以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳しく説明する。なお、本開示に係る誘導加熱装置の実施形態は、電子たばこ用の誘導加熱装置及び加熱式たばこ用の誘導加熱装置を含むが、これらに限定されない。
図1は、本開示の一実施形態に係る誘導加熱装置100の構成の概略的なブロック図である。図1は、構成要素の厳密な配置、形状、寸法、位置関係等を示すものではないことに留意されたい。
誘導加熱装置100は、ハウジング101、電源102、回路104及びコイル106を備える。電源102は、リチウムイオン二次電池などの充電可能な電池であってもよい。回路104は電源102に電気的に接続される。回路104は、電源102を用いて、誘導加熱装置100の構成要素に電力を供給するように構成される。回路104の具体的な構成については後述する。誘導加熱装置100は、電源102の充電のために誘導加熱装置100を充電電源(図示せず)に接続するための充電電源接続部116を備える。充電電源接続部116は、有線充電のためのレセプタクルであってもよいし、無線充電のための受電コイルであってもよいし、これらの組合せであってもよい。
誘導加熱装置100は、サセプタ110、エアロゾル源112及びフィルター114を含むエアロゾル形成基体108の少なくとも一部を収容できるように構成されている。エアロゾル形成基体108は、例えば、喫煙物品であってもよい。
エアロゾル源112は、加熱されることによりエアロゾルを生成できる揮発性化合物を含み得る。エアロゾル源112は固体であってもよいし、液体であってもよいし、固体及び液体の両方を含んでもよい。エアロゾル源112は、例えば、グリセリンやプロピレングリコールなどの多価アルコール、水などの液体、又はこれらの混合液体を含んでもよい。エアロゾル源112は、ニコチンを含んでもよい。エアロゾル源112はまた、粒子状のたばこを凝集することによって形成されたたばこ材料を含んでもよい。あるいは、エアロゾル源112は、非たばこ含有材料を含んでもよい。
コイル106は、ハウジング101の近位端において、ハウジング101内に埋め込まれている。コイル106は、エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されたとき、誘導加熱装置100に収容されたエアロゾル形成基体108の部分を取り囲むように構成される。コイル106は、らせん状に巻かれた形状を有していてもよい。コイル106は、回路104と電気的に接続されており、後述するように誘導加熱によりサセプタ110を加熱するために用いられる。サセプタ110を加熱することにより、エアロゾル源112からエアロゾルが発生する。ユーザはフィルター114を介して当該エアロゾルを吸引することができる。
図2は、回路104の構成を詳細に示す。回路104は、誘導加熱装置100内の構成要素を制御するように構成された制御部118を備える。制御部118は、マイクロコントローラユニット(MCU、Micro Controller Unit)によって構成されてもよい。回路104はまた、電源接続部を介して電源102と電気的に接続され、コイル接続部を介してコイル106と電気的に接続される。回路104は、電源102とコイル106との間に配置されたスイッチQ1を含む経路(以下、「第1回路」とも呼ぶ)と、スイッチQ1と並列に配置されたスイッチQ2を含む経路(以下、「第2回路とも呼ぶ」)とを含む、並列回路130を備える。
第1回路はサセプタ110の加熱に用いられる。一例として、スイッチQ1は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、MOSFET)であってもよい。制御部118は、スイッチQ1のゲート端子に加熱スイッチ信号(ハイ又はロー)を印加することにより、スイッチQ1のオン/オフを制御する。例えば、スイッチQ1がPチャネル型MOSFETである場合、加熱スイッチ信号がローであるとき、スイッチQ1はオン状態となる。
第2回路は、サセプタ110の電気抵抗又は温度に関連する値の取得に用いられる。電気抵抗又は温度に関連する値は、例えば、インピーダンス、温度等であってもよい。スイッチQ2がオン状態であるときにスイッチQ2を流れる電流は、後述する抵抗Rshunt1及び抵抗Rshunt2などにより、スイッチQ1がオン状態であるときにスイッチQ1を流れる電流と比較して小さい。したがって、MOSFETよりも低コスト且つ小型ではあるものの大電流には不向きであるバイポーラトランジスタをスイッチQ2として用いてもよい。図示されるように、第2回路は、抵抗Rshunt1及び抵抗Rshunt2を含んでもよい。制御部118は、スイッチQ2のベース端子にモニタスイッチ信号(ハイ又はロー)を印加することにより、スイッチQ2のオン/オフを制御する。例えば、スイッチQ2がnpn型バイポーラトランジスタである場合、モニタスイッチ信号がローであるとき、スイッチQ2はオン状態となる。
制御部118は、スイッチQ1のオン状態とスイッチQ2のオン状態とを切り替えることにより、サセプタ110を誘導加熱してエアロゾルを生成するモードと、サセプタ110の電気抵抗又は温度に関連する値を取得するモードとの間で切り替えを行うことができる。スイッチQ1のオン状態とスイッチQ2がオン状態との間の切り替えは、任意のタイミングで行うことができる。例えば、ユーザによるパフが行われている間、制御部118は、スイッチQ1をオン状態、スイッチQ2をオフ状態にしてもよい。この場合、パフが終了した後に、制御部118は、スイッチQ1をオフ状態にし、スイッチQ2をオン状態にしてもよい。あるいは、ユーザによるパフが行われている間、制御部118は、スイッチQ1のオン状態とスイッチQ2のオン状態とを任意のタイミングで切り替えてもよい。
回路104は、スイッチQ3及びコンデンサC1を含む交流生成回路132を備える。一例として、スイッチQ3は、MOSFETであってもよい。制御部118は、スイッチQ3のゲート端子に交流(AC)スイッチ信号(ハイ又はロー)を印加することにより、スイッチQ3のオン/オフを制御する。例えば、スイッチQ3がPチャネル型MOSFETである場合、ACスイッチ信号がローであるとき、スイッチQ3はオン状態となる。図2において、交流生成回路132は、並列回路130とコイル106との間に配置されている。別の例として、交流生成回路132は、並列回路130と電源102との間に配置されてもよい。交流生成回路132により生成された交流は、コンデンサC2とコイル接続部とコイル106を含む誘導加熱回路へ供給される。
図3は、コイル106に供給される交流電流が交流生成回路132により生成されるときの、スイッチQ1のゲート端子又はスイッチQ2のベース端子に印加される電圧V1、スイッチQ3のゲート端子に印加される電圧V2、スイッチQ3のスイッチングにより生成される電流IDC及びコイル106へ流れる電流IACの関係を、横軸を時間tとして概念的に表した図である。説明を簡単にするために、スイッチQ1のゲート端子に印加される電圧及びスイッチQ2のベース端子に印加される電圧がV1として1つのグラフに表されていることに留意されたい。
時刻t1においてV1がローになると、スイッチQ1又はQ2はオン状態になる。V2がハイである場合、スイッチQ3はオフ状態となり、電流IDCはコンデンサC1へ流れ、コンデンサC1に電荷が蓄積される。時刻t2においてV2がローに切り替えられると、スイッチQ3はオン状態となる。この場合、電流IDCの流れが停止する一方、C1に蓄積された電荷が放電される。時刻t3以降、同様の動作が繰り返される。上記の動作の結果として、図3に示すように、交流電流IACが生成され、コイル106へと流れる。
図3に示すように、スイッチQ3が所定の周期Tで切り替えられているとき、スイッチQ1はオン状態のままであってもよい。また、スイッチQ3が所定の周期Tで切り替えられているとき、スイッチQ2はオン状態のままであってもよい。また、スイッチQ1とスイッチQ2との間で切り替えが行われるとき、スイッチQ3の所定の周期Tによる切り替えが継続されてもよい。
交流生成回路132の上述の構成は一例にすぎない。交流電流IACを生成するための様々な素子、DC/ACインバータのような集積回路等を交流生成回路132として用いることができることを理解されたい。
図3から理解されるように、交流電流IACの周波数fは、スイッチQ3のスイッチング周期(すなわち、ACスイッチ信号のスイッチング周期)Tにより制御される。スイッチQ1がオン状態にある場合、当該周波数fが、サセプタ110(又は、サセプタ110を含む回路)と、コイル106と、コンデンサC2とを含むRLC直列回路の共振周波数f0に近づくほど、サセプタ110へのエネルギー供給の効率が高くなる。詳細は後述するが、ハウジング101にエアロゾル形成基体108が挿入されている場合にはこのRLC直列回路にはサセプタ110が含まれ、ハウジング101にエアロゾル形成基体108が挿入されていない場合にはこのRLC直列回路にはサセプタ110が含まれない点に留意されたい。
上述のようにして生成された交流電流がコイル106を流れることにより、コイル106の周囲に交番磁界が発生する。発生した交番磁界はサセプタ110内に渦電流を誘起する。当該渦電流とサセプタ110の電気抵抗とによりジュール熱が発生し、サセプタ110が加熱される。結果として、サセプタ110の周囲のエアロゾル源が加熱されてエアロゾルが生成される。
