JP2022181668A - シアン酸エステル樹脂、その製造方法、樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた低誘電正接だけでなく、低誘電率特性を併せ持つシアン酸エステル樹脂の提供を目的とする。【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とするシアン酸エステル樹脂。【化1】TIFF2022181668000013.tif53167(ここで、R1はそれぞれ独立に炭素数1~8の炭化水素基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンテニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンテニル基である。nは繰り返し数を示し、その平均値は0~5の数である。)【選択図】図1
Description
本発明は、シアン酸エステル樹脂、その製造方法、シアン酸エステル樹脂を含む樹脂組成物及びその硬化物に関する。
近年、情報機器の小型化、高性能化が急速に進んでおり、それに伴い、半導体や電子部品の分野で用いられる材料に対し、これまでよりも高い性能が要求されている。特に、電気・電子部品の材料となるエポキシ樹脂組成物には、基板の薄型化と高機能化に伴う低誘電特性が求められている。
これまで積層板用途の低誘電率化には、脂肪族骨格を導入したジシクロペンタジエンフェノール樹脂等が用いられてきたが、誘電正接を改善するには効果が乏しく、満足いくものではなかった(特許文献1、2、3)。
シアン酸エステル樹脂は、耐熱性や誘電特性等に優れた熱硬化性樹脂として知られており、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂等が古くから知られており、高機能なプリント配線板等に使用されてきた(特許文献4)。しかし、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂は低吸水性や吸湿耐熱性の面では不十分であり、さらなる特性向上を目的とした開発が行われていた。他の構造のシアン酸エステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアン酸エステル樹脂が報告されているが、硬化条件の制約があり、硬化不良が発生しやすかった(特許文献5)。更なる改良として、ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂が提案されているが、低誘電率特性は不十分であった(特許文献6)。
従って、本発明は、優れた低誘電正接だけでなく、低誘電率特性を併せ持つシアン酸エステル樹脂の提供を目的とするものであり、併せてそれらを用いた樹脂組成物と、並びにその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するために本発明者が種々検討した結果、特定のシアン酸エステル樹脂を含有する樹脂組成物を使用することにより、低誘電正接だけでなく低誘電率にも優れた熱硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするシアン酸エステル樹脂である。
ここで、R1はそれぞれ独立に炭素数1~8の炭化水素基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンテニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンテニル基である。nは繰り返し数を示し、その平均値は0~5の数である。
ここで、R1はそれぞれ独立に炭素数1~8の炭化水素基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンテニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンテニル基である。nは繰り返し数を示し、その平均値は0~5の数である。
上記R1はメチル基又はフェニル基が好ましい。
また本発明は、下記一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂をシアネート化したシアン酸エステル樹脂である。
ここで、R1はそれぞれ独立に炭素数1~8の炭化水素基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンテニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンテニル基である。mは繰り返し数を示し、その平均値は0~5の数である。
ここで、R1はそれぞれ独立に炭素数1~8の炭化水素基を示し、R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンテニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンテニル基である。mは繰り返し数を示し、その平均値は0~5の数である。
また本発明は、上記多価ヒドロキシ樹脂をシアネート化して、上記シアン酸エステル樹脂を得ることを特徴とする上記シアン酸エステル樹脂の製造方法である。
また本発明は、上記シアン酸エステル樹脂を含む樹脂組成物である。ここで、上記シアン酸エステル樹脂の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、1~90質量部であることが好ましい。
また上記樹脂組成物は、シアン酸エステル樹脂以外のシアン酸エステル樹脂、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
また本発明は、上記樹脂組成物を硬化させてなる硬化物であり、また上記樹脂組成物を使用したプリプレグ、封止用材料、繊維強化複合材料、接着剤、積層板、樹脂シート、又はプリント配線板である。
本発明の製造方法は、ジシクロペンタジエン型多価ヒドロキシ樹脂をシアン酸エステル樹脂に容易に変換することができる。また、本発明のシアン酸エステル樹脂を使用した樹脂組成物は、優れた誘電正接特性及び低誘電率特性を発現した硬化物を与えることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のシアン酸エステル樹脂は、上記一般式(1)で表されるシアン酸エステル樹脂である。この樹脂は、有利には上記一般式(2)で表される多価ヒドロキシ化合物をシアネート化して得られる。一般式(1)及び一般式(2)において、共通する記号は同じ意味を有する。
本発明のシアン酸エステル樹脂は、上記一般式(1)で表されるシアン酸エステル樹脂である。この樹脂は、有利には上記一般式(2)で表される多価ヒドロキシ化合物をシアネート化して得られる。一般式(1)及び一般式(2)において、共通する記号は同じ意味を有する。
一般式(1)において、R1は炭素数1~8の炭化水素基を示し、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~8のアリール基、炭素数7~8のアラルキル基、又はアリル基が好ましい。
アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、α-メチルベンジル基等が挙げられる。
これらの中では、入手の容易性及び硬化物とするときの反応性の観点から、フェニル基、メチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンタジエニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンタジエニル基である。ジシクロペンタジエニル基は、下記式(1a)又は式(1b)で表される基であり、ジシクロペンタジエンに由来する。
アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、α-メチルベンジル基等が挙げられる。
これらの中では、入手の容易性及び硬化物とするときの反応性の観点から、フェニル基、メチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
R2はそれぞれ独立に水素原子又はジシクロペンタジエニル基を示し、R2の少なくとも1つはジシクロペンタジエニル基である。ジシクロペンタジエニル基は、下記式(1a)又は式(1b)で表される基であり、ジシクロペンタジエンに由来する。
nは繰り返し数であって、0以上の数を示し、その平均値(数平均)は0~5であり、1.0~4.0が好ましく、1.1~3.0がより好ましく、1.2~2.5が更に好ましい。
本発明のシアン酸エステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、400~2000が好ましく、400~1500がより好ましく、500~1000が更に好ましい。数平均分子量(Mn)は350~1500が好ましく、400~1000がより好ましく、400~700が更に好ましい。
GPC測定による含有量としては、原料である多価ヒドロキシ樹脂の分子量分布がほぼそのまま維持され、一般式(1)において、好ましくは、n=0体が10面積%以下、n=1体が50~90面積%、n=2体以上が0~50面積%の範囲にある。
GPC測定による含有量としては、原料である多価ヒドロキシ樹脂の分子量分布がほぼそのまま維持され、一般式(1)において、好ましくは、n=0体が10面積%以下、n=1体が50~90面積%、n=2体以上が0~50面積%の範囲にある。
一般式(2)において、R1は一般式(1)における定義と同義であり、mは一般式(1)のnの定義と同じである。すなわち、原料としての一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂と、生成物としての一般式(1)で表されるシアン酸エステル樹脂とは、水酸基がシアネート化されることを除き、ほぼ同じ構造である。
多価ヒドロキシ樹脂のフェノール性水酸基当量(g/eq.)は160~400が好ましく、165~350がより好ましく、170~345が更に好ましい。
軟化点は、50~180℃が好ましく、60~120℃がより好ましい。
GPCによる含有量としては、m=0体が10面積%以下、m=1体が40~90面積%、m=2体以上が0~60面積%の範囲にあることが好ましい。
軟化点は、50~180℃が好ましく、60~120℃がより好ましい。
GPCによる含有量としては、m=0体が10面積%以下、m=1体が40~90面積%、m=2体以上が0~60面積%の範囲にあることが好ましい。
一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂は、ルイス酸の存在下、下記一般式(3)で表される2,6-ジ置換フェノール類に対し、ジシクロペンタジエンを反応させることで得られる。
ここで、R1は一般式(1)における定義と同義である。
ここで、R1は一般式(1)における定義と同義である。
2,6-ジ置換フェノール類としては、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2,6-ジプロピルフェノール、2,6-ジイソプロピルフェノール、2,6-ジ(n-ブチル)フェノール、2,6-ジ(t-ブチル)フェノール、2,6-ジヘキシルフェノール、2,6-ジシクロヘキシルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、2,6-ジトリルフェノール、2,6-ジベンジルフェノール、2,6-ビス(α-メチルベンジル)フェノール、2-エチル-6-メチルフェノール、2-アリル-6-メチルフェノール、2-トリル-6-フェニルフェノール等が挙げられるが、入手の容易性及び硬化物とするときの反応性の観点から、2,6-ジフェニルフェノール、又は2,6-ジメチルフェノールが好ましく、2,6-ジメチルフェノール(=2,6-キシレノール)が特に好ましい。
この反応に用いる触媒はルイス酸であり、具体的には三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛、塩化鉄等であるが、中でも取り扱いの容易さから、三フッ化ホウ素・エーテル錯体が好ましい。触媒の使用量は、三フッ化ホウ素・エーテル錯体の場合、ジシクロペンタジエン100質量部に対して、0.001~20質量部であり、好ましくは0.5~10質量部である。
2,6-ジ置換フェノール類に、上記式(1a)又は式(1b)で表されるジシクロペンタジエン構造(ジシクロペンテニル基)を導入するための反応方法としては、2,6-ジ置換フェノールに対して、ジシクロペンタジエンを所定の比率で反応させる方法であり、ジシクロペンタジエンを多段階で間欠的に反応させてもよい。
