JP2022168861A - 炭素同位体分析装置及び炭素同位体分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】代謝物毎に14Cを定量化することができる、炭素同位体分析装置及び炭素同位体分析方法を提供する。【解決手段】炭素同位体でマーカーされた生体試料から、高速液体クロマトグラフを用いて代謝物毎に分画された試料を得る工程と、試料から移動相を除去する工程と、移動相が除去された試料を燃焼させて二酸化炭素を得る工程と、光共振器に二酸化炭素を挿入する工程と、を備える、炭素同位体分析方法。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 2021年7月7日(水)第82回応用物理学会秋季学術講演会ウェブサイト 講演情報ページ (https://confit.atlas.jp/guide/event/jsap2021a/subject/10p-N402-10/tables?cryptoId)において文書をもって発表。 2021年8月26日(木)第82回応用物理学会秋季学術講演会ウェブサイト 予稿閲覧サービスページ (https://meeting.jsap.or.jp/jsap2021a/program)において文書をもって発表。 2021年9月10日(金)第82回応用物理学会秋季学術講演会において発表。
本発明は、炭素同位体分析装置及び炭素同位体分析方法に関する。より詳しくは、放射性炭素同位体14C等の測定に有用な放射性炭素同位体分析装置及び放射性炭素同位体分析方法に関する。
炭素同位体は、従来より炭素循環に基づく環境動態評価や年代測定による歴史学の実証研究など、文理に渡る広範な応用展開がなされている。炭素同位体は、地域・環境によりわずかに異なるものの、安定同位体元素である12Cと13Cはそれぞれ98.89%と1.11%、放射性同位体14Cは1×10-10%天然に存在している。同位体は重量の相違があるだけで、化学的には同じ挙動を示すため、存在比の低い同位体の濃度を人工的な操作により高くし、精度よく測定を行うことで様々な反応過程の観測が可能となる。
特に、臨床の分野においては医薬品体内動態評価を行うために、標識化合物として、例えば放射性炭素同位体14Cを生体に投与し分析することは極めて有用であり、例えばPhase I、Phase IIaにおいて実際に分析されている。ヒトにおいて薬理作用を発現すると推定される投与量(薬効発現量)を超えない用量(以下「マイクロドーズ」ともいう)の標識化合物として、極微量の放射性炭素同位体14C(以下、単に「14C」ともいう)を人体に投与し、分析することは、体内動態の問題に起因する医薬品の薬効・毒性についての知見が得られるため、創薬プロセスにおける開発リードタイムを大幅に短縮するものとして期待されている。
従来より提案されている14C分析法としては、液体シンシチレーションカウンティング法(liquid Scintillation Counting、以下「LSC」ともいう)と、加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry、以下「AMS」ともいう)とが挙げられる。またキャビティーリングダウン分光法(cavity ring-down spectroscopy、以下「CRDS」ともいう)も注目を浴びてきている(例えば、非特許文献1、2、3参照)。
薬物動態試験では、体の中での薬の動きが検証される。具体的には、体内に投与された薬物は、吸収(absorption)され、体内組織に分布(distribution)し、酵素により代謝(metabolism)されることで別の化合物へと変換され、最終的に排泄(excretion)されることにより体内から消失するが、これら4つの過程(頭文字をとってADMEともいう)における薬物濃度の変化を追うことで、薬物の効能や毒性発現の関連性などが検証される。
「I.Galli et al.,Phy. Rev. Lett.2011, 107, 270802」 「Nicole A. KratochwilI et al., "Nanotracing and cavity-ring down spectroscopy: A new ultrasensitive approach in large molecule drug disposition studies", PLOS ONE | https://doi.org/10.1371/journal.pone.0205435 October 17, 2018」 「Stephen R Dueker et al., Bioanalysis (2020) 12(2), 87-98, "Human ADME for YH12852 using wavelength scanning cavity ring-down spectroscopy (WS-CRDS) after a low radioactivity dose"」
薬物動態試験の精度を高める手法の1つとして、生体試料中の代謝物、即ち代謝によって生成された化合物毎に、14Cを定量化することが求められていた。しかし、そのような課題を解決できる技術の報告はなかった。
本発明は、代謝物毎に14Cを定量化することができる、炭素同位体分析装置及び炭素同位体分析方法を提供することを課題とする。
本発明は以下の内容に関する。
[1]炭素同位体でマーカーされた生体試料から、高速液体クロマトグラフを用いて代謝物毎に分画された試料を得る工程と、試料から移動相を除去する工程と、移動相が除去された試料を燃焼させて二酸化炭素を得る工程と、光共振器に前記二酸化炭素を挿入する工程と、を備える、炭素同位体分析方法。
[2]移動相を除去する工程において、試料が配置された雰囲気内の圧力、体積、温度のいずれかを変化させることにより移動相を除去する、[1]に記載の炭素同位体分析方法。
[3]移動相を除去する工程において、移動相を気化させることにより移動相を除去する、[1]に記載の炭素同位体分析方法。
[4]二酸化炭素を挿入する工程において、燃焼行程の初期に発生した移動相由来のガスを除去した後に、生体試料由来の二酸化炭素を前記光共振器に挿入する、[1]~[3]のいずれかに記載の炭素同位体分析方法。
[5]二酸化炭素を挿入する工程において、二酸化炭素の発生時間プロファイルに基づいて前記移動相由来のガスを除去した後に、生体試料由来の二酸化炭素を前記光共振器に挿入する、[1]~[3]のいずれかに記載の炭素同位体分析方法。
[6]二酸化炭素を挿入する工程において、燃焼行程の初期に発生した移動相由来のガスを排出した後に、二酸化炭素を分離濃縮し、濃縮された二酸化炭素を光共振器に挿入する、[1]~[3]のいずれかに記載の炭素同位体分析方法。
[7]生体試料は放射性炭素同位体(14C)でマーカーされている、[1]~[6]のいずれかに記載の炭素同位体分析方法。
[8]放射性炭素同位体でマーカーされた生体試料から代謝物毎に試料を分画する高速液体クロマトグラフと、試料中の移動相を除去する移動相除去ユニットと、試料を燃焼させて二酸化炭素を得る燃焼手段と、光共振器、光発生部、検出部を備える炭素同位体分析ユニットと、を備える、炭素同位体分析装置。
[9]さらに、移動相由来のガスを排出する排出弁を備える、[8]に記載の炭素同位体分析装置。
