JP2022177636A - 吸着式ドライヤ及び吸着式ドライヤの作動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮空気を乾燥させる吸着式ドライヤに設けられた吸着ロータの冷却ガスによる冷却による乾燥性能の悪化を抑制する。【解決手段】ドライヤ4は、回転式の吸着ロータ11と、吸着ロータ11を回転可能に支持すると共に、第1ゾーン21、第2ゾーン22及び第3ゾーン23に区画されたケーシング14と、第1ゾーン21に圧縮空気を供給する第1ゾーン入口流路31と、第1ゾーン21から需要家設備3側に乾燥圧縮空気を供給する第1ゾーン出口流路32と、第3ゾーン23に冷却ガスを供給する第3ゾーン入口流路35と、第3ゾーンから冷却ガスを排出する第3ゾーン出口流路36と、第2ゾーン22に再生ガスを供給する第2ゾーン入口流路33と、第2ゾーン22から再生ガスを排出する第2ゾーン出口流路34とを備える。第3ゾーン入口流路35は、冷却ガスとして第1ゾーン21を流通した圧縮空気の一部を供給する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸着式ドライヤ及び吸着ドライヤの作動方法に関する。
オイルフリー圧縮機から吐出された圧縮空気から水分を吸着して乾燥させる吸着式ドライヤが知られている。例えば、特許文献1に記載の吸着式ドライヤは、吸着媒体を備えた回転式の吸着ロータと、円筒状に形成されて同心状に収容された吸着ロータを回転可能に支持するケーシングとを備え、ケーシングの内部が、それぞれ軸心方向に延びる、処理ゾーン、再生ゾーン及び冷却ゾーンに中心軸線周りに区画されている。
上記吸着式ドライヤでは、オイルフリー圧縮機から吐出された圧縮空気が、アフタークーラで冷却された後に、処理ゾーンに供給されて、吸着ロータのうち処理ゾーンに位置する部分によって水分が吸着(以下、「除湿」ともいう。)された後、乾燥した圧縮空気(以下、「乾燥圧縮空気」と称する。)として需要家側に供給される。
再生ゾーンには、アフタークーラに供給される前の圧縮空気の一部が分流されて、供給される。すなわち、吸着ロータのうち再生ゾーンに位置する部分に高温の圧縮空気が再生ガスとして供給されるので、該部分に吸着された水分が、相対湿度が比較的低い高温の圧縮空気に放出される。これによって、吸着ロータから水分が除去されて再生される。
冷却ゾーンには、アフタークーラを通過して処理ゾーンに供給される前の圧縮空気のうち一部が分流されて、供給される。すなわち、吸着ロータのうち冷却ゾーンに位置する部分に冷却された圧縮空気が冷却ガスとして供給されるので、該部分に位置する吸着媒体が冷却されることによって乾燥能力が回復する。
一般的に、オイルフリー圧縮機が負荷運転状態にあるとき、吸着式ロータはケーシング内を低速(例えば6rph)で回転しており、吸着式ロータの各部は、ケーシング内の処理ゾーン、再生ゾーン、及び冷却ゾーンを、所定の順番で移動しながら、処理ゾーンでの圧縮空気からの水分吸着と、再生ゾーンでの吸着した水分の除去と、冷却ゾーンでの吸着媒体の冷却とが、順に実施される。これによって、吸着式ドライヤから乾燥圧縮空気が需要家設備側に連続的に供給される。
特開平6-031131号公報
特許文献1の吸着式ドライヤでは、冷却ゾーンに、処理ゾーンに供給される前、すなわち水分が吸着されていない圧縮空気が冷却ガスとして供給される。このため、冷却ゾーンにおいて、未乾燥の圧縮空気によって吸着ロータの乾燥度が悪化し、その結果、処理ゾーンにおける吸着ロータによる乾燥性能が低下しやすい。
本発明は、オイルフリー圧縮機から吐出される圧縮空気を乾燥させる吸着式ドライヤに設けられ、水分の吸着、再生及び冷却が実施される吸着ロータにおいて、吸着ロータの冷却による乾燥性能の悪化を抑制することを課題とする。
本発明は、円柱状に形成されており、軸方向に貫通する複数のロータ流路を有しており、前記複数のロータ流路のそれぞれを構成する壁面に吸着媒体をそれぞれ備えた、回転式の吸着ロータと、
円筒状に形成されており、同心状に収容された前記吸着ロータを回転可能に支持すると共に、内部が、それぞれ軸心方向に延びる、処理ゾーン、再生ゾーン、及び冷却ゾーンに中心軸線周りに区画されたケーシングと、
前記処理ゾーンに圧縮空気を供給する、処理ゾーン入口流路と、
前記処理ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記圧縮空気を需要家側に供給する、処理ゾーン出口流路と、
前記吸着ロータを冷却するための冷却ガスを前記冷却ゾーンに供給する、冷却ゾーン入口流路と、
前記冷却ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記冷却ガスを排出する、冷却ゾーン出口流路と、
前記再生ゾーンに前記吸着ロータを再生するための再生ガスを供給する、再生ゾーン入口流路と、
前記再生ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記再生ガスを前記ケーシングから排出する、再生ゾーン出口流路と
を備え、
前記冷却ゾーン入口流路は、前記処理ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記圧縮空気の一部を前記冷却ガスとして供給する、吸着式ドライヤを提供する。
本発明によれば、処理ゾーンにおいて吸着ロータの吸着媒体によって水分が吸着された圧縮空気の一部が、冷却ガスとして冷却ゾーンに供給される。これによって、冷却ゾーンに水分を多く含んだ圧縮空気を供給する場合に比して、圧縮空気からの吸着ロータへの水分の付着が抑制されるので、冷却による吸着ロータの乾燥性能の悪化を抑制できる。したがって、吸着ロータの乾燥性能の低下を抑制して、需要家側に乾燥した圧縮空気を連続的に安定して供給できる。
また、前記処理ゾーン出口流路に設けられており、前記処理ゾーン出口流路を開閉する出口バルブと、
前記処理ゾーン入口流路に設けられており、前記処理ゾーン入口流路を介した前記処理ゾーンに向かう方向にのみ圧縮空気の流動を許容する、逆止弁と
を更に備えており、
