JP2022159063A - 構造物の表面変形の検査方法、構造物の表面変形の検査システム、及び、構造物保護シート - Google Patents

構造物の表面変形の検査方法、構造物の表面変形の検査システム、及び、構造物保護シート Download PDF

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【課題】コンクリート等の構造物の表面に貼り合わせた構造物保護シートの表面変形量を容易に測定できる構造物の表面変形の検査方法を提供する。【解決手段】個体識別手段により構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する過程と、デジタル撮影手段により上記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影する過程と、寸法測定手段により上記デジタル撮影で得られた画像データから上記樹脂層の表面の寸法を測定する過程と、計算手段により上記測定した寸法のデータから上記樹脂層の表面の変形量を計算する過程とを有することを特徴とする構造物の表面変形の検査方法。【選択図】図1

Description

本発明は、構造物の表面変形の検査方法、構造物の表面変形の検査システム、及び、構造物保護シートに関する。さらに詳しくは、表面保護のために構造物の表面に貼り合わせた構造物保護シートの表面変形量を容易に測定できる構造物の表面変形の検査方法、及び、構造物の表面変形の検査方法に用いることができる構造物の表面変形の検査システム、並びに、表面保護のためにコンクリート等の構造物の表面に貼り合わせることで、該構造物の変形を容易に発見することができる構造物保護シートに関する。
鉄道、道路等におけるトンネルや橋脚といったコンクリート製の構造物等の維持管理においては、コンクリートの損傷、破壊、劣化等を診断する必要があり、従来、シュミットハンマー法と呼ばれる打音検査法が知られている。
この打音検査法では、検査者がハンマーを用いて構造物の表面を打撃し、その打撃音を聞き分けて、コンクリートの損傷等を経験的に判断するようになっている。
ところが、従来の打音調査法は、現場の検査者の熟練度に大きく依存するので、検査者の個人差が検査結果に反映され、また、構造物の状態を定量的に把握することができず、さらに、広範囲に亘って構造物を効率良く調査することが困難であった。
そこで、例えば、特許文献1には持ち運び容易なコンクリート構造物の表面の状態を把握できる点検用ハンマー装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の点検用ハンマー装置では検査者が検査対象を打撃した箇所の状態を把握できるにとどまり鉄道、道路等におけるトンネルや橋脚といった大きな構造物の表面を効率よく検査することはできないという問題があった。
また、コンクリート構造物は、老朽化に伴い補修工事や補強工事が行われるが、例えば、特許文献2には、簡便で低費用で工期が短くなり、確実にコンクリートの劣化を防ぐためにコンクリート構造物の表面に貼り合せるシートが提案されている。
また、コンクリート構造物の表面の変形を目視できる補修方法として、例えば、特許文献3には水ガラスを用いた補修方法が提案され、特許文献4には透明エポキシ樹脂を用いる方法が提案されている。
特開2020-098098号公報 特開2010-144360号公報 実用新案登録第3207825号 特開2016-190365号公報
しかしながら、コンクリート構造物の表面に保護シートを貼り合わせる方法は、構造物の保護方法として極めて有力であると考えられるが、コンクリート構造物の補修工事や補強工事によりその表面にシートを被覆すると、従来のハンマーを用いた打音検査法による構造物の検査ができなくなるという問題があった。
また、水ガラスや透明エポキシ樹脂を用いる方法は、施工に日数を要しコストが高くなるという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンクリート等の構造物の表面に貼り合わせた構造物保護シートの表面変形量を容易に測定できる構造物の表面変形の検査方法、及び、該構造物の表面変形の検査方法に用いることができる構造物の表面変形の検査システム、並びに、コンクリート等の構造物の表面に貼り合わせることで保護層を設けることができるとともに、構造物の劣化や損傷に伴う表面の変化を容易に観察することができる構造物保護シートを提供することにある。
本発明者等は、コンクリート等の構造物の表面に構造物保護シートを貼り合わせた状態であっても構造物の表面状態の変化を観察できる方法について研究した結果、構造物の表面に変形が生じると該構造物の表面に貼り合せた構造物保護シートの表面も追随して変形することに着目し、構造物に貼り合わせた状態の最も外側の面の変形量をデジタル撮影してその変形量を計算することで構造物の表面変形を容易に判別できることを見出し、本発明を完成させた。そして、この技術思想は、コンクリート用でない他の構造物に対しても構造物保護シートとして応用可能である。
(1)本発明に係る構造物の表面変形の検査方法は、個体識別手段により構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する過程と、デジタル撮影手段により上記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影する過程と、寸法測定手段により上記デジタル撮影で得られた画像データから上記樹脂層の表面の寸法を測定する過程と、計算手段により上記測定した寸法のデータから上記樹脂層の表面の変形量を計算する過程とを有することを特徴とすることを特徴とする。
この発明によれば、個体識別手段により検査を行う構造物に貼り合された構造物保護シートの識別ができ、デジタル撮影手段により該識別された構造物保護シートの表面をデジタル撮影でき、寸法測定手段により上記デジタル撮影で得られた画像データから上記樹脂層の表面の寸法を測定でき、計算手段により測定した寸法のデータから上記樹脂層の表面の変形量を計算できるため、容易に構造物の表面の変形を検知することができる。
本発明に係る構造物の表面変形の検査方法は、上記デジタル撮影手段は、光学的手段を用いて上記樹脂層の表面をデジタル撮影することが好ましい。
この発明によると、デジタル撮影手段により繊細な樹脂層の表面の画像データを得ることができ、構造物の表面に生じた変形をより迅速かつ正確に検査することができる。
上記光学的手段は、可視光領域、赤外光領域及び紫外光領域からなる群より選択される少なくとも1つの領域における光を用いることが好ましい。
この発明によれば、デジタル撮影手段により繊細な樹脂層の表面の画像データを得ることができ、構造物の表面に生じた変形をより迅速かつ正確に検査することができる。
本発明に係る構造物の表面保護方法において、上記樹脂層の表面に変形検知用の模様が形成されており、上記デジタル撮影手段により上記変形検知用の模様を撮影することが好ましい。
この発明によれば、構造物の表面に生じた変形に追随した構造物保護シートの表面の変形を上記変形検知用の模様により容易にかつ迅速に検知することができる。
本発明に係る構造物の表面変形の検査方法において、上記変形検知用の模様が幾何学模様であることが好ましい。
この発明によれば、構造物保護シートの表面に現れた構造物の変形に追随した変形の検知がより容易となる。
本発明に係る構造物の表面変形の検査方法において、上記幾何学模様は、直線と点とで構成されていることが好ましい。
この発明によると、より容易に構造物保護シートの表面に現れた構造物の変形に追随した変形を検知できる。
