JP2022182545A - 熔融塩原子炉プラント - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料塩の漏洩の可能性や熱的なロスを低下させると共に、原子炉容器や一次熱交換器等の収納空間の小型化を図ることが可能な熔融塩原子炉プラントを提供すること。【解決手段】熔融塩原子炉プラントは、原子炉容器21と、炉心22と、燃料塩を循環させる一次系ループ500とを備える。一次系ループ500は、核分裂反応によって発生した熱エネルギーを熱交換によって冷却塩に伝える一次熱交換器231を有する。一次系ループ500は、一次熱交換器23から流れる燃料塩を炉心に戻すための燃料塩戻りパス251を更に有し、且つ、一次熱交換器231が原子炉容器21の内部又は外部において炉心22に対し近接するように配置され、且つ、一次熱交換器231に接続される燃料塩戻りパス251が原子炉容器21の外部に配置される。【選択図】図6

Description

本発明は、熔融塩原子炉プラントに関する。
従来より、例えば特許文献1に示されるような熔融塩原子炉(単に原子炉と呼ぶこともある)が知られる。
特開2020-91178号公報
例えば特許文献1に記載の従来技術にあっては、原子炉容器内部の炉心に流れるように燃料塩を循環させる一次系ループの構成のうち、例えば一次熱交換器が原子炉容器に対して十分に離れた状態に配置される。具体的には、発電機に近い側に一次熱交換器が配置される。そのため、原子炉容器から一次熱交換器までの配管が長くなってしまい、配管からの燃料塩の漏洩可能性が懸念される。また、配管が長くなることで熱的なロスも懸念される。
また、従来技術にあっては、一次系ループの構成が広範囲に配置されることから、熔融塩原子炉プラントで見ると、原子炉容器、一次熱交換器及びポンプを収納する空間の大型化に繋がってしまうことも懸念される。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、燃料塩の漏洩の可能性や熱的なロスを低下させると共に、原子炉容器や一次熱交換器等の収納空間の小型化を図ることが可能な熔融塩原子炉プラントを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様の熔融塩原子炉プラントは、
原子炉容器と、当該原子炉容器の内部に設けられる炉心と、当該炉心に流れるように燃料塩を循環させる一次系ループとを備え、
前記一次系ループは、前記炉心に前記燃料塩が流れた際の核分裂反応によって発生した熱エネルギーを熱交換により冷却塩に伝える一次熱交換器を有する、熔融塩原子炉プラントにおいて、
前記一次系ループは、前記一次熱交換器から流れる前記燃料塩を前記炉心に戻すための燃料塩戻りパスを更に有し、且つ、当該一次熱交換器が前記原子炉容器の内部又は外部において当該炉心に対し近接するように配置され、且つ、当該一次熱交換器に接続される当該燃料塩戻りパスが当該原子炉容器の当該外部に配置される。
本発明によれば、一次熱交換器を炉心に対し近接するように配置することから、従来に比べ燃料塩の流れる経路(配管)を短くすることができる。これにより、燃料塩の漏洩の可能性や熱的なロスを低下させると共に、原子炉容器や一次熱交換器等の収納空間の小型化を図ることができる。
本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける建屋の断面図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の外観斜視図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の垂直断面図(図2のA-A線断面図)である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉を図2の矢印B方向から見た外観図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉を図2の矢印C方向から見た外観図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の一次系ループに関係するシステム図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の二次系ループに関係するシステム図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の一次系ループにおいてポンプ停止が生じた時の自然対流に関する説明図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントの安全性に関する説明図である。 本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の変形例を示す垂直断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下で説明するのは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲がこれに限られるものでないのは勿論である。
図1は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける建屋の断面図である。
<建屋1について>
