JP2022174723A - 光学異方性膜およびそれを含む積層体 - Google Patents

光学異方性膜およびそれを含む積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL表示装置の白表示時における正面色相と斜方色相の色相差をより効果的に低減し、良好な画像表示特性を発現し得る光学異方性膜およびそれを含む積層体を提供すること。【解決手段】重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素を含む重合性液晶組成物の硬化膜であって、重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素が膜平面に対して鉛直方向に分子配向した状態で硬化した膜であり、かつ、波長λnmにおけるx軸方向に振動する直線偏光の吸光度Axλに関係した式(1)~式(6)またはy軸を回転軸として光学異方性膜を50°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度Axλ(z=50)に関係した式(4)~式(9)を満たす、光学異方性膜。【選択図】なし

Description

本発明は、光学異方性膜、前記光学異方性膜を含む積層体、並びに、前記積層体を含む有機EL表示装置に関する。
一般に広く用いられている有機EL表示装置においては、白表示時に正面から視認した場合の色相と斜方から視認した場合の色相が異なり、画像を視認する角度によって色味が変化するという問題が発生する場合がある。これに対して、重合性液晶化合物および単一極大吸収波長を有する二色性色素を含む重合性液晶組成物の硬化物である垂直配向液晶硬化膜と、水平配向位相差フィルムとを含む積層体を適用することで視野角依存性を低減する効果が見出されている(例えば、特許文献1)。
特開2020-076920号公報
しかしながら、有機EL表示装置における白表示時の斜方色相の向上に対する強い要望が存在しており、斜方色相のわずかな色づきをも改善し得るような、白表示時の視野角依存性低減効果のさらなる向上が期待されている。
そこで、本発明は、有機EL表示装置の白表示時における正面色相と斜方色相の色相差をより効果的に低減し、良好な画像表示特性を発現し得る光学異方性膜およびそれを含む積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素を含む重合性液晶組成物の硬化膜であって、
前記重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素が膜平面に対して鉛直方向に分子配向した状態で硬化した膜であり、かつ、
下記式(1)~式(6)または式(4)~式(9):
0.001≦Ax450(z=50)≦0.100 (1)
0.070≦Ax550(z=50)≦1.000 (2)
0.070≦Ax650(z=50)≦1.000 (3)
0.001≦Ax450≦0.050 (4)
0.001≦Ax550≦0.050 (5)
0.001≦Ax650≦0.050 (6)
0.050≦Ax450(z=50)≦1.000 (7)
0.070≦Ax550(z=50)≦1.000 (8)
0.001≦Ax650(z=50)≦0.100 (9)
〔式(1)~(9)中、AxλおよびAxλ(z=50)は、いずれも波長λnmにおける吸光度であって、Axは、x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、Ax(z=50)は、y軸を回転軸として前記光学異方性膜を50°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、ここで、x軸は光学異方性膜の膜面内における任意の方向、y軸は膜面内においてx軸に直交する方向、z軸は光学異方性膜の厚み方向を意味する〕
を満たす、光学異方性膜。
[2]前記少なくとも2種の二色性色素は、少なくとも1種のシアン色素及び少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せ、または、少なくとも1種のイエロー色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せからなる、前記[1]に記載の光学異方性膜。
[3]下記式(10)および式(11):
0.1≦Ax450(z=50)/Ax550(z=50)≦1.5 (10)
0.1≦Ax650(z=50)/Ax550(z=50)≦1.5 (11)
〔式(10)および式(11)中、AxλおよびAxλ(z=50)は、前記と同じ意味を有する〕
のいずれかを満たす、前記[1]または[2]に記載の光学異方性膜。
[4]膜厚が0.1μm以上5μm以下であり、
前記少なくとも2種の二色性色素を、重合性液晶化合物100質量部に対して、それぞれ、0.1質量部以上5質量部以下の量で含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載の光学異方性膜。
[5]前記少なくとも2種の二色性色素が、少なくとも1種のシアン色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せ、または、少なくとも1種のイエロー色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せからなり、
下記式(12)および式(13):
T×D1=0.4~1.7 (12)
T×D2=0.6~2.7 (13)
[式(12)および式(13)中、Tは膜厚(μm)を表し、D1は重合性液晶化合物100質量部に対するシアン色素またはイエロー色素の量(質量部)を表し、D2は、重合性液晶化合物100質量部に対するマゼンタ色素の量(質量部)を表す]
を満たす、前記[4]に記載の光学異方性膜。
[6]前記二色性色素として少なくとも1種のアゾ色素を含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の光学異方性膜。
[7]前記重合性液晶化合物が高次スメクチック液晶相を示す液晶化合物である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の光学異方性膜。
[8]前記[1]~[7]のいずれかに記載の光学異方性膜、偏光フィルムおよび水平配向位相差フィルムを含む積層体。
[9]光学異方性膜、偏光フィルムおよび水平配向位相差フィルムをこの順に含む、前記[8]に記載の積層体。
[10]水平配向位相差フィルムの偏光フィルムとは反対側に垂直配向位相差フィルムをさらに含む、前記[9]に記載の積層体。
[11]前記[8]~[10]のいずれかに記載の積層体を含む有機EL表示装置。
本発明によれば、有機EL表示装置の白表示時における正面色相と斜方色相の色相差をより効果的に低減し、良好な画像表示特性を発現し得る光学異方性膜およびそれを含む積層体を提供することができる。
<光学異方性膜>
本発明の光学異方性膜は、重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素を含む重合性液晶組成物(以下、「光学異方性膜形成用組成物」ともいう)の硬化膜である。前記硬化膜は、前記重合性液晶化合物および前記少なくとも2種の二色性色素が、該液晶硬化膜の膜平面に対して鉛直方向に分子配向した状態で硬化した膜であり、下記式(1)~式(6)または式(4)~式(9)を満たす。
0.001≦Ax450(z=50)≦0.100 (1)
0.070≦Ax550(z=50)≦1.000 (2)
0.070≦Ax650(z=50)≦1.000 (3)
0.001≦Ax450≦0.050 (4)
0.001≦Ax550≦0.050 (5)
0.001≦Ax650≦0.050 (6)
0.050≦Ax450(z=50)≦1.000 (7)
0.070≦Ax550(z=50)≦1.000 (8)
0.001≦Ax650(z=50)≦0.100 (9)
式(1)~(9)中、AxλおよびAxλ(z=50)は、いずれも波長λnmにおける吸光度である。Axは、x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、Axλ(z=50)は、y軸を回転軸として光学異方性膜を50°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。ここで、x軸は光学異方性膜の膜面内における任意の方向、y軸は膜面内においてx軸に直交する方向、z軸は光学異方性膜の厚み方向を意味する。
本明細書中の吸光度は、すべて測定時の界面反射の影響を除いた状態で測定した際の吸光度を示す。界面反射の影響を取り除く方法としては、例えば分光光度計を用いて波長800nm等の長波長で化合物の吸収が無視できる波長における吸光度を0とし、その状態で化合物の吸収が存在する領域の波長λの吸光度を測定する、等の方法が挙げられる。
上記Axλ(z=50)は、y軸を回転軸として光学異方性膜を50°回転させた状態で、Axを測定した直線偏光と同一の直線偏向を入射して測定することができる。ここで、膜の回転はAxを測定した状態の膜を、y軸を回転軸として直線偏光の入射方向に50°回転させて行う。Axλ(z=50)の値が小さいほど、該光学異方性膜の斜め方向における波長λnm付近の光に対する吸収が小さいといえ、Axλ(z=50)の値が大きいほど、該光学異方性膜の斜め方向における波長λnm付近の光に対する吸収が大きいといえる。Axλ(z=50)の値を450nm、550nmおよび650nmにおいて制御することにより、光学異方性膜の斜め方向において特定波長の光を選択的に吸収することができ、有機EL表示装置に組み込んだ際の白表示時の斜方色相が向上し得る。
なお、以下、本明細書における「斜方色相」の向上(変化)に関する効果は、光学異方性膜を水平配向位相差フィルムと組み合わせて表示装置に適用した際の白表示時の斜方色相における向上効果(すなわち、白表示時に斜め方向から視認した場合の色づきの低減効果)を意味する。白表示時の斜方色相の向上効果が高い場合には、白表示時の正面色相と斜方色相の色相差が小さくなる傾向にあるため好ましい。
上記Axλは、z軸方向から光学異方性膜の膜面に向かってx軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。Axλの値が小さいほど、該光学異方性膜の正面方向における波長λnm付近の光に対する吸収が小さいといえ、正面方向からの光に対する透過性に優れ、有機EL表示装置に組み込んだ際の白表示時の正面色相に優れることを意味する。
なお、以下、本明細書における「正面色相」の向上(変化)に関する効果は、光学異方性膜を水平配向位相差フィルムと組み合わせて表示装置に適用した際の白表示時の正面色相における向上効果(すなわち、白表示時に正面方向から視認した場合の色づきの低減効果)を意味する。また、z軸方向から光学異方性膜の膜面に向かってy軸方向に振動する直線偏光の吸光度はAyλと表されるが、本発明の光学異方性膜においては、通常AxλとAyλはほぼ等しい値となる。AxλとAyλが異なる場合、面内で二色性を有することとなり、この場合該光学異方性膜の正面色相への着色が大きくなる傾向にある。
上記式(1)~(6)または上記式(4)~(9)を満たすことにより、光学異方性膜の正面方向の光を効果的に透過し、かつ、斜め方向において特定波長の光を選択的に吸収し得る光学異方性膜となる。このような光学特性を有する光学異方性膜は、優れた偏光性能(光吸収異方性能)を有するといえ、有機EL表示装置に組み込んだ際の白表示時において、正面色相と斜方色相との色相差を小さくし得る。
本発明の一態様において、本発明の光学異方性膜は上記式(1)~(6)を満たす(以下、式(1)~(6)を満たす光学異方性膜を「光学異方性膜(a)」ともいう)。光学異方性膜(a)は上記式(1)~(3)を満たすことにより、その斜め方向において、波長450nm付近の光に対する吸収を殆ど示さない一方、波長550nm付近および650nm付近の光を吸収する。また、式(4)~(6)を満たすことにより、正面方向において波長450nm~650nmの光に対する吸収を殆ど有しない。
本発明の別の一態様において、本発明の光学異方性膜は上記式(4)~(9)を満たす(以下、式(4)~(9)を満たす光学異方性膜を「光学異方性膜(b)」ともいう)。
光学異方性膜(b)は上記式(7)~(9)を満たすことにより、その斜め方向において、波長650nm付近の光に対する吸収を殆ど示さない一方、波長450nm付近および550nm付近の光を吸収する。また、式(4)~(6)を満たすことにより、正面方向において波長450nm~650nmの光に対する吸収を殆ど有しない。
式(1)~(6)または式(4)~(9)を満たす本発明の光学異方性膜においては、少なくとも2種の二色性色素が重合性液晶化合物に包摂されて存在し、重合性液晶化合物と少なくとも2種の二色性色素とが液晶硬化膜の垂直方向に高い秩序度をもって配向している。このような光学特性を有することにより、白表示時の正面方向からの光に対する透過性に優れ、かつ、斜め方向において特定波長の光に対する高い選択的吸収性を示すため、有機EL表示装置に組み込んだ際の白表示時において、正面色相と斜方色相との色相差をより小さくし得る。このような本発明の光学異方性膜は、有機EL表示装置を構成するディスプレイを斜め方向から視認した際の着色を打ち消し得るため、有機EL表示装置の白表示時の斜方色相変化を効果的に抑制することができる。例えば、斜め45°における有機ELディスプレイの白表示時(白発光時)の色相に対して、補色の関係になる光学異方性膜(a)または光学異方性膜(b)を選択することにより、前記有機EL表示装置を斜め方向から視認した際のディスプレイの色相を打ち消すことができ、白表示時の正面方向の色相に影響を与えることなく斜方色相の変化を抑制することができる。
従来、広く用いられている有機EL表示装置用のディスプレイは、一般に、斜め方向から視認した際に黄みを帯びて見えるものと、青みを帯びて見えるものが多い。例えば、波長450nm付近の光に対する吸収を殆ど示さない一方、波長550nm付近および650nm付近の光を吸収する光学異方性膜(a)を、斜め45°における白表示時に波長550~700nmの間に極大発光を有するディスプレイ(例えば、代表的には斜方色相が黄みを帯びたディスプレイ)との組み合わせで用いることにより、白表示時の斜方色相を向上させることができる。また、例えば、波長650nm付近の光に対する吸収を殆ど示さない一方、波長450nm付近および550nm付近の光を吸収する光学異方性膜(b)を、斜め45°における白表示時に波長400~550nmの間に極大発光を有するディスプレイ(例えば、代表的には斜方色相が青みを帯びたディスプレイ)との組み合わせで用いることにより、白表示時の斜方色相を向上させることができる。
光学異方性膜(a)において、Ax450(z=50)の値は0.001以上0.100以下であり、Ax550(z=50)およびAx650(z=50)の値は、それぞれ、0.070以上1.000以下である。斜め方向における前記特定波長の光を選択的に吸収しやすく、白表示時の斜方色相が向上しやすくなることから、光学異方性膜(a)において、Ax450(z=50)の値は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.010以上であり、また、好ましくは0.080以下、より好ましくは0.075以下である。また、Ax550(z=50)の値は、好ましくは0.080以上、より好ましくは0.100以上であり、また、好ましくは0.800以下、より好ましくは0.500以下である。さらに、Ax650(z=50)の値は、好ましくは0.080以上、より好ましくは0.100以上であり、また、好ましくは0.800以下、より好ましくは0.500以下である。
光学異方性膜(b)において、Ax450(z=50)の値は0.050以上1.000以下であり、Ax550(z=50)の値は0.070以上1.000以下であり、Ax650(z=50)の値は0.001以上0.1以下である。斜め方向における前記特定波長の光を選択的に吸収しやすく、白表示時の斜方色相が向上しやすくなることから、光学異方性膜(b)において、Ax450(z=50)の値は、好ましくは0.060以上、より好ましくは0.070以上、さらに好ましくは0.080以上、特に好ましくは0.100以上であり、また、好ましくは0.800以下、より好ましくは0.500以下である。また、Ax550(z=50)の値は、好ましくは0.080以上、より好ましくは0.090以上、さらに好ましくは0.100以上であり、また、好ましくは0.800以下、より好ましくは0.500以下である。さらに、Ax650(z=50)の値は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.010以上であり、また、好ましくは0.080以下、より好ましくは0.075以下である。
光学異方性膜(a)および光学異方性膜(b)において、Ax450、Ax550およびAx650の値は、いずれも0.001以上0.050以下である。白表示時の正面色相向上の観点から、Ax450、Ax550およびAx650の値はいずれも、好ましくは0.040以下、より好ましくは0.030以下、さらに好ましくは0.025以下である。
光学異方性膜におけるAxλおよびAxλ(z=50)の値は、例えば、光学異方性膜を構成する二色性色素の種類や配合量により制御し得る。また、例えば、光学異方性膜の膜厚、製造工程の条件、光学異方性膜を構成する重合性液晶化合物の種類や配合量等を調整することによっても制御できる。
