JP2022149298A - 医療器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体内に挿入した注入針の挙動や患部に対する位置を超音波画像で確認する際に、超音波探触子を生体表面に対して正しく配置すること。【解決手段】生体表面Sから穿刺して生体内の患部に送達物を送達する送達デバイス100と、送達デバイス100を装着した状態で、送波面410から超音波を送波する超音波探触子400を保持する探触子保持具200と、を有し、挿入孔221の中心は、超音波探触子400の送波面410の平面視で送波面410の長軸の延長線上に位置し、探触子保持具200は、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、超音波探触子400を移動可能に保持する。【選択図】図1

Description

本発明は、生体内の患部に対して薬剤や医療デバイスなどの送達物を送達する医療器具に関する。
特許文献1には、薬剤を送達する送達デバイス(穿刺デバイス)を用いて腫瘍などの患部や患部の疑いがある部位など処置するため、超音波探触子(プローブ)から観測対象となる生体組織に対して超音波(光音響波)を送受信して得られた超音波信号に基づく超音波画像(光音響画像)を用いて患部を観察しながら穿刺する技術が開示されている。
特開2009-31262号公報
生体内に発生した腫瘍を治療する際、副作用の強い薬剤や選択性が少ない薬剤に対して全身性の副作用を抑えつつ、腫瘍への薬剤集積量を高める投与方法として、腫瘍に直接投与する処置方法がある。しかし、腫瘍組織内に薬剤を浸透・拡散させるには、1箇所から投与しても薬剤量は限られている。また、線維性の隔壁を有する腫瘍は、薬剤が浸透し難いため、1箇所から投与しても期待する効果が得られないこともある。そのため、術者は、穿刺デバイスを穿刺し直して複数箇所から腫瘍にアプローチして薬剤の投与を試みるが、出血リスクや播種リスクが高まるという課題がある。
そこで、上記課題に対する対応策として、穿刺デバイスの注入針の先端部を軸方向から外方に向けて湾曲させた構成とし、注入針を回転させて腫瘍への穿刺箇所を変えながら薬剤を投与する処置方法が考えられる。この処置方法によれば、注入針を回転させて注入針の穿刺端を腫瘍の異なる位置に向けることができるため、穿刺デバイスの穿刺箇所を変えず、腫瘍の異なる位置にアプローチすることが可能となる。
ところで、腫瘍に注入針を穿刺する際に、腫瘍の周囲にある他組織や血管などの損傷リスクを回避するため、術者は、超音波画像を確認しながら注入針の先端部分と腫瘍との位置関係を把握する必要がある。注入針の先端部分を超音波画像上に映し出すには、超音波探触子から送信される超音波を、注入針の中心軸を通り、かつ注入針の湾曲方向を含む平面と重なるように照射しなければならない。しかし、上記対応策となる処置方法を行う場合、注入針の先端は湾曲して側方を向いているため、注入針の湾曲方向によっては穿刺端が超音波の照射領域から外れる可能性がある。超音波画像上に注入針の先端部分が映し出されない場合、術者は、注入針の湾曲方向に合わせて超音波探触子を配置させようとするが、生体外から注入針の湾曲方向を確認する術がないため、超音波探触子を正しく配置するのは困難である。
このように、超音波探触子を用いて湾曲する注入針の向きや挙動を確認しながら腫瘍へアプローチする処置方法を実施するには、超音波探触子の生体表面に対する正しい配置位置を把握することが重要となる。しかし、特許文献1の技術では、超音波探触子の正しい配置位置を把握することができず改善の余地がある。
本発明の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、具体的には、生体内に挿入した注入針の挙動や患部に対する位置を超音波画像で確認する際に、超音波探触子を生体表面に対して正しく配置することができる医療器具を提供することにある。
本実施形態に係る医療器具は、生体表面から穿刺して生体内の患部に送達物を送達する送達デバイスと、前記送達デバイスを装着した状態で、送波面から超音波を送波する超音波探触子を保持する探触子保持具と、を有する医療器具であって、前記送達デバイスは、内腔を有し長軸方向に沿って延在する外筒と、先端部が前記外筒の軸方向から遠ざかる方向に湾曲可能に構成され前記外筒の内腔に対して摺動可能に保持される注入針と、前記注入針を前記外筒から進退移動させるための操作部と、前記注入針の先端部の湾曲方向と対応する前記操作部の外表面に設けられる第1固定部と、を備え、前記探触子保持具は、前記超音波探触子を保持する第1保持部と、前記送達デバイスの前記外筒を挿入する挿入孔を有し前記送達デバイスを保持する第2保持部と、前記第2保持部に対し前記挿入孔の長軸方向と略平行に延在して設けられ前記第1固定部と係合可能な第2固定部と、を備え、前記挿入孔の中心は、前記送波面の平面視で前記送波面の長軸の延長線上に位置し、前記探触子保持具は、前記送波面の長軸が前記注入針の中心軸を通り、前記注入針の湾曲方向を含む平面と重なるように、前記超音波探触子を移動可能に保持する。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、生体内に挿入した注入針の挙動や患部に対する位置を超音波画像で確認する際に、超音波探触子を生体表面に対して正しく配置することができる。
第1実施形態に係る医療器具の概略構成図である。 第1実施形態に係る医療器具の送達デバイスの注入針を進出する前の状態を示す部分断面図である。 第1実施形態に係る医療器具の送達デバイスの注入針を進出した後の状態を示す部分断面図である。 第1実施形態に係る医療器具の探触子保持具の構成を示す概略側面図である。 第1実施形態に係る医療器具の探触子保持具を底部側から見た概略構成図である。 第1実施形態に係る医療器具の探触子保持具において傾き調節前の状態を示す概略側面図である。 第1実施形態に係る医療器具の探触子保持具において傾き調節後の状態を示す概略側面図である。 第1実施形態に係る医療器具の探触子保持具において高さ調節前の状態を示す概略側面図である。 第1実施形態に係る医療器具の探触子保持具において高さ調節後の状態を示す概略側面図である。 第1実施形態に係る医療器具の使用例を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る医療器具の使用例を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る医療器具の使用例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の送達デバイスの注入針を進出する前の状態を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の送達デバイスの注入針を進出した後の状態を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の探触子保持具の構成を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の探触子保持具を底部側から見た概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の使用例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の使用例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る医療器具の使用例を示す概略構成図である。 第3実施形態に係る医療器具の概略構成図である。 第3実施形態に係る医療器具の探触子保持具を底部側から見た概略構成図である。 第3実施形態に係る医療器具を用いた使用例を示す概略構成図である。 第3実施形態に係る医療器具を用いた使用例を示す概略構成図である。 変形例1の医療器具においてマーカー部を位置合わせ前の状態を示す概略構成図である。 変形例1の医療器具においてマーカー部を位置合わせした状態を示す概略構成図である。 変形例2の医療器具の距離調節部による距離調節前の状態を示す概略構成図である。 変形例2の医療器具の距離調節部による距離調節後の状態を示す概略構成図である。 変形例3の医療器具の概略構成図である。 変形例4の医療器具の送達デバイスにおいて一の注入針を進出させる前の状態を示す概略構成図である。 変形例4の医療器具の送達デバイスにおいて一の注入針を進出させた後の状態を示す概略構成図である。 変形例5の医療器具の送達デバイスの構成を示す概略断面図である。 変形例5の医療器具の送達デバイスの他の形態を示す概略断面図である。 変形例6の医療器具の送達デバイスにおいて第1取付け位置に調節部を取付けた状態を示す概略構成図である。 変形例6の医療器具の送達デバイスにおいて第2取付け位置に調節部を取付けた状態を示す概略構成図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、送達デバイス100が生体内に挿入される側を「先端側」とし、先端側と反対側(術者が把持する側)を「基端側」とする。また、先端(最先端)から長軸方向(送達デバイス100の中心軸Zの延在方向)に沿う一定の範囲を含む部分を「先端部」とし、基端(最基端)から長軸方向における一定の範囲を含む部分を「基端部」とする。
なお、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
