JP2022165009A - 永久磁石の製造方法及び着磁装置 - Google Patents

永久磁石の製造方法及び着磁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被着磁物の表面に多極着磁された磁気パターンの着磁特性の均一性を向上させた永久磁石の製造方法及び着磁装置を提供する。【解決手段】着磁装置1による永久磁石の製造方法は、被着磁物100の近傍に、被着磁物100に着磁用磁界を印加する着磁用永久磁石が所定の間隔で複数個配列された界磁部6を配置し、被着磁物100を、当該被着磁物のキュリー点以上の温度まで昇温する加熱工程と、キュリー点以上の温度に達した被着磁物100を、キュリー点未満の温度まで降温させるとともに、界磁部6により被着磁物100に着磁磁界を印加し続ける着磁工程とを含む。着磁用永久磁石は、所定形状の等方性SmCo焼結磁石である。【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石の製造方法及び着磁装置に関する。
従来、着磁ピッチの狭い多極着磁のための技術が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。かかる着磁技術では、加熱部により被着磁物を加熱して、被着磁物を構成する磁粉のキュリー温度を上回る温度まで急速加熱した後、その温度からキュリー温度未満の温度まで降温させつつ、その間、界磁部が有する永久磁石によって磁界を発生し続けることによって、着磁ピッチの狭い多極着磁を行う。
上記の着磁技術による着磁装置は、加熱部と着磁部を別体構造として軸方向に配設し、界磁源としてSmCo焼結磁石を所望の極数分配置して界磁空間を形成し、被着磁物をそのキュリー温度を上回る温度まで急速加熱した後、界磁空間内で被着磁物を冷却する。その間、SmCo焼結磁石によって被着磁物に着磁磁界を印加し続けることで、高い着磁特性を有することができる。
上記の着磁技術における界磁源としての永久磁石は、SmCo焼結磁石が用いられる。ここで、非特許文献1において、界磁源であるSmCo焼結磁石に関し、「SmCo焼結磁石の発生磁界は着磁がなされる磁石外周側部位では320℃においても160kA/m以上と算出された。よって、Nd-Fe-B磁石を着磁させるために十分な界磁磁界を有していることが明らかになった。」と記載されている。この記載から、界磁源に用いられているSmCo焼結磁石は異方性の焼結磁石であることがわかる。
特開2006-295122号公報
「粉体及び粉末冶金」 第57巻(2010年)第1号 P19-P26
上記の着磁技術による着磁装置の界磁部を構成する異方性の焼結磁石は、一般に、結晶粒の磁化容易軸をある一定方向に揃えるため、配向磁界を印加して所定の圧力をかけて成形した後、所定の温度で焼結して製造される。
焼結磁石は、配向磁界を印加して所定の圧力をかけて成形した後、所定の温度で焼結して製造される工程の際、配向方向が所定の方向からずれ(乱れ)が生じる場合があり、その結果、焼結磁石のブロックの部位によっては配向のずれによって磁気特性が低下することになる。
通常、焼結して製造された焼結磁石のブロックは、切断加工にて所望の形状に切り出された後、着磁される。着磁は配向磁界の方向に一致する方向にて行うが、着磁磁界は、配向方向に倣ってしまう。このため、配向のずれが生じた部位から切り出された焼結磁石は、他の部位から切り出された焼結磁石よりも磁気特性が低い磁石となり、ブロックから切り出された部位によって磁気特性にバラツキが生じる。
上記の着磁技術による着磁技術による着磁装置を用いて、磁気センサ、例えば、磁気エンコーダ用の永久磁石への着磁を行った場合、磁石表面の周方向に形成された磁気パターン(N極、S極が交互に形成)は、部分的に着磁特性が異なることになり、表面磁束密度にバラツキが生じる。磁気エンコーダは、磁石表面に形成された磁気パターンを検知することによって位置に関する情報を認識するが、磁気パターンの表面磁束密度にバラツキがあると、エンコーダの信号精度が低下する可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑み、被着磁物の表面に多極着磁された磁気パターンの着磁特性の均一性を向上させることができる永久磁石の製造方法、及び着磁装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る永久磁石の製造方法は、被着磁物の近傍に、前記被着磁物に着磁用磁界を印加する着磁用永久磁石が所定の間隔で複数個配列された界磁部を配置し、前記被着磁物を、当該被着磁物のキュリー点以上の温度まで昇温する加熱工程と、前記キュリー点以上の温度に達した前記被着磁物を、キュリー点未満の温度まで降温させるとともに、前記界磁部により前記被着磁物に着磁磁界を印加し続ける着磁工程とを含み、前記着磁用永久磁石は、所定形状の等方性SmCo焼結磁石である。
本発明の一態様によれば、被着磁物の表面に多極着磁された磁気パターンの着磁特性の均一性を向上させることができる。
図1は、実施形態に係る永久磁石の製造方法に用いられる着磁装置の概略構成例を示す図である。 図2は、図1に示す着磁装置の界磁部を示す斜視図である。 図3は、着磁後の被着磁物を示す断面図である。 図4は、図1に示す着磁装置の動作説明図である。 図5は、図1に示す着磁装置の動作説明図である。 図6は、図1に示す着磁装置の動作説明図である。 図7は、実施例の評価方法を説明するための図である。 図8は、実施例での測定結果を示す図である。 図9は、図8に示す等方性SmCo焼結磁石の発生磁界を説明するための図である。 図10は、図8に示す異方性SmCo焼結磁石の発生磁界を説明するための図である。 図11は、評価試料の発生磁界の均一性を標準偏差で表した図である。 図12は、第1変形例に係る着磁装置の概略構成例を示す図である。 図13は、第1変形例に係る着磁装置の概略構成例を示す図である。 図14は、図13に示す着磁装置の界磁部を示す斜視図である。
