JP2022149860A - ポリアミドエラストマー組成物及びその成形品 - Google Patents

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Sadahiro Yamauchi
広昭 藤井
Hiroaki Fujii
孝明 楠本
Takaaki Kusumoto
香鈴 城谷
Karin Shirotani
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Abstract

【課題】柔軟性を有しながら強度もあり、高温下での使用にも耐えるポリアミドエラストマー組成物を提供する【解決手段】本発明のポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマー組成物中、ポリアミドエラストマー(A)を50質量%超95質量%未満、及びガラス繊維(B)を5質量%超50質量%未満含む。【選択図】なし

Description

ポ本発明は、ポリアミドエラストマー組成物及びその成形品に関する。
ポリアミドエラストマーは、その柔軟性から、自動車部品、電気・電子部品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品など各種用途に使用される樹脂組成物に改良剤として添加されて使用されている。
たとえば特許文献1には、ナイロン樹脂にポリアミドエラストマーを加えた自動車部品などの振動溶着用組成物が開示され、特許文献2及び3には、ゴム強化スチレン系樹脂にポリアミドエラストマーを加えた電気・電子部品、家庭・事務用品用の組成物が開示され、特許文献4には、ポリアミド樹脂にポリアミドエラストマーを加えた電子部品、放熱部品、自動車部品用組成物が開示されている。
しかしながら、これらの組成物では、ポリアミドエラストマーは、ナイロン樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂といった主成分の樹脂の半分以下であり、より柔軟性が求められる分野に使用することは予定されていなかった。
一方、これらの組成物には、強靭性を高めるためにガラス繊維が加えられている。
ポリアミドエラストマーを主成分とした組成物として、自動車のタイヤを用途とした組成物が特許文献5に開示されている。特許文献5に開示された組成物にもタイヤ骨格体の破壊防止のためにガラス繊維が少量配合されている。
特開平11-5898号公報 特開2006-169356号公報 特開2007―291161号公報 国際公開公報2016/002682号 国際公開公報2013/129524号
特許文献5は、耐圧性が求められる自動車のタイヤのみを対象とした組成であった。一方、金属と樹脂との複合体の用途は、柔軟性が必要であるとともに、強度を有し、高温での使用に耐えることが求められ、柔軟性を維持しつつ強度も求められている。
本発明は、柔軟性を有しながら強度もあり、高温下での使用にも耐えるポリアミドエラストマー組成物を提供することを課題とする。
本発明は、例えば以下の[1]~[9]に関する。
[1]ポリアミドエラストマー組成物中、ポリアミドエラストマー(A)を50質量%超95質量%未満、及びガラス繊維(B)を5質量%超50質量%未満含むポリアミドエラストマー組成物。
[2]ポリアミドエラストマー組成物のIS0-868に準拠して測定したショアD硬度が30超80以下である[1]のポリアミドエラストマー組成物。
[3]金属との複合体に用いられる[1]又は[2]のポリアミドエラストマー組成物。
[4]ポリアミドエラストマー(A)が実質的にエステル結合を有さない[1]~[3]のいずれかのポリアミドエラストマー組成物。
[5]ポリアミドエラストマー(A)がハードセグメント及びソフトセグメントを有し、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合(質量比) が、ハードセグメント/ソフトセグメント=85/15~40/60である[1]~[4]のいずれかのポリアミドエラストマー組成物。
[6]ポリアミドエラストマー(A)が、
下記式(1)で表されるアミノカルボン酸化合物及び/又は下記式(2)で表されるラクタム化合物に由来する構成単位、下記式(3)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物に由来する構成単位、並びに下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含む重合体である[1]~[5]のいずれかのポリアミドエラストマー組成物。
Figure 2022149860000001

[但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表す。]
Figure 2022149860000002

[但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表す。]
Figure 2022149860000003

