JP2022162527A - 電子写真用部材および電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真用部材および電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長時間に亘って電圧印加した場合にも、裏面ρsの低下が小さく、長期に亘り、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真用部材、および長期に亘り、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真画像形成装置の提供。【解決手段】基層と、該基層上の弾性層とを有する電子写真用部材であって、該弾性層は、マトリックスゴムと、アニオンとカチオンとを含むイオン液体と、無機層状複水酸化物とを含み、該アニオンは、構造式(1)~(3)からなる群から選択される少なくとも1つであり、該カチオンは、構造式(4)~(7)からなる群から選択される少なくとも1つであり、該無機層状複水酸化物は、XRDで測定される層間距離の平均値が4Å以上8Å以下である。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真用部材、及び該電子写真用部材を具備した電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置に対しては、紙の秤量が300g/mを超える厚紙やエンボス紙の如き表面が平滑でない記録媒体に対しても高品位な電子写真画像を形成できることが求められている。しかしながら、表面が平滑でない記録媒体の当該表面に電子写真画像を形成する場合、当該表面の凹部にトナーが十分に転写されない場合があった。このような課題に対しては、記録媒体の表面形状への追従性に優れた、弾性層を有する中間転写ベルトの使用が有効である。特許文献1は、このような中間転写ベルトに用い得る電子写真用部材を開示している。具体的には、基材と、該基材上の弾性層とを有し、該弾性層がシリコーンゴムとイオン液体とを含み、該イオン液体が、ジメチルシロキサン鎖で変性されたカチオンとアニオンとを含む電子写真用部材を開示している。
特開2018-194822号公報
近年の電子写真画像形成装置に対するより一層の耐久性の向上の要求に伴って、電子写真用部材に対しても、長期の使用によっても特性が変化しないことが求められている。ここで、本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る電子写真用部材を中間転写ベルトとして電子写真画像形成装置に装着し、長期に亘る電子写真画像の形成に供したところ、電子写真画像の品位の低下が認められる場合があった。
本開示の一様態は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真用部材の提供に向けたものである。また、本発明の別の態様は、長期に亘って、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、基層と、該基層上の弾性層とを有し、
該弾性層は、マトリックスゴムと、アニオンとカチオンと、無機層状複水酸化物とを含み、
該アニオンは、構造式(1)~(3)からなる群から選択される少なくとも1つであり、該カチオンは、構造式(4)~(7)からなる群から選択される少なくとも1つであり、該無機層状複水酸化物は、XRDで測定される層間距離の平均値が4Å以上8Å以下
である電子写真用部材が提供される。
Figure 2022162527000001
(構造式(3)中、Xはハロゲン元素を表す。)
Figure 2022162527000002
(構造式(4)および(5)中、R~Rは、各々独立に、炭素数6~16のアルキル基、炭素数6~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基またはカルボキシル基を表す。)
Figure 2022162527000003
(構造式(6)および(7)中、R~Rは、各々独立に、炭素数数4~16のアルキル基、炭素数4~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基、またはカルボキシル基を表す。R~R10は、各々独立に、炭素数1~16のアルキル基を表す。
11は、置換基を有していてもよい炭素数1~16のアルキレン基を表す。該アルキレン基は、-Ph-、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-NR-(Rは炭素数1~6のアルキル基を表す)から選択される基を介した構造であってもよい。
mは、1以上16以下の整数を表す。)。
本開示の別の態様によれば、前記電子写真用部材を、中間転写部材として具備することを特徴とする電子写真用画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真用部材を得ることができる。また、本開示の他の態様によれば、長期に亘り、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真画像形成装置を得ることができる。
(a)本開示の一態様に係る、エンドレス形状の電子写真用部材の斜視図である。(b)図1(a)に示す電子写真用部材の周方向に直交する断面図である。 フルカラー電子写真画像形成装置の一例を示す概略図である。
特許文献1に係る電子写真用部材を中間転写ベルトとして用いたときに、電子写真画像の品位が経時的に変化した理由を本発明者らは以下のように推測した。すなわち、特許文献1に係る弾性層は、アニオン及びカチオンがマトリックスであるシリコーンゴム中に存在している。このような弾性層を備えた電子写真用部材に対して長期に亘って一次転写電圧が印加された場合、カチオンが負極側に、アニオンが正極側に移動していくと考えられる。トナーが負帯電性トナーである場合、中間転写ベルトへの一次転写電圧は、通常、中間転写ベルトの基材がプラス、電子写真感光体がマイナスとなるように印加される。そのため、弾性層中のアニオンは、当該弾性層の基材側の界面に移動していく。ここで、カチオンは、シリコーンゴムの酸素原子の非共有電子対との相互作用により、弾性層中における移動が制限される。一方、アニオンは、上記したカチオンが受ける移動の制限を受けにくい。そのため、弾性層中の移動性が高く、オンは、弾性層の基材側の界面近傍に偏在し易い。その結果、電子写真用部材の基材の弾性層が形成されている側とは反対側の面(以降、「裏面」ともいう)の表面抵抗(以降、「裏面ρs」ともいう)が低くなる傾向がある。そして、裏面ρsが低下した中間転写ベルトにおいては、基材の裏面をその周方向に転写電流が流れ、一次転写部の近傍においても感光体から中間転写ベルトにトナーが転写される。すなわち、中間転写ベルトのトナー像担持面の、本来トナーが転写されるべきではない部分にもトナーが付着することとなる。そのため、電子写真画像の品位が低下する。一方、弾性層中のアニオンの移動を過度に制限することは、弾性層の導電性の低下を招来することとなる。そこで、本発明者らは、弾性層中のアニオンの移動を過度に制限することなく、弾性層中のアニオンの基材側への偏在を抑制することについて検討を重ねた。その結果、特定のカチオン、特定のアニオン、及び無機層状複水酸化物と、を含む弾性層が、上記の目的の達成に有効であることを見出した。
すなわち、本開示の一態様に係る電子写真用部材は、基材と、該基材上の弾性層とを有する。該弾性層は、マトリックスとしてのゴム、アニオン、カチオン、及び無機層状複水酸化物を含む。該アニオンは、下記構造式(1)~(3)からなる群から選択される少なくとも1つである。なお、以降、無機層状複水酸化物を、単に「層状化合物」と称する場合がある。
Figure 2022162527000004
(構造式(3)中、Xはハロゲン元素を表す。)
該カチオンは、構造式(4)~(7)からなる群から選択される少なくとも1つである。
Figure 2022162527000005
(構造式(4)および(5)中、R~Rは、各々独立に、炭素数6~16のアルキル基、炭素数6~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基またはカルボキシル基を表す。)
Figure 2022162527000006
