レート値が所定値から乖離した回数が予め定めた回数以上になった際に異常と判断することや、成膜レートが所定の時間以上にわたり継続して所定値から乖離した場合に異常と判断することも可能である。
パーティクルセンサ200は、一般的には、粒径及び粒子数を検知することで不純物などのパーティクルを検出するために用いられる。このパーティクルセンサ200によって、飛散する蒸着材料、特に、クラスター化して落下する蒸着材料や液体状又は固体状になって落下する蒸着材料についても検知することができる。これにより、蒸着状態が適正か否かを判断することができる。パーティクルセンサ200としては、レーザ光散乱方式や光遮蔽方式のパーティクルセンサを使用することができる。このようなパーティクルセンサ200によって、200nm程度から100μm程度のサイズのパーティクルの数とサイズを検出することができる。
例えば、1μm以上のサイズのパーティクル数を継続的に検知し、1分間に3個以上のパーティクル数が検知された際に、蒸着状態が異常であると判断することが挙げられる。ここで1μmというサイズ値や、1分間に3個以上という基準は、一例であり、この値に限られずに任意の値を設定することができる。サイズと数から総合的に判断する基準を用いても良い。
更に、成膜装置1は、蒸発源100の動作を制御する制御手段としての制御装置40を備えている。本実施形態に係る制御装置40においては、蒸発源100の動作制御を判断するパラメータとして、膜厚センサ30の検知結果と、パーティクルセンサ200の検知結果を用いている。
なお、本実施形態に係る制御装置40は、蒸発源100だけでなく、真空ポンプ20や基板搬送機構や、シャッタ機構など、成膜装置1全体の動作を制御するように構成されている。各種装置の制御を行うための制御装置自体の構成については、公知技術であるので、その詳細な説明は省略する。一般的に、制御装置は、入力データに基づいて演算処理などを行って各種命令を行うためのCPUと、入力データを一時的に記憶するRAMや予めプログラムを記憶させるためのROMなどの記憶手段とを備えている。なお、図1の点線に示すように、制御装置40と各種部材は有線により接続することで、データをやり取りしてもよいし、無線によってデータを送受信するようにしてもよい。
蒸発源100は、蒸着材料mを収容する坩堝110と、坩堝110を加熱する加熱装置113と、坩堝110の周囲への放熱を抑制し、かつ、効率的に坩堝110を加熱するためのリフレクタ115とを備えている。坩堝110は、坩堝本体である容器111と、容器111の開口部に備えられ、材料の放出方向(蒸着方向)を制限する部材としてキャップ112が設けられている。このキャップ112としては、蒸発又は昇華された蒸着材料を基板Sに向けて蒸発源100から通過させるための複数の貫通孔112aが設けられた
構造が挙げられる。このような構造では、キャップ112が遮蔽部材としての機能を有し、材料が直接的に坩堝内から基板Sに到達することを妨げる。また、キャップ112は、坩堝110(容器111)に収容される蒸着材料mと成膜される基板Sとの間に配され、基板Sにおける成膜面上の任意の点と、坩堝110に収容される蒸着材料mの表面上の任意の点とを結ぶ仮想直線の全てを遮るように構成されることが好ましい。このような構成を採用することで、収容された蒸着材料mの表面から、突沸によって液体状又は固体状の状態で一部の蒸着材料が飛び出たとしても、そのような蒸着材料が基板Sに直接付着することを抑制することができる。なお、図2に示すように、中央に開口部を有するノズル112Xを設けることで、坩堝110の中央から蒸発又は昇華した蒸着材料が放出されるように構成することもできる。このノズル112Xを設けるか否かは任意である。
本発明においては、坩堝110から放出され、飛散する蒸着材料を検知するためのパーティクルセンサ200は、坩堝110の傍らに設けられている。すなわち、パーティクルセンサ200は、坩堝110からスプラッシュにより飛び出た蒸着材料が飛散する領域を検知範囲に含むように配されている。換言すれば、パーティクルセンサ200は、坩堝からスプラッシュにより飛び出た蒸着材料を検知する位置に設けられている。ここで、スプラッシュにより飛び出た蒸着材料が飛散する領域については、蒸発源100を構成する各種部材の寸法形状、加熱温度、蒸着材料mの種類などによって、その範囲が異なる。従って、これらの諸条件に応じて、適時、実験観測を行うことによって、スプラッシュにより飛び出た蒸着材料が飛散する領域(範囲)を規定することができる。
そして、パーティクルセンサ200は、その検知部分210が鉛直方向上向きとなるように配されることが好ましい。また、この検知部分210は、坩堝110における蒸着材料の放出口よりも鉛直方向下方に少なくとも一部が配されている。坩堝110における蒸着材料の放出口と検知部分210との水平距離d(ノズル112Xが設けられた場合にはd1)は、0cmより大きく70cm以下に設定するとよく、0cmより大きく50cm以下にすると、より好適である。
これは、各種蒸発源および金属材料を用いて行った蒸着実験において、スプラッシュにより飛び出た蒸着材料が蒸発源の周囲70cm以内に認められ、50cm以内では顕著に認められたことによるものである。
このようなパーティクルセンサ200の配置を採用することで、坩堝110から放出された後に落下する蒸着材料を効果的に検知することが可能である。また、このような配置が後述の制御方法を用いて成膜プロセスを制御する際に、有効である。
また、パーティクルセンサ200と坩堝110との間には坩堝110からの熱を遮るリフレクタ220が配されている。本実施形態に係るリフレクタ220は、パーティクルセンサ200の周囲を取り囲むように筒状の部材により構成されている。なお、パーティクルセンサ200の耐熱性によっては、リフレクタ220を設けなくてもよいし、周囲を取り囲むのではなく、平板状のリフレクタを坩堝110との間に設ける構成を採用してもよい。
<本実施形態に係る成膜装置の優れた点>
本実施形態に係る成膜装置1によれば、坩堝110の傍らに設けられたパーティクルセンサ200によって、飛散する蒸着材料を検知する構成が採用されている。クラスター化した蒸着材料やスプラッシュにより飛び出た蒸着材料は、放出口から出て直ぐに落下するものも多い。従って、放出口の上方で検知する場合に比べて、蒸着状態の検知精度を高めることができる。
本実施形態は、特に、坩堝110に遮蔽機能を有したキャップ112が設けられる場合に有効である。キャップによって、突沸により発生した液体状又は固体状の蒸着材料が基板Sに向かって飛散することが抑制される場合であっても、本実施形態の構成を採用することで、蒸着状態が不安定であることを的確に検知することができる。なお、パーティクルセンサ200の検知部分210の配置、及び坩堝110における蒸着材料の放出口と検知部分210との位置関係を上記の通り構成することで、クラスター化して落下する蒸着材料や、液体状又は固体状の状態となって落下する蒸着材料をより的確に検知することができる。
また、本実施形態においては、制御装置40が、膜厚センサ30の検知結果と、パーティクルセンサ200の両方の検知結果に基づいて、成膜装置の動作を制御する構成を採用している。従って、蒸着状態の検知精度を高めることができ、蒸着状態に応じた適切な制御を行うことができる。
なお、本実施形態における蒸着材料については特に限定されない。本実施形態に係る成膜装置1は、蒸着材料が金属材料の場合に、その効果が特に発揮される。特に、蒸着材料がマグネシウム(Mg)やイッテルビウム(Yb)のように、蒸着時に昇華性を示す金属材料の場合には、クラスター化などでサイズの大きいパーティクルが発生し易いため、本発明が有効に機能する。また、AgやYbなどの重金属材料は、パーティクルセンサに検知される粒子の重量が比較的重いことに起因して、上述のセンサ配置構成による検知が有効に機能すると考えられる。
以下、蒸発源のより具体的な構成と、その際のパーティクルセンサ200の配置関係と、蒸発源の制御手順の具体的な例について、いくつか説明する。
(実施例1)
図3及び図4を参照して、実施例1に係る成膜装置について説明する。図3は実施例1に係る成膜装置の概略構成図であり、同図(a)は成膜装置内における蒸発源とパーティクルセンサを示す平面図であり、同図(b)は成膜装置の要部の模式的断面図(同図(a)中のV1-V1断面に相当)であり、同図(c)はソースシャッタの動作説明図である。また、図4は実施例1に係る成膜装置の制御フロー図である。
