JP2022159666A - 微生物培養装置及び微生物の培養方法 - Google Patents

微生物培養装置及び微生物の培養方法 Download PDF

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Yoshito Fujimaki
桂也 福田
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Abstract

【課題】維持管理が簡単で、省スペースで二酸化炭素等の基質を効率よく消費可能なこと。【解決手段】微生物培養装置100は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25を収容し担体積層部10Aが浸漬される液槽部21と、担体積層部10A及び水分供給部としての液槽部21を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスを含んだ基質供給ガス41Gを供給する基質供給部40とハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを具備する。【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化炭素を消費できる微生物の培養に好適な微生物培養装置及び微生物の培養方法に関するものである。
近年、大気中の二酸化炭素の増大による地球温暖化への影響が懸念されている。特に、化学工場等では製品の生産過程において燃料の燃焼等により二酸化炭素を含むガスを多く排出していることから、地球温暖化問題が深刻化する中で、環境保護の観点から、温室効果ガスである二酸化炭素の低減化に対する社会からの要求もますます強くなっている。
そこで、地球温暖化対策の一つとして、微生物の機能を利用して二酸化炭素を固定化する技術の開発が進められている。
例えば、特許文献1では、水素資化細菌や光合成細菌等により炭酸ガスを固定する技術を開示している。
また、特許文献2の技術では、メタン生産性の化学独立栄養細菌を利用し、水素資化性のメタン醗酵菌が水素と炭酸ガスを基質として有用物質としてのコリノイドを生産し、また水素資化性のメタン醗酵菌により生産されたメタンを菌体の炭素エネルギ源として再利用し、系外に炭酸ガスを放出しない処理としている。
特開平4-75537号公報 特開平6-169783号公報
しかしながら、このような特許文献1や特許文献2を含む従来の炭酸ガス(二酸化炭素)を基質とする微生物の培養においては、所謂、液体培養であるから、炭酸ガスを大量に、かつ、連続的に微生物によって消費させるためには、大量の培養液、それを収容するタンク等を必要として大規模な装置となるうえ、微生物の連続的な培養、即ち、炭酸ガスの微生物による効率的な消費のためには、連続的な培地の供給、排出の管理制御や、炭酸ガスを溶解させるための培地の曝気、菌体の発育阻害を防止するためのpHコントロール等の大掛かりな制御が必要となり、それら管理制御に多大なエネルギや費用を要する。
そこで、本発明は、維持管理が簡単で、省スペースで二酸化炭素等の基質を効率よく消費可能な微生物培養装置の提供を課題とするものである。
請求項1の発明の微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記シート状の多孔質担体を湿らせる水分供給手段と、前記シート状の多孔質担体を収容するハウジングと、前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部とを有し、ハウジング内に収容したシート状の多孔質担体に微生物を担持させて水分供給手段によりシート状の多孔質担体を湿らせ、そして、基質供給部によりハウジング内に微生物の基質を供給することによって、シート状の多孔質担体上で微生物を増殖させて培養するものである。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、例えば、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。なお、シート状の多孔質担体の配置は、シートの面方向を水平方向、鉛直方向または斜めとする何れの配置であってもよい。
上記水分供給手段は、微生物を担持するシート状の多孔質担体を湿らせ、微生物の生育に必要な水分を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容した液槽部にシート状の多孔質担体を浸漬させることでシート状の多孔質担体を湿らせてもよいし、シート状の多孔質担体に水または培養液を滴下、散水してシート状の多孔質担体を湿らせてもよいし、ハウジング内に水または培養液を噴霧、加湿してシート状の多孔質担体を湿らせてもよい。
上記水分供給手段によりシート状の多孔質担体を湿らせるための水は、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよく、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給手段で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素及び二酸化炭素で、好気性の場合には更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給手段で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、シート状の多孔質担体を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物により資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素及び二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々にハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジング内に供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジングの気相部分に供給してもよいし、ハウジングの水または培養液中に供給するようにしてもよい。
請求項2の発明の微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層してなる担体積層部と、前記担体積層部に対し水または培養液を供給する水分供給部と、前記シート状の多孔質担体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、前記微生物の基質を供給する基質供給部とを有し、ハウジング内に収容したシート状の多孔質担体に微生物を担持させて水分供給部によりシート状の多孔質担体に水または培養液を供給し、そして、基質供給部によりハウジング内に微生物の基質を供給することによって、シート状の多孔質担体上で微生物を増殖させ培養するものである。
上記担体積層部は、シート状の多孔質担体をその厚み方向で複数枚重ね合わせたものであり、複数枚積層されているうちの1枚ずつまたは2、3枚ずつの回収の容易さからすれば、互いに一体に接合されたものではなく分離自在なものが好ましい。しかし、部分的な接合関係があってもよい。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。なお、シート状の多孔質担体の配置は、シートの面方向を水平方向、鉛直方向または斜めとする何れの配置であってもよい。
上記水分供給部は、微生物を担持するシート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容し担体積層部が浸漬される液槽部であってもよいし、担体積層部の上方から担体積層部に対し水または培養液を滴下または噴霧する散水部であってもよい。
上記水分供給部により供給する水または培養液とは、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよいことを意味し、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給部で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素と二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給部で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、担体積層部及び水分供給部を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物による資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素、二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々にハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジング内に供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジング内の気相部分に供給してもよいし、ハウジング内の水または培養液中に供給するようにしてもよい。
請求項3の発明の微生物培養装置の前記担体積層部は、前記積層された前記シート状の多孔質担体の面方向を前記ハウジングの上下方向(高さ方向)に対して直角な水平方向に一致させて配設されたものであり、シート状の多孔質担体の面方向が横に配置されるものである。
請求項4の発明の微生物培養装置の前記担体積層部は、前記積層された前記シート状の多孔質担体の面方向を前記ハウジングの水平方向に対して垂直な方向にまたは前記垂直な方向から傾けて配設されるものであり、シート状の多孔質担体の面方向が縦または斜めに配置されるものである。
請求項5の発明の微生物培養装置の前記担体積層部は、前記ハウジングの上下方向(高さ方向)で所定の間隔で複数個配置したものである。
上記複数段に配置される担体積層部の相互間の間隔は、一定であってもよいし、相違させてもよい。
請求項6の発明の微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体がロール状に巻回されてなる担体巻回体と、前記担体巻回体から所定長引き出された前記シート状の多孔質担体に水または培養液を供給する水分供給部と、前記シート状の多孔質担体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、前記微生物の基質を供給する基質供給部とを有し、ハウジング内に収容したシート状の多孔質担体に微生物を担持させて水分供給部によりシート状の多孔質担体に水または培養液を供給し、そして、基質供給部によりハウジング内に微生物の基質を供給することによって、シート状の多孔質担体上で微生物を増殖させ培養するものである。
上記担体巻回体は、長尺状に形成したシート状の多孔質担体を複数回ロール状に巻回ししたものであり、長尺状のシート状の多孔質担体が芯材に巻き取られたものでもよいし、芯材を使用していないものでもよい。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。なお、シート状の多孔質担体の配置は、シートの面方向を水平方向、鉛直方向または斜めとする何れの配置であってもよい。
上記水分供給部は、微生物を担持するシート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容しシート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であってもよいし、シート状の多孔質担体の上方からシート状の多孔質担体に対し水または培養液を滴下または噴霧する散水部であってもよい。
上記水分供給部により供給する水または培養液とは、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよいことを意味し、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給部で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素と二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給部で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、担体巻回体及び水分供給部を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物による資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素と二酸化炭素、好気性の場合に更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々でハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジングに供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジングの気相部分に供給してもよいし、ハウジングの培養液中に供給するようにしてもよい。
請求項7の発明の微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部と、前記シート状の多孔質担体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、前記微生物の基質を供給する基質供給部とを有し、ハウジング内に収容したシート状の多孔質担体に微生物を担持させて水分供給部によりシート状の多孔質担体に水または培養液を供給し、そして、基質供給部により前記ハウジング内に微生物の基質を供給することによって、シート状の多孔質担体上で微生物を増殖させ培養するものであり、更に、ハウジング内にはシート状の多孔質担体上に増殖した微生物を除去する除去部を設けたものである。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。なお、シート状の多孔質担体の配置は、シートの面方向を水平方向、鉛直方向または斜めとする何れの配置であってもよい。
上記水分供給部は、微生物を担持するシート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容しシート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であってもよいし、シート状の多孔質担体の上方からシート状の多孔質担体に対し水または培養液を滴下または噴霧する散水部であってもよい。
上記水分供給部により供給する水または培養液とは、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよいことを意味し、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給部で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素、二酸化炭素、好気性の場合に更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給部で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、シート状の多孔質担体及び水分供給部を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物による資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素、二酸化炭素、好気性の場合に更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々でハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジングに供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジングの気相部分に供給してもよいし、ハウジングの培養液中に供給するようにしてもよい。
上記除去部は、シート状の多孔質担体上で増殖した微生物を除去できるものであればよく、例えば、へら、刷毛、スクレーパ、レーキ等の掻き取り手段によりシート状の多孔質担体の表層側を掻き取ることで微生物を除去、回収してもよいし、シート状の多孔質担体上に対し風を与える風圧手段や、振動を与える振動手段や、流水手段等により微生物をシート状の多孔質担体を落下させることで微生物を除去、回収してもよい。何れにせよ、微生物を取り除いて再び増殖スペースを確保できるようにするものであればよい。
請求項8の発明の微生物培養装置は、更に、前記ハウジング内に、輪状に形成した前記シート状の多孔質担体を回転させる回転手段を有し、前記回転手段によって前記水分供給部と前記除去部との間で前記シート状の多孔質担体を循環させるものである。
上記回転手段は、輪状に接続したシート状の多孔質担体を一定の移動方向でまたは反転させて旋回できる構造であればよく、例えば、モータ等の駆動装置により回転させるプーリ等の台車を用いたコンベア構造を採用できる。なお、シート状の多孔質担体の回転は、正逆方向の回動する移動であってもよい。
請求項9の発明の微生物培養装置の前記水分供給部は、前記水または培養液が収容され前記シート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であるものである。
ここで、上記液槽部は、所定容積の容器(槽)に水または培養液を収容したものである。上記多孔質担体が浸漬されるとは、必ずしも全体が水または培養液に浸漬状態とされること、即ち、水または培養液中に全体を沈ませた状態にすることを要求するものではなく、水または培養液に浸漬することでその水または培養液を吸水、含浸して、湿った状態にされることを意味する。
請求項10の発明の微生物培養装置の前記水分供給部は、前記シート状の多孔質担体の上から前記水または培養液を滴下または噴霧する散水部であり、この水分供給部により重力で水分を落下させ、前記シート状の多孔質担体に前記水または培養液が供給されることになる。
上記散水部は、前記シート状の多孔質担体に前記水または培養液を供給できれば、前記水または培養液を水滴として落下させるものであってもよいし、水滴粒子を細かくして噴霧してもよく、その水滴の大きさは格別に問われるものではない。散水は間欠的であってもよいし、連続的であってもよい。また、前記シート状の多孔質担体に供給する水または培養液は、落下した水または培養液を回収し、循環させて繰り返し使用してもよい。
請求項11の発明の微生物培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層してなる担体積層部と、前記担体積層部に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給して前記シート状の多孔質担体上に微生物を増殖させ、前記担体積層部の表層側の前記シート状の多孔質担体上に前記微生物が増殖したら、そのシート状の多孔質担体を分離、回収するものである。
上記担体積層部は、シート状の多孔質担体をその厚み方向で複数枚重ね合わせたものであり、複数枚積層されているうちの1枚ずつまたは2、3枚ずつの回収の容易さからすれば、互いに一体に接合されたものではなく分離自在なものが好ましい。しかし、部分的な接合関係があってもよい。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。
上記水分供給部は、微生物を担持するシート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容し担体積層部が浸漬される液槽部であってもよいし、担体積層部の上方から担体積層部に対し水または培養液を滴下または噴霧する散水部であってもよい。
上記水分供給部により供給する水または培養液とは、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよいことを意味し、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給部で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素と二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給部で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、担体積層部及び水分供給部を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物による資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素、二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々でハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジングに供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジングの気相部分に供給してもよいし、ハウジングの培養液中に供給するようにしてもよい。
請求項12の発明の微生物培養方法によれば、前記担体積層部を前記ハウジングの上下方向で間隔を空けて複数段配置し、上段側の前記担体積層部の上方から前記水分供給部により水または培養液を供給することで、前記水または培養液を前記上段側の前記担体積層部から下段側の前記担体積層部まで流通させるものである。
請求項13の発明の微生物培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体がロール状に巻回されてなる担体巻回体と、前記担体巻回体から所定長引き出された前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給して前記担体巻回体から所定長引き出した前記シート状の多孔質担体上に微生物を増殖させ、前記担体巻回体から所定長引き出された前記シート状の多孔質担体上に微生物が増殖したら、前記微生物が増殖した前記シート状の多孔質担体を切断、分離、回収すると共に、前記切断する長さを前記担体巻回体から新たに引き出すものである。
上記担体巻回体は、長尺状に形成したシート状の多孔質担体を複数回ロール状に巻回ししたものであり、長尺状のシート状の多孔質担体が芯材に巻き取られたものでもよいし、芯材を使用していないものでもよい。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。
上記水分供給部は、微生物を担持するシート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容しシート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であってもよいし、シート状の多孔質担体の上方からシート状の多孔質担体に対し水または培養液を滴下または噴霧する散水部であってもよい。
上記水分供給部により供給する水または培養液とは、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよいことを意味し、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給部で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素と二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給部で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、担体巻回体及び水分供給部を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物による資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素と二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々でハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジングに供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジングの気相部分に供給してもよいし、ハウジングの培養液中に供給するようにしてもよい。
請求項14の発明の微生物培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給して前記シート状の多孔質担体上に微生物を増殖させ、前記シート状の多孔質担体上に増殖した微生物は前記ハウジング内に設けた前記シート状の多孔質担体の微生物を除去する除去部により除去するものである。
上記シート状の多孔質担体は、微生物を担持するものであり、通気と吸湿または吸水が可能な多孔質構造であればよく、繊維を抄紙法(湿式法)、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法によりシート状に成形して3次元的に繊維を絡合し多孔質構造とした繊維集合体であってもよいし、多孔質材料を焼結等によって固めてシート状に形成した多孔質構造のものであってもよい。