[10]さらに、二酸化炭素を分離濃縮する分離濃縮ユニットを備える、[8]又は[9]に記載の炭素同位体分析装置。
本発明によれば、代謝物毎に14Cを定量化することができる、炭素同位体分析装置及び炭素同位体分析方法が提供される。
図1は炭素同位体分析装置の第1の実施態様の概念図である。 図2A、図2Bはレーザー光を用いた高速走査型のキャビティーリングダウン吸収分光法の原理を示す図である。 図3はCRDSにおける13CO14COの吸収量Δβの温度依存性を示す図である。 図4は光共振器の変形例の概念図である。 図5は14COと競合ガスの4.5μm帯吸収スペクトルを示す図である。 図6は炭素同位体分析装置の第2の実施態様の概念図である。 図7は分析試料の吸収波長と吸収強度の関係を示す図である。 図8は参考例に係る炭素同位体分析装置の概念図である。 図9Aは参考例1に係る二酸化炭素のプロファイル図であり、図9Bは参考例1に係る代謝物サンプルのスペクトル図である。 図10Aは参考例2に係る二酸化炭素のプロファイル図であり、図10Bは参考例2に係る代謝物サンプルのスペクトル図である。 図11は二酸化炭素生成装置に試料を挿入してからの経過時間に対する二酸化炭素の分圧の関係を示す図である。 図12AはCRDSにより測定した14C濃度のプロファイル図であり、図12BはLSCにより測定した14C濃度のプロファイル図であり、図12CはラジオHPLC検出システムにより測定した14C濃度のプロファイル図である。 図13はCRDSとLSCにより測定した14C濃度のプロファイル図である。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図中同一の機能又は類似の機能を有するものについては、同一又は類似の符号を付して説明を省略する。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断されるべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
本明細書において「炭素同位体」とは、特に断りのない限り安定炭素同位体12C、13C、及び放射性炭素同位体14Cを意味する。また、単に元素記号「C」と表示される場合、天然存在比での炭素同位体混合物を意味する。
酸素の安定同位体は16O、17O及び18Oが存在するが、元素記号「O」と表示される場合、天然存在比での酸素同位体混合物を意味する。
「二酸化炭素同位体」とは、特に断りのない限り12CO13CO及び14COを意味する。また、単に「CO」と表示される場合、天然存在比の炭素及び酸素同位体により構成される二酸化炭素分子を意味する。
本明細書において「生体試料」とは、血液、血漿、血清、尿、糞便、胆汁、唾液、その他の体液や分泌液、呼気ガス、口腔ガス、皮膚ガス、その他の生体ガス、さらには、肺、心臓、肝臓、腎臓、脳、皮膚などの各種臓器及びこれらの破砕物など、生体から採取し得るあらゆる試料を意味する。さらに、当該生体試料の由来は、動物、植物、微生物を含むあらゆる生物が挙げられ、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトの由来である。哺乳動物としては、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらに限定されない。
上述の課題を解決するべく、本発明者等は高効率液体クロマトグラフィー法(High Performance Liquid Chromatography、以下「HPLC」ともいう。)を用いて、代謝物毎に分画された試料を得ることを着想した。そして、実際に分画された試料についてCRDSにより14Cを定量化する実験を行った。ところが、バックグラウンドのノイズがひどく、生体試料由来の14Cを定量化することができなかった。原因として移動相由来の二酸化炭素の影響が考えられたため、生体試料を燃焼する前に移動相を気化により除去することにより上記課題が解決するに至った。
しかし、本発明者等の更なる検討の結果、移動相が気化しない場合も懸念されたため、更なる解決手段が求められた。
本発明者等は、研究の結果、試料を燃焼させた際に、移動相由来の二酸化炭素が発生するタイミングと、生体試料由来の二酸化炭素が発生するタイミングが異なることを知見した。この知見に基づき、予め作成しておいた二酸化炭素の発生プロファイルに基づき、生体試料の燃焼により発生したガスをタイミングよく光共振器に挿入することにより、上記課題が解決するに至った。以下、炭素同位体分析装置及び炭素同位体分析方法について説明する。
[炭素同位体分析装置の第1の態様]
図1は、炭素同位体分析装置の概念図である。炭素同位体分析装置1は、高速液体クロマトグラフ50と、移動相除去ユニット60と、二酸化炭素同位体生成装置40Aと、光発生装置20Aと、分光装置10Aと、さらに演算装置30とを備える。
ここでは、分析対象として、炭素同位体である放射性同位体14Cを例にあげて説明する。なお、放射性同位体14Cから生成される二酸化炭素同位体14COの吸収波長を有する光は4.5μm帯の光である。詳細は後述するが、測定対象物質の吸収線、光発生装置、及び光共振器モードの複合による選択性により、高感度化を実現することが可能となる。
〈高速液体クロマトグラフ〉
代謝物毎に試料を分画できるのであれば、高速液体クロマトグラフとしては、特に制限されることなく種々のものを用いることができる。例えば、図1に示すような、移動相A、Bがそれぞれ収められたタンク51A、51B、移動相A、Bをそれぞれ送り出すポンプ53A、53Bを備える送液部と;インジェクタ55を備える試料注入部と;カラム56を備える分離部と;を備える高速液体クロマトグラフ50を用いることができる。
カラムとしては、特に制限されることなく、種々の形式のものを用いることができる。例えば、逆相カラム(オクタデシルシリカ(ODS)カラム、その他のシリカカラム、ポリマーカラム)、順相カラム、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)カラム、イオン交換カラム、配位子交換カラム、イオン排除カラムを用いることができる。
〈移動相除去ユニット〉
移動相除去ユニット60としては、特に制限されることなく種々のものを用いることができる。例えば、扇風機を移動相除去ユニットとすることができる。扇風機を用いて試料が充填された容器に風を吹き付けることで、移動相を気化させることができるからである。また真空容器を移動相除去ユニットとすることもできる。試料が充填された容器を真空容器内に配置し、真空容器内の圧力や温度を調整したりすることで移動相を除去できるからである。
〈分光装置〉
図1に示すように、分光装置10Aは、光共振器11と、光共振器11からの透過光の強度を検出する光検出器15とを備える。光共振器(Optical resonator or Optical cavity)11は、分析対象の二酸化炭素同位体が封入される筒状の本体と、本体の内部の長手方向の一端と他端に凹面が向かい合うように配置された高反射率の1対のミラー12a、12bと、本体内部の他端に配置されたミラー12a、12b間隔を調整するピエゾ素子13と、分析対象ガスが充填されるセル16と、を備える。