本発明の光学異方性膜は、少なくとも2種の二色性色素を含んで構成される。二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素を意味する。このような性質を有するものであれば、二色性色素は制限されず、染料であってもよいし、顔料であってもよい。二種以上の染料を組み合わせて用いてもよいし、二種以上の顔料を組み合わせて用いてもよいし、染料と顔料とを組み合わせて用いてもよい。
光学異方性層が上記式(1)~(3)または式(7)~(9)で表される光学特性を満たすために、本発明の光学異方性膜を構成する少なくとも2種の二色性色素は、通常、シアン色素、マゼンタ色素およびイエロー色素からなる群より選択される、異なる2種類の二色性色素を含むと好ましい。ここで、本明細書において、シアン色素は、波長570nm以上700nm以下の間に極大吸収を有する二色性色素をいう。マゼンタ色素は波長480nm以上570nm未満の間に極大吸収を有する二色性色素をいう。イエロー色素は波長380nm以上480nm未満の間に極大吸収を有する二色性色素をいう。本発明において、前記「異なる2種類の二色性色素を含む」とは、例えば、シアン色素とマゼンタ色素との組合せ、または、マゼンタ色素とイエロー色素との組合せのように、シアン色素、マゼンタ色素またはイエロー色素に区分される異なる色素群から選択される二色性色素を少なくとも2つ含むことを意味する。したがって、光学異方性膜を構成する二色性色素として、例えば、いずれもシアン色素に属する2つ以上の二色性色素のみを含む場合、本明細書における意味において、該光学異方性膜は「少なくとも2種の二色性色素を含む」とはいわない。なお、二色性色素の吸光度は、例えばクロロホルムのような二色性色素を溶解させる溶媒に溶かした状態で分光光度計により測定できる。
前記少なくとも2種の二色性色素は、少なくとも1種のシアン色素および少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せ(以下、「組合せ(a)」ともいう)であるか、少なくとも1種のイエロー色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組み合わせ(以下、「組合せ(b)」ともいう)であることが好ましい。二色性色素として組合せ(a)を含むことにより、前記式(2)および(3)を満たす光学異方性膜を調製し得る。また、二色性色素として組合せ(b)を含むことにより、前記式(7)および(8)を満たす光学異方性膜を調製し得る。光学異方性膜が二色性色素として組合せ(a)を含んで構成される場合、光学異方性膜に所望の光学特性(すなわち、式(1)を満たす光学特性)を付与するために、イエロー色素は実質的に含まないことが好ましい。かかる光学異方性膜は、光学異方性膜(a)となり得る。同様に、光学異方性膜が二色性色素として組合せ(b)を含んで構成される場合、光学異方性膜に所望の光学特性(すなわち、式(9)を満たす光学特性)を付与するために、シアン色素は実質的に含まないことが好ましい。かかる光学異方性膜は、光学異方性膜(b)となり得る。ここで、「実質的に含まない」とは、光学異方性膜を形成する重合性液晶化合物100質量部に対して、対象とする色素の含有量が0.25質量部以下、好ましくは0.10質量部以下であることをいい、対象とする色素の含有量は0質量部であってもよい。なお、光学異方性膜が式(1)~(3)または式(7)~(9)を満たすものである限り、組合せ(a)とともに少量のイエロー色素を含んでいてもよく、また、組合せ(b)とともに少量のシアン色素を含んでいてもよい。
本発明において、光学異方性膜は、下記式(10)および式(11)のいずれかを満たすことが好ましい。
0.1≦Ax450(z=50)/Ax550(z=50)≦1.5 (10)
0.1≦Ax650(z=50)/Ax550(z=50)≦1.5 (11)
〔式(10)および式(11)中、Axλ(z=50)は、前記と同じ意味を有する。〕
前記式(10)は、光学異方性膜の斜め方向における波長450nmでの吸光度と波長550nmでの吸光度との比が0.1以上1.5以下であることを意味する。また、前記式(11)は、光学異方性膜の斜め方向における波長650nmでの吸光度と波長550nmでの吸光度との比が0.1以上1.5以下であることを意味する。光学異方性膜が、式(10)および式(11)のいずれかを満たすことにより、斜め方向における特定波長の光に対する選択的吸収性が高まり、白表示時の斜方色相が向上しやすくなる。特に、光学異方性膜が光学異方性膜(a)である場合、式(11)を満たすことが好ましく、光学異方性膜が光学異方性膜(b)である場合、式(10)を満たすことが好ましい。白表示時の斜方色相がより向上しやすいことから、Ax450(z=50)/Ax550(z=50)の値は、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上であり、また、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.0以下である。同様に、白表示時の斜方色相がより向上しやすいことから、Ax650(z=50)/Ax550(z=50)の値は、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上であり、また、より好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.3以下である。
Ax450(z=50)/Ax550(z=50)の値およびAx650(z=50)/Ax550(z=50)の値は、光学異方性膜を構成する二色性色素の種類および配合量を調整することにより制御し得る。具体的には、二色性色素としてイエロー色素とマゼンタ色素を用い、それらの配合比率を調整することにより式(10)を満たす光学異方性膜が得られる。また、二色性色素としてシアン色素とマゼンタ色素を用い、それらの配合比率を調整することにより式(11)を満たす光学異方性膜が得られる。
本発明において、上記少なくとも2種の二色性色素の含有量は、それぞれ、所望する光学異方性膜の光学特性および該光学異方性膜を組み込む表示装置を構成するディスプレイの種類にあわせて適宜決定することができる。本発明の一態様において、本発明の光学異方性膜は、膜厚が0.1μm以上5μm以下である場合に、重合性液晶化合物100質量部に対して、前記少なくとも2種の二色性色素をそれぞれ0.1質量部以上5質量部以下の量で含む重合性液晶組成物から形成されることが好ましい。二色性色素の含有量がそれぞれ上記範囲内であると、光学異方性膜の吸光度を所望の範囲に制御しやすく、白表示時の斜方色相に優れる光学異方性膜が得られる。本発明の光学異方性膜において、二色性色素の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、それぞれ、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、また、より好ましくは4.5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である。なお、シアン色素、マゼンタ色素またはイエロー色素に区分される同種の二色性色素を2つ以上含む場合(すなわち、例えばシアン色素に区分される二色性色素を複数含む場合)、同種の二色性色素の合計含有量が前記範囲内であることが好ましい。
光学異方性膜が光学異方性膜(a)である場合、膜厚が0.1μm以上5μm以下であって、マゼンタ色素およびシアン色素を、それぞれ、重合性液晶化合物100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の量で含むことが好ましい。前記膜厚の光学異方性膜(a)において、シアン色素の含有量(2種以上含む場合はその合計含有量)は、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。また、前記膜厚の光学異方性膜(a)において、マゼンタ色素の含有量(2種以上含む場合はその合計含有量)は、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
光学異方性膜が光学異方性膜(b)である場合、膜厚が0.1μm以上5μm以下であって、マゼンタ色素およびイエロー色素を、それぞれ、重合性液晶化合物100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の量で含むことが好ましい。前記膜厚の光学異方性膜(a)において、イエロー色素の含有量(2種以上含む場合はその合計含有量)は、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。また、前記膜厚の光学異方性膜(a)において、マゼンタ色素の含有量(2種以上含む場合はその合計含有量)は、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
表示装置を構成するディスプレイが同じである場合、該ディスプレイを組み込んだ表示装置における白表示時の斜方色相を改善するために必要となる光学異方性膜の吸光度は同じ(一定)である。このため、本発明の光学異方性膜における二色性色素の含有量は、光学異方性膜の膜厚との関係において、該光学異方性膜を構成する重合性液晶化合物の量を基準に規定し得る。
本発明において、少なくとも2種の二色性色素が、少なくとも1種のシアン色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せ、または、少なくとも1種のイエロー色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せからなる場合、
下記式(12)および式(13):
T×D1=0.4~1.7 (12)
T×D2=0.6~2.7 (13)
を満たすことが好ましい。
式(12)および式(13)中、Tは膜厚(μm)を表し、D1は重合性液晶化合物100質量部に対するシアン色素またはイエロー色素の量(質量部)を表し、D2は、重合性液晶化合物100質量部に対するマゼンタ色素の量(質量部)を表す。光学異方性膜が、上記式(12)および(13)を満たすと、光学異方性膜の吸光度を所望の範囲に制御しやすく、白表示時の斜方色相に優れる光学異方性膜が得られやすい。白表示時の斜方色相がより向上しやすいことから、T×D1の値は、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上であり、また、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.3以下である。同様に、T×D2の値は、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上であり、また、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.2以下である。
本発明において二色性色素は、前記式(1)~(3)または(7)~(9)を満たし得る光学異方性膜を形成し得るものであれば特に限定されるものではなく、光学フィルムの分野で公知の二色性色素を用いることができる。そのような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素などが挙げられる。中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素およびトリスアゾ色素である。
アゾ色素としては、例えば、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)が挙げられる。
(-N=N-K-N=N-K (I)
[式(I)中、KおよびKは、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよい安息香酸フェニルエステル基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表わす。Kは、置換基を有していてもよいp-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基、置換基を有していてもよい4,4’-スチルベニレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表わす。pは0~4の整数を表わす。pが2以上の整数である場合、複数のKは互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
1価の複素環基としては、例えば、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、前記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
およびKにおけるフェニル基、ナフチル基、安息香酸フェニルエステル基および1価の複素環基、並びにKにおけるp-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、4,4’-スチルベニレン基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、重合性基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1~20のアルコキシ基;重合性基を有する炭素数1~20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、重合性基を有する炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は-NHである。)等が挙げられる。なお、前記重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
化合物(I)の中でも、以下の式(I-1)~式(I-8)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2022174723000001
[式(I-1)~(I-8)中、
~B30は、互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表わす。
n1~n4は、互いに独立に0~3の整数を表わす。
n1が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
前記アントラキノン色素としては、式(I-9)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022174723000002
[式(I-9)中、
~Rは、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
前記オキサゾン色素としては、式(I-10)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022174723000003
[式(I-10)中、
~R15は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
前記アクリジン色素としては、式(I-11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022174723000004
[式(I-11)中、
16~R23は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
式(I-9)、式(I-10)および式(I-11)において、Rの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基およびナフチル基等が挙げられる。
前記シアニン色素としては、式(I-12)で表される化合物および式(I-13)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022174723000005
[式(I-12)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-12a)~式(I-12d)のいずれかで表される基を表わす。
Figure 2022174723000006
n5は1~3の整数を表わす。]
Figure 2022174723000007
[式(I-13)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-13a)~式(1-13h)のいずれかで表される基を表わす。
Figure 2022174723000008
n6は1~3の整数を表わす。]
上述したような二色性色素の具体例としては、例えば特開2013-210624号公報に記載されるような化合物が挙げられる。これらの二色性色素から上記式(1)~(3)または式(7)~(9)を満たすよう、所望する波長域の二色性色素を適宜選択して使用できる。
上述したような二色性色素の中でも、アゾ色素は直線性が高いため配向性に優れ、偏光性能に優れる光学異方性膜の作製に好適である。本発明において、光学異方性膜を構成する少なくとも2種の二色性色素のうちの少なくとも1種がアゾ色素であることが好ましく、少なくとも2種がアゾ色素であることがより好ましい。
二色性色素の重量平均分子量は、通常、300~2000であり、好ましくは400~1000である。
本発明の光学異方性膜を形成するための光学異方性膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」ともいう)は、少なくとも1つの重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。ここで、重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。光重合性基とは、重合開始剤から発生する活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性液晶化合物が有する重合性基としては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、ラジカル重合性基が好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基がより好ましく、アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
