JP2022171486A - 筋線維芽細胞を脱活性化するためのTcf21タンパク質の部分ペプチド - Google Patents

筋線維芽細胞を脱活性化するためのTcf21タンパク質の部分ペプチド Download PDF

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令明 平山
Noriaki Hirayama
享世 柳川
Takayo Yanagawa
純平 安田
Jumpei YASUDA
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Abstract

【課題】筋線維芽細胞を脱活性化する技術の提供。【解決手段】Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、かつ、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を脱活性化する機能を有するペプチド。【選択図】図2

Description

本発明は、筋線維芽細胞を脱活性化するためのTcf21タンパク質の部分ペプチドに関す
る。
臓器線維症とは、肝硬変に代表されるように、コラーゲンをはじめとするマトリックス成分が臓器や組織に過剰沈着し、臓器や組織の機能不全をきたした病態である。肝臓においては星細胞が主要なコラーゲン産生細胞とされ、肝臓に炎症が起きると星細胞が静止期のビタミンA貯蔵細胞からコラーゲン産生性の筋線維芽細胞へと形質転換(活性化)する
。これまでの肝線維化治療では、炎症の抑制、星細胞の活性化阻害、活性型星細胞によるコラーゲン産生の抑制など、数多くの試みがなされてきたが(例えば、特許文献1~3)、未だに臨床応用には至っていない。
一方で、肝線維症マウスを用いた近年の基礎研究により、線維化刺激を中断すると約半数の活性型星細胞が「脱活性化」して、静止期に近い状態に戻ることが報告されている(非特許文献1~2)。しかしながら、肝線維化刺激が持続する状況下において星細胞の脱活性化を人為的に誘導できるか、また脱活性化を誘導する分子機序の解明が、治療応用を目指す上での大きな課題である。
Tcf21(transcription factor 21)という転写調節因子が知られている。Tcf21は、同
じ塩基性helix-loop-helix (bHLH) 転写因子ファミリーに属するTcf3と二量体を形成し、DNAに結合することで標的遺伝子の発現を制御することが報告されている(非特許文献3
~5)。本発明者らは、胎生期の未熟な肝星細胞が機能成熟する過程で次第に発現が増加する一方で、筋線維芽細胞様に変化した活性型肝星細胞では発現が著しく低下するTcf21
に着目して、活性型肝星細胞にTcf21遺伝子及び/又はTcf21タンパク質を導入する工程を含む、活性型肝星細胞の脱活性化方法を開発し、既に報告している(特許文献4~5)。また、活性型肝星細胞の脱活性化を誘導することで、肝炎、肝線維症、肝硬変、若しくは肝がん、又はこれらのいずれかの疾患に基づく肝不全の予防又は治療ができること等も報告している(特許文献4~5、非特許文献6)。
星細胞は、肝臓だけでなく膵臓にも存在し、膵臓線維症の発症や進展において重要な役割を担うことが知られている(非特許文献7)。また、Tcf21発現細胞は、肝星細胞のみ
ならず、腎臓(非特許文献8)、肺(非特許文献9)、心臓(非特許文献10)、冠動脈(非特許文献11)に存在するコラーゲン産生細胞の起源であることも報告されている。このうち、例えば、心臓線維症(非特許文献12)や冠動脈粥状硬化症(非特許文献13)においては、活性化した筋線維芽細胞におけるTcf21の発現異常(発現量の低下)が確
認されており、冠動脈平滑筋細胞におけるTcf21発現は粥状硬化症の進展に対して抑制的
にはたらく可能性が報告されている。
特開2019-150075号公報 特開2019-108291号公報 特開2020-070250号公報 国際公開第2020/121546号 国際公開第2020/121366号
Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2012 Jun 12;109(24):9448-53. Gastroenterology., 2012 Oct;143(4):1073-1083. Mech. Dev., 1998 Apr; 73(1):23-32. Mech. Dev., 1998 Apr; 73(1):33-43. PLoS Genet., 2015 May 28;11(5):e1005155. Hepatology., 2020 Apr;71(4):1437-1452. Front .Physiol., 2018 Jun 18;9:754. J. Am. Soc. Nephrol., 2014 Nov;25(11):2459-70. Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol., 2019 May 1;316(5):L872-L885. Nat. Commun., 2016 Jul 22;7:12260. Mech. Dev., 1998 Apr;73(1):33-43. J. Clin. Invest., 2018 May 1;128(5):2127-2143. Nat. Med., 2019 Aug;25(8):1280-1289.
本発明は、筋線維芽細胞を脱活性化する技術の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、Tcf21タンパク質中の所
定のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを用いることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明に完成するに至った。本発明は以下の通りである。
本発明は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド
であり、かつ、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を脱活性化する機能を有するペプチドを提供する。
前記ペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むことを好ましい態様としている。
前記ペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであることを好ましい態様としている。
本発明は、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することができる。
本発明は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド
及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化によって予防又は治療され得る疾患の予防又は治療のための医薬組成物を提供することができる。
前記医薬組成物は、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む組成物と併用することを好ましい態様としている。
前記医薬組成物は、前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子
のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を
形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列か
らなるペプチドが、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むことを好ましい態様として
いる。
前記医薬組成物は、前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子
のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を
形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列か
らなるペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであることを好ましい態様としている。
前記医薬組成物は、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化によって予防又は治療され得る疾患が、下記(a)~(f)からなる群から選択される疾患であることを好ましい態様としている。
(a)肝炎、肝線維症、肝硬変、若しくは肝がん、又はこれらのいずれかの疾患に基づく肝不全;
(b)膵炎、若しくは膵臓線維症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく膵分泌機能不全;
(c)腎炎、腎線維症、若しくは糸球体硬化症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく腎不全;
(d)間質性肺炎、若しくは肺線維症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく呼吸不全;
(e)心筋梗塞後の線維症;心筋炎、若しくは心筋症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく心不全;
(f)動脈粥状硬化症による冠動脈狭窄、バルーン拡張術後の冠動脈の再狭窄、若しくはステント留置後の冠動脈の再狭窄、又はこれらのいずれかの疾患に基づく虚血性心疾患
本発明は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド
及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程を含む、筋線維芽細胞の脱活性化方法を提供することができる。
前記方法は、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含むことを好ましい態様としている。
前記方法は、前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペ
プチドが、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むことを好ましい態様としている。
前記方法は、前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペ
プチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであることを好ましい態様としている。
前記方法は、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が、肝臓、膵臓、腎臓、肺、心臓、及び冠動脈からなる群から選択される一又は複数の臓器若しくは組織における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞であることを好ましい態様としている。
本発明は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド
及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程を含む、脱活性化筋線維芽細胞の製造方法を提供することができる。
前記製造方法は、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含むことを好ましい態様としている。
前記製造方法は、前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からな
るペプチドが、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むことを好ましい態様としている。
前記製造方法は、前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からな
るペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであることを好ましい態様としている。
前記製造方法は、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が、肝臓、膵臓、腎臓、肺、心臓、及び冠動脈からなる群から選択される一又は複数の臓器若しくは組織における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞であることを好ましい態様としている。
本発明によれば、筋線維芽細胞を脱活性化する技術を提供することができる。また、本発明によれば、線維化した臓器や組織において筋線維芽細胞を脱活性化することによって、筋線維芽細胞が関連する様々な疾患の予防や治療が可能となる。
本発明の一態様に係る、Tcf21タンパク質とTcf3タンパク質とをそれぞれ単独又は両者を過剰発現させた場合の、野生型(WT)のCOL1A2遺伝子のプロモーター活性と変異体(dE)のCOL1A2遺伝子のプロモーター活性とを示すグラフ。 本発明の一態様に係る、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドとTcf3タンパク質とをそれぞれ単独又は両者を過剰発現させた場合の、野生型(WT)のCOL1A2遺伝子のプロモーター活性を示すグラフ。 本発明の一態様に係る、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド中の配列番号2で表されるアミノ酸配列に変異を加えた三変異体とTcf3タンパク質とを、それぞれ単独又は両者を過剰発現させた場合の、野生型(WT)のCOL1A2遺伝子のプロモーター活性を示すグラフ。
本明細書では、アミノ酸配列が異なる場合に異なる配列番号を付することはもちろんだが、アミノ酸配列が同一であっても、それが由来する対象が異なる場合、同一の配列番号を付することもあれば、異なる配列番号を付することもある。これは、塩基配列についても同様である。
<筋線維芽細胞の脱活性化方法>
本発明の一態様は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなる
ペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程を含む、筋線維芽細胞の脱活性化方法である。
本態様における、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペ
プチド(以下、本態様に係るペプチドと称することがある。)としては、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入した場合に、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、そ
れらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持
できる立体構造を形成するとともに、該筋線維芽細胞が脱活性化される限り特に制限されない。
本態様に係るペプチドのN末端のアミノ酸及びC末端のアミノ酸は特に制限されないが、前記標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持
できる立体構造を形成しやすくなる観点から、N末端のアミノ酸はロイシンであることが好ましく、また、C末端のアミノ酸はグルタミンであることが好ましい。
本態様に係るペプチドのアミノ酸配列は、投与される対象に由来するTcf21タンパク質
の部分ペプチドのアミノ酸配列であることが好ましい。
例えば、マウスのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列を基準とすることができる
。マウスのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、例えば、配列番号3で表さ
れるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_035675.1)が挙げられることから、同配列を基準とすることができる。よって、本態様に係るペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、当該対象のTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列が同定されていれば、マウス
のTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列と当該対象のTcf21タンパク質(全長)とを比較して決定することができる。
また、配列番号3で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列(KLSKL))が含まれ、また、106番目~133番目のアミ
ノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列(LPWVPPDTKLSKLDTLRLASSYIAHLRQ))が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、配列番号3で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列からなるペプチドである。
尚、対象がマウスである場合には、前記「配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列」であってよく、前記「配列番号3で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「配列番号3で表されるアミノ酸配列」であってよく、前記「配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」であってよい。
また、本明細書において「x番目のアミノ酸」とは、当該技術分野の定義に従い、アミノ酸配列におけるN末端のアミノ酸を「1番目のアミノ酸」として数えた場合に「x番目のアミノ酸」であることを示している。
対象がマウスである場合には、マウスのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列とし
て、配列番号3で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_035675.1)が挙げられることから、配列番号3で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号3で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号3で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がヒトである場合には、ヒトのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号4で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_938206.1、及び、NCBI accession No. NP_003197.2)が挙げられることから、配列番号4で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号4で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号4で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がラットである場合には、ラットのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列とし
て、配列番号5で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_001027569.1)が挙げ
られることから、配列番号5で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号5で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号5で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がイヌである場合には、イヌのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号6で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_541110.3)が挙げられることから、配列番号6で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号6で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号6で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がネコである場合には、ネコのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号7で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_006932094.1)が挙げられ
ることから、配列番号7で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号7で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号7で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がウサギである場合には、ウサギのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列とし
て、配列番号8で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_008261760.1)が挙げ
られることから、配列番号8で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号8で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号8で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がウシである場合には、ウシのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号9で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_001014899.1)が挙げられ
ることから、配列番号9で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号9で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号9で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がウマである場合には、ウマのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号10で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_001504420.1)が挙げら
れることから、配列番号10で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号10で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号10で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がヤギである場合には、ヤギのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号11で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_005684836.1)が挙げら
れることから、配列番号11で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号11で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配
列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号11で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がヒツジである場合には、ヒツジのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列とし
て、配列番号12で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_027828288.1)が挙
げられることから、配列番号12で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号12で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号12で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がブタである場合には、ブタのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列として、
配列番号13で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_020943327.1)が挙げら
れることから、配列番号13で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号13で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号13で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
対象がニワトリである場合には、ニワトリのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列
として、配列番号14で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_001264640.1)
が挙げられることから、配列番号14で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであってよい。
尚、配列番号14で表されるアミノ酸配列には、114番目~118番目のアミノ酸配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)が含まれ、また、106番目~133番目のアミノ酸配列(配列番号1で表されるアミノ酸配列)が含まれている。
そのため、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
より好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号14で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
また、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、Tcf21タンパク質
及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御で
きる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するとともに、該筋線維芽細胞が脱活性
化される限り特に制限されないが、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列に限られず、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。なお、1~複数個とは、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個、さらに好ましくは1個である。アミノ酸がN末端側及び/又はC末端側に付加される場合も同様である。
本態様に係るペプチドは、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するとともに、該筋線維芽細胞が脱活性化される限り特に制限されないが、対象がマウス、ヒト、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、又はニワトリである場合には、配列番号1で表されるアミノ酸配列は、同配列に限られず、配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。なお、1~複数個とは、次第に好ましくなる順に、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個、1個である。アミノ酸がN末端側及び/又はC末端側に付加される場合も同様である。
置換は保存的置換が好ましく、保存的置換とは、置換部位が芳香族アミノ酸である場合には、Phe、Trp、Tyr間で、置換部位が疎水性アミノ酸である場合には、Leu、Ile、Val間で、極性アミノ酸である場合には、Gln、Asn間で、塩基性アミノ酸である場合には、Lys
、Arg、His間で、酸性アミノ酸である場合には、Asp、Glu間で、ヒドロキシル基を持つアミノ酸である場合には、Ser、Thr間でお互いに置換することを指す。
保存的置換としては、具体的には、AlaからSer又はThrへの置換、ArgからGln、His又はLysへの置換、AsnからGlu、Gln、Lys、His又はAspへの置換、AspからAsn、Glu又はGlnへ
の置換、CysからSer又はAlaへの置換、GlnからAsn、Glu、Lys、His、Asp又はArgへの置換、GluからGly、Asn、Gln、Lys又はAspへの置換、GlyからProへの置換、HisからAsn、Lys
、Gln、Arg又はTyrへの置換、IleからLeu、Met、Val又はPheへの置換、LeuからIle、Met
、Val又はPheへの置換、LysからAsn、Glu、Gln、His又はArgへの置換、MetからIle、Leu
、Val又はPheへの置換、PheからTrp、Tyr、Met、Ile又はLeuへの置換、SerからThr又はAlaへの置換、ThrからSer又はAlaへの置換、TrpからPhe又はTyrへの置換、TyrからHis、Phe又はTrpへの置換、及び、ValからMet、Ile又はLeuへの置換が挙げられるが、これらに限
られない。
尚、後述するように、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含む場合には、配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列の場合でも同配列でない場合でも、Tcf21タンパク質(全長)及び/又はそれをコードするポリヌクレオチド
を、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入した場合より、該筋線維芽細胞をより脱活性化することができる。
このことは、配列番号2で表されるアミノ酸配列についても同様である。この場合、配列番号2で表されるアミノ酸配列(KLSKL)としては、同配列に限られず、例えば、ALSKL(配列番号15)であってもよく、KLSAL(配列番号16)であってもよい。1番目および4番目の残基の内、少なくとも一方の残基はKであることが望ましいが、ALSAL(配列番号
17)であってもよい。
本態様に係るペプチドは修飾されていてよい。該修飾としては、アミド化、脂質鎖の付加(脂肪族アシル化(パルミトイル化、ミリストイル化等)、プレニル化(ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化等)等)、リン酸化(セリン残基、スレオニン残基、チロシン残基等におけるリン酸化)、アセチル化、糖鎖の付加(N-グリコシル化、O-グリコシル化)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本態様に係るペプチドには、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を含む臓器や組織に選択的に運ばれるためのアミノ酸配列が付加されていてもよい。例えば、このようなアミノ酸配列として、Nature Communications 3:951 doi: 10.1038/ncomms1952.2012 Kondo
E等に記載のアミノ酸配列が挙げられる。
本態様に係るペプチドの製造方法としては、例えば、後述する本態様に係るポリヌクレオチドを用いて組換え発現ベクターを構築し、宿主に導入して発現させ、精製して製造することができる。また、人工的に合成してもよい。いずれも公知の手法を用いることができる。
Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に本態様に係るペプチドを導入する方法としては、例えば、リポソームやエクソソーム等を利用した公知の導入技術を用いることができる。
本態様における、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペ
プチドをコードするポリヌクレオチド(以下、本態様に係るポリヌクレオチドと称することがある。)としては、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、本態様に係るペプチドが産生され、本態様に係るペプチドと同様の作用を発揮する限り特に制限されない。