上記水分供給部は、微生物を担持するシート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給できればよく、例えば、水または培養液を収容しシート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であってもよいし、シート状の多孔質担体の上方からシート状の多孔質担体に対し水または培養液を滴下または噴霧する散水部であってもよい。
上記水分供給部により供給する水または培養液とは、シート状の多孔質担体を湿らせることができれば、地下水または水道水等の単なる水に限定されず、微生物の栄養基質を含む培養液であってもよいことを意味し、培養対象とする微生物種によって選択される。微生物の生育に必要な栄養基質を全て基質供給部でハウジングの外部から供給してもよいし、微生物の生育に必要な栄養基質の一部は水に溶解して培養液とし水分供給部で供給してもよい。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌では、主たる栄養基質が水素と二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素であり、それらの基質に比較し、窒素源、ミネラル等は無機塩等として少量または微量で済み水に溶解しやすいものでもあるから、窒素源、ミネラル等は、例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等の無機塩を含む培養液として水分供給部で供給するのが好ましい。
上記ハウジングは、シート状の多孔質担体及び水分供給部を収容し、室内と室外の空気流を遮断できる構成であればよく、好ましくは、室外の外部環境に影響されずに室内温度を制御自在とするものである。
上記基質供給部は、微生物の栄養基質、即ち、微生物による資化される栄養基質をハウジング内に供給するものであり、基質の種類は、培養対象とする微生物種によって選択される。例えば、二酸化炭素を炭酸固定する化学独立栄養細菌の一種である水素細菌の培養では、水素及び二酸化炭素、好気性の場合には更に酸素を供給する。基質が複数の場合、それらは別々でハウジング内に供給しても良いし、予め混合してハウジングに供給するようにしてもよい。基質は、ガス(気体)の状態でハウジング内に供給するものであってもよいし、水に溶解或いは吸湿させてハウジング内に供給するようにしてもよいし、超臨界等の形態であってもよい。更に、ハウジングの気相部分に供給してもよいし、ハウジングの培養液中に供給するようにしてもよい。
上記除去部は、シート状の多孔質担体上で増殖した微生物を除去できるものであればよく、例えば、へら、刷毛、スクレーパ、レーキ等の掻き取り手段によりシート状の多孔質担体の表層側を掻き取ることで微生物を除去、回収してもよいし、シート状の多孔質担体上に対し風を与える風圧手段や、振動を与える振動手段や、流水手段等により微生物をシート状の多孔質担体を落下させることで微生物を除去、回収してもよい。何れにせよ、微生物を取り除いて再び増殖スペースを確保できるようにするものであればよい。
請求項15の発明の微生物培養方法によれば、前記ハウジング内に輪状に形成した前記シート状の多孔質担体を回転させる回転手段を設け、前記回転手段によって、前記シート状の多孔質担体を前記水分供給部と前記除去部との間を循環させているものである。
上記回転手段は、輪状に接続したシート状の多孔質担体を一定の移動方向でまたは反転させて旋回できる構造であればよく、例えば、モータ等の駆動装置により回転させるプーリ等の台車を用いたコンベア構造を採用できる。なお、シート状の多孔質担体の回転は、正逆方向の回動する移動であってもよい。
請求項16の発明の微生物培養方法によれば、前記水分供給部は、前記水または前記培養液が収容され前記シート状の多孔質担体が浸漬される液槽部としたものである。
ここで、上記液槽部は、所定容積の容器(槽)に水または培養液を収容したものである。上記多孔質担体が浸漬されるとは、必ずしも全体が水または培養液に浸漬状態とされること、即ち、水または培養液中に全体を沈ませた状態にすることを要求するものではなく、水または培養液に浸漬することでその水または培養液を吸水、含浸して、湿った状態にされることを意味する。
請求項17の発明の微生物培養方法によれば、前記水分供給部は、前記シート状の多孔質担体の上から前記水または前記培養液を滴下または噴霧する散水部としたものである。
上記散水部は、前記シート状の多孔質担体に前記水または培養液を供給できれば、前記水または培養液を水滴として落下させるものであってもよいし、水滴粒子を細かくして噴霧してもよく、その水滴の大きさは格別に問われるものではない。散水は間欠的であってもよいし、連続的であってもよい。また、前記シート状の多孔質担体に供給する水または培養液は、落下した水または培養液を回収し、循環させて繰り返し使用してもよい。
請求項18の発明の微生物培養方法によれば、微生物を付着させる担体を収容したハウジング内に前記微生物の基質を供給し、前記担体の表面側、または、前記担体が積層若しくは集積してなる担体群の表層側の前記担体に前記微生物が増殖したら、前記担体の表面側または前記担体群の表層側の前記担体を分離、回収するものである。
ここで、上記担体は、微生物を保持できるものであればよく、例えば、セラミック、ポリウレタン、ポリプロピレン、セルロース等の多孔質体または多孔質材料の担体(多孔体)や、ポリビニルアルコール(PVA)等の含水ゲル(ジェル)担体や、繊維状・紐状・レース状担体や、固形物の表層に水膜を持たせた担体、珪藻土等のスラリーを固めた担体、寒天担体等が使用される。なお、多孔質体には、その内部に孔(空隙)を有するものであり、例えば、粒子が凝集した構造のものや、気泡が分散されている構造(スポンジ状)のものや、網目構造等のものがある。また、多孔質材料とは、孔が多く空いているポーラス材料であり、例えば、活性炭等のカーボンや、ゼオライトや、珪藻土や、セラミック等が使用される。上記担体の形状としては、シート状、平板状、柱状、筒状、繊維状、紐状、粒状等の何れの形態であってもよい。
請求項1の発明に係る微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記シート状の多孔質担体を湿らせる水分供給手段と、前記シート状の多孔質担体を収容するハウジングと、前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部とを具備するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給手段により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、シート状の多孔質担体を回収し新たなシート状の多孔質担体上で微生物を増殖させることによって、或いは、シート状の多孔質担体上の微生物の除去によって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
請求項2の発明に係る微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層してなる担体積層部と、前記担体積層部に対し水または培養液を供給する水分供給部と、前記担体積層部及び前記水分供給部を収容するハウジングと、前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部とを具備するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給部により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、シート状の多孔質担体を回収し新たなシート状の多孔質担体上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
ここで、請求項2の発明の微生物培養装置によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層して担体積層部を形成しており、担体積層部の表層側のシート状の多孔質担体ではハウジング内の気体との接触面積が広いことで微生物の増殖速度が最も速く、表層側のシート状の多孔質担体で増殖した微生物は下層側のシート状多孔質担体に進出する。このため、上層側のシート状多孔質担体上の微生物が増加したら、その上層側のシート状多孔質担体を回収すれば、その下に重ねてあったシート状多孔質担体が新たに表出しハウジング内の気体との接触面積が広がることで、そこで微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の初期の少ない接種量で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
請求項3の発明に係る微生物培養装置によれば、前記担体積層部は、前記積層された前記シート状の多孔質担体の面方向を前記ハウジングの上下方向に対して直角な水平方向に一致させて配設されるから、水分、微生物の分布が重力の影響を受けず均一化を可能とする。よって、請求項2に記載に加えて、多孔質担体のシートの面積を有効に利用できる。
請求項4の発明に係る微生物培養装置によれば、前記担体積層部は、前記積層された前記シート状の多孔質担体の面方向を前記ハウジングの水平方向対して垂直な方向にまたは前記垂直な方向から傾けて配設されるから、請求項2に記載に加えて、更なる省スペース化を可能とする。
請求項5の発明に係る微生物培養装置によれば、前記担体積層部は、前記ハウジングの上下方向で間隔を空けて複数段配置されるから、上段側の担体積層部の上方から水分供給部により水または培養液を供給し、水または培養液を上段側の担体積層部から下段側の担体積層部まで流通させることができる。よって、請求項2乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、シート状の多孔質担体に対し摂取する微生物量が少なくとも効率的に複数の担体積層部の全体に分布させて増殖させることができ、基質ガスの消費効率を高くできる。
請求項6の発明に係る微生物培養装置は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体がロール状に巻回されてなる担体巻回体と、前記担体巻回体から所定長引き出された前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部と、前記担体巻回体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部とを具備するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給部により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、シート状の多孔質担体を回収し新たなシート状の多孔質担体上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
ここで、請求項6の発明の微生物培養装置によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を長尺状に形成しそれをロール状に巻回した担体巻回体を設置しており、担体巻回体から引き出したシート状の多孔質担体に水分供給部により水または培養液が供給されることから、長尺状に形成したシート状の多孔質担体の担体巻回体から引き出され水分供給部により水または培養液が供給された部分で、微生物が増殖する。引き出したシート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、その引き出した領域のシートの所定長を切断、回収すると共に、その回収する分だけ担体巻回体から新たに所定長を引き出す。すると、その新たに引き出した領域でも、水分供給部により水または培養液が供給されることにより、微生物が増殖する。よって、微生物の少ない接種頻度で微生物を連続的、効率的に増殖させることが可能となり、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
請求項7の発明に係る微生物培養装置によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部と、前記シート状の多孔質担体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部とを具備するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給部により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、除去部によりシート状の多孔質担体上の微生物を除去することによりそこで再び微生物を増殖させることが可能であり、連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
請求項7の発明の微生物培養装置によれば、シート状の多孔質担体上に増殖した微生物を除去する除去部をハウジング内に設けているから、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖しても、除去部によりシート状の多孔質担体上の微生物を除去することで、再び、そのシート状の多孔質担体上に微生物を増殖させることができる。よって、継続的にシート状の多孔質担体を使用してそこに微生物を増殖させることができるから、シート状の多孔質担体のコストを抑えることができる。
請求項8の発明に係る微生物培養装置によれば、更に、前記ハウジング内に、輪状に形成した前記シート状の多孔質担体を回転させる回転手段を有し、前記回転手段によって前記水分供給部と前記除去部との間で前記シート状の多孔質担体を循環させているから、請求項7に記載の効果に加えて、容易な維持管理で、基質ガスの消費効率を高めることが可能である。
請求項9の発明に係る微生物培養装置によれば、前記水分供給手段は、前記水または培養液が収容され前記シート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であるから、請求項2乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、制御管理が容易で低コスト化が可能である。
請求項10の発明に係る微生物培養装置は、前記水分供給手段は、前記シート状の多孔質担体の上から前記水または培養液を滴下または噴霧する散水部であるから、請求項2乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、シート状の多孔質担体に供給する水または培養液の調節が容易にできる。
請求項11の発明に係る微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層してなる担体積層部と、前記担体積層部に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給部により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、シート状の多孔質担体を回収し新たなシート状の多孔質担体上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
更に、請求項11の発明の微生物の培養方法によれば、前記担体積層部の表層側の前記シート状の多孔質担体上に微生物が増殖したら、前記微生物が増殖した前記シート状の多孔質担体を分離、回収する。
ここで、請求項11の発明の微生物の培養方法では、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層して担体積層部を形成しており、担体積層部の表層側のシート状の多孔質担体ではハウジング内の気体との接触面積が広いことで微生物の増殖速度が最も速く、表層側のシート状の多孔質担体で増殖した微生物は下層側のシート状多孔質担体に進出する。このため、上層側のシート状多孔質担体上の微生物が増加したら、その上層側のシート状多孔質担体を回収すれば、その下に重ねてあったシート状多孔質担体が新たに表出しハウジング内の気体との接触面積が広がることで、そこで微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の初期の少ない接種量で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
請求項12の発明に係る微生物の培養方法によれば、前記担体積層部を前記ハウジングの上下方向で間隔を空けて複数段配置し、上段側の前記担体積層部の上方から前記水分供給部により水または培養液を供給し、前記水または培養液を上段側の前記担体積層部から下段側の前記担体積層部まで流通させるから、水または培養液の落下により、微生物を上段側の前記担体積層部から下段側の前記担体積層部に移動させることになる。よって、請求項11に記載の効果に加えて、少ない微生物摂取量でも効率のよい微生物の増殖、基質の消費が可能となる。
請求項13の発明に係る微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体がロール状に巻回されてなる担体巻回体と、前記担体巻回体から所定長引き出された前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給部により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、シート状の多孔質担体を回収し新たなシート状の多孔質担体上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
そして、請求項13の発明の微生物の培養方法によれば、前記担体巻回体から所定長引き出された前記シート状の多孔質担体上に微生物が増殖したら、それを所定長切断、分離、回収し、前記切断した長さを前記担体巻回体から新たに引き出す。
ここで、請求項13の発明の微生物の培養方法、微生物を付着させるシート状の多孔質担体を長尺状に形成しそれをロール状に巻回した担体巻回体を設置しており、担体巻回体から引き出したシート状の多孔質担体に水分供給部により水または培養液が供給されることから、長尺状に形成したシート状の多孔質担体の担体巻回体から引き出され水分供給部により水または培養液が供給された部分で、微生物が増殖する。引き出したシート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、その引き出した領域のシートの所定長を切断、回収すると共に、その回収する分だけ担体巻回体から新たに所定長を引き出す。すると、その新たに引き出した領域でも、水分供給部により水または培養液が供給されことで、微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の少ない接種頻度で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
請求項14の発明に係る微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記シート状の多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給するから、ハウジング内のシート状の多孔質担体に担持された微生物が、水分供給部により供給された水分を利用し、また、基質供給部によりハウジング内に供給された基質を摂取することにより、シート状の多孔質担体上で微生物が増殖する。
特に、シート状の多孔質担体では、その多孔質構造によって、水分供給手段により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。よって、水または培養液中でなくとも、シート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させることができる。そして、このようなシート状の多孔質担体上で微生物を培養、増殖させるものでは、担体が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体に保持された水分と基質供給部によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖したら、除去部によりシート状の多孔質担体上の微生物を除去することによりそこで再び微生物の盛んな増殖を可能とし、連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
請求項14の発明に係る微生物の培養方法によれば、シート状の多孔質担体上に増殖した微生物を除去する除去部をハウジング内に設けているから、シート状の多孔質担体上の微生物が増殖しても、除去部によりシート状の多孔質担体上の微生物を除去することで、再び、そのシート状の多孔質担体上に微生物を増殖させることができる。よって、継続的にシート状の多孔質担体を使用してそこに微生物を増殖させることができるから、シート状の多孔質担体のコストを抑えることができる。
請求項15の発明に係る微生物の培養方法によれば、前記ハウジング内に輪状に形成した前記シート状の多孔質担体を回転させる回転手段を設け、前記回転手段によって、前記シート状の多孔質担体を前記水分供給部と前記除去部との間で循環させているから、請求項14に記載の効果に加えて、容易な維持管理で、基質ガスの消費効率を高めることが可能である。
請求項16の発明に係る微生物の培養方法によれば、前記水分供給部は、前記水または培養液が収容され前記シート状の多孔質担体が浸漬される液槽部であるから、請求項11乃至請求項15の何れか1つに記載の効果に加えて、制御管理が容易で低コスト化が可能である。
請求項17の発明に係る微生物の培養方法によれば、前記水分供給部は、前記シート状の多孔質担体の上から前記水または培養液を滴下または噴霧する散水部であるから、請求項11乃至請求項15の何れか1つに記載の効果に加えて、シート状の多孔質担体に供給する水または培養液の調節が容易にできる。
請求項18の発明に係る微生物の培養方法によれば、微生物を付着し水分を保持する担体を収容したハウジング内に前記微生物の基質を供給することにより、前記担体上で微生物を増殖させるものであり、前記担体の表面側、または、前記担体が積層若しくは集積してなる担体群の表層側の前記担体に前記微生物が増殖したら、前記担体の表面側または前記担体群の表層側の前記担体を分離、回収することで、新たに表出する前記担体の表面側または前記担体群の表層側の前記担体上で微生物を増殖させ、連続的に微生物による基質の消費を可能とするものである。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
図1は本発明の実施の形態1に係る微生物培養装置の全体構成を示す概略図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る微生物培養装置の液槽部の部分拡大図であり、(a)は液槽部に入れた担体積層部のシート状の多孔質担体の積層状態を示す説明図、(b)は液槽部に入れた担体積層部の上層側のシート状の多孔質担体の回収を説明する説明図である。 図3は試験例としてシート状の多孔質担体を用いた微生物の培養における基質ガス消費量の測定結果を寒天培地を用いた参考例と比較して示したグラフである。 図4は本発明の実施の形態1の変形例1に係る微生物培養装置の全体構成を示す概略図である。 図5は本発明の実施の形態1の変形例2に係る微生物培養装置の全体構成を示す概略図である。 図6は本発明の実施の形態2に係る微生物培養装置の全体構成を示す概略図である。 図7は本発明の実施の形態3に係る微生物培養装置の全体構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る微生物培養装置100について、図1及び図2を参照して説明する。
以下、本実施の形態1に係る微生物培養装置100では、微生物の例として、二酸化炭素を炭素源として利用し炭酸固定を行う化学独立栄養細菌を培養する例で説明する。
本実施の形態1に係る微生物培養装置100は、図1に模式的に示すように、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10が複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aを水または培養液25に浸漬させた液槽部21と、それら担体積層部10A及び液槽部21を収容したハウジング30と、微生物により資化される基質ガスをハウジング30に供給する基質供給部40と、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを有する。
シート状の多孔質担体10とは、折曲げや巻き取り可能な程度の薄さ、例えば、厚みが0.1~10mmの範囲内、好ましくは、0.2~5mmの範囲内、より好ましくは、0.5~3mmの範囲内のシート状のもので、微生物を付着保持、即ち、担持できるものであればよく、例えば、繊維を抄紙した微小な気孔を有する抄紙構造の担体(抄紙体)を使用でき、広義には繊維を織らずに絡み合わせた微小な気孔を有する不織布を含む概念である。
