JP2022153873A - 微生物担体及び脱窒処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱窒効率のような水処理効率を改善することのできる微生物担体を提供することを課題とする。【解決手段】生分解性樹脂を含む微生物担体であって、形状が棒状であり、長手方向に垂直な断面が外周に凹部を有する形状を有し、外周長比率が0.5mm-1以上4.5mm-1以下であり、純水浸漬後の含水率が20.0質量%以下である、微生物担体。【選択図】図5

Description

本発明は、微生物担体、及び微生物担体を用いた脱窒処理方法に関する。
従来、微生物を微生物担体に担持させ、微生物担体上の微生物により水を浄化する水処理方法が知られている。微生物担体としては、処理対象水の種類、処理対象水と微生物担体上に形成されたバイオフィルムとの接触方法、所望の耐久性等に応じて種々の担体が開発されている。
例えば、特許文献1には、微生物に電子供与体を供給するためのポリ乳酸系樹脂含有ペレットにおいて、5μm以上の細孔を設けることによりペレットの表面積を広げ、微生物を効率よく付着させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、ポリプロピレンを基材とする中空円筒状生物担体が開示されており、生物担体としては比表面積が大きいものほど好ましいことが記載されている。
特開2017-137419号公報 特開2003-190981号公報
特許文献1及び2に係る担体は、それぞれ、多孔質及び中空円筒状であるため、表面積の大きい担体であり、十分な量の微生物を担持することができる。そのため、担体表面には、厚く重いバイオフィルムが形成される。しかしながら、これらの特許文献に係る担体は、バイオフィルムの厚さ及び重さが十分であるにもかかわらず、それに見合った高い水処理効率が得られないという問題が生じている。
そこで、本発明は、脱窒効率のような水処理効率を改善することのできる微生物担体を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、生分解性樹脂を含む微生物担体の多孔性を低く抑え、かつ、外周に凹部を有する断面形状を有する棒状担体とすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のものを含む。
[1]
生分解性樹脂を含む微生物担体であって、
形状が棒状であり、
長手方向に垂直な断面が、外周に凹部を有する形状を有し、
下記式(1)により算出される外周長比率が、0.5mm-1以上4.5mm-1以下であり、
下記式(2)により算出される純水浸漬後の含水率が、20.0質量%以下である、微生物担体。
B=D/A (1)
(式(1)中、Bは、前記微生物担体の外周長比率(mm-1)であり;Dは、前記微生物担体の長手方向に対して垂直、かつ、前記長手方向の長さを5等分する4つの断面の平均外周長(mm)であり;Aは、前記4つの断面の平均断面積(mm)である。)
W3=100-(W2/W1)×100 (2)
(式(2)中、W3は、前記微生物担体の純水浸漬後の含水率(質量%)であり;W1は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬した後の質量(g)であり;W2は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬し、さらに105℃の恒温槽中で15時間静置した後の質量(g)である。)
[2]
脱窒菌の担持に用いられる、[1]に記載の微生物担体。
[3]
さらに、前記生分解性樹脂の分解能を有する生分解性樹脂分解菌の担持に用いられる、[2]に記載の微生物担体。
[4]
前記4つの断面の平均外周長Dが、6.0mm以上1000.0mm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の微生物担体。
[5]
下記式(3)により算出される空隙率が、50.0%以上85.0%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の微生物担体。
Z=100(1-X/Y) (3)
(式(3)中、Xは、前記微生物担体の嵩比重(kg/L)であり;Yは、前記微生物担体の真比重(kg/L)である。)
[6]
前記生分解性樹脂が、生分解性ポリエステルである、[1]~[5]のいずれかに記載の微生物担体。
[7]
前記生分解性ポリエステルが、ジカルボン酸由来の構成単位を2種類以上含む、[6]に記載の微生物担体。
[8]
脱窒菌が担持された脱窒担体が内部に充填された脱窒槽に処理対象水を供給する脱窒工程を含む脱窒処理方法であって、
前記脱窒担体は、生分解性樹脂を含み、形状が棒状であり、長手方向に垂直な断面が外周に凹部を有する形状を有し、下記式(1)により算出される外周長比率が0.5mm-1以上4.5mm-1以下であり、下記式(2)により算出される純水浸漬後の含水率が20.0質量%以下である、脱窒処理方法。
B=D/A (1)
(式(1)中、Bは、前記微生物担体の外周長比率(mm-1)であり;Dは、前記微生物担体の長手方向に対して垂直、かつ、前記長手方向の長さを5等分する4つの断面の平均外周長(mm)であり;Aは、前記4つの断面の平均断面積(mm)である。)
W3=100-(W2/W1)×100 (2)
(式(2)中、W3は、前記微生物担体の純水浸漬後の含水率(質量%)であり;W1は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬した後の質量(g)であり;W2は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬し、さらに105℃の恒温槽中で15時間静置した後の質量(g)である。)
[9]