[但し、xは1~20の整数、yは4~50の整数、zは1~20の整数を表す。]
Figure 2022149860000004

[但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0または1である。]
[7]ポリアミドエラストマー組成物中、ガラス繊維(B)を5質量%超30質量%未満含む[1]~[6]のいずれかのポリアミドエラストマー組成物。
[8][1]~[7]のいずれかのポリアミドエラストマー組成物を含む成形品。
[9]金属との複合体である[8]の成形品。
本発明のポリアミドエラストマー組成物は、柔軟性を有しながら強度もあり、高温下での使用にも耐える。
本発明のポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマー組成物中、ポリアミドエラストマー(A)を50質量%超95質量%未満、及びガラス繊維(B)を5質量%超50質量%未満含む。
<ポリアミドエラストマー(A)>
ポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマー(A)を含む。
ポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマー(A)を含むことにより、その成形品は優れた柔軟性を奏する。
ポリアミドエラストマー(A)は、ハードセグメントとソフトセグメントを有し、ハードセグメントがポリアミドの構造を有する。ポリアミドエラストマーのソフトセグメントはポリエーテル構造を有することが好ましい。ポリアミドエラストマーのソフトセグメントはポリエーテルジアミン化合物に由来する構成単位を有してもよいし、ポリエーテルジオール化合物に由来する構成単位を有してもよい。ポリアミドエラストマーのソフトセグメントはポリエーテルジアミン化合物に由来する構成単位を有することが好ましい。ソフトセグメントとしてポリエーテル構造を有するポリアミドエラストマーとしては、ハードセグメントとソフトセグメントをエステル結合で結合したポリエーテルエステルアミドエラストマー、ハードセグメントとソフトセグメントをアミド結合で結合したポリエーテルアミドエラストマーが挙げられる。本発明の効果発現の観点、耐加水分解性に優れ、安定性の観点から、実質的にエステル結合を有さないポリアミドエラストマーが好ましい。すなわちハードセグメントとソフトセグメントをアミド結合で結合したポリエーテルアミドエラストマーが好ましい。
実質的に有さないとは、本発明の組成物の特性や本発明の組成物から得られる成形品の機能や特性に変化を及ぼす程度には有さないという意味であり、機能や特性を損なわない程度に含まれることを排除するものではない。
ハードセグメントにおけるポリアミド構造は、ジアミンとジカルボン酸からなるナイロン塩、下記式(1)で表されるアミノカルボン酸化合物(1)及び下記式(2)で表されるラクタム化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1種であるポリアミド形成性モノマーに由来する構成単位を有する重縮合体が好ましい。
Figure 2022149860000005

[但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表す。]
Figure 2022149860000006

[但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表す。]
ハードセグメントは、両末端基にカルボキシル基を有するポリアミドから誘導することもでき、その場合ハードセグメントは、ポリアミド構造と、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸(4)に由来する構成単位とを含むセグメントである。
Figure 2022149860000007

[但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0または1である。]
上記式(1)において、Rは、炭素数2~20の脂肪族基、脂環族基及び/又は芳香族基を含む二価の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは炭素数3~18の上記炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数4~15の上記炭化水素基であり、さらにより好ましくは炭素数10~15の上記炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数10~15のアルキレン基である。アミノカルボン酸化合物(1)としては、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の炭素数5~20の脂肪族ω-アミノカルボン酸等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を用いることができる。
上記式(2)において、Rは、炭素数3~20の脂肪族基、脂環族基及び/又は芳香族基を含む二価の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは炭素数3~18の上記炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数4~15の上記炭化水素基であり、さらにより好ましくは炭素数10~15の上記炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数10~15のアルキレン基である。ラクタム化合物(2)としては、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ウンデカラクタム、ω-ラウリルラクタム等の炭素数3~20の脂肪族ラクタム等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、ポリアミド形成性モノマーとしては、低吸水による寸法安定性、機械特性、柔軟性の観点からω-ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸又は12-アミノドデカン酸が好ましい。
上記式(4)において、Rは、炭素数1~20の脂肪族基、脂環族基及び/又は芳香族基を含む二価の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~15の上記炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数2~12の上記炭化水素基であり、さらにより好ましくは炭素数4~10の上記炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数4~10のアルキレン基である。
ナイロン塩におけるジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、3-メチルペンタン-1,5-ジアミン等の炭素数2~20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を用いることができる。
ナイロン塩におけるジカルボン酸及びジカルボン酸化合物(4)としては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体を用いることができる。
ナイロン塩におけるジカルボン酸及びジカルボン酸化合物(4)の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2~25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14~48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、および、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。これらの中でも、アジピン酸、シュウ酸、ドデカン二酸、セバシン酸及びダイマー酸が好ましい。ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、クローダ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることができる。これらは、単独で又は2種以上を用いることができる。
ジカルボン酸化合物(4)の存在下、上記ポリアミド形成性モノマーを、常法により、開環重合又は重縮合させることによって両末端にカルボキシル基を有するポリアミドを得ることができる。ハードセグメントのジカルボン酸は、分子量調整剤として使用することができる。
ハードセグメントの数平均分子量は、300~15000であることが好ましく、柔軟性、成形加工性の観点から300~6000であることがより好ましい。なお、本明細書において、数平均分子量は、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価を用いて算出する(この式において、水酸基価の単位は[mgKOH/g]である)。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
ソフトセグメントは、ポリエーテル構造を有することが好ましく、ポリエーテル構造の構成単位としては、炭素数2~4のオキシアルキレンが好ましい。オキシアルキレンのアルキレン基は、炭素数2~4の直鎖状または分枝状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、n-ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、ジメチルエチレン基、エチルエチレン基等が挙げられる。ポリエーテル構造の構成単位は1種単独でも、2種以上でもよいが、2種以上が好ましい。ソフトセグメントのポリエーテル構造としては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、XYX型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらの中でもポリテトラメチレンエーテルグリコール、XYX型トリブロックポリエーテルが好ましく、XYX型トリブロックポリエーテルがより好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を用いることができる。
ソフトセグメントの数平均分子量は、200~6000であることが好ましく、650~2000であることがより好ましい。
ジカルボン酸(4)を使用した場合、ソフトセグメントに使用されるモノマーとしては、ポリエーテルアミドエラストマーでは、ポリエーテルジアミン化合物を使用し、ポリエーテルエステルアミドエラストマーでは、ポリエーテルジオール化合物を使用する。好ましい態様のポリエーテルアミドエラストマーに用いられるポリエーテルジアミン化合物は、前記ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによってポリエーテルジアミン化合物を得ることができる。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物は、例えば下記式(3)で表される。
Figure 2022149860000008

