JP2022188145A - 精神障害を治療するためのシステムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンピュータを利用して精神障害を治療するためのシステムおよび方法を提供する。【解決手段】精神障害を持つ患者の治療セッションにおいて、複数の表現画像中の各表現画像を順次表示する。各表現画像は個別の表現に関連付けられている。画像の連続表示は、それぞれN個の表現画像からなる一連の表現画像サブセットのタイルとして解釈される。各サブセットの表示が完了すると、ユーザは、各サブセット内の最初の画像と最後の画像が同じ感情を表わすか否かについて尋ねられる。患者が正しく反応することを学んだかどうかに基づいて、各サブセットのスコアが決定される。これらのスコアに基づいて、各サブセット内の画像の数が新しい数に調整される。スコアの少なくとも一部に基づいて、治療レジメンを精神障害の患者に処方する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年9月23日に出願された米国仮出願第62/054371号の「精神障害を治療するためのシステムおよび方法」に対し優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた調査開発の記載
本発明は、国立衛生調査所により授与された1K23MH099223-01A1に基づく政府の支援によってなされた。政府は本発明に特定の権利を有する。
本発明は、精神障害の治療に関する。より具体的には、本発明は、情動障害(AD)に関連する治療に関する。
大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)および不安障害のように、ネガティブな影響(情動障害AD)によって特徴づけられる精神障害に向けたより効果的な治療が急務である。そのようなADは、一般に、機能障害であり、コストが高くつく。実際に、世界中で3.5億の人々がうつ病に苦しんでいると推定され、これは15-44歳のアメリカ人に障害をもたらす主要な原因である。利用可能な緩和促進療法が被験者のわずか3分の1であるため、新規な治療介入が必要である。
情動障害(AD)を含む精神障害は、これらの疾患に関与する脳領域のネットワークを刺激する神経行動療法(NBT)によって治療することができる。特に、認知感情トレーニングは、そのようなADにおいて障害を受けている脳領域(例えば、背外側PFC(DLPFC)および扁桃体)を同時に活性化する情緒情報処理の認知制御を強化することができる。特定のオペレーションまたはメカニズム理論に束縛されることなく、そのような認知感情トレーニングを行って作業記憶の感情情報を操作する能力を行使することにより、感情物質および感情調節の認知制御が高められ、抗うつ効果があると考えられる。
ここに提供される一態様は、精神障害の治療のためのコンピューティングシステムである。このコンピューティングシステムは、1つ以上のプロセッサ、メモリー、および一つまたは複数のプログラムを含む。一つまたは複数のプログラムは、メモリーに格納され、精神障害の治療を必要とする患者を治療するために、一つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される。一つまたは複数のプログラムは、治療セッションを行い、精神障害用の治療レジメンを患者に処方するための命令を含む。治療セッションは、所定時間のあいだ、複数の表現画像中の各表現画像を順次表示することを含む。複数の表現画像中の各表現画像は、(i)一組の表現におけるそれぞれの表現に独立して関連付けられ、(ii)それぞれの表現の低強度から高強度までの範囲の強度スケールによってそれぞれの表現の所定の強度を表示するように設計される。つまり、表現画像は、表現がある強度を表示するように設計される(例えば、レベル1は90%強度の表現画像を含み、レベル2は80%強度の表現画像を含み、レベル3は70%強度の表現画像を含み、レベル4は60%強度の表現画像を含み、レベル5は画像中に50%の感情強度を備えた表現画像を含む)。これは、レベルにわたってタスクの難しさに貢献する。これは、セッションを通して参加と学習を増やすことを目的としている。
各表現画像は独立して、最後のN表現画像のスライディングウィンドウを表示するけれども、「表現画像サブセット」と呼ばれる。このように、すべての表現画像が表示された時点で、複数の表現画像サブセットが必ず表示される。したがって、治療セッションでは、複数の表現画像中各表現画像サブセット内の表現画像の完了(例えば表示)に応答し、各表現画像サブセット内の最初と最後の表現画像が同じ感情を示すかどうかについての問合せに対する患者からの反応が受け取られる。つまり、患者は、各表現画像サブセットが表示された後に、表現画像サブセット内の最初と最後の表現画像が同じ表現を暗示するか否かについて尋ねられる。複数の表現画像中の各表現画像サブセットは、順次表示されるN個の表現画像で構成される。Nの値は、患者が達成した治療セッションのステージで決定される所定の整数である。治療セッションでは、スコアが、(a)各表現画像サブセットについての問合せに対する反応、(b)各表現画像サブセット内の最初の表現画像に関連する表現、および、(c)各表現画像サブセットにおける最後の表現画像に関連する表現に、少なくとも部分的に基づく複数の表現画像サブセット内の各表現画像サブセットに対して決定される。このように複数のスコアが決定される。治療セッションは、複数のスコアに少なくとも部分的に基づいて、Nの値を新たな正の整数値にリセットすることによって継続する。いくつかの任意の実施形態では、治療セッションが、Nのリセット値または上記特定のスコアリングプロセスのいくつかの他の態様に少なくとも部分的に基づいて、患者に治療レジメンを処方することによって継続する。
いくつかの実施態様では、精神障害は情動障害(AD)である。ある実施形態では、ADが大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害、社会恐怖症、強迫性障害、治療抵抗性うつ病、または境界性人格障害である。ある実施形態では、情動障害がMDDである。
いくつかの実施形態では、治療セッション中に、表示、受け取り、決定およびリセットが順番に複数回繰り返される。ある実施形態では、治療セッションの間に、表示、受け取り、決定およびリセットが順番に10-20回繰り返される。
いくつかの実施形態では、初期リセット前のN値が1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。ある実施形態では、初期リセット前のN値が2である。
いくつかの実施形態では、10-20の各表現画像サブセットがある。ある実施形態では、20の各表現画像サブセットがある。
いくつかの実施形態では、各表現画像サブセットが重複している。ある実施形態では、表現画像サブセットがN-1個の画像だけ他のそれぞれの画像サブセットに重複している。
コンピューティングシステムのいくつかの実施形態では、一組の表現が幸せ、心配、怒りおよび悲しみを含む。いくつかの実施形態では、2つ、3つ、4つまたは5つの異なる表現画像があり、それらが一組の表現における各表現に独立的に関連する。
いくつかの実施形態では、治療セッションが数週間にわたって反復ベースで繰り返される。いくつかの実施形態では、治療セッションが、患者に治療レジメンを処方する前に、数週間にわたって反復ベースで繰り返される。ある実施形態では、処方する前に、治療セッションが数週間わたって2-10回繰り返される。
いくつかの実施形態では、治療レジメンが、治療セッションの行われる頻度ならびに治療セッションが行われる絶対回数によって特徴付けられる。
いくつかの実施形態では、治療レジメンが、治療セッションが行われる頻度ならびに治療セッションが行われる絶対回数により特徴付けられ、さらに、医薬組成物の使用によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、情動障害がMDDであり、医薬組成物が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、認知増強剤、ケタミンまたはケタミン誘導体またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、情動障害が心的外傷後ストレス障害(PTSD)であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、情動障害は一般的不安障害であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、認知増強剤、ケタミンまたはケタミン誘導体またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、情動障害は社会恐怖症であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、情動障害は強迫神経症であり、医薬組成物はSSRI、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、情動障害は境界性人格障害であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、ケタミンまたはケタミン誘導体、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態では、治療レジメンが、治療セッションが行われる治療セッションごとの頻度、ならびに、治療セッションが行われる絶対回数により特徴付けられ、さらに、脳刺激介入の使用によって特徴付けられる。ある実施形態では、脳刺激介入が背外側前頭前野(DLPFC)を刺激する。ある実施形態では、脳刺激介入が経頭蓋直流刺激である。
いくつかの実施形態では、治療レジメンが、治療セッションが行われる頻度ならびに治療セッションが行われる絶対回数により特徴付けられ、さらに、情動障害用の心理療法の使用によって特徴付けられる。ある実施形態では、精神療法が情動障害のために経験的に支援される精神療法である。ある実施形態では、精神療法は認知行動精神療法である。
いくつかの実施形態では、それぞれの画像が表示される所定の時間が10秒未満である。いくつかの実施形態では、それぞれの画像が表示される所定の時間が0.2秒-10秒である。
いくつかの実施形態では、複数の表現画像中の各表現画像がグレースケール表示される。他の実施形態では、複数の表現画像中各表現画像がカラーである。さらに他の実施形態では、複数の表現画像がカラーおよびグレースケール表示された表現画像を含む。
いくつかの実施形態では、処方することが、処方医師による評価のためにスコアをリモートサーバーに伝えることを含む。
いくつかの実施形態では、順次表示するステップが、複数の表現画像を記憶するデータベースから複数の表現画像を検索するステップを含む。このようなデータベースは、複数の表現画像中各表現画像のために、各表現画像に関連付けられた感情を記憶する。
いくつかの実施形態では、複数のスコアが、各表現画像サブセットにおける最初と最後の表現が同じであるかどうかについての問合せに対する患者からの正しい反応の総数として決定される。ある実施形態では、Nのリセットは、反応の総数と比較したときの、問合せに対する患者からの正しい反応の割合に少なくとも部分的に基づく。いくつかの実施形態では、正しい反応の割合が第1閾値パーセンテージより大きいときに、NがN+Yにリセットされ、正しい反応の割合が第2閾値パーセンテージより小さいときに、NはN-Yにリセットされ、正しい反応の割合が第1閾値パーセンテージと第2閾値パーセンテージの間にあるときは、Nがリセットされない。いくつかの実施形態では、Yの値が1である。いくつかの実施形態では、Yの値がNの大きさによって決定される整数値である。例えば、一実施形態では、Nが5以下である場合、Yは1であり、一方、Nが6以上の場合、Yは2である。
