以下の詳細な説明では、例示的な実施形態が、添付図面を参照して、説明される。ここでは特定の実施形態を含むことになるが、本開示を限定又は制限するものと解釈されるべきではない。また、実施形態を記載する際、例えば、特徴、動作、及び/又は構造に対して特有な用語が使用される場合があるが、本開示の請求項の範囲は、これら特徴、動作、及び/又は構造に制限されるものではない。当業者であれば、改良を含む他の実施形態は、本開示の精神及び範囲内にあることは理解できよう。さらに、他の実施形態として挙げられている任意のものを含む任意の代替物又は追加物が、本明細書に記載された他の任意の実施形態と共に使用されても又は組み込まれてもよい。
本開示の実施形態は、一般に、細胞増殖システム(CES)における細胞の増殖のためのシステム及び方法に関する。実施形態によれば、そのような増殖は、バイオリアクター又は細胞成長チャンバーの使用を通じて行われる。一実施形態では、そのようなバイオリアクター又は細胞成長チャンバーは、中空糸膜を含む。そのような中空糸膜は、複数の中空糸膜を含み、毛細管外側(EC)空間及び毛細管内側(IC)空間を含む。実施形態では、細胞増殖システムにおいて、接着細胞又は非接着細胞が成長又は増殖される。例えば、非接着細胞又は懸濁細胞(例えばT細胞やTリンパ球)がシステム内で増殖される。実施形態では、T細胞の1又は複数の亜集団又はサブセットが成長される。例えば、実施形態では、エフェクターT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞及び/又は制御性T細胞(Treg)(例えば、ヒト制御性T細胞(hTreg))を増殖するための方法及びシステムが提供される。
実施形態では、閉鎖系自動細胞増殖システムにおいて細胞を増殖させるための方法及びシステムが提供される。一実施形態では、そのような細胞増殖システムは、バイオリアクター又は細胞成長チャンバーを含む。さらなる実施形態では、そのようなバイオリアクター又は細胞成長チャンバーは、中空糸膜を含む。そのようなシステムの能力(例えば、栄養供給及びガス交換機能)により、細胞播種密度を低くして細胞を播種することができる。実施形態では、成長する細胞への栄養素及びガスの効率的な交換のために、細胞がバイオリアクター内の所与の位置に投入又は導入されるように、細胞成長環境のパラメータが調整される。例えば、細胞をバイオリアクター内に集中させることによって、細胞密度が増加する。
実施形態では、非接着細胞集団(例えばTreg細胞等のT細胞)は中空糸バイオリアクターに導入又は投入される。ここで、中空糸バイオリアクターは複数の中空糸を含むことができる。実施形態では、中空糸バイオリアクター内の細胞の増殖を活性化するために、細胞は、アクチベーターに曝露される。一実施形態では、例えば、「循環せずに中央に細胞を投入する」タスクを使用して、複数の細胞が細胞増殖システムに導入される。例示的な実施形態によれば、そのようなタスクは、0日目及び4~8日目に実行される。他の実施形態では、他の日に実行されてもよい。実施形態では、そのような細胞の投入タスクは、バイオリアクター内の細胞の集中化をもたらし、細胞密度を増加させる。他の実施形態では、細胞密度を増加させるために、細胞をバイオリアクターの他の部分又は領域に配置してもよい。実施形態では、バイオリアクターの第1の位置(例えば中央領域)に細胞を配置することにより、細胞は栄養素とガスの効率的な交換を受けることができる。
実施形態では、静置培養法で使用される細胞の数と比較して、比較的少数の初期細胞を播種する。実施形態では、細胞増殖システムを使用して、細胞(例えば、T細胞)は、約100×106未満、約90×106未満、約80×106未満、約70×106未満、約60×106未満、約50×106未満、約40×106未満、約30×106未満、又はさらには約20×106未満の初期細胞数から増殖される。他の実施形態では、細胞の初期数は、約80×105よりも多い、又は約90×105よりも多い、又は約10×106よりも多い、又はさらには約20×106よりも多い。いくつかの実施形態では、最初に播種される細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)を含む。細胞は、ある量の末梢血又は白血球アフェレーシス製剤から単離される。これらの実施形態では、細胞の初期数は、ある量の末梢血から単離されたPBMCの数を指す。実施形態では、例えば、培養環境への栄養素の送達におけるシステムの全体的な効率のために、より低い初期細胞播種数を使用することができる。他の実施形態では、培養環境に栄養素を送達するシステムの全体的な効率と組み合わせて増殖中に使用される1又は複数のステップにより、より少ない初期細胞播種数を使用できる。他の実施形態では、約1×106~約500×106の細胞を播種することができる。
実施形態では、静的培養法で使用される細胞播種密度と比較して、低い細胞播種密度を使用することができる。細胞増殖システムを使用する実施形態では、細胞(例えば、Treg又はTreg細胞)は、約2.54×105細胞数/mLから約3.69×105細胞数/mLの細胞播種密度で、増殖することができる。他の実施形態では、細胞播種密度は、約1×106細胞数/mL未満である。さらに、Treg細胞接種材料は、約1.0×105細胞数/mLの細胞播種密度から調製することができる。他の方法(例えば、静的Treg細胞培養法)では、インビトロ増殖では、約1.0×106Treg細胞数/mLの細胞播種密度が使用される。一実施形態では、例えば、培養環境への栄養素の送達におけるシステム全体の効率のために、より低い細胞播種密度を使用することができる。他の実施形態では、培養環境への栄養素の送達におけるシステムの全体的な効率と組み合わせて、増殖中に使用される1又は複数のステップにより、より低い初期細胞播種密度の使用が可能になる。
実施形態において、自動化された細胞(例えば、TregのようなT細胞)の増殖は、活性化因子複合体を用いて実施される。いくつかの実施形態では、例えば、細胞刺激用ビーズが使用される。抗体で機能化できるビーズが使用される。抗体はT細胞の増殖を活性化する。使用され得るビーズの一例として、マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)から入手可能なDYNABEADS(登録商標)のビーズが挙げられる。いくつかの実施形態におけるビーズは、それらの表面上の抗体で機能化される。抗体のいくつかの非限定的な例としては、抗CD2、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD28、抗CD34、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ある実施形態では、ビーズは、100IU/mLのサイトカインIL-2の存在下で使用される。他の実施形態では、ビーズベースの刺激を使用せずに、細胞(例えばTreg細胞のようなT細胞)を増殖させる。一実施形態において、細胞増殖は、Stem Cell Technologies可溶性ImmunoCult(商標)ヒトCD3/CD28/CD2 T細胞アクチベーターを使用して、自動化細胞増殖システムで、200IU/mLのサイトカインIL-2の存在下で、Treg細胞を活性化及び増殖させる。例えば、可溶性活性化因子複合体を使用すると、ビーズベースのプロトコルのコストよりも刺激のためのコストを削減できる。他の実施形態では、他のタイプのアクチベーターが使用されてもよい。さらに、他の実施形態では、他のタイプのサイトカイン又は他の成長因子を使用してもよい。
実施形態ではまた、バイオリアクター又は細胞成長チャンバー内の細胞滞留を制御するために、システムパラメータが調整又は管理される。例えば、細胞成長期中にバイオリアクター中空糸内の細胞滞留を制御することにより、システムは、増殖する細胞への効率的なガス及び栄養交換を提供し得る。実施形態では、バイオリアクターは、成長細胞に対して、ガス交換、及びいくつかの実施形態では、栄養素交換を行えるように設計されてもよい。例示的な実施形態において、半透過性中空糸膜を有するバイオリアクターでは、半透過性中空糸膜を通してガス及び栄養交換が行われる。実施形態では、成長細胞に、膜を通過できない培地成分(例えば種々のサイトカインやタンパク質等)を提供する方法は、細胞が成長しているバイオリアクターの側(例えば、毛細管内側(IC側))への流体入口を使用してもよい。しかしながら、実施形態によれば、低い、減らされた、又は減少された(例えば最小の)入口流量(例えば0.1mL/min)では、バイオリアクターの出口ヘッダーに細胞が集まる可能性がある。バイオリアクターのヘッダーに存在する細胞は、適切なガス交換と栄養交換を受けられず、細胞死と凝集を引き起こす可能性がある。
実施形態は、入口(例えば、IC入口)の流れを使用して細胞をフィーディングするときに、バイオリアクター内に、細胞(例えば、非接着細胞集団)を保持する方法を提供することに関する。本明細書の実施形態では、フィーディング時に細胞は膜のIC側にあるが、例えば、他の実施形態では、細胞が膜のEC側にあってもよい。実施形態によれば、細胞は、第1の循環路内及び/又は第2の循環路内に含まれてよい。実施形態では、フィーディング方法は、第1の体積の流体(例えば培地又は細胞成長用培地)を、第1の体積流量、体積流量、流体流量、流量、流体流の流量、又は体積速度で、バイオリアクターの第1のポートにポンピングする。例えば、体積流量、流体流量、流量、流体流の流量、又は体積速度の用語は、交換可能に使用される。いくつかの実施形態では、流量は、速度と方向の両方を有するベクトルである。第2の体積の流体は、第2の体積流量、体積流量、流体流量、流量、流体流の流量、又は体積速度で、バイオリアクターの第2のポートにポンピングされる。実施形態では、そのような体積流量、流体流量、流量、流体流の流量、又は体積速度は、1又は複数のポンプ速度及び/又はポンプ流量によって制御される。例えば、ポンプ流量は、ポンプが作用する流体の体積流量又は流量を生成、引き起こし、又は流量に影響を及ぼす。本明細書で使用されるように、ポンプ速度すなわちポンプ流量は、実施形態において、ポンプによって生成され、又は引き起こされ、又は影響が与えられる体積流量又は流体流量として記載される。
実施形態において、バイオリアクターへの流体の第2の流量は、バイオリアクターへの流体の第1の流量の方向と反対である。例えば、図5B及び図5Cは、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムで使用される流量及び流れ方向を示す例示的な動作構成を示す。実施形態では、細胞増殖システムポンプ(例えばICポンプ)を使用して、バイオリアクター内の細胞滞留を制御することができる。実施形態において、細胞は、例えば、成長の増殖期の間に、バイオリアクターから失われ、IC循環路又はICループに入る。実施形態では、例えば、IC入口ポートの近くに位置するバイオリアクター内の細胞は、最も新鮮な成長培地を受け取り、一方、例えば、バイオリアクターの外側のIC循環路の部分にある細胞は、解糖代謝に影響を与える消費培地又は馴化培地を基本的に受け取っている。さらに、実施形態によれば、バイオリアクター内の細胞は、ECループ循環からの拡散によりガス移送モジュール(GTM)から混合ガス(O2、CO2、N2)の入力を受け取るが、バイオリアクター外のIC循環路の部分の細胞は、受け取らない。
実施形態では、中空糸膜(HFM)バイオリアクターからの細胞の損失を減らすことは、フィーディング中にIC循環ポンプ流量を、方向は反対であるが、IC入口ポンプ流量にマッチングさせるか、或いは略又は実質的にマッチングさせることにより、達成することができる。例えば、実施形態では、細胞培養の成長期中(例えば、4日目~7日目)にバイオリアクター内に細胞を維持するために、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量を、相補的なIC循環ポンプ流量-0.1mL/minにマッチングさせるか或いは略マッチングさせる。このポンプ調整は、実施形態によれば、IC出口ポートからの細胞の損失に関連する力を打ち消す。他の実施形態では、他のポンプ流量が使用されてもよい。例えば、他の実施形態では、ポンプ流量は異なってもよい。実施形態では、他のポンプ又は追加のポンプを使用してもよい。一実施形態では、より少ないポンプを使用してもよい。さらに、他の実施形態では、他の期間が使用されてもよい。
実施形態では、細胞集団の代謝活性はフィーディングパラメータに影響を及ぼし得る。例えば、細胞培養乳酸値は、事前に定義されたレベル以下に維持される。一実施形態では、細胞培養乳酸値は、例えば、約7mmol/L以下に維持される。他の実施形態では、細胞培養乳酸値は、約30mmol/L以下、約25mmol/L以下、約20mmol/L以下、約15mmol/L以下、又はさらに約10mmol/L以下であってもよい。実施形態では、細胞増殖システムのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、培地の添加流量を制御することにより、細胞(例えば、制御性T細胞等のT細胞)の増殖中に、解糖からの乳酸代謝老廃物を所定の値以下に維持することができる。他の実施形態では、例えば、培地の添加流量及び/又は他の設定を制御して、例えば細胞増殖及び生存率を改善するために、約5mmol/L以下の乳酸レベルを維持するか、或いは維持しようとする試みが行われる。他の実施形態では、他の濃度が使用されてもよい。
追加の実施形態では、細胞成長の増殖期中に形成される細胞コロニー、マイクロコロニー、又は細胞クラスターをせん断するために、いくつかのシステム機能が利用される。例えば、一実施形態では、バイオリアクター中空糸膜を通る細胞コロニー(例えば、マイクロコロニー)がせん断されて、マイクロコロニー、コロニー、又はクラスター内の細胞の数を減らすことができる。ここで、マイクロコロニー、コロニー、又はクラスターは、1又は複数の接着細胞のグループである。実施形態では、細胞増殖システム(CES)バイオリアクターアーキテクチャーを使用して、細胞(例えば、Treg細胞等のT細胞)マイクロコロニーをせん断することができる。実施形態では、細胞(例えば、Treg細胞等のT細胞)が成長するにつれて、それらは、マイクロコロニーを形成する傾向がある。そのようなコロニーの中心にある細胞に対しては、栄養素の拡散が制限される。これにより、細胞培養中に壊死等の悪影響が生じる場合がある。実施形態では、成長の増殖期中に、例えば(例えば、内径約215μmの中空糸を有する)中空糸毛細管内側(IC)ループを通して懸濁細胞培養物を循環させることにより、コロニーをせん断するプロトコルが提供される。実施形態では、コロニー、マイクロコロニー、又は細胞のクラスターをせん断して、コロニー、マイクロコロニー、又は細胞のクラスターのサイズを小さくすることができる。一実施形態では、細胞のコロニー又はクラスターをせん断して、単一細胞の懸濁液を提供し、細胞成長/生存率を改善することができる。そのような能力は、細胞(例えばTreg等のT細胞)の継続的な灌流成長に寄与する。いくつかの実施形態では、細胞増殖を活性化するために使用されるビーズを伴ってマイクロコロニーができる。これらの実施形態では、マイクロコロニーの剪断はまた、細胞が増殖するにつれて形成される細胞、ビーズ、又はそれらの組み合わせの凝集体を破壊し得る。
実施形態において、治療量の細胞(例えば、TregのようなT細胞)は、細胞増殖システム内で増殖され、細胞増殖システムから収穫される。実施形態では、収穫時の細胞の数は、約1×106個の細胞から約1×1010個の細胞(例えば1×109個の細胞)である。一実施形態では、収穫される細胞の数は、約1×108から1×1010個の細胞であり、一例では、約7.0×108から約1.4×109細胞の間である。他の実施形態では、収穫される細胞数は、約1×109個から約100×109個である。実施形態では、収穫された細胞は、約60%~約100%の生存率を有する。例えば、収穫された細胞の生存率は、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、又は約95%超である。
収集された細胞は、いくつかの実施形態では、T細胞と一致するバイオマーカー(例えば、ナイーブ、エフェクター、ヘルパー、メモリー、制御性)を発現する。例えば、いくつかの実施形態では、細胞は、CD3+、CD4+、及び/又はCD8+バイオマーカーを発現する。ある実施形態では、収集された細胞は、約50%~約100%の頻度でCD3+表現型を含む。収穫された細胞は、約25%を超える、約30%を超える、約35%を超える、約40%を超える、約45%を超える、約50%を超える、約55%を超える、又は約60%を超える頻度でCD4+表現型を含む。他の実施形態では、細胞は、約30%~約100%の頻度でCD8+表現型を含む。
他の実施形態では、収穫された細胞は、Tregと一致するバイオマーカーを発現する。例えば、いくつかの実施形態では、細胞は、CD4+、CD25+、及び/又はFoxP3+バイオマーカーを発現する。実施形態では、収穫された細胞は、約50%~約100%の頻度でCD4+CD25+表現型を含む。収穫された細胞は、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、又は約95%超の頻度でCD4+CD25+表現型を含む。他の実施形態では、細胞は、約30%~約100%の頻度でCD4+FoxP3+表現型を含む。いくつかの実施形態では、収穫された細胞は、約30%超こえる、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、さらには約70%超の頻度で、CD4+FoxP3+表現型を含む。
実施形態は、上述のように、細胞増殖システムに関する。実施形態において、細胞増殖システムはクローズドシステムである。クローズド細胞増殖システムは、大気に直接さらされない内容物を含む。そのような細胞増殖システムは自動化されてもよい。実施形態において、接着性又は非接着性の両方のタイプ或いは懸濁タイプの細胞を、該細胞増殖システムのバイオリアクターにおいて成長させることができる。実施形態によれば、細胞増殖システムは、基礎培地又は他のタイプの培地を含んでよい。培地の補充方法は、クローズド細胞増殖システムのバイオリアクターで行われる細胞成長のために提供される。実施形態において、そのようなシステムと共に使用されるバイオリアクターは、中空糸型バイオリアクターである。本発明の実施形態によれば、種々のバイオリアクターが使用されてよい。
実施形態において、該システムは、少なくとも両端部を有する第1の流体流路と流体的に関連付けられたバイオリアクターを有し、前記第1の流体流路の第1の端部は、中空糸膜の第1のポートと流体的に関連付けられ、前記第1の流体流路の第2の端部は、前記中空糸膜の第2のポートと流体的に関連付けられる。実施形態において、中空糸膜は、複数の中空糸を備える。該システムは、前記第1の流体流路と流体的に関連付けられた流体入口路を有し、第1の流体入口路を介して、前記第1の流体流路には、複数の細胞が導入される。いくつかの実施形態において、毛細管内側培地バッグからの毛細管内側投入流体を前記第1の流体流路に移送するポンプと、前記ポンプの動作を制御するコントローラと、をさらに備える。実施形態において、前記コントローラは前記ポンプを制御することによって、例えば、細胞を細胞投入バッグから前記第1の流体流路に移送する。第1の流体循環路において流体を循環させる他のポンプも含まれる。該ポンプは、ポンプ動作を制御するコントローラを有する。一実施形態において、コントローラは、例えば、プロセッサを有するコンピューティングシステムである。実施形態において、1又は複数の前記コントローラは、1又は複数の前記ポンプを制御して、前記第1の流体循環路内において、流体を、ある流量にて循環させる。実施形態において、複数のコントローラ(例えば、第1コントローラ、第2コントローラ、第3コントローラ、第4コントローラ、第5コントローラ、第6コントローラ等)が使用されてもよい。本開示の実施形態において、複数のポンプ(例えば、第1ポンプ、第2ポンプ、第3ポンプ、第4ポンプ、第5ポンプ、第6ポンプ等)が使用されてもよい。さらに、本開示では、培地バッグ、細胞投入バッグ等について述べられるが、複数のバッグ、例えば、第1培地バッグ、第2培地バッグ、第3培地バッグ、第1細胞投入バッグ、第2細胞投入バッグ、第3細胞投入バッグ等、及び/又はその他のタイプの容器、が使用されてもよい。他の実施形態では、単一の培地バッグ、単一の細胞投入バッグ等が使用される。また、実施形態において、追加の又は他の流路(例えば、第2の流体流路、第2の流体入口路、第2の流体循環路等)を設けてもよい。
他の実施形態において、該システムは、例えば、細胞増殖システムに結合されたプロセッサと、該プロセッサと通信を行い、データを表示するディスプレイ装置と、該プロセッサと通信を行い、該プロセッサによって読取可能な、一連の命令を格納するメモリと、によって制御される。実施形態において、プロセッサによって命令が実行されると、プロセッサは、例えば、システムをプライミングする命令を受け取る。その命令に応答して、プロセッサは、システムに対してプライミングを行うための一連のステップを実行し、次に、例えば、IC/EC洗浄を行う命令を受け取る。細胞を投入する命令に応答して、プロセッサは、例えば、細胞投入バッグから細胞をバイオリアクター内に導入するための一連のステップを実行する。
本発明の実施形態に係る細胞増殖システム(CES)の一例が、図1Aに概略的に示される。CES10は、第1流体循環路12と第2流体循環路14とを有する。実施形態によれば、第1流体流路16は、中空糸型細胞成長チャンバー24(「バイオリアクター」とも呼ばれる)に流体的に関連付けられた少なくとも両端部18、20を有する。詳細には、端部18は、細胞成長チャンバー24の第1入口22と流体的に関連付けられ、端部20は、細胞成長チャンバー24の第1出口28と流体的に関連付けられる。第1循環路12において、流体は、細胞成長チャンバー24に配置された中空糸膜117(図1B参照)の中空糸116(図1B参照)の内部を通る(細胞成長チャンバー及び中空糸膜は以下でより詳細に説明される)。また、第1流量制御装置30が、第1流体流路16に動作可能に接続され、第1循環路12における流体の流れを制御する。
第2流体循環路14は、第2流体流路34と、細胞成長チャンバー24と、第2流量制御装置32と、を有する。実施形態によれば、第2流体流路34は、少なくとも両端部36、38を有する。第2流体流路34の端部36は、細胞成長チャンバー24の入口ポート40に、端部38は、出口ポート42にそれぞれ流体的に関連付けられる。細胞成長チャンバー24を流れる流体は、細胞成長チャンバー24の中空糸膜117(図1B参照)の外側と接触する。中空糸膜は、複数の中空糸を備える。第2流体循環路14は、第2流量制御装置32と動作可能に接続される。
このように、第1及び第2流体循環路12、14は、中空糸膜117(図1B参照)によって、細胞成長チャンバー24において分離されている。第1流体循環路12の流体は、細胞成長チャンバー24において中空糸の毛細管内側(IC)空間を流れる。従って、第1流体循環路12は「ICループ」と呼ばれる。第2流体循環路14の流体は、細胞成長チャンバー24において中空糸の毛細管外側(EC)空間を流れる。従って、第2流体循環路14は「ECループ」と呼ばれる。実施形態によれば、第1流体循環路12の流体は、第2流体循環路14の流体の流れに対して、並流方向又は逆流方向のどちらを流れてもよい。
流体入口路44は、第1流体循環路12に流体的に関連付けられる。流体入口路44によって、流体は第1流体循環路12に導入され、流体出口路46によって、流体は、CES10から排出される。第3流量制御装置48が、流体入口路44に動作可能に関連付けられる。或いは、第3流量制御装置48は、第1出口路46に関連付けられてもよい。
実施形態によれば、ここで使用される流量制御装置としては、ポンプ、バルブ、クランプ、又はそれらの組み合わせが可能である。複数のポンプ、複数のバルブ、複数のクランプを、任意に組み合わせて配置してもよい。種々の実施形態において、流量制御装置は、蠕動ポンプであるか又は蠕動ポンプを含む。他の実施形態において、流体循環路、入口ポート、出口ポートは、任意の材料の配管で構成されてよい。
種々の部材に対して、「動作可能に関連付けられた」と記載されているが、ここで使用される「動作可能に関連付けられた」とは、動作可能な方式で互いに連結された部材を指し、部材が直接連結されている実施形態や、2つの連結された部材の間に別の部材が配置されている実施形態等も包含する。「動作可能に関連付けられた」部材は、「流体的に関連付けられる」ことができる。「流体的に関連付けられた」とは、流体が部材間を移動可能なように互いに連結された部材を指す。「流体的に関連付けられた」という用語は、2つの流体的に関連付けられた部材間に別の部材を配置する実施形態や、部材を直接接続する実施形態等を包含する。流体的に関連付けられた部材は、流体と接触しないが他の部材と接触することにより、システムを操作する部材を含んでもよい(例えば、可撓性の管の外側を圧縮することにより、該管を介して流体をポンピングする蠕動ポンプ等)。
一般に、緩衝液、タンパク質含有流体、細胞含有流体のように、如何なる種類の流体でも、循環路、入口路、出口路を流れることが可能である。本明細書で使用される用語「流体」「培地」「流体培地」は交換可能に使用される。
図1Bは、本発明と共に使用される中空糸型細胞成長チャンバー100の一例を示す正面図である。細胞成長チャンバー100は、長手方向軸LA-LAを有し、細胞成長チャンバー筐体104を備える。少なくとも1つの実施形態において、細胞成長チャンバー筐体104は、4つの開口部又は4つのポート、すなわち、IC入口ポート108、IC出口ポート120、EC入口ポート128、EC出口ポート132を有する。
本発明の実施形態によれば、第1循環路内の流体は、細胞成長チャンバー100の第1長手方向端112におけるIC入口ポート108を通って細胞成長チャンバー100に進入し、中空糸膜117を構成する複数の中空糸116の毛細管内側(種々の実施形態において、中空糸膜の毛細管内(「IC」)側又は「IC空間」と呼ぶ)に進入して通過し、細胞成長チャンバー100の第2長手方向端124に位置するIC出口ポート120を通って細胞成長チャンバー100の外に出る。IC入口ポート108とIC出口ポート120との間の流路は、細胞成長チャンバー100のIC部分126を構成する。第2循環路内の流体は、EC入口ポート128を通って細胞成長チャンバー100に進入し、中空糸116の毛細管外側又は外側(該膜の「EC側」又は「EC空間」と呼ぶ)に接触して、EC出口ポート132を通って細胞成長チャンバー100の外に出る。EC入口ポート128とEC出口ポート132との間の流路は、細胞成長チャンバー100のEC部分136を構成する。EC入口ポート128を通って細胞成長チャンバー100に入った流体は、中空糸116の外側に接触する。小分子(例えば、イオン、水、酸素、乳酸等)は、中空糸116を通じて中空糸の内部すなわちIC空間から外側すなわちEC空間へ、又はEC空間からIC空間へ拡散することができる。成長因子のような高分子量の分子は、通常は、大きすぎるため中空糸膜を通過できず、中空糸116のIC空間内にとどまる。実施形態において、培地は、必要であれば交換してもよい。また、必要であれば、培地を酸素供給器(oxygenator)又はガス移送モジュールを通じて循環させて、ガスを交換してもよい。実施形態において、以下で説明するが、細胞は、第1循環路及び/又は第2循環路内に含有させることができ、膜のIC側及び/又はEC側に存在させることができる。
中空糸膜117を作製するために使用される材料は、中空糸になるものであれば、任意の生体適合性高分子材料でよい。本発明の一実施形態によれば、使用される材料の1つとしては、合成ポリスルホン系材料が挙げられる。
実施形態において、CES(例えば、CES500(図5A、図5B及び図5C)及び/又はCES600(図6))は、回転方向及び/又は横方向揺動装置に取り付けることによって、細胞増殖システムの他の部品に対して細胞成長チャンバーを動かす、すなわち「揺らす」ように構成された装置を有する。図1Cは、そのような装置の1つを示す。一実施形態では、該装置において、バイオリアクター100は、2つの回転方向揺動部品と1つの横方向揺動部品とに回転するように接続されている。
第1回転方向揺動装置部品138は、バイオリアクター100を、バイオリアクター100の中心軸142を中心に回転させる。回転方向揺動装置部品138は、バイオリアクター100に、回転するように関連付けられる。実施形態において、バイオリアクター100は、中心軸142を中心に、単一の方向(時計回り方向又は反時計回り方向)に連続して回転することができる。或いは、バイオリアクター100は、例えば、中心軸142を中心に、最初は時計回り、続いて反時計回りのように、交互に回転させることも可能である。
CESはまた、バイオリアクター100を回転軸144中心に回転させる第2回転方向揺動部品を有する。回転軸144は、バイオリアクター100の中心点を通り、中心軸142に対して垂直である。実施形態において、バイオリアクター100は、回転軸144を中心に、時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかの単一方向に連続回転可能である。或いは、バイオリアクター100は、回転軸144を中心に、例えば、最初は時計回り、続いて反時計回りのように、交互に回転させることが可能である。種々の実施形態において、バイオリアクター100を、回転軸144を中心に回転させることが可能であり、重力に対して水平方向姿勢に又は垂直方向姿勢に配置することができる。
実施形態において、横方向揺動部品140は、バイオリアクター100と横方向に動くように関連付けられる。実施形態において、横方向揺動部品140の平面は、x方向及びy方向に動く。これにより、バイオリアクターにおける細胞の沈殿は、中空糸内の細胞含有培地の動きによって、減らされる。
揺動装置の回転方向及び/又は横方向の動きによって、装置内における細胞の沈殿が減らされ、また、バイオリアクターのある部分に細胞が捕獲される可能性も抑えられる。細胞成長チャンバーにおける細胞の沈殿速度は、ストークスの式に従って、細胞と懸濁培地との密度差に比例する。ある実施形態において、上述のように、180°回転(速い)と休止(例えば、合計時間30秒)を繰り返すことにより、例えば、非接着性の赤血球の懸濁状態が維持される。一実施形態では、約180°の最小回転が好ましい。しかしながら、360°以上の回転を行うこともできる。異なる揺動部品を別個に又は組み合わせて使用してもよい。例えば、バイオリアクター100を中心軸142中心に回転させる揺動部品を、バイオリアクター100を軸144中心に回転させる揺動部品と組み合わせることができる。同様に、異なる軸を中心に時計回り及び反時計回りを独立に組み合わせて行うこともできる。