[但し、xは1~20の整数、yは4~50の整数、zは1~20の整数を表す。]
上記式(3)において、x及びzは、それぞれ独立して、1~18の整数が好ましく、1~16の整数がより好ましく、1~14の整数がさらに好ましく、1~12の整数が特に好ましい。また、yは、5~45の整数が好ましく、6~40の整数がより好ましく、7~35の整数がさらに好ましく、8~30の整数が特に好ましい。
上記ハードセグメントと上記ソフトセグメントとの組み合わせとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組み合わせを挙げることができる。この中でも、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組み合わせ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ジカルボン酸由来の構成単位/ポリプロピレングリコールの組み合わせ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ジカルボン酸由来の構成単位/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組み合わせ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ジカルボン酸由来の構成単位/XYX型トリブロックポリエーテルの組み合わせ、12-アミノドデカン酸由来の構成単位/ジカルボン酸由来の構成単位/XYX型トリブロックポリエーテルの組み合わせが好ましく、12-アミノドデカン酸由来の構成単位/ジカルボン酸由来の構成単位/XYX型トリブロックポリエーテルの組み合わせ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/XYX型トリブロックポリエーテルの組み合わせが特に好ましい。これらの組み合わせにおいて、ポリエーテルは、ポリエーテルジアミン由来の構成単位であることが好ましい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの割合(質量比) は、ハードセグメント/ソフトセグメント=95/5~20/80 であることが好ましい。この範囲であれば、成形体からのブリードアウトを回避しやすく、十分な柔軟性も確保しやすい。得られる成形体の機械的強度と柔軟性のバランスの観点から 、ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)は、95/5~25/75であることがより好ましく、90/10~30/70であることがさらに好ましく、85/15~40/60であることが特に好ましく、80/20~50/50であることが最も好ましい。なお、本発明において、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合(質量比)は、各セグメントを構成するモノマー成分の配合量を基準として算出される値である。通常、得られるポリアミドエラストマーのハードセグメントとソフトセグメントの割合(質量比)は、各セグメントを構成するモノマー成分の配合量を基準として算出される値と等しい。
上記ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)が上記範囲より小さい場合、ポリアミド成分の結晶性が低くなる場合があり、強度、弾性率などの機械的物性が低下するので好ましくない場合がある。上記ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)が上記範囲より大きい場合、ゴム弾性や柔軟性などのエラストマーとしての機能、性能が発現しにくくなるために好ましくない場合がある。
以上のようなポリアミドエラストマーの市販品としては、例えば、ダイセル・エボニック社製商品名「ダイアミド(登録商標)E62H」、「ダイアミド(登録商標)E73K2」、「ダイアミド(登録商標)E75K2」、「ダイアミド(登録商標)MSP-S」、「ダイアミド(登録商標)X4442W2」、「ダイアミド(登録商標)ZE7000」、「ダイアミド(登録商標)ZE7200」、「ベスタミド(登録商標)E40-S3」、「ベスタミド(登録商標)E55-S3」、「ベスタミド(登録商標)E55-S4」、「ベスタミド(登録商標)E58-S4」、「ベスタミド(登録商標)E62-S3」、「ベスタミド(登録商標)E62K2」、「ベスタミド(登録商標)EX9200」、ARKEMA社製商品名「Pebax」シリーズ、エムスケミー・ジャパン社製商品名「グリルフレックス(登録商標)EBG」、「グリルフレックス(登録商標)ELG」、「グリロン(登録商標)ELX」、宇部興産株式会社製商品名「UBESTA XPA(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
この中でも、本発明の効果発現の観点、耐加水分解性に優れる観点から、宇部興産株式会社製商品名「UBESTA XPA(登録商標)」シリーズが好ましい。「UBESTA XPA(登録商標)」の中でも、「UBESTA(登録商標)9040F1」、「UBESTA(登録商標)9048F1」、「UBESTA(登録商標)9048X1」、「UBESTA(登録商標)9055F1」、「UBESTA(登録商標)9055X1」、「UBESTA(登録商標)9063F1」、「UBESTA(登録商標)9063X1」、「UBESTA(登録商標)9068F1」、「UBESTA(登録商標)9068X1」がより好ましい。
ポリアミドエラストマー(A)は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
ポリアミドエラストマー(A)の重合度には特に制限はないが、JIS K 6920-2に準拠し、ポリアミドエラストマー0.25gを試薬特級品のm-クレゾール50mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が、1.00~5.00であることが好ましく、1.50~4.50であることがより好ましく、1.50~3.00であることが特に好ましい。
ポリアミドエラストマー(A)のIS0-868に準拠して測定した硬度(ショアD)は、柔軟性の観点から、好ましくは15~70の範囲、さらに好ましくは39~70の範囲、より好ましくは39~65の範囲、特に好ましいのは39~60の範囲のものである。
