JP2022164529A - 放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法 - Google Patents

放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】主として低エネルギーレベルの中性子、すなわち熱中性子及びそれ以下の低速中性子を効果的に遮蔽することができ、曲げ強度、ビッカース硬度などの物理特性に優れ、高機械加工強度が確保された放射線遮蔽材用焼結体を提供すること。【解決手段】LiFを99wt.%~5wt.%の範囲で含み、MgF2、CaF2、AlF3、KF、NaF、及び/又はYF3の内から選ばれた1種以上のフッ化物を1wt.%~95wt.%の範囲で含み、相対密度が92%以上、曲げ強度が50MPa以上、ビッカース硬度が100以上の物理特性を備えた放射線遮蔽材用焼結体を提供する。【選択図】図8

Description

本発明は、熱中性子を含む放射線場において、熱中性子を含む低エネルギーの放射線を低減または除去し、人体、及び/又は機器類の被ばくを低減させることができる放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法に関する。
熱中性子を含む放射線場の例としては、例えば、近年注目されているがん治療法である“ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:以下、BNCTと称する)”における治療用放射線場を挙げることができる。
より詳細には、本発明は、例えば、このBNCTに使用される治療用ビームの中で治療に不要な、または有害な中性子などの放射線種を除去するため、及び/又は、この治療用ビームが治療範囲外へ漏洩することを防止するため、及び/又は、その治療範囲外へ漏洩したビームによって機器の故障や放射化を防止するため、及び/又は、同様に漏洩したビームや放射化による医療従事者の放射線被ばくを防止するため、に設置される放射線遮蔽材に好適な構造を有する放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法に関する。
放射線医療分野において、特定の元素の放射線遮蔽効果及び/又は同減速効果を利用する、新たな用途の開発が進みつつある。
ここで、本発明の用途に関連する“放射線”について解説する。“放射線”の種類は、大きく分けてアルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、エックス(x)線及び中性子線があり、ここに列記されたものは、後に記されたものほど物質を透過する能力(透過力)が大きい。
一番透過力が大きい中性子線(以下、中性子と称する)は、保持するエネルギーレベルに応じてさらに分類されるが、この分類には諸説が存在する。
例えば、高エネルギー側の中性子を高速中性子、中程度のエネルギーレベルの中性子を熱外中性子、低エネルギー側の中性子を熱中性子とし、熱外中性子として、40keV以下、あるいは、10keV以下を規定する説がある。
本発明内容に関連する“日本中性子捕捉療法学会”では、後述する中性子捕捉療法に主に利用される熱外中性子のエネルギーレベルを、0.5eV以上、10keV以下とし、高エネルギー側の高速中性子を10keV以上、低エネルギー側の熱中性子を0.5eV以下、と規定している。ここでは、この学会のガイドラインに規定するエネルギーレベルに準拠することにする。
高エネルギー側の中性子、すなわち高速中性子や二次放射線として発生したγ線などが正常細胞に当たるとDNAが傷つき、放射性貧血や白血球減少などの主として身体内部側に副作用を引き起こす。
さらには、照射後しばらくしてから晩期障害を生じ、直腸や膀胱に腫瘍ができて出血することがある。
他方、低エネルギー側の熱中性子を多量に浴びると、主としてビーム照射部とか、その近傍の皮膚に炎症が発生したり、照射後しばらくしてから同部において脱毛など、主として皮膚、皮下近傍の外皮部で副作用を引き起こすことがある。
近年、こうした副作用や晩期障害を極力生じさせないように、放射線をうまく使用する治療方法が研究されている。
中性子の特徴としては、その半減期が約15分と短く、短時間で崩壊して電子とニュートリノを放出して陽子に変わることである。
また、中性子は電荷を持たず、このため原子核と衝突したときに吸収され易い。
このように中性子を吸収することを“中性子捕獲”または“中性子捕捉”と言い、この性質を利用した医療分野への応用例がBNCTであり、近年、特に注目されつつある最先端のがん治療法である。
このBNCTでは、まず悪性がんなどの腫瘍細胞と、注射や点滴によって体内に注入されたホウ素同位体10Bを含むホウ素薬剤とを反応させ、この腫瘍部分にホウ素化合物の反応生成物を形成しておく。
この反応生成物に、人体の健全部に影響の少ないエネルギーレベルの中性子(主として熱外中性子など、中程度のエネルギーレベルの中性子で構成されたものであることが望ましい)を、面照射し、“事前に、腫瘍部分に高濃度に偏析させておいたホウ素化合物”との間で、ごく微小な範囲内(細胞1個分に相当する範囲)だけに核反応を生じさせ、腫瘍細胞だけを死滅させる。
元来、がん細胞は、盛んに増殖する過程でホウ素をその腫瘍細胞内に取り込みやすく、BNCTでは、この性質を利用して効果的に腫瘍部分だけを破壊する治療を行う。
健全部に影響の少ない中性子を使用し、照射ビームを、面形状で腫瘍部分を包含する大きさで照射する。
これによって、従来の放射線治療でのピンポイント照射と比べて、照射時間を飛躍的に短縮することができ、しかも、未照射部分(照射漏れ)を無くすことができる。
さらには、通常の放射線治療では照射回数(すなわち、治療日数)が20日とか30日など、毎日照射しても1カ月以上要するのに比べ、BNCTにおける照射は、原則1回、多くても2回であり、しかも1回当りの照射時間は30~60分程度であり、治療時の患者の負担を顕著に軽減することができる。
このBNCTにおいて、患者の患部に当てる“照射ビーム”(中性子)としては、40keV以下、望ましくは10keV以下の熱外中性子を主とし、熱中性子以下の低エネルギーレベルの中性子が少量であること(目標値は、(熱中性子量)/(熱外中性子量)≦(1/20))、しかも、高速中性子は混入していないものが望まれている。
また、その照射ビームの中性子束の中性子数は1×109(n/cm2・s)以上が求められている。
その理由は、照射後、高速中性子は、高速中性子のエネルギーを保持中に、身体の細胞内のDNAを傷つけるとともに、身体の主な構成成分である体液(主成分は水分HOと窒素N)により、急速に吸収・減速されて徐々に熱外中性子に変化し、さらには、熱中性子以下の低エネルギー中性子に変わるが、そのエネルギーの吸収過程で、γ線などの二次放射線を発生し、前記の高速中性子と同様に健全な細胞を傷つけるためである。
一方で、この吸収・減速過程で発生した熱中性子が患部に投与されたホウ素化合物中の10Bと反応してがん細胞を破壊する、所謂中性子捕捉反応を生じせしめるが、その際に、前記二次放射線が活発に発生した場合には、内部側の健全組織に副作用を生じさせることとなる。
他方、照射された熱中性子は外皮部において外皮組織と直ぐに反応して皮膚の炎症や脱毛などの副作用を生じさせることとなる。
最新のBNCTの方式としては、例えば、京都大学と住友重機械工業(株)らのグループが進めているものがある(非特許文献1及び非特許文献2)。
この方式は、既存の原子炉に附帯させず、中性子発生装置として専用のサイクロトロン方式の加速器を設けた治療専用の装置で構成される。
ここで、発生した中性子(主として高速中性子)を、安全に、かつ利用しやすいエネルギーレベルまで低減するためには、発生した中性子数を減らすことなく、利用しやすいエネルギーレベルまで低減するための適切な減速性能を有する減速体系を備えていることが必要となる。具体的には、減速材を適正な化学組成で構成することと、減速材の形状の確保が必要となる。
さらには、適切な遮蔽性能を有する遮蔽材を用いて減速体系の外側へ中性子が漏れ出ることを防止することも重要となる。
また、その治療用ビームの中で治療に不要な、または有害な中性子やγ線などを除去することも重要となる。
この京都大学らのグループの設備開発を主として担っている住友重機械工業(株)は、BNCT装置用の「減速体系及び減速材」に関して以下の特許を出願している(特許文献1:特許第5112105号)。
この特許文献1によると、減速体系の減速材は、中性子線の流れ方向の上流側から、減速材1はPb、減速材2はFe、減速材3はAlまたはAlF、減速材4はCaFまたはCaFにAlFを混合したもの、となっている。
一方、日本国内2つ目の開発グループである筑波大学グループでは、その減速体系の減速材として、下記の特許文献2(特許第5813258号)などに示されるように、減速材1及び減速材2は京都大学グループと同じ、減速材3はAl、減速材4はMgF焼結体が使用されることが記載され、減速材4は、京都大学グループと大きく異なっている。
また、特許文献1には、減速体系外への中性子の漏洩防止に関する記述もなされている。
具体的には、段落[0022]に、「減速体系1の出射端側には、遮蔽材5が設けられる。遮蔽材5は、LiF入りポリエチレンあるいは高密度ポリエチレンからなる第1の遮蔽層10と、Pbからなる第2の遮蔽層11とを備える」と記載されている。減速体系1の出射端には、一般的には「コリメータ」と称される装置が配置される。
第1の遮蔽層10は、主として放射線吸収断面積の大きな物質、すなわちLiF及び、またはポリエチレンを用いて熱中性子、熱外中性子などの比較的低エネルギーの中性子の装置系外への漏洩防止の役割を担っている。
第2の遮蔽層11は、同段落に記載のとおり、「第2の遮蔽層11は、主としてターゲット2から発生するγ線等を遮蔽する役割を果たすものである。」とされている。
[発明が解決しようとする課題]
ここで、問題となるのが、第1の遮蔽層10の構成物質である。
LiFは、その主な構成元素であるリチウム(Li)が自然界の中に存在する元素の中ではホウ素(B)、カドミウム(Cd)、カドリニウム(Gd)とともに、治療用ビームの主要な構成放射線となっている熱外中性子、熱中性子の内、治療に不必要な熱中性子に対して大きな吸収断面積を有している。
天然産のLi(以下、「天然Li」と称す)には6Liと7Liの2つの同位体が存在し、その存在比(すなわち、“天然存在比”)は、6Liが7.5atom%、7Liが92.5atom%であることが知られている。
この内、6Liは熱中性子に対して大きな吸収断面積を有し、これが天然Li及び同Li化合物が熱中性子に対して高い遮蔽性能を有する要因となっている。
上記したLi以外で、熱中性子などの比較的低エネルギーの中性子に対して大きな吸収断面積を有する元素としては、上記したB、Cd、Gdがある。
BNCTにおける照射ビームのような比較的低いエネルギーレベルの中性子を吸収する際に、Liの場合、二次放射線として、アルファ(α)線が発生する。このα線は人体にほとんど害を及ぼさない。
それに比べて、B、Cd、Gdの場合は、いずれも人体に害を及ぼす虞が有るγ線を発生する可能性がある。γ線発生の可能性及び発生量はB、Cd、Gdの順に増加していく。
ただし、Bに関しては、高速中性子などの高エネルギーの中性子を吸収すると、7Liと4Heと、二次放射線としてγ線(0.478MeV:これを専門技術領域では、“即発ガンマ線”と称す)を発生する可能性が高いが、熱外中性子以下の低いエネルギーレベルの中性子を吸収する場合は、二次放射線としてのγ線の発生は少なく、7Liと4Heと、人体への影響が無いα線とを発生すると言われている。
この後者(“Heとα線を発生”)の反応が、予め患者の患部に投与した薬剤10Bの反応生成物による中性子吸収(捕捉)反応と称される、所謂「BNCT法の原理」となっている。
ちなみに、BNCTの治療過程では、この中性子捕捉反応の推移を把握する方法として、前記“即発ガンマ線(0.478MeV)”を、その場の観察用に測定する方法を採っている場合もある。
この場合には、治療用中性子線中に遮蔽材(例えば、B、またはGd含有の遮蔽材)に起因する二次放射線としての“即発ガンマ線”が混入することを、場観察の外乱要因となることから避けなければならない。
天然産ホウ素の同位体には、10Bと11Bとが存在し、各々の存在比は、19.9atom%と80.1atom%(“20atom%と80atom%”、とする説もある)となっており、そのうち主として中性子吸収反応に係るのは10Bであり、この10Bの熱中性子に対する吸収断面積は、3,837barnsと大きい。
一方、6Liの吸収断面積は940barnsであり、10Bの吸収断面積の約(1/4)であり、天然存在比(10Bは19.9atom%、6Liは7.5atom%)も加味すると、天然産同士の中性子吸収能力は、LiはBに比べて約1桁小さいと言える。
Bの同位体10Bを濃縮する技術は、同じ分野である“BNCT法の投与薬剤”用として、すでに確立されており、国内でも濃縮された(以下、「濃縮型」と称す)10Bが市販されている。また、濃縮型10Bは、BNCT用途に使用する場合は、特例措置を受け、法規制上の支障もなく、利用しやすいものとなっている。
また、Cdの同位体に関しては、106Cdから116Cdまでの8種類が知られており、その中でも112Cdは、熱中性子に対する吸収断面積が、2,450barnsと大きく、遮蔽材として期待されている。112Cdの天然存在比は、24.13atom%となっている。
また、Gdの同位体に関しては、152Gdから160Gdまでが知られており、その中でも157Gdは、熱中性子に対する吸収断面積が254,000barnsと極めて大きく、遮蔽材として期待されている。157Gdの天然存在比は、15.65atom%となっている。
上記6Liの存在比を高めたもの、すなわち6Liの濃縮したものを使用すれば遮蔽性能を高められる、と思いがちである。
例えば、下記の特許文献3(再表2018-181395(特願2018-517656))の明細書の段落[0052]には、「天然での存在比は、7Liが92.5atom%であるのに対し、6Liが7.5atom%である。そのうち、中性子線の遮蔽に寄与するのは6Liであるので、6Liが濃縮された6LiFを使用することによって、より高い効率で中性子線を遮蔽することができる。そのことから、LiF焼結体は、6LiF焼結体であることがより好ましい。以下、6LiF焼結体について説明する。」と記載されている。
しかしながら、この6Liを濃縮したものは、「水爆用の核融合燃料の元原料」と成り得るものであり、また原爆の起爆装置や、「強化型原爆用原料」に利用可能なトリチウムも生産可能となる。
主な核保有国ではその濃縮技術を保有していると見込まれるが、我が国では平和利用といえども、その技術開発には種々の規制がかけられており、6Liの濃縮は、実現できていない。
例えば、日本原子力研究開発機構から投稿されている「核融合炉用燃料に関連してLi同位体分離濃縮技術に関する内容」を記した非特許文献3に記載されているように、「6Liの濃縮については、現時点で、我が国では安定した量産技術の確立には至っていない」のが現状である。
また、6Liを濃縮した原料、製品などを、外国から輸入することも実質的には困難である。
例えば、濃縮技術を保有する米国では、他国への輸出に関して、国の規制対象品(米国商務省規制品リストの分類番号:1C233)となっている。
また、6Liを濃縮した原料、製品などを、我が国から他国へ輸出することも、安全保障上の問題があり、規制対象品(経済産業省:“貨物等省令”の“リスト規制”による)になっている。
このように6Liが濃縮された6LiFを安定的に確保することは、困難と言える。
従って、6Li含有率が一定の天然由来のLiFで高い遮蔽性能を得ようとすると、必然的にLiFを高濃度の配合割合としながらも、高密度品を得る必要がある。
しかしながら、従来の焼結技術で、LiF単味または他のフッ化物にLiFを高濃度に配合した出発原料を焼結させると、LiFは他のフッ化物と比べて極めて低い加熱温度で、所謂“昇華現象”が活発に起こり、焼結過程で激しく気化して発泡する。
このため、LiF単味または他のフッ化物にLiFを高濃度に配合した出発原料から、緻密な溶融物、あるいは焼結体を得ることは困難であった。特に大形で、高密度な焼結体を得ることは不可能であった。
LiF単味の焼結体の状態については、例えば、LiF中のLiが6Li、すなわち6Li濃縮型の単味焼結体に関する密度などについて上記特許文献3に記載されている。
この特許文献3における、請求項3には、「前記6LiF焼結体は、6LiFからなり、83%以上90%以下の相対密度を有し、外表面のクラック及び膨れが抑制された良好な外観を有する、… … … 」と記載されている。
