JP2022171431A - 印刷方法及び印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被印刷体の種類によって塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制可能な印刷方法及び印刷装置を提供する。【解決手段】印刷方法は、印刷対象である被印刷体の表面自由エネルギーと前記被印刷体の表面に塗布する塗布材料の表面自由エネルギーとの間に差がある場合において、前記被印刷体の表面に、前記被印刷体又は前記塗布材料とは異なる表面自由エネルギーを有する緩衝材料を用いて緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、前記緩衝層の上に前記塗布材料を塗布することで印刷を行う印刷工程とを含む。【選択図】図5
Description
本発明は、印刷方法及び印刷装置に関する。
印刷対象となる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置として、例えばヘッドから被印刷体に液滴を噴射するインクジェット型の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のような印刷装置を用いて印刷する場合、被印刷体の種類により、インク等の塗布材料の濡れ広がりが不十分であったり、塗布材料が濡れ広がり過ぎたりする場合がある。このため、被印刷体の種類によって塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制可能な技術が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被印刷体の種類によって塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制可能な印刷方法及び印刷装置を提供することを目的とする。
本発明に係る印刷方法は、印刷対象である被印刷体の表面自由エネルギーと前記被印刷体の表面に塗布する塗布材料の表面自由エネルギーとの間に差がある場合において、前記被印刷体の表面に、前記被印刷体又は前記塗布材料とは異なる表面自由エネルギーを有する緩衝材料を用いて緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、前記緩衝層の上に前記塗布材料を塗布することで印刷を行う印刷工程とを含む。
本発明に係る印刷装置は、被印刷体の表面に向けて塗布材料の液滴を吐出可能な液滴噴射部と、前記塗布材料の配置状態を調整する緩衝層を前記被印刷体の表面に形成可能な緩衝層形成部と、前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値が閾値以上である場合に、前記緩衝層形成部に対して前記緩衝層を形成させ、前記液滴噴射部に対して前記緩衝層の上に前記塗布材料を塗布させる制御部とを備える。
本発明によれば、被印刷体の表面に、被印刷体又は塗布材料とは異なる表面自由エネルギーを有する緩衝材料を用いて緩衝層を形成し、緩衝層の上に塗布材料を塗布することで印刷を行うため、塗布材料が濡れ広がり過ぎること及び塗布材料が十分に濡れ広がらないことの両方を抑制することができる。これにより、被印刷体の種類によって塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制できる。なお、本発明において、被印刷体の表面自由エネルギーと塗布材料の表面自由エネルギーとの間に差がある場合としては、例えば両者の間に1mJ/m2以上の差がある場合とすることができる。
本発明に係る印刷方法は、前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差に基づいて、前記緩衝層を形成するか否かを判定する判定工程を更に含み、前記緩衝層を形成すると判定された場合、前記被印刷体の表面に前記緩衝層を形成する。また、前記判定工程は、前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値が閾値以上である場合、前記緩衝層を形成すると判定する。これにより、塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことをより確実に抑制できる。