以下、実施形態に係る永久磁石の製造方法及び着磁装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
[実施形態]
まず、実施形態に係る永久磁石の製造方法に用いられる着磁装置の一例について説明する。図1は、実施形態に係る永久磁石の製造方法に用いられる着磁装置の概略構成例を示す図である。図2は、図1に示す着磁装置の界磁部を示す斜視図である。図3は、着磁後の被着磁物を示す断面図である。図4~図6は、図1に示す着磁装置の動作説明図である。なお、図3は、被着磁物のアキシャル方向を含む平面における断面図である。ここで、各図のX方向は、本実施形態における被着磁物のラジアル方向である。Z方向は、被着磁物のアキシャル方向であり、上下方向であり、Z1方向が上方向であり、Z2方向が下方向である。
実施形態に係る永久磁石の製造方法に用いられる着磁装置1は、図1~図3に示すように、被着磁物100に着磁を行い、着磁後の被着磁物100’を製造する。着磁装置1は、架台部2と、移動部3と、加熱部4と、予熱部5と、界磁部6と、位置決めピン7と、冷却部8と、制御部10とを備える。
架台部2は、着磁装置1の基部であり、少なくとも移動部3、加熱部4、予熱部5、界磁部6、位置決めピン7、冷却部8及び制御部10が搭載される。
移動部3は、アキシャル方向において、被着磁物100及び加熱部4を非加熱位置と加熱位置との間で相対移動させるものである。図1に示す移動部3は、天井板31と、アクチュエータ32と、加熱部取付台33とを有する。天井板31は、アキシャル方向において、架台部2と離間して配置されており、アクチュエータ32及び加熱部取付台33が固定されている。アクチュエータ32は、架台部2に対して天井板31をアキシャル方向において相対移動させるものである。アクチュエータ32は、例えば、油圧シリンダ等の直動機構であり、図示しない外部電力により電力が供給されるとともに、制御部10により駆動制御が行われる。アクチュエータ32は、架台部2と天井板31との間に、複数配置されており、例えば、2つ、4つ配置されている。加熱部取付台33は、加熱部4が固定されるものであり、天井板31の下方向側面に固定されている。
加熱部4は、被着磁物100に対して着磁用加熱を行うものである。加熱部4は、非磁性金属材料、例えば非磁性のステンレス鋼等により構成されており、被着磁物100を構成する磁粉のキュリー点以上に被着磁物100を加熱するものである。本実施形態における加熱部4は、円板状に形成され、上下方向における両面のうち、上方向側面が移動部3の加熱部取付台33に固定されており、下方向側面が加熱面4aである。加熱面4aは、外径が被着磁物100の外径よりも大きく形成されており、アキシャル方向において界磁部6の後述する載置面6aと対向する。つまり、加熱面4aは、アキシャル方向において、載置面6aに載置された被着磁物100と対向する。また、加熱面4aは、加熱位置において、被着磁物100と接触する。加熱部4は、1以上のヒータを有しており、図示しない外部電力により電力が供給されるとともに、制御部10により温度制御が行われる。
予熱部5は、被着磁物100に対して予備用加熱を行うものである。予熱部5は、非磁性金属材料により構成されており、加熱位置となる前に、被着磁物100を構成する磁粉のキュリー点未満(常温よりも高い温度)に被着磁物100を加熱するものである。本実施形態における予熱部5は、円柱状に形成され、界磁部6及び位置決めピン7が固定されるものである。ここで、予熱部5は、界磁部6及び位置決めピン7を介して、界磁部6に載置された被着磁物100を加熱する。予熱部5は、上下方向における両面のうち、下方向側面が架台部2に固定されており、上方向側面が載置加熱面5aである。載置加熱面5aは、界磁部6の外径よりも大きく形成されており、界磁部6及び位置決めピン7と接触する。予熱部5は、図示しない外部電力により電力が供給されるとともに、1以上のヒータを有しており、制御部10により温度制御が行われる。
界磁部6は、被着磁物100に対して磁界を発生するものである。本実施形態における界磁部6は、被着磁物100に対してアキシャル方向に着磁を行うものであり、本体部61と、フランジ部62と、着磁用永久磁石である永久磁石63とを有する。本体部61は、非磁性金属材料により構成されており、円筒形状に形成されており、上下方向における両面のうち、下方向側面が予熱部5の載置加熱面5aに固定されており、上方向側面は被着磁物100が載置される載置面6aである。本体部61は、位置決めピン7が挿入される挿入孔6bが形成されている。フランジ部62は、本体部61の下方向側端部から径方向外側に突出して形成されている。フランジ部62は、予熱部5の載置加熱面5aに界磁部6が載置された状態で、図示しない貫通孔に固定具、例えば締結ネジ等が挿入され、固定具が予熱部5に固定されることで、予熱部5に対して界磁部6を固定するものである。永久磁石63は、本体部61の上方向側端部に埋設され、被着磁物100に対して磁界を発生するものであり、例えば、矩形状のSmCo焼結磁石である。永久磁石63は、上下方向から見た場合において、本体部61の中心を中心とする同心円の周方向に等間隔に複数個配列される。界磁部6には、周方向に沿って放射状に、所定の間隔で複数の凹部が形成されており、複数個の永久磁石63それぞれは、複数の凹部それぞれに配置される。永久磁石63は、上方向側及び下方向側において2つ磁極(S極、N極)を有し、周方向において、交互に磁極が異なるように、本体部61に対して埋設されている。ここでは、永久磁石63は、上方向側における磁極(例えば、S極)が周方向において隣り合う永久磁石63,64の上方向側における磁極と異なり(例えば、N極)、下方向側における磁極(例えば、N極)が周方向において隣り合う永久磁石63の下方向側における磁極と異なる(例えば、S極)。なお、図2では、永久磁石63は、本体部61に対して、載置面6aに露出した状態で埋設されているが、載置面6aに露出せず、本体部61内部に埋設されていてもよい。
