JP2022153214A - 装薬量算出システム - Google Patents

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JP2022153214A JP2021080291A JP2021080291A JP2022153214A JP 2022153214 A JP2022153214 A JP 2022153214A JP 2021080291 A JP2021080291 A JP 2021080291A JP 2021080291 A JP2021080291 A JP 2021080291A JP 2022153214 A JP2022153214 A JP 2022153214A
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Abstract

【課題】切羽の安定化に配慮した鏡面形成が可能な装薬量を算出する。【解決手段】地山調査データA1t-1a、地山実績データA1t-1b、穿孔機の機械実績データA1t-2、装薬孔の穿孔実績データA1t-3、掘削実績データA1t-4、各装薬孔の総装薬量実績データA1t-5を教師データA1tに用い、新たな発破掘削での穿孔機の機械データD1-1、装薬孔の穿孔データD1-2、掘削目標データD1-3を入力データD1とし、新規掘削での各装薬孔の装薬量を出力データD2とするモデルを機械学習で生成するモデル生成部A3を用いて、入力データD1から算出される各装薬孔の装薬量を出力する出力部A4を有する装薬量算出システムAを構成する。掘削実績データA1t-4は各施工サイクルでの鏡面の掘削出来形の計測データとし、掘削目標データD1-3は鏡面の掘削設計線L1bに余掘り量と当たり量を考慮した掘削計画線L2bのデータとする。【選択図】図6

Description

本発明は、装薬量算出システムに関し、特に、地山を発破掘削してトンネルを構築する際に岩盤に穿孔した装薬孔についての装薬量の算出に適用して有効な技術に関するものである。
山地部などにトンネルを構築する場合の掘削工事において、ダイナマイトなどの爆薬や火薬を所定量紙巻きや樹脂フィルム包装した薬包を岩盤に仕掛けて爆破することでトンネルを掘削する発破掘削方式がある。このような発破によるトンネル掘削にあたっては、トンネル掘削の最先端部である切羽の安定化を図り、肌落ち(掘削面から岩石等が落下する現象)を防止することが重要になる。これは、穿孔(装薬孔を形成するための穿孔)や発破などにより切羽が緩められた地盤に変わり、肌落ちの懸念が高くなるからである。
よって、切羽の安定化は必要条件であり、そのためには、切羽表面つまり鏡面の形状が重要になる。
なお、特許文献1(特開2016-176238号公報)には、鏡面の近傍に第1の弱拘束部を配置し、第1の弱拘束部の前側に前方に向かって3カ所以上の強拘束部および第2の弱拘束部強弱の順で交互に配置し、強拘束部について、第1および第2の弱拘束部よりも短尺で形成され、且つ第1および第2の弱拘束部よりも周囲の地山への拘束力が大きくなるように形成する技術が記載されている。
特開2016-176238号公報
ここで、トンネル構築においては様々な図面が用意されるが、設計図に規定された鏡面の線(以下、「掘削設計線」という。)は地盤強度までは配慮されていないので、掘削設計線に従って発破掘削を行って鏡面を形成すると切羽の安定化が図れない場合が生じることがある。
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、岩盤を発破掘削してトンネルを構築する際において、切羽の安定化に配慮した鏡面を形成することが可能な各装薬孔あたりの装薬量を算出することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の装薬量算出システムは、岩盤を発破掘削してトンネルを構築する施工サイクルにおける装薬孔に対しての装薬量を算出する装薬量算出システムであって、トンネルを構築する地山の地山調査データと地山実績データ、岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械実績データ、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔実績データ、掘削出来形を計測した掘削実績データ、および各装薬孔あたりの総装薬量実績データを教師データとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記教師データを用い、新たな発破掘削において岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械データ、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔データ、および掘削出来形の掘削目標データを入力データとし、新たな発破掘削で穿孔した各装薬孔あたりの装薬量を出力データとするモデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、前記入力データを受け付ける入力手段と、前記モデル生成手段により生成されたモデルを用いて、前記入力手段に受け付けられた前記入力データから算出される各装薬孔あたりの装薬量を出力する出力手段とを有し、前記掘削実績データは、各施工サイクルにおける鏡面の掘削出来形の計測データであり、前記掘削目標データは、鏡面の掘削設計線に余掘り量および当たり量を考慮した鏡面の掘削計画線のデータである、ことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1記載の発明において、前記モデル生成手段は、前記教師データを用いて前記入力データから前記出力データを生成する第1の生成処理を行い、前記出力手段は、前記第1の生成処理での前記出力データである装薬量を出力する、ことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1記載の発明において、前記モデル生成手段は、前記教師データを用いて前記入力データから前記出力データを生成する第1の生成処理を行った後、前記教師データを用いて、前記第1の生成処理での前記出力データである各装薬孔あたりの装薬量から得られた単位体積装薬量を