ポリアミドエラストマー(A)の好ましい態様は、上記式(1)で表されるアミノカルボン酸化合物及び/又は上記式(2)で表されるラクタム化合物由来の構成単位、上記式(3)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物由来の構成単位、並びに上記式(4)で表されるジカルボン酸化合物由来の構成単位を含む重合体である。
好ましい態様のポリアミドエラストマー(A)の製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸の三成分を、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができ、さらにポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸の三成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマーとジカルボン酸の二成分を先に重合させ、ついで、XYX型トリブロックポリエーテルジアミンを重合させる方法も利用できる。
好ましい態様のポリエーテルアミドエラストマーの製造に当たり、原料の仕込む方法に特に制限はないが、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物及びジカルボン酸化合物の合計に対して、ポリアミド形成性モノマー及びジカルボン酸化合物の合計が、好ましくは20~95質量%、より好ましくは25~95質量%、さらに好ましくは30~90質量%、特に好ましくは40~85質量%、最も好ましくは50~80質量%の範囲であり、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物が、好ましくは5~80質量%、より好ましくは5~75質量%、さらに好ましくは10~70質量%、特に好ましくは15~60質量%、最も好ましくは20~50質量%の範囲である。原料のうち、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物とジカルボン酸化合物は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物のアミノ基とジカルボン酸化合物のカルボキシル基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。ポリエーテルアミドエラストマーの製造に当たり、本発明の目的を妨げない範囲で、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物以外の第二ジアミン化合物を配合してもよい。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物の代わりに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等から誘導されるポリエーテルジアミン化合物を用いた場合も同様である。
ポリアミドエラストマーの製造は、重合温度が好ましくは150~300℃、さらに好ましくは160~280℃、特に好ましくは180~250℃で行うことができる。重合温度が上記温度より低い場合、重合反応が遅くなりやすく、上記温度より高い場合、熱分解が起きやすく良好な物性のポリマーが得られない場合がある。
ポリアミドエラストマーは、ポリアミド形成性モノマーとしてω-アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合の工程からなる方法で製造することができる。
一方、ポリアミド形成性モノマーとしてラクタム化合物、又はジアミン化合物とジカルボン酸化合物から合成されるもの及び/若しくはそれらの塩を用いる場合には、適量の水を共存させ、0.1~5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。
ポリアミドエラストマーは、重合時間が通常0.5~30時間で製造することができる。重合時間が上記範囲より短いと、分子量の上昇が不十分となりやすく、長いと熱分解による着色等が起こりやすく、いずれの場合も所望の物性を有するポリアミドエラストマーが得られない場合がある。
ポリアミドエラストマーの製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、またバッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置等を単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
ポリアミドエラストマーの製造において、必要に応じて分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のモノアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸等のモノカルボン酸を添加することができる。これらの使用量は、最終的に得られるエラストマーの相対粘度が上記範囲になるように適宜添加することが好ましい。
ポリアミドエラストマーの製造において、上記のモノアミン、モノカルボン酸等の添加量は、得られるポリアミドエラストマーの特性を阻害されない範囲とするのが好ましい。
ポリアミドエラストマーの製造において、必要に応じて触媒として、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等を、また触媒と耐熱剤の両方の効果をねらって亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、仕込み原料に対して50~3000ppmである。
ポリアミドエラストマー組成物100質量%中、ポリアミドエラストマー(A)の含有量は50質量%超95質量%未満であり、60質量%以上95質量%未満が好ましく、80質量%以上93質量%未満より好ましい。ポリアミドエラストマー(A)の含有量が上記範囲にあると、柔軟性と高い弾性率を併せ持ち、荷重たわみ温度も高い成形品を得ることができる。
<ガラス繊維(B)>
ガラス繊維(B)は、特に限定されないが、ガラス繊維とポリアミドエラストマーとの相溶性を向上させる点から、収束剤で収束されているものが好ましい。収束剤には、相溶性の点から、ウレタン系又はアクリル系が含まれていることが好ましく、これらを併用してもよい。
原料のガラス繊維(B)は、平均繊維径4~25μmのものを使用することができる。組成物からなる成形品の寸法安定性及び機械的特性の点から、平均繊維径は6~23μmが好ましく、例えば平均繊維径10~23μmのものを使用することができる。