図2において、本発明の実施形態に係る、プリマウントタイプの流体輸送組立体を有する細胞増殖システム200の実施形態が示される。CES200は、細胞増殖装置202を有する。細胞増殖装置202は、細胞増殖装置202の後側部分206と係合するハッチ又は閉可能なドア204を有する。細胞増殖装置202内の内部空間208は、プリマウントタイプの流体輸送組立体を受容し係合固定するような特徴を有する。プリマウントタイプの流体輸送組立体210は、細胞増殖装置202に取り外し可能に取り付けられており、細胞増殖装置202において、使用された流体輸送組立体210を、新しい又は未使用の流体輸送組立体210に比較的迅速に交換できるようになっている。単一の細胞増殖装置202の動作によって、第1の流体輸送組立体210を用いて細胞の第1のセットを成長又は増殖させ、その後、第1の流体輸送組立体210を第2の流体輸送組立体210に交換する際に細胞増殖装置202を殺菌することなく、第2の流体輸送組立体210を用いて細胞の第2のセットを成長又は増殖させることができる。プリマウントタイプの流体輸送組立体210は、バイオリアクター100と酸素供給器又はガス移送モジュール212(図4参照)を有してよい。流体輸送組立体210に接続される種々の培地用配管を受容する実施形態に係る配管案内スロットが214として示される。
図3は、本発明の実施形態に係る、プリマウントタイプの流体輸送組立体210(図2参照)を取り外し可能に取り付ける前の、細胞増殖装置202の後側部分206を示す。閉可能なドア204(図2参照)は、図3では省略されている。細胞増殖装置202の後側部分206には、流体輸送組立体210の構成要素と組み合わせて動作する複数の異なる構造が設けられている。詳細には、細胞増殖装置202の後側部分206は、流体輸送組立体210におけるポンプループと協働する複数の蠕動ポンプ(IC循環ポンプ218、EC循環ポンプ220、IC入口ポンプ222、EC入口ポンプ224)を有する。また、細胞増殖装置202の後側部分206は、複数のバルブ(IC循環バルブ226、試薬バルブ228、IC培地バルブ230、空気除去バルブ232、細胞入口バルブ234、洗浄バルブ236、分配バルブ238、EC培地バルブ240、IC廃棄又は出口バルブ242、EC廃棄バルブ244、収穫バルブ246)を有する。さらに、複数のセンサ(IC出口圧力センサ248、IC入口圧力/温度センサ250、EC入口圧力/温度センサ252、EC出口圧力センサ254)が、細胞増殖装置202の後側部分206に関連付けられる。一実施形態によれば、さらに、空気除去チャンバーのための光学センサ256が示されている。
実施形態によれば、バイオリアクター100を回転させるための軸又はロッカー制御部258が示されている。軸又はロッカー制御部258と関連付けられた軸嵌合部260によって、細胞増殖装置202の後側部分206に対して、流体輸送組立体210又は400の軸アクセス開口部(例えば、配管収納部300(図4)の開口部424(図4))の適切な位置合わせが行える。軸又はロッカー制御部258の回転によって、軸嵌合部260及びバイオリアクター100に対して回転運動が付与される。従って、CES200のオペレータ又はユーザが、新しい又は未使用の流体輸送組立体400(図4)を、細胞増殖装置202に取り付ける際、位置合わせは、軸嵌合部260に対して、流体輸送組立体210又は400の軸アクセス開口部(例えば、図4の開口部424)を適切に方向付けるといった比較的簡単な作業となる。
図4は、取り付け・取り外し自在のプリマウントタイプの流体輸送組立体400の斜視図である。プリマウントタイプの流体輸送組立体400は、細胞増殖装置202(図2及び図3)に取り外し可能に取り付けられており、細胞増殖装置202において、使用された流体輸送組立体400を、新しい又は未使用の流体輸送組立体400に比較的迅速に交換できるようになっている。図4に示されるように、バイオリアクター100は、軸嵌合部402を含むバイオリアクターカップリングに取り付けられる。軸嵌合部402は、細胞増殖装置202の軸(図3では258)を係合させるための1以上の軸締結機構(付勢された腕部又はバネ部材404)を有する。
実施形態によれば、流体輸送組立体400は、配管408A、408B、408C、408D、408E等及び管継手を有する。これらにより、以下で説明されるように、図5A、図5B、図5C及び図6に示されるような流体流路が提供される。ポンプループ406A、406B、406Cもポンプのために設けられる。実施形態において、細胞増殖装置202が配置される場所に、種々の培地が設けられてもよいが、実施形態によれば、プリマウントタイプの流体輸送組立体400は、細胞増殖装置202の外部に延在する程度に十分な長さの配管を有することで、培地バッグ又は培地容器に関連付けられた配管が溶着接続されることが可能となる。
次に、図5A、図5B、図5Cは、細胞増殖システム500の実施形態の概略図である。図6は、他の実施形態である細胞増殖システム600の概略図である。図5A、図5B、図5C及び図6に示される実施形態では、以下で説明するように、細胞は、IC空間で成長される。しかしながら、本発明は、そのような例に限定されない。他の実施形態では、細胞はEC空間で成長されてもよい。
前述のように、図5A、図5B、及び図5Cは、CES500を示している。図5A、図5B、及び図5CはCES500の略同様の構成部品を示すと同時に、図5A、図5B、及び図5Cは、本開示の実施形態による、CES500の構造的特徴を使用した第1の流体循環路における流体移動の可能な動作構成を示す。図示されるように、CES500は、第1流体循環路502(「毛細管内側ループ」又は「ICループ」とも呼ぶ)と第2流体循環路504(「毛細管外側ループ」又は「ECループ」とも呼ぶ)とを有する。第1流体流路506は、細胞成長チャンバー501に流体的に関連付けられて、第1流体循環路502を構成する。流体は、IC入口ポート501Aを介して細胞成長チャンバー501に流入し、細胞成長チャンバー501内の中空糸を通って、IC出口ポート501Bを介して流出する。圧力測定器510は、細胞成長チャンバー或いはバイオリアクター501を離れる培地の圧力を測定する。培地は、培地流量を制御するために用いられるIC循環ポンプ512を介して、流れる。IC循環ポンプ512は、第1方向又は第1方向の反対の第2方向に、流体をポンピング可能である。出口ポート501Bは、逆方向では、入口として使用することができる。例えば、第1の構成では、IC循環ポンプは、流体を正の方向にポンピングすることができ、流体はIC入口ポート501Aに入る。第2の構成では、例えば、IC循環ポンプは、例えば、流体を府の方向にポンピングすることができ、流体はIC出口ポート501Bに入る。
ICループに流入する培地は、バルブ514を介して流入することができる。当業者であれば理解できるように、追加のバルブ、圧力測定器、圧力/温度センサ、ポート及び/又は他の装置を種々の位置に配置して、流体経路のある部分において、培地を隔離し及び/又は該培地の特性を測定することもできる。従って、示される概略図は、CES500の複数の要素に対する1つの可能な構成であり、1以上の実施形態の範囲において、変形可能であると理解されるべきである。
ICループ502に対して、培地のサンプルは、動作中に、サンプルポート516又はサンプルコイル518から得られる。第1流体循環路502に配置された圧力/温度測定器520によって、動作中において、培地圧力及び温度が測定できる。そして、培地は、IC入口ポート501Aに戻って、流体循環路502を完了する。細胞成長チャンバー501で成長/増殖した細胞は、細胞成長チャンバー501から流し出され、バルブ598を通って収穫バッグ599に入るか、中空糸内に再分配され、さらに成長される。
第2流体循環路504において、流体は、EC入口ポート501Cを介して、細胞成長チャンバー501に入り、EC出口ポート501Dを介して細胞成長チャンバー501を離れる。ECループ504では、培地は、細胞成長チャンバー501の中空糸の外側と接触し、それによって、小分子の中空糸への及び中空糸からの拡散が可能となる。
実施形態において、培地が細胞成長チャンバー501のEC空間に入る前に、第2流体循環路504に配置された圧力/温度測定器524によって、該培地の圧力及び温度が測定可能である。培地が細胞成長チャンバー501を離れた後、圧力測定器526によって、第2流体循環路504の培地の圧力が測定可能である。ECループに対して、培地のサンプルは、動作中に、サンプルポート530から又はサンプルコイルから得られる。
実施形態において、細胞成長チャンバー501のEC出口ポート501Dを離れた後、第2流体循環路504の流体は、EC循環ポンプ528を通って、酸素供給器又はガス移送モジュール532に至る。EC循環ポンプ528は、両方向に流体をポンピング可能である。第2流体流路522は、酸素供給器入口ポート534及び酸素供給器出口ポート536を介して酸素供給器又はガス移送モジュール532と流体的に関連付けられている。動作中は、流体培地は、酸素供給器入口ポート534を介して、酸素供給器又はガス移送モジュール532に流入し、酸素供給器出口ポート536を介して、酸素供給器又はガス移送モジュール532から流出する。酸素供給器又はガス移送モジュール532は、例えば、CES500における培地に対して、酸素を付加し、気泡を除去する。種々の実施形態において、第2流体循環路504における培地は、酸素供給器又はガス移送モジュール532に入るガスと平衡状態にある。酸素供給器又はガス移送モジュール532は、適当なサイズの任意の酸素供給器又はガス移送装置でよい。空気又はガスは、フィルタ538を介して酸素供給器又はガス移送モジュール532に流入し、フィルタ540を介して、酸素供給器又はガス移送装置532から流出する。フィルタ538、540は、酸素供給器又はガス移送モジュール532及び関連する培地の汚染を減少又は防止する。プライミング工程の一部を行っている際にCES500からパージされた空気又はガスは、酸素供給器又はガス移送モジュール532を介して大気にベント可能である。
少なくとも1つの実施形態において、(バッグ562からの)細胞を含む培地及びバッグ546からの流体培地は、第1流体流路506を介して第1流体循環路502に導入される。流体容器562(例えば、細胞投入バッグ又は空気をシステム外にプライミングするための生理食塩水プライミング流体)は、バルブ564を介して、第1流体流路506及び第1流体循環路502に流体的に関連付けられる。
流体容器、又は培地バッグ544(例えば、試薬)は、バルブ548を介して第1流体入口路542に、又はバルブ576を介して第2流体入口路574に流体的に関連付けられ、流体容器546(例えば、IC培地)は、バルブ550を介して第1流体入口路542に、又はバルブ570を介して第2流体入口路574に流体的に関連付けられる。また、滅菌され密封可能な第1及び第2入力プライミング路508、509が設けられる。空気除去チャンバー(ARC)556が、第1循環路502に流体的に関連付けられる。空気除去チャンバー556は、1以上の超音波センサを有してもよい。該センサには、空気除去チャンバー556内における特定の測定点において、空気、流体の不足、及び/又はガス/流体境界、例えば、空気/流体境界、を検知するための上部センサ及び下部センサが含まれる。例えば、空気除去チャンバー556の底部近傍及び/又は頂部近傍で、超音波センサを用いて、それらの場所における空気、流体、及び/又は空気/流体境界を検知することができる。実施形態において、本開示の範囲を逸脱しない範囲で、他のタイプのセンサを使用することができる。例えば、本開示の実施形態に従って、光学センサを使用してもよい。プライミング工程の一部又はその他のプロトコルを行っている際にCES500からパージされる空気又はガスは、空気除去チャンバー556と流体的に関連付けられたライン558を通って、エアバルブ560から大気中へベント可能である。
(例えば、バッグ568からの)EC培地又は(例えば、バッグ566からの)洗浄液が第1流体流路又は第2流体流路に加えられる。流体容器566は、バルブ570と流体的に関連付けられる。バルブ570は、分配バルブ572及び第1流体入口路542を介して第1流体循環路502と流体的に関連付けられる。また、バルブ570を開け、分配バルブ572を閉じることにより、流体容器566は、第2流体入口路574及びEC入口路584を介して第2流体循環路504と流体的に関連付けることができる。同様に、流体容器568は、バルブ576と流体的に関連付けられる。バルブ576は、第1流体入口路542及び分配バルブ572を介して第1流体循環路502と流体的に関連付けられる。また、バルブ576を開け、分配バルブ572を閉じることにより、流体容器568は、第2流体入口路574と流体的に関連付けることができる。
培地試薬の導入又は洗浄液の導入のために、オプションで熱交換器552を設けてもよい。
ICループにおいて、流体はまず、IC入口ポンプ554によって送られる。ECループでは、流体はまず、EC入口ポンプ578によって送られる。超音波センサのようなエア検知器580がEC入口路584と関連付けられてもよい。
少なくとも1つの実施形態において、第1及び第2流体循環路502、504は、廃棄ライン588と接続される。バルブ590を開けると、IC培地は、廃棄ライン588を流れ、廃棄バッグ又は出口バッグ586に至る。同様に、バルブ582を開けると、EC培地は、廃棄ライン588を介して廃棄バッグ又は出口バッグ586に流れる。
実施形態において、細胞は、細胞収穫路596を通って収穫される。ここでは、細胞成長チャンバー501からの細胞は、細胞収穫路596及びバルブ598を通るように、細胞を含むIC培地をポンピングして、細胞収穫バッグ599へ送ることによって、収穫される。
CES500の種々の構成要素は、細胞増殖装置202(図2、図3参照)のような装置又はハウジング内に収納される。そこでは、該装置が、細胞及び培地を、例えば、所定の温度に維持する。
図5AのCES500について示される構成では、第1流体循環路502及び第2流体循環路504における流体培地は、一実施形態において、同じ方向(並流構成)で細胞成長チャンバー501を通って流れる。他の実施形態では、CES500は、向流構造(図示せず)を流れるように構成されてもよい。図5Aに示す構成では、第1流体循環路502内の流体は、IC入口ポート501Aでバイオリアクター501に入り、IC出口ポート501Bでバイオリアクター501を出る。図5B及び図5Cに示す構成では、実施形態において、第1流体循環路502内の流体培地は、接続部517から相対する両方向に流れて、バイオリアクターの一端のIC入口ポート、すなわち第1ポート501A、に入り、同時に、バイオリアクターの他端にあるIC出口ポート、すなわち第2のポート501Bに入り、バイオリアクター自体に細胞を保持する。第1流体流路は、接続部517を介して第1流体循環路と流体的に関連付けられてもよい。実施形態において、接続部517は、例えば、IC入口ポンプの方向及びIC循環ポンプの方向に基づいて、流体が相対する両方向に流れる点又は場所であってもよい。一実施形態では、接続部517は、T継手又はT結合であってもよい。他の実施形態では、接続部517は、Y継手又はY結合であってもよい。接続部517は、第1の流体流路が第1の循環路と流体的に関連付けられることを可能にする、任意のタイプの継手、カップリング、溶着、経路、管等であってもよい。図5A、図5B及び図5Cに示される概略図及び動作構成は、細胞増殖システムの様々な要素の可能な構成を表していること及び示される概略図及び動作構成に対する修正は1つ以上の本実施形態の範囲内であること、を理解されたい。
図6は、細胞増殖システム600の他の実施形態の概略図である。CES600は、第1流体循環路602(「毛細管内側ループ」又は「ICループ」とも呼ぶ)と第2流体循環路604(「毛細管外側ループ」又は「ECループ」とも呼ぶ)とを有する。第1流体流路606は、細胞成長チャンバー601に流体的に関連付けられて、第1流体循環路602を構成する。流体は、IC入口ポート601Aを介して細胞成長チャンバー601に流入し、細胞成長チャンバー601内の中空糸を通って、IC出口ポート601Bを介して流出する。圧力センサ610は、細胞成長チャンバー601を離れる培地の圧力を測定する。圧力の他に、センサ610は、作動中において、培地圧力及び培地温度を検知する温度センサであってもよい。培地は、培地流量を制御するために用いられるIC循環ポンプ612を介して、流れる。IC循環ポンプ612は、第1方向又は第1方向の反対の第2方向に、流体をポンピング可能である。出口ポート601Bは、逆方向では、入口として使用することができる。ICループに流入する培地は、バルブ614を介して流入することができる。当業者であれば理解できるように、追加のバルブ、圧力測定器、圧力/温度センサ、ポート及び/又は他の装置を種々の位置に配置して、流体経路のある部分において、培地を隔離し及び/又は該培地の特性を測定することもできる。従って、示される概略図は、CES600の複数の要素に対する1つの可能な構成であり、1以上の実施形態の範囲において、変形可能であると理解されるべきである。
ICループに対して、培地のサンプルは、動作中に、サンプルコイル618から得られる。そして、培地は、IC入口ポート601Aに戻って、流体循環路602を完了する。細胞成長チャンバー601で成長/増殖した細胞は、細胞成長チャンバー601から流し出され、バルブ698及びライン697を介して収穫バッグ699に入る。或いは、バルブ698が閉じている場合、細胞は、チャンバー601に再分配され、さらに成長される。
第2流体循環路604において、流体は、EC入口ポート601Cを介して、細胞成長チャンバー601に入り、EC出口ポート601Dを介して細胞成長チャンバー601を離れる。ECループでは、培地は、細胞成長チャンバー601の中空糸の外側と接触し、それによって、チャンバー601内における小分子の中空糸への及び中空糸からの拡散が可能となる。
培地が細胞成長チャンバー601のEC空間に入る前に、第2流体循環路604に配置された圧力/温度センサ624によって、該培地の圧力及び温度を測定することができる。培地が細胞成長チャンバー601を離れた後に、センサ626によって、第2流体循環路604の培地の圧力及び/又は温度を測定することができる。ECループに対して、培地のサンプルは、動作中に、サンプルポート630から又はサンプルコイルから得られる。
細胞成長チャンバー601のEC出口ポート601Dを離れた後、第2流体循環路604の流体は、EC循環ポンプ628を通って、酸素供給器又はガス移送モジュール632に至る。実施形態において、EC循環ポンプ628もまた、両方向に流体をポンピング可能である。第2流体流路622は、酸素供給器又はガス移送モジュール632の入口ポート632A及び出口ポート632Bを介して酸素供給器又はガス移送モジュール632と流体的に関連付けられている。動作中は、流体培地は、入口ポート632Aを介して、酸素供給器又はガス移送モジュール632に流入し、出口ポート632Bを介して、酸素供給器又はガス移送モジュール632から流出する。酸素供給器又はガス移送モジュール632は、例えば、CES600における培地に対して、酸素を付加し、気泡を除去する。種々の実施形態において、第2流体循環路604における培地は、酸素供給器又はガス移送モジュール632に入るガスと平衡状態にある。酸素供給器又はガス移送モジュール632は、酸素供給又はガス移送に有用な、適当なサイズの任意の装置でよい。空気又はガスは、フィルタ638を介して酸素供給器又はガス移送モジュール632に流入し、フィルタ640を介して、酸素供給器又はガス移送装置632から流出する。フィルタ638、640は、酸素供給器又はガス移送モジュール632及び関連する培地の汚染を減少又は防止する。プライミング工程の一部を行っている際にCES600からパージされた空気又はガスは、酸素供給器又はガス移送モジュール632を介して大気にベント可能である。
CES600として示された該構成において、第1流体循環路602及び第2流体循環路604における流体培地は、同じ方向で(並流構成で)細胞成長チャンバー601を流れる。実施形態に係るCES600は、対向流で流れるように構成してもよい。
少なくとも1つの実施形態において、(細胞容器、例えばバッグのようなソースからの)細胞を含む培地は、取り付け点662に取り付けられ、培地源からの流体培地は、取り付け点646に取り付けられる。細胞及び培地は、第1流体流路606を介して第1流体循環路602に導入される。取り付け点662は、バルブ664を介して、第1流体流路606と流体的に関連付けられる。取り付け点646は、バルブ650を介して、第1流体流路606と流体的に関連付けられる。試薬源を、点644に流体的に接続して、バルブ648を介して流体入口路642に関連付けてもよいし、又はバルブ648、672を介して第2流体入口路674に関連付けてもよい。
空気除去チャンバー(ARC)656が、第1循環路602に流体的に関連付けられる。空気除去チャンバー656は、1以上のセンサを有してもよい。該センサには、空気除去チャンバー656内における特定の測定点において、空気、流体の不足、及び/又はガス/流体境界、例えば、空気/流体境界、を検知するための上部センサ及び下部センサが含まれる。例えば、空気除去チャンバー656の底部近傍及び/又は頂部近傍で、超音波センサを用いて、それらの場所における空気、流体、及び/又は空気/流体境界を検知することができる。実施形態において、本開示の範囲を逸脱しない範囲で、他のタイプのセンサを使用することができる。例えば、本開示の実施形態に従って、光学センサを使用してもよい。プライミング工程の一部又はその他のプロトコルを行っている際にCES600からパージされる空気又はガスは、空気除去チャンバー656と流体的に関連付けられたライン658を通って、エアバルブ660から大気中へベント可能である。
EC培地源が、EC培地取り付け点668に取り付けられる。洗浄液源が、洗浄液取り付け点666に取り付けられる。これにより、EC培地及び/又は洗浄液が第1流体流路又は第2流体流路に加えられる。取り付け点666は、バルブ670と流体的に関連付けられる。バルブ670は、バルブ672及び第1流体入口路642を介して第1流体循環路602と流体的に関連付けられる。また、バルブ670を開け、バルブ672を閉じることにより、取り付け点666は、第2流体入口路674及び第2流体流路684を介して第2流体循環路604と流体的に関連付けることができる。同様に、取り付け点668は、バルブ676と流体的に関連付けられる。バルブ676は、第1流体入口路642及びバルブ672を介して第1流体循環路602と流体的に関連付けられる。また、バルブ676を開け、分配バルブ672を閉じることにより、流体容器668は、第2流体入口路674と流体的に関連付けることができる。
ICループにおいて、流体はまず、IC入口ポンプ654によって送られる。ECループでは、流体はまず、EC入口ポンプ678によって送られる。超音波センサのようなエア検知器680がEC入口路684と関連付けられてもよい。
少なくとも1つの実施形態において、第1及び第2流体循環路602、604は、廃棄ライン688と接続される。バルブ690を開けると、IC培地は、廃棄ライン688を流れ、廃棄バッグ又は出口バッグ686に至る。同様に、バルブ692を開けると、EC培地は、廃棄バッグ又は出口バッグ686に流れる。
細胞が細胞成長チャンバー601にて成長した後、該細胞は、細胞収穫路697を介して収穫される。細胞成長チャンバー601からの細胞は、バルブ698を開けた状態において、細胞を含むIC培地をポンピングすることにより、細胞収穫路697を介して、細胞収穫バッグ699に収穫される。
CES600の種々の構成要素は、細胞増殖装置202(図2、図3参照)のような装置又はハウジング内に収納される。そこでは、該装置が、細胞及び培地を、例えば、所定の温度に維持する。さらに、CES600及びCES500の構成要素は、組み合わせられてもよい。他の実施形態において、CESは、CES500やCES600に示される構成要素よりも少ない構成要素又は多い構成要素を含んでもよく、その場合も本発明の範囲内にある。本発明の特徴を含む細胞増殖システムの一例としては、Terumo BCT社(コロラド州 レイクウッド)によって製造されている、Quantum(登録商標)細胞増殖システムが挙げられる。
図6に示される概略図は、細胞増殖システムの様々な要素の可能な構成を表し、示される概略図に対する修正は、1つ以上の本実施形態の範囲内であることを理解されたい。
細胞増殖システムの実施例及び詳細な説明は、米国特許第8,309,347号明細書(「細胞増殖システム及び使用方法」2012年11月13日発行)及び2010年12月15日出願の米国特許第9,057,045号明細書(「細胞増殖システムのバイオリアクターにおける細胞の投入・分配方法」2015年6月16日発行)に与えられている。該米国特許出願の全体は、ここでの開示により明確に本出願に組み込まれる。
細胞増殖システム及びそれに関連する方法の様々な例示的な実施形態が説明されてきたが、図7は、本開示の実施形態による、CES500又はCES600等の細胞増殖システムにおいて非接着細胞又は懸濁細胞を増殖するプロセスの例示的な動作ステップ700を示す。
START動作702が開始され、プロセス700は細胞の準備に進む(ステップ704)。実施形態では、細胞の準備704は、複数の異なる任意のステップを伴う場合がある。例えば、ステップ706では、細胞が収集される。細胞の収集ステップ706は、ドナーから細胞を分離及び収集することを含み得る。いくつかの実施形態では、アフェレーシス手順を行って、ドナーの末梢血からある量のリンパ球が収集される(例えば白血球分離(leukapheresis))。そのようなリンパ球には、プロセス700によって増殖される標的細胞集団が含まれる。他の実施形態では、細胞は臍帯血から収集されてもよい。
収集ステップ706の後、任意選択で、準備ステップ704の一部として、ステップ708において、細胞は分離される。ステップ706で収集された所定量の細胞は、増殖ターゲットとされる細胞を含む多くの異なる細胞タイプを含み得る。ターゲット細胞を単離するために、オプションのステップ708が実行されてもよい。一例として、ターゲット細胞は、T細胞(例えば、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、ヘルパーT細胞、エフェクターT細胞及び/又は制御性T細胞)である。いくつかの実施形態では、ステップ706で収集された細胞は、ステップ708で収集後すぐに(例えば、新鮮な状態で)単離される。他の実施形態において、ステップ706で収集された細胞は、貯蔵のために凍結されてもよい。これらの実施形態では、ステップ708の一部として細胞を単離する前に解凍ステップが実行されてもよい。
一実施形態では、T細胞は、調節されたT細胞、例えば、CD4+、CD25+、FoxP3+、及び/又はそれらの組み合わせを含む表現型を有するT細胞である。他の実施形態では、T細胞は、エフェクター、ヘルパー、メモリー、及び/又はナイーブT細胞(例えば、CD3+、CD4+、CD8+、及び/又はそれらの組み合わせを含む表現型を有するT細胞)である。細胞は、任意の適切な分離技術を使用して分離される。例えば、抗体で機能化された磁気ビーズがステップ706で収集された細胞と接触する免疫磁気分離を使用して、細胞を単離することができる。機能化ビーズは、ターゲット細胞集団に優先的に付着する。そして、磁場を使用して、ターゲット細胞集団が付着したビーズを保持する一方で、他の細胞を除去することができる。他の実施形態では、細胞は、フィコール分離手順(ficoll separation procedure)を使用して単離される。さらに他の実施形態では、細胞は、エルトリエーションを使用して、例えば、コロラド州レイクウッドのテルモBCTによって製造されたELUTRA(登録商標)細胞分離システムを使用して単離されてもよい。
いくつかの実施形態では、細胞は、単離ステップ708後に貯蔵のために凍結される。実施形態では、単離された細胞は、凍結保存剤と混合され、細胞増殖を行うまでの所定の期間中は、貯蔵される。これらの実施形態は、ステップ708で細胞を単離した後に実行される凍結ステップを含んでもよい。
細胞は、分離ステップ708(及び/又は予め凍結されている場合は解凍)の後、任意選択でステップ710において、再懸濁されてもよい。ある実施形態では、細胞は、細胞の生存率(viability)の維持を促進する多くの栄養素及び/又は試薬を含む培地に再懸濁される。ある実施形態では、培地は、少なくとも血清アルブミン及びサイトカイン等の試薬を含む。サイトカインは、ある実施形態では、組換えヒトIL-2サイトカインである。一実施形態では、培地は、200IU/mlの濃度でサイトカインを含んでもよい。他の実施形態では、培地は、100IU/mlの濃度でサイトカインを含む。さらに他の実施形態では、細胞は、ヒトAB血清を含むPBSに懸濁される。例えば、細胞は、PBS及び5%ヒトAB血清を含む液体中に懸濁される。ビーズをアクチベーターとして利用する実施形態のようないくつかの実施形態では、ヒトAB血清は、細胞投入ステップを含む全てのステップに存在してもよい。理論に縛られるものではないが、ヒト血清には、T細胞上のCD2と結合するLFA-3(CD58)が含まれており、細胞とビーズの凝集を最小限に抑えると考えられる。
細胞準備ステップ704に続いて、プロセス700は、細胞を活性化して増殖させる細胞露出ステップ712に進む。細胞は、任意選択であるがステップ714において、可溶性のアクチベーター(activator)に曝露される。抗体複合体を含むアクチベーターは、細胞が再懸濁される培地に添加される。実施形態では、アクチベーターは、ヒト抗体CD3/CD28/CD2細胞アクチベーター複合体である。いくつかの実施形態では、アクチベーターは、細胞再懸濁ステップ710において使用される培地に含まれてもよい。任意選択で、ステップ716において、細胞は、表面上にアクチベーターを有するビーズに曝露される。
実施形態では、細胞をビーズにさらすことは、再懸濁細胞に対して所定量のビーズを添加することを含む。ビーズは、細胞の数に関して異なる比率で加えられてもよい。例えば、ビーズは、1ビーズ:2細胞の比で添加されてもよい。他の実施形態は、例えば、約1ビーズ:約1細胞、約1ビーズ:約2細胞、約1ビーズ:約3細胞、約1ビーズ:約4細胞、約2ビーズ:約1細胞、約3ビーズ:約1細胞、約4ビーズ:約1細胞、約5ビーズ:約1細胞、等の異なる比率でビーズが添加される。ビーズは表面に抗体を有することで、細胞を活性化して増殖させることができる。使用され得るビーズの一例としては、マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)から入手可能なDYNABEADS(登録商標)のビーズが挙げられる。いくつかの実施形態におけるビーズは、それらの表面上の抗体で機能化される。それら抗体のいくつかの非限定的な例としては、抗CD2、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD28、抗CD34及びそれらの組み合わせが挙げられる。
プロセス700は、細胞増殖ステップ718に進む。細胞増殖ステップ718の一部として、細胞は、細胞が増殖される細胞成長チャンバー、例えば、中空糸膜バイオリアクターに投入されてもよい。ステップ720において、細胞には、増殖を促進するために栄養素が与えられる。例えば、増殖のための栄養素を供給するために、培地を細胞成長チャンバーに送達してもよい。細胞増殖ステップ718は、細胞の増殖を促進し続けるために、細胞成長チャンバーに周期的に試薬を加えることを含み得る(ステップ722)。例えば、いくつかの実施形態では、試薬(例えば、サイトカイン)を細胞成長チャンバーに加えて、細胞の増殖を促進してもよい。一実施形態では、試薬は、追加のIL-2サイトカイン、例えば組換えヒトIL-2サイトカインであってもよい。