熔融塩原子炉プラントの建屋1は、熔融塩原子炉が配置された建造物である。建屋1は、図1に示すような平屋で建設されるものや、特に図示しないが、複数階となるような積層状態で建設されるものがある。ここでは、説明を簡素化するため、また、例えば建設費を抑えるために、平屋で建設される建屋1が採用される。建屋1の所定位置には、熔融塩原子炉2(単に原子炉と呼ぶこともある。詳細については後述する)が存在する。
建屋1には、複数の部屋(室)やエリアが存在する。図1の建屋1の断面図においては、代表的な部屋(室)やエリアのみ符号を付すものとする。建屋1には、原子炉室11、計装室12、燃料タンク室13、再処理済タンク置場14、ヘリウムガス加熱エリア15が設けられる。
原子炉室11は、他の部屋(室)やエリアよりも天井が高くなるように形成される。このような原子炉室11には、熔融塩原子炉2が設置される。原子炉室11の隣には、排気筒16が設けられる。原子炉室11の地下には、機器保管室17が複数設けられる。機器保管室17は、廃炉した熔融塩原子炉及びドレインタンクを収容することができるような底が深い部屋(室)に形成される。機器保管室17に、廃炉した熔融塩原子炉及びドレインタンクを収容した場合には、機器保管室17の上部(収容のために開口した部分)が蓋で覆われるようになる。本実施形態では、廃炉及び高レベル核廃棄物が地下に埋設・封印されて最終処分されることを想定している。計装室12は、計装のための部屋であって、図1の場合、原子炉室11の左隣に設けられる。計装室12の隣の燃料タンク室13は、燃料タンクが置かれる。燃料タンク室13の隣の再処理済タンク置場14は、再処理済タンクが置かれる。一方、原子炉室11の右隣のヘリウムガス加熱エリア15は、ヘリウムガス加熱器等が設置される。
建屋1には、上述以外に、制御室、燃料塩装荷・脱水還元室、燃料塩保管室、事務室、会議室、トイレ、受変電設備、バックアップ電源、熱除去エリア、オフガス処理エリア、タービン・発電機、冷却塩ドレインタンクエリア、荷下ろしヤード、消防設備等が存在する。荷下ろしヤードには、例えば大型トラック(符号省略)が出入り可能になる。
建屋1は、本実施形態において、熔融塩原子炉2を2回交換して使用するため、耐用年数が約百年となるように想定したものになる。
原子炉室11に設置された熔融塩原子炉2は、ドレインタンク3と共に格納容器4内に格納(収容)される。ドレインタンク3の下側には、各種配管やタンク(後述する)も設置される。格納容器4は、地上及び地下にかけて設置される。
なお、全体を詳細に説明することは省略するが、原子炉室11に設置された熔融塩原子炉2の炉心内を燃料塩が流れる際に核分裂反応が起こり、この核分裂反応によって発生した熱エネルギーを、一次熱交換器ユニット等を介して取り出した後、この取り出した熱エネルギーを回転エネルギーに変換し、更に発電機によって電気エネルギー変換することによって発電するような発電システムが建屋1に備えられているものとする。
以下、熔融塩原子炉2について説明する。
図2は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の外観斜視図である。
<熔融塩原子炉2の構成について>
図2において、熔融塩原子炉2は、原子炉容器21と、この原子炉容器21内に設けられる炉心22と、炉心22の上部に配置される4つの一次熱交換器ユニット23と、2本の制御棒24と、配管類25とを備えて構成される(この構成は一例であるものとする)。また、熔融塩原子炉2は、上述の一次熱交換器ユニット23や配管類25を含む一次系ループ500を4つ備えて構成される(この数は一例であるものとする)。熔融塩原子炉2は、本実施形態において、熱出力56MWt、電気出力約25MWeとなるものである。
なお、図2の紙面上側を鉛直方向の「上」、紙面下側を鉛直方向の「下」と定義して説明を続けるものとする。熔融塩原子炉2の下側には、所定の間隔をあけてドレインタンク3が配置される。熔融塩原子炉2は、図2から分かるように、また、この後の説明からも分かるようになるが、一次熱交換器ユニット23における一次熱交換器231(後述する)を原子炉容器21内に収容した一体型炉が採用される(一次熱交換器231の配置は一例であり、図2の配置に限定されないものとする。配置の変形例としては、図10を参照しながら後述するものとする)。
図3は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の垂直断面図(図2のA-A線断面図)である。また、図4は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉を図2の矢印B方向から見た外観図であり、図5は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉を図2の矢印C方向から見た外観図である。以下、図2乃至図5を参照しながら説明する。
<原子炉容器21について>
原子炉容器21は、上壁211及び下壁212(天井及び底)を有し、側壁213が円筒形状の密閉容器に形成される。原子炉容器21は、ハステロイ(登録商標)Nが材料として採用される。なお、ハステロイ(登録商標)Nは一例であって、このような高ニッケル合金等であれば特に限定されないものとする。具体的には、ハステロイ(登録商標)N、高ニッケル合金の他、モリブデン合金TZM(チタン・ジルコニウム・モリブデン合金)であれば特に限定されないものとする。ハステロイ(登録商標)Nを材料とした原子炉容器21は、例えば20mmの厚さを有するように形成される(寸法は一例であるものとする)。
