JP2022155281A - 電動圧縮機 - Google Patents

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俊輔 安保
Shunsuke Ampo
芳樹 永田
Yoshiki Nagata
隆 川島
Takashi Kawashima
博史 深作
Hiroshi Fukasaku
純也 甲斐田
Junya Kaida
駿 伊藤
Shun Ito
毅 原沢
Takeshi Harasawa
賢治 早川
Kenji Hayakawa
雄介 木下
Yusuke Kinoshita
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Abstract

【課題】コモンモードチョークの放熱性に優れた電動圧縮機を提供すること。【解決手段】コモンモードチョークコイル50は、環状のコア60と、第1巻線65と、第2巻線66と、環状の導電体70と、を備える。第1巻線65は、コア60に巻回される。第2巻線66は、コア60に巻回されるとともに第1巻線65から離れつつ対向している。導電体70は、コア60と第1巻線65と第2巻線66とを囲うとともにコア60の内側に定義される孔としての内側空間Sp1の少なくとも一部を覆う。導電体70は、インバータ収容室の内壁に対向しつつ熱的に結合されている第1放熱部71と、1又は複数の放熱孔76が穿設され、インバータ収容室内の空間に晒される第2放熱部としての周側部73,74と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、電動圧縮機に関する。
電動圧縮機は、圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するインバータ装置と、を備える。インバータ装置は、伝導ノイズを低減するためのコモンモードチョークコイルを備える。このような電動圧縮機としては、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の電動圧縮機は、コモンモードチョークコイルを覆う環状の導電体を備える。コモンモードチョークコイルに流れるノーマルモード電流は、導電体に誘導電流を誘起する。導電体に流れる誘導電流を熱エネルギーに変換することにより、コモンモードチョークに対してダンピング効果が生じる。
特開2019-187228号公報
ところで、導電体に流れる誘導電流を熱エネルギーに変換することで、導電体が発熱する。また、コモンモードチョークコイルを導電体で覆うことにより、コモンモードチョークコイルで生じた熱がこもりやすくなる。そのため、コモンモードチョークコイルの熱を効率よく逃がすための工夫をする必要がある。
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータ装置と、前記インバータ装置を収容するインバータ収容室を有する金属製のハウジングと、を備え、前記インバータ装置は、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路の入力側に設けられるとともに前記直流電力に含まれる伝導ノイズを低減させるコモンモードチョークコイルと、を備え、前記コモンモードチョークコイルは、環状のコアと、前記コアに巻回される第1巻線と、前記コアに巻回されるとともに前記第1巻線から離れつつ前記第1巻線と対向する第2巻線と、前記コアと前記第1巻線と前記第2巻線とを囲うとともに前記コアの内側に定義される孔の少なくとも一部を覆う環状の導電体と、を備え、前記導電体は、前記インバータ収容室の内壁に対向しつつ熱的に結合されている第1放熱部と、1又は複数の放熱孔が穿設され、前記インバータ収容室内の空間に晒される第2放熱部と、を備える。
これによれば、導電体によって第1巻線及び第2巻線が覆われている場合でも、第2放熱部の表面がインバータ収容室内の空間に晒されているため、放熱孔を介して導電体の内部と外部とで空気の交換が可能となる。空気の交換を介して、コモンモードチョークコイルの放熱が可能となる。
さらには、前記第2放熱部が前記第1放熱部と連続しているため、第2放熱部と第1放熱部と距離が短くなり、第2放熱部の熱が第1放熱部を介してハウジングに伝わりやすくなる。
上記電動圧縮機について、前記放熱孔は複数設けられており、前記導電体の周方向における単位長さあたりの前記第2放熱部の電気抵抗値は、前記第1放熱部から離れるにつれて小さくなる、ものであってもよい。
電気抵抗値は電流経路の断面積に反比例して小さくなる。そのため、第2放熱部のうちで断面積の小さい箇所を第1放熱部に近づけることにより、第2放熱部による発熱を効率的に第1放熱部に伝えることができる。
上記電動圧縮機について、前記放熱孔の数は、前記第1放熱部から離れるにつれて少なくなる、ものであってもよい。
第2放熱部に放熱孔を設けることにより、第2放熱部の断面積は小さくなる。第2放熱部の単位長さあたりの電気抵抗値は、断面積の減少に伴い増大する。放熱孔が設けられていない導電体の断面積に比べて、放熱孔が設けられている導電体の断面積は、放熱孔の数の増大に伴い減少する。そのため、第2放熱部のうちの放熱孔の数が多い箇所を第1放熱部に近づけることにより、第2放熱部の発熱を効率的に第1放熱部に伝えることができる。
本発明によれば、コモンモードチョークコイルの放熱性に優れた電動圧縮機を提供することができる。
電動圧縮機の全体概略図。 インバータ装置の回路構成の一例を示す図。 コモンモードチョークコイルの全体斜視図。 コア及び巻線の斜視図。 導電体の全体像を示す斜視図。 図3におけるコモンモードチョークコイルの6-6断面図。 第2放熱部としての第1周側部を平面視した場合の図。 ノイズ低減部の周波数特性の変化を示す図。
<構成>
以下、電動圧縮機の一実施形態について説明する。本実施形態の電動圧縮機は、車載用空調装置に用いられ、流体としての冷媒を圧縮するものである。
図1に示すように、車両Veは、蓄電装置Bと、車載用空調装置100と、を備える。蓄電装置Bは、車両Veに搭載された機器に電力を供給する直流電源である。蓄電装置Bは、例えば二次電池やキャパシタである。
