JP2022181178A - α-シヌクレインの凝集抑制剤、シヌクレオパチーの治療または予防剤、アミロイド形成疾患の治療または予防剤 - Google Patents

α-シヌクレインの凝集抑制剤、シヌクレオパチーの治療または予防剤、アミロイド形成疾患の治療または予防剤 Download PDF

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Yoshikazu Matsuda
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Abstract

【課題】 シヌクレインの凝集抑制に係わる新規な技術を提供する。【解決手段】タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、α-シヌクレインの凝集抑制剤。【選択図】 なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)Medical Science Digest Vol 48(1),P.47-49,2022(発行日 令和4年1月25日)
本発明はα-シヌクレインの凝集抑制に関する。
α-シヌクレインは、主に成熟神経細胞のシナプス前終末に局在する1419kDaのリン酸化タンパク質で、シナプス機能の調節や可塑性に関与している。
α-シヌクレインが病態機序の中心的役割を担うと想定される神経疾患群を総称してシヌクレイノパチー(synucleinopathies、α-シヌクレイン病とも呼ばれる)と呼ばれ、神経細胞、神経線維、またはグリア細胞におけるα-シヌクレインの異常な凝集体の蓄積を特徴とする神経変性疾患となっている。
シヌクレイノパチーには主にパーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症の3つのタイプに分類されて、パーキンソニズム、認知障害、睡眠障害、および幻覚の特徴を共有している。
また、α-シヌクレインの凝集は、アミロイド形成疾患との関連も深いことが考えられている。
シヌクレイノパチー、アミロイド形成疾患については例えば特許文献1に記載の治療又は予防剤が提案されている。
特開2016-145211号公報
本発明は、α-シヌクレインの凝集抑制に係わる新規な技術を提供することを目的とする。
鋭意研究の結果、本発明者は、タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分によってα-シヌクレインの凝集を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、α-シヌクレインの凝集抑制剤。
[2]
前記豚の肝臓分解物が特定病原菌不在豚の肝臓から得られる、[1]に記載のα-シヌクレインの凝集抑制剤。
[3]
タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、シヌクレイノパチーの治療または予防剤。
[4]
前記シヌクレオパチーが、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症シヌクレイノパチー、およびフォールディング病からなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、[3]に記載の治療または予防剤。
[5]
タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、アミロイド形成疾患の治療または予防剤。
[6]
前記アミロイド形成疾患が、全身性アミロイドAアミロイドーシス、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、クロイツフェルト・ヤコブ病および家族性アミロイドニューロパチーからなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、[5]に記載の治療または予防剤。
[7]
タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来するリゾホスファチジルコリンを含有する、α-シヌクレインの凝集抑制剤。
[8]
タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来するリゾホスファチジルコリンを含有する、シヌクレイノパチーの治療または予防剤。
[9]
前記シヌクレオパチーが、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症シヌクレイノパチー、およびフォールディング病からなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、[8]に記載の治療または予防剤。
[10]
タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来するリゾホスファチジルコリンを含有する、アミロイド形成疾患の治療または予防剤。