一般的な反応では、比率は、2,6-ジ置換フェノールに対し、ジシクロペンタジエンを0.1~0.25倍モルであるが、本発明では、好ましくは0.28~2.0倍モルである。より好ましくは0.5~1.5倍モルである。ジシクロペンタジエンを連続的に添加し反応させる場合の比率は、2,6-ジ置換フェノールに対し、ジシクロペンタジエンを0.28~1.0倍モルが好ましく、0.3~0.5倍モルがより好ましい。ジシクロペンタジエンを多段階で間欠的に加え反応させる場合は、0.8~2.0倍モルが好ましく、0.9~1.7倍モルがより好ましい。多段階添加における各段階でのジシクロペンタジエンの使用量は、0.20~1.0倍モルが好ましい。
一般的な反応では、比率は、2,6-ジ置換フェノールに対し、ジシクロペンタジエンを0.1~0.25倍モルであるが、本発明では、好ましくは0.28~2.0倍モルである。より好ましくは0.5~1.5倍モルである。ジシクロペンタジエンを連続的に添加し反応させる場合の比率は、2,6-ジ置換フェノールに対し、ジシクロペンタジエンを0.28~1.0倍モルが好ましく、0.3~0.5倍モルがより好ましい。ジシクロペンタジエンを多段階で間欠的に加え反応させる場合は、0.8~2.0倍モルが好ましく、0.9~1.7倍モルがより好ましい。多段階添加における各段階でのジシクロペンタジエンの使用量は、0.20~1.0倍モルが好ましい。
一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂中に、ジシクロペンテニル基が導入されたことを確認する方法としては、質量分析法とFT-IR測定を用いることができる。
質量分析方法を用いる場合、エレクトロスプレー質量分析法(ESI-MS)やフィールドデソープション法(FD-MS)等を用いることができる。GPC等で核体数が異なる成分を分離したサンプルを質量分析法にかけることにより、ジシクロペンテニル基が導入されたことを確認できる。
FT-IR測定法を用いる場合、THF等の有機溶媒に溶解させたサンプルをKRS-5セル上に塗布し、有機溶媒を乾燥させて得られたサンプル薄膜付セルをFT-IRで測定すると、フェノール核におけるC-O伸縮振動に由来するピークが1210cm-1付近に現れ、ジシクロペンテニル基が導入されている場合のみジシクロペンタジエン骨格のオレフィン部位のC-H伸縮振動に由来するピークが3040cm-1付近に現れる。目的のピークの始まりと終わりを直線的につないだものをベースラインとし、ピークの頂点からベースラインまでの長さをピーク高さとしたとき、3040cm-1付近のピーク(A3040)と1210cm-1付近のピーク(A1210)の比率(A3040/A1210)によってジシクロペンテニル基の導入量が定量できる。その比率は大きいほど物性値が良くなることが確認できており、目的の物性を満たすための好ましい比率(A3040/A1210)は0.05以上であり、より好ましくは0.10以上である。
本反応は、2,6-ジ置換フェノール類と触媒を反応器に仕込み、ジシクロペンタジエンを1~10時間かけて滴下していく方式がよい。
反応温度は、50~200℃が好ましく、100~180℃がより好ましく、120~160℃が更に好ましい。反応時間は1~10時間が好ましく、3~10時間がより好ましく、4~8時間が更に好ましい。
反応終了後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリを加えて触媒を失活させる。その後、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の溶媒を加えて溶解し、水洗した後、減圧下で溶媒を回収することにより、目的とする一般式(2)で表される多価ヒドロキシ化合物を得ることができる。なお、ジシクロペンタジエンを可及的に全量反応させ、2,6-ジ置換フェノール類の一部を未反応、好ましくは10%以下を未反応として、それを減圧回収することが好ましい。
反応に際し、必要に応じてベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類や、クロロベンゼン、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類や、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングルコールジメルエーテル等のエーテル類等の溶媒を使用してもよい。
一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂としては、上記反応で得られた多価ヒドロキシ樹脂を使用することが好ましいが、これに限定されない。
一般式(1)のシアン酸エステル樹脂を得るための方法としては、シアネート化法が優れる。この方法としては、一般式(2)で表される多価ヒドロキシ樹脂を溶媒中、塩基性条件下でハロゲン化シアンを反応させる方法(シアネート化反応)が挙げられる。この場合、多価ヒドロキシ樹脂を予め溶剤に溶解させたのち、ハロゲン化シアン溶液と塩基性化合物溶液とを反応させることがよい。
このシアネート化反応は、多価ヒドロキシ樹脂と溶媒を反応器に仕込み、溶解した後、ハロゲン化シアン溶液及び塩基性化合物を滴下していく方式がよい。
ハロゲン化シアンとしては、塩化シアン又は臭化シアンが挙げられる。ハロゲン化シアンは市販品を用いてもよいし、シアン化水素又は金属シアニドとハロゲンを反応させる公知の製造方法を用いてもよい。
シアネート化反応工程におけるハロゲン化シアンの使用量は、多価ヒドロキシ樹脂のヒドロキシル基1モルに対して、通常0.5~5モルであり、好ましくは1.0~3.5モル、より好ましくは1.0~2.0モルである。
反応に使用する溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングルコールジメチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ系、酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル類、水溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独使用でも2種類以上を混合使用してもよい。
シアネート化反応工程に用いられる塩基性化合物としては、有機塩基又は無機塩基のどちらを用いてもよく、それらのうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリアミルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチル-n-ブチルアミン、メチルジ-n-ブチルアミン、メチルエチル-n-ブチルアミン、ドデシルジメチルアミン、トリベンジルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ジフェニルメチルアミン、ピリジン、ジエチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の3級アミンが挙げられる。これらの中でも、入手が容易で収率よく目的物が得られること等から、トリエチルアミン、又はジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
有機塩基の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂のヒドロキシ基1モルに対して、好ましくは0.1~8モル、より好ましくは1.0~3.5モルである。
無機塩基としては、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、特に限定されないが工業的に一般的に用いられる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられるが、入手容易で安価なことから、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
無機塩基の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂のヒドロキシ基1モルに対して、好ましくは1.0~5.0モル、より好ましくは1.0~3.5モルである。
上記塩基性化合物は溶媒に溶解させた状態で使用することが好ましい。
塩基性化合物溶液に用いる溶媒の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂を塩基性化合物溶液に溶解させる場合、樹脂1質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.5~50質量部である。多価ヒドロキシ樹脂を塩基性化合物溶液に溶解させない場合、溶媒の使用量は塩基性化合物1質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.25~50質量部である。
塩基性化合物を溶解させる際に使用する溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングルコールジメチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ系、酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル類、水溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独使用でも2種類以上を混合使用してもよい。水を使用する場合は、水道水、蒸留水やイオン交換水等を用いることができるが、不純物の少なさの観点から、蒸留水やイオン交換水が好ましい。
塩基性化合物を水に溶解させる場合、界面活性剤として触媒量の有機塩基や4級アンモニウム塩を使用することが好ましい。3級アミンとしては、前述の有機塩基性化合物に記載のアルキルアミンを用いることができ、入手の容易性の観点から、トリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミンが好ましい。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等を用いることができ、入手容易性の観点から、テトラエチルアンモニウムブロミドやテトラブチルアンモニウムブロミドが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアネート化反応工程に用いられる溶媒の総量としては、シアン酸エステル樹脂を効率的に製造するため、多価ヒドロキシ樹脂1質量部に対し、2.5~100質量部であることが好ましい。
シアネート化反応工程では、pHが7未満の状態を保持したまま反応させることが好ましい。pHを7未満に抑えることにより副生成物の生成が抑制されて、効率的にシアン酸エステル樹脂を製造できる。反応液のpHが7未満の状態を保持するために、酸を反応液に添加する方法が好ましい。ハロゲン化シアン溶液に酸を添加したり、反応中に適宜反応液のpHをpH計で測定しながら反応系に酸を添加したりすることにより、pH7未満の状態を保持するようにすることがより好ましい。使用できる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等の無機酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸等の有機酸が挙げられる。また、水相と有機溶媒相の二層系反応とすることが好ましい。
反応温度は、副生成物の生成を抑えるため、-20℃から50℃が好ましく、-15℃から15℃がより好ましく、-10℃から10℃が更により好ましい。
シアネート化反応工程における反応圧力は常圧でも加圧でもよく、必要に応じて、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反応系内に充填してもよい。
反応時間は特に限定されないが、ハロゲン化シアン溶液及び塩基性化合物を滴下する場合、滴下時間は1分間~20時間が好ましく、3分間~10時間がより好ましい。更にその後、反応温度を維持したまま10分間~10時間反応させることが好ましい。
シアネート化反応工程における反応の進行度は、液体クロマトグラフィー又はIRスペクトル法等で確認することができる。副生するジシアンやジアルキルシアノアミド等の揮発成分は、ガスクロマトグラフィーで分析することができる。
