JP2022144420A - 発電システムの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械ブレーキと電気ブレーキとを備えた発電システムの制御装置において、消費電力を抑制しながら、回転体の過回転を抑制することである。
【解決手段】発電システムは、回転体と発電機とブレーキ回路とブレーキ装置と制御装置とを備える。制御装置は、ブレーキ回路とブレーキ装置とを制御する。制御装置は、回転体の回転速度が回転速度Lを上回ると、ブレーキ装置がブレーキ動作を開始するように制御する。回転体の回転速度が第1閾値下回った後、回転体の回転速度および回転体に発生するトルクに基づいて定められる切替条件が成立した場合、ブレーキ装置にブレーキ動作を停止させるとともにブレーキ回路を短絡させるように制御する。
【選択図】図6
【解決手段】発電システムは、回転体と発電機とブレーキ回路とブレーキ装置と制御装置とを備える。制御装置は、ブレーキ回路とブレーキ装置とを制御する。制御装置は、回転体の回転速度が回転速度Lを上回ると、ブレーキ装置がブレーキ動作を開始するように制御する。回転体の回転速度が第1閾値下回った後、回転体の回転速度および回転体に発生するトルクに基づいて定められる切替条件が成立した場合、ブレーキ装置にブレーキ動作を停止させるとともにブレーキ回路を短絡させるように制御する。
【選択図】図6
Description
本開示は、発電システムの制御装置に関し、特に電力消費を抑制する制御装置に関する。
特開2018-096236号公報(特許文献1)には、電気ブレーキ部と機械ブレーキ部とを備える風車制御装置が開示されている。電気ブレーキ部は、電気回路を短絡させる短絡制動により風車の回転力に逆らう力を生じさせるブレーキ(いわゆるショートブレーキ)動作を行う。また、機械ブレーキ部は、風車と連動する連動部材の少なくともいずれかを被作用部として作用する接触部材を備え、接触部材と被作用部との間の摩擦力によってブレーキ力を生じさせるブレーキ動作を行う。
特許文献1の風車制御装置では、風速が閾値以上になった際に、電気ブレーキ部にブレーキ動作を行わせ、その後、所定の切替条件が成立したことに応じて、電気ブレーキ部に加えて機械ブレーキ部にブレーキ動作を行わせることにより、ブレーキ時の衝撃を低減する。
電気ブレーキのブレーキ力の強さは風車の回転速度に比例するため、風車の回転速度によっては、電気ブレーキは、風車を制動するために十分なブレーキ力を発生させることができない場合がある。一方で、機械ブレーキは、風車の回転速度に依存することなく、電気ブレーキが発生させるブレーキ力よりも強いブレーキ力を発生させることができる。しかしながら、一般的に、機械ブレーキは、ブレーキ動作を行うために外部の電力供給が必要となる。このことは風車に限らず、水力発電においても言える。
特許文献1の風車制御装置では、電気ブレーキを駆動させた後に、機械ブレーキに切り替える。これにより、風車を停止させた後、機械ブレーキを駆動させ続けることにより、風車が停止する状態を保持している。機械ブレーキの特性上、無風の状態で風車が完全に停止している状態においても、機械ブレーキにおいては、駆動するために電力が消費される。特許文献1の風車制御装置では、機械ブレーキの駆動時間が長くなる場合、機械ブレーキの電力消費が増大し得る。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、機械ブレーキと電気ブレーキとを備えた発電システムの制御装置において、消費電力を抑制しながら、回転体の過回転を抑制することである。
本開示に係る制御装置は、供給対象に電力を供給する発電システムを制御するための制御装置である。発電システムは、回転体と、発電機と、ブレーキ回路と、ブレーキ装置と、制御装置とを備える。発電機は、回転体によって回転され、三相の交流電力を発生させる。ブレーキ回路は、発電機に接続され、相間を短絡することにより回転体に対してブレーキ力を発生させる。ブレーキ装置は、摩擦力によって回転体に対してブレーキ力を発生させる。制御装置は、ブレーキ回路およびブレーキ装置を制御する。制御装置は、回転体の回転速度が第1閾値を上回ると、ブレーキ装置によりブレーキ動作を開始するように制御し、回転体の回転速度が第1閾値を下回った後、回転体の回転速度および回転体に発生するトルクに基づいて定められる切替条件が成立した場合、ブレーキ装置にブレーキ動作を停止させるとともにブレーキ回路によるブレーキ動作を実行する。