本実施形態に係る医療器具300、310および320は、生体内の患部まで挿入して所定の送達物(薬剤や各種医療デバイスなど)を送達する送達デバイス100と、送達デバイス100および超音波探触子400を保持する探触子保持具200と、を備え、超音波探触子400から生体内に送波した超音波に基づく超音波画像を確認しながら送達デバイス100を介して生体内の患部に送達物を送達するためのものである。以下、各実施形態および変形例について詳述する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る医療器具300について図1~図6を参照しながら説明する。
<構成>
図1に示すように、第1実施形態に係る医療器具300は、生体内の患部まで挿入して所定の送達物を送達する送達デバイス100と、超音波探触子400の送波面410の長軸(略長方形状をなす面において長手方向に沿う軸)が注入針140の中心軸Bを通る平面と重なるように超音波探触子400を移動可能に保持する探触子保持具200と、を備える。
第1操作部110、第2操作部120、外筒130の中心軸A、および注入針140の中心軸Bは、いずれも送達デバイス100の中心軸Zと一致する(図2Aを参照)。中心軸Zは、生体表面Sに対して送達デバイス100を進退させる方向、第2操作部120を押引き操作する方向と一致する。なお、注入針140は、外筒130から進出した際に後述する湾曲部144により湾曲形状に変形するため、中心軸Bも注入針140の湾曲方向に沿って湾曲する(図2Bを参照)。
〈送達デバイス〉
送達デバイス100は、図2A、図2Bに示すように、概説すると、第1操作部110と、第2操作部120と、外筒130と、注入針140と、を備える。送達デバイス100は、注入針140を介して生体内の患部に所定の送達物(薬剤や医療デバイス)を送達する。また、外筒130の外周面には、探触子保持具200の第2固定部230と係合可能な第1固定部150を備える。第1操作部110および第2操作部120は、外筒130に対して注入針140を進出・退避するための操作部160として機能する。
第1操作部110は、図2Aに示すように、内腔111を有する中空の筒状部材で構成され、先端に外筒130が取付けられる。第1操作部110の内腔111は、外筒130の内腔131と連通する。第1操作部110の内部には、第2操作部120が長軸方向に沿って摺動可能に収納される。第1操作部110と第2操作部120は、注入針140の湾曲方向の向きや外筒130から進退する際に奏される操作部160として機能する。
第2操作部120は、図2Aに示すように、内腔121を有する中空の筒状部材で構成され、先端に注入針140が取付けられる。第2操作部120の内腔121は、注入針140の内腔141と連通する。第2操作部120は、第1操作部110の内腔111に、長軸方向に沿って摺動可能に収納される。そのため、注入針140は、第2操作部120の押引き操作により、長軸方向に沿って外筒130から進退することができる。
第2操作部120の先端位置と、第1操作部110の内腔111の先端側内壁との距離は、注入針140の進出量に応じて設定される。すなわち、第2操作部120は、図2Aに示すように、摺動前の状態では、第2操作部120の先端位置と第1操作部110の内腔111の先端側内壁とが少なくとも前記進出量の分だけ離隔している。また、第2操作部120は、図2Bに示すように、摺動後の状態では前記進出量の分だけ先端側へ摺動し、第2操作部120の先端が第1操作部110の内腔111の先端側内壁と近接した状態となる。この状態において、注入針140は、外筒130から進出する。
また、第2操作部120は、図2Aに示すように、基端側に押引部122と、ハブ部123と、を備える。
押引部122は、外筒130から注入針140を進退させる押引き操作を行うときに操作される。術者は、押引部122を押し操作(先端側への摺動)することで、外筒130から注入針140を進出できる。また、術者は、押引部122を引き操作(基端側への摺動)することで、外筒130から進出した注入針140を外筒130内に収納できる。
ハブ部123は、基端側に形成された開口部と連通する内腔を有する。ハブ部123の内腔は、第2操作部120の内腔121を介して注入針140の内腔141と連通する。そのため、注入針140の内腔141は、ハブ部123を介して外部と連通可能となる。ハブ部123は、注入針140に送達物を導入するための導入口として機能する。そのため、ハブ部123は、例えば薬剤投与のためのシリンジの筒先やチューブが装着されたり、医療デバイスが挿入されたりする。なお、第1実施形態において、ハブ部123は、第2操作部120の基端側の押引部122に設けた構成であるが、第2操作部120の側面側に設けてもよい。
第2操作部120の外周面には、外周面に注入針140の外筒130からの進出長さ(穿刺長さ)や湾曲方向への湾曲度合い(針本体部142の中心軸B1から穿刺端143bまでの離隔距離)が視覚または触覚などで確認可能なスケール部を設けるのが好ましい。これにより、術者は、送達デバイス100を生体内に挿入した状態で注入針140の患部に対する穿刺長さや、湾曲方向への湾曲度合いを把握することができる。
また、第2操作部120は、注入針140の穿刺長を所定の長さに制限するための穿刺長制限機構(ストッパー)を設けてもよい。これにより、術者は、注入針140を患部に穿刺し過ぎることがなく、患部に対して適切な穿刺長で穿刺することができる。
外筒130は、図2Aに示すように、先端から基端にかけて連通する内腔131を有する中空の筒状部材で構成され、第1操作部110の先端から長軸方向に沿って延在する。外筒130の内腔131は、先端側は先端開口部132と連通し、基端側は基端開口部133と連通する。基端開口部133は、第1操作部110の内腔111と連通する。外筒130の内腔131には、注入針140が収納される。
外筒130の構成材料は、医療分野で使用可能な生体に非侵襲または低侵襲な材料(樹脂材料や金属材料など)が適用可能であるが、生体に挿入した際の撓みを抑制するため、比較的剛性の高い材料(ステンレス、チタン合金、CoCr合金など)を採用するのが好ましい。
外筒130は、先行して生体内に導入されたカニューレなどの導入デバイスに沿って挿入される。また、外筒130は、先端を鋭利な針形状とした場合、導入デバイスを使用せず、生体表面Sから穿刺して患部まで挿入することができる。
なお、外筒130は、手技中に生体表面Sで位置固定するための固定部材を外周面に設けてもよい。これにより、術者は、手技中に外筒130が位置固定され、患部の目的とする箇所に対して注入針140を正確に穿刺することができる。
注入針140は、図2Aに示すように、内腔141を有する中空の筒状部材で構成され、第2操作部120の先端から長軸方向に沿って延在する。注入針140は、針本体部142と、針先端部143と、湾曲部144と、を備える。針本体部142、針先端部143は、内腔141を通じて連通する。
針本体部142は、中空の筒状部材で構成され、基端が第2操作部120の先端と連結している。そのため、注入針140の内腔141は、第2操作部120の内腔121と連通する。針本体部142の先端は、針先端部143の基端と連結している。
針先端部143は、先端に開口部143aを有する鋭利な穿刺端143bを有する。針先端部143の少なくとも一部は、第2操作部120の摺動に伴い、外筒130から生体内へと進出する。また、針先端部143は、湾曲部144を有し、少なくとも一部が側方に向かって湾曲した形状に変形可能に構成される。
湾曲部144は、針先端部143の少なくとも一部または略全体を構成し、針本体部142の先端から針先端部143の開口部143aに向かうに連れて徐々に外筒130の中心軸A(針本体部142の中心軸B1)から遠ざかる方向(外筒130の中心軸Aに対する放射方向)に曲がった形状を有する。湾曲部144は、図2Aに示すように、一例として針先端部143と同領域に設定されてもよい。
湾曲部144は、針先端部143が外筒130から進出したときに湾曲形状が維持される。また、湾曲部144は、外筒130よりも剛性が低いため、針先端部143が外筒130に収納された状態では、外筒130の内腔131と当接することにより、湾曲形状が略真直状態に矯正される。
湾曲部144は、予め湾曲形状をなす構成の他、外筒130の先端開口部132から進出する針先端部143を斜め方向(針本体部142の中心軸B1から遠ざかる方向)にガイドするガイド部材(図示せず)によって湾曲する構成など、外筒130から進出した際に針先端部143を湾曲する構成であればよい。
なお、注入針140は、穿刺端143bに開口部143aを有する構成としたが、穿刺端143bの開口部143aを封止して針先端部143の側面に複数の孔を設けた構成としてもよい。
注入針140の構成材料としては、医療分野で使用される公知のシリンジに装着される穿刺針などに適用される材料であれば特に制限はなく、例えばステンレスやニチノールのような形状記憶合金などが適用可能である。
第1固定部150は、第1操作部110の外周面における注入針140の湾曲方向に対応する位置に設けられる。第1固定部150は、中空の筒状部材で構成され、探触子保持具200の第2固定部230に摺動可能に取付けられる。第1固定部150は、角部を有し強固に固定できるため、外形を多角形とするのが好ましい。また、第1固定部150の内腔は、角部を有し強固に保持できるため、多角形とするのが好ましい。第1固定部150は、第2固定部230と係合することで、送達デバイス100の生体表面Sに対する外筒130の挿抜方向(外筒130の軸方向)への移動を許容し、送達デバイス100を回転させた際、医療器具300内で第1操作部110の回転を規制する。これにより、送達デバイス100を回転させたとしても、湾曲部144の湾曲する平面(すなわち、注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面)は、超音波探触子400による造影平面と一致する。
