JP2022165436A - 測定装置および測定方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022165436000001
【課題】光学式距離計の性能を簡便に切り換えられるようにする。
【解決手段】複数の周波数シフタを有し、周波数変調レーザ光を出力するレーザ装置と、複数の周波数シフタを制御して、レーザ装置から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換える制御部と、レーザ装置が出力する周波数変調レーザ光を、参照光と測定光とに分岐させる分岐部と、測定光を計測対象物に照射して反射された反射光と参照光とを混合してビート信号を発生させるビート信号発生部と、ビート信号を周波数解析する周波数解析部と、ビート信号を周波数解析した結果に基づき、参照光と測定光との伝搬距離の差を算出する算出部とを備える、測定装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、測定装置および測定方法に関する。
共振器内に周波数シフタが設けられ、時間の経過とともに発振周波数が線形に変化する複数の縦モードレーザを出力する周波数シフト帰還レーザ(FSFL:Frequency Shifted Feedback Laser)が知られている。また、このような周波数シフト帰還レーザを用いた光学式の距離計が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。
特許第3583906号明細書
原武文,「FSFレーザによる距離センシングとその応用」,オプトニューズ,Vol.7,No.3,2012年,pp.25-31
光学式距離計は、周波数シフト帰還レーザを参照光と測定光とに分岐して、測定光を計測対象物に照射して反射された反射光と参照光とを混合してビート信号を発生させていた。そして、光学式距離計は、ビート信号の周波数を特定することにより、当該光学式距離計から計測対象物までの距離を測定していた。このような光学式距離計は、より長い距離を簡便に測定することが要求されることもあれば、より高い精度、より高い分解能で測定することが要求されることもあった。しかしながら、光学式距離計の性能を切り換えることは容易ではなかった。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、光学式距離計の性能を簡便に切り換えられるようにすることを目的とする。
本発明の第1の態様においては、複数の周波数シフタを有し、周波数変調レーザ光を出力するレーザ装置と、複数の前記周波数シフタを制御して、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の単位時間当たりの周波数の変化率に基づくチャープレートを切り換える制御部と、前記レーザ装置が出力する前記周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させる分岐部と、前記測定光を計測対象物に照射して反射された反射光と、前記参照光とを混合してビート信号を発生させるビート信号発生部と、前記ビート信号を周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部が前記ビート信号を周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との伝搬距離の差を算出する算出部とを備える、測定装置を提供する。
前記制御部は、当該測定装置から前記計測対象物までの距離がより長い場合に、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートをより低くしてもよい。
前記制御部は、当該測定装置から前記計測対象物までの距離をより高い精度で測定する場合に、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートをより高くしてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、入力した光の周波数を前記第1シフト量よりも大きい第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記レーザ共振器を周回する光を前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタのいずれか一方に入力させる入力切換部と、前記第1周波数シフタが出力した光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記入力切換部を制御して、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を前記第1シフト量とは異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記第1周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記第2周波数シフタが出力した0次回折光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記第2周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記第2周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を前記第2シフト量とは異なる第3シフト量だけシフトする第3周波数シフタと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第3周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記第2周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光の周波数を第3シフト量だけシフトする第3周波数シフタと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第3周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記第1周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記第2周波数シフタの前記第2シフト量は、前記第3周波数シフタの前記第3シフト量と比較して正負が異なっていてもよい。
前記制御部は、当該測定装置から前記計測対象物までの距離が相対的に変化している場合に、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートの正負の符号を切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、入力した光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記レーザ共振器を周回する光を前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタのいずれか一方に入力させる入力切換部と、前記第1周波数シフタが出力した光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記入力切換部を制御して、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラとを有し、前記制御部は、前記第1周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させる第1レーザ共振器と、レーザ光を発振させる第2レーザ共振器と、前記第1レーザ共振器が出力した第1周波数変調レーザ光が入力する第1ポートと、前記第2レーザ共振器が出力した第2周波数変調レーザ光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力したレーザ光の少なくとも一部を出力する第3ポートとを含む光合波部とを備え、前記第1レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタを有し、前記第2レーザ共振器は、入力した光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタを有してもよい。
前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、前記レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、入力した光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、前記レーザ共振器を周回する光を前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタに入力させる光カプラと、前記第1周波数シフタが出力した光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の少なくとも一部を出力する第3ポートとを含む光合波部とを有し、前記制御部は、前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタの動作を切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換えてもよい。
前記制御部は、前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを第1チャープレートおよび第2チャープレートのいずれか一方に切り換え、前記第1チャープレートは、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光が周回する前記レーザ共振器の共振器長に対応する第1共振器周波数と、前記第1シフト量との乗算結果に等しく、前記第2チャープレートは、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が周回する前記レーザ共振器の共振器長に対応する第2共振器周波数と、前記第2シフト量との乗算結果に等しく、前記第1チャープレートの絶対値は前記第2チャープレートの絶対値に等しく、前記第1チャープレートの正負の符号は前記第2チャープレートの正負の符号とは異なっていてもよい。
本発明の第2の態様においては、計測対象物までの距離を測定する測定装置の測定方法であって、単位時間当たりの周波数の変化率に基づくチャープレートを第1チャープレートにした周波数変調レーザ光を出力するステップと、前記周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させるステップと、前記測定光を前記計測対象物に照射して反射された反射光と、前記参照光とを混合してビート信号を発生させるステップと、前記ビート信号を周波数解析するステップと、周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との伝搬距離の差を前記第1チャープレートに対応する第1算出条件で算出するステップと、前記伝搬距離の差を前記第1算出条件で算出する際の測定精度よりも高い測定精度で算出する際に用い、前記周波数変調レーザ光の前記第1チャープレートよりも高い第2チャープレートに対応する第2算出条件を、前記第1算出条件で算出された前記伝搬距離の差に基づいて特定するステップと、前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを前記第1チャープレートから前記第2チャープレートに切り換えるステップと、前記チャープレートを切り換えた後に、前記分岐させるステップから前記周波数解析するステップまでを実行するステップと、前記チャープレートを切り換えた後に周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との前記伝搬距離の差を前記第2算出条件で算出するステップとを有する、測定方法を提供する。
本発明の第3の態様においては、計測対象物までの距離を測定する測定装置の測定方法であって、単位時間当たりの周波数の変化率に基づくチャープレートを第1チャープレートにした周波数変調レーザ光を出力するステップと、前記周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させるステップと、前記測定光を前記計測対象物に照射して反射された反射光と、前記参照光とを混合してビート信号を発生させるステップと、前記ビート信号を周波数解析するステップと、周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との伝搬距離の差を前記第1チャープレートに対応する第1算出条件で算出するステップと、前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを前記第1チャープレートから第2チャープレートに切り換えるステップと、前記チャープレートを切り換えた後に、前記分岐させるステップから前記周波数解析するステップまでを実行するステップと、前記チャープレートを切り換えた後に周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との前記伝搬距離の差を前記第2チャープレートに対応する第2算出条件で算出するステップと、前記第1算出条件で算出した前記伝搬距離の差と、前記第2算出条件で算出した前記伝搬距離の差とに基づき、当該測定装置から前記計測対象物までの距離を算出するステップとを有し、前記第1チャープレートの絶対値は前記第2チャープレートの絶対値に等しく、前記第1チャープレートの正負の符号は前記第2チャープレートの正負の符号とは異なる、測定方法を提供する。