また、細胞増殖ステップ718の一部として、細胞成長チャンバー内部の環境が制御されてもよい(ステップ724)。例えば、細胞成長チャンバー内で成長している細胞に、例えば二酸化炭素と酸素のバランスをもたらすために、ガスが連続的に送達・交換される。さらに、温度は、細胞増殖に最適化された範囲内になるように制御されてもよい。細胞増殖ステップ718はまた、代謝産物を監視するステップ726を含んでもよい。例えば、乳酸及びグルコースのレベルは定期的に監視されてもよい。代謝産物の上昇又は下降は、ステップ724における細胞成長チャンバー内の環境の制御に対して変化(例えば、フィーディングの追加、試薬添加の追加、ガス交換の追加等)を促す場合がある。
プロセス700は次に細胞収穫ステップ728に進む。除去された細胞のさらなる処理又は他の分析は、ステップ730で任意に実行されてもよい。例えば、細胞表現型を決定するために細胞を特徴付けることができる。さらなる処理又は他の分析を行うステップ730は、例えば細胞表現型を特徴付けるためにフローサイトメトリーを実行することを含み得る。プロセス700は、END動作732で終了する。さらなる処理/分析を実行することが望ましくない場合、プロセス700はEND動作732で終了する。
図8Aは、本開示の実施形態による、細胞又は他の材料(例えば、タンパク質、栄養素、成長因子)を細胞成長チャンバー内に配置するために使用され得るプロセスの動作ステップ800を示す。実施形態では、プロセス800は、「循環せずに中央に細胞を投入する」タスクの一部として実施されてもよい。開始動作802が開始され、プロセス800はステップ804に進み、ここで、細胞を含む第1の体積の流体が、細胞増殖システムの細胞成長チャンバーに投入される。実施形態では、細胞は、1つ又は複数のタイプのT細胞等の非接着細胞を含む。一実施形態では、複数の細胞はTregを含む。他の実施形態では、細胞は、様々なT細胞表現型を含む単核細胞(PBMC等)である。理解され得るように、細胞を有する第1の体積の流体の投入は、上述のシステムCES500(例えば、図5A)及びCES600(図6)等の細胞増殖システムの構成要素によって実行され得る。図8Bは、第1入口ポンプ840、第1流体流路860、第1流体循環ポンプ848、第1流体循環路852、細胞成長チャンバー844、及び第2流体循環路854を含む細胞増殖システムの一部を示す。第1流体流路860は、接続部860Bを介して流体循環路852と流体的に関連付けられている。実施形態では、ステップ804において、細胞を有する第1の体積の流体は、第1流体入口ポンプ840を利用して第1流体流路860を通って第1流体循環路852に投入される。実施形態では、第1流体循環ポンプ848を作動させずに、第1の体積の流体は投入される。
図8Bに示されるように、第1流体循環経路852の体積は、複数の部分の体積から構成される。例えば、容積の第1の部分は、細胞成長チャンバー844の毛細管内側空間(細胞成長チャンバーが中空糸膜バイオリアクターである場合)である。体積の第2の部分は、接続部860Bから細胞成長チャンバー844の入口ポート844Aまでである。第3の部分は、接続部860Bから細胞成長チャンバー844の出口ポート844Aまでである。
プロセス800は、第2の体積の流体を投入するステップ806に進む。第2の体積の流体は、培地を含んでもよく、第1流体流路860の一部に導入される。ある実施形態では、第2の体積は、第1の体積を細胞成長チャンバー844の第1の部分に配置する(ステップ808)ために選択された所定の量である。実施形態では、流体の第1の体積と流体の第2の体積は同じであってもよい。他の実施形態では、流体の第1の体積と流体の第2の体積は異なっていてもよい。さらに他の実施形態では、流体の第1の体積と流体の第2の体積との合計は、第1流体循環路、例えば経路852(図8B)の体積のあるパーセンテージ分に等しくてもよい。
第1の体積の流体を配置するために、流体の第2の体積は、細胞成長チャンバー844内の所望の位置に第1の体積を押し込むのに十分な量でなければならない。従って、実施形態では、流体の第2の体積は、接続部860Bと入口ポート844Aとの間の第1流体循環路852の体積と略同じ大きさである。理解され得るように、これは、細胞を含む第1の体積の流体を細胞成長チャンバー844内の位置に押し込むであろう。
他の実施形態では、ステップ808において、(細胞を含む)第1の体積の流体は、細胞成長チャンバー844の中央領域866に配置される。これらの実施形態では、第2の体積は、接続部860Bと入口ポート844Aとの間の第1流体循環路852の体積と、細胞成長チャンバー844によって構成される第1流体循環路(例えば、毛細血管内側空間の体積)のうち、細胞成長チャンバーに配置されたときに第1の体積の流体によって占有されない部分の体積との和と略同じである。例えば、一実施形態では、(細胞を含む)流体の第1の体積は50mlである。細胞成長チャンバーは、例えば、124mlの体積を有する。第1の体積が中央領域866に配置されると、中央領域866辺りを50mlの体積が占有し、中央領域866の両側に74mlを残す。従って、第1の体積の50mlを中央領域866辺りに配置するため、74mlの50%(すなわち37ml)が接続部860Bと入口ポート844Aとの間の容積に追加されてよい。
実施形態では、第1の体積の位置付けステップ808は、流体を追加して、細胞成長チャンバー内に、細胞を有する第1の体積の流体を位置付けすることを有する。例えば、第1の体積の所望の位置付けが第2の体積で達成されない場合、流体を追加して第1の体積を位置付け配置することができる(ステップ808)。
プロセス800はクエリステップ810に進み、第1の体積を再配置すべきかどうかを判断する。例えば、ある実施形態では、第1の体積は、入口ポート844A寄りに配置される場合がある。第1の体積を細胞成長チャンバー844の中央領域866に近づけることが望まれる場合、プロセス800は、ステップ808に戻り、第1の体積の流体を位置付け配置するために追加の流体を第1流体循環路に追加する。
クエリ810で、第1の体積を再配置する必要がないと判定された場合、プロセス800は細胞フィーディングステップ812に進む。実施形態では、グルコース、タンパク質、成長因子、試薬、又は他の栄養素等の複数の要素を含む培地を使用して、細胞にフィーディングが行われる。実施形態では、細胞フィーディングステップ812は、入口ポンプ及び循環ポンプ(例えば、ポンプ840、848)を作動させて、栄養素を含む培地を細胞成長チャンバー844内の細胞に送ることを含み得る。いくつかの実施形態では、以下で説明するように、ステップ812中に細胞は細胞成長チャンバー844内に維持される。これらの実施形態は、細胞成長チャンバー844への流体の流れが両方向から(入口ポート844A及び出口ポート844Bから)細胞成長チャンバー844へとなるようにポンプ(例えば、入口ポンプ及び循環ポンプ(例えば、以下で述べるポンプ840、848))を作動させることを含む。
次に、プロセス800は、細胞増殖ステップ814に進み、そこで細胞を増殖又は成長させる。ステップ814はステップ812の後に示されているが、ある実施形態によれば、ステップ814はステップ812の前に、又はステップ812と同時に行われてもよい。次いで、細胞を細胞成長チャンバーから取り出し(ステップ816)、貯蔵容器に収集する。実施形態では、ステップ816は、いくつかのサブステップを伴う。例えば、細胞は、収集されて容器に保存される前に、循環ポンプ(例えば、ポンプ848)によって循環されてもよい。プロセス800は、END動作830で終了する。
次に、図9Aは、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムのバイオリアクター内に細胞を保持するためのプロセスの例示的な動作ステップ900を示す。前述のように、バイオリアクターの管寄せ部分(ヘッダー(header))又はバイオリアクター外側のICループにある細胞は、適切なガス交換と栄養交換を受けず、細胞の凝集と死を招く可能性がある。一実施形態において、バイオリアクターは、半透過性中空糸膜を通してガス交換及び栄養交換を行う。中空糸膜を含む細胞増殖システムの表面積対体積比は、他の細胞培養方法のシステムよりも大幅に大きくなる可能性があるため(例えば、細胞培養フラスコの表面積の約15倍)、そのような交換は効率的であるということが重要である。そのような効率は、交換が行われる膜表面を通過できる培地成分の拡散距離を最小化することにより達成される。
例えば、図9Bは、細胞増殖中(バイオリアクターに約3E+09のT細胞が存在する)の、Quantum(登録商標)Cell Expansion System等の細胞増殖システムにおける酸素消費量のグラフ936を示している。図9Bは、バイオリアクター出口での酸素(O2)の割合(%)(938)を示す。例えば、一実施形態によれば、酸素レベルを測定するセンサは、バイオリアクターのEC出口ポートに配置することができる。他の実施形態では、酸素供給を測定するセンサをバイオリアクターのIC出口ポートに配置してもよい。O2の割合は、実行時間(例、分)(940)に対して測定される。細胞への酸素供給を最大化するために、ある実施形態では、EC循環流量、QEC Circは300mL/min(942)に設定される。図9Bは、EC循環流量は、300mL/min(942)から50mL/min(944)に低下したときの酸素供給の変化を示している。例えば、培地がバイオリアクターを通過するときに、細胞は培地内の酸素(O2)を消費する。50mL/min(944)の流体は、300mL/min(942)の流体よりもバイオリアクターをゆっくりと移動するため、EC循環流量が50mL/minの場合、細胞がより長い時間をかけて、又は細胞が培地から酸素を除去する機会が増える可能性がある。EC循環流量が300mL/minに戻ると、酸素供給は回復する(946)。図9Bは、バイオリアクターの外側のIC循環経路の部分、例えば細胞から酸素が奪われる可能性がある部分に保持する場合とは対照的に、気体の移動が起こる中空糸自体に細胞を保持する場合において考えられ得る利点を示している。従って、バイオリアクターの両側、例えばIC入口ポートとIC出口ポートに入るように培地の流れを誘導することにより、フィーディング中にバイオリアクターの中空糸内に細胞(例えば、非接着細胞)集団を保持することは有益である。一実施形態では、IC入口ポート及びIC出口ポートへの流れを均等に分配する手法を使用することができる。他の実施形態では、例えば、バイオリアクター内における細胞の所望される配置場所に応じて、IC出口ポートに対してIC入口ポートへの流れを大きくしたり、逆に小さくしたりする。
図9Aに戻ると、開始動作902が開始され、プロセス900は、ディスポーザブルセット又は事前に取り付けられた流体移送アセンブリ(例えば、参照符号210、400で示される)を細胞増殖システムに装填するステップ904に進む。ステップ906において、ディスポーザブルセットはプライミングされる。ここでは、例えば、Lonza Ca2+/Mg2+を含まないPBSでディスポーザブルセットはプライミングされる。細胞の投入及び播種の準備において、プライミング流体は、IC/EC洗浄ステップ908を使用して交換される。一実施形態において、システム内のPBSは、例えば、TexMACS GMP基礎培地と交換される。他の実施形態では、基礎培地は、Prime XV、Advanced RPMI+グルタミン、RPMI1640+グルタミン、及び/又はIMDM+グルタミンである。次に、プロセス900は、IC出口弁を閉じるステップ910に進む。実施形態において、EC出口弁は、中空糸膜を含むバイオリアクターの中空糸に加えられた流体の限外濾過を可能にするために開かれる。次に、ステップ912において、培地が調整される。次に、プロセス900は、細胞(例えば、懸濁細胞又は非接着細胞(例えばTreg等のT細胞))を投入するステップ914に進む。一実施形態では、ステップ914において、そのような細胞は、「循環せずに中央に細胞を投入する」タスクによって投入される。他の実施形態では、ステップ914において、そのような細胞は、「均一な懸濁で細胞を投入する」タスクによって投入される。他の実施形態では、他の投入タスク及び/又は投入手順が使用されてもよい。
一実施形態では、ステップ914において投入中の細胞は、例えば、その投入中及び投入後に細胞にフィーディングを行うための培地を含む溶液に懸濁されてもよい。他の実施形態では、そのような溶液は、細胞フィーディングを行うための培地と、細胞(例えばT細胞)を刺激するための可溶性活性化因子複合体の両方を含んでもよい。上記のように、アクチベーターは、いくつかの実施形態ではビーズである。従って、ステップ914で投入される細胞はまた、細胞の増殖を刺激するためのアクチベーターを有するビーズを含んでよい。いくつかの実施形態では、ヒトAB血清が存在してもよい。理論に縛られるものではないが、ヒト血清には、T細胞上のCD2と結合するLFA-3(CD58)が含まれており、細胞とビーズとの凝集が最小限に抑えられると考えられる。投入ステップ914は、例えば、0日目に行われる。
細胞投入ステップ914に続いて、ステップ916において、細胞はさらにフィーディングされる。フィーディングステップ916の間、バイオリアクター内に細胞滞留を制御することが望ましい。フロー制御パラメータを調整するステップ918により、例えば成長の増殖期の間、細胞がバイオリアクターからバイオリアクター外側のICループ部分に失われずに、細胞をバイオリアクター内に保持することができる。実施形態によれば、細胞をバイオリアクター内に保持することにより、バイオリアクター内の細胞をIC入口ポートに近づけることができ、そのような細胞は最も新鮮な成長培地を受けることができる。一方、ICループ内の細胞は、例えば、解糖代謝に影響を与える可能性のある、消費された又は調整された培地を受け取っている可能性がある。さらに、バイオリアクター内の細胞は、ECループ循環からの拡散によりガス移送モジュール(GTM)から入力される混合ガス(例えば、酸素、二酸化炭素、窒素)を受け取るが、ICループの他の部分の細胞はそのような混合ガスを受け取らない。ある実施形態では、細胞はバイオリアクター自体に保持されるが、他の実施形態では、細胞は、栄養送達及び/又はガス交換の改善を可能にする任意の場所に維持されてもよい。従って、実施形態においては、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、細胞を保持するため又は細胞の滞留を制御するために他の場所が使用される。
図9A及びプロセス900に戻ると、ある実施形態では、中空糸膜バイオリアクターからの細胞の損失は、IC循環ポンプ流量をIC入口ポンプ流量に(反対方向であるが)マッチングさせるか、或いは略又は実質的にマッチングさせることにより減少させることができる。ステップ920において、IC入口ポンプは、第1の流量又は体積流量を生成するように調整され、ステップ922において、IC循環ポンプは、第2の対向流量又は第2の対向体積流量を生成するように調整される。ここでは、体積流量又は流体流量又は流体のレート又は流量は、単位時間あたりに通過する流体の体積と考えることができる(記号「Q」で表される)。例えば、0.1mL/minのIC入口ポンプ流量に対する相補的なIC循環ポンプ流量として-0.1mL/minをマッチング或いは略マッチングさせて、細胞培養の成長期の間(ある実施形態では、例えば第4日目から第7日目)、バイオリアクター内に細胞を維持する。他の実施形態では、成長期は2~7日目又は2~8日目である。ポンプ調整ステップ918によって、例えば、バイオリアクターのIC出口ポートからの細胞の損失に関連するあらゆる力に対抗することが可能になる。
次に、ステップ924において、細胞を成長又は増殖させる。細胞は、ステップ924での成長又は増殖に限定されず、代わりに、例えば、ステップ914、916、918、920、922中に細胞を増殖させてもよい。プロセス900は、次に、収穫ステップ926に進み、そこでは、細胞を収穫バッグ又は容器に移す。次いで、ディスポーザブルセットを細胞増殖システムからアンロードし(ステップ932)、次いでプロセス900は終了動作934で終了する。
或いは、収穫ステップ926から、プロセス900は、さらなる処理/分析ステップ928を可能にするために任意選択で進むことができる。そのようなさらなる処理ステップ928は、例えば収穫された細胞の表現型の特徴付けを含む。オプションのさらなる処理/分析ステップ928から、プロセス900は、残りの細胞930をオプションで再投入するように進行してもよい。次に、プロセス900は、ディスポーザブルセットのアンロード(ステップ932)に進み、プロセス900は、終了動作934で終了する。或いは、プロセス900は、さらなる処理/分析ステップ928から進行して、ディスポーザブルセットをアンロードしてもよい(ステップ932)。プロセス900は、次いで、終了動作934で終了する。
次に、図10Aは、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムと共に使用される細胞に対してフィーディングを行うためのプロセスの例示的な動作ステップ1000を示す。開始動作1002が開始され、プロセス1000は、ディスポーザブルセットを細胞増殖システムに装填し、該セットをプライミングし、IC/EC洗浄を実行し、培地を調整し、細胞(例えば、懸濁細胞又は非接着細胞)を投入するステップに進む。次に、プロセス1000は、第1の期間の間、細胞に対してフィーディングを行うステップ1004に進む。実施形態では、第1入口流量及び第1循環流量が使用される。一例として、第1のIC入口流量及び第1のIC循環流量が使用され、ここでは、第1のIC入口流量は、IC入口ポンプ(例えば第1ポンプ)によって制御され、第1のIC循環流量は、IC循環ポンプ(例えば第2ポンプ)によって制御される。例示的な実施形態では、IC入口ポンプ(554)は、0.1mL/minの体積流量で、バイオリアクター(501)のIC入口ポート(501A)に流入させ、IC循環ポンプ(512)は、-0.1mL/minの相補的なIC循環体積流量又は流量流体流量で、バイオリアクター(501)のIC出口ポート(501B)に流入させる。ここで、例えば、-0.1mL/minで使用される負の記号(「-」)は、細胞培養の成長期の間、細胞がバイオリアクター内に維持されるように、IC循環ポンプ(512)の方向が対向流量を生じさせることを示している。
細胞のフィーディングの間及び正方向-対向流特性によるバイオリアクター内の細胞滞留制御を行いながらのフィーディングにおけるICポンプの使用の間は、細胞は成長及び増殖し続ける。結果として、細胞は、増殖する集団を支援するために、追加の培地(例えばグルコース及び/又は細胞成長用培地)を必要とする。増殖する細胞集団の乳酸値を制御するための処置もなされる。実施形態において、細胞培養乳酸値は、約20mmol/L以下、約15mmol/L以下、約10mmol/L以下、又は約7mmol/L以下に維持される。他の実施形態では、例えば培地添加レート及び/又は他の設定を制御して、例えば細胞成長及び生存率を改善するために、乳酸レベルを約約5mmol/L以下に維持される。さらに他の実施形態では、例えば、培地添加のレート、及び/又は他の設定を制御して、例えば、細胞増殖及び生存率を改善するために、乳酸レベルを約15mmol/L以下に維持される。他の実施形態では、他の濃度が使用されてもよい。
例示的な実施形態では、複数の期間、例えば数日間(4~8日目)にわたって中空糸膜の内腔内で、IC入口(+)ポンプ流量とIC循環(-)ポンプ流量の両方を±0.1から±0.4mL/minまで同時に増加させることにより、乳酸値を約7mmol/L以下に制御することができる。例えば、図10Bは、例えば細胞増殖システム(例えば、CES500)で「細胞フィーディング」タスクを使用してフィーディングを行うための例示的なICポンプ流量の表1018を示す。表1018は、バイオリアクター内に細胞を維持させるようにバイオリアクターの両側への体積流量を生成するための期間1020(例えば何日目か)とICポンプ流量1022との例示的な関係を示す。例えば、0~4日目(1024)では、0.1mL/min(1026)のIC入口流量又は入力ポンプ流量を、また-0.1mL/min(1028)のIC循環ポンプ流量を使用する。5日目(1030)は、0.2mL/min(1032)のIC入口ポンプ流量と-0.2mL/min(1034)のIC循環ポンプ流量を使用する。6日目(1036)は、0.3mL/min(1038)のIC入口ポンプ流量と-0.3mL/min(1040)のIC循環ポンプ流量を使用する。7日目(1042)は、0.4mL/minのIC入口ポンプ流量(1044)と-0.4mL/minのIC循環ポンプ流量(1046)を使用する。図10Bの表1018は、細胞培養の成長期に細胞をバイオリアクターに保持しながら、細胞にフィーディングを行うためにポンプ流量を±0.1から±0.4mL/minにすることを例示しているが、他のポンプ流量とそれによる流量は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態に対して使用されてよい。例えば、この例ではフィーディング流量を増やすために±0.1mL/minの増分が示されているが、他の増分、例えば±0.005mL/min、±0.05mL/min等を使用してフィーディング流量を増やしてもよい。図10Bの表1018の期間(例えば日数)、及びポンプ流量は、単に例示目的で提供されており、限定することを意図していない。
他の例示的な実施形態では、細胞増殖の期間にわたって、中空糸膜の管腔内のIC入口(+)ポンプ速度及びIC循環(-)ポンプ速度の両方を同時に増加させることにより、乳酸値を約15mmol/L以下になるように制御が行われる。例えば、第1の期間(0~2日又は0~4日)では、0.1mL/minのIC入口又は入力ポンプ速度と-0.1mL/minのIC循環ポンプ速度が使用される。第2の期間(3~7日目又は5~8日目)では、0.4mL/minのIC入口又は入力ポンプ速度と-0.4mL/minのIC循環ポンプ速度が使用される。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他のポンプ速度及びその結果として得られる流量を実施形態に従って使用することもできる。例えば、この例では、供給流量を増加させるために±0.1mL/min程度の(例えば、±0.1mL/min;±0.2mL/min;±0.3mL/min等)の増分が示されるが、ある実施形態では、他のオーダーの増分(例えば、±0.005mL/min、±0.05mL/min等)を使用して、供給流量を増加させることができる。期間(例えば、日数)及びポンプ速度は、単に例示の目的で提供されており、限定することを意図していない。
図10Aに戻ると、プロセス1000は、第1の期間の間、細胞をフィーディングするステップ1004から、第1の量だけ第1の入口流量を増加させて第2の入口流量を達成するステップ1006に進む。上記で説明した図10Bに示された実施形態のように、IC入口ポンプ流量(+)は、0.1mL/minから0.2mL/minに増加して、0.2mL/minのIC入口流量を生成する。さらに、それと同時に、IC循環ポンプ流量(-)は、-0.1mL/minから-0.2mL/minに同時に増加して、-0.2mL/minのIC循環流量を生成する。従って、第1循環流量は第1の量だけ増加して、第2循環流量を達成する(ステップ1008)。次いで、細胞に対して、第2の入口流量及び第2の循環流量で第2の期間、フィーディングが行われ(ステップ1010)、バイオリアクター内及びヘッダーの外側及びバイオリアクター外側のIC循環路の一部の外側に細胞が維持される。第2の期間のフィーディング(ステップ1010)に続いて、例えば、細胞のフィーディング及び/又は増殖を継続することが望まれない場合、プロセス1000は、終了動作1016で終了する。或いは、任意選択可能であるが、プロセス1000は、フィーディング流量の増加又はそうでなければ変更を続けることができる(ステップ1012)。省略記号1014で表されるように、任意の数のフィーディング期間があってもよい。所望の数のフィーディング期間1014に続いて、プロセス1000は終了動作1016で終了する。図10A及び図10B及びプロセス1000は、流量の「増加」を示しているが、流量に対する他の調整を行ってもよい。例えば、流量は、あるフィーディング期間から次のフィーディング期間まで減少させてもよいし、実質的に同じままでもよい。例えば、代謝活動等を考慮することで、流量をどのように調整するかを決定してもよい。図10A及び図10Bの流量の「増加」は、単に説明の目的で提供されており、限定することを意図したものではない。
次に、図11Aは、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムと共に使用される細胞に対してフィーディングを行うためのプロセスの例示的な動作ステップ1100を示す。開始動作1102が開始され、プロセス1100は、ディスポーザブルセットを細胞増殖システムに装填し、該セットをプライミングし、IC/EC洗浄を実行し、培地を調整し、細胞(例えば、懸濁細胞又は非接着細胞)を投入するステップに進む。次に、プロセス1100は、第1の期間の間、細胞に対してフィーディングを行うステップ1104に進む。実施形態では、第1入口流量又は流量及び第1循環流量又は流量が使用される。一例として、第1のIC入口流量及び第1のIC循環流量が使用され、ここでは、第1のIC入口流量は、IC入口ポンプ(例えば第1ポンプ)によって制御され、第1のIC循環流量は、IC循環ポンプ(例えば第2ポンプ)によって制御される。例示的な実施形態では、IC入口ポンプ(554)は、0.1mL/minの体積流量又は流量で、バイオリアクター(501)のIC入口ポート(501A)に流入させ、IC循環ポンプ(512)は、-0.1mL/minの相補的なIC循環体積流量で、バイオリアクター(501)のIC出口ポート(501B)に流入させる。ここで、例えば、-0.1mL/minで使用される負の記号(「-」)は、細胞培養の成長フェーズの間、細胞がバイオリアクター内に維持されるように、IC循環ポンプ(512)の方向が対向流量を生じさせるすなわち発生させることを示している。
細胞のフィーディングの間及び正方向-対向流特性によるバイオリアクター内の細胞滞留制御を行いながらのフィーディングにおけるICポンプの使用の間は、細胞は成長及び増殖し続ける。結果として、細胞は、増殖する集団を支援するために、追加の培地(例えばグルコース及び/又は細胞成長用培地)を必要とする。増殖する細胞集団の乳酸値を制御するための処置もなされる。例示的な実施形態では、例えば数日間(4~8日目)にわたって中空糸膜の内腔内で、IC入口(+)ポンプ流量とIC循環(-)ポンプ流量の両方を±0.1から±0.4mL/minまで同時に増加させることにより、乳酸値を約7mmol/L以下に制御することが行われる。例えば、図10Bのテーブル及び上述したそれに関する説明(例えば、フィーディングのためのポンプ流量)を参照のこと。上述のように、図10Bの表1018は、細胞培養の成長期に細胞をバイオリアクターに保持しながら、細胞にフィーディングを行うためにポンプ流量を±0.1から±0.4mL/minにすることを例示しているが、他のポンプ流量とそれによる流量は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態に対して使用されてよい。他の例示的な実施形態では、複数の日数にわたって、中空糸膜の管腔内のIC入口(+)ポンプ速度及びIC循環(-)ポンプ速度の両方を同時に増加させることにより、乳酸値を約15mmol/L以下になるように制御が行われる。上記した及び図10Bの表1018に記載した期間(例えば日数)、及びポンプ流量は、単に例示目的で提供されており、限定することを意図していない。
図11Aに戻ると、プロセス1100は、第1の期間の間、細胞をフィーディングするステップ1104から、第1の量だけ第1の入口流量を増加させて第2の入口流量又は流量を達成するステップ1106に進む。上記で説明した図10Bに示された実施形態のように、IC入口ポンプ流量(+)は、0.1mL/minから0.2mL/minに増加して、0.2mL/minのIC入口流量を生成する。さらに、それと同時に、IC循環ポンプ流量(-)は、-0.1mL/minから-0.2mL/minに同時に増加して、-0.2mL/minのIC循環流量を生成する。他の実施形態では、IC入口ポンプ速度(+)は、0.1mL/minから0.4mL/minに増加して、0.2mL/minのIC入口流量を生成することができる。さらに、IC循環ポンプ速度(-)は同時に-0.1mL/minから-0.4mL/minに増加し、-0.4mL/minのIC循環流量を生成する。従って、第1循環流量又は流量は第1の量だけ増加して、第2循環流量を達成する(ステップ1108)。次いで、細胞に対して、第2の入口流量又は流量及び第2の循環流量又は流量で第2の期間、フィーディングが行われ(ステップ1110)、バイオリアクター内及びヘッダーの外側又はバイオリアクター外側のIC循環路の一部に細胞が維持される。第2の期間のフィーディング(ステップ1110)に続いて、例えば、細胞のフィーディング及び/又は増殖を継続することが望まれない場合、プロセス1100は、終了動作1116で終了する。
或いは、任意選択で、プロセス1100は、代謝活動に基づいてフィーディング流量又は流量を調整するかどうかを決定することができる。この場合、プロセス1100は、任意選択のクエリステップ1112に進み、代謝レベルに基づいてフィーディングを調整するかどうかを決定する。グルコース及び/又は乳酸レベルを監視することにより、細胞増殖システムの培地流量(例えばIC培地流量)を調整して、例えば中空糸バイオリアクターのようなバイオリアクターでの細胞(例えばTreg)の増殖を促進することができる。
図11B及び図11Cに示すように、実施形態では、T細胞(例えば非限定的な例としてhTreg)の増殖を伴う細胞増殖実験又は手順における乳酸値の制御が行われる。グラフ1118、1132は、グルコース及び乳酸レベルの測定値を使用して、例えば、T細胞(例えばTreg)の増殖を支援するために、細胞増殖システムの培地流量(例えばIC培地の流量)を調整することを示す。例えば、図11Bは、hTregの増殖の代謝を示すグラフ1118を提供し、ここでは、細胞増殖は、Quantum(登録商標)細胞増殖システムのような細胞増殖システムで行われる。グルコース濃度(mg/dL)1120及び乳酸濃度(mmol/L)1122は、期間(例えば日数1126)にわたる種々の細胞増殖ラン1124、1125について示されている。これらのTregラン1124、1125では、例えば、4日目から8日目までの期間で、中空糸膜の内腔内において、IC入口(+)ポンプ流量とIC循環ポンプ流量の両方を同時に±0.1から±0.4mL/minに増やすことにより、増殖する細胞集団の乳酸値を約7mmol/L以下の値になるように制御する。他の実施形態では、他のポンプ流量が使用されてもよい。示されているように、実施形態によれば、Treg細胞増殖中の最低グルコースレベルは、7日目の264mg/dLの濃度1128(Q1584)から8日目の279mg/dLの濃度1130(Q1558)までの範囲である。描かれているように、ラン1124の細胞増殖用培地中の開始グルコース濃度は、例えば325mg/dLから335mg/dLの範囲である。他の実施形態では、細胞の成長及び生存率を改善するために、乳酸レベルを約5mmol/L以下に維持することが望ましい場合がある。さらに他の実施形態では、成長のための条件は、グルコース濃度を開始濃度のあるパーセンテージ分より上に維持することである。例えば、いくつかの実施形態では、IC入口(+)ポンプ速度、IC循環ポンプ速度、EC入口(+)ポンプ速度及び/又はEC循環ポンプ速度は、グルコース濃度を、開始濃度の約20%、開始濃度の約30%、開始濃度の約40%、開始濃度の約50%、開始濃度の約60%、開始濃度の約70%、開始濃度の約80%、開始濃度の約90%、又は開始濃度の約100%、より高く維持するように、増殖中に調整される。いくつかの実施形態では、グルコース濃度は、300mg/dLより上に維持される。実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)要素を使用して、培地添加のレートを制御し、細胞の増殖中に解糖からの乳酸代謝老廃物を規定レベル未満に維持する。