追加した前記入力データから前記出力データを生成する第2の生成処理を行い、前記出力手段は、前記第2の生成処理での前記出力データである各装薬孔あたりの装薬量を出力する、ことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記出力データである各装薬孔あたりの装薬量は、各装薬孔あたりにおける導火線および雷管が取り付けられていない薬包の本数、または各装薬孔あたりにおける薬包の総本数である、ことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記記憶手段に記憶された前記教師データとしての前記機械実績データ、前記穿孔実績データ、前記掘削実績データ、および前記各装薬孔あたりの総装薬量実績データは、1回の施工サイクルの度に追加されるデータである、ことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記記憶手段に記憶された前記教師データとしての前記機械実績データ、前記穿孔実績データ、前記掘削実績データ、および前記各装薬孔あたりの総装薬量実績データは、所定回数の施工サイクルで蓄積されたデータである、ことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記地山調査データは、先進ボーリングで取得されたRQDおよび地盤の調査圧縮強度の少なくとも何れかを含むデータである、ことを特徴とする。
請求項8に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~7の何れか一項に記載の発明において、前記地山実績データは、切羽観察で取得された切羽評価点、亀裂方向、亀裂間隔、亀裂密着度、および地盤の観察圧縮強度の少なくとも何れか一つを含むデータである、ことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~8の何れか一項に記載の発明において、前記機械実績データおよび前記機械データは、前記穿孔機の穿孔速度、前記穿孔機の打撃圧、前記穿孔機の回転圧、および前記穿孔機のフィード圧の少なくとも何れか一つを含むデータである、ことを特徴とする。
請求項10に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~9の何れか一項に記載の発明において、前記穿孔実績データおよび前記穿孔データは、前記装薬孔の穿孔長、前記装薬孔の穿孔エネルギー、前記装薬孔の位置データ、および前記装薬孔の方向データの少なくとも何れか一つを含むデータである、ことを特徴とする。
請求項11に記載の本発明の装薬量算出システムは、上記請求項1~10の何れか一項に記載の発明において、前記装薬孔は、トンネル進行方向の掘削面の略中央部に自由面となる芯抜き孔を形成するための装薬孔、前記芯抜き孔に形成された自由面に対して順次切り拡げる払い孔を形成するための装薬孔、払い孔の下方に踏まえ孔を形成するための装薬孔、および掘削外周となる外周孔を形成するための装薬孔で構成される、ことを特徴とする。
本発明では、地山調査データ、地山実績データ、穿孔機の機械実績データ、装薬孔の穿孔実績データ、掘削出来形を計測した掘削実績データおよび各装薬孔あたりの総装薬量実績データを教師データとして用い、新たな発破掘削における穿孔機の機械データ、装薬孔の穿孔データおよび掘削出来形の掘削目標データを入力データとし、新たな発破掘削で穿孔した各装薬孔あたりの装薬量を出力データとするモデルを機械学習により生成するモデル生成手段を用いて、入力手段に受け付けられた入力データから算出される各装薬孔あたりの装薬量を出力する出力手段を有する装薬量算出システムを構成し、掘削実績データを、各施工サイクルにおける鏡面の掘削出来形の計測データとし、掘削目標データを、鏡面の掘削設計線に余掘り量および当たり量の少なくとも何れかを考慮した鏡面の掘削計画線のデータとしている。
これにより、掘削目標データに沿った各装薬孔あたりの装薬量が算出されることになるので、岩盤を発破掘削してトンネルを構築する際において、切羽の安定化に配慮した鏡面の形成が可能な各装薬孔あたりの装薬量を算出することができる。
(a)は本実施の形態に係る発破掘削でのトンネルの構築現場を平面から示す概念図、(b)は(a)の側面から示す概念図である。 本実施の形態の発破掘削によるトンネル施工のプロセスを示すフローチャートである。 本実施の形態におけるトンネル施工において掘削外周の掘削線を示す説明図である。 本実施の形態におけるトンネル施工において鏡面の掘削線を示す説明図であり、(a)はトンネルの平面図、(b)は(a)のX線に沿った側断面図、(c)は(a)のY線に沿った側断面図、(d)は(a)のZ線に沿った側断面図である。 図3および図4に示す掘削目標出来形に沿った発破計画データを示す説明図である。 AI数値解析モデルの作成を実行するための装薬量算出システムを示すブロック図である。 は図6の装薬量算出システムにおけるAI数値解析モデルの作成プロセスを示すフローチャートである。 本実施の形態におけるトンネル施工の進行状態を側面から示す概念図である。 本実施の形態におけるトンネル施工の進行状態の図8に続く概念図である。 本実施の形態におけるトンネル施工において掘削外周のトンネル横断方向掘削実績出来形を示す説明図である。 本実施の形態におけるトンネル施工において鏡面の掘削実績出来形を示す説明図であり、(a)はトンネルの平面図、(b)は(a)のX線に沿った側断面図、(c)は(a)のY線に沿った側断面図、(d)は(a)のZ線に沿った側断面図である。 本実施の形態におけるトンネル施工の進行状態の図9に続く概念図である。 本実施の形態におけるトンネル施工の進行状態の図12に続く概念図である。 本実施の形態におけるトンネル施工の進行状態の図13に続く概念図である。
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
まず、本実施の形態に係る発破掘削でのトンネルの構築現場について図1を参照して説明する。ここで、図1(a)は本実施の形態に係る発破掘削でのトンネルの構築現場を平面から示す概念図、図1(b)は図1(a)の側面から示す概念図である。