(構造式(6)および(7)中、R~Rは、各々独立に、炭素数4~16のアルキル基、炭素数4~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基、またはカルボキシル基を表す。R~R10は、各々独立に、炭素数1~16のアルキル基を表す。R11は、置換基を有していてもよい炭素数1~16のアルキレン基を表す。該アルキレン基は、-Ph-、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-NR-(Rは炭素数1~6のアルキル基を表す)から選択される基を介した構造であってもよい。mは、1以上16以下の整数を表す。)。
さらに、該層状化合物は、XRDで測定される層間距離の平均値が4オングストローム(Å)以上、8Å以下である。
このような電子写真用部材によれば、長期に亘る電圧印加によっても基材の裏面ρsの低下を抑制できる理由は以下のように考えられる。XRDによって測定される層間距離が4~8Åの層状化合物は、層間距離が上記アニオンのサイズよりも大きく、かつ、上記カチオンのサイズよりも小さいと考えられる。
そのため、上記アニオンを選択的に捕捉できる。また、層状化合物によるアニオンの捕捉量が増えるにつれて、層状化合物自体が負電荷を帯びていき、電荷的に不安定となり、アニオンを放出する。つまり、本開示に係る弾性層中において、層状化合物によるアニオンの捕捉と層状化合物からのアニオンの放出との平衡状態が形成されていると推測される。このようにして、弾性層中のアニオンの移動を制御することができることにより、基材の裏面ρsの経時的な低下を抑制し得るものと考えられる。また、弾性層中の導電性発現に必要なアニオン量を維持し得ることにより、弾性層の導電性の過度の低下を招来し難い。
なお、層状化合物の層間にアニオン及びカチオンが共に捕捉された場合、層状化合物の層間においてアニオンとカチオンとが結合して安定化する。この安定化により上記した層状化合物によるアニオンの捕捉と層状化合物からの放出との平衡状態は形成され難いと考えられる。そして、アニオンとカチオンとが共に取り込まれた層状化合物は、さらなるアニオンの捕捉が困難となり、弾性層中のアニオンの移動の調整機能を果たさなくなると考えられる。
以下に、本開示に係る電子写真用部材の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<電子写真用部材>
本開示に係る電子写真用部材は、基層と、該基層上の弾性層とを有する。電子写真用部材の形状は、特に限定されず、例えば、円筒状、円柱状またはエンドレスベルト形状を取り得る。図1(a)は、本開示の一態様に係る、エンドレス形状を有する電子写真用部材(以降、「電子写真用ベルト」ともいう)200の斜視図である。また、図1(b)は、図1(a)に示す電子写真用ベルトの周方向に直交する断面図である。電子写真用ベルト200は、エンドレス形状の基層202と、その外周面上に形成された弾性層201とで構成されている。なお、必要に応じて、弾性層201の外周面上にさらに不図示の表面層を設けることもできる。
電子写真用部材の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上2.0×1011Ω・cm以下であることが好ましい。
<基層>
基層としては、電子写真用部材の形状に対応して、円筒状、円柱状またはエンドレスベルト形状を有するものを用い得る。基層の材質としては、耐熱性および機械的強度に優れる材質であれば特に制限はない。例えば、無機系材料として、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルの如き金属、ステンレス、真鍮の如き合金、アルミナ、炭化珪素の如きセラミックスを挙げることができる。
また有機系材料として、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂などの樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイドの如き樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、ポリイミドの如き樹脂が挙げられる。
なお、基層の材質として熱硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂を用いる場合には、金属粉末、導電性酸化物粉末、導電性カーボンの如き導電性粉体を添加して導電性を付与してもよい。基層の好ましい体積抵抗率としては、例えば、1.0×10Ω・cm以上、1.0×1011Ω・cm以下である。また、基層の好ましい表面抵抗率としては、例えば、3.0×10Ω/□以上、3.0×1012Ω/□以下である。
基層の材質としては、柔軟性および機械強度に優れる樹脂が特に好適である。中でも、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂、特に導電性粉体としてのカーボンブラックを含むポリエーテルエーテルケトン、および、導電性粉体としてのカーボンブラックを含むポリイミドが好適に用いられる。また、エンドレス形状の基層の厚さとしては、例えば、10μm以上500μm以下、特には30μm以上150μm以下である。
<弾性層>
弾性層は、マトリックス材料としてのゴム(マトリックスゴム)と、該ゴム中に分散されたアニオン、カチオン、層状化合物とを含む。より具体的には、ゴムの原料(ベースポリマー、架橋剤等)と、アニオンとカチオンとを含むイオン液体と、層状化合物とを少なくとも含む組成物を硬化させた硬化物から構成される。
マトリックスゴムとしては、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、構造中に非共有電子対を有する酸素構造を多数有するためにカチオンと作用し易い。ゆえに、カチオンの移動速度が低下し易く、カチオン・アニオンの移動速度差が付き易いため、本開示の効果が出易い点で好ましい。また、シリコーンゴム組成物は液状のものが多いため、添加される材料の種類や添加量に応じて、その架橋度を調整することで、作製する弾性層の弾性を調整し易いため好ましい。以下、シリコーンゴムについて説明する。
シリコーンゴムは、付加硬化型液状シリコーンゴムを硬化させた硬化物である。一般に、付加硬化型液状シリコーンゴムは、下記(a)、(b)および(c)成分を含む。
(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン;
(b)ケイ素原子に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン;
(c)架橋触媒としての白金化合物。
上記(a)成分である、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとしては、以下のものが挙げられる。
・分子両末端が(Ra)RbSiO1/2で表され、中間単位が(Ra)SiOおよびRaRbSiOで表される直鎖状オルガノポリシロキサン;
・中間単位にRaSiO3/2またはSiO4/2を含む分岐状オルガノポリシロキサン。
ここで、Raは、上記式中のケイ素原子に結合した、不飽和脂肪族基を含まない非置換または置換の1価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、具体的に、以下のものが挙げられる。
・アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等);
・アリール基(フェニル基、ナフチル基等)。
該炭化水素基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基;シアノ基等が挙げられる。置換炭化水素基としては、具体的に、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-シアノプロピル基、3-メトキシプロピル基等が挙げられる。これらの中でも、合成や取扱いが容易で、優れた耐熱性が得られることから、Raの50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのRaがメチル基であることがより好ましい。
また、Rbは、上記式中のケイ素原子に結合した不飽和脂肪族基を表す。不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基が例示される。これらの中でも、合成や取扱いが容易で、シリコーンゴムの架橋反応が進行しやすいことから、ビニル基が好ましい。