なお、ここでは図示を省略しているが、本体の側部に二酸化炭素同位体を注入するためのガス注入口や、本体内の気圧を調整する気圧調整口を設けておくことが好ましい。また、1対のミラー12a、12bの反射率は、99%以上が好ましく、99.99%以上がより好ましい。
光共振器内部11にレーザー光を入射し閉じ込めると、レーザー光はミラーの反射率に対応した強度の光を出力しながら、数千回~一万回というオーダーで多重反射を繰り返す。そのため実効的な光路が数10kmにも及ぶため、光共振器内部に封入された分析対象のガスが極微量であっても大きな吸収量を得ることができる。
図2A、図2Bはレーザー光を用いた高速走査型のキャビティーリングダウン吸収分光法(Cavity Ring-Down Spectroscopy 以下「CRDS」ともいう)の原理を示す図である。
図2Aに示すように、ミラー間隔が共鳴条件を満たしているときは、高強度の信号が光共振器から透過される。一方、ピエゾ素子13を作動させてミラー間隔を変更し、非共鳴条件とすると、光の干渉効果により信号を検出することができなくなる。つまり、光共振器長を共鳴から非共鳴条件へとすばやく変化させることで、図2Aに示すような指数関数的な減衰信号[リングダウン信号(Ringdown signal)]を観測することができる。リングダウン信号を観測する別の方法として、入力レーザー光を光学スイッチにて素早く遮断する方法が例示できる。
光共振器の内部に吸収物質が充填されていない場合、透過してくる時間依存のリングダウン信号は図2Bの点線で示すような曲線となる。一方、光共振器内に吸光物質が充填されている場合、図2Bの実線で示すように、レーザー光が光共振器内で往復するごとに吸収されるため、光の減衰時間が短くなる。この光の減衰時間は、光共振器内の吸光物質濃度及び入射レーザー光の波長に依存しているため、Beer-Lambertの法則iiを適用することで吸収物質の絶対濃度を算出することができる。また光共振器内の吸収物質濃度と比例関係にある減衰率(リングダウンレート)の変化量を測定することにより、光共振器内の吸収物質濃度を測定することができる。
光共振器から漏れ出た透過光を光検出器により検知し、演算装置を用いて14CO濃度を算出した後、14CO濃度から14C濃度を算出することができる。
光共振器11のミラー12a、12b間隔、ミラー12a、12bの曲率半径、本体の長手方向長さや幅等は、分析対象である二酸化炭素同位体が持つ吸収波長により変化させることが好ましい。想定される共振器長は1mm~10mが挙げられる。
二酸化炭素同位体14COの場合、共振器長が長いことは光路長を確保するのに有効であるが、共振器長が長くなるとガスセルの体積が増え、必要な試料量が増えるため、共振器長は10cm~60cmの間が好ましい。またミラー12a、12bの曲率半径は、共振器長と同じか、長くすることが好ましい。
なおミラー間隔は、ピエゾ素子13を駆動することにより、一例として数マイクロメートルから数十マイクロメートルのオーダーで調整することが可能である。最適な共鳴条件を作り出すために、ピエゾ素子13による微調整を行うこともできる。
なお、1対のミラー12a、12bとしては、1対の凹面鏡を図示して説明してきたが、十分な光路が得られるのであれば、その他にも凹面鏡と平面鏡の組み合わせや、平面鏡同士の組み合わせであっても構わない。
ミラー12a、12bを構成する材料としては、サファイアガラス、CaF、ZnSeを用いることができる。
分析対象ガスを充填するセル16は、容積がより小さいことが好ましい。少ない分析試料であっても効果的に光の共振効果を得ることができるからである。セル16の容量は、8mL~1000mLが例示できる。セル容量は、例えば測定に供することができる14C源の量に応じて適宜好ましい容量を選択でき、尿のように大量に入手できる14C源では80mL~120mLのセルが好適であり、血液や涙液のように入手量が限られる14C源では8mL~12mLのセルが好適である。
光共振器の安定性条件の評価
CRDSにおける14CO吸収量と検出限界を評価するため、分光データに基づく計算を行った。12CO13COなどに関する分光データは大気吸収線データベース(HITRAN)を利用し、14COに関しては文献値(「S. Dobos et al., Z. Naturforsch, 44a, 633-639 (1989)」)を使用した。
ここで、14COの吸収によるリングダウンレート(指数関数的減衰の割合)の変化量Δβ(=β-β0、β:試料有りの減衰率、β0:試料なしの減衰率)は、14COの光吸収断面積σ14、分子数密度N、光速cにより以下のように表せる。
Δβ=σ14(λ,T,P)N(T,P,X14)c
(式中、σ14、Nは、レーザー光波長λ、温度T、圧力P、X14=14C/TotalC比の関数である。)
図3は、計算で求められた13CO14COの吸収によるΔβの温度依存性を示す図である。図3より、14C/TotalCが10-10、10-11、10-12では、室温300Kでの13COによる吸収が14COの吸収量を超えるか同程度となるため、冷却を行う必要があることが分かった。
一方、光共振器由来のノイズ成分であるリングダウンレートのばらつきΔβ0~10-1が実現できれば、14C/TotalC比~10-11の測定を実現できることが分かる。これにより、分析時の温度として摂氏-40度程度の冷却が必要であることが明らかとなった。例えば、定量下限として14C/TotalCを10-11とすると、COガスの濃縮によるCOガス分圧の上昇(例えば20%)と、前記温度条件とが必要であることが示唆される。
なお、冷却装置や冷却温度について、後述の炭素同位体分析装置の第2の態様の欄においてより詳細に述べる。
光共振器11について説明したが、光共振器の具体的態様の概念図(一部切欠図)を図4に示す。図4に示すように、光共振器91は、真空装置としての円筒状の断熱用チャンバー98と、断熱用チャンバー98内に配置された測定用ガスセル96と、測定用ガスセル96の両端に配置された1対の高反射率ミラー92と、測定用ガスセル96の一端に配置されたミラー駆動機構99と、測定用ガスセル96の他端に配置されたリングピエゾアクチュエーター93と、測定用ガスセル96を冷却するペルチェ素子99と、循環冷却器(図示せず)に接続された冷却パイプ94aを有する水冷ヒートシンク94と、を備える。
〈二酸化炭素同位体生成装置〉
二酸化炭素同位体生成装置40Aは、炭素同位体から二酸化炭素同位体を含むガスを生成する燃焼部と、二酸化炭素同位体精製部とを備える。二酸化炭素同位体生成装置40Aは、炭素同位体を二酸化炭素同位体に変換可能であれば特に制限されることなく種々の装置を用いることができる。二酸化炭素同位体生成装置40Aとしては、試料を酸化させ、試料中に含まれる炭素を二酸化炭素にする機能を有していることが好ましい。
例えば全有機炭素(total organic carbon 以下「TOC」という)発生装置、ガスクロマトグラフィー用の試料ガス発生装置、燃焼イオンクロマトグラフィー用の試料ガス発生装置、元素分析装置(Elemental Analyzer:EA)等の二酸化炭素生成装置(G)41を用いることができる。
図5に、273K、CO分圧20%、CO分圧1.0×10-4%、NO分圧3.0×10-8%の条件下における14COと競合ガス13CO,CO,及びNOの4.5μm帯吸収スペクトルを示す。