本開示による発電システムの制御装置は、回転体の回転速度が第1閾値を超えて過大になると機械ブレーキを動作させて回転体を減速し、電気ブレーキでも減速が可能な状態になると、機械ブレーキから電力消費の少ない電気ブレーキに切り替える。これにより、消費電力を抑制しながら、回転体の過回転を抑制することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1における風力発電システム100の構成を示す概略図である。風力発電システム100は、水平軸型(プロペラ型)風力発電システムの一例である。図1に示されるように、風力発電システム100は、風車1と、発電機3と、制御装置5とを備える。本実施の形態の発電システムを水力発電に適用する場合、風車1に代えて水車を備える。
図1は、実施の形態1における風力発電システム100の構成を示す概略図である。風力発電システム100は、水平軸型(プロペラ型)風力発電システムの一例である。図1に示されるように、風力発電システム100は、風車1と、発電機3と、制御装置5とを備える。本実施の形態の発電システムを水力発電に適用する場合、風車1に代えて水車を備える。
風車1は、主軸2を含む。発電機3は、永久磁石を使用した三相同期発電機を含む。実施の形態1における発電機3は、鉄芯に巻回されたコイルを用いて発電する。すなわち、発電機3のステータ基体を磁性体とし、当該磁性体にコイルを巻いた構造である。以下では、磁性体にコイルを巻いた構造をコア構造と称する。なお、発電機3は、非磁性体からなるコアレス構造であってもよい。コアレス構造とは、発電機3のステータ基体の周方向に1個ないし複数個のコイルが集中巻きで配置される構造である。
発電機3は、主軸2にカップリング等で締結されている。必要に応じて、主軸2と発電機3との間に増速機が設けられてもよい。風の運動エネルギーにより風車1が回転され、主軸2が発電機3を回転させる。発電機3は、回転動作によって発生した発電電力を三相(U相、V相、およびW相)の電力として電力線Pu、電力線Pv、および電力線Pwにそれぞれ出力する。風力発電システム100においては、発電機3には、ブレーキ回路4を介して制御装置5が接続されている。制御装置5は、三相の電力を電力線Pu,Pv,Pwからそれぞれ受ける。制御装置5は、受けた三相の電力を制御する。三相の電力は、制御装置5によって直流電力あるいは周波数の異なる交流電力に変換された後、供給対象6に供給される。供給対象6は、たとえば、バッテリーまたは系統電源などである。
ブレーキ回路4は、スイッチSw1と、スイッチSw2と、スイッチSw3と、抵抗R1と、抵抗R2と、抵抗R3とを含む。スイッチSw1および抵抗R1は、電力線Puと電力線Pvとの間に直列に接続されている。スイッチSw2および抵抗R2は、電力線Pvと電力線Pwとの間に直列に接続されている。スイッチSw3および抵抗R3は、電力線Pwと電力線Puとの間に直列に接続されている。
制御装置5は、ブレーキ回路4のスイッチSw1~Sw3を短絡させることにより、電気的にブレーキ力を発生させて風車1の回転速度を減速させる。すなわち、ブレーキ回路4によって発電機3の相間を短絡することにより、発電機3の電機子に電流が流れる。これによる電磁誘導により、電機子が回転する方向と逆の方向に作用するブレーキ力が生じる。
図2は、風力発電システム100の機能を説明するためのブロック図である。制御装置5は、電力変換部51と、制御部52とを含む。電力変換部51は、電力線Pu,Pv,Pwから受ける電力を供給対象6に供給するための形式に変換する。電力変換部51は、たとえば、インバータおよびAC(Alternate Current)/DC(Direct Current)コンバータを含む。風力発電システム100では、電力線Pu,Pv,Pwから受ける電力を用いて、供給対象6に発電電力が供給される。
