JP2022154196A - 固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造に関する。
従来より、磁気熱量効果を利用して冷熱及び温熱を作り出すための磁気冷凍システムが知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1の磁気冷凍システムは、磁気作業物質を含む熱交換要素を収容する容器に磁場を印加及び除去すると共に、当該容器に熱媒体を流入及び流出させることで冷熱及び温熱を作り出すように構成される。
特許文献1の磁気冷凍システムは、容器内において複数の熱交換要素が所定の間隔をあけて配置されたベッド構造を持つ。これにより、熱交換要素と熱媒体との接触面積を増大させることができるので、熱交換効率が向上する。
しかしながら、特許文献1に開示されたベッド構造では、熱媒体の流れや磁場から受ける力に対して強度が十分ではない。
本開示の目的は、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造において強度を確保しつつ熱交換効率を向上させることである。
本開示の第1の態様は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュール(20)に用いられるベッド構造(50)である。ベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。前記複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。前記複数の層(51)は、前記熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層される。前記複数の柱状構造(52)の側部は、前記熱媒体と接触する。前記複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部の少なくとも一部分は、前記複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
第1の態様では、固体冷媒物質を含む柱状構造(52)を2次元配列することによって、固体冷媒物質と熱媒体との接触面積を大きくできるので、熱交換効率が向上する。また、柱状構造(52)がそれぞれ設けられた複数の層(51)を、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層するため、ベッド構造(50)の強度を確保することができる。
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記複数の層(51)は、前記柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有する。
第2の態様では、複数の層(51)において柱状構造(52)を保持するベース部(54)によって、ベッド構造(50)の強度を増大させることができる。
本開示の第3の態様は、第1の態様において、前記複数の層(51)のうち隣接する一対の層(51)では、前記複数の柱状構造(52)の配列が互いにずれており、前記複数の柱状構造(52)同士が直接積層されることによって固定されている。
第3の態様では、隣接する一対の層(51)において、柱状構造(52)の配列をずらして柱状構造(52)同士を直接積層して固定することによって、ベッド構造(50)の強度を確保することができる。
本開示の第4の態様は、第3の態様において、直接積層された前記複数の柱状構造(52)同士の複数の接続部のうち、少なくとも一部の接続部の接続面積が、他の接続部の接続面積よりも小さい。
第4の態様では、熱交換を担う柱状構造(52)の体積の減少や、柱状構造(52)同士の間の流路(53)の寸法変化を抑制して、熱交換効率の悪化や圧力損失の増大を抑制しつつ、柱状構造(52)の積層体における熱伝導に異方性を持たせることができる。これにより、熱媒体の流れ方向における熱伝導に起因する損失を減少させることができる。
本開示の第5の態様は、第3又は第4の態様において、前記複数の層(51)の積層方向に対して垂直な前記複数の柱状構造(52)の断面のうち、直接積層された前記複数の柱状構造(52)同士の接続部を含む断面の面積が、前記接続部を含まない断面の面積よりも小さい。
第5の態様では、熱交換を担う柱状構造(52)の体積の減少や、柱状構造(52)同士の間の流路(53)の寸法変化を抑制して、熱交換効率の悪化や圧力損失の増大を抑制しつつ、柱状構造(52)の積層体における熱伝導を減少させることができる。これにより、熱媒体の流れ方向における熱伝導に起因する損失を減少させることができる。
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、前記複数の柱状構造(52)のうちの少なくとも一部は、前記複数の層(51)の積層方向に対して垂直な断面の形状が、前記熱媒体の流れ方向に沿った対角線を持つ四角形又は六角形を含む。
第6の態様では、柱状構造(52)の少なくとも一部の断面形状を四角形又は六角形とすることで、柱状構造(52)の側部を大面積化できるので、熱交換効率を向上させることができる。
本開示の第7の態様は、第6の態様において、前記四角形は、ひし形である。
第7の態様では、例えば柱状構造(52)をひし形柱に構成すれば、柱状構造(52)を一定間隔で配列できるので、熱媒体の流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にできる。これにより、熱媒体の流路(53)における圧力損失を低減できる。同様の効果は、六角形の各辺の長さが等しい六角柱で柱状構造(52)を構成した場合も得られる。
本開示の第8の態様は、第6又は第7の態様において、前記対角線は、他の対角線よりも長い。
第8の態様では、柱状構造(52)において、熱媒体の流れ方向に沿った対角線の両端の角部が、他の角部よりも鋭くなるので、当該対角線の両端の角部に接触した熱媒体の流れの転向角が小さくなる。これにより、熱媒体の流路(53)における圧力損失をさらに低減できる。
本開示の第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、前記熱媒体の出入口に位置する領域では、前記複数の柱状構造(52)が配置されない。
第9の態様では、ベッド構造(50)への熱媒体の出入りが柱状構造(52)によって阻害されることを抑制できるので、熱媒体の出入口での圧力損失を低減できる。
本開示の第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、前記ベッド構造(50)は一体成形される。
第10の態様では、ベッド構造(50)の強度がより一層増大する。
本開示の第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、前記ベッド構造(50)は、収納ケース(60)の内部に配置され、前記収納ケース(60)における前記熱媒体の流れ方向に平行な内壁面(60a)と、前記複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定される。
第11の態様では、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との間の隙間を縮小できるので、当該隙間を通る熱媒体の漏れ流れを抑制し、熱交換効率を向上させることができる。
本開示の第12の態様は、第11の態様において、前記複数の柱状構造(52)のうち前記内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の接触部は、平坦な面である。
第12の態様では、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接着を容易に行うことができる。
本開示の第13の態様は、第11又は第12の態様において、前記ベッド構造(50)と前記収納ケース(60)とは同一材料で一体成形される。
第13の態様では、例えば3Dプリンタを用いて、熱媒体が非常に漏れにくい高強度のベッド構造(50)を製造することができる。また、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接続部に隙間が生じないので、圧力損失の増大や熱交換効率の低下などに起因する冷凍モジュール(20)の性能の劣化を抑制できる。
本開示の第14の態様は、第11~第13の態様のいずれか1つにおいて、前記収納ケース(60)の外側にさらに他のケース(21)が設けられる。
第14の態様では、他のケース(21)によってベッド構造(50)の強度をさらに増大させることができる。
本開示の第15の態様は、第1~第14の態様のいずれか1つのベッド構造(50)を複数備え、複数の前記ベッド構造(50)は、前記熱媒体の流れ方向に、複数段のカスケード構造になるように積層される、固体冷媒による冷凍モジュールの積層ベッド構造である。
第15の態様では、固体冷媒物質が例えば磁気作業物質であれば、異なるキュリー温度(磁気熱量効果が最も大きい温度)を持つ複数の磁気作業物質を所定の温度勾配に合わせてカスケード配置できるので、広い温度範囲で高い磁気熱量効果が得られる。
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、磁気熱量効果を利用して熱媒体(本実施形態における流体)の温度を調節するものであって、例えば冷専チラーとして構成された空調システム(10)に設けられる。磁気冷凍モジュール(20)は、熱量効果を利用して熱媒体の温度を調節する。磁気冷凍モジュール(20)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュールの一種である。尚、磁気冷凍モジュール(20)の用途は、特に限定されるものではなく、例えば、空気調和装置に設けられてもよい。
実施形態1について説明する。本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、磁気熱量効果を利用して熱媒体(本実施形態における流体)の温度を調節するものであって、例えば冷専チラーとして構成された空調システム(10)に設けられる。磁気冷凍モジュール(20)は、熱量効果を利用して熱媒体の温度を調節する。磁気冷凍モジュール(20)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュールの一種である。尚、磁気冷凍モジュール(20)の用途は、特に限定されるものではなく、例えば、空気調和装置に設けられてもよい。
<空調システムの構成>
図1に示すように、空調システム(10)は、磁気冷凍モジュール(20)と、低温側熱交換器(110)と、高温側熱交換器(120)と、熱媒体ポンプ(130)とが設けられた熱媒体回路(11)を備える。熱媒体回路(11)の各構成要素は、熱媒体配管を介して互いに接続される。
図1に示すように、空調システム(10)は、磁気冷凍モジュール(20)と、低温側熱交換器(110)と、高温側熱交換器(120)と、熱媒体ポンプ(130)とが設けられた熱媒体回路(11)を備える。熱媒体回路(11)の各構成要素は、熱媒体配管を介して互いに接続される。
磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)内には、固体冷媒物質としての磁気作業物質を含むベッド構造(50)(図2参照)が配置される。ベッド構造(50)の構成の詳細については後述する。磁気冷凍モジュール(20)は、ベッド構造(50)の磁気作業物質に、力場である磁場を印加したり除去したりすることで磁気熱量効果を生じさせ、それにより内部を流れる熱媒体を加熱または冷却する装置である。尚、図示は省略しているが、磁気冷凍モジュール(20)の近傍には、力場印加機構である磁場印加機構が配置される。磁場印加機構は、力場発生部として、例えば磁石を有してもよい。
