JP2022148581A - ペリクル膜、ペリクル、露光原版、露光装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

ペリクル膜、ペリクル、露光原版、露光装置及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度上昇を抑制できるペリクル膜、ペリクル、上記ペリクルを含む露光原版、露光装置及び半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】カーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、10倍以上1000倍以下であるペリクルである。【選択図】図1

Description

本開示は、ペリクル膜、ペリクル、露光原版、露光装置及び半導体装置の製造方法に関する。
電子部品、プリント基板、ディスプレイパネル等の物体の表面に感光性の物質を塗布し、パターン状に露光してパターンを形成する技術(フォトリソグラフィー)では、フォトマスクと呼ばれる片面にパターンが形成された透明基板が使用されている。
近年、露光パターンの高精細化が進むにつれて、露光の光源として、DUV(Deep
Ultra Violet:遠紫外)光に代えて、より短波長のEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)光の利用が拡大している。EUV光を用いる露光方法では、露光光を反射する反射層を備えるフォトマスクが使用されることがある。
例えば、特許文献1には、支持枠の開口部に張設される露光用ペリクル膜であって、前記ペリクル膜は、厚さが200nm以下であり、前記ペリクル膜は、カーボンナノチューブシートを含み、前記カーボンナノチューブシートは複数のカーボンナノチューブから形成されるバンドルを備え、前記バンドルは径が100nm以下であり、前記カーボンナノチューブシート中で前記バンドルが面内配向している、露光用ペリクル膜が開示されている。
国際公開第2018/008594号公報
EUVによる露光は、光源を用いて行われるが、光源出力は年々増加傾向にある。例えば、将来的には光源出力が600W程度になる可能性もある。
一般に、ペリクルは光源から供給されるEUVの10%程度を吸収する。
ペリクル膜は極薄膜であり、EUV露光は真空中で行うため、原則、ペリクル膜の放熱は輻射による。結果的にペリクル膜の温度は1000℃程度まで昇温する。
このため、ペリクル膜は、熱により劣化又は溶解することがある。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、温度上昇を抑制できるペリクル膜、ペリクル、上記ペリクルを含む露光原版、露光装置及び半導体装置の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1> カーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、10倍以上1000倍以下であるペリクル膜。
<2> 前記カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、30倍以上1000倍以下である<1>に記載のペリクル膜。
<3> 前記カーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブである<1>又は<2>に記載のペリクル膜。
<4> 前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブである<1>又は<2>に記載のペリクル膜。
<5> 表面に保護層を含む<1>~<4>のいずれか1つに記載のペリクル膜。
<6> <1>~<5>のいずれか1つに記載のペリクル膜と、前記ペリクル膜を支持する支持枠と、を含むペリクル。
<7> 原版と、前記原版に装着された<6>に記載のペリクルと、を含む露光原版。
<8> <7>に記載の露光原版を含む露光装置。
<9> 露光光を放出する光源と、<7>に記載の露光原版と、前記光源から放出された前記露光光を前記露光原版に導く光学系と、を有し、前記露光原版は、前記光源から放出された前記露光光が前記ペリクル膜を透過して前記原版に照射されるように配置されている露光装置。
<10> 光源から放出された露光光を、<7>に記載の露光原版の前記ペリクル膜を透過させて前記原版に照射し、前記原版で反射させる工程と、前記原版によって反射された露光光を、前記ペリクル膜を透過させて感応基板に照射することにより、前記感応基板をパターン状に露光する工程と、を含む半導体装置の製造方法。
本開示の一実施形態によれば、温度上昇を抑制できるペリクル膜、ペリクル、上記ペリクルを含む露光原版、露光装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
空気層/CNT膜の層/シリコン基板のモデルを示す概略図である。 波長285nmの反射率及び膜厚みを測定した場合の、反射率と膜厚みとの関係をプロットしたグラフである。 本開示の露光装置の一例である、EUV露光装置の概略断面図である。 本開示の実施形態に係るペリクル膜11の自立膜領域をシリコン基板20上に転写する前の状態を説明するための説明図である。 本開示の実施形態に係るペリクル膜11の自立膜領域をシリコン基板20上に転写した後の状態を説明するための説明図である。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<ペリクル膜>
本開示のペリクル膜は、カーボンナノチューブ(本開示において、CNTともいう。)を含み、カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、10倍以上1000倍以下である。
本開示のペリクル膜は、上記構成を含むことで、温度上昇を抑制できる。
この理由は、本開示のペリクル膜が、上記構成を含むことで、優れた放熱性を備えることができるためであると考えられる。
本開示のペリクル膜は、カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、10倍以上である。これによって、温度上昇を抑制できる。
温度上昇を抑制する観点から、カーボンナノチューブの総表面積は、ペリクル膜の表面積に対して、15倍以上であることが好ましく、30倍以上であることがより好ましく、50倍以上であることがさらに好ましい。