図2に戻り、回路104は、Rdiv1及びRdiv2を有する分圧回路を含む電圧検知回路134を備える。電圧検知回路134により電源102の電圧値を測定することができる。回路104はまた、Rsense2を含む電流検知回路136を備える。図示されるように、電流検知回路136はオペアンプを含んでもよい。あるいは、当該オペアンプは制御部118内に含まれてもよい。電流検知回路136により、コイル106の方向へ流れる電流の値を測定することができる。電圧検知回路134及び電流検知回路136は、回路のインピーダンスを測定するために用いられる。この回路には、ハウジング101にエアロゾル形成基体108が挿入されている場合にはサセプタ110が含まれ、ハウジング101にエアロゾル形成基体108が挿入されていない場合にはサセプタ110が含まれない。換言すれば、ハウジング101にエアロゾル形成基体108が挿入されている場合には測定されるインピーダンスにはサセプタ110の抵抗成分が含まれ、ハウジング101にエアロゾル形成基体108が挿入されていない場合には測定されるインピーダンスにはサセプタ110の抵抗成分が含まれない。例えば、図示されるように、制御部118は、電圧検知回路134から電圧値を取得し、電流検知回路136から電流値を取得する。制御部118は、これらの電圧値及び電流値に基づいて、上記インピーダンスを算出する。より具体的には、制御部118は、電圧値の平均値又は実効値を電流値の平均値又は実効値で除算し、上記インピーダンスを算出する。
スイッチQ1がオフ状態になり、スイッチQ2がオン状態になると、抵抗Rshunt1及び抵抗Rshunt2を含む回路並びにサセプタ110と、コイル106と、コンデンサC2とによってRLC直列回路が形成される。当該RLC直列回路のインピーダンスは上述のようにして得ることができる。得られたインピーダンスから抵抗Rshunt1及び抵抗Rshunt2の抵抗値を含む回路の抵抗値を差し引くことにより、サセプタ110のインピーダンスを算出することができる。サセプタ110のインピーダンスが温度依存性を有する場合、算出されたインピーダンスに基づいてサセプタ110の温度を推定することができる。
回路104は、残量測定集積回路(IC)124を備えてもよい。回路104は、残量測定IC124が電源102に充放電される電流の値を測定するために用いられる抵抗Rsense1を備えてもよい。抵抗Rsense1は、残量測定IC124のSRN端子とSRP端子との間に接続されてもよい。残量測定IC124は、BAT端子を介して、電源102の電圧に関する値を取得してもよい。残量測定IC124は、電源102の残量を測定することができるように構成されるICである。加えて、残量測定IC124は、電源102の劣化状態に関する情報等を記録するように構成されてもよい。例えば、制御部118は、制御部118のSDA端子から残量測定IC124のSDA端子へとI2Cデータ信号を送信することにより、制御部118のSCL端子から残量測定IC124のSCL端子へI2Cクロック信号を送信するタイミングに合わせて、残量測定IC124内に格納されている、電源102の残量に関する値、電源102の劣化状態に関する値等を取得することができる。
通常、残量測定IC124は、1秒周期でデータを更新するように構成される。したがって、残量測定IC124によって測定される電圧値及び電流値を用いて上記RLC直列回路のインピーダンスを計算しようとすると、当該インピーダンスが最速でも1秒周期で算出される。したがって、サセプタ110の温度が最速でも1秒周期で推定されることになる。そのような周期は、サセプタ110の加熱を適切に制御するのに十分に短いとは言えない。したがって、本実施形態では、残量測定IC124により測定される電圧値及び電流値をRLC直列回路のインピーダンスの測定に用いないことが望ましい。すなわち、好ましくは、残量測定IC124は、上述のような電圧検知回路134及び電流検知回路136として用いられない。よって、本実施形態に係る誘導加熱装置100において、残量測定IC124は必須ではない。ただし、残量測定IC124を用いることで、電源102の状態を正確に把握することができる。
誘導加熱装置100は、LED等の発光素子138を備えてもよい。回路104は、発光素子138を駆動するための発光素子駆動回路126を備えてもよい。発光素子138は、誘導加熱装置100の状態等の様々な情報をユーザに提供するために用いられ得る。発光素子駆動回路126は、発光素子138の様々な発光モードに関する情報を格納していてもよい。制御部118は、制御部118のSDA端子からI2Cデータ信号を発光素子駆動回路126のSDA端子に送信して所望の発光モードを指定することによって、発光素子138を所望の態様で発光させるように発光素子駆動回路126を制御することができる。
回路104は、充電回路122を備えてもよい。充電回路122は、CE端子において受信された制御部118からの充電イネーブル信号に応答して、充電電源接続部116を介して接続された充電電源(図示せず)から供給される電圧(VBUS端子とGND端子との間の電位差)を、電源102の充電に適した電圧へと調整するように構成されたICであってもよい。調整された電圧は、充電回路122のBAT端子から供給される。なお、充電回路122のBAT端子からは、調整された電流が供給されてもよい。回路104はまた、分圧回路140を備えてもよい。充電電源が接続されると、VBUS検知信号が充電回路122のVBUS端子から分圧回路140を介して制御部118へ送信される。充電電源が接続されると、VBUS検知信号は充電電源から供給される電圧を分圧回路140で分圧した値となるため、VBUS検知信号はハイレベルになる。充電電源が接続されていないと、分圧回路140を介してグランドへ接続されるため、VBUS検知信号はローレベルになる。したがって、制御部118は、充電が開始したと判断することができる。なお、CE端子は正論理であってもよいし、負論理であってもよい。
回路104は、ボタン128を備えてもよい。ユーザがボタン128を押すと、ボタン128を介してグランドと接続されることで、ローレベルのボタン検知信号が制御部118に送信される。これにより、制御部118は、ボタンが押されたと判断することができ、エアロゾル生成を開始するように回路104を制御することができる。
回路104は、電圧調整回路120を備えてもよい。電圧調整回路120は、電源102の電圧VBAT(例えば、3.2~4.2ボルト)を調整して、回路104内又は誘導加熱装置100内の構成要素に供給される電圧Vsys(例えば、3ボルト)を生成するように構成される。一例として、電圧調整回路120は、LDO(low dropout regulator)等のリニアレギュレータであってもよい。図示されるように、電圧調整回路120により生成された電圧Vsysは、制御部118のVDD端子、残量測定IC124のVDD端子、発光素子駆動回路126のVDD端子、ボタン128を含む回路等に供給されてもよい。
図示されるように、電流検知回路136は、電源102とコイル106との間の経路において、当該経路から電圧調整回路120への分岐点(図2の点A)よりもコイル106に近い位置に配置されてもよい。この構成によれば、電流検知回路136は、電圧調整回路120に供給される電流を含まない、コイル106へ供給される電流の値を正確に測定することができる。したがって、サセプタ110のインピーダンスや温度を正確に測定又は推定することができる。
回路104は、電流検知回路136が、充電回路122と電源102との間の経路に配置されないように構成されてもよい。具体的には、図示されるように、電流検知回路136は、電源102とコイル106との間の経路において、当該経路から充電回路122への分岐点(図2の点B)よりもコイル106に近い位置に配置されてもよい。この構成により、電源102の充電中(スイッチQ1及びQ2はオフ状態)、充電回路122から供給される電流が電流検知回路136内の抵抗Rsense2を流れることを防ぐことができる。したがって、抵抗Rsense2が故障する可能性を低減することができる。また、電源102の充電中に電流検知回路136のオペアンプに電流が流れることを防止できるので、消費電力を抑えることができる。
回路104はまた、制御部118から送信される接地スイッチ信号によってオン状態とオフ状態との間で切り替えられるスイッチQ4を備えてもよい。
次に、誘導加熱装置100の制御部118が実行する例示の処理につい説明する。なお、以下、制御部118は複数のモード、即ち、SLEEP、CHARGE、ACTIVE、PRE-HEAT、INTERVAL、HEAT及びERRORの7つのモードを少なくとも有するものと仮定しており、モード別に制御部118が実行する処理を説明している。なお、PRE-HEATモードとINTERVALモードとHEATモードとにより、誘導加熱装置100によるサセプタ100の誘導加熱は構成される。
図4は、SLEEPモードであるときに制御部118が実行する例示処理400のフローチャートである。SLEEPモードは、誘導加熱装置100の未使用時において消費電力を低減させるモードであってよい。
S410は、充電電源の充電電源接続部116への接続を検知したかを判定するステップを示している。制御部118は、上述したVBUS検知信号に基づき、充電電源の接続を検知したと判定することができる。充電電源の接続を検知したと判定した場合(S410の「Yes」)、制御部118はCHARGEモードに移行し、そうでない場合(S410の「No」)、処理はステップS420に進む。具体的一例として、S410においては、VBUS検知信号がハイレベルの場合には「Yes」と判断され、VBUS検知信号がローレベルの場合には「No」と判断される。
S420は、誘導加熱装置100のボタン128に対する所定の操作を検知したかを判定するステップを示している。制御部118は、上述したボタン検知信号に基づき、ボタン128に対する所定の操作を検知したと判定することができる。なお、ステップS420における所定の操作の一例は、ボタン128の長押し又は連打である。ボタン128に対する所定の操作を検知したと判定した場合(S420の「Yes」)、制御部118はACTIVEモードに移行し、そうでない場合(S420の「No」)、処理はステップS410に戻る。
