JP2022158964A - 精製方法、検査方法、及び吸着体 - Google Patents

精製方法、検査方法、及び吸着体 Download PDF

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【課題】中和抗体等の被検出物質が検体に含まれるか否かを精度よく検査するために、検体から非中和抗体等の妨害物質を除去することができる精製方法を提供する。【解決手段】被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する前段階において、検体に含まれ得る妨害物質Dを検体から除去する精製方法であって、被検出物質Aは、作用物質Bに結合することにより、作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害するものであり、妨害物質Dは、作用物質Bに結合するが、作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害しないものであり、少なくとも第1処理~第2処理をこの順で行う、精製方法。(第1処理:検体と、標識物質が結合した前記作用物質Bとを含む検体処理液を得る。)(第2処理:被作用物質Cを担持した粒子状不溶性担体を有する吸着体を、検体処理液に接触させた後、吸着体を検体処理液から分離し、検体精製液を得る。)【選択図】なし

Description

本発明は、検体に中和抗体が含まれるか否かを検査することが可能な検査方法に関する。
新型コロナウイルスが蔓延している現状、同ウイルスの感染に対する防御力を有しているか否かを判定することは大きな意義がある。同ウイルスは、ウイルス中に含まれるスパイクタンパク質(S1)とヒト又は動物の細胞が有する受容体タンパク質(アンジオテンシン変換酵素2、ACE2と称する場合がある)との結合を介して感染する。従って、ウイルス感染に対する防御力を有するということは、S1タンパク質とACE2の結合を阻害することが可能な「中和抗体」を体内に保有していることと言い換えられる。現在、被験者から得た血液などの検体中に中和抗体を検出する手法には、実際のウイルスを用いて行う培養細胞実験やELISA法と呼ばれる技術が存在している。しかし、高度な専門技術や専用の設備を要するため、検査を簡便に実施することができない。
特許文献1には、ニトロセルロース膜に抗体等のタンパク質を固定したイムノクロマト法に関する器具が開示されている。
非特許文献1には、イムノクロマト法によって、被験者の血液等の検体に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する中和抗体があるか否かを検査する方法が開示されている。
特開2009-085751号公報
medRxiv preprint"A lateral flow test detecting SARS-CoV-2 neutralizing antibodies"Nan Zhang, Shuo Chen, Jin V. Wu, Xinhai Yang, Jianfu J. Wang、doi: https://doi.org/10.1101/2020.11.05.20222596
図12に、非特許文献1の検査方法(イムノクロマト法)の要部を模式的に示す。ここで、S1は新型コロナウイルスのスパイクタンパク質であり、ACE2はヒト細胞膜に存在する受容体ACE2である。
基本構成として、テープ状のニトロセルロース基材の上流側から下流側に向けて順に、領域W1、領域W2、領域W3が設けられている。
領域W1の上流側に検体を滴下し、基材に含浸させると、検体は下流側へ向けて基材に浸潤しながら流れる。検体の一例は中和抗体と非中和抗体を含む。領域W1には、金コロイドで標識されたS1が予め含浸されている。検体がW1に到達すると、検体はW1上でS1と接触し、これにより、中和抗体がS1に結合して複合体を形成し、非中和抗体もS1に結合して複合体を形成する。これらの複合体はさらに下流側へ向けて基材に浸潤しながら流れて、領域W2に到達する。
領域W2には、ACE2が予め固定化されている。S1とACE2は所定の様式で結合することが知られており、非中和抗体はS1とACE2の結合を阻害しないので、非中和抗体-S1複合体は領域W2においてACE2に捕捉され、領域W2に留まる。一方、中和抗体はS1とACE2の結合を阻害するので、中和抗体-S1複合体はACE2に捕捉されることなく、さらに下流側へ向けて基材に浸潤しながら流れて、領域W3に到達する。
領域W3には、抗ヒト抗体が予め固定化されている。中和抗体-S1複合体はこれに捕捉され、領域W3に留まる。S1には予め標識物質が結合されているので、領域W3に到達した標識物質を検出することにより、中和抗体が領域W3に到達したことを検知することができる。この結果から、検体に中和抗体が含まれると判定する。
非特許文献1の検査方法を要約すると、次の3段階の処理を基材上で連続的に行う。
1)ヒトから得た検体を、標識されたS1と基材上で接触させ、処理液を得る。
2)処理液を、基材に固定されたACE2と接触させる。
3)処理液を、基材に固定された抗ヒト抗体と接触させる。
1)において、検体に含まれ得る中和抗体と非中和抗体がS1に結合して複合体となる。2)において、非中和抗体-S1複合体がACE2に捕捉され、処理液から除かれる。
3)において、中和抗体-S1複合体が抗ヒト抗体に捕捉される(基材上に固定される)。
最後に、3)で捕捉された中和抗体-S1複合体の有無を、S1が有する標識物質を検知することにより判定する。
非特許文献1の検査方法では、ニトロセルロース基材の上流側から下流側へ検体が流れることによって上記1)~3)の処理が順に行われるが、上記2)の処理が不完全であっても検体は下流側に流され、上記3)の処理に移行してしまう問題がある。ニトロセルロース基材上の小さな面積に固定された少数のACE2が、全ての非中和抗体-S1複合体を捕捉して下流側への流出を防ぐことができない場合がある。このため、上記2)の処理が不充分になるリスクが常につきまとう。
また、非特許文献1の方法では、ACE2をニトロセルロース基材上に固定する必要がある。固定処理には乾燥が必要であり、製造プロセスの効率化のために加熱を行うことが多い。ACE2は立体的に高度な構造を有するタンパク質であり、加熱により変性し、機能が失活又は減弱するという問題がある。加熱工程を行う場合、上記2)の処理が不十分になるリスクが常につきまとう。
上記2)において処理液から非中和抗体が完全に除かれない場合、上記3)において中和抗体-S1複合体だけでなく、非中和抗体-S1複合体が抗ヒト抗体に捕捉される。この結果、検体中に中和抗体が存在せず、非中和抗体のみが存在する場合においても、上記判定において、陽性(中和抗体が存在する)という誤った判定(偽陽性)がなされてしまう、という問題がある。
また、加熱せずに乾燥を行うためには長時間の乾燥工程が必要となり、製造の効率が著しく低下する。
本発明は、中和抗体等の被検出物質が検体に含まれるか否かを精度よく検査するために、検体から非中和抗体等の妨害物質を除去することができる精製方法、並びに前記精製方法から得た検体精製液を用いた中和抗体等の被検出物質の検査方法を提供する。
[1] 被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する前段階において、前記検体に含まれ得る、妨害物質Dを前記検体から除去する精製方法であって、前記被検出物質Aは、作用物質Bに結合することにより、前記作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害するものであり、前記妨害物質Dは、前記作用物質Bに結合するが、前記作用物質Bと前記被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害しないものであり、少なくとも下記の第1処理~第2処理をこの順で行う、精製方法。
(第1処理)
前記検体と、標識物質が結合した前記作用物質Bと、を含む検体処理液を得る。
(第2処理)
前記被作用物質Cを担持した粒子状不溶性担体を有する吸着体を、前記検体処理液に接触させた後、前記吸着体を前記検体処理液から分離し、検体精製液を得る。
[2] 前記粒子状不溶性担体の平均粒子径が40μm以上である、[1]に記載の精製方法。
[3] 前記被検出物質Aが中和抗体であり、前記作用物質Bが病原体に由来するタンパク質であり、前記被作用物質Cは前記病原体が感染する細胞に由来するタンパク質であり、
前記妨害物質Dが非中和抗体である、[1]又は[2]に記載の精製方法。
[4] 前記被検出物質Aが中和抗体であり、前記作用物質Bは、コロナウイルスが有するスパイクタンパク質の一部又は全部であり、前記被作用物質Cは、ヒト又は動物の細胞が有する受容体タンパク質の一部又は全部であり、前記妨害物質Dが非中和抗体である、[1]~[3]の何れか一項に記載の精製方法。
[5] 被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する方法であって、[1]~[4]の何れか一項に記載の精製方法によって、前記検体処理液に接触した前記吸着体を分離し、前記検体精製液を得て、前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する、検査方法。
[6] 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、前記標識物質に由来する色について、前記検体処理液が呈する前記色の濃さと、前記検体精製液が呈する前記色の濃さとを計測し、両者を比較する比色法である、[5]に記載の検査方法。
[7] 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、前記標識物質に由来する色について、前記検体精製液が呈する前記色の濃さが、所定値よりも濃い場合、前記検体に前記被検出物質Aが含まれると判定し、前記検体精製液が呈する前記色の濃さが、所定値よりも薄い場合、前記検体に前記被検出物質Aが含まれないと判定する、[5]に記載の検査方法。