<成膜装置の構成>
本実施例に係る成膜装置1において、チャンバ10、真空ポンプ20、膜厚センサ30、基板S及びマスクMについては、上記実施形態で説明した通りであるので、その説明は省略する。
本実施例に係る蒸発源アセンブリ100Aは、複数の蒸発源100と、複数の蒸発源100を回転させる回転台120と、回転台120を回転させるモータなどの駆動源130とを備えている。以上のように構成される蒸発源アセンブリ100Aは、ポイントソースリボルバタイプと呼ばれることもある。蒸発源アセンブリ100Aにおいては、複数の蒸発源100のうちの一つの蒸発源100により蒸着処理がなされる。すなわち、この蒸発源に搭載された坩堝110が加熱されることで、収容された蒸着材料が蒸発又は昇華して坩堝110から放出され、基板Sの表面に薄膜が形成される。なお、図3においては、各種部材の構成を分かり易くするため、蒸発源100については、主要構成である坩堝110についてのみ簡略的に示している。
このタイプの蒸発源アセンブリ100Aにおいては、蒸着処理が進み、蒸発源110に収容された蒸着材料が不足するタイミングで、駆動源130により回転台120が回転し、次の蒸発源100によって、蒸着処理が継続されるように構成されている。図3中の矢
印は回転台120の回転方向を示し、図中、P1に示す位置に配された蒸発源100により蒸着処理がなされる。また、図中、P2は、位置P1に配された蒸発源100による蒸着処理が終了した後に、蒸着処理を行う蒸発源100の待機位置を示している。この位置P2に配された蒸発源100は、位置P1に配された蒸発源100の蒸着処理が終了する前に予め加熱されることで、回転台120による回転動作後、早期に蒸着処理が行えるように構成されている。
以上のように蒸着処理を行う蒸発源100を切り替える動作は、セルチェンジと呼ばれる。回転台120には、一般的に奇数個の蒸発源100が配される。蒸着処理が行われる蒸発源100と、その次に蒸着処理を行うために待機する蒸発源100との間には別の蒸発源100が配される。これは、蒸着処理が行われる蒸発源100と、その次に蒸着処理を行うために待機する蒸発源100との間で熱的な干渉を抑制するためである。回転台120に載置される蒸発源100の個数をNとすると、n=[N-1]回のセルチェンジによって、全ての蒸発源100による蒸着処理を行うことができる。
セルチェンジを行うタイミングは、膜厚センサで検知された積算膜厚が所定の膜厚に到達したタイミングや、蒸着プロセスを行った時間などに基づいて設定することができる。
本実施例においては、膜厚センサは、各蒸発源アセンブリに対して一つずつ配備される。すなわち、チャンバ内に2つの膜厚センサ(図3では省略している)を有している。
そして、複数の蒸発源100の鉛直方向上方には、蒸着処理が行われる蒸発源100の坩堝110によってのみ、蒸発又は昇華した蒸着材料が放出されるように、この坩堝110に対向する位置に開口部141が形成されたカバー140が設けられている(図3(b)参照)。なお、図3(a)においては、説明の便宜上、カバー140等は省略している。
本実施例においては、上記実施形態で示したメインシャッタ(図3では省略している)の他に、2つの蒸発源アセンブリ100Aに対応して、それぞれ1か所ずつ計2か所にソースシャッタ60が設けられている。これらのシャッタの開閉により、材料の基板Sへの到達をオンオフ制御することができる。すなわち、シャッタの開閉により、蒸着処理の実行と非実行を切り替えることができる。なお、ソースシャッタ60においては、回転軸62の正逆回転によって移動する遮蔽板63によって、カバー140の開口部141を閉じたり開いたりすることで、所望の蒸発源アセンブリ100Aによる蒸着処理の実行と非実行を切り替えることができる。図3(c)においては、鉛直方向上方から見て、左側が開口部141が閉じられた状態を示し、右側が開口部141が開いた状態を示している。
本実施例においては、図3(a)(b)において左側の蒸発源アセンブリ100A内の坩堝には材料としてAgが充填され、右側の蒸発源アセンブリ100AにはMgが充填されている。このような構成により、AgとMgの混合膜や積層膜を成膜することが可能である。
また、本実施例に係る成膜装置1は、上記のように構成される蒸発源アセンブリ100Aが、チャンバ10内に2つ並べて設けられている。そして、2つの蒸発源アセンブリ100Aの間の中央の位置に一つのパーティクルセンサ200が配されている。パーティクルセンサ200の検知部分210の配置、及び蒸着処理が行われる2つの坩堝110における蒸着材料の各放出口と検知部分210との位置関係については、上記実施形態で説明した通りである。
本実施例では、坩堝の放出口と検知部分210の間の水平距離は400mmであり、検
出部分210は放出口より150mm低い位置にある。
<蒸発源の制御手順>
成膜装置1において、蒸発源100の加熱がなされ、膜厚センサ30で検出される成膜レートが所定の値に安定した後に成膜処理が開始される(STAS)。制御装置40からの命令により、基板の搬入、基板SとマスクMの位置決め、基板回転がなされ、シャッタを開くことにより蒸着処理が実行される。この際、各々の蒸発源アセンブリ100Aにおいて、位置P1に配された蒸発源100による蒸着処理が実行される(STA1)。基板に所定の膜厚の成膜がなされた後には、基板の搬出と次の基板の搬入がなされ、次々に基板を交換して成膜が実行される。この蒸着処理の実行中は、膜厚センサ30からの検知信号とパーティクルセンサ200からの検知信号が制御装置40に送られ続ける。制御装置40においては、膜厚センサ30による検知結果が異常か否か(STA2)、及び、パーティクルセンサ200による検知結果が異常か否か(STA3)を判断する。制御装置40は、両者とも正常(異常ではない)と判断した場合には、膜厚センサ30によって得られる積算膜厚がtに達したか否かを判断する(STA4)。積算膜厚は、蒸発源の加熱開始時(使用開始時)から評価時までの期間において、膜厚センサ30で検出された膜厚のトータル量であり、使用した材料の量に略比例するものである。tは、蒸発源100の坩堝110に収容される蒸着材料mの量に基づいて設定される。積算膜厚がtに達すると、坩堝110に収容される蒸着材料mの残量が不十分になったと判断される。各センサによる検知結果がいずれも正常で、かつ積算膜厚がtに達しない限り、蒸着処理が実行され成膜基板が生産され続ける。なお、積算膜厚tの値は、セルチェンジの度に、対応する坩堝110に収容される蒸着材料mの量に応じて再設定される。
ステップSTA4において、積算膜厚がtに達したと判断された場合には、セルチェンジ回数がnに達したか否かが制御装置40により判断される(STA5)。本実施例においては、7つの蒸発源100を有するため、n=7-1=6である。セルチェンジ回数がnに達していない場合には、セルチェンジが行われ(STA6)、位置P2に待機していた蒸発源100が位置P1に移動して、蒸着処理が続行される(STA1)。ステップSTA5において、セルチェンジ回数がnに達したと判断された場合には、全ての蒸発源100による蒸着処理が済んだことになり、蒸着処理は終了する(STAE)。その後は、蒸発源の加熱を停止して降温後に、チャンバ10の内部は大気圧に戻されて、全ての蒸発源100の坩堝110に対して、洗浄や蒸着材料mを補充するなど、各種のメンテナンスが行われる。
そして、ステップSTA2において、膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果については正常である(異常ではない)と判断された場合には(STA7)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、メインシャッタを閉じることで蒸着処理を停止させる(STA8)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第1の期間i1に達したか否かを判断する(STA9)。なお、膜厚センサ30による検知結果が異常で、パーティクルセンサ200による検知結果については正常の状態が継続される限り、ステップSTA2,ステップSTA7,ステップSTA8,ステップSTA9が繰り返される。蒸着処理が停止されてから第1の期間i1に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STA2,STA3)には、ステップSTA4を経た後に、蒸着処理が再開される(STA1)。