また、本態様に係るポリヌクレオチドの塩基配列は、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、本態様に係るペプチドが産生されれば、非翻訳領域を含んだ塩基配列でもよいし、非翻訳領域を含まない塩基配列(例えば、本態様に係るペプチドをコードするcDNA配列等)でもよい。
本態様に係るポリヌクレオチドの塩基配列は、本願出願時の当業者であれば、上述した、本態様に係るペプチドのアミノ酸配列に基づいて設定できることが容易に理解できる。
本態様に係るポリヌクレオチドは、投与される対象に由来するTcf21タンパク質の部分
ペプチドのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであることが好ましい。
例えば、マウスのTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を基
準とすることができる。例えば、マウスのTcf21タンパク質(全長)(配列番号3で表さ
れるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_035675.1))をコードするポリヌクレオチドが、一例として、配列番号18で表される塩基配列(NCBI accession No. NM_011545.2)からなるポリヌクレオチドであることから、同配列を基準とすることができる。これは、配列番号3で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよいということもできる。
尚、当該対象のTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列が同定されていれば、マウス
のTcf21タンパク質(全長)のアミノ酸配列と当該対象のTcf21タンパク質(全長)とを比較し決定したアミノ酸配列をコードする塩基配列とすることができる。
そのため、好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、配列番号3で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
尚、対象がマウスである場合には、前記「配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列」であってよく、前記「配列番号3で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「配列番号3で表されるアミノ酸配列」であってよく、前記「配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」であってよい。
対象がマウスである場合には、マウスのTcf21タンパク質(全長)(配列番号3で表さ
れるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_035675.1))をコードするポリヌクレオチドが、一例として、配列番号18で表される塩基配列(NCBI accession No. NM_011545.2)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号3で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号3で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がヒトである場合には、ヒトのTcf21タンパク質(全長)(配列番号4で表される
アミノ酸配列(NCBI accession No. NP_938206.1、又は、NCBI accession No. NP_003197.2))をコードするポリヌクレオチドが、一例として、配列番号19で表される塩基配列(NCBI accession No. NM_198392.3)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号19で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号4で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がラットである場合には、ラットのTcf21タンパク質(全長)(配列番号5で表さ
れるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_001027569.1)をコードするポリヌクレオチ
ドが、一例として、配列番号20で表される塩基配列(NCBI accession No. NM_001032397.1)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号20で表されるアミノ酸配列中
の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号5で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がイヌである場合には、イヌのTcf21タンパク質(全長)(配列番号6で表される
アミノ酸配列(NCBI accession No. XP_541110.3)をコードするポリヌクレオチドが、一例として、配列番号21で表される塩基配列(NCBI accession No. XM_541110.7)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号21で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号6で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がネコである場合には、ネコのTcf21タンパク質(全長)(配列番号7で表される
アミノ酸配列(NCBI accession No. XP_006932094.1)をコードするポリヌクレオチドが
、一例として、配列番号22で表される塩基配列(NCBI accession No. XM_006932032.4
)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号22で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号7で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がウサギである場合には、ウサギのTcf21タンパク質(全長)(配列番号8で表さ
れるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_008261760.1)をコードするポリヌクレオチ
ドが、一例として、配列番号23で表される塩基配列(NCBI accession No. XM_008263538.2)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号23で表されるアミノ酸配列中
の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号8で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がウシである場合には、ウシのTcf21タンパク質(全長)(配列番号9で表される
アミノ酸配列(NCBI accession No. NP_001014899.1)をコードするポリヌクレオチドが
、一例として、配列番号24で表される塩基配列(NCBI accession No. NM_001014899.1
)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号24で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号9で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がウマである場合には、ウマのTcf21タンパク質(全長)(配列番号10で表され
るアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_001504420.1)をコードするポリヌクレオチド
が、一例として、配列番号25で表される塩基配列(NCBI accession No. XM_001504370.6)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号25で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドで
あってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号10で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がヤギである場合には、ヤギのTcf21タンパク質(全長)(配列番号11で表され
るアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_005684836.1)をコードするポリヌクレオチド
が、一例として、配列番号26で表される塩基配列(NCBI accession No XM_005684779.3)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号26で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号11で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がヒツジである場合には、ヒツジのTcf21タンパク質(全長)(配列番号12で表
されるアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_027828288.1)をコードするポリヌクレオ
チドが、一例として、配列番号27で表される塩基配列(NCBI accession No. XM_027972487.1)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号27で表されるアミノ酸配列
中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号12で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からな
るポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がブタである場合には、ブタのTcf21タンパク質(全長)(配列番号13で表され
るアミノ酸配列(NCBI accession No. XP_020943327.1)をコードするポリヌクレオチド
が、一例として、配列番号28で表される塩基配列(NCBI accession No. XM_021087668.1)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号28で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドで
あってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号13で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
対象がニワトリである場合には、ニワトリのTcf21タンパク質(全長)(配列番号14
で表されるアミノ酸配列(NCBI accession No. NP_001264640.1)をコードするポリヌク
レオチドが、一例として、配列番号29で表される塩基配列(NCBI accession No. NM_001277711.1)からなるポリヌクレオチドであるところ、配列番号29で表されるアミノ酸
配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであってよい。
好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
より好ましくは、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号14で表されるアミノ酸配列中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、
さらに好ましくは、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
また、既出の通り、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列に限られず、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドであってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
また、既出の通り、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列に限られず、配列番号1で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
また、既出の通り、対象がマウス、ヒト、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、又はニワトリである場合には、配列番号1で表されるアミノ酸配列は、同配列に限られず、配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドであってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
また、既出の通り、対象がマウス、ヒト、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、
ヤギ、ヒツジ、ブタ、又はニワトリである場合には、配列番号1で表されるアミノ酸配列は、同配列に限られず、配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
また、既出の通り、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含む場合には、配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列の場合でも同配列でない場合でも、Tcf21タンパク質(全長)及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを
、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入した場合より、該筋線維芽細胞をより脱活性化することができる。
既出の通り、配列番号2で表されるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列をコードする塩基配列は、本願出願時の当業者であれば容易に設定できる。このことは、配列番号2で表されるアミノ酸配列についても同様である。
本態様に係るポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する方法としては、例えば、本態様に係るポリヌクレオチドを含む、発現ベクターやアデノ随伴ウイルスなどを作製し、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入し、本態様に係るペプチドを強制発現させるなどの公知の方法を用いることができる。
本態様における筋線維芽細胞は、Tcf3タンパク質を発現し、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドが導入された場合に脱活性化する限り、それが存在する又は由来する対象や臓器、組織等は特に制限されない。例えば、対象の臓器又は組織中にあって採取されていない状態の筋線維芽細胞でもよいし、対象の臓器又は組織から採取した直後の筋線維芽細胞でもよいし、筋線維芽細胞の初代培養細胞もしくは培養細胞株でもよい。すなわち、系は問わず、例えば、in vivo系、in vitro系、ex vivo系のいずれであってもよい。
本態様における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が存在する又は由来する対象としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等の哺乳動物や、ニワトリ等の鳥類などが挙げられる。好ましくはヒト、マウス、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等の哺乳動物であり、より好ましくはヒト、マウス、イヌ、又はネコ等であり、さらに好ましくはヒト又はマウスであり、最も好ましくはヒトである。また、前記対象は、対象(ただし、ヒトを除く。)であってもよい。また、対象の齢、性別は問わない。