本発明において、重合性液晶化合物はスメクチック液晶性相を呈する液晶化合物であることが好ましい。スメクチック液晶相を呈する重合性液晶化合物を用いることにより、重合性液晶化合物が高い秩序度をもって配向する傾向があり、光学異方性膜の吸光度を前記式(4)~(6)で表される範囲に制御しやすくなる。これにより、白表示時の正面色相に優れる光学異方性膜を形成することができる。より高い配向秩序度を実現し得る観点から、重合性液晶化合物(A)の示す液晶状態は、高次スメクチック相(高次スメクチック液晶状態)であることがより好ましい。ここで、高次スメクチック相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相およびスメクチックL相を意味し、これらの中でも、スメクチックB相、スメクチックF相およびスメクチックI相がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、重合性液晶化合物(A)はモノマーであってもよいが、重合性基が重合したオリゴマーであってもポリマーであってもよい。
重合性液晶化合物(A)としては、少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物を用いることができる。そのような重合性液晶化合物としては、例えば、下記式(A)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」ともいう)が挙げられる。
-V-W-(X-Y-X-W-V-U (A)
[式(A)中、
およびXは、互いに独立して、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、XおよびXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
は、単結合または二価の連結基である。
nは1~3であり、nが2以上の場合、複数のXは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。Xは、複数のXのうちのいずれかまたは全てと同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、複数のYは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。液晶性の観点からnは2以上が好ましい。
は、水素原子または重合性基を表わす。
は、重合性基を表わす。
およびWは、互いに独立して、単結合または二価の連結基である。
およびVは、互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-S-またはNH-に置き換わっていてもよい。]
重合性液晶化合物(A)において、XおよびXは、互いに独立して、好ましくは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であり、XおよびXのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であり、トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基であることが好ましい。置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。好ましくは無置換である。
また、重合性液晶化合物(A)は、式(A)中、式(A1):
-(X-Y-X- (A1)
〔式中、X、Y、Xおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を示す。〕
で示される部分〔以下、部分構造(A1)ともいう〕が非対称構造であることが、スメクチック液晶性、特に高次スメクチック液晶性を発現し易い点で好ましい。
部分構造(A1)が非対称構造である重合性液晶化合物(A)としては、例えば、nが1であり、1つのXとXとが互いに異なる構造である重合性液晶化合物(A)が挙げられる。また、nが2であり、2つのYが互いに同じ構造である化合物であって、2つのXが互いに同じ構造であり、1つのXはこれら2つのXとは異なる構造である重合性液晶化合物(A)、2つのXのうちのWに結合するXが、他方のXおよびXとは異なる構造であり、他方のXとXとは互いに同じ構造である重合性液晶化合物(A)も挙げられる。さらに、nが3であり、3つのYが互いに同じ構造である化合物であって、3つのXおよび1つのXのうちのいずれか1つが他の3つの全てと異なる構造である重合性液晶化合物(A)が挙げられる。
は、-CHCH-、-CHO-、-CHCHO-、-COO-、-OCOO-、単結合、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR=N-または-CO-NR-が好ましい。RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表わす。Yは、-CHCH-、-CHO-、-COO-、-OCOO-、単結合、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-または-CR=N-であることがより好ましく、-CHCH-、-COO-、-CHO-または単結合であることがより好ましく、複数のYが存在する場合、Xと結合するYが-CHCH-または-CHO-であり、Xと結合しないYが-CHCH-、-COO-または単結合であることがさらに好ましい。XおよびXが全て同一構造である場合、互いに異なる結合方式である2以上のYが存在することが好ましい。互いに異なる結合方式である複数のYが存在する場合には、非対称構造となるため、スメクチック液晶性、特に高次スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
は、重合性基である。Uは、水素原子または重合性基であり、好ましくは重合性基である。UおよびUがともに重合性基であることが好ましく、ともに光重合性基であることがより好ましく、ともに光ラジカル重合性基であることがさらに好ましい。重合性基としては、重合性液晶化合物が有する重合性基として先に例示した基と同様のものが挙げられる。Uで示される重合性基とUで示される重合性基とは、互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましく、UおよびUの少なくとも一方が(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、両方が(メタ)アクリロイルオキシ基であることがより好ましく、アクリロイルオキシ基であることがさらに好ましい。また、重合性基は重合している状態であってもよいし、未重合の状態であってもよいが、好ましくは未重合の状態である。
およびVで表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基およびイコサン-1,20-ジイル基等が挙げられる。VおよびVは、好ましくは炭素数2~12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6~12のアルカンジイル基である。
該アルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基および、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子等が挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基であることがより好ましい。
およびWは、互いに独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-または-OCOO-が好ましく、単結合または-O-がより好ましい。
スメクチック液晶性を示しやすい重合性液晶化合物の構造として、分子構造中に非対称性の分子構造を有することが好ましく、具体的には下記(A-a)~(A-i)の部分構造を有し、スメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物であることがより好ましい。高次スメクチック液晶性を示しやすいという観点から(A-a)、(A-b)または(A-c)の部分構造を有することがより好ましい。なお、下記(A-a)~(A-i)において、*は結合手(単結合)を表す。
Figure 2022174723000009
重合性液晶化合物(A)としては、例えば、下記式(A-1)~式(A-25)で表される化合物が挙げられる。重合性液晶化合物(A)がシクロヘキサン-1,4-ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン-1,4-ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
Figure 2022174723000010
Figure 2022174723000011
Figure 2022174723000012
これらの中でも、式(A-2)、式(A-3)、式(A-4)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-8)、式(A-13)、式(A-14)および式(A-15)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。重合性液晶化合物(A)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
重合性液晶化合物(A)は、例えば、Lub等、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas、115、321-328(1996)、または、特許第4719156号などに記載の公知の方法で製造できる。
本発明において、光学異方性膜は重合性液晶化合物(A)を含んで形成されることが好ましく、光学異方性膜形成用組成物が重合性液晶化合物(A)を含むことが好ましい。光学異方性膜形成用組成物に2種以上の重合性液晶化合物が含まれる場合、光学異方性膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の総質量に対する重合性液晶化合物(A)の割合は、好ましくは51質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。重合性液晶化合物(A)の割合が前記範囲内であると、配向秩序度の高い光学異方性膜が得やすくなる。
光学異方性膜形成用組成物が2種以上の重合性液晶化合物を含む場合、そのうちの少なくとも1種が重合性液晶化合物(A)であってもよく、その全てが重合性液晶化合物(A)であってもよい。複数の重合性液晶化合物を組合せることにより、液晶-結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。
光学異方性膜形成用組成物における重合性液晶化合物の含有量は、光学異方性膜形成用組成物の固形分に対して、好ましくは40~99.9質量%であり、より好ましくは60~99質量%であり、さらに好ましくは70~99質量%である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向性が高くなる傾向がある。なお、本明細書において、光学異方性膜形成用組成物の固形分とは、該組成物から溶剤等の揮発性物質を除いた成分の合計量を意味する。以下、他の組成物等における固形分についても同様に、対象とする組成物等から溶剤等の揮発性物質を除いた成分の合計量をいう。
光学異方性膜形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、重合性液晶化合物などの重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、より低温条件下で重合反応を開始できる点において光の作用により活性ラジカルまたは酸を発生する光重合開始剤が好ましく、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤がより好ましい。重合開始剤は、単独で用いても、二種以上を組合せて用いてもよい。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば、活性ラジカルを発生する光重合開始剤としては、自己開裂型の光重合開始剤、水素引き抜き型の光重合開始剤がある。
自己開裂型の光重合開始剤として、自己開裂型のベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アゾ系化合物等を使用できる。また、水素引き抜き型光重合開始剤として、水素引き抜き型のベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルケタール系化合物、ジベンゾスベロン系化合物、アントラキノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロゲノアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、ハロゲノビスイミダゾール系化合物、ハロゲノトリアジン系化合物、トリアジン系化合物等を使用できる。
酸を発生する光重合開始剤としては、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等を使用できる。
中でも、色素の溶解を防ぐ観点から低温での反応が好ましく、低温での反応効率の観点から自己開裂型の光重合開始剤が好ましく、特にアセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には例えば、以下のものが挙げられる。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマー等のヒドロキシアセトフェノン系化合物;
2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン等のα-アミノアセトフェノン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物; 2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;
ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;
ジエトキシアセトフェノンなどのジアルコキシアセトフェノン系化合物;
2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチ_ル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系化合物。
光重合開始剤は、例えば上記の光重合開始剤から光学異方性膜を形成する重合性液晶化合物との関係において適宜選択すればよい。
また、市販の光重合開始剤を用いてもよい。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250および369、379、127、754、OXE01、OXE02、OXE03(BASF社製);Omnirad BCIM、Esacure 1001M、Esacure KIP160(IDM Resins B.V.社製);セイクオール(登録商標)BZ、Z、およびBEE(精工化学株式会社製);カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100、およびUVI-6992(ダウ・ケミカル株式会社製);アデカオプトマーSP-152、N-1717、N-1919、SP-170、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(株式会社ADEKA製);TAZ-A、およびTAZ-PP(日本シイベルヘグナー株式会社製);並びに、TAZ-104(株式会社三和ケミカル製)等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部、特に好ましくは0.5~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記の範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を大きく乱すことなく重合反応を行うことができる。
光学異方性膜はレベリング剤を含んでいてもよい。レベリング剤は、光学異方性膜形成用組成物の流動性を調整し、該組成物を塗布することにより得られる塗膜をより平坦にする機能を有し、具体的には、界面活性剤が挙げられる。レベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤およびフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。レベリング剤は単独または2種以上組合せて使用できる。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、例えば、BYK-350、BYK-352、BYK-353、BYK-354、BYK-355、BYK-358N、BYK-361N、BYK-380、BYK-381およびBYK-392(BYK Chemie社)が挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、例えば、メガファック(登録商標)R-08、R-30、R-90、F-410、F-411、F-443、F-445、F-470、F-471、F-477、F-479、F-482およびF-483(DIC(株));サーフロン(登録商標)S-381、S-382、S-383、S-393、SC-101、SC-105、KH-40およびSA-100(AGCセイミケミカル(株));E1830、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所);エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF351およびエフトップEF352(三菱マテリアル電子化成(株))が挙げられる。