いくつかの実施形態では、複数の治療セッション処置プロトコル中から適切な治療セッション処置プロトコルを選択するために、治療セッションを行う前に、患者の初期評価が保持される。ある実施形態では、初期評価が、患者の認知機能および/または感情機能に関する情報を得ることを含む。
いくつかの実施形態では、治療レジメンの処方が、トレーニングセッション後の患者の認知機能および感情機能に少なくとも部分的に基づく。いくつかの実施形態では、治療を行った後に患者が評価される。このような実施形態では、患者の評価が、少なくとも部分的に、患者に対する処方療法を処方するための基礎として使用される。ある実施形態では、評価が、患者の認知機能および/または感情機能の評価である。
いくつかの実施形態では、患者が、治療セッション中の各表現画像サブセットについて決められたスコアに少なくとも部分的に基づくパフォーマンス評価を受ける。いくつかの実施形態では、患者が、治療セッションの複数のスコアに少なくとも部分的に基づくパフォーマンス評価を受ける。いくつかの実施形態では、患者が、複数の治療セッションの複数のスコアに少なくとも部分的に基づくパフォーマンス評価を受ける。
いくつかの実施形態では、治療セッションが、患者に治療レジメンを処方する前に、数週間にわたる反復ベースで繰り返され、さらに、患者が、治療されるべき精神障害の一つまたは複数の症状の存在について断続的に評価される。ある実施形態では、治療されるべき精神障害の一つまたは複数の症状の存在についての断続的な評価が、患者健康アンケート(PHQ)検査(例えば、PHQ-2,PHQ-9,PHQ-15、GAD-7等)を含む。
請求項1-35の何れか一つのコンピューティングシステムでは、複数の表現画像中の少なくとも一つの表現画像が顔の表情ではない。
請求項1-35の何れか一つのコンピューティングシステムでは、複数の表現画像中の各表現画像が顔の表情ではない。
請求項1-35の何れか一つのコンピューティングシステムでは、複数の表現画像中の少なくとも一つの表現画像が顔の表情である。
請求項1-35の何れか一つのコンピューティングシステムでは、複数の表現画像中の各表現画像が顔の表現である。
いくつかの実施形態では、それぞれの表示された表現画像の強度スケール上のそれぞれの表現の所定の強度は、治療セッションを通じて低強度から高強度に増加する。いくつかの実施形態では、治療セッションは、患者のうつ症状を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%まで減少させる。
いくつかの実施形態では、複数の表現画像中の少なくとも一つの表現画像が顔の表情ではない。いくつかの実施形態では、複数の表現画像中の各表現画像が顔の表情ではない。いくつかの実施形態では、複数の表現画像中の少なくとも一つの表現画像が顔の表情である。いくつかの実施形態では、複数の表現画像中の各表現画像は顔の表情である。
本発明の上記実施ならびにその追加の実施のより良い理解のために、以下の実施の説明を以下の図面と併せて参照されたい。以下の図面において、図面全体を通して同じ参照番号は対応する部分を示す。
図1は、いくつかの実施形態に従って、精神障害の治療を必要とする患者に治療を提供するための電子ネットワークのブロック図である。 図2は、いくつかの実施形態に従って、図1に示された患者デバイスメモリーのブロック図である。 図3A-3Cは、いくつかの実施形態に従って、精神障害を治療するための方法のフローチャートである。 図4Aは、EFMT治療セッションを受けるMDDを備えたグループとCT比較グループとの間におけるうつ病重症度の経時変化を示すグラフである。このグラフに示されているように、EFMTグループの経時変化(21.55-10.91;p<0.001,d=2.67)はCTグループの経時変化(19.80-14.10;p=.01、d=1.08)よりも有意な減少を示している。グループ間のMDD症状の経時変化量(EFMT=-10.64;CT=-5.7)の差はd=0.82と大きい。 図4Bは、EFMT治療セッションを受けるMDDを持つグループとCT比較グループとの間における短期記憶のネガティブな感情バイアスの経時変化を示すグラフである。このグラフに示されているように、ネガティブな自己参照情報(遅れた後に正確に想起されるネガティブな自己説明の割合)は、EFMT参加者で、.1852-.1697(p=.037、d=-.79)と有意な減少を示したのに対し、CTグループでは、.1845-.1885(p=.535、d=.27)と小さくかつ有意ではなかった。グループ間の変化量の差はd=0.60と中程度であった。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体例が詳細に述べられている。しかしながら、当業者には、これらの詳細な説明なしに、本発明を実施できることは明らかであろう。
実施例の説明
本明細書に記載の実施形態は、精神障害に向けた治療を提供することによって、精神障害を持つ人間被験者の健康を改善するための様々な技術的解法を提供する。以下、実施形態の詳細を図面に関して説明する。
図1は、いくつかの実施形態による精神障害治療用の電子ネットワーク100の概略図である。ネットワーク100は、通信経路によって相互接続される一連の点またはノードを含む。ネットワーク100は、他のネットワークと相互接続することができるサブネットワーク、具体的には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはグローバルネットワーク(インターネット)を含むことができる。さらに、ネットワーク100は、WAP(無線アプリケーションプロトコル)、TCP/IP(伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル)、NetBEUI(NetBIOS拡張ユーザインターフェース)、またはIPX/SPX(インターネットワークパケット交換/シーケンスパケット交換)。さらに、ネットワーク100は、音声、データ、または両方、どの種類の信号を搬送するのか、ネットワーク100が誰によって使用されるのか(公衆であるか私的であるか)、その接続の通常の属性(例えばダイヤルアップ、専用、交換、非交換、または仮想接続など)によって特徴付けられる。
ネットワーク100は、複数の患者機器110を少なくとも一つの精神障害治療サーバー102に接続する。この接続は、イントラネット、無線ネットワーク、セルラーデータ・ネットワーク、または、好ましくはインターネットを含む通信または電子ネットワーク106を介して作られる。接続は、例えば、同軸ケーブル、銅線(限定されないが、PSTN、ISDN、およびDSLを含む)、光ファイバ、無線、マイクロ波、または衛星リンクなどの通信リンク108を介して作られてもよい。デバイスとサーバー間の通信は、好ましくは、インターネットプロトコル(IP)、または、必要に応じて安全な同期プロトコルを介して行われ、その代わりに、電子メール(Eメール)を介して行ってもよい。
精神障害治療サーバー102は、患者機器110とは別個のものとして図1に示され、以下に説明される。精神障害治療サーバー102は、少なくとも一つのデータプロセッサまたは中央処理装置(CPU)212、サーバーメモリー220、(オプションで)ユーザインターフェース機器218、通信インターフェース回路216、およびこれらの要素を相互接続する少なくとも一つのバス214を備える。サーバーメモリー220はオペレーティングシステム222を含み、オペレーティングシステム222が通信、データ処理、データアクセス、データ格納、データ検索等のための命令を格納する。また、サーバーメモリー220は、リモートアクセスモジュール224および表現画像ライブラリ(データベース)226を含む。いくつかの実施形態では、リモートアクセスモジュール224は、精神障害治療サーバー102と通信ネットワーク106との間でデータを通信(送受信)するために使用される。いくつかの実施形態では、表現画像データベース226は、本明細書中で提供されるコンピューティングシステムの一つまたは複数のプログラム(例えば、治療セッションを行うためのプログラム)が用いる表現画像を格納するために使用される。
ある実施形態では、サーバーメモリー220が、複数の患者プロファイル230-1-230-Zを含む患者データベース228をさらに備える。いくつかの実施形態では、各患者プロフィール230-1-230-Zは、限定するものではないが、本明細書に記載の治療セッションのパフォーマンススコア、治療セッション前後の評価セッション、および/または治療セッション履歴等の患者情報232を含む。ある実施形態では、患者プロフィール230は、患者の連絡先詳細、患者の病歴に関する情報、患者の医療保険の詳細等をさらに含む。いくつかの実施形態では、患者データベース228が、さらに、精神障害治療プランに関する情報、例えば、これらに限定されないが、本明細書に記載される治療セッションを行う頻度、治療セッションが行われた絶対回数、および/または処方される任意の医薬品、または他の治療(例えば、治療される精神障害に関連する脳領域および神経回路網を標的とする薬物および他の精神療法)で提供される処置と同時に投与される医薬品などの情報を含む。
いくつかの実施形態では、患者機器110は、本明細書に記載されたような精神障害の治療を必要とする患者によって使用される機器である。 患者機器110は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどのリモートクライアントコンピューティング機器を介して通信ネットワーク106にアクセスする。いくつかの実施形態では、患者機器110は、精神障害治療サーバー102に関連して説明したものと同様のデータプロセッサまたは中央処理装置(CPU)、ユーザインターフェースデバイス、通信インターフェース回路、およびバスを含む。この機器110は、後述するように表現画像を表示するためのディスプレイ121を備えている。また、患者機器110は以下に説明するメモリー120を含む。メモリー220および120は、ランダムアクセスメモリー(RAM)などの揮発性メモリーと、ハードディスクまたはフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーの両方を含むことができる。
図2は、いくつかの実施形態に従って図1に示された患者デバイスメモリー120のブロック図である。患者機器メモリー120は、オペレーティングシステム122とリモートアクセスモジュール124とを含み、リモートアクセスモジュール124はサーバーメモリー220(図1)内のリモートアクセスモジュール224(図1)と互換性がある。
いくつかの実施形態では、患者機器メモリー120が治療セッションモジュール126を含む。治療セッションモジュール126は、以下に詳述するように、治療プログラムを実行するための命令を含む。いくつかの実施形態では、治療セッションモジュール126は、治療セッションを行うための一つまたは複数のモジュールを含む。例えば、いくつかの実施形態では、患者機器メモリー120に含まれる治療セッションモジュール126は、ディスプレイモジュール128、受信モジュール130、決定モジュール132、およびリセットモジュール134を含む。
