JP2022164529A - 放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
熱中性子を含む放射線場の例としては、例えば、近年注目されているがん治療法である“ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:以下、BNCTと称する)”における治療用放射線場を挙げることができる。
例えば、高エネルギー側の中性子を高速中性子、中程度のエネルギーレベルの中性子を熱外中性子、低エネルギー側の中性子を熱中性子とし、熱外中性子として、40keV以下、あるいは、10keV以下を規定する説がある。
さらには、照射後しばらくしてから晩期障害を生じ、直腸や膀胱に腫瘍ができて出血することがある。
近年、こうした副作用や晩期障害を極力生じさせないように、放射線をうまく使用する治療方法が研究されている。
また、中性子は電荷を持たず、このため原子核と衝突したときに吸収され易い。
この反応生成物に、人体の健全部に影響の少ないエネルギーレベルの中性子(主として熱外中性子など、中程度のエネルギーレベルの中性子で構成されたものであることが望ましい)を、面照射し、“事前に、腫瘍部分に高濃度に偏析させておいたホウ素化合物”との間で、ごく微小な範囲内(細胞1個分に相当する範囲)だけに核反応を生じさせ、腫瘍細胞だけを死滅させる。
健全部に影響の少ない中性子を使用し、照射ビームを、面形状で腫瘍部分を包含する大きさで照射する。
さらには、通常の放射線治療では照射回数(すなわち、治療日数)が20日とか30日など、毎日照射しても1カ月以上要するのに比べ、BNCTにおける照射は、原則1回、多くても2回であり、しかも1回当りの照射時間は30~60分程度であり、治療時の患者の負担を顕著に軽減することができる。
また、その照射ビームの中性子束の中性子数は1×109(n/cm2・s)以上が求められている。
他方、照射された熱中性子は外皮部において外皮組織と直ぐに反応して皮膚の炎症や脱毛などの副作用を生じさせることとなる。
この方式は、既存の原子炉に附帯させず、中性子発生装置として専用のサイクロトロン方式の加速器を設けた治療専用の装置で構成される。
ここで、発生した中性子(主として高速中性子)を、安全に、かつ利用しやすいエネルギーレベルまで低減するためには、発生した中性子数を減らすことなく、利用しやすいエネルギーレベルまで低減するための適切な減速性能を有する減速体系を備えていることが必要となる。具体的には、減速材を適正な化学組成で構成することと、減速材の形状の確保が必要となる。
また、その治療用ビームの中で治療に不要な、または有害な中性子やγ線などを除去することも重要となる。
この特許文献1によると、減速体系の減速材は、中性子線の流れ方向の上流側から、減速材1はPb、減速材2はFe、減速材3はAlまたはAlF3、減速材4はCaF2またはCaF2にAlF3を混合したもの、となっている。
具体的には、段落[0022]に、「減速体系1の出射端側には、遮蔽材5が設けられる。遮蔽材5は、LiF入りポリエチレンあるいは高密度ポリエチレンからなる第1の遮蔽層10と、Pbからなる第2の遮蔽層11とを備える」と記載されている。減速体系1の出射端には、一般的には「コリメータ」と称される装置が配置される。
第2の遮蔽層11は、同段落に記載のとおり、「第2の遮蔽層11は、主としてターゲット2から発生するγ線等を遮蔽する役割を果たすものである。」とされている。
ここで、問題となるのが、第1の遮蔽層10の構成物質である。
LiFは、その主な構成元素であるリチウム(Li)が自然界の中に存在する元素の中ではホウ素(B)、カドミウム(Cd)、カドリニウム(Gd)とともに、治療用ビームの主要な構成放射線となっている熱外中性子、熱中性子の内、治療に不必要な熱中性子に対して大きな吸収断面積を有している。
この内、6Liは熱中性子に対して大きな吸収断面積を有し、これが天然Li及び同Li化合物が熱中性子に対して高い遮蔽性能を有する要因となっている。
BNCTにおける照射ビームのような比較的低いエネルギーレベルの中性子を吸収する際に、Liの場合、二次放射線として、アルファ(α)線が発生する。このα線は人体にほとんど害を及ぼさない。
それに比べて、B、Cd、Gdの場合は、いずれも人体に害を及ぼす虞が有るγ線を発生する可能性がある。γ線発生の可能性及び発生量はB、Cd、Gdの順に増加していく。
この後者(“Heとα線を発生”)の反応が、予め患者の患部に投与した薬剤10Bの反応生成物による中性子吸収(捕捉)反応と称される、所謂「BNCT法の原理」となっている。
この場合には、治療用中性子線中に遮蔽材(例えば、B、またはGd含有の遮蔽材)に起因する二次放射線としての“即発ガンマ線”が混入することを、場観察の外乱要因となることから避けなければならない。
例えば、下記の特許文献3(再表2018-181395(特願2018-517656))の明細書の段落[0052]には、「天然での存在比は、7Liが92.5atom%であるのに対し、6Liが7.5atom%である。そのうち、中性子線の遮蔽に寄与するのは6Liであるので、6Liが濃縮された6LiFを使用することによって、より高い効率で中性子線を遮蔽することができる。そのことから、LiF焼結体は、6LiF焼結体であることがより好ましい。以下、6LiF焼結体について説明する。」と記載されている。
主な核保有国ではその濃縮技術を保有していると見込まれるが、我が国では平和利用といえども、その技術開発には種々の規制がかけられており、6Liの濃縮は、実現できていない。
例えば、日本原子力研究開発機構から投稿されている「核融合炉用燃料に関連してLi同位体分離濃縮技術に関する内容」を記した非特許文献3に記載されているように、「6Liの濃縮については、現時点で、我が国では安定した量産技術の確立には至っていない」のが現状である。
例えば、濃縮技術を保有する米国では、他国への輸出に関して、国の規制対象品(米国商務省規制品リストの分類番号:1C233)となっている。
また、6Liを濃縮した原料、製品などを、我が国から他国へ輸出することも、安全保障上の問題があり、規制対象品(経済産業省:“貨物等省令”の“リスト規制”による)になっている。
このように6Liが濃縮された6LiFを安定的に確保することは、困難と言える。
しかしながら、従来の焼結技術で、LiF単味または他のフッ化物にLiFを高濃度に配合した出発原料を焼結させると、LiFは他のフッ化物と比べて極めて低い加熱温度で、所謂“昇華現象”が活発に起こり、焼結過程で激しく気化して発泡する。
このため、LiF単味または他のフッ化物にLiFを高濃度に配合した出発原料から、緻密な溶融物、あるいは焼結体を得ることは困難であった。特に大形で、高密度な焼結体を得ることは不可能であった。
この特許文献3における、請求項3には、「前記6LiF焼結体は、6LiFからなり、83%以上90%以下の相対密度を有し、外表面のクラック及び膨れが抑制された良好な外観を有する、… … … 」と記載されている。
しかしながら、相対密度が83%以上、90%以下では、実際には、取扱い時に極めて割れやすく、例えれば、“打設直後のコンクリートで、表面層がわずかに固化し始めたばかりの状態”に酷似し、極めて脆弱な焼結状態となっている。
このような脆弱な焼結体では、取扱い時に形状を維持することはできず、簡単に崩れたり、割れたりし、実用には適さない品質レベルのものとなる。
SPS法で得られた焼結体は、例えば、SPS焼結装置の製造企業である富士電波工機株式会社のホームページ中の解説書(非特許文献4:「[Spark Plasma Sintering(放電プラズマ焼結)]What’s SPS」)には、「通電初期の現象として、パルス通電・放電に伴う放電プラズマの発生は放電衝撃圧力とともにスパッタ作用で… … … 」、また、次の頁の図表「SPSプロセスの対象材料の代表例」の図中に、「(現象)の部分に、放電衝撃圧力の発生 局所的応力・スパッタ作用」また「ジュール熱の発生 局所的高温発生」とあり、焼結過程での応力発生・局所での高温発生が、この焼結法の原理として明記されている。