〈探触子保持具〉
探触子保持具200は、図3A、図3Bに示すように、概説すると、第1保持部210と、第2保持部220と、第2固定部230と、調節部240と、を備える。探触子保持具200は、超音波探触子400の送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、超音波探触子400を移動可能に保持する。これにより、探触子保持具200は、外筒130の中心軸Aを中心として送達デバイス100の回転操作に追従して超音波探触子400を保持したまま同方向に移動することができる。
第1保持部210は、図3Aに示すように、超音波探触子400の筐体の外周形状に沿う枠体で構成され、超音波探触子400の筐体に取付けられる。第1保持部210は、外筒130の中心軸Aを中心として送達デバイス100の回転操作に追従して超音波探触子400を保持したまま同方向に移動させる。第1保持部210は、平面視(略水平状態の送波面410を上方または下方から見た状態)において、超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上に、後述する第2保持部220の挿入孔221の中心と第2保持部220に取付けられる第2固定部230の軸中心が位置するように超音波探触子400を保持する。
第2保持部220は、図1に示すように、送達デバイス100を保持する。第2保持部220は、送達デバイス100の外筒130を挿入する挿入孔221が設けられる。挿入孔221の中心は、図3Bに示すように、平面視で送波面410の長軸の延長線上に位置する。第2保持部220の下方には、挿入孔221の軸方向に沿って延在する突出部222が設けられる。突出部222は、挿入孔221と連通する内腔を有する。突出部222は、その先端が生体表面Sに当接することで、手技中に送達デバイス100の適切な挿入位置から更に深く挿入されてしまうことを防止する効果を奏する。
第2固定部230は、図1に示すように、第1固定部150と係合して送達デバイス100を回転させた際、医療器具300内で第1操作部110の回転を規制する。第2固定部230は、第1固定部150と係合可能な外形を有する長軸な棒状部材(多角柱や円柱)で構成され、第2保持部220に対し、挿入孔221の中心軸と略平行に第2保持部220の上方へ延在するように設けられる。第2固定部230の軸中心は、図3Bに示すように、送波面410の平面視で送波面410の長軸の延長線上に位置する。
第2固定部230は、第1固定部150と係合することにより、送達デバイス100の生体表面Sに対する近接・離隔方向(外筒130の挿抜方向)への移動は許容し、送達デバイス100を回転させた際、医療器具300内で第1操作部110の回転を規制する。
調節部240は、第1保持部210と第2保持部220との間に設けられ、第2保持部220の位置を基準として生体表面Sに対する超音波探触子400の傾きや高さ位置を調節する際に操作される。調節部240は、図3Aに示すように、傾き調節部241と、高さ調節部242と、を備える。調節部240は、第1保持部210と第2保持部220との間に介在して設けられる。
傾き調節部241は、生体表面Sに対する超音波探触子400の傾き(生体表面Sに対する送波面410の当接向き)を調節する際に操作される。傾き調節部241は、送波面410の長軸と、挿入孔221の中心と第2固定部230の軸中心との位置関係を維持した状態で超音波探触子400の生体表面Sに対する傾き調節を可能としている。傾き調節部241は、図3Aに示すように、送波面410の短軸方向(送波面410の長軸と直交する短軸が延在する方向)と平行な回転軸241aを中心に回動可能に第1保持部210と連結される。
傾き調節部241は、図4Aに示す超音波探触子400を傾き調節する前の状態から、図4Bに示す傾き調節した後、第1保持部210を位置固定可能に構成される。これにより、医療器具300は、生体表面Sに対する超音波探触子400の適切な傾倒姿勢を維持することができると共に、送達デバイス100の外筒130を患部に挿入する際の挿入角度を固定することができる。
高さ調節部242は、生体表面Sに対する超音波探触子400の高さ位置(生体表面Sに対する送波面410の当接位置)を調節する際に操作される。高さ調節部242は、送波面410の長軸と挿入孔221の中心と第2固定部230の軸中心との位置関係を維持した状態で超音波探触子400の生体表面Sに対する高さ調節を可能としている。高さ調節部242は、図3Aに示すように、第2保持部220の側面に対し、挿入孔221の中心軸と平行に延在する所定長の柱部材で構成される。また、高さ調節部242は、傾き調節部241の回転軸241aが挿入されて回転軸241aの高さ方向への移動を案内する縦長矩形状の案内孔242aが設けられる。回転軸241aは、案内孔242aに対して回転および摺動可能に保持される。
高さ調節部242は、図5Aに示す超音波探触子400を高さ調節する前の状態から、図5Bに示す高さ調節した後、第1保持部210を位置固定可能に構成される。これにより、医療器具300は、生体表面Sに対し超音波探触子400を適切な当接位置を保持することができる。
このように、調節部240は、生体表面Sに対する超音波探触子400の当接向きや高さが調節可能である。そのため、術者は、送達デバイス100を外筒130の中心軸Aを中心に所定方向へ回転させた際、送達デバイス100の挿入位置を基準として超音波探触子400の傾きや高さを適切に調節することができる。また、調節部240は、傾き調節部241と高さ調節部242とを一体に構成されているため、ハンドリング性に優れる。
なお、調節部240は、傾き調節部241による傾き調節機能と、高さ調節部242による高さ調節機能を兼ね備えた構成であるが、傾き調節部241と高さ調節部242を別部材で構成してもよい。
第1実施形態に係る医療器具300は、図6Aに示すように、超音波探触子400に探触子保持具200の第1保持部210を取付け、超音波探触子400を、標的組織を描出するように生体表面Sに密着させた状態で、第2保持部220の挿入孔221と第2固定部230とに送達デバイス100の外筒130と第1固定部150とを、それぞれ通していくように生体表面Sから患部に挿入される。医療器具300は、注入針140を患部に穿刺して送達物を送達した後、注入針140が外筒130に一旦引き戻される。医療器具300は、患部に対する注入針140の穿刺箇所を変えるため、外筒130の中心軸Aを中心に所定方向に回転する。送達デバイス100は、第1固定部150を介して第2固定部230に回転可能に保持されるため、探触子保持具200は、図6Bに示すように、送達デバイス100の回転操作に追従して同方向に回転する。また、医療器具300は、図6Cに示すように、回転した後に調節部240が操作され、生体表面Sに対する超音波探触子400の当接向きや高さが調節される。
以上のように、第1実施形態に係る医療器具300は、送達デバイス100の回転操作に追従して探触子保持具200も回転する。第1固定部150は注入針140の湾曲方向に対応した位置にあり、第2保持部220の挿入孔221の中心と第2固定部230の軸中心は、送波面410の平面視で送波面410の長軸の延長線上に位置する。そのため、医療器具300は、第1固定部150と第2固定部230が係合した状態において、送達デバイス100の回転操作に追従して探触子保持具200が回転しても、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面上に重なるように超音波探触子400を移動させることができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認することが可能となり、患部の目的とする箇所に送達物を送達することができる。
<処置方法>
次に、第1実施形態に係る医療器具300を用いた処置方法について説明する。以下の説明では、送達物として患部の腫瘍を治療するための薬剤(液剤)を腫瘍に対して3箇所投与する処置の一例を示す。
術者は、患部の腫瘍に対して投与する薬剤を用意し、薬剤を注入するシリンジおよび注入針140をプライミングする。術者は、探触子保持具200を取付けた超音波探触子400を操作して超音波診断装置で患者の腫瘍の中心位置を確認して生体表面Sから腫瘍への穿刺経路を決定する。
術者は、穿刺部位の消毒と局部麻酔を行った後、エコーガイド下で送達デバイス100の外筒130を第2保持部220の挿入孔221に挿入して腫瘍に向けて挿入(穿刺)する。このとき、術者は、第1固定部150を第2固定部230に係合させ、外筒130の先端が腫瘍の外表面に到達する位置まで外筒130を挿入する。
術者は、外筒130の先端位置と腫瘍の外表面の位置を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたは、シリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、1回目の投与が終了し、送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に送達される。