例示処理400によれば、制御部118は、充電電源の接続を検知することに応答して、CHARGEモードに移行し、ボタンの操作を検知することに応答して、ACTIVEモードに移行することになる。換言すれば、制御部118は、充電電源の接続とボタンの操作のいずれも検知しない場合は、SLEEPモードに留まり続ける。
図5は、CHARGEモードであるときに制御部118が実行する例示処理500のフローチャートである。例示処理500は、制御部118がCHAEGEモードに移行することに応答して開始することができる。
S510は、電源102の充電を開始するための処理を実行するステップを示している。電源102の充電を開始するための処理は、上述した充電イネーブル信号をオンにする又は該信号の送信を開始する処理を含んでいてよい。充電イネーブル信号をオンにするとは、充電イネーブル信号のレベルをCE端子の論理に応じたものにすることを指す。つまり、CE端子が正論理の場合には充電イネーブル信号をハイレベルにし、CE端子が負論理の場合には充電イネーブル信号をローレベルにすることを指す。
S520は、充電電源の充電電源接続部116からの取り外しを検知したかを判定するステップを示している。制御部118は、上述したVBUS検知信号に基づき、充電電源の充電電源接続部116からの取り外しを検知することができる。充電電源の取り外しを検知したと判定した場合(S520の「Yes」)、処理はステップS530に進み、そうでない場合(S520の「No」)、処理はステップS520に戻る。
S530は、電源102の充電を終了するための処理を実行するステップを示している。電源102の充電を終了するための処理は、上述した充電イネーブル信号をオフにする又は該信号の送信を停止する処理を含んでいてよい。充電イネーブル信号をオフにするとは、充電イネーブル信号のレベルをCE端子の論理に応じないものにすることを指す。つまり、CE端子が正論理の場合には充電イネーブル信号をローレベルにし、CE端子が負論理の場合には充電イネーブル信号をハイレベルにすることを指す。
S540は、電源102の充電レベル(電源102に残っている電力量)に基づき、エアロゾル形成基体108の使用可能本数(エアロゾル形成基体108としてスティック状のものを想定しているが、エアロゾル形成基体108の形状はこれに限定されるわけではない。従って、『使用可能本数』は、『使用可能個数』へと一般化できることに留意されたい。)を設定するステップを示している。以下、図6を参照して、使用可能本数について説明する。図6は、使用可能本数について説明するための疑似グラフである。
610は、未だ使用されていないとき(以下、「未使用時」という。)の電源102に対応し、その面積が未使用時の満充電容量を示している。なお、電源102が未だ使用されていないとは、電源102が製造されてからの放電回数がゼロである又は第1の所定の放電回数以下であるということであってよい。未使用時の電源102の満充電容量の例は、約220mAhである。620は、誘導加熱装置100において使用されて、正確には、放電・充電が繰り返されて、ある程度劣化が進んだとき(以下、「劣化時」という。)の電源102に対応し、その面積が劣化時の満充電容量を示している。図6から明らかなように、未使用時の電源102の満充電容量は、劣化時の電源102の満充電容量よりも大きい。
630は、1つのエアロゾル形成基体108を消費するために必要な電力量(エネルギー)に対応し、その面積が対応する電力量を示している。図6における4つの630は全て同じ面積であり、対応する電力量も略同じである。なお、1つのエアロゾル形成基体108を消費するために必要な電力量630の例は、約70mAhである。なお、所定の吸引回数の吸引又は所定時間に亘る加熱が行われたときに、1つのエアロゾル形成基体108が消費されたとみなしてもよい。
640及び650は、2つのエアロゾル形成基体108を消費した後の電源102の充電レベル(以下、「余剰電力量」という。)に対応し、その面積が対応する電力量を示している。図6から明らかなように、未使用時の余剰電力量640は、劣化時の余剰電力量650より大きい。
660は、電源102の満充電時の出力電圧を示しており、その例は約3.64Vである。未使用時の電源102(610)と劣化時の電源102(620)とで660が同一であるように、電源102の満充電時の電圧は、基本的には、電源102の劣化によらず即ちSOH(State Of Health)によらず一定である。
670は、電源102の放電終止電圧を示しており、その例は約2.40Vである。未使用時の電源102(610)と劣化時の電源102(620)とで670が同一であるように、電源102の放電終止電圧は、基本的には、電源102の劣化によらず即ちSOHによらず一定である。
電源102は、電圧が放電終止電圧670に達するまで、換言すれば電源102の充電レベルがゼロとなるまで使用されないことが好ましい。これは、電源102の電圧が放電終止電圧670以下となった場合又は電源102の充電レベルがゼロとなった場合、電源102の劣化が急激に進むためである。また、電源102の電圧が放電終止電圧670に近づくほど、電源102の劣化は進む。
また、上述したように、電源102は、使用されると、正確には放電・充電が繰り返されると、その満充電容量が減少し、所定の数(図6においては2)のエアロゾル形成基体108を消費した後の余剰電力量は、未使用時(640)よりも劣化時(650)の方が小さくなる。
従って、制御部118は、電源102の劣化を見込んだうえで、電圧が放電終止電圧670又はその近傍に達するまで、換言すれば電源102の充電レベルがゼロ又はその近傍となるまで使用されないよう、使用可能本数を設定することが好ましい。即ち、使用可能本数は、例えば以下のように設定することができる。
n=int((e-S)/C)
ここで、nは使用可能本数であり、eは電源102の充電レベル(単位は例えばmAh)であり、Sは電源102の劣化時の余剰電力量650に余裕を持たせるためのパラメータ(単位は例えばmAh)であり、Cは1つのエアロゾル形成基体108を消費するのに必要な電力量(単位は例えばmAh)であり、int()は()内の小数点以下を切り捨てる関数である。なお、eは変数であり、制御部118が残量測定IC124と通信することにより取得することができる。また、S及びCは定数であり、実験的に事前に求め、制御部118のメモリ(図示せず)に予め記憶しておくことができる。特に、Sは、実験的に第2の所定の放電回数(>>第1の所定の放電回数)電源102を放電させたとき即ち想定される劣化が生じたときに取得された余剰電力量650又は当該余剰電力量に+αをした値であってよい。なお、制御部118は残量測定IC124と通信することにより取得されたSOHが所定の値に達している場合、電源102の劣化が十分に進行していると判断し、電源102の充放電を禁止してもよい。つまり、Sを算出する際の劣化時とは、SOHが所定の値には達していないものの、未使用時よりは劣化が進行した状態を指す。
図5に戻ると、ステップS540の後、制御部118はACTIVEモードに移行する。なお、上述した実施形態においては、ステップS520おいて、制御部118が充電電源の充電電源接続部116からの取り外しを検知したか否かを判断した。これに代えて、充電回路122が電源102の充電の完了を判断し、当該判断をI2C通信などにより制御部118が受信したか否かを判断してもよい。
図7は、ACTIVEモードであるときに制御部118が主として実行する例示処理(以下、「メイン処理」という。)700のフローチャートである。メイン処理700は、制御部118がACTIVEモードに移行することに応答して開始することができる。
S705は、第1タイマを起動するステップを示している。第1タイマを起動することにより、第1タイマの値は初期値から時間の経過により増加又は減少するようになる。なお、以下、第1タイマの値は時間の経過により増加するものと仮定している。また、第1タイマは、制御部118が他のモードに移行する際、停止されてよい。これらについては、後述する第2タイマ及び第3タイマについても同様である。
S710は、電源102の充電レベルをユーザに通知するステップを示している。充電レベルの通知は、残量測定IC124との通信により取得した電源102の情報に基づき、制御部118が発光素子駆動回路126と通信し、発光素子138を所定の態様で発光させることにより実現することができる。これについては、後述する他の通知についても同様である。充電レベルの通知は、一時的に行われることが好ましい。
S715は、メイン処理700と並列に実行されるように、別の処理(以下、『サブ処理』という。)を起動するステップを示している。このステップにおいて起動されるサブ処理については後述する。なお、サブ処理の実行は、制御部118が他のモードに移行する際、停止されてよい。これについては、後述する他のサブ処理についても同様である。
S720は、第1タイマの値に基づき、所定時間が経過したかを判定するステップを示している。所定時間が経過したと判定した場合(S720の「Yes」)、制御部118はSLEEPモードに移行し、そうでない場合(S720の「No」)、処理はステップS725に進む。
S725は、上述したRLC直列回路、即ちエアロゾル形成基体108の少なくとも一部であるサセプタ110を誘導加熱するための回路に非加熱用交流電力を供給するように制御し、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを示している。非加熱用交流電力は、スイッチQ1をオフ状態にし、スイッチQ2をオン状態にしたうえで、スイッチQ3をスイッチングすることにより生成されてよい。非加熱用交流電力の供給によりRLC直列回路に与えられるエネルギーの平均値又は実効値は、後述する加熱用交流電力の供給によりRLC直列回路に与えられるエネルギーの平均値又は実効値より小さい。なお、非加熱用交流電力は、RLC直列回路の共振周波数f0を有していることが好ましい。