しかも、不均一な焼結進行状態の焼結体となっている。このため、SPS法焼結体は、耐衝撃性に著しく劣り、緻密さのばらつきが極めて大きなものとなる。
「SPS法では急速加熱・迅速焼結を特徴とするため、“大形化・均質焼結”は、加工技術・ノウハウ開発の代表的課題である。φ15~50mm以下程度の小片試料製作では比較的容易に均質化が得られるため、この種の問題は顕在化し難い。
しかしながら、φ100~350mmの大形材料ではバラツキが生じる。材料の熱伝導率、粒子の再配列、均等プレス加圧負荷接触面積、周長などに起因し、偏荷重と偏熱現象が発生しやすく、迅速・均質焼結に困難さが伴う。… … … 」
とあり、前記の非特許文献3と同様に、SPS法では成形サイズが大きくなると均質焼結が極めて困難になることが解説されている。
焼結過程でLiFは気化しやすいため、おのずとカーボンと気化したFガスとが反応し、CF系の化合物を生成することとなる。この結果、SPS法で焼成した焼結体は、純粋のLiFの一部にCF系の化合物が生成したものとなる。
このことは、遮蔽性能に大きな悪影響を与える。
上記特許文献3に記載のような従来の焼結技術では、大きな寸法で、しかも取扱いが容易な高密度で、高い機械加工強度を有するLi、またはLiが高濃度に含有される溶融物、あるいは焼結体などの塊状物を造ることはできない。
この特許文献4の請求項1には、「前記ターゲットからの中性子は、前記減速部(すなわち、“減速体”)により熱外中性子エネルギー領域に減速され、前記減速部の材料は、PbF4、Al2O3、AlF3、CaF2、又はMgF2のうちの1種又は多種の組み合わせ材料と、前記PbF4、Al2O3、AlF3、CaF2、又はMgF2のうちの1種又は多種の組み合わせ材料であって、重量%が0.1~5%の6Li元素を含有する材料とを混合して形成され、前記減速部の材料は、粉末焼結設備によって粉末焼結プロセスで粉末又は圧粉体からブロックとなり、… … … 」と記載されている。
このように、請求項1、2に記載の減速材の材料としては、いずれも「、AlF3、CaF2又はMgF2のうち … … … 」とあり、CaF2とMgF2とを混合する成分系とはなっていない。
6Li以外の他の混合化合物でわずかに減速され、6Liは、少量発生した熱外中性子と熱中性子とになったものを遮蔽する作用のみを発揮するものと考えられる。
しかるに、特許文献4に記載の実施例においては、6Liの明確な混合割合が全く示されていない。
さらに、この特許文献4には、“焼結条件(成形体、焼結温度条件など)”、“焼結体の品質”が明確には記載されておらず、特許文献4記載の発明は、実施化可能要件違反、明確性要件違反の可能性が極めて高い。
いずれも加熱焼結過程で加圧する方法であり、製造された焼結体の内部には、加圧による応力(すなわち、歪み)が残り、それが原因で焼結体は、たとえ高密度であったとしても脆く、割れ易いものとなる。
特許文献5には、LiF焼結体の寸法は、記載されておらず不明であるが、予備加熱工程の型の内径が30mmとあり、そのあとの加熱下でのスパーク放電焼結でさらに収縮するため、焼結後の寸法はさらに小さくなり、いかにも極小型の焼結体を製造する方法に関する特許であると言える。また、この特許には、焼成した焼結体の機械加工強度に関する記載はなく不明である。
焼結体の厚さがおおよそ30mmを超えると、焼結体の内部側と表層部との焼結速度の差が大きくなり、均一な緻密化が容易でなくなり、厚さ50mmを超えるとさらに不均一となりやすく、高密度化は困難になってくる。
これら製品の根拠となっている特許は、おそらくは、上記した特許文献5(特開昭51-94098号、発明の名称「焼結弗化リチウム中性子遮蔽材料」)に示された、日本化学陶業株式会社(現・株式会社ニッカトー)から古くに出願されたLiFの焼結体に関するものと推測される。
そのため、遮蔽材としては大きな面積を有するものが必要とされており、例えば、数m×数mの面積の部位を、100mm×100mmの正方形の板でつなぎ合わせて覆うことは、現実的には無理がある。
入射した高エネルギー中性子は、ポリエチレン樹脂による遮蔽、減速効果によって熱外中性子を経て熱中性子となるが、おおむね出射側に至ってからようやく、この熱中性子がLiFにより遮蔽できることとなる。
このLiF含有ポリエチレン樹脂の入射側では、入射ビーム中の熱中性子量は少なく、LiFによる熱中性子の遮蔽は間に合うが、出射側に近づく程ポリエチレンによる高速中性子のエネルギーの吸収が進行し、熱外中性子や熱中性子を生じてくることから、出射側では、LiFによる熱中性子の遮蔽は不十分となりやすい。
このため、BNCTの治療用ビームをLiF単独で遮蔽すると、熱中性子は遮蔽されるが、熱外中性子と高速中性子はほとんど遮蔽されずに、透過してしまう。
そのため、治療用ビーム中に高速中性子と熱中性子とが多く含まれている場合には、LiFだけでは十分な遮蔽性能を確保することはできず、高速中性子に特化した別の遮蔽材も併用することが必要となってくる。
この関連では、加速器、ターゲットでの中性子発生性能に加えて、減速体系周辺及びビーム出射口周辺でのビームの漏洩などが問題となってくる。
安全で、安定的な治療方法の確立には、これらの漏洩を防止することが重要課題となっている。
その材料としては、“LiF粉含有のポリエチレン”、“カドミウム(Cd)”、“6Li”が知られている。
このため、係る焼結体には、高機械加工強度、すなわち、緻密で均質な、且つ歪みの少ない、換言すると、高密度、高ビッカース硬度、高曲げ強度のものが求められている。
しかも、焼き上がった段階で、大きな面積を有し、十分な厚さを有する形状のものが求められている。
(一) 減速体系外周部からの中性子漏洩防止用(この減速体系外周部には、減速体系側面部と治療用ビーム出射口周辺部(「コリメータ」部分)を含む)。
この箇所に使用される遮蔽材に求められる形状は、板形状、または塊状、または管形状である。
また、ある程度大きな体積の塊が得られるように、焼結体の段階では、とにかく大きな形状の塊状物を提供できることが課題。
出射口は、一般的に直径100mm~250mm程度(ほとんどの場合、同直径は100~150mm)の円形の開孔となっている。
他方、患者患部の外皮形状、大きさは、がん病巣の部位によって、大きく変化する。
例えば、頭部、後頸部、顔面、足のかかとなどによって、外皮形状、大きさは、大きく変化する。しかもその患部の外皮形状は個人差が大きい。
照射中に患者の姿勢が変化することも想定しなければならず、それにつれてビーム照射口と患者患部との隙間も変化してしまう。この変化する多様な形状となる隙間を、固定形状の遮蔽材で効率的に遮蔽するのは容易ではない。
この箇所に使用される遮蔽材の元材料となる焼結体の形状は、リング形状、または厚さ数10mmの板形状になると見込まれる。
周辺の制御機器類は、漏洩した中性子などの高エネルギーの放射線に曝されると誤作動を生じたり、停止するなどの故障を起こすことが知られている。
このような制御機器類の放射線被爆による故障の発生を阻止することが望まれているが、これらの故障に対する有効な対策はとられていないのが現状である。
この用途の遮蔽材としては、大きな面積を有し、適度な厚さの板形状、リング形状、または管形状のものなどが求められており、焼結体の段階では、とにかく大きな形状の塊状物を提供できることが課題。
上記したようにBNCT装置の照射ビームはターゲットで発生した高エネルギーの中性子を各種の減速材を用いて減速し、治療に適する熱外中性子を主体にした中低エネルギーの中性子と、ターゲット以降の過程で種々発生した二次放射線とから成っている。