前処理後の生体試料を燃焼させることにより、二酸化炭素同位体14CO(以下、「14CO」ともいう)を含むガスを生成できる。しかし、14COの発生と共に、CO、NOといった夾雑ガスも発生する。これらCO、NOは、図5に示すように、それぞれ4.5μm帯の吸収スペクトルを有するので、14COが有する4.5μm帯の吸収スペクトルと競合する。そのため、分析感度を向上させるために、CO、NOを除去することが好ましい。
CO、NOの除去方法としては、以下のように14COを捕集・分離する方法が挙げられる。また、酸化触媒や白金触媒により、CO、NOを除去・低減する方法、及び前記捕集・分離方法との併用が挙げられる。
(i)ドライアイス化による14COの捕集・分離
二酸化炭素同位体生成装置は、燃焼部と、二酸化炭素同位体精製部と、を備えることが好ましい。燃焼部は、燃焼管と、燃焼管を加熱可能とする加熱部と、を備えることが好ましい。燃焼管は、試料を内部に収容可能に耐熱性ガラス(石英ガラス等)で構成され、燃焼管の一部に試料導入口が形成されていることが好ましい。燃焼管は試料導入口の他に、キャリアガスを燃焼管に導入可能にキャリアガス導入口を形成してもよい。なお、燃焼管の一部に試料導入口等を設ける態様の他にも、燃焼管の一端に燃焼管とは別部材で試料導入部を形成し、試料導入部に試料導入口やキャリアガス導入口を形成する構成としてもよい。
加熱部としては、燃焼管を内部に配置可能とし燃焼管を加熱可能とする、管状電気炉といった電気炉が挙げられる。管状電気炉の例としては、ARF-30M(アサヒ理化製作所)が挙げられる。
また、燃焼管は、キャリアガス流路の下流側に、少なくとも一種類の触媒を充填させた酸化部及び/又は還元部を具備することが好ましい。酸化部及び/又は還元部は、燃焼管の一端に設けてもよいし、別部材として設けてもよい。酸化部に充填する触媒として、酸化銅、銀・酸化コバルト混合物が例示できる。酸化部において、試料の燃焼により発生したH、COをHO、COに酸化することが期待できる。還元部に充填する触媒として、還元銅、白金触媒が例示できる。還元部において、NOを含む窒素酸化物(NO)をNに還元することが期待できる。
二酸化炭素同位体精製部としては、生体試料の燃焼により生じたガス中の14COを、液体窒素を用いてドライアイス化する方法を用いることができる。これにより14COを検出する段階でCO、NOの影響を軽減あるいは除去できる。また14COを含むCOガスが一時捕集されることで、14COの濃縮が見込まれるので、14COの分圧の向上が期待できる。
上述の構成を備えることで、夾雑ガスを除去できる。
(ii)14COの濃縮(分離)
生体試料の燃焼により発生した14COは配管内で拡散する。そのため、14COを吸着剤に吸着させ濃縮することにより、検出感度(強度)を向上させてもよい。かかる濃縮によりCO、NOから14COの分離も期待できる。
〈光発生装置〉
光発生装置20Aとしては、二酸化炭素同位体の吸収波長を有する光を発生できる装置であれば特に制限されることなく種々の装置を用いることができる。放射性二酸化炭素同位体14COの吸収波長である4.5μm帯の光を簡易に発生させる光源23Aとしては、例えば、量子カスケードレーザー(以下「QCL」ともいう)を用いることができる。QCLを用いる場合、後述の光発生装置から発生する線幅の狭い光(光コム)を周波数リファレンスとして用いるビート信号測定装置により、QCLから発する光の発振波長の揺らぎを補正した光源を用いることが好ましい。
〈演算装置〉
演算装置30としては、上述の減衰時間やリングダウンレートから光共振器内の吸収物質濃度を測定し、吸収物質濃度から炭素同位体濃度を測定できるものであれば特に制限されることなく種々の装置を用いることができる。
演算制御部31としては、CPU等の通常のコンピュータシステムで用いられる演算手段等で構成すればよい。入力装置32としては、例えばキーボード、マウス等のポインティングデバイスが挙げられる。表示装置33としては、例えば液晶ディスプレイ、モニタ等の画像表示装置等が挙げられる。出力装置34としては、例えばプリンタ等が挙げられる。記憶装置35としてはROM、RAM、磁気ディスクなどの記憶装置が使用可能である。
以上、第1の態様に係る炭素同位体分析装置について説明してきたが、炭素同位体分析装置は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の変更を加えることができる。以下に炭素同位体分析装置の別の態様について、第1の態様からの変更点を中心に説明する。
[炭素同位体分析装置の第2の態様]
〈冷却、除湿装置〉
図6は、炭素同位体分析装置の第2の態様の概念図である。
図6に示すように、二酸化炭素同位体生成装置40Bは、排出弁43と吸引装置45をさらに備えてもよい。燃焼行程で発生した移動相由来のガスを、二酸化炭素の発生時間プロファイルに基づいて効率的に除去することができるからである。詳細については後述する。
分光装置10Bは、光共振器11を冷却するペルチェ素子19と、光共振器11を収納する真空装置18と、をさらに備えてもよい。14COの光吸収は温度依存性を有するため、ペルチェ素子19により光共振器11内の設定温度を低くすることで、14COの吸収線と13CO12COの吸収線との区別が容易になり、14COの吸収強度が強くなるからである。また光共振器11を真空装置18内に配置して、光共振器11が外気に晒されることを防止して外部温度の影響を軽減することで、分析精度が向上するからである。
光共振器11を冷却する冷却装置としては、ペルチェ素子19の他にも、例えば、液体窒素槽、ドライアイス槽などを用いることができる。分光装置10Bを小型化できる観点からはペルチェ素子19を用いることが好ましく、装置の製造コストを下げる観点からは液体窒素水槽もしくはドライアイス槽を用いることが好ましい。
真空装置18としては、光共振器11を収納でき、また光発生装置20Bからの照射光を光共振器11内に照射でき、透過光を光検出器に透過できるものであれば、特に制限なく様々な真空装置を用いることができる。
除湿装置を設けてもよい。その際、ペルチェ素子等の冷却手段により除湿してもよいが、フッ素系イオン交換樹脂膜といった水蒸気除去用高分子膜を使用した膜分離法によって除湿してもよい
上述の炭素同位体分析装置1をマイクロドーズに用いる場合、放射性炭素同位体14Cに対する検出感度は「0.1dpm/ml」程度が想定される。この検出感度「0.1dpm/ml」を達成するためには、光源として「狭帯域レーザー」を用いるだけでは不十分であり、光源の波長(周波数)の安定性が求められる。即ち、吸収線の波長からずれないこと、線幅が狭いことが要件となる。この点、炭素同位体分析装置1では、「光周波数コム光」を用いた安定な光源をCRDSに用いることでこの課題を解決できる。炭素同位体分析装置1によれば、低濃度の放射性炭素同位体を含む検体に対しても測定が可能であるという有利な作用効果が奏される。
なお、先行文献(廣本 和郎等、「キャビティーリングダウン分光に基づく14C連続モニタリングの設計検討」、日本原子力学会春の年会予稿集、2010年3月19日、P432)には、原子力発電関連の使用済み燃料の濃度モニタリングに関連して、CRDSにより二酸化炭素中の14C濃度を測定する旨が開示されている。しかし、先行文献に記載された、高速フーリエ変換(FFT)を用いた信号処理方法は、データ処理が早くなるものの、ベースラインのゆらぎが大きくなるため、検出感度「0.1dpm/ml」を達成することは困難である。