前記再生ゾーン入口流路は、一端部が前記処理ゾーン入口流路のうち前記逆止弁よりも前記処理ゾーン側から分岐しており、
前記再生ゾーン出口流路は、前記処理ゾーン入口流路のうち前記再生ゾーン入口流路の前記一端部よりも前記処理ゾーン側に合流しており、
前記冷却ゾーンを流通した前記冷却ガスは、前記再生ゾーンを流通した前記再生ガスに合流しており、
前記再生ゾーン出口流路には、前記冷却ガスが合流する位置よりも前記再生ゾーン出口流路側において大気開放流路が接続されており、
前記大気開放流路は、先端部が大気開放されており、途中に前記大気開放流路を開閉する大気開放バルブが設けられていてもよい。
本構成によれば、圧縮機が無負荷運転となるとき、大気開放バルブを開くことによって、ケーシングの内圧と大気圧との圧力差を利用して、ケーシング内の圧縮空気、冷却ガス及び再生ガスを大気開放流路を介してケーシングから排出させやすい。具体的には、処理ゾーンに滞留する圧縮空気が、冷却ゾーン入口流路を介して冷却ゾーンに流動し、冷却ゾーン内の冷却ガス及び再生ゾーン内の再生ガスがケーシングから大気開放流路側へ排出される。
これによって、ケーシング内に滞留する圧縮空気、特に再生ゾーンに滞留する再生ガスの他ゾーンへの漏出が抑制されると共にケーシング内に滞留する圧縮空気が冷却することによる露点の悪化が抑制されるので、負荷運転に切り替えたときに露点が悪化した圧縮空気が需要家側へ供給されることが抑制される。なお、本明細書では、「露点が悪化する」とは「(乾燥しておらず)相対湿度が高い」ことを意味している。
また、前記処理ゾーン出口流路のうち前記出口バルブよりも前記需要家側に位置する部分と、前記再生ゾーン入口流路とを接続する、第1掃気流路と、
前記第1掃気流路に設けられて、前記第1掃気流路を開閉する第1掃気バルブと
を更に備えていてもよい。
本構成によれば、圧縮機が無負荷運転となるとき、大気開放バルブを開いた後に第1掃気バルブを開くことによって、需要家側から乾燥した圧縮空気が、第1掃気流路を介して再生ゾーンに対して上流側から供給されて、再生ゾーンから再生ガスを掃気して、再生ゾーンを乾燥した圧縮空気に置き換えることができる。
これによって、再生ゾーンに滞留する再生ガスが冷却することによる露点の悪化が抑制されるので、負荷運転に切り替えたときに再生ゾーンにおける吸着ロータへの水分の付着が抑制されると共に、需要家側に露点の悪化した圧縮空気が供給されることが抑制される。
また、前記処理ゾーン出口流路のうち前記出口バルブよりも前記需要家側に位置する部分と、前記処理ゾーン入口流路とを接続する、第2掃気流路と、
前記第2掃気流路に設けられて、前記第2掃気流路を開閉する第2掃気バルブと
を更に備えていてもよい。
本構成によれば、圧縮機が無負荷運転であるとき、出口バルブを閉じると共に大気開放バルブを開き、さらに第2掃気バルブを開くことによって、需要家側から乾燥した圧縮空気が、第2掃気流路を介して処理ゾーンに対して上流側から供給されて、処理ゾーン及び冷却ゾーンを順に掃気して、処理ゾーン及び冷却ゾーンを乾燥した圧縮空気に置き換えることができる。
これによって、処理ゾーン及び冷却ゾーンに滞留する圧縮空気が冷却することによる露点の悪化が抑制されるので、負荷運転に切り替えたときに処理ゾーン及び冷却ゾーンにおける吸着ロータへの水分の付着が抑制されると共に、需要家側に露点の悪化した圧縮空気が供給されることが抑制される。
また、前記処理ゾーン入口流路に設けられて、前記処理ゾーン入口流路を流通する前記圧縮空気を昇圧する昇圧装置を、更に備えていてもよい。
本構成によれば、処理ゾーンの圧縮空気の圧力を、再生ゾーンの再生ガスの圧力よりも増大させることができ、これによってケーシング内において吸着ロータの上流側及び下流側領域における再生ゾーン内の再生ガスの処理ゾーンへの漏出が抑制される。この結果、水分を多く含んだ再生ガスが処理ゾーンに漏出することによる、乾燥性能の悪化を抑制できる。
本発明の他の側面は、圧縮機によって圧縮された圧縮空気を乾燥させて需要家側に供給する、吸着式ドライヤの作動方法であって、
前記圧縮機の負荷運転時に、
周方向に区画された、処理ゾーン、冷却ゾーン及び再生ゾーンを有する円筒状のケーシング内において、同心状に吸着ロータを回転させながら、
前記処理ゾーンでは、軸方向に供給される圧縮空気を、前記吸着ロータのうち前記処理ゾーンに位置する部分によって水分を吸着して、需要家側に供給すること、
前記冷却ゾーンでは、軸方向に供給される冷却ガスによって、前記吸着ロータのうち前記冷却ゾーンに位置する部分を冷却すること、
前記再生ゾーンでは、軸方向に供給される再生ガスによって、前記吸着ロータのうち前記再生ゾーンに位置する部分を再生すること、
を並行して実施し、
前記処理ゾーンにおいて水分が吸着ロータに吸着された圧縮空気の一部を、前記冷却ゾーンに前記冷却ガスとして供給する、吸着式ドライヤの作動方法を提供する。
また、前記圧縮機の無負荷運転時に、
前記需要家側への乾燥させた圧縮空気の供給を出口バルブで遮断すると共に、前記冷却ゾーンから吐出される前記冷却ガス、及び前記再生ゾーンから吐出される前記再生ガスを、それぞれ大気開放させつつ、
前記遮断と同時またはその後に、
前記処理ゾーンの上流側に前記出口バルブの前記需要家側から前記乾燥させた圧縮空気を供給すること、及び前記再生ゾーンの上流側に前記出口バルブの前記需要家側から前記乾燥させた圧縮空気を供給すること、の少なくとも一方を実施してもよい。
本発明によれば、吸着ロータは、ケーシングにおける冷却ゾーンに位置する部分に、処理ゾーンにおいて水分が吸着ロータに吸着されることにより乾燥した圧縮空気が供給されるので、冷却による吸着ロータの乾燥性能の悪化が抑制される。
本発明の一実施形態に係る圧縮空気供給システムを概略的に示す構成図。 吸着式ドライヤの正面図。 図2のIII-III線に沿った断面図。 吸着式ドライヤのケーシングにおける流路を概略的に示す斜視図。 圧縮空気供給システムの作動を示すフローチャート。 無負荷運転時の圧縮空気供給システムにおける圧縮空気の流れを示す図。 図6に後続する圧縮空気供給システムにおける圧縮空気の流れを示す図。 変形例に係る図7と同様の図。 他の変形例に係る図7と同様の図。 他の実施形態に係る吸着式ドライヤを示す図4と同様の図。 図10の吸着式ドライヤを備えた圧縮空気供給システムを概略的に示す構成図。