抄紙担体としては、例えば、植物繊維等の天然繊維または合成繊維等の化学繊維に適宜フィラ、例えば、珪藻土、セラミック、活性炭等の多孔質材料を配合して抄造することにより得たものを使用することができる。必要に応じ、繊維やフィラの結合力、即ち、機械的強度を高めるため、結合剤として、例えば、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂等)などの樹脂を使用して硬化させてもよい。繊維としては、強度の高いアラミド繊維や、親水性の高い水酸基(親水基)を有するポリビニルアルコール(PVA)繊維、ビニロン繊維、セルロース系繊維等の親水性繊維が好ましく使用できる。また、吸水性、保水性を高めるために、吸水性ポリマを含有させてもよい。吸水性ポリマとしては、例えば、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸(レイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等)、アクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体、ポリアクリル酸及びその塩(ナトリウム塩等)、ポリアクリル酸塩グラフト重合体等からなる粒径1μm~1000μmのポリマ粒子等が使用できる。
ここでは、抄紙構造の多孔質担体10として、セルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維と、珪藻土や活性炭等の多孔質材料からなるフィラとを抄造したものを使用した。
セルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の親水性や強度のある繊維と珪藻土や活性炭等の多孔質材料を抄造してなる抄紙構造の担体によれば、多孔質材料の孔や抄紙の多孔質構造(網目構造)による繊維間の微細な間隙に微生物を多く保持できるうえ、抄紙体の繊維間の微細な間隙の多孔質構造による毛細管現象によって、また、繊維の親水性によって、吸湿性・吸水性や保水性に優れるから、抄紙担体に担持された微生物による水分に溶解した基質(例えば、水素、二酸化炭素、酸素、無機塩等)の摂取効率を高めることができる。特に、抄紙体からなるシート状の多孔質担体10によれば多孔質材料による多孔質構造や抄紙構造による繊維間に微細な間隙を有する多孔質構造によって表面積を大きくでき、通気、湿気の流通も良いから、シート状の多孔質担体10に保持された水分と外部から供給された水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスとの接触効率(接触頻度)や、シート状の多孔質担体10と水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスを含んだ湿気との接触効率が良く、水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスがシート状の多孔質担体10上の水分に取り入れられやすい。よって、微生物による基質ガスの消費効率を高めることができる。
本実施の形態1では、このようなシート状の多孔質担体10に微生物を担持させ、シート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させる。
ここで、シート状の多孔質担体10への微生物の接種は、例えば、多孔質担体10に微生物の粉末またはコロニーを擦り付けるまたは塗り付けることにより微生物を多孔質担体10に付着、保持させることができる。または、別途の用意した培養液に多孔質担体10を投入、浸漬し、これに微生物を投入、混合して所定条件下で培養することで、微生物を多孔質担体10に付着、保持させてもよい。このとき、多孔質担体10を含んだ培養液は攪拌しながら培養することで、短時間で微生物を高濃度に担持することができる。或いは、予め、所定濃度に微生物を培養した別途の培養液に多孔質担体10を投入、所定時間浸漬させることで、微生物を担体10に付着、保持させてもよい。
本実施の形態1においては、後述するようにシート状の多孔質担体10が複数枚積層して液槽部21に収容されハウジング30内に設置されるものであるが、微生物の接種は、予め、必ずしも担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10の全体に分布するように摂取しなくてもよく、少なくとも担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10に摂取してあればよい。後述するように、最上層のシート状の多孔質担体10は、ハウジング30内の気体部分に触れる面積が最も大きいことで最も微生物の増殖が速いから、少なくとも最上層のシート状の多孔質担体10に接種すれば、液槽部21の水または培養液25の水分を利用し、基質供給部40から供給された基質ガスを消費して、最上層のシート状の多孔質担体10上で最も速く微生物を増殖させることが可能であり、増殖した微生物は下層側のシート状の多孔質担体10に進出する。そして、最上層のシート状の多孔質担体10が回収されると、下層側にあったシート状の多孔質担体10が表出することで下層側にあったシート状の多孔質担体上でも微生物が増殖する。よって、少量の接種量で微生物を効率的、連続的に増殖させることが可能である。なお、より基質ガスを効率的に消費させる場合には、予め、下層側のシート状の多孔質担体10にも微生物を接種していてもよいし、下層側のシート状の多孔質担体10が表出した時点で新たに微生物の接種を追加してもよい。
即ち、少なくとも担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10に摂取してあれば、担体積層部10Aのうち最上層に位置するシート状の多孔質担体10においてハウジング30内の気体部分との接触面積が広いことで最も微生物が速く増殖し、その増殖した微生物が重ねている下層側のシート状の多孔質担体10にも進出して付着する。そして、上層側のシート状の多孔質担体10が回収され、その下に重ねていた下層側にあった湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10が表出すると、そのシート状の多孔質担体10でも微生物が付着、担持されていたことで、それが増殖し、そこに微生物を新たに接種しなくとも或いは少量の微生物の接種で、積層されたシート状の多孔質担体10に連続的に微生物を増殖させることが可能である。
そして、本実施の形態1では、微生物を担持させるシート状の多孔質担体10は、そのシートの面方向に対して直角な方向、即ち、シートの厚み方向に複数枚重ねて担体積層部10Aとし、その担体積層部10Aを液槽部21に収容して、液槽部21の水または培養液25に浸漬することによって、水または培養液25を担体積層部10Aの多孔質担体10に含浸させる。
このとき、所定量の水または培養液25を入れた液槽部21では、担体積層部10Aの浸漬によって担体積層部10Aの全体のシート状の多孔質担体10が水または培養液25を吸水(吸収)し、湿潤状態とされる。特に、担体積層部10Aの全体のシート状の多孔質担体10が吸水した状態で、液槽部21内の水または培養液25の水位は、液槽部21内の底面に載せ置いた担体積層部10Aの全体の厚み以下となるのが好ましい。即ち、担体積層部10Aの厚みの全体を水または培養液25に浸漬させた状態とするのではなく、下層側のシート状の多孔質担体10が水または培養液25に浸漬した状態とし、上層側のシート多孔質担体10は水または培養液25から露出した状態とするのが好ましい。このように担体積層部10Aの厚みの一部、即ち、担体積層部10Aの下層側が水または培養液25中に配置され、上層側が気体側に配置された状態とすれば、担体積層部10Aの上層側のシート状の多孔質担体10が気体側(気相側)に露出していることで、上層側のシート状の多孔質担体10に保持された水分に基質ガスが溶存しやすく、また、上層側のシート状の多孔質担体10に付着した微生物が水または培養液25中に放出され難いから、水または培養液25を介して微生物から産出される発育阻害因子等の影響を受け難く、上層側のシート状の多孔質担体10で多くの菌体量を担持できて、微生物による基質ガスの高効率な消費を可能とする。
また、担体積層部10Aの厚みの少なくとも一部、即ち、下層側のシート状の多孔質担体10が水または培養液25に浸漬された状態にあれば、シート状の多孔質担体10の多孔質構造による毛細管現象により、下層側のシート状の多孔質担体10から上層側のシート状の多孔質担体10に水または培養液25が吸い上げられ、上層側のシート状の多孔質担体10も水または培養液25により湿潤状態を維持することができる。
なお、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10を積層する枚数は特に問われず、多孔質担体10の特性、厚み等により設定されるが、担体積層部10Aの厚みの少なくとも一部、即ち、下層側のみの多孔質担体10の水または培養液25の浸漬で担体積層部10Aの全体の多孔質担体10に水または培養液25を含浸させた状態を維持できればよく、例えば、上述したセルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維と珪藻土や活性炭等の多孔質材料とを抄造してなる抄紙体(例えば、厚みが0.1~10mmの範囲内)からなる多孔質担体10においては、3~50枚積層して担体積層部10Aとするのが好ましい。
また、本実施の形態1において、シート状の多孔質担体10の寸法は特に問われず、多孔質担体10の製造のしやすさ、微生物の種類や、二酸化炭素等を微生物に消費させる基質ガスの量等を考慮して設定されるが、例えば、上述したセルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維と珪藻土や活性炭等の多孔質材料とを抄造してなる抄紙体(例えば、厚みが00cm~00cmの範囲内)からなる多孔質担体10においては、60cm2~100000cm2の面積に設定することができる。
シート状の多孔質担体10が複数枚積層されてなる担体積層部10A及び水または培養液25液が収容される液槽部21は、所定面積のシート状の多孔質担体10及び所定量の水または培養液21を収容できる容積で上方が開放された容器状であれば、その材質や形状は特に限定されず、例えば、アクリル、ポリスチレン、塩化ビニル等の樹脂製であってもよいし、ガラス製であってもよいし、金属製であってもよい。取り扱い易さの観点からすれば、樹脂製または金属製のものが好ましく使用されるが、透明の樹脂製であれば内部の視認も容易である。また、上方が開放された容器状であれば、立方体状、直方体状、円筒状等の形状も特に問われない。
液槽部21の水または培養液25は、培養対象とする微生物の種類により選択され、培養液の場合には、培養対象とする微生物の生育に必要な水分及び栄養素を含むものであればよく、例えば、化学独立栄養細菌である水素細菌の培養であれば、主に無機塩、例えば、リン酸塩、アンモニウム塩、硝酸塩等の窒素源や、リン酸イオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、硫酸イオン、カルシウムイオン等の無機イオン類を含有する。具体的には、例えば、硫酸アンモニウム((NH42SO4)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)、硫酸マグネシウム水和物(MgSO4・7H2O)、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)、塩化鉄(FeCl2・4H2O)、塩化ニッケル等を含有する。また必要に応じ微量元素(例えば、硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)、硫酸銅(CuSO4・5H2O)、硫酸マンガン(MnSO4・5H2O)、酸化モリブテン(MoO3)、モリブテン酸ナトリウム(Na2MoO4・2H2O)、塩化コバルト(CoCl2・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、ホウ酸(H3BO3)等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸類等の微量栄養素を使用できる。微量栄養素は、それを含む天然の栄養物、例えば酵母エキス、麦芽エキス等であってもよい。それら微量栄養素の含有により水素細菌の生育、増殖を促進することも可能である。
なお、好ましくは、リン酸水素ナトリウム(Na2HPO4)及びリン酸二水素ナトリウム(KH2PO4)や、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)を含むことにより、pH緩衝能を持たせることができる。例えば、微生物の産生物が培養液に溶存することによるpHの低下や溶存した二酸化炭素によるpHの低下が、微生物の生育、増殖を阻害する場合にはpHの低下を防止して、微生物の生育、増殖の阻害を防止できる。なお、液槽部21の培養液中にpHセンサを設置してpHセンサにより培養液21のpHを管理して、培養液の補充または無機塩等の栄養基質の補充やpHの中和を行うようにしてもよい。例えば、水素細菌であれば、培養液のpHを所定の範囲、例えば、pH2.0~12.0、好ましくは、pH4.0~9.5、より好ましくは、pH6.5~7.5に制御、維持するのが好ましい。pHの中和成分としては、アンモニア等が使用でき、アンモニアであれば、微生物によって消費された培養液中の窒素源を補うこともできる。
培養液中の無機塩等の栄養基質は微生物により消費されるから、適宜、栄養基質の成分の補充や培養液または水の補充または交換を行うようにしてもよい。例えば、培養液の窒素濃度等を培養槽に設置した窒素濃度センサにより検出し管理することで、無機塩等の栄養基質を補充しても良いし、多孔質担体10の交換のタイミングで培養液または水を補充または交換してもよい。また、液槽部21に水位センサを設置してその水位センサにより培養液の水位を検出し管理することで、培養液または水を補充するようにしてもよい。培養液の水位の低下は、水素、二酸化炭素等の基質ガスの溶解量の低下や、微生物の水分、栄養基質の不足等を招き、微生物による基質ガスの取り込み、即ち、生育、増殖に影響するから、培養液の水位が所定以下に減少したら、水または培養液を追加、補充するようにしてもよい。なお、基質ガスの消費量、微生物の種類、シート状の多孔質担体10の積層枚数等に応じて培養液の量、水位等が決定される。液槽部21では、攪拌羽等の攪拌手段によって培養液を攪拌、例えば、50rpm~1500rpmの攪拌速度で攪拌してもよい。これにより、後述する基質供給部40から供給された水素、二酸化炭素等の基質ガスが培養液に溶解しやすくなり、微生物による水素及び二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高めることも可能となる。
こうした培養液は液槽部21の容器曹内に所定の水位で収容され、担体積層部10Aの下層側のシート状の多孔質担体10が浸漬されることによって担体積層部10Aのシート状多孔質担体10に含浸される。即ち、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10は培養液25を吸水して湿潤状態に維持され、シート状の多孔質担体10上に担持された微生物は培養液中の水分及び栄養基質を摂取できる。
そして、本実施の形態1の微生物培養装置100において、微生物を担持させるシート状の多孔質担体10が複数枚積層されてなる担体積層部10A及びその担体積層部10Aを水または培養液25に浸漬させた液槽部21は、ハウジング30に収容されている。
図1においては、ハウジング30内に棚Sを設置し、その棚Sの上に複数の液槽部21を配置している。即ち、ハウジング30内において、下層側が水または培養液25に浸漬された状態の担体積層部10Aを収容した液槽部21が複数個、ハウジング30の水平方向及びそれに直角な上下方向に並列的に設置されている。液槽部21の個数は、基質供給ガス41Gの処理量等に応じて、設定することができる。
ハウジング30は、その室内に収容されたシート状の多孔質担体10を回収、交換する等のハウジング30の内容物の出し入れを可能とする開閉自在な構造であればよい。また、ハウジング30の室外の外部環境に影響されずに室内の温度及び湿度を制御自在なように、室内の温度及び湿度が室外のものと一致しない程度に遮断できる構造であればよい。即ち、ハウジング30内の湿度及び温度は、室外の環境条件によって制御されるものでなく、微生物の好ましい生育環境、基質ガス(水素や二酸化炭素等)の消費効率からしてハウジング30内の温度及び湿度が所定の範囲内となる恒温及び恒湿環境にできる熱や湿気の遮断性があればよい。ハウジング30の材質は、特に限定されないが、熱や湿気の遮断性、耐圧性、腐食性等から、例えば、金属性、樹脂製、セラミック製が好ましく使用され、断熱材を組み合わせてもよい。ハウジング30の形状も、特に問われず、底部(下面)と、底部から立ち上がる側面部と、側壁部の上に形成する天井部(上面部)とからなる断面四角形の筒状であってもよいし、円筒状であってもよいし、ドーム型であってもよい。側面を曲面状にすると、基質ガスのエアレーション効率を高めることも可能となる。ハウジング30の大きさ、容積は、基質ガスの処理量等に応じて適宜設計される。
ハウジング30では室内温度、室内湿度、室内圧力を管理、制御するのが好ましい。このとき、ハウジング30の室内温度、室内湿度、室内圧力等の情報をセンサで検出しコンピュータ制御とすることも可能である。例えば、ハウジング30内の温度を検出する温度センサや、湿度を検出する湿度センサや、圧力を検出する圧力センサを配設し、それら温度センサ、湿度センサ、圧力センサの出力を、マイクロコンピュータからなる制御装置に入力する。更に、温度センサ、湿度センサ、圧力センサからの情報入力されたマイクロコンピュータからなる制御装置の出力を、空調装置や排気部50に入力し、空調装置による温度制御や、排気部50によりハウジング30の室内の内気を室外に排気するその排気量の制御に使用する。温度エネルギを発生する空調装置を用いることでハウジング30の室内の温度を微生物の生育、増殖に最適な所定の範囲にすることが可能である。水素細菌の場合には、例えば、25~75℃の範囲内の温度制御とし、特に25~50℃の範囲内の温度制御が好ましいが、水素細菌の属種により生育の最適温度は異なるため、水素細菌の属種により適宜好適な範囲に設定される。
温度制御により、ハウジング30の室内の湿度を所定の範囲内、例えば、30%~80%範囲内に制御することも可能である。特に、所定範囲内の一定の湿度の制御により、湿気に基質ガスを溶解しやすくして、水分に溶解した基質ガスの多孔質担体10上に担持されている微生物による効率的な摂取を可能とし、または、シート状の多孔質担体10を湿潤状態に維持するようにして微生物による基質ガスの効率的な摂取を可能とし、基質ガスの高い消費効率の維持を可能とする。なお、温度制御によって湿度制御が可能であるが、所定の範囲の温度制御で所定の湿度が得られない場合、加湿装置等によって湿度制御を行ってもよい。マイクロコンピュータからなる制御装置を用いる場合には、ハウジング30内の温度及び湿度情報が入力されたマイクロコンピュータからなる制御装置の出力を加湿装置に入力するようにしてもよい。水蒸気を発生する加湿装置を用いてハウジング30の室内の湿度を高く制御することでも、湿気に基質ガスを溶解しやすくしたり、ハウジング30内のシート状の多孔質担体10を湿潤状態に維持したりすることが可能となる。なお、水または培養液25を補充、追加することでハウジング30の室内の湿度を所定の範囲に制御できるようにしてもよい。
なお、本発明を実施する場合には、工場からの廃熱の温度エネルギを利用してハウジング30内を温度制御してもよい。また、排気部50は、後述するように、ファン、ブロア等の作動によりハウジング30の室内の内気を室外に排気するものである。ハウジング30の室内に設置した圧力センサからの情報入力でファン、ブロア等の運転制御による排気部50でのハウジング30の内気の排気により、ハウジング30の室内の圧力を所定の範囲に制御するようにしてもよい。
ハウジング30の室内は、マイクロコンピュータからなる制御装置のプログラム制御或いはマイクロコンピュータ等の電気エネルギを使用しない管理によって所定の温度及び湿度に維持されることにより、所定の温度下で湿潤状態にあるシート状多孔質担体10上での微生物の効率的な培養、増殖を可能とし、水素や二酸化炭素等の基質ガスの微生物による継続的な高い消費効率を可能とする。また、ハウジング30の室内の圧力も、マイクロコンピュータからなる制御装置のプログラム制御或いはマイクロコンピュータ等の電気エネルギを使用しない管理によって排気部50により一定に制御されることにより、ハウジング30内の増圧を抑え、高圧による微生物の不活性化、増殖の停止を防止して、水素や二酸化炭素等の基質ガスの微生物による継続的な高い消費効率を可能とする。
好ましくは、ハウジング30内には、循環扇、ファン、ブロワー等の内気循環手段を配設し、それら内気循環手段によって、ハウジング30の室内の内気を循環させる。これより、後述の基質供給部40から供給された水素、二酸化炭素等の基質ガスが微生物に消費されることなく後述の排気部50から排出されることを防止できる。また、内気循環手段によって、ハウジング30の室内に気流が生じることより、後述の基質供給部40から供給された水素、二酸化炭素等の基質ガスが万遍なくハウジング30の室内に行きわたり、水分との接触効率(接触頻度)を高め、基質ガスが水分に溶解しやすくなり、微生物の水分摂取による基質ガスの消費効率を高めることができる。このため、ハウジング30内の循環系の気流は停止することなく、常に動作させるのが好ましい。
そして、本実施の形態1の微生物培養装置100においては、ハウジング30に接続し、ハウジング30内に微生物の栄養基質である基質ガスを含む基質供給ガス41Gを供給する基質供給部40が設けられている。
基質ガスは、微生物の培養、生育に必要な栄養源、例えば、炭素源、エネルギ源、微生物の生育に影響する因子(酸素等)として供給される気体状態の基質である。
微生物として、炭酸固定を行う化学独立栄養細菌であり好気的に水素を酸化する水素細菌、即ち、酸素を電子受容体として利用する水素細菌の培養例で説明すると、基質ガスとしては、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)及び酸素(O2)が使用される。
基質供給部40で供給される水素(H2)、二酸化炭素(CO2)及び酸素(O2)の基質ガスを含む基質供給ガス41Gとは、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)及び酸素(O2)の3成分系の100%純度であることまでを要求するものではなく、水素、二酸化炭素及び酸素以外の気体、不純物を含んでも良いことを意味し、ハウジング30内で、水素濃度が、好ましくは、20~90%、より好ましくは、50~90%、更に好ましくは、70~90%、酸素濃度が、好ましくは、5~60%、より好ましくは、5~40%、更に好ましくは、5~25%、二酸化炭素濃度が、好ましくは、5~60%、より好ましくは、5~40%、更に好ましくは、5~25%の範囲内であればよい。
このため、基質供給ガス41Gとしては、工場等から排出された副生水素等を含んだ水素排ガスや、工場等から排出された二酸化炭素等を含んだ燃焼排ガスや、空気を使用することができる。これら基質供給ガス41Gとしての水素排ガス、燃焼排ガス、空気等は、それぞれを別々でハウジング30内に導入してもよいし、ハウジング30に導入する前に予め混合してハウジング30内に導入するようにしてもよい。
例えば、基質供給ガス41Gとしての水素排ガス、燃焼排ガス、空気のそれぞれを別々の経路でハウジング30内に供給する場合には、工場等から排出された副生水素等を含んだ水素排ガスを供給する水素排ガス供給部と、工場等から排出された二酸化炭素等を含んだ燃焼排ガスを供給する燃焼排ガス供給部と、ハウジング30の室外の外気、即ち、空気を供給する空気供給部とによって基質供給部40が構成され、それら互いに独立した別途の供給系をハウジング30に接続し、水素排ガス、燃焼排ガス、空気がハウジング30内で混合されることになる。
このときの基質供給部40を構成する水素排ガス供給部は、例えば、化学製品を製造する化学工場等から排出された副生水素等を含んだ水素排ガスをハウジング30内に供給する供給路であり、工場等から接続されるパイプライン等の管路及びハウジング30内に副生水素等を含んだ水素排ガスを送り込むファン(送風機、ブロア)等から構成される。
工場等から排出された副生水素とは、例えば、苛性ソーダ、塩素ガス、エチレン等の製造時、コークスの精製時、石油精製時、化学製品を製造する際のシリコーンの脱水素縮合反応時、化学エッジング処理時、ダイカスト処理時等で副次的に生産される水素である。
これら化学製品等の製造時に副次的に生産された副生水素を含む水素排ガスには、副生水素ガスの他、燃焼によるまたは副次的な二酸化炭素ガスが含まれていることもある。
また、同じく基質供給部40を構成する燃焼排ガス供給部は、例えば、工場等から排出された二酸化炭素を含んだ燃焼排ガスをハウジング30内に供給する供給路であり、工場等から接続されるパイプライン等の管路及びハウジング30内に二酸化炭素等を含んだ燃焼排ガスを送り込むファン(送風機、ブロア)等から構成される。
