JP2022147576A - 蒸散抑制成分による植物の重金属蓄積抑制方法 - Google Patents

蒸散抑制成分による植物の重金属蓄積抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、植物において重要な箇所(例えば、米)でのヒ素などの重金属の蓄積を低減することを課題とする。【解決手段】本開示は、蒸散抑制成分により、ヒ素などの重金属の抑制を実現できることを本発明者らが発見し、完成させたものである。安全性の高い蒸散抑制成分を一過的に施用することによりヒ素などの重金属の地上部から植物体の他の個所(例えば、米、可食部)への転流を抑制し、穀物として重要な箇所(例えば、米、可食部)でのヒ素などの重金属の蓄積を低減する。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物等1:日本作物学会第249回講演会要旨集(2020)、公開日:令和2年3月26日 刊行物等2:日本作物学会第249回講演会要旨集(2020)、公開日:令和2年3月26日 刊行物等3:日本作物学会紀事(Jpn.J.Crop.Sci)89巻3号、公開日:令和2年7月5日
本開示は、植物における重金属の蓄積抑制方法を開示する。
重金属蓄積は農業分野における重大な問題である。例えば、水稲において、有害物質のひとつであるヒ素蓄積が穀粒で上昇することがあることが報告されている。
2019年に公表された全国玄米ヒ素濃度実態調査(3007地点、農水省、2019年)において、41地点で玄米無機ヒ素の国際基準値(0.35mg/kg、Codex委員会、2016)超過が認められた。国内基準値が策定された場合には、ヒ素基準値超過米発生による経済的損失は甚大となると予想される。
本開示は、蒸散抑制成分により、植物においてヒ素などの重金属の蓄積抑制を実現できることに関する。本開示はまた、作物可食部の収穫を改良する技術を提供する。安全性の高い蒸散抑制成分を一過的に施用することによりヒ素などの重金属の地上部から植物体の他の個所(例えば、玄米)への転流を抑制し、穀物として重要な箇所(例えば、玄米)でのヒ素などの重金属の蓄積を低減する。
本開示は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
植物体またはその一部における重金属蓄積を抑制するための組成物であって、蒸散抑制成分を含む組成物。
(項目2)
植物体の作物可食部の収穫を改良するための組成物であって、蒸散抑制成分を含む組成物。
(項目3)
前記組成物は、溶液であり、該溶液の表面張力が72.8ダイン/cm以下である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目4)
前記組成物は、溶液であり、該溶液の表面張力が45ダイン/cm以下である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
前記蒸散抑制成分が、植物体展着性蒸散抑制成分または植物ホルモン作用性蒸散抑制成分である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
前記植物体展着性蒸散抑制成分が、固着性展着成分である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
前記植物体展着性蒸散抑制成分が、アルカン系炭化水素、天然セルロースおよびポリオキシエチレン樹脂酸エステルからなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記植物体展着性蒸散抑制成分が、パラフィン類である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
前記植物体展着性蒸散抑制成分が、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンからなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目10)
前記植物体展着性蒸散抑制成分が、数平均分子量が約300以上約1000以下、または炭素数約15以上約60以下のアルカン系炭化水素である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
前記植物ホルモン作用性蒸散抑制成分が、アブシジン酸、ジャスモン酸、またはそれらの誘導体、あるいはこれらを誘導する成分(inducer)[例えば、ABA・JAの誘導成分であるメラトニン、JAの誘導成分であるシステミン等]、および気孔開口調節成分からなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目12)
植物体散布用または環境中散布用である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目13)
液剤、粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤、乳剤、顆粒水和剤、粉剤、マイクロカプセル剤、およびエアゾルからなる群から選択される剤形である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
前記重金属蓄積は、少なくとも前記植物体の葉および種子からなる群から選択される部分で抑制される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
前記重金属が、ヒ素である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
前記植物体が単子葉類である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目17)
前記植物体が穀類である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
前記植物体がイネ科植物である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目19)
前記植物体が水生植物である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目20)
前記植物体が抽水植物または湿生植物である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目21)
前記植物体が水稲である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目22)
植物体散布用である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目23)
前記植物体の一部は種子を含む、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目24)
植物体またはその一部における重金属蓄積を抑制する方法であって、該植物体に蒸散抑制成分を適用する工程を含む、方法。
(項目25)
植物体の作物可食部の収穫を改良するための方法であって、該植物体に蒸散抑制成分を適用する工程を含む、方法。
(項目26)
前記植物体がイネであり、前記蒸散抑制成分が、イネの幼穂形成期から成熟期の間の任意の時点または栄養成長期で1回または複数回適用されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記蒸散抑制成分が、栄養成長期に1回または複数回適用されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
項目1~23のいずれか一項または複数に記載の特徴をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