図11Cに目を向けると、グラフ1132は、hTregの増殖の代謝を示しており、そのような細胞増殖は、Quantum(登録商標)細胞増殖システムのような細胞増殖システムで行われる。グルコース消費(mmol/day)1134及び乳酸生成(ミリモル/日)1136は、期間1140(例えば日数)にわたる種々の細胞増殖ラン1138、1139について示されている。一実施形態では、例えば約7mmol/L以下に乳酸値を制御するために、IC入口(+)ポンプ流量及びIC循環(-)ポンプ流量を±0.1から±0.4mL/minまで同時に増加させる。例えば、グラフ1132は、±0.1mL/min(1142)、±0.2mL/min(1144)、±0.3mL/min(1146)及び±0.4mL/min(1148)のIC循環流量(IC circulation rate)とIC供給流量(IC feed rate)を示している。他の実施形態は、他の流量を使用してもよい。例えば、異なるタイプの細胞(例えば、他のT細胞)を増殖するとき、他の流量が使用されてもよい。また、いくつかの実施形態では、IC入口(+)ポンプ速度及びIC循環(-)ポンプ速度に加えて、EC入口ポンプ速度及びEC循環速度を使用して、グルコース及び乳酸値を制御してもよい。図11B及び図11Cで使用及び表示されている流量は、説明のために提供されており、限定することを意図したものではない。IC入口ポンプの方向に対して正(+)が示され、IC循環ポンプの方向に対して負(-)が示される場合があるが、このような方向は説明のみを目的として示されており、そのような方向は、使用するポンプの構成に依存する。
図11A及びオプションであるクエリステップ1112に戻ると、代謝活動を測定し及び/又はその測定に基づいてフィーディングレベルを調整することが望まれない場合、プロセス1100は「no」に進み、終了動作1116においてプロセス1100は終了する。或いは、代謝活動に基づいてフィーディングレベルを調整することが望まれる場合、プロセス1100は、「yes」に進み、任意選択のステップ1114において培地添加レートを増加して、増殖する細胞集団にフィーディングを続ける。ステップ1114は1つのステップとして示されているが、このステップは、例えば、IC入口流量の増加やIC循環流量の増加やEC入口流量の増加やEC循環流量の増加等、培地添加レートに対して調整を行う複数のステップを含んでよい。ステップ1114は、例示目的のみのために1つのステップとして示されているが、限定することを意図していない。培地添加レートの調整に続いて、プロセス1100は、オプションのクエリステップ1112に進み、代謝レベルの測定を継続するか、及び/又はフィーディングを調整するかを決定する。代謝活動の測定及び/又は代謝活動に基づくフィーディングレベルの調整を継続することが望まれない場合、プロセス1100は「no」に進み、終了動作1116においてプロセス1100は終了する。図11A及びプロセス1100は、レート又は流量の「増加」を示しているが、流量に対して他の調整が行われてもよい。例えば、あるフィーディング期間から次のフィーディング期間まで、レート又は流量は減少されてもよいし、実質的に同じに維持してもよい。行われる可能性のある調整のタイプは、成長している細胞集団の代謝活性評価に依存する。例えば、図11Aの流量の「増加」は、単に説明の目的で提供されており、限定することを意図したものではない。
次に、図12は、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムを使用した細胞フィーディングの間、細胞を所与の位置に保持するためのプロセスの例示的な動作ステップ1200を示す。開始動作1202が開始され、プロセス1200は、ディスポーザブルセットを細胞増殖システムに装填し、該セットをプライミングし、IC/EC洗浄を実行し、培地を調整し、細胞(例えば、懸濁細胞又は非接着細胞)を投入するステップに進む。次に、プロセス1200は、第1の期間の間、細胞に対してフィーディングを行うステップ1204に進む。実施形態では、第1入口流量及び第1循環流量が使用される。一例として、第1のIC入口流量及び第1のIC循環流量が使用され、ここでは、第1のIC入口流量は、IC入口ポンプ(例えば第1ポンプ)によって生成されて制御され、第1のIC循環流量は、IC循環ポンプ(例えば第2ポンプ)によって生成されて制御される。例示的な実施形態では、IC入口ポンプ(554)は、0.1mL/minの体積流量で、バイオリアクターのIC入口ポート(501A)に流入させ、IC循環ポンプ(512)は、-0.1mL/minの相補的なIC循環体積流量又は流量で、バイオリアクター(501)のIC出口ポート(501B)に流入させる。ここで、例えば、-0.1mL/minで使用される負の記号(「-」)は、細胞培養の成長フェーズの間、細胞がバイオリアクター内に維持されるように、IC循環ポンプの方向が対向流量を生じさせるすなわち発生させることを示している。他の実施形態では、第1のIC循環流量は、第1のIC入口流量のあるパーセンテージ分であってもよい。例えば、第1のIC循環流量は、第1のIC入口流量の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、又はある実施形態では、他のパーセンテージ分すなわち他の割合であってよい。
細胞のフィーディング(及び増殖)の間及び正方向-対向流特性によるバイオリアクター内の細胞滞留制御を行うためのICポンプの使用の間は、細胞は成長及び増殖し続ける。結果として、細胞は、増殖する集団を支援するために、追加の培地(例えばグルコース及び/又は細胞成長用培地)を必要とする。実施形態では、増殖する細胞集団に対してフィーディングを行うため、培地添加流量を増加することも行われる。例示的な実施形態では、IC入口ポンプ流量(+)の増加は、IC入口流量を第1の量だけ増加させ、第2のIC入口流量を達成する(ステップ1206)。例えば、一実施形態によれば、IC入口流量は、0.1mL/minの第1の量だけ増加されて、0.2mL/minの第2のIC入口流量を達成する。他の実施形態によれば、IC入口流量に対して他の調整を行ってもよい。
次に、実施形態によれば、第2のIC循環流量は、第2のIC入口流量のあるパーセンテージ分、或いはある割合、或いはある比に等しくなるように設定又は調整又は構成される(ステップ1208)。例えば、第2のIC循環流量は、一実施形態によれば、IC入口流量の値の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、又は他の実施形態では、他のパーセンテージ分又は他の割合に等しくなるように設定又は調整又は構成される。一実施形態によれば、第1のIC循環流量の値に応じて、IC循環ポンプ流量(-)の調整により、第2のIC循環流量は増加される。他の実施形態では、IC循環ポンプ流量を調整して、第2のIC循環流量を、該IC循環流量が第2のIC入口流量の所定のパーセンテージ分又は所定の比率に実質的に等しくなるように、減少させる。さらに他の実施形態では、IC循環ポンプ流量の調整は行われなくてもよい。例えば、第1のIC入口流量が0.1mL/minに等しく、第1のIC循環流量が-0.1mL/minに等しい場合、第2のIC入口流量が0.2mL/minに増加すると、第2のIC循環流量は、(-1/2)*(第2のQIC Inlet)(ここでQIC InletはIC入口流量)すなわち(-1/2)*(0.2mL/min)に設定され、これにより-0.1mL/minの第2のQIC Circが与えられる(ここで、QIC CircはIC循環流量)。従って、IC循環ポンプ流量を調整せずに、第2のQIC Circが達成される。
図5B及び図5Cは、本開示の実施形態による、第1循環路内の流体の動きを示す細胞増殖システム500の動作構成を示す。図5B及び図5Cの構成は、例えば、細胞成長チャンバー内又はバイオリアクター内に細胞を保持するための、IC入口ポート(例えば、第1ポート)及びIC出口ポート(例えば、第2ポート)への流量の分割を示す。上記のCES500に関して説明したように、ICループ又は第1の循環路502では、流体は最初にIC入口ポンプ554によって前進する。このような流体は、第1の方向(例えば正方向)に前進する。流体は、IC入口ポート501Aを介して細胞成長チャンバー又はバイオリアクター501に流入し、細胞成長チャンバー又はバイオリアクター501の中空糸を通って流れ、IC出口ポート501Bを介して流出する。培地は、培地流量を制御するために使用されるIC循環ポンプ512を通って流れる。IC循環ポンプは、第1の方向又は第1の方向と反対の第2の方向に流体をポンピングする。出口ポート501Bは、例えば、逆方向における入口として使用されてもよい。一実施形態では、IC循環ポンプ512は、例えば、IC入口ポンプの方向とは反対の方向に流体をポンピングする。例として、IC入口ポンプの方向は正(+)であり、IC循環ポンプの方向は負(-)であり、従って、バイオリアクターの両側に流体が入るように対向流が発生し、細胞がバイオリアクター内に保持される。
一実施形態では、流体の第1の部分は、接続部517で分岐して、バイオリアクター501のIC入口ポート(501A)に流れ込む。ある実施形態では、IC循環ポンプ512は、流体の第2の部分が、接続部517で分岐してバイオリアクター501のIC出口ポート(501B)に流入するように、(反対方向であるが)IC入口ポンプ554の流量にマッチングした、或いは略又は実質的にマッチングしたポンプ流量で動作する。例えば、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量に対して、相補的なIC循環ポンプ流量が-0.1mL/minになるようにマッチングさせるか、略マッチングさせて、細胞培養の増殖期の間、細胞をバイオリアクター内に維持する。フィーディング中のこのようなポンプ調整手法は、IC出口ポートからの細胞の損失に関連する力に対抗する。一実施形態によれば、ポンプ調整によってバイオリアクターのIC入口ポート(501A)への流れとIC出口ポート(501B)への対向流を引き起こすタイプのフィーディングは、修正されたフィーディング方法と呼ばれる。他の例示的な実施形態では、IC循環ポンプ流量を調整して、IC出口ポート(501B)への流量を、IC入口流量の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、或いは他の実施形態では他のパーセンテージ分又は他の割合、に等しくする(但し、方向は逆)。例えば、IC入口ポンプ流量が0.4mL/minの場合、IC循環ポンプ流量は、約-0.2mL/minに設定又は構成又は調整される。他の実施形態では、他のパーセンテージ分又は他の割合を使用してもよい。
図5B及び図5Cは、実施形態に従って、細胞成長チャンバー又はバイオリアクター501内に細胞を維持するための正方向流量及び対向流量が示される、CES500における流体の動きを示す動作構成を示す。例えば、そのような流量は、図5Bにおいて、「X」流量503、「(-1/2)X」流量505(負の記号(「-」)は方向を示し、流量505の方向は図5Bの方向矢印で示されている)、「(1/2)X」流量507、として示されている。ここで、流量の約1/2、すなわち第1の部分は接続部517で分岐してバイオリアクター501のIC入口ポート(501A)に入り、流量の約1/2、すなわち第2の部分は、接続部517で分岐して、バイオリアクター501のIC出口ポート(501B)に入る。示されるように、第1の部分と第2の部分の合計は、総流量503に実質的に等しく、総流量503はIC入口ポンプ554によってポンピングされる。細胞をバイオリアクター又は細胞成長チャンバー501に保持するために使用される正方向流量-対向流量に応じて、IC入口ポンプ流量の他のタイプの割合又はパーセンテージ分を使用して、IC循環ポンプを設定又は構成又は調整してもよい。そのような場合として、図5Cは、以下のような流量が示されている。すなわち、「X」流量511、「-(y%)*X」流量513(ここで負の記号(「-」)は方向を示しており、流量513の方向は図5Cの方向矢印によって示される)、「(100%-y%)*X」流量515が示されている。ここで、「y」はあるパーセンテージに等しい。実施形態では、流量513と流量515との合計は、流量511に実質的に等しい。
一実施形態において、第1の流体流路506からの流れの全て、又は実質的に全ては、例えば、接続部517からバイオリアクター501のIC入口ポート(501A)に流入する。他の実施形態では、第1の流体流路506からの流れの全て、又は実質的に全ては、接続部517からバイオリアクター501のIC出口ポート(501B)に流入する。さらに他の実施形態では、第1の流体流路506からの流れの第1の部分は接続部517からIC入口ポート(501A)に流入し、第1の流体流路506からの流れの第2の部分は接続部517からIC出口ポート(501B)に流入する。実施形態では、IC循環流量が設定され得るIC入口流量のパーセンテージ分は、約0パーセントから約100パーセントの範囲である。他の実施形態では、そのパーセンテージ分は約25パーセントから約75パーセントの間である。他の実施形態では、そのパーセンテージ分は約40パーセントから約60パーセントの間である。他の実施形態では、そのパーセンテージ分は約45パーセントから約55パーセントの間である。実施形態では、そのパーセンテージ分は約50パーセントである。図5B及び図5Cに示される動作構成は、細胞増殖システムの様々な動作の可能な構成を表し、示される構成への修正は、1又は複数の本実施形態の範囲内であることを理解されたい。
図12に戻ると、細胞に対して、第2の入口流量及び第2の循環流量で第2の期間、フィーディング(及び継続的に増殖)が行われ(ステップ1210)、バイオリアクター内及びヘッダーの外側及びバイオリアクター外側のIC循環路の一部に細胞が維持される。第2の期間のフィーディング(ステップ1210)に続いて、例えば、細胞のフィーディング及び/又は増殖を継続することが望まれない場合、プロセス1200は、終了動作1216で終了する。或いは、任意選択可能であるが、プロセス1200は、フィーディング流量の増加又はそうでなければ変更を続けることができる(ステップ1212)。省略記号1214で表されるように、任意の数のフィーディング期間があってもよい。所望の数のフィーディング期間1214に続いて、プロセス1200は終了動作1216で終了する。図12及びプロセス1200は、流量の「増加」を示しているが、流量に対する他の調整を行ってもよい。例えば、流量は、あるフィーディング期間から次のフィーディング期間まで減少させてもよいし、実質的に同じままでもよい。例えば、代謝活動等を考慮することで、流量をどのように調整するかを決定してもよい。図12の流量の「増加」は、単に説明の目的で提供されており、限定することを意図したものではない。
次に、図13は、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムを使用した、細胞を第1の位置(例えば、バイオリアクター)に保持しながら細胞へのフィーディングを行うためのプロセスの例示的な動作ステップ1300を示す。開始動作1302が開始され、プロセス1300は、ディスポーザブルセットを細胞増殖システムに装填し、該セットをプライミングし、IC/EC洗浄を実行し、培地を調整し、細胞(例えば、懸濁細胞又は非接着細胞)を投入するステップに進む。次に、プロセス1300は、第1の期間の間、細胞に対してフィーディングを行うステップ1304に進む。実施形態では、第1入口流量及び第1循環流量が使用される。一例として、第1のIC入口流量及び第1のIC循環流量が使用され、ここでは、第1のIC入口流量は、IC入口ポンプ(例えば第1ポンプ)によって生成されて制御され、第1のIC循環流量は、IC循環ポンプ(例えば第2ポンプ)によって生成されて制御される。例示的な実施形態では、第1IC入口ポンプは、0.1mL/minの体積流量で、バイオリアクターのIC入口ポートに流入させ、-0.1mL/minである相補的なIC循環ポンプ流量は、-0.1mL/minの体積流量を引き起こし、その流量でバイオリアクターのIC出口ポート(501B)に流入させる。ここで、例えば、-0.1mL/minで使用される負の記号(「-」)は、細胞培養の成長期の間、細胞がバイオリアクター内に維持されるように、IC循環ポンプ(512)の方向が対向流量を生じさせるすなわち発生させることを示している。他の実施形態では、第1のIC循環流量は、第1のIC入口流量のあるパーセンテージ分すなわちある割合であってもよい。例えば、第1のIC循環流量は、第1のIC入口流量の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、又はある実施形態では、他のパーセンテージ分すなわち他の割合であってよい。
細胞のフィーディング(及び増殖)の間及び正方向流・対向流特性によりバイオリアクター内の細胞滞留を制御するためのICポンプの使用中は、細胞は成長及び増殖し続ける。結果として、細胞は、増殖する集団を支援するために、追加の培地(例えばグルコース及び/又は細胞成長用培地)を必要とする。実施形態では、増殖する細胞集団に対してフィーディングを行うため、培地添加流量を増加することが行われる。例示的な実施形態では、IC入口ポンプ流量(+)の増加は、IC入口流量を第1の量だけ増加させ、第2のIC入口流量を達成する(ステップ1306)。例えば、一実施形態によれば、IC入口流量は、0.1mL/minの第1の量だけ増加されて、0.2mL/minの第2のIC入口流量を達成する。他の実施形態によれば、IC入口流量に対して他の調整を行ってもよい。
次に、実施形態によれば、第2のIC循環流量は、第2のIC入口流量のある割合、ある部分、又はある比に等しくなるように設定又は構成又は調整される(ステップ1308)。例えば、第2のIC循環流量は、一実施形態によれば、IC入口流量の値の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、又は他の実施形態では、他のパーセンテージ分又は他の比率に等しくなるように設定又は構成又は調整される。一実施形態において、第1の流体流路506からの流れの全て、又は略全ては、例えば、接続部517からバイオリアクター501のIC入口ポート(501A)に流入する。他の実施形態では、第1の流体流路506からの流れの全て、又は略全ては、接続部517からバイオリアクター501のIC出口ポート(501B)に流入する。さらに他の実施形態では、第1の流体流路506からの流れの第1の部分は接続部517からIC入口ポート(501A)に流入し、第1の流体流路506からの流れの第2の部分は接続部517からIC出口ポート(501B)に流入する。実施形態では、IC循環流量が設定され得るIC入口流量のパーセンテージ分は、約0パーセントから約100パーセントの範囲である。他の実施形態では、そのパーセンテージ分は約25パーセントから約75パーセントの間である。他の実施形態では、そのパーセンテージ分は約40パーセントから約60パーセントの間である。他の実施形態では、そのパーセンテージ分は約45パーセントから約55パーセントの間である。実施形態では、そのパーセンテージ分は約50パーセントである。
一実施形態によれば、第1のIC循環流量の値に応じて、IC循環ポンプ流量(-)の調整により、第2のIC循環流量は増加される。他の実施形態では、IC循環ポンプ流量を調整して、第2のIC循環流量を、第2のIC循環流量が第2のIC入口流量の所定の割合又は所定の比率に実質的に等しくなるように、減少させる。さらに他の実施形態では、IC循環ポンプ流量の調整は行われなくてもよい。例えば、第1のIC入口流量が0.1mL/minに等しく、第1のIC循環流量が-0.1mL/minに等しい場合、第2のIC入口流量が0.2mL/minに増加すると、第2のIC循環流量は、(-1/2)*(第2のQIC Inlet)すなわち(-1/2)*(0.2mL/min)に設定され、これにより-0.1mL/minの第2のQIC Circが与えられる。従って、IC循環ポンプ流量を調整せずに、第2のQIC Circが達成される。
そして、細胞に対して、第2の入口流量及び第2の循環流量で第2の期間、フィーディング(及び継続的に増殖)が行われ(ステップ1310)、バイオリアクター内及びヘッダーの外側又はバイオリアクター外側のIC循環路の一部に細胞が維持される。第2の期間のフィーディング(ステップ1310)に続いて、例えば、細胞のフィーディング及び/又は増殖を継続することが望まれない場合、プロセス1300は、終了動作1316で終了する。
実施形態では、第1の期間、第2の期間、第3の期間、第4の期間、第5の期間等は、それぞれ1日以上(及び/又は1時間以上及び/又は1分以上)である。例えば、実施形態によれば、期間は1日から14日である。しかしながら、他の実施形態では、期間は1日未満又は14日を超えてもよい。一実施形態では、例えば、フィーディングの第1の期間は、0日目、1日目、2日目、3日目、4日目を含み、フィーディングの第2の期間は5日目を含み、フィーディングの第3の期間は6日目を含み、フィーディングの第4の期間は7日目を含む。他の実施形態では、第1の期間は、0日目、1日目、及び2日目(例えば、約3日間の継続時間)を含み、第2の期間は、3日目、4日目、及び5日目(例えば、約3日間の継続時間)を含み、第3の期間は、6日目、7日目、及び8日目(例えば、約3日間の継続時間)を含み、第4の期間は、9日目と10日目(例えば、約2日の継続時間)を含み、第5の期間は、11日目、12日目、及び13日目(例えば、約3日間の継続時間)を含む。さらに他の実施形態では、第1の期間は、第0日、第1日(例えば、約2日の期間)を含み、第2の期間は、2日目(例えば、約1日の期間)を含み、第3の期間は、3日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第4の期間は、3日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第5の期間は、4日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第6の期間は、4日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第7の期間は、5日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第8の期間は、5日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第9の期間は、6日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第10の期間は、6日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第11の期間は、7日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含み、第12の期間は、7日目の半分(例えば、約0.5日の期間)を含む。実施形態によれば、期間は異なる期間であってよい。各期間は、日、時間、分、及び/又はそれらの一部の単位で測定される。
図13に戻ると、プロセス1300は、オプションとしてクエリステップ1312に進み、代謝活動又は代謝レベルに基づいてフィーディングレート又は流量を調整するかどうかを決定する。例えば、Tregの増殖では、増殖する細胞集団の乳酸値を約7mmol/L以下の値に制御することが望ましい場合がある。例えば、細胞培養乳酸値を約7mmol/L以下に維持することが望ましい場合、細胞(例えば制御性T細胞)の増殖中に培地添加の流量が制御される。他の実施形態では、細胞の成長及び生存率を改善するために、乳酸レベルを約5mmol/L以下に維持することが望ましい場合がある。さらに他の実施形態では、乳酸レベルを約20mmol/L以下に、又は約15mmol/L以下に、又は約10mmol/L以下に維持することが望ましい場合がある。実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)要素を使用して、培地添加のレートを制御し、細胞の増殖中に解糖からの乳酸代謝老廃物を規定レベル未満に維持する。
オプションであるクエリステップ1312において、代謝活動を測定し及び/又はその測定に基づいてフィーディングレベルを調整することが望まれない場合、プロセス1300は「no」に進み、終了動作1316においてプロセス1300は終了する。或いは、代謝活動に基づいてフィーディングレベルを調整することが望まれる場合、プロセス1300は、「yes」に進み、任意選択のステップ1314において培地添加レートを増加して、増殖する細胞集団にフィーディングを続ける。ステップ1314は1つのステップとして示されているが、このステップは、例えば、IC入口流量の増加やIC循環流量の増加等、培地添加レートに対して調整を行う複数のステップを含んでよい。ステップ1314は、例示目的のみのために1つのステップとして示されているが、限定することを意図していない。培地添加レートの調整に続いて、プロセス1300は、オプションのクエリステップ1312に戻り、代謝レベルの測定を継続するか、及び/又はフィーディングを調整するかを決定する。代謝活動に基づくフィーディングレベルの調整が望まれない場合、プロセス1300は「no」に進み、終了動作1316においてプロセス1300は終了する。図13及びプロセス1300は、レート又は流量の「増加」を示しているが、流量に対して他の調整が行われてもよい。例えば、あるフィーディング期間から次のフィーディング期間まで、レート又は流量は減少されてもよいし、実質的に同じに維持してもよい。行われる可能性のある調整のタイプは、成長している細胞集団の代謝活性評価に依存する。例えば、図13の流量の「増加」は、単に説明の目的で提供されており、限定することを意図したものではない。
次に、図14は、本開示の実施形態による、CES500(図5B及び図5C)等の細胞増殖システムで使用され得る、フィーディング中に細胞を保持するプロセスの例示的な動作ステップ1400を示す。開始動作1402が開始され、プロセス1400は、ディスポーザブルチューブセット又はプリマウントされた流体移送アセンブリ(例えば、210又は400)を細胞増殖システムに装填するステップ1404に進む。次に、ステップ1406において、システムに対してプライミングを行う。一実施形態では、例えば、ユーザ又はオペレータは、例えばプライミングのためのタスクを選択することによってプライミングを行うようにシステムに命令を与える。一実施形態では、プライミングのためのそのようなタスクは、例えば、事前にプログラムされたタスクである。次に、ステップ1408において、IC/EC洗浄タスクが実行される。ここでは、IC循環ループ及びEC循環ループ上の流体が例えば交換される。一実施形態によれば、交換体積は、交換されるIC容積及びEC容積の数によって決定される。
次に、バイオリアクター膜の中空糸にわたって適切な又は所望のガス濃度を維持するために、培地調整ステップ1410を実行して、細胞がバイオリアクターに投入される前に培地がガス供給と平衡に達するようにする。例えば、EC循環流量を調整することにより、ガス移送モジュール(GTM)又は酸素供給器によって提供されるガス供給と培地との接触を行うことができる。次いで、例えば、ユーザ又はオペレータが細胞をバイオリアクターに投入する準備ができるまで、システムは適切な状態又は望ましい状態に維持される。一実施形態では、システムは、例えば完全培地等の培地で調整されてもよい。完全培地は、細胞成長に使用される任意の培地源であってよい。一実施形態では、システムは、例えば、無血清培地で調整される。一実施形態では、システムは基礎培地で調整される。当業者によって理解される任意のタイプの培地が使用されてよい。
プロセス1400は、次に、例えば、細胞投入バッグからバイオリアクターに細胞を投入するステップ1412に進む。一実施形態では、細胞投入バッグ内の細胞は、例えば、細胞フィーディングステップ1414を行うための培地を含む溶液中にある。他の実施形態では、細胞投入バッグ内の細胞は、細胞フィーディングステップ1414を行うための培地と、細胞(例えばT細胞又はTreg)を刺激する可溶性アクチベーター複合体との両方を含む溶液中にある。実施形態において、細胞は、増殖を刺激するため、ビーズを使用して活性化される。これらの実施形態では、ビーズは、細胞を投入する前に、培地中で細胞と混合されてもよい。一実施形態では、細胞(及びある実施形態ではフィーディング溶液)は、細胞投入バッグが空になるまで、細胞投入バッグからバイオリアクターに投入される。細胞(及びある実施形態ではフィーディング溶液、他の実施形態ではビーズ)は、空気除去チャンバーからバイオリアクターに移動させてもよい。一実施形態では、「均一な懸濁で細胞を投入する」タスクを実行して、細胞(及び実施形態ではフィーディング溶液)を投入する。他の実施形態では、「循環なしで細胞を中央に投入する」タスクを実行して、バイオリアクターの特定の領域(例えば中央)に細胞(及び実施形態ではフィーディング溶液)を投入する。実施形態によれば、他の投入方法及び/又は投入タスクを使用してもよい。
次に、プロセス1400はクエリステップ1416に進み、バイオリアクター(例えば中空糸バイオリアクター)で、細胞(例えばT細胞又はTreg)の非接着細胞又は懸濁細胞を保持するために修正されたフィーディング方法を使用するかどうかを決定する。例えば、細胞を、バイオリアクター自体及びバイオリアクターのヘッダーの外部又はICループの残りの部分の外部に配置することが望ましい場合がある。バイオリアクター自体に細胞を保持するために修正されたフィーディング方法を使用することが望まれない場合、プロセス1400は「no」に進み、ステップ1426において細胞を増殖する。そこで、細胞は、ステップ1414において最初に細胞と共に供給された培地を使用して成長/増殖し続ける。