電力変換部51は、内部センサ部InSを含む。内部センサ部InSは、電圧センサVSと電流センサISとを含む。電圧センサVSは、発電機3の発電電圧を検出する。電流センサISは、電力変換部51内の回路を流れる電流を検出する。内部センサ部InSは、供給対象6の充電量を検出してもよい。
制御部52は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。制御部52は、電気ブレーキ制御部EBと、機械ブレーキ制御部MBと、状態監視部53とを含む。図1において説明したように、風力発電システム100では、ブレーキ回路4を短絡させることにより、風車1の回転に対してブレーキ力を発生させる。すなわち、ブレーキ回路4のスイッチSw1~Sw3が電気ブレーキ制御部EBによって閉じられることで、風車1の回転に対するブレーキ力が発生する。以下では、電気ブレーキ制御部EBからの制御信号によってブレーキ回路内のスイッチを短絡させることを、「電気ブレーキが駆動する」と称する。電気ブレーキ制御部EBによって制御される電気ブレーキの特性は、後述にて説明するように、発電機3の構造がコア構造であるかコアレス構造であるかによって異なる。
機械ブレーキ制御部MBは、風車1に含まれるブレーキ装置7を制御する。ブレーキ装置7は、たとえば、ドラムブレーキ、またはディスクブレーキなどであり、ブレーキシューまたはブレーキパッドなどの摩擦材71を有する。摩擦材71が回転する風車と連動する部材と接触することにより摩擦力が発生する。これにより、風車1に対してブレーキ力が発生する。以下では、機械ブレーキ制御部MBが風車1と連動する部材と摩擦材71とを接触させるようにブレーキ装置を制御することを、「機械ブレーキが駆動する」と称する。機械ブレーキ制御部MBが摩擦材71を動作させ機構は、電磁式、または油圧、空気圧を用いる流体式などが採用され得る。
状態監視部53は、外部センサ部ExSと接続されている。外部センサ部ExSは、回転計11と、トルクメーター12と、風速計13とを含む。回転計11およびトルクメーター12は、風車1に関する情報を検出する。回転計11は、風車1の回転速度を検出する。トルクメーター12は、風車1に発生しているトルクを検出する。風速計13は、風車1が設置されている場所の風速を検出する。
図3は、マップ制御を説明するための図である。図3における横軸は風車1の回転速度を示し、図3における縦軸は発電機3の出力値(発電電力)を示す。発電機3の出力値は、電流の大きさに応じて変化する。マップ制御においては、電力変換時のデューティ比などを、回転速度に応じて予め定められたデューティ比に調整することにより、発電機3の出力値を制御する。これにより、ある回転速度に対して、発電機3の出力値を一意に定めることができる。たとえば、風車1の回転速度が回転速度Lであるとき、発電機3が出力する出力値は出力値Mとなる。ここで、回転速度Lとは、カットアウトが実行される予め定められた回転速度である。
すなわち、回転速度が回転速度Lを上回ったとき、制御装置5は、カットアウトを実行する。カットアウトとは、風車1が過回転して機械的な許容範囲を超えることによって風車1が故障することを防止するために風車1の回転を制動させるための機械的保護機能である。すなわち、回転速度Lを上回る速度で風車1が回転すれば、風車1が過剰に回転して、風車1の機械的信頼性が低下する。そのため、風力発電システム100では、風車1の回転速度が、回転速度Lを上回ると、風車1に対してブレーキ力を発生させて減速させる。すなわち、カットアウトが実行される回転速度Lは、風車1の回転速度が風車1の機械的仕様から定まる許容回転速度となる回転速度である。もしくは、回転速度Lは、許容回転速度から余裕を持つように、許容回転速度よりも遅い回転速度であってもよい。また、カットアウトが実行されるタイミングは、機械的信頼性のみならず、電気回路保護の観点から定められてもよい。たとえば、電力変換部51には、発電電圧の許容範囲が定められている。電力変換部51に当該許容範囲を超えた発電電圧がかかれば、故障が発生し得る。したがって、出力値Mの値が電力変換部51の許容範囲か否かに応じてカットアウトを実行する回転速度を定めてもよい。