本開示において、上記の一つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本開示はヒ素などの重金属濃度を植物体またはその一部(例えば、玄米)において低減する効果を達成する。本開示は、植物体の作物可食部の収穫を改良する効果も達成する。例えば、一例では、他の方法として考えられ得る水量調節(例えば、水管理(3湛4落出穂前後3週間に、3日湛水、4日落水間断灌漑を計6回繰り返し・落水3回;天気予報をもとに降雨を避け4日間の落水を3回実施)では、過度の節水が玄米収量・品質の低下を引き起こすおそれがあり、排水過良水田では、落水日数を調節しながら玄米ヒ素濃度の低下を目指す必要があり、繊細な水量調節および作業管理に大変労力がかかる。しかしながら、本開示の方法によれば、このような労力のかかる水量調節を不要としながらも品質の高い作物を提供することができる。また、カドミウムリスクの高い圃場等において問題であった、落水期間中の土壌が乾きすぎると起こりうるカドミウム濃度の上昇も抑制できる。また、本開示の組成物は、高温登熟などヒ素蓄積が懸念される気象状況が予測される時にのみ施用することが可能であり、農作業量の増加と資材費の上昇による上昇する労働コストや生産コスト抑える効果がある。鉄資材、ケイ酸資材の施用(製鋼スラグ:2t/10a,ゼロ価鉄:1t/10)によるヒ素濃度低減対策技術なども不要となる。
図1は、実施例2の結果を示し、2回の独立に温室で栽培を行った水稲玄米中ヒ素蓄積量の平均値を用いて、蒸散抑制成分未処理を1として示した。
図2は、PDJ処理を行った頴花を用いたRNAseq解析の結果を示す図である。それぞれのコントロールの重金属輸送タンパクの発現量を1として示した。 図3は、フェーン害時のパラフィン入り肥料のヒ素蓄積に対する効果を示す図である。コントロールの玄米中総ヒ素濃度(無機ヒ素と総ヒ素)の中央値を1として示した。Control: フェーン処理、Paraffin:フェーン処理+パラフィン入り肥料散布、Nt;未処理を示す。
以下、本開示を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義)
本明細書において、「約」とは、後に続く値の±10%を意味する。
本明細書において「植物体」とは、当該分野における最も広義に用いられ、生命現象を営むものをいい、光合成をして運動せずに生活するものをいう。植物体は、代表的には、細胞構造、増殖(自己再生産)、成長、調節性、物質代謝、修復能力など種々の特性を有し、通常、核酸のつかさどる遺伝と、タンパク質のつかさどる代謝の関与する増殖を基本的な属性として有する。被子植物又は裸子植物の細胞のいずれでもよく、双子葉植物又は単子葉植物の細胞のいずれでもよく、また、草本性植物又は木本性植物のいずれでもよい。草本性植物としては、例えば、穀類植物、芝草類、又は野菜類を挙げることができ、木本性植物としては、例えば、常緑広葉樹、落葉広葉樹等を挙げることができる。具体的には、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ブドウ、リンゴ、ナシ、モモ、オウトウ、カキ、カンキツ、ダイズ、インゲン、イチゴ、ジャガイモ、キャベツ、レタス、トマト、キュウリ、ナス、スイカ、テンサイ、ホウレンソウ、サヤエンドウ、カボチャ、サトウキビ、タバコ、ピーマン、サツマイモ、サトイモ、コンニャク、ワタ、ヒマワリ、チューリップ、キク、シバ等の農園芸作物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、本発明でいう「植物体」とは、前記植物個体を構成する全ての部位を含むものをいう。本明細書では、好ましくは、そのような植物体は稔性であり得る。より好ましくは、そのような植物体は、種子を生産し得る。本開示の組成物および方法は、葉を有する植物であれば、適用され得ることが理解される。
本明細書において、「植物体の一部」は、例えば、茎、葉、根、種子、花、果実等の植物体のうちの特定の一部分であってもよく、あるいは、茎、葉、種子などを備える複数の器官が合わさったものであってもよい。植物体の一部には、地上部(例えば、葉・茎・節あるいは、葉・茎・節・穂)、地下部などの部位が含まれ得る。
本明細書において「種子」とは、幼植物が発芽するための栄養分を蓄え農業上繁殖に用いられるものをいう。具体的には米、トウモロコシ、綿実、小麦、大麦等の穀類、トウジンビエ、アワ、キビ、シコクビエ、ヒエ、スズメノコビエ、ソルガム,ハトムギ、エンバク、ライムギ等のイネ科雑穀類、ヒマワリの種子、カボチャの種子、豆類、セイヨウアブラナの種子などが挙げられる。
本明細書において「作物可食部」とは、穀類の種子や果樹の果実等の、可食部分をいう。作物可食部は、主に種子および果実を包含する概念である。
本明細書において「地上部」とは、植物体の一部であり栄養成長期においては葉と茎、生殖成長期においては、葉と茎、花茎、花を含む部分をいう。例えば、イネ科植物における栄養成長期の「地上部」は、葉・茎・節からなる部分であり、生殖成長期の「地上部」は、葉・茎・節・穂(枝梗・頴花)からなる部分である。
本開示においては、植物体は、種子以外の食用に供される植物体の一部分であってもよい。例えば、植物体の一部分は、トマト、キュウリ、ナス、サヤエンドウ、カボチャ、ピーマンなどの野菜の果実であってもよい。あるいは、植物体の一部分は、ホウレンソウ、ミズナ、野沢菜等の葉菜であってもよい。植物体の一部はまた、サトイモ、ジャガイモ、サツマイモ、コンニャク、レンコン、ユリ根等の地下部を食用とするものであってもよい。本開示で利用される植物体およびその一部はまた、食用でなくてもよい。植物体またはその一部は、種芋、ゆり、チューリップ等の球根やラッキョウ等の種球等であってもよい。
また、本開示の対象は、飼料用や資材用に供される植物体の一部であってもよい。例えば、米、トウモロコシ、綿実、小麦、大麦等の穀類、トウジンビエ、アワ、キビ、シコクビエ、ヒエ、スズメノコビエ、ソルガム,ハトムギ、エンバク、ライムギ等のイネ科雑穀類の地上部・地下部・種子などがあげられる。資材としては、もみ殻や稲わら等であってもよい。なお、栽培段階での区別では、茎葉を飼料とする場合であれば、「栄養成長期の地上部」ということができる。
前記芝草類としては、例えば、イネ科芝草[例えば、スズメガヤ亜科(例えば、シバ類又はバーミューダーグラス類)、ウシノケグサ亜科(例えば、ベントグラス類、ブルーグラス類、フェスク類、又はライグラス類)、又はキビ亜科]、カヤツリグサ科芝草、及びキク科芝草を挙げることができる。前記穀類植物としては、例えば、イネ科植物、例えば、イネ、ライムギ、オオムギ、コムギ、キビ、モロコシ、サトウキビ、トウモロコシ・ポップコーン、又はハトムギを挙げることができる。前記野菜類としては、例えば、ナス科植物(例えば、タバコ、ナス、ジャガイモ、トマト、若しくはトウガラシ)、アカザ科植物(例えば、ホウレンソウ、サトウダイコン等)、マメ科植物(例えば大豆、小豆、エンドウ等)、アブラナ科(例えば、アブラナ、ルッコラ等)又はゴマ科植物(例えば、ゴマ)を挙げることができる。
前記常緑広葉樹としては、例えば、ユーカリ、アカシア、又はコーヒーを挙げることができる。前記落葉広葉樹としては、例えば、ポプラ、クヌギ、ヤナギ、シラカバ、又はコナラを挙げることができる。
また一般に観葉植物と知られている植物(例えばリュウゼツラン科、サトイモ科、ヤシ科、ウコギ科、クワ科、ガガイモ科、キツネノマゴ科、キョウチクトウ科、クズウコン科、ヒノキ科、ミカン科、パンヤ科、タコノキ科、バショウ科、トウダイグサ科、モクセイ科、ツユクサ科、パイナップル科、ベンケイソウ科、リュウケツジュ科、ヤナギ科等の植物、シダ植物等)に対しても本開示の方法は有用である。
かかる植物の中でも、イネ科植物、アカザ科植物、マメ科植物、アブラナ科植物や、ユーカリ、アカシア、ポプラが好ましく、特にイネ、コムギ、オオムギ、サトウキビ、サトウダイコン、大豆、アブラナ、ゴマ、ユーカリ、ポプラの細胞が好ましく、イネ、コムギおよびオオムギがより好ましく、イネが最も好ましいが、重金属の蓄積が軽減され得る限りにおいてこれらの植物に特に限定はされない。
本明細書において、「重金属蓄積」とは、植物体においてその一部または全体にわたり、重金属(例えば、ヒ素)またはそれを含む化合物等が蓄積することをいう。重金属の蓄積は、植物体の器官によって蓄積される濃度が異なる場合があり、例えば、イネにおいては、根・節に蓄積しやすいことが公知である。本明細書において「重金属」とは、植物が本来必要としない非必須元素である、カドミウム、鉛、水銀、クロム、ヒ素、セレン、スズ、アンチモンを意味するものである。これらの重金属は細胞質に対しては毒となる場合がある。「重金属蓄積の抑制」という場合、これらの重金属のいずれかの蓄積が軽減されれば、すべての重金属の蓄積が軽減されなくてもよい。好ましくは本開示では、蓄積の軽減される重金属はヒ素を含むがこれに限定されない。重金属を多量に蓄積した植物体またはその一部は食用とした場合に人体または動物に悪影響を及ぼすため、植物体またはその一部への重金属の蓄積はなるべく減らすことが好ましい。本開示の技術を用いれば、植物体をこれらの重金属により汚染された土壌等で生育しても、重金属が蓄積され難くなる。