前記処理対象水は、硝酸態窒素濃度が10mg-N/L以上5000mg-N/L以下である、[8]に記載の脱窒処理方法。
本発明によれば、脱窒効率のような水処理効率を改善することのできる微生物担体を提供することができる。
そして、本発明の目的及び効果は、具体的に上記に記載したものに限らず、明細書全体より当業者に明らかにされるものを含む。
(a)~(d)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る微生物担体の長手方向に垂直な断面の形状を表す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る微生物担体の断面において、2個の凹部に挟まれた部分における重心からの最大距離F及び最短距離Fminを示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る微生物担体を長手方向に対して垂直、かつ、長手方向の長さを5等分する4つの断面を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る脱窒処理方法を実施するための循環式脱窒処理システムの一例を示す概略図である。 実施例及び比較例の脱窒担体を用いた脱窒処理試験における、脱窒担体の外周長比率と脱窒速度との関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
1.微生物担体
本発明の第1の実施形態に係る微生物担体は、生分解性樹脂を含む棒状の担体であり、長手方向に垂直な断面が凹部を有する形状を有し、外周長比率が0.5mm-1以上4.5mm-1以下であり、純水浸漬後の含水率(以下、「浸漬含水率」と称することがある。)が20.0質量%以下である。
1-1.微生物
本実施形態に係る微生物担体は、種々の微生物の担持に用いることができ、微生物の種類は特に制限されない。微生物としては、脱窒菌、特に従属栄養性脱窒菌が好適に挙げられる。中でも、本実施形態に係る微生物担体は、後述するように、担持した微生物がフィルム状に集合したバイオフィルムの近傍の酸素濃度を低減することができるため、嫌気性微生物、例えば嫌気的条件下で脱窒を行う脱窒菌の担持に好ましく用いることができる。
本実施形態に係る微生物担体を、従属栄養性微生物、例えば脱窒菌の担持に用いる場合、脱窒菌とともに生分解性樹脂の分解能を有する生分解性樹脂分解菌を担持させることが好ましい。生分解性樹脂分解菌が微生物担体中の生分解性樹脂を分解することにより、処理対象水中の亜硝酸態窒素及び/又は硝酸態窒素を脱窒する際に必要となる炭素が十分に脱窒菌に供給される。その結果、脱窒菌の増殖、生育、活動等が促進され、脱窒速度及び脱窒量を向上し得るからである。なお、脱窒菌、生分解性樹脂分解菌等としては、公知の菌から適宜選択して用いることができる。
1-2.生分解性樹脂
本実施形態に係る微生物担体は、生分解性樹脂を含む。生分解性樹脂は、特に制限されず、公知の生分解性樹脂から適宜選択して用いることができる。公知の生分解性樹脂としては、一般に、PLA(polylactic acid)、PBS(polybutylene succinate)、PCL(polycaprolactone)、PHB(polyhydroxybutyrate)等の生分解性ポリエステル;セルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂;等の樹脂が挙げられる。
これらのうち、生分解性樹脂としては、分解性の高い生分解性ポリエステルが好ましい。生分解性ポリエステルの中でも、特に分解性の高いジカルボン酸由来の構成単位を有する生分解性ポリエステルが好ましく、ジカルボン酸由来の構成単位とジオール由来の構成単位とを有する生分解性ポリエステルがより好ましい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。生分解性樹脂は、ジカルボン酸由来の構成単位を2種以上有することが好ましい。ジカルボン酸由来の構成単位を2種以上有する生分解性樹脂は、ジカルボン酸由来の構成単位を1種類有する生分解性樹脂よりも生分解性が高い。そのため、微生物の増殖、生育、活動等の促進に必要な炭素、水素等を微生物に十分供給することができ、ひいては水浄化性能を向上することができる。したがって、本実施形態に係る微生物担体を例えば脱窒菌の担持に用いる場合には、ジカルボン酸由来の構成単位を2種以上有する生分解性樹脂を採用することにより、脱窒速度、脱窒量等の脱窒性能が向上する傾向がある。
生分解性樹脂は、上記ジカルボン酸のうち、コハク酸由来の構成単位を有することが好ましく、すなわち、ブチレンサクシネート単位を主たる繰り返し単位とするPBS系の生分解性樹脂が好ましい。PBS系の生分解性樹脂としては、具体的には、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)等が好ましい例として挙げられる。これらのうち、PBSAは、生分解性が高い点で特にこのましい。さらに、微生物担体を脱窒菌の担持に用いる場合、PBSAは、脱窒に必要な炭素源を徐放的に供給でき、また、その他の生分解性樹脂よりも生分解性が高く良好な水素供与体となり得るため、脱窒菌が生育、増殖する上で好適である。
ジカルボン酸由来の構成単位を有する生分解性ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)等のその他の生分解性樹脂を混合していても良い。ジカルボン酸由来の構成単位を有する生分解性樹脂と生分解性が異なるこれらの樹脂とを混合することで、生分解性樹脂基材を炭素源として長期間にわたって使用することができるからである。