[8] 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、前記被検出物質Aに結合する抗体を用いる方法であって、前記抗体が固定された基材を有する検査体を用い、前記基材の前記抗体が固定された部位に、前記検体精製液を接触させた後、前記基材の前記抗体が固定された部位に、前記標識物質が検出された場合、前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれると判定し、前記基材の前記抗体が固定された部位に、前記標識物質が検出されなかった場合、前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれないと判定する、[5]に記載の検査方法。
[9] 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、イムノクロマト法である、[8]に記載の検査方法。
[10] [1]に記載の精製方法の前記第2処理において使用される、前記被作用物質Cを担持した粒子状不溶性担体を有する吸着体。
本発明の精製方法によれば、被検出物質A(実施形態の一例:中和抗体)が検体に含まれるか否かを検査する前に、検体から妨害物質D(実施形態の一例:非中和抗体)を予め除去することができる。この精製を経た試料について被検出物質Aが含まれるか否かを検査することにより、高い精度の判定結果を得ることができる。
本発明の精製方法において、被作用物質C(実施形態の一例:ACE2)は不溶性担体に担持されており、この不溶性担体と検体処理液を混合するため、検体処理液中の成分と充分に接触できる。このため、妨害物質Dと作用物質B(実施形態の一例:S1)とが結合する機会が充分に得られる。同様に、被作用物質Cと作用物質B(実施形態の一例:S1)とが結合する機会も充分に得られる。
また、被作用物質Cは不溶性担体に担持されているので、湿潤状態に保ちやすく、被作用物質Cの作用物質Bに対する結合力(結合機能)を充分に保持することができる。
また、被作用物質Cは不溶性担体に担持されているので、1つの検体の量(検体処理液の体積)が増えても、検体処理液に接触させる前記不溶性担体の量を増やすことは容易である。つまり、従来のイムノクロマト法では微量(数μL~数百μL)の検体しか取り扱えないが、本発明の精製方法にあっては上限なく1つの検体の量を増やすことが可能である。
本発明の検査方法によれば、検体から妨害物質D(実施形態の一例:非中和抗体)が予め除去された検体精製液について、被検出物質Aが含まれるか否かを検査するので、高い精度の判定結果を得ることができる。
本発明の吸着体は不溶性担体が被作用物質Cを担持しているので、被作用物質Cが安定に保たれる状態で吸着体を保管することが容易である。例えば、温度管理されたpH緩衝液中で保管することができる。また、不溶性担体に被作用物質Cを担持させる製造工程だけでなく、吸着体を第2処理で使用する時まで、被作用物質Cを一度も乾燥させることなく、湿潤状態に保つことができる。このため、被作用物質Cがタンパク質である場合、被作用物質Cの乾燥による変性を防止し、作用物質Bに対する結合力(結合機能)を充分に保持することができる。
金コロイドにストレプトアビジンを結合させる処理の概念図である。 金コロイドで標識されたS1タンパク質を得る処理の概念図である。 ACE2が表面に担持されたアガロースビーズを得る処理の概念図である。 夾雑物質の存在下で、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される様子の概念図である。 非中和抗体の存在下で、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される様子の概念図である。 中和抗体の存在下で、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される様子の概念図である。 中和抗体及び非中和抗体の存在下で、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される様子の概念図である。 実施例1で行ったイムノクロマト法の様子を示す模式図である。 実施例1~2の結果の一つを示す写真である。 実施例1~2の結果の一つを示す写真である。 比較例1~2の結果の一つを示す写真である。 非特許文献1の検査方法の要点を説明するための模式図である。 実施例3~4の結果の一つを示す写真である。 実施例5~6の結果の一つを示す写真である。 実施例7~8の結果の一つを示す写真である。 実施例9~10の結果の一つを示す写真である。 実施例11~12の結果の一つを示す写真である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
≪精製方法≫
本発明の第一態様は、被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する前段階において、前記検体に含まれ得る、妨害物質Dを前記検体から除去する精製方法である。
ここで、被検出物質Aは、作用物質Bに結合することにより、作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害するものである。妨害物質Dは、作用物質Bに結合するが、作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害しないものである。
本態様の精製方法は、少なくとも下記の第1処理~第2処理をこの順で行うことが好ましい。また、第1処理及び第2処理に加えて任意に他の処理を行ってもよい。
第1処理は、前記検体と、標識物質が結合した作用物質Bと、を含む検体処理液を得る処理である。
第2処理は、被作用物質Cを担持した粒子状不溶性担体を有する吸着体を、前記検体処理液に接触させた後、前記吸着体を前記検体処理液から分離し、検体精製液を得る処理である。
前記検体は、被検出物質Aが含まれているか否かを検査する検査対象である。検査対象として、例えば、生体に由来する試料が挙げられる。ここではウイルスも生体に該当するものとする。
生体試料として、例えば、血液(全血)、血清、血漿、リンパ液、涙、唾液、鼻水、喀痰、皮脂、鼻腔や咽頭の付着物、尿、汗、糞便、その他の体液等が挙げられる。これらの生体試料は、必要に応じて適当な液性媒体に溶解又は分散することにより、液性試料とすることができる。
生体試料として血液(全血)を用いる場合、血液中の血球成分、特に赤血球が混入すると、比色試験を妨害し、正確な値を得ることができない場合があるため、第1処理の前に、血清や血漿を得る前処理を行うことが好ましい。前処理の方法として、例えば、遠心分離法(上清を回収する)、ガラス繊維濾紙や血球成分が完全に通過できないポアサイズの多孔性シートによるフィルター法、多孔性膜担体を用いた分離法、コンドロイチン硫酸などとの接触により赤血球を凝集させた後に上清を回収する方法等が挙げられる。好ましい前処理方法としては、コンドロイチン硫酸などとの接触により赤血球を凝集させた後に上清を回収する方法である。なお、イムノクロマトのニトロセルロース基材のサンプル滴下部位の直上に、ガラス繊維ろ紙や、赤血球が通過できないポアサイズの多孔性シートを設置することにより、上記前処理は省略することが可能である。
被検出物質Aは、後述の検査方法によって定性的又は定量的に検出する物質である。このような物質の例として、例えば、任意の物質bと任意の物質cが相互作用する(例えば互いに結合する)ことを阻害する任意の物質aが挙げられる。
被検出物質Aは、例えば生体由来物質であり、タンパク質、脂質又は核酸が挙げられる。
前記タンパク質として、例えば抗体が挙げられる。一般に抗体は抗原の特定部位(エピトープ)に結合することが知られている(抗原抗体反応)。抗原の一例は、病原体そのもの又は病原体に由来するものである。抗原に結合することにより抗原の機能を阻害する抗体は、中和抗体と呼ばれる。一方、抗原に結合するが、結合された抗原の機能を阻害しない抗体は、非中和抗体と呼ばれる。
妨害物質Dは、被検出物質Aの定性的又は定量的な検出を妨げたり、検査結果の解釈を誤らせたりする物質である。このため、被検出物質Aを検出する前に、本態様の精製方法によって検体から除去されることが好ましい。
妨害物質Dは、例えば生体由来物質であり、タンパク質、脂質又は核酸が挙げられる。
前記タンパク質として、例えば抗体が挙げられる。一例として、被検出物質Aが中和抗体であり、妨害物質Dが非中和抗体である場合が挙げられる。
作用物質Bと被作用物質Cは、例えば、互いに物理的な接触を介して相互作用するものである。作用物質Bと被作用物質Cは、所定の様式で互いに結合するものであることが好ましい。
本態様において、被検出物質Aは、作用物質Bに結合することにより、作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害するものである、という関係性を有することが好ましい。
前記関係性を有する例として、被検出物質Aが中和抗体であり、作用物質Bが病原体に由来する生体物質(例えばタンパク質)であり、被作用物質Cは前記病原体が感染する細胞に由来する生体物質(例えばタンパク質)である場合が挙げられる。
ここで、前記病原体に由来する生体物質は、自然界に存在するネイティブ(native)な状態又はインタクト(intact)な状態であってもよいし、前記所定の様式で結合する機能が損なわれない範囲で人為的に改変された状態であってもよい。
前記病原体として、例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス等のウイルスが挙げられる。コロナウイルスとして、例えば新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が挙げられる。
前記関係性を有する例として、被検出物質Aが中和抗体であり、作用物質Bは、コロナウイルスが有するスパイクタンパク質の一部又は全部であり、被作用物質Cは、前記コロナウイルスが感染するヒト又は動物の細胞が有する受容体タンパク質の一部又は全部である場合が挙げられる。