本発明に係る構造物の表面変形の検査方法において、上記変形検知用の模様は、再帰性反射を有する塗料を用いて形成されていることが好ましい。
この発明によると、通常時には構造物の表面に変形検知用の模様が観察されず、構造物の検査時にのみ変形検知用の模様を観察可能にできるため、構造物の近くを自動車等の車両等が通過した際に変形検知用の模様が運転手の目に入らず気にならなくなり、事故等を誘発する可能性が低くなる。
本発明に係る構造物の表面変形の検査方法において、上記デジタル撮影手段は、移動体、若しくは、棒状固定具に取り付けられていることが好ましい。
この発明によると、検査すべき構造物が高所、水上、水中、遠隔地、危険地帯といった作業者が容易に近付けない場所にあっても容易に検査を行うことができる。
上記移動体は、小型無人機、無人航空機、航空機、人工衛星、無人船舶、船舶、水中移動体、無人自動車又は自動車であることが好ましい。
この発明によると、検査すべき構造物が高所、水上、水中、遠隔地、危険地帯といった作業者が容易に近付けない場所にあっても容易に検査を行うことができる。
(2)本発明に係る構造物の検査システムは、構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する個体識別手段と、上記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影するデジタル撮影手段と、上記デジタル撮影で得られた画像データから上記樹脂層の表面の寸法を測定する寸法測定手段と、上記測定した寸法のデータから上記樹脂層の表面の変形量を計算する計算手段とを有することを特徴とする。
この発明によれば、構造物の表面に貼り合せた構造物保護シートの識別と、該識別した構造物保護シートの表面に現れた構造物の表面の変形に伴って変形した樹脂層の表面の変形量を、デジタル撮影手段により撮影した上記樹脂層の表面の画像データを用いて寸法測定手段と計算手段とにより計算できるので、構造物の表面の変形の有無の容易に検査することができる。
また、大型の構造物であっても効率よく構造物の検査を行うことができる。
(3)本発明に係る構造物保護シートは、構造物の表面に貼り合せて用いられる構造物保護シートであって、前記構造物に貼り合せた状態で最も外側の面に樹脂層が設けられており、前記樹脂層の表面に変形検知用の模様が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、構造物の表面に貼り合せた状態で該構造物の表面に変形に追随した変形が構造物保護シートの表面に生じた場合、変形検知用の模様が変形するので、観察により容易に構造物の変形を検知することができる。
本発明に係る構造物保護シートは、上記構造物側に設けられるポリマーセメント硬化層を有し、前記樹脂層は前記ポリマーセメント硬化層上に設けられていることが好ましい。
上記ポリマーセメント硬化層は、構造物との密着性等に優れ、ポリマーセメント硬化層上に設けられる樹脂層に、防水性、遮塩性、中性化阻止性、等に優れる性能を付与できる。
また、構造物保護シートは工場の生産ラインでの塗工工程と乾燥工程により量産できるので、低コスト化、現場での作業工期の大幅削減、構造物の長期保護を実現することができる。
本発明に係る構造物保護シートにおいて、前記ポリマーセメント硬化層は、セメント成分及び樹脂を含有する層であって、樹脂が10重量%以上、40重量%以下含有されている層であってもよい。さらに好ましくは樹脂が20重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。
この発明によれば、ポリマーセメント硬化層は追従性に優れた相溶性のよい層であるので、層自体の密着性は優れている。さらに、構造物側のポリマーセメント硬化層が含有するセメント成分はコンクリート等の構造物との密着性を高めるように作用する。
本発明に係る構造物保護シートは、更にメッシュ層を有することが好ましい。
この発明によれば、メッシュ層を有しているので強度等にも優れる性能を本発明に係る構造物保護シートに付与できる。
本発明に係る構造物保護シートにおいて、前記変形検知用の模様が幾何学模様であることが好ましい。
この発明によれば、本発明に係る構造物保護シートの表面に現れた構造物の変形に追随した変形の検知が容易となる。
本発明に係る構造物保護シートにおいて、前記幾何学模様は、直線と点とで構成されていることが好ましい。
この発明によると、より容易に本発明に係る構造物保護シートの表面に現れた構造物の変形に追随した変形を検知できる。
本発明に係る構造物保護シートにおいて、前記変形検知用の模様は、再帰性反射を有する塗料を用いて形成されていることが好ましい。
この発明によると、通常時には構造物の表面に変形検知用の模様が観察されず、構造物の検査時にのみ変形検知用の模様を観察可能にできるため、構造物の近くを自動車等の車両等が通過した際に運転手の目に変形検知用の模様が入らず気にならなくなり、事故等を誘発する可能性が低くなる。
本発明によれば、コンクリート等の構造物の表面に生じた変形を容易に検知できる構造物の変形検知方法、及び、該構造物の検査方法に用いることのできる構造物の検査システム、並びに、コンクリート等の構造物を保護することができるとともに、構造物に変形が生じた場合に容易に検知できる構造物保護シートを提供することができる。特に、構造物保護シートに構造物の表面の変形に追随して生じた変形を容易に検知できるので、大型の構造物であっても迅速かつ容易に検査でき、かつ、熟練者でなくても正確に構造物の状態を検査することができる。
本発明に用いられる構造物保護シートの一例を示す断面構成図である。 本発発明に用いられる構造物保護シートの変形検知用の模様の一例を示す模式図である。 構造物保護シートの施工方法の説明図である。 現場打ち工法に構造物保護シートを適用した例を示す説明図である。 構造物保護シートの変形の状態を示す写真である。 本発明に用いられる構造物保護シートの他の一例を示す断面構成図である。 本発発明に用いられる構造物保護シートのメッシュ層の一例を示す模式図である。 本発明の構造物の表面変形の検査方法を説明する模式図である。
以下、本発明の構造物の表面変形の検査方法、該検査方法に用いられる構造物保護シートについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する限り各種の変形が可能であり、以下の説明及び図面の形態に限定されない。
[構造物の表面変形の検査方法]
本発明の構造物の表面変形の検査方法は、個体識別手段により構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する過程を有する。
本過程により、検査対象の構造物保護シートを識別することができる。
上記個体識別手段としては構造物保護シートを特定できる手段であれば特に限定されないが、例えば、構造物保護シートに付した個体識別情報と、該個体識別情報を読み取る読取装置とが挙げられる。
上記個体識別情報としては、例えば、QR(Quick Response)コード等の二次元バーコード、バーコード、任意の文字列等が挙げられる。
上記読取装置としては、例えば、デジタルカメラ、光学センサ等が挙げられる。
更に上記個体識別手段としては、例えば、RF-IDチップを利用した手段、GPSによる位置情報を利用する手段、対象の構造物保護シートに記載された数字をOCRでデータ変換する手段等であってもよい。
本発明の構造物の表面変形の検査方法は、デジタル撮影手段により前記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影する過程を有する。
本過程により、構造物保護シートの樹脂層の表面の画像データを得ることができる。