他方、細胞をバイオリアクター自体に保持することが望まれる場合、プロセス1400は「yes」に進み、修正されたフィーディングステップ1418を行う。そこでは、バイオリアクター(501)のIC入口ポート(501A)への流量及びバイオリアクター(501)のIC出口ポート(501B)への流量を使用して細胞をバイオリアクターに保持することによって、細胞へのフィーディングを行う。そうすることで、入口体積流量又は入口流量を第1の流体流路(506)に導入することができる(ステップ1420)。例えば、IC入口流量を流体流路(506)に導入することができる(ステップ1420)。IC入口ポンプ(554)(例えば第1蠕動ポンプ(一実施形態))は、所定の回転数(RPM)で動作して、所定のIC入口体積流量又はIC入口流量を第1の流体流路(506)に生じさせることができる(ステップ1420)。一実施形態によれば、プロセッサ及び/又はコントローラは、例えば、所定の数のRPMで動作するように、第1ポンプ及び/又は第2ポンプを指示又は制御する。IC循環ポンプ(512)の流量と方向に応じて、修正された第1の流量又はIC入口流量の第1の部分が、バイオリアクター(501)のIC入口ポート(501A)又は第1のポートに入る(ステップ1422)。ポンプ(例えば蠕動ポンプ)のポンプ流量は、ポンプの直径又はポンプの構成に依存する。他のタイプのポンプを使用してもよい。この場合、ポンプ流量は使用するポンプの構成に依存する。IC循環ポンプ(512)(例えば第2蠕動ポンプ(一実施形態))は、所定の回転数(RPM)で、第1のポンプの方向とは反対の方向に作動して、所定のIC循環流量、又は第2流量、又はIC入口流量の第2の部分を発生或いは生成し、バイオリアクター(501)のIC出口ポート(501B)すなわち第2ポートに入る(ステップ1424)。例えば、実施形態では、IC入口流量の約1/2、すなわち第1の部分は接続部517で分岐してバイオリアクター501のIC入口ポート(501A)に入り、IC入口流量の約1/2、すなわち第2の部分は、接続部517で分岐して、バイオリアクター501のIC出口ポート(501B)に入る。示されるように、第1の部分と第2の部分の合計は、IC入口流量503(例えば、図5B)に実質的に等しく、IC入口流量503はIC入口ポンプ554によってポンピングされる。細胞をバイオリアクター又は細胞成長チャンバー501に保持するために使用される正方向流量及び対向流量に応じて、IC入口ポンプ流量の他のタイプの割合又は他のパーセンテージ分を使用して、IC循環ポンプを設定又は構成又は調整してもよい。
細胞をバイオリアクター内に保持するためのそのような正方向流・対向流特性を使用して細胞にフィーディングした後、プロセス1400は細胞成長/増殖ステップ1426に進む。細胞の増殖はステップ1426に示されているが、細胞は、例えばステップ1412、1414、1416、1418、1420、1422、1424のような1又は複数の他のステップ中に成長/増殖してもよい。増殖ステップ1426から、プロセス1400は、細胞の収穫又は除去のステップ1430に進む。そして、プロセス1400は終了動作1432で終了する。実施形態によれば、収穫前に他のステップ(例えば、第2の修正されたフィーディング方法又は他のタイプのフィーディング方法を継続する等)が望まれる場合、プロセス1400は、オプションの「その他」ステップ1428に進む。オプションのステップ1428から、プロセス1400はバイオリアクターから細胞を収穫又は除去するステップ1430に進み、プロセス1400は終了動作1432で終了する。
次に、図15Aは、本開示の実施形態による、CES500(図5B及び図5C)等の細胞増殖システムで使用され得る、細胞にフィーディングを行って細胞を第1の位置(例えばバイオリアクター)に保持するプロセスの例示的な動作ステップ1500を示す。開始動作1502が開始され、プロセス1500は、ディスポーザブルチューブセット又はプリマウントされた流体移送アセンブリ(例えば、210又は400)を細胞増殖システムに装填するステップ1504に進む。次に、ステップ1506において、システムに対してプライミングを行う。一実施形態では、例えば、ユーザ又はオペレータは、例えばプライミングのためのタスクを選択することによってプライミングを行うようにシステムに命令を与える。一実施形態では、プライミングのためのそのようなタスクは、例えば、事前にプログラムされたタスクである。次に、ステップ1508において、IC/EC洗浄タスクが実行される。ここでは、IC循環ループ及びEC循環ループ上の流体が例えば交換される。一実施形態によれば、交換体積は、交換されるIC容積及びEC容積の数によって決定される。
次に、バイオリアクター膜の中空糸にわたって適切な又は所望のガス濃度を維持するために、培地調整ステップ1510を実行して、細胞がバイオリアクターに投入される前に培地がガス供給と平衡に達するようにする。例えば、EC循環流量を調整することにより、ガス移送モジュール(GTM)又は酸素供給器によって提供されるガス供給と培地との接触を行うことができる。次いで、例えば、ユーザ又はオペレータが細胞をバイオリアクターに投入する準備ができるまで、システムは適切な状態又は望ましい状態に維持される。一実施形態では、システムは、例えば完全培地等の培地で調整されてもよい。完全培地は、細胞成長に使用される任意の培地源であってよい。一実施形態では、システムは、例えば、無血清培地で調整される。一実施形態では、システムは基礎培地で調整される。当業者によって理解される任意のタイプの培地が使用されてよい。
プロセス1500は、次に、例えば、細胞投入バッグからバイオリアクターに細胞を投入するステップ1512に進む。一実施形態では、細胞投入バッグ内の細胞は、例えば、細胞フィーディングを行うための培地を含む溶液中にある。他の実施形態では、細胞投入バッグ内の細胞は、細胞フィーディングを行うための培地と、細胞(例えばTregのようなT細胞)を刺激する可溶性アクチベーター複合体との両方を含む溶液中にある。実施形態において、細胞は、増殖を刺激するため、ビーズを使用して活性化される。これらの実施形態では、ビーズは、細胞を投入する前に培地中で細胞と混合されてもよい。一実施形態では、細胞は、細胞投入バッグが空になるまで、細胞投入バッグからバイオリアクターに投入される。細胞(及び使用される場合はビーズ)は、空気除去チャンバーからバイオリアクターに移動させてもよい。一実施形態では、「均一な懸濁で細胞を投入する」タスクを実行して、細胞を投入する。他の実施形態では、「循環なしで細胞を中央に投入する」タスクを実行して、バイオリアクターの特定の領域(例えば中央)に細胞を投入する。実施形態によれば、他の投入方法及び/又は投入タスクを使用してもよい。
次に、プロセス1500は、第1の期間の間に第1のプロセスに従って細胞をフィーディングするステップ1514に進む。一実施形態では、例えば、細胞集団が成長/増殖し始めであり、最小又は低いフィーディングレートでもそのような細胞集団のフィーディング要求を満たすことができる場合、細胞は最小又は低いフィーディングレートでフィーディングされる。例えば、0.1mL/minの第1の流体流量を引き起こす又は生成する+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量が、そのような第1の期間中に使用されてもよい。この例では、0.1mL/minのような低い又は最小のフィーディングレートを用いているが、実施形態によれば、低い又は最小のフィーディングレートは、約0.01mL/min以上且つ約0.1mL/min以下であってよい。実施形態において、低い又は最小のフィーディングレートは、0.1mL/minより大きくてもよい。そのような第1の期間中に中空糸膜バイオリアクターからの細胞の損失を減らすことが望ましい場合、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量を、相補的な-0.1mL/minのIC循環ポンプ流量にマッチングさせるか、略マッチングさせて、細胞培養の成長期において細胞をバイオリアクター内に維持する。他の実施形態では、他のポンプ流量及びその結果として生じる流体流量を使用してもよい。
次に、プロセス1500はクエリステップ1516に進み、実施形態に従って、成長する細胞集団及び増加するフィーディング要求も考慮しながら、フィーディングレートを調整してバイオリアクター自体に細胞を保持するかどうかを決定する。例えば、図15Bは、増加する細胞集団に応じて増加するフィーディングレートを示す。図15Bでは、グラフ1528は、例えば、Quantum(登録商標)細胞増殖システムのような細胞増殖システムでのラン又は手順のIC流量に対する細胞数を示している。一実施形態では、IC流量は、細胞にフィーディングするための培地を含み、従って、IC培地流量とも呼ばれる。細胞の数1530は、IC流量(mL/min)1532に対して示されている。示されるように、実施形態によれば、IC流量は、細胞の増加及び増殖する細胞集団の増加するふぃー要求と共に、0.1mL/minから0.2mL/minに、さらに0.3mL/minに増加する。示される実施形態では、線1534によって示されるように、細胞の数とIC流量との間には略線形の関係がある。
図15A及びクエリステップ1516に戻って、フィーディングレートの調整が望まれない場合、プロセス1500は「no」に進み、ステップ1520において細胞を増殖する。この場合、ステップ1514における第1の期間のフィーディングで用いられた培地を使用して細胞の成長/増殖が継続される。ステップ1520に細胞の増殖が示されているが、細胞は、例えばステップ1512、1514、1516、1518等の1又は複数の他のステップ中に成長/増殖してもよい。一方、細胞をバイオリアクター内に保持しながらフィーディングレートを調整することが望ましい場合、プロセス1500は「yes」に進み、ステップ1518において第2の期間中に第2のプロセスに従って細胞をフィーディングする。一実施形態では、そのような第2のプロセスは、例えば、第1の期間中と略同じフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。他の実施形態では、第2のプロセスは、第1の期間中に使用されるフィーディングレートと比較して異なるフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。一実施形態では、IC入口流量を増加させ、IC循環流量は、そのIC入口流量のあるパーセンテージ分又はある割合又はある比率に等しくなるように設定、構成又は調整される。例えば、IC循環流量は、実施形態によれば、IC入口流量の値の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、又は他のパーセンテージ又は割合に等しく設定されてよい。一実施形態によれば、IC循環流量を、IC入口流量のあるパーセンテージ分又はある割合又はある比率に設定又は構成又は調整するべきかどうかの決定は、IC入口流量の値に基づいて行われる。例えば、実施形態では、IC入口流量を使用して細胞をフィーディングするときにバイオリアクター内に細胞を保持するための以下の方法が提供される(ここで、QIC Circ=IC循環流量(mL/min);QIC Inlet=IC入口流量(mL/min))。:
QIC Inlet ≧ 0.2mL/minの場合、
QIC Circ=(-)l/2*QIC Inlet
及び
QIC Inlet = 0.1mL/minの場合、
QIC Circ=(-)QIC Inlet
上記の式は、IC入口流量の値(例:0.2mL/min又は0.1mL/min)によってIC循環流量の計算が異なるが、他の実施形態では、そのような計算において、異なるIC入口流量の値を使用してもよい。さらに、この例では約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)が使用されているが、他のパーセンテージ、他の比率、他の分数及び/又は他の割合が、実施形態に従って使用されてもよい。プロセス1500に戻り、ステップ1518の第2のプロセスの一部として、細胞をバイオリアクター内に保持するためのそのような正方向流・対向流特性を使用して細胞にフィーディングした後、プロセス1500は細胞成長/増殖ステップ1520に進む。細胞の増殖はステップ1520に示されているが、細胞は、例えばステップ1512、1514、1516、1518のような1又は複数の他のステップ中に成長/増殖してもよい。増殖ステップ1520から、プロセス1500は、細胞の収穫又は除去のステップ1524に進む。そして、プロセス1500は終了動作1526で終了する。実施形態によれば、収穫前に他のステップが望まれる場合、プロセス1500は、オプションの「その他」ステップ1522に進む。オプションのステップ1522から、プロセス1500はバイオリアクターから細胞を収穫又は除去するステップ1524に進み、プロセス1500は終了動作1526で終了する。
次に、図16は、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5B及び図5C)等の細胞増殖システムと共に使用され得る細胞をフィーディングするためのプロセスの例示的な動作ステップ1600を示す。START動作1602が開始され、ディスポーザブルセットが細胞増殖システムに装填され、該システムはプライミングされ、IC/EC洗浄が実行され、培地が調整され、細胞が投入される。次に、プロセス1600は、第1の期間の間に第1のプロセスに従って細胞をフィーディングするステップ1604に進む。一実施形態では、例えば、細胞集団が成長/増殖し始めであり、最小又は低いフィーディングレートでもそのような細胞集団のフィーディング要求を満たすことができる場合、細胞は最小又は低いフィーディングレートでフィーディングされる。例えば、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量が、そのような第1の期間中に使用されてもよい。この例では、0.1mL/minのような低い又は最小のフィーディングレートを用いているが、実施形態によれば、低い又は最小のフィーディングレートは、約0.01mL/min以上且つ約0.1mL/min以下であってよい。実施形態において、低い又は最小のフィーディングレートは、0.1mL/minより大きくてもよい。そのような第1の期間中に中空糸膜バイオリアクターからの細胞の損失を減らすことが望ましい場合、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量を、相補的な-0.1mL/minのIC循環ポンプ流量にマッチングさせるか、略マッチングさせて、細胞培養の成長期において細胞をバイオリアクター内に維持する。
次に、プロセス1600はクエリステップ1606に進み、成長する細胞集団を考慮するため及び/又は細胞をバイオリアクターに継続維持させるため、フィーディングレートを調整すべきかどうかを決定する。細胞をバイオリアクター内に保持しながらフィーディングレートを調整することが望ましい場合、プロセス1600は「yes」に進み、ステップ1608において第2の期間中に第2のプロセスに従って細胞をフィーディングする。一実施形態では、そのような第2のプロセスは、例えば、第1の期間中と略同じフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。他の実施形態では、第2のプロセスは、第1の期間中に使用されるフィーディングレートと比較して異なるフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。一実施形態では、IC入口流量を増加させ、IC循環流量は、そのIC入口流量のあるパーセンテージ分又はある割合又はある比率に等しくなるように設定、構成又は調整される。例えば、IC循環流量は、実施形態によれば、IC入口流量の値の約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)、又は他のパーセンテージ分又は他の割合に等しく設定されてよい。一実施形態によれば、IC循環流量を、IC入口流量のあるパーセンテージ分に設定するべきかどうかの決定は、IC入口流量の値に基づいて行われる。例えば、実施形態では、以下の方法が提供される(ここで、QIC Circ=IC循環流量(mL/min);QIC Inlet=IC入口流量(mL/min))。:
QIC Inlet ≧ 0.2mL/minの場合、
QIC Circ=(-)l/2*QIC Inlet
及び
QIC Inlet = 0.1mL/minの場合、
QIC Circ=(-)QIC Inlet
上記の式は、IC入口流量の値(例:0.2mL/min又は0.1mL/min)によってIC循環流量の計算が異なるが、他の実施形態では、そのような計算において、異なるIC入口流量の値を使用してもよい。さらに、この例では約50パーセント(50%)すなわち約半分(1/2)が使用されているが、他のパーセンテージ、他の比率、他の分数及び/又は他の割合が、実施形態に従って使用されてもよい。プロセス1600に戻り、ステップ1608の第2のプロセスの一部として、細胞をバイオリアクター内に保持するためのそのような正方向流・対向流特性を使用して細胞にフィーディングした後、プロセス1600は成長する細胞集団の代謝活動(例えば、グルコース消費及び/又は乳酸生成)をモニター又は測定するかどうかを決めるステップ1610に進む。代謝活動をモニターすることが望まれない場合、プロセス1600は「no」に進み、ステップ1616において細胞を増殖する。そこで、細胞は、第1の期間(ステップ1604)及び/又は第2の期間(ステップ1608)の間のフィーディング中に供給された培地を使用して成長/増殖を続けることができる。ステップ1616に細胞の増殖が示されているが、細胞は、例えば、1604、1606、1608、1610、1612、1614等の1又は複数の他のステップ中に成長/増殖してもよい。
クエリステップ1610に戻って、成長中の細胞集団の代謝活動をモニター又は測定することが望まれる場合、プロセス1600は「yes」に進み、代謝活動及び/又はその測定に基づいて、第2のプロセスに従った細胞のフィーディングの継続又はフィーディングレートの調整に進む。一実施形態では、グルコース及び/又は乳酸レベルのモニターは、培地流量(例えばIC流量)の調整を促進して、細胞(例えばTregのようなT細胞)のバイオリアクター(例えば中空糸バイオリアクター)での増殖を支援することができる。実施形態において、細胞培養乳酸値は、例えば約7mmol/L未満に維持される。他の実施形態において、細胞培養乳酸値は、例えば、約15mmol/L未満に維持される。実施形態では、例えば、細胞増殖システムのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、培地添加の流量を制御することにより、解糖からの乳酸代謝老廃物を、細胞(例えば制御性T細胞)の増殖の間、例えば約7mmol/L未満に、或いは、他のタイプのT細胞の増殖の間、約15mmol/L未満に維持する。他の実施形態では、例えば培地添加の流量及び/又は他の設定を制御して、例えば細胞成長及び生存率を改善するために、乳酸レベルは約5mmol/Lに維持される。他の実施形態では、乳酸は、約30mmol/L以下、約25mmol/L以下、約20mmol/L以下、約15mmol/L以下、又はさらには約10mmol/L以下に維持されてもよい。他の実施形態では、他の濃度が使用されてもよい。
例えば、代謝測定値及び乳酸の所望のレベルに応じて、プロセス1600は、第2のプロセスに従って細胞の供給を続けるか(ステップ1612)、フィーディングレートを調整するか(ステップ1614)のいずれかに進む。例えば、ある実施形態では、代謝活動の測定が約5mmol/L以下の乳酸レベルを示す場合、或いは他の実施形態では、約15mmol/L以下の乳酸レベルを示す場合、第2のプロセスに従って、細胞フィーディングが続けられる(ステップ1612)。他の実施形態では、代謝活動の測定が約7mmol/L以下或いは約15mmol/L以下の乳酸レベルを示す場合、第2のプロセスに従って、細胞フィーディングが続けられる(ステップ1612)。第2のプロセス1612に従って細胞をフィーディングし続けるステップ1612から、プロセス1600はクエリステップ1610に戻り、成長中の細胞集団の代謝活動のモニターを続ける。
代謝測定値及びその所望のレベルに応じて、プロセス1600は、フィーディングレートを調整するステップ1614に進む。ここでは、追加の期間の間、追加のプロセスに従って細胞をフィーディングする。そのような追加のプロセス及び追加の期間は、例えば、第3の期間の第3のプロセス、第4の期間の第4のプロセス、第5の期間の第5のプロセス等を含む。一実施形態では、そのような追加のプロセスは、例えば、第1及び/又は第2の期間中と略同じフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。他の実施形態では、追加のプロセスは、第1及び/又は第2の期間中に使用されるフィーディングレートと比較して、異なるフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。例えば、一実施形態では、IC入口流量を増加させ、IC循環流量を、反対方向であるが、IC入口流量に一致させるか、或いは略又は実質的に一致させる。他の実施形態では、IC入口流量を増加させ、IC循環流量を設定、構成、又は調整して、IC入口流量のあるパーセンテージ又はある割合又はある部分に等しく且つ反対方向に設定する。フィーディングレートの調整ステップ1614は、ステップ1614で「追加の」プロセス及び「追加の」期間を示しているが、代謝活動に基づいて、フィーディングレートを調整するために、任意の数のプロセス及び期間を使用できる。
フィーディングレートの調整ステップ1614から、プロセス1600はクエリステップ1610に戻る。フィーディングレートを調整する、又はさらに調整することが望まれない場合、プロセス1600は「no」に進み、ステップ1616において細胞を増殖し、そこで、細胞は、第1の期間(1604)、第2の期間(1608)、及び/又は追加の期間(1614)においてフィーディングを行う際に供給された培地を使用して成長/増殖し続けることができる。ステップ1616に細胞の増殖が示されているが、細胞は、例えば、ステップ1604、1606、1608、1610、1612、1614等の1又は複数の他のステップ中に成長/増殖してもよい。増殖ステップ1616から、プロセス1600は、例えば、バイオリアクターから収穫バッグ又は容器に細胞を収穫又は除去するステップ1618に進む。そして、プロセス1600は、終了動作1622で終了する。或いは、収穫ステップ1618から、プロセス1600は、オプションとして、さらなる処理/分析ステップ1620に進んでもよい。そのような任意のさらなる処理/分析ステップ1620は、例えば、収穫された細胞(例えば、T細胞又はTreg)の表現型を特徴付けることを含む。次に、オプションのさらなる処理/分析ステップ1620から、プロセス1600はEND動作1622で終了する。
図17Aは、本開示の実施形態において細胞増殖システムと共に使用され得る細胞を増殖するためのプロセスの動作ステップ1700を示す。以下に記載されるように、プロセス1700は、本開示の実施形態に従って、細胞成長チャンバー内で細胞が増殖されるつれて形成される細胞クラスターをせん断するステップを含む。細胞クラスターはまた、実施形態において、それらの表面上にアクチベーターを有し、細胞増殖を活性化するために使用されるビーズを含む。実施形態では、これらのステップは、「修正された循環」タスクの一部として実行されてもよい。START動作1702が開始され、プロセス1700は、細胞を有する流体を細胞増殖システム内の細胞成長チャンバーに投入するステップ1704に進む。実施形態では、細胞は、1又は複数のタイプのT細胞等の非接着細胞を含む。一実施形態では、細胞はTregを含む。他の実施形態では、細胞は、ヘルパー、エフェクター、ナイーブ、メモリー及び/又はそれらの組み合わせを含む。
プロセス1700は、細胞をアクチベーター1706にさらすことに進む。抗体複合体を含み得るアクチベーターは、ステップ1704で投入される流体に添加される。実施形態において、アクチベーターは、可溶性ヒト抗体CD3/CD28/CD2細胞活性化因子複合体である。他の実施形態では、アクチベーターは、細胞増殖を活性化する抗体(例えば、CD3/CD28)で機能化されたビーズ上に配置される。ビーズは細胞と混合されてもよい。プロセス1700は、第1の期間の細胞増殖ステップ1708に進む。ステップ1708は、細胞フィーディングステップ1710を含む。細胞に栄養が与えられて、細胞の増殖が促進される。例えば、グルコース、タンパク質、及び試薬を含む培地を細胞成長チャンバーに送達して、細胞増殖のための栄養素を提供する。
細胞を増殖するための第1の期間(ステップ1708)は、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターの形成にかかる時間に基づいてもよい。細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターは、1又は複数の付着細胞(及びいくつかの実施形態ではビーズ)のグループである。実施形態において、細胞(例えば、TregのようなT細胞)は、細胞接触からメリットを得る。細胞接触は、増殖と成長を促進するシグナル伝達を刺激する。しかしながら、一定期間の増殖後、細胞は互いに付着して、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターを形成する場合がある。理論に束縛されるものではないが、細胞増殖期間(1708)の後、細胞は、成長し続ける比較的大きな細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターを形成すると考えられる。細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターは、壊死中心を形成する場合がある。そこでは、栄養素(例えば、グルコース)、ガス(例えば、酸素)、及び試薬(例えば、アクチベーター)は、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターの中心にある細胞に到達しない。結果として、これらの細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターの中心での細胞増殖の状態は、増殖率が遅くなる(例えば、倍加時間が増える)か、或いは、該状態は細胞壊死につながる可能性がある。ビーズを利用する実施形態では、ビーズはまた凝集して、細胞コロニー、微小コロニー、又はクラスターの一部となる場合がある。
実施形態では、細胞の増殖(ステップ1708)を可能にするために、第1の期間は約5時間から約48時間の間である。いくつかの実施形態では、第1の期間は、約6時間より長く、又は約12時間より長く、又は約24時間より長く、又は約48時間より長い。他の実施形態では、第1の期間は、約72時間未満、約60時間未満、約48時間未満、約36時間未満、約24時間未満、又は約12時間未満である。第1の期間の後、プロセス1700は、第2の期間の間、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターをせん断するために循環させるステップ1712に進む。ステップ1712を実行して、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターのサイズを小さくする。第2の期間は、ある実施形態では、約120分未満、約100分未満、約80分未満、約60分と約0.5分との間であってよい。いくつかの実施形態では、第2の期間は、約4分のように、約50分から約1分の間であってもよい。他の実施形態では、第2の期間は、第1の循環経路に導入される流体の量に基づいてもよい。すなわち、ある体積の流体が導入されると、循環剪断ステップ1712が停止される。
図17Bは、プロセス1700の一部として細胞成長チャンバー内で増殖され得る流体の体積(1752)内の細胞の複数のビュー1750、1760、1770を示す。例えば、いくつかの実施形態では、細胞成長チャンバーは中空糸バイオリアクターである。これらの実施形態では、ビュー1750、1760、1770は、例えば、中空糸バイオリアクターの1つの糸内の細胞を示している。1750A、1760A、1770Aは、それぞれビュー1750、1760、1770の部分を拡大したものである。ビュー1750は、細胞が投入され(ステップ1704)、アクチベーターにさらされ(ステップ1706)、ある期間(例えば、第1の期間)、増殖された(ステップ1710)後の細胞を示している。ビュー1750に示されるように、多数の細胞コロニー1754A~1754Eが形成されている。
細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスター1754A~1754E内の細胞の数及びそれらコロニー又はクラスターのサイズを減らすために、ステップ1712は、流体及び細胞を第1の流体循環路を通して循環させる。理論に束縛されるものではないが、拡大された部分1760Aの矢印1756で示されるように、この循環は、細胞コロニーに作用する(せん断応力を含む)力を生成すると考えられる。せん断応力1756は、細胞コロニー内の細胞を分割分離するのに十分な力を与える。循環が続くと、ビュー1760に示すように、細胞コロニーは、小さなサイズに分裂し始める。ビュー1770は、第2の期間にわたって循環を行った後の細胞を示している。ビュー1770に示すように、細胞コロニーのサイズは小さくなり、いくつかのコロニーは個々の細胞に完全に分割分離されている。いくつかの実施形態では、循環せん断ステップ1712は、細胞及び流体が単一細胞懸濁液を含むまで実行される。
他の実施形態では、細胞コロニー、マイクロコロニー、又は細胞のクラスターは、循環せん断ステップ1712の後に残る場合がある。例えば、拡大部分1770Aのコロニー1754Fは、ステップ1712の後にサイズが縮小されたいくつかのコロニーが残っていることを示している。実施形態では、残存する細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスター(例えば、1754F)は、約25μmから約300μmの間である。他の実施形態では、循環せん断ステップによって、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスター(例えば、1754F)のサイズは小さくなり、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターは約50μmから約250μmの間になる。さらに他の実施形態では、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターのサイズは、約75μmから約200μmの間になる。いくつかの実施形態では、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターのサイズは、循環せん断ステップの後、約200μm未満(例えば約100μm)、になる。