しかしながら、相対密度が83%以上、90%以下では、実際には、取扱い時に極めて割れやすく、例えれば、“打設直後のコンクリートで、表面層がわずかに固化し始めたばかりの状態”に酷似し、極めて脆弱な焼結状態となっている。
このような脆弱な焼結体では、取扱い時に形状を維持することはできず、簡単に崩れたり、割れたりし、実用には適さない品質レベルのものとなる。
上記特許文献3に記載の焼結方法は、一般的には「放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering、略してSPS)法」と称され、難焼結性の紛体材料の焼結に適した方法として知られている。
SPS法で得られた焼結体は、例えば、SPS焼結装置の製造企業である富士電波工機株式会社のホームページ中の解説書(非特許文献4:「[Spark Plasma Sintering(放電プラズマ焼結)]What’s SPS」)には、「通電初期の現象として、パルス通電・放電に伴う放電プラズマの発生は放電衝撃圧力とともにスパッタ作用で… … … 」、また、次の頁の図表「SPSプロセスの対象材料の代表例」の図中に、「(現象)の部分に、放電衝撃圧力の発生 局所的応力・スパッタ作用」また「ジュール熱の発生 局所的高温発生」とあり、焼結過程での応力発生・局所での高温発生が、この焼結法の原理として明記されている。
もう少し具体的に言うと、SPS法で製造された焼結体には、焼結過程におけるスパーク放電による衝撃に伴う、大きな応力が発生しており、それが冷却後に焼結体の内部に残り、大きな残留応力を内在したものとなる。
しかも、不均一な焼結進行状態の焼結体となっている。このため、SPS法焼結体は、耐衝撃性に著しく劣り、緻密さのばらつきが極めて大きなものとなる。
下記の非特許文献5には、“放電プラズマ焼結(SPS)法によるセラミックス焼結の現状と将来性について”と題する解説文が記載されている。その中で、例えば、95頁の右欄の項3.7「大形セラミックス材料の均質SPS焼結技術」には、
「SPS法では急速加熱・迅速焼結を特徴とするため、“大形化・均質焼結”は、加工技術・ノウハウ開発の代表的課題である。φ15~50mm以下程度の小片試料製作では比較的容易に均質化が得られるため、この種の問題は顕在化し難い。
しかしながら、φ100~350mmの大形材料ではバラツキが生じる。材料の熱伝導率、粒子の再配列、均等プレス加圧負荷接触面積、周長などに起因し、偏荷重と偏熱現象が発生しやすく、迅速・均質焼結に困難さが伴う。… … … 」
とあり、前記の非特許文献3と同様に、SPS法では成形サイズが大きくなると均質焼結が極めて困難になることが解説されている。
このように、SPS法によれば、局所での高温発生があり、均一な焼結体とはなりにくいこと、また、焼結過程で応力が発生し、残留応力を生じて機械加工強度、とくに耐衝撃性が低下することとなる。
その結果、耐衝撃性を表わす指標となる曲げ強度が著しく低いものとなる。また、大形化した場合は、不均質な焼結体となり、密度のばらつきが発生し、機械加工強度にばらつきを生じ、部分的に強度の低い部分が生じやすくなる。
SPS法は上記したように、“局所での高温発生があり、不均一な焼結過程になること”がその大きな短所であることから、少なくとも“このLiF主体の配合原料を、緻密化する焼結法”としては、まったく不向きな方法である、と言える。
さらに、SPS法の場合、SPS炉の炉材、電極、荷重プレス板などがすべて高純度カーボン(炭素:元素記号C)から成り、それらが焼結過程で加熱工程の間、ずっとワーク(この場合は、濃縮型6LiF)と直接接触している状態となる。
焼結過程でLiFは気化しやすいため、おのずとカーボンと気化したFガスとが反応し、CF系の化合物を生成することとなる。この結果、SPS法で焼成した焼結体は、純粋のLiFの一部にCF系の化合物が生成したものとなる。
このことは、遮蔽性能に大きな悪影響を与える。
さらに、焼結体の遮蔽性能は、その焼結体の相対密度が低くければ低いほど低下するため、上記特許文献3に記載の焼結体のような低密度では、極めて低い遮蔽性能となってしまう。
上記特許文献3に記載のような従来の焼結技術では、大きな寸法で、しかも取扱いが容易な高密度で、高い機械加工強度を有するLi、またはLiが高濃度に含有される溶融物、あるいは焼結体などの塊状物を造ることはできない。
このように、特許文献3に記載の焼結体は、原料ソースの確保に関して大きな問題を抱えていることに加え、6LiF焼結体の相対密度が83%以上、90%以下と著しく低く、かかる低密度の焼結体ではハンドリング時に割れたり、亀裂が入ったり、時には崩れることがあるなど、実用には全く適さない低品質レベルのものとなる。
しかも、かかる低密度の焼結体では、機械加工強度試験に必要な試験に供する試験片を採取(具体的には、切断用機器を用いて試験片を切り出し)する際に、亀裂が入ったり、崩れたりしてしまい、試験片の採取自体、不可能となる。従って、強度試験を行うことすらできず、JIS規格に準拠した強度試験値を提示することはできていない。
さらに、6Liを減速体系の材料として使用した特許文献4(特表2018-514325号、特願2017-557373号)において、以下の記述がなされている。
この特許文献4の請求項1には、「前記ターゲットからの中性子は、前記減速部(すなわち、“減速体”)により熱外中性子エネルギー領域に減速され、前記減速部の材料は、PbF、Al、AlF、CaF、又はMgFのうちの1種又は多種の組み合わせ材料と、前記PbF、Al、AlF、CaF、又はMgFのうちの1種又は多種の組み合わせ材料であって、重量%が0.1~5%の6Li元素を含有する材料とを混合して形成され、前記減速部の材料は、粉末焼結設備によって粉末焼結プロセスで粉末又は圧粉体からブロックとなり、… … … 」と記載されている。
さらに、この特許文献4の請求項2には、「前記ターゲットからの中性子は、前記減速部(すなわち、“減速体”)により熱外中性子エネルギー領域に減速され、前記減速部(すなわち、“減速体”)の材料は、LiF、LiCO、Al、AlF、CaF又はMgFのうちの1種又は多種の組み合わせ材料からなり、前記減速部の材料は、粉末焼結設備によって粉末焼結プロセスで粉末又は圧粉体からブロックとなり、… … … 」と記載されている。
このように、請求項1、2に記載の減速材の材料としては、いずれも「、AlF、CaF又はMgFのうち … … … 」とあり、CaFとMgFとを混合する成分系とはなっていない。
また、6Liを減速体系の材料として使用しているが、上記したように6Liは本来、減速性能には乏しい。熱中性子のような低いエネルギーレベルの中性子を吸収(すなわち、遮蔽)する性能には優れるが、ターゲットで発生した、大半が高速中性子である高エネルギーレベルの中性子を減速する性能は著しく低い。
6Li以外の他の混合化合物でわずかに減速され、6Liは、少量発生した熱外中性子と熱中性子とになったものを遮蔽する作用のみを発揮するものと考えられる。
減速部に、この6Liを混合すると、治療用の中性子量が減少し、治療用の中性子量の規定値(IAEAガイドラインでは、熱外中性子量として1×109(n/cm2・s)以上が求められている)の確保が容易でなくなり、各BNCT開発チームにおいて、その規定値確保に苦慮する状況が続いているなかで、さらに減速部で6Liによる中性子の遮蔽を起こさせることは避けなければならない。
この6Liは中性子に対して上記した作用・効果を及ぼすことから、この6Liを減速部に使用する際は、著しく低濃度に制限すべきである。
しかるに、特許文献4に記載の実施例においては、6Liの明確な混合割合が全く示されていない。
さらに、この特許文献4には、“焼結条件(成形体、焼結温度条件など)”、“焼結体の品質”が明確には記載されておらず、特許文献4記載の発明は、実施化可能要件違反、明確性要件違反の可能性が極めて高い。
また、特許文献4には、その焼結方法に関して、[特許請求の範囲]では“焼結法”としか記載されていないが、上記した[発明を実施するための形態]の項で、“放電プラズマ焼結”と“ホットプレス焼結”の2つの方法が記述されている。
いずれも加熱焼結過程で加圧する方法であり、製造された焼結体の内部には、加圧による応力(すなわち、歪み)が残り、それが原因で焼結体は、たとえ高密度であったとしても脆く、割れ易いものとなる。
“BNCT用遮蔽材”では多種の大きさ・多様な形状のものが要求され、製造された焼結体の機械加工が欠かせず、特許文献4に記載された加圧焼結法で製造された焼結体は、低密度であったり、高密度であったとしても、内部に歪みが発生していて、機械加工時に割れやすく、この用途には適さない材料となる。
LiFを単味で焼結した希なケースは、下記の特許文献5(特開昭51-94098号、発明の名称「焼結弗化リチウム中性子遮蔽材料」)に記載されている。
特許文献5には、LiF焼結体の寸法は、記載されておらず不明であるが、予備加熱工程の型の内径が30mmとあり、そのあとの加熱下でのスパーク放電焼結でさらに収縮するため、焼結後の寸法はさらに小さくなり、いかにも極小型の焼結体を製造する方法に関する特許であると言える。また、この特許には、焼成した焼結体の機械加工強度に関する記載はなく不明である。
また、特許文献5では、LiFはじめLiO、LiH、Li、LiCOなどのLi系の金属、化合物を原料に、焼結助剤を使用して焼結法で理論密度90%以上の焼結体を得るという内容になっている。
焼結体の大きさは記載されていないが、実施例に「焼成前に出発原料を100mm×100mm×10mm(「10mm」は「型枠の高さ」、と推測される)の内容積の型に充填し、約500kg/cm2の圧力で成形する。」とあり、この成形体は焼成によって収縮することから、焼結体のサイズはこの型枠の内寸よりもかなり小さな寸法のものになる。
サイズが小さい場合、特に厚さがこの場合のように、数mmの薄い焼結体では、緻密化しやすく、高密度のものが得られやすくなる。
焼結体の厚さがおおよそ30mmを超えると、焼結体の内部側と表層部との焼結速度の差が大きくなり、均一な緻密化が容易でなくなり、厚さ50mmを超えるとさらに不均一となりやすく、高密度化は困難になってくる。
一方で、株式会社ニッカトーから、商品名「弗化リチウム」と称する、小形で薄板のタイル形状(カタログでは50mm×50mm×t10mmと100mm×100mm×t10mmの2種類)のBNCT用の遮蔽材が市販されている。
これら製品の根拠となっている特許は、おそらくは、上記した特許文献5(特開昭51-94098号、発明の名称「焼結弗化リチウム中性子遮蔽材料」)に示された、日本化学陶業株式会社(現・株式会社ニッカトー)から古くに出願されたLiFの焼結体に関するものと推測される。
上記の現在の製品は、小形で薄板状の形状から、中性子を用いる試験装置用に使用可能な遮蔽材と認められるが、実用のBNCT装置は、例えば、サイクロトロン方式では、装置の上流側の加速器本体だけでも15m×9m×高さ5m程度の部屋に、ようやく収まる大きさであり、さらに、下流側の減速体系と照射治療系装置を収める部屋も上流側の部屋の約半分くらいの容積となっており、相当に大形の装置である。
そのため、遮蔽材としては大きな面積を有するものが必要とされており、例えば、数m×数mの面積の部位を、100mm×100mmの正方形の板でつなぎ合わせて覆うことは、現実的には無理がある。
減速体系外周部の遮蔽材や、減速体系の下流端、すなわち患者の患部に向けて治療用の中性子線(以下、「治療用ビーム」と称す)を出射するための口(一般的に、「出射口」又は「照射口」と称され、その寸法は直径100mmから250mm程度の丸い形状の開口部)を構成する部位には「コリメータ」と称する装置が配設されるが、上記した現状から、この「コリメータ」の構成材料としても、LiF含有ポリエチレン製樹脂が用いられることが多くなっている。
LiF含有ポリエチレン樹脂の構成成分を見てみると、ポリエチレンは炭素Cと水素Hから成り、高エネルギーの高速中性子と熱外中性子に対しては遮蔽性能を有し、特に高速中性子に対しては顕著な遮蔽性能を有するが、熱中性子に対しては、ほとんど遮蔽性能を有していないことが分かる。
一方、LiF含有ポリエチレン樹脂中のLiFは粉体状であり、含有される6Liは、熱中性子に対して優れた遮蔽性能を有しているが、熱外中性子に対してはわずかに遮蔽できる程度であり、高速中性子に対してはほとんど遮蔽することができない。
LiF粉体は主として低エネルギーの熱中性子に対して遮蔽効果を発揮するが、ポリエチレン樹脂中に全体的に分散しているため、上記の高エネルギーの中性子が入射したばかりの部位に存在するLiFは、その性能を十分に発揮することができない。
入射した高エネルギー中性子は、ポリエチレン樹脂による遮蔽、減速効果によって熱外中性子を経て熱中性子となるが、おおむね出射側に至ってからようやく、この熱中性子がLiFにより遮蔽できることとなる。
このように、LiF含有ポリエチレン樹脂の中でのLiFの遮蔽効果は、入射側では熱中性子が少ない分、有効に発揮させることができず、出射側ではポリエチレンで減速されて発生した熱中性子が多くなる分、有効に発揮させることができるようになる。しかしながら、熱中性子が多過ぎる場合には、遮蔽し切れない状態になる可能性もある。
このように、LiFの遮蔽効果は、熱中性子の量に左右され、LiF含有ポリエチレン樹脂中では、局所的となって非効率的なものとなりやすい。
このLiF含有ポリエチレン樹脂の入射側では、入射ビーム中の熱中性子量は少なく、LiFによる熱中性子の遮蔽は間に合うが、出射側に近づく程ポリエチレンによる高速中性子のエネルギーの吸収が進行し、熱外中性子や熱中性子を生じてくることから、出射側では、LiFによる熱中性子の遮蔽は不十分となりやすい。
さらに、LiF含有ポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂にLiF粉体が混練された状態のものであり、LiFの分布にむらを生じやすく、また、気孔率がおおよそ25~30vol%もあり、気泡が大量に混入した状態となっており、遮蔽性能にむらを生じ易い。
このように、LiF含有ポリエチレン樹脂は、主としてその構造に起因して熱中性子に対する遮蔽性能に劣る欠点を有しているが、現在まで、これを超える熱中性子遮蔽性能を備えた遮蔽材が開発されていないため、やむなくLiF含有ポリエチレン樹脂が使用されているのが現状である。このため、必然的に中性子漏洩による諸問題が発生することとなっている。
LiFの中性子との反応性については、上記したように、本来、LiFはその中に含有する6Liに起因して熱中性子に対する吸収断面積は大きいが、その他のエネルギーレベルの中性子、例えば、高速中性子や熱外中性子に対する吸収断面積は小さい。
このため、BNCTの治療用ビームをLiF単独で遮蔽すると、熱中性子は遮蔽されるが、熱外中性子と高速中性子はほとんど遮蔽されずに、透過してしまう。
換言すれば、治療に好適な熱外中性子はほとんど減衰されずに透過できるため、治療には好都合であるが、有害で除去したい高速中性子も遮蔽できずに透過してしまうことになる。
そのため、治療用ビーム中に高速中性子と熱中性子とが多く含まれている場合には、LiFだけでは十分な遮蔽性能を確保することはできず、高速中性子に特化した別の遮蔽材も併用することが必要となってくる。
さらには、BNCTに関する国際原子力機関(IAEA)のガイドラインでは、BNCTにおける治療用ビーム中の熱外中性子強度(熱外中性子数)は1×109(n/cm2・s)以上が望ましいと示されている。
この関連では、加速器、ターゲットでの中性子発生性能に加えて、減速体系周辺及びビーム出射口周辺でのビームの漏洩などが問題となってくる。
また、患者の患部に対してBNCT装置から治療用ビームを照射する際に、例えば、上記特許文献1の京都大学方式の減速材4、あるいは上記特許文献2の筑波大学方式の減速材4、のビーム流れの下流側にビーム出射口があり、患者の患部とのあいだに隙間ができると、この隙間から治療用ビームの一部が周辺に漏洩することとなる。わずかな隙間であっても相当量の中性子の漏洩となり、大きな問題となってくる。
このように、減速体系外周部の遮蔽層、またはビーム出射口での遮蔽性能不足から、あるいはビーム出射口と患者患部との隙間などから治療用ビームが漏洩すると、患者はもとより医療従事者への被ばく、さらには周辺機器、部材の放射化、あるいは計測機器、送信機器類の放射線損傷による治療精度の低下を招くなど、人的、物的な被害を発生させるおそれが高い。
安全で、安定的な治療方法の確立には、これらの漏洩を防止することが重要課題となっている。
また、BNCT装置においては、治療時の患者の外皮部分における副作用発生阻止を目的に、治療用ビーム内の熱中性子を除去するため、ビームの流れを縦断するように熱中性子を選択的に吸収、遮蔽することができる性能を有する材料を設置する場合がある。