図1において、岩盤を発破掘削して山岳トンネル(トンネル)を構築する工法においては、トンネルTの切羽Kを発破により掘削した場合に生じたずり(掘削物)をトンネルTの抗口へと運ぶずり運搬用のベルトコンベアシステム1が設置されており、クラッシャ2とテールピース台車3とベルトコンベア4とが、切羽Kから坑口に向かって順に縦列配置されている。
クラッシャ2は、発破により生じたずりをベルトコンベア4で運ぶことが可能な大きさに破砕する自走式の破砕機である。テールピース台車3は、クラッシャ2で破砕されたずりをベルトコンベア4に搬送する自走式の中継運搬装置であり、ベルトコンベア4の先端(つまり、ベルトコンベア4の切羽K側)に設置されている。ベルトコンベア4は、テールピース台車3を介して運ばれたずりを長尺となった搬送用のベルト4aに搭載してトンネルTの坑口に向かって運ぶ運搬装置であり、テールピース台車3の後端部からトンネルTの坑口側まで連続して延在した状態で設置されている。
また、図示するように、この連続ベルトコンベアシステム1は、トンネルTの幅方向の一方の片側に寄せられた状態となっており、トンネルTの幅方向の他方の片側は、岩盤の掘削面にコンクリートを吹き付ける吹付け機(図示せず)、発破を装填するための孔(装薬孔)を切羽Kに穿孔するための切羽穿孔機(図示せず)、発破により生じたずりをクラッシャ2に積載するためのショベル7aを備えた自走式のサイドダンプ7やバックホウなどの積載用重機、岩盤の破砕や掘削や小割などの作業を行うためのブレーカ(図示せず)などのような各種の重機の通路として使用可能になっている。さらに、作業現場には、ロックボルトや鋼製支保工などをストックしておく資材置場(図示せず)が割り当てられている。
このようなトンネルTの構築において、発破の際には、先頭に位置するクラッシャ2の先端部が切羽Kから飛散するずりが届かない程度の退避長D(例えば切羽Kから40m程度)に配置する。これにより、発破の際に切羽Kから飛散したずりに起因してクラッシャ2、テールピース台車3およびベルトコンベア4が破損するのを防止する。
そして、発破後のずりの運搬の際には、サイドダンプ7が切羽Kに向かって移動し、掘削物であるずりをショベル7aでクラッシャ2に投入する。
次に、このような発破掘削での山岳トンネルの構築のプロセスの概略について図2~図14を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、支保工の設置とロックボルトの打設とは、地山の途中分まで実行されているものとする(図8参照)。また、掘削工法はNATM(New Austrian Tunneling Method)であり、岩盤を爆破した掘削部分にコンクリートを吹き付けて迅速に硬化させ、岩盤とコンクリートとを固定するロックボルトを岩盤奥深くにまで打設し、地山自体の保持力を利用してトンネルを保持する工法である。
図2は本実施の形態の発破掘削によるトンネル施工のプロセスを示すフローチャートである。なお、図2に示す一連のプロセスを実行する施工サイクルは、例えば1日につき4~6サイクルである。
さて、図2のフローチャートに示すように、発破掘削での山岳トンネルの構築においては、先ず、先進ボーリングを実施するか否かが判断される(ステップSt01)。先進ボーリングとは、トンネル掘削現場にて切羽よりも先行し、例えば100m~120mの延長を水平ボーリングを行うことにより破砕滞の把握や地下水の状況を確認し、トンネル工事を円滑に進行させるためのボーリング調査のことである。この先進ボーリングでは、例えば、RQD(Rock Quality Designation-岩石の砕け易さと岩盤不連続面の頻度に関する指標)、地盤の圧縮強度(本願において、先進ボーリングにおける地盤の圧縮強度を「調査圧縮強度」という。)などを調査する。なお、先進ボーリングは、トンネルの掘削作業の最初に実施した後は、月に1回程度実施される。
ステップSt01において先進ボーリングを実施すると判断した場合には、ステップSt02に移行して先進ボーリングを実施し、次いで、先進ボーリングの調査結果を、コンピュータである装薬量算出システムA(詳細は後述する)に設けられたメモリA1に格納する(ステップSt03)。なお、先進ボーリングで取得されたRQDや地盤の調査圧縮強度などのデータは、装薬量算出システムAにおいて、教師データA1tを構成する地山調査データA1t-1aとして用いられる(図6参照)。但し、先進ボーリングで取得された全てのデータが地山調査データA1t-1aとして用いられる必要はなく、RQDおよび地盤の調査圧縮強度の少なくとも何れかを含むデータであればよい。
ステップSt03において先進ボーリングで取得されたデータをメモリA1に格納したならば、あるいはステップSt01において先進ボーリングを実施しないと判断した場合には、岩盤が掘削目標出来形に発破掘削されるように、穿孔機で岩盤に装薬孔を穿孔する(ステップSt04)。
ここで、装薬孔とは、薬包(所定量の火薬や爆薬(ダイナマイト、含水爆薬、硝安油剤爆薬など)を紙巻きや樹脂フィルム包装したもの)を装填するための孔である。薬包には、導火線および雷管が取り付けられた薬包(以下、「親ダイ」という。)と、導火線および雷管が取り付けられておらず親ダイの爆発に連鎖して爆発する薬包(以下、「増ダイ」という。)とがあり、装填する薬包としては、導火線および雷管が取り付けられた親ダイは起爆のために必須であるが、親ダイの爆発に連鎖して爆発する増ダイは所望する爆破力に応じて本数が決定され、あるいは省かれる。なお、一つの装薬孔に装填される親ダイは1本である。また、本実施の形態では、親ダイおよび増ダイともに、150g/本のダイナマイトが用いられる。但し、親ダイおよび増ダイの重量はこれに限定されるものではない。なお、発破形式としては、電気導火線と電気雷管と爆薬とを用いた電気発破や、紐状導火線と工業雷管と爆薬とを用いた導火線発破などがある。
掘削外周の掘削線を図3に、鏡面の掘削線を図4に示す。図4において、(a)はトンネルの平面図、(b)は(a)のX線に沿った側断面図、(c)は(a)のY線に沿った側断面図、(d)は(a)のZ線に沿った側断面図である。なお、図3において、符号L1aは設計上規定された掘削外周の掘削設計線、符号L2aは掘削外周の掘削計画線(つまり、掘削設計線L1aに余掘り量を考慮した線)であり、図4において、符号L1bは設計上規定された鏡面の掘削設計線、符号L2bは鏡面の掘削計画線(つまり、掘削設計線L1bに対し、切羽の安定化を図るための余掘り量および当たり量を考慮した線)である。そして、掘削計画線L2a,L2bに沿った出来形が掘削目標出来形である。なお、図3および図4において、符号SLはトンネルを上半と下半とに区画しているスプリングライン、符号CLはトンネルを左右に区画するセンターラインである。