本発明によれば、光学式距離計の性能を簡便に切り換えられるという効果を奏する。
本実施形態に係る測定装置100の構成例を計測対象物10と共に示す。 本実施形態に係るレーザ装置110の構成例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置110が出力するレーザ光の一例を示す。 本実施形態に係る測定装置100が検出するビート信号の周波数と、光ヘッド部140および計測対象物10の間の距離dとの関係の一例を示す。 本実施形態に係るビート信号発生部150および周波数解析部160の構成例を示す。 本実施形態に係るビート信号発生部150および周波数解析部160の直交検波の概略の一例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第1構成例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第2構成例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第3構成例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第4構成例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第5構成例を示す。 本実施形態に係る測定装置100の動作フローの一例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第6構成例を示す。 本実施形態に係るレーザ装置300の第7構成例を示す。
[測定装置100の構成例]
図1は、本実施形態に係る測定装置100の構成例を計測対象物10と共に示す図である。測定装置100は、当該測定装置100および計測対象物10の間の距離を光学的に測定する。また、測定装置100は、計測対象物10に照射するレーザ光の位置を走査して、計測対象物10の三次元的な形状を計測してもよい。測定装置100は、レーザ装置110と、分岐部120と、光サーキュレータ130と、光ヘッド部140と、ビート信号発生部150と、周波数解析部160と、算出部170と、表示部180と、制御部190とを備える。
レーザ装置110は、レーザ共振器を有し、複数のモードの周波数変調レーザ光を出力する。レーザ装置110は、共振器内に周波数シフタが設けられ、時間の経過とともに発振周波数が線形に変化する複数の縦モードレーザを出力する。レーザ装置110は、一例として、周波数シフト帰還レーザである。周波数シフト帰還レーザについては後述する。
分岐部120は、レーザ装置110が出力する周波数変調レーザ光を、周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させる。分岐部120は、一例として、1入力2出力の光ファイバ型の光カプラである。図1の例において、分岐部120は、測定光を光サーキュレータ130に供給し、参照光をビート信号発生部150に供給する。
光サーキュレータ130は、複数の入出力ポートを有する。光サーキュレータ130は、例えば、一のポートに入力した光を次のポートから出力させ、当該次のポートから入力する光を更に次のポートから出力させる。図1は、光サーキュレータ130が3つの入出力ポートを有する例を示す。この場合、光サーキュレータ130は、分岐部120から供給される測定光を光ヘッド部140に出力する。また、光サーキュレータ130は、光ヘッド部140から入力する光をビート信号発生部150へと出力する。
光ヘッド部140は、光サーキュレータ130から入力する光を計測対象物10に向けて照射する。光ヘッド部140は、一例として、コリメータレンズを有する。この場合、光ヘッド部140は、光ファイバを介して光サーキュレータ130から入力する光をコリメータレンズでビーム状に調節してから出力する。
また、光ヘッド部140は、計測対象物10に照射した測定光の反射光を受光する。光ヘッド部140は、受光した反射光をコリメータレンズで光ファイバに集光して光サーキュレータ130に供給する。この場合、光ヘッド部140は、共通の1つのコリメータレンズを有し、当該コリメータレンズで、測定光を計測対象物10に照射し、また、計測対象物10からの反射光を受光してよい。なお、光ヘッド部140および計測対象物10の間の距離をdとする。
これに代えて、光ヘッド部140は、集光レンズを有してもよい。この場合、光ヘッド部140は、光ファイバを介して光サーキュレータ130から入力する光を計測対象物10の表面に集光する。そして、光ヘッド部140は、計測対象物10の表面で反射した反射光の少なくとも一部を受光する。光ヘッド部140は、受光した反射光を集光レンズで光ファイバに集光して光サーキュレータ130に供給する。この場合においても、光ヘッド部140は、共通の1つの集光レンズを有し、当該集光レンズで、測定光を計測対象物10に照射し、また、計測対象物10からの反射光を受光してよい。
ビート信号発生部150は、測定光を計測対象物10に照射して反射された反射光を光サーキュレータ130から受けとる。また、ビート信号発生部150は、分岐部120から参照光を受けとる。ビート信号発生部150は、反射光および参照光を混合してビート信号を発生させる。ビート信号発生部150は、例えば、光電変換素子を有し、ビート信号を電気信号に変換して出力する。
ここで、反射光は、光ヘッド部140から計測対象物10までの距離を往復しているので、参照光と比較して少なくとも距離2dに応じた伝搬距離の差が生じることになる。レーザ装置110が出力する光は、時間の経過とともに発振周波数が線形に変化するので、参照光および反射光の発振周波数は、当該伝搬距離の差に対応する伝搬遅延に応じた周波数差が生じる。ビート信号発生部150は、このような周波数差に対応するビート信号を発生させる。
周波数解析部160は、ビート信号発生部150が発生させたビート信号を周波数解析する。周波数解析部160は、例えば、ビート信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を周波数信号に周波数変換する。そして、周波数解析部160は、周波数変換した周波数信号を解析してビート信号の周波数を検出する。ここで、ビート信号の周波数をνとする。
算出部170は、周波数解析部160がビート信号を周波数解析した結果に基づき、参照光と測定光との伝搬距離の差を検出する。算出部170は、ビート信号の周波数νに基づき、光ヘッド部140から計測対象物10までの距離dを算出する。
表示部180は、算出部170の算出結果を表示する。表示部180は、ディスプレイ等を有し、算出結果を表示してよい。また、表示部180は、記憶部等に算出結果を記憶させてもよい。表示部180は、ネットワーク等を介して外部に算出結果を供給してもよい。
制御部190は、測定装置100内の各部を制御する。制御部190は、例えば、レーザ装置110を制御して、周波数変調レーザ光を出力させる。また、制御部190は、周波数解析部160および算出部170を制御して、光ヘッド部140から計測対象物10までの距離dを算出させる。制御部190は、表示部180を制御して距離dの算出結果を表示させてもよい。
周波数解析部160、算出部170、および制御部190の少なくとも一部は、集積回路等で構成されていることが望ましい。周波数解析部160、算出部170、および制御部190の少なくとも一部は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、および/またはCPU(Central Processing Unit)を含む。また、周波数解析部160、算出部170、および制御部190は、一体に形成されていてもよい。このような制御部190は、記憶部を有する。
記憶部は、周波数解析部160、算出部170、および制御部190が動作の過程で生成する、または動作の過程で利用する、中間データ、算出結果、設定値、閾値、およびパラメータ等を記憶してもよい。記憶部は、測定装置100内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
記憶部は、CPU等が周波数解析部160、算出部170、および制御部190の少なくとも一部として動作する場合、周波数解析部160、算出部170、および制御部190として機能するOS(Operating System)、およびプログラムの情報を格納してもよい。また、記憶部は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、コンピュータは、記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって、周波数解析部160、算出部170、および制御部190として機能する。
記憶部は、例えば、コンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、および作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部は、HDD(Hard Disk Drive)および/またはSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。また、コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
以上の測定装置100は、計測対象物10に照射した測定光の反射光と、参照光との間の周波数差を解析することにより、測定装置100および計測対象物10の間の距離dを測定可能とする。即ち、測定装置100は、非接触および非破壊の光学式距離計を構成できる。測定装置100のより詳細な構成について次に説明する。
[レーザ装置110の構成例]
図2は、本実施形態に係るレーザ装置110の構成例を示す。図2のレーザ装置110は、周波数シフト帰還レーザの一例を示す。レーザ装置110は、レーザ共振器を有し、当該レーザ共振器内でレーザ光を発振させる。レーザ装置110のレーザ共振器は、周波数シフタ112と、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118とを含むレーザ共振器を有する。
周波数シフタ112は、入力する光の周波数を略一定の周波数だけシフトする。周波数シフタ112は、一例として、音響光学素子を有するAOFS(Acousto-Optic Frequency Shifter)である。ここで、周波数シフタ112による周波数シフト量を+νとする。即ち、周波数シフタ112は、共振器を周回する光の周波数を、1周回毎にνだけ周波数が増加するようにシフトさせる。
増幅媒体114は、ポンプ光が供給され、入力光を増幅する。増幅媒体114は、一例として、不純物が添加された光ファイバである。不純物は、例えば、エルビウム、ネオジウム、イッテルビウム、テルビウム、ツリウム等の希土類元素である。また、増幅媒体114は、WDMカプラ116を介してポンプ光源117からポンプ光が供給される。出力カプラ118は、共振器内でレーザ発振した光の一部を外部に出力する。
即ち、図2に示すレーザ装置110は、共振器内に周波数シフタ112を有するファイバリングレーザを構成する。レーザ装置110は、共振器内にアイソレータを更に有することが望ましい。また、レーザ装置110は、予め定められた波長帯域の光を通過させる光バンドパスフィルタを共振器内に有してもよい。このようなレーザ装置110が出力するレーザ光の周波数特性について次に説明する。
図3は、本実施形態に係るレーザ装置110が出力するレーザ光の一例を示す。図3は、時刻tにおいてレーザ装置110が出力するレーザ光の光スペクトルを左側に示す。当該光スペクトルにおいては、横軸が光強度、縦軸が光の周波数を示す。また、光スペクトルの複数の縦モードを番号qで示す。複数の縦モードの周波数は、略一定の周波数間隔で並ぶ。ここで、光が共振器を1周する時間をτRT(=1/ν)とすると、複数の縦モードは、次式のように1/τRT(=ν)間隔で並ぶことになる。なお、νは、時刻tにおける光スペクトルの初期周波数とする。また、νは、レーザ共振器の共振周波数νである。
Figure 2022165436000002