本明細書において、「蒸散抑制成分」とは、植物体の全部または一部(例えば、葉や穂など)に適用した場合に、適用しなかった場合と比べて水分の蒸散が抑制される任意の成分をいう。蒸散抑制の効果は、その成分に基づく直接のものであってもよく、成分が遺伝子等の場合は、植物に適用され、あるいは組み込まれた結果発現した遺伝子産物等によって実現されてもよい。
一つの実施形態では、本開示における蒸散抑制効果の確認方法によって評価した蒸散抑制効果が、本発明蒸散抑制成分を用いない植物と比して20%以上増加し、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは80%以上の蒸散抑制効果を有し得る。蒸散抑制成分の剤型は、液状、微粉状、ペースト状等が例示されるが、本開示の蒸散抑制成分に含まれる有効成分の安定性を害せず、また後述する使用例に使用できる限りにおいて他の剤型も採用しうる。
本明細書において、「展着成分」とは、展着作用を有する成分をいい、散布農薬の広がり、乳化、可溶化、分散、懸垂、浸透、固着、消泡などの物理化学的性質を左右する働きを持つ成分である。展着成分は、例えば、葉などの標的表面への固体顆粒の接着を助長する助剤であり、適用対象の表面に塗布することができ、それによって二重の性能、即ち制御放出と特異的表面への付着の誘導が実現される。展着成分は、農業基材への噴霧のために水に分散され得、該水は、噴霧可能な溶液の特性を改善する更なる成分を含有し得る。展着成分は、各作物で展着成分により主剤農薬の効果が未使用の場合よりも上昇した成分であるといえ、各実験データは相対的に評価され得る(◎〇×△の表記)。例えば、展着成分は、溶解したときの溶液の表面張力を72.8ダイン/cm(水)以下にする助剤、好ましくは45ダイン/cm以下にさせる助剤が望ましい。
展着成分は、一般に(1)スプレッダー(散布液の表面張力を下げる成分(界面活性剤))、(2)機能性展着成分(アジュバント;浸透性を高める剤)、(3)固着性展着成分(スチッカー;散布液を固着させる剤、例えばパラフィンや樹脂酸エステル)、(4)その他に分けることがあるが、本開示で好ましく用いられるものは固着性展着成分であり得る。
固着性展着成分は、固着性を高めるという性質を有し、主成分としてパラフィンや樹脂エステル等を含み、目的とする成分の残効性を高める成分をいい、代表的な薬剤としては、グリンナーやアビオンC、ステッケル、ベタンVなどのパラフィン製剤、KKスティッカー、トモノスプレーステッィカーなどを例示することができる。固着性の基準は、植物防疫63巻4号(2009)および農業及び園芸 89巻2号 p241-246(2014)を参照することにより、当業者であれば理解することができる。
あるいは、本明細書では、「展着性」「蒸散抑制性」「固着性」の技術的判断として、“スプレースッティカー(ポリオキシエチレン樹脂酸エステル)や、グリンナーなど数値や効果が公開されている剤を基準として、一般的にはポリオキシエチレン樹脂エステル;分散性△、可溶化率△、固着性〇、パラフィン;固着性〇、あるいは絶対値で判断するという記載方法があり得る。例えば、ポリオキシエチレン樹脂エステルは、分散性△、可溶化率△、固着性〇と評価しうる。例えば、有効成分ポリオキシエチレン樹脂エステルのスプレースティッカーの場合、主剤のみの表面張力72ダイン/cmを44ダイン/cmに低下させ得る。例えば、パラフィン剤は、固着性〇と評価しうる。この場合、例えば、有効成分パラフィン剤グリンナーの場合に、グリンナー処理により楠木苗木の枯死を避けられる。
本明細書において「展着性蒸散抑制成分」とは、展着性と蒸散抑制効果を有する任意の剤をいい、展着成分中で蒸散抑制効果を持つものである。
本明細書において、「ホルモン」、「植物ホルモン」または「植物ホルモン作用性蒸散抑制成分」とは、交換可能に使用され、植物体または植物ホルモンに作用し得る(例えば、成長に対する影響を有する)任意の因子をいい、植物によって生産されるもののほか、人工的に合成されるものも包含され、植物成長調節物質も包含される。ホルモンとしては、オーキシン、サイトカイン、アブシジン酸(ABA)、ジャスモン酸またはその誘導体、ジベレリン、エチレン、ブラシノステロイドおよびポリアミンが挙げられるがこれらに限定されない。開示において使用され得るホルモンとしては、アブシジン酸、ジャスモン酸、これらの誘導体、これらを誘導する因子(アブシジン酸またはジャスモン酸を誘導するメラトニンやジャスモン酸のシステミンなど、それらの遺伝子、遺伝子産物などまたはそれらの誘導体を挙げることができる。
本明細書において、「アルカン系炭化水素」とは、飽和系の炭化水素であり、直鎖、分岐状(これらの場合、CnH2n+2の式で表される)、および環状のものを含む任意のものを含みうる。本開示ではアルカン系炭化水素は、種々のポリマーを含み得、パラフィン類(例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンなど)などを包含する。
本明細書において、「パラフィン」(広義)または「パラフィン類」とは、炭化水素化合物(有機化合物)の一種で、一般に、炭素原子の数が15以上、通常20以上のアルカン(直鎖状、分岐状または環状の飽和炭化水素)の総称である。パラフィンワックスとも称される。パラフィン類は、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンなどを含みうるものであり、代表的に、常温において半透明ないし白色の軟らかい固体(蝋状)で水に溶けず、化学的に安定な物質である。代表的に炭素数は15以上が好ましく、限定を望まないが60以下である者が使用され得る。代表的な例では、成分は主にノルマルパラフィンの炭素数20以上の混合物であり、融点については用途により異なる。本開示では、流動パラフィンも使用され得る。パラフィンは通常常温では無色の液体で非揮発性。水には不溶。化学的に安定な物質で、通常の条件では酸化を受けない。成分については固形のパラフィンよりオレフィン系炭化水素に富む。乳化しやすく伸びや浸透性に優れる。純度は紫外光の吸光度により計測される。流動パラフィンには多くの呼び方がある。ヌジョール (nujol)、ホワイト油、白色鉱油、水パラフィン、ミネラルオイル、ミネラルオイルホワイト、医療用パラフィン (medicinalparaffin)、パラフィンファックス、saxol、USP mineral oil、adepsine oil、Albolene、glymolなど。パラフィン類の中でも炭素骨格が直線状であるパラフィンのことをノルマルパラフィン(n-パラフィン)と呼び、本開示では、パラフィンというときはノルマルパラフィンを指すことがある。環状構造をもつ炭化水素全般のことをシクロパラフィンとよぶことがあり、シクロパラフィンは炭素数が20以下の炭化水素に対しても使用するものであり、シクロアルカンと同義である。
ノルマルパラフィンを含む薬剤の例としては、アビオンC、アビオンE, カルワックス、ステッケル等を挙げることができる。
本明細書において、「イソパラフィン」とは広義のパラフィンのうち、分岐を有するものをいう。イソパラフィンを含有する剤としては、グリンナー、モイスチャーを挙げることができる。
シクロパラフィンを含む薬剤の例としては、グリンナー、モイスチャー等を挙げることができる。
本明細書において、「セルロース」とは、水親和性セルロースヒドロキシルプロピルメチルセルローズなどの水親和性セルロースをいう。セルロースを含む薬剤としては、例えば、セルコートアグリ、64ネバー等がある。
本明細書において、「樹脂エステル」または「ポリオキシエチレン樹脂酸エステル」とは、ポリオキシエチレン構造を有する任意のエステルをいう。ポリオキシエチレン樹脂酸エステルは、固着性展着成分であり、農薬施用の助剤として用いられる。例えば、ネオコステリン、KKステッカー等がある。
