JP2022182154A - 毛球部毛根鞘細胞の評価方法 - Google Patents

毛球部毛根鞘細胞の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡便に毛球部毛根鞘細胞を評価する方法の提供を目的とする。【解決手段】IGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、G2A、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定し、発現レベルに基づき遊走能を決定することにより、毛球部毛根鞘細胞を評価する。【選択図】図1

Description

本発明は、毛髪再生の細胞治療の技術分野に関する。より具体的に、本発明は、毛髪再生の細胞治療において用いる毛球部毛根鞘細胞を評価する方法に関する。
脱毛症や薄毛の治療として、薬剤の投与が主に行われていたが、継続的な投与を必要とする一方で、対象によっては十分な効果が得られないこともあった。一方、対象の頭皮組織から採取した毛髪になりうる細胞を増殖させて、自家移植により対象の頭皮に戻すことで、より安全性高く、効果的に毛髪を再生することが期待されている。毛髪再生に使用される細胞は、毛乳頭細胞(Dermal Papilla cells: DP細胞)、毛球部毛根鞘細胞(Dermal Sheath Cup cells:DSC細胞)などが用いられている(特許文献1:特開2011-101648号公報)。
毛球部毛根鞘細胞の自家移植による毛髪再生治療の実用化が近づいており、より有効性を高め、安定した毛髪再生を実現することが期待されている。有効性を高めるためには、移植する細胞の品質の管理が重要であり、移植前に品質の高い毛球部毛根鞘細胞を取得することが重要になる。
特開2011-101648号公報
毛球部毛根鞘細胞を含む組成物の品質管理は、組成物中に、ケラチノサイトやメラノサイトといった細胞の混入がないことを確認することにより行われている。また、組成物中に含まれる毛球部毛根鞘細胞の細胞活性及び/又は細胞活性に基づく毛髪再生能力については評価することを目的として、組成物に含まれる毛球部毛根鞘細胞の遊走能を評価する方法が開発されている。細胞を播種し、所定の時間のインキュベート後に遊走した細胞を確認することで、遊走能を評価することができる。しかしながら、移植前の細胞についてかかる実験を行うことは、事業者の負担が大きかった。そこで、本発明者らは、より簡便に毛球部毛根鞘細胞を評価する方法を構築するという課題に思い至った。
本発明者らは、毛球部毛根鞘細胞を含む細胞組成物において遊走能を評価する簡便な手法の開発に取り組み、遊走関連遺伝子に着目して鋭意研究を行った。遊走関連遺伝子の発現と、実際の遊走試験により決定された遊走能とを比較することで、遊走能に相関性の高い遊走関連遺伝子を同定し、本発明に至った。そこで、本発明は、以下に関する:
[1] 毛球部毛根鞘細胞において、以下の:
IGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定する工程;及び
発現レベルに基づき遊走能を決定する工程
を含む、毛球部毛根鞘細胞の評価方法。
[2] 前記遊走能が、発現レベルを所定の閾値と比較することにより決定される、項目1に記載の評価方法。
[3] 前記毛球部毛根鞘細胞が、培養後の細胞である、項目1又は2に記載の方法。
[4] 前記毛球部毛根鞘細胞が、凍結保存後に融解され、培養された細胞である、項目3に記載の方法。
[5] 前記培養が、接着培養である、項目3又は4に記載の方法。
[6] 前記遺伝子のうち、IGF1R、FGFR2、DDR1、DDR2、CD36、EGFR、EDAA2R、cMet、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定する、項目3~5のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記毛球部毛根鞘細胞が、培養後に凍結保存された細胞である、項目1又は2に記載の方法。
[8] IGF1R、FGFRL1、FGFR2、CD36、及びPDGFR1からなる群から選ばれる、項目7に記載の方法。
[9] 項目1~8のいずれか一項に記載の方法により毛球部毛根鞘細胞を評価することを含む、移植適格性を決定する方法。
本発明により、より短い時間及び少ない労力で、毛球部毛根鞘細胞を評価することができる。
図1Aはマイグレーションアッセイで、膜チャンバーの下面に遊走した細胞の核を蛍光染色して示した写真を示す。図1Bはマイグレーションアッセイで、膜チャンバーの下面に遊走した細胞の数を示すグラフである。
本発明は、毛球部毛根鞘細胞の評価方法に関する。
毛球部毛根鞘細胞とは、毛根を取り囲む鞘細胞(毛根鞘細胞:Dermal Sheath cells:DS細胞)のうち、毛球部を取り囲む鞘細胞に由来する細胞である。毛球部とは、毛包の最深部に存在し、毛根の膨らんだ領域を指し、主に毛乳頭及び毛母細胞により構成される。頭皮試料の毛包部を切開し、毛球部毛根鞘を反転させて毛乳頭を切除し、毛乳頭が切除された毛球部毛根鞘を培養することで、毛球部毛根鞘細胞を採取することができる。毛球部毛根鞘細胞を継代培養することで、移植に必要な細胞数まで増殖させることができ、移植用の細胞組成物とすることができる。移植用の細胞組成物中の毛球部毛根鞘細胞は、細胞表面マーカーを用いて、同定することができる。一例として、CD10、CD13、CD29、CD49b、CD90、CD105、CD274、及びNG2からなる群から選ばれる少なくとも1の細胞表面マーカーの発現により特徴づけられる。毛球部毛根鞘細胞の初代培養の際に、メラノサイトやケラチノサイトが混入することもあり、移植用の細胞組成物では、メラノサイトやケラチノサイトが一定の割合以下となるように品質管理されうる。