いくつかの実施形態では、患者機器メモリー120が処方プログラム136を含み、処方プログラム136が本明細書に記載の治療を受ける患者に対する治療レジメンを処方するための命令を含む。いくつかの実施形態では、処方することが、治療セッションプログラム126によって生成された結果(例えば、以下で詳述するようなNのリセット値)に少なくとも部分的に基づく。
いくつかの実施形態では、患者データベース138は、患者機器110を使用して患者に関するデータを記憶する患者データベース138を含む。いくつかの実施形態では、患者データベース138は、本明細書に記載されたような一つの治療セッションまたは複数の治療セッションのための患者ユーザのパフォーマンススコア、治療セッションの前と後の評価、および/または、治療セッションの履歴に関するデータを格納する。いくつかの実施形態では、患者データベース138は、患者の精神障害治療レジメンに関連する情報、例えば、これらに限定されないが、本明細書に記載されたような治療セッションを実施する頻度、治療セッションが行われる絶対回数、および/または、処方される任意の医薬品、または他の治療(例えば、治療される精神障害に関連する脳領域および神経回路網を標的とする薬物および他の精神療法)で提供される処置と同時に投与される医薬品などの情報を格納する。
いくつかの実施形態では、患者機器メモリー120は、表現画像データベース140も含む。ある実施形態では、表現画像データベースは、後述するように、コンピューティングシステムの治療セッションで使用される表現画像を含む。
上記データベースは、それらの内容を容易にアクセス、管理、および更新できるような方法で編成されたデータを保有していることに留意されたい。データベースは、例えば、フラットファイルデータベース(ただ一つのテーブルのみが各データベースのために使用されるテーブルの型表現を取るデータベース)、リレーショナルデータベース(複数の異なる仕方で再編成されアクセスされるようにデータが定義されるデータベース)、または、オブジェクト指向データベース(オブジェクトクラスとサブクラスで定義されたデータと一致するデータベース)を含む。このデータベースは、単一のサーバーでホストされているか、複数のサーバーに分散されている。 いくつかの実施形態では、表現画像データベース226が存在するが、表現画像データベース140は存在しない。
図3A-3Cは、本発明のコンピュータシステムのいくつかの実施形態による、精神疾患の治療のための方法300を示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、この方法は、本明細書に記載された患者コンピュータシステムの一つまたは複数のプログラムによって実行される。
いくつかの実施形態において、この方法は情動障害(AD)の治療のためのものである。本明細書で使用する「情動障害」は、感情状態の異常(すなわち、気分障害)によって特徴付けられる心理学的障害を指す。情動障害には、例えば、注意欠陥多動性障害、双極性障害、身体異型障害、神経性過食症および他の摂食障害、カタレプシー、気分変調、全般性不安障害、過敏性、過敏性腸症候グループ、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害、治療抵抗性うつ病、および社会不安障害が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、ここで説明される標記システムおよび方法が、大うつ病障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害、社会恐怖症、強迫神経症、治療抵抗性うつ病境界性の人格障害のためのものである。特定の実施形態では、ここで説明される標記システムおよび方法は、MDDの治療のためのものである。
いくつかの実施形態では、標記方法が、A)治療セッション302-326を行うこと、および、B)精神障害の患者に治療レジメン334を処方することを含む。治療セッションを行うことは、所定時間のあいだ複数の表現画像中の各表現画像を順次表示することを含む(304)。ここで、複数の表現画像中の各表現画像は、一組の表現中の一つの表現に関連付けられている。この表現画像の順次表示は、複数の表現画像サブセット中の表現画像サブセットの順次表示として考えることができ、各表現画像サブセットは最後に表示されたN個の表現画像サブセットからなる。例えば、いくつかの実施形態では、各表現画像サブセットが互いに関してタイル張りされ、それぞれが一つの表現画像によって時間的に隣接する表現画像と重複するようになっている。
いくつかの実施形態では、複数の表現画像によって呼び出された一組の表現は、4つ以上の異なる表現(例えば、幸せ、心配、怒り、および悲しみ)を含む(306)。いくつかの実施形態では、何れか2つの連続する表現画像の表示の間の時間量はランダムであり、かつ他の画像が表示される時間の量と無関係である(308)。いくつかの実施形態では、連続する任意の2つの表現画像の表示の間の時間量がランダムであり、かつ連続する任意の2つの画像の表示の間の時間量と無関係である(310)。
治療セッションでは、複数の表現画像内のそれぞれの表現画像サブセットの完了時に、それぞれの画像サブセットにおける最初と最後の表現画像の感情が同じであるかどうかについて患者に問い合わせが行われる(312)。例えば、表現が同じであれば第1のキー(例えば「1」)を、表現が異なる場合には第2のキー(例えば「2」)を押す。それぞれの表現画像サブセットは一時的にタイル張りされているので、これは、いくつかの実施形態で、第1の表現画像サブセットがいったん表示されると、それぞれの表現画像の後で患者に問い合わせをすることと同じである。したがって、それぞれの表現画像サブセットの完了に応答して、各表現画像サブセット内の最初の表現画像および最後の表現画像が同じ感情を示すかどうかに関して、患者から問合せに対する反応が受信される。このような実施形態では、複数の表現画像中の各表現画像サブセットは、N個の連続して表示される表現画像からなり、ここでNは所定の整数(例えば、2,3,4,5,6,7,8,9またはそれ以上)である。いくつかの実施形態では、各表現画像サブセットは重複しており、それぞれのサブセット(時間的に)はN-1個の画像と別のそれぞれの画像サブセットと重複している(Nは各画像サブセット内の表現画像の数である)。いくつかの実施形態では、それぞれの表現画像サブセットは重複しており、各サブセットは時間的にN-2個の画像によって別のそれぞれの画像サブセットと重複している。いくつかの実施形態では、それぞれの表現画像サブセットは重複しており、各サブセットは時間的にN-3個の画像と別のそれぞれの画像サブセットと重複している。いくつかの実施形態では、それぞれの表現画像サブセットは重複しており、N-Yの画像とそれぞれ別の画像サブセットとの各サブセット(時間的に)は重複している。ここで、Nは各画像サブセット内の画像の数であり、YはN未満の整数である。
いくつかの実施形態では、複数の表現画像中にそれぞれ10-20個の表現画像サブセットがある(316)。いくつかの実施形態では、複数の表現画像中にそれぞれ3-100個の表現画像サブセットがある。いくつかの実施形態では、複数の表現画像中にそれぞれ3-50個の表現画像サブセットがある。いくつかの実施形態では、複数の表現画像中にそれぞれ3-30個の表現画像サブセットがある。
治療セッションは、(a)それぞれの表現画像サブセットについての問合せに対する反応、(b)それぞれの表現画像サブセット中の最初の表現画像に関連する表現、(c)それぞれの表現画像サブセット中の最後の表現画像に関連する表現に少なくとも部分的に基づいて、複数の表現画像中のそれぞれの表現画像サブセットに対するスコアの決定を継続し、それによって複数のスコアを決定する(318)。いくつかの実施形態では、複数のスコアは、問合せに対する患者の正しい反応の総数として決定される(320)。
治療セッションは、複数のスコアに少なくとも部分的に基づいて、Nの値を新しい正の整数値にリセットすることによって継続される(322)。いくつかの実施形態では、正の整数Nのリセットは、反応の総数に対する問合せへの患者からの正しい反応の割合に少なくとも部分的に基づく(324)。いくつかの実施形態では、正答率が第1閾値パーセンテージよりも大きい場合、NはN+Qにリセットされ、正答率が第2閾値パーセンテージよりも小さい場合はN-Qにリセットされ、正答率が第1および第2閾値パーセンテージの間にある場合は、リセットされない。一般的にQの値は「1」であるが、他の値(例えば、2,3,4またはN未満の任意の値)も可能である。
いくつかの実施形態では、治療レジメンがNのリセット値に少なくとも部分的に基づいて規定される(334)。
これまで、治療セッションの概要について詳述したので、次に、いくつかの特定の実施形態を説明する。いくつかの実施形態では、治療セッションは(例えば、ステップ302-326に示されているように)、i)所定の時間、複数の表現画像中の各表現画像を順次表示するステップ304を含む。ここで、複数の表現画像中の各表現画像は、一組の表現中の一つの表現に独立的に関連付けられる。ここに提供されるコンピューティングシステムのある実施形態では、順次表示が、患者機器110の患者機器メモリー120に記憶された表示モジュール128に含まれた命令に従って実行される。
いくつかの実施形態では、順次表示することは、複数の表現画像を記憶するデータベース(例えば、表現画像データベース140,226)から検索することを含む。 いくつかの実施形態では、表現画像データベースが、データベースに格納された各表現画像に関連付けられた感情をさらに格納する。ある実施形態では、表現画像を記憶するデータベースは、精神障害治療サーバー102のサーバーメモリー220に含まれる。他の実施形態では、表現画像を記憶するデータベースは、患者機器110の患者機器メモリー120に配置される。
いくつかの実施形態では、表現画像データベース140,226から複数の表現画像を取得した後に、その画像が患者機器110のディスプレイ121によって患者に順次表示される。ある実施形態では、複数の表現画像中の特定の各表現画像が表示される所定時間は、0.1-5.0秒である。ある実施形態では、複数の表現画像中の特定の各表現画像が表示される所定時間は、0.5-3.5秒である。ある実施形態では、表現画像の全てが同じ所定時間のあいだ順次表示される。ある実施形態では、複数中のそれぞれの表現画像が、ランダムにかつ他の画像が表示される時間の長さとは独立した所定の時間で表示される(308)。いくつかの実施形態では、特定の表現画像が表示される所定の時間は、2-10秒の所定の長さの時間セットからランダムに選択された時間である。いくつかの実施形態では、連続する2つの画像の表示の間の時間量は、0.1-5.0秒である。ある実施形態では、連続する2つの画像の表示の間の時間量は、0.75-3.5秒である。ある実施形態では、連続する2つの画像の表示の間の時間量は、順次表示される連続するすべての画像についても同様である。他の実施形態では、連続する任意の2つの画像の表示の間の時間量はランダムであり、連続する任意の2つの他の画像の表示の間の時間量と無関係である(310)。いくつかの実施形態では、2つの連続する画像の表示の間の時間量は、2-10個の一組の決められた時間の長さからランダムに選択される。