図7(Applied Physics Vol.24, pp.381-386, 1981より引用)は、分析試料1216131813161416の吸収波長と吸収強度の関係を示す。図7に示すように、それぞれの炭素同位体を含む二酸化炭素は、固有の吸収線を有している。実際の吸収では、各吸収線は試料の圧力や温度に起因する拡がりによって有限の幅を持つ。このため、試料の圧力は大気圧以下、温度は273K(0℃)以下にすることが好ましい。
以上、14COの吸収強度は温度依存性があるため、光共振器11内の設定温度を、できるだけ低く設定することが好ましい。具体的な光共振器11内の設定温度は273K(0℃)以下が好ましい。下限値は特に制限はないが、冷却効果と経済的観点から、173K~253K(-100℃~-20℃)、特に233K(-40℃)程度に冷却することが好ましい。
分光装置は、振動吸収手段をさらに備えてもよい。分光装置の外部からの振動によりミラー間隔がずれることを防止して、測定精度を上げることができるからである。振動吸収手段としては、例えば衝撃吸収剤(高分子ゲル)や免震装置を用いることができる。免震装置としては外部振動の逆位相の振動を分光装置に与えることができる装置を用いることができる。
〈光発生装置〉
炭素同位体分析装置の第1の態様では、光源23AとしてQCLを用いたが、それには限定されることなく他の光源を用いることもできる。ここでは、放射性二酸化炭素同位体14COの吸収波長である4.5μm帯の光を簡易に発生させ、しかも装置サイズがコンパクトな光発生装置を例に挙げて説明する。
図6の光発生装置20Bは、1つの光源と、光源からの光を伝送する第1光ファイバーと、第1光ファイバーの分岐点から分岐し前記第1光ファイバーの下流側の合流点で合流する第1光ファイバーよりも長波長の光を伝送する第2光ファイバーと、周波数が異なる複数の光を通過させることで周波数の差から前記二酸化炭素同位体の吸収波長の光を発生させる非線形光学結晶と、を備える。
光源23Bとしては、超短パルス波発生装置を用いることが好ましい。光源23Bとして超短パルス波発生装置を用いた場合、パルスあたりの光子密度が高いため、非線形光学効果が容易に起こり、放射性二酸化炭素同位体14COの吸収波長である4.5μm帯の光を簡易に発生できる。また、各波長の波長幅が均等な櫛状の光の束(光周波数コム、以下「光コム」ともいう。)が得られるため、発振波長の変動が無視できるほど小さくできるからである。なお、光源として連続発振発生装置を用いた場合には、発振波長の変動があるため、光コムなどにより発振波長の変動を測定する必要がある。
光源23Bとしては、例えばモード同期により短パルスを出力する固体レーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザーを用いることができる。なかでもファイバーレーザーを用いることが好ましい。ファイバーレーザーは、コンパクトで対環境安定性にも優れた,実用的な光源であるからである。
ファイバーレーザーとしては、エルビウム(Er)系(1.55μm帯)またはイッテルビウム(Yb)系(1.04μm帯)のファイバーレーザーを用いることができる。経済的な観点からは汎用されているEr系ファイバーレーザーを用いることが好ましく、光強度を高める観点からはYb系ファイバーレーザーを用いることが好ましい。
複数の光ファイバー21、22としては、光源からの光を伝送する第1光ファイバー21と、第1光ファイバー21から分岐し第1光ファイバー21の下流側で合流する波長変換用の第2光ファイバー22と、を用いることができる。第1光ファイバー21としては、光源から光共振器までつながっているものを用いることができる。また、それぞれの光ファイバーには、それぞれの経路上に複数の光学的部品や複数種類の光ファイバーを配置することができる。
第1光ファイバー21としては、生成した高強度な超短パルス光の特性を劣化させずに伝送できる光ファイバーを用いることが好ましい。具体的には、分散補償ファイバー(DCF)、ダブルクラッドファイバーなどを含むことができる。材料は、溶融石英でできたファイバーを用いることが好ましい。
第2光ファイバー22としては、効率良く所望の長波長側に超短パルス光を生成し、生成した高強度な超短パルス光の特性を劣化させずに伝送できる光ファイバーを使用することが好ましい。具体的には、偏波保持ファイバーや単一モードファイバー、フォトニック結晶ファイバー、フォトニックバンドギャップファイバーなどを含むことができる。波長のシフト量に合わせて、数mから数百mまでの長さの光ファイバーを使用することが好ましい。材料は、溶融石英でできたファイバーを用いることが好ましい。
非線形光学結晶24としては、入射される光と出射される光に応じて適宜選択されるが、本実施例の場合は、それぞれの入射光から4.5μm帯前後の波長の光を発生するという観点から、例えばPPMgSLT(periodically poled MgO-dopedStoichiometric Lithium Tantalate(LiTaO))結晶もしくはPPLN(periodically poled Lithium Niobate)結晶、またはGaSe(Gallium selenide)結晶を用いることができる。また、1つのファイバーレーザー光源を用いているため、後述の通り、差周波混合において、光周波数の揺らぎをキャンセルすることができるからである。
非線形光学結晶24としては、照射方向(長手方向)長さが11mmよりも長尺のものが好ましく、32mm~44mmがより好ましい。高出力の光コムが得られるからである。
差周波混合(Difference Frequency Generation 以下「DFG」ともいう)によれば、第1、第2光ファイバー21,22が伝送する波長(周波数)が異なる複数の光を非線形光学結晶に通過させることで、この周波数の差から、差周波数に対応した光を得ることができる。つまり、本実施例の場合、1つの光源23Bから、波長がλ、λである2つの光を発生させ、2つの光を非線形光学結晶に通過させることにより、周波数の差から二酸化炭素同位体の吸収波長の光を発生させることができる。非線形光学結晶を用いるDFGの変換効率は、元となる複数の波長(λ、λ、…λ)の光源の光子密度に依存する。そのため1つのパルスレーザー光源からDFGにより差周波の光を発生することができる。
このようにして得られる4.5μm帯の光は1パルスが規則的な周波数間隔fの複数の周波数の光(モード)からなる光コム(周波数f=fceo+N・f、N:モード数)である。光コムを用いてCRDSを行うためには、分析対象の吸収帯の光を分析対象の含まれる光共振器に導入する必要がある。なお、生成される光コムは、差周波混合のプロセスにおいてfceoがキャンセルされfceoが0になる。