磁気冷凍モジュール(20)は、高温端流入ポート(71)と、高温端流出ポート(72)と、低温端流入ポート(73)と、低温端流出ポート(74)とを有する。低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体は、磁気冷凍モジュール(20)の内部を流れて高温端流出ポート(72)から流出する。高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体は、磁気冷凍モジュール(20)の内部を流れて低温端流出ポート(74)から流出する。
低温側熱交換器(110)は、磁気冷凍モジュール(20)で冷却された熱媒体と、図示を省略する利用ユニット(例えばエアハンドリングユニット)を流れる二次冷媒とを熱交換させる。低温側熱交換器(110)は、磁気冷凍モジュール(20)の低温端流出ポート(74)に接続される第1流入部(111)と、磁気冷凍モジュール(20)の低温端流入ポート(73)に接続される第1流出部(112)と、利用ユニットに接続される第3流入部(113)及び第3流出部(114)とを有する。
低温端流出ポート(74)と第1流入部(111)との間の熱媒体配管には、前者から後者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第1逆止弁(141)が設けられる。低温端流入ポート(73)と第1流出部(112)との間の熱媒体配管には、後者から前者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第2逆止弁(142)が設けられる。
高温側熱交換器(120)は、磁気冷凍モジュール(20)で加熱された熱媒体と、図示を省略する熱源ユニット(例えばクーリングタワー)を流れる二次冷媒とを熱交換させる。高温側熱交換器(120)は、磁気冷凍モジュール(20)の高温端流出ポート(72)に接続される第2流入部(121)と、磁気冷凍モジュール(20)の高温端流入ポート(71)に接続される第2流出部(122)と、熱源ユニットに接続される第4流入部(123)及び第4流出部(124)とを有する。
高温端流出ポート(72)と第2流入部(121)との間の熱媒体配管には、前者から後者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第3逆止弁(143)が設けられる。高温端流入ポート(71)と第2流出部(122)との間の熱媒体配管には、後者から前者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第4逆止弁(144)が設けられる。
熱媒体ポンプ(130)は、磁気冷凍モジュール(20)と低温側熱交換器(110)及び高温側熱交換器(120)との間で熱媒体を流す。熱媒体ポンプ(130)は、この例ではピストンポンプとして構成される。熱媒体ポンプ(130)は、シリンダ(131)と、その内部に配置されたピストン(134)とを有する。シリンダ(131)は、ピストン(134)によって第1室(132)と第2室(133)とに仕切られる。第1室(132)は、低温側熱交換器(110)と第2逆止弁(142)との間の熱媒体配管に連通する。第2室(133)は、高温側熱交換器(120)と第4逆止弁(144)との間の熱媒体配管に連通する。
熱媒体ポンプ(130)は、ピストン(134)がシリンダ(131)内で往復運動を行うことにより、第1室(132)から熱媒体を吐出し且つ第2室(133)に熱媒体を吸入する第1動作と、第2室(133)から熱媒体を吐出し且つ第1室(132)に熱媒体を吸入する第2動作とを行うように構成される。
<空調システムの運転動作>
空調システム(10)の運転動作について説明する。
空調システム(10)の運転動作について説明する。
空調システム(10)は、熱媒体ポンプ(130)に第1動作と第2動作を交互に行わせると共に、両動作に対応させて磁気冷凍モジュール(20)に磁場を印加したり除去したりすることにより、利用ユニットに冷熱を供給する。
具体的には、まず、熱媒体の流れが止まった状態で、磁気冷凍モジュール(20)に磁場が印加される。これにより、磁気冷凍モジュール(20)内の磁気作業物質が発熱する。この状態で熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うと、図1中の左方にピストン(134)が移動し、第1室(132)から熱媒体が吐出される。第1室(132)から吐出された熱媒体は、第2逆止弁(142)を通過して磁気冷凍モジュール(20)内に流れ込み、ここで発熱状態の磁気作業物質と熱交換して加熱される。加熱された熱媒体は、第3逆止弁(143)を通過して高温側熱交換器(120)に流入し、そこで熱源ユニットの二次冷媒に放熱する。高温側熱交換器(120)から流出した熱媒体は、熱媒体ポンプ(130)の第2室(133)に吸入される。
次に、熱媒体の流れが止まった状態で、磁気冷凍モジュール(20)から磁場が除去される。これにより、磁気冷凍モジュール(20)内の磁気作業物質が吸熱する。この状態で熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うと、図1中の右方にピストン(134)が移動し、第2室(133)から熱媒体が吐出される。第2室(133)から吐出された熱媒体は、第4逆止弁(144)を通過して磁気冷凍モジュール(20)内に流れ込み、ここで吸熱状態の磁気作業物質と熱交換して冷却される。冷却された熱媒体は、第1逆止弁(141)を通過して低温側熱交換器(110)に流入し、そこで利用ユニットの二次冷媒を冷却する。低温側熱交換器(110)から流出した熱媒体は、熱媒体ポンプ(130)の第1室(132)に吸入される。
以上の動作を繰り返し行うことにより、低温側熱交換器(110)に冷熱を供給し且つ高温側熱交換器(120)に温熱を供給することができ、これにより利用ユニットで対象空間の冷房を行うことができる。定常状態においては、低温側熱交換器(110)と高温側熱交換器(120)は、磁気冷凍モジュール(20)内の磁気作業物質に応じた略一定の温度にそれぞれ維持される。本実施形態では、低温側熱交換器(110)の温度が、対象空間の温度や、磁気冷凍モジュール(20)周辺の空気の温度よりも低い温度に維持されるように、磁気作業物質が選定される。
<ベッド構造の構成>
本実施形態のベッド構造(50)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュールである磁気冷凍モジュール(20)に用いられる。ベッド構造(50)は、磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)内に配置される。
本実施形態のベッド構造(50)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュールである磁気冷凍モジュール(20)に用いられる。ベッド構造(50)は、磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)内に配置される。
図2に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図2(a)は、複数の層(51)の積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図2(b)は、熱媒体の流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図2(c)は、図2(a)のII-II線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図2(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
複数の層(51)のそれぞれには、固体冷媒物質である磁気作業物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列される。磁気作業物質の材料としては、例えば、Gd5(Ge0.5Si0.5)4、La(Fe1-xSix)13、La(Fe1-xCoxSiy)13、La(Fe1-xSix)13Hy、Mn(As0.9Sb0.1)等を用いてもよい。複数の柱状構造(52)は、各層(51)において、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)はそれぞれ、複数の柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有する。
複数の柱状構造(52)は、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)(図3参照)と接する領域を除いて、複数の層(51)の積層方向に対して垂直な断面の形状が、熱媒体の流れ方向に沿った対角線を持つ四角形(例えばひし形)である。当該四角形において、熱媒体の流れ方向に沿った対角線は、他の対角線よりも長くてもよい。当該四角形をひし形にすれば、図2(a)に示すように、複数の柱状構造(52)を等間隔で配列できる。これにより、熱媒体の流路(53)の幅を一定にすることができる。
尚、本実施形態では、熱媒体の出入口に位置する領域にも柱状構造(52)を配置しているが、これに代えて、当該領域には柱状構造(52)を配置しなくてもよい。
複数の柱状構造(52)を構成する各四角柱の側壁面は、熱媒体との接触面となる。複数の柱状構造(52)における延伸方向(本実施形態では複数の層(51)の積層方向と同じ)の一端(図2(b)では上端)は、隣接する層(51)(ベース部(54))と接続する。
以下の説明では、「複数の層(51)の積層方向」を単に「積層方向」といい、「熱媒体の流れ方向」を単に「流れ方向」という。「流れ方向」は、ベッド構造(50)において熱媒体の一方の出入口(図2(a)の上端側又は下端側の一方)から他方の出入口(図2(a)の上端側又は下端側の他方)に向かう方向であり、個々の流路(53)の延びる方向とは区別される。
ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)及びベース部(54)を有する複数の層(51)は、例えば3Dプリンタ等を用いて一体成形されたものであってもよい。その場合、磁気作業物質によって柱状構造(52)及びベース部(54)を構成してもよい。
ベッド構造(50)の寸法は、特に限定されるものではないが、積層方向から見て、例えば2cm×5cmの平面寸法であってもよい。ベッド構造(50)の各構成要素の寸法については、小さくするほど伝熱面積が増加して熱交換効率は向上する一方、圧力損失が増大することを考慮して設定する。例えば、流れ方向及びそれに垂直な方向の柱状構造(52)の配列ピッチをそれぞれ0.25mm、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面である四角形(ひし形)の対角線(流れ方向の対角線)の長さを0.2mmとしてもよい。
複数の層(51)の1層あたりの高さについては、高くするほど層(51)同士の接続部(具体的には下層の柱状構造(52)と上層のベース部(54)との接続部)が減少して熱伝導に起因する損失を低減できる一方、積層方向に対して垂直な伝熱面の面積が減少して熱交換効率が低下すると共に構造的な強度も低下することを考慮して設定する。例えば、各層(51)の厚さ(積層方向の厚さ)を0.25mm、柱状構造(52)の高さ(積層方向の高さ)を0.2mmとしてもよい。この場合、ベース部(54)の厚さ(積層方向の厚さ)は0.05mmとなり、柱状構造(52)の高さと比べて薄い。
磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)(図1参照)内において、本実施形態のベッド構造(50)は、図3に示すように、さらに別の収納ケース(60)の内部に配置されてもよい。言い換えると、収納ケース(60)の外側にケース(21)が設けられた構成としてもよい。図3(a)は、積層方向からベッド構造(50)及び収納ケース(60)を見た平面図であり、図3(b)は、流れ方向からベッド構造(50)及び収納ケース(60)を見た正面図である。
収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所は、平坦な面であってもよい。尚、本実施形態では、収納ケース(60)の内底面(60b)は、最下層の層(51)のベース(54)の下面と接する。このように、ベッド構造(50)の底面及び側面をともに平面で成形することにより、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との隙間を最小化できると共に、当該隙間を埋めることや、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とを接着することを容易に行うことができる。
ベッド構造(50)及び収納ケース(60)は、例えば3Dプリンタ等を用いて一体成形されてもよい。その場合、磁気作業物質によってベッド構造(50)及び収納ケース(60)を構成してもよい。
ところで、本実施形態では、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)と接する領域を除いて、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状を四角形(具体的には、ひし形)にした。しかし、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な「四角形(ひし形)」を形成することが難しいことを考慮して、本開示では、「四角形(ひし形)」は、真正の「四角形(ひし形)」のみならず、実質的に「四角形(ひし形)」とみなせる形状を含むものとする。実質的に「四角形(ひし形)」とみなせる形状とは、「四角形(ひし形)」に近似可能な形状をいう。例えば、角部が丸められているが、全体として「四角形(ひし形)」とみなせる形状は、本開示では「四角形(ひし形)」に含まれる。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「四角形(ひし形)」から変形した形状も、本開示では「四角形(ひし形)」に含まれる。
また、本実施形態では、柱状構造(52)を四角柱(断面形状がひし形のものも含む)で構成したが、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状のうち一部の断面形状のみが、四角形(ひし形)であってもよい。従って、柱状構造(52)の側壁部は、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。また、柱状構造(52)における延伸方向の端部も、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。以上のように、柱状構造(52)は、複数の層(51)を積層方向に支持できる構造であって、側壁面又は側部と延伸方向の端部とを有していれば、形状は特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、柱状構造(52)の延伸方向を積層方向と同じにしたが、ベッド構造(50)の強度が有意に低下しない範囲で、積層方向に対して斜めに柱状構造(52)を延伸させてもよい。
また、本実施形態では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面の形状を、流れ方向に沿った対角線を持つ四角形にしたが、圧力損失が有意に増大しない範囲で、流れ方向に対して斜めに延びる対角線を持つ四角形としてもよい。
<実施形態1の特徴>
本実施形態のベッド構造(50)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュール(20)に用いられる。ベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態のベッド構造(50)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュール(20)に用いられる。ベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態のベッド構造(50)によると、固体冷媒物質を含む柱状構造(52)を2次元配列することによって、固体冷媒物質と熱媒体との接触面積を大きくできるので、熱交換効率が向上する。また、柱状構造(52)がそれぞれ設けられた複数の層(51)を、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層するため、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力に対するベッド構造(50)の強度を確保することができる。さらに、柱状構造(52)が流れ方向にも離間して配置されるため、ベッド構造(50)内での熱伝導に起因する損失を抑制することができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の層(51)がそれぞれ、柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有すると、ベッド構造(50)の強度を増大させることができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の柱状構造(52)のうちの少なくとも一部は、積層方向に対して垂直な断面の形状が、流れ方向に沿った対角線を持つ四角形であってもよい。このようにすると、柱状構造(52)の側壁部を大面積化できるので、熱交換効率を向上させることができる。この場合、四角形がひし形であり、柱状構造(52)をひし形柱に構成すると、柱状構造(52)を一定間隔で配列できるので、熱媒体の流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にできる。これにより、熱媒体の流路(53)における圧力損失を低減できる。
尚、熱伝達率が流路(53)の寸法に反比例するのに対して、圧力損失は流路(53)の寸法の2~4乗に反比例する。このため、流路(53)に狭い部分があると、熱伝達率の増大効果よりも圧力損失の増大効果の方が大きくなる。従って、同じ熱伝達性能(熱交換効率)が得られる場合、流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にした方が、圧力損失の影響が小さくなる。
また、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状を、流れ方向に沿った対角線を持つ四角形とする場合、当該対角線が、他の対角線よりも長いと、流れ方向に沿った対角線の両端の角部が、他の角部よりも鋭くなる。このため、当該対角線の両端の角部に接触した熱媒体の流れの転向角が小さくなるので、熱媒体の流路(53)における圧力損失をさらに低減できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、熱媒体の出入口に位置する領域に柱状構造(52)が配置されないと、ベッド構造(50)への熱媒体の出入りが柱状構造(52)によって阻害されることを抑制できるので、熱媒体の出入口での圧力損失を低減できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)及びベース部(54)を有する複数の層(51)が一体成形されると、ベッド構造(50)の強度がより一層増大するので、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力によって変形等が生じにくくなる。ベッド構造(50)を一体成形する場合、例えば3Dプリンタでの作製が可能である。この場合、流れ方向に材料を積層造形することによって、サポート部材を用いることなくベッド構造(50)を容易に作製可能である。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)は、収納ケース(60)の内部に配置され、収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。このようにすると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との間の隙間を縮小できるので、当該隙間を通る熱媒体の漏れ流れを抑制し、熱交換効率を向上させることができる。また、この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所が平坦な面であると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接着を容易に行うことができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とが同一材料で一体成形されると、例えば3Dプリンタを用いて、熱媒体が非常に漏れにくい高強度のベッド構造(50)を製造することができる。また、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接続部に隙間が生じないので、圧力損失の増大や熱交換効率の低下などに起因する冷凍モジュール(20)の性能の劣化を抑制できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、収納ケース(60)の外側にさらに他のケース(21)が設けられると、当該ケース(21)によってベッド構造(50)の強度をさらに増大させることができる。
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態が、前記実施形態1と異なっている点は、ベッド構造(50)の構成である。
実施形態2について説明する。本実施形態が、前記実施形態1と異なっている点は、ベッド構造(50)の構成である。
<ベッド構造の構成>
図4に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図4(a)は、複数の層(51)の積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図4(b)は、熱媒体の流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図4(c)は、図4(a)のIV-IV線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図4(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
図4に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図4(a)は、複数の層(51)の積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図4(b)は、熱媒体の流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図4(c)は、図4(a)のIV-IV線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図4(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