ガラス繊維(B)は、単独でも、2種以上を併用してもよい。異なる平均繊維径、異なる平均繊維長のガラス繊維を2種以上使用してもよい。ガラス繊維の組み合わせとしては、例えば、(B1)平均繊維径6~11μmのガラス繊維と、(B2)平均繊維径13~25μmのガラス繊維の組み合わせを挙げることができる。(B1)平均繊維径6~11μmのガラス繊維と(B2)平均繊維径13~25μmのガラス繊維の質量との割合((B1):(B2))は、1:9~9:1とすることができ、5:5が好ましい。(B1)としては、平均繊維径10~11μmのガラス繊維が好ましく、(B2)としては、平均繊維径13~23μmのガラス繊維が好ましい。
原料のガラス繊維(B)の平均繊維長は、特に限定されず、10μm~10mmのものを使用することができ、成形品の寸法安定性の点から、10μm~5mm、がより好ましく、さらに好ましくは100μm~4mm。
上述のガラス繊維の平均繊維長及び平均繊維径の値は、ポリアミドエラストマーとともに溶融混練する前の原料の値である。ポリアミドエラストマー組成物の製造工程におけるポリアミドエラストマーとガラス繊維の溶融混練により、ガラス繊維の少なくとも一部が粉砕される場合がある。
溶融混練後のガラス繊維(B)の平均繊維長は、特に限定ないが、10μm~3mmであることが好ましく、成形品の寸法安定性の点から、50μm~2mmであることがより好ましく、100μm~1.5mmであることがさらに好ましい。
溶融混練後のガラス繊維(B)の平均繊維径は、上述の原料のガラス繊維(B)の平均繊維径の範囲にあることが好ましい。
ガラス繊維(B)の平均繊維長及び平均繊維径は、光学顕微鏡を使用して、ガラス繊維を10~30000倍で観察し、画像解析ソフトを用いて400本のガラス繊維の繊維長及び繊維径を測定し、それぞれの平均値を平均繊維長及び平均繊維径とした。原料のガラス繊維(B)の平均繊維長及び平均繊維径は、カタログ値であってもよい。
ガラス繊維(B)は、表面処理されたものであってもよい。表面処理剤としては、シラン系化合物、チタン系化合物、クロム系化合物等が挙げられ、ポリアミド樹脂との相溶性を向上させる点から、シラン系化合物、チタン系化合物が好ましい。表面処理剤は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
シラン系化合物としては、収束剤との接着に優れたアミノシラン系のカップリング剤が好ましく、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ-(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(アミノプロピル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)-エチレンジアミン、γ-ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チタン系化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等が挙げられる。
これらの中でも、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
ポリアミドエラストマー組成物100質量%中、ガラス繊維(B)の含有量は5質量%超50質量%未満であり、5質量%超30質量%未満が好ましく、7~20質量%がより好ましい。ガラス繊維(B)の含有量が上記範囲にあると、柔軟性と高い弾性率を併せ持ち、荷重たわみ温度も高い成形品を得ることができる。
<その他の樹脂>
ポリアミドエラストマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアミド系エラストマー以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。ポリアミド系エラストマー及以外の熱可塑性樹脂は、ポリアミドエラストマー組成物100質量%中、2質量%以下が好ましく、0~1.5質量%がより好ましい。
<その他の成分>
ポリアミドエラストマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記成分以外の染料、顔料、粒子状補強物、可塑剤、酸化防止剤、耐熱剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の機能性付与剤等を適宜含有していてもよい。
任意の成分の含有量は、ポリアミドエラストマー組成物100質量%中、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.05~0.5質量%である。
柔軟性を維持する観点から、ポリアミドエラストマー組成物は、ガラス繊維(B)以外のフィラー、例えば、粒子状補強物等を含まないことが好ましい。
本発明の効果がより効果的になる観点から、ポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマー(A)及びガラス繊維(B)以外の成分を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、本発明の組成物の特性や本発明の組成物から得られる成形品の機能や特性に変化を及ぼす程度には含まないという意味であり、機能や特性を損なわない程度に含まれることを排除するものではない。
[ポリアミドエラストマー組成物の製造方法]
ポリアミドエラストマー組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば次の方法を適用することができる。
各成分の原材料の混合には、単軸、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機が用いられる。
例えば、二軸押出機を使用する場合は、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法、一部の原材料を配合後、溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよいが、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法が好ましい。
ポリアミドエラストマー樹脂組成物の製造方法は、ポリアミドエラストマーと、ガラス繊維とを配合し、200~300℃の溶融混錬温度で溶融混練する工程を含むことが好ましい。溶融混練温度は、210~300℃であることがより好ましく、220~300℃であることがさらに好ましく、240℃~290℃であることが特に好ましく、260℃~290℃であることが最も好ましい。