本開示のペリクル膜は、製造上の適正の観点から、カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、500倍以下であってもよく、300倍以下であってもよく、100倍以下であってもよい。
温度上昇を抑制する観点から、カーボンナノチューブの総表面積は、ペリクル膜の表面積に対して、15倍以上1000倍以下であることが好ましく、30倍以上1000倍以下であることがより好ましい。
カーボンナノチューブの総表面積は、カーボンナノチューブの質量に、そのカーボンナノチューブの比表面積を積算して算出する。
カーボンナノチューブの質量は、直接測定してもよいが、間接的には、膜の寸法と単位面積当たりの質量とを積算して算出してもよい。
カーボンナノチューブの比表面積は、自動比表面積・細孔分布測定装置(島津サイエンス Tristar)により測定することができる。
ペリクル膜の表面積とは、平面視した場合のペリクル膜の面積を意味する。
また、ペリクル膜の表面積に対するカーボンナノチューブの総表面積は、カーボンナノチューブの総表面積をペリクル膜の表面積で除した値として算出する。
なお、「カーボンナノチューブの総表面積」とは、例えば、カーボンナノチューブがシングルウォールカーボンナノチューブであり、かつ、バンドルを形成している場合、バンドルの表面積を指す。また、例えば、カーボンナノチューブがマルチウォールカーボンナノチューブである場合、マルチウォールカーボンナノチューブの最外層の表面積を指す。
〔CNT〕
本開示におけるペリクル膜は、CNTを含む膜である。
本開示におけるペリクル膜は、CNTを含むことで、良好な強度を示す。
CNT膜におけるCNTチューブの径は、光透過率を向上させる観点から、0.8nm以上400nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、4nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
カーボンナノチューブにおけるチューブの径は、ペリクル膜中において、単繊維として存在する場合は単繊維の径を指し、CNTの束(即ちバンドル)として存在する場合はバンドルの径を指す。
本開示のペリクル膜は、CNTが、マルチウォールCNTであってもよく、シングルウォールCNTであってもよい。
CNTがシングルウォールCNTである場合、光透過率を向上させる観点から、上記シングルウォールCNTにおけるバンドルの径が、4nm~400nmであることが好ましく、4nm~40nmであることがより好ましい。
CNTがマルチウォールCNTである場合、光透過率を向上させる観点から、上記マルチウォールCNTの単繊維の径又はバンドルの径が、4nm~400nmであることが好ましく、4nm~100nmであることがより好ましい。
本開示のペリクル膜において、上記CNTが不織布形状を形成していることが好ましい。
本開示のペリクル膜に含まれるCNTの形状は、通常、繊維形状であるため、本開示のペリクル膜全体として不織布形状を形成することができる。
ペリクル膜に含まれるCNTが不織布形状を形成していることで、ペリクル膜に通気性を確保することができる。
例えば、ペリクルを備える露光装置によりEUV光を用いて露光を行う場合、真空又は減圧条件下にてペリクルにEUV光を照射することが求められる。
本開示のペリクル膜において、上記CNTが不織布形状を形成していることで、不織布形状によって通気性を確保することができ、容易に真空又は減圧環境を作り出すことができる。
CNTの比表面積は、ペリクル膜の温度上昇を抑制する観点から、200m/g以上であることが好ましく、500m/g以上であることがより好ましく、1000m/g以上であることがさらに好ましく、2000m/g以上であることが特に好ましい。
CNTの比表面積は、製造上の適正の観点から、4000m/g以下であってもよく、3000m/g以下であってもよい。
<保護層>
本開示のペリクル膜は、表面に保護層を含むことが好ましい。
本開示のペリクル膜は、表面に保護層を含むことで、周囲の環境からペリクル膜を保護することができるため、例えばペリクル膜の寿命を延ばすことができる。
保護層の材料としては、例えば、Zr、Y、B、Ti、Ru、Mo、Pd、Nb、Ge及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の原子、上記群から選択される少なくとも1種の原子を含む化合物等を挙げることができる。
中でも、上記群から選択される少なくとも1種の原子を含む窒化物、酸化物及び炭化物が好ましく、SiCがより好ましい。
ペリクル膜は、表面に部分的に保護層を含んでもよく、表面全体に保護層を含んでもよい。
保護層は、1層のみであってもよく、2層以上であってもよい。
また、保護層は、ペリクル膜の両側の表面に形成されてもよい。
保護層は、例えば、電子ビーム又は熱蒸発による物理気相堆積(PVDともいう)、遠隔プラズマスパッタリング、原子層堆積(ALDともいう)、化学気相堆積(CVDともいう)、電気化学堆積(ECDともいう)、ゾルゲル技術などにより形成されてもよく、これらの方法の組み合わせにより形成されてもよい。
<酸化防止層>
本開示のペリクル膜において、少なくとも片面側に、酸化防止層をさらに含んでもよい。
ペリクル膜が酸化防止層をさらに含むことで、光照射又はペリクル保管の際に、ペリクル膜の酸化を抑制することができる。
酸化防止層は、光(好ましくはEUV光)に対して安定な材料からなる層であれば、その種類は特に制限されない。例えば、SiO(x≦2)、Si(x/yは0.7~1.5)、SiON、Y、YN、Mo、Ru、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、またはRhからなる層等でありうる。
光の透過を阻害しないためには、酸化防止層の厚みは1nm~10nm程度が好ましく、2nm~5nm程度がより好ましい。酸化防止層の厚みを1nm~10nm程度とすることにより、酸化防止層に光が吸収されることを抑制し、透過率の低下を抑制することができる。
ペリクル膜の厚みに対する酸化防止層の厚みの割合は、0.03~1.0の範囲にあることが好ましい。上記数値範囲であれば、酸化防止層に光が吸収されることを抑制し、透過率の低下を抑制することができる。
また、ペリクル膜に酸化防止層を積層すると、新たに生成した層界面、すなわち酸化防止層と空気の界面、及び酸化防止層とペリクル膜との界面で、光の反射が生じ、透過率が低下するおそれがある。これらの層界面での光の反射率は、ペリクル膜及び酸化防止層の厚み、ならびにペリクル膜及び酸化防止層を構成する元素の種類に応じて、算出することができる。そして、反射防止膜の原理と同様に膜の厚みを最適化することによって、反射率を低下させることができる。