本発明では、上記デジタル撮影手段により構造物保護シートに変形が生じる前の樹脂層の表面を撮影していていてもよい。構造物保護シートの変形の前後の樹脂層の表面の画像データを比較でき、より好適に変形の発生の有無や変形の度合いを評価できるようになる。
本発明において、上記デジタル撮影手段により撮影される樹脂層の表面には変形検知用の模様が形成されていてもよく、上記変形検知用の模様としては幾何学模様であることが好ましい。
上記デジタル撮影手段としては特に限定されず、例えば、デジタルカメラやカメラ機能付きの携帯電話端末、特にスマートフォン等の多機能電話端末や、タブレット端末等を好適に利用できる。
本発明の構造物の表面変形の検査方法では、上記デジタル撮影手段は、光学的手段を用いて上記樹脂層の表面をデジタル撮影することが好ましい。
上記光学的手段としては、可視光領域、赤外光領域及び紫外光領域からなる群より選択される少なくとも1つの領域における光を用いることが好ましい。
上記光学的手段を用いてデジタル撮影をすることで、得られる画像データがより繊細となり構造物の表面の変形の有無をより迅速かつ正確に検査することができる。
本発明では、上記デジタル撮影手段は、移動体、若しくは、棒状固定具に取り付けられていることが好ましい。例えば、大型構造物の高所の表面、遠隔地の構造物、水面上や水中の構造物、危険地帯の構造物等、従来では容易に検査できなかったような場所であっても安全に、迅速かつ正確に構造物の表面の検査が可能となる。
例えば、図8に示すように、個体識別手段で大型の構造物21の上方に貼り合わされた検査すべき構造物保護シート1を識別し、構造物保護シート1の表面の模様4がデジタル撮影手段31を取り付けた移動体30(図8では飛行ドローンを例示)が容易に近づくことができないような高所の構造物保護シート1であっても容易にデジタル撮影でき、構造物の表面の状態を安全、迅速かつ正確に検査できる。
なお、本発明では、デジタル撮影手段で撮影された画像データは、所定のソフトウェアを内蔵したパーソナルコンピュータ等の装置(寸法測定手段や計算手段)により処理され、構造物保護シートの表面状態の検査が行われる。
上記移動体は、小型無人機、無人航空機、航空機、人工衛星、無人船舶、船舶、水中移動体、無人自動車又は自動車などが挙げられる。
上記小型無人気、無人航空機としては、例えば、飛行ドローン、ラジコン航空機、及び、ラジコンヘリコプター等が挙げられる。
また、上記無人船舶としては、ラジコン船舶等が挙げられ、水中移動体としては、ラジコン潜水艦等が挙げられる。
上記無人自動車としては、例えば、ラジコンカー等が挙げられる。
また、上記棒状固定具としては、例えば、長さが固定された棒状固定具であってもよいが、検査対象の構造物の大きさに合わせて長さを変えることができる伸縮自在の棒状固定具であることが好ましい。
本発明の構造物の表面変形の検査方法は、寸法測定手段により前記デジタル撮影で得られた画像データから上記樹脂層の表面の寸法を測定する過程を有する。
本過程により、デジタル撮影手段により得られた構造物保護シートの樹脂層の表面の寸法を測定でき、該測定した寸法データが樹脂層の表面の変形量を計算するためのデータとなる。
上記寸法測定手段としては特に限定されず、例えば、画像解析ソフトを備えたパーソナルコンピュータ等公知の装置が挙げられる。
本発明の構造物の表面変形の検査方法は、計算手段により上記測定した寸法のデータから上記樹脂層の表面の変形量を計算する過程を有する。
本過程により、構造物保護シートの表面の変形量を具体的に算出でき、構造物表面の変形状態を評価できる。
上記計算手段としては特に限定されず、例えば、計算ソフト等のソフトウェアを搭載したパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、電子手帳等の公知の装置が挙げられる。
本発明において、上記デジタル撮影手段を用いる過程から計算手段を用いる過程までは、例えば、デジタル画像相関法(DIC)により行われてもよい。デジタル画像相関法は、上記樹脂層の表面の変形前後の画像データを解析することで変形量を計測する公知の方法であり、例えば、検査対象の樹脂層の表面にスプレー等を用いてランダムなパターンを塗布し、デジタル撮影手段によりデジタル撮影して得られた上記ランダムパターンの画像データを自動で認識し三次元的なメッシュを生成した後、表面の変形から歪み・変位を計算してマッピングすることで、上記構造物の変形に追随した樹脂層の表面の変形を検知することができる。
また、上述した変形検知用の模様が上記樹脂層の表面に形成されている場合、上記デジタル撮影手段により上記変形検知用の模様をデジタル撮影し、得られた画像データを用いて上記寸法測定手段と計算手段とにより変形検知用の模様の変形量を計算することで、上記構造物の変形に追随した樹脂層の表面の変形を検知することができる。
このような本発明の構造物の表面変形の検査方法は、樹脂層の表面の変形量を画像データとして取得して該画像データから算出するので構造物の表面に生じた変形の有無や程度を確実かつ容易に検査できる。
[構造物保護シート]
本発明に係る構造物保護シートは、構造物の表面に貼り合せて用いられるものであり、該構造物に貼り合せた際に上述した個体識別手段により識別可能なものであれば特に限定されないが、例えば、該構造物に貼り合せた状態で最も外側の面に樹脂層が設けられ、上記樹脂層の表面に変形検知用の模様が形成された構成を有するものが挙げられる。なお、このような構造の構造物保護シートもまた、本発明の一つである。
このような本発明に係る構造物保護シートは、図1又は図3(C)に示すように、構造物21側に設けられたポリマーセメント硬化層2と、ポリマーセメント硬化層2上に設けられた樹脂層3と、樹脂層3上に形成された変形検知用の模様4とを備えた構造物保護シート1であることが好ましい。このポリマーセメント硬化層2と樹脂層3の両層が、それぞれ、単層で形成されてもよいし積層として形成されてもよい。また、求められる性能によっては、ポリマーセメント硬化層2と樹脂層3との間に別の層を設けてもよい。
本発明に係る構造物保護シート1は、厚さ分布が±100μm以内であることが好ましい。この構造物保護シート1は、厚さ分布が上記範囲内であることで、熟練した作業者でなくても厚さバラツキの小さい層を構造物21の表面に安定して設けることができる。また、厚さ分布を上記範囲内に制御することによって、構造物の補強を均一に行いやすくなるとともに、構造物21の表面の変形に伴って模様4の表面に現れる変形を正確に検知することができるようになる。
構造物21側に設けられたポリマーセメント硬化層2は、構造物21との密着性等に優れ、ポリマーセメント硬化層2上に設けられた樹脂層3は、防水性、遮塩性、中性化阻止性等に優れた性質を容易に付与できる。
また、構造物保護シート1は工場の生産ラインでの塗工工程と乾燥工程により量産できるので低コスト化、現場での作業工期の大幅削減、構造物の長期保護を実現することができる。その結果、構造物21の表面に貼り合わせる際の工期を大幅に削減できるとともに構造物21を長期にわたって保護することができる。
更に、構造物保護シート1の樹脂層4の表面に変形検知用の模様4が形成されているので、構造物21の表面に変形が生じたときに模様4も追随して変形するため容易に構造物21の変形を検知することができる。
また、模様4を適切に選択することで、構造物21の外観に好適な意匠性を付与することもできる。
以下、各構成要素の具体例について詳しく説明する。
(構造物)
構造物21は、本発明に係る構造物保護シート1が適用される相手部材である。
構造物21としては、コンクリートからなる構造物を挙げることができる。