なお、非加熱用交流電力の供給はRLC直列回路のインピーダンスを測定するためだけのものである。そのため、RLC直列回路のインピーダンスを測定するためのデータ(例えば、後述する電圧検知回路134及び電流検知回路136によりそれぞれ測定した電圧の実効値VRMS及び電流の実効値IRMS)が取得された後、この非加熱用交流電力の供給は速やかに停止されてよい。一方で、所定の時点まで、例えば制御部118が他のモードに移行するまでこの非加熱用交流電力の供給は継続されてもよい。非加熱用交流電力の供給の停止は、スイッチQ2をオフ状態にすること、及び、スイッチQ3のスイッチングを停止してオフ状態にすることのうちの一方又は双方により実現することができる。なお、ステップS725の時点では、スイッチQ1はそもそもオフ状態であってよいことに留意されたい。
S730は、測定したインピーダンスが異常かを判定するステップを示している。制御部118は、ステップ725において測定されたインピーダンスが、誘導加熱装置100に正規のエアロゾル生成基体108が適正に挿入されている場合に測定されるインピーダンスに基づき定められる測定誤差を含めたインピーダンスの範囲に含まれないときに、測定したインピーダンスが異常であると判定することができる。インピーダンスが異常と判定した場合(S730の「Yes」)、処理はステップS735に進み、そうでない場合(S730の「No」)、処理はステップS745に進む。
S735は、所定のフェールセーフアクションを実行するステップを示している。所定のフェールセーフアクションは、スイッチQ1、Q2及びQ3を全てオフ状態にすることを含んでいてよい。
S740は、ユーザに所定のエラー通知を行うステップを示している。ステップS740の後、制御部118は、所定のエラー処理を行うためのERRORモードに移行する。なお、ERRORモードの具体的な処理については省略する。
S745は、ステップS725において測定したインピーダンスに基づき、サセプタ110を検出したかを判定するステップを示している。なお、サセプタ110の検出は、サセプタ110を含むエアロゾル形成基体108の検出とみなすことができる。インピーダンスに基づくサセプタ110の検出については、後述する。
S750は、使用可能本数が1以上であるかを判定するステップを示している。使用可能本数が1以上である場合(S750の「Yes」)、制御部118はPRE-HEATモードに移行し、そうでない場合(S750の「No」)、処理はステップS755に進む。
S755は、ユーザに電源102の電力量の残りが少ないことを示す所定の低残量通知を行うステップを示している。ステップS755の後、制御部118はSLEEPモードに移行する。
後述するが、ステップS750から移行し得るPRE-HEATの処理によれば、エアロゾル形成基体108の誘導加熱がなされる。従って、メイン処理700によれば、エアロゾル形成基体108をハウジング101に挿入した後のエアロゾル形成基体108の自動的な誘導加熱が実現されることになる。
図8は、ACTIVEモードのメイン処理700におけるステップS715において起動される、例示の第1のサブ処理800のフローチャートである。
S810は、ボタン128に対する所定の操作を検知したかを判定するステップを示している。なお、ステップS810における所定の操作の一例は、ボタン128の短押しである。ボタン128に対する所定の操作を検知したと判定した場合(S810の「Yes」)、処理はステップS820に進み、そうでない場合(S810の「No」)、処理はステップS810に戻る。
S820は、第1タイマをリセットしてその値を初期値に戻すステップを示している。本実施形態に代えて、第1タイマの値を初期値に近づけてもよいし、ステップS720における所定時間を第1タイマの値から遠ざけてもよい。
S830は、電源102の充電レベルをユーザに通知するステップを示している。ステップS830の後、処理はステップS810に戻る。
メイン処理700によれば、制御部118は、ACTIVEモードに移行してから所定時間が経過したときにSLEEPモードに移行する場合があるところ、サブ処理800によれば、ボタン128に対する所定の操作により、電源102の充電レベルをユーザに再度通知し、SLEEPモードへの移行を延期することができるようになる。
図9は、ACTIVEモードのメイン処理700におけるステップS715において起動される、例示の第2のサブ処理900のフローチャートである。
S910は、充電電源の充電電源接続部116への接続を検知したかを判定するステップを示している。充電電源の接続を検知したと判定した場合(S910の「Yes」)、制御部118はCHARGEモードに移行し、そうでない場合(S910の「No」)、処理はステップS910に戻る。制御部118は、ステップS410と同様に、上述したVBUS検知信号に基づき、充電電源の接続を検知したと判定することができる。なお、CHARGEモードへ移行する場合には、制御部118はスイッチQ1、Q2及びQ3を全てオフ状態にすることが好ましい。
第2のサブ処理900によれば、充電電源の接続に応答して制御部118は自動的にCHARGEのモードに移行することになる。
図10は、PRE-HEATモードであるときに制御部118が主として実行する例示処理(メイン処理)1000のフローチャートである。メイン処理1000は、制御部118がPRE-HEATモードに移行することに応答して開始することができる。
S1010は、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を開始するように制御するステップを示している。加熱用交流電力は、スイッチQ1をオン状態にし、スイッチQ2をオフ状態にしたうえで、スイッチQ3をスイッチングすることにより生成されるものである。加熱用交流電力の供給によりRLC直列回路に与えられるエネルギーの平均値又は実効値は、上述した非加熱用交流電力の供給によりRLC直列回路に与えられるエネルギーの平均値又は実効値より大きい。
S1020は、メイン処理1000と並列に実行されるように、別の処理(サブ処理)を起動するステップを示している。このステップにおいて起動されるサブ処理については後述する。
S1030は、サセプタ110の検出に応じた処理を実行するステップを示している。このステップについては後述する。当該ステップは、少なくとも、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを含む。
S1040は、ステップS1030において測定したインピーダンスから、サセプタ110又はエアロゾル形成基体108の少なくとも一部の温度(以下、便宜上「サセプタ温度」という。)を取得するステップを示している。インピーダンスに基づくサセプタ温度の取得については後述する。なお、後述するステップS1050において、予熱目標温度に代えて予熱目標温度に対応する予熱目標インピーダンスを用いることで、ステップS1040を省略してもよい。この場合において、ステップS1050ではインピーダンスと予熱目標インピーダンスが比較される。
S1050は、取得したサセプタ温度が所定の予熱目標温度に到達したかを判定するステップを示している。サセプタ温度が予熱目標温度に到達したと判定した場合(S1050の「Yes」)、処理はステップS1060に進み、そうでない場合(S1050の「No」)、処理はステップS1030に戻る。なお、PRE-HEATモードが開始されてから所定時間経過した場合にも、予熱が完了したとしてステップS1050において「Yes」と判断してもよい。
S1060は、ユーザにエアロゾル形成基体108の予熱が完了したことの通知を行うステップを示している。この通知はLED138により行われてもよいし、不図示のバイブレーションモータやディスプレイなどで行われてもよい。ステップS1060の後、制御部118はINTERVALモードに移行する。
メイン処理1000によれば、エアロゾル形成基体108の予熱を実現することができる。
図11は、INTERVALモードであるときに制御部118が主として実行する例示処理(メイン処理)1100のフローチャートである。メイン処理1100は、制御部118がINTERVALモードに移行することに応答して開始することができる。
S1110は、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を停止するように制御するステップを示している。加熱用交流電力の供給の停止は、スイッチQ1をオフ状態にすること、及び、スイッチQ3のスイッチングを停止してオフ状態にすることのうちの一方又は双方により実現することができる。なお、ステップS1110の時点では、スイッチQ2はそもそもオフ状態であってよいことに留意されたい。
S1120は、メイン処理1100と並列に実行されるように、別の処理(サブ処理)を起動するステップを示している。このステップにおいて起動されるサブ処理については後述する。
S1130は、RLC直列回路に非加熱用交流電力を供給するように制御し、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを示している。このステップは、ACTIVEモードのメイン処理700のステップS725と同様のものであってよい。
S1140は、測定したインピーダンスから、サセプタ温度を取得するステップを示している。なお、後述するステップS1150において、冷却目標温度に代えて冷却目標温度に対応する冷却目標インピーダンスを用いることで、ステップS1140を省略してもよい。この場合において、ステップS1150ではインピーダンスと冷却目標インピーダンスが比較される。