車載用空調装置100は、外部冷媒回路110と、空調ECU120と、電動圧縮機10と、を備えている。
外部冷媒回路110は、電動圧縮機10に対して冷媒を供給する。外部冷媒回路110は、例えば熱交換器及び膨張弁等を有している。外部冷媒回路110は、外部と冷媒との熱交換を行うことによって、車両Veの室内の冷暖房を行う。
空調ECU120は、車内温度やカーエアコンの設定温度等を把握可能に構成されており、これらのパラメータに基づいて電動圧縮機10に対してON/OFF指令等といった各種指令を送信する。
電動圧縮機10は、ハウジング20と、回転軸30と、圧縮部31と、電動モータ32と、コネクタ36と、インバータ装置40と、を備えている。
ハウジング20は、金属製である。ハウジング20は、伝熱性を有する金属であれば任意であるが、例えばアルミニウムで形成されている。ハウジング20は、車両Veの図示しないボディに接地されている。
ハウジング20は、吸入ハウジング21と、吐出ハウジング22と、カバー部材23と、を有している。
吸入ハウジング21は、板状の底壁部21aと、筒状の側壁部21bと、吸入口21cと、を有している。
側壁部21bは、底壁部21aの周縁部から吐出ハウジング22に向けて起立している。
吸入口21cは、外部冷媒回路110に接続されている。吸入口21cは、側壁部21bに設けられている。
吐出ハウジング22は、吸入ハウジング21の開口を塞いだ状態で吸入ハウジング21に組み付けられている。これにより、吸入ハウジング21及び吐出ハウジング22は、ハウジング20内にモータ収容室S1を形成している。
吐出ハウジング22は、吐出口22aを備える。吐出口22aは、外部冷媒回路110に接続されている。
カバー部材23は、吸入ハウジング21の底壁部21aに向けて開口した有底筒状である。カバー部材23は、開口端が底壁部21aに突き合せられた状態で、吸入ハウジング21の底壁部21aに取り付けられている。このとき、カバー部材23の開口は、底壁部21aによって塞がれている。これにより、底壁部21a及びカバー部材23は、インバータ収容室S2を形成している。したがって、ハウジング20は、インバータ収容室S2を有している。このとき、底壁部21aは、モータ収容室S1とインバータ収容室S2とを区画しており、インバータ収容室S2の内壁をなしている。
回転軸30は、ハウジング20に対して回転可能に構成されている。回転軸30は、モータ収容室S1内において、その軸線方向が底壁部21aの厚さ方向、換言すれば側壁部21bの軸線方向、と一致する状態で配置されている。
圧縮部31は、冷媒を圧縮するためのものであり、その具体的な構成は、スクロールタイプ、ピストンタイプ、ベーンタイプ等任意である。本実施形態では、圧縮部31は、モータ収容室S1内において、吸入口21cよりも吐出口22aに近い位置に配置されている。また、圧縮部31は、回転軸30と連結されている。これにより、圧縮部31は、回転軸30と一体回転可能に構成されている。
図1及び図2に示すように、電動モータ32は、圧縮部31を駆動するものである。電動モータ32は、モータ収容室S1内における圧縮部31と底壁部21aとの間に配置されている。電動モータ32は、例えば、円筒形状のロータ33と、ステータ34と、3相コイル35u,35v,35wと、を有する。
ロータ33は、回転軸30に対して固定されている。これにより、回転軸30は、ロータ33と一体回転可能に構成されている。
ステータ34は、ハウジング20の側壁部21bに固定されている。ロータ33及びステータ34は、互いに回転軸30の径方向に対向している。
3相コイル35u,35v,35wは、それぞれステータ34に巻きつけられている。3相コイル35u,35v,35wは、例えばY結線されている。3相コイル35u,35v,35wが所定のパターンで通電されることにより、ロータ33が回転する。
ロータ33の回転に伴い、回転軸30及び圧縮部31が回転する。これにより、外部冷媒回路110を流れる冷媒は、吸入口21cからハウジング20内に吸入される。このとき、圧縮部31は、吸入された冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は、吐出口22aから外部冷媒回路110へと吐出される。なお、3相コイル35u,35v,35wの結線態様は、Y結線に限られず、任意であり、例えばデルタ結線でもよい。
コネクタ36は、車両Veに搭載された蓄電装置Bの電力を電動圧縮機10に供給するための端子である。コネクタ36は、蓄電装置Bと電気的に接続されている。コネクタ36は、カバー部材23に設けられている。
図1に示すように、インバータ装置40は、蓄電装置Bからの直流電力を交流電力に変換して、当該交流電力を電動モータ32に出力するものである。インバータ装置40は、インバータ収容室S2に収容されている。したがって、ハウジング20は、インバータ装置40を収容している。インバータ装置40は、コネクタ36を介して蓄電装置Bと電気的に接続されている。
ここで、蓄電装置Bは、インバータ装置40のみならず、車両Veに搭載される機器、例えば、昇圧コンバータ、にも電力を供給している。なお、昇圧コンバータの図示は省略する。昇圧コンバータは、スイッチング動作に起因する伝導ノイズを発生させる。インバータ装置40には、蓄電装置Bの直流電力に加え、昇圧コンバータからの伝導ノイズが流入する。なお、当該伝導ノイズは、昇圧コンバータのスイッチング周波数に対応したノイズ成分を含む。伝導ノイズは、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズとを含む。
図1及び図2に示すように、インバータ装置40は、回路基板41と、インバータ回路42と、制御部43と、ノイズ低減部44と、を備えている。
回路基板41は、少なくともインバータ装置40が備える素子を実装するためのものである。回路基板41は、底壁部21aに対して回転軸30の軸線方向に所定の間隔を隔てて対向配置されている。