反応終了後は、通常の後処理操作と分離・精製操作を行うことで目的とするシアン酸エステル樹脂を単離することができる。具体的には、反応液を水洗し、シアン酸エステル樹脂を含む有機溶媒相を分取し、濃縮、再沈殿又は晶析、又は水洗後、溶媒置換することによって目的のシアン酸エステル樹脂を得ることができる。有機塩基化合物としてアミン類を使用した場合は、洗浄の際に希薄塩酸等の酸性水溶液を用いる方法も採用できる。十分に洗浄された反応液から水分を除去するために、還流脱水、硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウム等を用いた一般的な方法により脱水することができる。濃縮及び溶媒置換の際には、シアン酸エステル樹脂の重合を抑えるため、減圧下、90℃以下の温度に加熱して有機溶媒を留去する事が好ましい。再沈殿又は晶析の際には、溶解度の低い溶媒を用いることができる。例えば、エーテル系の溶剤やヘキサン等の炭化水素系溶剤又はアルコール系溶剤を反応溶液に滴下、又はシアン酸エステル樹脂を溶剤中に滴下する方法を用いることができる。得られた粗生成物を洗浄するために、反応液の濃縮物や沈殿した結晶をエーテル系の溶剤やヘキサン等の炭化水素系溶剤、又はアルコール系の溶剤で洗浄する方法を用いることもできる。反応溶液を濃縮して得られた結晶を再度溶解させた後、再結晶させることもできる。また、晶析は、反応液を単純に濃縮又は冷却することで行ってもよい。
得られたシアン酸エステル樹脂を同定する方法としては、NMR等の公知の方法を用いることができる。シアン酸エステル樹脂の純度は、液体クロマトグラフィー又はIRスペクトル法等で分析できる。シアン酸エステル樹脂中のジアルキルシアノアミド等の副生物や残存溶媒等の揮発成分は、ガスクロマトグラフィーで定量分析できる。シアン酸エステル樹脂中に残存するハロゲン化合物は、硝酸銀溶液を用いた電位差滴定又は燃焼法による分解後イオンクロマトグラフィーで定量分析することができ、液体クロマトグラフ質量分析計で同定することができる。シアン酸エステル樹脂の重合反応性は、熱板法によるゲル化時間で評価することができる。
本発明のシアン酸エステル樹脂をいることにより、本発明の樹脂組成物を得ることができる。本発明の樹脂組成物は、本発明のシアン酸エステル樹脂を必須成分とする。また、本発明のシアン酸エステル樹脂と共に、これ以外の他のシアン酸エステル樹脂を使用することもできる。
他のシアン酸エステル樹脂を併用する場合、好ましくは、シアン酸エステル樹脂のうち少なくとも30質量%が本発明のシアン酸エステル樹脂である。より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%含有するとよい。これよりも少ない場合、誘電特性が悪化する恐れがある。また、必要に応じて本発明のシアン酸エステル樹脂又は他のシアン酸エステル樹脂を1種類又は2種類以上併用してもよい。
他のシアン酸エステル樹脂としては、1分子中に2つ以上のシアナト基(シアン酸エステル基)を有する化合物であれば特に限定されない。例えば、フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型等のノボラック型シアネートエステル系硬化剤、ナフトールアラルキル型シアネートエステル系硬化剤、ビフェニルアルキル型シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールE型、テトラメチルビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等が挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、ビス(3-メチル-4-シアネートフェニル)メタン、ビス(3-エチル-4-シアネートフェニル)メタン、ビス(4-シアネートフェニル)-1,1-エタン、4,4-ジシアネート-ジフェニル、2,2-ビス(4-シアネートフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、トリス(4-シアネートフェニル)-1,1,1-エタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアネートフェニル)-4-シアネートフェニル-1,1,1-エタン等の3価のフェノールのシアン酸エステル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用できる。
本発明の樹脂組成物は、本発明のシアン酸エステル樹脂と、これ以外の他のシアン酸エステル樹脂、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群から選択される1種以上の樹脂又は化合物を含むことができる。
本発明の樹脂組成物中の本発明のシアン酸エステル樹脂の配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、1~90質量部であることがよい。好ましくは、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。このシアン酸エステル樹脂の配合量が少なく過ぎると誘電特性が悪化する恐れがある。
ここで、樹脂固形分は組成物中の樹脂成分又は重合若しくは硬化して樹脂となる成分(モノマー等)をいう。
ここで、樹脂固形分は組成物中の樹脂成分又は重合若しくは硬化して樹脂となる成分(モノマー等)をいう。
本発明の樹脂組成物に含まれるマレイミド化合物としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に、限定されることはないが、例えば、N-フェニルマレイミド、フェニルメタンマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、2,2’-[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、N,N’-エチレンジマレイミド、N,N’-ヘキサメチレンジマレイミド、下記一般式(4)で表されるマレイミド化合物や、これらマレイミド化合物のプレポリマー、若しくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられる。これらのマレイミド化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。この中でも、下記一般式(4)で表されるマレイミド化合物が好ましい。
ここで、
R3は独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R4は独立に、炭素数1~5のアルキル基又は芳香族基を表す。
aは0~4を表し、0又は1が好ましい。
bは0~3を表し、0又は1が好ましい。
r及びqは0又は1である。
kは繰り返し数であり、その平均値は1~10であり、1~7が好ましく、1~5がより好ましい。
ここで、
R3は独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R4は独立に、炭素数1~5のアルキル基又は芳香族基を表す。
aは0~4を表し、0又は1が好ましい。
bは0~3を表し、0又は1が好ましい。
r及びqは0又は1である。
kは繰り返し数であり、その平均値は1~10であり、1~7が好ましく、1~5がより好ましい。
本発明の樹脂組成物に配合できるフェノール樹脂としては、必要に応じて各種フェノール樹脂を1種類又は2種類以上併用してもよい。フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。フェノール樹脂の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールK、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールZ、テトラブロモビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のビスフェノール類や、カテコール、レゾルシン、メチルレゾルシン、ハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、モノ-t-ブチルハイドロキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン等ジヒドロキシベンゼン類や、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、トリヒドロキシナフタレン等のヒドロキシナフタレン類や、LC-950PM60(Shin-AT&C社製)等のリン含有フェノール硬化剤や、ショウノールBRG-555(アイカ工業株式会社製)等のフェノールノボラック樹脂、DC-5(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等のクレゾールノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノール樹脂、芳香族変性フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、レヂトップTPM-100(群栄化学工業株式会社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のフェノール類及び/又はナフトール類及び/又はビスフェノール類とアルデヒド類との縮合物、SN-160、SN-395、SN-485(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等のフェノール類及び/又はナフトール類及び/又はビスフェノール類とキシリレングリコールとの縮合物、フェノール類及び/又はナフトール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物、フェノール類及び/又はナフトール類及び/又はビスフェノール類とジシクロペンタジエンとの反応物、フェノール類及び/又はナフトール類及び/又はビスフェノール類とジビニルベンゼンとの反応物、フェノール類及び/又はナフトール類及び/又はビスフェノール類とテルペン類との反応物、フェノール類及び/又はナフトール類及び/又はビスフェノール類とビフェニル系架橋剤との縮合物等のいわゆるノボラックフェノール樹脂といわれるフェノール化合物、ポリブタジエン変性フェノール樹脂、スピロ環を有するフェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられる。入手容易さの観点から、フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂、芳香族変性フェノールノボラック樹脂等が好ましい。また、難燃性の観点から、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂が好ましい。
ノボラックフェノール樹脂は、フェノール類と架橋剤とから得ることができる。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、ブチルメチルフェノール、トリメチルフェノール、フェニルフェノール等が挙げられ、ナフトール類としては、1-ナフトール、2-ナフトール等が挙げられ、その他、上記フェノール樹脂系硬化剤として挙げたビスフェノール類が挙げられる。架橋剤としてのアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロルアルデヒド、ブロムアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等が例示される。ビフェニル系架橋剤としてビス(メチロール)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(エトキシメチル)ビフェニル、ビス(クロロメチル)ビフェニル等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に配合されるエポキシ樹脂としては、必要に応じて各種エポキシ樹脂を1種類又は2種類以上併用してもよい。エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスチオエーテル型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β-ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、α-ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂等の3官能エポキシ樹脂、テトラキスフェニルエタン型エポキシ樹脂等の4官能エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールエタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多価アルコールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコール型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の脂肪族環状エポキシ樹脂、ダイマー酸ポリグリシジルエステル等のグリシジルエステル類、フェニルジグリシジルアミン、トリルジグリシジルアミン、ジアミノジフェニルメタンテトラグリシジルアミン、アミノフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、セロキサイド2021P(株式会社ダイセル製)等の脂環式エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、臭素含有エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。入手容易さの観点から、下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂や、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を使用することが更に好ましい。