いくつかの実施形態では、表現画像は、人間の顔の表情の画像を含む。何れの人間の顔の表情の画像も、ここに提供される主題のシステムおよび方法において使用され得る。表現画像は、男性および/または女性の成人および/または子供の人間の顔の表情、および、同じまたは異なる年齢および民族の人間の顔の表情を表すことができる。ある実施形態では、複数の表現画像の表現画像がグレースケール表示される。他の実施形態では、複数の表現画像の表現画像がカラーである。さらに他の実施形態では、複数の表現画像の表現画像が、グレースケールおよびカラー画像の組み合わせである。いくつかの実施形態では、表現画像が写真である。いくつかの実施形態では、表現画像がイラストである。ある実施形態では、表現画像がアニメ化された表現画像である。いくつかの実施形態では、表現画像が、表現のある強度を表示するように設計される(例えば、レベル1は90%の強度を備えた表現画像を含み、レベル2は80%の強度を備えた表現画像を含み、レベル3は70%の強度、レベル4は60%の強度を備えた表現画像を含み、レベル5は画像中に50%の感情強度を備えた表現画像を含む)。これは、レベル間のタスクの難しさに貢献する。これは、セッションを通して参加と学習を増やすことを目的とする。
いくつかの実施形態では、表現画像が、表現セット中の一つの表現と関連付けられる。いくつかの実施形態では、表現セットが、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の異なる気持ちの表れを含む。いくつかの実施形態では、表現セットが、{苦しみ、怒り、いらいら、羞恥、はにかみ、暗澹、侘しさ、至福、陽気さ、惨忍さ、憂鬱さ、用心深さ、歯がゆさ、怒りっぽさ、大胆さ、混乱した、軽蔑的な、内気、元気がない、詮索好き、無表情、落胆した、意気消沈した、悲観的な、不機嫌、憂いに沈んだ、陰気な、しおれた、夢みるような、大いに喜んで、唖然とした、有頂天な、表情の乏しい、内密の、どんよりした、陰気な、憂鬱な、残忍な、厳粛な、悩んでいる、短気な、怯えた、絶望した、敵意のある、無感動の、憤慨した、無表情な、怖い、立腹した、嘲り、不活発、いやらしい、悪意のある、罵る、腹立たしげな、青ざめた、いらいらした、怒りっぽい、訴えるような、うわの空の、ふくれっ面した、訝しげな、不審そうな、晴れやかな、腹を立てている、悲しそうな、陽気な、冷笑的な、さげすんだ、無愛想な、探るような、まじめな、恥ずかしがった、軽蔑した、くすんだ、ひねくれた、真顔の、むっつりした、すねた、驚いた、疑い深い、厳格な、鈍感な、冷笑する、張り詰めた、険悪な、復讐心に燃えた、青ざめた、用心深い、物欲しそうな、しぼませる、悲惨な、当惑した、激怒した、しかめた、憧れる}から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10または10以上の気持ちの表れからなる。いくつかの実施形態では、表現画像は人間の顔の表情である。しかしながら、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、扁桃体の活性化を誘発する任意の画像(感情的に顕著なまたは喚起的な画像)がある。
ある実施形態では、表現セットが4つの異なる表現を含む。特定の実施形態では、表現セットが{幸せ、心配、怒り、悲しみ}である(306)。ある実施形態において、複数の表現画像は、表現セット内の特定の表現に関連する一つの画像からなる。他の実施形態では、複数の画像が、表現セット内の各表現に関連付けられた2,3,4,5,6,7,8,9または10以上の異なる表現画像からなる。
いくつかの実施形態では、治療セッション(302-326)を行うことが、複数の表現画像中のそれぞれの表現画像サブセットの完了に応答して、第1および第2の表現画像のサブセットが、それぞれの表現画像サブセット内の最初と最後の表現画像が同じ感情を示すかどうかに関しての問合せに対する患者からの反応を受け取るステップ312を含み、複数の表現画像内のそれぞれの表現画像サブセットがN個の順次表示される表現画像からなり、Nは所定の整数である。ここに提供されるコンピューティングシステムの特定の実施形態では、受け取ることが、患者機器110の患者機器メモリー120に格納された受信モジュール130に含まれる命令に従って実行される。
いくつかの実施形態では、Nは1,2,3,4,5,6,7,8,9または10である。いくつかの実施形態では、それぞれの表現画像サブセットが重複しない、つまり、それぞれの表現画像サブセットの間で共通する表現画像が存在しない。ある実施形態では、それぞれの表現サブセットが重複している。ある特定の実施形態では、それぞれの表現サブセットはN個の画像からなり、N-1個のこれらの画像が複数の表現サブセット中の別の表現サブセットで見出される。
特定の実施形態では、それぞれの表現画像サブセットがN-1個の表現画像だけ重複する(314)。このように、これらの実施形態では、連続する表現画像サブセットが一つの表現画像だけ異なる。例えば、A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,Mのように、順次表示される複数の画像について、
各表現画像サブセットがN=4個の順次表示される表現画像を含む場合、N-1個の表現画像だけ重複する表現画像サブセットは、1)A、B、C、D;2)B、C、D、E;3)C、D、E、F;4)D、E、F、Gなど・・・となる。
このように、N-1だけ重複する表現画像サブセットについては、最初の表現画像サブセットの完了後の表現画像サブセットの表示の完了は、最初のN個の画像後の各画像の表示後に生じる。
ある特定の実施形態では、連続的に表示される複数の表現画像中にそれぞれ10-20個の表現画像サブセットがある(316)。つまり、このような実施形態では、患者から10-20個の反応を受け取る。特定の実施形態では、順次表示される複数の表現画像中にそれぞれ20個の表現画像サブセットがある(316)。
いくつかの実施形態では、治療セッション(302-326)を行うことが、(a)それぞれの表現についての問合せに対する反応と、(b)それぞれの表現画像サブセット中の最初の表現画像に関連する表現と、(c)それぞれの表現画像サブセット中の最後の表現画像に関連する表現とに少なくとも部分的に基づいて、複数の表現画像中のそれぞれの表現画像サブセットごとにスコアを決め、それにより複数のスコアを決定するステップを含む(318)。ここで提供されるコンピューティングシステムのある実施形態では、決定することが、患者機器110の患者機器メモリー120に格納された決定モジュール132に含まれる命令に従って実行される。いくつかの実施形態では、複数のスコアは、それぞれの表現画像サブセット内の最初の表現画像と最後の表現画像が同じ感情を示すかどうかについての問合せに対する患者による正しい反応の総数として決定される(320)。
いくつかの実施形態では、治療セッション(302-326)を行うことが、複数のスコアに少なくとも部分的に基づいて、Nの値を新しい正の整数値にリセットするステップ(322)を含む。ここに提供されるコンピューティングシステムの特定の実施形態では、リセットすること(322)は、患者機器110の患者機器メモリー120に格納されたリセットモジュール134に含まれる命令に従って実行される。
ある特定の実施形態では、Nのリセットが、反応の総数と比較したときの、問合せに対する患者による正しい反応の割合に少なくとも部分的に基づく(324)。いくつかの実施形態では、正しい反応の割合が所定の閾値パーセンテージより大きい場合に、NがN+Xにリセットされる。Xは1,2,3,4または5である。ある特定の実施形態では、正しい反応の割合が80%-90%より大きい場合、NはN+1にリセットされる。特定の実施形態では、正しい反応の割合が80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%または90%より大きい場合、NはN+1にリセットされる。いくつかの実施形態では、正しい反応の割合が、設定された閾値パーセンテージより小さい場合、NはN-Xにリセットされる。Xは1,2,3,4または5である。いくつかの実施形態では、正答率が55-70%未満のときに、NがN-1にリセットされる。いくつかの実施形態では、正答率が60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%または70%未満のとき、NがN-1にリセットされる。いくつかの実施形態では、正答率が特定のパーセンテージの範囲内にある場合、Nはリセットされない。ある特定の実施形態では、正答率が第1閾値パーセンテージより大きい場合、NはN+1にリセットされ、正答率が第2閾値パーセンテージより小さい場合、NはN-1にリセットされ、正答率が、第1閾値パーセンテージと第2閾値パーセンテージの間であるとき、Nはリセットされない(326)。ある特定の実施形態では、第1閾値パーセンテージは約85%であり、第2閾値パーセンテージは約65%である。
いくつかの実施形態では、治療セッションは、i)表示、ii)受け取り、iii)決定、iv)リセットを複数回繰り返すことを含む(328)。特定の実施形態では、繰り返しが治療レジメン(334)を処方する前に起こる。ある特定の実施形態では、繰り返しが、治療レジメンを処方する前に一定期間のコースにわたって反復ベースで行われる。特定の実施形態では、繰り返しが、治療レジメンを処方する前に数週間のコースにわたる反復ベースで行われる。
いくつかの実施形態では、繰り返しは、治療レジメンを処方する前のある期間にわたって反復ベースで行われ、患者は治療セッションを受け、治療される精神障害の一つ以上の症状について断続的に評価される。ある特定の実施形態では、ここに開示されるコンピュータシステムが、治療される精神障害の一つまたは複数の症状について患者を断続的に評価するための命令を含む一つまたは複数のプログラムを含む。特定の実施形態では、命令が、患者健康アンケート(PHQ)検査(例えば、PH-QA、PHQ-2、PHQ-8、PHQ-9、PHQ-15、GAD-2、GAD-7など)を行うための指示を含む。例えば、Kroenkeらの「General Hospital Psychiatry 32:345-359(2010)」(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、特定の実施形態では、治療セッションを受ける患者は、認知バイアスおよび/または神経学的認知について間欠的に評価される。認知バイアスのテストには、例えば、自己参照情報処理(SRIP)タスク、認知スタイルアンケート(CSQ)および反復応答スケール(RRS)が含まれる。神経学的認知テストには、作業記憶のためのテスト、例えば、前方および後方のディジットスパンを試験するテスト、および文字番号シーケンシングが含まれる。また、ある特定の実施形態では、ここに開示されるコンピューティングシステムが、患者の認知バイアスおよび/または神経学的認知を断続的に評価するための命令を含む一つまたは複数のプログラムを含む。
本明細書で使用されるように、ここに記載される「ブロック」は、治療セッションに関するi)表示、ii)受け取り、iii)決定、およびiv)リセットの各ステップの一回の反復(例)を意味する。いくつかの実施形態では、治療セッションが3-200個のブロックを含む。特定の実施形態では、治療セッションが3-15個のブロックを含む。特定の実施形態では、治療セッションが、治療レジメン(334)を処方する前に生じる3-15個のブロックを含む。