実施形態では、残っている細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターのサイズは、細胞成長チャンバーのいくつかの構造的特徴の、幾分かは、関数となっている。上述のように、細胞成長チャンバーは、いくつかの実施形態では中空糸を備えた中空糸バイオリアクターであってもよい。理解されるように、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターは、それらが循環するときに、中空糸の側壁に接触するたびにせん断応力によって影響を受ける。この接触により、細胞コロニーのサイズがより効率的に減少する。ピペットを使用してせん断応力を誘発してコロニーのサイズを小さくする従来のプロセスのように内径が大きい場合、側壁との接触はそれほど頻繁に起こらない可能性がある。図17Cは、一実施形態に係る中空糸(例えば、215ミクロン)1772と、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターの付着細胞を分割分離するために使用されるピペットチップ1774(762ミクロン)の内径サイズの違いを示している。実施形態では、中空糸のより小さな内径は、循環せん断ステップ1712において細胞コロニーのサイズをより効率的且つ効果的に減少させると考えられる。
循環せん断ステップ1712の第2の期間は、実施形態では、約120分未満、約90分未満、約60分未満、約30分未満、又は約15分未満である。いくつかの実施形態では、第2の期間は、約4分のように、約1分から約15分の間とすることができる。
第2の期間の後、プロセス1700は、第3の期間にわたって細胞を細胞成長チャンバーに移動させるステップ1714に進む。ステップ1714において、循環せん断ステップ1712の結果として、細胞成長チャンバー内に位置していない細胞は、第3の期間中に細胞成長チャンバーに戻される。実施形態では、これは、1又は複数のポンプを作動させて、流体を流体循環路に導入することを含む。例えば、流体は、流体入口路から第1の流体流路に導入され、細胞成長チャンバーの入口ポート及び出口ポートの両方から、細胞成長チャンバーに導入される。入口ポート及び出口ポートから細胞成長チャンバーへの流体の移動によって、細胞は細胞成長チャンバーに戻される。
いくつかの実施形態では、細胞を細胞成長チャンバーに戻すステップ1714で使用される流体は、細胞成長を促進する試薬を含む。例えば、実施形態では、流体は、グルコース、タンパク質、又は他の試薬を含む培地である。一実施形態では、流体は1又は複数のサプリメントを含んでもよい。一実施形態では、流体は完全培地であり、サイトカイン(例えば、ヒトIL-2サイトカインサプリメント)を含む。流体の添加は、ボーラス添加(bolus addition)と呼ばれる場合がある。ステップ1712と1714の組み合わせは、実施形態において、循環ボーラス添加と呼ばれる場合がある。
他の実施形態では、第3の期間は、循環せん断ステップ1712中に細胞成長チャンバーに導入される流体の体積に基づいてもよい。例えば、実施形態では、ステップ1712は、約300ml、約250ml、約200ml、又は約150mlが流体循環経に導入されるまで実行される。
第3の期間の後、プロセス1700は、第4の期間の増殖ステップ1716に進む。ステップ1708と同様に、ステップ1716は細胞フィーディングステップ1718を含んでよい。細胞に栄養を与えて、細胞の増殖が促進される。例えば、グルコース、タンパク質、及び試薬を含む培地を細胞成長チャンバーに送達して、細胞増殖のための栄養素を与える。
第1の期間と同様に、第4の期間は、細胞コロニーが形成するのにかかる時間に基づいてもよい。実施形態では、第4の期間は約5時間から約48時間の間である。いくつかの実施形態では、第4の期間は、約6時間より長く、又は約12時間より長く、又は約24時間より長く、又は約48時間より長い。他の実施形態では、第4の期間は、約72時間未満、約60時間未満、約48時間未満、約36時間未満、約24時間未満、又は約12時間未満である。より多くの細胞が細胞成長チャンバー内にある可能性が高いため、いくつかの実施形態では、第4の期間は第1の期間よりも短くてもよい。他の実施形態では、第4の期間は、第1の期間と同じであってもよい。
第4の期間の後、プロセス1700はステップ1720に進み、第5の期間にわたって循環してせん断し、第2の細胞コロニーを減少させる。実施形態では、ステップ1720は第1循環レートを使用してもよい。しかしながら、他の実施形態では、ステップ1720で使用される循環レートは、第1循環レートより大きい或いは小さいといように、異なってもよい。
第5の期間の後、プロセス1700は、ステップ1722に進み、細胞成長チャンバー内に位置していない細胞は、第6の期間中に細胞成長チャンバーに戻される。流体は、流体入口路から第1の流体流路に導入され、細胞成長チャンバーの入口ポート及び出口ポートの両方から、細胞成長チャンバーに導入される。入口ポート及び出口ポートから細胞成長チャンバーへの流体の移動によって、細胞は細胞成長チャンバーに戻される。いくつかの実施形態では、細胞を細胞成長チャンバーに戻すステップで使用される流体は、細胞成長を促進する試薬を含む。例えば、実施形態では、流体は、グルコース、タンパク質、又は他の試薬を含む培地である。一実施形態では、流体は1又は複数のサプリメントを含んでもよい。一実施形態では、流体は完全培地であり、サイトカイン(例えば、ヒトIL-2サイトカイン)を含む。
プロセス1700は、オプションのステップ1724及び省略記号1726によって示されるように、細胞を増殖、循環、及び移動させるステップを、回数を追加して、オプションで実行してもよい。増殖、循環、及び移動の各ステップは、ある期間連続して実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、それらステップは、約2日から約20日間の期間(例えば約10日間、約9日間、約8日間、約7日間、約6日間、又は約5日間)にわたって、4日に1回、3日に1回、2日に1回、1日1回、1日2回、又は1日に3回実行されてもよい。いくつかの実施形態では、それらステップは種々の期間で実行されてもよい。例えば、一実施形態では、それらステップは3日後に実行され、その後1日おきに実行されてもよい。他の例として、それらステップは2日後に実行され、その後1日2回実行されてもよい。これらは単なる例であり、他の実施形態においては、他の期間を利用してもよい。
例えば、図18は、細胞を増殖するプロセスにおいて、異なる期間で循環ボーラス(bolus)添加を実行するグラフ1800を示す。曲線1808は、例えばQuantum(登録商標)細胞増殖システムのような細胞増殖システムにおける、細胞培養日数1804に対する細胞数1802を示している。曲線1806は、例えば、Quantum(登録商標)細胞増殖システムのような細胞増殖システムにおける、細胞培養日数1804に対するIC流量1818を示している。曲線1806に示すように、IC流量は最初の3日間は0.1mL/minに維持される。6日目において流量は0.2mL/minに増加し、7日後に0.3mL/minに増加する。流量の増加は、培養日数1804の増加に伴う細胞数の増加に対応している。また、図18に示されるように、いくつかの循環ボーラス添加ステップ(1810、1812、1814、1816)が行われる。細胞培養の3.5日後に循環ボーラス添加ステップ1810が行われる。細胞培養の4.5日後に他の循環ボーラス添加ステップ1812が行われる。細胞培養の6日後に他の循環ボーラス添加ステップ1814が行われ、細胞培養の6.5日後に他の循環ボーラス添加ステップ1816が行われる。曲線1806、1808を見るとわかるように、IC流量の増加と組み合わせた複数の循環ボーラス添加ステップ(1810-1816)は、細胞の増殖レート(例えば、細胞数)にプラスの影響を与えている。
図17Aに戻ると、プロセス1700は、細胞成長チャンバーから細胞を除去するステップ1728に進む。実施形態では、これは、細胞の収穫を含んでもよい。ステップ1728は、細胞成長チャンバーからの細胞の除去の前又は除去中に、循環ステップ(例えば、1712、1720)のような追加のステップを含んでもよい。プロセス1700は、終了動作1730で終了する。
図19Aは、本開示の実施形態における細胞増殖システムで使用され得るポンプを動作させるためのプロセスの動作ステップ1900を示している。以下に説明するように、プロセス1900は、本開示の実施形態に従って、細胞成長チャンバー内で増殖された細胞クラスター内の細胞(及び、ビーズがアクチベーターとして使用される場合は、ビーズ)を減少させるプロセスにおいてポンプを作動させるステップを含む。実施形態では、これらのステップは、「修正された循環」タスクの一部として実行されてもよい。実施形態では、プロセス1900のステップは、コンピュータプロセッサによって実行されてもよい。START動作1902が開始され、プロセス1900は、ステップ1904に進み、そこで、第1ポンプが第1流量で作動されて、細胞を含む第1体積の流体を細胞増殖システムのバイオリアクターの毛管管内側部分に導入する。ビーズを利用する実施形態では、ビーズは、細胞を含む第1の体積の流体と共に導入されてもよい。実施形態では、第1のポンプは入口ポンプである。
第1の流量で第1のポンプを作動させた後、プロセス1900は、第2の流量で第1のポンプを作動させて、栄養分を含む培地をバイオリアクターの毛細管内側部分に、第1の期間の間、導入するステップ1906に進む。栄養素には、例えば、タンパク質、グルコース、及び細胞の増殖を増大促進するために使用される他の化合物が含まれる。例えば、図19Bに示されるように、第1のポンプ1960は第2の流量で動作されて、培地をバイオリアクター1962の入口ポート1962Aに導入する。
実施形態では、第1の期間は、細胞コロニーが形成されるのにかかる時間に基づいてもよい。実施形態では、第1の期間は約5時間から約48時間の間である。いくつかの実施形態では、第1の期間は、約6時間より長く、又は約12時間より長く、又は約24時間より長く、又は約48時間より長い。他の実施形態では、第1の期間は、約72時間未満、約60時間未満、約48時間未満、約36時間未満、約24時間未満、又は約12時間未満である。
次に、プロセス1900は、バイオリアクターに流体を導くために、第3の流量で第2のポンプを作動させるステップ1908に進む。オプションのステップ1908を実行してポンプ1964を起動し、ステップ1906で導入された流体の一部をバイオリアクター1962の出口ポート1962Bに向けて移送し、細胞に対してフィーディングを行う。これは、バイオリアクターのIC入口ポートとIC出口ポートの両方から流体をバイオリアクターに移動させるための、フローカウンターフローフィーディングプロセスの一部であってもよい。
次に、プロセス1900は、第4の流量で第2のポンプを作動させて、第2の期間にわたって、細胞を循環させ、バイオリアクター内の細胞クラスター内の細胞の数を減らすステップ1910に進む。実施形態では、細胞は第1の流体循環路を循環する。図19Cを参照すると、ステップ1910で第2のポンプ1964を作動させて、矢印1968A~矢印1968Dで示されるように、第1の流体循環路1966において流体を循環させる。
理論に束縛されるものではないが、ある期間の後、増殖細胞は、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターを形成すると考えられる。細胞コロニーは、壊死中心を形成する場合がある。そこでは、栄養素及びタンパク質(例えば、アクチベーター)は、細胞コロニーの中心における細胞に到達しない。結果として、これらの細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターの中心での細胞増殖の状態は、増殖率が遅くなる(例えば、倍加時間が増える)か、或いは、細胞壊死につながる可能性がある。ビーズを利用する実施形態では、ビーズはまた、凝集して、細胞コロニー、微小コロニー、又はクラスターの一部となる場合がある。ステップ1910を実行して、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターのサイズが低減される。
実施形態では、第4の流量は、せん断を誘発するのに十分高い。例えば、実施形態では、第4の流量は約1000ml/minに達する。他の実施形態では、第4の流量は、例えば300mL/minのように、約100mL/minから約600mL/minの間であってもよい。
第2の期間の後、プロセス1900はステップ1912に進み、そこにおいて、第1のポンプを第5の流量で作動して、第3の期間にわたって第1の流体流路を通して流体を導入する。実施形態では、第1の流体流路に導入される流体の第1の部分は、第1の流体流路内の第1の細胞(ステップ1910のために第1の流体流路内にあり得る)を、入口ポート1962Aを通って細胞成長チャンバーに戻す。図19Dを参照すると、ポンプ1960を作動させて、流体を第1の流体流路1970に導入する。矢印1968A、1968Bによって示されるように、流体は、第1の流体流路1970から入口ポート1962Aに流入する。これにより、バイオリアクター1962の外側にある第1の細胞がバイオリアクター1962に戻る。第1の流体流路にある細胞を細胞成長チャンバーに戻すことで、細胞成長チャンバー内で細胞成長の条件が最適化されるため、細胞の全体的な増殖が改善されると考えられる。
いくつかの実施形態では、ステップ1912で第1の流体流路に導入される流体は、細胞増殖を促進する1又は複数の材料(例えば、試薬)を含んでもよい。例えば、実施形態において、流体は、グルコース又は細胞にフィーディングするため他の栄養素を含む培地である。一実施形態では、流体は、細胞の増殖を活性化し続けるための追加のアクチベーターを含む試薬を含む。特定の試薬又は他の材料を含む流体を使用して、細胞を細胞成長チャンバーに戻し、細胞を追加の試薬(例えば、増殖を促進する成長因子、タンパク質等)にさらすと、細胞増殖が改善される。実施形態では、ステップ1912で使用される流体の追加は、ボーラス添加と呼ばれる場合がある。
第3の期間の後、ステップ1914において、第2のポンプを第6の流量で作動して、第1の流体流路を通して導入された流体の第2の部分及び第2の細胞を、出口ポート1962Bを介して、細胞成長チャンバーに移送する。実施形態では、流体の第2の部分は、第1の流体流路内の第2の細胞(ステップ1910のために第1の流体流路内にあり得る)を、出口ポートを通って細胞成長チャンバーに戻す。図19Dを参照すると、ポンプ1964を作動させて、第1の流体流路1970に導入された流体は出口ポート1962Bに移送される。矢印1968Cによって示されるように、ポンプ1964は、第1の流体循環路の流体及び細胞を、出口ポート1962Bを介してバイオリアクター1962に移送する。図19Dによって示されるように、第6の流量は、第4の流量と反対の方向である(図19C)。この流体の動きによって、バイオリアクター1962の外側にある細胞は、バイオリアクター1962に戻る。
実施形態では、第6の流量は第5の流量よりも少なく、上記のように、流体を第1の流体流路に移動させる。理解され得るように、第5の流量は、第5の流量に基づく所与の体積の流体の循環経路1966の一部への導入をもたらす。第6の流量は、該体積のあるパーセンテージ分が出口ポート1962Bに向かって移動するように設定される。
実施形態では、第6の流量は、第5の流量の所定のパーセンテージ分として設定されてもよい。例えば、第6の流量は、第5の流量の約90%以下である。いくつかの実施形態では、第6の流量は、第5の流量の約80%以下に設定されてもよい。他の実施形態では、第6の流量は、第5の流量の約70%以下である。さらに他の実施形態では、第6の流量は、第5の流量の約60%以下である。いくつかの実施形態では、第6の流量は、第5の流量の約50%以下であってもよい。
実施形態では、第6の流量は、少なくとも部分的に、第2のポンプと入口ポートの間の第1の体積と、第2のポンプと出口ポートの間の第2の体積との差に基づく。図19Dを参照すると、第1の循環路の複数の部分は、異なる体積を有する。例えば、一実施形態では、第2のポンプ1964と入口ポート1962Aとの間の第1の体積は第1の体積を有し、第2のポンプ1964と出口ポート1962Bとの間の第2の体積は、第1の体積とは異なる(例えば、より大きい)第2の体積を有する。これらの実施形態では、細胞を循環路からバイオリアクターに戻すために、細胞が略同時にバイオリアクターに到達するように、第6の流量は、これらの体積差に少なくとも部分的に基づいて設定されてもよい。
理解されるように、流体が第1の流体流路1970から流体循環路1966に入ると、流体は、第1のポンプ1960が設定される流量で入口ポート1962Aに向かって移動する。ポンプ1964が作動すると、流体の少なくとも一部は、出口ポート1962Bに向けて移送される。実施形態では、第2の体積(1964と出口ポート1962Bとの間の体積)は、第1の体積より大きい。従って、より多くの流体を第2の体積に移動させるために、第2のポンプ1964は、ポンプ1960の流量のあるパーセンテージ分に設定される。
一実施形態では、ステップ1912で、ポンプ1960を100ml/minに設定する。この実施形態では、第2の体積(ポンプ1964から出口ポート1962Bまで)は、第1の体積(ポンプ1964から入口ポート1962Aまで)より大きい。その付加体積分のために、実施形態では、ステップ1914において、ポンプ1964を70ml/minに設定する。この実施形態では、細胞は、第3の期間の間は、略同時にバイオリアクター1962に到達する。
実施形態において、プロセス1900は、ステップ1906~1914を、省略記号1916によって示されるように、複数回数追加して、またオプションのステップ1918を、任意に選択で実行してもよい。第1ポンプ(第2流量)動作ステップ1906、第2ポンプ(第4流量)動作ステップ1910、第1ポンプ(第5流量)動作ステップ1912、及び第2ポンプ(第6流量)動作ステップ1914は、所定期間連続して実行されてもよい。上記のように、細胞をフィーディングし、細胞を循環させて細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターを分割分離し、細胞を細胞成長チャンバーに戻すためのステップを実行してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、それらステップは、約2日から約20日間の期間(例えば約10日間、約9日間、約8日間、約7日間、約6日間、約5日間)にわたって、3日に1回、2日に1回、1日1回、1日2回、又は1日に3回実行されてもよい。いくつかの実施形態では、それらステップは種々の期間で実行されてもよい。例えば、一実施形態では、それらステップは3日後に実行され、その後1日おきに実行されてもよい。他の例として、それらステップは2日後に実行され、その後1日2回実行されてもよい。これらは単なる例であり、他の実施形態においては、他の期間を利用してもよい。プロセス1900は、終了動作1920で終了する。
いくつかの実施形態では、プロセス1900は追加のステップを含む場合があることに留意されたい。例えば、揺動装置をバイオリアクターに接続し、第1の期間の後(及び第2の期間中)、ステップ1910で第1のポンプを起動する際、細胞を循環させて細胞クラスター内の細胞の数を減らすステップの一部として、揺動装置を起動して、バイオリアクターを回転させることもできる。これは単なる一例であり、プロセス1900の他の実施形態はそれに限定されない。
次に、図20は、本開示の実施形態による、CES500(例えば、図5A)又はCES600(図6)のような細胞増殖システムで使用され得る、細胞増殖プロセスの例示的な動作ステップ2000を示す。開始動作2002が開始され、プロセス2000は、ディスポーザブルチューブセットを細胞増殖システムに装填するステップ2004に進む。次に、ステップ2006において、システムに対してプライミングを行う。一実施形態では、例えば、ユーザ又はオペレータは、例えばプライミングのためのタスクを選択することによってプライミングを行うようにシステムに命令を与える。一実施形態では、プライミングのためのそのようなタスクは、例えば、事前にプログラムされたタスクである。次に、プロセス2000は、IC/EC洗浄タスク2008に進む。ここでは、IC循環ループ及びEC循環ループ上の流体が交換される。交換体積は、交換されるIC容積及びEC容積の数によって決定される。
次に、バイオリアクター膜の中空糸にわたって適切な又は所望のガス濃度を維持するために、培地調整ステップ2010を実行して、細胞がバイオリアクターに投入される前に培地がガス供給と平衡に達するようにする。例えば、高いEC循環流量を用いることにより、ガス移送モジュール又は酸素供給器によって提供されるガス供給と培地との接触を急速に達成することができる。次いで、例えば、ユーザ又はオペレータが細胞をバイオリアクターに投入する準備ができるまで、システムは適切な状態又は望ましい状態に維持される。一実施形態では、システムは、例えば完全培地で調整されてもよい。完全培地は、細胞成長に使用される任意の培地源であってよい。一実施形態では、完全培地は、例えば、アルファ-MEM(α-MEM)及びウシ胎児血清(FBS)を含む。他の実施形態では、完全培地は、例えば、IL-2及びヒト血清を含む。当業者によって理解される任意のタイプの培地が使用される。
プロセス2000は、次に、例えば、細胞投入バッグからバイオリアクター中央に、循環無しで、細胞を投入するステップ2012に進む。実施形態では、「循環無しで細胞を中央に投入する」タスクを使用することができ、このタスクでは、複数の細胞を含む第1の体積の流体を第1の流量で細胞増殖システムに投入する。ここで、細胞増殖システムは細胞成長チャンバーを含む。次に、培地を含む第2の体積の流体を第2の流量で第1の流体循環路の一部に投入して、例えば、細胞成長チャンバーの第1の部分に第1の体積の流体を配置する。一実施形態では、細胞成長チャンバー又はバイオリアクターの第1の部分は、バイオリアクターの略中央領域である。一実施形態では、第1の体積は第2の体積と同じである。一実施形態では、第1の流量は第2の流量と同じである。他の実施形態では、第1の体積は第2の体積と異なる。他の実施形態では、第1の流量は第2の流量とは異なる。一実施形態では、第1の体積と第2の体積の合計は、例えば、第1の流体循環路の体積(例えば総体積)のあるパーセンテージ分又はある割合に等しい。例えば、第1の体積と第2の体積の合計は、例えば、第1の流体循環路の体積(例えば総体積)の約50%である。一実施形態では、第1の流体循環路内の流体は、バイオリアクター又は細胞成長チャンバーの毛細管内側(IC)空間を通って流れる。一実施形態では、第2の流体循環路内の流体は、例えば細胞成長チャンバー又はバイオリアクターの毛細管外側(EC)空間を通って流れる。一実施形態では、第1の体積と第2の体積の合計は、例えば、毛細管内側(IC)ループの体積の約50%、又は他のパーセンテージ分又は他の割合であってよい。一実施形態では、第1の体積と第2の体積の合計は、適用可能な場合は、他の流体経路、他のループ等の体積の約50%、又は他のパーセンテージ分又は他の割合であってよい。実施形態では、他のパーセンテージ分又は他の割合が使用されてもよく、例えば、約1%から約100%までの間の任意のパーセンテージである。
細胞投入ステップ2012に続いて、プロセス2000は次に細胞フィーディングステップ2014に進む。ステップ2016はステップ2014の後に示されているが、実施形態によれば、ステップ2016はステップ2014の前に、又はステップ2014と同時に行われてもよい。次に、プロセス2000はクエリステップ2018に進み、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターが形成されているかどうかを判断する。細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターは、1以上の付着細胞のグループである。細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターが形成された場合、プロセス2000は「yes」に進み、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスターをせん断するステップ2020に進む。例えば、複数の細胞を第1の期間、増殖した後、細胞を第2の期間にわたって第1の循環流量で循環させて、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスター内の細胞数を減らす。実施形態では、第1の循環流量で細胞を循環させることにより、細胞コロニーにせん断応力が生じ、細胞コロニー内の1つ以上の細胞が細胞コロニーから分割分離する。一実施形態では、例えば、細胞コロニー、マイクロコロニー、又はクラスター内の細胞の数を減らすことにより、単一の細胞懸濁液を提供することができる。実施形態では、細胞を循環させてコロニー、マイクロコロニー、又はクラスターをせん断するステップ2020を、細胞培養中に例えば2日ごとに使用して、均一な細胞密度及び栄養拡散を維持することができる。実施形態によれば、他の期間も使用されてよい。一実施形態では、任意のマイクロコロニー、コロニー、又はクラスターのそのようなせん断は、例えば4日目以降に開始してもよい。いくつかの実施形態では、剪断は3日後に行われ、その後隔日で行われる。他の例では、それらステップは2日後に実行され、その後1日2回実行される。実施形態によれば、そのようなせん断を開始する日や期間は、上記とは異なる日や期間を使用してよい。せん断ステップ2020の後、プロセス2000は次に細胞フィーディングステップ2014に戻る。
クエリステップ2018において、細胞コロニー又はクラスターをせん断しないと決定された場合、又は、例えば、存在しない場合、プロセス2000は「no」に進み、ステップ2022において細胞を再懸濁する。実施形態において、細胞の循環を行うことによって、培養中に軽く付着している可能性のある細胞を均一に再懸濁する。実施形態では、ステップ2022は、収穫タスク、又はバイオリアクターから細胞を取り出すための他のタスクを開始する前に、軽く付着している可能性がある細胞を均一に再懸濁するために細胞を循環させることを含んでもよい。細胞再懸濁ステップ2022に続いて、プロセス2000は次に細胞収穫ステップ2024に進む。除去された細胞のさらなる処理又は他の分析は、ステップ2026においてオプションとして実行されてもよく、プロセス2000は、終了動作2028で終了する。さらなる処理/分析を実行することが望まれない場合、プロセス2000は終了動作2030で終了する。
図21及びプロセス2100に目を向けると、実施形態によれば、開始動作が開始され(ステップ2102)、プロセス2100は、ディスポーザブルセットを細胞増殖システムに装填するステップ2104に進む。次いで、ステップ2106において、ディスポーザブルセットはプライミングされ、IC/EC洗浄ステップ2108が行われる。次に、ステップ2110において、培地が調整される。次に、プロセス2100は、細胞(例えば、T細胞(例えばTreg)のような、懸濁細胞又は非接着細胞)投入ステップ2112に進む。一実施形態では、そのような細胞は、「循環無しで中央に細胞を投入する」タスクによって投入される(ステップ2112)。他の実施形態では、そのような細胞は、「均一な懸濁による細胞投入」タスクによって投入される(ステップ2112)。
次に、プロセス2100は、実施形態に従って、ステップ2114に進んで、細胞フィーディングを開始する(0日目に開始する)。細胞は、ステップ2116において成長及び増殖され、例えば、3日目までに、ステップ2118において、ICループに流体をボーラス添加し、細胞を再分配することが望まれる場合がある。一実施形態では、そのような流体のボーラスは、サイトカイン又は他の成長因子のような試薬を含んでもよい。他の実施形態では、そのような流体のボーラスは、例えば、試薬及び基礎培地を含む。
そのようなボーラス添加及び細胞の再分配に続いて、プロセス2100は次に細胞を再びフィーディングするステップ2120に進む。そのようなフィーディングは例えば3日目に行われる(或いは、いくつかの実施形態では2日目に行われる)。フィーディングステップ2120では、ステップ2122において、システムのパラメータ(例えば、1又は複数のポンプ制御流量)を制御して、バイオリアクターのIC入口ポート及びIC出口ポートの両方から流体をバイオリアクターに移動させるための相補的な正方向流・対向流設定を達成することができる。例えば、ステップ2124において、IC入口ポンプを調整して又は方向付けして、所定の流れを生成し、ステップ2126において、IC循環ポンプを調整して又は方向付けして、それに対する対向流を生成する。例えば、0.1mL/minのIC入口ポンプ流量に対して、相補的なIC循環ポンプレートが-0.1mL/minになるようにマッチングさせるか、略マッチングさせて、細胞培養の増殖期(例えば実施形態では4~7日目、他の実施形態では1~7日目)の間、細胞をバイオリアクター内に維持する。設定制御ステップ2122のそのような制御によって、バイオリアクターのIC出口ポートからの細胞の損失に関連するあらゆる力に対抗することが可能になる。
プロセス2100は次にクエリステップ2128に進み、例えば、他の日又は他の時間間隔で試薬又は他のボーラス添加を追加し続けるかどうかが決定される。追加の試薬又は他のボーラスを追加して細胞を再分配することが望まれる場合、プロセス2100は「yes」に分岐して、ステップ2118において、試薬を追加し、細胞を再分配する。例えば、実施形態によれば、そのようなボーラス添加及び細胞の再分布は、6日目及び9日目に行われる。他の実施形態では、ボーラス添加及び再分配は、2日後に1回、その後1日2回であってもよい。
ボーラス(例えば試薬)の追加及び細胞の再分配を継続することが望まれない場合、プロセス2100は「no」に進み、ステップ2130において細胞は収穫され、そこで細胞は収穫バッグ又は容器に移される。プロセス2100は、終了動作2136で終了する。
或いは、収穫ステップ2130から、プロセス2100は、オプションとして、さらなる処理/分析ステップ2132に進んでもよい。そのようなさらなる処理ステップ2132は、収穫された細胞(例えばTreg等のT細胞)の表現型の特徴付けを含んでもよい。オプションであるさらなる処理/分析ステップ2132から、プロセス2100は、任意選択で、残存する細胞を再投入するステップに進んでもよい。そして、プロセス2100は、終了動作2136で終了する。
プロセス2200は、本開示の実施形態による細胞増殖システムにおいて細胞を増殖させるプロセスの動作ステップを示している。いくつかの実施形態では、プロセス2200を使用してT細胞(例えばTreg)を増殖することができる。図示されているように、14日間用のプロトコルの過程で種々のステップを実行して、細胞増殖が行われる。START動作2202が開始され、プロセス2200は0日目に進み、ディスポーザブルセットが細胞増殖システムに装填される(ステップ2206)。次いで、ディスポーザブルセットは、プライミングされる(ステップ2208)。ここで、該セットは、例えば、PBS(例えば、ロンザCa2+/Mg2+フリー)でプライミングされる。細胞の投入に備えて、IC/EC洗浄(ステップ2210)を使用してプライミング液は交換される。例えば、一実施形態によれば、システム内のPBSは、TexMACS GMP基礎培地と交換されてもよい。次に、培地が調整される(ステップ2212)。培地調整ステップ2212は、細胞がバイオリアクターに投入される前に、培地が、提供されたガス供給と平衡に達することを可能にするために実行される。