S1150は、取得したサセプタ温度が所定の冷却目標温度に到達したかを判定するステップを示している。サセプタ温度が冷却目標温度に到達したと判定した場合(S1150の「Yes」)、制御部118はHEATモードに移行し、そうでない場合(S1150の「No」)、処理はステップS1130に戻る。なお、INTERVALモードが開始されてから所定時間経過した場合にも、冷却が完了したとしてステップS1150において「Yes」と判断してもよい。
PRE-HEATモードでは、エアロゾルを迅速に供給できるようにサセプタは急速に加熱される。一方で、このような急速な加熱は生成されるエアロゾルの量が過剰になってしまう虞がある。そこで、HEATモードの前にINTERVALモードを実行することで、PRE-HEATモードの完了時点からHEATモードの完了時点までに亘り、生成されるエアロゾルの量を安定にできる。換言すれば、メイン処理1100によれば、エアロゾル生成の安定化のために、予熱されたエアロゾル形成基体108をHEATモードの前に冷却することができる。
図12は、HEATモードであるときに制御部118が主として実行する例示処理(メイン処理)1200のフローチャートである。メイン処理1200は、制御部118がHEATモードに移行することに応答して開始することができる。
S1205は、第2タイマを起動するステップを示している。
S1210は、メイン処理1200と並列に実行されるように、別の処理(サブ処理)を起動するステップを示している。このステップにおいて起動されるサブ処理については後述する。
S1215は、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を開始するように制御するステップを示している。
S1220は、サセプタ110の検出に応じた処理を実行するステップを示している。このステップについては後述するが、当該ステップは、少なくとも、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを含む。
S1225は、ステップS1220において測定したインピーダンスから、サセプタ温度を取得するステップを示している。なお、後述するステップS1230において、加熱目標温度に代えて加熱目標温度に対応する加熱目標インピーダンスを用いることで、ステップS1225を省略してもよい。この場合において、ステップS1230ではインピーダンスと加熱目標インピーダンスが比較される。
S1230は、取得したサセプタ温度が所定の加熱目標温度以上であるかを判定するステップを示している。サセプタ温度が加熱目標温度以上である場合(S1230の「Yes」)、処理はステップS1235に進み、そうでない場合(S1230の「No」)、処理はステップS1240に進む。
S1235は、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を停止するように制御したうえで、所定の時間待機するステップを示している。このステップは、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を一時的に停止し、加熱目標温度以上となったサセプタ温度を低下させることを意図したものである。
S1240は、所定の加熱終了条件が満たされたかを判定するステップを示している。所定の加熱終了条件の例は、第2のタイマの値に基づき所定時間が経過したという条件、現在使用しているエアロゾル形成基体108を用いて所定回数の吸引が行われたという条件、又は、これら条件のOR条件であってよい。吸引の検知方法については後述する。加熱終了条件が満たされたと判定した場合(S1240の「Yes」)、処理はステップS1245に進み、そうでない場合(S1240の「No」)、処理はステップS1220に戻る。
S1245は、使用可能本数を1つ減少させるステップを示している。ステップS1245の後、制御部118はSLEEPモードに移行する。
メイン処理1200によれば、所望の態様でのエアロゾル生成のためにサセプタ温度を所定の温度に保つことができる。
以下、PRE-HEATモードのメイン処理1000及びHEATモードのメイン処理1200に関連して上述した、サセプタ110の検出に応じた処理について説明する。
図13Aは、例示のサセプタ110の検出に応じた処理1300Aのフローチャートである。
S1305は、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを示している。ステップS1305の前には、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給が開始されていることに留意されたい。
S1310は、測定したインピーダンスに基づき、サセプタ110を検出したかを判定するステップを示している。インピーダンスに基づきサセプタ110が検出された場合(S1310の「Yes」)、例示処理1300Aは終了してメイン処理1000又はメイン処理1200に戻り、そうでない場合(S1310の「No」)、処理はステップS1315に進む。
S1315は、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を停止するステップを示している。
S1320は、使用可能本数を1つ減少させるステップを示している。ステップS1320の後、制御部118はACTIVEモードに移行する。
例示処理1300Aによれば、誘導加熱中にエアロゾル形成基体108が取り外された場合等に、誘導加熱を中止することができる。これにより、誘導加熱装置100の安全性を向上できると共に、電源102が蓄えた電力の浪費を削減できる。また、例示処理1300Aによれば、制御部118は、エアロゾル形成基体108が取り外されると、使用可能本数を1つ減少させる。これにより、使用可能本数を減らさなかった場合に比べ、使用可能本数を消費しきった後の電源102の電圧が、放電終止電圧又は放電終止電圧の近傍に達しにくくなる。従って、電源102の劣化の促進を抑制することもできる。
図13Bは、別の例示のサセプタ110の検出に応じた処理1300Bのフローチャートである。例示処理1300Bが含む一部ステップは例示処理1300Aと共通であるため、以下、相違点について説明する。
例示処理1300Bにおいては、ステップS1315の後、ステップ1325に進む。
S1325は、ユーザに所定のエラー通知を行うステップを示している。この所定のエラー通知は、エアロゾル形成基体108が誤って取り外された等により、誘導加熱中にサセプタ110の検出に失敗したことに対応するものである。この所定のエラー通知は、LED138などにより行われてもよい。
S1330は、第3タイマを起動するステップを示している。
S1335は、RLC直列回路に非加熱用交流電力を供給するように制御し、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを示している。このステップは、ACTIVEモードのメイン処理700のステップS725と同様のものであってよい。
S1340は、測定したインピーダンスに基づき、サセプタ110を検出したかを判定するステップを示している。インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定した場合(S1340の「Yes」)、処理はステップS1350に進み、そうでない場合(S1340の「No」)、処理はステップS1345に進む。
S1350は、ステップS1315において停止した、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を再び開始するステップを示している。
S1345は、第3タイマの値に基づき所定時間が経過したかを判定するステップを示している。所定時間が経過したと判定した場合(S1345の「Yes」)、処理はステップS1320に進み、そうでない場合(S1345の「No」)、処理はステップS1335に戻る。
例示処理1300Bについて、図14を参照して更に説明する。図14は、サセプタ温度の変化を表すグラフである。このグラフの縦軸は温度に対応し、横軸は時間に対応する。
1410は、PRE-HEATモードのメイン処理700に関連して上述した所定の予熱目標温度を示している。
1415は、INTERVALモードのメイン処理1100に関連して上述した所定の冷却目標温度を示している。
1420は、HEATモードのメイン処理1200に関連して上述した所定の加熱目標温度を示している。なお、後述するが、HEATモードは、異なる加熱目標温度が適用される複数のフェーズを含む加熱プロファイルを有する。1420は、より詳細には、HEATモードの加熱プロファイルにおける最初のフェーズの加熱目標温度を示している。
1430は、PRE-HEATモードの期間を示している。即ち、PRE-HEATモードの期間は、概略、サセプタ温度が所定の予熱目標温度1410に到達したときに終了している。
1435は、INTERVALモードの期間を示している。即ち、INTERVALモードの期間は、概略、サセプタ温度が予熱目標温度1410に到達したときに開始し、冷却目標温度1415に到達したときに終了している。
1440は、HEATモードの期間を示している。即ち、HEATモードの期間は、概略、サセプタ温度が冷却目標温度1415に到達したときに開始し、時点1445に終了している。1445は、加熱終了条件が満たされたとき(メイン処理1200のステップS1240)を示している。
1450は、サセプタ110を検出できなくなったとき、即ち、例示処理1300BのステップS1310において、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定できなかったときを示している(ステップS1310の「No」)。1455は、サセプタ110を再び検出できるようになったとき、即ち、例示処理1300BのステップS1340において、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定したときを示している(ステップS1340の「Yes」)。S1460は、サセプタ110が検出できなかった期間を示している。