図2に示すように、インバータ回路42は、蓄電装置Bの直流電力を交流電力に変換する。インバータ回路42は、正極母線Lpと、負極母線Lnと、6つのスイッチング素子Q1~Q6と、6つのダイオードD1~D6と、を備える。スイッチング素子Q1~Q6としては、IGBTを用いている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、u相上アームを構成するスイッチング素子Q1と、u相下アームを構成するスイッチング素子Q2が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、v相上アームを構成するスイッチング素子Q3と、v相下アームを構成するスイッチング素子Q4が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、w相上アームを構成するスイッチング素子Q5と、w相下アームを構成するスイッチング素子Q6が直列接続されている。スイッチング素子Q1~Q6にはダイオードD1~D6が逆並列接続されている。
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の間は、電動モータ32のu相コイル35uに接続されている。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の間は、電動モータ32のv相コイル35vに接続されている。スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6の間は、電動モータ32のw相コイル35wに接続されている。上下のアームを構成するスイッチング素子Q1~Q6を有するインバータ回路42は、スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作に伴い、直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ32に出力することができる。
制御部43は、各スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作を制御する。制御部43は、例えば、1つ以上の専用のハードウェア回路、及び/又は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ(制御回路)によって実現することができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、例えば各種処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ即ちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
制御部43は、空調ECU120からの指令に基づいて、各スイッチング素子Q1~Q6を周期的にON/OFFさせる。詳細には、制御部43は、空調ECU120からの指令に基づいて、各スイッチング素子Q1~Q6をPWM制御する。より詳細には、制御部43は、キャリア信号と指令電圧値信号とを用いて、制御信号を生成する。そして、制御部43は、生成された制御信号を用いて各スイッチング素子Q1~Q6のON/OFF制御を行うことにより、直流電力を交流電力に変換する。
ノイズ低減部44は、インバータ回路42に入力される直流電力に含まれる伝導ノイズを低減させるためのものである。本実施形態では、ノイズ低減部44は、コネクタ36とインバータ回路42との間に設けられている。
ノイズ低減部44は、正極母線Lp及び負極母線Lnに接続されている。すなわち、ノイズ低減部44は、インバータ回路42の入力側に設けられている。ノイズ低減部44は、平滑コンデンサ45と、2つのYコンデンサ46,47と、コモンモードチョークコイル50と、を備えている。
平滑コンデンサ45は、インバータ回路42に対して並列接続されたXコンデンサである。具体的には、平滑コンデンサ45は、正極母線Lp及び負極母線Lnに接続されている。
2つのYコンデンサ46,47は、直列接続されている。2つのYコンデンサ46,47の間は、車両Veのボディに接地されている。
このように構成された2つのYコンデンサ46,47の直列接続体は、平滑コンデンサ45に対して並列接続されている。本実施形態では、平滑コンデンサ45は、インバータ回路42とYコンデンサ46,47の直列接続体との間に位置している。
コモンモードチョークコイル50は、インバータ回路42の入力側に設けられている。コモンモードチョークコイル50は、コネクタ36とYコンデンサ46,47の直列接続体との間に位置している。これにより、コモンモードチョークコイル50は、Yコンデンサ46,47とともに、コモンモードノイズを除去するローパスフィルタ回路を構成している。
また、コモンモードチョークコイル50は、漏れインダクタンスLを有する。漏れインダクタンスLは、ノーマルモードノイズに対するチョークコイルとして機能する。そのため、漏れインダクタンスLは、平滑コンデンサ45とともに、ノーマルモードノイズを除去するローパスフィルタ回路を構成している。これにより、コモンモードチョークコイル50は、直流電力に含まれる伝導ノイズを低減させる。したがって、ノイズ低減部44は、コモンモードノイズ及びノーマルモードノイズを除去することができる。
図3に示すように、コモンモードチョークコイル50は、環状のコア60と、第1巻線65と、第2巻線66と、環状の導電体70と、樹脂層80と、を備える。
図4に示すように、コア60は、例えば、フェライトコアのような強磁性体により形成されている。本実施形態のコア60は、4つの辺部61~64を備える。4つの辺部61~64は、それぞれ四角柱状である。4つの辺部61~64は、全体として環状となるように配置されている。具体的には、4つの辺部61~64は、互いの端部を接続することにより、長方形の枠を形成するように配置されている。
第1辺部61及び第2辺部62は、互いに離れつつ対向している。詳細には、第1辺部61及び第2辺部62は、互いに平行になるように向かい合っている。第1辺部61の形状及び第2辺部62の形状は、一致している。