非特許文献1のI. Galliらに考案された炭素同位体分析装置の場合、波長の異なる2種類のレーザー装置(Nd:YAG laserとexternal-cavity diode laser (ECDL))を用意して、レーザー光の周波数の差から二酸化炭素同位体の吸収波長を有する照射光を発生させていた。両者は連続発振レーザーであり、かつ、ECDLの強度が低いため、十分な強度のDFGを得るために、DFGで使用する非線形光学結晶を光共振器内に設置し、そこに両者の光を入れ、光子密度を高める必要があった。また、ECDLの強度を高めるために、Ti:Sapphire結晶を別のNd:YAGレーザーの2倍波にて励起し、ECDL光を増幅する必要もあった。これらを行う共振器の制御が必要になるなど、装置が大がかりで、操作が複雑になっていた。一方、本発明の実施形態に係る光発生装置は、1つのファイバーレーザー光源と、数mの光ファイバーと、非線形光学結晶とで構成されているため、コンパクトで搬送しやすく、しかも操作が簡単である。また1つの光源から複数の光を発生させているため、それぞれの光の揺らぎ幅及び揺らぎのタイミングが同一となる。そのため、制御装置を用いることなく、差周波混合を行うことで簡易に光周波数の揺らぎをキャンセルすることができる。
第1光ファイバーと第2光ファイバーの合流点から光共振器の間の光路について、空気中にレーザー光を伝送させる態様や、必要に応じてレンズによるレーザー光の集光及び/または拡大をする光学系を含む光伝送装置を構築してもよい。
光吸収物質の光吸収は、吸収線強度が大きく、かつ、照射光の光強度も高い場合は、その光吸収に対応した下準位が著しく減少し、実効的な光吸収量が飽和したようになる(これを飽和吸収と呼ぶ)。SCAR理論(Saturated Absorption CRDS)によれば、光共振器内の14CO等の試料に吸収線強度が大きな4.5μm帯の光を照射すると、得られる減衰信号(リングダウン信号)の初期は光共振器内に蓄積されている光強度が高いため飽和効果が大きく見られ、その後、減衰が進むにつれて光共振器内に蓄積されている光強度が徐々に低くなるため飽和効果が小さくなる。このため、このような飽和効果が見られる減衰信号は、単純な指数関数減衰ではなくなる。この理論に基づけば、SCARで得られた減衰信号のフィッティングにより、試料による減衰率とバックグラウンドの減衰率を独立に評価できるため、寄生エタロン効果などのバックグラウンドの減衰率の変動に影響されることなく試料による減衰率を求めることができ、かつ、夾雑ガスと比較して14COの飽和効果が大きいため、14COによる光吸収をより選択的に測定できる。したがって、より光強度の高い照射光を用いるほうが、分析の感度が向上することが期待されている。本発明の光発生装置は、光強度が高い照射光を発生させることができるので、炭素同位体分析に用いた場合、分析感度が向上することが期待される。
[炭素同位体分析方法の第1の態様]
分析対象として放射性同位体14Cを例にあげて説明する。
(生体試料の前処理)
(1)まず図1に示すような炭素同位体分析装置1を用意する。また放射性同位体14C源として、14Cを含む生体試料、例えば、血液、血漿、尿、糞、胆汁などを用意する。
(2)生体試料の前処理として除タンパクを行うことにより、生体由来炭素源を除去する。生体試料の前処理は、広義には、生体由来の炭素源除去工程と、夾雑ガス除去(分離)工程とが含まれるが、ここでは、生体由来の炭素源除去工程を中心に説明する。
マイクロドーズ試験では極微量の14C標識化合物が含まれる生体試料(例えば、血液、血漿、尿、糞、胆汁など)について分析が行われる。そのため、分析効率を上げるためには、生体試料の前処理を行うことが好ましい。CRDS装置の特性上、生体試料中14Cと全炭素との比(14C/TotalC)が測定の検出感度を決定する要素の一つであるため、生体試料中から生体由来の炭素源を除去することが好ましい。
除タンパクの方法としては、酸や有機溶媒によりタンパク質の不溶化させる除タンパク法、分子サイズの違いを利用する限外濾過または透析による除タンパク法、固相抽出による除タンパク法等が例示できる。後述するように、14C標識化合物の抽出が行えることや、有機溶媒自身の除去が容易であることから、有機溶媒による除タンパク法が好ましい。
有機溶媒を用いた除タンパク法の場合、まず生体試料に有機溶媒を添加し、タンパク質を不溶化する。このとき、タンパク質に吸着している14C標識化合物が、有機溶媒含有溶液へ抽出される。14C標識化合物の回収率を高めるために、前記有機溶媒含有溶液を別の容器に採取後、残差にさらに有機溶媒を添加し、抽出する操作を行ってもよい。前記抽出操作は複数回繰り返してもよい。なお、生体試料が糞である場合、肺など臓器である場合等、有機溶媒と均一に混合しにくい形態の場合には、該生体試料をホモジネートする等、生体試料と有機溶媒とが均一に混合されるための処理をすることが好ましい。また必要に応じて、不溶化したタンパク質を、遠心操作、フィルターによるろ過等により除去してもよい。
その後、有機溶媒を蒸発させることにより14C標識化合物を含む抽出物を乾固させ、有機溶媒由来の炭素源を取り除く。前記有機溶媒は、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、またはアセトニトリル(ACN)が好ましく、アセトニトリルがさらに好ましい。
(3)送液部、試料注入部、分離部を備える高速液体クロマトグラフを用いて生体試料から代謝物毎に試料を分画する。
(4)分画された試料中から移動相を除去する。移動相の除去方法は、特に制限されないが、例えば、試料が配置された雰囲気内の圧力、体積、温度のいずれかを変化させることにより移動相を除去することができる。また、移動相を気化させることにより移動相を除去することもできる。気化により移動相を除去することが好ましい。
(5)移動相が除去された生体試料を加熱・燃焼させて、放射性同位体14C源から二酸化炭素同位体14COを含むガスを生成する。
(6)得られた14COから水分を取り除いておくことが好ましい。例えば二酸化炭素同位体生成装置40A内にて、14COを炭酸カルシウム等の乾燥剤上を通過させたり、14COを冷却して水分を結露させることにより水分を除去することが好ましい。14COに含まれる水分に起因する光共振器11の着氷・着霜によるミラー反射率低下が検出感度を低下させるため、水分を除去しておくことで分析精度が上がるからである。なお、分光工程を考慮すると、分光装置10Aへ14COを導入する前に、14COを冷却しておくことが好ましい。室温の14COを導入すると、共振器の温度が大きく変化し、分析精度が低下するためである。
(7)14COを、図1に示すような1対のミラー12a、12bを有する光共振器11内に充填する。そして14COを273K(0℃)以下に冷却することが好ましい。照射光の吸収強度が高まるからである。また光共振器11を真空雰囲気に保つことが好ましい。外部温度の影響を軽減させることで、測定精度が高まるからである。
(8)二酸化炭素同位体14COに照射光を照射し共振させる。その際、測定精度を上げるためには、光共振器11の外部からの振動を吸収し、ミラー12a、12b間隔にずれが生じないようにすることが好ましい。また照射光が空気に触れないように、第1光ファイバー21の下流側の他端をミラー12aに当接させながら照射することが好ましい。そして光共振器11からの透過光の強度を測定する。図5に示すように透過光を分光し、分光されたそれぞれの透過光について強度を測定してもよい。
(9)透過光の強度から炭素同位体14C濃度を計算する。