酸化防止層の厚みは、吸収による光の透過率低下及び反射による光の透過率低下を抑制しつつ、かつ酸化防止の性能を有する範囲で、最適な厚みとすることが好ましい。
酸化防止層の厚み均一性や表面粗さも特に限定されない。露光のパターニング工程において、厚みの不均一性又は表面粗さに由来した透過率の不均一性、光の散乱による支障等が生じなければ、酸化防止層が連続層あるいは海島状のどちらであってもよく、また、厚みが不均一であっても表面粗さがあってもよい。
ペリクル膜と酸化防止層とを併せたペリクル膜の平均屈折率は1.9~5.0の範囲であることが好ましい。屈折率は分光エリプソメトリーなどの手法で測定することができる。また、ペリクル膜と酸化防止層とを併せたペリクル膜の平均密度は1.5g/cm~5.0g/cmの範囲であることが好ましい。密度はX線反射法などの手法で測定することができる。
(厚み)
ペリクル膜の厚み(二層以上からなる場合には総厚)は、例えば、2nm以上200nm以下とすることができる。
ペリクル膜の損傷による劣化を抑制する観点から、ペリクル膜の厚み(二層以上からなる場合には総厚)は、6nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましく、20nm以上であることが特に好ましい。
EUVのエネルギーを透過させる観点から、ペリクル膜の厚み(二層以上からなる場合には総厚)は、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることがさらに好ましく、40nm以下であることが特に好ましい。
これらの観点から、ペリクル膜の厚み(二層以上からなる場合には総厚)は、2nm以上100nm以下であることが好ましく、8nm以上80nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
~ペリクル膜の厚みの測定方法~
〔準備〕
図4A及び図4Bを参照して、厚みの測定のための準備について説明する。
図4Aは、本開示の実施形態に係るペリクル膜11の自立膜領域をシリコン基板20上に転写する前の状態を説明するための説明図である。
図4Bは、本開示の実施形態に係るペリクル膜11の自立膜領域をシリコン基板20上に転写した後の状態を説明するための説明図である。
ペリクル膜の厚みは、ペリクル膜11のうち自立膜領域に対応する部位110(以下、「自立膜部110」ともいう。)のみをシリコン基板20に転写し、膜厚み測定装置を用いて、自立膜部110の特定の部位の厚みを測定することで得られる。
具体的に、まず、図4Aに示すように、シリコン基板20に溶媒を滴下し、シリコン基板20上に溶媒層21を形成する。次いで、ペリクルのペリクル膜11をシリコン基板20に対向させて、ペリクルをシリコン基板20上に乗せる。シリコン基板20とペリクル膜11との間には、溶媒層21が介在している。
シリコン基板20は、ペリクル膜11の自立膜領域のサイズよりも大きければよく、4インチ以上のサイズのシリコンウェハを用いることが好ましい。
溶媒としては、水、有機溶媒などが挙げられる。
次いで、溶媒層21を乾燥させることによって、ペリクル膜11をシリコン基板20に隙間なく密着させる。次いで、シリコン基板20を固定してペリクルの支持枠12を持ち上げると、図4Bに示すように、自立膜領域はペリクル膜11から分離して、シリコン基板20に残る。つまり、自立膜部110は、シリコン基板20に転写される。平面視において、自立膜部110の輪郭は、支持枠12の開口部H12の輪郭に沿っている。ペリクル膜11のうち被支持領域に対応する部位は、支持枠12に付着したままとなる。
〔測定〕
まず、ペリクル膜上で、任意の測定位置として9点選定する。
各測定位置について、波長間隔1nm~2nmの範囲で、波長200nm~600nmの範囲における反射率スペクトルを取得する。ただし、反射率の測定条件は以下の通りである。
<条件>
測定点の直径:20μm
測定波長:波長200nm~600nm(波長間隔:1.3~1.5nm)
測定点数:121点
隣接する測定点における中心点間距離:40μm
そして、CNT膜の光学定数として表1に示す光学定数(屈折率:n、消衰係数:k)の値を用い、空気層/CNT膜の層/シリコン基板の3層モデルを用いて、波長範囲225~500nmにおける反射率スペクトルを最小二乗法により解析を行うことで、各測定位置の厚みを算出する。
ペリクル膜の厚みは、各測定位置の厚みの平均値とする。
波長範囲225~500nmにおける反射率スペクトルを最小二乗法により解析を行うことで、各測定位置の厚みを算出する方法について以下に説明する。
厚みは、空気層/CNT膜の層/シリコン基板の3層モデルを用いて、以下の式(a)~式(c)による関係式を用いて算出する。
なお、図1は、空気層/CNT膜の層/シリコン基板のモデルを示す概略図である。
反射率Rsは、振幅反射率rを用いて以下の式(a)で表される。
Figure 2022148581000002

上記式(a)中、*は複素共役を表す。
空気層/CNT膜の層/シリコン基板の3層からの振幅反射率rは以下の式(b)で表される。
Figure 2022148581000003

上記式(b)中、r01は空気層とCNT膜の層の界面からの振幅反射率を表し、r12はCNT膜の層とシリコン基板層の界面からの振幅反射率を表し、iは虚数単位を表す。
上記式(b)中、δは波長λの光が膜内を1往復する場合に生じる位相差であり、以下の式(c)で表される。
Figure 2022148581000004

上記式(c)中、dは厚みを表し、Nは複素屈折率(N=n-ik)を表し、φは入射角を表す。また、iは虚数単位を表す。
厚みは、上記式(a)~式(c)による関係式を用いて、波長範囲225~500nmにおける反射率Rsに対して厚みdを変数として、最小二乗法により計算することで得られる。
図2は、不均一なCNT膜をシリコン基板上に転写したサンプルについて、上述した方法にて、波長285nmの反射率及び厚みを測定した場合の、反射率と厚みとの関係をプロットしたグラフである。
図2に示す通り、上述の方法により、反射率の値によって厚みの違いを精度よく求めることができている。
Figure 2022148581000005

[ペリクル膜の物性]
(放熱性について)
露光の際の光として、例えばEUVを用いる場合、EUVのエネルギーが様々な緩和過程を経て熱に変わる。そのため、ペリクル膜は放熱性を備えること求められる。
