JP2022173606A - マウスピース型矯正保定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】審美的に形状の維持が必要な上顎前歯部分の形状が戻りにくく、装置上顎前歯舌側斜面の修正、装置を装着しながら咬合の再構築や下顎前歯の長さの微調整等を行い得る保定装置を提供する。また、矯正した歯の位置が安定するまで長時間使用することから、長期間の使用に耐える薄型であり、咬合調整可能な保定装置を提供することを課題とする。【解決手段】上顎用及び/又は下顎用マウスピースにそれぞれ連続した開口部を設け、咬合面での厚みを調節することを特徴とするマウスピース型矯正保定装置により、臼歯部の圧下を改善し、噛み合わせを調整しながら保定を行うことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、歯列矯正治療を行った後に用いられるマウスピース型矯正保定装置に関する。
歯並びや噛み合わせは、見た目だけではなく、口腔内環境を整えることから、全身の健康状態とも深く関係しているので、不正咬合を矯正する矯正歯科治療は重要かつ必要であると言われている。不正咬合を矯正する矯正治療を行う矯正装置にはたくさんの種類がある。従来から、歯の表面に金属やレジン、セラミックの小さなブラケットをつけ、ブラケットに細いワイヤーを通して歯を動かす固定式の装置が使われている。歯の表側にワイヤーを通し、力をかけるワイヤー矯正は、適応範囲が広いことから、様々な症例に対応できるという利点があるが、矯正装置が目立つという欠点がある。
矯正装置が目立つという欠点を克服した矯正方法として、歯の裏側、すなわち舌側に矯正装置を取り付ける舌側矯正がある。舌側矯正は、外側からは矯正装置が見えないため、審美的に優れているが、歯の表側に矯正装置を取り付ける場合に比べて、矯正力を弱める必要があり、適用範囲が限られるという欠点がある。
近年、デジタル技術の進歩に伴い、口腔内スキャナで歯型を採り、精巧なマウスピースをデザインしマウスピースによって矯正を行うカスタムメイド型マウスピース矯正(アライナー矯正)が行われるようになってきている。治療に合わせて段階的にマウスピースを交換していくもので、マウスピースが透明であることから、目立ちにくく、取り外しも可能であり、金属で口腔内を傷つける等の心配がない。そのため、マウスピース矯正は適応できる症例に限りがあるものの、急速に普及してきている。
いずれの矯正装置を用いた場合でも、矯正治療終了後に歯が後戻りしないように、保定装置(リテーナー)によって、矯正治療が終了した時点の歯並びを維持する必要がある。通常、保定は矯正期間と同程度の期間が最低でも必要であるとされている。特に、成長期では生体の反応性が高いことから、矯正終了後叢生が悪化しやすい可能性を残しており、より長期間保定を行う必要がある(非特許文献1)。また、保定装置も種々のタイプのものが提案されている(特許文献1~4)。
特許文献1に記載の保定装置は、両端にクラスプを有し、略U字状の補強ワイヤーと両クラスプ間を連結する架橋ワイヤーが埋め込まれ、歯の内側面に適合した凹凸を有し、大部をくりぬいた形の口蓋辺縁に保持されるレジン床からなる支持部を有し、両端を補強ワイヤーに連結して歯列の一部を囲うループ枠を形成する保持ワイヤーと、該保持ワイヤーの一部を埋め込んだレジンパッドからなる緩衝部を有し、支持部を口蓋に装着した状態で、前記緩衝部のレジンパッドが歯茎の外側面に対向する位置に隙間を形成しながら保持される構成の保定装置が開示されている。
特許文献2には、歯の側部表面によって形成されるアーチ形状に対応する複数の円弧状ポリマーストリップと、ストリップの長さ方向に延びるワイヤーを含む保定装置が開示されている。ポリマーストリップは、1つは舌側ストリップであり、他のポリマーストリップの少なくとも1つは唇側ストリップであり、ワイヤーは、ストリップの間隔を維持し、相互に接続するとともに、歯列への適合を調節するための横方向調節セグメントを含んでいる。