また、微生物担体は、生分解性樹脂に加え、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等の成分を含んでいてもよい。これらの成分が生分解性樹脂に対して40質量%以下であれば、これらの成分に起因する微細な粉末が微生物担体より脱落することによりポリマーの表面積が増える。その結果、微生物が付着しやすく、厚く重いバイオフィルムの形成が可能となり、ひいては脱窒速度、脱窒量のような、微生物の働きによる水浄化性能を向上させることができる。
1-3.形状
本実施形態に係る微生物担体は、棒状の形状を有し、長手方向に垂直な断面が外周に凹部を有する形状を有し、外周長比率が0.5mm-1以上4.5mm-1以下である。なお、微生物担体の断面外周の凹部は、微生物担体の長手方向に連続して形成された溝に由来するものである。
このような形状を有する微生物担体は、微生物を担持させて水処理に用いると、従来の微生物担体よりも水処理効率、特に脱窒効率を向上させることができる。本発明者らは、従来の微生物担体の問題点、及び本実施形態の微生物担体が水処理効率を向上させることのできる理由について、次のように考察している。
従来の表面積の大きい微生物担体は、微生物が付着しやすく、その表面に十分な厚さ及び重さを有するバイオフィルムを形成することができたにもかかわらず、脱窒効率のような水処理効率が十分でなかった理由は、微生物担体の強度及び形状にあると推察される。
従来の微生物担体は、表面積を向上させるために微生物担体を多孔質又は中空のものとしたことにより、強度が十分ではない。微生物担体の表面上に厚く重いバイオフィルムが
形成されると、微生物担体が充填された処理槽内では、微生物担体間の空隙(隙間)がバイオフィルムにより占有され、処理対象水の流路が閉塞する。また、水処理、例えば脱窒処理においては、脱窒反応の進行に伴い、窒素、二酸化炭素等の気泡が発生し、微生物担体間の空隙に当該気泡が滞留することによっても微生物担体間の空隙が占有され、処理対象水の流路が閉塞する。処理対象水の流路が閉塞すると、処理対象水と微生物担体表面上のバイオフィルムとの接触面積及びバイオフィルムと接触する処理対象水の量が減少し、水処理効率が低下する。そのため、通水速度を速めたり、処理槽内に充填された微生物担体を撹拌したりすることで、流路の確保が図られていた。しかしながら、通水速度の上昇により、微生物担体に通水負荷がかかり、微生物担体は破損する。また、微生物担体の撹拌を行うと、微生物担体同士の衝突、水流等により微生物担体が破損する。そして、破損した微生物担体片が担体間の空隙を埋め、さらなる流路閉塞を招き、水処理効率が低下するという悪循環を生じる。微生物担体の破損は、処理対象水の流路閉塞のみならず、微生物担体の表面積の減少の原因にもなる。微生物担体が、微生物に炭素、水素等を供給できる生分解性樹脂により形成されている場合は、水処理が進むにつれて微生物担体が消費され、強度が低下していくため、微生物担体の強度の確保はより重要である。
したがって、水処理効率を向上させるためには、微生物担体の表面積を大きくしつつ、水処理中に高い強度を維持することが必要であると考えられる。
また、従来の微生物担体は、多孔質又は中空であることを除けば、単純な円柱、扁球、長球、楕円球等の形状の担体であり、その微生物担体を覆うようにバイオフィルムが形成される。そのため、微生物担体のかかる形状は、バイオフィルムが微生物担体間の空隙を埋めて処理対象水の流路を閉塞しやすい形状である。加えて、上述したように、処理対象水の流路を確保するために通水速度を速めたり、微生物担体の撹拌が行われたりすると、バイオフィルムに物理的な負荷がかかり、微生物担体から剥離又は脱落する。微生物担体から剥離又は脱落したバイオフィルムは、処理対象水とともに流され、処理槽から排出される。すなわち、処理対象水の浄化に必要な微生物が処理槽から除去され、その結果、水処理効率が低下する。したがって、微生物担体の形状を、表面積が大きく、バイオフィルムによる微生物担体間の空隙を埋めにくく、かつ、バイオフィルムが剥離又は脱落しにくい形状とすることで、水処理効率を向上し得ると考えられる。
本実施形態に係る微生物担体は、表面積が大きく、十分な強度を有し、処理槽に充填及び微生物を担持した際に微生物担体間の空隙をバイオフィルムが埋めにくい形状を有し、かつ、バイオフィルムが剥離又は脱落しにくい形状を有することにより、高い水処理効率を実現できる。なお、水処理効率は、例えば当該水処理が脱窒処理である場合には、脱窒速度等により評価することができる。
以下に、上述したような強度及び形状を確保するための要素を詳細に説明する。
本実施形態に係る微生物担体は、棒状の担体である。本明細書において、「棒状」とは、一端から他端に向けて伸びる形状であって、長手方向(伸びる方向)の長さが、長手方向に対して垂直な断面の径の最大長さの好ましくは1.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上、また、好ましくは20倍以下、より好ましくは10倍以下であるものを意味する。また、長手方向の一方の端部又は両端は、丸められて半球形のような形状になっていてもよく、テーパー形状のように尖っていてもよい。断面外周に凹部のない棒状体の具体例としては、円柱、楕円柱等の略円柱;五角柱、六角柱等の多角柱;等が挙げられる。
本実施形態に係る微生物担体の長手方向に垂直な断面の形状は外周に1個以上の凹部を有する形状であれば特に制限されず、例えば略円形状の外周に1個以上の凹部を有する形状が挙げられる。外周の凹部の数は、特に制限されず、1個以上、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、また、200個以下、好ましくは100個以下である。
なお、本明細書において、「略円」とは、真円のみならず、楕円、長円、オーバル形等
を含む概念である。
このような断面形状を図1に模式的に示す。図1中、(a)は外周に4個の凹部を有する楕円形状、(b)は外周に8個の凹部を有する真円形状、(c)は外周に42個の凹部を有する雪片形状、(d)は外周に12個の凹部を有する星形多角形状等の断面形状である。