尚、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する場合であって、該筋線維芽細胞が対象の臓器又は組織中にあって採取されていない状態の筋線維芽細胞である場合には、該筋線維芽細胞は、一の臓器及び/又は一の組織に存在する筋線維芽細胞であってもよく、複数の臓器及び/又は複数の組織に存在する筋線維芽細胞であってもよい。
また、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する場合であって、該筋線維芽細胞が、対象の臓器又は組織から採取した直後の筋線維芽細胞や、筋線維芽細胞の初代培養細胞もしくは培養細胞株である場合には、該筋線維芽細胞は、一の対象に由来する筋線維芽細胞であってもよく、複数の対象に由来する筋線維芽細胞であってもよい。また、一の臓器及び/又は一の組織に由来する筋線維芽細胞であってもよく、複数の臓器及び/又は複数の組織に由来する筋線維芽細胞であってもよい。
本態様における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が存在する又は由来する臓器
としては、背景技術に記載した通り、Tcf21の存在量を増加させることで脱活性化させる
ことができる、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が存在する又は由来する臓器であり、例えば、肝臓、膵臓、腎臓、肺、心臓等が挙げられる。
尚、肝臓に存在する又は由来する筋線維芽細胞は、活性型肝星細胞と称されることがある。また、膵臓に存在する又は由来する筋線維芽細胞は、活性型膵星細胞と称されることがある。
本態様における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が存在する又は由来する組織としては、背景技術に記載した通り、Tcf21の存在量を増加させることで脱活性化させる
ことができる、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が存在する又は由来する組織であり、例えば、冠動脈等が挙げられる。
また、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の初代培養細胞もしくは培養細胞株には、試験等のために静止期細胞を活性化した細胞も含まれる。例えば、静止期の細胞を培養皿上で培養することで活性化させた初代培養筋線維芽細胞や、上述した静止期細胞に筋線維芽細胞のマーカー遺伝子を強制発現させた培養筋線維芽細胞株などが挙げられる。後者の作製方法としては、例えば、筋線維芽細胞のマーカー遺伝子を哺乳類細胞に導入するためのプラスミドやウイルスベクターなどに組み込み、リポフェクション等の通常の方法にて、細胞にトランスフェクションして得られた細胞等が挙げられる。トランスフェクションは一過的でも安定的でもよい。
本態様に係るペプチドは、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質の標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するものである。
前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質の標的遺伝子としては、臓器や組織において
線維化に関与する遺伝子や、静止期細胞のマーカー遺伝子等が挙げられる。また、このような標的遺伝子の機能を制御するとは、該標的遺伝子の発現を増強することであってよく、低下させることであってもよい。
本態様では、臓器や組織を線維化する方へ関与する標的遺伝子の発現を低下させることが好ましい。このような標的遺伝子としては、例えば、Col1a1遺伝子、Col1a2遺伝子、Acta2遺伝子等が挙げられる。
例えば、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞において、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入した後のCol1a1遺伝子の発現量は、例えば、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入する前の発現量を1として、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下、よりさらに好ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
例えば、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞において、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入した後のcol1a2遺伝子の発現量は、例えば、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入する前の発現量を1として、次第に好ましくなる順に、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.425以下、0.41以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上であ
る。
例えば、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞において、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入した後のActa2遺伝子の発現量は、例えば、
本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入する前の発現量を1として、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下、よりさらに好ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
また、臓器や組織において、静止期細胞のマーカー遺伝子の発現を増強することも好ましい。このようなマーカー遺伝子としては、例えば、Gfap遺伝子、Ngfr遺伝子等が挙げられる。
例えば、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞において、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入した後のGfap遺伝子の発現量は、例えば、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入する前の発現量を1
として、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上、より
さらに好ましくは3.0以上である。一方で、上限は特に制限されないが、例えば、20以下
である。
例えば、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞において、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入した後のNgfr遺伝子の発現量は、例えば、本態様に係るペプチド及び/又は本態様に係るポリヌクレオチドを導入する前の発現量を1
として、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上、より
さらに好ましくは3.0以上である。一方で、上限は特に制限されないが、例えば、20以下
である。
標的遺伝子の発現の制御を確認する方法としては、常法を用いることができ、例えばmRNAや、遺伝子産物であるタンパク質の発現量を測定する公知の方法が挙げられる。
mRNAの発現量は、例えばRT-PCR法、定量PCR法、マイクロアレイ法、ノーザンブロット法で確認することができる。また、標的遺伝子のプロモーター活性を評価することでも可能であり、例えば、後述する実施例のように、ルシフェラーゼ遺伝子を含むルシフェラーゼレポーターベクターに標的遺伝子のプロモーター断片を組み込み、ルシフェラーゼ活性を評価することでも確認できる。
また遺伝子産物であるタンパク質の発現量は、例えばウェスタンブロット、ELISAなどで確認することができる。
したがって、本態様は、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程後に、前記標的遺伝子の発現量を測定する工程を含んでもよい。
Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを導入する工程における、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドの導入量は、対象の臓器又は組織から採取した直後の筋線維芽細胞を対象にする場合も、初代培養筋線維芽細胞や培養筋線維芽細胞株を対象にする場合も、細胞への遺伝子導入やタンパク質導入において通常用いられる導入量であってよい。
尚、対象の臓器又は組織中にあって採取されていない状態の筋線維芽細胞に、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを導入する場合は、後述する医薬組成物を対象に投与する場合と等価であるとして、後述する医薬組成物の説明を援用する。
本態様では、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含むことが好ましい。
背景技術に記載した通り、Tcf21は、同じ塩基性helix-loop-helix (bHLH) 転写因子フ
ァミリーに属するTcf3と二量体を形成し、DNAに結合することで標的遺伝子の発現を制御
するところ、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞においてTcf3タンパク質をさらに発現させることにより、該筋線維芽細胞がより脱活性化されるからである。
Tcf3タンパク質は、投与される対象に由来するTcf3タンパク質であることが好ましい。
例えば、マウスのTcf3タンパク質のアミノ酸配列を基準とすることができる。尚、当該対象のTcf3タンパク質のアミノ酸配列が同定されていれば、マウスのTcf3タンパク質のアミノ酸配列と当該対象のTcf3タンパク質とを比較して決定することができる。
例えば、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のア
ミノ酸配列に相当するアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられるが、このほかにも、後述する、NCBI accession No.で特定されるマウスTcf3タンパク質のいずれかのアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。
尚、対象がマウスである場合には、前記「NCBI accession No. NP_001157619.1で特定
されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列」であっ
てよく、前記「後述する、NCBI accession No.で特定されるマウスTcf3タンパク質のいずれかのアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「後述する、NCBI accession No.で特定されるマウスTcf3タンパク質のいずれかのアミノ酸配列」であってよい。
対象がマウスである場合には、例えば、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定さ
れるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001157620.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001157621.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001157622.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001157623.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001157624.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001157625.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_035678.3で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001365832.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001365833.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession
No. NP_001365834.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001365837.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001365839.1で特定
されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001365841.1で特定されるマウスTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001365842.1、NCBI accession No. NP_001365843.1で特定されるマウスTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がヒトである場合には、例えば、NCBI accession No. NP_003191.1で特定されるヒトTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001129611.1で特定されるヒトTcf3タンパク
質、NCBI accession No. NP_001338707.1で特定されるヒトTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001338708.1で特定されるヒトTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がラットである場合には、例えば、NCBI accession No. NP_598208.2で特定されるラットTcf3タンパク質、NCBI accession No. NP_001030314.1で特定されるラットTcf3タ
ンパク質等が挙げられる。
対象がイヌである場合には、例えば、NCBI accession No. XP_038285196.1で推定され
るイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285199.1で推定されるイヌTcf3タン
パク質、NCBI accession No. XP_038285200.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285201.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285202.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285203.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285204.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285205.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285206.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285207.1で推定されるイヌTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_038285211.1で推定されるイヌTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がネコである場合には、例えば、NCBI accession No. XP_023098869.1で推定され
るネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098878.1で推定されるネコTcf3タン