いくつかの実施形態では、ここに提供される方法が、Nのリセット値に少なくとも部分的に基づいて、患者に治療レジメンを処方するステップ(334)を含む。いくつかの実施形態では、処方するステップが、処方臨床医による評価のためにスコアを遠隔サーバー(例えば、精神障害治療サーバー102)に伝送することを含む(336)。いくつかの実施形態では、伝送することが、ここに記載された患者機器110の患者機器メモリー120に配置された処方プログラム136によって行われる。特定の実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを行う頻度、および治療セッションを行う絶対回数とを含む(338)。特定の実施形態では、治療セッションは、3つ以上のブロックを含み、順次ブロックはレベルにグループ化され、各レベルが同数のブロックを含む。例えば、特定の実施形態では、治療セッションは、15のブロックと5つのレベルを実施することを含み、5つのレベルがそれぞれ3つのブロックからなる。特定の実施形態では、治療レジメンを処方することは、各レベルの最後のブロックにおけるNのリセット値の平均に少なくとも部分的に基づく。
いくつかの実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを行う頻度、治療セッションを行う絶対回数、および医薬組成物(340)、脳刺激介入(342)、および/または、経験的にサポートされている心理療法(344)の使用を含む。どんな特定の処置理論にも縛られることなく、重複神経系を標的とする異なるアプローチ(例えば、薬物療法、脳刺激介入および精神療法)を組み合わせることは、精神障害の治療において相加的な効果をもたらすと考えられる。ある特定の実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを行う頻度(1週間に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、10回、20回、30回)および医薬組成物の使用(340)を含むことを特徴とする。ある特定の実施形態では、治療レジメンが、治療セッションを実施する頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、毎週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば10回、20回、30回)、および、脳刺激介入の使用む(342)を含むことを特徴とする。ある特定の実施形態では、治療レジメンが、治療セッションを行う頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、10回、20回、30回)、および経験的にサポートされている心理療法の使用(344)を含むことを特徴とする。他の実施形態では、治療レジメンが、治療セッションを実施する頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを実施する絶対回数(例えば、10回、20回、30回)、医薬組成物の使用(340)、および脳介入機構の使用(342)を含むことを特?とする。他の実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを実施する頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数( 1週間に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、10回、20回、30回)、医薬品組成物の使用(340)、および経験的にサポートされる心理療法の使用(344)を含むことを特徴とする。さらに他の実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを実施する頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、10回、20回、30回)、脳介入機構の使用(342)、および経験的にサポートされている心理療法の使用(344)を含むことを特?とする。さらに他の実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを実施する頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、週に10回、20回、30回)、医薬組成物の使用(340)、および脳介入機構の使用(342)、および経験的にサポートされた心理療法の使用(344)を含むことを特徴とする。
ある特定の実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを行う頻度(1週間に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、10回、20回、30回)および医薬組成物の使用(340)を含むことを特徴とする。処方される医薬組成物は、治療される精神障害に依存する。情動障害を治療するために知られている医薬組成物としては、限定するものではないが、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI、例えば、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、ダポキセチン、セクロキセチン、メセムブリン、およびジメリジン)、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI、例えば、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、レボミルナシプランおよびシブトラミン)、向知性薬(例えば、アデラル、リタリン、デキサドリン、モダフィニル)、ケタミンおよびケタミン誘導体、非定型抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、ブプロピオン、アモトリジン、リチウム、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、三環系抗うつ剤、バルプロ酸、ネファゾドン、トラゾドン、およびプラミペキソールが含まれる。このような組成物の適切な投薬および選択のために、「うつ病を治療するケタミンの鼻腔内投与」と題する米国特許第8,785,500号を参照されたい。これは、そのような目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
ある特定の実施形態では、精神障害はMDDであり、医薬組成物はSSRI、SNRI、認知増強剤、ケタミンまたはケタミン誘導体、非定型抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、ブプロピオン、アモトリジン、リチウム、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、バルプロ酸、ネファゾドン、トラゾドン、プラミペキソール、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態では、精神障害が心的外傷後ストレス障害(PTSD)であり、医薬組成物は、SSRI、SNRI、認知増強剤、ケタミンまたはケタミン誘導体またはそれらの組み合わせである。他の実施形態において、精神障害は一般的不安障害であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態では、精神障害は社会恐怖症であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。他の実施形態において、精神障害は強迫神経症であり、医薬組成物はSSRI、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、精神障害は境界性人格障害であり、医薬組成物はSSRI、SNRI、ケタミンまたはケタミン誘導体、認知増強剤またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態では、治療レジメンは、治療セッションを行う頻度、治療セッションを行う絶対回数、および脳刺激介入によって特徴付けられる(342)。いくつかの実施形態では、脳介入の標的は、扁桃体および前外側前頭皮質(DLPFC)の脳領域を含む。いかなる特定の動作原理に縛られることなく、これらの領域内の神経回路異常は、いくつかの情動障害(例えば、MDD)に関連する負の感情情報の後にバイアスされかつ延長する処理を引き起こすと考えられる。いくつかの実施形態において、脳標的介入は、扁桃体およびDLPFC領域を活性化する。いくつかの実施形態では、脳標的介入は、経頭蓋直流電流刺激、深部脳刺激および/または経頭蓋磁気刺激(TMS)である。
いくつかの実施形態では、治療セッションが、治療レジメンを処方する前に、i)表示、ii)受け取り、iii)決定、iv)リセットを複数回繰り返すことを含み(328)、治療セッション中にまたは治療セッションを行う前には、ここに開示される一つまたは複数の脳標的介入が同時に投与される。さらに、いくつかの実施形態では、ここに開示される一つまたは複数の医薬組成物が治療レジメンの一部として、治療セッションの実施前または治療セッションの実施後に投与される。
ある特定の実施形態では、治療レジメンが、治療セッションを行う頻度(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、毎日、隔週)、治療セッションを行う絶対回数(例えば、10回、20回、30回)、および経験的にサポートされる心理療法の使用により特徴付けられる。ある特定の実施形態では、経験的にサポートされる心理療法が認知行動療法である。
ある特定の実施形態では、ここに開示されるコンピューティングシステムが、複数の治療セッションプロトコルの中から治療セッションを選択するために、治療を行う前に患者の初期評価を行う(302)ための命令を含む一つまたは複数のプログラムを含む。ある特定の実施形態では、初期評価が、処置されている情動障害の一つまたは複数の症状についてユーザ・患者を評価することを含む。ある特定の実施形態では、命令が、患者の健康アンケートチェック(例えば、PHQ-2、PHQ-9、PHQ-15、GAD-7など)を行うための指示を含む。また、ある特定の実施形態では、患者が、認知バイアス、神経認知、および/または感情機能について初期評価される。ある特定の実施形態では、ここに開示されるコンピューティングシステムが、患者の認知バイアスおよび/または神経認知を断続的に評価するための命令を含む一つまたは複数のプログラムも含む。
いくつかの実施形態では、一つのブロック、複数のブロックまたは治療セッションの完了後に、ユーザに性能評価が提供される。ある特定の実施形態では、ここに提供されるコンピューティングシステムの一つまたは複数のプログラムが、性能評価を生成するための命令を含む。いくつかの実施形態では、性能評価は、一つのブロック、複数のブロック、または治療セッションの完了時のNのリセット値に基づく。治療セッションがブロックのレベルで実行されるいくつかの実施形態では、性能評価が、各レベルで最後のブロックのNのリセット値の平均に基づく。
実施例1は、大うつ病性障害のための介入などの認知、感情的なトレーニングに関する。