例示処理1300Bによれば、時間の経過に応じた加熱目標温度が少なくとも定められた加熱プロファイルに従う一方で、誘導加熱のための処理の停止であるステップS1315から誘導加熱のための処理の再開であるステップS1350までの間も時間が経過したものとして、誘導加熱を制御することができる。そのため、実質的に、サセプタ110が検出できなかった期間S1460に相当する加熱プロファイルをスキップすることができる。
図13Cは、また別の例示のサセプタ110の検出に応じた処理1300Cのフローチャートである。例示処理1300Cが含む一部ステップは例示処理1300A又は1300Bと共通であるため、以下、相違点について説明する。
S1355は、測定したインピーダンスに基づき、サセプタ110を検出するステップを示している。このステップは、ステップS1310と類似のものであるが、サセプタ110を検出したと判定できなかった場合(S1355の「No」)、処理がステップS1325に進む点が相違する。
例示処理1300Cにおいては、ステップS1330の後、処理はステップS1360に進む。
S1360は、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを示している。ステップS1360はステップS1335に類似のものであるが、ステップS1360においてはRLC直列回路に非加熱用交流電力を供給するように制御する必要はない。というのは、ステップS1360の時点において、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給は停止されていないからである。
S1365は、測定したインピーダンスに基づき、サセプタ110を検出したかを判定するステップを示している。このステップはステップS1340と類似のものであるが、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定した場合(S1365の「Yes」)、処理はステップS1305に戻り、そうでない場合(S1365の「No」)、処理はステップS1370に進む点が相違する。
S1370は、第3タイマの値に基づき所定時間が経過したかを判定するステップを示している。このステップはステップS1345と類似のものであるが、所定時間が経過したと判定した場合(S1370の「Yes」)、処理はステップS1315に進み、そうでない場合(S1370の「No」)、処理はステップS1360に戻る点が相違する。
例示処理1300Cについて図14を参照して更に説明する。なお、以下、例示処理1300Bについて上述した説明との相違点について説明する。
1450は、サセプタ110を検出できなくなったとき、即ち、例示処理1300CのステップS1355において、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定できなかったときを示している(ステップS1355の「No」)。1455は、サセプタ110を再び検出できるようになったとき、即ち、例示処理1300CのステップS1365において、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定したときを示している(ステップS1365の「Yes」)。
上述したように、HEATモードは異なる加熱目標温度が適用される複数のフェーズを含む加熱プロファイルを有する。また、HEATモードの処理には、1以上のタイミングで加熱目標温度を変更する処理(例えば、後述する図21のステップS2115)を含めることができる。そして、例示処理1300Cによれば、サセプタ110が検出できなかった期間S1460は、当該1以上のタイミングに影響しないことになる。これは例示処理1300Cが、例示処理1300BにおけるステップS1315とステップS1350を有さないためである。即ち、例示処理1300Cによれば、サセプタ110が検出できなかった期間S1460が、前記加熱プロファイルの全体の長さに影響しないようにすることができる。
図13Dは、更に別の例示のサセプタ110の検出に応じた処理1300Dのフローチャートである。
例示処理1300Dが含む一部ステップは例示処理1300A、1300B又は1300Cと共通であるため、以下、相違点について説明する。
S1375は、ステップS1310と同様のステップであるが、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定した場合、処理がステップS1385に進む点が相違する。
例示処理1300Dにおいては、ステップS1325の後、ステップS1380に進む。
S1380は、起動している第2タイマを停止し、第3タイマを起動するステップを示している。第2タイマの停止により、時間の経過により第2タイマの値が増加しないようになる。換言すれば、加熱プロファイルの進行が中断される。
S1385は、第2タイマを停止したかを判定するステップを示している。このステップは、ステップS1380が実行されたかを判定するステップであってよい。第2タイマを停止したと判定した場合(S1385の「Yes」)、処理はステップS1390に進み、そうでない場合(S1385の「No」)、例示処理1300Dは終了してメイン処理1000又はメイン処理1200に戻る。
S1390は、停止した第2タイマを再開するステップを示している。第2タイマの再開により、第2タイマの停止したときの値から時間の経過により第2タイマの値が再び増加するようになる。換言すれば、加熱プロファイルの進行が再開される。
例示処理1300Dについて図14を参照して更に説明する。なお、以下、例示処理1300Bについて上述した説明との相違点について説明する。
1450は、サセプタ110を検出できなくなったとき、即ち、例示処理1300DのステップS1375において、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定できなかったときを示している(ステップS1375の「No」)。
即ち、例示処理1300Dによれば、時間の経過に応じた加熱目標温度が少なくとも定められた加熱プロファイルに従う一方で、誘導加熱のための処理の停止であるステップS1315から誘導加熱のための処理の再開であるステップS1350までの間は時間が経過しなかったものとして誘導加熱を制御することができる。そのために、実質的に加熱プロファイルの進行を中断することができる。
図13Eは、更にまた別の例示のサセプタ110の検出に応じた処理例示処理1300Eのフローチャートである。例示処理1300Eが含む一部ステップは例示処理1300A、1300B、1300C又は1300Dと共通であるため、以下、相違点について説明する。
S1392は、ステップS1310と同様のステップであるが、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定した場合、処理がステップS1394に進む点が相違する。
S1394は、第3タイマが起動されたかを判定するステップを示している。このステップは、ステップS1330が実行されたかを判定するステップであってよい。第3タイマが起動されたと判定した場合(S1394の「Yes」)、処理はステップS1396に進み、そうでない場合(S1394の「No」)、例示処理1300Eは終了してメイン処理1000又はメイン処理1200に戻る。
S1396は、第3タイマの値に基づき、所定の処理を実行するステップを示している。この所定の処理は、HEATモードに含まれる複数のフェーズのうちの1つを、第3タイマの値即ちサセプタ110が検出できなかった期間の長さだけ延長する処理であってよい。換言すれば、この所定の処理は、加熱目標温度を変更する1以上のタイミングのうちの少なくとも1つを、サセプタ110が検出できなかった期間の長さだけ遅延させる処理であってよい。これは、例えば、後述する図21のステップS2105において変更すると判定するタイミングを遅延させることにより実現することができる。なお、フェーズの延長及び/又は加熱目標温度を変更させるタイミングの遅延は、必ずしもサセプタ110が検出できなかった期間の長さだけ行われる必要はない。サセプタ110が検出できなかった期間の長さに所定値の加算や減算などの演算を施した値や、サセプタ110が検出できなかった期間の長さに無関係な値だけ、フェーズを延長したり、加熱目標温度を変更させるタイミングを遅延させたりしてもよい。
例示処理1300Eについて図14を参照して更に説明する。なお、以下、例示処理1300Cについて上述した説明との相違点について説明する。
1450は、サセプタ110を検出できなくなったとき、即ち、例示処理1300EのステップS1392において、インピーダンスに基づきサセプタ110を検出したと判定できなかったときを示している(ステップS1392の「No」)。
例示処理1300Eによれば、エアロゾル形成基体を検出できなくなったときであるステップS1392からエアロゾル形成基体を再度検出したときであるステップS1365までの期間1460に基づき、加熱目標温度を変更するタイミングを遅延させることができるため、当該加熱プロファイルのフェーズを補填又は延長することができる。即ち、例示処理1300Eによれば、サセプタ110が検出できなかった期間1460に基づき、加熱プロファイルの長さを延長することができる。
図15は、PRE-HEATモードのメイン処理1000のステップS1020、INTERVALモードのメイン処理1100のステップS1120、又は、HEATモードのメイン処理1200のステップS1210において起動される、例示の第1のサブ処理1500のフローチャートである。
