JP2022154968A - 吸音建材 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くする。【解決手段】一方の表面に有底のピン穴Pが多数形成されたロックウールからなる板状基材10と、板状基材10の一方の表面側に設けられた表面塗膜層20とを備え、表面塗膜層20には、粒状の骨材が含有されている。【選択図】図1

Description

本発明は、吸音建材に関するものである。
板状の吸音建材の表面には、吸音性能を向上させるために、トラバーチンのような多数のピン穴が形成されている。ここで、近年、天井等に用いる吸音建材では、トラバーチンのようなピン穴の目立つ表面形状でなく、ピン穴の目立たない表面形状が要望されている。
例えば、特許文献1には、ロックウールからなる基材の表面に多数の有底状ピン穴が一定のピッチで形成され、その基材の表面に不織布からなるシートが積層され、そのシートの表面に通気性塗料の塗装によって塗膜が形成された吸音建材が開示されている。
特許第6228571号公報
ところで、上記特許文献1に開示された吸音建材では、基材の表面に不織布を貼り付けることにより、吸音性を維持して、ピン穴の目立たない平滑な表面形状が得られるものの、不織布の貼り付け等により、製造コストが増大してしまうので、改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る吸音建材は、一方の表面に有底のピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材と、上記板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層とを備え、上記表面塗膜層には、粒状の骨材が含有されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、ピン穴が多数形成された板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層に粒状の骨材が含有されているので、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する表面形状の影により、ピン穴を目立ち難くすることができる。ここで、表面塗膜層の表面を真正面から見ると、板状基材の一方の表面に形成された各ピン穴を視認することができるものの、表面塗膜層の表面を真正面以外の斜めから見ると、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する表面形状の影により、各ピン穴を視認することが難しくなる。また、表面塗膜層は、例えば、粒状の骨材を含有する表面塗料の塗装によって形成されるので、例えば、上記特許文献1のような不織布を貼り付ける工程が不要であるため、製造コストを抑制することができる。これにより、吸音建材において、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができる。
上記板状基材及び上記表面塗膜層の間には、プライマー層が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、板状基材及び表面塗膜層の間にプライマー層が設けられているので、板状基材の一方の表面をならして、そのならされた一方の表面に表面塗膜層を形成することができる。
上記ピン穴は、上記表面塗膜層を介して開口していてもよい。
上記の構成によれば、ピン穴が表面塗膜層を介して開口しているので、一方の表面にピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材の吸音性能を維持することができる。
上記表面塗膜層の表面には、上記骨材に起因する粒状の微小突起が形成されていてもよい。
上記の構成によれば、表面塗膜層の表面に骨材に起因する粒状の微小突起が形成されているので、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する粒状の微小突起の影により、ピン穴を目立ち難くすることができる。
上記骨材は、軽量骨材により形成されていてもよい。
上記の構成によれば、骨材が軽量骨材により粒状に形成されているので、表面塗膜層となる表面塗料の分散性及び沈降安定性を良好にすることができる。
上記軽量骨材は、パーライトにより形成されていてもよい。
上記の構成によれば、不定形な形状の集合体で多孔質なパーライトにより軽量骨材が形成されているので、一般的な軽量骨材を用いて、表面塗膜層20を構成することができ、さらに、骨材(軽量骨材)同士が絡み合ったり、骨材(軽量骨材)とロックウール繊維とが絡み合ったりすることにより、ピン穴をいっそう目立ち難くすることができると共に、吸音効果を向上させることができる。
本発明によれば、ロックウールからなる板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層に粒状の骨材が含有されているので、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成する前の表面の顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成した後の表面の顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成する前の表面の3次元形状データである。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成した後の表面の3次元形状データである。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の周波数と吸音率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1~図6は、本発明に係る吸音建材の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の吸音建材30の断面図である。また、図2は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成する前の表面の顕微鏡写真である。また、図3は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成した後の表面の顕微鏡写真である。また、図4は、吸音建材30の表面塗膜層を形成する前の表面の3次元形状データである。また、図5は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成した後の表面の3次元形状データである。また、図6は、吸音建材30の周波数と吸音率との関係を示すグラフである。