複数の層(51)のそれぞれには、固体冷媒物質である磁気作業物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列される。磁気作業物質の材料は、前記実施形態1と同様である。各層(51)において、複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。
前記実施形態1では、複数の層(51)はそれぞれ、複数の柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有していた。それに対して、本実施形態のベッド構造(50)においては、複数の層(51)のうち隣接する一対の層(51)では、複数の柱状構造(52)の配列が互いに例えば千鳥状にずれており、複数の柱状構造(52)同士が直接積層されることによって互いに接続固定されている。
複数の柱状構造(52)は、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)(図5参照)と接する領域を除いて、積層方向に対して垂直な断面の形状が、熱媒体の流れ方向に沿った対角線を持つ四角形(例えばひし形)である。当該四角形をひし形にすれば、図4(a)に示すように、複数の柱状構造(52)を等間隔で配列できる。これにより、熱媒体の流路(53)の幅を一定にすることができる。複数の柱状構造(52)を構成する各四角柱の側壁面は、熱媒体との接触面となる。
本実施形態では、各柱状構造(52)の延伸方向(本実施形態では積層方向と同じ)の両端部は、積層方向に対して垂直な断面と同じ四角形の平面となっている。下層の層(51)における1つの柱状構造(52)の上端面の各角部が、上層の層(51)における4つの柱状構造(52)の下端面の角部を支持する。言い換えると、柱状構造(52)における延伸方向の端部(本実施形態では上端面又は下端面)の一部分が、隣接する層(51)の柱状構造(52)と接続する。
ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)を有する複数の層(51)は、例えば3Dプリンタ等を用いて一体成形されたものであってもよい。その場合、磁気作業物質によって柱状構造(52)を構成してもよい。
ベッド構造(50)の寸法は、特に限定されるものではないが、積層方向から見て、例えば2cm×5cmの平面寸法であってもよい。ベッド構造(50)の各構成要素の寸法については、小さくするほど伝熱面積が増加して熱交換効率は向上する一方、圧力損失が増大することを考慮して設定する。例えば、流れ方向及びそれに垂直な方向の柱状構造(52)の配列ピッチをそれぞれ0.25mm、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面である四角形(ひし形)の対角線(流れ方向の対角線)の長さを0.2mmとしてもよい。
複数の層(51)の1層あたりの高さについては、高くするほど層(51)同士の接続部(具体的には下層の柱状構造(52)と上層の柱状構造(52)との接続部)が減少して熱伝導に起因する損失を低減できる一方、積層方向に対して垂直な伝熱面の面積が減少して熱交換効率が低下すると共に構造的な強度も低下することを考慮して設定する。例えば、各層(51)の厚さ(積層方向の厚さ)、つまり、柱状構造(52)の高さ(積層方向の高さ)を0.2mmとしてもよい。
磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)(図1参照)内において、本実施形態のベッド構造(50)は、図5に示すように、さらに別の収納ケース(60)の内部に配置されてもよい。言い換えると、収納ケース(60)の外側にケース(21)が設けられた構成としてもよい。図5(a)は、積層方向からベッド構造(50)及び収納ケース(60)を見た平面図であり、図5(b)は、流れ方向からベッド構造(50)及び収納ケース(60)を見た正面図である。
収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所は、平坦な面であってもよい。尚、本実施形態では、収納ケース(60)の内底面(60b)は、最下層の層(51)の柱状構造(52)の下端面と接する。このように、ベッド構造(50)の底面及び側面をともに平面で成形することにより、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との隙間を最小化できると共に、当該隙間を埋めることや、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とを接着することを容易に行うことができる。
ところで、本実施形態では、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)と接する領域を除いて、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状を四角形(具体的には、ひし形)にした。しかし、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な「四角形(ひし形)」を形成することが難しいことを考慮して、本開示では、「四角形(ひし形)」は、真正の「四角形(ひし形)」のみならず、実質的に「四角形(ひし形)」とみなせる形状を含むものとする。実質的に「四角形(ひし形)」とみなせる形状とは、「四角形(ひし形)」に近似可能な形状をいう。例えば、角部が丸められているが、全体として「四角形(ひし形)」とみなせる形状は、本開示では「四角形(ひし形)」に含まれる。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「四角形(ひし形)」から変形した形状も、本開示では「四角形(ひし形)」に含まれる。
また、本実施形態では、柱状構造(52)を四角柱(断面形状がひし形のものも含む)で構成したが、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状のうち一部の断面形状のみが、四角形(ひし形)であってもよい。従って、柱状構造(52)の側壁部は、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。また、柱状構造(52)における延伸方向の端部も、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。以上のように、柱状構造(52)は、複数の層(51)を積層方向に支持できる構造であって、側壁面又は側部と延伸方向の端部とを有していれば、形状は特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、柱状構造(52)の延伸方向を積層方向と同じにしたが、ベッド構造(50)の強度が低下しない範囲で、積層方向に対して斜めに柱状構造(52)を延伸させてもよい。
また、本実施形態では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面の形状を、流れ方向に沿った対角線を持つ四角形にしたが、圧力損失が有意に増大しない範囲で、流れ方向に対して斜めに延びる対角線を持つ四角形としてもよい。
<実施形態2の特徴>
本実施形態のベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部の一部分は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態のベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部の一部分は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態によると、固体冷媒物質を含む柱状構造(52)を2次元配列することによって、固体冷媒物質と熱媒体との接触面積を大きくできるので、熱交換効率が向上する。また、柱状構造(52)がそれぞれ設けられた複数の層(51)を、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層するため、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力に対するベッド構造(50)の強度を確保することができる。さらに、柱状構造(52)が流れ方向にも離間して配置されるため、ベッド構造(50)内での熱伝導に起因する損失を抑制することができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の層(51)のうち隣接する一対の層(51)では、複数の柱状構造(52)の配列が互いにずれており、複数の柱状構造(52)同士が直接積層されることによって接続固定されてもよい。このようにしても、ベッド構造(50)の強度を確保することができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の柱状構造(52)のうちの少なくとも一部は、積層方向に対して垂直な断面の形状が、流れ方向に沿った対角線を持つ四角形であってもよい。このようにすると、柱状構造(52)の側壁部を大面積化できるので、熱交換効率を向上させることができる。この場合、四角形がひし形であり、柱状構造(52)をひし形柱に構成すると、柱状構造(52)を一定間隔で配列できるので、熱媒体の流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にできる。これにより、熱媒体の流路(53)における圧力損失を低減できる。
尚、熱伝達率が流路(53)の寸法に反比例するのに対して、圧力損失は流路(53)の寸法の2~4乗に反比例する。このため、流路(53)に狭い部分があると、熱伝達率の増大効果よりも圧力損失の増大効果の方が大きくなる。従って、同じ熱伝達性能(熱交換効率)が得られる場合、流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にした方が、圧力損失の影響が小さくなる。
本実施形態のベッド構造(50)において、熱媒体の出入口に位置する領域に柱状構造(52)が配置されないと、ベッド構造(50)への熱媒体の出入りが柱状構造(52)によって阻害されることを抑制できるので、熱媒体の出入口での圧力損失を低減できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)を有する複数の層(51)が一体成形されると、ベッド構造(50)の強度がより一層増大するので、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力によって変形等が生じにくくなる。ベッド構造(50)を一体成形する場合、例えば3Dプリンタでの作製が可能である。この場合、流れ方向に材料を積層造形することによって、サポート部材を用いることなくベッド構造(50)を容易に作製可能である。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)は、収納ケース(60)の内部に配置され、収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。このようにすると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との間の隙間を縮小できるので、当該隙間を通る熱媒体の漏れ流れを抑制し、熱交換効率を向上させることができる。また、この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所が平坦な面であると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接着を容易に行うことができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とが同一材料で一体成形されると、例えば3Dプリンタを用いて、熱媒体が非常に漏れにくい高強度のベッド構造(50)を製造することができる。また、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接続部に隙間が生じないので、圧力損失の増大や熱交換効率の低下などに起因する冷凍モジュール(20)の性能の劣化を抑制できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、収納ケース(60)の外側にさらに他のケース(21)が設けられると、当該ケース(21)によってベッド構造(50)の強度をさらに増大させることができる。