蒸着処理が停止されてから第1の期間i1に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合には、制御装置40はセルチェンジ回数がnに達したか否かを判断する(STA5)。この判断に応じて、上記の通り、セルチェンジが行われて(STA6)、蒸着処理が続行されるか、または、蒸着処理が終了する(STA
E)。
また、ステップSTA2において、膜厚センサ30による検知結果が正常である(異常ではない)と判断され、パーティクルセンサ200による検知結果については異常であると判断された場合にも(STA3)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま蒸着処理を停止させる(STA8)。その後の手順は、上記と同様である。ただし、膜厚センサ30による検知結果が正常で、パーティクルセンサ200による検知結果については異常の状態が継続される限り、ステップSTA2,ステップSTA3,ステップSTA8,ステップSTA9が繰り返される点については上記と異なる。
そして、ステップSTA2において、膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果についても異常であると判断された場合には(STA7)、制御装置40は、セルチェンジ回数がnに達したか否かを判断する(STA5)。この判断に応じて、上記の通り、セルチェンジが行われて(STA6)、蒸着処理が続行されるか、または、蒸着処理が終了する(STAE)。
期間i1としては、装置構成や材料に依存するが、数10秒から数10分の範囲において設定することができる。
以上のように、本実施例においては、膜厚センサ30とパーティクルセンサ200のうちのいずれか一方の検知結果についてのみ異常であると判断された場合には、各センサによる検知動作が継続されたまま蒸着処理が停止される。そして、所定期間(第1の期間)内に両者の検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。これは、パーティクルセンサ200の検知結果のみ異常と判断される場合には、その原因は、蒸発源100以外、例えば、駆動機構などに起因する可能性が高いからである。また、膜厚センサ30の検知結果のみ異常と判断される場合には、何らかのノイズが原因であるか軽度の突沸が原因である可能性が高く、回復する可能性が高いからである。
これに対して、膜厚センサ30とパーティクルセンサ200の両者の検知結果について異常であると判断された場合には、蒸着処理を行っていた蒸発源100(位置P1に配された坩堝110)による蒸着処理を終了させる制御がなされる。このような場合には、蒸発源100の坩堝内に異常の原因がある可能性が高く、仮に、蒸着処理を再開しても、異常な状態が再発する可能性が高いからである。そして、このような場合でも、セルチェンジが行われて蒸着処理が継続されるため、成膜装置としての生産性を維持することができる。
図4に記したフローにおいて、STA2とSTA3とSTA7は時系列的に記されているが、同時刻の検知結果を用いて判断してもよい。蒸着状態の異常判断において、両センサで同時刻の判断を用いる方が好ましい。
本実施例の装置構成では、パーティクルセンサを適切な位置に配置することで、少ないパーティクルセンサの数(蒸発源の数よりも少ない)にもかかわらず、蒸着状態を高い精度で検知することができる。また、パーティクルセンサと膜厚センサの両方を用いて成膜プロセスの制御を行うため、良品率や歩留まりが高い成膜装置とすることができる。特に、連続生産時に、装置の停止時間が短い成膜装置とすることができる。本実施例では、パーティクルセンサの検知結果に基づいて、制御装置40が蒸発源100の制御を行っている。しかし、パーティクルセンサ200の検知結果の利用方法は、このような手段に限られない。例えば、1つの変形例としては、パーティクルセンサ200が異常を検知した場合には、その時に成膜中の基板を不良品とし、以後の処理を行わない、あるいは、廃棄する。この場合、制御装置40は、パーティクルセンサ200の検知結果にかかわらず、所
定の制御を継続する。このような構成によっても、不要な工程を省略したり、検査をせずに不良品を判定したりできるため、良品率や歩留まりが高い成膜装置とすることができる。
(実施例2)
図5及び図6を参照して、実施例2に係る成膜装置について説明する。図5は実施例2に係る成膜装置の概略構成図であり、同図(a)は成膜装置内における蒸発源とパーティクルセンサを示す平面図であり、同図(b)は成膜装置の要部の模式的断面図(同図(a)中のV2-V2断面に相当)である。また、図6は実施例2に係る成膜装置の制御フロー図である。
<成膜装置の構成>
本実施例に係る成膜装置1において、チャンバ10、真空ポンプ20、膜厚センサ30、基板S及びマスクMについては、上記実施形態で説明した通りであるので、その説明は省略する。
本実施例に係る蒸発源100の構成自体については、上記実施形態で説明した通りである。本実施例に係る成膜装置1においては、チャンバ10内において、3つの蒸発源100が、上方から見て正三角形の頂点となる位置にそれぞれ設けられている。そして、この正三角形の中心となる位置に一つのパーティクルセンサ200が配されている。膜厚センサはそれぞれの蒸発源100に対して一つずつ配されるため、3つの膜厚センサ(図5では省略している)を有する。パーティクルセンサ200の検知部分210の配置、及び3つの坩堝110における蒸着材料の各放出口と検知部分210との位置関係については、上記実施形態で説明した通りである。本実施例では、坩堝の放出口と検知部分210の間の水平距離は500mmであり、検出部分210は放出口より100mm低い位置にある。
本実施例においては、基板Sの成膜面に対向して、基板Sの下方にメインシャッタ(図5では省略している)を配している。このメインシャッタの開閉により、全ての蒸発源100からの基板Sへの蒸着処理に対して、実行(着膜)と非実行(非着膜)を切り替えることができる。
本実施例においては、すべての蒸発源100にはLiF(フッ化リチウム)が充填されている。3つの蒸発源100からの同時蒸着が可能なこのような構成により、LiF膜を高速成膜することが可能である。
<蒸発源の制御手順>
成膜装置1において、蒸発源100の加熱がなされ、膜厚センサ30で検出される成膜レートが所定の値に安定した後に成膜処理が開始される(STBS)。制御装置40からの命令により、基板の搬入、基板SとマスクMの位置決め、基板回転がなされ、メインシャッタを開くことにより蒸着処理が実行される(STB1)。基板に所定の膜厚の成膜がなされた後には、基板の搬出と次の基板の搬入がなされ、次々に基板を交換して成膜が実行される。
蒸着処理の実行中は、膜厚センサ30からの検知信号とパーティクルセンサ200からの検知信号が制御装置40に送られ続ける。制御装置40においては、膜厚センサ30による検知結果が異常か否か(STB2)、及び、パーティクルセンサ200による検知結果が異常か否か(STB3)を判断する。制御装置40は、両者とも正常(異常ではない)と判断した場合には、膜厚センサ30によって得られる積算膜厚がtに達したか否かを判断する(STB4)。積算膜厚tについては、実施例1で説明した通りである。各セン
サによる検知結果がいずれも正常で、かつ積算膜厚がtに達しない限り、蒸着処理が実行され続ける。
ステップSTB4において、積算膜厚がtに達したと判断された場合には、蒸着処理は終了する(STBE)。その後は、蒸発源100の加熱を停止して降温後に、チャンバ10の内部は大気圧に戻されて、全ての蒸発源100の坩堝110に対して、洗浄や蒸着材料mを補充するなど、各種のメンテナンスが行われる。