その材料としては、“LiF粉含有のポリエチレン”、“カドミウム(Cd)”、“6Li”が知られている。
その材料である“LiF粉含有のポリエチレン”は上記したように、LiFが粉末状のため、LiF粉に衝突して吸収、遮蔽される確率が低く、大半の熱中性子は熱中性子に対する吸収能がほとんど無いLiF粉周囲を取り囲むポリエチレンの層内を通過することとなり、熱中性子の遮蔽は不十分となってしまう。
また、“カドミウム(Cd)”は金属であり、板状のものを使用すれば高密度の遮蔽材で、しかも前述のようにCdは熱中性子に関する吸収係数が大きく、高い遮蔽性能を有するが、Cdで遮蔽するとγ線を含む大量の二次放射線が発生し、しかも大量の二次放射線の発生に伴い、透過する治療用ビームのエネルギーが大きく減衰し、治療に必要な中性子束を確保することができなくなる。
さらには、このCdによる遮蔽で発生した人体に有害なγ線は、Pbなどの放射線用遮蔽材を設置したとしてもすべてを遮蔽することはできず、治療用ビーム中にγ線などの二次放射線が混入することとなり、これも問題となる。
治療用ビーム中の熱中性子の除去を行う場合、γ線などの二次放射線が発生しない熱中性子遮蔽材を使用すべきであり、上記の熱中性子遮蔽材に代わる優れた性能を有する熱中性子遮蔽材の開発が切望されている。
また、この種、遮蔽材には、多岐に渡る用途があり、種々の大きさ、多様な形状のものが要求されるため、遮蔽材を焼結体で構成する場合、この焼結体には、各種の機械加工を施して遮蔽材を形成する必要が出てくる。
このため、係る焼結体には、高機械加工強度、すなわち、緻密で均質な、且つ歪みの少ない、換言すると、高密度、高ビッカース硬度、高曲げ強度のものが求められている。
しかも、焼き上がった段階で、大きな面積を有し、十分な厚さを有する形状のものが求められている。
ここで、今一度、BNCT装置、及び多目的用途用の中性子照射装置等において使用される遮蔽材の細分類された用途、各用途における課題を整理して列挙しておく。
(一) 減速体系外周部からの中性子漏洩防止用(この減速体系外周部には、減速体系側面部と治療用ビーム出射口周辺部(「コリメータ」部分)を含む)。
この箇所に使用される遮蔽材に求められる形状は、板形状、または塊状、または管形状である。
また、ある程度大きな体積の塊が得られるように、焼結体の段階では、とにかく大きな形状の塊状物を提供できることが課題。
(二) 治療用ビーム出射口と患者の患部との隙間からの治療用ビームの漏洩防止用。
出射口は、一般的に直径100mm~250mm程度(ほとんどの場合、同直径は100~150mm)の円形の開孔となっている。
他方、患者患部の外皮形状、大きさは、がん病巣の部位によって、大きく変化する。
例えば、頭部、後頸部、顔面、足のかかとなどによって、外皮形状、大きさは、大きく変化する。しかもその患部の外皮形状は個人差が大きい。
また、1回の治療におけるビームの照射時間は、30~60分程度であり、加えて、その照射時間の前後には治療前の段取り時間が必要なため、少なくともそれらの合計時間の間、静止を強いられる患者にとって、照射時間は、「はなはだ長時間」と感じられる長さである。
照射中に患者の姿勢が変化することも想定しなければならず、それにつれてビーム照射口と患者患部との隙間も変化してしまう。この変化する多様な形状となる隙間を、固定形状の遮蔽材で効率的に遮蔽するのは容易ではない。
この箇所に使用される遮蔽材の元材料となる焼結体の形状は、リング形状、または厚さ数10mmの板形状になると見込まれる。
(三) BNCT装置、又は、その他の放射線発生装置(具体的には、例えば、原子炉とかBNCT装置以外の加速器など)周辺の制御機器類の被爆防止用。
周辺の制御機器類は、漏洩した中性子などの高エネルギーの放射線に曝されると誤作動を生じたり、停止するなどの故障を起こすことが知られている。
このような制御機器類の放射線被爆による故障の発生を阻止することが望まれているが、これらの故障に対する有効な対策はとられていないのが現状である。
そこで、遮蔽材を用いて上記の機器類の故障しやすい部位、例えばセンサーとか、制御機器部分とか、配線部分とか、電気技術分野で言う所謂「弱電機器、配線類」部分を囲い、故障の発生を阻止することが課題となっている。
この用途の遮蔽材としては、大きな面積を有し、適度な厚さの板形状、リング形状、または管形状のものなどが求められており、焼結体の段階では、とにかく大きな形状の塊状物を提供できることが課題。
(四) 熱中性子遮蔽材としての用途。
上記したようにBNCT装置の照射ビームはターゲットで発生した高エネルギーの中性子を各種の減速材を用いて減速し、治療に適する熱外中性子を主体にした中低エネルギーの中性子と、ターゲット以降の過程で種々発生した二次放射線とから成っている。
熱外中性子以外の中性子、二次放射線は、いずれも副作用を起こす虞が有り、治療には必要がなく、除去すべきものである。
知られている熱中性子遮蔽材(熱中性子フイルター)としては、例えば、上記したCd(金属)を使用したものがある。
この遮蔽材により、熱中性子を除去することができるが、有害なγ線などの二次放射線が大量に発生する。
この遮蔽材までに発生していた二次放射線とともに放射線遮蔽材のPb(金属)を用いてそれらの放射線を除去しようとしているが、Cd製遮蔽材(熱中性子フイルター)で二次放射線が多量に発生するため、放射線遮蔽は不十分となり、二次放射線が残った状態となる。
もう一つの遮蔽材は、前記特許文献4において、熱中性子フイルター15として6Li(金属)、放射線遮蔽体16としてPbを用いたものが示されているが、6Liは前述のとおり安全保障上の問題がある。
この様な状況を踏まえ、顕著な熱中性子遮蔽性能を有し、しかもγ線などの人体に有害な二次放射線発生が著しく少ない熱中性子フイルターの開発が課題となっている。
(五) 多目的用途用の“加速器方式”または“原子炉方式”の熱中性子を主体とした低エネルギー中性子を使用する中性子照射装置用。
加速器方式の場合、ターゲットで発生した中性子(ほとんどの場合、発生した中性子は“高速中性子”である)は減速材で減速され、目的とするエネルギーレベルの中性子に制御される。
このターゲット、減速材を含めた装置部位を“減速体系”と称するが、この減速体系の周囲を漏洩防止用の“熱中性子遮蔽材”と“γ線遮蔽材”とで取り囲むことが行われている。
しかしながら、この減速体系の周囲に設置された両遮蔽材での遮蔽は不十分な場合が多く、熱中性子、γ線などの漏洩が生じている。
この減速体系の周囲に設置された両遮蔽材から漏洩する熱中性子を対象とした“遮蔽”が課題となっている。
以上、BNCT装置を中心に、遮蔽材に関する課題を記載してきたが、同装置以外にも同様の中性子遮蔽材に関する課題を有する他の施設として、さらに以下のものを挙げることができる。
(1) 低エネルギー中性子(冷中性子~熱中性子)を主として使用する“中性子実験施設”、
(2) “研究用原子炉”、
(3) “J-PARC”、
(4) “理化学研究所のRANS”、
(5) “青森のサイクロトロン方式中性子実験施設”
本発明者らは、上記したBNCT装置開発の現状に鑑み、まず、熱中性子遮蔽性能に優れ、しかも安全保障上の問題の無い、天然産Liを高濃度に含有するフッ化物系原料を用い、高密度で高機械加工強度を有する大きな形状の塊状化物を製造することができる焼結方法の開発を検討した。
さらに、遮蔽性能の向上を目指し、フッ化物系原料に、ホウ素(B)、及び/又は、ガドリニウム(Gd)を含有する原料を加え、それらの混合原料を用いても、高密度で高機械加工強度を有する大きな形状の塊状化物を製造することができる焼結方法の開発も検討した。
その結果、これらにおける、主要課題は、次の3点にあることを突き止めた。
(イ)放射線用、なかでも中性子用遮蔽材として最も必要な性能は、まず、第1に、中性子の遮蔽性能を確保することであり、その性能確保のために,どのような組成配合、塊状化条件(特に、焼結体の密度レベル)にすべきか。
(ロ)中性子用遮蔽材を得るために必要な塊状化物(焼結体)の機械加工強度を如何に確保するか。
(ハ)中性子用遮蔽材に必要な焼結体の大きさ、形状を如何にして確保するか。
特許第5112105号 特許第5813258号 再表2018-181395号(特願2018-517656号) 特表2018-514325号(特願2017-557373号) 特開昭51-94098号
H.Tanaka et al.,Applied Radiation and Isotopes 69(2011)1642-1645 H.Tanaka et al.,Applied Radiation and Isotopes 69(2011)1646-1648 星野 毅、J.Plasma and Fusion Res.Vol.89,No.1 (2013) 3-10 富士電波工機株式会社のホームページ(http://sps.fde.co.jp/jp/whats1.html)中の解説書:「Spark Plasma Sintering(放電プラズマ焼結)What’s SPS」 鴇田正雄、「放電プラズマ焼結(SPS)法によるセラミックス焼結の現状と将来像」、セラミックス、2014年2月、第49巻、第2号、pp.91~96 H.Kumada、et al.,2020. Evaluation of the characteristics of the neutron beam of a linac-based neutron source for boron neutron capture therapy. Appli.Radiat.Isot.、165, 109246
課題を解決するための手段及びその効果
本発明は、上記した課題に鑑みなされたものであって、例えば、BNCT装置に使用される治療用ビームの中で治療に不要な、または有害な中性子などの放射線種を除去するため、及び/又は、この治療用ビームが治療範囲外へ漏洩することを防止するため、及び/又は、その治療範囲外へ漏洩したビームによって機器の故障や放射化を防止するため、及び/又は、同様に漏洩したビームや放射化による医療従事者の放射線被ばくを防止するため、に設置される放射線遮蔽材に好適な、緻密な構造を有し、高機械加工強度を有し、大きさ・形状を有する放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法を提供することを目的としている。
さらには、治療による患者の外皮近傍への副作用発生を阻止するために、前記「照射ビーム」中の熱中性子を照射前に低減、あるいは吸収するために使用されているカドミウム(Cd)に代わる新たな「熱中性子遮蔽材(熱中性子フイルター)」を提供することを目的としている。
前記「漏洩放射線」は、上記したように「減速体系(減速体系外周部及び出射口周辺部)から系外へ漏れ出る漏洩放射線」と「出射口(コリメータ)と患者との隙間から漏れ出る漏洩放射線」とに大別される。
この「漏洩放射線」を低減するためには、まずは優れた遮蔽性能を有する「遮蔽材」を開発する必要がある。
治療用に調整された中性子は、主として熱外中性子、熱中性子及び低速中性子(すなわち、冷中性子)で構成され、それ以外に減速材で減速しきれずに残った高速中性子などを含むものである。
「遮蔽材」に要求される特性としては、このような幅広いエネルギーレベルの中性子に対して効果的な遮蔽性能を有することである。
遮蔽性能の根源は上記したように、水素原子、窒素原子、6Li、10B、112Cd、157Gdなどの特定の元素、または放射性同位体元素が有する特定のエネルギーレベルの中性子に対する吸収断面積の大きさに依存している。
このため、1種の遮蔽材で幅広いエネルギー範囲の中性子をすべて遮蔽することは困難である。
そこで、今回は、主として低エネルギーレベルの中性子、すなわち熱中性子及びそれ以下の低速中性子を効果的に確実に遮蔽することができる、いわゆる、「熱中性子遮蔽材」の開発に焦点を絞った。
上記したように、天然に存在するLiは、含有率7.5atom%の6Liと、同92.5atom%の7Liの同位体を含み、この中の6Liが、熱中性子などの低いエネルギーレベルの中性子に対して大きな吸収断面積を有している。
6Liを実際に使用して「優れた遮蔽材」を得るには、高密度、高均質(高均質とは、密度のバラツキが小さく、残留歪みが皆無で、割れ亀裂などの欠陥が無いこと)で、機械加工強度が確保され、大きな形状のものを、安定的に、安価に製造できる方法の開発が必要である。
原料としては、危険物とか劇物でなく、取扱い上大きな問題がないこと、加熱・塊状化過程で安定していること、塊状化後の経年変化が皆無であることなども求められる。
さらには、その塊状物を、高均質で、機械加工強度が確保されたものとすることである。
「高均質」が必要な理由は、密度が高いほど中性子などの放射線に対する遮蔽性能は高くなり、且つ、密度のむらが少ないほど、遮蔽性能のむらが小さくなるためである。
また、遮蔽材としては多種の大きさ、多様な形状のものが求められるため、焼結体に機械加工を施すことが必須となる。焼結体に残留応力が残存していると、機械加工の際に、割れとか亀裂が発生し易い。
上記した主要課題、
(イ)中性子遮蔽性能確保のための要件、
(ロ)中性子遮蔽材用焼結体に必要な機械加工強度確保のための要件、
(ハ)中性子遮蔽材用焼結体に必要な大きさ・形状確保のための要件、
の3点に関し、その課題解決策を次のように検討した。
主要課題(イ)及び(ハ)に関しては、放射線、なかでも中性子用遮蔽材として必要な遮蔽性能は、図2の要因解析図に示すように、その遮蔽材の密度と大きさ(具体的には、“面積”と“厚さ”)と遮蔽性能の関係に帰することになる。
具体的には、減速体系の各減速材の周囲に配置して減速材から外部への漏洩防止用、およびBNCT装置の、計測装置、制御装置への漏洩放射線の悪影響防止用のための遮蔽材は、ある程度の面積と厚さを有する板形状のものが求められることが想定される。
そのため、形状として板形状の遮蔽材には、遮蔽性能のほかに形状維持性能や装置としての制約条件などが重要視されることになる。
焼結体の厚さとしては、薄い方の限界は、遮蔽性能を確保することと、取扱いで割れや亀裂が生じないことの形状維持性能を確保するために、数mm以上、具体的には2mm以上必要であると認められた。
厚い方の限界は、BNCT装置の構造上の制約として、例えば、治療用ビーム照射口と患者患部の隙間での漏洩放射線防止用では、照射口から100mmを超えると、治療用ビームのエネルギーロスが大きくなると認められ、100mm以下が望ましいと判断された。
ただし、減速体系外周からの漏洩放射線の漏洩防止用の遮蔽材の場合、あくまでも求められる遮蔽性能が得られる厚さが求められ、遮蔽材の厚さの上限は無く、従って、この遮蔽材の厚さに関する制限条件は、“2mm以上”の下限のみとした。
上記目的を達成するために、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体(1)は、LiFを99wt.%~5wt.%の範囲で含み、MgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物を1wt.%~95wt.%の範囲で含み、相対密度が92%以上、曲げ強度が50MPa以上、ビッカース硬度が100以上の物理特性を備えていることを特徴としている。
まず、中性子遮蔽性能確保のために、主原料として、Liのフッ化物、すなわちフッ化リチウム(LiF)を選んだ。
一般的に、LiFを単味(「単独」と同意語)で焼結することは困難とされていた。
従来、LiFは、ほとんどの場合、他の原料を主原料とし、LiFそれ自身の融点が低い特性を生かし、焼結技術領域で言う「焼結助剤(焼結反応を促進する助剤、の意味)」として、または「補助的原料」として使用されていた。
LiF単味の原料を焼結すると、焼結過程で激しく気化し、フッ素ガスを発生(昇華現象を発生)し、焼結体は著しく発泡して内部に大きな空洞を生ずることとなる。
このため、低密度な焼結体となり、また大きさ面でも大形化することは不可能であり、目的とする特性は得られない。このように、6Liの濃度だけに頼った遮蔽性能の確保には限界がある。
そこで、本発明者らは、
(1)優れた遮蔽性能を得るのに必要なLiを、天然産のLiを基にしたLiF原料として確保すること、
(2)LiFは、難焼結性の代表的原料であるため、大形のものを、安定的に均質に焼結させるには、LiF単味ではなく、他のフッ化物、例えば、MgF、CaF、AlF、KF、NaF及び/又はYFの中から1種以上を選び、それらとLiFとを混合して多元系フッ化物焼結体とすること、とした。
ここで、LiFに混合する物質として他のフッ化物を選んだ理由は、