また、永久磁石63の形状は、矩形に限定されるものではなく、本体部61に埋設可能な形状であるならば、任意の形状とすることができる。例えば、永久磁石63の形状は、上面視で扇形の形状であっても良い。また、図2では、本体部61の中心を中心とする同心円上に永久磁石63が配置される界磁部6を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、本実施形態は、径が異なる2つの同心円上それぞれに、永久磁石63が配置される界磁部6が用いられても良い。
位置決めピン7は、ラジアル方向における界磁部6に対する被着磁物100の位置を決めるものであり、被着磁物100の後述する貫通孔100cに挿入される。位置決めピン7は、界磁部6が予熱部5に固定された状態で、界磁部6の挿入孔6bに挿入されることで、予熱部5に固定される。
冷却部8は、加熱部4により加熱された被着磁物100を冷却する。本実施形態における冷却部8は、図示しない固定部材により、架台部2に固定されており、空気を界磁部6に載置された被着磁物100に向けて出力するものである。冷却部8は、例えば、空冷ファンや、圧縮空気供給するコンプレッサー等であり、加熱後の被着磁物100を自然空冷ではなく、冷却効率が高い強制空冷により冷却する。冷却部8は、図示しない外部電力により電力が供給されるとともに、制御部10により送風制御が行われる。
制御部10は、被着磁物100に対して着磁を行うために、着磁装置1を制御する。制御部10は、移動部3、加熱部4、予熱部5及び冷却部8を制御する。制御部10は、移動部3を駆動制御することで、界磁部6に載置された被着磁物100に対して加熱部4を非加熱位置と加熱位置との間で相対移動させる。ここで、非加熱位置とは、アキシャル方向において被着磁物100に対して加熱面4aが離間した位置(非接触)であり、且つ、加熱部4による被着磁物100の加熱が行われない位置である(図4参照)。一方、加熱位置は、アキシャル方向において被着磁物100に対して加熱面4aが近接し(本実施形態では加熱面4aが被着磁物100に接触し)、加熱部4による被着磁物100の加熱が行われる位置である(図5参照)。制御部10は、加熱部4を温度制御することで、被着磁物100を構成する磁粉のキュリー点以上の加熱温度となるように加熱部4を加熱する。本実施形態では、制御部10は、加熱位置となる前に、キュリー点に対してプラス30℃以上であり、350℃以下となるように加熱部4を加熱する。加熱温度は、被着磁物100を構成する磁粉の磁気特性劣化及び後述する熱硬化性樹脂の劣化が生じることを抑制できる温度である。なお、加熱温度は、着磁用永久磁石のキュリー点未満の温度である。ここで、制御部10は、加熱面4aが被着磁物100に接触する際の加熱部4による被着磁物100に対する押圧力の制御を行う。制御部10は、加熱面4aが被着磁物100に接触した際に、被着磁物100の破損を抑制できる押圧力となるように、移動部3を駆動制御する。これにより、被着磁物100の破損を抑制できるとともに、被着磁物100と加熱部4との接触状態の均一化を図ることができる。制御部10は、予熱部5を温度制御することで、加熱位置となる前に、被着磁物100を構成する磁粉のキュリー点未満の予熱温度となるように予熱部5を加熱する。本実施形態では、制御部10は、加熱位置となる前に、キュリー点に対してマイナス30℃以下であり、150℃以上となるように予熱部5を加熱する。すなわち、好ましい予備温度Tの範囲はT<T、より好ましい予備温度Tの範囲はT≦T-30である。また、より具体的には、150℃≦T<T、更に具体的には、150℃≦T≦T-30である。制御部10は、冷却部8を温度制御することで、加熱位置から非加熱位置となった後に、加熱された被着磁物100を冷却する(図6参照)。
ここで、被着磁物100及び着磁後の被着磁物100’は、図1、図3に示すように、リング状に形成されており、アキシャル方向における両面である下方向側面100aと、上方向側面100bと、貫通孔100cと、外周面100dとを有する。被着磁物100は、着磁前の希土類鉄系磁石であり、本実施形態では、例えば、磁気的に等方性の希土類鉄系磁石であるネオジム(Nd-Fe-B)を含む磁粉と熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を所定比率で混合して形成したものである。被着磁物100は、小さい被着磁物ではなく、いわゆる大きい被着磁物であり、一例としては、外径が10mm以上、好ましくは、外径が15mm以上~50mm以下のリング状に形成されている。
被着磁物100は、平均結晶粒径が10nm以上10000nm以下である異方性希土類鉄系磁石であることが好ましく、平均結晶粒径が10nm以上6600nm以下である異方性希土類鉄系磁石であることがより好ましい。このような異方性希土類鉄系磁石を用いると、上述した着磁装置1により、強力に着磁できる。