術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針140を2箇所目の穿刺箇所に向かせる。また、探触子保持具200は、送達デバイス100の回転操作に追従して同方向に回転する。その際、調節部240によって、回転操作後の探触子を生体表面Sに接地するように調整する。医療器具300は、注入針140の湾曲方向を含む平面と第2保持部220の挿入孔221の中心と第2固定部230の軸中心が、超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上に位置するため、超音波探触子400を生体表面Sに対して正しい配置位置に配置することができる。術者は、超音波画像上で腫瘍の界面を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、超音波探触子400を正しい位置に配置することができるため、超音波画像上で注入針140の湾曲方向や挙動を確認しながら患部に穿刺できる。その後、術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたは、シリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、2回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目と異なる箇所に送達される。
術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針140を3箇所目の穿刺箇所に向かせる。また、探触子保持具200は、送達デバイス100の回転操作に追従して同方向に回転する。その際、調節部240によって、回転操作後の超音波探触子400を生体表面Sに接地するように調整する。術者は、超音波画像上で腫瘍の界面を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジ、またはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、3回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目や2回目と異なる箇所に送達される。
その後、術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。この後、送達デバイス100を生体から抜去して手技を終了する。
[第2実施形態]
次に、図7~図10を適宜参照しながら、第2実施形態に係る医療器具を説明する。第2実施形態では、120°間隔で等間隔に3箇所投与可能なパターンについて記載する。以下に説明する第2実施形態は、前述した第1実施形態と同一の機能を有する構成要件について同一の符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した実施形態と同様のものとしてよい。
<構成>
第2実施形態に係る医療器具310は、主に下記の構成が第1実施形態に係る医療器具300と相違する。第2実施形態に係る医療器具310は、送達デバイス100の第2操作部120を第1操作部110に対して回転可能に取付けられた構成である。また、第2実施形態に係る医療器具310は、図7に示すように、注入針140の湾曲方向に対応する位置に、外筒130の中心軸Aを中心として第1保持部210を回転可能に保持する回転部250を備えた構成である。
第1操作部110の内腔111には、図8A、図8Bに示すように、後述する第2操作部120の第2係合部124と係合可能な第1係合部112が設けられる。第1係合部112は、第1操作部110の内壁面から第1操作部110の中心軸に向かって突出する突起部材で構成される。
第2操作部120は、第1操作部110に対して回転可能に保持される。第2操作部120の外周面には、図8A、図8Bに示すように、長軸方向に沿って延在する複数の第2係合部124が設けられる。第2係合部124は、長軸方向に沿って延在する凹溝で構成され、第2操作部120の外周面の周方向に対し所定間隔を空けて設けられる。第2実施形態では、第2係合部124は、第2操作部120の外周面に対し、第2操作部120の回転角度(軸方向から見て時計回りに0°、120°、240°)に対応して配置される。なお、第2係合部124は、第2操作部120の回転位置に対応する位置に配置されればよい。
また、第2係合部124の先端側の各端部は、図8A、図8Bに示すように、接続部125を介して接続される。接続部125は、第2操作部120の周方向に沿って設けられる凹溝である。接続部125は、第2操作部120を回転操作する際、第1係合部112が係合する一の第1係合部112から他の第1係合部112へ移動する際の通路となる。
第2実施形態に係る医療器具310は、第1係合部112と第2係合部124とを備えるため、第2操作部120の回転操作および押引き操作における第2操作部120の回転方向および長軸方向への移動が予め設定された方向にのみ移動可能に構成される。また、第1操作部110に溝状の第2係合部124が、第2操作部120に突起状の第1係合部112が設けられていてもよい。その場合、第1係合部112は、第2操作部120の先端付近、第2係合部124の円周方向の溝は、第1操作部110の基端側に位置する。
回転部250は、図9Aに示すように、第2保持部220に回転可能に設けられる。回転部250は、調節部240を介して第1保持部210を回転可能に支持する。回転部250は、図9Bに示すように、超音波探触子400の送波面410の長軸が、第2操作部120の回転操作により向きの変わった注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、第1保持部210を、外筒130の中心軸Aを中心として外筒130の周方向に沿って移動可能に支持する。第2実施形態では、第2係合部124は、第2操作部120の外周面に対し、第2操作部120の回転角度と対応するように、軸方向から見て時計回りで0°、120°、240°の位置に配置される。そのため、回転部250は、第2係合部124が配置される3方向と一致する、または円周方向の反対の位置となるように第1保持部210を回転可能に支持する。
また、回転部250は、回転後の位置で固定可能にするロック機構251を備える。ロック機構251は、回転部250の内部に設けられ、第2操作部120の回転位置に対応する位置での回転の規制と許容とを切り替え可能な位置固定・解除機構(例えば、係止孔に対して係合および解除可能に移動する係止爪)で構成される。これにより、術者は、第2操作部120を回転操作して注入針140の湾曲方向を変えたとき、送波面410の長軸を注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重ねた状態で第1保持部210の位置を固定することができる。
第2実施形態に係る医療器具310は、図10Aに示すように、超音波探触子400に探触子保持具200の第1保持部210を取付け、超音波探触子400を、標的組織を描出するように生体表面Sに密着させた状態で、第2保持部220の挿入孔221と第2固定部230とに、送達デバイス100の外筒130と第1固定部150とを、それぞれを通していくように生体表面Sから患部に挿入される。医療器具310は、患部に対する注入針140の穿刺箇所を変えるため注入針140を外筒130に一旦引き戻し、第2操作部120を所定方向に回転させる。医療器具310は、第2操作部120の回転操作により注入針140の湾曲方向が変わるため、図10Bに示すように、第2操作部120の回転方向に合わせて回転部250を回転させる。これにより、医療器具310は、図10Cに示すように、第2操作部120の回転位置に対応する位置に第1保持部210が移動する。また、医療器具310は、回転部250を回転させる際に調節部240が操作され、生体表面Sに対する超音波探触子400の当接向きや高さが調節される。これにより、超音波探触子400は、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように移動する。
以上のように、第2実施形態に係る医療器具310は、第2操作部120を第1操作部110に対して所定方向に回転可能に構成される。また、医療器具310は、送達デバイス100の回転操作と対応するように第1保持部210を回転させる回転部250を備える。回転部250は、第2保持部220の挿入孔221の中心と第2固定部230の軸中心が、超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上に位置する状態を維持したまま第1保持部210を回転させる。これにより、医療器具310は、送達デバイス100の回転操作に対応して探触子保持具200を同方向に回転させれば、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように超音波探触子400を移動させることができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認することが可能となり、患部の目的とする箇所に送達物を送達することができる。
<処置方法>
次に、第2実施形態に係る医療器具310を用いた処置方法について説明する。以下の説明では、送達物として患部の腫瘍を治療するための薬剤(液剤)を腫瘍に対して3箇所投与する処置の一例を示す。
術者は、患部の腫瘍に対して投与する薬剤を用意し、薬剤を注入するシリンジおよび注入針140をプライミングする。術者は、探触子保持具200を取付けた超音波探触子400を操作して超音波診断装置で患者の腫瘍の中心位置を確認して生体表面Sから腫瘍への穿刺経路を決定する。
術者は、穿刺部位の消毒と局部麻酔を行った後、エコーガイド下で送達デバイス100の外筒130を第2保持部220の挿入孔221に挿入して腫瘍に向けて挿入(穿刺)する。このとき、術者は、第1固定部150を第2固定部230に係合させ、外筒130の先端が腫瘍の外表面に到達する位置まで外筒130を挿入する。