原子炉容器21の下壁212(底)は、周縁が円形でこの周縁の内側が平ら又は若干勾配のついた形状に形成される。下壁212の中央には、下方に凸となるカップ形状の下部燃料塩プレナム214が設けられる。下部燃料塩プレナム214には、後述する配管類25が接続される。下部燃料塩プレナム214は、後述する上部燃料塩プレナム215よりも小型に形成される。下部燃料塩プレナム214は、例えば500mmの高さ(上下方向の長さ)を有するように形成される(寸法は一例であるものとする)。下壁212は、例えば3220mmの直径を有するように形成される(寸法は一例であるものとする)。下壁212の周縁は、側壁213の下端を曲面で滑らかに繋ぐように形成される。
原子炉容器21の側壁213は、後述する炉心22の炉心軸CL1を中心に円筒状に形成される。側壁213は、円筒形状であることから、内面及び外面は、曲面形状に形成される。側壁213は、例えば高さが4200mmを有するように形成される(寸法は一例であるものとする)。なお、4200mmのうち、3030mmが炉心22に対応する高さに設定される(寸法は一例であるものとする)。4200mmのうち残りは、後述する一次熱交換器231に対応する高さに設定される(寸法は一例であるものとする)。曲面形状となる側壁213の外面には、後述する燃料塩戻りパス251の一部が面接触するように取り付けられる。なお、この取り付けられる燃料塩戻りパス251は、一次系ループ500を構成するものでもある(後述する)。側壁213の上端は、上壁211の周縁と滑らかな曲面で繋がれる。
原子炉容器21の上壁211(天井)は、下壁212と例えば平行に配置される。上壁211には、上部燃料塩プレナム215が設けられる。また、上壁211には、一次熱交換器ユニット23を構成する4つのポンプ232が設けられる。上部燃料塩プレナム215は、上壁211の中央に配置される。上部燃料塩プレナム215は、上方に凸となる逆カップ形状に形成される。上部燃料塩プレナム215は、例えば800mmの高さ(上下方向の長さ)を有するように形成される(寸法は一例であるものとする)。上部燃料塩プレナム215は、この上部が円形で平らに形成される。
上部燃料塩プレナム215の上部には、2本の案内筒216が設けられる。この2本の案内筒216は、上部燃料塩プレナム215の上部を貫通するように設けられる。2本の案内筒216は、制御棒24を上下方向に夫々案内することができるように形成される。4つのポンプ232は、上部燃料塩プレナム215の周囲に配置される。4つのポンプ232は、炉心軸CL1を中心に90度間隔で配置される。4つのポンプ232は、一次熱交換器ユニット23を構成すると共に一次系ループ500を構成するものでもある(これらについては後述する)。なお、上部燃料塩プレナム215からのびる配管は、オーバーフローパス253(後述する)を示すものである。
<一次熱交換器ユニット23について>
一次熱交換器ユニット23は、上述の核分裂反応によって発生した熱エネルギー(熱)を、例えば原子炉容器21内で二次系ループ(後述する)の冷却塩に伝えるために備えられる。一次熱交換器ユニット23は、熔融塩原子炉2を構成すると共に一次系ループ500(後述する)を構成するものでもある。一次熱交換器ユニット23は、本実施形態において、4つの一次熱交換器231と、上述の4つのポンプ232とを備えて構成される。
4つのポンプ232には、ポンプシャフト232a及びポンプフィン232bが夫々設けられる。4つのポンプ232は、4つの一次熱交換器231の配置に合わせて設けられる。具体的に、4つのポンプ232は、4つの一次熱交換器231の配置に対し、炉心軸CL1を中心に90度ずれた位置に配置される。4つのポンプ232は、後述する燃料塩を強制的に対流させるために設けられる。別の言い方をすれば、4つのポンプ232は、後述する炉心22を流れた燃料塩を4つの一次熱交換器231に搬送するために設けられる。
4つの一次熱交換器231は、本実施形態において、原子炉容器21の内部に配置される。また、後述する炉心22の上側に配置される。また、炉心22に対して近接するように配置される(この配置は一例であるものとする)。4つの一次熱交換器231は、上述の核分裂反応によって発生した熱エネルギーを熱交換によって二次系ループ(後述する)の冷却塩に伝えるために備えられる。別な言い方をすれば、4つの一次熱交換器231は、炉心22で温められた燃料塩の熱を冷却塩に伝えるために(熱交換するために)備えられる。このような4つの一次熱交換器231には、4つのポンプ232のポンプシャフト232a及びポンプフィン232bの駆動によって移動する燃料塩が提供される。4つの一次熱交換器231には、燃料塩が専用の配管を用いられずに直接提供される。
4つの一次熱交換器231には、冷却塩が流れる二次系ループ(後述する)の配管が接続される。この配管は、例えば図2及び図4のハッチングHで示す位置(原子炉容器21の側壁213)を貫通して直ぐに、対応する一次熱交換器231に接続される。
<一次系ループ500の構成について>
一次系ループ500は、後述する燃料塩が循環する経路であって、炉心22(後述する)に連続する一次熱交換器ユニット23と、この一次熱交換器ユニット23に連続する燃料塩戻りパス251(後述する)とを有するように構成される。一次系ループ500は、燃料塩戻りパス251が下部燃料塩プレナム214を介して炉心22に連続するように構成される。一次系ループ500は、燃料塩が循環するシステムである。
<配管類25について>
