JP2022160887A - 指向性アンテナを搭載した薄型通信デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、指向性アンテナを搭載した薄型通信デバイスを提供することを課題とする。【解決手段】基板1と、基板1上に配置される送信アンテナ部2と、基板1上に配置され送信アンテナ部2の全体を覆うように配置される金属箔5とを含む薄型通信デバイスである。送信アンテナ部2は、典型的には電波を使ったビーコン信号を送信するものである。電波遮蔽効果を発揮するために、送信アンテナ部2は、基板1平面を上から見た際に、送信アンテナ部2が、金属箔5の中央付近に位置していることが好ましい。基板1は、片面部品実装されており、金属箔5が基板1の部品実装されていない側に配置されることが好ましい。金属箔5は、有機フィルム上に蒸着された金属薄膜であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、指向性アンテナを搭載した薄型通信デバイス及びその製造方法に関する。
近年、通信デバイスを薄型化してフィルムやカードなどに搭載することが求められている。この技術により、例えば、ブルートゥース(登録商標)(近距離無線通信)技術を用いたビーコンをカードに搭載し、このカードをポスターの裏側に貼り付けると、近くを通る人のスマートフォンを介してポスターに関連する情報を通知することが可能となる。
このようなビーコンを搭載したカードとして、特許文献1に挙げられるフレキシブルプリント配線板を用いた薄型通信デバイスが挙げられる。
他方、ビーコン信号は、通常は信号が発信される方向に指向性がなく、その周囲全方向に信号が発信されることになる。このため、本来はビーコン信号が届く必要がない領域にまで発信されることがある。例えば、上記のポスターの例で言えば、ポスターの前の領域だけでなく、裏の領域にまで発信されることになる。ビーコン信号が、スマートフォンなどのプッシュ通知を促すものであれば、ポスターの裏側にいてポスターを見ていないユーザのスマートフォンに対してもプッシュ通知がなされることになり、ユーザが迷惑を感じることにも繋がるために好ましくない。
このような状況を踏まえて、特許文献2では、電磁遮蔽物や指向性アンテナを用いて、特定の領域のみに信号が届くようにしている。また、他にも、特許文献3では、裏側に導体(遮蔽板)を配置して指向性を持たせている。
特開2020-72117 特表2005-502274 特開平1-151325
しかしながら、ビーコンなどの送信アンテナ素子を搭載する薄型通信デバイスにおいて、指向性が発揮される例はこれまでに知られていなかった。薄型通信デバイスは通常はカード程度の厚みしかなく、そのため電磁遮蔽物を配置させて指向性を持たせることが困難であると考えられてきたためである。
特許文献1には、ビーコンを搭載したカードが開示されているが、ビーコン信号に指向性はない。
特許文献2には、指向性アンテナの例が開示されている(段落0030~0032、図3、4など)。図3では、ビーコン10を鋭角に遮蔽パネル18で覆い、対話ゾーン16だけにビーコン信号が届くようにして、携帯デバイス14が対話ゾーン16に入ったときにだけビーコン信号を受信するようにしている様子が分かる。また、図4には、ストリップ導体21に誘電体基板23を貼り付けたマイクロストリップパッチアンテナ20(=指向性アンテナ)が開示されている。
しかしながら、ストリップ導体21、誘電体基板23それぞれの厚みや、マイクロストリップパッチアンテナ20の全体としての厚みは記載されておらず、これらの厚みを薄くすることについての記載や必要性も開示されていない。
特許文献3には、4つの方向に指向性を持つアンテナの例が開示されている(請求項1、153頁左欄下~154頁左欄上、図1~4など)。図1では、ダイポール25、26が遮蔽板27に貼り付けられていることが分かる。
しかしながら、図1において遮蔽板27は厚みを持って図示されている上に、厚みを薄くすることについての記載や必要性も開示されていない。
そこで本発明は、上記の課題を克服し、指向性アンテナを搭載した薄型通信デバイスを提供する。
本発明の薄型通信デバイスは、基板と、基板上に配置される送信アンテナ部と、基板上に配置され送信アンテナ部の全体を覆うように配置される金属箔とを含むことを特徴とする。
本発明の別の薄型通信デバイスは、送信アンテナが、電波を使ったビーコン信号を送信することを特徴とする。
本発明の別の薄型通信デバイスは、基板平面を上から見た際に、金属箔が、送信アンテナ部の全領域とその外縁から平面方向に13mm以上離れた領域まで覆っていることを特徴とする。
本発明の別の薄型通信デバイスは、基板が、片面部品実装されており、金属箔が基板の部品実装されていない側に配置されることを特徴とする。