そして、ステップSTB2において、少なくとも一つの膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果については正常である(異常ではない)と判断された場合には(STB5)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、メインシャッタを閉じることで蒸着処理を停止させる(STB6)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第1の期間i1に達したか否かを判断する(STB7)。なお、膜厚センサ30による検知結果が異常で、パーティクルセンサ200による検知結果については正常の状態が継続される限り、ステップSTB2,ステップSTB5,ステップSTB6,ステップSTB7が繰り返される。蒸着処理が停止されてから第1の期間i1に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STB2,STB3)には、ステップSTB4を経た後に、蒸着処理が再開される(STB1)。
蒸着処理が停止されてから第1の期間i1に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合には、蒸着処理は終了する(STBE)。
また、ステップSTB2において、膜厚センサ30による検知結果が正常である(異常ではない)と判断され、パーティクルセンサ200による検知結果については異常であると判断された場合にも(STB3)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、メインシャッタを閉じることで蒸着処理を停止させる(STB6)。その後の手順は、上記と同様である。ただし、膜厚センサ30による検知結果が正常で、パーティクルセンサ200による検知結果については異常の状態が継続される限り、ステップSTB2,ステップSTB3,ステップSTB6,ステップSTB7が繰り返される点については上記と異なる。
そして、ステップSTB2において、少なくとも一つの膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果についても異常であると判断された場合には(STB5)、制御装置40は、両者について異常と検知された回数が予め定められたXを超えたか否かについて判断する(STB8)。なお、この異常検知回数に関しては、両者により異常と検知された総数としてもよいし、一定期間内に両者により異常と検知された回数としてもよい。
異常検知回数がXに達していない場合には、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、メインシャッタを閉じて蒸着処理を停止させる(STB9)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第2の期間i2に達したか否かを判断する(STB10)。この第2の期間i2は、第1の期間i1よりも長い期間(i2>i1)に設定される。なお、膜厚センサ30による検知結果が異常で、パーティクルセンサ200による検知結果についても異常な状態が継続される限り、ステップSTB2,ステップSTB5,ステップSTB6,ステップSTB8,ステップS
TB9,ステップB10が繰り返される。蒸着処理が停止されてから第2の期間i2に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STB2,STB3)には、ステップSTB4を経た後に、蒸着処理が再開される(STB1)。
ステップSTB8において異常検知回数がXに達したと判断された場合、及び、蒸着処理が停止されてから第2の期間i2に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合(STB10)には、蒸着処理は終了する(STBE)。
以上のように、本実施例においては、膜厚センサ30とパーティクルセンサ200のうちのいずれか一方の検知結果についてのみ異常であると判断された場合には、各センサによる検知動作が継続されたまま、短期間(第1の期間i1)の間、蒸着処理が停止される。そして、この短期間(第1の期間i1)内に両者の検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。この理由は、上記実施例1で説明した通りである。
これに対して、膜厚センサ30とパーティクルセンサ200の両者の検知結果について異常であると判断された場合には、長期間(第2の期間i2)の間、蒸着処理が停止される。そして、この長期間(第2の期間i2)内に両者の検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。また、異常検知回数の頻度が高くなると、蒸着処理は終了する。このような場合には、蒸発源100の坩堝内に異常の原因がある可能性が高く、仮に、蒸着処理を再開しても、異常な状態が再発する可能性が高いからである。
第1の期間i1としては、たとえば数10秒から数10分の間の時間を設定することができる。第2の期間i2としては、たとえば数分から1時間程度の時間を設定することができる。
本実施例の装置構成では、パーティクルセンサを適切な位置に配置することで、少ないパーティクルセンサの数(蒸発源の数よりも少ない)にもかかわらず、蒸着状態を高い精度で検知することができる。また、パーティクルセンサと膜厚センサの両方を用いて成膜プロセスの制御を行うため、良品率や歩留まりが高い成膜装置とすることができる。なお、本実施例においても、パーティクルセンサの検知結果を蒸発源の制御に用いる構成のみには限定されない。
(実施例3)
図7及び図8を参照して、実施例3に係る成膜装置について説明する。図7は実施例3に係る成膜装置の概略構成図であり、同図(a)は成膜装置内における蒸発源とパーティクルセンサを示す平面図であり、同図(b)は成膜装置の要部の模式的断面図(同図(a)中のV3-V3断面に相当)である。また、図8は実施例3に係る成膜装置の制御フロー図である。
<成膜装置の構成>
本実施例に係る成膜装置1において、チャンバ10、真空ポンプ20、膜厚センサ30、基板S及びマスクMについては、上記実施形態で説明した通りであるので、その説明は省略する。
本実施例に係る蒸発源アセンブリ100B1,B2は、上記実施例1で説明したポイントソースリボルバタイプの蒸発源アセンブリである。蒸発源アセンブリ100B1については回転台120に載置される蒸発源100(坩堝110)の個数が5つであり、蒸発源100B2については、実施例1と同様に、回転台120に載置される蒸発源100の個数は7つである。ポイントソースリボルバタイプの蒸発源の構成や動作については実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
本実施例に係る成膜装置1は、2つの蒸発源アセンブリ100B1と4つの蒸発源アセ
ンブリB2が、チャンバ10内に設けられている。そして、各々の蒸発源アセンブリ100B1,B2において、回転台120の中央にパーティクルセンサ200がそれぞれ配されている。すなわち、チャンバ内に6つのパーティクルセンサを有している。
各々の蒸発源アセンブリ100B1,B2において、パーティクルセンサ200の検知部分210の配置、及びそれぞれの坩堝110における蒸着材料の各放出口と検知部分210との位置関係については、上記実施形態で説明した通りである。本実施例では、坩堝の放出口と検知部分210の間の水平距離は250mmであり、検出部分210は放出口より50mm低い位置にある。
以上のように構成される成膜装置1においては、パーティクルセンサ200の検知結果が異常であると判断された場合には、どの蒸発源アセンブリ100B1,B2において検知結果が異常であると判断されたかを特定することができる。
本実施例においては、上記実施形態で示したメインシャッタ(図7では省略している)の他に、6つの蒸発源アセンブリ100B1,B2に対応して、それぞれ1か所ずつ計6か所にソースシャッタ60が設けられている。これらのシャッタの開閉により、材料の基板Sへの到達と非到達を切り替え制御することができる。すなわち、シャッタの開閉により、基板への蒸着処理の実行と非実行を切り替えることができる。
本実施例においては、膜厚センサは、各蒸発源アセンブリに対して一つずつ配備される。すなわち、チャンバ内に6つの膜厚センサ(図7では省略している)を有している。
本実施例においては、一つの蒸発源アセンブリ100B1(図7において右側)の坩堝には材料としてMgが充填され、もう一つの蒸発源アセンブリ100B1(左側)にはYbが充填される。また、4つの蒸発源アセンブリ100B2にはAgが充填される。このような装置構成により、AgとMgとYbの混合膜や積層膜を成膜することが可能である。