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態に係る圧縮空気供給システムを説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧縮空気供給システム1を概略的に示している。図1に示されるように、圧縮空気供給システム1は、圧縮空気を吐出する圧縮機2と、吐出された圧縮空気を乾燥させて需要家設備3に供給するドライヤ4とを備えている。圧縮機2は、一対のスクリュロータ(不図示)によって空気を圧縮して吐出するオイルフリー式のスクリュ回転機械である。
ドライヤ4は、圧縮空気から水分を吸着することによって圧縮空気を乾燥させる、吸着式ドライヤである。ドライヤ4は、圧縮空気から水分を吸着するドライヤ本体10と、ドライヤ本体10と圧縮機2及び需要家設備3とを接続する流路30と、ドライヤ4の作動を制御する制御装置50とを備えている。
図2~図4を参照して、ドライヤ本体10について説明する。図2はドライヤ本体10の正面図である。図2に示されるように、ドライヤ本体10は、回転式の吸着ロータ11と、円筒状に形成されており、同心状に収容された吸着ロータ11を回転可能に支持するケーシング14とを有している。なお、ドライヤ本体10は、吸着ロータ11の中心軸線O1が上下方向に延びる、縦型ドライヤである。
吸着ロータ11は、円柱状に形成されており、軸方向に貫通する微細なロータ流路12(図3参照)を多数有しており、ロータ流路12を構成する壁面に吸着媒体13(図3参照)を備えている。例えば、吸着ロータ11を、セラミックにシリカゲル等の吸着媒体13を化学合成したハニカム構造の材料により構成できる。吸着ロータ11は、モータ5(図1参照)の出力軸に結合した軸6に支持されており、モータ5によって図3中矢印Aで示す方向に回転駆動される。
ケーシング14は、吸着ロータ11の外径と略同じ内径を有する円筒部14aと、円筒部14aの上部を閉じる蓋部14bと、円筒部14aの下部に閉じる底部14cとを有している。蓋部14bは、吸着ロータ11の上端面との間に上部閉空間15を構成している。底部14cは、吸着ロータ11の下端面との間に下部閉空間16を構成している。
図3は、図2のIII-III線に沿った、上部閉空間15の水平断面図である。図3に示されるように、蓋部14bには、径方向内側に延びて、上部閉空間15を中心軸線O1周りに区画する複数の隔壁17が形成されている。複数の隔壁17には、第1隔壁17a、第2隔壁17b及び第3隔壁17cが含まれている。上部閉空間15は、第1隔壁17aと第2隔壁17bとの間に上部第1閉空間15aが区画され、第2隔壁17bと第3隔壁17cとの間に上部第2閉空間15bが区画され、第3隔壁17cと第1隔壁17aとの間に上部第3閉空間15cが区画されている。上部第1閉空間15a、上部第2閉空間15b及び上部第3閉空間15cが回転方向Aに沿って順に並んでいる。
図4は、ケーシング14における流路を概略的に示す斜視図である。図1に示されるように、下部閉空間16にも同様に径方向内側に延びる複数の隔壁18が形成されている。複数の隔壁18には、第1隔壁18a、第2隔壁18b及び第3隔壁18cが含まれている。下部閉空間16は、第1隔壁18aと第2隔壁18bとの間に下部第1閉空間16aが区画され、第2隔壁18bと第3隔壁18cとの間に下部第2閉空間16bが区画され、第3隔壁18cと第1隔壁18aとの間に下部第3閉空間16cが区画されている。下部第1閉空間16a、下部第2閉空間16b及び下部第3閉空間16cが回転方向Aに沿って順に並んでいる。
下部第1閉空間16a、下部第2閉空間16b及び下部第3閉空間16cはそれぞれ、上部第1閉空間15a、上部第2閉空間15b及び上部第3閉空間15cに対して、中心軸線O1周りの同一の周方向範囲に位置している。
吸着ロータ11は、軸線方向に延びる複数の微細なロータ流路12を有しているので、ケーシング14の内部には、上部第1閉空間15a、下部第1閉空間16a及びこれらの上下方向間に位置する複数のロータ流路12によって第1ゾーン21が構成され、上部第2閉空間15b、下部第2閉空間16b及びこれらの上下方向間に位置する複数のロータ流路12によって第2ゾーン22が構成され、上部第3閉空間15c、下部第3閉空間16c及びこれらの上下方向間に位置する複数のロータ流路12によって第3ゾーン23が構成されている。
すなわち、ケーシング14の内部は、この軸心方向に延びる、第1ゾーン21、第2ゾーン22及び第3ゾーン23とを有するように中心軸線O1周りに区画されている。後述するように、第1ゾーン21は本発明に係る処理ゾーンとして構成されており、第2ゾーン22は本発明に係る再生ゾーンとして構成されており、第3ゾーン23は本発明に係る冷却ゾーンとして構成されている。
図2に示されるように、蓋部14bには、第1~第3ゾーン21~23にそれぞれ連通すると共に流路30が接続される、蓋部第1接続口21a、蓋部第2接続口22a及び蓋部第3接続口23aが設けられている。同様に、底部14cにも、第1~第3ゾーン21~23にそれぞれ連通すると共に流路30が接続される、底部第1接続口21b、底部第2接続口22b及び底部第3接続口23bが設けられている。
次に、図1を参照して、流路30について説明する。流路30は、底部第1接続口21bに接続された第1ゾーン入口流路(処理ゾーン入口流路)31と、蓋部第1接続口21aに接続された第1ゾーン出口流路(処理ゾーン出口流路)32と、蓋部第2接続口22aに接続された第2ゾーン入口流路(再生ゾーン入口流路)33と、底部第2接続口22bに接続された第2ゾーン出口流路(再生ゾーン出口流路)34と、蓋部第3接続口23aに接続された第3ゾーン入口流路(冷却ゾーン入口流路)35と、底部第3接続口23bに接続された第3ゾーン出口流路(冷却ゾーン出口流路)36とを有している。