本発明に係る印刷方法において、前記緩衝材料は、前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値に対応した表面自由エネルギーを有するクリアインク、プライマー及び前記被印刷体と同色のインクの少なくとも1つを用いて前記緩衝層を形成する。これにより、緩衝層上におけるインクの配置状態を適切に確保することができる。
本発明に係る印刷方法において、前記被印刷体は、表面自由エネルギーが前記塗布材料の表面自由エネルギーよりも大きい前記被印刷体と、表面自由エネルギーが前記塗布材料の表面自由エネルギーよりも小さい前記被印刷体とを含む。これにより、表面自由エネルギーに幅がある複数種類の被印刷体に対して塗布材料を塗布する場合に、塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制できる。
本発明に係る印刷方法は、前記被印刷体の表面において前記塗布材料を塗布する領域の全体又は前記被印刷体の全面に亘って前記緩衝層を形成する。これにより、塗布材料の全体に合わって濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制できる。
本発明に係る印刷装置において、前記制御部は、複数の被印刷体の表面自由エネルギーと、複数の塗布材料の表面自由エネルギーの情報が記憶される記憶部と、前記複数の被印刷体の表面自由エネルギーと、前記複数の塗布材料の表面自由エネルギーの情報から、印刷する前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の前記絶対値を算出する絶対値算出部と、前記絶対値が閾値以上であるか否かを判断する閾値判断部と前記閾値によって前記緩衝層を形成するか否かを判定する緩衝層形成判定部とを更に備える。これにより、緩衝層を形成するか否かの判定を効率的に行うことができる。
本発明によれば、被印刷体の種類によって塗布材料の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制可能な印刷方法及び印刷装置を提供することができる。
以下、本発明に係る印刷方法及び印刷装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1(a)及び(b)は、本実施形態に係る印刷装置の一例を示す図である。図1(a)及び(b)に示すように、印刷装置100は、第1液滴噴射部10と、第2液滴噴射部(緩衝層形成部)20と、制御部30とを備える。また、印刷装置100は、第1ヘッド10及び第2ヘッド20と被印刷体Mとを副走査方向D2に相対的に移動する相対移動部(不図示)を更に備える。本実施形態では、相対駆動部として、被印刷体Mを副走査方向D2に移動させる被印刷体駆動部が用いられる場合を例に挙げて説明する。なお、相対駆動部として、第1液滴噴射部10及び第2液滴噴射部20を副走査方向D2に移動可能な構成であってもよい。第1液滴噴射部10又は第2液滴噴射部20は、インクジェットのヘッドやスプレーのように微細の液滴を噴射する機構であってもよく、ディスペンサーのように連続的に液体を吐出する機構であってもよい。また、これらに限定されない。
被印刷体Mとしては、例えば、インクに対して非浸透性となる金属、樹脂等を用いた非浸透性被印刷体、またはインクに対して浸透性を有する布帛、紙等を用いた浸透性被印刷体が適用可能であり、画像形成が可能な被印刷体であれば、いずれの材料を適用することが可能である。また、被印刷体Mは、画像が形成される被形成面(表面)を有しており、この表面は、形状として、凹凸面、平坦面、または曲面であってもよく、画像形成が可能な形状であれば、いずれの形状に適用することが可能である。
第1液滴噴射部10は、主走査方向D1に移動可能であり、ノズルから被印刷体Mに塗布材料を塗布する、すなわち第1インクの液滴を吐出してインク層を形成する。第2液滴噴射部20は、第1ヘッド10と主走査方向D1に並んで配置され、第1液滴噴射部10と一体で移動する。第1液滴噴射部10と第2液滴噴射部20とが必要に応じて別々走査するように制御してもよい。第2液滴噴射部20は、第1インクが被印刷体Mに着弾した後の配置状態を調整する緩衝層を被印刷体Mの表面Maに対して形成可能である。第2液滴噴射部20は、緩衝層を構成する第2インクの液滴を吐出する。