光学異方性膜がレベリング剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。
レベリング剤の含有量が上記の範囲内であると、重合性液晶化合物を配向させやすく、かつ、ムラが生じ難く、より平滑な光学異方性膜を得られる傾向がある。
光学異方性膜は、レベリング剤以外の他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、光増感剤、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤および滑剤などが挙げられる。他の添加剤を含有する場合、他の添加剤の含有量は、光学異方性膜形成用組成物の固形分に対して、0%を超えて20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0%を超えて10質量%以下である。
光学異方性膜形成用組成物は、従来公知の液晶組成物の調製方法により製造することができ、通常、重合性液晶化合物および二色性色素、並びに、必要に応じて重合開始剤および上記添加剤等を混合、撹拌することにより調製することができる。また、一般にスメクチック液晶性を示す液晶化合物は粘度が高いため、組成物の塗布性を向上させて光学異方性膜の形成を容易にする観点から、光学異方性膜形成用組成物に溶剤を加えることにより粘度調整を行ってもよい。
溶剤は、用いる重合性液晶性化合物および二色性色素などの溶解性に応じて適宜選択すればよく、前記成分を完全に溶解することができ、重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトンまたはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタンなどのエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼンなどの塩素含有溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の含有量は、光学異方性膜形成用組成物100質量部に対して、好ましくは50~98質量部、より好ましくは70~95重量部である。従って、光学異方性膜形成用組成物100質量部に占める固形分は、2~50質量部が好ましい。固形分が50質量部以下であると、光学異方性膜形成用組成物の粘度が低くなることから、膜の厚みが略均一になり、ムラが生じ難くなる傾向がある。上記固形分は、製造しようとする光学異方性膜の厚みを考慮して適宜定めることができる。
本発明の光学異方性膜は、重合性液晶化合物と少なくとも2種の二色性色素とが該膜平面に対して鉛直方向に配向した状態で硬化した膜であり、通常、光学異方性膜面内の任意の方向をx軸、膜面内でx軸に直交する方向をy軸、x軸およびy軸に直交する膜厚方向をz軸としたときに、下記式(14)を満たすことが好ましい。
Az>(Ax+Ay)/2 (14)
〔Ax、AyおよびAzは、いずれも光学異方性膜中の二色性色素の吸収極大波長における吸光度であって、
Axは、x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、
Ayは、y軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、
Azは、z軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。〕
Axは、z軸方向から膜面に向かって、x軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。Ayは、z軸方向から膜面に向かって、y軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。Azは、例えば、x-y平面方向から膜側面に向かって、すなわち、光学異方性膜をx-y平面としたとき、その側面(厚み方向)に向かって垂直に、z軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。
重合性液晶化合物として、スメクチック液晶相、特に高次スメクチック液晶相を形成する化合物を用いることで、重合性液晶化合物と少なくとも2種の二色性色素とが膜平面に対して鉛直方向に秩序高く配向した光学異方性膜となりやすく、正面方向からの光の透過性に優れ、かつ、斜め方向からの特定波長の光を効果的に吸収し得る光学異方性膜が得られる。
光学異方性膜の厚みは、例えば、0.05μm~5μmであってよく、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、また、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下である。光学異方性膜の厚みが上記下限以上であると、斜め方向からの光吸収が良好になり、白表示時の斜方色相が向上しやすい。厚みが上記上限以下であると、重合性液晶化合物および二色性色素の配向を乱し難く、正面方向の高い透過性を確保でき、表示装置等に組み込んだ際の薄型化を期待できる。光学異方性膜の厚みはレーザー顕微鏡や膜厚計等により測定でき、以下、光学異方性膜を含む積層体を構成する各層の厚みの測定も同様である。
本発明において、光学異方性膜は配向秩序度の高い液晶硬化膜であることが好ましい。
配向秩序度の高い液晶硬化膜は、X線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られる。ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークを意味する。したがって、本発明の光学異方性膜はX線回折測定においてブラッグピークを示すことが好ましい。すなわち、本発明の光学異方性膜においては、重合性液晶化合物またはその重合体が、X線回折測定において該膜がブラッグピークを示すように配向していることが好ましい。本発明においては分子配向の面周期間隔が3.0~6.0Åである光学異方性膜が好ましい。ブラッグピークを示すような高い配向秩序度は、用いる重合性液晶化合物の種類、二色性色素の種類やその量、および重合開始剤の種類やその量等を制御することにより実現し得る。
本発明において光学異方性膜は、二色性色素の吸収軸を膜面に直交した方向に配向させることによって得られる。このようなホスト-ゲスト型の光学異方性膜における二色性色素の吸収軸の方向は、通常、重合性液晶化合物が配向する方向によって制御される。重合性液晶化合物の分子長軸の配向方向を膜面に直交した方向にすることによって、通常、二色性色素の吸収軸を膜面に直交した方向に配向させることができる。重合性液晶化合物の配向方向は、重合性液晶化合物と二色性色素とを含む光学異方性膜形成用組成物が塗布される基材、または配向膜の性質、並びに、重合性液晶化合物の性質等によって制御し得る。
本発明の光学異方性膜は、例えば、
基材上に、配向膜を介してまたは介さずに、重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素を含む光学異方性膜形成用組成物の塗膜を形成する工程、
得られた塗膜を乾燥させて乾燥塗膜を得る工程、および、
前記塗膜中の重合性液晶化合物と二色性色素とが前記塗膜平面に対して鉛直方向に配向した状態で硬化させる工程
を含む方法により製造できる。
基材としては、例えば、ガラス基材やフィルム基材等が挙げられるが、加工性の観点から樹脂フィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびノルボルネン系ポリマーのようなポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびセルロースアセテートプロピオネートのようなセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシドのようなプラスチックが挙げられる。このような樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して基材とすることができる。基材表面には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等から形成される保護層を有していてもよく、シリコーン処理のような離型処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材として市販の製品を用いてもよい。市販のセルロースエステル基材としては、例えば、フジタックフィルムのような富士写真フィルム株式会社製のセルロースエステル基材;「KC8UX2M」、「KC8UY」、および「KC4UY」のようなコニカミノルタオプト株式会社製のセルロースエステル基材などが挙げられる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、「Topas(登録商標)」のようなTicona社(独)製の環状オレフィン系樹脂;「アートン(登録商標)」のようなJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)」、および「ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)」のような日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「アペル」(登録商標)のような三井化学株式会社製の環状オレフィン系樹脂が挙げられる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、「エスシーナ(登録商標)」および「SCA40(登録商標)」のような積水化学工業株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「ゼオノアフィルム(登録商標)」のようなオプテス株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「アートンフィルム(登録商標)」のようなJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材が挙げられる。
基材の厚みは、特に限定されるものではなく、通常、5~300μmであり、10~150μmであってよい。
本発明において、光学異方性膜は配向膜上に形成されていてもよい。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる配向規制力を有するものであり、配向膜上に光学異方性膜形成用組成物を塗布することにより精度よく配向した光学異方性膜を容易に得やすい。配向膜としては、光学異方性膜形成用組成物の塗布等により溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。かかる配向膜としては、膜平面に対して垂直方向に重合性液晶化合物の配向を促進し得る化合物(以下、「垂直配向促進化合物」)を含む配向膜、配向性ポリマーを含む配向膜等が挙げられる。
垂直配向促進化合物を含む配向膜は、通常、垂直配向促進化合物を溶剤に溶解させた組成物(以下、「垂直配向促進化合物含有組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶剤を除去することで得られる。溶剤としては、水、アルコール溶剤、水とアルコールの混合溶剤等の他、光学異方性膜形成用組成物に用い得る溶剤として先に例示した溶剤と同様のものが挙げられる。
垂直配向促進化合物としては、例えば、ポリシランのようなケイ素ポリマー、シリコーンオイルおよびシリコーンレジンのようなシリコーン樹脂、並びにシリコーンオリゴマー、シルセスシロキサンおよびアルコキシシランのような有機無機シラン化合物(より具体的には、シランカップリング剤等)等の非イオン性シラン化合物が挙げられ、シランカップリング剤が好ましい。
垂直配向促進化合物含有組成物中の垂直配向促進化合物の濃度は、垂直配向促進化合物が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がより好ましい。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーを溶剤に溶解させた組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶剤を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。溶剤としては、光学異方性膜形成用組成物に用い得る溶剤として先に例示したものと同様の溶剤が挙げられる。
配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶媒を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビング処理を行うことができる(ラビング法)。ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を接触させる方法が挙げられる。ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
基材上等に光学異方性膜形成用組成物を塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材へ塗布する方法として例示したものと同様のものが挙げられる。
光学異方性膜形成用組成物が溶剤を含む場合には、通常、塗布された組成物から溶剤を除去する。溶剤の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。乾燥塗膜は、光学異方性膜中の残存溶剤が、光学異方性膜の全質量に対して1重量%以下となるように乾燥されるのが好ましい。乾燥温度および乾燥時間等の各条件は、光学異方性膜形成用組成物の組成、フィルム基材の材料等に応じて適宜決定し得る。
塗膜中の重合性液晶化合物は、通常、液晶状態あるいは溶液状態に転移する温度以上に加熱し、次いで液晶配向する温度まで冷却することによって二色性色素とともに配向し、液晶相を形成する。
塗膜中の重合性液晶化合物が配向する温度は、予め、当該重合性液晶化合物を含む組成物を用いたテクスチャー観察などにより求めればよい。また、溶剤の除去と液晶配向とを同時に行ってもよい。この際の温度としては、除去する溶剤や用いる重合性液晶化合物の種類にもよるが、50~200℃の範囲が好ましく、80~130℃の範囲がより好ましい。
重合性液晶化合物の液晶状態を保持したまま、重合性液晶化合物を重合し、硬化させることにより、重合性液晶組成物の硬化膜として光学異方性膜が形成される。重合方法としては光重合法が好ましい。光重合において、乾燥塗膜に照射する光(活性エネルギー線)としては、当該乾燥塗膜に含まれる重合性液晶化合物の種類(特に、重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)、重合開始剤の種類およびそれらの量等に応じて適宜選択される。(高次)スメクチック相の液晶相を保持したまま重合した重合性液晶化合物を含む液晶硬化膜は、従来のネマチック相の液晶相を保持したままで重合性液晶化合物等を重合して得られる液晶硬化膜と比較して偏光性能が高く、また、二色性色素またはリオトロピック液晶のみを塗布したものと比較して、偏光性能および膜強度に優れる。
活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。好ましくは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等の波長400nm以下に発光分布を有する光源であり、基材の法線方向に対して平行な紫外線であるとより好ましい。
活性エネルギー線の照射エネルギーは、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が10~5000mJ/cmとなるように設定することが好ましく、より好ましくは100~2000mJ/cmである。
<積層体>
本発明の積層体は、本発明の光学異方性膜、偏光フィルムおよび水平配向位相差フィルムを含む。偏光フィルムおよび水平配向位相差フィルムを含み、円偏光板として機能する積層体に、本発明の光学異方性膜を積層することにより、白表示時において正面色相と斜方色相との色相差を効果的に低減でき、有機EL表示装置等に組み込んだ場合に良好な画像表示特性を発現し得る。