第3辺部63及び第4辺部64は、互いに離れつつ対向している。詳細には、第3辺部63及び第4辺部64は、互いに平行になるように向かい合っている。第3辺部63の形状と第4辺部64の形状は等しい。なお、第3辺部63の長さは、第1辺部61の長さより短い。すなわち、第1辺部61及び第2辺部62は、コア60の長辺部を形成し、第3辺部63及び第4辺部64は、コア60の短辺部を形成する。第3辺部63及び第4辺部64は、それぞれ、第1辺部61と第2辺部62とを接続している。第1辺部61の伸びる方向は、第3辺部の伸びる方向と垂直である。
このように配置された4つの辺部61~64は、互いに向かい合う面において直方体状の内側空間Sp1を画定する。内側空間Sp1は、コア60の内側に定義される孔である。4つの辺部61~64における内側空間Sp1を画定する面と反対側の面は、コア60の外周面として定義される。なお、内側空間Sp1の両端はコモンモードチョークコイル50の外部と連通している。
第1巻線65は、コア60に巻回されている。詳細には、第1巻線65の少なくとも一部は、第1辺部61に巻回されている。
第2巻線66は、コア60に巻回されている。詳細には、第2巻線66の少なくとも一部は、第1巻線65と同極性となるように、第2辺部62に巻回されている。
このとき、第2巻線66は、第1巻線65から離れつつ第2巻線66と対向している。したがって、第1巻線65と第2巻線66との間には、内側空間Sp1が介在している。
なお、コア60と第1巻線65との間及びコア60と第2巻線66との間には、図示しない樹脂ケースが設けられている。これにより、樹脂ケースは、コア60と各巻線65,66との間の絶縁性を確保している。
図5に示すように、導電体70は、金属膜である。導電体70に用いる金属は任意であるが、好ましくは、非磁性体である銅箔である。導電体70は、環状である。詳細には、導電体70は、帯状かつ無端状をなしている。導電体70は、第1放熱部71と、対向部72と、第2放熱部としての2つの周側部73,74と、複数の放熱孔76と、を備える。第1放熱部71、対向部72、及び2つの周側部73,74は、全体として環状、詳細には四角筒状となるように配置されている。なお、この説明で使用される「環状」という用語は、ループ、すなわち端部のない連続形状、を形成する任意の構造を指すことがある。「環状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。
導電体70の周方向における幅は、一定である。また、導電体70の厚さは一定である。言い換えれば、第1放熱部71と、対向部72と、2つの周側部73,74の厚さは、それぞれ等しい。導電体70の厚さは任意であるが、好ましくは10μm~100μmである。本実施形態では、導電体70の厚さは35μmである。これにより、導電体70は、薄く形成されることで抵抗が大きくなるため、誘導電流をより効率的に熱に変えることができるとともに、導電体70の形状を保持することができる強度を確保することができる。
第1放熱部71は、長方形の膜状である。第1放熱部71は、第1短辺部71aと、第2短辺部71bと、1つの貫通孔75と、を備える。なお、貫通孔75の数は、複数であってもよい。以下の説明では、ある部材の短辺部とは、当該部材の短辺を構成する辺部を意味することがある。また、ある部材の長辺部とは、当該部材の長辺を構成する辺部を指すことがある。例えば、第1放熱部71の第1短辺部71a及び第2短辺部71bは、それぞれ第1放熱部71の短辺を構成する辺部である。
貫通孔75は、四角形状、詳細には長方形状のスリットであり、第1放熱部71をその厚さ方向に貫通している。貫通孔75は、導電体70の幅方向の中央部に位置している。本実施形態では、貫通孔75の長辺方向は、第1放熱部71の長辺方向と一致している。
対向部72は、長方形の膜状である。対向部72は、第1放熱部71と平行に向かい合う。すなわち、第1放熱部71の厚さ方向は、対向部72の厚さ方向と一致している。対向部72は、第1短辺部72aと、第2短辺部72bと、を備える。
対向部72の外縁は、導電体70を対向部72の厚さ方向から平面視した場合に第1放熱部71の外縁と一致している。対向部72の第1短辺部72aは、導電体70を対向部72の厚さ方向から平面視した場合に第1放熱部71の第1短辺部71aと重なる。対向部72の第2短辺部72bは、導電体70を対向部72の厚さ方向から平面視した場合に第1放熱部71の第2短辺部71bと重なる。
第1周側部73は、長方形状の膜である。第1周側部73の長辺の長さは、第1放熱部71の短辺の長さと等しい。第1周側部73は、第1長辺部73aと、第2長辺部73bと、を備える。
第1周側部73は、第1放熱部71とは異なる位置に配置されている。具体的には、第1周側部73は、第1放熱部71と対向部72との間を第1放熱部71の厚さ方向に延びている。第1周側部73の第1長辺部73aは、第1放熱部71の第1短辺部71aと結合されている。第1周側部73の第2長辺部73bは、対向部72の第1短辺部72aと結合されている。
第2周側部74は、長方形状の膜である。第2周側部74の長辺の長さは、第1放熱部71の短辺の長さと等しい。第2周側部74の短辺の長さは、第1周側部73の短辺の長さと等しい。第2周側部74は、第1長辺部74aと、第2長辺部74bと、を備える。
第2周側部74は、第1放熱部71とは異なる位置に配置されている。具体的には、第2周側部74は、第1放熱部71と対向部72との間を第1放熱部71の厚さ方向に延びている。第2周側部74の第1長辺部74aは、第1放熱部71の第2短辺部71bと結合されている。第2周側部74の第2長辺部74bは、対向部72の第2短辺部72bと結合されている。
第2周側部74は、第1周側部73と平行に向かい合う。第2周側部74の厚さ方向は、第1周側部73の厚さ方向と一致している。
第2周側部74の外縁は、第2周側部74の厚さ方向から導電体70を平面視した場合、第1周側部73の外縁と一致している。第2周側部74の第1長辺部74aは、導電体70を第2周側部74の厚さ方向から平面視した場合に第1周側部73の第1長辺部73aと重なる。第2周側部74の第2長辺部74bは、導電体70を第2周側部74の厚さ方向から平面視した場合に第1周側部73の第2長辺部73bと重なる。