吸音建材30は、図1に示すように、板状基材10と、板状基材10の図中上側の表層に設けられたプライマー層15と、プライマー層15上に設けられた表面塗膜層20とを備えている。
板状基材10は、例えば、厚さ3mm~20mm程度で比重0.19~0.50程度のロックウール板により構成されている。また、板状基材10の一方の表面には、図1に示すように、有底のピン穴Pが多数形成されている。ここで、ピン穴Pは、直径が0.3mm~1.5mm程度であり、深さが1.0mm~5.0mm程度である。また、ピン穴Pは、表面塗膜層20を介して開口して、吸音建材30の外空間と連通するように設けられている(図3参照)。
プライマー層15は、板状基材10及び表面塗膜層20の間に厚さ0.1mm程度に設けられ、板状基材10の一方の表面をならして、表面塗膜層20が均一に形成されるように構成されている。また、プライマー層15は、板状基材10の一方の表面にプライマー塗料を塗装して乾燥することにより形成される。ここで、プライマー塗料は、例えば、5質量%程度のエマルジョン樹脂(アクリル、酢酸ビニル等)と、95質量%程度の無機系充填剤(炭酸カルシウム等)とを含んでいる。
表面塗膜層20は、板状基材10の一方の表面側(図1中の上側)に厚さ0.1mm~0.2mm程度に設けられ、その表面に後述する軽量骨材に起因する高さ0.5mm程度の粒状の微小突起が形成されている(図5参照)。また、表面塗膜層20は、プライマー層15が形成された板状基材10の一方の表面に表面塗料を塗装して乾燥することにより形成される。ここで、表面塗料は、例えば、9質量%程度のエマルジョン樹脂(アクリル、酢酸ビニル等)と、10~30質量%程度の軽量骨材(パーライト等)とを含んでいる。なお、軽量骨材は、標準篩を用いて、その粒径が測定され、例えば、50μm~500μmの粒径のものが望ましい。
上記構成の吸音建材30は、例えば、建築物の天井部に吸音天井材として施工される。なお、本実施形態では、吸音天井材として施工される吸音建材30を例示したが、吸音建材30は、建築物の壁部に吸音壁材として施工されてもよく、建築物の天井部や壁部以外の部分に施工されてもよい。
次に、本実施形態の吸音建材30の製造方法について説明する。なお、本実施形態の吸音建材30の製造方法は、ピン穴形成工程、プライマー層形成工程及び表面塗膜層形成工程を備える。
<ピン穴形成工程>
例えば、搬送ローラの上に載置されて搬送されるロックウール板の一方の表面に、周面に多数のピンが設けられた加工ロールを押し付けることにより、一方の表面に多数のピン穴Pを開けた板状基材10を形成する。
<プライマー層形成工程>
上記ピン穴形成工程を経て搬送される板状基材10の一方の表面に、スプレー装置を用いて、プライマー塗料を90g/m~110g/m程度(固形分)で塗装した後に、170℃~210℃程度で乾燥することにより、板状基材10の表層にプライマー層15を形成する。
<表面塗膜層形成工程>
上記ピン穴形成工程を経て搬送される板状基材10の一方の表面に、スプレー装置を用いて、表面塗料を100g/m~250g/m程度(固形分)で塗装した後に、150℃~210℃程度で乾燥することにより、プライマー層15上に表面塗膜層20を形成する。
以上のようにして、本実施形態の吸音建材30を製造することができる。
次に、本実施形態の吸音建材30について具体的に行った実験について説明する。
板状基材10として、大建工業(株)製の商品名「ダイロートン」(厚さ12mm)を用い、プライマー層15を構成するプライマー塗料として、エマルジョン樹脂を5質量%と、無機質系充填剤を95質量%とを含む塗料(塗布量101g/m(固形分))を用い、表面塗膜層20を構成する表面塗料として、パーライトを18質量%と、エマルジョン樹脂を9質量%とを含む塗料(塗布量117g/m(固形分)を用い、実施例の吸音建材30の試験体を試作した。なお、上記プライマー塗料及び表面塗料を塗布しないものを比較例とした。
まず、実施例及び比較例の試験体の表面を顕微鏡で観察した。ここで、図2及び図3の顕微鏡写真を比較すれば分かるように、表面塗料を塗布する前の板状基材10では、図2に示すように、長軸が0.82mm程度、短軸が1.01mm程度のピン穴Pが確認され、表面塗料を塗布した後の板状基材10では、図3に示すように、ピン穴Pに表面塗膜層20が若干被るものの、ピン穴Pの開口が維持されることが確認された。なお、図2及び図3の顕微鏡写真は、光学顕微鏡を用いて、100倍で試験体の表面を撮影したものである。
また、図4及び図5を比較すれば分かるように、表面塗料を塗布する前の板状基材10では、図4に示すように、ピン穴Pの周囲の表面が0.1mm程度の凹凸状になっていることが確認され、表面塗料を塗布した後の板状基材10では、図5に示すように、ピン穴Pの周囲の表面が0.5mm程度の凹凸状になっていることが確認された。なお、図4及び図5の3次元形状データは、マイクロスコープを用いて、38倍で試験体の表面を撮影し、3D解析したものである。
さらに、実施例及び比較例の試験体に対し吸音率を測定した。ここで、吸音率は、JIS A 1409に準拠して、残響室内に試験体を設置しない状態(1)及び試験体のセットを水平に設置した状態(2)の2つの状態における残響時間をそれぞれ測定して、それらの残響時間の差から残響室法吸音率を算出したものである。