<実施形態2の変形例1>
図6(a)は、本変形例のベッド構造(50)を見た積層方向から平面図であり、図6(b)は、本変形例のベッド構造(50)を流れ方向から見た正面図である。
図6(a)は、本変形例のベッド構造(50)を見た積層方向から平面図であり、図6(b)は、本変形例のベッド構造(50)を流れ方向から見た正面図である。
図6に示すように、本変形例が前記実施形態2と異なっている点は、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面四角形(ひし形)において、流れ方向に沿った対角線が、他の対角線よりも長いことである。
本変形例によると、前記実施形態2と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面四角形(ひし形)において、流れ方向に沿った対角線の両端の角部が、他の角部よりも鋭くなる。このため、当該対角線の両端の角部に接触した熱媒体の流れの転向角が小さくなるので、熱媒体の流路(53)における圧力損失をさらに低減することができる。
<実施形態2の変形例2>
図7(a)は、本変形例のベッド構造(50)を積層方向から見た平面図であり、図7(b)は、図7(a)のVII-VII線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図7(b)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示している。
図7(a)は、本変形例のベッド構造(50)を積層方向から見た平面図であり、図7(b)は、図7(a)のVII-VII線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図7(b)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示している。
図7に示すように、本変形例が前記実施形態2と異なっている点は、直接積層された柱状構造(52)同士の複数の接続部のうち、少なくとも一部の接続部の接続面積が、他の接続部の接続面積よりも小さいことである。具体的には、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面四角形(ひし形)において、流れ方向の角部(対角線の両端の角部)は、丸められている。これにより、下層の層(51)における柱状構造(52)の上端面の角部のうち流れ方向の丸められた角部が、上層の層(51)の柱状構造(52)と接続する面積は、他の丸められていない角部と比べて、小さくなる。
本変形例によると、前記実施形態2と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、熱交換を担う柱状構造(52)の体積の減少や、柱状構造(52)同士の間の流路(53)の寸法変化を抑制して、熱交換効率の悪化や圧力損失の増大を抑制しつつ、柱状構造(52)の積層体における熱伝導に異方性を持たせることができる。これにより、流れ方向における熱伝導に起因する損失を減少させることができる。
尚、本変形例では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面四角形(ひし形)が、流れ方向に沿った対角線を持つ場合について説明した。しかし、流れ方向に対して斜めに対角線が延びる場合は、流れ方向となす角度がより小さい対角線の両端の角部を丸めることによって、本変形例に近い効果を得ることができる。
<実施形態2の変形例3>
図8(a)は、本変形例のベッド構造(50)を積層方向から見た平面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIII-VIII線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図8(b)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示している。
図8(a)は、本変形例のベッド構造(50)を積層方向から見た平面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIII-VIII線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図8(b)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示している。
図8に示すように、本変形例が前記実施形態2と異なっている点は、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面のうち、直接積層された柱状構造(52)同士の接続部を含む断面の面積が、当該接続部を含まない断面の面積よりも小さいことである。具体的には、図8(b)に示す断面構成において、柱状構造(52)における延伸方向の上端部及び下端部の各角部は丸められている。
本変形例によると、前記実施形態2と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、熱交換を担う柱状構造(52)の体積の減少や、柱状構造(52)同士の間の流路(53)の寸法変化を抑制して、熱交換効率の悪化や圧力損失の増大を抑制しつつ、柱状構造(52)の積層体における熱伝導を減少させることができる。これにより、熱媒体の流れ方向における熱伝導に起因する損失を減少させることができる。
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態が、前記実施形態1と異なっている点は、ベッド構造(50)の構成、具体的には、柱状構造(52)の形状である。
実施形態3について説明する。本実施形態が、前記実施形態1と異なっている点は、ベッド構造(50)の構成、具体的には、柱状構造(52)の形状である。
<ベッド構造の構成>
図9に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図9(a)は、積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図9(b)は、流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図9(c)は、図9(a)のIX-IX線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図9(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
図9に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図9(a)は、積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図9(b)は、流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図9(c)は、図9(a)のIX-IX線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図9(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
複数の層(51)のそれぞれには、固体冷媒物質である磁気作業物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列される。磁気作業物質の材料は、前記実施形態1と同様である。複数の柱状構造(52)は、各層(51)において、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)はそれぞれ、複数の柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有する。
複数の柱状構造(52)は、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)(図3参照)と接する領域を除いて、複数の層(51)の積層方向に対して垂直な断面の形状が、熱媒体の流れ方向に沿った対角線を持つ六角形(例えば等辺六角形)である。当該六角形において、熱媒体の流れ方向に沿った対角線は、他の対角線よりも長くてもよい。当該六角形を等辺六角形にすれば、図9(a)に示すように、複数の柱状構造(52)を等間隔で配列できる。これにより、熱媒体の流路(53)の幅を一定にすることができる。
尚、本実施形態では、熱媒体の出入口に位置する領域にも柱状構造(52)を配置しているが、これに代えて、当該領域には柱状構造(52)を配置しなくてもよい。
複数の柱状構造(52)を構成する各六角柱の側壁面は、熱媒体との接触面となる。複数の柱状構造(52)における延伸方向(本実施形態では複数の層(51)の積層方向と同じ)の一端(図9(b)では上端)は、隣接する層(51)(ベース部(54))と接続する。
ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)及びベース部(54)を有する複数の層(51)は、例えば3Dプリンタ等を用いて一体成形されたものであってもよい。その場合、磁気作業物質によって柱状構造(52)及びベース部(54)を構成してもよい。
ベッド構造(50)の寸法は、特に限定されるものではないが、積層方向から見て、例えば2cm×5cmの平面寸法であってもよい。ベッド構造(50)の各構成要素の寸法については、小さくするほど伝熱面積が増加して熱交換効率は向上する一方、圧力損失が増大することを考慮して設定する。例えば、流れ方向及びそれに垂直な方向の柱状構造(52)の配列ピッチをそれぞれ0.25mm、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面である六角形(等辺六角形)の対角線(流れ方向の対角線)の長さを0.2mmとしてもよい。
複数の層(51)の1層あたりの高さについては、高くするほど層(51)同士の接続部(具体的には下層の柱状構造(52)と上層のベース部(54)との接続部)が減少して熱伝導に起因する損失を低減できる一方、積層方向に対して垂直な伝熱面の面積が減少して熱交換効率が低下すると共に構造的な強度も低下することを考慮して設定する。例えば、各層(51)の厚さ(積層方向の厚さ)を0.25mm、柱状構造(52)の高さ(積層方向の高さ)を0.2mmとしてもよい。この場合、ベース部(54)の厚さ(積層方向の厚さ)は0.05mmとなり、柱状構造(52)の高さと比べて薄い。
磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)(図1参照)内において、本実施形態のベッド構造(50)は、図3に示す前記実施形態1と同様に、さらに別の収納ケース(60)の内部に配置されてもよい。言い換えると、収納ケース(60)の外側にケース(21)が設けられた構成としてもよい。