図3は、レーザ装置110が出力する複数の縦モードの時間経過にともなう周波数の変化を右側に示す。図3の右側においては、横軸が時間、縦軸が周波数を示す。即ち、図3は、レーザ装置110が出力するレーザ光の周波数の時間的な変化を右側に示し、当該レーザ光の時刻tにおける瞬時周波数を左側に示したものである。
レーザ装置110は、共振器内の光が共振器を1周する毎に、周波数シフタ112が周回する光の周波数をνだけ増加させる。即ち、時間がτRT経過する毎に、各モードの周波数はνだけ増加するので、周波数の時間変化dν/dtは、ν/τRTと略等しくなる。したがって、(数1)式で示した複数の縦モードは、時間tの経過に伴って、次式のように変化する。
Figure 2022165436000003
[距離測定処理の詳細]
本実施形態に係る測定装置100は、(数2)式で示すような周波数成分を出力するレーザ装置110を用いて、光ヘッド部140および計測対象物10の間の距離dを測定する。ここで、参照光および反射光の間の光路差が、距離dを往復した距離2dだけであり、距離2dに対応する伝搬遅延をΔtとする。即ち、時刻tにおいて、測定光が計測対象物10から反射して戻ってきた場合、戻ってきた反射光は、時刻tよりも時間Δtだけ過去の周波数と略一致するので、次式で示すことができる。
Figure 2022165436000004
一方、時刻tにおける参照光は、(数2)式と同様に次式で示すことができる。ここで、参照光をνq’(t)とした。
Figure 2022165436000005
ビート信号発生部150は、このような反射光および参照光を重畳させるので、(数3)式の複数の縦モードと(数4)式で示す複数の縦モードとの間の複数のビート信号が発生することになる。このようなビート信号の周波数をν(m,d)とすると、ν(m,d)は、(数3)式および(数4)式より次式で示すことができる。なお、mを縦モード番号の間隔(=q-q’)とし、Δt=2d/c、1/τRT=νとした。
Figure 2022165436000006
(数5)式より、距離dは、次式のように示される。
Figure 2022165436000007
(数6)式より、縦モード番号の間隔mを判別すれば、ビート信号の周波数観測結果から距離dを算出できることがわかる。なお、間隔mは、レーザ装置110の周波数シフト量νを変化させた場合のビート信号の変化を検出することで、判別することができる。このような間隔mの判別方法は、特許文献1等に記載されているように既知であるから、ここでは詳細な説明を省略する。
観測されるビート信号は常に正の周波数であるから、計算上、負の周波数側に発生するビート信号は、正側に折り返され、イメージ信号として観測される。このようなイメージ信号の発生について、次に説明する。
図4は、本実施形態に係る測定装置100が検出するビート信号の周波数と、光ヘッド部140および計測対象物10の間の距離dとの関係の一例を示す。図4の横軸は距離dを示し、縦軸はビート信号の周波数ν(m,d)を示す。図4の実線で示す複数の直線は、(数6)式に示したように、距離dに対するビート信号の周波数ν(m,d)の関係を、複数のm毎に示したグラフである。
図4のように、mの値に応じた複数のビート信号が発生する。しかしながら、反射光および参照光のそれぞれに含まれる複数の縦モードは、略一定の周波数間隔νで並ぶので、mの値が等しい複数のビート信号は周波数軸上では略同一の周波数に重畳されることになる。例えば、周波数0からνの間の周波数帯域を観測した場合、複数のビート信号は略同一の周波数に重畳されて、1本の線スペクトルとして観測される。
これに加えて、0よりも小さい負の領域のビート信号の周波数ν(m,d)は、周波数の絶対値がイメージ信号として更に観測される。即ち、図4の縦軸が0よりも小さい領域のグラフは、周波数0を境界として折り返される。図4は、折り返されたイメージ信号を、複数の点線で示す。折り返された複数のイメージ信号は、正負が反転するだけなので、観測される周波数軸上では折り返される前の周波数の絶対値と同一の周波数に重畳される。例えば、周波数0からνの間の周波数帯域を観測した場合、このようなビート信号およびイメージ信号は、周波数がそれぞれν/2にならない限り、それぞれ異なる周波数に位置する。
このように、周波数0からνの間の観測帯域においては、ビート信号ν(m,d)と、ビート信号ν(m,d)とはmの値が異なるイメージ信号ν(m’,d)の2本の線スペクトルが発生する。ここで、一例として、m’=m+1である。この場合、ビート信号発生部150が直交検波を用いることで、このようなイメージ信号をキャンセルできる。そこで直交検波を用いたビート信号発生部150および周波数解析部160について、次に説明する。
図5は、本実施形態に係るビート信号発生部150および周波数解析部160の構成例を示す。ビート信号発生部150は、反射光および参照光を直交検波する。ビート信号発生部150は、光90度ハイブリッド152と、第1光電変換部154と、第2光電変換部156とを有する。
光90度ハイブリッド152は、入力する反射光および参照光をそれぞれ2つに分岐させる。光90度ハイブリッド152は、分岐させた一方の反射光と、分岐させた一方の参照光とを光カプラ等で合波して第1ビート信号を発生させる。また、光90度ハイブリッド152は、分岐させた他方の反射光と、分岐させた他方の参照光とを光カプラ等で合波して第2ビート信号を発生させる。ここで、光90度ハイブリッド152は、分岐させた2つの参照光の間に90度の位相差を生じさせてから、ビート信号を発生させる。光90度ハイブリッド152は、例えば、分岐させた2つの参照光のうちいずれか一方に、π/2波長板を介してから反射光とそれぞれ合波させる。
第1光電変換部154および第2光電変換部156は、合波した反射光および参照光を受光して電気信号に変換する。第1光電変換部154および第2光電変換部156のそれぞれは、フォトダイオード等でよい。第1光電変換部154および第2光電変換部156のそれぞれは、一例として、バランス型フォトダイオードである。図5において、第1光電変換部154が第1ビート信号を発生させ、第2光電変換部156が第2ビート信号を発生させるものとする。以上のように、ビート信号発生部150は、位相を90度異ならせた2つの参照光と反射光とをそれぞれ合波させて直交検波し、2つのビート信号を周波数解析部160に出力する。
周波数解析部160は、2つのビート信号を周波数解析する。ここでは、周波数解析部160が、第1ビート信号をI信号とし、第2ビート信号をQ信号として周波数解析する例を説明する。周波数解析部160は、第1フィルタ部162、第2フィルタ部164、第1AD変換器202、第2AD変換器204、クロック信号供給部210、および信号処理部220を有する。
第1フィルタ部162および第2フィルタ部164は、ユーザ等が周波数解析したい周波数帯域とは異なる周波数帯域の信号成分を低減させる。ここで、ユーザ等が周波数解析したい周波数帯域を0からνとする。第1フィルタ部162および第2フィルタ部164は、例えば、周波数ν以下の信号成分を通過させるローパスフィルタである。この場合、第1フィルタ部162は、周波数νよりも高い周波数の信号成分を低減させた第1ビート信号を第1AD変換器202に供給する。また、第2フィルタ部164は、周波数νよりも高い周波数の信号成分を低減させた第2ビート信号を第2AD変換器204に供給する。
第1AD変換器202および第2AD変換器204は、入力するアナログ信号をデジタル信号に変換する。例えば、第1AD変換器202は第1ビート信号をデジタル信号に変換し、第2AD変換器204は第2ビート信号をデジタル信号に変換する。クロック信号供給部210は、第1AD変換器202および第2AD変換器204にクロック信号を供給する。これにより、第1AD変換器202および第2AD変換器204は、受け取ったクロック信号のクロック周波数と略同一のサンプリングレートでアナログ信号をデジタル信号に変換する。
ここで、観測帯域を0からνとすると、ビート信号の周波数は、最大でもレーザ共振器の共振器周波数νである。したがって、クロック信号供給部210が、レーザ共振器の共振器周波数νの2倍以上の周波数のクロック信号を、第1AD変換器202および第2AD変換器204に供給することで、ビート信号を観測することができる。
信号処理部220は、第1ビート信号および第2ビート信号を周波数データに変換する。信号処理部220は、一例として、第1ビート信号および第2ビート信号をそれぞれデジタルフーリエ変換(DFT)する。信号処理部220は、周波数データに変換した第1ビート信号を実部、周波数データに変換した第2ビート信号を虚部として加算し、イメージ信号を相殺する。なお、周波数解析部160は、ビート信号がデジタル信号に変換された後は、集積回路等で信号処理部220を構成してよい。以上のビート信号発生部150における直交検波と周波数解析部160における周波数解析について、次に述べる。
図6は、本実施形態に係るビート信号発生部150および周波数解析部160の直交検波の概略の一例を示す。図6の横軸はビート信号の周波数、縦軸は信号強度を示す。図6は、I信号およびQ信号のいずれか一方の周波数スペクトルを示す。I信号およびQ信号のいずれの周波数スペクトルも、図6の上側に示すように、略同一のスペクトル形状となる。I信号およびQ信号は、例えば、周波数0からνの間の周波数帯域に、ビート信号ν(m,d)およびイメージ信号ν(m+1,d)が観測される。この場合、I信号およびQ信号は、負側の周波数0から-νの間の周波数帯域に、ビート信号-ν(m,d)およびイメージ信号の元のビート信号-ν(m+1,d)が存在する。
ここで、I信号およびQ信号は、ビート信号発生部150が直交検波した信号成分なので、スペクトル形状が同一であっても、異なる位相情報を含む。例えば、正側の周波数0からνの間の周波数帯域において、I信号のイメージ信号ν(m+1,d)とQ信号のイメージ信号ν(m+1,d)とは、互いに位相が反転する。同様に、負側の周波数0から-νの間の周波数帯域において、I信号のビート信号-ν(m,d)とQ信号のビート信号-ν(m,d)とは、互いに位相が反転する。
したがって、図6の下側に示すように、信号処理部220がI信号およびQ信号を用いてI+jQを算出すると、周波数0からνの間の周波数帯域において、周波数ν(m,d)のビート信号が強め合い、周波数ν(m+1,d)のイメージ信号が相殺される。同様に、周波数0から-νの間の周波数帯域において、周波数-ν(m+1,d)のビート信号が強め合い、周波数-ν(m,d)のビート信号が相殺される。
このような信号処理部220の周波数解析結果により、周波数0からνの間の周波数帯域には1つのビート信号が周波数ν(m,d)に観測されることになる。測定装置100は、このようにして、イメージ信号をキャンセルできるので、ビート信号の周波数ν(m,d)を検出することができる。例えば、信号処理部220は、変換した周波数信号の信号強度が最も高くなる周波数をビート信号の周波数ν(m,d)として出力する。
ここで、測定装置100が測定する距離dは、(数6)式で示されている。(数6)式より、ν、ν、およびν(m,d)の3つの周波数を用いることで、算出部170が距離dを算出できることがわかる。3つの周波数のうち、ν(m,d)は、以上説明したように、信号処理部220における周波数解析により検出できる。また、νおよびνは、レーザ装置110の部材によって定まる周波数なので、固定値として取り扱うことができる。したがって、算出部170は、周波数解析部160が検出したビート信号の周波数ν(m,d)と、予め定められたνおよびνを用いて、距離dを算出する。以上のように、測定装置100は、光ヘッド部140から計測対象物10までの距離dを測定することができる。また、測定装置100は、距離dに基準位置に対応するオフセット値を加算して、基準位置から計測対象物10までの距離を算出して出力してもよい。
(数6)式より、ビート信号の信号周波数ν(m,d)の測定精度が距離dの測定精度に与える影響は、νおよびνの値が大きいほど小さくなることがわかる。ここで、νおよびνの積ννをチャープレートと呼ぶ。チャープレートは、単位時間当たりの周波数の変化率に基づくパラメータである。言い換えると、チャープレートを高くすることにより、測定装置100の測定精度および分解能を向上させることができる。
周波数シフタ112の周波数シフト量νは、例えば、音響光学素子を選択することにより、数百MHz程度に大きくすることができる。図4で示したように、例えば、距離dは0からνまでの周波数間隔で解析するので、周波数シフト量νに対する同一の次数mで測定可能な距離dmaxは、次式のように示される。
Figure 2022165436000008
(数7)式より、高精度、高分解能のために周波数シフタ112の周波数シフト量νを大きくすると、同一の次数mで測定可能な距離dmaxが小さくなることがわかる。測定可能な距離dmaxが小さくなると次数mの値が変化するので、例えば、異なる複数の距離を測定する場合、異なる次数mを特定する頻度が増加する。次数mを特定する上述の既知の方法は、手間と時間がかかるので、測定時間が長くなってしまうことがある。