本実施形態に係る微生物担体は、長手方向に垂直な断面の外周に凹部が形成されていることにより、微生物担体の表面積を大きくすることができるため、表面に微生物が付着しやすく、厚く重いバイオフィルムの形成が可能となる。
また、凹部が形成された断面形状により、バイオフィルムは、水流、微生物担体同士の衝突等の影響を受けにくくなる。これにより、微生物担体は、バイオフィルムを良好に保持することができ、バイオフィルムの剥離又は脱落を生じさせにくい。さらに、バイオフィルムに覆われた微生物担体同士が面で接触しにくいため、微生物担体間の空隙を十分確保することができる。そのため、当該空隙での処理対象水の偏流、気泡の滞留等が抑制されて速やかな通水が可能となり、処理対象水とバイオフィルムとの接触面積及びバイオフィルムと接触する処理対象水の量が増加するため、水処理効率を向上することができる。
さらにまた、凹部に厚いバイオフィルムを形成することができるため、凹部に形成されたバイオフィルムの近傍では、酸素濃度が低下する。すなわち、本実施形態に係る微生物担体は、脱窒菌が亜硝酸態窒素及び/又は硝酸態窒素を窒素に還元するのに適した嫌気的条件を凹部内につくりだすことができるため、脱窒菌の担持に特に好適である。
さらに、微生物担体の外周長比率Bを下記に示す範囲とすることにより、かかる効果を一層高めることができる。
本実施形態に係る微生物担体の外周長比率(mm-1)は、下記式(1)により算出される。
B=D/A (1)
式(1)中、Bは、微生物担体の外周長比率(mm-1)であり;Dは、微生物担体の長手方向に対して垂直、かつ、長手方向の長さを5等分する4つの断面の平均外周長(mm)であり;Aは、前記4つの断面の平均断面積(mm)である。
上述した「微生物担体を長手方向に対して垂直、かつ、長手方向の長さを5等分する4つの断面」とは、図3中「C」で示すように、微生物担体100の長手方向に対して垂直な断面であって、かつ、長手方向の長さLを5等分する4つの断面である。
このような断面は、例えば株式会社リトク社製卓上研磨切断機「RC-120」のような研磨切断機を用いて微生物担体を切断することで得られる。より詳細には、無作為に選出した10個の微生物担体を、それぞれ切断し、断面を生じさせることができる。
そして、切断により生じた4つの断面を「ImageJ Fuji」のような画像処理ソフトを用いて解析することで得られる各個体の平均外周長及び平均断面積の平均値を、それぞれ、平均外周長D(mm)及び平均断面積A(mm)として求める。
また、微生物担体の外周長比率B(mm-1)は、求めた平均外周長D(mm)及び平均断面積A(mm)を上記式(1)に代入することにより算出される。
微生物担体の外周長比率Bは、0.5mm-1以上、好ましくは0.6mm-1以上、より好ましくは1.0mm-1以上、また、4.5mm-1以下、好ましくは3.0mm-1以下、より好ましくは2.3mm-1以下、さらに好ましくは1.5mm-1以下である。外周長比率Bを上記範囲内とすることで、微生物担体の強度及び形状を長期的に維持しつつ、表面積が大きくすることでできる。これにより、微生物が効率よく担持され、バイオフィルムの保持性も高くなるため、良好な水処理効率を長期的に維持することがで
きる。
微生物担体の平均外周長Dは、好ましくは6.0mm以上、より好ましくは30.0mm以上、さらに好ましくは60.0mm以上、また、好ましくは1000.0mm以下、より好ましくは700.0mm以下、さらに好ましくは500.0mm以下である。外周長比率Bを上記範囲内とすることで、担体の強度を損ねることなく表面積を増やし、効率的にバイオフィルムが形成され、水処理効率が良好となる。
また、微生物担体の平均断面積Aは、好ましくは12.0mm以上、より好ましくは30.0mm以上、さらに好ましくは60.0mm以上、また、好ましくは250.0mm以下、より好ましくは200.0mm以下、さらに好ましくは150.0mm以下である。
また、本実施形態に係る微生物担体の長手方向に垂直な断面は、外周のうち2個の凹部に挟まれた部分における下記式(4)により算出されるf値が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.15以上、また、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下である。f値を上記範囲とすることで、形成されたバイオフィルムの剥離または脱落を防ぎ、バイオフィルムが安定的に維持される。
f=(F-Fmin)÷F (4)
式(4)中、F(mm)は、微生物担体の長手方向に垂直な断面の外周において、2個の凹部に挟まれた部分における断面の重心からの最大距離であり;Fmin(mm)は、微生物担体の長手方向に垂直な断面の外周において、2個の凹部に挟まれた部分における断面の重心からの最短距離である(図2参照)。なお、F及び断面の重心は、無作為に選出した10個の微生物担体を、それぞれ切断し、切断により生じた4つの断面を「ImageJ Fuji」のような画像処理ソフトで処理することにより決定される。
本実施形態に係る微生物担体の長手方向の長さLは、特に制限されず、5mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、また、200mm以下、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。微生物担体の長手方向の長さを上記範囲内とすることで、微生物担体を水処理に用いた際に、通水抵抗及び微生物担体間の空隙での気泡の滞留が抑制され、処理対象水と微生物担体表面上のバイオフィルムとの接触面積及びバイオフィルムと接触する処理対象水の量が増加するため、水処理効率が向上する。
微生物担体の長手方向の長さLは、ノギス等の計測器を用いて測定される。より具体的には、無作為に選出した10個の微生物担体について、その長手方向の長さをノギス等の計測器により測定し、その平均値を微生物担体の長手方向の長さLとする。