本明細書において、「植物体散布」とは、目的の成分が植物体へ直接散布されることをいう。植物体散布は、目的の成分が主に植物体へと散布されればよく、付随的に環境中に少量の成分が散布されてもよい。植物体散布では、例えば、目的の成分が植物体に直接付与されることで本開示が意図する効果が発揮され得る。植物体散布の方法の例としては、直接蒸散抑制成分を塗布すること、葉面裏側にも目的の成分がかかるように撒くこと、また、出穂後であれば穂を含め植物体全体に蒸散抑制成分を散布することを挙げることができるがこれらに限定されない。植物体散布は、具体的には、葉面散布、花面散布、花穂散布、立木散布などを包含する概念といえる。
本明細書において、「環境中散布」とは、目的の成分が植物体を取り囲む環境へ散布されることをいう。環境中散布は、目的の成分が主に環境へと散布されればよく、付随的に植物体に少量の成分が散布されてもよい。環境中散布では、例えば、目的の成分が環境へと散布されることで本開示が意図する効果が発揮され得る。環境中散布の方法の例としては、植物体の環境に散布することを含み、これ以外にもあらかじめ土壌中に直接施用する土壌処理や、株元に散布する株元施用を挙げることができるがこれらに限定されない。環境中散布は、水面散布、土壌散布、株元散布、用水散布などを含む概念といえる。
本開示の組成物は、農薬として使用され得る任意の剤形を用いることができ、例えば、粉剤、DL粉剤、FD剤(フローダスト)、粒剤、ジャンボ剤、粉粒剤、微粒剤、細粒剤、粉末、水和剤、フロアブルゾル(SC)、顆粒水和剤、ドライフロアブル水溶剤、顆粒水溶剤、乳剤、EW剤、液剤、ME液剤 、油剤、サーフ剤、エアゾル 、ペースト剤 、くん煙剤、くん蒸剤 、マイクロカプセル剤、パック剤が用いられ得る。
本明細書において、「液剤」とは、常温で液体の状態で提供される薬剤をいう。
本明細書において「粉剤」とは、農薬原体をクレー等の鉱物質微粉で希釈増量し、必要に応じて分解防止剤などを添加して、例えば45μm以下の微粉となるように製剤したもの。そのまま使用するものをいう。飛散(ドリフト)を少なくするため、10μm以下の微粉を少なくした増量剤を用い、更に凝集剤で、混入している微粉を凝集し、飛散しにくくした製剤はDL粉剤ともいう。DLはDRIFT LESSの略である。空中に漂う時間を長くする為、2μm以下の超微粉にした製剤で、ハウスの外から散布して内部に均一に行き渡るように工夫した製剤は、FD剤またはフローダストとも呼ばれる。
本明細書において、「粒剤」とは常温で固体で、粒の状態で提供される薬剤をいう。農薬取締法上は、粒径300~1700μmの細粒であり、そのまま使用されるものである。製造方法によって種々の形状があり、クレーなどの鉱物質に農薬原体を練りこんだタイプ(主に円柱状)、多孔性鉱物質に原体をしみ込ませたタイプ(主に細かい砂状)などがある。又これより粒径が大きいもので、ペレット状や、錠剤としたものもある。本明細書において、「ジャンボ剤」とは農薬取締法上、登録上粒剤に該当する。1個50gの錠剤(タブレット状)や粒剤・錠剤・粉末を50gの水溶性フィルムで包んだパック剤があり、10aあたり10~20個を畦畔から水田に投げ込む製剤である。散布器具を使用しないことから省力性にすぐれている。主に除草剤が多い。
本明細書において「水和剤」とは、水になじむ粉末状製剤をいい、水に懸濁させて用いる、調製液を静置すると沈殿する。本明細書において、「フロアブル剤」とは、有効成分を微粒子(平均粒径1~5μm)化し、適切な界面活性剤により液体中に分散させた製剤をいう。
本明細書において「水溶剤」とは、水溶性の粉状、粒状などの製剤をいい、水に溶かして用いる。有効成分は完全に水に溶けるため、調製液は沈殿しない。
本明細書において「乳剤」とは、水に溶けにくい農薬原体を有機溶媒に溶かし乳化剤を加えた油状液体の製剤をいう。危険物として取り扱う剤がある。水に希釈し乳濁した状態で使用する。
本明細書において「マイクロカプセル剤」とは、農薬原体を高分子膜などで均一に被覆したカプセルを含有する製剤をいう。カプセル化することにより、成分の効果持続性を高めるとともに、吸入毒、薬害、塗装汚染の軽減が図られている。製剤の外見はフロアブル剤と同様の液状である。
本明細書において「エアゾル」とは、気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体をいい、缶(ボンベ)入りのスプレー剤で、内部のガス圧で、成分を噴霧する。簡単に使用できる。
本明細書において「水生植物」とは、通常の生活環において根が水中に浸漬している植物をいう。例えば、浮遊植物、浮葉植物、沈水植物、抽水植物、及び湿生植物が該当する。淡水性、汽水性、海水性を問わないが、淡水性が好ましい。「浮遊植物」とは、根を水底に張らずに水中に露出し、植物体全体を水面に浮かべた植物をいう。例えば、アオウキクサ(Lemna aoukikusa)やコウキクサ(Lemna minor)のようなウキクサ科(Lemnaceae)植物、ホテイアオイ(Eichhorniacrassipes)のようなミズアオイ科(Pontederiaceae)植物が該当する。「浮葉植物」とは、水底に根を張り、葉を水面又は水面近くに浮かべる植物をいう。例えば、ヒツジグサ(Nymphaeatetragona)やジュンサイ(Brasenia schreberi)のようなスイレン科(Nymphaeaceae)植物、ヒシ(Trapajaponica)のようなヒシ科(Trapaceae)植物、及びアサザ(Nymphoidespeltata)のようなミツガシワ科(Menyanthaceae)植物が該当する。「沈水植物」とは、水底に根を張り、植物体全体が水面下にある植物をいう。例えば、クロモ(Hydrillaverticillata)のようなトチカガミ科(Hydrocharitaceae)植物、エビモ(Potamogetoncrispus)のようなヒルムシロ科(Potamogetonaceae)植物、及びシャジクモ(Charabraunii)のような車軸藻綱 (Charophyceae)藻類が該当する。
本明細書において、「抽水植物」とは、水底に根を張り、葉や茎の植物体上部を水面上に伸ばした植物をいう。例えば、イネ(Oryza sativa)、マコモ(Zizania latifolia)及びヨシ(Phragmites australis)のようなイネ科(Poaceae)植物、ハス(Nelumbonucifera)のようなハス科(Nelumbonaceae)植物、コウホネ(Nuphar japonicum)のようなスイレン科植物、及びガマ(Typhalatifolia)のようなガマ科(Typhaceae)植物が該当する。
本明細書において、「湿生植物」とは、湿地や、河川又は池沼の周辺等のように根が水に浸漬し得る場所に生息する植物で、根や地下茎を除く植物体の大部分は水に浸かることがないものをいう。例えば、ミソハギ(Lythrum anceps)のようなミソハギ科(Lythraceae)植物、サギソウ(Habenariaradiata)のようなラン科(Orchidaceae)植物、キショウブ(Irispseudacorus)のようなアヤメ科(Iridaceae)植物が該当する。
本明細書において、「気孔閉口」とは植物体にある気孔が閉じることをいい、顕微鏡観察により観察することができる。本明細書において「気孔開口調節成分」とは、気孔開口メカニズムを調節する成分をいう。気孔開口について説明すると、青色光により活性化される孔辺細胞膜上プロトンポンプの働きにより細胞内の過分極、浸透圧が上昇、水が細胞内に流乳し、細胞体積が減少増加することにより気孔が開口する。したがって、気孔開口調節成分は、孔辺細胞膜上プロトンポンプの活性化・不活性化の調節を行い、気孔開口を調節する成分といえる。WO2018/062036に開示される化合物は、植物気孔開口調節成分が提示されており、本開示において採用され得る。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参照して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(蒸散抑制成分の用途)
本開示は、一つの局面において、植物体またはその一部における重金属蓄積を抑制するための組成物を提供する。
本開示は、別の局面において、作物可食部の収穫を改良するための組成物を提供する。