本開示のペリクル膜は、総表面積が広いCNTを含むことで、放熱性備えることができ、EUVリソグラフィー中に、ペリクル膜が破損する可能性を低くすることができる。
したがって、従来の多結晶シリコンからなるペリクル膜は放熱性が低く、EUV光照射中に熱的ダメージを受けて変形、あるいは、破損しやすいという問題がある一方、本開示のペリクル膜を用いることによって原版を良好に保護することができる。
表面積と放熱性との関係は、以下の熱伝達の式から説明する。
熱伝達によると、固体の表面積Sが大きいほど固体の温度低下(dT/dtの値)が小さくなる。
dT/dt=-1/C×α×S×(T-Tm)
t:時刻、α:熱伝達率、S:固体の表面積、T:固体の温度、C:熱容量、Tm:冷媒の温度
≪ペリクル≫
本開示のペリクル膜は、本開示のペリクル膜と、ペリクル膜を支持する支持枠と、を含む。
<支持枠>
本開示のペリクルは、ペリクル膜を支持する支持枠を含む。
支持枠は、ペリクル膜を支持するためのものである。
支持枠は、ペリクル及び原版に囲まれた領域と、EUV露光装置内との気圧を一定とするための通気孔と、を有していてもよい。なお、通気孔を設けない場合であっても、本開示のペリクル膜は不織布形状であり通気性を有しているため、真空環境及び減圧環境を作り出すことが可能である。
不織布形状で通気性を有するペリクル膜の例として、カーボンナノチューブからなるペリクル膜が挙げられる。
EUV光による露光は、真空環境(減圧環境)下で行われるため、露光時の気圧が不均一であると、ペリクル膜が、圧力差によって伸縮又は破損するおそれがある。通気孔には、ペリクル及び原版に囲まれた領域に異物が入らないよう、フィルターが配設されることが好ましい。
フィルターとしては、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルター、金属メッシュなどが挙げられる。また、支持枠14は検査しやすいように露光に支障が無い範囲で着色されていてもよい。
支持枠の材質、形状などは、本開示のペリクル膜を支持可能な枠であれば特に制限されない。
支持枠は、材質として、アルミニウム、チタン、ステンレス、セラミック系材料(例えばシリコン、ガラス等)、炭素、ポリエチレンなどの樹脂等を含有してもよい。
上記の中でも、支持枠は、水の含有量が多くなくアウトガスの量を抑制できる観点から、材質として、アルミニウム、チタン、ステンレス、シリコン、ガラス、又は炭素を含有することが好ましく、アルミニウム、チタン、シリコン、又は炭素を含有することがより好ましい。
支持枠は、ペリクル膜を支持する第1の支持枠と、第1の支持枠に接続される第2の支持枠と、を備えていてもよい。
また、支持枠が、第1の支持枠と第2の支持枠とを備える場合、第1の支持枠と第2の支持枠とは接着剤層を介して接着されていてもよい。
例えば、本開示において、第1の支持枠に第2の支持枠を接続する構成を有する支持枠を備えるペリクルは、ペリクル膜を支持する第1の支持枠を製造する者及び第1の支持枠に第2の支持枠を接続する者の複数で協力して製造してもよい。
本開示のペリクルは、第2の支持枠に接続される前段階における、ペリクル膜と第1の支持枠とを備える構成も含む。
支持枠は、表面を疎水性とするような処理を施すことが好ましく、水の含有量が多くない材料(例えば無機材料、セラミック系材料等)を用いて表面をコーティングすることも好ましい。
ペリクル膜を支持枠へ固定する手順や方法は特に制限されない。また、エッチングされた基板を支持枠の一部として使用してもよい。例えば、金属、シリコン基板、ガラス、樹脂、塩など、特定の処理方法で除去できる基板の上にペリクル膜を積層してもよく、その後に、ペリクル膜の配置面と反対面の基板表面に、枠のサイズに合わせてマスクを施し、マスク形状を残してエッチングまたは溶解させてもよい。これにより、基板の一部を支持枠として使用したペリクルを得ることができる。
基板の形状を枠形状と合わせるためのトリミング方法は特に制限されない。シリコン基板を用いる場合には、機械的にウエハを割る方法や、レーザートリミングの方法を用いることができる。
<接着剤層>
本開示のペリクルは、接着剤を含有する接着剤層を含んでもよい。
接着剤層の態様としては、例えば、以下の(a)~(c)が挙げられる。
(a)支持枠と原版とを接着させる接着剤層(原版用接着剤層ともいう)
(b)支持枠が複数ある場合において、複数の支持枠同士を接着させる接着剤層(支持枠用接着剤層ともいう)
(c)ペリクル膜と支持枠とを接着させる接着剤層(膜用接着剤層ともいう)
(接着剤)
接着剤層に含有される接着剤としては、特に制限はない。
例えば、接着剤は、アクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、ポリイミド樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤、無機系接着剤、両面粘着テープ、又はポリオレフィン系接着剤、水添スチレン系接着剤等が挙げられる。
上記の中でも、接着剤は、塗布加工のしやすさや、硬化加工処理の容易さの観点から、シリコーン樹脂接着剤、アクリル樹脂接着剤、水添スチレン系接着剤及びエポキシ樹脂接着剤からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本開示において、接着剤は、接着剤のみならず粘着剤も含む概念である。
ペリクルの全周に沿って接着剤を塗布する場合、接着剤層の厚みは、1μm以上、1mm以下であってもよく、好ましくは5μm~500μmであり、さらに好ましくは10~300μmである。
(ペリクルの用途)
本開示のペリクルは、EUV露光装置内で、原版に異物が付着することを抑制するための保護部材としてだけでなく、原版の保管時や、原版の運搬時に原版を保護するための保護部材としてもよい。例えば、原版にペリクルを装着した状態(露光原版)にしておけば、EUV露光装置から取り外した後、そのまま保管すること等が可能となる。ペリクルを原版に装着する方法には、接着剤で貼り付ける方法、静電吸着法、機械的に固定する方法等がある。
本開示のペリクルは、波長が短い露光光(例えば、EUV光、EUV光よりも更に波長が短い光、等)を用いた露光に好適に用いられる。
上記の中でも、本開示のペリクルは、EUV光を用いた露光に好適に用いられる。
本開示において、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)光とは、波長1nm以上30nm以下の光を指す。
EUV光の波長は、5nm以上13.5nm以下が好ましい。
本開示では、EUV光、及び、EUV光よりも波長が短い光を総称し、「EUV光等」ということがある。