一方、周波数シフタ112の周波数シフト量νを小さくして測定可能な距離dmaxを大きくすると、上述のように測定精度は低減するが、例えば、最低次数(m=0)で測定可能な距離を拡大することができる。この場合、異なる複数の距離を測定しても、次数mを算出することなく測定できる頻度が増加する。また、同一の次数mを用いて測定できる頻度も増加するので、異なる次数mを特定する頻度が減少して測定時間を短くすることができる。
以上のように、測定装置100は、周波数変調レーザ光のチャープレートに基づく性能を有する。このような測定装置100は、ユーザの用途等に対応して、測定可能な距離dmaxが大きい長レンジ低精度測定と、測定可能な距離dmaxが小さい短レンジ高精度測定といった装置の性能を切り換えて実行できることが望ましい。そこで、測定装置100にチャープレートが異なるレーザ装置110を複数設け、用途に対応するチャープレートのレーザ装置110を切り換えて用いることが考えられる。
この場合、制御部190は、ユーザの入力等に応じてレーザ装置110を切り換える。制御部190は、記憶部に記憶されているプログラムを実行して、レーザ装置110を切り換えてもよい。このような測定装置100は、簡便に装置の性能を切り換え可能にすることができるが、レーザ装置110は高価なため、装置のコストが高くなり、また、装置規模も大きくなってしまうことがある。
そこで、本実施形態に係る測定装置100は、レーザ装置110に代えて、チャープレートを制御信号に対応して変更可能なレーザ装置を用いることにより、装置規模が大きくなることを抑制し、低コストで簡便に装置の性能を切り換え可能とする。このようなレーザ装置の構成例について、次に説明する。
[レーザ装置300の第1構成例]
図7は、本実施形態に係るレーザ装置300の第1構成例を示す。図7に示すレーザ装置300において、図2に示された本実施形態に係るレーザ装置110の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備える。レーザ共振器は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310と、第2周波数シフタ320と、入力切換部330と、光カプラ340とを有する。
第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする。例えば、第1周波数シフタ310に入力した光の周波数をν、第1シフト量を+νs1とすると、第1周波数シフタ310は、ν+νs1の周波数の光を出力する。第1周波数シフタ310は、例えば、制御部190等の外部からの制御信号に対応して動作する。
第2周波数シフタ320は、入力した光の周波数を第1シフト量よりも大きい第2シフト量だけシフトする。例えば、第1周波数シフタ310に入力した光の周波数をν、第2シフト量を+νs2とすると、第1周波数シフタ310は、ν+νs2の周波数の光を出力する(νs2>νs1)。第2周波数シフタ320は、例えば、制御部190等の外部からの制御信号に対応して動作する。
入力切換部330は、レーザ共振器を周回する光を第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320のいずれか一方に入力させる。入力切換部330は、例えば、1入力2出力の光スイッチである。入力切換部330は、例えば、制御部190等の外部からの制御信号に対応して、入力した光を第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320のいずれか一方に出力する。
光カプラ340は、第1ポート341、第2ポート342、および第3ポート343を有する。第1ポート341には、第1周波数シフタ310から出力された光が入力する。第2ポート342には、第2周波数シフタ320から出力された光が入力する。第3ポート343は、第1ポート341および第2ポート342に入力した光の一部を出力する。光カプラ340は、例えば、第1ポート341に入力した光の略半分の強度の光を第3ポート343から出力し、第2ポート342に入力した光の略半分の強度の光を第3ポート343から出力する。
以上の第1構成例のレーザ装置300は、制御信号に対応してチャープレートをνs1νおよびνs2νのいずれか一方に切り換えることができる周波数シフト帰還レーザである。したがって、制御部190は、入力切換部330を制御することで、レーザ装置300から出力する周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換えることができる。このような第1構成例のレーザ装置300を搭載した測定装置100は、例えば、第1周波数シフタ310を用いることで長レンジ低精度測定を実行でき、第2周波数シフタ320を用いることで短レンジ高精度測定を実行できる。
なお、図7に示す第1構成例のレーザ装置300は一例であり、2つの周波数シフタを切り換える構成に限定されることはない。レーザ装置300は、3以上のn個の周波数シフタを切り換える構成であってもよい。この場合、入力切換部330は、例えば、1入力n出力の光スイッチである。入力切換部330は、複数の光スイッチの組み合わせによって1入力n出力の光スイッチとして機能してもよい。これにより、第1構成例のレーザ装置300は、チャープレートをνs1ν、νs2ν、νs3ν、・・・、およびνsnνのいずれかに切り換えることができる。
[レーザ装置300の第2構成例]
図8は、本実施形態に係るレーザ装置300の第2構成例を示す。図8に示すレーザ装置300において、図2および図7に示された本実施形態に係るレーザ装置110およびレーザ装置300の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備える。レーザ共振器は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310と、第2周波数シフタ320と、光カプラ340とを有する。
第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする。第1周波数シフタ310の第1シフト量は、図7に示す例と同様に+νs1とする。第1周波数シフタ310は、入力ポート311、第1出力ポート312、第2出力ポート313を含む。例えば、入力ポート311には周波数νの光が入力する。
そして、第1周波数シフタ310は、例えば、制御部190等の外部からの制御信号に対応して動作している場合、入力ポート311に入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトしたν+νs1の周波数の光を第1出力ポート312から出力する。このように第1出力ポート312から出力する光を1次回折光と呼ぶ。また、第1周波数シフタ310は、外部からの制御信号に対応して動作していない場合、入力ポート311に入力した光の周波数と同じ周波数の光を第2出力ポート313から出力する。このように第2出力ポート313から出力する光を0次回折光と呼ぶ。
第2周波数シフタ320は、入力した光の周波数を第2シフト量だけシフトする。第2周波数シフタ320の第2シフト量は、図7に示す例と同様に+νs2とする。第2周波数シフタ320は、入力ポート321、第1出力ポート322を含む。入力ポート321には、第1周波数シフタ310の第2出力ポート313から出力された0次回折光が入力する。
そして、第2周波数シフタ320は、例えば、制御部190等の外部からの制御信号に対応して動作し、第1周波数シフタ310が出力した0次回折光の周波数を第1シフト量とは異なる第2シフト量だけシフトする。第2シフト量は、第1シフト量よりも大きくてもよく、これに代えて、第1シフト量よりも小さくてもよい。第2周波数シフタ320は、例えば、ν+νs2の周波数の光を1次回折光として第1出力ポート322から出力する。
光カプラ340の第1ポート341には、第1周波数シフタ310の第1出力ポート312から出力された1次回折光が入力する。第2ポート342には、第2周波数シフタ320の第1出力ポート322から出力された1次回折光が入力する。第3ポート343は、第1ポート341および第2ポート342に入力した光の一部を出力する。
例えば、制御部190が第1周波数シフタ310を動作させることにより、第1周波数シフタ310の第1出力ポート312から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs1の周波数の光を出力させることができる。また、制御部190が第2周波数シフタ320を動作させたまま、第1周波数シフタ310の動作を停止することにより、第2周波数シフタ320の第1出力ポート322から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs2の周波数の光を出力させることができる。
以上のように、第2構成例のレーザ装置300は、第1構成例のレーザ装置300と同様に、外部からの制御信号に対応してチャープレートをνs1νおよびνs2νのいずれか一方に切り換えることができる周波数シフト帰還レーザである。測定装置100がこのような第2構成例のレーザ装置300を搭載した場合、制御部190は、第1周波数シフタ310を動作させるか否かを切り換えることに基づき、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換えることができる。これにより、測定装置100は、長レンジ低精度測定と短レンジ高精度測定とを切り換えて実行することができる。
なお、図8に示す第2構成例のレーザ装置300は一例であり、2つの周波数シフタの動作を切り換える構成に限定されることはない。レーザ装置300は、3以上のn個の周波数シフタの動作を切り換える構成であってもよい。この場合、例えば、第2周波数シフタ320の0次回折光を次の3番目の周波数シフタに入力させる。
このように、n番目の周波数シフタには、(n-1)番目の周波数シフタの0次回折光が入力し、入力した光の周波数を他の周波数シフタの周波数シフト量とは異なる周波数シフト量だけシフトさせる。この場合、光カプラ340は、例えば、n入力1出力の光カプラである。これにより、第2構成例のレーザ装置300は、チャープレートをνs1ν、νs2ν、νs3ν、・・・、およびνsnνのいずれかに切り換えることができる。
[レーザ装置300の第3構成例]
図9は、本実施形態に係るレーザ装置300の第3構成例を示す。図9に示すレーザ装置300において、図2、図7、および図8に示された本実施形態に係るレーザ装置110およびレーザ装置300の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備える。レーザ共振器は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310と、第2周波数シフタ320と、光カプラ340とを有する。
第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする。第1周波数シフタ310の第1シフト量は、図7に示す例と同様に+νs1とする。第1周波数シフタ310は、入力ポート311、第1出力ポート312を含む。第1周波数シフタ310は、例えば、入力ポート311に入力した周波数νの光の周波数を+νs1だけシフトしたν+νs1の周波数の光を1次回折光として第1出力ポート312から出力する。
第2周波数シフタ320は、入力した光の周波数を第2シフト量だけシフトする。第2周波数シフタ320の第2シフト量を+νs2とする。第2周波数シフタ320は、入力ポート321、第1出力ポート322、および第2出力ポート323を含む。入力ポート321には、第1周波数シフタ310の第1出力ポート312から出力された1次回折光が入力する。
そして、第2周波数シフタ320は、例えば、制御部190等の外部からの制御信号に対応して動作し、第1周波数シフタ310が出力した1次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする。第2シフト量は、第1シフト量と同じシフト量でもよく、これに代えて、第1シフト量とは異なるシフト量でもよい。第2周波数シフタ320は、例えば、ν+νs1+νs2の周波数の光を1次回折光として第1出力ポート322から出力する。
また、第2周波数シフタ320は、外部からの制御信号に対応して動作していない場合、入力ポート321に入力した光の周波数と同じ周波数の光を第2出力ポート323から0次回折光として出力する。なお、入力ポート321に入力した光は、第1周波数シフタ310の1次回折光なので、第2出力ポート323が出力する0次回折光は、ν+νs1の周波数の光となる。
光カプラ340は、第1ポート341、第2ポート342、および第3ポート343を有する。第1ポート341には、第2周波数シフタ320の第2出力ポート323から出力された0次回折光が入力する。第2ポート342には、第2周波数シフタ320の第1出力ポート322から出力された1次回折光が入力する。第3ポート343は、第1ポート341および第2ポート342に入力した光の一部を出力する。