このように形成された導電体70には、第1放熱部71と、対向部72と、2つの周側部73,74とによって収容空間Sp2が画定されている。
図3に示すように、導電体70は、収容空間Sp2に、コア60と、第1巻線65と、第2巻線66と、を収容している。したがって、導電体70は、内側空間Sp1の少なくとも一部を覆っている。導電体70は、コア60と第1巻線65と第2巻線66とを囲っており、コア60の外周面のうち、第1巻線65及び第2巻線66が巻回されている領域の一部を覆っている。導電体70は、第1巻線65と第2巻線66を跨ぎつつコア60を覆うように配置されているともいえる。本実施形態では、導電体70は、第1巻線65の全てと第2巻線66の全てとコア60の内側空間Sp1の一部を覆うように配置されている。第1巻線65は、第1放熱部71、対向部72、及び第1周側部73と向かい合う。第2巻線66は、第1放熱部71、対向部72、及び第2周側部74と向かい合う。第1巻線65及び第2巻線66は、貫通孔75を通じて底壁部21aと向かい合っている。なお、コア60の第3辺部63及び第4辺部64は、収容空間Sp2に収容されていない。すなわち、コア60の第3辺部63及び第4辺部64は、外部に露出している。これにより、コア60の放熱性が向上する。
樹脂層80は、第1巻線65及び第2巻線66と導電体70を絶縁する膜である。樹脂層80は、導電体70の内周面に設けられている。樹脂層80の厚さは、収容空間Sp2にコア60と第1巻線65と第2巻線66とが収容可能であれば任意であるが、例えば、10μmである。これにより、第1巻線65及び第2巻線66と、導電体70との絶縁性が確保される。本実施形態では、樹脂層80は、ポリイミドよりなる。これにより、樹脂層80は、導電体70の薄い導電体70に対し強度と剛性を上げ、導電体70の形状の保持を助ける。
なお、導電体70と樹脂層80とは、図示しない接着剤により接着されている。接着剤は任意であるが、熱硬化タイプ接着剤でも、熱可塑タイプ接着剤、例えばホットメルト、でも、感圧タイプ接着剤、例えば粘着剤、でもよい。
導電体70は、一般的なフレキシブル基板と同じ製法で樹脂層80と一体化された帯状の金属膜を準備したのち、樹脂層80ごと曲げつつ金属膜の両端を溶着させることで環状に形成される。このように導電体70と樹脂層80との一体化によって、導電体70を環状に形成することが容易となる。
図6に示すように、コモンモードチョークコイル50の第1放熱部71は、吸入ハウジング21の底壁部21aに対向している。第1放熱部71と底壁部21aとの間、及び貫通孔75の内部には、放熱グリス90が配置されている。
放熱グリス90は、コア60、第1巻線65、第2巻線66、及び導電体70で生じた熱を底壁部21aに伝えるための放熱樹脂材である。これにより、第1放熱部71は、放熱グリス90を介してハウジング20の底壁部21aと熱的に結合されている。また、これにより、第1巻線65及び第2巻線66は、ハウジング20と熱的に結合されている。
放熱孔76は、第1周側部73に複数穿設されている。放熱孔76は、第2周側部74にも複数穿設されている。したがって、各周側部73,74は、それぞれ1又は複数の放熱孔76が穿設されている第2放熱部である。各周側部73,74は、それぞれ第1放熱部71とは異なる位置に配置されているため、第2放熱部は第1放熱部71とは異なる位置に設けられている。各周側部73,74の表面は、インバータ収容室S2内の空間に晒されている。また、第1周側部73は、第1放熱部71に連続しており、コア60の外周面と対向している。これに伴い、第1周側部73は第1放熱部71と熱的に結合されている。なお、「熱的に結合されている」とは、2つの部材が互いに空気より高い熱伝導率で熱交換することができる状態であることを意味する。
以下、第1周側部73に設けられている放熱孔76の詳細について説明する。以下の説明では、放熱孔76の大きさは全て等しいものとする。なお、第2周側部74に設けられている放熱孔76の詳細は、第1周側部73に設けられている放熱孔76のものと同様であるため、説明を省略する。
図7に示すように、放熱孔76は、円形の貫通孔である。各放熱孔76は、第1周側部73を第1周側部73の厚さ方向に貫通している。このとき、各放熱孔76は、樹脂層80も貫通している。各放熱孔76は、第1周側部73の第1領域A1と、第1周側部73の第2領域A2と、第1周側部73の第3領域A3と、にそれぞれ設けられている。
第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3は、それぞれ第1周側部73の短辺方向に単位長さd1で第1周側部73を区切った仮想的な領域である。すなわち、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3のそれぞれの仮想的な境界線は、第1周側部73の長辺方向に延びる。各領域A1,A2,A3の面積は、互いに等しい。
第1放熱部71の厚さ方向における第1放熱部71との距離が短い順に、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3が配置されている。第1領域A1は、第1周側部73の第1長辺部73aと接続されている。第2領域A2は、第1領域A1と接続されている。第3領域A3は、第2領域A2と接続されている。なお、第3領域A3は、さらに第1周側部73の第2長辺部73bと接続されていてもよい。
以下の説明では、第1領域A1に設けられている放熱孔76を第1放熱孔76aと、第2領域A2に設けられている放熱孔76を第2放熱孔76bと、第3領域A3に設けられている放熱孔76を第3放熱孔76cと、それぞれ称することがある。
第1放熱孔76aの数は、9である。第1放熱孔76aは、第1周側部73の長辺方向に一列に並んでいる。隣接している2つの第1放熱孔76aの間の距離は、d2である。第1放熱孔76aの1つは、第1周側部73の長辺の垂直二等分線H上に配置されている。以下、垂直二等分線H上に配置されている第1放熱孔76aを、第1中央放熱孔76acと称することがある。したがって、第1放熱孔76aは、第1中央放熱孔76acに対して対称となるように配置されている。