本発明の別の薄型通信デバイスは、金属箔が、有機フィルム上に蒸着されたアルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、銅のいずれか又はこれらの組み合わせである金属薄膜であることを特徴とする。
本発明の別の薄型通信デバイスは、基板、送信アンテナ部、金属箔の全体がラミネートされることによって成形されることを特徴とする。
本発明の別の薄型通信デバイスは、金属箔の厚みが、5~200μmであり、送信アンテナ部と金属箔との間隔が、50~500μmであることを特徴とする。
本発明の薄型通信デバイスの製造方法は、送信アンテナ部が配置された基板を準備する工程(I)と、有機フィルム上に金属蒸着させて金属蒸着フィルムを準備する工程(II)と、金属蒸着フィルムを前記送信アンテナ部の全体を覆うように積層する工程(III)とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、小型で軽いことに加えて、薄型の指向性のある通信デバイスを提供することができるため、様々な場所に使用することができる。また、そのような通信デバイスを簡単に製造する方法を提供する。
本発明の薄型通信デバイス100の断面図である。 基板1と送信アンテナ部2の実施例を説明する図である。 薄型通信デバイスの実施例について金属箔5が送信アンテナ部2を覆う様子を説明する平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る薄型通信デバイス及びその製造方法について説明する。しかし、以下の説明は、本発明の一実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
〔第1の実施形態〕
以下では、本発明の第1の実施形態について説明する。
(概要)
図1は、本発明の一実施形態である薄型通信デバイス100の断面構造を説明する図である。基板1には配線が設けられており、その上に、送信アンテナ部2及び電池3が搭載されている。基板1は片面実装である。基板1の実装されていない面には絶縁層4が配置され、その下には金属箔5が配置されている。
この構造を、更に熱可塑シート、保護フィルムなどで挟み込んでホットプレス又はラミネート加工することにより、最終的に薄型通信デバイス100が製造される。薄型通信デバイスの厚みとしては、例えば、1mm以下である。薄型通信デバイスの形状としては、一般的なカードサイズである縦約54mm×横約86mmの他、更に小さいスティックサイズなど適宜設計することが可能である。
(基板)
本発明で用いられる基板1は、薄型通信デバイス100に用いられるものであるので、薄型である必要はあるものの、それ以外は何ら制限されることはない。厚みとしては、100μm以下が好適に用いられる。70μm以下であれば更に好ましい。
基板1の具体例として、フレキシブルプリント基板が挙げられる。基板のベース材料は、ポリイミド、PETなど特に限定されない。
基板1については、配線と部品実装の両方の意味について、片面と両面がある。
配線について、片面配線は、最も基本的な構造のフレキシブル基板で、片面にのみ回路(導体パターン)が形成されている配線構造をいう。これに対して、両面配線は、ベースフィルムを中心として両側に回路がありスルーホールめっきにより裏側の回路を導通させて形成された配線構造をいう。
部品実装について、片面部品実装は、片面配線の回路上又は両面配線の一方の回路上に部品を実装したものである。これに対して、両面部品実装は、両面配線の両方の回路上に部品実装したものである。
片面配線(両面配線でもよい)かつ片面部品実装であれば、実装後の基板の厚みを薄くすることができるために好ましい。両面配線かつ両面部品実装であれば、片面部品実装ほどは基板の厚みを薄くすることはできないが、配線設計の自由度を増やしたり基板面積を小さくしたりすることが可能となる。
片面配線の場合は、配線が存在しない面があるため、当該面に直接金属箔を配置することができる。
両面配線で片面部品実装の場合は、部品実装されていない面にも配線が存在するため、絶縁材でコーティングして絶縁するとともに凹凸をなくしてから金属箔を配置することができる。この方法は、両面配線で両面部品実装されている場合の実装面にも応用することができる。部品の厚みがある場合には、凹凸をなくすためにスペーサを利用してもよい。ただ、表面の凹凸がある状態で絶縁した上で金属箔を配置することを排除するものではない。いずれの場合も、基板と金属箔の間に絶縁層やスペーサを適宜介在させることができる。
図1では、片面部品実装の例で説明したが、本発明においては、基板が両面部品実装されていてもよい。本発明においては、製造工程が簡易化できることから、基板が片面部品実装されていることが好ましい。