以上、第1の態様に係る炭素同位体分析方法について説明してきたが、炭素同位体分析方法は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の変更を加えることができる。以下に炭素同位体分析方法の別の態様について、第1の態様からの変更点を中心に説明する。
[炭素同位体分析方法の第2の態様]
第1の態様では、分画された試料を燃焼させる前に試料中から移動相を除去した。しかし、移動相由来の二酸化炭素ガスの影響を取り除く方法はこれには限定されない。例えば、上記除去工程に換えて又は加えて、燃焼行程で発生した移動相由来のガスを除去してもよい。具体的には、二酸化炭素の発生時間プロファイルに基づいて移動相由来のガスを除去してもよい。後述の図11に示されるように、二酸化炭素同位体生成装置に試料を挿入してからの経過時間に対する二酸化炭素の分圧の関係において、移動相由来のガス、例えば、アセトニトリルや酢酸アンモニウム由来の二酸化炭素(図11中、矢印X,Y)は、生体由来の二酸化炭素(図11中、矢印Z)よりも早く放出される傾向がある。燃焼行程の初期に発生した移動相由来のガスを除去することにより、効率的に生体由来の二酸化炭素を得ることができる。除去の方法としては特に制限はないが、例えば、図6の排出弁43と吸引装置45を作動させることにより移動相由来のガスを吸引することができる。
第1の態様では、図1に示されるような、QCLを光源23Aとして用いる光発生装置20Aを用いたが、これに限定されることはない。例えば、図6に示されるような、差周波混合を用いる光発生装置20Bを用いてもよい。その場合、以下の手順で光コムを発生させることができる。
光源23Bから得られた第1光を第1光ファイバー21に伝送する。また第1光ファイバー21から分岐し第1光ファイバー21の下流側の合流点で合流する第2光ファイバー22に第1光を伝送させて、第2光ファイバー22により第1光よりも長波長の第2光を発生させる。そして、短波長側の第1光ファイバー21から1.3μm~1.7μm帯の光を発生させ、長波長側の第2光ファイバー22から1.8μm~2.4μm帯の光を発生させる。次に第2光を第1光ファイバー21の下流側で合流させ、第1光と第2光を非線形光学結晶24に通過させ、周波数の差から二酸化炭素同位体14COの吸収波長の4.5μm帯の光として、波長4.5μm~4.8μm帯の中赤外域光周波数の光コムを照射光として発生させる。その際、非線形光学結晶24として長手方向の長さが11mmよりも長尺の長軸結晶を用いることにより強度の高い光を生成することができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
実施形態に係る炭素同位体分析装置においては、高速液体クロマトグラフ50と移動相除去ユニット60を、炭素同位体分析装置内にレイアウトした。しかし、高速液体クロマトグラフ50と移動相除去ユニット60のレイアウトはこれに限定されることはなく、例えば、炭素同位体分析装置から分離した箇所にレイアウトしても構わない。
生体試料の分画方法として、HPLCについて詳しく説明したが、分画方法としては、HPLCの他に、キャピラリー電気泳動やその他の分析方法を用いることができる。
炭素同位体分析装置について、説明の便宜上、第1の態様と第2の態様を挙げて説明したが、各態様に限定されることはなく、各態様で挙げた各部材は、適宜、置き換えることができる。例えば、図1において10Aを10B、20Aを20B、40Aを40Bに置き換えることができる。図6においても同様に、10Bを10A、20Bを20A、40Bを40Aに置き換えることもできる。
実施形態に係る炭素同位体分析装置においては、分析対象である炭素同位体として放射性同位体14Cを中心に説明した。放射性同位体14Cの他にも、安定同位体元素である12C、13Cを分析することができる。その場合の照射光としては、例えば、12C及び13C分析を12CO及び13COの吸収線分析として行う場合は、2μm帯や1.6μm帯の光を用いることが好ましい。
12CO、及び13COの吸収線分析を行う場合、ミラー間隔は10~60cm、ミラーの曲率半径はミラー間隔と同じかそれ以上、とすることが好ましい。
なお、12C、13C、14Cはそれぞれ化学的には同じ挙動を示すが、安定同位体元素12C、13Cよりも放射性同位体14Cの天然存在比が低いことから、放射性同位体14Cはその濃度を人工的な操作により高くし、精度よく測定を行うことで様々な反応過程の観測が可能となる。
実施形態に係る炭素同位体分析装置は、第1光ファイバーから分岐し分岐点より下流側で第1光ファイバーに合流する非線形ファイバーで構成された第3の光ファイバーをさらに備えてもよい。第1~第3の光ファイバーを組み合わせることで2種以上の様々な周波数の光を発生することが可能になるからである。
光周波数コムは、レーザースペクトルの縦モードが非常に高い精度で等周波数間隔に並んだ光源であり、精密分光や高精度距離計測の分野において高機能な新しい光源として期待されている。また、物質の吸収スペクトルが中赤外域に多く存在するため、中赤外域の光周波数コム光源の開発は重要である。上述の光発生装置は種々の用途で活用可能である。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
〔参考例1〕
7週齢の雄ラットに放射性炭素同位体(14C)で標識されたジクロフェナクを、最終的に1mg/1.23MBq/kg(投与量/14C量/ラットの体重)となるように、単回経口投与した。そして、上述の雄ラットから胆汁代謝物を含む生体試料を採取した。
図8に示すような、光共振器と、Hypersil GOLD(登録商標)で充填されたカラム(Thermo Fisher Scientific社製)を有する高速液体クロマトグラフとを備える炭素同位体分析装置を用意した。また移動相Aとしてアンモニアアセテート、移動相Bとしてアセトニトリルを用意した。
次に、カラム温度30℃、カラム内流量10ml/minの条件で、移動相A、移動相B、生体試料をカラム内に流し込み、生体試料を0.5分間隔で60分間に渡り分画した。得られた分画試料のうち、胆汁代謝物に相当する分画試料20μLにグルコース溶液50μLを加えて試料溶液を作成した。
試料溶液を燃焼させて二酸化炭素を発生させ、その二酸化炭素を光共振器内に充填し、4.5μmの波長の光を照射し、光強度を測定することで、14C濃度を測定した。
その結果、図9Aに示すような二酸化炭素プロファイルと、図9Bに示すような代謝物サンプルのスペクトルが得られた。これらの結果より、移動相由来の持ち込み炭素による13COと酢酸アンモニウム由来のNOによる干渉が見られることが分かった。分析精度を上げるためには、これらを除去することが望ましいことが分かった。
〔参考例2〕
参考例1と同様に実験を行った。得られた結果を図10A、図10Bに示す。
参考例1と同様に、13COとNOによる干渉が見られたことが分かった。分析精度を上げるためには、これらを除去することが望ましいことが分かった。
以上の参考例1,2の実験結果から、14COの分析感度を高めるには、NOや13COの干渉線の低減が求められることが分かった。移動相の影響を低減させるため、移動相を気化させた後に、試料を燃焼させる実験を行った。以下にその内容を説明する。