第2放熱孔76bの数は、5である。第2放熱孔76bは、第1周側部73の長辺方向に一列に並んでいる。隣接している2つの第2放熱孔76bの間の距離は、d2である。第2放熱孔76bの1つは、垂直二等分線H上に配置されている。以下、垂直二等分線H上に配置されている第2放熱孔76bを、第2中央放熱孔76bcと称することがある。したがって、第2放熱孔76bは、第2中央放熱孔76bcに対して対称となるように配置されている。第2中央放熱孔76bcと第1中央放熱孔76acとの間の距離は、d1である。
第3放熱孔76cの数は、1である。第3放熱孔76cは、垂直二等分線H上に配置されている。第3放熱孔76cと第2中央放熱孔76bcとの間の距離は、d1である。したがって、第1中央放熱孔76ac、第2中央放熱孔76bc、及び第3放熱孔76cは、第1周側部73の短辺方向に距離d1ずつ間隔を空けて設けられている。
各放熱孔76a,76b,76cの数は、それぞれ、9、5、1である。第1放熱孔76a、第2放熱孔76b、第3放熱孔76cの順に第1放熱部71から離れている。したがって、放熱孔76の数は、第1放熱部71から第1放熱部71の厚さ方向に離れるにつれて少なくなる。
単位長さd1あたりの各放熱孔76a,76b,76cの密度は、それぞれ、9/d1,5/d1,1/d1である。放熱孔76の密度とは、放熱孔76の数を第1周側部73の短辺方向における単位長さあたりの放熱孔76の数である。第1放熱孔76a、第2放熱孔76b、第3放熱孔76cの順に第1放熱部71から離れている。したがって、放熱孔76の密度は、第1放熱部71から第1放熱部71の厚さ方向に離れるにつれて小さくなる。
<作用>
以下、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、インバータ装置40が通電されているとき、第1電流i1が第1巻線65に流れ、第2電流i2が第2巻線66に流れる。第1電流i1が第1漏れ磁束Φ1を発生させ、第2電流i2が第2漏れ磁束Φ2を発生させる。第1漏れ磁束Φ1及び第2漏れ磁束Φ2の大きさは、それぞれ第1電流i1及び第2電流i2の大きさに比例する。第1漏れ磁束Φ1及び第2漏れ磁束Φ2が変化すると、導電体70の周囲の磁束密度が変化する。このとき、電磁誘導によって、第1漏れ磁束Φ1の変化に起因する第1誘導起電力V1と、第2漏れ磁束Φ2の変化に起因する第2誘導起電力V2とが、導電体70に印加される。
第1電流i1及び第2電流i2がコモンモード電流である場合、コア60内部に磁束が発生し漏れ磁束Φ1,Φ2はほとんど発生しない。また、第1漏れ磁束Φ1と第2漏れ磁束Φ2とは、導電体70の周方向に対して逆方向の閉磁路を構成するため、第1誘導起電力V1と第2誘導起電力V2とが互いに打ち消し合う。
一方、第1電流i1及び第2電流i2がノーマルモード電流である場合、第1電流i1及び第2電流i2がコア60内の磁束を互いに打ち消し合うため、コモンモード電流が流れる場合に比べて大きな漏れ磁束Φ1,Φ2が発生する。
上述したように、ノイズ低減部44は、コモンモードチョークコイル50と平滑コンデンサ45とによりローパスフィルタ回路を構成している。一方、ノイズ低減部44は、コモンモードチョークコイル50と平滑コンデンサ45とによりLC共振回路を構成している。そのため、ノイズ低減部44は、所定の共振周波数f1の入力によって共振を起こす。ノイズ低減部44の共振は、共振周波数f1の近傍の周波数成分のノイズを増幅してしまうおそれがある。
本実施形態では、導電体70は、漏れ磁束Φ1,Φ2がそれぞれ構成する閉磁路の内部に配置されている。さらに、第1漏れ磁束Φ1及び第2漏れ磁束Φ2の閉磁路は、導電体70の周方向に対して同一方向に周回している。そのため、第1誘導起電力V1と第2誘導起電力V2とが互いに強め合うように発生する。導電体70は環状であるため、導電体70には、第1誘導起電力V1及び第2誘導起電力V2に起因する誘導電流i3が、導電体70の周方向に流れる。
誘導電流i3は、漏れ磁束Φ1,Φ2の変化を打ち消す方向に流れる。このとき、導電体70は、第1巻線65及び第2巻線66と磁気結合したコイルとして機能する。また、誘導電流i3に伴う電力は導電体70の抵抗成分によって熱に変換される。すなわち、導電体70が発熱する。このとき、導電体70は、ノーマルモード電流に対するダンピング抵抗として機能する。
図8に示すように、ノイズ低減部44のインピーダンス角θは、周波数によって変動する。ノイズ低減部44のインピーダンスZ1は、ノイズ低減部44の抵抗成分とリアクタンス成分との合成で表現することができる。言い換えれば、ノイズ低減部44のインピーダンスZ1は、抵抗成分と位相角によるベクトルとして表現することができる。この位相角が、インピーダンス角θである。
インピーダンス角θが極小となる周波数を位相最下点f2とする。ノイズ低減部44の共振周波数f1が位相最下点f2の近傍に含まれている場合、ノイズ低減部44のQ値が下がる。特に、ノイズ低減部44の共振周波数f1が位相最下点f2と一致している場合、ノイズ低減部44のQ値が顕著に下がる。これは、共振回路では、電気抵抗値が大きくなるほどQ値が小さくなるからである。インピーダンスZ1の抵抗成分は、|Z1|cosθで表すことができる。インピーダンス角θが小さいほど、抵抗成分が大きくなる。したがって、位相最下点f2が共振周波数f1に近いほど、ノイズ低減部44のQ値は小さくなる。なお、Q値とは、共振ピークの大きさを表す指標の1つであり、Q値が小さいほど共振ピークを抑制できているといえる。
共振周波数f1は、平滑コンデンサ45の容量とコモンモードチョークコイル50の漏れインダクタンスLに依存する。一方、位相最下点f2は、少なくとも導電体70の電気抵抗値Rに依存する。そのため、大きなダンピング効果を得ようとした場合、導電体70の電気抵抗値Rを調整することにより、位相最下点f2を共振周波数f1に近づける必要がある。導電体70の材料、幅、又は厚さを変更することで導電体70の電気抵抗値Rを変えることが考えられる。しかし、ノイズ低減部44の共振周波数f1は、漏れインダクタンスLや平滑コンデンサ45の容量に応じて変化する。さらに、ノイズ低減部44に入力されるノイズの周波数成分もまた、ノイズ低減部44が適用されるシステムによって変化する。これらの変化に応じて導電体70の材料、幅、及び厚さを逐一設計することは、コモンモードチョークコイル50の設計や製造に要する工数の増大を招くおそれがある。