配管類25としては、一次系ループ500の配管と、二次系ループの配管(後述する)とが含まれる。一次系ループ500の配管としては、4つの一次熱交換器231に夫々接続される燃料塩戻りパス251が挙げられる。この4つの燃料塩戻りパス251は、炉心軸CL1を中心に90度間隔で配置される。4つの燃料塩戻りパス251は、この上側の端部が4つの一次熱交換器231の下側に夫々接続される。また、4つの燃料塩戻りパス251の下側の端部は、下部燃料塩プレナム214に夫々接続される。4つの燃料塩戻りパス251は、原子炉容器21の側壁213に対し添わせるように取り付けられ、鉛直方向に延在する上側部分251aと、原子炉容器21の下壁212の側に間隔をあけて配置され、水平方向に延在する下側部分251bとを有する。
上側部分251aと下側部分251bとを有する4つの燃料塩戻りパス251は、L字状の経路となるように形成される。4つの燃料塩戻りパス251は、側壁213に対し添わせるように取り付けられることから、燃料塩が循環する配管としては、経路が格段に短くなるように形成される。また、短くなることから、燃料塩が循環する配管の表面積が最小になるように形成される。従って、短い燃料塩戻りパス251は、燃料塩の漏洩の可能性を最小化することができると共に、熱的なロスを最小化することもできる。
上側部分251aは、曲面形状となる側壁213の外面に対し面接触する容器接触面251cを有しており、上側部分251aの延在する方向に垂直な面(水平面)における断面形状が非円形状(例えば三日月のような断面形状)に形成される。これに対し下側部分251bは、下側部分251bの延在する方向に垂直な面における断面形状が円形(本実施形態では真円)に形成される。上側部分251aは、原子炉容器21の側壁213の外面に面接触することから、全長が短い燃料塩戻りパス251の中でも特に熱的なロスを最小化することが有利な箇所(原子炉容器21による保温効果がある箇所であるため)に設定される。なお、上側部分251aは、燃料塩戻りパス251の全長が十分に短いことから、熱的ロスを考慮せずに面接触をさせなくてもよいのは勿論である。例えば、断面円形状に形成して側壁213の外面に対し線接触させることでもよい。また、例えば下側部分251b及び下壁212の間隔と同程度に離して配置してもよい。
配管類25のうち、下壁212の側に配置されるものは、原子炉容器21から使用済みの燃料塩を排出しつつ新しい燃料塩を装荷する操作が可能となるように形成される。このことについて、以下、図2、図4、及び図5を参照しながら説明する。
下壁212の中央には、下部燃料塩プレナム214が設けられる。この下部燃料塩プレナム214からは、4つの燃料塩戻りパス251が水平方向にのびる。この4つの燃料塩戻りパス251は、炉心軸CL1を中心に90度間隔で配置される。また、下部燃料塩プレナム214からは、パイプ254も水平方向にのびる。このパイプ254は、4つのうちの2つの燃料塩戻りパス251の間に配置される。パイプ254は、下部燃料塩プレナム214からのびて後述する燃料塩貯蔵タンク53に接続される。更に、下部燃料塩プレナム214からは、排出パイプ252が下側にのびる。排出パイプ252は、ドレインタンク3(後述する)に接続される。
原子炉容器21の下壁212からは、2本のオーバーフローパス253が下側にのびる。この2本のオーバーフローパス253は、一端がドレインタンク3に接続される。また、2本のオーバーフローパス253は、他端が、後述する黒鉛反射材221を貫通して上部燃料塩プレナム215に接続される。4つの燃料塩戻りパス251からは、排出パイプ257が下側にのびる。4つの排出パイプ257は、ドレインタンク3に接続される。4つの排出パイプ257は、燃料塩戻りパス251における上側部分251a及び下側部分251bの連結箇所に配置される。
なお、ドレインタンク3への燃料塩の排出や、燃料塩貯蔵タンクからの新しい燃料塩の装荷に関する操作、排出・装荷の際に作動するバルブ等の機構、これらの制御等については、説明を省略するものとする。上述以外の配管類25については、図6を参照しながら後述するものとする。
<炉心22及び黒鉛反射材221について>
図3において、炉心22は、原子炉容器21の内部に設けられる。炉心22は、核分裂が行われる所謂コアであって、黒鉛製の黒鉛反射材221により囲まれる。この黒鉛反射材221は、上部黒鉛反射材221aと、下部黒鉛反射材221bと、側部黒鉛反射材221cとを有して構成される。黒鉛反射材221は、上部黒鉛反射材221aと、下部黒鉛反射材221bと、側部黒鉛反射材221cとにより容器形状に形成される。黒鉛反射材221は、中性子照射から原子炉容器21を保護するために設けられる。
<炉心22、減速材222、及び燃料塩について>
炉心22は、上述の黒鉛反射材221の他に、複数の減速材222を備えて構成される。別な言い方をすれば、炉心22は、黒鉛反射材221に取り囲まれるように、この内側に配置される複数の減速材222を備えて構成される。炉心22は、複数の減速材222の間を燃料塩が流れるように形成される。また、炉心22は、黒鉛反射材221の内周面と、複数の減速材222との間を燃料塩が流れるように形成される。