例えば、大うつ病障害(MDD)を含む情動障害のより効果的な治療が緊急に必要とされている。脳神経障害の根底にある認知的かつ感情的な神経科学の理解が拡大するにつれて、脳の可塑性の能力を利用した介入を進展させる機会が増える。認知トレーニングはそのような戦略の一つである。感情情報処理のための認知制御を強化し、MDDに関与している神経ネットワークの構成要素を標的とするように設計された新規の認知感情トレーニングの実習を以下に示す。
E-1-1方法および機材
E-1-1-1参加者。21名の現在未薬用のMDD参加者がうつ病の調査調査のための広告を通じて募集された。年齢18-55の参加者が、DSM-IV-TR Axis I 障害のための構造化臨床面接(SCID)を使用してトレーニング修士、博士レベルの臨床医により診断された。参加者は、MDDの診断基準を満たし、MDDの診断が主だった場合、他のAxis I 障害(過去6ヶ月以内に精神病性障害、双極性障害および薬物乱用または依存症を除く)を持つ可能性があった。ハミルトンうつ病評価尺度(Ham-D)-17 アイテムバージョンによって測定したときに、MDDの重症度は中程度(Ham-D > 16) でなければならず、非常に重度のMDD(Ham-D > 27)の参加者は、証明されていない抗うつ剤調査に参加することへの安全性の懸念から、治療の対象から除外された。治療無反応の既往症(標準抗うつ剤の適切な試験を2回以上失敗した)または慢性的、非一時的MDDを持つ参加者は、コンピュータ化された演習上の成果を妨げる視力障害や運動障害を持つ患者として、参加から除外された。30名の見込みのある参加者が調査のためにスクリーニングされた。6人は含める/除外の基準を満たさず、3人は適格であったが参加しないことを決定した。
シナイ山での被験者の保護のためのプログラムは、ヘルシンキ宣言に従って実施されたプロトコルと調査手順を承認した。スクリーニング後、資格のある参加者は調査手順について通知を受け、インフォームドコンセントに署名した。参加者には、記憶とMDD症状に対する2つの異なる記憶トレーニングの効果を評価するとの情報が与えられた。これは介入調査として提示されておらず、参加者には、認知感情と対照トレーニングのパラダイムの違いについて知らされず、それによって調査が目隠し性を維持し、プラセボ効果が最小限に抑えられた。調査を完了した後に、調査の目隠し性とその基本的な理由を含め、参加者に報告された。参加者は、調査セッションが完了する都度、時間と旅費を補償するために費用が払い戻された。
E-1-1-2手順。調査には、11回のセッションが含まれていた。最初に、SCIDおよびHam-D-17を投与した。次いで、注意および作業記憶、認知処理バイアスおよびMDD症状を評価するためにベースラインセッションを行った。注意スパンおよび作業記憶を評価するために、複合スコアを、Wechsler成人知能尺度のDigit-Span Forward(DSF)、Digit-Span Backward(DSB)およびLetter-Number Sequencing(LNS) 第3版(Wechsler D(1997):Wechsler成人知能尺度第3版。サンアントニオ:The Psychological Corporation)。認知処理バイアスの測定には、反復の評価(Rynative Response Scale(RRS)(Treynor et al.、Cognitive Ther Res 27:247-259(2003))および自己記述子の短期記憶における負のバイアス 参照情報処理タスク; SRIP)(Murrayら、Memory 7:175-196(1999))。SRIPには、自己記述子(肯定的および否定的)を提示し、参加者に単語「私のように聞こえる」かどうかを尋ねることが含まれる。参加者は後で、覚えているほど多くの単語を思い出すように求められる。正確に想起された負の自己記述子の割合は、MDDの短期記憶における負のバイアスの指標として用いられる。正確に想起された負の自己記述子の割合は、MDDの短期記憶における負のバイアスの指標として用いられる。MDD症状は、Ham-D-17を用いて評価した。
参加者は、独立した生物統計学者によって生成されたグループ割り当てのための所定のシーケンスを使用して、調査コーディネーターによって認知感情または制御トレーニンググループに無作為に割り当てられた。参加者は、4週間にわたって8回のトレーニングセッションを完了した(各30-45分、1週間に2回)。毎週のHam-D査定は、グループ割り当てを知らないPhDまたはMDレベルの臨床医によって実施された。Ham-Dの評価者は、評価を実施するために広範なトレーニングを受け、2回の別々のトレーニングインタビューでICC> 0.8を実証した。結果セッションは、トレーニングセッションの完了後1週間以内に実施され、その時点でベースライン評価が繰り返された。
E-1-1-3認知トレーニング演習。認知感情トレーニングの演習は、感情識別タスクと作業記憶タスクの組み合わせである。感情的顔記憶タスク(Emotional Faces Memory Task: EFMT)では、参加者は、コンピュータ画面上に提示された顔の一連の写真上で観察した感情を識別し、感情の順序を覚えておく。Nバック作業記憶トレーニングパラダイムを用いて、観察された参加者は、各顔について、感情はNが直面する感情と同じかどうかを示す。Nレベルは、パフォーマンスによってブロックによって異なる。Nはブロック全体で減少または増加することがある。参加者はセッションごとに15ブロックを完了する。セッション1はN=1で始まり、後続セッションのNは前セッションでのパフォーマンスによって決定される。タスクは、参加者の能力水準に着目し、一貫して挑戦する。健康なボランティアにおける単一の非進行的セッションにおいて、この作業は同時にDLPFCおよび扁桃体を活性化した(Netaら、NeuroImage 56:1685-1692(2011))。漸進的に挑戦的なnバック作業記憶タスクは作業記憶能力を改善することが示されている(Jaeggiら、Proc Natl Acad Sci USA 105:6829-6833(2008))が、感情刺激を伴う徐々に困難な作業記憶パラダイムは未だ報告されていない。制御トレーニング(CT)タスクは、刺激が中立形状(円、四角など)であることを除いて、EFMTに対する同一の認知トレーニングパラダイムからなる能動的比較器であり、それによって扁桃体およびDLPFCのEFMTグループへの同時活性化を分離する。
E-1-2調査デザイン。この調査は、二重盲検、MDD参加者の認知処理バイアス、ワーキングメモリーとMDDの症状に対する8つの認知感情的なトレーニングセッションの療法の効果を決定するために、無作為化、概念実証トライアルとして設計された。アウトカム指標、反芻の変化(RRS)、短期記憶、正と負の自己記述子(SRIP)、注意とワーキングメモリー(DSF、DSBとLNS)とMDDの症状として(Ham-D)がトレーニング療法の前と後に評価された。
E-1-3データ分析手順。MDF症状に対するEFMTトレーニング対CTトレーニングの効果は、この概念実証調査における関心の主要な分析であった。MDD症状への影響を調査するために、因子間の時間差(ベースラインとアウトカム)をグループ(EFMT v.CT)としたHam-D変化の反復測定ANOVAを計画した。二次分析は、認知処理バイアスおよび作業記憶の変化を評価することを目的とした。この調査では、サンプルサイズが小さく、有意な影響を検出するための限定されたパワーが与えられたため、時間の経過とともにグループ内変化(EFMTまたはCT)の探索的分析を計画し、グループ間の変化スコアの差のエフェクトサイズ手順。有意なp値(α<.05)を検出する能力は限られていたが、効果の大きさは、認知トレーニング介入の可能な効果を記述することが主な関心事であり、t検定はグループ内で実施された。効果サイズは、Cohen 1988(Cohen J:Behavioral Sciences、Statistical Power Analysis、第2版、ニュージャージー州ローレンス・アールバム・アソシエイツ(1998))によって解釈された:「小さい」= .2 <d <.3; "medium" = d = .5; "大きい" = d <.8。限られた能力と分析の探索的性質のために、認知変数のグループ間分析は計画されていなかった。
E-1-4アウトカム。表1は、調査サンプルの人口統計的および臨床的特徴を提供する。11名の参加者がEFMTに、10名がCTに割り当てられた。21名の参加者全員が4週間にわたって8回のトレーニングセッションをすべて終了した。タスクのパフォーマンス(各セッションで達成された平均Nレベル)は、両方のグループで時間とともに改善された。第4週で、EFMTグループは平均Nレベル5.5、CTグループが平均Nレベル5.6を達成した。
Figure 2022188145000002
図4Aは、ベースラインとアウトカムの間における平均Ham-Dスコアの減少を示し、EFMTグループの減少量は21.55-10.91と、CTグループの減少量19.80-14.10より有意に大きかった(グループ[EFMT対CT]×時間[ベースライン対アウトカム] 分散分析:F(1,19)= 5.605、p = .029)。4週目に、グループ間のHam-Dスコアの差は顕著に有意に近づき、t(19)=1.91、p=0.07であった。どちらのグループも、Ham-D減少(EFMT:t(10)=8.86、p<.001、CT:t(3.27)、p=.01)において主に時間の効果を示した。時間経過に伴うMDD症状の変化(ΔHam-D:EFMT=-10.64; CT=-5.7)については、グループ間における効果の大きさに差d=0.82があった。11人のEFMT参加者のうち6人、10人のCT参加者のうちの1人が、ベースラインとアウトカムの間のHam-Dスコアの50%以上の減少を達成した。これは臨床MDD試験における「レスポンダー」を定義するための基準である。
EFMTグループは、28.45-25.45、t(10)=1.54、p= .14、d≦10,dΔ= -0.66と、中程度であるが顕著でない反芻(RRS)スコアの減少を示した。CTグループでは、28.8-30.6、t(9)= .88、p= .39、dΔ= .39と有意な増加ではなかった。時間経過に伴う反芻変化のグループ間格差の大きさは、d = 0.64と中程度であった。自己参照情報処理(SRIP)タスクにおいて、EFMTグループは、負の自己参照情報(遅延後に正確に思い起こされた負の自己記述子の割合)の短期記憶が、0.1852-0.1697、t(10)=2.23、p=0.037、dΔ=-0.79と、大幅に減少した。CTグループは、0.1845-0.1885、t(9)=0.63、p=0.535、dΔ=0.27(図4B参照)と、僅かな顕著ではない増加を示した。グループ間の変化スコアの差に対する効果の大きさは、d=0.60と中程度であった。
両方のグループとも、トレーニング後の注意スパンおよび作業記憶(DSF、DSBおよびLNS複合スコア)において同様の小さな改善を示した。EFMTグループでは、10.3から11.36(t(10)=1.855、p = 0.09、dθ= 0.31)の増加が示され、CTグループは10.8から11.25(t(9)= 1.01、p = 0.34、d=0.20)への増加を示した、また、複合スコアはベースライン時または4週目にグループ間で有意差がなかった。