吸音率の実験結果としては、図7のグラフに示すように、実施例を示す線Aは、比較例の線Bに比べて、800Hz以上の周波数で吸音率が低くなるものの、NRC(Noise Reduction Coefficient)が0.47であるので、板状基材10の表面に表面塗膜層20を設けても、実用上問題のないレベルの吸音率(NRC0.40程度)を確保することができるということが確認された。
以上説明したように、本実施形態の吸音建材30によれば、ピン穴Pが多数形成された板状基材10の一方の表面側に設けられた表面塗膜層20に粒状の骨材が含有されているので、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する表面形状の影により、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。ここで、表面塗膜層20の表面を真正面から見ると、板状基材10の一方の表面に形成された各ピン穴Pを視認することができるものの、表面塗膜層20の表面を真正面以外の斜めから見ると、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する表面形状の影により、各ピン穴Pを視認することが難しくなる。また、表面塗膜層20は、例えば、粒状の骨材を含有する表面塗料の塗装によって形成されるので、上記特許文献1のような不織布を貼り付ける工程が不要であるため、製造コストを抑制することができる。これにより、吸音建材30において、製造コストを抑制して、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、板状基材10及び表面塗膜層20の間にプライマー層15が設けられているので、板状基材10の一方の表面をならして、そのならされた一方の表面に表面塗膜層20を形成することができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、ピン穴Pが表面塗膜層20を介して開口しているので、一方の表面にピン穴Pが多数形成されたロックウールからなる板状基材10の吸音性能を維持することができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、表面塗膜層20の表面に骨材に起因する粒状の微小突起が形成されているので、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する粒状の微小突起の影により、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、骨材が軽量骨材により粒状に形成されているので、表面塗膜層20となる表面塗料の分散性及び沈降安定性を良好にすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、不定形な形状の集合体で多孔質なパーライトにより軽量骨材が形成されているので、一般的な軽量骨材を用いて、表面塗膜層20を構成することができ、さらに、軽量骨材同士が絡み合ったり、軽量骨材とロックウール繊維とが絡み合ったりすることにより、ピン穴をいっそう目立ち難くすることができると共に、吸音効果を向上させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、ロックウールからなる板状基材を備えた吸音建材を例示したが、本発明は、ガラスウールのようなロックウール以外の鉱物質繊維からなる板状基材を備えた吸音建材等にも適用することができる。
上記実施形態では、骨材(軽量骨材)としてパーライトが含有された表面塗膜層を備えた吸音建材を例示したが、本発明は、ゼオライト、シラスバルーン、ひる石、カラーサンド、樹脂ビーズ、木粉等の粒状の骨材が含有された表面塗膜層を備えた吸音建材にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、吸音建材において、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができるので、極めて有用である。
P ピン穴
10 板状基材
15 プライマー層
20 表面塗膜層
30 吸音建材
本発明は、吸音建材に関するものである。
板状の吸音建材の表面には、吸音性能を向上させるために、トラバーチンのような多数のピン穴が形成されている。ここで、近年、天井等に用いる吸音建材では、トラバーチンのようなピン穴の目立つ表面形状でなく、ピン穴の目立たない表面形状が要望されている。
例えば、特許文献1には、ロックウールからなる基材の表面に多数の有底状ピン穴が一定のピッチで形成され、その基材の表面に不織布からなるシートが積層され、そのシートの表面に通気性塗料の塗装によって塗膜が形成された吸音建材が開示されている。
特許第6228571号公報
ところで、上記特許文献1に開示された吸音建材では、基材の表面に不織布を貼り付けることにより、吸音性を維持して、ピン穴の目立たない平滑な表面形状が得られるものの、不織布の貼り付け等により、製造コストが増大してしまうので、改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る吸音建材は、一方の表面に有底のピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材と、上記板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層とを備え、上記ピン穴の直径は、0.3mm~1.5mmであり、上記表面塗膜層には、粒状の骨材として、50μm~500μmの粒径を有するパーライトが含有されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、ピン穴が多数形成された板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層に粒状の骨材が含有されているので、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する表面形状の影により、ピン穴を目立ち難くすることができる。ここで、表面塗膜層の表面を真正面から見ると、板状基材の一方の表面に形成された各ピン穴を視認することができるものの、表面塗膜層の表面を真正面以外の斜めから見ると、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する表面形状の影により、各ピン穴を視認することが難しくなる。また、表面塗膜層は、例えば、粒状の骨材を含有する表面塗料の塗装によって形成されるので、例えば、上記特許文献1のような不織布を貼り付ける工程が不要であるため、製造コストを抑制することができる。これにより、吸音建材において、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができる。