ここで、R5は独立に炭素数1~8の炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基であり、お互いに同じであっても異なっていてもよい。
Xは2価の有機基を示し、例えば、メチレン基、エチレン基、イソプロピレデン基、イソブチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基等のアルキレン基、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、-S-S-、又は上記式(5a)で示されるアラルキレン基を示す。
R6は独立に水素原子又は炭素数1以上の炭化水素基を示し、例えば、メチル基であり、お互いに同じであっても異なっていてもよい。
Arはベンゼン環又はナフタレン環であり、これらのベンゼン環又はナフタレン環は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~11のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数6~11のアリールオキシ基、又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を置換基として有してもよい。
本発明の樹脂組成物にエポキシ樹脂を使用する場合には、必要に応じてエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、一般に公知のものが使用でき、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体や、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物や、ホスフィン系やホスホニウム系のリン化合物等を挙げることができる。また、後述するカチオン重合開始剤もエポキシ樹脂硬化剤としても使用できる。これらの硬化剤は1種類又は2種類以上を併用してもよい。なお、エポキシ樹脂はシアン酸エステル樹脂とも反応するので、硬化剤は使用しなくともよい。
本発明の樹脂組成物に配合されるオキセタン樹脂としては、必要に応じて各種オキセタン樹脂を1種類又は2種類以上併用してもよい。オキセタン樹脂としては、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3-エチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3’-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオロオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、ビフェニルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン等を用いることができ、OXT-101(東亜合成株式会社製)やOXT-121(東亜合成株式会社製)等の市販品を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物にオキセタン樹脂を使用する場合には、必要に応じてオキセタン樹脂硬化剤を使用することができる。オキセタン樹脂硬化剤としては公知のカチオン重合開始剤が使用できる。例えば、市販のものではサンエードSI60L、サンエードSI-80L、サンエードSI100L(三新化学工業株式会社製)、CI-2064(日本曹達株式会社製)、イルガキュア261(チバスペシャリティーケミカル社製)、アデカオプトマーSP-170、アデカオプトマーSP-150(アデカ株式会社製)、サイラキュアーUVI-6990(UCC社製)等が挙げられる。これらの硬化剤は1種類又は2種類以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物に配合されるベンゾオキサジン化合物としては、必要に応じて各種ベンゾオキサジン化合物を1種類又は2種類以上併用してもよい。ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジン(例えば、BA-BXZ(小西化学株式会社製)等)、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン(例えば、BF-BXZ(小西化学株式会社製)等)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジン(例えば、BS-BXZ(小西化学株式会社製)等)、P-d型ベンゾオキサジン(四国化成工業株式会社製)、F-a型ベンゾオキサジン(四国化成工業株式会社製)、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン等を用いることができる。
本発明の樹脂組成物に配合される重合可能な不飽和基を有する化合物としては、必要に応じて各種重合可能な不飽和基を有する化合物を1種類又は2種類以上併用してもよい。及び重合可能な不飽和基を有する化合物としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、及びベンゾシクロブテン樹脂が挙げられる。なお、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを包含する概念である。
本発明の樹脂組成物に重合可能な不飽和基を有する化合物を使用する場合には、必要に応じて公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、およびアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に重合可能な不飽和基を有する化合物を使用する場合には、必要に応じて公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、およびアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、特性を損ねない範囲で他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類等の種々の高分子化合物を配合してもよい。例えば、ビスマレイミドトリアジン樹脂、酸無水物、アミン類、活性エステル樹脂、アクリレート樹脂、ビニル樹脂、石油樹脂、インデン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリシロキサン化合物、水酸基含有ポリブタジエン等の反応性官能基含有アルキレン樹脂類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のシアン酸エステル樹脂又は本発明の樹脂組成物は、それ自体加熱することにより硬化するが、必要に応じて硬化速度を適宜調節するための硬化促進剤(重合触媒)を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物の重合触媒としては、具体的には、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄等の金属塩、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物、1-ブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、ホスフィン系はホスホニウム系のリン化合物が挙げられる。また、エポキシ-イミダゾールアダクト系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を重合触媒として用いてもよい。また、樹脂組成物で使用されるシアン酸エステル樹脂以外の樹脂及び/又は化合物の硬化促進剤も使用できる。
本発明の樹脂組成物の重合触媒としては、具体的には、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄等の金属塩、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物、1-ブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、ホスフィン系はホスホニウム系のリン化合物が挙げられる。また、エポキシ-イミダゾールアダクト系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を重合触媒として用いてもよい。また、樹脂組成物で使用されるシアン酸エステル樹脂以外の樹脂及び/又は化合物の硬化促進剤も使用できる。
これらの重合触媒は、1種又は2種以上混合して用いることができる、重合触媒の含有量は、通常樹脂組成物100質量部に対して0.1~10質量部である。
樹脂組成物には、粘度調整用として有機溶媒又は反応性希釈剤を使用することができる。
有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシジエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、メタノール、エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、パインオイル等のアルコール類や、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ベンジルアルコールアセテート等の酢酸エステル類や、安息香酸メチル、安息香酸エチル等の安息香酸エステル類や、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反応性希釈剤としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル等の単官能グリシジルエーテル類や、ネオデカン酸グリシジルエステル等の単官能グリシジルエステル類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの有機溶媒又は反応性希釈剤は、単独又は複数種類を混合したものを、樹脂組成物において、不揮発分として90質量%以下で使用することが好ましく、その適正な種類や使用量は用途によって適宜選択される。例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、1-メトキシ-2-プロパノール等の沸点が160℃以下の極性溶媒であることが好ましく、樹脂組成物における使用量は不揮発分で40~80質量%が好ましい。また、接着フィルム用途では、例えば、ケトン類、酢酸エステル類、カルビトール類、芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を使用することが好ましく、その使用量は不揮発分で30~60質量%が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、得られる硬化物の難燃性の向上を目的に、公知の各種難燃剤を使用することができる。使用できる難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられる。環境に対する観点から、ハロゲンを含まない難燃剤が好ましく、特にリン系難燃剤が好ましい。これらの難燃剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