[11]
前記アミロイド形成疾患が、全身性アミロイドAアミロイドーシス、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、クロイツフェルト・ヤコブ病および家族性アミロイドニューロパチーからなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、[10]に記載の治療または予防剤。
本発明によれば、α-シヌクレインの凝集抑制に係わる新規な技術を提供することができる。
細胞内におけるα-シヌクレイン凝集体の蛍光観察を行った結果を示す写真である(参考例)。 試験1でのα-シヌクレイン蓄積の抑制効果を示す図である。 試験2でのα-シヌクレイン蓄積の抑制効果を示す図である。
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、α-シヌクレインの凝集抑制剤に関する。該凝集抑制剤は、タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分(以下、単に活性画分ともいう)を含有する。
なお、本明細書において非極性溶媒としては、例えばアルカン、シクロアルカン、芳香族化合物、クロロフォルム、酢酸エチル、塩化メチレンなどを挙げることができる。活性画分はタンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物から調製される組成物であり、その含有成分としては、例えば脂質など(特に限定されないが、活性画分あたり脂質が例えば10質量%以上含まれる。なお、該記載は活性画分に含まれる成分の例示であり、活性画分の有効成分が脂質であると意味する記載ではない。)を挙げることができる。
本実施形態に係わる活性画分が由来する豚の肝臓分解物は、例えば特開2016-135757号公報に記載の方法により得ることができる。
本実施形態に係る豚の肝臓を入手する豚の種類、品種などは特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
一方で、本実施形態に係る豚は、特定病原菌不在豚(Specific Pathogen Free豚、SPF豚)であることが好ましい。
特定病原菌不在豚とは、妊娠末期の母豚から帝王切開により取り出された豚の子孫で、豚の発育に大きな影響を及ぼす病気、具体的にはトキソプラズマ感染症、マイコプラズマ肺炎、萎縮性鼻炎、オーエスキー病、豚赤痢にかかっていない豚をいう。
さらに、本実施形態においては、上記の特定病原菌不在豚が、シュガーポークであることがより好ましい。
シュガーポークは3代かけて衛生管理された特定病原菌不在豚である。具体的には、親豚が分娩する直前に帝王切開して子豚を取り出し、これを上述の5つの病原体がいない安全な原々種にし、つぎにこの豚から普通分娩で生まれた子どもを原種にし、さらにこの豚から生まれた豚が、シュガーポークの親豚となる。
またシュガーポークは、徹底した衛生管理の基、植物性飼料のみによって飼育され、抗生物質、抗菌剤、化学薬品などが投与されることなく生育される。
本実施形態に係る肝臓分解物は、例えば、シュガーポーク等の豚の肝臓を酵素処理した後、処理液を濾過する方法等により得ることができる。
製造方法の一例について、より具体的に説明する。
まず、肝臓原料をホモジナイザーあるいはミンチカッター等を用いて粉砕し、得られた粉砕物に水を加え、反応液とする。添加される水の量は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
なお、本実施形態に係る豚の肝臓の形態は特に限定されず、豚から得られた肝臓であれば生のものでも冷凍等の処理がされていてもよい。また、反応液の調製過程についても上述のものに限らず、例えば豚の肝臓を予め粉砕等の処理に供したものを入手し、これを水に懸濁させて反応液を調製するようにしてもよい。
次に、反応液にタンパク質分解酵素を加え、酵素処理を行う。
本実施形態において、使用されるタンパク質分解酵素は適宜選択でき、エンドペプチダーゼあるいはエキソペプチダーゼのいずれであってもよく、また、これらを組み合わせて使用してもよい。
エンドペプチダーゼとしては、ニュートラーゼ(ノボザイムス)、アルカラーゼ(ノボザイムス)、ヌクレイシン(エイチヴィアイ)、スミチームMP(新日本化学工業)、ブロメラインF(天野製薬)、オリエンターゼ20A(エイチヴィアイ)、モルシンF(キッコーマン)、ニューラーゼF(天野製薬)、スミチームAP(新日本化学工業)等が挙げられる。
また、エキソペプチダーゼとしては、フレーバーザイム(ノボザイムス)、スミチームFP(新日本化学工業)、アクチナーゼ(科研製薬)、コクラーゼP(ジェネンコア)等が挙げられる。反応条件は特に限定されないが、例えば、50~55℃の温度で12~24時間程度の反応時間として行うことができる。また、酵素の使用量も適宜設定できるが例えば肝臓重量の0.1~0.5質量%程度とすることができる。