次に、本実施形態における着磁装置1による被着磁物100に対する着磁方法について、説明する。なお、着磁装置1は、非加熱位置となっている。また、被着磁物100は、予め製造個数に応じてリング状に成形されている。まず、制御部10は、図1に示すように、加熱部4及び予熱部5の加熱を開始する。ここでは、制御部10は、加熱部4を加熱温度まで加熱するとともに、予熱部5を予熱温度まで加熱する。次に、作業員は、アキシャル方向において、被着磁物100の貫通孔100cと位置決めピン7とを対向させた状態で、被着磁物100を下方向側に移動する(同図矢印A)。これにより、被着磁物100は、図4に示すように、界磁部6の載置面6aに載置される。このとき、作業員は、界磁部6の載置面6aから突出する位置決めピンの上方向側端部を、被着磁物100の貫通孔100cに挿入することで、着磁装置1に対する被着磁物100の位置決めを行う。なお、被着磁物100の上方向側面100bは、加熱部4の加熱面4aとアキシャル方向において対向する。
次に、制御部10は、被着磁物100が載置面6aに載置してから第1所定時間T1経過後に、移動部3により、非加熱位置から加熱位置に被着磁物100に対して加熱部4を移動させる(同図矢印B)。ここで、第1所定時間T1とは、加熱部4が加熱温度を維持しているとともに、載置面6aに載置された被着磁物100が界磁部6を介して予熱部5から受熱することで、被着磁物100が常温よりも高いキュリー点未満の温度にすることができるまでに十分な時間をいう。つまり、制御部10は、非加熱位置において、加熱部4が加熱温度となり、且つ、被着磁物100が予熱温度となってから、被着磁物100に対して加熱部4を加熱位置に移動させ、被着磁物100に加熱面4aを接触させた状態で、予熱された被着磁物100の加熱を開始する。なお、制御部10は、移動部3により、非加熱位置から加熱位置に被着磁物100に対して加熱部4が移動すると、予熱部5に対する加熱を終了、すなわち温度制御をOFFとする。次に、制御部10は、図5に示すように、被着磁物100に加熱面4aを接触させた状態で、被着磁物100をキュリー点以上となるまで加熱をする。次に、制御部10は、加熱位置において、被着磁物100の加熱を開始してから第2所定時間T2経過後に、移動部3により、加熱位置から非加熱位置に被着磁物100に対して加熱部4を移動させる(同図矢印C)。ここで、第2所定時間T2とは、被着磁物100がキュリー点以上となるまでに十分な時間をいう。
次に、制御部10は、図6に示すように、非加熱位置において、被着磁物100に対して冷却部8により冷却を行う。次に、制御部10は、非加熱位置において、冷却部8による冷却を開始してから第3所定時間T3経過後に、冷却部8による冷却を終了する。ここで、第3所定時間T3とは、被着磁物100がキュリー点以上からキュリー点未満、好ましくは、キュリー点マイナス50℃となるまでに十分な時間をいう。
次に、作業員は、着磁された被着磁物100’を取り出す。着磁装置1により、被着磁物100に新たに着磁を行う場合、制御部10は、既に加熱部4は加熱されているので、予熱部5の加熱を開始する。
以上により、本実施形態における着磁装置1は、被着磁物100をキュリー点未満からキュリー点以上に昇温し、界磁部6により着磁磁界を印加された状態のまま、キュリー点以上からキュリー点未満に降温することで、被着磁物100に対して着磁を行う。これにより、着磁装置1は、被着磁物100から、図3に示すように、着磁後の被着磁物100’を製造する。着磁後の被着磁物100’は、界磁部6の永久磁石63に対応した領域が着磁される。本実施形態における着磁後の被着磁物100’は、各永久磁石63に対応する着磁領域101が形成された永久磁石であり、少なくとも下方向側面100aにおいて、リング状に1列の多極着磁された永久磁石である。ここで、加熱部4により、被着磁物100をアキシャル方向において加熱するため、すなわち加熱面4aと被着磁物100の上方向側面100bとを対向させて加熱するため、着磁後の被着磁物100’は、アキシャル方向における両面のうち、一方の面である上方向側面100bがラジアル方向における外周面100dに対して酸化被膜の膜厚が厚くなる。その結果として、着磁後の被着磁物100’は、外周面100dよりも上方向側面100bにおいてNd量が増大し、Ndの偏析が多く生じることを確認した。
本実施形態における着磁装置1は、加熱位置において非加熱位置よりも、アキシャル方向において被着磁物100に対して加熱部4の加熱面4aが近接することで、アキシャル方向において加熱部4により被着磁物100の加熱が行われる。従って、加熱部4により、被着磁物100をラジアル方向、すなわち加熱面4aと被着磁物100の外周面100dとを対向させて加熱する場合と比較して、被着磁物100をアキシャル方向、すなわち加熱面4aと被着磁物100の上方向側面100bとを対向させて加熱する場合は、被着磁物100に対する加熱ムラを抑制することができ、被着磁物100に対する加熱の不均質を抑制することができる。特に、大きい被着磁物100は、小さい被着磁物100よりも熱容量が大きい。小さい被着磁物100は、熱し易く、冷め易いため、被着磁物100での温度分布に偏りが生じ難いが、被着磁物が大きく、例えば大径になると、被着磁物100に加熱の不均質が生じ易くなる。大きい被着磁物100の場合において、加熱の不均質の発生を抑制するために、加熱温度を更に高温にしたり、又は第2所定時間T2を長くしたりすることも可能であるが、被着磁物100を構成する磁粉の磁気特性劣化及び熱硬化性樹脂の劣化が生じる虞がある。しかしながら、本実施形態における着磁装置1は、大きい被着磁物100であっても、被着磁物100をアキシャル方向、すなわち加熱面4aと被着磁物100の上方向側面100bとを対向させて加熱するので、加熱温度が高温でなくても、また、第2所定時間T2が長くなくても、被着磁物100に対する加熱の不均質を抑制することができる。これにより、界磁部6により着磁磁界を印加された状態における被着磁物100の温度不均一を抑制することができるので、被着磁物100の着磁特性の均一性を図ることができる。