本発明の積層体を構成する偏光フィルムは、入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有するフィルムである。偏光フィルムとしては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムや吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムを偏光子として含むフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムを偏光子として含むフィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、例えば、10~150μm程度とすることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、または染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶媒を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行われる。
二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性の有機染料としては、C.I. DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料および、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常、0.01~1質量部程度である。またヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常、0.5~20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20~40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20~1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100質量部あたり、通常、1×10-4~10質量部程度であり、好ましくは1×10-3~1質量部であり、さらに好ましくは1×10-3~1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含んでいてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10~1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬する方法により行うことができる。このホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましく、その場合のヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常60~1,200秒程度であり、好ましくは150~600秒、さらに好ましくは200~400秒である。ホウ酸処理の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~85℃、さらに好ましくは60~80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法により行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度である。
また浸漬時間は、通常1~120秒程度である。
水洗後に乾燥処理が施されて、偏光フィルム(偏光子)が得られる。乾燥処理は例えば、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30~100℃程度であり、好ましくは50~80℃である。乾燥処理の時間は、通常60~600秒程度であり、好ましくは120~600秒である。乾燥処理により、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5~20質量%程度であり、好ましくは8~15質量%である。水分率が上記範囲内であると、適度な可撓性を有し、かつ、熱安定性に優れる偏光フィルムを得られる。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理、水洗及び乾燥をして得られる偏光フィルムの厚さは好ましくは5~40μmである。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物または、二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布して得られるフィルム等が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムは薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。当該フィルムの厚さは、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5~3μmである。
前記吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、具体的には、特開2012-33249号公報等に記載のフィルムが挙げられる。
このようにして得られた偏光フィルムの一方の面または両面に、例えば接着剤層を介して透明保護層を積層していてもよい。透明保護層は、偏光フィルムの収縮および膨張防止、温度、湿度、紫外線等による偏光フィルムの劣化防止、偏光フィルムの傷付き防止等に寄与し得る。保護フィルムとしては、光学異方性膜の製造に用い得る基材として先に例示した樹脂フィルムと同様の透明フィルムを用いることができる。
本発明の積層体は、水平配向位相差フィルムを含む。本発明の積層体を構成し得る水平配向位相差フィルムは、該フィルムの面内方向に対して水平方向に配向した位相差フィルムを意味し、例えば、延伸フィルムや、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物(以下、「水平配向液晶硬化膜形成用組成物」ともいう)の硬化物であって、重合性液晶化合物が該位相差フィルム平面に対して水平方向に配向した状態で硬化してなる硬化物(以下、「水平配向液晶硬化膜」ともいう)などであってよい。
本発明において、水平配向位相差フィルムは下記式(15)および(16)を満たすことが好ましい。
ReA(450)/ReA(550)≦1.0 (15)
1.0≦ReA(650)/ReA(550) (16)
〔式(15)および(16)中、ReA(λ)は波長λnmにおける水平配向位相差フィルムの面内位相差値を表し、ReA(λ)=(nxA(λ)-nyA(λ))×dAである(式中、nxA(λ)は水平配向位相差フィルム面内における波長λnmでの主屈折率を表し、nyA(λ)はnxAと同一面内でnxAの方向に対して直交する方向の波長λnmでの屈折率を表し、dAは水平配向位相差フィルムの膜厚を示す)〕
水平配向位相差フィルムが式(15)および(16)を満たす場合、当該水平配向位相差フィルムは、短波長での面内位相差値が長波長での面内位相差値よりも小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す。例えば、このような水平配向位相差フィルムを本発明の光学異方性膜と組み合わせると、有機EL表示装置に組み込んだ場合の白表示時の正面色相および斜方色相の向上に加えて、黒表示時の正面反射色相の向上に優れた効果を示すことができる。逆波長分散性が向上し、水平配向位相差フィルムの正面方向の反射色相の向上効果をより高めることができるため、ReA(450)/ReA(550)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上であり、また、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.87以下、特に好ましくは0.86以下、より特に好ましくは0.85以下である。また、ReA(650)/ReA(550)は、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上である。
なお、上記「黒表示時における正面反射色相」の向上(変化)に関する効果は、光学異方性膜と水平配向位相差フィルムとを組み合わせて表示装置に適用した際の黒表示時の正面反射色相における向上効果(すなわち、黒表示時に正面方向から視認した場合の光もれの低減効果)を意味する。
上記面内位相差値は、水平配向位相差フィルムの厚みdAによって調整することができる。面内位相差値は、上記式ReA(λ)=(nxA(λ)-nyA(λ))×dAによって決定されることから、所望の面内位相差値(ReA(λ):波長λ(nm)における水平配向位相差フィルムの面内位相差値)を得るには、3次元屈折率と膜厚dAとを調整すればよい。
また、水平配向位相差フィルムが下記式(17)を満たすことが好ましい。
120nm≦ReA(550)≦170nm (17)
〔式(17)中、ReA(λ)は上記と同じ意味である〕
水平配向位相差フィルムの面内位相差ReA(550)が式(17)の範囲内であると、該水平配向位相差フィルムを含む積層体(楕円偏光板)を有機EL表示装置に適用した場合の黒表示時の正面反射色相を向上させる効果(着色を抑制させる効果)が顕著になる。面内位相差値のさらに好ましい範囲は、130nm≦ReA(550)≦150nmである。
位相差フィルムの所望の位相差を容易に制御可能であること、薄膜化が可能であることから、水平配向位相差フィルムが水平配向液晶硬化膜であることが好ましい。水平配向液晶硬化膜を形成するための重合性液晶化合物としては、位相差フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。
水平配向液晶硬化膜を形成する重合性液晶化合物は、少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物である。重合性液晶化合物としては、一般に、該重合性液晶化合物を単独で特定方向に配向した状態で重合することにより得られる重合体(硬化物)が、正波長分散性を示す重合性液晶化合物と逆波長分散性を示す重合性液晶化合物とが挙げられる。本発明においては、どちらか一方の種類の重合性液晶化合物のみを使用してもよく、両方の種類の重合性液晶化合物を混合して用いてもよい。積層体としての光学特性を向上させやすい観点から、本発明の積層体において水平配向位相差フィルムは、いわゆる逆波長分散性を示す重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化膜であることが好ましい。
本発明において水平配向液晶硬化膜を形成する重合性液晶化合物が有する重合性基は、好ましくは光重合性基である。光重合性基としては、光学異方性膜を形成する重合性液晶化合物(A)が有し得るものと同様の重合性基が例示される。中でも、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
水平配向液晶硬化膜を形成する重合性液晶化合物が示す液晶性はサーモトロピック性液晶であってもよいし、リオトロピック性液晶であってもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもディスコチック液晶でもよい。水平配向液晶硬化膜を形成する重合性液晶化合物は、単独または二種以上組み合わせて使用できる。
いわゆるT字型またはH型の分子構造を有する重合性液晶化合物は、重合して硬化させた際に逆波長分散性を発現しやすく、T字型の分子構造を有する重合性液晶化合物はより強い逆波長分散性を発現する傾向にある。
逆波長分散性を示す重合性液晶化合物としては、下記(ア)~(エ)の特徴を有する化合物であることが好ましい。
(ア)ネマチック相またはスメクチック相を形成し得る化合物である。
(イ)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(ウ)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(エ)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、式(iii)
0≦〔D(πa)/D(πb)〕<1 (iii)
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。上記記載のように長軸およびそれに対して交差方向上にπ電子を有する重合性液晶化合物は、一般にT字構造となりやすい。
上記(ア)~(エ)の特徴において、長軸方向(a)およびπ電子数Nは以下のように定義される。
・長軸方向(a)は、例えば棒状構造を有する化合物であれば、その棒状の長軸方向である。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、長軸上のπ電子およびこれと共役するπ電子の合計数であり、例えば長軸方向(a)上に存在する環であって、ヒュッケル則を満たす環に存在するπ電子の数が含まれる。
・交差方向(b)に存在するπ電子数N(πb)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
上記を満たす重合性液晶化合物は、長軸方向にメソゲン構造を有している。このメソゲン構造によって、液晶相(ネマチック相、スメクチック相)を発現する。
上記(ア)~(エ)を満たす重合性液晶化合物を、相転移温度以上に加熱することにより、ネマチック相やスメクチック相を形成することが可能である。この重合性液晶化合物が配向して形成されたネマチック相またはスメクチック相では通常、重合性液晶化合物の長軸方向が互いに平行になるように配向しており、この長軸方向がネマチック相またはスメクチック相の配向方向となる。このような重合性液晶化合物を膜状とし、ネマチック相またはスメクチック相の状態で重合させると、長軸方向(a)に配向した状態で重合した重合体からなる重合体膜を形成することができる。この重合体膜は、長軸方向(a)上のπ電子と交差方向(b)上のπ電子により紫外線を吸収する。ここで、交差方向(b)上のπ電子により吸収される紫外線の吸収極大波長をλbmaxとする。λbmaxは通常300nm~400nmである。π電子の密度は、上記式(iii)を満足していて、交差方向(b)のπ電子密度が長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きいので、交差方向(b)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収が、長軸方向(a)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収よりも大きな重合体膜となる。その比(直線偏光紫外線の交差方向(b)の吸光度/長軸方向(a)の吸光度の比)は、例えば1.0超、好ましくは1.2以上、通常30以下であり、例えば10以下である。
上記特徴を有する重合性液晶化合物は、一般に、一方向に配向した状態で重合させたときにその重合体の複屈折率が逆波長分散性を示すものであることが多い。具体的には、例えば、下記式(X)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(X)」ともいう)が挙げられる。
Figure 2022174723000013
式(X)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族基を有する二価の基を表す。ここでいう芳香族基とは、例えば後述する(Ar-1)~(Ar-23)で例示される基が挙げられる。またArは芳香族基を2個以上有していてもよい。該芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれていてもよい。Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-などの二価の結合基で結合していてもよい。
式(X)中、GおよびGはそれぞれ独立に、二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。
式(X)中、L、L、BおよびBはそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
式(X)中、k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、BおよびB、GおよびGは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(X)中、EおよびEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。また、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-で置換されていてもよい。
式(X)中、PおよびPは互いに独立に、重合性基または水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
およびGは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、または無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、または無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するGおよびGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、LまたはLに結合するGおよびGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
およびLはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra1ORa2-、-Ra3COORa4-、-Ra5OCORa6-、-Ra7OC=OORa8-、-N=N-、-CR=CR-、または-C≡C-である。ここで、Ra1~Ra8はそれぞれ独立に単結合、または炭素数1~4のアルキレン基を表し、RおよびRは炭素数1~4のアルキル基または水素原子を表す。LおよびLはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa2-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa4-1-、または-OCORa6-1-である。ここで、Ra2-1、Ra4-1、Ra6-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。LおよびLはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、または-OCO-である。
およびBはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra9ORa10-、-Ra11COORa12-、-Ra13OCORa14-、または-Ra15OC=OORa16-である。ここで、Ra9~Ra16はそれぞれ独立に単結合、または炭素数1~4のアルキレン基を表す。BおよびBはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa10-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa12-1-、または-OCORa14-1-である。ここで、Ra10-1、Ra12-1、Ra14-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。BおよびBはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、-OCO-、または-OCOCHCH-である。
kおよびlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
またはPで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、およびオキセタニル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、および電子吸引性基から選ばれる少なくとも1つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、およびフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、またはベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール環を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(X)中、Arで表される基が有するπ電子の合計数Nπは、通常6以上であり、8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは36以下であり、より好ましくは32以下であり、さらに好ましくは26以下であり、特に好ましくは24以下である。
Arに含まれる芳香族基としては、例えば以下の基が挙げられる。
Figure 2022174723000014
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、*印は連結部を表し、Z、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。また、Z、ZおよびZは、重合性基を含んでいてもよい。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、QおよびQは、それぞれ独立に、-CR2’3’-、-S-、-NH-、-NR2’-、-CO-または-O-を表し、R2’およびR3’は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、JおよびJは、それぞれ独立に、炭素原子、または窒素原子を表す。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、WおよびWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基またはハロゲン原子を表し、mは0~6の整数を表す。
、YおよびYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
、YおよびYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、または芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、または芳香環集合に由来する基をいう。
、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Zは、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、ZおよびZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。また、Z、ZおよびZは重合性基を含んでいてもよい。
およびQは、-NH-、-S-、-NR2’-、-O-が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)の中でも、式(Ar-6)および式(Ar-7)が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)において、Yは、これが結合する窒素原子およびZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子およびZと共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
式(X)で表される化合物は、例えば、特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造し得る。
また、本発明において水平配向液晶硬化膜を形成する重合性液晶化合物として、例えば、下記式(Y)で表される基を含む化合物(以下、「重合性液晶化合物(Y)」ともいう)を用いてもよい。重合性液晶化合物(Y)は一般に正波長分散性を示す傾向にある。
P11-B11-E11-B12-A11-B13- (Y)
[式(Y)中、P11は、重合性基を表わす。
A11は、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族炭化水素基を表わす。
B11は、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CO-NR16-、-NR16-CO-、-CO-、-CS-または単結合を表わす。R16は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表わす。
B12およびB13は、それぞれ独立に、-C≡C-、-CH=CH-、-CH-CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C(=O)-NR16-、-NR16-C(=O)-、-OCH-、-OCF-、-CHO-、-CFO-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-H、-C≡Nまたは単結合を表わす。
E11は、炭素数1~12のアルカンジイル基を表わし、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-または-CO-に置き換わっていてもよい。]
A11の芳香族炭化水素基および脂環式炭化水素基の炭素数は、3~18の範囲であることが好ましく、5~12の範囲であることがより好ましく、5または6であることが特に好ましい。A11で表される2価の脂環式炭化水素基および2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1~6のアルキル基および該炭素数1~6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。A11としては、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、1,4-フェニレン基が好ましい。
E11としては、直鎖状の炭素数1~12のアルカンジイル基が好ましい。該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、へキサン-1,6-ジイル基、へプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基およびドデカン-1,12-ジイル基等の炭素数1~12の直鎖状アルカンジイル基;-CH-CH-O-CH-CH-、-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-および-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-等が挙げられる。
B11としては、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-が好ましく、中でも、-CO-O-がより好ましい。
B12およびB13としては、それぞれ独立に、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-が好ましく、中でも、-O-または-O-C(=O)-O-がより好ましい。
P11で示される重合性基としては、重合反応性、特に光重合反応性が高いという点で、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基は、下記の式(P-11)~式(P-15)で表わされる基であることが好ましい。
Figure 2022174723000015
[式(P-11)~(P-15)中、
17~R21はそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基または水素原子を表わす。]
式(P-11)~式(P-15)で表わされる基の具体例としては、下記式(P-16)~式(P-20)で表わされる基が挙げられる。
Figure 2022174723000016
P11は、式(P-14)~式(P-20)で表わされる基であることが好ましく、ビニル基、p-スチルベン基、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましい。
P11-B11-で表わされる基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることがさらに好ましい。
重合性液晶化合物(Y)としては、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)または式(VI)で表わされる化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
(式中、
A11、B11~B13およびP11は上記式(A)におけるものと同義であり、
A12~A14はそれぞれ独立にA11と同義であり、B14~B16はそれぞれ独立にB12と同義であり、B17はB11と同義であり、E12はE11と同義であり、P12はP11と同義である。
F11は、水素原子、炭素数1~13のアルキル基、炭素数1~13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(-SOH)、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表わし、該アルキル基およびアルコキシ基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。)
重合性液晶化合物(Y)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2009-173893号公報、2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報および特開2011-207765号公報に記載の重合性液晶が挙げられる。
水平配向液晶硬化膜を形成する水平配向液晶硬化膜形成用組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、水平配向液晶硬化膜形成用組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部であり、より好ましくは85~98質量部であり、さらに好ましくは90~95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる液晶硬化膜の配向性の観点から有利である。水平配向液晶硬化膜形成用組成物が2種以上の重合性液晶化合物を含む場合、水平配向液晶硬化膜形成用組成物に含まれる全重合性液晶化合物の合計含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
水平配向液晶硬化膜形成用組成物は、重合性液晶化合物の重合反応を開始するための重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、当該分野で従来用いられているものから適宜選択して用いることができ、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよい。より低温条件下で重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。好適には、光学異方性膜形成用組成物において使用し得る光重合開始剤として先に例示したものと同様のものが挙げられる。
水平配向液晶硬化膜形成用組成物は、通常、溶剤に溶解した状態で基材等に塗布されるため、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、用いる重合性液晶化合物を溶解し得る溶剤が好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。溶剤としては、光学異方性膜形成用組成物において使用し得るものとして先に例示したものと同様のものが挙げられる。
また、水平配向液晶硬化膜形成用組成物は、必要に応じて、光増感剤、レベリング剤および光学異方性膜形成用組成物に含まれる添加剤として例示した添加剤等を含有してもよい。光増感剤およびレベリング剤としては、光学異方性膜形成用組成物において使用し得るものとして先に例示したものと同様のものが挙げられる。
水平配向液晶硬化膜形成用組成物は、例えば、重合性液晶化合物および必要に応じて重合開始剤、溶剤、添加剤等を混合および撹拌することにより調製できる。
水平配向液晶硬化膜は、例えば、水平配向液晶硬化膜形成用組成物を基材または配向膜上に塗布し、該塗膜を乾燥し、かつ、該水平配向液晶硬化膜形成用組成物中の重合性液晶化合物を水平方向に配向させた後、配向状態を保持したまま光照射等により重合性液晶化合物を重合させることにより得ることができる。水平配向液晶硬化膜形成用組成物の塗布方法や光照射による重合性液晶化合物の硬化などに採用し得る方法としては、光学異方性膜の形成方法において例示したような方法が挙げられ、水平配向液晶硬化膜を構成する成分等に応じて適切な方法、条件等を採用し得る。
配向膜としては、本発明の光学異方性膜を作製する際に用い得るものとして先に例示した配向ポリマーを含む配向膜の他、光配向膜が挙げられる。配向角の精度および品質の観点から、水平配向液晶硬化膜を形成するための配向膜として、光配向膜が好ましい。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶剤を除去後に偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる点でも有利である。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。
C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶剤としては、光学異方性膜形成用組成物に用い得る溶剤として先に例示したものと同様の溶剤が挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去する方法としては例えば、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
偏光を照射する方法は、基材上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
水平配向液晶硬化膜を形成するための光配向膜の厚みは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~1000nmの範囲である。
本発明の積層体において、水平配向位相差フィルム(水平配向液晶硬化膜)の厚みは適用される表示装置に応じて適宜選択できるが、薄膜化の観点から、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.5~5μm、さらに好ましくは1~3μmである。
偏光フィルムと水平配向位相差フィルムとを積層する場合、水平配向位相差フィルムの遅相軸(光軸)と偏光フィルムの吸収軸とを実質的に45°となるように積層することが好ましい。位相差フィルムの遅相軸(光軸)と偏光フィルムの吸収軸とを実質的に45°となるように積層することによって、円偏光板としての機能を得ることができる。なお、実質的に45°とは通常45±5°の範囲である。
本発明の積層体は、前記水平配向位相差フィルムの偏光フィルムとは反対側に垂直配向位相差フィルムをさらに含むことが好ましい。