上記(b)成分である、ケイ素原子に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは、(c)成分である白金化合物の触媒作用により、該(a)成分が有する不飽和脂肪族基と反応して架橋構造を形成する架橋剤である。(b)成分中のケイ素原子に結合した活性水素の数は、1分子中に平均3個を越える数であることが好ましい。
(b)成分であるケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン中の、ケイ素原子に結合した有機基としては、(a)成分のRaと同じ、不飽和脂肪族基を含まない非置換または置換の1価の炭化水素基が例示される。特に、合成および取扱いが容易であることから、該有機基としてはメチル基が好ましい。ケイ素原子に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンの分子量は特に限定されない。
また、(b)成分の25℃における粘度は、10mm/s以上100,000mm/s以下が好ましく、15mm/s以上1,000mm/s以下がより好ましい。該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が上記範囲内であれば、保存中に揮発して所望の架橋度や成形品の物性が得られないということがなく、また合成や取扱いが容易となり、系中に均一に分散させやすくなる。
(b)成分のシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、これらの混合物を用いてもよい。特に合成の容易性の観点から、直鎖状のものが好ましい。また、(b)成分において、Si-H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよいが、少なくともその一部が、(Ra)HSiO1/2単位のような分子末端のシロキサン単位に存在することが好ましい。
付加硬化型液状シリコーンゴムとしては、不飽和脂肪族基の量が、ケイ素原子1モルに対して0.1モル%以上、2.0モル%以下であるものが好ましく、0.2モル%以上、1.0モル%以下であるものがより好ましい。
上記(c)成分としては、公知の白金化合物を用いることができる。
弾性層の硬さは、タイプA硬さで20度以上80度以下であることが好ましく、45度以上80度以下であることがより好ましい。
また、弾性層の厚さは、機械的強度と柔軟性を考慮して、50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上400μm以下であることがより好ましい。
<プライマー>
基層および弾性層をより強固に接着するため、基層の外表面に、適宜プライマーを塗布しても良い。ここで用いられるプライマーとは、有機溶剤中に、シランカップリング剤、シリコーンポリマー、水素化メチルシロキサン、アルコキシシラン、反応促進触媒、ベンガラの如き着色剤が、適宜配合分散された塗料である。該プライマーとしては、市販品を用いることができる。プライマー処理は、このプライマーを基層の外表面に塗布し、乾燥または焼成させることによって行われる。プライマーは、基層の材質、弾性層の種類または架橋反応の形態によって適宜選択可能である。特に、弾性層が不飽和脂肪族基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基との反応により接着性を付与するために、ヒドロシリル基を含有するプライマーが好適に用いられる。このような特徴を持つ市販のプライマーとして、DY39-051A/B(東レ・ダウコーニング株式会社製)が挙げられる。
また、弾性層がヒドロシリル基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基を含有するプライマーが好適に用いられる。このような特徴を持つ市販のプライマーとして、DY39-067(東レ・ダウコーニング株式会社製)が挙げられる。プライマーとしてはそのほかにも、アルコキシ基を含有するものも挙げられる。また、基層表面に紫外線照射等の表面処理を施すことで、基層と弾性層との架橋反応を補助し、より接着力を強めることができる。また、上記以外のプライマーとしては、X-33-156-20、X-33-173A/B、X-33-183A/B(信越化学工業株式会社製)や、DY39-90A/B、DY39-110A/B、DY39-125A/B、DY39-200A/B(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
<アニオン>
アニオンは、下記構造式(1)~(3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
Figure 2022162527000007
構造式(3)中、Xは、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン元素である。
構造式(1)および(2)で示されるアニオンは、フッ素を多く含むために水の影響を受けにくく、電子写真用部材として用いる際に、使用環境における湿度影響を受けにくい点で好ましい。また、構造式(1)および(2)で示されるアニオンは、電子が非局在化しているためにカチオンとの作用が弱く、層状化合物の層間にアニオンのみが捕捉され易い点でも好ましい。とりわけ、構造式(1)で示されるアニオンは、電子がより非局在化していてカチオンとの作用がより弱いため、より好ましい。なお、上記アニオンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、弾性層は、本開示の効果の発現を妨げない範囲で、必要に応じて上記アニオン以外のアニオンを含んでいてもよい。例えば、使用する弾性層マトリックスゴムと親和性が高いアニオンを含む場合、該弾性層はより均一な導電性を発現する。
なお、本開示に係る弾性層は、構造式(1)~(3)で示される化合物以外のアニオン、特には、層状化合物によって捕捉されないような他のアニオンは実質的に含まないことが好ましい。なお、当該他のアニオンの有無は、例えば、以下の方法によって確認することができる。すなわち、弾性層から採取したサンプルをメタノールに所定の時間浸漬して、該サンプルに含まれるアニオン、カチオンを抽出する。次いで、該抽出液を液体イオンクロマトグラフィ質量分析計を用いて質量分析を行う。そして、弾性層の作成に用いたアニオンのピーク及び当該アニオンの分解物のピーク以外のピークの有無を確認する。そして、弾性層の作成に用いたアニオンのピーク及び当該アニオンの分解物のピーク以外のピークが観察されなければ、他のアニオンは含まれていないものと判断できる。
また、質量分析の結果、他のアニオンに由来のピークが観測された場合は、さらに核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外分光法(IR)を行って他のアニオンの構造を特定することができる。
<カチオン>
カチオンは、下記構造式(4)~(7)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。これらのカチオンは、燐原子もしくは窒素原子周りの3次元構造に起因する嵩高さにより、層状化合物に捕捉され難い。
Figure 2022162527000008
構造式(4)および(5)中、R~Rは、各々独立に、炭素数6~16のアルキル基、炭素数6~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基またはカルボキシル基を表す。特には、R~Rの全てが、炭素数6~16の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル基及びベンジル基からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。
Figure 2022162527000009
構造式(6)および(7)中、R~Rは、各々独立に、炭素数4~16のアルキル基、炭素数4~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基、またはカルボキシル基を表す。アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。特には、R~Rの全てが炭素数4~16の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル基及びベンジル基からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。