また、上記の構成によれば、骨材がパーライトにより粒状に形成されているので、表面塗膜層となる表面塗料の分散性及び沈降安定性を良好にすることができる。
また、上記の構成によれば、不定形な形状の集合体で多孔質なパーライトにより骨材が形成されているので、一般的な骨材(軽量骨材)を用いて、表面塗膜層を構成することができ、さらに、骨材(軽量骨材)同士が絡み合ったり、骨材(軽量骨材)とロックウール繊維とが絡み合ったりすることにより、ピン穴をいっそう目立ち難くすることができると共に、吸音効果を向上させることができる。
上記板状基材及び上記表面塗膜層の間には、プライマー層が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、板状基材及び表面塗膜層の間にプライマー層が設けられているので、板状基材の一方の表面をならして、そのならされた一方の表面に表面塗膜層を形成することができる。
上記ピン穴は、上記表面塗膜層を介して開口していてもよい。
上記の構成によれば、ピン穴が表面塗膜層を介して開口しているので、一方の表面にピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材の吸音性能を維持することができる。
上記表面塗膜層の表面には、上記骨材に起因する粒状の微小突起が形成されていてもよい。
上記の構成によれば、表面塗膜層の表面に骨材に起因する粒状の微小突起が形成されているので、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する粒状の微小突起の影により、ピン穴を目立ち難くすることができる
本発明によれば、ロックウールからなる板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層に粒状の骨材が含有されているので、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成する前の表面の顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成した後の表面の顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成する前の表面の3次元形状データである。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成した後の表面の3次元形状データである。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の周波数と吸音率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1~図6は、本発明に係る吸音建材の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の吸音建材30の断面図である。また、図2は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成する前の表面の顕微鏡写真である。また、図3は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成した後の表面の顕微鏡写真である。また、図4は、吸音建材30の表面塗膜層を形成する前の表面の3次元形状データである。また、図5は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成した後の表面の3次元形状データである。また、図6は、吸音建材30の周波数と吸音率との関係を示すグラフである。
吸音建材30は、図1に示すように、板状基材10と、板状基材10の図中上側の表層に設けられたプライマー層15と、プライマー層15上に設けられた表面塗膜層20とを備えている。
板状基材10は、例えば、厚さ3mm~20mm程度で比重0.19~0.50程度のロックウール板により構成されている。また、板状基材10の一方の表面には、図1に示すように、有底のピン穴Pが多数形成されている。ここで、ピン穴Pは、直径が0.3mm~1.5mm程度であり、深さが1.0mm~5.0mm程度である。また、ピン穴Pは、表面塗膜層20を介して開口して、吸音建材30の外空間と連通するように設けられている(図3参照)。
プライマー層15は、板状基材10及び表面塗膜層20の間に厚さ0.1mm程度に設けられ、板状基材10の一方の表面をならして、表面塗膜層20が均一に形成されるように構成されている。また、プライマー層15は、板状基材10の一方の表面にプライマー塗料を塗装して乾燥することにより形成される。ここで、プライマー塗料は、例えば、5質量%程度のエマルジョン樹脂(アクリル、酢酸ビニル等)と、95質量%程度の無機系充填剤(炭酸カルシウム等)とを含んでいる。
表面塗膜層20は、板状基材10の一方の表面側(図1中の上側)に厚さ0.1mm~0.2mm程度に設けられ、その表面に後述する軽量骨材に起因する高さ0.5mm程度の粒状の微小突起が形成されている(図5参照)。また、表面塗膜層20は、プライマー層15が形成された板状基材10の一方の表面に表面塗料を塗装して乾燥することにより形成される。ここで、表面塗料は、例えば、9質量%程度のエマルジョン樹脂(アクリル、酢酸ビニル等)と、10~30質量%程度の軽量骨材(パーライト等)とを含んでいる。なお、軽量骨材は、標準篩を用いて、その粒径が測定され、例えば、50μm~500μmの粒径のものが望ましい。
