JP2022151583A - ポリプロピレン系シーラントフィルム及び蓄電装置用外装材 - Google Patents

ポリプロピレン系シーラントフィルム及び蓄電装置用外装材 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートシール強度、耐白化性、耐熱性、ラミネート強度、耐ブロッキング性のすべてに優れたバランスの良い性能を備えるとともに、適切なヒートシール剥離界面の凝集破壊が可能なポリプロピレン系シーラントフィルム及び蓄電装置用外装材を提供する。【解決手段】ラミネート層20とヒートシール層40はプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体とし、基材層30が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするとともに、プロピレン-エチレンブロック共重合体が、キシレン可溶分についてゲル浸透クロマトグラフィーによる測定において重量平均分子量が100000~600000、メルトフローレートが1~10g/10min、及びキシレン可溶分についてのエチレンコンテントが10~70重量%であり、基材層にエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを5~30重量%含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系シーラントフィルム及び該シーラントフィルムを使用した蓄電装置用外装材に関する。
例えば、レトルト用シーラントフィルムは、食品や雑貨等の包装材料の他、リチウムイオン電池のソフトパック等の工業用途にも好適に使用される。ソフトパックタイプのリチウムイオン電池は、所望の形状・大きさに成型(絞り成型)したシーラントフィルムに、電解液等の内容物が充填された後、パウチ加工されて得られる。
リチウムイオン電池等の蓄電装置用のシーラントフィルムでは、ヒートシール強度、耐白化性、耐熱性、ラミネート強度、耐ブロッキング性等の性能が求められる。また、ソフトパックの内圧が上昇した際に急激な破裂を防止するためのガス抜きを可能とすることも必要とされる。この内圧上昇時のガス抜きは、シーラントフィルムのヒートシール剥離界面の凝集破壊によって行われる。
蓄電装置に使用されるシーラントフィルムとして、例えば、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とする基材層と、プロピレン-エチレンランダム共重合体を主体とするヒートシール層とを備えた絞り成型用ポリプロピレン系シーラントフィルムが知られている(特許文献1参照)。このシーラントフィルムは、耐熱性、耐白化性が付与されたフィルムであり、例えば基材層をプロピレン-エチレンブロック共重合体のみで構成することによって、高いヒートシール強度を得ることができる。しかしながら、単にヒートシール強度が高くなるだけでは、内圧上昇時にヒートシール部分で剥離が発生しにくく、不規則にフィルムが破壊される等、ヒートシール剥離界面の凝集破壊を適切に発生させることは困難である。
そこで、シーラントフィルム(シーラント層)内部で凝集破壊が発生するように構成された蓄電装置用シーラントフィルムが提案されている(特許文献2参照)。このシーラントフィルムは、プロピレン-ランダム共重合体を主体とする第一樹脂層と、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂を主体とし、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーから少なくとも1種のポリマー成分からなる第二樹脂層との少なくとも二層からなる。
特許文献2では、第二樹脂層の両面に第一樹脂層が配置され、シーラントフィルムの一方の第一樹脂層をラミネート層とし、表面の外層フィルムに積層された金属箔層が接着剤を介してラミネート層に積層されて蓄電装置用外装材が構成され、シーラントフィルムの他方の第一樹脂層を最内層側のヒートシール層として蓄電装置のパウチ加工が行われる。そして、蓄電装置のソフトパックの内圧上昇時には、シーラントフィルム内部の第二樹脂層で凝集破壊が生じる。
上記蓄電装置用外装材では、シーラントフィルムのヒートシール強度やラミネート強度が高すぎてもシーラントフィルム内部で安定して凝集破壊を発生させることは困難であり、低すぎても内圧上昇時以外の状況でシールが破壊されるおそれがある等、所定範囲のシール強度に調整することが求められる。しかしながら、従来のシーラントフィルムでは、ラミネート層とアルミニウム箔等の金属箔層とのラミネート強度を適切に調整することが困難であった。また、耐ブロッキング性等の他の性能も十分に備えているとは限らず、要求されるすべての性能面で高品質のシーラントフィルムを得ることは困難であった。
特開2018-176690号公報 特開2017-76510号公報
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、ヒートシール強度、耐白化性、耐熱性、ラミネート強度、耐ブロッキング性のすべてに優れたバランスの良い性能を備えるとともに、適切なヒートシール剥離界面の凝集破壊が可能なポリプロピレン系シーラントフィルム及び蓄電装置用外装材を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、ラミネート層と、基材層と、ヒートシール層とを有するポリプロピレン系シーラントフィルムであって、前記ラミネート層と、前記ヒートシール層は、プロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体とし、前記基材層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするとともに、次のa1、a2、及びa3を充足し、(a1):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、重量平均分子量が100000~600000であり、(a2):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のJIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~10g/10minであり、(a3):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてのエチレンコンテントが10~70重量%であり、前記基材層にエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを5~30重量%含むことを特徴とするポリプロピレン系シーラントフィルムに係る。
請求項2の発明は、前記ラミネート層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とする請求項1に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムに係る。
請求項3の発明は、前記ヒートシール層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムに係る。
請求項4の発明は、前記プロピレン-エチレンブロック共重合体が、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を触媒成分とするマグネシウム担持型触媒、三塩化チタンを触媒とする個体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、メタロセン触媒のいずれかの触媒を使用して製造されて、JIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~10g/10minである請求項2又は3に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムに係る。
請求項5の発明は、前記ラミネート層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも30重量%含み、前記基材層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも10重量%含み、前記ヒートシール層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも15重量%含む請求項1に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムに係る。
請求項6の発明は、前記ラミネート層及び前記ヒートシール層がプロピレン単独重合体を主体とする請求項1又は5に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムに係る。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムと、金属箔層と、外層フィルムとを含む積層体であって、前記ポリプロピレン系シーラントフィルムのヒートシール層が最内層側に配置されるとともに、前記外層フィルムが最外層側に配置されることを特徴とする蓄電装置用外装材に係る。
請求項8の発明は、ヒートシール剥離時には前記ポリプロピレン系シーラントフィルムの基材層が破断される請求項7に記載の蓄電装置用外装材に係る。
請求項1の発明に係るポリプロピレン系シーラントフィルムによると、ラミネート層と、基材層と、ヒートシール層とを有するポリプロピレン系シーラントフィルムであって、前記ラミネート層と、前記ヒートシール層は、プロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体とし、前記基材層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするとともに、次のa1、a2、及びa3を充足し、(a1):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、重量平均分子量が100000~600000であり、(a2):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のJIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~10g/10minであり、(a3):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてのエチレンコンテントが10~70重量%であり、前記基材層にエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを5~30重量%含むため、ヒートシール強度、耐白化性、耐熱性、ラミネート強度、耐ブロッキング性のすべてに優れたバランスの良い性能を備え、ヒートシール剥離界面の凝集破壊も適切に発生させることができる。