≪ペリクルの製造方法≫
本開示のペリクルの製造方法(以下、単にペリクルの製造方法ともいう)は、本開示のペリクルを製造する方法であって、本開示のペリクル膜を準備する工程(準備工程ともいう)と、前記ペリクル膜を支持枠に張り付ける工程(張付工程ともいう)と、を含む。
準備工程により準備したペリクル膜を、張付工程により支持枠に張り付けることで、上述の本開示のペリクルを製造することができる。
<準備工程>
準備工程は、本開示のペリクル膜を準備する工程である。
CNTは、市販品を入手して準備してもよく、製造して準備してもよい。
CNTとしては、反応系に金属触媒を存在させ、かつ反応雰囲気に酸化剤を添加するCVD(ChemicalVaporDeposition:化学気相成長法)法によって、化学気相成長用基材上に形成されたものを用いることが好ましい。
CVD法としては、例えばプラズマCVD法が用いられるが、低圧CVD、または熱CVD法を用いてもよい。
このとき、上記酸化剤には水蒸気が用いられる。水蒸気の濃度としては10ppm以上10000ppm以下であってもよく、600℃以上1000℃以下の温度環境下において水蒸気を添加してもよい。
また、金属触媒を化学気相成長用基材上に配置あるいはパターニングしてCNTを合成してもよい。
また、得られるCNTは、単層であっても複層であってもよく、化学気相成長用基材面に対して垂直方向に立設するCNTであってもよい。
詳細には、たとえば国際公開2006/011655号等を参照して製造することができる。
このようなCNTの市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社が販売しているスーパーグロース製法のCNTが挙げられる。
CNT(CNTバルク構造体でもよい)としては、改良直噴熱分解合成法(EnhancedDirectInjectionPyrolyticSynthesis、以下、e-DIPS法という)法によって製造されたものを用いることが好ましい。
直噴熱分解合成法(DirectInjectionPyrolyticSynthesis、以下、DIPS法という)とは、触媒(あるいは触媒前駆体)、及び反応促進剤を含む炭化水素系の溶液をスプレーで霧状にして高温の加熱炉に導入することによって、流動する気相中で単層CNTを合成する気相流動法である。
このDIPS法を改良したe-DIPS法とは、触媒で使用されるフェロセンが反応炉内の上流下流側で粒子径が異なるという粒子形成過程に着目し、有機溶媒のみを炭素源として用いてきたDIPS法とは異なり、キャリアガス中に比較的分解されやすい。すなわち炭素源となりやすい第2の炭素源を混合することによって単層CNTの成長ポイントを制御した方法である。
詳細には、Saitoetal.,J.Nanosci.Nanotechnol.,8(2008)6153-6157を参照して製造することができる。
このようなCNTの市販品としては、例えば、名城ナノカーボン社製の商品名「MEIJOeDIPS」が挙げられる。
ペリクル膜の表面積に対するCNTの総表面積を、10倍以上1000倍以下に調整する方法としては、特に制限はない。
例えば、CNTの径又は比表面積を調整することで、ペリクル膜の表面積に対するCNTの総表面積を上述の範囲に調整することができる。
準備工程において、ペリクル膜を準備する方法としては、例えば、カーボンナノチューブをシート状に成膜してペリクル膜を製造する方法が挙げられる。
CNTをシート状に成膜する方法としては特に制限はないが、例えば、基板上において、CNTをシート状に成膜する方法であってもよい。
以下に、具体的に説明する。
CVD法及びe-DIPS法などで得られたCNT(またはCNTバルク構造体)は、溶媒中に分散した状態で用いられ得る。
CNT(またはCNTバルク構造体)が分散した液体(分散液)を基板上に塗布し、溶媒を蒸発させて除去することにより基板上にCNT膜が形成される。
本の場合、分散液に用いた溶媒が除去されることにより、基板110の表面に対してCNTが略平行である膜が得られる。
上記塗布方法は特に限定されず、例えば、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレーコート、エレクトロスプレーコートなどが用いられてもよい。
なお、CNT形成に用いる金属触媒はEUV透過率低下の原因となる場合があるが、化学気相成長用基材からCNTを剥離した際に、CNT中に金属触媒はほとんど含まれないため影響はない。
基板としては、無機材料を用いてもよい。
例えば、基板には、シリコン(Si)が用いられてもよい。なお、基板は、シリコン(Si)に限定されず、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭化シリコン(SiC)、砒化ガリウム(GaAs)などの半導体材料でもよいし、石英ガラス基板(酸化シリコン(SiO))、ソーダガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、サファイア基板などのガラス基板、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)基板、ジルコニア(ZrO)基板、酸化アルミニウム(Al)などでもよい。
また、基板には、CNT膜との熱ひずみを低減する観点からは、ペリクル膜と線熱膨張率の近いシリコン、サファイア、炭化シリコンの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
また、シリコン(Si)は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、及びアモルファスシリコンのいずれであってもよいが、単結晶シリコンがエッチング効率の観点、及び、汎用性が高く安価である観点からは好ましい。
基板の形状は、円形でもよいし、矩形でもよい。
基板の厚みは、特に限定されないが、100μm以上1000μm以下、取り扱い上の観点から好ましくは200μm以上1000μm以下であることが好ましい。
<張付工程>
本開示のペリクルの製造方法は、前記ペリクル膜を支持枠に張り付ける工程(張付工程ともいう)を含む。
張付工程は、ペリクル膜を、開口部を有する支持枠の上記開口部を覆うように支持枠に接続する工程である。
張付工程において、上述のペリクル膜と基板とを分離した後、分離したペリクル膜を支持枠(即ちペリクル枠)に接続してもよい。
ペリクル膜と基板とを分離する方法としては、特に限定されないが、例えば以下の製造例が挙げられる。