パク質、NCBI accession No. XP_023098880.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098881.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098887.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098895.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098902.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098911.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098919.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098928.1で推定されるネコTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023098955.1で推定されるネコTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がウシである場合には、例えば、NCBI accession No. NP_001179627.1で特定され
るウシTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がウマである場合には、例えば、NCBI accession No. XP_023502072.1で推定され
るウマTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023502073.1で推定されるウマTcf3タン
パク質、NCBI accession No. XP_023502074.1で推定されるウマTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023502075.1で推定されるウマTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023502076.1で推定されるウマTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023502077.1で推定されるウマTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023502079.1で推定されるウマTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_023502080.1で推定されるウマTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がヤギである場合には、例えば、NCBI accession No. XP_017905900.1で推定され
るヤギTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_017905901.1で推定されるヤギTcf3タン
パク質、NCBI accession No. XP_017905902.1で推定されるヤギTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_017905903.1で推定されるヤギTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_017905904.1で推定されるヤギTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がヒツジである場合には、例えば、NCBI accession No. XP_027826020.1で推定さ
れるヒツジTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_027826021.1で推定されるヒツジTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_027826022.1で推定されるヒツジTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_027826023.1で推定されるヒツジTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_027826024.1で推定されるヒツジTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_027826025.1で推定されるヒツジTcf3タンパク質、NCBI accession No. XP_027826026.1で推定されるヒツジTcf3タンパク質等が挙げられる。
対象がブタである場合には、例えば、NCBI accession No. ALS88204.1で特定されるブ
タTcf3タンパク質、NCBI accession No. ALS88207.1で特定されるブタTcf3タンパク質等
が挙げられる。
対象がニワトリである場合には、例えば、NCBI accession No. NP_989817.2で特定されるニワトリTcf3タンパク質等が挙げられる。
また、Tcf3タンパク質は、既出の通り、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定さ
れるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を基準とすれば、次の態様とすることができる。
Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するとともに、該筋線維芽細胞がより脱活性化さ
れる限り特に制限されないが、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列に限られず、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。
また、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミ
ノ酸配列に相当するアミノ酸配列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。なお、1~複数個とは、好ましくは1~65個、より好ましくは1~30個、さらに好ましくは10個である。アミノ酸がN末端側及び/又はC末端側に付加される場合も同様である。
このことは、既出の他のマウスTcf3タンパク質を基準とした場合にも同様である。
対象がマウスである場合であって、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定される
マウスTcf3タンパク質を例に挙げれば、次の態様とすることができる。
Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するとともに、該筋線維芽細胞がより脱活性化される限り特に制限されないが、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列は、同配列に限られず、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。
また、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミ
ノ酸配列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。なお、1~複数個とは、好ましくは1~65個、より好ましくは1~30個、さらに好ましくは10個である。アミノ酸がN末端側及び/又はC末端側に付加される場合も同様である。
このことは、既出の他のマウスTcf3タンパク質についても同様である。
対象がヒトである場合には、NCBI accession No. NP_003191.1で特定されるヒトTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のヒトTcf3タンパク質についても同様である。
対象がラットである場合には、NCBI accession No. NP_598208.2で特定されるラットTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のラットTcf3タンパク質についても同様である。
対象がイヌである場合には、NCBI accession No. XP_038285196.1で推定されるイヌTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である
。このことは、既出の他のイヌTcf3タンパク質についても同様である。
対象がネコである場合には、NCBI accession No. XP_023098869.1で推定されるネコTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である
。このことは、既出の他のネコTcf3タンパク質についても同様である。
対象がウシである場合には、NCBI accession No. NP_001179627.1で特定されるウシTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である
。このことは、既出の他のウシTcf3タンパク質についても同様である。
対象がウマである場合には、NCBI accession No. XP_023502072.1で推定されるウマTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である
。このことは、既出の他のウマTcf3タンパク質についても同様である。
対象がヤギである場合には、NCBI accession No. XP_017905900.1で推定されるヤギTcf
3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である
。このことは、既出の他のヤギTcf3タンパク質についても同様である。
対象がヒツジである場合には、NCBI accession No. XP_027826020.1で推定されるヒツ
ジTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のヒツジTcf3タンパク質についても同様である。
対象がブタである場合には、NCBI accession No. ALS88204.1で特定されるブタTcf3タ
ンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のブタTcf3タンパク質についても同様である。
対象がニワトリである場合には、NCBI accession No. NP_989817.2で特定されるニワトリTcf3タンパク質を例に挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のニワトリTcf3タンパク質についても同様である。
Tcf3タンパク質について、保存的置換に関する説明、タンパク質の修飾に関する説明、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を含む臓器や組織に選択的に運ばれるためのアミノ酸配列に関する説明、製造方法に関する説明、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する方法に関する説明、筋線維芽細胞への導入量に関する説明等については、本態様に係るペプチドについて記載した既出の説明を援用する。
Tcf3タンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、Tcf3タンパク質が産生され、Tcf3タンパク質と同様の作用を発揮する限り特に制限されない。
また、Tcf3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入された場合に、Tcf3タンパク質が産生されれば、非翻訳領域を含んだ塩基配列でもよいし、非翻訳領域を含まない塩基配列(例えば、Tcf3タンパク質をコードするcDNA配列等)でもよい。
Tcf3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、本願出願時の当業者であれば、上述した、Tcf3タンパク質のアミノ酸配列に基づいて設定できることが容易に理解できる。
Tcf3タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、投与される対象に由来するTcf3タンパク質のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであることが好ましい。
例えば、Tcf3タンパク質として、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマ
ウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を基準とすることができる。この場合、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のア
ミノ酸配列に相当するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
尚、対象がマウスである場合には、前記「NCBI accession No. NP_001157619.1で特定
されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列」とは、「NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質のアミノ酸配列」であっ
てよい。
対象がマウスである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. NP_001157619.1
で特定されるマウスTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. NM_001164147.2で特定されるポリヌク
レオチドが挙げられる。
対象がヒトである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. NP_003191.1で特定されるヒトTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. NM_003200.5で特定されるポリヌクレオチドが挙げられる。
対象がラットである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. NP_598208.2で特定されるラットTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. NM_133524.2で特定されるポリヌクレオチドが挙げられる。
対象がイヌである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. XP_038285196.1で
推定されるイヌTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. XM_038429268.1で推定されるポリヌクレオ
チドが挙げられる。
対象がネコである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. XP_023098869.1で
推定されるネコTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. XM_023243101.1で推定されるポリヌクレオ
チドが挙げられる。
対象がウシである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. NP_001179627.1で
特定されるウシTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. NM_001192698.1で特定されるポリヌクレオ
チドが挙げられる。
対象がウマである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. XP_023502072.1で
推定されるウマTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. XM_023646304.1で推定されるポリヌクレオ
チドが挙げられる。
対象がヤギである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. XP_017905900.1で
推定されるヤギTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. XM_018050411.1で推定されるポリヌクレオ
チドが挙げられる。
対象がヒツジである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. XP_027826020.1