<蒸発源の制御手順>
成膜装置1において、蒸発源100の加熱がなされ、それぞれの膜厚センサ30で検出される成膜レートが所定の値に安定した後に成膜処理が開始される(STCS)。制御装置40からの命令により、基板の搬入、基板SとマスクMの位置決め、基板回転がなされ、シャッタを開くことにより蒸着処理が実行される。この際、各々の蒸発源アセンブリ100B1,B2において、位置P1に配された蒸発源100による蒸着処理が実行される(STC1)。基板に所定の膜厚の成膜がなされた後には、基板の搬出と次の基板の搬入がなされ、次々に基板を交換して成膜が実行される。
蒸着処理の実行中は、全ての膜厚センサ30からの検知信号と全てのパーティクルセンサ200からの検知信号が制御装置40に送られ続ける。制御装置40においては、全ての膜厚センサ30による検知結果が異常か否か(STC2)、及び、全てのパーティクルセンサ200について検知結果が異常か否か(STC3)を判断する。制御装置40は、いずれも正常(異常ではない)と判断した場合には、膜厚センサ30によって得られる積算膜厚がtに達したか否かを判断する(STC4)。積算膜厚tについては、実施例1で説明した通りである。各センサによる検知結果がいずれも正常で、かつ積算膜厚がtに達しない限り、蒸着処理が実行され続ける。
ステップSTC4において、積算膜厚がtに達したと判断された場合には、セルチェンジ回数がnに達したか否かが制御装置40により判断される(STC5)。なお、蒸発源アセンブリ100B1の場合はn=4であり、蒸発源100B2の場合はn=6である。
セルチェンジ回数がnに達していない場合には、セルチェンジが行われ(STC6)、位置P2に待機していた坩堝110が位置P1に移動して、蒸着処理が続行される(STC1)。ステップSTC5において、セルチェンジ回数がnに達したと判断された場合には、蒸着処理は終了する(STCE)。その後は、蒸発源100の加熱を停止して降温後に、チャンバ10の内部は大気圧に戻されて、全ての蒸発源100の坩堝110に対して、洗浄や蒸着材料mを補充するなど、各種のメンテナンスが行われる。
そして、ステップSTC2において、少なくとも一つの膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果については正常である(異常ではない)と判断された場合には(STC7)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、メインシャッタを閉じて、蒸着処理を停止させる(STC8)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第3の期間i3に達したか否かを判断する(STC9)。なお、膜厚センサ30による検知結果が異常で、パーティクルセンサ200による検知結果については正常の状態が継続される限り、ステップSTC2,ステップSTC7,ステップSTC8,ステップSTC9が繰り返される。蒸着処理が停止されてから第3の期間i3に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STC2,STC3)には、ステップSTC4を経た後にメインシャッタを開き、蒸着処理が再開される(STC1)。
蒸着処理が停止されてから第3の期間i3に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合には、制御装置40は、膜厚センサ30が異常であると判断された蒸発源アセンブリにおいて、セルチェンジ回数がnに達したか否かを判断する(STC5)。この判断に応じて、上記の通り、セルチェンジが行われて(STC6)、蒸着処理が続行されるか、または、蒸着処理が終了する(STCE)。
また、ステップSTC2において、全ての膜厚センサ30による検知結果が正常である(異常ではない)と判断され、一つ以上のパーティクルセンサ200による検知結果について異常であると判断された場合にも(STC3)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、メインシャッタを閉じることで蒸着処理を停止させる(STC8)。その後の手順は、上記と同様である。ただし、全ての膜厚センサ30による検知結果が正常で、一つ以上のパーティクルセンサ200による検知結果については異常の状態が継続される限り、ステップSTC2,ステップSTC3,ステップSTC8,ステップSTC9が繰り返される点については上記と異なる。
蒸着処理が停止されてから第3の期間i3に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合には、制御装置40は、パーティクルセンサが異常であると判断された蒸発源アセンブリにおいて、セルチェンジ回数がnに達したか否かを判断する(STC5)。この判断に応じて、上記の通り、セルチェンジが行われて(STC6)、蒸着処理が続行されるか、または、蒸着処理が終了する(STCE)。
そして、ステップSTC2において、少なくとも一つの膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果についても異常であると判断された場合には(STC7)、制御装置40は、単数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であるのか、複数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であるのかを判断する(STC10)。単数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であると判断した場合には、制御装置40は、異常であると判断された蒸発源アセンブリ100B1,B2について、セルチェンジ回数がnに達したか否かを判断する(STC5)。この判断に応じて、上記の通り、セルチェンジが行われて(STC6)、蒸着処理が続行されるか、または、蒸着処理が終了する(STCE)。
ステップSTC10において、複数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であると判断した場合には、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたままソースシャッタとメインシャッタを閉じることで蒸着処理を停止させる(STC11)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第4の期間i4に達したか否かを判断する(STC12)。この第4の期間i4は、第3の期間i3よりも長い期間(i4>i3)に設定される。なお、少なくとも一つの膜厚センサ30による検知結果が異常で、複数のパーティクルセンサ200による検知結果についても異常な状態が継続される限り、ステップSTC2,ステップSTC7,ステップSTC10,ステップSTC11,ステップSTC12が繰り返される。この繰り返しループの中の
STC7においてパーティクルセンサの異常判断をする際には、判断を行う蒸発源に対応したソースシャッタのみを開いて、センサ情報を検知し、判断を行う。
蒸着処理が停止されてから第4の期間i4に達する前に、全てのセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STC2,STC3)には、ステップSTC4を経た後にソースシャッタとメインシャッタが開き、蒸着処理が再開される(STC1)。
蒸着処理が停止されてから第4の期間i4に達する前に、全てのセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合(STC12)には、蒸着処理は終了する(STCE)。
第3の期間i3としては、たとえば数10秒から数10分の間の時間を設定することができる。第4の期間i4としては、たとえば数分から1時間程度の時間を設定することができる。
以上のように、本実施例においては、全ての膜厚センサ30の検知結果が正常で、一つ以上のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であると判断された場合、及び、少なくとも一つの膜厚センサ30の検知結果が異常で、全てのパーティクルセンサ200による検知結果が正常な場合には、各センサによる検知動作が継続されたまま、短期間(第3の期間i3)の間、蒸着処理が停止される。そして、この短期間(第3の期間i3)内に全ての検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。この理由は、上記実施例1で説明した通りである。