LiFと同類のフッ化物であれば、焼結過程において固溶体を作りやすく、共晶点を生じて焼結温度の低温化が図られ、その結果、LiFなどのフッ化物の分解・気化(すなわち、昇華)現象が抑制され、発泡が阻止されて緻密な焼結体が得られやすくなると考察したためである。
LiFにMgFとCaFを混合したLiF-MgF-CaF三元系の場合を例に挙げて説明する。
図1に、LiF-MgF-CaF三元系の平衡状態図を示す。
この場合、LiF59.0mol%(すなわち、35.7wt.%)、MgF 13.6mol%(40.5wt.%)、CaF 6.4mol%(23.8wt.%)の混合割合の箇所(「B点」とする)が共晶点となっている。
このB点の融点温度は、各混合割合での融点温度を示す図中の等温線の中で最も低い値となっている。
このLiF-MgF-CaF三元系は、所謂“共晶型の3成分系平衡状態図”であり、共晶点以下の温度ではすべての成分割合で固相、または固相と固溶体とが共存する状態である。
また、それ以上の温度では、すべて液相、または液相と固溶体の2相が共存する状態となる。
LiF単味の焼結を考えると、経験則では「固相焼結における焼結温度のおおよその適正範囲は、LiFの融点(mp=847℃)の8割程度、すなわち670~680℃程度」と推測される。
それに対して、上記の平衡状態図における共晶点の温度は672℃であり、上記のLiF単味焼結における、推定される適正な焼結温度670~680℃とほぼ同じ温度である。
この三元系での(固相焼結における)適正な焼結温度は、共晶点温度よりもはるかに低い(経験則では、共晶点温度よりも1割減あるいはそれ以上低い温度)と推測される。この温度は、LiF単味での焼結温度と比べるとかなり低い焼結温度となり、LiFの分解・気化を抑えられる可能性が高い、と期待される。
ここで、高遮蔽性能を得ることを考慮し、LiFの混合割合が高く、しかもその融点温度が低く、容易に焼結反応が進行しやすい、上記三成分の混合割合を探るために、次のような操作を行った。
主原料であるLiF、100mol%の下端の頂点(A点)と前記共晶点(B点)を直線で結び、その直線を延長し、MgFの頂点とCaFの頂点を結ぶ線(稜線)との交点をC点とする。
このA-Cを結ぶ直線上で配合割合を変化させて焼結試験を行い、試験サンプルの品質性状を調べ、この用途に適する原料配合条件、焼結条件などを突き止めた。
試験の結果、LiFの混合割合が5wt.%~70wt.%程度であれば、昇華現象をある程度抑制することができ、著しい発泡は抑えることができることが分かった。
しかしながら、二元系焼結法であっても、LiFの混合割合が70wt.%を超えると、著しく発泡するようになり、この場合は単味原料の場合と同様に低密度となってしまった。
また、LiFの混合割合の下限値を5wt.%としたのは、5wt.%未満では遮蔽性能が低く、遮蔽材として用いるには不適と判断したためである。
本発明者らは、LiFと他のフッ化物(例えば、MgF、CaF、AlF、KF、NaF及び/又はYF)から2種類以上を選択し、三元系以上の多元系焼結法で焼結すると、
LiFの混合割合が70wt.%を超えても著しい発泡を抑えることが可能であることを見出した。
しかしながら、三元系以上の多元系焼結法であっても、LiFの混合割合が99wt.%を超えると、LiFの加熱分解(昇華)によるFの気化(フッ素ガスの発生)が激しくなり、焼結体が発泡してしまうこと、また、焼結炉内に在る金属系の部品とか部材が、そのフッ素ガスと反応して焼結炉内及び焼結体を汚染することが認められることがあった。
そのため、多元系化によるLiFの加熱分解の抑制は、このLiF99wt.%までが限界であると判断した。
三元系以上の多元系焼結法では、LiF単味及びLiFとその他のフッ化物から選ばれたものとの二元系焼結法と比べて共晶反応が促進され、焼結温度の低温化がさらに進み、LiFの混合割合が99wt.%以下であれば、著しい発泡が抑えられることが判明した。
これらの試験結果から、LiFの混合割合は5wt.%~99wt.%が適正な混合範囲であると定めた。
また、優れた遮蔽性能を発揮させるには、焼結体中の気泡や空隙などの放射線の遮蔽を阻害するものを極力減らすことが必要である。
気泡や空隙は、真密度状態の焼結体(すなわち、相対密度100%)ではゼロであり、それらが増加するにつれて相対密度は低減する。
本発明者らは、調査により、相対密度が100%から95%程度までの間では、相対密度100%と比べて遮蔽性能の差はあまり認められず、同94%程度から遮蔽性能の差がわずかに表れ始め、同92%程度から遮蔽性能の低下が認められ、同90%以下では顕著に低下することを突き止めた。
そのため、相対密度は少なくとも92%以上必要であり、望ましくは94%以上であると判断した。
多元系焼結体の相対密度は、まず、各々の化合物の真密度にその配合比割合を乗じ、加算したその値(すなわち、加重平均値)を多元系焼結体の“真密度”とし、同焼結体の重量をその嵩体積で除して算出した“嵩密度”をその“真密度”で除す方法で算出した。
例えば、前述の三元系平衡状態図(図1)に基づく直線上の三元系焼結体の配合割合がLiF:98.8wt.%、MgF:0.8wt.%、CaF:0.4wt.%の場合、各化合物の真密度がLiF:2.640g/cm、MgF:3.148g/cm、CaF:3.180g/cmであることから、その配合割合を乗じ、加算した値は「2.646g/cm」となる。
上記放射線遮蔽材用焼結体(1)によれば、中性子に対する吸収断面積が大きいLiを高濃度に含有し、放射線、なかでも低エネルギー中性子用に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
しかも、高密度、高均質で、十分な機械加工強度を備え、大きな形状の優れた遮蔽材を、安定的に、安価に提供することができる。
このため、多種の大きさ、多様な形状の製品に対応することができる放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
なお、同位体6Liの濃度に関しては、6Liの濃縮型を用いた場合でも本願の方法で焼結すれば焼結体は十分な密度、機械加工強度などの物性値が得られ、且つ天然産Li原料を用いた焼結体と比べてはるかに高度な中性子遮蔽性能を有するものとなることは確認することはできたが、上記したとおり、安全保障面の制限からLiのソースは天然産(天然産Li中の6Liの存在比は7.5atom%)のものとした。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体(2)は、放射線遮蔽材用焼結体(1)に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、B、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴としている。
さらに、本願では、中性子に対する吸収断面積が大きいLi、Liよりも同吸収断面積が大きいB(同位体10B)を高濃度に含有し、且つ、高密度、高均質で、十分な機械加工強度を備え、大きな形状の優れた遮蔽材を、安定的に、安価に提供することとした。
上記天然産のLiを基にしたLiF原料を主体とした多元系フッ化物焼結体だけでは、中性子遮蔽性能の向上には限界があるため、他の遮蔽性能発現物質として10Bを含有する原料を添加し、焼結体を構成することとした。
天然産のB中の10B存在比(これを専門分野では、「天然存在比」と称する)は、19.9atom%であり、残りの80.1atom%を安定相である11Bが占めている。
ホウ素化合物を、多元系フッ化物原料に外掛けで10Bとして0.1~5wt.%添加することとしたのは、0.1wt.%未満では、ホウ素化合物添加による遮蔽性能向上が認められず、一方、5wt.%を超える添加を行った場合、焼結体の密度が所定の値(92%以上)を下回ることになり、5wt.%を大幅に超える添加を行うと、焼結体の密度はさらに下がり、焼結体の形状維持が困難になることが試験により確認されたためである。
試験結果からホウ素化合物添加の適正範囲を10Bとして0.1~5wt.%添加と定めた。
上記放射線遮蔽材用焼結体(2)によれば、Liよりも中性子に対する吸収断面積が大きいB(同位体10B)を高濃度に含有するため、さらに、中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体(3)は、放射線遮蔽材用焼結体(1)に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、Gd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴としている。
本願では、さらに、中性子に対する吸収断面積が大きいLi、Liよりも同吸収断面積が大きいGd(同157Gd)を高濃度に含有し、且つ、高密度、高均質で、十分な機械加工強度を備え、大きな形状の優れた遮蔽材を、安定的に、安価に提供することとした。
ガドリニウム化合物を、多元系フッ化物原料に外掛けで157Gdとして0.1~2wt.%添加することとしたのは、0.1wt.%未満では、ガドリニウム化合物添加による遮蔽効果向上が認められず、一方、2wt.%を超える添加を行った場合、焼結体の密度が所定の値(92%以上)を下回ることになり、さらに2wt.%を大幅に超える添加を行うと、焼結体の密度はさらに下がり、焼結体の形状維持が困難になることが試験により確認されたためである。
試験結果からガドリニウム化合物添加の適正範囲を157Gdとして0.1~2wt.%添加と定めた。
上記放射線遮蔽材用焼結体(3)によれば、Liよりも中性子に対する吸収断面積が大きいGd(同157Gd)を高濃度に含有するため、さらに、中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体(4)は、放射線遮蔽材用焼結体(1)に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、B、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、さらに、Gd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴としている。
本願では、さらに、中性子に対する吸収断面積が大きいLi、Liよりも同吸収断面積が大きいB(同位体10B)、及び、Gd(同157Gd)を高濃度に含有し、且つ、高密度、高均質で、十分な機械加工強度を備え、大きな形状の優れた遮蔽材を、安定的に、安価に提供することとした。
焼結体が、必要な遮蔽性能を得るには、密度が高いことと、同位体6Li、同6Liに加えて10B、及び157Gdの濃度が高いことが望ましい。
上記放射線遮蔽材用焼結体(4)によれば、Liよりも中性子に対する吸収断面積が大きいB(同位体10B)及び、Gd(同157Gd)を高濃度に含有するため、さらに、中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
ここで、放射線に対する遮蔽性の向上を目的に、LiFを含む多元系フッ化物に10Bを含有するホウ素化合物、及び/又は、157Gdを含有するガドリニウム化合物を添加した場合の多元系焼結体の相対密度の算出方法について記述しておく。
焼結体の相対密度は、下記の(1)式に示すように、焼結体の重さを計測した“質量”を、外形寸法から算出される“嵩体積”で除して算出した“嵩密度”を、次に記述する方法で算出した“真密度”で除して算出する方法とした。

焼結体の相対密度(%)=[嵩密度(g/cm3)]×100 / [真密度(g/cm3)]・・・(1)
ただし、[真密度]の値は、多元系焼結体の各組成の密度の値を各組成の混合割合で加算し、算出する方法とした。
また、10Bを含有するホウ素化合物、及び/又は157Gdを含有するガドリニウム化合物を添加する場合は、10B及び157Gdの天然存在比(10Bの天然存在比は19.9atom%、157Gdの天然存在比は15.65atom%)、又は10Bを濃縮した場合の濃縮比を元の元素(すなわち、B、又は、及びGd)に割り戻し、各化合物の添加割合で加算し、算出する方法とした。
ちなみに、後述するように各[実施例]と[比較例]に関しては、上記方法で算出した[真密度]及び[相対密度]の値を表示している。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体(5)は、上記放射線遮蔽材用焼結体(1)~(4)のいずれかにおいて、放射線が中性子線であることを特徴としている。
上記放射線遮蔽材用焼結体(5)によれば、極めて中性子遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材(1)は、上記放射線遮蔽材用焼結体(1)~(5)のいずれかに機械加工が施されて形成されたものであることを特徴としている。
上記放射線遮蔽材用焼結体は、いずれも高機械加工強度が確保されており、上記放射線遮蔽材(1)によれば、所望形状の放射線遮蔽材を容易に得ることができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材(2)は、上記放射線遮蔽材(1)において、放射線照射場における、焼結体に機械加工が施されて形成された遮蔽材の厚さが100mm以下で、遮蔽材から出射される熱中性子束(N1)を、遮蔽材に入射する熱中性子束(N0)で除した値、すなわち熱中性子減衰率(N1/N0)が100分の1以下である熱中性子遮蔽性能を備えていることを特徴としている。
BNCT装置の構造上の制約として、例えば、治療用ビーム照射口と患者患部の隙間での漏洩放射線防止用では、照射口から100mmを超えると、治療用ビームのエネルギーロスが大きくなると認められ、100mm以下が望ましいと判断された。
上記放射線遮蔽材(2)によれば、治療用ビームのエネルギーロスが大きくならない薄さの遮蔽材でありながら、熱中性子遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
一般的に、LiFを単味で焼結することは困難とされていた。
LiF単味の原料を焼結すると、焼結過程で激しく気化し、フッ素ガスを発生(昇華現象を発生)し、焼結体は著しく発泡して内部に大きな空洞を生ずることとなる。
このため、低密度な焼結体となり、また大きさ面でも大形化することは不可能であり、目的とする特性は得られない。
遮蔽性を得る主たる要素であるLiFが難焼結性である根本原因は、LiFが焼結過程の加熱によってLiとFとが容易に分解し、Fの気化が進み、気泡が多数発生することにある。
この現象をよく観察すると、LiとFとが分解し始める温度が比較的低い温度であることが分かってきた。焼結温度がこの分解し始める温度を超える温度か、下回る温度かによって焼結体の緻密化の程度が決まると推測された。
本発明の発想の第一歩は、LiFと他のフッ化物、例えばCaF、MgFなどとの2元系焼結法での共晶反応(フッ化物同士での二元系にすることで、共晶点が生じて単味原料での焼結温度よりも二元系焼結の方が焼結温度の低温化が図れること)を利用して焼結温度の低温化を図ることであった。
そこで、本発明者らが考案したのが、LiF単味の原料を焼結するのではなく、LiF原料と混合して焼結しやすいと見込まれる同じフッ化物系原料であるMgF、CaF、AlF、KF、NaF及び/又はYFから選ばれる1種以上のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料を用いた焼結方法である。
上記した主要課題(ロ)に関しては、優れた遮蔽材を得るために必要な塊状物(焼結体)の機械加工強度の確保についてであるが、機械加工によって最適な形状の遮蔽材とする場合の、焼結体の機械加工強度の確保に及ぼす各種の要因は、図3に示すように、主には密度と残留応力と鉱物組織とによって支配される。
密度と鉱物組織が良好な状態では、端的には“残留応力”の大小如何によって定まる、と言える。
上記特許文献3の項で述べたように、「放電プラズマ焼結(SPS)法」は残留応力が極めて大きくなること、また、「ホットプレス法やHIP法などの加圧焼結法」の場合でもSPS法と同様に大きな残留応力を生ずることが危惧された。
また、上記した多岐にわたる用途に使用される焼結体に必要な機械加工強度は、一方向の圧縮耐性を表す“ビッカース硬度”だけでなく、耐衝撃性の指標である“曲げ強度”を具備する必要がある。
また、この大形の塊状物(焼結体)を、安価に、安定的に、しかも上記したような高品質のものを得やすい製造方法は、焼結法であり、さらに詳細に述べれば常圧焼結法をベースに採用し、必要に応じて常圧焼結法で得た焼結体を、さらに加圧焼結する方法が望ましいと考えられた。
このため、本発明では、少なくとも一次焼結工程と二次焼結工程に関しては常圧焼結法を採用することにした。