で推定されるヒツジTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. XM_027970219.1で推定されるポリヌク
レオチドが挙げられる。
対象がブタである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. ALS88204.1で特定
されるブタTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. KR818872.1で特定されるポリヌクレオチドが挙
げられる。
対象がニワトリである場合には、Tcf3タンパク質がNCBI accession No. NP_989817.2で特定されるニワトリTcf3タンパク質である場合を例に挙げれば、それをコードするポリヌクレオチドは、一例として、NCBI accession No. NM_204486.2で特定されるポリヌクレオチドが挙げられる。
また、既出の通り、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるTcf3タンパク質
のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列に限られず、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列と80
%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以
上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
また、既出の通り、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるTcf3タンパク質
のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列は、同配列に限られず、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるTcf3タンパク質のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列のうち
1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
このことは、既出の他のマウスTcf3タンパク質を基準とした場合にも同様である。
また、既出の通り、対象がマウスである場合には、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質は、同配列に限られず、同タンパク質のアミノ酸配
列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
また、既出の通り、対象がマウスである場合には、NCBI accession No. NP_001157619.1で特定されるマウスTcf3タンパク質は、同配列に限られず、同タンパク質のアミノ酸配
列のうち1~複数個のアミノ酸が置換若しくは欠失、又は1~複数個のアミノ酸が挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよいことから、これに従って、該ポリヌクレオチドの塩基配列を設計してよい。
このことは、既出の他のマウスTcf3タンパク質を例に挙げた場合にも同様である。
対象がヒトである場合には、NCBI accession No. NP_003191.1で特定されるヒトTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のヒトTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がラットである場合には、NCBI accession No. NP_598208.2で特定されるラットTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のラットTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がイヌである場合には、NCBI accession No. XP_038285196.1で推定されるイヌTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様
である。このことは、既出の他のイヌTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がネコである場合には、NCBI accession No. XP_023098869.1で推定されるネコTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様
である。このことは、既出の他のネコTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がウシである場合には、NCBI accession No. NP_001179627.1で特定されるウシTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様
である。このことは、他のウシTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がウマである場合には、NCBI accession No. XP_023502072.1で推定されるウマTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様
である。このことは、既出の他のウマTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がヤギである場合には、NCBI accession No. XP_017905900.1で推定されるヤギTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様
である。このことは、既出の他のヤギTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がヒツジである場合には、NCBI accession No. XP_027826020.1で推定されるヒツ
ジTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のヒツジTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がブタである場合には、NCBI accession No. ALS88204.1で特定されるブタTcf3タ
ンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、既出の他のブタTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
対象がニワトリである場合にはNCBI accession No. NP_989817.2で特定されるニワトリTcf3タンパク質を基準として挙げることができ、対象がマウスである場合の上記説明と同様である。このことは、他のニワトリTcf3タンパク質を基準として挙げた場合にも同様である。
Tcf3タンパク質をコードするポリヌクレオチドについて、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する方法に関する説明、筋線維芽細胞への導入量に関する説明等については、本態様に係るポリヌクレオチドについて記載した既出の説明を援用する。
<脱活性化筋線維芽細胞の製造方法>
前記態様に係る、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化方法によって、脱活性型筋線維芽細胞を製造することができる。そのため、本発明の他の一態様は、Tcf21
タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機
能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21
タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程を含む、脱活性化筋線維芽細胞の製造方法である。
尚、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が対象の臓器又は組織中にあって採取されていない状態の筋線維芽細胞である場合には、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを導入した後に、適宜、その一部又は全部が生体外に摘出されてもよい。
Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は
それをコードするポリヌクレオチドに関する説明、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に関する説明、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプ
チド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程に関する説明等については、前記態様で記載した内容を援用する。
本態様では、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tc
f3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含むことが好ましい。
Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドに関する説明、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程に関する説明等については、前記態様で記載した内容を援用する。
また、本態様は、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程後に、前記標的遺伝子の発現量を測定する工程を含んでよい。
前記標的遺伝子に関する説明、前記標的遺伝子の発現量を測定する工程に関する説明等については、前記態様で記載した内容を援用する。
<脱活性型筋線維芽細胞のスクリーニング方法>
本発明の他の一態様は、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを導入する工程を含む、脱活性型筋線維芽細胞のスクリーニング方法である。本方法によってスクリーニングされる脱活性型筋線維芽細胞は、脱活性型筋線維芽細胞の候補である細胞であってもよい。
尚、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が対象の臓器又は組織中にあって採取されていない状態の筋線維芽細胞である場合には、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを導入した後に、適宜、その一部又は全部が生体外に摘出されてもよい。
前記スクリーニング方法は、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドが導入された筋線維芽細胞において、前記標的遺伝子の発現量を測定する工程を含むことが好ましい。尚、本態様に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドが導入された筋線維芽細胞において、該ポリヌクレオチドの発現活性を測定する工程を含むことも好ましい。また、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドが導入された筋線維芽細胞において、本態様に係るペプチドの発現量を測定する工程を含んでも構わない。
本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドが導入された筋線維芽細胞における、前記標的遺伝子の発現量及びその測定方法に関する説明、本態様に係るペプチドの発現量及びその測定方法に関する説明等については、前記態様で記載した内容を援用する。
脱活性型筋線維芽細胞の選別は、公知の細胞選別法を用いていることができる。例えば、本態様に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターに、蛍光タンパク質を発現するレポーター遺伝子を連結し、細胞への導入後にその蛍光強度を指標にして、脱活性型筋線維芽細胞を選別する方法等が挙げられる。また、蛍光タンパクが融合された本態様に係るペプチドを細胞へ導入した後、その蛍光強度を指標にして、脱活性型筋線維芽細胞を選別する方法等が挙げられる。いずれも、蛍光強度を指標にして脱活性型筋線維芽細胞を選別する方法の具体例としては、FACS技術等が挙げられる。
<医薬組成物>
本発明の他の一態様は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子
のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を
形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列か
らなるペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化によって予防又は治療され得る疾患の予防又は治療のための医薬組成物である。
Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は
それをコードするポリヌクレオチドに関する説明、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に関する説明、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化に関する説明等については、前記態様で記載した内容を援用する。
前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化によって予防又は治療され得る疾患としては、例えば、下記が挙げられる。
(a)前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が肝臓に存在する場合には、肝炎、肝線維症、肝硬変、若しくは肝がん、又はこれらのいずれかの疾患に基づく肝不全等が挙げられる。肝炎の具体例としては、ウイルス性肝炎、薬剤性肝炎、自己免疫性肝炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)等が挙げられる。また、肝線維症及び肝硬変の具体例としては、前記の肝炎を引き起こす各疾患の他、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、先天性胆道閉鎖症、総胆管狭窄型膵炎、肝うっ血、金属代謝異常等が挙げられる。
(b)前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が膵臓に存在する場合には、膵炎、若しくは膵臓線維症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく膵分泌機能不全等が挙げられる。膵炎の具体例としては、アルコール性膵炎、自己免疫性膵炎;胆石症に合併する膵炎;脂質異常症に続発する膵炎等が挙げられる。膵臓線維症の具体例としては、前記の膵炎を引き起こす各疾患の他、糖尿病、膵管閉塞等が挙げられる。膵分泌機能不全は、膵外分泌機能不全であってもよいし、膵内分泌機能不全であってもよいし、両者でもよい。
(c)前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が腎臓に存在する場合には、腎炎、腎線維症、若しくは糸球体硬化症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく腎不全等が挙げられる。腎炎の具体例としては、糸球体腎炎、間質性腎炎等が挙げられる。腎線維症及び糸球体硬化症の具体例としては、前記の腎炎を引き起こす各疾患の他、糖尿病性腎症;尿路閉塞に伴う腎線維症等が挙げられる。
(d)前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が肺に存在する場合には、間質性肺炎、若しくは肺線維症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく呼吸不全等が挙げられる。間質性肺炎及び肺線維症の具体例としては、特発性間質性肺炎;膠原病に合併する間質性肺炎;細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、薬剤性肺炎、放射線性肺炎、アスベスト肺;環境中有害物質による間質性肺炎等が挙げられる。