次いで、酵素処理を行った反応液に含まれているタンパク分解酵素を失活させる。当該失活処理における条件も特に限定されないが、例えば、反応液を90℃の温度で1時間程度加熱処理することにより行うことができる。
続いて、タンパク質分解酵素を失活させた反応液を濾過に供して未分解物を除去し、本実施形態の豚の肝臓分解物を得る。なお、得られた豚の肝臓分解物は乾燥させて例えば粉末状として用いることもできるほか、液体状のまま用いることも可能である。
本実施形態に係る活性画分は、例えば上述のようにして得られた豚の肝臓分解物から調製することができる。
活性画分の調製方法は特に限定されず、当業者が適宜設定でき、例えば公知の方法により調製することができる。例えばBligh & Dyer法などの相分離による分画が挙げられ、具体的にはクロロフォルム、メタノールおよび水を用いた二相分離による分画が例示できる。また、低温抽出法、ポリマー系またはODS系液体クロマトグラフィー、超臨界流体抽出などの一般的な工業的手法にしたがっても得ることができ、特に限定されない。
得られた活性画分の形態については特に限定されず、液状や固体状などいずれの形態を有していてもよい。
また、α-シヌクレインの凝集をより抑制できるため、本実施形態に係る活性画分はリゾホスファチジルコリンを含有することが好ましい。
また、本発明の目的を達成できる限り、本実施形態のα-シヌクレインの凝集抑制剤は豚の肝臓分解物由来の活性画分以外に他の成分を含んでいてもよく、特に限定されない。
例えば、本実施形態においては、活性画分に加えてα-シヌクレインの凝集抑制剤全体で100質量%とする量の担体等の他の成分を含むようにすることができる。
担体は、本実施形態において含有される各成分を溶解または分散させて保持する。担体は特に限定されず、投与経路などに応じて適宜設定できる。例えば、担体として、コーンスターチや乳糖などを挙げることができる。
なお、各成分の混合方法は、各成分ができるだけ均一に分散するように混合すればよく、特に限定されない。
本実施形態のα-シヌクレインの凝集抑制剤は、例えば、溶液、オイル、エマルジョン、懸濁液または分散液、カプセル剤、錠剤などの形態を有する医薬品、医薬部外品または食品とすることができる。
投与方法としては特に限定されず、経口または非経口のいずれであってもよい。非経口の場合、例えば皮下、頭蓋内、筋肉内、局所、鼻腔内、または静脈内などに投与することができる。また、経口の場合、例えば腹腔内に投与することができる。
また、本実施形態のα-シヌクレインの凝集抑制剤が投与される量は、特に限定されず、適宜設定可能であるが、例えば1日あたりにおいて成人に活性画分10~2000mgが投与される量とすることができ、好ましくは600~2000mgが投与される量とすることができる。
また、本実施形態のα-シヌクレインの凝集抑制剤がリゾホスファチジルコリンを含む場合、特に限定されないが、例えば1日あたりにおいて成人にリゾホスファチジルコリン5~1000mgが投与されるような量とすることができる。
以上、本実施形態によれば、投与された人などの対象においてα-シヌクレインの凝集を抑制することができる。
このようにα-シヌクレインの凝集を抑制することで、シヌクレイノパチーやアミロイド形成疾患を治療または予防することができる。なお、α-シヌクレインの凝集抑制がシヌクレイノパチーやアミロイド形成疾患の治療または予防に寄与することは例えば臨床神経 2011;51:1101-1104)、基礎老化研究 2013;37(1):7-11などから理解できる。
そのため、本発明の他の態様として、タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、シヌクレイノパチーの治療または予防剤を提供することができる。シヌクレイノパチーとしては、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、フォールディング病などを挙げることができる。
また、本発明の他の態様として、タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、アミロイド形成疾患の治療または予防剤を提供することができる。アミロイド形成疾患としては、全身性アミロイドーシスや限局性アミロイドーシスを挙げることができる。全身性アミロイドーシスとしては、全身性アミロイドA(AA)アミロイドーシス、家族性アミロイドニューロパチー(familial amyloidotic polyneuropathy, FAP)などがあり、限局性アミロイドーシスとしてはアルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、クロイツフェルト・ヤコブ病などを挙げることができる。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通するものについては説明を省略する。