このような焼結方法の研究により、焼結体内部の“残留応力”は皆無となり、機械加工強度の確保に関する心配はまったく無くなり、きわめて安定した良好なものとなった。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)によれば、放射線の遮蔽材、そのなかでも低エネルギー中性子用に優れた遮蔽材を提供することができる。
より具体的には、中性子に対する吸収断面積が大きいLiを高濃度に含有し、且つ、高密度の大形の塊状物を、安定的に安価に提供することができる。
さらには、その焼結体の均質性が高く、すなわち、密度のむらが少なく、且つ、残留応力が極めて少なく、機械加工強度の確保に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができ、多種の大きさ、形状の製品に容易に対応することができる放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(2)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴としている。
10Bを含有する原料として、例えば、(いずれも高純度の)酸化ホウ素(B)、ホウ酸(B(OH))、三ホウ酸リチウム(LiB)又は四ホウ酸リチウム(Li)を使用し、多元系フッ化物原料とは別に、この10Bを含有するホウ素化合物についても、多元系フッ化物原料と同様の所定粒度まで微粉砕し、この後、10Bとして0.1~5wt.%添加(すなわち、多元系フッ化物原料に、外掛けでホウ素化合物を10Bとして0.1~5wt.%添加)し、所定時間混合し、さらに微粉砕した。この混合原料粉に、所定量の純水を添加し、所定時間混練したものを出発原料とした。
ここで、多元系フッ化物原料とホウ素化合物とを一旦個別に微粉砕し、その後一緒に混合し、さらに微粉砕した理由は、予備的に行った原料の微粉砕試験で、原料ごとに粉砕のされ方が異なることが確認されたためである。
多元系フッ化物原料にホウ素(B)を添加する場合に、10B濃縮型を使用することは技術的には何ら問題なく本願の焼結法にも使用できる。
また、BNCTにおいて治療直前に患者に予め投与するホウ素薬剤は、いずれもこの10B濃縮型が使用されている。以前から安全保障上の規制からこのBNCT用途は除外されており、使用には支障が無い状態である。
なお、本願の実施例においては、一例だけ10B濃縮型を使用し、その他のホウ素添加例は製品を海外へ輸出することを考慮してすべて天然産ホウ素原料を使用することにした。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(2)によれば、Liよりも中性子に対する吸収断面積が大きいB(同位体10B)を高濃度に含有するため、さらに、中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(3)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴としている。
本願では、さらに、遮蔽性能発現物質として157Gdを含有する原料を添加し、焼結する方法を考案した。天然産Gd中の157Gdの「天然存在比」は15.65atom%である。
157Gdを含有する原料として、例えば、(いずれも高純度の)酸化ガドリニウム(Gd)、水酸化ガドリニウム(Gd(OH))又はフッ化ガドリニウム(GdF)を使用し、多元系フッ化物原料とは別に、この157Gdを含有するガドリニウム化合物についても、多元系フッ化物原料と同様の所定粒度まで微粉砕し、この後、157Gdとして0.1~2wt.%添加(すなわち、多元系フッ化物原料に、外掛けでガドリニウム化合物を157Gdとして0.1~2wt.%添加)し、所定時間混合し、さらに微粉砕した。
この混合原料粉に、所定量の純水を添加し、所定時間混練したものを出発原料とした。
ここで、多元系フッ化物原料とガドリニウム化合物とを一旦個別に微粉砕し、その後一緒に混合し、さらに微粉砕した理由は、予備的に行った原料の微粉砕試験で、原料ごとに粉砕のされ方が異なることが確認されたためである。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(3)によれば、Liよりも中性子に対する吸収断面積が大きいGd(同157Gd)を高濃度に含有するため、さらに、中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(4)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物原料
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
その他の後工程は、放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴としている。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(4)によれば、Liよりも中性子に対する吸収断面積が大きいB(同位体10B)及び、Gd(同157Gd)を高濃度に含有するため、さらに、中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(5)は、上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(2)又は放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(4)において、
LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ホウ素化合物原料を、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加することを特徴としている。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(5)によれば、さらに中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を安定的に安価に提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(6)は、上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(3)又は放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(4)において、
LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ガドリニウム化合物を、天然ガドリニウム原料中のガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加することを特徴としている。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(6)によれば、さらに中性子に対する遮蔽性能に優れた放射線遮蔽材用焼結体を安定的に安価に提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(7)は、上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)記載の二次焼結工程の後に、さらに、真空雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中、450~700℃の温度範囲で、一軸成形圧0.05MPa以上で加熱加圧成形する工程(ホットプレス工程)を備えていることを特徴としている。
最初の焼結から加圧法で行う場合は、焼結の進行度が焼結体の部位ごとに大きく異なり(例えば、塊状の外周部はその進行度が最も早く進み、一方、内部側はその進行度が最も遅く)、そのような状態のものに、一定の加圧力が各部位に荷かると、大きな残留応力発生の原因となる。
他方、一旦常圧焼結法で焼結した均質な焼結体は、引き続き加圧焼結を行っても、前記の最初の焼結から加圧法で行った場合のように、焼結体の内部に大きな残留応力が生ずることはなく、わずかな応力が生ずる程度で収まる。
これが、一旦常圧焼結したのち加圧焼結する場合の大きな利点となる。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(7)によれば、焼結体の均質性がさらに高まり、密度のむらがさらに少なく、且つ、残留応力が極めて少なく、機械加工強度が高められた優れた放射線遮蔽材用焼結体を提供することができ、多種の大きさ、多様な形状の製品に対応することができる放射線遮蔽材用焼結体を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(8)は、上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)~(7)のいずれかにおいて、放射線が、中性子線であることを特徴としている。
上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(8)によれば、放射線の遮蔽材、そのなかでも低エネルギー中性子用に優れた遮蔽材を提供することができる。
また、本発明に係る放射線遮蔽材の製造方法(1)は、上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)~(8)のいずれかに記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法によって製造された放射線遮蔽材用焼結体に、さらに機械加工を施すことによって、放射線遮蔽材を形成することを特徴としている。
上記放射線遮蔽材の製造方法(1)によれば、多種の大きさ、所望形状の放射線遮蔽材を容易に提供することができる。
LiF-MgF-CaF三元系平衡状態図と同三元系原料における原料配合割合の例を示す図である。 遮蔽材用焼結体製造工程と製品性能との関係を分析した要因解析図である。 焼結体の物性と機械加工に影響を及ぼす物理化学的要因との関係を示す関係図である。 多種のフッ化物原料、さらにホウ素系原料、又はガドリニウム系原料を添加する場合の製造工程を示すフローチャートである。 LiF-MgF-CaF三元系に添加するホウ素化合物としてLiを採用し、小型焼結試験を行った結果を示すグラフである。 LiF-MgF-CaF三元系に添加するガドリニウム化合物としてGdを採用し、小型焼結試験を行った結果を示すグラフである。 小型焼結試験で得られた各種の焼結体を機械加工して得られた遮蔽材の遮蔽性能に関するシミュレーションを行った結果を示すグラフである。 実施例及び比較例における原料及び焼結条件と、焼結体の物性値、機械加工強度、中性子遮蔽性能などの評価結果を示す一覧表である。
以下、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体、放射線遮蔽材及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態に係る放射線遮蔽材用焼結体を製造するには、LiFを含む多元系フッ化物を原料とし、及び/又は同多元系フッ化物に10Bを含有するホウ素化合物を加えたものを原料とし、及び/又は同多元系フッ化物に157Gdを含有するガドリニウム化合物を加えたものを原料とする。
実施の形態に係る放射線遮蔽材用焼結体を製造するには、まず原料として高純度(純度98.5wt.%以上)のLiF粉末と、いずれも高純度(純度99.9wt.%以上)のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFから選ばれる1種以上のフッ化物粉末とを所定量計り採る。
原料の粉砕は、ボールミルとしてアルミナ製の回転用ミル(内径280mm、長さ400mm)に、アルミナ製ボール(φ5mm:1800g、φ10mm:1700g、φ20mm:3000g、φ30mm:2800g)を入れ、その中に微粉砕用原料を3000g投入し、所定時間回転させて粉砕する方式で行う。
他の粉砕方式、例えば“ビーズミル粉砕法”、“ダイナミックミル粉砕法”などと称される、アルミナ製などの媒体を被粉砕原料とともに撹拌して微粉砕する“媒体撹拌型微粉砕法”を使用してもよい。
この多元系フッ化物に、ホウ素化合物を添加する場合の工程フローを、図4に示している。
ホウ素化合物は、高純度(純度99.5wt.%以上)のB、B(OH)、LiB又はLiの中から選択して使用する。また、そのホウ素源は、天然ホウ素、及び/又は、天然ホウ素の同位体10Bを濃縮したものとする。
上記した多元系フッ化物原料と、添加するホウ素化合物原料とを、別個に下記の粉砕方式で2週間粉砕(一次粉砕)した後、各々所定量を計り採り、V型混合機を用いて一昼夜混合作業を実施する。
さらに、その混合した原料を下記の粉砕方式で1週間粉砕(二次粉砕)する。
個別に2週間粉砕した後の平均粒径は、原料の種類によらず、すべてメディアン径で8μm以下となった。
混合後、さらに1週間粉砕した後の平均粒径は、メディアン径で6μm以下となった。
上記した多元系フッ化物に、ガドリニウム化合物を添加する場合の工程フローは、上記のホウ素化合物添加の場合と同様に、図4により示される。
ガドリニウム化合物は、高純度(純度99.9wt.%以上)のGd、Gd(OH)又はGdFの中から選択して使用する。また、そのガドリニウム源は、天然ガドリニウムとする。
ホウ素化合物を添加する場合と同様に、上記多元系フッ化物原料と、添加するガドリニウム化合物原料とを、別個に下記の粉砕方式で2週間粉砕(一次粉砕)した後、各々所定量を計り採り、V型混合機を用いて一昼夜混合作業を実施した。
さらに、その混合した原料を下記の粉砕方式で1週間粉砕(二次粉砕)した。
これらの微粉砕原料に対して純水3wt.%を添加し、混練機を用いて12時間混練したものを出発原料とした(原料配合工程)。
ここで、二次粉砕した後の混合原料に純水を添加したのは、後工程である、一軸プレス成形工程、CIP成形工程、及び両成形工程間における成形体の形状維持のためである。
形状維持のためには、一般的には焼結助剤が使用されることが多いが、焼結助剤は焼結後に残留すると不純物となり、中性子遮蔽性能に大きな影響を及ぼす虞がある。そのため、ここでは純水を用いることとした。
形状維持のための適切な純水添加量の範囲は、予備試験により、1wt.%以上、5wt.%以下の範囲であることを突き止めた。さらに、2wt.%以上、4wt.%以下の範囲が、より望ましい範囲であることを突き止めた。
上記出発原料を木製の型枠に充填し、油圧方式の一軸プレス成形機を用いて、成形圧5MPa以上、望ましくは20MPa以上で成形する(一軸プレス成形工程)。
ここで、一軸プレス成形を実施するのは、次のCIP工程との間、及び次のCIP工程内での成形体形状の維持を可能とするためである。
なお、この一軸プレス成形工程に用いる型枠と、その上方からプレス圧を加える押し板の形状を、平面視で角形、丸形、リング形状などにすることで成形体の平面視形状を各々の形状のものとすることができる。
さらには、例えば、平面視リング形状、断面視横凹形とすることで、上記した患者患部とBNCT装置のビーム出射口との隙間を塞ぐのに好適な、平面視リング形状、断面視で内径側の厚さが薄く、外径側の厚さが厚い形状の焼結体とすることもできる。
プレス成形品をビニール袋に入れて密封し、内部の空気を吸引してビニール袋内の空気を抜き、再度密封したのち、そのビニール袋入りプレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機の試料装填部にセットし、該試料装填部を閉じ、密封後、該試料装填部とビニール袋入りプレス成形品との間に上水を充填する。
その後、上記充填した上水に成形圧5MPa以上、望ましくは20MPa以上の水圧を掛けて(すなわち、試料をビニール越しに加圧して)成形する。このことで、以下の工程間及び工程内でのプレス成形品の形状維持ができるようにする(CIP成形工程)。
CIP成形品を大気雰囲気中で、350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う(仮焼結工程)。
この仮焼結工程では、主として元原料に含まれていた水分及び添加した純水の気化、蒸発及び原料粒子同士の固相反応を促進させる。
上記温度範囲としたのは、350℃未満の加熱では、上記の水分の気化、蒸発が遅くなりすぎ、一方、470℃を超える加熱では、固相反応が速くなり過ぎて水分の気化、蒸発が不十分となるためである。
次に、仮焼結体を常圧の大気雰囲気中、または常圧の不活性ガス雰囲気中で、480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる(一次焼結工程)。