第1ゾーン入口流路31は、底部第1接続口21bと圧縮機2の吐出口2aとの間を接続しており、圧縮機2から吐出された圧縮空気を第1ゾーン21に供給する。第1ゾーン入口流路31には、逆止弁31a、アフタークーラ31b、エアエゼクタ31cが、圧縮機2から第1ゾーン21に向かって、順に設けられている。
逆止弁31aは、第1ゾーン21に向かう方向にのみ圧縮空気の流動を許容する。アフタークーラ31bは、熱交換器であって、圧縮機2から吐出された圧縮空気を冷却する。エアエゼクタ31cは、流路を構成する一部がオリフィスとなっており、この部分で第1ゾーン入口流路31内の第1ゾーン21へ向かう圧縮空気の流速を高めて減圧し、これにより後述するように第2ゾーン出口流路34からの圧縮空気を引き込むように構成されている。
第1ゾーン出口流路32は、蓋部第1接続口21aと需要家設備3の入口3aとの間を接続しており、第1ゾーン21において吸着ロータ11によって水分が吸着された乾燥圧縮空気を需要家設備3に供給する。
第1ゾーン出口流路32には、該流路を開閉可能に構成された出口バルブ32aが設けられている。圧縮空気供給システム1の負荷運転時は、出口バルブ32aが開かれており、圧縮空気が需要家設備3に供給される。一方、圧縮空気供給システム1の無負荷運転時は、出口バルブ32aが閉じられて、需要家設備3への圧縮空気の供給が遮断されて、流路30における圧縮空気の流動が停止する。
第2ゾーン入口流路33は、第1ゾーン入口流路31の途中と蓋部第2接続口22aとの間を接続している。具体的には、第2ゾーン入口流路33は、第1ゾーン入口流路31のうち逆止弁31aとアフタークーラ31bとの間から分岐している。第2ゾーン入口流路33には、調節弁33aが設けられている。
調節弁33aによって、第1ゾーン入口流路31から第2ゾーン入口流路33へ分流される圧縮空気の圧力及び量が調整される。調節弁33aは、第2ゾーン22における圧縮空気の圧力が、第1ゾーン21における圧縮空気の圧力よりも低くなるように調整される。これによって、隔壁17及び18と吸着ロータ11との間の上下方向隙間を介した第2ゾーン22から第1ゾーン21への圧縮空気の漏出が抑制されている。
第2ゾーン出口流路34は、底部第2接続口22bとエアエゼクタ31cとの間を接続している。上述したように、第2ゾーン22から吐出された圧縮空気は、エアエゼクタ31cを介して第1ゾーン入口流路31に導入される。第2ゾーン出口流路34には、バイパスクーラ34aが設けられている。バイパスクーラ34aは、熱交換器であって、第2ゾーン22から吐出された圧縮空気を冷却する。
第3ゾーン入口流路35は、第1ゾーン出口流路32の途中と蓋部第3接続口23aとの間を接続している。具体的には、第3ゾーン入口流路35は、第1ゾーン出口流路32のうち出口バルブ32aよりも第1ゾーン21側に位置する部分から分岐している。すなわち、第1ゾーン21から吐出された圧縮空気の一部が、第1ゾーン出口流路32から分流されて第3ゾーン入口流路35に導入される。
第3ゾーン出口流路36は、第2ゾーン出口流路34の途中と底部第3接続口23bとの間を接続している。具体的には、第3ゾーン出口流路36は、第2ゾーン出口流路34のうちバイパスクーラ34aよりも上流側に接続されている。
また、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1では、流路30は、大気開放流路37、第1掃気流路38及び第2掃気流路39を更に有している。
大気開放流路37は、一端部が第2ゾーン出口流路34の途中に接続されており、他端部が大気開放されている。具体的には、大気開放流路37は、第2ゾーン出口流路34のうちエアエゼクタ31cとバイパスクーラ34aとの間から分岐している。大気開放流路37には、該流路を開閉する大気開放バルブ41が設けられている。大気開放バルブ41を開くと、大気開放流路37を介して、第2ゾーン出口流路34が大気に開放される。
第1掃気流路38は、第2ゾーン入口流路33と第1ゾーン出口流路32との間を接続している。具体的には、第1掃気流路38は、第2ゾーン入口流路33のうち調節弁33aよりも第2ゾーン22側に位置する部分と第1ゾーン出口流路32のうち出口バルブ32aよりも需要家設備3側に位置する部分との間を接続している。
第1掃気流路38には、該流路を開閉する第1掃気バルブ42が設けられている。第1掃気バルブ42を開くと、第2ゾーン入口流路33が、第1掃気流路38を介して需要家設備3側に接続される。
第2掃気流路39は、第1ゾーン入口流路31と第1掃気流路38との間を接続している。具体的には、第2掃気流路39は、第1ゾーン入口流路31のうちエアエゼクタ31cよりも第1ゾーン21側に位置する部分と、第1掃気流路38のうち第1掃気バルブ42よりも需要家設備3側に位置する部分との間を接続している。
第2掃気流路39には、該流路を開閉する第2掃気バルブ43が設けられている。第2掃気バルブ43を開くと、第1ゾーン入口流路31が、第1掃気流路38及び第2掃気流路39を介して需要家設備3側に接続される。
本実施形態では、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43は、制御装置50によって開閉が電気的に制御される電磁弁として構成されている。
制御装置50は、ハードディスク等の記憶部51、ドライヤ4の作動を制御する演算処理部(CPU)52、メモリ及び入出力装置を備えた周知のコンピュータと、コンピュータに実装されたソフトウエアとにより構成されている。演算処理部52は、記憶部51に記憶された、圧縮空気供給システム1の負荷運転時及び無負荷運転時における、モータ5、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43の作動パラメータに基づいて、これらの機器を駆動制御する。
具体的には、演算処理部52は、圧縮空気供給システム1が負荷運転状態であるとき、モータ5を低速(例えば6rph)で回転するように制御すると共に、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43を閉じるように制御する。