図4は、機械ブレーキおよび電気ブレーキの特性を比較するための図である。図4における横軸は風車1の回転速度を示し、図4における縦軸は各ブレーキが発生させるブレーキ力を示す。ブレーキ力の大きさは、トルクとして表わされる。
線L1は、機械ブレーキのブレーキ力を示す。機械ブレーキのブレーキ力は、風車1の回転速度に依存せず、一定のトルクTbのブレーキ力が風車1に作用する。線L2は、発電機3がコア構造である場合の電気ブレーキのブレーキ力を示す。線L3は、発電機3がコアレス構造である場合の電気ブレーキのブレーキ力を示す。発電機3がコアレス構造である場合、電気ブレーキのブレーキ力は、図4に示されるように、回転速度に比例する。すなわち、回転速度が速いほど、電気ブレーキのブレーキ力は強まる。
発電機3がコア構造である場合、電気ブレーキのブレーキ力は、内部抵抗値に対してインダクタ値が大きく、回転数(周波数)に依存してリアクタンス成分が増加するのでトルクの飽和現象が発生するため、図4に示されるように回転速度Aのときに最大トルクであるトルクTaとなる。すなわち、回転速度Aは、ブレーキ回路4によるブレーキ力が最大となる回転速度である。領域D1は、図4において飽和が発生する回転速度Aよりも速い回転速度の領域を示す。領域D2は、図4においてトルクの飽和が発生する回転速度Aよりも遅い回転速度の領域を示す。
このように、発電機3がコア構造である場合は飽和が発生し、コアレス構造である場合は、トルクの飽和が発生しにくい。また、機械ブレーキと電気ブレーキに関して、上述の通り、機械ブレーキは、外部の消費電力が必要となるが、図4に示すように強いブレーキ力を発生させることができる。一方で、電気ブレーキでは、外部の消費電力を必要としないが、図4に示すように機械ブレーキと比較すれば、発生させることができるブレーキ力は弱くなる。
図5は、風により発生する風車1のトルクを示す図である。図5における横軸は風車1の回転速度を示し、図5における縦軸は風車1に発生するトルクを示す。図5に示すように、一般的な風車の特性として、発生するトルクは所定の回転速度でピークに達する。すなわち、図5に示されるように回転速度Xであるときに、最大トルクTYが風車1に発生する。
すなわち、風車1の回転速度が回転速度Xよりも遅いほど、風車1を制動させるために必要なブレーキトルクが減少する。たとえば、風車1が停止状態に近い回転速度では、風車1を制動させるためにブレーキトルクはほとんど必要がない。そのため、停止状態に近い回転速度において、図4に示すようにブレーキ力の強い機械ブレーキを駆動することは、必要以上のブレーキトルクを作用させることとなり、必要以上の電力を消費することとなる。
図6は、実施の形態1におけるカットアウト後に風車1の制動処理を実行するフローチャートである。制御装置5は、風車1の回転速度が予め定められた回転速度Lを上回ったか否かを判断する(ステップS1)。回転速度Lとは、カットアウトが実行される回転速度である。風車1の回転速度が回転速度Lを上回っている状態とは、たとえば、暴風および強風などが発生し、風車1が過剰に回転し得る状態である。風車1の回転速度が回転速度L未満の場合(ステップS1でNO)、制御装置5は、ステップS1の処理を繰り返す。すなわち、暴風および強風などが発生していないとして、風力発電システム100は、通常の発電制御を実行する。
風車1の回転速度が回転速度Lを上回った場合(ステップS1でYES)、制御装置5は、機械ブレーキを駆動させる(ステップS2)。すなわち、制御装置5は、ブレーキ装置7を制御してブレーキ動作を開始する。ブレーキ装置7は、回転速度Lで回転する風車1の回転速度を減速させることに十分なブレーキ力を発生することができるように構成されている。これにより、風車1の回転速度は、少なくとも回転速度Lよりも遅い速度となる。機械ブレーキを駆動した後、制御装置5は、切替条件が成立したか否かを判断する(ステップS3)。