工場等から排出された二酸化炭素を含んだ燃焼排ガスとは、工場等で燃料を燃焼させたときに生じるガスで、燃料の燃焼で生じる二酸化炭素を含んだものである。この燃焼排ガスには、燃焼に使用されなかった酸素(余剰酸素)が含まれていることもある。
更に、同じく基質供給部40を構成する空気供給部は、ハウジング30の室外の空気(外気)をハウジング30内に供給する供給路であり、ファン(送風機、ブロア)を設けハウジング30の室外の空気を吸気する構成であればよい。空気には、当然、酸素、二酸化炭素及び水素の各ガスが含まれている。
なお、水素、二酸化炭素及び酸素の供給源である工場等から排出された排ガスやハウジング30の室外の空気は、それを直接ハウジング30内に供給してもよいし、フィルタ等による不純物の除去処理や、滅菌処理を行ったものをハウジング30内に供給してもよいし、濃縮・分離器等により水素、二酸化炭素または酸素ガスが濃縮、高濃度化されたものをハウジング30内に供給してもよい。即ち、必要に応じ、基質供給部40では、水素排ガス供給部の構成や、燃焼排ガス供給部の構成や、空気供給部の構成において、不純物や雑菌を除去したり水素、二酸化炭素、酸素の各分圧(濃度、純度)を高めたりするために、各種フィルタ、濃縮装置、分離装置(分離膜)等を配設し、フィルタ等による不純物の除去処理や、滅菌処理を行ったものをハウジング30内に供給するようにしてもよいし、濃縮・分離器等により水素、二酸化炭素または酸素ガスが濃縮、高濃度化されたものをハウジング30内に供給するようにしてもよい。
例えば、工場からの副生水素を含む水素排ガスまたは空気中に含まれる水素を分離、濃縮する手段としては圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption、PSA)や、水素を選択的に透過する高分子膜やパラジウム合金膜等を用いた水素分離膜法、深冷分離法等がある。また、工場からの水素排ガスや燃焼排ガスまたは空気中に含まれる二酸化炭素を分離、濃縮する手段としては、二酸化炭素を選択的に吸収できるアルカリ性溶液を用いた化学吸収法、二酸化炭素を選択的に透過する高分子膜やセラミック膜等を用いた膜分離法、圧力スイング吸着法、深冷分離法等がある。更に、工場からの燃焼排ガスや空気中に含まれる酸素を分離、濃縮する手段としては、ゼオライト等を用いた吸着法、深冷分離法、高分子膜やセラミック膜等の膜分離法等がある。また、例えば、燃焼排ガス中に還元力の強い一酸化炭素(CO)が多く含まれる場合等には、水素細菌の増殖を阻害する可能性もある。この場合には、一酸化炭素を除去した排ガスの供給が望ましい。ハウジング30内へのそれら排ガスの供給や空気の供給は、バッチ式で行うこともできるが、水素細菌の生育、増殖や、水素細菌による二酸化炭素、酸素の消費効率等から、連続的に行うことが好ましい。
なお、このときのハウジング30内に水素排ガスや燃焼排ガスや空気を供給する各ファン(送風機、ブロア)は、インバータ制御による回転数制御等によって風量制御が自在なものを用いてもよい。例えば、工場の生産が止まる夜間等、排ガスの供給量の変動等に対応して、各ガスの供給量の調節を行うことで、水素細菌の生育に好適なガス環境濃度の調節を可能とする。また、各ガスの供給量が少なくて済むときには、回転速度を落としてエネルギ消費の節約(省エネ運転)を可能とする。
こうして、好気的に水素を酸化する水素細菌の培養の例では、基質ガスとして水素、二酸化炭素及び酸素が基質供給部41によりハウジング30内に供給される。
上記説明では、水素排ガス、燃焼排ガス及び空気を別々の供給路でハウジング30内に供給する基質供給部40の構成で説明したが、本発明を実施する場合には、水素排ガス、燃焼排ガス及び空気を所定の配合比で予め混合した供給系をハウジング30に接続してもよい。何れにせよ、ハウジング30内に水素細菌の培養、生育に必要な水素、二酸化炭素及び酸素の基質ガスを供給できる形態であればよい。
なお、二酸化炭素や硝酸イオン(NO3 -)を電子受容体として利用し嫌気的に水素を酸化し二酸化炭素を同化するタイプの水素細菌であっては、酸素の供給が省略されることになる。即ち、培養する微生物に対応した基質ガスの設定となる。
更に、本実施の形態1の微生物培養装置100には、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部として、ハウジング30に接続し、ハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50が設けられている。
本実施の形態1の排気部50は、ハウジング30の室内の内気を室外に排出する排出路であり、ファン(送風機、ブロア)を設けハウジング30の室内の内気を吸気し室外に排出する構成であればよい。ハウジング30の室内に吸気ダクト等を設けてもよい。
こうしたハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50を設けることにより、ハウジング30内の気圧を一定の範囲内に制御自在として、微生物による水素や二酸化炭素等の基質ガスの消費効率の維持を可能とする。なお、ハウジング30の室内の内気の排出は、連続的に行うこともできるし、間欠的であってもよく、特に、ハウジング30の室内の圧力が所定以上に上昇したときに、ファン(送風機、ブロア)を作動させハウジング30の室内の内気を室外に排出するようにしてもよい。これにより、未利用の水素、二酸化炭素、及び酸素等の基質ガスのハウジング30の室外への排出量を抑え、供給された水素、二酸化炭素、及び酸素等の基質ガスを無駄なく有効に利用して微生物による基質ガスの消費効率を高めることができる。
このとき、排気部50では、ハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気路(排気管路)を分岐し、その分岐した一方に、循環系のファン(送風機、ブロア)を配設し、そのファン(送風機、ブロア)の出力をハウジング30内に入力する構成とする循環路53を形成してもよい。即ち、排気部50は、ハウジング30から排出された排出ガス(内気)51Gの一部を大気中に排出する大気排出路52の構成と、ハウジング30から排出された排出ガス51Gの一部を循環系のファン(送風機、ブロア)を用いてハウジング30の室内に戻して循環させる循環路53の構成としてもよい。このような排気部50では、ハウジング30から排出された内気排気量のうち、大気排出路52から大気に排出させる大気排気量との差が循環路53からハウジング30内に供給、循環される。但し、ハウジング30の室内の圧力が所定値を上回る場合には、循環系のファン(送風機、ブロア)の動作を停止し、或いは、循環系のファン(送風機、ブロア)を常に動作させても、循環量よりも、排気部50から大気中に排出される内気の排出量を絶対的に大きくし、ハウジング30内の内気が所定の気圧に維持できるようにする。なお、循環路53のハウジング30内への入力は、基質供給部40の構成にまとめてよいし、それとは別にしてもよい。
こうしたハウジング30から排出された内気の一部を再びハウジング30内に供給する循環路53の形成により、例えば、基質供給部40からの基質ガスの供給量に変動があり、ハウジング30内への基質ガスの供給量が少なくなったときでも、未利用の基質ガスの大気中への排出を抑えて無駄なく有効に利用して微生物の増殖を維持し、基質ガスの組成や供給量による影響を少なくして、微生物の基質ガスの消費効率の低下を防止することが可能となる。また、循環路53を常に動作させている場合には、ハウジング30の室内の内気が循環する気流が形成されるから、ハウジング30内で基質ガスと水分との接触効率(接触頻度)を高めることができる。
このように構成された本実施の形態1の微生物培養装置100によれば、ハウジング30内に収容された液槽部21内には、水または培養液25が所定水位で収容され、この水または培養液25に対し、微生物が接種されたシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aを浸漬することで、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10が水または培養液25を吸水して、湿潤状態で設置されるから、ハウジング30に基質供給部40により基質ガスを含む基質供給ガス41Gが供給されると、基質供給ガス41Gに含まれた基質ガスが水または培養液25や、シート状の多孔質担体10に保持された水分や、ハウジング30内の湿気の水分に溶け、基質ガスが溶存した水分をシート状の多孔質担体10に接種した微生物が摂取することにより、基質が微生物に取り込まれ、即ち、消費され、シート状の多孔質担体10上で微生物が生育、増殖する。
炭酸固定を行う化学独立栄養細菌の培養の例で説明すると、シート状の多孔質担体10に化学独立栄養細菌を摂取し、ハウジング30内に基質ガスとして二酸化炭素、無機物(例えば、水素、アンモニア、硫黄、硫化水素、酸化鉄等)を供給すると、シート状の多孔質担体10に接種した化学独立栄養細菌によって、無機物をエネルギ源として利用して、即ち、無機物の酸化反応を利用して、二酸化炭素を固定することが可能となる。
具体的に、化学独立栄養細菌として、好気的に水素を酸化する種の水素細菌を例に挙げて説明すると、かかる水素細菌は、摂取した酸素を電子受容体として用いて遊離の水素を好気的に酸化(資化)し、更に、その反応によって生じるエネルギを使用して無機炭素源の二酸化炭素(炭酸ガス)を資化し、また、培養液25中の無機塩等の窒素源も資化して、有機化合物を生産し、生育、増殖するものである。したがって、シート状の多孔質担体10に水素細菌を接種した場合には、そのシート状の多孔質担体10上の水素細菌が、基質供給部40によってハウジング30の室内に供給された基質ガスとしての水素、二酸化炭素及び酸素、また、培養液25で供給された無機塩等の窒素源の存在下で、酸素を利用して水素を好気的に酸化し、更に、その酸化エネルギを利用して二酸化炭素を吸収し、炭酸固定を行うことで、生育、増殖する。なお、好気的に水素を酸化する水素細菌では、好気呼吸で二酸化炭素も生じるが、呼吸による発生量は炭酸固定量より少ないものである。
特に、本実施の形態1の微生物培養装置100によれば、微生物を付着させたシート状の多孔質担体10を液槽部21の水または培養液25に入れて湿らせたものであり、シート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるから、省スペースで菌体量を多くすることが可能である。そして、このようにシート状の多孔質担体10上で微生物を増殖させるものでは、シート状の多孔質担体10上の微生物が飽和状態になったら、或いは、微生物の増殖が停滞したら、それを回収し別のシート状の多孔質担体上で微生物を増殖させることで微生物の連続的な培養で基質ガスの安定した消費を可能とするものであり、液体培養と相違し微生物により産出される発育阻害物質等の影響も受け難く、基質ガスの安定した消費のための連続的な培養液の管理制御を必要としないから、省エネ設計を可能とする。
また、本発明者らの実験研究によれば、培養液25を含浸させ湿潤状態としたシート状の多孔質担体10上での微生物培養では、寒天培地での培養と比較し、基質ガスを効率良く消費できることを確認している。
具体的には、ここでは、試験例1として、アラミド繊維やセルロール繊維等の繊維と珪藻土粉末等のフィラを抄造して作製した抄紙体からなるシート状の多孔質担体10(厚み0.7mm)を使用し、かかるシート状の多孔質担体10を5枚積層して形成した担体積層部10Aの上面側から化学独立栄養細菌である水素細菌を部分的に播種し、水素細菌が接種された担体積層部10Aを、シャーレ内で無機塩等の窒素源を含んだ培養液25に浸漬させた。
なお、このときの培養液25の水位は、培養液25に浸漬させた担体積層部10Aの上面が培養液25の水面より表出する状態となるようにした。
そして、こうして培養液25にシート状の多孔質担体10を浸漬させたシャーレを4個用意し、それらを容積18Lの真空容器に入れて密閉し、真空ポンプを使用して真空容器内の空気を抜いてほぼ真空状態にしてから、その容器内に二酸化炭素、酸素、水素の混合ガス(CO2:O2:H2=1:1:7)を18L(0.09MPa分)導入し、23℃の一定温度条件下で水素細菌の培養を行い、容器内のガス消費量を真空ゲージにより測定した。また、初期の二酸化炭素濃度と所定日数経過後の残ガスの二酸化炭素濃度を測定した。なお、二酸化炭素濃度の測定は、二酸化炭素濃度測定器を入れた袋内に、容器内からポンプで所定量のガスを送り込み、送り込まれたガス中の二酸化炭素濃度を二酸化炭素濃度測定器で測定した。
また、比較のために、参考例1として上記培養液を寒天培地とし、シャーレ内の寒天培地の全面に水素細菌を播種したもの、参考例2としてシャーレ内の寒天培地に部分的に水素細菌を播種したものを作製し、それについても上記と同じ培養実験を行い、水素細菌によるガス消費量を測定した。なお、試験例1と参考例2では、部分播種した水素細菌の接種面積は同じとしている。水素細菌の接種は、例えば、水素細菌のコロニーを白金耳を使用してガラスプレートに上に擦りつけ、それをシート状の多孔質担体10(試験例1)上または寒天培地(参考例1,2)上に付着させることにより、即ち、ガラスプレート上の水素細菌を転写することにより行った。試験例1、参考例1及び参考例2に係る水素細菌の培養におけるガス消費量の測定結果を図3に示す。
図3に示したように、参考例1では、参考例2よりも初めはガス消費速度が速くあるも、最も早くガス消費速度の低下がみられた。詳細には、参考例1ではグラフの傾きから初期のガス消費速度が約0.6L/日で、培養開始から6日目に水素細菌によるガス消費量の増大が鈍化したのに対し、参考例2では、グラフの傾きから初期のガス消費速度が約0.6L/日で、培養開始から11日目に水素細菌によるガス消費速度が鈍化した。これは、参考例1では水素細菌を全面播種したため寒天培地での培養細菌の増殖スペースが少なかったためと考えられ、参考例2では、水素細菌が部分播種であったため培養細菌の増殖スペースに余裕があったことから、参考例1よりもガス消費速度の低下が遅く、全体的なガス消費量が上がったものと考えられる。
これに対し、試験例1は、初めから最もガス消費速度が速く、グラフの傾きからガス消速度が約1L/日であり、培養開始から11日目に水素細菌によるガス消費速度の鈍化がみられた。即ち、試験例1ではガス消費速度が速いうえ、ガス消費速度の低下も遅く、ガスの消費効率が最も高い結果が得られた。
また、二酸化炭素濃度を測定したところ、容器内の初期の二酸化炭素濃度が約10%であり、試験例1における10日目での容器内の残ガスの二酸化炭素濃度が約10%であったことから、基質ガス消費量の10%が二酸化炭素消費量であり、ガス消費量が多い試験例1で最も二酸化炭素の消費量が多いものであった。
こうして、シート状の多孔質担体10に微生物を担持させ、それを培養液25に浸漬させた状態で微生物を培養した試験例1では、参考例1及び参考例2の寒天培地のときよりも、基質ガスの消費効率が良いものであった。これは、シート状の多孔質担体10に微生物を担持させ、それを培養液に浸漬させた状態で微生物を培養したものでは、微生物を担持する多孔質担体10が多孔質構造であることによって、微生物が増殖できるスペースが広く、また、初期の微生物の菌体密度分布が低く抑えられることで、微生物の菌体量を増やすことができたためと考える。更に、多孔質担体10が多孔質構造であることで、基質ガスと水分との接触効率が良く、また、通気や吸水もよいから、微生物による水分に溶解した基質ガスの摂取効率がよいことも考えられる。
こうして、微生物を担持するシート状の多孔質担体10によれば、それが多孔質構造であり表面積も大きいから、初期の微生物の分布密度を低くできるうえ、微生物の付着できるスペースが大きく、また、平面的な2次元のみならず、厚み方向の3次元的にも微生物の増殖できるスペースを広くできる。更に、繊維や多孔質材料の抄紙体からなる多孔質担体10によれば多孔質材料による多孔質構造や抄紙構造による繊維間に微細な間隙を有する多孔質構造によって通気、湿気の流通が良く、その多孔質構造によって水または培養液25の吸水が容易であり、また、水分の付着、保持が可能な表面積が大きいから、全体を湿潤状態に維持できる。したがって、多孔質担体10に保持された水分と外部から供給された水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスとの接触効率(接触頻度)が良くて、水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすく、多孔質担体10A上の微生物と水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスやそれを含んだ湿気との摂取効率が高い。よって、シート状の多孔質担体10では、省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、基質ガスの消費効率を高めることができる。
このようにシート状の多孔質担体10に微生物を担持させ、それに水または培養液25を含浸させて微生物を培養するものでは、微生物を担持する担体10が多孔質構造であることで、省スペースで微生物を多く担持できるから、基質ガスの取り込みにより微生物が増殖したときの増殖量を大きくすることができ、また、多孔質構造であることで、担持した微生物による水分に溶解した基質ガスとの摂取効率も良くできるから、基質ガスの消費効率が高いものである。
そして、シート状の多孔質担体10上の微生物が飽和状態となった際或いは微生物の増殖が停滞した際には、それを回収し、新たなシート状の多孔質担体10に担持された微生物によって基質ガスの消費を維持することができる。
特に、本実施の形態1では、シート状の多孔質担体10を複数枚積層して担体積層部10Aとして液槽部21の水または培養液25に浸漬することにより水または培養液25を担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10の全体に含浸させており、担体積層部10Aの上層側のシート状の多孔質担体10は、水または培養液25の水面から表出した状態にある。したがって、担体積層部10Aの複数枚積層したシート状の多孔質担体10のうち、その最上層のシート状の多孔質担体10では、その表面(上面)が気体側に最も表出していることで、微生物の増殖速度が最も速く、最上層のシート状の多孔質担体10で最も早く微生物の菌体量が飽和に達する、或いは、微生物の増殖量が停滞する。
そこで、最上層のシート状の多孔質担体10上の微生物が飽和あるいは微生物の増殖が停滞状態となった際には、それのみを回収する(図2(b)参照)。すると、最上層のシート状の多孔質担体10の回収により、それに重ねてあった下側のシート状の多孔質担体10の表面(上面)が新たに表出し気体との接触面積が増えることになるから、今度は、新しく最上層となったシート状の多孔質担体10上で微生物が最も早く増殖する。このとき、新しく最上層となったシート状の多孔質担体10には、先の最上層にあったシート状の多孔質担体10で増殖した微生物が進出しているから、新しく表出したシート状の多孔質担体10に新しく微生物を接種しなくとも微生物を増殖させることが可能である。特に、新たに微生物を接種した場合には、立ち上がりの増殖速度が緩やかであるのに対し、既にハウジング30内の環境下で生育したものが新しく最上層となったシート状の多孔質担体10上で増殖するものであるから、対数的な増殖となる。よって、基質ガスの高い消費効率を連続的に維持することが可能である。
こうして、本実施の形態1に係る微生物培養装置100によれば、ハウジング30内でシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aを液槽部21の水または培養液25に浸漬させて、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10の全体に水または培養液25を含浸させ、積層したシート状の多孔質担体10のうち、上層側のシート状多孔質担体10では水または培養液の水面から露出させた状態で、基質ガス供給部40からハウジング30内に基質供給ガス41Gを供給すると、基質供給ガス41Gに含まれた水素、二酸化炭素、酸素等の基質ガスを担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10上に付着した微生物が消費し、シート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。
特に、本実施の形態1に係る微生物培養装置100によれば、シート状の多孔質担体10を複数枚積層しており、その最上層のシート状の多孔質担体10の表面(上面)が表出していることで、最上層のシート状の多孔質担体10で最も微生物の増殖速度が速く、そこで増殖した微生物は下層側のシート状の多孔質担体10にも進出する。よって、最上層のシート状の多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞状態となった際には、それを回収すれば、それに重ねてあった下層のシート状の多孔質担体10の表面(上面)が表出し気体との接触面積が増えることで、今度は、そのシート状の多孔質担体10に付着していた微生物が増殖を開始する。よって、微生物を接種したシート状の多孔質担体を個々に頻繁に交換する手間を要することなく、少ない微生物の摂取量で連続的に、効率的に微生物を増殖させることが可能である。したがって、多孔質担体10のシートの交換頻度や微生物の接種量を少なくでき、維持管理の簡便化及び低コスト化を図ることができる。そして、シート状の多孔質担体10を積層したものでは、それら1枚ずつの分離が容易であり、軽量でもあるから、回収に手間がかからず回収が容易でもある。
また、多孔質担体10がシート状であるから、積層しても省スペースのものである。よって、小さい設置面積、コンパクトな設計で基質ガスを高い効率で消費できる。更に、多孔質担体10がシート状で軽量であるから、運搬や交換も容易で取扱いやすい。また、抄紙構造の多孔質担体10では、安価に製造できる。
特に、シート状の多孔質担体10が、アラミド繊維やセルロール繊維等の繊維と珪藻土粉末等のフィラを抄造してなるものでは、強度もあり、繰り返しの利用にも適する。例えば、微生物の担持に使用した多孔質担体10を回収した後、それを所定の溶液に投入、攪拌する等の処理を行い、所定の溶液中に微生物の菌体を回収し、更に、洗浄、滅菌(除菌)等すれば、再度、新たに微生物を担持する多孔質担体10として再利用することも可能である。よって、こうした多孔質担体10によれば低コストで済む。また、このとき回収した微生物の菌体の一部を、新たに多孔質担体10に接種する種菌として利用してもよい。多孔質担体10から回収された微生物を含んだ溶液は滅菌(除菌)処理して廃棄することも可能である。多孔質担体10が自然素材からなるものでは破棄しても環境への負荷が少なく、環境に優しい。
更に、化学独立栄養細菌の培養では、二酸化炭素の固定によってバイオプラスチック等の有用資源を生産させることも可能であるから、回収した多孔質担体10から、それら生産物を抽出、分離することも可能である。例えば、多孔質担体10から回収された微生物を含んだ溶液を遠心分離し、得られた沈殿物を適宜抽出処理することにより、有用資源を得ることも可能である。
なお、化学独立栄養細菌として水素細菌を使用し、基質供給ガス41Gとして副生水素等の水素ガスを利用した場合には、副生水素を利用して二酸化炭素を消費することになり、副生水素の有効利用になる。特に、副生水素を燃料電池等として有効利用する場合には発電量の安定性や燃料電地スタックを劣化させる等の電池の品質問題があるのに対し、このようにシート状の多孔質担体10に担持させた水素細菌の培養により水素及び二酸化炭素の消費を行うもの、即ち、副生水素を水素細菌に消費させるものでは、基質供給ガス41Gに含まれた二酸化炭素や水素を水素細菌が選択的に使用するものであるから、副生水素を含んだ水素排ガスの水素の純度が低かったり、ガス組成や供給量が不安定で変動があったりしても、燃料電池等のような品質の問題が生じ難い。水素の純度が低く、供給量が不安定な水素排ガスでも、それに含まれる副生水素を利用して二酸化炭素を消費する環境浄化に有効活用することができる。
また、こうした水素細菌等の化学合成独立栄養細菌によって水素及び二酸化炭素を消費するものでは、藻類、シアノバクテリア等の光合成微生物による光合成を利用した二酸化炭素の消費、つまり、光合成を利用した炭素固定を行う場合と異なり、十分な光を得るための大規模で広大な受光面積、設置面積を必要としない。このため、明所、暗所を問わず設置できるうえ、小型化が可能であり、省スペース及び低コストで水素及び二酸化炭素を処理できる。殊に、炭素固定を行う独立栄養細菌のなかでも水素細菌は、光エネルギ(光合成)を利用した炭素固定に比べ、炭素固定を行うエネルギ効率が良くて、増殖速度が速い種属もあり、炭素固定効率を高くできるため、水素及び二酸化炭素の消費効率を高くできる。
更に、水素細菌であれば、その培養に特殊な栄養基質も必要なく、入手容易な安価な材料で済む。特に、上述の説明では、湿潤状態としたシート状の多孔質担体10上で水素細菌を培養するものであるから、基質ガス溶解のためのバブリング等を含め液体管理に多大なエネルギを必要とする液体培養と比較し、省エネ設計を可能とする。また、水や培養液25のpH等の成分変動の影響が少なく、菌体量を多くする(菌体濃度を高める)ことが可能であり、水素細菌や水または培養液25の交換頻度の手間が少なくて済み、水素細菌による水素及び二酸化炭素の消費効率も高くできる。