一方、演算処理部52は、圧縮空気供給システムが無負荷運転状態であるとき、モータ5を停止させるように制御すると共に、所定の順番で、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43を開き、所定時間経過後にこれらを閉じるように制御する。
上記説明した圧縮空気供給システム1の作動方法を説明する。まず、図1を参照して、負荷運転状態における圧縮空気供給システム1の作動方法を説明する。上述したように、負荷運転状態においては、制御装置50は、モータ5を回転させると共に、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43を閉じるように制御する。このとき、図1において矢印で圧縮空気の流れを示すように、圧縮機2から吐出された圧縮空気は、第1ゾーン入口流路31に導入されて、アフタークーラ31bで冷却された後、エアエゼクタ31cを介して、第1ゾーン21に供給される。
圧縮空気は、第1ゾーン21に対して底部第1接続口21bから導入されて、第1ゾーンを上方に向かって、下部第1閉空間16a、吸着ロータ11及び上部第1閉空間15aを順に通過して、蓋部第1接続口21aから第1ゾーン出口流路32に吐出される。
第1ゾーン21において、圧縮空気は、吸着ロータ11に設けた吸着媒体13によって水分が吸着されて、乾燥する。したがって、第1ゾーンは圧縮空気から水分を吸着(除湿ともいう)する処理ゾーンとして構成されている。蓋部第1接続口21aから吐出された乾燥圧縮空気は、第1ゾーン出口流路32を介して需要家設備3側に供給される。
また、圧縮機2から吐出された圧縮空気のうち一部が、第1ゾーン入口流路31から第2ゾーン入口流路33に分流される。第2ゾーン入口流路33に分流された圧縮空気は調節弁33aによって圧力及び量が調節されて、第2ゾーン22に対して蓋部第2接続口22aから導入される。圧縮空気は、第2ゾーン22を下方に向かって、上部第2閉空間15b、吸着ロータ11及び下部第2閉空間16bを順に通過して、底部第2接続口22bから第2ゾーン出口流路34に吐出される。
第2ゾーン22に供給される圧縮空気は、アフタークーラ31bにより冷却されていないため、第1ゾーン21に供給される圧縮空気よりも温度が高く露点が高くなっている。そのため、第1ゾーン21において圧縮空気から水分を吸着したために水分を多く吸着した吸着ロータ11から水分を放出させることにより、吸着ロータ11の乾燥度を高め、これにより水分の吸着可能量を増大させて再生する。したがって、第2ゾーン22は、吸着ロータ11を再生する再生ゾーンとして構成されており、第2ゾーン22に供給される圧縮空気は本発明に係る再生ガスとして作用する。
底部第2接続口22bから吐出された圧縮空気は、第2ゾーン出口流路34を介してバイパスクーラ34aにおいて冷却された後、エアエゼクタ31cに至り、エアエゼクタ31cから第1ゾーン入口流路31に引き込まれる。
また、第1ゾーン出口流路32に吐出された乾燥圧縮空気のうち一部が、第3ゾーン入口流路35に分流されて、第3ゾーン23に対して蓋部第3接続口23aから導入される。乾燥圧縮空気は、第3ゾーン23を下方に向かって、上部第3閉空間15c、吸着ロータ11及び下部第3閉空間16cを順に通過して、底部第3接続口23bから第3ゾーン出口流路36に吐出される。
第3ゾーンに供給される乾燥圧縮空気は、アフタークーラ31bを通過して温度が低下しているため、第2ゾーン22において高温の再生ガスによって温度が上昇した吸着ロータ11の温度を低下させて、吸着媒体13による吸着性能を向上させる。したがって、第3ゾーンに供給される乾燥圧縮空気は本発明に係る冷却ガスとして作用する。第3ゾーンに供給される乾燥圧縮空気は、第1ゾーン21において吸着ロータ11に水分が吸着されているため、乾燥している。このため、第3ゾーン23において乾燥圧縮空気による冷却により、吸着ロータ11の乾燥度が悪化することが抑制されている。
底部第3接続口23bから吐出された乾燥圧縮空気は、第2ゾーン出口流路34に合流して、バイパスクーラ34aにおいて冷却された後、エアエゼクタ31cに至り、エアエゼクタ31cを介して第1ゾーン入口流路31に引き込まれる。
したがって、圧縮空気供給システム1は、負荷運転時においては、圧縮機2から吐出された圧縮空気が、ドライヤ4によって乾燥されて、需要家設備3に供給される。このとき、ドライヤ本体10においては、吸着ロータ11を回転させつつ、第1ゾーン21における圧縮空気からの吸着ロータ11への水分の吸着と、第2ゾーン22における吸着ロータ11の再生と、第3ゾーンにおける吸着ロータ11の冷却とが、並行して実施される。
第1ゾーン21において吸着ロータ11の吸着媒体13によって水分が吸着された圧縮空気の一部が、冷却ガスとして第3ゾーン23に供給される。これによって、第3ゾーン23に水分を多く含んだ圧縮空気を供給する場合に比して、圧縮空気からの吸着ロータ11への水分の付着が抑制されるので、冷却による吸着ロータ11の乾燥性能の悪化を抑制できる。したがって、吸着ロータ11の乾燥性能の低下を抑制して、需要家設備3側に乾燥圧縮空気を連続的に安定して供給できる。
次に、無負荷運転時における圧縮空気供給システム1の作動方法を説明する。図5は、負荷運転状態から無負荷運転状態に切り替えたときの、圧縮空気供給システム1の作動を示すフローチャートである。図5に示されるように、最初に圧縮空気供給システム1は負荷運転(すなわち、ロード運転)状態で作動している(ステップS001)。このとき、図1に示されるように、出口バルブ32aが開かれており、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43が閉じられている。
次に、圧縮空気供給システム1は無負荷運転(すなわち、アンロード運転)状態になると、出口バルブ32aが閉じられる。これによって、乾燥圧縮空気の需要家設備3側への供給が遮断されて、圧縮空気供給システム1内における圧縮空気の流動が停止する(ステップS002)。この状態では、第1ゾーン21に圧縮空気が滞留すると共に、第2ゾーン22には再生ガスが滞留すると共に、第3ゾーン23には冷却ガスが滞留している。