上記構成の吸音建材30は、例えば、建築物の天井部に吸音天井材として施工される。なお、本実施形態では、吸音天井材として施工される吸音建材30を例示したが、吸音建材30は、建築物の壁部に吸音壁材として施工されてもよく、建築物の天井部や壁部以外の部分に施工されてもよい。
次に、本実施形態の吸音建材30の製造方法について説明する。なお、本実施形態の吸音建材30の製造方法は、ピン穴形成工程、プライマー層形成工程及び表面塗膜層形成工程を備える。
<ピン穴形成工程>
例えば、搬送ローラの上に載置されて搬送されるロックウール板の一方の表面に、周面に多数のピンが設けられた加工ロールを押し付けることにより、一方の表面に多数のピン穴Pを開けた板状基材10を形成する。
<プライマー層形成工程>
上記ピン穴形成工程を経て搬送される板状基材10の一方の表面に、スプレー装置を用いて、プライマー塗料を90g/m~110g/m程度(固形分)で塗装した後に、170℃~210℃程度で乾燥することにより、板状基材10の表層にプライマー層15を形成する。
<表面塗膜層形成工程>
上記ピン穴形成工程を経て搬送される板状基材10の一方の表面に、スプレー装置を用いて、表面塗料を100g/m~250g/m程度(固形分)で塗装した後に、150℃~210℃程度で乾燥することにより、プライマー層15上に表面塗膜層20を形成する。
以上のようにして、本実施形態の吸音建材30を製造することができる。
次に、本実施形態の吸音建材30について具体的に行った実験について説明する。
板状基材10として、大建工業(株)製の商品名「ダイロートン」(厚さ12mm)を用い、プライマー層15を構成するプライマー塗料として、エマルジョン樹脂を5質量%と、無機質系充填剤を95質量%とを含む塗料(塗布量101g/m(固形分))を用い、表面塗膜層20を構成する表面塗料として、パーライトを18質量%と、エマルジョン樹脂を9質量%とを含む塗料(塗布量117g/m(固形分)を用い、実施例の吸音建材30の試験体を試作した。なお、上記プライマー塗料及び表面塗料を塗布しないものを比較例とした。
まず、実施例及び比較例の試験体の表面を顕微鏡で観察した。ここで、図2及び図3の顕微鏡写真を比較すれば分かるように、表面塗料を塗布する前の板状基材10では、図2に示すように、長軸が0.82mm程度、短軸が1.01mm程度のピン穴Pが確認され、表面塗料を塗布した後の板状基材10では、図3に示すように、ピン穴Pに表面塗膜層20が若干被るものの、ピン穴Pの開口が維持されることが確認された。なお、図2及び図3の顕微鏡写真は、光学顕微鏡を用いて、100倍で試験体の表面を撮影したものである。
また、図4及び図5を比較すれば分かるように、表面塗料を塗布する前の板状基材10では、図4に示すように、ピン穴Pの周囲の表面が0.1mm程度の凹凸状になっていることが確認され、表面塗料を塗布した後の板状基材10では、図5に示すように、ピン穴Pの周囲の表面が0.5mm程度の凹凸状になっていることが確認された。なお、図4及び図5の3次元形状データは、マイクロスコープを用いて、38倍で試験体の表面を撮影し、3D解析したものである。
さらに、実施例及び比較例の試験体に対し吸音率を測定した。ここで、吸音率は、JIS A 1409に準拠して、残響室内に試験体を設置しない状態(1)及び試験体のセットを水平に設置した状態(2)の2つの状態における残響時間をそれぞれ測定して、それらの残響時間の差から残響室法吸音率を算出したものである。
吸音率の実験結果としては、図7のグラフに示すように、実施例を示す線Aは、比較例の線Bに比べて、800Hz以上の周波数で吸音率が低くなるものの、NRC(Noise Reduction Coefficient)が0.47であるので、板状基材10の表面に表面塗膜層20を設けても、実用上問題のないレベルの吸音率(NRC0.40程度)を確保することができるということが確認された。
以上説明したように、本実施形態の吸音建材30によれば、ピン穴Pが多数形成された板状基材10の一方の表面側に設けられた表面塗膜層20に粒状の骨材が含有されているので、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する表面形状の影により、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。ここで、表面塗膜層20の表面を真正面から見ると、板状基材10の一方の表面に形成された各ピン穴Pを視認することができるものの、表面塗膜層20の表面を真正面以外の斜めから見ると、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する表面形状の影により、各ピン穴Pを視認することが難しくなる。また、表面塗膜層20は、例えば、粒状の骨材を含有する表面塗料の塗装によって形成されるので、上記特許文献1のような不織布を貼り付ける工程が不要であるため、製造コストを抑制することができる。これにより、吸音建材30において、製造コストを抑制して、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、板状基材10及び表面塗膜層20の間にプライマー層15が設けられているので、板状基材10の一方の表面をならして、そのならされた一方の表面に表面塗膜層20を形成することができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、ピン穴Pが表面塗膜層20を介して開口しているので、一方の表面にピン穴Pが多数形成されたロックウールからなる板状基材10の吸音性能を維持することができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、表面塗膜層20の表面に骨材に起因する粒状の微小突起が形成されているので、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する粒状の微小突起の影により、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