切替条件は、電気ブレーキによって十分に風車1を制動させることができるか否かを判断するための条件である。実施の形態1において、制御装置5は、風車1の回転速度が図4に示す回転速度Aとなったときであって、トルクメーター12が検出するトルクが予め定められた基準トルク以下であるときに切替条件が成立したと判断する。すなわち、切替条件は、風車1の回転速度および風車1に発生するトルクに基づいて定められる。実施の形態1における発電機3はコア構造を有する発電機であるため、電気ブレーキのブレーキ力と回転速度との関係は、図4における線L2に示される。線L2が示すように、回転速度Aは、発電機3がコア構造の場合にブレーキ力が最大となる回転速度である。実施の形態1における風力発電システム100では、機械ブレーキから電気ブレーキに切り替えるタイミングを、電気ブレーキのブレーキ力が最大となるタイミングとすることにより、切替条件が成立するタイミングを早くすることができる。これにより、機械ブレーキの駆動時間を短くすることができ、電力消費を抑制することができる。さらに、ステップS2において、機械ブレーキが駆動するため、制御装置5は、風車1の回転速度を、風車1の機械的信頼性または電力変換部51の信頼性が低下し得る回転速度Lから低下させることができる。
また、切替条件は、風車1の回転速度および風車1に発生するトルク以外の条件に基づいて定められてもよい。たとえば、切替条件は、機械ブレーキを駆動が開始したときから基準期間が経過したという条件、風速計13が検出する風速が基準風速より低下したという条件、発電機3の電機子コイルに流れる電流が基準電流より低下したという条件、および発電電圧が基準電圧より低下したという条件の少なくとも1つを含む。基準トルク、基準期間、基準風速、基準電流、および基準電圧は、実機実験あるいはシミュレーションによって適宜決定することができる。切替条件は、トルクを用いず、回転速度のみに基づいて定められてもよい。トルクを用いない場合、切替条件は、たとえば、風車1の回転が完全に停止したことでもよい。
制御装置5は、切替条件が不成立である場合(ステップS3でNO)、ステップS3の処理を繰り返す。制御装置5は、切替条件が成立する場合(ステップS3でYES)、機械ブレーキの駆動を停止し、かつ、電気ブレーキを駆動する(ステップS4)。制御装置5は、電気ブレーキを駆動した後、風速計13が計測する風速が下限値を下回るか否かを判断する(ステップS5)。下限値とは、たとえば、風車1が設置された環境が暴風および強風状態ではなくなったことを示す風速であり、予め定められる風速である。風速が下限値以上である場合(ステップS5でNO)、制御装置5は、処理を繰り返す。すなわち、電気ブレーキが駆動された状態を保持する。風速が下限値を下回った場合(ステップS5でYES)、制御装置5は、電気ブレーキの駆動を停止し(ステップS6)、処理を終了する。すなわち、風力発電システム100は、通常の発電制御を再開して、供給対象6に電力を供給する。
このように、実施の形態1における風力発電システム100では、風車1の回転速度が、回転速度Lを上回ると、機械ブレーキが駆動する。これにより、機械ブレーキによって強いブレーキ力を発生させて、風車1の回転速度を許容回転速度以下に減速させることができる。
また、風車1の回転速度が十分に減速させて電気ブレーキへの切替条件が成立すると、機械ブレーキの駆動を停止し、電気ブレーキに切り替えることができる。これにより、風力発電システム100では、機械ブレーキの駆動時間を短くすることができ、機械ブレーキを駆動させるための電力消費を抑制しながら、風車1の過回転を抑制することである。
[実施の形態2]
実施の形態1の風力発電システム100においては、強いブレーキ力が必要なタイミングで機械ブレーキを駆動させる制御について説明した。実施の形態2においては、強いブレーキ力が必要な状態において、機械ブレーキに加えて電気ブレーキを駆動して、早期の減速をする制御について説明する。なお、実施の形態2の風力発電システム100において、実施の形態1の風力発電システム100と重複する構成の説明については繰り返さない。