収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所は、平坦な面であってもよい。尚、本実施形態では、収納ケース(60)の内底面(60b)は、最下層の層(51)のベース(54)の下面と接する。このように、ベッド構造(50)の底面及び側面をともに平面で成形することにより、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との隙間を最小化できると共に、当該隙間を埋めることや、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とを接着することを容易に行うことができる。
ベッド構造(50)及び収納ケース(60)は、例えば3Dプリンタ等を用いて一体成形されてもよい。その場合、磁気作業物質によってベッド構造(50)及び収納ケース(60)を構成してもよい。
ところで、本実施形態では、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)と接する領域を除いて、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状を六角形(具体的には等辺六角形)にした。しかし、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な「(等辺)六角形」を形成することが難しいことを考慮して、本開示では、「(等辺)六角形」は、真正の「(等辺)六角形」のみならず、実質的に「(等辺)六角形」とみなせる形状を含むものとする。実質的に「(等辺)六角形」とみなせる形状とは、「(等辺)六角形」に近似可能な形状をいう。例えば、角部が丸められているが、全体として「(等辺)六角形」とみなせる形状は、本開示では「(等辺)六角形」に含まれる。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「(等辺)六角形」から変形した形状も、本開示では「(等辺)六角形」に含まれる。
また、本実施形態では、柱状構造(52)を六角柱(断面形状が等辺六角形のものも含む)で構成したが、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状のうち一部の断面形状のみが、(等辺)六角形であってもよい。従って、柱状構造(52)の側壁部は、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。また、柱状構造(52)における延伸方向の端部も、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。以上のように、柱状構造(52)は、複数の層(51)を積層方向に支持できる構造であって、側壁面又は側部と延伸方向の端部とを有していれば、形状は特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、柱状構造(52)の延伸方向を積層方向と同じにしたが、ベッド構造(50)の強度が有意に低下しない範囲で、積層方向に対して斜めに柱状構造(52)を延伸させてもよい。
また、本実施形態では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面の形状を、流れ方向に沿った対角線を持つ六角形にしたが、圧力損失が有意に増大しない範囲で、流れ方向に対して斜めに延びる対角線を持つ六角形としてもよい。
<実施形態3の特徴>
本実施形態のベッド構造(50)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュール(20)に用いられる。ベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態のベッド構造(50)は、外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュール(20)に用いられる。ベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態のベッド構造(50)によると、固体冷媒物質を含む柱状構造(52)を2次元配列することによって、固体冷媒物質と熱媒体との接触面積を大きくできるので、熱交換効率が向上する。また、柱状構造(52)がそれぞれ設けられた複数の層(51)を、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層するため、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力に対するベッド構造(50)の強度を確保することができる。さらに、柱状構造(52)が流れ方向にも離間して配置されるため、ベッド構造(50)内での熱伝導に起因する損失を抑制することができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の層(51)がそれぞれ、柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有すると、ベッド構造(50)の強度を増大させることができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の柱状構造(52)のうちの少なくとも一部は、積層方向に対して垂直な断面の形状が、流れ方向に沿った対角線を持つ六角形であってもよい。このようにすると、柱状構造(52)の側壁部を大面積化できるので、熱交換効率を向上させることができる。この場合、六角形が等辺六角形であり、柱状構造(52)を六角柱に構成すると、柱状構造(52)を一定間隔で配列できるので、熱媒体の流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にできる。これにより、熱媒体の流路(53)における圧力損失を低減できる。
尚、熱伝達率が流路(53)の寸法に反比例するのに対して、圧力損失は流路(53)の寸法の2~4乗に反比例する。このため、流路(53)に狭い部分があると、熱伝達率の増大効果よりも圧力損失の増大効果の方が大きくなる。従って、同じ熱伝達性能(熱交換効率)が得られる場合、流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にした方が、圧力損失の影響が小さくなる。
また、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状を、流れ方向に沿った対角線を持つ六角形とする場合、当該対角線が、他の対角線よりも長いと、流れ方向に沿った対角線の両端の角部が、他の角部よりも鋭くなる。このため、当該対角線の両端の角部に接触した熱媒体の流れの転向角が小さくなるので、熱媒体の流路(53)における圧力損失をさらに低減できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、熱媒体の出入口に位置する領域に柱状構造(52)が配置されないと、ベッド構造(50)への熱媒体の出入りが柱状構造(52)によって阻害されることを抑制できるので、熱媒体の出入口での圧力損失を低減できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)及びベース部(54)を有する複数の層(51)が一体成形されると、ベッド構造(50)の強度がより一層増大するので、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力によって変形等が生じにくくなる。ベッド構造(50)を一体成形する場合、例えば3Dプリンタでの作製が可能である。この場合、流れ方向に材料を積層造形することによって、サポート部材を用いることなくベッド構造(50)を容易に作製可能である。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)は、収納ケース(60)の内部に配置され、収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。このようにすると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との間の隙間を縮小できるので、当該隙間を通る熱媒体の漏れ流れを抑制し、熱交換効率を向上させることができる。また、この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所が平坦な面であると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接着を容易に行うことができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とが同一材料で一体成形されると、例えば3Dプリンタを用いて、熱媒体が非常に漏れにくい高強度のベッド構造(50)を製造することができる。また、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接続部に隙間が生じないので、圧力損失の増大や熱交換効率の低下などに起因する冷凍モジュール(20)の性能の劣化を抑制できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、収納ケース(60)の外側にさらに他のケース(21)が設けられると、当該ケース(21)によってベッド構造(50)の強度をさらに増大させることができる。
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態が、前記実施形態2と異なっている点は、ベッド構造(50)の構成、具体的には、柱状構造(52)の形状である。
実施形態4について説明する。本実施形態が、前記実施形態2と異なっている点は、ベッド構造(50)の構成、具体的には、柱状構造(52)の形状である。
<ベッド構造の構成>
図10に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図10(a)は、積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図10(b)は、流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図10(c)は、図10(a)のX-X線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図10(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
図10に示すように、ベッド構造(50)は、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層された複数の層(51)を有する。図10(a)は、積層方向からベッド構造(50)を見た平面図であり、図10(b)は、流れ方向からベッド構造(50)を見た正面図であり、図10(c)は、図10(a)のX-X線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図10(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
複数の層(51)のそれぞれには、固体冷媒物質である磁気作業物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列される。磁気作業物質の材料は、前記実施形態1と同様である。各層(51)において、複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。
本実施形態のベッド構造(50)においては、複数の層(51)のうち隣接する一対の層(51)では、複数の柱状構造(52)の配列が互いに例えば千鳥状にずれており、複数の柱状構造(52)同士が直接積層されることによって互いに接続固定されている。具体的には、下層の層(51)における複数の柱状構造(52)の配列に対して、上層の層(51)における複数の柱状構造(52)の配列は、流れ方向に対して垂直な方向に半ピッチずれている。