加えて、水素細菌では栄養要求も単純であり、シート状の多孔質担体10上で水素細菌を担持して培養しているうえ、水素が高濃度で存在する培養条件下では、コンタミによる雑菌の繁殖も生じ難く、有害物も排出しないから、メンテナンスや管理が容易で、培養液25の廃棄処理も複雑化しない。即ち、水素濃度が高い環境では、他の菌の生育も抑えられ、水素細菌を優先的に培養できるから、排ガスや空気のフィルタ除菌等は必ずしも必要ではなく、基質供給部40を簡易な構成にできる。
こうして、本実施の形態1の微生物培養装置100によれば、省エネ設計が可能で、維持コストも低コストで済み、維持管理も容易である。
更に、例えば、水素、二酸化炭素等を資化する水素細菌では、培養液25に所定の栄養基質を含んだ条件下、貧栄養条件下、形質転換体等で、その菌体内或いは菌体外に、酸(例えば、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、4-ヒドロキシ安息香酸(PHBA)、ヒドロキシイソブチル酸、ヒドロキシ酪酸、メチルクエン酸、乳酸、カルボン酸、酢酸等)、多糖類、アミノ酸・ペプチド・蛋白質(例えば、リジン、アルギニン、トリプトファン,メチオニン、シアノフィシン、有機リン加水分解酵素等)、脂肪酸(例えば、直鎖飽和脂肪酸等)、アミン、エステル(例えば、ラクトン、リン酸エステル等)、核酸、酵素、ビタミン類、生理活性物質、バイオプラスチック(ポリエステル等)等の有機資源を産生することもできる。よって、培養した水素細菌の菌体を回収して、その菌体から上述の酸、蛋白質、バイオプラスチック(ポリエステル等)等の有用資源を抽出、分離することで、酸や蛋白質等の有用資源を供給することも可能である。即ち、水素を酸化したエネルギで温室効果ガスである二酸化炭素を炭酸固定すると共に、それらを有用資源に変換することも可能である。
しかし、本発明を実施する場合には、光合成微生物の培養装置として使用してもよい。この場合には、ハウジング30を透明にして日光等の光がシート状の多孔質担体に当たるようにしたり、ハウジング30内部に光を照射する光源部を設けたりすることになる。
以上説明してきたように、上記実施の形態1に係る微生物培養装置100は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25を収容し担体積層部10Aが浸漬される液槽部21と、担体積層部10A及び水分供給部としての液槽部21を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスを含んだ基質供給ガス41Gを供給する基質供給部40とハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを具備するものである。
また、上記実施の形態1は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての水または培養液25を収容し担体積層部10Aが浸漬される液槽部21とが収容されたハウジング30内に微生物の基質ガスを含んだ基質供給ガス41Gを供給し、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10上に微生物が増殖したら、表層側にある上層のシート状の多孔質担体10を分離、回収する培養方法の発明と捉えることができる。
このように、上記実施の形態1に係る微生物培養装置100及び微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての水または培養液25を収容し担体積層部10Aが浸漬される液槽部21と、担体積層部10A及び液槽部21を収容するハウジング30と、微生物の基質を供給する基質供給部40とを具備するから、ハウジング30内で担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10が水分供給手段としての液槽部21の水または培養液25に浸漬され水または培養液25を吸水、含浸することにより湿潤状態となり、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質ガスが供給されると、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費してシート状の多孔質担体10上で増殖する。
特に、シート状の多孔質担体10では、その多孔質構造によって、水分供給部としての液槽部21により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。したがって、水または培養液25中に担体積層部10Aの全体を浸漬させた状態でなく、一部をハウジング30内の気体側(気相側)に表出させた状態でそのシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させることが可能である。そして、このようなシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるものでは、多孔質担体10が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部40によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体10に保持された水分と基質供給部40によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体10上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体10によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、そのシート状の多孔質担体10を回収し、新たなシート状多孔質担体10上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。
したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから、低コストにできる。
ここで、上記実施の形態1に係る微生物培養装置100及び微生物の培養方法では、シート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aを液槽部21の水または培養液25に浸漬させ、担体積層部10Aの下層側のみ水または培養液25に浸漬状態とするから、担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10の表面が表出し気体との接触面積が大きいことで、最上層のシート状の多孔質担体10で最も微生物の増殖速度が速い。そして、最上層のシート状の多孔質担体10で増殖した微生物は、下層側の多孔質担体10にも進出し付着する。このため、最上層のシート状多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、最上層のシート状多孔質担体10を回収すれば、その下に重ねてあったシート状多孔質担体10では、その表面が表出しハウジング30内の気体との接触が増えることで、新たに微生物を接種しなくとも、微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の初期の少ない接種量で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
即ち、上記実施の形態1に係る微生物培養装置100及び微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層して担体積層部10Aを形成しており、担体積層部10Aの表層側である最上層のシート状の多孔質担体10ではハウジング30内の気体との接触面積が広いことで微生物の増殖速度が最も速く、表層側のシート状の多孔質担体10で増殖、飽和した微生物は下層側のシート状多孔質担体10に進出する。但し、下層側のシート状多孔質10ではハウジング30内の気体との接触面積が少ないことで微生物の増殖は停滞する。そこで、最上層のシート状の多孔質担体10で微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態したら、その最上層のシート状の多孔質担体10のみを回収する。すると、最上層のシート状の多孔質担体10の下側に重ねられていた下層側のシート状の多孔質担体10が表出しハウジング30内の気体との接触面積が増えることで、新たに微生物を接種しなくとも微生物が増殖する。よって、少ない手間及びコストで、基質ガスの高い消費効率を維持することができる。
ところで、上記実施の形態1においては、シート状の多孔質担体10の面方向を横方向に、即ち、ハウジング30の水平方向に一致させ、シート状の多孔質担体10をその厚み方向に複数枚積層してなる担体積層部10Aの積層方向、即ち、シート状の多孔質担体10の厚み方向で液槽部21の水または培養液25を浸漬させたものである。よって、重力の影響を受けずシート状の多孔質担体10の面積全体に水または培養液21を満遍なく分布させることが可能である。
しかし、本発明を実施する場合には、シート状の多孔質担体10の面方向を縦方向に、即ち、ハウジング30の上下方向に一致させで、シート状の多孔質担体10の面方向の高さの一部を液槽部21の水または培養液25に浸漬させる配置としてもよい。なお、この場合にはシート状の多孔質担体10の面方向を縦方向にして立設または吊り下げる支持構造が必要となる。このようなシート状の多孔質担体10の面方向を縦方向にする配置でも、シート状の多孔質担体10が多孔質構造であることで、液槽部21の水または培養液25を吸水して全面を湿潤状態にすることが可能である。特に、シート状の多孔質担体10の面方向を縦方向に配置した場合には、設置面積の省スペース化を図ることができる。
[変形例1]
次に、本実施の形態1に係る変形例1の微生物培養装置100Aについて、図4を参照して説明する。
本変形例1では、ハウジング30内において、微生物を担持するシート状の多孔質担体10の表裏の面方向を水平方向とし、それに対して垂直方向(上下方向)、即ち、シート状の多孔質担体10の面方向に対して垂直な方向に、所定の間隔を空けて、シート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aを複数段配置している。例えば、互いに水平方向に平行、かつ、所定間隔で配置した網状構造の複数の平板FPを設けた棚Sをハウジング30の底部に鉛直方向に立設してハウジング30内に設置し、或いは、ハウジング30の底部に対して垂直方向に立設した側壁部間に平板FPを介在させて棚構造とし、その棚の各平板FPの上にシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aを載せることで、担体積層部10Aをその上下方向に所定間隔で複数段に配した構成とすることができる。
更に、変形例1の微生物培養装置100Aでは、ハウジング30の上方であって、ハウジング30内で上下方向に所定間隔を空けて配置された複数段の担体積層部10Aのうちの最上段に位置する担体積層部10Aの上方に、水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22が設けられており、最上段に位置する担体積層部10Aの上方に設置された散水部22から、水または培養液25の水滴が落下し、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に水または培養液25が供給される。
なお、本変形例1においては、上方から水または培養液25を供給する散水部22として水を吐出する複数の吐出孔を、上段側の担体積層部10Aの水平に配したシート状の多孔質担体10の面積に対して略均一に分布させており、シート状の多孔質担体10の全体の面積に対して吐出孔からの水の滴下が均一に分布するようにして満遍なく水分がシート状の多孔質担体10の全体面積に分布するようにしている。
また、変形例1の微生物培養装置100Aにおいて、ハウジング30の下方には、散水部22から落下した余剰の水または培養液25を外部へと排出する排水部61が設けられている。
ハウジング30の下方は、散水部22から落下した水または培養液25がハウジング30の下方で貯留し、所定の水位になると排水部61からハウジング30の外部に排水される構造であってもよいし、ハウジング30の底部に排水部62に向かって傾斜を付して、ハウジング30の底部に到達した水が常時排水部61からハウジング30外に流れるようにしてもよい。
更に、本発明を実施する場合には、ハウジング30の外部に排出された水または培養液25を、ポンプ等によって散水部22に運ぶ循環路62を設け、散水部22から供給する水または培養液25を循環させるようにしてもよい。
微生物が付着、増殖した多孔質担体10に対する散水部22から供給された水または培養液25の通過によって、ハウジング30の下部に到達した余剰の水または培養液25に微生物が含まれることもあるから、それを回収し、再び散水部22から供給して循環させるものでは、上下方向に所定間隔を空けて配置された複数段の担体積層部10Aの全体により満遍なく微生物を分布させることを可能とし、シート状の多孔質担体10の面積、容積が有効に利用され、基質ガスの消費効率の向上を可能とする。また、水または培養液25の材料コストを抑えることができる。
なお、シート状の多孔質担体10、担体積層部10A、ハウジング30、基質供給部40、排気部50等の内容は基本的には上記実施の形態1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略する。
このように、変形例1に係る微生物培養装置100Aは、シート状の多孔質担体10をその面方向を水平方向に一致させてそれに垂直な厚み方向に複数枚積層してなる担体積層部10Aをハウジング30内でその上下方向(高さ方向)に複数段配置し、最上段の担体積層部10Aの上方に設置した散水部22により最上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25をシート状の多孔質担体10に供給することで、各担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10が湿潤状態とされるものである。したがって、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に接種していた微生物が、散水部22から供給された水分を利用して、基質供給部40から供給された基質供給ガス41の基質ガスを消費し、シート状の多孔質担体10上に増殖する。
このとき、上記実施の形態1のときと同様、各担体積層部10Aで複数枚重ねられたシート状の多孔質担体10のうち、その表層側である最上層のシート状の多孔質担体10においてハウジング30内の気体に触れる面積が大きいことで微生物の増殖が最も速く、最上層のシート状の多孔質担体10で増殖した微生物は下層側に進出する。そして、最上層のシート状の多孔質担体10の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停止、衰退したら、最上層のシート状の多孔質担体10を回収する。これより、最上層のシート状の多孔質担体10の下に重ねてあった下層側の湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10において、その表層(上層)が表出しハウジング30内の気体に触れる面積が増えるから、新たに微生物を接種しなくとも、散水部22から供給された水分を利用し、基質供給部40からの基質ガスを消費して、その新たに表出したシート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。
こうして、シート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aに対し散水部22から水または培養液25を滴下して、各担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10を湿潤状態とするものでも、各担体積層部10Aの複数枚のシート状の多孔質担体10のうち、その最上層に位置するシート状の多孔質担体10でその表面が表出していて最もハウジング30内の気体に触れる面積が大きいことで、最も微生物が速く増殖し、下層側のシート状の多孔質担体10に進出する。そして、その最上層のシート状の多孔質担体10上の微生物が飽和し、または微生物の増殖が停止または衰退してきたら、それを回収することで、下層側にあった湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10の面が表出することで、ハウジング30内の気体に触れる面積が増え、新たに微生物を接種しなくとも、新たに表出したシート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。
よって、少ない微生物の接種量で、シートの厚み方向に重なる多孔質担体10に連続的に、効率的に微生物を増殖させることができる。したがって、多孔質担体10のシートの交換頻度や微生物の接種量を少なくでき、維持管理の簡便化及び低コスト化を図ることができる。そして、シート状の多孔質担体10が積層したものでは、それら1枚ずつの分離が容易であり、軽量でもあるから、回収に手間がかからず回収も容易である。
特に、多孔質担体10を頻繁に交換する場合、微生物を接種したばかりの多孔質担体10では微生物の初期の増殖の立ち上がり、即ち、増殖速度が緩やかであることで基質ガスの消費効率が低下する恐れがある。これに対し、本変形例1では、新たに微生物を接種しなくとも、多孔質担体10のシートの厚さ方向に重ねたシート状の多孔質担体10間で連続的に微生物を進出、増殖させることができるため、微生物の対数的な増殖速度が維持され、基質ガスの消費効率を高い状態で連続的に維持することが可能である。
ここで、微生物の接種は、予め、必ずしも各担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10の全体に分布するように摂取しなくてもよく、少なくとも最上段の担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10に摂取してあればよい。後述するように、本実施例1では、最上段の担体積層部10Aの上方に散水部22を設け、その散水部から水または培養液25が供給されるものであるから、その水または培養液25の落下を利用して微生物を下段の担体積層部10Aに移動させることが可能であるためである。
そして、各担体積層部10Aで最上層にあるシート状の多孔質担体10は、ハウジング30の気体に触れる面積が最も大きいことで最も微生物の増殖が速いから、少なくとも最上層のシート状の多孔質担体10に接種すれば、散水部22から供給される水または培養液25の水分を利用し、基質供給部40から供給された基質ガスを消費して、最上層のシート状の多孔質担体10上で最も速く微生物が増殖し、下層側のシート状の多孔質担体10に進出することになる。最上層のシート状の多孔質担体10上の微生物が飽和し、または微生物の増殖が停止または衰退してきたら、最上層のシート状の多孔質担体10を回収することで、下層側にあったシート状の多孔質担体10が表出するためそのシート状の多孔質担体上でも微生物が増殖する。よって、少量の接種量で微生物を効率的、連続的に増殖させることが可能である。
更に、本変形例1は、上下方向に所定の間隔を空けて配置された網状構造の各平板PS上にシート状の多孔質担体10が複数枚積層して担体積層部10Aとして設置される。即ち、シート状の多孔質担体10が複数枚積層して担体積層部10Aが上下方向に所定の間隔を空けて複数段に配置されている。そして、最上段の担体積層部10Aの上方に設置した散水部22からシート状の多孔質担体10に対して水または培養液25が滴下または噴霧される。
ここで、各担体積層部10Aにおけるシート状の多孔質担体10は多孔質構造であり、吸水して水分を保持できるが、各担体積層部10Aの上層側のシート状の多孔質担体10に保持されずに通過した余剰の水は、下層側のシート状の多孔質担体10に供給されてくことになる。そして、上段側の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に保持されずに通過した余剰の水は、シート状の多孔質担体10が置かれた網状構造の平板PSを介し更に下段側の担体積層部10Aに落下していく。このとき、シート状の多孔質担体10に付着していた微生物が水滴に含まれることもあり、上段側の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に付着していた微生物が水滴と共に下段側の担体積層部10Aに落下して下段側の担体積層部10Aに付着することもある。
このため、初期に少なくとも最上段の担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10に微生物を摂取すれば、下段側の担体積層部10Aには微生物を接種しなくても或いは少量の接種で、全段の担体積層部10Aに微生物を付着させ、増殖させることが可能である。よって、本変形例1の微生物培養装置100Aの構成では、少ない微生物の接種量で、即ち、低コストで効率的に微生物を培養して基質ガスを消費させることが可能である。
即ち、少なくとも最上段の担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10に微生物が摂取してあれば、最上段の担体積層部10Aのうち最上層に位置するシート状の多孔質担体10においてハウジング30内の気体との接触面積が広いことで最も微生物が速く増殖し、その増殖した微生物が重ねている下層側のシート状の多孔質担体10にも進出して付着する。そして、上層側のシート状の多孔質担体10が回収され、その下に重ねていた下層側の湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10が表出すると、そのシート状の多孔質担体10でも微生物が付着、担持されていたことで、それが増殖し、そこに微生物を新たに接種していなくとも或いは少量の微生物の接種で、積層されたシート状の多孔質担体に連続的に微生物を増殖させることが可能である。
また、本変形例1では、最上段の担体積層部10Aの上方に設置した散水部22から担体積層部10Aに対し水または培養液25を滴下していることで、最上段の担体積層部10Aを通過した余剰の水が、最上段の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に付着していた微生物を含んで、下段側の担体積層部10Aに落下する。したがって、下段側の担体積層部10Aに予め微生物を接種しなくとも、上段の担体積層部10Aに付着した微生物が散水部22から供給された水または培養液25を媒体として下段側の担体積層部10Aに落下して付着することで、下段側の担体積層部10A上でも微生物を増殖させることが可能である。
なお、より基質ガスを効率的に消費させる場合には、予め、下段側の担体積層部10Aに微生物を接種してもよいし、各担体積層部10Aにおいて下層側のシート状の多孔質担体10にも微生物を接種していてもよいし、また、下層側のシート状の多孔質担体10が表出した時点で新たに微生物の接種を追加してもよい。
そして、本変形例1に係る微生物培養装置100Aにおいては、このように、上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aに落下する水滴と共に上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aに微生物を落下させることができるから、各段の担体積層部10Aの微生物の分布の偏りが防止され、シート状の多孔質担体10の面積全体に満遍なく微生物を分布させることが可能となる。よって、シート状の多孔質担体10の面積全体を微生物の担持に有効に利用して、菌体の増殖量を増やすことが可能であり、基質ガスの消費効率を高めることが可能となる。
また、本変形例1に係る微生物培養装置100Aにおいても、微生物を担持させる多孔質担体10がシート状であるから、積層しても省スペースのものであり、小さい設置面積、コンパクトな設計で基質ガスを高い効率で消費できる。更に、多孔質担体10がシート状で軽量であるから、運搬や交換も容易で取扱いやすい。そして、抄紙構造の多孔質担体10であれば、安価に製造できる。
以上説明してきたように、上記実施の形態1の変形例1に係る微生物培養装置100Aは、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22と、担体積層部10A及び水分供給部としての散水部22を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスが含まれた基質供給ガス41Gを供給する基質供給部40とハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを具備するものである。
また、上記変形例1は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22とが収容されたハウジング30内に微生物の基質ガスが含まれた基質供給ガス41Gを供給し、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10上に微生物が増殖したら、表層側である上層のシート状の多孔質担体10を分離、回収する培養方法の発明と捉えることができる。