燃料塩は、この他に液体核燃料や熔融塩燃料と呼ばれるものであって、核分裂物質のウランと親物質のトリウムとを熔融塩フリーべに混合させてなるもの(例えばLiF-BeF-ThF-UF)が採用される(特に限定されないものとする)。燃料塩は、複数の減速材222との間を流れた後、上部黒鉛反射材221aの開口部を介して更に上方へ流れる(ポンプ232のポンプシャフト232a及びポンプフィン232bの駆動によって燃料塩は上方に移動する。ポンプ232が停止した状態では、自然対流により上方に移動する)。上方に移動した燃料塩は、一次熱交換器231で熱交換が行われた後に、一次熱交換器231の下部から燃料塩戻りパス251、下部燃料塩プレナム214、及び下部黒鉛反射材221bの開口部を介して炉心22に戻る。
なお、本実施形態においては、ポンプ232の停止時に燃料塩が対流によって自然循環を起こすように一次熱交換器231及びポンプ232が配置されている。
図6は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の一次系ループに関係するシステム図である。
<一次系ループ500に関係する一次系システム5について>
一次系ループ500は、上述の如く燃料塩が循環する経路である。そして、この一次系ループ500に関係するシステム(一次系システム5)は、燃料塩が関連するすべての装置が含まれるものとする。図6に示す一次系システム5においては、原子炉容器21と、ドレインタンク3と、燃料塩装荷装置51と、燃料塩脱水還元装置52と、燃料塩貯蔵タンク53と、移動用タンク54と、漏洩熔融塩回収タンク55と、配管類25とを含んで構成される。
ドレインタンク3は、緊急時における燃料塩の排出のために備えられる。ドレインタンク3は、原子炉容器21の下方に配置される。ドレインタンク3は、下部燃料塩プレナム214及び排出パイプ252を介して原子炉容器21に接続される。燃料塩貯蔵タンク53は、パイプ254及び下部燃料塩プレナム214を介して原子炉容器21に接続される。なお、図6では、配管類25の一部のみに符号を付すものとする。
燃料塩装荷装置51は、燃料塩装荷装置室56内に設置される。燃料塩装荷装置室56内の円柱状の図は、熔融塩フリーべを示すものとする。燃料塩装荷装置室56の外側にある円柱状の図は、熔融塩搬入ヤードに置かれた、LiF、UF、BeF、ThF等を示すものとする。燃料塩脱水還元装置52の近傍には、フッ化水素ガス、ヘリウムガス、水素ガスのボンベが設置される。移動用タンク54は、化学処理のために化学処理プラント57へ移動させることが可能なタンクであって、処理済後は元の位置に戻される。符号58はオフガスシステム(Xe、Kr等除去)を示すものとする。
一次系システム5の最も重要な装置は、原子炉容器21であり、炉心22(コア)内で発生した核分裂反応により温められた燃料塩は、コア出口(上述の上部黒鉛反射材221aの開口部)から排出され、ポンプ232により一次熱交換器231に搬送される。この後、一次熱交換器231において燃料塩と冷却塩(二次塩)との間で熱の交換が行われる。以下、冷却塩(二次塩)の流れ等について説明する。
図7は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の二次系ループに関係するシステム図である。
<冷却塩(二次塩)の流れ等について>
二次系ループは、上述の核分裂反応によって発生した熱エネルギー(熱)が一次熱交換器ユニット23を介して伝えられるシステムである。熱エネルギー(熱)は、二次系ループの冷却塩に伝えられる。
図7では、一次熱交換器231において燃料塩と冷却塩(二次塩)との間で熱の交換が行われ、温められた冷却塩は、ヘリウム加熱器61に搬送される。冷却塩は、ヘリウム加熱器61でヘリウムと熱交換を行って冷却された後、二次ポンプ62で一次熱交換器231に再度送られる。以上により二次系ループ6が構成される。ヘリウム加熱器61で加熱されたヘリウムは、ヘリウムガスタービン発電システム63及びボトミングサイクル発電システム64に送られ、その保持する熱エネルギーが回転エネルギーに変換され、発電機65で電気エネルギーに変換される。本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントでは、ヘリウムガスタービン発電システム63及びボトミングサイクル発電システム64のコンバインドシステムにより、例えば合計で約2.4万kWeの出力を実現する。
図8は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の一次系ループにおいてポンプ停止が生じた時の自然対流に関する説明図である。
<自然対流等について>
図8における左上の図は、一次系ループ(強制対流時)の燃料塩の流れについて示している。炉心内で発生した核分裂反応により温められた燃料塩は、ポンプ(P)により熱交換器(一次熱交換器)に強制的に搬送される。この後、燃料塩は、熱交換器において冷却塩(二次塩)との間で熱の交換が行われて冷却される。そして、炉心内へ戻される。図8における右側の図は、上述の燃料塩の流れについて、もう少し詳しく図示したものである。
図8における左下の図は、一次系ループ(ポンプ停止時)の燃料塩の流れについて示している。温められた燃料塩は、ポンプ停止時であっても自然対流により上述同様に循環する。なお、図には、炉心での浮力、流力、熱交換器での浮力が示される。
仮にポンプが故障しても燃料塩の一次系ループが自然循環で維持されることは、燃料塩の温度や組成が一次系ループ内で均質に保たれると言う液体燃料炉としての特性を維持する点で極めて重要である。燃料塩の温度が部位によって偏り、局部的に高温になると原子炉容器材料の高温脆化の原因となり炉寿命が短縮する。逆に局部的に熔融塩の融点を下回ると燃料塩が凍結してしまうおそれがある。一方、コア内で、ウラン濃度が局部的に上昇すると、その部位では想定以上に反応度が追加されて炉の暴走の原因となり得る。燃料塩の一次系ループの自然循環の仕組みは、原子炉の安全管理上極めて重要なポイントである。