上記コンクリートは、一般的には、セメント系無機物質と骨材と混和剤と水とを少なくとも含有するセメント組成物を打設し、養生して得られる。こうしたコンクリートは、道路橋、トンネル、水門等河川管理施設、下水道管渠、港湾岸壁等の土木構造物として広く使用される。本発明では、コンクリートからなる構造物21に構造物保護シート1を適用することで、コンクリートに生じたひび割れや膨張に追従でき、コンクリート内に水や塩化物イオン等の劣化因子を浸透させず、コンクリート中の水分を水蒸気として排出させることもできる、という格別の利点がある。
(樹脂層)
樹脂層3は、図3(C)に示すように、構造物21とは反対側に配置されて、構造物21の表面側に配置される層である。この樹脂層3は、例えば、図1(A)に示すように単層であってもよいし、図1(B)に示すように少なくとも2層からなる積層であってもよい。単層とするか積層とするかは、全体厚さ、付与機能(防水性、遮塩性、中性化阻止性、水蒸気透過性等)、工場の製造ラインの長さ、生産コスト等を考慮して設定され、例えば製造ラインが短くて単層では所定の厚さにならない場合は、2層以上重ね塗りして形成することができる。なお、重ね塗りは、1層目の層を乾燥した後に2層目の層を塗工する。2層目の層は、その後乾燥される。
樹脂層3は、柔軟性を有し、コンクリートに発生したひび割れや亀裂に追従できるとともに防水性、遮塩性、中性化阻止性及び水蒸気透過性に優れた樹脂層を形成できる塗料を塗工して得られる。樹脂層3を構成する樹脂としては、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、柔軟エポキシ樹脂、ポリブタジエンゴム等を挙げることができる。この樹脂材料は、単独で用いられてもよく、複数が併用されてもよい。また、上記樹脂材料は、後述するポリマーセメント層2を構成する樹脂成分と同じものであること好ましい。特にゴム等の弾性膜形成成分を含有す樹脂であることが好ましい。
これらのうち、ゴム特性を示すアクリル系樹脂は、安全性と塗工性に優れている点で、アクリルゴム系共重合体の水性エマルションからなることが好ましい。なお、エマルション中のアクリルゴム系共重合体の割合は例えば30~70質量%である。アクリルゴム系共重合体エマルションは、例えば界面活性剤の存在下で単量体を乳化重合することにより得られる。界面活性剤は、アニオン系、ノニオン系、カチオン系のいずれもが使用できる。
樹脂層3を形成するための塗料は、樹脂組成物と溶媒との混合塗工液を作製し、その塗工液を離型シート上に塗布し、その後に溶媒を乾燥除去することで、樹脂層3を形成する。溶媒は、水又は水系溶媒であってもよいし、キシレン・ミネラルスピリット等の有機系溶媒であってもよい。後述の実施例では、水系溶媒を用いており、アクリル系ゴム組成物で樹脂層3を作製している。なお、離型シート上に形成される層の順番は制限されず、例えば、上記のとおり樹脂層3、ポリマーセメント硬化層2の順番であってもよいし、ポリマーセメント硬化層2、樹脂層3の順番であってもよい。もっとも、後述の実施例に示すように、離型シート上に樹脂層3を形成し、その後にポリマーセメント硬化層2を形成することが好ましい。
樹脂層3の厚さは、構造物21の使用形態(道路橋、トンネル、水門等河川管理施設、下水道管渠、港湾岸壁等の土木構造物等)、経年度合い、形状等によって任意に設定される。一例としては、50~150μmの範囲内のいずれかの厚さとし、その厚さバラツキは、±50μm以内とすることが好ましい。こうした精度の厚さは、現場での塗工ではとうてい実現できないものであり、工場の製造ラインで安定して実現することができる。
この樹脂層3は、高い防水性、遮塩性、中性化阻止性を有するが、水蒸気は透過することが好ましい。樹脂層3の水蒸気透過率としては、例えば、本発明に係る構造物保護シート1の水蒸気透過率が10~50g/m・dayとなるように適宜調整することが望ましい。こうすることにより、構造物保護シート1に高い防水性、遮塩性、中性化阻止性と所定の水蒸気透過性を持たせることができる。さらに、ポリマーセメント硬化層2と同種の樹脂成分で構成されることにより、ポリマーセメント硬化層2との相溶性がよく、密着性に優れたものとすることができる。水蒸気透過性は、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法」に準拠して測定した。
また、樹脂層3は、本発明に係る構造物保護シート1のカラーバリエーションを豊富にできる観点から顔料を含有していてもよい。
また、樹脂層3は、無機物を含有していてもよい。無機物を含有することで樹脂層3に耐擦傷性を付与することができる。上記無機物としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物粒子等従来公知の材料が挙げられる。
更に、樹脂層3は、公知の防汚剤を含有していてもよい。本発明に係る構造物保護シートは、通常屋外に設置されるコンクリート構造物の補修に用いられるため、樹脂層3は汚染されることが多いが、防汚剤を含有することで本発明に係る構造物保護シートが汚染されることを好適に防止できる。
また、樹脂層3は様々な機能を付与できる添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、セルロールナノファイバー、等が挙げられる。
(模様)
本発明に係る構造物保護シートは、樹脂層3の構造物21側と反対側面上に変形検知用の模様4が形成されていることが好ましい。
模様4としては、構造物21に貼り合せた状態で構造物21の表面に生じた変形に追随した変形を検知できる模様であれば特に限定されないが、幾何学模様であることが好ましい。
上記幾何学模様としては特に限定されず、例えば、格子柄、縞模様、市松模様、メアンダー模様等任意の模様が挙げられる。なかでも、図2に示したような直線と点とで構成された幾何学模様であることが好ましい。上記点を変形検知の際のチェックポイントとすることができるため、上述したデジタル撮影手段で撮影した画像データによる変形の検知がより容易となる。
例えば、図5(a)~(d)は10mm間隔の格子柄の模様4にそれぞれ高さの異なる隆起を生じさせた状態を示す写真であり、(a)は、隆起無しの状態を示し、(b)は、隆起高さが3mmである場合を示し、(c)は、隆起高さが5mmである場合を示し、(d)は、隆起高さが10mmである場合を示している。
図5(b)~(d)にマルで示したように、3mm隆起の(b)では格子柄に40mm幅の歪が観察され、5mm隆起の(c)では格子柄に70mm幅の歪が観察され、10mm隆起の(d)では110mm幅の歪が観察された。なお、図(b)~(d)で観察された歪みの大きさは、上述した寸法測定手段と計算手段とにより算出されたものである。
このような模様4は、例えば、UV硬化性の塗料、再帰性反射を有する塗料等公知の塗料を用いて形成することができるが、なかでも、再帰性反射を有する塗料を用いて形成されていることが好ましい。模様4が再帰性反射を有する塗料を用いて形成されていることで、通常時には樹脂層3の表面に変形検知用の模様4が観察されず、構造物21の検査時にのみ変形検知用の模様4を観察可能にできるため、構造物21の近くを自動車等の車両等が通過した際に運転手の目に変形検知用の模様4が入らず気にならなくなり、事故等を誘発する可能性が低くなる。
なお、本発明に係る構造物保護シート1において、変形検知用の模様4は、例えば、構造物21が設置された環境に合わせた絵や模様等であってもよい。このような絵や模様中に検査時のチェックポイントとなる目印を設けておくことで変形の検知を好適にでき、また、構造物21の設置環境に応じた表情を有する構造物保護シートとなるので再帰性反射を有する塗料を用いる必要もなく、かつ、意匠性に優れた構造物21とすることもできる。