、骨材が軽量骨材により粒状に形成されているので、表面塗膜層20となる表面塗料の分散性及び沈降安定性を良好にすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、不定形な形状の集合体で多孔質なパーライトにより軽量骨材が形成されているので、一般的な軽量骨材を用いて、表面塗膜層20を構成することができ、さらに、軽量骨材同士が絡み合ったり、軽量骨材とロックウール繊維とが絡み合ったりすることにより、ピン穴をいっそう目立ち難くすることができると共に、吸音効果を向上させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、ロックウールからなる板状基材を備えた吸音建材を例示したが、本発明は、ガラスウールのようなロックウール以外の鉱物質繊維からなる板状基材を備えた吸音建材等にも適用することができる。
上記実施形態では、骨材(軽量骨材)としてパーライトが含有された表面塗膜層を備えた吸音建材を例示したが、本発明は、ゼオライト、シラスバルーン、ひる石、カラーサンド、樹脂ビーズ、木粉等の粒状の骨材が含有された表面塗膜層を備えた吸音建材にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、吸音建材において、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができるので、極めて有用である。
P ピン穴
10 板状基材
15 プライマー層
20 表面塗膜層
30 吸音建材
本発明は、吸音建材に関するものである。
板状の吸音建材の表面には、吸音性能を向上させるために、トラバーチンのような多数のピン穴が形成されている。ここで、近年、天井等に用いる吸音建材では、トラバーチンのようなピン穴の目立つ表面形状でなく、ピン穴の目立たない表面形状が要望されている。
例えば、特許文献1には、ロックウールからなる基材の表面に多数の有底状ピン穴が一定のピッチで形成され、その基材の表面に不織布からなるシートが積層され、そのシートの表面に通気性塗料の塗装によって塗膜が形成された吸音建材が開示されている。
特許第6228571号公報
ところで、上記特許文献1に開示された吸音建材では、基材の表面に不織布を貼り付けることにより、吸音性を維持して、ピン穴の目立たない平滑な表面形状が得られるものの、不織布の貼り付け等により、製造コストが増大してしまうので、改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る吸音建材は、一方の表面に有底のピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材と、上記板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層とを備え、上記ピン穴の直径は、0.3mm~1.5mmであり、上記表面塗膜層には、粒状の骨材として、50μm~500μmの粒径を有するパーライトが含有されており、上記ピン穴の周囲の表面が上記パーライトに起因する高さ0.5mm程度の微小突起により凹凸状になっていることを特徴とする。
上記の構成によれば、ピン穴が多数形成された板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層に粒状の骨材が含有されているので、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する表面形状の影により、ピン穴を目立ち難くすることができる。ここで、表面塗膜層の表面を真正面から見ると、板状基材の一方の表面に形成された各ピン穴を視認することができるものの、表面塗膜層の表面を真正面以外の斜めから見ると、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する表面形状の影により、各ピン穴を視認することが難しくなる。また、表面塗膜層は、例えば、粒状の骨材を含有する表面塗料の塗装によって形成されるので、例えば、上記特許文献1のような不織布を貼り付ける工程が不要であるため、製造コストを抑制することができる。これにより、吸音建材において、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができる。
また、上記の構成によれば、骨材がパーライトにより粒状に形成されているので、表面塗膜層となる表面塗料の分散性及び沈降安定性を良好にすることができる。
また、上記の構成によれば、不定形な形状の集合体で多孔質なパーライトにより骨材が形成されているので、一般的な骨材(軽量骨材)を用いて、表面塗膜層を構成することができ、さらに、骨材(軽量骨材)同士が絡み合ったり、骨材(軽量骨材)とロックウール繊維とが絡み合ったりすることにより、ピン穴をいっそう目立ち難くすることができると共に、吸音効果を向上させることができる。
また、上記の構成によれば、表面塗膜層の表面に骨材に起因する粒状の微小突起が形成されているので、各ピン穴の周囲における表面塗膜層の骨材に起因する粒状の微小突起の影により、ピン穴を目立ち難くすることができる。
上記板状基材及び上記表面塗膜層の間には、プライマー層が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、板状基材及び表面塗膜層の間にプライマー層が設けられているので、板状基材の一方の表面をならして、そのならされた一方の表面に表面塗膜層を形成することができる。
上記ピン穴は、上記表面塗膜層を介して開口していてもよい。
上記の構成によれば、ピン穴が表面塗膜層を介して開口しているので、一方の表面にピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材の吸音性能を維持することができる