図9は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントの安全性に関する説明図である。
以下、絶対的安全性のイメージを説明する。ステップSS1で示すように「制御棒・ドレインタンク排出バルブの故障」が生じた場合は、ステップSS2で示すように「冷却システムが維持できれば安定」することになる。具体的には、一次系ループの機能や二次系ループの機能等が維持できれば安定することになり、結果、安全性が確保される。これに対し、ステップSS3で示すように「冷却システムが機能不全となった場合」は、ステップSS4で示すように「燃料塩の温度上昇」が発生する。しかしながら、ステップSS5で示すように「負の温度係数により反応度(Keff値)低下」が起こることになる。具体的には、炉心22内の複数の減速材222の断面形状を例えば「ヒトデ型」になるように工夫(図示省略)して大きな負の温度反応度係数を獲得し、この獲得した大きな負の温度反応度係数により潜在的な実行増倍率Keffは低下することになる。実行増倍率Keffの低下が起こると、ステップSS6で示すように「100日程度でKeff<1、完全シャットダウン」、即ち実行増倍率Keffが1よりも小さくなるような低下となり、ステップSS7で示すように「収束」する結果、安全性が確保される。
なお、ステップSS2で示す「冷却システムが維持」できていれば、ステップSS3で示す「制御棒・ドレインタンク排出バルブの故障」が生じた場合であっても、最終的にステップSS7で示す収束に至ることになる。
一方、ステップSS5で「負の温度係数により反応度(Keff値)低下」が起こり、そして、ステップSS8で示すように「Keff<1まで反応度が低下しシャットダウン」に至ると、ステップSS9で示すように「自然冷却でKeff>1となるまで温度低下」が生じる場合もある。これにより、ステップSS10で示すように「Keff>1となり再臨界」が生じ、燃料塩の温度が上昇する(ステップSS4)。しかしながら、最終的には、ステップSS7で示すように「収束」する結果となることから、安全性が確保される。
この他、ステップSS4で「燃料塩の温度上昇」が発生し、そして、ステップSS11で示すように「すべてのポンプが機能不全となった場合」は、ステップSS12で示すように「自然循環により炉内温度が均質化」し、この状態で燃料塩の温度が上昇する(ステップSS4)。しかしながら、最終的には、ステップSS7で示すように「収束」する結果となることから、安全性が確保される。
本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントでは、安全性が確保されていることが分かる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
即ち、図1乃至図9の説明に係る熔融塩原子炉プラントの構成は例示に過ぎず、特に限定されないものとする。即ち、上述した一連の構成の一部又は全部が熔融塩原子炉プラントに備えられていれば足り、この構成を実現するために例えば熔融塩原子炉プラントは、特に上述の例に限定されないものとする。熔融塩原子炉プラントは、上述のような発電に限らず、例えば熱エネルギーを利用して水素発生等に活用することも可能である。なお、熔融塩原子炉の変形例については、図10を参照しながら後述する。
上述の本発明の一実施形態によれば、炉心22に流れるように燃料塩を循環させる一次系ループ500の構成のうち、一次熱交換器231が炉心22に対し近接するように配置されることから、燃料塩の流れる経路(配管)を従来よりも格段に短くすることができる。また、一次系ループ500の構成のうち、一次熱交換器231に接続される燃料塩戻りパス251が原子炉容器21に接触したり近傍に配置されたりすることから、燃料塩の流れる経路(配管)を従来よりも格段に短くすることができる。従って、燃料塩の流れる経路(配管)を十分に短くし且つ表面積も少なくすることから、燃料塩の漏洩の可能性や熱的なロスを低下させることができる。また、一次熱交換器231や燃料塩戻りパス251が原子炉容器21に一体化するような構造であることから、原子炉容器21や一次熱交換器231等の収納空間の小型化を図ることができる。また、燃料塩戻りパス251が原子炉容器21の外部に配置されることから、燃料塩の装荷部分や排出部分を設け易くすることができる。
この他、上述の熔融塩原子炉プラントとしては、上部燃料塩プレナム215に多量の余剰となる燃料塩が存在し、仮にコア出口(上部黒鉛反射材221aの開口部)から想定外の高温の燃料塩が排出されても、上部燃料塩プレナム215内の温度が低い燃料塩によって温度上昇を緩和することができる。従って、原子炉容器21等がその材料にダメージを受けるような高温の燃料塩に晒される可能性を低くすることができる(例えば公知のトリウム溶融塩増殖炉MSBRや公知のFUJIのような分離型炉では、コア出口から高温の燃料塩が排出される。この高温の燃料塩は、ポンプ(燃料塩ポンプ)に繋がるパイプに直に接し、その燃料塩が仮に1000℃を超えていた場合には、当該パイプ及びポンプに大きなダメージを与える可能性があった)。上述の余剰の燃料塩は、コア内で異常な反応度印加があった場合に、一次系システム5全体への波及を緩和するモデレーターとしての働きを期待することができる(コアでの異常な反応度印加の発生原因としては、一次熱交換器231に冷たい冷却塩が急激に流れ込んだ場合に、負の温度反応度係数効果により、コアの核分裂反応が急激に活発化することなどが想定される)。