(基板上に犠牲層を積層して後に除去する方法)
基板上に犠牲層を積層し、その上にペリクル膜を形成して、後で犠牲層を除去することで自立膜を得ることができる。
犠牲層は、金属、酸化膜、樹脂、塩など、特定の処理方法で除去できるものとすることができる。例えば、犠牲層は、酸性溶液に溶けるアルミニウムなどの金属でありうる。具体的には、蒸着やスパッタなどでガラス基板やシリコン基板の表面に金属層を積層し、さらに金属層の上にペリクル膜を積層した後に、酸性溶液など金属層を溶かすことができる溶液に浸漬することによって、基板から膜を剥離することができる。
基板として、自然酸化膜又は酸化ケイ素層を有するシリコン基板を用いた場合には、シリコン基板上の自然酸化膜又は酸化ケイ素層にペリクル膜をコーティングした後に、フッ酸水溶液に浸漬することによって自然酸化膜又は酸化ケイ素層を除去し、基板からペリクル膜を剥離することもできる。
基板に積層する犠牲層を、部分けん化ポリビニルアルコール樹脂や塩化ナトリウムなどの塩のような水溶性材料としてもよい。犠牲層の上にペリクル膜を積層した後に、積層体を水に浸漬することによって、基板から膜を剥離することができる。
基板上に積層した犠牲層を除去する方法を選定する上で、ペリクル膜のプロセス耐性、膜強度、犠牲層の除去速度、犠牲層の厚み均一性や表面粗さなどの特徴に応じて、もっとも適切な任意の手法を選定することができる。
(基板をエッチングまたは溶解させる方法)
基板の材質を、金属、酸化膜、樹脂、塩など、特定の処理方法で除去できるものとした場合には、基板の上にペリクル膜を積層したのちに、基板をエッチングまたは溶解させることで、膜を得ることができる。
例えば、基板として銅箔を用いた場合、銅箔表面にペリクル膜を積層した後に、塩化第二銅エッチング液に浸漬することで、銅箔基板をエッチングして基板を除去し、膜を得ることができる。
基板をガラス基板とした場合、ガラス基板にペリクル膜を積層した後に、フッ化水素酸を用いてガラス基板をエッチングして基板を除去し、膜を得ることができる。
基板をシリコン基板とした場合、シリコン基板にペリクル膜を積層した後に、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより、シリコン基板をエッチングしてシリコン基板を除去し、膜を得ることができる。
ウェットエッチングは、KOHやTMAH、ヒドラジンなどのエッチング液を用いることができる。ドライエッチングは、フッ素系(SF、CF、NF、PF、BF、CHF、XeF、F+NO)、塩素系(Cl、SiCl)、臭素系(IBr)などのエッチングガスを用いることができる。ウェットエッチング速度は温度によって変化するため、シリコン基板上のCNTを含む薄膜に損傷を与えないようにエッチングするためには、液温を下げエッチングレートを下げることが好ましい。
シリコン基板をドライエッチングする場合には、シリコン基板表面に事前にエッチングストップ層などの層を設けてもよい。
エッチングストップ層としては、SiOやSiNからなる層などが挙げられる。エッチングストップ層は引張応力が生じる膜により構成されることが好ましい。
基板及び薄膜の表面に対して平行方向に働く残留応力には引張応力と圧縮応力とがある。薄膜内部に薄膜を拡げようとする力が働くときには引張応力となり、一方で薄膜内部に薄膜を収縮させようとする力が働くときは圧縮応力となる。これらの応力は主に薄膜の製膜過程において生じる。
残留応力をもたらす要因の一つとして、基板と薄膜との熱膨張率の違いがある。室温に戻すとき基板も薄膜も収縮するがその割合は熱膨張率により異なっており、薄膜の熱膨張率が基板の熱膨張率より大きければ引張応力、逆のときは圧縮応力となる。引張応力が生じる膜により、当該膜上に設けたペリクル膜に張力が加わり、皺のない膜ができるため好ましい。SiNからなる層は引張応力を生じさせるため、シリコン基板をドライエッチングして得られる、ペリクル膜を、皺のない膜とすることができる。エッチングストップ層は、シリコン基板のドライエッチングが終わった後に除去することで、目的とする自立膜を得ることができる。
基板を塩化ナトリウムなどの塩からなる基板とした場合、基板表面にペリクル膜を積層した後に、水に浸漬して基板をエッチングして基板を除去し、膜を得ることができる。
基板をプラスチック基板とした場合、プラスチック基板表面にペリクル膜を積層した後に、プラスチック基板を可溶な溶媒に浸漬することで、プラスチック基板を溶解させて膜を得ることができる。
(基板の表面上を剥離しやすいように前処理を施す方法)
基板に表面処理を施すことで、ペリクル膜と基板面との相互作用を制御し、溶媒への浸漬や機械的な剥離プロセスにより、基板から膜を容易に剥離することができる。
ペリクル膜と基板面との相互作用を制御する方法として、例えばシランカップリング剤による表面処理方法が挙げられる。そのほかには、水、有機溶媒、ピラニア溶液、硫酸、UVオゾン処理、などにより基板表面を洗浄する方法が挙げられる。
基板をシリコン基板とする場合には、過酸化水素水と水酸化アンモニウムとの混合液、塩酸と過酸化水素水との混合液など、RCA洗浄法で用いられる溶液などを使用することができる。
犠牲層の製膜、基板上の表面処理は、基板をエッチングまたは溶解させる方法を、それぞれ組み合わせて用いてもよい。犠牲層の製膜又は表面処理に用いられる物質は、ペリクル膜の表面、内部等に残りにくく、また残っても容易な方法で除去できるものが好ましい。
例えば、ガスによるエッチング、熱による蒸発、溶媒による洗浄、光による分解除去などがあり、それらを組み合わせて除去を実施してもよい。
<接着剤層形成工程>
本開示のペリクルの製造方法は、接着剤層形成工程を含んでもよい。
接着剤層形成工程は、支持枠の、ペリクル膜が接続される側とは反対側の開口部における面に対して、接着剤を付与して接着剤層を形成する工程である。
これによって、フォトマスク等の原版と支持枠とを、接着剤層を介して接着することができる。
形成された接着剤層の支持枠とは反対側の面に接触するように、セパレータを配置してもよい。これによって、原版と支持枠とを接着剤層を介して接着する時まで、接着剤層の接着性を維持しながら、ペリクルを保管することができる。
<露光原版>
本開示の露光原版は、原版と、上記原版に装着された本開示のペリクルと、を含む。
本開示の露光原版は、本開示のペリクルを備えるので、本開示のペリクルと同様の効果を奏する。
本開示のペリクルに原版を装着する方法は、特に限定されない。例えば、原版を支持枠へ直接貼り付けてもよく、支持枠の一方の端面にある原版用接着剤層を介してもよく、機械的に固定する方法や磁石などの引力を利用して原版と支持枠と、を固定してもよい。