特許文献3には、患者の歯列の舌側表面に適合するように構成された円弧状の形態の第1の金属部材と、歯の唇側の表面に適合し弧状でバンド形態の第2の透明なプラスチック部材を含む保定装置が開示されている。第1の部材によって、歯科矯正治療によって得られた正しい位置に歯を維持し、第2の部材は、取り外し可能に構成されている。
特許文献4には、装具本体が患者に装着されたときに、咬合面が露出するように構成された取り外し可能な歯科装具が開示されている。特許文献4に開示されている歯科装具は、矯正及び保定に用いることができる装置であり、患者の2つ以上の歯を取り囲むようにアクティブバンドを形成し、取り囲まれた歯の顔面側と位置合わせするように構成されている顔側部と、取り囲まれた歯の舌側と位置合わせするように構成されている舌側部とを含んでいる。咬合面が露出していることから、患者の快適性が向上し、歯石の成長の低下、歯科装具を取り外すことなくある程度飲食をすることができる他、歯科装具が目立たない等の利点があることが記載されている。
特開2003-38520号公報 米国特許第5536169号明細書 米国特許第4413978号明細書 特表2018-506329号公報
溝口 到、岡山 三紀、「下顎前歯部叢生のrelapseの原因を考える」、日本成人矯正歯科学会雑誌、2022年4月1日、第28巻別冊、p.17-22 槇 宏太郎、アライナー矯正のリカバリーテクニック、医歯薬出版株式会社、第1版、2021年11月、p.19-23 B. S. Mendoza, et al. (岡藤 範正ら 翻訳、J. AlignerOrthodontics 日本版、2022年、Vol.2、issue 2、「アライナー型矯正装置によるフィニッシング」、p.13-25 左本 博、正しく使おう!矯正型アライナー装置、デンタルダイヤモンド社、2019年3月、p.63-67
しかしながら、特許文献1~3に開示されている発明はいずれもワイヤー等の金属部材を構成としていることから、審美性に欠け、また、装置自体に厚みがでることから、口腔内の違和感が大きいという問題がある。また、特許文献4に開示されている発明は、咬合面が露出されるように構成されていることから、患者の快適性の向上、歯科装具の視認性の低下等の利点があるが、矯正で生じた圧下等の副反応を回復させることはできない。
近年急速に普及しているカスタムメイド型マウスピース矯正は、透明であり目立ちにくいという利点があるものの、奥歯が圧下するという副反応が生じる事が問題となっている。カスタムメイド型マウスピース矯正装置は、奥歯の噛み合わせの面まで覆っていることから、マウスピースの厚みの分だけ奥歯が先に当たるようになり、奥歯には噛み合わせの力による沈み込み圧力が加わることになる。その結果、奥歯の圧下が生じ、奥歯が離開し噛み合わないという問題が他の矯正装置よりも多く生じる傾向がある(非特許文献2~4)。また、特許文献1~4に記載の保定装置は、カスタムメイド型マウスピース矯正により生じることの多い奥歯の圧下という副反応を補正しつつ、保定することはできない。
本発明は、矯正終了後に生じた副反応を元に戻しつつ、矯正した歯列の状態を維持できる保定装置を提供することを課題とする。具体的には、審美的に形状の維持が必要な上顎前歯部分の形状が戻りにくく、装置上顎前歯舌側斜面の修正、装置を装着しながら臼歯部の再構築や下顎前歯の長さの微調整等を行い得る保定装置を提供する。また、矯正した歯の位置が安定するまで長時間使用することから、長期間の使用に耐える薄型であり、咬合調整可能な保定装置を提供することを課題とする。
本発明は以下の保定装置及び、保定装置の選択方法に関する。
(1)マウスピース型矯正保定装置であって、上顎用及び/又は下顎用マウスピースにそれぞれ連続した開口部を設け、咬合面での厚みを調節することを特徴とするマウスピース型矯正保定装置。