代表的な局面では、本開示の組成物は、蒸散抑制成分を含む。本開示で使用される蒸散抑制成分は、植物体展着性蒸散抑制成分またはホルモン性蒸散抑制成分であってもよい。本開示の組成物は、希釈液としてそのまま使用できる形で提供されてもよく、使用時またはその前に、希釈して使用することを企図した濃縮液または濃縮物(本明細書において原液ともいう。)として提供されてもよい。したがって、本開示の組成物が原液として提供される場合は、適宜の希釈媒体(例えば、水、有機溶媒(アルコールなど)、それらの混合物など)により希釈することにより希釈液として提供され得る。
理論に束縛されることを望まないが、本開示の一つの好ましい実施形態では、安全性の高い蒸散抑制成分を一過的に施用することによりヒ素などの重金属の地下部から地上部・玄米等の植物体の部分への転流を抑制し、玄米等の植物体の部分でのヒ素などの重金属の蓄積を低減することができる。例えば、蒸散抑制成分としては、気孔閉口を誘導する植物ホルモン類縁体などすなわち、ホルモン性蒸散抑制成分があげられ、物理的に気孔を塞ぐイソパラフィン剤、パラフィン剤などの展着性蒸散抑制成分が利用可能であることを見出したことに一部依拠する。従来技術とは異なり、一つの例としては、高温登熟などヒ素蓄積が懸念される気象状況が予測される時にのみ施用することが可能であり、労働力・資材コストの低減が可能である。
本開示における好ましい実施形態において、蒸散抑制成分は、植物体展着性蒸散抑制成分または植物ホルモン作用性蒸散抑制成分であり、この展着性蒸散抑制成分は好ましい実施形態では、固着性展着成分であり得る。
固着性展着成分としては、任意のものを用いることができるが、好ましくは、葉面や穂などの植物体一部分をコーティングし蒸散を抑制するという性質を持つパラフィンやセルロースを主成分とする固着性展着成分が望ましい。このような固着性展着成分を含む薬剤としてグリンナーやアビオンCなどが市販されている。
一つの実施形態において、本開示において使用される植物体展着性蒸散抑制成分が、アルカン系炭化水素、セルロースなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
具体的な植物体展着性蒸散抑制成分は、(ノルマル)パラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等の広義のアルカン系の物質、セルロースなどを挙げることができ、このほか、脂肪酸エステルであってもよい。
本開示の一つの実施形態では、イソパラフィン、シクロパラフィンがノルマルパラフィンより好ましく用いられ得る、理論に束縛されることを望まないが、イソパラフィン、シクロパラフィンは、パラフィンワックス(ノルマルパラフィン)よりも結晶が小さく微細結晶となり、植物表面を効率よくコーデイングすると考えられる。
一つの実施形態では、本開示の植物体展着性蒸散抑制成分は、数平均分子量が約300以上約1000以下、または炭素数約15以上約60以下のアルカン系炭化水素であり得る。
別の実施形態では、本開示のホルモン性蒸散抑制成分は、アブシジン酸、ジャスモン酸、またはそれらの誘導体あるいはこれらを惹起する成分であってもよい。アブシジン酸、ジャスモン酸、などを誘導する成分(inducer)は、メラトニン、システミンなどを挙げることができる。理論に束縛されることを望まないが、アブシジン酸が孔辺細胞に存在するアブシジン酸受容体に結合することにより、細胞内で活性酸素生成が誘導され、カルシウム、カリウムチャンネルが活性化されることにより細胞内の脱分極、浸透圧の低下が起こり、水が細胞外に流出し、細胞体積が減少することにより気孔が閉口する。ジャスモン酸の場合も、同様に孔辺細胞内に存在するジャスモン酸受容体に結合することにより、細胞内で活性酸素生成が誘導され、カルシウム、カリウムチャンネルが活性化されることにより細胞内の脱分極、浸透圧の低下が起こり、水が細胞外に流出し、細胞体積が減少することにより気孔が閉口する。
別の実施形態では、本開示の蒸散抑制成分または組成物は植物体散布用または環境中散布用である。
植物体散布用の場合は、界面活性剤や乳化剤等の展着性成分を含む液状の剤で提供され、このような薬剤として用いることが好ましい。葉面植物体散布用する場合、気孔の多い葉の裏側に散布するのが効果的である。葉面散布の場合は、葉面において保持されるような助剤を含んでいてもよい。そのような助剤としては界面活性剤等を挙げることができる。
環境中散布の場合は、水田中や土壌中に低濃度で施用する緩効性の成分で好適に用いられる。環境中散布の場合は主に根からの吸収を期待することから、製品袋からの手散布、手動スプレー式噴霧器、動力散布機や無人ヘリコプターを用いた機械散布や土壌処理や株元施用などの手法により実施することができる。環境中散布の場合は、根からの吸収を促進するような助剤を含んでいてもよい。
本開示の組成物は任意の剤形を取ることができ、例えば、液剤、粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤、乳濁液、懸濁液、分散液、ペースト、微粉剤、散布用材料、粉剤およびマイクロカプセル、エアゾルなどを挙げることができる。
一つの実施形態では、本開示において対象とする重金属蓄積は、少なくとも前記植物体の葉および種子からなる群から選択される部分で抑制されることが特徴であり、好ましくは、葉および種子の両方で抑制されることが好ましいがこれに限定されない。このほか、重金属蓄積が抑制される部位としては、節・根・茎・頴・枝梗等を挙げることができる。
好ましい実施形態では、本開示が抑制する対象の重金属は、ヒ素である。ヒ素は、自然界に広く分布するため除去が難しいとされていた。本開示の手法を用いれば、従来の農薬散布と同様の簡便な手法でヒ素の蓄積抑制を行うことができる。
一つの実施形態では、本開示が対象とする植物体は単子葉類を含む。理論に束縛されることを望まないが、単子葉植物は、重金属が蓄積しやすい(例えば、穀物類)が、除去しにくい性質を有するところ、本開示の手法を用いれば、このような植物においても蓄積抑制を行うことができるようになる。端子洋食斑は、穀類であっても良い。単子葉植物としては、例えば、イネ科、ヤシ科、ネギ科、サトイモ科、ユリ科、バショウ科、ショウガ科などを挙げることができるがこれらに限定されない。
別の実施形態では、植物体がイネ科植物を含む。イネ科の植物としては、例えば、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、サトウキビ、モロコシ(ソルガム)、カラスムギ、アワなどを挙げることができるがそれらに限定されない。
一つの実施形態において、本開示が対象とする植物体は水生植物を含む。水生植物は、重金属、特にヒ素が蓄積しやすい環境にあることが多い反面、これを抑制することが困難とされることが多い。このような植物でも蓄積抑制を行うことができるという点でも本開示の技術は優れた作用効果を表すと言える。水生植物は、水生植物としては、例えば、文字通り水辺や湿原に生える湿地性植物の事で、発芽が水底で行われ、植物体が完全に水中にあるか、または抽水状態で長期にわたって生育するものもあり、水生植物としては、例えば、植物全体が水に沈んでいる沈水植物、葉を水に浮かべる浮葉植物、水底の土に根を張らないで水面に浮いている浮遊植物、葉や茎を水上に出す抽水植物などが挙げられる。主に淡水性のものが多く、被子植物、シダ植物に含まれるものが多く、時にコケ植物や、形態的な類似性から車軸藻類を含みうる。沈水性植物としては、単子葉植物のイバラモ科、ヒルムシロ科など、双子葉植物のマツモ科やアリノトウグサ科などを挙げることができるがこれらに限定されないが、クロモ/フサモ、バイカモ、セキショウモ、ミズオオバコ、スブタ類、エビモ、イバラモ、トリゲモ類、フサジュンサイ(カボンバ)、オオカナダモなどを挙げることができるがこれらに限定されない。浮葉性植物は、根が水底についていて、葉を水面に浮かべる植物であり、スイレン、ヒツジグサ、ジュンサイ、オニバス、ヒシ、ガガブタ、ヒルムシロ、トチカガミ、オグラコウホネなどが挙げられるがこれらに限定されない。浮遊性植物は、水面に植物体が浮かんでいて、根が水底についていない植物もあり、ウキクサ科の他、ホテイアオイやボタンウキクサ、水生シダ類のアカウキクサ、サンショウモ、コケ植物のイチョウウキゴケなどを挙げることができる。抽水性植物は、根が水中にあり、茎や葉を伸ばして水面上に出る植物を抽水性といい、コウホネ類、スイレン類では浮葉性のものと抽水性のものがあり、はじめは浮葉性で、よく育つと抽水性になるものなどがあり、ハス、マコモ、ヨシ、クログワイ、フトイ、コウホネ、カンガレイ、オモダカ、ウリカワ、ミクリ類、ショウブ、ガマ類、カキツバタ、コナギ、ミツガシワなどを挙げることができる。