熱外中性子以外の中性子、二次放射線は、いずれも副作用を起こす虞が有り、治療には必要がなく、除去すべきものである。
この遮蔽材により、熱中性子を除去することができるが、有害なγ線などの二次放射線が大量に発生する。
この遮蔽材までに発生していた二次放射線とともに放射線遮蔽材のPb(金属)を用いてそれらの放射線を除去しようとしているが、Cd製遮蔽材(熱中性子フイルター)で二次放射線が多量に発生するため、放射線遮蔽は不十分となり、二次放射線が残った状態となる。
この様な状況を踏まえ、顕著な熱中性子遮蔽性能を有し、しかもγ線などの人体に有害な二次放射線発生が著しく少ない熱中性子フイルターの開発が課題となっている。
加速器方式の場合、ターゲットで発生した中性子(ほとんどの場合、発生した中性子は“高速中性子”である)は減速材で減速され、目的とするエネルギーレベルの中性子に制御される。
このターゲット、減速材を含めた装置部位を“減速体系”と称するが、この減速体系の周囲を漏洩防止用の“熱中性子遮蔽材”と“γ線遮蔽材”とで取り囲むことが行われている。
この減速体系の周囲に設置された両遮蔽材から漏洩する熱中性子を対象とした“遮蔽”が課題となっている。
(1) 低エネルギー中性子(冷中性子~熱中性子)を主として使用する“中性子実験施設”、
(2) “研究用原子炉”、
(3) “J-PARC”、
(4) “理化学研究所のRANS”、
(5) “青森のサイクロトロン方式中性子実験施設”
さらに、遮蔽性能の向上を目指し、フッ化物系原料に、ホウ素(B)、及び/又は、ガドリニウム(Gd)を含有する原料を加え、それらの混合原料を用いても、高密度で高機械加工強度を有する大きな形状の塊状化物を製造することができる焼結方法の開発も検討した。
(イ)放射線用、なかでも中性子用遮蔽材として最も必要な性能は、まず、第1に、中性子の遮蔽性能を確保することであり、その性能確保のために,どのような組成配合、塊状化条件(特に、焼結体の密度レベル)にすべきか。
(ロ)中性子用遮蔽材を得るために必要な塊状化物(焼結体)の機械加工強度を如何に確保するか。
(ハ)中性子用遮蔽材に必要な焼結体の大きさ、形状を如何にして確保するか。
治療用に調整された中性子は、主として熱外中性子、熱中性子及び低速中性子(すなわち、冷中性子)で構成され、それ以外に減速材で減速しきれずに残った高速中性子などを含むものである。
遮蔽性能の根源は上記したように、水素原子、窒素原子、6Li、10B、112Cd、157Gdなどの特定の元素、または放射性同位体元素が有する特定のエネルギーレベルの中性子に対する吸収断面積の大きさに依存している。
このため、1種の遮蔽材で幅広いエネルギー範囲の中性子をすべて遮蔽することは困難である。
6Liを実際に使用して「優れた遮蔽材」を得るには、高密度、高均質(高均質とは、密度のバラツキが小さく、残留歪みが皆無で、割れ亀裂などの欠陥が無いこと)で、機械加工強度が確保され、大きな形状のものを、安定的に、安価に製造できる方法の開発が必要である。
「高均質」が必要な理由は、密度が高いほど中性子などの放射線に対する遮蔽性能は高くなり、且つ、密度のむらが少ないほど、遮蔽性能のむらが小さくなるためである。
(イ)中性子遮蔽性能確保のための要件、
(ロ)中性子遮蔽材用焼結体に必要な機械加工強度確保のための要件、
(ハ)中性子遮蔽材用焼結体に必要な大きさ・形状確保のための要件、
の3点に関し、その課題解決策を次のように検討した。
そのため、形状として板形状の遮蔽材には、遮蔽性能のほかに形状維持性能や装置としての制約条件などが重要視されることになる。
一般的に、LiFを単味(「単独」と同意語)で焼結することは困難とされていた。
従来、LiFは、ほとんどの場合、他の原料を主原料とし、LiFそれ自身の融点が低い特性を生かし、焼結技術領域で言う「焼結助剤(焼結反応を促進する助剤、の意味)」として、または「補助的原料」として使用されていた。
このため、低密度な焼結体となり、また大きさ面でも大形化することは不可能であり、目的とする特性は得られない。このように、6Liの濃度だけに頼った遮蔽性能の確保には限界がある。
(1)優れた遮蔽性能を得るのに必要なLiを、天然産のLiを基にしたLiF原料として確保すること、
(2)LiFは、難焼結性の代表的原料であるため、大形のものを、安定的に均質に焼結させるには、LiF単味ではなく、他のフッ化物、例えば、MgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF及び/又はYF3の中から1種以上を選び、それらとLiFとを混合して多元系フッ化物焼結体とすること、とした。
LiFと同類のフッ化物であれば、焼結過程において固溶体を作りやすく、共晶点を生じて焼結温度の低温化が図られ、その結果、LiFなどのフッ化物の分解・気化(すなわち、昇華)現象が抑制され、発泡が阻止されて緻密な焼結体が得られやすくなると考察したためである。
図1に、LiF-MgF2-CaF2三元系の平衡状態図を示す。
この場合、LiF59.0mol%(すなわち、35.7wt.%)、MgF2 13.6mol%(40.5wt.%)、CaF2 6.4mol%(23.8wt.%)の混合割合の箇所(「B点」とする)が共晶点となっている。
このB点の融点温度は、各混合割合での融点温度を示す図中の等温線の中で最も低い値となっている。
また、それ以上の温度では、すべて液相、または液相と固溶体の2相が共存する状態となる。
それに対して、上記の平衡状態図における共晶点の温度は672℃であり、上記のLiF単味焼結における、推定される適正な焼結温度670~680℃とほぼ同じ温度である。
このA-Cを結ぶ直線上で配合割合を変化させて焼結試験を行い、試験サンプルの品質性状を調べ、この用途に適する原料配合条件、焼結条件などを突き止めた。
しかしながら、二元系焼結法であっても、LiFの混合割合が70wt.%を超えると、著しく発泡するようになり、この場合は単味原料の場合と同様に低密度となってしまった。
LiFの混合割合が70wt.%を超えても著しい発泡を抑えることが可能であることを見出した。
そのため、多元系化によるLiFの加熱分解の抑制は、このLiF99wt.%までが限界であると判断した。
これらの試験結果から、LiFの混合割合は5wt.%~99wt.%が適正な混合範囲であると定めた。
気泡や空隙は、真密度状態の焼結体(すなわち、相対密度100%)ではゼロであり、それらが増加するにつれて相対密度は低減する。
そのため、相対密度は少なくとも92%以上必要であり、望ましくは94%以上であると判断した。
しかも、高密度、高均質で、十分な機械加工強度を備え、大きな形状の優れた遮蔽材を、安定的に、安価に提供することができる。
このため、多種の大きさ、多様な形状の製品に対応することができる放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
天然産のB中の10B存在比(これを専門分野では、「天然存在比」と称する)は、19.9atom%であり、残りの80.1atom%を安定相である11Bが占めている。
試験結果からホウ素化合物添加の適正範囲を10Bとして0.1~5wt.%添加と定めた。
試験結果からガドリニウム化合物添加の適正範囲を157Gdとして0.1~2wt.%添加と定めた。
焼結体の相対密度は、下記の(1)式に示すように、焼結体の重さを計測した“質量”を、外形寸法から算出される“嵩体積”で除して算出した“嵩密度”を、次に記述する方法で算出した“真密度”で除して算出する方法とした。
焼結体の相対密度(%)=[嵩密度(g/cm3)]×100 / [真密度(g/cm3)]・・・(1)