1-4.浸漬含水率
本実施形態に係る微生物担体は、浸漬含水率W3が、0質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、また、20.0質量%以下、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下である。浸漬含水率は、微生物担体の多孔性の指標であり、浸漬含水率が低いほど多孔性が低く、非多孔質(無孔質)に近づく。微生物担体の浸漬含水率が上記範囲内であるということは、微生物担体の多孔性が小さく抑えられていることを意味し、これにより微生物担体の高い強度を長期的に維持することが可能となる。微生物担体の強度が高いことで、この微生物担体に微生物を担持して水処理等に供する場合、微生物担体の形状を長期的に保つことができ、微生物のバイオフィルムを安定的に担持し続けられるため、長期連続的に高効率で水処理を行うことが可能となる。
微生物担体の浸漬含水率W3(質量%)は、下記式(2)により算出される。
W3=100-(W2/W1)×100 (2)
式(2)中、W1は、微生物担体10gを純水500mLに浸漬した後の質量(g)であり;W2は、微生物担体10gを純水500mLに浸漬し、さらに105℃の恒温槽中で15時間静置した後の質量(g)である。
より詳細には、W1及びW2は、後述する実施例に示す方法により測定される。すなわち、まず、微生物担体10gを純水500mLに浸漬し、20℃以上25℃以下の温度条件で200時間静置する。その後、浸漬後の微生物担体を回収し、50メッシュの篩を用いてろ過分離する。続いて、微生物担体にエアーダスターガンを0.4MPaの出力で3分間均一に吹き付け、微生物担体表面に付着している水分を飛ばして除去する。微生物担体表面の水分を除去した後の微生物担体の質量を測定し、これをW1(g)とする。続いて、この微生物担体を恒温槽中、105℃で15時間乾燥し、乾燥後の微生物担体の質量を測定し、これをW2(g)とする。そして、上記式(2)に測定したW1(g)及びW2(g)を代入し、微生物担体の浸漬含水率W3(%)を算出する。
1-5.空隙率
本実施形態に係る微生物担体は、水処理用の処理槽に充填した際の空隙率が好ましくは50.0%以上、より好ましくは52.0%以上、さらに好ましくは54.0%以上、また、好ましくは85.0%以下、より好ましくは82.0%以下、さらに好ましくは78.0%以下である。空隙率が上記範囲であれば、微生物担体を水処理に用いた際に、通水抵抗及び微生物担体間の空隙での気泡の滞留が抑制され、処理対象水と微生物担体表面上のバイオフィルムとの接触面積及びバイオフィルムと接触する処理対象水の量が増加するため、水処理効率が向上する。
空隙率Z(%)は、下記式(3)により算出される。
Z=100(1-X/Y) (3)
式(3)中、Xは、微生物担体の嵩比重(kg/L)であり;Yは、微生物担体の真比重(kg/L)である。
なお、微生物担体の嵩比重と真比重は、以下の方法で測定される。
容量2L、内径88mmのガラス製メスシリンダーの風袋E(kg)を測定する。メスシリンダーに微生物担体を投入し、径70mm×厚さ2mmの円形のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートをメスシリンダー内の微生物担体の上に置く。この時、PTFEシートの下辺の位置のメスシリンダー目盛りP(L)が0.8~1.0Lとなるように、微生物担体の投入量を調整する。その後、純水をメスシリンダーに投入する。純水の投入量は、水面の目盛りが1.2Lになるようにする。メスシリンダー内の微生物担体を細密に充填するために、メスシリンダーを30秒左右に振った後、メスシリンダーを静置し、PTFEシートが水平で、かつ、P(L)が最も低い値になったこと確認する。この状態で7日間室温(20~25℃)にて静置した後、メスシリンダー内に投入した微生物担体の嵩体積Pmin(L)の値を測定する。
続いて、メスシリンダーからPTFEシートを取り出して、メスシリンダーの水面の目盛りが1.2Lになるよう純水を添加し、メスシリンダー、純水、及び微生物担体の合計重量Q(kg)を測定する。
その後、微生物担体の全量取り出し、恒温槽中、105℃で15時間乾燥し、乾燥後の微生物担体の重量S(kg)を測定する。
微生物担体の嵩比重X(kg/L)は、下記式(5)により算出される。
X(kg/L)=S(kg)/Pmin(L) (5)
この時のメスシリンダー内に投入されている純水の重量J(kg)は、下記式(6)により算出される。
J=Q(kg)-E(kg)-S(kg) (6)
また、メスシリンダー内に投入されている純水の容積j(L)は、純水の比重は1.0(kg/L)であることから、下記式(7)により算出される。
j(L)=1.0(kg/L)×J(kg) (7)
一方、Pmin(L)に含まれる純水の容積T(L)は、下記式(8)により算出される。
T(L)=j(L)―(1.2(L)-Pmin(L)) (8)
そして、投入した微生物担体の真容積O(L)は、下記式(9)により算出される。
O(L)=Pmin(L)-T(L) (9)
ここで、式(8)及び式(9)より、下記式(10)が導かれる。
O(L)=Pmin(L)-T(L)=1.2(L)-j(L) (10)
そして、微生物担体の真比重Y(kg/L)は、下記式(11)により算出される。
Y(kg/L)=S(kg)/O(L) (11)
1-6.微生物担体の製造方法
本実施形態に係る微生物担体の製造方法は、特に制限されず、例えば生分解性樹脂と任意成分とを混錬し、得られた混錬物を押出成形、射出成形等の溶融成形する方法が挙げられる。溶融成形においては、成形機のノズルの形状により所望の断面を形成し、また、所望の長手方向長さとなるようカッティングすることで、本実施形態に係る微生物担体を製造することができる。