開口部を設けることによって、装置を装着しながら臼歯部の再構築や下顎前歯の長さの微調整等を行うことができるので、矯正治療終了後の歯並びを維持しながら、噛み合わせを調整することができる。
(2)(1)記載のマウスピース型矯正保定装置であって、上顎用マウスピースの前記開口部は、下顎用マウスピースの前記開口部に対向する領域以外の咬合面に設けられていることを特徴とするマウスピース型矯正保定装置。
上顎用、下顎用マウスピースの開口部の位置が異なることから、上下対向する歯のいずれかの歯冠部咬合面が露出していることになる。矯正装置を装着していたことによる臼歯部の圧下等の副反応がほとんど見られないか、非常に軽度である場合に用いる保定装置である。本形態の保定装置は、1枚分の厚みのマウスピースを介して咬合が行われるので、従来の保定装置よりも、厚みを抑えることができるという利点がある。厚みの抑制は、患者にとっては口腔内の違和感を減じることになり、快適性の向上につながる。
(3)上顎用マウスピースの前記開口部は臼歯部、又は臼歯部と犬歯部に設けられ、下顎用マウスピースの前記開口部は切歯部、又は切歯部と犬歯部に設けられていることを特徴とする(2)記載のマウスピース型矯正保定装置。
上顎用マウスピースは、前歯部を覆う形状となっていることから、審美的に最も重要な前歯の歯並びを維持したまま、臼歯部の噛み合わせを調整できる構造となっている。
(4)(1)記載のマウスピース型矯正保定装置であって、上顎用マウスピースと下顎用マウスピースの前記開口部は同じ領域の咬合面に設けられていることを特徴とするマウスピース型矯正保定装置。
矯正装置を装着していたことによる臼歯部の圧下が大きい場合には、保定期間中に圧下した歯の挺出を促し、噛み合わせを調整する必要がある。本形態の保定装置は、上顎用、下顎用の保定装置の開口部が同じ領域であることから、開口部において、上下の歯の挺出を促すことができる。
(5)前記上顎用及び下顎用マウスピースの前記開口部は、臼歯部、若しくは臼歯部と犬歯部からなる領域、又は切歯部、若しくは切歯部と犬歯部に設けられていることを特徴とする(4)記載のマウスピース型矯正保定装置。
矯正治療中に臼歯部において大きな圧下が生じることが多いことから、圧下の程度の大きい臼歯部領域に開口部を設け、奥歯の噛み合わせを調整する装置、あるいは後戻りしやすい前歯部開口症例が後戻りしないように保定する装置となっている。
(6)上顎用、又は下顎用いずれか一方を用いることを特徴とする(1)記載のマウスピース型矯正保定装置。
圧下の原因が上顎、又は下顎のいずれか一方である場合には、開口部が上顎用、又は下顎用のどちらか一方に設けられたマウスピース型矯正保定装置を用いれば良い。
(7)透明な素材で作製されていることを特徴とする(1)~(6)いずれか1つ記載のマウスピース型矯正保定装置。
透明素材で作製されていることから、目立つことがなく、保定を継続することができる。
(8)上顎用、下顎用で厚みの異なるマウスピースを選択しても良いことを特徴とする(7)記載のマウスピース型矯正保定装置。
開口部による調整だけではなく、マウスピースの厚みを変えることによって、より微細な咬合調整を行うことができる。
(9)保定装置の選択方法であって、矯正治療終了後に臼歯部に調整が必要な圧下が見られる場合には、(5)記載のマウスピース型矯正保定装置を選択し、調整が必要な圧下が認められない場合には、(3)のマウスピース型矯正保定装置を選択することを特徴とする保定装置の選択方法。
矯正治療終了後の圧下の有無によって、保定装置を選択することにより、矯正治療によって生じた副反応を修正し、噛み合わせの良い状態にもっていくことができる。