(e)前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が心臓に存在する場合には、心筋梗塞後の線維症;心筋炎、若しくは心筋症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく心不全等が挙げられる。心筋炎の具体例としては、ウイルス性心筋炎、薬剤性心筋炎等が挙げられる。心筋症は、特発性心筋症であってもよいし、続発性心筋症であってもよい。
(f)前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が冠動脈に存在する場合には、動脈粥状硬化症による冠動脈狭窄、バルーン拡張術後の冠動脈の再狭窄、若しくはステント留置後の冠動脈の再狭窄、又はこれらのいずれかの疾患に基づく虚血性心疾患等が挙げられる。
(a1)本態様に係る医薬組成物は、肝臓の抗線維化作用を有しているため、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が肝臓に存在する場合には、肝臓の抗線維化用医薬組成
物や、肝機能改善用医薬組成物とすることができる。
例えば、本態様に係る医薬組成物が投与された対象は、投与されなかった対象に比べて、肝機能の指標である、血清中のALTやASTの値が小さい。
このとき、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のALTは、投与されなかった対象
のALTを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以
下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
また、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のASTは、投与されなかった対象のASTを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
(b1)本態様に係る医薬組成物は、膵臓の抗線維化作用を有しているため、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が膵臓に存在する場合には、膵臓の抗線維化用医薬組成物や、膵機能改善用医薬組成物とすることができる。
例えば、本態様に係る医薬組成物が投与された対象は、投与されなかった対象に比べて、膵機能の指標である、血清中のアミラーゼ、エラスターゼ、リパーゼの値が小さい。
このとき、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のアミラーゼは、投与されなかった対象のアミラーゼを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好
ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
また、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のエラスターゼは、投与されなかった対象のエラスターゼを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好
ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
同様に、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のリパーゼは、投与されなかった対象のリパーゼを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましく
は0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
(c1)本態様に係る医薬組成物は、腎臓の抗線維化作用を有しているため、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が腎臓に存在する場合には、腎臓の抗線維化用医薬組成物や、腎機能改善用医薬組成物とすることができる。
例えば、本態様に係る医薬組成物が投与された対象は、投与されなかった対象に比べて、腎機能の指標である、血清中の尿素窒素、クレアチニン、糸球体濾過量の値が小さい。
このとき、本態様に係る医薬組成物が投与された対象の尿素窒素は、投与されなかった対象の尿素窒素を1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好まし
くは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
また、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のクレアチニンは、投与されなかった対象のクレアチニンを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好
ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
同様に、本態様に係る医薬組成物が投与された対象の糸球体濾過量は、投与されなかった対象の糸球体濾過量を1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに
好ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
(d1)本態様に係る医薬組成物は、肺の抗線維化作用を有しているため、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が肺に存在する場合には、肺の抗線維化用医薬組成物や、肺機能改善用医薬組成物とすることができる。
例えば、本態様に係る医薬組成物が投与された対象は、投与されなかった対象に比べて、肺機能の指標である、動脈血中の酸素分圧、酸素飽和度、肺活量の値が大きい。
このとき、本態様に係る医薬組成物が投与された対象の動脈血中酸素分圧は、投与されなかった対象の動脈血中酸素分圧を1として、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以
上、さらに好ましくは1.5以上である。一方で、上限は特に制限されないが、例えば、3.0以下である。
また、本態様に係る医薬組成物が投与された対象の動脈血中酸素飽和度は、投与されなかった対象の動脈血中酸素飽和度を1として、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以
上、さらに好ましくは1.5以上である。一方で、上限は特に制限されないが、例えば、3.0以下である。
同様に、本態様に係る医薬組成物が投与された対象の肺活量は、投与されなかった対象の肺活量を1として、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.5以上である。一方で、上限は特に制限されないが、例えば、3.0以下である。
(e1)本態様に係る医薬組成物は、心臓の抗線維化作用を有しているため、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が心臓に存在する場合には、心臓の抗線維化用医薬組成物や、心機能改善用医薬組成物とすることができる。
例えば、本態様に係る医薬組成物が投与された対象は、投与されなかった対象に比べて、心機能の指標である、血清中のCPK、トロポニン、BNPの値が小さい。
このとき、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のCPKは、投与されなかった対象
のCPKを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以
下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
また、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のトロポニンは、投与されなかった対象のトロポニンを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好まし
くは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
同様に、本態様に係る医薬組成物が投与された対象のBNPは、投与されなかった対象のBNPを1として、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以下である。一方で、下限は特に制限されないが、例えば、0.1以上である。
(f1)本態様に係る医薬組成物は、冠動脈の抗粥状硬化作用を有しているため、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が冠動脈に存在する場合には、冠動脈の抗粥状硬化用医薬組成物や、冠動脈血流改善用医薬組成物とすることができる。
例えば、本態様に係る医薬組成物が投与された対象は、投与されなかった対象に比べて、冠動脈の粥状硬化、冠動脈の血流の指標である、冠動脈内径が拡張する。
このとき、本態様に係る医薬組成物が投与された対象の冠動脈内径は、投与されなかった対象の冠動脈内径を1として、好ましくは10以上、より好ましくは50以上、さらに好ま
しくは100以上である。一方で、上限は特に制限されないが、例えば、1,000以下である。
本態様の医薬組成物は、本態様に係るペプチド及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含有する。本態様に係るペプチドの具体的形態としては、例えば、本態様に係るペプチドを含む、リポソームやエクソソーム等が挙げられる。本態様に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドの具体的形態としては、例えば、本態様に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクターやアデノ随伴ウイルス等が挙げられる。
本態様に係る医薬組成物は、通常、生理的に許容される液体又は固体の製剤担体を配合し製剤化して使用される。
本態様に係る医薬組成物の剤形は特に制限されず、具体的には、液剤、懸濁剤、乳剤、及び注射剤等を例示できる。また、製剤化にあたっては、製剤担体として通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、又は注射剤用溶剤等の添加剤や、標的細胞への伝達手段としてのリポソームやエクソソーム等を使用することができる。
本態様に係る医薬組成物の投与量は、剤形、用法、対象の齢、性別、体重、疾患の種類、疾患の程度、症状、投与経路、投与スケジュール、製剤形態などにより適宜選択できる。
本態様に係るペプチドを投与する場合の量としては、例えば、体重比で好ましくは0.1
mg/kg以上、より好ましくは1 mg/kg以上、さらに好ましくは10 mg/kg以上であり、一方で、好ましくは1,000 mg/kg以下、より好ましくは500 mg/kg以下、さらに好ましくは100 mg/kg以下である。
本態様に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与する場合の量としては、例えば、体重比でアデノ随伴ウイルスゲノム量に換算した量で、好ましくは1×1010ウイル
スゲノム/kg以上、より好ましくは1×1011ウイルスゲノム/kg以上、さらに好まし
くは1×1012ウイルスゲノム/kg以上であり、一方で、好ましくは1×1016ウイルスゲノム/kg以下、より好ましくは1×1015ウイルスゲノム/kg以下、さらに好ましくは1×1014ウイルスゲノム/kg以下である。
投与経路としては、経口投与や直腸内注入が挙げられ、また、注射の場合には皮下注射、筋肉内注射、末梢静脈注射、肝動脈内注射、腹腔内注射等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
本態様に係る医薬組成物の投与時期は特に限定されず、対象となる疾患の予防方法又は治療方法に従って、適宜投与時期を選択することが可能である。また、予防的に投与してもよく、維持療法に用いてもよい。また、投与形態は製剤形態、対象の齢、性別、その他の条件、対象の症状の程度等に応じて決定されることが好ましい。なお、本態様に係る医薬組成物は、いずれの場合も1日1回又は複数回に分けて投与することができ、また、数日又は数週間に1回の投与としてもよい。さらに、治療効果を評価しながらの不定期投与でもよい。
本態様に係る医薬組成物は、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む組成物と併用することが好ましい。Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、好ましくは、医薬組成物である。
Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドに関する説明、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドの具体的形態に関する説明については、本態様に係るペプチドについて記載した既出の説明や、本態様に係るポリヌクレオチドについて記載した既出の説明を援用する。
また、Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む組成物の剤形、製剤化にあたっての添加剤、標的細胞への伝達手段、投与量、投与経路、投与時期、投与形態に関する説明等については、本態様に係る医薬組成物について記載した既出の説明を援用する。
本態様に係る医薬組成物は、単独で投与してもよいし、他の医薬組成物又は医薬と併用してもよい。また、前記Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む組成物と併用する場合であっても、他の医薬組成物又は医薬と併用してもよい。
<ペプチド>
本発明の他の一態様は、Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子
のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を
形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列か
らなるペプチドであり、かつ、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を脱活性化する機能を有するペプチドである。
本態様に係るペプチドは、好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む。
また、本態様に係るペプチドは、好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
本態様の詳細は、本態様に係るペプチドについて記載した既出の説明を援用する。
<ポリヌクレオチド>
本発明の他の一態様は、前記態様に係る「Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、そ
れらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持
できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下
のアミノ酸配列からなるペプチドであり、かつ、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を脱活性化する機能を有するペプチド」をコードするポリヌクレオチドである。
本態様の詳細は、本態様に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドについて記載した既出の説明を援用する。
以下、具体的な実施例を示し、本発明を説明するが、本発明は以下の態様に限定されない。
〔実施例1〕
(ラット硬変肝由来の活性型肝星細胞クローンの培養)
四塩化炭素の反復投与により作製したラットの硬変肝から分離した活性型星細胞を継代培養することで不死化した活性型肝星細胞クローンCFSC-8B細胞を用いた。同細胞を、37
℃、5%二酸化炭素濃度下で培養した。培養液は、ダルベッコ変法イーグル(DMEM)培地(ニッスイ)の粉末4.75 gを純水500 mLに溶解後に高圧蒸気滅菌した後に、重炭酸ナトリウム溶液(Gibco)10 mL、L-glutamine溶液(Gibco)10 mL、非必須アミノ酸溶液(Gibco)5 mL、ウシ胎児血清(Gibco)50 mL、ペニシリン・ストレプトマイシン溶液(Gibco)5 mLを混合して作製した。
(レポータープラスミドおよび遺伝子発現プラスミドの作製)
ヒトのI型コラーゲンα2鎖をコードするCOL1A2遺伝子の転写開始部位(+1)の上流、-3,000塩基から+58塩基にわたるプロモーター断片を切り出し、pGL3ベクター(Promega)に組込んで、COL1A2遺伝子の転写レベルをホタルのルシフェラーゼ活性により評価する、レポータープラスミド(COL1A2/LUC)を作製した。また、COL1A2遺伝子の転写開始部位の上流、-122から-117塩基に存在するE-box配列(CAGCTG)をTTTAAAに置換した変異体(dE)