第1インク及び第2インクとしては、例えばソルベントインク、水性インクまたはラテックスインク等の蒸発乾燥型インクが適用可能である。第1インクとしては、例えば、所定のカラーを発色可能なカラーインク等が挙げられる。また、第2インクとしては、例えば、第1インクの表面自由エネルギーに対応した表面自由エネルギーを有する無色透明のクリアインク、プライマー及び白色インク等が挙げられる。
本実施形態において、表面自由エネルギーは、温度一定の条件下で、外部からなされる仕事によって表面に蓄えられた単位面積当たりのエネルギーである。表面自由エネルギーは、表面張力と等価な次元(例えば、mJ/m2:ミリジュール毎平方メートル)を持つ物理量である。例えば、被印刷体Mの表面自由エネルギーが、第1インクの表面自由エネルギーよりも大きい場合、被印刷体M上において第1インクが濡れ広がりやすくなる。この場合、第1インクの表面自由エネルギーと、被印刷体Mの表面自由エネルギーとの差の絶対値が大きいほど、濡れ広がりやすくなる。また、被印刷体Mの表面自由エネルギーが、第1インクの表面自由エネルギーの値よりも小さい場合、被印刷体M上において第1インクが濡れ広がりにくくなる。この場合、第1インクの表面自由エネルギーと、被印刷体Mの表面自由エネルギーとの差の絶対値が大きいほど、濡れ広がりにくくなる。
同様に、例えば、緩衝層の表面自由エネルギーが、第1インクの表面自由エネルギーよりも大きい場合、緩衝層上において第1インクが濡れ広がりやすくなる。また、緩衝層の表面自由エネルギーが、第1インクの表面自由エネルギーの値よりも小さい場合、緩衝層上において第1インクが濡れ広がりにくくなる。したがって、第1インクの表面自由エネルギーが被印刷体Mの表面自由エネルギーより小さい場合には、緩衝層を構成する第2インクの表面自由エネルギーは、第1インクの表面自由エネルギーと同様である又は第1インクの表面自由エネルギーよりも大きいことが好ましい。また、第1インクの表面自由エネルギーが被印刷体Mの表面自由エネルギーより大きい場合には、衝層を構成する第2インクの表面自由エネルギーは、第1インクの表面自由エネルギーと同様である又は第1インクの表面自由エネルギーよりも小さいことが好ましい。
第1液滴噴射部10及び第2液滴噴射部20は、キャリッジ40に搭載される。キャリッジ40は、ガイドバー41に沿って主走査方向D1に移動可能である。キャリッジ40が主走査方向D1に移動することにより、第1液滴噴射部10及び第2液滴噴射部20が主走査方向D1に一体で移動する。
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。
制御部30は、図1(b)に示すように、被印刷体情報取得部31と、記憶部32と、判断部33と、駆動制御部34と、吐出制御部35とを有する。
記憶部32は、各種情報を記憶する。記憶部32は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部32として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。
記憶部32は、物性情報記憶部32aを有する。物性情報記憶部32aは、被印刷体Mの種類と、当該被印刷体Mの表面自由エネルギーとを対応付けた物性情報を記憶する。
図2(a)は、物性情報記憶部32aに記憶される物性情報の一例を示す図である。図2(a)に示すように、物性情報記憶部32aには、被印刷体Mの材質と、表面自由エネルギーとが対応付けられた状態で記憶される。被印刷体M1から被印刷体M7は、互いに異なる材料を用いて形成される。被印刷体M1は、表面自由エネルギーがE7である。被印刷体M2は、表面自由エネルギーがE6である。被印刷体M3は、表面自由エネルギーがE5である。被印刷体M4は、表面自由エネルギーがE4である。被印刷体M5は、表面自由エネルギーがE3である。被印刷体M6は、表面自由エネルギーがE2である。被印刷体M7は、表面自由エネルギーがE1である。ただし、E1<E2<E3<E4<E5<E6<E7である。