また、10Bを含有するホウ素化合物、及び/又は157Gdを含有するガドリニウム化合物を添加する場合は、10B及び157Gdの天然存在比(10Bの天然存在比は19.9atom%、157Gdの天然存在比は15.65atom%)、又は10Bを濃縮した場合の濃縮比を元の元素(すなわち、B、又は、及びGd)に割り戻し、各化合物の添加割合で加算し、算出する方法とした。
ちなみに、後述するように各[実施例]と[比較例]に関しては、上記方法で算出した[真密度]及び[相対密度]の値を表示している。
上記放射線遮蔽材用焼結体(5)によれば、極めて中性子遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
上記放射線遮蔽材用焼結体は、いずれも高機械加工強度が確保されており、上記放射線遮蔽材(1)によれば、所望形状の放射線遮蔽材を容易に得ることができる。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
LiF単味の原料を焼結すると、焼結過程で激しく気化し、フッ素ガスを発生(昇華現象を発生)し、焼結体は著しく発泡して内部に大きな空洞を生ずることとなる。
このため、低密度な焼結体となり、また大きさ面でも大形化することは不可能であり、目的とする特性は得られない。
この現象をよく観察すると、LiとFとが分解し始める温度が比較的低い温度であることが分かってきた。焼結温度がこの分解し始める温度を超える温度か、下回る温度かによって焼結体の緻密化の程度が決まると推測された。
密度と鉱物組織が良好な状態では、端的には“残留応力”の大小如何によって定まる、と言える。
また、この大形の塊状物(焼結体)を、安価に、安定的に、しかも上記したような高品質のものを得やすい製造方法は、焼結法であり、さらに詳細に述べれば常圧焼結法をベースに採用し、必要に応じて常圧焼結法で得た焼結体を、さらに加圧焼結する方法が望ましいと考えられた。
このため、本発明では、少なくとも一次焼結工程と二次焼結工程に関しては常圧焼結法を採用することにした。
このような焼結方法の研究により、焼結体内部の“残留応力”は皆無となり、機械加工強度の確保に関する心配はまったく無くなり、きわめて安定した良好なものとなった。
より具体的には、中性子に対する吸収断面積が大きいLiを高濃度に含有し、且つ、高密度の大形の塊状物を、安定的に安価に提供することができる。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴としている。
また、BNCTにおいて治療直前に患者に予め投与するホウ素薬剤は、いずれもこの10B濃縮型が使用されている。以前から安全保障上の規制からこのBNCT用途は除外されており、使用には支障が無い状態である。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴としている。
この混合原料粉に、所定量の純水を添加し、所定時間混練したものを出発原料とした。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物原料
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴としている。
LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ホウ素化合物原料を、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加することを特徴としている。
LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ガドリニウム化合物を、天然ガドリニウム原料中のガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加することを特徴としている。
他方、一旦常圧焼結法で焼結した均質な焼結体は、引き続き加圧焼結を行っても、前記の最初の焼結から加圧法で行った場合のように、焼結体の内部に大きな残留応力が生ずることはなく、わずかな応力が生ずる程度で収まる。
これが、一旦常圧焼結したのち加圧焼結する場合の大きな利点となる。
実施の形態に係る放射線遮蔽材用焼結体を製造するには、LiFを含む多元系フッ化物を原料とし、及び/又は同多元系フッ化物に10Bを含有するホウ素化合物を加えたものを原料とし、及び/又は同多元系フッ化物に157Gdを含有するガドリニウム化合物を加えたものを原料とする。
他の粉砕方式、例えば“ビーズミル粉砕法”、“ダイナミックミル粉砕法”などと称される、アルミナ製などの媒体を被粉砕原料とともに撹拌して微粉砕する“媒体撹拌型微粉砕法”を使用してもよい。
ホウ素化合物は、高純度(純度99.5wt.%以上)のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の中から選択して使用する。また、そのホウ素源は、天然ホウ素、及び/又は、天然ホウ素の同位体10Bを濃縮したものとする。
上記した多元系フッ化物原料と、添加するホウ素化合物原料とを、別個に下記の粉砕方式で2週間粉砕(一次粉砕)した後、各々所定量を計り採り、V型混合機を用いて一昼夜混合作業を実施する。
さらに、その混合した原料を下記の粉砕方式で1週間粉砕(二次粉砕)する。
個別に2週間粉砕した後の平均粒径は、原料の種類によらず、すべてメディアン径で8μm以下となった。
混合後、さらに1週間粉砕した後の平均粒径は、メディアン径で6μm以下となった。
ガドリニウム化合物は、高純度(純度99.9wt.%以上)のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の中から選択して使用する。また、そのガドリニウム源は、天然ガドリニウムとする。
ホウ素化合物を添加する場合と同様に、上記多元系フッ化物原料と、添加するガドリニウム化合物原料とを、別個に下記の粉砕方式で2週間粉砕(一次粉砕)した後、各々所定量を計り採り、V型混合機を用いて一昼夜混合作業を実施した。
さらに、その混合した原料を下記の粉砕方式で1週間粉砕(二次粉砕)した。
ここで、二次粉砕した後の混合原料に純水を添加したのは、後工程である、一軸プレス成形工程、CIP成形工程、及び両成形工程間における成形体の形状維持のためである。
形状維持のためには、一般的には焼結助剤が使用されることが多いが、焼結助剤は焼結後に残留すると不純物となり、中性子遮蔽性能に大きな影響を及ぼす虞がある。そのため、ここでは純水を用いることとした。
形状維持のための適切な純水添加量の範囲は、予備試験により、1wt.%以上、5wt.%以下の範囲であることを突き止めた。さらに、2wt.%以上、4wt.%以下の範囲が、より望ましい範囲であることを突き止めた。
ここで、一軸プレス成形を実施するのは、次のCIP工程との間、及び次のCIP工程内での成形体形状の維持を可能とするためである。
なお、この一軸プレス成形工程に用いる型枠と、その上方からプレス圧を加える押し板の形状を、平面視で角形、丸形、リング形状などにすることで成形体の平面視形状を各々の形状のものとすることができる。
その後、上記充填した上水に成形圧5MPa以上、望ましくは20MPa以上の水圧を掛けて(すなわち、試料をビニール越しに加圧して)成形する。このことで、以下の工程間及び工程内でのプレス成形品の形状維持ができるようにする(CIP成形工程)。
この仮焼結工程では、主として元原料に含まれていた水分及び添加した純水の気化、蒸発及び原料粒子同士の固相反応を促進させる。
上記温度範囲としたのは、350℃未満の加熱では、上記の水分の気化、蒸発が遅くなりすぎ、一方、470℃を超える加熱では、固相反応が速くなり過ぎて水分の気化、蒸発が不十分となるためである。
480℃以上の加熱で固相反応を促進させ、560℃以下の加熱で原料の昇華反応を抑制する。
引続き(すなわち、「一旦冷却することなく、引続き加熱する」の意味)、前工程と同じ常圧、同じ雰囲気中で、570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する(二次焼結工程)。