また、第1放熱部71の貫通孔75の大きさを変更することで、導電体70の電気抵抗値Rを調整することも考えられる。しかし、貫通孔75の大きさは、コモンモードチョークコイル50からハウジング20への放熱性との兼ね合いで、調整することが困難である。
そこで本実施形態では、周側部73,74に放熱孔76を設けることにより、導電体70の電気抵抗値Rの調整が可能となっている。これにより、上述したコモンモードチョークコイル50の設計や製造に要する工数の増大を抑制しつつ、ノイズ低減部44の位相最下点f2を共振周波数f1に近づけることができる。
導電体70は、第1放熱部71と対向部72と第1周側部73と第2周側部74とが導電体70の周方向に直列接続された抵抗とみなすことができる。導電体70全体の電気抵抗値は、第1放熱部71の電気抵抗値R1と、対向部72の電気抵抗値R2と、2つの周側部73,74の電気抵抗値R3との和で表すことができる。第1周側部73は、各領域A1,A2,A3の直列接続体とみなすことができる。そのため、第1周側部73の電気抵抗値R3は、第1領域A1の電気抵抗値R31と、第2領域A2の電気抵抗値R32と、第3領域A3の電気抵抗値R33との和で表すことができる。
各領域A1~A3における誘導電流i3の電流経路は、各領域A1~A3に設けられた放熱孔76の数の増加に伴い狭くなる。そのため、第1領域A1の電気抵抗値R31、第2領域A2の電気抵抗値R32、及び第3領域A3の電気抵抗値R33は、それぞれの領域に含まれる放熱孔76の数の増加に伴い大きくなる。上述したように、第1放熱孔76aの数は9、第2放熱孔76bの数は5、そして第3放熱孔76cの数は1であるため、R31>R32>R33となる。第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3の順に第1放熱部71から離れているため、導電体70における単位長さd1あたりの第1周側部73の電気抵抗値は、第1放熱部71から離れるにつれて小さくなる。
導電体70に誘導電流i3が流れることにより、導電体70から熱が生じる。導電体70から生じた熱は、第1放熱部71から放熱グリス90を介して底壁部21aに放熱される。これにより、導電体70の温度上昇が樹脂層80などの過熱破壊することを抑制している。
一方、導電体70のみならず、コア60、第1巻線65、及び第2巻線66もまた、銅損や鉄損などに起因して発熱する。しかし、導電体70が第1巻線65及び第2巻線66を覆うことにより、第1巻線65及び第2巻線66の放熱性が低下する。
そこで、本実施形態の導電体70の周側部73,74は、それぞれ放熱孔76を備えている。放熱孔76の画定する空間を介して、収容空間Sp2の空気が、放熱孔76を介して外部の空気と交換される。これにより、収容空間Sp2と外部との熱対流が促される。
<効果>
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)コモンモードチョークコイル50は、環状のコア60と、第1巻線65と、第2巻線66と、環状の導電体70と、を備える。第1巻線65は、コア60に巻回される。第2巻線66は、コア60に巻回されるとともに第1巻線65から離れつつ対向している。
そして、導電体70は、コア60と第1巻線65と第2巻線66とを囲うとともにコア60の内側に定義される孔としての内側空間Sp1の少なくとも一部を覆う。導電体70は、第1放熱部71と、第2放熱部としての周側部73,74と、を備える。第1放熱部71は、インバータ収容室S2の内壁としての底壁部21aに対向しつつ熱的に結合されている。周側部73,74には、1又は複数の放熱孔76が穿設され、インバータ収容室S2内の空間に晒される。
これによれば、導電体70によって第1巻線65及び第2巻線66が覆われている場合でも、周側部73,74の表面が収容空間Sp2内に晒されているため、放熱孔76を介して、導電体70の収容空間Sp2の空気が外部の空気と交換される。交換された外部の空気が第1巻線65及び第2巻線66を冷却する。
したがって、コモンモードチョークコイル50の放熱性に優れた電動圧縮機10を提供することができる。
(2)周側部73,74のうち放熱孔76が設けられている箇所は、放熱孔76が設けられていない箇所、例えば対向部72、に比べて単位長さd1あたりの電気抵抗値が大きい。導電体70の発熱量は、電気抵抗値の大きい箇所ほど大きい。そのため、導電体70のうちの放熱孔76が設けられている箇所は、誘導電流i3が流れることによって放熱孔76が設けられていない箇所に比べて発熱量が大きい。
そこで、本実施形態では、第2放熱部としての周側部73,74は、第1放熱部71に連続している。
これによれば、周側部73,74と第1放熱部71との間で熱が伝わる経路が短くなる。したがって、導電体70を効率的に放熱することができる。
(3)放熱孔76は複数穿設されている。そして、導電体70の周方向における単位長さd1あたりの周側部73,74の電気抵抗値は、第1放熱部71から離れるにつれて小さくなる。
誘導電流i3によって導電体70に生じる熱は、導電体70の周方向における単位長さd1あたりの電気抵抗値に比例して大きくなる。そのため、より導電体70のなかでも発熱量が大きい箇所を第1放熱部71に近づけることにより、周側部73,74による発熱を効率的に第1放熱部71に伝えることができる。したがって、導電体70を効率的に放熱することができる。
(4)放熱孔76の数は、第1放熱部71から離れるにつれて少なくなる。
これによれば、周側部73,74に放熱孔76を設けることにより、周側部73,74の断面積は小さくなる。周側部73,74の単位長さあたりの電気抵抗値は、周側部73,74の断面積の減少に伴い増大する。そのため、放熱孔76が設けられている周側部73,74の断面積は、放熱孔76の数の増大に伴い減少する。そのため、周側部73,74のうちの放熱孔76が多い箇所を第1放熱部71に近づけることにより、周側部73,74の発熱を効率的に第1放熱部71に伝えることができる。したがって、より導電体70を効率的に放熱することができる。