リン系難燃剤は、無機リン系化合物、有機リン系化合物のいずれも使用できる。無機リン系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。有機リン系化合物としては、例えば、脂肪族リン酸エステル、リン酸エステル化合物、例えば、PX-200(大八化学工業株式会社製)等の縮合リン酸エステル類、ホスファゼン、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物や、ホスフィン酸の金属塩の他、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5-ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物や、それらをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体であるリン含有エポキシ樹脂やリン含有硬化剤等が挙げられる。
難燃剤の配合量としては、リン系難燃剤の種類、樹脂組成物の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択される。例えば、樹脂組成物中の有機成分(有機溶媒を除く)中のリン含有量は、好ましくは0.2~4質量%であり、より好ましくは0.4~3.5質量%であり、更に好ましくは0.6~3質量%である。リン含有量が少ないと難燃性の確保が難しくなる恐れがあり、多すぎると耐熱性に悪影響を与える恐れがある。またリン系難燃剤を使用する場合は、水酸化マグネシウム等の難燃助剤を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物には必要に応じて充填材を用いることができる。具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭素、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、微粒子ゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、カーボンブラック、顔料等が挙げられる。一般的に充填材を用いる理由としては耐衝撃性の向上効果が挙げられる。また、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を用いた場合は、難燃助剤として作用し難燃性が向上する効果がある。これら充填材の配合量は樹脂組成物全体に対し、1~150質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましい。配合量が多いと積層板用途として必要な接着性が低下する恐れがあり、更に硬化物が脆く、十分な機械物性を得られなくなる恐れがある。また配合量が少ないと、硬化物の耐衝撃性の向上等、充填剤の配合効果がでない恐れがある。
本発明の樹脂組成物を板状基板等とする場合、その寸法安定性、曲げ強度等の点で繊維状のものが好ましい充填材として挙げられる。より好ましくはガラス繊維を網目状に編んだガラス繊維基板が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、更に必要に応じてシランカップリング剤、酸化防止剤、離型剤、消泡剤、乳化剤、揺変性付与剤、平滑剤、難燃剤、顔料等の各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は樹脂組成物に対し、0.01~20質量%の範囲が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、常法にしたがって調製することができ、本発明のシアン酸エステル樹脂及び上記の任意成分を均一に含有する樹脂組成物が得られる方法であれば、その調製方法は特に限定されない。例えば、本発明のシアン酸エステル樹脂及び上記の任意成分を溶剤に順次配合し、十分に撹拌することで本発明の樹脂組成物を容易に調製することができる。
なお、樹脂組成物の調製時に、各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(撹拌、混合、混練処理等)を行うことができる。例えば、充填材の均一分散にあたり、適切な撹拌能力を有する撹拌機を付設した撹拌槽を用いて撹拌分散処理を行うことで、樹脂組成物に対する分散性が高められる。上記の撹拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミル等の混合を目的とした装置や、公転・自転型の混合装置等の公知の装置を用いて適宜行うことができる。
本発明の樹脂組成物は、プリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板、プリント配線板、及び半導体パッケージの構成材料として用いることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を基材に含浸又は塗布し乾燥することでプリプレグを得ることができる。
また、支持体として剥離可能なプラスチックフィルムを用い、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、そのプラスチックフィルムに塗布し乾燥することでビルドアップ用フィルム又はドライフィルムソルダーレジストを得ることができる。ここで、溶剤は、20~150℃の温度で1~90分間乾燥することで除去することができる。
また、本発明の樹脂組成物は溶剤を除去した状態(未硬化の状態)で使用することもできるし、必要に応じて半硬化(Bステージ化)の状態にして使用することもできる。
また、支持体として剥離可能なプラスチックフィルムを用い、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、そのプラスチックフィルムに塗布し乾燥することでビルドアップ用フィルム又はドライフィルムソルダーレジストを得ることができる。ここで、溶剤は、20~150℃の温度で1~90分間乾燥することで除去することができる。
また、本発明の樹脂組成物は溶剤を除去した状態(未硬化の状態)で使用することもできるし、必要に応じて半硬化(Bステージ化)の状態にして使用することもできる。
本発明の樹脂シートとしては、上記樹脂組成物をシート状に成形したもの、又は支持体と支持体の片面又は両面に配された上記樹脂組成物とを有するものが挙げられる。樹脂シートの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、上記の本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体に塗布し乾燥することで得ることができる。
ここで用いる支持体としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、又はこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状のものが挙げられるが、これらに特に限定されない。
塗布方法としては、例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
また、支持体の無い樹脂シートは、上記支持体の有する樹脂シートから支持体を剥離又はエッチングする方法等で除去して得られる。また、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく、支持体の無い樹脂シートを得ることもできる。
なお、本発明の樹脂シートの製造において、溶剤を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20~170℃の温度で1~90分間が好ましい。
また、本発明の樹脂シートの樹脂層の厚みは、本発明の樹脂組成物の溶液の濃度と塗布厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1~500μmが好ましい。
ここで用いる支持体としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、又はこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状のものが挙げられるが、これらに特に限定されない。
塗布方法としては、例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
また、支持体の無い樹脂シートは、上記支持体の有する樹脂シートから支持体を剥離又はエッチングする方法等で除去して得られる。また、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく、支持体の無い樹脂シートを得ることもできる。
なお、本発明の樹脂シートの製造において、溶剤を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20~170℃の温度で1~90分間が好ましい。
また、本発明の樹脂シートの樹脂層の厚みは、本発明の樹脂組成物の溶液の濃度と塗布厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1~500μmが好ましい。
本発明の樹脂組成物は繊維状基材に含浸させることによりプリント配線板等で用いられるプリプレグを作成することができる。繊維状基材としてはガラス等の無機繊維や、ポリエステル樹脂等、ポリアミン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等の有機質繊維の織布又は不織布を用いることができるがこれに限定されるものではない。基材の厚さは、特に限定されないが、積層板用途であれば、0.01~0.2mmの範囲が好ましい。樹脂組成物からプリプレグを製造する方法としては、特に限定するものではなく、例えば、樹脂組成物を有機溶媒で粘度調整して作成した樹脂ワニスに浸漬して含浸した後、加熱乾燥して樹脂成分を半硬化(Bステージ化)して得られるものであり、例えば、100~200℃で1~40分間加熱乾燥することができる。ここで、プリプレグ中の樹脂量は、樹脂分30~80質量%が好ましい。
また、プリプレグを硬化するには、一般にプリント配線板を製造するときに用いられる積層板の硬化方法を用いることができるが、これに限定されるものではない。例えば、プリプレグを用いて積層板を形成する場合、プリプレグを一枚又は複数枚積層し、片側又は両側に金属箔を配置して積層物を構成し、この積層物を加熱・加圧して積層一体化する。ここで金属箔としては、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の単独、合金、複合の金属箔を用いることができる。そして、作成した積層物を加圧加熱することでプリプレグを硬化させ、積層板を得ることができる。その時、加熱温度を160~350℃、加圧圧力を5~50MPa、加熱加圧時間を40~300分間とすることが好ましく、目的とする硬化物を得ることができる。加熱温度が低いと硬化反応が十分に進行せず、高いと樹脂組成物の分解が始まる恐れがある。また、加圧圧力が低いと得られる積層板の内部に気泡が残留し、電気的特性が低下する場合があり、高いと硬化する前に樹脂が流れてしまい、希望する厚みの硬化物が得られない恐れがある。更に、加熱加圧時間が短いと十分に硬化反応が進行しない恐れがあり、長いとプリプレグ中の樹脂組成物の熱分解が起こる恐れがあり、好ましくない。
本発明の金属箔張積層板は、上記樹脂シート、上記プリプレグ、片面又は両面に上記樹脂組成物を有する金属箔、金属箔等を積層したのち硬化して得られる。
例えば、プリプレグを用いる場合は、上記プリプレグ1枚又はプリプレグを複数枚重ねたものに対して、その片面又は両面に銅やアルミニウム等の金属箔を配置して、積層成形することにより作製することができる。ここで用いられる金属箔は、プリント配線板材料に用いられているものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔及び解銅箔等の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚さは、特に限定されないが、2~70μmが好ましく、3~35μmがより好ましい。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の作製時に用いられる手法を採用できる。例えば、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、又はオートクレーブ成形機などを用い、温度180~350℃、加熱時間100~300分間、面圧20~100kg/cm2の条件で積層成形することにより、本発明の金属箔張積層板を製造することができる。また、上記プリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板を作製することもできる。多層板の製造方法としては、例えば、上記プリプレグ1枚の両面に35μmの銅箔を配置し、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して内層回路板を形成する。さらに、この内層回路板と上記プリプレグとを交互に1枚ずつ配置し、さらに最外層に銅箔を配置して、上記条件にて好ましくは真空下で積層成形する。こうして、多層板を作製することができる。