この温度範囲とすることで、固溶体を生成させ、且つ過剰な焼結反応を抑制する。
必要に応じて前記二次焼結工程のあとに、焼結体(すなわち、上記常圧焼結して得た焼結体)を真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で、450~700℃の温度範囲で加熱しながら、成形圧0.05MPa以上で加圧成形する(ホットプレス工程)。
一軸成形圧を0.05MPa以上としたのは、上記加熱状態における焼結体の粘性流動特性に合う成形圧とするためである。
上記焼結体(常圧焼結して得た焼結体、又はその常圧焼結して得た焼結体にさらにホットプレス工程を施して得た焼結体、又はそれらの焼結体に機械加工を施したもの)を、中性子線用遮蔽材として使用する。
下記の実施例に先立ち予備試験として概略寸法が直径75mm、厚さ60mmの小型焼結体について、後述するモンテカルロ輸送解析による中性子遮蔽性能の評価を実施した。
ここで、小型焼結試験における焼結体の概略寸法を直径75mm、厚さ60mmにした理由は、この寸法であれば大型化した(一般的には、「スケールアップ」と称する)場合に、この小型焼結試験結果に近似した焼結試験結果となることを予め試験において把握したためである。
この評価結果から、成分系がLiF-MgF2-CaF2三元系にホウ素化合物、又はガドリニウム化合物を添加した焼結体の熱中性子遮蔽性能は、LiF-MgF2-CaF2三元系焼結体と比べてさらに向上し、極めて優れた遮蔽性能を有するものであることが判明した。
その結果、相対密度の最大値は、Li2B4O7 ≒LiB3O5 >B2O3 ≒B(OH)3の順となった。
図5に示したように、Li2B4O7を添加した焼結体は高密度である三元系と同等の良好な相対密度となることが判明した。
この様に、最も適したホウ素系の添加物は、Li2B4O7とLiB3O5、その次に適したものはB2O3をはじめとしたその他のホウ素化合物であることが判明した。
ホウ酸リチウム系の2種のホウ素化合物と、その他のホウ素化合物2種との間に、焼結体の焼結性(具体的には、相対密度)に差異が生じた原因は、ホウ酸リチウム系のホウ素化合物の融点が約900℃と焼結温度と比べて高温であり、焼結過程で気化・分解などが発生しない一方、酸化ホウ素B2O3、ホウ酸B(OH)3の方は融点が低く、気化・分解が生じやすいためと推測された。
その結果の一例として、図6にGd2O3を添加した場合を示した。
ガドリニウム化合物の添加によって三元系と同等の高密度な焼結体が得られ、良好な焼結性を呈した。また、種類の異なる個別の化合物添加による相対密度の値に明確な差は認められなかった。
この様な、LiF-MgF2-CaF2三元系、同三元系にホウ素化合物、又はガドリニウム化合物を添加した場合に関する予備的な小型焼結試験結果を踏まえて、次に、大型装置での実施例を実施することとした。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、これら実施例は単なる一例であって、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
ここで、焼結体について行う特性評価試験方法を説明しておく。
機械加工強度の評価指数としては、曲げ強度、ビッカース硬度を採用した。
曲げ強度の準備試料は、JIS C2141に準拠して作製した。試料寸法を4mm×46mm×t3mmとし、その上下二面を光学研磨しておいた。この準備試料に対し、3点曲げ試験をJIS R1601に準拠して実施した。
ビッカース硬度は、島津製作所製の商品名“Micro Hardness Tester ”を使用し、荷重100g、荷重時間5秒で圧子を押し付け、圧痕の対角長を測定し、下記の硬度換算を行った。
硬度=0.18909×P/(d)2
ここで、P:荷重(N)、 d:圧痕の対角線長さ(mm)
そのため、成分系が異なれば、曲げ強度、ビッカース硬度の数値限定範囲が異なることとなる。ここでは、前者の方は同じフッ化物系化合物から成り、後者の方はフッ化物と他の化合物との混合物系であり、前者の同じフッ化物系同士の混合物の方が機械加工強度は高くなる傾向がみられた。
に記載のモンテカルロ輸送解析によって中性子発生装置の設計・製作と、施設の遮蔽性能評価を行っている。 焼結体に関する中性子遮蔽性能の評価については同じ解析手法で行うこととした。
具体的には、焼結体の組成・成分、相対密度などの特性値を入力し、焼結体の機械加工後の厚さ、すなわち中性子遮蔽材の厚さを変化させつつ、熱中性子が主体の照射ビーム(焼結体の入射点における熱中性子束が1.0E+09:一定)を焼結体に入射させ、透過後の出射点における熱中性子束を比較する方法([出射熱中性子束] / [入射熱中性子束]=[熱中性子減衰率])とした。遮蔽材として要求される熱中性子減衰率(1/100)に達する焼結体厚さ(単位mm)が薄ければ薄い程、その焼結体の遮蔽性能が高いこととなる。
ただし、減速体系外周からの漏洩放射線の漏洩防止用の遮蔽材の場合、あくまでも求められる遮蔽性能が得られる厚さが求められ、遮蔽材の厚さの上限は無く、」であるが、患者患部近傍で使用することを前提とすると、厚さの上限は100mmとなる。
以下の実施例、比較例に示すように成分系がLiF-MgF2-CaF2三元系で、LiF配合率が5wt.%の場合の遮蔽性能(すなわち、熱中性子減衰率が1/100となる焼結体厚さ)がちょうど100mmとなることから、LiF配合率は5wt.%以上が求められる。
実施例中の成分系がLiF-MgF2-CaF2三元系でLiF配合率が50wt.%以上の焼結体の熱中性子遮蔽性能は、市販の遮蔽材商品の中で最も優れた中性子遮蔽性能を有すると評価されている“ポリチレン50wt.%、LiF粉体50wt.%の混合物(以下、「LiF+PE」(比較材)と略す)”と比べても熱中性子遮蔽性能が高く(熱中性子減衰率が1/100となる遮蔽材厚さが薄く)、極めて優れた遮蔽性能を有するものである。
原料として高純度のLiF(天然産Liを使用):98.8wt.%、MgF2 :0.8wt.%、CaF2 :0.4wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約420mm×420mm×t90mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約406mm×406mm×t85mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から490℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、363mm×363mm×t76mmであった。
ここで言う“嵩密度”は、焼結体の外観が、平面視で正方形形状であるため、計測したその正方形の2辺と厚さから嵩体積を求め、別に計測した重さを前記嵩体積で除して求める方法を採用した。以下、同様に行った。
その結果を図8に示す。
上記したとおり、遮蔽材用の焼結体に要求される遮蔽性能(ここでは、熱中性子減衰率が1/100となる焼結体厚さ(単位mm))は、100mm以下であるのに対し、本実施例の遮蔽性能は15mmとなった。
現在使用されている遮蔽材の中で最も遮蔽性能が高い、と賞される“LiF粉体50wt.%とポリエチレン50wt.%の混合物(以下、「LiF+PE」と略す)”の遮蔽性能が25mmであることを考慮すると、本実施例1の遮蔽性能:15mmは、「極めて優れた遮蔽性能」であることが分かる。また、焼結体の相対密度、機械加工強度などのその他の物理的特性に関しても良好なものであった。
通常、このようなポリエチレン樹脂の中にLiFなどの無機材料の粉末を混練する場合は、粉末をより均一に分散させるために、表面活性剤などの分散剤を使用するものであるが、この遮蔽材用途では不純物汚染は厳禁であり、使用することが出来ない。