これらの図面に示すように、本実施の形態のトンネル掘削には、トンネルをスプリングラインSLで区画された上半と下半とに分けて階段状にし、奥行き(ベンチ長)が2m~4m程度のベンチを形成することで切羽Kの安定化を図りながら掘削する工法、すなわち補助ベンチ付き全断面工法が採用されている。
なお、本願において、鏡面の掘削計画線L2bは、鏡面の掘削設計線L1bに対して余掘り量および当たり量の両方を考慮した線である必要はない。つまり、鏡面の掘削計画線L2bは、掘削設計線L1bに対して余掘り部分および当たり部分の両方が存在していなくてもよく、掘削設計線L1bに対して余掘り部分のみが存在する掘削計画線L2b、あるいは当たり部分のみが存在する掘削計画線L2bであってもよい。
すなわち、本願における鏡面の掘削計画線L2bは、鏡面の掘削設計線L1bに余掘り量および当たり量の少なくとも何れかを考慮した施工線であればよい。
図3の掘削外周において、掘削設計線L1aに余掘り量を考慮した掘削計画線L2aを掘削目標出来形とするのは次のような理由による。すなわち、掘削設計線L1aに沿って掘削すると、掘削面の凹凸のために当たり(掘削目標断面線よりも内空側に残った地山)が発生してこそく(当たり部分の岩盤を除去すること)に多くの工数をとられること、鋼製支保工を建て込む際に空間的な余裕がなくなって作業性が悪くなること、施工誤差が発生すること、岩盤圧による経時的な掘削断面の縮小が発生することなどである。しかしながら、前述のように、余掘りが多いと、ずり出しおよび吹付コンクリート、覆工コンクリート等が増え、施工者に余計な費用がかかるばかりではなく、地山のゆるみ、局部的な応力集中等の問題、凹凸による拘束力により覆工コンクリートにひび割れが入る等の影響が懸念される。したがって、余掘りはできるだけ少なくされなければならない。なお、本実施の形態では、余掘り量は50mmに設定されているが、この値に限定されるものではない。
また、図4の鏡面において、掘削設計線L1bに余掘り量および当たり量を考慮した掘削計画線L2bを掘削目標出来形とするのは、万が一に不良地山が挟在する場合を考慮して切羽Kの安定化を一層確実にするためである。つまり、掘削箇所が当初から不良地山であったり、穿孔作業や発破などにより地盤が緩められたとの後発的事由により不良地山となった場合を考慮したものである。一方で、余掘りや当たりに過不足が生じると、逆に切羽Kの安定化が阻害されたり、作業性が悪化したりすることが懸念される。
これらの理由により、掘削出来形の目標を、図3に示す余掘り量を考慮した掘削外周の掘削出来形である掘削計画線L2a、並びに図4に示す余掘り量および当たり量を考慮した鏡面の掘削出来形である掘削計画線L2bとしている。そして、このような掘削出来形を得るための親ダイや増ダイを装填するための孔が装薬孔である。
本実施の形態において装薬孔を記した発破計画データを図5に示す。図5において、丸印が装薬孔であり、上半には67個が、下半には36個が穿孔されている。また、実線で囲まれた各領域については、符号R1がトンネル進行方向の掘削面(鏡面)の略中央部に自由面となる芯抜き孔、符号R2が芯抜き孔R1に形成された自由面に対して順次切り拡げる払い孔であり、符号R3が払い孔の下方に位置する踏まえ孔であり、符号R4が掘削外周となる外周孔である。これら芯抜き孔R1、払い孔R2、踏まえ孔R3および外周孔R4の領域内に形成された装薬孔に薬包を装填して爆破することにより、各孔R1~R4が形成される。なお、図5中の直線で結ばれた装薬孔に付された「芯抜き」および(2)~(9)のは爆破の段数を表しており、「芯抜き」から(9)に至る装薬孔内の装薬が順に爆破するように設定される。この発破計画データは、本実施の形態では、例えば装薬量算出システムAに設けられたメモリA1に格納されている。なお、図5の符号L1aは掘削設計線、符号L2aは掘削計画線である。
このステップSt04において、新たな発破掘削において岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械データ、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔データ、および掘削出来形の掘削目標データ(掘削計画線L2a,L2bに沿ったデータ)が取得され、後述するAI数値解析モデルの作成(ステップSt07)における入力データD1となる(図6参照)。
さて、ステップSt04において穿孔機で岩盤に装薬孔を穿孔したならば、次に、AI数値解析による孔(装薬孔)あたり装薬量の算出をするか否が判断される(ステップSt05)。このとき、施工サイクルが少ないためにAI数値解析に必要な教師データの収集が不十分である等の場合には、AI数値解析を行わないと判断し、担当者により各装薬孔に対する薬包の装薬量(親ダイ+増ダイ)を決定する(ステップSt06)。
一方、ステップSt05において、AI数値解析に必要な教師データが十分収集された等によりAI数値解析を行うと判断した場合には、AI数値解析モデルの作成を実行する(ステップSt07)。
ここで、AI数値解析モデルの作成について、図6および図7を用いて説明する。図6はAI数値解析モデルの作成を実行するための装薬量算出システムを示すブロック図、図7は図6の装薬量算出システムにおけるAI数値解析モデルの作成プロセスを示すフローチャートである。
図6において、装薬量算出システムAは、教師データA1tや発破計画データ(図5)などが記憶されたメモリ(記憶手段)A1、前述した入力データD1(すなわち、新たな発破掘削において岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械データD1-1、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔データD1-2、および掘削出来形の掘削目標データD1-3)を受け付ける入力部(入力手段)A2、教師データA1tを用い、入力データから新たな発破掘削で穿孔した各装薬孔あたりの装薬量を出力データとするモデルを機械学習により生成するモデル生成部(モデル生成手段)A3、およびモデル生成部A3により生成されたモデルを用いて、入力部A2に受け付けられた入力データD1から算出される各装薬孔あたりの装薬量を出力する出力部(出力手段)A4とを有している。