複数の柱状構造(52)は、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)(図5参照)と接する領域を除いて、積層方向に対して垂直な断面の形状が、熱媒体の流れ方向に沿った対角線を持つ六角形(例えば等辺六角形)である。当該六角形を等辺六角形にすれば、図10(a)に示すように、複数の柱状構造(52)を等間隔で配列できる。これにより、熱媒体の流路(53)の幅を一定にすることができる。複数の柱状構造(52)を構成する各四角柱の側壁面は、熱媒体との接触面となる。
本実施形態では、各柱状構造(52)の延伸方向(本実施形態では積層方向と同じ)の両端部は、積層方向に対して垂直な断面と同じ六角形の平面となっている。下層の層(51)における1つの柱状構造(52)の上端面の流れ方向の両角部及び流れ方向に対して垂直な方向の両側部がそれぞれ、上層の層(51)における4つの柱状構造(52)の下端面の一部を支持する。言い換えると、柱状構造(52)における延伸方向の端部(本実施形態では上端面又は下端面)の一部分が、隣接する層(51)の柱状構造(52)と接続する。
ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)を有する複数の層(51)は、例えば3Dプリンタ等を用いて一体成形されたものであってもよい。その場合、磁気作業物質によって柱状構造(52)を構成してもよい。
ベッド構造(50)の寸法は、特に限定されるものではないが、積層方向から見て、例えば2cm×5cmの平面寸法であってもよい。ベッド構造(50)の各構成要素の寸法については、小さくするほど伝熱面積が増加して熱交換効率は向上する一方、圧力損失が増大することを考慮して設定する。例えば、流れ方向及びそれに垂直な方向の柱状構造(52)の配列ピッチをそれぞれ0.25mm、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面である六角形(等辺六角形)の対角線(流れ方向の対角線)の長さを0.2mmとしてもよい。
複数の層(51)の1層あたりの高さについては、高くするほど層(51)同士の接続部(具体的には下層の柱状構造(52)と上層の柱状構造(52)との接続部)が減少して熱伝導に起因する損失を低減できる一方、積層方向に対して垂直な伝熱面の面積が減少して熱交換効率が低下すると共に構造的な強度も低下することを考慮して設定する。例えば、各層(51)の厚さ(積層方向の厚さ)、つまり、柱状構造(52)の高さ(積層方向の高さ)を0.2mmとしてもよい。
磁気冷凍モジュール(20)のケース(21)(図1参照)内において、本実施形態のベッド構造(50)は、図5に示す前記実施形態2と同様に、さらに別の収納ケース(60)の内部に配置されてもよい。言い換えると、収納ケース(60)の外側にケース(21)が設けられた構成としてもよい。
収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所は、平坦な面であってもよい。尚、本実施形態では、収納ケース(60)の内底面(60b)は、最下層の層(51)の柱状構造(52)の下端面と接する。このように、ベッド構造(50)の底面及び側面をともに平面で成形することにより、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との隙間を最小化できると共に、当該隙間を埋めることや、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とを接着することを容易に行うことができる。
ところで、本実施形態では、熱媒体の出入口に位置する領域や、収納ケース(60)と接する領域を除いて、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状を六角形(具体的には等辺六角形)にした。しかし、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な「(等辺)六角形」を形成することが難しいことを考慮して、本開示では、「(等辺)六角形」は、真正の「(等辺)六角形」のみならず、実質的に「(等辺)六角形」とみなせる形状を含むものとする。実質的に「(等辺)六角形」とみなせる形状とは、「(等辺)六角形」に近似可能な形状をいう。例えば、角部が丸められているが、全体として「(等辺)六角形」とみなせる形状は、本開示では「(等辺)六角形」に含まれる。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「(等辺)六角形」から変形した形状も、本開示では「(等辺)六角形」に含まれる。
また、本実施形態では、柱状構造(52)を六角柱(断面形状が等辺六角形のものも含む)で構成したが、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面形状のうち一部の断面形状のみが、(等辺)六角形であってもよい。従って、柱状構造(52)の側壁部は、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。また、柱状構造(52)における延伸方向の端部も、平面に限定されず、少なくとも一部分が曲面であってもよい。以上のように、柱状構造(52)は、複数の層(51)を積層方向に支持できる構造であって、側壁面又は側部と延伸方向の端部とを有していれば、形状は特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、柱状構造(52)の延伸方向を積層方向と同じにしたが、ベッド構造(50)の強度が有意に低下しない範囲で、積層方向に対して斜めに柱状構造(52)を延伸させてもよい。
また、本実施形態では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面の形状を、流れ方向に沿った対角線を持つ六角形にしたが、圧力損失が有意に増大しない範囲で、流れ方向に対して斜めに延びる対角線を持つ六角形としてもよい。
<実施形態4の特徴>
本実施形態のベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部の一部分は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態のベッド構造(50)は、固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有する。複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列される。複数の層(51)は、流れ方向に対して垂直な方向に積層される。複数の柱状構造(52)の側部は、熱媒体と接触する。複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部の一部分は、複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する。
本実施形態によると、固体冷媒物質を含む柱状構造(52)を2次元配列することによって、固体冷媒物質と熱媒体との接触面積を大きくできるので、熱交換効率が向上する。また、柱状構造(52)がそれぞれ設けられた複数の層(51)を、熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層するため、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力に対するベッド構造(50)の強度を確保することができる。さらに、柱状構造(52)が流れ方向にも離間して配置されるため、ベッド構造(50)内での熱伝導に起因する損失を抑制することができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の層(51)のうち隣接する一対の層(51)では、複数の柱状構造(52)の配列が互いにずれており、複数の柱状構造(52)同士が直接積層されることによって接続固定されてもよい。このようにしても、ベッド構造(50)の強度を確保することができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、複数の柱状構造(52)のうちの少なくとも一部は、積層方向に対して垂直な断面の形状が、流れ方向に沿った対角線を持つ六角形であってもよい。このようにすると、柱状構造(52)の側壁部を大面積化できるので、熱交換効率を向上させることができる。この場合、六角形が等辺六角形であり、柱状構造(52)を六角柱に構成すると、柱状構造(52)を一定間隔で配列できるので、熱媒体の流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にできる。これにより、熱媒体の流路(53)における圧力損失を低減できる。
尚、熱伝達率が流路(53)の寸法に反比例するのに対して、圧力損失は流路(53)の寸法の2~4乗に反比例する。このため、流路(53)に狭い部分があると、熱伝達率の増大効果よりも圧力損失の増大効果の方が大きくなる。従って、同じ熱伝達性能(熱交換効率)が得られる場合、流路(53)の幅を一定にして熱媒体の流れを均一にした方が、圧力損失の影響が小さくなる。
本実施形態のベッド構造(50)において、熱媒体の出入口に位置する領域に柱状構造(52)が配置されないと、ベッド構造(50)への熱媒体の出入りが柱状構造(52)によって阻害されることを抑制できるので、熱媒体の出入口での圧力損失を低減できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)、つまり、複数の柱状構造(52)を有する複数の層(51)が一体成形されると、ベッド構造(50)の強度がより一層増大するので、熱媒体の流れや磁場等の力場から受ける力によって変形等が生じにくくなる。ベッド構造(50)を一体成形する場合、例えば3Dプリンタでの作製が可能である。この場合、流れ方向に材料を積層造形することによって、サポート部材を用いることなくベッド構造(50)を容易に作製可能である。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)は、収納ケース(60)の内部に配置され、収納ケース(60)における流れ方向に平行な内壁面(60a)と、複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定されてもよい。このようにすると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との間の隙間を縮小できるので、当該隙間を通る熱媒体の漏れ流れを抑制し、熱交換効率を向上させることができる。また、この場合、複数の柱状構造(52)のうち内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の当該接触箇所が平坦な面であると、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接着を容易に行うことができる。
本実施形態のベッド構造(50)において、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とが同一材料で一体成形されると、例えば3Dプリンタを用いて、熱媒体が非常に漏れにくい高強度のベッド構造(50)を製造することができる。また、ベッド構造(50)と収納ケース(60)との接続部に隙間が生じないので、圧力損失の増大や熱交換効率の低下などに起因する冷凍モジュール(20)の性能の劣化を抑制できる。
本実施形態のベッド構造(50)において、収納ケース(60)の外側にさらに他のケース(21)が設けられると、当該ケース(21)によってベッド構造(50)の強度をさらに増大させることができる。