E-1-5結論。この調査におけるEFMT対CTの差異効果は、認知感情トレーニングが感情情報処理のための認知制御障害と神経ネットワーク機能異常を対象としたMDDの介入戦略であることを示している。これらの介入は実現可能であり、比較的低コストであり、最終的にはコンピュータを介して参加者の家庭に広く汎用させることができる。このような介入は、投薬や認知行動療法などの伝統的な介入のための増強戦略として役立つ。さらに、これらのタイプの介入は、伝統的な介入(例えば、抗うつ薬が処方されない妊婦または医学的に罹患した個体)を利用できない集団に対してアクセス可能であり得る。
実施例2は、臨床試験に関する。
この試験の目的は、作業記憶における負のバイアスを修正するために、開示されたコンピュータ化訓練パラダイムの有効性を調査すること、および、この領域における改善が、うつ病においても損なわれている認知過程の他の領域(顔面感情認識、自己参照情報処理および帰属スタイル)へ伝達するかどうかを調査することにある。
このため、この試験の1つの具体的な狙いは、プラセボ対照タスク(PCT)と比較して、主要な抑うつ障害(MDD)参加者における抑うつ症状を軽減する上での感情面記憶課題の有効性を測定することである。6週間のEFMT訓練を受けているMDD参加者は、PCTを受けているMDD参加者よりもうつ症状の改善が大きいと考えられている。
この試験の別の具体的な狙いは、情報処理における負の感情バイアスに対するEFMTの影響を測定することである。EFMTトレーニングは、PCTと比較して、情報処理における負の感情的バイアスを減少させると考えられている。
この試験の別の具体的な目的は、EMFTトレーニングの神経認知効果を測定することである。EFMTおよびPCT訓練グループの両方は、神経認知領域にわたって改善を示すと考えられている。
大うつ病性障害(MDD)は、一般人口の約17%に影響を与え、一般に、厳しく、慢性化し、かつしばしば生命を脅かす病気である。MDDから生じる物理的および社会的機能における障害は、他の慢性内科的疾患と同様に過酷である。うつ病の治療における重要な進展にもかかわらず、この病気を持つ多くの患者は治療不適合のためにしばしば不適切な治療を受けている。抗うつ薬で治療した患者の60-70%のみが、薬物療法の最初の試験に反応すると推定されている。MDDは、罹患率と死亡率の高さで重要な公衆衛生問題を提起し続けているので、良好な忍容性の新しい介入が必要である。
学術調査は、うつ状態の個人が、正または中立の情報と比較して負の情報に向かって知覚および処理を偏らせる傾向があるような負の感情バイアスを示すことを一貫して実証している。この負の感情的偏見は、作業記憶、感情処理、自己参照情報処理および帰属スタイルを含む、知覚および処理のいくつかの領域で実証されている。重要なことは、うつ病におけるこれらの治療領域のそれぞれに亘る負の感情バイアスの存在が、共有される根底にある神経回路に起因する可能性があることにある。確かに、知覚および処理のこれらの領域のそれぞれに関与する脳領域は、正常な感情知覚およびうつ病の病態生理に関与しているより大きなネットワークの一部である。最近の調査は、うつ病および不安障害における様々な認知バイアスを認知訓練によって修正することを目指しており、有望な初期結果が得られている。
E-2-1調査デザイン。
E-2-2募集方法。被験者は、地方紙および「craigslist」や臨床関連等のウェブサイトの広告を通して募集された。参加者は、IRBが承認した継続的なMAP募集および選考プロトコルを通じて募集された。
E-2-2-1参加および除外の基準。参加基準は、(i)DSM-IV基準と16-27のHam-D-17スコアに従って、主要な、大うつ病障害の現在の第I軸診断があること、(ii)年齢が18-55歳であること、そして、(iii)インフォームドコンセントを与える能力のあること。したがって、主要な大うつ病性障害の診断を持つ患者が認められる。さらに、また外傷後ストレス障害、社会恐怖症が全般性不安障害、特定恐怖症、境界性人格障害などのような合併症(二次)情動障害診断を持つ幾人かの患者であって、開示された試験および開示されたシステムおよび方法により症状の改善(うつ病症状で少なくとも50%減少)が期待される患者も認められる。
除外基準は、(i)6ヶ月以内に薬物またはアルコール乱用または依存症(DSM-IV基準)の履歴、(ii)顔または扁桃体の活性化を誘導する他の画像のコンピュータ化された表示を観察する能力に影響を与える視覚障害、(iii)瞬時にボタンを押すことによって応答を提供する能力に影響を及ぼす運動障害、(iv)双極性スペクトル障害または統合失調症スペクトル障害の生涯履歴、(v)主要な、大うつ病以外の現在の第I軸診断、(vi)主要な現在の第II軸パーソナリティ障害、(vii)現在、認知行動療法精神療法に参加している、(viii)急性自殺または殺人リスク(スクリーニング前の6ヶ月以内に自殺または殺人の試みによって証明される)、(ix)妊娠のうち何れかがあること。
登録された参加者は、現在投薬を受けているが、調査に登録する前に投薬療法で安定している(すなわち、投薬が8週間以内に開始されなかった、6週間以内に停止した、または調査エントリーの4週間以内にアップまたはダウンした)。従って、調査の過程で患者の投薬状態が変化しない場合は、調査が中止される。調査に登録する目的のために、投薬が中止されることはない。
被験者は、アルコールを使用しないか、または中程度のアルコールしか使用しない。現在のアルコールの過剰使用(男性は8オンス/日以上、女性は6オンス/日以上)の参加者は、そのような薬物の使用が結果を混乱させる可能性があるため、参加資格がない。この調査の対象募集は80人であった。
E-2-2調査のタイムライン。
E-2-2-1個別被験者の参加。すべての参加者は、ベースラインの行動評価尺度を必要とする。彼らは無作為にトレーニンググループまたはコントロールグループのいずれかに割り当てられ、6週間にわたって週に3回、18回のアポイントメントを18回行う必要がある。個々の被験者の参加の推定期間は、診断、ベースライン、および事後測定のスケジューリングの柔軟性に依存するもので、最後の10週間である。おおよその採用期間は5年間である。
E-2-2-2調査終了点。この調査は、目標とする募集が達成されると終了する。
E-2-3関連する手順。うつ状態の被験者に、EFMT(Emotional Faces Memory Task)訓練のパラダイム、または、複数の参加セッションとコンピュータ化された刺激への曝露に調和するように設計されたコンピュータタスクであるプラシーボコントロールタスク(PCT)の2つの手順のうちの1つを行うように割り当てられた二重盲検ランダムデザインが使用される。患者は最初にスクリーニングと診断評価を受け、参加資格を決定する。参加基準を満たすと、参加者は、薬剤状態を因子として含む所定のランダム化アルゴリズムに基づいて、訓練グループまたは対照グループのいずれかに割り当てられる。うつ病症状(BDI-II)、視力測定(RRS)、神経心理学的機能(DSおよびLNS)、言語記憶(HVLT)、顔面感情認識能力(EFRT)、認知/感情処理バイアス(eStroop (AGNG))、アウトカム指標(CSQ、SRIP、LOT-R)が実行される。すべての参加者は18回のセッションに参加し、トレーニングパラダイムまたはプラセボ対照タスクのいずれかを受ける。18回のセッションの後、ベースラインの評価が繰り返される。
E-2-4スクリーニングインタビュー(約1時間)。調査のために参照された被験者または調査のための広告に応答する被験者は、プロトコルについて教育されている。参加に関心のある科目は、スクリーニングと診断インタビューを進めるために同意書に署名する。このインタビューには、MDD診断を確認し、除外基準を排除するために、人口統計学的情報および診断インタビュー(SCID)およびうつ病のためのハミルトン評価尺度(Ham-D-17)を含む心理社会的バッテリーの収集が含まれる。
調査のためにスクリーニングされ、以前診断されていない精神医学的障害または病状を持つことが分かっている個体は、診断/状態を認識されるとともに、彼らが望むならば、治療またはさらなる協議のための紹介(現在の主治医または別の適切な紹介のいずれか)が提供される。
E-2-5ベースライン評価(約2.5時間)。参加者は、ベースライン評価セッションに参加し、その時点で、うつ病症状の自己報告評価(Beck Depression Inventory-II(BDI-II)、反芻(RRS))、神経心理学的機能の評価(Digit Span and Letter-Number Sequencing)、および言葉上の記憶(HVLT)が投与される。このセッションでは、ベースラインを達成するために、参加者に二次的な対策が採られる。これらには、感情面認識タスク(EFRT)、感情的ストロープ(eStroop)、感情的Go / No-go(AGNG )、認知スタイルアンケート(CSQ)、自己参照情報処理(SRIP)タスク、楽観的アンケート(LOT-R)の3つのタイプが含まれる。このセッションでは、うつ病の潜在的な介入戦略として、認知訓練の受容性を評価するために、参加者は一つのリカートスケール項目で受容性を評価するよう求められる。
E-2-6トレーニングセッションまたはコントロールグループセッション(それぞれ35分)。トレーニング条件は週3回6週間(合計18セッション)である。トレーニング条件において、被験者は、顔の感情を正確に識別し記憶する能力を高める目的でEFMTタスクを完了する。対照条件については、対照グループがプラセボ対照タスク(PCT)を完了する6週間の週3回のセッション、および形状を刺激として使用する適応性のあるn-back作業記憶査定に参加する。これは、訓練による作業記憶の改善、出席したセッション数、調査スタッフとの相互作用、および認知訓練に参加することに基づく改善の期待によるプラセボ効果など、アウトカム変数に潜在的に影響を与える可能性のある様々な交絡因子を制御することである。
E-2-7中間試験評価(第3週;約45分)。参加者の3週間目の訓練の終わりに行われる中期の研究会では、参加者がRRS、eStroop、EFRT、AGNGを完了し、気分症状の変化に先行する認知と情動の変化をモニタする。
E-2-8アウトカム評価(約2.5時間)。アウトカム評価セッションでは、参加者はBDI-II、RRS、DS、LNS、HVLT、EFRT、eStroop、AGNG、CSQ、SRIP、およびLOT-Rを修了している。このセッションでは、参加者は、1)可能な介入戦略としてうつ病に対する認知訓練の受容性、2)彼らが参加した認知訓練法の知覚された有用性についてのアンケートに答える。評点はそれぞれ2つのリチャーズスケールの項目で提供される。
E-2-9フォローアップ評価(各約0.5時間)。調査の完了者(少なくとも15回の訓練セッションとベースラインとアウトカムセッションを完了した参加者)は、EFMTおよびPCT療法後のMDD症状の経過に関するパイロットデータを収集するために、アウトカムアセスメント後、2週間、4週間、6週間、8週間、16週間および24週間にわたってインタビューを受ける。フォローアップ評価には、訓練を受けた臨床医師によるHam-Dインタビューが含まれる。
E-2-10自殺率評価。調査参加時に、参加者は調査参加者の間に緊急性の自殺率を監視し、対応する計画を調査実行者と話し合う。参加者には、PIの直接連絡先番号(同意書に記載されている携帯電話番号を含む)が提供され、自殺念慮が現れたり悪化したりした場合に電話するように促される。また、参加者は、自分自身に害を及ぼす危険があると判断し、かつPIに連絡できない場合(またはPIに連絡するのを待つことができない緊急事態であると感じた場合)に、自宅に最も近い救急室を特定し、911または1-800-LIFE-NETに電話をかけるか、または、最も近い救急室に行くように指示される。