また、図2(b)には、第1インク及び第2インクの種類と表面自由エネルギーとが対応付けられた状態で記憶される。図2(b)に示す例において、第1インク及び第2インク(緩衝層)は、表面自由エネルギーがE4と同等である。なお、第2インクの表面自由エネルギーが第1インクの表面自由エネルギーと異なってもよい。以下、第1インク及び第2インク(緩衝層)の表面自由エネルギーがE4である場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、緩衝層は第2インクにより形成されるため、緩衝層の表面自由エネルギーを第2インクの表面自由エネルギーと同様のE4とすることができる。
被印刷体情報取得部31は、被印刷体Mの種類に関する被印刷体情報を取得する。被印刷体情報は、例えば入力部50により入力される。入力部50としては、自動で被印刷体を検知する、例えばカメラ、光センサ等の自動入力装置であってもよく、ユーザが入力するキーボード又はマウスなどの手動入力装置であってもよい。例えば不図示の表示部等により複数の被印刷体情報の選択肢を表示し、表示した選択肢から1つ又は複数の被印刷体情報を選択することで被印刷体情報を入力する構成とすることができる。この場合、複数の選択肢としては、例えば記憶部32の物性情報記憶部32aに記憶される被印刷体M1~M7とすることができる。複数種類の被印刷体M1~M7は、表面自由エネルギーが第1インクの表面自由エネルギーよりも大きい被印刷体と、表面自由エネルギーが第1インクの表面自由エネルギーよりも小さい被印刷体とを含む。
判定部32は、被印刷体情報取得部31により取得された被印刷体情報と、記憶部32の物性情報記憶部32aに記憶される情報とに基づいて、被印刷体Mに対して緩衝層を形成するか否かを判定する。
具体的には、判定部33には、絶対値算出部33a及び閾値判断部33bが含まれている。判定部33は、取得された被印刷体Mの種類が、物性情報記憶部32aに記憶される物性情報の被印刷体M1~M7のどの種類かを検索し、該当する被印刷体の種類に対応する表面自由エネルギーの値を取得する。また、判定部33は、物性情報記憶部32aに記憶される第1インクの表面自由エネルギーの値を取得する。判定部33は、取得した表面自由エネルギーと、第1インクの表面自由エネルギーとの差に基づいて、緩衝層を形成するか否かを判定する。判定部33は、例えば、絶対値算出部33aが被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクの表面自由エネルギーとの差の絶対値を算出し、閾値判断部33bが閾値以上であると判断した場合、緩衝層を形成すると判定する。一方、判定部33は、例えば、絶対値算出部33aが被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクの表面自由エネルギーとの差の絶対値を算出し、閾値判断部33bが閾値未満であると判断した場合、緩衝層を形成しないと判定する。閾値については、予め設定しておくことができる。本実施形態において、閾値は、例えばE1~E7のうち2段階と設定することができる。この場合、被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクの表面自由エネルギーとの差の絶対値が2段階以上である場合、判定部33は、緩衝層を形成すると判定する。被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクの表面自由エネルギーとの差の絶対値が1段階未満である場合、判定部33は、緩衝層を形成しないと判定する。
駆動制御部34は、キャリッジ40の主走査方向D1へ移動させる駆動機構を制御する。吐出制御部35は、第1液滴噴射部10から第1インクの液滴を吐出する動作及び第2液滴噴射部20から第2インクの液滴を吐出する動作を制御する。吐出制御部35は、判定部33において緩衝層を形成すると判定された場合、第2液滴噴射部20から第2インクの液滴を吐出させて、緩衝層を形成する。
図3は、被印刷体上又は緩衝層上に吐出される第1インクの状態の一例を示す図である。図3(a)に示すように、表面自由エネルギーがE7の被印刷体M1の表面M1aに、表面自由エネルギーがE4(<E7)の第1インクQ1を滴下した場合、第1インクQ1は被印刷体M1の表面M1aにおいて濡れ広がる。
また、図3(b)に示すように、表面自由エネルギーがE1の被印刷体M7の表面M7aに、表面自由エネルギーがE4(>E1)の第1インクQ1を滴下した場合、第1インクQ1は被印刷体M7の表面M7aにおいて濡れ広がらず、盛り上がった状態となる。