第2の実施形態として、豚の肝臓分解物由来のリゾホスファチジルコリンを含有するα-シヌクレインの凝集抑制剤、シヌクレイノパチーの治療または予防剤、またはアミロイド形成疾患の治療または予防剤を提供することができる。
第2実施形態のα-シヌクレインの凝集抑制剤が投与される量も特に限定されず、適宜設定可能であるが、例えば1日あたりにおいて成人にリゾホスファチジルコリン 5~1000mgが投与されるような量とすることができる。
豚の肝臓分解物由来のリゾホスファチジルコリン抽出法は、特に限定されないが、例えば第1の実施形態と同様の方法で得たリン脂質混合物から例えば実施例に示した薄層クロマトグラフィーによる方法によりリゾホスファチジルコリンを得ることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[豚肝臓分解物(PLDP)エキスの調製]
シュガーポークから採取した肝臓原料(冷凍)750gをホモジナイザー、あるいはミンチカッターでペースト状になるまで粉砕し、イオン交換水8.0Lを加えたものを反応液とした。
5L容反応槽に、得られた反応液と、タンパク質分解酵素(ニュートラーゼ(ノボサイムス))3.75g添加し、50℃、300rpmの条件で15時間程度攪拌し、酵素反応を行った。
反応終了後、90℃で1時間加熱処理を行い、酵素を失活させた。次いで、反応液を濾過し、未分解物を除去し、PLDPエキスを得た。
[PLDP由来の活性画分 (実施例、PEL)の抽出]
豚肝臓酵素分解物からBligh & Dyer法により活性画分を得た。
PLDPはあらかじめクエン酸を用いて終濃度 0.1Mになるように調整した。PLDP1容に対して、メタノール2.5容、クロロフォルム1.25容を加え、よく撹拌した。その後、10分間程度、室温に放置した。この段階では、溶液は1層であった。次に、クロロフォルム1.25容を加えて、よく撹拌した。さらに水1.25容を加えて、よく撹拌した。この段階で2層となった。最終的に、水:メタノール:クロロフォルムの割合は、0.9:1:1であった。
遠心で2層を分離した。遠心力、時間は、確実に2層が分離し、白っぽい上層の沈殿物が中間層に沈むようにした(3,000 rpm≒1,500g, 10 min)。下層のみを回収し、水溶性の混雑物を減らすため、下層に水を等量(約2容)加え、よく撹拌後、遠心分離し上層を捨てた。 wash溶液は、水:メタノール:クロロフォルム(47:48:3)を用いた。クロロフォルム層を窒素ガスエバポレーターなどで乾燥させたものをPLDP由来の活性画分 (実施例のシヌクレインの凝集抑制剤、以下、PELともいう)として得た。なお、得られた画分に脂質などが含まれることを薄層クロマトグラフィーにより確認した。
PELは、凍結保存し、1% BSA/PBSを加えて超音波処理により分散したものを試験に供した。
[ヒト神経芽細胞(SK-N-SH)の培養]
SK-N-SH細胞株(ATCC)はCO2インキュベーターで37℃、5%CO2下との条件で培養した。PBSで洗浄後、トリプシン処理し、培地(DMEM、10%FBS、1/100 ペニシリン/ストレプトマイシン混合溶液)を加え遠心分離(KUBOTA 2010,1,000 rpm, 3 分間)した。細胞ペレットに新たな培地を加え分散後、セルカウンターを用いて細胞数を計測した。ポリリジンコートした35 mm ディッシュに6.0×104個/well、24穴プレートに9.0×104個/well、96穴プレートに5.0×103個/wellで播種した。必要に応じて24~48時間培養した。
[プラスミド精製]
pCMV-SNCA(α-シヌクレインベクター)およびpCMV-NC(ネガティブコントロールベクター、単にコントロールベクターともいう)をコンピテントセル(E. Coli, DH5α)に導入し、アンピシリンを含むLB 培地(+Amp, 0.1 mg/mL)中で振盪培養させた(37℃, 16 時間)。遠心分離(3,000 rpm, 10分間)で大腸菌をペレットにし、60%グリセロール溶液を加え-80℃で保存した。グリセロールストックをピックアップし、LB 培地に少量加え、振盪培養させた(37℃、16 時間)。
翌日、遠心分離(3,000 rpm, 10 分間)でペレットにした大腸菌はミニプレップ法によりプラスミドDNAを精製した。大腸菌ペレットをバッファーで再懸濁させ、溶菌液を加えてインキュベート(2 分間、室温)後、中和液を加えて遠心分離した(15,000 rpm, 2分間, 4℃)。上清をカラムに移し遠心分離によりプラスミドDNAをメンブレンに結合させた(15,000rpm, 1 分間、4℃)。カラムに洗浄バッファーを加えて遠心分離し(15,000 rpm, 1 分間,4℃)、再度遠心分離(15,000 rpm, 2 分間、4℃)することで洗浄バッファーを完全に取り除いた。メンブレンに溶出バッファーを滴下してインキュベートし(2分間, 室温)、遠心分離(15,000 rpm, 1分間、4℃)によりメンブレンからプラスミドDNAを溶出させた。微量分光光度計で溶出液の260 nm/280 nmの吸光度比を測定し、1.8以上2.1未満であることを確認することで純度検定を行った。