例えば、制御部190が第1周波数シフタ310を動作させたまま第2周波数シフタ320を動作させることにより、第2周波数シフタ320の第1出力ポート322から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs1+νs2の周波数の光を出力させることができる。また、制御部190が第1周波数シフタ310を動作させたまま第2周波数シフタ320の動作を停止させることにより、第2周波数シフタ320の第2出力ポート323から0次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs1の周波数の光を出力させることができる。
以上のように、第3構成例のレーザ装置300は、外部からの制御信号に対応してチャープレートをνs1νおよび(νs1+νs2)νのいずれか一方に切り換えることができる周波数シフト帰還レーザである。測定装置100がこのような第3構成例のレーザ装置300を搭載した場合、制御部190は、第2周波数シフタ320を動作させるか否かを切り換えることに基づき、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換えることができる。これにより、測定装置100は、長レンジ低精度測定と短レンジ高精度測定とを切り換えて実行することができる。
[レーザ装置300の第4構成例]
図10は、本実施形態に係るレーザ装置300の第4構成例を示す。図10に示すレーザ装置300において、図2、図7から図9に示された本実施形態に係るレーザ装置110およびレーザ装置300の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備える。レーザ共振器は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310と、第2周波数シフタ320と、光カプラ340と、第3周波数シフタ350とを有する。
第4構成例のレーザ装置300は、第3構成例のレーザ装置300に第3周波数シフタ350がさらに設けられている構成である。そこで、第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320の重複する説明を省略する。
第3周波数シフタ350は、入力した光の周波数を第3シフト量だけシフトする。第3周波数シフタ350の第3シフト量を+νs3とする。第3周波数シフタ350は、第2周波数シフタ320が出力した0次回折光の周波数を第2シフト量とは異なる第3シフト量だけシフトする。第3周波数シフタ350は、入力ポート351、出力ポート352を含む。
例えば、第3周波数シフタ350の入力ポート351には、第2周波数シフタ320の第2出力ポート323から出力されたν+νs1の周波数の光が入力する。そして、第3周波数シフタ350は、出力ポート352からν+νs1+νs3の周波数の光を1次回折光として出力する。
この場合、光カプラ340の第1ポート341には、第2周波数シフタ320が出力した1次回折光が入力する。光カプラ340の第2ポート342には、第3周波数シフタ350が出力した1次回折光が入力する。そして、光カプラ340の第3ポート343は、第1ポート341および第2ポート342に入力した光の一部を出力する。
例えば、第1周波数シフタ310を動作させたまま第2周波数シフタ320を動作させることにより、第2周波数シフタ320の第1出力ポート322から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs1+νs2の周波数の光を出力させることができる。また、第1周波数シフタ310および第3周波数シフタ350を動作させたまま第2周波数シフタ320の動作を停止させることにより、第3周波数シフタ350の出力ポート352から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs1+νs3の周波数の光を出力させることができる。
以上のように、第4構成例のレーザ装置300は、外部からの制御信号に対応してチャープレートを(νs1+νs2)νおよび(νs1+νs3)νのいずれか一方に切り換えることができる周波数シフト帰還レーザである。測定装置100がこのような第4構成例のレーザ装置300を搭載した場合、制御部190は、第2周波数シフタ320を動作させるか否かを切り換えることに基づき、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換えることができる。これにより、測定装置100は、長レンジ低精度測定と短レンジ高精度測定とを切り換えて実行することができる。
なお、チャープレートの変化範囲を大きくすると、測定装置100が切り換えられる性能の範囲を拡大することができるので、より望ましい場合がある。例えば、第4構成例のレーザ装置300の場合、第2周波数シフタ320の第2シフト量と、第3周波数シフタ350の第3シフト量との差をより大きくすることが望ましい。
例えば、第2周波数シフタ320の第2シフト量は、第3周波数シフタ350の第3シフト量と比較して正負が異なっていることがより望ましい。図10は、第2周波数シフタ320の第2シフト量を-νs2とした例を示す。この場合、レーザ装置300は、外部からの制御信号に対応してチャープレートを(νs1-νs2)νおよび(νs1+νs3)νのいずれか一方に切り換えることができる。測定装置100がこのような第4構成例のレーザ装置300を搭載した場合、制御部190は、第2周波数シフタ320を動作させるか否かを切り換えることに基づき、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換えることができる。
[レーザ装置300の第5構成例]
図11は、本実施形態に係るレーザ装置300の第5構成例を示す。図11に示すレーザ装置300において、図2、図7から図10に示された本実施形態に係るレーザ装置110およびレーザ装置300の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備える。レーザ共振器は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310と、第2周波数シフタ320と、光カプラ340と、第3周波数シフタ350とを有する。
第5構成例のレーザ装置300は、第4構成例のレーザ装置300の変形例である。第5構成例のレーザ装置300において、第2周波数シフタ320は、第1周波数シフタ310が出力した0次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする。例えば、第2周波数シフタ320の入力ポート321には、第1周波数シフタ310の第2出力ポート313から出力されたνの周波数の光が入力する。そして、第2周波数シフタ320は、第1出力ポート322からν+νs2の周波数の光を1次回折光として出力する。これに代えて、第2周波数シフタ320は、第1出力ポート322からν-νs2の周波数の光を1次回折光として出力してもよい。
また、第3周波数シフタ350は、第1周波数シフタ310が出力した1次回折光の周波数を第3シフト量だけシフトする。例えば、第3周波数シフタ350の入力ポート351には、第1周波数シフタ310の第1出力ポート312から出力されたν+νs1の周波数の光が入力する。そして、第3周波数シフタ350は、出力ポート352からν+νs1+νs3の周波数の光を1次回折光として出力する。
例えば、制御部190が第3周波数シフタ350を動作させたまま第1周波数シフタ310を動作させることにより、第3周波数シフタ350の出力ポート352から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs1+νs3の周波数の光を出力させることができる。また、制御部190が第2周波数シフタ320を動作させたまま第1周波数シフタ310の動作を停止させることにより、第2周波数シフタ320の第1出力ポート322から1次回折光を出力させ、光カプラ340の第3ポート343からν+νs2の周波数の光を出力させることができる。
以上のように、第5構成例のレーザ装置300は、外部からの制御信号に対応してチャープレートを(νs1+νs3)νおよびνs2νのいずれか一方に切り換えることができる周波数シフト帰還レーザである。測定装置100がこのような第5構成例のレーザ装置300を搭載した場合、制御部190は、第1周波数シフタ310を動作させるか否かを切り換えることに基づき、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換えることができる。
なお、第5構成例のレーザ装置300において、第2周波数シフタ320は、第1出力ポート322からν-νs2の周波数の光を1次回折光として出力してもよい。周波数シフタは、周波数のシフト方向を負にしても入力した光の周波数を絶対値|-νs2|だけシフトさせる。したがって、第2周波数シフタ320のシフト方向を変更しても、レーザ装置300は、チャープレートを(νs1+νs3)νおよびνs2νのいずれか一方に切り換える装置であることに変わりはない。
以上のように、本実施形態に係る測定装置100は、図2で説明したレーザ装置110に代えて、複数の周波数シフタを有するレーザ装置300を備える。そして、制御部190は、複数の周波数シフタを制御して、レーザ装置300が出力した周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換える。
これにより、測定装置100は、容易に性能を切り換えることができる。なお、図8から図11で説明したレーザ装置300の場合、光スイッチ等による光路の切り換えなしに、周波数シフタを制御するだけで容易にチャープレートを切り換えて測定装置100の性能を切り換えることができる。また、測定装置100は、ユーザが測定装置100を操作して入力した測定距離レンジ、測定精度、分解能等に対応して、レーザ装置300のチャープレートを切り換えて、対応する性能に切り換えてよい。
例えば、制御部190は、測定装置100から計測対象物10までの距離がより長い場合に、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートをより低くする。このように、測定装置100は、長レンジ低精度測定に切り換えることで、例えば、測定装置100および計測対象物10の間の距離を0次といった低い次数で高速に測定することができる。
また、制御部190は、測定装置100から計測対象物10までの距離をより高い精度、より高い分解能で測定する場合に、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートをより高くする。更に、測定装置100は、長レンジ低精度測定を実行してから、短レンジ高精度測定に切り換えて測定装置100および計測対象物10の間の距離を測定してもよい。このような測定装置100の動作について次に説明する。
[測定装置100の動作フロー]
図12は、本実施形態に係る測定装置100の動作フローの一例を示す。測定装置100は、図12のS510からS570までの動作を実行することにより、長レンジかつ高精度な測定を速やかに実行する。
まず、制御部190は、レーザ装置300を制御して、チャープレートを第1チャープレートにした周波数変調レーザ光をレーザ装置300から出力させる(S510)。第1チャープレートは、より値の低いレートである。第1チャープレートは、設定できるレートのうち最も値の低いレートであることが望ましい。言い換えると、制御部190は、測定装置100を測定可能な距離がより長い測定レンジまたは測定可能な距離が最も長い測定レンジに切り換えて、当該測定装置100と計測対象物10との間の距離を最低次数で測定可能とする。
次に、測定装置100は、長レンジ低精度測定で当該測定装置100と計測対象物10との間の距離を測定する。例えば、分岐部120は、周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させる。ビート信号発生部150は、測定光を計測対象物10に照射して反射された反射光と、参照光とを混合してビート信号を発生させる。そして、周波数解析部160は、ビート信号発生部150が発生させたビート信号を周波数解析する(S520)。
次に、算出部170は、周波数解析部160が周波数解析した結果に基づき、参照光と測定光との伝搬距離の差を第1チャープレートに対応する第1算出条件で算出する(S530)。算出部170は、例えば、(数6)式にm=0の最低次数の条件を適用して、距離dを算出する。本実施形態において、算出部170が用いる第1チャープレートに対応する最低次数の条件を第1算出条件とする。このように、測定装置100は、測定レンジを拡大することにより、縦モード番号の間隔mを他の方法で判別することなく距離dを速やかに測定する。
次に、算出部170は、参照光と測定光との伝搬距離の差に基づいて、第2算出条件を特定する(S540)。第2算出条件は、伝搬距離の差を第1算出条件で算出する際の測定精度よりも高い測定精度で算出する際に用い、周波数変調レーザ光の第1チャープレートよりも高い第2チャープレートに対応する条件である。第2算出条件は、算出部170が用いる第2チャープレートに対応する次数mの値である。