理論に限定されることを意図するものではないが、毛球部毛根鞘細胞が頭皮に注入されると、毛球部毛根鞘細胞は遊走して毛包周辺に局在し、さらには遊走後に毛乳頭へと分化することで、毛髪再生に寄与すると考えられる。一方で、適切な場所に遊走できなかった毛球部毛根鞘細胞は、自然に排除されてしまうと考えられる。したがって、毛球部毛根鞘細胞の遊走能は、毛球部毛根鞘細胞の品質、すなわち移植した場合の毛球部毛根鞘細胞の毛髪再生能力に寄与する。毛球部毛根鞘細胞の遊走能が高いほど、毛球部毛根鞘細胞の品質が高く、毛髪再生能力が高いと評価することができる。
遊走能とは、細胞が組織中又は培養環境中で遊走する能力を意味する。細胞の遊走能は、走化性(ケモタキシス)、走触性(ハプトタキシス)、創傷治癒、及び細胞浸潤に大別される。このうち、走化性とは、細胞がケモカインなどの走化性因子の濃度勾配によって遊走することをいい、毛球部毛根鞘細胞は、ケモタキシスに基づき遊走していると考えられる。測定する遊走能の種類に応じて、遊走能を測定する方法及びアッセイキットを選択することができる。
本発明の毛球部毛根鞘細胞の評価方法は、より具体的に、毛球部毛根鞘細胞において、IGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定する工程;及び
発現レベルに基づき遊走能を決定する工程
を含む。
これらの遺伝子の発現レベルは、これらの遺伝子のmRNA量を測定することにより測定されてもよく、またこれらの遺伝子から産生されるタンパク質量を測定することにより測定されてもよい。mRNA量の測定方法としては、本技術分野に周知の方法を用いることができるが、リアルタイムPCR等、PCRに基づく測定が主に行われうる。タンパク質発現量としては、ウエスタンブロットやフローサイトメトリー等、抗体を用いた免疫学的手法に基づく測定が主に行われうる。
遊走能は、遺伝子の発現レベルを所定の閾値と比較することにより決定することができる。所定の閾値は、各遺伝子毎に予め決定される。一例として、高い遊走能を有する毛球部毛根鞘細胞の遺伝子の発現レベルと、低い遊走能を有する毛球部毛根鞘細胞の遺伝子の発現レベルとの間で、任意に決定することができる。複数の試料を用いることでより適切な閾値を選択することができる。
本発明において、毛球部毛根鞘細胞の遊走能は、マイグレーションアッセイにより、膜チャンバー下面へと移動した細胞数により決定することができる。マイグレーションアッセイは、市販のマイグレーションプレートを用いて定法に従い実施される。マイグレーションアッセイの下部チャンバーには、遊走を誘導しうる物質を含む培地、一例として毛乳頭細胞(DP)馴化培地を導入して実験することができる。DP馴化培地とは、予め毛乳頭細胞を培養して得た培養物の上清を指す。毛乳頭細胞を培養する培地としては、毛乳頭細胞の培養に用いられる任意の培地を使用することができ、一例として、無血清のFollicle Dermal Papilla Cell Growth Medium (PromoCell)、AmnioMAX (Thermo Fisher Scientific)、Follicle Dermal Papilla Cell Basal Medium (Takara-bio)などが用いられる。毛乳頭細胞は任意の密度、例えば70%コンフルエントで培地に播種され、37℃CO2雰囲気下で、少なくとも1時間、例えば24~72時間培養された培養物の上清を使用することができる。こうした毛乳頭細胞培養上清には、毛乳頭細胞が分泌する様々な因子、例えばケモカインやサイトカイン、酵素などの多様なタンパクが分泌されており、こうした因子が、単独で又は協働して、毛球部毛根鞘細胞を誘引することができる。本発明では、毛乳頭細胞培養上清をマイグレーションアッセイで用いることにより、毛球部毛根鞘細胞の遊走能を評価することができる。また、毛乳頭細胞培養上清に代えて、毛球部毛根鞘細胞の遊走因子を含む培地を用いることもできる。
IGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる遺伝子の発現量は、毛球部毛根鞘細胞の遊走能と正の相関を示す。したがって、これらの遺伝子の発現量が高いほど、毛球部毛根鞘細胞の遊走能が高くなる。
毛球部毛根鞘細胞の遺伝子発現は、培養や凍結融解により変化しうる。頭皮移植用の細胞組成物は、継代培養されて増殖された毛球部毛根鞘細胞を回収し、凍結保存により貯蔵される。凍結した状態で輸送され、融解後に移植に供される。本発明の評価方法において測定する遺伝子発現は、培養及び/又は凍結融解の影響を受けた状態でも遊走能を決定できることが好ましい。したがって、本発明において評価される毛球部毛根鞘細胞は、培養前又は後の細胞であってもよいし、凍結細胞、又は凍結保存後に融解された細胞であってもよい。培養は、浮遊培養又は接着培養であり、遊走性を発揮する観点から接着培養が好ましい。培養後に凍結保存された細胞とは、凍結細胞又は融解後の細胞であって、融解後の培養は行われていない細胞を指す。