そのため、LiF粉末はポリエチレン樹脂の中では、均一分散性に優れず、偏在していることが容易に類推される。このような偏在があるような場合、遮蔽性能が局所的にばらつくことから、全体の遮蔽性能は低下すると見込まれる。
したがって、実際の「LiF+PE」の遮蔽性能はここで用いた25mmよりも大きい値(もう少し遮蔽性能が劣る)である可能性が極めて高い、と言える。
原料として高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF2:6.3wt.%、CaF2 :3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き620℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約289mm×289mm×t94mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き620℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、259mm×259mm×t85mmであった。
焼結体の相対密度は96.9%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):21.0wt.%、MgF2 :49.8wt.%、CaF2 :29.2wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約250mm×250mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約242mm×242mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き620℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、217mm×217mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、98.8%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):9.0wt.%、MgF2 :57.3wt.%、CaF2 :33.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約450mm×450mm×t60mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約431mm×431mm×t57.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から510℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、388mm×388mm×t49mmであった。
焼結体の相対密度は、97.2%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):5.3wt.%、MgF2 :59.7wt.%、CaF2 :35.0wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、96.6%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約φ550mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約φ531mm×t94mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、φ477mm×t83mmであった。
この円盤形状の焼結体の相対密度は、95.6%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約外φ350mm×内φ100mm×t120mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約外φ337mm×内φ96mm×t111mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、大気雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、外φ300mm×内φ88mm×t100mmであった。
このリング形状の焼結体の相対密度は、96.2%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧5.5MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き580℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t83mmであった。
そこで、この焼結体をホットプレス機を用いて真空雰囲気中で加熱し、540℃に0.25Hr保持しながら加圧プレスで0.05MPaの荷重を掛けて熱間成形し、その荷重を止めてから加熱を止め、炉冷で規定のワーク取り出し温度100℃以下になってから焼結体を取り出した。
このホットプレス後の焼結体の相対密度は98.9%と良好であった。また、機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2:18.9wt.%、CaF2:11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ホウ素化合物として同位体10Bを96%に濃縮した濃縮型ホウ素原料を使用した高純度のホウ酸(B(OH)3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を10Bとして0.5wt.%添加(同ホウ酸を3.85wt.%添加)し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧5.5MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約292mm×292mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t84mmであった。
そこで、ホットプレス機を用いて真空雰囲気中で加熱し、570℃に0.25Hr保持しながら加圧プレスで0.10MPaの荷重を掛けて熱間成形し、その荷重を止めてから加熱を止め、炉冷で規定のワーク取り出し温度100℃以下になってから焼結体を取り出した。