このように、本実施形態に係る永久磁石の製造方法は、被着磁物100の近傍に、被着磁物100に着磁用磁界を印加する着磁用永久磁石である永久磁石63が所定の間隔(例えば等間隔)で複数個配列された界磁部6を配置し、被着磁物100を、当該被着磁物100のキュリー点以上の温度まで昇温する加熱工程と、キュリー点以上の温度に達した被着磁物100を、キュリー点未満の温度まで降温させるとともに、界磁部6により被着磁物に着磁磁界を印加し続ける着磁工程とを含む。そして、本実施形態に係る永久磁石の製造方法では、着磁用永久磁石である永久磁石63は、所定形状(例えば短冊形状)の等方性SmCo焼結磁石が用いられる。これにより、本実施形態では、着磁後の被着磁物100’の表面に多極着磁された磁気パターンの着磁特性の均一性を向上させることができる。以下、この点について説明する。
本実施形態で着磁用永久磁石として用いられるSmCo焼結磁石は等方性のため、成形時に配向磁界を印加することなく、所定の圧力をかけて成形した後、所定の温度で焼結して製造される。所定の温度で焼結したブロックは、所定の形状に機械加工にて切断され、短冊形状の磁石が得られる。そして、切り出された短冊形状の磁石は、所定の方向に着磁された後、例えば、着磁装置1の界磁部6に配置される。
一方、通常、着磁用永久磁石として用いられるSmCo焼結磁石は異方性磁石のため、成形時に配向磁界を所定の方向に印加しながら所定の圧力をかけて成形した後、所定の温度で焼結して製造される。かかる工程の際、配向方向が所定の方向からずれが生じる場合があり、その結果、焼結磁石のブロックの部位によっては配向のずれによって磁気特性のバラつきが生じる。この点、本実施形態では、等方性のSmCo焼結磁石を用いるため、配向方向のずれが生じず、磁気特性のバラつきが略ないので、所望の着磁を行うことができる。
なお、等方性のSmCo焼結磁石は、異方性のSmCo焼結磁石に比べて磁気特性が低い(表面磁束密度の値が低い)ため、被着磁物100への着磁特性は低くなる。例えば、界磁源である異方性のSmCo焼結磁石の発生磁界は、着磁がなされる磁石外周側部位で、0.3mm離れた位置では、320℃で160kA/m以上と算出されている。これに対して、等方性のSmCo焼結磁石の発生磁界は、40kA/m以上、160kA/m未満の値であり、異方性のSmCo焼結磁石よりも低い値になる。しかし、磁気エンコーダ用の永久磁石では、等方性のSmCo焼結磁石の着磁磁界の大きさは実用上問題ない。むしろ、正確なセンシングのためには、磁気エンコーダ用の永久磁石の着磁に用いられる永久磁石の発生磁界の分布ばらつきの最小化が重要になる。この点、等方性のSmCo焼結磁石では、配向のずれによる磁気特性のバラツキが生じないため、等方性のSmCo焼結磁石により着磁した被着磁物100’を磁気センサ用部材として用いた場合、着磁特性の均一性が向上し、センシングの精度を向上することができる。
[実施例]
短冊形状に加工したSmCo(2-17系)異方性焼結磁石と、短冊形状に加工したSmCo(2-17系)等方性焼結磁石を準備し、それぞれアキシャル方向に着磁して評価試料を準備した。図7は、実施例における評価方法を説明するための図である。
そして、図7に示すように、着磁装置1の界磁部6の凹部に、予め着磁されたSmCo(2-17系)異方性焼結磁石(以下、異方性SmCo焼結磁石)を15個埋め込み、予め着磁されたSmCo(2-17系)等方性焼結磁石(以下、等方性SmCo焼結磁石)を15個埋め込んだ。なお、異方性焼結磁石、等方性焼結磁石ともに、周方向において、交互に磁極が異なるよう配置した。次に、先端に測定プローブを設けたピン状の測定器具を、各焼結磁石に近接させ、磁石から所定の距離離れた位置に保持し、界磁部6を回転させ、各磁石の発生磁界として、表面磁束密度を測定した。
図8は、実施例での測定結果を示す図である。図8は、磁石の発生磁界として、表面磁束密度(mT)を測定した結果を示す。図8において、縦軸は表面磁束密度(mT)を示し、横軸は界磁部6を回転させた角度、すなわち、各焼結磁石の位置を示す。図8に示すように、磁石からの発生磁界は、異方性SmCo焼結磁石の方が、等方性SmCo焼結磁石よりも大きな値であることがわかる。
図9は、図8に示す等方性SmCo焼結磁石の発生磁界を説明するための図である。図9の(A)は、図8に示すデータのうち、等方性SmCo焼結磁石の発生磁界のデータを拡大した図である。図9の(B)は、図8に示す等方性SmCo焼結磁石の発生磁界を、両端の磁石からの発生磁界を除いて、S極側における発生磁界中の最大発生磁界を1として規格化して表した図である。図9の(C)は、図8に示す等方性SmCo焼結磁石の発生磁界を、両端の磁石からの発生磁界を除いて、N極側における発生磁界中の最大発生磁界を1として規格化して表した図である。すなわち、図9の(A)は、各等方性SmCo焼結磁石の実測値を示し、図9の(B)は、各等方性SmCo焼結磁石のピーク値をS極側の最大値で規格化した規格値を示し、図9の(C)は、各等方性SmCo焼結磁石のピーク値をN極側の最大値で規格化した規格値を示す。以下に、図9の数値をまとめた表1を示す。なお、表1のN(実測値)及びS(実測値)では、N極側の実測値のピーク値及びS極側の実測値のピーク値を絶対値にして示している。また、表1のNmax規格化は、N極側の実測値の最大ピーク値(最大絶対値)を1とした場合の、各N極側の実測値のピーク値(絶対値)の規格値を示し、表1のSmax規格化は、S極側の実測値の最大ピーク値(最大絶対値)を1とした場合の、各S極側の実測値のピーク値(絶対値)の規格値を示す。