凍結細胞での遺伝子発現レベルと遊走能との相関性から、CD36、FGFR2、FGFRL1、IGF1R、及びPDGFR1からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定し、かかる発現レベルに基づき遊走能を決定することができる。相関性の高さから、CD36、FGFR2、及びPDGFR1からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を用いることができる。DP細胞培養上清で遊走が促進する細胞数の絶対値に着目する観点から、FGFR2、FGFRL1、及びIGF1Rからなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を用いることができる。DP細胞培養上清で遊走が促進する細胞数の相対値に着目する観点から、CD36及びPDGFR1からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を用いることができる。
培養後の細胞での遺伝子発現レベルと遊走能との相関性から、DDR1、DDR2、CD36、EGFR、EDAA2R、FGFR2、IGF1R、c-Met、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定し、かかる発現レベルに基づき遊走能を決定することができる。相関性の高さから、CD36、EGFR、FGFR2、IGF1R、S1P2、S1P3、及びTLR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を用いることができる。DP細胞培養上清で遊走が促進する細胞数の絶対値に着目する観点から、DDR1、EGFR、EDAA2R、FGFR2、IGF1R、c-Met、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を用いることができる。DP細胞培養上清で遊走が促進する細胞数の相対値に着目する観点から、DDR2及びCD36からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を用いることができる。
IGF1Rは、インスリン様成長因子1受容体であり、インスリン様成長因子ファミリーに属する。IGF1Rは細胞表面に存在する受容体タンパク質である。IGF1RのGene IDは3480である。
FGFR2は、線維芽細胞増殖因子受容体2であり、線維芽細胞増殖因子受容体ファミリーに属する。FGFR2は、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。FGFR2のGene IDは2263である。
FGFRL1は、線維芽細胞増殖因子受容体様タンパク質1であり、線維芽細胞増殖因子受容体ファミリーに属する。FGFRL1は、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。FGFRL1のGene IDは53834である。
CD36は、血小板糖タンパク質4、脂肪酸トランスロカーゼ、スカベンジャー受容体クラスBメンバー3(SCARB3)などとも呼ばれる膜糖タンパク質である。CD36は血球系細胞の表面マーカーとしても使用されうる。CD36のGene IDは948である。
DDR1及びDDR2は、ジスコイジンドメイン受容体1及びジスコイジンドメイン受容体2であり、チロシンキナーゼ受容体サブファミリーに属する。DDR1及びDDR2は、細胞表面に存在する受容愛タンパク質である。DDR1及びDDR2のGene IDは、それぞれ780及び4921である。
EGFRは、上皮細胞増殖因子受容体であり、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。EGFRのGene IDは1956である。
EDAA2Rは、エクトジスプラシンA2受容体であり、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。EDAA2RのGene IDは60401である。
cMetは、肝細胞増殖因子受容体としても知られており、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。cMetのGene IDは4233である。
PDGFR1は、血小板由来増殖因子受容体1であり、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。PDGFR1のGene IDは5159である。
S1P2、S1P3は、スフィンゴシン-1-リン酸受容体2及びスフィンゴシン-1-リン酸受容体3であり、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。S1P2及びS1P3のGene IDは、それぞれ9294及び1903である。
TLR2はトル様受容体2であり、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。TLR2のGene IDは7097である。
VEGFR2は、血管内皮成長因子受容体2であり、細胞表面に存在する受容体タンパク質である。VEGFR2のGene IDは3791である。
本発明に係る遺伝子の発現の測定のために用いるプライマー対は、各遺伝子の塩基配列から任意に設定することができる。一例として、実施例で用いたプライマー対を用いることができる。本発明に係る遺伝子から発現されたタンパク質の測定のために用いる抗体は市販のものと用いてもよいし、抗原を導入して製造することもできる。