次に、制御装置50(演算処理部52)は、モータ5を停止させると共に大気開放バルブ41を開く(ステップS003)。これによって、図6に示されるように、第2ゾーン22及び第3ゾーン23がそれぞれ、第2ゾーン出口流路34および第3ゾーン出口流路36を介して、さらに大気開放流路37を介して大気に連通する。ここで、第2ゾーン22及び第3ゾーン23には、大気圧よりも圧力が高い再生ガス及び冷却ガスが滞留している。したがって、第2ゾーン22の再生ガス及び第3ゾーンの冷却ガスはそれぞれ、大気圧との圧力差によって第2ゾーン出口流路34および第3ゾーン出口流路36に流動し、これらの一部又は全部が大気開放流路37を介して大気中へ放出される。
さらに、第1ゾーン21は、第1ゾーン出口流路32及び第3ゾーン入口流路35を介して第3ゾーン23に接続されているので、第1ゾーン21の圧縮空気は、圧力が大気圧よりも高く、第3ゾーン23の冷却ガスの流動に伴って第3ゾーン23に引き込まれる。第3ゾーン23に引き込まれた圧縮空気は、上述したように大気圧との圧力差によって第2ゾーン出口流路34および第3ゾーン出口流路36に流動して大気中へ放出される。
したがって、圧縮空気供給システム1が無負荷運転となるとき、大気開放バルブ41を開くことによって、ケーシング14の内圧と大気圧との圧力差を利用して、ケーシング14内の圧縮空気、冷却ガス及び再生ガスを大気開放流路37を介してケーシング14から排出させやすい。具体的には、第1ゾーン21に滞留する圧縮空気が、第3ゾーン入口流路35を介して第3ゾーン23に流動し、第3ゾーン23内の圧縮空気及び第2ゾーン22内の再生ガスがケーシング14から大気開放流路37側へ排出される。
これによって、ケーシング14内に滞留する圧縮空気、特に第2ゾーン22に滞留する再生ガスの他ゾーンへの漏出が抑制されると共に、ケーシング14内に滞留する圧縮空気が冷却することによる露点の悪化が抑制されるので、負荷運転に切り替えたときに露点が悪化した圧縮空気が需要家設備3側へ供給されることが抑制される。
次に、大気開放バルブ41が開かれてから第1所定時間T1が経過した後(ステップS004)、制御装置50は第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43を開く(ステップS005)。第1所定時間T1は、第1ゾーン21、第2ゾーン22及び第3ゾーン23内の圧縮空気が、大気圧との圧力差によって流動するのに要する時間に設定されており、本実施形態では例えば20秒に設定されている。
図7に示されるように、第1掃気バルブ42が開かれると、第2ゾーン入口流路33と第1ゾーン出口流路32のうち出口バルブ32aより需要家設備3側に位置する部分とが連通する。上述したように、第2ゾーン22内の再生ガスは第2ゾーン出口流路34へ引き込まれているため、第1ゾーン出口流路32における乾燥圧縮空気の圧力よりも低い。その結果、需要家設備3側から第1掃気流路38及び第2ゾーン入口流路33を介して第2ゾーン22に乾燥圧縮空気が供給されて、第2ゾーン22が乾燥圧縮空気によって掃気されて、最終的に乾燥圧縮空気に置き換えられる。
大気開放バルブ41を開いた後に第1掃気バルブ42を開くことによって、需要家設備3側から乾燥圧縮空気が、第1掃気流路38を介して第2ゾーン22に対して上流側から供給されて、第2ゾーン22から再生ガスを掃気して、第2ゾーンを乾燥圧縮空気に置き換えることができる。このときの、第2ゾーン22における圧縮空気の流れは、負荷運転時と同様に上方から下方に向かう。
これによって、第2ゾーン22に滞留する再生ガスが冷却することによる露点の悪化が抑制されるので、負荷運転に切り替えたときに第2ゾーン22における吸着ロータ11への水分の付着が抑制されると共に、需要家側に露点の悪化した圧縮空気が供給されることが抑制される。
一方、第2掃気バルブ43が開かれると、第1ゾーン入口流路31と第1ゾーン出口流路32のうち出口バルブ32aより需要家設備3側に位置する部分とが連通する。上述したように、第1ゾーン21内の圧縮空気は第3ゾーン23へ引き込まれるため、第1ゾーン出口流路32における乾燥圧縮空気の圧力よりも低い。その結果、需要家設備3側から第1ゾーン出口流路32を介して第1ゾーン21に乾燥圧縮空気が供給されて、第1ゾーン21が乾燥圧縮空気によって掃気されて、最終的に乾燥圧縮空気に置き換えられる。
第1ゾーン21に供給された圧縮空気はさらに、第3ゾーン入口流路35を介して第3ゾーン23にも供給されて、第3ゾーン23もまた乾燥圧縮空気に置き換えられる。
大気開放バルブ41を開いた後に第2掃気バルブ43を開くことによって、需要家設備3側から乾燥圧縮空気が、第1掃気流路38及び第2掃気流路39を介して第1ゾーン21に対して上流側から供給されて、第1ゾーン21及び第3ゾーン23を順に掃気して、第1ゾーン21及び第3ゾーン23を乾燥圧縮空気に置き換えることができる。このときの、第1ゾーン21における圧縮空気の流れは、負荷運転時と同様に下方から上方に向かい、第3ゾーン23における圧縮空気の流れが、負荷運転時と同様に上方から下方に向かう。
これによって、第1ゾーン21及び第3ゾーン23に滞留する圧縮空気が冷却することによる露点の悪化が抑制されるので、負荷運転に切り替えたときに第1ゾーン21及び第3ゾーン23における吸着ロータ11への水分の付着が抑制されると共に、需要家設備3側に露点の悪化した圧縮空気が供給されることが抑制される。
次に、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43が開かれてから、第2所定時間T2が経過した後(ステップS006)、制御装置50は、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43を閉じる(ステップS007)。これによって、第1ゾーン21、第2ゾーン22及び第3ゾーン23が、乾燥圧縮空気に置き換えられると共に、需要家設備3側からの乾燥圧縮空気の供給による掃気が終了する。