Figure 2022165009000002
図10は、図8に示す異方性SmCo焼結磁石の発生磁界を説明するための図である。図10の(A)は、図8に示すデータのうち、異方性SmCo焼結磁石の発生磁界のデータを拡大した図である。図10の(B)は、図8に示す異方性SmCo焼結磁石の発生磁界を、両端の磁石からの発生磁界を除いて、S極側における発生磁界中の最大発生磁界を1として規格化して表した図である。図10の(C)は、図8に示す異方性SmCo焼結磁石の発生磁界を、両端の磁石からの発生磁界を除いて、N極側における発生磁界中の最大発生磁界を1として規格化して表した図である。すなわち、図10の(A)は、各異方性SmCo焼結磁石の実測値を示し、図10の(B)は、各異方性SmCo焼結磁石のピーク値をS極側の最大値で規格化した規格値を示し、図10の(C)は、各異方性SmCo焼結磁石のピーク値をN極側の最大値で規格化した規格値を示す。以下に、図10の数値をまとめた表2に示す。表2のN(実測値)、S(実測値)及びNmax規格化は、表1と同様であるので、説明を省略する。
Figure 2022165009000003
図11は、評価試料の発生磁界の均一性を標準偏差で表した図である。図11において、等方性SmCo_Nは、表1のNmax規格化の規格値の標準偏差であり、等方性SmCo_Sは、表1のSmax規格化の規格値の標準偏差であり、異方性SmCo_Nは、表2のNmax規格化の規格値の標準偏差であり、異方性SmCo_Sは、表2のSmax規格化の規格値の標準偏差である。なお、図11に示す標準偏差を算出する際、両端に磁石がない端部の磁石は、磁路の関係上、発生磁界が大きい傾向にあるため、両端の磁石のピーク値を除去している。
図11に示すように、等方性SmCo焼結磁石の標準偏差は、N極では「0.0405」であり、S極では「0.0400」である。一方、異方性SmCo焼結磁石の標準偏差は、N極では「0.0475」であり、S極では「0.0447」である。すなわち、図5から、等方性SmCo焼結磁石は、異方性SmCo焼結磁石に比べて、標準偏差の値が小さく、等方性SmCo焼結磁石からの発生磁界のバラツキは、異方性SmCo焼結磁石からの発生磁界のバラツキより小さいことが分かる。また、図5では、等方性SmCo焼結磁石は、N極側でのバラツキと、S極側でのバラツキを比べた場合、両者の標準偏差の値は略同じであるため、極間でのバラツキも略ないことがわかる。
これに対して、異方性SmCo焼結磁石は、S極側での標準偏差(0.0447)に対して、N極側での標準偏差(0.0475)が大きく、極間でのバラツキが大きいことがわかる。
以上の評価結果から、等方性SmCo焼結磁石の発生磁界は、異方性SmCo焼結磁石の発生磁界に比べてバラツキが小さく、また、等方性SmCo焼結磁石においては、極間での発生磁界のバラツキはほとんどない。従って、着磁装置1の着磁用永久磁石として等方性SmCo焼結磁石を用いることによって、被着磁物の表面に着磁された磁気パターンの着磁特性の均一性を向上させることができる。
更に、等方性SmCo焼結磁石を着磁用永久磁石として用いる利点として、以下の点が考えられる。まず、等方性磁石は無配向であるため、異方性磁石で生じる可能性がある配向の乱れとは無関係であり、着磁用に用いる等方性磁石の製造工程での着磁の方向のみ正確に制御すれば、高精度な着磁が可能になるという点が挙げられる。すなわち、被着磁物をアクチュエータ・モータに利用する場合、高トルク化や設計自由度を高めることを目的とした強力な着磁特性が要求されるため、異方性SmCo焼結磁石を用いて大きな界磁磁界を発生させ、飽和レベルの強力な着磁特性を安定して得ることが重要であった。しかし、被着磁物をセンシングデバイス(磁気エンコーダ)に利用する場合、精密なセンシングが重要であり、飽和レベルの強力な着磁特性は必須の条件とはならず、着磁用永久磁石の着磁の方向のみ正確に制御すればよいことになる。
また、着磁用永久磁石が等方性であれば、着磁方向に任意性があるため、微調整が可能となり工業的利用に有利である点が挙げられる。すなわち、被着磁物は、着磁用永久磁石の配向方向に倣って着磁されるため、配向方向がずれている場合、着磁による発生磁界方向の矯正は困難である。しかし、等方性磁石では着磁方向を厳密に制御しておけば、配向方向の高精度化が可能となり、また、着磁方向を意図的にずらして配向方向を微調整することも可能となる。また、被着磁物を磁気エンコーダに用いる場合、飽和レベルの着磁強度は不要で、磁気エンコーダとして動作できる一定の着磁強度が得られれば良いので、着磁強度の大小を微調整することが可能となり、高精度化を達成することができる。また、微調整可能であることから歩留りを向上させることが可能であり、工業的利用に有利である。また、異方性磁石と比較して等方性磁石は作製が容易であるので、被着磁物の着磁に要するコストを低く抑えることが可能となる。
[着磁装置の変形例]