~R10は、各々独立に、炭素数1~16のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R11は、ホスホニウム構造もしくはアンモニウム構造と、ジメチルシロキサン鎖との連結基であり、置換基を有してもよい炭素数1~16のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。R11としては、例えば、後述する実施例で述べるホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩とポリジメチルシロキサンのカップリング反応により得られる形態のものが挙げられる。該アルキレン基は、-Ph-(フェニレン)、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-NR-(Rは炭素数1~6のアルキル基を表す)から選択される基を介した構造であってもよい。
m(ジメチルシロキサン鎖の長さ)は、1以上16以下の整数である。mが16以下であれば、イオン液体を低粘度に保つことができる。低粘度のイオン液体は、弾性層中におけるイオンの移動速度低下に起因する導電性の低下を抑制し得るため、好ましい。
構造式(6)もしくは(7)で示されるカチオンは、ジメチルシロキサン構造の螺旋構造にも由来する嵩高さにより、類似構造を有する構造式(4)もしくは(5)で表されるカチオンよりも、層状化合物の層間に、より捕捉され難い点で好ましい。また、構造式(6)もしくは(7)で示されるカチオンは、弾性層マトリックスゴムがシリコーンゴムである場合、構造類似性に起因して相溶性が向上する。相溶性が向上すると、弾性層中の分散状態が均一になり易く、体積抵抗率の均一性に優れた電子写真用部材が得られる点でも好ましい。
なお、上記カチオンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。一方、本開示に係る弾性層は、上記以外のカチオン、特には、層状化合物の層間に捕捉され得るような他のカチオンは実質的に含まないことが好ましい。なお、当該他のカチオンの有無は、例えば、以下の方法によって確認することができる。すなわち、弾性層から採取したサンプルをメタノールに所定の時間浸漬して、該サンプルに含まれるアニオン、カチオンを抽出する。次いで、該抽出液を、液体イオンクロマトグラフィ質量分析計を用いて質量分析を行う。そして、弾性層の作成に用いたカチオンのピーク及び当該カチオンの分解物のピーク以外のピークの有無を確認する。そして、弾性層の作成に用いたカチオンのピーク及び当該カチオンの分解物のピーク以外のピークが観察されなければ、他のカチオンは含まれていないものと判断できる。また、質量分析の結果、他のカチオンに由来のピークが観測された場合は、さらに核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外分光法(IR)を行って他のカチオンの構造を特定することができる。
上記構造式(1)~(3)で示されるアニオンと、上記構造式(4)~(7)で示されるカチオンと、はどのような組み合わせでも用いることができる。以下に非限定的な例としての組合せを挙げる。
組合せ例1:構造式(4)‐構造式(1)
組合せ例2:構造式(5)‐構造式(2)
組合せ例3:構造式(6)‐構造式(3)
組合せ例4:構造式(6)‐構造式(1)
組合せ例5:構造式(7)‐構造式(1)
弾性層中の上記アニオンおよびカチオンは、上記したように、弾性層から採取したサンプルを、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)の如き溶媒に浸漬し、該溶媒中に抽出されたアニオン及びカチオンを、液体イオンクロマトグラフィ質量分析法、核磁気共鳴分光法、赤外分光法の如き分析方法を用いて同定することができる。
弾性層中のマトリックスゴム100質量部に対する、アニオンとカチオンとを合わせた総量(イオン液体の含有量)は、0.01質量部以上12質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上9質量部以下であることがより好ましい。弾性層中のマトリックスゴムに対する、カチオンとアニオンとを合わせた総量を上記範囲内とすることで、弾性層の体積抵抗率を半導電領域の範囲内に調整することが容易となる。ここで、弾性層の体積抵抗率の調整は、添加するアニオンやカチオン量、後述する充填剤添加量等により成される。基層が、上記の様な導電性である場合、基層の体積抵抗率に対する弾性層の体積抵抗率の比(弾性層の体積抵抗率/基層の体積抵抗率)としては、好ましくは、0.01~100である。なお、体積抵抗率について、半導電領域とは、1.0×10Ω・cm以上2.0×1011Ω・cm以下の如き範囲である。
<無機層状複水酸化物(層状化合物)>
層状化合物は、以下の化学式で表される物質である。
2+ (1-X)3+ (OH)n- (X/n)・mH
(ただし、0<X≦0.5、m≧0、M2+;2価の金属イオン、M3+;3価の金属イオン、An-;n価のアニオン、nは1以上の整数を表す。)
2+(2価の金属イオン)のMの例としては、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ca,Cd,PbおよびSn(II)等の少なくとも一種が挙げられ、M3+(3価の金属イオン)のMの例としては、Al,Cr,Fe,Co,In,Y,Ce,La,Ga,V,TiおよびIn等の少なくとも一種が挙げられる。また、An-の例としては、CO 2-、OH-、Cl-、SO 2-、SiO 2-、カルボル酸等のn価のアニオンの少なくとも一種が挙げられる。層状化合物は、M2+の一部がM3+に置き換えられた構造のため層間は正に帯電しており、アニオンと相互作用することができる。M3+としては、原子半径が小さいと表面電荷密度が高くなりアニオンと相互作用し易くなるため、Al3+が好ましい。また、M3+とM2+の原子半径差が小さいと結晶構造が安定するため、Al3+と組合されるM2+としてMg2+が好ましい。すなわち、上記化学式におけるM2+がMg2+で、M3+がAl3+である層状化合物が好ましい。上記化学式において、M2+がMg2+で、M3+がAl3+であるこのような層状化合物は、例えば、M2+塩とM3+塩の混合水溶液、アルカリ物質および層間アニオンを含む水溶液を反応させることで、合成することができる。また、上記化学式において、M2+がMg2+で、M3+がAl3+である層状化合物は、例えば、、「DHT-4C」(商品名、協和化学工業(株)社製)、「ハイドロタルサイト」(富士フイルム和光純薬社製)、「KW-2100」(商品名、協和化学工業社製)として市販されている。
層状化合物は、XRD(X線回折)により測定される層間距離の平均値が4Å以上8Å以下である。
層間距離は、XRD(X線回折)により測定される。XRDによる層間距離の測定後、Braggの式
nλ=2dsinθ
に、n=1、λ(使用X線波長)、θ(最も強い回折ピークを与える角度)を代入することで求められるdの値が、層間距離の平均値である。
相間距離の平均値が、4Å以上8Å以下である層状化合物は、上記構造式(1)~(3)で示されるアニオンを層間に捕捉し易いが、上記構造式(4)~(7)で示されるカチオンは捕捉され難い。例えば、分子軌道法計算により求められる、上記構造式(1)で示されるアニオン内の同一硫黄原子に結合する2つの酸素原子間距離は、3Åである。また、構造式(2)で示されるアニオンの最も離れた2つのフッ素原子間距離も3Åである。
一方、構造式(4)の一例として示される下記構造式(8)において、燐原子とHfarの距離は、9Åである(Hfarは、燐原子から最も遠い位置に有るヘキシル基中の水素原子を表す)。すなわち、層間距離の平均値が4Å以上8Å以下の層状化合物を用いることで、アニオンを捕捉し易いがカチオンを捕捉し難いことは、カチオン及びアニオンのサイズの観点から支持される。
Figure 2022162527000010
なお、分子軌道法計算は、現在広く用いられているGaussian09