好ましい実施形態では、本開示が対象とする植物体は、水稲であり得る。国内外一部の水稲ではヒ素などの重金属蓄積が問題であるとされていたが、本開示によりこれを達成することができる。特に、本開示は、出穂期前後のイネ植物等の植物の蒸散量を抑制することにより、イネ穂等の部位に転流されるヒ素などの重金属を減少させ、イネ穀粒等の重金属蓄積部位中のヒ素などの重金属の濃度を抑制することができる。
一つの実施形態では、本開示の植物体の一部は種子を含んでもよい。
好ましい実施形態において、イネでは、ホルモン剤を用いることが好ましい。あるいは、栄養成長期の葉であれば、パラフィン剤も有効であると考えられる。
あるいは別の好ましい実施形態では、水稲玄米などの穀類の場合は、ヒ素蓄積が上昇する出穂前から出穂ご3週間の間が適切と考えられる。理論に束縛されることを望まないが、生殖成長期でも一定の効果があることから、生殖成長期から成熟期も好ましい。玄米などの穀類の場合は、開花後2週間に高温(30度以上)になると蓄積量が上がるとされている。また、開花前後とその時の気温に応じて適宜改変してもよい。果実などであれば、果実の肥大する時期になることから、生殖成長期に散布することが好ましくあり得る。
(蒸散抑制成分を利用する方法)
別の局面において、本開示は、植物体におけるヒ素などの重金属の蓄積を抑制する方法を提供する。さらに別の局面において、本開示は、植物体における作物可食部の収穫を改良する方法を提供する。代表的には、本開示の方法は、例えば、該植物体に蒸散抑制成分を適用する工程を含む。本開示の方法で用いられる蒸散抑制成分は、(蒸散抑制成分の用途)の項に含まれる任意の実施形態を採用することができることが理解される。1つの実施形態では、本開示は、そのまま使用しうる液(本明細書において希釈液ともいう。)として、直接、蒸散抑制成分を含む組成物が提供され、そのまま蒸散抑制成分を適用してもよい。あるいは、別の例示的な実施形態では、本開示において、蒸散抑制成分が濃縮液として提供される場合は、使用時または使用前に適宜の希釈媒体(例えば、水、有機溶媒(アルコールなど)、それらの混合物など)により希釈する工程を含んでいてもよい。
一つの実施形態では、蒸散抑制成分の適用は、任意の方法で行うことができる。例えば、製品袋からの手散布、手動スプレー式噴霧器、動力散布機や無人ヘリコプター、手振り散布等や動力噴霧器、ドローンを用いた機械散布、などを挙げることができる。
本開示の蒸散抑制成分は、使用時にあらかじめ植物種による散布次期の調整、適切な濃度を調査することが望ましい。
(製剤)
本開示の実施において、製剤は公知の方法、例えば、所望により乳化剤および分散剤を用いて、活性物質を溶媒および/または担体で希釈することにより製造される。好適な溶媒/補助剤は主として、水(水溶液、懸濁液などとして)が通常使用されるが、水以外に、芳香族溶媒(例えばソルベッソ(Solvesso)製品、キシレン)、アルコール類(例えばメタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例えばシクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン)、ピロリジノン類(NMP、NOP)、酢酸エステル類(二酢酸グリコール)、グリコール類、脂肪酸ジメチルアミド類、脂肪酸および脂肪酸エステルなども使用してもよい。原則的に、溶媒混合物も使用可能である。
本開示はまた、天然鉱物類(例えば、カオリン、粘土、タルク、白亜)および合成鉱物類(例えば、高分散シリカ、ケイ酸塩)等の担体を含めてもよい。これらは、特に環境中散布の際に好ましく使用され得る。
本開示はまた、リグニンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびジブチルナフタレンスルホン酸ならびに脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、スルホン酸アルキルアリール、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、硫酸脂肪族アルコール、脂肪酸および硫酸化脂肪族アルコールグリコールエーテル類、さらにはスルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノールもしくはノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、アルコールおよび脂肪族アルコール/エチレンオキサイド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンもしくはポリオキシプロピレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液、メチルセルロースおよびシロキサン類(例えば、ポリエーテル/ポリメチルシロキサンコポリマー)などの界面活性物質を用いてもよい。直接噴霧可能な液剤、乳濁液、ペーストまたはオイル分散液を製造する場合、不活性製剤補助剤は、本質的に、ケロセンまたはディーゼル油などの中ないし高沸点の鉱油留分、さらにはコールタール油、ならびに植物もしくは動物起源の油、脂肪族、環状および芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン類、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類またはそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール類、シクロヘキサノンおよびイソホロンなどのケトン類、強極性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンまたは水を含めてもよい。
粉剤、散布用材料および微粉剤は、活性物質を固体担体とともに混合または同時粉砕することで製造することができる。
粒剤、例えばコート粒剤、含浸粒剤および均一粒剤は、活性物質を固体担体に結合させることで製造することができる。
固体担体の例は、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アッタクレー(attaclay)、石灰岩、石灰、白亜、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの鉱物、粉砕合成材料、肥料(例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素)、および植物由来産物(穀物粗挽き粉、樹皮粗挽き粉、木材粗挽き粉およびナットシェル粗挽き粉等)、セルロース粉末ならびにその他の固体担体である。
一般に製剤は、本開示の蒸散抑制成分を、製剤の総重量に基づいて0.01から95重量%、好ましくは0.1から90重量%含む。あるいは、10~70%、10~50%等の任意の中間の範囲の数値範囲で用いられてもよい。パラフィン類では、10~50%程度で用いられることが多く(例えば、グリンナー(パラフィン10%以上、モイスチャー30%、アビオンC36%,ペタンV42%))、ホルモン剤は1~10%程度で用いられることが多い(例えば、ジャスモメート(PDJ5%))。ポリオキシエチレン樹脂エステルでは50~90%程度で用いられてもよい(例えば、KKスティッカー 70%)。
本開示において希釈水溶液用の製剤が使用される場合、例えば水溶性濃縮液、分散性濃縮液、乳化性濃縮液、乳濁液、懸濁液、水分散性および水溶性粒剤ならびに水分散性および水溶性粉剤が用いられ得る。直接施用用の製品(製剤)は例えば、微粉剤、粒剤およびULV液剤であってもよい。水系製剤は、水を加えることで濃縮溶液、乳濁濃縮液、懸濁液、ペースト、水和剤(噴霧用粉剤、オイル分散剤)または水分散性粒剤などの原液製剤から調製することができ、例えば噴霧によって施用することができる。
(栽培法)
本開示の組成物を用いて、イネなどの植物を栽培する場合、通常の栽培方法を用いることができる。例えば、栽培方法は、https://www.jeinou.com/benri/rice/index.html に記載される情報を参考にすることができる。(水稲栽培指針 新潟県農林水産部編. -- 新潟県農林水産部出版,2021.)