このような装薬量算出システムAは、例えばソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社から提供されるAIによる分析ツール「Prediction One」(登録商標)など、機械学習を用いた予測分析ツールをコンピュータにインストールすることにより実現することができる。
ここで、教師データA1tは、トンネルを構築する地山の地山調査データA1t-1aと地山実績データA1t-1b、岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械実績データA1t-2、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔実績データA1t-3、掘削出来形を計測した掘削実績データA1t-4、および各装薬孔あたりの総装薬量実績データA1t-5である。その中で、地山調査データA1t-1aは、先進ボーリングで取得されたRQDや地盤の調査圧縮強度などのデータであり、地山実績データA1t-1bは、後述するステップSt13において実行される切羽観察で取得された切羽評価点、亀裂方向、亀裂間隔、亀裂密着度、地盤の圧縮強度(本願において、切羽観察における地盤の圧縮強度を「観察圧縮強度」という。)などのデータである。また、穿孔機の機械実績データA1t-2は、穿孔機の穿孔速度、穿孔機の打撃圧、穿孔機の回転圧、穿孔機のフィード圧などのデータである。さらに、装薬孔の穿孔実績データA1t-3は、装薬孔の穿孔長、装薬孔の穿孔エネルギー、装薬孔の位置データ(センターラインCLからの距離、スプリングラインSLからの距離、最短距離にある装薬孔との間隔)、装薬孔の方向データ(水平さし角、鉛直さし角)などのデータである。さらに、掘削出来形を計測した掘削実績データA1t-4は、後述するステップSt10において計測される発破後の掘削出来形、つまり各施工サイクルにおける掘削外周のトンネル横断方向(換言すれば、トンネル径方向)掘削出来形の計測データおよび各施工サイクルにおける鏡面の掘削出来形の計測データである。そして、各装薬孔あたりの総装薬量実績データA1t-5は、各装薬孔当たりにおける親ダイと増ダイとを合計した薬包の総本数の装填データである。
なお、掘削実績データA1t-4において、鏡面を目標の余掘り量および当たり量とするために限れば、掘削外周の掘削出来形の計測データは省略してもよい。
また、教師データA1tとなる地山調査データA1t-1aは、上述した先進ボーリングで取得された複数のデータの何れかを含んでいればよく、地山実績データA1t-1bは、切羽観察で得られた観察データの少なくとも何れか一つを含んでいればよい。また、穿孔機の機械実績データA1t-2は、上述した複数のデータの少なくとも何れか一つを含んでいればよく、装薬孔の穿孔実績データA1t-3についても、上述した複数のデータの少なくとも何れか一つを含んでいればよい。
入力データD1を構成する機械データD1-1、穿孔データD1-2、および掘削目標データD1-3の具体例として、穿孔機の機械データD1-1は、穿孔機の穿孔速度、穿孔機の打撃圧、穿孔機の回転圧、穿孔機のフィード圧などのデータである。また、装薬孔の穿孔データD1-2は、装薬孔の穿孔長、装薬孔の穿孔エネルギー、装薬孔の位置データ(センターラインCLからの距離、スプリングラインSLからの距離、最短距離にある装薬孔との間隔)、装薬孔の方向データ(水平さし角、鉛直さし角)などのデータである。さらに、掘削出来形の掘削目標データD1-3は、前述した掘削外周の掘削設計線L1aに余掘り量を考慮した掘削計画線L2aのデータ、並びに鏡面の掘削設計線L1bに余掘り量および当たり量を考慮した掘削計画線L2bのデータである。
なお、掘削目標データD1-3において、鏡面を目標の余掘り量および当たり量とするために限れば、掘削外周の掘削計画線L2aのデータは省略してもよい。
また、入力データD1となる穿孔機の機械データD1-1は、上述した複数のデータの少なくとも何れか一つを含んでいればよく、装薬孔の穿孔データD1-2についても、上述した複数のデータの少なくとも何れか一つを含んでいればよい。
本実施の形態において、出力部A4から出力される出力データD2は、図6に示すように、各装薬孔(孔番号)あたりの増ダイ(導火線および雷管が取り付けられていない薬包)の本数である。このように、増ダイの本数のみが出力されるようにしたのは、親ダイ(導火線および雷管が取り付けられた薬包)は各装薬孔につき1本が必須であり、増ダイの本数により各装薬孔の爆発力がコントロールされて目標とする出来形の地盤が掘削されるからである。したがって、各装薬孔に装填される薬包は、増ダイの本数に親ダイの1本が加算された本数となる。なお、出力データD2として、各装薬孔あたりにおける薬包の総本数(つまり、親ダイと増ダイとを合計した本数)を出力するようにしてもよい。
さて、このような構成の装薬量算出システムAを用いたAI数値解析モデルの作成プロセスでは、図7において、先ず、メモリA1に格納されている教師データA1t(地山調査データA1t-1a、地山実績データA1t-1b、機械実績データA1t-2、穿孔実績データA1t-3、掘削実績データA1t-4、総装薬量実績データA1t-5)を読み込む(ステップSt07-1)。なお、地山調査データA1t-1aで得られる先進ボーリングにおける地盤の調査圧縮強度と、地山実績データA1t-1bで得られる切羽観察における地盤の観察圧縮強度との数値が異なっている場合には、地盤の観察圧縮強度(つまり、切羽観察における地盤の圧縮強度)の数値が用いられる。
次に、入力部A2で入力データD1(新たな発破掘削において岩盤に装薬孔を穿孔した際の機械データD1-1、穿孔データD1-2、および掘削目標データD1-3)を受け付ける(ステップSt07-2)。そして、モデル生成部A3において、読み込んだ教師データA1tを用いて、入力データD1から各装薬孔あたりの装薬量を出力データD2とするモデルを生成する処理(第1の生成処理)を行う(ステップSt07-3)。すなわち、地山調査データA1t-1a、地山実績データA1t-1bや既に行った岩盤の発破掘削における各種データA1t-2~A1t-5で構成される教師データA1tを機械学習して、入力データD1から新たに発破掘削するために穿孔した各装薬孔あたりの装薬量を出力とするモデルを生成する。そして、各装薬孔あたりの装薬量を出力する(ステップSt07-4)。