S1510は、ボタン128に対する所定の操作を検知したかを判定するステップを示している。この所定の操作は、ステップS420やS810における所定の操作と同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、ステップS1510における所定の操作の一例は、ボタン128の長押し又は連打である。ボタンの所定の操作を検知したと判定した場合(S1510の「Yes」)、処理はステップS1520に進み、そうでない場合(S1510の「No」)、処理はステップS1510に戻る。
S1520は、交流電力の供給を停止するための制御を行うステップを示している。第1のサブ処理1500がステップS1020又はステップS1210において起動された場合、この交流電力は加熱用交流電力であり、第1のサブ処理1500がステップS1120において起動された場合、この交流電力は非加熱用交流電力であろう。
S1530は、使用可能本数を1つ減少させるステップを示している。サブ処理1500によれば、制御部118は、ユーザの操作により交流電力の供給が停止されると、使用可能本数を1つ減少させる。これにより、使用可能本数を減らさなかった場合に比べ、使用可能本数のエアロゾル形成基体108を消費しきった後の電源102の電圧が、放電終止電圧又は放電終止電圧の近傍に達しにくくなる。従って、電源102の劣化の促進を抑制することもできる。
図16は、PRE-HEATモードのメイン処理1000のステップS1020、INTERVALモードのメイン処理1100のステップS1120、又は、HEATモードのメイン処理1200のステップS1210において起動される、例示の第2のサブ処理1600のフローチャートである。
S1610は、放電電流を測定するステップを示している。放電電流は、電流検知回路136により測定することができる。
S1620は、測定した放電電流は過大であるかを判定するステップを示している。放電電流は過大であると判定した場合(S1620の「Yes」)、処理はステップS1630に進み、そうでない場合(S1620の「No」)、処理はステップS1610に戻る。
S1630は、所定のフェールセーフアクションを実行するステップを示している。
S1640は、ユーザに所定のエラー通知を行うステップを示している。この所定のエラー通知は、放電電流が過大であることに対応するものである。ステップS1640の後、制御部118はERRORモードに移行する。このエラー通知は、LED138によって行われてもよい。
図17は、インピーダンスに基づきエアロゾル形成基体108の少なくとも一部であるサセプタ110を検出する原理、及び、インピーダンスに基づきエアロゾル形成基体108の少なくとも一部であるサセプタ110の温度を取得する原理について説明するための図である。
1710は、エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されていないときの、RLC直列回路の等価回路を示している。
LはRLC直列回路のインダクタンスの値を示している。Lは厳密にはRLC直列回路に含まれる複数の素子のインダクタンス成分を合成した値であるが、コイル106のインダクタンスの値に等しいものとしてもよい。
C2はRLC直列回路のキャパシタンスの値を示している。C2は厳密にはRLC直列回路に含まれる複数の素子のキャパシタンス成分を合成した値であるが、コンデンサC2のキャパシタンスの値に等しいものとしてもよい。
RCircuitは、RLC直列回路の抵抗値を示している。RCircuitは、RLC直列回路に含まれる複数の素子の抵抗成分を合成した値である。
L、C2及びRCircuitの値は、電子素子のスペックシートから事前に取得するか又は実験的に事前に測定し、制御部118のメモリ(図示せず)に予め記憶しておくことができる。
エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されていないときのRLC直列回路のインピーダンスZ0は、以下の式により計算することができる。
ここで、ωはRLC直列回路に供給される交流電力の角周波数(ω=2πf;fは交流電力の周波数)を示している。
一方、1720は、エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されているときの、RLC直列回路の等価回路を示している。1720における1710との相違は、エアロゾル形成基体108の少なくとも一部であるサセプタ110による抵抗成分(Rsusceptor)が存在する点である。エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されているときのRLC直列回路のインピーダンスZ1は、以下の式により計算することができる。
即ち、エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されているときのRLC直列回路のインピーダンスは、挿入されていないときよりも大きくなる。エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されていないときのインピーダンスZ0と、挿入されているときのインピーダンスZ0とを実験的に事前に求めてその間に設定された閾値を制御部118のメモリ(図示せず)に予め記憶しておく。これにより、測定したインピーダンスZが当該閾値より大きいか否かに基づき、エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されているか、即ち、サセプタ110が検出されたかを判定することが可能である。上述したように、サセプタ110の検出は、エアロゾル形成基体108の検出とみなすことができる。
なお、制御部118は、電圧検知回路134及び電流検知回路136によりそれぞれ測定した電圧の実効値V
RMS及び電流の実効値I
RMSに基づき、RLC直列回路のインピーダンスZを以下のように計算することができる。
また、Z
1の上記式をR
susceptorについて解くと、以下の式が導かれる。
ここで、負の抵抗値を除外し、Z
1をZに置き換えると、
Rsuceptorと、サセプタ温度との関係を実験的に事前に求め、制御部118のメモリ(図示せず)に予め記憶しておくことにより、RLC直列回路のインピーダンスZよりさらに計算されたRsuceptorに基づきサセプタ温度を取得することが可能である。
図18は、RLC直列回路の共振周波数f0にて交流電力を供給した場合のRLC直列回路の等価回路を表している。1810及び1820は、それぞれ、エアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されていないとき及び挿入されているときの、RLC直列回路の等価回路を示している。共振周波数f0は以下のように導出できる。
また、共振周波数f
0においては以下の関係が満たされるから、RLC直列回路のインピーダンスについて、RLC直列回路のインダクタンス成分及びキャパシタンス成分は無視することができるようになる。
従って、共振周波数f
0におけるエアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されていないときのRLC直列回路のインピーダンスZ
0及び挿入されているときのRLC直列回路のインピーダンスZ
1は以下の通りである。
また、共振周波数f
0におけるエアロゾル形成基体108が誘導加熱装置100に挿入されているときのエアロゾル形成基体108の少なくとも一部であるサセプタ110による抵抗成分の値R
susceptorは、以下の式により計算することができる
このように、サセプタ110を検出する際、及び、インピーダンスに基づきサセプタ温度を取得する際の一方又は双方において、RLC直列回路の共振周波数f0を用いることは、計算の容易さという点で有利である。もちろん、RLC直列回路の共振周波数f0を用いることは、電源102が蓄えた電力を高効率且つ高速でサセプタ110へ供給する点でも有利である。
(加熱プロファイルの具体例1)
以下、加熱プロファイルの具体例について説明する。
本例においては、誘導加熱装置100は、PRE-HEATモード、INTERVALモード、及び複数のフェーズからなるHEATモードにおいて交流生成回路132のスイッチング周波数を変化させることで、エアロゾル形成基体108をより適切に加熱することができる。
図19は、本例の誘導加熱装置100におけるサセプタ110の温度、交流生成回路132のスイッチング周波数、及び回路104のインピーダンスの変化をそれぞれ表すグラフ(a)、(b)、及び(c)を示す図である。図14と同様に、図19において、矢印1430は、PRE-HEATモードの期間を示し、矢印1435は、INTERVALモードの期間を示し、矢印1440は、HEATモードの期間を示す。また、(a)において、実線グラフはサセプタ110の温度を示し、破線グラフは各期間における目標温度(予熱目標温度、冷却目標温度、加熱目標温度)を示す。
なお、図19においては、サセプタ110の温度(又はサセプタ温度)が加熱目標温度に到達することと、フェーズが切り替わることとが一致するように図示されているが、これは理想的な挙動を図示したからである。即ち、図19に図示した挙動は、後述する図21に示す例示処理でいうと、スイッチQ3のスイッチング周波数を変更するタイミングと、サセプタ110の温度が加熱目標温度に初めて到達したタイミングとが一致した場合に相当する。一般的には、サセプタ110の温度は、加熱目標温度に到達した後、加熱用交流電力の一時的な停止により低下し、再度上昇するという挙動を繰り返すことになる。従って、一般的には、サセプタ110の温度が加熱目標温度に到達することと、フェーズが切り替わることとは一致しない。これについては、図20及び22についても同様である。