また、図3(c)に示すように、表面自由エネルギーがE4の緩衝層Cの表面Caに、表面自由エネルギーがE4の第1インクQ1を滴下した場合、第1インクQ1は緩衝層Cの表面Caにおいては、被印刷体M1の表面M1aに第1インクQ1を滴下した場合に比べて濡れ広がりが小さく、被印刷体M7の表面M7aに第1インクQ1を滴下した場合に比べて濡れ広がりが大きくなる。なお、表面自由エネルギーがE4の被印刷体M4に表面自由エネルギーがE4の第1インクQ1を滴下した場合についても、第1インクQ1の配置状態(濡れ広がり状態)は緩衝層Cの表面Caに第1インクQ1を滴下する場合と同様となる。
図4は、緩衝層上に吐出される第1インクの状態の一例を示す図である。緩衝層を形成する場合、第液滴噴射部20のノズルから、被印刷体Mの表面において第1インクQ1によるインク層Iを形成する部分を含む所定領域R1、R2の全体に亘って第2インクQ2を吐出する。したがって、緩衝層C1、C2は、インク層Iを形成する部分を含む所定領域R1、R2の全体に亘って形成される。
図4(a)に示すように、本実施形態において、第2インクQ2は、表面自由エネルギーがE4である。表面自由エネルギーがE1の被印刷体M1の表面M1aに、表面自由エネルギーがE4(<E7)の第2インクQ2により緩衝層C1を形成する場合、緩衝層C1は、被印刷体M1の表面M1aに広がった状態で形成される。このように第2インクQ2が被印刷体M1の表面M1aに対して濡れ広がる傾向である場合、又はその傾向が顕著である場合は、第2インクQ2の吐出量を通常より減らしてもよい。通常より減らすとは、被印刷体M1の表面M1aの一面を塗りつぶすように制御部30により算出される吐出量より量の少ない液滴(小さいドット)を吐出することを意味する。また、この場合、吐出される第2インクQ2の液滴の大きさを全部同じ大きさにするのではなく、通常の吐出量の液滴と通常の液滴より吐出量の少ない液滴とを混ざって吐出することも考えられる。または、通常の吐出量にて吐出しながら間引きすることで全体の吐出量を減らしてもよい。
また、図4(b)に示すように、表面自由エネルギーがE1の被印刷体M7の表面M7aに、表面自由エネルギーがE4(>E1)の第2インクQ2により緩衝層C2を形成する場合、緩衝層C2は、被印刷体M7の表面M7aにおいて濡れ広がらず、盛り上がった状態となる。このように第2インクQ2が被印刷体M1の表面M1aに対して濡れ広がらず被印刷体M7の表面M7aの表面が露出する傾向である場合、又はその傾向が顕著である場合は、第2インクQ2の吐出量を通常より増やしてもよい。通常より増やすとは、被印刷体M1の表面M1aの一面を塗りつぶすように制御部30により算出される吐出量より量の多い液滴(大きいドット)を吐出することを意味する。また、この場合、吐出される第2インクQ2の液滴の大きさを全部同じ大きさにするのではなく、通常の吐出量の液滴と通常の液滴より吐出量の多い液滴とを混ざって吐出することも考えられる。
このように緩衝層C1、C2が形成された被印刷体M1、M7に対して第1インクQ1を滴下する場合、第1インクQ1は、表面自由エネルギーが同一の緩衝層C1、C2の表面C1a、C2aに着弾する。したがって、被印刷体M1、M7に形成されるインク層I1、I2は、第1インクQ1の濡れ広がりの程度が同様となる。
次に、上記のように構成された印刷装置100を用いた印刷方法を説明する。図5は、本実施形態に係る印刷方法における印刷方法の一例を示すフローチャートである。外部からの印刷データを受信した場合、被印刷体情報取得部31は、被印刷体Mの種類に関する被印刷体情報を取得する(ステップS10)。被印刷体情報が取得された場合、判定部33は、緩衝層を形成するか否かの判断を行う(ステップS20)。ステップS20において、判定部33は、取得された被印刷体Mの種類が、物性情報記憶部32aに記憶される物性情報の被印刷体M1~M7のどの種類かを検索し、該当する被印刷体の種類に対応する表面自由エネルギーの値を取得する。例えば、被印刷体M7、M6の表面自由エネルギーE1、E2や被印刷体M1、M2の表面自由エネルギーE7、E6が取得された場合、第1インクの表面自由エネルギーE4とは差の絶対値が閾値以上(2段階以上)であるため、判定部33は、緩衝層を形成すると判定する。一方、被印刷体M3、M4、M5の表面自由エネルギーE5、E4、E3が取得された場合、第1インクの表面自由エネルギーE4とは差の絶対値が閾値(2段階)未満であるため、判定部33は、緩衝層を形成しないと判定する。