請求項2の発明に係るポリプロピレン系シーラントフィルムによると、請求項1の発明において、前記ラミネート層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするため、基材層間の十分な接着強度を得ることができ、金属箔層等に対して優れたラミネート強度を得ることができる。
請求項3の発明に係るポリプロピレン系シーラントフィルムによると、請求項1又は2の発明において、前記ヒートシール層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするため、より優れた耐ブロッキング性が得られる。
請求項4の発明に係るポリプロピレン系シーラントフィルムによると、請求項2又は3の発明において、前記プロピレン-エチレンブロック共重合体が、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を触媒成分とするマグネシウム担持型触媒、三塩化チタンを触媒とする個体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、メタロセン触媒のいずれかの触媒を使用して製造されて、JIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~10g/10minであるため、より好適なフィルム性能が得られる。
請求項5の発明に係るポリプロピレン系シーラントフィルムによると、請求項1の発明において、前記ラミネート層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも30重量%含み、前記基材層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも10重量%含み、前記ヒートシール層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも15重量%含むため、各層の層間強度が向上される。
請求項6の発明に係るポリプロピレン系シーラントフィルムによると、請求項1又は5の発明において、前記ラミネート層及び前記ヒートシール層がプロピレン単独重合体を主体とするため、耐熱性の向上を図ることができる。
請求項7の発明に係る蓄電装置用外装材によると、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムと、金属箔層と、外層フィルムとを含む積層体であって、前記ポリプロピレン系シーラントフィルムのヒートシール層が最内層側に配置されるとともに、前記外層フィルムが最外層側に配置されるため、適切なシール強度と保護性能を得ることができる。
請求項8の発明に係る蓄電装置用外装材によると、請求項7の発明において、ヒートシール剥離時には前記ポリプロピレン系シーラントフィルムの基材層が破断されるため、蓄電装置の内圧上昇時に適切に凝集破壊を発生させることができる。
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系シーラントフィルムの概略断面図である。 図1のシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材の概略断面図である。 蓄電装置の概略断面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系シーラントフィルム10であって、ラミネート層20と、基材層30と、ヒートシール層40とを有する。このシーラントフィルム10は、Tダイ法等の公知の製造方法により製造される。また、本発明のシーラントフィルム10は、無延伸により製膜される。無延伸フィルムは、延伸が抑制されてフィルムの配向性が低下することから、白化が生じにくく、ヒートシール強度が高くなるため好ましい。なお、この無延伸フィルムは、製膜時に不可抗力の延伸が加わった場合も含む。
このシーラントフィルム10は、ソフトパックタイプのリチウムイオン電池等の蓄電装置の外装材の材料として好適に使用される。例えば、図2に示す蓄電装置用外装材50は、シーラントフィルム10と、金属箔層60と、外層フィルム70とを含む積層体で構成され、リチウムイオン電池等の蓄電装置用の外装材として公知の絞り成型等により所定形状に成型される等して使用される。以下、シーラントフィルム10の樹脂組成等とともに、蓄電装置用外装材50について説明する。
ラミネート層20は、当該シーラントフィルム10の一側の表面層に相当し、使用時に金属箔や他の樹脂フィルム等の積層物が積層される面となる。このラミネート層20は、プロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体として構成される。ラミネート層20には、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理等の表面処理が施され、他のフィルムとの接着性を向上させることが好ましい。
プロピレン-エチレンブロック共重合体は、プロピレン系重合体成分と、プロピレン-エチレンランダム共重合体成分とからなる組成物である。プロピレン-エチレンブロック共重合体では、メルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、例えば、JIS K 7210-1(2014)のA法に準拠した測定のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.1~20g/10min、より好ましくは1~10g/10minである。また、このプロピレン-エチレンブロック共重合体では、製造に際して使用される好ましい触媒として、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を触媒成分とするマグネシウム担持型触媒、三塩化チタンを触媒とする個体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、メタロセン触媒等が挙げられる。
プロピレン単独重合体は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得られる。高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調整されたチタン化合物を用いたチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒等が挙げられる。このプロピレン単独重合体では、メルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、例えば、JIS K 7210-1(2014)のA法に準拠した測定のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.1~20g/10min、より好ましくは1~10g/10minである。
ここで、従来のラミネート層は、プロピレン-エチレンランダム共重合体等のプロピレン-ランダム共重合体を主体とする樹脂で構成される。通常、スリップ剤や低分子量成分がこのラミネート層にブリードアウトすることで、ラミネート層と接着剤との接着性を阻害し、ラミネート強度が低下する恐れがある。従来のプロピレン-ランダム共重合体よりも結晶性の高いプロピレン単独重合体を用いることで、スリップ剤や低分子量成分のブリードアウトを抑制し、優れたラミネート強度を得ることができる。また、プロピレン-エチレンブロック共重合体やプロピレン-ランダム共重合体に含まれる共重合体成分は接着剤との相溶性を高める性質を有するが、特にプロピレン-エチレンブロック共重合体は共重合体成分量が多いことから、より優れたミネート強度を得ることができる。
基材層30は、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするとともに、次の(a1)、(a2)、及び(a3)を充足し、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを5~30重量%含む層である。
(a1)として、基材層30のプロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分が分離される。このキシレン可溶分についてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)の測定により、同可溶分中の樹脂成分の重量平均分子量が求められる。この重量平均分子量は100000~600000の範囲内である。キシレン可溶分とは、キシレン中へ溶解するプロピレン-エチレンブロック共重合体に含有されるエラストマー成分と考えられる。そこで、キシレン可溶分の重量平均分子量から、エラストマー成分の内容を推定することができる。
プロピレン-エチレンブロック共重合体の性質上、キシレン可溶分の重量平均分子量が100000を下回る場合、良好なヒートシール性能が生じにくくなり、ヒートシール剥離界面の凝集破壊の低下が生じやすい。重量平均分子量600000を超過する場合、出来上がるポリプロピレン系シーラントフィルムの延伸前後のヘーズ値が悪化する。つまり、絞り成型時に白化が生じ、好ましくない。そこで、重量平均分子量600000は上限である。従って、プロピレン-エチレンブロック共重合体の性質を規定する点から前記の重量平均分子量の範囲になる。
(a2)として、プロピレン-エチレンブロック共重合体のJIS K 7210-1(2014)のA法に準拠した測定のMFR(230℃、2.16kg荷重)は1~10g/10minである。メルトフローレートの値が1g/10min未満では、樹脂の流動性が乏しい。そのため、フィルムの成形性が低下する。メルトフローレートの値が10g/10minを上回る場合には流動性過剰となる。また、軟化の影響から出来上がったフィルムの耐衝撃性の低下が生じ易い。そのため、後出の実施例の傾向から、前記の条件によるメルトフローレートは1ないし10g/10minの範囲である。