480℃以上の加熱で固相反応を促進させ、560℃以下の加熱で原料の昇華反応を抑制する。
引続き(すなわち、「一旦冷却することなく、引続き加熱する」の意味)、前工程と同じ常圧、同じ雰囲気中で、570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する(二次焼結工程)。
この温度範囲とすることで、固溶体を生成させ、且つ過剰な焼結反応を抑制する。
必要に応じて前記二次焼結工程のあとに、焼結体(すなわち、上記常圧焼結して得た焼結体)を真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で、450~700℃の温度範囲で加熱しながら、成形圧0.05MPa以上で加圧成形する(ホットプレス工程)。
このホットプレス工程で、加熱温度の範囲を450~700℃としたのは、450℃未満の加熱では、焼結体の粘性が高くなり過ぎて粘性流動が遅くなり、熱間成形がスムーズにできないためであり、一方、700℃を超える加熱では、焼結体と成形枠(モールド)とが激しく反応して熱間成形できないためである。
一軸成形圧を0.05MPa以上としたのは、上記加熱状態における焼結体の粘性流動特性に合う成形圧とするためである。
さらに必要に応じて、上記焼結体(常圧焼結して得た焼結体、またはその常圧焼結して得た焼結体にさらにホットプレス工程を施して得た焼結体)に、機械加工を施す(機械加工工程)。
上記焼結体(常圧焼結して得た焼結体、又はその常圧焼結して得た焼結体にさらにホットプレス工程を施して得た焼結体、又はそれらの焼結体に機械加工を施したもの)を、中性子線用遮蔽材として使用する。
この焼結体単体での中性子線用遮蔽材の具体的用途は、前述の一つ目(減速体系外周部からの中性子の漏洩防止用)と三つ目(放射線発生装置周辺の制御機器類の誤作動及び故障防止用)の用途となる。
[小型焼結試験]
下記の実施例に先立ち予備試験として概略寸法が直径75mm、厚さ60mmの小型焼結体について、後述するモンテカルロ輸送解析による中性子遮蔽性能の評価を実施した。
ここで、小型焼結試験における焼結体の概略寸法を直径75mm、厚さ60mmにした理由は、この寸法であれば大型化した(一般的には、「スケールアップ」と称する)場合に、この小型焼結試験結果に近似した焼結試験結果となることを予め試験において把握したためである。
この評価結果から、成分系がLiF-MgF-CaF三元系にホウ素化合物、又はガドリニウム化合物を添加した焼結体の熱中性子遮蔽性能は、LiF-MgF-CaF三元系焼結体と比べてさらに向上し、極めて優れた遮蔽性能を有するものであることが判明した。
このLiF-MgF-CaF三元系にホウ素化合物を添加する場合、上記した4種のホウ素化合物、すなわち酸化ホウ素B、ホウ酸B(OH)、三ホウ酸リチウムLiB又は四ホウ酸リチウムLiを個別に一定量添加し、焼結温度を400℃から800℃の温度範囲で変化させて焼結体を作製した。これら焼結体の相対密度の最大値と、その最大値となった焼結温度を調査した。
その結果、相対密度の最大値は、Li ≒LiB >B ≒B(OH)の順となった。
また、このLiF-MgF-CaF三元系に添加するホウ素化合物として、最も適したものは、Liであることが判明した。
図5に示したように、Liを添加した焼結体は高密度である三元系と同等の良好な相対密度となることが判明した。
この様に、最も適したホウ素系の添加物は、LiとLiB、その次に適したものはBをはじめとしたその他のホウ素化合物であることが判明した。
ホウ酸リチウム系の2種のホウ素化合物と、その他のホウ素化合物2種との間に、焼結体の焼結性(具体的には、相対密度)に差異が生じた原因は、ホウ酸リチウム系のホウ素化合物の融点が約900℃と焼結温度と比べて高温であり、焼結過程で気化・分解などが発生しない一方、酸化ホウ素B、ホウ酸B(OH)の方は融点が低く、気化・分解が生じやすいためと推測された。
本来、ホウ素化合物の添加によって、遮蔽性能の根源である三元系のLi元素量は添加割合に応じて薄められ、その分Li由来の遮蔽性能は低下する。ところが、Liを添加した焼結体は、Li由来のLi元素により、“Li元素の補充”が得られることとなり、遮蔽性能面での有利さも有することとなったと推測される。
また、LiF-MgF-CaF三元系にガドリニウム化合物を添加する場合についても同様に、上記した3種のガドリニウム化合物、すなわちGd、Gd(OH)、又はGdFを個別に一定量添加して上記と同様に小型焼結試験を行った。
その結果の一例として、図6にGdを添加した場合を示した。
ガドリニウム化合物の添加によって三元系と同等の高密度な焼結体が得られ、良好な焼結性を呈した。また、種類の異なる個別の化合物添加による相対密度の値に明確な差は認められなかった。
この様な、LiF-MgF-CaF三元系、同三元系にホウ素化合物、又はガドリニウム化合物を添加した場合に関する予備的な小型焼結試験結果を踏まえて、次に、大型装置での実施例を実施することとした。
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、これら実施例は単なる一例であって、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
焼結体から採取した試料を用いて各種の特性評価試験を行った。焼結体の焼結条件及び焼結体の特性評価試験結果を図8に示す。
ここで、焼結体について行う特性評価試験方法を説明しておく。
機械加工強度の評価指数としては、曲げ強度、ビッカース硬度を採用した。
曲げ強度の準備試料は、JIS C2141に準拠して作製した。試料寸法を4mm×46mm×t3mmとし、その上下二面を光学研磨しておいた。この準備試料に対し、3点曲げ試験をJIS R1601に準拠して実施した。
ビッカース硬度は、島津製作所製の商品名“Micro Hardness Tester ”を使用し、荷重100g、荷重時間5秒で圧子を押し付け、圧痕の対角長を測定し、下記の硬度換算を行った。
硬度=0.18909×P/(d)
ここで、P:荷重(N)、 d:圧痕の対角線長さ(mm)
焼結体の曲げ強度、ビッカース硬度は、焼結体の密度(すなわち、相対密度)だけで定まるものではなく、具体的には、上記した図3に示したように「密度」に加えて「鉱物組織」、「残留応力」、「気泡」などの要因によって定まるものである。
そのため、成分系が異なれば、曲げ強度、ビッカース硬度の数値限定範囲が異なることとなる。ここでは、前者の方は同じフッ化物系化合物から成り、後者の方はフッ化物と他の化合物との混合物系であり、前者の同じフッ化物系同士の混合物の方が機械加工強度は高くなる傾向がみられた。
遮蔽性能の評価に関しては、従来からBNCT関連の開発チームでは、粒子・重イオン輸送計算コード(「PHITS」と称す)を用いた
に記載のモンテカルロ輸送解析によって中性子発生装置の設計・製作と、施設の遮蔽性能評価を行っている。 焼結体に関する中性子遮蔽性能の評価については同じ解析手法で行うこととした。
図7に、上記した小型焼結試験で得られた各種の焼結体について、遮蔽性能に関するシミュレーションを実施した結果を示す。
具体的には、焼結体の組成・成分、相対密度などの特性値を入力し、焼結体の機械加工後の厚さ、すなわち中性子遮蔽材の厚さを変化させつつ、熱中性子が主体の照射ビーム(焼結体の入射点における熱中性子束が1.0E+09:一定)を焼結体に入射させ、透過後の出射点における熱中性子束を比較する方法([出射熱中性子束] / [入射熱中性子束]=[熱中性子減衰率])とした。遮蔽材として要求される熱中性子減衰率(1/100)に達する焼結体厚さ(単位mm)が薄ければ薄い程、その焼結体の遮蔽性能が高いこととなる。
なお、焼結体の厚さの上限については、[課題を解決するための手段及びその効果]の欄に記述したように、「厚い方の限界は、BNCT装置の構造上の制約として、例えば、治療用ビーム照射口と患者患部の隙間での漏洩放射線防止用では、照射口から100mmを超えると、治療用ビームのエネルギーロスが大きくなると認められ、100mm以下が望ましいと判断された。
ただし、減速体系外周からの漏洩放射線の漏洩防止用の遮蔽材の場合、あくまでも求められる遮蔽性能が得られる厚さが求められ、遮蔽材の厚さの上限は無く、」であるが、患者患部近傍で使用することを前提とすると、厚さの上限は100mmとなる。
したがって、要求される遮蔽性能(ここでは、熱中性子減衰率が1/100となる焼結体厚さ(単位mm))は、100mm以下に制限される。
以下の実施例、比較例に示すように成分系がLiF-MgF-CaF三元系で、LiF配合率が5wt.%の場合の遮蔽性能(すなわち、熱中性子減衰率が1/100となる焼結体厚さ)がちょうど100mmとなることから、LiF配合率は5wt.%以上が求められる。
図8に示す各焼結体の“総合評価(◎:優、○:良好、△:難点あり、×:不合格)”は、上記した焼結体の密度及び機械加工強度の結果とシミュレーション計算の結果を基に総合的に評価したものである。
実施例中の成分系がLiF-MgF-CaF三元系でLiF配合率が50wt.%以上の焼結体の熱中性子遮蔽性能は、市販の遮蔽材商品の中で最も優れた中性子遮蔽性能を有すると評価されている“ポリチレン50wt.%、LiF粉体50wt.%の混合物(以下、「LiF+PE」(比較材)と略す)”と比べても熱中性子遮蔽性能が高く(熱中性子減衰率が1/100となる遮蔽材厚さが薄く)、極めて優れた遮蔽性能を有するものである。
[実施例1]
原料として高純度のLiF(天然産Liを使用):98.8wt.%、MgF :0.8wt.%、CaF :0.4wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:420mm×420mm×t150mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約420mm×420mm×t90mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約406mm×406mm×t85mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約389mm×389mm×t81mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から490℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、363mm×363mm×t76mmであった。
以下、[実施例]、[比較例]における仮焼結工程、一次焼結工程及び二次焼結工程の雰囲気ガスの圧力条件は、いずれも“常圧”とした。
焼結体の嵩密度は、概略寸法と重量とから、2.514g/cm3と算出された。その相対密度は、組成比から計算される真密度が2.646g/cm3であるため、95.0%となった。
ここで言う“嵩密度”は、焼結体の外観が、平面視で正方形形状であるため、計測したその正方形の2辺と厚さから嵩体積を求め、別に計測した重さを前記嵩体積で除して求める方法を採用した。以下、同様に行った。
この焼結体から採取した試料を用いて各種の特性評価試験を行った。
その結果を図8に示す。
上記したとおり、遮蔽材用の焼結体に要求される遮蔽性能(ここでは、熱中性子減衰率が1/100となる焼結体厚さ(単位mm))は、100mm以下であるのに対し、本実施例の遮蔽性能は15mmとなった。
現在使用されている遮蔽材の中で最も遮蔽性能が高い、と賞される“LiF粉体50wt.%とポリエチレン50wt.%の混合物(以下、「LiF+PE」と略す)”の遮蔽性能が25mmであることを考慮すると、本実施例1の遮蔽性能:15mmは、「極めて優れた遮蔽性能」であることが分かる。また、焼結体の相対密度、機械加工強度などのその他の物理的特性に関しても良好なものであった。
なお、上記の「LiF+PE」の遮蔽性能:25mmのシミュレーション計算の前提条件は、LiF粉体がポリエチレン(樹脂)中に均一に分散し、且つ同粉体の粒度分布は一定と仮定するなど、遮蔽材として理想的な組織・構造であると仮定した値である。
通常、このようなポリエチレン樹脂の中にLiFなどの無機材料の粉末を混練する場合は、粉末をより均一に分散させるために、表面活性剤などの分散剤を使用するものであるが、この遮蔽材用途では不純物汚染は厳禁であり、使用することが出来ない。
そのため、LiF粉末はポリエチレン樹脂の中では、均一分散性に優れず、偏在していることが容易に類推される。このような偏在があるような場合、遮蔽性能が局所的にばらつくことから、全体の遮蔽性能は低下すると見込まれる。
したがって、実際の「LiF+PE」の遮蔽性能はここで用いた25mmよりも大きい値(もう少し遮蔽性能が劣る)である可能性が極めて高い、と言える。
[実施例2]
原料として高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF:6.3wt.%、CaF :3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約275mm×275mm×t89mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き620℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の嵩密度は、2.584g/cm3と算出された。その相対密度は、組成比から計算される真密度が2.692g/cm3であるため、96.0%となった。
本実施例2の焼結体の遮蔽性能は16mmと規格内(100mm以下)であり、しかも、比較材である“「LiF+PE」”と比べても良好であり、優れた遮蔽性能を有するものであった。また、機械加工強度に関しても問題のない良好なものであった。
[実施例3]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約289mm×289mm×t94mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×274mm×t88mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き620℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、259mm×259mm×t85mmであった。
焼結体の相対密度は96.9%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例4]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):21.0wt.%、MgF :49.8wt.%、CaF :29.2wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:250mm×250mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約250mm×250mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約242mm×242mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約229mm×229mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き620℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、217mm×217mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、98.8%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例5]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):9.0wt.%、MgF :57.3wt.%、CaF :33.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:450mm×450mm×t130mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約450mm×450mm×t60mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約431mm×431mm×t57.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で410℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約409mm×409mm×t54.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から510℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、388mm×388mm×t49mmであった。