溶融混練温度を上記範囲とすることにより、ガラス繊維の過度の粉砕を抑制し、柔軟性を維持しつつ、機械的強度に優れた成形品を与える樹脂組成物を提供することができる。ここで溶融混錬温度とは、溶融混錬機から押し出された直後直後時の溶融樹脂の温度を、熱電対温度計を用いて測定した値である 。測定に用いる熱電対温度計は公知の物を用いることができる。
二軸押出機を用いて溶融混錬を行う場合、溶融混錬中のシリンダー設定温度は200℃~300℃とすることが好ましく、200℃~280℃とすることがより好ましく、200℃~250℃とすることがさらに好ましく、210℃~240℃とすることが最も好ましい。また溶融混錬中の押出量は30~80kg/Hrとすることが好ましく、30~70kg/Hrとすることがより好ましく、40~60kg/Hrとすることがさらに好ましい。さらに溶融混錬中のスクリュー回転数は100~600rpmとすることが好ましく、100~500rpmとすることがより好ましい。 これらの混錬条件を材料に応じて適宜選択することによって溶融混錬温度を上記範囲に調整することができる。
(ポリアミドエラストマー組成物のショアD硬度)
ポリアミドエラストマー組成物の実施例記載の方法で測定したショアD硬度は、30超80以下が好ましく、41~70がより好ましく、41~65がさらに好ましい。ショアD硬度がこの範囲にあると、柔軟性を有しながら、硬さと柔らかさとのバランスが良好である。
(ポリアミドエラストマー組成物の弾性率)
ポリアミドエラストマー組成物の実施例記載の方法で測定した引張弾性率は800MPa以上が好ましく、900~3500MPaがより好ましく、実施例記載の方法で測定した曲げ弾性率は1000MPa以上が好ましく、1100~3000MPaがより好ましい。ポリアミドエラストマー組成物は高い弾性率を有するため、強度がある一方で、上記ショアD硬度であることにより、柔軟性も有する。
(ポリアミドエラストマー組成物の荷重たわみ温度)
ポリアミドエラストマー組成物の実施例記載の方法で測定した荷重たわみ温度は140℃以上が好ましく、145~160℃がより好ましい。ポリアミドエラストマー組成物は荷重たわみ温度が高いため、高温下での使用に耐えうる。
[ポリアミドエラストマー組成物の成形品及びその用途]
ポリアミドエラストマー組成物は、射出成形による射出成形品、押出成形による押出成形品、ブロー成形によるブロー成形品、回転成形による回転成形品の製造に好適に用いることができる。ポリアミドエラストマー組成物は、射出成形性が良好であるので、射出成形による射出成形品により好適に用いることができる。
ポリアミドエラストマー組成物から射出成形による射出成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。例えばISO294-1に準拠した方法が参酌される。
ポリアミドエラストマー組成物から押出成形により押出成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。
また、ポリエチレンなどのポリオレフィンや他の熱可塑性樹脂と共押出した後、ブロー成形を行い、多層構造体を得ることも可能である。その場合ポリアミドエラストマー組成物層とポリオレフィンなどの他の熱可塑性樹脂層の間に接着層を設けることも可能である。多層構造体の場合、本発明のポリアミドエラストマー組成物は外層、内層のいずれにも使用し得る。
ポリアミドエラストマー組成物からブロー成形によりブロー成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。一般的には、通常のブロー成形機を用いパリソンを形成した後、ブロー成形を実施すればよい。パリソン形成時の好ましい樹脂温度は、ポリアミドエラストマー組成物の融点より10℃から70℃高い温度範囲で行うことが好ましい。
ポリアミドエラストマー組成物から回転成形による回転成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。例えば国際公開公報2019/054109に記載の方法が参酌される。
射出成形による射出成形品、押出成形による押出成形品、ブロー成形によるブロー成形品、及び回転成形による回転成形品としては、特に限定されないが、スポイラー、エアインテークダクト、インテークマニホールド、レゾネーター、燃料タンク、ガスタンク、作動油タンク、燃料フィラーチューブ、燃料デリバリーパイプ、その他各種ケーブル・ベルト・ホース・チューブ・タンク類などの自動車部品、電動工具ハウジング、パイプ類などの機械部品を始め、タンク、チューブ、ホース、フィルム等の電気・電子部品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品など各種用途が好適に挙げられる。なお、自動車部品以外に他の車両部品の用途にも適応可能である。
また、ポリアミドエラストマー組成物は、弾性率や荷重たわみ温度が高いうえに柔軟性を備える以外に金属接着や加水分解性にも優れるため、金属の強度を生かした、金属との複合体に好適に用いられる。金属の複合体の態様としては押出成形による金属被覆、ラミネート加工による接着、インサート成形による被覆、接着などが挙げられる。
金属との複合体は、自動車部品に用いられ、燃料タンク、ガスタンク、作動油タンク、燃料フィラーチューブ、燃料デリバリーパイプ、その他各種ケーブル・ベルトに好適に用いられる。自動車部品以外に他の車両部品の用途にも適応可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例の測定値は、以下の測定方法で測定した値である。
<MFR>
エラストマー組成物のMFR(メルトフローレート)は、ISO 1133に準拠して190℃、2160gの荷重で測定した。
<比重>
エラストマー組成物の比重は、ISO1183-3に準拠して測定を行った。
<曲げ弾性率>
ISO178に準じて、島津製作所製全自動曲げ試験機AGX-AT/SIE-560SAを使用して、三点曲げモードでの試験片(試験片の大きさ:10×80×4mm)の曲げ弾性率を、23℃、相対湿度50%RH、試験速度2mm/分で測定した。
<引張破壊呼びひずみ及び引張弾性率>
ISO規格TYPE-A又はTYPE-B試験片を射出成形にて作成し、ISO527-1,2に準じて、インストロン製引張試験機型式5567を使用して23℃で測定した。