術者は、外筒130の先端位置と腫瘍の外表面の位置を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、1回目の投与が終了し、送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に送達される。
術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針140を2箇所目の穿刺箇所に向かせる。また、術者は、送達デバイス100の回転操作に合わせて回転部250を回転させ、第1保持部210を第2操作部120に対応する回転位置まで移動させる。これにより、超音波探触子400は、生体表面Sに対して正しい配置位置に配置される。また、その際、調節部240によって、回転操作後の超音波探触子400を生体表面Sに接地するように調整する。術者は、超音波画像上で腫瘍の界面を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。超音波探触子400は正しい位置に配置されているため、術者は、超音波画像上で注入針140の湾曲方向や挙動を確認しながら患部に穿刺できる。その後、術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、2回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目と異なる箇所に送達される。
術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針140を3箇所目の穿刺箇所に向かせる。また、術者は、送達デバイス100の回転操作に合わせて回転部250を回転させ、第1保持部210を第2操作部120に対応する回転位置まで移動させる。その際、調節部240によって、回転操作後の探触子を生体表面Sに接地するように調整する。術者は、超音波画像上で腫瘍の界面を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、3回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目や2回目と異なる箇所に送達される。
その後、術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。この後、送達デバイス100を生体から抜去して手技を終了する。
[第3実施形態]
次に、図11~図13を適宜参照しながら、第3実施形態に係る医療器具を説明する。以下に説明する第2実施形態は、前述した第1実施形態や第2実施形態と同一の機能を有する構成要件について同一の符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した実施形態と同様のものとしてよい。
<構成>
第3実施形態に係る医療器具320は、主に下記の構成が第1実施形態に係る医療器具300および第2実施形態に係る医療器具310と相違する。第3実施形態に係る医療器具320は、図11に示すように、第2保持部220に対して第1保持部210を着脱可能とし、注入針140の湾曲方向と対応する位置に、外筒130の中心軸Aを中心として第1保持部210を移動可能に保持する構成である。なお、第3実施形態に係る医療器具320は、第2実施形態の送達デバイス100と同様、第2操作部120を第1操作部110に対して回転可能に取付けられる。
第3実施形態に係る医療器具320は、図11、図12、図13A、図13Bに示すように、第2保持部220に対して第1保持部210を着脱可能とする装着部260を備える。装着部260は、第1保持部210と連結される調節部240の外周面に設けられる第1装着部261と、第2保持部220の外周面に複数設けられ第1装着部261を装着する第2装着部262と、で構成される。
第1装着部261は、調節部240の外周面に対し、平面視(略水平状態の送波面410を上方または下方から見た状態)で超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上の位置に設けられる。第1装着部261は、図11に示すように、調節部240の外周面から外方に突出する突起部材で構成される。
第2装着部262は、図12に示すように、第1装着部261が装着(嵌合)可能な凹部で構成され、第2操作部120の外周面の周方向に対し所定間隔を空けて設けられる。第3実施形態では、第2装着部262は、第2操作部120の回転操作位置(軸方向から見て時計回りに0°、120°、240°)に対応した位置、または円周方向で注入針140の穿刺方向と対角となる位置に配置される。第3実施形態では、挿入孔221が第2保持部220の軸中心に位置するため、第2装着部262は、図12に示すように、挿入孔221から第2保持部220の外周面に向かう放射方向に沿う位置に配置される。そのため、医療器具320は、第2操作部120の回転操作に対応するように第2保持部220に対する第1保持部210の取付け位置を変えたとしても、平面視で送波面410の長軸の延長線上に挿入孔221が位置することとなる。
第3実施形態に係る医療器具320は、図13Aに示すように、超音波探触子400に探触子保持具200の第1保持部210を取付け、超音波探触子400を、標的組織を描出するように生体表面Sに密着させた状態で、第2保持部220の挿入孔221と第2固定部230とに、送達デバイス100の外筒130と第1固定部150とを、それぞれを通していくように生体表面Sから患部に挿入される。医療器具320は、患部に対する注入針140の穿刺箇所を変えるため注入針140を外筒130に一旦引き戻し、第2操作部120を所定方向に回転させる。医療器具320は、第2操作部120の回転操作により注入針140の湾曲方向が変わるため、図13Bに示すように、第1装着部261を第2装着部262から外し、第2操作部120の回転方向に対応する第2装着部262に第1装着部261を装着させる。また、医療器具320は、第1保持部210を移動した後に調節部240が操作され、生体表面Sに対する超音波探触子400の当接向きや高さが調節される。これにより、超音波探触子400は、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように移動する。なお、図13A、図13Bにおいて、説明の便宜上、生体表面Sの図示は省略している。
以上のように、第3実施形態に係る医療器具320は、第2操作部120を第1操作部110に対して所定方向に回転可能に構成される。また、医療器具320は、送達デバイス100の回転操作と対応するように、第2保持部220に対する第1保持部210の取付け位置を変更する。第1装着部261は、調節部240の外周面に対し、平面視で超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上の位置に設けられる。また、第2装着部262は、挿入孔221から第2保持部220の外周面に向かう放射方向に沿う位置に配置される。これにより、医療器具310は、送達デバイス100の回転操作により変更された注入針140の湾曲方向と対応する第2装着部262に第1装着部261を取付ければ、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように超音波探触子400を移動させることができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認することが可能となり、患部の目的とする箇所に送達物を送達することができる。
<処置方法>
次に、第3実施形態に係る医療器具320を用いた処置方法について説明する。以下の説明では、送達物として患部の腫瘍を治療するための薬剤(液剤)を腫瘍に対して3箇所投与する処置の一例を示す。
術者は、患部の腫瘍に対して投与する薬剤を用意し、薬剤を注入するシリンジおよび注入針140をプライミングする。術者は、探触子保持具200を取付けた超音波探触子400を操作して超音波診断装置で患者の腫瘍の中心位置を確認して生体表面Sから腫瘍への穿刺経路を決定する。
術者は、穿刺部位の消毒と局部麻酔を行った後、エコーガイド下で送達デバイス100の外筒130を第2保持部220の挿入孔221に挿入して腫瘍に向けて挿入(穿刺)する。このとき、術者は、第1固定部150を第2固定部230に係合させ、外筒130の先端が腫瘍の外表面に到達する位置まで外筒130を挿入する。
術者は、外筒130の先端位置と腫瘍の外表面の位置を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたは、シリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、1回目の投与が終了し、送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に送達される。
術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針140を2箇所目の穿刺箇所に向かせる。また、術者は、送達デバイス100の回転操作した後、第1保持部210を第2保持部220から外して第2操作部120と同方向の第2装着部262に第1装着部261を装着させる。これにより、超音波探触子400は、生体表面Sに対して正しい配置位置に配置される。また、その際、調節部240によって、取り付け後の超音波探触子400を生体表面Sに接地するように調整する。術者は、超音波画像上で腫瘍の界面を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。超音波探触子400は正しい位置に配置されているため、術者は、超音波画像上で注入針140の湾曲方向や挙動を確認しながら患部に穿刺できる。その後、術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたは、シリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、2回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目と異なる箇所に送達される。