ここで、原版としては、支持基板と、この支持基板上に積層された反射層と、反射層上に形成された吸収体層と、を含む原版を用いることができる。この場合、原版の反射層及び吸収体層が設けられている側にペリクルを装着する。
吸収体層が光(例えば、EUV光)を一部吸収することで、感応基板(例えば、フォトレジスト膜付き半導体基板)上に、所望の像が形成される。反射層は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との多層膜でありうる。吸収体層は、クロム(Cr)や窒化タンタル等、EUV光等の吸収性の高い材料でありうる。
<露光装置>
本開示の露光装置は、上述の露光原版を含む。
より詳細には、本開示の露光装置は、露光光を放出する光源と、本開示の露光原版と、上記光源から放出された露光光を上記露光原版に導く光学系と、を有し、上記露光原版は、上記光源から放出された露光光が上記ペリクル膜を透過して上記原版に照射されるように配置されている。
このため、本開示の露光装置は、本開示の露光原版と同様の効果を奏する。
本開示の露光装置は、露光光を放出する光源と、本開示の露光原版と、上記光源から放出された露光光を上記露光原版に導く光学系と、を備え、上記露光原版は、上記光源から放出された露光光が上記ペリクル膜を透過して上記原版に照射されるように配置されていることが好ましい。
この態様によれば、EUV光等によって微細化されたパターン(例えば線幅32nm以下)を形成できることに加え、異物による解像不良が問題となり易いEUV光を用いた場合であっても、異物による解像不良が低減されたパターン露光を行うことができる。
本開示における露光光は、EUV光である。
<半導体装置の製造方法>
本開示の半導体装置の製造方法は、光源から放出された露光光を、本開示の露光原版の上記ペリクル膜を透過させて上記原版に照射し、上記原版で反射させる工程と、上記原版によって反射された露光光を、上記ペリクル膜を透過させて感応基板に照射することにより、上記感応基板をパターン状に露光する工程と、を含む。
本開示の半導体装置の製造方法によれば、異物による解像不良が問題となり易いEUV光を用いた場合であっても、異物による解像不良が低減された半導体装置を製造することができる。
以下、図3を用いて本開示に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する。
図3は、本開示の露光装置の一例である、EUV露光装置800の概略断面図である。
図3に示されるように、EUV露光装置800は、EUV光を放出する光源831と、本開示の露光原版の一例である露光原版850と、光源831から放出されたEUV光を露光原版850に導く照明光学系837と、を備える。
露光原版850は、ペリクル膜812及び支持枠814を含むペリクル810と、原版833と、を備えている。この露光原版850は、光源831から放出されたEUV光がペリクル膜812を透過して原版833に照射されるように配置されている。
原版833は、照射されたEUV光をパターン状に反射するものである。
支持枠814及びペリクル810は、それぞれ、本開示の支持枠及びペリクルの一例である。
EUV露光装置800において、光源831と照明光学系837との間、及び照明光学系837と原版833の間には、フィルター・ウィンドウ820及び825がそれぞれ設置されている。
また、EUV露光装置800は、原版833が反射したEUV光を感応基板834へ導く投影光学系838を備えている。
EUV露光装置800では、原版833により反射されたEUV光が、投影光学系838を通じて感応基板834上に導かれ、感応基板834がパターン状に露光される。なお、EUVによる露光は、減圧条件下で行われる。
EUV光源831は、照明光学系837に向けて、EUV光を放出する。
EUV光源831には、ターゲット材と、パルスレーザー照射部等が含まれる。このターゲット材にパルスレーザーを照射し、プラズマを発生させることで、EUVが得られる。ターゲット材をSnとすると、波長13nm~14nmのEUVが得られる。EUV光源が発する光の波長は、13nm~14nmに限られず、波長5nm~30nmの範囲内の、目的に適した波長の光であればよい。
照明光学系837は、EUV光源831から照射された光を集光し、照度を均一化して原版833に照射する。
照明光学系837には、EUVの光路を調整するための複数枚の多層膜ミラー832と、光結合器(オプティカルインテグレーター)等が含まれる。多層膜ミラーは、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)が交互に積層された多層膜等である。
フィルター・ウィンドウ820,825の装着方法は特に制限されず、接着剤等を介して貼り付ける方法や、機械的にEUV露光装置内に固定する方法等が挙げられる。
光源831と照明光学系837との間に配置されるフィルター・ウィンドウ820は、光源から発生する飛散粒子(デブリ)を捕捉し、飛散粒子(デブリ)が照明光学系837内部の素子(例えば多層膜ミラー832)に付着しないようにする。
一方、照明光学系837と原版833との間に配置されるフィルター・ウィンドウ825は、光源831側から飛散する粒子(デブリ)を捕捉し、飛散粒子(デブリ)が原版833に付着しないようにする。
また、原版に付着した異物は、EUV光を吸収、もしくは散乱させるため、ウエハへの解像不良を引き起こす。したがって、ペリクル810は原版833のEUV光照射エリアを覆うように装着されている。EUV光はペリクル膜812を通過して、原版833に照射される。
原版833で反射されたEUV光は、ペリクル膜812を通過し、投影光学系838を通じて感応基板834に照射される。
投影光学系838は、原版833で反射された光を集光し、感応基板834に照射する。投影光学系838には、EUVの光路を調製するための複数枚の多層膜ミラー835、836等が含まれる。
感応基板834は、半導体ウエハ上にレジストが塗布された基板等であり、原版833によって反射されたEUVにより、レジストがパターン状に硬化する。このレジストを現像し、半導体ウエハのエッチングを行うことで、半導体ウエハに所望のパターンを形成する。
また、ペリクル810は、原版用接着剤層等を介して原版833に装着される。原版に付着した異物は、EUVを吸収、もしくは散乱させるため、ウエハへの解像不良を引き起こす。したがって、ペリクル810は原版833のEUV光照射エリアを覆うように装着され、EUVはペリクル膜812を通過して、原版833に照射される。