2.脱窒処理方法
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態に係る微生物担体を脱窒担体として用いた脱窒処理方法である。より詳細には、本実施形態に係る脱窒処理方法は、脱窒菌が担持された該脱窒担体が内部に充填された脱窒槽に処理対象水を供給し、処理対象水中の亜硝酸態窒素及び/又は硝酸態窒素を脱窒反応により窒素に変換することで脱窒を行う脱窒処理工程を含む。
2-1.脱窒処理工程
本実施形態において、脱窒担体が充填された脱窒槽に処理対象水を供給する方法は特に制限されず、例えば循環式、オーバーフロー式、間欠式、又は回分式の脱窒処理システムを用いて脱窒槽に処理対象水を供給する方法が挙げられる。これらのうち、循環式脱窒処理システムを用いることが好ましい。
循環式脱窒処理システムの一例を図4に示す。図4に示す脱窒処理システムは、貯水タンク110、ポンプ111、供給チューブ112、脱窒担体114が充填された脱窒カラム113、及び返送チューブ115を備える。この循環式脱窒処理システムにおいて、貯水タンク110に入れられた処理対象水は、ポンプ111により供給チューブ112を通って脱窒カラム113に供給され、脱窒担体114に接触した後、返送チューブ115を通って貯水タンク110に返送されることで循環する。
循環式脱窒処理システムは、図4に示されていないその他の公知の構成を有していてもよい。その他の公知の機構としては、例えば、ポンプ、サイフォン等のように、処理対象水が脱窒槽に供給されるよう処理対象水を移送するための移送手段;処理対象水の温度を脱窒反応に適した温度に調整するためのヒーター及び/又は冷却器;処理対象水がアンモニア態窒素を含む場合に、アンモニア態窒素を硝酸に変換するための硝化菌が担持された硝化担体;等が挙げられる。
本実施形態に係る脱窒処理方法は、アンモニアを硝酸に変える硝化反応、及び硝酸を窒素に分解する脱窒反応の2段階の反応を用いた水処理方法に組み込んで使用してもよい。
このような水処理方法としては、例えばサケ、マス、アユ、イワナ、ウナギ、カニ、エビ等の水生生物の飼育水の浄化方法が挙げられる。この場合、水生生物の飼育水にはアンモニア態窒素が含まれるため、硝化菌が担持された硝化担体を備える硝化槽に飼育水を供給することによりアンモニア態窒素を亜硝酸態窒素及び/又は硝酸態窒素に変換し、硝化槽を通過して亜硝酸態窒素及び/又は硝酸態窒素を含むものとなった飼育水(すなわち、本実施形態における処理対象水)を脱窒工程に供すればよい。硝化槽と脱窒槽とは、別々の槽として設けられていてもよく、同一の槽であってもよい。硝化槽と脱窒槽とが同一の槽である場合、一つの槽中に硝化菌が担持された硝化担体と脱窒菌が担持された脱窒担体と配置され、硝化担体と脱窒担体とが繊維製セパレータ、ろ紙等で仕切られていてもよい。硝化槽、硝化菌、硝化担体、繊維製セパレータ、ろ紙等としては、公知のものから適宜選択して使用することができる。
2-2.処理対象水
本実施形態に係る脱窒処理方法の処理対象水は、亜硝酸態窒素及び/又は硝酸態窒素含むものであれば、特に制限されず、上述した水生生物の飼育水であってもよく、畜産排水、食品排水、下水、浄化槽排水等の排水であってもよい。また、処理対象水は、淡水であってもよく、海水であってもよい。海水に関しては、その塩分濃度は限定されない。
脱窒槽に供給される処理対象水の硝酸態窒素濃度は、特に制限されないが、好ましくは10mg-N/L以上、より好ましくは20mg-N/L以上、さらに好ましくは50mg-N/L以上、特に好ましくは100mg-N/L以上、また、好ましくは5000mg-N/L以下、より好ましくは2000mg-N/L以下である。硝酸態窒素濃度が上記範囲内であることにより、効率よく脱窒が進行する。
脱窒処理工程において、処理対象水の温度は、自然界で環境が取り得る温度範囲であればよく、0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、また、40℃以下、好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
2-3.脱窒担体及び脱窒菌
本実施形態における脱窒担体としては、本発明の第1の実施形態に係る微生物担体が用いられる。脱窒担体には、少なくとも脱窒菌が担持され、好ましくは脱窒菌とともに生分解性樹脂分解菌が担持される。生分解性樹脂分解菌が脱窒担体中の生分解性樹脂を分解することにより、脱窒を行う際に必要となる炭素源が十分に脱窒菌に供給される。その結果、脱窒菌の増殖、生育、活動等が促進され、脱窒速度及び脱窒量を向上し得るからである。脱窒担体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、脱窒菌及び生分解性樹脂分解菌に加え、これら以外の菌を担持していてもよい。脱窒菌、生分解性樹脂分解菌、及びこれら以外の菌としては、公知の菌から適宜選択して用いることができる。
脱窒菌、生分解性樹脂分解菌等の脱窒担体への担持は、脱窒処理開始前に行われてもよく、脱窒槽への処理対象水の供給と並行して行われてもよい。すなわち、予め脱窒担体上で脱窒菌を馴養することで脱窒菌を脱窒担体に担持させ、これを脱窒担体として脱窒槽に充填してもよく、或いは、後述する実施例のように、脱窒菌を含む種汚泥が添加された処理対象水を脱窒担体が充填された脱窒槽に供給し、脱窒菌を馴養しながら脱窒処理工程を行ってもよい。バイオフィルムの剥離及び脱落の抑制、作業効率、コスト等の観点から、後者の担持方法を採用することが好ましい。
脱窒槽内に充填する脱窒担体の量は、特に制限されないが、脱窒効率の観点から、1日あたり処理される処理対象水の質量に対して脱窒担体中の生分解性樹脂が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上、また、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは500質