樹脂層3の表面に模様4を形成する方法としては特に限定されず、例えば、溶剤と、バインダー樹脂(ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系等)と、各種顔料、体質顔料及び添加剤(可塑剤、乾燥剤、安定剤等)とを添加してなる塗料を用いて形成すればよい。
また、上記塗料の形成方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法や、プロッター、肉筆での筆記、パターン転写、転刻法等任意の模様を形成可能な公知の方法が挙げられる。
なお、樹脂層3に対する密着性向上のため、上記塗料を形成する前に樹脂層3の表面にコロナ処理やオゾン処理等の処理が施されていてもよい。
作製された構造物保護シート1は、模様4の上に離型シートを備えてもよい。離型シートは、例えば、施工現場への際に構造物保護シート1の表面の模様4を保護することができ、施工現場では、対象となる構造物21の上に(又は下塗り層22又は接着層23を介して)離型シートを貼り付けたままの構造物保護シート1を接着し、その後離型シートを剥がすことで、施工現場での作業性が大きく改善される。なお、離型シートは、構造物保護シート1の生産工程で利用する工程紙であることが好ましい。
離型シートとして使用される工程紙は、製造工程で使用される従来公知のものであれば、その材質等は特に限定されない。例えば、公知の工程紙と同様、ポリロピレンやポリエチレン等のオレフィン樹脂層やシリコンを含有する層を有するラミネート紙等を好ましく挙げることができる。その厚さも特に限定されないが、製造上及び施工上、取り扱いを阻害する厚さでなければ例えば50~500μm程度の任意の厚さとすることができる。
以上説明した構造物保護シート1は、コンクリート等の構造物21を長期にわたって保護することができる。特に、構造物保護シート1に構造物21の特性に応じた性能を付与し、構造物21に生じたひび割れや膨張に追従させること、構造物21に水や塩化物イオン等の劣化因子を浸透させないようにすること、構造物中の水分や劣化因子を排出できる透過性を持たせることができる。そして、こうした構造物保護シート1は、工場で製造できるので、特性の安定した高品質のものを量産することができる。その結果、職人の技術に寄らずに施工でき、工期の短縮と労務費の削減を実現できる。更に、樹脂層3の表面に変形検知用の模様4が形成されているので、構造物保護シート1を構造物21に貼り付けることで構造物21の変形に追随した変形を模様4の表面にて容易に検知することができる。
(ポリマーセメント硬化層)
ポリマーセメント硬化層2は、図3(C)に示すように、構造物側に配置される層である。このポリマーセメント硬化層2は、例えば、図1(A)に示すように重ね塗りしない単層であってもよいし、図1(B)に示すように重ね塗りした積層であってもよい。単層とするか積層とするかは、全体厚さ、付与機能(追従性、構造物への接着性等)、工場の製造ライン、生産コスト等を考慮して任意に設定され、例えば製造ラインが短くて単層では所定の厚さにならない場合は、2層以上重ね塗りして形成することができる。なお、例えば2層の重ね塗りは、1層目の層を乾燥した後に2層目の層を形成する。
また、ポリマーセメント硬化層2は、性質の異なるもの同士が積層された構成であってもよい。例えば、樹脂層3側に樹脂成分の割合をより高めた層とすることで、樹脂成分の高い層が樹脂層と接着し、セメント成分の高い層がコンクリート構造物と接着することとなり両者に対する接着性が極めて優れたものとなる。
ポリマーセメント硬化層2は、セメント成分を含有する樹脂(樹脂成分)を塗料状にした、この塗料を塗工して得られる。
上記セメント成分としては、各種のセメント、酸化カルシウムからなる成分を含む石灰石類、二酸化ケイ素を含む粘度類等を挙げることができる。なかでもセメントが好ましく、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、早強セメント、フライアッシュセメント等を挙げることができる。いずれのセメントを選択するかは、ポリマーセメント硬化層2が備えるべき特性に応じて選択され、例えば、コンクリート構造物21への追従性の程度を考慮して選択される。特に、JIS R5210に規定されるポルトランドセメントを好ましく挙げることができる。
上記樹脂成分としては、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、柔軟エポキシ樹脂系、ポリブタジエンゴム系、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)等を挙げることができる。こうした樹脂成分は、単独で用いられてもよく、複数が併用されてもよい。また、上記樹脂成分は、上述の樹脂層3を構成する樹脂成分と同じものであることが、ポリマーセメント硬化層2と樹脂層3との密着性を高める観点から好ましい。
上記樹脂成分の含有量としては、使用する材料等に応じて適宜調整されるが、好ましくはセメント成分と樹脂成分との合計に対して10質量%から40重量%である。10重量%未満であると、樹脂層に対する接着性の低下やポリマーセメント硬化層を層として維持することが難しくなる傾向となることがあり、40重量%を超えると、コンクリート構造物21に対する接着性が不十分となることがある。上記観点から上記樹脂成分の含有量のより好ましい範囲は10重量%から40重量%であるが、さらに好ましくは20重量%から30重量%である。
ポリマーセメント硬化層2を形成するための塗料は、セメント成分と樹脂成分とを溶媒で混合した塗工液である。樹脂成分については、エマルジョンであることが好ましい。例えば、アクリル系エマルションは、アクリル酸エステル等のモノマーを乳化剤を使用して乳化重合したポリマー微粒子であり、一例としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一種以上を含有する単量体又は単量体混合物を、界面活性剤を配合した水中で重合してなるアクリル酸系重合物エマルジョンを好ましく挙げることができる。
上記アクリル系エマルションを構成するアクリル酸エステル等の含有量は特に限定されないが、20~100質量%の範囲内から選択される。また、界面活性剤も必要に応じた量が配合され量も特に限定されないが、エマルジョンとなる程度の界面活性剤が配合される。
ポリマーセメント硬化層2は、その塗工液を離型シート上に塗布し、その後に溶媒(好ましくは水)を乾燥除去することで形成される。例えば、セメント成分とアクリル系エマルジョンとの混合組成物を塗工液として使用し、ポリマーセメント硬化層2を形成する。なお、上記離型シート上には、ポリマーセメント硬化層2を形成した後に樹脂層3を形成してもよいが、離型シート上に樹脂層3を形成した後にポリマーセメント硬化層2を形成してもよい。本発明においては、例えば、離型シートにエンボス加工又はマット加工(凹凸形状の付与)をした上で、この上に樹脂層3(単層であっても2層以上の複層であってもよい。)、ポリマーセメント硬化層2(単層であっても2層以上の複層であってもよい。)の順番で形成し、樹脂層3に意匠性を付与するという方法を用いて構造物保護シート1を製造してもよい。
ポリマーセメント硬化層2の厚さは特に限定されないが、構造物21の使用形態(道路橋、トンネル、水門等河川施設、下水道管渠、港湾岸壁等の土木構造物等)、経年度合い、形状等によって任意に設定される。具体的なポリマーセメント硬化層の厚さとしては、例えば、0.5mm~1.5mmの範囲とすることができる。一例として1mmの厚さとした場合は、その厚さバラツキは、±100μm以内となることが好ましい。こうした精度の厚さは、現場での塗工では到底実現できないものであり、工場の製造ラインで安定して塗工されることにより実現することができる。なお、1mmより厚い場合でも、厚さバラツキを±100μm以内とすることができる。また、1mmよりも薄い場合は、厚さバラツキをさらに小さくすることができる。