そして、少なくとも一つの膜厚センサ30と複数のパーティクルセンサ200の検知結果について異常であると判断された場合には、長期間(第4の期間)の間、蒸着処理が停止される。そして、この長期間(第4の期間)内に全ての検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。そうでない場合には、蒸着処理は終了する。
更に、少なくとも一つの膜厚センサ30と単一のパーティクルセンサ200の検知結果について異常であると判断された場合には、異常であると判断された蒸発源アセンブリ100B1,B2において、蒸着処理を行っていた坩堝110(位置P1に配された坩堝110)による蒸着処理を終了させる制御がなされる。この理由は、上記実施例1で説明した通りである。そして、このような場合でも、セルチェンジが行われて蒸着処理が継続されるため、成膜装置としての生産性を維持することができる。
本実施例の多数の蒸発源を搭載した装置構成では、パーティクルセンサを蒸発源アセンブリの中央の位置に配置することで、装置の小型化を実現している。また、多くの蒸発源を用いているにもかかわらず、少ないパーティクルセンサの数(蒸発源の数よりも少ない)で、蒸着状態を高い精度で検知することができる。また、パーティクルセンサと膜厚センサの両方を用いて成膜プロセスの制御を行うため、良品率や歩留まりが高い成膜装置と
することができる。特に、連続生産時に、装置の停止時間が短い成膜装置とすることができる。なお、本実施例においても、パーティクルセンサの検知結果を蒸発源の制御に用いる構成のみには限定されない。
(実施例4)
図9及び図10を参照して、実施例4に係る成膜装置について説明する。図9は実施例4に係る成膜装置の概略構成図であり、同図(a)は成膜装置内における蒸発源とパーティクルセンサを示す平面図であり、同図(b)は成膜装置内における蒸発源とパーティクルセンサを示す正面図(同図(a)中のV3方向に見た図)であり、同図(c)は成膜装置内における蒸発源とパーティクルセンサを示す側面図(同図(a)中のV4方向に見た図)である。また、図10は実施例4に係る成膜装置の制御フロー図である。
<成膜装置の構成>
本実施例に係る成膜装置1において、チャンバ10、真空ポンプ20、膜厚センサ30、基板S及びマスクMについては、上記実施形態で説明した通りであるので、その説明は省略する。
本実施例に係る蒸発源100Cはリニア蒸発源である。蒸発源100Cはケース150の内部に坩堝110が設けられている。図示の例では、一つの坩堝110が設けられる場合を示しているが、一つのケース内に複数の坩堝を設ける構成を採用することもできる。そして、ケース150の上部には、坩堝110内で蒸発又は昇華された物質を放出するための複数のノズル151が設けられている。本実施例の場合、坩堝における蒸着材料の放出口はノズル151の先端に相当する。また、ケース150自体に加熱装置やリフレクタを設けることもできる。更に、本実施例の場合、ケース150自体に上記の実施形態で説明したキャップ112としての機能を兼ね備えさせることができる。
そして、本実施例では、2か所にパーティクルセンサ200が配されている。ただし、パーティクルセンサ200については、ノズル151の個数などに応じて3か所以上設けることもできる。パーティクルセンサ200の検知部分210の配置については、上記実施形態で説明した通りである。また、ノズル151の先端(坩堝110における蒸着材料の放出口)と、このノズル151に最も近い位置に配された検知部分210との位置関係については、上記実施形態で説明した通りである。本実施例では、坩堝の放出口と検知部分210の間の水平距離(複数のノズル151の中で検知部分210から最も近いノズル151の放出口についての水平距離)は300mmであり、検出部分210は放出口より200mm低い位置にある。
本実施例では、リニア蒸発源の端部の上方に、一つの膜厚センサ30が配されている。蒸発源100Cとパーティクルセンサ200と膜厚センサ30を、一緒に、基板の成膜面と平行方向に走査移動することで、基板全面にわたっての成膜がなされる。必要であれば、蒸発源が水平方向に複数回の往復移動をすることが可能である。また、基板への成膜を行わない際には、基板には蒸着物が成膜されない位置(退避位置)に、移動することができるようになっている。
より具体的には、駆動装置70によって、蒸発源100Cとパーティクルセンサ200と膜厚センサ30が一体的に往復移動するように構成されている。駆動装置70は、一対のレール71と、一対のレール71に沿って往復移動可能に構成された台座72と、モータなどの駆動源73と、駆動源73によって回転するボールねじ74とを備えている。台座72には、ボールねじ74が挿通される挿通孔72aが設けられており、この挿通孔72aの内周面にナットが形成されると共に、ボールねじ74とナットとの間に無限循環するように構成される複数のボールが設けられている。以上の構成により、駆動源73によ
ってボールねじ74が正逆回転することで、台座72が一対のレール71に沿って往復移動する。この台座72に、蒸発源100Cとパーティクルセンサ200と膜厚センサ30が固定されている。なお、本実施例においては、ボールねじ機構によって、蒸発源100C等を往復移動させる場合の構成を示したが、蒸発源100C等を往復移動させる構成については、ラックアンドピニオン方式など、各種公知技術を採用することができる。
本実施例の場合には、蒸発源100Cから放出される蒸着材料が基板Sに達しない位置(退避位置)まで蒸発源100Cを移動させることができるため、上記実施形態で示した各種シャッタを設ける必要はない。
<蒸発源の制御手順>
成膜装置1において、退避位置において蒸発源100Cの加熱がなされ、膜厚センサ30で検出される成膜レートが所定の値に安定した後に、成膜処理が開始される(STAS)。制御装置40からの命令により、基板の搬入、基板SとマスクMの位置決めがなされた後で、リニア蒸発源が移動することで基板への蒸着処理が実行される(STC1)。移動の際には、リニア蒸発源とともに膜厚センサ30とパーティクルセンサ200も移動する。蒸着処理の実行中は、膜厚センサ30からの検知信号と全てのパーティクルセンサ200からの検知信号が制御装置40に送られ続ける。制御装置40においては、膜厚センサ30による検知結果が異常か否か(STD2)、及び、全てのパーティクルセンサ200による検知結果が異常か否か(STD3)を判断する。制御装置40は、いずれも正常(異常ではない)と判断した場合には、膜厚センサ30によって得られる積算膜厚がtに達したか否かを判断する(STD4)。積算膜厚tについては、実施例1で説明した通りである。各センサによる検知結果がいずれも正常で、かつ積算膜厚がtに達しない限り、蒸着処理が実行され続ける。
ステップSTD4において、積算膜厚がtに達したと判断された場合には、蒸着処理は終了する(STDE)。その後は、蒸発源100Cの加熱を停止して降温後に、チャンバ10の内部は大気圧に戻されて、坩堝110に対して蒸着材料mを補充するなど、各種のメンテナンスが行われる。
そして、ステップSTD2において、膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果については正常である(異常ではない)と判断された場合には(STD5)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま、蒸発源を待機位置へ移動させ、基板への蒸着処理を停止させる(STD7)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第3の期間i3に達したか否かを判断する(STD8)。なお、膜厚センサ30による検知結果が異常で、パーティクルセンサ200による検知結果については正常の状態が継続される限り、ステップSTD2,ステップSTD5,ステップSTD7,ステップSTD8が繰り返される。蒸着処理が停止されてから第3の期間i3に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STD2,STD3)には、ステップSTD4を経た後に、蒸着処理が再開される(STD1)。