焼結体の相対密度は、97.2%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例6]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):5.3wt.%、MgF :59.7wt.%、CaF :35.0wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で420℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、96.6%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例7]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を平面視で円形の木製の型枠(型寸法:φ550mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約φ550mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約φ531mm×t94mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約φ503mm×t90mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、φ477mm×t83mmであった。
この円盤形状の焼結体の相対密度は、95.6%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例8]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を平面視でリング形状の木製の型枠(型寸法:外φ350mm×内φ100mm×t200mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約外φ350mm×内φ100mm×t120mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約外φ337mm×内φ96mm×t111mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約外φ317mm×内φ93mm×t106mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、大気雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、外φ300mm×内φ88mm×t100mmであった。
このリング形状の焼結体の相対密度は、96.2%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例9]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を5.5MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧5.5MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で350℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き580℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t83mmであった。
二次焼結後の焼結体の相対密度は93.0%であり、規定の相対密度92%を上回るもののやや低めの値であった。
そこで、この焼結体をホットプレス機を用いて真空雰囲気中で加熱し、540℃に0.25Hr保持しながら加圧プレスで0.05MPaの荷重を掛けて熱間成形し、その荷重を止めてから加熱を止め、炉冷で規定のワーク取り出し温度100℃以下になってから焼結体を取り出した。
このホットプレス後の焼結体の相対密度は98.9%と良好であった。また、機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例10]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF:18.9wt.%、CaF:11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ホウ素化合物として同位体10Bを96%に濃縮した濃縮型ホウ素原料を使用した高純度のホウ酸(B(OH))とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を10Bとして0.5wt.%添加(同ホウ酸を3.85wt.%添加)し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を5.5MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧5.5MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約292mm×292mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き610℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t84mmであった。
二次焼結後の焼結体の相対密度は92.4%であり、規定の相対密度92%を上回るもののやや低めの値であった。
そこで、ホットプレス機を用いて真空雰囲気中で加熱し、570℃に0.25Hr保持しながら加圧プレスで0.10MPaの荷重を掛けて熱間成形し、その荷重を止めてから加熱を止め、炉冷で規定のワーク取り出し温度100℃以下になってから焼結体を取り出した。
このホットプレス後の焼結体の相対密度は99.4%と良好であった。また、機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例11]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ホウ素化合物として天然ホウ素原料である高純度の四ホウ酸リチウム(Li)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.0wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き640℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、95.6%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例12]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、94.0%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例13]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):70.0wt.%、MgF :18.9wt.%、CaF :11.1wt.%から成る多元系フッ化物と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体157Gdとして1.56wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、95.5%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例14]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):5.3wt.%、MgF :59.7wt.%、CaF :35.0wt.%と、ホウ素化合物として天然ホウ素原料である高純度の四ホウ酸リチウム(Li)と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.5wt.%添加し、さらに同ガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この混合原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で420℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、94.3%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例15]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):9.0wt.%、MgF :57.3wt.%、CaF :33.7wt.%と、ホウ素化合物として天然ホウ素原料である高純度の四ホウ酸リチウム(Li)とを各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、前記多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.5wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で420℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、95.2%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
[実施例16]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):9.0wt.%、MgF:57.3wt.%、CaF:33.7wt.%と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、多元系フッ化物に対してガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で420℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、大気雰囲気中で、室温から520℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き700℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で10時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t81mmであった。
焼結体の相対密度は、96.0%と算出された。また、焼結体の機械加工強度及び中性子遮蔽性能ともに良好であった。
なお、上記実施例では、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物を使用した例は挙げなかったが、これらフッ化物の使用は、当業者であれば、容易に想到するフッ化物の範囲であり、本件発明を構成する技術的思想の範囲内のものであることに変わりはない。
[比較例1]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):3.0wt.%、MgF :61.1wt.%、CaF :35.9wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t81mmであった。
焼結体の相対密度は、96.7%と算出された。焼結体の機械加工強度は良好であったが、中性子遮蔽性能は著しく劣るものであった。
[比較例2]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):4.5wt.%、MgF:60.2wt.%、CaF:35.3wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を20MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧20MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から500℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き625℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t81mmであった。
焼結体の相対密度は、97.0%と算出された。焼結体の機械加工強度は良好であったが、中性子遮蔽性能は著しく劣るものであった。
[比較例3]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):91.5wt.%、MgF:5.4wt.%、CaF:3.1wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を5MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧5MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から460℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き560℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、91.2%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
[比較例4]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):100wt.%を上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を4MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き560℃まで4時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で4時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、91.0%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
[比較例5]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF:6.3wt.%、CaF:3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を4MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から450℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き550℃まで4時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で4時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、90.2%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
[比較例6]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF:6.3wt.%、CaF:3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を4MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で380℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t91mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から460℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き570℃まで4時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で4時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82.5mmであった。