上述の熔融塩原子炉プラントでは、上部燃料塩プレナム215内、ポンプ232内、一次熱交換器231内、配管類25内、及び下部燃料塩プレナム214内に燃料塩が収容されており、これら収容された燃料塩の量としては、コア内に収容された燃料塩の約2倍に及んでいる。そのために、燃料塩内に含まれる核分裂生成物の量は、分離型炉(例えば公知のトリウム溶融塩増殖炉MSBRが分離型炉として挙げられる。なお、本実施形態の方は、一体型炉である)に比べて薄まることになる。これにより、上述の熔融塩原子炉プラントは、同規模のコアの分離型炉と比べて燃料塩交換のインターバルを3倍に長期化することができ、また、長期化によってウランの回収率も高めることができる。
図10は、本実施形態に係る熔融塩原子炉プラントにおける熔融塩原子炉の変形例を示す垂直断面図である。
図10において、変形例としての熔融塩原子炉2は、原子炉容器21と、この原子炉容器21内に設けられる炉心22と、一次熱交換器ユニット23と、制御棒24と、配管類25とを備えて構成される(この構成は一例であるものとする)。また、熔融塩原子炉2は、一次熱交換器ユニット23や配管類25を含む一次系ループ500と、ドレインタンク3とを備えて構成される。熔融塩原子炉2は、一次系ループ500やドレインタンク3と共に格納容器4にて覆われ、この格納容器4は、原子炉室11に設置される。一次熱交換器ユニット23は、一次熱交換器231と、ポンプ232とを備えて構成される。一次熱交換器ユニット23は、例えば図2に示すものと同様に、4つ備えられる。従って、図10では、一次熱交換器231とポンプ232とが4つずつ備えられる(ここで説明の数は一例であるものとする。例えば一次熱交換器231が6つ備えられてもよい。また、一次熱交換器231とポンプ232とが同じ数でなくてもよい)。一次系ループ500は、一次熱交換器ユニット23と、配管類25の一部とを含んで構成される。一次系ループ500は、図10では4つ備えられる。配管類25の一部としては、ポンプ232と一次熱交換器231とを繋ぐ燃料塩搬送管258が挙げられる。また、一次熱交換器231と下部燃料塩プレナム214とを繋ぐ燃料塩戻りパス251が挙げられる。なお、一次熱交換器231には、冷却塩が流れるパイプ255、256が接続される。パイプ255、256は、格納容器4及び原子炉室11を貫通する。変形例では、燃料塩貯蔵タンク53が原子炉容器21の上側に接続される(一例であるものとする。図6に示すように、下部燃料塩プレナム214からのびるパイプ254に接続されてもよいものとする)。
変形例としての熔融塩原子炉2では、一次熱交換器231が原子炉容器21の側壁213の外面に固定される。別な言い方をすれば、一次熱交換器231が炉心22に対し近接するように配置される。一次熱交換器231の固定としては、側壁213の外面に例えばハステロイ(登録商標)Nを材料にした専用の箱体を設けて、その中に収容されるような固定が一例として挙げられる。なお、側壁213の外面でなく、原子炉容器21内に固定するのであれば、側壁213の一部を外側に膨らませて収容部を形成し、その中に収容されるような固定等が一例として挙げられる。上述の専用の箱体の例は、一次熱交換器ユニット23の数に合わせて例えば炉心軸CL1(図3参照)を中心に90度間隔で配置されたり、或いは側壁213の周囲を囲むように配置されたりするものとする。また、上述の収容部の例では、一次熱交換器ユニット23の数に合わせて例えば炉心軸CL1(図3参照)を中心に90度間隔で外側に膨らませたり、或いは側壁213をこの全周にわたって外側に膨らませたりして形成されるものとする。一次熱交換器231からのびる燃料塩戻りパス251は、例えば図3に示す状態と同じに原子炉容器21の外部に配置される。
従って、上述と同様に、炉心22に流れるように燃料塩を循環させる一次系ループ500の構成のうち、一次熱交換器231が炉心22に対し近接するように配置されることから、燃料塩の流れる経路(配管)を従来よりも格段に短くすることができる。また、一次系ループ500の構成のうち、一次熱交換器231に接続される燃料塩戻りパス251が原子炉容器21に接触したり近傍に配置されたりすることから、燃料塩の流れる経路(配管)を従来よりも格段に短くすることができる。従って、燃料塩の流れる経路(配管)を十分に短くし且つ表面積も少なくすることから、燃料塩の漏洩の可能性や熱的なロスを低下させることができる。また、一次熱交換器231や燃料塩戻りパス251が原子炉容器21に一体化するような構造であることから、原子炉容器21や一次熱交換器231等の収納空間の小型化を図ることができる。また、図10の例では、原子炉容器21や一次熱交換器231、ポンプ232が独立するような配置になることから、夫々のメンテナンスをし易くすることができる。
なお、図10では、端部にポンプフィン232bを設けたポンプシャフト232aの軸が鉛直方向にのびるようにポンプ232が縦置きに設置されているが、この限りでないものとする。即ち、ポンプシャフト232aの軸が例えば水平方向にのびるようにポンプ232が横置きに設置されてもよいものとする。この場合、原子炉容器21の上壁の形状が、ポンプ232の配置が変わることによってシンプルになることから、例えば上壁を取り外すことによる炉心22の点検やメンテナンスをし易くすることができる。