算出部170は、参照光と測定光との伝搬距離の差を既に算出しているので、測定レンジを切り換えて同一の計測対象物10と測定装置100との間の距離を測定する場合、次数mの値を算出できる。なお、算出部170による距離dの算出結果は、測定レンジを拡大した分だけ測定精度が低くなってはいるが、mの値を算出するには十分な測定精度であることは言うまでもない。
次に、制御部190は、レーザ装置300の周波数変調レーザ光のチャープレートを第1チャープレートから第2チャープレートに切り換える(S550)。言い換えると、制御部190は、測定装置100の測定可能な距離がより短い測定レンジに切り換える。
次に、測定装置100は、短レンジ高精度測定で当該測定装置100と計測対象物10との間の距離を測定する。例えば、分岐部120は、周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させる。ビート信号発生部150は、測定光を計測対象物10に照射して反射された反射光と、参照光とを混合してビート信号を発生させる。そして、周波数解析部160は、ビート信号発生部150が発生させたビート信号を周波数解析する(S560)。
次に、算出部170は、チャープレートを切り換えた後に周波数解析した結果に基づき、参照光と測定光との伝搬距離の差を第2算出条件で算出する(S570)。算出部170は、S540で第2算出条件として特定した次数mの値を(数6)式に適用して距離dを算出する。これにより、測定装置100は、短レンジ高精度測定で測定装置100および計測対象物10の間の距離を測定した結果を出力することができる。
以上のように、測定装置100は、測定装置100および計測対象物10の間の距離を短レンジ高精度測定で測定するために用いる次数mの値を、長レンジ低精度測定の測定結果から特定する。したがって、測定装置100は、次数mを他の方法で特定することなく距離dを高精度で速やかに測定することができる。
以上の測定装置100は、長レンジ低精度測定を実行し、次数mの値を特定してから短レンジ高精度測定を実行する例を説明したが、これに限定されることはない。算出部170による距離dの算出はビート信号の測定後であれば実行できるので、測定装置100は、長レンジ低精度測定と短レンジ高精度測定とを実行してから、次数mの値を特定して距離dを算出してもよい。すなわち、算出部170は、S550とS570との間にS540の処理を実行してもよい。また、測定装置100は、短レンジ高精度測定の後に長レンジ低精度測定を実行してもよい。
[ドップラーシフトに起因する誤差の低減例]
以上の本実施形態に係る測定装置100は、長レンジ低精度測定および短レンジ高精度測定を切り換えて測定する例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、測定装置100は、移動している計測対象物10を測定することがある。また、測定装置100が移動しつつ計測対象物10を測定することがある。この場合、測定装置100および計測対象物10の間の距離が相対的に変化して、測定装置100の測定結果にドップラー周波数シフト(以下、ドップラーシフト)に起因する誤差が生じることがある。測定装置100は、このようなドップラーシフトに起因する誤差を低減するためにチャープレートを切り換えてもよい。
例えば、測定装置100と計測対象物10とが測定光の光軸において相対移動速度Vで移動している場合、測定装置100が検出するビート信号の周波数ν(m,d)は、次式のようにドップラーシフトに起因する誤差Δνを含む周波数ν(m,d)となる。ここで、誤差ΔνR1は、0以上の値であり、V=0で0になるものとする。
Figure 2022165436000009
同一の計測対象物10に対して、測定装置100がチャープレートの絶対値を略一定にしたままチャープレートの正負の符号を反転させても、測定装置100の測定結果には、(数8)式と同様にドップラーシフトに起因する誤差ΔνR2が生じる。しかしながら、レーザ装置110の周波数の掃引方向が逆になるので、測定装置100が検出するビート信号の周波数ν(m,d)は、次式のように誤差の項の正負が反転する。ここで、誤差ΔνR2は、誤差ΔνR1と同様に、0以上の値であり、V=0で0になるものとする。
Figure 2022165436000010
なお、チャープレートの正負の符号を反転させる前後において、チャープレートの絶対値が略一定の場合、誤差ΔνR1と誤差ΔνR2は、ほぼ同じ値になる。したがって、測定装置100の算出部170がビート信号周波数の測定結果ν(m,d)およびν(m,d)の和の1/2を算出することで、ドップラーシフトに起因する誤差を低減できることがわかる。
このように、ドップラーシフトに起因する誤差を低減させる測定装置100は、例えば、図7に示すようなレーザ装置300を備える。レーザ装置300の構成は、図7で説明したので、ここでは重複する説明を省略する。
第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量+νs1だけシフトする。そして、第2周波数シフタ320は、入力した光の周波数を第1シフト量+νs1とは正負が異なる第2シフト量-νs2だけシフトする。ここで、第1シフト量の絶対値は、第2シフト量の絶対値とほぼ等しいことが望ましい。このようなレーザ装置300に対して、制御部190は、入力切換部330を制御することで、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートの正負の符号を切り換えることができる。
なお、周波数変調レーザ光のチャープレートは、周波数のシフト量νと共振器周波数νとの積ννである。言い換えると、第1周波数シフタ310を用いた場合にレーザ装置300が出力する周波数変調レーザ光の第1チャープレートは、第1周波数シフタ310が出力した1次回折光が周回するレーザ共振器の共振器長に対応する第1共振器周波数νc1と、第1シフト量νs1との乗算結果に等しい。
また、第2周波数シフタ320を用いた場合にレーザ装置300が出力する周波数変調レーザ光の第2チャープレートは、第2周波数シフタ320が出力した1次回折光が周回するレーザ共振器の共振器長に対応する第2共振器周波数νc2と、第2シフト量-νs2との乗算結果に等しい。したがって、レーザ装置300は、第1周波数シフタ310を通過する光路の共振器長と、第2周波数シフタ320を通過する光路の共振器長とが、ほぼ一致するように製造されていることが望ましい。
これにより、第1チャープレートの絶対値と、第2チャープレートの絶対値とを、ほぼ一致させることができる。そして、制御部190は、入力切換部330を制御することで、周波数変調レーザ光のチャープレートを第1チャープレートおよび第2チャープレートのいずれか一方に切り換えることができる。
これに代えて、または、これに加えて、制御部190は、第1周波数シフタ310の第1シフト量と第2周波数シフタ320の第2シフト量とを調節してもよい。制御部190は、例えば、第1周波数シフタ310の第1シフト量が+νs1となるように、第1周波数シフタ310に周波数νs1の駆動信号を供給する。また、制御部190は、第2周波数シフタ320の第2シフト量が-νs2となるように、第2周波数シフタ320に周波数νs2の駆動信号を供給する。
ここで、制御部190が第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320に供給する駆動信号の周波数νs1およびνs2は、次式を満たすように調節されていることが望ましい。なお、第1共振器周波数νc1および第2共振器周波数νc2は、予め測定されているものとする。
Figure 2022165436000011
例えば、第1周波数シフタ310が出力した1次回折光が周回するレーザ共振器の共振器長と、第2周波数シフタ320が出力した1次回折光が周回するレーザ共振器の共振器長とが異なる場合がある。この場合、第1共振器周波数νc1および第2共振器周波数νc2が異なる周波数になってしまう。しかしながら、制御部190が(数10)式を満たす駆動信号νs1を第1周波数シフタ310に、および駆動信号νs2を第2周波数シフタ320に供給することで、第1チャープレートの絶対値と第2チャープレートの絶対値とを容易に一致させることができる。したがって、レーザ装置300は、共振器長の精密な調整をすることなく、レーザ装置300を製造することができる。
以上、ドップラーシフトに起因する誤差を低減できる測定装置100に設けられているレーザ装置300が図7の構成を有する例を説明したが、これに限定されることはない。レーザ装置300は、図8の構成を有してもよい。この場合、第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量+νs1だけシフトする。また、第2周波数シフタ320は、第1周波数シフタ310が出力した0次回折光の周波数を第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量-νs1だけシフトする。
この場合においても、第1シフト量の絶対値は、第2シフト量の絶対値とほぼ等しいことが望ましい。また、レーザ装置300は、第1周波数シフタ310を通過する光路の共振器長と、第2周波数シフタ320を通過する光路の共振器長とが、ほぼ一致するように製造されていることが望ましい。これに代えて、または、これに加えて、制御部190は、(数10)式を満たすように調節されている周波数νs1およびνs2の駆動信号を第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320に供給することがより望ましい。
これにより、制御部190は、第1周波数シフタ310を動作させるか否かを切り換えることに基づき、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートの正負の符号を容易に切り換えることができる。そして、測定装置100は、第1チャープレートによるビート信号周波数の測定結果と第2チャープレートによるビート信号周波数の測定結果とを用いることで、ドップラーシフトに起因する誤差を低減できる。
以上のように、図7および図8に示すレーザ装置300の構成例は、長レンジ低精度測定と短レンジ高精度測定とを切り換えるために用いることもでき、また、ドップラーシフトに起因する誤差を低減させるためにも用いることができる。したがって、このようなレーザ装置300を搭載した測定装置100は、長レンジ低精度測定と、短レンジ高精度測定の切り換え、またはドップラーシフトに起因する誤差を低減させる測定を実現できる。
例えば、図7に示すレーザ装置300の構成例において、3以上の周波数シフタを切り換える構成であってもよいことを説明した。そこで、レーザ装置300は、周波数シフト量が+νs1の第1周波数シフタ310と、周波数シフト量が-νs2の第2周波数シフタ320に加えて、周波数シフト量が+νs3の第3周波数シフタを有する例を考える。この場合、入力切換部330は、レーザ共振器を周回する光を3つの周波数シフタのうちいずれか1つの周波数シフタに入力させる。
これにより、レーザ装置300は、例えば、長レンジ低精度測定の場合は第3周波数シフタを用いたチャープレートの周波数変調レーザ光を出力させ、短レンジ高精度測定の場合は第1周波数シフタ310を用いたチャープレートの周波数変調レーザ光を出力させ、ドップラーシフトに起因する誤差を低減させる場合は第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320を用いた2つのチャープレートの周波数変調レーザ光を切り換えて出力させることができる。図8に示すレーザ装置300の構成例も、3以上の周波数シフタを切り換える構成であってもよいので、同様の機能を有するように構成できる。
以上、本実施形態に係る制御部190は、測定装置100から計測対象物10までの距離が相対的に変化している場合に、レーザ装置300から出力される周波数変調レーザ光のチャープレートの正負の符号を切り換える例を説明したが、レーザ装置300の構成は図7および図8の構成に限定されることはない。レーザ装置300は、独立したレーザ共振器を2つ有してもよい。このようなレーザ装置300について次に説明する。
[レーザ装置300の第6構成例]
図13は、本実施形態に係るレーザ装置300の第6構成例を示す。図13に示すレーザ装置300において、図2、図7から図11に示された本実施形態に係るレーザ装置110およびレーザ装置300の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、第1レーザ共振器301と、第2レーザ共振器302と、光合波部360とを備える。