実施態様1の保定装置を例示する図面代用写真である。(A)は上顎用、(B)は下顎用を上方から、(C)左は上顎用、右は下顎用を斜方から撮影した写真を示す。 実施態様2の保定装置を例示する図面代用写真である。(A)は上顎用、(B)は下顎用を上方から、(C)左は上顎用、右は下顎用を斜方から撮影した写真を示す。 実施形態3の保定装置を例示する図面代用写真である。(A)は上顎用、(B)は下顎用を上方から、(C)左は上顎用、右は下顎用を斜方から撮影した写真を示す。 実施形態4の保定装置を例示する図面代用写真である。上顎用、又は下顎用のいずれか一方の保定装置に開口部を設ける例を示す。(A)は上顎臼歯部に開口部を設けた装置、(B)は下顎臼歯部に開口部を設けた装置、(C)は下顎前歯部に開口部を設けた装置を例示する図面代用写真である。
保定装置は、矯正治療終了後の歯並びを維持し、後戻りを防ぐために行うものである。しかし、矯正治療が終了したといっても、全ての歯が歯並び良く、かつ噛み合わせが良い状態になっているとは限らない。特に、現在使用されているマウスピース型矯正装置は、奥歯の噛む力により、マウスピースの厚み分、奥歯が圧下し、マウスピースを外すと奥歯が噛み合わなくなり、その結果、上下の前歯が強く当たるような副反応が生じる場合がある。そのため矯正治療終了直後の歯並びは、審美上重要な前歯の歯並びが良い状態であっても、奥歯は噛み合っていない状態であることが多い。また、マウスピース型保定装置を長期間使用している場合にも、マウスピースの厚みが一様であることから、奥歯の圧下が生じ、前歯の歯並びは維持していたとしても、奥歯の噛み合わせが悪いという状態が生じていることがある。
以下に実施形態を示しながら説明するが、本発明の保定装置を従来型のマウスピース型保定装置と区別するために、「マウスピース型矯正保定装置」と称する。本発明は、上下顎用のマウスピースに開口部を設けることによって、矯正治療終了後の副反応を修正しながら、保定を行う装置である。また、圧下の程度によって、マウスピースの厚み自体を調整し、矯正治療終了時の歯並びを維持しながら、より噛み合わせの良い状態に修正し得る保定装置である。すなわち、前歯の歯並びを良い状態で維持しながら、奥歯の噛み合わせを調整し、保定期間中に全歯で噛み合わせを良くすることができる保定装置である。なお、奥歯は第一小臼歯から最後臼歯(第二大臼歯、又は第三大臼歯)を指し、前歯は中切歯、側切歯、犬歯を指す。
本発明の保定装置の素材としては、透明であること、毒性がないことは勿論であるが、寸法安定性に優れ、吸水性が少ないものが望ましい。また、長期間使用するものであることからその使用に耐えうる強度が必要である。さらに、形状記憶機能を備え、ヒトの体温付近で元の形状に戻る素材、具体的にはポリウレタン系形状記憶ポリマー(シェイプメモリポリマー(SMP))素材等を用いてもよい。このような素材としては、患者の石膏模型、あるいは口腔内スキャナーデータを用いて製造することができる熱成形シート、あるいは3Dプリント用樹脂を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA樹脂)、ポリエステル、コポリエステル、ポリプロピレン等の素材を用いることができる。また、圧下の程度によってマウスピースの厚さを調整することが必要となることから、熱成形シートの場合は、厚さの異なるシートが用意されていることが好ましい。
以下、実施形態を示しながら具体的に説明する。
[実施形態1]
実施形態1は、矯正治療終了後に臼歯部の圧下がほとんど認められない場合に使用するマウスピース型矯正保定装置の例である(図1)。図1(A)は上顎用マウスピース型矯正保定装置1、図1(B)は下顎用マウスピース型矯正保定装置2を上方から、図1(C)は両者を左斜め上から撮影したものである。上顎用マウスピース型矯正保定装置1、下顎用マウスピース型矯正保定装置2は、それぞれ異なる領域に開口部3a、3b、4を設け、遊離歯肉まで覆い、下顎用マウスピースは開口部3a、3bの最後臼歯より後方は1cm弱延ばして覆うように形成されている。そのため、開口部を備えているものの、安定して吸着する構造となっている。本実施形態の保定装置は、咬合面には一部領域で開口部を設けているものの、その他の部分は全て覆っていることから、上下方向(圧下、挺出)は制限せず、歯が近心、あるいは遠心方向へ移動や回転、傾斜等を抑制することができる。