(a3)として、プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてのエチレンコンテントは10~70重量%の範囲である。エチレンコンテントは、キシレン可溶分の樹脂成分に占めるエチレン骨格の割合を相対化した指標である。例えば、赤外線(IR)スペクトルのエチレン単位に由来する吸光度とプロピレン単位に由来する吸光度に基づいて算出することができる。キシレン可溶分に含有される樹脂成分のエチレンコンテントを考慮することにより、耐熱性等の把握に役立つ。キシレン可溶分中のエチレンコンテントが10重量%を下回る場合、良好なヒートシール性能が生じにくくなる。キシレン可溶分中のエチレンコンテントが70重量%を上回る場合、フィルムの耐熱性が低下する。従って、キシレン可溶分についてのエチレンコンテントは前記の範囲である。
エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーは、低結晶性ないし非晶性の共重合体エラストマーであり、エチレンと共重合モノマーのαオレフィンとの共重合体である。エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーは、主に当該シーラントフィルム10のヒートシール剥離界面の凝集破壊をさせる成分となる。これは、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とする樹脂層中にエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーが含まれることにより、海島構造が形成されるためである。この海島構造により、基材層30でヒートシール剥離界面の凝集破壊を発生させることが可能となる。そこで、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーは、次の(b1)、(b2)、及び(b3)を充足する。
(b1)として、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの密度は、0.860~0.895g/cmである。密度が0.860g/cm未満の場合、樹脂の融点が低下しやすくなって、耐熱性が高まる。同密度が0.895g/cmを超過する場合、ヒートシール剥離界面の凝集破壊性が低下する恐れがある。そこで、双方の均衡を図る点が重視され、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの密度は上記の範囲に規定される。
(b2)として、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーのJIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のMFR(190℃、2.16kg荷重)は0.5~10.0g/10minである。当該樹脂のMFRが0.5g/10min未満の場合、高分子量成分が多くなる。MFRが10.0g/10minを超過する場合、高分子量成分が少なる。そこで、フィルムの成形性の良否と当該シーラントフィルム10の耐熱性が加味され、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの好ましいMFRは、上記の範囲となる。
(b3)として、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーは、エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとのランダム共重合体である。具体的なα-オレフィンとして、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン等が例示される。炭素数3未満ではコモノマーとして存在せず、当該樹脂は成り立たない。炭素数8を超過する場合、コモノマー部分の影響から他のプロピレン-エチレン共重合体との相溶性が低下する。そこで、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーは上記の条件となる。ヒートシール強度及びヒートシール剥離界面の凝集破壊の観点から、α-オレフィンは1-ブテンが特に好ましい。
基材層30中のエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの配合割合は、5~30重量%である。配合割合が5重量%未満の場合、ヒートシール剥離界面の凝集破壊が発生しないおそれがある。30重量%を超過する場合、耐熱性が低下する恐れがある。したがって、ヒートシール剥離界面の凝集破壊と耐熱性との兼ね合いから、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの配合割合は、上記の範囲となる。
ヒートシール層40は、当該シーラントフィルム10の他側の表面層に相当し、使用時に蓄電装置の電極部材や他のフィルム等と接着される面となる。ヒートシール層40は、ラミネート層20と同様にプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体として構成される。また、ヒートシール層40では、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを添加することにより、ヒートシール温度を低下させることができる。
当該シーラントフィルム10では、ラミネート層20やヒートシール層40を構成する主成分が、要求されるフィルム性能に応じて適宜に選択される。例えば、ラミネート層20と基材層30間の接着強度を高める場合、ラミネート層20はプロピレン-エチレンブロック共重合体が好ましい。シーラントフィルム10の耐ブロッキング性を高める場合には、ヒートシール層40をプロピレン-エチレンブロック共重合体で構成することが好ましい。また、ラミネート層20及びヒートシール層40の双方がプロピレン単独重合体を主体として構成された場合は、耐熱性の向上を図ることができる。
さらに、シーラントフィルム10では、ラミネート層20と基材層30とヒートシール層40が、それぞれプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を含むことが好ましい。プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合は、各層20,30,40ごとに適宜に設定される。すなわち、ラミネート層20はプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも30重量%含み、基材層30はプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも10重量%含み、ヒートシール層40はプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも15重量%含むことが好ましい。
上記のように各層20,30,40に所定割合のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体がそれぞれ含まれることにより、各層20,30,40の層間強度が向上される。また、各層20,30,40において、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合が低すぎると、ヒートシール強度が低下するおそれがある。一方、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合が高すぎると、適切に凝集破壊されないおそれがある。なお、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合の上限は、各層20,30,40の主成分の配合割合未満であれば特に限定されない。
シーラントフィルム10では、フィルム全体の厚さは特に限定されないが、例えば、20~150μm程度が好ましく、より好ましくは20~100μmである。シーラントフィルム10の各層の厚さの比率としては、例えば、ラミネート層が10~33.3%、基材層30が33.4~80%、ヒートシール層が10~33.3%である。
シーラントフィルム10を構成する各層には、ラミネート強度等の特性を阻害しない範囲で必要に応じて、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
ところで、従来のシーラントフィルムでは、ラミネート層やヒートシール層をプロピレン-ランダム共重合体を主体とするとともに、基材層をプロピレン-エチレンブロック共重合体を主体として構成することにより耐熱性や耐白化性が付与され、あるいは基材層をエラストマー変性オレフィン系樹脂を主体としてランダムポリプロピレンやホモポリプロピレン等を含むように構成することによりシーラントフィルム内部で凝集破壊が発生可能となる。しかしながら、前者のシーラントフィルムの場合は各層の接着強度が劣りラミネート強度の調整が困難であり、後者のシーラントフィルムの場合は耐ブロッキング性等の他の性能が不十分であったりする等、一部のフィルム性能が欠けたフィルムとなっていた。
これに対し、本発明のポリプロピレン系シーラントフィルム10は、前記のとおり、各層を構成する樹脂が、ラミネート層20とヒートシール層40はプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体とし、かつ、基材層30はプロピレン-エチレンブロック共重合体を主体としたものである。これにより、ラミネート層20と基材層30間の十分な接着強度を得ることができて金属箔層60等に対して優れたラミネート強度を得ることができるとともに、ヒートシール層40に優れた耐ブロッキング性が付与される。また、他のフィルム性能が損なわれることがない。したがって、性能全般が優れたバランスの良いシーラントフィルムが得られる。
蓄電装置用外装材50は、図2に示すように、ポリプロピレン系シーラントフィルム10と、金属箔層60と、外層フィルム70とを含む積層体であって、各層が接着剤層80,85を介して積層されている。この蓄電装置用外装材50は、図3に示すように、蓄電装置100の外装材として使用されるものであり、所望の形状・大きさに成型(絞り成型)されてパウチ加工等により電極部材110を被覆するように構成される。その際、ポリプロピレン系シーラントフィルム10のヒートシール層40が最内層側に配置されるとともに、外層フィルム70が最外層側に配置される。