また、ベースライン評価およびアウトカム評価セッションは、自殺念慮の評価を含む。さらに、調査期間中に毎週、患者は前回のセッション以来経験した気分や自殺念慮について、臨床医(認可臨床専門医; MD精神科医またはPhD臨床心理学者)と簡単な会見を持ち、前回のセッションから経験した気分および自殺念慮について、標準化された検証済み評価(コロンビア自殺重症度評価尺度、C-SSRS)および臨床医による収集目的での改善/悪化スケール(CGI)の評価データを用いて尋ねられる。
治験責任医師(標準的な評価尺度:Columbia Suicide Severity Rating Scale(CSSRS)およびHamilton Depression Rating Scale(Ham-D)を含む)によって実施された毎週のうつ病および自殺率の症状評価に加えて、すべての患者は、シナイ山の気分と不安障害プログラム(MAP)内の認可臨床家であるNON-STUDY(K23申請書による調査研究員、指導者、または共同調査者ではない)によって毎週インタビューを受ける。MAPのライセンスを受けた臨床医は、深刻な気分や不安障害の症状や自殺率を評価し、監視するための豊富な経験を持っている。これらのインタビューには、うつ症状の評価、受動的または積極的な自殺念慮/意図/計画/行動の発生が含まれる。症状の著しい悪化または自殺念慮の増加は、うつ病患者では一般的な出来事であるが、依然として非常に真剣に取り組む必要がある。患者が重大な自殺念慮を示した場合、面接者の判断で患者は自分自身を傷つける危険があり、そこで、(i)入院患者の入院評価のため病院の救急室に護衛され、(ii)患者は必要な治療を得るために調査から退かせる。患者が入院しておらず、救急室を通じて治療レジメンが立てられていない場合、(a)患者は3ヶ月間無料で外来治療を受ける。この無料フォローアップ期間は、MAP調査に登録されたすべての被験者に提供され、次の治療が含まれる:精神科医の評価および進行中の治療(患者の地域の薬局で処方される処方箋の提供を含む)、心理学者や社会福祉士の心理療法、または、保証されている場合に薬理療法と精神療法の両方。無料のフォローアップ期間は、保険者が支払う保険/能力に応じて、地域のコミュニティで長期ケアを見つけることについて患者に助言するために臨床医によって使用される。臨床医は、長期治療の選択肢を提案し、適切な紹介を行う。患者が既にメンタルヘルスケア提供者のケアを受けていて、MAPを介して3カ月間の無償治療を希望しない場合は、調査の理由についてプロバイダーと相談した上で、患者の安全性に関する調査員の懸念などが含まれる。すべての試験患者は、調査登録時に現在の治療提供者の連絡先情報を提供することに署名し、緊急事態または危害のおそれがある場合に、現在の治療提供者に連絡する権利を研究調査員に与える。
E-2-11データ分析戦略。目的1:PCTと比較して、MDD参加者のうつ症状の軽減におけるEFMTの有効性を測定する。仮説1:6週間のEFMT訓練を受けているMDD参加者は、PCTを受けているMDD参加者よりもうつ症状の改善が大きいことが示される。分析戦略:少なくとも1週間のトレーニングを完了したすべての参加者を含む、インテント・ツー・ケア分析が実施される。この概念実証調査の主な分析は、ベースラインから最終評価までのHam-D変化の平均群間差の事後確率分布を推定することに重点を置いたベイジアンアプローチに基づく。この柔軟なアプローチは、対応する頻出帰無仮説のテストを提供することに加えて、EFMTが任意の量(例えば、0超、2超など)でHam-Dスコアを減少させる際にPCTより優れている確率の推定を可能にすることと差がないことを提供する。このアプローチは、差がないという帰無仮説(例えば、N(0,25)前)を反映して、グループ間のHam-Dスコアの差に対して非有益な拡散正規の事前確率分布を仮定する。この事前分布は、観測された結果を組み込むことによって更新され、EFMTが指定された量だけPCTよりも優れている確率を計算するために使用される結果の事後分布が更新される。ベイジアン解析に加えて、EFMTとPCTグループ間のHam-Dスコアの調整(ベースラインとトレーニングセッション数の調整)を決定するために、より伝統的な共分散分析(ANCOVA)が行われる。このANCOVAでは、因子はグループ(EFMTまたはPCT)であり、最終Ham-Dスコアは従属変数であり、ベースラインHam-Dスコアおよび完了したトレーニングセッションの数は共変量である。
E-2-12目的2。情報処理における負の感情バイアスに対するEFMTの影響を測定する。仮説2:EFMTの訓練は、情報処理において負の感情的バイアスを減少させる結果となる。分析戦略:ANCOVAは、EFMTとPCTグループの間の認知/情動処理評価の変化を評価するために実施されている。(EFMTまたはPCT)、最終スコア(RRS、eStroop、AGNG、EFRT、LOT-R、SRIPまたはCSQ)は従属変数であり、ベースラインスコアおよび訓練回数である セッションは共変量として完了した。
E-2-13目的3。EMFTトレーニングの神経認知効果を測定する。仮説3:EFMTおよびPCT群は、神経認知において同様の改善を示すであろう。分析戦略:ANCOVAは、(1)注意と記憶域(DSF)、(2)作業記憶(DSBとLNS複合スコア)、および(3)言語記憶(HVLT)に関するトレーニング効果のために実施される。少なくとも1週間の訓練(調査の任意の週の間)の認知訓練課題で平均2.5の性能レベルに達することができない参加者は、最終的なデータ分析から除外される。
E-2-14中間結果。表2は、Aグループに12人の患者があり、Bグループに11人の患者がある23人の患者グループの中間結果を提供する。この盲検調査データの目標は、調査グループの1人の参加者が臨床応答基準うつ病症状で少なくとも50%)、他のグループよりもずっと頻繁に起こる。これは、このグループに与えられた介入がMDD症状の軽減においてより効果的であることを示している。データが解読されていない場合、このグループは能動的な認知感情訓練グループであると予想される。今日まで、臨床試験手順の結果として生じた有害な副作用または他の有害事象はなかった。多くの患者が、認知感情訓練介入の結果として、調査への参加の結果として有意な改善を示しており、最終的なデータが分析されたときに介入が効果的であると予想される。次の表2において、「ベースライン」および「アウトカム」の数字は、調査で使用されたうつ病評価尺度(ハミルトンうつ病評価尺度17項目バージョン(HAM-D-17))の合計スコアである。各患者の2つの値(「ベースライン」および「アウトカム」)は、ベースライン(試験開始)およびアウトカム(試験終点)を表す。「変化」スコアは、アウトカムからベースラインを差し引いたものとして提供される。「%変化」は変化スコア(100を掛けた数値)をベースラインスコアで割った数値である。
Figure 2022188145000003
グループAでは、12人の患者のうちの1人が「反応した」(症状が少なくとも50%減少した)。グループBでは、11人の患者のうちの5人が反応した。正式な統計分析はこの時点では行われていないが(データが暫定分析のために解読されるまでではない)、データはグループ間に統計的に有意な差があることを示す。
本明細書中の発明の詳細な説明に使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、本発明を限定するものではない。単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明白に示されていない限り、複数形も含むことが意図されている。また、本明細書で使用される「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する列挙された項目の任意かつすべての可能な組み合わせを指し、包含すると理解される。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、述べられた特徴、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
個々の刊行物または特許または特許出願が、すべての目的のためにその全体が参考として援用されると具体的および個別に示されているのと同程度に、本明細書中に引用されたすべての参考文献は、その全体がすべての目的のために援用される。
前述の説明は、説明の目的のために、特定の実装形態を参照して説明された。しかしながら、上記例示的議論は網羅的であること、または開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。本明細書に記載された実施態様は、本発明の原理およびその実用的な適用を最もよく説明するために選択され、記載されており、したがって、当業者が本発明および意図された特定の用途に適した。

Claims (1)

  1. 一つまたは複数のプロセッサと、
    メモリーと、
    一つまたは複数のプログラムであって、前記メモリーに格納されるとともに、精神障害の治療を必要とする患者を治療するために前記一つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成されたプログラムとを含み、前記一つまたは複数のプログラムが、
    A)治療セッションを行うための命令であって、前記治療セッションが、
    i)所定時間に複数の表現画像中の表現画像をそれぞれ順次表示し、前記複数の表現画像が複数の表現画像サブセットからなり、前記複数の表現画像中の表現画像がそれぞれ、(a)一組の表現中の表現にそれぞれ独立的に関連付けられ、(b)前記各表現の所定の強度を前記各表現の低強度から高強度まで及ぶ強度スケール上で表示するように設計され、(c)ヒト扁桃体の活性化を引き起こすこと、
    ii)複数の表現画像中の各表現画像サブセットの完了に応答し、前記各表現画像サブセット中の最初と最後の表現画像が同じ感情を表しているかどうかについての問合せに対する患者からの反応を受け取り、前記複数の表現画像中の表現画像サブセットがそれぞれ所定の整数であるN個の表現画像からなること、
    iii)(a)各表現画像サブセットについての問合せに対する前記反応、(b)前記各表現画像サブセット中の前記最初の表現画像に関連する前記感情、および、(c)前記各表現画像サブセット中の前記最後の表現画像に関連する前記感情に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の表現画像中の各表現画像サブセットのスコアを決定すること、および、
    iv)複数の前記スコアに少なくとも部分的に基づいて、前記Nの値を新たな正の整数値にリセットすることを含み、
    前記治療セッションにおいて、前記複数の表現画像中の表現画像のうち、それぞれ最初のサブセットの画像の前記強度スケール上の前記各表現の前記所定の強度が、前記治療セッションにおいて前記最初のサブセットの後に表示される第2のサブセットの前記複数の表現画像中の各画像の前記強度スケール上の前記各表現の前記所定の強度よりも小さい、治療セッションを行うための命令と、
    B)オプションとして、前記Nのリセット値に少なくとも部分的に基づいて、前記患者に精神障害のための治療レジメンを処方する命令と、
    を含むコンピューティングシステム。
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