例えば、プリプレグを用いる場合は、上記プリプレグ1枚又はプリプレグを複数枚重ねたものに対して、その片面又は両面に銅やアルミニウム等の金属箔を配置して、積層成形することにより作製することができる。ここで用いられる金属箔は、プリント配線板材料に用いられているものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔及び解銅箔等の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚さは、特に限定されないが、2~70μmが好ましく、3~35μmがより好ましい。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の作製時に用いられる手法を採用できる。例えば、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、又はオートクレーブ成形機などを用い、温度180~350℃、加熱時間100~300分間、面圧20~100kg/cm2の条件で積層成形することにより、本発明の金属箔張積層板を製造することができる。また、上記プリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板を作製することもできる。多層板の製造方法としては、例えば、上記プリプレグ1枚の両面に35μmの銅箔を配置し、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して内層回路板を形成する。さらに、この内層回路板と上記プリプレグとを交互に1枚ずつ配置し、さらに最外層に銅箔を配置して、上記条件にて好ましくは真空下で積層成形する。こうして、多層板を作製することができる。
本発明の金属箔張積層板は、更にパターン形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。プリント配線板は、常法に従って製造することができ、その製造方法は特に限定されない。以下、プリント配線板の製造方法の一例を示す。まず、上述した金属箔張積層板を用意する。次に、金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路を形成することにより、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を施し、次いで、その内層回路表面に上述したプリプレグを所要枚数重ねる。さらに、その外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成する。さらに、外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
本発明の封止用材料は、本発明の樹脂組成物を含む。封止用材料の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物と封止材料用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤又は溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで封止用材料を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル樹脂、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明の樹脂組成物と強化繊維とを含む。強化繊維としては、一般的に公知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、Eガラス、Dガラス、Lガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、UNガラス、NEガラス、球状ガラス等のガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、及び炭化ケイ素繊維等が挙げられる。強化繊維の形態や配列については、特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選択できる。また、強化繊維の形態としてプリフォーム(強化繊維からなる織物基布を積層したもの、又はこれをステッチ糸により縫合一体化したもの、あるいは立体織物や編組物等の繊維構造物)を適用することもできる。
これら繊維強化複合材料の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、リキッド・コンポジット・モールディング法、レジン・フィルム・インフュージョン法、フィラメント・ワインディング法、ハンド・レイアップ法、プルトルージョン法等が挙げられる。このなかでも、リキッド・コンポジット・モールディング法の一つであるレジン・トランスファー・モールディング法は、金属板、フォームコア、ハニカムコア等、プリフォーム以外の素材を成形型内に予めセットしておくことができることから、種々の用途に対応可能であるため、比較的、形状が複雑な複合材料を短時間で大量生産する場合に好ましく用いられる。
これら繊維強化複合材料の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、リキッド・コンポジット・モールディング法、レジン・フィルム・インフュージョン法、フィラメント・ワインディング法、ハンド・レイアップ法、プルトルージョン法等が挙げられる。このなかでも、リキッド・コンポジット・モールディング法の一つであるレジン・トランスファー・モールディング法は、金属板、フォームコア、ハニカムコア等、プリフォーム以外の素材を成形型内に予めセットしておくことができることから、種々の用途に対応可能であるため、比較的、形状が複雑な複合材料を短時間で大量生産する場合に好ましく用いられる。
本発明の接着剤は、本発明の樹脂組成物を含む。接着剤の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物と接着剤用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤又は溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで接着剤を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル樹脂、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は熱硬化性であり、硬化することによって硬化物を得ることができる。硬化物を得るための方法としては、公知の熱硬化性樹脂組成物と同様の方法をとることができ、注型、注入、ポッティング、ディッピング、ドリップコーティング、トランスファ一成形、圧縮成形等や樹脂シート、樹脂付き銅箔、プリプレグ等の形態とし積層して加熱加圧硬化することで積層板とする等の方法が好適に用いられる。その際の硬化温度は通常、100~350℃であり、硬化時間は通常、1時間~5時間程度である。
また、本発明の樹脂組成物は光硬化性でもあり、硬化物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、通常の条件で硬化できる。光重合開始剤等により効率的に硬化が進む観点から、光の波長領域は100~500nmが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は光硬化性でもあり、硬化物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、通常の条件で硬化できる。光重合開始剤等により効率的に硬化が進む観点から、光の波長領域は100~500nmが好ましい。
本発明の硬化物は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断りがない限り「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。また、測定方法はそれぞれ以下の方法により測定した。
・水酸基当量:
JIS K0070規格に準拠して測定を行い、単位は「g/eq.」で表した。なお、特に断りがない限り、多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量はフェノール性水酸基当量を意味する。
JIS K0070規格に準拠して測定を行い、単位は「g/eq.」で表した。なお、特に断りがない限り、多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量はフェノール性水酸基当量を意味する。
・軟化点:
JIS K7234規格、環球法に準拠して測定した。具体的には、自動軟化点装置(株式会社メイテック製、ASP-MG4)を使用した。
JIS K7234規格、環球法に準拠して測定した。具体的には、自動軟化点装置(株式会社メイテック製、ASP-MG4)を使用した。
・溶融粘度:
ICI粘度測定装置(東亜工業株式会社製、CV-1S)を使用し、150℃での溶融粘度を測定した。
ICI粘度測定装置(東亜工業株式会社製、CV-1S)を使用し、150℃での溶融粘度を測定した。
・ガラス転移温度(Tg):
JIS C6481規格に準拠して測定した。動的粘弾性測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、EXSTAR DMS6100)にて5℃/分の昇温条件で測定を行った時のtanδピークトップで表した。
JIS C6481規格に準拠して測定した。動的粘弾性測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、EXSTAR DMS6100)にて5℃/分の昇温条件で測定を行った時のtanδピークトップで表した。
・比誘電率及び誘電正接:
IPC-TM-650 2.5.5.9に準じて測定した。具体的には、試料を105℃に設定したオーブンで2時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、AGILENT Technologies社製のマテリアルアナライザーを用い、容量法により周波数1GHzにおける比誘電率及び誘電正接を求めることにより評価した。
IPC-TM-650 2.5.5.9に準じて測定した。具体的には、試料を105℃に設定したオーブンで2時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、AGILENT Technologies社製のマテリアルアナライザーを用い、容量法により周波数1GHzにおける比誘電率及び誘電正接を求めることにより評価した。
・銅箔剥離強さ:
JIS C6481に準じて測定した。
JIS C6481に準じて測定した。
・吸水率:
JIS C6481に準拠して、121℃、2気圧で3時間プレッシャークッカー処理後の吸水率を測定した。
JIS C6481に準拠して、121℃、2気圧で3時間プレッシャークッカー処理後の吸水率を測定した。
・GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定:
本体(東ソー株式会社製、HLC-8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用し、1mL/分の流速とし、検出器は示差屈折率検出器を使用した。測定試料はサンプル0.1gを10mLのTHFに溶解し、マイクロフィルターで濾過したものを50μL使用した。データ処理は、東ソー株式会社製GPC-8020モデルIIバージョン6.00を使用した。
本体(東ソー株式会社製、HLC-8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用し、1mL/分の流速とし、検出器は示差屈折率検出器を使用した。測定試料はサンプル0.1gを10mLのTHFに溶解し、マイクロフィルターで濾過したものを50μL使用した。データ処理は、東ソー株式会社製GPC-8020モデルIIバージョン6.00を使用した。
実施例、比較例で使用する略号は以下の通りである。