本発明によれば、ロックウールからなる板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層に粒状の骨材が含有されているので、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成する前の表面の顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成した後の表面の顕微鏡写真である。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成する前の表面の3次元形状データである。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の表面塗膜層を形成した後の表面の3次元形状データである。 本発明の第1の実施形態に係る吸音建材の周波数と吸音率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1~図6は、本発明に係る吸音建材の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の吸音建材30の断面図である。また、図2は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成する前の表面の顕微鏡写真である。また、図3は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成した後の表面の顕微鏡写真である。また、図4は、吸音建材30の表面塗膜層を形成する前の表面の3次元形状データである。また、図5は、吸音建材30の表面塗膜層20を形成した後の表面の3次元形状データである。また、図6は、吸音建材30の周波数と吸音率との関係を示すグラフである。
吸音建材30は、図1に示すように、板状基材10と、板状基材10の図中上側の表層に設けられたプライマー層15と、プライマー層15上に設けられた表面塗膜層20とを備えている。
板状基材10は、例えば、厚さ3mm~20mm程度で比重0.19~0.50程度のロックウール板により構成されている。また、板状基材10の一方の表面には、図1に示すように、有底のピン穴Pが多数形成されている。ここで、ピン穴Pは、直径が0.3mm~1.5mm程度であり、深さが1.0mm~5.0mm程度である。また、ピン穴Pは、表面塗膜層20を介して開口して、吸音建材30の外空間と連通するように設けられている(図3参照)。
プライマー層15は、板状基材10及び表面塗膜層20の間に厚さ0.1mm程度に設けられ、板状基材10の一方の表面をならして、表面塗膜層20が均一に形成されるように構成されている。また、プライマー層15は、板状基材10の一方の表面にプライマー塗料を塗装して乾燥することにより形成される。ここで、プライマー塗料は、例えば、5質量%程度のエマルジョン樹脂(アクリル、酢酸ビニル等)と、95質量%程度の無機系充填剤(炭酸カルシウム等)とを含んでいる。
表面塗膜層20は、板状基材10の一方の表面側(図1中の上側)に厚さ0.1mm~0.2mm程度に設けられ、その表面に後述する軽量骨材に起因する高さ0.5mm程度の粒状の微小突起が形成されている(図5参照)。また、表面塗膜層20は、プライマー層15が形成された板状基材10の一方の表面に表面塗料を塗装して乾燥することにより形成される。ここで、表面塗料は、例えば、9質量%程度のエマルジョン樹脂(アクリル、酢酸ビニル等)と、10~30質量%程度の軽量骨材(パーライト等)とを含んでいる。なお、軽量骨材は、標準篩を用いて、その粒径が測定され、例えば、50μm~500μmの粒径のものが望ましい。
上記構成の吸音建材30は、例えば、建築物の天井部に吸音天井材として施工される。なお、本実施形態では、吸音天井材として施工される吸音建材30を例示したが、吸音建材30は、建築物の壁部に吸音壁材として施工されてもよく、建築物の天井部や壁部以外の部分に施工されてもよい。
次に、本実施形態の吸音建材30の製造方法について説明する。なお、本実施形態の吸音建材30の製造方法は、ピン穴形成工程、プライマー層形成工程及び表面塗膜層形成工程を備える。
<ピン穴形成工程>
例えば、搬送ローラの上に載置されて搬送されるロックウール板の一方の表面に、周面に多数のピンが設けられた加工ロールを押し付けることにより、一方の表面に多数のピン穴Pを開けた板状基材10を形成する。
<プライマー層形成工程>
上記ピン穴形成工程を経て搬送される板状基材10の一方の表面に、スプレー装置を用いて、プライマー塗料を90g/m~110g/m程度(固形分)で塗装した後に、170℃~210℃程度で乾燥することにより、板状基材10の表層にプライマー層15を形成する。
<表面塗膜層形成工程>
上記ピン穴形成工程を経て搬送される板状基材10の一方の表面に、スプレー装置を用いて、表面塗料を100g/m~250g/m程度(固形分)で塗装した後に、150℃~210℃程度で乾燥することにより、プライマー層15上に表面塗膜層20を形成する。
以上のようにして、本実施形態の吸音建材30を製造することができる。
次に、本実施形態の吸音建材30について具体的に行った実験について説明する。
板状基材10として、大建工業(株)製の商品名「ダイロートン」(厚さ12mm)を用い、プライマー層15を構成するプライマー塗料として、エマルジョン樹脂を5質量%と、無機質系充填剤を95質量%とを含む塗料(塗布量101g/m(固形分))を用い、表面塗膜層20を構成する表面塗料として、パーライトを18質量%と、エマルジョン樹脂を9質量%とを含む塗料(塗布量117g/m(固形分)を用い、実施例の吸音建材30の試験体を試作した。なお、上記プライマー塗料及び表面塗料を塗布しないものを比較例とした。
まず、実施例及び比較例の試験体の表面を顕微鏡で観察した。ここで、図2及び図3の顕微鏡写真を比較すれば分かるように、表面塗料を塗布する前の板状基材10では、図2に示すように、長軸が0.82mm程度、短軸が1.01mm程度のピン穴Pが確認され、表面塗料を塗布した後の板状基材10では、図3に示すように、ピン穴Pに表面塗膜層20が若干被るものの、ピン穴Pの開口が維持されることが確認された。なお、図2及び図3の顕微鏡写真は、光学顕微鏡を用いて、100倍で試験体の表面を撮影したものである。