金属箔層60は、蓄電装置100内部に水分が侵入することを防止する水蒸気バリア性を有する層である。また、金属箔層60は、深絞り成型をするために延展性を有する。この金属箔層60は、アルミニウムやステンレス鋼等の適宜の金属箔が使用される。質量(比重)、防湿性、加工性、コスト等の観点からアルミニウム箔が好ましい。金属箔層60の厚さは特に限定されないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性等観点から、9~200μm程度が好ましく、15~100μmとすることがより好ましい。
金属箔層60では、必要に応じて腐食防止処理により腐食防止処理層90を形成することが好ましい。腐食防止処理層90は、電解液や、電解液と水分の反応により発生するフッ酸等による金属箔層60の腐食を防止する層であり、金属箔層60の内層側(シーラントフィルム10側)に形成されている。
腐食防止処理層90を形成する方法としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理の組み合わせ等が挙げられる。また、純粋なコーティング処理のみで腐食防止処理層90を形成することも可能である。コーティング処理としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。これにより、一般的なコーティング処理でもアルミニウム箔等の金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。さらに、腐食防止処理層90と、該腐食防止処理層90と隣接する他の層との密着性や各種機能性を付与させるため、各種ポリマー系コーティング剤を設けても構わない。この腐食防止処理層90は、単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
腐食防止処理層90では、単層構造又は多層構造のいずれであっても、単位面積当たりの質量が0.005~0.200g/mが好ましく、0.010~0.100mがより好ましい。単位面積当たりの質量が小さすぎると腐食防止機能が十分に付与されないおそれがある。また、単位面積当たりの質量が大きくなりすぎても腐食防止機能の向上が見られなくなるため好ましくない。なお、腐食防止処理層90の厚さは、その比重から換算できる。
外層フィルム70は、蓄電装置100の製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通時のピンホール対策等の保護性能を備える層である。外層フィルム70は、絶縁性を有する樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は無延伸フィルムが挙げられる。これらのフィルムは、単層で使用してもよいし、2層以上積層した多層フィルムとして使用してもよい。外層フィルム70の厚さは、耐ピンホール性、絶縁性、深絞り成型性等の観点から、2~50μm程度が好ましい。外層フィルム70が薄すぎると耐ピンホール性や絶縁性等の保護性能が十分に得られないおそれがある。外層フィルム70が厚すぎると深絞り成型性が低下するおそれがある。
接着剤層80,85は、各層の接着性を向上させる層である。接着剤層80,85としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン接着剤、ポリエステルポリウレタン接着剤、ポリエーテルポリウレタン接着剤等が挙げられる。また、金属箔層60の内層側(シーラントフィルム10側)に介在される接着剤層85では、電解液による膨潤の少ないポリオレフィン系接着剤を使用するのが好ましい。接着剤層80,85の厚さは特に限定されないが、例えば、金属箔層60の外層側(外層フィルム70側)の接着剤層80は1~10μm程度、内層側(シーラントフィルム10側)の接着剤層85は1~6μm程度に設定されるのが好ましい。
次に、蓄電装置用外装材の製造方法の一例について説明する。蓄電装置用外装材の製造方法は、腐食防止処理工程と、第1積層工程と、第2積層工程とを備え、必要に応じて熱処理工程が行われる。
腐食防止処理工程は、金属箔層60に対して腐食防止処理を施して腐食防止処理層90を形成する工程である。この例では、金属箔層60の片面側に腐食防止処理層90が形成される。腐食防止処理の方法は、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止性能を有するコーティング剤の塗工等が挙げられる。脱脂処理はスプレー法又は浸漬法、熱水変性処理や陽極酸化処理は浸漬法、化成処理はそのタイプに応じて浸漬法、スプレー法、コート法等から選択する等、適宜の手法により行われる。また、コーティング剤の塗工では、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコート等の各種のコート法を用いることが可能である。コーティング剤の塗布量は、いずれの手法であっても、0.005~0.200g/mが好ましく、0.010~0.100g/mがより好ましい。また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層90の乾燥条件に応じて、金属箔層(母材)温度として60~300℃で行われる。
第1積層工程は、金属箔層60と外層フィルム70とを外層側の接着剤層80を介して貼り合わせる(積層する)工程である。この例では、腐食防止処理層90が設けられていない側の金属箔層60に外層フィルム70が積層される。貼り合わせ方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーション等の手法が用いられる。外層側の接着剤層80の厚さは、1~10μmに設定される。
第2積層工程は、金属箔層60とシーラントフィルム10とを内層側の接着剤層85を介して貼り合わせる(積層する)工程である。この例では、金属箔層60に設けられた腐食防止処理層90に対してシーラントフィルム10が積層される。貼り合わせ方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーション等の手法が用いられる。内層側の接着剤層85の厚さは、1~6μmに設定される。
熱処理工程は、上記各工程を経て得られた積層体(50)をエージング(養生)処理する工程である。積層体をエージング処理することで、外層フィルム70、接着剤層80、金属箔層60、腐食防止処理層90、接着剤層85、シーラントフィルム10間の接着を促進させることができる。エージング処理は、室温~100℃の範囲で行われ、エージング時間は、例えば1~10日程度である。
このようにして形成された積層体が蓄電装置用外装材50として提供される。例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタ等の蓄電装置に好適に用いることができる。特に、当該蓄電装置用外装材50は、リチウムイオン電池用の外装材として好適である。
[蓄電装置用外装材の作製]
試作例1~52の蓄電装置用外装材の作製に際し、まず後述の各材料を溶融、混練してTダイ法により押出し、冷却ロールで冷却させて、厚さ40μm(ラミネート層の厚さ5μm、基材層の厚さ30μm、ヒートシール層の厚さ5μm)の各試作例1~52の蓄電装置用外装材に対応する無延伸ポリプロピレン系シーラントフィルムを作製した。次に、作製した各シーラントフィルムと、外層フィルムとして厚さ15μmのナイロンフィルム、金属箔層として厚さ9μmのアルミニウム箔、各接着剤層として2液硬化型ポリウレタン接着剤を使用し、金属箔層の一面側に接着剤層を介して外層フィルムをドライラミネートした後、金属箔層の他面側に接着剤層を介してシーラントフィルムをドライラミネートし、40℃で2日間エージングして、試作例1~52の蓄電装置用外装材を得た。
[使用材料]
ラミネート層、基材層、ヒートシール層の樹脂組成物として、下記の樹脂を使用した。なお、メルトフローレート(MFR)はJIS K 7210(2014)に準拠し、230℃、2.16kg又は190℃、2.16kgで測定された値である。
・樹脂A1:プロピレン単独重合体、密度0.9g/cm、融点166℃、MFR(230℃):7.5g/10min
・樹脂B1:プロピレン-エチレンブロック共重合体、密度0.9g/cm、融点165℃、MFR(230℃):3.5g/10min
・樹脂B2:プロピレン-エチレンブロック共重合体、密度0.9g/cm、融点160℃、MFR(230℃):8.5g/10min
・樹脂B3:プロピレン-エチレンブロック共重合体、密度0.9g/cm、融点161℃、MFR(230℃):2.5g/10min
・樹脂B4:プロピレン-エチレンブロック共重合体、密度0.9g/cm、融点163℃、MFR(230℃):8g/10min
・樹脂C1:プロピレン-エチレンランダム共重合体、密度0.9g/cm、融点130℃、MFR(230℃):7g/10min
・樹脂C2:プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体、密度0.9g/cm、融点140℃、MFR(230℃):8g/10min
・樹脂C3:プロピレン-エチレン-ランダム共重合体、密度0.9g/cm、融点134℃、MFR(230℃):7g/10min
・樹脂D1:直鎖低密度ポリエチレン、密度0.919g/cm、融点118℃、MFR(190℃):5g/10min
・樹脂E1:エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー、密度0.89g/cm、融点66℃、MFR(190℃):4g/10min、コモノマー炭素数4
・樹脂E2:エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー、密度0.89g/cm、融点66℃、MFR(190℃):1g/10min、コモノマー炭素数4
・樹脂E3:エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー、密度0.86g/cm、融点38℃、MFR(190℃):3g/10min、コモノマー炭素数3
・樹脂F1:プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー、密度0.90g/cm、融点83℃、MFR(190℃):3g/10min、コモノマー炭素数4
・樹脂G1:ブテン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー、密度0.89g/cm、融点58℃、MFR(190℃):4g/10min、コモノマー炭素数3
[試作例1]