ペリクル810の原版833への装着方法としては、原版表面に異物が付着しないように原版に設置できる方法であればよく、支持枠814と原版833とを接着剤で貼り付ける方法や、静電吸着法、機械的に固定する方法などが挙げられるが特に限定されない。好ましくは、接着剤で貼り付ける方法が用いられる。
以下、実施例等により本開示をさらに詳細に説明するが、本開示の発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。
ペリクル膜の厚みは上述の方法により測定した。
(実施例1)
溶媒に分散させたシングルウォールカーボンナノチューブ分散液(カーボンナノチューブ濃度0.05質量%、炭素純度99%以上、比表面積878m/g)をSi基板上にスピンコートした後、乾燥させることで、Si基板上に極薄膜のカーボンナノチューブ膜を形成した。
次に、このSi基板を弱アルカリ性の水槽中に静かに沈めてSi基板の表面を溶解させ、カーボンナノチューブ膜を単膜としてSi基板から遊離させ、水面に浮上させた。
続いて、開口部を有するステンレス製の支持枠を上記水槽に一旦沈め、カーボンナノチューブ膜を上記支持枠に載せた後、上記支持枠をゆっくりと引き上げることでカーボンナノチューブ膜を自立膜として支持枠に展張させ、ペリクルを得た。
なお、ペリクル膜の表面積は180cm(12cm×15cm)であった。
(実施例2)
カーボンナノチューブ分散液をシングルウォールカーボンナノチューブ分散液(カーボンナノチューブ濃度0.05質量%、炭素純度99%以上、比表面積2240m/g)に変更した以外は、実施例1と同様にしてペリクルを得た。
(実施例3)
カーボンナノチューブをマルチウォールカーボンナノチューブ分散液(カーボンナノチューブ濃度0.05wt%、炭素純度99%以上、比表面積250m/g、径20nm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてペリクルを得た。
(比較例1)
Si基板上にSiNの薄膜を形成した後、矩形に切断した。
次に、支持枠に展張させる部分を残して基板をエッチングにより除去して、Si基板上にSiN膜を準備した。
そして、SiN膜を自立膜として支持枠に展張させ、ペリクルを得た。
(比較例2)
カーボンナノチューブをマルチウォールカーボンナノチューブ分散液(カーボンナノチューブ濃度0.05wt%、炭素純度99%以上、比表面積50m/g、径80nm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてペリクルを得た。
各実施例又は比較例について、ペリクル膜の表面積、厚み、体積及び質量は表2に示す。
また、各実施例又は比較例について、ペリクル膜の材料の種類及び比表面積、並びに材料がCNTである場合のCNTの径及び総表面積は表2に示す。
Figure 2022148581000006
表2において、「4.43E+03」等の表記は、4.43×10等を表す。
表2に示す通り、カーボンナノチューブを含むペリクル膜を用いた実施例は、CNTの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、10倍以上1000倍以下であった。そのため、優れた放熱性を備え、温度上昇を抑制できると考えられる。
一方、カーボンナノチューブを含まないペリクル膜を用いた比較例1は、ペリクル膜の表面積に対する材料(即ちSiN)の総表面積が10倍未満であった。そのため、放熱性に劣り、温度上昇を抑制することができないと考えられる。
また、カーボンナノチューブを含むペリクル膜を用いたが、ペリクル膜の表面積に対するカーボンナノチューブの総表面積が10倍未満であるペリクル膜を用いた比較例2は、放熱性に劣り、温度上昇を抑制することができないと考えられる。
実施例の中でも、比表面積が1000m/g以上である実施例2は、実施例1と比較して、ペリクル膜の表面積に対するCNTの総表面積がより大きかった。そのため、より優れた放熱性を備え、より温度上昇を抑制できると考えられる。
11 ペリクル膜
12 支持枠
20 シリコン基板
21 溶媒層
H12 開口部
110 自立膜部
800 EUV露光装置
810 ペリクル
812 ペリクル膜
814 支持枠
820、825 フィルター・ウィンドウ
831 光源
832、835、836 多層膜ミラー
833 原版
834 感応基板
837 照明光学系
838 投影光学系
850 露光原版

Claims (10)

  1. カーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、10倍以上1000倍以下であるペリクル膜。
  2. 前記カーボンナノチューブの総表面積が、ペリクル膜の表面積に対して、30倍以上1000倍以下である請求項1に記載のペリクル膜。
  3. 前記カーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブである請求項1又は請求項2に記載のペリクル膜。
  4. 前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブである請求項1又は請求項2に記載のペリクル膜。
  5. 表面に保護層を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のペリクル膜。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のペリクル膜と、
    前記ペリクル膜を支持する支持枠と、
    を含むペリクル。
  7. 原版と、
    前記原版に装着された請求項6に記載のペリクルと、
    を含む露光原版。
  8. 請求項7に記載の露光原版を含む露光装置。
  9. 露光光を放出する光源と、請求項7に記載の露光原版と、前記光源から放出された前記露光光を前記露光原版に導く光学系と、を有し、前記露光原版は、前記光源から放出された前記露光光が前記ペリクル膜を透過して前記原版に照射されるように配置されている露光装置。
  10. 光源から放出された露光光を、請求項7に記載の露光原版の前記ペリクル膜を透過させて前記原版に照射し、前記原版で反射させる工程と、
    前記原版によって反射された露光光を、前記ペリクル膜を透過させて感応基板に照射することにより、前記感応基板をパターン状に露光する工程と、
    を含む半導体装置の製造方法。
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