なお、上記の永久磁石の製造方法に用いられる着磁装置は、図1に示す着磁装置1に限定されない。以下では、着磁装置の変形例について、図12~14を用いて説明する。図12は、第1変形例に係る着磁装置の概略構成例を示す図である。図13は、第1変形例に係る着磁装置の概略構成例を示す図であり、図14は、図13に示す着磁装置の界磁部を示す斜視図である。
(着磁装置の第1変形例)
まず、図12に示す第1変形例に係る着磁装置1について説明する。なお、図12に示す着磁装置1における基本的構成は、図1に示す着磁装置1の基本的構成と同一であるため、同一符号の構成について省略又は簡略化して説明する。図12に示すX方向は、被着磁物のラジアル方向であり、Z方向は、被着磁物のアキシャル方向であり、上下方向である。図12に示すZ1方向が上方向であり、Z2方向が下方向である。
図12に示す第1変形例に係る着磁装置1が、図1に示す実施形態に係る着磁装置1と異なる点は、界磁部6に非磁性材料からなるスペーサ11を載置し、スペーサ11が界磁部6と被着磁物100との間に介装した構成となる点である。また、被着磁物100がスペーサ11を介して界磁部6により着磁される点が異なる。
スペーサ11は、界磁部6の載置面6aに載置され、界磁部6と被着磁物100との間に介装される部材である。スペーサ11は、例えば、非磁性金属材料でリング状に形成されている。非磁性金属材料で薄くできる材料として、例えば、非磁性のステンレス鋼、チタン合金、真鍮等が挙げられ、スペーサ11は、これらにより構成されていることが好ましい。なお、加熱されるため、350℃°以上の耐熱性を有していれば、非磁性金属材料に限定されない。例えば、非磁性のセクラミックスでもよい。
このスペーサ11の外径は、界磁部6の載置面6aと同じである。また、スペーサ11のアキシャル方向の厚さは0.7mm以下に形成されていることが好ましく、0.3mm以下に形成されていることがより好ましい。スペーサ厚は、0.7mmよりも大きくなると、被着磁物を着磁(磁化)することが難しくなる場合がある。この非磁性金属材料のスペーサ11を界磁部6と被着磁物100との間に介装することによって、被着磁物100に着磁した後、着磁された被着磁物100’と界磁部6との間の吸着力を低減できる。この結果、被着磁物100’を界磁部6から容易に取り去ることができる。更に、被着磁物100’を界磁部6から取り去る際、被着磁物100’の一部に欠けが生じることや、被着磁物100’のエッジで、界磁部6の載置面6aに露出する着磁用永久磁石である等方性のSmCo焼結磁石を傷付けることを防止できる。
なお、第1変形例に係る着磁装置1による被着磁物100に対する着磁方法における動作は、被着磁物100がスペーサ11を介して界磁部6に載置される以外、同様であるため、説明を省略する。
(着磁装置の第2変形例)
次に、図13に示す第2変形例に係る着磁装置1について説明する。図1や図2では、着磁用磁石として等方性のSmCo焼結磁石を用いる本実施形態に係る永久磁石の製造方法が、被着磁物100に対してアキシャル方向に着磁を行う着磁装置1に適用される場合について説明したが、これに限定されない。本実施形態に係る永久磁石の製造方法は、被着磁物100に対してラジアル方向に着磁を行う着磁装置に対しても適用可能である。なお、図13に示す着磁装置1における基本的構成は、図1に示す着磁装置1の基本的構成と同一であるため、同一符号の構成について省略又は簡略化して説明する。
加熱部4は、本体部41と突出部42とを有する。本体部41は、円板状に形成され、上下方向における両面のうち、上方向側面が移動部3の加熱部取付台33に固定されており、下方向側面から突出部42が下方向に突出して形成されている。突出部42は、上下方向における下方向側面が加熱面4aである。加熱面4aは、界磁部9の挿入孔9bの径よりも小さい径で構成されている。
予熱部5は、上方向側面が載置加熱面5aであり、2段に形成されている。載置加熱面5aのうち、上方向側の1段目において被着磁物100が載置加熱され、下方向側の2段目において界磁部9が載置加熱される。
図13及び図14に示す界磁部9は、被着磁物100に対して磁界を発生するものである。第2変形例における界磁部9は、被着磁物100に対してラジアル方向に着磁を行うものであり、本体部91と、フランジ部92と、着磁用永久磁石である永久磁石93とを有する。本体部91は、非磁性金属材料により構成されており、円筒形状に形成されており、上下方向における両面のうち、下方向側面が予熱部5の載置加熱面5aの2段目に固定されており、上方向側面9aが天井板31とアキシャル方向において対向している。本体部91は、被着磁物100が挿入される挿入孔9bが形成されている。フランジ部92は、本体部91の下方向側端部から径方向外側に突出して形成されている。フランジ部92は、予熱部5の載置加熱面5aの2段目に界磁部9が載置された状態で、図示しない貫通孔に固定具、例えば締結ネジ等が挿入され、固定具が予熱部5に固定されることで、予熱部5に対して界磁部9を固定するものである。
着磁用永久磁石である永久磁石93は、例えば矩形形状の等方性SmCo磁石であり、径方向において本体部91の挿入孔9b側に埋設され、被着磁物100に対して磁界を発生する。永久磁石93は、上下方向から見た場合において、本体部91の中心を中心とする同心円の周方向に沿って等間隔に複数個配列される。永久磁石93は、径方向内側及び径方向外側において2つ磁極(S極、N極)を有し、周方向において、交互に磁極が異なるように、本体部91に対して埋設されている。ここでは、永久磁石93は、径方向内側における磁極(例えば、S極)が周方向において隣り合う永久磁石93の径方向内側における磁極と異なり(例えば、N極)、径方向外側における磁極(例えば、N極)が周方向において隣り合う永久磁石93の径方向外側における磁極と異なる(例えば、S極)。なお、永久磁石93は、本体部91において、挿入孔9bに露出した状態で埋設されているが、挿入孔9bに露出せず、本体部91内部に埋設されていてもよい。