〔実施例1〕二酸化炭素発生プロファイル
試料1として、グルコース水溶液(炭素量100ug)を用意した。
試料2として、疑似移動相[移動相A(アンモニアアセテート):95質量%、移動相B(アセトニトリル):5質量%)]と、グルコース水溶液(炭素量100ug)を備える試料を用意した。
試料3として、試料2と同様の試料を用意し、試料を二酸化炭素生成装置に挿入する前に10分間扇風機を用いて送風することにより試料中の移動相を気化・乾燥させることにより除去した。
図1の二酸化炭素生成装置40Aを用いて、試料1~3を燃焼させることにより、各試料から二酸化炭素を発生させた。得られた二酸化炭素を光共振器内に充填し、4.5μmの波長の光を照射し、光強度を測定することで、14C濃度を測定した。二酸化炭素生成装置40Aに試料を挿入してからの経過時間に対する二酸化炭素の分圧の関係をまとめて図11に示す。
矢印Xで示されるアセトニトリル由来の二酸化炭素と、矢印Yで示される酢酸アンモニウム由来の二酸化炭素は、矢印Zで示されるグルコース由来の二酸化炭素よりも早いタイミングで放出されていることが示された。試料1ではグルコース由来の二酸化炭素ガスが発生していることが示された。試料2では、移動相Bのアセトニトリル由来の二酸化炭素ガスが大量に発生していることが示された。試料3により、試料の燃焼の前に移動相を気化・乾燥させることにより、移動相中のアセトニトリルが揮発され除去されることで、移動相由来の二酸化炭素の発生を大幅に防ぐことができることが示された。
図11より、二種の移動相成分とグルコースの燃焼タイミングに時間的な差異が生じることが分かった。つまり、移動相由来の二酸化炭素は、生体試料由来の二酸化炭素よりも早いタイミングで発生するので、早期に発生した移動相由来の二酸化炭素を除去することにより、生体試料由来の二酸化炭素を効率的に光共振器11内に挿入できることが分かった。
図6に示されるような排出弁43と吸引装置45を備える二酸化炭素同位体生成装置40Bを用意し、排出弁43と吸引装置45を作動させることにより移動相由来のガスを吸引除去することが期待できる。
〔実施例2〕
7週齢の雄ラットに放射性炭素同位体(14C)で標識されたジクロフェナクを、最終的に1mg/1.23MBq/kg(投与量/14C量/ラットの体重)となるように、単回経口投与した。そして、上述の雄ラットから胆汁代謝物を含む生体試料を採取した。
図1に示すような、光共振器と、カラム内がHypersil GOLD(登録商標)で充填されたカラムを備える高速液体クロマトグラフとを備える炭素同位体分析装置を用意した。また移動相Aとしてアンモニアアセテート、移動相Bとしてアセトニトリルを用意した。
次に、カラム温度30℃、カラム内流量10ml/minの条件で、移動相A、移動相B、生体試料をカラム内に流し込み、生体試料を0.5分間隔で60分間に渡り分画した。得られた分画試料のうち、胆汁代謝物に相当する分画試料20μLにグルコース溶液50μLを加えて試料溶液を作成した。得られた試料溶液に扇風機で風を10分間程度送り続けてアセトニトリルを気化させることにより、移動相由来の持ち込み炭素を除去した。
試料溶液を燃焼させて二酸化炭素を発生させ、その二酸化炭素を光共振器内に充填し、4.5μmの波長の光を照射し、光強度を測定することで、14C濃度を測定した。得られたプロファイルを図12Aに示す。
上述と同様にして作成された試料溶液についてLSCを用いて14C濃度を測定した。得られたプロファイルを図12Bに示す。
図12CはラジオHPLC検出システムにより測定した14C濃度のプロファイル図を示す。
図12A、図12Bより、CRDSによりLSCと同様のプロファイルが得られることが確認された。実施例に係る発明によれば、代謝物毎に14Cを定量化することができることが確認された。
図13はCRDSとLSCにより測定した14C濃度のプロファイル図である。縦軸を対数表示したものである。CRDSのグラフはLSCのものに比べて上下動が激しかった。このことよりCRDSのほうがLSCよりも測定感度が良好であることが示された。
1A、1B 炭素同位体分析装置
10A、10B 分光装置
11 光共振器
12a、12b ミラー
13 ピエゾ素子
15 光検出器
16 セル
18 真空装置
19 ペルチェ素子
20A、20B 光発生装置
21 第1光ファイバー
22 第2光ファイバー
23 光源
24 非線形光学結晶
29 光学スイッチ
30 演算装置
40A、40B、140 二酸化炭素同位体生成装置
50 高速液体クロマトグラフ
60 移動相除去ユニット

Claims (10)

  1. 炭素同位体でマーカーされた生体試料から、高速液体クロマトグラフを用いて代謝物毎に分画された試料を得る工程と、
    前記試料から移動相を除去する工程と、
    前記移動相が除去された試料を燃焼させて二酸化炭素を得る工程と、
    光共振器に前記二酸化炭素を挿入する工程と、を備える、炭素同位体分析方法。
  2. 前記移動相を除去する工程において、前記試料が配置された雰囲気内の圧力、体積、温度のいずれかを変化させることにより前記移動相を除去する、請求項1に記載の炭素同位体分析方法。
  3. 前記移動相を除去する工程において、前記移動相を気化させることにより前記移動相を除去する、請求項1に記載の炭素同位体分析方法。
  4. 前記二酸化炭素を挿入する工程において、前記燃焼行程の初期に発生した移動相由来のガスを除去した後に、生体試料由来の二酸化炭素を前記光共振器に挿入する、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭素同位体分析方法。
  5. 前記二酸化炭素を挿入する工程において、二酸化炭素の発生時間プロファイルに基づいて前記移動相由来のガスを除去した後に、生体試料由来の二酸化炭素を前記光共振器に挿入する、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭素同位体分析方法。
  6. 前記二酸化炭素を挿入する工程において、前記燃焼行程の初期に発生した前記移動相由来のガスを排出した後に、二酸化炭素を分離濃縮し、濃縮された二酸化炭素を前記光共振器に挿入する、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭素同位体分析方法。
  7. 前記生体試料は放射性炭素同位体(14C)でマーカーされている、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭素同位体分析方法。
  8. 放射性炭素同位体でマーカーされた生体試料から代謝物毎に試料を分画する高速液体クロマトグラフと、
    前記試料中の移動相を除去する移動相除去ユニットと、
    前記試料を燃焼させて二酸化炭素を得る燃焼手段と、
    光共振器、光発生部、検出部を備える炭素同位体分析ユニットと、を備える、炭素同位体分析装置。
  9. さらに、移動相由来のガスを排出する排出弁を備える、請求項8に記載の炭素同位体分析装置。
  10. さらに、前記二酸化炭素を分離濃縮する分離濃縮ユニットを備える、請求項8又は9に記載の炭素同位体分析装置。
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