実施の形態1の風力発電システム100においては、強いブレーキ力が必要なタイミングで機械ブレーキを駆動させる制御について説明した。実施の形態2においては、強いブレーキ力が必要な状態において、機械ブレーキに加えて電気ブレーキを駆動して、早期の減速をする制御について説明する。なお、実施の形態2の風力発電システム100において、実施の形態1の風力発電システム100と重複する構成の説明については繰り返さない。
図7は、実施の形態2におけるカットアウト後に風車1の制動処理を実行するフローチャートである。実施の形態2では、制御装置5は、図6に示すフローチャートにおけるステップS2,ステップS4の代わりに図7のステップS2a,S4aをそれぞれ実行する。
回転速度が回転速度Lを上回った場合(ステップS1でYES)、制御装置5は、機械ブレーキおよび電気ブレーキの両方を駆動させる(ステップS2a)。これにより、機械ブレーキのみを駆動させる場合と比較して、より強いブレーキ力を発生させることができ、切替条件の成立タイミングを早めることができる。すなわち、機械ブレーキの駆動時間をさらに短くすることができる。また、切替条件が成立した場合(ステップS3でYES)、制御装置5は、機械ブレーキの駆動を停止する(ステップS4a)。これにより、実施の形態2における風力発電システム100において、切替条件が成立後、電気ブレーキのみを駆動している状態に制御することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本制御装置は風力発電システムへの適用例を示したが、水力発電システムへの適用も可能である。
1 風車、2 主軸、3 発電機、4 ブレーキ回路、5 制御装置、6 供給対象、11 回転計、12 トルクメーター、13 風速計、51 電力変換部、52 制御部、53 状態監視部、100 風力発電システム、A,L,X 回転速度、D1,D2 領域、EB 電気ブレーキ制御部、ExS 外部センサ部、IS 電流センサ、InS 内部センサ部、L1~L3 線、Pu,Pv,Pw 電力線、R1~R3 抵抗、Sw1~Sw3 スイッチ、TY,Ta,Tb トルク、VS 電圧センサ。
Claims (3)
- 供給対象に電力を供給する発電システムの制御装置であって、
前記発電システムは、
回転体と、
前記回転体によって回転され、三相の交流電力を発生させる発電機と、
前記発電機に接続され、相間を短絡することにより前記回転体に対してブレーキ力を発生させるように構成されるブレーキ回路と、
摩擦力によって前記回転体に対してブレーキ力を発生させるブレーキ装置と、
前記ブレーキ回路および前記ブレーキ装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記回転体の回転速度が第1閾値を上回ると、前記ブレーキ装置がブレーキ動作を開始するように前記ブレーキ装置を制御し、
前記回転体の回転速度が前記第1閾値を下回った後、前記回転体の回転速度および前記回転体に発生するトルクに基づいて定められる切替条件が成立した場合、前記ブレーキ装置にブレーキ動作を停止させるとともに前記ブレーキ回路によるブレーキ動作を実行する、制御装置。 - 前記回転体は、風によって回転し、
前記切替条件は、前記ブレーキ装置がブレーキ動作を開始した後の基準期間が経過したという条件、および風速が基準風速より低下したという条件のうち少なくとも1つの条件をさらに含む、請求項1に記載の制御装置。 - 前記発電機は、鉄芯と、前記鉄芯に巻回されたコイルとを含み、
前記切替条件は、前記回転体の回転速度が前記第1閾値よりも低い第2閾値より低下したという条件を含み、
前記第2閾値は、前記ブレーキ回路を短絡させることによるブレーキ力が最大となる回転速度である、請求項1または請求項2に記載の制御装置。
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