(送信アンテナ部)
本発明で用いられる送信アンテナ部2は、電波信号を発信でき、かつ、薄型であればよく、それ以外は何ら制限されるものではない。厚みとしては、100μm以下が好適に用いられる。
送信アンテナ部2の具体例として、電波信号を発信するモジュール、BLE規格のビーコン信号を発信するモジュールが挙げられる。また、モジュールでなくても、基板上の配線においてアンテナ状にパターンを配置することによって送信アンテナ部を形成することも可能である。指向性を出すためには、後者による送信アンテナ部が好ましい。
発信される電波としては、電波到達距離、消費電力、遮蔽効果の観点から、2.45GHz帯の周波数を用いたBLE規格(Bluetooth Low Energy: 登録商標)のビーコン信号が好ましい。
送信アンテナ部2は、送信機能だけでもよいが、送信機能及び受信機能の双方の機能を有することもできる。
送信アンテナ部2は、複数設けられていてもよい。電波到達距離の異なる複数の送信アンテナ部を設けることで、状況に応じて電波信号の到達距離を変更することが可能となる。
(送信アンテナ部と金属箔の位置関係)
送信アンテナ部2は、その全体が金属箔5に覆われている必要がある。送信アンテナ部2が一部でも金属箔5からはみ出している場合には、はみだし部分から全方位に電波信号が発信されるために指向性が低下するためである。
基板平面を上から見た際に、金属箔5が、送信アンテナ部2の全領域とその外縁から平面方向に13mm以上離れた領域まで覆っていることが好ましい。これにより、金属箔5によって送信アンテナ部2を十分に遮蔽して指向性を持たせることができる。13mm未満であると、遮蔽効果が弱くなる傾向にある。13mm以上のできるだけ小さい領域とすることで、金属箔5の面積を最小化することができる。金属箔5の面積が小さいことは、本発明の薄型通信デバイスのサイズを小さくすることにつながる。
(送信アンテナ部と金属箔の間隔)
送信アンテナ部2と金属箔5とは、電波の遮蔽効果の観点から、断面で見たときに、その間隔が、50~500μmであることが好ましい。この間隔は、送信アンテナ部2と金属箔5との間に絶縁層4を挟み込むことによって適宜調整することができる。また、後述するように、金属箔5を構成する有機フィルムと金属薄膜のいずれを基板1側に向けて挟み込むかによっても適宜調整できる。有機フィルムがスペーサとなるかどうかが変わってくるためである。
(金属箔)
本実施形態においては、金属箔5は、有機フィルム上に金属蒸着して金属薄膜を形成することによって、有機フィルムと一体化した状態で準備される。
(有機フィルムの種類)
金属蒸着する基材となる有機フィルムの素材は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリレートなどがあり得る。この中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
(有機フィルムの厚み)
金属薄膜を蒸着する基材となる有機フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、20μm~200μmが好ましい。
(金属蒸着の方法)
金属薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、またはプラズマ気相成長法などの真空プロセスにより有機フィルム上に形成され得る。真空蒸着法を利用する場合、蒸着材料の加熱手段としては、例えば、電子線加熱、抵抗加熱、または誘導加熱等の方式を利用することができる。電子線加熱方式を利用した場合、蒸発材料の選択の自由度が大きいといえる。
(蒸着する金属の種類)
フィルム上に蒸着する金属の種類としては、特に限定されるものではないが、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、銅のいずれか又はこれらの組み合わせが好ましい。
(金属薄膜の厚み)
本実施形態において、有機フィルム上に形成される金属薄膜の厚みは、5~200μmであることが好ましい。厚みが5μm未満であれば、電波の遮蔽効果が少ないために指向性が得られにくい。また、厚みが200μmより大きければ、遮蔽効果が飽和するために無駄に製造コストをかけることになる。金属薄膜の厚みは、蒸着時間で調整することが可能である。更に好ましい厚みは、5~50μmである。
(周知技術の引用)
有機フィルム上に蒸着された金属薄膜は、適宜、特開2019-181941、特開平10-000735、特開平11-158608などの公知技術を用いて製造することができる。
(金属箔の挟み込み方)