このポリマーセメント硬化層2は、セメント成分の存在により、後述の樹脂層3に比べて水蒸気が容易に透過する。ポリマーセメント硬化層2の好ましい水蒸気透過率は、例えば20~60g/m・day程度である。さらに、セメント成分は、例えばコンクリートを構成するセメント成分との相溶性がよく、コンクリート表面との密着性に優れたものとすることができる。また、図3に示すように、構造物21の表面に下塗り層22と接着剤23が順に設けられている場合にも、セメント成分を含有するポリマーセメント硬化層2が接着剤23に密着性よく接着する。また、このポリマーセメント硬化層2は、延伸性があるので、構造物21にひび割れや膨張が生じた場合であっても、コンクリートの変化に追従することができる。
(粘着層)
本発明に係る構造物保護シートは、ポリマーセメント硬化層2の樹脂層3と反対側面(構造物21側の面)に粘着層が設けられていてもよい。
粘着層が設けられていることで、構造物21の表面に微細な凹み等が存在した場合であってもこの凹みに粘着層を埋め込んで本発明に係る構造物保護シートの密着性を高めることができる。
上記粘着層の積層量としては、コンクリート等の構造物表面への十分な粘着力を発揮できることから、20g/m以上250g/m以下が好ましく、かつ粘着力としては10N/25mm以上60N/25mm以下が好ましい。
このような粘着層を構成する粘着剤としては特に限定されず公知の粘着剤を使用できるが、例えば、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
また、上記粘着剤の市販品としては、例えば、DIC社製「SP-1090NT」等が挙げられる。
上記粘着層が設けられている場合、該粘着層の表面保護のために、粘着層のポリマーセメント硬化層2と反対側面に離型フィルムが貼り付けられていることが好ましい。上記離型フィルムとしては特に限定されず、例えば、基材層と離型層とを有するフィルムが挙げられる。
上記基材層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ナイロン6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セルロースアセテート等のセルロース樹脂、ポリカーボネートなどの合成樹脂が挙げられる。また、上記基材層は、紙を主成分として形成されてもよい。さらに、上記基材層は、2層以上の積層体であってもよい。
上記離型層を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フッ素化重合体等が挙げられる。上記離型層は、上記離型層を構成する材料及び有機溶剤を含む塗工液を上記基材層上にグラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法等の公知の方法によって塗布し、乾燥及び硬化させる塗工法によって形成することができる。また、上記離型層の形成に当たっては、基材層の積層面にコロナ処理や易接着処理を施してもよい。
(メッシュ層)
本発明に係る構造物保護シートは、更にメッシュ層を備えることが好ましい。
本発明に係る構造物保護シートを用いて、道路橋、トンネル、水門等河川管理施設、下水道管渠、湾岸壁等の土木構造物等の大型コンクリート部材の補修を行う場合、本発明に係る構造物保護シート自体にも十分な強度(引張強度、曲げ強度、硬度、表面強度、打ち抜き強度靱性等をいい、本明細書において以下同様とする。)が求められるが、上記メッシュ層を更に備えることで、本発明に係る構造物保護シートは、上述のような大型コンクリート部材の補修に耐え得る十分な強度を備えることができる。
図6(A)に示したように、本発明に係る構造物保護シート1は、付着強度が優れたものとなることからメッシュ層5をポリマーセメント硬化層2と樹脂層3との界面に備えることが好ましい。
上記付着強度とは、本発明に係る構造物保護シート1のポリマーセメント硬化層2側の面をコンクリート表面に接着剤を用いて貼り付け、樹脂層3の表面に引張治具を固定して該引張治具をコンクリート側と反対側に1500n/minの速度で引っ張ることで引張り層間剥離が生じる強度を測定することで得られる。
また、メッシュ層5は、図6(B)に示したようにポリマーセメント硬化層2の内部に存在していてもよい。メッシュ層5は、ポリマーセメント硬化層2の樹脂層3と接する面の反対側の面に配設されていてもよいが、メッシュ層5はポリマーセメント硬化層2の内部に埋設されていることが好ましい。メッシュ層5がポリマーセメント硬化層2の内部に埋設されていることで、メッシュ層5とポリマーセメント硬化層2との接触面積が増大し、両者の接着強度が優れたものとしやすくなり、ポリマーセメント硬化層2全体の強度も確保しやすくなる。メッシュ層5がポリマーセメント硬化層2の内部に埋設されていないと、該メッシュ層5とポリマーセメント硬化層2との界面で剥離が生じ易くなる。
また、メッシュ層5がポリマーセメント硬化層2の内部に存在している場合、該メッシュ層5は、ポリマーセメント硬化層2の厚みの半分の位置に存在していればよいが、より樹脂層3側に存在することが望ましい。メッシュ層5がポリマーセメント硬化層2中で樹脂層3側に存在している場合、付着力は平均的に1.3倍向上する。
本発明において、メッシュ層5にポリマーセメント硬化層2を構成する材料(例えばセメント成分又は樹脂成分)が含侵されていることが好ましい。
メッシュ層5にポリマーセメント硬化層2を構成する材料が含侵されている状態とは、メッシュ層5を構成する繊維間にポリマーセメント硬化層2を構成する材料が充填された状態にあることを意味し、このような含侵状態にあることで、メッシュ層5とポリマーセメント硬化層2との接着強度が極めて優れたものとしやすくなる。また、メッシュ層5とポリマーセメント硬化層2の材料との相互作用がより強固となりやすく、構造物保護シート1の強度をより良好にしやすくなる。
メッシュ層5は、図7に示したように、経糸、緯糸の繊維を格子状にした構造が挙げられる。
上記繊維としては、例えば、ポリプロピレン系繊維、ビニロン系繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維及びアクリル繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維から構成されたものである好ましく、なかでも、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維を好適に使用することができる。
またその形状は、特に限定されず、図7に示したような二軸組布のほか、例えば、三軸組布等任意のメッシュ層5を用いることができる。
メッシュ層は、線ピッチ50mm~1.2mm(線密度0.2本~8.0本/cm)であることが望ましい。ピッチが1.2mm以下であると、メッシュの上下のポリマーセメント層の結合が不十分になり、構造物保護シートの表面強度が不十分となることがある。また、線ピッチが50mmを超えると、構造物保護シートの表面強度に悪影響はないが、引張強度が弱くなることがある。
本発明の構造物保護シートにおいて、引張強度と表面強度はトレードオフの関係にあり、本発明に適用するに適したメッシュ層は、線ピッチ50mm~1.2mmの範囲にあるものである。
メッシュ層5は、ポリマーセメント硬化層2の上面側から見たときに、ポリマーセメント硬化層2の全面をカバーする大きさであってもよく、ポリマーセメント硬化層2よりも小さくてもよい。