[トランスフェクション]
24穴プレートに9.0×104 個/wellずつ播種した細胞を24時間から48時間培養後、80%コンフルエント程度まで増殖した時点で各ベクターをトランスフェクションした。Lipofectamine2000 (2 μL/well)、プラスミドベクター(500ng/well)、α-シヌクレイン線維化タ
ンパク質(1μL/well)を50μLのOpti-MEM中に混合し、10分間室温でインキュベーションした後に培地中に添加し、CO2インキュベーターで4時間培養した。
[チオフラビンTによる細胞内α-シヌクレイン凝集体の蛍光観察(参考例)]
チオフラビンTはβシート構造に富んだアミロイド線維に結合する試薬として幅広く用いられている。ポリリジンコートした35mm ディッシュに細胞(6.0×104個/well)を播種し、24~48時間培養後トランスフェクションした。時間経過後、PBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド溶液(パラホルムアルデヒド40 mg, 1M NaOH 1 μL, PBS 1mL)を130μL添加し10分間、室温で静置し細胞を固定した。PBSで洗浄し(3分間, 2回)、0.2% Triton X-100溶液(Triton X-100, PBS)を130 μL添加し、室温で10分間静置し膜透過処理した。PBSで洗浄後(3分間、2回)、1%チオフラビンT溶液(チオフラビンT, PBS)を130μL添加し3分間、室温で静置した。その後、PBSで洗浄し(3分間, 3回)、PBSで2,000倍希釈したHoechst 33342溶液を100μL添加し、遮光下で10分間、室温で静置し細胞核を染色した。PBSで洗浄後(3分間,3回)、蛍光顕微鏡(BZ-X710)を用いてα-シヌクレイン凝集体を観察した。
図1に示すように、α-シヌクレインベクター/シード(α-シヌクレイン線維化タンパク質)を共にトランスフェクションした細胞においてチオフラビンTによる緑色蛍光が観察された。一方、コントロールベクターやα-シヌクレインベクターのみをトランスフェクションした細胞においては緑色蛍光は観察されなかった。
[PELおよび薬剤の添加]
PELは0.1% BSAを含むPBS溶液を加え、超音波処理により分散させたものを使用した。4時間経過後に培地を交換し、各wellにPELを添加し、さらに培養した。ポジティブコントロールとして使用したカフェイン、プロピルガレートはDMSOを溶媒として100mMに調整し、終濃度が50μMになるように培地に添加した。
[ウェスタンブロット法によるα-シヌクレイン凝集体蓄積に関する解析(試験1)]
トランスフェクションおよびPEL添加後24時間以上経過した時点でタンパク質抽出を行った。細胞培地を取り除き、PBSで洗浄を2回行い、サルコシルバッファーを150μL/well加えて氷上において15分間インキュベーションした。細胞溶解液は遠心管へ移し、卓上型超遠心分離機 (Optima-TLX, Beckman Coulter)を用いて遠心分離(40,000rpm, 15分間, 4℃)した。上清を取り除いた細胞ペレットに希釈した2×Sample Bufferを40μL添加し、ソニケーションにより分散し、100℃、5分間加熱後、-20℃で保存した。次に、12%ポリアクリルアミドゲル(1.5M Tris-HCl、 pH8.8, 0.5M Tris-HCl, pH6.8, 30%アクリルアミド/ビス,SDS,10%過硫酸アンモニウム, N N N´ N´-テトラメチルエチレンジアミン)にサンプル(10μL)および分子量マーカー(5μL)を添加し、泳動バッファー中で電気泳動した (120 V, 500 mA, 90分間)。泳動終了後、ポリアクリルアミドゲルを取り出し、PVDF膜と密着させ、転写バッファー(1×転写バッファー, 20% MeOH)中で膜へ転写した (100V, 0-500mA, 60分間)。PVDF膜をTBS-T(1×TBS, 0.1% Tween-20)で洗浄後、ブロックエース中でブロッキング(1時間,室温)し、TBS-Tで5,000倍希釈した一次抗体を加え反応させた(1時間,室温)。TBS-Tで洗浄後(5分間, 3回)、TBS-Tで10,000倍希釈した二次抗体を加え反応させ、再度TBS-Tで洗浄した(5分間,3回)。Pierce Western Blotting Substrateを用いて反応させ、化学発光検出器 (Chemi Docイメージングシステム)で解析した。
結果を図2に示す。α-シヌクレイン凝集体を蓄積させたSK-N-SH細胞に実施例であるPELを添加し、サルコシルバッファー不溶性画分におけるα-シヌクレインの量についてWB法で解析したところ、PEL添加細胞ではコントロール細胞と比較してα-シヌクレイン量が有意に減少していた(p<0.01)。