好ましくは、本開示の組成物は、イネなどの植物の栽培において、生殖成長期から成熟期に適用することが好ましい。あるいは、高温が予想される場合に施用することが好ましい。
好ましくは、本開示の組成物のうちワックス剤(パラフィン類)、セルロース剤は、イネなどの植物の栽培において、葉面裏側や穂に適用することが望ましい。
好ましくは、本開示の組成物は、イネなどの植物の栽培において、通常、噴霧施用を用いることが有利であるがこれに限定されない。植物種により散布次期や散布濃度を最適化することが望ましいが、当業者は、本明細書の記載をもとに適宜最適化しうる。
一つの局面において、本開示は、植物体に蒸散抑制成分を適用する工程を含む、植物の栽培方法を提供する。1つの実施形態では、本開示の蒸散抑制成分は、幼穂形成期から成熟期の間の任意の時点または栄養成長期で1回または複数回適用されてもよい。本開示の蒸散抑制成分を適用する対象が可食部を有する植物体である場合、本開示の蒸散抑制成分を、幼穂形成期から成熟期の間の任意の時点に適用することにより、植物体の可食部(例えば、種子)への重金属蓄積を抑制することが可能である。また、本開示の蒸散抑制成分を適用する対象が資材・資料として植物体全体またはその一部を利用する植物体である場合、本開示の蒸散抑制成分を、栄養成長期の時点に適用することにより、植物体全体またはその一部に重金属蓄積を抑制することが可能である。
イネを栽培する際に本開示の方法を用いることにより、本開示の方法を用いない場合と比較して、得られるコメの整粒率を向上させることができる。本明細書においては、「整粒」とは、被害粒、死米、未熟粒、異種穀粒および異物を除いた粒をいう。「整粒率」とは、得られるコメ全体に占める整粒の百分率をいい、この際の百分率は全量に対する重量比をいう。
(注記)
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、例示の目的のみに提供され、本開示はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。なお、記載の簡略化のために略語を使用することもあるが、これらの略号は前記記載と同義である。本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
必要な場合、以下の実施例で用いる生物の取り扱いは、日本国政府、または独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構において定める基準を遵守して行った。また、試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカー(SIGMA-ALDRICH,和光純薬、ナカライテクス、関東化学等)の同等品でも代用可能である。
(実施例1:ジャスモン酸類縁体(プロヒドロジャスモン(PDJ))のイネにおける効果)
本実施例では、イネにおけるプロヒドロジャスモン(PDJ)による玄米ヒ素蓄積抑制を確認した。
地球温暖化に起因する気候変動は農業分野おける重大な問題である。水稲においては、登熟期間の高温により、有害物質のひとつであるヒ素蓄積が穀粒で上昇することが報告されている。ヒ素蓄積の要因のひとつとして蒸散があり、ヒ素吸収・転流を誘導し、玄米における蓄積量が上昇すると考えられる。一方、植物ホルモンのひとつジャスモン酸が、アブシジン酸と協調的に気孔閉口を誘導することが知られている。そこで、本課題では、ジャスモン酸誘導体であるプロヒドロジャスモン(PDJ)のヒ素蓄積抑制効果を超多収品種北陸193号を用いて調査した。
(材料および方法)
中央農研・北陸研究拠点内圃場にて幼穂形成期の北陸193号20個体に各植物あたり12mL の2000倍希釈PDJ(最終濃度98.3μM)を噴霧処理し、慣行栽培により開花・結実、採種を行った。なお、PDJ原液の組成は、5重量%PDJ、33重量%イソプロパノールおよび30重量%ポリオキシエチレン(6)ソルビタンテトラオレエートからなっており、これを使用時に水で2000倍希釈して散布液を調製した。同時にコントロールとして、溶媒のみ(30%ポリオキシエチレン(6)ソルビタンテトラオレエート、33%イソプロパノール、および37%水)を2000倍希釈してコントロールの散布液を調製した。コントロールについてもPDJ試験区と同様に噴霧処理し、慣行栽培により開花・結実、採種を行った。PDJ処理とコントロールのそれぞれについて粉砕機(安井機器、マルチビーズショッカー、MB301)を用いて玄米を粉砕して米粉を得て、それぞれ0.5gの米粉を用いてICTMS(Micromass,Manchester,UK)により玄米中ヒ素濃度を調査した。また、調査に用いた玄米の品質調査は穀粒判別機(静岡精機、Virgo ES1000)を用いて行った。
(結果と考察)
1.玄米中ヒ素蓄積量
圃場中央部にあたる株を除いた3列・4株(n=12)の玄米中無機ヒ素量の数値を用いて統計解析したところ、玄米中ヒ素濃度の中央値は、PDJ処理ではコントロールに比較し約4.4%減少した。また、PDJ処理ではコントロールに比較して最大値・最小値共に減少した。
2.品質調査結果
ヒ素蓄積量調査に用いた12株から採種した玄米を用いて、品質調査を行ったところ、PDJ処理ではコントロールに比較し、整粒率が向上した。これは、未熟粒は同等であるが、被害粒が減少したことによる(表1)。
Figure 2022147576000001

表1は、株番号1-4の数値の基本統計量である。PDJ処理の結果とコントロールの結果とをDunnet 法により検定を行ったところ、整粒率は有意差があった(*p<0.05)(PDJ;PDJ処理;PDJ C;コントロール)。
玄米整粒率と無機ヒ素蓄積量との間に明確な相関は見られなかった。また、圃場中央部から採種した種子を含めて解析を行った場合でも、PDJ処理による整粒率の上昇は確認できた。
以上のことから、PDJ処理により、玄米品質の向上が確認でき、若干ではあるが、ヒ素蓄積抑制効果が確認できた。コメの品質とヒ素蓄積量とは関連があることから、ヒ素蓄積の減少がこの点でも確認された。玄米品質の向上は、被害粒の減少に依存すると考えられた。
(実施例2:グリンナーのイネにおける効果)
本実施例では、グリンナーによる玄米ヒ素蓄積抑制を確認した。
(方法および材料)
育苗培養土350gをいれた15cmポットにインディカ品種タカナリを移植し、常温条件27/25℃(昼/夜)もしくは、高温条件34/29℃(昼/夜)に設定した温室内/自然日長下で栽培を行った。出穂後2週間目から3週間目に0.05mg/L の亜ヒ酸を含む用水をポット当たり100mL 施用した。亜ヒ酸施用直前に水で10倍希釈したグリンナー希釈液を噴霧施用した。グリンナーは、展着性蒸散抑制成分でかつ固着性展着成分であるマイクロクリスタリンワックスを主成分とする植物用コーティング剤であり、グリンナー有限会社から市販されている。希釈液の施用量は各植物体あたり5mL を用い、7日毎に3回行った。20株から登熟した種子を採種し、玄米を粉砕、0.5g の米粉を用いてICTMS (Micromass,Manchester,UK) により玄米中ヒ素濃度を調査した。コントロールの植物体には希釈に用いた水道水を噴霧した。
(結果)
固着性展着成分でありかつ展着性蒸散抑制成分であるマイクロクリスタリンワックスを含む植物用コーティング剤(グリンナー)の希釈液を噴霧処理した場合、未処理に比較し、常温下・高温下ともに玄米ヒ素蓄積量が2割程度低下した。
(実施例3:水田での例(1))
水田圃場にて幼穂形成期から成熟期において、気象予測から最高気温が30℃を超える予報がある前日に水稲に株あたり12mL の2000倍希釈PDJ(最終濃度98.3μM)の噴霧処理を行う。必要に応じて数回行ってもよい。噴霧は手動スプレー噴霧器、動力型噴霧器、無人ヘリコプター、ドローン等を適切に選択して用いて行う。その結果、玄米中ヒ素濃度が減少することが予測される。
(実施例4:水田での例(2))
一般水田にて幼穂形成期から成熟期において、気象予測から最高気温が30℃を超える予報がある数週間前に2000倍希釈PDJ(最終濃度98.3μM)を水田に散布する。散布処理は手振り散布、動力型噴霧器、無人ヘリコプター、ドローン等を適切に選択して用いて行う。その結果、玄米中ヒ素濃度が減少することが予測される。
(実施例5:水田での例(3))
水田圃場にて幼穂形成期から成熟期において、気象予測から最高気温が30℃を超える予報がある前日に水稲に展着性蒸散抑制成分を希釈して噴霧処理を行う。必要に応じて数回行ってもよい。噴霧は手動スプレー噴霧器、動力型噴霧器、無人ヘリコプター、ドローン等を適切に選択して用いて行う。できるだけ葉面裏側、出穂後は穂全体に噴霧処理を行う。その結果、玄米中ヒ素濃度が減少することが予測される。
(実施例6:種々の剤形での例:液剤)
本実施例では、液剤での実施を記載する。
一般水田にて幼穂形成期から成熟期において、気象予測から最高気温が30℃を超える予報がある数週間前にPDJを環境中水田に散布する。散布処理は手振り散布、動力型噴霧器、無人ヘリコプター、ドローン等を適切に選択して用いて行う。出穂後は穂全体に噴霧処理を行う。その結果、玄米中ヒ素濃度が減少することが予測される。
(実施例7:種々の剤形での例:粉剤)
本実施例では、粉剤での実施を記載する。
一般水田にて幼穂形成期から成熟期において、気象予測から最高気温が30℃を超える予報がある数週間前にPDJを含む粒剤を植物の株元に散布する。散布処理は手振り散布、動力型散布器を適切に選択して用いて行う。その結果、玄米中ヒ素濃度が減少することが予測される。もしくは、土壌中に低濃度で施用することにより、栽培期間を通じて植物全体のヒ素濃度が減少することが予測される。
(実施例8:種々の剤形での例:ジャンボ剤)
本実施例では、ジャンボ剤での実施を記載する。
一般水田にて幼穂形成期から成熟期において、気象予測から最高気温が30℃を超える予報がある数週間前にPDJを含むジャンボ剤を投げ入れる。その結果、玄米中ヒ素濃度が減少することが予測される。もしくは、土壌中に低濃度で施用することにより、栽培段階を通じて植物全体のヒ素濃度が減少することが予測される。
(実施例9:遺伝子発現分析)
本実施例では、プロヒドロジャスモンでの処理による遺伝子発現解析を行った。
慣行栽培を行った一般栽培品種ヒノヒカリを幼穂分化期頃に1/5000a ワグネルポットに株上げし、出穂16日目に2,00倍希釈したPDJ(ジャスモメート、Meiji Seika ファルマ株式会社,日本)20mL を各ポットに噴霧処理した。
32/28℃(昼/夜)に設定した人工期初室内で1昼夜静置した頴花からtotalRNAを抽出し、RNAseq解析を行った。
対照植物として、溶媒の2,000倍希釈液を噴霧した植物を用いた。
RNASeq解析は以下の通りである。
PDJ処理後1昼夜静置した頴花からtotalRNAを抽出し、KAPA Stranded mRNA-Seq Kit(KAPABIOSYSTEMS)を用いてライブラリーを作成した。その際、PCRによる増幅を14サイクル行い、Fast Gene Adapter Kit(Fast Gene)のアダプターを使用した。Fragment Analyzer High Sensitivity NGS Fragment Analysis Kit(Advanced Analytical Technologies)を用いて、作製したライブラリーの品質確認を行い、NextSeq500を用いて2x76bpの条件でシーケンシングを行った。得られたリードは、Sickle(ver. 1.33)を用いてクオリティチェックを行い、値が20未満の塩基を取り除き、30塩基以下の断片長のリードとそのペアリードを破棄した。フィルタリングされたリードは、Hisat2(ver.2.1.0)を用いて参照配列(The Rice Annotation Project Database http://rapdb.dna.affrc.go.jp/download/irgsp1.html)にマッピングし、Samtools(ver.1.3)を用いてbamファイルを得た。遺伝子領域上にマッピングされたリード配列は、feature Counts(ver.1.5.0p3)を用いて、カウントした。iDEGES正規化法を用いて正規化した後、DESeqを用いて発現変動遺伝子を同定した。