次に、第2変形例における着磁装置1による被着磁物100に対する着磁方法について、説明する。なお、実施形態に係る着磁装置1による着磁方法と同一の部分は、省略又は簡略化して説明する。まず、制御部10は、加熱部4及び予熱部5の加熱を開始する。次に、作業員は、アキシャル方向において、被着磁物100と界磁部9の挿入孔9bとを対向させた状態で、被着磁物100を下方向側に移動し、被着磁物100を界磁部9の挿入孔9bに挿入し、予熱部5の加熱載置面5aの1段目に載置する。このとき、作業員は、被着磁物100を挿入孔9bに挿入することで、着磁装置1に対する被着磁物100の位置決めを行う。なお、被着磁物100は、外周面100dが径方向、すなわちラジアル方向において界磁部9と対向し、上方向側面100bが加熱部4の加熱面4aとアキシャル方向において対向する。
次に、制御部10は、被着磁物100が加熱載置面5aに載置してから第1所定時間T1経過後に、移動部3により、非加熱位置から加熱位置に被着磁物100に対して加熱部4を移動させ、予熱された被着磁物100の加熱を開始し、加熱位置において、被着磁物100の加熱を開始してから第2所定時間T2経過後に、移動部3により、加熱位置から非加熱位置に被着磁物100に対して加熱部4を移動させる。制御部10は、非加熱位置において、被着磁物100に対して冷却部8により冷却を行い、非加熱位置において、冷却部8による冷却を開始してから第3所定時間T3経過後に、冷却部8による冷却を終了する。次に、作業員は、着磁された被着磁物100’を取り出す。
以上により、第2変形例における着磁装置1は、被着磁物100をキュリー点未満からキュリー点以上に昇温し、界磁部9により着磁磁界を印加された状態のまま、キュリー点以上からキュリー点未満に降温することで、被着磁物100に対して着磁を行う。これにより、着磁装置1は、被着磁物100から着磁後の被着磁物を製造する。着磁後の被着磁物は、界磁部9の永久磁石93にそれぞれ対応した領域に着磁が行われる。変形例における着磁後の被着磁物は、各永久磁石93に対応する着磁領域が形成、すなわち少なくとも外周面100dにおいて、1列の多極着磁された永久磁石である。第2変形例における着磁後の被着磁物100’は、各永久磁石93に対応する着磁領域が形成された永久磁石であり、少なくとも外周面100dにおいて、1列に多極着磁された永久磁石である。
また、第2変形例における着磁装置1は、被着磁物100の外周面100dにおいて、1列に多極着磁された永久磁石を製造する形態であるが、これに限定されない。界磁部9に設けた永久磁石93を同軸状で、軸方向に離間して複列(例えば、2列)に配置してもよい。この場合、被着磁物100の外周面100dに、アキシャル方向において、複数列(例えば、2列)で多極着磁することができる。
なお、上記実施形態及び変形例においては、加熱部4が加熱位置となる前に加熱温度に到達しているがこれに限定されるものではなく、非加熱位置において加熱温度よりも低い待機温度に加熱しておき、加熱位置において、被着磁物100に加熱面4aが接触した状態で待機温度から加熱温度まで昇温してもよい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 着磁装置、2 架台部、3 移動部、4 加熱部、4a 加熱面、5 予熱部、6 界磁部、63 永久磁石(着磁用永久磁石)、7 位置決めピン、8 冷却部、9 界磁部、10 制御部、11 スペーサ、100 被着磁物、100’ 着磁後の被着磁物

Claims (3)

  1. 被着磁物の近傍に、前記被着磁物に着磁用磁界を印加する着磁用永久磁石が所定の間隔で複数個配列された界磁部を配置し、前記被着磁物を、当該被着磁物のキュリー点以上の温度まで昇温する加熱工程と、
    前記キュリー点以上の温度に達した前記被着磁物を、キュリー点未満の温度まで降温させるとともに、前記界磁部により前記被着磁物に着磁磁界を印加し続ける着磁工程と、
    を含み、
    前記着磁用永久磁石は、所定形状の等方性SmCo焼結磁石である、
    永久磁石の製造方法。
  2. 前記着磁用永久磁石は、短冊形状の等方性SmCo焼結磁石である、請求項1に記載の永久磁石の製造方法。
  3. 円板状の被着磁物に対して着磁用磁界を発生する着磁用永久磁石が周方向に等間隔に複数個配列される界磁部と、
    前記被着磁物のアキシャル方向において前記被着磁物と対向する加熱面を有し、且つ、前記被着磁物に対して、前記被着磁物を構成する磁粉のキュリー点以上に加熱を行う加熱部と、
    前記被着磁物のアキシャル方向において、前記被着磁物及び前記加熱部を非加熱位置と加熱位置との間で相対移動させる移動部と、
    少なくとも前記加熱部及び前記移動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記着磁用永久磁石は、所定形状の等方性SmCo焼結磁石であり、
    前記非加熱位置は、前記アキシャル方向において前記被着磁物に対して前記加熱面が離間し、且つ、前記加熱部による前記被着磁物の加熱が行われない位置であり、
    前記加熱位置は、前記アキシャル方向において前記被着磁物に対して前記加熱面が近接し、前記加熱部による前記被着磁物の加熱が行われる位置である、着磁装置。
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