(Gaussian 09, Revision D.01, M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Cheeseman, G. Scalmani, V. Barone, B. Mennucci, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, M. Caricato, X. Li, H. P. Hratchian, A. F. Izmaylov, J. Bloino, G. Zheng, J. L. Sonnenberg, M. Hada, M. Ehara, K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, T. Vreven, J. A. Montgomery, Jr., J. E. Peralta, F. Ogliaro, M. Bearpark, J. J. Heyd, E. Brothers, K. N. Kudin, V. N. Staroverov, T. Keith, R. Kobayashi, J. Normand, K. Raghavachari, A. Rendell, J. C. Burant, S. S. Iyengar, J. Tomasi, M. Cossi, N. Rega, J. M. Millam, M. Klene, J. E. Knox, J. B. Cross, V. Bakken, C. Adamo, J. Jaramillo, R. Gomperts, R. E. Stratmann, O. Yazyev, A. J. Austin, R. Cammi, C. Pomelli, J. W. Ochterski, R. L. Martin, K. Morokuma, V. G. Zakrzewski, G. A. Voth, P. Salvador, J. J. Dannenberg, S. Dapprich, A. D. Daniels, O. Farkas, J. B. Foresman, J. V. Ortiz, J. Cioslowski, and D. J. Fox, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2013.)により実施した。計算手法は、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)を用いた。汎関数はB3LYP、基底関数は6-311G(d,p)を用いた。
弾性層中のマトリックスゴム100質量部に対する、層状化合物の含有量は、0.05質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上2質量部以下であることがより好ましい。弾性層中のマトリックスゴムに対する層状化合物の含有量が0.05質量部以上であることにより、弾性層中の導電性の発現に寄与し得るアニオン量をより確実に調整することができる。また、当該含有量が5質量部以下であることで、該層状化合物と、マトリックスとしてのゴムとの相溶性が低い場合であっても、ゴム中での層状化合物の凝集物の発生を防止でき、その結果、当該凝集物に起因する電子写真用部材の表面への凸部の発生を防止することができる。
弾性層中の層状化合物の存在は、上述の手法でアニオンおよびカチオンを溶出させた弾性層を、鉱酸等の溶媒に浸漬させて溶媒に溶出した成分を抽出し、分析することで確認することができる。分析手法としては、XRD、DTA・TG、IR、イオンクロマトグラフィ、ICP測定等が挙げられる。
(添加剤)
弾性層は、本開示に係る効果を損なわない範囲で、充填剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、架橋助剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、軟化剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、防錆剤、電子導電剤などの添加剤を含んでいてもよい。
充填剤としては、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、湿式シリカ、ヒュームド酸化チタン、セルロースナノファイバーなどの補強性充填剤が挙げられる。補強性充填剤は、シリコーンゴム中に分散されやすいため、オルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノシロキサンオリゴマー、環状オルガノシロキサン等の有機ケイ素化合物により表面改質されていてもよい。
さらに、充填剤として、親水性シリカを用いた場合、弾性層の導電性をより一層高めることができ、かつ、弾性層の導電性の電圧依存性をより一層低下させることができる。電圧依存性とは、抵抗測定時の印加電圧によって、抵抗率が変化することをいう。例えば、印加電圧100Vで測定した値と、1000Vで測定した抵抗率は、1000Vで測定した場合の方が、体積抵抗率が低く測定される傾向がある。ここで、親水性シリカとは、具体的には、pH値が7.0以下、特には、3.5以上、5.0以下のシリカをいう。このような親水性シリカとしては、たとえば、日本アエロジル社製の「AEROSIL 90」(pH値:3.7-4.7)、「AEROSIL 130」(pH値:3.7-4.5)、「AEROSIL 150」(pH値:3.7-4.5)、「AEROSIL 200」(pH値:3.7-4.5)、「AEROSIL 255」(pH値:3.7-4.5)、「AEROSIL 300」(pH値:3.7-4.5)、「AEROSIL 380」(pH値:3.7-4.5)などを挙げることができる。
電子導電剤としては、アセチレンブラックやケッチェンブラックのような導電性カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボン繊維、カーボンナノチューブ、銀、銅、ニッケルなどの金属粉、導電性亜鉛華、導電性炭酸カルシウム、導電性酸化チタン、導電性酸化錫、導電性マイカが例示される。しかし、本態様に係る弾性層に電子導電剤を含有させた場合、当該弾性層の電圧依存性は大きくなる傾向にあるため、電子導電剤は、含まないか、含むとしても電子導電を殆ど発現させない程度の量で含むことが好ましい。
<表面層>
表面層は、弾性層の基材に対向する側とは反対側の表面上に設けられる層であり、電子写真用部材の表面へトナーや外添剤が固着することを防ぐための層である。したがって、表面層は、用紙のような記録媒体や、ドラム等の各種当接部材との摺擦による摩耗に対して耐性があり、かつトナー等が固着せぬように、低付着性を有することが求められる。表面層に用いる樹脂は、低付着性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、フッ素樹脂、含フッ素ウレタン樹脂、フッ素ゴム、シロキサン変性ポリイミドが挙げられる。中間転写ベルト用の表層としては、これらの中でも、弾性層の弾性機能を損なわない観点から、含フッ素ウレタン樹脂からなるものであることが好ましい。
表面層の厚さは0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましい。表面層の厚さが0.5μm以上であれば、使用に伴う表面層の摩耗によるトナーの消失を抑制しやすくなる。また、表面層の厚さが20μm以下であれば、弾性層の弾性機能を阻害することがない。
表面層は、必要に応じて、上述の電子導電剤を含んでいてもよい。表面層中の電子導電剤の含有量は、付着性や機械強度の観点から、表面層の100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。
また、必要に応じて、弾性層と表面層の間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層の厚さは、弾性機能を阻害しない観点から、0.1μm以上15μm以下であることが好ましく、0.5μm以上10μm以下であることがより好ましい。
本開示に係る電子写真用部材は、例えば、下記の工程(i)及び(ii)を含む方法により製造することができる。
(i)基層上に、付加硬化型液状シリコーンゴムと、イオン液体と、層状化合物を含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の層を形成する工程;
(ii)該層中の付加硬化型液状シリコーンゴムを硬化させて、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の硬化物を形成する工程。
付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の層の形成は、基材上に、公知の方法で該混合物を塗布することにより行うことができる。付加硬化型液状シリコーンゴムの硬化は、例えば、160~180℃で加熱することにより行うことができる。