用いたプライマーの配列は以下のとおりである。
(ライブラリー作成時に使用したプライマー配列)
(インデックスライゲーション)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAATGAAGCGTTGCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号1)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAACGTGCGATCCCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号2)
MGI Tech Co.,Ltd Tech. Support Centre Field Application Support Team
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAATCGGAAGGCACAACTCCTTGGCTCACA(配列番号3)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAACCGATGTCGCCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号4)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAAACTTAGAATGCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号5)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAATCCAAGCCTGCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号6)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAAAGACGATGATCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号7)
Ad153_5T_1-index/5Phos/AGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAAAGTCTCGTGTCAACTCCTTGGCTCACA(配列番号8)
Ad153Ω_Bottom_2:
TTGTCTTCCTAAGGAACGACATGGCTACGATCCGACTT(配列番号9)
(PCRによる増幅)
Ad153_PCR2_2:TGTGAGCCAAGGAGTTG(配列番号10)
Ad153_PCR2_1:/5Phos/GAACGACATGGCTACGA(配列番号11)

(シーケンス)
Read 1 sequencing primer:GCTCACAGAACGACATGGCTACGATCCGACTT(配列番号12)
Read 2 sequencing primer:TTGTCTTCCTAAGACCGCTTGGCCTCCGACTT(配列番号13)

(アダプター配列)
Read1 side:AAGTCGGAGGCCAAGCGGTCTTAGGAAGACAA(配列番号14)
Read2 side:AAGTCGGATCGTAGCCATGTCGTTCTGTGAGCCAAGGAGTTG(配列番号15)
結果は図2に示す。コントロールの重金属輸送タンパクの発現量を1として示す。
以上の結果から、重金属蓄積に関連する遺伝子産物が抑制されていることが示された。
(実施例10:パラフィン入り 肥料のイネにおける効果)
本実施例では、イネにおけるパラフィン入り肥料カルワックスによるフェーン害対策時の玄米ヒ素蓄積抑制を確認した。
(方法および材料)
ポット栽培を行ったジャポニカ品種コシヒカリの出穂後11-12日目の穂に、パラフィン入り肥料カルワックス(アビオン株式会社製、パラフィン15%)を、ポットあたり20mlを散布した。散布後24時間にわたってフェーン処理(温度32.8℃、湿度56.8%、風速7m/s、FTP56.8)を行い、26/24℃(昼/夜)の人工気象室で登熟させた。登熟後の種子を採種し、粉砕機(安井機器、マルチビーズショッカー、MB301)を用いて玄米を粉砕して米粉を得て、それぞれ0.5gの米粉を用いてICTMS(Micromass,Manchester,UK)により玄米中ヒ素濃度を調査した。コントロールとしてフェーン処理のみ行った玄米と未処理の玄米を用いた。
(結果と考察)
玄米中ヒ素蓄積量
パラフィン入り肥料散布及びフェーン処理区(n=9)、フェーン処理区(コントロール、n=9)の玄米中総ヒ素濃度を解析したところ、未処理区(n=2)に比較しフェーン処理区では、高濃度のヒ素が確認された。それぞれのヒ素濃度を用いて統計解析を行ったところ、コントロール(フェーン処理)に比較しパラフィン入り肥料カルワックス処理区では有意に中央値が約13%減少した。また、最大値・最小値も減少した(図3)。
(注記)
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本開示は、水稲等の植物の栽培技術に関する分野等においてその利用を見出すものであり、穀粒中ヒ素などの重金属の基準値が策定される局面において、特に利用可能性がある。
配列番号1:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号2:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号3:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号4:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号5:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号6:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号7:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号8:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号9:インデックスライゲーション用プライマー配列
配列番号10:PCR増幅用プライマー配列
配列番号11:PCR増幅用プライマー配列
配列番号12:シーケンス用プライマー配列
配列番号13:シーケンス用プライマー配列
配列番号14:アダプター配列
配列番号15:アダプター配列

Claims (27)

  1. 植物体またはその一部における重金属蓄積を抑制するための組成物であって、蒸散抑制成分を含む組成物。
  2. 植物体の作物可食部の収穫を改良するための組成物であって、蒸散抑制成分を含む組成物。
  3. 前記組成物は、溶液であり、該溶液の表面張力が72.8ダイン/cm以下である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記組成物は、溶液であり、該溶液の表面張力が45ダイン/cm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記蒸散抑制成分が、植物体展着性蒸散抑制成分または植物ホルモン作用性蒸散抑制成分である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記植物体展着性蒸散抑制成分が、固着性展着成分である、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記植物体展着性蒸散抑制成分が、アルカン系炭化水素、天然セルロースおよびポリオキシエチレン樹脂酸エステルからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
  8. 前記植物体展着性蒸散抑制成分が、パラフィン類である、請求項5に記載の組成物。
  9. 前記植物体展着性蒸散抑制成分が、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
  10. 前記植物体展着性蒸散抑制成分が、数平均分子量が約300以上約1000以下、または炭素数約15以上約60以下のアルカン系炭化水素である、請求項5に記載の組成物。
  11. 前記植物ホルモン作用性蒸散抑制成分が、アブシジン酸、ジャスモン酸、またはそれらの誘導体、あるいはこれらを誘導する成分(inducer)、および気孔開口調節成分からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
  12. 植物体散布用または環境中散布用である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 液剤、粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤、乳剤、顆粒水和剤、粉剤、マイクロカプセル剤、およびエアゾルからなる群から選択される剤形である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 前記重金属蓄積は、少なくとも前記植物体の葉および種子からなる群から選択される部分で抑制される、請求項1および3~13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記重金属が、ヒ素である、請求項1および3~14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 前記植物体が単子葉類である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記植物体が穀類である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 前記植物体がイネ科植物である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 前記植物体が水生植物である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
  20. 前記植物体が抽水植物または湿生植物である、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
  21. 前記植物体が水稲である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
  22. 植物体散布用である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
  23. 前記植物体の一部は種子を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
  24. 植物体またはその一部における重金属蓄積を抑制する方法であって、該植物体に蒸散抑制成分を適用する工程を含む、方法。
  25. 植物体の作物可食部の収穫を改良するための方法であって、該植物体に蒸散抑制成分を適用する工程を含む、方法。
  26. 前記植物体がイネであり、前記蒸散抑制成分が、イネの幼穂形成期から成熟期の間の任意の時点または栄養成長期で1回または複数回適用されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
  27. 前記蒸散抑制成分が、栄養成長期に1回または複数回適用されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
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