術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針140を3箇所目の穿刺箇所に向かせる。また、術者は、送達デバイス100の回転操作した後、第1保持部210を第2保持部220から外して第2操作部120と同方向の第2装着部262に第1装着部261を装着させる。その際、調節部240によって、取り付け後の超音波探触子400を生体表面Sに接地するように調整する。術者は、超音波画像上で腫瘍の界面を確認しながら押引部122を押し操作し、注入針140の針先端部143を外筒130から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針140を穿刺した後、シリンジまたは、シリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、3回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目や2回目と異なる箇所に送達される。
その後、術者は、押引部122を引き操作して注入針140を外筒130内に退避させる。この後、送達デバイス100を生体から抜去して手技を終了する。
[変形例]
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように使用環境などに応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変形例を本発明の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。以下に説明する変形例1~変形例6は、前述した各実施形態と同一の機能を有する構成要件について同一の符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した実施形態と同様のものとしてよい。
<変形例1>
変形例1は、図14A、図14Bに示すように、送達デバイス100と探触子保持具200に、注入針140の湾曲方向が確認可能なマーカー部(第1マーカー部126、第2マーカー部270)を設けた構成である。
変形例1において、送達デバイス100は、注入針140の湾曲方向が視覚または触覚などで確認可能な第1マーカー部126を第2操作部120に設けた構成である。また、探触子保持具200は、第1保持部210が保持する超音波探触子400の送波面410の長軸方向を示す第2マーカー部270を設けた構成である。第1マーカー部126および第2マーカー部270は、いずれも印刷(文字、記号など)や凹(凸)形状など、術者が視覚または触覚により所定の情報が確認可能な構成であれば、その形態は特に限定されない。変形例1の場合、送達デバイス100の第2操作部120は、穿刺方向以外に円周方向にも動かすことができ、探触子保持具200は前述の回転部250をもつ。
変形例1によれば、術者は、第1マーカー部126を確認することにより、注入針140の湾曲方向を事前に把握した状態で送達デバイス100を生体内に挿入することができる。また、術者は、図14Bに示すように、第2マーカー部270を第1マーカー部126に位置合わせするように回転部250を動かすことで、注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面に対し超音波探触子400の送波面410の長軸を容易に重ねることができる。
<変形例2>
変形例2は、図15A、図15Bに示すように、探触子保持具200は、第2保持部220に対して第1保持部210を相対的に移動可能(近接および離隔可能)に保持する距離調節部280を備えた構成である。
距離調節部280は、第2保持部220の外周面に対して近接および離隔可能に設けられる。距離調節部280は、図15A、図15Bに示すように、第2保持部220の外周面に設けられた案内溝281と、調節部240と連結し案内溝281に対して摺動可能に取付けられる支持部材282と、で構成される。
案内溝281は、第2保持部220の外周面において、第2保持部220に対し第1保持部210が近接または離隔する方向に沿って設けられる。案内溝281の延在方向は、挿入孔221と直交する。
支持部材282は、第2保持部220を挟持するように配置される1対の板状部材で構成される。支持部材282の第2保持部220と対向する面には、案内溝281と係合可能な突起を備える。支持部材282は、案内溝281に対して摺動可能に係合する。
変形例2によれば、距離調節部280を備えているため、図15Bに示すように、第1保持部210と第2保持部220との間隔が調節可能となり、超音波探触子400の配置位置の自由度を向上させることができる。
<変形例3>
変形例3は、図16に示すように、外筒130の先端側および注入針140の先端側(主として針先端部143の近傍)の外周面に対し、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部170を設けた構成である。
反射部170は、図16に示すように、外筒130の先端側の外周面および注入針140の針先端部143の外周面に設けられる。反射部170は、超音波の反射効率を向上させ、超音波画像上での視認性を向上させる効果を奏する。反射部170は、超音波の反射効率を向上させる形状を有する。反射部170は、一例として、凹溝(凹形状)や複数の突起(凸形状)、梨地加工のような凹凸形状で構成される。反射部170は、超音波画像上において注入針140の湾曲方向が確認可能なように、湾曲方向に対応する外周面に設けてもよい。
変形例3によれば、術者は、超音波画像上において外筒130や注入針140の視認性が向上するため、生体挿入時において患部に対する挿入位置や穿刺箇所の位置決めが容易となる。
<変形例4>
変形例4は、図17A、図17Bに示すように、注入針140を複数設け、注入針140のそれぞれは個々に独立して進退可能に構成される。変形例4は、3本の注入針140の湾曲方向を第2操作部120の周方向の所定角度(軸方向から見て、例えば時計回りに0°、120°、240°)に位置させ、これら注入針140の基端は3分割された押引部122のそれぞれに連結された構成である。また、ハブ部123は、3分割された押引部122にそれぞれ設けられる。
術者は、図17Bに示すように、分割された押引部122のうちの一つを押引き操作し、操作された押引部122と連結される注入針140は外筒130に対して進出または退避する。また、術者は、分割された押引部122を3つ同時に押引き操作すると、3本の注入針140を同時に進退操作することができる。
変形例4によれば、第2操作部120を回転させたり、送達デバイス100自体を回転させたりすることなく、患部に対して注入針140を患部の異なる位置に穿刺することができる。
なお、変形例4において、複数の注入針140は、一つの第2操作部120の先端に設け、第2操作部120の押引き操作の際に、同時に進退する構成としてもよい。このような形態として場合、術者は、事前に回転部250(第2実施形態)や装着部260(第3実施形態)を操作して、事前に超音波探触子400により各注入針140が進出する方向を確認し、最も腫瘍の辺縁まで近い針を見ながら同時に穿刺することができる。また、穿刺後は、術者は、超音波探触子400により、他の注入針140が組織から出ていないことを確認する。
<変形例5>
変形例5は、図18A、図18Bに示すように、外筒130を第1操作部110の中心軸を中心に回転可能に取付ける構成である。変形例5は、第1実施形態に係る医療器具300に適用可能である。
変形例5において、外筒130は、図18Aに示すように、外筒130の基端側の外周面の全周に亘って鍔部134が設けられる。第1操作部110の先端には、鍔部134を回転可能に保持する環状の支持部113が設けられている。
変形例5において、外筒130は、図18Bに示すように、外筒130の基端側から第1操作部110の外周面に沿って延在し、その先端が第1操作部110の外周面に形成された環状凹溝114と摺動可能に係合する延在部135が設けられる。
変形例5によれば、外筒130を第1操作部110に対して回転可能に取付けることで、注入針140を回転させる際、外筒130は連れて回転せず、挿入した状態(挿入姿勢)が維持される。そのため、変形例5では、外筒130が回転することで生じ得る周囲の生体組織との摩擦による損傷が防止される。
<変形例6>
変形例6は、図19A、図19Bに示すように、第1保持部210と第2保持部220とを着脱可能とし、第1保持部210を、第2保持部220の第1取付け位置と、第1取付け位置と対向する第2取付け位置とに取付け可能な構成である。変形例6は、第1実施形態に係る医療器具300に適用可能である。