<電子写真用画像形成装置>
本開示に係る電子写真用画像形成装置は、上記の本開示に係る電子写真用部材を中間転写部材(中間転写ベルト)として具備する。図2により電子写真用画像形成装置の実施形態の一例を説明する。
本開示に係る画像形成装置は、複数色の画像形成ステーションを電子写真用エンドレスベルト(以下、「中間転写ベルト」と称する)の回転方向に並べて配置した、所謂タンデム型の構成を有する。なお、以下の説明では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に関する構成の符号に、それぞれ、Y、M、C、kの添え字を付しているが、同様の構成については添え字を省略する場合もある。
図2の符号1Y、1M、1C、1kは感光ドラム(感光体、像担持体)で、感光ドラム1の周囲には、帯電装置2Y、2M、2C、2k、露光装置3Y、3M、3C、3k、現像装置4Y、4M、4C、4k、中間転写ベルト(中間転写体)6が配置される。感光ドラム1は、矢印Fの方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置2は、感光ドラム1の周面を所定の極性、電位に帯電する(1次帯電)。露光装置3としてのレーザビームスキャナーは、不図示のイメージスキャナー、コンピュータ等の外部機器から入力される画像情報に対応してオン/オフ変調したレーザー光を出力して、感光ドラム1上の帯電処理面を走査露光する。この走査露光により感光ドラム1面上に目的の画像情報に応じた静電潜像が形成される。
現像装置4Y,4M,4C,4kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(k)の各色成分のトナーを内包する。そして、画像情報に基づいて使用する現像装置4を選択し感光ドラム1面上に現像剤(トナー)が現像され、静電潜像がトナー像として可視化される。本実施形態では、このように静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。また、このような帯電装置、露光装置、現像装置により画像形成手段を構成している。
また、中間転写ベルト6は、本開示に係る電子写真用エンドレスベルトで、感光ドラム1の表面に当接されるよう配設され、複数の張架ローラ20、21、22に張架されている。そして、矢印Gの方向へ回動するようになっている。本開示の形態では、張架ローラ20は中間転写ベルト6の張力を一定に制御するようにしたテンションローラ、張架ローラ22は中間転写ベルト6の駆動ローラ、張架ローラ21は2次転写用の対向ローラである。また、中間転写ベルト6を挟んで感光ドラム1と対向する1次転写位置には、それぞれ、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5kが配置されている。感光ドラム1にそれぞれ形成された各色未定着トナー像は、1次転写ローラ5に定電圧源または定電流源によりトナーの帯電極性と逆極性(例えば正極性)の1次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト6上に順次静電的に1次転写される。そして、中間転写ベルト6上に4色の未定着トナー像が重ね合わされたフルカラー画像を得る。中間転写ベルト6は、このように感光ドラム1から転写されたトナー像を担持しつつ回転する。1次転写後の感光ドラム1の1回転毎に感光ドラム1の表面は、クリーニング装置11で転写残トナーをクリーニングし、繰り返し作像工程に入る。
また、記録材7の搬送経路に面した中間転写ベルト6の2次転写位置には、中間転写ベルト6のトナー像担持面側に2次転写ローラ(転写部)9を圧接配置している。また、2次転写位置の中間転写ベルト6の裏面側には、2次転写ローラ9の対向電極をなし、バイアスが印加される対向ローラ21が配設されている。中間転写ベルト6上のトナー像を記録材7に転写する際、対向ローラ21にはトナーと同極性のバイアスが2次転写バイアス印加手段28により印加され、例えば-1000~-3000Vが印加され-10~-50μAの電流が流れる。このときの転写電圧は転写電圧検知手段29により検知される。
さらに、2次転写位置の下流側には、2次転写後の中間転写ベルト6上に残留したトナーを除去するクリーニング装置(ベルトクリーナ)12が設けられている。
2次転写位置に導入された記録材7は、2次転写位置で挾持搬送され、その時に、2次転写ローラ9の対向ローラ21に2次転写バイアス印加手段28から所定に制御された定電圧バイアス(転写バイアス)が印加される。対向ローラ21にはトナーと同極性の転写バイアスが印加されることで転写部位にて中間転写ベルト6上に重ね合わされた4色のフルカラー画像(トナー像)を記録材7へ一括転写し、記録材上にフルカラーの未定着トナー像が形成される。トナー像の転写を受けた記録材7は不図示の定着器へ導入され加熱定着される。
なお、中間転写ベルトの裏面ρsが低下すると、印刷画像が低下するメカニズムを、本発明者らは以下のように考えている。
トナー飛び散りの発生原因は、一次転写部前の空隙部におけるトナー飛翔であると考えられる。よって、中間転写ベルト6の裏面ρsが低いと、裏面ρsが高い場合に比べて、一次転写部前後の空隙部にかかる電界が強くなるために、一次転写部の上流側からトナーが感光ドラム1Y、1M、1C、1kから中間転写ベルト6 上への飛翔が始まる。このために、中間転写ベルト6 の裏面ρsが低いほどトナー飛び散りが悪化していると考えられる。
<イオン液体の合成>
[製造例1:イオン液体2の合成]
テトラオクチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)2.5gにメタノール20mLを加え、ヘキサフルオロリン酸リチウム(関東化学社製)0.6gをメタノール10mLに溶解させたものを滴下した。室温で3時間反応させた後、溶媒をエバポレーターで除去し、生成物をカラムクロマトグラフィー(商品名:シリカゲル60N、100-210μm、関東化学社製)を用いて精製を行った。
カラムの展開溶媒は、生成物が可溶で、TLC(薄層クロマトグラフィー)プレート上のR/F値が適切なものであれば特に制限はないが、ここでは、酢酸エチルとノルマルヘキサンを任意の割合で混合したものを使用した。その後、溶媒をエバポレーターで除去して、イオン液体2を得た。この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000011
[製造例2:イオン液体3の合成]
トリフェニルビニルホスホニウムブロミド(シグマアルドリッチ社製)2.10gと、片末端ハイドロジェンポリジメチルシロキサン(商品名:MCR-H07、分子量=約700-1000、Gelest社製)10.45g、トルエン50mLをフラスコ内に入れ、窒素で置換した後、封管した。
この混合液中に、0.01mol%テトラクロリド白金(II)酸のイソプロピルアルコール溶液(0.1mL)を滴下し、80℃に加熱して、10時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去して、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。その後、溶媒をエバポレーターで除去して、イオン液体3を得た。この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000012
[製造例3:イオン液体4の合成]
製造例2で得られたイオン液体3の2.5gにメタノール20mLを加え、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学社製)0.6gをメタノール10mLに溶解させたものを滴下した。室温で3時間反応させた後、溶媒をエバポレーターで除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製後、溶媒をエバポレーターで除去して、イオン液体4を得た。この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000013
[製造例4:イオン液体5の合成]
まず、市販品の片末端ヒドロキシポリジメチルシロキサンの末端ヒドロキシ基をハライド化させる。