以上のようにして準備された金属箔5は、有機フィルムと金属薄膜が一体化したものであるが、このような金属箔5の挟み込み方は自由に設計することができる。すなわち、基板1側に金属薄膜を向ける態様で挟んでもよいし、逆に有機フィルムを向ける態様で挟んでもよい。前者の場合は、絶縁層4を挟みこむなどショートカットに注意する必要がある。
(絶縁層)
基板上の配線と金属薄膜が接触してショートカットすることを防ぐために、必要に応じて間に絶縁層を挟むことができる。絶縁層の具体例としては、PET、PEN、ポリイミド系、シリコン系、ゴム系のフィルムが挙げられる。なお、図1では絶縁層4を挟んでいるが、ショートカットが生じない場合には絶縁層4を設けないことも可能である。また、上述の通り、送信アンテナ部と金属箔との間隔を調整するためにも絶縁層を利用することができる。
(電池)
電池3については、薄型通信デバイス100の電源として用いるため、一次電池であるラミネート電池が好適に用いられる。なお、図1では、基板1上に電池3が搭載されている例で説明したが、電池は電源供給ができていればよく、その搭載位置は基板上に限られない。例えば、ラミネート電池が、基板外の基板の延長平面上に設置され、基板上の電極に電気的に接続される態様であってもよい。
(薄型通信デバイスの製造方法)
本実施形態において、薄型通信デバイス100の製造方法は、送信アンテナ部2が配置された基板1を準備する工程(I)と、有機フィルム上に金属蒸着させて金属蒸着フィルムを準備する工程(II)と、金属蒸着フィルムを送信アンテナ部2の全体を覆うように積層する工程(III)とを含む。本実施形態ではまた、送信アンテナ部が配置された基板と、金属蒸着フィルムの全体をラミネート成形する工程(IV)を含む。いずれの工程も、既に述べた通りである。
〔第2の実施形態〕
以下では、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態である薄型通信デバイス200では、金属箔5は、第1の実施形態で説明したように有機フィルム上に一体として形成されるものではなく、独立して存在する。具体的には、市販のアルミニウムシートなどの金属シートが挙げられる。
金属箔5の厚みは、5~200μmであることが好ましい。厚みが5μm未満であれば、電波の遮蔽効果が少ないために指向性が得られにくい。また、厚みが200μmより大きければ、遮蔽効果が飽和するために無駄に製造コストをかけることになる。金属箔5の厚みは、適宜市販品から選択することで調整可能である。更に好ましい厚みは、5~50μmである。
薄型通信デバイス200は、送信アンテナ部2や電池3などが搭載された基板1と、金属箔5と、必要に応じて絶縁層4や熱可塑シートなどのスペーサを準備して、これらを積層した上で、ホットプレス又はラミネート加工によって製造することができる。
基板1と、金属箔5との間隔は、絶縁層4や熱可塑シートなどのスペーサを挟み込むことによって適宜調整が可能である。
(実施例1)
基板は、片面実装であるフレキシブル配線基板を用いた。送信アンテナ部は、図2の符号6に示すように、基板上の配線においてアンテナ状にパターンを配置することによって形成した。送信アンテナ部の大きさは、約3mm×7mmであった。この送信アンテナ部は、BLE規格のビーコン信号を発信する機能を有していた。
厚みが14μmで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着させて金属箔を製造した。アルミニウムの厚みは、2μmであった。製造した金属箔を、薄型通信デバイスと同じサイズである約54mm×約86mmの大きさに切り抜いた。
上から、実装面を上に向けた基板、絶縁層としての約300μmの厚みのPETフィルム、上記の通り準備した金属箔の順番で重ね合わせた。その後、熱可塑シートやスペーサを積層して、ラミネート加工によって薄型通信デバイスを製造した。
製造された薄型通信デバイスは、厚みが約1.5mm、サイズが約62mm×約94mmであった。送信アンテナ部と金属箔との間隔は、約300μmであった。
図3は、完成した薄型通信デバイスの平面図である。パターンアンテナの位置6については、パターンアンテナの外縁を点線で示している。符号7は、パターンアンテナの全領域とその外縁から平面方向に13mm離れた領域の外縁を点線で示したものである。図3では、金属箔5が符号7を含んで覆っていることが分かる。図3は、薄型通信デバイスの外形と金属箔5とが同じ大きさになっているが、もちろん、金属箔5は、これよりも小さくてもよい。ただし、電波指向性の観点から、金属箔5が符号7を含む領域を覆っていることが好ましい。
(比較例1)
比較例1として、金属箔を積層しないこと以外は実施例1と同様にして、従来型の薄型通信デバイスを製造した。
(測定結果)
実施例1と比較例1の薄型通信デバイスの電波強度を測定した。