第1レーザ共振器301は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310とを有する。第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量+νs1だけシフトする。これにより、第1レーザ共振器301は、第1チャープレートの第1周波数変調レーザ光を出力する。
また、第2レーザ共振器302は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第2周波数シフタ320とを有する。第2周波数シフタ320は、入力した光の周波数を第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量-νs1だけシフトする。これにより、第2レーザ共振器302は、第2チャープレートの第2周波数変調レーザ光を出力する。
光合波部360は、第1ポート361と、第2ポート362と、第3ポート363とを有する。第1ポート361には、第1レーザ共振器301が出力した第1周波数変調レーザ光が入力する。第2ポート362には、第2レーザ共振器302が出力した第2周波数変調レーザ光が入力する。第3ポート363は、第1ポート361および第2ポート362に入力したレーザ光の少なくとも一部を出力する。
このようなレーザ装置300に対して、制御部190は、第1周波数シフタ310を動作させることにより、第1チャープレートの周波数変調レーザ光をレーザ装置300から出力させることができる。また、制御部190は、第2周波数シフタ320を動作させることにより、第2チャープレートの周波数変調レーザ光をレーザ装置300から出力させることができる。
この場合においても、第1シフト量の絶対値は、第2シフト量の絶対値とほぼ等しいことが望ましい。また、レーザ装置300は、第1レーザ共振器301の共振器長と、第2レーザ共振器302の共振器長とが、ほぼ一致するように製造されていることが望ましい。これに代えて、または、これに加えて、制御部190は、(数10)式を満たすように調節されている周波数νs1およびνs2の駆動信号を第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320に供給することがより望ましい。
なお、図13に示すレーザ装置300において、光合波部360は、光スイッチでもよい。制御部190は、光スイッチを制御することにより、第1周波数変調レーザ光および第2周波数変調レーザ光のいずれか一方のレーザ光を出力させることができる。
以上の本実施形態に係るレーザ装置300は、周波数変調レーザ光のチャープレートを切り換え可能に構成されている例を説明したが、これに限定されることはない。測定装置100がドップラーシフトに起因する誤差を低減させる場合、レーザ装置300は、絶対値が同じで正負が異なるチャープレートの2つの周波数変調レーザ光を出力してもよい。
例えば、図13に示す第6構成例のレーザ装置300において、第1レーザ共振器301が出力する第1周波数変調レーザ光を、偏波保持ファイバを介して光合波部360に入力させる。ここで、第1周波数変調レーザ光の偏光方向は、偏波保持ファイバのfast軸の方向またはslow軸の方向と略一致するように調整されている。なお、第1周波数変調レーザ光の偏光方向を調整するために、第1レーザ共振器301および光合波部360の間に、光軸方向に垂直な面において、光軸を中心として回転可能なλ/2波長板が更に設けられていてもよい。
また、第6構成例のレーザ装置300において、第2レーザ共振器302が出力する第2周波数変調レーザ光を、偏波保持ファイバを介して光合波部360に入力させる。第2周波数変調レーザ光の偏光方向は、第1周波数変調レーザ光の偏光方向と同様に、偏波保持ファイバのfast軸の方向またはslow軸の方向と略一致するように調整されている。そして、第1周波数変調レーザ光の偏光方向と第2周波数変調レーザ光の偏光方向とが直交するように光合波部360に入力する。なお、第1レーザ共振器301および第2レーザ共振器302を構成する光ファイバは、偏波保持ファイバであってもよい。
光合波部360は、偏光ビームスプリッタを有し、第1周波数変調レーザ光および第2周波数変調レーザ光を合波する。光合波部360は、合波した第1周波数変調レーザ光および第2周波数変調レーザ光を偏波保持ファイバに出力する。光合波部360は、例えば、第1周波数変調レーザ光の偏光方向が偏波保持ファイバのfast軸の方向と略一致し、第2周波数変調レーザ光の偏光方向が偏波保持ファイバのslow軸の方向と略一致するように、合波した光を出力する。
以上により、レーザ装置300および光合波部360は、偏光方向が互いに直交する第1周波数変調レーザ光および第2周波数変調レーザ光を1つの偏波保持ファイバを用いて伝送させることができる。この場合、図1で説明した測定装置100の光学系も偏波保持ファイバを用いることで、第1周波数変調レーザ光および第2周波数変調レーザ光をそれぞれ測定光と参照光に分岐することができる。そして、分岐した2つの測定光を計測対象物10に照射して反射した2つの反射光を1つの偏波保持ファイバを用いてビート信号発生部150に伝送できる。同様に、分岐した2つの参照光を1つの偏波保持ファイバを用いてビート信号発生部150に伝送できる。
ここで、1つの偏波保持ファイバを介して伝送された反射光を偏光ビームスプリッタに入力させると、偏光ビームスプリッタは、第1周波数変調レーザ光の反射光と第2周波数変調レーザ光の反射光とに分割できる。同様に、1つの偏波保持ファイバを介して伝送された参照光を偏光ビームスプリッタに入力させると、偏光ビームスプリッタは、第1周波数変調レーザ光の参照光と第2周波数変調レーザ光の参照光とに分割できる。
そこで、ビート信号発生部150は、2つの反射光を伝送する偏波保持ファイバの出力端と、2つの参照光を伝送する偏波保持ファイバの出力端とに、偏光ビームスプリッタをそれぞれ有する。そして、ビート信号発生部150は、第1周波数変調レーザ光の反射光と参照光とを混合してビート信号を発生させる。ビート信号発生部150は、第1周波数変調レーザ光の反射光と参照光とを直交検波してもよい。測定装置100は、このようにして発生させたビート信号に基づき、第1チャープレートの第1周波数変調レーザ光を用いたビート信号の周波数ν(m,d)を測定できる。
また、ビート信号発生部150は、第2周波数変調レーザ光の反射光と参照光とを混合してビート信号を発生させる。ビート信号発生部150は、第2周波数変調レーザ光の反射光と参照光とを直交検波してもよい。測定装置100は、このようにして発生させたビート信号に基づき、第2チャープレートの第2周波数変調レーザ光を用いたビート信号の周波数ν(m,d)測定できる。
したがって、測定装置100は、測定したビート信号周波数の測定結果ν(m,d)およびν(m,d)の和の1/2を算出することで、ドップラーシフトに起因する誤差を低減できる。このように、正負の符号が異なるチャープレートの周波数変調レーザ光の偏光方向を直交させるように伝送することで、それぞれの周波数変調レーザ光に基づくビート信号を発生させて測定できる。したがって、例えば、レーザ装置300は、2つの周波数変調レーザ光を同時に出力してもよく、この場合、測定装置100は、ドップラーシフトに起因する誤差を低減させつつ、測定時間を短縮することができる。
以上のレーザ装置300は、2つの独立した共振器を用いて、異なるチャープレートの2つの周波数変調レーザ光を出力する例を説明したが、これに限定されることはない。レーザ装置300は、偏光方向の異なる第1周波数変調レーザ光および第2周波数変調レーザ光を1つの共振器を用いて出力させてもよい。
[レーザ装置300の第7構成例]
図14は、本実施形態に係るレーザ装置300の第7構成例を示す。図14に示すレーザ装置300において、図2、図7から図11に示された本実施形態に係るレーザ装置110およびレーザ装置300の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。レーザ装置300は、増幅媒体114と、WDMカプラ116と、ポンプ光源117と、出力カプラ118と、第1周波数シフタ310と、第2周波数シフタ320と、光合波部360と、光分岐部370とを有する。
第7構成例のレーザ装置300の共振器を構成している光ファイバは、偏波保持ファイバであることが望ましい。光分岐部370は、偏光ビームスプリッタを有し、入力する光を第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320の2つの方向に分岐させる。光分岐部370は、例えば、入力する光のうちfast軸の方向に略一致する偏光方向の光を第1周波数シフタ310へと出力する。この場合、光分岐部370は、入力する光のうちslow軸の方向に略一致する偏光方向の光を第2周波数シフタ320へと出力する。
第1周波数シフタ310は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする。第2周波数シフタ320は、入力した光の周波数を第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする。光合波部360は、偏光ビームスプリッタを有し、第1周波数シフタ310が出力した光と第2周波数シフタ320が出力した光とを合波する。
光合波部360は、第1周波数シフタ310によって周波数シフトされた光をfast軸の方向に略一致する偏光方向の光として出力する。この場合、光合波部360は、第2周波数シフタ320によって周波数シフトされた光をslow軸の方向に略一致する偏光方向の光として出力する。
このようなレーザ装置300は、第1周波数シフタ310を通過した光の偏光方向を共振器内の偏波保持ファイバのfast軸に合わせて周回させて、第1周波数変調レーザ光を発生可能である。そして、制御部190は、第1周波数シフタ310を駆動することで、レーザ装置300から第1周波数変調レーザ光を発生させる。レーザ装置300は、発生させた第1周波数変調レーザ光を出力カプラ118から出力する。出力カプラ118は、偏波保持型のカプラであり、第1周波数変調レーザ光の偏光方向を出力ポートの偏波保持ファイバのfast軸の方向に合わせて出力する。
また、レーザ装置300は、第2周波数シフタ320を通過した光の偏光方向を共振器内の偏波保持ファイバのslow軸に合わせて周回させて、第2周波数変調レーザ光を発生可能である。そして、制御部190は、第2周波数シフタ320を駆動することで、レーザ装置300から第2周波数変調レーザ光を発生させる。レーザ装置300は、発生させた第2周波数変調レーザ光を出力カプラ118から出力する。出力カプラ118は、第2周波数変調レーザ光の偏光方向を出力ポートの偏波保持ファイバのslow軸の方向に合わせて出力する。
以上の第7構成例のレーザ装置300は、制御部190から第1周波数シフタ310または第2周波数シフタ320を駆動する駆動信号を受け取ったことに応じて、駆動信号に対応する第1チャープレートまたは第2チャープレートの1つの周波数変調レーザ光を出力できる。また、レーザ装置300は、制御部190から第1周波数シフタ310および第2周波数シフタ320を駆動する駆動信号を受け取ったことに応じて、偏光方向が直交する第1チャープレートおよび第2チャープレートの2つの周波数変調レーザ光を出力できる。
したがって、第7構成例のレーザ装置300を搭載した測定装置100は、第6構成例のレーザ装置300を搭載した測定装置100と同様に、ドップラーシフトに起因する誤差を低減できる。また、測定装置100は、ドップラーシフトに起因する誤差を低減させつつ、測定時間を短縮することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
10 計測対象物
100 測定装置
110 レーザ装置
112 周波数シフタ
114 増幅媒体
116 WDMカプラ
117 ポンプ光源
118 出力カプラ
120 分岐部
130 光サーキュレータ
140 光ヘッド部
150 ビート信号発生部
152 光90度ハイブリッド
154 第1光電変換部
156 第2光電変換部
160 周波数解析部
162 第1フィルタ部
164 第2フィルタ部
170 算出部
180 表示部
190 制御部
202 第1AD変換器
204 第2AD変換器
210 クロック信号供給部
220 信号処理部
300 レーザ装置
301 第1レーザ共振器
302 第2レーザ共振器
310 第1周波数シフタ
311 入力ポート
312 第1出力ポート
313 第2出力ポート
320 第2周波数シフタ
321 入力ポート
322 第1出力ポート
323 第2出力ポート
330 入力切換部
340 光カプラ
341 第1ポート
342 第2ポート
343 第3ポート
350 第3周波数シフタ
351 入力ポート
352 出力ポート
360 光合波部
361 第1ポート
362 第2ポート
363 第3ポート
370 光分岐部

Claims (17)

  1. 複数の周波数シフタを有し、周波数変調レーザ光を出力するレーザ装置と、
    複数の前記周波数シフタを制御して、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の単位時間当たりの周波数の変化率に基づくチャープレートを切り換える制御部と、