前記スパイクタンパク質の一部としては、例えば、前記受容体に対する結合ドメイン(RBD)を含むものが挙げられる。
前記受容体としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)、シアル酸受容体等が挙げられる。
なお、新型コロナウイルスは、スパイクタンパク質(例えばS1タンパク質)をACE2に所定の様式で結合することにより、細胞内へ侵入して感染することが知られている。
前記関係性を有する例として、被検出物質Aが中和抗体であり、作用物質Bは、インフルエンザウイルスが有するHAタンパク質の一部又は全部であり、被作用物質Cは、前記インフルエンザウイルスが感染するヒト又は動物の細胞が有する、シアル酸若しくは受容体タンパク質の一部又は全部である場合が挙げられる。
なお、インフルエンザウイルスは、HAタンパク質を、シアル酸を有する電位依存性Ca2+チャネル(受容体)に所定の様式で結合することにより、細胞内へ侵入して感染することが知られている。
第1処理において、前記検体と、標識物質が結合した作用物質Bと、を含む検体処理液を得る方法としては、例えば、前記検体と作用物質Bを任意の液体中で接触させる方法が挙げられる。
具体的には、例えば、血液とS1タンパク質(以下、S1ということがある)とをpH緩衝液中で接触させ、これらが含まれた検体処理液を得る方法が挙げられる。血液にS1に結合する抗体が含まれている場合、検体処理液中でS1-抗体複合体が形成される。ここでpH緩衝液は、検体処理液中で前記複合体の形成が安定に行われるpH範囲に調整するものである。
第1処理で使用する作用物質Bには予め標識物質が結合されていることが好ましい。つまり、前記検体処理液において被検出物質Aが作用物質Bに結合する前に、作用物質Bに予め標識物質が結合されていることが好ましい。
前記標識物質は、任意の方法でその存在を検知することが可能なものであれば特に制限されない。前記標識物質としては、例えば、金属粒子、色素、顔料、酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素、ビオチン、アビジン若しくはストレプトアビジン、デキストラン、ポリリジン、ポリヒスチジン等が挙げられる。また、これらの標識物質の何れかを含有する又は担持する担体が挙げられる。このような担体としては、例えば、ラテックス、アガロース等の高分子化合物によって形成された粒子や、シリカ、金属等の無機物質によって形成された粒子が挙げられる。
好ましい標識物質として、金コロイド(水等の分散媒に分散してコロイド状態になり得る金粒子)が挙げられる。金コロイドの色は、液の状態や金微粒子の粒子径によって変わるが、例えば後述する比色法では、被験出物質Aの検出感度や精度の点から赤色が好ましく、この場合、金コロイドは赤色の微粒子であると理解してもよい。
金コロイドの形状は特に制限されず、例えば、球状、棒状、板状、ウニ状等の種々の形状が挙げられる。
金コロイドの平均粒子径は、例えば、5nm~400nmであることが好ましい。S1タンパク質に結合させる金コロイドの平均粒子径は、結合が容易であり、検出も容易であることから、10nm~80nmであることが好ましい。例えば、免疫染色に使用される一般的な金コロイドを前記標識物質として使用することができる。
金コロイド以外の好ましい標識物質としては、ポリスチレンマイクロスフェア(ポリスチレンを構成成分とする)が挙げられる。ポリスチレン中に着色剤が内部まで染色されている標準品が市販されている。ポリスチレンマイクロスフェアの色は、着色剤の種類によって変わり、具体的には赤色、黄色、黒色、青色、紫色、橙色、緑色が挙げられるが、例えば後述する比色法では、被験出物質Aの検出感度や精度の点から青色、赤色が好ましく、この場合、ポリスチレンマイクロスフェアは青色、赤色の微粒子であると理解してもよい。
ポリスチレンマイクロスフェアの平均粒子径は、例えば、0.02μm~150μmであることが好ましい。S1タンパク質に結合させるポリスチレンマイクロスフェアの平均粒子径は、結合が容易であり、検出も容易であることから、0.1μm~20μmであることが好ましい。
前記標識物質は作用物質Bに直接に結合していてもよいし、連結体(リンカー)を介して間接的に結合していてもよい。
前記標識物質が作用物質Bに結合する方法としては、例えば、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等による受動吸着が挙げられる。また、前記標識物質及び作用物質Bの少なくとも一方が有するカルボキシ基、アミノ基、チオール基、ヒドロキシ基等の反応性基の反応によって形成される共有結合が挙げられる。また、前記標識物質及び作用物質Bのうち、一方が有するプロテインA、プロテインG、又はプロテインLと、他方が有する抗体又はその一部とのアフィニティ結合が挙げられる。また、前記標識物質及び作用物質Bのうち、一方が有するアビジン又はストレプトアビジンと、他方が有するビオチンとのアフィニティ結合が挙げられる。
前記標識物質による作用物質Bの標識は、バイオ実験の一般的な技法(受動吸着標識、共有結合標識、アフィニティ結合標識)によって行うことができる。
第2処理において使用する、被作用物質Cを担持するための不溶性担体は、被作用物質Cが外部から作用を受けることが可能な状態で担持できるものであればよい。ここで、不溶性であるとは、前記検体処理液中において溶解せずに元の形態を保持し得る性質をいう。
前記不溶性担体を構成する材料としては、例えば、バイオ実験において一般的に利用されるアガロース、デキストラン、セルロース、ニトロセルロース等の多糖類や、アクリルアミド等の重合体によって形成されたヒドロゲルが挙げられる。また、ポリスチレンやポリプロピレン等の合成樹脂、セラミックス、金属(磁性体)が挙げられる。
前記不溶性担体の色は限定されないが、検体処理後の固液界面の識別が容易になることから標識物質と異なる色であることが好ましい。例えば、透明無色、半透明の白色、又は不透明の白色であることが好ましい。これらの色の不溶性担体は、上記の材料によって不溶性担体を形成すれば容易に得られる。
前記不溶性担体の形態は、例えば、粒子状、糸(ストランド)状、網状、多孔質状、ファイバー状等が挙げられる。ただし、前記不溶性担体は、イムノクロマト法で使用されるニトロセルロース膜とは異なるものであること、すなわち、ニトロセルロースシート(フィルム、膜)以外の不溶性担体であることが好ましい。検体処理液との接触効率を高める観点から、粒子状であることがより好ましい。
前記粒子の形状は特に制限されず、球状、棒状、板状、ウニ状等の種々の形状が挙げられる。
前記粒子の平均粒子径は、例えば、1μm~10mmが好ましく、10μm~1000μmがより好ましく、20μm~500μmがさらに好ましく、40μm~200μmが特に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、粒子の表面に充分な量の被作用物質Cを担持することが容易になる。また、粒子と上清の分離も容易になる。
上記範囲の上限値以下であると、前記検体処理液中における分散性が高まり、また第2処理において検体処理液との接触頻度が高くなるので、作用物質Bに対する接触が容易になる。
なお、前記粒子の平均粒子径は、ロータップ法、レーザー回折散乱法、コールターカウンター式電気抵抗法、光学顕微鏡法等を用いて測定することができ、コールターカウンター式電気抵抗法や光学顕微鏡法で測定される個数分布平均粒子径であることが好ましい。
このような粒子状の不溶性担体としては、例えば、バイオ実験に使用される市販のアガロースビーズ(平均粒子径:40μm~200μm程度)や磁性ビーズ(平均粒子径:1μm~10μm程度)が挙げられる。
被作用物質Cは不溶性担体に直接に結合していてもよいし、連結体(リンカー)を介して間接的に結合していてもよい。
被作用物質Cが不溶性担体に結合する方法としては、例えば、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等による受動吸着が挙げられる。また、被作用物質C及び不溶性担体の少なくとも一方が有するカルボキシ基、アミノ基、チオール基、ヒドロキシ基等の反応性基の反応によって形成される共有結合が挙げられる。また、被作用物質C及び不溶性担体のうち、一方が有するアルキン(アルキニル基)と、他方が有するアジド(アジド基)の反応によって形成される共有結合が挙げられる。また、被作用物質C及び不溶性担体のうち、一方が有するプロテインA、プロテインG、プロテインLと、他方が有する抗体又はその一部とのアフィニティ結合が挙げられる。また、被作用物質C及び不溶性担体のうち、一方が有するアビジン又はストレプトアビジンと、他方が有するビオチンとのアフィニティ結合が挙げられる。
被作用物質Cを不溶性担体に担持させる方法は、バイオ実験の一般的な技法(受動吸着標識、共有結合標識、アフィニティ結合標識)を適用することができる。
第2処理において、吸着体を前記検体処理液に接触させる方法としては、例えば、前記検体処理液に吸着体を添加する方法が挙げられる。
具体的には、例えば、ACE2が担持されたアガロースビーズからなる吸着体を前記検体処理液に添加して穏やかに撹拌する方法が挙げられる。また、ACE2が担持されたアガロースビーズからなる吸着体が充填されたカラムに、前記検体処理液を流す方法が挙げられる。
吸着体が有する被作用物質Cの量は、前記検体処理液に含まれる作用物質Bの量よりも多いことが好ましい。この量比であると、一部の作用物質Bが結合することによって吸着体の被作用物質Cが飽和し、残りの作用物質Bが吸着体に結合できずに前記検体処理液中に残存することを防止することができる。ここで、各物質の量比は、質量基準で定められてもよいし、個数基準(モル比)で定められてもよい。
前記検体処理液に前記標識物質によって標識されたS1が含まれている場合、そのS1と、吸着体が有するACE2とが結合する性質を利用して、吸着体を前記標識物質によって標識することができる。ただし、前記検体処理液にS1とACE2の結合を阻害する中和抗体が含まれている場合、吸着体の少なくとも一部は標識されない。