本発明の積層体を構成し得る垂直配向位相差フィルムは、該フィルムの面内方向に対して垂直方向に配向した位相差フィルムを意味し、例えば、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物(以下、「垂直配向液晶硬化膜形成用組成物」ともいう)の硬化物であって、重合性液晶化合物が該位相差フィルム平面に対して鉛直方向に配向した状態で硬化してなる硬化物(以下、「垂直配向液晶硬化膜」ともいう)などであってよい。
なお、本明細書において用語「垂直配向位相差フィルム」や「垂直配向液晶硬化膜」は、特に記載がない限り、本願式(1)~(6)や本願式(4)~(9)を満たさない点で、本発明の光学異方性膜と異なる。
偏光フィルムと水平配向位相差フィルムとを含んでなる積層体(円偏光板)に、垂直配向液晶硬化膜を組み合わせることにより、垂直配向液晶硬化膜は光学補償フィルムとして機能し得るため、黒表示時の斜方反射色相が向上し得る。なお、前記「黒表示時の斜方反射色相」の向上(変化)に関する効果は、光学異方性膜と水平配向位相差フィルムとを組み合わせて表示装置に適用した際の黒表示時の斜方反射色相における向上効果(すなわち、黒表示時に斜め方向から視認した場合の光もれの低減効果)を意味する。
本発明の積層体において、垂直配向液晶硬化膜は、下記式(18)および(19)を満たすことが好ましい。
-100nm≦RthC(550)≦-20nm (18)
RthC(450)/RthC(550)>1.00 (19)
式(18)および(19)中、Rth(λ)は波長λnmにおける垂直配向位相差フィルムの厚み方向の位相差値を表す。RthC(550)の値およびRthC(450)/RthC(550)の値は、垂直配向液晶硬化膜における重合性液晶化合物の配向状態を表し、黒表示時の斜方光学補償効果の程度を示す一指標となる。
黒表示時の斜方反射色相をさらに向上させ得る観点から、垂直配向液晶硬化膜の膜厚方向の位相差値RthC(550)は、より好ましくは-90nm以上、さらに好ましくは-80nm以上、また、より好ましくは-40nm以下、さらに好ましくは-50nm以下である。
垂直配向液晶硬化膜の膜厚方向の位相差値RthC(λ)は、垂直配向液晶硬化膜の厚さdCによって、調整することができる。面内位相差値は、下記式:
RthC(λ)=((nxC(λ)+nyC(λ))/2-nzC(λ))×dC
(ここで、式中nxC(λ)は波長λnmにおける垂直配向液晶硬化膜の面内主屈折率、nyC(λ)は波長λnmにおける、nxC(λ)に対して面内で直交する方向の屈折率、nzC(λ)は波長λnmにおける垂直配向液晶硬化膜の厚み方向の屈折率を示し、nxC(λ)=nyC(λ)である場合には、nxC(λ)はフィルム面内で任意の方向の屈折率とすることができ、dCは垂直配向液晶硬化膜の膜厚を示す)
によって決定されることから、所望の膜厚方向の位相差値RthC(λ)を得るためには、3次元屈折率と膜厚dCとを調整すればよい。なお、3次元屈折率は、重合性液晶化合物の分子構造並びに配向状態に依存する。
本発明の積層体の一例として、例えば、偏光フィルムと水平配向位相差フィルムとが貼合されてなる円偏光板の水平配向位相差フィルム側に本発明の光学異方性膜を貼合してなる積層体が挙げられる。該積層体は、有機EL表示装置等に組み込んだ際、白表示時の正面色相および斜方色相が改善し得るとともに、黒表示時の斜方色相に対する向上効果を示すことができる。
本発明の積層体の別の例として、本発明の光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルムおよび垂直配向位相差フィルムをこの順に含む積層体が挙げられる。このような本発明の積層体は、白表示時における高い正面色相向上効果および斜方色相向上効果を有しながら、黒表示時の斜方色相の向上効果により優れる。
本発明の積層体を構成する垂直配向位相差フィルムを形成する重合性液晶化合物としては、例えば、水平配向位相差フィルムを形成し得る重合性液晶化合物として先に例示した重合性液晶化合物(X)および重合性液晶化合物(Y)等が挙げられる。
垂直配向位相差フィルムは、例えば、重合性液晶化合物と、必要に応じて重合開始剤、レベリング剤等の添加剤および溶剤等を含んでなる垂直配向液晶硬化膜形成用組成物を、基材上に、配向膜を介してまたは介さずに塗布し、該塗膜を乾燥し、かつ、該垂直配向液晶硬化膜形成用組成物中の重合性液晶化合物を垂直方向に配向させた後、配向状態を保持したまま光照射等により重合性液晶化合物を重合させることにより得ることができる。用い得る重合開始剤、レベリング剤等の添加剤および溶剤等は、本発明の光学異方性膜を作製する際に用い得るものとして先に例示したものと同様のものが挙げられる。配向膜としては、本発明の光学異方性膜を作製する際に用い得るものとして先に例示した垂直配向促進化合物を含む配向膜や配向ポリマーを含む配向膜等が挙げられる。また、垂直配向液晶硬化膜形成用組成物の塗布方法や光照射による重合性液晶化合物の硬化などに採用し得る方法としては、光学異方性膜の形成方法において例示したような方法が挙げられ、垂直配向液晶硬化膜を構成する成分等に応じて適切な方法、条件等を採用し得る。
本発明の積層体において、垂直配向位相差フィルム(垂直配向液晶硬化膜)の厚みは適用される表示装置に応じて適宜選択できるが、薄膜化の観点から、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.5~5μm、さらに好ましくは1~3μmである。
本発明の積層体において、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルムおよび垂直配向位相差フィルムは、それぞれ、粘接着層を介して貼合されていてもよい。粘接着層を形成するための粘接着剤は特に限定されず、当該分野で公知の粘接着剤を適宜選択して採用し得る。また、例えば、水平配向位相差フィルム上に、垂直配向規制力を有する配向膜を介してまたは介さずに、垂直配向液晶硬化膜形成用組成物からなる垂直配向位相差フィルムを形成することにより、積層体の薄型化を実現しやすい。
本発明の積層体は、従来の一般的な円偏光板、または偏光フィルムおよび位相差フィルムが備えるような構成を有していてよい。そのような構成としては、例えば、円偏光板を有機EL等の表示素子に貼合するための粘着剤層(シート)、偏光フィルムや位相差フィルムの表面を傷や汚れから保護する目的で用いられるプロテクトフィルム等が挙げられる。
本発明の光学異方性膜および積層体は、さまざまな表示装置に用いることができる。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に本発明の積層体は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いることができ、液晶表示装置およびタッチパネル表示装置にも好適に用いることができる。これらの表示装置は、白表示時の正面色相および斜方色相に優れるとともに、黒表示時の正面反射色相および斜方反射色相にも優れ、良好な画像表示特性を発現することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。尚、例中の「%」および「部」は、特記ない限り、それぞれ質量%および質量部を意味する。
1.水平配向位相差フィルムの作製
(1)水平配向膜形成用組成物の調製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、水平配向膜形成用組成物を得た。
Figure 2022174723000017
(2)重合性液晶化合物の調製
下記分子構造を有する重合性液晶化合物(X1)および重合性液晶化合物(X2)を、それぞれ調製した。重合性液晶化合物(X1)は、特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造した。また、重合性液晶化合物(X2)は、特開2009-173893号公報に記載の方法に準じて製造した。
重合性液晶化合物(X1)
Figure 2022174723000018
重合性液晶化合物(X2)
Figure 2022174723000019
テトラヒドロフラン50mLに重合性液晶化合物(X1)1mgを溶解させて溶液を得た。得られた溶液を光路長1cmの測定用セルに測定用試料として入れた後、測定用セルを紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから極大吸収度となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは350nmであった。
(3)水平配向位相差フィルム形成用重合性液晶組成物の調製
重合性液晶化合物(X1)および重合性液晶化合物(X2)を質量比90:10で混合し、混合物を得た。得られた混合物100質量部に対して、レベリング剤「BYK-361N」(BM Chemie社製)0.1質量部と、光重合開始剤として2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア(登録商標)369(Irg369)」)6質量部を添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加した。この混合物を80℃で1時間攪拌することにより、水平配向位相差フィルム形成用重合性液晶組成物を得た。
(4)水平配向位相差フィルム(水平配向液晶硬化膜)の作製
日本ゼオン株式会社製のCOPフィルム(ZF-14-50)上に、コロナ処理を実施した後、水平配向膜形成用組成物をバーコーター塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-9;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長313nmにおける積算光量:100mJ/cmで偏光UV露光を実施し、水平配向膜を得た。
続いて、水平配向膜上にバーコーターを用いて水平配向位相差フィルム形成用重合性液晶組成物を塗布し、120℃で60秒間加熱した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、水平配向位相差フィルム形成用重合性液晶組成物を塗布した面から紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、水平配向位相差フィルム(水平配向液晶硬化膜)を形成した。
COPフィルムに位相差が無いことを確認した後、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WPRを用いてRe(450)、Re(550)を測定し、α=Re(450)/Re(550)を算出した。得られた水平配向位相差フィルムのαは、0.92であった。
2.偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上である、厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬してヨウ素染色を行った(ヨウ素染色工程)。ヨウ素染色工程を経たポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に、56.5℃で浸漬してホウ酸処理を行った(ホウ酸処理工程)。ホウ酸処理工程を経たポリビニルアルコールフィルムを8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子(延伸後の厚さ27μm)を得た。この際、ヨウ素染色工程とホウ酸処理工程において延伸を行った。かかる延伸におけるトータル延伸倍率は5.3倍であった。得られた偏光子と、ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ製 KC4UYTAC 40μm)とを水系接着剤を介してニップロールで貼り合わせた。得られた貼合物の張力を430N/mに保ちながら、60℃で2分間乾燥して、片面に保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを有する偏光フィルムを得た。
なお、前記水系接着剤は水100質量部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(クラレ製 クラレポバール KL318)3質量部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテックス製 スミレーズレジン650 固形分濃度30%の水溶液〕1.5質量部を添加して調製した。
3.垂直配向位相差フィルムの作製
(1)垂直配向膜形成用組成物の調製
0.5質量部のポリイミド(日産化学工業株式会社製「サンエバーSE-610」)、72.3質量部のN-メチル-2-ピロリドン、18.1質量部の2-ブトキシエタノール、9.1質量部のエチルシクロヘキサン、および0.01質量部のDPHA(新中村化学製)を混合して、垂直配向膜形成用組成物を調製した。
(2)垂直配向液晶硬化膜形成用重合性液晶組成物の調製
下記式(LC242)に示す液晶化合物LC242:PaliocolorLC242(BASF社 登録商標)100質量部に対して、レベリング剤(DIC社製「F-556」)0.1質量部と、重合開始剤Irg369 3質量部とを添加し、固形分濃度が13質量部となるようにシクロペンタノンを添加した。これらを混合し、垂直配向液晶硬化膜形成用重合性液晶組成物を得た。
液晶化合物LC242:PaliocolorLC242(BASF社登録商標)
Figure 2022174723000020
(3)垂直配向位相差フィルム(垂直配向液晶硬化膜)の作製
基材としてCOPフィルム(日本ゼオン株式会社「ZF-14-23」)を用い、該COPフィルムに対してコロナ処理を実施した。コロナ処理を実施したCOPフィルムにバーコーターを用いて、垂直配向膜形成用組成物を塗布し、塗膜を形成した。塗膜を80℃で1分間乾燥させ、垂直配向膜を得た。得られた垂直配向膜の膜厚をエリプソメータで測定したところ0.2μmであった。続いて、作製した垂直配向膜上に垂直配向液晶硬化膜形成用重合性液晶組成物を塗布し、塗膜を形成した。塗膜を80℃で1分乾燥させた後、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下、および波長365nmにおける積算光量500mJ/cmの条件で乾燥塗膜に紫外線を照射して、垂直配向位相差フィルム(垂直配向液晶硬化膜)を形成した。
4.光学異方性膜形成用組成物に用いた成分
(1)重合性液晶化合物
重合性液晶化合物(A1)および(A2)で示される重合性液晶化合物は、lub等、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas、115、321-328(1996)記載の方法に従って合成した。
Figure 2022174723000021
(2)二色性色素
・二色性色素A(Cyan1:シアン色素):極大吸収波長592nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000022
・二色性色素B(Yellow1:イエロー色素):極大吸収波長445nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000023
・二色性色素C(Magenta1:マゼンタ色素):極大吸収波長546nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000024
・二色性色素D(Cyan2:シアン色素):極大吸収波長600nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000025
・二色性色素E(Cyan3:シアン色素):極大吸収波長600nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000026
・二色性色素F(Yellow2:イエロー色素):極大吸収波長386nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000027
・二色性色素G(Magenta2:マゼンタ色素):極大吸収波長489nm(クロロホルム溶液中で測定)
Figure 2022174723000028
実施例1
(1)光学異方性膜の作製
(i)光学異方性膜形成用組成物の調製
重合性液晶化合物(A1)と重合性液晶化合物(A2)とを質量比90:10で混合した重合性液晶化合物の混合物100質量部に対して、レベリング剤「F-556」(DIC社製)0.25質量部、二色性色素A1.2質量部、二色性色素C1.7質量部、光重合開始剤として2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア(登録商標)369(Irg369)」)6質量部を添加した。さらに、固形分濃度が25%となるようにo-キシレンを添加した。この混合物を80℃で30分攪拌することにより、光学異方性膜形成用組成物を得た。
(ii)垂直配向膜形成用組成物の調製
シランカップリング剤「KBE-9103」(信越化学工業株式会社製)を、エタノールと水を9:1(質量比)の割合で混合した混合溶媒に溶解させ、固形分1%の垂直配向膜形成用組成物を得た。
(iii)光学異方性膜の作製
日本ゼオン株式会社製のCOPフィルム(ZF-14-50)上にコロナ処理を実施した後、垂直配向膜形成用組成物をバーコーター塗布し、120℃で1分間乾燥し、垂直配向膜を得た。
続いて、得られた垂直配向膜上に光学異方性膜形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、光学異方性膜形成用組成物を塗布した面側から紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、光学異方性膜を形成した。得られた光学異方性膜の膜厚を干渉式膜厚計で測定したところ、0.9μmであった。