    前記レーザ装置が出力する前記周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させる分岐部と、
    前記測定光を計測対象物に照射して反射された反射光と、前記参照光とを混合してビート信号を発生させるビート信号発生部と、
    前記ビート信号を周波数解析する周波数解析部と、
    前記周波数解析部が前記ビート信号を周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との伝搬距離の差を算出する算出部と
    を備える、測定装置。
  2. 前記制御部は、当該測定装置から前記計測対象物までの距離がより長い場合に、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートをより低くする、請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記制御部は、当該測定装置から前記計測対象物までの距離をより高い精度で測定する場合に、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートをより高くする、請求項1または2に記載の測定装置。
  4. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    入力した光の周波数を前記第1シフト量よりも大きい第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記レーザ共振器を周回する光を前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタのいずれか一方に入力させる入力切換部と、
    前記第1周波数シフタが出力した光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記入力切換部を制御して、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
  5. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を前記第1シフト量とは異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記第1周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
  6. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した1次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記第2周波数シフタが出力した0次回折光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記第2周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
  7. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した1次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記第2周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を前記第2シフト量とは異なる第3シフト量だけシフトする第3周波数シフタと、
    前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第3周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記第2周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
  8. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した1次回折光の周波数を第3シフト量だけシフトする第3周波数シフタと、
    前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第3周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記第1周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
  9. 前記第2周波数シフタの前記第2シフト量は、前記第3周波数シフタの前記第3シフト量と比較して正負が異なっている、請求項7または8に記載の測定装置。
  10. 前記制御部は、当該測定装置から前記計測対象物までの距離が相対的に変化している場合に、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートの正負の符号を切り換える、請求項1に記載の測定装置。
  11. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    入力した光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記レーザ共振器を周回する光を前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタのいずれか一方に入力させる入力切換部と、
    前記第1周波数シフタが出力した光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記入力切換部を制御して、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項10に記載の測定装置。
  12. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した0次回折光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記第1周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の一部を出力する第3ポートとを含む光カプラと
    を有し、
    前記制御部は、前記第1周波数シフタを動作させるか否かを切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、請求項10に記載の測定装置。
  13. 前記レーザ装置は、
    レーザ光を発振させる第1レーザ共振器と、
    レーザ光を発振させる第2レーザ共振器と、
    前記第1レーザ共振器が出力した第1周波数変調レーザ光が入力する第1ポートと、前記第2レーザ共振器が出力した第2周波数変調レーザ光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力したレーザ光の少なくとも一部を出力する第3ポートとを含む光合波部と
    を備え、
    前記第1レーザ共振器は、入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタを有し、
    前記第2レーザ共振器は、入力した光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタを有する、
    請求項10に記載の測定装置。
  14. 前記レーザ装置は、レーザ光を発振させるレーザ共振器を備え、
    前記レーザ共振器は、
    入力した光の周波数を第1シフト量だけシフトする第1周波数シフタと、
    入力した光の周波数を前記第1シフト量とは正負が異なる第2シフト量だけシフトする第2周波数シフタと、
    前記レーザ共振器を周回する光を前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタに入力させる光カプラと、
    前記第1周波数シフタが出力した光が入力する第1ポートと、前記第2周波数シフタが出力した光が入力する第2ポートと、前記第1ポートおよび前記第2ポートに入力した光の少なくとも一部を出力する第3ポートとを含む光合波部と
    を有し、
    前記制御部は、前記第1周波数シフタおよび前記第2周波数シフタの動作を切り換えることに基づき、前記レーザ装置から出力される前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを切り換える、
    請求項10に記載の測定装置。
  15. 前記制御部は、前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを第1チャープレートおよび第2チャープレートのいずれか一方に切り換え、
    前記第1チャープレートは、前記第1周波数シフタが出力した1次回折光が周回する共振器の共振器長に対応する第1共振器周波数と、前記第1シフト量との乗算結果に等しく、
    前記第2チャープレートは、前記第2周波数シフタが出力した1次回折光が周回する共振器の共振器長に対応する第2共振器周波数と、前記第2シフト量との乗算結果に等しく、
    前記第1チャープレートの絶対値は前記第2チャープレートの絶対値に等しく、前記第1チャープレートの正負の符号は前記第2チャープレートの正負の符号とは異なる、
    請求項11から14のいずれか一項に記載の測定装置。
  16. 計測対象物までの距離を測定する測定装置の測定方法であって、
    単位時間当たりの周波数の変化率に基づくチャープレートを第1チャープレートにした周波数変調レーザ光を出力するステップと、
    前記周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させるステップと、
    前記測定光を前記計測対象物に照射して反射された反射光と、前記参照光とを混合してビート信号を発生させるステップと、
    前記ビート信号を周波数解析するステップと、
    周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との伝搬距離の差を前記第1チャープレートに対応する第1算出条件で算出するステップと、
    前記伝搬距離の差を前記第1算出条件で算出する際の測定精度よりも高い測定精度で算出する際に用い、前記周波数変調レーザ光の前記第1チャープレートよりも高い第2チャープレートに対応する第2算出条件を、前記第1算出条件で算出された前記伝搬距離の差に基づいて特定するステップと、
    前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを前記第1チャープレートから前記第2チャープレートに切り換えるステップと、
    前記チャープレートを切り換えた後に、前記分岐させるステップから前記周波数解析するステップまでを実行するステップと、
    前記チャープレートを切り換えた後に周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との前記伝搬距離の差を前記第2算出条件で算出するステップと
    を有する、測定方法。
  17. 計測対象物までの距離を測定する測定装置の測定方法であって、
    単位時間当たりの周波数の変化率に基づくチャープレートを第1チャープレートにした周波数変調レーザ光を出力するステップと、
    前記周波数変調レーザ光を、前記周波数変調レーザ光の一部の参照光と、残りの少なくとも一部の測定光とに分岐させるステップと、
    前記測定光を前記計測対象物に照射して反射された反射光と、前記参照光とを混合してビート信号を発生させるステップと、
    前記ビート信号を周波数解析するステップと、
    周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との伝搬距離の差を前記第1チャープレートに対応する第1算出条件で算出するステップと、
    前記周波数変調レーザ光の前記チャープレートを前記第1チャープレートから第2チャープレートに切り換えるステップと、
    前記チャープレートを切り換えた後に、前記分岐させるステップから前記周波数解析するステップまでを実行するステップと、
    前記チャープレートを切り換えた後に周波数解析した結果に基づき、前記参照光と前記測定光との前記伝搬距離の差を前記第2チャープレートに対応する第2算出条件で算出するステップと、
    前記第1算出条件で算出した前記伝搬距離の差と、前記第2算出条件で算出した前記伝搬距離の差とに基づき、当該測定装置から前記計測対象物までの距離を算出するステップと
    を有し、
    前記第1チャープレートの絶対値は前記第2チャープレートの絶対値に等しく、前記第1チャープレートの正負の符号は前記第2チャープレートの正負の符号とは異なる、
    測定方法。
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