量%以下、さらに好ましくは100質量%以下となる量である。
脱窒処理工程では、脱窒反応の進行に伴い、生分解性樹脂が消費され、徐々に脱窒担体の体積が少なくなる。脱窒担体の体積が、例えば脱窒処理工程開始時点の体積の7割、6割、又は5割程度になったところで、減少分を補充することで、脱窒性能を維持することができる。
2-4.脱窒槽
脱窒担体を充填するための脱窒槽の形状は、特に制限されず、処理対象水の量、通水速度、硝酸態窒素濃度等に応じて適宜選択すればよい。例えば、脱窒槽内部空間が略円柱状である場合は短径、四角柱の場合には短辺の長さが、脱窒担体の長手方向長さの1.0倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましい。上述の脱窒槽サイズとすることで、通水抵抗及び脱窒担体間の空隙での気泡の滞留が抑制され、処理対象水と脱窒担体表面上のバイオフィルムとの接触面積及びバイオフィルムと接触する処理対象水の量が増加するため、脱窒効率が向上する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が、以下の実施例で示す態様に限定されないことは言うまでもない。
<実施例1~8、比較例1、2>
(脱窒担体の作製)
PBSA(PTT MCC バイオケム社製,「BioPBS」,短径約3mm,長径約6mm)を、所望の断面形状に応じたノズルを有する押出成形機に投入して混錬し、150℃で押出成形した。その後、押し出されたPBSAを所望の長さに切断することで、外周に10~100個程度の凹部を有する星形多角形状の断面形状を有する棒状の脱窒担体を得た。
(長手方向長さLの測定)
無作為に選出した10個の脱窒担体について、長手方向長さをノギスにより測定し、その平均値を脱窒担体の長手方向長さLとした。
(平均外周長D、平均断面積A、及び外周長比率Bの測定)
卓上研磨切断機(株式会社リトク社製,「RC-120」)を用いて脱窒担体を長手方向に垂直な方向に、かつ、長手方向の長さを5等分するよう切断した。その後、脱窒担体の4つの断面を画像処理ソフト「ImageJ Fuji」を用いて解析し、当該4つの断面の平均外周長及び平均断面積を求めた。このようにして、無作為に選びだした10個の脱窒担体について、各脱窒担体の平均外周長及び平均断面積を求め、その平均値をそれぞれ平均外周長D(mm)及び平均断面積A(mm)とした。また、上記式(1)に基づき、平均外周長D(mm)及び平均断面積A(mm)から脱窒担体の外周長比率B(mm-1)を算出した。結果を表1に示す。
(空隙率Zの測定)
上記式(3)に基づき、空隙率Z(%)を算出した。なお、脱窒担体の嵩比重X(kg/L)及び真比重Y(kg/L)は、それぞれ、上記式(5)及び(11)により求めた。結果を表1に示す。
(浸漬含水率W3の測定)
脱窒担体10gを純水500mLに浸漬し、20~25℃で200時間静置した後、内径30cm、50メッシュの篩を用いて純水中の脱窒担体を回収した。その後、エアーダスターガンを用い、エアー圧力0.4MPaにて浸漬後の脱窒担体にエアーを5分間均等
に吹き付け、脱窒担体の表面に付着している水分を吹き飛ばして除去した。その後、脱窒担体の質量W1(g)を測定した。次に、この脱窒担体を恒温槽中、105℃で15時間乾燥し、乾燥後の脱窒担体の質量W2(g)を測定した。続いて、上記式(2)に基づき、測定されたW1及びW2から脱窒担体の浸漬含水率W3(%)を算出した。結果を表1に示す。
(脱窒速度Vの測定)
窒素、リン及びマグネシウムイオンの濃度が、それぞれ50.0mg-N/L、5.0mg-P/L及び8.8mg-Mg/Lとなるよう、硝酸ナトリウム(NaNO)、リン酸水素二カリウム(KHPO)及び硫酸マグネシウム七水和物(MgSO・7HO)を純水に溶解させ模擬排水を得た。得られた模擬排水に、ナトリウムイオンが1.03mg-Na/L、亜鉛イオンが0.27mg-Zn/L、カルシウムイオンが0.57mg-Ca/L、マンガンイオンが0.42mg-Mn/L、鉄イオンが0.30mg-Fe/L、モリブデンイオンが0.18mg-Mo/L、銅イオンが0.12mg-Cu/L、及びコバルトイオンが0.12mg-Co/Lとなるよう、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、硫酸亜鉛(ZnSO・7HO)、塩化カルシウム(CaCl・2HO)、塩化マンガン(MnCl・4HO)、硫酸鉄(II)(FeSO・7HO)、モリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)、硫酸銅(CuSO・5HO)、及び塩化コバルト(CoCl・6HO)を溶解させ、処理対象水を得た。
次に、養殖場の飼育水の浄化処理設備の脱窒槽から懸濁水を採取し、3000rpmで5分間遠心分離にかけ濃縮し、活性汚泥浮遊物質(MLSS)が5600mg/Lの種汚泥を作成した。
続いて、図4に示す循環式脱窒処理システムを用いて脱窒試験を行った。
具体的には、まず、内径3.5mm、長さ450mm、及び有効容積300mLの脱窒カラム113に脱窒担体を200g投入した。次に、処理対象水2000mLを容量2.2Lの貯水タンク110中で種汚泥20mLと混合し、ポンプ111により通水速度10mL/minで送液し、処理対象水を循環させた。図4に示すように、本脱窒試験では、貯水タンク110中の該処理対象水は、供給チューブ112を通って脱窒カラム下部の供給入口から脱窒カラム113内部に供給され、その後、脱窒カラム上部の返送出口から排出され、返送チューブ115を通って貯水タンク110内に返送されることで、脱窒処理システムを循環した。