蒸着処理が停止されてから第3の期間i3に達する前に、両者のセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合には、蒸着処理は終了する(STDE)。
また、ステップSTD2において、膜厚センサ30による検知結果が正常である(異常ではない)と判断され、一つ以上のパーティクルセンサ200による検知結果について異常であると判断された場合にも(STD3)、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま蒸発源を待機位置へ移動させ、基板への蒸着処理を停止させる(STD7)。その後の手順は、上記と同様である。ただし、膜厚センサ30による検知結果が正
常で、一つ以上のパーティクルセンサ200による検知結果については異常の状態が継続される限り、ステップSTD2,ステップSTD3,ステップSTD7,ステップSTD8が繰り返される点については上記と異なる。
そして、ステップSTD2において、膜厚センサ30による検知結果が異常であると判断され、パーティクルセンサ200による検知結果についても異常であると判断された場合には(STD5)、制御装置40は、単数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であるのか、複数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であるのかを判断する(STD6)。
単数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であると判断した場合には、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま蒸発源を待機位置へ移動させ、基板への蒸着処理を停止させる(STD7)。その後の手順は、上記と同様である。ただし、膜厚センサ30による検知結果が異常で、単数のパーティクルセンサ200による検知結果については異常の状態が継続される限り、ステップSTD2,ステップSTD5,ステップSTD6,ステップSTD7,ステップSTD8が繰り返される点については上
記と異なる。
ステップSTD6において、複数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であると判断した場合には、制御装置40は、各センサによる検知動作を継続させたまま蒸発源を待機位置へ移動させ、基板への蒸着処理を停止させる(STD9)。その後、制御装置40は、蒸着処理を停止してからの経過期間が予め定められた第4の期間i4に達したか否かを判断する(STD10)。この第4の期間i4は、第3の期間i3よりも長い期間(i4>i3)に設定される。なお、膜厚センサ30による検知結果が異常で、複数のパーティクルセンサ200による検知結果についても異常な状態が継続される限り、ステップSTD2,ステップSTD5,ステップSTD6,ステップSTD9,ステップS
TD10が繰り返される。蒸着処理が停止されてから第4の期間i4に達する前に、全てのセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断された場合(STD2,STD3)には、ステップSTD4を経た後に、蒸着処理が再開される(STD1)。
蒸着処理が停止されてから第4の期間i4に達する前に、全てのセンサからの検知結果がいずれも正常であると判断されない場合(STD10)には、蒸着処理は終了する(STDE)。
第3の期間i3としては、たとえば数10秒から数10分の間の時間を設定することができる。第4の期間i4としては、たとえば数分から1時間程度の時間を設定することができる。
以上のように、本実施例においては、膜厚センサ30の検知結果が正常で、一つ以上のパーティクルセンサ200による検知結果が異常であると判断された場合、及び、膜厚センサ30の検知結果が異常で、パーティクルセンサ200による検知結果が正常又は単数のパーティクルセンサ200による検知結果が異常な場合には、各センサによる検知動作が継続されたまま、短期間(第3の期間i3)の間、蒸着処理が停止される。そして、この短期間(第3の期間i3)内に全ての検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。この理由は、上記実施例1で説明した通りである。
これに対して、膜厚センサ30と複数のパーティクルセンサ200の検知結果について異常であると判断された場合には、長期間(第4の期間)の間、蒸着処理が停止される。そして、この長期間(第4の期間)内に全ての検知結果が正常であると判断された場合には、蒸着処理が再開される。そうでない場合には、蒸着処理は終了する。
本実施例の装置構成では、パーティクルセンサを適切な位置に配置し、蒸発源と膜厚センサを一緒に走査移動する構成とすることで、蒸着状態を高い精度で検知することができる。また、パーティクルセンサと膜厚センサの両方を用いて成膜プロセスの制御を行うため、良品率や歩留まりが高い成膜装置とすることができる。なお、本実施例においても、パーティクルセンサの検知結果を蒸発源の制御に用いる構成のみには限定されない。
(実施例5)
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施例3および4に係る成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成を示し、有機EL表示装置の製造方法を例示する。
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図11(a)は有機EL表示装置800の全体図、図11(b)は1画素の断面構造を表している。
図11(a)に示すように、有機EL表示装置800の表示領域801には、発光素子を複数備える画素802がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域801において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例に係る有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子802R、第2発光素子802G、第3発光素子802Bの組み合わせにより画素802が構成されている。画素802は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組み合わせで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
図11(b)は、図11(a)のS-S線における部分断面模式図である。画素802は、複数の発光素子からなり、各発光素子は、基板803上に、第1電極(陽極)804と、正孔輸送層805と、発光層806R、806G、806Bのいずれかと、電子輸送層807と、第2電極(陰極)808と、を有している。これらのうち、正孔輸送層805、発光層806R、806G、806B、電子輸送層807が有機層に当たる。また、本実施例では、発光層806Rは赤色を発する有機EL層、発光層806Gは緑色を発する有機EL層、発光層806Bは青色を発する有機EL層である。発光層806R、806G、806Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。
また、第1電極804は、発光素子毎に分離して形成されている。正孔輸送層805と電子輸送層807と第2電極808は、複数の発光素子802R、802G、802Bで共通に形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極804と第2電極808とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極804間に絶縁層809が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層810が設けられている。