ステップS20において、緩衝層を形成すると判定した場合(ステップS20のYes)、制御部30は、被印刷体Mのうち、第1インクQ1の吐出目標となる位置を含む所定範囲に、第2ヘッド20のノズルから第2インクQ2を吐出して、当該所定範囲の領域に緩衝層Cを形成する(ステップS30)。
ステップS20において緩衝層を形成しないと判定した場合(ステップS20のNo)又は緩衝層を形成した後、制御部30は、被印刷体Mのうち第1インクQ1の吐出目標となる位置に、第1ヘッド10のノズルから第1インクQ1を吐出して、インク層Iを形成する(ステップS40)。
以上のように、本実施形態に係る印刷方法は、印刷対象である被印刷体Mの表面自由エネルギーと被印刷体Mの上に塗布する塗布材料である第1インクQ1の表面自由エネルギーとの間に差がある場合において、被印刷体Mの表面、被印刷体M又は第1インクQ1とは異なる表面自由エネルギーを有する緩衝材料を用いて緩衝層Cを形成する緩衝層形成工程と、緩衝層C上に第1インクQ1を塗布することで印刷を行う印刷工程とを含む。
また、本実施形態に係る印刷装置100は、被印刷体Mの表面に向けて第1インクQ1の液滴を吐出可能な第1液滴噴射部10と、第1インクQ1の配置状態を調整する緩衝層Cを被印刷体Mの表面に形成可能な第2液滴噴射部20と、被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクQ1の表面自由エネルギーとの差の絶対値が閾値以上である場合に、第2液滴噴射部20に対して緩衝層Cを形成させ、第1液滴噴射部10に対して緩衝層Cの上にインク層Iを形成させる制御部30とを備える。
本実施形態によれば、表面自由エネルギーが異なる複数種類の被印刷体Mの表面に、第1インクQ1の配置状態を調整する緩衝層Cを形成し、緩衝層C上に第1インクQ1の液滴を吐出してインク層Iを形成するため、第1インクQ1が濡れ広がり過ぎること及び第1インクQ1が十分に濡れ広がらないことの両方を抑制することができる。これにより、被印刷体Mの種類によって第1インクQ1の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制できる。
本実施形態に係る印刷方法は、被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクQ1の表面自由エネルギーとの差に基づいて、緩衝層Cを形成するか否かを判定する判定工程を更に含み、緩衝層Cを形成すると判定された場合、被印刷体Mの表面に緩衝層Cを形成する。また、判定工程は、被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクQ1の表面自由エネルギーとの差の絶対値が閾値以上である場合、緩衝層Cを形成すると判定する。これにより、第1インクQ1の濡れ広がりの程度に差がつくことをより確実に抑制できる。
本実施形態に係る印刷方法において、緩衝材料は、被印刷体Mの表面自由エネルギーと第1インクQ1の表面自由エネルギーとの差の絶対値に対応した表面自由エネルギーを有するクリアインク、プライマー及び被印刷体Mと同色のインクの少なくとも1つを用いて緩衝層Cを形成する。これにより、緩衝層C上における第1インクQ1の配置状態を適切に確保することができる。
本実施形態に係る印刷方法において、複数種類の被印刷体Mは、表面自由エネルギーが第1インクQ1の表面自由エネルギーよりも大きい被印刷体Mと、表面自由エネルギーが第1インクQ1の表面自由エネルギーよりも小さい被印刷体Mとを含む。これにより、表面自由エネルギーに幅がある複数種類の被印刷体に対してインク層Iを形成する場合に、第1インクQ1の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制できる。
本実施形態に係る印刷方法は、被印刷体Mの表面においてインク層Iを形成する領域の全体又は被印刷体Mの全体に亘って緩衝層Cを形成する。これにより、インク層Iの全体に合わって第1インクQ1の濡れ広がりの程度に差がつくことを抑制できる。