[リゾホスファチジルコリン(LPC)の精製]
PLDPより抽出したリン脂質混合物(PEL)をクロロホルム-メタノール(8:2)にて溶解後、シリカゲル70TLCプレート・ワコー(199-17874)上に滴下し、ドライヤーで蒸発乾固させながらスポットした。クロロホルム-メタノール-アンモニア水の展開溶媒(65:35:8)を入れたガラス製展開層にスポットしたTLCを立てかけ、脂質を分離した。展開溶媒が溶媒フロントに到達後、TLCを展開層から取り出し、ドライヤーにて乾燥させた。分離された成分がゾホスファチジルコリン(LPC)であることは、プリムリン (東京化成工業, P0603)を20%アセトン水溶液にて0.001%になるように希釈して調製した検出試薬と、リゾホスファチジルコリン標準物質(Avanti Polar Lipids, 855775)を用いて確認した。LPCに係るスポットをかき取り、ガラス製試験管へ移した。シリカゲルの入った試験管にクロロホルム-メタノール-水(1:2:0.8)を加え、ボルテックスミキサーにて1時間抽出後、さらにクロロホルムと水を加え、最終的にクロロホルム-メタノール-水(2:2:1.8)とし、1000gにて10分間遠心分離して2層に分離後、下層をパスツールピペットにて回収した。クロロホルムは窒素ガスで蒸発乾固させ、-80℃にて保存した。
[LPCのα-シヌクレイン凝集体蓄積に関する解析(試験2)]
得られたLPCについて、試験1と同様の方法によりα-シヌクレインの凝集体蓄積に関する解析を行なった。
結果を図3に示す。α-シヌクレイン凝集体を蓄積させたSK-N-SH細胞にLPCを30または100μMの濃度で添加した。サルコシルバッファー不溶性画分を回収後、α-シヌクレインの量についてWB法にて解析したところ、コントロール細胞と比較してLPC添加細胞ではα-シヌクレイン量がLPC濃度依存的に減少していた (p<0.01)。

Claims (11)

  1. タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、α-シヌクレインの凝集抑制剤。
  2. 前記豚の肝臓分解物が特定病原菌不在豚の肝臓から得られる、請求項1に記載のα-シヌクレインの凝集抑制剤。
  3. タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、シヌクレイノパチーの治療または予防剤。
  4. 前記シヌクレオパチーが、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症シヌクレイノパチー、およびフォールディング病からなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、請求項3に記載の治療または予防剤。
  5. タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来し、非極性溶媒に可溶である活性画分を含有する、アミロイド形成疾患の治療または予防剤。
  6. 前記アミロイド形成疾患が、全身性アミロイドAアミロイドーシス、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、クロイツフェルト・ヤコブ病および家族性アミロイドニューロパチーからなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、請求項5に記載の治療または予防剤。
  7. タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来するリゾホスファチジルコリンを含有する、α-シヌクレインの凝集抑制剤。
  8. タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来するリゾホスファチジルコリンを含有する、シヌクレイノパチーの治療または予防剤。
  9. 前記シヌクレオパチーが、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症シヌクレイノパチー、およびフォールディング病からなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、請求項8に記載の治療または予防剤。
  10. タンパク質分解酵素による豚の肝臓分解物に由来するリゾホスファチジルコリンを含有する、アミロイド形成疾患の治療または予防剤。
  11. 前記アミロイド形成疾患が、全身性アミロイドAアミロイドーシス、アルツハイマー病、脳血管アミロイドアンギオパチー、クロイツフェルト・ヤコブ病および家族性アミロイドニューロパチーからなる群から選択される一種または二種以上の疾患である、請求項10に記載の治療または予防剤。

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