第2処理において、吸着体と、吸着体に接触した後の前記検体処理液とを分離する方法としては、例えば、自然沈降、遠心分離、濾過、磁性分離等が挙げられる。
吸着体を分離して得た検体精製液を、本発明の第二態様の検査方法の試料とすることができる。
≪検査方法≫
本発明の第二態様は、被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する方法である。第一態様の精製方法を行い、前記第2処理において前記不溶性担体を分離して得た検体精製液を試料として用い、検体精製液に被検出物質Aが含まれるか否かを検査する、検査方法である。
前記検体精製液に被検出物質Aが含まれるか否かは、前記検体精製液に前記標識物質が含まれるか否かを検査することによって判定することができる。これは、前記標識物質が作用物質Bに予め結合しており、前記検体精製液中の被検出物質Aが作用物質Bに結合したことを利用する検査方法である。
本態様の検査方法において、例えば、前記標識物質に由来する「色」について比色法を適用することにより、前記検体及び前記検体精製液に前記標識物質が含まれるか否かを判定することができる。具体的には、例えば、精製前の前記検体処理液が呈する前記色の濃さc1と、精製後の前記検体精製液が呈する前記色の濃さc2とを計測し、両者を比較する方法が挙げられる。
比色した結果が、c1とc2が同等の濃さである場合、前記検体及び前記検体精製液に被検出物質Aが含まれると判定することができる。一方、比色した結果が、c1がc2よりも格段に濃い場合、前記検体及び前記検体精製液に被検出物質Aが含まれないと判定することができる。
また、第2処理で得た前記検体精製液の前記「色」の濃さが、予め任意に定めた所定値よりも濃い場合、前記検体及び検体精製液に被検出物質Aが含まれると判定することができる。一方、第2処理で得た前記検体精製液の前記「色」の濃さが、前記所定値よりも薄い場合、前記検体及び前記検体精製液に被検出物質Aが含まれないと判定することができる。
さらに、第2処理で得た前記検体精製液の前記「色」の濃さが、精製前の前記検体処理液の前記「色」の濃さよりも薄くなる程、前記検体及び前記検体精製液に含まれる被検出物質Aの量が少ないと判定できる。
被検出物質Aが含まれる濃度を段階的に高めた標準試料を用いて、被検出物質Aの濃度と第2処理で得た前記検体精製液の前記「色」の濃さとの対応関係を予め調べておき、検量線を作成しておくと、前記検体及び前記検体精製液に含まれる被検出物質Aの濃度を容易に推定することができる。
また、検量線を作成する場合、検体自身の色の影響を排除するため、第1処理の前に計測した検体の色で補正することで、検量線の精度を向上することができる。
本態様の検査方法において、前記検体精製液中の被検出物質Aを検査体の基材に捕捉すると、被検出物質Aに結合している前記標準物質の検出が容易になるので好ましい。
前記検査体の基材に被検出物質Aを捕捉する方法として、例えば、被検出物質Aに結合する抗体を用いる方法が挙げられる。具体的には、例えば、前記抗体が基材に固定された検査体を用いる方法が挙げられる。前記抗体が固定された所定位置に前記検体精製液を接触させることにより、被検出物質Aを所定位置に捕捉することができる。さらに所定位置における前記標識物質の有無又は量を計測することによって、被検出物質Aの有無又は量を推定することができる。この結果、前記検体及び前記検体精製液に被検出物質Aが含まれるか否かを判定することができる。
前記抗体を用いる方法では、例えば、イムノクロマト法、ELISA法、フローサイトメトリー等の公知方法を適用することができる。
≪吸着体≫
本発明の第三態様は、被作用物質Cが担持された粒子状不溶性担体を有する吸着体である。本態様の吸着体は、第一態様の精製方法の第2処理において使用されることが好ましい。本態様の吸着体の説明は、第一態様における吸着体の説明と重複するので省略する。
<具体的な実施形態の一例>
本態様の検査方法の一例として、検体が血液であり、被検出物質Aが中和抗体であり、作用物質BがS1であり、被作用物質CがACE2であり、妨害物質が非中和抗体であり、標識物質が金コロイドである場合について、ここでまとめて簡単に説明する。
まず、金コロイドにストレプトアビジンを結合させる(図1参照)。予めビオチンが結合されたS1タンパク質を準備し、これにストレプトアビジンが結合した金コロイドを混ぜると、金コロイドで標識されたS1タンパク質「S1タンパク質-金コロイド」が得られる(図2参照)。また、予めプロテインAが結合されたアガロースビーズに、予めIgGのFc領域が融合されたACE2を混ぜると、ACE2が表面に担持されたアガロースビーズ「ACE2ビーズ」が得られる(図3参照)。
通常、血液にはACE2と相互作用しない夾雑物質が含まれている。この血液にS1タンパク質-金コロイドを混合した後、さらにACE2ビーズを混合すると、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される(図4参照)。つまり、夾雑物質はACE2とS1の結合を阻害しないので、夾雑物質は無視することができる。
さて、血液に非中和抗体が含まれている場合、この血液にS1タンパク質-金コロイドを混合すると、S1タンパク質に非中和抗体が結合する。その後、さらにACE2ビーズを混合すると、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される(図5参照)。ここでACE2ビーズを除去すれば、非中和抗体が除去された検体精製液が得られる。
一方、血液に中和抗体が含まれている場合、この血液にS1タンパク質-金コロイドを混合すると、S1タンパク質に中和抗体が結合する。その後、さらにACE2ビーズを混合すると、中和抗体が結合したS1タンパク質はACE2ビーズに結合せず、中和抗体が結合していない残りのS1タンパク質のみがACE2ビーズに捕捉される(図6参照)。つまり、検体に中和抗体が含まれている場合、ACE2ビーズに捕捉されるS1タンパク質-金コロイドが少なくなる。言い換えると、ACE2ビーズを除去しても、中和抗体が残留した検体精製液が得られる。同様の結果は、検体に中和抗体及び非中和抗体が含まれている場合にも得られる(図7参照)。
従って、検体精製液に残留した金コロイドを計測することにより、血液に中和抗体が含まれるか否かを検査することができる。
本態様の実施形態の一例として、検体が血液であり、被検出物質Aが中和抗体であり、作用物質BがS1であり、被作用物質CがACE2であり、標識物質が金コロイドである場合の検査器具について説明する。
生体試料として血液(全血)を用いる場合、夾雑物質はACE2とS1の結合を阻害しないので、通常夾雑物質は無視することができるが、赤血球は比色試験を妨害し、正確な値を得ることができない場合があるため、第1処理の前に、血清や血漿を得る前処理が行えることが好ましく、前記前処理と第1処理と第2処理が一つの検査器具に組み込まれている実施形態が好ましい。
具体的には、フィルター一体型ろ過バイアル(例えば、サイティバ製「ミニユニG」)のフィルター部を、ガラス繊維濾紙や血球成分が完全に通過できないポアサイズの多孔性シートによるフィルターに置換し、「S1タンパク質-金コロイド」をサンプル注入部に充てんし、ろ液捕集部には「ACE2ビーズ」を充てんした検査器具が挙げられる。なお、「S1タンパク質-金コロイド」をサンプル注入部に充てんせず、フィルターに含浸させてもよく、また、別途含浸させたフィルターを装着してもよい。血液をサンプル注入部に充てんしろ過処理を行うと、前処理と第1処理が同時に進行し、ろ液捕集部には第1処理された検体処理液が捕集される。また、サンプル注入部にトロンビン等の血液凝固因子を加えると、赤血球のろ過をより効率的に実施できるため好ましい。血液凝固因子を加える場合は、上記フィルターの材質やポアサイズは限定されない。
ろ液捕集部において第2処理が行われるため、中和抗体が含まれていない場合、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される。一方、中和抗体が含まれている場合、ACE2ビーズに捕捉されるS1タンパク質-金コロイドが少なくなる。ろ液捕集部の検体精製液の着色の程度を計測することにより、血液に中和抗体が含まれるか否かを検査することができる。また、予め中和抗体量と対応した色味見本を準備し、ACE2ビーズの色と対比させることで、中和抗体量を推定することも可能である。
検査器具の別の一例としては、ヘッド部にパッドが装着された遠心用チューブ本体(例えば、栄研化学製「かんたんチューブ ‘栄研’」)のチューブ本体に「S1タンパク質-金コロイド」、赤血球を凝集させるコンドロイチン硫酸、「ACE2ビーズ」を含有させた検査器具が挙げられる。なお、「S1タンパク質-金コロイド」はチューブ本体に含有させず、パッド部に含浸させてもよく、また、別途含浸させたパッドを装着してもよい。血液をパッド部に染み込ませ、検査器具を遠心機で遠心処理すると、パッド部もしくはチューブ本体内で第1処理され、コンドロイチン硫酸の分離部を通過することで前処理が完了する。続いて、「ACE2ビーズ」との接触により第2処理が行われるため、血液に中和抗体が含まれていない場合、ACE2ビーズにS1タンパク質-金コロイドが捕捉される。一方、中和抗体が含まれている場合、ACE2ビーズに捕捉されるS1タンパク質-金コロイドが少なくなる。捕集部の検体精製液の着色の程度を計測することにより、血液に中和抗体が含まれるか否かを検査することができる。また、予め中和抗体量と対応した色味見本を準備し、ACE2ビーズの色と対比させることで、中和抗体量を推定することも可能である。
また、上記のいずれの例においても、得られた検体精製液を、上述の中和抗体に結合する抗体を用いる方法(例えば、ラテラルフロー検査テープに検体精製液を滴下)により、中和抗体の有無又は量を検出することができる。
<標識物質の準備>
ストレプトアビジンに4mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.79)を加え、330μg/mLとなるように調製したストレプトアビジン液を得た。