以上をまとめると、本発明が適用される熔融塩原子炉プラントは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態をとることができる。
即ち、本発明が適用される熔融塩原子炉プラントは、
原子炉容器(例えば図6の原子炉容器21)と、当該原子炉容器の内部に設けられる炉心(例えば図6の炉心22)と、当該炉心に流れるように燃料塩を循環させる一次系ループ(例えば図6の一次系ループ500)とを備え、
前記一次系ループは、前記炉心に前記燃料塩が流れた際の核分裂反応によって発生した熱エネルギーを熱交換により冷却塩に伝える一次熱交換器(例えば図6の一次熱交換器231)を有する、熔融塩原子炉プラントにおいて、
前記一次系ループは、前記一次熱交換器から流れる前記燃料塩を前記炉心に戻すための燃料塩戻りパス(例えば図6の燃料塩戻りパス251)を更に有し、且つ、当該一次熱交換器が前記原子炉容器の内部又は外部において当該炉心に対し近接するように配置され、且つ、当該一次熱交換器に接続される当該燃料塩戻りパスが当該原子炉容器の当該外部に配置される。
本発明が適用される熔融塩原子炉プラントによれば、一次熱交換器を炉心に対し近接するように配置することから、従来に比べ燃料塩の流れる経路(配管)を短くすることができる。これにより、燃料塩の漏洩の可能性や熱的なロスを低下させると共に、原子炉容器や一次熱交換器等の収納空間の小型化を図ることができる。
また、熔融塩原子炉プラントによれば、前記燃料塩戻りパスは、少なくとも一部(例えば図5の上側部分251a)が前記原子炉容器の外面に接する。
本発明が適用される熔融塩原子炉プラントによれば、燃料塩戻りパスの少なくとも一部が原子炉容器の外面に接することから、原子炉容器からの熱を受けて保温され、燃料塩の熱的なロスを更に低下させることができる。
また、熔融塩原子炉プラントによれば、前記燃料塩戻りパスの前記一部は、前記原子炉容器の曲面形状となる前記外面に対し面接触する容器接触面(例えば図5の容器接触面251c)を有して断面非円形状に形成される。
本発明が適用される熔融塩原子炉プラントによれば、燃料塩戻りパスの一部が原子炉容器の外面に対し極力多く面接触することから、全長が短い燃料塩戻りパスの中でも特に熱的なロスを最小化することができる。
また、熔融塩原子炉プラントによれば、前記一次熱交換器は、前記炉心に対し、当該炉心の炉心軸(例えば図3の炉心軸CL1)に沿った鉛直方向の上側に配置される。
本発明が適用される熔融塩原子炉プラントによれば、一次熱交換器を炉心の上側に近接させるように配置することから、一体型炉としてより良いものを提供することができる。
また、熔融塩原子炉プラントによれば、前記一次熱交換器は、前記炉心に対し、当該炉心の炉心軸(例えば図3の炉心軸CL1)に交差する軸に沿った水平方向となる横側に配置される(例えば図10の例)。
本発明が適用される熔融塩原子炉プラントによれば、一次熱交換器を炉心の横側に近接させるように配置することから、一体型炉としてより良いものを提供することができる。また、熔融塩原子炉プラントによれば、原子炉容器や一次熱交換器等を独立させることができることから、夫々のメンテナンスをし易くすることができる。
1・・・建屋
2・・・熔融塩原子炉
3・・・ドレインタンク
4・・・格納容器
21・・・原子炉容器
22・・・炉心
23・・・一次熱交換器ユニット
231・・・一次熱交換器
232・・・ポンプ
251・・・燃料塩戻りパス
251a・・・上側部分
251b・・・下側部分
251c・・・容器接触面
500・・・一次系ループ

Claims (5)

  1. 原子炉容器と、当該原子炉容器の内部に設けられる炉心と、当該炉心に流れるように燃料塩を循環させる一次系ループとを備え、
    前記一次系ループは、前記炉心に前記燃料塩が流れた際の核分裂反応によって発生した熱エネルギーを熱交換により冷却塩に伝える一次熱交換器を有する、熔融塩原子炉プラントにおいて、
    前記一次系ループは、前記一次熱交換器から流れる前記燃料塩を前記炉心に戻すための燃料塩戻りパスを更に有し、且つ、当該一次熱交換器が前記原子炉容器の内部又は外部において当該炉心に対し近接するように配置され、且つ、当該一次熱交換器に接続される当該燃料塩戻りパスが当該原子炉容器の当該外部に配置される、熔融塩原子炉プラント。
  2. 前記燃料塩戻りパスは、少なくとも一部が前記原子炉容器の外面に接する、
    請求項1に記載の熔融塩原子炉プラント。
  3. 前記燃料塩戻りパスの前記一部は、前記原子炉容器の曲面形状となる前記外面に対し面接触する容器接触面を有して断面非円形状に形成される、
    請求項2に記載の熔融塩原子炉プラント。
  4. 前記一次熱交換器は、前記炉心に対し、当該炉心の炉心軸に沿った鉛直方向の上側に配置される、
    請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の熔融塩原子炉プラント。
  5. 前記一次熱交換器は、前記炉心に対し、当該炉心の炉心軸に交差する軸に沿った水平方向となる横側に配置される、
    請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の熔融塩原子炉プラント。
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