上顎用マウスピース型矯正保定装置1には、第二大臼歯から犬歯の一部まで咬合面が露出される連続した開口部3a、3bを設けている。ここでは、犬歯の一部まで開口部に含めているが、犬歯を開口部に含むか否かは、矯正終了後の歯並びによって判断すればよい。すなわち、犬歯を境として開口部を設ければよく、犬歯の一部、又は全部を開口部とするかは患者の歯の状態による。具体的には、個々の歯が、下顎運動しやすいよう歯を咬合干渉していないか、摩耗が生じているか否か等を確認し、犬歯を含めて再構築すべきかどうか、すなわち犬歯の一部、又は全部を開口部に含めるか判断すればよい。また、上顎用マウスピース型矯正保定装置1は、臼歯部まで開口部3a、3bが延びているため、マウスピース型矯正保定装置の装着安定性のために、最後臼歯より後方は1cm弱延ばして覆うように形成されている。一方、下顎用マウスピース2には、中切歯、側切歯、犬歯の連続した咬合面に開口部4が設けられている。
上下顎にそれぞれマウスピース型矯正保定装置を装着すると、噛み込んだ場合、それぞれ異なる領域に開口部を設けているため、噛み合わせ部分には、上下どちらかのマウスピース型矯正保定装置しかなく、従来の保定装置よりも、厚みを抑えることができるため、臼歯部の圧下を抑制し、噛み合わせを調整しながら快適に保定を継続してもらうことができる。
[実施形態2]
実施形態2は、臼歯部に大きな圧下が認められる場合に使用するマウスピース型矯正保定装置の例である(図2)。図2(A)は上顎用マウスピース型矯正保定装置11、図2(B)は下顎用マウスピース型矯正保定装置12を上方から、図2(C)は両者を左斜め上から撮影したものである。上顎用マウスピース型矯正保定装置11、下顎用マウスピース型矯正保定装置12は、臼歯部にそれぞれ第一小臼歯から第二大臼歯までの咬合部が連続して露出するように開口部13a、13b、14a、14bを設けられている。実施形態2のマウスピース型矯正保定装置11、12も、遊離歯肉まで覆い、マウスピース開口部13a、13b、14a、14bの最後臼歯より後方は1cm弱延ばして覆うように形成され、歯や歯茎に安定して吸着する構造となっていることは実施形態1のマウスピース型矯正保定装置と同様である。
上述のように、矯正治療を終了した後に、圧下が認められる場合には、その後の保定期間中に歯並びを維持しつつ、圧下した奥歯の噛み合わせが良くなるようにする必要がある。実施形態2の保定装置は、前歯は全てマウスピースで覆われているのに対し、奥歯の咬合部は露出している。その結果、前歯はマウスピースの厚みが加わっているのに対し、奥歯の咬合面は露出していることから、前歯、奥歯ともに噛み合わせ良い状態とすることができる。噛み合わせの良い状態で保定しつつ、圧下した臼歯部の咬合面は上下とも露出した状態となっていることから、噛み合わせが調整されるように臼歯部は挺出していく。実施形態2のマウスピース型矯正保定装置では犬歯も全て覆う形状のものを示しているが、犬歯は患者の歯の状態によって開口部としてもよいことは実施形態1の保定装置と同様である。
[実施形態3]
実施形態3は、開口症例矯正治療後の保定装置の例である(図3)。噛み合わせた時に、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合わない前歯部の開口症例は、矯正後はどのような保定装置を入れても前歯部が開口に後戻りしやすい。実施形態3のマウスピース型矯正保定装置は、前歯部開口症例において後戻りを抑制するのに効果的な保定装置である。図3(A)は上顎用マウスピース型矯正保定装置21、図3(B)は下顎用マウスピース型矯正保定装置22を上方から、図3(C)は両者を左斜め上から撮影したものである。