(2)光学異方性膜の吸光度の測定
得られた光学異方性膜の塗布面を、25μmの感圧式粘着剤(リンテック社製)を介して4×4cm×厚み0.7mmのガラスに貼合した。これを紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸光度を測定し、AxλおよびAxλ(z=50)を算出した。結果を表2に示す。
なお、x軸は光学異方性膜の面内における任意の方向、y軸は膜面内においてx軸に垂直な方向、z軸は光学異方性膜の厚み方向を意味する。AxλおよびAxλ(z=50)は、いずれも前記光学異方性膜の波長λ(450nm、550nm、650nm)における吸光度であって、Axλは、x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、Axλ(z=50)は、y軸を回転軸として前記膜を50°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
また、吸光度を測定する際にはサンプルを紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットし、800nmの吸光度がゼロとなるように補正した後、Axλを測定した。Axλ(z=50)についても、同様にサンプルをセット・傾斜させた後、800nmの吸光度がゼロとなるように補正した後、Axλ(z=50)を測定した。
(3)光学異方性膜の配向性評価
得られた光学異方性膜の塗布面を、25μmの感圧式粘着剤(リンテック社製)を介して4×4cm×厚み0.7mmのガラスに貼合した。貼合した光学異方性膜を偏光顕微鏡を用いて観察し、配向不良による欠陥を下記の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
<評価基準>
A:倍率200倍の観察で、ほとんど欠陥が見えない。
B:倍率200倍の観察で、わずかに欠陥が見える。
C:倍率200倍の観察で、欠陥が見える。
(4)円偏光板積層体の作製
(i)水平配向位相差フィルムと光学異方性膜との積層体の作製
先に記載の製造方法で得られた、水平配向位相差フィルムおよび光学異方性膜の塗布面(液晶層側)に対してコロナ処理を実施した後、それぞれの塗布面側(液晶層側)を、粘着剤(リンテック社製感圧式粘着剤 25μm)を介して貼合して、水平配向位相差フィルムと光学異方性膜との積層体を作製した。
(ii)円偏光板積層体の作製
次いで、得られた積層体の水平配向位相差フィルム側の基材(COPフィルム)表面にコロナ処理を施した後、偏光フィルムの吸収軸と水平配向位相差フィルムの遅相軸との成す角が45°となるように、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介して偏光フィルムと貼合して、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、光学異方性膜をこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
(5)光学特性の評価
(i)黒表示時の色相評価
<評価用パネル>
・斜方黄色パネル:ROYOLE社FlexPai
・斜方青色パネル:SAMSUNG社GalaxyS8
<正面反射色相および斜方反射色相の確認>
ROYOLE社製「FlexPai」より前面ガラスおよび偏光板を除去して表示装置を取り出した。その後、前述の方法にて作製した円偏光板積層体を、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介して、前記表示装置に貼合し、表示装置の電源をOFFにした状態(黒表示時)で正面反射色相および斜方反射色相を確認し、下記基準に従い評価した。結果を表3に示す。
なお、正面反射色相はサンプルを正面から50cm離れて目視で観察して色相を確認した色相であり、斜方反射色相は仰角50°、方位角0~360°方向から30cm離れて目視で観察したときの色相である。
<評価基準>
A:40W3波長ランプ直下1mにて光沢黒画用紙と並べた条件において、肉眼で色相を確認し、ほぼ色味を感じない。
B:40W3波長ランプ直下1.5mにて単独で肉眼で確認した際に、わずかに色味を感じ、その色味は方位角により異なり、わずかに青味を帯びた黒色や赤味を帯びた黒色に見える。
C:40W3波長ランプ直下1.5mにて単独で肉眼で確認した際に、色味を感じ、その色味は方位角により異なり、青味や赤味を帯びた黒色に見える。
(ii)白表示時の色相評価
黒表示時の評価に続いて、同じサンプルを用いて、表示装置の電源をONにし、輝度を最大とした上でブルーライトカット機能やカラーバランス変更などの画面表示色を変更する設定をすべてOFFにし、白画面を表示した状態で(HTMLのカラーコード#FFFFFFを表示した状態)、白表示時の正面色相および斜方色相を確認し、下記基準に従い評価した。結果を表3に示す。
なお、正面色相はサンプル正面から30cm離れて目視で観察して確認した際の色相であり、斜方色相はサンプルから30cm離れた状態で仰角50°、方位角0~360°方向から目視で確認した色相である。
<評価基準>
A:暗室下で白表示し、肉眼で色相を確認し全く色味を感じない。
B:暗室下で白表示し、肉眼で色相を確認しほとんど色味を感じない。
C:暗室下で白表示し、肉眼で色相を確認し、色味を感じる。
D:暗室下で白表示し、肉眼で色相を確認し、強く色味を感じる。
実施例2
光学異方性膜として、実施例1と同様の手順で作製した光学異方性膜を用いた。水平配向位相差フィルムの塗布面(液晶層側)にコロナ処理を実施した後、偏光フィルムの吸収軸と水平配向位相差フィルムの遅相軸との成す角が45°となるように、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介して偏光フィルムと貼合して積層体を作製した。次いで、光学異方性膜の塗布面(液晶層側)にコロナ処理を実施した後、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介して上記積層体の偏光フィルム側と貼合して、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例3
光学異方性膜として、実施例1と同様の手順で作製した光学異方性膜を用いた。水平配向位相差フィルムの塗布面(液晶層側)にコロナ処理を実施した後、偏光フィルムの吸収軸と水平配向位相差フィルムの遅相軸との成す角が45°となるように、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介して偏光フィルムと貼合して、偏光フィルムと水平配向位相差フィルムとの積層体を作製した。次いで、得られた積層体の水平配向位相差フィルムの基材側と垂直配向位相差フィルムの塗布面(液晶層側)にコロナ処理を実施した後、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介してこれらを互いに貼合して、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む新たな積層体を作製した。次いで、光学異方性膜の塗布面(液晶層側)にコロナ処理を実施した後、粘着剤(リンテック社製 感圧式粘着剤 25μm)を介して上記積層体と貼合して、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例4および5
二色性色素Aおよび二色性色素Cの配合量を、表1に記載の量に代えた以外は、実施例1と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例6および7
二色性色素AおよびCの配合量を、表1に記載の量に代え、膜厚を表1に示す厚みとした以外は、実施例1と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
比較例1
(1)光学異方性膜の作製
(i)光学異方性膜形成用組成物の調製
重合性液晶化合物(A1)と重合性液晶化合物(A2)を質量比90:10で混合した重合性液晶化合物の混合物100質量部に対して、レベリング剤「F-556」(DIC社製)0.25質量部、二色性色素A3.0質量部、光重合開始剤として2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア(登録商標)369(Irg369)」)6質量部を添加した。さらに、固形分濃度が25%となるようにo-キシレンを添加した。この混合物を80℃で30分攪拌することにより、光学異方性膜形成用組成物を得た。
(ii)垂直配向膜形成用組成物の調製
シランカップリング剤「KBE-9103」(信越化学工業株式会社製)を、エタノールと水を9:1(質量比)の割合で混合した混合溶媒に溶解させ、固形分1%の垂直配向膜形成用組成物を得た。
(iii)光学異方性膜の作製
日本ゼオン株式会社製のCOPフィルム(ZF-14-50)上にコロナ処理を実施した後、垂直配向膜形成用組成物をバーコーター塗布し、120℃で1分間乾燥し、垂直配向膜を得た。
続いて、得られた垂直配向膜上に光学異方性膜形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、光学異方性膜形成用組成物を塗布した面側から紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、光学異方性膜を形成した。得られた光学異方性膜の膜厚を干渉式膜厚計で測定したところ、0.6μmであった。
実施例と同様の手順で、光学異方性膜の吸光度を測定した。結果を表2に示す。
(2)円偏光板積層体の作製
光学異方性膜として、得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、光学異方性膜をこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表3に示す。
比較例2
光学異方性膜として、比較例1と同様の手順で作製した光学異方性膜を用いた以外は、実施例2と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
比較例3
光学異方性膜として、比較例1と同様の手順で作製した光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
比較例4
二色性色素AとCの組合せを、二色性色素AとBの組合せに代え、配合量を表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様の手順で光学異方性膜を作製した。得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例8
二色性色素A(Cyan1)に代えて二色性色素D(Cyan2)を用いた以外は、実施例3と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例9
二色性色素A(Cyan1)に代えて二色性色素E(Cyan3)を用いた以外は、実施例3と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例10
二色性色素A(Cyan1)に代えて二色性色素D(Cyan2)と二色性色素E(Cyan3)を質量比D:E=1.0:1.4とした混合物を用いた以外は、実施例3と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例11
二色性色素C(Magenta1)に代えて二色性色素G(Magenta2)を用いた以外は、実施例3と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例12
二色性色素C(Magenta1)に代えて二色性色素G(Magenta2)を用いた以外は、実施例10と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。結果を表2および表3に示す。
実施例13
二色性色素A(Cyan1)に代えて二色性色素B(Yellow1)を、二色性色素C(Magenta1)に代えて二色性色素G(Magenta2)を用いた以外は、実施例3と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例1と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。なお、評価用パネルとして斜方青色パネル:SAMSUNG社GalaxyS8を用いた。色相結果を表2および表3に示す。
実施例14
二色性色素B(Yellow1)に代えて二色性色素F(Yellow2)を用いた以外は、実施例13と同様の手順で光学異方性膜を作製した。それにより得られた光学異方性膜を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、光学異方性膜、偏光フィルム、水平配向位相差フィルム、垂直配向位相差フィルムをこの順に含む円偏光板積層体を作製した。
実施例13と同様の手順により、円偏光板積層体の光学特性を評価した。色相結果を表2および表3に示す。
Figure 2022174723000029
Figure 2022174723000030
Figure 2022174723000031

Claims (11)

  1. 重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素を含む重合性液晶組成物の硬化膜であって、
    前記重合性液晶化合物および少なくとも2種の二色性色素が膜平面に対して鉛直方向に分子配向した状態で硬化した膜であり、かつ、
    下記式(1)~式(6)または式(4)~式(9):
    0.001≦Ax450(z=50)≦0.100 (1)
    0.070≦Ax550(z=50)≦1.000 (2)
    0.070≦Ax650(z=50)≦1.000 (3)
    0.001≦Ax450≦0.050 (4)
    0.001≦Ax550≦0.050 (5)
    0.001≦Ax650≦0.050 (6)
    0.050≦Ax450(z=50)≦1.000 (7)
    0.070≦Ax550(z=50)≦1.000 (8)
    0.001≦Ax650(z=50)≦0.100 (9)
    〔式(1)~(9)中、AxλおよびAxλ(z=50)は、いずれも波長λnmにおける吸光度であって、Axは、x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、Ax(z=50)は、y軸を回転軸として前記光学異方性膜を50°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表し、ここで、x軸は光学異方性膜の膜面内における任意の方向、y軸は膜面内においてx軸に直交する方向、z軸は光学異方性膜の厚み方向を意味する〕
    を満たす、光学異方性膜。
  2. 前記少なくとも2種の二色性色素は、少なくとも1種のシアン色素及び少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せ、または、少なくとも1種のイエロー色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せからなる、請求項1に記載の光学異方性膜。
  3. 下記式(10)および式(11):
    0.1≦Ax450(z=50)/Ax550(z=50)≦1.5 (10)
    0.1≦Ax650(z=50)/Ax550(z=50)≦1.5 (11)
    〔式(10)および式(11)中、AxλおよびAxλ(z=50)は、前記と同じ意味を有する〕
    のいずれかを満たす、請求項1に記載の光学異方性膜。
  4. 膜厚が0.1μm以上5μm以下であり、
    前記少なくとも2種の二色性色素を、重合性液晶化合物100質量部に対して、それぞれ、0.1質量部以上5質量部以下の量で含む、請求項1に記載の光学異方性膜。
  5. 前記少なくとも2種の二色性色素が、少なくとも1種のシアン色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せ、または、少なくとも1種のイエロー色素と少なくとも1種のマゼンタ色素との組合せからなり、
    下記式(12)および式(13):
    T×D1=0.4~1.7 (12)
    T×D2=0.6~2.7 (13)
    [式(12)および式(13)中、Tは膜厚(μm)を表し、D1は重合性液晶化合物100質量部に対するシアン色素またはイエロー色素の量(質量部)を表し、D2は、重合性液晶化合物100質量部に対するマゼンタ色素の量(質量部)を表す]
    を満たす、請求項4に記載の光学異方性膜。
  6. 前記二色性色素として少なくとも1種のアゾ色素を含む、請求項1に記載の光学異方性膜。
  7. 前記重合性液晶化合物が高次スメクチック液晶相を示す液晶化合物である、請求項1に記載の光学異方性膜。
  8. 請求項1に記載の光学異方性膜、偏光フィルムおよび水平配向位相差フィルムを含む積層体。
  9. 光学異方性膜、偏光フィルムおよび水平配向位相差フィルムをこの順に含む、請求項8に記載の積層体。
  10. 水平配向位相差フィルムの偏光フィルムとは反対側に垂直配向位相差フィルムをさらに含む、請求項9に記載の積層体。
  11. 請求項8に記載の積層体を含む有機EL表示装置。
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