調節部240は、第1保持部210に一体的に設けられ、第2保持部220の外周面における注入針140の針先端部143の湾曲方向と対応する位置である第1取付け位置と、第2保持部220の外周面における第1取付け位置と径方向で対向する第2取付け位置(第1取付け位置と第2保持部220の外周面で反対側の位置)に対して着脱可能に構成される。第1取付け位置と、第2取付け位置は、いずれも超音波探触子400を保持する際に、注入針140の中心軸Bを通り平面と重なるように超音波が送信可能な位置となる。変形例6では、調節部240の外方に突出した突出部291と、第2保持部220の外表面に設けられ突出部291と係合可能な装着孔292と、を備える。
突出部291は、図19Aに示すように、調節部240の外周面に対し、平面視で超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上の位置に設けられる。突出部291は、図19Aに示すように、調節部240の外周面から外方に突出する。
装着孔292は、図19Aに示すように、突出部291が装着可能な凹部で構成され、第2保持部220の外周面の周方向に対し、注入針140の針先端部143の湾曲方向と対応する位置である第1取付け位置と、第2保持部220の外周面における第1取付け位置と径方向で対向する第2取付け位置に設けられる。突出部291を装着孔292に装着すれば、平面視で送波面410の長軸の延長線上に挿入孔221が位置する。
また、変形例6において、調節部240は、第1取付け位置および第2取付け位置に取付けた状態において、生体表面Sに対する超音波探触子400の当接向きや高さを調節することができる。
変形例6において、術者は、第1取付け位置で超音波探触子400を生体表面Sに配置した際、骨や肺の空気による超音波への干渉や超音波探触子400の視野角の影響で患部を捉えきれないことがあり得る。このような場合、術者は、図19Bに示すように、第1保持部210と連結する調節部240を第2保持部220から取り外し、第1取付け位置と反対側になる第2取付け位置に取付けることができる。第1取付け位置と第2取付け位置は、いずれも注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面に重なるように超音波探触子400の送波面410を生体表面Sに配置することができる。また、調節部240は第1保持部210と連結しているため、第1取付け位置と第2取付け位置に取付けた際に、生体表面Sに対する超音波探触子400の当接向きや高さ調節が可能である。したがって、術者は、超音波探触子400の生体表面Sへの配置位置の自由度が上がり、処置がし易くなる。
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係る医療器具300、310、および320は、生体表面Sから穿刺して生体内の患部に送達物を送達する送達デバイス100と、送達デバイス100を装着した状態で、送波面410から超音波を送波する超音波探触子400を保持する探触子保持具200と、を有する。医療器具300、310および320において、送達デバイス100は、内腔131を有し長軸方向に沿って延在する外筒130と、先端部となる針先端部143が外筒130の軸方向から遠ざかる方向に湾曲可能に構成され外筒130の内腔131に対して摺動可能に保持される注入針140と、注入針140を外筒130から進退移動させるための操作部160と、注入針140の先端部の湾曲方向と対応する操作部160の外表面に設けられる第1固定部150と、を備える。また、探触子保持具200は、超音波探触子400を保持する第1保持部210と、送達デバイス100の外筒130を挿入する挿入孔221を有し第1固定部150を第2固定部230に係合させた状態で送達デバイス100を保持する第2保持部220と、第2保持部220に対し挿入孔221の長軸方向と略平行に延在して設けられ第1固定部150と係合可能な第2固定部230と、を備える。また、挿入孔221の中心は、送波面410の平面視で送波面410の長軸の延長線上に位置し、探触子保持具200は、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、超音波探触子400を移動可能に保持する。
また、操作部160は、長軸方向に沿って延在する外筒130を先端に有する第1操作部110と、第1操作部110に対して長軸方向に摺動可能に取付けられる第2操作部120と、で構成してもよい。また、探触子保持具200は、生体表面Sに対する超音波探触子400の傾き位置と、生体表面Sに対する超音波探触子400の高さ方向の位置と、を調節する調節部240を、第1保持部210と第2保持部220との間に設けて構成してもよい。
このように構成された医療器具300、310および320によれば、探触子保持具200は、挿入孔221の中心と第2固定部230の軸中心を、平面視で超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上に位置した状態で、超音波探触子400の送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、超音波探触子400を移動可能に保持する。これにより、術者は、送達デバイス100を回転させた際、注入針140の湾曲方向に対応するように、送達デバイス100の外筒130を中心に超音波探触子400を保持する探触子保持具200を移動することができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、外筒130の位置や向き、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認でき、患部の目的とする箇所に送達物を送達することができる。
また、本実施形態に係る医療器具300において、探触子保持具200は、外筒130の中心軸Aを中心として送達デバイス100の回転操作に伴って超音波探触子400を保持したまま同方向に移動するように構成してもよい。
このように構成された医療器具300によれば、術者は、送達デバイス100の回転操作に追従して探触子保持具200が回転させた際、送波面410の長軸を注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように超音波探触子400を移動させることができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認することができる。
また、本実施形態に係る医療器具310、320において、第2操作部120は、第1操作部110に対して回転可能に保持され、長軸方向に沿って延在する第2係合部124を外周面に対して所定間隔を空けて複数備え、第1操作部110は、内周面に第2係合部124と係合可能な第1係合部112を備え、探触子保持具200は、送波面410の長軸が、第2操作部120の回転操作により向きの変わった注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、第1保持部210を、外筒130の中心軸Aを中心として外筒130の周方向に沿って移動可能に支持するように構成してもよい。
また、医療器具310において、探触子保持具200は、送波面410の長軸が、第2操作部120の回転操作により向きの変わった注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように、第1保持部210を、外筒130の中心軸Aを中心として外筒130の周方向に沿って回転可能に支持する回転部250を備える構成としてもよい。
また、医療器具320において、第1保持部210は、送波面410の平面視で送波面410の長軸の延長線上に位置する第1装着部261により第2保持部220に対して着脱可能に構成され、第2保持部220は、第1装着部261が装着される第2装着部262を、外周面における第2操作部120の回転操作位置に対応する位置に備える構成としてもよい。
このように構成された医療器具310によれば、回転部250は、第2保持部220の挿入孔221の中心が、超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上に位置する状態を維持したまま第1保持部210を回転させることができる。これにより、術者は、送達デバイス100の回転操作に対応して探触子保持具200を同方向に回転させれば、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように超音波探触子400を移動させることができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認することができる。
また、このように構成された医療器具320によれば、第1装着部261は、調節部240の外周面に対し、平面視で超音波探触子400の送波面410の長軸の延長線上の位置に設けられる。また、第2装着部262は、挿入孔221から第2保持部220の外周面に向かう放射方向に沿う位置に配置される。術者は、送達デバイス100の回転操作により変更された注入針140の湾曲方向と対応する第2装着部262に第1装着部261を取付ければ、送波面410の長軸が注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重なるように超音波探触子400を移動させることができる。そのため、術者は、生体表面Sに対する超音波探触子400の正しい配置位置を把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、注入針140の湾曲方向や挙動などを容易に確認することができる。
また、本実施形態に係る医療器具300、310および320において、第2操作部120は、注入針140の湾曲方向を認識するための第1マーカー部126を有し第1操作部110に対する長軸方向への移動に加えて周方向に回転可能に構成され、探触子保持具200は、超音波探触子400の送波面410の長軸方向を示す第2マーカー部270を有するように構成してもよい。