試作例1は、ラミネート層が樹脂A1を45重量%と樹脂B1を55重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を45重量%と樹脂B1を55重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例2]
試作例2は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例3]
試作例3は、ラミネート層が樹脂B2を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B2を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例4]
試作例4は、ラミネート層が樹脂B3を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B3を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例5]
試作例5は、ラミネート層が樹脂B1を100重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を100重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例6]
試作例6は、ラミネート層が樹脂B1を80重量%と樹脂C1を20重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を80重量%と樹脂C1を20重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例7]
試作例7は、ラミネート層が樹脂B1を70重量%と樹脂C1を30重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を70重量%と樹脂C1を30重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例8]
試作例8は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂D1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例9]
試作例9は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を35重量%と樹脂D1を10重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例10]
試作例10は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を35重量%と樹脂E1を10重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例11]
試作例11は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を65重量%と樹脂C1を30重量%と樹脂E1を5重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例12]
試作例12は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を65重量%と樹脂C1を30重量%と樹脂D1を5重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例13]
試作例13は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を35重量%と樹脂C2を10重量%、基材層が樹脂B1を75重量%と樹脂D1を5重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を65重量%と樹脂C1を25重量%と樹脂C2を5重量%と樹脂D1を5重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例14]
試作例14は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂A1を25重量%と樹脂B1を55重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例15]
試作例15は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を55重量%と樹脂B1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例16]
試作例16は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂B1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例17]
試作例17は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂B1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を55重量%と樹脂B1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例18]
試作例18は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例19]
試作例19は、ラミネート層が樹脂A1を70重量%と樹脂C1を30重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例20]
試作例20は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E3を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例21]
試作例21は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を95重量%と樹脂E1を5重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例22]
試作例22は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を90重量%と樹脂E1を10重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例23]
試作例23は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を85重量%と樹脂E1を15重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例24]
試作例24は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を75重量%と樹脂E1を25重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例25]
試作例25は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を70重量%と樹脂E1を30重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例26]
試作例26は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂D1を5重量%と樹脂E1を15重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例27]
試作例27は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を75重量%と樹脂D1を5重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例28]
試作例28は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を75重量%と樹脂C1を5重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例29]
試作例29は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂A1を5重量%と樹脂B1を75重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例30]
試作例30は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を90重量%と樹脂E2を10重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例31]
試作例31は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E2を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例32]
試作例32は、ラミネート層が樹脂C2を100重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂C1を100重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例33]
試作例33は、ラミネート層が樹脂B1を45重量%と樹脂C1を55重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例34]
試作例34は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂C1を100重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例35]
試作例35は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を97重量%と樹脂E1を3重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例36]
試作例36は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を60重量%と樹脂E1を40重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例37]