(b)に示されるように、本例において、交流生成回路132のスイッチQ3のスイッチング周波数は、PRE-HEATモードの期間1430及びINTERVALモードの期間1435においては、共振周波数f0であり、かつこれらの期間内においては一定である。そして、HEATモードの期間1440においては、スイッチQ3のスイッチング周波数は、各フェーズが進行していくにつれて段階的に上昇していくように制御される(スイッチQ3のスイッチング周波数を上昇させるタイミングは予めスケジューリングしておく。これについては、後述する具体例2においても同様である)。また、スイッチQ3のスイッチング周波数が変化すると回路104のインピーダンスも変化する。スイッチQ3のスイッチング周波数が段階的に上昇することで、(c)に示されるように回路104のインピーダンスも増加し続ける。本例の場合、回路104のインピーダンスの変化(又はコイル106に供給される交流電流の変化)によって、ユーザがエアロゾル源112から発生するエアロゾルを吸引した際における一時的な温度低下を検知することが可能である。すなわち、温度が低下したことが検出された場合には、ユーザがエアロゾルを吸引したと判断するようになっていてもよい。
また、HEATモードの期間1440においてスイッチQ3のスイッチング周波数は、(b)の実線グラフによって示されるように共振周波数f0から開始して、徐々に共振周波数f0から離れていくように制御されてもよいし、(b)の破線グラフによって示されるように共振周波数f0から一旦大きく下がってから徐々に共振周波数f0に近づいていくように制御されてもよい。また、前者の場合、HEATモード1440を構成する複数のフェーズが進行するにつれてスイッチQ3のスイッチング周波数は共振周波数よりも高い周波数領域で増加していき、後者の場合、HEATモード1440を構成する複数のフェーズが進行するにつれてスイッチQ3のスイッチング周波数は共振周波数よりも低い周波数領域で増加していく。急速な昇温が必要なのはPRE-HEATモードのみであり、HEATモードにおける段階的な昇温においては誘導加熱による高効率な加熱は却って不向きな場合がある。そこで、本例においては、スイッチQ3のスイッチング周波数を共振周波数f0から外すことにより、緩やかな昇温を実現することができる。このようにフェーズごとに周波数を変えることで、サセプタ110を適切に加熱することができる。
また、図20は、誘導加熱装置100におけるサセプタ110の温度、交流生成回路132のスイッチング周波数、及び回路104のインピーダンスの変化の別の例を示す図である。本例においても、交流生成回路132のスイッチQ3のスイッチング周波数は、PRE-HEATモードの期間1430及びINTERVALモードの期間1435においては、共振周波数f0であり、かつこれらの期間内においては一定である。しかし、本例のHEATモードの期間1440においては、スイッチQ3のスイッチング周波数は各フェーズが進行していくにつれて段階的に下降していくように制御される。また、スイッチQ3のスイッチング周波数を段階的に下げることで、回路104のインピーダンスも減少し続ける。ユーザによるエアロゾルの吸引の検知を行わない場合には、本例のようにHEATモードにおけるフェーズの進行に従ってスイッチQ3のスイッチング周波数を下げるように制御してもよく、これにより緩やかな昇温を実現することができる。
また、HEATモードの期間1440においてスイッチQ3のスイッチング周波数は、(b)の実線グラフによって示されるように共振周波数f0から一旦大きく上がってから徐々に共振周波数f0に近づいていくように制御されてもよいし、(b)の破線グラフによって示されるように共振周波数f0から開始して、徐々に共振周波数f0から離れていくように制御されてもよい。また、前者の場合、HEATモードを構成する複数のフェーズが進行するにつれてスイッチQ3のスイッチング周波数は共振周波数よりも高い周波数領域で減少していき、後者の場合、HEATモードを構成する複数のフェーズが進行するにつれてスイッチQ3のスイッチング周波数は共振周波数よりも低い周波数領域で減少していく。
図21は、HEATモードであるときに制御部118が主として実行する例示処理のフローチャートを示す図である。図21のフローチャートでは、図12のフローチャートにさらにステップS2105、ステップS2110、及びステップS2115の処理が追加されている。これら以外のステップについては、図12と同様であるので説明は割愛する。
ステップS2105は、第2タイマがスイッチQ3のスイッチング周波数を変更するタイミングであるか判定するステップを示している。ここでスイッチQ3のスイッチング周波数を変更するタイミングであると判定される場合には(ステップS2105の「Yes」)、ステップS2110においてスイッチQ3のスイッチング周波数を変更する(増加させる、又は減少させる)。そして、ステップS2115において、加熱目標温度を予め定められた値だけ上昇させる。ステップS2105においてスイッチQ3のスイッチング周波数を変更するタイミングではないと判定される場合には(ステップS2105の「No」)、ステップS2110とステップS2115の処理をスキップする(すなわち、スイッチQ3のスイッチング周波数は変更しない)。なお、ステップS2110の処理とステップS2115の処理は実行する順番が逆でもよいし、並行して実行されてもよい。
(加熱プロファイルの具体例2)
さらに、加熱プロファイルの別の具体例について説明する。本例においては、PRE-HEATモード、INTERVALモード、及び複数のフェーズからなるHEATモードにおいて交流生成回路132のスイッチング周波数を変化させずに特定の周波数に固定し、特に本例においては共振周波数に固定する。
図22は、本例の誘導加熱装置100におけるサセプタ110の温度、交流生成回路132のスイッチング周波数、及び回路104のインピーダンスの変化をそれぞれ表すグラフ(a)、(b)、及び(c)を示す図である。(b)に示されるように、本例においては、誘導加熱装置100は、PRE-HEATモード、INTERVALモード、及び複数のフェーズからなるHEATモードにおいて交流生成回路132のスイッチング周波数を共振周波数に固定する。
図23及び図24は、HEATモードであるときに制御部118が主として実行する例示処理のフローチャートを示す図である。図23のフローチャートは、図12のステップS1235に替えてステップS2310の加熱制御を実行する点、並びにステップS2320及びステップS2325が追加されている点が異なる。これ以外のステップについては、図12と同様であるので説明は割愛する。
ステップS2320は、第2タイマが加熱目標温度を変更するタイミングであるか判定するステップを示している。ここで加熱目標温度を変更するタイミングであると判定される場合には(ステップS2320の「Yes」)、ステップS2325において、加熱目標温度を予め定められた値だけ上昇させる。ステップS2320において加熱目標温度を変更するタイミングではないと判定される場合には(ステップS2320の「No」)、ステップS2325の処理をスキップする(すなわち、加熱目標温度は変更しない)。
図24は、ステップS2310の加熱制御の詳細の一例を示すフローチャートを表す図である。ステップS23101は、RLC直列回路への加熱用交流電力の供給を停止するように制御するステップを示している。ステップS23102は、RLC直列回路のインピーダンスを測定するために、RLC直列回路への非加熱用交流電力の供給を開始するように制御するステップを示している。ステップS23103は、RLC直列回路のインピーダンスを測定するステップを示している。ステップS23104は、RLC直列回路への非加熱用交流電力の供給を停止するように制御するステップを示している。ステップS23105は、ステップS23103にて測定したインピーダンスから、サセプタ温度を取得するステップを示している。なお、ステップS23101~S23105の処理は、前述したフローチャートと同様の処理であってよい。また、ステップS23106は、ステップS23105において取得したサセプタ温度が(所定の加熱目標温度-Δ)以下であるかを判定するステップを示している。サセプタ温度が(所定の加熱目標温度-Δ)以下である場合、加熱制御を終了し、図23のステップS1215に移行する。サセプタ温度が(所定の加熱目標温度-Δ)より高い場合、処理はステップS23102に戻る。すなわち、サセプタ温度が(加熱目標温度-Δ)より高い場合は、スイッチQ2を含む高抵抗の第2回路でサセプタ温度を監視し続ける。この時、スイッチQ3は、サセプタ110の加熱を中断している間においても予め定められた周期で切り替えられていてもよい。そして、サセプタ温度が(加熱目標温度-Δ) 以下となった場合には、再びスイッチQ1がONとなり第1回路でサセプタ110を再加熱する。また、Δが“0”よりも大きい値である場合には、加熱制御にヒステリシス持たせることができる。より具体的には、Δの値は最大で5℃程度である。
以上、本開示の実施形態が説明されたが、これらが例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
上述した実施形態においては、RLC直列回路の共振周波数f0を用いた制御について説明したが、RLC回路を構成する素子には製品公差が存在するため、共振周波数f0を厳密に用いる必要ない。例えば、RLC直列回路を構成する素子の実際のパラメータから算出される共振周波通f0から±5%程度のずれがあってもよい。
上述した実施形態においては、インピーダンスの変化によりユーザの吸引を検知したが、これに代えて図2において不図示の吸引センサを用いて、ユーザの吸引を検知してもよい。
上述した実施形態においては、制御部118は、サセプタ110に基づきエアロゾル生成基体108を検出したが、これに代えてエアロゾル形成基体108に設けられるマーカやRFIDなどからアロゾル生成基体108を検出してもよい。このようなマーカやRFIDも、エアロゾル形成基体108の少なくとも一部を構成することは明らかであろう。