図11(a)では正孔輸送層805や電子輸送層807は一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によっては、正孔ブロック層や電子ブロック層を備える複数の層で形成されてもよい。また、第1電極804と正孔輸送層805との間には第1電極804から正孔輸送層805への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極808と電子輸送層807の間にも電子注入層が形成することもできる。
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極804が形成された基板803を準備する。
第1電極804が形成された基板803の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極804が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層809を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
絶縁層809がパターニングされた基板803を第1の有機材料成膜装置に搬入し、基板支持台及び静電チャックにて基板を保持し、正孔輸送層805を、表示領域の第1電極804の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層805は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層805は表示領域801よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
次に、正孔輸送層805までが形成された基板803を第2の有機材料成膜装置に搬入し、基板支持台及び静電チャックで保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板803の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層806Rを成膜する。
発光層806Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層806Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層806Bを成膜する。発光層806R、806G、806Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域801の全体に電子輸送層807を成膜する。電子輸送層807は、3色の発光層806R、806G、806Bに共通の層として形成される。
第1から第4の有機材料成膜装置には、実施例4に記した構成の成膜装置および成膜方法を適用している。
電子輸送層807まで形成された基板を金属蒸着材料成膜装置に移動させて第2電極808を成膜する。金属蒸着材料成膜装置には、実施例3に記した構成の成膜装置および成膜方法を適用している。
その後プラズマCVD装置に移動して保護層810を成膜して、有機EL表示装置800が完成する。
絶縁層809がパターニングされた基板803を成膜装置に搬入してから保護層810の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本実施例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
本実施例の装置構成では、パーティクルセンサを適切な位置に配置することで、蒸着状態を高い精度で検知することができる。また、パーティクルセンサと水晶振動子の両方を用いて成膜プロセスの制御を行うため、良品率や歩留まりが高い成膜装置とすることができる。特に、有機EL表示装置の連続生産時に、装置の停止時間が短い製造装置とすることができる。
1…成膜装置 10…チャンバ 20…真空ポンプ 30…膜厚センサ 40…制御装置 100A,100B1,B2…蒸発源アセンブリ 100,100C…蒸発源 110…坩堝 111…容器 112…キャップ 112a…貫通孔 113…加熱装置 115…リフレクタ 120…回転台 130…駆動源 140…カバー 141…開口部
150…ケース 151…ノズル 200…パーティクルセンサ 210… 検知部分
220…リフレクタ

Claims (17)

  1. 蒸着材料を収容する坩堝を有する蒸発源と、
    前記坩堝の傍らに設けられ、飛散する蒸着材料を検知する検知手段と、を備える
    ことを特徴とする成膜装置。
  2. 前記検知手段の検知範囲が、前記坩堝から放出される液体状または固体状の蒸着材料の飛散する領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 蒸着材料を収容する坩堝を有する蒸発源と、
    パーティクルを検知する検知手段と、を備え、
    前記検知手段の検知範囲が、前記坩堝から放出される液体状または固体状の蒸着材料の飛散する領域を含むことを特徴とする成膜装置。
  4. 前記液体状または固体状の蒸着材料は、スプラッシュ現象により前記坩堝から放出されることを特徴とする請求項2または3に記載の成膜装置。
  5. 前記検知手段による検知結果に基づいて前記蒸発源の動作を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の成膜装置。
  6. 前記検知手段における検知部分の少なくとも一部は、前記坩堝における蒸着材料の放出口よりも鉛直方向下方に配されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の成膜装置。
  7. 前記坩堝における蒸着材料の放出口と、前記検知手段における検知部分との水平距離が0cmより大きく70cm以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の成膜装置。
  8. 前記坩堝における蒸着材料の放出口と、前記検知手段における検知部分との水平距離が0cmより大きく50cm以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の成膜装置。
  9. 複数の前記蒸発源と、回転することによって複数の前記蒸発源の位置を変更する回転台と、
    を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の成膜装置。
  10. 前記検知手段は前記回転台の中央に配されることを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
  11. 前記検知手段による検知結果に基づいて、前記回転台を回転させて蒸着処理を行う蒸発源を切り替えることを特徴とする請求項9または10に記載の成膜装置。
  12. 前記蒸発源は、坩堝内に収容される蒸着材料と成膜される基板との間に配される遮蔽部材を備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載の成膜装置。
  13. 前記基板における成膜面上の任意の点と、前記坩堝に収容される蒸着材料の表面上の任意の点とを結ぶ仮想直線の全てを遮るように前記遮蔽部材が配されていることを特徴とする請求項12に記載の成膜装置。
  14. 前記検知手段は、前記検知手段における検知部分が鉛直方向上向きとなるように配され
    ることを特徴とする請求項1~13のいずれか一つに記載の成膜装置。
  15. 前記検知手段と前記蒸発源との間には前記蒸発源からの熱を遮るリフレクタが配されることを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の成膜装置。
  16. 前記蒸着材料は金属であることを特徴とする請求項1~15のいずれか一つに記載の成膜装置。
  17. 請求項1~16のいずれか一つに記載の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法であって、
    前記蒸発源を用いて基板に成膜を行う工程と、
    前記検知手段を用いて蒸着材料を検知する工程と、を備える
    ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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