1800μLの20nm金コロイド液に対して72μLの100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.79)を加え、その後、上記ストレプトアビジン液を180μL添加した。室温(20~25℃、以下の室温記載も同様)で攪拌しながら30分間インキュベーションして反応させた後、反応液を遠心し(6,500g、4℃、30分)、上清を除去し、沈殿aを得た。
BSA(ウシ血清アルブミン)に30mMトリスバッファー(pH7.5)を加え、0.1%w/vとなるように調製したBSA液を得た。
上記沈殿aを1800μLのBSA液に懸濁した後、懸濁液を遠心して再び沈殿させる処理(懸濁・遠心処理によるバッファー置換処理)を1回繰り返した。このようにして得た液を「ストレプトアビジン-金コロイド液」として、後の実験に使用した(図1参照)。
なお、金コロイド(金微粒子の集合体)は、赤色に見える標識物質である。
<作用物質Bの標識>
ストレプトアビジン-金コロイド液40μLに、1.5μLのビオチン-S1タンパク質溶液(50μg/mL)、7μLの30mMトリスバッファー(pH7.0)及び0.5μLの10%Tween20溶液(前記トリスバッファーに溶解されたもの)を添加した。この混合液を室温で攪拌しながら5分間インキュベーションし、得られた液を「S1タンパク質-金コロイド液」として、後の実験に使用した(図2参照)。
<被作用物質Cを担持した吸着体の準備>
100μLのプロテインAビーズ懸濁液(ビーズ含量が50%v/vとなるように30mMトリスバッファー(pH7.0)に懸濁されたもの)に、7.63μLのFc-ACE2溶液(1.31mg/mL)を加え、4℃にて16時間反応させた。この反応によりFc-ACE2が、ビーズ表面に担持されたプロテインAに結合した。この反応を経たビーズを、以下では単にビーズということがある。
続いて上記の反応液を12,000g、4℃、1分間の条件で遠心し、ビーズを沈殿させた。上清を除去し、ビーズと同体積の上記トリスバッファーを加え、遠心により再度ビーズを沈殿させる処理(懸濁・遠心処理によるバッファー置換処理)を数回繰り返し、最後に得た懸濁液を「ACE2ビーズ懸濁液」として、後の実験に使用した(図3参照)。
<検体の準備>
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のS1の特定部位(RBDドメイン)に結合し、S1とACE2の結合を阻害することが確認されている市販の中和抗体(マウス由来中和抗体)の溶液(濃度1mg/ml)を「検体1」として、後の実験に使用した。
一般に、新型コロナウイルスのS1タンパク質に結合するが、S1とACE2の結合を阻害しない抗体を非中和抗体という。本実施例で使用する上記のビオチン-S1タンパク質は、組換えタンパク質であり、S1のACE2に対する結合機能を阻害しないC末端側にHisタグを含む。従い、本実施例では、Hisタグに結合する抗体を非中和抗体として使用した。具体的には、市販のHisタグ抗体(マウス由来)の溶液(濃度1mg/ml)を「検体2」として、後の実験に使用した。
[実施例1]
(第1処理)
1μLの「検体1」に、49μLの「S1タンパク質-金コロイド液」を加え、穏やかに攪拌しながら、4℃で60分間反応させた(図6参照)。
(第2処理)
上記の反応液(検体処理液)から20μLを分取し、これに25μLの「ACE2ビーズ懸濁液」を加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた(図6参照)。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。この状態の反応液を含むマイクロチューブを図9の写真(中和抗体と表示した方)に示す。目視したところ、上清の色は濃い赤色であり、沈殿したビーズの色は元の白色に近い薄い赤色であった。
ここで、上清(検体精製液)の赤色の濃さが、前記反応液(検体処理液)の赤色の濃さと同等であることが比色により分かったので、検体1に中和抗体が含まれると推定できた。この結果は、使用した検体1に中和抗体が含まれる事実と符合する。
(第3処理)
前記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「ACE2ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
後述する方法で作製したラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
具体的には、ラテラルフロー検査テープの上流側に検体精製液20μLを滴下した。滴下した検体精製液は、ラテラルフロー検査テープの上流側から下流側へ浸潤しながら流れて、領域X1と、領域X2の順に通過して、検査を終了した。なお、検体精製液の流れを促進するために、ラテラルフロー検査テープの下流側の端部に吸水用のろ紙を載せた。
検査後のテープの表面の様子を図10の写真((1)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
領域X1が赤く染まっている結果は、「S1タンパク質-金コロイド」に抗体xが結合しており、抗体xが領域X1の抗マウス抗体に捕捉されたことを意味する。ここで、抗体xは、第2処理においてS1タンパク質がビーズに結合することを阻害しているのであるから、中和抗体であると判定できる。この判定は、使用した検体1に中和抗体が含まれている事実と符合する。
領域X2が赤く染まっている結果は、検体精製液に含まれているストレプトアビジン-金コロイドが領域X2に到達し、検体精製液が上流側の領域X1を通過したことを意味する。ここで、ストレプトアビジン-金コロイドは、S1-金コロイドを形成せずフリーで存在するように、予め余剰に検体精製液に含まれていたコントロールである。
[実施例2]
(第1処理)
1μLの「検体2」に、49μLの「S1タンパク質-金コロイド液」を加え、穏やかに攪拌しながら、4℃で60分間反応させた(図5参照)。
(第2処理)
上記の反応液(検体処理液)から20μLを分取し、これに25μLの「ACE2ビーズ懸濁液」を加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた(図5参照)。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。この状態の反応液を含むマイクロチューブを図9の写真(非中和抗体と表示した方)に示す。目視したところ、上清の色はほとんど無色透明であり、沈殿したビーズの色は元の白色ではなく、濃い赤色であった。
ここで、上清(検体精製液)の赤色の濃さが、前記反応液(検体処理液)の赤色の濃さよりも格段に薄いことが比色により分かったので、検体2に中和抗体が含まれないと推定できた。この結果は、使用した検体2に中和抗体が含まれない事実と符合する。
(第3処理)
上記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「ACE2ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
実施例1と同様にして、ラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
検査後のテープの表面の様子を図10の写真((2)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1は、赤く染まらず、色の変化は視認されなかった。一方、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることは明確に視認された。
領域X1が赤く染まらなかった結果は、検体精製液には「S1タンパク質-金コロイド」に結合し、かつ抗マウス抗体に捕捉され得る抗体が存在しなかったことを意味する。つまり、検体精製液には中和抗体が存在していないと判定できる。この判定は、使用した検体2に中和抗体が含まれていない事実と符合する。
なお、検体2に含まれていた非中和抗体は、第2処理においてビーズに捕捉されて、検体精製液から除去されている。
領域X2が赤く染まっている結果は、検体精製液に含まれているストレプトアビジン-金コロイドが領域X2に到達し、検体精製液が上流側の領域X1を通過したことを意味する。ここで、ストレプトアビジン-金コロイドは、S1-金コロイドを形成せずフリーで存在するように、予め余剰に検体精製液に含まれていたコントロールである。
<その他の実施例>
実施例1~2では、中和抗体が入っていること、非中和抗体が入っていること、が予め分かっている検体について行った。
中和抗体が入っているか否か未知の検体Sを使用した場合においても、実施例1~2と同様に試験し、領域X1及び領域X2に標識物質(例えば金コロイド)が検知されれば、検体Sに中和抗体が入っていると判定でき、領域X1に標識物質が検知されず、領域X2のみに標識物質が検知されれば、検体Sに中和抗体は含まれていないと判定できる。
[比較例1]
(第1処理)
1μLの「検体1」に、49μLの「S1タンパク質-金コロイド液」を加え、穏やかに攪拌しながら、4℃で60分間反応させ、検体処理液を得た。
(第2処理)
比較例1では、第2処理を行わなかった。
(第3処理)
第1処理で得た検体処理液を試料として用い、実施例1と同様にラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施した。
検査後のテープの表面の様子を図11の写真((3)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
領域X1が赤く染まっている結果は、「S1タンパク質-金コロイド」に抗体xが結合しており、抗体xが領域X1の抗マウス抗体に捕捉されたことを意味する。ただし、第2処理を行っていないので、抗体xがS1とACE2の結合を阻害するか否かは確認できていないのであるから、抗体xが中和抗体と非中和抗体のどちらであるかを判定することはできない。