上顎用マウスピース型矯正保定装置21、下顎用マウスピース型矯正保定装置22は、前歯部にそれぞれ左右の犬歯間の歯冠部が連続して露出するように開口部23、24が設けられている。実施形態3のマウスピース型矯正保定装置21、22も、遊離歯肉まで覆うように形成され、歯や歯茎に安定して吸着する構造となっている。
実施形態3の保定装置は、奥歯は全てマウスピースで覆われているのに対し、前歯の咬合部は露出している。そのため、臼歯部ではマウスピース2枚分の厚みを介して噛み合わせることになるから、臼歯部は圧下、前歯部は挺出し、噛み合わせを調整することができる。実施形態3のマウスピース型矯正保定装置では犬歯歯冠部も露出する形状のものを示しているが、犬歯は患者の歯の状態によって覆う形状としてもよいことは実施形態1の保定装置と同様である。
[実施形態4]
実施形態4は種々のパターンを包含するが、いずれも上顎、又は下顎のいずれか一方の臼歯部、あるいは前歯部を圧下、又は挺出したい場合に用いる保定装置である(図4)。図4(A)は、上顎臼歯部に臼歯離開の原因となる圧下が認められる場合に用いる保定装置である。本実施形態では、開口部は上顎用の保定装置にのみ設け、下顎用の保定装置は従来の開口部のないマウスピース型矯正保定装置を用いて保定を行う。図4(B)は、下顎臼歯部に臼歯離開の原因となる圧下が認められる場合に用いる保定装置であり、上顎用の保定装置は開口部のないものを用いている。図4(C)は、下顎前歯部に圧下が認められ、挺出を誘導したい場合に用いる保定装置である。いずれの場合も、圧下した臼歯部、あるいは前歯部のみに挺出を誘導し、噛み合わせを調整することができる。
以上、いくつかの実施形態により示してきたように、本発明の保定装置は、矯正治療によって生じた副反応により生じた咬合不良を保定期間中に修正し、噛み合わせの良い状態に調整することができる保定装置である。
さらに、保定期間中に、臼歯部の圧下の程度は減少し、噛み合わせが徐々に良くなってきた場合には、マウスピース型矯正保定装置の厚みを薄いものに変更する、あるいは実施態様1の形状の保定装置に変更するなど、適切な保定装置に変更することによって、良い歯並びを維持しつつ、噛み合わせも良い状態へと移行させていくことができる。
実施形態1、2のマウスピース型矯正保定装置は、いずれも上顎中切歯、側切歯、犬歯の歯冠、歯肉部を覆う形状となっている。さらに、装置の上顎前歯舌側面では下顎が前方運動する際、下顎前歯切端が上顎舌面を滑らかに移動することができるように、上顎舌面に適切な傾斜を保ち、アンテリアガイダンスを確保するようにマウスピース型矯正保定装置の材料の厚さを選択している。したがって、下顎骨の移動がスムーズであり、保定装置を装着していても顎関節に対する負担が少なく、顎関節症等の不調が起こることがない。
また、噛み合わせは、頭骨に固定されている上顎骨に対し下顎骨が移動することにより可能となっている。顎関節の構造上、顎関節から最後臼歯までの距離と、顎関節から中切歯までの距離は、約1:2の比となっている。そのため、下顎を下方へ移動した場合に(口を開けた状態)、上下の臼歯間の距離を1とすると、上下の中切歯間の距離はおよそ2となる。本実施形態の保定装置は、開口部を設け、さらにマウスピースを作製するためのシートの材料の厚さを選択することによって、前歯部、臼歯部が経時的に噛み合うように調整することができる。具体的には、実施形態1の保定装置では、前歯部、奥歯部において、上下対向する歯のいずれかの歯冠部咬合面が露出していることから、1枚分の厚みのマウスピースを介して咬合が行われる。また、実施形態2の保定装置では、奥歯は上下どちらも歯冠部咬合面は露出しているのに対し、前歯をマウスピースで覆われていることから、前歯では2枚、奥歯では0枚の厚みのマウスピースを介して咬合が行われる。一方、実施形態3の保定装置では、前歯では0枚、奥歯では2枚の厚みのマウスピースを介して咬合が行われる。奥歯、あるいは前歯の圧下の程度によって、実施形態1~3のいずれかの保定装置を選定し、適切な厚みのマウスピースを作製することによって、奥歯の挺出あるいは圧下を促し、噛み合わせを調整することができる。従来の保定装置ではマウスピースの厚さ(上顎用、下顎用マウスピースの厚さの合計)が一定であったため、適切な噛み合わせになるように調整することが困難であったが、本発明の保定装置を用いれば適切な噛み合わせになるように誘導することができる。