<実施形態4の変形例1>
図11(a)は、本変形例のベッド構造(50)を積層方向から見た平面図であり、図11(b)は、本変形例のベッド構造(50)を流れ方向から見た正面図であり、図11(c)は、図11(a)のXI-XI線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図11(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
図11(a)は、本変形例のベッド構造(50)を積層方向から見た平面図であり、図11(b)は、本変形例のベッド構造(50)を流れ方向から見た正面図であり、図11(c)は、図11(a)のXI-XI線(熱媒体の流れ方向)の断面図である。尚、図11(c)は、ベッド構造(50)を一体成形したときの断面構成を示す。
前記実施形態4では、図10に示すように、下層の層(51)における複数の柱状構造(52)の配列に対して、上層の層(51)における複数の柱状構造(52)の配列は、流れ方向に対して垂直な方向に半ピッチずれていた。
それに対して、本変形例では、図11に示すように、下層の層(51)における複数の柱状構造(52)の配列に対して、上層の層(51)における複数の柱状構造(52)の配列は、流れ方向、及び流れ方向に対して垂直な方向のそれぞれについて半ピッチずれている。
本変形例によると、前記実施形態4と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、本変形例のように柱状構造(52)を配列した方が、前記実施形態4と比べて、直接積層される柱状構造(52)同士の接続部の接続面積を増加させることができる。このため、ベッド構造(50)の強度を増大させることができる。尚、直接積層される柱状構造(52)同士の間の熱伝導に起因する損失を抑制する観点では、前記実施形態4の柱状構造(52)の配列の方が優れている。
<実施形態4の変形例2>
図12(a)は、本変形例のベッド構造(50)を見た積層方向から平面図であり、図12(b)は、本変形例のベッド構造(50)を流れ方向から見た正面図である。
図12(a)は、本変形例のベッド構造(50)を見た積層方向から平面図であり、図12(b)は、本変形例のベッド構造(50)を流れ方向から見た正面図である。
図12に示すように、本変形例が前記実施形態4と異なっている点は、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面六角形(等辺六角形)において、流れ方向に沿った対角線が、他の対角線よりも長いことである。
本変形例によると、前記実施形態4と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面六角形(等辺六角形)において、流れ方向に沿った対角線の両端の角部が、他の角部よりも鋭くなる。このため、当該対角線の両端の角部に接触した熱媒体の流れの転向角が小さくなるので、熱媒体の流路(53)における圧力損失をさらに低減することができる。
《その他の実施形態》
前記実施形態(変形例を含む。以下同じ。)では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面の形状を四角形又は六角形としたが、これに限定されず、例えば八角形等の他の形状としてもよい。
前記実施形態(変形例を含む。以下同じ。)では、積層方向に対して垂直な柱状構造(52)の断面の形状を四角形又は六角形としたが、これに限定されず、例えば八角形等の他の形状としてもよい。
前記実施形態のいずれかのベッド構造(50)を複数個用いて、例えば図13に示すように、積層ベッド構造(100)を構成してもよい。図13に示す積層ベッド構造(100)では、複数のベッド構造(50)は、流れ方向に複数段のカスケード構造になるように積層される。この場合、ベッド構造(50)及び収納ケース(60)をカスケードごとに一体化し、収納ケース(60)同士の間は、シール材やOリングなどで封止してもよい。これにより、カスケード構造が高精度且つ容易に構成できる。また、ベッド構造(50)及び収納ケース(60)を、図3又は図5に示すような構成とすれば、カスケード間でも圧力損失を低減できる構造とできるため、圧力損失の増大や熱交換効率の低下などの性能劣化を抑制できる。さらに、ベッド構造(50)と収納ケース(60)とを同じ材質とすることで、ベッド構造(50)及び収納ケース(60)の一体成形が可能となる。これにより、熱媒体の漏れを十分に抑制できると共に、例えば3Dプリンタを用いて製造を簡単化できる。
前記実施形態では、磁気冷凍モジュールについて例示してきたが、固体冷媒による冷凍モジュールは、磁気作業物質に磁気熱量効果を誘発する磁気冷凍以外の他の方式を用いたものであってもよい。尚、本開示において、固体冷媒物質には、柔軟結晶などの液体と固体の中間の性質を有するものも含む。
他の方式の固体冷媒による冷凍モジュールとしては、例えば、1)固体冷媒物質に電気熱量効果を誘発する方式、2)固体冷媒物質に圧力熱量効果を誘発する方式、3)固体冷媒物質に弾性熱量効果を誘発する方式のものが挙げられる。
1)の方式の固体冷媒による冷凍モジュールでは、力場発生部(以下、誘発部ともいう)が固体冷媒物質に電場変動を付与する。これにより、固体冷媒物質が強誘電体から常誘電体へ相転移するなどして、固体冷媒物質が発熱又は吸熱する。
2)の方式の固体冷媒による冷凍モジュールでは、誘発部が固体冷媒物質に圧力変動を付与することによって、固体冷媒物質が相転移して発熱又は吸熱する。
3)の方式の固体冷媒による冷凍モジュールでは、誘発部が固体冷媒物質に応力変動を付与することによって、固体冷媒物質が相転移して発熱又は吸熱する。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、・・・という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上説明したように、本開示は、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造について有用である。
20 磁気冷凍モジュール(固体冷媒による冷凍モジュール)
21 ケース(他のケース)
50 ベッド構造
51 層
52 柱状構造
53 流路
54 ベース部
60 収納ケース
60a 内壁面
21 ケース(他のケース)
50 ベッド構造
51 層
52 柱状構造
53 流路
54 ベース部
60 収納ケース
60a 内壁面
Claims (15)
- 外部エネルギーに対する熱量効果を発揮する固体冷媒による冷凍モジュール(20)に用いられるベッド構造(50)であって、
固体冷媒物質を含む複数の柱状構造(52)が2次元配列された複数の層(51)を有し、
前記複数の柱状構造(52)は、熱媒体の流路(53)となる間隔をあけて配列され、
前記複数の層(51)は、前記熱媒体の流れ方向に対して垂直な方向に積層され、
前記複数の柱状構造(52)の側部は、前記熱媒体と接触し、
前記複数の柱状構造(52)における延伸方向の端部の少なくとも一部分は、前記複数の層(51)のうち隣接する層(51)と接続する、
固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1のベッド構造(50)において、
前記複数の層(51)は、前記複数の柱状構造(52)を保持するベース部(54)を有する、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1のベッド構造(50)において、
前記複数の層(51)のうち隣接する一対の層(51)では、前記複数の柱状構造(52)の配列が互いにずれており、前記複数の柱状構造(52)同士が直接積層されることによって固定されている、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項3のベッド構造(50)において、
直接積層された前記複数の柱状構造(52)同士の複数の接続部のうち、少なくとも一部の接続部の接続面積が、他の接続部の接続面積よりも小さい、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項3又は4のベッド構造(50)において、
前記複数の層(51)の積層方向に対して垂直な前記複数の柱状構造(52)の断面のうち、直接積層された前記複数の柱状構造(52)同士の接続部を含む断面の面積が、前記接続部を含まない断面の面積よりも小さい、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1~5のいずれか1項のベッド構造(50)において、
前記複数の柱状構造(52)のうちの少なくとも一部は、前記複数の層(51)の積層方向に対して垂直な断面の形状が、前記熱媒体の流れ方向に沿った対角線を持つ四角形又は六角形を含む、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項6のベッド構造(50)において、
前記四角形は、ひし形である、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項6又は7のベッド構造(50)において、
前記対角線は、他の対角線よりも長い、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1~8のいずれか1項のベッド構造(50)において、
前記熱媒体の出入口に位置する領域では、前記複数の柱状構造(52)が配置されない、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1~9のいずれか1項のベッド構造(50)において、
前記ベッド構造(50)は一体成形される、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1~10のいずれか1項のベッド構造(50)において、
前記ベッド構造(50)は、収納ケース(60)の内部に配置され、前記収納ケース(60)における前記熱媒体の流れ方向に平行な内壁面(60a)と、前記複数の柱状構造(52)の一部とは接触して固定される、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項11のベッド構造(50)において、
前記複数の柱状構造(52)のうち前記内壁面(60a)と接触している柱状構造(52)の接触部は、平坦な面である、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項11又は12のベッド構造(50)において、
前記ベッド構造(50)と前記収納ケース(60)とは同一材料で一体成形される、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項11~13のいずれか1項のベッド構造(50)において、
前記収納ケース(60)の外側にさらに他のケース(21)が設けられる、固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造。 - 請求項1~14のいずれか1項のベッド構造(50)を複数備え、複数の前記ベッド構造(50)は、前記熱媒体の流れ方向に、複数段のカスケード構造になるように積層される、固体冷媒による冷凍モジュールの積層ベッド構造。
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JP2021057106A Pending JP2022154196A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 固体冷媒による冷凍モジュールのベッド構造 |
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