このように、上記変形例1に係る微生物培養装置100A及び微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22と、担体積層部10A及び散水部22を収容するハウジング30と、微生物の基質を供給する基質供給部40とを具備するから、ハウジング30内で担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10が水分供給手段としての散水部22の水または培養液25を吸水、含浸することにより湿潤状態となり、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質ガスが供給されると、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費してシート状の多孔質担体10上で増殖する。
特に、シート状の多孔質担体10では、その多孔質構造によって、水分供給部としての散水部22により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。したがって、培養液中ではなく、湿潤状態でそのシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させることが可能である。そして、このようなシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるものでは、多孔質担体10が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部40によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体10に保持された水分と基質供給部40によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体10上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体10によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、そのシート状の多孔質担体10を回収し、新たなシート状多孔質担体10上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。
したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから、低コストにできる。
また、上記変形例1に係る微生物培養装置100A及び微生物の培養方法では、シート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aに散水部22から滴下した水または培養液25が含浸されて各シート状の多孔質担体10が湿潤状態にあり、特に、担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10において、その表面がハウジング30内の気体との接触面積が広いことで、最上層のシート状の多孔質担体10で最も微生物の増殖速度が速い。そして、最上層のシート状の多孔質担体10で増殖した微生物は、下層側の多孔質担体10にも進出し付着する。このため、最上層のシート状多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、最上層のシート状多孔質担体10を回収すれば、その下に重ねてあったシート状多孔質担体10では、その表面が表出することで、新たに微生物を接種しなくとも、微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の初期の少ない接種量で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
即ち、上記変形例1に係る微生物培養装置100A及び微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層して担体積層部10Aを形成しており、担体積層部10Aの表層側である最上層のシート状の多孔質担体10ではハウジング30内の気体との接触面積が広いことで微生物の増殖速度が最も速く、表層側のシート状の多孔質担体10で増殖、飽和した微生物は下層側のシート状多孔質担体10に進出する。但し、下層側のシート状多孔質10ではハウジング30内の気体との接触面積が少ないことで微生物の増殖は停滞する。そこで、最上層のシート状の多孔質担体10で微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態したら、その最上層のシート状の多孔質担体10のみを回収する。すると、最上層のシート状の多孔質担体10の下側に重ねられていた下層側のシート状の多孔質担体10が表出しハウジング30内の気体との接触面積が増えることで、新たに微生物を接種しなくとも新たに上層に表出したシート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。よって、少ない手間及びコストで、基質ガスの高い消費効率を維持することができる。
特に、上記変形例1に係る微生物培養装置100Aによれば、積層されたシート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の上下方向に対して直角な水平方向に一致させて配設されており、更に、担体積層部10Aは、ハウジング30の上下方向で間隔を空けて複数段配置されているから、上段側の担体積層部10Aの上方から水分供給部としての散水部22により水または培養液25を供給すると、水または培養液25が上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aまで流通する。
即ち、上記変形例1の培養方法においては、担体積層部10Aをハウジング30の上下方向で間隔を空けて複数段配置し、上段側の担体積層部10Aの上方から水分供給部としての散水部22により水または培養液25を供給し、水または培養液25を上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aまで流通させるものである。
よって、シート状の多孔質担体10に対し摂取する微生物量が少なくとも、効率的に複数段の担体積層部10Aの全体に分布させて増殖させることができ、基質ガスの消費効率を高くできる。
特に、積層されたシート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の上下方向に対して直角な水平方向に一致させて配設していることで、水分、微生物の分布が重力の影響を受けず均一化を可能とするから、微生物の分布の均一化を可能とし、多孔質担体10のシートの面積を有効に利用できる。
[変形例2]
次に、本実施の形態1に係る変形例2の微生物培養装置100Bについて、図5を参照して、説明する。
上記変形例1においては、シート状の多孔質担体10の面方向を水平方向に配置し、それに対して垂直方向に所定間隔を空けて、シート状の多孔質担体10を積層してなる担体積層部10Aを多段に配置する説明とした。
これに対し、本変形例2においては、シート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の水平方向に対して垂直な方向に一致させ、更に、シート状の多孔質担体10の厚み方向にシート状の多孔質担体10を重ねて積層してなる担体積層部10Aをハウジング30の上下方向(高さ方向)に、所定間隔を空けて複数段に配置したものである。このように、シート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の水平方向に対して垂直な方向に一致させて縦に配置させるものでは、少ない設置面積で済む。
変形例2では、例えば、ハウジング30の水平方向に並行に、かつ、所定間隔で互いに配置されている網状構造の複数の平板FPを設けた棚Sをハウジング30の底部に鉛直方向に立設してハウジング30内に設置し、その各平板FPの上にシート状の多孔質担体10の面方向を縦にして置き、シート状の多孔質担体10を厚み方向に重ねた担体積層部10Aをシート状の多孔質担体10の厚み方向で支持する支持部材SPを用いて平板FPの上にシート状の多孔質担体10を立設する。これにより、シート状の多孔質担体10をその面方向を縦にしてハウジング30の上下方向に所定間隔で複数段に配した構成とすることができる。或いは、シート状の多孔質担体10を厚み方向に重ねた担体積層部10Aを挟持部材で把持し、それを各平板FPに固定して各平板FPから鉛直方向に吊り下げることで、シート状の多孔質担体10をハウジング30の上下方向に所定間隔で複数段に配した構成としてもよい。または、ハウジング30の底部に対して垂直方向に立設した側壁間に平板FPを介在させて、その平板FPに立設或いは吊り下げてもよい。
そして、本変形例2の微生物培養装置100Bでも、ハウジング30の上方であって、最上段のシート状の多孔質担体10の上方に散水部22が設置され、散水部22から水または培養液25の水滴が落下し、シート状の多孔質担体10に水または培養液25が供給される。変形例2においても、シート状の多孔質担体10、担体積層部10A、ハウジング30、基質供給部40、排気部50等の基本的内容は上記実施の形態1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略する。また、散水部22や排水等についても上記変形例1と同様であるから、ここでは重複する詳細な説明は省略する。
こうした変形例2に係る微生物培養装置100Bでは、シート状の多孔質担体10をその面方向をハウジング30の上下方向(高さ方向)に一致させているが、変形例2においても、シート状の多孔質担体10をその厚み方向に複数枚積層して重ねてなる担体積層部10Aをハウジング30内でその上下方向(高さ方向)に複数段配置し、最上段の担体積層部10Aの上方に設置した散水部22により最上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25をシート状の多孔質担体10に供給することで、各担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10が散水部22から滴下された水または培養液25を吸水する。即ち、散水部22からの水または培養液25が各シート状の多孔質担体10に含浸され、散水部22からの水または培養液25によって各シート状の多孔質担体10が湿潤状態とされるものである。
よって、基質供給部40から基質供給ガス41Gが供給されると、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に接種していた微生物が散水部22から供給された水分を利用し、基質供給部40から供給された基質供給ガス41の基質ガスを消費し、シート状の多孔質担体10上に増殖する。
このとき、シート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の上下方向(高さ方向)に一致させてシート状の多孔質担体10の厚み方向に重ねてなる各担体積層部10Aにおいては、複数枚重ねられたシート状の多孔質担体10のうち、その表層側(外層側)のシート状の多孔質担体10でハウジング30内の気体に触れる面積が大きいことで微生物の増殖が最も速く、表層側のシート状の多孔質担体10で増殖した微生物は内層側に進出する。そこで、表層側のシート状の多孔質担体10の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停止、衰退したら、表層側のシート状の多孔質担体10の微生物を回収する。すると、表層側のシート状の多孔質担体10に重ねてあった内層側の湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10においてその表面が新たに表出しハウジング30内の気体に触れる面積が増えるから、そこに新たに微生物を接種しなくとも、散水部22から供給された水分を利用し、基質供給部40からの基質ガスを消費して、新たに表出したシート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。なお、回収の順序は左右の表層側(外層側)の片側または両側を問わない。
こうして、シート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aに対し散水部22から水または培養液25を滴下して、各担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10を湿潤状態とするものでも、各担体積層部10Aの複数枚のシート状の多孔質担体10のうち、その表層側に位置するシート状の多孔質担体10でその表面が気相に表出していて最もハウジング30内の気体に触れる面積が大きいことで、最も微生物が速く増殖し、内層側のシート状の多孔質担体10に進出する。そして、その表層側のシート状の多孔質担体10上の微生物が飽和し、または微生物の増殖が停止または衰退してきたら、それを回収することで、内層側の湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10が新たに表層側に表出することで、ハウジング30内の気体に触れる面積が増え、新たに微生物を接種しなくとも、新たに表出したシート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。
よって、少ない微生物の量で、多孔質担体10のシートの厚み方向に重なる多孔質担体10に連続的に、効率的に微生物を増殖させることができる。したがって、多孔質担体10のシートの交換頻度や微生物の接種量を少なくでき、維持管理の簡便化及び低コスト化を図ることができる。交換頻度の観点からすれば、3層以上の積層が好ましい。そして、シート状の多孔質担体10が積層したものでは、それら1枚ずつの分離が容易であり、軽量でもあるから、回収に手間がかからず回収も容易である。
特に、多孔質担体10を頻繁に交換する場合、微生物を接種したばかりの多孔質担体10では微生物の初期の増殖の立ち上がり、即ち、増殖速度が緩やかであることで基質ガスの消費効率が低下する恐れがある。これに対し、本変形例2においても、新たに微生物を接種しなくとも、多孔質担体10のシートの厚さ方向に重ねたシート状の多孔質担体10間で連続的に微生物を進出、増殖させることができるため、微生物の対数的な増殖速度が維持され、基質ガスの消費効率を高い状態で連続的に維持することが可能である。
ここで、本変形例2においても、微生物の接種は、予め、必ずしも各担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10の全体に分布するように摂取しなくてもよく、少なくとも最上段の担体積層部10の左右の両側または片側の表層のシート状の多孔質担体10に摂取してあればよい。各担体積層部10Aで表層にあるシート状の多孔質担体10は、ハウジング30の気体に触れる面積が最も大きいことで最も微生物の増殖が速いから、少なくとも最外層のシート状の多孔質担体10に接種すれば、散水部22から供給される水または培養液25の水分を利用し、基質供給部40から供給された基質ガスを消費して、表層のシート状の多孔質担体10上で最も速く微生物を増殖させることが可能であり、増殖した微生物は内層側のシート状の多孔質担体10に進出する。そして、表層のシート状の多孔質担体10が回収されると、内層側にあったシート状の多孔質担体10が表出することでそのシート状の多孔質担体上でも微生物が増殖する。よって、少量の接種量で微生物を効率的、連続的に増殖させることが可能である。
更に、本変形例2でも、上下方向に所定の間隔を空けて配置された網状構造の各平板PS上にシート状の多孔質担体10が複数枚積層して担体積層部10Aとして設置される。即ち、シート状の多孔質担体10が複数枚積層して担体積層部10Aが上下方向に所定の間隔を空けて複数段に配置されている。そして、最上段の担体積層部10Aの上方に設置した散水部22からシート状の多孔質担体10に対して水または培養液25が滴下または噴霧される。
ここで、シート状の多孔質担体10は多孔質構造であり、吸水して水分を保持できるが、上段側の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に保持されずに通過した余剰の水は、シート状の多孔質担体10が置かれた網状構造の平板PSを介し更に下段の担体積層部10Aに落下していく。このとき、上段側の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に付着していた微生物が水滴に含まれることもあり、上段側の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に付着していた微生物が水滴と共に下段側の担体積層部10Aに落下して下段側の担体積層部10Aに付着することもある。
このため、初期に少なくとも最上段の担体積層部10Aの最上層のシート状の多孔質担体10に摂取していれば、下段側の担体積層部10Aには微生物を接種しなくても或いは少量の接種で、全段の担体積層部10Aに微生物を付着させ、増殖させることが可能であり、少ない微生物の接種量で、即ち、低コストで効率的に微生物を培養して基質ガスを消費させることが可能である。
即ち、少なくとも最上段の担体積層部10の表層のシート状の多孔質担体10に摂取してあれば、最上段の担体積層部10Aのうち表層側に位置するシート状の多孔質担体10において気体との接触面積が広いことで最も微生物が速く増殖し、その増殖した微生物が重ねている内層側のシート状の多孔質担体10にも進出して付着する。そして、表層側のシート状の多孔質担体10が回収され、それに重ねていた内層側にあった湿潤状態にあるシート状の多孔質担体10が表出すると、そのシート状の多孔質担体10でも微生物が付着、担持されていたことで、それが増殖し、そこ微生物を新たに接種しなくとも或いは少量の微生物の接種で、積層されたシート状の多孔質担体に連続的に微生物を増殖させることが可能である。
また、本変形例2でも、最上段の担体積層部10Aの上方に設置した散水部22から担体積層部10Aに対し水または培養液25を滴下していることで、最上段の担体積層部10Aを通過した余剰の水が、最上段の担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に付着していた微生物を含んで、下段側の担体積層部10Aに落下する。したがって、下段側の担体積層部10Aに予め微生物を接種しなくとも、上段の担体積層部10Aに付着した微生物が散水部22から供給された水または培養液25を媒体として下段側の担体積層部10Aに落下して付着することで、下段側の担体積層部10A上でも微生物を増殖させることが可能である。
なお、より基質ガスを効率的に消費させる場合には、予め、下段側の担体積層部10に微生物を接種してもよいし、各担体積層部10Aにおいて内層側のシート状の多孔質担体10にも微生物を接種していてもよいし、また、内層側のシート状の多孔質担体10が表出した時点で新たに微生物の接種を追加してもよい。
特に、本変形例2においても、上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aに落下する水滴と共に上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aに微生物を落下させることができるから、各段の担体積層部10Aの微生物の分布の偏りが防止され、シート状の多孔質担体10の面積全体に満遍なく微生物を分布させることが可能となる。
よって、シート状の多孔質担体10の面積全体を微生物の担持に有効に利用して、菌体の増殖量を増やすことが可能であり、基質ガスの消費効率を高めることが可能となる。
また、本変形例2に係る微生物培養装置100Bにおいても、微生物を担持させる多孔質担体10がシート状であるから、重ねても省スペースのものであり、小さい設置面積、コンパクトな設計で基質ガスを高い効率で消費できる。また、多孔質担体10がシート状で軽量であるから、運搬や交換も容易で取扱いやすい。そして、抄紙構造の多孔質担体10であれば、安価に製造できる。
以上説明してきたように、上記実施の形態1の変形例2に係る微生物培養装置100Bも、変形例1と同様、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22と、担体積層部10A及び水分供給部としての散水部22を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスが含まれた基質供給ガス41Gを供給する基質供給部40とハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを具備するものである。
また、上記変形例2も、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての上段の担体積層部10の上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22とが収容されたハウジング30内に微生物の基質ガスが含まれた基質供給ガスガス41Gを供給し、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10上に微生物が増殖したら、表層側のシート状の多孔質担体10を分離、回収する培養方法の発明と捉えることができる。
このように、上記変形例2に係る微生物培養装置100B及び微生物の培養方法においても、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aと、担体積層部10Aに対し水または培養液25を供給する水分供給部としての上段の担体積層部10Aの上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22と、担体積層部10A及び散水部22を収容するハウジング30と、微生物の基質を供給する基質供給部40とを具備するから、ハウジング30内で担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10が水分供給手段としての散水部22の水または培養液25を吸水、含浸することにより湿潤状態となり、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質ガスが供給されると、担体積層部10Aのシート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費してシート状の多孔質担体10上で増殖する。
特に、シート状の多孔質担体10では、その多孔質構造によって、水分供給部としての散水部22により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。したがって、培養液中でなく、湿潤状態でそのシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させることが可能である。そして、このようなシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるものでは、多孔質担体10が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部40によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体10に保持された水分と基質供給部40によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体10上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体10によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、そのシート状の多孔質担体10を回収し、新たなシート状多孔質担体10上で微生物を増殖させることによって、連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。
したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
また、上記変形例2に係る微生物培養装置100B及び微生物の培養方法においても、シート状の多孔質担体10を複数枚積層してなる担体積層部10Aに散水部22から滴下した水または培養液25が含浸されて湿潤状態にあり、担体積層部10Aの表層側のシート状の多孔質担体10において、その表面がハウジング30内の気体との接触面積が広いことで、表層のシート状の多孔質担体10で最も微生物の増殖速度が速い。そして、表層側のシート状の多孔質担体10で増殖した微生物は、内層側の多孔質担体10にも進出し付着する。このため、表層のシート状多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、表層のシート状多孔質担体10を回収すれば、重ねていた内層側のシート状多孔質担体10で、今度はその表面が表出してハウジング30内の気体との接触面積が増大することで、そこに新たに微生物を接種しなくとも、新たに表出した外層のシート状多孔質担体10上で微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の初期の少ない接種量で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