マウスピース型矯正保定装置の厚みを調整するためには、厚みの異なる樹脂プレートを用いれば良い。例えば、熱成形シートの場合には、矯正終了後の患者の状態に合わせて0.5、0.6、0.75、0.8、1.0、1.2、1.5mmといった0.5mmから1.5mmの異なる厚さのアクリルプラスチックプレートなどの樹脂を使用することができる。患者の臼歯部圧下の程度によって、マウスピース型矯正保定装置の厚みを変えることにより、圧下した奥歯を適切な位置に戻すことができる。具体的には、圧下の程度が大きいほど、厚さのある熱成形シートを使用してマウスピース型矯正保定装置を作製すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、患者によって歯並びは違うことから、ここで示した図面は例示に過ぎず、上顎用のみ使用、または下顎用のみ使用する等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変形可能であることは言うまでもない。
1、11、21、31…上顎用マウスピース型矯正保定装置、2、12、22、33、35…下顎用マウスピース型矯正保定装置、3a、3b、4、13a、13b、14a、14b、23、24、32a、32b、34a、34b、36…開口部、a、…下顎用従来型マウスピース型保定装置、b、c…上顎用従来型マウスピース型保定装置

Claims (9)

  1. マウスピース型矯正保定装置であって、
    上顎用及び/又は下顎用マウスピースにそれぞれ連続した開口部を設け、
    咬合面での厚みを調節することを特徴とするマウスピース型矯正保定装置。
  2. 請求項1記載のマウスピース型矯正保定装置であって、
    上顎用マウスピースの前記開口部は、
    下顎用マウスピースの前記開口部に対向する領域以外の咬合面に設けられていることを特徴とするマウスピース型矯正保定装置。
  3. 上顎用マウスピースの前記開口部は臼歯部、又は臼歯部と犬歯部に設けられ、
    下顎用マウスピースの前記開口部は切歯部、又は切歯部と犬歯部に設けられていることを特徴とする請求項2記載のマウスピース型矯正保定装置。
  4. 請求項1記載のマウスピース型矯正保定装置であって、
    上顎用マウスピースと下顎用マウスピースの前記開口部は同じ領域の咬合面に設けられていることを特徴とするマウスピース型矯正保定装置。
  5. 前記上顎用及び下顎用マウスピースの前記開口部は、臼歯部、若しくは臼歯部と犬歯部からなる領域、又は切歯部、若しくは切歯部と犬歯部に設けられていることを特徴とする請求項4記載のマウスピース型矯正保定装置。
  6. 上顎用、又は下顎用いずれか一方を用いることを特徴とする請求項1記載のマウスピース型矯正保定装置。
  7. 透明な素材で作製されていることを特徴とする請求項1~6いずれか1項記載のマウスピース型矯正保定装置。
  8. 上顎用、下顎用で厚みの異なるマウスピースを選択しても良いことを特徴とする請求項7記載のマウスピース型矯正保定装置。
  9. 保定装置の選択方法であって、
    矯正治療終了後に臼歯部に調整が必要な圧下が見られる場合には、請求項5記載のマウスピース型矯正保定装置を選択し、
    調整が必要な圧下が認められない場合には、請求項3のマウスピース型矯正保定装置を選択することを特徴とする保定装置の選択方法。
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