なお、第2所定時間T2は、好ましくは第1ゾーン21、第2ゾーン22及び第3ゾーン23が乾燥圧縮空気に完全に置き換わる時間に設定されており、例えば本実施形態では40秒に設定されている。
したがって、上記説明した実施形態に係る圧縮空気供給システム1によれば、負荷運転時において第3ゾーン23において冷却ガスに乾燥圧縮空気を利用することにより吸着ロータ11の乾燥性能の悪化を抑制できるという効果を奏する。一方、無負荷運転時においてはケーシング14内に滞留する圧縮空気を排出して乾燥圧縮空気に置き換えることにより負荷運転に切り替えられた際に需要家設備3側に露点の悪化した圧縮空気が供給されることを抑制できるという効果を奏する。
上記実施形態に加えて、図1において二点鎖線で示すように第1ゾーン入口流路31に設けられて、第1ゾーン入口流路31を流通する圧縮空気を昇圧する昇圧装置60を設けてもよい。
昇圧装置60によれば、第1ゾーン21の圧縮空気の圧力を、第2ゾーン22の再生ガスの圧力よりも増大させることができ、これによってケーシング14内において吸着ロータ11の上部閉空間15及び下部閉空間16における第2ゾーン22内の再生ガスの第1ゾーン21への漏出が抑制される。この結果、水分を多く含んだ再生ガスが第1ゾーン21に漏出することによる、乾燥性能の悪化を抑制できる。
上記実施形態では、無負荷運転時において、大気開放バルブ41を開いてから第1所定時間T1が経過した後に、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43を両方とも開く場合を例にとって説明したがこれに限らない。例えば、図8に示すように第1掃気バルブ42のみを開いてもよく、図9に示されるように第2掃気バルブ43のみを開いてもよい。また、大気開放バルブ41を開くと同時に第1掃気バルブ42及び/又は第2掃気バルブ43を開いてもよい。
また、図示は省略するが、アフタークーラ31b及びバイパスクーラ34aは熱交換により生じた水分を排出するドレン部を備えている。ドレン部は制御装置50によって開閉が操作されるドレンバルブをそれぞれ備えている。ドレンバブルは通常では閉じられているが、制御装置50は、負荷運転時においては、ドレンバルブを定期的に開閉するように制御し、無負荷運転時においてはドレンバルブを1回だけ開いた後閉じた状態に維持する。
また、上記実施形態では、無負荷運転時には、モータ5を停止させるように構成したが、これに限らない、無負荷運転時にもモータ5を回転させてもよい。しかしながら、無負荷運転時においては、圧縮空気の流れが停止しているため、圧縮空気からの水分の吸着、吸着ロータ11の再生、及び吸着ロータ11の冷却を行えないため、各ゾーンに滞留する空気が他のゾーンに流入することを防止する観点で、モータ5の回転を停止させるのが好ましい。
図10は他の実施形態に係る吸着式のドライヤ104のケーシング114(図11参照)における流路を概略的に示す斜視図であり、図11はドライヤ104を備えた他の実施形態に係る圧縮空気供給システム101を概略的に示す構成図である。圧縮空気供給システム1と共通する部分については同じ符号を使用して、その説明を省略する。
図10に示すように、ドライヤ104は、上部閉空間15を区画する第2隔壁17b及び第3隔壁17cを有しているものの、第1隔壁17aを有していない点でドライヤ4とは異なっている。このため、上部閉空間15は、回転方向Aに向かって第2隔壁17bと第3隔壁17cとの間に上部第2閉空間15bが区画されており、回転方向Aに向かって第3隔壁17cと第2隔壁17bとの間に上部第1閉空間15a及び上部第3閉空間15cが一体的に区画されている。換言すれば、上部第1閉空間15aと上部第3閉空間15cとは隔てられておらず互いに連通している。
一方、ドライヤ104は、下部閉空間16を区画する第1隔壁18a及び第2隔壁18bを有しているものの、第3隔壁18cを有していない点でドライヤ4とは異なっている。このため、下部閉空間16は、回転方向Aに向かって第1隔壁18aと第2隔壁18bとの間に下部第1閉空間16aが区画されており、回転方向Aに向かって第2隔壁18bと第1隔壁18aとの間に下部第2閉空間16b及び下部第3閉空間16cが一体的に区画されている。換言すれば、下部第2閉空間16bと下部第3閉空間16cとは隔てられておらず互いに連通している。
図11に示されるように、ドライヤ104は、ケーシング114に蓋部第3接続口23a及び底部第3接続口23bが設けられていない点で、ケーシング14とは異なっている。他の実施形態では、第3ゾーン入口流路35は、ケーシング114の上部閉空間15において、上部第1閉空間15aから上部第3閉空間15cへ向かう流路として構成される。また、第3ゾーン出口流路36は、ケーシング114の下部閉空間16において、下部第3閉空間16cから下部第2閉空間16bに向かう流路として構成される。
さらに、ドライヤ104は、制御装置50に換えて、リレー盤150を備えている。リレー盤150は、複数のリレー(不図示)を備えており、複数のリレーによって、先の実施形態と同様に、モータ5、大気開放バルブ41、第1掃気バルブ42及び第2掃気バルブ43の作動を所定の順番で制御する。
ドライヤ104における圧縮空気の流れを説明する。第1ゾーン21及び第2ゾーン22における圧縮空気の流れは、先の実施形態と同様である。一方、第3ゾーン23においては、第1ゾーンのうち吸着ロータ11を上方へ通過して上部第1閉空間15aに排出された圧縮空気の一部が直接に上部第3閉空間15cに分流して、第3ゾーン23内を吸着ロータ11を下方に流通して下部第3閉空間16cに至る。下部第3閉空間16cは下部第2閉空間16bとつながっているため、下部第3閉空間16cに排出された圧縮空気は、下部第2閉空間16bを介して第2ゾーン出口流路34に排出される。
したがって、ドライヤ104においても、第1ゾーン21において吸着ロータ11に水分が吸着された乾燥圧縮空気の一部が第3ゾーン23に冷却ガスとして供給される。また、第3ゾーン23において吸着ロータ11を冷却した冷却ガスは、第2ゾーン22において吸着ロータ11を再生した再生ガスと合流して、第2ゾーン出口流路34を介してケーシング114から排出される。