即ち、上記変形例2に係る微生物培養装置100B及び微生物の培養方法においても、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を複数枚積層して担体積層部10Aを形成しており、担体積層部10Aの表層側のシート状の多孔質担体10では気相との接触面積が広く、接触効率が高いことで微生物の増殖速度が最も速く、表層側のシート状の多孔質担体10で増殖、飽和した微生物は下層側のシート状多孔質担体10に進出する。しかし、内層側のシート状多孔質10ではハウジング30内の気体との接触面積が少ないことで微生物の増殖は停滞する。そこで、表層側のシート状の多孔質担体10で微生物の増殖が低下または停止したら、その表層側のシート状の多孔質担体10のみを回収する。すると、表層側に重ねられていた内層側にあったシート状の多孔質担体10が表出し、ハウジング30内の気体と接触効率が増えることで、そこに新たに微生物を接種しなくとも微生物が増殖する。よって、少ない手間及びコストで、基質ガスの高い消費効率を維持することができる。
特に、上記変形例2に係る微生物培養装置100Bによれば、積層されたシート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の鉛直方向に一致させて配設されており、更に、担体積層部10Aは、ハウジング30の上下方向で間隔を空けて複数段配置されているから、上段側の担体積層部10Aの上方から水分供給部としての散水部22により水または培養液25を供給すると、水または培養液25が上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aまで流通する。
即ち、上記変形例2の培養方法においては、担体積層部10をハウジング30の上下方向で間隔を空けて複数段配置し、上段側の担体積層部10の上方から水分供給部としての散水部22により水または培養液25を供給し、水または培養液25を上段側の担体積層部10Aから下段側の担体積層部10Aまで流通させるものである。
よって、シート状の多孔質担体10に対し摂取する微生物量が少なくとも効率的に複数の担体積層部10Aの全体に分布させて増殖させることができ、基質ガスの消費効率を高くできる。
特に、積層されたシート状の多孔質担体10の面方向をハウジング30の鉛直方向に一致させて配設していることで、設置面積を少なくできる。しかし、本発明を実施する場合には、シート状の多孔質担体10の面方向を水平方向に対して垂直な鉛直方向に限定されるものではなく、担体積層部10Aを鉛直方向から斜めに傾けシート面を傾斜面として省スペース化を図ることも可能である。
[実施の形態2]
次に、本実施の形態2に係る微生物培養装置200について、図6を参照して、説明する。
本実施の形態2では、微生物を担持するシート状の多孔質担体10を長尺状に形成しそれを巻回してロール状とし、そのシート状の多孔質担体10を巻回してなる担体巻回体10Bをハウジング30内に設置する。そして、その担体巻回体10Bから所定長さ多孔質担体10のシートを引き出し、水または培養液25を入れた所定長さの液槽部21の中に担体巻回体10Bから引き出した多孔質担体10のシートを入れて水または培養液25に浸漬するようにし、担体巻回体10Bから引き出した多孔質担体10のシートの全体に水または培養液25を吸水、含浸させて湿潤状態とする。
即ち、本実施の形態2の微生物培養装置200は、微生物を付着させる長尺状のシート状の多孔質担体10をロール状に巻回してなる担体巻回体10Bと、担体巻回体10Bから所定長引き出したシート状の多孔質担体10に水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25が収容されシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21と、担体巻回体10B及び液槽部21を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスを含んだ基質ガス41Gを供給する基質供給部40と、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを有するものである。
本実施の形態2において、シート状の多孔質担体10、液槽部21、ハウジング30、基質供給部40、排気部50等の基本的内容は上記実施の形態1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみ説明する。
本実施の形態2でも、上述したように、担体巻回体10Bから引き出した多孔質担体10のシートが液槽部21の水または培養液25に浸漬されることで湿潤状態とされ、その水分を利用し、基質供給部40から供給された基質供給ガス41Gの基質を摂取することで、液槽部21の水または培養液25が含浸された多孔質担体10上で微生物が増殖する。
なお、担体巻回体10Bから引き出された多孔質担体10のシートは、その全体厚みが水または培養液25に浸漬された状態とすることなく、上面の表面側では、水または培養液25の水面から出した状態とするのが好ましい。
ここで、微生物の接種は、予め多孔質担体10のシート全長に対して接種していてもよいし、担体巻回体10Bから引き出した長さに摂取するようにしてもよい。
担体巻回体10Bから引き出した多孔質担体10のシート長さに対し、例えば、刷毛等を用いて微生物を接種すれば、ロール状の担体巻回体10Bから引き出して液槽部21に入れた部分では、液槽部21の水または培養液25を吸水して湿潤状態となり、その水分を使用し、ハウジング30内に供給された基質ガスを摂取することで、微生物が生育、増殖できる。そして、引き出した多孔質担体10のシートの先端部側等で微生物が飽和または微生物の増殖が停止、衰退してきたら、担体巻回体10Bから引き出した長さまたは先端部側を、カッター等の切断手段を設けた切断部71で所定長切断して回収し、その切断した長さだけ新たに担体巻回体10Bから多孔質担体10のシートを引き出して新たに微生物を接種し、その新たに引き出したシートを液槽部21の水または培養液25に浸漬すれば、新たに引き出された多孔質担体10のシート上でも微生物が増殖する。
予め多孔質担体10のシート全長に対して接種したものでは、担体巻回体10Bから多孔質担体10のシートを引き出してそれを液槽部21の水または培養液25に浸漬すれば、その部分で微生物を増殖させることができるから、新たに微生物を接種しなくとも、長尺状とした多孔質担体10のシート上で連続的に微生物を増殖させることが可能であり、連続的な微生物の増殖による効率的なガスの消費を可能とする。
こうして、本実施の形態2の微生物培養装置200では、シート状の多孔質担体10を長尺状に形成しロール状に巻回してなる担体巻回体10Bから多孔質担体10のシートを所定長引き出し、それを液槽部21に入れて湿潤状態とし、その液槽部21に入れた所定長さの多孔質担体10のシート上で微生物を増殖させる。そして、引き出した多孔質担体10のシートで微生物が飽和或いは微生物の増殖が停止、衰退してきたら、その部分の所定長を切断し、回収して、その切断した長さだけ新たに担体巻回体10Bから多孔質担体10のシートを引き出し、液槽部21に入れ湿潤状態とすることで、予め多孔質担体10のシート全長に対して接種しておけば、液槽部21に入れたときに、微生物を増殖させることができ、担体巻回体10Bから新たに引き出す多孔質担体10のシート上でも微生物を増殖させることができる。
したがって、微生物の少ない接種頻度で、多孔質担体10のシートの長さ方向に連続的に、効率的に微生物を増殖させることができる。よって、多孔質担体10のシートの交換頻度や微生物の接種頻度を少なくでき、維持管理の簡便化及び低コスト化を図ることができる。
特に、多孔質担体10を頻繁に交換する場合、微生物を接種したばかりの多孔質担体10では微生物の初期の増殖の立ち上がり、即ち、増殖速度が緩やかであることで基質ガスの消費効率が低下する恐れがある。これに対し、本実施の形態2では、予め多孔質担体10のシート全長に対して接種しておけば、生育環境に慣らした状態として、長尺状とした多孔質担体10のシートの長さ方向に連続的に微生物を増殖させることができるため、微生物の対数的な増殖速度が維持され、基質ガスの消費効率を高い状態で連続的に維持することが可能である。
また、本実施の形態2に係る微生物培養装置200によれば、多孔質担体10がシート状であることでロール状の巻き取りが可能であり、ロール状に巻回してなる担体巻回体10Bの使用により、小さい設置面積でコンパクトな設計を可能とする。また、多孔質担体10がシート状であるから、切断、回収も容易で、更に、軽量であるため、運搬や交換も容易で取扱いやすい。加えて、抄紙構造の多孔質担体10であれば、安価に製造できる。
そして、本実施の形態2は、長尺状に形成したシート状の多孔質担体10が徐々に所定長さ切り出され、回収されるが、全てが回収された時点で、新たな担体巻回体10Bと交換し、そこに新たに微生物を接種することで、新たな担体巻回体10Bを使用して微生物を増殖させることができ、連続的な基質ガスの消費を可能とする。
以上説明してきたように、本実施の形態2に係る微生物培養装置200は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10がロール状に巻回されてなる担体巻回体10Bと、担体巻回体10Bから所定長引き出されたシート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部としての水または培養液25が収容されシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21と、シート状の多孔質担体10及び水分供給部としての液槽部21を収容するハウジング30と、微生物の基質ガスが含まれた基質供給ガス41Gをハウジング30内に供給する基質供給部40と、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを具備するものである。
また、上記実施の形態2は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10がロール状に巻回されてなる担体巻回体10Bと、担体巻回体10Bから所定長引き出されたシート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部としての水または培養液25が収容されシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21とを収容するハウジング30内に微生物の基質ガスを含んだ基質供給ガス41Gを供給し、担体巻回体10Bから引き出されたシート状の多孔質担体10上に微生物が増殖したら、担体巻回体10Bから引き出されたシート状の多孔質担体10の所定長を切断によって分離、回収すると共に、切断した長さを担体巻回体から新たに引き出して液槽部21に入れる微生物の培養方法の発明と捉えることができる。
このように、上記実施の形態2に係る微生物培養装置200及び微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10がロール状に巻回されてなる担体巻回体10Bと、担体巻回体10Bから所定長引き出されたシート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部としての水または培養液25を収容し担体巻回体10Bから所定長引き出されたシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21と、担体巻回体10B及び液槽部21を収容するハウジング30と、微生物の基質を供給する基質供給部40とを具備するから、ハウジング30内で担体巻回体10Bから引き出されたシート状の多孔質担体10が水分供給手段としての液槽部21の水または培養液25に浸漬され水または培養液25を吸水、含浸することにより湿潤状態となり、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質が供給されると、担体巻回体10Bから引き出されたシート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費して、担体巻回体10Bから引き出されたシート状の多孔質担体10上で微生物が増殖する。
特に、担体巻回体10Bから引き出されたシート状の多孔質担体10では、その多孔質構造によって、水分供給部としての液槽部21により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。したがって、水または培養液25中に多孔質担体10の全体厚みを浸漬させた状態でなくとも、一部を水面から出した状態で、即ち、培養液中ではなく、気体中で湿ったシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させることが可能である。そして、このようなシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるものでは、多孔質担体10が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部40によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体10に保持された水分と基質供給部40によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体10上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体10によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、担体巻回体10Bから引き出された多孔質担体10のシート上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、そのシート状の多孔質担体10の所定長さを切断、回収し、担体巻回体10Bから新たに引き出した多孔質担体10のシート上で微生物を増殖させることによって連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。
したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
また、上記実施の形態2の微生物培養装置200及び微生物の培養方法では、長尺状に形成したシート状の多孔質担体10をロール状に巻回してなる担体巻回体10Bから所定長を引き出し、その引き出した領域が、液槽部21の水または培養液25に浸漬することで湿潤状態にある。よって、基質供給部40により基質ガスが供給されると、担体巻回体10Bから所定長を引き出した領域に接種されていた微生物が増殖する。そして、引き出したシート状の多孔質担体10上の微生物が飽和或いは微生物の増殖が停滞、衰退状態となったら、その引き出した領域のシートの所定長を切断、回収し、その回収する分だけ担体巻回体10Bから新たに所定長を引き出して液槽部21に浸漬する。すると、シート状の多孔質担体10に接種されていた微生物が増殖する。したがって、予め多孔質担体10のシート全長に対して接種しておけば、新たに所定長を引き出した領域でも、微生物の増殖が盛んになる。よって、微生物の少ない接種頻度で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
即ち、上記実施の形態2の微生物培養装置200及び微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を長尺状に形成しそれをロール状に巻回して担体巻回体10Bを形成しており、担体巻回体10Bから所定長引き出したシート状の多孔質担体10に水分供給部としての液槽部21により水または培養液25が供給されることから、長尺状に形成したシート状の多孔質担体10の担体巻回体10Bから引き出しされ水分供給部としての液槽部21により水または培養液25が供給された部分で、微生物が増殖する。引き出されているシート状の多孔質担体10で微生物が飽和或いは微生物の増殖が低下、停止したら、引き出されているシート状の多孔質担体10を所定長切り出して、回収すると共に、所定長切り出す分だけ担体巻回体10Bを引き出し、水または培養液25を収容した液槽部21に入れて湿らせる。すると、新たに引き出された部分では、水分供給部としての液槽部21の水または培養液25に浸漬され水また培養液25を吸水して湿潤状態になることで、そこに接種されていた微生物が増殖する。よって、予め多孔質担体10のシート全長に対して接種しておけば、少ない手間及びコストで、基質ガスの高い消費効率を維持することができる。
ところで、上記実施の形態2では、担体巻回体10Bから所定長引き出したシート状多孔質担体10に水または培養液25を供給する水分供給部として液槽部21を配設し、担体巻回体10Bから所定長引き出したシート状多孔質担体10を水または培養液25に浸漬させることよってシート状多孔質担体10を湿潤状態としており、このように水または培養液25を液槽部21に収容し、そこにシート状の多孔質担体10を浸漬させる構成では、水または培養液25を供給する制御管理が容易で低コスト化を可能とする。
しかし、本発明を実施する場合には、シート状多孔質担体10に対しその上方から水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25を滴下、散水または噴霧する散水部を設けても良い。このように水または培養液25を滴下、散水または噴霧する散水部によってシート状の多孔質担体10に供給する構成では、シート状の多孔質担体10に供給する水または培養液の調節が容易にできる。なお、このように水または培養液25を滴下、散水または噴霧する場合には、通常、ハウジング30内で散布された水を回収し排出する排水部が設けられる。更には、回収した水を再び、多孔質担体10の上方から滴下、散布する循環路を設けて、シート状の多孔質担体10に供給する水または培養液25を循環させるようにしてもよい。
なお、本発明を実施する場合には、シート状の多孔質担体10を複数枚重ねていてもよい。
[実施の形態3]
次に、本実施の形態3に係る微生物培養装置300について、図7を参照して説明する。
本実施の形態3の微生物培養装置300は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10を環状に形成した担体環状帯10Cと、担体環状帯10Cのシート状の多孔質担体10に水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25が収容されシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21と、担体環状帯10C及び液槽部21を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスを含んだ基質ガス41Gを供給する基質供給部40と、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50と、ハウジング30内に設けられ、シート状の多孔質担体10に増殖した微生物を除去する除去部としてシート状の多孔質担体10に接触しシート状の多孔質担体10に増殖した微生物を掻き取るへら、刷毛、スクレーパ、レーキ等の掻き取り手段を備えた掻き取り部80とを有するものである。
シート状の多孔質担体10、液槽部21、ハウジング30、基質供給部40、排気部50の内容は基本的には上記実施の形態1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみ説明する。
具体的に、本実施の形態3の微生物培養装置300では、シート状多孔質担体10を輪状に形成し、それを輪状に形成した金属製または樹脂製等の網状ベルト(図示せず)上に載せ、それらをモータ等を動力源とする1対の台車であるプーリ74a,74bで回転させるベルトコンベア構造とし、シート状の多孔質担体10が環状に移動可能な構成としている。即ち、ここでは、長尺状に形成したシート状の多孔質担体10を網状ベルト(図示せず)の上でそれが輪状に接続されて無端状態の担体環状帯10Cを形成し、その輪状に接続した担体環状帯10Cを1対のプーリ74a,74bの回転によって、環状に回転、即ち、定位置で循環させている。なお、それら網状ベルトやプーリ74a,74bはフレーム等を含む支持部材75で支持されているものである。シート状の多孔質担体10の強度によっては、網状ベルトを省略し、長尺のシート状の多孔質担体10を環状に接続してなる担体環状帯10Cを直接、1対のプーリ74a,74bによって回動する構成としてもよい。
こうして、本実施の形態3の微生物培養装置300では、シート状多孔質担体10を輪状に形成した担体環状帯10Cを1対のプーリ74a,74bに巻き掛けるベルトコンベア構造の回転手段によって、シート状の多孔質担体10が環状に移動可能、即ち、所定位置で循環移動可能である。なお、シート状の多孔質担体10の回動速度は微生物の増殖速度等を考慮し適宜設定され、間欠的な移動であってもよいし、連続的な移動としてもよい。
そして、図7においては、回転する担体環状帯10Cの環状の上方側を移動するシート状の多孔質担体10の下方側に水または培養液25を収容する液槽部21が配設され、担体環状帯10Cのシート状の多孔質担体10の所定長さが部分的に水または培養液25に浸漬されるようになっている。更に、回転する担体環状帯10Cの環状の下方側を移動するシート状の多孔質担体10の下方には、シート状の多孔質担体10に接触しシート状の多孔質担体10に増殖した微生物を掻き取るへら、刷毛、スクレーパ、レーキ等の掻き取り手段を設けた掻き取り部80が配設している。また、掻き取り部80の周囲には、多孔質担体10から掻き取った微生物を収容する収容部82が配設している。
これより、輪状に形成した担体環状帯10Cの長さの一部で液槽部21の水または培養液25に浸漬されることで担体環状帯10Cのシート状の多孔質担体10は水または培養液25を吸水、含浸し、湿潤状態とされる。よって、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質が供給されると、水または培養液25の水分を利用し、シート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費して、液槽部21の水または培養液25が含浸された多孔質担体10上で微生物が増殖する。
ここで、担体環状帯10Cのシート状の多孔質担体10は、1対のプーリ74a,74bの回転で一定方向に移動可能であるから、微動移動させながらまたは繰り返しの移動と停止動作で、回転させる担体環状帯10Cの環状の上方側で液槽部21に導入されていた領域を液槽部21から脱し、プーリ74bの位置でUターンして反転して、環状の下方側で所定位置に配設された掻き取り部80に導入させることができる。なお、担体環状帯10Cを回転させるものであるから液槽部21には担体環状帯10Cの連続的にシート状の多孔質担体10が導入されることになる。
掻き取り部80では、所定方向に微動移動させながらまたは繰り返しの移動と停止動作で回転させる担体環状帯10Cの下段側でシート状多孔質担体10の面に対しへら、刷毛、スクレーパ、レーキ等の掻き取り部材を接触させる。すると、シート状多孔質担体10の表層側の微生物がその掻き取り部材で掻き取られ、掻き取られた微生物が収容部82で回収される。
そして、担体環状帯10Cのシート状の多孔質担体10が、1対のプーリ74a,74bの回転で一定方向に移動可能であるから、微動移動させながらまたは繰り返しの移動と停止動作で、掻き取り部80を通過したシート状の多孔質担体10は、プーリ74aの位置でUターンして反転し、再び、液槽部21に導入させることが可能である。掻き取り部80を通過したシート状の多孔質担体10上では、増殖した微生物が掻き取り部80により掻き取られ、回収されていて、再び微生物が担持、増殖できるスペースができているから、液槽部21で水または培養液25に浸漬され、水分が補給されると、再び微生物を培養、増殖させることが可能である。掻き取り部80を通過しても、先に液槽部21に導入されていた領域で増殖した微生物が進出するから、或いは、シート状多孔質担体10の内部には微生物が残存するから、シート状の多孔質担体10が湿潤状態にあれば、その多孔質担体10上で微生物が再び増殖する。なお、シート状の多孔質担体10の移動方向は、上記説明に限定されるものではなく、逆方向であってもよい。
こうして、本実施の形態3の微生物培養装置300によれば、シート状の多孔質担体10を輪状に形成することで、回転させる担体環状帯10Cの上段側に配設した液槽部21と下段側に配設した掻き取り部80との間を循環させ、回転させる担体環状帯10Cの上段側に配設した液槽部21による水または培養液25の供給と、下段側に配設した掻き取り部80による微生物の除去を繰り返すことにより、シート状の多孔質担体10を回収しなくとも、連続的に同じ多孔質担体10を使用して、そこに微生物を培養、増殖させることを可能とする。