本発明において、IGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる1の遺伝子の発現レベルに基づいて遊走能を決定してもよいし、複数の遺伝子の発現レベルを組み合わせて、遊走能を決定してもよい。任意の組み合わせを使用してもよい。相関性の高い遺伝子を組み合わせて使用することで、遊走能をより正確に決定することができる。かかる組み合わせは、当業者であれば、統計解析又は機械学習を介して適宜設定することができる。
本発明の別の態様では、発現レベルに基づき遊走能を決定する工程に代えて、毛髪再生の有効性を直接決定する工程が行われうる。かかる方法のために、移植用の細胞組成物の毛球部毛根鞘細胞におけるIGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる1の遺伝子の発現レベルと、前臨床研究の有効性とを比較し、相関性を決定することができる。毛髪再生の有効性は、細胞組成物の移植後の総毛髪密度や積算毛髪径に基づいて決定することができる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
実施例1:DP馴化培地に基づく毛球部毛根鞘細胞の遊走活性の検出
毛球部毛根鞘細胞の取得
頭皮試料の毛包部を切開し、毛球部毛根鞘を反転させて毛乳頭を切除した。毛乳頭が切除された毛球部毛根鞘をAmnioMAX培地中で培養することで、毛球部毛根鞘細胞を取得した。
馴化培地の取得
ヒト頭皮から取得された毛包から得られた1×10~5×10個の毛乳頭細胞を、10mlのAmnioMAX培地を入れたフラスコ(Corning社製)に播種し、37℃、5%CO雰囲気下で2日間培養し、培養上清を取得して、DP馴化培地とした。
毛球部毛根鞘細胞の遊走活性の測定
取得された2×10~1×10個の毛球部毛根鞘細胞を、10mlのAmnioMAX培地中を入れたフラスコ(Corning社製)に播種し、サブコンフルエントになるまで2~5日間培養した。培地を無血清培地に置換し、一晩培養を行った。その後、マイグレーションプレート(Corning社製)の膜チャンバーに、4万個の毛球部毛根鞘細胞を播種した。ボトムチャンバーにはDP馴化培地を入れ、37℃、5%CO雰囲気下で5時間培養した。対照として、無血清AmnioMax(-)(Thermo Fisher Scientific社製)を用い、5時間の培養後、膜チャンバーを取り出し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。固定後、ヘキスト(Thermo Fisher Scientific社)で染色し、蛍光顕微鏡(Olympus社)で膜チャンバーの下面を撮影した(図1A)。ヘキスト陽性細胞を計数した(図1B)。
10ドナーの毛球部毛根鞘細胞サンプルについて、DP馴化培地により、チャンバー下面へと遊走した毛球部毛根鞘細胞の細胞数(DP値)、AmnioMAX培地により遊走された毛球部毛根鞘細胞数(Amnio値)とし、DP値とAmnio-値の差(DP-Amnio値)、DP値とAmnio値の商(DP/Amnio値)を算出した。
結果を以下に示す:
Figure 2022182154000002
実施例2:毛球部毛根鞘細胞の遺伝子発現解析
未凍結試料の調製
10ドナーの毛球部毛根鞘細胞を10mlのAmnioMAX(Invitrogen社製)培地を入れたフラスコ(Corning社製)にそれぞれ播種し、接着培養し、サブコンフルエントになるまで培養した。培地を除去後、リン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、TrypLE SELECT Enzyme (1X), no phenol red (Thermo Fisher Scientific社製)を2~5ml添加後、37℃COインキュベーターで5分間加温し、細胞を剥離させた。AmnioMAX培地を10ml添加し、細胞を回収後、遠心分離機により細胞を沈殿させ、培地を除去し、細胞ペレットを得て、未凍結試料として得た。
凍結後試料の調製
10ドナーの毛球部毛根鞘細胞を継代し、細胞保存液・セルバンカー2(日本全薬工業株式会社)に溶解し、液体窒素気相タンクにおいて凍結保存を行った。液体窒素気相タンク下で細胞保存液・セルバンカー2(日本全薬工業株式会社)中に保存しておいた10ドナーの毛球部毛根鞘細胞を37℃ウォーターバスにて融解した。遠心分離チューブ内にて融解した細胞溶液とAmnioMAX培地10mlを均一に懸濁した後、遠心分離し、培地を除去後、細胞ペレットを得て、凍結後試料として得た。