なお、領域X2が赤く染まっている結果は、前記試料に含まれているストレプトアビジン-金コロイドが領域X2に到達し、前記検体処理液が上流側の領域X1を通過したことを意味する。ここで、ストレプトアビジン-金コロイドは、S1-金コロイドを形成せずフリーで存在するように、予め余剰に検体処理液に含まれていたコントロールである。
[比較例2]
(第1処理)
1μLの「検体2」に、49μLの「S1タンパク質-金コロイド液」を加え、穏やかに攪拌しながら、4℃で60分間反応させ、検体処理液を得た。
(第2処理)
比較例2では、第2処理を行わなかった。
(第3処理)
第1処理で得た検体処理液を試料として用い、実施例1と同様にラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施した。
検査後のテープの表面の様子を図11の写真((4)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
領域X1が赤く染まっている結果は、「S1タンパク質-金コロイド」に抗体xが結合しており、抗体xが領域X1の抗マウス抗体に捕捉されたことを意味する。ただし、第2処理を行っていないので、抗体xがS1とACE2の結合を阻害するか否かは確認できていないのであるから、抗体xが中和抗体と非中和抗体のどちらであるかを判定することはできない。
なお、領域X2が赤く染まっている結果は、前記試料に含まれているストレプトアビジン-金コロイドが領域X2に到達し、前記検体処理液が上流側の領域X1を通過したことを意味する。ここで、ストレプトアビジン-金コロイドは、S1-金コロイドを形成せずフリーで存在するように、予め余剰に前記検体処理液に含まれていたコントロールである。
<比較例1~2の評価>
以上の結果から、本発明の第2処理を行わなかった比較例1~2では、「検体1」、「検体2」に抗体が入っており、その抗体がS1に結合し得るものであることは確認できたが、その抗体が中和抗体であるか、非中和抗体であるかは判定できなかった。
<作用物質Bの標識(2)>
15nmストレプトアビジン-金コロイド液40μLに1.5μLのビオチン-S1タンパク質溶液(50μg/mL)、7μLの30mLトリスバッファー(pH7.0)及び0.5μLの10%Tween20溶液(前記トリスバッファーに溶解されたもの)を添加した。この混合液を室温で攪拌しながら5分間インキュベーションし、得られた液を「S1タンパク質-金コロイド液(15nm)」として後の実験に使用した。
上記と同様に、60nmストレプトアビジン-金コロイド液を使用して、「S1タンパク質-金コロイド液(60nm)」を調製し、後の実験に使用した。
[実施例3]
(第1処理)
1μLの「検体1」に、49μLの「S1タンパク質-金コロイド液(15nm)」を加え、穏やかに攪拌しながら、室温で30分間反応させた(図6参照)。
(第2処理)
上記の反応液(検体処理液)から20μLを分取し、これに25μLの「ACE2ビーズ懸濁液」を加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた(図6参照)。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。目視したところ、上清の色は濃い赤色であり、沈殿したビーズの色は元の白色に近い薄い赤色であった。
(第3処理)
上記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「ACE2ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
実施例1と同様にして、ラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
検査後のテープの表面の様子を図13の写真((5)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
[実施例4]
(第1処理)
1μLの「検体2」に、49μLの「S1タンパク質-金コロイド液(15nm)」を加え、穏やかに攪拌しながら、室温で30分間反応させた(図5参照)。
(第2処理)
上記の反応液(検体処理液)から20μLを分取し、これに25μLの「ACE2ビーズ懸濁液」を加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた(図5参照)。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。目視したところ、上清の色はほとんど無色透明であり、沈殿したビーズの色は元の白色ではなく、濃い赤色であった。
(第3処理)
上記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「ACE2ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
実施例1と同様にして、ラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
検査後のテープの表面の様子を図13の写真((6)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1は、赤く染まらず、色の変化は視認されなかった。一方、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることは明確に視認された。
[実施例5]
「S1タンパク質-金コロイド液(15nm)」に代えて「S1タンパク質-金コロイド液(60nm)」を使用したこと以外は、実施例3と同様にして試験した。その結果は、図14の写真((7)と表示した方)に示す通り、実施例3と同様の結果が得られた。
[実施例6]
「S1タンパク質-金コロイド液(15nm)」に代えて「S1タンパク質-金コロイド液(60nm)」を使用したこと以外は、実施例4と同様にして試験した。その結果は、図14の写真((8)と表示した方)に示す通り、実施例4と同様の結果が得られた。
<標識物質の準備(2)>
200μLの0.5μm青着色ポリスチレンマイクロスフェア(以下では単に青着色剤ということがある)に100mMホウ酸バッファー(pH8.5)を500μL加え、14,000g、4℃、10分間の条件で遠心し、青着色剤を沈殿させた。上清を除去し、500μLの上記ホウ酸バッファーを加え、遠心により再度青着色剤を沈殿させる処理(懸濁・遠心によるバッファー置換処理)を2回繰り返し、最後に200μLの30mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)に懸濁させた液を「青着色剤液」として、後の実験に使用した。
<作用物質Bの標識(3)>
8μLの青着色剤液を192μLの上記リン酸ナトリウムバッファーにて希釈した後、7.5μLの非標識S1タンパク質(500μg/mLとなるようにPBSで調製)を添加し、この混合液を4℃で攪拌しながら16時間インキュベーションした。この反応により、非標識S1タンパク質が青着色剤に受動的に結合した。14,000g、4℃、10分間の条件で遠心し、青着色剤で標識されたS1タンパク質を沈殿させた。上清を除去し、500μLのPBSを加え、遠心により再度沈殿させる処理(懸濁・遠心によるバッファー置換処理)を2回繰り返し、最後に200μLのPBSで懸濁させた。この懸濁液40μLに2.5μLの「ストレプトアビジン-金コロイド液」、5μLのPBS及び0.5μLの10%Tween20溶液(前記PBSに溶解されたもの)を添加した。ここで「ストレプトアビジン-金コロイド液」はコントロールとして用いた。
以上で得た混合液を「青着色S1液」として、後の実験に使用した。
<被作用物質Cを担持した吸着体の準備(2)>
100μLのストレプトアビジンビーズ懸濁液(ビーズ含量が50%v/vとなるようにPBSに懸濁されたもの)に、12μLのビオチン-ACE2溶液(0.25mg/mL)を加え、4℃にて1時間反応させた。この反応によりビオチン-ACE2が、ビーズ表面に担持されたストレプトアビジンに結合した。この反応を経たビーズを、以下では単にビーズということがある。
続いて上記の反応液を14,000g、4℃、1分間の条件で遠心し、ビーズを沈殿させた。上清を除去し、ビーズと同体積のPBSを加え、遠心により再度ビーズを沈殿させる処理(懸濁・遠心処理によるバッファー置換処理)を数回繰り返し、最後に得た懸濁液を「ACE2ビーズ懸濁液(#2)」として、後の実験に使用した。
[実施例7]
(第1処理)
2μLの「検体1」に、48μLの「青着色S1液」を加え、穏やかに攪拌しながら、室温で30分間反応させた。
(第2処理)
上記の反応液(検体処理液)から50μLを分取し、これに15μLの「ACE2ビーズ懸濁液(#2)」を加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた(図6参照)。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。目視したところ、上清の色は濃い青色であり、沈殿したビーズの色は元の白色に近い薄い青色であった。
(第3処理)
上記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「ACE2ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
実施例1と同様にして、ラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
検査後のテープの表面の様子を図15の写真((9)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が青く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
[実施例8]
検体の種類を「検体2」に変更した以外は、実施例7と同様に行った。
検査後のテープの表面の様子を図15の写真((10)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が青く染まらず、色の変化は視認されなかった。一方、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることは明確に視認された。