貯水タンク110中の処理対象水について、試験開始から4日目の硝酸態窒素濃度C(mg/L)をコンパクト硝酸イオンメータ(堀場製作所社製,「LAQUAtwin NO3-11」)により測定し、下記式(5)に基づいて、1日あたりの脱窒速度V(gN/L/d)を算出した。なお、脱窒担体の嵩比重X(kg/L)は、上記式(5)により求めた。結果を表1及び図5に示す。
V={(50-C)×2000(mL)÷10}÷{200(g-担体)÷10÷X(kg/L)}÷4(d) (5)
(式(5)中、Vは、1日あたりの脱窒速度(gN/L/d)であり;Cは、試験開始から4日目の処理対象水中の硝酸態窒素濃度(mg/L)であり;Xは、脱窒担体の嵩比重(kg/L)である。)
<比較例3>
寸法4.0mm×4.0mm×30.0mmの棒状の多孔質性のセルローススポンジ(東レ・ファインケミカル社製,「セルローススポンジP245」)を脱窒担体として用いた以外は、実施例1と同様にして平均外周長D(mm)、平均断面積A、外周長比率B、
空隙率Z、浸漬含水率W3及び1日あたりの脱窒速度Vを求めた。結果を表1及び図5に示す。
Figure 2022153873000002
表1及び図5より、外周長比率が0.5以上4.5以下(実施例1~8)、特に0.5以上2.3以下(実施例1~7)の場合、当該範囲外の場合(比較例1、2)と比較して1日あたりの脱窒速度が速く、高い脱窒効率を示すことが確認された。
比較例3では、浸漬含水率の大きい多孔性の生分解性セルロース担体を用いたため、厚く重いバイオフィルムの形成が可能であったが、脱窒速度は実施例と比較して大幅に遅かった。この原因としては、脱窒担体の強度不足により脱窒担体が破損し、処理対象水の流路を閉塞して処理対象水とバイオフィルムとの接触面積及びバイオフィルムと接触する処理対象水の量が少なかったことが考えられる。
以上より、微生物担体の断面形状が外周に凹部を有する形状であり、かつ、外周長比率及び浸漬含水率が特定の数値範囲内であることにより、高い水処理効率を実現できることがわかった。
100 微生物担体
110 貯水タンク
111 ポンプ
112 供給チューブ
113 脱窒カラム
114 脱窒担体
115 返送チューブ

Claims (9)

  1. 生分解性樹脂を含む微生物担体であって、
    形状が棒状であり、
    長手方向に垂直な断面が、外周に凹部を有する形状を有し、
    下記式(1)により算出される外周長比率が、0.5mm-1以上4.5mm-1以下であり、
    下記式(2)により算出される純水浸漬後の含水率が、20.0質量%以下である、微生物担体。
    B=D/A (1)
    (式(1)中、Bは、前記微生物担体の外周長比率(mm-1)であり;Dは、前記微生物担体の長手方向に対して垂直、かつ、前記長手方向の長さを5等分する4つの断面の平均外周長(mm)であり;Aは、前記4つの断面の平均断面積(mm)である。)
    W3=100-(W2/W1)×100 (2)
    (式(2)中、W3は、前記微生物担体の純水浸漬後の含水率(質量%)であり;W1は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬した後の質量(g)であり;W2は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬し、さらに105℃の恒温槽中で15時間静置した後の質量(g)である。)
  2. 脱窒菌の担持に用いられる、請求項1に記載の微生物担体。
  3. さらに、前記生分解性樹脂の分解能を有する生分解性樹脂分解菌の担持に用いられる、請求項2に記載の微生物担体。
  4. 前記4つの断面の平均外周長Dが、6.0mm以上1000.0mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微生物担体。
  5. 下記式(3)により算出される空隙率が、50.0%以上85.0%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の微生物担体。
    Z=100(1-X/Y) (3)
    (式(3)中、Xは、前記微生物担体の嵩比重(kg/L)であり;Yは、前記微生物担体の真比重(kg/L)である。)
  6. 前記生分解性樹脂が、生分解性ポリエステルである、請求項1~5のいずれか1項に記載の微生物担体。
  7. 前記生分解性ポリエステルが、ジカルボン酸由来の構成単位を2種類以上含む、請求項6に記載の微生物担体。
  8. 脱窒菌が担持された脱窒担体が内部に充填された脱窒槽に処理対象水を供給する脱窒工程を含む脱窒処理方法であって、
    前記脱窒担体は、生分解性樹脂を含み、形状が棒状であり、長手方向に垂直な断面が外周に凹部を有する形状を有し、下記式(1)により算出される外周長比率が0.5mm-1以上4.5mm-1以下であり、下記式(2)により算出される純水浸漬後の含水率が20.0質量%以下である、脱窒処理方法。
    B=D/A (1)
    (式(1)中、Bは、前記微生物担体の外周長比率(mm-1)であり;Dは、前記微生物担体の長手方向に対して垂直、かつ、前記長手方向の長さを5等分する4つの断面の平均外周長(mm)であり;Aは、前記4つの断面の平均断面積(mm)である。)
    W3=100-(W2/W1)×100 (2)
    (式(2)中、W3は、前記微生物担体の純水浸漬後の含水率(質量%)であり;W1は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬した後の質量(g)であり;W2は、前記微生物担体10gを純水500mLに浸漬し、さらに105℃の恒温槽中で15時間静置した後の質量(g)である。)
  9. 前記処理対象水は、硝酸態窒素濃度が10mg-N/L以上5000mg-N/L以下である、請求項8に記載の脱窒処理方法。
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