すなわち、メッシュ層5の平面視したときの面積は、ポリマーセメント硬化層2の平面視したときの面積と同じであってもよく、小さくてもよいが、メッシュ層5の平面視面積は、ポリマーセメント硬化層2の平面視面積に対し60%以上、95%以下であることが好ましい。60%未満であると本発明に係る構造物保護シートの強度が不十分となることがあり、また、強度のバラツキが生じることもある。95%を超えると、メッシュ層5を介してポリマーセメント硬化層3が積層された構成において、ポリマーセメント硬化層3同士の接着強度が劣ることがあり、本発明に係る構造物保護シートを構造物に施工したときに、ポリマーセメント硬化層2部分に剥離が生じる危険性が高まる。なお、上記メッシュ層5等の平面視面積は、公知の方法で測定できる。
[構造物保護シートを用いた構造物の製造方法]
本発明に係る構造物保護シートを用いた構造物の製造方法は、図3に示すように、上記本発明に係る構造物保護シート1を使用した施工方法であって、構造物21上に接着剤23を塗布した後に構造物保護シート1を貼り合わせる方法が挙げられる。この施工方法は、構造物21の表面に構造物保護シート1を容易に貼り合わせることができる。その結果、熟練した作業者でなくとも厚さのバラツキの小さい層で構成された構造物保護シート1を、構造物21に設けることができ、工期を大幅に削減できるとともに、構造物21を長期にわたって保護することができ、更に、構造物21の変形を容易に検知できるものとなる。
なお、本発明に係る構造物保護シートに上述した粘着層が設けられている場合、上述した離型フィルムを剥離した後、上記粘着層を構造物21の表面に貼り付ける方法であってもよい。
図3は、構造物保護シート1の施工方法の説明図である。施工は、図3(A)に示すように、構造物21の表面に下塗り層22を形成することが好ましい。
下塗り層22は、エポキシ樹脂等の樹脂と溶媒とを混合した塗工液を、構造物21に塗工し、その後、塗工液中の溶媒を揮発乾燥させて形成することができる。
このときの溶媒も上記同様の水等を挙げることができる。下塗り層22の厚さは特に限定されないが、例えば100~150μmの範囲内とすることができる。
構造物21と接着剤23との間に設ける下塗り層22は、相互の密着を高めるように作用するので、構造物保護シート1は、長期間安定して構造物21を保護することができる。
なお、構造物21にひび割れや欠損が生じている場合には、それを補修した後に下塗り層22を設けることが好ましい。
また、補修は特に限定されないが、通常セメントモルタルやエポキシ樹脂等が使われる。
下塗り層22を形成した後、図3(B)に示すように、接着剤23が塗布される。塗布された接着剤23は、乾燥させることなく、図3(C)に示すように、その上に構造物保護シート1を貼り合わせる。接着剤23としては、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム特性を示すアクリル系樹脂(例えばアクリル酸エステルを主成分に持つ合成ゴム)を用いた接着剤等を挙げることができる。なかでも、構造物保護シート1のポリマーセメント硬化層2を構成する樹脂成分と同種の樹脂成分からなる23は、ポリマーセメント硬化層2との接着強度が高くなるのでより好ましい。接着剤23の厚さは特に限定されない。接着剤23は、通常、コンクリートに刷毛塗り又はスプレー塗り等の手段で塗布した後に時間経過によって自然乾燥させて硬化する。
図4は、現場打ち工法に構造物保護シート1を適用した例を示す説明図である。現場打ち工法とは、作業現場で型枠24を形成し、その型枠24内にコンクリート組成物21’を流し込み、放置して硬化させてコンクリート構造物21得る工法である。この現場打ち工法において、硬化したコンクリート構造物21を形成した後、その表面に構造物保護シート1を貼り合わせることで、劣化が生じにくい構造物21とすることができる。貼り合せに当たっては、コンクリート構造物21の表面に下塗り層22を塗工・乾燥し、その上に接着剤2を塗工した後、構造物保護シート1を貼り合せる。その後、通常、自然放放置して接着剤23を乾燥硬化して、構造物保護シート1を接着する。
一方、既にひび割れ等が生じた構造物21に対しては、欠損部分を補修した後に、上記同様の施工方法により構造物保護シート1を貼り合わせる。こうしてコンクリート構造物21の寿命を延ばすことができる。
[構造物の表面変形の検査システム]
本発明の構造物の表面変形の検査システムは、構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する個体識別手段と、上記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影するデジタル撮影手段と、上記デジタル撮影で得られた画像データから上記樹脂層の表面の寸法を測定する寸法測定手段と、上記測定した寸法のデータから上記樹脂層の表面の変形量を計算する計算手段とを有する。
上記個体識別手段、デジタル撮影手段、寸法測定手段及び計算手段としては、上述した本発明の構造物の表面変形の検査方法で説明したものが挙げられる。
また、本発明の構造物の表面変形の検査装置において、上記デジタル撮影手段は、上述した移動体、若しくは、棒状固定具に取り付けられていることが好ましい。大型構造物の高所の表面、遠隔地の構造物、水面上や水中の構造物、危険地帯の構造物等、従来では容易に検査できなかったような場所であっても安全に、迅速かつ正確に構造物の表面の検査が可能となる。
本発明の構造物の表面変形の検査システムは、上述した本発明の構造物の表面変形の検査方法を好適に用いることができる。
よって、本発明の構造物の表面変形の検査システムによると、構造物保護シートに構造物の表面の変形に追随して生じた変形を容易に検知できるので、大型の構造物であっても迅速かつ容易に検査でき、かつ、熟練者でなくても正確に構造物の状態を検査することができる。
実施例と比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
PPラミネート紙からなる厚さ130μmの離型シートを用いた。その離型シート上に、ポリマーセメント硬化層形成用組成物を塗工し乾燥して単層からなる厚さ1.29mmのポリマーセメント硬化層2を形成した。その後、そのポリマーセメント硬化層2上に、アクリル系樹脂を含む樹脂層形成用組成物を塗工し乾燥して単層からなる厚さ100μmの樹脂層3を形成した。
樹脂層3の表面に、スクリーン印刷法(ポリエステル製、メッシュ数355本、線径30μm、乳剤厚み15μm)で、UV硬化型黒色インク(十条ケミカル株式会社製JELCON NOS 黒(A)(XMH-180424)を、硬度85度のスキージを用いて、線幅0.5mm、線間隔10mmの格子状の線を印刷し、60mWのUVランプで1分間硬化させて変形検知用の模様を得た。得られた構造物保護シートの合計厚みは1.30mmであった。
この構造物保護シート1は、約25℃に管理された工場内で連続生産され、離型シートを含んだ態様でロール状に巻き取った。
ポリマーセメント硬化層形成用組成物は、セメント混合物を45質量部含む水系のアクリルエマルジョンである。セメント混合物は、ポルトランドセメント70±5質量部、二酸化ケイ素10±5質量部、酸化アルミニウム2±1質量部、酸化チタン1~2質量部を少なくとも含むものであり、アクリルエマルジョンは、アクリル酸エステルモノマーを乳化剤を使用して乳化重合したアクリル酸系重合物53±2質量部、水43±2質量部を少なくとも含むものである。これらを混合したポリマーセメント硬化層形成用組成物を塗布乾燥して得られたポリマーセメント硬化層2は、ポルトランドセメントをアクリル樹脂中に50質量%含有する複合層である。一方、樹脂層形成用組成物は、アクリルシリコーン系樹脂である。このアクリルシリコーン系樹脂は、アクリルシリコーン樹脂60質量部と、二酸化チタン25質量部と、酸化第二鉄10質量部と、カーボンブラック5質量部とを含有するエマルジョン組成物である。