このホットプレス後の焼結体の相対密度は99.4%と良好であった。また、機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ホウ素化合物として天然ホウ素原料である高純度の四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.0wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き640℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、95.6%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd2O3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、94.0%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF2 :18.9wt.%、CaF2 :11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd2O3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体157Gdとして1.56wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、95.5%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):5.3wt.%、MgF2 :59.7wt.%、CaF2 :35.0wt.%と、ホウ素化合物として天然ホウ素原料である高純度の四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd2O3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.5wt.%添加し、さらに同ガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この混合原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、94.3%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):9.0wt.%、MgF2 :57.3wt.%、CaF2 :33.7wt.%と、ホウ素化合物として天然ホウ素原料である高純度の四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)とを各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、前記多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.5wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、95.2%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):9.0wt.%、MgF2:57.3wt.%、CaF2:33.7wt.%と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd2O3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対してガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、大気雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t81mmであった。
焼結体の相対密度は、96.0%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
なお、上記実施例では、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物を使用した例は挙げなかったが、これらフッ化物の使用は、当業者であれば、容易に想到するフッ化物の範囲であり、本件発明を構成する技術的思想の範囲内のものであることに変わりはない。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):3.0wt.%、MgF2 :61.1wt.%、CaF2 :35.9wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t81mmであった。
焼結体の相対密度は、96.7%と算出された。焼結体の機械加工強度は良好であったが、中性子遮蔽性能は著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):4.5wt.%、MgF2:60.2wt.%、CaF2:35.3wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き625℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t81mmであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):91.5wt.%、MgF2:5.4wt.%、CaF2:3.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧5MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から460℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き560℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、91.2%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):100wt.%を上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き560℃まで4時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で4時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、91.0%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF2:6.3wt.%、CaF2:3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から450℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き550℃まで4時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で4時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、90.2%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF2:6.3wt.%、CaF2:3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から460℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き570℃まで4時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で4時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82.5mmであった。
焼結体の相対密度は、90.7%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF2:6.3wt.%、CaF2:3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から470℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き570℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、91.0%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF2:6.3wt.%、CaF2:3.7wt.%と、ホウ素化合物として前記実施例10に示した同位体10Bを96%に濃縮した濃縮ホウ素原料を使用した高純度のホウ酸(B(OH)3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項に記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、前記多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.5wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧3MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約292mm×292mm×t95mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き570℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t83mmであった。