<荷重たわみ温度>
ISO規格TYPE-A又はTYPE-B試験片を射出成形にて作成し、ISO75-1,2に準じて、東洋精機製熱ひずみ測定装置を使用して、曲げ応力0.45MPa、フラットワイズ方式にて測定した。
<ショアD硬度>
IS0-527に準拠して230~250℃で射出成形にて試験片を作成して、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で、ISO-868に準拠して、デュロメータ-硬さ試験機(タイプD)を用いて、ショアD硬度を測定した。
<溶融混練後のガラス繊維の平均繊維長>
光学顕微鏡を使用して、ガラス繊維を10~30000倍で観察し、画像解析ソフト(ソフト:A像くん 製造会社名:旭化成エンジニアリング)を用いて400本のガラス繊維の繊維長を測定し、平均値を平均繊維長とした。
<ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)>
各セグメントを構成するモノマー成分の配合量を基準として算出した。
表1に記載の成分は、以下のものを使用した。
[製造例1 ポリアミドエラストマー(A)(PAE-1)の製造]
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を供えた70Lの圧力容器に、12-アミノドデカン酸(宇部興産株式会社製)69.7kg、アジピン酸(旭化成株式会社製)3.69kg、ELASTAMINE(登録商標)RT-1000(米国ハンツマン社製、数平均分子量 約1000、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物、式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)26.2kg、次亜リン酸ナトリウム 0.113g、及びIrganox(登録商標)245(BASF社製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.299gを仕込んだ。容器内を窒素置換した後、加熱を開始した。槽内温度が230℃に到達した時点から更に5時間加熱撹拌し、反応水を系外に留去しながら重合反応を行った。反応終了後、ポリマー取り出し口から無色透明のポリマーを水中へストランド状に吐出し、ペレタイザーによりカッティングを行って約13kgのPAE-1を得た。PAE-1のハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)は、73.4/26.2である。
[製造例2 ポリアミドエラストマー(PAE-2)の製造]
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を供えた70Lの圧力容器に、12-アミノドデカン酸(宇部興産株式会社製)87.6kg、アジピン酸(旭化成株式会社製)1.49kg、ELASTAMINE(登録商標)RT-1000(米国ハンツマン社製、数平均分子量 約1000、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物、式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)10.5kg、次亜リン酸ナトリウム 0.118g、及びIrganox(登録商標)245(BASF社製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.299gを仕込んだ。容器内を窒素置換した後、加熱を開始した。槽内温度が230℃に到達した時点から更に5時間加熱撹拌し、反応水を系外に留去しながら重合反応を行った。反応終了後、ポリマー取り出し口から無色透明のポリマーを水中へストランド状に吐出し、ペレタイザーによりカッティングを行って約13kgのPAE-2を得た。PAE-2のハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)は、89.1/10.5である。
表1中の上記以外の成分は、以下の通りである。
ポリエステルエラストマー PEE-1:製品名 ハイトレル(登録商標)5557(東レ・デュポン株式会社製)
ポリエステルエラストマー PEE-2:製品名 ハイトレル(登録商標)6347(東レ・デュポン株式会社製)
ガラス繊維:製品名ECS-03-249H(日本電気硝子株式会社製)、平均繊維長3.0mm (カタログ値)、平均繊維径10.5μm(カタログ値)
[実施例1~4、比較例1~7]
表1に記載した各成分を二軸混練機にてシリンダー温度230℃の二軸押出機において、ポリアミドエラストマーを原料供給部(ホッパー)より、ガラス繊維をサイドフィード部よりそれぞれ投入し、押出量60kg/Hr、スクリュー回転数300rpmの条件で溶融混練した。
溶融混練温度については実施例1:270℃、実施例2:275℃、実施例4:285℃、比較例2:270℃であった。なお、表1中の組成の単位は質量%であり、エラストマー組成物全体を100質量%とする。
Figure 2022149860000009
実施例1~4は、引張弾性率及び曲げ弾性率が1200MPa以上で弾性率が高く、強度がある。また、荷重たわみ温度が140℃以上であることから、高温にも耐えうる。また、ショアD硬度が比較例1及び3に示すポリアミドエラストマー単独の場合からの変化が少なく、柔軟性も備えている。
実施例1及び2と比較例1との比較、実施例3及び4と比較例3との比較から、ポリアミドエラストマー組成物がガラス繊維を含まないと引張弾性率及び曲げ弾性率が低く、荷重たわみ温度も低いことがわかる。また、ポリアミドエラストマーにガラス繊維を配合しても、ポリアミドエラストマー単独の場合からショアD硬度の変化が少なく、柔軟性が維持されていることがわかる。
比較例2と実施例1及び2との比較から、ポリアミドエラストマー組成物がガラス繊維を含んでも、ガラス繊維が5質量%以下であると、引張弾性率及び曲げ弾性率が低く、荷重たわみ温度も低いことがわかる。
実施例1~4と比較例4~7との比較から、エラストマーとしてポリアミドエラストマーを使用しないとガラス繊維を配合してもなお引張弾性率が低いことがわかる。
本発明のポリアミドエラストマー組成物は、弾性率が高く、強度も有しながら、ショアD硬度が高すぎず、柔軟性も有し、さらには荷重たわみ温度も高いので、高温になる可能性のある金属との複合体、たとえば燃料タンク、ガスタンク、作動油タンク、燃料フィラーチューブ、燃料デリバリーパイプ、その他各種ケーブル・ベルトに好適に使用できる。