電波暗室の代わりとなる電波暗箱を準備した。この電波暗箱内に、実施例1、比較例1で得られた薄型通信デバイスを平置きし、その上部10cmの位置に電波受信機を設置した。当該電波受信機は、電波暗箱外にある測定用パソコンと接続されており、電波強度を確認した。
実施例1の薄型通信デバイスの電波強度は、金属箔が貼られている面が約-83dBm、逆面は約-70dBmであった。表裏の差が13dBであり、電波指向性が得られていることが確認できた。
比較例1の薄型通信デバイスの電波強度は、表面が約-38dBm、裏面が約-39dBmであった。表裏の差は1dBであり、有意差はない範囲であった。このように、金属箔を積層しない場合には、電波指向性がないことが確認できた。
なお、実施例1の薄型通信デバイスについて、実使用を想定して、電波暗箱ではなく、電波干渉の影響が比較的少ないと考えられる屋内において、薄型通信デバイスと電波受信機の距離を50cmにして測定したところ、金属箔が貼られている面が約-94dBm、逆面は約-83dBmであり、表裏の差が11dBであった。
(実施例2)
金属箔を、金属蒸着によって形成したものではなく、同じ2μmの厚みのアルミニウム薄膜層を使用した以外は実施例1と同様にして薄型通信デバイスを製造した。同様に電波強度を測定したところ、同程度の電波指向性が得られることが確認できた。これにより、金属箔の製造方法の違いは、指向性に影響を与えないことが分かった。
以上の通り、実施例1、2の薄型通信デバイスでは、ビーコン信号が、金属箔が貼られていない方向に進む指向性があることが確認できた。これに対して、比較例1の薄型通信デバイスでは、その進行方向に指向性は見られなかった。
1 基板
2 送信アンテナ部
3 電池
4 絶縁層
5 金属箔
6 パターンアンテナの位置
7 パターンアンテナの全領域とその外縁から平面方向に13mm離れた領域
100 薄型通信デバイス100

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板上に配置される送信アンテナ部と、前記基板上に配置され前記送信アンテナ部の全体を覆うように配置される金属箔とを含む薄型通信デバイス。
  2. 前記送信アンテナ部が、電波を使ったビーコン信号を送信することを特徴とする請求項1記載の薄型通信デバイス。
  3. 前記基板平面を上から見た際に、前記金属箔が、前記送信アンテナ部の全領域とその外縁から平面方向に13mm以上離れた領域まで覆っていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄型通信デバイス。
  4. 前記基板が、片面部品実装されており、前記金属箔が前記基板の部品実装されていない側に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の薄型通信デバイス。
  5. 前記金属箔が、有機フィルム上に蒸着された金属薄膜であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の薄型通信デバイス。
  6. 前記基板、前記送信アンテナ部、前記金属箔の全体がラミネートされることによって成形されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の薄型通信デバイス。
  7. 前記金属箔が、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、銅のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の薄型通信デバイス。
  8. 前記金属箔の厚みが、5~200μmであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の薄型通信デバイス。
  9. 前記送信アンテナ部と前記金属箔との間隔が、50~500μmであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の薄型通信デバイス。
  10. 送信アンテナ部が配置された基板を準備する工程(I)と、
    有機フィルム上に金属蒸着させて金属蒸着フィルムを準備する工程(II)と、
    前記金属蒸着フィルムを前記送信アンテナ部の全体を覆うように積層する工程(III)と、
    を含む薄型通信デバイスの製造方法。
  11. 更に、前記送信アンテナ部が配置された基板と、前記金属蒸着フィルムの全体をラミネート成形する工程(IV)、
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄型通信デバイスの製造方法。


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