次に、0日目に、プロセス2200は、細胞(例えば、T細胞(例えばTreg等)の懸濁細胞又は非接着細胞)を投入するステップ2214に進む。一実施形態では、ステップ2214において、そのような細胞は、「循環せずに中央に細胞を投入する」タスクによって投入される。他の実施形態では、ステップ2214において、そのような細胞は、「均一な懸濁で細胞を投入する」タスクによって投入される。
3日目(2216)において、細胞が再分配されている間にサイトカインがボーラス添加されてもよい(ステップ2218)。実施形態では、細胞の再分配をボーラス添加と組み合わせて行うことで、細胞を混合し、細胞をボーラス添加中のサイトカイン(例えば、IL-2)に、より完全にさらすことができる。実施形態では、再分配によって、形成された細胞のコロニー又はクラスターを分割分離することができる。実施形態では、再分配は、流体循環路に細胞を循環させることによって、まず行われる。次いで、細胞をバイオリアクターに押し戻すプロセス(例えば、流体を流体循環路に導入して細胞をバイオリアクターに押し戻すこと等)において、ボーラス添加が行われる。再分配及びボーラス添加ステップ2218の後、プロセス2000は細胞フィーディングステップ2220に進む。
6日目(2222)に、細胞は再び別のボーラス添加しながら再分配される。再分配により、3日目から5日目に形成された細胞のコロニー又はクラスターが分割分離される。ボーラス添加により、細胞は、増殖を促進する追加の試薬にさらされる。プロセス2000は、6日目に、細胞フィーディングステップ2226に進む。9日目(2228)に、細胞は再びボーラス添加しながら再分配される(ステップ2230)。再分布により、6~8日目に形成された細胞のコロニー又はクラスターが分割分離される。ボーラス添加によって、細胞は、増殖を促進する追加のサプリメントにさらされる。プロセス2000は、9日目に、細胞フィーディングステップ2232に進む。
11~13日目(2234)において、細胞は再びボーラス添加しながら再分配される(ステップ2236)。再分配により、9日目から10日目に形成された細胞のコロニー又はクラスターが分割分離される。ボーラス添加により、細胞は、増殖を促進する追加の試薬にさらされる。プロセス2000は次に、細胞フィーディングステップ2238に進む。実施形態では、ステップ2236、2238は、11日目、12日目、及び13日目のそれぞれにおいて実行されてもよい。これは、0~10日目に細胞を増殖し、バイオリアクター内により多くの細胞が存在する結果として起こり得る。細胞の再分配とボーラス添加では、細胞のコロニー及びクラスターをより頻繁に細かく分離し、それらをボーラス添加の試薬と混合して細胞の増殖を促進することにより、細胞の増殖が促進される。プロセス2200はEND動作2240で終了する。
プロセス2300は、本開示の実施形態による、細胞増殖システムにおいて細胞を増殖するプロセスの動作ステップを示す。プロセス2300は、いくつかの実施形態では、T細胞(例えば、エフェクター、ヘルパー、メモリー、ナイーブ、それらの組み合わせ等のT細胞)を増殖するために使用される。示されるように、細胞を増殖するために、8日間のプロトコルの過程でさまざまなステップが実行される。開始操作2302が開始され、プロセス2300は0日目に進み、そこで、ディスポーザブルセットがセル増殖システムに装填される(ステップ2306)。次に、ディスポーザブルセットがプライミングされる(ステップ2308)。ここでは、該セットはPBS(例えば、ロンザCa2+/Mg2+フリー)でプライミングされる(ステップ2308)。細胞の投入の準備において、プライミング流体は、IC/EC洗浄ステップ2310を使用して交換されてよい。例えば、一実施形態によれば、システム内のPBSは、TexMACS GMP基礎培地と交換される。他の実施形態では、PBSは、Prime XV基礎培地、Advanced RPMI+グルタミン基礎培地、RPMI1640+グルタミン基礎培地、又はIMDM+グルタミンと交換されてもよい。次に、培地は調整される(ステップ2312)。培地調整ステップ2312によって、細胞がバイオリアクターに投入される前に、培地は、提供されたガス供給との平衡に達することが可能になる。
次の0日目に、プロセス2300は、細胞投入ステップ2314に進む(例えば、T細胞等の懸濁液又は非接着細胞の投入)。一実施形態では、そのような細胞は、「循環無しで細胞を中央に投入する」タスクによって投入される(ステップ2314)。他の実施形態では、そのような細胞は、「均一な懸濁で細胞を投入する」タスクによって投入されてもよい(ステップ2314)。いくつかの実施形態では、細胞は、DYNABEADS(登録商標)ヒトT-アクチベータービーズ等のビーズと混合されてもよい。実施形態では、ビーズは、約1ビーズ:約1細胞、約2ビーズ:約1細胞、約3ビーズ:約1細胞、又はさらに約4ビーズ:約1細胞等の比率で存在する。いくつかの実施形態では、細胞は単核細胞(例えば、PBMC)である。
2日目(2316)において、細胞が再分配されながら、サイトカインがボーラス追加される(ステップ2318)。実施形態において、細胞の再分配は、ボーラス添加と組み合わせて行われ、それによって、細胞は混合され、ボーラス添加に含まれるサイトカイン(IL-2等)に対して、より完全に曝露される。ある実施形態では、再分配は、形成される得る細胞のコロニー又はクラスターを破壊する。ある実施形態において、再分配は、流体循環経路において細胞を循環させることによって、行われる。次いで、流体を流体循環経路に導入すること等により細胞をバイオリアクターに押し戻すプロセスにおいて、ボーラス添加を加える。再分配及びボーラス添加ステップ2318の後、プロセス2300は、細胞フィーディングステップ2320に進む。
細胞は、第3日(2322)において、さらにボーラス添加を用いて再び再分配される(ステップ2324)。再分配は、0日目~2日目に形成された細胞のコロニー又はクラスターを破壊する。ボーラス添加によって、細胞は、増殖を促進する追加の試薬にさらされる。プロセス2300は、3日目における、細胞フィーディングステップ2326に進む。細胞は、3日目にもう一度、3日目(2322)におけるステップ2328において、さらなるボーラス添加で再分配される。上述のように、ボーラス添加により、細胞は、増殖を促進し続けるための追加の試薬に曝露される。プロセス2300は、3日目において、再び細胞フィーディングを行うため、ステップ2330に進む。
細胞は、4日目(2332)において、さらにボーラス添加を用いてで再び再分配される(ステップ2334)。再分配は、3日目に形成された可能性のある細胞のコロニー又はクラスターを破壊する。ボーラス添加によって、細胞は、増殖を促進する追加の試薬にさらされる。プロセス2300は、4日目における細胞フィーディングステップ2336に進む。細胞は、4日目にもう一度、4日目(2332)におけるステップ2338において、さらなるボーラス添加で再分配される。上述のように、ボーラス添加によって、細胞は、増殖を促進し続けるための追加の試薬にさらされる。プロセス2300は、4日目において、再び細胞フィーディングを行うためステップ2340に進む。実施形態では、ステップ2334、2336、2338、及び2340は、5日目、6日目、及び7日目のそれぞれに実行される。これは、0~4日目に細胞が増殖し、バイオリアクター内に多数の細胞が存在する結果として、行われる。細胞の再分配とボーラス添加を実行すると、細胞のコロニーとクラスターがより頻繁に分解され、ボーラス添加における試薬との混合によって細胞増殖が促進されることにより、細胞の増殖を促進することができる。プロセス2300は、終了操作2342で終了する。
プロセス2400は、本開示の実施形態による細胞増殖システムにおいて細胞(例えば、懸濁細胞又は非接着細胞)を増殖させるプロセスの動作ステップを示す。いくつかの実施形態では、プロセス2400を使用してTregのようなT細胞を増殖することができる。プロセス2400のステップの組み合わせにより、初期の低い播種密度を使用して、有用な臨床量への細胞の増殖が可能になる。
START動作2402が開始され、プロセス2400は、ディスポーザブルセットが細胞増殖システムに装填されるステップ2404に進む。次いで、ディスポーザブルセットは、プライミングされる(ステップ2406)。ここで、該セットは、例えば、PBS(例えば、ロンザCa2+/Mg2+フリー)でプライミングされる。細胞の投入に備えて、IC/EC洗浄(ステップ2408)を使用してプライミング液は交換される。例えば、一実施形態によれば、システム内のPBSは、TexMACS GMP基礎培地と交換されてもよい。他の実施形態では、基礎培地は、Prime XV、Advanced RPMI+グルタミン、RPMI1640+グルタミン、及び/又はIMDM+グルタミンである。次に、培地が調整される(ステップ2410)。培地調整ステップ2410は、細胞がバイオリアクターに投入される前に、培地が、提供されたガス供給と平衡に達することを可能にするために実行される。
プロセス2400は、細胞を含む入口体積の流体を投入するステップ2412に進む。実施形態では、細胞は、例えばTreg等の1又は複数のタイプのT細胞のような非接着細胞を含む。一実施形態では、細胞はTregを含む。実施形態では、細胞を含む入口体積の流体は、IC入口ポンプを利用して、IC入口路を介してIC循環路に投入される。実施形態では、ステップ2412において、投入入口体積は、IC循環ポンプを作動させることなく投入される。
プロセス2400は、バイオリアクターの第1の部分に入口体積を配置するステップ2414に進む。実施形態において、配置ステップは、培地を含む第2の体積の流体を、IC循環路の一部に導入して、細胞を有する入口体積の流体をバイオリアクターの第1の位置に押し動かすことによって、行うことができる。実施形態では、流体の入口体積と流体の第2の体積は同じであってもよい。他の実施形態では、流体の入口体積と流体の第2の体積は異なっていてもよい。さらに他の実施形態では、流体の入口体積と流体の第2の体積との合計は、IC循環路の体積のあるパーセンテージ分に等しくてもよい。
入口体積配置ステップ2414に続いて、プロセス2400は、細胞を活性化して増殖させる細胞をアクチベーターに曝露するステップ2416に進む。いくつかの実施形態では、細胞は、ステップ2416において、可溶性のアクチベーターに曝露される。いくつかの実施形態では、抗体複合体を含むアクチベーターは、培地に添加して入口体積に含ませるか、或いは第2の体積のように後で添加される。実施形態では、アクチベーターは、ヒト抗体CD3/CD28/CD2細胞アクチベーター複合体である。他の実施形態では、アクチベーターは、CD3/CD28抗体を有するビーズである。実施形態では、細胞は、投入ステップ2412の前にアクチベーターに曝露される。
プロセス2400は、第1の期間の間に第1のプロセスに従って細胞をフィーディングするステップ2418に進む。一実施形態では、例えば、ステップ2420で第1の期間において細胞集団が成長/増殖し始めであり、最小又は低いフィーディングレートでもそのような細胞集団のフィーディング要求を満たすことができる場合、細胞は最小又は低いフィーディングレートでフィーディングされる。例えば、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量が、そのような第1の期間中に使用されてもよい。そのような第1の期間中に中空糸膜バイオリアクターからの細胞の損失を減らすことが望まれる場合、+0.1mL/minのIC入口ポンプ流量に対して、相補的なIC循環ポンプ流量を-0.1mL/minにマッチングさせるか、略マッチングさせて、細胞培養の成長期において細胞をバイオリアクター内に維持する。
ステップ2420から、プロセス2400は、第2の期間にわたって、細胞を増殖するステップ2422に進む。第2の期間の増殖ステップ2422は、第2の期間2424に第2のプロセスに従って細胞をフィーディングすることを含んでもよい。一実施形態では、そのような第2のプロセスは、例えば、第1の期間中と略同じフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。他の実施形態では、第2のプロセスは、第1の期間中に使用されるフィーディングレートと比較して異なるフィーディングレートで細胞をフィーディングすることを含む。例えば、フィーディングレートは、第1の期間にわたる細胞増殖を受けて、増加する。
第2の期間で細胞を増殖しながら(2422)、細胞を循環させて細胞コロニー又は細胞クラスターをせん断してもよい(ステップ2426)。ステップ2426は、IC循環路内で細胞を循環させて、第1の期間中に形成されたコロニー又はクラスターをせん断することを含んでもよい。コロニー/クラスターせん断ステップ2426は、細胞コロニー又は細胞クラスター内の細胞の数を減らす。実施形態では、循環してせん断を行うステップ2426により、細胞コロニーにせん断応力が生じ、細胞コロニー内の1又は複数の細胞が細胞コロニーから分割分離する。
プロセス2400は、次に、収集ステップ2428に進む。そこで、細胞は、収穫バッグ又は容器に移される。実施形態では、治療量の細胞を収穫することができる。実施形態では、ステップ2428で収穫された細胞は、1×109個程度の細胞である。収穫された細胞は、実施形態において、約75%から約95%の間の生存率を有する。
次いで、プロセス2400は、オプションとして、さらなる処理/分析を行うステップ2430に進む。そのようなさらなる処理は、例えば、収穫された細胞(例えばT細胞又はTreg)の表現型の特徴付けを含んでもよい。一実施形態では、収穫された細胞は、Tregと一致するバイオマーカーを発現する。例えば、細胞は、CD4+、CD25+、及び/又はFoxP3+バイオマーカーを発現する。ある実施形態では、収穫された細胞は、約80%を超える頻度でCD4+CD25+表現型を含む。他の実施形態では、細胞は、約55%を超える頻度でCD4+FoxP3+表現型を含む。他の実施形態では、細胞は、エフェクター、ヘルパー、メモリー、及び/又はナイーブT細胞と一致するバイオマーカーを発現する。例えば、細胞は、CD3+、CD4+、及び/又はCD8+バイオマーカーを発現する。実施形態では、収穫された細胞は、約50%~約100%の頻度でCD3+表現型を含む。収穫された細胞は、約25%を超える、約30%を超える、約35%を超える、約40%を超える、約45%を超える、約50%を超える、約55%を超える、又はさらに約60%を超える頻度でCD4+表現型を含む。他の実施形態では、細胞は、約30%~約100%の頻度でCD8+表現型を含む。そして、プロセス2400はEND動作2432で終了する。
本開示の実施形態によれば、上記図において示された動作ステップは、あくまで例示の目的であり、再編成されてもよく、他のステップと組み合わせてもよく、又他のステップと並行に行われてもよい。実施形態では、本開示の精神及び範囲から逸脱しなければ、ステップを減らしてもよいし、ステップを追加してもよい。また、例えば、プライミング、培地の調整、細胞の投入のようなステップ(及びサブステップ)は、いくつかの実施形態では、例えば、メモリに記憶された予めプログラムされたタスクを実行するプロセッサによって、自動的に行ってもよい。ここでは、そのようなステップは、あくまでも例示の目的で提示されている。さらに、例えば図10Bに描かれている細胞をフィーディングするための例示的なポンプ流量設定は、例示の目的で提供されている。本開示の実施形態に従って、他のポンプ流量、流量、方向等を使用してもよい。
細胞増殖システムと共に用いられるカスタムタスクや予めプログラムされたタスク等のタスク及びプロトコルの例や詳細な説明は、米国特許出願公開第13/269,323号明細書(2011年10月7日出願 タイトル「中空糸バイオリアクターシステムにおける細胞成長及び細胞収穫の設定可能な方法及びシステム」)及び米国特許出願公開第13/269,351号明細書(2011年10月7日出願 タイトル「中空糸バイオリアクターシステムにおける細胞成長及び細胞収穫のカスタマイズ可能な方法及びシステム」)に提示される。該米国特許出願の全体は、ここでの開示により明確に本出願に組み込まれる。
次に、図25は、本発明の実施形態を実行するコンピューティングシステム2500の構成要素の一例を示す。コンピューティングシステム2500は、例えば、本明細書で示され及び/又は記載されたプロセスのようなプロセスの一部として、カスタムタスクや予めプログラムされたタスクのようなタスクを実行するために、細胞増殖システムがプロセッサを使用する実施形態において使用される。実施形態において、予めプログラムされたタスクは、例えば、IC/EC洗浄及び/又は細胞フィーディングを含んでよい。
コンピューティングシステム2500は、ユーザインターフェース2502、処理システム2504、及び/又は記憶装置2506を有する。ユーザインターフェース2502は、当業者であればわかるように、出力装置2508、及び/又は入力装置2510を有する。出力装置2508は、1以上のタッチスクリーンを有してよい。タッチスクリーンは、1以上のアプリケーションウィンドウを提供するためのディスプレイ領域を有してよい。タッチスクリーンはまた、例えば、ユーザやオペレータからの物理的な接触を受容及び/又は取り込み可能な入力装置2510であってもよい。タッチスクリーンは、当業者であれば理解できるように、処理システム2504による接触位置の推定を可能とする静電容量構造の液晶ディスプレイ(LCD)でもよい。この場合、処理システム2504は、接触位置を、アプリケーションウィンドウの所定位置に表示されるUI要素にマッピングすることができる。また、タッチスクリーンは、本発明において、1以上のその他の電子構造を介して接触を受容してもよい。他の出力装置2508としては、プリンター、スピーカ等が挙げられる。その他の入力装置2510としては、当業者であれば理解できるように、キーボード、その他のタッチ式入力装置、マウス、音声入力装置等が挙げられる。
本発明の実施形態において、処理システム2504は、処理ユニット2512、及び/又はメモリ2514を有してもよい。処理ユニット2512は、メモリ2514に記憶された命令を実行するために動作可能な汎用プロセッサであってよい。処理ユニット2512は、本発明の実施形態では、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを含んでよい。さらに、実施形態では、各プロセッサとしては、別個に命令を読み込んで実行するための1以上のコアを有するマルチコアプロセッサが可能である。プロセッサは、当業者であれば理解できるように、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、その他の集積回路を含んでよい。
本発明の実施形態において、メモリ2514は、データ及び/又はプロセッサ実行可能命令を短期に又は長期に記憶する任意の記憶装置を含んでよい。メモリ2514は、当業者であれば理解できるように、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、又は電気的消去・プログラム可能型リード・オンリ・メモリ(EEPROM)を含む。他の記憶媒体としては、例えば、当業者であれば理解できるように、CD-ROM、テープ、デジタル多用途ディスク(DVD)、又は、他の光学記憶装置、テープ、磁気ディスク記憶装置、磁気テープ、その他の磁気記憶装置等がある。
記憶装置2506は、任意の長期データ記憶装置又は部品である。本発明の実施形態において、記憶装置2506は、メモリ2514と関連して記載されたシステムのうちの1以上を含んでよい。記憶装置2506は、常設してもよいし、取り外し可能でもよい。一実施形態において、記憶装置2506は、処理システム2504によって生成された又は与えられたデータを記憶する。
[実施例]
以下の説明は、例えば、実施形態の態様を実装するCES500(例えば、図5A、図5B、図5C)及び/又はCES600(図6)のような細胞増殖システムで使用できるプロトコル/方法/プロセスのいくつかの例を含む。実施例では特定の特徴が説明されているが、そのような実施例は単に例示及び説明の目的で提供されている。例えば、実施例では、T細胞及び/又はTreg細胞の増殖が行われるが、他の及び/又は追加の細胞タイプ及び/又はそれらの組み合わせが他の実施形態で使用されてもよい。特定のパラメータ、機能、及び/又は値が説明されているが(いくつかの実施形態では、例えばQuantum(登録商標)細胞増殖システムのようなCESの使用)、これらのパラメータ、機能、及び/又は値等は、単に例示目的で提供される。本開示は、本明細書で提供される実施例及び/又は特定の詳細に限定されない。
さらに、本明細書で示される実施例等は、異なるステップや追加のステップ、異なるパラメータや追加のパラメータ又は他の特徴を含む他の実施形態を制限するものではない。ステップ(及びサブステップ)を含む例示される方法又はプロトコルは、いくつかの実施形態では、例えば、メモリに記憶された予めプログラムされたタスクを実行するプロセッサによって、自動的に行われる。他の実施形態では、ステップ(及びサブステップ)は、自動操作及び手動操作を組み合わせることによって行われる。さらに他の実施形態では、ステップ(及びサブステップ)は、オペレータ又はユーザによって、或いは他の手動手段によって、行われる。
そのような実施例においてデータ例が提供されているが、そのような例示されるデータは例示目的で提供されており、異なるステップ、パラメータ、値、材料、又は他の特徴を含む他の実施形態を制限することを意図しない。
実施例1
方法
一般的なTreg細胞培養
免疫磁気分離されたCD4+CD25+Tregsは、健康な成人ドナーの末梢血から白血球分離(leukapheresis)(HemaCare Corporation、Van Nuys、CA)から取得でき、その後、3本のT25フラスコ(7mL/フラスコ)を用いて、200IU/mLの組換えヒトIL-2 ISプレミアムグレードサイトカイン(Miltenyi Biotec GmbH、ベルギッシュグラッドバッハ)及びGibco PSN 100X抗生物質混合物(ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)を補充した滅菌ろ過されたTexMACS(商標)GMP培地で、1.0×105細胞数/mLの濃度で、テルモBCTにおいて増殖される。続いて、活発に成長しているTreg細胞懸濁液は、3回のQuantum細胞増殖システムの各実験ランにおいて、接種材料として使用される。接種材料とQuantumシステムの増殖の両方のためのTregは、マイクロビーズなしで、25μL/mLの可溶性四量体Immunocult(商標)ヒト抗体CD3/CD28/CD2細胞活性化複合体(Stem Cell Technologies、バンクーバー、BC)を使用して共刺激される。Treg接種の場合は0日目と9日目に、QuantumシステムTreg増殖の場合は0日目に共刺激が行われる。QuantumシステムHFMバイオリアクターは、177.1mLの毛細管内側ループ容量と21,000cm2の表面積によって特徴付けられる。
QuantumシステムTreg増殖
実施形態によれば、Quantum培地バッグ4Lセット(Cat.21021)を使用して、QuantumシステムでのTreg大規模増殖(scale up expansion)のために、2つの滅菌濾過された培地の入ったバッグ(2L)が準備される。TexMACS GMP、IL-2及びPSN抗生物質を含む完全培地が入った1つの2Lバッグを使用して、ICコンパートメントに供給し、TexMACS GMP及びPSN抗生物質を含む基礎培地が入ったもう1つの2Lバッグを使用して、バイオリアクターのEC入口コンパートメントに供給する。PBS(Lonza Cat.17-516Q、Walkersville、MD)でQuantumシステムをプライミングした後、TSCD-Q テルモ滅菌溶着機を使用して、培地バッグを適切なIC及びEC入口ラインに接続する。完全培地は、光への曝露から保護されている。
Quantumシステムのバイオリアクターに導入するために、Quantum細胞投入バッグ(Cat.21020)で、50mLの完全培地に、無菌法を使用して、各ランの投入総細胞(4.5~6.5×107個のTreg)を再懸濁する。Quantum CES培地バッグ4L(Cat.21021)や廃棄バッグ4L(Cat.21023)等の追加のディスポーザブルバッグも、Treg大規模増殖ラン中に使用される。
「循環なしで細胞を中央に投入する」タスクの完了時に、Quantumシステムラン(n=3)に対して、177mLの完全培地において2.5~3.7×105細胞数/mLの濃度で、又は中空糸膜バイオリアクターの内腔又は毛細管内側(IC)コンパートメント内において平均2.1~3.1×103細胞数/cm2の濃度で、Tregsを播種する。
0日目~4日目
Quantumシステムカスタムタスク例
修正された細胞フィーディング
制御性T細胞のためのIC/EC交換及び培地調整例
IL-2サプリメント(200IU/mL)を含むTexMACS GMP完全培地バッグを、テルモBCT TSCD-Q滅菌溶着機を使用してQuantumシステムのIC培地ラインに取り付ける。TexMACS基礎培地をEC培地ラインに取り付ける。それぞれに対して、IC/EC洗浄タスク及び培地調整タスクを実行する。IL-2及び活性化因子複合体の量を節約するために、IC交換又は洗浄には完全培地が使用され、EC交換又は洗浄には基礎培地が使用される。
細胞を投入する前に、修正された「細胞フィーディング」をシステムに設定する。IC入口流量(Q1)及びIC循環流量(Q2)を、5日目、6日目及び7日目に、4日目、5日目及び6日目は反対方向であるが、必要であれば乳酸レベルを5~8mmol/Lに維持しながら、0.2mL/min、0.3mL/min及び0.4mL/minに、マッチングさせた流量で増やす。
Quantumシステムカスタムタスク例
循環無しで細胞を中央に投入するタスク例
目的:このタスクにより、懸濁細胞をバイオリアクター膜内の中央に分布させながら、毛細管外側(EC)循環ループでのフローを可能にする。ICループへのポンプ流量はゼロに設定される。
循環無しの細胞投入を使用して、細胞をQuantumシステムに投入する前に、タスクの変更を入力する。
必要に応じてデフォルトの細胞フィーディングタスクに戻り、細胞フィーディングタスクを使用して増殖プロトコルを続行する。
4日目以降
細胞培養中又は収穫前におけるTreg細胞の再懸濁例
この修正された循環タスクの目的は、培養中又は収穫タスクの開始前に緩く付着している可能性のある細胞を均一に再懸濁することである。
さらに、4日目以降に均一な細胞密度と栄養拡散を維持するために、このタスクを使用して、細胞培養中に2日ごとにTreg細胞コロニーをせん断する。該タスクが培養プロセス中にコロニーをせん断するために使用される場合、Quantumシステムは、修正された「細胞フィーディング」タスクに戻される。
修正を伴うQuantumシステム収穫タスク例
収穫された細胞は、さらなる評価と分析のために、RF溶着によりQuantumシステムから取り出される。
収穫後分析
収穫した細胞は、Vi-CELL XR 2.04 Cell Viability Analyzer(Beckman Coulter)を使用して5~50μmの範囲で列挙され、トリパンブルー染色排除により、膜の完全性が定量化される。
代謝作用
制御性T細胞代謝は、Gカートリッジを使用して(グルコースにはi-STAT Gカートリッジ(Cat.03P83-25)、乳酸にはi-STAT CG4+カートリッジ(Cat.03P83-50)をそれぞれ使用して)、i-STATハンドヘルドアナライザー(Abbott Point of Care、ニュージャージー州プリンストン)によって、毎日、QuantumシステムのECサンプルポートからモニターされる。
細胞表面バイオマーカー発現(Cell Surface Biomarker Expression)
ヒト制御性T細胞(天然及び誘導)は、ヒト臍帯血及び末梢血の全てのT細胞の小さなサブセット(2~10%)を構成する。機能的には、Tregは、先天性免疫応答と後天性免疫応答の両方における免疫寛容の調節を含む免疫恒常性の維持に関与している。さらに、転写制御因子フォークヘッドボックスP3(FoxP3)遺伝子産物の発現は、CD4+CD25+FoxP3+CD127lo/-Treg表現型及び抗原提示細胞(APC)及びエフェクターT細胞(Teff)の免疫抑制と相関することが知られている。IL-2のCD25/IL-2受容体(Rα)への結合とSTAT5転写因子の活性化は、Foxp3の誘導に使用される。FoxP3抑制は、CTLA-4、TNFRSF18、IL2RA等のいくつかの遺伝子の活性を上方制御し、ヒストンアセチラーゼKAT5及びヒストンデアセチラーゼHDAC7との関連を介してIL-2を下方制御する。
収穫した細胞の表面バイオマーカーのTreg表現型頻度は、フローサイトメトリーにより定量化される。この目的のために、細胞を以下の抗体コンジュゲートで染色され、未染色の生存細胞に対してゲーティングされる:FixableViability Dye eFluor(登録商標)780(eBioscience 65-0865)、マウス抗ヒトCD4-PE(BD Pharmingen 561844)、抗CD4-Alexa Fluor 647(BD Pharmingen 557707)、抗CD4-FITC(BD Pharmingen 561842)、抗CD4-FITC(BD Pharmingen 555346)、抗CD25-PE(BD Pharmingen 555432)、抗CD127-PE(BD Pharmingen 557938)、抗CD45RO-PE(BD Pharmingen 347967)、及び抗FoxP3-Alexa Fluor 647(BD Pharmingen 560045)。標本データは、FACSDiva v6.1.3ソフトウェアを装備したビーズ補正BD Canto IIフローサイトメーターで取得できる。これには、1x106個の細胞と一サンプルあたり20,000個のイベントが使用される。
結果
静的培養におけるTregの予備研究により、これらの細胞は直径100μm程度のマイクロコロニーを形成する傾向があることが示されている。培地交換プロセス中に2日ごとにこれらの細胞を分割分離すると、細胞壊死を制限することに役立ち、また762μmのID(内径)を持つ1,000μLピペット先端を使用して、細胞を高密度の単一細胞懸濁液に戻すことができる。或いは、単一細胞懸濁液を維持するプロセスは、事前にプログラムされたデイリー循環タスクによって、Quantumシステムのような、中空糸内腔ID(内径)が200μm程度である自動HFMバイオリアクターで、より効率的に達成することができる。さらに、この自動フィーディングタスクは、機能的に閉鎖されたシステムで実行できるため、Treg培養への継続的な栄養の流れを維持しながら、汚染の可能性を減らすことができる。
Treg細胞密度及び生存率
細胞播種密度予備実験
自動バイオリアクターにおけるドナーから免疫磁気選択された細胞の増殖の準備において、一連の静態的な成長実験を実行して、刺激されたTregが1.0×106細胞数/mL未満の播種密度で培養できるかどうかを判断する。該研究のこの部分は、24ウェル組織培養プレートの18ウェルに1.0×105細胞数/mLで播種することで、又はIL-2(200IU/mL)及びPSN抗生物質を添加したTexMACS GMP培地ウェルに1.0×105細胞数/mLで播種することで、実行される。これらの細胞は、0日目と9日目に25μL/mLで可溶性抗CD3/CD28/CD2 mAb複合体で共刺激されてもよい。細胞は、Vi-CELL XRにより14日目に、手動で収穫され、カウントされる。