以上のステップSt07-1~ステップSt07-4の工程が1回目のAI数値解析であり、この解析で得られた各装薬孔あたりの装薬量の出力データD2に従って各装薬孔に薬包を装填してもよい。
但し、本実施の形態では、続けて2回目のAI数値解析を実行することにより、算出される出力データD2の精度を高めている。
すなわち、前述したステップSt07-4を行ったならば、各装薬孔あたりの装薬量から単位体積装薬量を算出する(ステップSt07-5)。ここで、単位体積装薬量とは、各装薬孔について、当該孔を中心に描いた半径1mの円と穿孔長とで形成される領域に存在する薬包の本数のことであり、当該本数から薬包が局所的に多すぎたり少なすぎたりしていないかを検討し、1回目のAI数値解析で得られた各装薬孔あたりの装薬量に補正を行うことができる。
さて、ステップSt07-5において単位体積装薬量を算出したならば、この単位体積装薬量を入力データD1に追加する(ステップSt07-6)。すなわち、2回目のAI数値解析では、機械データD1-1、穿孔データD1-2、掘削目標データD1-3に加えて単位体積装薬量が入力データD1となる。
次に、前述したステップSt07-3と同様に、モデル生成部A3において、教師データA1tを用いて、入力データD1から各装薬孔あたりの装薬量を出力データD2とするモデルを生成する処理(第2の生成処理)を行い(ステップSt07-7)、各装薬孔あたりの装薬量を出力する(ステップSt07-8)。
以上のステップSt07-5~ステップSt07-8の工程が2回目のAI数値解析であり、本実施の形態では、この解析で得られた各装薬孔あたりの装薬量の出力データD2に従って各装薬孔に薬包を装填している。但し、前述のように、第2の生成処理を行わず、第1の生成処理だけで得られた出力データD2を用いてもよい。例えば、第1の生成処理だけで得られた出力データD2(各装薬孔あたりの装薬量)と第2の生成処理まで行って得られた出力データD2(各装薬孔あたりの装薬量)との間にほとんど差がない場合などでは、第2の生成処理を省略することができる。
図2に戻って、ステップSt07におけるAI数値解析モデルの作成を行ったならば、あるいは、ステップSt06において担当者により各装薬孔に対する薬包の装薬量を決定したならば、装薬(薬包の装填)を行う(ステップSt08)。すなわち、AI数値解析モデルの作成で出力された各装薬孔あたりの装薬量に従い、親ダイと増ダイとを各装薬孔に装填する。併せて、起爆用の導火線および雷管をセットする。
なお、ステップSt06において担当者により各装薬孔に対する薬包の装薬量を決定した場合、あるいはステップSt07においてAI数値解析モデルの作成により各装薬孔に対する薬包の装薬量を決定した場合の何れにおいても、穿孔した全ての装薬孔に対して薬包が装填されるとは限らない。つまり、穿孔はしたものの、目標とする掘削形状を得るためには装薬する必要がないと判断された装薬孔については、親ダイおよび増ダイは装填されない。したがって、本願における各装薬孔(孔)あたりの装薬量とは、装薬量がゼロも含まれる概念である。
次に、発破を行う(ステップSt09)。すなわち、図8に示すように、切羽K1から作業員および連続ベルトコンベアシステム1の先頭に位置するクラッシャ2の先端部が切羽K1から飛散するずりが届かない程度の退避長Dをとった退避位置DPまで退避させた後、岩盤を発破掘削する。そして、発破による岩盤の掘削によって、図9に示すように、切羽K1が切羽K2まで進行するとともに、ずり(掘削物)Zaが発生する。
なお、図8、図9および図12~図14において、左右に延びる点線は、トンネルTの長さ方向における支保工の設置領域を示し、符号Bはコンクリートに打設されたロックボルトを示している。また、図9および図12~図14において、符号Zaは発破により生じたずりを示し、符号Zbはクラッシャ2から排出されたずりを示している。さらに、図1、図8、図9および図12~図14において、図面簡略化の観点から、トンネルの全断面を同時に発破掘削したように切羽Kが表現されている。
さて、ステップSt09において発破を行ったならば、掘削出来形の計測を行う(ステップSt10)。ここで、掘削外周のトンネル横断方向掘削実績出来形を表した図10および鏡面の掘削実績出来形を表した図11において、符号L3で示す破線が掘削実績線である。なお、図11において、(a)はトンネルの平面図、(b)は(a)のX線に沿った側断面図、(c)は(a)のY線に沿った側断面図、(d)は(a)のZ線に沿った側断面図である。ステップSt10では、このような掘削出来形において、掘削外周のトンネル横断方向の余掘りおよび当たり、並びに鏡面の余掘りおよび当たりを含めた掘削出来形が計測される。
次に、ずりの搬出を行う(ステップSt11)。すなわち、図12に示すように、サイドダンプ7のショベル7a等によってずりZaをクラッシャ2に投入し、クラッシャ2で破砕したずりZbをテールピース台車3に移載する。これにより、ずりZbはベルト4aに積載されて当該テールピース台車3からベルトコンベア4に送られ、ベルト4aによってトンネルTの坑口に向かって運搬され、坑外に搬出される。ずりZaの搬出において、掘削面あるいは周辺地山のこそく(浮き石やせり出した部分を削ぎ落すこと)や巨大ずりの小割りにはブレーカが使用され、切羽部に散乱したずりの集積にはバックホウが使用される。なお、掘削出来形の計測(ステップSt10)よりも先にずりの搬出を行ってもよい。掘削したずりZaを切羽K2から撤去した状態を図13に示す。図示するように、切羽進行領域(切羽K1と切羽K2との間の領域)では、支保工の設置やロックボルトBの打設は、まだ行われていない。
続いて、切羽観察を行うか否かが判断される(ステップSt12)。切羽観察は、例えば1日に1回の割合で行われるもので、行うと判断した場合には、切羽観察が行われる(ステップSt13)。切羽観察では、例えば切羽評価点、亀裂方向、亀裂密着度、地盤の観察圧縮強度などが観察される。そして、切羽観察を行ったならば、その観察結果をメモリA1に格納する(ステップSt14)なお、前述のように、切羽観察結果は、装薬量算出システムAの教師データA1tを構成する地山実績データA1t-1bとされる。