片末端ヒドロキシポリジメチルシロキサン(商品名:MCR-C12、分子量=1,000、GELEST製)20.0gと、トリフェニルホスフィン6.3gをナスフラスコに入れ、アルゴン置換し、溶媒として塩化メチレン(100mL)を加えた。ナスフラスコを氷冷しながら、ヨウ素5.1gを加え、30分間反応させた。その後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下して反応を停止させ、得られた反応液を塩化メチレンで抽出した。この抽出液の有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、濾過により沈殿物を取り除き、エバポレーターによって溶媒を除去した。次いで、カラムクロマトグラフィー(商品名:シリカゲル60N、100-210μm、関東化学社製)を用いて精製し、溶媒をエバポレーターで除去することで、末端のアルコールをハライド化させた片末端ハライド変性シロキサンを得た。この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000014
次に、得られた片末端ハライド変性シロキサンと、トリブチルアミン(東京化成工業社製)0.3gと、得られた片末端ハライド変性シロキサン5.0g、溶媒としてアセトニトリル20mLを加え、室温で3時間反応させた。溶媒をエバポレーターで除去することで、シロキサンを有するイミダゾリウムとハライドアニオンからなる中間体を合成した。
この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000015
続いて、得られた中間体2.5gにメタノール20mLを加え、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学社製)0.6gをメタノール10mLに溶解させたものを滴下した。室温で3時間反応させた後、溶媒をエバポレーターで除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製後、溶媒をエバポレーターで除去して、イオン液体5を得た。この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000016
[製造例5:イオン液体6の合成]
イオン液体3の代わりに、ヘキサデシルトリ-n-ブチルホスホニウムブロミド(シグマアルドリッチ社製)を使用した以外は、製造例3と同様の方法でイオン液体6を得た。この反応式を以下に示す。
Figure 2022162527000017
各実施例および比較例に用いたイオン液体を以下の表1に示す。なお、イオン液体1としては、富士フイルム和光純薬社製の市販品を使用した。
Figure 2022162527000018
<XRD測定>
層状化合物の層間距離を求めるためのXRD測定は、以下の条件で行った。
・装置:試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIV,株式会社リガク製)
・X線源:Cu-Kα線
・管電圧/電流:40Kv/40mA
・手法:平行法
・走査範囲:5゜~70゜
・ステップ幅:0.1゜
・積算回数:5回
各実施例に用いた無機層状複水酸化物及び比較例において無機層状複水酸化物に代えて用いた化合物を以下の表2に示す。
Figure 2022162527000019
<電子写真用ベルトの作製>
[実施例1]
(基層の作製)
下記の材料を、各々重量式フィーダを用いて、2軸混練機(商品名:PCM30、(株)池貝製)に投入し、混練して、これらのペレットを得た。2軸混練機のシリンダ設定温度は、材料投入部を320℃とし、シリンダ下流およびダイは360℃とした。2軸混練機のスクリュ回転数は300rpmとし、材料供給量は8kg/hとした。
・ポリエーテルエーテルケトン(商品名:VICTREXPEEK450G、ビクトレックス社製):80質量部
・アセチレンブラック(商品名:デンカブラック粒状品、デンカ(株)製):20質量部
次いで、得られたペレットを円筒押出成形することにより、エンドレス形状の基層を作製した。なお、円筒押出成形は、直径300mm、隙間1mmの円形開口部を有する円筒ダイを備えた単軸押出機(商品名:GT40、(株)プラスチック工学研究所製)用いて行った。
具体的には、重量式フィーダを用いて、ペレットを4kg/hの供給量で単軸押出機に供給した。単軸押出機のシリンダ設定温度は、材料投入部を320℃とし、シリンダ下流および円筒ダイは380℃とした。単軸押出機から吐出された溶融樹脂は、ギアポンプを経て、円筒ダイから押し出され、円筒引取機により、厚さ60μmとなる速度にて引き取られた。溶融樹脂は、引き取られる過程において、円筒ダイと円筒引取機の間に設けられた冷却マンドレルと接触することで冷却・固化された。固化した樹脂を、円筒引取機の下部に設置された円筒切断機にて、幅400mmとなるように切断して、エンドレス形状の基層を得た。
(弾性層の作製)
付加硬化型液状シリコーンゴム(商品名:TSE3450 A/B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)100質量部に対し、イオン液体1を3.0質量部添加し、混合した。次いで、本開示に係る無機層状複水酸化物として、層状化合物1を1.0質量部、さらに親水性シリカ(商品名:AEROSIL380、日本アエロジル社製)を3.0質量部および黒色着色材(商品名:LIMSカラー02;信越化学工業社製)を1.0質量部添加した。その後、遊星撹拌脱泡装置(商品名:HM-500、キーエンス社製)を用いて撹拌・脱泡して、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。
続いて、上記基層の外表面に紫外線照射処理を施したのちに、プライマー(商品名:DY39-051、東レ・ダウコーニング社製)を塗布し、加熱乾燥を行った。プライマー層を外表面に形成した基層を円筒形の中子に取り付け、さらに中子と同軸上にゴム吐出用のリングノズルを取り付けた。送液ポンプを用いて、上記付加硬化型液状シリコーンゴム混合物をリングノズルに供給し、スリットから吐出することで、該基層上に、該付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の層を形成した。この際、硬化後の弾性層が280μmの厚さになるように、相対移動速度および送液ポンプ吐出量を調整した。中子に取り付けた状態で加熱炉に入れて、130℃で15分間、さらに180℃で60分間加熱し、該付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の層を硬化して弾性層を形成した。
(表面層の作製)
ポリウレタンディスパージョンにポリテトラフルオロエチレンが分散した含フッ素ポリウレタン樹脂液(商品名:Emralon T-861、ヘンケルジャパン社製)を用意した。次いで、弾性層の外表面をエキシマUV照射により親水化処理した後、中子に嵌め合わせ、200rpmで回転させながら、スプレーガン(商品名:W-101、アネスト岩田(株)製)を用いて該ウレタン樹脂液を塗布した。塗布後、130℃の加熱炉に入れて、30分間硬化した。こうして、弾性層上に厚さ3μmの表面層を有する電子写真用ベルトNo.1を得た。
[実施例2~8および比較例1~4]
使用する材料の種類および配合を下記表3に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~8および比較例1~4に係る電子写真用ベルトNo.2~12を得た。
Figure 2022162527000020
(単位:弾性層マトリックスゴム100質量部に対する質量部)
<評価>
電子写真用ベルトNo.1~12について、以下の評価を行った。
初期の体積抵抗率と裏面ρs、および、1,000Vの直流電圧を印加した後の裏面ρsを測定した。また、初期の裏面ρsと、電圧印加後の裏面ρsとの差の絶対値を初期の裏面ρsで除した値を100倍した値を、裏面ρsの変化率として算出した。
また、各々の電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして用いて電子写真画像の形成に供したときの画像評価を行った。
[初期の体積抵抗率および裏面ρsの測定]
上記の各実施例および各比較例に係る電子写真用ベルトNo.1~12の各々について、電子写真画像の形成に供する前の体積抵抗率および裏面ρsを以下のようにして測定した。
すなわち、初期の体積抵抗率および裏面ρsの値は、周長が1147mmである各電子写真用ベルトに対して、20mm間隔で58点測定して得られた値の平均値と定義した。