焼結体の相対密度は、89.5%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF2 :6.3wt.%、CaF2 :3.7wt.%と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd2O3)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、前記多元系フッ化物に対して同ガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧10MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から470℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、90.5%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物原料
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ガドリニウム化合物原料を、天然ガドリニウム原料中のガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加することを特徴としている。
Claims (16)
- LiFを99wt.%~5wt.%の範囲で含み、MgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物を1wt.%~95wt.%の範囲で含み、相対密度が92%以上、曲げ強度が50MPa以上、ビッカース硬度が100以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
- 請求項1に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、B2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
- 請求項1に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、Gd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
- 請求項1に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、B2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、さらに、Gd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
- 放射線が中性子線であることを特徴とする請求項1~4のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体。
- 請求項1~5のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体に機械加工が施されて形成されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材。
- 放射線照射場における、焼結体に機械加工が施されて形成された遮蔽材の厚さが100mm以下で、遮蔽材から出射される熱中性子束(N1)を、遮蔽材に入射する熱中性子束(N0)で除した値、すなわち熱中性子減衰率(N1/N0)が100分の1以下である熱中性子遮蔽性能を備えていることを特徴とする請求項6記載の放射線遮蔽材。
- 高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。 - 高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、請求項8記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。 - 高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、請求項8記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。 - 高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB2O3、B(OH)3、LiB3O5又はLi2B4O7の内から選ばれたホウ素化合物原料
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd2O3、Gd(OH)3又はGdF3の内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、請求項8記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。 - LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ホウ素化合物原料を、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加することを特徴とする請求項9又は請求項11記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
- LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ガドリニウム化合物を、天然ガドリニウム原料中のガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加することを特徴とする前記請求項10又は請求項11記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
- 請求項8記載の二次焼結工程の後に、さらに、真空雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中、450~700℃の温度範囲で、一軸成形圧0.05MPa以上で加熱加圧成形する工程(ホットプレス工程)を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
- 放射線が、中性子線であることを特徴とする請求項8~14のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
- 請求項8~15のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法によって製造された放射線遮蔽材用焼結体に、さらに機械加工を施すことによって、放射線遮蔽材を形成することを特徴とする放射線遮蔽材の製造方法。
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