[多価ヒドロキシ樹脂類]
P1:合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂
P2:合成例2で得られた多価ヒドロキシ樹脂
P3:合成例3で得られた多価ヒドロキシ樹脂
BPA:ビスフェノールA(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、水酸基当量114)
SN-495V:ナフトールアラルキル樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、水酸基当量229)
P1:合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂
P2:合成例2で得られた多価ヒドロキシ樹脂
P3:合成例3で得られた多価ヒドロキシ樹脂
BPA:ビスフェノールA(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、水酸基当量114)
SN-495V:ナフトールアラルキル樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、水酸基当量229)
[エポキシ樹脂]
YD-901:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量450)
YD-901:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量450)
合成例1
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管、滴下ロート、及び冷却管を備えたガラス製セパラブルフラスコからなる反応装置に、2,6-キシレノール150部、47%BF3エーテル錯体8.7部を仕込み、撹拌しながら110℃に加温した。同温度に保持しながら、ジシクロペンタジエン81.2部(2,6-キシレノールに対し0.50倍モル)を1時間で滴下した。更に110℃の温度で3時間反応した後、同温度に保持しながらジシクロペンタジエン69.4部(2,6-キシレノールに対し0.43倍モル)を1時間で滴下した。更に120℃で2時間反応した。水酸化カルシウム1.4部を加えた。更に10%のシュウ酸水溶液2.8部を添加した。その後、160℃まで加温して脱水した後、5mmHgの減圧下、200℃まで加温して未反応の原料を蒸発除去した。MIBK700部を加えて生成物を溶解し、80℃の温水200部を加えて水洗し、下層の水槽を分離除去した。その後、5mmHgの減圧下、160℃に加温してMIBKを蒸発除去して、赤褐色の多価ヒドロキシ樹脂(P1)を281部得た。水酸基当量は261であり、軟化点95℃の樹脂であり、吸収比(A3040/A1210)は0.13であった。GPCでのMwは670、Mnは490、m=0体含有量は6.6面積%、m=1体含有量は70.3面積%、m=2体以上の含有量は23.1面積%であった。
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管、滴下ロート、及び冷却管を備えたガラス製セパラブルフラスコからなる反応装置に、2,6-キシレノール150部、47%BF3エーテル錯体8.7部を仕込み、撹拌しながら110℃に加温した。同温度に保持しながら、ジシクロペンタジエン81.2部(2,6-キシレノールに対し0.50倍モル)を1時間で滴下した。更に110℃の温度で3時間反応した後、同温度に保持しながらジシクロペンタジエン69.4部(2,6-キシレノールに対し0.43倍モル)を1時間で滴下した。更に120℃で2時間反応した。水酸化カルシウム1.4部を加えた。更に10%のシュウ酸水溶液2.8部を添加した。その後、160℃まで加温して脱水した後、5mmHgの減圧下、200℃まで加温して未反応の原料を蒸発除去した。MIBK700部を加えて生成物を溶解し、80℃の温水200部を加えて水洗し、下層の水槽を分離除去した。その後、5mmHgの減圧下、160℃に加温してMIBKを蒸発除去して、赤褐色の多価ヒドロキシ樹脂(P1)を281部得た。水酸基当量は261であり、軟化点95℃の樹脂であり、吸収比(A3040/A1210)は0.13であった。GPCでのMwは670、Mnは490、m=0体含有量は6.6面積%、m=1体含有量は70.3面積%、m=2体以上の含有量は23.1面積%であった。
合成例2
合成例1と同様の反応装置に、2,6-キシレノール140部、47%BF3エーテル錯体9.3部(最初に添加するジシクロペンタジエンに対して0.1倍モル)を仕込み、撹拌しながら110℃に加温した。同温度に保持しながら、ジシクロペンタジエン86.6部(2,6-キシレノールに対し0.57倍モル)を1時間で滴下した。更に110℃の温度で3時間反応した後、同温度に保持しながらジシクロペンタジエン90.6部(2,6-キシレノールに対し0.60倍モル)を1時間で滴下した。更に120℃で2時間反応した。水酸化カルシウム14.6部を加えた。更に10%のシュウ酸水溶液45部を添加した。その後、160℃まで加温して脱水した後、5mmHgの減圧下、200℃まで加温して未反応の原料を蒸発除去した。MIBK740部を加えて生成物を溶解し、80℃の温水200部を加えて水洗し、下層の水層を分離除去した。その後、5mmHgの減圧下、160℃に加温してMIBKを蒸発除去して、赤褐色の多価ヒドロキシ樹脂(P2)を310部得た。水酸基当量は341であり、軟化点104℃の樹脂であり、吸収比(A3040/A1210)は0.27であった。GPCでのMwは740、Mnは490、m=0体含有量は6.6面積%、m=1体含有量は70.1面積%、m=2体以上の含有量は23.3面積%であった。
合成例1と同様の反応装置に、2,6-キシレノール140部、47%BF3エーテル錯体9.3部(最初に添加するジシクロペンタジエンに対して0.1倍モル)を仕込み、撹拌しながら110℃に加温した。同温度に保持しながら、ジシクロペンタジエン86.6部(2,6-キシレノールに対し0.57倍モル)を1時間で滴下した。更に110℃の温度で3時間反応した後、同温度に保持しながらジシクロペンタジエン90.6部(2,6-キシレノールに対し0.60倍モル)を1時間で滴下した。更に120℃で2時間反応した。水酸化カルシウム14.6部を加えた。更に10%のシュウ酸水溶液45部を添加した。その後、160℃まで加温して脱水した後、5mmHgの減圧下、200℃まで加温して未反応の原料を蒸発除去した。MIBK740部を加えて生成物を溶解し、80℃の温水200部を加えて水洗し、下層の水層を分離除去した。その後、5mmHgの減圧下、160℃に加温してMIBKを蒸発除去して、赤褐色の多価ヒドロキシ樹脂(P2)を310部得た。水酸基当量は341であり、軟化点104℃の樹脂であり、吸収比(A3040/A1210)は0.27であった。GPCでのMwは740、Mnは490、m=0体含有量は6.6面積%、m=1体含有量は70.1面積%、m=2体以上の含有量は23.3面積%であった。
合成例3
合成例1と同様の反応装置に、2,6-キシレノール140部、47%BF3エーテル錯体9.3部(最初に添加するジシクロペンタジエンに対して0.1倍モル)を仕込み、撹拌しながら110℃に加温した。同温度に保持しながら、ジシクロペンタジエン86.6部(2,6-キシレノールに対し0.57倍モル)を1時間で滴下した。更に110℃の温度で3時間反応した後、同温度に保持しながらジシクロペンタジエン34.0部(2,6-キシレノールに対し0.22倍モル)を1時間で滴下した。更に120℃で2時間反応した。水酸化カルシウム14.6部を加えた。更に10%のシュウ酸水溶液45部を添加した。その後、160℃まで加温して脱水した後、5mmHgの減圧下、200℃まで加温して未反応の原料を蒸発除去した。MIBK608部を加えて生成物を溶解し、80℃の温水200部を加えて水洗し、下層の水層を分離除去した。その後、5mmHgの減圧下、160℃に加温してMIBKを蒸発除去して、赤褐色の多価ヒドロキシ樹脂(P3)を253部得た。水酸基当量は243であり、軟化点92℃の樹脂であり、吸収比(A3040/A1210)は0.11であった。GPCでのMwは560、Mnは470、m=0体含有量は6.2面積%、m=1体含有量は74.0面積%、m=2体以上の含有量は19.8面積%であった。
合成例1と同様の反応装置に、2,6-キシレノール140部、47%BF3エーテル錯体9.3部(最初に添加するジシクロペンタジエンに対して0.1倍モル)を仕込み、撹拌しながら110℃に加温した。同温度に保持しながら、ジシクロペンタジエン86.6部(2,6-キシレノールに対し0.57倍モル)を1時間で滴下した。更に110℃の温度で3時間反応した後、同温度に保持しながらジシクロペンタジエン34.0部(2,6-キシレノールに対し0.22倍モル)を1時間で滴下した。更に120℃で2時間反応した。水酸化カルシウム14.6部を加えた。更に10%のシュウ酸水溶液45部を添加した。その後、160℃まで加温して脱水した後、5mmHgの減圧下、200℃まで加温して未反応の原料を蒸発除去した。MIBK608部を加えて生成物を溶解し、80℃の温水200部を加えて水洗し、下層の水層を分離除去した。その後、5mmHgの減圧下、160℃に加温してMIBKを蒸発除去して、赤褐色の多価ヒドロキシ樹脂(P3)を253部得た。水酸基当量は243であり、軟化点92℃の樹脂であり、吸収比(A3040/A1210)は0.11であった。GPCでのMwは560、Mnは470、m=0体含有量は6.2面積%、m=1体含有量は74.0面積%、m=2体以上の含有量は19.8面積%であった。
実施例1
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン7.5部(P1のヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン29.5部、36%塩酸12.0部(P1のヒドロキシ基に対して1.55倍モル)、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂(P1)20.0部とトリエチルアミン5.9部(P1のヒドロキシ基に対して0.75倍モル)をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン10.5部(P1のヒドロキシ基に対して1.35倍モル)をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、暗褐色半固形のシアン酸エステル樹脂(A1)を得た。得られたシアン酸エステル樹脂のGPCチャートを図1に示す。GPCでのMwは670、Mnは490、n=0体含有量は6.1面積%、n=1体含有量は71.7面積%、n=2体以上の含有量は22.1面積%であった。
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン7.5部(P1のヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン29.5部、36%塩酸12.0部(P1のヒドロキシ基に対して1.55倍モル)、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂(P1)20.0部とトリエチルアミン5.9部(P1のヒドロキシ基に対して0.75倍モル)をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン10.5部(P1のヒドロキシ基に対して1.35倍モル)をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、暗褐色半固形のシアン酸エステル樹脂(A1)を得た。得られたシアン酸エステル樹脂のGPCチャートを図1に示す。GPCでのMwは670、Mnは490、n=0体含有量は6.1面積%、n=1体含有量は71.7面積%、n=2体以上の含有量は22.1面積%であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(A1)100部をナス型フラスコに入れ、150℃減圧下で脱気した後、JIS-K7238-2-2009に記載の型に流し込み、180℃のオーブンで3時間硬化させ、更に250℃で3時間硬化させて硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
実施例2