体積抵抗率および裏面ρsの測定はそれぞれ、日本産業規格(JIS)K6271-1:2015に準拠して、高抵抗率計(商品名:ハイレスタMCP-HT450、三菱化学アナリテック社製)を用いて行った。電極としては、「URプローブ」を使用し、1,000Vの電圧を10秒間印加したときの値を用いた。なお、測定は、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)の環境下で行った。
[表面性評価]
各実施例または比較例に係る電子写真用ベルトの表面を目視により観察して、下記の基準で評価した。
(表面性評価基準)
ランクA:層状化合物1若しくは2又は化合物3の凝集物に起因する凸部が観察されない。
ランクB:層状化合物1若しくは2又は化合物3の凝集物に起因する凸部が観察される。
[電子写真画像形成後の裏面ρsの測定、および画像評価]
フルカラー電子写真画像形成装置(商品名:imagePRESS C800、キヤノン(株)製)に装着されている中間転写ベルトに代えて、各実施例または比較例に係る電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして装着した。そして、A4サイズの普通紙(商品名:CS-680A4、キヤノン(株)製)上に、シアン色のベタ画像を出力した。なお、画像の形成には、上記電子写真画像形成装置のプリントカートリッジに搭載されているシアンおよびマゼンタ現像剤を用いた。また、画像の出力は、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)環境下で行った。なお、当該フルカラー電子写真画像形成装置は、1次転写手段が、中間転写ベルトを介して電子写真感光体と対向配置されてなる転写ローラを含むものであり、1次転写電圧は、1000~3000Vであり、また、2次転写電圧は、1000Vであった。
上記出力条件にて、100枚の画像出力を行った。引き続いて、用紙をB5サイズの普通紙(商品名:CS-680B5、キヤノン(株)製)に変更し、80,000枚の連続出力を行った。さらに、引き続いて、用紙をA4サイズの普通紙((商品名:CS-680A4、キヤノン(株)製))に変更して、1枚の画像を出力した。その後、当該フルカラー電子写真画像形成装置から、評価対象である中間転写ベルトを取り外し、上記の初期の裏面ρsの測定と同じ方法で裏面ρsを測定した。得られた値を算術平均して裏面ρsを算出した。ここで得られた裏面ρsを電圧印加後の裏面ρsと称する。
さらに、上記の電子写真画像形成において、100枚目に出力された画像(以降、「初期画像」ともいう)を目視で観察した。また、最後に出力された80000枚目の画像(以降、「最終画像」ともいう)を目視で観察した。そして、観察した結果を下記の基準で評価した。
(画像評価基準)
ランクA:トナー飛び散りは観察されない。
ランクB:トナー飛び散りがごくわずかに観察される。
ランクC:トナー飛び散りが観察される。
ランクD:トナー飛び散りが顕著である。
以上の評価結果を表4に示す。
Figure 2022162527000021
[弾性層中のアニオン、及びカチオンの分析]
各実施例に係る電子写真用ベルトの弾性層から200mgの試料を採取し、メタノール1mLに浸漬した後、40kHzの超音波を10分間印加した。その後、高速遠心分離機7780(久保田商事社製)を用いて、12000rpmで10分間遠心分離を行って上澄み液を分取した。当該上澄み液を、リニアイオントラップ質量分析計(商品名:Thermo Scientific LTQOrbitrap XL;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、該抽出液の質量分析を行った。
[質量分析条件]
・直接導入法
・注入量:2μL
・イオン化法:エレクトロスプレー(ESI)イオン化
その結果、弾性層の形成の際に用いたイオン液体に由来のアニオン及びカチオン、並びにそれらの分解物に起因するピーク以外のピークは観察されなかった。
200 電子写真用ベルト
201 弾性層
202 基層

Claims (12)

  1. 基層と、該基層上の弾性層とを有する電子写真用部材であって、
    該弾性層は、マトリックスとしてのゴム、アニオン、カチオン、及び無機層状複水酸化物を含むゴム混合物を含み、
    該アニオンは、構造式(1)~(3)からなる群から選択される少なくとも1つであり、
    該カチオンは、構造式(4)~(7)からなる群から選択される少なくとも1つであり、
    該無機層状複水酸化物は、XRDで測定される層間距離の平均値が4Å以上8Å以下
    であることを特徴とする電子写真用部材:
    Figure 2022162527000022
    (構造式(3)中、Xはハロゲン元素を表す。)
    Figure 2022162527000023
    (構造式(4)および(5)中、R~Rは、各々独立に、炭素数6~16のアルキル基、炭素数6~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基またはカルボキシル基を表す。)
    Figure 2022162527000024
    (構造式(6)および(7)中、R~Rは、各々独立に、炭素数4~16のアルキル基、炭素数4~16のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、ベンジル基、またはカルボキシル基を表す。R~R10は、各々独立に、炭素数1~16のアルキル基を表す。
    11は、置換基を有していてもよい炭素数1~16のアルキレン基を表す。該アルキレン基は、-Ph-、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-NR-(Rは炭素数1~6のアルキル基を表す)から選択される基を介した構造であってもよい。
    mは、1以上16以下の整数を表す。)。
  2. 前記無機層状複水酸化物が下記化学式で表される、請求項1に記載の電子写真用部材。
    2+ (1-X)3+ (OH)n- (X/n)・mH
    (ただし、0<X≦0.5、m≧0、M2+;2価の金属イオン、M3+;3価の金属イオン、An-;n価のアニオン、nは1以上の整数を表す。)
  3. 前記ゴムが、シリコーンゴムである、請求項1または2に記載の電子写真用部材。
  4. 前記弾性層が、付加硬化型液状シリコーンゴムと、前記アニオン及び前記カチオンからなるイオン液体と、前記無機層状複水酸化物とを含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の硬化物である、請求項3に記載の電子写真用部材。
  5. 前記ゴム100質量部に対する、前記無機層状複水酸化物の含有量が、0.05質量部以上5質量部以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
  6. 前記ゴム100質量部に対する、前記アニオンと前記カチオンとを合わせた総量が、0.01質量部以上12質量部以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
  7. 前記ゴム混合物がさらに親水性シリカを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
  8. 前記基層が、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真用部材
  9. 前記電子写真用部材が、エンドレスベルト形状を有する電子写真用ベルトである、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
  10. 前記弾性層が、前記無機層状複水酸化物に捕捉されない他のアニオンを実質的に含まない請求項1~9のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
  11. 前記弾性層が、前記無機層状複水酸化物に捕捉される他のカチオンを実質的に含まない請求項1~10のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の電子写真用部材を、中間転写部材として具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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