<検体の準備(2)>
インフルエンザウイルス(H10N8型)のHAタンパク質の特定の部位に結合し、HAタンパク質とシアル酸の結合を阻害することが確認されている市販のHA中和抗体(マウス由来中和抗体)の溶液(濃度1mg/mL)を「検体3」として、後の実験に使用した。
インフルエンザウイルスのHAタンパク質に結合するが、HAタンパク質とシアル酸の結合を阻害しない抗体を非中和抗体という。後述の実施例で使用するHAタンパク質は、組換えタンパク質であり、HAタンパク質のシアル酸に対する結合機能を阻害しないC末端側にHisタグを含む。従って、後述の実施例においても、Hisタグに結合する抗体を非中和抗体として使用した。具体的には、前記「検体2」を使用した。
<作用物質Bの標識(4)>
500μLの20nm金コロイド液に対して20μLの100mMトリスバッファー(pH7.0)を加え、その後、50μLのHAタンパク質(250μg/mLとなるように4mMトリスバッファー(pH7.0)で調製したもの)を添加し、この混合液を室温で攪拌しながら30分間インキュベーションした。この反応により、HAタンパク質が金コロイドに受動的に結合した反応液を得た。
続いて、ウシ血清アルブミン(BSA)に4mMトリスバッファー(pH7.0)を加え、BSA濃度0.1%w/vとなるように調製したBSA液を得た。
上記反応液に上記BSA液500μLを添加し、室温で攪拌しながら30分間インキュベーションした後、6,500g、4℃、30分間の条件で遠心し、20nm金コロイドで標識されたHAタンパク質を沈殿させた。上清を除去し、500μLの上記BSA液を加えた。この懸濁液40μLに2.5μLの「ストレプトアビジン-金コロイド液」、6μLのトリスバッファー及び0.5μLの10%Tween20溶液(前記トリスバッファーに溶解されたもの)を添加した。ここで「ストレプトアビジン-金コロイド液」はコントロールとして用いた。
以上で得た混合液を「HAタンパク質-金コロイド液」として、後の実験に使用した。
<被作用物質Cを担持した吸着体の準備(3)>
100μLのアルキンビーズ懸濁液(ビーズ含量が50%v/vとなるように0.1mMアスコルビン酸、0.02mM硫酸銅水溶液に懸濁されたもの)に、5μLのシアル酸アジド溶液(1mMとなるようにジメチルスルホキシドに溶解されたもの)を加え、4℃にて16時間反応させた。この反応によりシアル酸が、ビーズ表面に担持されたアルキンに共有結合した。この反応を経たビーズを、以下では単にビーズということがある。
続いて上記の反応液を12,000g、4℃、1分間の条件で遠心し、ビーズを沈殿させた。上清を除去し、ビーズと同体積のPBSを加え、遠心により再度ビーズを沈殿させる処理(懸濁・遠心処理によるバッファー置換処理)を数回繰り返し、最後に得た懸濁液を「シアル酸ビーズ懸濁液」として、後の実験に使用した。
[実施例9]
(第1処理)
1μLの「検体3」に、49μLの「HAタンパク質-金コロイド液」を加え、穏やかに攪拌しながら、室温で10分間反応させた。
(第2処理)
上記の反応液(検体処理液)50μLに、15μLの「シアル酸ビーズ懸濁液」を加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。目視したところ、上清の色は濃い赤色であり、沈殿したビーズの色は元の白色に近い薄い赤色であった。
(第3処理)
上記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「シアル酸ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
実施例1と同様にして、ラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
検査後のテープの表面の様子を図16の写真((11)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
[実施例10]
検体の種類を「検体2」に変更した以外は、実施例9と同様に行った。
検査後のテープの表面の様子を図16の写真((12)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まらず、色の変化は視認されなかった。一方、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることは明確に視認された。
<検体の準備(3)>
新型コロナウイルスに対する中和抗体を含まないことが予め確認されているヒト血漿サンプル10μLに、「検体1」または「検体2」を2μL加えたサンプルをそれぞれ「検体4」、「検体5」として、後の実験に使用した。
<作用物質Bの標識(5)>
500μLの20nm金コロイド液に対して20μLの100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)を加え、その後、50μLの非標識S1タンパク質(500μg/mLとなるようにPBSで調製)を添加し、この混合液を室温で攪拌しながら30分間インキュベーションした。この反応により、非標識S1タンパク質が金コロイドに受動的に結合した反応液を得た。
続いて、ウシ血清アルブミン(BSA)にPBSを加え、BSA濃度0.1%w/vとなるように調製したBSA液を得た。
上記反応液に上記BSA液500μLを添加し、室温で攪拌しながら30分間インキュベーションした後、6,500g、4℃、30分間の条件で遠心し、20nm金コロイドで標識されたS1タンパク質を沈殿させた。上清を除去し、62.5μLの上記BSA液を加えた液を「S1タンパク質-金コロイド液(#2)」として、後の実験に使用した。
[実施例11]
(第1処理)
12μLの「検体4」に、12μLの「S1タンパク質-金コロイド液(#2)」と、2μmの「ストレプトアビジン-金コロイド液」と、13.6μLのPBS及び0.4μLの10%Tween20溶液(前記PBSに溶解されたもの)を添加し、穏やかに攪拌しながら室温で30分間反応させた。ここで「ストレプトアビジン-金コロイド液」はコントロールとして用いた。
以上で得た反応液(検体処理液)を「金コロイド-検体混合液」として、次の工程で使用した。
(第2処理)
上記の「金コロイド-検体混合液」40μLを15μLの「ACE2ビーズ懸濁液(#2)」に加え、穏やかに撹拌しながら、室温で30分間反応させた。
上記の反応液を10分程度静置し、自然にビーズを沈殿させた。目視したところ、上清の色は濃い赤色であり、沈殿したビーズの色は元の白色に近い薄い赤色であった。
(第3処理)
上記反応液から、沈殿したビーズを含まないように上清を分取し、新たなマイクロチューブに移し、これを「ACE2ビーズ処理液」(検体精製液)とした。
実施例1と同様にして、ラテラルフロー検査テープを使用してイムノクロマト法を実施し、検体精製液に中和抗体が含まれるか否かを調べた(図8参照)。
検査後のテープの表面の様子を図17の写真((13)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まっていることが明確に視認された。また、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることも明確に視認された。
[実施例12]
検体の種類を「検体5」に変更した以外は、実施例11と同様に行った。
第2処理後にビーズを目視したところ、上清の色はほとんど無色透明であり、沈殿したビーズの色は元の白色ではなく、濃い赤色であった。
検査後のラテラルフロー検査テープの表面の様子を図17の写真((14)と表示した方)に示す。抗マウス抗体を予め固定化してある領域X1が赤く染まらず、色の変化は視認されなかった。一方、ビオチンを予め固定化してある領域X2が赤く染まっていることは明確に視認された。
[ラテラルフロー検査テープの準備]
市販のラテラルフロー用ニトロセルロース膜をテープ状に成形してなる基材(以下、単にテープという。)の下流側の末端から約5mmの位置(領域X2を形成する位置)に、ビオチン標識ユビキチン液を1μL滴下して含浸させた。この位置よりも約5mm離れた上流側の位置(領域X1を形成する位置)に、市販の抗マウス抗体の溶液を1μL滴下して含浸させた。このテープを40℃のインキュベーター内に入れ、60分間乾燥した。
次に、室温に戻したテープをブロッキング液に浸し、5分間室温で振とうしてブロッキング処理(テープ表面に対するタンパク質等の非特異的吸着を防止する処理)を行った。続いて、テープを洗浄液に浸し、5分間室温で振とうした後、洗浄液を交換して再び5分間室温で振とうした。このようにして合計5回の洗浄操作を終えた後、テープを40℃のインキュベーター内に入れ、60分間乾燥して得たテープを、「ラテラルフロー検査テープ」として、実験に使用した。
なお、上記のブロッキング液は、5mMリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)にBSAを加え、BSA濃度1w/v%に調整したものである。上記の洗浄液は、BSAを含まない5mMリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)である。
[ビオチン標識ユビキチン液の準備]
市販のユビキチンに100mM炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、26.1mg/mLとなるように調製し、ユビキチン溶液を得た。
市販のNHS-ビオチンにジメチルスルホキシドを加え、50mMとなるように調製した、ビオチン溶液を得た。
上記ユビキチン溶液10μLに、上記ビオチン溶液1.8μLと100mM炭酸水素ナトリウム水溶液18.2μLを加えた反応液を得て、37℃、8時間反応させた。
市販のSpintrap G-25を用い、使用説明書に記載された常法に従ってゲルろ過クロマトグラフィーを行い、上記反応液から未反応のNHS-ビオチンを除去した。精製されたビオチン標識ユビキチン(ビオチンが結合したユビキチン)を含む溶液140μLを得て、これを「ビオチン標識ユビキチン液」として、実験に使用した。