収穫後、フローサイトメトリーによるTregバイオマーカー分析用に、細胞サンプルはプールされる。結果は、CD4+C25+、CD4+CD127-、及びCD4+FoxP3+表現型の頻度は、静態的培養において、それぞれ90.9%、79.7%、31.6%であることを示す。FoxP3+の検出は透過法と細胞生存率に大きく依存しているため、CD4+CD25+表現型(>70%)は、一般的に、Tregバイオマーカーの同定において最も信頼できる決定要因である。
この静態的プレートテストのデータは、可溶性共刺激抗CD3/CD28/CD2 mAb複合体及び無血清培地の存在下で培養すると、105細胞数/mL程度の細胞播種密度で、ヒトTregを増殖できる可能性があることを示唆している。
Treg代謝作用
制御性T細胞はミトコンドリアの代謝に依存しており、複数の炭素源、すなわち脂質又はグルコース、を酸化する能力を持っている。解糖と脂肪酸代謝のmTOR調節の結果として、高度に増殖性の状態になると、Tregは代謝を脂肪酸酸化(FAO)から解糖にシフトすることが知られている。さらに、IL-2/STAT5/エノラーゼ-1プロモーターシグナル伝達及び2-デオキシ-D-グルコース阻害の研究を通じて、FoxP3バリアントの発現を調節することにより、解糖は、ヒト誘導性Tregの生成及び抑制機能に必要であることが示されている。従って、グルコースと乳酸のレベルをモニターすることで、Quantumシステムの培地流量の調整が容易になり、中空糸バイオリアクターでのTreg増殖を支援する。最初、Tregは、細胞周期に入り増殖する前に、代謝率を一時的に低下させると考えられる。これは、TCR刺激の前に新たに単離されたヒトTregの解糖とmTOR活性の一時的な減少によって支持される。具体的には、mTORC1は、mTOR経路の上方制御の結果として、Glut-1を介したグルコース輸送のようなグルコース輸送体の発現を増加させると考えられる。
3つの別々のTreg細胞アリコートからの3つの増殖の結果は、グルコース消費と乳酸生成が各Quantumシステムラン内で相関するであろうことを示している。生体外での3回の増殖ランは全て、Tregのグルコース消費が1日目までにバックグラウンドレベルを超え、3回のランのうち2回のランは、乳酸生成レベルが2日目までにバックグラウンドレベルを超えて増加することを示す。解凍時の細胞生存率が低下した1つの実行ランでは、乳酸生成速度が遅れることがあり、これは細胞収穫量に反映される可能性がある。最も活発に成長しているTreg培養において、3回のラン中の2回のランの最大グルコース消費率は、それぞれ8日目と7日目に1.618mmol/dayと2.342mmol/dayである。最大乳酸生成率は、同じ時点で2.406mmol/day及び3.156mmol/dayである。
Treg増殖の実行の間中、4~8日目の中空糸膜の内腔内において、IC入力(+)及びIC循環(-)のポンプ流量の両方を(±0.1から±0.4mL/min)に同時に増加させることにより、乳酸値を7mmol/L以下に制御する。Treg細胞増殖の過程での最低グルコースレベルは、7日目(Q1584)の264mg/dLから8日目(Q1558)の279mg/dLの範囲である。これらの実行可能性の増殖のための細胞増殖用培地中において、基本グルコース濃度は、325~335mg/dLであり、これはQuantumシステムの流量調整と組み合わせて使用すると増殖を支援することがわかる。
制御性T細胞バイオマーカー発現
フローサイトメトリーによるTreg細胞収穫の評価は、この実行可能性研究では、CD4+CD25+FoxP3+T細胞サブセットに重点が置かれる。Tリンパ球では、12番染色体上のヒトCD4遺伝子は、主要組織適合性複合体クラスIIと相互作用する膜糖タンパク質をコードして、T細胞活性化の初期段階を開始するように機能する。制御性T細胞では、第10染色体上のヒトCD25(IL2R)遺伝子は、IL-2受容体をコードし、サイトカインIL-2を隔離することにより機能する。制御性T細胞では、染色体Xのフォークヘッド/翼状ヘリックスボックスP3ヒト遺伝子は、Tregサプレッサー機能に不可欠なFoxP3転写因子をコードする。FoxP3遺伝子産物は、CD25、CTLA-4及びIL-2、IL7R、IFN-γ遺伝子のプロモーター領域に結合し、CD25及びCTLA-4を上方制御し、IL-2、IL7R、及びIFN-γ遺伝子の転写を抑制する。CD127遺伝子は、IL-7受容体をコードし、Tregは、一般に、従来のT細胞と比較した場合、低CD127(IL-7R)の発現によって特徴付けることができる。但し、特定のTregサブセットは、体外(in vitro)及び体内(in vivo)での活性化中に高いCD127レベルを発現することが知られており、細胞をIL-7とインキュベートする場合、Tregの高い生存率と相関がある。CD45RO遺伝子産物は、活性化するとCD45RAを失い、CD45ROを発現するナイーブ胸腺由来のTreg上で発現される。
CD4+CD25+Treg表現型頻度の平均発現は、Quantumシステムから収穫された細胞で85.5%であり、公表されているCD4+CD25+放出基準>70%に比べて有利である。Q1567 Treg増殖では、CD4+CD127low集団の頻度の増加(74.2%)は、この特定の解凍された細胞サンプルにおける低い細胞生存率の反映である。一実施形態によれば、これらの細胞はサイトカインサプリメントとしてIL-2のみで培養されるためである。播種及び収穫生存率が80%を超える2つのQuantumシステムの実行によって増殖された細胞では、CD4+FoxP3+の発現頻度は61.6%である。この結論は、FoxP3+の60%以上の公開されたリリース仕様と一致する。さらに、20億個の細胞増殖の結果は、HemaCareBioResearch製品から入手できるオリジナルドナーTreg細胞標本におけるCD3+CD45+(87.30%)、CD25+(47.76%)、及びFoxP3+(59.64%)バイオマーカーの発現と比較して有利である。
追加のフローサイトメトリー解析は、例えば蛍光マイナス1(FMO)ゲーティング、異なる染色、異なる機器を使用して、サードパーティの研究所が運営するQ1584増殖からの凍結保存Treg細胞で実行される。FMOコントロールは、データプロット内の全ての蛍光色素に対して、特定のマーカーの頻度を定量化するために使用される1種のみを減らした蛍光色素の広がりを考慮して、細胞集団を解釈するために使用されるゲーティングコントロールの一種である。例えば、サードパーティの実験室からのフローの結果は、CD4+CD25+Treg細胞の集団頻度がQ1584実行から95.4%であり、テルモBCT CES研究所で検出される90.5%に比べて有利であることを示す。代替抗FoxP3-PEクローン染色による不完全な染色は、この内部バイオマーカーのサードパーティの実験室での定量化を制限する可能性があるが、ドットプロットは、コントロールTreg細胞参照サンプルでは観察されない、Q1584標本に高発現FoxP3+Tregの亜集団(subpopulation)があることを示唆している。これら観察結果は興味深いが、該観察結果を確認するには追加の研究が必要であろう。
収穫率
各実験に対して50サンプルで定義される5~50μmの範囲にわたるQ1558、Q1567、及びQ1584の実験で、Quantumシステムの収穫時の生存(トリパンブルー除外された)Treg細胞の平均直径は、それぞれ10.89μm、11.04μm、及び11.06μmである。これは、バイオリアクターの播種時の各フラスコからの11.91μm、12.40μm、及び7.83μmである平均細胞直径と同じ程度である。
これらの細胞直径データは、接種フラスコで増殖される細胞の直径よりも、Quantumシステムから収穫された細胞の直径の方がより均一であることを示唆している。
Treg Quantumシステムの収穫データを表11にまとめる。さらに、Q1554/1584収穫の結果をQ1567収穫の結果と比較すると、バイオリアクターへの播種時点でのCD4+CD25+細胞の生存率の影響が明らかになる。Q1554/1584増殖ランのバイオリアクター接種材料の生存率は、Q1567ランの生存率に対して32~41%高い。これは、元の細胞分離、凍結保存技術、又は保存期間においてばらつきが原因である可能性がある。これは、この研究(HemaCare PB425C-2; Lot 14034019)で使用される細胞アリコートは2014年2月11日の同じドナーコレクションから得られたためである。
この実行可能性調査の目的は、Quantumシステムが市販のサプリメントを用いて7.0×107~1.4×109個の細胞の範囲でTregの増殖をサポートできるかどうかを判断することである。Q1554及びQ1584からの3つのバイオリアクター収穫のうち2つは、可溶性抗CD3/CD28/CD2 mAb共刺激複合体を使用して、8日未満で、1.0×106細胞数/mLの播種密度から平均1.56×109のTregを生成可能である。これは、Q1554/1584ランにおいては、QuantumシステムバイオリアクターのICループでの平均収穫細胞密度8.81×106細胞数/mL又は7.43×104細胞数/cm2になる。
結論
この実行可能性調査の結果は、本質的に調査的なものであり、必ずしも全ての技術的オプションを網羅するように設計されているとは限らない。例えば、接種Treg共刺激を2回から1回の活性化イベントへ低減することを検討できる。従って、免疫磁気分離された制御性T細胞の自動化されたQuantumシステム増殖で使用され得る方法は、修正されてもよい。ここでの私たちの試みは、培養プロセスの特定の技術的側面を明確にすることであり、これは、Quantumシステムプラットフォーム内でのTregsの大規模な増殖のさらなる研究に役立つ。このような文脈において、上記の研究結果は、これらの結論又は観察結果が合理的であり、研究、開発、又は生産目的の制御性T細胞の生産に役立つことを示唆する。
Quantumシステム自動中空糸バイオリアクターにおいてサイトカインIL-2を補充した場合、FoxP3+/CD25+として識別されるヒトTregは、共刺激mAbでコーティングされたビーズが存在しない状態において、可溶性の共刺激抗CD3/CD28/CD2モノクローナル抗体(mAb)T細胞複合体で培養及び増殖される。
Quantumシステムでは、1×106細胞/mL未満又は6.6×104細胞/cm2未満の細胞播種密度からヒトTregを効率的に増殖できる。この目的のために、14日未満で7.0×108~1.4×109個の範囲の細胞を収穫するという目的は、合計1.09×109個の細胞平均数(n=3)によって達成される。細胞の平均85.5%はTreg CD4+CD25+表現型を発現し、平均42.9%はCD4+FoxP3+表現型を発現する(n=3)。20億個細胞のQuantumシステムでの増殖では、総細胞の平均61.6%がCD4+FoxP3+表現型を発現する。3種類のQuantumシステムTreg細胞増殖ランの1つは、細胞数が限られているため、サードパーティの実験室ヒトIMSRによってCD4+CD25+発現について検証される。
Quantumシステムにおいては、自動中空糸バイオリアクターの内腔(ICループ)内の中央に細胞を播種することによって、ヒトTregは好適に培養され増殖される。
乳酸レベルを7mmol/L以下に維持し、且つ機能的閉鎖条件下にあるQuantumシステムHFMバイオリアクターの内腔を通って300mL/minのIC循環流量で細胞マイクロコロニーをせん断することによりTreg培養において単一細胞懸濁液を維持するため、培地IC入力(+0.1~+0.4mL/min)及びIC循環(-0.0~-0.4mL/min)を並行して調整して、Treg細胞増殖プロセスをサポートする。
実施例2
以下の表は、T細胞の増殖のためのプロトコル例を実行する数日間にわたる細胞増殖システムの種々のコンポーネント(例えば、ポンプ、揺動装置、バルブ等)のタスク設定(例えば、流量、角回転、出力等)の例を示している。プロトコルは以下のシーケンスに従う。
0日目:セット装填、プライミング、培地添加、細胞投入、フィーディング開始。
3日目:細胞を再分配しながらサイトカインをICループにボーラス添加。フィーディングを再度開始。
6日目:細胞を再分配しながらサイトカインをICループにボーラス添加。フィーディングを再度開始。
9日目:細胞を再分配しながらサイトカインをICループにボーラス添加。フィーディングを再度開始。
11~13日目:収穫;残存細胞の再投入。収穫(14日目)。
設定表:工場出荷時設定に対する変更は太字且つ下線で強調される。
実施例3
Quantumシステムを使用してT細胞を増殖するための第1のプロトコルは、CD3+/CD28+Dynabeads(Gibco)を使用してCD3+T細胞を刺激することによって行う。Dynabeadsは、抗原提示細胞(APC)と同様のサイズの3次元ビーズにバインドされた2つの活性化信号CD3及びCD28を利用して、抗原提示細胞(APC)からの生体内(in vivo)T細胞活性化を模倣する。Dynabeadsは、未処理のアフェレーシス製剤からの100E+06のリンパ球と混合される。
細胞は、合計7回のラン実行及び3つの異なるドナーによって、無血清培地(TexMACS、Miltenyi Biotech)を使用して、Quantumシステムで12~13日間増殖される。無血清培地においては、サイトカインIL-2及びIL-7が、フィーディング培地に添加され、3、6、及び9日目にシステムに添加される。
細胞増殖の結果は、平均で、10E+09±4E+09の数のT細胞となり、261±188倍の増殖及び40±4時間の細胞倍加時間を示す。
増殖後の細胞表現型は、CD3+=98±3%、CD3+/CD4+=38±13%、CD3+/CD8+=60±12%である。
以下は、T細胞を増殖するために、(例えば、上記のように)第1のプロトコルに関して行われた変更を伴う、第2のプロトコルのいくつかの特徴の説明である。第2のプロトコルの変更は、いくつかの実施形態に従って、細胞増殖を増強する。図26は、第1のプロトコルと第2のプロトコルとを比較する、培養日数に対する細胞数のグラフを示す。
増殖前に末梢血単核細胞(PBMC)を分離する。PBMCの分離によって、新鮮な細胞又は凍結した細胞を出発細胞産物として使用できる。PBMC分離の追加の利点は、細胞形質導入の過程にもある。CAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)の製造には、レトロウイルスベクターを使用した活性化T細胞の形質導入が必要な場合がある。「汚染」細胞集団を最小限に抑えることは、このプロセスにとって重要である。汚染細胞としては、CD3+T細胞ではない任意の細胞(赤血球、血小板、単球、顆粒球等を含む)が挙げられる。
細胞フィーディングの間、細胞をバイオリアクターの中空糸内に維持する。中空糸バイオリアクターは、全てのガス移動及び栄養素移動が中空糸の半透膜を介して行われるように設計される。この効率的な設計の利点を最大化するために、細胞集団をそのような場所に維持することは改善につながる。T細胞のような非接着細胞は、流体力学を用いて、この空間に保持することができる。流体は、バイオリアクターのIC入口ヘッダーとIC出口ヘッダーの両方に、同じ流量でコンスタントに流れ込む。
フィーディング戦略を改善する。フィーディング戦略の改善は2つある。まず、従来の細胞培養方法では、細胞集団に十分な栄養素を供給し、代謝廃棄物(特に乳酸)を除去するために、特定の時間間隔で培地を交換するか、或いは指定の流量で連続的に灌流する必要がある。第1のプロトコルでは、乳酸濃度は20mmol/Lを超え、グルコースレベルは開始濃度の1/3未満に下がる。ほとんどの標準的な細胞培養方法では、これは最適な条件をはるかに下回る可能性がある。第2のプロトコルでは、フィーディングレートを上げて、乳酸レベルを15mmol/L未満に維持し、グルコースレベルを開始濃度の50%より上に(例えば300mg/dL)に保つ。
これらのフィーディングレートの増加は、独立したIC及びECフィーディングレート方法に対して、さらに設定されてもよい。ICフィーディングレートは、分子量が12kDaを超え且つバイオリアクター中空糸内の細胞の物理的な位置に影響を与える培地成分の細胞培養要求に対して決定される。中空糸膜は半透過性であり、限外濾過によるフィーディングを使用して細胞を中空糸内に保持できるため、IC培地に含まれるより大きな分子量の成分がバイオリアクターのIC側に保持される。細胞の位置については、ICのフィーディングレートが大きい程、細胞集団はリアクターの中心に向かって集中する。ECフィーディングレートは、細胞培養集団のグルコース需要と乳酸除去の必要性によって決定される。このアプローチは、潜在的なコスト上の利点を提供する。サイトカインやタンパク質等の高価な培地添加物(それらは最低限の濃度が必要になる)は、IC培地にのみ追加される。グルコース供給や乳酸除去要件が通常、より高くなるので、それら培地添加物は節約される。
細胞増殖の全期間にわたって毎日細胞は再分配される。これにより、T細胞の増殖中に一般的に観察される細胞凝集体の形成が最小限に抑えられる。これらの凝集体は壊死中心を形成する可能性がある(凝集体の中心にある細胞は、酸素と栄養素が奪われる)。
開始製剤が新鮮である(凍結保存ではない)場合、さらなる改善が観察される。図27を参照。ほとんどの細胞型は、凍結保存によって引き起こされるストレッサーがない場合、より好適に増殖する。典型的には、凍結保存された細胞は、新鮮な細胞の場合よりも長く遅滞期にとどまり、その後同様の速度で増殖する。図27は、新鮮な細胞と凍結細胞の両方を使用して、第1のプロトコルと第2のプロトコルとを比較した、培養日数に対する細胞数のグラフを示す。
追加のプロトコルによる改良は、刺激ビーズ対細胞比を1:2から2:1に増加させること、及び無血清培地のタイプを変更することを含む。ビーズと細胞の比率を上げると、刺激中に細胞/ビーズが相互作用する確率が高まり、増殖の一貫性が向上する。図28は、2つのドナーを使用し且つ1ビーズ:1細胞及び2ビーズ:1細胞のビーズ比率を使用して、第1のプロトコルと第2のプロトコルとを比較した、培養日数に対する細胞数のグラフを示す。TexMACSと比較して、Prime XV(Irvine Scientific)の無血清培地を使用した場合、細胞は、より好適に増殖する。図29は、異なる培地を使用して、第1のプロトコルと第2のプロトコルとを比較した、培養日数に対する細胞数のグラフを示す。両方の培地の製法は製造販売の権利で機密であるため、正確な理由は特定されない場合がある。
以下は、Quantum(登録商標)細胞増殖システムの多用途性を実証するいくつかの例である。
多用途性の第1の実証は、Quantumシステムに播種するために使用される細胞の数が減少することである。これにより、PBMC供給が不足している場合(例えば、患者からの収集が不十分な場合)に、及び接種材料のための初期増殖を行うために別の装置や別のフラスコを追加で必要とせずに、T細胞を増殖させることができる。
多用途性の第2の実証は、様々な細胞培養培地タイプが使用されることである。無血清培地は、細胞療法の製造プロトコルで使用することが、より一般的になっており、(化学的に定義された)変動を最小限に抑え、異種由来(xeno)及びヒト由来のサプリメントを排除する。
データ
PBMCは、健康なドナーのアフェレーシス製剤(AllCells又はKey Biologics)を介して、又はTrima単一血小板収集におけるLRSチャンバーから収集される。
全てのQuantumシステムT細胞増殖ランでは、2つの分離方法(流体勾配分離(ficoll)及びエルトリエーション(Elutra))のうちの1つから分離された凍結保存PBMCで播種される。
(80~120)E+06のPBMCが播種されたQuantumシステム増殖ランは、表22に要約される。図30は、異なる培地を使用した、第1のプロトコルと第2のプロトコルとを比較した、培養日数に対する細胞数のグラフを示す。
TexMACS(Miltenyi Biotech)の基礎培地を使用すると、細胞増殖は平均して28E+09±2E+09細胞数であり、~550倍の増殖と26時間の倍加時間を示す。
RPMI Advanced(Gibco)基礎培地を使用すると、細胞増殖は平均して37E+09±8E+09細胞数であり、~750倍の増殖と20時間の倍加時間を示す。
ここで、RPMI Advancedには、FBSから派生したAlbumaxが含まれていることに留意されたい。
Prime XV(Irvine Scientific)基礎培地を使用すると、細胞増殖は平均26E+09±2E+09細胞数であり、~525倍の増殖と21時間の倍加時間を示す。
細胞培養倍加時間を元のプロトコルの37時間から新しいプロトコルを使用して21時間に変化することは非常に重要である。例えば、表22を参照。これを説明するために、Quantumシステムにおける実際の収穫数の例を使用する。
細胞培養倍加時間が37時間の場合、50E+06の細胞を1E+09の細胞に増殖するのに6.6日必要であろう。
細胞培養倍加時間が21時間の場合、同じ6.6日間で、50E+06細胞は、10E+09の細胞に増殖される。これは、細胞増殖能力の10倍の増加になる。
30E+06のPBMCが播種されたQuantumシステム増殖ランは、表23に要約される。図31は、異なる培地を使用した第2のプロトコルを比較する、培養日に対する細胞数のグラフを示す。
RPMI1640基礎培地を用いた細胞増殖では、10E+09±3E+09の細胞となり、~850倍の増殖と22時間の倍加時間を示す。
TexMACS基礎培地を用いた細胞増殖では、11E+09の細胞となり、~725倍の増殖と22時間の倍加時間を示す。
RPMI Advanced基礎培地を用いた細胞増殖では、25E+09の細胞となり、~1675倍の増殖と20時間の倍加時間を示す。
Prime XV基礎培地を用いた細胞増殖では、平均して15E+09±1E+09の細胞となり、~1000倍の増殖と22時間の倍加時間を示す。
IMDM(ロンザ)基礎培地を用いた細胞増殖では、平均して15E+09±6E+09の細胞となり、~1000倍の増殖と22時間の倍加時間を示す。
図32及び図33は、Prime XV培地(Irvine Scientific)を用い且つ30E+09のPBMCを播種し且つ実施例4に記載されているプロトコルに従って増殖した細胞の細胞表現型を示す。各ドナーについて、「Pre」は増殖前の細胞集団の表現型を示し、「Post」は増殖後の細胞集団の表現型を示す。
第2のプロトコルにおける細胞表現型は、第1のプロトコルによるT細胞増殖の細胞増殖と同様の一般的な傾向に従う。すなわち、増殖におけるCD3+中のCD4+のパーセンテージは減少し、CD3+中のCD8+のパーセンテージは増加する。
CD54RA/RO染色に基づくメモリー表現型又はナイーブ表現型であるCD4+及びCD8+T細胞の割合は、第1のプロトコルでは得られなかった表現型の特徴であり、細胞の記載において追加の粒度(granulrity)を提供する(図33)。
この時、表現型の特徴付けの許容基準はない。
図34~図36は、Prime XV培地(Irvine Scientific)を用い且つ30E+09のPBMCを播種し且つ実施例4で説明されるプロトコルに従って増殖されたT細胞の機能性を示す。
各ドナーについて、「PBMC」は増殖前の細胞集団を示し、「Harv」は増殖後の細胞集団を示す。
Th1/エフェクター表現型に関連するT細胞機能性は一般的に、サイトカインIFN-γ、TNF-α、及びIL-2を産生する能力によって測定される。これらの結果は、T細胞集団が増殖及び再刺激後においてこれらのサイトカインのより高いレベルの産生を示している。
この時、特定のサイトカイン産生レベルに対する許容基準はない。
結果
QuantumシステムでのT細胞の増殖は、バイオリアクターの中空糸内における増殖する細胞集団の維持、乳酸濃度レベル<15mmol/Lの維持、刺激ビーズと細胞の比率の増加等のプロセスの変更によって大幅に向上する。
同様の開始細胞数を使用した場合、平均T細胞収穫率は40%少ない時間で3倍に増加する。これは、細胞の増殖能力において10倍の増加である(細胞培養の倍加時間の比較に基づく)。
第2のプロトコルを使用して増殖されたT細胞は、第1のプロトコルから収集されたものと同様の表現型の特徴を持ち、機能的に生存可能な細胞である。
T細胞は、様々な細胞培養培地オプションを使用して、Quantumシステムで増殖することができ、全てが同様の増殖パターンである。
T細胞は、少量のPBMC開始製剤からQuantumシステムで増殖できる。30E+06のPBMCは、健康なドナー(白血病及びリンパ腫協会)からの平均20mLの全血から分離することができる。これは、分離中に細胞の50%が失われ、処理中に別の50%が失われることが想定される。
実施例4
この例における手順の目的は、実施形態に係る、Quantumシステムにおける増殖のためにT細胞を準備することである。
装置
1.層流バイオセーフティキャビネット
2.ウォーターバス
3.細胞係数装置(顕微鏡、自動計数装置)
4.遠心分離機
5.揺動装置(Nutator)(細胞混合装置)
器具
1.50ml遠心分離管:ポリプロピレン製、殺菌済
2.60mlシリンジ:オス型ルアーロック付き
3.0.5L細胞投入バッグ、アクセサリセット
試薬
1.ヒトAB血清(hSER)
2.リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
3.DYNABEADS(CD3+/CD28+)
4.末梢血単核細胞(PBMC)
5.完全培地(下記参照)
6.基礎培地(下記参照)
手順
様々な培養培地を使用して、QuantumシステムでT細胞を増殖させる(表24を参照)。この表は、これらがQuantumシステムで使用できる唯一可能な培地であることを示すものではない。
開放して行うイベントは、バイオセーフティキャビネット内で行われなければならないことに留意されたい。
DYNABEADS
1.(80~120)E+06のPBMCについて、2:1のビーズ対PBMC比のDYNABEADSが使用される。
1a.30E+06のPBMCについて、3:1のビーズ対PBMC比のDYNABEADSが使用される。
2.DYNABEADSは、製品説明書に従って洗浄される。
3.ビーズは、所望の基礎培地に再懸濁される。
PBMCの解凍
新鮮なPBMCの場合、以下のステップ7から始まることに留意された。
4.所望の数のPBMCを解凍する。
5.クライオチューブバイアルを液体窒素から取り出し、そのバイアルを37°Cのウォーターバスで解凍する。
6.直ちに、解凍したバイアルあたり10mLのPBS+5%hSERを含む50mL遠心分離管に細胞を無菌状態で移す。
7.300xgで7分間遠心分離を行う。
8.液体を捨て、10mL PBS+5%hSERに細胞を再懸濁し、細胞計数を実行する。
9.PBSに懸濁した細胞と基礎培地に懸濁したビーズを合わせて、50mL遠心分離管において1mLあたり(4~6)E+06の細胞及びビーズの濃度にする。
ここでは、基礎培地を用いて、細胞/ビーズの混合物は適切な濃度に希釈される。
10.細胞/ビーズの混合物を10分間室温で穏やかに混合する(攪拌、揺動(nutate)、振動等)。
11.基礎培地を使用して、細胞/ビーズ混合物を50mLに希釈する。
12.バイオセーフティキャビネット内で、細胞投入バッグを開封する。
13.60mLシリンジを開封する。
14.シリンジプランジャーを取り外し、無菌状態で配置する。
15.細胞投入バッグラインから青いルアーキャップを取り外し、ルアーロック端付きの60mLシリンジを細胞投入バッグラインに取り付ける。
16.測定手段としてシリンジを使用する場合は、シリンジの下の細胞投入バッグラインに止血鉗子(hemostat)を取り付ける。
17.細胞投入バッグの上にシリンジを保持しながら、細胞又は試薬をシリンジに注ぐ。
18.重力流によって細胞は細胞投入バッグに入る。
19.プランジャーをシリンジ内に静かに押し込んで、最低40mLの空気をバッグに導入する。
20.プランジャーとシリンジを細胞投入バッグラインに取り付けたままにする。
21.(80~120)E+06のPBMCの播種のため、実施例5のQuantumシステムプロトコル設定を使用する。
22.30E+06のPBMCの播種のため、実施例6のQuantumシステムプロトコル設定を使用する。
実施例5
以下の表は、T細胞増殖プロトコルを実施する期間における、細胞増殖システムの様々なコンポーネント(ポンプ、揺動装置、バルブ等)のタスク設定(例えば、流量、角回転、出口等)例を示す。該プロトコルは以下のシーケンスに従う。
0日目:ディスポーザブルセット装填、プライミング実施、培地添加、細胞投入、フィーディング開始。
2日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
3日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
4日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
5日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
6日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
7日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
8日目:細胞収穫。
実施例6
以下の表は、他の例のT細胞増殖プロトコルを実施する期間における、細胞増殖システムの様々なコンポーネント(ポンプ、揺動装置、バルブ等)のタスク設定(例えば、流量、角回転、出口等)例を示す。該プロトコルは以下のシーケンスに従う。
0日目:ディスポーザブルセット装填、プライミング実施、培地添加、細胞投入、フィーディング開始。
2日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
3日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
4日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
5日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
6日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
7日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
8日目:細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにボーラス添加する。再度フィーディング開始。細胞を再分配しながら、サイトカインをICループにさらにボーラス添加する。再度フィーディング開始。
9日目:細胞収穫
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び構造に様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。従って、本発明は、与えられた特定の例に限定されるものではないと理解されるべきである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内の修正及び変形を網羅することを意図している。