未凍結試料、凍結後試料の細胞ペレットについて、RNeasy Mini Kit (QIAGEN社製)を用い、以下の手順によりRNA抽出を行った。細胞ペレットをBuffer RLT(キット付属)350μlに溶解し、よく攪拌した。細胞溶解液に70% エタノール350μlを加えてピペッティングにより混合した。細胞溶解液をRNeasy mini column(キット付属)に移し、13,000rpmで15秒間遠心分離し、カラムを透過した液を捨てた。RNeasy columnにBuffer RW1 350μlを加えて13,000rpmで15秒間遠心分離した。Buffer RW1 350μlを加えて13,000rpmで15秒間遠心分離した。新しいコレクションチューブ (キット付属)にRNeasy columnを置き、96~100%エタノールを添加したBuffer PRE (キット付属)500μlを加え、13,000rpmで15秒間遠心分離した。カラムを通過した液を捨て、再度Buffer PREを加え、15000rpmで2分間遠心分離した。新しい1.5mlチューブ(キット付属)にRNeasy columnを置き、RNase free water(キット付属)30μlを加え、13,000rpmで1分間遠心分離してRNAを溶出した。精製したRNAからSuperScript III RT-PCR KIT (インビトロジェン社製)を用い、以下の手順によりRNAからcDNAを合成した。cDNA合成1反応にはRNA1μgを使用し、プライマーには下記表のOligoDTプライマーを用いた。逆転写酵素は50℃にて1時間反応させた。得られたcDNAを鋳型として、Blend taq(東洋紡社製)を用い、内在性コントロールとして常時発現遺伝子であるGAPDH、遊走関連受容体の各遺伝子を増幅した。LightCycler480System II(Roche Diagnostics K.K.社製)により、95℃にて5分(1サイクル)、95℃にて10秒、60℃にて15秒、および72℃にて45秒(45サイクル)でPCR反応を行った。発現解析には、比較Ct法(ΔΔCt法)を用い、測定したい目的の遺伝子とハウスキーピング遺伝子であるGAPDHのCt値の差(ΔCt)を比較して、相対定量した。
Figure 2022182154000003
実施例3:遺伝子発現解析結果と遊走試験結果の相関解析
各ドナーの細胞について実施例1で決定されたDP値とAmnio-値の差(DP-Amnio値)、DP値とAmnio値の商(DP/Amnio値)と、未凍結試料又は凍結後試料に各遺伝子についての遺伝子発現量とを、Microsoft Office Excel(マイクロソフト社)上で相関解析を実施した。DP-Amnio値、又はDP/Amnio値と上述の4つの遊走試験値いずれかと相関係数が0.6以上で正の相関を示す遺伝子を遊走能関連遺伝子として選出した。
Figure 2022182154000004

Claims (9)

  1. 毛球部毛根鞘細胞において、以下の:
    IGF1R、FGFR2、FGFRL1、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、PDGFR1、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定する工程;及び
    発現レベルに基づき遊走能を決定する工程
    を含む、毛球部毛根鞘細胞の評価方法。
  2. 前記遊走能が、発現レベルを所定の閾値と比較することにより決定される、請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記毛球部毛根鞘細胞が、培養後の細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記毛球部毛根鞘細胞が、凍結保存後に融解され、培養された細胞である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記培養が、接着培養である、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記遺伝子のうち、IGF1R、FGFR2、CD36、DDR1、DDR2、EGFR、EDAA2R、cMet、S1P2、S1P3、TLR2、及びVEGFR2からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子の発現レベルを測定する、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記毛球部毛根鞘細胞が、培養後に凍結保存された細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
  8. IGF1R、FGFRL1、FGFR2、CD36、及びPDGFR1からなる群から選ばれる、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の方法により毛球部毛根鞘細胞を評価することを含む、移植適格性を決定する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023210403A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 株式会社 資生堂 毛球部毛根鞘(dsc)細胞の毛髪再生能を評価する方法、毛髪を再生するための組成物及びその製造方法
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023210403A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 株式会社 資生堂 毛球部毛根鞘(dsc)細胞の毛髪再生能を評価する方法、毛髪を再生するための組成物及びその製造方法
WO2023210402A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 株式会社 資生堂 毛球部毛根鞘(dsc)細胞の毛髪再生能を評価する方法、毛髪を再生するための組成物及びその製造方法

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