また、図4及び図5を比較すれば分かるように、表面塗料を塗布する前の板状基材10では、図4に示すように、ピン穴Pの周囲の表面が0.1mm程度の凹凸状になっていることが確認され、表面塗料を塗布した後の板状基材10では、図5に示すように、ピン穴Pの周囲の表面が0.5mm程度の凹凸状になっていることが確認された。なお、図4及び図5の3次元形状データは、マイクロスコープを用いて、38倍で試験体の表面を撮影し、3D解析したものである。
さらに、実施例及び比較例の試験体に対し吸音率を測定した。ここで、吸音率は、JIS A 1409に準拠して、残響室内に試験体を設置しない状態(1)及び試験体のセットを水平に設置した状態(2)の2つの状態における残響時間をそれぞれ測定して、それらの残響時間の差から残響室法吸音率を算出したものである。
吸音率の実験結果としては、図7のグラフに示すように、実施例を示す線Aは、比較例の線Bに比べて、800Hz以上の周波数で吸音率が低くなるものの、NRC(Noise Reduction Coefficient)が0.47であるので、板状基材10の表面に表面塗膜層20を設けても、実用上問題のないレベルの吸音率(NRC0.40程度)を確保することができるということが確認された。
以上説明したように、本実施形態の吸音建材30によれば、ピン穴Pが多数形成された板状基材10の一方の表面側に設けられた表面塗膜層20に粒状の骨材が含有されているので、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する表面形状の影により、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。ここで、表面塗膜層20の表面を真正面から見ると、板状基材10の一方の表面に形成された各ピン穴Pを視認することができるものの、表面塗膜層20の表面を真正面以外の斜めから見ると、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する表面形状の影により、各ピン穴Pを視認することが難しくなる。また、表面塗膜層20は、例えば、粒状の骨材を含有する表面塗料の塗装によって形成されるので、上記特許文献1のような不織布を貼り付ける工程が不要であるため、製造コストを抑制することができる。これにより、吸音建材30において、製造コストを抑制して、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、板状基材10及び表面塗膜層20の間にプライマー層15が設けられているので、板状基材10の一方の表面をならして、そのならされた一方の表面に表面塗膜層20を形成することができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、ピン穴Pが表面塗膜層20を介して開口しているので、一方の表面にピン穴Pが多数形成されたロックウールからなる板状基材10の吸音性能を維持することができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、表面塗膜層20の表面に骨材に起因する粒状の微小突起が形成されているので、各ピン穴Pの周囲における表面塗膜層20の骨材に起因する粒状の微小突起の影により、ピン穴Pを目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、骨材が軽量骨材により粒状に形成されているので、表面塗膜層20となる表面塗料の分散性及び沈降安定性を良好にすることができる。
また、本実施形態の吸音建材30によれば、不定形な形状の集合体で多孔質なパーライトにより軽量骨材が形成されているので、一般的な軽量骨材を用いて、表面塗膜層20を構成することができ、さらに、軽量骨材同士が絡み合ったり、軽量骨材とロックウール繊維とが絡み合ったりすることにより、ピン穴をいっそう目立ち難くすることができると共に、吸音効果を向上させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、ロックウールからなる板状基材を備えた吸音建材を例示したが、本発明は、ガラスウールのようなロックウール以外の鉱物質繊維からなる板状基材を備えた吸音建材等にも適用することができる。
上記実施形態では、骨材(軽量骨材)としてパーライトが含有された表面塗膜層を備えた吸音建材を例示したが、本発明は、ゼオライト、シラスバルーン、ひる石、カラーサンド、樹脂ビーズ、木粉等の粒状の骨材が含有された表面塗膜層を備えた吸音建材にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、吸音建材において、製造コストを抑制して、ピン穴を目立ち難くすることができるので、極めて有用である。
P ピン穴
10 板状基材
15 プライマー層
20 表面塗膜層
30 吸音建材

Claims (6)

  1. 一方の表面に有底のピン穴が多数形成されたロックウールからなる板状基材と、
    上記板状基材の一方の表面側に設けられた表面塗膜層とを備え、
    上記表面塗膜層には、粒状の骨材が含有されていることを特徴とする吸音建材。
  2. 請求項1に記載された吸音建材において、
    上記板状基材及び上記表面塗膜層の間には、プライマー層が設けられていることを特徴とする吸音建材。
  3. 請求項1又は2に記載された吸音建材において、
    上記ピン穴は、上記表面塗膜層を介して開口していることを特徴とする吸音建材。
  4. 請求項1~3の何れか1つに記載された吸音建材において、
    上記表面塗膜層の表面には、上記骨材に起因する粒状の微小突起が形成されていることを特徴とする吸音建材。
  5. 請求項1~4の何れか1つに記載された吸音建材において、
    上記骨材は、軽量骨材により形成されていることを特徴とする吸音建材。
  6. 請求項5に記載された吸音建材において、
    上記軽量骨材は、パーライトにより形成されていることを特徴とする吸音建材。
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