≪使用材料≫
20nm金コロイド液は、製品名:Gold Nanoparticle Size Optimization Panel、製造会社:Cytodiagnostics、型番:G-SIZE-01を使用した。その金コロイドの平均粒子径は20nmである。
ストレプトアビジンは、製造会社:富士フイルム和光純薬、型番:192-17864を使用した。
ビオチン-S1タンパク質は、製品名:Biotinylated Recombinant SARS-CoV-2 Spike S1-His-Avi Protein、製造会社:Syd Labs、型番:BP003055を使用した。S1にビオチンが結合した複合体である。
プロテインAビーズは、製品名:Immunoprecipitation Starter Pack、製造会社:Cytiva、型番:17-6002-35を使用した。ビーズ本体はアガロース(商品名:セファロース)によって形成されたものであり、ビーズ本体の粒径の幅は45~165μmであり、平均粒子径は90μmである。
Fc-ACE2は、製品名:ACE-2 Fc Chimera, Human、製造会社:Genscript、型番:Z03484を使用した。FcとACE2の融合タンパク質である。
マウス由来中和抗体は、製品名:SARS-CoV-2 Neutralizing Antibody (5B7D7)、製造会社:Genscript、型番:A02057-100を使用した。
マウス由来非中和抗体は、製品名:Anti-6X His tag 抗体 [HIS.H8]、製造会社:Abcam、型番:ab18184を使用した。
抗マウス抗体は、製品名:Anti-mouse IgG抗体 [RM104]、製造会社:Abcam、型番:ab190475を使用した。
ユビキチンは、製品名:ユビキチン ウシ赤血球由来、製造会社:Merck、型番:U6253-5MGを使用した。
NHS-ビオチンは、製品名:(±)-ビオチン N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、製造会社:Merck、型番:H1759-5MGを使用した。
Spintrap G-25は、製品名:PD SpinTrap G-25、製造会社:Cytiva、型番:289181004を使用した。
ラテラルフロー用ニトロセルロース膜は、製品名:FF120HP Laminated 60 (25)mm、製造会社:Cytiva、型番:10547021を使用した。
15nmストレプトアビジン-金コロイド液は、製品名:Streptavidin, Gold Colloidal Particle 15nm、製造会社:Cytodiagnostics、型番:AC-15-04-05を使用した。金コロイドにストレプトアビジンが結合したものであり、その金コロイド部分の平均粒子径は15nmである。
60nmストレプトアビジン-金コロイド液は、製品名:Streptavidin, Gold Colloidal Particle 60nm、製造会社:Cytodiagnostics、型番:AC-60-04-05を使用した。金コロイドにストレプトアビジンが結合したものであり、その金コロイド部分の平均粒子径は60nmである。
0.5μm青着色ポリスチレンマイクロスフェアは、製品名Polybead(登録商標) Blue Dyed Microsphere Sampler Kit、製造会社:Polysciences, Inc.、型番:19821-1のうち、平均粒子径0.5μmのものを使用した。
非標識S1タンパク質は、製品名:SARS-CoV-2 Spike Protein (S1, His Tag)、製造会社:GenScript、型番:Z03485-100を使用した。
ビオチン-ACE2溶液は、製品名:Human ACE2/Angiotensin-Converting Enzyme 2 Protein (His Tag), Biotinylated、製造会社:SinoBiological、型番:10108-H08H-Bを使用した。ビオチンが結合したACE2タンパク質の溶液である。
ストレプトアビジンビーズ懸濁液は、製品名:Streptavidin Sepharose High Performance、製造会社:Cytiva、型番:17511301を使用した。ビーズの平均粒子径は34μmであり、セファロース製ビーズの表面にストレプトアビジンが担持されたものである。
アルキンビーズ懸濁液は、製品名:Alkyne Agarose、製造会社:Merck、型番:901982-2MLを使用した。粒子径の幅は50~150μmであり、アガロース製ビーズの表面に、末端アルキンを有する官能基が備えられたものである。
HAタンパク質は、製品名:Influenza A H10N8 (A/Jiangxi-Donghu/346/2013) Hemagglutinin/HA Protein (His Tag)、製造会社:SinoBiological、型番:40359-V08Bを使用した。
シアル酸アジド溶液は、製品名:Disialylnonasaccharide-β-ethylazide、製造会社;東京化成工業、型番:D4217を使用した。
HA中和抗体は、製品名:Influenza A H10 Hemagglutinin/HA Neutralizing Antibody、製造会社:SinoBiological、型番:40359-M001を使用した。
血漿サンプルは、製品名:1st International Reference Panel for anti-SARS-CoV-2 immunoglobulin、製造元:National Institute for Biological Standards and Control、型番:20/268のうち、20/142のみを使用した。

Claims (10)

  1. 被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する前段階において、
    前記検体に含まれ得る、妨害物質Dを前記検体から除去する精製方法であって、
    前記被検出物質Aは、作用物質Bに結合することにより、前記作用物質Bと被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害するものであり、
    前記妨害物質Dは、前記作用物質Bに結合するが、前記作用物質Bと前記被作用物質Cが所定の様式で結合することを阻害しないものであり、
    少なくとも下記の第1処理~第2処理をこの順で行う、精製方法。
    (第1処理)
    前記検体と、標識物質が結合した前記作用物質Bと、を含む検体処理液を得る。
    (第2処理)
    前記被作用物質Cを担持した粒子状不溶性担体を有する吸着体を、前記検体処理液に接触させた後、前記吸着体を前記検体処理液から分離し、検体精製液を得る。
  2. 前記粒子状不溶性担体の平均粒子径が40μm以上である、請求項1に記載の精製方法。
  3. 前記被検出物質Aが中和抗体であり、前記作用物質Bが病原体に由来するタンパク質であり、前記被作用物質Cは前記病原体が感染する細胞に由来するタンパク質であり、前記妨害物質Dが非中和抗体である、請求項1又は2に記載の精製方法。
  4. 前記被検出物質Aが中和抗体であり、前記作用物質Bは、コロナウイルスが有するスパイクタンパク質の一部又は全部であり、前記被作用物質Cは、ヒト又は動物の細胞が有する受容体タンパク質の一部又は全部であり、前記妨害物質Dが非中和抗体である、請求項1~3の何れか一項に記載の精製方法。
  5. 被検出物質Aが検体に含まれるか否かを検査する方法であって、
    請求項1~4の何れか一項に記載の精製方法によって、前記検体処理液に接触した前記吸着体を分離し、前記検体精製液を得て、
    前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する、検査方法。
  6. 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、
    前記標識物質に由来する色について、
    前記検体処理液が呈する前記色の濃さと、前記検体精製液が呈する前記色の濃さとを計測し、両者を比較する比色法である、請求項5に記載の検査方法。
  7. 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、
    前記標識物質に由来する色について、
    前記検体精製液が呈する前記色の濃さが、所定値よりも濃い場合、
    前記検体に前記被検出物質Aが含まれると判定し、
    前記検体精製液が呈する前記色の濃さが、所定値よりも薄い場合、
    前記検体に前記被検出物質Aが含まれないと判定する、請求項5に記載の検査方法。
  8. 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、
    前記被検出物質Aに結合する抗体を用いる方法であって、
    前記抗体が固定された基材を有する検査体を用い、
    前記基材の前記抗体が固定された部位に、前記検体精製液を接触させた後、
    前記基材の前記抗体が固定された部位に、前記標識物質が検出された場合、
    前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれると判定し、
    前記基材の前記抗体が固定された部位に、前記標識物質が検出されなかった場合、
    前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれないと判定する、請求項5に記載の検査方法。
  9. 前記検体精製液に前記被検出物質Aが含まれるか否かを検査する方法が、イムノクロマト法である、請求項8に記載の検査方法。
  10. 請求項1に記載の精製方法の前記第2処理において使用される、
    前記被作用物質Cを担持した粒子状不溶性担体を有する吸着体。
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