Claims (9)

  1. ポリアミドエラストマー組成物中、ポリアミドエラストマー(A)を50質量%超95質量%未満、及びガラス繊維(B)を5質量%超50質量%未満含むポリアミドエラストマー組成物。
  2. ポリアミドエラストマー組成物のISO-868に準拠して測定したショアD硬度が30超80以下である請求項1に記載のポリアミドエラストマー組成物。
  3. 金属との複合体に用いられる請求項1又は2に記載のポリアミドエラストマー組成物。
  4. ポリアミドエラストマー(A)が実質的にエステル結合を有さない請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物。
  5. ポリアミドエラストマー(A)がハードセグメント及びソフトセグメントを有し、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合(質量比) が、ハードセグメント/ソフトセグメント=85/15~40/60である請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物。
  6. ポリアミドエラストマー(A)が、
    下記式(1)で表されるアミノカルボン酸化合物及び/又は下記式(2)で表されるラクタム化合物に由来する構成単位、下記式(3)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物に由来する構成単位、並びに下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含む重合体である請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物。
    Figure 2022149860000010

    [但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表す。]
    Figure 2022149860000011

    [但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表す。]
    Figure 2022149860000012

    [但し、xは1~20の整数、yは4~50の整数、zは1~20の整数を表す。]
    Figure 2022149860000013

    [但し、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0または1である。]
  7. ポリアミドエラストマー組成物中、ガラス繊維(B)を5質量%超30質量%未満含む請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物を含む成形品。
  9. 金属との複合体である請求項8の成形品。
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