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン5.8部(P2のヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン29.5部、36%塩酸9.2部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂(P2)20.0部とトリエチルアミン4.5部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン8.1部をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、暗褐色半固形のシアン酸エステル樹脂(A2)を得た。GPCでのMwは790、Mnは510、n=0体含有量は5.9面積%、n=1体含有量は70.5面積%、n=2体以上の含有量は23.6面積%であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(A2)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン5.8部(P2のヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン29.5部、36%塩酸9.2部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂(P2)20.0部とトリエチルアミン4.5部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン8.1部をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、暗褐色半固形のシアン酸エステル樹脂(A2)を得た。GPCでのMwは790、Mnは510、n=0体含有量は5.9面積%、n=1体含有量は70.5面積%、n=2体以上の含有量は23.6面積%であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(A2)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
実施例3
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン8.1部(P3のヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン29.5部、36%塩酸12.9部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂(P3)20.0部とトリエチルアミン6.4部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン11.3部をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、暗褐色半固形のシアン酸エステル樹脂(A3)を得た。GPCでのMwは560、Mnは460、n=0体含有量は6.0面積%、n=1体含有量は74.1面積%、n=2体以上の含有量は20.0面積%であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(A3)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン8.1部(P3のヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン29.5部、36%塩酸12.9部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、合成例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂(P3)20.0部とトリエチルアミン6.4部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン11.3部をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、暗褐色半固形のシアン酸エステル樹脂(A3)を得た。GPCでのMwは560、Mnは460、n=0体含有量は6.0面積%、n=1体含有量は74.1面積%、n=2体以上の含有量は20.0面積%であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(A3)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
比較例1
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン17.2部(BPAのヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン30部、36%塩酸27.5部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、BPA20.0部とトリエチルアミン13.5部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン24.1部をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、シアン酸エステル樹脂(HA1)を得た。融点78℃の白色固体であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(HA1)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン17.2部(BPAのヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン30部、36%塩酸27.5部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、BPA20.0部とトリエチルアミン13.5部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン24.1部をジクロロメタン18部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、シアン酸エステル樹脂(HA1)を得た。融点78℃の白色固体であった。
得られたシアン酸エステル樹脂(HA1)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
比較例2
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン8.6部(SN-495Vのヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン30部、36%塩酸13.7部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、SN-495V20.0部とトリエチルアミン6.7部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン12.0部をジクロロメタン17.7部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、褐色固形のシアン酸エステル樹脂(HA2)を得た。
得られたシアン酸エステル樹脂(HA2)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
合成例1と同様の反応装置に、塩化シアン8.6部(SN-495Vのヒドロキシ基に対して1.6倍モル)、ジクロロメタン30部、36%塩酸13.7部、水125部を撹拌し、-6~-3℃に冷却した。ここに、SN-495V20.0部とトリエチルアミン6.7部をジクロロメタン100部に溶解させた溶液を10分かけて滴下した。全量滴下後、同温度で30分撹拌し、更にトリエチルアミン12.0部をジクロロメタン17.7部に溶解させた溶液を15分かけて滴下し、その後同温度で30分撹拌し反応を終了させた。反応終了後、水60部で4回水洗し、減圧化で有機層を除去し、褐色固形のシアン酸エステル樹脂(HA2)を得た。
得られたシアン酸エステル樹脂(HA2)を使用して、実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得た。その硬化物の物性を評価した結果を、表1に示す。
実施例4
実施例1で得られたシアン酸エステル樹脂(A1)70部とYD-901 30部とをメチルエチルケトンで溶解し、オクチル酸亜鉛0.04部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で希釈し、厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量41%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを8枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力30kgf/cm2、温度220℃で120分間プレスを行い、厚さ0.8mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
実施例1で得られたシアン酸エステル樹脂(A1)70部とYD-901 30部とをメチルエチルケトンで溶解し、オクチル酸亜鉛0.04部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で希釈し、厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量41%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを8枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力30kgf/cm2、温度220℃で120分間プレスを行い、厚さ0.8mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
実施例5~6、比較例3~4
実施例4において、シアン酸エステル樹脂をA1の代わりに、A2~A3、HA1~HA2を使用する以外は、実施例4と同様の操作を行い、厚さ0.8mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
実施例4において、シアン酸エステル樹脂をA1の代わりに、A2~A3、HA1~HA2を使用する以外は、実施例4と同様の操作を行い、厚さ0.8mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
これらの結果から明らかなとおり、実施例のシアン酸エステル樹脂は、非常に良好な低誘電特性を発現した樹脂硬化物を提供することが可能である。
Claims (15)
- 前記R1がメチル基又はフェニル基である請求項1に記載のシアン酸エステル樹脂。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のシアン酸エステル樹脂を含む樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル樹脂の含有量が樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、1~90質量部である請求項5に記載の樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル樹脂と、これ以外のシアン酸エステル樹脂、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群から選択される1種以上を含む請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とするプリプレグ。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする封止用材料。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする繊維強化複合材料。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする接着剤。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする積層板。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする樹脂シート。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とするプリント配線基板。
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