よって、他の実施形態によれば、先の実施形態に比して、より簡便な構成によってドライヤ104を構成できる。
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
1 圧縮空気供給システム
2 圧縮機
3 需要家設備
4 ドライヤ
5 モータ
10 ドライヤ本体
11 吸着ロータ
12 ロータ流路
13 吸着媒体
14 ケーシング
21 第1ゾーン
22 第2ゾーン
23 第3ゾーン
30 流路
31 第1ゾーン入口流路
32 第1ゾーン出口流路
32a 出口バルブ
33 第2ゾーン入口流路
34 第2ゾーン出口流路
35 第3ゾーン入口流路
36 第3ゾーン出口流路
37 大気開放流路
38 第1掃気流路
39 第2掃気流路
41 大気開放バルブ
42 第1掃気バルブ
43 第2掃気バルブ
50 制御装置
60 昇圧装置

Claims (7)

  1. 円柱状に形成されており、軸方向に貫通する複数のロータ流路を有しており、前記複数のロータ流路のそれぞれを構成する壁面に吸着媒体をそれぞれ備えた、回転式の吸着ロータと、
    円筒状に形成されており、同心状に収容された前記吸着ロータを回転可能に支持すると共に、内部が、それぞれ軸心方向に延びる、処理ゾーン、再生ゾーン、及び冷却ゾーンに中心軸線周りに区画されたケーシングと、
    前記処理ゾーンに圧縮空気を供給する、処理ゾーン入口流路と、
    前記処理ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記圧縮空気を需要家側に供給する、処理ゾーン出口流路と、
    前記吸着ロータを冷却するための冷却ガスを前記冷却ゾーンに供給する、冷却ゾーン入口流路と、
    前記冷却ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記冷却ガスを排出する、冷却ゾーン出口流路と、
    前記再生ゾーンに前記吸着ロータを再生するための再生ガスを供給する、再生ゾーン入口流路と、
    前記再生ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記再生ガスを前記ケーシングから排出する、再生ゾーン出口流路と
    を備え、
    前記冷却ゾーン入口流路は、前記処理ゾーンの前記ロータ流路を流通した前記圧縮空気の一部を前記冷却ガスとして供給する、吸着式ドライヤ。
  2. 前記処理ゾーン出口流路に設けられており、前記処理ゾーン出口流路を開閉する出口バルブと、
    前記処理ゾーン入口流路に設けられており、前記処理ゾーン入口流路を介した前記処理ゾーンに向かう方向にのみ圧縮空気の流動を許容する、逆止弁と
    を更に備えており、
    前記再生ゾーン入口流路は、一端部が前記処理ゾーン入口流路のうち前記逆止弁よりも前記処理ゾーン側から分岐しており、
    前記再生ゾーン出口流路は、前記処理ゾーン入口流路のうち前記再生ゾーン入口流路の前記一端部よりも前記処理ゾーン側に合流しており、
    前記冷却ゾーンを流通した前記冷却ガスは、前記再生ゾーンを流通した前記再生ガスに合流しており、
    前記再生ゾーン出口流路には、前記冷却ガスが合流する位置よりも前記再生ゾーン出口流路側において大気開放流路が接続されており、
    前記大気開放流路は、先端部が大気開放されており、途中に前記大気開放流路を開閉する大気開放バルブが設けられている、
    請求項1に記載の吸着式ドライヤ。
  3. 前記処理ゾーン出口流路のうち前記出口バルブよりも前記需要家側に位置する部分と、前記再生ゾーン入口流路とを接続する、第1掃気流路と、
    前記第1掃気流路に設けられて、前記第1掃気流路を開閉する第1掃気バルブと
    を更に備えている、
    請求項2に記載の吸着式ドライヤ。
  4. 前記処理ゾーン出口流路のうち前記出口バルブよりも前記需要家側に位置する部分と、前記処理ゾーン入口流路とを接続する、第2掃気流路と、
    前記第2掃気流路に設けられて、前記第2掃気流路を開閉する第2掃気バルブと
    を更に備えている、
    請求項2又は3に記載の吸着式ドライヤ。
  5. 前記処理ゾーン入口流路に設けられて、前記処理ゾーン入口流路を流通する前記圧縮空気を昇圧する昇圧装置を、更に備えている、
    請求項1~4のいずか1つに記載の吸着式ドライヤ。
  6. 圧縮機によって圧縮された圧縮空気を乾燥させて需要家側に供給する、吸着式ドライヤの作動方法であって、
    前記圧縮機の負荷運転時に、
    周方向に区画された、処理ゾーン、冷却ゾーン及び再生ゾーンを有する円筒状のケーシング内において、同心状に吸着ロータを回転させながら、
    前記処理ゾーンでは、軸方向に供給される圧縮空気を、前記吸着ロータのうち前記処理ゾーンに位置する部分によって水分を吸着して、需要家側に供給すること、
    前記冷却ゾーンでは、軸方向に供給される冷却ガスによって、前記吸着ロータのうち前記冷却ゾーンに位置する部分を冷却すること、
    前記再生ゾーンでは、軸方向に供給される再生ガスによって、前記吸着ロータのうち前記再生ゾーンに位置する部分を再生すること、
    を並行して実施し、
    前記処理ゾーンにおいて水分が吸着ロータに吸着された圧縮空気の一部を、前記冷却ゾーンに前記冷却ガスとして供給する、吸着式ドライヤの作動方法。
  7. 前記圧縮機の無負荷運転時に、
    前記需要家側への乾燥させた圧縮空気の供給を出口バルブで遮断すると共に、前記冷却ゾーンから吐出される前記冷却ガス、及び前記再生ゾーンから吐出される前記再生ガスを、それぞれ大気開放させつつ、
    前記遮断と同時またはその後に、
    前記処理ゾーンの上流側に前記出口バルブの前記需要家側から前記乾燥させた圧縮空気を供給すること、及び前記再生ゾーンの上流側に前記出口バルブの前記需要家側から前記乾燥させた圧縮空気を供給すること、の少なくとも一方を実施する、
    請求項6に記載の吸着式ドライヤの作動方法。
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