を、Prime STAR Mutagenesis Basal Kit (TaKaRa)を用いて作製した。
マウスのTcf21ならびにTcf3をコードするcomplementary DNA (cDNA)を、以下に記載す
るオリゴDNAプライマーを用いて、それぞれ成体マウスの肝星細胞および心臓組織から抽
出したmessenger RNA (mRNA)を鋳型として合成した。このcDNAをpcDNA3ベクター(Invitrogen)に組込み、各遺伝子の発現プラスミドを作製した。
Tcf21-Forward primer, ATGTCCACTGGCTCCCTCAGCGATGTAGAA (NCBI accession No. NM_011545.2)(配列番号30)
Tcf21-Reverse primer, TCAGGATGCTGTAGTTCCACACAAG(同上)(配列番号31)
Tcf3-Forward primer, ATGATGAACCAGTCTCAGAGAATGGCAC(NCBI accession No. NM_001164152.2)(配列番号32)
Tcf3-Reverse primer, CTCACAGGTGCCCGGCTGGGTTG(同上)(配列番号33)
対照プラスミドとして、cDNAを組み込んでいないpcDNA3ベクターを用い、これをControlと表記した。
(活性型肝星細胞クローンへの遺伝子導入)
24ウェルプレートの各ウェルに、CFSC-8B細胞を15%の細胞密度で播種した。播種24時
間後に、1ウェルあたりCOL1A2/LUCプラスミド100 ng、発現プラスミド500 ng、内部標準
としてヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ・プロモーターでウミシイタケのルシフェラーゼを発現するpRL-TK(Promega)プラスミド60 ngを、Opti-MEM(Gibco)60 μL内で混
合し、これに1.8 μLのPEI Max(Polysciences)溶液(1 μg/μL)を加えてから室温で1
5分間静置した。
次いで、各ウェルの細胞培養液を、ペニシリン・ストレプトマイシンを除いた培養液で置換後に、上記のプラスミドDNA・PEI混合液を添加し、5時間培養した上で、抗生物質を
含有した培養液で再置換し、さらに40時間の培養を行った。
(ルシフェラーゼアッセイ)
培養上清をアスピレーターによって除き、PBSで穏やかに洗った後にDual-Luciferase Reporter Assay System (Promega)のPassive lysis buffer 50 μL/ウェルを添加した。回収した細胞溶解液のうち5 μLを同SystemのLuciferase assay buffer 25 μLに加えて軽
く撹拌した後、ルミノメーターを用いて発光強度を30秒間計測、次に同SystemのStop & Glo reaction buffer 25 μLに加えて軽く撹拌した後に、再びルミノメーターを用いて発
光強度を30秒間計測することで、それぞれホタルおよびウミシイタケのルシフェラーゼ活性を評価した。
各サンプルにおけるホタル・ルシフェラーゼ活性をウミシイタケ・ルシフェラーゼ活性で除することで、それぞれのCOL1A2遺伝子のプロモーター活性を相対的に算出した。
(結果)
Tcf21ならびにTcf3を、それぞれ単独で過剰発現させた場合には、野生型(WT)のCOL1A2遺伝子のプロモーター活性は約55%に低下し、両者を共発現することで35%程度にまで減少した。これに対して、E-box配列(CAGCTG)をTTTAAAに置換した変異体(dE)では、Tcf21/Tcf3のいずれか一方の過剰発現では約80%、共発現させた場合でも約60%と、COL1A2
遺伝子のプロモーター活性に対する抑制が減弱したことから、Tcf21/Tcf3による抑制作用の少なくとも一部はこの領域を介することが示された(図1)。
詳細には、WTについては、「Control」の100.00% (1.28% SD)に対して、「Tcf21」が54.80% (7.34% SD)、「Tcf3」が54.48% (14.05% SD)、「Tcf21 + Tcf3」が34.17% (14.87% SD)であり、dEについては、「Control」の100.00% (6.88% SD)に対して、「Tcf21」が76.93% (2.29% SD)、「Tcf3」が76.81% (2.50% SD)、「Tcf21 + Tcf3」が58.15% (6.14% SD)の相対活性であった。
尚、図1の結果は、WTとdEそれぞれのcontrolのプロモーター活性を100%とした場合の
相対値で表したものである。
〔実施例2〕
(Tcf21の脱活性化作用を担う機能性ペプチド配列の同定)
Tcf21は、同じ塩基性helix-loop-helix (bHLH)転写因子ファミリーに属するTcf3とのヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の転写を制御する。Tcf21はX線構造解析がなされておらず、その立体構造は未だ不明である。また、Tcf3についても立体構造が判明しているのはDNA結合領域に限られる。そこで、同じbHLH型転写因子であるレチノイン受容体RXR/RARのへテロ二量体、ならびにTcf3とヘテロ二量体を形成することが知られているT-cell acute
lymphocytic leukemia protein-1 (TAL1)の複合体 (Tcf3/TAL1)の結晶構造をテンプレートに用いて、ホモロジー・モデリング法によりTcf21/Tcf3/DNA複合体の立体構造予測を行った。
(結果)
2つの複合体構造モデルに共通して、Tcf21分子のうちLPWVPPDTKLSKLDTLRLASSYIAHLRQ(配列番号1)からなる28アミノ酸のペプチドが、Tcf21/Tcf3/DNAの複合体形成に重要であることが強く予測された。また、その中でも、KLSKL(配列番号2)からなる5アミノ酸が標的DNAとの結合に必須であることが判明した。
〔実施例3〕
(28アミノ酸残基発現プラスミドの作製)
ホモロジー・モデリングの結果、Tcf21/Tcf3/DNA複合体の形成に重要と推定された、Tcf21分子内の28アミノ酸残基(LPWVPPDTKLSKLDTLRLASSYIAHLRQ(配列番号1))からなる
ペプチドをコードする遺伝子のN末端に開始コドン(ATG)、C末端に終止コドン(TAA)を付
加したDNA断片を、以下に記載するプライマーを用いて、実施例1で示したTcf21発現プラ
スミドDNAを鋳型として増幅した。これをpcDNA3ベクター(Invitrogen)に組込んで、配
列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの発現プラスミドを作製した。
Tcf21 28 residues-Forward primer, ATGCTGCCCTGGGTGCCCCCG (NCBI accession No. NM_011545.2)(配列番号34)
Tcf21 28 residues-Reverse primer, TTACTGCCTTAAGTGAGCGATGTAGCTGGAC(同上)(配列
番号35)
(活性型肝星細胞クローンへの遺伝子導入とルシフェラーゼアッセイ)
実施例1と同様の方法で、CFSC-8B細胞にプラスミドDNAを導入し、Dual Luciferase Reporter Assay Systemを用いてCOL1A2遺伝子のプロモーター活性を評価した。
(結果)
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを発現するプラスミドであっても、とりわけTcf3と共発現させた場合には、COL1A2遺伝子のプロモーター活性に対して全長Tcf21とほぼ同等の抑制効果を示した。したがって、この配列番号1で表されるアミノ酸
配列からなるペプチドがTcf21/Tcf3/DNA複合体を形成し、ひいては活性型肝星細胞に対する脱活性化作用を担うペプチドであることが実証された(図2)。
詳細には、「Control」の100.00% (2.13% SD)に対して、「Tcf21」が66.59% (1.84% SD)、「SEQ ID No.1」が76.89% (4.31% SD)、「Control + Tcf3」が63.31% (1.08% SD)、「Tcf21 + Tcf3」が45.84% (1.78% SD)、「SEQ ID No.1 + Tcf3」が48.58% (1.53% SD)の相対活性であった。
尚、図2の結果は、Tcf21、Tcf3、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペ
プチドのいずれも有しない空の発現ベクターを導入した場合のcontrolのプロモーター活
性を100%とした場合の相対値で表したものである。また、図2中は「SEQ ID No.1」は、
「配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」を示す。
〔実施例4〕
(変異体プラスミドの作製)
実施例3で検討した配列番号1で表されるアミノ酸配列の中でも、特にTcf21/Tcf3/DNA複合体の形成に重要と推定された5アミノ酸(KLSKL(配列番号2))内の1つもしくは2つのリジン残基(K)を、Prime STAR Mutagenesis Basal Kit (TaKaRa)を用いてアラニン残基(A)で置換し、以下に示す3種類の変異体を作製した。
M1: ALSKL(配列番号15)
M2:KLSAL(配列番号16)
M3:ALSAL(配列番号17)
(活性型肝星細胞クローンへの遺伝子導入とルシフェラーゼアッセイ)
実施例1と同様の方法で、CFSC-8B細胞にプラスミドDNAを導入し、Dual Luciferase Reporter Assay Systemを用いて、COL1A2遺伝子のプロモーター活性を評価した。
(結果)
COL1A2遺伝子のプロモーター活性は、野生型Tcf21(WT)により約60%に、上記3種類のTcf21変異体の導入により約70ないし約80%に低下した。また、Tcf3の共発現下においては、野生型、M1変異体、或いはM2変異体のTcf21により約40%に、M3変異体の導入により約50%へと低下した。したがって、Tcf21によるCOL1A2転写の抑制におけるKLSKL(配列番号
2)配列の重要性が明らかになった(図3)。
詳細には、「Control」の100.00% (4.99% SD)に対して、「WT」が59.33% (3.14% SD)、「M1」が72.69% (1.75% SD)、「M2」が75.88% (13.30% SD)、「M3」が81.77% (12.28% SD)、「Control + Tcf3」が62.78% (4.68% SD)、「WT + Tcf3」が42.72% (4.42% SD)、「M1
+ Tcf3」が42.10% (7.90% SD)、「M2 + Tcf3」が40.53% (2.38% SD)、「M3 + Tcf3」が52.41% (9.47% SD)の相対活性であった。
尚、図3の結果は、野生型Tcf21(WT)、Tcf21の変異体、及びTcf3のいずれも有しない空の発現ベクターを導入した場合のcontrolのプロモーター活性を100%とした場合の相対
値で表したものである。

Claims (19)

  1. Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドであり、か
    つ、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞を脱活性化する機能を有するペプチド。
  2. 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
  3. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1又は2に記載のペプチド。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は
    それをコードするポリヌクレオチドを含む、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化によって予防又は治療され得る疾患の予防又は治療のための医薬組成物。
  6. Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを含む組成物と併用する、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドが、配
    列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、請求項5又は6に記載の医薬組成物。
  8. 前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドが、配
    列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞の脱活性化によって予防又は治療され得る疾患が、下記(a)~(f)からなる群から選択される疾患である、請求項5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
    (a)肝炎、肝線維症、肝硬変、若しくは肝がん、又はこれらのいずれかの疾患に基づく肝不全;
    (b)膵炎、若しくは膵臓線維症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく膵分泌機能不全;
    (c)腎炎、腎線維症、若しくは糸球体硬化症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく腎不全;
    (d)間質性肺炎、若しくは肺線維症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく呼吸不全;
    (e)心筋梗塞後の線維症;心筋炎、若しくは心筋症、又はこれらのいずれかの疾患に基づく心不全;
    (f)動脈粥状硬化症による冠動脈狭窄、バルーン拡張術後の冠動脈の再狭窄、若しくはステント留置後の冠動脈の再狭窄、又はこれらのいずれかの疾患に基づく虚血性心疾患
  10. Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝
    子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は
    それをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程を含む、筋線維芽細胞の脱活性化方法。
  11. Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドが、配
    列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドが、配
    列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が、肝臓、膵臓、腎臓、肺、心臓、及び冠動脈からなる群から選択される一又は複数の臓器若しくは組織における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は
    それをコードするポリヌクレオチドを、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程を含む、脱活性化筋線維芽細胞の製造方法。
  16. Tcf3タンパク質及び/又はそれをコードするポリヌクレオチドを、前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞に導入する工程をさらに含む、請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドが、配
    列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、請求項15又は16に記載の製造方法。
  18. 前記Tcf21タンパク質及びTcf3タンパク質が、それらの標的遺伝子のDNAに結合し、その遺伝子の機能を制御できる複合体を形成及び維持できる立体構造を形成するために必要な、該Tcf21タンパク質中の25残基以上30残基以下のアミノ酸配列からなるペプチドが、配
    列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項15~17のいずれか一項に記載の製造方法。
  19. 前記Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞が、肝臓、膵臓、腎臓、肺、心臓、及び冠動脈からなる群から選択される一又は複数の臓器若しくは組織における、Tcf3タンパク質を発現する筋線維芽細胞である、請求項15~18のいずれか一項に記載の製造方法。
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