試作例37は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂F1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例38]
試作例38は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を80重量%と樹脂G1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例39]
試作例39は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂A1を45重量%と樹脂B1を45重量%と樹脂E1を10重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例40]
試作例40は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を45重量%と樹脂C1を45重量%と樹脂E1を10重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例41]
試作例41は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B2を95重量%と樹脂E1を5重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例42]
試作例42は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B4を95重量%と樹脂E1を5重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例43]
試作例43は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B3を95重量%と樹脂E1を5重量%、ヒートシール層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例44]
試作例44は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を55重量%と樹脂C3を25重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例45]
試作例45は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を70重量%と樹脂C3を10重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例46]
試作例46は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を60重量%と樹脂C3を20重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例47]
試作例47は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を50重量%と樹脂C3を30重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例48]
試作例48は、ラミネート層が樹脂A1を70重量%と樹脂C1を30重量%、基材層が樹脂B1を55重量%と樹脂C3を25重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を50重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を10重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例49]
試作例49は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を55重量%と樹脂C3を25重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を70重量%と樹脂C1を15重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例50]
試作例50は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を55重量%と樹脂C3を25重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂A1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例51]
試作例51は、ラミネート層が樹脂A1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を55重量%と樹脂C3を25重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
[試作例52]
試作例52は、ラミネート層が樹脂B1を55重量%と樹脂C1を45重量%、基材層が樹脂B1を55重量%と樹脂C3を25重量%と樹脂E1を20重量%、ヒートシール層が樹脂B1を45重量%と樹脂C1を40重量%と樹脂E1を15重量%として製膜されたシーラントフィルムを用いた蓄電装置用外装材である。
試作例1~52の蓄電装置用外装材に関し、蓄電装置用外装材を構成するフィルムの各層の樹脂組成について表1~8に示した。
Figure 2022151583000002
Figure 2022151583000003
Figure 2022151583000004
Figure 2022151583000005
Figure 2022151583000006
Figure 2022151583000007
Figure 2022151583000008
Figure 2022151583000009
試作例1~52の蓄電装置用外装材に使用される各シーラントフィルムの性能評価として、熱膨張率、引張前後のヘーズ値差、ブロッキング強度について測定した。
[熱膨張率]
試作例1~52に対応する各シーラントフィルムの熱による変形のし難さを熱安定性能(耐熱性)の良否指標として、熱膨張試験を行った。熱膨張試験では、例えば、JIS K 0129(2005)やJIS K 7197(1991,2012)等の規格に準拠して熱機械分析装置(TMA装置)による加熱下においてフィルムの変形量(引張量)が計測される。そこで、熱機械分析装置(TMA装置)による加熱下においてフィルムの変形量(引張量)を計測することにした。TMA測定の装置にティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製,熱機械測定装置(型番:Q400)を使用した。
試作例1~52に対応する各シーラントフィルムを4mm×8mm(フィルムの幅方向×長さ方向)の長方形の試験片(熱膨張率測定用)に裁断し、長さ方向を引張方向として、TMA装置のプローブに試験片を固定した。試験片に対し0.0322Nの荷重(引張方向側)を加え、まずこの時点で試験片の長さ(L)を読み取った。同装置の昇温速度5℃/minの設定で試験片を常温から140℃まで加熱し、140℃に到達後、2分間そのまま温度を維持した。2分経過した時点で140℃加熱後の試験片の長さ(L)を読み取った。一連の加熱中、試験片には0.0322Nの荷重を引張方向に加え続けた。そして、加熱前後の試験片の長さ(L)と(L)を、下記の式(i)に代入して、当初の試験片の長さと変化量との関係から熱膨張率(T)(%)を算出した。熱膨張率(T)の値は低いほど熱変形し難くい(耐熱性に優れる)ことから、測定結果が13%以下を「優良(◎)」とし、13%より大きい場合を「不可(×)」とした。
Figure 2022151583000010
[引張前後のヘーズ値差]
試作例1~52に対応する各シーラントフィルムの外観上の良否判断に際し、白化の光学的指標が加えられる。特に、絞り成型を行う場合、曲げ箇所の伸びによる変化の把握が重要である。一般に、フィルムに伸長等の変形圧力が加わると、その部位で白化が進み外観上の見栄えが悪くなりやすい。そこで、JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH-4000)を使用して(単位%)、ヘーズ値が測定される。
試作例1~52に対応する各シーラントフィルムを50mm×100mm(フィルムの幅方向×長さ方向)の長方形の試験片(ヘーズ測定用)に裁断した。はじめにこの試験片の状態で前記の規格に準拠してヘーズ値を測定した。これが伸長前のヘーズ値(H)である。次に、試験片の長尺方向を引張試験機のチャックに固定した。引張速度200mm/minにより、同試験片を500%の長さ(当初の5倍の長さ)になるまで引張した。当該伸張後、伸張を終えた試験片も前記の規格に準拠してヘーズ値を測定した。これが伸長後のヘーズ値(H)である。そこで、伸張の前後のヘーズ値の差(D)について、下記の式(ii)の「D=|H-H|」より求めた。伸張前後のフィルムの状態の影響を考慮して絶対値の表記とした。ヘーズ値の差(D)が小さいほど白化が少ない(耐白化性に優れる)ことから、測定結果が10以下を「優良(◎)」、30以下を「良(〇)」とし、30より大きい場合を「不可(×)」とした。
Figure 2022151583000011
[ブロッキング強度]
試作例1~52に対応する各シーラントフィルムの重なり時の剥がれやすさ(耐ブロッキング性)の良否指標として、ブロッキング強度の測定試験を行った。ブロッキング強度測定試験では、試作例1~52に対応する各シーラントフィルムのヒートシール層同士を重ね合わせ、フィルム4cmに荷重10Nを加えて40℃で24時間放置した後、引張試験機(株式会社島津製作所製,オートグラフAGS-X 50N)を使用して剪断剥離強度(ブロッキング強度)を測定した(N/4cm)。この剪断剥離強度とは、荷重を加えた後のフィルムが引張試験機の引張速度200mm/minによって剪断する力を表したものである。ブロッキング強度が小さいほど重なり時に剥離しやすいことから、測定結果が5N/4cm未満を「優良(◎)」、5N/4cmより大きい場合を「不可(×)」とした。
また、試作例1~52の蓄電装置用外装材の性能評価として、ラミネート強度、ヒートシール強度について測定するとともに、ヒートシール剥離界面外観の評価を行った。