即ち、本実施の形態3の微生物培養装置300では、回転させる担体環状帯10Cにおいて、液槽部21で水または培養液25に浸漬され湿潤状態とされたシート状の多孔質担体10上で微生物を増殖させることができ、シート状の多孔質担体10上で増殖した微生物は掻き取り部80により掻き取られ、回収される。よって、シート状の多孔質担体10を回収しなくとも、連続的に同じ多孔質担体10を使用して、そこに微生物を培養、増殖させることが可能である。即ち、多孔質担体10上で増殖した微生物が掻き取り部80により除去されることで、再び微生物が担持、増殖できるスペースができるから、繰り返し同じ多孔質担体10上に微生物を培養、増殖させることが可能である。
このように本実施の形態3の微生物培養装置300では、ハウジング30内において、シート状の多孔質担体10上に増殖した微生物を除去する除去手段を設けていることで、例え、シート状の多孔質担体10上で微生物が飽和或いは微生物の増殖が停止、衰退してきても、多孔質担体10上で増殖した微生物が除去手段により除去される。よって、その多孔質担体10上で再び微生物を増殖させることができ、多孔質担体10の少ない使用量、微生物の少ない接種量で持続的に基質ガスを高効率で消費できる。
したがって、シート状の多孔質担体10を頻繁に交換する手間、労力を要することなく、シート状の多孔質担体10の維持費も少なくて済む。
特に、上述した実施の形態3の微生物培養装置300では、微生物を除去する除去手段がシート状の多孔質担体10に接触して多孔質担体10上の微生物を掻き取るへら、刷毛、スクレーパ、レーキ等の掻き取り手段である。このように微生物を物理的に掻き取り除去するものでは、シート状の多孔質担体10の表層側で微生物を除去しても内部に微生物を残存させやすいから、微生物の掻き取り処理された多孔質担体10上に微生物を新たに接種しなくとも、シート状の多孔質担体10の内部に残存した微生物が対数的に増殖し、シート状多孔質担体10上での連続的な微生物の増殖による基質ガスの効率的な消費の維持を可能とする。
また、上述した実施の形態3の微生物培養装置300では、ハウジング30内において、輪状に形成したシート状の多孔質担体10からなる担体環状帯10Cをプーリ74a,74bを利用して回動させ、シート状の多孔質担体10に水または培養液25を供給する液槽部21と微生物を除去する除去手段としての掻き取り部80の間を搬送するものであり、微生物の除去処理はシート状の多孔質担体10の長さの部分的な箇所であり、シート状の多孔質担体10全体長で微生物の増殖が中断されることもないから、シート状の多孔質担体10上での連続的な微生物の増殖による基質ガスの効率的な消費を可能とする。
そして、多孔質担体10はシート状で軽量であるため運搬や交換も容易で取扱いやすく、少ない動力、低コストで搬送が可能である。そこで、上記実施の形態3では、シート状の多孔質担体10を輪状に形成して担体環状帯10Cとし、それをプーリ74a、74bを利用して回動させ、シート状の多孔質担体10に水または培養液25を供給する液槽部21と微生物を除去する除去手段としての掻き取り部80との間を移動させるものとしている。こうしたシート状の多孔質担体10では小さい設置面積、省スペース、コンパクトな設計とすることできる。また、抄紙構造の担体10であれば、安価に製造できる。
なお、発明を実施する場合には、シート状の多孔質担体10側を固定し、掻き取り部80等の除去手段側を別の搬送手段を用いて移動するようにしてもよい。係る場合には、シート状の多孔質担体10は輪状の担体環状帯10Cとする構成に限定されないことになる。
また、上記実施の形態3では、環状に回動する担体環状帯10Cの上段側で水または培養液25を供給する水分供給部として液槽部21を配設し、上段側に位置するシート状多孔質担体10を水または培養液25に浸漬させることよってシート状多孔質担体10を湿潤状態としており、このように水または培養液25を液槽部21に収容し、そこにシート状の多孔質担体10を浸漬させる構成では、水または培養液25を供給する制御管理が容易で低コスト化を可能とする。
しかし、本発明を実施する場合には、環状に回動する担体環状帯10Cのシート状多孔質担体10に対し、その上方から水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25を滴下、散水または噴霧する散水部を設けても良い。かかる散水部は、環状に回転するシート状多孔質担体10の上段側または下段側或いは両方に配設してもよいが、シート状多孔質担体10の上段側の上方に配設して、上段側のシート状多孔質担体10を通過した水分が下段側のシート状多孔質担体10にも滴下する構成としてもよい。これより、微生物の分布の均一化を可能とし、シート状多孔質担体10上での微生物の増殖速度を高め、より基質ガスの効率的な消費を可能とする。また、このように水または培養液25を滴下、散水または噴霧する散水部によってシート状の多孔質担体10に供給する構成では、シート状の多孔質担体10に供給する水または培養液の調節が容易にできる。
なお、このように水または培養液25を滴下、散水または噴霧する場合には、通常、ハウジング30内で散布された水を回収、排水する排水部が設けられる。更には、排水部で排出した水を再び、シート状の多孔質担体10の上方から滴下、散布する循環路を設けて、シート状の多孔質担体10に供給する水または培養液25を循環させるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態3では、シート状多孔質担体10を輪状に形成した担体環状帯10Cの回転について、多孔質担体10のシートの面を1対のプーリ74a,74bの位置で反転させる回転構成としており、設置面積の省スペース化を可能としている。しかし、本発明を実施する場合には、多孔質担体10のシートの面方向を一定にする輪に形成し、水平方向で旋回させる平面的な回転構成としてもよいし、輪状に形成した多孔質担体10のシートを鉛直方向に筒状に立設させて筒状の周方向に回転させる回転構成としてもよい。
以上説明してきたように、上記実施の形態3に係る微生物培養装置300は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10と、シート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25が収容されシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21と、シート状の多孔質担体10及び水分供給部としての液槽部21を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質ガスを供給する基質供給部40と、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50と、ハウジング30内に設けられ、シート状の多孔質担体10上に増殖した微生物を除去する除去部としての掻き取り部80を具備するものである。
また、上記実施の形態3は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10と、シート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部として水または培養液25が収容されシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21とを収容するハウジング30内に微生物の基質を供給してシート状の多孔質担体10上に微生物を増殖させ、シート状の多孔質担体10上に増殖した微生物はハウジング30内に設けたシート状の多孔質担体10の微生物を除去する除去部としての掻き取り部80により除去する微生物の培養方法の発明と捉えることもできる。
このように、上記実施の形態3に係る微生物培養装置300または微生物の培養方法によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10と、シート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部としての液槽部21と、シート状の多孔質担体10及び水分供給部としての培養槽21を収容するハウジング30と、ハウジング30内に微生物の基質を供給する基質供給部40とを具備するから、ハウジング30内の微生物を担持したシート状の多孔質担体10が水分供給手段としての液槽部21の水または培養液25に浸漬され水または培養液25を吸水、含浸することにより湿潤状態となり、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質が供給されると、シート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費して、シート状の多孔質担体10上で増殖する。
特に、シート状の多孔質担体10では、その多孔質構造によって、水分供給部としての液槽部21により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。したがって、水または培養液25中にシート状の多孔質担体10の全体厚みを浸漬させた状態でなくても、一部を水面から出した状態で、即ち、培養液中ではなく、気体中で湿ったシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させることが可能である。そして、このようなシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるものでは、多孔質担体10が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部40によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体10に保持された水分と基質供給部40によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体10上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体10によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
また、シート状の多孔質担体10上の微生物が増加したら除去部としての掻き取り部80によって微生物を除去することで、再び微生物の増殖スペースが確保される。よって、連続的な微生物による基質ガスの消費を可能とする。
したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから、低コストにできる。
上記実施の形態3の微生物培養装置300及び微生物の培養方法では、シート状の多孔質担体10が、液槽部21の水または培養液25に浸漬されて湿潤状態にあると、その水分を利用し基質供給部40により供給された基質を摂取、消費することで、その湿潤状態にある多孔質担体10上で微生物が増殖する。そして、シート状の多孔質担体10上で微生物が増加したら除去部としての掻き取り部80によって微生物を除去することで、再び微生物の増殖スペースが確保される。このとき全ての微生物を除去することなく、微生物を一部残存させることで、多孔質担体10上に微生物を新たに接種しなくとも、液槽部21で水または培養液25が含浸されると、再び微生物の増殖スペースが確保された多孔質担体10上で微生物を増殖させることができる。よって、微生物の初期の少ない接種量で微生物を連続的、効率的に増殖させることができ、少ない手間及びコストで、基質ガスの高い消費効率も維持できる。
また、上記実施の形態3に係る微生物培養装置300または微生物の培養方法は、更に、ハウジング30内に、輪状に形成したシート状の多孔質担体10を回転させるプーリ74a,74b、モータ、フレーム75等の構成からなるベルトコンベア構造の回転手段を有し、回転手段によって水分供給部としての液槽部21と除去部としての掻き取り部81との間でシート状の多孔質担体10を循環移動させているから、培養の中断がなく、少ない労力、容易な維持管理で、基質ガスの消費効率を高めることが可能である。
なお、本発明を実施する場合には、シート状の多孔質担体10を複数枚重ねていてもよい。
上記実施の形態をまとめると、上記実施の形態に係る微生物培養装置100,100A、00B,200,300は、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10と、水または培養液25を収容した液槽部21にシート状の多孔質担体10を浸漬させることによりシート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給手段または水または培養液25を散水部22によりシート状の多孔質担体10の上方から滴下または噴霧することによりシート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給手段と、シート状の多孔質担体10及び水分供給部としての液槽部21または散水部22を収容するハウジング30と、微生物の基質が含まれた基質供給ガス41Gをハウジング30内に供給する基質供給部40と、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50とを具備するものである。
このように上記実施の形態に係る微生物培養装置100,100A、00B,200,300によれば、微生物を付着させるシート状の多孔質担体10と、シート状の多孔質担体10に対し水または培養液25を供給する水分供給部としての水または培養液25を収容しシート状の多孔質担体10が浸漬される液槽部21またはシート状の多孔質担体10の上方から水または培養液25を滴下または噴霧する散水部22と、多孔質担体10及び水分供給部としての液槽部21または散水部22を収容するハウジング30と、微生物の基質を供給する基質供給部40とを具備するから、ハウジング30内でシート状の多孔質担体10が水分供給手段により湿潤状態となり、基質供給部40によりハウジング30内に微生物の基質が供給されると、シート状の多孔質担体10に接種された微生物が基質を資化、消費して、シート状の多孔質担体10上で増殖する。
特に、シート状の多孔質担体10では、その多孔質構造によって、水分供給部としての液槽部21または散水部22により供給された水分を吸湿、吸水して水分を保持できる。したがって、水または培養液25中にシート状の多孔質担体10の全体を浸漬させた状態でなくとも、即ち、水または培養液25中でなくとも、気体中でシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させることが可能である。そして、このようなシート状の多孔質担体10上で微生物を培養、増殖させるものでは、多孔質担体10が多孔質構造であることによって通気、湿気の流通が良く、また、水分や微生物を付着、保持できる表面積が大きい。したがって、基質供給部40によって供給される基質が二酸化炭素等のガス状の基質であっても、多孔質担体10に保持された水分と基質供給部40によって供給された基質ガスとの接触効率(接触頻度)がよく基質ガスが多孔質担体10上の水分に取り入れられやすいうえ、多孔質担体10上の微生物と基質ガスやそれを含んだ湿気との接触効率が高い。よって、シート状の多孔質状担体10によれば省スペースで微生物の菌体の増殖量を多くでき、二酸化炭素等の基質ガスの消費効率を高くできる。
そして、シート状多孔質担体10上の微生物が増加したら、そのシート状の多孔質担体10を回収して新たなシート状多孔質担体10上で微生物を増殖させることによって、或いはシート状多孔質担体10上の微生物の除去によって、連続的に微生物による基質ガスの消費を可能とする。
したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから、低コストにできる。
なお、微生物の基質ガスが含まれた基質供給ガス41Gをハウジング30内に供給する基質供給部40からのガスの入力に対し、ハウジング30の室内の圧力を調節する圧力調節部としてハウジング30の室内の内気を室外に排出する排気部50によるガスの出力を設ける構成とする説明としたが、圧力調節部は、ハウジング30内の気圧を一定に制御自在とする構成であればよく、ハウジング30内の気圧の上昇に伴いハウジング30内の圧力を外部に解放する排気部50の構成に限定されず、ハウジング30内の気圧の上昇に伴いハウジング30の内気を吸気して貯留しハウジング30内の気圧の下降に伴い吸気した内気をハウジング30内に排気する吸排気タンクの構成とすることもできるし、ハウジング30の内気と外気とを交換する換気部の構成とすることもできる。こうした圧力調節部によりハウジング30内の圧力が一定に維持できることで、ハウジング30内の増圧による微生物の不活性化、増殖の停止の防止を可能とするが、本発明を実施する場合には、多孔質担体10のシートの回収時等にハウジング30の開放によって増圧を解消するようにしてもよい。
更に、上記実施の形態1乃至実施の形態3の説明は、微生物を付着させる担体10を収容したハウジング30内に微生物の基質を供給し、担体10の表面側、または、担体10が積層若しくは集積してなる担体積層部10A等の担体群の表層側の担体10に微生物が増殖したら、担体10の表面側または担体積層部10等の担体群の表層側の担体10を分離、回収する方法の発明と捉えることもできる。
上記実施の形態1乃至実施の形態3の微生物の培養方法によれば、微生物を付着し水分を保持する担体10を収容したハウジング30内に微生物の基質を供給することにより、担体10上で微生物を増殖させるものであり、担体10の表面側、または、担体10が積層若しくは集積してなる担体積層部10A等の担体群の表層側の担体10に微生物が増殖したら、担体10の表面側または担体積層部10A等の担体群の表層側の担体10を分離、回収することで、新たに表出する担体10の表面側また担体積層部10A等の担体群の表層側の担体10上で微生物を増殖させ、連続的に微生物による基質の消費を可能とするものである。したがって、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。
ここで、上記実施の形態1乃至実施の形態3の説明では、担体10をシート状の多孔質のものとしたが、シート状の多孔質のものに限定されることなく、本発明を実施する場合には、ゲル(ジェル)担体や、固形物の表層に水膜を持たせた担体、珪藻土等のスラリーを固めた担体、寒天担体等を使用することも可能である。吸水ポリマ等のゲル(ジェル)状担体、固形物の表層に水膜を持たせた担体、珪藻土等のスラリーを固めた担体、寒天担体等でも、その表面側または担体群の表層側の微生物が増殖したらそれを取り除くことで連続的に基質を消費させることが可能であり、微生物培養の維持管理が容易で省エネ設計で済むから低コストにできる。また、吸水ポリマ等のゲル(ジェル)状担体や寒天等では、水分があることで、散水等の水分供給手段を設けなくとも基質ガスを消費することが可能である。
10 多孔質担体
10A 担体積層部
10B 担体巻回体
21 液槽部
22 散水部
25 水または培養液
30 ハウジング
40 基質供給部
100,100A,100B,200,300 微生物培養装置

Claims (18)

  1. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、
    前記多孔質担体を湿らせる水分供給手段と、
    前記多孔質担体を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部と
    を具備することを特徴とする微生物培養装置。
  2. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層してなる担体積層部と、
    前記担体積層部に対し水または培養液を供給する水分供給部と、
    前記担体積層部及び前記水分供給部を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部と
    を具備することを特徴とする微生物培養装置。
  3. 前記担体積層部は、前記積層した多孔質担体の面方向を前記ハウジングの上下方向に対して直角な水平方向に一致させて配設されることを特徴とする請求項2に記載の微生物培養装置。
  4. 前記担体積層部は、前記積層した多孔質担体の面方向を前記ハウジングの水平方向に対して垂直な方向にまたは前記垂直な方向から傾けて配設されることを特徴とする請求項2に記載の微生物培養装置。
  5. 前記担体積層部は、前記ハウジングの上下方向で間隔を空けて複数段配置されることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1つに記載の微生物培養装置。
  6. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体がロール状に巻回されてなる担体巻回体と、
    前記担体巻回体から所定長引き出された前記多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部と、
    前記担体巻回体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部と、
    を具備することを特徴とする微生物培養装置。
  7. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、
    前記多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部と、
    前記多孔質担体及び前記水分供給部を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内に前記微生物の基質を供給する基質供給部と、
    前記ハウジング内に設けられ、前記多孔質担体上に増殖した前記微生物を除去する除去部と
    を具備することを特徴とする微生物培養装置。
  8. 更に、前記ハウジング内に、輪状に形成した前記多孔質担体を回転させる回転手段を有し、前記回転手段によって前記水分供給部と前記除去部との間で前記多孔質担体を循環させることを特徴とする請求項7に記載の微生物培養装置。
  9. 前記水分供給部は、前記水または培養液が収容され前記多孔質担体が浸漬される液槽部としたことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れか1つに記載の微生物培養装置。
  10. 前記水分供給部は、前記多孔質担体の上から前記水または培養液を滴下または噴霧する散水部としたことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れか1つに記載の微生物培養装置。
  11. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体を複数枚積層してなる担体積層部と、前記担体積層部に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給し、前記担体積層部の表層側の前記多孔質担体上に前記微生物が増殖したら、その多孔質担体を分離、回収することを特徴とする微生物の培養方法。
  12. 前記担体積層部を前記ハウジングの上下方向で間隔を空けて複数段配置し、上段側の前記担体積層部の上方から前記水分供給部により水または培養液を供給し、前記水または培養液を前記上段側の前記担体積層部から下段側の前記担体積層部まで流通させることを特徴とする請求項11に記載の微生物の培養方法。
  13. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体がロール状に巻回されてなる担体巻回体と、前記担体巻回体から所定長引き出された前記多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給し、前記担体巻回体から引き出された前記多孔質担体上に前記微生物が増殖したら、前記担体巻回体から引き出された前記多孔質担体の所定長を切断、回収すると共に、前記切断する長さを前記担体巻回体から新たに引き出すことを特徴とする微生物の培養方法。
  14. 微生物を付着させるシート状の多孔質担体と、前記多孔質担体に対し水または培養液を供給する水分供給部とを収容するハウジング内に前記微生物の基質を供給し、前記多孔質担体上に前記微生物が増殖したら、前記ハウジング内に設けた前記多孔質担体の微生物を除去する除去部により除去することを特徴とする微生物の培養方法。
  15. 前記ハウジング内に輪状に形成した前記多孔質担体を回転させる回転手段を設け、前記回転手段によって、前記多孔質担体を前記水分供給部と前記除去部との間を循環させることを特徴とする請求項14に記載の微生物の培養方法。
  16. 前記水分供給部は、前記水または培養液が収容され前記多孔質担体が浸漬される液槽部としたことを特徴とする請求項11、請求項13乃至請求項15の何れか1つに記載の微生物の培養方法。
  17. 前記水分供給部は、前記多孔質担体の上から前記水または培養液を滴下または噴霧する散水部としたことを特徴とする請求項11乃至請求項15の何れか1つに記載の微生物の培養方法。
  18. 微生物を付着させる担体を収容したハウジング内に前記微生物の基質を供給し、前記担体の表面側、または、前記担体が積層若しくは集積してなる担体群の表層側の前記担体に前記微生物が増殖したら、前記担体の表面側または前記担体群の表層側の前記担体を分離、回収することを特徴とする微生物の培養方法。
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