また、本実施形態に係る印刷装置100において、制御部30は、複数の被印刷体Mの表面自由エネルギーと、複数の塗布材料の表面自由エネルギーの情報が記憶される記憶部35と、複数の被印刷体Mの表面自由エネルギーと、複数の塗布材料の表面自由エネルギーの情報から、印刷する被印刷体Mの表面自由エネルギーと塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値を算出する絶対値算出部33aと、絶対値が閾値以上であるか否かを判断する閾値判断部33bと、閾値によって緩衝層Cを形成するか否かを判定する判定部33とを更に備える。これにより、緩衝層を形成するか否かの判定を効率的に行うことができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
C,C1,C2…緩衝層、Ca,C1a,C2a,Ma,M1a,M7a…表面、D1…主走査方向、D2…副走査方向、I,I1,I2…インク層、M,M1~M7…被印刷体、Q1…第1インク、Q2…第2インク、R1,R2…領域、10…第1ヘッド、20…第2ヘッド、30…制御部、31…被印刷体情報取得部、32…記憶部、32a…物性情報記憶部、33…判定部、33a…絶対値算出部、33b…閾値判断部、34…駆動制御部、35…吐出制御部、40…キャリッジ、41…ガイドバー、50…入力部、100…印刷装置
Claims (8)
- 印刷対象である被印刷体の表面自由エネルギーと前記被印刷体の表面に塗布する塗布材料の表面自由エネルギーとの間に差がある場合において、
前記被印刷体の表面に、前記被印刷体又は前記塗布材料とは異なる表面自由エネルギーを有する緩衝材料を用いて緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、
前記緩衝層の上に前記塗布材料を塗布することで印刷を行う印刷工程と
を含む印刷方法。 - 前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差に基づいて、前記緩衝層を形成するか否かを判定する判定工程を更に含み、
前記緩衝層を形成すると判定された場合、前記被印刷体の表面に前記緩衝層を形成する
請求項1に記載の印刷方法。 - 前記判定工程は、前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値が閾値以上である場合、前記緩衝層を形成すると判定する
請求項2に記載の印刷方法。 - 前記緩衝材料は、前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値に対応した表面自由エネルギーを有するクリアインク、プライマー及び前記被印刷体と同色のインクの少なくとも1つを用いて前記緩衝層を形成する
請求項3に記載の印刷方法。 - 前記被印刷体は、表面自由エネルギーが前記塗布材料の表面自由エネルギーよりも大きい前記被印刷体と、表面自由エネルギーが前記塗布材料の表面自由エネルギーよりも小さい前記被印刷体とを含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷方法。 - 前記被印刷体の表面において前記塗布材料を塗布する領域の全体又は前記被印刷体の全面に亘って前記緩衝層を形成する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷方法。 - 被印刷体の表面に向けて塗布材料の液滴を吐出可能な液滴噴射部と、
前記塗布材料の配置状態を調整する緩衝層を前記被印刷体の表面に形成可能な緩衝層形成部と、
前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の絶対値が閾値以上である場合に、前記緩衝層形成部に対して前記緩衝層を形成させ、前記液滴噴射部に対して前記緩衝層の上に前記塗布材料を塗布させる制御部と
を備える印刷装置。 - 前記制御部は、
複数の被印刷体の表面自由エネルギーと、複数の塗布材料の表面自由エネルギーの情報が記憶される記憶部と、
前記複数の被印刷体の表面自由エネルギーと、前記複数の塗布材料の表面自由エネルギーの情報から、印刷する前記被印刷体の表面自由エネルギーと前記塗布材料の表面自由エネルギーとの差の前記絶対値を算出する絶対値算出部と、
前記絶対値が閾値以上であるか否かを判断する閾値判断部と
前記閾値によって前記緩衝層を形成するか否かを判定する緩衝層形成判定部と
を更に備える請求項7に記載の印刷装置。
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