このように構成された医療器具300、310および320によれば、術者は、第1マーカー部126を確認することにより、注入針140の湾曲方向を事前に把握した状態で送達デバイス100を生体内に挿入することができる。また、術者は、第2マーカー部270と第1マーカー部126を位置合わせすることで、注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面に対し超音波探触子400の送波面410の長軸を容易に重ねることができる。
また、本実施形態に係る医療器具300、310および320において、第2保持部220に対して第1保持部210を近接および離隔可能に支持する距離調節部280を備えるように構成してもよい。
このように構成された医療器具300、310および320によれば、距離調節部280を操作することで、第1保持部210と第2保持部220との間隔が調節可能となるため、超音波探触子400の配置位置の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る医療器具300、310および320において、外筒130の先端側の外表面および注入針140の先端側の外表面は、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部170を有するように構成してもよい。
このように構成された医療器具300、310および320によれば、術者は、超音波画像上において外筒130や注入針140の視認性が向上するため、生体挿入時において患部に対する挿入位置や穿刺箇所の位置決めが容易となる。
また、本実施形態に係る医療器具300、310および320において、注入針140は、第2操作部120に対して複数設けて構成してもよい。
このように構成された医療器具300、310および320によれば、第2操作部120を回転させたり、送達デバイス100自体を回転させたりすることなく、患部に対して注入針140を患部の異なる位置に穿刺することができる。
また、本実施形態に係る医療器具300において、外筒130は、第1操作部110に対して回転可能に保持されるように構成してもよい。
このように構成された医療器具300よれば、外筒130を第1操作部110に対して回転可能に取付けることで、注入針140を回転させる際、外筒130は連れて回転せず、挿入した状態(挿入姿勢)が維持される。そのため、医療器具300は、外筒130が回転することで生じ得る周囲の生体組織との摩擦による損傷を防止できる。
また、本実施形態に係る医療器具300において、調節部240は、第1保持部210と一体的に形成され、第2保持部220の外周面における注入針140の先端部の湾曲方向と対応する第1取付け位置と、第2保持部220の外周面における第1取付け位置と径方向で対向する第2取付け位置に対して着脱可能に構成してもよい。
このように構成された医療器具300によれば、術者は、生体内の骨や肺の空気などの障害物により患部を捉えきれない場合、第1保持部210と連結する調節部240の取付け位置を、第1取付け位置または第2取付け位置に変更することができる。これにより、術者は、超音波探触子400の生体表面Sへの配置位置の自由度が上がり、処置がし易くなる。
また、本実施形態に係る医療器具310において、回転部250は、第2操作部120の回転操作位置に対応した位置で固定するためのロック機構251を備えた構成としてもよい。
このように構成された医療器具310によれば、術者は、第2操作部120を回転操作して注入針140の湾曲方向を変えたとき、送波面410の長軸を注入針140の中心軸Bを通り、かつ注入針140の湾曲方向を含む平面と重ねた状態で第1保持部210の位置を固定することができる。
100 送達デバイス、
110 第1操作部、
112 第1係合部、
120 第2操作部、
124 第2係合部、
126 第1マーカー部、
130 外筒、
131 外筒の内腔、
140 注入針、
142 針本体部、
143 針先端部、
144 湾曲部、
150 第1固定部、
160 操作部、
170 反射部、
200 探触子保持具、
210 第1保持部、
220 第2保持部、
221 挿入孔、
230 第2固定部、
240 調節部、
250 回転部、
251 ロック機構、
261 第1装着部、
262 第2装着部、
270 第2マーカー部、
280 距離調節部、
300、310、320 医療器具、
400 超音波探触子、
410 送波面、
A 外筒の中心軸、
B 注入針の中心軸(B1 針本体部の中心軸、B2 針先端部の中心軸)、
S 生体表面S、
Z 送達デバイスの中心軸。

Claims (15)

  1. 生体表面から穿刺して生体内の患部に送達物を送達する送達デバイスと、
    前記送達デバイスを装着した状態で、送波面から超音波を送波する超音波探触子を保持する探触子保持具と、
    を有する医療器具であって、
    前記送達デバイスは、内腔を有し長軸方向に沿って延在する外筒と、先端部が前記外筒の軸方向から遠ざかる方向に湾曲可能に構成され前記外筒の内腔に対して摺動可能に保持される注入針と、前記注入針を前記外筒から進退移動させるための操作部と、前記注入針の先端部の湾曲方向と対応する前記操作部の外表面に設けられる第1固定部と、を備え、
    前記探触子保持具は、前記超音波探触子を保持する第1保持部と、前記送達デバイスの前記外筒を挿入する挿入孔を有し前記送達デバイスを保持する第2保持部と、前記第2保持部に対し前記挿入孔の長軸方向と略平行に延在して設けられ前記第1固定部と係合可能な第2固定部と、を備え、
    前記挿入孔の中心は、前記送波面の平面視で前記送波面の長軸の延長線上に位置し、
    前記探触子保持具は、前記送波面の長軸が前記注入針の中心軸を通り、かつ前記注入針の湾曲方向を含む平面と重なるように、前記超音波探触子を移動可能に保持する、医療器具。
  2. 前記操作部は、長軸方向に沿って延在する前記外筒を先端に有する第1操作部と、前記第1操作部に対して長軸方向に摺動可能に取付けられる第2操作部と、で構成される、請求項1に記載の医療器具。
  3. 前記探触子保持具は、前記生体表面に対する前記超音波探触子の傾き位置と、前記生体表面に対する前記超音波探触子の高さ方向の位置と、を調節する調節部を、前記第1保持部と前記第2保持部との間に設けて構成される、請求項2に記載の医療器具。
  4. 前記探触子保持具は、前記外筒の中心軸を中心として前記送達デバイスの回転操作に伴って前記超音波探触子を保持したまま同方向に移動する、請求項3に記載の医療器具。
  5. 前記第2操作部は、前記第1操作部に対して回転可能に保持され、長軸方向に沿って延在する第2係合部を外周面に対して所定間隔を空けて複数備え、
    前記第1操作部は、内周面に前記第2係合部と係合可能な第1係合部を備え、
    前記探触子保持具は、前記送波面の長軸が、前記第2操作部の回転操作により向きの変わった前記注入針の中心軸を通り、かつ前記注入針の湾曲方向を含む平面と重なるように、前記第1保持部を、前記外筒の中心軸を中心として前記外筒の周方向に沿って移動可能に支持する、請求項2または3に記載の医療器具。
  6. 前記探触子保持具は、前記送波面の長軸が、前記第2操作部の回転操作により向きの変わった前記注入針の中心軸を通り、かつ前記注入針の湾曲方向を含む平面と重なるように、前記第1保持部を、前記外筒の中心軸を中心として前記外筒の周方向に沿って回転可能に支持する回転部を備える、請求項5に記載の医療器具。
  7. 前記第1保持部は、前記送波面の平面視で前記送波面の長軸の延長線上に位置する第1装着部により前記第2保持部に対して着脱可能に構成され、
    前記第2保持部は、前記第1装着部が装着される第2装着部を、外周面における前記第2操作部の回転操作位置に対応する位置に備える、前記請求項5に記載の医療器具。
  8. 前記第2操作部は、前記注入針の湾曲方向を認識するための第1マーカー部を有し、前記第1操作部に対する長軸方向への移動に加えて周方向に回転可能に構成される、請求項2~7のいずれか1項に記載の医療器具。
  9. 前記探触子保持具は、前記超音波探触子の前記送波面の長軸方向を示す第2マーカー部を有する、請求項8に記載の医療器具。
  10. 前記第2保持部に対して前記第1保持部を近接および離隔可能に支持する距離調節部を備える、請求項2~9のいずれか1項に記載の医療器具。
  11. 前記外筒の先端側の外表面および前記注入針の先端側の外表面は、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部170を有する、請求項2~10のいずれか1項に記載の医療器具。
  12. 前記注入針は、前記第2操作部に対して複数設けられる、請求項2~11のいずれか1項に記載の医療器具。
  13. 前記外筒は、前記第1操作部に対して回転可能に保持される、請求項4に記載の医療器具。
  14. 前記調節部は、前記第1保持部と一体的に形成され、
    前記第2保持部の外周面における前記注入針の先端部の湾曲方向と対応する第1取付け位置と、前記第2保持部の外周面における前記第1取付け位置と径方向で対向する第2取付け位置に対して着脱可能に構成される、請求項4または13に記載の医療器具。
  15. 前記回転部は、前記第2操作部の回転操作位置に対応した位置で固定するためのロック機構を備える、請求項6に記載の医療器具。
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