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○放熱孔76の密度は、第1放熱部71から離れるにつれて小さくなる必要はなく、任意である。例えば、放熱孔76は、それぞれ周側部73,74に一様に分布していてもよい。
○放熱孔76の数は、第1放熱部71から離れるにつれて少なくなる必要はなく、任意である。例えば、第1放熱孔76aの数、第2放熱孔76bの数、及び第3放熱孔76cの数は、等しくてもよい。
○導電体70の周方向における単位長さd1あたりの周側部73,74の電気抵抗値は、第1放熱部71から離れるにつれて小さくならなくてもよい。例えば、単位長さd1あたりの周側部73,74の電気抵抗値は、第1放熱部71から離れるにつれて大きくなってもよいし、一定であってもよい。
○第2放熱部は、第1放熱部71に隣接していなくてもよい。言い換えれば、放熱孔76は、周側部73,74に設けられていなくてもよい。例えば、放熱孔76は、対向部72に設けられていてもよい。要は、放熱孔76は、導電体70のうち第1放熱部以外の箇所であれば、任意の箇所に設けることができる。
○放熱孔76の数は、複数に限られず、1つであってもよい。
○放熱孔76の形状は、円形に限られない。例えば、放熱孔76の形状は、四角形などの多角形であってもよい。また、各放熱孔76の形状及び大きさは、それぞれ異なっていてもよい。
○放熱孔76は、並びは任意である。例えば、第1放熱孔76a、第2放熱孔76b、及び第3放熱孔76cは、それぞれ第1周側部73の長辺方向に並んでいなくてもよい。
○放熱グリス90に代わり放熱シートを用いてもよい。また、貫通孔75は、設けられなくてもよい。コア60と底壁部21aとの間の熱伝導率が、空気の熱伝導率より高ければよい。
○導電体70は、第1巻線65の全てと第2巻線66の全てとコア60の内側空間Sp1の一部を覆うように配置されていなくてもよい。一例として、導電体70は、第1巻線65と第2巻線66とコア60の内側空間Sp1のそれぞれ少なくとも一部を覆うように配置されていてもよい。要は、導電体70は、第1巻線65と第2巻線66を跨ぎつつコア60を覆うように配置されていればよい。
○導電体70は、銅箔の他にも、アルミ箔、真鍮箔、ステンレス鋼材の箔等で構成されていてもよい。これら非磁性金属は、磁化や、磁気飽和の懸念もなく扱いやすい。なお、銅などの非磁性金属に限らず鉄などの磁性金属でもよい。
○コア60を覆う導電体70は環状であれば膜に限定されない、例えば膜に比べて厚い板状であってもよい。また、導電体70の幅及び厚さは、それぞれ一定でなくてもよい。
○樹脂層80は、ポリイミドの他にも、ポリエステル、PET、PEN、PPS等で構成されていてもよい。
○樹脂層80を省き、代わりに第1巻線65及び第2巻線66の絶縁被膜を厚くして絶縁性を高めても良い。
○樹脂層80を省き、代わりに別部材にて導電体70を第1巻線65及び第2巻線66に触れないよう支持してもよい。例えば、コア60を同形状の樹脂製ケースで覆い、導電体70を第1巻線65及び第2巻線66に触れないように挟持する一対の腕部材を当該ケースから延出形成してもよい。また、樹脂層80と導電体70とが一体となるように一体成型したケース状の部材を第1巻線65及び第2巻線66に被せるように組み付けてもよい。
○ハウジングの一部として金属製のベース部材が、底壁部21aと第1放熱部71との間に介在してもよい。
○導電体70の形状は、四角筒状に限られず、三角筒状や円筒形状であってもよい。要は、導電体70の形状は、誘導電流i3の電流経路が形成されていれば任意の環状を採用することができる。
○圧縮部31が圧縮する流体は、冷媒に限られず任意である。
○電動圧縮機10は、車載用のものに限られず、任意の用途に用いることができる。
10…電動圧縮機、20…ハウジング、21a…底壁部、31…圧縮部、32…電動モータ、40…インバータ装置、42…インバータ回路、50…コモンモードチョークコイル、60…コア、65…第1巻線、66…第2巻線、70…導電体、71…第1放熱部、73,74…第2放熱部としての周側部、76…放熱孔、d1…単位長さ、S2…インバータ収容室、Sp1…内側空間。

Claims (3)

  1. 流体を圧縮する圧縮部と、
    前記圧縮部を駆動する電動モータと、
    前記電動モータを駆動するインバータ装置と、
    前記インバータ装置を収容するインバータ収容室を有する金属製のハウジングと、を備え、
    前記インバータ装置は、
    直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、
    前記インバータ回路の入力側に設けられるとともに前記直流電力に含まれる伝導ノイズを低減させるコモンモードチョークコイルと、を備え、
    前記コモンモードチョークコイルは、
    環状のコアと、
    前記コアに巻回される第1巻線と、
    前記コアに巻回されるとともに前記第1巻線から離れつつ前記第1巻線と対向する第2巻線と、
    前記コアと前記第1巻線と前記第2巻線とを囲うとともに前記コアの内側に定義される孔の少なくとも一部を覆う環状の導電体と、を備え、
    前記導電体は、
    前記インバータ収容室の内壁に対向しつつ熱的に結合されている第1放熱部と、
    1又は複数の放熱孔が穿設され、前記インバータ収容室内の空間に晒される第2放熱部と、を備える、電動圧縮機。
  2. 前記放熱孔は複数穿設されており、前記導電体の周方向における単位長さあたりの前記第2放熱部の電気抵抗値は、前記第1放熱部から離れるにつれて小さくなる、請求項1に記載の電動圧縮機。
  3. 前記放熱孔の数は、前記第1放熱部から離れるにつれて少なくなる、請求項2に記載の電動圧縮機。
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