焼結体の相対密度は、90.7%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
[比較例7]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF:6.3wt.%、CaF:3.7wt.%を、上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を4MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧4MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t91mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から470℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き570℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、91.0%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
[比較例8]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF:6.3wt.%、CaF:3.7wt.%と、ホウ素化合物として前記実施例10に示した同位体10Bを96%に濃縮した濃縮ホウ素原料を使用した高純度のホウ酸(B(OH))とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項に記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、前記多元系フッ化物に対して同ホウ素化合物を同位体10Bとして1.5wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を3MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧3MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約292mm×292mm×t95mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で400℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t91mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から480℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き570℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t83mmであった。
焼結体の相対密度は、89.5%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。
[比較例9]
原料として、上記実施例1と同様に、高純度のLiF(天然産Liを使用):90.0wt.%、MgF :6.3wt.%、CaF :3.7wt.%と、ガドリニウム化合物として天然ガドリニウム原料である高純度の酸化ガドリニウム(Gd)とを、各々個別に上記した[発明を実施するための形態]の項で記述したボールミルを使用した方法で2週間粉砕し、前記多元系フッ化物に対して同ガドリニウム化合物を同位体157Gdとして0.52wt.%添加し、混合後にさらに1週間粉砕し、この粉砕原料に純水を3wt.%添加し、混練したものを出発原料とした。
この出発原料を木製の型枠(型寸法:300mm×300mm×t180mm)内に充填し、一軸プレス機を用いて、一軸プレス圧を10MPa掛けて圧縮、成形した。
このプレス成形体(寸法:約300mm×300mm×t100mm)を厚手のビニール袋内に入れ、脱気、封入したものを冷間等方加圧成形(CIP)機の成形部に装填した。
このプレス成形体が入った前記ビニール袋と前記CIP機成形部との隙間に上水を満たし、その上水に成形圧10MPaの等方加圧を掛け、CIP成形による成形体(寸法:約290mm×290mm×t94.5mm)を形成した。
このCIP成形体を仮焼結炉に入れ、大気雰囲気中で390℃、6時間の仮焼結を実施し、寸法:約274mm×275mm×t90.5mmの仮焼結体とした。
この仮焼結体を焼結炉に入れ、窒素ガス雰囲気中で、室温から470℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持し(一次焼結)、引き続き630℃まで6時間掛けて一定速度で昇温させ、同温度で6時間保持した(二次焼結)。
この後、加熱を停止して100℃まで自然冷却し(冷却時間は約一昼夜)、その後、焼結炉から取り出した。焼結状態は良好で、概略寸法は、260mm×260mm×t82mmであった。
焼結体の相対密度は、90.5%と算出され、規定の値(92%以上)を下回るものであった。焼結体の中性子遮蔽性能は良好であったが、機械加工強度が著しく劣るものであった。

また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(1)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(2)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(3)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(4)は、
高純度LiF原料、
及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物原料
及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
その後、当該混合し、二次粉砕した配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)
混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(6)は、上記放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(3)又は放射線遮蔽材用焼結体の製造方法(4)において、
LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ガドリニウム化合物原料を、天然ガドリニウム原料中のガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加することを特徴としている。

Claims (16)

  1. LiFを99wt.%~5wt.%の範囲で含み、MgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物を1wt.%~95wt.%の範囲で含み、相対密度が92%以上、曲げ強度が50MPa以上、ビッカース硬度が100以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
  2. 請求項1に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、B、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
  3. 請求項1に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、Gd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
  4. 請求項1に記載のLiFを主相とする多元系フッ化物に対し、さらに、B、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、さらに、Gd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、相対密度が92%以上、曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬度が80以上の物理特性を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体。
  5. 放射線が中性子線であることを特徴とする請求項1~4のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体。
  6. 請求項1~5のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体に機械加工が施されて形成されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材。
  7. 放射線照射場における、焼結体に機械加工が施されて形成された遮蔽材の厚さが100mm以下で、遮蔽材から出射される熱中性子束(N1)を、遮蔽材に入射する熱中性子束(N0)で除した値、すなわち熱中性子減衰率(N1/N0)が100分の1以下である熱中性子遮蔽性能を備えていることを特徴とする請求項6記載の放射線遮蔽材。
  8. 高純度LiF原料、
    及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料を、
    各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
    その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
    さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
    その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)、
    混錬した配合原料を一軸プレス成形機を用いて5MPa以上のプレス圧で成形する工程(一軸プレス成形工程)、
    プレス成形品を冷間等方加圧成形(CIP)機を用いて5MPa以上の水圧を掛けて成形する工程(CIP成形工程)、
    CIP成形品を常圧大気雰囲気中で350~470℃の温度範囲で加熱して仮焼結を行う工程(仮焼結工程)、
    仮焼結体を常圧大気雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中で480~560℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(一次焼結工程)、
    引続き、前工程と同じ常圧、同雰囲気中で570~800℃の温度範囲で加熱して焼結体を形成する工程(二次焼結工程)、
    を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  9. 高純度LiF原料、
    及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
    及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物原料を、
    各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
    その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
    さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
    その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
    その他の後工程は、請求項8記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  10. 高純度LiF原料、
    及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
    及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
    各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
    その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
    さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
    その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
    その他の後工程は、請求項8記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  11. 高純度LiF原料、
    及び、いずれも高純度のMgF、CaF、AlF、KF、NaF、及び/又はYFの内から選ばれた1種以上のフッ化物原料、
    及び、そのホウ素(B)源として天然ホウ素原料及び、または同位体10Bを濃縮したホウ素原料からなるいずれも高純度のB、B(OH)、LiB又はLiの内から選ばれたホウ素化合物原料
    及び、ガドリニウム(Gd)源が天然ガドリニウム原料からなる、いずれも高純度のGd、Gd(OH)又はGdFの内から選ばれたガドリニウム化合物原料を、
    各々個別に、微粉砕(一次粉砕)して各々の平均粒径をメディアン径で8μm以下とし、
    その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
    さらに微粉砕(二次粉砕)して平均粒径をメディアン径で6μm以下とし、
    その後、当該配合原料に純水を3wt.%添加し、混練する工程(原料配合工程)を備え、
    その他の後工程は、請求項8記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法と同様の工程を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  12. LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ホウ素化合物原料を、ホウ素同位体10Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加することを特徴とする請求項9又は請求項11記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  13. LiFとLiF以外のフッ化物とからなる多元系フッ化物原料に対し、前記ガドリニウム化合物を、天然ガドリニウム原料中のガドリニウム同位体157Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加することを特徴とする前記請求項10又は請求項11記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  14. 請求項8記載の二次焼結工程の後に、さらに、真空雰囲気中または常圧不活性ガス雰囲気中、450~700℃の温度範囲で、一軸成形圧0.05MPa以上で加熱加圧成形する工程(ホットプレス工程)を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  15. 放射線が、中性子線であることを特徴とする請求項8~14のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法。
  16. 請求項8~15のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体の製造方法によって製造された放射線遮蔽材用焼結体に、さらに機械加工を施すことによって、放射線遮蔽材を形成することを特徴とする放射線遮蔽材の製造方法。

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