このようにして切羽観察果をメモリA1に格納したならば、あるいは、ステップSt12において切羽観察を行わないと判断したならば、図14に示すように、支保工設置を行う(ステップSt15)。この支保工設置においては、先ず、作業員の安全性を確保するために、吹付け機を使用して薄めに(例えば、5~10cm程度に)コンクリートを吹き付ける。そして、コンクリートが硬化した段階で、鋼製支保工の建て込みを行う。すなわち、吹付け機に搭載されているエレクタを使用して、鋼製支保工の建込みを実施する。吹付け機にエレクタが搭載されていない場合には、切羽穿孔機を使用する。なお、地山が極めて良好である場合には、支保工を設置しないこと、つまりステップSt15をスキップすることもある。
ステップSt15において支保工を設置したならば、コンクリートの吹付けを行う(ステップSt16)。すなわち、吹付け機を使用して、トンネルTの掘削面(掘削外周および鏡面)に被覆材としてコンクリートを所定の厚みに吹き付ける。なお、コンクリートの吹付け厚さは、例えば10~25cm程度である。
次に、トンネルTの掘削面に吹き付けたコンクリートが硬化したならば、同じ図14に示すように、ロックボルトBの打設を行う(ステップSt17)。すなわち、切羽穿孔機を使用してコンクリートから地山内部へ向け、トンネルTの中心部から放射状に穴を穿孔して金属製のロックボルトBを奥深くにまで打設し、地山とコンクリートとを固定して一体化させる。なお、ロックボルトBは所定の間隔を空けて複数本打設する。また、ロックボルトBの本数や長さなどは事前に地質調査を行って決定しておく。
次に、今回の発破掘削での各種実績データ(つまり、装薬量算出システムAに入力された穿孔機の機械データD1-1、装薬孔の穿孔データD1-2、各装薬孔についての装薬量データ(つまり、AI数値解析モデルの作成によって得られた装薬量データ、または担当者が決定した装薬量データ)、掘削出来形を計測した掘削実績データ)をメモリA1に格納する(ステップSt18)。
なお、本実施の形態では、この段階で各種実績データをメモリA1に格納しているが、それぞれの実績データが得られたときに逐次メモリA1に格納するようにしてもよい。
ここで、本実施の形態において、これらのデータは、次の施工サイクルでのAI数値解析モデルの作成(ステップSt07)において教師データA1tを構成する機械実績データA1t-2、穿孔実績データA1t-3、掘削実績データA1t-4および総装薬量実績データA1t-5に追加される。つまり、これらのデータは1回の施工サイクルの度に追加される。したがって、施工サイクルの回数が増えるに従ってデータ量が増えるので、より精度の高いAI数値解析が行われる。
但し、このように1回の施工サイクルの度に教師データA1tに追加されるのではなく、所定回数(例えば施工開始から10回)の施工サイクルで蓄積された機械実績データA1t-2、穿孔実績データA1t-3、掘削実績データA1t-4および各装薬孔あたりの総装薬量実績データA1t-5を教師データA1tとするようにしてもよい。
そして、ステップSt18で各種データをメモリA1に格納したならば、予定作業(例えば、1日あるいは半日の予定作業)が完了したか否かを判断し(ステップSt19)、完了したならば一連の工程を終了する。また、予定の作業が完了していない場合には前述したステップSt01に戻り、以降の工程を順次実行する。
なお、トンネルTの施工では、以上に説明した岩盤の掘削からロックボルトBの打設までの作業とは別に、トンネルT内への漏水を防ぐために防水シートを貼り、覆工コンクリートを打設するか半円筒形の型枠(セントル)を嵌め込んで、コンクリートの壁を仕上げる作業が行われる。このような仕上げ作業は、例えば1日おきに実行される。
以上説明したように、本実施の形態では、地山調査データA1t-1a、地山実績データA1t-1b、穿孔機の機械実績データA1t-2、装薬孔の穿孔実績データA1t-3、掘削出来形を計測した掘削実績データA1t-4および各装薬孔あたりの総装薬量実績データA1t-5を教師データA1tとして用い、新たな発破掘削における穿孔機の機械データD1-1、装薬孔の穿孔データD1-2および掘削出来形の掘削目標データD1-3を入力データD1とし、新たな発破掘削で穿孔した各装薬孔あたりの装薬量を出力データD2とするモデルを機械学習により生成するモデル生成部A3を用いて、入力部A2に受け付けられた入力データD1から算出される各装薬孔あたりの装薬量を出力する出力部A4を有する装薬量算出システムAを構成し、掘削実績データA1t-4を、各施工サイクルにおける鏡面の掘削出来形の計測データとし、掘削目標データD1-3を、鏡面の掘削設計線L1bに余掘り量および当たり量の少なくとも何れかを考慮した掘削計画線L2bのデータとしている。
これにより、掘削目標データD1-3に沿った各装薬孔あたりの装薬量が算出されることになるので、岩盤を発破掘削してトンネルを構築する際において、切羽の安定化に配慮した鏡面の形成が可能な各装薬孔あたりの装薬量を算出することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
例えば、本実施の形態におけるトンネルの掘削工法には、補助ベンチ付き全断面工法が適用されているが、この工法に限定されることなく、全断面掘削工法(トンネルの全断面を同時に掘削する工法)や上部半断面先進工法(トンネルをスプリングラインSLで区画された上半と下半とに分け、上半を先行して掘削し、これに追従して下半を掘削する工法)など、様々な掘削工法を適用することができる。
本発明に係る装薬量算出システムは、山岳トンネルを発破掘削で構築する場合のみならず、堅岩などからなる山岳部以外の場所でトンネルを発破構築する場合など、様々な場所でのトンネルの発破掘削において切羽を安定化させるための鏡面を形成する各装薬孔あたりの装薬量算出に用いることができる。
1 ベルトコンベアシステム
2 クラッシャ
3 テールピース台車
4 ベルトコンベア
7 サイドダンプ
A 装薬量算出システム
A1 メモリ(記憶手段)
A1t 教師データ
A1t-1a 地山調査データ
A1t-1b 地山実績データ
A1t-2 機械実績データ