[実施例2]
樹脂層3の表面に、スクリーン印刷法(ポリエステル製、メッシュ数355本、線径30μm、乳剤厚み15μm)で、熱硬化型黒色インク(十条ケミカル株式会社製PETインキ 9000-1シリーズ KW-S-P 10部に、FMインキ硬化剤を1部添加)を、硬度90度のスキージを用いて、線幅1.0mm、線間隔5mmの格子状の線を印刷し、70℃で15分間、乾燥、硬化させて模様4を得た以外は実施例1と同様にした。
[実施例3]
樹脂層3の表面に、インクジェット印刷機にて、紀州技研製インクジェット用CN334黒を用いて、線幅0.5mm、線間隔10mmの格子状の線を印刷し、自然乾燥して模様4を得た以外は実施例1と同様にした。
[実施例4]
樹脂層3の表面に、スクリーン印刷法(ポリエステル製、メッシュ数355本、線径30μm、乳剤厚み15μm)で、再帰性白色インク(十条ケミカル株式会社製COLOSER-再帰反射インキ 白を、硬度85度のスキージを用いて、線幅0.5mm、線間隔10mmの格子状の線を印刷し、120℃で15分間、乾燥、硬化させて模様4を得た以外は実施例1と同様にした。
[実施例5]
樹脂層3の表面に、スクリーン印刷法(ポリエステル製、メッシュ数355本、線径30μm、乳剤厚み15μm)で、小松プロセス製NINJA INK(油性POH/POH-E タイプ10部に、同インキ用架橋剤を1部添加)を、硬度90度のスキージを用いて、線幅1.0mm、線間隔5mmの格子状の線を印刷し、70℃で15分間、乾燥、硬化させて模様4を得た以外は実施例1と同様にした。
[実施例6]
離型フィルム(東洋クロス社製SP3000 シリコーン系)上に、コンマコーターを用いて粘着剤(DIC社製SP-1090NT)を塗布して形成した厚さ200μmの粘着剤と、実施例1で作製した構造物保護シートのポリマーセメント硬化層2とを接触させ押圧し、粘着層及び離型フィルムを備えた構成とした以外は実施例1と同様にした。
[比較例1]
樹脂層3の表面に模様4を印刷しなかった以外は実施例1と同様にして構造物保護シートを作製した。
[隆起状態の観察]
実施例1~6及び比較例1により作製された構造物保護シートそれぞれ400mm×400mmの大きさにカットした試験片に個体識別情報として16桁の数字を二次元バーコードで印刷し、スマートフォンを用いて該個体識別情報を識別した。
次いで、硬質段ボールを介して台に試験片を設置したときの模様4をiPhone(登録商標)XSで横長撮影して変形前の画像データを得た。
次いで、台の裏側から押し型で押して素地コンクリートが突起した状態を試験片の模様4に作製し、その状態をiPhone(登録商標)XSで横長撮影して変形後の画像データを得た。
変形の前後の画像データをパーソナルコンピュータの画像処理ソフトを用いて画像合成し、変形部分をペンタッチで描画し、画像解析ソフトを用いて模様4の変形量を計算した。
なお、実施例4、5に係る構造物保護シートは、模様4にGENTOS製LEDライトRX-086PSを照射しながらデジタル撮影した。
また、実施例6に係る構造物保護シートは、離型フィルムを剥離して粘着層を介して台に貼り付けた。
その結果、実施例に係る構造物保護シートは、いずれも隆起部分の模様の変形量を算出でき、変形を明確に検出できたが、比較例1に係る構造物保護シートは、隆起部分とそれ以外とを見分けることが難しかった。
1 構造物保護シート
2 ポリマーセメント硬化層
3 樹脂層
4 模様
5 メッシュ層
21 構造物(コンクリート)
21’ コンクリート組成物(構造物形成組成物)
22 下塗り層
23 接着剤
24 型枠
30 移動体
31 撮影手段

Claims (17)

  1. 個体識別手段により構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する過程と、
    デジタル撮影手段により前記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影する過程と、
    寸法測定手段により前記デジタル撮影で得られた画像データから前記樹脂層の表面の寸法を測定する過程と、
    計算手段により前記測定した寸法のデータから前記樹脂層の表面の変形量を計算する過程と
    を有することを特徴とする構造物の表面変形の検査方法。
  2. 前記デジタル撮影手段は、光学的手段を用いて前記樹脂層の表面をデジタル撮影する請求項1記載の構造物の表面変形の検査方法。
  3. 前記光学的手段は、可視光領域、赤外光領域及び紫外光領域からなる群より選択される少なくとも1つの領域における光を用いる請求項2記載の構造物の表面変形の検査方法。
  4. 前記樹脂層の表面に変形検知用の模様が形成されており、前記デジタル撮影手段により前記変形検知用の模様を撮影する請求項1、2又は3記載の構造物の表面変形の検査方法。
  5. 前記変形検知用の模様が幾何学模様である請求項4記載の構造物の表面変形の検査方法。
  6. 前記幾何学模様は、直線と点とで構成されている請求項5記載の構造物の表面変形の検査方法。
  7. 前記変形検知用の模様は、再帰性反射を有する塗料を用いて形成されている請求4、5又は6記載の構造物の表面変形の検査方法。
  8. 前記デジタル撮影手段は、移動体、若しくは、棒状固定具に取り付けられている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の構造物の表面変形の検査方法。
  9. 前記移動体は、小型無人機、無人航空機、航空機、人工衛星、無人船舶、船舶、水中移動体、無人自動車又は自動車である請求項8記載の構造物の表面変形の検査方法。
  10. 構造物の表面に貼り合された構造物保護シートを識別する個体識別手段と、
    前記構造物保護シートの最も外側の面に設けられた樹脂層の表面をデジタル撮影するデジタル撮影手段と、
    前記デジタル撮影で得られた画像データから前記樹脂層の表面の寸法を測定する寸法測定手段と、
    前記測定した寸法のデータから前記樹脂層の表面の変形量を計算する計算手段と
    を有することを特徴とする構造物の表面変形の検査システム。
  11. 構造物の表面に貼り合せて用いられる構造物保護シートであって、
    前記構造物に貼り合せた状態で最も外側の面に樹脂層が設けられており、
    前記樹脂層の表面に変形検知用の模様が形成されている
    ことを特徴とする構造物保護シート。
  12. 前記構造物側に設けられるポリマーセメント硬化層を有し、前記樹脂層は前記ポリマーセメント硬化層上に設けられている請求項11に記載の構造物保護シート。
  13. 前記ポリマーセメント硬化層は、セメント成分及び樹脂を含有する層であって、前記樹脂が10重量%以上、40重量%以下含有されている請求項12記載の構造物保護シート。
  14. 更にメッシュ層を有する請求項11、12又は13記載の構造物保護シート。
  15. 前記変形検知用の模様が幾何学模様である請求項11、12、13又は14記載の構造物保護シート。
  16. 前記幾何学模様は、直線と点とで構成されている請求項15記載の構造物保護シート。
  17. 前記変形検知用の模様は、再帰性反射を有する塗料を用いて形成されている請求項11、12、13、14、15又は16記載の構造物保護シート。


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