[ラミネート強度]
試作例1~52の蓄電装置用外装材の各層の密着性の良否指標として、ラミネート強度の測定試験を行った。ラミネート強度測定試験では、JIS K 6854-3(1999)に準拠して引張試験機(株式会社島津製作所製,EZ-SX)を使用して、積層体(外装材)の剥離時の荷重を測定した。試作例1~52の外装材から、15mm×200mmの短冊状に切り出し試験片とした。この試験片のうち、予め長手方向の50mm分の積層(ラミネート)を剥がして側面視T字状に開いた。部分剥離した試験片の非ラミネート部であるシーラントフィルム側と、被積層フィルム(外層フィルム、金属箔層)側を180°の対向位置に開き、引張試験機のチャックにそれぞれを固定した。試験速度200mm/minで上下方向に引張して残存の積層部分(ラミネート接着部分)を剥離した。100mm剥離し、その間の最大剥離荷重を当該試験片のラミネート強度(N/15mm)とした。測定結果が7N/15mm以上を「優良(◎)」とし、7N/15mm未満を「不可(×)」とした。
[ヒートシール強度]
試作例1~52の蓄電装置用外装材のヒートシール面の接着性の良否指標として、ヒートシール強度の測定試験を行った。ヒートシール強度測定試験では、まず外装材のシーラントフィルム(最内層側)同士を重ね合わせ、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製,TP-701-B)を使用して、シール圧力0.3MPa、シール時間2秒、シール温度180℃でヒートシールした。ヒートシール後の外装材を15mm幅にカットし、引張試験機(株式会社島津製作所製,EZ-SX)を使用して、ヒートシールした外装材を剥離速度200mm/minで引張して剥離し、その間の最大剥離荷重を当該外装材のヒートシール強度(N/15mm)とした。測定結果が40N/15mm以上を「優良(◎)」、30N/15mm以上を「良(〇)」とし、30N/15mm未満を「不可(×)」とした。なお、剥離の途中等で外装材がちぎれた場合は、その時点の測定値を括弧書きで記載した。
[ヒートシール剥離界面外観]
試作例1~52の蓄電装置用外装材のヒートシール剥離界面の凝集破壊の良否指標として、ヒートシール強度測定試験後の外装材のシーラントフィルムの剥離面(ヒートシール剥離界面)を目視にて観察し、剥離面の白化の程度を判定した。凝集破壊がシーラントフィルムの基材層で適切に発生した場合、ヒートシール剥離界面が両面とも均一に白化する。そこで、判定基準は、剥離面の両面が均一に白化している場合を「優良(◎)」、剥離面の一部において白化が見られない場合を「良(〇)」とし、剥離面にほとんど白化が見られない場合を「不可(×)」とした。なお、剥離の途中で外装材がちぎれた場合は「観察せず(-)」とした。
試作例1~52の蓄電装置用外装材に対応する各シーラントフィルム及び試作例1~52の蓄電装置用外装材の試験結果と判定を表9~16に示す。なお、表9~16において、総合評価として、各試験の判定がすべて「優良(◎)」の場合を「優良(◎)」、すべて「良(〇)」以上の場合を「良(〇)」とし、「不可(×)」や「観察せず(-)」が1つでもある場合を「不可(×)」とした。
Figure 2022151583000012
Figure 2022151583000013
Figure 2022151583000014
Figure 2022151583000015
Figure 2022151583000016
Figure 2022151583000017
Figure 2022151583000018
Figure 2022151583000019
[結果と考察]
表1~8及び表9~16に示すように、総合評価が「良(〇)」以上となったのは試作例1~31,44~52であり、総合評価が「不可(×)」となったのは試作例32~43であった。そこで、まず良品の試作例1~31と、不良品の試作例32~43との性能の相違について、各試作例のシーラントフィルムの構成を対比して考察する。
不良品の試作例32と、良品の試作例1~12,15~19とを対比する。試作例1~12,15~19のラミネート層及びヒートシール層ではプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体のいずれかが50重量%以上含まれる構成であるのに対し、試作例32のラミネート層及びヒートシール層はプロピレン-α-オレフィン共重合体のみで構成されている点で相違する。その結果、試作品32ではラミネート強度とブロッキング強度の性能が不足していた。
また、不良品の試作例33は、試作例2,8~10,16と対比して、ラミネート層のプロピレン-エチレンブロック共重合体が50重量%未満である点で相違し、ラミネート強度の性能が不足していた。不良品の試作例34は、試作例2,11,12,15と対比して、ヒートシール層がプロピレン-α-オレフィン共重合体のみで構成されている点で相違し、ブロッキング強度の性能が不足していた。
試作例1~12,15~19と試作例32~34との対比から理解されるように、シーラントフィルムのラミネート層がプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体として形成されることにより適切なラミネート強度が得られ、シーラントフィルムのヒートシール層がプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体として形成されることにより適切なブロッキング強度が得られると考えられる。
良品の試作例2,21~25と、不良品の試作例35,36は、基材層中の樹脂E1(エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー)の配合割合が相違する。不良品の試作例35は、基材層中の樹脂E1の配合割合が最小の3重量%であり、ヒートシール強度測定試験で外装材が剥離の途中でちぎれて、適切なヒートシール剥離界面の凝集破壊ができなかった。不良品の試作例36は、基材層中の樹脂E1の配合割合が最大の40重量%であり、熱膨張率が高く耐熱性が不足していた。
一方、良品の試作例2,21~25では、基材層中の樹脂E1の配合割合が試作例21の5重量%が最小であり、試作例25の30重量%が最大である。また、基材層中の樹脂E1の配合割合が少ないほどヒートシール強度が高く、配合割合が多いほど熱膨張率が高くなる傾向が見られた。良品の試作例2,21~25と、不良品の試作例35,36から、シーラントフィルムの基材層中の好ましいエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの配合割合は5~30重量%と考えられる。
不良品の試作例37は、良品の試作例2と対比して、基材層中の樹脂E1(エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー)の代わりに樹脂F1(プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー)を使用した点で相違する。また、不良品の試作例38は、良品の試作例2と対比して、基材層中の樹脂E1(エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー)の代わりに樹脂G1(ブテン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー)を使用した点で相違する。試作例37,38は、いずれもヒートシール強度測定試験で外装材が剥離の途中でちぎれて、適切なヒートシール剥離界面の凝集破壊ができなかった。したがって、基材層で適切にヒートシール剥離界面の凝集破壊を発生させるためには、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを使用することが好ましいと考えられる。
ここで、基材層中に使用されるエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーの好ましい条件を検討する。良品の試作例2,20,31とを対比すると、樹脂E1を使用した試作例2と、樹脂E3を使用した試作例20は、ヒートシール剥離界面の両面が均一に白化しており、適切に凝集破壊が発生した。また、樹脂E2を使用した試作例31は、ヒートシール剥離界面の一部に白化が見られなかったが、概ね良好であった。ちなみに、樹脂E2を10重量%使用した試作例30は、試作例31と同様にヒートシール剥離界面の一部に白化が見られなかったが、概ね良好であった。したがって、樹脂E1,樹脂E2,樹脂E3は、いずれも好適に使用することができる。
不良品の試作例39,40は、良品の試作例14,26~29と対比して、基材層に使用された樹脂B1(プロピレン-エチレンブロック共重合体)が主成分(他の樹脂材料より配合割合が多い)ではない点で相違する。試作例39,40は、いずれもヒートシール強度測定試験で外装材が剥離の途中でちぎれて、適切なヒートシール剥離界面の凝集破壊ができなかった。したがって、基材層はプロピレン-エチレンブロック共重合体を主体として構成することが好ましいと考えられる。
不良品の試作例41~43は、良品の試作例21と対比して、基材層の主成分となるプロピレン-エチレンブロック共重合体の種類が相違する。試作例41~43は、いずれも引張前後のヘーズ値差が大きく、耐白化性の性能が不足していた。また、試作例41,42は、ヒートシール強度測定試験で外装材が剥離の途中でちぎれて、適切なヒートシール剥離界面の凝集破壊ができなかった。
試作例13は、ラミネート層及びヒートシールは樹脂B1(プロピレン-エチレンブロック共重合体)を主体とし、基材層は樹脂B1(プロピレン-エチレンブロック共重合体)を主体として適量の樹脂E1(エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマー)を含み、特に、ラミネート層、基材層、ヒートシール層の各層をそれぞれ3種類以上の樹脂で構成したものであるが、すべての試験で良好な結果が得られた。したがって、各層に主体となる樹脂の他に複数種類の樹脂が配合されても、バランスの良いフィルム性能を備えることができると考えられる。