A1t-3 穿孔実績データ
A1t-4 掘削実績データ
A1t-5 総装薬量実績データ
A2 入力部(入力手段)
A3 モデル生成部(モデル生成手段)
A4 出力部(出力手段)
B ロックボルト
CL センターライン
D1 入力データ
D1-1 機械データ
D1-2 穿孔データ
D1-3 掘削目標データ
D2 出力データ
K,K1,K2 切羽
L1a 掘削設計線(掘削外周の掘削設計線)
L1b 掘削設計線(鏡面の掘削設計線)
L2a 掘削計画線(掘削外周の掘削計画線)
L2b 掘削計画線(鏡面の掘削計画線)
L3 掘削実績線
R1 芯抜き孔
R2 払い孔
R3 踏まえ孔
R4 外周孔
SL スプリングライン
T トンネル

Claims (11)

  1. 岩盤を発破掘削してトンネルを構築する施工サイクルにおける装薬孔に対しての装薬量を算出する装薬量算出システムであって、
    トンネルを構築する地山の地山調査データと地山実績データ、岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械実績データ、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔実績データ、掘削出来形を計測した掘削実績データ、および各装薬孔あたりの総装薬量実績データを教師データとして記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記教師データを用い、新たな発破掘削において岩盤に装薬孔を穿孔した際の穿孔機の機械データ、岩盤に穿孔した装薬孔の穿孔データ、および掘削出来形の掘削目標データを入力データとし、新たな発破掘削で穿孔した各装薬孔あたりの装薬量を出力データとするモデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、
    前記入力データを受け付ける入力手段と、
    前記モデル生成手段により生成されたモデルを用いて、前記入力手段に受け付けられた前記入力データから算出される各装薬孔あたりの装薬量を出力する出力手段とを有し、
    前記掘削実績データは、各施工サイクルにおける鏡面の掘削出来形の計測データであり、
    前記掘削目標データは、鏡面の掘削設計線に余掘り量および当たり量の少なくとも何れかを考慮した鏡面の掘削計画線のデータである、
    ことを特徴とする装薬量算出システム。
  2. 前記モデル生成手段は、
    前記教師データを用いて前記入力データから前記出力データを生成する第1の生成処理を行い、
    前記出力手段は、前記第1の生成処理での前記出力データである装薬量を出力する、
    ことを特徴とする請求項1記載の装薬量算出システム。
  3. 前記モデル生成手段は、
    前記教師データを用いて前記入力データから前記出力データを生成する第1の生成処理を行った後、
    前記教師データを用いて、前記第1の生成処理での前記出力データである各装薬孔あたりの装薬量から得られた単位体積装薬量を追加した前記入力データから前記出力データを生成する第2の生成処理を行い、
    前記出力手段は、前記第2の生成処理での前記出力データである各装薬孔あたりの装薬量を出力する、
    ことを特徴とする請求項1記載の装薬量算出システム。
  4. 前記出力データである各装薬孔あたりの装薬量は、
    各装薬孔あたりにおける導火線および雷管が取り付けられていない薬包の本数、
    または各装薬孔あたりにおける薬包の総本数である、
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  5. 前記記憶手段に記憶された前記教師データとしての前記機械実績データ、前記穿孔実績データ、前記掘削実績データ、および前記各装薬孔あたりの総装薬量実績データは、1回の施工サイクルの度に追加されるデータである、
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  6. 前記記憶手段に記憶された前記教師データとしての前記機械実績データ、前記穿孔実績データ、前記掘削実績データ、および前記各装薬孔あたりの総装薬量実績データは、所定回数の施工サイクルで蓄積されたデータである、
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  7. 前記地山調査データは、
    先進ボーリングで取得されたRQDおよび地盤の調査圧縮強度の少なくとも何れかを含むデータである、
    ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  8. 前記地山実績データは、
    切羽観察で取得された切羽評価点、亀裂方向、亀裂間隔、亀裂密着度、および地盤の観察圧縮強度の少なくとも何れか一つを含むデータである、
    ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  9. 前記機械実績データおよび前記機械データは、
    前記穿孔機の穿孔速度、前記穿孔機の打撃圧、前記穿孔機の回転圧、および前記穿孔機のフィード圧の少なくとも何れか一つを含むデータである、
    ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  10. 前記穿孔実績データおよび前記穿孔データは、
    前記装薬孔の穿孔長、前記装薬孔の穿孔エネルギー、前記装薬孔の位置データ、および前記装薬孔の方向データの少なくとも何れか一つを含むデータである、
    ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
  11. 前記装薬孔は、
    トンネル進行方向の掘削面の略中央部に自由面となる芯抜き孔を形成するための装薬孔、前記芯抜き孔に形成された自由面に対して順次切り拡げる払い孔を形成するための装薬孔、払い孔の下方に踏まえ孔を形成するための装薬孔、および掘削外周となる外周孔を形成するための装薬孔で構成される、
    ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の装薬量算出システム。
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