また、前記のように、試作例35,37~42は、いずれも高いヒートシール強度(例えば、70N/15mm以上)を備えているが、外装材が剥離の途中でちぎれている。一方、良品の試作例5,21,22,30,31は、試作例35,37~42と同等ヒートシール強度が(70N/15mm以上)を備えるものの、適切にヒートシール剥離界面の凝集破壊が発生している。これは、シーラントフィルムのヒートシール強度が単純に高ければ良いというものではないことを示しており、一定のシール強度を備えながら適切なタイミングでヒートシール剥離界面の凝集破壊が発生するバランスが重要となる。そのため、良品の試作例1~31の外装材に使用されたシーラントフィルムは、このようなフィルム性能のバランスに優れているといえる。
次に、ラミネート層と基材層とヒートシール層の各層にプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体が含まれた試作例44~52について考察する。なお、試作例44~52はいずれも総合評価が「良(〇)」以上の良品であり、以下の考察では、その中でもより良好な性能が発揮される傾向を検討した。
試作例44~47では、ラミネート層及びヒートシール層の主成分をプロピレン単独重合体とし、基材層中のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合を調整した。すなわち、試作例44は25重量%、試作例45は10重量%、試作例46は20重量%、試作例47は30重量%である。各試験結果から、試作例44~47では、基材層中のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合に応じてヒートシール強度が向上する傾向があることがわかった。
また、試作例44~46では、ヒートシール剥離界面が均一に白化していたことから、適切に凝集破壊が発生した。一方、試作例47では、ヒートシール剥離界面の一部に白化が見られなかったが、概ね良好に凝集破壊が発生した。試作例47は試作例44~46と比較して基材層中のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合が高いことから、基材層中のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合が高くなりすぎると、凝集破壊を適切に発生させることができなくなると考えられる。
試作例48は、試作例44に対して、ラミネート層のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合を減らしたものである。また、試作例49は、試作例44に対して、ヒートシール層のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合を減らしたものである。試験結果から理解されるように、ラミネート層やヒートシール層中のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合が高い試作例44が、試作例48や試作例49と比較してラミネート強度やヒートシール強度が高くなることがわかった。したがって、ラミネート層やヒートシール層中のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の配合割合を高くするほど、優れたラミネート強度やヒートシール強度が得られると考えられる。
試作例50は、試作例44に対してラミネート層の主成分をプロピレン-エチレンブロック共重合体に変更したもの、試作例51は、試作例44に対してヒートシール層の主成分をプロピレン-エチレンブロック共重合体に変更したもの、試作例52は、試作例44に対してラミネート層及びヒートシール層の主成分をプロピレン-エチレンブロック共重合体に変更したものである。試験結果から理解されるように、ラミネート層の主成分がプロピレン-エチレンブロック共重合体である試作例50,52が、ラミネート層の主成分をプロピレン単独重合体とする試作例44と比較してラミネート強度が高くなることがわかった。したがって、ラミネート層の主成分をプロピレン-エチレンブロック共重合体とすることにより、優れたラミネート強度が得られると考えられる。
以上図示し説明したように、本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、ラミネート層と、基材層と、ヒートシール層とを有し、基材層がプロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするとともに、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを5~30重量%含むように構成されて、ヒートシール剥離時に基材層が破断されることによってヒートシール剥離界面の凝集破壊が発生するものである。
特に本発明のシーラントフィルムは、ラミネート層やヒートシール層を構成する主成分が、通常のシーラントフィルムで使用されるプロピレン-ランダム共重合体と異なるプロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体である。そのため、従来のシーラントフィルムで不足していたラミネート強度や耐ブロッキング性等の性能が、他の性能を損なうことなく向上される。したがって、本発明のシーラントフィルムは、ヒートシール強度、耐白化性、耐熱性、ラミネート強度、耐ブロッキング性のすべてに優れたバランスの良い性能を備え、ヒートシール剥離界面の凝集破壊も適切に発生させることができるものである。
このシーラントフィルムを使用した蓄電装置用外装材では、シーラントフィルムのヒートシール層が最内層側に配置されるとともに、外層フィルムが最外層側に配置されるため、適切なシール強度と保護性能を得ることができる。また特に、本発明のシーラントフィルムを使用した蓄電装置用外装材では、ヒートシール剥離時にシーラントフィルムの基材層が破断されるため、蓄電装置の内圧上昇時に適切に凝集破壊を発生させることができる。
以上のとおり、本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、バランスの良い優れたフィルム性能を備えて、ヒートシール剥離界面の凝集破壊を適切に発生させることができるため、蓄電装置用の外装材の材料として好適に使用することができる。また、このシーラントフィルムを使用した蓄電装置用外装材は、従来の蓄電装置用外装材の代替として有望である。
10 ポリプロピレン系シーラントフィルム
20 ラミネート層
30 基材層
40 ヒートシール層
50 蓄電装置用外装材(積層体)
60 金属箔層
70 外層フィルム
80,85 接着剤層
90 腐食防止処理層
100 蓄電装置
110 電極部材

Claims (8)

  1. ラミネート層と、基材層と、ヒートシール層とを有するポリプロピレン系シーラントフィルムであって、
    前記ラミネート層と、前記ヒートシール層は、プロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン単独重合体を主体とし、
    前記基材層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするとともに、次のa1、a2、及びa3を充足し、
    (a1):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、重量平均分子量が100000~600000であり、
    (a2):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のJIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~10g/10minであり、
    (a3):前記プロピレン-エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分についてのエチレンコンテントが10~70重量%であり、
    前記基材層にエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを5~30重量%含む
    ことを特徴とするポリプロピレン系シーラントフィルム。
  2. 前記ラミネート層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とする請求項1に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  3. 前記ヒートシール層が、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  4. 前記プロピレン-エチレンブロック共重合体が、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を触媒成分とするマグネシウム担持型触媒、三塩化チタンを触媒とする個体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、メタロセン触媒のいずれかの触媒を使用して製造されて、JIS K 7210-1(2014)に準拠した測定のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~10g/10minである請求項2又は3に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  5. 前記ラミネート層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも30重量%含み、前記基材層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも10重量%含み、前記ヒートシール層がプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を少なくとも15重量%含む請求項1に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  6. 前記ラミネート層及び前記ヒートシール層がプロピレン単独重合体を主体とする請求項1又は5に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系シーラントフィルムと、金属箔層と、外層フィルムとを含む積層体であって、前記ポリプロピレン系シーラントフィルムのヒートシール層が最内層側に配置されるとともに、前記外層フィルムが最外層側に配置されることを特徴とする蓄電装置用外装材。
  8. ヒートシール剥離時には前記ポリプロピレン系シーラントフィルムの基材層が破断される請求項7に記載の蓄電装置用外装材。
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